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1971-10-14 第66回国会 参議院 社会労働委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十月十四日(木曜日)    午前十時十四分開会     ―――――――――――――    委員の異動  十月十三日     辞任         補欠選任      佐々木静子君     吉田忠三郎君  十月十四日     辞任         補欠選任      吉田忠三郎君     和田 静夫君      矢山 有作君     大橋 和孝君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         中村 英男君     理 事                 上原 正吉君                 高田 浩運君                 大橋 和孝君                 小平 芳平君     委 員                 上田  稔君                 橋本 繁蔵君                 山下 春江君                 須原 昭二君                 杉山善太郎君                 田中寿美子君                 吉田忠三郎君                 和田 静夫君                 柏原 ヤス君                 高山 恒雄君                 小笠原貞子君    国務大臣        厚 生 大 臣  斎藤  昇君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        大蔵省主計局主        計官       渡部 周治君        厚生省公衆衛生        局長       滝沢  正君        厚生省環境衛生        局長       浦田 純一君        厚生省医務局長  松尾 正雄君        厚生省薬務局長  武藤琦一郎君        厚生省社会局長  加藤 威二君        厚生省児童家庭        局長       松下 廉蔵君        厚生省保険局長  戸澤 政方君        厚生省社会保険        庁医療保険部長  穴山 徳夫君        通商産業省公害        保安局公害防止        指導課長     根岸 正男君        自治省財政局財        政課長      近藤 隆之君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○社会保障制度等に関する調査及び労働問題に関  する調査  (派遣委員報告)  (医薬品の基準及び製造業者に対する監督に関  する件)  (老人福祉に関する件)  (産業廃棄物の処理に関する件)  (医療制度に関する件)  (保育所に関する件) ○理事補欠選任の件     ―――――――――――――
  2. 中村英男

    委員長中村英男君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  社会保障制度等に関する調査及び労働問題に関する調査を議題とし、まず派遣委員報告を聴取いたします。  まず、第一班の御報告を願います。柏原君。
  3. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 今回の私ども視察老人対策中心にして詳しく視察をいたしました。たいへんよい計画だったと思いました。詳しく御報告申し上げます。  第一班は、中村委員長橋本委員と私が参加して九月二十八日から十月二日まで鳥取島根県下における老人福祉総合対策に焦点をしぼって調査を行なったのであります。  まず、視察をいたしました老人福祉施設は、鳥取県では、県立西伯特別養護老人ホーム県立西部養護老人ホーム老人休養ホーム鳥取市営大樹荘島根県では、特別養護老人ホーム白寿園養護老人ホーム長浜和光園、大社町老人福祉センターであります。  なお鳥取県では特別養護老人ホーム職員と、島根県では老人家庭奉仕員との懇談会を持ったのであります。その調査のおもなる概要を報告いたします。  まず、両県における老齢化状況であります。わが国人口老齢化のスピードは諸外国の数倍といわれているが、鳥取島根両県の老齢化はさらに急速であります。すなわち六十五歳以上の人口鳥取県では昭和四十五年一〇・五%と著しく進行しているのであります。鳥取県の場合には昭和四十六年七月一日現在一一・四九%の高率を示し、今後もこの傾向は続くものと推測できるのであります。これに対し全国比率は七・一%で両県とも老齢化はすでに二十年以上も先行しているのであります。したがって、両県とも老人福祉総合対策は、ますます重要な関心事となっているのであります。  次に、六十五歳以上の老人健康状況について申し上げますと、鳥取県では、健康な者六三%、病弱三三%、寝たきり四%となっております。島根県では、健康な者四七%、病弱四七%、寝たきり六%であって、両県とも半数は何らかの病気であることが明らかであります。  次に、老人医療費公費負担制度についてであります。昭和四十六年度の鳥取県における老人生活実態調査総合結果によれば、六十五歳以上の老人が国及び地方公共団体に希望する事項では、調査対象者五千五百五十九人のうち三千九百五十八人、七〇%に当たる人は、医療費公費負担を希望しております。両県下地方公共団体医療公費負担をすでに実施しているところは、鳥取県では三町村、島根県では十二市町村であります。両県とも国の施策が待ち切れず、この十月一日より全県老人医療費公費負担制度を実施しているのであります。したがって、実績は今後にまつことになりますが、両県とも対象年齢七十五歳以上の高齢者であって、所得制限は課さないとしているが、鳥取県では六十五歳以上の寝たきり老人医療費公費負担を行なうこととしているのであります。なお、財源負担は県及び市町村それぞれ二分の一となっているため、市町村負担は過重となっている状況であります。両県とも明年度国医療費公費負担制度を実施することになれば、この制度を廃止して国の制度に移行することになっております。しかしながら、島根県では、国でカバーできない六十五歳以上の寝たきり老人に対する医療費公費負担については、県の負担ですべて措置することとしております。医療費公費負担制度を完全実施するためには、両県とも医療機関整備、無医地域の解消のための抜本対策推進されなくてはならないと思います。  次に、老後の生計維持についてであります。  六十五歳以上の老人就労状況鳥取県では、十分の一抽出調査によれば、五千五百五十九人のうち三千二十七人で、半数以上の五五%が就労しており、島根県では四万二千九百六十三人で、ほぼ半数の四九%が就労しており、所得保障が十分でない現状では老人の健康な限りほとんどが就労しているのであります。就労月平均収入半数が五千円以下の零細な収入しか得ていない状況であります。生活維持のための就労状況から見ても所得保障としてふさわしい年金額とするために各種公的年金の額については物価、賃金、生活水準の変動に対応した自動スライドの導入が必要であることを痛感いたしました。  両県とも老人福祉施設視察した際に、収容されている老人たちから明年度より老齢福祉年金月額五千円に増額されたいという切実な要望があったのです。  次に、生活保護受給者状況を見ると、六十歳以上で昭和四十五年鳥取県では老人保護率三三%、島根県では三四%であり、両県とも全国平均二六・七%より高率を示しているのであります。  次に、居宅にいる、寝たきり老人対策の中で最も重要な役割りを持つ老人家庭奉仕員は、常勤職員でありながら、現在婦人相談員母子相談員非常勤職員と同様な取り扱いで、しかしも、婦人相談員が国の補助金の二分の一であるのに対し、老人家庭奉仕員は国の補助率が三分の一という低率で押えられており、両県ともこの点についての改善を強調しているのであります。特に島根県においては老人家庭奉仕員の各地区からの代表と懇談したのでありますが、八名全員身分の安定と待遇改善について活発な意見、要望があったのであります。すなわち、老人家庭奉仕員常勤でありながら、身分非常勤取り扱いを受け、一年ごとに更新しなければならない実情で不安定であります。また、待遇改善については、出席者手当額を見ると、二万五千円一名、二万三千九百円の基準額は一名で他の六名は二万一千円と基準額より低額であり、常勤としての給与要望しておりました。老人家庭奉仕員経営主体市町村が原則となっているが、全国平均の場合には社会福祉協議会に委託しているのは四割であるが、島根県では八割となっております。  温泉津町における老人家庭奉仕員がお世話している老人世帯を私ども一行は訪問し、老人家庭奉仕員活動状況視察したのであります。温泉津町は七千人、六十五歳以上の老人は一七%で全国老齢人口の推計に当てはめてみると昭和九十五年に匹敵しており、ひとり暮らし老人は六十世帯ないし七十世帯あり、また、過疎地域が多くあるといわれております。老人家庭奉仕員はわずか二名で、手当額はここでも二万円の低額で、受け持ちの老人は二十一名であります。二人の老人家庭奉仕員の分担としては多いので、老人家庭奉仕員を一人増員されることになっているそうであります。訪問したケースは、年齢、男八十二歳、女七十五歳の老夫婦二人暮らし家庭であります。男は高血圧、脳軟化症、胃かいよう、難聴の病人であり、女は神経痛リューマチであって、生活保護費一万三千五百円を受けているのであります。この地区は町から若い人で三十分、老人で一時間かかるところで、老人家庭奉仕員の談話では、四十分もバスに乗り、さらに歩かなければならないところもあるそうであります。過疎地域における助成や、老人家庭奉仕員業務は御苦労が多いので、老人家庭奉仕員増員や特別な助成措置を必要としているのであります。  老人家庭奉仕員名実とも常勤となるように身分保障を行ない、また、特別養護老人ホームにおける寮母と同様の業務を行なっている現状にかんがみ、少なくとも寮母並み給与六万四千七百二十円程度処遇改善をはかる必要があるのであります。  次に、老人福祉施設整備状況について申し上げます。  特別養護老人ホームは両県とも県立一カ所だけで施設の不足が目立っております。現在、特別養護施設収容待機者鳥取県三十三名であるが、島根県は百名にのぼっており、現在、各養護老人ホームには約一割の寝たきり老人を収容している状況であります。今後五年間における整備計画では、百定員施設鳥取県二カ所、島根県七カ所の増設を必要といわれているのであります。全国的にいえることであるが、老人福祉施設整備費における補助金基準単価については低額で、県、市町村負担が過重になっている状況でありますが、実態に沿うよう大幅な引き上げを行なう必要があります。また、老人ホーム職員処遇状況について全般的にいえることは、措置費の中に占める人件費基準額が低いため、法人立施設職員の給料は、公立施設と比較してどの職種低額であり、二〇%前後の格差があるということであります。  鳥取西伯特別養護老人ホームは県が建設し、西伯町に委託して町立西伯病院とセットになっているのであります。特別養護老人ホームにおける医師看護婦栄養士指導員寮母等の各職種代表の方々と職員処遇について懇談いたしました。特別養護老人ホームでありながら医師が確保できないために、西伯病院より一週三回医師が派遣されている状況であります。隣接地病院が付設されていないために老人が入院する場合には、患者移送の際には看護婦等職員が付き添うため、特別養護老人ホーム職員が手薄になるということであります。看護婦指導員調理士栄養士雇用人等職員基準定数では十分でなく、やむを得ず寮母が手伝っているような状況増員要望されているのであります。特別養護老人ホームにおける寝たきり老人という実態にかんがみ、寮母は、老人五に対し寮母一という現状を、重症心身障害児目下建設中の東京都の老人病院におけるように、二対一とするのが望ましいが、少なくとも三対一の比率にしてもらいたいという要望がありました。  以上が、西伯特別養護老人ホームにおける職員処遇についてであります。  島根県においては、老人ホーム十八施設のうち、栄養士はわずか七施設しか置かれておらず、老人健康管理の面からもぜひ必要であるので、栄養改善法第九条第二項を必置義務に改むべきであります。また、盲・養護老人ホーム措置費は、一般養護老人ホームと同類になっているので、収容者に対する適切なる処遇を行なうために、特別養護老人ホームと同程度までに措置費を引き上げてもらいたいという要望がありました。  最後に両県における老人生きがいを高める対策について申し上げます。  まず、高齢者職業紹介状況をみると、鳥取県では昭和四十五年十二月から六カ月間における高齢者職業紹介状況は、求職者数千九百三十八、就職件数四十四、就職率二三%であります。島根県では、求職件数常用は約千八百件、就職件数約三百件で、就職率は約一七%となっております。両県とも高齢者職業紹介については今後一そう強力に推進しなければならないと思います。  島根県では老人福祉大学講座を県費で実施しているのが特色でありました。  老人クラブ充実強化をはかるためには、老人クラブに対する補助単価月額千五百円を三千円とするとともに、全老人クラブに対する対象拡大する必要があります。また、老人クラブ指導者研修等に対する補助についても増額されたいという要望がありました。  次に、老人利用施設状況について申し上げますと、視察した鳥取市営老人休養ホーム湖山池湖畔にあり、風光明媚な温泉地にあります。市内在住の六十歳以上の老人は市の補助により宿泊料千二百円、休憩料百五十円であります。地理的不便や環境不完備で、その上宿泊料老人にとっては高いためか、市内考人利用状況宿泊一四%、休憩五二%で、昭和四十三年から開設されているが、施設経営は現在八百六十万円の赤字となっており、この種の施設には整備費運営費について国の助成が必要であります。老人いこいの家の整備費は現在国の補助対象となっていないが、今後これが需要の増加が見込まれるので国の補助を行なうように要望がありました。  次に、老人スポーツ普及について、助成昭和四十七年度厚生省予算において要求されているが、多数の老人が参加できるよう老人作品展等についても国の助成要望しているのであります。  以上の生きがいを高める対策としては両県ともにまだ十分ではなく、地方実情に応じて今後大いに創意工夫をこらし、推進をはかる必要があります。鳥取島根両県は、わが国老齢化よりも二十年以上も先行しておりながら、老人福祉対策はむしろ逆に著しくおくれている状況であります。国としては老人問題の総合福祉対策を行なうためには、老人福祉に対する総合調査研究を行ない、最低基準を定め、多角的に診断をし、その必要に応じて重点的に有効かつ適切は財政的援助を講ずるようにしなければならないのであります。そのためには、内閣に老人福祉総合対策推進本部及び老人福祉総合開発研究所を設置する必要があると思います。  さらに、健康保険法をはじめとする医療保険関係法国民年金法ほか一連の年金保険関係法社会福祉事業法老人福祉法についても時代に即応するような抜本改正を早急に行なわなければならないのであります。  以上をもって報告を終わります。
  4. 中村英男

    委員長中村英男君) 次に第二班の御報告を願います。高田君。
  5. 高田浩運

    高田浩運君 第二班は、去る十月五日より九日までの五日間、大橋理事高山委員小笠原委員それに私、高田の編成によりまして、大分熊本県下厚生労働行政実情調査をしてまいりました。  両県における調査項目は、心身障害児者対策老人福祉対策成人病対策看護婦対策精神衛生対策原爆被爆者治療対策、さらに離島等特殊地域における飲用水供給確保対策等といたしました。  県庁において、知事はじめ関係部課長等から、調査対象を含めて一般的施策について、詳細な説明を受けたのでありますが、その一々の報告は割愛することとし、以下、視察をした施設中心調査結果を御報告申し上げることといたします。  大分県において視察した施設は、国立別府重度障害者センター原爆センター太陽の家、湯布院ハイツ厚生年金病院の五カ所でありました。  まず国立別府重度障害者センターは、社会的自立を目標に、重度身体障害を持っている人々に対し、医学的管理をもとに、必要な機能回復訓練、自立可能な人々に対する職能訓練の二つの目的を持ち、建物全体が車いすで行動できるように配慮してつくられ、現在定員の百人が収容されております。入所者の最近の原因傾向をみますと、交通事故労働災害による者が多く、自宅待機患者は年々多くなり、西日本ではどうしても入所が必要な者が七百人を数える中で、入所者固定化が問題になってきております。なお、重度障害者対策が重要なおりから、長崎県で同様の重度障害者センター建設が予定されるなど今後に大きな期待が寄せられております。  原爆センターは、昭和三十二年九月に当地の温泉原爆被爆症治療効果の著しいことを聞き及んだ広島市民二十五名が集団で来訪し、温泉治療に専念したのであります。これを契機に九州大学温泉療学研究所八田教授等原爆症温泉治療方法効果等について研究を進める一方、入湯治療する者がふえるに及び関係者の間で注目されるところとなりました。大分県原対協は厚生省協力を得て、昭和三十四年八月、別府市鶴見区小倉にお年玉年賀はがき益金の配分一千万円を受けたことを軸として、大分県及び大分別府市の補助等を得て原爆センター建設したのであります。現在定員七十二人の収容能力があり、開設以来の利用状況は、実人員で一万六千五百人、延べ人員では十二万四千六百九十人で、一日平均五十八・一人、になっております。現在この施設はどこからの補助も受けることなく運営しているのでありますが、この事業を今後遂行するために、国の原爆被爆者温泉療養に対する補助センターに対する運営費補助を早急に実現してもらいたいとの要望がありました。  次に、太陽の家は、世に心身障害者はあっても仕事障害はあり得ない。太陽の家に働くものは被護者でなく労働者であり後援者投資者である、ということをモットーに運営されている収容授産施設であります。現在二百二十一人がここで生活し、朝七時の起床から十時消灯までの時間の中で、一日七時間半、木工科プラスチック科金工科クリーニング科など七部門にわたって入所者労働に従事し、一般企業と同じ考え方で作業が進められています。一般収容授産施設は一年で退所しなければならないが、ここは三年と緩和されております。しかし、出所者の数が少ないため入所者高齢化が進んでおります。これを解消するために四十七年に福祉工場建設が予定されております。施設側から、現在一級障害者については国立重度障害者センターと交流を行なっているが、ここで働けなくなった二級、三級障害者をどうするかという問題が残っているので、こうした人たちを国でめんどうを見るようお願いしたいこと及び当施設での生産品については、税法上の優遇措置を講じてもらいたいこと等についての強い要望がありました。  次に、雇用促進事業団経営湯布院ハイツは、四十五年七月一日に開設された勤労者レクリエーション施設であります。ここの収容人員は二百六人で、四十八室の収容能力を持っており、九重高原のすばらしい自然環境に恵まれた中での全国勤労者いこいの場として今後の発展が注目されます。  厚生年金湯布院病院は、三十七年六月二十八日に開設し、現在三百床の患者収容能力を持っており、西日本以西患者を収容し、九州各県、山口県などから入院しております。平均入院日数は六カ月で豊富な温泉を利用して成人病、特に脳血管障害後遺症治療及びリハビリテーションを行なっておりますが、早期発見早期治療重要性についてあらためて認識を深めた次第であります。  次いで熊本県に入りまして、県下心身障害児童福祉対策老人福祉対策精神衛生対策保健衛生対策労働力需給対策失業対策事業に関し、知事をはじめ関係各部課長から熱心な説明を聴取したのでありますが、その中で特に注目すべきものとして、県民総ぐるみ健康火国運動があります。これは、成人病による死亡が県内における死亡者半数以上を占めている深刻な事態に対処するため、成人病対策審議会の設置、集団検診車整備活動と相まって、県民成人病に対する知識の普及向上早期受診促進につとめるほか、全国的には減少の傾向にある結核が本県ではなお高い死亡率を示していることにも対処するため、地域の健康を守る婦人の会の組織結成定期健康診断予防接種励行等結核予防運動にも成果をあげつつあるのであります。  熊本県における視察施設は、重度身体障害者授産施設しろはと園特別養護老人ホーム菊香園肢体不自由児施設松橋療護園精神病院小川再生院の四カ所でありましたが、その他に、特に離島地帯飲用水確保の問題について調査をいたしました。  まず、最初に熊本市郊外にある重度身体障害者授産施設の社会福祉法人しろはと園とこの施設に併設している特別養護老人ホーム菊香園であります。しろはと園は、重度身体障害者に対して、隠れた能力と残された能力を、訓練を施すことによって十分活用し、これらの人々仕事を与え、収入を得て自活できる機会を持たせることを大きな目的として、四十五年四月に設立された施設であります。現在、収容定員は五十名、男二十八人、女二十三人の五十一人が入所していますが、現在当園で行なわれている授産科目オフセット印刷、タイプ、ミシン、編物、手芸の五科目であり、入所者障害原因別で見ますと、脳性小児麻痺の者が四十七名で入所者のほとんどを占めていました。現在までに、この施設から七名の者が社会復帰し、就職に従事していますが、そのほとんどが縁故採用であり、社会復帰の受け入れについての一般の理解と協力重要性が痛感される次第であります。  次に、菊香園は、県下に約六千人いると言われる寝たきり老人の援護の必要性から設置された特別養護老人ホームであります。収容定員は八十人であり、本年九月三十日現在までの延べ入所者数は、百七人となり、一方、入所者平均年齢は七十六才で、寝たきり老人は三十五人が入所しておりました。この老人たち生活費は一人一ヵ月当たり一万三千二百三十八円で、措置費の増額を要望しておりました。  次に、肢体不自由児施設である県立松橋療護園であります。この施設は、肢体不自由児のための療育総合センターで、整形外科的医療機能訓練を行なうとともに、園内に併設された学校で義務教育を行ない、将来独立できる明るい社会人を育成するために、入園部門通園部門事業を行なっております。百二十人の入園児病類別割合で見ますと、脊髄性小児麻痺九%、脳性小児麻痺七九・一%、火傷瘢痕二・五%、その他九%となっており、脳性小児麻痺が大きな割合を占めております。ここでの平均園日数は三年六カ月で、中にはかなり長期化しているものもあり、一方では入園を希望する待機児童が多数存在している実情にかんがみ、問題点とされています。なお、この施設は老朽化しているため本年度中に総工費六億円をもって移転改築すべく準備が進んでおります。  次に、県立精神病院小川再生園について申し上げます。本病院運営昭和四十三年四月から地方公営企業法財務規定の適用を受けておりますが、四十五年度には一般会計から五千万円が繰り入れられて、ようやく収支を合わせている実情であります。二百定床のうち、本年九月現在百六十三人が入院しておりますが、病院側から、建物の老朽化、立地条件等のため新築移転の早急な実現についての要望がありました。なお、去る七月二十二日未明の集中豪雨により、病院の床上一・五メートルの浸水被害を受けましたが、職員の冷静な状況判断と行動によって、患者を避難誘導を行ない保護したため、一人の犠牲者も出さなかったことによって、県知事から十八名の職員が表彰されたことをつけ加えておきます。  天草地区飲用水確保の現況とその対策について申し上げます。天草地区の全人口は約十八万人で、そのうち給水人口は約十万人であり、水道普及率は五七・九%になっております。この地方は、貯水施設が貧弱なために、昭和四十二年には異常渇水により、牛深市、竜ケ岳町、御所浦町等に災害救助法が発動されるほど水飢饉の深刻な事態に直面した経緯が明らかなように、天草等離島にとって水の問題はきわめて重大な問題であります。その後牛深市等では、ダムの建設あるいは水源確保の工事が行なわれ、また竜ケ岳町においても、本土の芦北町白岩地区を水源にして、延長約千二百メートルの海底送水計画がつくられ、総工費三億四千四百二十万円で現在工事が進められつつあります。これによって五千六百八十八人の町民の飲料水供給確保に明るいきざしが見えてきつつありますが、コストがトン当たり百円になり、全国平均三十五円に比べてきわめて割り高となる点に問題があります。したがってこのような離島等につきましては、広域的視野での水源確保、給水施設整備とこれに対する国の大幅な補助必要性を痛感する次第であります。  なお今回の調査にあたり、大分熊本両県からそれぞれ要望の提出がありましたが、そのおもなるものを申し上げますと、一、老人医療費公費負担制度の早期実現。一、福祉年金額の大幅な引き上げと所得制限等の緩和。一、社会福祉施設整備費国庫補助予算の大幅な増額。一、老人医療の公費負担制度の確立。一、身体障害者福祉対策及び寡婦福祉対策の充実。一、地方改善整備事業(同和対策)の充実。一、遺族老人ホーム建設。一、水道水源施設、水道広域化施設に対する国庫補助の増額。一、農業用ビニールの特殊な処理方法による施設に対する助成等の措置。一、イグサけい肺病防止対策としての施設整備助成。一、勤労総合福祉センターの誘致。一、九州脊梁山脈一帯の国定公園指定の早期実現等であります。  以上、調査の概要について申し上げましたが、詳細については、資料として、会議録の末尾に掲載方をお取り計らい願いたいと存じます。
  6. 中村英男

    委員長中村英男君) 以上で派遣委員報告は終わりました。     ―――――――――――――
  7. 中村英男

    委員長中村英男君) それでは社会保障制度に関する調査につきまして、御質疑のある方は順次御発言を願います。須原君。
  8. 須原昭二

    ○須原昭二君 お許しをいただきまして、昨晩は約十時ごろまで生産性運動の問題で委員の皆さん方たいへん御苦労であったと思いますが、多少要旨が混乱をするきらいがあるかもしれませんが、ひとつ御丁寧に御答弁をお願いいたしたいと思います。  まず私はいまわが国医療制度、特に私たち痛感をすてることは、営利主義あるいは売薬医療などという問題が横行いたしておりまして、医療機関や給付水準の不均衡等を容認するようなことなど、各方面から実は医療の荒廃だとか、医療の混乱だとか、こういう表現で実は多くの国民から指摘をされておるわけであります。したがって、きょうはその医療制度の中でとりわけその焦点となっておりますいわゆる薬の問題について御質疑を申し上げ、御意見を承りたいと実は思います。  まず第一に、大臣に率直簡明に御答弁をいただきたいと思うわけですが、日本人は薬好きである。こういうことばが実はマスコミ等々、あるいは日常茶飯事よくいわれていることばですが、はたして日本の国民が薬好きであるかどうか、この根源はどこにあるのか、この点をまず大臣の御意見を承りたいと思うわけです。特に、それは日本の長年にわたるところの医薬制度の体制の結果に基づくものか、あるいはまた、日本の国民の体質によるものか、このいずれであるか、この点を明らかにしていただきたいと思うと同時に、いま一つは薬というものが日用品であるかどうか、この点を御意見をまず承っておきたいと思います。
  9. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 須原委員のおっしゃいますように、どうも日本人は薬を使い過ぎると一般の通説のようになっているように私も感ずるんでございます。そこで統計上どうであろうかというのでいろいろと調べさしておるんでございますが、一人当たりの薬の使用量ということになりますと、統計上は必ずしも日本が非常に多いというわけにはなっておりません。それは、まだ統計上の調査のしかたがまずいのじゃないかと言って、さらに検討をさしておるんでございますが、日本で年間にできる薬の総生産高、輸入高、輸出高、その差し引きしたものを一人当たりの頭で割ってみると、アメリカあるいは欧州諸国も同様にして調べてみますると、必ずしも特に多いという数字にはなっておりません、ただいまの調査では。しかしながら、感じとしましては、どうも薬をよけい使うんじゃなかろうかという感じがいたしております。これはいまおっしゃったある意味の、昔からの慣習といいますか、そういうものではなかろうかと、これはしろうと的に判断をするわけでございます。
  10. 須原昭二

    ○須原昭二君 日用品であるかどうかという点が抜けておりますが、いまおっしゃったように、やはり統計が悪いんじゃないかという御批判がある。しかし、その統計の基礎となるのは調査なんです。この調査の問題について、当面医薬品の販売、それが適正にいっているかどうかという調査も最近行なわれているわけでありますが、ことしの二月五日、薬務局は医薬品の、特に「医療用即ち医家向け医薬品の販売適正化についての通達」を出され、かつまた、要綱に基づいて行なわれておるわけでありますが、はたしてこれはどのような効果があらわれておるのか。その調査によって、とりわけこれは添付の問題を中心として行なわれたのではないか、こう思うんでありますが、この効果がどうあがっているのか。この実態をひとつ御報告いただきたいと思うと同時に、いま一つは、やはりこの薬価の改正に向けていろいろの調査、事務処理がなされていると私は思いますが、この新しい改正に向けて厚生省は、都道府県の協力を得てことしの二月実は実施された、その実施の内容というものは、医薬品の売買状況あるいは医療機関が購入をした状況等を調査されておると思いますけれども、いかなる調査方法によって行なわれておるのか、この点をまずお尋ねをいたしたいと思います。
  11. 武藤き一郎

