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1971-10-09 第66回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十月九日(土曜日)    午前十時三十九分開会     —————————————    委員の異動  十月八日     辞任         補欠選任      原 文兵衛君     渡辺一太郎君  十月九日     辞任         補欠選任      渡辺一太郎君     原 文兵衛君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         玉置 猛夫君     理 事                 寺本 広作君                 増田  盛君                 占部 秀男君                 河田 賢治君     委 員                 片山 正英君                 柴立 芳文君                 原 文兵衛君                 加瀬  完君                 神沢  浄君                 小谷  守君                 杉原 一雄君                 上林繁次郎君                 藤原 房雄君    国務大臣        国 務 大 臣  中村 寅太君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君    説明員        内閣法制局第一        部長       真田 秀夫君        警察庁警備局長  富田 朝彦君        環境庁大気保全        局特殊公害課長  松井 三郎君        法務省刑事局長  辻 辰三郎君        通商産業省企業        局立地指導課長  浜岡 平一君        運輸省航空局飛        行場部長     丸居 幹一君        自治省行政局長  宮澤  弘君    参考人        新東京国際空港        公団総裁     今井 栄文君        新東京国際空港        公団用地部次長  横井 一仁君        新東京国際空港        公団工事局施設        工事部長     春山 一郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○地方行政改革に関する調査  (派遣委員報告に関する件)  (新東京国際空港建設に伴う第二次代執行の  警備問題等に関する件)     —————————————
  2. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  新東京国際空港建設に伴う第二次代執行警備問題等に関する件の調査のため、本日新東京国際空港公団役職員参考人として出席を求めることにいたしたいと存じますが、さよう決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) 御異議ないと認めます。  なお、人選等については、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) この際、派遣委員報告に関する件についておはかりいたします。  先般、当委員会が行ないました地方行財政等実情調査のための委員派遣については、報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  7. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) 地方行政改革に関する調査のうち、新東京国際空港建設に伴う第二次代執行警備問題等に関する件を議題といたします。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 加瀬完

    加瀬完君 新聞によりますと、千葉県警千葉県川上副知事ら代執行責任者撤去作業に慎重を欠くという理由書類送検をするということでありましたが、これはいたしましたか、あるいはいたしませんか。いたさないとすれば、その理由はどうでありますか。この経緯について御説明をいただきます。
  9. 富田朝彦

    説明員富田朝彦君) お答え申し上げます。  新聞紙上にただいま御指摘のような記事が九月の二十二日に出ておるのは承知いたしております。しかし実情は、現在当該鉄塔倒壊に伴います負傷者の発生ということに関連しての事実の真相の究明をいたしておるところでございまして、刑事責任その他については、その事実の上に立ちまして結論を得たいということで、鋭意捜査を続けておるところでございます。
  10. 加瀬完

    加瀬完君 それでは代執行者には責任なしと、こういう結論を出しているわけではございませんね。
  11. 富田朝彦

    説明員富田朝彦君) そういう結論も含めまして、あらゆることを現在検討中でございます。したがいまして、現在そういう結論は出しておりません。
  12. 加瀬完

    加瀬完君 そういう結論を含めましてというのはおかしいじゃないですか。まだ調査の途中でそういう結論が出るということはないでしょう。警察としては、結局過失にしろ故意にしろ、そこに刑事上の責任が構成されるかどうかということを検討している、こういうことでなければおかしいでしょう。
  13. 富田朝彦

    説明員富田朝彦君) ちょっとことばの表現がまずうございますが、そのとおりであります。
  14. 加瀬完

    加瀬完君 それでは検討中ということでありますから、こういうことは事実関係について確認はできましたかどうか伺います。塔が倒れてけが人が出たことは認めますか。
  15. 富田朝彦

    説明員富田朝彦君) 鉄塔が転倒しました際に、やぐらの上にいました八人の者が地上に転落して、同時にやぐらの上に置いてあったと考えられます多数の火炎びんが一度に爆発したというような状況下で八人の人が、ある者はやけどを負ったような状態でございましたので、同所の警備についておりました警備部隊が直ちに救護をいたした、そういう意味においては先生の御指摘のとおりであります。
  16. 加瀬完

    加瀬完君 警察は公平を欠きますよ、いままでの答弁を聞いていると。火炎びんで火傷しただけがけがじゃないです。骨折なり肺がつぶれたり、これは火炎びんの発火によるものじゃないわけです。ですから、けが人が出たかどうかを聞いているわけで、出たということは認めるんですね。
  17. 富田朝彦

    説明員富田朝彦君) そのとおりでございます。
  18. 加瀬完

    加瀬完君 倒壊原因は、クレーン車で塔を引っぱったということは認めますか。
  19. 富田朝彦

    説明員富田朝彦君) 現在、その点のいろいろな事実的な問題もございますので、含めまして捜査をいたしておるところでございますが、そういう結論はまだ出しておりません。
  20. 加瀬完

    加瀬完君 そういうことは許されない。これを実質的に指揮しておったのは、あとで触れますけれども、トラックの上にやぐらつくって、その上で警察官指揮官指揮をしておったわけです。そういう目撃のできる近距離において、それは塔を倒すことを指揮していたとのみは申しません、警察官指揮をしていた者があるわけですから。そこで綱がかかって引っぱったから倒れたか、綱がかからないで倒れたかということは、これから調査をしなければわからないという、そんな話は受け取れません。  それから公団総裁が来たから聞きますけれども、いま問題になっているのは、塔が倒れてけが人が出た、こういうものは警察も認めた。そのけが人の出た原因は、塔を倒すためにクレーン車で牽引をしたことが原因であるということは認められますかという点であります。公団総裁、これはどうです。
  21. 今井栄文

    参考人今井栄文君) 私どもは塔が倒れたのはクレーンで引っぱったから倒れたのだというふうには考えておりません。
  22. 加瀬完

    加瀬完君 そういうそらぞらしいことを言うが、それじゃクレーンは全然影響ないのですか。目撃者がたくさんいるのですよ、あなた。あなたも見ていたかどうか知らないけれども過失なら過失、まさか故意でやったわけではない、人を殺すようなことを。はっきり責任は明確にして、とるべき責任というものはとらなければ、けしからぬ話ですよ。クレーン車に綱をかけたか、かけなかったかということはあとで聞きますが、あなたそんなことを言うなら、それじゃ次の問題に触れていきましょう。これは警察と両方で答えてください。  塔を倒すときに、上に人が乗っていたかどうかということは、確認したのか確認していなかったのか。
  23. 今井栄文

    参考人今井栄文君) 確認しておりました。
  24. 加瀬完

    加瀬完君 負傷者状態はどうでしたか。E6の病状診断をちょっと報告してもらいたい。いわゆる警察番号ですか、病院に入っている番号ですか、E6というのがありますね。このE6という人物についてのけが状態はどうですか。
  25. 富田朝彦

    説明員富田朝彦君) E6といまおっしゃられましたのは、日赤病院の当時の診断によりますと肺損傷、こういうふうに聞いております。
  26. 加瀬完

    加瀬完君 これはあとで詳しく申し上げますが、それだけじゃないですよ。百時間程度昏睡状態が続きましたね。医者の診断では、一応生命はとりとめたが、脳障害神経障害は残るかもしれないという診断ですね。こんなものは診断書が出ているから当然はっきり言うべきですよ。  それでは、代執行者が来ておらないので困るわけですけれども警察も代執行を事実行為として行なったが、公団の代執行をする心がまえについては、どういう心がまえで臨みましたか。
  27. 今井栄文

    参考人今井栄文君) 先生の言われるように、代執行権者千葉県でございますけれども、私どもはその委託を受けて作業を行なったわけです。その心がまえといたしましては、絶対に相手方にけがをさしたり、あるいはそれ以上の不測の事故が起こらないようにということが私どもの方針でございました。
  28. 加瀬完

    加瀬完君 警察はどうですか。
  29. 富田朝彦

    説明員富田朝彦君) 代執行に付随して発生するでありましょういろいろな不法行為というものの警備を行なうという観点から、当然のことではありまするけれども、双方に被害者を出さないという態度でこの警備に当たったわけであります。
  30. 加瀬完

    加瀬完君 それでは事前準備の事実関係について伺います。この鉄塔撤去について鉄塔についての調査、または作業実施についての危険防止対策は具体的にどう講じられましたか。
  31. 今井栄文

    参考人今井栄文君) 本日は工事局施設工事部長が参っておりますので、現場に当時おりました関係上、加瀬さんの質問に対しては部長からお答えさしていただきます。
  32. 春山一郎

    参考人春山一郎君) お答えいたします。  公団といたしましては、数日前にあの塔が建ったものでございますのと、その近所に近寄ることができない状態でございましたし、それから当日におきましても、これは火炎びん、それからくぎのついた矢、石等が投げられまして、とても調査する段階ではございませんでしたので、強度計算その他については実施することができませんでした。  それで公団といたしまして考えておりました防護対策といたしましては、まず第一に塔に材木等補強を行なうこと、これをまず第一に考えました。それからその次に、万一の場合に備えまして網の用意をすること、これは安全網でございますが、用意をいたしました。それから塔を確実につること、そういうことを安全対策として考えておりました。以上でございます。
  33. 加瀬完

    加瀬完君 そういう準備をして危険はないと思ったと考えていいね。塔を倒す作業にかかる前に、あなたのおっしゃるような準備をしたので絶対に危険はないという考え方で塔を倒した、こういうことですね。
  34. 春山一郎

    参考人春山一郎君) 私どもといたしましては、あの状態でできる最善の策だと考えました。
  35. 加瀬完

    加瀬完君 そんなことを聞いてないよ。危険があると思ったか、危険は絶対ないと思ったか、どっちだと聞いてんだ。
  36. 春山一郎

    参考人春山一郎君) 最善の策と申しますのは、最も安全な方法であるというふうに考えたわけです。
  37. 加瀬完

    加瀬完君 安全な方法というのは、比較的な問題だよね。しかし、法律で求められていることは、絶対危険を起こさせてはならないということなんだ。危険がないとあなたは考えたか、考えなかったかという問いをしているんだが、危険は絶対ありませんと確信しているんでしたら、そのとおり答えてもらいたい。
  38. 春山一郎

    参考人春山一郎君) われわれが考えておりましたような台づけ補強と申しますか、木材補強が可能でございましたら危険はないと思います。
  39. 加瀬完

    加瀬完君 思いますじゃなくて、思いましたでしょうな。
  40. 春山一郎

    参考人春山一郎君) そういうことです。
  41. 加瀬完

    加瀬完君 それじゃ次に聞きます。この場合、L字型鉄材は下のほうが六十五ミリ、まん中が五十ミリ、上が四十ミリ、こういうものですね。補強をいたしまして横から引っぱった場合、許容応力度というのは幾ら計算しておりましたか。
  42. 春山一郎

    参考人春山一郎君) 台づけ補強木材でやった場合には、鉄筋そのもの許容応力度より木材が問題になるのでございまして、この鉄の許容応力度をもしお話しするといたしますと、この鉄骨鋼材通常われわれが言っております構造用鋼材というものに相当すると思いまして、SS41というものじゃないかと思います。
  43. 加瀬完

    加瀬完君 しかし、これはしろうとが建築したわけだね。商売人は入ってない。ですから焼きつけとか酸素でのつなぎとかいうものをやってません。みんなボルトだね、つなぎは。橋脚の下にクロスして補強はやられておりましたか。
  44. 春山一郎

    参考人春山一郎君) 平面的に申しますと、ただいま先生がおっしゃったのはわれわれ筋かいと言っておりますが、一番最低の部分には横の筋かい、水平筋かいはとってございませんでした。それからボルトでございますが、縦方向の三本つなぎの柱につきましては、それぞれボルトでとめられておりましたが、あとはすべて溶接でございました。
  45. 加瀬完

    加瀬完君 それではね、あなたのほうで使ったクレーンエンジン馬力つり上げ荷重力三十五トンのもの一台ですね。
  46. 春山一郎

    参考人春山一郎君) この塔を現実にささえるために使いましたクレーンは三十五トン一台でございます。
  47. 加瀬完

    加瀬完君 そのほか何台か使いましたか、クレーン車、何台使ったの。あなたの説明だと、もっと何台も使ったようだけれども、どうなの。
  48. 春山一郎

    参考人春山一郎君) もう一台使いましたが、ここでは使いませんでした。
  49. 加瀬完

    加瀬完君 私は使ったのを聞いてんだよ。あんたのほうの公団の分室に何台あったかということを聞いてんじゃない。  事実関係を明確にしていきましょう。L字型鉄材で、いまおっしゃったような構造鉄塔を、あのような状態で引っぱって塔が斜めに倒れないという、そういう危険はないという保証はどういう計算に基づくものですか。
  50. 春山一郎

    参考人春山一郎君) 木材で十分に補強することによって、鉄塔を倒す際、徐々につりながら倒す場合に危険はないと考えました。
  51. 加瀬完

    加瀬完君 木材補強したって、それは警察が実地検証したのだから、どういうふうに木材が使われて、その木材がどういう応力を生じたかということはあとで聞きますけれども通常こういう工事つるというのは上につることでしょう。これはつっておりましたか。初め四メートルのところにワイヤをかけて、その次に若干屈曲が生じて一メートル上の五メートルのところにワイヤをかけて、それで引っぱったのじゃありませんか。何がつったになりますか。十五メートルでしょう、この塔は、一番高いところ。五メートルのところでつって、それで危険がないという、そういう計算をどこから出したと私は聞いておるのです。
  52. 春山一郎

    参考人春山一郎君) 塔の高さは、これはあと計算といいますか、はかりましたものでございますが、約十四メートル弱でございます。  それから、ただいまの御質問でございますが、私どもが考えておりましたのは、撤去作業そのものについてのお話を特に申し上げておりましたので、塔が倒れたという時点においてワイヤがそういうふうにかかってなかったという御質問でございますが、塔が倒れた時点におきましては、ワイヤは塔をつるためにかけたのではございませんで、ある程度弱いと考えられる塔に、上に十二人もの学生が乗っておる——学生といいますか、人間が乗っておるという事実を見まして、塔が倒れるといけないということで、北側のほうからクレーンでささえたということでございます。
  53. 加瀬完

    加瀬完君 あなたは最初、安全性を確保するために、また危険防止のために安全網用意したと、これは使っておりませんよね。これはあとの問題。  それからまた、塔を確実につる準備をしたという、塔をつっていないのですね。この塔が倒れるとき、塔はつっておりませんね、つられていませんね。
  54. 春山一郎

    参考人春山一郎君) 塔が倒れた段階においては、クレーンではつってはおりません。
  55. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、つり上げ荷重力が三十五トンということは、応力にしてどういう計算になるのか。あなたは木で補強をした、それで最大限に見ても、六十五ミリメートルのL字型の鉄材で組み立てたのだ、それで高さは十四メートル弱、そういうものの補強木材でしたとしても、三十五トンのつり上げ荷重力のもので引っぱって、それも五メートル程度のところで引っぱって危険でないという計算は、少なくもこの応力計算しなければ出てこない。そういう計算したのか、しないのか、そこだけ聞きたい。
  56. 春山一郎

    参考人春山一郎君) 三十五トンのクレーンと申しますのは、三十五トンの持ち上げる力があるということでございまして、それで三十五トンの応力を加えたということではございません。
  57. 加瀬完

    加瀬完君 そんなことを言っていないね。いわゆる引き上げ荷重力三十五トンのクレーン車で五メートル程度のところがら横に引っぱって、その応力幾ら計算したのか。それに対する、今度は、こちらの十四メートル弱の塔の四角形の一辺の底辺は大体二・七メートルくらいでしょう、あれは。そういう構造のもののこれに対する対応の力は幾らか。引っぱっても絶対に曲がらないという計算をしたのか、しないのかと聞いておる。
  58. 春山一郎

    参考人春山一郎君) 先ほどから引っぱったとおっしゃっておるのですが、私どもはささえておったのでございまして、応力でございますが、応力というのは力がかかったものに対する反力として生まれるものでございまして、その力は受動的なものであって能動的な力ではないと考えております。
  59. 加瀬完

    加瀬完君 ささえたか引っぱったかはあとで論議しましょう。  しかし、クレーンでささえると言ったって、クレーンの力がゼロでささえたことにはならないわけです。ささえるにしても三十五トンの引き上げ荷重力のものでささえられるかどうかというのは、結局その応力とそれからそれに対抗する力と、この計算をして比較しなければ、ささえられるかささえられないか、あるいはささえることが引っぱることになって塔が曲がる危険がないかどうかということは、当然これは計算されるべきものでしょう、技術家ならば。あんなかっこうでやったら、あなた座屈が生ずるのは計算をしてみましたか。結局あれは座屈が生じて倒れる結果になったのです。座屈が生ずることは一体計算しましたか、しませんか。
  60. 春山一郎

    参考人春山一郎君) 私どもはあくまでも塔をささえるということで、応力というか、引っぱり力ゼロでささえるつもりでございました。それで力がかかったかどうかということでございますが、力がかかるというのは塔が動くとか、あるいは倒れるとか、そういうような受動的な力として反力に生まれることならば考えられますが、それ以外私どもは考えておりません。
  61. 加瀬完

    加瀬完君 つるというのは、ああいう建造物に対するつるとか、ささえるというのは、上のほうからつったり、上のほうに引っぱってささえるということが通常でしょう。五メートルか四メートルの横のほうに引っぱっていったって、これがささえたことになりますか。あなたは、危険の防止のためには上につる、こう言った。つっていませんね。  その次に、これは建設省からの資料ですけれども、こういう塔を解体するような場合は通常上方から解体をしていきますね。しかしこれは上方に人が乗っているから解体できない。しかし上に乗っている者は当然危険だ。労働災害法によれ、ば、こういう場合には二メートル以上の高いところがら落ちるということは危険があるので、当然危険防止の諸規則を守らなければならないということになっているのです。そうでしょう。これは解体作業の人夫が上に乗るのではないけれども、上に乗っている、上に人がいることは事実です。そうするとこの法規に準じて当然防護措置というものは、危険の防止措置というものは講じられなければならないわけでしょう。それを講じていませんね。あなたがさきに考えたように、防止網を張ったり——こっちのほうにありましたよ。その防止網も使っておりませんね。それから上からつってもいませんよ。こういう事実をあなたは認めますね。そういうふうな指揮を県から受けたかどうかしれませんけれども、事実は上からつっていなかった。横から引っぱっていたのですが、上からつっていなかった。それから倒れるとき防止網も施されておらなかった。この事実は認めますね。
  62. 春山一郎

