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1971-08-23 第66回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年八月二十三日(月曜日)    午前十時三十二分開会     —————————————    委員異動  七月二十二日     辞任         補欠選任      中津井 真君     園田 清充君      塚田 大願君     加藤  進君  七月三十一日     辞任         補欠選任      加藤  進君     塚田 大願君  八月十二日     辞任         補欠選任      塚田 大願君     星野  力君  八月二十三日     辞任         補欠選任      熊谷太三郎君     寺本 広作君      中村 英男君     鶴園 哲夫君      星野  力君     塚田 大願君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小柳  勇君     理 事                 小林 国司君                 松永 忠二君                 上林繁次郎君     委 員                 伊藤 五郎君                 寺本 広作君                 濱田 幸雄君                 増田  盛君                 鶴園 哲夫君                 宮崎 正義君                 高山 恒雄君                 塚田 大願君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        総理府総務副長        官        砂田 重民君        経済企画庁総合        開発局長     岡部  保君        環境庁自然保護        局企画調整課長  須田 秀雄君        法務省民事局第        三課長      批把田泰助君        国税庁直税部所        得税課長     早田  肇君        文部省管理局教        育施設部技術参        事官       大串不二雄君        厚生省社会局施        設課長      新津 博典君        農林大臣官房参        事官      大河原太一郎君        農林省農地局参        事官       住吉 勇三君        林野庁指導部長  松形 祐堯君        中小企業庁計画        部金融課長    高橋  清君        気象庁予報部主        任予報官     大野 義輝君        建設省河川局長  川崎 精一君        建設省道路局次        長        吉田 泰夫君        建設省住宅局調        査官       沢田 光英君        建設省住宅局建        築指導課長    救仁郷 斉君        自治大臣官房調        査官       福島 榮造君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠選任の件 ○災害対策樹立に関する調査  (派遣委員報告)  (本年七月の集中豪雨及び台風第一九号による  被害に関する件)     —————————————
  2. 小柳勇

    委員長小柳勇君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る七月二十二日、塚田大願君、中津井真君が委員辞任され、その補欠として加藤進君、園田清充君が選任されました。  また七月三十一日、加藤進君が委員辞任され、その補欠として塚田大願君が選任されました。  また八月十二日、塚田大願君が委員辞任され、その補欠として星野力君が選任されました。  また本日、中村英男君、星野力君、熊谷太三郎君が委員辞任され、その補欠として鶴園哲夫君、塚田大願君、寺本広作君が選任されました。     —————————————
  3. 小柳勇

    委員長小柳勇君) ただいまから理事選任を行ないます。  本委員会理事の数は四名でございます。このうちすでに三名は選任してございますので、残り一名について選任を行ないます。  理事選任につきましては、先例により、委員長指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 御異議ないと認めます。  それでは理事小林国司君を指名いたします。     —————————————
  5. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 次に、増田君から文書をもって、都合により、理事辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、ただいまの理事辞任に伴う補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 御異議ないと認めます。  それでは理事世耕政隆君を指名いたします。     —————————————
  8. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず本年七月の集中豪雨及び台風一九号による被害について政府から説明を聴取いたします。砂田総理府総務長官
  9. 砂田重民

    説明員砂田重民君) 御報告をいたします前に、今次災害でおなくなりになりました方々の御冥福をお祈りをいたしまして、罹災者皆さまへのお見舞いを心から申し上げる次第でございます。なお御苦労になっておられます地方公共団体皆さまにもまたお見舞いを申し上げる次第でございます。  御報告いたします。  梅雨前線豪雨によります災害の前半分につきましては、去る七月二十一日の本委員会におきまして御報告申し上げましたが、その後七月二十一日ごろから九州地方中心集中豪雨による被害がございましたので、これについて御報告いたします。  七月二十一日ごろから九州をほぼ東西に横切っておりました前線が活発化し、前線に近い九州南西部で雷を伴った大雨が降りました。この前線はその後南下、北上を繰り返し九州地方中心に中国・四国地方にも大雨を降らし、各地に河川の溢水、土砂くずれなどによる災害を起こしました。この災害によります九州地方被害は、死者二十五名、行くえ不明二名、負傷者三十二名、建物半壊流失二百七十三棟、床上浸水七千八百七十五棟、床下浸水二万三千五十棟、と相なっております。  この災害に対しまして警察消防機関及び自衛隊では、被災者救出救護避難誘導給水等実施いたしました。  また、熊本長崎福岡鹿児島の四県の五市六町一村に対して災害救助法を適用し、避難所の設置、給食給水医療等救助実施いたしました。  この災害を含めまして、六月初めから七月下旬までのいわゆる梅雨前線及び台風第一三号によります災害による被害をまとめますと、一般被害といたしましては、死者七十二名、行くえ不明六名、負傷者百七十二名、建物半壊流失四百四十五棟、床上浸水一万二千五十五棟、床下浸水五万六千五百二十五棟、罹災者四万二千七百六十七名にのぼりました。  また、施設関係等被害は、県報告によりますと、公共土木施設約五百八十億円、公立学校施設約三億円、農地農業用施設約二百十七億円、農作物等が約百十九億円、中小企業関係約二十一億円、その他約百七億円、合計約一千四十七億円にのぼりました。  政府は、これら六月二日から七月二十七日までの断続いたしました豪雨及び台風第一三号による災害激甚災害として指定することといたしまして関係政令を去る十九日公布いたしました。  この激甚災害に対しまして適用すべき措置として指定いたしました措置は、(一) 公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助(二) 農地等災害復旧事業等にかかわる補助特別措置(三) 土地改良区等の行なう湛水排除事業に対する補助(四) 公立社会教育施設災害復旧事業に対する補助(五) 私立学校施設災害復旧事業に対する補助(六) 市町村が施行する伝染病予防事業に関する負担の特例(七) 公共土木施設農地及び農業用施設等災害にかかわる地方債元利補給等  の各措置でございます。  また、特に中小企業関係被害の著しかった長崎県上県町、同じく長崎県の上対馬町、熊本県小川町、鹿児島県の阿久根市の区域を対象といたしまして(一) 中小企業信用保険法による災害関係保証の特  例(二) 中小企業近代化資金等助成法による貸し付け  金等償還期間特例(三) 中小企業者に対する資金の融通に関する特例の三つの措置を適用すべき措置として指定いたしました。  次に、台風第一九号によります災害について御報告いたします。  七月二十五日、グアム島の東の海上発生した低気圧は、七月三十日、硫黄島南西海上台風第一九号となり、八月四日正午には、枕崎の南の海上最盛期となり、中心気圧九三五ミリバールを示しましに。台風はその後九州西岸北上し、五日九時五十分、島原半島に上陸、有明海を通って同日十一時四十分に佐賀市の南に再上陸し、同日十三時福岡市西方から博多湾に抜けました。  この台風は、盛夏期に日本を襲った台風といたしましては、最強の部類に属し、また、通常の台風と異なり、九州に近づくにつれて発達し上陸後も衰えませんでした。この台風は、北上速度がゆっくりでありましたために、暴風時間も降雨時間も長く、降雨量が異常に多かったことが特徴であります。  この台風によります一般被害といたしましては、警察庁の調べによりますと、死者六十八名、行方不明一名、負傷者二百九名、建物半壊流失六百二十六棟、床上浸水六千六百十七棟、床下浸水一万一千四百九十六棟、罹災者二万四千九百十六名と相なっておりますが、事前対策として、特に早期通報注意につとめた結果、集団的な人的被害は避け得たのでございますが、山間部における散発的ながけくずれ等による人的被害が多数発生をいたしました。  施設関係等被害については、県報告によりますと、公共土木施設約二百四十億円、公立学校施設約四億円、農地農業用施設約六十九億円、農作物等約百八十九億円、中小企業関係約十七億円、その他約八十九億円、合計約六百八億円と相なっております。  この災害に対しまして、警察消防機関自衛隊及び海上保安庁では、被害者救出救護避難誘導給水等実施をいたしました。  鹿児島熊本宮崎の三県で、五市十町三村において災害救助法を適用し、給食給水のほか、医療及び生活必需品等支給等救助実施いたしました。  防疫対策といたしましては、薬品散布等を行ないました結果、幸い伝染病患者発生は見ておりません。  なお、関係各省におきましては、専門技術者などを早期派遣をいたしまして、応急復旧指導等に当たりますとともに早期査定実施の用意をいたしております。  この第一九号台風被害に対しまして、激甚災害指定を行ない得るかどうか、この点につきましては、今週末ごろには一応の答えを得たい、かような努力目標をきめまして、鋭意ただいま査定額被害額等調査結果の正確なものを把握することにつとめておりますことを付言いたしまして、報告を終わります。
  10. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 次に、当委員会が第六十六回国会閉会後、集中豪雨及び台風一九号による被害実情調査のため、過去三回にわたり委員派遣を行ないました。  これら派遣委員報告は、時間の都合で省略することとし、各報告書は本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  これより、ただいまの政府報告及び派遣により得ました問題について質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  12. 松永忠二

    松永忠二君 まず先に、建設大臣出席してないのは、これはどうなっているのですか。
  13. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 速記をとめて。   〔速記中止
  14. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 速記を起こして。
  15. 松永忠二

    松永忠二君 われわれは災害対策特別委員会があれば、当然当面、もちろん総理府もそうでありますけれども建設関係は最も被害が大きいところだから大臣が出るのは当然のことだと思っているわけです。また大臣が出られなければ政務次官を残しておくとかという措置がしかるべきところである。しかも建設大臣自身九州災害地視察をしているわけですよ。だからその非常に重要なことも考えて、自分自身視察をしているわけですからね、当然これは当日衆参災害対策特別委員会があれば呼ばれることであるし、当然出て説明をするのがあたりまえのことなんであって、二人とも出ていないなんということはまことにどうもおかしな話で、第一けしからぬと思うのですよ。そういうような点でわれわれはもう当然大臣が出てくるものと考えていたわけですけれどもね。そういうことのないようにしてもらいたいが、しかし建設省として、この災害についての総体的な考え方は当然もう明らかにできるものだと思うので、そういうことは聞いてみたいと思うのですよ。まあ特に災害特別委員会衆参にあって、日程がわかっているし、この二十三日の日程というのはもう相当早くからわかっていたことであるし、私たちの聞いた話では、建設大臣衆参から調査に行くのでやはり自分も見ておく必要があるということから出かけられたという話を聞いている。だから当然本日は出席をして責任のあるお答えをいただかなければいかんと思っていたところで、今後こういうことのないようにぜひしていただくように、委員長にもひとつ注意をしておいていただきたいと思うわけです。
  16. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 本日は、大臣出席委員長が要求しておりませんので、関係局長出席しております。したがいまして大臣関係質疑は次の機会に譲ります。
  17. 松永忠二

    松永忠二君 それでは、まず、総理府の副長官からお答えをいただきたいのですが、今度の七月集中豪雨、それから一九号台風被害調査ですけれども、また激甚地指定を七月集中豪雨関係でしたわけです。一体、この災害からどういう点を反省をされ、今後どういう施策が必要であるというようなことを結論的にお考えになっておられるのか、この点をまずひとつお聞かせをいただきたいと思います。この点については河川局長のほうから建設省全体——私は建設大臣が一回り見て歩いたので、この点について建設大臣としての考え方もあると思うわけでありますが、それはいま出ておられないけれども河川局長のほうから建設省関係を広く考えてみて、こういう点に反省があり、今後の施策としてこういうふうな施策が必要であるというふうなものがはっきりしていれば、建設省の広い範囲のことをお尋ねしたいし、もしそれができなければ、河川という一つの面から見て、どういう一つ反省と今後の施策考えておられるのか、この点をまず副長官のほうからお答えをいただきたい。そして河川局長のほうからもあわせてお答えをいただきたいと思います。
  18. 砂田重民

    説明員砂田重民君) 私のほうからお答えをいたしますことは、たいへん一般論的なお答えになるわけでございますが、技術的なことは後ほど建設省のほうからもお答えがあろうかと思います。  六月初めの梅雨前線から始まりまして一九号まで、この被害状況を私ども調査をいたしました被害結果を集めて私ども感じましたことは、ちょっといままで考えられなかったような雨量と申しますか、先ほど熊本県の副知事さんからもお話がございましたけれども、この程度の雨量というものを想定をしていろいろな防災工事ができていたことと思いますけれども、いままで考えていなかったようなたいへんな集中豪雨量と申しますか、こういった災害が起こったあと復旧対策のいろいろな問題は問題として防災的に工事をしておりました。その工事がそれでいいかどうか、こういうことを一ぺん全国的に見直してみる必要があるんではないかということを感じましたのが、私の持ちました感じ一つでございます。  それから、いろいろ御意見のあるところでございますけれども、きわめて急激な社会、経済の変化に伴っての非常な僻地に至るまで開発が進められておりますけれども開発よりは保全のほうがやはり大事なのだという考え方政府地方公共団体を通じて行政意識の中に残念ながらまだ定着をしていない。建築基準法というものを県なら県の窓口で扱われるわけでございますけれども、それを担当なさる方が忙しくもありましょうが、現地をなかなか見に行けないという事情等も実際問題としてはあると思いますけれども、この開発をするための建築基準法の執行よりは、防災を目的にしての、開発よりは保全のほうに重点を置かなければならないという基本的な考えのもとに建築基準法が運営されていない面もあったんではないだろうか。こういう国、地方公共団体を通じての行政にある者の意識というものがまだ定着をしきっていない、こういう感じを受けました。こういう意識を十分に徹底さしていくのがやはり中央防災会議一つの重要な任務であろう、そういう反省をいたしておるものでございます。たいへん一般論的なことでございますけれども、私が当面受けました感じお答えしておきたいと思います。
  19. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 私、一九号台風あとで、建設大臣のお供をいたしまして、非常に短時間でございましたので九州の全土を回るわけにはまいりませんでしたが、熊本鹿児島それから宮崎と、まあ代表的な災害地を大急ぎで視察をしてまいったわけでございます。その間いろいろ個々にわたっては問題点もございますが、私の所管いたしております河川関係につきまして、大ざっぱに感じたことを申し上げますと、中小河川あるいは一部大河川等につきましても、台風襲地帯でございます九州地域河川改修が非常におくれており、特に中小河川のおくれが目立つわけでございます。したがいまして、そういった中小河川改修、それから河川——本川改修に伴いましていろいろ中小河川本川に入ってまいります合流点地域で、いろいろ今度は堤防が進んでまいりますと、内水といったような問題も相当大きく出てきているわけでございます。したがいまして、そういった中小河川並びに内水対策等に今後重点を置いていく必要があるのじゃなかろうかということを痛感いたしました。  それからもう一つは、がけくずれによる人命被害が非常に多いということでございます。で、これにつきましては、御承知のように、急傾斜地崩壊による災害防止というようなことで法律もできておりますので、私どもはその法律趣旨に沿ってできるだけ防止工事を促進をいたしたいということで努力をいたしているわけでございますが、今回の被害を見てみますと、非常に戸数の少ないところに人命被害が起こっている、損失被害が起こっているわけでございます。現在私どもでいろいろ防止工事対象として採択いたしております基準をもっと拡大をいたしまして、そういった少ない戸数の人家に対しても国の援助ができるような措置が必要じゃなかろうかというようなことを感じました。ただし、やはりこの法律趣旨は、がけくずれ等によりまして相当数人命損失のある場合というようなことを基本的な考え方にいたしておりますので、これを二戸とか二戸とか、そういったものにまで拡大をしていくのには、やはりこの法律には限界があるのじゃなかろうか。したがって、そういったものについてはまた何らかの別の措置が要るのじゃないかというようなことを考える次第でございます。  以上、大要を申し述べまして、私の報告にいたします。
  20. 松永忠二

    松永忠二君 副長官に二点についてお伺いいたしますが、私たちも一応こういうふうな地域視察をしてみて、お話しのように急領斜地のがけくずれ、崩壊で死亡した人が相当あったことは事実ですけれども、県や市町村人命被害を最小限に食いとめる、こういうふうなために非常な努力を払っているという点については、私たちもよくわかったわけです。宮崎県からもいまお話がありましたけれども、ヘリを使って特に生物、植物の採集に行っている者が避難早期にすることができた、そういう事例を聞いてきたわけでありますが、これは当然なことであるけれども、非常な努力であった。しかもまた同時に予想せざる降雨量であったというようなことを考えてみたときに、まあお話しのように、防災工事の再検討をする必要もあると同時に、やはり的確な気象の観測というものを、予報の上に立った措置というものをやはりやらなければいけない。こういう点について、一体どういう状況であったと判断をするのか。  それからもう一つは、制度的に、いま河川局長のほうからは、制度の面にやはり検討すべきものがある。急傾斜地の問題が出ているわけでありますが、私たちもこの点について、ただ単にいまの制度でいいというわけではない。もう少しやはり  一歩前進したいわゆる新しい措置が必要ではないかというものを考えるものがあるわけなんですが、こういう点については、一体政府はどういう考えを持ってるんでしょうか。具体的に言えば、何を一体新たに制度として加えるべきである、こういうことは政府としてつくり上げなきゃいけないものだというふうに考えてるものがあるのじゃないかと思うんですが、この二点について——予想せざる豪雨の際における一体措置として何が一番留意をしなければいけない問題なのか、そういう点についての一体その体制というのは万全な措置ができてるのかどうか、こういう点についてと、いまの、制度的に新たに加えるべきものとして考えてるものがあるのかないのか、その点についてひとつなおお答え願いたい。
  21. 砂田重民

    説明員砂田重民君) 先生の御意見のとおりでございまして、避難命令と申しますか、実は一九号台風が近づきました時期にちょうど、梅雨前線被害によります、これを激甚に指定しようという作業をしておりましたので、中央防災会議連絡会議をたまたま一九号台風近しという時期に開きまして、そのときに各関係省庁消防警察等も入れて災害が予想される地区と申しますか、このきわめて局地的な気象状況をどうつかむというふうなことはまた気象庁のほうから技術的なお話もあろうと思いますけれども、私ども、私自身考えましたことは、県、市町村もたいへん人命を尊重しての避難誘導等努力をしておられますけれども、その一戸一戸について的確に危険だという状態が一番早くわかるのが警察ではないか、警察の駐在所等は一軒一軒の事情がみなつまびらかにわかってるわけでございますから。また避難命令という法律に基づいた命令権を発動するというふうなことはいろいろ問題もあろうかと思いますけれども避難を住民の方におすすめすることを逡巡してはならない、避難命令でなくても、避難指導だけはいち早くやるべきだということから、実は台風一九号の直前に関係各省庁、警察等も通じて実は末端まで流したようなこともございまして、避難命令早期に出したために、予想されたような大きな被害がなかった、避難をしただけ損だったという批判もまたあるわけでありますけれども、少なくとも避難誘導避難指導だけはおくれをとらないように、そういうことを末端まで指示を、指図をしながら実は一九号台風を待ったわけでありますが、そういうことから集中的な人的被害が今度は生じませんでしたことは不幸中の幸いであったと思うんです。そこで先生がいまおっしゃいました、きわめて局限的な戸数も少ないようなところで山間部で散発的に人的被害が出て、散発的にではあったけれども県ごとに取りまとめてみると、それはなかなか大きな数だという結果になったわけでありますが、建設省河川局長から御答弁がありましたように、急傾斜の指定建設省で行なっておりますけれども、これも各府県のお申し出によって行なっている現在の仕組みであります。またそれも五十戸以上とか、そういう基準が設けてありますために、なかなか府県から建設省のほうに危険個所がわかっていながら指定のお申し出がまだ依然としてたいへん数は少ない。いろんな事情もありますけれども一つには民間の開発意欲と申しますか、こういったこともまた一方において非常に盛んであって、開発をとるか保全をとるかというふうな問題にちゅうちょをしているということも、指定がおくれている一つの原因ではないかと思います。制度的には五十戸以上でなければ指定をしないというような基準の緩和を、制度的に当然建設省のほうでももうすでに取り組んでいるところでありますが、冒頭に私が申し上げましたように、人命尊重と申しますか、開発よりも保全重点を置いての行政運営、仕組みをつくりましても、制度を改善いたしましても、それを執行する行政の場にあります者の意識というものが、まず開発よりも保全重点を置いた運用をするのでなければ、せっかくの制度も生きてまいりません。こういう意識定着努力をしていきたい、こういうふうに考えているのであります。
  22. 松永忠二

    松永忠二君 まあ、あまり明確ではありませんが、そういう線に沿ってひとつあと少しお聞かせをいただきたい。  一九号台風についての激甚災害指定については、いま鋭意検討中であるというお話があったわけですが、これは被害の金額も鹿児島宮崎等で示した金額というのは相当な金額で、鹿児島百十六億、宮崎百二十一億というような被害額で、また市町村を調べてみると、予算規模が一億程度のところで災害のひどいところで六億とか九億という災害が出ている。あるいはまた一つの市で二十七億の被害額の総額を出しているところがある。これは必ずしもいまの段階で厳密なものとばかり言えないとしても、大体の額を示すものとしていまここで示された六百八億というお話がありますけれども相当な巨額になる。しかも鹿児島宮崎あるいは熊本その他の県にしても財政的な力というのは必ずしも豊かだとは言えない。したがって、市町村の中には全く過疎地帯の中で財政的に悩んでいる地域がある。そういう意味から言えば、激甚災害指定というものは当然であるというふうにわれわれは考えるわけです。政府が二つに分けて、特に同じ災害地で直ちに起こっているのにかかわらず、従来も二つの災害をあわせてやるというようなことはあるけれども、もうすぐそのまま次に災害が起こって、現に相当被害があるということがわかっているのにかかわらず、それを切り離して一体集中豪雨だけに激甚法の指定をしたというのは、その後の一九号について何か問題があるというふうに考えていた結果であるのか。われわれから見ると同じ県でほとんど集中的に流されたんで、被害の額は一年の中で総額としていわゆる経済的な圧迫を受けるわけだから、当然トータルをしてすぐ災害がわかっていることであるので、あわせて十分な措置考えられていくのが至当だというふうに思っていたわけですけれども、われわれからいうと、ちょっと離したこと自体に何か特別の意図があるのかどうなのか、そういうことは全然ないのか、そして激甚災害というもの六百八億ですから、相当な金額でもあるし、当然なことなので、そういう意図が全然なしに、防災会議どもいつごろ開催をしてこれを処理をするつもりなのか、この点をなぜ離したんでしょうかね、ちょっと私たちは離すこと自体によく理解ができない。もう目の前に被害があって、被害額を国会の中で災害対策特別委員会報告をしたそのあとで、分離をして、片方だけやるということは、何かあとのほうのはこれとは別個に考えるべき筋合いのものだというふうな感じを受けるので、それは全くそういうことはないのであって、直ちに被害の総額が的確に出次第、災害対策中央防災会議を開いて決定をしていくということであるのか、この点をひとつ明確にしていただきたいと思います。
  23. 砂田重民

    説明員砂田重民君) 一九号台風だけを何か特別の事情で別のものと考えているわけではございません。激甚災害指定というものが法律に定められておりますのが災害ごとに行なう当該災害ということばで法律が書かれておりますので、六月から七月の末に至りまする梅雨前線による災害というものと、梅雨が明けてからの一九号台風というものとは、それぞれ別個の独立した災害、こういう考え方で実は切り離れているわけでございます。梅雨前線並びに一三号によるものも、先生方御承知のように、前段があって後段がございまして、しかしこれは前段、後段と申しましても、昭和四十六年のつゆというものは一つでございますから、各省それぞれいろいろな意見があったところでございますけれども、昭和四十六年につゆは二つない、こういう実は私ども考えで、これを合わせたわけでございます。気象的に学問的な気象庁の見解等を聞きましても、たいへんむずかしい、私どもにわかりにくいことでございましたけれども、前段、後段の梅雨前線による被害の間へはさまった十三号台風というものが、やはりそのときに存在した梅雨前線を刺激をして起こした被害、こういう考えで、実は梅雨前線被害については、これを一つ気象条件の中の災害、こういう受けとめ方をしたわけでございますから、合わせて激甚を指定をしたのでございまして、一九号台風につきましては、やはり独立した災害というふうに見ざるを得ないものでありますから、これを合わせて一つ災害とすることは、法律のたてまえからいたしまして困難であり、また適当ではない、かように考えるわけでございます。激甚法に、当該災害についてということが書かれておりますことは、災害地指定ということを激甚法が明確に制度として立てておりますことでございますから、梅雨前線災害と一九号災害というものを、一つに合わせることは困難でございまして、ただ先生もいまお話しになりましたように、一九号台風災害被害というものも大きなものでございますから、これはこれで一九号台風被害として、激甚指定ができるかどうか、この検討を続けているところでございまして、前向きにひとつ取り組みたい。また一九号の被害状況を見てみましても、特に農地、農業施設の被害が多いようでございます。こういうことにつきましては激甚に、私個人としてはただいまつかんでおります数字から言いますと、激甚の指定ができるのではないだろうか。いま少し正確な数字を、先ほど申し上げましたように、今週末ぐらいまでには答えを出してしまいたい。鋭意数字の把握に努力しているところでございます。なお公共土木等につきましても、局地激甚の指定ができるかどうかということも、あわせてただいま検討しております段階でございまして、姿勢としては前向きに梅雨前線、これをひとつの被害の判断を下したと同じように、前向きにこの問題については取り組みたい、かように考えております。
  24. 松永忠二

    松永忠二君 法律的な当該災害によるという、そういうことはわかりました。従来同じ時期に起こった、同じ月に起こった災害などについては、大体それを合わせて適用しているのが従来の例ですから、われわれから言うとすぐ目の前にあったので並びにという意味ですね。何もことばを入れればいいわけですから、並びに一九号というふうなことを入れれば、それは激甚指定を同時にやっていいわけです。だから当然、もう同時に行なわれるべきだという考えを持っていたわけです。これは前向きということばを、このごろ経済問題でもたいへん——前向きということばは外国じゃないんだけれども、そんなことばは使わない、日本だけだという話が出て、しかし趣旨としては、指定をしたいというのが考え方であり、指定をしたい、また被害の額からいって、それに現在における被害の額から考えて、それは大体至当であろうというふうに考える。そして、また今週中には何とか、その点のめどをつけたい、こういう考えであるということについては、異議はございませんか。
  25. 砂田重民

    説明員砂田重民君) おっしゃるとおりでございます。
  26. 松永忠二

    松永忠二君 いまお話しの出たように、農作物の被害というのが、非常に甚大であって、特に宮崎で四十六億、その中で鹿児島三十億という数字を出しておりますが、稲作の被害宮崎二十一億、鹿児島十七億というふうに出ておるので、いろいろ要請書を見ると、たとえば天災融資法の適用であるとか、自作農維持資金災害のワクの拡大であるとか、共済金の概算払いの認定であるとか、あるいは予約概算金の返納期の延期、利子の軽減あるいは等外米、あるいは規格外米の買い入れ、あるいは稲作転換に伴う作物被害の助成というような、いろいろな内容の要請がされておるわけでございます。この点については、一体農林省などは、どういうふうにこの問題を積極的に考えておるのか、この点をひとつお聞かせを願いたい。
  27. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  松永先生お話しの農業関係への被害に対する各種対策についての御質問でございますが、全体として申し上げますと、かねてから用意しております災害対策を、実態に合わせまして早急に発動いたしまして、地元の要望にこたえたいというふうに考えておるわけでございます。  やや、御質問の各項目について申し上げますと、天災融資法の発動につきましては、統計調査部の被害も出ましたので、これを積極的に発動すべく、ただいま準備中でございます。  それから自作農維持資金災害ワクの設定等につきましても、天災融資法等の発動と相まちまして、資金需要なり、被害の実態を最終精査いたしまして、これも積極的に対処いたしたいという考えでおります。  なお、農業共済金の仮渡しなり保険金の仮払い、あるいは災害保険金の支払いというような問題につきましては、これも被害を受けた農家の資金需要に早急にこたえる一助でございますので、八月早々、各県を指導いたしまして、要望があった場合には、その措置をとるように、国でこたえるものはこたえるというように、措置しておるわけでございまして、これら地元の各種要望につきましては、逐次、早急に結論を得たい、あるいは具体的な措置を講じたいというふうに考えております。
  28. 松永忠二

    松永忠二君 米作、米について何か具体的に。
  29. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) 米につきましては、九州は御承知のように早場米地帯でございまして、約三万トンの早期米、これが、今回すでに刈り取り後の圃場段階におきまして、非常に被害を受けたという、われわれも実情の報告を受けておりますが、これにつきましての予約売り渡し申し込み数量を、災害のために売れなくなりました農家につきましての、利子減免というようなものについては、従来の例もございますので措置いたしたい。また概算金の返納の問題も生じますが、当該地域は、来年の五月三十一日までに返納すればいいということになっておりますが、その事態でも、なお、返納の困難なものにつきましては、農協等の指定集荷業者の代位弁済をいたさせるということに制度が相なっておりまして、従来も、そのような措置で、それぞれの災害ごとに対処してまいったわけでございます。
  30. 松永忠二

    松永忠二君 等外米、規格外米の買い入れ、稲作転換に伴う耕作作物被害の助成、このことについては。
  31. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) 等外米、規格外米の問題につきましては、従来、これらの被害がございまして、低品位米が発生いたしました場合におきましては、これは国としては買えない。実需者との間に食糧事務所なりあるいは県庁のいろいろあっせんにつとめてまいりまして、これによって措置するのが原則でございますが、その買い入れの用費等につきましては、まだどの程度の低品位米が発生するかどうかということについては、まだ実態を承知しておりません。若干の時間を要すると思いますので、それらを見まして、最終判断をいたしたいというふうに考えております。なお、転作作物が被害を受けたということは、宮崎県等からいろいろ御報告を受けておりますので、飼料作物その他についての技術指導なり再播種、種苗の確保というような点につきましても、それぞれただいま指導、措置しているような次第でございます。
  32. 松永忠二

    松永忠二君 まあ新しい面での制度の問題については、今度の災害は特に個人災害が非常に多かった。そのほか兵庫あたりの災害、これはがけくずれ。新舞子における死亡者、それから重軽傷者合わせて五十一名、あるいは相生市における潮干狩りの帰りのバスの転落に伴う死者、重軽傷者、こういうものの数も相当な数を示しているわけです。あるいはお話しの出た鹿児島宮崎におけるところの死傷者とかあるいは全壊、半壊というものの数も相当な数にのぼって、個人災害についての制度が非常に不備であるということについては、毎回の災害でわれわれも口をきわめてこういうことを主張してきたわけなんです。今度この個人災害救済制度の確立については、政府も新しい施策をやろうということを考えておられるように私たち仄聞しているんですが、これは一体どういう形でいつ具体的に実行し、今度の災害についてもそれが一体適用できるようなことになるのかどうだろうか。たとえば新舞子へ行ってみたらば、見舞金が一人三万円、香料八千円ということでそのままになっている。一体相生のこれはどういうふうなことになっているのか。これは静岡の例の大崩海岸の場合には五百万の見舞金的なものが県から出されているという。まあこれは相当なことをやっているわけですけれども、その他のところは全く、たとえば今度の個人災害についても、県としては出しているところは一カ所もないわけです。市町村がほんとうに零細な金の中からわずかに金を出しているという状況である。個人災害というものが、いかに救済の制度が不備であるかということは、いろんな事例をあげればわかることであると思うのですね。この点について、個人災害をどういうふうに制度化していくのか、この災害にそれが適用できるのかどうなのか、この二つを副長官のほうからお話を伺いたい。
  33. 砂田重民