    説明員武藤琦一郎君) 二月におきます薬価調査でございますが、これは販売サイドとそれから購入サイド、両方の調査をやっております。医療機関につきましては、約千二百でございますし、販売調査は卸もほとんど全部やっております。この調査結果につきましては、現在最終的な集計をやっておりまして、遠からず中医協等で議論されると思います。
  12. 須原昭二

    ○須原昭二君 また効果の問題については、調査結果についてはいま集計中である、その結果については中医協等と――こういうお話でありまして、まだ確実なものが出てきておらないような感じがするわけでありますが、その調査方法です。先ほども大臣がおっしゃいましたように、統計が悪いのじゃないか、調査方法に欠陥があるのじゃないか、こういうふうに私は承ったわけでありますが、この調査の方法についてまず指摘をしておきたいと思うわけです。  一昨の十月だったと思いますが、薬価基準の薬価の問題についての御調査をいただいた、それから、今年の二月、この二回一応全国的に調査をされておりますけれども、あらかじめ十月にやる、あるいは二月にやると予告をして行なわれている。したがって、卸の側におきましても、あるいは医療機関の購入側にしましても、いずれもその期間がやはり問題になるのじゃないだろうか。みずから警戒して、みずから自粛をする、こういう事前の対策が彼らに知れわたっているわけであります。そういう状態の中で実態がつかめるかどうか、これが一つ問題点だと言わなければならないと思います。  いま薬務局長がおっしゃいましたように、卸やあるいは医療機関、この両サイドにわたってやられておると思いますけれども、この調査にいたしましても、まあ皆さんのおっしゃる自計といいますか、調査用紙を配付しておいておのおのに自主的に記入してもらう。これでは、税金ならば自主申告という形もありますけれども、あとからやはり税務署が調べにくる。だからきちんとしたものを出しますけれども、これは一方的な自計では真実性が非常に薄いのじゃないか。私は相手を疑うわけではありませんけれども、やはり通念としてそういう感じがしてならないわけであります。同時にまた、調査に自主的に記入すると同時に、もう一つは、皆さんのおっしゃる他計といいまして、調査員を派遣をして事情を聞かれる、こういう形をとっておられます。卸やあるいはまた医療機関に、販売価格あるいはまた購入価格を調査員に一応調査させておるわけですが、ある県にいきますと、その機会にアルバイトを採用して、そうして聞き込みをやらせる。これはただ聞いてくるだけであって、相手の言ったことをそのまま書いてくる。まあ医療機関なんか非常に忙しいものですから、そういう調査に行っても、ああいまは忙しいからあとにしてくれというような実態だと私仄聞をしておるわけでありますが、こういう実態調査ではほんとうの実態調査にならない。こういう点についてどうお考えになっているのか、御答弁を願いたい。
  13. 武藤き一郎

    説明員武藤琦一郎君) 調査の方法につきましては、先生がただいまおっしゃったような調査票を配って記入をしていただくという方法になっております。時期等につきまして、あるいは調査方法等につきましては、中医協等できめられた、あるいは合意に達した線で私どもはその調査をやっておるわけでございますが、先生が御指摘になりましたような点でいろいろ批判もあるようでございます。しかし、現段階では、いわゆる法律に基づく強制権限を調査員が持つとか、そういうようなことにもなっておりませんので、私ども調査をお書きになる購入者側、それから販売者側の自主的な調査によるほかはない。私どもはただいまの段階ではやむを得ないと、かように考えております。
  14. 須原昭二

    ○須原昭二君 その実態調査ですけれども、そういう自計だとか、他計だとか、相手を信頼をして書いてくる、あるいはまた聞き込みをする、それだけで実態がつかめるかどうか、そういう点を私は聞いてるわけで、実態をつかんでるのかつかんでないのか、その点の御答弁をいただきたい。
  15. 武藤き一郎

    説明員武藤琦一郎君) 私どもとしては、申告をなさる方のいわゆる正確な申告を信頼するほかは現在のところはございません。
  16. 須原昭二

    ○須原昭二君 信頼する以外ほかに方法はないと。これではほんとの実態にはなってないんです。ですから、お尋ねしておきますが、じゃ、添付という、現品添付を実際にやられてないから、その実効がどうなってるのか、その点の御報告をまずお伺いしたい。
  17. 武藤き一郎

    説明員武藤琦一郎君) 添付の禁止につきましては、昨年の暮れに中医協で同意を得られて、強力に通知をして、メーカー側もこれを自粛しているというふうに私どもは思っておりますし、ことしの春に各メーカーにつきまして全部調査をいたしましたところ、もちろん添付はやってないと、こういうふうな回答を得ております。
  18. 須原昭二

    ○須原昭二君 添付がなくなったと、こういうことについては非常に私はけっこうだと思うし、現実にもあまりその後添付の行為は行なわれてないように私は聞いておりますから、その点は同感なんでありますが、ただ、じゃあその添付がなくなったからもうあとは正常に行っていると、こういう段階では実はないわけです。御案内の、特にこの医療用薬品に対する現品添付廃止はいまお話のように昨年の十一月に実施され、そして、十二月末をもって禁止をすると、こういうことになって、現実に行なわれてないわけですが、じゃ、それだけ現品添付をやってるんでしたから、現実においては薬価が下がってるはずなんです。したがって一月中旬-二月にかけて卸の納入価格が多少私は下がってると思うんですが、どのぐらい下がってますか、その点をお尋ねしたい。
  19. 武藤き一郎

    説明員武藤琦一郎君) 十二月に添付が禁止になりまして、メーカーによりましては、二月に入りましてから建て値の改正が、一部変更が行なわれたようでございます。これは全品目ではございませんで一部でございますが、三%から六%程度の建て値の変更が二月以降行なわれたように私ども聞いております。
  20. 須原昭二

    ○須原昭二君 そこで私は添付はなくなったらしいと。しかしながら、新しいまた知能犯が出てきている。それは何かといいますと、七月、いわゆる保険医の総辞退が行なわれ、保険医の支払いの引き延ばしが行なわれ、あるいはまたそうした保険医から、あるいは医療機関から卸業者に対して値引き要求が行なわれた。そういう状態から、ほとんどすべての医療用薬品というのは、私は薬価基準より――いままでの値段よりも最低二〇%ぐらい全部下がっておると指摘をせざるを得ないわけです。というのは、添付がやめられたかわりに今度は値引きをやってるわけです。品物でいけないから今度は値段で引いていこう、こういう手段に出てきておる。この実態をこの際明らかにしたいと思うんですが、ほとんど全製品にわたってといっても私は過言でないと思うけれども、ここにたくさんの実態調査、われわれが実態調査をした各方面の資料を集めて御指摘をしたいと思うんですが、あまりにも多いものですから、私は代表的な選手だけここで明らかにしておきたいと思うんですが、例の非常に有名なアクロマイシン、武田でありますが、これは値引きを現実に行なっているのが四〇・二%だと言われております。ビタミンB1耳で有名なビオタミン、三共、五七%、実に膨大な数です。あるいはまた陽性、陰性菌、あるいはビールスに作用いたしますブリサイテックス、萬有製薬でありますが、これまた五七%。さらに大きいところをずっと調べますと、精神神経用剤ソナコン、中外製薬、五八%。あまりにもこれは、値引きといっても一割や五分ぐらいの値引きなら私は話がわかる。これだけ膨大な数量にわたって値引きをしておるということは、全くこれは常識外と言わなければならない。特に最も大きいやつを見ますと、主としてグラム陽性菌に作用するベンブリテン、藤沢、七三・五%。こんなでたらめなことが許されていいのかどうか。マロトマイシン、台糖でありますが、これは四六・七%ですか。アルサルミン、これまた中外でありますが、これはかいよう治療剤、これは四六・六%。このように、大きいやつを見まするともうあ然としてしまう。こういう、添付制度が禁止をされたら今度は値引きでいく、こういう実態が実は行なわれているわけでありまして、この点についてやはり実態調査をしていると言われるけれども、問題はその調査のしかたなんです。やはり調査員が行ってただ聞いてくるだけ、あるいはまた記入してもらうだけでは実態がつかめないのは当然だと思う。したがって、この際この調査員なりに対して立ち入り調査権を与えるとか、そういう法的な手段で実態調査しない限りこうした問題はあとに続くにきまっている、こう言わざるを得ないのでありますが、その点についてどう思っておられるか。特に、なぜそういうことを言いますかといいますと、納入するときには実は納入した価格で記帳されている。ただ二、三カ月後になって決済をする段階においてこの値引きが行なわれているわけですから、したがって、納入の伝票を見たって値引きされてない。だから、常に二月だとか十月だとかいう期限に限って予告をして調べる、そういうことであっては実態はつかめないでしょう。やはり一年かかって常にいつでも立ち入り調査ができるような法的な権限を持たない限り実態調査できないと思うわけであります。そういう点について、調査方法の再検討をしなければならないと思うけれども、そういう点はどうなのか、あるいはまた、この値引き行為が行なわれていると、私は一方的にいま申し上げているわけですが、そういう点については薬務局長はつかんでおられるのか。この点をひとつお尋ねをしたい。
  21. 武藤き一郎

    説明員武藤琦一郎君) 添付廃止後の、ただいま先生がおっしゃいましたように、この夏場におきますいろいろな値引き競争、これは私どももそういうことの情報が入りましたので、この九月に入りまして、各メーカーからどの程度の値引きをやっているかの調査を現在やっと終了した段階であります。その結果につきましては現在集計をしておりますが、部分的に私、報告を受けておりますのは、かなりの値引きが行なわれているようでございます。先生がいま御指摘になりましたように、半分あるいはそれ以上の値引きということがほとんど全般にわたって行なわれているということでありますれば、もしもこれが、この状態で販売が常態になるようでありますれば、これは医薬品についての不信感ということが私は言えると思います。かりに一時的なものでありましたにしても、先ほど先生がおっしゃいましたように、かりに一〇%、二〇%の経常的な値引きが行なわれているならば、私はそれは当然その範囲で建て値の改正が行なわれるべきである。建て値の改正が行なわれて、それが薬価調査に反映してくるべきものであると私は考えます。薬価調査の方法につきまして、自主的ないわゆる申告をもとにした調査がもう限界にきているんではないかという御指摘につきましては、そういう御批判も他にもいろいろございますので、その点は中医協あるいは保険局等とも相談いたしまして、私はいろいろ検討すべき段階にはきておるんじゃなかろうかと、かように考えております。それから現段階におきましても先生が御指摘のように、一時期だけの調査で一年間におきます支払いのいわゆる基準にするということは、それは普通の物価ないし取引状況でありますればあるいはそれは妥当かもしれませんけれども、いろいろ先生が例をあげられましたように、非常に波があるような販売競争、売り込み競争が行なわれている段階におきましては、やはりやや長期的な調査をして、それをどういうふうに薬価基準に反映するかということが必要になってくるんじゃなかろうか、かように考えております。
  22. 須原昭二

    ○須原昭二君 調査の立ち入り権をどうするかということについて、この点はやはりぜひとも必要だと私は思う。その点で大臣の一ぺん意向を承っておきたいと思うんですが、こういう薬価の状態だからやはり問題点があると思う。したがって、この際、薬価基準を早急に改正をしなければならない必要に迫られてくるわけですが、この前の薬価の改正のときは三%くらいだった。だから今度も三%かそのぐらいだろうという風聞が流れておりますけれども、実は私に言わせればこれはけたが違う、マルが一つ抜けておる。三〇%ぐらい安くなる、また安くしなければいけないと私は実は思うんですが、特にこの際やはり抜本的な調査方法を厳密にやり直すことがぼくは必要だと思うので、特に年商一億円以上あげているような、いわゆる五百品目ぐらいを重点的に取り上げて実態に合う明確な価格にすべきだと私は思う。これは非常に早くやらなければならない問題点である。聞くところによると薬価基準の改定は医療報酬の点数の改正と並行してやるんだ。だから、点数のほうがなかなかむずかしいからあと回しだ、一緒にやればいいんだというような考え方が当局にあるように聞いておるけれども、その点はどうか、いつ薬価改正をするつもりなのか、この点を明確にすべきだと思います。さらに薬価はやはり原価計算を基礎にして適正にきめる。この姿勢がない限りいつまでたっても添付だとかあるいは値引きだという行為が行なわれるのであって、したがって、薬価は原価計算を基礎にして適正にきめるようなやはり民主的な薬価決定の審査会といいますか、薬価審査会といいますか、これは仮称でありますが、そういう機関をつくって抜本的に取り組む姿勢が私は欠けておるのではないか。そういう点をひとつ御意見を承っておきたいと思います。
  23. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 薬価基準をきめますのは、御承知のように、ただいまのところ中医協に諮問をしてきめるということになり、したがいまして薬価の調査も、中医協で詳しい調査方法もきめて、そして、そのきめたところによって薬務局が調査をしているというのが今日の現状でございます。この点につきましては、ただいま須原委員のおっしゃいますように、いろいろ疑問点もあると、かように考えます。これは法律改正を要することでもございます。あるいは中医協自身でそういうような方針を打ち立ててくれるということになれば、それはそれでいいわけでありますが、今後そういう点を踏まえて検討をいたしたい、かように考えております。
  24. 須原昭二

    ○須原昭二君 大臣の話では、そういう方向でもいいけれどもと、こうおっしゃられましたけれども、そういうふうにやってもらわなければいかぬ。中医協の答申を求めるような、そういう自主性のないことではいけないと思う。やはり厚生省としてみずからが実態調査してそして掌握をする。その姿勢がない限り他力本願でいつまでもきまらない、私はこういうふうに思います。したがって、その点、その方法でもいいかとおっしゃいましたから、したがって、私はあえて申し上げますけれども、この際、厚生省がみずから調査をし、そして決定をしていくという法的な体制を早急にやるべきだと思うが、その点はどうか。  同時に、立ったついでに言いますけれども、私は、ただ薬は安ければいい、こういうことを言っているわけではない。やはり薬は安ければ安いほどいいという問題ではなくて、医薬品というものはやはり特殊性を考えなければいけない。よい薬は安い、この原則を踏まえなければ私はならぬと思うわけであります。無原則に安くせよと私は言っていない。その点は誤解のないようにひとつしていただきたい。とりわけ実は前にも御指摘があったようでありますが、クロフィブレート製剤ですね、ここに実は私も委員の皆さまにもひとつ医薬品というのはどんなものであるか御認識をいただくために持ってきたわけです。どうぞ皆さん、この二つ中に入っております。このクロフィブレート製剤というのは高血圧や動脈硬化のような年配の方には非常に必要なものです。これは実は高血圧、動脈硬化用剤でありますけれども、実は二つ入っている中には、住友化学のアモトリール、寸法をはかっていただけばわかりますが、小さいほうですね、ケースから言って小さいほうです。ものが悪いように見えますけれども、これは全部住友化学みんないいとは私は思いませんが、しかし、この問題については、アモトリールというものについては、実は一カプセル二十四円、薬価基準は二十六円六十銭、片方のほうは富山化学で同じ二五〇ミリグラムわずか三円ですよ。三円で買ってそして基金のほうへは二十六円六十銭で請求ができる。こんなばかげたことがあるますか。ということと同時に、ここでよい薬を安くということを私は主張したいのですけれども、この富山化学の実態を調べますと、やはり不純物ですよ。パラクロルフェノールは実は御案内のとおりだろうと思うのですが、フェノール係数が三・七というと消毒薬に匹敵するような毒性の強いものです。そういうものは実は連用すれば非常に大きな副作用が出てくるのは当然でありますが、この富山化学が全部悪いというわけではありませんが、この製剤に限って実は不純物が六〇〇〇PPMを出している。住友のほうは三〇PPMで、数百倍ですよ。少なくとも国際的な水準でも四〇PPMこれ以下でなければいけないと規定しておるにもかかわらず、日本の薬価基準の中には堂々と六〇〇〇PPMのほうの掲示をしておる。こんなことで日本の国民の命と健康が守れますか。ただ私は安いという論拠を先ほども聞きましたけれども、今度は品質の問題で問いたいと思うのです。ですから、私たちは、現在薬務局が製造を許可すれば、すべて自動的に今度は保険局のほうで基準品目に登載していく方法、これはやはり日本の国民の命と健康を守るためにも当然私たちは再検討すべきであると実は思うものですが、その点はどうお感じになっておるのか。さきに何か国会でこの問題について若干高い安いの論議がなされたそうであります。そのときに品質の問題は問われておらないように聞いておりますけれども、もう久しくたっている。この問題については、今日のこの薬価基準の中でまだまだそのままになっている、そういうことが許されていいのかどうか、そういう点をまず指摘をしておきたいと思います。  今度、きのうでしたか、十二日の閣議のあとで消費者保護会議が開かれて、大衆医薬品などの効能検定を進め、誇大医薬品を追放すると銘打ってありますし、もう一つ重要なことでありますが、医薬品の副作用による被害救済制度の確立、こういう項目が実は十二日の閣議のあとで斎藤厚生大臣も御出席になって四十七年度の重要課題として指摘をされておるのですが、はたしてこの医薬品の副作用に対する被害救済制度の確立はどういう方法でやろうとされておるのか、その点を具体的にひとつ御説明を願いたい。
  25. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 関連でありますけれども、私はいま須原君の言われる、薬は食料品かどうかということですが、通念で言って、実は私もきくきかないは別として、何とはなしに、大体生来の高血圧なものですから、とにかくめちゃくちゃに飲んでいる。飲まないというとどうもいかぬ。しかし、別に飲まなくても何ともないわけだ。できるならば飲まないほうがいいと思って、このごろは何とはなしに……気分の問題です。そこで問題は、いま大臣がいみじくも言ったが、これはそうするには、たとえば調査権であるとかあるいは立ち入り権という問題について何々審議会、それはいいでしょう。であるけれども問題はそれが法改正を必要とするならば、ほかのほうは別として、やはり健康と生命を扱う大臣でいらっしゃるでしょう。でありまするから、あなたがつくる気があるならやはりひとつ立ち入り調査権あるいはそういうものをここでおつくりになる、ただルールとして、しきたりとして、慣行として何々審議会をおやりになることはいいし、何ぼ審議会でやってもあなたが立ち入り権なり調査権というもので法改正を必要とするならば法改正をするということは、これは立法の府として、これが商売じゃありませんか。そういう意味でぜひひとつこれは法改正をすべきものであるならば、法改正をしたらいいし、そして、大臣のいわゆる権限でやられるならばぜひやっていただきたい。とにかく日本人はこのごろはだいぶ漢方のほうがいいというかっこうで移り変わってきましたけれども、そういう情勢であります。関連でありますから、まあひとつそういうことも含めて、健康と生命は何といったって大事でありますから、ひとつはっきりやってもらいたい、こう思うのです。
  26. 武藤き一郎

    説明員武藤琦一郎君) 具体的に御指摘を受けましたクロフィブレートの問題は、これは衆議院でも取り上げられた問題でございますが、簡単に説明いたしますと、これは学会で四十四、五年ごろこの問題が――地方の学会でございますが、指摘を受けまして、そこで当局といたしましても、昨年の九月に試験方法につきまして、従来の試験方法に加えて厳重な試験方法を各メーカーに指示したいきさつがございます。したがいまして、昨年の暮以降は新しい試験方法による品質の高いものが出回っているはずでございます。したがいまして、この点新聞でも取り上げられ、かつ国会でも御質問になりましたので、直ちに、昨年の暮以前のものがかりにまだ残っておるとすればそのもの、それから、それ以後のものの収集をして、現在ぼつぼつサンプルが衛生試験所のほうに参ってきておりますので、いずれこの試験結果につきましては判明すると、かように考えております。  一般的な問題といたしましては、先生御指摘のように、品質の問題が一番大切でございますので、本年正月からは品質試験の実測値をメーカーにつけさせることにいたしております。それから七月からは経時変化並びに吸収、排せつ等に関する資料の提出を求めるように、本年度になりましてからはやっております。  それから第二の消費者会議の例の被害者の救済制度に関します点でございますが、これは先生御推察のように、一般の公害に関するものとは違いまして、いわば副作用のある医薬品を専門家の手によりまして購入し、あるいは、つまり患者が飲むといったものによる事故でございますので、この救済制度のいろいろな仕組みなり責任なりというものは非常に複雑でございますので、具体的にどういう方法が考えられるかという点につきましては、慎重に検討しなければなりませんし、特に現在いろいろ問題になっておりますように、因果関係の問題も非常にこれは重要な問題でございますので、そういう点も含めて慎重に検討いたしたい、かように考えております。
  27. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 先ほどもお答えをいたしましたように、薬価基準をきめますときには、たとえば新薬の申請があった、これを許可する、それをすべて保険薬として薬価基準に登載するわけではありませんので、その新薬を保険薬として登載をするかどうかというのには相当慎重に検討してただいまやっております。そのときには大体原価計算を見て、そして、基準の価格をきめて、中医協に諮問するというやり方をやっておるわけであります。ところがすでにそうして薬価基準に登載された薬が何年もたっているわけでございますから、それには値段の変動があるだろう。そこで、それをどういうようにやっていくかということになれば、先ほど御指摘の一斉調査をやっておって、年間何割下げるとかいうようなことをやるわけでありますが、これにつきましては、御承知のように、七千種ぐらい保険薬として登載をしておるわけでございますから、したがって、どの薬だけを特にやるということも非常にむずかしい。そこで数年前から中医協でその調査のやり方をきめて、そのやり方によっていま調査をしておるわけでありますが、その調査のやり方につきましては、さらに中医協とも相談をいたしまして、必要があれば立ち入り検査のできるような法改正も必要であろうかと思いますし、薬価基準を中医協に諮問をすることが依然必要であるかどうかということ、これらも抜本改正にもからむわけであります。中医協には御承知のようにいわゆる支払い側も入り、そこで相当議論を戦わしてもらっているわけであります。ただ使用者側――薬を使う側だけがきめるのではなくて、使用者側それから公益委員も入ってやっておるわけであります。この使用者あるいは支払側また公益委員、これの数がいまのとおりで適当であるかどうかということも考えあわせまして、何らかの方法によってもっと的確にいわゆる時価を算定できるような方法を考えたい、かように思っております。
  28. 須原昭二

    ○須原昭二君 いまお話を大臣並びに……これは法的改正をしていただけるふうにも受け取れるし、また従来どおりいくような口吻でもございますから、この際明確にしておきたいと思うんですけれども実態調査にしても、こちらが立ち入り権を持っておらないのですし、要するにあちらの一方的な、相手側の意思に基づいて記入してもらうなり、言ったことを書いてくる。実態調査されていない、あるいはまた製造側にしても、薬効の問題あるいは副作用の問題等々についても、書類で申請をさせてそれで審査をするだけ、これでは相手を信頼することもほどほどにしておかなければいかぬと思う。そういう点について私は指摘をしているわけで、そういう点についてはいま明確な答弁がございませんが、特にこの点は留意をしてやっぱり再検討して、しかも再検討もずるずるとしているのではなくて、早くやってもらわなければいけない、こう思います。  そこで、医薬品の副作用に関する被害救済制度の確立は、実は制度の内容が非常にむずかしい問題で、これから検討するんだとおっしゃいますが、実は私はこの前に一つ問題点があると思うのです。サリドマイドの訴訟でも十年以上かかっている。これは薬によって被害を受けた患者である、あるいは病人である、こういう問題を認定する機関がなければいけないと思います。ただ、救済制度をつくって裁判所で争って結論が出たら払ってやる、これではほんとうの意味での救済にはならない。したがって、やはり国が認定患者を審査をする検査機関というものを持ち、しかる後にこの救済制度を確立する必要がある。救済制度も、やはりつくっておるメーカー側にも責任があるし、これを許可した国の責任もありますから、双方がやっぱりこの体制を確立する必要があると思います。私、私案ではございますけれども、やっぱり薬をつくっているメーカーについては、そういうおそれのあるものについては一定の積み立てをさせる、そして、国からも補助をする。そういうひとつ救済準備資金といいますか、資金のプール制度をやはり常時つくっていく、そして、やはり国がこの薬の副作用によるところの患者であるという認定をして、そして直ちにやる。今日の段階では裁判にかけておったら、最高裁にいくまでに何年もかかるわけで、その間に患者は死んでしまうのですよ。死んでしまえばそれでおしまいです。こういう状態ではいけないと思うので、十二日に消費者会議をやられて、なるほど救済制度の確立、けっこうなことを打ち出されました。しかし、項目だけではいけない。まずやるべきことはその前にあると、私は指摘をしておかなければならないと思うのです。さらにこの点について御答弁をいただきたい。  それからさらに、やっぱり良質の医薬品を疎外する傾向にあるから、やっぱりそこら辺はバルクラインですか、いま九〇のところにありますけれども、これを六〇くらいまでおろして、やっぱりいい薬を優遇する方向にいくべきであると、私は私なりに考えるけれどもその点はどうか。この点を二番目に、時間の関係もございますから、たくさんまだ申し上げたいわけですけれども、要点だけ申し上げておきますから、どうぞひとつ簡明に御答弁をいただきたいと思います。
  29. 武藤き一郎

    説明員武藤琦一郎君) 救済制度の問題は先生がいま御提案になりました認定機関というものの以前に、私は因果関係そのものの認定がその前提として含まれるべきだ、かように考えますし、したがいまして、そういうような困果関係の認定、それから、その患者がその薬をはたして飲んでなったのか、あるいはその使用者側のほうに問題はなかったかというような点も含めて、やはり公正迅速に決定する必要があろうか。それにつきましては先生の御提案のような一つの方法も一つの大きな試案ではなかろうかと、かように考えます。  それから、何かバルクラインのことをおっしゃいましたけれども、これは価格が安定しておりますれば、バルクラインは九〇でなくても私はかなり正確に薬価はきめられると思いますけれども、かようないろいろ不安定な状態におきましてはバルクライン等もあるいは検討しなければならぬのじゃないか、かように考えておるわけでございます。
  30. 須原昭二