    参考人春山一郎君) われわれが塔を倒す段階に、つるとかそういうことは考えておりましたので、塔が倒れた時点は、その準備作業をするべく塔をささえた段階に起こりましたので、われわれとしてもその時点で塔が倒れるということは予期しておりませんでしたので、安全網その他やることができませんでした。なお労働災害の問題でございますが、当然塔を倒す時点におきましては安全網をかける、万一の危険に備えるという用意は十分してございました。
  63. 加瀬完

    加瀬完君 代執行心がまえとして、さっき総裁は、危険がないように万全の策を講ずるという心がまえで臨んだと言うけれども、万全の策になりますか。塔はいつ倒れるかわかりませんけれども、あなた方が倒そうとしたことは事実でしょう。撤去作業ですから塔を倒さなければならぬ。それならば、万全の策というのは、塔を倒す事前において施されなければ万全の策ということにはならない。塔が倒れたときに人が下になった、これは予期しないことで私ども責任はありませんという理屈で済みますか。最小限度法律できめられておる防止対策も、現実において、塔が倒れたときには、立っておらなかった。これは事実でしょう。倒そうと思ったか、倒させまいと思ったかというような問題ではない。現実に塔が倒れたとき、法律規則できめられておる防災対策というものは立っておらなかった、こういうことでしょう。これは間違いない。塔が倒れた時点で、もう一回言うならば、塔が上につり上げられるような方法は講じられておらなかった。塔が倒れたときに人命を救助するような防止網を張られておらなかった。これ、事実じゃありませんか。
  64. 春山一郎

    参考人春山一郎君) われわれは塔を倒す以前も安全第一に考えまして、クレーンから綱をかけるのが最もあの場合に有効な手段であると考えたわけでございまして、あの時点でつって倒すということは全然考えておりませんでした。
  65. 加瀬完

    加瀬完君 上へつるということが安全だということは常識でしょう。その常識をあなた方は怠っておったわけです。  そこで、次の段階として、倒し方について事実関係を確かめる。これは期日は、九月の十六日の午後三時十五分ころですね。総裁でもいいですよ。総裁、知らぬふりしていないで、総裁が答えられることは総裁答えなさい。
  66. 春山一郎

    参考人春山一郎君) 十六日の三時十五分くらいでございます。
  67. 加瀬完

    加瀬完君 鉄塔は、成田市駒井野字張ヶ沢一一八七の一、同じく二九二の一付近で、右、木台の高さは大体十五メートル弱、最上段及び中段部直方体の箱型の監視台が設置されておった、こういうものですね。
  68. 春山一郎

    参考人春山一郎君) 正確に申しますと、一番上の見張り台は長方形でございました。中間のがほぼ正四角形ということでございます。
  69. 加瀬完

    加瀬完君 まあ直方体、正方形、あるいは若干形は違うかもしれませんが、私の指摘あまり違いがない。そこへ鉄鋼製ワイヤを巻きつけた事実は認めますね。
  70. 春山一郎

    参考人春山一郎君) 巻きつけたという表現がどういうことかわかりませんが、輪がけした、たとえば引いても締まらない状態で巻いたというふうに考えております。
  71. 加瀬完

    加瀬完君 輪がけしたことは認めますね。引いても締まらないかどうか。そんな輪がけはない。引いて締まらない輪がけをやる必要はない。引いても締まらなければ、あなたがさっき言ったささえにはならない。それはあとでやりましょう。  ワイヤはどんなふうにかけましたか。あなた、そこにいたの。
  72. 春山一郎

    参考人春山一郎君) 私本部におりまして見ておりませんが、かけた位置は中段の監視台の下部というふうに考えております。
  73. 加瀬完

    加瀬完君 警察に聞きます。だいぶでたらめがありますね。中段の下部というと、大体五メーターから十メーターくらいの間だろうという推定ができる。これ五メーターよりも上にかけておりますね。あなた方は検証したからわかるだろうが、一番初めにかけたのは何メーターか、二度かけている。
  74. 富田朝彦

    説明員富田朝彦君) これは最初ワイヤロープを支柱の四本の下部を取り巻くようにかけたようでありまして、それをさらに作業員が三人ほど乗りまして、支柱にそれを取りつける。そしてそのロープの輪を一つずつ上げていくというような作業をしておったようであります。ところが上から火炎びんやくぎの矢が非常に降ってくるというので、作業員がそこを離脱しまして、そこでワイヤロープが、倒壊した直前の時点であろうかと推定いたしますが、先ほど御説明ございました中間監視塔ですね、これの下約五、六十センチのところまで上がってきておったのじゃないか、かけていたというふうになっております。
  75. 加瀬完

    加瀬完君 それは検証の結果、確認されたものですか。そういう報告を受けているというだけの話ですか。
  76. 富田朝彦

    説明員富田朝彦君) これは検証といいますか、塔が倒れました当時は、その位置が大体そういうところにあったかと考えられますと同時に、捜査といいますか、そういういろいろな各方面の事情聴取の過程から総合してわれわれとしては考えざるを得ませんので、そういうふうに思います。
  77. 加瀬完

    加瀬完君 ワイヤをかけた者の氏名、現地の指揮をした執行官の名前はだれですか。
  78. 今井栄文

    参考人今井栄文君) 駒井野の団結小屋の代執行責任者は千葉県の加藤康三、この方が正執行官でございまして、鈴木昭、この方が県の副執行官でございます。それからなお、私ども公団として作業を委任いたしましたその地点の責任者は林用地第一課長でございます。
  79. 加瀬完

    加瀬完君 ワイヤをかけた者の氏名。
  80. 今井栄文

    参考人今井栄文君) ワイヤをかけた作業員の名前は、いま手元に持っておりませんので至急調べます。
  81. 加瀬完

    加瀬完君 これは警察はわかっていますか、ワイヤをかけた者の氏名。
  82. 富田朝彦

    説明員富田朝彦君) ただいまその三人、その者が明確ということでございませんが、鉄塔撤去作業に従事をしておりました、これは公団職員ではなくして、そういう作業を委託されておった市川建設株式会社のクレーン車の運転手等を一応取り調べておりますが、まだ私ども手元にはワイヤを直接かけた人の名前は入っておりません。  なお、現場で作業指揮をした人は、ただいま説明がございましたように空港公団用地第一課長の林氏でございます。
  83. 加瀬完

    加瀬完君 これは警察に伺いますが、これからも質問を重ねてまいりますが、ワイヤで引っぱったか、引っぱらなかったかということが問題になっております。ワイヤをかけた者、クレーン車の運転手、こういうことは当然いままで調査がされておらなければ、今後十分なその者たちに対する取り調べが行なわれるものと考えてよろしゅうございますね。
  84. 富田朝彦

    説明員富田朝彦君) 必要ないわば参考人並びに事情を聴取し得る人々につきましては、徹底していろいろ事情を聴取する方向で進んでおります。
  85. 加瀬完

    加瀬完君 公団に伺いますが、塔を倒す事前に、塔の上に火炎びんのあったことは認定できている、あるいは予想できている、予想しなかった、どっちなんですか。
  86. 春山一郎

    参考人春山一郎君) 火炎びんにつきましては、作業員もしくは公団責任者その他が工事を施行するにあたりまして、相当数の者が食っておりましたので、何本かは残っていることは想像にかたくはないと考えます。
  87. 加瀬完

    加瀬完君 それがいい悪いじゃないですよ。火炎びんの爆発についての対策、特に火炎びんを使用するであろう学生の塔の上からの排除についての対策、これについてどういうふうな方法をとっておったか。
  88. 春山一郎

    参考人春山一郎君) 公団といたしましては、十分な消火器、そういうものを用意いたしまして、これはわれわれ自身火炎びんを相当投げられておりますので、火炎びんに当たったために衣服に燃え移った、そういうものを消すために十分に消火器は用意してございました。
  89. 加瀬完

    加瀬完君 塔が倒れて、あの事実のように火炎びんが発火して、乗っていた者なり、その付近の者なんかが、火傷その他の火炎びん原因となる傷害を起こすということの予想は立てたのか立てなかったのか。
  90. 春山一郎

    参考人春山一郎君) 火炎びんが、これは自然発火か、あるいは火がついたままの火炎びんが倒れたために爆発したのか、その間の事情はわかりませんが、公団といたしましては、その時点において塔を倒す意思は毛頭ございませんでしたので、そういう火炎びんを消すための消火器の用意は、特にこれといった方法は講じておりません。
  91. 加瀬完

    加瀬完君 これは異なことを承りますね。公団総裁に、そうすると塔の撤去作業というものは、倒さないでどういう方法で撤去しようとしたのですか。塔はそのまま建っておってもよろしい、撤去を妨害している上の者たちを排除すればよろしいと、こういうことですか。塔を撤去するという作業ではなかったのですか、あれは人間だけ排除するという作業ですか。
  92. 今井栄文

    参考人今井栄文君) 本来、別に塔の上に人がおらなければ、塔そのものの撤去はそう問題ないわけでございます。したがって、上におる火炎びん、あるいはまたくぎをつけた矢を撃つ連中に対しては、事前にとにかくおりてくれということを要請をいたしたわけでございますが、どうしてもおりないということで上から火炎びんを投げる、矢を射てくるというふうな状況下において、結局乗ったままで安全におろす以外に方法はない、こういうことになったと思います。
  93. 加瀬完

    加瀬完君 じゃ、上に人間を乗せたまま安全にという条件は当然なことでありますが、撤去しようという意思で撤去の作業をしたということは認めますね。
  94. 今井栄文

    参考人今井栄文君) それは当然そういうことでございます。
  95. 加瀬完

    加瀬完君 撤去の意思があった、人を乗せたまま。そうすると、それは火炎びんを持っている連中が乗っているから、火炎びんその他の被害があるということになるから、そのための対策を立てなければならないということになりますね。いまさっきの部長のお答えでは、そういうお答えではありませんね。まあいいでしょう、それは。  それでは次に聞きます。鉄鋼製ワイヤは最初四メートルくらいの高さのところにかけられた、あるいは輪がけをしたということは認めますね。あなた現地にいなかったのだから、ほんとうはわからないのだな。
  96. 春山一郎

    参考人春山一郎君) 私が報告を聞いている範囲においてお答えいたしますが、第一段目の上部にまずかけまして、これは輪がけした段階では非常にゆるくなっておりますので、それを一段、一段、これは柱の外側に山型鋼が溶接しておりますので、するっと上げるわけにいきませんので、返しながら上に上げていったように承知しております。
  97. 加瀬完

    加瀬完君 クレーン車は始動したのか、しなかったのか。
  98. 春山一郎

    参考人春山一郎君) 始動いたしません。
  99. 加瀬完

    加瀬完君 ワイヤをかけるワイヤはたるんでいたのですか。
  100. 春山一郎

    参考人春山一郎君) かける当時においてはたるんでおりました。
  101. 加瀬完

    加瀬完君 だから、かけてからクレーン車は始動させたのか、させなかったのかと聞いている。させなければ、あんなにぴんと張るはずはないでしょう。させているのですよ、そうでしょう。
  102. 春山一郎

    参考人春山一郎君) 綱がたるんだままですと塔をささえることができませんので、ささえるに必要なだけ綱を張りました。
  103. 加瀬完

    加瀬完君 あなたのことばをそのとおり信用すれば、ささえる程度に張った、張ったあとでこの構造物に異状を来たしたということは認めますね。脚部がくの字に曲がったから張ったのじゃなくて、張ったあとで曲がったのですね。
  104. 春山一郎

    参考人春山一郎君) 時間的には、倒れたという時点は、時間的には……。
  105. 加瀬完

    加瀬完君 倒れたことを聞いていない。曲がった前かあとか、張ったのは。
  106. 春山一郎

    参考人春山一郎君) それは柱の脚部でございますか。
  107. 加瀬完

    加瀬完君 そう。
  108. 春山一郎

    参考人春山一郎君) 綱を張るというより輪がけする前でございます。
  109. 加瀬完

    加瀬完君 違います。違います、あなた。目撃しているんだから、私は知っていますよ。話を聞いて持っている。輪がけをして引っぱったから曲がった。それからあなた方のほうは、このクレーン車に待ったをかけたでしょう。クレーン車をストップさせたでしょう、ストップさせませんか。
  110. 春山一郎

    参考人春山一郎君) クレーンで柱の下部を引いて、柱に曲げを生じさせたという事実はございません。
  111. 加瀬完

    加瀬完君 その次、その次。途中でクレーンやめただろう。
  112. 春山一郎

    参考人春山一郎君) クレーンは引きませんでしたから、初めからやめるもやめないも……。
  113. 加瀬完

    加瀬完君 これはあなた目撃していないんだからね。あなたのほうでも、加藤君でも、指揮者に・もう一回来てもらわなければならない。クレーンをかけて、あなたの言うことなら、つったら、私どもの見解とすればクレーン車始動して引っぱった。引っぱったから脚部のほうに若干のくの字型を生じた。そこで危険だと思ったのでストップをかけた。そして今度は作業員が行って、四メーター程度のところを五メーター程度のところに輪がけをやり直した、そうでしょう。これは警察のほうにも証人はいるはずだ。当日この敷地付近に大型ダンプカーの荷台の上に金網張りをした指揮官車がいたはずだ。この指揮官が双眼鏡とトランシーバー等を使って、部下の機動隊員に作業の手順等を指揮していた者がいるはずだ、これはだれですか。
  114. 富田朝彦

    説明員富田朝彦君) 当日、駒井野のその代執行に伴う妨害排除その他の警備指揮に当たったのは警視庁の第一機動隊でありますので、その指揮官車の上でその指揮をとっておった者は第一機動隊長であろうと思います。
  115. 加瀬完

    加瀬完君 この者のやれやれという号令で全体が動いている。この警察官は、警察の機動隊を指揮していただけじゃなく、作業員全体を指揮するような形をとった、目撃者はそう言っている。これは事実関係あとで調べていただきたい。  それで最小限考えても、警察はこういう直接代執行指揮行為をしてはならないという訓示は十分しておりましたか。
  116. 富田朝彦

    説明員富田朝彦君) 先生のおことばではございますが、警察は代執行そのものにはこれは何ら関与すべきものでもございませんし、また関与をいたしておりません。しかしながら、先生もごらんになられたと思いますが、当日の駒井野のあの敷地内から火炎びんの投てきあるいは石、それがさらにはやぐら上からの火炎びんの投てき等、これは相当な激しいものでありましたが、それに対して、ときには放水をしてその火を消すというようなこともありましたでしょうし、そういうことについての指揮は、当然指揮官としていたしておりますが、代執行のそれについては、私はそういうことは全くないと、かように確信しております。
  117. 加瀬完

    加瀬完君 この場合には、あなたのおっしゃるようなことも一応認めます。他の場面で警察官が直接代執行したことはまたあとで触れます。  そこで、くの字に曲がったのでクレーン車の索引をとめたわけだけれども、また索引を始めた。こういう事実関係をもっとはっきりと作業員に事実を確かめて、いずれまたここで明らかにしていただく。いずれにしても十四メーター程度のところから墜落することは、生命の危険があるとは感じただろうと思いますけれども、どうだろう総裁
  118. 今井栄文

    参考人今井栄文君) そのために私どものほうとしては、それを落とす、倒すための準備をやったわけでございまして、消火器はもちろん用意しておりました。それからまた網等も用意をしておったんですが、先ほど春山部長が申し上げましたように、そういう準備が間に合わない間に倒れたということで、作業員も一人実はその下で骨折をしておるというふうなことで、間に合わなかったということであります。
  119. 加瀬完

    加瀬完君 あなたのほうでけがしたか、けがしないか聞いてない。代執行が正しく行なわれたか行なわれないか、少なくとも災害の予防措置がとられたか、とられなかったかということを聞いている。警察官にしても、あなたのほうのけがをなさった方にしてもお気の毒だ。なくなった方に弔意を表するにやぶさかではありません。しかし問題はそうじゃない、いま聞いているのは。  もっと聞きますけれどもね、解体をするという意思があったら、当然これは常識的に考えて、上からつって、下を切断をして、そして斜めに倒すという方法が行なわれるわけでしょう。あなたのほうでも七月二十六日のこの仮処分の命令による除去については、何台ものクレーン車で上をつって、下を切断して、斜めに倒して、その上に乗っていた人がいたけれどもだいじょうぶということであった。何で今度その方法をとらなかったのか。間に合わなかったと言うけれども解体作業をする意思があるならば、初めから準備が行なわれるべきだ。網は持ってきたけれども使えなかった。——使えなかったのじゃなく、使う意思がなかった。つりましたか上を。当然の常識として、下の足を切断をして上からつって倒さなければ、これは人間に損傷があるの当然でしょう。足は切りましたか、部長から答えてください。
  120. 春山一郎

    参考人春山一郎君) 解体のつり込みその他は、補強とかそういうようなことが全部なされてからやるつもりでございましたが、その補強をやる状態に塔を安全に保持するためにクレーンで、綱で保持するのがまず第一策であるという判断でクレーンで保持したというふうに考えております。
  121. 加瀬完

    加瀬完君 あなたがどう抗弁したって、あれはテレビ放送でみんな見ている。クレーン車で引っぱったから、それから塔が倒れたというのは事実だ。ああいう作業にかかれば、あなた方の予期したように順序よく手はずが進むはずはない。上にいる人間を排除するためには、これは排除することはけっこうです。しかしながら、排除するからといって、警察官が何人か死んだから、あいつらも殺していいという理屈は立たない。そこで最大限、先ほどからおっしゃっているように生命の損傷についての防止対策というものを立てなければならない。何にもやられておらなかったということは、これは認めますね。準備したか、しなかったかじゃない。下に防止網もない、つってもない。こういう状態で塔が倒れたということは、これは否定するわけにいかぬでしょう、どうですか。
  122. 春山一郎