    説明員砂田重民君) 従来は、個人災害というものは個人の自主的回復にまつべきものということで長年いままできているわけでございます。しかし、その個人災害というものを、そのままでいいのかどうかという問題は、当委員会でもしばしば先生方も御検討になり、御議論もあったことでございますが、私どもといたしましても、個人災害と申しましても非常に範囲が広いことでございます。人的な被害もございましょう、物的な被害もございましょう。新しい制度としてスタートをするのはなかなか困難なことではありますけれども、どういうところからスタートができるだろうかというふうなことも検討を続けてきたわけでありますが、御承知のように昭和四十五年度に、個人の生命身体の被害に対する共済制度というものはいかがなものであろうかというふうな調査を実はいたしております。災害共済制度の実態調査でございますけれども、この調査結果は、こういった制度については賛成だという国民の皆さま方の答え、地方公共団体の答えも大勢は賛成をしておられる答えが出ておるのです。ただ、制度を新しくする、こういった生命、身体の障害等についての共済の制度というものを新しい制度としてスタートさせることには、賛成の向きが圧倒的に多いわけでありますけれども、そのつくろうといたします制度のいろんな仕組みについては、まことに各種各様の答えが返ってまいっております。掛け金の問題、それから支給をいたします共済金の問題、府県が主体でやるのか市町村が主体でやるのか、こういったことも非常に意見が分かれているところでございまして、その調整がたいへん困難なただいま状態でありますけれども総理府といたしましては先ほど先生がおっしゃいましたような意味の前向きで、四十七年度からは何とかしてこれをスタートしたい、かように考えまして検討をしているちょうどいまそういう時期でございますけれども、御承知のようにこの月末は予算の概算要求の時期でございます。新しい共済制度をスタートいたしますにいたしましても、国がこれに基金的に参画をやはりいたさなければなりません。その問題については、この月末が概算要求の期限でございますから、仕組みの中身はまだ完全に詰めるところまでまいっておりませんけれども、国が何らかの形で基金に参加する、そういう意味で概算要求はこの月末にいたしたいと思っております。やはり新しい制度としてスタートいたしますのは、人命あるいはからだに加えられた災害、これに限定をしなければ、物的損害まで含めてということは、なかなか四十七年度からスタートをすることはむずかしいのではないだろうか、このように考えるわけでございます。ただ中身の詳細につきましては、いましばらくお待ちをいただきたいと思いますのは、いろんな解決をしなければならない、調整をし終わらなければならないこまかい問題が中にございます。たとえて申しますと、掛け金があまり高いと、あまり災害に見舞われない地方の住民の方々の、この共済への参加はむずかしくなるでございましょう。きわめて安い共済掛け金にいたしますと、今度は市町村が徴収をいたします調整費のほうが掛け金よりも多い、というふうな事態もまた考えられるわけであります。そこらをどれだけの掛け金にするか、どれだけの給付金にするかというふうなことで、いましばらくお時間をいただいて検討さしていただきたい。結論的に申し上げますならば、困難な問題はございますけれども総理府としましては前向きにひとつ来年度からスタートをしたいという姿勢で、ただいま取り組んでおりますのが、今日の状態でございます。
  34. 松永忠二

    松永忠二君 そういうことになれば、当面この災害については適用ができないということになると思うのですね。時間がないので。まあたとえば相生市のバス転落については一体どういう措置をするのが妥当であるのかという点、新舞子についてもそうだと思うのですね。これはいろいろ、たとえばその道路については最高裁の判決がすでに出ているわけですね。これらのことについてはまだ被害を受けた者から積極的なそういう意思の表示があるのかないのか、その点もまだ明確じゃございません。しかしまあ調査してみると、まことに問題であって、町としては避難命令を出したのに、そのいわゆる休憩所の持ち主がそこにいなかったためにそこだけが避難をしないで、そこに災害が、死傷者が出ている事実もある。バス転落の個所については、道路として非常に予想できる災害の場所のようには考えられないけれども、やはりこれが洪水に伴って交通渋滞したときにたまたま起こった問題であるということを考えてみると、これまたなかなか判断はむずかしいと思う。こういう点についてこまかく議論をすれば幾らでも議論はあるわけでありますけれども、ひとつぜひこの問題について善処をやはりしてほしい。十分にひとつ検討してほしい。そして何か全く簡単なことで済まされる。たとえば急傾斜なんかでも、すでにあぶないというところへ住んでいて、まあそれが警告があってそれから避難をしないでそのために被害を受けたというところばかりではないわけです。いろいろやはり問題があるように私たちも思うんで、この点についてはぜひ四十七年の個人災害制度についてはスタートをすると一緒に、今回の被害についてもひとつぜひなお検討をして善処をしてほしいということを要望しておきます。  それからその次に少し話を移しますが、急傾斜地の対策事業については、いま話が出ている各県とも急傾斜地崩壊指定拡大をしたい、あるいはすでに河川局長からもあったように適用の基準というものをゆるめてほしいというような要望もあり、いかに急傾斜地の予算が少ないかということは、たとえば宮崎では六百七十六カ所の危険個所があると考えて、その中で百七十カ所の指定をしてある。ところが、その中で着手したところは五カ所しかないというこういう現状。そういうところに、鹿児島についてもまあいろいろ——鹿児島は五戸以上のところが五百カ所ある、六十カ所指定したけれども四カ所しか着手していない、こういう状況です。だからこの急傾斜地対策の事業の促進、拡大というようなことについては、もう格段の努力を払っていくべきだと私たちも思うんです。と同時にもう一つここで問題なのは、特に鹿児島のシラスの地帯における急傾斜地の人たちは安全地帯にこれが移りたい、中には集団的に移したいという希望を述べられているところがあるわけです。鹿児島の樋脇町の武田部落あるいは牧園町あたりでもそういう要望が出て、各地にそういう要望が出ている。このことについてはもうわれわれが聞くところによると、説明するところによると、過疎対策として移転費を助成をしているという。とするというと、当然こういうことについては制度化をしていく必要があるのじゃないかと思うんだけれども、この点について一体どういうふうに考えるのか、急傾斜地の問題。それから同時に、いわゆる集団的なあるいは安全地帯の移転の措置についてこれを検討していく必要があると思うけれども、これについてどういう考え方を持っているか。  それから時間もありませんのであわせてもう一つこの関係のことでお聞きをしたいことは、建築基準法の第三十九条に基づく災害危険区域の指定というものをする必要があるということを強く感じているわけです。これについてはもう現に国内で災害危険区域を指定している数が非常に少ない。今度調査をしたところでも牧園町の新川渓谷というところに、温泉が各地にある。観光の旅館というのは九十一戸あるというのだが、その中の五〇%が被害を受けている。あるいはいま話していた新舞子のは財産区の所有であって、ここには当然急傾斜地指定なり災害危険の区域の指定なり、あるいは宅地造成規制法の指定というものをしておくべき筋合いのものであるのに、これが何らなされておらなくって、こういう被害を受けておるという事実があるわけです。このことについて一体どういう措置を今後していくつもりなのか。具体的には新舞子、牧園町に一体こういうふうな措置をする考えなのか、あるいは新舞子については災害の危険区域にはしないが急傾斜の危険区域に指定をして実は工事をやるというのか、この問題。それから同時に、こういう災害危険区域で建築基準法に基づいて建築の規制がなされているので、こういうところの人たちからいうと、なだれ地とかすべり地等の地域の移転貸し付けの適用をされているのに、災害危険区域にこういうものが適用されていないということについてこれを拡大をしていくべきではないか、やはりなだれ地、すべり地等の地域の移転貸し付けの適用を同時にやっていくべき筋合いのものではないか。そうしてまたそういうところには堅固な建物を建造する必要もあるし、住宅以外の建物とか擁壁等の防災工事等に融資の措置をつくってほしいということは、兵庫県の要請書に出ている。兵庫は特にこれに該当するものも多いからそうだと思うのですが、これはまことにけっこうなことであって、積極的な意欲を示しているわけなんです。そこで一体その災害危険区域の指定ということをどう推進するのか、特に今度の災害にあたって具体的にどういう一体措置をその地域にやっていこうとしいるのか。牧園あるいは新舞子その他にもあります。われわれのところの熱海あたりにも、われわれも問題にした桜沢とか西山というようなところに一体傾斜地指定がまだしていないじゃないか、こんなもの一体どうするんだ、法律をこしらえてみてもそれを何も適用しなければ何の効果もないじゃないか、こういう点についてどういう  一体具体的に推進をするのか。それでそういう災害危険区域に指定された土地にいま言うようにいわゆるその移転のための費用なり、あるいはそのための建築を実施していく場合には住宅金融公庫として融資の適用の範囲にこれを拡大する用意があるのかないのか、この点をひとつ関係者のほうから説明を願います。
  35. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 先ほども申し上げましたように、私どものほうでは急傾斜地崩壊によりますいろいろな災害を防止する、こういうような趣旨相当数の人家を対象にいたしましてその土地の所有者なりあるいは権利を持っておる人たち自分で守れない、あるいは守るのが不適当だというようなものにつきまして、相当の規模以上についてまあ国も補助をしようと、こういうことでございます。したがいまして現在のがけくずれの実情から見ますと、それをすべてカバーしておるわけではございませんが、法律趣旨からいきますと防止工事の直接対象となる基準は現在はまあ三十戸、緊急の場合は三十戸以上となっておりますが、危険区域の指定そのものにつきましてはこれは五戸以上の家屋を対象にして危険区域の指定を行なうことができるようになっております。したがいまして危険区域の指定につきましては、都道府県の知事のほうで市町村長の意見を聞きましてよかろうということであれば危険区域に指定ができるわけでございます。で、その区域指定をいたしますと建築基準法災害危険区域の問題等もあわせて並行に措置できていくんじゃないかというふうに考えております。なおその場合に必要な、あるいは中にはまあ移転をしたいというような方、それから災害の防止に対する防止工事を個人で行ないたいというような方につきましても、これは知事のほうでその家屋が危険だから移転したほうがいいじゃないかというような勧告だとか、あるいは適切な防止工事を行ないなさい、こういうような勧告がございましたら、これは災害関係の住宅金融公庫の特別ワクの貸し付けの道が一応開かれております。したがって、そういうようなものも大いに利用していただけばいいんじゃないかというように考えております。
  36. 沢田光英

    説明員(沢田光英君) ただいまの河川局長の答弁で大筋が大体言われておると思うのでございますが、先生御存じのように、基準法三十九条の災害危険区域の指定は、急傾斜地の問題も含めましてより広い範囲に、前からこういう地域指定して危険を防止しよう、かような制度がございます。しかし、これは都道府県の条例によりまして指定し、その内容を規制していく、かようなかっこうでございまして、その指定が、条例の制定がなかなかむずかしい地域的な困難があるということで、従前はかなりその制定が進まなかったということも事実でございまして、その数が少のうございました。しかし、この急傾斜の問題が出てまいりまして、急傾斜地域を指定しました。そこの下のあぶないところには、これは全面的に災害危険区域を指定しよう、かような制度ができてまいりました。その後急激にその指定がふえてまいりまして、現在では四十六の地域指定されております。さらに本年の九月におきましてこの条例等の提起をいたそうとするものが、府県の数で二十、地域にしまして二百程度のところにまで拡大すると、かような指導を行なっております。これによりまして、ただいま先生おっしゃいました具体的な兵庫の話とかそのほかの話もカバーできる、かようなふうに考えておる次第でございます。  さらに、これらの災害危険区域に指定をされましたところの建築物を移転をするということに対しましては、公庫のほうに地すべり等関連の融資というのが一般ワクのほかにございまして、これが特別ワクで直ちに貸せるというかっこうの融資ができておりまして、五分五厘で、おおむね建物については現在では百万円程度、それからそのほか用地につきましても融資をする、かような制度がすでにございます。なお、これらの標準建設費の充実につきましては、来年度要求その他におきましても今後充実をしていく、かような方針で予算を要求したいと、かように考えております。
  37. 松永忠二

    松永忠二君 何か人ごとのようなことを言っているのだが、そうじゃなくて、私は具体的に聞くのですがね、宮崎鹿児島について、急傾斜地指定の事業をこの際広げていくという、着手の個所を広げるという用意があるのかないのかということが一つ。  それから、シラスの土壌のいわゆる移転の問題については、住宅金融公庫のそういう措置でいいというふうに考えるのか、それとも積極的に何か——ちょうど長野あたりのいわゆる災害の際の集団移転のような何か積極的な措置が必要だというふうに考えているのかどうなのか。  それからもう一つは、災害危険区域の指定が順次進んでいくということは少しお話があったけれども、四十六カ所とかというのも、ずいぶん日本全体に危険個所があることを考えれば、とんでもない少ない数であることは事実だと思うのだが、この際その災害危険区域の指定を、たとえば牧園なりあるいは新舞子なりにやる必要があるというふうに考えているのかどうかということと、指定をされたらば、なだれと地すべり等の地域の移転貸し付けの適用範囲と同様な措置をするのかどうか、ということを具体的に答えてください。
  38. 川崎精一

    説明員川崎精一君) おっしゃるまでもなく、相当今回はそういった急傾斜に伴います被害が出ておるわけでございますが、危険区域に指定されましたところについては、できるだけ早急にわれわれとして防止工事を必要と認めたものにつきましては、どしどしやっていきたいと、こういうふうに考えております。
  39. 松永忠二

    松永忠二君 集団移転はどうですか。
  40. 沢田光英

    説明員(沢田光英君) 集団移転の問題につきましては、ただいま私ども基本的には手持ちの制度をフルに活用して、この推進をはかりたいと考えております。手持ちの制度と申しますと、ただいまの、私が説明をいたしました公庫の融資の全面的活用、そのほか私どものほうには公営住宅という制度がございます。これは賃貸住宅でございますが、低所得者がそれにおる場合には、かような制度も動員をいたしまして、これに対処していきたいと考えております。
  41. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 質問に対する答弁がずれているのだけれども松永君の言っているのは、シラスなど四十六地域指定しているが、シラスなど今後広げるかどうかということ、具体的にね。それから二番目は、公庫で貸し付けをやっているというけれども、公庫でよいのかどうかという点、ほかに何か方法はないかということ。三点は、災害指定を、牧園なり新舞子など災害指定をやるつもりがあるかどうかということ。具体的な質問だからどちらでもいいけれども、具体的に答弁してください。
  42. 沢田光英

    説明員(沢田光英君) 河川局長が申しましたように、この地域を急傾斜地地域指定するということがまず第一だと思いますので、そういたしましたときに、当然危険区域もこれにしたがいまして積極的にこれに指定するということになろうかと思います。したがいまして、その両者ができるだけ早く指定をされるという方向に進みたいと思います。  それからただいまのシラス地帯に地すべりの融資を適用するかどうか。これも地すべり法その他の諸法に関係するものにつきましては、当然ただいまの制度でカバーされております。ただこれが指定されない地域におきまして、たまたまシラスの台地の下に一戸ある。しかし一戸だから、まあたとえば地域指定されない。かような場合におきましては、金融公庫その他の普通の貸し付けの特別の扱いによりまして、適時これを処置したいと考えております。
  43. 松永忠二

    松永忠二君 それじゃ牧園、新舞子については、災害危険区域の指定はこっちがやるのですか、本省が。その用意があるのか。人のことを言っているのじゃなくて、そういうふうに必要と認めているのか。向こうがやったらやりましょうというのじゃなくて、自分の持っている権限を活用して指定をすべきじゃないかと思うが、あなた方はこのところは指定をする必要がないと思っているのかどうか。
  44. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 新舞子並びに牧園等、相当今回被害があったわけでございます。そういったところにつきましては、これはまず急傾斜地の危険区域の指定というやつが先行するわけでございます。その上で地方自治体におきまして、建築基準法に基づく災害の危険区域にするわけでございます。したがって、地元の知事において市町村長の意見を聞いて、まず危険区域に指定をしないと、そういったものが順次働いていかないじゃないか、こういうふうに思います。私どもとすれば、どしどしそういった危険区域がふえてまいりますれば、それに応じてできるだけ積極的に防止工事等を進めていきたい、こう考えております。
  45. 松永忠二

    松永忠二君 もうちょっと聞きたいのですが、大体理解としては急傾斜地指定をしてもらって、災害危険区域としてやりたいということだと思うので、そう理解します。  もう一つ聞いておきますが、これはいまのシラスの問題については、県の要望書にも出ておるのです。もう一つ、特に中小河川改修促進についてということで、こういうことが、われわれも見てそう思うのですが、シラスの土壌が川にたまって寄州ができる。その寄州が実は護岸の側壁と同じ高さになってしまう。その寄州が非常に大きいために滞水をして、そうして水が溢水をして外側から護岸をくずしているというところがあるわけです、具体的にね。これはもうすでに御自身見ておられるので、たとえば加世田川とか五反田川なんかもそうです。  それから県がそういうことについて、寄洲の除去について国庫補助措置を講ぜられたいというようなことが出て、同時にここのところの串木野市あたりには寄州の徹底的除去をした護岸のみが完全に破堤をまぬがれているという実情にかんがみて、早急に国、県による中小河川の寄州の徹底的除去をお願いしたい。われわれ自身も見て、補助して寄州を排除したところは被害はない。しかし、寄州を排除しても二年くらいたつとまたたまってくるという現状もある。シラス特有な地帯だと思う。これはまあ災害救助法なんかによると、河川の維持というものに対しては災害復旧の対象にはならぬわけです。いろいろまあこういうものについて法律的にもいろいろ考えていかなければできない問題だと思うのだが、また事実、日ごろこの点についてはやはり建設省の内部の中でも、河川局の中でもそういう話は出ているような話を聞いているわけでございます。今度の災害にかんがみて寄州の除去、特にシラス地帯の寄州の除去というものについて、具体的に今後どういうふうな措置を積極的にやって、そしてまあこういうふうな被害を防いでいこうというふうに考えておられるのか、この点を一つお聞かせをいただきたい。  もう一つあわせてこれは道路局のほうに説明をしてほしいのですが、まあ回ってみても、道路防災事業というものが非常に必要だということを痛感をするわけです。この予算もやはり相当取って、早く適確な措置がされていくということが非常に必要だということを考える。特にまあ大崩の道路防災事業というものをやったけれども、これがやはり落石防止に重点が置かれておって、土砂くずれの対策がなされていないというところにまあ今度の被害一つの原因があった。こういうような点から考えてみても、徹底した道路防災の事業というものが、必要だと思うのだけれども、この点について今後どういうふうな推進をしていくのか。特に大崩のいわゆる一五〇号バイパス、一五 ○号のバイパスの建設それと同時に一五〇号の今度の災害を受けた災害の復旧について、どういう一体予定をもって進めていこうとしているのか、具体的にその点を説明をしていただきたい。この二つの質問をして、いろいろありますけれども、その他の方からまた御質問いただくことにして、質問を終わりたいと思います。御答弁をお願いします。
  46. 川崎精一

    説明員川崎精一君) ただいまのお話し中小河川の寄州の対策でございますが、まあ一般的には、これは年々、多少とも河川地域の地質なりあるいは河道の状況で、そういった砂州ができたり、あるいは雑草が繁茂したり、こういうような状況があるわけでございまして、そういった維持管理的なものにつきましては、これはそれぞれの管理者が中心になりまして、いろいろ堆積土砂の排除、草刈りその他努力をしていただいておるわけでございます。しかしやはりシラス地帯をはじめといたしまして、あるいは急流河川とか中小の維持管理の概念でおさまらないような、そしてそのために非常に河積を狭める、したがって洪水の疎通にも支障を来たす、こういうようなところもやはり相当あるわけでございます。したがいまして、私どももいままでの維持管理という概念を少し広げるといいますか、考え方を修正しまして、できるだけ埋没の非常にはなはだしいところとか、そのために河川の管理に支障を来たす、こういうようなところにつきましては、災害復旧なりあるいは河川改修なり、局部改修なり、そういったものの一連の中に取り込んで、積極的に河積の確保といいますか、そういった点で努力をしたい、こういうふうに考えております。
  47. 吉田泰夫

    説明員(吉田泰夫君) 道路防災工事につきましては、昭和四十三年度以来、新たに国庫補助による防災工事の施工の制度をはじめ、その他一般の道路改築等におきましても、防災に資するような個所を重点的優先的採択をいたしてまいりましたが、相次ぐ今回の災害にかんがみまして、先生御指摘のとおり、一番基本となるのは、こういった危険な個所の解消にあるわけでございますので、当面、まあ明年度以降の道路予算につきましても、建設面の進捗ばかりでなくして、現にできております道路の防災工事あるいは防災のための改築工事というものに全力を注ぎまして、予算的にも本年度の倍以上の予算を要求して、短期間に重要個所から順次安全な道路にかえるような工事をいたしたいと考えております。特に御指摘のありました大崩海岸を通っております一五〇号の件につきましては、まず山側を通って海岸を避けるバイパス工事が昭和四十五年度からかかっておりますが、なかなかの大工事でございまして、かつ、用地取得も時間がかかっておりますが、当面、用地取得を急いで、本年度中に終えるとともに、当初五十年度一ぱいかかる予定でございましたものを、事業費を繰り上げ配分することにいたしまして、一年程度短縮して、四十九年度末に完成するように持っていきたい、完成と申しましても、当面二車線の暫定完成をはかりたいと考えております。  それから原道の復旧対策でございますが、これにつきましては、いろいろの案が考えられたわけでございますが、何におきましても再度の事故を完全に防ぐということに重点を置かざるを得ませんので、いろいろな学者とも相談し、過日の事故以来、検討を進めてまいりました。結論といたしましては、被災いたしましたいわゆる第五洞門、この前後を含めまして、第一、第二、第三、第四の洞門も含めた約六百メートルの区間をすべて海のほうに約六十メートル張り出して、落石が届かない海岸に新設するということでございます。原道につきましては、事故以来交通をとめておりますので、この復旧工事は急を要するわけでございますが、相当な大規模な工事となりまして、事業費も約八億かかりますので、この九月からさっそく準備工にかかり、十月から下部工事にかかって、上部工と取合い道路も含めまして約一年で完成し、明年八月には復旧をいたしたいと考えております。
  48. 小林国司

    小林国司君 まず、総理府の副長官にお尋ねをしたいと思います。すでに松永理事から御質問もございましたし、長官からのお答えもあったわけでございますが、私も多少重複いたしますが、重ねて、もう一点だけお尋ね申し上げたいと思います。  災害ごとに激甚あるいは何々災害ということをきめるということは、これは原則だとこうおっしゃったのは、そのとおりだと思いますし、また六月から七月下旬に至る集中豪雨については激甚の指定がすでにきまっておりますが、ところが今度の台風一九号はちょうどこの十日か二週間ぐらい前に集中豪雨がございまして崩壊しやすい状態、あるいはその被害を受けやすいような状態にあったところに台風一九号がやってきた。したがいまして、純然たる単独の一九号の災害ではない状態であったということは事実だと思います。そしてまた鹿児島宮崎熊本長崎といったような県につきましては、集中豪雨被害を受けたところが重ねて一九号でいわゆるダブルパンチを食らった、同じ町村において同じ災害個所に重ねて被害を受けたというところがございますので、一河川あるいは一被害個所について一九号とその前の集中豪雨と分離して設計が立てにくいという個所がかなり見受けられるわけでございます。こういう点から考えますと、全体を通じて松永理事からお話ございましたように一本の災害に一九号を加えてしていただくことが望ましいのではないか、そのほうが妥当ではないかと私も思いますが、しかし先ほど長官がおっしゃいましたように制度の上で検討してみるけれども、非常にむずかしいという御意見がございましたが、どうしても制度上むずかしいという面が出てまいりましたら、局地激甚ということを考えているという御答弁もございましたが、しかも前向きにこの問題は検討するというお話でもございましたが、とにかく一九号はただ単に単独に被害を受けたというのではなくて、集中豪雨から引き続いて一九号台風被害が大きくなりやすい状況中にあったということを御勘案の上、よろしいように善処してやっていただきたい。特に一九号台風で個々の町村にとってみますと、まことにどこからどう手をつけていいのかわからないという気の毒なところがたくさんございますので、特にこの点もう一度政府におかれて御勘考あらんことをお願い申し上げる次第でございます。これにつきまして、簡単にひとつもう一度お願い申し上げます。
  49. 砂田重民

    説明員砂田重民君) 先生のお気持ちは実は、私には十二分に過ぎるくらいわかるのでございます。災害をお受けになりましたその地方々々では当然そのようにお考えになると私はさように感じます。ただ激甚指定法律上の仕組みが同一気象原因に基づく災害ごとということになっておりますので、梅雨前線というものと一九号台風というものをどうしても切り離さざるを得ない。そういうことからひとつ合わせてということが実は妥当でないということになるわけでございます。激甚の見方といたしましては、梅雨前線豪雨による災害とこの一九号台風というものをどうしてもこれは同一の気象原因とはどうもあまりにもはっきり考えられないものでございますから、分けざるを得ないのでございます。ただ、小林先生おっしゃいます復旧工事等については、これはもう当然に区別すべきものではございませんし、また独立した一九号台風による災害に対する財政的な措置も先ほど御答弁いたしましたように前向きに検討いたしておりますので、さらにまた局地激甚の問題もございますし、一番の根本にあります母法になります公共事業国庫負担法等もございますので、先生のおっしゃる地方公共団体、県、市町村に非常に過大な財政的な負担をかけるというふうなことだけはないような措置ができるものと、かように私は考えております。
  50. 小林国司

    小林国司君 次に、災害救助法の問題についてお尋ねいたしますが、これは総理府にあるのか厚生省にあるのか、私ちょっとはっきりわかりませんが、災害救助法実施基準について定められましてから、今日の情勢に合わないような面がいろいろ出ておるやに考えられますので、これを改正なさるお気持ちはないかどうかということをお聞きしたいのでありますがどちらでございましょうか。
  51. 新津博典

    説明員(新津博典君) 厚生省でございます。先生の御質問は実施基準単価の問題かと思いますが、基準単価の問題は避難所の設置、応急仮設住宅、給食の単価、被服寝具の単価、このいずれも毎年度物価の上昇を含めて、国民生活の実態に合った改善をするように努力しておりまして、本年度も四月から値上げをいたしております。毎年そういうことでルールとして予算が変わるたびに改善しておるのでありますが、なお不十分な点があれば、今後来年以降の改善で大いに努力してまいりたいと思います。
  52. 小林国司

    小林国司君 特に熊本県の知事さんから御要請がございましたが、全壊あるいは流失家屋あるいは床上浸水といったような大きな被害を受けたときに、救援物資の中に敷きものが入ってないのはまことにもって生活上不便で不合理であるから、なぜ敷きものが入らないのか、こういう御質問がございましたが、私も詳しいことは存じませんが、救援物資の中に敷きものということが書いてないから、救援物資の中に敷きものは加えられないのだという御解釈なら、まことにこれは不合理しごくだと思いますから、もしそれが事実であるとするならば御改定をお願い申し上げたいと思います。  それから次に、先ほど七月にいろいろな単価を改定するというお話がございましたが、従来の経緯を見ますというとどうも単価の値上げがまことに微々たるものがある。現状はたとえばたき出しによる食品の給与等についても、災害発生時から三日間一人一日当たり百七十五円、それから次の四日間は二百円に去年だか改定されたようでございます。これはプールしていいということでございますが、プールしてみたところが一日が百八十五円くらいにしかならない。しかも一週間しか見てない。各町村の実態から見ますというと、一週間の間百八十五円平均くらいで一食にしますというと六十円、いまの時点で六十円くらいで災害のどたんばで食わせるわけにいかない。各町村長から非常な反撃と申しますか御意見がございましたので、改定していただくのはけっこうでございますが、いまの時点に合うように一足飛びに御改定をお願い申し上げたい。そのほかに住宅の問題だとか、あるいは応急修理の問題だとか、あるいは生業に必要な資金の貸与であるとか、いろいろ災害救助法基準の中に盛りだくさんいろいろなことが含まれておりますが、これをいまの時勢に合うように改定をお願い申し上げだいと思いますので、これについての御回答をお願い申し上げます。
  53. 新津博典

    説明員(新津博典君) 御質問の第一点でございますが、流失あるいは床上浸水等の場合のござの問題、敷きものといいますか、ござの問題でございますが、これは救助法に基づきます分類上被服、寝具その他の生活必需品というのに入っております。これはまず品物自体は実はその世帯が生活するのに一番必要なものは順次給付していくことになっておりますので、当然ござが必要であればござが対象になります。それから金額自体は世帯を構成いたします世帯人数とそれから夏冬で、いま申し上げましたようにふとんとか衣類とか若干違いますので夏冬の区別、それから全壊全焼、流失ということで、家財道具の一切が流れてしまった場合と、半壊、半床とで若干の差を設けておりますが、たとえば標準の四人世帯で全壊、流失の場合、夏でございますと一応の基準が一万七千五百円ということになっております。したがいまして、その世帯の態様に応じまして、当面着る衣類がない、あるいはふとんを流してしまったので毛布が要る、あるいはござが要るというような場合に、一般基準といたしましてもその四人世帯に対しては一万七千五百円までの分は支給できるわけでございますが、災害でございますので個々の世帯で衣類、ふとんその他日常生活品の損失状況というのもまちまちでございます。したがいまして、個別の状態でどうしてもこの基準で足らない場合には、特別基準を設定する道もございますし、その辺の実態に応じた弾力的な運用ということは、常に私ども心がけているわけでございますが、もし現地でそういう趣旨の徹底が足らなかったとすれば、十分反省いたしまして今後県、市町村への指導を徹底いたしたいと思っております。  それから額の問題で御指摘があったわけでございますが、先ほど先生がおっしゃいました単価は、実は四十六年度改定いたしまして、ことしの四月から実施しておる単価でございます。御指摘のとおり、非常に食費が少ないという御指摘があるわけでございますが、この点につきましては、たとえば老人ホーム等の社会福祉施設の食費単価、あるいは病院の給食の単価等との関連もございまして、一応本年度はそういうことで……。最初のころ格差を設けておりますのは、法のたてまえが、非常に応急的な救助ということで交通も途絶するしガス、水道その他とまってしまって、いわゆる自宅で炊事ができない、あるいは避難所避難しておられる、そういう方に応急的に給食給水等を行ないまして、最低の生活権を保護するという目的でございますが、そういう状態下に置かれましては、過去長年の災害発生時の実績から見ますと、どうしても最初は、申しわけないのですが、十分な食事を給与することができない。まあ端的な例で申し上げますと、最初のころはおにぎりとつけものと若干のあたたかい飲みものというような程度のものになってしまうわけでございます。したがいまして、そういうようなことを総合いたしまして、先ほど申し上げたような単価になっておるわけでございますが、御指摘の趣旨もわかりますので、来年度以降の改定につきましてはひとつ大幅な改善ができるように大いに努力をしてまいりたいと思います。またその際、災害救助関係のブロック会議等もございますので、各県なり各市町村の御意見も十分聞きまして、今後精いっぱい努力してまいりたいと思います。
  54. 小林国司