    ○須原昭二君 認定機関についての大臣の御見解をお聞きしたい。
  31. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 副作用によるいわゆる補償の道というようなことを考えます際には、どうしても認定機関が必要でございます。それなくしては補償制度は考えられませんから……。
  32. 須原昭二

    ○須原昭二君 つくりますか、つくりませんか。
  33. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) それは補償制度の中に認定機関を置くことを考えます。これはぜひ必要であって、そうでなければ認定のしようはございません。
  34. 須原昭二

    ○須原昭二君 ぜひそれは救済制度とからみ合わせて、そうして四十七年度にやられると言われるのですけれども、これは一刻も早くつくっていただかなければならない問題である、この点を御指摘を申し上げておきたいと思います。  いまバルクラインの問題をなぜ私が引用したかといいますと、やっぱり医薬品の製造許可とその規制の問題、あまりに種類が――いま厚生大臣がおっしゃいましたように七千種類、明確に申し上げますと七千六百八十四種類、それだけ医療用薬剤として、こんな一冊の本が要るくらい、七千六百八十四種類、こんなものは私は少なくともアメリカ、イギリス並みに三分の一ぐらいにしてもいいのだ。だから、そういう点、製造許可の申請が出てくれば、まあ何でもとは言いませんけれども、一定の基準があればどんどん許可していくという従来のやり方をこの際われわれは改めなければいけない。そのためには特に御指摘をしていかなければならない問題は、やはりものができれば、品物が一緒であって合成方法が全部違っておったらこれは許可していくのです。いわゆる製造特許制なんです。いまや製造特許制はなくして、物質特許制を採用すべきだ。最終のものが同じものであれば、もう第二製品はやめさせる。合成方法が違えば同じものであっても幾らでも許可する。ここにやっぱり問題点が私はあると思いますから、やっぱり製造特許制を改めて、物質特許制に切りかえていく。そうして、先発権はある程度やはり保護しなければいけないと思うのですが、その点はどう考えられておるのか。さらにやっぱり高度成長政策が生み出したこれは欠陥なんですよ。大量生産、大量販売、大量消費、そこに日本人の薬好きとか、あるいは薬好きと言わなくても、たくさんもらってきて、そうして、茶だんすの中や、あるいはお勝手のすみっこに、皆さんの家庭にも私は薬がどこかに浪費されている、ほかってあると思う。こういう問題点を私たちは考え直さなければならないのではないかと思うわけで、そうした大量消費の中からやはり薬害、副作用というものも実は出てくるわけであります。したがって、私は、通産省がやっているように、あの日本の国民の生命と健康に直接関係のない鉄鋼ですら、鉄鋼についてもある程度規制しているのです。したがって、アクロマイシンは全国民が一斉に飲むわけではないのですから、やはりこの際医薬品の大量生産、大量品目、そうしたものは厳重に私は規制をすべきだ。そういう点についてどのようにお考えになっているのか、この点をお尋ねをいたしておきます。
  35. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 先ほど局長からお答えいたしましたように、薬効調査をやる、全部薬を洗い直すということをすでに始めつつあるわけで、これが御承知のように四万種類もあるわけでありますから、相当スピードを上げても時間がかかります。しかし、薬事審議会におきましてその方針をきめてもらい、そうしてやってまいりたい。薬効の少ないものは許可を取り消していくというやり方をやっていきたい、かように思います。  それから、新しく製造の認可申請のありました場合には、いままでおっしゃいましたような、ちょっとしたモデルチェンジだとかというものは許さない方針で、先発権をやはりできるだけ擁護していきたいという方向で進んでおるわけでございます。
  36. 中村英男

    委員長中村英男君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  37. 中村英男

    委員長中村英男君) 速記を起こして。
  38. 須原昭二

    ○須原昭二君 そのほか、実は剤型の問題、日本薬局方が重視されないような傾向にある。また医療法、薬事法、薬剤師法、歯科医師法、すべての法律を、これこそまた総洗いをして、やはり医療基本法をつくるべきだ。この点についてどう思っておられるのか。いまあなたのずっと御答弁聞いておりまして――いま委員長から――わが党の委員長ですから協力をせなければいけませんからその点は協力をしたいと思います。  したがって、この際申し上げておきたいことは、実はわが委員会にも高田先生おられますが、高田先生、あるいはまた熊崎次官、現在の坂元次官。高田先生も実は薬剤師じゃありませんけれども、ずっと次官の経験をお持ちで、それはすべて薬務局長の実績を持っておられるわけです。やはり薬の問題については、薬の専門家、薬剤師で私はなくてはいかぬと思います。私は、地方自治体におっても特にこの点を強調して、いまや都道府県における薬務課長は、全部薬剤師に実はなりつつあります。ほとんどなったと思います。この、日本の生命と健康を守る直接の薬の行政に携わる最高責任者、薬務局長さんを前にしておいて非常に恐縮でありますが、過去の経過から言いますと、みんな、薬務局長というのは大体登竜の門で、事務次官になっておられる。五〇%なっておられますけれども、そういうわけで、あなた個人を私は責めておるわけじゃございませんけれども、やはり薬務局長は薬剤師、この原則を踏まえなければ私はいけないと思う。その点について、こうした薬というものは、ただ表面で見ただけでは同じなんです。やはりその背景から、根本的な理論から打ち出すのでなければ、日用品と同じように医療品を考える。そこに薬禍も出てくるし、薬害も出てきているわけなんです。したがって、いまの局長さんを個人的に私は誹謗するわけではございませんが、なるべく早く御栄転さしていただいて、薬務局長は薬剤師をというこの原則を、もう慶松局長さんからずっとなくなっているわけです。この点を厚生大臣に特にお願いをしておくし、また厚生大臣も、この点に留意をして、一日も早く実現するようにひとつ要望して、多くの問題点が、あまりにも薬の問題については多過ぎる。多過ぎるということは、日本の国民の命と健康がきわめて危険にさらされているという事態です。この事態を踏まえて、やっぱり真剣に考えてもらわなければならぬ。  この点を要望し御質問をして、委員長に御協力を申し上げたいと思います。
  39. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 御意見の点は十分承って、善処をしてまいりたいと思います。
  40. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 老人問題についてお伺いいたします。  老人問題についての総合福祉対策が必要であると思います。その基本方針がございますかどうか。
  41. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) ただいま柏原委員視察報告をされまして御意見をお述べになったことを伺いまして、そういうことが私は老人対策の総合対策であろうと、かように考えております。
  42. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 老人福祉の問題は厚生省だけで解決できる問題ではない。厚生省だけでは解決できない問題が非常に多いと思います。そこで、内閣全体で解決しなければならないと私は思いますが、これについて、どのようにお考えでしょうか。
  43. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) その点も一応ごもっともに存じます。ただ、最も多いのは厚生省で、もう一つは労働省でございます。その他は――まあ大蔵省はございますが、その他の点は比較的少のうございますので、したがって、そういう総合委員会みたようなものを内閣に置く必要があるかどうか、私は、ただいま御報告を伺いながらちょっと考えているわけで、いま直ちに、その点はけっこうでございますと申し上げるだけの自信はただいまございません。
  44. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 こういう、内閣全体でもっと政治の力を強く発揮していただきたいという意味で申し上げるのでありまして、それならば、定年制の問題も非常に世間でうるさくいわれて問題になっておりますが、こうした問題一つでも、労働省でこれを解決することができたならば、私はこういうことはお尋ねしないのですが、そういう点非常に歯がゆい。また予算の面を見ましても、厚生省の予算の取り方は非常に消極的だ。もっともっと予算を取るべきじゃないかとこう思いますので、いまのような、そうした、各省各省がもっとしっかりやってもらいたいと、こう思う立場から見ておりまして、やっておりませんので、私は、もっと内閣全体の力でこれを推し進めていってはどうかという考え方で御質問したわけでございますが、その点いかがでしょうか。
  45. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 御熱意の点はまことに感謝にたえません。厚生省労働省の力と申しましても、結局は内閣の姿勢とその方針ということになるわけでございます。その御意見の点は尊重をいたしまして今後考えてまいりたいと思います。
  46. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 次に、健康診査と医療の問題についてお聞きいたしますが、最初に、健康診査の状況厚生省の資料をいただきまして見せていただきました。この健康診査は、どれだけの効果があがっているのか。あまりあがっていないのじゃないかと思います。特に、受診率が二割という非常に低い率でございますので、この点も、一体どういうわけなのか。お聞きいたします。
  47. 加藤威二

    説明員(加藤威二君) 老人福祉対策といたしまして実施いたしております老人の健康診査でございますが、これは、先生御指摘のように、受診率が、四十五年度でいいますと二二%ということで、必ずしも高くないわけでございますが、六十五歳以上の人口七百三十万で、一般の健康診査を実施しておりますのが百五十九万、約百六十万です。これは私どもといたしまして、この老人福祉法による健康診査は六十五歳以上の老人全員ではございませんで、比較的低所得の方と、それから、最近六カ月お医者にかかっていないというような方について実施しておるという現状でございまして、したがって、一〇〇%六十五歳以上の老人をやっておるわけではございませんが、それにいたしましても二二%程度というのは先生御指摘のように必ずしも十分な数字とは思われませんので、今後もこのパーセントを上げていくということに努力をいたしたいと思います。
  48. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 この健康診査は成人病対策と連係すべきではないかと私は考えます。成人病対策早期発見早期治療、これが非常に大切だといわれておりますのに、この健康診査が六十五歳でやっているということはおそいのじゃないか。また、こうした診査がかえって弊害もあるのではないか。いままで六十五歳までじょうぶだと思ってきたのが、診査をしたために病気だということがわかった、非常にショックを受けて、また生きがいというものに自信を失うというようなことで終わってしまうような健康診査であったのではならないと思うのです。この資料を見ますと、わずか二割の受診者の中でも半分は病気が発見されております。これを見ても六十五歳ではおそいと私は思います。六十五歳というこのきめ方はどういう考えでおきめになったのか。
  49. 加藤威二

    説明員(加藤威二君) この年齢でございますが、これは老人対策については、大体老人福祉法におきまして老人とは何歳以上をいうというような定義はないわけでございます。したがって、それぞれの施策に応じて六十五歳になったりあるいは七十歳になったりということでございますが、大体老人福祉法におきまするいろいろな施策は大体六十五歳が一つのめどになっておるということで、たとえば老人ホーム入所の措置をいたしますのも大体六十五歳をめどにしてやっているということで、この健康診査も六十五歳ということを一応のめどにしてやっておるわけでございますが、やはり早期発見早期治療ということからいたしますと、もう少し早い年齢からやったほうが望ましいということは、先生御指摘のとおりのものがございます。で、もっと若いほうの年齢からの健康診査については、公衆衛生局のほうで成人病対策としていろいろガンの予防対策とかあるいは脳卒中の予防の特別対策ということでやっておるようでございますが、私どもも今後の問題としてはこういった六十五歳の年齢もなるべく引き下げるように努力はしてまいりたいと思っております。
  50. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 この健康診査は、病気が発見されましてもその後の措置が適切に行なわれていればよろしいのですけれども、このデータを見ましても、発見したその病気の措置がどういうふうに行なわれておるというふうなものが出ておりません。六十五歳の健康診査を効果的にするためにどうしたらいいか。それは老人医療費公費負担にしてこそと私は思います。こういう意味で、政府がこの公費負担にどんな構想をお持ちでいるか、お聞かせいただきたいと思います。
  51. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 政府といたしましては、来年度予算で七十歳以上の老人治療費は公費で負担をいたしたい、あるいはまた、保険で全額給付にいたしたい。いま保険で見るか、あるいは公費で見るか、考究中でございますが、予算といたしましては公費で見るという予算を要求をいたしております。で、これは国庫が三分の二、それから三分の一を県当局、市町村で見るということで予算要求をいたしておりますが、予算の結果がどうなりますか、まだお答えをするところまではまいっておりません。そういうような考え方でおります。
  52. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 医療費公費負担――老人医療費公費負担がただいま七十歳からとおっしゃったのですが、健康診査が六十五歳ならば、やはり老人医療費公費負担も六十五歳からにすべきだと思うわけです。これは診査によって病気が発見されましても、医療費公費負担でなければ年寄りはなかなか医者にかからない。それはお嫁さんからお金をもらうのが何となく遠慮がちだ、また年金をもらっていてもその年金の中からとても医療費までは払えない。しかも、老人の場合は慢性の病気が非常に多いので、そうした点非常に気の毒なわけなんです。こういう状況から見て、公費負担はぜひ六十五歳からやらなければ効果がないのではないか、こう強く主張いたしまして、そして、そのように、ぜひしていただきたいとお願いをする次第でございます。
  53. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 御承知のように、医療費は国保は七割、それから健保は本人は十割、家族は五割。本人の十割給付は、これはもう年齢に差なしに全部十割ということになる。そこで、家族は健保は五割でありますから、したがって、五割だけは負担しなきゃならない。国保は三割だけ負担しなきゃならないというわけで、その三割あるいは五割の負担もたいへんであるということで、それは公費で負担をしようという考えで、老人の医療を全額いま払っているわけでないことは御承知のとおりであります。そこで、自己負担を公費で見るのを何歳からしたらいいであろうか。理想からいえば、これはもう全国民十割給付がいいわけでありますが、しかし、保険料の問題あるいは国庫支出の問題もあります。現在の状況から初めてやる制度でもありますから、六十五歳からという要望もございますが、一方には七十五歳からでいいじゃないかという説もありまするし、まあ七十歳までは働ける人が六〇%あるいは七〇%あるわけでありますから、そこで、ただいま出発といたしましては七十歳から始めたい、かように考えております。
  54. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 寝たきり老人の特養ホームでお世話をいたします老人というのは非常に数が少ない。家庭にいる多くの寝たきり老人の世話をするのは、どうしてもホームヘルパーの活動に大きな期待がかけられるわけでございます。  そこで、ホームヘルパーのことについて幾つかの点をお聞きしたいと思いますが、まず第一に、ホームヘルパーの身分はどうなっているか、この点お願いいたします。
  55. 加藤威二

    説明員(加藤威二君) 老人家庭奉仕員でございますが、その身分は、本年の四月の調査でございますが、六二・四%が市町村職員、それから残りの三七・六%が市町村社会福祉協議会職員、こういうことになっております。
  56. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 調べてみますと常勤になっております。この中にも、老人家庭奉仕員の勤務形態は原則として常勤とする、とございますので、常勤になっているわけです。ところが実際に身分はどうか、給与はどうかというと、非常勤になっているところが大部分と言ってもいいと私は思います。そこで、勤務は常勤身分非常勤の扱いをされているというのがホームヘルパーの現状です。身分の保障が何にもない。これを具体的に言いますと、被用者保険も入ってない、厚生年金にも入ってない、退職金ももらえない、災害を受けた場合には補償もない。しかも、これは一年一年の更新の扱いで、臨時雇いという不安な立場に置かれている。ところが、このホームヘルパーは非常に骨の折れる仕事を挺身的にやっております。こうした仕事は使命感、責任感というものがなければつとまらないんじゃないかと、こう思うような状態でやっておりますが、こうした人たちに勤務は常勤で、身分の保障は非常勤というような扱い方はひど過ぎるんじゃないか。また、皆さんにお聞きしてみると、五年以上やってます、十年以上やってますと。また、再就職でやっております。いろんな意味で自分の能力を発揮して社会のために非常に尽くしている方たちと思いますが、こうした人たちが長い間まじめに働いていても、これじゃ張り合いがないんじゃないか。やっている御本人も、やめたい、やめたいと、もうばかばかしくていやになると。ところが、なじんでいる老人たちが、あなたがたがやめちゃうともう来てくれる人がいないからやめないでくださいと泣かれるのでやめるわけにはいかないと言っている方もございます。こうした人たちにもつと張り合いのある待遇をしてあげなきゃいけないんじゃないか。で、非常勤にしておけば低賃金で使える。公費を持ち出さないでも済む。現に予算も非常勤として扱っております。使うほうの立場には非常に都合のいい扱い方だとは思いますけれども、私はこれは非常に検討されなければならない問題じゃないか。現に、鳥取島根視察をいたしまして大ぜいのホームヘルパーの方々にお会いしましたけれども、一番先に何を言ったかというと、身分保障をしてほしいと、非常に強い要望がございましたので、この点厚生省のほうから何とか市町村に向かってもそういうふうにしていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  57. 加藤威二

    説明員(加藤威二君) 御指摘のとおり、私ども老人福祉対策といたいまして、特に在宅の老人対策といたしまして、この老人家庭奉仕員というものの役割りを非常に高く評価しておりまして、今後われわれも老人対策の一環といたしましては老人のホームヘルパーの充実ということを来年度の予算要求においても非常に重点を置いて要求をいたしておるというところでございます。先生の御指摘の点、ごもっともでございますが、私どももやはり老人家庭奉仕員は、その仕事がなかなかたいへんであるということを私も直接こういう人たちの話を聞きまして、これはなかなかたいへんな仕事であるという感じを深くしておるわけでございます。その割合に、非常に、処遇といいますか、それが悪い。月額にいたしますと四十六年度予算で二万三千九百円と非常に低額の手当でございます。これを大幅に引き上げる。また、これを大幅に引き上げることが結局常勤職員化するための、非常にそれを促進することになると思います。この国の補助が非常に安ければ常勤化しようと思いますと、やはり市町村の持ち出しが非常にふえるということで、なかなか常勤化しにくいという点がございますので、市町村を説得して常勤化させるためにも、やはりこちらの出す補助金を相当引き上げなければならない。そういうことで来年度は大幅に引き上げる、三倍近い要求をやっているわけでございます。で、まずそういう実質的に補助を引き上げまして、その上でなるべく常勤化のほうに持っていってもらう、そういうぐあいにいたしたいと考えております。
  58. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 経営主体市町村を原則としております、ここにも書いてございますが。ところが、実際は社会福祉協議会に委託している場合が多いのです。島根県の場合は八割がこの社会福祉協議会への委託になっておりまして、よそはどうかしらんと思ってみましたら、全国では平均して四割でございますけれども、一体これはどういう理由なのか、市町村給与に準じなければならないが、委託にすれば安上がりで済む、それでやっているんじゃないか、こういうふうに思いました。また、やむを得ない場合には委託にしてもよろしいというふうに規則ではきまっておりますけれども、このやむを得ない場合というのはどういう内容を持っているものかお聞きいたします。
  59. 加藤威二

    説明員(加藤威二君) 老人家庭奉仕員につきましては、老人福祉法におきましても、市町村がその設置について、これを社会福祉法人に委託してもよろしいということを法律で書いてあるわけでございますが、実態は先ほど申し上げましたように、大体六割くらいが市町村職員で、四割くらいが市町村社会福祉協議会に委託されているという実態でございますが、それは結局公務員としてやったほうがいいのか、あるいは社会福祉法人の市町村社協という、これは民間団体でございますが、その職員でやったほうがいいのかということは、これは一長一短があろうと思います。民間活動でやった場合のほうがより親切になるということもあり得るという点もございましょうし、また市町村というのはこれはやっぱり役所でございますから、定員を増すということについて必ずしも簡単にいかない、したがって急いでこの老人のホームヘルパーを充足しようとする場合に、その定員等にしばられない市町村社協のほうにお願いしたほうが充足が早くできるというような点もございまして、この市町村社協のほうに委託しているという面が出てきていると思います。要は、私は必ずしも市町村職員でなくてもいいと思います。市町村社協の職員でもいい、問題はその処遇市町村職員であろうとも、あるいは社会福祉協議会職員であろうとも、その処遇が職務に照らしてふさわしい処遇になっていればいいというふうに考えておりますので、むしろ私どもといたしましてはその処遇のほうに重点を置いて充実をはかってまいりたいと考えております。
  60. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 こうした点は、ぜひホームヘルパーの処遇がよくなるように、大臣に私はっきりとしたお答えをいただきたいと思います。
  61. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) ただいま局長からお答えいたしましたように、来年度予算といたしましてはただいま二万円余りの補助金でありますが、これを六万円以上にしたいという要求をいたしております。ぜひ貫徹をいたしまして、いまおっしゃいますようなことに十分対処してまいりたいと思っております。
  62. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 給与実態はどうなっておりますでしょうか。これは先ほどお聞きしましたように、二万三千九百円となっている、そういうお答えでございますね。
  63. 加藤威二

    説明員(加藤威二君) 国の補助が二万三千九百円でございまして、これを市町村によってはさらにその上乗せをしているというようなところもございますので、実態平均は大体三万円近いという実態でございます。
  64. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 ホームヘルパーの勤務は常勤でありながら、婦人相談員とか児童相談員の非常勤の手当と同じように二万三千九百円の基準額に合わしております。いままでそのようにしてまいりました。これはどういう理由で、なぜそういうふうにしたのでしょうか。
  65. 加藤威二

    説明員(加藤威二君) これは老人家庭奉仕員というものにつきましては、婦人相談員とか児童相談員と、手当が二万三千九百円という四十六年度では同じ手当になっておりますが、しかし、これは私どもの考えますのに、先生御指摘のように、やはり婦人相談員、児童相談員それぞれたいへんな仕事だと思いますけれども、それに比べまして、ことにホームヘルパーというものはより以上仕事の内容がたいへんであるという感じがいたします。婦人相談員、児童相談員というのは机にすわって仕事をされる場合も相当あると思いますが、このホームヘルパートというのは毎日毎日出かけていって、そして、老人のお世話をする。老人の中には相当いろんな病気を持っていられる方もある。結核菌を排出しているという老人結核の人も相当おられるかとも思われるわけです。そういう老人のお世話をするということでございますので、いろんな意味で婦人相談員や児童相談員とは、私どももいままで同じだったのがおかしいという感じがいたします。そういうことで、来年度の予算要求におきましては、もちろん婦人相談員等の処遇改善もお願いをいたしておりますけれども、それよりはるかに多い額で家庭奉仕員の処遇改善をお願いしているということでございまして、来年度予算がどういう認められ方をするかわかりませんけれども、来年度の予算要求においては私ども婦人相談員家庭相談員に格差を設けまして、そして、家庭相談員のほうの、仕事の内容から見て、はるかにより厚い処遇が必要である。そういう要求をいたしております。
  66. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 そこで、私今回の視察してまいりまして、ホームヘルパーの給与の状態というものが非常に貧しい、想像以上のものであるということを知ったわけでございます。大臣やその他の方々もぜひこういう実際のホームヘルパーの方たちとお会いして、その仕事の内容を見てもらいたいと思ったわけなんです。  一つの例ですけれども、この人は五年間勤務していて、夏に一万一千円の手当をもらって、冬二万五千円もらった。ところが、この手当は、国から出ている二万三千九百円の中から差し引いて、そして、それを毎月積み立てていて、これは手当ですよというふうに渡されている。だから、すべての給与は国の二万三千九百円の十二倍でまかなわれているという状態でございます。またもう一人は、給料が二万一千二百円、そしてボーナスは六月に一回、十二月に一回で、十二月のときは二カ月分もらった。ところが、これは町から出ている持ち出しだ。市町村負担をかけているわけなんです。ところが、靴はいたむ、洋服は切れる、非常にお金がかかる。ところが、一年分の基準額から給料の支払いを受け、そして、最後に残ったお金はかばん一個を買うお金だった。かばん一つもらっただけですと、こういうふうに言っております。そして、係の者は、ヘルパーというのは経済的に余裕のある者がやる仕事ですよ、こういうふうに言って平気な顔をしている。そういうようなことを言っております。またもう一人は、給料二万一千円、旅費は一銭ももらってない、そして、手当は余ったらあげますよという、そういう処遇を受けている。だから、もらえるものか、どのくらいもらえるものかも全然わからない。そうして、この人は保健婦の資格を持っている人なんです。こうした実態は私が見てきたところばかりではないと思います。この実態をほんとうに御存じなのかどうか。またこれをどう思っていらっしゃるか。ぜひ実態をつかんで、このけなげな、そうして大事な活動をしている、しかも、ほとんど婦人ですが、こういう人たち厚生省はもっと力を入れていただきたい。大臣はもっとがんばっていただきたい。そうして、それがまたとりもなおさず、老人たちが安心してこのヘルパーの方たちに見守られていくようにしていただきたいと思うわけでございますが、いかがですか。
  67. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 先ほど局長あるいは私からもお答えをいたしておりますように、来年度予算ではまあ画期的な増額をいたしたい、かように考えますのも、ただいまおっしゃいますような実態では相ならぬ、かように考えたからでございます。もともとこういう仕事市町村仕事でありまして、市町村がまあこれでいいわ、これでやっていけるということでいままであったろうと私は思うのであります。しかしながら、市町村のほうからも、これではなかなかやれないという声も強くなってまいっておりまするし、当該奉仕員の方々の事情はいまおっしゃるとおりでございます。そこで、来年度はひとつ思い切って要望にこたえたいと、かように思います。
  68. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 大臣はこの問題にたいへん力を入れてくださるというおことばを聞きましてたいへんうれしく思いますが、大蔵省の主計官はこれをどのようにお考えでしょうか。
  69. 渡部周治