    参考人春山一郎君) 塔を倒すときには必ず補強し、反対側の柱の下部を切断することは絶対必要条件でございますから、それは当然考えておりました。
  123. 加瀬完

    加瀬完君 やってないじゃないか。やっていたか、やってなかったか。
  124. 春山一郎

    参考人春山一郎君) やる時点の前の安全対策として綱をかけたもんですから、まだやっておりません。
  125. 加瀬完

    加瀬完君 安全対策に綱をかけたって言ったって、あんな低いところに綱をかけて、クレーン車を始動すれば座屈が当然その下へ影響するわけでしょう。座屈の影響で曲がることは当然ですよ。こんなことはわれわれしろうとだってわかる。あなた方技術者がその計算もしないということはさっき証明したとおりだ。しかもクレーン車が始動していることは、みんなも認めていますよ、音がしているんだから。とにかくそれで綱を輪がけをしたあとで倒れた。ひとりでに倒れたのじゃないですよ。くの字に曲がってそれで倒れた。しかしながら、その当時においては、切断もなければ上からつってもいませんよ。あなたのほうとしては、あれを引っぱれば倒れないという考え方であったかもしれぬけれども、あの五メーターのところで引っぱれば倒れないという計算は何もないでしょう。事実は五メーターのところで綱を引っぱって塔が倒れている。これは現実だ。つまり塔が倒れて人がけがした場合、そのけがに対する対策は何にもなかった、これは認めざるを得ないでしょう。  そこで、もう少し具体的に聞きますよ。この労働安全衛生規則に規定されている墜落防止措置危険防止措置、こういうものは災害防止だけではなくて、こういう場合にも準用されるべきものです。準用してかからなければならないということは認めますね。総裁どうでしょうか、あなたはこれ知っていたかな。
  126. 今井栄文

    参考人今井栄文君) 当然やはり作業する場合に、そういうふうな法律に基づく規則なり、あるいはそれ以外の指示があれば、当然にそれにやはり準拠してやるべきものだと思います。
  127. 加瀬完

    加瀬完君 こういう準備が行なわれておりませんね。部長さんどうですか、塔が倒れた時点において、こういう対策は立てられておりませんね。
  128. 春山一郎

    参考人春山一郎君) 公団といたしましては、人命に、あるいはけがその他の事故のないように万全の対策を講じたということが言えるだけでございます。
  129. 加瀬完

    加瀬完君 あなた、ばかもほどほどにしなさいよね。百時間も意識不明で、医者の診断によれば、助かったことが奇跡だという重体の者を出している、現実だ。だから最初、E6のこの入院患者についての状態はどうだと伺ったら、あなたも認めた、重体だということは。そういう者が出ているわけですから、出さないように、そのときの時点でどういう対策が講ぜられましたかと聞いている。対策が講ぜられて、それでE6みたいな両肺がつぶれるような重傷患者を出した、どういうわけですか。自然現象でこれなったわけですか。十四メートルのところから落ちて火を浴びればけがするのは当然です。それに対する対策は何もなかった。なかったから、こういうけが人が出たのじゃないですか。万全の策を講じたとはどこから言われる。総裁に聞きます。万全の対策を講じて、あなた方は出てもしかたがないと言うのですか、これだけの重傷患者が出ても責任がないということですか。これははっきりしてください。
  130. 今井栄文

    参考人今井栄文君) 先ほどから繰り返しお答え申し上げておるように、私どもとしては上に乗っておる人たちが安全に地上におりられるようにということで、網についても、それ以外の塔を安全に倒す方法についてもいろいろ現場で考えてやったわけでございます。しかしながら、それが間に合わない時点において倒れたということでございまして、その倒れた時点において網がなかったということは、先生がおっしゃるとおりでございます。
  131. 加瀬完

    加瀬完君 準備をするのが間に合わなくて倒れたのだからしかたがないということですか、責任はないということですか。
  132. 今井栄文

    参考人今井栄文君) 準備をしておったけれども間に合わなかったということは、先ほど申し上げたとおりでございますけれども、はたしてそのわれわれの作業に、故意はもちろんございませんけれども先生の御指摘になるような過失があったか、なかったかという問題でございますけれども、これについては十分警察のほうでお調べをいただいて、過失があり、しかもそういう非常に混乱した中で、火炎びん、あるいは五寸くぎをつけた矢を作業員目がけて撃ってくるという中での安全作業でございますので、現場は非常に苦労したと思います。しかし私どもとしては、責任については、当然警察のほうの御調査によりまして、私どもとしては責任を回避するものではございません。
  133. 加瀬完

    加瀬完君 私は火炎びん投げたり、そういうことをする行為を認めているわけではない。しかし、人間の命は、どういう犯罪者だって、おまえ犯罪を犯しているから、正当防衛でない限り相手の命や生命を損傷していいという理屈は成り立たないわけだ。十五メートルに近い、あなたのほうで言うのは十四メートル。十四メートルのところがら人間を落とせば生命に危険を感ずるということは常識でしょう、これは。しかし落とす、現実に落ちた。落ちたことに対して、あなた方のほうは何も対策をしてなかった。火炎ぴんとかそういうような抵抗を防ぐ手段というものは別に講じられるべきものでしょう。そういう抵抗をするから、落ちて、奇跡的に助かったというのだから、かりに死んだってしかたがないという理屈は成り立たないでしょう。あなたそれを認めるか。ああいうことをしているんだから、落っこって死んだって、これは正当防衛だという理屈は成り立ちますか。
  134. 今井栄文

    参考人今井栄文君) 私どもは絶対そういうことは考えておりません。一人だって死んだら困るというつもりでおります。
  135. 加瀬完

    加瀬完君 それなら、そういう対策が万全にできておらなかったということは率直に認めざるを得ないでしょう。けがをしたということは万全でなかったということになるでしょう。部長が言うように、私どもは万全でありました。しかし、ひとりでにひっくり返って、ひとりでにけがをしたなんということを言いましたが、代執行をあなた方が願い出されて、実際に代執行をやったわけだ、あなた方が。その者がそういう責任回避のことで許されますか。  これ刑事局長いらしておりますから伺いますが、未必の故意というのが法律にございますね。未必の故意というのはどういうことですか。
  136. 辻辰三郎

    説明員(辻辰三郎君) 一般的に刑法上未必の故意といいます場合には、犯罪事実の認識があって、あえてその行為に踏み切る、実行するという場合が故意でございますが、その犯罪事実の認識につきまして、そういう犯罪事実が起きるかもしれない、起きるかもしれないが、あえてやろうという程度の認識を持って行為を行なうと、こういう場合が未必の故意ということであろうと思います。
  137. 加瀬完

    加瀬完君 十四メートルのところがら人間が落ちて、火炎びんが破裂すれば、これは最小限、大けがをするということは当然の常識として判断できる。現実にE6(男)は、地面にたたき落とされた際、胸部を強打して右肺下葉を破裂せしめられ、左肺部上葉に肺挫傷の重傷を負い、呼吸困難、意識不明のまま今日に至り——これはいまは意識は戻りましたけれども、奇跡的に生命を持続させているが、精神障害は残る可能性が強いという、これは成田の担当の医者の診断です。こういう重傷を出して手落ちがなかったとは言えないでしょう。  警察に伺いますが、こういう状態でも送検の必要はございませんか。
  138. 富田朝彦

    説明員富田朝彦君) 本件につきましては、すでに地方検察庁に対しましても告訴、告発がございます。私どものほうとしても、ただいまいろいろ御議論がございましたように、非常に科学的にむずかしい問題を含んでおりますので、その点、近く専門家に鑑定を依頼をいたしました上で、いままでの事情聴取その他を総合いたしまして結論を出したい、かように考えております。
  139. 加瀬完

    加瀬完君 千葉県知事としての代執行に伴なう事故についての防止対策を聞きたいわけでありますが、これは警察でお調べになったと思いますが、県当局おりませんので、重傷者の救助対策、こういうものがどういうふうに立てられておったかを御認識ですか。お調べがありましたらお答え願いたい。
  140. 富田朝彦

    説明員富田朝彦君) 当日の救急関係につきましては、県、公団それから警察と、それぞれが救急に遺漏のないようにということで、公団分室にそれぞれの医療の組織を開設をいたしておるわけでございますが、知事側はどの程度の医療組織であったか、この点はちょっとまだ私聞いておりません。公団公団で、またその後医療組織を開設しておられると聞いております。
  141. 加瀬完

    加瀬完君 事実で明らかにしていただきます。  E6について、E6の重傷の措置はどこで確認をいたしましたか。
  142. 今井栄文

    参考人今井栄文君) 当時現地におりました用地部の次長が参っておりますので、次長から。
  143. 横井一仁

    参考人(横井一仁君) 当日の医療対策は、先ほど御説明がございましたように、三者で持っておりましたのですが、駒井野の鉄塔の倒れたあと警察側の担架で運ばれた、警察側の救護室へ運ばれたというふうに報告を受けております。
  144. 加瀬完

    加瀬完君 鉄塔のそばに倒れていたE6を警察が運んだということは認めます。  そこで、E6の倒れていた状態診断はだれもしてなかった。それから分室に運んだと言うけれども、分室の部屋の中の医療室ではなくて、警察官の構内のテントの医療施設に運んだ。このテントで医師の診断は行なわれておらない。行なわれておったとすれば、こういう重傷患者を見落とすはずはないんです、医者としては。そして大体四時間——あなたは六時三十分に出発したと言うが、出発をしたのはそうかもしれない。しかし、病院に参りましたのは七時過ぎだ、大体四時間、この公団分室構内のテントの中で放置されておった。こういう生命危篤におちいっている者を四時間も分室のテントの中に放置しておった。この責任は一体あるのかないのか。四時間の間に確実に医師が診断をしておらない。これは一体そのまま認めていいことかどうか。診断しておったとすれば、いま言ったように胸部強打による右肺下葉破裂、兼左外傷性血気胸の傷害で、いまは気がつきましたが、百時間意識不明、しかもいまもって精神障害が残るのではないかといわれる重傷患者を、それを発見できなかった医師の責任というものは一体どうなる、こういう問題が起こる。テント内でどういう手当てをしたか、警察にひとつ説明を求めます。
  145. 富田朝彦

    説明員富田朝彦君) 救護室には先ほど申し上げました医師三名、それは……。
  146. 加瀬完

    加瀬完君 三名というのは、テントの中に三名いたのですか。
  147. 富田朝彦

    説明員富田朝彦君) そうです。社会保険船橋中央病院の内科並びに整形外科の専門医でありますが、それがそれぞれの負傷者の手当てをいたしております。当日この警察の救護室が扱いました負傷者は六十一人ございまして、警察官三十二人、公団職員二人、学生二十五人、報道関係一人、一般作業員一人、こういう者を扱っているわけでございます。  で、そのうちの、先ほど申し上げましたように、八人のうち五人がやけど、あるいはその他打撲でやや重傷であろうかというような状態でありましたが、そのうち三人だけ医師の診察にすぐ応じておりますので診断をいたしまして、先ほど申し上げたような処置を現地の医師の指揮でとっているのでございます。で、ほかの二人は非常に強く診療を拒否したということで、とりあえずその三人に応急処置をしたと、この救護室内で休養させておったところが、このE6と思われる者が顔色が悪い、それから吐きけがするというので、すぐ応急手当てにかかろう、こういうふうに医師がしたようでありますが、医師の言では、診療要らぬ、こういうようなことでありましたが、強心剤の注射とか、あるいは吐きけをとめるものとか、あるいは酸素吸入もいたしたようでありますが、そういうことで処置をいたしておるわけでございます。医師としては医師の科学的な医学的なあれに従って、その状況に応じて最善の処置をとったものと私は考えております。
  148. 加瀬完

    加瀬完君 そのあなた方のテントの中に入ってから重体になったわけではないんですね。このけがは落下したときに生じたものですね。したがいまして、外傷もないからといってこれを放置したり、医師の診療を拒否したからといって、こういうあとで診療した医師が、E6が生命を保てたことは奇跡である、こう言っておる。これほどの重患を診療を拒否したからといって四時間も放置している、こういうことが完全なる救護態勢にあったと言われますか。これは警察を責めるわけにいかぬ。公団は分室で同じような医療班を設けておったようでありますが、代執行者はどこでこういう者を責任を持って救護する対策を立てておったのか。これは公団総裁に聞いては恐縮でございますが、あなたはよく事情を知っているだろうから、千葉県がこういう救急対策の施設をどこにどういう機関で設けておったか、わかっておったら教えてもらいたい。
  149. 横井一仁

    参考人(横井一仁君) 千葉県は県のやはり保健所または県立病院から医師、看護婦が現地へ派遣されまして、県の救護室が設定されておりましたのですが……。
  150. 加瀬完

    加瀬完君 どこですか、場所はどこですか。
  151. 横井一仁

    参考人(横井一仁君) その場所は公団分室の中の三号棟でございまして、警察の救護室の隣でございます。それでそのプランニングは用地部管理課でやっておりました。
  152. 加瀬完

    加瀬完君 それは結局あれでしょう、公団の救護班でしょうが。千葉県が責任を持って設置したものじゃないでしょう。
  153. 横井一仁

    参考人(横井一仁君) 公団の救護班は別に公団職員が救護班として設置いたしまして、やはり公団の嘱託医の医師、看護婦並びに救急車等の準備をいたしまして、公団の救護室は第二号棟に設置しておりました。県は県で別途県の救護室がありまして、それらの担当は特に分けておりません。随時県の人あるいは作業員、公団の人あるいは反対同盟の方を診療いたしております。
  154. 加瀬完

    加瀬完君 公団にしても警察にしても直接責任はほんとうはないわけですよ、形式的には代執行の県に責任があるわけだ。県は落下して重傷患者が生ずるかもしれないという現地に医師は派遣していました。あるいは公団なり警察なりは現地に医師を派遣していましたが、現地で火傷したり、あるいはいまのような右肺下葉がつぶれるといったようなものはすぐヘリで送るとか、そういう医師の措置が行なわれておりましたか。
  155. 富田朝彦

    説明員富田朝彦君) 警察としましては、そういう事態が起こりました際に、いち早く専門の医師のところへ連れ込むということが一番最も緊急に考えざるを得ないことであったと思います。と同時に、あの現場には救急車は五台用意をいたしておりましたが、医師は公団分室の診療室におったわけでございます。同時に、あの現場でございますので、あそこで、非常に混乱してまた機械が散乱しておるようなところでやるよりは、いち早く医療の設備の整ったところへ運ぶことが何よりも大事なことだと、こう現地の指揮官が判断したのは私は妥当と思います。
  156. 加瀬完

    加瀬完君 これは指揮官が判断すべきことじゃないですよ。からだのことですから、指揮官の指示によって行動を次に移すとしても医師が少しでも早く診断をすることが対策ですよ。このE6は、少なくも四時間ないしはそれ以上治療をされずにあなた方のテントのところへ置かれておって、急変らしい状態になってから病院に送られたということは、これはそのとおりですね。そうすると、これは放置ということにはならないか、刑事局長いかがでしょうか。
  157. 辻辰三郎

    説明員(辻辰三郎君) 刑法の二百十八条に「老者、幼者、不具者又ハ病者ヲ保護ス可キ責任アル者之ヲ遺棄シ又ハ其生存ニ必要ナル保護ヲ為ササルトキハ」云々という条項がございます。ここの条文にいう「遺棄シ」という意味でございますが、これは保護されておる状態から保護されてない状態に移すということを意味すると思うのでございます。それが一応の定説でございます。私、ただいまの個々の問題についての事実関係は承知いたしておりませんけれども、ただいま承っております限りは、この「遺棄」という条項には当たらないというふうに判断をいたしております。
  158. 加瀬完

    加瀬完君 遺棄ではないけれども、放置ですね、これは。明らかに事実上は放置だ。医者がいても医療行為は行なっていない。しかも直接執行者である県が何も救護、医療にも立ち会っておらない。こういう点は、一応警察のテントに入ったようなものの、県がやるべきことを警察がかわりにやったからそれで済むという問題ではありません。したがって、こういう問題に千葉県知事は保護責任を完全に全うしていたかどうか。いまおっしゃるように、私は直ちに刑法の二百十八条、二百十九条に当てはまるとは申しませんが、疑いはかけられていい。調べた結果でなければ、当てはまるか当てはまらないかということは前もって判断するのは早計だと思いますので、御調査をいただきます。  時間がありませんから急ぎますが、次に、小泉よねさんの移転代執行の際、同女はどこにおりましたか、同女のいた位置。
  159. 今井栄文

    参考人今井栄文君) 私も報告で受けたのでございますけれども、よねさんのお宅の中におったというふうに聞いております。
  160. 加瀬完

    加瀬完君 そういう報告をしたなら、その報告をした者は間違いだ。  次にいきますよ。そこで、それを排除したのは、これは庭先で脱穀をしておったのですよ。これを排除したのは機動隊かあなた方の作業員か、どっちか。
  161. 横井一仁

    参考人(横井一仁君) 機動隊の方でございます。
  162. 加瀬完

    加瀬完君 それで小泉よねさんは前歯が四本ぐらぐらになって、背中に打撲傷を負った。これは代執行によって機動隊五十名に拉致されたことから起こっている。小泉よねさん並びに脱穀機と稲束がその際接収されている。人間だの稲束だの脱穀機が代執行の対象になりますか。これは法制局いるはずだから、法制局答えてください。
  163. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) 事実関係につきましては、私のほうでは一切タッチしておりませんが、一般論としてお答え申し上げますが、人間といいますか、よねさんとおっしゃる方でございますか、その方を連れ出して稲束を……。
  164. 加瀬完

    加瀬完君 もう一回説明をします。代執行は家屋移転の代執行だ、そのうちには全然関係のない庭先で脱穀作業をいたしておりました人間、それから脱穀機、それからそこに積んであった稲束、これが代執行の対象になりますか、ならないか答えてください。
  165. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) 代執行法による代執行を行なうわけでございますが、代執行は結局他人がかわってすることができ得る義務の履行を強制するという制度でございます。人がおりまして、その人がそこを占有しておる。そこを明け渡しなさい、そこを立ちのき、明け渡しなさいという義務はあるわけでございますが、自分でそこにおりまして、そこを占有している、明け渡すということは、これはやはり他人がかわってすることができるものではない。つまり本人だけができる義務でございますので、そこにいる人を代執行処分の形で立ちのかせるということはできないだろうと考えます。  それから先ほどの御質問のうちの脱穀機のことでございますが、脱穀機というのは物件でございますが、収用法には土地の収用のほかに物件の収用とか権利の収用とかいろいろあります。これは物件の収用につきましては収用法の六条に要件がございます。いまお話を聞きまするところでは、どうも脱穀機が土地に定着したものであるとか、あるいは土地とともに使用者が使用する必要のあるものだとは常識的には考えられませんので、脱穀機が収用の対象になるとは解せられません。ただ、土地収用法で明け渡しの裁決がありますと、収用されるべき土地の上にある物件は移転しなければならないという義務がありますので、その移転義務の対象になると、したがって、移転義務を強制して履行させる代執行処分の対象にはなり得るというふうに考えられるわけでございます。
  166. 加瀬完