    小林国司君 ただいまのお話で大体わかるわけでございますが、どうも趣旨の徹底を欠いておるような気がいたします。まあ、前に熊本知事さんをなさっていた先生もいらっしゃいますが、今度の新しい知事さんが、日常生活必需物資の中に敷きものと書いてないから敷きものはどうしても入れてもらえないのだ、入らないのだ、こういうことを知事さん自身が非常に嘆いておられます。きょうは副知事さんも見えておられますけれども、聞いてみればわかります。ということは、徹底が十分にされていないということでございます。  それから、いろいろなことが運用で救済できる道があるとおっしゃいましたが、これについても、どうも災害救助法の精神が十分に生かされて利用されていない面がございますので、その点趣旨の不徹底が起こらないように今後御善処方をお願い申し上げまして、お尋ねは次に移ります。  次は建設省にお願い申し上げます。このたびの災害につきましては、いろいろ原因もございます。特に、予想外の豪雨があったということによるものでございますが、しかしながら中小河川の改良のおくれということが非常な大きな原因であるということが、鹿児島熊本宮崎と私ども三県回ったわけでございますが、この三県から非常にそういう意見が持ち上がっております。  そこで、あまり時間がございませんので端的にお答えを願いたいと思いますが、熊本宮崎鹿児島県、この三県について中小河川の今後必要とする全体の量に対する現在の進捗ぐあいがどの程度になっているか、という点を簡潔にお答えを願います。
  55. 川崎精一

    説明員川崎精一君) ただいま御質問の熊本県におきましては、全体の計画に対しまして堤防の延長で約一八%、事業費でいきますと九・五%の進捗率でございます。鹿児島県につきましては堤防延長で約二〇%、事業費で一〇・四%でございます。−宮崎県におきましては堤防延長で三一・八%、事業費で一二・一%でございます。
  56. 小林国司

    小林国司君 これは全体、たとえば熊本県が堤防延長で一八%、事業費で九・五%、これは何年間でここまできたということになりますか。
  57. 川崎精一

    説明員川崎精一君) それぞれの河川によって改修のスタートの時点は違うかと思いますが、おそらく明治、大正時代はそんなに手を加えていなかったのじゃないですか。したがってごく最近の進捗の状況でございます。
  58. 小林国司

    小林国司君 先ほど松永理事からもお話がございましたが、どうも中小河川改修が極端におくれていることが、このたびの災害の非常に大きな原因になっている。これは各県とも共通してこの問題を考えておられますので、今後中小河川改修をどうやって進めていくかということについては、建設省もしばしば五ヵ年計画等を発表されて鋭意努力をされておりますが、財政との見合いにおいてむずかしい面もあろうかと思いますが、特に私、もう一つお聞きしたいと思いますことは、しからば全国的に見た場合に、ただいまのパーセンテージはどうなっているか、おわかりになりますか。
  59. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 中小河川改修につきましては、今年度の、四十六年度の予算におきましても私どもの全体の事業の伸びが二〇%でございます。中小河川については二四%というようなことで、かなり大幅に中小河川に傾斜はさせておるわけでありますが、お話しのように非常におくれておりますので、昭和六十年には大体概修をしたいということで、昭和六十年度を一〇〇%の目標にいたしまして、新しい五ヵ年計画の改定を現在検討いたしておるわけでございまして、その結果の中で、できるだけ中小河川の促進をいたしたい、こういうように考えております。  なお、全国的な平均値では二〇%をちょっと割っているのじゃないかというふうに思います。
  60. 小林国司

    小林国司君 堤防延長でですか、事業費ですか。
  61. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 換算の堤防延長でございます。
  62. 小林国司

    小林国司君 的確な資料をいまお持ちでないそうでありますから、二〇%が正確であるかどうか、これはわかりませんが、全国平均の中小河川の進度ぐあい二〇%、そうしてその中で熊本は一八%、宮崎は全国平均をはるかに上回る三一%、鹿児島二〇%——ちょうど鹿児島が全国平均並み、熊本は全国平均以下、宮崎が全国平均を上回っている。この三県についてもこういうことが言えるわけでありますが、私はこういうことを考えるわけであります。たとえば、過去十年間における災害の頻度、あるいは水害による被害額の割合で全国各県の中小河川改修を進めていったらどうか。つまり災害の起こりやすい県と災害が起こりにくい——起こりにくいといいますか、災害がそうしばしば起こらない県といろいろございます。どの県どの町村でも、中小河川改修というのはみなが望んでおることでございますが、しかし建設省も全部一ぺんにこれを仕上げるということは、これは当然不可能でございますが、せめて従来の災害の経緯にかんがみて、県ごとに序列を考えるということをおやりになっておるのかどうなのか、という点を一点お聞きしたいと思います。
  63. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 全体的に特に進捗率に差をつけておるとか、そういったことはございませんが、宮崎県の例で申し上げますと、これは二十九年に一二号台風という相当今回の台風のルートと同じような台風がまいりまして、手痛い被害を受けたわけでございます。したがいまして、かなり中小河川なりあるいはダム対策に手を入れたというような結果がこういう数字にあらわれておるんじゃないかと思います。  なお全国的に見ましてできるだけ、府県とはいわず、被害のあった河川の水系全体につきまして、災害関連河川ということで重点的に在来も取り上げておりますので、今回の災害にかんがみまして、九州地区につきましてもバランスのとれた事業の促進を進めるようにいたしたいと思います。
  64. 小林国司

    小林国司君 今回の災害にかんがみてバランスのとれるような改修の進めぐあいをしたいと河川局長おっしゃったわけでございますが、この点は今後も災害の通路に当たる県、それからかつて災害を受けたことのない県というのはほとんどないかもしれませんが、非常に災害の少ないという県もございますので、全国各県一様に中小河川改修はこいねがっておるところではございますが、特に災害の激甚な被害を受ける可能性のあるような県から特にこの中小河川改修をお進めになってしかるべきじゃないかと思いますので、十分この点御勘案をくださいますようにお願い申し上げまして、次に移ります。  中小河川改修の問題に関係がございますので、一点だけ自治省にお聞き申し上げたいと思いますが、市町村管理の中小河川、これは平素から市町村中小河川に十分手を加えるべき性格のものだと思いますが、基準財政需要額の中に市町村管理の河川についてどのような算入のされ方をしておられますか。この点についてお聞き申し上げたいと思います。
  65. 福島榮造

    説明員(福島榮造君) 市町村の管理河川を地方交付税の基準財政需要額でどういうふうに見ておるかというお尋ねでございますが、御承知のように、中小河川につきましては現在台帳がございませんので、したがって客観的な措置がないわけでございます。そこで、基準財政需要額を見ます際には、行政費の中のその他の諸費の面積分に算入をいたしております。その算入の方法といたしましては、標準団体、十万人の団体でございますが、これにつきましては経常分といたしまして二百十万、投資分といたしまして七百二十万、これを基準財政需要額として見ておるわけでございます。なお、お尋ねがございませんでしたが、全国の需要額といたしましては、四十六年度におきましては経常分につきまして二十四億、投資分につきましては百十一億を見てございます。以上でございます。
  66. 小柳勇

    委員長小柳勇君) それでは、いまの直接の関連ではありませんが、自治省、河川局両方の関連ですが、鹿児島市内に古い橋があるわけです。これは由緒ある歴史的な橋のようでありますが、橋の幅も狭いし、それから水の流れを阻害するということで、市も改修を思い立っておるのですが、町民感情などでなかなか改修ができないということです。この間調査に行きましたときに現地を見てまいりまして、なるほど古い橋で、改修をされようという市当局の気持ちもわかりますが、これは古い歴史的なものだから町民が残そうという気持ちはわかります。こういうものを河川局なりあるいは自治省でどのように指導されるか。私は、災害考え今後の交通事情考えたら改修しなければならぬのではないかと思うのですけれども、そのようなことが自治省なり河川局で問題になっておるのかどうかをお聞かせ願いたいと思います。
  67. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 鹿児島県のただいまお話の橋につきましては、最終的な結論の話は聞いておりませんけれども、現在まあ非常に歴史的な橋でもあるし、保存の意向が強い。しかし河川改修上からかなり支障もございますし、また一方道路交通上から見ましても、やはり相当量の交通量に対応するのには少し問題があるのじゃないかというようなことで、ある程度地元の空気がうまくまとまっていきましたら、私どももそのつもりで積極的に応援をいたしたいと思っておりますが、具体的にまだいつどういう形で河川と道路とのいろいろまた計画上の調整の問題もございますので、最終的なことにつきましては、まだきまっておるようには聞いておりません。
  68. 小林国司

    小林国司君 ただいま自治省からお話があったのでございますが、基準財政需要額の中に、市町村管理の中小河川については、台帳がないので算入の方法がない、こういうお話でございましたが、これはまあ建設省と共同で何らかの方法を立ててもらわなければならぬと思いますが、建設省のほうで、しかるべき時期に中小河川の台帳をつくって、基準財政需要額の中に、この分だけは毎年入れてやってくれという横の連絡がございますれば、交付税の対象に十分取り上げていただくということを予期してよろしゅうございますか。
  69. 福島榮造

    説明員(福島榮造君) これにつきましては、建設省のほうでどういう措置をなされるか、その段階で考えなければならぬことだろうと思いますけれども、はっきりした客観的な指標がございますれば、自治省といたしましては、それがもっとも基準財政需要額算入の方法として、好ましい措置でございますので、それについて検討さしていただきたい、かように思います。
  70. 小林国司

    小林国司君 自治省のほうからただいまお聞きのような御答弁があったわけでございますが、各町村にとってみると、今度の災害で、中小河川改修のおくれということで、とうとい人命が数多く失われております。そこで、どうしても平素から中小河川市町村みずからの手で維持管理を十分にやっておきたいという御要望が強うございます。それにはやはり交付税で何とか援助をしてもらわなければ、あるいはまた建設省のほうから改修の進度を早めてもらうということでもなければなかなかできない相談でございますので、ただいま台帳の問題もございますが、自治省と建設省とよくひとつ両省提携されまして、あるいは建設省の事業によって改修を進める、あるいは交付税によって平素から維持管理を十分にしておくという点を両省協調されまして、お進め願いたいということを御要望申し上げまして、これはお答えはけっこうでございます、お願い申し上げます。  次に河川局長にお聞き申し上げますが、このたびの災害は、先ほどお話がございましたように、連続雨量が千五百ミリあるいは日雨量についても四百ミリ前後あるいは時間雨量が百ミリをこえるといったような非常な豪雨があったわけでございます。そこで従来の建設省基準雨量のとり方と、このたびの雨量の実績と比べてみますというと、非常に大きな差があろうかと思います。今度のような雨を基準にいたしますというと、河川の断面は膨大なものになりまして、したがって復旧するにあたって、従来の農地も住宅も全部取っ払って、山から山に至る谷合い全部を河川にしなければ断面が間に合わないというところがたくさん出てくると思いますので、しかも今度各県あるいは各町村とも、早く復旧に着工したい。それにはまず建設省の法線決定が一番に必要なことだ、法線の決定がなされなければ、農地その他いろいろな復旧に手をつけるわけにいかない。そこでいま申し上げましたように、基準雨量のとり方をこのたびの災害豪雨から見て、一体どの程度の基準雨量にしたらよいのか、それに基づく法線の決定はどうあるべきか。しかも、各省とも査定は目睫に迫っております。したがって法線の決定は焦眉の急であることは御承知のとおりでございますが、建設省におかれても、法線の早期決定をするための基準雨量のとり方を、各県、各地域、各町村ごとにどのように定めるかということについては、社会的な状況とのにらみ合わせ、設計理論との矛盾、こういったところからたいへん御心配になり、悩んでいらっしゃることと思いますが、これについてはいま考えていらっしゃることを簡潔に御説明をお願い申し上げたいと思います。
  71. 川崎精一

    説明員川崎精一君) ただいまお話しのございましたように、非常に今回の流量規模は、いままでわれわれが想像していた以上の大きな規模で被害を起こした河川が非常にたくさんあるわけでございます。それじゃその地域の耕作なり何なりを犠牲にして川の疎通だけをはかるかというようなことにつきましては、これはやはり地域のいろいろな生活の既存的な問題もございますので、なるべくそういったつぶれ地を少なくするように。といって今回降りました雨をやはり無視するということでは、再度災害もあってひどい目にあおうかと思いますが、なるべくそういったところにつきましては、比較的上流部でございますので、河床勾配もかなりきついかと思います。したがってできるだけ掘り込み河道といったような工法を採用しまして、地域の生活上必要な土地をなるべくつぶさない程度にとどめたい。あるいはそれ以上の水位になりましても、はんらんによる流失その他の被害が比較的少なくて、自然湛水と思われるようなところはこれはごく短時間の湛水で済むと思いますので、あまり築堤等避けて工事を進めていきたい。ただし下流部につきましては、これはまたいろいろ別の事情もございますので、ある程度の安全な流量規模を確保しなければならないと思いますが、やはり地域開発との調和、それから破堤その他によります被害の実態、両方のバランスから十分地元の納得のいただけるような改修方式と同時に、またその堤防なり、あるいは河川管理施設がどの程度の整備状況であるかというようなことも、ひとつ地域の方々に十分認識していただきまして、雨は防げませんが、それによる災害をできるだけ軽微にしたい、こういうふうに考えております。
  72. 小林国司

    小林国司君 ただいまの御答弁で要領を得ておると思いますし、妥当な御答弁であったと思いますが、とにかく法線を早くきめるということは、各町村とも待ちこがれております。したがいまして地域地域によっての基準雨量のとり方、これはなかなか技術的な問題と社会情勢との間にはさまれて、実際むずかしい問題だと思いますが、県あるいは農林省、あるいはまた町村等と摩擦の起きないような基準雨量のとり方と法線の決定を、建設省が横の連絡を十分にとりながら早期にお進めくださいますことを希望いたしまして、この質問を終わるわけでございます。  次に建設省についでにお願い申し上げます。中小河川のこのたびの被害で橋梁がずいぶん流されております。橋梁に立ち木のままにひっかかったり雑物がひっかかって、そこでダムアップするという形態になりまして、その橋梁の前後から堤防が決壊して非常な被害が生じておるという経緯から見まして、今後橋梁の復旧にあたりましては、できるだけ長スパンにしてもらって、たとえば三十メートル以上の橋梁であるならば、中にペアを置かないワンスパンにするということが今後望ましいと思います。特に、このたびの災害等では、根のついた、枝葉のついた十メートル以上もあるような立木がそのまま横になって流れてきて橋脚にひっかかっております。そのために橋のところで一メートル以上のダムアップというかっこうになっております。そして、もちろん橋は流れますが、橋が流れる以前に上流の堤防がどっかで決壊する、こういう現象があらわれておりますので、今後はペアのない長スパンの橋梁の設計を復旧にあたってはお願い申し上げたいと思うわけでございます。  これと似通ったことでついでに農林省のほうにも御要望申し上げるわけでございますが、井ぜきの被害がかなり起こっております。これも固定ぜきでございますとその部分で洪水をダムアップすることになります。もちろん、堤防の計算というものは固定ぜきによってダムアップされた分だけ堤防の高さは規定されているはずではございますけれども、できることなら、洪水のときには洪水を引き下げるための可動ぜきであることが望ましいのでございます。したがって、井ぜきの復旧等にあたりましても、原形復旧にとらわれないで改良を加えて、そうして可動ぜきにするということを、このたびの災害から非常に望ましいことだというふうに感じてまいりましたので、ただいまの橋梁の問題と、それから農林省の井ぜきの問題、この二点について簡単にひとつ御答弁をお願い申し上げます。
  73. 川崎精一

    説明員川崎精一君) お話しのように、山間部では非常に木橋その他が流木等のために流失をしておるわけでございまして、橋脚のスパン等につきましては、私どもも前々から少なくとも十六メートル程度以上にはしたいというようなことで指導はいたしております。したがって、先生のおっしゃるようなスパンにするのには、いろいろまた財政その他の問題もあろうかと思います。いずれにしろ地域の実情なり川の規模を見まして、不可避的な流木なり土砂なりこういったものに対して支障のないような橋の橋長にしたい、こういうふうに考えておりますが、特に今回被害のあった所につきましてはそういう方針で、しかも永久橋で災害復旧をいたしたい、こういうふうに考えております。
  74. 小林国司

    小林国司君 なるべく長スパンにお考えいただくようにお願い申し上げます。
  75. 住吉勇三

    説明員(住吉勇三君) 頭首工の災害復旧の問題と思いますが、河川状況、流域の状態あるいは災害の頻度等を考慮いたしまして、従来とも必ずしも原形復旧にこだわることなく、ただいま申し上げましたような状況に応じまして可動ぜきにするよう指導してまいりましたが、今回の災害にかんがみまして、今後このような方向の指導をさらに強化してまいりたい、このように考えます。
  76. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いままでお二人の理事のほうからいろいろあったわけでありますが、私の時間が短うございますので簡潔にひとつお伺いをいたしたいと思います。  私、八月の九日から四日間ほど鹿児島災害市町村をずっと調査をしてまいりました。そのあと参議院の災害特別委員会調査団が参りましたので、現地で参加いたしましてまた調査をいたしてまいりました。そういう中で先ほど二人の理事のほうからもお話がありました。一九号台風と七月の二十三、四の集中豪雨を一緒にしないというのがどうも理解がつかないのでありますが、六月の二日から七月の末までの二カ月に及ぶ梅雨前線災害を一本にしまして、七月の末から八月の十日くらいの間に起こった災害は分けることのできないくらいの災害だと思うのですが、それを一九号だけは別だ、こういうふうにしていらっしゃるのがどうしても理解がつかないんであります。しかも気象庁のほうは早々と梅雨は上がったという宣言をやっておったわけですよ、七月の災害のずっと前に。これはどうも私は、七月末のやつと八月の一九号台風は一緒に考えたらどうかと、県に行きましても、市町村に行きましても、現場の住民に聞きましてもやはり集中豪雨があって、そうして土壌、地表というものが水で飽和状態になっている。そこへもって台風が吹いて木がゆれる、土壌がまたゆるむ、そこへ台風の直後に集中豪雨があってこういう災害になったんだ、そういうふうに解釈しているんです、一緒です。災害から言えばそれを分けるということがわからないんですけれども、それをちょっと説明をしていただきたい。
  77. 砂田重民

    説明員砂田重民君) お答えいたします。  激甚法の法律のたてまえが、同一気象原因に基づく災害ごとに指定をするということになっておるものでございますから、梅雨前線被害に基づく災害と一九号とを分けざるを得なかったのであります。いま先生おっしゃいました、間でつゆ明け宣言が気象庁であったじゃないか、まさにそのとおりでございます。そのとおりでありますけれども、端的にこれざっくばらんにお話しいたしますけれども中央防災会議連絡会議等を開きまして、私、事務局長でございますけれども考え方としてはいわばそちら側の立場でものを考えて判断をしていくわけでありますが、梅雨前線被害というのは前段の被害が、災害がございまして、つゆ明け宣言が行なわれて、その後二二号の台風がきて、それからその後段のまた梅雨前線被害が出た。ですから、端的に申し上げますと、結果的に見れば、気象庁のつゆ明け宣言というものは、結果的に見るとあの時期にはつゆは明けていなかったということでありまして、四十六年につゆは二度はないのでありまして、四十六年のつゆは一回であるという判断を私はいたしまして、全部含めまして激甚指定基準に合致をした、そういうことでございます。一九号台風というものは、したがいまして梅雨前線というものとはこれは独立をした気象条件であって、梅雨前線の活動による被害と一九号台風というものを同一気象原因によるということが、どうしてもこれはそういう解釈が成り立たないものでありますから分けざるを得なかった。ただ、災害にあわれた地元といたしましては、同じような感じを持たれることは、そのお気持ちは十二分に私はわかります。そこで、同一気象条件のもとにおける災害という解釈ができませんから、別にいたしますけれども、一九号台風による災害の激甚との関係は弾力的に考えていきたい。鋭意ただいまそれの数字の把握につとめているところでございます。同じところが引き続き梅雨前線による災害を受け、さらに重ねて一九号災害を受けられた。こういったことについての地方公共団体の財政上の負担をできるだけ少なくするように、これは国の補助なり、負担なりだけでなくて、起債あるいは起債の元利償還を交付税で見る等の措置を通じまして、地方公共団体の負担をできるだけ少なくするよう、あります制度の弾力的な運用でそういうことをやっていきたい、かように考えておることでございます。激甚の法律のたてまえから、どうもこれを一つにすることは適当ではない、かような判断で別々にしたわけでございます。
  78. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は、つゆ明けたんだという宣言があった。その立場に立てば、すぐつないでおる七月末と八月まではこれを一本にすべきではないか。それを無理やりに気象庁発表したにもかかわらずそうじゃないんだ、梅雨だと。前に持ってこられたんじゃないかという感じがするんです。しかも十九日に仮決定されるときには一九号台風被害状況、はっきりわかっているわけですし、しかし被害という考えからいくと、七月下旬のものと八月上旬のものは一本だという考えをだれしも持っているわけですよ。どうも、私はそこのところに無理やりに梅雨宣言があったにかかわらず、無視して前に持ってこられたような感じがいたします。もう一つ、これは被害中心にして考えるのか、何か気象の態様を中心にして考えるのかという問題がある。非常に気象の態様で考えていらっしゃるし、実際、住民は被害が起こった原因を考えておられる、これこれの理由であった、これは一本だという被害を基礎に置いているというふうに考えます。それらは別にしまして、先ほど副長官の一九号の台風については、農産物、農業施設の被害が非常に大きいから激甚の指定になるのじゃないかというふうな感じがしているんだ、それ以外の問題については何かむずかしいような感じを受けたのですが、もう一ぺんそこのところをはっきりしていただきたい。
  79. 砂田重民

    説明員砂田重民君) 先生、前段の問題は、おっしゃるとおり気象現象で実は判断をする激甚法のたてまえになっておるものでございますから、つゆのあとのやつをさきにくっつけたじゃないかとおっしゃいますけれども、つゆの前段の被害があって、つゆあけ宣言が行なわれて一三号があってつゆの後段があった。それを一つ一つ別のものにいたしますと、どれも激甚の基準に合ってまいりません。そして四十六年度のつゆは一つだという判断でうしろのやつをいわばひっつけて一つ災害一つ気象現象による災害という見方で激甚の指定をしたわけでございます。同じようなことを何度も申し上げるようでありますけれども、一九号台風梅雨前線の活動による災害とは気象条件が全く違う。独立した災害と見ざるを得ない、激甚法の同一気象原因に基づく災害ごとというたてまえからいたしますと、そうせざるを得ないのであります。なお、一九号台風によります被害については、先ほども申し上げましたように、先ほど冒頭、私が御報告をいたしました数字から見ましても、農地、農業施設の被害がたいへん大きゅうございまして、ただいまいろんな数字を把握することにつとめておるところでありますけれども、いままでつかみ得た農地、農業施設の被害額等から考えましても、これはきょうのところは私の個人的な判断でごかんべんいただかなければなりませんが、農地、農業施設は激甚に合致するのではなかろうかと私は考えております。公共土木等につきましては激甚にはどうも当てはまりにくい、そこで局地激甚にはまらないものかと思って、つとめてそれの数字の把握につとめておるところでございます。
  80. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 さっき松永理事のほうから話がございましたけれども、寄州、中州、これの除去について私は積極的にやってもらいたいと思うのですけれども、加世田川が今度はんらんいたしまして、加世田川の災害は五億八千万円というたいへんな被害が出たんですけれども、聞きまして、どうして堤防が切れたかよくわからなかったのですね。二百ミリ程度の雨、その程度の雨で堤防がこわれるわけないです。その上のほうでたいへんな雨量があったのかというと、どうもそうじゃない、堤防が切れている、そのためたいへんな災害が起きている。三万の人口の加世田市、そこで五億八千万という災害が起きた。現場を見せてもらった、そうしたら寄州がたいへん出ておる。特に市のほうの下流のほうの寄州というのはたいへんなものです。そして三メートル、四メートルの竹が繁茂して密植しておる、竹林のような感じです。これは二百ミリ三百ミリ——ちょっと二百ミリ降ってもこれは井ぜきになっちゃう、ですからそれを除去するということは非常に加世田市長も一生懸命強調しておりました。これは決して加世田川だけの問題ではなくて、鹿児島中小河川の場合においては、シラスが非常に崩壊しやすいものですから、それが川に流れ込んでくる、それが川岸に寄っちゃう、あるいは中州をつくっちゃう、そこで竹が繁茂しヨシが繁茂し、——雑草がはえているという、そういうものではない。竹が繁茂しちゃって竹林になってしまっている、あるいはアシが繁茂して密集している、こういう状況になっているのですね。ですから、先ほど河川局長が、この寄州、中州の問題については積極的に前向きに対処していきたいというお話ですが、公共事業として、あるいは付帯事業として積極的にやってもらいたいと思うのですけれども、ことしの災害復旧事業の中に入ってまいりますか、その点伺っておきたい。
  81. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 今回の被災しております個所の一連で、今後とも寄州その他が河川の河道の疎通に支障がある、したがって災害を起こすおそれがある、こういうようなところは、当面、災害復旧事業の中にできるだけ取り込みまして改修の促進をはかりたいと存じます。
  82. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 もう一つ、串木野市ですね。これも三万ぐらいの小さな市なんですけれども、これがたいへんな災害を起こしまして、これは三万の都市で二十八億という被害が起きていますね。たいへんな災害が起きたわけなんですが、新聞等の報道を見ますと、この町のまん中を流れております五反田川がはんらんしたのですが、その上のほうに串木野ダムというのがありますね。これは防災ダム、ことしの六月に完成したのだそうですよ。新聞等は、そのダムは防災ダムじゃなくして災害ダムだという報道をしまして、それから「ダムに泣かされる市民」という題で報道されているのですね。私も現地に行ってまいりまして、そのダムにも行ってみましたが、満々と水をたたえていると思ったら、からっぽになって全部水がなかったのですよ。百八十万トンぐらいの能力を持っているのですね。新聞等の報道によりますと、雨がうんと降っている、それに満潮時になっている、そこへもってきてあぶないという判断でダムを流しちゃった、この三つが重なったというのですが、市民のほうの考え方は、あのダムがあったからこんなことになってしまった、あれがなければあの程度の災害にはならなかったのじゃないかという考え方ですね。実際、ダムに行ってみて、ダムの流し口が二つありますよ。川の上流にあるのですが、その川が全然改修されてないのですね。前のとおりの川なんです。ダムだけができ上がっている。そこへ一ぺんにぽんとやられるからダムから下のほうは完全に洗い流されて、川が大きくなって流れているわけです。橋げたがみな洗われちゃって橋が十七も流されちゃうという事態なって、この三万の串木野市だけで二十八億とうたいへんな損害を生じているのですね。これは、新聞によりますと警察が捜査したということなっているのですけれども、どういうふうに見おられるのか、この点について伺いたいと思います。これはどうも、串木野市の防災ダムの管理問題があるのじゃないかということと、それからダムと河川との間がばらばらになっているのじゃないか。ダムができた、しかしそのつなぎのそのダムの下流のほうの河川というのはそのままで改修されていない、堰堤はもちろんできてない、幅ももちろん広がってない、そういうところに題があるのじゃないかという感じがするのですけれども、これについて建設省並びに農林省の考え方をお聞きしたい。
  83. 川崎精一

    説明員川崎精一君) ただいまお話しの串木野ダムでございます。これは、御承知のように、あ五田反川周辺の農地防災ダムということで農林省の指導と補助でできたダムでございます。私ども河川管理の立場からダムの実態を県等を通一まして徴したところでは、当初計画を上回るよな大きな流量が出ておりますし、特に調節の方法等にも誤りがなかったように存じます。したがいまして、今後このダムをどういうように操作するか、その他については私どものほうと、それから農林関係のほうと十分調整をいたしまして、その上でダムの操作方法、それから今後の下流の河川改修規模等につきましまて両者の協議の上で、こういった今回のような豪雨にも十分耐え得るような河道の改修実施いたしたいと思っております。私どものほうではそれに従って、この河川はまあ一元的に改修をするか、まあ局部改修をするか、その他いろいろ問題はございますが、これは現在、県の土木と農林との間でいろいろ調整をやっておるようでございます。その結果を待って方針がきまりましたら、災害復旧なりあるいは河川改修なりで促進をいたしたいというふうに考えております。
  84. 住吉勇三