    説明員(渡部周治君) 老人対策の問題につきましては、先ほど来お話のございました老人医療の問題、それからまだお話が出ておりませんが、老人年金、老齢福祉年金の増額の問題、あるいは寝たきり老人の世話をするとか、先ほどのホームヘルパーの処遇の問題等々、それらをひっくるめまして老人対策ということで、厚生省の来年度予算要求の中では最重点項目の一つに取り上げられておるわけでございます。われわれ財政当局といたしましても、現在日本の実情からいたしまして、人口老齢化、あるいは核家族化の進行、扶養意識の減退というような現象から見まして、老人問題を家庭の中だけでは処理できない。公の立場でいろいろめんどうをみなくちゃならない実情にあるということで、その重要性が叫ばれまして、われわれもその重要性は十分認識いたしておるところでございます。そういうことで、われわれといたしまして、来年度予算の作成について現在鋭意検討中でありますので、この席でどういう結論になっているかということはまだ申し上げられないわけでございますが、この問題につきましては、大蔵省にございます財政制度審議会におきましても、この老人問題につきまして財政的側面をどう考えるかという点を御審議になっておるわけでございます。われわれといたしましては、各方面の御意見を十分勘案いたしながら、財政状態とにらみ合わせ、この問題につきましては前向きに対処いたしていきたい、かように考えております。
  70. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 このホームヘルパーの待遇の問題、処遇の問題が厚生省の組まれた予算の中でも最重点だ、こういうふうにおっしゃっておりますので、最重点であればあるほど、私は、これは予算要求どおりに実現さしていただきたい。また、予算どおりに実現させるどころではなくて――この六万四千七百二十円という要求額は養護老人ホーム寮母と同額になっている。ところが、ホームヘルパーというのは寝たきり老人を扱っている方ですから、特別養護老人ホーム寮母と同額にすべきだ、こういうふうに言えると思います。またそうしていくべきだろうと思います。そうして、この特別養護老人ホーム寮母の給料以上にも出していいんじゃないか、出すべきだと思っているわけです。その理由というのは、特別養護老人ホーム寮母さんというのは、施設の中で働いています。ところがヘルパーは遠距離をも走り回っておる。そこに活動の内容が違ってくるわけです。また、特別養護老人ホーム寮母さんは五人に対して一人という割合で当たってると思いますけれども、ホームヘルパーの方は平均六人、事実は六人以上です。これは温泉津の町で見てきた実態でございますけれども、一人暮らし老人がこの町には非常に多い。で、そこにホームヘルパーがたった二人しかいない。六十世帯から七十世帯いるんですけれども、それに対してたった二人。そしてホームヘルパーの手をかけなければならないそうした一人暮らし老人が二十一人。ですから、二人で二十一人受け持っておるわけです。ところが二十一人といっても、東京の港区なら港区の中で二十一人二人で見ているのとは全然違うわけですね。これは過疎地帯ですから、もう山を越え、おっかないところを通り、バスもない。自転車で行っても、その自転車も押していかなければ行かれないというようなところにも行っておるわけなんです。ですから過疎地域平均六人なんていうのは、ちょっと不可能じゃないかと思われるほどホームヘルパーの方たちは御苦労していらっしゃいます。そして、しかも、給料二万円というんですから、まあよくがまんしてやっているなと思ったくらいです。こういう状態は、私、全国に何人くらいいるかといったら、相当いると思うんですね。ですから、私は特別養護老人ホーム寮母の給料以上にもしていいんじゃないかと思っておるんです。厚生大臣のお考えいかがでしょう。大蔵省の主計官の方のお考えもお聞かせいただきたいと思います。
  71. 加藤威二

    説明員(加藤威二君) 家庭奉仕員の給与の問題については、先生のように、確かに六万四千七百二十円というのは、養護老人ホーム寮母並み給与ということをめどに要求しているわけでございますが、さらにこれを、特別養護並みにしろという御意見でございますが、一つの御意見ではございますけれども、私どもといたしましては、とにかく現在が二万三千九百円、大体二万四千円でございますが、それに今度要求しておるのが六万四千円、四万円上乗せの要求、これは普通、われわれ予算要求の常識としては、けたはずれの要求でございます。それくらい低かったということの裏がえしといえばそうでございますけれども、現実に二万三千九百円でやってたのを、その上に四万円の要求ということは、これは予算の要求の常識からいうと、非常に大幅な要求であるということで、とりあえずこの要求でやろうということでございます。  なお、人員の点につきましては、これもやはり現在、六千三百名ということで、必ずしもこれは十分でないということで、来年度はさらに千数百名の増員を要求するということで、人員の増と給与の引き上げということで来年度はこの程度の要求をしたわけでございます。これがどの程度実現できるかわかりませんけれども、相当大幅な引き上げができますれば、おそらくホームヘルパーの方々もある程度の満足はされるのじゃないか。国の姿勢としてそこまでがんばってやってくれたということであれば、私どもは、少なくとも私の接した範囲の家庭奉仕員の方々は、満足されるのじゃないかという感じを持っておるわけでございます。
  72. 渡部周治

    説明員(渡部周治君) ただいまのお尋ねの点につきましては、厚生省当局とよく打ち合わせを重ねまして実情に合った取り扱いをするよう措置してまいりたいと思います。
  73. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 いまのお答えで私ちょっとがっかりしたんですが、六万四千七百二十円――破格の増額だというふうにたいへん力んでいらっしゃいますけれども、あまりにいままで低過ぎて、そうして、ホームヘルパーの方たちの御苦労が非常にたいへんなものなんですね。また、もう一つ問題はなり手がないんですね。島根県の場合ですと百六十人国ではホームヘルパーを使えるようにいま予算を渡しているそうですけれども、実際百三十人しか希望者がいない。もう鳴りもの入りでさがしても全然なり手がないわけなんです。ほかに幾らでも給料を高くもらえるところがあるんですから、そんな骨の折れる、そして、ばかばかしい給料で働かなければならないようなところにはこないと思います。そういう意味でも私二万円そこそこのものが六万円になったんだからこれは非常に増額したんだなんて言ってたんじゃ、やっぱり新しくホームヘルパーになろうという人がどれだけふえるか、六万円でもいやだと、こういう人が私たくさんいると思うのですね。でしたら、やはり老人のお世話は徹底してできないんじゃないか。まあ、実際東京のホームヘルパーの活動ぶりをちょっと聞いてみますと、二時間ぐらいでちょこちょこっと行っちゃうんですね。どうしてそんな二時間ぐらいしか仕事をしないのかしらと、まあいろいろ問題あると思いますけれども、やっぱりそうしたホームヘルパーの使命感というか、そして、やはりやりがいがあると、こういうものが足りないからだと思うのですね。やはり収入が多ければそれだけ一生懸命やろうという気持ちにもなると思うのです。まあもらった分だけは働いているわよ、計算してごらんなさいといったみたいなことになるんじゃないかと思うんですね。そういう点でも、私、先ほどから申し上げているように特別養護老人ホーム並みの仕事をしているのに、それ並みの給料ももらえてない、それで非常に地域的に骨の折れるところでやっている、だからそれ以上にすべきだというこの主張をもう少し前向きに受け取っていただいてしっかりやっていただきたい。そうじゃないと、いつも大蔵省で予算を削られちゃう、努力しましたけれどもやむを得ませんなんということにならないように、最重点の問題だと先ほどからおっしゃっているんですから、最大にこの点だけでもいいから力を入れていただきたいと思います。大臣のお答えをもう一度お願いいたします。
  74. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) まことに御熱心な御意見、私も全く傾聴いたしているわけでございます。給料を上げてそれで来てくれる人が多くできるかどうかという、この点にも非常に危惧の念を持っております。おっしゃいますようにそうやさしい仕事ではございません。いまおっしゃいましたように、ほんとうにそういった使命感を持ったお方、まあ名前からして奉仕員でございますから、そういう使命に徹したお方を得ることは非常にむずかしいと思うのでございます。そこで少なくともその報酬はある程度現実に合うようにいたしたい、かように思いまして、先ほど申しますように、来年度は六万余円というところまで思い切ったわけでございますが、その実績を見まして、いまおっしゃいますような点を頭に入れながら、さらに改善は年々はかってまいらなければならないと、かように思いますので、いまおっしゃいましたお気持ちは十分お察しをし、われわれの行政の方針としながら、実績を見ながら積み上げてまいりたいと、さように存じますので御了承いただきたいと存じます。
  75. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 最後に、もう一つお尋ねいたします。  これは特に骨を折っているのが過疎地域のホームヘルパーの方たちなんです。こうした過疎地域に働くホームヘルパーの方たちに特別手当を出すべきだと、こういうふうに私は思います。これも鳥取県の例ですけれども、この方は六人の世話をしていると、ところが実際は十人くらいやっているんですね。そして、まあこの人は、そんなに時間をかけなくてもいいというような人には声かけ運動というのをやって、ちょっと戸あけてお元気ですかというようなことを言ってあげるだけでも非常に喜ばれている、ところがその方が往復三十二キロのところを活動しているわけです。しかもそういう距離の世帯が二世帯もあるというのですね。バスで一時間、そして、あと徒歩で行く。しかもたいへんまじめな方で、週に二回回っているというのです。こういう方たちに特別手当というものを差し上げることができたらと思いますので、この点いかがでございましょう。
  76. 加藤威二

    説明員(加藤威二君) 過疎地域における老人家庭奉仕員について特別手当を出したらどうかという御意見でございますが、そういう実情につきましては私どもさらに検討いたしまして、今後の問題としてそういうものについてさらに検討を加えてまいりたいと思います。
  77. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 たいへん、時間がもうありませんので、あとの問題は次の機会にいたしまして、たいへんありがとうございました。
  78. 中村英男

    委員長中村英男君) 他に御発言もなければ、本件に対する午前の調査はこの程度といたします。  なお、先ほど第二班の派遣報告中に要望のありました資料の会議録末尾掲載につきましては、御要望のとおり取り計らうようにいたします。  暫時休憩いたします。    午後零時三十三分休憩      ―――――・―――――    午後一時三分開会
  79. 中村英男

    委員長中村英男君) これより社会労働委員会を再開いたします。  本日の委員の異動について御報告いたします。  本日、矢山有作君、吉田忠三郎君が委員辞任され、その補欠として大橋和孝君、和田静夫君が選任されました。     ―――――――――――――
  80. 中村英男

    委員長中村英男君) 社会保障制度等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  81. 和田静夫

    和田静夫君 たいへん時間が制約をされておりますので、私ども協力をする意味で端的に尋ねます。端的に答えていただきたいと思うのです。  まず第一は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第十条の一項で「事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない。」となっているわけですが、二項、三項で、市町村あるいは都道府県がその処理を行なうことができる、そういうようにもなっているわけです。この二項、三項が発動されるモメントは一体どんなものか。
  82. 浦田純一

    説明員(浦田純一君) 今回の法改正によりまして新たに産業廃棄物の処理ということを法律でもっていろいろとその責任なり義務なりを規定したわけでございますが、従来の清掃法ではこの考えはございませんで、市町村が清掃行政を市町村の住民に対するサービスとして行なうというたてまえの法律でございましたが、したがいましてこの十条二項あるいは三項に書いてあります市町村が共同で、あるいは単独でも同じでございますが、産業廃棄物を処理することができる、また三項で都道府県が広域的に処理することができるといったような、いわゆる広域処理の概念を導入してきたわけでございます。これはやはり法律上、都道府県あるいは市町村が広域処理またはその産業廃棄物も取り扱えるということを法律できめる必要があったのできめたわけでございますが、これはあくまでも主体は、事業者はその産業廃棄物をみずからの責任で処理することができるということが主体でございますが、廃棄物の実態にかんがみまして、実際にこれを実施していく場合には、やはり最終の歯どめとして、市町村のほうに能力の余裕がある限りにおきまして産業廃棄物をいじることができる、処理することができるということにいたしておりますので、無限に広げていくといった趣旨ではございません。むしろ逆に最終的な担保として市町村あるいは都道府県が関与できるというふうにきめているわけでございます。
  83. 和田静夫

    和田静夫君 いま言われたとおり、原則的には産業廃棄物の処理は事業者の責任において処理をされている、にもかかわらずその処理が十分ではなくて公害などを惹起することがあるわけですね。そういう場合に、市町村、自治体がみずからそれを処理したいと考えても、考えるだけではそうなるわけではない。これは相手があることですからいま言われるとおりそうならない。したがって、この十条の二項なり三項なりが発動されるモメントを行政的に私は確定しておく必要があるんではないかと思うんです。それでこの条項の運用をどう処理していくつもりなのか。
  84. 浦田純一

    説明員(浦田純一君) その具体的な事業の進め方といたしましては、第十一条に規定してございますように、産業廃棄物につきましては都道府県知事はその処理計画を都道府県の区域内についての産業廃棄物の処理計画を定めるということになっておりまして、その処理計画を定めるにつきましては、具体的にそれぞれの産業廃棄物の種別に応じまして、その排出量またその性質といったものを見きわめまして処理計画を定めるわけでございますので、その中における事業者の責務、負担割合、あるいは都道府県、市町村の関与する度合いというものがおのずから具体的に定められるものと期待しておるわけでございます。
  85. 和田静夫

    和田静夫君 期待をされていても、かりに市町村産業廃棄物処理施設をつくることになる、その費用負担についてどうされますか。
  86. 浦田純一

    説明員(浦田純一君) 産業廃棄物、ことに事業活動に伴って生じました廃棄物につきましては、かりに一般廃棄物でございましても法第十三条第二項の規定によりまして事業者に処理責任があるときには公共団体の施設を使う、公共団体にゆだねるという場合におきましても相応の費用を負担しなければならないのでございまして、これを条例によって事業者から徴収する旨の規定が設けられているところでございます。
  87. 和田静夫

    和田静夫君 事業者が負担しないといった場合、どうしますか。
  88. 浦田純一

    説明員(浦田純一君) これは、法律に根拠を有する条例によりまして徴収するということでございますので、もしもそれを負担しないということは、その条例の違反になりますし、またもしもそれによって不法投棄が行なわれるということになります場合には、もちろん廃棄物処理法の違反にもなりますので、それぞれの法の定めに従いましての措置がとられることになろうと思います。
  89. 和田静夫

    和田静夫君 通産省にもお尋ねしますが、いまの答弁との関係でどういう罰則をどういう形で適用しますか。
  90. 根岸正男

    説明員(根岸正男君) 罰則の適用につきましては、これは法律の所管が厚生省のほうに属しますので、私のほうからとやかく――どういうふうに御説明するかあれなんでございますが、先ほども、むしろそういう産業廃棄物の処理計画が都道府県とかあるいは市町村のほうである程度きまりまして、広域的に、あるいは市町村産業廃棄物について処理するということがきまりますれば、これは当然、先ほど厚生省からお話がありましたように、費用負担法のほうでも費用の負担をしなきゃならぬということになっておりますので、これは当然われわれのほうとしては前向きの姿勢でそういう適切な処理に参加するよう指導をしてまいりだいと思っております。
  91. 和田静夫

    和田静夫君 これは通産省の側ですがね、いま適切な指導といわれましたが、これは強力な行政指導が伴いませんと、それはそう簡単には、条例がどうだとか罰則がどうだとかで解決していかないんですね。強力な行政指導をこの委員会を通じてお約束になりますか。
  92. 根岸正男

    説明員(根岸正男君) いま先生の御指摘の、その強力な行政指導、これは先ほど厚生省のほうからお話がありましたように、罰則を伴う問題でございますから、これは当然そういう計画の実施者である都道府県ないしは市町村が強力に当面指導にあたるわけでございますが、われわれとしても、そういう法律によらない行政指導という面では、先生の御指摘のように、強力というのか、適切というのか、その辺のあれは非常にいろいろ表現がございますと思いますが、むしろわれわれとしてはそういう広域な処理をしていただいたほうが好ましいというふうに考えておりますので、もちろん十分な――あるいは強力というべきかもしれませんが――行政指導を実施してまいりたいと考えております。
  93. 和田静夫

    和田静夫君 厚生省、少し時間をおいてあるんですがね、罰則の関係……。
  94. 浦田純一

    説明員(浦田純一君) 費用をもしも払わない場合には、これは当然強制徴収が可能であろうと思います。また、その引き受けを拒否するということもできようかと思います。なお、廃棄物処理法の罰則の関係でございますが、こういったようなことになりまして、かりに事業者が不法投棄をした場合には五万円以下の罰金、それから、それをかかえておりましていろいろと処理しなくちゃならない場合でございますが、それが適切に行なわれないといったようなときには、処理基準の違反といたしまして、六カ月以下の恐役または五万円以下の罰金ということでございます。
  95. 和田静夫

    和田静夫君 十三条で、条例でもってきめましょう、それについて直接、罰則があるんですか。話をごまかして言ってもらっちゃ困る。
  96. 浦田純一

    説明員(浦田純一君) 御趣旨がよくわかりませんが、条例でもって費用の徴収はできるわけでございますが、それを払わない場合どうするかというお尋ねに対しましては、これは強制徴収が可能であります。また、廃棄物処理法に基づきますいろいろな違反行為でございますけれども、そのような事業者が結局金を払うのがいやでどこかに投棄をする、その場合に投棄の禁止の規定がございますが、これにつきましては、罰則といたしまして五万円以下の罰金、それから処理基準に違反したという場合には、これは改善命令を出しまして、そして改善命令に従わないという場合にははじめて違反ということになりまして、先ほど申し上げました六カ月以下の懲役もしくは五万円以下の罰金ということに相なるわけでございます。
  97. 和田静夫

    和田静夫君 後段はわかっているんです。前段の強制徴収が可能であると思いますというのですがね、そこで強制徴収をどうして、だれにやらせますか。
  98. 浦田純一

    説明員(浦田純一君) その条例を定めた当該市町村でございます。
  99. 和田静夫

    和田静夫君 通産省、いまのような形になるとします、たいへん疑問ですけれどもなるとします。そこで、あなたのほうは企業に対して、とにかく徴収に応じていく強い行政指導をされますね。
  100. 根岸正男

    説明員(根岸正男君) これはいろいろ、私、前提条件があると思います。先ほど申し上げましたように、そういう都道府県の、あるいは市町村の処理計画なりあるいは処理施設に参加するということがはっきりきまりました場合には当然のことでございまして、われわれとしては、先ほども申し上げましたように、その処理施設をつくるための費用負担に基づきます費用とか、あるいはそのあとの料金とかというものは、これはもう言うなれば電気料金とか水道料金と同じように考えて、当然これは払っていくべきものだということで指導していきたいと思います。
  101. 和田静夫

    和田静夫君 さらにもう一ぺん確認したいんですがね、旧法から新法への転換の趣旨ですね、廃棄物の処理及び清掃に関する法律制定の趣旨、これは前に内田厚生大臣とここでやったことがありますが、再度まず確認をしたいんですが、大臣にちょっと……。
  102. 浦田純一

    説明員(浦田純一君) 今回の廃棄物の処理及び清掃に関する法律の改正の趣旨は、まず第一点といたしまして、従来その対象とされていなかった産業廃棄物を対象として取り上げまして、はっきりとその処理、処分に関する定めを設けたところでございます。それから、これに関しまする責任者として、事業者の責任であるということを明定いたしたのでございます。そしてこの新たな産業廃棄物を処理するにつきましての処理体制といたしまして、従来市町村のみでもって行なわれておりました清掃事業を、市町村の連合あるいは都道府県がこれに関与できるという道を開いたことでございます。これをさらに具体的に遂行することを担保するために、その場合には広域の処理計画をつくらせるということを定めてございます。なお従来市町村で行なわれておりました清掃事業につきましては、おおむね従来の清掃法の精神、あるいはその中身にのっとりまして、大きな改正はいたしておりませんが、ただ清掃事業の区域というものは、従来の清掃法では都道府県知事が告示をいたしまして、特別清掃地域というものを限定して、その中でのみ行なわれていたわけでございますが、今回の法改正ではそれを撤去いたしまして、逆に市町村で清掃事業を行なわなくてもよいという地域を示しまして、その部分には市町村の清掃行政のサービスがいかなくてもよろしいという逆の規定をいたしまして対象地域を広げたということでございます。  それから、これらに伴いますいろいろな技術上あるいは財政上の国の責務、あるいは県の分担、市町村の分担といったことについてきめて、その円滑な実施をはかっているわけでございます。  その他、いままでよりは罰則を強化する、またいろいろな処理基準あるいは施設の維持管理の基準というものについての若干の手直しをいたしてございます。
  103. 和田静夫

    和田静夫君 一言でいえば時代の要請に応じて、廃棄物等の変遷に応じてこういうことになっておるんでしょう。とすれば、いま言われたことを含んで国の財政措置のしかたというものは、それなりに対応した変化があってしかるべきだと思うんです。ところが、この部面については原則が一体変わったものやら、変わらぬものやらさっぱりわからぬ。原則は一体どのように変わったのか、また補助率は一体どうなったのか。
  104. 浦田純一

    説明員(浦田純一君) 従来の屎尿処理施設及びごみ処理施設に対しまする、いわゆる清掃施設に対しまする国庫補助の規定は旧清掃法にもございました。しかしながら、実際には政令をもって定めるということで政令に補助率その他の条件を定めることになっておりましたが、これは屎尿処理施設についてのみ定めがございまして、三分の一以内ということに相なっておったのでございます。  ごみ処理施設につきましては、従来は予算補助ということで単年度に限りましてその補助対象事業の四分の一以内ということで補助してまいっておりましたが、今回の法改正並びに政省令の制定に伴いまして屎尿処理施設につきましては従前どおり、またごみ処理施設につきましては、単年度限りの予算補助であったものを政令でもって四分の一以内と明定することによりましてその根拠を明らかにするとともに、予算上の措置といたしましても拡充するというふうに変えたわけでございます。
  105. 和田静夫

    和田静夫君 ほとんど変わっていないんですよ、いろいろ言われても。実際問題として、たとえばプラスチック、それから、ポリエチレンの増加とか、あるいは廃棄物の質の変化、量の増大、そういうものに対応したと言っていらっしゃるわけだ。ところが、財政措置の面では――大臣、よく聞いておいてもらいたいんですが、何も変わっていない。単年度のものを政令の中に載せたなどと言われる程度のものなんです。それから屎尿処理施設については三分の一というのは全然変わらぬわけです。この補助率三分の一、四分の一というのは、いまも言われたとおり認められている、旧法下もそうであります。そして、それが実際に三分の一、四分の一ということならばまた話は別なんですが、それというのは、実は十分の一、百分の一というのが実際だった。で、昨年の十二月十七日の本委員会でも確認され、これは改善が約束されたのです。私の主張としては、二分の一くらいに努力するのはあたりまえじゃないか、こういう追及に対して内田厚生大臣はその努力はやりましょう、がんばるつもりであります、こう答弁に残っているわけです。しかし結果的には変わっていない、港湾関係補助率が二分の一と、あるいは下水道の補助率は十分の四と、こういう状態とのかね合いでは、まさに進歩がないのですが、大臣、新しい予算要求に対してこれらの問題をどういうふうにお考えですか。
  106. 浦田純一

    説明員(浦田純一君) 先ほど国庫補助率の点についてのお尋ねでございましたので、内容についての説明は詳しく申しませんでしたが、来年度のごみ処理施設に関する予算要求のあり方をひとつ例にとって申し上げますと、まず第一点は、政令でもってこの補助率というものを明定したということでございます。これによりまして、先ほど御指摘のたとえば実質補助率が数%にすぎなかったという点につきましては、確かにそのような事実もございましたけれども、来年度以降、この予算要求の考え方といたしましては全事業厚生大臣の定めまする補助対象事業の総額につきまして四分の一ということになるわけで、もしも従来二年計画でもって建設事業を進めておりました場合と比較しますと、少なくとも倍あるいは三倍といったような補助率の実質的な改善になるわけでございます。それが第一点でございます。  それから、第二点は、プラスチックその他近ごろの廃棄物の性質の内容の質の変化に伴いまする、それに対応するための処理施設の機能の強化拡充でございます。この点については結局は一トン当たりの建設費の単価にはね返ってくるわけでございまして、私どもは来年度のごみ処理施設の一つの重点としてこれらに対応できるという施設の強化拡充のための単価の引き上げの要求をいたしております。  それからもう一点は、ごみ焼却所そのものがいろいろと公害その他の原因になるおそれもあるということでございまして、これらに対する除害施設というものを要求する、こういったことで実質的な改善事業の円滑な進捗には支障のないということでせいぜい努力してまいりたいと思っております。なお一部特殊の地域につきましては、さらに高率補助でもって補助いたしたいというふうに考えておるところでございます。
  107. 和田静夫

    和田静夫君 時間がないですから、いまのことを少し信用しておいて経過を見ますがね。清掃事業市町村の固有事務である、このことは何度も確認をされ、直営原則も私と内田大臣との間で何回もこれは確認をいたしました。ところで自治省にお聞きをしますがね、各市町村にとってみれば新法になってこの旧法下の特別清掃区域が拡大をされた、こういうことになるわけです。それだけ金がかかることになったのです。で、またたとえばこの政令の三条の四号のイですね、ごらんになればわかるとおり、ここで言われているところの埋め立て処分場所の周囲に囲いをしろ、ただでできるわけじゃないのでこれは囲いをしてもたいへんな金がかかることなんです。で、自治省はここいらを交付税その他でどのように措置をしようとしているのか。
  108. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 御案内のように、清掃事業につきましては従来からも地方債あるいは地方交付税を通じましてできる限りの措置をとっておるところでございまして、本年度におきましてはすでに地方債の場合今度の不況対策の緊急措置を含めますと三百九億といった地方債の許可を予定しております。ほかに産業廃棄物の処理事業債は二十億、前年度百七十億程度のものに比べますと相当な増加となっております。また明年度地方関係の要求といたしましては、先ほどお話がございましたようなポリエチレン関係等のそういった特殊の廃棄物の処理をするための施設をつくらなければいけないというようなことを込めまして、本年度の倍以上の増の七百五十二億、ほかに産業廃棄物処理債は五十二億といったようなものを地方計画の中に織り込みたいというようなつもりでおるわけでございます。  それからまた交付税の措置でございますけれども、これは御承知のように、まず施設をつくります場合には、事業費から国庫補助金を引きますと、まあ先ほどもお話ございましたように、必ずしも四分の一、三分の一というような形で補助金がまいりませんで、実際の事業費というのは継ぎ足し、単独的なものが相当ございますので、現実の事業費から国庫補助金を差し引きまして、七割相当を地方債で見まして、元利償還金につきまして、その半分を交付税で見ていくという方法もとっておりますし、それから残りの地元負担の三〇%というものにつきましては、これは交付税の投資的経費の中の事業費補正で完全に見ておるというような状況でございます。  ちなみに四十六年度の措置額で申しますと、投資的経費だけで二百八十五億、前年度の百九十五億に対して約五割増というような措置をとっております。それから、なお、経常経費の関係につきましても、これは四十六年度では当初で一千三百七十六億というものを見込んでおりました。これは前年度の当初一千百十一億に対しまして約二四%の増というようなことで、相当見込んでおるつもりでございます。  ただ、先ほど御指摘ございましたように、今度のこの法律の改正によりまして市町村の事務量というものはふえてくる。それから、ごみの質も違ってくるというようなことがございます。これにつきましては、やはり地方財政がだんだん苦しくなっておりますけれども、極力手厚い措置をしなければならないと考えております。ただ、現在のようにまだ清掃の新しい五ヵ年計画というのができておらないのでございますが、厚生省のほうで御検討だと思います、そういうものを勘案しつつ、できる限りの措置をとっていきたい、そのように考えておる次第でございます。
  109. 和田静夫