    加瀬完君 移転代執行は家屋なんですよ。対象は家屋なんです。脱穀機というのは家屋じゃない、調度でもない。しかもその移転をする家屋の中にあったのでもなければ付属してあったものでもない。純然たる別なところの財産機具として存在し、作業をしておったわけです。これはあなたの最初おっしゃるように、ただし書きは要らない。対象にはならない、明らかだ。そうすると、小泉よねさんを連れ出した法的な根拠は何ですか。警察が連れ出したんですから警察に伺います。どうしてこれを連れ出した。
  167. 富田朝彦

    説明員富田朝彦君) 警察官職務執行法第四条の避難の措置によりまして、警察官四名が抱きかかえて連れ出したと、こういうことでございますが、その状況を簡単に……。
  168. 加瀬完

    加瀬完君 いや、状況はいいから。法的根拠は何ですか、四条ですか。
  169. 富田朝彦

    説明員富田朝彦君) 四条です。
  170. 加瀬完

    加瀬完君 訂正しておきますが、四名じゃないですよ。五十名程度が行って、抱きかかえた者は四名かもしらぬけれども五十名程度が行った。  それで四条に当てはまるかどうかという問題ですが、ここに新聞紙が伝えておりますから、これはサンケイの千葉版に出た問題ですが、「小泉よねさん方を撤去したとき、集まってきた農民たちは静かに見守り、竹ヤリや火炎ビンなどもまったく持っていなかっただけに゛無言の抵抗゛が痛いほど強く感じられた。」と、こう書いてある。抵抗の状態や危険な状態じゃないですよ。それで、あなたは四条だとおっしゃるので伺いますが、これ四条の要件に当てはまりますか。
  171. 富田朝彦

    説明員富田朝彦君) ただいま御指摘のありました新聞紙上の状況、それに加えまして、白ヘル、赤ヘルの集団が小泉よねさん方の裏に、かつてから団結小屋を築き、しかも二百名余の者が警備部隊のすきを見て襲いかかろうというような気配をすでにしておったわけでありまして、そういう状態の時間的な経過の中で、やはりこれはそういう過程でそういう者が突入するというようなことも考えられますし、そうした場合に混乱が起こる。起こった場合は危険な状態である。したがって、これは平素からこのよねさんの顔を知っております千葉県の一個小隊、これが当日そのよねさん方の警備についたのであります。そういう状況を判断をして、これはよねさんを四人の警察官が抱きかかえるようにして連れ出した、こういうことでございます。
  172. 加瀬完

    加瀬完君 抱きかかえて連れ出したものが前歯が四本もぐらぐらになったり、背中にあざのできるような打撲傷を生ずるということはあり得ない。  しかもあなたのおっしゃる状況判断、違っています。この日は代執行やらないと知事が声明したわけだ。ですからね、学生の弁護をするわけじゃありませんが、学生も農民も、やらないということですからね、よねさんのところを警戒したり、よねさんのところに張り込んだりということはあり得ない。しかも代執行者が家屋の解体移転、そういう作業を始めないときに、代執行者が一つも代執行行為を行なわないときに、いきなりこれ警察がやっておるのですね。しかもね、あなた、よねさんを危険のために排除すると言うならね、脱穀機だの稲束だの、これを警察官が収用する権限がどこにありますか。  もう一つ、四条だとすればね、四条の措置というものは千葉県公安委員会報告をしてなきゃなりませんね。報告ありますか、これ。
  173. 富田朝彦

    説明員富田朝彦君) 三点のお尋ねと思いますが、第一点は、すでに地下ごうの中に入っておりました反対同盟の人を三人、警告で退去させたあとに、二十九分ごろから外柵撤去という代執行作業が始まっております。それからまた、引き続いて敷地内の立木の伐採に移っておる。こういう状態で、ちょうどそのときに小泉よねさんは庭先で四十歳くらいの年齢の男の人と一緒に脱穀機のところにおったようでありますが、そうした作業が進展をしており、三十五分には家屋解体作業に移っておるわけであります。そういう過程の中で、そういう危険もありますし、先ほど申し上げましたように、この間すでに十二時に代執行宣言がありますから、すばやい学生どもはここに集まってきておったことは事実であります。そういう過程で、ちょうど四十歳くらいの男の人と一緒に小泉よねさんが、いわばいやだいやだというようなことで、男の人と一緒に地面にころがったというような状況もあったようであります。そういうことで、男の人をまず外部に出しまして、それから小泉よねさんを四人の者が約二百メートルくらい先まで連れて行った、こういうことであります。  それから第二の脱穀機の件につきましては、これは警察官は全く関知をいたしておりません。  それから第三の点の報告の問題でありますが、これは二十日でありまして、その直後の九月二十二日の千葉県の定例公安委員会にこの件は報告をいたしております。
  174. 加瀬完

    加瀬完君 報告したと言っても、それは公安委員会に成田代執行の概略について話をしたにすぎないでしょう。文書でこの問題はこれこれこうだという報告が出ていますか。
  175. 富田朝彦

    説明員富田朝彦君) 第四条第二項の法文には、「前項の規定により警察官がとった処置については、順序を経て所属の公安委員会にこれを報告しなければならない。」、こういう規定でございまして、必ずしも文書で報告を要しないと考えておりますが、これは成田のいわば一連の状況についての報告もありましたし、またこの件についての報告もあったわけでございます。
  176. 加瀬完

    加瀬完君 あったという、あなた確かな証拠がありますか。
  177. 富田朝彦

    説明員富田朝彦君) これは千葉県の県警察責任者であります本部長からさような報告を聞きました。
  178. 加瀬完

    加瀬完君 四条によっての行為について公安委員会報告したという報告がありますか。もう一回念を押します。
  179. 富田朝彦

    説明員富田朝彦君) 千葉県の警察の実務責任者でございます千葉県警察本部長から私はそのように聞きました。
  180. 加瀬完

    加瀬完君 公安委員会にこの小泉よねの取り扱いについて報告をしたということ間違いありませんね。
  181. 富田朝彦

    説明員富田朝彦君) さように報告を私は受けました。
  182. 加瀬完

    加瀬完君 報告を受けたと言うなら、それ以上、これは県での責任の問題ですからここでは問いません。  そこで、これは法務省に伺いますが、「代執行は代替的作為義務の存在を前提として、その作為の内容を代替的に執行することに限られ、それ以外の態様において行政庁が義務者の身体又は財産に実力を加え義務の内容を実現することは、すべて直接強制である。」、こういう見解が出されておりますが、これはお認めになりますか。法制局でもどっちでもいい、認めるか認めないか言ってください。
  183. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) そういう見解、私、見たことはございませんけれども、大体おっしゃる意味だろうと思います。で、代替的執行に限るということは、代執行法の条文に書いてございます。わざわざカッコ書きしておりますが、その点も間違いないだろうと思います。
  184. 加瀬完

    加瀬完君 「従って、対象となる義務が代替的作為義務であっても、行政庁が、その作為の内容を代替的に執行するという限度をこえて実力を用い必要な状態を実現すれば、代執行でなく直接強制である。」、こういう見解がございますが、この直接強制の見解は認めてよろしゅうございますね。
  185. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) 代執行処分の中身については、先ほど申し上げましたとおりでございまして、それ以外の場合に義務が履行されたと同じ状態をつくり上げる、強制をしてつくり上げる、これを普通直接強制といっておりますが、大体おっしゃる意味もそのとおりじゃなかろうかと思います。
  186. 加瀬完

    加瀬完君 「警察法第二条は、組織体としての警察の任務の範囲を定めるにとどまらず、警察官の権限行使の一般的根拠を定めたものと解するのであるが、この規定を根拠として行使できる権限は、任意の手段たるにとどまり、相手方の意思に反して実力を行使するについては、直接にその手段を定めた個々の法律の条項を必要とし、そうした規定がない場合には、仮りに警察官が権限行使を必要と感ずるような事態であっても、警察法第二条の規定だけを根拠として実力行使に及ぶことは許されない。」、こういう見解に対してはどうですか。警察庁に答えてもらいたい。あなたのほうの「警察研究」というものに出ておった論文ですね。
  187. 富田朝彦

    説明員富田朝彦君) 一つの意見ではございますが、警察官警察法第二条に基づいて行ないます業務、これは原則として任意手段ということによる事実上のことを含んで、ここに書いてございますように「警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもってその責務とする。」、こうございまして、任意の手段並びに鎮圧、捜査あるいは被疑者の逮捕、そうしたいわば強制力を用いる手段。これはそれぞれの法律根拠を持っておるわけでございますし、また特にその中から即時強制的な性格を持つような執行につきましては警察官職務執行法による、こういうふうに考えるわけであります。
  188. 加瀬完

    加瀬完君 私が指摘したのは、そういう法令、規則、法規によらない警察官個人の判断で任意な行動というものがとれる幅というものはないんだ、それはあくまでもワクは法令によってきちんとされているんだ、そういう形ではないかということを主張しているわけです。  これはお認めになりますか。土地収用法ですが「義務者カ本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ノ規定ニ依ル義務ヲ履行セサル場合ニ於テ前項ノ規定ニ依ルコト能ハサルトキハ地方長官ハ直接ニ之ヲ強制スルコトヲ得」、これ認められますか。やっていることはこれですよ、千葉県の代執行のやっていることは。
  189. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) ただいま加瀬委員のお読みになりましたのは土地収用法だとおっしゃいましたけれども、現在の土地収用法は、先ほど来私が御説明申し上げましたように、代執行法の規定によってやるという道が書いてあるばかりでございます。
  190. 加瀬完

    加瀬完君 これは旧収用法です、これは廃止されている。にもかかわらず、旧収用法の考え方でやっている、千葉県の代執行は。ほかの代執行にもこういう傾向が強い。それを警察が、そういうことはあり得べきことではないという前提で、法的認識でかかれないで、あなた方のおやりになっていることを四条にこじつけているけれども、代執行前に直接強制をやっているんです。こういうことは許されないということを申し上げたい。いずれいま私ども指摘した点は、お答えにならない点もございますから、特に千葉県が来なければ、代執行者がどういう予防措置を講じたかということは明確でありませんから認めないけれども報告がきておったという話であったから次に譲ります。  最後に、自治省に伺いますが、住民自治、住民福祉は自治法の精神だと思います。これはお認めになりましょうね。
  191. 宮澤弘

    説明員(宮澤弘君) そのとおりでございます。
  192. 加瀬完

    加瀬完君 したがって、知事や市町村長は、住民の意見を聞き、住民の福祉を進めることを最大の任務とすべきであるということをも、このとおり認めてよろしいですね。
  193. 宮澤弘

    説明員(宮澤弘君) 地方自治については一般的にそのとおりでございますが、ただいま御議論になっておられます問題は、知事が国の委任を受けている問題でございます。
  194. 加瀬完

    加瀬完君 そこで知事や市町村長——知事は国家機関の委任機関でもありますので、先ほどから提起しているような代執行のような問題は、国家の委任事務と地方本来の事務との間に対立や摩擦をどうしても生ずるような案件になりがちでございます。この場合、自治省としてはどういう態度や姿勢を望ましいとお考えですか。
  195. 宮澤弘

    説明員(宮澤弘君) 時間もございません。たいへんむずかしい問題でございますけれども、国の事務を地方団体の機関に委任をいたしておりますのは、やはり国家意思に基いて仕事をするということがその本旨であろうと思います。ただし委任を受けておりますのは、やはり地方団体の長であります知事でございます。実質的にはやはり地方住民の意思を基礎にしながら、しかし同時に、国の行政事項を遂行するための責任を負っていく、こういう立場にあります。
  196. 加瀬完

    加瀬完君 お説のとおりだと思います。  そこで、問題の成田空港問題に移しますと、国や県のやり方について、詳しくはあらためて聞きますけれども、ここ数年住民をだまし続けてきております。  そこで、まあ、国務大臣もいらっしゃいますので聞いていただきますが、あなたが大臣のときであったのではないかと思うが、昭和四十一年七月の閣議で、政府は閣議決定事項として「営農を経続する意思のある農民に対しては、国は県の協力を得て、移転先等につき申出者の希望を尊重して、所要の代替地を用意し、営農が円滑に行なえるよう資金及び技術等の援助をする」、こうきめられました。一向行なわれておりません。  さらに、これは昭和四十四年かと思いましたが、千葉県知事は当時成田空港の反対の責任者でございました前衆議院議員の小川三男に対し「確認事項」というのを提出しております。読み上げます。「一、知事は、空港建設にかかる関係住民に対しては、空港建設を契機として、更に、よい生活が出来るよう、国、空港公団とも相談して、その利益の確保に努力する。」、こういう見出しで、三里塚の商店地域については希望どおり善処する。さらに代替地については「(イ)原則として部落単位に移転を図る。(ロ)移転先は、騒音区域をさける。(ハ)移転先はなるべく旧市町村とすることとし、移転者の希望もきき措置したい。(ニ)代替地の畑かん等等については、そこに移転される方々の希望を聞いて措置する。」、さらに三として「騒音対策については、将来設置される騒音対策委員会を活用して、騒音対策について国、空港公団とも協議して、推進していきたい。四、アプローチエリアについては、空港公団としては、現地点において、収用法の適用は考えておらず、話し合いによってゆきたいので、ぜひ御協力をお願いしたい。五、土地収用法に基づく事業認定は、第二期工事区域も含めた空港敷地全体について行なわれているが、第二期工事区域については、まだ期間があるので、任意買収に、空港公団、県ともども全力をあげる所存である。」、こういうものを出している。他のことは別としても、敷地内で土地を取られて一番犠牲になる農民に対しての代替地は何もやっていない。何もやっていない。一坪の代替地も見つけていない。話し合いもない。こういう状態で代執行だけを強行するということは、少なくも住民の側の利益を守るという自治法の精神からしても、知事の職務においては、はなはだ欠けるものがあると思う。  そこで、いま事実を指摘したわけでありますので、自治省はこのような千葉県の行政に対してどういう指導をなさるのか。もっと言うなら、千葉県芝山町は十八対三かで空港受け入れ反対の決議をした。知事が政治工作をしてこれを賛成に切りかえたりしている、住民無視もはなはだしい。こういう反感がありますから、千葉県知事友納武人さんの手では話し合いがつかない、これが現状です。しかも代執行でこのような負傷者を出している。二ヵ月以上のけが人がたくさん出ております。けが人は出さないつもりでやりましたけれどもけが人が出ましたじゃ済まされない。この点を閣議でも十分検討してもらいたい。これは空港をつくるとか反対とかいう立場はありますよ。しかし住民を犠牲にしていいという理屈はどこにもない。地方長官が約束したことを守らないでいいという理屈もどこにもない。要するに、反対の者であろうとも、過激学生集団であろうとも、殺してしまってもいいという理屈は成り立たない。しかし、やっていることは、みんな反対する者には力でものを見せる、殺せ殺せということばがずいぶん出ている、この代執行の途中で。やっちまえ、やっちまえ、殺してしまえ、殺してしまえということばがずいぶん出ている。証人を出せというならば何百人でも証人は出ます。こういう代執行がいまの憲法の中で、基本的人権が守られるという大きな目的できめられた憲法の中で許されますか。国家権力や地方権力によってそういうことが許されますか。ですから十分これは調査をして、罪に当たらないというなら、これは国家機関の判断ですからけっこうです。  刑事局長が出ておりますから、一言これは申し上げておきますが、反対同盟の委員長の戸村一作、これは頭部裂傷で二十日間くらいの入院加療を要するような警察官による暴行を受けておる。本人がこれを告訴している。朝日新聞にも、一年たっても私の告訴がさっぱり取り上げられないのはどういうわけだろうという投書欄に投書もしてありますから、お調べになればおわかりになると思う。いまもって千葉の検察庁はこの扱いを一つもやっていない。どういうことだ。そうしてここに半殺しにされるような事態があっても、これも送検もしなければ検察庁自体も動いていない。こんなばかなことは許されません。私は何回でもこの問題はやります。あなた方のほうで、なるほどこれは送検するに当たらない、これは起訴するに当たらないという御答弁があって、なるほどとうなずければ私は事を荒立てようとはいたしません。しかし、人の命がこういうふうに軽々に扱われておったり、先祖伝来の財産権というものが全くうたかたのごとくけ飛ばされているという実情ではがまんができない。  きょうは委員長のお計らいにもかかわらず千葉県側が出てまいりません。いずれお取り計らいで出ていただきます。沖繩国会、二ヵ月あるそうですから、もう一回これは洗い直してやりたいと思います。質問をして終わりましたから終わったということになりません。十分この次のときには御調査の上御答弁いただきます。きょうのような御答弁ではがまんができません、死にかけていたんですから。人を殺していいという法律はどこにもない、戦争をしているわけじゃないんですから。  以上、私の質問あとに保留いたしまして、委員長、理事のお取り計らいを願います。
  197. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 関連。  九月十六日の成田事件というのは、いろいろな角度から国民の間で大きく取り上げられ問題になっているわけでありまして、いま加瀬完氏の質問は、特に駒井野城というとりでの問題を中心として人権の問題をめぐってのきびしい質問であったと思うのです。それを聞きながら警察庁その他の皆さんは、おまえはそう言うけれども、一方では警官が三名殺されたじゃないか、こういう潜在的な気持ちが出たり入ったりしていると思います。いまそのことを取り上げようとは思いません。  ただ、そうした問題等を総合して、一応成田の問題を外側で見た場合に、一段落という形をとっておるわけですが、この中でほんとうに憂えられることは、警察行政の面における警備過剰の問題がやはり大きく取り上げられてくるだろう。そこで、いま短い時間のことでございますから、この一段落の段階において警察庁当局なり公安委員会等が何か総括的な判断をしておいでになると思いますので、この点で欠陥があった、この点がまだ足りなかった、あるいはまた、この点は機動隊の指揮が十分でなかったとか、いろいろなことがあると思うのですけれども、その直後には警察庁長官が記者団等に談話を発表しておるのを承知しておるのですが、いまここで委員会を通して、あらためて公安委員長なり警備局長なりから、この事件を通じて、今後の日本の警察のあり方、そういうことについて総括的な見解を一応お聞きしたいと思います。
  198. 富田朝彦