    説明員(住吉勇三君) ただいま先生からお話ございましたように、この串木野ダムは、昭和四十一年に着工いたしまして、四十六年の三月、一応農業用の防災ダムとして竣工したことになっております傾斜式コアのロックフィルダムでございまして、この時点におきましては県が管理をしておるというような段階で今回の災害にあったわけでございます。  一応こまかいことになりますが、このダムの設計につきましては、五十年の確立雨量をとりまして、一日の最大雨量三百十五ミリ、一時間の最大雨量七十九・八ミリというような数値でこのダムの設計がなされております。防災ダムといたしましての効果は、この下流側に国道三号線のところに橋梁がございますが、この地点におきます現在の通水断面から最大洪水量を想定いたしまして百四十二トンの洪水量をカットするというような目的で発したわけであります。ただいまお話ございましたように、このダムはロックフィルダムでございますので、そこに放流管、千六百五十ミリの放流管が二連通っておりまして、さらにロックフィルダムでございますから余水吐きが上についているということでございます。今回の災害状況につきましては、県当局から説明を徴しましたところによりますと、一応八月四日の二十時ごろまではダムをからにしてゲートも開放しておったわけでございますが、この時点から一九号によります雨が降り始めまして、ゲートの操作を始めておるようでございます。そして問題になっております時点におきましては、五日の十八時から十九時ごろでございますが、ただいまお話をいたしました余水吐きの地点をオーバーフローするようになりまして、相当危険な状態になったということで、先ほどのゲートを全開した時点がちょうどこわ十八時から十九時の間でございまして、この時点がまた一時間雨量百八ミリという百ミリ以上の一番強い雨がこの時点で降ったということ。さらに下流におきましては、この日の満潮が十八時五十六分ということでございます。記録的な強い雨と、ただいまお話ししましたように、この長雨の最終時点で日雨量百ミリ以上というような強い雨が降ったということ、それでダムの余水吐きをオーバーフローしましてダム自体が危険な状態になってゲートを解放した。また、下流地点におきましては、ちょうどその時点が満潮時だった、こういうようなことがいろいろ重なりましてまことに残念な災害が起こっておるわけでありますが、私どもも県の事情を聴取いたしましたところ、管理そのものについては別に過失等はなかったものと思っております。しかしながら、ただいま先生お話ございましたように、将来このダム管理は市町村等に移管されるべきものでもございますし、このダムの管理体制につきまして、今後さらに指導を強化していきたいと思います。  下流の中小河川等の改修は、先ほど河川局長のほうからお話もございましたように、建設当局とも十分に打ち合わせまして、下流の建設省関係と打ち合わせながらこのダムの管理体制その他につきましては万全を期していきたい、かように思っております。
  85. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この串木野のダムの管理は県がやっておるのですけれども、そのダムの現地には管理者がいなくて、そこから自動車でちょっと一時間ぐらいかかるところにおるのですね、一時間以上かかりましょうか、そこから飛んでくるらしいですね。今度全開する場合も、ちょうど十数分前に出したらしいのです。市はこうおっしゃるのですが、とても伝えられるものではないというのですね、そんなものでは。そういうことからいろいろなものが出たと思います。ただ管理が、どうもだれが考えましても一時間以上も離れた遠くから飛んでくるような、そういうような管理ではどうもまずいのじゃないか。市が持ちますればいいように思いますけれども、まだ県が持っておりますから。それからこの防災ダムの管理というものは私は非常にむずかしいのではないか。長雨がだらだら降って管理するというんならいいですが、こういう集中豪雨があったときの管理のしかたというものは、非常にむずかしいのではないかと思いますし、ですからこれは市なら市に管理を移すということになるんでしょうが、やはり管理費の補助が要るのじゃないかというように思いますが、その点についてのお考え方をちょっと聞きたいのと、それからすぐその次のところに入来町というのがあるのですが、これも今度非常に被害を受けた。小さな町ですが、七億の被害を受けている。年間の予算よりもはるかにでかいたいへんな災害を受けたわけですが、ここでもいまダムがつくられつつあります。防災ダムがつくられつつあります。行ってみました。川の上流にダムがほとんどでき上がりつつある。おそらく来年は完成するのじゃないでしょうか。ところが、そのダムと川との間は何らの措置がされてないんですね、何にもされてない。堤防が築かれておるわけじゃないし、川幅が広げられているわけでもない。ですから、この串木野のダムと同じような形が、この入来にいまそういうものができつつあるわけですね。これ以外にも防災ダムというのは鹿児島県にはあと二カ所か三カ所つくりつつあるそうですが、ダムはできた、しかしその下の河川は前のままだ、川幅も広がっていなければ堤防もつくられていないという状況では、これはまた串木野と同じようなことになるのではないかという心配をしますから、防災ダムとその下にある河川改修との関係についてはっきり聞きたい。これからの防災ダムについて必ずこれは問題を生ずると思いますので、その点について聞きたいことと、どうも私は中小河川の川幅を広げて堤防を築くという経費のかわりに防災ダムみたいなものをつくって何か糊塗しているのじゃないかという気持ちすらするほどです。この点についてのことを聞きたいと思います。
  86. 住吉勇三

    説明員(住吉勇三君) ただいま先生からのお話で御指摘ございましたように、この三月に農業用防災ダムとして一応誕生したわけでございまして、先ほどお話がございましたように、ただいまは伊集院の耕地事務所の串木野のダム管理事務所でございます。この地点の職員は課長以下六人の方がこのダムの管理をしておられるという実態でございます。なお、ただいま先生からお話ございましたように、上流、下流との通信網と申しますか、そういう点におきましても、必ずしも十分な連絡施設がないようでございますので、私どものほうもいろいろな管理用の観測器材を整備すること、その中に下流地帯との通信網をさらに整備すること等を考慮いたしまして、来年度の予算要求にも出しておるようなことでございまして、今後そういう方面の管理体制の強化につきましては万全を期してまいりたい、こう考えております。
  87. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 私どものほうの中小河川改修が非常におくれておるということは事実でございますが、そのために特に農業防災ダムの計画と矛盾したような事業の進め方ということは、私どもは決して指導をしておるわけではございませんで、おそらく農業防災ダムができます時点でも、県におきましてはそれぞれ河川の担当部門と農業部門との調整は十分行なわれておるものと思います。なお、その間に必要があれば、関連事業として、私ども河川改修等について当然応援をいたしまして、改修の促進をはかっていく、在来からもそういった努力はいたしておるわけでございまして、ただ今回のように非常に規模が大きいと申しますか、計画しておった以上の集中豪雨あるいは台風による豪雨、こういったもので農業防災ダムも、十分その機能を果たし得なかった面も・あるようでございます。そういった点については、今後の河川改修の計画面で十分に反映するようにいたしたいと思います。
  88. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いま防災ダムと下のほうの川の河川改修が全く無関係になっておるのですね。ですから栗野町の串木野ダムについても私は河川改修は必要だと思うし、いまつくられつつある入来のダムについてもその下のほうの下流は全然できていない。すみやかにダムができると同時に中小河川改修もやらなければならぬじゃないか。これは困りますね。その点についてもう一。へん伺いますが、続いて時間もございませんのでもう一つつけ加えてひとつ御答弁をお願いしたいと思いますが、これは中小河川の問題で栗野町ですが、小さな町ですけれども、これで中小河川内水のたいへんな災害が起こりまして、これは六億六千万という被害を受けておりますね。川内川の堤防が完備してまいりまして、そこで水位が危険水位をずっと上がってしまう。そこで栗野を流れております四つの川の樋門を閉じてしまう。そうするとこの樋門が閉じますから四つの川があふれてしまう。堤防が築かれていない町の周辺を流れておる川のほうにみんなぶち当たって、四つの川が全部増水をして町一体を水びたしにしてしまう。国道が通らないわ、県道が通らないわ、それから床上浸水はたいへんな量でふえる、水田は冠水するという被害を出しておる。ここで言っておるのは、内水を排除してくれればいい。床下浸水は一年に一回は必ずあるということです。だけれども、川内川の堤防を完成するに従って水位が上がって樋門をしめなければならぬ。これは内水排除の施策をやってもらいたいと思います。吉松も同じですね。吉松はその上のほうですが、吉松のほうも、川内川の堤防が完備されてきた。ところが川内川が吉松町から栗野の間、中間は山を通るのですが、非常に狭くなっている。そこに水俣窒素工場の発電所の取り入れ口がある。ですから水があふれてきますと、この狭いところにかさが上がってしまう、逆流しはじめる、そうすると樋門をしめる。そうすると小さな支流の川があふれてしまう、堤防があるが、結局冠水してしまうということで、吉松町も同じように被害を受けるということになるのです。ですから内水を排除するというそういう施設をこれは一級河川の堤防が完成すると同時にやっていかないと、今度みたいなものが続々出てくるということになるんじゃないでしょうか。ですから、私は吉松といまの栗野町の内水の排除についてすみやかに措置すべきだと思うんです。この点について聞きたいと思います。
  89. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 先ほどの農業防災ダムとそれから河川改修事業との関連でございますが、私ども河川事業といたしましてもこれは非常におくれておりますので、至るところやるところはたくさんあるわけでございます。したがって県その他で中小河川を見ましてできるだけ緊急を要するところから着手をしておるというのが実情でございます。したがいまして、また別のサイドの面から農地の防衛のためにそういう農業防災のダムができました場合に当然調整をして、これには緊急順序の問題だとか、いろいろそれぞれ所管をいたしておりますのでその違いはあろうかと思いますけれども、できるだけ調整をいたしまして、一貫した防災体制がとれるように努力いたしたいと思います。  次の川内川の特に中流から上流にかけての河川改修の問題でございますが、次第に、おっしゃるように本堤ができますと、そういった中小河川合流点部における内水の問題が出てくるわけでございます。したがって全般的にはそういった中小河川の本線水位に耐え得るように巻き込みをするか、あるいは樋門によって流域によってはポンプアップをする、こういったような対策を基本的には進めているわけでございます。で、栗野から以下につきましては、これはまだ本線の改修がか九りおくれております。それで菱刈だとか、そこ湯ノ尾という温泉がございますが、あの地区にnきましては相当大胆な河川をショートカットするような改修をやらないとぐあいが悪い。したがいまして上流部を先に手をつけましてもやはり川の改修の順序としますと多少逆になりますので、そういった本線自身が非常に川内川の改修がおくておりますので、これをできるだけ早く目鼻をつけたいということで促進をしておるわけでございます。なお、栗野から上に狭窄部でございまして、たまたま日窒の発電所のための堰堤がございますが、これ自身は高さ五メートル余りの低い堰堤でございまして、しかもずいぶん昔にできたのでございますから、私どものほうの地建でもいろいろ調べましたが、特にそのダムがあるとかないとかいうようなことで洪水時の水位に及ぼす影響というのは非常に軽微であり、おそらく十七〇センチ前後じゃなかろうかと思います。したがって、ダムの問題、これを撤去するとかいうようなことを考えましても、あの狭窄部自身がある以上は、あまり上流の水位としては変わらないんじゃないか、したがってむしろ吉松町の河川改修を本市的に促進すべきじゃないかというように考えます。そういった点では非常にまあ改修の速度がおそくてはなはだ申しわけない次第でございますが、こういった災害にかんがみまして、私ども先生のお気持ちと同じでございますので、やはり築堤と内水の排除というものはどこまでも並行的に進めていくべきだというふうに考えておりますので、今後ともできるだけ事業の促進をはかりたいと存じます。
  90. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 時間がたちましたのですが、先ほど松永理事のほうから移転の問題が出まして、団で住居を移すということですが、今度至るところでがけがくずれ、裏山がくずれたということ、四十何名かの死傷者ということであったわけですが、そういうことで至るところで牧園町においも集団的に移転したいということで町長との間で話があるとか、樋脇町でもある、入来でも、串木野でもある、それから横川町でもある。こういうことで各町村でそういう集団的な移転の問題が町長との間で話し合われておるということなんですけれども、それに対する施策が非常に不十分ではないかというふうに感ずるんですけれども、さっき答弁がありましたが、住宅金融公庫から五十万円の融資ですかという程度のものでありまして、これのワクを広げるあるいは利子補給をするとか、あるいは市町村が宅地造成をそのためにするとかという場合にそれの援助をしていくとかという積極的な助成が要るのではないかと思うんです。したがって先ほど話がありましたように、鹿児島だけを見ましても二百年、三百年待たなければならぬ、防災措置をするには。ここに来たら住民を守っていくには待てぬという感じです、あぶないからどこかに移転したい、移転したいんだということが住民の考え方で、町村長も考えているんですが、それをやる制度援助の体制がないということが問題になっているんです。それについてはっきりひとつ対策を立ててもらわなければならぬのじゃないかと思うんですが、意見を聞きたいんです。  それからもう一つ、牧園町の万膳川というのがあるんですが、これは非常に被害を受けたんですが、そこに行きましたらちょうどその部落の中に農業委員会の会長がおりまして、その会長さんがこういうことを言っておったんです。とにかく巨大な石や土砂で埋まって数十ヘクタールが川原のようになってしまって、そこでこれではとても三年やそこらではどうにもならぬ。だから数十ヘクタールというものを生産調整の中に繰り込んでもらえないか、そうしてもらわなければとてもこの部落は立ち直ることができぬという話なんです。生産調整に繰り入れてもらえば五年ですか、三万円、少なくとも反当たり三万円、何とかそういう方法はないものかという質問がありました。そこでそういう感じを持っておる者が相当いるのじゃないかと思う。これについて農林省の考え方を聞きたいと思います。
  91. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  今回の災害によりまして被害を受けた水田が、今後はたとえば生産調整の方向にも従って畑等に転換いたしたいというような場合におきましては、災害復旧事業といたしましても異種目復旧を積極的に進めたいと思います。明年度以降においてもこれらについては生産調整の対象にいたしたいというふうに考えておるわけでございますが、本年度すでに農家の御選択で稲の作付を終えてしまったものにつきましては、これはやはり生産調整は生産調整、災害のその他救済措置は救済措置というようなことで従来も他の災害についても取り扱ってまいりましたし、今回についてもそのような取り扱いをせざるを得ない、というふうに考えております。
  92. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 来年そこに果樹を植えるとかそれから木を植えるという場合には、生産調整の対象になりますか。
  93. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) 先生のおっしゃるとおりでございます。
  94. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そうしますと、今度被害を受けたところは、たんぼにするにはたいへんだというところが相当あると思います。そういう場合にいまのように畑にしなさい、そうして果樹なりあるいはあそこは谷あいが多い、だから林地にしなさいというような災害復旧の中でそういうような指導もされますか。
  95. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) 先ほど簡単な答弁で申しわけなかったわけでございますが、お話しのように災害復旧につきましても、異種目復旧をそのような地帯につきましては進めまして、地元の要望にこたえたいというふうに考えております。
  96. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 午前の調査は、この程度とし、十三時四十五分まで休憩いたします。    午後一時二十分休憩      —————・—————    午後一時五十五分開会   〔理事松永忠二委員長席に着く〕
  97. 松永忠二

    理事松永忠二君) ただいまから災害対策特別委員会を再開いたします。  午前に引き続き、災害対策樹立に関する調査を議題とし、調査を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言願います。
  98. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いままでの質疑でもって、ほとんど問題とされるような点については、言い尽くされたという感じがいたします。そこで、私は角度を変えまして、兵庫県の新舞子、この問題を取り上げて、ここに焦点をしぼってお尋ねをしてみたいと、こう思います。で、お願いをしておきたいことは、これは県にかかる事項が非常に多い。そこで、県の報告を受けたところによればというような答弁でなくて、あくまでも国の責任ある立場、そういう立場からひとつ御答弁を願いたい。最初に、そのようにお願いをしておきます。  で、最初にお尋ねいたします点は、御承知のように新舞子は、基山のがけがくずれて、三軒の海の家といいますかね、休憩所が押しつぶされた。そしてその際に、十名の方々がとうとい生命を一瞬にして失った、こういう事件です。で、その後のこの新舞子の復旧状況、それから美津和荘あるいは田中屋、丸山荘、これらが押しつぶされてしまった最大の原因になったものは何か、この辺のところから、まずお答え願いたい。
  99. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 現地におきましては、災害直後は当面の救助活動、それからあと片づけ、そういったものを、地元並びに県が中心になって行なったわけでございますが、その後につきましての抜本的な復旧等につきましては、現在いろいろ警察等でも調べておるような状況でございますので、その後は特に防止工事等はまだ行なっておりません。
  100. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いまの答弁によりますと、いわゆるこの三軒の休憩所がつぶれた最大の原因、表づらはわかりますよ、がけがくずれたんですから。なぜそれがくずれたのかというその原因について、調査をした結果をひとつお答え願いたい。
  101. 川崎精一

    説明員川崎精一君) がけくずれによることは確かな事実でございますが、その間に、若干がけに手を加えておったかどうか、はたしてそれが原因かどうかというような点につきまして、問題があるようでございますので、現在、兵庫県の警察のほうで取り調べをいたしておりますので、私どもも、そういった結果を見て処置したい、こういうふうに考えております。
  102. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それでは何にもまだわかってないということになりますね。そうしますとね、局長はおいでになりましたか。
  103. 川崎精一

    説明員川崎精一君) まだ現地へは、災害後け行っておりません。
  104. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それは行かなければわかりませんよ。やっぱり自分の目で、はだで見て感じてなけりゃ、これはほんとのことはわからない、こう思います。一度おいでになったほうがいいと、こう思いますね。  そこで、それではこれは農林省のほうの関係なると思うのですけれども、基山ですね、いわゆる基山の所有権は、現在は黒崎有限会社ですな、これは。有限会社黒崎共有財産管理会、非常に買い名前だけれども、これがいわゆる持っておるわけです。これの、現在はそうなんだけれども、当初は基山の所有はどこだったのか、所有権はどにあったのか、だれが持っていたのか、農林省。
  105. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) お答え申し上げます。  昭和六年までは国有林でございまして、昭和六年に地元三十数名に払い下げておるわけでございます。その後の経緯については承知いたしておりません。現在調査中でございます。
  106. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうしますと、当初は国有林冊であった、これがそれでは代表はだれですか、だれに払い下げられたのですか。
  107. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) 払い下げた相手、あるいは払い下げた理由等につきましては、現在調査中でございます。
  108. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 これも何もわからないと、こういうことですね。  それでは次にいきます。今度は建設省です。新舞子の災害現場、これはこの付近は埋め立てによる造成、いわゆる埋め立て地である、こういうふうに私は聞いておるのですが、これは事実ですか。
  109. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 新舞子で今回がけくずれ等で被害のございましたあの周辺部には埋め立てを行なっておる事実はございます。
  110. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それではもう一ぺんはっきり言いましょう。事実はありますというようなあいまいな答弁でなくて、わかっているはずなんです。いわゆる馬崎基山地先第一次、第二次の埋め立て、これはわかっているはずです。ですから、このいわゆる災害を受けたこの美津和、田中、丸山、これがつぶされたわけです。その一帯は埋め立て地と聞いているけれども、そうなのかとこう聞いているわけです。そこをはっきりしてください。
  111. 川崎精一

    説明員川崎精一君) ただいまお話しのように、そのくずれました地先の周辺で第一期、第二期の埋め立て工事が行なわれております。
  112. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 まだ私の言っていることについてそのものずばりでお答えないのですけれども、はっきり言ってもらいませんと時間もありませんし、ただ長くなるばかりですから、同じことを繰り返して。ですから非常に困るわけですけれども、その点をはっきりひとつ答えてもらいたい、こっちの言っていることについて。埋め立て地であるという、あの三軒の建っているところは埋め立て地である、間違いないです。これは、あなたはそこのところをぼかしているけれども、それは間違いない。そこでそれでは埋め立て地であるとするならば、公有水面埋立法による所定の手続が必要になる、これは当然です。その所定の手続がなされているはずだと思うが、そこまでいかなくても所定の手続が必要だと思うけれども、この点はどうなんですか。
  113. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 埋め立ての規模等によりますが、ただいまお話しの地点は当然兵庫県の知事の免許にかかる手続を必要とする区間だと思います。
  114. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 公有水面埋め立てに関する許可申請が、これが必要になってくると思いますね、免許申請の。そうするとそれはだれがいつの時点で行なったのか、またこれに対して県はいつ埋め立ての免許をしたのか、そこの点ひとつお答え願いたい。
  115. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 新舞子地先の災害のございましたのは、埋め立ての中で第一期工事にかかる分と存じますが、これにつきましては黒崎共有財産管理会、これが免許の申請を三十九年の十二月十一日付で兵庫県知事に申請をいたしまして、四十年の二月二十四日付で免許、同じく四十一年三月十七日付で認可をいたしております。
  116. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうしますとね、埋め立て許可、いわゆる免許申請ですね、この免許申請は埋め立て工事開始以前に行なうということが、これは常識的に言っても当然だろうと私は思う。もしその許可申請手続以前に埋め立て工事が行なわれた——行なわれておったとするならば、それは公有水面不法埋め立て、こういうことになると思いますけれども、この点はどう考えますか。
  117. 川崎精一

    説明員川崎精一君) お話しのように法律趣旨からは反すると思います。
  118. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうしますとね、先ほどの局長の御答弁によりますと、昭和三十九年十二月に免許申請が行なわれたんだと、それで四十年二月に免許されたと、こういうふうに言っておりますが、これはそのとおりですね、そのとおりでございますね、間違いありませんね。
  119. 川崎精一

    説明員川崎精一君) そのとおりでございます。
  120. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうすると、非常にそれがふしぎな問題になってくるんですがね。昭和三十九年の四月三十日に漁民の方たちは、この埋め立ては不法である、不法埋め立てである、漁業権の侵害である、こういうようなことで龍野土木出張所に工事中止命令を要請しておるんですね、そうするとこれはどういうことになりますか、いわゆる許可したのは四十年二月だ。しかも三十九年四月ですよ、この時点で漁民はこの工事についてこれは不法埋め立てであるというので、その龍野土木出張所のほうに中止命令を要請しておるわけです。これはどういうわけなんですか、これは明快にひとつお答え願いたい。
  121. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 実は、その当時のことは私も調べましてもちょっとよくわかりませんので、これは県の報告によるわけでございますが、当初黒崎の共有財産管理会が自分の所有の、これは民地になっておるわけでございますが、そういったものの海岸に対する護岸工事、こういったものに着手したらしい、こういうことがございます。これに対しまして官民境界その他がいろいろ不明確な問題がございますので、県のほうでも現地調査をいたしました。しかし、そのいろいろ状況を調べますと、これはやはり当然埋め立ての許可を申請すべきものじゃないかというようなことで手続をとらせたというような報告を聞いております。それでただいまお話しの漁業組合の騒いだという件につきましては、これはおそらく第二期の埋め立ての時点ではなかったかというふうに思います。
  122. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私は三十九年四月三十日にいわゆる中止命令の要請を漁民の方たちが出していると、こう言っているんですよ。第二次はずうっとあとじゃありませんか。ですからその点を、これは第一次埋め立てのことについて私は申し上げているのです。第二次もあるのですよ。それはまだ早いのです。だからこれからなんです。いま第一次の問題をやっているのです、合わないじゃないかと言うのです。申請し免許になった。だけれども、漁民はずっと以前に中止命令を要請しておる。合わないじゃないか。その合わないいきさつ、その点を明らかにしていただきたいと、こういうわけです。
  123. 川崎精一

    説明員川崎精一君) ちょっと私の調査が不十分でございましたが、三十九年の当時においても、何かその周辺の漁民のえさ場等が官民境界にからんで問題になったので、そういった漁民から要請のあったのは事実のようでございます。
  124. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 ですから、私申し上げているように——なぜ私はこんなことを言ってるかというと、これは余談になるわけですけれども、その防災計画に基づいて災害を起こしてはならない、防がなければならぬと、その最大の目的は人命尊重という立場からだと、先ほど副長官のほうからもお話がありましたよ。そういうことなんです。それで、なぜこういうことを私は聞いているかというと、いわゆる表づらのルールにのっとった防災計画というものは、おそいけれども進んでる。だけれども、いわゆる見えないところで、言うならば人為的に災害が起きておるというそういう問題については、何ら手が打たれていないじゃないかと言っても過言ではないと、こう思うのです。そういう意味で、この問題はいわゆる人災、人為的につくられたものだという、こういうような考え方を私は持っているわけです。そこで、一つ一つ積み重ねた上でそれを明らかにしたいと、こいううわけなんですから、その辺のところを、先ほども申し上げたように、県の話を聞いたところによればこういうことなんだという、そういう御答弁ではなくて、いわゆる局長なら局長自体が、実際にこれだけの大きな問題があったのだから、その現地に行ってその実情を把握した上で、そういった内容をつぶさにつかんで、そしてその上に立って責任ある答弁をすべきである、またそれを最初にお願いをしたわけです。ですから、県のなんていうような話はひとつ、何回も言うようですけれども、これからあまり使わないでもらいたい。わからないではっきり頭を下げて……。  それでは、こう繰り辺しておったのではどうしようもないのだけれども、しかし、これはそうだとするならば——そうだとするならばじゃない、これはそれに違いないんだ、調べると、そうするとこれは不法埋め立てですよ。その不法埋め立て、いわゆる管理のずさんさ、あるいは怠慢さというか、そういうことによってこれが不法埋め立てされておったにもかかわらず、これが短時日のうちに簡単にいわゆる免許がなされている、こういうことだ、問題は。その辺が私は問題だろうと思う。これまた余談ですが、先ほど、大臣が一人も来ないということで松永理事が言われましたけれども、そういう姿勢がこういう災害につながっていくということも、これは言えると私は思いますよ、頭のほうから……。今度の免許だってやっぱり同じじゃないですか。相当怠慢というか、ずさんさという以外にない、そういったことを言っておきます。ですから、私から言わせてもらえば、これは不法埋め立て——それがまた簡単に許可になっている。  それを繰り返してもしようがないので次にいきますが、公有水面埋め立てについて免許を与える場合、その使用目的が明らかでなければならぬと私は思います。それじゃあどういう使用目的に対するいわゆる計画書、正式な計画書、こういうものが添付されて許可申請がなされる。これは当然だろうと思う。私も千葉県におった時分に、手賀沼の埋め立て、それからオリエンタルランドの埋め立てなり、埋め立て問題はいろいろ取り扱ってきました。全部きちっとした計画書がついている。この問題についてもし免許を与えなければならない問題ならば、埋め立てならば、当然その使用目的に対する明細書というか事業計画書、これに対する明細書がきちっと添付されていなければならぬ、こう私は思います。そういう手続が完全に行なわれておったかどうか、その点が行なわれていたかいないかという点が一つ問題点になると思う。その点どうでしょう。
  125. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 内容なりいろいろ審査の精粗の問題がございますけれども、一応書類上、手続上はそういったものが添付されておりました。
  126. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 だからこまかい、きちっとした明細書、いわゆる埋め立てるということは目的があるわけでしょう。一業者、しかも不法埋め立てをやらかした一業者、それが埋め立てた後どういうことに使うのだというそういう明細書がきちっとしたものが出ていなければならない。それも出ないのに免許をするというようなことになれば、これこそずさんもいいところだ。だからその点どうなんだと聞いているのです。
  127. 川崎精一

    説明員川崎精一君) ずさんとおっしゃられますとあれですが、私も十分審査なりあるいは手続の間に慎重であったとは言えませんけれども、まあ書類上は整っておるということでございます。
  128. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 書類上整っておれば問題ないのです、その面では。だから私はいわゆる使用目的、それに対する明細書というものはやっぱりきちっとしたもの、ここにはどうするのだ、これはどうするのだという、ちゃんとそういう明細書が出なければならぬのですよ。そういうものはきちっと添付されておるのかどうかということなんです。
  129. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 申請書には埋め立ての目的、あるいは竣工に要する期間、それから埋め立ての場所、面積その他の一般的な平面図、実測の平面図、こういったものが一応添付されております。なおその利用の目的についての説明書等も添付されておりますが、先生お話しのとおりに、必ずしもいま見ますと十分なものではないというような感じはいたします。
  130. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうしますとね、これは確かにこの免許については、その点これは一つの問題です。その点についてもまあ言うならば手落ちというか、ずさんというか、怠慢というか、そういう面はのがれられませんね、これは。どうお考えですか。
  131. 川崎精一

    説明員川崎精一君) まあ一応法律上の手続は踏んでおりますけれども、そういったような点で非常にすっきりしない処置であったという感じはいたします。
  132. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 先へまいりましょう。そうしますと、これは名目は観光施設用地、こういうことですね、使用目的は。そうしますと、観光用地なんというようなばく然とした、抽象的ないわゆる理由によって国民の財産である公有水面が簡単に埋め立てられる、一業者に。そんなことは私は考えられないと思うんです。これからもこんな簡単なことで埋め立てに対する免許はなされるんですか。
  133. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 第一期の埋め立て工事がなされました段階では、これは確かにお話しのように、非常に処置並びにわれわれの指導にも徹底を欠いたところがございますので、その後私どもと運輸省のほうでいろいろ相談をいたしまして、もっと行政指導を強化したいというようなことで通達等を出しまして、その後はなるべく厳重に指導をするように行なっておる次第でございます。
  134. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 まあ、ひとつがまんして御答弁願いたいと思いますが、もう少し突っ込んでお尋ねをしていきたいんですけれども、あえて言うならば、一応観光施設らしきもの、これができたわけです。それがいわゆる今度の十名ものとうとい生命を失う原因になったということは言えますよ、そんな変な埋め立てを許したことによって。それを埋め立てなかったら災害が起きるわけはないんですから。そういういいかげんなことでもって許可になった、その結果危険なところに三軒の休憩所ができた。それがぶっつぶされた。そうして十名もの生命がなくなった。これは責任問題ですよ、ほんとうからいえば。  そこで、今度は一歩与えまして、そうして埋め立てが終わってその観光施設らしきものができたわけですね。で、いわゆる災害にあった。災害にあう前は有限会社黒崎共有財産管理会なるものによってどのように——正確に言うと、どのように埋め立て地が利用されておったかという、この点についてひとつお答えを願いたい。
  135. 川崎精一

    説明員川崎精一君) ただいまお話しの第一期の埋め立て地の利用状況でございますが、利用の状況といたしますと、道路、住宅、それから漁業協同組合のエビの飼育場、それから休憩所等でございます。
  136. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それは、何の飼育場ですって。それを答えると同時に、そういうふうにちゃんとなされているのかどうか、ちゃんとお答えいただきたい、道路の問題もあるでしょうし、全部そのとおりになっているかどうか。
  137. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 漁業関係では、岩見漁業協同組合のエビの飼育場に一部使われております。これらの現況につきましては、私自身確認をいたしたわけではございませんが、ただいま申し上げましたような土地の利用状況だと考えております。
  138. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 四メートル道路なんかもちゃんとできているのですか。
  139. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 道路として約三百五十三平米の土地がこれに充てられておりますので、四メートル道路はできているというふうに思います。
  140. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それでは正確なところはわからないわけですね。計算をしてみればはっきりすることなんですけれども、そこでまあ、その点を私から言わせれば、いわゆる公有水面埋め立てということは、これは大切な国民の財産ですわな。この公有水面埋め立てをするのには、それだけの基準というものがなければならぬ。やっぱり相当きびしい審査の上許可なら許可をするという、こういうことになると思うんです。少なくともこの一営利業者の利益のためにそうなるであろうという、いわゆるおそれのあるような、そういう埋め立てについては、これは当然許可にならないのがあたりまえだと思う。そこで、それでは田中屋、美和荘。あるいはまた丸山荘、これは被害を受けたのですけれども、そのほかにこういう休憩所はこの埋め立て地内に何軒ぐらい建っておりますか。
  141. 川崎精一

    説明員川崎精一君) この埋め立て地内の現在の所有者から見ますと、丸山荘、田中屋、三幸荘、海光荘でございます。
  142. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それでは、これが有限会社黒崎財産管理会の手によってその休憩所ができたわけですけれども、これらとの契約、財産管理会とその埋め立て地のこれらの休憩所との賃貸契約あるいは売買契約、これはどういう形がとられているのですか。
  143. 川崎精一