    和田静夫君 これはまあことしの財政措置は大きくいって大体終わったのだけれども、来年に向かって昭和二十九年、三十年当時の危機的な状態がいまの政府の姿勢ではくることは明らかですよね。したがって、こういう部分部分の問題をもっと前向きで解決を一つずつしていきませんとたいへんな状態になると思う。いまいろいろ数字をあげられましたけれども、自治省の側は、何も自治省に八百長質問をするつもりはありませんが、満足な状態であるとはお思いになっていないことだけは確かでしょうね。いかがですか。
  110. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 地方財政の側におきましてもできる限りの措置をとっていくつもりではございますけれども、基本的にはやはり国庫補助負担制度というものの確立が急務であるというように感じております。厚生省のほうと協力いたしまして、先ほど御指摘がございました下水道その他に比べましてまだこの制度が横から見ておりましても確立しておらないというような感じがいたしますので、確立するように努力してまいりたいと、そのように考えております。
  111. 和田静夫

    和田静夫君 大臣、いまの自治省の答弁との関係で、大臣のお考えちょっと答弁してください。
  112. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 昨年の暮れに法律を通していただきまして、私は前の大臣のときからも、これからごみ、ことに産業廃棄物の内容、量は変わってくる、これに対してどうしても対処をする必要があると、かように考えておったのでありますが、あの法律を通していただいたので非常に感謝をいたしているのであります。したがいまして、法律の趣旨に沿いまして今後この清掃の完備をはかってまいりたい、かように存ずるわけでございます。  御承知のように、ただいま自治省からも御答弁がありましたように、清掃事務はこれは市町村の固有の事務でありますけれども、これを推進してまいる責任は本省にあるとかように考えますので、したがって計画を立て、それを実施し、またその財源につきましてはこれは交付税あるいは起債、これが相当増してくると思いますので、私も閣議の席でも今後特にこういった環境整備、特に清掃の点については地方の財源が必要となってくるので、そこで地方の財源を豊かにするようにやってもらいたいということを自治大臣に申し上げると同時に、大蔵大臣、各閣僚にも申しておるようなわけでありますので、したがって、国の補助率は上げておりませんけれども、しかし、その内容及び量が増してくるにつきましても補助金が非常に画期的にふえてまいります。それだけはとにかく確保してまいって、そして、産業廃棄物を含めまして五年間の計画を樹立をいたしたいと、かように考えております。
  113. 和田静夫

    和田静夫君 そう期待をいたします。  そこで、政令三条の五号ですがね、この屎尿その他の海洋投棄はいまのところ許されておりますね、この海洋汚染防止法の動向にも将来よると思いますが、常識的に考えればおいおいこれは禁止をされると思います。またされなければならぬと思うのです。そうすると、下水処理ないし単独処理施設が当然必要になってきます。ところが、いまのような厚生省のテンポでは時代の要請に、個個の部分ではますます取り残される危険性があるのではないだろうか、ここのところの財政措置がますます必要になるわけですから、厚生大臣として今後どう対処される決意をお持ちなのか。
  114. 斎藤昇

    ○国務大君(斎藤昇君) 御承知のように、下水の五ヵ年計画建設省できめられました。これに応じまして終末処理をやってまいることは当然でございまして、ところで下水の完備しないところでいわゆる単独処理、これも進めてまいらなければならぬと思います。私は海洋投棄は一日もすやみかになくしたい、なくすべきである、かように考えるわけでございますので、したがって、下水の建設計画とまたそれ以外の単独処理の計画も含めまして、そして将来は海洋投棄をしなくてもいいというようにやってまいる必要があると、かように考えております。ただその場合におきましても相当の財源を必要とするわけでございますので、特に海洋投棄をやっていることによって海洋の汚染がはなはだしいところから進めてまいりたい、かように思っております。
  115. 和田静夫

    和田静夫君 厚生省、去る五月二十九日に各方面の反対を押し切って、廃棄物公害のまあ元凶として昨年からいろいろ問題になっていました牛乳、乳酸菌飲料などのポリ容器を二十社、二十五品目についてはじめて正式承認をしたというのですね。その社名と品目名をあげてください。
  116. 浦田純一

    説明員(浦田純一君) 北海道厚別酪農協同組合、それから倉島乳業株式会社、いずれも牛乳、加工乳についてでございます。それから埼玉県の埼玉市乳株式会社、牛乳、加工乳でございます。埼玉県の埼玉銀座乳業株式会社、これ所沢でございますが、乳酸菌飲料。千葉県の株式会社サングルト、乳酸菌飲料。沼津保証牛乳、これは静岡県沼津でございます。発酵乳酸菌飲料。富山県、株式会社富山ヤクルト、発酵乳。早川清之助、これは個人の名前で出ております。乳酸菌飲料、岐阜県の辻尚、乳酸菌飲料。愛知県の三河カーラ株式会社、乳酸菌飲料。大阪府、関西ヨーグルト株式会社、乳飲料及び乳酸菌飲料。それから株式会社日酪、乳酸菌飲料。兵庫県におきまして兵庫乳業株式会社、牛乳。和歌山県の日本酪農協同株式会社、牛乳、加工乳。香川県の株式会社東四国ヤクルト工場、乳酸菌飲料。高知県の高知牛乳食品株式会社、牛乳。名古屋市、株式会社小牧ヤクルト工場、乳酸菌飲料、ケンコー食品株式会社、乳酸菌飲料。大阪市で鵤牧場牛乳処理株式会社、牛乳及び加工乳。神戸市、株式会社神戸ヤクルト工場、乳酸菌飲料。  以上でございます。
  117. 和田静夫

    和田静夫君 そこでこのポリ容器は、言うまでもなく回収やあるいは洗びんに費やされる人件費を浮かすために考え出されたのでありますが、ワンウエー方式としてヤクルトが先鞭をつけて、そして、昨年から一部厚生省の承認を得て使用している。ところが、このポリ容器に対して地方自治体の清掃あるいは焼却の担当者から、家庭のごみと一緒に焼却炉へ回されて、高温を出るために炉を破損をする。破壊をするとまで言ったらあれがあるが、まあ炉を痛める。捨てても腐敗をしないから埋め立て用にも使えないというような苦情がたくさん出まして、そして、たしか国会でもこれは取り上げられました。厚生省も昨四十五年の十二月に合成樹脂の容器は業者が十分な処理能力を持つ場合以外は原則として認めないという各都道府県知事に通達を出したわけですね。それが半年たつかたたないうちに急転直下認可されたいきさつというのは何か特別にあったのですか。
  118. 浦田純一

    説明員(浦田純一君) プラスチックの廃棄物になった場合の処理が都市清掃上困難になってきたということは、近年各都市側からの訴えあるいは都市清掃会議からの訴えその他でもって私ども十分承知しているところでございます。御指摘のヤクルトのポリ容器でございますが、これはあるいは牛乳の容器の問題でございますが、これは実はいずれも食品衛生法上の問題といたしまして、食品衛生法上支障がなければ許可するということで、その食品衛生法上問題がないということはどういうことかと申しますと、たとえば容器として使った場合に、その内容にいろいろと不純物あるいは有害物、そういったものが溶け出していって、その中の食品そのものが衛生上支障が起きるようなものに変わるおそれがあるといったような場合のことを考慮しておるわけでございまして、特に牛乳につきまして、このような観点から、牛乳の容器あるいは乳酸菌飲料の容器につきましては、厚生大臣が透明なガラスびん以外の容器を使う場合には、その観点からチェックしまして承認をするというたてまえになっているわけでございまして、ヤクルトの容器につきましてはすでに昭和四十三年でございましたか、食品衛生法上の観点からの使用許可を下されております。また、牛乳につきましてもそういったことで食品衛生法上のたてまえから申しますと、これはむしろ当然承認を与えなくてはならない、ポリ容器というものはそういった性格のものであると思います。しかしながら一方厚生省のほうの所管しております廃棄物処理というたてまえから申しますと、これが現に都市清掃上非常に困難な問題を生じておるということでございまして、先ほど先生御指摘のように昭和四十五年の十二月、牛乳等の合成樹脂容器はその処理方法等を考慮して差しつかえないと認められる場合のほかは原則として認めないといういわば指導通牒を出したわけであります。この考え方といたしましては清掃事業上どうしてもこのような合成樹脂の廃棄量の増大に伴いまして起こってまいりますいろいろな困難な点、これを体系的に取り組んで処理しなければならない。その第一点は何と申しましてもやはり都市清掃側のそれの処理施設体制の整備であろうかと思います。それから、それと同様にあるいはそれ以上に重要な問題は、企業生産活動に伴いまして出てくるところのこれらの産業廃棄物でございます。これらの処理をどのようにするか、これは今度の法改正によって事業者の責任ということが明定されたわけでございます。それから中間的な問題といたしましは、これは多分に消費者の御協力御努力にまたなくてはなりませんけれども、たとえばデパートその他で買い物をした場合の包装あるいは詰め物の問題でございます。そういったようなものを節約していくとか、全般的な改正として取り組んでいかなければならない、その一環として私どもはできるだけ市町村側のそのような処理体制を強化すると同時に、また、事業者の責任を明確にすると同時に、やはり中途段階におけるこれらのプラスチックの廃棄量を少なくしていくというたてまえをとらざるを得ないのではないか。むしろプラスチックの一面の利点というものを考えるならば、いたずらに押えるということでなくて、それの始末ということを考える、あるいは資源的にもう一度再利用するといった形でもって考えるべきではなかろうかということで、本来法律上は多少疑義がございますこのような回収の義務づけというようなものを、いわば業者側の自発的な協力という形に期待いたしまして、これを多少問題があったかもしれませんけれども食品衛生法上の大臣の承認事項にからませまして、このような指導をしたわけでございます。したがいまして、私どもはこれのみでもってプラスチック問題が片づくともあるいは都市清掃上のいろいろな御不満の点が解決するとも思っておりませんが、今後さらにプラスチック全体あるいは廃棄物全体の処理体制というものについては関係各機関とも御相談申し上げながら一つの新しい方向を近く指導通牒として出したいと思います。したがいまして、ただ単に承認する、しないという問題でございませんで、今後ももしもこのような承認申請が出てきました場合には都市清掃側の御意向、あるいは都道府県の御意向というものを十分に尊重いたしながら、一つ一つについて都市清掃上、あるいは廃棄処理上の問題も踏まえながら行政指導として処理してまいりたいと考えておるのでございます。
  119. 和田静夫

    和田静夫君 たくさんの説明をされると時間がないんで、端的に私の質問に答えてもらいたいのですが、十分な処理能力を持つ場合以外は原則として認めない形で、昨年、四十五年の十二月に都道府県知事に通達を出された。それがわずか半年もたたないうちにひっくり返った理由は何なのか。
  120. 浦田純一

    説明員(浦田純一君) 実は申請書はずっと前から出ておったわけでございます。そして、これを一々検査しておったところでございます。しかしながら、それに新しくこの条件を付したのでございます。回収の義務ということを一つの条件として付したわけです。これを一つ一つチェックして、そして、確認した期間が約半年だったということでございまして、いずれもこれらにつきましては、それぞれ当該市町村、あるいは都道府県を通じまして申請が出ており、また私どものほうといたしましても現地のそのような状態について確認した上で処理方法その他に問題ないということで承認したのでございまして、急に変わったとか、なんとかということではございません。
  121. 和田静夫

    和田静夫君 そういう答弁をされるならば聞きますが、今度認可された、先ほど言われた神戸ヤクルト、この会社は二月にプラスチック、ポリ容器など合成樹脂に手を焼いている現状の上に、さらに新工場がフル操業すると、このごみ公害に拍車をかけるおそれがある。しかも、ヤクルト側の申請では容器回収焼却法が明示されていない。こういう理由で自治体である神戸市は操業ストップを言い渡した会社ですよ。そのことがおわかりになっておりながら、したがって、いまのあなたの理由は成り立たない。この会社を認可された理由は一体どこにあるんですか。
  122. 浦田純一

    説明員(浦田純一君) その後ヤクルト側の提供したいろいろな処理の方法、方式、これらを検討いたしまして、なお地元のほうとも連絡をとりまして、これなら差しつかえないということを見きわめまして承認いたしたものでございます。
  123. 和田静夫

    和田静夫君 それはうそなんですよ。神戸市の側は迷惑ですよ。操業ストップを命じているのは二月、ところがあなた方は先ほど言ったように五月二十九日。こういう状態というのはどうして起こるんですか。そして、これはいまあなたが言われるとおり、自治体側はしかたがないから念書をわざわざとって、そして六月十一日になって操業許可をしています。ちゃんと地元の人と打ち合わせをして地元の許可をとってといわれるけれども、そんなことにはなっていません。この事態はどういうことから起こったのか、そのことだけ答えてくださいよ。
  124. 浦田純一

    説明員(浦田純一君) 二月の段階のことはそのようなこともあったというふうに新聞紙上等で承知しておりますが、その後市衛生局と、市清掃局と協議いたしまして、その後の改善状況、あるいは計画の進捗状況といったようなもので、差しつかえないということでもって進達がきているわけでございます。それから、私どもといたしましても個々の計画を聞きまして、これならば回収の計画は円滑に進むであろうということでもって許可したのでございます。
  125. 和田静夫

    和田静夫君 それはあなたのほうの、五月二十九日、そうですね、厚生省の側がそういう形で動くから、自治体の側は何といっても官公庁に弱いものだから、あとからしぶしぶ念書をとった、こういった形になる。こういうやり方は正当とお思いになりますか、大臣いかがですか。
  126. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) ただいま伺っておりまして、五月二十九日に厚生省が許可をした、その前に神戸市から、差しつかえがないという具申が出たということであれば、私はそう厚生省は先走りをしたのではないと、かようにいま伺っております。
  127. 和田静夫

    和田静夫君 その前に神戸市から差しつかえないということにはなっていない。さっきから私がるる申し上げておるように、なっていない。結果的に六月十一日になっておる。それで委員長から注意がありますから、この問題は決算委員会でやることにいたしますが、たいへん今度の認可については疑惑があります。私は二時間要求しておったのだけれども、五十分ですから、これ以上やりません。決算委員会でやりますけれども、これはたいへん疑惑がある。特定の人の名前をあげてもいいが、それも私は調査を終えておりますが、いまは申し上げません。疑惑のあることだけ申し上げます。これは一つの例ですけれども、この一つの例にとどまりません。そうして、そもそもこのことを中心にしながら、厚生省の中でも若干の人事異動が行なわれておる形跡もあるでしょう。厚生省の今度の認可というものが今後大手メーカーを認可していく、そういう布石になると、こう判断をされますが、そういうことはありませんか。
  128. 浦田純一

    説明員(浦田純一君) 将来どうするかという問題でございますが、従来の方針どおり、地元市町村、ことに清掃担当部局の意見、また都道府県の意見、そういったようなものを、差しつかえないという具申がありますれば、これは承認していかざるを得ないのじゃないか。しかし、あくまでも私どもといたしましては、現在のプラスチックの廃棄物の問題の性格にかんがみまして、牛乳関係業者の容器の回収というものは、これは推進していきたい。さらにできますれば、プラスチック全体の問題として、このような方策がとれるものについてはとりたい、これについては検討いたしたい、このように考えております。
  129. 和田静夫

    和田静夫君 これは常識的に考えて、処理能力という点から見たら大手が認可をされていくというのが常識だと思います、中小よりも処理能力があるでしょうから。そういうことになるでしょうけれども、これは慎重にやってもらいたいと思いますが、ここで一つだけ、時間の関係もありますけれどもお聞きしますけれども厚生省の幹部クラスの技官が森永乳業中央研究所の次長のポストに就任をするというようなことがありませんでしょうね。これは大臣から聞いておきたい。将来ありませんでしょうね。
  130. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) ちょっといまのは、どこへということでございますか。
  131. 和田静夫

    和田静夫君 森永乳業中央研究所の次長に厚生省の技官が就任をされるという予定はございませんでしょうね。
  132. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) ただいまのところ私は聞いておりません。
  133. 和田静夫

    和田静夫君 お聞きになっていないのならば、局長その辺のところはどうですか。
  134. 浦田純一

    説明員(浦田純一君) 先ほど、何だかヤクルト問題に関連して人事異動があった、あるいはただいま、どこですか、業界のほうに技官、幹部が出ていくといったようなお尋ねでございますけれども、このような事実は一切ございません。これは固く申し上げてよろしいと思います。
  135. 和田静夫

    和田静夫君 将来にわたってですよ。いままであると言っておるのじゃないのですよ。
  136. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 厚生省の人事は局長の答えるところではございませんから……。私は将来はどうかということは、それは人にもよりましょうし、どこに必ずやるとか、どこにはやらないとか、そういうことはここで申し上げるわけにはまいらない、適当な人事をやってまいりたいと考えております。
  137. 和田静夫

    和田静夫君 注文をしておきますが、とにかく大手メーカーを認可をしていく方向というものが出てくるように、残念ながら思われます。その大手メーカーの中に、いま私が述べたような事実関係が起こらないように、大臣の側としては善処をしていただきたい。これを注文を申し上げておきます。  そこで、今度認可した企業が容器処理、回収を十分行なっているかどうかという点検はどのように行なわれますか。
  138. 浦田純一

    説明員(浦田純一君) その後の回収状況につきましては府県を通じましてそれぞれフォローしております。それで報告を随時聴取しております。
  139. 和田静夫

    和田静夫君 不十分だった場合の責任は厚生省としてどのようにおとりになりますか。
  140. 浦田純一

    説明員(浦田純一君) 第一次的には、やはりそのような誓約をなしました業者、これが誓約に違反しているわけでございますので、それに対してこちらのほうから厳重に注意する。なお、注意しても、その改善のあとが認められないといったようなときにつきましては、場合によりましては、その容器の使用というものをとりやめさせる。これはやむを得ないかと思います。
  141. 和田静夫

    和田静夫君 それじゃ最後にいたしますが、地方事務官制の廃止の問題についてたびたび私は取り上げてきたのですが、基本的に厚生省労働省に対しては、ここまでくると非常な不信を持っています。答弁が三年間にわたって一向に守られないわけですから。したがって、きょうは行管の長官を呼んで、長官の責任において明らかにしたいと思ったのですが、警備の関係でお出ましになりません。そこで、きょうは時間もありませんからそれを突っ込みませんが、一つだけお尋ねをいたします。  四十六年九月三日、大蔵省主計局長相澤英之さんの名前で出ている、「会計事務機械化に関する実態調査について」それを受けて厚生省の側は各部局長あるいは社会保険事務所長に対して、四十六年九月十四日に七百四十二号、四十六年九月二十日に千九百七十九号、こういう形の文書をお出しになっているわけです。これはまず大蔵省の要請に基づいてやられたわけですが、大蔵省との意見交換があったと思いますが、その意見交換の内容をひとつお願いをしたい。  それから、昨晩私は沖繩から帰ったばかりでありますが、沖繩のことで、地域病、風土病、これらが返還問題と一緒にどういう形でもってその対策が処理をされようとしているのか。かつて根釧原野のエヒノコックス問題などを私は問題にいたしましたが、戦前からずっといわれておったところの風土病が、まあ今日かなりアメリカの衛生関係に対する留意と相まって、あるいは現地の努力とも相まって、有名な風土病はいまはとにかく表に出ていないようです。将来復帰に伴うところの対策として、これらをどのように処置をしようとしていらっしゃるのか。  二つ目は、麻薬の問題が今日何といっても沖繩では最大のおそらく問題でしょう、アメリカ軍の基地の中から持ち出されるといわれるところの麻薬。そこで、日本本土の中に起きているところのいわゆる麻薬の取り扱い件数ですね、取り締まりの関係から見た。一方それが沖繩を経由して出てきたものが一体何件で、どのような量になるのか。さらに、昭和四十二年、四十三年ごろから漸次麻薬患者がふえ出して、今日五千人から一万人というような形のことがいわれますけれども、拡大をされてきていますが、こういうものについての実態調査をどういう形でおやりになり、どういう時期までにその調査を完了をさせて対策を練られようとしているのか。さらに、それらについての現地におけるところの専門的な取り扱い者と、厚生省の側における取り扱い者との関係の、そういう連絡機能はどういう形にされていこうとしているのか。それから、そのアメリカ側の広大な基地の中におけるところの……
  142. 中村英男

    委員長中村英男君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  143. 中村英男

    委員長中村英男君) 速記起こして。
  144. 和田静夫

    和田静夫君 いまのやつは資料を求めますから。いま申しましたとおり米軍基地の中に出ているそういう麻薬の関係におけるチェックのしかたですね、こういうものを一体どういう形でやろうとしていらっしゃるのか。これらについていま私は答弁を求めようと思いませんから、いま申し上げた幾つかについて資料として提出をしていただきたいと思いますが、その資料はいつの時期までにできるか、そのことだけを答弁していただきたい。
  145. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) 風土病につきましては資料のお求めでございますから、あすにでもすぐお届けいたします。考え方としては、従来の沖繩の対策を受け継ぎ、なお充実してまいるという考え方でございます。
  146. 武藤き一郎

    説明員武藤琦一郎君) 麻薬の点につきましては、すでに計画――直ちに提出できるものもございますし、しばらく時間がかかるものもございます。
  147. 穴山徳夫

    説明員(穴山徳夫君) 私どものほうでは社会保険庁としてお答えいたします。先ほどの調査はこれは通知が出ます前に、これは各省庁全部ということで、大蔵省と各省庁との間に打ち合わせ会がございました。そのときには大蔵のほうからは会計事務の機械化システム設計についての基礎資料をほしいのだという説明で、各省庁とも調査に入るということになったわけでございます。
  148. 高山恒雄

    高山恒雄君 私は視察に参りまして、非常に注意をしておく必要があると感じました点について二、三質問申し上げたいと思います。従来は、非常にこれは問題になったことでございますけれども熊本県においてイグサのけい肺病防止対策という要請が出ているわけです。これは職業病の一つとして日本では愛知県の瀬戸の地域、岐阜県の多治見、いわゆる東濃地域ですね、三重県の一部、なおまた、そのほか鉱山その他にも多数のけい肺病が出て、問題になっていることはもう十分政府も御承知だと思うのです。したがって、けい肺病の対策としては私は専門的に、またあるいは地域の巡回的な治療と申しますか、これが非常にできていないということを申し上げたいのです。愛知県の瀬戸においては専門がございまして、かなり治療については――全くけい肺病はもう御承知のとおりほんとうのぶらぶら病ですね。他人から見れば、あれは元気じゃないか、どうしてあんなにぶらぶらしておるんだという、社会的にも問題視する病気なんです。それで肝心の、愛知県にはそれが一つあって、岡山に一つあるんだと思いますが、大体日本にはこれだけしかないんじゃないかという感じが私はしておるんです。この問題は政府としては今日までどういう対策を立ててみえたのか、お聞かせ願いたいんですがね。
  149. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) 先生お尋ねのけい肺問題の具体的な政府としての対策となりますと、これはじん肺法に基づきまして労働省の所管でございまして、その点もし労働省の関係者をお呼びいただければこまかい点はお答えできると思いますが、ただいま先生が最初におっしゃいましたイグサの問題につきまして、われわれが結核予防法によって胸のレントゲン写真をとりますので、これとの関連で熊本県のイグサのけい肺問題につきましては若干関係がございます。その点につきましては、ただいま労働省のほうにおきまして、あるいは農林省がけい肺の、イグサの処理に当たる、いわゆる作業環境等の問題を含めて労働、農林両省がこの対策にタッチいたしておりまして、われわれは必要があって住民の健康診断をやる必要があったときには熊本県と協力いたしまして結核の健康診断等にあわせてこの問題をこまかくやろうと、こういう心がまえではおりますけれども、いまの段階ではまだ熊本県あるいは農林、労働からは御相談、具体的にはございません。けい肺対策全体はひとつ労働省のほうからお聞きいただかないと、私のところでは責任あるお答えができないのでよろしく……。
  150. 高山恒雄

    高山恒雄君 それじゃ厚生省としては職業病であるのでこの問題には関知しないと、こういう考え方ですか。いわゆる衛生のほうから見てどうなんですか。
  151. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) まことに役人風に申しますと、直接けい肺の問題はじん肺法という法律があって労働省が所管しておりますが、しかし、たまたまけい肺に関係して、胸の肺に起こる病気でございますので、したがって、これが健康診断に、いわゆる結核検診等の機会を活用する、あるいはそれらの専門家も協力する、こういうことでは厚生省は積極的に御協力申し上げるということで態度を明らかにしております。一般労働衛生の問題については一応はっきりとした責任の分野は労働省になっておりますが、その現地におきまして、保健所なり衛生部なりあるいは大学の専門医等が労働省の諸施策に御協力申し上げる、こういうことでは積極的に協力いたすようになっております。
  152. 高山恒雄

    高山恒雄君 それでは熊本から出ておりますのはあなたも御承知のようですから、問題は、こうした職業病でございますけれども、これに対するその要請の趣旨はやっぱりけい肺病に対する衛生関係からくる健康診断という問題が主体になるのですよ、これはどうしても。したがって、熊本としてはそれに対する健康の調査あるいはまた加工に対する研究等の問題も要請されておることはあなた御承知のようですが、これらの問題は私は単に労働省のいまけい肺病という問題だけじゃなくて、熊本はけい肺病だと断定はしていないのですね。けい肺病の危険性がある、こういうことを言っているわけです。したがって、これは岡山にも私はあると思うのですが、こういう問題についてひとつ政府はもっと助成的な、これからも拡大されていくこういう病気に対する処置をやっぱり講じてやるべきだと、私は思うのです。御承知ならなおさらのことですが、その熊本からの要請に対して、これは新しいケースですから、岡山にもそういうケースはあったのですけれども、出てきておりませんが、したがって、熊本でやろうとされておるのか、御承知なら一体その点どうですか。
  153. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) 具体的には、先生の御質問に対しては、われわれとしては、たとえば結核健康診断をやりますときに、一般的にはまず間接撮影と申しまして小さいフィルムで大ぜいをとるわけでございます。ところが、それではけい肺の診断はできませんので、大きなレントゲン写真をとる。これは結核の検診だけでは、ほぼたとえば二〇%くらいが大きな写真をとるようになるというふうに予算的には大体見込まれておりますけれども、岡山、熊本等からその地区にけい肺の疑いもあわせて結核の場合検診をしたいということであれば、われわれは予算措置の上で積極的に大きな写真を大ぜいとっても、その予算措置ができるように協力したいということで具体的には県に御連絡してございます。
  154. 高山恒雄

