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国務大臣(
渡海元三郎君) 広範にわたる御
質問でございましたので、あるいは漏れております点がございましたら後刻
事務当局からでも補足させていただきますし、また御指摘を賜わりたいと思います。
過疎対策でございますが、法を制定いたしていただきまして、この法に基づきまして、今日施策をしなければならない焦眉の急でございます
過疎対策の一そうの推進をはかっていきたい、これが私たちの基本的な
考えであると、
所信表明でも申し上げたとおりでございます。いま
柴立さん御指摘のとおり、法に規定されておるものは当面の問題を解決するだけの問題であって、
抜本策になっていないという御指摘でございますが、そのとおりでございまして、私たちも結局総合的な施策をもってこれの抜本的な解決をはかること、これは一番大きくは、私は、現在政府が取り組んでおります国土の再開発という部面で、
日本の国土をその特性を生かした姿で生かしていくという姿の中で私は
考えていくことがまず第一であろうと、こう
考えております。
第二といたしまして、私たち
自治省におきましても、広域
市町村圏というものを本年度で二百四十、来年度なお指定をふやしまして大体三百四、五十、これで
全国の大体
都市周辺
地域を除きまして網羅できるんじゃないかと思いますが、この広域
市町村圏の整備計画を拡充することの中におきまして、
地方都市を中心として、その域内にある
過疎地帯を含めた各
市町村が、同じく
都市の生活と格差の少ない生活ができるように総合施策を立てていくという
方向で、私たちはこの問題の解決の推進に当たりたいと思っております。なお根本は、
過疎地帯の特性、特徴を生かしながら産業を振興し、
人口を定着さすという姿に持っていくことが根本ではなかろうかと
考えております。こういったことを行なうことは、県あるいは
市町村におきまして特定の産業を持っていくということは、やすいようでございますが、なかなか困難であろうとも
考えますので、中央におきまして、それら
過疎地域の特性を生かした産業を
指導し育成していくような何らかの
方策、
指導できるようなものをつくったならどうかというふうな
意味でも研究を加えておるような次第でございますけれども、根本は、私は、
過疎地域の特性に合った産業を育成する
方向で
指導、充実をはかっていく、こういった三点で総合施策を邁進いたしたい、このように
考えておりますので御了承願いたいと思います。
いま具体的な問題についてでありますが、順次お答えさしていただきますが、まず最初に
指定基準の問題でございますけれども、御
承知のとおり、最初予定いたしましたものは七百七十余りでございましたんでございますが、国勢調査の結果、千四十八町村ですか
過疎地域に指定され、その数は
全国地方公共団体三千二百五十七の数の約三二%に当たる数であるという姿でございますので、現在この
基準をさらに
引き上げるというようなことはいまのところ
考えておりませんので、一応それが適当ではないか、こういうふうに
考えておりますが、なお、そのボーダーラインの
市町村におきまして、県において
実態に即してやっておられることはまことにけっこうなことであろうと思います。県に対しましても、
過疎対策のための
交付税というものも
地方債計画の中に組みましてやっていただいておりますので、それらを御利用願って、そういうふうな面で、その法律には当てはまらないが、なおボーダーラインにあるところは、する必要があるという観点に立ってやっていただくことはまことにけっこうであると思うのです。これを財政的に中央が裏づけする制度を制度的に
考えるかどうかについては、私直ちには何でございますが、その具体的な例によりましては、中央からあるいは起債とか特別
交付税とかによって必要であれば
検討さしていただくことはやぶさかでない、このように
考えておりますので御了承願いたいと思います。
次に、
輸送機関の
確保ということが最も必要である。御
承知のとおりでございます。
国鉄の赤字
ローカル線の廃止ということは
考えなければいけない。私たち常々
国鉄の赤字路線の廃止に対しましては反対的な立場に立っております。
国鉄の赤字再建ということは必要でございますが、
国鉄の使命というものは、国民の足を
確保するという使命でございますから、その根本を離れて単に赤字再建をすることにだけ重点を置いた赤字線の廃止、
ローカル線の廃止というふうなことを
考えるのでなくして、国民の足を
確保するという観点に立って、その上での赤字
対策ということを
考えていただきたい、本来転倒してはならないという