    説明員川崎精一君) おそらく売買契約と存じますが、詳細は存じません。
  144. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 やっぱりこの災害でもって、この間のたいへんな災害、それをどうするかということできよう委員会が開かれているわけです。だから、当然いろいろの、それがどうなっておったのだというようなことを調べる義務があります。責任があります、国が。それをどうなっているんだかそういう点はわかりませんじゃすまないじゃありませんか。じゃあ、なくなった十名の方どうするんですか、先ほど補償問題も出たんですけれども、そんな無責任なことでは、これは災害が次から次に起きますよ。これからまた提起しますけれどもね。そこで、わからなければ言ってあげましょう。田中武雄さんという人、田中屋さんだ、これは五十二坪で百三十万円。それから山本建造さん、丸山荘、四十四坪で百十万円。菅野さんが七十九坪で百九十七万五千円。金澤さんが四十三坪で百七万円、それから小谷さん、それが六百坪で八百五十万、これは安いです。六百坪のほうがどうして安いかわかりませんが。こういうふうに全部売られております。そうすると、こういうふうに売れているということ、これでもってほとんどの坪数売られておりますよ。道路用地は多少残っておるでしょう、あなたが言ったように。だけれども、その主体はどうかといえば、いま申し上げたように埋め立て地をこれらの人に売却をして利益を得るということが目的だということが明らかじゃないんですか。いわゆる観光施設という美名に隠れて、そうして公有水面を埋め立てをやった、それが簡単に許可になった。埋め立てが終わったらたちまち早い機会に売られた、いまのような状態で売られた。これは不動産業者と同じじゃないですか、そういう埋め立てがこの場合に行なわれておるということなんですよ、どうですか。これは私は明らかに不動産業者と同じじゃないかと、こう言いたい。それにその業者に対して何で、しかも前科がある、不法埋め立てをした、しかも埋め立てが終わったらこういうふうに不動産業者的な行為が行なわれておる。なぜそういう業者にもっと見きわめもしないでこれが免許になったか、そこがふしぎだ。そうしてその免許になって埋め立てられた結果、今度の災害が起こってきている。これは人為的に起こった災害という以外にないのじゃないですか。この点どう考えておられるのか。非常にむずかしい答え方になるかもしれませんが、どう考えますか。
  145. 川崎精一

    説明員川崎精一君) この埋め立てによってはたして災害が起こったかどうか、それから黒崎の共有財産管理会というのは非常にぼろいもうけをしたのかどうか、その点につきましては私よく存じません。ただ、今回の地すべり——急傾斜のがけくずれ等によります災害の原因等につきましては、現在、先ほども申し上げましたように、警察が調べておりますので、そういったところから原因が明らかになるだろう、こういうふうに思っております。
  146. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そんな無責任な答弁をするものではありません。埋め立てによって災害が起きたかどうかわかりませんなんて、ふざけたことを言いなさんなというんです。おこりますよ、そんなこと言ったら。私から言わせればこれはインチキな埋め立てじゃないかというのです。でき上がってからでも何が観光施設だというのです。自分がもうけるために埋め立てたというのは明らかじゃないですか、いま言ったようにはっきりと証拠を示したわけです。そうしてそのためにそこに建てられた危険な地域、埋め立てられたのは危険だ、うしろには基山のがけがあるのだ、そこに建てられたのだ、それがつぶれたじゃありませんか。それがきびしいいわゆる人災、それがそういったことを見越して、それでもしこれが許可になっていなかったら、この災害は起きなかったのです。がけがくずれても海の中へ流れ込むのが関の山。だからさっきから言っているように、そういう意味から言えば、これで埋め立てがインチキだ。正常の状態で埋め立てられたというなら、私はそんなことは言わない。しかしいろいろな問題が派生してくる、それでは黙っているわけにいかない。これからいわゆる国も県もやはり人命尊重という立場でもって行政を行なっていかなければならない。こういったことが許されるのであったならば、これからどれほどいわゆる人災が起きるかわからないという心配があるから私は申し上げている。だから、そこであなたの答弁はそれ以上のことはできない。だから副長官にお聞きしたいのだけれども、やはり先ほど言ったようなルールにのっとった防災計画というものはやっているけれども、こういう面どうお考えになりますか。
  147. 砂田重民

    説明員砂田重民君) 先生の御意見承っておりまして、先生のおっしゃるような事実がありとするならば、ありとするならばと私が申し上げるのは、あえて先生の御議論を信用しないという意味ではなくて、私どもが直接この情報をキャッチしておりませんのでこういうふうに申し上げるわけでありますけれども、実は中央防災会議連絡会議でも、新舞子の問題を重要視しておりまして、先ほどから先生がおっしゃいますように、兵庫県警が非常にきびしい調査をしております。うしろの山のくずれたことにつきましても、神戸大学の工学部の田中部長の鑑定書を待っておられるような状態でございますから、兵庫県警の捜査から捜査結果を私どもは聞きたいと思って待っている、ちょうどいまそういう時期でございます。ただ、公有水面の埋め立てに非常に不法なことがあった、それを県当局が黙認をした形で非常に危険な場所に観光施設が設けられた。そこで裏の山がくずれたというふうな事態でございますが、冒頭に私が申し上げましたが、公有水面埋め立ての法律にいたしましても、がけくずれの法律にいたしましても、宅地造成等規制法の法律にいたしましても、それを運用をしてくれる直接の窓口の人たち意識に、やはり観光も含めた開発よりは保全のほうが大事なんだという認識に欠けている点がいまだにある。そういうことをいまあらためて先生の御議論の中からまた私は感じながら承っていたわけでありますが、兵庫県警の明確な捜査結果が出まして問題のこの原因が明確になりましたならば、府県の行ないますこういった行政について、国としてそれだけの指導助言がしていなかったということは、私ども大いに反省をしなければならぬ点だと思いますから、新舞子の事態が明確になりましたならば、各府県にこういうところはないかというふうなことをひとつ警告を発したい、県警の明確な結果が出ました上でひとつそういう措置はとりたい、かように考えております。
  148. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そこで、大体第一次の埋め立て問題はこの辺のところで一応ほこをおさめて、次にいきたいと思います。  次の問題も、先ほど申し上げたように、この黒崎基山地先の埋め立ては第一期と第二期に分かれているのだと、こういうふうに申し上げた。今度は第二期の問題です。第二期の問題は、これはいわゆる直接人命に損害はなかった。だけれども、このまま放置しておくならば、必ずまた人災が起こるであろう、こういう可能性を十分はらんでおる。そういうものを私は見てきた。そこで私は、この第二次の埋め立てがどういうふうにやはりこれが埋め立てられてきて現在に至っておるか、その点を浮き彫りにしたい。そうしてこれは一次埋め立て、二次埋め立て、全部つながる問題です。やったのは同じいわゆる黒崎管理会の連中がやったのですから、、から全部つながるわけです。だからますますそれは人災といういわゆる色が濃くなってくる。そこがはっきりすれば——だからそういう意味でもこの第二次埋め立てを次にお尋ねをしてみたいと思う。そこで黒崎基山地先の第二次埋め立て、これの許可申請及びこれが許可された年月日、これはいつになりますか。
  149. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 第二期工事は第一期工事に隣接する海面でございますが、これにつきまして昭和四十二年の暮れごろから無免許の埋め立てが行なわれているというようなことを県が発見いたしまして、四十三年の一月の二十日にこれの中止の命令を出しましたが、四十三年三月になりまして約一万平米の埋め立てを観光施設用地及び道路用地を造成する目的で、一たんは黒崎管理会から追認申請が出されました。その後これを取り下げまして、御津町からあらためて昭和四十三年の九月二日付で追認の申請をいたしまして、知事が同年の十月一日付で追認をいたしました。なお、四十四年の十二月十二日付で竣工認可をいたしております。
  150. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 あなたの話の中にもはっきりしているのですけれども、これは肩がわりを町がしてやったということなんで、その辺にも問題があるけれども、これは町の問題なんで、私は町のやったことについてとやかくここでは言わない。その問題を取り上げて追及しようなんというような考え方は持っておりません。そこで問題は、それではこれもやはり第一回と同じような不法埋め立てがまず行なわれておったのだなあと、こういうふうに言ってよろしいのですね。
  151. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 県の監督はよくわかりませんが、県の関係者がこれを発見したときには、確かに不法な行為でございました。
  152. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そこで何回も同じこと言いませんけれども、中止命令が出たとき、県から出したんですね、そのときはこういうふうに全部埋め立て終わっているんですよ。これは中止命令が出たときに写した。全部埋まっているんです。ただがたがたなだけ、あと整地すればいいようになっている。そういう状態の中で、これが簡単にまた許可になっているんです。あのいわゆる黒崎財産管理会では許可にならない、これは申請したけれども許可にならない。ただ県の指導によって、いわゆる町ならば許可になるというので、今度は町が肩がわりをして申請しておる、こういうやり方でしょう。まあいうならば町もぐるじゃないか、こういうふうにも言いたいけれども、町のことには触れないと言ったんですから、それ以上触れません。こまかいことを局長にお尋ねをしてもわからないようですけれども、二回にわたって不法埋め立てをやったということはまずこれは間違いない。それはあなたも明確には答えられないかもしれないけれども、うすうすは聞いて確かにそうだと、こう感じていますか、その辺どうですか。全然そんなことはないと思われていると困る。
  153. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 第二期の埋め立ての初めにおきまして、とにかく県もすでに中止命令を出しておるということは、明らかにこれは不法な行為だったというように、こういうふうに考えます。
  154. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうしますと第一回しかり、第二回しかり、そういう業者に、また言うならばあとから出てまいりますよ、出てまいりますけれども、いわゆるそういう業者にこれは当然免許になるということは、これは考えられないことですよ。それがなぜ免許をしたか、しかもそこのところを操作をして、そのいわゆる免許できるようなかっこうに持っていったか、その点のひとつ理由を、意地の悪い質問で申しわけないけれども、その辺の理由、黒崎管理会が申請したんですよ、それじゃ許可にならぬだろうから町のほうが申請をした。そして申請をしてそれで許可になった、その辺のいきさつですね。あとからいろいろ問題出てきますから、その点絶対許可なんかすべきじゃない、それが許可になっている。どういうわけなんです。
  155. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 先ほど来申し上げておりますように、この黒崎の管理会というのは、その行動を見まして、私自身も非常にけしからぬような感じがしております。ただこういった埋め立てに対しまして、やはり県並びに町といたしましても、町道をつくるとか、あるいは非常に財政規模その他も小さい町でございますし、何とか地域開発等に資する施設もつくりたい、こういうような町等の要望もございましたので、おそらく県としてはやむを得ずひとつ町に肩がわりをさせて、町の責任ででも、少しでもそういった秩序が保てるようにということを考えて今回のような処置をしたんだと、こういうふうに思います。
  156. 松永忠二

    理事松永忠二君) 速記をとめて。   〔速記中止
  157. 松永忠二

    理事松永忠二君) 速記をつけて。
  158. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そこで、いまは時間の問題についてちょっと話が出ましたので、先を急がなければならないんです。ほんとうは時間に制限されたくないんですよ。こんな問題について、これもがっちりやらないとまたこんなことが起きて、たっとい生命が失われるなんていう事件が起きたらたいへんだ、最も重要な問題として取り上げておるわけなんです。そこで、そうはいうものの時間の点をまるきり無視するわけにいかないので、これから先に移りますけれども、いまあなたの話を聞いていると、非常にさらっとしている、もっともらしい答弁ですよ、その点についてはあとでもってはっきりさせます。  そこで、公有水面埋立法の第三十九条の罰則規定、これはどういうときに使われるのです。そんなぐずぐずしていると時間たっちゃいますよ。私の質問より向こうのほうがはっきりしない。
  159. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 三十九条につきましては、いわゆる埋め立ての免許を受けないで工事をした者、あるいは詐欺の手段をもって埋め立てをした者、こういった者に対する罰則の条項でございます。
  160. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 その関係とはどうなるのだということです。あなた方から言わせれば許可になったのだと、それはあとの問題だな。発見したときは中止命令が出たのだから、不法埋め立てがわかったんだから、当然、法の適用がなければならぬ。それがないとすれば、こういう法律は必要なくなってくる。第三十九条とのこのかね合わせについてはどうなんだというのです。
  161. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 三十九条の精神からいきますと、まことに、この管理組合の行動は非常に遺憾でございますが、先ほど申し上げましたように、いろいろ知事としても、その間の事情を勘案いたしまして、行政指導をしたものと思います。その結果、公有水面埋立法にございます三十六条の規定を適用して、処置をしたものでございます。
  162. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 その辺がちょっとはっきりしないのです。時間々々といっていやになっちゃうんですけれども、もっとその辺のところをゆっくり詰めたいわけですよ、ほんとうからいえば。町が肩がわりしたのだけれども、その間のいわゆる事情については、理由については、先ほどちょっと話があったけれども、それじゃ第一回は黒崎なんですよ、第二回も黒崎なんですよ、なぜ町がそれをやらなければならぬのか、その辺のところもおかしい。なぜ第一回は黒崎に許可になったのですか、第二回はならない、町でなければだめだというので、町が変な肩がわりをした、そういう点が合わないのじゃないですか。
  163. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 第一回の埋め立てが三十九年の時点でございますが、その後、私どもも、こういった埋め立ての行為が乱雑に行なわれるということは非常に困るということで、適正化の指導等を四十年から積極的にやったわけでございます。そういった点もございまして、県とすれば、なるべく公共的な団体に責任をもって、そして地域開発等も考慮して処置をしたものと、こういうふうに考えます。
  164. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 わかった。そこのところはこれ以上触れません、先へ急ぎましょう。そこで今度は町が肩がわりをして、この工事を遂行したのだと。施工したといっても、いま言ったような不法埋め立てがめつかったときには、全部埋まっちゃってたのですからね実際は。操作だけだそこのところは申請する関係上。それはいいとして——よくないが広いいもて、それじゃいわゆる町が、今度はわかって工事の主宰者になった。そうすると町の事業、町はこの工事費については幾ら出したのですか。
  165. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 町が自主的に財源を見つけたわけではございませんが、四千万円余り支出しております。
  166. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それは工事費ですか。はっきりしてくださいよ。
  167. 川崎精一

    説明員川崎精一君) そのとおりでございます。
  168. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それじゃ埋め立てが終わってすぐ黒崎財産管理会にまた渡されているということなんだけれども、その点はどうなんですか。
  169. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 先ほども申し上げましたように、町の自主的な財源ではなくて、感じからいきますとずっとトンネルしたようなことで処理されておるわけでございます。
  170. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 だから町が出しているんじゃないんですよ。じゃそこで、町が出したんじゃなければだれが出したんだ。質問を詰めていきますから……。
  171. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 黒崎の管理組合でございます。
  172. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 黒崎の管理組合がこれを出したと、じゃこれは間違いなくほんとうに黒崎が出しましたか。そこをはっきりしてください。
  173. 川崎精一

    説明員川崎精一君) その辺につきましては、私どももかなり疑問があるようでございますので、さらに調べたいと思っております。
  174. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 じゃ教えてあげましょう。そこは、いわゆる非常に親切な質問なんですが、基山の東側、ここは国立公園です。その基山をいわゆる農林省から買ったんですよ、ある人が。それで財産管理会ができた。黒崎が始まったわけですよ。一次埋め立て、二次埋め立て。一次は違うけれども、二次、これはその基山の東側、いわゆる富島川というのが下に流れている。その富島川のいわゆるすぐ上が基山だ、東側の。そこを三千坪いわゆる黒崎財産管理会が坪二千五百円で売ったんです。その売った先は伊保興業というのです。いいですか、伊保興業というのです。で、伊保興業はそこでその三千坪を買い込んで、そしてその土を四十二年の初めごろからいわゆる富島川に落とし出した。それが埋め立て工事なんですよ。落としたんですよ、富島川に。いま中小河川が先ほどから問題になっている、はんらんあるいは決壊で。今度の災害でみんな起きている。近年はそうなんですよ。にもかかわらずこれが伊保興業によって全部落とされている。三千坪のどろが、土が、山土が。それで埋まったんです。そこで工事費がかかるのですよ。基山の三千坪は伊保興業が買って、その土を下へおろした。その土代ももらわなければならない。そして下の工事をやらした。富島川が埋まった。整地をするとその工事をやらなければならない。その工事費はだれが払ったんだといま聞いたんです。そうすると、町じゃありません、管理会と言う。管理会も払ってないじゃありませんか。払ってないじゃないですか。管理会が払ってないとするとだれが払ったのです。だれも払わないということは、私から言わせれば伊保興業がすべて埋め立てをやったんだと、初めの話は管理会か何かから出てきたかもしれません。また途中でもって町が肩がわりしたかもしれない。だけれども、結論的には伊保興業が全部いわゆる埋め立てをやったんだ、工事費も一切自分が持ったんだと、こう言っていいと思う。ここに会計報告があるのですよ。決算報告が、管理会の。かえって出すどころじゃない。もらっているのですよ。いいですか、かえってもらっているのです。そこで、それじゃどうなっているんです。だんだん結論を急ぐわけですけれども、時間の関係で。それじゃこれは、いわゆる管理会と町と伊保興業と三者がぐるになって話し合いでもってそういったことをやった、こうしか考えられない。やったとは断定しないけれども、そういうふうに出与えられるのじゃないかというのです。そんなこともわからないでこれを許可した。そんなことではこれは困るという問題じゃない。一次がそうでしょう、第一次の埋め立て、第二次も同じだというのです。第二次のほうがもっと悪質じゃありませんか、まだ。そこでその経過を話したから、じゃこのいわゆる保存登記、法務省、保存登記はどういうふうになっていますか。
  175. 批把田泰助

    説明員批把田泰助君) まず最初のほうから申し上げます。最初は、結論から申しますと、千八百四十三番の土地として黒崎管理会の名義で保存登記がなされております。その後、その保存登記がされましたのは四十二年二月二十一日でございますが、それに接続をしまして、同日それが七筆に分筆をされまして、そうしてそのうちの千八百四十三の一というのが黒崎の名前でございますが、あとの六筆はまた同じ日に他の者に移転登記がなされております。それからまたその後千八百四十三番の二という土地はさらに五筆に分筆をされまして、そしてそれぞれ所有権がまた別の名義になっているという経緯をたどっております。それから後に御津町の名義で保存登記をされましたものがございますが、それは千八百四十四番から千八百四十九番までの六筆でございます。これは昭和四十五年の三月の十八日に保存登記がなされておりますが、そのうち千八百四十五番につきましては、四十五年の十月の十日に黒崎名義に払い下げで所有権移転の登記がされております。それから千八百四十六から四十九までの四筆は、四十六年の三月に大患株式会社というところに売買によってこれは移転登記がさてれいるという経過でございます。
  176. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そういうようなことになって、何となく……それではとにかく先へ急ぎますから、それでは先に関連しているから言っちゃいますけれども、そうするといわゆる町がこういう計画でこの観光施設をつくりますということを——これはあなたのほうから出たのですが、いろんなことが書いてあります。その中に計画が、じゃこの計画は、財産権は管理会にないのでしょう。町にもないのでしょう。この計画はだれが責任を持って実施するのでしょうか。
  177. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 私が県に今後のことをどうするのだということを話しいたしましたところ、県でも先生のいまお示しの図面の目的に従って、今後指導を厳重にいたします、こういうことでございました。
  178. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そんな簡単な答えでもって納得できますか。こんな一生懸命で夢中になって質問しているのに、そんなことでは納得できませんよ。どうするのですか、これ。不法埋め立てでもって埋めて、それで三者の関係がおかしいような、そういうにおいがする、何となく明朗でない、でき上がったらどうなんだ、所有権はだれのものだ、それじゃ。したがってこういう目的でもって埋め立てたのにそれじゃこれならば、これがちゃんとできればそれは許せる面もある。だけれどもそれじゃ、これをもう責任を持って実施する者はいなくなっちゃったのですよ。責任を持って指導するといったって、県まかせじゃいけませんよ。国としてはこういう業者に対してどうするのだ、国の態度、県ではなく。
  179. 川崎精一

    説明員川崎精一君) ただいまのような状態が県で判明いたしましたのは、やはり県において制限登記を行なっておったために、所有権の譲渡等の場合にはやはり知事の許可が要るということで許可を求めてまいりまして判明したわけでございます。その後、県においても検討いたしまして、当初のやはり目的どおりの利用が行なわれるという判断のもとにそういった権利の譲渡を知事の名前において許可してるわけでございますので、私どもも同じような方針で当初の目的が貫かれるようにやはり指導をしたいと、こう思っております。
  180. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 だから一点だけ、だれが責任持つんだというんです。それいまのあなたの話なんだ。そういうのじゃ書類をもってだれが責任者でこの計画を実施しますという、そういう一筆が県に入っているんですか。それはいまのあなたの話だけじゃあやふやじゃないですか。第一、こういう大事な埋め立ての問題だってこういうことが行なわれてきているんじゃないですか。そうな調子のいいようなことを言っていちゃ話にならぬですよ、だれが責任持つんですか。
  181. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 現在の所有者自身からそういったことを聞いたわけではございませんで、免許しておる知事が、知事のやはり責任において当初の目的が達成されるように指導すると、こういうことでございますから、ちょっと私の立場から責任を持つとかということじゃなくて、できるだけ知事の立場をこちらも強力に応援したいと思います。
  182. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 ていさいのいいことを言うな。私は、十名のとうとい生命がなくなっている。今度の災害でどれだけのとうとい生命がなくなっているんですか。その原因になっているんだということをずうっと論理を重ねてきて言っているんですよ、いま。知事の立場とか何とかの立場じゃないです。国民の生命の立場に立っているんだ。それで私はものを言っているんです。あなたは知事を守る立場の発言じゃありませんか。そんなことでもって国民の大切な生命が守れるわけがないじゃないですか。そんないいかげんな答弁でもって引っ込みがつくと思いますか、あなた。とにかくでたらめだ。これじゃ災害起こります。  もうこれ以上言ってもあなたには答弁できないでしょうから、ひとつ先にいきますが、今度環境庁——これは簡単ですわ。とにかく基山全部たいへんなあれです、くずれ方です。それはもう富島川に流したから、落としたから。そんなことについて許可しているんですか。国立公園ですからね、ここは。
  183. 須田秀雄

    説明員(須田秀雄君) 当時は厚生省の所管の行政でござやましたが、先生御指摘のとおり四十三年の一月に直接にはこの埋め立てに関連いたします陸地側の土地を削りそして宅地を造成する、この部分が国立公園の特別地域として、当時でございますと厚生大臣の許可が必要な工事でございます。それに対しまして許可前着工工事として現地で指摘がなされまして、そしてそれについて原状回復またはそれに準ずる措置ということでのり面の緑化等の条件がつけられまして、四十三年の十一月に厚生大臣の許可がおりたわけでございます。
  184. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 一応申請されてこれありますからね、おたくのほうに。それで許可条件がありますよ。とにかく国立公園めちゃくちゃですよ。あそこはごらんになりましたか、ごらんになった……。
  185. 須田秀雄

    説明員(須田秀雄君) はい、担当官に見せております。
  186. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 行ってないでしょう、災害受けてから……。見てきてごらんなさいよ、あなた。国立公園を守る立場の人たちがどういうふうにこわされていても、国のほうの法律で私のほうの関係じゃございませんというような涼しい顔したってしょうがないじゃないか。行っていらしっゃいよ、どれほどひどいことになっているか。それで、条件があるんだ、くずしてあとどういうふうにしろというのが。立ち木の伐採は必要最小限、それから切り取り、盛り土、のり面というのかな、緑化し、工作物の周辺には修景のための植栽を行なうこと——何にもやってないんですよ、何にも何年もの間。いいですか、何にもやってないんです。それで知らぬ顔しているわけにいかないでしょう、何にもやってないんだから。あなたたちが許可した条件何にも守られてないんだから。これからどうします。
  187. 須田秀雄

    説明員(須田秀雄君) 今後、御指摘の現地の行政指導、監督というものがきわめて不十分だった点を申しわけないと存じまして、そういった行政の強化にできるだけの力を尽くしてまいりたいと考えます。
  188. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そこでね、これはどう考えたって山くずす、国立公園こわす、いわゆる形状変更だ、それ。申請して許可になった。ところが許可条件がある、何にも守られていない、埋め立てはこうだ、そうして国立公園はぶちこわしのまま。もう悪質、悪質という以外にないじゃありませんか。こんなものをそのままにしておくわけにいかぬと私は思う。そこで国はいわゆる原形復帰というのか復旧というのか、原状復帰というのか復旧というのか、とにかくそれを私はやるべきだ、こういう悪質なものには。この点ね、局長さんどうですか、私はそう思う。それが当然だと思う。それが国民にこたえる道であり、またいわゆるとうとい生命を失った方たちの霊を慰める意味にもなる。
  189. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 私も残念ながら現地を見ておりませんで、したがってどういう今後の処置が一番いいかということは、ちょっとただいまお答えいたしかねますけれども、いろいろまあ先生お話もございますし、また県なり町なりあるいは地域の住民の方々のやはり考えもあろうかと思います。そういったものを十分検討をいたしまして、これはまた国立公園の立場からの処置もあろうかと思いますが、私どもの立場からもできるだけこういったことのないように、それから現状をいかに今後処置すべきか、そういったことについて積極的に検討をして処置をいたしたいと思います。
  190. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そんな答弁では納得ができません。できないけれどもそれ以上出ませんから、それで一応これ以上この点については触れない。だけれども、いわゆるその山のいわゆる基山をくずして富島川に埋めた、それでいわゆる現地では富島川と言っている、富島川の埋め立てと、こう言っている。国はその点富島川の埋め立てをやったんだと、富島川のいわゆる公有水面を埋め立てたんだというように考えているのか、それとも海を埋めたというふうに考えているのか。いわゆる河川区域というもの、これきまっているようだけれども、それにのっとってどう国は判断しているか。県の話じゃないですよ。
  191. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 私どもの聞いておりますところでは、二級河川の富島川の区域というのは、もう少し県は局限をして考えておったようでございます。まあ河川の区域と海の区域をどこで線を引くかということについては、いろいろ判断の幅というものがあるかもしれません。まあおそらく県はかなり入江的な地形でございましたので、海というものの考えではなくて処置したんじゃないかと思います。まあ川幅もかなり、二倍程度もあるようでございますが、しかし全体的に現状を見ますと、これはやはり富島川の延長の河口部であろうかと解釈しても差しつかえないと私は思います。したがいまして、そういった立場からも埋め立ての現状等を十分調べて処置したいと思います。
  192. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 その点はそうあるべきだと思います。いわゆる二級河川です、これはね。河川が埋め立てられてそれが私有物になるなんということは、どう考えたっていまの時代に考えられるわけないでしょう。河川を埋め立てて——そこのところがほんとは大事なポイントなんです。河川なのか海なのかという大事なポイントなんです。だけれども、いま御答弁のように、あまりこれははっきりした答弁ができない。だから、これ以上言わないけれども、あなたね、おもしろい問題です。これは私、地図をもって示しましょう。これは富島川です。ここをずっと流れている、ここを埋め立てられた。富島川は、埋め立てをやる前はずっとなだらかにこういうふうにきた。非常に河口が大きかった。そうですね、それはわかるでししょう。ところが、埋め立てをやったために、ここのところが狭くなった。これは、極端にいえばひょうたん型だ。そうすると、これが——隣りの方、見てこないで首かしげてもだめですよ。私は見てきた。これは、こういうふうになだらかだ。ところが、こう埋め立てをやったから、出っぱってしまった。だから今度は、ここへ集中豪雨でもあれば、ここから今度はじかに出っぱったとこるにぶつかりますよ、非常に危険な状態です。だから、また災害を起こすこれは可能性があると、こう言っているわけです、私は。そんなことはない、危険じゃないから許可をしたのだというような話もちょっと聞いている。そんなことをだれが断言できる。今度の災害でも、予期した人がいるか、いなかったじゃないですか。にもかかわらず、危険ではないと思ったから許可をしたというような理由は成り立たぬです。近年の災害の最大の原因は、中小河川のはんらんあるいは決壊から起きているのですよ、ね。しかも、そういう中小河川をどうしなければならぬか。もっと拡幅をしたり、いわゆるどろをすくったり、いろいろして災害を防ごうという、そういう姿勢に国自体がなっていかなければならない、また考えとしてはそういう方向になっている。だけれども、現実はそれに逆行している。こんなふざけた話はないわけです。  それで、それだけならばまだがまんも——がまんもできないけれども、ことしの二月ごろから富島川の改修工事と名づけて工事が始まっていますね。これは何の工事ですか。
  193. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 富島川の河口部におきまして、あの辺の地域は播磨高潮という一連の事業を実施しておりますが、非常に海からの高潮で、かなり災害の出る地域でございますので、そういった高潮に耐え得るような施設をつくりたいということで、上流部からのもちろん河川の洪水の疎通もございますが、あわせて海からの高潮からも地域を守りたいというようなことで、現在改修工事実施しております。
  194. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それもあるかもしれませんね。だけれども、私がいわゆる町の議員さん方から聞いた話では、いろいろな請願、陳情があった。これを埋め立てるについては、ものすごい反撃があった。だけれども、そこで、これは危険ではないだろうというようなことでこの埋め立てが行なわれたようだけれども、どうもこの富島川の流れがうまくないんですよ。それで、住民が、流れるように何とかしてくれと、こういう陳情、請願がたびたびあった。そこで、このままでは流れが悪いので、いわゆるポンプアップしてこれを流す、こういう工事も含まれているのです、これの中に。そうでしょう、その点あなたは答えていないけれども、どうなんですか。
  195. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 現在工事をやっておりますさらに上流のほうにいすでに古い、これはやはり高潮対策で昔にやった防潮堤がございます。これにつきましては、やはり計画上から見まして、富島川自身の洪水の処理には不十分だというようなことで、そういった上流からの水と、それから下流からの高潮に対する地域内水の問題と、この両方をうまく調和させるような改修工事をやりたいということで、現在の工事実施しておるわけでございます。
  196. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 ですから、いま私が言っているのは、ポンプアップによって水をはけるという、そういうことも含まれているのだということを私は言っているわけだ。だからそういったことは、どうあなた方が理由をくっつけようとも、そういう状況の中で、いわゆるここはひょうたん型に埋め立てが行なわれたということは、絶対にそんなことは許されるべきものではないでしょう。危険を伴わないとかなんとかいう、そんな簡単な理由でもってこれが、埋め立てが許されるなんてばかなことはないはずなんですよ。ほんとうに真剣に考えるならば。もうすでにそういう改修工事をやっているわけじゃないですか、埋め立ててすぐそのあとからね。そういう理屈に合わない、しかも国が金を出す——一業者に埋め立てさして、そしてそれが通りが悪くなったような形になる。そのために、それを通りをよくするために今度国が金を出していわゆる改修工事をやる、そういうかっこうになっているじゃありませんか。そんなことで、そんなことが許されるものじゃないということですよ、ね。時間があればゆっくりやるのですけれどもね。もう時間がありませんから、この辺でもって終わりますけれどもね。  そこでね、ひとつ副長官に、最後、まとめていただきたい。現在開発ブームです。これだってやはり開発公害になるわけです。それで、開発ブームでしてね、全国的にいえば相当やっぱりこういうようなケースが私はあると思う。これと同じというわけにいかぬかもしれない、開発が進んでおりますから。それで、そのために危険にさらされているというような個所が、全国的に言えば相当な数になると思います。ですから、そういった点で、いわゆるルールにのっとった防災計画だけでなくて、そういった面を十分やはり検討といいますか、踏まえた上で、やはりその防災というものを考えていかなければならないのじゃないか、こう私は思うのです。この点についてどうお考えになりますか。
  197. 砂田重民