    高山恒雄君 やっていただくということですね。それじゃ、この問題はこれくらいで終わります。  次の問題ですが、いま精神病院の問題はかなり社会的な問題として出ておることはもうすでに御承知のとおりです。で、日本には国立的な精神病院の病棟というものが非常に少ないのじゃないかと思うんですが、あるいはまた公立と称しますもの、その他民営の病院、こういうふうに分けてもいいと思うのですが、どういうような数字になっておるのか、御承知ならひとつお知らせいただきたいと思います。
  155. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) 先生御指摘のとおり日本の精神病床が私立が八五%を占め、公立が一五%であるということは、アメリカあるいは西ドイツの実態からいけばちょうど逆のような現象でございます。具体的な病床数でございますけれども、六月三十日現在の数字でございます。わが国の精神病床数は二十五万床ございまして、そのうち国立が七千五百床、約三〇%、都道府県立が一万六千床、六・四%、市町村立が七千八百床、三・一%、その他日赤、済生会等の公的な医療機関における精神病床が約六千床で二・四%、残りの約二十一万三千床、八五%は私立のもの、ないしは私立的な法人のものである、こういう形になっております。
  156. 高山恒雄

    高山恒雄君 そこで精神病に対して、私は熊本で拝見をいたしたんですが、現状の、精神病院ではこの前の、きょう午前中の視察団の報告にもありましたように、前回の十九号台風ですか、それの水害にあった、これは御承知だと思いますが、その後の実態をわれわれは見たのでございますが、普通私立のいわゆる病院から比較してみて、私はお粗末とは考えておりません。一般民間が持っておる、経営しておる病院はもっとお粗末な点がたくさんございますから悪いとは思っておりません。それでも熊本は新しくやっぱり何とかしたいという考え方を持っておるようでありましたが、直接それは要望としては出ておりませんですけれども、私はこれを見まして、国立であの状態ですから、民間も私は見たことがあるのですが、非常に人間尊重と申しますか、もうこのくらい病人によっては、社会から断絶されるという病人もおるわけですね。これは全く国民の責任において扱う問題だと私は考えるわけです。したがって、こういう問題を日本の場合は民間にまかせていいのかどうかという問題があろうと思うんです。もっと日本の場合は、こういう問題こそ国が国立の病院の病棟をつくって、そうして、収容さしてやる。こういう考え方に返るべきじゃないか、基本的に。そうして、最も悪い重病の方に対しては、あるいは三人も四人もかからなくちゃ始末ができないという人もおるのでありますから、そういう者に対しての日常の生活、これは看守よりも悪いですよね。それは昔のいろんな歴史的な問題を私はいまものを読んでみまして、それよりももっときついんじゃないかという気さえするのですがね。一つの鉄のさくの中に入ってですよ、寝たきり、あるいはすわったまま、何もしない。はだかになればなったままでしょう。こういう者を民間はあまり引き受けておりませんよ。民間は引き受けておりませんが、国立ですらこういう問題がおざなりになっておるということは、先進国とは私は言えないと思うのですね。私はこういう点を国はもっと根本的に考え直すべきだと、こう思うんですが、厚生大臣、他の欧州諸国の例から見ても、いまおっしゃるように逆に国立あるいは公立が確立して、日本の場合は民間が八五%、これは何としてもこの際変えるべきだという私は考え方を持つんですが、大臣ひとつ考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  157. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 日本がどうして外国に比べて私立の病院が多いのか。私もこれは歴史的なもんだろうと思っておるんであります。このままであっていいとは思っておりません。国立、公立の病院を今後増していかなきゃならない、高山委員と同様に考えております。
  158. 高山恒雄

    高山恒雄君 まあひとつお考えだけじゃなくて、これは実現のほうに御尽力を願いたいと思うんです。たいした費用じゃないと思いますね。各県に一つづつ置いたところが、あるいは二カ所置いたところがたいした費用じゃないと思うんですね、日本の今日の財政から言えばです。これはひとつ実現に大臣協力していただくことを希望として、この点は申し上げておきます。  なお医療費の問題ですが、現在は言うまでもなく国立の場合は国が八〇%、地方自治体で二〇%出すと、こういうことになっておりますね。ところがこれが全般の医療と同様の取り扱いがされておるわけですね。いわゆる精神病院一般病院も同様だと思いますが、その点は間違いないですかそう考えて、経費の問題。
  159. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) いまのお尋ねが精神病院一般病院と――一般病院の精神病棟に入った場合も同じかというお尋ねであれば、同じでございます。
  160. 高山恒雄

    高山恒雄君 そうじゃなくて、経費としては、国立の場合は一般国立病院も、あるいはまた精神病の国立病院も同じかということを聞いているんです。政府は八〇%、地方自治体で二〇%出しているのか。
  161. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) それは同じでございます。国立といえども収入をするときは一般病院と同じように収入し、それの医療費の支払いについて、精神衛生法では国が八割持ち、地方が二割持つ。
  162. 高山恒雄

    高山恒雄君 そこで、私は報告書の実態をちょっと調べてみたんですが、熊本の場合は約五二%ぐらいがほとんど人件費なんです、人件費。五二%の人件費で一体あとのまかないができないと私は思うのですが、したがって、これは地方自治体の負担に予算を組まざるを得ないと思うんですね。私は地方財政はそんなにいま余裕はないと思う。特に今日のようなもうこのあらゆる国際的にも国内的にも特別収入がないということになりますと、とんでもない状態ではないかということを考える。したがって、人件費に五〇%以上も費やすような状態の構成でなければできないところに問題があるわけです。それは精神病の扱いあるいは身体障害者取り扱いにしても、どうしてもこれはもう改革をしなくちゃいかぬという感にわれわれは打たれるわけです。ところが、日本の看護婦の問題を取り上げてみても、言うまでもなくもうこれは七、八年前から問題になりましたが、一向にふえておりませんね、実態は。計画だけはお立てになっておりますが実質はふえてない。まあ多少はふえておりますけれども、しかし、拡大しておる今日の情勢からいくと、プラスマイナスやはりマイナスのほうがそのまま続いてきておるというのが日本の現状だと思う。至るところで看護婦が足らないということをわれわれは陳情を受けてきております。これらのものを、こういう国立的な精神病棟における人件費で五〇%も一方では費やす。そうすると若い看護婦は一つもこないということですね。なぜこないかということになりますと、これは地方でも足らないから、いわゆる不足しておるから、こういうところに行かなくても、身体障害者のめんどうを見るよりも、普通の医療制度病院のほうがよほどいいというので、希望者はどんどん行くのですよ。したがって、こういう身体障害者とか精神病院患者のところの看護婦というのは、固定したいわゆる世帯持ちの奥さん方がつとめざるを得ない。それはつとめてもらってもけっこうですよ。そういう客観情勢が非常に従来と違っておる。それを従来のままで一般病院と同じような保障制度で、人件費がその病院に対して五〇%なら五〇%以上もかかるというようなことは、これは何としても患者に無理がいくことはきまっておりますわ。私はこの点は身体障害者、精神病者等のなにについては特別の処置を考えてやるべきだ。それは人件費から見ても特別の処置をとるべきだという考え方がする。これは政府管理でやらなくちゃ、結局は都道府県の予算に食い込まざるを得ない。都道府県はそれを無理する。無理はできないから結果的にはお粗末になる。これは人間の最もわれわれが尊重しなくちゃならぬ、特にいまの政府は人間尊重という立場に立っておる限りにおいては、日本の政府に限ったことはございませんが、いずれの場合もこういうものこそ、われわれは社会保障の一環としてめんどうを見てやるべきだ、私はこう思うのですよ。したがって、特別の方法のこれには助成をすべきだと思いますが、この点どうですか。大臣ひとつ御答弁願いたいと思う。医療費の国庫助成の方法を検討してもらう。
  163. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) これは病院のいわゆる診療報酬制度の定め方だと思うわけであります。  いま中医協で病院一般の医療報酬の改定についていろいろと検討してもらっておりますが、人件費のよけいかかるところあるいはそうでないところ、物件費の高くかかるところ、そうでないところ、まあ人件費はそれに見合うようにしてもらいたいというのが医療側の要求であり、支払い側もそれはもっともだろうということでいま検討してもらっておりますので、精神病院と限らず他の特殊病院の問題もあります。まあ病院もありますから、それらの点を踏まえていま検討してもらっておるわけでございます。御了承願いたいと思います。
  164. 高山恒雄

    高山恒雄君 そのことは私も存じておりますが、しかし、審議会というのは――私も審議会の委員として出たことが何回もございますが、全部政府が一ぺん資料を出すんですよ。その出した資料に基づいて審議会は審議するんですよ。したがって、それはまあ医療の場合はもっとも専門家の方でないとやれないから専門家の方がやるのでしょうが、われわれが専門家で、われわれが携わって、専門的なことをやっても、全部資料は政府が出すんですよね。私はそういう資料を出すときに政府が検討をして、医療協議会だけにまかせないで、政府が基本的な考え方というものを書いてその審議する資料の中に、これは特別に配慮をする必要がある。それは何かというと、いわゆる身体障害者、精神病という患者はこれは何としても国として見ざるを得ないんだ。したがって、特別の処置を考えてもらいたいというやはり主張が入らなければ審議会でもなかなかこれは通らない。私はやはり政府の姿勢だと思う。それを審議会まかせだということならもう私はきょう聞かなくてもよかったのです。いま開いて審議されておることも十分知っておりますから。政府が強くその姿勢を示す、そうして身体障害者、精神病患者というものをもっと国の責任のもとにおいて見てやる。こういう姿勢がほしいと考えまして実は質問申し上げておるわけですから、どうかひとつその考え方でやってもらいたいと思いますが、厚生大臣もその姿勢でやってもらわなくちゃいかぬと思いますがどうですか。
  165. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 御意見十分伺いましたので反映のできるようにいたしたいと思います。
  166. 高山恒雄

    高山恒雄君 それからもう一つお尋ねいたしますが、この医療制度に対する考え方として次の通常国会にはいろいろな問題が出てくると思いますが、この問題は別にあらためて私も質問をいたしますけれども、一つだけ聞いておきたいことは、審議会としては現状の二本立ての問題でやっていきたいという考え方、厚生大臣は一本化したい、こういう考え方でおられるようですが、実際にそうお考えになっておるのか、この点を一つだけお聞きしておきたいんです。あるいは一説においてはいま直ちにやろうと考えておるのじゃないんだ、将来あるべき姿は私としては一本だということを大臣は言っておられるということも書いてあったことを私は読んでおりますが、ほんとうの本心はどちらを希望されておるのか。いろいろ武見さんとの会談でもそういうお話ができておることを承っておりますから、将来この問題は重要な問題になりますので、大臣の考え方を明らかにここでお聞きしておきたいと思うのです。
  167. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 二つの審議会の御答申もとにかく当分の間はということになっております。私も国民皆保険であります以上は、一本になったというような精神でやっていけるようにしたい。いわゆる給付の面も、あるいは保険料の面も、そこに差があってはいけないのではないかという考えを持っておりますが、それとその仕組みをどうするかということはこれはまた別であります。したがいまして、現実に即しながら、何といいますか一本化の精神の貫けるように現実に即して進んでまいりたい、かように思います。
  168. 高山恒雄

    高山恒雄君 現実に即するということになりますと、医療保険制度に基づくこの組合制度というものを地域組合制度に変えてもいいという一本化なのか、あるいはもう組合制度というのはぐあい悪いので県単位なら県単位の大きな一本化ということをお考えになっておるのか、その点はどうですか。
  169. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 現在の段階では県単位なりあるいは市町村単位に一本化するということは、これは一足飛びには私は不可能だと思っております。
  170. 小平芳平

    ○小平芳平君 いまの医療制度の問題で、またこの保険の一本化の問題ですが、両審議会からの答申は、社会保障制度審議会が九月十三日ですか、それから社会保険審議会が十月八日と、いずれも現在の組合健保とそれから国民保険というふうに二本立ての考え方で答申が出ていると思いますが、それでよろしいかどうか。  それからその中間において、九月二十日には厚生大臣の一本化方針というものが大きく新聞に報道されまして、そして千円未満の医療費は自己負担、そして制度は一本化があるべき姿だというふうな、まあ簡単にいいますとそういう報道が出たように記憶しておりますが、これらについてのお考えをお聞きしておきたい。
  171. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 両審議会の答申は、まあ一言で言えばいまの段階では一本化よりも二つの制度の考え方でいったほうがいいじゃないか、永久にこうでなければならぬということではないと私は読み取っております。  それから、私も前に新聞に出たというのは、私が発表したわけでも何でもございません。いろいろ憶測して書かれたのだと思っておりますが、先ほど高山委員にお答えいたしましたように、次の通常国会で全部一元化をする法案を出そうと、それができるという状態だとは私は思っておりません。ただ考え方は先ほども申しますように、これはその保険の種類によって非常に厚薄があるというようなことはおもしろくない。そうないように段階的でも持ってまいりたい。仕組みをさしあたってどうするかという点はまだ最後的な結論に達しておりませんが、そう全部御破算にしてしまうということはいますぐできるというようには考えておりません。  なお、千円の足切りの問題、私はそれは一つの問題であろうと思っておりますが、その点をどういうようにやっていくかという点もまだ決定はいたしておりません。今日いわゆる低所得層と言いますとことばが悪いかもしれませんが、それには医療保護の道もありまするし、したがって、むしろ高い医療費をできるだけ給付として見ていくほうがいいじゃないだろうか。家族給付はいま七割でありますが、しかし、三割の自己負担にもたえないというような多額の金のかかるという疾病もあります。これが健康保険でありますと五割負担しなければならないということでありますから、ものによってはいまの五割の給付を七割給付に上げるとか、あるいはまたさらに特殊の疾病についてはそれ以上あるいは保険で見るとか、公費で見るとかいうことをやる必要があるんじゃないだろうか。そういたしますためというわけではありませんが、ある程度の自己負担というものもあってしかるべきではないだろうか、今日の所得水準から考えてさようにも考えておるわけであります。まだ結論には達しておりません。
  172. 小平芳平

    ○小平芳平君 先ほど大臣は千円の足切りとそれから一本化についてそれは新聞の憶測だというふうにまず前提されましたわけですが、しかし、いまお話を伺っておりますと一本化については将来の問題だ、いま直ちに組合健保解体ということは次の通常国会に出す法案でも考えられないというふうに受け取ってよろしいわけでしょうか。それから千円未満は自己負担ということは、これはずいぶんいまの御説明だと現実的な実現が目前にあるというか、ずいぶん現実的な御意見のように受け取りましたが、それでよろしいですか。
  173. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 前段はおっしゃるとおりと御承知をいただきたいと思います。後段の点は、これは足切りをやるかやらないか。やるとすれば千円がいいか、五百円程度がいいか、八百円程度がいいか、あるいは足切りでなくて現在あります初診料を二百円の自己負担はそのままでいいか、もう少し上げるか、自己負担をもう少し増すほうがいいのじゃないかという考えは持っておりますが、どの方法でやるか、どの程度でやったらいいかという点はまだ結論に達しておりません。
  174. 小平芳平

    ○小平芳平君 まずその千円の問題でございますが、いままでの自己負担分を初診料、入院料、こうした自己負担分を引き上げるか引き上げないか。まあ引き上げる方向でおそらく検討がなされていると思いますが、そのことと、たとえば五百円とするか、千円とするか、それ以下の医療費は全額すべて自己負担ということとは根本的に性質が違うんじゃないでしょうか。それは初診料は一回で終わる、二回からは初診料はかからないわけです。しかるに、必ず千円以下のものは全額患者負担ということになりますと、いままでのそれこそ医療制度の根本をゆるがす問題になってくるではありませんか。
  175. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) この前の国会に提案をいたしまして、これは審議未了になりましたが、その際には再診料もということもあって以前には若干一部負担もあった。それらの点を考えまして、自己負担をもう少し増す必要がありはしないだろうか。そのかわりに医療費のかかるものを上げるということを考えたほうが今日の情勢に適しているんじゃなかろうかと、かように考えます。
  176. 小平芳平

    ○小平芳平君 それでは両審議会の答申には、そうした足切りとおっしゃいますけれども、ある金額以下は全額を患者負担というふうな考えが出ておりますか。
  177. 戸澤政方

    説明員(戸澤政方君) 両審議会の答申とも一部負担の中身、やり方等につきまして特に具体的には書いてございませんが、一部負担の考え方につきましては、両審議会とも適正な一部負担は考える余地があるというような趣旨で書かれてございます。中身はいろいろ違いますが、足切り的な考え方も、それから初診料、入院料の一部負担ということにつきましては同一でございまして、そのやり方、中身につきましては、今後いろいろの見地から検討してまいりたいというように考えておるわけでございます。
  178. 小平芳平

    ○小平芳平君 局長もそう考えられますか、要するに、一部負担ということと、それから千円未満は全部患者負担ということとは違うんじゃないですか。一部負担ということは、ある限度において負担ということになるし、今度は千円未満は全部自己負担となりますと、これはすべての人が負担することになるわけです。それで千円以上の人に保険適用ということになるわけです。それは同列に扱えないんじゃないかと私は考えますが、そうじゃありませんか。
  179. 戸澤政方

    説明員(戸澤政方君) 全額給付に対しまして、その給付のうちの一部を患者さん本人が負担するという意味におきましては同一であろうと考えます。それでたとえば初診料のように、診療を受ける人の一部の人にかけるのが一部負担の形としてよろしいか、それとも一応被保険者全体を対象にして、そういう低額の診療費について自己負担してもらうかという行き方がいいか、これはいろいろ一部負担の行き方について批判、考え方があろうかと思いますが、そういう理論的な問題、それからまた一部負担については技術的な問題もございます。そういったことを総合的に勘案しまして最も適正な、しかも、あまり大きな負担とならないような方法を考えてまいりたいというように思っているわけでございます。
  180. 小平芳平

    ○小平芳平君 私も千円未満は足切りということは、大臣のおっしゃる憶測のほうが強いんじゃないかと受け取っていたのですが、いまの大臣と局長のお話によりますと、そういうことが現実的に検討されるとなりますと、これはそういう千円未満はだれがどんな立場の方が治療を受けても千円未満は全部自己負担になってしまうんだというなことになりますと、それはいろいろな問題が起きてくるのは当然ですね。当然いろいろな問題が起きてきて、そう簡単にそういうことがやられたのでは、それこそ病気になってもうっかり医者に行かれないということになるのは目に見えているわけですから、その辺は一部負担のやり方の一つの中に、千円未満は自己負担があるんだというふうに簡単に割り切ってやられたのでは困ると思いますが、いかがですか、大臣。
  181. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 決して簡単に割り切るつもりはありません。いまおっしゃるようないろいろな点がございますから、慎重に考えまして、また皆さま方からも御支援をいただくような方法でなければいけないと思って慎重に考えております。
  182. 小平芳平

    ○小平芳平君 それからもう一度この一本化についてですが、この点については大臣の述べられたことと私もそう変わりないと思うわけですが、要はこのあるべき姿として保険制度の一本化が望ましいということは私たちが約十年前から主張してきた政策の一環でございます。それで、最近になって一本化が時流に乗ったから急に一本化だと言うのだというような考え方では私たちはないし、そういう点で大臣にいまお尋ねしているわけですが、厚生省としては、二年前に諮問の段階では国民、勤労者、老齢ということをお考えになったわけでしょうか。けれども厚生大臣が今度の保険医総辞退、また総辞退終了後の審議会におけるごあいさつの中で、一本化を検討すべきときがきたというふうにおっしゃったわけですね、この点については。そうしますと、大臣としてはそれは一本化は将来のあるべき姿であるとは言いながら、きわめてそれは目標とすべきことなんだと、それはもう実現目標として、要するに答申は永久に二本立てとは言っておらないと言われますが、確かに永久に二本立てとは言っておりませんが、かといって一本化が望ましいと、そんなはっきりしていないと思いますが、大臣としてはその答申よりも一歩進めた一本化が望ましいというお考えでしょうか。
  183. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) ちょっと御質問の趣旨をつかみかねているのでございますが、かつて建議を制度審議会からもらいましたものには、やはり一元化が望ましいと、しかしながら、それをやるのには段階があるというような答申をもらっております。ところが、私がこのたび厚生大臣を拝命いたしました当時の空気は、そういうことすらも全然考えちゃいけないんだというような空気が相当一部に強く出てきてまいったようでございます。そこで、私は前の制度審議会の理想的な形が一元化だということにはどうしても理論的にいけないのかどうかということをはっきりもう一度示してほしいという意味で、両審議会に――それは追加の諮問かと、こう言われたわけでございますが、そういう情勢でございましたから、私はああいう言い方をしたのでありまして、いますぐ一元化するとか、これは医師会との話し合いでそう強まったとかいうようなものではございませんので、御了承いただきたいと思います。
  184. 小平芳平

    ○小平芳平君 その一元化答申とは別に、私のいまお尋ねしている趣旨は、九月の十三日並びに十月の八日になされた答申、その両答申ではそれほど一元化を現実のものとして打ち出してはいないと思います。しかし、大臣としてはその両答申よりももう一歩進めた一元化をお考えでしょうかということです。
  185. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 御趣旨はできるだけ早くやりたいと思っておるかと、こういうお尋ねでございましょうか、ことばをかえて言えば。一元化をできるだけ早くやりたいと思っておるか、あの答申よりももっと急いでやりたいと思っているかというお尋ねでございましょうか。その時間的な問題は、私はあの答申は何年ぐらいを先にして考えておられるか存じませんが、私もそう急激にここ二、三年とかあるいは四、五年かけてもこれはまだむずかしいであろう。一つの長い歴史を持った制度を改めますのには、やはり五年十年、場合によったら十五年もかかるかもしれない。私はあの戦後の警察法の改正に取り組んでまいりましたが、あの一時的にいままでの制度をひっくり返したあの制度をいまの制度にするまでに七年かかりました。こういうことを考えてみますと、ずっと長い歴史を持った制度でありますから、そう短日月にできるというようには思っておりません。また、そういうことがうまい運営にはなるまい、かように思っております。
  186. 小平芳平

    ○小平芳平君 それではその点了解いたしましたが、大臣のお考えについては了解いたしましたが、この抜本改正を次の通常国会に提案するということ、これは既定方針だと思いますが、その抜本改正には、したがいまして、現実に組合の解体とか一元化ということは入らないということ、それからつまり一本化は将来の目標であって、いまさしあたって健保組合の解体というとちょっと語弊がありますけれども、そういうことは入れないものを出されるお考えでしょうか。  それからもう一つは、先ほどの千円未満は自己負担にする、こういうことは入れるお考えでしょうか。
  187. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 組織をドラスチックに改めよう、すぐ次の国会で改めようという考えはいまのところ持っていない、かように御了解をいただきたい。  それから足切りの問題は、慎重に考えたい。しかも、私が千円ときめたわけでもございませんし、たとえばというようなことで新聞にも出ている程度でございまするし、足切りがいいか、あるいはそのほかの一部負担がいいか、これは慎重に考えてまいりたいと、かように思いますので、足切りにはあまりこだわらぬようにお願いをいたしたいと思います。
  188. 小平芳平

    ○小平芳平君 いや、私はこだわるつもりではなかったのですが、あまり現実的な御答弁だったものですから……。  それでは次に、別の問題でありますが、議事進行の御都合もありますので、まとめて質問いたします。じん臓疾患についてであります。このじん臓疾患について一問一答をやっておりますと時間がかかりますので、また、衆議院でもつい数日前に提起された問題でもありますし、けさのNHKラジオの解説でもやっておりました問題ですので、私がいま申し上げるとおりの理解でよろしいかどうか、御返事願いたいのですが、じん臓疾患による死亡者が年間約一万人、最近年間約一万人、人工透析の治療を受ければ生き抜いていかれる可能性の人が厚生省の考えでは三千人から四千人いるというような理解でよろしいのですか。
  189. 松尾正雄

    説明員(松尾正雄君) 大体それでけっこうでございます。
  190. 小平芳平

    ○小平芳平君 そこでお尋ねいたしますが、こうしたじん臓疾患の方の団体からは一万人全部が透析を受けられることを目標にしてほしいという意見が出されておりますが、この点についてどうお考えになるか。  それから、人工じん臓は現在幾らで、どのくらいの人が透析を受けられているか。  それから、来年度予算ではふやす計画のようですが、どのくらいふやす計画か。  以上の点についてお答え願いたい。
  191. 松尾正雄

    説明員(松尾正雄君) 人工じん臓の適用数をどの程度の数で把握するかということが第一番目の問題でございますが、私どもは、本年度、じん不全対策の検討費という予算もいただいておりまして、日本の腎臓学会の方々多数お集まりいただいて、この案の基本的な御検討をいただいたわけでございます。その結果といたしましては、御承知かと存じますが、アメリカでは、死亡数を基本にいたしましたときに、約二〇%が適用だとされておるわけでございます。しかしながら、日本のじん臓疾患のタイプがアメリカともやや違っておるという点を考慮いたしまして、アメリカよりも多い三〇%というのを一つの適用数の基準にいたしたわけでございます。したがいまして、三千人ないし四千人近い数になると考えるわけでございますので、私どもは、少なくとも、この患者治療経過をたどっている過程におきましての対象として常時把握していくものとしては、いまの学会の意見に従って、大体この程度のものでよろしいのではなかろうか、こういうふうに考えております。  現在わが国で約六百六十台程度の透析の機械がございます。これにもいろいろなタイプがございまして、現実に透析を受けている方々の数は、約千名前後というふうに研究会等でも推定しているわけでございます。しかしながら、先ほど来申し上げておりますように、対象者というのは約三千人台になるわけでございます。御承知のとおり、この方々は、常にその人工透析を受けておりませんと命が非常に危険になるということでございますので、絶えず、それだけの対象の方には常に受けられるような態勢を整備しておく必要がございます。そういうことを基本にいたしまして、来年度は、一応この対象人員が一年間に全部消化できるということに対して、ただいま申しました六百六十台程度の現有勢力を引きました残りを全部整備をしたい、こういう計画でございます。
  192. 小平芳平

    ○小平芳平君 残りを全部整備するのは、何台ですか。
  193. 松尾正雄

    説明員(松尾正雄君) 六百三十三台を一応予定いたしております。ただしこれは、私どもが国立ないし公的機関に補助金の対象として考えるというものでございまして、そのほかに、民間関係で自然に伸びてくるものも期待をいたしております。  この台数が患者数に比較してやや少ないというお感じかと存じますけれども、一応、一台の機械で四人の患者に操作をする、こういう機械を基準にいたしまして割り出したものでございます。
  194. 小平芳平