意味で、御趣旨の線に沿いまして今後とも運輸省当局とも折衝してまいりたい、そのような態度でお願いをしてまいりたい、こう
考えております。
なお、バスでございますが、運輸省におきまして、現在民間バスに対しまして、
過疎地域に対しまして特定の条件のもとに補助を出しておりますが、これらの補助は
民間企業に対するものでございますから限度がございましょうし、また一定のきびしい
ワクもあるようでありますので、たとえ補助をもらっても打ち切らざるを得ないということが続出しておるということは御
承知のとおりでございます。現在、
市町村がそれにかわりまして代替バスの運行というふうなことをやっておりますが、いま御指摘ありました、これを公営化する道というふうなこともこれは一案かと思いますが、この点も御趣旨の線に沿いまして
検討さしていただきたい、このように
考えます。
医療対策でございますが、
医療の
確保ということは、法にもうたわれておりますし重要なことは御指摘のとおりでございます。私たちもそのために
医師の養成大学、この間、八月二日に起工式をあげさせていただき、来年四月一日開校で努力いたしておりますが、これが早急に間に合わぬということは事実でございまして、現実の問題は、実際において
医師不足で困っておるということは御
承知のとおりでございます。法に基づきまして、県のほうの
対策といたしましても、あるいは機動力をふやしての巡回診療をやるとか保健婦の拡充をはかるといった線で現在やっておりますけれども、今後とも厚生省当局ともよく
連携をいたしましてそれらの拡充をやっていただく、このように
考えております。
私、実は厚生政務次官をやっておりました当時、自分の県のことを申しましてまことに恐縮なんですけれども、私の県で一番おくれておるというと語弊がございますが、但馬地区でございます。その地区に豊岡病院という組合立の病院が、しかも兵庫県の太平洋地区でない、おくれている但馬地区だけが国立病院がない、県立病院もない。ここに小谷
委員もおられますが、御
承知のとおりであります。そのおくれておる但馬地区が自分たちでつくった豊岡病院、自分たちでつくったものですが、
過疎地域に対しましても巡回診療を、自分らの組合の組合員に対して巡回しているんだという姿でやっておる。しかも出先の各町村の
診療所等はいずれも組合病院である。組合病院は、ある一定の市や町村でつくるものですから制度的にも
医師にも行っていただける。しかも国民健康保険料はそうよそに比べて高くない。一ぺんあの地区をながめてこい、
地域医療というものは、広い
地域を国民
医療の名においてやるのじゃないかということで、政務次官当時よく厚生省に申しておりましたが、そういった総合病院的な制度等も組み入れさせていただきまして、今後とも巡回診療等を拡充し保健婦の人員を拡充することによって、ぜひとも現在の
医師不足というものをできるだけ解消に持っていくようにしていきたい。これは厚生省とも密接に連絡をとりながら今後強力に進めていきたいと思います。
次に、
各省との
連携でございますが、
建設省あるいは厚生省は
自治省ほど取り組んでおらぬじゃないかという御指摘でございました。この点、私も率直にその御指摘を肝に銘じまして、今後
各省との連絡に当たらせていただきたいと思います。実はあの法律ができましてから各町村で総合計画というものを立てていただき、現在八千億ほどの総合計画が各
過疎地帯から出てまいりましたが、これをいかに推進するかということにつきましては、
自治省だけでなく
各省にそれぞれ協議をせなければならないという姿になろうかと思います。その際、具体的な問題を連ねて
各省に御協力願うという姿で、いま申し上げたような趣旨で生かしてまいりたい。このように
質問を受けながら
考えておりましたので、今後できるだけ注意してまいりたいと思います。
なお、
市町村の財政が根本であるけれども、現在の二百四十億というような
過疎債では少ないじゃないか、御指摘のとおりでございます。百三十億の四十五年度の額から二百四十億まで
引き上げ、これはべらぼうに大幅な
引き上げでございますけれども、いま御指摘のあったように、少なくとも来年度は千億くらいにしなければいけないと言われましたが、八千億十年計画というふうな
過疎対策のいまの総合計画を見せていただきましたが、二百四十億というふうなものがいかに少ないかということは御指摘のとおりでございます。いま一千億以上にせい、私は数字はここで確約はいたしませんが、いま申されました姿でぜひとも四十七年度におきましては
過疎債の
ワクをひとつ大幅に
引き上げていき、これら
市町村の計画、それをそのまま受け取るべきかどうかということはこれからの調査も必要であろうと思いますけれども、その実行の線に沿うた姿で