    説明員砂田重民君) 全国的に新舞子のようなことを二度と繰り返してはならないことだと思います。  そこで、ただいまお話を伺っておりましても、実は私も兵庫県の男でございまして、県行政と申しますか、県知事が持っておりますその認許可権、県の監督権、こういうものに基づいて行なわれた兵庫県の県行政というものが適切であったかどうか、お話を伺っておりましても、ふに落ちないことが幾つか出てまいります。そこで、兵庫県警捜査中のことではありますけれども、ひとつ私といたしましては、あらためて昭和三十九年のその埋め立ての問題までさかのぼって一ぺん具体的に県がやってまいりました行政を調べてみたい。その上で県に警告を発しなければならない問題があれば、厳重に警告をする。またこれからのあの地区への防災の計画についても、先生御心配になっているような点もございましょうから、遺憾のないような指導をしてまいりたい。  もしも私どものその調査の過程で、県行政として誤っているような点があれば、これを一つの指標にいたしまして、全国的にこういうふうなことになっているところはないか調査もし、また各府県を適切に指導していきたい、かように考えます。
  198. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 最後です。それで大体いいと思うのですけれども、そういうことでこれを計画的に、この開発ブームが進んでおりますので、森や山に延びていますね。非常に危険な状態です。そういったものを含めて、いわゆる防災計画の中に含めて、そういった点を総点検してみるという私は必要があると思うのです。その総点検ということについて、どういうふうにお考えになりますか。
  199. 砂田重民

    説明員砂田重民君) 総点検もまた必要でございましょうが、私はその前に、きょう先生がいろいろ御議論なさいましたこういう防災のための法律がいろいろたくさんあるわけであります。ところがその法律を運用をする国、地方公共団体を通じての行政の場にあります者の認識が、先生がいまおっしゃいましたような開発よりも保全重点を置くという扱い方をしてないのではないか、そういう行政意識定着させることが大事だと思うのです。いろいろな防災のための法律があるのですから、それをいま申し上げたような重点を置いて取り組んでさえくれれば、新舞子のような事態もあるいはなかったかもしれない。そういう行政意識の徹底にひとつつとめていきたいと思います。
  200. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 わかりました。で、私から言わせればそういう考え方ですから、これを一応やっぱり総点検をするという考え方も必要じゃないかと、こういうふうに思うわけです。それは膨大なものになるかもしれぬ。そういった意味で多少副長官もその辺のところを何しているのじゃないかという気もしますけれども、本来はやるべきだと思います。そう要望しておきます。  そこで最後に、この有限会社黒崎共有財産管理会、この持っている基山はもう四方全部くずれています。今回の集中豪雨でもうたいへん危険です。もう一件、一件あげれば、わかっておりますけれども、だけれども時間がありませんから、過ぎていますから、それは言いませんけれども、もうあれですね、ちょっと触れれば落ちるような家も何軒かあります。それでこれに対する、この基山に対するこれからの復旧ですね、復旧についてはだれが責任を持ってやるのだ。もう私は見てきたけれども日蝕寮のその前に芝生があって、その下何十メートルか下には埋め立て地、いわゆる休憩所が建っているのです。そこも上はもうものすごくえぐられているのです。木がひっくり返っている。今度やられたらその家もやられてしまいます。一刻も猶予できない。早急に何らかの手を打たなければまた人災が起きる。これをこの目で見てきました。この基山に対してどういうふうに、この管理会に対してどういう手を打つか。この点ひとつ明確に答えていただきたい。これで終わります。
  201. 砂田重民

    説明員砂田重民君) 先ほどもそのことをあわせて御答弁をいたしたつもりでありましたが、ことばが足りません。基山開発をさせる許可をいたしましたのも知事でございましょう、埋め立ての許可をいたしましたのも知事でございましょう。基山のこれからの防災を間違いなく進めてやる責任もまた知事にあることと思いますので、国といたしましては、その知事のこれからの防災の計画等の取り組み方についてひとつ間違いのないように厳重な指導をしてまいりたい、かように考えます。
  202. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 一つだけ。早くやらなければたいへんなんです。いま言ったようにもう庭の芝生までくずれているのです、今度やられちゃうのですから。
  203. 砂田重民

    説明員砂田重民君) いまの状態がそうなっているわけですから、急いでひとつやります。
  204. 宮崎正義

    宮崎正義君 午前中ずっと論議をされておりました   〔理事松永忠二君退席、理事小林国司君着席〕 一九号台風による九州被害の問題でございますが、まず委員の方々はみな激甚法に指定されるかされないかというふうなことで、どの議員からも論議をされております。私も同じであります。そこでこの九州災害が起きましたことについて、総理府のほうでは現地視察をだれかなさいましたか。
  205. 砂田重民

    説明員砂田重民君) 総理府としては、直接現地視察をいたしておりません。従来からも総理府中心になりまして、災害政府調査団等を編成をいたしまして、調査に出てまいった例が幾度かございます。今回の場合、私、副長官就任早々の災害であったわけでありますけれども、実はこれはざっくばらんにお話をいたしますけれども、実は私も自分の選挙区が、こういう目にあったことがありまして、政府の事務屋の調査団が次々にやってまいりまして、迷惑をした経験がございます。私は今回の場合はそういうことではなくて、まず技術屋さんを派遣をしたい、各省技術屋さんに行ってもらって、災害の実情を調べると同時に、復旧についても応急復旧等について、できるだけ早い時期に技術屋さんがまず行きますならば、いろいろな計画が立ちますので、それが一番早い現地の御要望にこたえる道だと思いまして、各省にお願いいたしまして、各省の技術屋さんに行ってもらいました。その方々の帰ってこられての数字あるいは各府県からの数字等を、総理府ではただいま掌握をしておる段階でございます。一九号台風が激甚に指定されるかどうかということを当委員会先生方皆さん御心配でございますけれども、私もまた心配しておるところでございまして、先ほどお答えをいたしましたように、ただいままで入手いたしております資料から、これは私が個人的な判断——きょうの段階では私の個人的な判断でありますけれども農地、農業施設については激甚指定ができるのではなかろうかと考えておりますが、まだ最終的な数字をつかみ切っていない。公共土木等についても、局地激甚の指定にこれは当てはまるのではないだろうか、そういうふうに考えておる段階でございまして、一般激甚といたしましては、今週末には答えを得られるように努力を続けてまいりたいと考えております。
  206. 宮崎正義

    宮崎正義君 いまお話がありましたように、過去においては長官みずからが陣頭指揮をとっていたという例を私も知っております。いまお話がありましたように、調査団あるいはいろいろな人たちが行って、現地に迷惑をかけるようなことがあってはならないというようなお話がありましたけれども、まずとりあえず、技術者を先に運んでということですが、私はいま意地悪い言い方をしてみれば、副長官が今日までのいろいろな災害を経験されて、また兵庫県下における災害を経験されて、そういうような考えの想定のもとから、今回の九州災害というものを見ようとすると、これは誤りだと思うわけです。したがって現地の、先ほど副長官がこういうようなことをおっしゃっておられましたが、災害を受けた側の立場に立てば、その気持ちは十二分にわかるとおっしゃっておられましたけれども、私ども調査団が行った者の質問をする側から副長官の回答を受けると、実感がどうしても伴っていない、そこに一つの隔たりがある。そこで一人、二人、三人、四人も同じ質問をしなければならないということになる。各方面の技術者の資料を集めてくる、それによってのそういうふうな激甚法なら激甚法に適用されるような方向だということで、それがもしこれが狂っていったらどうなるかということになります。そういうような問題点から考えていきましても、これは当然現地に行った調査団というものが、この身につけてきたものとのこの違いというものは明らかになったと思うのです。したがって、技術屋さんを派遣することも大事でありましょうけれども、少なくとも総理府のほうのこの災害基本法の主管であるその立場の人が当然行かなければならぬ、このように私、思うわけですがね。
  207. 砂田重民

    説明員砂田重民君) 先生の御議論、私も返すことばはございません。ただ私が先ほど御答弁いたしましたのは激甚指定の結論を早く出したいということなんです。そこで先ほど災害にあわれた方の立場に立ってというふうなことを申しましたのは、同じ場所が二度の災害にあった、そういう目にあわれた方々のお気持ちは、私は十分認識ができますということをお答えをしたのでございまして、激甚指定の結論を早く得たいために、ということはもう一つあわせて激甚のことを法律で規定をいたしております。同一気象条件を原因としての災害ごとにというその法律のたてまえがございます。この点はどうにも動かしようが実はございませんので、そのときの気象というものは、もうすでに過ぎ去った気象条件であった。やはり気象庁等の見解というものを明確にしながら同一の気象条件を原因としたものであるのか、異なった気象条件を原因としたものであるのかどうか。それの判断等は気象庁等で実は学問的に答えがはっきり出てくるわけでございまして、この点については法のたてまえ上、今回の一九号台風については梅雨前線による被害とはこれは異なった気象条件という判断をせざるを得ない、その意味を先ほどから実は申し上げたわけでございます。したがって、現地に私どもすぐに私自身が飛んでいけばよかったのでありますけれども、私はまず専門家に行っていただいてその答えを出してもらうのが、激甚指定の判断を下すのに一番それが早い道であろうと思ってやったことでございますから、ひとつ御了承をちょうだいいたしたいと思います。
  208. 宮崎正義

    宮崎正義君 いま上林委員のほうからも河川局長のほうに現地はどうしたのか、あるいは環境庁の人も現地に行ったかどうかということを盛んに言っている、これが何よりもポイントだと思う。そうしなければ実感がわかない。その上で法というものは改正しなければならない。だがその気象通報を主体にする法律の法の精神だからといって、いつまでもこの法律をそのままにしておいていいか。人命を守るという、結果論の上から言っても——結果論じゃない、防災の上から言っても、私たちが法の改正ということを国民一人一人が法を改正していくべき立場から、きめられた法律というのは改正させればいい。一つのワクの中にはめたままでいこうというのは、こういう事件が起きてから、一つずつ進歩というものがなければならない、そういう考え方を私は持ってはいかがかと思うから、同じようなことを質問したわけです。そういう意味合いなのです。この点どうなのですか。
  209. 砂田重民

    説明員砂田重民君) ただいまの防災法律が、防災関係法律がそれでいいかという議論は、私は別にあると思うのです。いろいろなところに私も不備を認めざるを得ません。しかし、先ほど先生の私に対する御質問が副長官になぜ飛んでいかなかったか。そうでなければ現地の身になって考えられないのではないかという御質問でございましたので、実は建設政務次官にすぐに飛んでもらったわけでございまして、現地の実情等建設政務次官からも私はつぶさに連絡を受けまして、私はやはり激甚指定の判断を早くしたい。当時すでに梅雨前線による被害の激甚の問題ともう一つその問題をかかえていたものでありますから、また被害にあわれました各地方公共団体の皆さんから激甚指定を早くという御要望が非常に熾烈なものがございましただけに、一九号についても激甚指定を早く答えを出したいと思う一念で、実は先ほどから御答弁いたしましたような、技術屋派遣をまず最初にという措置をとったのでございまして、他意はないのでございます。御了承いただきたいと思います。
  210. 宮崎正義

    宮崎正義君 いずれにいたしましても、法律というものはわれわれ国民が改正して、正しく国民の生命財産を守っていけるような方向にしていくというたてまえの上から考えていけばいいのではないか、という私の結論であります。そこで先ほど副長官のほうからも災害にいろいろな法律がある、こういうふうな法律もいうならば突きつめて端的に、私が伺った意味を端的に私から言わしていただけば、一元化していっていっときも早く災害対策というものに対してすみやかに手を打っていきたい、こういうふうに私は解釈をしたわけです。そういう面から言いますと、基本法の三十八条に他の法令に基づく計画との関係というのがございます。何の法律にいたしましても一つ——これによりましても十五項目にも分かれております。で、これ一つずつ時間があれば私も分析しながらいろいろのことをお伺いしようと思いましたが、突きつめて、お伺いしてみるのは、まあ次から次へと新しい法律が制定される、これも災害の問題についてでも建設省あるいは農林省、あるいは企画庁、総理府という全体をつかんでいく立場の上から、一つにまとめた一元化した法というものがこの時点においてそろそろまとめられていいのではないか。そうすればその地すべりの問題についてはあっちだという、あるいは急傾斜地についてはこっちだという、道路防災についてはこうだよといって各個ばらばらな行き方を一元化することによって、財政処置もそれからまた対策についても手が打てるのではないか、こういうふうに考えるわけなんですが、この点どうなんでしょうか。
  211. 砂田重民

    説明員砂田重民君) おっしゃるように、防災関係あるいは災害復旧関係法律がたくさんあるわけでございますけれども、これを法律的に一元化するということがなかなか容易なことではないことは、御理解をいただけると思うのです。そこで法律の運用と申しますか、これをできるだけ一元的にやりたい、そういう任務を持ちましたのは、まさに中央防災会議であろうと思いますが、そこでこうした災害が、今回のような災害が起こりますと、中央防災会議の各省の連絡会議を幾度も持ちまして、これらの法律をひとつ一元的に各省でお互いに理解しながら、それぞれの各省が各法律を持っているものでありますから、この防災会議連絡会議の席でできるだけ一元的にまとめて、各省それぞれどこの省がどういう仕事をしているかという理解をしながら、その災害を受けられました地方公共団体を指導していく、こういうかっこうをとってやってきておるわけでございます。災害対策基本法に基づきます防災の基本計画がございますのと同時に、御承知のように各地方には地方防災計画ができております。この地方防災計画の中にやはりそれぞれ各省が持っております各法を取り入れて計画を立てておるものでございますから、この中央防災会議連絡会議で各省意見の一致を見ながら、一元的に各省にそれぞれの省から各省の所管しております法律に基づいて指導し、また各地方公共団体の御要望にこたえる、ただいまのところはさほど支障なくいけているのではないだろうか、そのような気持ちがいたすのです。個々の法律については、私はまだやはり不備な点が幾多あろうかと思いますので、こういうことも中央防災会議連絡会議でそれを検討の下ならしの場としてこれからも活用していきたい、かように考えております。
  212. 宮崎正義

    宮崎正義君 そこで、いまお話ありましたけれども、先ほどできればいっときも早くということで今週末くらいまでには結論を出したい、このようなお話でございます。私ども団長中心にいたしまして現地でそれぞれの省の方、県の方に伺いまして、大体査定の終わるのがいつごろだと、査定はいつから始めてどうなるんだということも伺いました。それによりますと、中には一致しているところがあります。中には日にちのずれているところもあります。こういうようなことも、当然いま副長官がこの防災会議等で事前にいつまでにやろうじゃないか、こうして救済しなければならないという事前の打ち合わせがあって、そうして現地派遣ということなら話がわかる。ところが現地で私ども団長中心にして、そうしていろいろいつ査定が終わるのか、現地はもういっときも困っているんだという状態にもかかわらず、答弁がまちまちであるという。これはちょっと副長官の意思に合わないのではないかと思いますが。
  213. 砂田重民

    説明員砂田重民君) それぞれの地方地方で地方公共団体の査定を受けられるその準備と申しますか、これの日にちのずれのあることも、これも事実です。それから一般激甚のことにつきましては、土曜日に中央防災会議連絡会議を私ども開いたのですけれども、一般災害、一般激甚についての私が判断をいたします材料は今週末までに出すということで、各省歩調をもうすでに合わさしております。局地激甚を対象とするものとなりますと、やはりこれは市町村別の相当こまかい事業査定を必要といたしますので、これは九月に入ってでなければ始められない、そういう市町村もございます。そういうちぐはぐはございますけれども、一般激甚については、今週末には中央防災会議として判断ができるだけの材料は整え終える、こういうことにつきましては各省とも意見の一致を見ております。
  214. 宮崎正義

    宮崎正義君 わかりました。いずれにいたしましても、私どもの受けた感じというものは、各省の方々の言われた点が食い違っている点がありますので、ですからそれが副長官が言われているような精神が中心になっておれば一つの回答が出てくる。それまでおれたちはこうしているんだ、私たちはこうやって進めていって、こうしてきているんだという話が冒頭に副長官から、こうあった、あるいは防災会議でこうあったということが焦点になって、そこに今度は精力を傾注して対策に乗り込んでいこうというのが、考え方の基本的なものじゃなかろうかと、こう私は思うわけです。そこで、今後のこともございますので、いまは一言お伺いしてみたわけです。  で、先ほど松永委員のほうからも個人災害についてはお話がありました。商店街の人たちは商品が流れる、こういう店舗の問題、商売をやっている方々の個人の災害ということも、これは先ほどのお考えの中の意味の中にもやはり含めていただくことが必要じゃなかろうか。これに対して大蔵省のほうも、こういうふうな個人災害に対する考え方というものをどんなふうにして対処していこうとしているか。——大蔵省の人、来ていますね。それもあわせて伺ってみたいと思いますが、長官のほうからは、いま言いました。先ほどの松永委員とのやりとりをやりました中に、そういう個人的な店舗に関する問題、あるいは個人の住宅の什器、備品、そういうものの災害というものはは、自分の家庭の中にまた設備するまでにものすごい金と日数がかかるわけです。こういう点が一番、国民を守るという立場の上から大事な点じゃなかろうかと思う点から、つけ添えたわけですが……。
  215. 砂田重民

    説明員砂田重民君) 先ほども松永先生に個人災害の問題でお答えをいたしましたけれども、個人災害救済というふうな考え方が従来はなかったわけでございます。農業関係についてはこれはいろいろな融資等の道がございましたけれども、いま先生が具体的におっしゃいました中小零細商業者と申しますか、こういう方々の物的損害をどうするかというふうな制度は何も考えられずに今日までまいっております。そこで、個人災害を何らかの形で救済する新しい道を発見する、その検討をしているところでありますけれども、新しい制度としてスタートするのに、商店の商品まで含めた物的損害まで見れるような共済というものが、はたして全国的に定着をするだろうか、こういう非常に難問題にぶつかっておりますのも困難な一つの点でありまして、そういう物的損害までカバーできるような共済となりますと、これは相当掛け金の高い制度になってしまう。これでは、災害などにめったにあわない府県もまた日本国内にはあるわけですから、そういう地域の住民の人たちが参加をなさらないと、なかなか共済として成り立たないというふうなこともまた考えられるわけでありまして、とりあえずは、私どもが個人災害の新しい道を開くのは、共済という制度の上に乗れるもの、したがいまして人身事故を対象にせざるを得ないのじゃなかろうか、そのようにただいまのところは考えております。ただ、商店の物的損害等につきましては、これはやはり中小企業対策という一つの問題として、いまありますような融資、税制等の制度の改善は、これは別の問題として検討をしていきたい、このように考えております。
  216. 早田肇

    説明員(早田肇君) 国税庁の所得税課長でございます。  ただいま御質問の点の第一点でございますが、まず事業用の資産につきましていろいろ災害がありました場合には、これは事業用の資産でございますから当然、個人でありますと必要経費、法人でございますと損金になって落ちていくわけであります。したがって、単に機械なり商品なりがこわされた場合には、そのこわされた金はもちろんでございますが、それに伴う修繕費なり、あるいは場合によっては取りこわさなければならない費用、こういうものもすべて損金として落ちていくわけでございます。そういう金が必要経費になって落ちてまいりますと、場合によりまして相当赤字が出てくることになるわけでございます。この赤字は、一般の場合にはその年限りで打ち切りになるわけでございますが、災害の場合の事業用資産の損失につきましては、三年間繰り越し控除ができる。したがって、災害でかりに赤字が百万円出た場合に、翌年二百万円の所得がございますと翌年の二百万円から前年引き切れなかっ百万円を引いて、翌年度は百万円になるというような計算になる。これを三年間繰り越して控除していく措置災害について講じられております。ただいまのは事業用資産でございますが、個人用の資産、たとえば自分の住宅であるとか家具、こういうようなものにつきましていわゆる災害を受けました場合には、方法が二つございます。一つ災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律というのがございまして、その災害を受けました家財がその方の二分の一以上で、かつその方の見積もりの所得の額が百万円以下である場合には税金は全部免除される。百万円から百五十万円まで見積もり額の場合には所得税の半額が免除される。百五十万から二百万以下の場合には四分の一が免除される。したがって、こういう適用を受けたいと思われる方は、災害がありましてから二カ月以内に申請書をお出しになりますと、直ちにその適用が実施されるということになります。この場合、もちろん確定申告によって精算していただきますが、所得額がかりに百万以下の方でありますと、その年は税金がかからないという形になります。第二の方法として、所得税法に雑損控除というものがあります。ただいまの災害減免法の場合には家財の二分の一以上の損害を受けたというような制限がございます。雑損控除の場合には所得額の一〇%以上の災害を受けたという場合でございます。この場合には一〇%以上の損害を全額控除することになります。そうしてこの場合にも、もし控除し切れません場合には、三年間繰り越しの控除を認めるという措置が講じられております。  なお、災害をお受けになりました方が実際の所得に基づきまして申告されますのは、個人でございますと翌年三月でございます。三月までの間に事業をやっておられる方は七月と十一月に予定納税というのをしていただきます。その場合も、ただいま御説明申し上げましたような措置を講じて税額が減るという方は減額承認申請というものを出していただければ、予定納税額が減額になるということになります。  それからさらにそういうこととは別といたしまして、すでにきまっております税額が滞納になった、こういう場合も、その方が災害を申請されますと一年以内の期間を限り徴収猶予される。しかもその徴収猶予期間中延滞税はお取りしない、こういうことの措置を全体として講じまして、災害を受けた方の租税につきましては、実情に即するようにしておる次第でございます。
  217. 宮崎正義

    宮崎正義君 担当でないからちょっと無理かもわかりませんけれども、治山治水の緊急措置、これは四十一年の終了でありますか、これからの計画の年度を改正したいという建設省あるいは農林省が概算要求をしているという姿勢ですね。そういう場合に一番ネックになってくるのは、何といっても大蔵省が金を出すか出さないかということになってくる。先ほど午前中もありしたけれども、急傾斜地の問題にいたしましても、予算で縛られて当然やらなければならないところもやっていけないような形態にしていったのでは、これは防災にならない。したがって、こういうふうなことについての大蔵省としての災害に対する予算措置、あるいは人命に最も大きな影響を与えていくという法律に対する概算要求というものの考え方というものをはっきり言っていただきたいのですけれども、どうですか。
  218. 早田肇

    説明員(早田肇君) たいへん恐縮でございますが、私、国税庁でございまして、ただいま先生御指摘の点は主計局でございます。申しわけでございませんが答弁を遠慮させていただきます。
  219. 宮崎正義

    宮崎正義君 ほんとうは大蔵大臣が来ていれば問題ないんですけれどもね、大蔵大臣が来ていないからしようがないですね。本来ならば、松永委員が冒頭におっしゃったように、私ども災害委員会というのは国民の注目の的になっている。どんなふうにしてやっていこうかという、どんなふうに政府考えているだろうかという声が聞きたい、その責任者の声が聞きたい、こういうのが当然なんですから、そういう責任者がいないのをまことに残念に思うわけです。いまのような予算措置、財政措置という財政のあり方というものなんかが一番大きな防災になってくるわけです。こういう点については、もう副長官から、何よりも防災という見地の上から、来年度の問題ばかりじゃなく、いま現在起きている時点の上から踏んまえての考え方をはっきり私はしていただきたいと思いますが、どうなんでしょうか。
  220. 砂田重民

    説明員砂田重民君) 各省が防災あるいは災害復旧等の予算要求をするわけでございますけれども中央防災会議というものを所掌しております総理府といたしましても全面的に、これはわれわれ取る立場で払う立場ではないわけですけれども、もっと強い姿勢で取り組んで、万遺漏のない予算編成ができるようにしたいと考えております。  なお、一言付け加えて申し上げますならば、景気浮揚策の一環として、公共土木を大いにやろうというもう財政当局を含めての考え一つございますので、今後どれだけの規模額のものがどう出てくるかわかりませんけれども、そういった追加的な、補正的なものが講じられるときにも、防災災害の問題をまず優先的に取り上げていってもらえるように、中央防災会議としても強く財政当局に働きかけてまいります。
  221. 宮崎正義

    宮崎正義君 そのようにひとつ心強く私どもは期待しております。でいまお話がちょっとありましたけれども災害を受けた人たちというのは、もう日銭がほしいわけです。現金に非常に困るわけです。現金収入が断たれちゃう。したがって、罹災地の人たちにいっときも早く現金をあげるような対策を講じてあげなければいけない。それには罹災地の現場復旧をさせる従業者に出すとか、あるいは農業者の人たちにはどんなような仕事を与えて現金を与えていくか、こういうようなことが、もうかわいたときに水がほしいように、手を差しのべているのが現状だと思う。この点についての考え方を伺っておきたいと思います。
  222. 砂田重民

    説明員砂田重民君) 先生おっしゃるとおりだと思います。応急の復旧工事等さっそく地方公共団体でもできるだけ早く早い時期に始めてもらって、現金収入があるようにいたさなければなりませんし、それから先ほども先生から零細商業者の話が出ましたけれども、こういう方々に対する融資の方法も、お申し出があれば受け付けますよという姿勢ではなくて、災害の現地に、それが市役所でございますか、町役場でございますか、そういうところはテントがけででも出ていって、こういう融資の制度があります、これはここで受け付けます、銀行もそういうところへ出ていけるわけでございますので、さらに税の説明が国税庁からもございましたけれども、申告があれば、こうするというのではなくて、こういう制度があるということを、その災害地の現場にテントがけででも出て行って説明してもらうように、そういうふうになさっておられる地方団体もあるのでありますけれども災害地を持たれる地方公共団体に対しては、そういうきめのこまかい施策が早急にとられますように、私ども気をつけて地方公共団体を指導してまいりたい、かように思います。
  223. 宮崎正義

    宮崎正義君 ぜひその方向で進めていただきたいと思います。  次は、企画庁のほうにお伺いをいたしたいと思いますが、特殊土壌地帯の災害防除及びその振興臨時措置に関する件でございますが、特土法の指定がどんなふうになっているのか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  224. 岡部保

    説明員(岡部保君) 先生のおっしゃいましたのは、特上法の指定地帯の問題かと存じますけれども、特殊土壌地帯の指定といたしましては、九州、四国、中国、近畿及び中部の十四県にまたがる地域について指定をされております。その面積が大体五万七千平方キロでございまして、全国の面積の約一六%に当たっております。
  225. 宮崎正義

    宮崎正義君 五万七千平方キロですね。そうしますと、今回の九州のほうは白い灰地といわれておるわけです。そのうちのどのくらいが該当しているキロ数でしょうか。
  226. 岡部保

    説明員(岡部保君) その指定されております、いまお話しのございましたシラス地帯でございますが、九州では鹿児島県と宮崎県が全県指定でございます。それからあと同じ九州で例を申しますれば、熊本と大分、福岡三県がそのうちの一部が指定されておるわけでございます。
  227. 宮崎正義

    宮崎正義君 鹿児島宮崎どのくらいですか。
  228. 岡部保

    説明員(岡部保君) 鹿児島宮崎全県指定
  229. 宮崎正義

    宮崎正義君 何キロ平方ですか。
  230. 岡部保

    説明員(岡部保君) 失礼いたしました。鹿児島県が七千八百平方キロ、それから宮崎県が七千七百平方キロ、以上これが全県指定でございます。
  231. 宮崎正義

    宮崎正義君 そうしますと、一応三分の一指定されている。その地域からいくと三分の一以上ですわ、そういうことになりますね。そこで問題になるのは、シラス地帯の問題でございますが、これに対する考え方、これは前にも論議されているはずなんです。私は資料をいただいた中で見てみますと、昭和二十六年からシラス地帯調査協議会というものをつくって、経済審議庁あるいは中央気象台、建設省、農林省、この関係のところでこういう協議会をつくられたのが昭和二十六年というふうになっております。それから自来ずっと四十六年の今日に至るまで、このシラス地帯に対する研究がなされている。日本の土木技術というのは世界の水準より以上によいものを持っていると言われておるわけでありますが、残念ながらこのシラス地帯に対してはこうだというものの結論が出ていない。と同時に、これに対する政府の当初に考えてやった研究というものが今日の形態においてどんなふうな研究班がつくられたか、またどんなふうに研究しているかということが解決がはっきりしていきませんと、これは毎年毎年のように、あのシラス地帯の崩壊によってとうとい人命が失われているという事実を見ていきましても、当然特土法という法律の面からいきましても、こうあるべきだとならなければならないはずなんでありますが、いまだにその対策がなされていないということです。こういう実情についてひとつ伺いたいと思います。
  232. 岡部保

    説明員(岡部保君) ただいま先生のおっしゃいました、いわゆるシラスの調査研究面、技術的な解明と申しますか、その点ではお説のとおりまだ残念ながら十分な解明ができたとは申せない段階かと存じます。一応治山治水事業、あるいは農地あるいは道路、宅地防災事業など非常にシラス地帯の災害対策という問題は範囲が多岐にわたっておりますし、いまも申しましたように、いろいろ技術的にむずかしい問題、たとえばシラスと申しましても、非常に性格、性質の異なった土壌も含んでいるというような面がございます。そこでその調査研究につきましては、関係各省あるいは関係大学等でいろいろ研究をしていただいているわけでございます。そこで、現在までにどういう調査研究がなされたかというのは、先生十分御承知かと思いますけれども、いわゆる関係の深い大学——九州大学であるとかあるいは鹿児島大学、宮崎大学などの学術研究機関でいろいろ研究していただいております。また建設省の土木研究所、あるいは農林省の農業土木試験場、あるいは九州農業試験場などの国の試験研究機関、あるいは建設省九州地方建設局というような国の建設実施機関、こういうところで相当突っ込んだ研究をしておりますが、それではその研究成果というものが十分であるかと申しますと、いま先生のおっしゃるとおりでありまして、まだまだなかなか研究していただかなければならぬ面があるわけであります。したがいまして、今後私どもといたしましては、これからのさらに各研究機関の調査研究を進めていただきますと同時に、でき得ればそういう横の連絡と申しますか、どういう段階でどういう問題点をさらにしぼっていくとかというような問題点をやはり横の連絡をとる、調整と申しますか連絡と申しますか、そういうような段階に進みたいという考え方で、これから特土の審議会等を通じましてこの研究、どういう点にどういう問題点があるかというような点を専門の方々からお話を伺って、これからの進め方というのも御審議をしていただきたい、という考え方を持っております。
  233. 宮崎正義