    説明員富田朝彦君) 成田空港の第二次代執行に伴います警戒警備の私どもの方針は、一つは、代執行に関連をいたしまして発生するであろう不当行為、これを極力そういう事態のないようにするということと、いま一つは、北総大暴動というようなことを呼号しておりました極左暴力集団の者が、長い間あの辺に常駐学生等も泊めておりましたけれども、そういう者たちがゲリラに出ていろいろな撹乱あるいは攻撃というようなことに出るだろうというようなこと、それに対応して、そういうことを制圧するというような基本的な方針と態勢によりまして当日の警備の措置を進めたわけでございますが、警備を進めるにあたりましては、あくまでも警察がこうした警備措置を行なうについては冷静であり、また彼我双方に極力そうした負傷者を出さないということを基本としながら目的を達成していかなければならない、こういうのが私どもの基本的な考え方であり、現地の統括指揮官である千葉県警部長の考え方であったわけであります。まことに遺憾ながら、東峰十字路において三名の警察官の殉職者を出したことは私どもまことに遺憾に存じ、また御遺族のこと等に思い及びますと、まことに申しわけないという気がいたしておりますが、ああいうことから得られる反省、基本的な警察の姿勢、態度というものは、これはあくまでも一貫しておるものでございますが、しかしながら戦術的な面において、東峰十字路等の貴重な教訓というものを生かしてまいらなければならない。一例を申し上げますと、いわば野戦のごとき状態で襲撃を受けたわけでありますけれども、情報がなかなか事前に入りにくかった、また現場における事前偵察というものが十分でなかったために、ああいう思いがけない多数のいわば暴徒の襲撃を受けた。こういうような点につきましては、十分将来そういう貴重な教訓を生かしまして、万全の警備を行なってまいりたい、かように考えております。
  199. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 そこで、もう一月たちますね。万全の警備ということなんだけれども警察庁長官か何か、その万全の警備の……。これは失礼ですが、自民党の中にタカ派とハト派がおるそうですが、鳥にたとえてすみませんが、タカ派の皆さんがもっと強化しろと、強化の内容は私申しませんが、そうすると後藤田長官は、攻撃的な警備ではなくて守る立場の警備をやりたい、何かそんな表現をしておりましたが、その辺のところは局長も、十分意思を統一された長官の見解だろうと思うけれども、その辺はどうですか。今後ひとつ戒めてやると言うけれども、戒めてやるということは、内容的には警官が足らぬから増員して、いま十七、八万おるわけでしょう。足らないからふやすということとか、あるいは装備が現在ではこれでは不十分である、警棒か何か構造的なものを変えるとか変えないとかいう話も聞いておるのですが、だから増員の問題とか装備の問題とか、もう一つは警察官の教育の問題に関係してきますことは、警察学校等を中心とした、いわゆる士気をあげる、どういう形で士気をあげるかということになりますから、こうした問題等について、具体的に四十七年度予算編成の段階でもありますから、ある種の検討が具体的にできているのじゃないかと思うのです。それはどうでしょう。
  200. 中村寅太

    ○国務大臣(中村寅太君) いま杉原委員からの御質問にお答えしたいと思いますが、最近、国内でいろいろ意見が違うことは、これは人間の世界でございますからやむを得ませんが、その違う意見を通すために人命を損傷するような手段等が行なわれておるということは、きわめて遺憾なことであります。私はやはり民主主義の世界では、おのずから自分の意見を通す場合の手段、方法等には限界がなければならぬ、節度がなければならぬと思うのであります。最近、暴力行為というものが非常に横行してきておるということは、きわめて遺憾なことでございます。これはどこまでも国民の静かな生活が保障されなければならない、法治国のあり方としても、私は容易ならぬ姿だと思うのでありますが、治安の責任を持っております警察当局といたしましては、どこまでも冷静に、しかも本来の職務に全力をあげて国民の生命財産を守らなければなりませんが、そのためには、今日のような情勢でございますから、私ら警察庁当局といたしましては攻撃的な考え方は毛頭持っておりません。  しかし、警察官といえどもやはり国民でございますから、今日の暴力左翼等のゲリラ的な手段というものが、人命を傷つけるというようなことがきわめて可能なような危険なものにまで進んでおります段階では、警察官の生命、身体を守ってあげるということは必要でありますから、できるだけ可能な方法で生命あるいは身体を守っていかなければならないと、そういう基本的な考え方に立って準備をしておるわけでございまして、攻撃的な意図は毛頭持たぬということを、この際はっきり申し上げておきたいと思います。
  201. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 私、ここに警察行政の年表を持っておるのですが、戦争に負けた年から、ずっとこう見ているのですけれども、やはり何か事件が起きると、結果的に警察力の強化という表現になるかもしれませんけれども、非常に法的にも、あるいは具体的な装備あるいは定員の問題でもどんどん飛躍的に前進してくる。前進というか、ふくれ上がってくるのは何か事件のあとでありますね。いまの成田の事件等を契機にして、いま委員長が申したように、警察法第二条ですか、第一条、第二条の精神に従って警察行政を、公安行政をやっていくんだというそのお気持ちは非常に大事だと思いますが、ただ歴史は証明するわけで、こういう事件が起こったあとは、必ずいやなことに警察力が、うんと数が伸びたり、装備が機械化し、機動化し、かつまた軍隊との差がなくなってしまうというような形になるのが今日までの流れだと思うのであります。  でありますから、成田問題が起こったのを契機に、いま定員増なり、あるいは装備の強化なり、そうしてまた、もう一つおそろしいのは精神面でありますね。精神面の問題で警察官を強化していくというようなことなどで、結果的に守られる側の国民、人民大衆が被害者の立場に立たざるを得ないというような悲しい事実が今後起こることを私は前もって——被害者意識といえばそれまでのことですが、危機として感じとらざるを得ないわけです。まあそういうことが委員長はないのだと、まかしておけとおっしゃるならば私非常にけっこうだと思いますが、いま具体的にちょっと申し上げました装備とか、あるいは定員の問題で検討しておいでになることを、つまり増員、装備改善の問題等でここで言えることがございましたら、お聞きしておきたいと思いますね。将来のこの問題を考える一つの大きな資料となり、めどになりますので、その点、どなたからでもいいですけれども
  202. 富田朝彦

    説明員富田朝彦君) ただいまの人員の増員の問題あるいは装備の問題につきましては、来年度予算編成等とからみまして検討いたしておるのでございますが、これは主管が実は私どもの官房長でございますので私から申し上げるのはやや不正確になるおそれがございます。  したがいまして、私が知っておる範囲のことで申し上げたいと思いますが、この装備につきましては、爆弾というものが六月十七日以降ことに多く極左暴力集団から使われております。そういうことで六月十七日には明治公園で重傷者相当数を含む負傷者が出ております。そういうことからやはりどうしてもこれは警察官の受傷防止をはかる必要があるということで、身につけておりまするいろいろな諸装具、これの材質改良でありますとか、あるいは下腹部の防護でありますとか、こういうようなことを中心にいろいろ装備の充実をやっぱりせざるを得ない。またゲリラ活動、まあ成田の場合におきましては、ああいう野戦的なゲリラ活動に出ておりましたが、都市に彼ら極左暴力集団がゲリラ的な行動を展開するとすれば、非常にこれは広範囲にわたった都市部でのゲリラということが十分彼らの言動から察せられますので、それにやはり対応していろいろな諸施設あるいは民家の防護というようなことを含めまして、これに対応するような機動力というようなものを整備をせざるを得ない、かように考えております。それからまた警察の運営の基本は、先ほど大臣からお話がありましたが、これはやはり国民から理解され支持をされるということで、初めて警察の運営というものは成り立つわけであります。したがいまして、そういう面でのたとえば交通でありますとか、あるいは防犯——犯罪予防でありますとか、そういうようなこと等の面から外勤警察官、交通警察官等を中心にいたしまして、何がしかの増員を検討しておるというふうに聞いております。
  203. 中村寅太

    ○国務大臣(中村寅太君) ちょっと私からいまの杉原委員質問に補足してお答えいたしますが、警察官の増員を四十七年度で多少考えておりますが、これは成田空港の代執行等は全然関係があるものではございません。いま局長も言いましたように、最近の犯罪等の増加傾向、あるいは交通事故によって何千人もの人がなくなるし、あるいは百万近いけが人が出ておるというような、そういう状態を考えますときに、どうしてもやはり警察官の増員によって、現地に警察官が立ち入ってそういう事故等を防ぐというようなこと等が必要になってまいります。そういう意味での増員は考えておりますが、成田等の事件によっての増員というものを考えておるものではございませんので、御理解願いたいと思います。
  204. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 この表によりますというと、大体五千以上六千以下の増員が年々ずっと繰り返されております。四十一年、四十二年、四十三年が特に六千近くも増員されておるのでございます。こういう経過等もありますので、その経過をずっと、その当時の背景を見れば、いま申し上げましたような事件らしき事件というのはかなり大きなウェートを占めておるわけですから、そういう点から私想定をしていろいろ質問したわけです。  それはそれで終わりますけれども、「警察のあゆみ」というのが警察庁から四十六年版が実は出ておるわけですが、この中で今後の警備の、前の問題に触れてくると思いますが、特に国内情勢の分析などの中で相当私問題がある——問題があるという意味は、警察行政が、中村委員長がおっしゃったように、やはり不偏不党、中立を原則としておるわけですから、こうした分析もかなりその点気をつかっておいでになると思うけれども、たとえば四十九ページ等におきまして「情報化の進展に伴い「疎外感」や不満が実態以上に増幅され、」——ふやされるという意味ですが、「これに乗じた反体制勢力の宣伝」という、この「反対制」ということばが警察側ではどういう意味でお使いになっているのか、これはちょっとわかりかねるのです。ぼくらもよく使うことばです。「反体制勢力の宣伝・扇動によって」、そのあとが問題なんです。「公害問題などで市民運動が高まりをみせた。」と、こういう分析ですね。ここらあたりにくると、一体公害問題を警察側がどう考えているのかという、かなり私は頭をひねらざるを得ない表現に実はなってくるわけです。つまり反対制とは何か、あるいは公害問題が市民運動として非常に昨年、ことしもぼくらも支援して盛んにやっているわけですがね。そうすると、私たちも警察側から見れば、こういう文章からすれば、予備的にも警戒をしマークをされる人間になるわけですね。そういうことになると思うんです、この表現から。そういう意図がないと、いかにおっしゃっても、すなおに文章読めばそうなるんです。そうしますと警察法の二条あたりの考え方がここらあたりでずれてくると思うんですよ。ずれ込みが始まる。  なおまた、去年のことでしょう、「六月闘争」というのは。これは平穏無事に終わったという表現をとっているわけですが、この中でも、特にこういう表現があるわけですね。「この十年間における内外情勢の推移のなかで、国民の安全保障問題に対する理解が深まり、また、戦争や占領時代を体験しない世代が増大したほか、」、ここらあたりは客観的でしょう。「生活の向上、安定でマイホーム主義が広まるといった社会状況がみられ、加えて「七〇年闘争」の焦点であった沖繩返還問題が」、このあとずっと注意をして聞いていただきたい。「基本的に国民の希望する方向で解決したにもかかわらず、」と書いてありますね。警察当局は、沖繩問題で国会が開かれようとしているわけですね。にもかかわらず、六月闘争を集約する段階で「基本的に国民の希望する方向で解決したにもかかわらず、」と書いてあります。こういう認識ですね、表現は。ここらあたり私ちょっとおかしいのじゃないかと思いますね。「安保反対勢力が十年一日のごとく、」——「安保反対勢力」というのはこれはどういうものをいうのですか、私らも含むわけでしょう。「十年一日のごとく、「安保の危機」「ベトナム反戦」「民主主義の危機」を大衆に訴え、扇動しても、もはやそれだけでは「六〇年闘争」時のような集中的・持続的な「大量デモ」のエネルギーは組織できなかった。」と批判をしております。このとらえ方の中に、客観的には六月闘争はあなた方が期待されるような、国会をめぐるような、この前の十年前の闘争のような形にはならなかった。十年前のときは私はいなかにおった。国会に押しかけてきたものですから、そのようにぼくは体験をもって承知しております。去年はそうではなかった。そこで、それはどういうわけかということを分析しているわけです。  これは局長、どうですかね。何も書くなというよりも書いたほうがいいかもしれませんが、この中にはやはりずっと不偏不党でない個所がある。特に沖繩の問題なんか、国民が納得したんだという表現になりますと、今度の十六日からの沖繩国会というものは全く手続国会になってしまうわけですね。私はこれから張り切ってやろうとしているんだけれども、あなたはぼくを縛りますか、そういう意味で。
  205. 富田朝彦

    説明員富田朝彦君) 私、それが警察庁から出された書類であることはちょっとお手元の表紙等から承知いたしておりますが、私この八月に就任いたしましたので、その文献につきましては当時拝見をしておりませんでしたが、ただいまお読みになった限りにおいて感じますことは、たとえば一番最後にお引きになった文言等は、まあ当時の新聞その他の論調、あるいはそういうものをその執筆者が整理をしまして、そういう表現をとったのではないかというふうに感じておりました。したがいまして、大きな政治問題でございますので、警察がどうのこうのと言うべき立場にはございません。したがってそれは、まあ不用意と申せば不用意、そういう感じをいたしております。私どもは反体制ということばでございますが、これは極左暴力集団を中心にして考えております。左は、というのは彼らがそういうようなことをしばしばことばの上に使いますので、極左暴力集団、左をまた別の呼び名で呼びかえる際にそんなようなことばを使ったり、いろいろな慣用的にいたしておるようであります。しかし、そういう政治の基本に触れるようなことをわれわれが右だ左だというふうに言うべきでないことは先生の御指摘のとおりと思います。
  206. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 そうすると、これをどう理解するかという問題になってくるわけですね。だから私は、いま局長が言ったような理解のしかたがこれは出ていると思いませんね。しかも警察学校あたりのテキストになっていると思うんです。こういう情勢分析の中でこういう警備をやり、こういう警察行政を行なうということになる。ぼくらは労働運動した経験がありますから、労働運動では運動方針というのをつくるわけですね。その場合に国内外の情勢分析というものをやるわけです。これなくして運動方針は出てこないんです。要するにこれは警察における情勢分析なんです。この上から警察行政が出てくるというのは私は論理的に当然だと思うんです。そうすると、この中に書かれていることは非常に問題になってくる。  ここに共産党の河田氏がおりますが、河田氏おこるかもしれませんけれども、共産党のことを書いてありますよ。どう書いてあるかというと、「日共は七〇年代の後半に゛決戦期゛を設定、体制づくりへ」と書いてあります。いま共産党は、この中では構造改革型戦術の進展に力を入れている、しかし共産党の本音は、というふうに書いてあるんですがね。レーニンの「国家と革命」という本などは共産党の全党員に読めという推薦文献になっているから、それから推定すれば暴力革命不可避論を強調したものが多く見られ、共産党が引き続き暴力革命の方針をも堅持していることがうかがわれる。河田氏、黙っておってもいいんですね。こういうことが書いてありますよ。これは重大ですよ。単にそれは署名入りで警察のどなたかがお書きになったのであれば、これはその人の個人的責任です。警察庁がこういうものを出している以上は、ここは警察庁のやはり統一した見解というふうに理解するのが当然でしょう。その辺のところを、まあこれ以上、私関連して広げ過ぎたから、ここで、はしょってやめますけれども、もう一度いまあとで触れた面、どうですか。
  207. 富田朝彦

    説明員富田朝彦君) そういう用語の不適切な点その他につきましては、私も十分これから自戒をいたしましていろいろ指導してまいりたいと思っておりますが、しかし先ほど申し上げましたように、いろいろ公に出版されているようなもの等を整理しながら判断をするというような、あるいは表現をするというようなことが間々ありますので、そういうことにつきましては不用意のないように十分指導いたしたいと思っております。
  208. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 成田の問題につきましてはいろいろ議論がございました。私は成田の問題につきましては、先ほど来のいろんな議論を通じまして、もっともっといろんな考えていかねばならない、また今後改めねばならない点が多数あろうかと思うのでありますが、この過激派集団の取り締まりに対することもさることながら、過日はわが党の竹入委員長が襲われるという、こういう事件も起きまして、こういうことと、ずっと最近の世相の動き等を考えあわせまして、これはただ単に突発的に起きた問題ではない、こう考えるわけであります。これにはいろいろな問題がございますので、いろんな角度から検討しなきゃならぬことだと思います。  しかし、私は、ここで声を大にして叫びたいことは、いかなる目的であろうとも、またいかなる手段であろうとも、人命に傷をつけるようなこういう風潮が世の中に流れるという、またそういうことを実際行動に移すようなこういう世相というものは、これは非常に危険きわまりないことであります。中道革新を叫び日中国交回復を叫んだ公明党に対してこういう問題が起きたということは、これは公明党に対する挑戦であろう、こう思いますし、私もまた生命の尊厳ということを声を大にして今日まで叫んでまいったわけでありますが、それがこういう事件を引き起こし、また今後にもこれが波及する可能性もないとは言えない、こう思うわけであります。  本来ならば、成田の事件、そしてまた竹入委員長に対する問題等を含めまして、早くに当委員会が開かれて、問題の解決に、または当局の考え方等についてたださなければならなかったと思うのでありますが、いろいろないきさつがありまして、今日までおくれたことはまことに残念でありますが、しかし、もう十数日、時間を経過しております。この十数日の間、当局といたしましても、そのような点について検討なさったと思います。いろいろな状況の分析、それからまた今後に対処する対策等いろいろお考えになられたと思うのでありますが、これらの状況について今日までとってきた対策、具体的に何かございましたならばお伺いしたいと思います。特に衆議院等におきましては早くに委員会が開けておりますので、その席上でもいろいろ国家公安委員長も発言しております。それらを通じて実際にどういうことをなさったのかということをまずお伺いしたいと思うのであります。
  209. 富田朝彦