    ○小平芳平君 そこで、今度は、先ほどの自己負担のまた問題ですが、人工透析の場合、保険の適用はあるが自己負担がきわめて多い。したがって、これは新聞によりますと、毎月五万円かかるという、あるいは毎月十万円かかるという、そうしたことが訴えられておりますが、これは、来年度からは、人工透析の自己負担は全部公費負担になるというふうに予算を要求されておられますか。
  195. 松尾正雄

    説明員(松尾正雄君) これは関係局が分かれておりますけれども、便宜上私から一括してお答え申し上げます。  御指摘のように、人工じん臓の場合には、非常に自己負担が高くかかる、この点が実は治療上の大きな障害であるというふうに思います。したがいまして、来年度におきましては、いわゆる更生医療及び子供の場合には育成医療、この二つの基本の制度を使いまして、自己負担のある部分について公費負担をやりたい、こういう予算の要求をいたしております。
  196. 小平芳平

    ○小平芳平君 それでは、全額公費負担になるわけですね。
  197. 松尾正雄

    説明員(松尾正雄君) 原則としてそのとおりでございます。
  198. 小平芳平

    ○小平芳平君 それから、この患者の方々は治療を受けながらなおかつ働いておられる。したがって、第一には、夜間に透析をしてもらいたい。まあこうした実情厚生省にもずいぶん訴えられておられると思いますから、夜間にそうした治療を受ける制度をとってほしいということ。  それからもう一つは、身体障害者として、住宅も、身体障害者用の住宅は別ワクで抽せんもあるわけですので、そうした扱いをしてほしいということも要望があったと思いますが、これらの点についてはいかがですか。
  199. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 私は、できたならば身体障害者としての扱いにしたいと、かように考えております。
  200. 松尾正雄

    説明員(松尾正雄君) 前段のほうの夜間透析の問題でございますが、御指摘のような状態で、そういう必要性がかなりあることを私どもも承知いたしております。ただ、原則として、夜間透析を非常に強く表面上実態的に進め得るだろうかという点は、やはり慎重に考慮しなければならぬ問題だと思っております。特に、連続いたしましてこういうことに従事いたします医療関係職員のほうの態勢の問題もございます。また、もう一つの点は、実態としてはわかりますが、人工じん臓を受けておられるような方々は、決して万全な健康体という状態ではございませんので、かなりやはり弱い状態に置かれておる。こういう方々が、夜間もなおかつ透析を受けていくということがはたしていいのかどうかという問題もございますので、これはケースによっていろいろ判断すべき問題だと考えておりますが、全面的に夜間透析を強く出すのだということについては、もう少し慎重に検討さしていただきたいと思っております。
  201. 小平芳平

    ○小平芳平君 その点は了解いたしますが、要は社会復帰ですね、――社会復帰というよりも、現実に、働かなければどうしようもないということから働いていらっしゃる方がたくさんいるわけです。しかも、大臣は、身体障害者としていきたいという精神的な御答弁があったのですが、やはり更生医療を適用し、それから住宅も、そうした、きわめて、人工透析を受けるというような、あるいは、私もお医者でないからよくわかりませんが、じん臓をほとんど摘出したような人もいらっしゃる。そうした点から考えて、当然、内臓疾患ではありますが、身体障害者として、同じように、薄い制度ながらも適用していく。それは、来年からはそういう方針でいけるのじゃないですか。いかがですか、局長
  202. 松下廉蔵

    説明員(松下廉蔵君) 身体障害者福祉法自体は社会局で所管しておりますが、先ほど医務局長からお答えいたしましたように、育成は同じく児童の育成医療と一連のものでございますので、便宜私からまとめてお答えいたしたいと思います。  いまのお話の、身体障害者福祉法の適用を受けるかどうかという問題は、これは、じん臓の障害につきましては、現行の身体障害者福祉法では適用の対象に直接入っておりませんので、これは、更生医療の適用を受けます場合には法律の改正を要するわけでございます。で、どういう形で両方の法律を改正して対象にするかということは今後の検討課題でございまして、いま御指摘のような点を全部適用するかどうかというところまでまだ両局の間で話が煮詰まっていないわけでございますが、先ほど大臣からお答え申し上げましたとおり、今後の方針といたしまして、御質問の御趣旨を含みまして、できるだけ、現在の身体障害者あるいは身体障害児に対する各福祉法の適用を同時に行なうことができますような方向で検討さしていただきたいと存じております。
  203. 小平芳平

    ○小平芳平君 それは事務当局がいまだ、まだ煮詰まってないということでは怠慢といいますかね、大臣がおっしゃっているし、それからどういう困難があるのか、ただ事務的に煮詰まってないといったって、早く煮詰めて方針決定して、大蔵省に予算を要求しなければならないのじゃないですか。
  204. 松下廉蔵

    説明員(松下廉蔵君) 現実に要求いたしております予算は、更生医療、育成医療の増額の経費でございまして、他の身体障害者福祉法あるいは児童福祉法の適用につきましては、それぞれすでに既定の予算のワクがございます。こういった面につきましてはそれぞれ必要な範囲の増額の要求をいたしておりまして、御指摘のような点を配慮いたすといたしましても、既定の予算の中で操作ができる範囲のものだという前提で検討いたしております。
  205. 小平芳平

    ○小平芳平君 まあ、そういうことで方針はきまっていると了解してよろしいですね。  それから現在のじん臓患者の方が非常に強く訴えておられましたもう一つの点は、早期発見早期治療なんだと。それで特にネフローゼの場合なども、おそらく児童を集団検診したら中に必ずというくらい入院治療を要する者が出てくる。そうした早期発見早期治療することによって、人工透析というようなああした何といいますか強烈な治療をしなくても、早期に治療して回復することが可能なんだということを非常に強く訴えておられます。厚生省としてはどのようにその点実態を把握しておられるか、また今後の対策はどのようにお考えかお伺いしたい。
  206. 松下廉蔵

    説明員(松下廉蔵君) ただいまお尋ねのネフローゼの問題でございますが、ネフローゼは御指摘のように児童に多いじん臓疾患でございます。慢性じん炎あるいはネフローゼ、あるいは学者によってはネフローゼ症候群といっておられますが、非常に児童の間にこのごろ多く発見される。診断技術の進んだ関係もあるかと思いますが、ただまことに恐縮でございますが、現在実態調査いたしました正確な数は私どももまだ十分把握いたしておりません。で、学者の推定といたしまして、約五千名の患者がおるというようにいわれております。それで私どもといたしましても、新年度早々できるだけ早く実態調査をいたしましてこの実情を把握いたしたい。それから、いまお話のありました早期診断の問題でございますが、現在行なっております三歳児の一斉検診の際に、従来行なっておりませんでした尿の検査も行なうことができますように措置いたしまして、それによって早期発見をいたしたい。また、文部省のほうでも学校保健の面で非常に関心を持っていただいておりますので、学童につきましては文部省とも連絡をとりまして早期発見を進めてまいりたいと考えております。  それから医療の面につきましては、特に学齢に達しておりますネフローゼの児童、御承知のように非常に長期の療養を要する疾病でございますために、ただ入院加療いたしておりますと就学猶予、免除ということになりまして、その児童がたとえ回復いたしましても心身の健全育成という面で欠陥が生じてまいります。そういうことをできるだけ避けたいということを含めて考えまして、とりあえず来年度におきましては六百四十名の学童に対しまして養護学級が併設されております療養所に入所いたしまして、ネフローゼの療養を受けながら学業を続けていくことができるようにしたいと考えまして、療育の給付に関する国庫補助金を要求いたしております。なお、こういった施設につきましては、医務局のほうとも御相談をいたしまして、並行してできるだけ今後整備いたしまして、必要な学童がそういった療育を受けられるように進めてまいりたい、そのように考えております。
  207. 小平芳平

    ○小平芳平君 以上ですが、この団体の方が非常に心配しておられることは、厚生省が確かに来年は進んだ対策を持っておられるようだと、ただ予算編成の段階で大蔵省あたりがどうのこうの言うかもしれないが、そういうことがないようにぜひとも実現をしていただきたいということが一つと、それからもう一つは、職場へ復帰できるような、あるいは治療を受けながら、いま勉強するような制度を御説明がありましたが、そういうふうな生活環境の確立をぜひともお願いしたい。ただ人工透析の機械が備わった、あるいは自己負担公費負担になった……、お金の面はもちろんお願いしたい第一ですが、さらにもう一つ生活環境整備、社会があたたかく迎えてくれるような、そういう環境の実現に力を尽くしていただきたいということでございます。この点を大臣に要請いたしまして、終わります。
  208. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 大臣お忙しくてお読みになれなかったかもしれませんので申し上げたいと思いますけれども、今月、十月五日に豊島区で保育所に預けていた赤ちゃんがなくなったという記事が新聞に出ておりましたのをお読みになりましたか。御存じありません――。お忙しいからたぶんそうだろうと思います。これはおかあさんもおとうさんもお医者さんで、それで赤ちゃんが生まれるということで、練馬区に住んでいらっしたんだけれども、練馬区にゼロ歳から預ける保育所がないというわけで、わざわざ豊島区に引っ越してこられて、それで預かってもらえるはずだったところへ頼みに行ったけれども定員が一ぱいで預けることができない。しかし、お医者さん、いまたいへん忙しい職場ですし、休むわけにもいかないしというので、しかたなく近くの、無認可だったわけですけれども保育所へお預けになりました。預けられた次の日、五カ月だったんですけれども、その赤ちゃんがうつぶせに寝たまま窒息死されたと、こういう記事なんですね。これはどういうことかといいますと、そこの保育所がたいへん手狭で、預かっている赤ちゃんは、幼児は生後二カ月から二歳までの方が十六人で、そして人手のほうは園長さんと保母さんの見習いと二人でまかなってらした。お部屋も六畳と四畳半と三畳、三つに分かれた小さいお部屋だもんで、ベッドも十分置くことができないというので、畳に寝かしていたというような不十分な施設の中から起きた事故なんでございますけれども、これはたまたま一番最近の例で私は申し上げたんですけれども、これ、初めてのことではございませんで、東京でも過去に起きてますし、全国調べますと、残念ながらこういう事故が起きている。そういうことを見てきますと、これからの日本の将来をになうべき子供たち、せっかく生み出されたその命がこういうことで殺されていかなければならないということ、婦人の立場としてはほんとうに胸が痛むわけなんです。こういうことも、大臣も担当の大臣として、こういう事故が起こるという現実を見られて、一体これはどこから起こってくるんだろうと、どういうふうにお考えになっていらっしゃるだろうか、まずそこからお伺いしたいと思います。
  209. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 御婦人の立場からだけでなくって、男の立場から考えましても、まことに何というか、痛ましいことだという一語に尽きるわけでございます。大体乳児保育は、私は両親なり、あるいは身内の人にやってもらうのが一番いいと思うんですが、ただいまもおっしゃいますように、どうしても預けなければ生活上困るという方もあるわけであります。したがいまして、乳児保育も完全にできるような保育所を増すことが必要だと、かように考えております。
  210. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そのとおりだと思います。このおかあさんも言ってらっしゃるんですね。これは保育所が悪いとか、無認可の設備が悪い、だから、その人たちが悪いというのではなくて、やっぱり公立でそして、十分な施設もあって、そして、子供を安心して預けられるような保育所がつくられていなかったから私の子供は死ななければならなかったんだと、こう言っていらっしゃる立場を考えますと、私はなお胸が一ぱいになってくるわけなんです。確かに大臣や何かの立場から考えられれば、子供のときはおかあさんが見ればいいというふうな考え方もあると思います。その見解は別といたしまして、現実の問題としてやっぱり働かなければ食べていけないという人もいるし、また社会が要求しまして女医さんだとか、看護婦さんだということになるならば、家庭に入ってるんじゃなくて、やっぱり社会的に働いてもらいたいということからどうしても預けなければならない子供が出てくるわけでございますし、そうすると公立の保育所、それからまた認可された施設保育所があって預かってもらえればいいけれども、そのワクが御承知のとおりたいへん少のうございます。そうすると、当然預からなければならないし、預かってもらえる権利があるのに預かってもらえる施設がないということになれば、これほっとくわけにいきませんよ。そこに無認可保育所というものが必然的に生まれてくるわけです。だから、無認可保育所というのは要らないということではなくて、やはりいまの段階では無認可保育所というものが果たしている役割りという存在の理由というのはやはりあるんだということから私は問題を出発させたいと思うんですけれども、その点大臣は無認可保育所に対してどういうふうにお考えになっていらっしゃいますでしょう。
  211. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) できるだけそういった無認可保育所がなくても済むように認可保育所を増していくべきだと、かように考えております。
  212. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 理論としては増していくべきだということは当然のことなんです。しかし、私が伺いましたのは、いまの時点ではそれがございません。ございませんから、無認可保育でも入れなければ赤ちゃんは見てもらえないという、その当然見なければならない役割りを無認可保育所がとって実際やっているわけですね。そうするとやっぱりこの無認可保育というのが要らないんじゃなくて、これはもうもっとよりよく施設もして、そして、認可へまでいく努力はそれぞれやっていらっしゃいますけれども、いまの段階においてこの無認可保育というものの果たす役割りというものをどういうふうに評価していらっしゃいますか、現実の問題としてお伺いしているわけです。
  213. 松下廉蔵

    説明員(松下廉蔵君) いま小笠原先生からお尋ねのございました無認可保育所をどのように考えているかという問題でございますが、基本的な考え方といたしましては、大臣からいまお答え申し上げましたとおり、まず法律に基づきます認可されておる、換言すれば児童福祉施設としての最低基準を備えております保育所、必要な子供さんに対して全部収容できるだけの保育所をできるだけ早くつくるということが基本的な考え方であろうと存じます。そういう方針につきましては、これはすでにことしから発足しておりますので過去におきましてもお答え申し上げておるかと思いますけれども、現在保育所定員というものが昭和四十五年度末で約百二十五万人でございます。それで、私ども今後の婦人労働状況等も推計いたしますと、大体昭和五十年度末までに百六十二万五千人くらい推計いたしております。したがって、あと三十七、八万の保育所を早急に増設しなければならない。そういうことを前提にいたしまして、すでに昭和四十六年度から緊急整備の五ヵ年計画を発足させまして、その整備を進めておる段階でございます。これが基本的な一つの問題でございます。ただもう一つは、先生ただいま御指摘のように、現在無認可保育所が、企業内のものを別といたしましても二千弱の無認可保育所があるということを私ども大体調査いたしております。そういった保育所についてどういう措置をいたしていくかということでございますが、いま先生御指摘のように、やはり社会のニードがそれだけあるということで、おかあさん方あるいはそれに協力される保母さん方が非常に苦労されまして、自分たちの力でいろいろと施設をつくり勤労奉仕的な働きをなさって運営しておられることはよく承知いたしております。ただ、やはり保育所の性格から申しまして、これは本質的に児童のための施設であるというところから考えますと、その児童の福祉施設としてこれ以上を下回ることのできない最低基準というものは、どうしても考えなければならないと思います。で、そのための児童福祉法に基づきます省令が児童福祉施設最低基準令でございまして、その最低基準に合うような形でできるだけ保育所運営していただきたい。これは子供のためにも譲れない大原則でございますので、従来、実は保育所定員は六十名を基準といたしておりまして、六十名以上でなければならない。ところが地域実情から申しますと、交通事情、あるいは過密、過疎地域等の事情から、なかなか六十名まとまってかなりの地域から集まってくるということが困難なような事情もございます。あるいは過疎地域等では、いままで六十名以上子供がいたんだけれども人口が減って定員割れを生じているというような事情もございます。そういったところから、三年ばかり前から小規模保育所という制度を設けまして、定員三十名のものにつきましても認可をいたしまして措置費の対象にする。これは当然、かなり通常の保育所よりも措置費の額が上がるわけでございますが、そういった制度を創設いたしまして、できるだけ最低基準を満たすように無認可保育所の方々にもお願いいたしまして、そういった小規模保育所の規格に合うように無認可保育所改善していただく。そのために融資あるいは助成等の措置もとっておりまして、そういった手段によって無認可保育所の中ですでに認可を受けられたところも百に余っております。そういった二つの方法によりまして、とにかく社会の必要なニードを満たすと同時に、また、その内容といたしましても、児童福祉の最低の要請を満たすというかっこうで並行して進めてまいりたい、かように考えております。
  214. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 たいへん御丁寧にお教えいただきましてありがとうございます。いま局長さんおっしゃいましたこと、私のほうも大体わかっていて御質問申し上げているわけなんで、きょうはひとつ大臣の立場からいろいろとお答えいただきたいと思って、大臣からという御指名をしたわけでございます。で、いま局長のほうからのお話によれば、やはり無認可保育というのも社会のニードからと、現実の問題としては必要だということはお認めいただいた御答弁だったと思うわけですけれども、私のほうから申しますれば、当然この無認可保育というのはいま現在では大きな役割りを果たしている。その大きな役割りを果たしている無認可保育が、いろいろ設備や条件というのは決してよろしくはございませんで、私たちも、運動している者として、基準をここまで下げてくれと言っているんではなくて、いま無認可保育でもうほんとうに必要に迫られてやっているけれども、これをもっといい基準にして子供のしあわせも守ってやりたいという立場に立っているわけなんで、それでいま局長のほうから三十人の小規模保育というのが三年前からできたということで、これは一歩進んだたいへんけっこうなことだと思いますけれども、そこまで上がってこい、そうすれば措置費も出すよというのはわかっているんですけれども、そこまで上がれないで悩んでいるのがいまの無認可の状態なわけなんですね。そこで、現実の問題として、三十人以下で、そしていま非常に財政的にも困難をかかえているというのが無認可のいまの問題なわけなんですよ。  そこで、大臣にお伺いしたいと思いますんですけれども、これは私が言ったり、また運動している者が言ったんではなくて、大臣の諮問機関である中央児童福祉審議会、中児審でも、もう三十七年――第一回は三十七年ですね、第二回目は三十八年の七月ですか、二回にわたって、「保育問題をこう考える」ということで中間報告というのが出ております。大臣自身の諮問機関でさえも――ということばをあえて使わせていただきたいと思いますけれども、ここで「無認可保育所のあつかい」というのが出ております。で、こういう無認可保育の場合は行政的にとらえられていないけれども、児童の福祉を守るためにはその内容について指導監督する必要がある。そしてそういう無認可保育についてはいろいろと苦しんでいるんだから、財政的に苦しい場合には設備の改善のために公的補助ないし融資制度などが検討されるべきである、大臣の諮問機関である中児審からもこういうふうに出されているわけです。これ出されましたのが、先ほど言った三十七年、二回目が三十八年ですと、もうそれから八年たっているわけなんです。八年たって、そこでどういうことなんだろうとことしの予算を見ましても、これに対して私どもの言う、いま困っておる者に対しての予算も組まれていない。八年何にもなすっていただけない。行政的にやっていただけないことが、こうやってさっきのような事件を次々と生んでいくとなれば、これはたいへんなことだと思うんです。  そこで大臣――局長さんの御意見はわかりました。大臣にお伺いしたいと思いますけれども、こういうのが出されてから八年もたっている。そして、現実にこんなに要請があり、こんなに無認可保育所が出てきておる、そして、問題がたくさん出てきている。にもかかわらずこういうものに対しての具体的な対策というものが現在なされてきていない。これらに対してどういうふうに考えていらっしゃるのか、大臣からお答えをいただきたいと思います。
  215. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) この点は、先ほどもお答えいたしましたように、やはり認可保育所を増設して、そして無認可の保育所がなくてもいいというように持っていくべきではないか、こういう方向でいままでも進んでまいりました。しかし、いままでのような速度ではいつになったら無認可保育所がなくてもいいようになるか、これではいけないというので、少なくとも五ヵ年内には無認可の保育所がなくてもいけるようにやりたいというので、そちらのほうに力を注いでおりまして、現在の無認可の保育所補助金を与えるとかというような点はただいままでのところは考えておりません。
  216. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 お考えとしては、五年間の計画できちんとした保育所に入れたいというお考えはわかったんです。そうすると、五年間というのはしようがないから待っていろというわけなんですか。こういう犠牲が起きても、これはしようがない。そういうものに対して財政的にもいま手は出せない、こっちのほうがたいへんだ。こういうことに結果的にはなってしまうんですけれども、まず大臣のお考え、五年間ではこうなんだ、この五年間できるまで待っていなければならない、犠牲が起きてもしようがない。こういうふうにお思いになっていらっしゃいますか。
  217. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 五年間全部待っているわけではございませんで、毎年……。
  218. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 三十九万六千入れるまでにはやはり五十年までかかりますね。
  219. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 全部がなるまではそうなりますけれども、毎年それだけ減っていくわけですから……。
  220. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 残された者は、結局だれかは最後は五年間というものはほうっておかれる。
  221. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) ちょっとやりようがないように私は考えております。
  222. 松下廉蔵

    説明員(松下廉蔵君) ちょっと補足さしていただきたいと思いますが、基本的な方針といたしましては、ただいま大臣からお答えいたしましたとおりでございますが、先ほどお触れになりました中児審の中間報告に基づきましての施策でございます。先ほども申し上げましたように、その後いろいろ専門家等の検討も経まして、四十三年から実情に合うように小規模保育所という制度をつくって、したがって、無認可保育所に対しても認可保育所になり得るような整備をいたしますための助成あるいは融資等は、中児審の御意見のとおり進めておるわけでございます。先ほど先生も御指摘になりましたように、やはり施設設備等の最低基準につきましては、これはやはり子供のために不可欠のものでございますから、いかに小規模のものでありましても、いまより低くするということは困難でございます。またその面は助成等によりましてある程度整備可能なものであろうと思います。やはり問題になりますのは、一つは定員の問題ということになろうかと思います。こういったことは、やはり保育所が現在のような集団保育の形式をとっているということは、これは一つのやはり学問的な理由によるものでございますし、またやはり保育事業というものを効率的に行ないますための一つの制約にもよるものでございます。ただ、現在の三十人というのが、現在までのところ検討いたしました段階では、一応最小限というふうに考えられておりますが、こういった問題につきまして、先ほど御指摘のような小規模保育所実態あるいは地域実態等さらに調べまして、こういったことがさらに改善される余地があるというような結論が出ましたならば、そういった面につきましてさらに考慮いたしまして、もっと現在のものにつきましても助成し、早く認可保育所になるような方策をとるというようなことは、私ども並行して検討しなければならないと考えております。
  223. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ちょっと角度を変えてお伺いしたいと思います。  先ほどの死んだ赤ちゃんですね、おとうさんもおかあさんもお医者で、そうして、養う人がいないということで預けていったわけですけれども、この赤ちゃんは児童福祉法二十四条にいういわゆる保育に欠ける児童というものに該当すると、私はそう思うのですけれども、いかがでしょうか。
  224. 松下廉蔵

    説明員(松下廉蔵君) 両親ともフルタイムの勤務をしておられるという状態にありまして、なお、家庭に別に保育を担当する者がいないという事情があれば、二十四条に該当する者であろうというふうに思います。
  225. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それでは、いま具体的に実例を出しましたけれども、実際に保育に欠ける児童というのがたくさんいま出てきているわけでございます。で、大臣にお伺いしますけれども、この保育に欠ける児童はだれに措置する責任があるのでしょうか、法的に措置する責任があるのかどうか。大臣のほうから、局長さんのほうは大体わかりますので、まず大臣から伺います。
  226. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) ただいま市町村長ということになっております。
  227. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 市町村長というのが法的に責任を持つと、こういうわけですね。そうすると、市町村長だけに責任があって、国は責任がないのでしょうか、同時にそれについての責任を持つという立場なのでしょうか。
  228. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 市町村がやります場合に国ができるだけ援助をするというたてまえをとっております。
  229. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 「できるだけ」というのは、やってもやらなくてもいい、やれればやる、やれなければやらない。そういう立場ですか。
  230. 松下廉蔵

    説明員(松下廉蔵君) 法律の解釈でございますので、所管の私からお答え申し上げたいと思います。  いまの法律のたてまえから申しますと、先生御指摘のように、児童福祉法二十四条の条文としましては、「市町村長は、保護者労働又は疾病等の事由により、その監護すべき乳児、幼児又は第三十九条第二項に規定する児童の保育に欠けるところがあると認めるときは、それらの児童を保育所入所させて保育しなければならない。但し、附近に保育所がない等やむを得ない事由があるときは、その他の適切な保護を加えなければならない。」という条文でございまして、したがって、御指摘のように、その保育所の措置をする第一次の責任者は市町村長でございます。それで、保育所の設置につきましては、これは法律上義務規定がございません。ただ現在の実情といたしましては、非常に小地域の住民のための児童福祉施設でございますので、実例といたしましては、現在七割程度のものが市町村によって設置されておりまして、三割ぐらいが私立のものになっておる。なお、そういったものの建設につきましては国が二分の一、それから、措置の費用につきましては国が十分の八という高率補助をいたしまして、それに対する国の姿勢を明らかにしておる。それが法律のたてまえでございます。
  231. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そうしますと、保育に欠ける児童については法的な措置をするという立場に立って、そうして、市町村が当面の責任を持ってやるということの解釈でよろしゅうございますね。
  232. 松下廉蔵

    説明員(松下廉蔵君) はい。
  233. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それで、それについていろいろ財政的な措置をするという責任は国にも何条でしたか、国庫の負担がありましたね。十分の八というようなことで財政的にも国が裏づけていかなければならないと。つまり、その保育に欠ける児童というものは、地方自治体や国も含めての公的な責任の上で措置するということになるわけだと私も思ったのですけれども、それで間違いございませんですね。
  234. 松下廉蔵

    説明員(松下廉蔵君) はい。
  235. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 はい、ありがとうございました。  そこで、またきょうはその赤ちゃんを例にとっていきたいと思うのですけれども、この赤ちゃんは進んで、好きで無認可に行ったわけではないわけですね。やっぱり認可されたちゃんとした保育所に入れたかったと。だけれどもだめだったということで、この無認可のほうに行かなければならなかったということで、結果的にはいまおっしゃったように公的に措置しなければならない、措置してもらえる権利があるのだけれども定員とか何とかではいれなかったということで無認可に来たということになりますよね。そうすると、この無認可というのは、公的措置をすべきものを、いまの補助する立場でやっぱり存在しているということになると思うのですよね。そのただし書きのところですね、いまお読みになりました二十四条の「但し、附近に保育所がない等やむを得ない事由があるときは、その他の適切な保護を加えなければならない。」これがすなわち、「その他の適切な保護」というのは、無認可保育といういまの立場でできている、これも該当していくというふうに私は思うのですけれども、そのただし書きの項についての明快な御答弁をいただきたいと思います。
  236. 松下廉蔵

