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大矢正君 私は、大事なことが二点あると思うのです。少し長くなるようですけれども、この際、やはり
大臣に十分認識していただかなければならぬと思うので申し上げたいわけでありますが、たとえば炭鉱
事故の際には、
ガス爆発とか——つまり今度のような突出とか、崩落、落盤とか、そういうようなところに、
ガス爆発の場合には、爆発するに最適な条件の
ガスがそこにたまっておって、しかもそれに、どこかに火がなければ爆発をしない。したがって、なぜ
ガスがたまったのか、その
原因の
究明とか、なぜそこに火があったのかという火の
究明とか、その
原因というものは、
究明がむずかしい点は往々にあると思います。これは私も率直に認めます。ところが、
ガス突出というやつは
原因というものはないのです。あるといえば、なぜそこに
ガスがたまっていたのか、たまっているのに、なぜ抜けなかったのかというのがあるだけの問題なんで、ですから、そういうところからいくと、
原因とかなんとかということよりも、
対策があるのか、ないのかということが大切なんだと、こう私は思うのです。
そこで、いま申し上げましたように、結局、特にこの炭鉱は、いま非常に採掘をしても、販売価格の安い炭、しかも、比較的ここは
ガスの少ないところで無難な
文珠地域というところがありますが——さっき読み上げました——その
地域から、
事故を起こした同じ炭層の、ちょっと場所は離れておりますが、新しい
区域にそこの人たちを持っていって、質のよい石炭を掘り出そう、そうして高く売ろう、こういう
考え方でいま進めているわけですね。ところが、いままでそのような
事故がなくても、なかなかそこに行きたがらない。非常に危険だというようなことを働く人たちは認識しておりますから。ところが、そこに持ってきて今度の
事故ですから、そこに行けといいましても簡単に、はい、わかりましたといって働く者は行けないと思います。
会社が少々の
ガス抜き対策なり対応策を出してみたところで、働く者はもう信用しませんよ。ですから、やはり監督官庁としての
政府が、これならばだいじょうぶだというようなものがあるとすれば、それを示していただかない限り、私は
労働者が納得して行かないという問題点が
一つある。だから、そういう
考え方のもとに、何らかの
対策を早急に示してもらいたいというのが第一点。
それから、これは結局は金にまつわる問題でありますけれども、ああいう
事故が起こらないために、これはこの山だけじゃない、ほかの
ガス爆発とか、いろいろな崩落とかいうような点を
考えてみても、
事故を起こさない
方法はあるのですよ。それは、ゼロになるかどうかは別にして、
事故を大幅に減らす方策はあるのです。それは、いまのようにやみくもに、前のほうが一体どういうふうになっておるのかわからないという形で
採炭をしていく前進
払い、前のほうにただ進んでいくという、炭がなくなったらやめて戻ってくるという、こういうやり方じゃなしに、ここにこれだけの炭があったとすれば、まず先にこういうふうに坑道を切って、そして、そこからもう全部
ガスを抜いてしまって、逆にこっちの、反対のほうから退却しながらその炭を払ってくるという、後退
払いというやつが非常に安全であるということを、通産省も現にそれを
指導して、私どもも声を大にして経営に対してそういうことをしなさいと、
委員会としても強調しているわけです。ところが、問題なのは、それをやる際には、どうしてもそれだけの準備期間と金が大量にかかるということです。ただ前へ進んでいくのじゃなくて、四角に切って、そこから反対にくるわけです。これだけ切るだけの金がたいへんかかるということ、こういうことが
一つあります。それからもう
一つは、これはこの
事故と関連がありますが、まあ突出ということをある程度予測をして、
相当長
距離、坑内で退避をすれば、今回のようなことがなかったのではないかと。まあいま、ハッパをかける際には、大体二十メートルか、その程度ハッパ個所から離れておればよいというような形で運用されておりますが、これを、ハッパをかける際には、三百メートルなり五百メートルなり遠方に退避をしてハッパをかけて、そのあと心配がないというところで、また入ってきて
作業をする、こういうやり方は、
方法としては——
方法としてというか、
考え方としては成り立つんです。ところが問題は、それが一日に一回のハッパならいいが、五回も六回も、そのたびに三百メートル、五百メートル逃げてはまた戻ってきて石炭掘ったんじゃ、今日のコスト上、合わないという問題になってきます。しかも賃金が
能率給ですから、能率が上がらなければ賃金が、ひとりでに手取りが落ちますから、結局、何回も行ったり来たりしたら能率が半減しますから、そうしますと、個人の賃金も減ってくる。しかも、何回も上から歩いてくる。かなり、十度の傾斜を上がっていったり、おりたりしますから、そういう苦痛等を
考えれば簡単なものではない。やっぱり根は金の問題にまつわるというならば、
生産原価というものと販売価格という問題との差が、
対策効果だけで埋められるかという問題に関連が出てくるわけであります。そういう
意味におきましては、私はやはり近く開かれるでありましょう体制部会等々においても、十分これは
保安面から見たこの山の骨格構造というものについて、
検討をしてもらわなきゃならぬ点があると思うんでありますが、重ねて、いまの二点について
大臣の所見を承りたいと思います。