    説明員富田朝彦君) 先月の二十一日に公明党の竹入委員長が暴漢に襲われまして非常に重いけがをされました。このことにつきましては、警護の責任を持っております私どもとして、たいへん申しわけないことだと思っております。一日も早い御本復を祈念をいたしております。  とりました措置、いろいろ問題があるわけでございますが、一つは、いわゆる暴漢のその後の捜査状況の問題、それから警護体制等の問題、それから関係者のその後の問題等、いろいろございますが、まず事件の捜査の状況につきまして申し上げたいと思いますが、これは当日現場におきまして同乗しておりました警護員の巡査部長並びに同乗しておられた秘書の方、それから党本部の方々の手によりまして、これをその場で逮捕いたしまして、四谷警察署に連行をいたしました上、これの調べに入ったわけでありますが、事柄が事柄でございますので、直ちに警視庁本庁に身柄を移しまして、捜査一課長を長にいたしまして取り調べを鋭意やっております。したがいまして、これは私どものほうの所管から申しますと、刑事局のほうからお答えをするのがより具体的な事柄にわたれるわけでございますが、参っておりませんので、概況を申し上げたいと思います。  九月二十三日に殺人未遂罪、銃砲刀剣類所持等取締法違反の罪で身柄を送致いたしました。二十四日勾留状が発付されまして、警視庁に留置をしてその後さらに取り調べを進めておる。十月の三日に勾留延長になりまして、さらに十月の五日に、非常な興奮性な人間でございますので、精神鑑定のために都下の南多摩郡の多摩町にあります桜ケ丘保養院に鑑定留置をいたしまして、いま専門医の手によってその精神状況の鑑定をいたしておるのでございます。  なお、本人の経歴等でございますが、本人は二十九歳でありまして、昭和三十七年三月に立正大学の定時制付属高校を卒業いたしまして、四十一年の三月に立正大学の宗教学部を卒業いたしております。大学卒業しましてから、一時平塚のデパートの店員をつとめたこともございましたが、その後日雇いというような仕事で働いておったものでございます。本人の両親は健在でございまして、藤沢に居住いたしております。  本人は、藤沢の定時制高校に通学中に、同級生をテストのことで刃物で刺したというようなことで転校を命ぜられております。それから四十二年の六月ごろに父親とけんかをいたしまして、父親になぐりかかるというようなことで、精神病院に  一時入っておったこともございます。さらに四十三年の十二月二十一日、国際反戦デーの際に騒擾、附和随行、建造物侵入罪というようなものによって現場において逮捕されておりますが、これは何かたまたまそこへおもしろいから見にきた、少し何かやりましたというような程度のことを自供しておったようでありますが、処分保留で釈放されております。それから四十六年の六月七日に、被疑者が日雇いその他を転々としてやっておったわけでありますが、豊島区の上池袋の柳沢荘アパートで、向かいの室に住んでおりました派出婦大野クニ、六十四歳になられる方でありますが、平素いろいろいさかいがあったようでありますが、そこに何か宗教上のこともあったというようなことで、同人を刃物で殺害いたしまして、六月八日殺人被疑者として全国に指名手配中の者であったということでございます。  これは非常に本人が、そういう意味で激高しやすい性格のようでありまして、取り調べ官に向かいましても、非常にその辺が情緒不安定な様子が常にあるということを言っておりますが、まあそういう性格ではございますが、現在いろいろな角度、さらに現在は鑑定留置中でありますが、現在まで宗教上のこととかなんとか言っておりますけれども、さらにそれ以外のいろいろなことを含めまして、多角的に捜査を進め、これを完結させたい、かように考えておるところでございます。  なお、これが殺人の指名手配者であった。しかもこれは大阪市の浪速区の安アパートに住んでおったようであります。これは偽名を使って住んでおったようでありますが、これは本年六月の池袋のその殺人事件に関しての指名手配というものは、大阪府警にもいっておったようでありますが、なかなか西成に近接するようなところでありまして、その手配に基づく本人発見というところまで至らず、かような挙に本人を及ぼしめたということにつきましては、刑事警察上として指名手配、これは現在全国に——ちょっといま手元に詳しい資料ございませんが、四十五年中に各都道府県警察が指名手配しました被疑者の総数は三万三千名おりますが、うち殺人を犯したとして指名手配いたしました者は四百二名でありまして、そのうち検挙した者は二万二千四百九十四名、で、うち殺人が二百五十二名ということで、殺人で手配いたしまして、まだ検挙になっておりません者が百五十名おるわけでございます。そういうことで、この指名手配のいわば府県間捜査共助ということにつきましては痛切な反省をいたしておるところでありまして、その点は刑事担当局におきまして、すでにこういう事件が発生したあとではありますけれども、こういう凶悪犯が野に放たれておるということについて、鋭意捜査を進めるということを強く指示をいたしておるところであります。  それから警護の関係につきましては、これはいろいろ警護の原則というものがございまして、やはり警護対象といいますか、警護をすべき方々の行動のうちで、特に車に乗られる、あるいは車をおりられる、そういう場合が一番問題が発生しやすいわけでありまして、そういう点についての手抜かりのあったこと、これはまことに申しわけないわけでありますが、そういう点につきまして、そういう原則に戻っての警護活動というものの再徹底ということと、案外最近はいろいろの報道その他のあれを見まして、非常に早く反応するというような傾向もございますので、そういう点については、そういういろいろな情報等を十分判断をしまして、情勢のいかんによりましては警護体制をさらに厚くするというような点等、体制と警護のやり方につきまして、十分今回の教訓を生かさせていただいて、警護について万全を期してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  210. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 いまいろいろ御報告がございまして、確かに犯人は、殺人事件を起こして全国指名手配になっておった者であるということ、また大学を卒業なさった方であるというようなことから、思いつきではないだろう。やはり成田の事件や、そしてまた、こういう事件が起きておるということ、こういうことを私どもは見るにつけて、やはり時代背景といいますか、今日の政治情勢というもの、背景にあるものがやっぱりこういう問題を引き起こす原因になるという過去の歴史から見ましても、そういうことを非常に心配するわけであります。こういうことから連鎖反応といいますか、同じようなことが再び起こらないように十分な対策を講じなければならない、こう思うわけであります。いまもいろいろ検討中のようでございますが、さらにひとつ二度とこういう事件が起こらないように対策をしていただきたいと思いますし、やはり何といいましても、いかなる手段、目的であろうとも暴力は断じて許せないという、民主主義の最大の敵であるということから、暴力追放というか、こういう思想の高揚というものも非常に大事なことだろうと思うのであります。  今日は、沖繩国会を目前にしまして、いろいろな運動が展開されております。こういう非常にゆれ動く社会情勢の中にありまして、私どもは今後についても大いに危惧を持つわけでありますが、これらのことにつきまして、国家公安委員長から、一言ひとつ決意のほどをお伺いしたいと思うわけであります。
  211. 中村寅太

    ○国務大臣(中村寅太君) 藤原委員の仰せられましたように、最近の社会情勢を見ますと、非常に暴力というものを自分らの主張を通す手段、方法等に使う傾向がだんだん強まってきたようでございまして、これはまことに遺憾なことでございます。  私らといたしましては、いかなる場合といえども、これは左翼であろうと右翼であろうと、暴力は絶対に排除しなければならぬ。社会生活の中から暴力を排除してしまわないと、私は国民の平静な生活は営めるものではないというたてまえに立ちますので、警察がそういうものを堅持していくという役割りでございまして、そういうことを考えますときに、特に今回まことに遺憾きわまりない竹入委員長のおけがをなさったというようなこととか、あるいはそのほか地方でときどき起こっております暴力行為等を考えますときに、ここでしっかり体制を固めまして、そうして国民の生活を暴力から絶対に守るという立場で全力をあげなければならぬ。こう考えまして、全国の警察官にもそれぞれ指示をいたしまして、そうして暴力を社会から排除するようにということで、せっかく努力をいたしておる段階でございます。
  212. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 私は成田問題につきまして、こういう惨事を再び繰り返してはならないという、こういう観点からいたしまして、警備問題につきましては、先ほど来加瀬さんからいろんな角度からお話がございました。論じられておりますし、ダブる面もございますので、その点につきましては省きたいと思いますが、こういう問題を引き起こすに至った、こういうとうとい人命を失うような惨事を引き起こす、今日ここに至るまでの経過といいますか、何らかの対策がなかったものかどうかという、こんなことをしばしば考えているわけであります。こういうふうな観点からして二、三お伺いしたいと思うのであります。  午前中の質疑のときにも加瀬さんからいろいろお話がございましたが、何といいましても、国際空港という国家的な事業というこういう問題と、先祖代々そこに住まわっている方々の、地域住民の生活権と福祉というこの接点をどう粘り強く話し合うかという、これが大事な問題だろうと思います。いままでも全国、それは大小の規模はあるかもしれませんけれども、いろんな話し合いの中で開発というものが進められてまいりました。成田のような大きな惨事を引き起こした、こういう事件もございますけれども、比較的話し合いが順調に進んだというところも実際はあるわけでありますから、この惨事を引き起こした以前の問題として何点か考えてみたい。こう思うわけでありますが、こういうことから考えますと、やはり時代的な背景があって、過激派集団がそこに入り込んで今日のこの惨事を引き起こす以前に、やはり住民に対する誠意というものが、これは政府当局であろうが公団であろうが、行政当局として誠意に欠ける点があったのじゃないか、こういう点を私はしばしば考えるわけであります。  まず、今日までの成田の空港問題につきまして経過がいろいろございますが、時間もありませんので、一々申し上げませんが、四十年の十一月富里村に一応内定しておった。四十一年の七月の閣議決定で三里塚に変更になったということでありますが、こういう重大な問題が十分な地元の方々との話し合いもなくして政治決定されたといいますか、三里塚に閣議決定したという、こういうような経過、そのあともいろんなことがあるわけでありますけれども、どうも住民に対する誠意というものが欠けているのではないかということをしばしば考えるわけであります。  この点につきまして、今日、ずっとこの問題につきまして経過を把握していらっしゃる運輸省の方に、こういう問題を中心にしてお伺いしたいと思うのでありますが、この経過等考えあわせて、私の言ったように住民に対する誠意がほんとうに欠けているのじゃないかという、こういう点、率直にお伺いしたいと思うのであります。
  213. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) 以前に富里にきまっておったのを三里塚に変更になったという件でございますが、これは実は富里のほうでかなり地元の強い反対があったわけでございますが、そういう時点において、いろいろ千葉県等とも相談をしたわけなんでございますが、やはり富里はほとんどが民有地でございます。そこで、やはりこういういざこざをなるべく少なくするために県有林がかなり多い、かつ御料牧場という国有地があるところ、そういうところのほうが地元に対して、用地を提供していただくのにスムーズにいくんじゃないかというようなこと等いろいろ勘案されまして、こちらに変更になったというふうに聞いております。  そこで、先生指摘のように、十分初めから地元にも相談をして話し合ってやっていかなければならぬじゃないかというお話でございますが、どうもこれはお説のとおりでございまして、運輸省といたしましても、公団といたしましても、昭和四十一年の七月に位置を決定して以来、千葉県の御協力を得まして地元住民の皆さん方と空港問題、用地問題等の話し合いを進めてまいりました。本年八月末現在で民有地の八九%、第一期工事区域では九八%取得しておるのでございますが、その取得いたしました民有地の五百九十六ヘクタールはほとんどすべて任意買収によるものでございまして、千葉県の御協力と公団の努力の結果であるように私たちは考えておる次第でございます。今回、代執行の行なわれました分について申しましても、収用裁決のありましたものは十四件でございますけれども、その後話し合いを進めてまいりまして、円満解決の結果、任意に明け渡された土地もございまして、また個人住宅等につきましても、現在も千葉県の御協力とともに話し合いの努力を重ねておる段階でございます。  未買収地の取得につきましては、極力話し合いによる円満解決が何よりであるというふうに考えまして、反対同盟に対しましても運輸大臣から呼びかけを行なったこともございますし、今後も代替地の確保とか総合対策等について千葉県知事とも協議いたしまして、できるだけの処置を講じまして、地元の皆さんの御理解を得たいというふうに考えておる次第でございます。
  214. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 まあいきさつはいろいろあるかと思いますけれどもね。御料牧場があるとか県有林が多いとか、事前調査によってそういう点は把握されていたわけでありますし、これは富里村が特に反対が強かったということもあったのかもしれませんけれども、やはり同じようなことは三里塚にだって起きるわけでありますし、半年もしないうちに変えてしまうという、こういうこと、こういうところに不信感の生まれる原因があるのじゃないかと思うのですね。公団としましても、これはどうしてもやらなければならぬ国家事業としてやむを得ないことのようにお考えであるかもしれませんけれども、しかしそこに住まう方々の一人一人の立場に立ってみれば、半年もたたないうちに今度は自分のほうに火の粉がかぶってくる、こういうことではこれは納得のいかないのは当然ですよ。  そういう今日までのいきさつを考えますと、やはり地元の方々が納得し得ないそういうものが、ただいま申し上げたこの一点だけではなくしてやはり山積しているんじゃないかと、こう思うわけです。やはり三里塚にきめるにしたって相当な反対のあることは、当時の識者といわれる方々、やはりたくさん多くの方々がそれを言っておりましたし、それを強行しようという、こういうことが結局は地域住民に対する不信感の大きな原因になっているのじゃないかと思うのですが、その点についてはどうお考えですか。
  215. 今井栄文

    参考人今井栄文君) お答えいたします。  おっしゃるとおりで、私どものいままでのいろいろな折衝過程について、御指摘のとおり反省をいたさなければならない点が多いと思います。しかしながら、昭和四十一年に公団が発足いたしました当時は、すでに政府において位置を決定をされた以後でございまして、私どもは現在の三里塚にきめられた一千六十五ヘクタールというものについて任意買収を進めてまいったわけです。当初は、御料牧場並びに県有林等もございましたけれども、全体としては、やはり千六十五ヘクタールの中で六百七十ヘクタールというのが民有地でございます。しかも相当地域内の方々の反対が強いということであったんでございますが、私自身、直接成田に当時寝泊まりをして、農民の方々とお話し合いをするというふうなことで努力をしてまいりまして、先ほど飛行場部長からお話がございましたように、一期工事ではほとんど大部分——団結小屋その他のいわゆる反対のための闘争拠点というものを除けば、ほとんど任意買収して私どもはお話をつけたわけでございます。  またさらに、今後第二期の工事計画を私どもは持っておるわけでございますが、その中には、現在、農業を営んでおられる方々がまだ相当反対で残っておられるわけでございます。正確な数字は持ち合わせませんが、面積にして約六十ヘクタール、世帯にして約三十世帯程度の方々がまだ中で住居を持ち、農業を営んでおられるということでございまして、私どもはこういったふうな方々を、あえて強制執行でもって用地を取得するというようなことは現在考えておりません。これは先もあることでございます。十分私どもとしては、先ほど加瀬先生の御指摘にもございましたように、代替地等につきまして誠意をもってお話し合いを今後進めていきたい、こういうふうに考えております。
  216. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 つきまして、やはり地域住民との話し合いというものが大事である。特に最初における出発ですね、出発においてまずい点が何点か指摘されるだろうと思います。その点につきましては、先ほどもいろいろお話がありましたので省きますが、全国にわたる開発を進められております。  その中で、私どもは、特に鹿島の臨海工業地帯については相当大きな規模にわたって工事をしているにもかかわらず、あまりまあ大きな問題が起きてないというふうに承知しているわけでありますが、最近、公害問題が起きて、地域住民のたいへんな反対にあっているということでありますが、ここの鹿島の臨海工業地帯につきましては、代替地等につきましても、また地元民に対する対策等につきましても、比較的スムーズに進んだほうではないかというふうに承知をしておるわけでありますが、この鹿島臨海工業地帯についてのいきさつといいますか、状況をちょっとお伺いしたいと思います。
  217. 浜岡平一

    説明員(浜岡平一君) お答え申し上げます。  御存じのとおり、鹿島は新しい工業地帯の形成ということで造成が行なわれたわけでありますが、二十七年からプランができておったかと思いますが、現実に工業用地の取得に当たりまして、いわゆる鹿島方式といわれるものがとられております。この鹿島方式と申しますものは、工業用地予定地のみでなくて、その周辺を含みます、かなり広い計画対象地域というようなものを想定をいたしまして、かなり広い範囲の土地所有者から用地の提供を受けるということをまず第一段階として考えたわけでございます。で、候補にあがりました用地のうち、約四割を買収をいたしまして、公共用地、港湾等に充てたわけでございますが、残りの六割は、旧地主に対しまして農業用地というようなかっこうに造成をいたしまして還元をするというような方式をとったようでございます。したがいまして、この地域内の旧地主はトータルいたしますと、全体の十分の六相当分ぐらいの土地を自後においては保有をいたしておられるというような状況になったというぐあいに承知をいたしております。
  218. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 時間もありませんであれですが、それから経済企画庁の人はいないんだな。  私は、成田の惨事を再び起こしてはならないということからいろいろ考えますと、いま鹿島方式というようなことで比較的——個々には問題はあるだろうと思いますけれども、進んでいるところもある。これは鹿島と成田とすぐ比較するというわけにはいかないだろうと思いますけれども、しかし代替地の問題にいたしましても、住民対策にいたしましても、やはりそこに誠意があれば解決の方途はあるんだということを、これは示しているんじゃないかと思います。  最近騒がれております巨大開発として、青森県のむつ・小川原開発があるわけですが、ここにつきましても、新全総以来これが大きくクローズアップされて進んできているわけでありますが、しかし、最近具体的な話にだんだん進むに至って、地元の反対がだんだん大きくなっておる。しかも過激派集団の方々が地方へ闘争転換するといいますか、こういうこともいわれております。成田からもうすでに青森のほうへ移ったんだ、こういうようなこともいわれておるわけでありますが、こういう成田の二の舞いを踏むのではないかという危惧が持たれる。  そういうふうになぜなったのかということを考えますと、やはり成田と同じように、当初地域住民との十分な話し合いや、それから住民対策というものについての十分な検討がなされてないという、やはり企業ベースといいますか、また行政ベースでものごとを処理しようという、それを住民に押しつけるといいますか、そういうものの考え方がやはり住民にはたまらないという、こういう問題を起こしている。八月に青写真が示されまして、線引きが示されますと、地域住民はたいへんな反対をした。そこで、県としてもいろいろ検討しまして、第二次案が発表されたようでありますけれども、これもまた最初の計画をやや縮小したような形になっておりまして、この巨大開発が伸縮自在といいますか、こんな感じのする、非常に不安定なものがそこにある。  特に、むつ・小川原は、御存じのように、いままで製糖工場が建てられる、また、むつ製鉄所などが建てられると、大きなアドバルーンを上げられながら、いつもそこの地域住民は裏切られてきた。こういうような過程もありまして、住民の意識というものは、今度はだまされてはならないという非常に強い意識もある。こういうところへ巨大開発がいま進められようとしておるわけであります。確かに、住民のアンケートによりますと七六%が開発反対、こういう数も出ております。一二・七%が賛成ということでありますが、いろいろな立場、立場によって住民の意識というものは違うようであります。私が最も心配することは、こういうことがだんだん進みまして、村の中が意見が二分して対立するようなことになったら、これはたいへんなことだし、そういうことは即、過激派集団の入り込む余地を与えることになってしまう。過去の轍を同じように踏むようなことになってはならないという観点から、私は申し上げているわけでありますが、こういうことを考えまするにつけまして、今度のむつ・小川原の巨大開発につきましては、十分な住民対策を講ずべきである。現在はその構想がまだ住民には納得いっていない。また成田のような惨事が引き起こされるような状況といいますか、そういう可能性をはらんでおる、こういう心配をするわけであります。この点について、いかがお考えですか。
  219. 浜岡平一