地方財政計画に組み、
交付税の算定等もあわせまして考慮していきたい、このように
考えております。
なお、
交付税に組み入れる
過疎債の率、本年度は五七%から七〇%に
引き上げさしていただきました。なお
辺地債と比べて一〇%差があるじゃないか、
辺地債並みの八〇%にせい、こういう御議論でございますが、本年度七〇%にまで
引き上げさしていただきました。その一〇%差をつけました理由というのは、
辺地債はあくまでもその辺地の
部落に対するものであるから、もう全額に近いだけ
交付税に繰り入れてやるべきではないか、こういう姿でございます。
過疎債はその
市町村に対して出す、また現在
過疎を含んでおる
市町村というものの財政状態も個々まちまちであるというふうな点、幾ぶん広義な対象でながめるような点から一〇%落とした七〇%ぐらいじゃなかろうかということで差がついたと聞いております。それにも私は
一つの理由はあると思いますが、なお将来ともに八〇%にすべきであるという御
要望もございますので、現在七〇%に
引き上げましたが、なお将来の
検討といたしまして、
引き上げ方を
検討さしていただきたいと思います。
次に、集落の問題、国庫補助として二億をつけていただきました。これに対しましては、何といいましても実際行なうところの受け入れの住民の方々の御協力が必要でございます。いま、いろいろ御議論がございましたが、現在こそその再編成に乗り出すべきではないかというふうな御議論でございましたが、私たちも今後ともに住民の方々の御協力を願い、この額を大幅に、国庫補助制度も住民の
要望にこたえて
増額していくという姿に持っていきたい、かように
考えておりますので、今後とも御協力を賜わりたいと思います。なお、漏れておる点がございましたら御指摘願います。
なお、
木引税の問題でございますが、できた当時は非常に
木材の景気がよかった、現在は悪いんだ、もう早速廃止すべきだという御議論でございましたが、私は
木引税ができたとき、戦後シャウプ勧告等によりまして
税制がやられましたときに、私は
木材がもうかっておるから税を取ったんだというのではなくして、固定資産税を
市町村の基本の
財源として
市町村に与えた。その固定資産税の取り方について、山林というものは立木に税を立木税として取ることができない。いかなる
方法で取るか、そういう
検討のもとで固定資産税のあり方としてできたのが
木引税の本来の姿ではなかろうかというふうに解しております。今日まで
木材引取税をやめろやめろ、しかしながら、実際におきましては非常にその把握が各
市町村において困難であるというふうな点から、長い間やめろと言われていたけれども、りっぱな山林を持っておるところの町村でありますけれども、この税金をとりますとほかに税収がない、固定資産税が取れない、しかも立木税として取るわけにいかない、そういうような観点から、しかも限られた町村でそれを廃止することが非常に大きな不安を与えるということから、今日まで、率は下げてまいりましたが、撤廃に至らずに至ったという姿じゃないかと思います。
この点、幾ぶんか税の根本的な性格のあり方について、
柴立さんと私と意見を異にしておりますが、しかしながら、いま御指摘のとおり、現在
木材が非常に不況になり、またこれを奨励するために何かの
方法で金をむしろ渡さなければいかぬ。税金を取るよりも、その金で振興策を
考えなければいかぬというのが山村町村の姿であるという現状は私も
承知いたしております。二、三年来、この税金をいかにするかということにつきまして種々苦慮しておるのであります。いま
財源補てん債、これをやったらいいじゃないかという、金額は町村にとりましては大きいんですけれども、総額といたしましては、国全体の
財源といたしましては小さいのでございますから、御指摘のようなことは直ちに行ない得ると思うのでございますが、なぜ今日までできなかったかと申しますと、
財源補てん債というものは
柴立さんも言われましたように、年度を切って、いつかはなくなるものであり、これはあくまでも激変緩和の
措置でございますので、永久にあるところの、何かの姿で固定資産税にかわるべきところの永久の
財源として渡す
方法はないかどうか、これらの
検討を重ねたためにおくれておるというのが現状でございます。しかしながら、いま言われたような状態もよくわかっておりますので、代替の税金を取ってないということ、不均衝のある点もよく認めておりますので、これらの均衝を
考えながら、ぜひとも四十七年度においては何らかの形において善処いたしたい。目下
検討中でございますので御了承お願いいたしたいと思います。