    宮崎正義君 どうも、二十六年に始めて今日四十六年であります。二十年間いまだに横の連絡とか縦の連絡とか、その一つの研究機関を設定してこうしろああしろというのは、もう昭和二十六年のときに考えているわけですが、それが現在に至るまでも、いま御答弁のありましたとおりの始末です。まことにあの五千七百平方キロ、その五千七百に及ぶシラス台地に住んでいる人たちの毎日毎日の生命の不安というものを二十年間も感じさせてきている。それがいまだに解決がしていない。これは大きな責任はもう当然政府にあってしかるべきだ。しかもその被害を受けた人は、先ほどもお話がありましたように国からは一銭も出ない。また県からは出すところと出さないところがある。市町村によっては五万円出したとかあるいは十万円出したとか、ほんとうにわずかな金の見舞い金しか出ていない。しかもその中には一家全滅の人もおる。また親を失い、これからつえとも柱とも頼む子供たちを失ったり、そういう個々の事情、その個々の事情が国民の一人一人の姿であり、その声が政治に反映しなければならないというようなことを、自分自身がその現地の人であったならば、より私は真剣にこのシラス対策についてもはっきりしたことが当然出ていなければならないと思うのです。  もう一つ現地へ行きまして深く感じましたことは、昔から言われておる、垂直になっているその下には被害がこない。いまだにぴたっとそのシラスにくっつけて人が住んでおる。これが安全だとみなされておる。それがくずされていっている。農道をつくった、その農道をつくったそこから水が入っていった。林道をつくっていった、そうして山の上の耕作の畑作に手を入れ始めたら、そこから水が入って三〇%の水を含んでくればくずれてくるというそのシラス地帯の特殊性が解決されていない。今回の災害についても前から言われているわけです。農道をつくったところがらやられるぞ、林道をつくったところがらやられるぞ、しかも台風を毎年受けなければならないところで大きな木がゆさぶられ、当然地割れがくる。そこに雨が降れば、黙っていたって崩壊されるのはわかり切ったことなんです。そういう現地の実情等を見ていきながらこの対策がなされてないということは、まことに私は遺憾だと思う。早急に、いつからどんなふうに考えて対策を講ずるんだという結論を、少なくともその地域の方々はきょうの災害対策特別委員会での声を待っているんじゃないか、このように私は思うわけですが。
  234. 小林国司

    理事小林国司君) ちょっと待って下さい。速記をとめて。   〔速記中止
  235. 小林国司

    理事小林国司君) 速記を起こして。
  236. 宮崎正義

    宮崎正義君 私が伺ったことについて、総括的に、副長官はどんなふうに、国民の方々に、考え方を、私はこう思っているんだということをはっきりと言っていただきたいと思います。
  237. 砂田重民

    説明員砂田重民君) シラス等の特殊土壌の問題は、たいへん技術的な問題で、いま先生おっしゃった二十年もたっておる、そういう事態になってきておると思います。ただ、研究研究で二十年もたってまいっております。このまま今回のこういう災害のあったことでもございますから、放置をしてまいるわけにはまいりません。私はひとつこれのスピードアップを自分で検討させていただきたい。こういうスケジュールというふうなことも、きょうすぐ私は答弁の材料を、正直申し上げて持ち合わせておりませんけれども、できるだけ近い機会に、当委員会でこういうスケジュールで取り組んでまいりますということをお答えしたい、かように考えております。
  238. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 副長官時間がないようですから、ごく簡単に申し上げますが、今度の視察を終えまして、私痛感することが一つあるわけです。その問題は、何といっても災害には情報機関が最も必要だと思うのです。それに対する対策をどうするか、これがなされなければ、とうとい人命を失うことは当然のことであります。したがって、私は今度回りました鹿児島宮崎。前回は兵庫、静岡等を視察をいたしましたが、そういう情報を承りますと、まあどういう対策をやったという簡単な報告がされるのが普通なんです。今度、私は痛切に感じましたのは、宮崎の対策の中で、この一九号台風に対する処置の対策という一つ報告書をつくっています。私はこれは大事だと思う。少なくとも長官のほうにはどういう対策をやったのか、この事実の上において、人命というものがどういうふうに尊重されてきておる、これで免れたという点を総合的に検討する機関ではないかと思うのです。それがためには、やった処置の、次回でもいいから処置の報告の責任を負わせて、中央としては十分にこれを検討すべきだと思うのですが、いままでやっていないと思うのです。当然これはやるべきじゃないかと思うのですが、どうお考えになりますか。
  239. 砂田重民

    説明員砂田重民君) 先生おっしゃいますように、情報の収集、そしてその情報の逆の伝達、これは非常に重要なことだと思うのです。私どもも今回の災害で、兵庫県の相生等におきましては、ちょうど日曜日であった、夏休みの日曜日。道路モニターという名前で呼んでおりますか、そういう人を、市なり町なりの役所の方を委嘱をしてあったが、日曜日であったためにそのモニターが、机の上の計画はちゃんとモニターを置いてありましたが、それがちゃんと働いていない。こういうこともございましたので、実は一九号近しという、ちょうどその時期に中央防災会議連絡会議を持ちましたものですから、そのときは実は警察消防重点を置いて、危険だろうと考えられるところの方々の避難が手おくれにならないように避難命令を出して、あとでしかられることがあるというふうな考え警察当局にもございました、しかし、しかられても、とにかくも一番大事な人命は守るのだということで、避難指導等は勇敢にやるということを実は警察末端まで連絡をとったところに一九号が来たわけであります。こういうこともございますので、いま先生御指摘の宮崎県の取りまとめられた資料等つぶさに拝見いたしまして、情報の的確な伝達、これをひとつ万遺漏ないような、全国的にそういう網がかぶせられるようなことを、早急に検討したいと考えます。
  240. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 その点、当然やっていただきたいと思います。これがやっぱり台風に対する対策の重要な問題だと思うのです。そしてその点をひとつ希望申し上げておきたいと思います。  さらに、松永理事のほうから御質問もあり、また現状もお話しありましたが、私は長官考え方に対してもう一つやりようがあるのじゃないかという意見を加えて御質問申し上げたいのです。災害というのは、先ほど地質の問題に限定されておりました。そして災害気象関係で、日本の長い領土に対してどこが一番災害が多い地域かということも、歴史的にわかっております。そういう歴史的にわかっておる災害地に対して、特別の共済処置というものを考えていいではないか。たとえば北海道の豪雪に対してどんな対策を立てようとも国民は反対しないと思う、現実がそうですから。災害でもそれと同じじゃございませんか、北海道の豪雪、新潟の豪雪、当然のことですよ。そうすると、南九州中心とするあの地域が年間においてどのくらいの災害があった、過去二十年にさかのぼってどのくらいの災害が出たか、したがって、年間平均して数十億の災害費用を使わなくちゃいかぬ、そういうところに対しては、特別の処置を政府として考える必要がある、だれが考えても出る計算ではないかと私は思うのです。そこで、長官人命に対しては共済が何とか成立するだろうけれども、物的な共済は無理だとおっしゃる、物的のないような共済をつくってもたいしたことがない。私は兵庫県の先ほどの追及を聞きまして、これももし人災であったとするならば補償しなければなりません、これは当然政府考えてもらわなければならぬ。今後の問題として残りますが、そういう観点から考えて申しますと、もっと地方自治体を生かして共済制度を確立してはどうか。それに対してはそういう災害の多い地域に対して地方自治体がそれをやるとするならば、過去二十年でも三十年でもいいじゃありませんか、災害に使った費用の何%は共済のためにこれを交付してやろう、これは当然のことだと思うのですね。政府としてどうして人命だけに限定しなければいかぬか。今度の実例でもそうですが、加世田ですか、ある農家の養鶏を営んでおる人が一度何十羽か何かの鶏を流失した、豚を七十頭、これは再起できませんよ。そうして年に三回の災害を受けるというのは、一体人間の生活ができるとお考えになりますか。それは人命だけの共済ならたいした問題じゃないですよ。やっぱり日本の国土である限りにおいては、多くの統計の資料をお集めになって、そうして災害の多い地域、雪害もその一つでしょう、あるいはこの暴風雨もその一つでしょう、あるいは海岸における護岸工事もその一つでしょう。そういうふうにお考え願って、物的も含めて共済制度というものを確立してやる。政府ができなければ、政府は何カ年間の統計をとって、その中から地方自治体の災害費の一部として助成をするという方法があると思う。これはぜひ私はやってもらいたいと思いますが、副長官どうですか。これはもう災害委員会では毎年の問題でありますし……。
  241. 砂田重民

    説明員砂田重民君) 個人災害の救済方法——新しい制度は何か窓が開けないものかということで検討は続けてきたわけでございますが、当然、私どもの検討の中には、地方公共団体と申しますか、全国知事会あるいは全国市町村会等の御意見も十分承りながら検討を続けているわけでございまして、まだ具体策というものを御報告をするところまでいっておりませんけれども、当面、地方公共団体等の御意見も承り、公共事業を国で補助をしていくといういままでの仕組み等のバランスも考え、一方、財政当局をわれわれとして説得し得る根拠等も考え、そういうものをいろいろな角度から考えますと、初めて窓を開く個人災害制度としては、人的被害というものに限定してかからなければむずかしいのではなかろうかというのが、検討を続けながらのただいまの私の実は心境でございまして、先生おっしゃるように、個人災害の、再び立ち上がれないようなお気の毒な方をどう救済するかという問題、確かにございます。また、農業関係では融資の道等も講じられております。しかし初めて開く個人災害の救済策としては、人的被害の範囲でなければ、なかなか地方公共団体等のいろいろ異なった意見を調整をいたしますと、初めて開く窓というものはその程度の範囲で考えていかざるを得ない。将来も、その広げ方は別でございますが、四十七年度当面やり得る、しかもこの月末に実は概算要求をいたさなければなりません。そういう時間的な制約等も考えまして、ただいまのところ検討中でございますけれども、私どもが持っております感触は、人身事故に対するまずその措置でもって窓を開く、こういうふうな検討中の中間報告的なことを御答弁申し上げたのでございます。
  242. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 わかりました。長官、忙しいですから、私もっと詳しく言おうと思ったのですけれども簡単に申し上げたのですが、幾ら最初であっても、最初が大事なんですよ。それは災害のなかった地域の人に災害のことを聞いたってわかりません、実際の問題として。私も大阪のジェーン台風にあいまして、やはり二メートルぐらいつかってしまいました。これはあっという間です。そういうことで、たとえば今度の川内では、この三年間に三回でしょう。一体、その家がもっと思いますか。普通三十年の寿命の家は十五年しかもちませんよ。一体腰が切れるのですか、人間生活の中で。そういう問題をもっと幾ら最初であろうとも、根本的な掘り下げ方によってそういう災害にも考えていくべきだ。たとえば、いま労組がこの共済制度というものを確立していく、したがって、床下浸水、倒壊、これには全部三十万、五十万、百万という金を出しているじゃありませんか。労組ですらそのくらいの共済制度というものを確立しているのに、国が年間通じて何年かの統計の中で一番災害の多い地域だということを、たとえば災害のない地方の自治体の長がそれを主張してもこれは納得させていただいて、先ほど申し上げましたように、北海道の豪雪、新潟の豪雪等については、これはもう国民ひとしく知るところであります。それはそれで理解させるべきだ。それくらいの熱意がなければ、この災害対策なんというものはおよそ架空なものになっちゃう。これを何年間かの間、われわれはこの災害対策で主張してきておるわけでありますが、どうかひとつ最初の問題で、まず人命だけをという考え方でなくて、基本的な問題として最初が大事だからやっていただきたいことを希望意見も申し上げ、お考え方をもう一ぺん聞きたい。
  243. 砂田重民

    説明員砂田重民君) 心情的には、私も同じ気持ちを持つものでございますから、ひとつ何とか先生の御意見を生かせるような方向で私は努力をしてまいりたいと思います。
  244. 小林国司

    理事小林国司君) 速記をちょっととめて。   〔速記中止
  245. 小林国司

    理事小林国司君) 速記を起こして。
  246. 塚田大願

    塚田大願君 時間がないようですから、重点的に簡略に質問したいと思うのですが、私もこの間の集中豪雨の節に熊本鹿児島視察してまいりました。現地の被害のひどさというものを見てまいりましたが、それにいま追っかけて一九号というような——まあさこそと思われるわけであります。そこで、先ほどからいろいろ各委員の質問に対しまして、副長官は前向きの姿勢ということを言われ、また開発よりも保全だと、こういうふうに言われる。まあその点ではまことにけっこうなんでありますが、しかし、各官庁の方々の答弁を聞きますと、必ずしも副長官がおっしゃっているように前向きの姿勢だというふうには、私はきょうの答弁は聞いておりません。非常に消極的でやはり従来のマンネリズムを一歩も出ていないという感じがするわけであります。しかし、これではもう国民の信頼を私はとめていくことができないんじゃないかと思うのです。これだけの被害を受けて、そして毎年毎年、戦後だけでも二十六年間間毎年同じような被害が起きている。むしろその被害は増大している傾向にある。しかし答弁によりますと、いわばいままでなかったような大きな豪雨であったとか、いろいろ弁解が行なわれますけれども、そんな弁解を私どもは何回聞いたところで、これは始まらないと思うのです。  そこで、私は副長官にお聞きしたいのは、副長官もおっしゃっておられますけれども、とにかくもうこの辺でこの災害に対する抜本的な対策をやはり立てる、そして同じ災害を二度と繰り返さないというこの基本的な立場ですね。これをどうしても私は貫いていただかなければいけないし、またこれが国民の信託にこたえるわれわれの義務でもあると思うわけです。そういう意味でやはり副長官のその決意のほどをあらためてお聞きしたいと思うのです。
  247. 砂田重民

    説明員砂田重民君) 先生おっしゃるとおりの決意をもって取り組むわけでありますが、一つ私は具体的な事例的なことをあげてお答えをさせていただきたいと思うのです。これは兵庫県のことでございます。兵庫県のあの災害のありました直後に、私は知事に来てもらって懇談をいたしました。そのときに、宅地造成等規制法とか、砂防法であるとか、あるいは急傾斜の指定であるとかいろいろの法律がある、建築基準法もある。しかしそういうものを住民の方にも、窓口になってこういう法律を執行される行政の場にある人が、建築基準法を確認をしなければならないときに、危険だと思ってもあと行政不服審査なんかに持ち込まれては困るのだという気持ちから、現地を見もしないで建築基準法の確認をする、こういう認識でこの防災のための建築基準法行政の場にある人が扱ったのでは、法律をどう変えてみようと、幾つ法律をつくってみようと、大事な人命というものは保たれない。危険だと少しでも思ったならば、開発よりは保全というところに重点を置いて、あるいはその開発関係を希望される地域社会住民の方から建築基準法の確認をしないからということであとから訴えられても、それでも自分保全のほうに重点を置いて建築基準法をどこまでも執行していくのだ。そういう気持ちになってくれなければ、今回の兵庫県の新舞子のような事態は避けられないのではないかという話をいたしましたら、兵庫県の副知事が、実は昨日そういう指図をそれぞれの窓口の担当者にしてまいりました。訴えられたときにはもう自分が引き受けてやる、少しでも危険を感じたときには絶対に建築基準法による確認はしない、そういう決意をもう県庁みんなで持とうではないかという指図を知事がして、私のところへ出てまいったそうでございまして、私は防災に携わる行政の場にある者の心がまえとしては当然のことであると思います。こういう姿勢で、国地方公共団体防災に携わる者の認識を、こういうふうにやっていく、そういう意識定着させるのがまさに私の任務である、こう考え防災の仕事に取り組んでまいる決意をしております。
  248. 塚田大願

    塚田大願君 副長官の決意のほどはわかりましたが、しかしこれは精神主義だけでは、私はこの災害の防除というものはできないだろうと思うのであります。そこで、やはり先ほどこれは副長官も言われましたけれども相当の予算措置をしてやらなければ実際にこの防止ということはできないわけでありまして、たとえば先ほどから出ました中小河川改修の問題にいたしましても、これはもうたいへんな費用がかかるだろうと思うのです。これはまた建設省の方にあとでいろいろお聞きしたいと思うのですが、その他シラス地帯の問題にしても、きのうシラス地帯の問題でNHKが日曜特集を夜やっておりました。私、たまたま拝見いたしました。この中で、シラス対策はとにかく非常におくれておるし、それで先ほど開発局のお話ありましたが、鹿児島大学にも研究を委託しておるというふうな話がありました。しかしテレビに出ました話では、その大学教授は、委託費というのはたった三十万しか年間もらってない、これでは満足な研究ができません、ということを先生が言っていらっしゃる。こういうお粗末なことでは、形式はなるほど大学に委託して研究をさしておるということになっていても、内容は実際伴ってこない。あるいは気象庁の問題にいたしましても、やはり私はそうだと思うのです。予報が非常にうまくいってない。もうしょっちゅうこれは災害のたびに予報の問題が出るのですけれども、しかし、先ほども出ましたようにモニターがそういう状態だと、やはり気象庁自体の観測体制というものがほんとうに確立しなければ、ほんとうの責任というものは持てないだろう。ところが、実際には気象庁はいろいろな関係で最近は人員の削減をする、こういう状態が出てきている。この問題を一つとりましても、やはり相当な予算の問題がからんでくる。その他救済措置の問題になればもちろんのことでありますが、とにかくいずれにいたしましても、私はほんとうに抜本的にこの災害防止をやるとすれば、相当国が腹をきめて予算措置、財源というものを、一億や二億の金ではなくて、何兆という金ぐらいをつぎ込まなければ私は解決しないだろう。これは子供でもわかることではないかと思うのですが、そういう観点から、ほんとうに副長官がおやりになる決意をお持ちならば、私はそういう財源の問題まで突っ込んで私ども考えるべきではないか。まあ、これは一つの私の試案といたしましては、たとえば四次防に五兆八千億円もつぎ込む計画がある。その四次防たるや、御承知のとおりあの自衛隊機が全日空機に衝突してああいう大事故を起こすというふうな結果にしかなっていないので、そういうところに金を使うよりも、まず国民が一番望んでおる国民の命と暮らしを守るこの災害防除の面に、私は思い切って何兆円かの金をつぎ込むくらいの腹があってしるべきではないだろうか。そうしなければ、私はほんとうの抜本対策というものは立たない。口頭禅であって、ただ口先だけで、やりますやりますだけでは私は解決しないと思うので、そういうところまで副長官は御決意を持っていただきたいと思うのですけれども、ひとつその点を最後にお答えを願って、私の質問を終わりたいと思います。
  249. 砂田重民

    説明員砂田重民君) 災害復旧にも相当資金が必要だと思います。年々これも予算的な改善もとられてまいっておりますけれども災害復旧というものは災害が起こってからのもので、そうではなくて、災害を起こさないための防災にやはり今日までの予算の措置というものは、これで十分とは決して申せない。私もその点は先生と同じ感触を持つものでございます。災害が起こる前の、その災害を防ぐための防災各種事業につきましては、それぞれ各省で予算要求をいたすわけでございまして、中央防災会議として予算の一括計上をするわけではございません。また、予算の調整をするわけではございませんけれども、大事なことでございますから中央防災会議といたしましても、側面から各省の防災予算の充実に一そうの努力は当然してまいる。開発よりも保全といういわばひとつの行政意識革命をやりながら、片方においては予算措置をいたしませんと、これは動きようのないことでございますから、一そうの努力をしてまいりたいと思います。
  250. 小林国司

    理事小林国司君) 副長官に対する質疑はこれで終了いたしました。副長官御苦労さまでした。  速記をとめて。   〔速記中止
  251. 小林国司

    理事小林国司君) 速記を起こして。  引き続きまして宮崎委員の質問に対しまして岡部総合開発局長
  252. 岡部保

    説明員(岡部保君) 先ほど申し上げたわけでございますが、確かに先生のおっしゃるとおり、研究調査について現段階ではまだまだの段階であるという点は、残念なことでございますが肯定せざるを得ません。また、いま副長官への御質問にもございましたように、   〔理事小林国司君退席、理事松永忠二君着席   席〕 これは現実に研究費等につきましても決して十分な金額がいっているという感じは私ども持っておりません。したがいまして、いまさらこういうことを申し上げるのも変でございますけれども、今後ともできるだけこの研究調査というものに対して、どういう方面にどういう重点を置いてどういうポイントを突っ込んでいくんだという点をはっきり固めまして、研究調査を進めてまいりたいと考えております。
  253. 宮崎正義

    宮崎正義君 質問の詰め方が狂っていきましたので、また時間がございませんので端的に質問をする以外にないわけですが、私ども牧園町にいたしましてもあるいは太田部落の人命被害、太田部落のシラスの崩壊につきましても、毎年毎年シラスにおかされるたっとい人命という面から、そういう面に眼をしっかり開かれて積極的な対策が必要である。意見として申し上げまして次に進んでいきますけれども、特土の審議会というのがございますが、この審議会では、今回の災害については会合を持たれて話し合いをされましたか。
  254. 岡部保

    説明員(岡部保君) 審議会は今回の災害後まだ開催をいたしておりません。蛇足かもしれませんけれども、あるいは少し先ばしった御答弁かもしれませんけれども、私どもといたしましては現段階で各県の話を伺い、また各省のお話を伺っておりますので、でき得れば来月には審議会を開いて、今後の特殊土壌に対する対策というものの御審議をいただく予定に考えております。
  255. 宮崎正義

    宮崎正義君 午前中に松永委員のほうから災害危険区域のことが建築基準法の立場からございました。そこで、松永理事のほうの質問には触れません、私の申し上げたいことを言いますと、災害があってからどうのこうのじゃなくて、災害を防止するために諸法律というものはできているはずであります。したがいまして、この基準法もやはりそういう意味合いにおいて考えなければならないはずなのに、現実はどうかといいますと、河川の中に家が立っている。それを許可している第六条の面からいけば申請と確認ということになっているけれども、その点についてはその書類上の確認であって、現地の家のこれが災害危険区域にあるかどうか、それは度外視された現実の河川の中に家の建っているのを見てからの建築許可であるかどうか、こういう点が非常におろそかになっておったということがはっきりしている。で、これは河川の中に家が建っているばかりじゃありませんし、災害危険区域の中においても西米良の小学校がございます。あの裏山がくずれて鉄筋コンクリートの校舎の中に土砂が崩壊したものが流れていって、危うく当直の先生人命を失おうとした、また雨天体操場が破壊をされてしまっている、その役所の真下にはずっと町並みが続いている、当然これは急傾斜地指定地域にならなきゃならないのが指定されていない。そうでないその下のほうは指定されているという現状、また建築許可をしていく面において、現地の実情というものの調査が非常に不十分である。こういうことを厳重になされない限り、河川のはんらんによる流失家屋というものも、こういうことからも今回の九州災害には多くあったということを、現実的に見てどう考えるか、伺っておきたいと思います。
  256. 救仁郷斉

    説明員(救仁郷斉君) お答え申し上げます。  急傾斜地崩壊危険区域の指定につきましては、これは河川局の所管でございますが、それにあわせまして建築基準法に基づきます災害危険区域を指定いたすことになっております。従来は御指摘のとおり、災害危険区域が非常に個人の強い権利制限を伴います関係上、なかなか行政的に指定できないといううらみもございましたが、先ほど副長官のほうからも御指摘ございましたように、私どもといたしましては極力災害防止という観点からこの地域指定と同時に御指摘のございました現地の調査、あるいは現地での検査というものをきびしくやってまいりたい、こういうふうに考えております。
  257. 宮崎正義

    宮崎正義君 ずっと問題が一ぱいあるわけですが、とにかく十六時四十五分に終了してくださいという委員長の督促があってどうにもならないわけですが、ところでこれも煮詰めていかねばならない問題ですが、河川関係について私はひとつ河川局長にお伺いしてみたいと思いますが、われわれの日常生活においては、道路というものはしょっちゅう触れております、目についております。交通事故等もしょっちゅう身で感じております。したがってこの道路規制というものあるいは道路構成というものはしょっちゅう頭にあります。河川というものは水が出てこないとその河川がよみがえってこないみたいな、そういうふうな考え方があるとすれば、これは私は逆じゃないでしょうか。水はわれわれに欠かすことができない、日常生活においてもわれわれの肉体を守る上においても大事なものであるが、ともすればこれが放任されがちになっておるがゆえに中小河川の問題が起きておる、あるいは直轄のところも不備なところがだいぶあるということになる。今回の決壊されておるところを見ていきましても、その堤防が決壊されておるところもあります。またすでにもう寸前に堤防が決壊されようとしておるところがあります。この堤防というものは、これは道路法のどこに該当するのか、道路構造令のどこに該当するか、またこれは法的にどんなふうにして道路として認定をしていくのか、この基準を教えてもらいたい。
  258. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 先生の御質問は、河川の堤防を利用しておる道路は、どうして法律上の道路になったかという御質問のように私聞きましたが、特に河川管理者との間に協議が義務づけられてはおりませんけれども、道路管理者と河川管理者の間でよく協議をした上で道路法上の道路に認定するということが、現在一般に行なわれておるところでございます。
  259. 松永忠二

    理事松永忠二君) 速記をとめて   〔速記中止
  260. 松永忠二

    理事松永忠二君) 速記を始めて。
  261. 宮崎正義

    宮崎正義君 これはまとめてというが、なかなか容易なことではない。ぼくみたいに頭の悪い者にはまとめようがないから、一つ一つ法律的な面から伺っていかなければわからないのが一ぱいある。実は私ども調査団があの調査に行きましたが、堤防の上を車を走らせてみた。それで私はここを車を走らせるのはまずいんではないかと車の中で気がついて言った、車のわだちがすでにその堤防をくずそうとしておる。シラス地帯であれば特にそういうところに雨が降ってくればくずれる形態になっていきますし、さらにはこの河川法の三条の二項あるいは十七条あるいは道路構造令、車両制限令の第三条あるいは第十条、こういう面からどんなふうな堤防に対する考え方を持っているのか。河川の決壊にも、大きな問題点がこういうところにもあるというふうに私は思うわけです。そこで、日常の堤防なんかを、よく見受けるところを見ると、コンクリートを打ってあるところもあるし、砂利のところもありますし、またさらには何にもしてないところがある。そこを平気で車が落っこちそうになりながらも走っている。こういう現況を、何のどういう協議でいま答弁になったか。協議をする協議官の間にどんな協議が行なわれて現在使用されているのか。少なくとも幅員は幾らなくちゃならないとか、自動車が通るところではないものは通るところじゃないという掲示をしなきゃならぬのに掲示もされていない。標識もない。こういうことでいいのかどうか。そんなようなことを考えていきますと、いままでの堤防決壊にはいろんな意味があります。本流が流れがゆるやかなために、幹川の……、水を吸い込んでいかない、逆流して堤防をくずしていったということもあるでしょう。しかし、人為的にこわしている面が、今日マイカー族が至るところでこういう現実の証拠をつくっている。こういう考え方行政の指導及び取り締まりはどういうふうに考えているか、ということを伺いたいと思います。
  262. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 先ほども申し上げましたように、河川の区域内にあります堤防を道路が兼用しておる例は、全国で至るところにあるわけでございます。で、その間におきまして、河川の管理上あるいは洪水の処理上支障のない範囲でそういった道路の兼用を認めておりますし、また堤防の管理上、それぞれ責任の限界を設けまして管理をしておるわけでございます。しかし、最近のいろいろまあ自動車に対する国民の非常な要望等もございまして、かなり中小河川等の堤防では、あるいはおっしゃるような事実がかなりあるんじゃないかということは想像されるわけでございます。しかし、たぶんそれは道路管理者も知事であり、あるいは市町村長さんであろうと思いますし、河川の管理者も同じようなことでございますから、現地の土木出張所では、その間の状況は十分把握をした上で共用させておるやに、私は感ずるわけでございます。しかし、やはりこういった災害といったようなものを考えますと、河川の堤防の保全という機能がそこなわれない範囲でやはり認めるべきでございまして、その場合に、それじゃ現在許されておる自動車交通をどういうふうにするかといったようないろいろな問題があろうかと思いますけれども、そういったものも含めて、やはり地域地域の実態に応じて、もっと適正な管理をすべきだというようなことを痛感いたしますので、今後とも、私どもも各府県なり市町村に、河川の堤防のあり方につきまして、御趣旨の方向で十分指導を徹底いたしたいと思います。
  263. 宮崎正義

    宮崎正義君 最後に。いまの御答弁ですけれども、結局しりを県のほうに持っていくんじゃなくて、これはあくまでも、各堤防に掲示するぐらいなこともやらなきゃならぬ。同時に通達を即時に出して、そして、その河川を守るために、即それが人命を守ることにもなり、日本の国土を守ることにもなり、そういう国民側の立場の上に立っての行政措置というものを、さっそく早急にやっていくべきだと、これを最後に、私の意見を言いながら、この考え方について、直ちに実行するかどうか、これはもうすぐにできることですから、通達ぐらいはすぐできることですから、それがどのように今度は地方自治団体において生かされていくか、これはもうはっきり国民にはね返ってくるわけですから、わかってくるわけですから、この点について、もう一度確認をしておきたいと思います。
  264. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 御趣旨のような方向で、堤防の保全についてはわれわれも同じ考えでございますので、そういったことを徹底いたしたいと思います。ただ、やはり自動車交通につきましては、これは道路管理者もあることですし、現在の交通をどういうふうにさばくかとかいろいろな問題があろうかと思います。あるいはまた、迂回路をつけなくちゃいけないとか、そういった現実的なやはり措置も必要でございますので、徹底にあたっては、十分また道路管理者等とも連絡なり協議を進めながら指導していくようにいたしたいと思います。
  265. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 私は、時間がありませんから一括して開発局長、農林省、それから建設省に伺います。  実は鹿児島視察に行ったときに報告を受けまして、私が感じまして質問をしたのです。四十三年の鹿児島災害で、郡元の土砂くずれ、これで被害をうんと出しております。したがって、その当時あらゆる報道機関というのは、このシラスに対する今後の対策としては、学究機関における検討並びに政府こぞってこの問題については結論を出していく必要があると——三年前のことなんです、これは。一体鹿児島県としてはどういう対策をこのためにとったかという質問を私はしたのです。そうしたら、各関係省に対して結論を出して要請をいたしましたということです。それで開発局長河川局長も含めて御答弁を願えればいいのですが、その要請がどういうものであったのか。それからすでに二年ぐらいたっておると思いますが、何ら手が打ってないということは一体どういうことなのか。どうもわれわれ一般から考えてみると、しつこいようでございますけれども政府の怠慢があるんではないかという気がするのです。災害があったときには声を大にし、災害がおさまってしまうと、今度は静かにながめておるということになるのではないか。これはもう各委員が主張して質問されたんですが、一体そのときの結果はどうなっておるのか、どういう申請があったのか。これをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  266. 岡部保