    説明員(浜岡平一君) 新全総を担当しております経済企画庁がお見えになっておりませんので、私の了解しております限りでお答えをさせていただきたいと思います。  むつ・小川原の開発、特にこの地域に大規模な工業基地を形成してはどうかという考え方は、新全総の中に、一つの計画というよりは構想という名前であがっておるわけであります。言いかえれば、一つの提案として打ち出されておるというぐあいに了解してよろしいのではないかというふうに思っております。で、現在の段階は、この地域の開発可能性等につきまして、各省庁で各種の調査が、港湾造成の可能性でございますとか、あるいは公害防止のための事前調査等々いろいろな調査が行なわれておる段階かと存じております。  で、ただ、そういういままで行なわれました調査なり、あるいは新全総の提案を受けまして、現在、県と地元との間で、今後開発を考えるといたしますと、どれくらいの領域を考えるかというようなことで話し合いが始まっておるという段階であると承知いたしておりますが、これからの産業発展なり、あるいは地域の開発というようなものは、地域社会との調和ということが一番基本に置かれるべきことであると考えております。その意味で、現在進められておりますような開発の可否、あるいはその開発の規模、あるいはその開発の地点等につきましては、地元住民との間の十分な了解というようなものをベースにしなければいけませんし、その意味で話し合いというものが十分に行なわれるということが第一の前提であるというぐあいに考えます。先生指摘のとおりでございます。
  220. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 一番大事な経済企画庁が来ておりませんで、何か企画庁、建物を移るとかなんとか言っておりましたが、一番責任者の局長さん、また企画課長さんが来ていませんので、きょうの話はこれ以上ちょっと進められませんので、次の機会にこれはひとつがっちりやらしていただきたいと思います。  いずれにしましても、いまのようなやり方では、どうしても同じようなことが繰り返されるような危惧が十分にあります。それとまた、だれが一体住民の生活に最終的な責任を持つのかということが地域住民の一番の心配であります。さらにまた、先ほどもお話ございましたけれども、いかに国の委任事務とはいいながら、国と県との事務分担といいますか、権限の分担といいますか、こういう問題にも結局触れてきまして、実際青森県がこれを進めているわけでありますけれども、この計画は経済企画庁です。まあトロイカ方式で進めるということなんですけれども、この点についても明確でない点がございますし、やはりそういうものに対する住民の不安感というものはぬぐい切れないという、こういう問題もございますので、後日経済企画庁の責任ある方に来ていただきまして、十分にこの点については審議したいと思いますので、委員長、ひとつよろしくお願いいたします。
  221. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) はい。
  222. 河田賢治

    ○河田賢治君 時間も非常にありませんが、きょうは成田空港の問題に大体限定されておりますので、またその中でも、いろいろ他の党からも質問がありましたので、ごく問題を限って、これからもまたいろいろ解決しなければならぬ問題がありますから、そういう問題について二、三質問したいと思います。  まず、航空機による騒音とか大気汚染、これらを規制して環境を公害から守るという、こういう措置が非常に立ちおくれております。御承知のとおり、いま環境庁は、本年の九月二十七日ですか、中央公害対策審議会に諮問されておって、主として当面の緊急な課題をどうするかということが出されておると承っておりますが、時間の関係上、内容についてはあまり詳しくここでは尋ねませんが、この答申はいつごろ出る予定なのか、その辺のところをまず最初に環境庁の方に聞きたいと思うのです。
  223. 松井三郎

    説明員(松井三郎君) お答えいたします。  御指摘ございましたように、航空機等の特殊騒音の環境基準につきまして、去る九月二十七日に中公審に諮問いたしております。現在まだ審議が開始されたばかりでございまして、この環境基準がいつごろ答申できるか、現在のところ、その辺のめどがはっきりいたしておりませんが、環境庁といたしましては、答申を待ちましてすみやかにこの設定をいたしたいと考えております。  なお、ただいまお話がございましたように、非常に航空機の騒音の問題は緊急を要する面もございますので、当面の対策をする上の基準につきましては、年内を目途にして御審議をお願いしておるような状況でございます。
  224. 河田賢治

    ○河田賢治君 まあいまお答えのとおりだと政治的なはっきりした責任ある答弁が聞けないのが残念ですが、年内にかりに当面の措置をある程度やる、基準をつくる、規制をする。また基準をつくると申されますが、法律としてやはりこれが出ない限りはあまり効果がないわけですね。  ところが、その騒音についても、たとえば防衛庁や、あるいは運輸省関係の航空局が担当しておるところでも、ある程度騒音に関係する法律もあるわけです。これもあとで述べますけれども、かなり時代おくれの問題があると思うわけですが、こういう答申が出まして、環境庁のほうでは、ある程度これを政令ないしは他の関係省庁でそれを告示して、そして多少でも臨時的な措置を実施に移すというお考えがあるのかどうか、この点を聞いておきたいと思うんです。
  225. 松井三郎

    説明員(松井三郎君) 環境庁といたしましては、環境基準をつくることが本来の大きな責務でございますので、当庁といたしましては、何といっても航空対策を進めていく上のめどになるべき環境基準の設定をはかることが基本である、かように考えておるわけでございます。しかしながら、この環境基準を設定しまして、これをどのように達成するかという点につきましては、現在、ただいま河田先生から御指摘ございますように、それぞれ特別な法律によりまして、それぞれの権限官庁がやっておられますと思いますので、その対策につきましては、これらの官庁がそれぞれ措置すべき問題だと思っております。  なお、航空騒音をどのように法令で規制できるかということにつきましては、今後の問題といたしまして検討いたしたいと存じております。
  226. 河田賢治

    ○河田賢治君 これが立ちおくれているためにいろいろ問題が出ているわけですね。たとえば関西でも御承知のとおり新しい空港をつくる。今度は大きく神戸港の沖とか、あるいは大阪の沖あたりに島をつくって、そこへ新しい空港をつくる。ところがそこにデータがない。神戸の市会が八月上旬から中旬にかけて、専門家や一般の市民からも人を集めて公聴会を開いて、専門家もいろいろな意見が分かれておりますけれども、しかし大体において、つまり騒音に対する基準はこうあるべきだとか、あるいは五十ホン以下でなくちゃならぬとか、かなりいろんな問題を出しているわけですね。それからまた、あそこは海岸ですから、いろいろ船の関係等々もあそこで問題に出されております。  ところが、従来こういう問題に対する基準になるような、あるいは現状が、いまどうあるかというような問題についても十分討議ができないという状態なんですね。環境庁あたりも、これはできてからまだ間がありませんけれども、しかし各省庁はそれぞれいろんなデータを多少持っているはずなんですね。そういうものが公表されてない。したがって、専門家にしましても一般市民にしましても、一体騒音がどの程度あるのか、どのような大気の関係で条件があるのか、そういうことについても十分討論で知ることができないというふうな、いまこの問題をめぐって、この間の市会の公聴会のありさまを新聞で見ますと、そういう不満が出ているわけですよ。これは政府の怠慢だと思うんですよ。それぞれが何らかの形でやらなきゃならぬ問題、ところがそういうものは発表しない。特に環境庁は、これからそういう問題に一番責任があるわけですから、早くやっぱり基準をつくって、そうして万難を排してこれからの新しい空港なり、あるいは新幹線等々がいま現に建設されているわけです。しかもこういう大事な問題がおろそかにされている。一応調査し、中間でもどんどん発表して、各種の専門家の意見をどんどん発表さすとか、いろんな世論を起こすとか、そういうふうにしていかなければ、なかなか完全なものをさっと出すというわけにもいかぬだろうと思うんです。  こういう点で、いま大臣も来ておられませんから、いまあなたにそれを求めることはなんですが、とにかく環境庁は騒音による、あるいは大気汚染等の問題を、直接これは調査する権能を持っているわけですから、これを急速にやることと、それから当面、と同時に根本的な問題をやはり整理して、早く法制化すということに努力してもらいたいと思うんです。このことをひとつ伝えて環境庁の質問は終わります。  さて、その次に、これは航空局の方に聞くわけですが、御承知のとおり、航空機騒音による障害の防止等に関する法律、これに基づいて指定区域なんかについての、たとえば東京国際空港が千三百メートルですか、大阪の国際空港が千六百、今度は新東京国際空港、これからできるやつが二千メートルと幅六百とかいうんですね。こういうような指定区域についての大体お考えのようですが、この区域に、これが基準になっているわけですが、これは科学的な根拠があるわけですか、航空局の方ひとつ。
  227. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) 航空機の騒音区域の問題でございますけれども、実は騒音防止法がこちらでできましたときには、すでに防衛庁のほうで一歩前進をいたしておりました。そこで、ただいま先生指摘のように、われわれのほうはまだ十分な騒音の測定をいたしておりませんでしたので、そこで防衛庁がつくっておりました基準をそのままちょうだいいたしまして、それで千三百とかの基準をつくったわけでございます。しかし、これから新空港あたりはかなり飛行機の機種も大きくなりますので、まあそれよりも広げて二千メートルにしたというふうに、防衛庁を手本にしてつくったという程度でございまして、その点は先生指摘のように、あまり十分な騒音の測定結果に基づいて、十分な根拠があってできたということはちょっと申し上げられないのじゃないかと思います。
  228. 河田賢治

    ○河田賢治君 航空局のほうですか、羽田や伊丹等の、一年をかけて、去年の三月からですか、この二つの空港の騒音調査を行なって、この四月ですね、衆議院でわが党の田代議員が質問主意書を書いて、その答弁の中に、目下集計中と答えておられるそうですが、この集計は終わっておると思うんですが、こういうものの結果は御発表になっているのですか、あるいはならぬのですか、その辺をちょっと。
  229. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) 集計調査結果が出てまいりまして、それは東京大学の五十嵐先生調査をお願いいたしまして、その結果が出まして公表いたしております。
  230. 河田賢治

    ○河田賢治君 それはいつなんですか、いつごろ何に公表されておりますか。
  231. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) 七月でございます。
  232. 河田賢治

    ○河田賢治君 ひとつその資料をちょっと出してもらえませんか。あまりこまかいのは要りませんけれども、総括的なものでもいいと思います。
  233. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) 提出いたします。委員会にということでございましょうか、先生のほうへ……。
  234. 河田賢治

    ○河田賢治君 委員会へ。やっぱり参考になりますし、これ、大事な問題ですから。  今度この問題について、成田の新しい東京国際空港ですが、二キロメートルと六百ということで、騒音区域ということに大体なるわけなんですが、先ほどおっしゃったように、大体これは防衛庁のあれを踏襲したというお答えなんです。御承知のとおり防衛庁というのは、いわば旧陸軍をかなり受け継いで、決して人命尊重とか住民の福祉というようなことはあまり考えていないんですね。大体が人殺しの訓練をしておるわけですから、だからほんとうにそういうものの精神はないわけです。この間のジェット機の問題でも明らか。ですから、こういうものを踏襲していることには……、運輸省の航空局は、みずからの責任でやっぱり自分らで解決するとか、環境庁もありますけれども、そういう問題はそういう取り組みをしていただきたいと思うわけです。  そこで、羽田の空港のB滑走路が新設されて、この三月ですか、千葉の市川とか、特に東京の江戸川区、ここから騒音防止について非常な要求が出まして、そうして七月十五日、東京地裁へ国を相手取って上空の飛行一切を禁止するという仮処分の申請をした。これに色目をきかせて航空局もいろいろとこの問題に乗り出した。そこで新しく今度新コースが千葉の沿岸沿いにつくられて、そうして十一月中旬にこれに関係するいろいろな設備ですか、こういうものを一応完成する。それに基づいてずっと千葉県の沿岸、つまり海岸を通って、海の上を通って、それから羽田の飛行場へ入る。こういうふうに言われておりますが、これは大体事実ですか。
  235. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) 先ほどの資料でございますが、ちょっとお断わりいたしますけれども、いま係の者に聞きましたら、部数が非常に少なくて増刷をせんならぬそうでございますので、数部あるそうでございますが、それ以上の部数でございましたらちょっと印刷するまで少し時間がかかるかと思いますが、提出はさせていただきます。  それから、防衛庁のまねをしておるわけでございまして、その点たいへん先生指摘のとおり主体性がないように私も思いますですが、さっきも申し上げましたように、大阪の測定が済みましたので、それにあわせまして私どものほうのやり方というのを今後やっていきたい、大阪についてはそれを適用していきたいというふうに考えております。  それから江戸川の件は、先生いまおっしゃったとおりでございまして、あれは江戸川の上から直接Bラインへ入れておったんでございますけれども、それが江戸川の上空で非常にやかましいというお話でございまして、これは羽田は幸いにして海がございますので、何とかこれを海の上のほうへ回せないだろうかということを検討いたしましたところ、電波施設を一つ、それから照明施設を十数個つけることによりまして、かなりの回数を東京湾上に回して入れるようにできる、こういう結論が出ましたのでそれを実行いたしております。正式なものは十一月にでき上がる予定でございます。
  236. 河田賢治

    ○河田賢治君 そうすると、これは従来は荒川河口からB滑走路の端まで十一キロ、で、現在そういう実情のもとに江戸川あたりでは六百から八百メートルの高度ですね、だんだん下げて、そして羽田へ進入すると。そのときに、御承知のとおり、あそこの江戸川区の人々がいろいろ調査した結果が九十二ホン、葛西海岸ですか、あるいは松江五中では八十五ホンとか、こういうふうに非常に高い騒音出しているわけですね。そういうことを認められて、あなたのほうは航空路を多少南に下げて、そして人家のない、できるだけ海の上を通っていくというふうにお考えになったわけですね、そうなんですね。  そこで、元へ戻りますが、そうすると新東京国際空港の、いま二キロメートルですか、それに六百メートルという、大体騒音の指定区域というもの、一体この問題と関連してどうお考えになりますか。これでまあ騒音の指定区域というものが大体これで間に合うんだと、しかし一方では、もうすでに事実上それではとてもだめだというので南へ下げられているわけですね。大阪あるいはその他の空港等は羽田よりも若干延びてはおりますけれども、とうていそれじゃ間に合わないんじゃないですか。おそらくあそこは東から入りますと、芝山町はおろか、もう一つ南のほうから高度を下げなきゃならぬでしょう、入るとき。そうすると、そこでも六百、八百の高度になりますれば相当やはりジェット機は音を出すということになるわけですね。そうしますと、現在のわずか二千メートルとか六百メートルというものでは、とうていこれは処置なしという状態になるんじゃないですか、この辺をちょっと伺いたいんですが。
  237. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) 新空港の騒音問題につきましては、私ども正直申しましてたいへん心配いたしております。それは羽田は幸いにして海がございますので、ただいま申し上げましたように、そこが騒音対策としてどうであろうとこうであろうとも、とにかく海へ出せるものは全部出すほうがいいんじゃないかということで、何ホンという問題は別といたしまして、今後は海からなるべく入るようにということで処置をしたわけでございます。  それから江戸川の上につきましても、やはり年間ほんのわずかでございますけれども非常に西、南の風が強い、そして視程が非常に悪いという場合は、やはり江戸川の上を通って入るより方法がないのでございますけれども、それはほんの、回数にして多くないだろう。しかしそういう場合でも、やはり低空よりはなるべく上空から入るようにということでいろいろ対策を講じております。しかし海がありますので、とにかくそういう方法が講じられた。できるだけそういう方法を講じようということで、何ホンだからどうしたということではなしに、とにかくそういう方法が考えられたものですから、なるべく頭上を飛ばないような方向で入れようという方法で考えたことは事実でございます。  そこで、新空港のニキロ、六百が少し小さいんではないかという御質問でございますけれども、その点につきましては、確かにニキロ、六百という騒音地域でいいのかどうかというのはいろいろ問題があるかもしれませんですが、まあ大阪は千六百にいたしておりますし、ほかとの均衡もいろいろありまして、いまニキロ、六百ということにきまっておるわけでございます。いろいろ大蔵省とも相談をいたしまして、ニキロ、六百を多少こす場合も、騒音対策区域として、もし買収の要求があれば、公団のほうで土地を買っていこうというふうなことで、多少ゆとりがあるような話にはいたしております。
  238. 河田賢治