    説明員(松下廉蔵君) 現在、このただし書きに該当するものとして考えておりますのは、法律に基づきます正規の認可保育所以外の、たとえば農繁期等で一時的に保育に欠けます場合のいわゆる季節保育所、あるいは学童でもっていわゆるかぎっ子のように、学校から帰ってから保育に欠けるという事情がある場合の児童に対する児童館における児童厚生の運動としての指導、そういったものがこのその他の措置として考えられておるわけでございます。  それで、いまお尋ねの無認可保育所に対して預けることがこのただし書きによる措置になるかどうかという御質問でございますが、先ほどから申し上げておりますように、やはり保育所に対する保育の措置というのは、私どもといたしましては、児童福祉法全体の精神から申しまして、やはり児童福祉施設最低基準に合致する正規の認可保育所において保育されるということでないと、保育所における保育という形態における適切な措置と考えることはなかなかむずかしいと思いますので、やはりまず前提といたしまして、そういった保育所の内容を向上させていただくということと並行して、こういった、いま御指摘のような保育に欠ける状態というものを、解消していくのが本筋ではなかろうかと考えております。
  237. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 このただし書きのところなんですけれども、たとえば大阪府の寝屋川というところがございまして、この寝屋川で無認可保育所対策として、二十四条ただし書き活用というのをつくっているわけですね。これは寝屋川簡易保育施設という名前にしております。無認可というのではなくて簡易保育施設と。それに対する助成ということをやっているわけなんです。私は、やっぱり二十四条のただし書きというのは、こういう立場で活用されて、そして助成されて、そしてそれがよく、より早くいい基準に持っていけるような、いい保育ができるように援助するのが、この法の趣旨に基づいてのただし書きの活用だと思うわけですね。現実にこういうのをやっていますし、東京では御承知のように保育室制度というものを設けられて、一人についてわずかですけれども二千円、保母さんに年四万円というような助成を出していくというようなことは、私は、これはたいへん一歩前進の、前向きの行政措置だと思うのです。そういうのが地方にも現実に出てきておるということが正しいし、前向きだと私は思うのですけれども、大臣もそう思っていただけるかどうか。もし、思っていただけるのだったら、地方自治体の苦しい財政で、そこまでやってたんだとすれば、国としても、この二十四条というものを考えて、前向きにこういう措置を何らか考えたいと思っていただけるかどうか、大臣のお考えを伺わせていただきたいと思います。
  238. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 市町村等で、いろいろな助成策をやってもらっておることは非常に望ましいことだと、かように考えております。私も市町村等にそういうように、今後一そうやってもらうように、お願いをいたしたい、かように思っております。
  239. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それで国としてはどうお考えですか。
  240. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) 国としては、やはり一定の基準がありませんと、なかなかこれはむずかしい。ことにこれは、福祉法人というような形になれば、国は補助金を出す道がありますが、個人に補助金を出すというわけにもまいりませんし、そういう点は、法制上からもむずかしいと思っております。市町村がそういう財政措置をやってくれますように、これは自治省の、いわゆる交付税の算定基準の中にも入れてやってほしい、かように要望いたしておるわけでございます。
  241. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いまの大臣の御答弁の中から二つの問題を伺っていきたいと思うのです。一つは先ほどから何回も繰り返しておりますように、基準に引き上げていきたい。というのは無認可保育はいま一番おかあさんも保母さんも努力しているところなんです。そこまでいくためにも、何らかの財政的な措置をしてもらわないと、そこまでいけないという苦しさがあるから、だから、これに対して、いまの地方自治体でも、進んだところは補助してくれていると、そうすると、当然、そこへこいこいというのじゃなくて、いけるような措置を、国としても出してもらいたいというのが私たちの要望なんです。それは、財政的な問題から、予算の関係から出せない。これはたいへん好ましいのだけれども、予算の関係から出せないとおっしゃるわけですね、一つの問題としては。基準にくるまではやはり責任上、そういう基準に合わないところへは出せないと。私のほうは基準にいくまでにその措置をしてほしいというところで、上と下とから問題が出てきているわけです。どっちにしても私たちは基準までいきたい。国のほうは基準までこいといっていらっしゃるのですから、ここでは一致しているわけですね。だからいくために、財政的な措置を私のほうはしてくださいとこう言っているわけです。それについては、して上げたいのだけれども、予算的にそれができないのだというお答えになると思いますけれども、これも一つ確認させていただきたいと思います。  それからもう一つ、法制上とおっしゃっておりましたね。財政措置をするために、それはいわゆる八十九条の問題で、自治省からあれがあった、あの問題をおっしゃったわけですか。認可されてない保育所に対して、予算を入れるということは、憲法の八十九条に反すると、そういう意味でおっしゃったのでしょうか。法制上問題があるとちょっとおっしゃいましたね、認可されてないところへ予算を出すということについて。
  242. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) いまおっしゃいますように、公の施設ということになりませんと、国が補助金を出すわけにはいかないという点を私は申し上げたわけです。
  243. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それは東京で保育室制度なんかやって、補助金出すときなんか問題になりましたよね。公の施設でないと、認めてないところへ出すということは、八十九条違反だというようなことを言われて、私たちずいぶん苦しめられたわけなんですけれども、その点について、根拠はやはり八十九条でおっしゃっておるわけですか。公でないところに出せないというのは、法的根拠はどこになるのですか、八十九条ですか。
  244. 松下廉蔵

    説明員(松下廉蔵君) 憲法八十九条で、御指摘のような規定が「公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業」に対する公的な援助というものは禁止されております。それから、地方自治法にも同様の規定があるわけでございます。それで、御指摘の東京都等におきまして行なっておりますのは、結局児童一人に対する幾らの措置費という形で行なわれておるように聞いております。これにつきましての自治省の解釈は、必ずしも違法とは言えないかもしれないけれども、交付金の支出として必ずしも好ましくないという、これは非公式の見解でございますので、ここで公に申し上げるのは多少はばかりがあるかもしれませんが、私どもそのように聞いております。
  245. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 たぶんそういう問題だろうと思って、私のほうも聞いてみたんです。で、いま自治省の見解、非公式だとおっしゃいましたけれども、やっぱり法に対する見解というのは内閣法制局というものに責任もって出してもらえると思いまして、内閣法制局へ聞きました。それで、内閣法制局としての見解では、本来当然公的に措置すべきものを、やむを得ず個人などに委託した場合は、八十九条に抵触しないというのが内閣法制局の見解なんです。で、私は、自治省が何か言ったか知りませんけれども、やっぱり法の解釈については内閣法制局のこの見解をとりたいんです。それは私に対する答えだけではなくて、私、文部省のほうの幼稚園のことをずっと比較してみたわけですけれども、幼稚園では委託費補助に対する費用というものを今度組まれているわけですね。文部省のほうの私立幼稚園に対する委託費補助。ということは、内閣法制局での見解どおり、公的に措置するものができなくて、個人や私立なんかに、私の立場に立つ者に委託した場合には、それに対する補助をすることは別に法にはさわらない、触れないということで、文部省はこれを前向きに検討して、そして委託費補助というのを出しているわけなんですよ。だから、私は、文部省がそこまで前向きにいったんだから、競争するわけじゃありませんけれども厚生省も前向きにやってもらって、法に触れないんだし文部省もやっているんだから、補助をするという立場に立ってお考えいただきたい、前向きにお考えいただきたいというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
  246. 松下廉蔵

    説明員(松下廉蔵君) 恐縮ですが、法律問題、入り組んでおりますので、私から一応申し上げまして、あと大臣からお答え申し上げます。  いまの御指摘の点、二つの問題があろうかと思います。そういう保育所なり私立の幼稚園というものに対する、それ自体に対する補助ということになりますと、やはり公の支配に属しない慈善、博愛、教育の事業に対する補助ということになりますので、したがって、先ほど御指摘のような、いまの無認可保育所基準に合うように引き上げるための施設等の補助ということになりますと、これはやはり、少なくとも社会福祉法人なり認可保育所になるという前提がございませんと、補助することがやはり法に触れるということになろうかと思います。それから一方、御指摘のように、保育所におきましても、個人立の保育所も現在認可されておるものがございます。そういうものに対しましては、設置費、設備費等の補助は出しておりませんが、この二十四条の本文に基づきます措置費は対象にいたしております。そういう意味で、おっしゃるように、個々の児童の措置に関する委託費的なものを支出するということは法律上は違法でないということは、私どもも承知いたしております。ただ、やはり、初めの話に戻って恐縮でございますが、児童福祉法全体の精神から申しまして、国の措置費によりまして、公費を支出して子供の措置を委託するという内容が、子供さんによりまして、あるいは保育所によりまして内容が二段階になるということは、これはやはり児童の人権ということから考えまして適当でない。そういうような形が定着いたしまして、この低い基準でもいいような錯覚を与えるということも、非常に子供のためにも大局的に見てよくない面もあろうかと存じます。そういうような意味で、私どもといたしましては、基準等も並行して検討いたしながら、やはり基準に合うような保育所にできるだけたくさんの無認可保育所整備していただきまして、正規の措置費が全額出せるような方向に持ってまいりたい、そういう趣旨でございます。
  247. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ時間もだんだんなくなりますので、いま問題になりました基準のほうから入っていきたいと思うのですけれども、やっぱり基準が三十人ということで小規模保育を進めたとおっしゃっておりましたね。その三十名というところの根拠はこのどこになりますか。
  248. 松下廉蔵

    説明員(松下廉蔵君) これは児童福祉施設最低基準令では必ずしも三十名、六十名という基準が明記してございません。実は先日の中児審の意見具申でもはっきり述べられておりますように、現在の児童福祉施設最低基準がだいぶ昔に制定されたものでございまして、これは私どもの多少怠慢と言えばそういうことになりますので申しわけないのですけれども、すでにもう相当検討しなければならない時期にきておるわけでございます。したがって、その人数につきましては、必ずしも最低基準令の明文と合っていない点がございますが、その後のいろいろな専門の学者の検討等を経まして、現在のところは、この措置費の交付基準という形で三十名という基準を置いております。
  249. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いまおっしゃいました児童福祉施設最低基準の中の五十一条に「乳児又は幼児を通じて三十人未満を入所させる保育所には、」ということで、ここで五十一条で三十人ということでちょっと数が出てくるわけなんです。それで一応三十人というのが根拠になっているのかというふうに見ていったわけなんです、私のほうとしては。それでずっとあとにいきますと今度五十八条が出てきたんです。五十八条によって「乳児又は幼児通じて十五人未満を入所させる保育所は、この省令の精神を尊重して運営しなければならない。」こう書いてありました。そこで、私はなかなかいいところが出てきたと思って喜んじゃったわけなんですけれどもね。結局いま三十人ということなんだけれども、この五十八条からいえば、ここに書かれているように前に設備ですね、広さだとかいろいろな部屋だとかいうのがあります。この部屋についてはこれ全部なければならないというわけではないというのが一つ出てきていますからちょっと助かるところがあるんですけれども、こういうような一応の設備をやって努力していけば十五人のところでも、この省令の精神に基づけば十五人でも設置の最低基準に入るわけですわね、すなおに解釈していきますと。そういうふうに私は考えられたんですけれども、その辺のところはどうなんでしょうか。
  250. 松下廉蔵

    説明員(松下廉蔵君) 実は先ほどからおわび申し上げましたように、この最低基準が制定以来かなりの期間手直しされておりませんために、その後の研究に基づきます保育理論から申しますと多少実情に合わない点がございます。ただ、こういう点は学問の進歩あるいは社会の実態等をあわせまして相当流動する性格のものでございますので、現在の段階ではやはり三十人が最低のものであるということを私ども専門家からも聞かされておりますが、なお行政は社会の実態等に即応してまいらなければならないと存じますので、今後さらに検討いたしまして、さらに小規模なものにつきましてどのような最低基準を設けることが可能であるかあるいは不可能であるか、そういった点を至急に検討いたしたいと考えております。なお、これは先日の中児審の御意見もいただきまして、こういった保育所の問題については非常に重要性が高いので、厚生省にもプロジェクトチーム等をつくって検討するようにという御示唆がございまして、早急に私どもプロジェクトチームをすでにつくって作業を開始いたしておりますので、そういった中で専門家の御意見も入れて検討させていただきたいと思っております。
  251. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いろいろ専門家の御意見を伺ってくださっているのはありがたいと思いますけれども、私たちも必要に迫られましてだいぶ専門家になっておりますので、私のほうの意見もぜひ取り上げていただきたいと思うのです。私がいまお伺いしたいのは、この法の解釈をこのままでいけば、この五十八条の十五人未満でもというところが生かされて、前項五十条にあるような施設を私たちまた一生懸命努力をいたします、それでその努力の結果これだけの広さや何かの施設ができたら十五人未満でもというこの五十八条が適用されて、そして、最低基準で認可する条件というものが法的に言えばできるのではないかと私は思うのですけれども、違いますでしょうか。
  252. 松下廉蔵

    説明員(松下廉蔵君) 条文の面から申しますと確かに御指摘のとおりでございまして、その点は再度おわびを申し上げますが、多少この省令の条文自体がその後の検討によります運用と合致しない面がございます。この省令をそのままにいたしまして、この規定を活用することが適当であるか、あるいはどうしてもこういう小規模のほうは保育理論の上から無理があるのか、その点はもう一度早急に詰めまして、もし必要なものであれば、この条文の改正等も至急にいたしたいと思っております。すでに中児審の御意見の中でも最低基準の改正も必要であるという、どの点ということは触れられておりませんけれども、総括的な御指摘もございますので、これ全体をもう一ぺん見直さなければならない、そのように考えております。したがって、いま御指摘のように条文の形式といたしましては確かにおっしゃるとおりなんでございますが、いまの運用の実態といたしまして、直ちに十五人未満のものについて申請がございましても、いまの交付金措置費実態等から申しましても、認可の対象とすることは困難であろうと思います。
  253. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ちょっとたいへんな問題が出てきちゃうんですけれども、そうなると私は法治国家だから法を守って進もうと思う。これはこの法のここにちゃんと出ているんですよ、ちゃんとここに。こうやっていけば確かにそのとおりになりますと、いま局長さんはおっしゃったわけです。しかし、これ自体がいろいろと保育理論の上からも問題がありますから、だから、いま早急にこれをたてにとって、これが十五人だから認可してくれと言われても認可できませんと、こういうことになるわけですわ。はっきり結論を言いますと、そうなります。この省令は全然無視されるわけですか。法律が一片の、役に立たなくても入っていることになるんですが、これは問題になりませんか。私たちは法に従って基準を押えられて、法に従ってうんと苦労してきているんです。だからなるべく法に従って努力して基準までたどりつきたいと思って、ちゃんとここに法があるのに、この法を適用しても、法律的には適用になるけれども、これを運用する場合にはできませんとなりましたら、運用する場合の根拠はどこにあるんですか。
  254. 松下廉蔵

    説明員(松下廉蔵君) 先ほども申し上げましたように、現在の保育所基準といたしましては、この法律に基づきます抽象的な最低基準と同時に、予算の面の交付基準等も同時にこれは法律に基づく委任事項でございます。そういった面等、両面からの規制がなされております。これは御承知のとおりでございまして、ただその両者が現段階において一致していないという点につきましては、もう少し早くそういった面は省令の手直しを行なうべきであったという御指摘でございますならば、これは私どもといたしましても怠慢の責任は感ぜざるを得ないと思います。この点はおわびを申し上げなければならないと存じますが、現在の段階におきましては、先ほど申し上げましたような運用をいたしておりまして、この省令の内容につきましても早急に再検討を指摘されておるわけでございます。
  255. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 なかなかむずかしくてわかりにくいのですけれども、私はこれを直して十五人削っちゃえなんといったらたいへんなことになると思うんですよ。私のところはここを削られれば困るわけです。五十八条で十五人未満でも、この未満でもというふうに生かされているこの方法に従って――保育理論についてはいろいろな意見があります、早急になんとおっしゃっても、その保育理論について早急に一本なんということにはなかなかまとまらないと思うんですけれども、私としては局長さんあくまでも法で公正に行政はしていただきたいわけなんだし、していただきたいというような気持ちではなくてするべきだと思うんです。行政当局として、またおたくのほうとしては、これはたいへん不備でございましたと、早急に検討いたしましてから、省令などにつきましても変えていきたいと思いますから、いまのところここに省令がありますけれども、これでは運用できませんということは許されないと思うんです。行政というものはこういうものによってやっていらっしゃるんでしょう。これ、都合悪い、理論的におかしいからかえてしまおうなんといったら法体系はめちゃめちゃになってしまいます。ですから、私としてはいまの正しいやり方としては、この五十八条に書かれているように十五人未満でも、いろいろな設備をして、そして基準に近づけていく、ただ人数等の点で三十人というのが十五人ということで五十八条に出てくるわけですが、そういう場合に、努力していったら、まずその十五人のところで認可して、そうして、措置するという、救済ということは、当然法のたてまえからいってもしなければならない。それなのに、この省令は検討したいからこれは運用できませんというのでは、これは全く法の無視になってしまいますよ。そうじゃないですか。
  256. 松下廉蔵

    説明員(松下廉蔵君) この省令の条文につきましていろいろ御指摘をいただきました点、先ほどからおわびを申し上げておりますように多少不備があろうかと思いますが、私も先ほどから申し上げておりますように、三十人を金科玉条といたしまして、絶対にこれより少なくては未来永劫いかぬというところまで言えるかどうかは若干疑問を持っておりまして、先日来先生からいろいろ実情を伺っておりまして、そういった点も考慮に入れて、実態に即した運用にいたしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。ただこの最低基準は先ほども説明申し上げましたように、児童福祉法制定当時つくられたものでございまして、経過的にはその時点におきまして相当小規模のものも、従来ありましにものについては一応最低基準に合致するものとして認めなければならないという事情もございまして、各種の規定がつくられております。それはその後順次整備されておるわけでございますが、その時点において順次手直ししていくべきであったものが、そのまま残っておるというような事情もあるわけでございまして、まあいろいろ弁解いたしましても、そういう行政の運用なり、予算の執行と省令の条文が乖離しておるということは、これは行政当局者としての責任でございますので、おわび申し上げなければならない点でございますが、今後の検討といたしましては、私もこれを全部いますぐに削ってしまうということを申し上げておるのではございませんので、はたしてこの条文を活用するのが適当であるかどうか、ことはやはり児童福祉の問題でございます。できるだけ早く結論を出すような方向で検討さしていただきたいと思います。
  257. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そうしますと、結局いろいろ今後検討するということは、いろいろ私たちの意見も入れて検討していただきたいと思いますけれども、私の言っているのは、現実のいまの問題として、ここに法がこうあるのだから、だから、これに従って適用されればおたくのほうで認可をして、そうして、措置をしていただけるように、この法があるからには、この法を守る立場としての行政当局の責任でやっていただきたいということなんですよ。そこのところはいやだとはおっしゃれないと思うのです。これがあるのですから、現実に。大臣、そこのところいいでしょうね、大臣。
  258. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) この五十八条の、「十五人未満を入所させる保育所は、この省令の精神を尊重して運営しなければならない。」と、こうあるわけでございますね。したがって、十五人未満の保育所に対しても国が助成をすべきじゃないかと、これをまた認可をすべきじゃないか。そこにちょっと飛躍がありはしないかという気がいたすわけでございます。しかし、なかなか法律の解釈のようでございますから、私も小笠原委員の立場に立ちましてよく事務当局と詰めまして検討いたしたいと、かように存じます。
  259. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そういうことで、ここのところ私たちとしてもぜひ生かして、とにかく三十人までいかないでいま苦しんでいるのを何とか措置して、こういう赤ちゃんが死ぬなんということがないようにということからも、たいへんしつこいほどに申し上げたわけでございます。  もう時間がございませんので最後に申し上げますけれども、保育理論になりますといろいろな考え方があると思います。しかし、私たちとしましては大きいものほどいいというわけじゃなくて、やはり保育所というものは小さくて、心の通い合うよい保育をしたいと思っております。これは一度局長さんにもこの間お話ししましたけれども、無認可保育でどういう保育をしておるか、そこで私たちは子供に教育した結果、子供から教えられて、この小規模だけれども、貧しい施設だけれども、ここで子供たちをこんなによく育てられるという喜びがあるから、借金をかかえながら今日まで努力をしてきたわけなんです。そういうことを申し上げましても私たちのほうの立場でございますので、御納得いただけるかどうかわかりませんけれども、もう十年にもなりますけれども、国際公教育学会というのがございましたですね。各国文部省に対する勧告というのが出されているわけで、私もいろいろ国際的な立場からどういうふうに見ていらっしゃるかと思って、勉強させていただいたわけで、いろいろ参考になりました。その中で、この小規模保育の問題で私が考えましたところは、(34)のところですけれども、「子どもたちの安全を確保するために、あらゆる可能や手段が取られねばならない。すなわち町においては、就学前教育施設は、交通の危険を減じ、交通機関を使用することを避けるために、両親の家のそばに位置すべきである。」とこう書かれているところ。私は、十年前に出されたものだけれども、いま日本にはこれが一番大事なものだと、そう思いました。  またこの次の機会にお話したいと思いますけれども、子供の交通事故を見ましても、幼児なんかずいぶん犠牲になっております。そういうことから、保育所がそれこそ社会のニードによって多様化されていくと一緒に、非常に地域的にも分散して小規模化していく傾向というのは、これはもう好ききらいじゃなくていなめないと思うのです。そういう立場から、おたくのほうでも、今年度企業内の保育所というものに対しても新たに予算をつけられるというようなことにもなったと思うので、そういうことから見ても、理論上から見ても、やっぱりもう近所に、保育所というものは地域保育が原則で、職場保育所におかあさんと一緒にラッシュで子供も連れていくというのじゃなくて、地域地域に、私たちはこれはポストの数ほど保育所をという運動をしてきましたけれども、そういう保育所が私は望ましい。また、保育の教育の内容からいっても、子供さんを集団でたくさん保育所に入れて、その中でさっと給食を並べるというのじゃなくて、いろいろな教育の面から考えても、小規模がほんとうに保育の効果を上げるというふうな確信を持っているわけなんです。そうしますと、この五十八条の十五人というのが、決して保育理論上これが悪いというのじゃなくて、むしろ保育理論上もこれをもっと裏づけるものとしてやっていただきたいと、そう思うわけなんです。それは要請になると思います。これはもう早急にすぐというわけにはいかないかもしれませんけれども保育所、特に無認可保育に対して、委託費という形でいま地方自治体で出されているような形で、何とか国としても早急に予算をつけていただけるということを考えられないだろうかということですね。  最後にお伺いしたいのは、残念ながら今年度には一銭も出てないんです。企業内保育というのは予算ついていますよね。企業内保育よりも、この無認可保育のほうが歴史が古くて苦労してきているわけです。だから、企業内保育に予算をつける検討をされるときに、無認可保育はどうだろうかと検討されたのかどうか、全然無視されてきたのか――それじゃあもっと運動しなければなりませんから。そこのところを聞かしていただきたいし、いまお話しても、無認可保育は必要だということはわかっていただいたと思いますけれども、これについての、財政的な措置をとっていただくという見通しですね、私は今年度の予算ではどうしても――まだ決定でないから――無理だろうけれども、これからでもつけていただきたいと思いますし、その辺のところ、具体的に財政的な措置を考えていただけるか、どういうことなら考えていただけるかということを、大臣の決意と局長さんの、具体的な、その問題をお答えいただいて終わりにしたいと思います。
  260. 松下廉蔵

    説明員(松下廉蔵君) 事務的な点をお答えを申し上げますが、いわゆる事業集団保育施設に対する補助金との対比で、無認可保育所のことを考慮に入れたかどうかというお尋ねでございます。これは、お答えいたしますと、同じ内容になると思いますが、もちろん私どもといたしましては、企業内の保育所が約四百五十、地域の無認可保育所が約二千、当然考慮に入れて比較検討したわけでございまして、事業所内の集団保育施設につきましては、現在これは地域の通常の認可保育所の形態になじみ得ない、しかも、自然発生的にできておるものでありますために、むしろ、先ほど御指摘の二十四条のただし書きの市町村長の措置ではございませんけれども、それに準ずるような考え方で、その中で、保育される子供の保育の内容がよくなるようなことを行なわなければならない。また、そのための助成を行なわなければならぬ。これは通常の保育所の形態に乗せることが無理であるために、そういう形の予算を要求したわけでございます。一方、地域保育所につきましては、無認可保育所につきましては、先ほど来申し上げておりまするように、やはり、どういう最低基準を設けるかということは、累次申し上げましたように、今後もう一度再検討さしていただかなくちゃならぬ余地があろうかと思いますが、基本的な姿勢といたしましては、やはり子供さんについては、どこでも同じ保育が行なわれるということが最も望ましい姿でございますので、そういった認可保育所になり得るようないろいろな方法、手段を講じまして、無認可保育所の資質の向上をはかっていく。それと同時に、認可保育所になっていただいた段階で、きちっと正規の措置費を出して、運営を軌道に乗せていくということを中心にいたしまして考えておりまして、したがって、無認可保育所に対する特別な予算という形でなくて、一般助成金あるいは措置費のワクの中で、できるだけそういった形の指導を進めまして、数多くの無認可保育所を認可の対象にできるようにしてまいりたい、そのような考え方でございます。
  261. 斎藤昇

    ○国務大臣(斎藤昇君) ただいま局長から、無認可保育所に対する委託費も出せるように考えたいというお答えをいたしましたから、それであるいは御了承いただけるかもわかりませんが、なお、まだ御満足でないかのようにも思います。したがいまして、次の委員会までにさらに詰めまして、そうして結論をお答えいたしたいと、それまでひとつ検討をさしていただきたいと思います。
  262. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ、次の委員会までによろしくお願いいたします。
  263. 中村英男

    委員長中村英男君) 他に御発言もなければ、本件に対する本日の調査はこの程度といたします。     ―――――――――――――
  264. 中村英男

    委員長中村英男君) この際、理事の選任を行ないたいと存じます。  委員の異動に伴い、理事に一人の欠員が生じております。理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  265. 中村英男

    委員長中村英男君) 御異議ないと認めます。  それでは理事に大橋和孝君を指名いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十七分散会      ―――――・―――――