    ○河田賢治君 いま大蔵省との関係で若干ゆとりがあるというお話でしたけれども、まあしかし江戸川区の経験から見ましても、確かに江戸川区ほど人口は租密ではありません。しかし、やはりそこには農村のいろいろな部落があり、一つの町あるいは二つの町が関連するほどあるわけですから、こういう問題をやはり私はいま従来のあれにとらわれずに新しい立場に立って、環境庁がどういう基準を示し、どういうあれをするか知りませんけれども、しかしそういうことを考えて、やはり現在の国際空港のあり方というものをこれは考え直す必要があるのじゃないか。確かに今度は新国際空港では海がありませんからね、逃げる場所がない。入るにしても、また飛行機が飛び立つにしましてもみな周囲は農村の部落であったり、あるいは小さな町であったりするわけですから、そうしますど、それは土地のいろいろなブローカーなんかがうまいことを言ってどんどん家を建てたりなんかやりますと、またやれ何だかんだといっていろいろな問題がさらに起きてくることもあるわけですね。  だから、このような国際空港をつくるときには、やはり相当の防音あるいは大気汚染等も調べて、そしてどのような範囲で空港をつくったらいいか、どの辺までは安全区域にするかとか、そのために必要な土地を買うとか、やはりいろいろなこれに伴うもの、しかも今日公害問題というのは、一種の、これまでの日本の政府なり、あるいは独占資本が非常な無責任な経済成長の結果、今日すべての日本の国民からこの問題が自覚されて、いろいろな要求が出される時期になっておるわけです。そうだとすれば、なおさらこういうものを建設する場合には、やはり慎重な態度と、それに臨む合理的な施設や設備をつくるべきだと思う。だからこれは、今日、さっきも申しました騒音防止に対するいろいろな防衛庁の問題を引き継いでみたりしましても、だんだんこれはみな時代おくれになってきている。だから、ほんとう言えば、新しい観点に立って環境庁にも早く基準をつくらせる。同時に、航空局のほうでも、これまでつかんだいろいろな成績もあるでしょうし、実験もあるでしょう、調査もあるでしょう。そういうものを踏まえて、あすこにやはり航空の安全と同時に住民の生活環境を守るという、この基本的な立場を貫くような私は法律の改正なり、あるいは政令、施行令、告示等々大急ぎで再検討する必要があるのじゃないか、こういうふうに考えるわけです。  まああなたはまだ一つの局ですから、その問題は大臣でなければ答えられぬかもしれませんけれども、しかし事務当局としても、そういう問題を大いに責任持ってこれは考えるべき時期だと私は思うのです。この点について、ひとつまず事務当局の担当者であるあなたからも伺っておきたいと思います。
  239. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) われわれいま考えておりますことは、やはり先生指摘のとおり、新空港は海に逃げる方法がありませんので、どうしてもそれに対する対策といたしましては、民家の防音工事をやる以外にないのじゃないかというふうに考えまして、これは騒音防止法の改正を必要とするわけでございますけれども、まあしかし、そういうことを言っておりますと新空港間に合いませんし、千葉県のほうでやっていただけるということで、まあ騒音防止法はおっつけ改正をして、それに追っかけていくというふうなかっこうになると思いますけれども、私は騒音防止法を改正して十分そういうことについての配慮をしていきたいと、ただいまそれの準備をいたしております。  ただ騒音防止法を改正する場合に、もっと早く改正したらいいじゃないかという御意見もあるのじゃないかと思いますけれども、大阪あたりになりますと、非常に民家が密集いたしておりますので、隣までやって自分のところはなぜできぬだろうかといったような公平の問題等もございます。もう一つは、どうするのが一番民家の防音対策としていいのかというふうなこともありまして、やはり多少準備期間も必要といたしますので、四十七年には間に合わないのでございますが、四十八年度には騒音防止法を改正し、その予算を取りまして、そしてこういったものの騒音対策をやっていきたいというふうに考えております。ただいま申し上げましたように、新空港につきましては、幸いにして千葉県でそういうものを先行してやっていただいてるようでございますので、その点心強く思っておる次第でございます。騒音防止法はぜひ改正いたしまして、そういったときの国会では御審議いただきたいと思っております。
  240. 河田賢治

    ○河田賢治君 だいぶはしょりますが、とにかくほかとの均衡がありましても、これから新しくつくるものはやはりある程度完全なものをつくる。したがって、それは費用が要ってもしようがない。それからまた、住む人もわずかばかりの防音装置をつけたからといって、その人が完全にそこで社会生活をできるわけじゃないんです。そうすれば、土地を相当広く、何とか話し合いをうまくつけて、現在のあの付近の町村にしましても、旧来の曲がりくねったいろんな人家が点在するようなところもありますから、そういうのをできるだけ社会生活ができるような、一つのいわば東京の都市改造をやるような大きな気持ちで、それぞれの付近の村の、町のやはり改造をやっていく。そのくらいの心がけでやらなければ、ほんとうに私は新しい国際空港の名に値しないと思うんですよ。  今日までやってこられたいろんな皆さん方の成田の問題がここまでこじれているんです。今度、あそこで飛行機が飛んでごらんなさい。またまた大きな騒音問題で、少々のどんな補強工事をそれぞれの家にやりましても、そういうものはとうていそれらの人を満足させるものでは私はないと思う。この辺はやはり、大臣もおりませんけれども、とにかくもうちょっとあんた方が大きな日本の将来を考えて、そうしてその名にふさわしい国際空港をつくるんだと、そのくらいの気持ちで事業をやらなければ私はだめだと思うんです。  そのことを言って、次に公団側に尋ねますが、先ほど来いろいろ農地の、つまり飛行場用地の問題で、土地収用で相当の農家の方々のまだ承認を得たり、また承認された方等あると思いますが、大体あそこで一応あなた方のほうで考えた収用が終了したという農家の戸数ですね、それからまだ敷地内で未収用になっておる、さっき第二期には六十ヘクタール、三十戸くらいというお話がありましたが、まず大体その辺のことをちょっとお伺いしたいと思います。
  241. 今井栄文

    参考人今井栄文君) 先ほど概数を申し上げたんでございますが、第一期工事区域約五百ヘクタール、これは全体の半分でございますけれども、これにつきましては現在、最近の第二次代執行で取得いたしましたのは五ヵ所でございまして、団結小屋が三ヵ所、いわゆる戦術的共有地と申しますか、これが一ヵ所、それから一戸の民家を含めます関係の団結小屋等も含めまして一ヵ所、全部で五ヵ所でございますが、これも先ほどの御質問加瀬先生のときにちょっとお話が出たんですけれども、小泉よねさんという方が借地をして、そこに家を建てていたというのが一軒だけ入っておりまして、あとは全部いわゆる戦術的共有地あるいは学生の拠点、こういうことになっておりまして、個人の農耕を営み、かつ住居を持っておるというところは全然やっておらないのであります。第一期工事区域については、それが現在一カ所残っております。ちょうど四千メートル滑走路の西側の境界線に位するところでございまして、それが一ヵ所、それからまた南の、先ほどお話の出ました山武郡芝山町にございますが、平和の塔という宗教的なパゴダ、それと、それを含む敷地というものは強制収用からはずされておるわけでございまして、鋭意、現在私どもがお話し合いを続行しておるというのが第一期工事区域の現況でございまして、第一期工事区域には、ほとんど民有地は残っていないということでございます。  さらに第二期工事区域でございますが、これが約五百ヘクタール残っておるわけでございまして、その中で、私、約三十戸と申し上げましたが、三十二戸でございまして、大体概数と同じでございまして、これらの方々の面積は大体六十ヘクタールくらいというふうに先ほどお答えしたとおりでございます。これらの方々は、まだ敷地内に住居並びに耕作地を持って営農をしておられる方方でございまして、これらの方々に対しては、先ほど私が申し上げましたように、第二期工事区域でございますので、代替地その他の今後の農家の方々の生活設計というものについての御希望を十分お伺いして、御希望に沿うような形で円満に解決をしていきたい、こういうふうに考えております。
  242. 河田賢治

    ○河田賢治君 この農家のうち、小作関係の農家はどのくらいありましたか、田や畑について。
  243. 今井栄文

    参考人今井栄文君) 第二期工事区域の小作関係の方についての正確な数字はいま持っておりませんが、いままで私どもが買収をいたした用地は、先ほど申し上げましたように、第一期工事区域については、ほとんどもう一〇〇%近く、第二期工事区域を含めても八〇数%というものは私どもがすでに用地を買収しておるのでございますが、小作だけで問題を起こした例は、実はいままでのところではあまり見受けないようでございます。小作をすると同時に、自分の耕作地も持っておるという方が多かったわけでございまして、そういった方につきましては、自己の所有地については当然買収をいたしまして、それからまた小作地につきましては、土地所有者と契約をいたしまして、小作人に対する補償につきましては、成田市の場合では、成田の農業委員会というものが調停された標準率といいますか、比較的成田では低うございまして、二八%ということで、所有者が小作者に対して権利放棄料としてそれを支払っておるというのが従来の慣行でございます。  ただ、今後は、おそらく小作だけをやっておるそういう人たちに対する補償はどうするのだという問題が、あるいは起こってくるのではないかと思いまするが、こういった方々に対する住居の補償は当然でございますけれども、従来のような耕作ができるようにやはり配慮をしてやる必要があるのじゃないかということで、特にこれは、現在、平和の塔の所在する区域でございますが、ここは主として共産党が指導しておる岩山の農民の方々でございます。これらの人たちと千葉県知事が現在折衝を重ねておりまして、近く結論が出るのではないかと、こういうふうに考えております。
  244. 河田賢治

    ○河田賢治君 先ほど主として土地の所有者と契約してですね、少々小作関係があっても純然たる小作人というのはほとんどいないだろう、そういうお話でありましたが、土地収用法の第六十九条ですか、つまり損失の補償についての原則的なものを六十八条、六十九条、七十条等はきめておるわけです。六十九条は御承知のとおり「損失の補償は、土地所有者及び関係人に、各人別にしなければならない。但し、各人別に見積ることが困難であるときは、この限りでない。」と、こうなんですね。この原則が、土地収用法で今度千葉でおやりになったあなた方のやり方というものは、小作人に対して、あまりこう直接お当たりになっていないですね。  やはり小作人は小作人としての権利があり、これが消滅するわけですが、土地収用でやられるとすれば所有者もそうであります。しかし小作人は関係者として当然個別的に——いいですか、個別的に公団と話し合いをするということは土地収用法の補償の原則なのです。それをまああなた方のほうは、大体聞くところによりますと畑が百四十万円ですか、そういうふうにして大体一括しているのですね。これは全くあなた方のやり方というものは官僚的なやり方以外の何ものでもないのです。おそらく、見なさい。米をつくるにしましても今日いろいろな等級があるわけでしょう。田についてどれだけの収穫があるか。したがってそこの小作料は幾らか、等級があるのです。畑でもそうです。等級があるのです。そうすれば、その買収に当たってはやはりその各筆々ごとに、その土地の大体の生産量というものをあらわしているのですから、それに応じた支払いをしなければならない。そうでなければ、あなた方のように、簡単にこの村、この部落は一括して百四十万円で買ってしまえる。相手はだれなのですか。交渉の相手は大体その地方の有力者といわれる人じゃないですか。あなた方はこの土地収用法を行なうならば、この原則に従って、六十九条です、各人の所有者及びそこに関連する権利を持つ者に対して個別的にやるというのです。この法律をなぜあなた方は守らぬのですか。そういうあなた方の緻密な、また法律にほんとうにのっとってやるだけの誠意があなた方にないから問題が非常にこじれてきているのです。  憲法だって、御承知のとおり、憲法の二十九条では財産権を侵害してはならないことになっている。それで正当な補償権を認めているのです。憲法——国の最大の基本法ですらそれを認めて、そしてそれに基づいて、土地収用の場合でも各個人に当たるべきだと言っているのです。あなた方は各個人に当たっていないじゃないですか。そういうやり方ですから、あなた方の誠意がかりにあったとしても、村の人には通じないのはあたりまえです。少々事が大ぜいだからめんどうであっても、やはりそれぞれの関係官庁——農地局とかいろいろ材料を持っているのですから、そういうものから材料をよこしてもらい、公正な、補償についても一人一人について納得のいくようなやり方をしなければ私は間違いだと思うのです。現に、国鉄の高速道路とか新幹線もずいぶん土地収用法でやっておられる。ところが、こういう問題については、ある程度もんちゃくが起こるときもあり、紛争が起こるときもありますけれども、あれほど大きな問題を起こしてないでしょう。あなた方の要するにやり方が、法律に基づいて、ほんとうに住民の意思を憲法や法律に基づいてやろうという腹がまえがちっともない。だからこういうことになると私は思うのです。一体おやりになったかどうか、それらの小作人にどれだけ当たられたか。それで、どういうふうに小作人に対してそれぞれ補償をされたか、ひとつその点を伺いたい。
  245. 今井栄文

    参考人今井栄文君) 先ほどの答弁で、あるいは言い足りなかった点があると思いますが、私どもは交渉をやる場合に、一括して代表者と話すというようなことはいたしておりません。個々の農家との間に直接のお話し合いをした上で、合意を得て、用地を買わしていただいておるわけでございまして、それからまた、先ほど小作に対する補償の問題について、土地使用者にもお支払いをするというようなことを申し上げましたが、これは従来の私どもと小作の方々とのお話し合いでも、小作人の方の承認を得た上でやっておるわけであります。したがって、一人一人の権利者に対しては、一人一人やはり私どもの用地部の職員が行ってお話し合いをしてまいってきているわけであります。  その具体的な御答弁につきましては、用地部の担当の次長が参っておりますので、その間の実情をお話し申し上げたいと思います。
  246. 横井一仁

    参考人(横井一仁君) ただいまも総裁からお話がございましたが、任意買収につきましては、これはあくまでも話し合いをもちまして、土地所有者及び所有権以外の権利を持っておる方たちとは話し合いの上で進めて契約をいたしました。  なお、収用法六十九条の個別払いの原則の御指摘がございましたが、収用法におきます権利取得の裁決の申請は個別に申請しておりまして、収用委員会の裁決は個別にいただいております。ですから、小作の方には小作権相当分の補償金として別途に裁決が出ておりまして、そのような形で補償金の払い渡しを行ないます。で、相手に受け取っていただけない場合は、供託所に別に供託しております。以上でございます。
  247. 加瀬完

    加瀬完君 ちょっと関連。事実関係ですからね、あなたのおっしゃること、聞き流すわけにいきません。  千葉県の収用委員会に申請した者は、所有者であろうとも、それからいまの占有権者といいますか、小作権者であろうとも、個々には収用委員会は意見聞いておりませんよ。全然意見聞いておりません。そういう状態でないうちに収用委員会が一方的に閉鎖されております。これはそのとおりでありますから確認いただきたい。あなた方が個々に折衝したのは、それはあなたのおっしゃるとおり。しかし収用委員会は全然意見を聞いておりません、地主に対しても、小作者に対しても。
  248. 横井一仁

    参考人(横井一仁君) 収用法の範囲で申し上げますと、まず権利取得の裁決申請は、所有権とそれから所有権以外の権利とを分けて申請してございます。ですから裁決も別にいただいております。
  249. 今井栄文

    参考人今井栄文君) 加瀬先生のおっしゃるとおりでございまして、収用委員会自体の審理が十分尽くされなかったというふうな面は、これいろいろ原因があったと思うのですけれども、その点は収用委員会としては十分審理をしたというふうにおっしゃるでしょうし、それからまた利害関係人のほうでは、特に一坪運動その他については十分聞かないじゃないかというふうに言われるだろうと思いますが、おっしゃったような見解もあり得るだろうと思います。
  250. 加瀬完

    加瀬完君 おっしゃったような見解じゃないですよ。収用委員会、何にも審理しないで、審理終了したという結論を下しているのです。これは事実ですからね。私も権利者でありますが、一回も意見は聞かれません。まして所有者の代表者とか、あるいは小作人の代表者というものに対して意見を聞いたという事実はございません。そういう形で終結をされて裁決文書があなたのほうに渡されたと、あなたのほうの受け取り方は自由ですが、収用委員会が意見を聞かなかったということは事実です。これだけは申し添えます。
  251. 河田賢治

    ○河田賢治君 条件派四団体との協定というのが出ておりますが、土地価格は百四十万円と、しかしこの中には小作権なんかについては何にも載っていないのです。小作権もやはりこういうものは明示しなければいかぬ、それぞれの権利が違うのだから、所有の権利とかそれから小作の権利。しかも御承知のとおり、農地法はできる限り耕作者を重視した法律なんですから、それですから代替地も、いま耕作している人が困るのですから、生活に。ですから、そういう人を優先に、耕作している人あるいは耕作反別の大きい人、そういう人に優先的に代替地を与える、こういうことが行なわれなければならない。だから、農地法の精神というものをやはりあなた方ははっきりと見て、そして交渉ももっと詰めたやり方をやるべきだと思うのです。一括して百四十万円というような、こんなずさんな官僚的なやり方、いつもあなた方は頭で計算して、さっさっさとやれば、それでいち早くいくと、先ほどの話は、収用委員会はそのようなやり方やっているわけですよ。そして民主的な運営が、そういう農民の間にも不足していたのでしょうけれども、しかし、それにかこつけて公団側がそういうあいまいな、そしてまた不親切なやり方で土地の権利の売買はやるべきじゃ私はないと思うのですよ。まだ、あと残っておりますから、今後こういう問題について、やはりもっと精密な、どこに法律の精神があるかということをよくのみ込んでこれはやってもらわなければ、従前のやつはもう全部取り消してもいいと思うのですよ、私は、これは無効だと、そういうふうに考えます。その辺の考えをちょっと伺っておきたい。
  252. 今井栄文

    参考人今井栄文君) 昭和四十三年に条件派四団体との価格の協定ができたのですが、その実情は、いわゆる条件派四団体というのは、予定地内農民が全部参加いたしておる団体でございまして、もちろん小作人の方も入っておられるわけであります。したがって、われわれが単に地主とだけ交渉したということじゃなしに、地主との関係については、地主と小作者との間で十分話をつけるということが前提になって、ああいったような協定ができたわけでございまして、私どもは団体の代表者というような方々とのみ協定を結んだのではなくして、やはりその団体に所属する全部の農民の方が相手に実はなっておったわけでございます。
  253. 河田賢治

    ○河田賢治君 これから残る問題は、成田の土地問題もまだ全部終了しておりませんし、まだ収用に反対しておられる方もある。いずれにしましても、これは公団と十分な話し合い、納得の上でこれはやるべきなんで、御承知のとおり、新幹線の反対運動のときでも、たとえば都会ですから二階借りしている人もおる、それから下に住んでおる人もある、所有者で。ところが、二階借りの人でもちゃんと同等に取り扱って、それで公営住宅へ補償金も払ってやはり入れているのですね。東京あたりでも聞きますと、七環線ですか、あそこらでも補償金の八割までがそこのつまり家を借りていたほう、所有者は二割であったという話も聞いているのです。こういうふうにいろいろ事情もありましょうけれども、やはりそのところでどういう構成になっているか、したがってそれに対してどう処置するかということは、あなた方はやはり綿密にこれはやらなければならぬと思うのですよ。そういう誠意がないと結局爆発するのです。したがって、この問題はこれからの進行に伴ってひとつ考えを改めてもらうということと、それからさらに、さっきから問題になっております例の指定区域というもの、飛行機の発着、そこが騒音でもう今後相当私は大きな問題になると思う。現在航空局がきめておりますようなことでは、江戸川でももうすでに反対があったように、しかもあれだけこじれたわけです。特に芝山では発着の、飛行機が飛んで入るところですから、なおさら騒音が大きいところですね。そういう地域が一番これまで解決の困難な状態にあったところですから、だから飛行機が飛び出しましたら、またこの問題は私は相当持ち上がると思うのですよ。だからこういう問題についても、これから早く公団側もこの問題を、航空局が二キロときめておりましても、これをもっと広げるとか、あるいはそれに対する土地の補償あるいは住宅の補償とか代替とか、もっといろいろな住民の生活、営業、これらを考えてやはり処置を当局にも要請されて私はしかるべきだと思うのです。そうしないと、この問題はさらに大きな輪をかけた大きな問題が続発するだろうと思うのです。そういう点で一応警告しておきます。
  254. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) それでは、本件に対する本日の調査はこの程度にとどめます。  これにて散会いたします。    午後二時二十四分散会      —————・—————