    説明員(岡部保君) ただいまの先生の御質問、いわゆる学術的なあるいは工法的な研究の点にしぼられておったわけでございますけれども、ちょっと範囲を広げて御答弁申し上げたいと思いますけれども、実は、四十三年、四十四年の集中豪雨によりましていろいろ被害を受けた実情からかんがみまして、いわゆるシラス地域災害防除について特別の立法措置をするべきであるという御要望が非常に強かったわけでございます。それで、私どもこの点についていろいろ両県の御当局とも御相談申し上げ、また各省とも御相談申し上げまして、昨年一年間ほとんどこの問題で終始いたしました。そのときの御要望の骨子といたしましては、第一に、防災を考慮した長期的総合的な整備保全計画をつくってもらいたい、これはシラスに対して。さらに開発行為に関する工事の規制を行なうという点がございました。それから第二点といたしましては、災害防除対策事業の拡充強化、これを強力にしてもらいたい。その法的な裏づけという問題でございます。それから第三点では、必要な防災事業の実施につきまして、特別な財政措置を要求するという点でございます。それから第四点に、いま先生のおっしゃいました学術的、工法的な研究の推進をはかるという問題、この四点が中心で何らかのシラス地帯の特別立法というものをつくってもらえないかという御要望であったわけでございます。これに対しまして、私ども地元あるいは関係各省庁と慎重に検討いたしましたんでございますが、結論的には、現在特殊土壌の特土法というのがございまして、これの期限が昭和四十七年三月三十一日で切れますが、これのまず延長をすること、それから次に現行制度の運用というものを強力にはかろうということ。法的にどうしても問題がございますのは、急傾斜地の問題がございます。結局、現行法の延長と急傾斜地の問題と、これの財政援助の問題でございますが、この二点にしぼって法的な措置はする。そして行政上の実際に各法律での運用というものを強力に進めていこうじゃないかということに、大体意見が一致いたしました。  で、前国会で衆議院の建設委員長の御提案によりまして特上法の延長というもの、それから後進地域開発法に急傾斜地の問題を入れるというこの改正が行なわれたわけでございます。したがいまして、どうも形式的な御答弁で申しわけないんでございますけれども、そういうようないきさつがございまして、シラスに対しては現行法で、これはどうもだいぶいままでもおしかりを受けているわけでございますけれども、この運用をもっと強力にしていく。  それから現実の、先ほど先生のおっしゃいました研究調査の問題、これは確かに問題ございますが、非常にどろの性質というのが場所によって違う。またそれの問題点というのが、たとえばいわゆる急傾斜地崩壊防止の問題、あるいはそこに農業を営むためにどういうふうにしていったらいいか、いろいろな観点がございます。それでそういうようないろいろな問題点ございますが、これはどういう点を中心にしてまず考えていくかというような点について焦点をしぼりまして、これから強力に進めていきたいという考え方で私どもおるわけでございます。
  267. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 大体内容がわかりましたが、私はこの点じゃ意見にもなりますけれども、やっぱりこの特別地域というそういう特殊な地質を持つシラス地域においては、先ほど御質問もございましたように、やっぱり特別の処置を早く考えるべきだ。たとえば急傾斜にしましても、これは松永理事から御質問がありましたが、予算関係もあると思いますけれども、各県のそういう要請に対して平均的ないわゆる工事計画を立てて——そうして百七十の危険地域があるのにもかかわらず、これは宮崎県の問題でしたが、わずか五カ所しかやってないんだ。こういうシラス地域におけるところの山くずれというものは非常に多いわけですね。どうしてくずれるということは、もう皆さんも御承知だと思うんです。それを知りながら特別の処置をなぜ急がないのかという点ですね。急がぬでもいい地域もあるかもしれません、しかも災害が非常に多い地域である、こういう特別の処置がとられていない。そうして多くの災害が起こった場合の要請については、これは特別の援助を見なくちゃいかぬ。こういうばかげた国の財政はないじゃありませんか。これは民間企業として考えてみたときに、一体何をやっておるんだということになると思うんですね。私は、そういう処置がとうして——当時の災害から考えてみて、しかも地方の学者その他研究してこれだけのことを要請してきて特別法をつくってくれ、こういう要請があるならば、それが不満足であるならば、もう一ぺん検討して、そして直ちに次の国会に出すなら出す、出さないがこういう処置をとりたいという、その結論を私は出すべきであるという観点に立っておるわけです。これは私の希望になりますけれども、今後しからば一体これを速急にやる意思があるのかないのか。やらなくちゃいかぬと思いますが、どうお考えになっておるのか。ひとつあなたの考え方と同時に、大臣にも言っていただいて実現すると、こういうつもりでひとつ弁明してください。
  268. 岡部保

    説明員(岡部保君) 具体的な個々の問題に対しまして、私が御答弁申し上げるのが適当かどうか心配がございますが、一般的な問題といたしまして、特殊土壌の問題、特にシラスが中心でございますが、この特殊土壌の問題につきましては、先ほども申しましたように、法律の期限を五カ年間延ばしたわけであります。これから第五次の特殊土壌地帯の対策事業の計画を練りまして、明年度からこれを実施することになります。  そこで、いま先生お話ございましたこの事業の内容につきまして、これはいろいろな事業内容を含んでおりますが、要するに、ほんとうに必要なところにしかも重点的に施工するということが私、確かに大事だと思います。そういう点では、今後のこの第五次の計画を立てます際に、各省とも協議いたしまして、先生の仰せを十分織り込むようにいたすつもりでございます。
  269. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それから河川局長にお尋ねしますがね。この川内川の今度の災害ですが、支流における災害は、ほとんどこれは毎年のごとく浸水しておるという地域があるわけですね。ここに大体ポンプアップされておるという事実もあるわけです。今度はそれが非常に効果的であったというこの報告を受けたわけですね。ところが、支流におきましては、皆さんの報告を聞きますと、五十の水位になった場合には支流の水門を閉めなくちゃいけない。閉めればこれは浸水するのはあたりまえな話であって、したがって床下、場合によっては床上の浸水というものは例年のごとくだ。これがもうほんとうにこの町の願いです。私はこれを聞きまして、どうしてしからば川内川のポンプアップというものが——いま四基すわっている。最初の二基回した、そうしてこれじゃいかぬというので四基回したらあの程度のものを防ぐことができたというのですね。それならば、もう六基ぐらい据えたらいいじゃないですか。一体その費用はどれくらい要るのか。三億四千万円と言っていましたね。今度の災害で百数十億のものが出ておる。これを比較してみたら、四億や五億の金は問題じゃないじゃないですか。政府からこの間調査に行かれた。専門家の方も行かれまして実地検証をされた。その人に私は、報告を聞きながら、もうこうたびたび浸水にあう川内市民のことを考えて、あなたは実地検証されたそうだが、一体どうすればいいと思いますか、と私が質問したら、ポンプアップをする以外にないでしょうと、こう言う。われわれしろうとが見たってそう思ったですよ。どうしてそういうことができないのか。私は、建設省にしても、これは農林省の関係があると思いますが、もっと建設省と農林省と話をして、十何万という市民が水びたしになるという現状を救うことができないかということは、これは職務怠慢と言っても過言じゃないじゃないですか。日本の今日の予算の中から三億や四億の金でそれが救えないというようなことはないですよ。これは何としてもやってもらいたいと思うが、局長はこのポンプアップの問題については、やれば可能とお考えになるのか、可能ならばやるという意思があるのかないのか。これは農林省も含めてです。当然のことですよ。支流の水流の設備を完備すれば、これはもう必ず災害が起こってくることは当然のことです。したがってこれは人災といっても過言でない。私はもうそういうふうに考える、わずかな期間に三回も水びたしになるということの事実を見てですね。この点ひとつ河川局長はどうお考えになるのか。きょうはほんとうは、最初から問題になっておりますように、建設大臣くらいは連れてきていただいて——これは委員長の希望がなくても私は当然のことだと思うんですよ。それはひとつ局長、大臣に伝えていただくと同時に、あなたの考え方をひとつお聞かせ願いたい。
  270. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 川内川だけではございませんで、全国的にはやはりまだああいったような状態の河川というのは相当たくさんあるわけでございます。で、私ども改修の方針といいますか、順序といたしましては、ある程度本川改修できませんと、これはまあ相当な流量が勢いよく流れるので、家屋の流失だとかそういった非常に大きな損失を受けるわけでございます。したがって、まだ本川も十分でないところもかなりございますけれども、まず本川を先行いたしまして、これの進みぐあい等勘案しまして、支川なりあるいは樋門なり、こういったものの改修をその次に並行してやっていくというのが改修の順序でございまして、したがってそういったところにつきましては、かなりまとまった、支川等についてはこれはポンプを流域の希望によっては据えるなり、あるいは堤防を巻き込んで本川の高い水位に対しても耐えられるように、こういったことを心がけておりますし、また個々の地域地域内水につきましても、これは樋門を完備すること、それからその次にはやはり排水ポンプじゃないかと思います。そういったものがきめ手になって地域地域の何といいますか、排水といいますか、防災体制が確保されるわけですが、たとえば川内市等をとりましても、やはり在来は耕作地であって人家もなかった。したがってまあ、ある期間程度の湛水には十分耐えられたというようなところも、地域地域ではやはり開発の進むぐあいが非常に早うございますので、相当今回の内水等の被害を受けておるわけでございます。したがって私どももできるだけ促進をして、そういったポンプなりあるいは樋門の改造なり、堤防の巻き込みなり、こういったことを進めたいということで、もうその点につきましては痛切に感じておるわけでございますが、やはり一時に一地点に予算を集中をするほど現在の五カ年計画の規模からいきましても、それぞれそういった同じような事情のところがたくさんございますので、まあ、なかなか御期待に沿えないようなのが実情でございますけれども、特に今回もまたたびたび災害を四十二年以来受けまして、しかも一年に三回も受けたというようなことを見ますと、これはわれわれといたしましても当然放置できませんので、早急に根本的な対策を進めるようにいたしたいと思います。
  271. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 あなたの御答弁でけっこうなんだが、ただし問題は、私ちょっと気にかかりますことは、そんな地域がたくさんあるとおっしゃる。一体どことどこにあるんですか。一年に三回も浸水するような地域が日本には何カ所あるんですか。それなら問題ですよ。私はいままで災害を何回かやって何回か視察に行っておりますけれども、一年に二回も、毎年において水害にあう、そんな地域は私は聞いたことないですね。そういう地域があるならなおさらのこと、私は、川内川のいまの処置としてはポンプのアップをする以外にないんではないか。支流の中小河川の問題もございましょう。これは建設省がこれからやろうとされるなら五年も十年もかかりますよ。しかし、その間にまた多くの災害が出てくる。それならいまここに六基くらいのポンプを据えるならば、ある程度の災害が救えるのじゃないかと思うから、私はポンプアップはどうかとこういうふうに聞いておるのであって、そんなところはたくさんあるというのなら、これは速急にやってもらわなければいかぬ。これは災害のほうが大事ですよ。今度の災害で大体南九州、さらに九州一円をながめてみても約数百億じゃありませんか、要請が。そんな金から見たらわずかなものですよ。そういうことをもっと建設的な立場から私はやってもらいたいことを希望しておきます。  さらに、もう一つ今度は、綾川の農地取水の問題ですがね、これも現地を見せてもらいました。この取水設備の問題は非常にきゃしゃですね、大体二十七ヘクタールですか、あるそうです。それで、その水路がほとんどもう根こそぎにやられておりますね。大体三千万円とか言っておりましたね、前の設備費が。これも建設省と農林省との関係もあったと思いますが。そうして、中のコンクリの中を見るとみんな材木ですよ、その上にこうコンクリがなっておるわけだが。そうして水路は全部底を洗われています。で、たとえ二十七ヘクタールであろうと三十ヘクタールであろうとも、三年や四年で崩壊するようなものをつくっておったんでは、災害は防止できないですよ、私に言わせると。とうして一億なら一億の金をつき込んで——それは農林省と建設省との両方でもっと永久的なものにしようという、たんぼをなくするというのなら別ですよ。置くというならばこういう問題は当然のこと、少々のことで、法的に考えてみて、それはそれしか出せなかったと言われるならそれまでかもしれぬけれども、法的な解釈も解釈のしようじゃいろいろある。したがって、私は今度やられるのについては、また二年か三年でやり直さなければいかぬというなら、最初から一億二千万円つけておけばもっとりっぱなものができる、それなら永久的なものになるかもしれません。それも国の大切な金を使うのだから将来性のある健全なものにしてもらいたい。この点をひとつ要望いたしておきます。これはもう答弁は要りません。ぜひ綾川のあの取水の設備については考慮してもらいたい、この点をひとつ強く要望いたしておきます。  それから、農林省にもう一つお聞きしたいのは、今度の被害総額というものが第一九号台風は農林省が一番やはり被害が多いと思うのですね。午前中も質問がございましたように再起できないたんぼもたくさんあります。それから果樹における被害もかなり出ております。で、私は、ここで心配いたしますことは、日本の農政についてはあらゆる問題で問題が起こっておる、国内的、国際的。フルーツの輸入の問題についても農民はだまされたと言っていますよ、あれ問題ですよ。それよりもまだその上に自由化しようとしておる、そうしてこうした災害にあう、全く腰を伸ばすことがないと思うのだな。したがって、今度の問題についてはこれは特別処置をとるということは、先ほど副長官も言っておられましたからとるでしょうけれども、農林省としてもっと希望の持てるような施策を速急にこれはやる必要がある。農政全体の問題と含めてこの災害をどうするかという検討を、早く農民に与えていただきたい。単なる法律に基づく復興策だけじゃなくて、早く検討して県にそれをすすめて、そうして農民の声を聞きながらどういうふうにしたらいいという指導処置を、これは速急にやってもらいたい。このことをどうお考えになっておるのか、ひとつお聞かせ願いたい。
  272. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) お話しのように、今次の災害に対しまして、速急な手を打ちまして、農民の不安なり、あるいは再建意欲の振興という点については、お話しのとおりでございます。午前中、松永委員にもお答え申し上げましたとおり、施設の災害につきます激甚災の適用その他の措置、これについてはなお検討中でございますが、われわれのほうとしても、早急に結論を得て、すみやかにその処置をいたしたいというふうに考えております。  また、被害農家につきましては、諸種の資金需要も多うございます。これに対しましては、午前中もお答え申し上げましたとおり、天災融資法の発動あるいは自作農資金の特別ワクの設定等についても、これも近々その措置をとりたい、こういうふうに考えております。なお、保険金その他の仮払い等につきましても、できるだけ末端の農家にその資金が渡るような方針で、現在指導中でございますが、これら各種の施策を合わせまして、ただいま御指摘のような、農民の不安感の解消と、再建意欲の振興という点について努力したいと思っておるわけでございます。
  273. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 文部省関係、だれか見えておりますか。これは文部省関係の西米良学校の体育館の破壊の問題ですが、私はあれを見せてもらって感じましたことは、なるほど体育館を中心として山くずれがいたしております。しかし、片や教室、教員室ですね、これは本建築で、コンクリでやってあります。そうすると、体育館はスチールの鉄材で、そしてモルタル的な構造ですね。大体六千万円かかったと言っていましたか、そういうこと言っていました。あれだけの、先ほど御質問もありましたけどね、ああいうところの建設を考えるときに、しかも公的な体育館をつくる場合に、あまりにもきゃしゃではないかという気がするんですね。あれしか文部省は法的に出せなかったとおっしゃるなら別ですけれども、私はそんなもんじゃないと思うんですね。あの地域状況から考えまして、最近村舎があそこにできております。これは完全なものだと思っておりますけれども、そうして大火でも困った——記念碑も建っておりましたが、同じああいう地域が、危険な地域が、しかも一体、退避をするという場合は、学校と体育館しかないではないかという気が私はしたんです。昭和二十九年か何か大火があったようですよ。その建築があまりにもきゃしゃですね。文部省もこういう面については、もっと広い視野に立って、そうして教室、職員室がコンクリであるならば、せめて体育館もそういう危険地域であるがゆえにこそ、私は特別の処置をとってやるべきではないか、この点どうお考えになるんですか。法的に考えて、あれしかできなかったんだとお考えになっておるのか、特別な措置はないのか。今度つくる場合も、同じようなものをつくれば、また同じようなことが起こるんではないかという危険があるんですがね。全くきゃしゃですよ、一般の民家と同じようなスチール鉄材ですよ、これは弱いもんなんですよ、それに土砂くずれがきたもんですから、ゴーッと。一方は本建築で、コンクリですから、砂は入っておりますけれども、決して内部はいたんでおりません。直ちに清掃すれば、授業もできるでしょう。そういう点は、やっぱり地域環境を考えながら、そういう体育館等は考えていくべきじゃないか。もしあれ、夏休みじゃなくて、何人かの者が体育館に集中しておったとするなら、もうとんでもない犠牲ですよ、これは。そういう地域なんですよ。なるがゆえにこそ、私は皆さんに質問申し上げるんだが、ひとつ、今後の再建の問題についてどうお考えになるか。そういう危険地は特別にお考えになっているのか、ひとつ御答弁願いたい。
  274. 大串不二雄

    説明員大串不二雄君) 一般的には学校の体育館は鉄骨造でつくるのが常識になっております。これは実は体育館というのは、かなり建物の幅が広いものですから、広い場合にはそれを鉄骨でつくりますのが一番つくりやすい工法でありまして、鉄筋コンクリでつくりますと、幅の広い建物では構造的になかなか無理がまいりますので、一般に体育館は鉄骨でつくるのが常識になっておりまして、現在でも体育館は鉄骨造で構造いたしております。鉄骨造でつくります場合にも、普通の地震とか台風に対する災害に対しましては、建築基準法に定めておりますところによりまして構造いたしますので、まず一般的には心配ないんではないか。今回のように土砂くずれという場合には、かなり強い圧力が建物の足元に加わりますので、それでやられるわけでございます。それで、今回の場合におきましては、これを復旧いたします場合に、やはりまた同じような災害を受けることでは困りますので、この復旧につきましては、特別にそういう場合でも安全なような、改良された構造でつくってもらうように考えたいと存じております。それからまた、そういうようなケースも起こりましては困りますので、そういうようなことが予想されます場合につきましては、特別に強い構造でつくることを指導いたしたいと思っております。
  275. 塚田大願

    塚田大願君 先ほど総理府の副長官が、今度は本気でやるんだという決意のほどを言われましたので、私はそれを受けまして、まず、第一に建設省にお伺いしたいんですが、特に今度の災害の場合には、先ほどから論議されましたように、いわゆる中小河川が非常に大きな被害をもたらした。したがって中小河川改修の問題、これについて、建設省五カ年計画とか、いろいろお持ちなんだろうと思うんですが、しかし今度の災害状況を見ますと、もういままでのようなそういうやり方では、やはり結果からいえば百年河清を待つような結果になりかねないのであって、したがって、私はやはり根本的な治山治水対策を建設省としてはどういうふうに考えられておるか。私ども考え方とすれば、やはりまず役所の中だけで、頭の中だけで考えるのじゃなくて、地域、地元の住民の皆さんやあるいは学者、研究家、技術者の皆さんや、あるいは自治体はもちろんのことでありますけれども、とにかく総合的な力を結集して、そしてほんとうに抜本的な治山治水対策を立てるべきではないかと思っているんですが、その点についての考え方をまずお聞きしておきたいと思います。
  276. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 全体といたしましては、先生お話しのように、非常に中小河川のおくれが目立っておるわけでございます。しかし、やはり災害の規模等からいきますと、大河川というものを先行いたしませんと、けた違いの被害が出るわけでございますので、大河川をやはり先行しながら、在来の中小河川改修もあわせて促進はしてきたわけでございますが、最近、かなり直轄河川につきましては改修等が進んできておることは事実でございます。したがって、こういったような台風あるいは梅雨前線等がございますと、被害といたしましては中小河川の流域における被害が目立ってきておる。しかも最近の地域に対する集中度あるいは地域開発、こういったものが土地等の地価の問題等がございまして、非常にそういった流域に人家が密集してくる。こういったこともございまして、非常に中小河川の流域に対する防備がだんだんと総体的には弱体になりつつあるというようなところも非常に多いわけであります。したがって私どもとすれば、できるだけ今後は中小河川の対策に治水事業の比重をかけていきたいというようなことで、四十六年度の予算におきましてもそういったことはかなり配慮をしたつもりでございますし、なお現在の第三次治水事業五カ年計画を、これをひとつ大幅な規模で改定をいたしまして、中小河川改修には特に力を入れたいということを考えておるわけでございます。なおそういった中小河川につきましては、これは具体的な土地によって需要の形態も違いますし、地質とか気象とか、そういった条件も非常に地域的なやはり特色を示しておる場合が多いわけでございます。したがいましてそういった場合には、各府県あるいは市町村によってかなり事情も違いますので現実の災害の実態等を十分踏まえた上で改修計画を立てまして、それに従って促進をしていきたい、こういうように考えております。
  277. 塚田大願

    塚田大願君 私が質問いたしましたのは、そういう計画を立てる場合に、地元の住民の皆さんの声をほんとうに建設省は聞いて計画をお立てになっているのかどうか。それをやりませんと、私ども視察してみますと、とにかくいわば恨みに近いことばを聞くのですね。もうとにかくこういうところで何回も陳情もし、上申もしているけれども一つも解決しないのだ、そうして災害を繰り返しているのだという、もうほんとうに恨みに近いことばを私どもしばしば耳にしたのですが、そういう点から見ましても、私はやはり先ほどからも出ておりますけれども、現地を視察して、地元住民の皆さんの声をお役所の皆さんがよく聞きながら計画をお立てになることが必要なんじゃないか、そのためには自治体であるとか、あるいは技術者、学者の意見も必要でございましょうけれども、とにかくほんとうに国民の声を反映しながら計画を立っていただきたいというのが、私の質問の趣旨なんですが、その点についてお答え願いたい。
  278. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 私も塚田先生と同じ意見でございます。今回の災害あとも大急ぎで宮崎、それから鹿児島熊本等私なりに見ていろいろ感じるところもございましたし、まあ地元の方方も多少災害後時間がたっておりましたので、ある程度冷静な御意見も承ってまいりました。その結果につきましては、これはやはりそれぞれ地域の特色がございますので、地質なり地形なり、あるいは利用の実態等もよく地元の意見を入れて、県なり市においても河川改修の計画を立ててもらいたい。その計画に従ってわれわれもできるだけの努力をいたしたいというような私の考え方も地元でお話をしてまいりました次第でございます。
  279. 塚田大願

    塚田大願君 では、一応いまの局長の考え方を了承いたしまして、まあ今後努力をお願いしながら次に移りたいと思うのでありますが、これは建設省と農林省の関係になると思うのでありますけれども、ダム対策の問題、このダムの問題は先ほどお話にもございましたが、特に今度の一九号の場合には、鶴田ダム、それから市房ダム、その他第六のダムでありますか、こういうところのダムの放水の問題がやはり大きな問題ではないかと思うのです。第六のダムの問題では、先ほどお話がございまして、特にその放水路の河川改修が十分でないじゃないか。ダムはできたわ、河川改修はやってないと、こういうお話がございましたが、これは鶴田ダムの場合でも市房ダムの場合でも、私は同じような状態があるのではないか。ダムができて洪水調整をやる——鶴田ダムの場合の資料がここにございますけれども、最大洪水調整が一秒間二千三百トンということになっておる。しかし二千三百トンというのは、実際には今度の場合には千八百五十八トンしか流れていなかったので、幸いにしてより大きな被害はとめることはできたわけでありますけれども、これがもしほんとうに二千三百トンも流れたら、今度の災害の何倍という状態が生まれたわけです。で、この洪水調整の問題でやはりまず一つは、いま申し上げました河川改修の問題、これは先ほど出ましたから私繰り返しませんけれども、これはどうしてもまずやらなければ、ダムをつくって洪水調節の計画はできたわ、しかし実際にそれがやったらえらいことになるわというのでは、これは全くポンチ絵みたいのものでありまして、ほんとうの計画ではないと思うのです。そういう意味で、まず一つ河川改修をやるということ、放水路の改修をやるということが先決だと思うのでありますが、もう一つは、やはりダム管理をもっと検討すべきではないか、再検討すべきではないかという問題であります。今度の一九号の場合に、この鶴田ダムの異常調整は一応規定どおりに行なわれまして、違法なやり方はなかったようでありますけれども、やはりあれだけの災害が出た。やはり異常調整というのは非常に危険を伴うわけでありまして、したがってここで問題になりますのは、そういう異常調整を考えるよりも、制限水位をもっと下げるという問題を考えられないのかということであります。とにかく今度の一九号の場合にも三日前に警報が出ているわけであります。洪水の警報が気象庁から出ておるわけであります。八月三日二十時に一応洪水警報が出たのですが、三日前に出ているのでありますから、この水位をぐっと下げておけばもっと効果的な調節ができたと思うのでありますけれども、なるほど規則上からいえば違法ではなかったかもしれませんけれども災害をなくするという観点から見れば、かりに水の水位が高ければそれだけ発電には便利かもしれませんが、洪水という関係から、災害という関係から見ますならば、制限水位を思い切って下げておくというやり方をとれないのかどうか、その点について御質問したいと思います。
  280. 川崎精一

    説明員川崎精一君) ダムの操作にあたりましては、これはダムができたことによって、特に人災といいますか異常な放流を起こすというようなことを絶対に避ける、これが一つの基本的な操作の考え方でございます。したがいまして、流入しておる水よりも洪水時においてはそれよりもたくさんの水をダムは絶対放水させない、こういうようなことで制限水位とそれからダムの操作方法、こういったものをきめておるわけであります。制限水位につきましては、これは鶴田ダムにしましても市房ダムにしましても、治水の洪水調節の目的のほかに、電気その他の目的を持っておりますので、当初にいろいろとそういった関係と相談をいたしまして、それぞれの持っておる容量をこのくらいにきめようと、むしろ洪水とか、それから利水とかの相互の利用の守備範囲の問題かと思います。それからそれだけの容量に対してできるだけ有効に洪水を調節する方法、それから非洪水期には利水に利用する方法、こういったものは操作の方法になろうかと思います。先生お話しの制限水位の問題は、鶴田ダムに例をとりますと、私ども今回の出水後の状況を見てみますと、鶴田ダム自身につきましては、流入量にいたしましてもダムの建設時点に計画いたしておりました洪水量よりもかなり下回っておるわけでございます。したがって、必ずしも容量に私どもは不足があったとは思わないわけでございますが、しかし一般の住民の方にすれば、ダムがあればもっときくようにすべきじゃないか、こういう議論が出るのは、やはりやむを得ないかと思います。で、私どもが計画的に川内川を見てみますと、これは現在の鶴田ダムの地位は非常に上流部にございます。したがって、今回の雨にいたしましても、それから四十二年に川内市が——四十四年でありましたか、あいました災害にいたしましても、鶴田ダムではまだ計画洪水に達していませんけれども、下流部では相当な水位になっておる、これは流域全体の雨にしますとあまり変わらないのですが、かなり下流部に雨が集中をしておる、こういうようなことで、むしろそういった調節する地点を適当に配分する必要があるのじゃないかというようなことが判明いたしましたので、四十四年以来、実は鶴田ダムより下流域でしかも川内市その他の流域の都市を見詰めたダムをひとつ考えようじゃないかというようなことで、現在下流で二、三の地点を調査いたしておるわけでございます。したがいまして、川内市を見詰めた全体の流量というのは大体計画規模とそう狂ってはおりませんけれども、これをうまく調節するについては、もっと有効な方法が考えられないのかというのがその出発でございまして、そういったバランスがとれますれば、決して現在の制限水位等を変更する必要はないのじゃなかろうか。しかも、今回も必ずしも鶴田ダムではまだ満水までいっていないようでございますし、そういった点では、むしろダムのさらに追加した配置によってかなり下流の流量調節が効果的に行なわれるのじゃないか、こう考えております。したがいまして、そういった根本的な計画がなされれば、かなり洪水も調節されるわけでございますが、なお操作のやり方につきましては、これは結果論といたしましていろいろな議論が出るのは当然でございますし、特に鶴田ダムでは一般の操作規則に書いておりまするよりも特に台風の第一九号では大体の進路それから雨量等が把握できましたので、かなりこれは地建の局長の判断で大胆な操作をやっております。そのために私どもなりには効果があがったように思っておりますが、なお結果的に見れば、まだまだ検討する余地があるのじゃないかと思いますので、そういった点では下流の出水状況とダム地点の雨量状況、それから雨の予測、こういったものを総合いたしまして、なお十分検討をいたしたいと考えております。
  281. 塚田大願

    塚田大願君 鶴田ダムのことはわかりましたが、市房ダムの問題では、この間熊本の県議会でこれが論議になりまして、県知事もこのダムの管理規則については再検討するということを約束されたそうでありますけれども、こっちのほうはどうでしょうか。
  282. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 市房ダムにつきましては、これは多少先ほど申し上げました鶴田ダムとは状況が変わっておるようでございます。いわゆるピークのダムに入ってくる量自体は、計画を下回っておりますけれども、非常に梅雨前線関係で、継続時間が長かったわけでございます。ダムの容量はある程度の量と、それからそれの継続時間によってダムの貯水容量も支配されるわけでございますが、そういった点では、多少現在のダムの規模等も再検討する必要があるんじゃないかということも、いろいろ現在議論をされております。それから操作の方法についても、もっといい方法がなかったろうか、こういうことも当然問題になっております。したがいまして、河川改修計画とは別に、非常に長時間そういった高い水が連続して続きますときには、どうしてもかなり効率は悪くなるわけでございまして、かなり大きな貯水池が要るというような問題になるわけでございます。ただあのダムには下流の人吉を見てみますと、それから上流で本川、川辺川という大きな河川がございます。これにつきましては五木村、相良村の境のようなところに、かなり大規模なダムを現在すでに着工をいたしておりまして、いろいろ地元との話し合いに入っておるわけでございます。したがって下流域を見詰めますと、まあこの両方のダムができますれば、ほぼ貯水的には安全じゃないかと思います。しかし先ほど申し上げましたように、市房ダム自身はかなりピーク流量と継続時間等を見てみますと、容量的にも問題があるので、そういったものをあわせまして、やはり操作はある程度検討する必要があるんじゃないか、こういうようなことも私現地に行って、そういった操作の資料も見まして感じた次第でございます。先生お話しのように県でもいろいろ検討したいと、こういうことでございますので、地方建設局と県とで、今後、そういった面について、慎重に検討させるようにいたしたいと思います。
  283. 塚田大願

    塚田大願君 大体建設関係はそれくらいにしまして、先ほど出ましたシラス問題で、総合開発局に質問したかったのですが、お帰りになったようですから、これはまた次の機会にいたしましょう。  次にお聞きいたしたいのは気象庁関係であります。まあ気象予報の問題というのは、やはり災害の問題とは切り離せない。そこでいつも問題になるわけでありますけれども、今度の集中豪雨や一九号台風の前、一体この気象観測あるいは予報体制というものは完全であったのかどうか、その辺をまずお聞きしたいと思うのであります。
  284. 大野義輝

    説明員(大野義輝君) お答え申し上げます。  台風に関しましては、台風の寿命その他が一週間あるいは十日、こういうふうに長続きいたします。しかも南方からやってまいりますので、十分その位置、勢力その他はっきりわかります。経路にいたしましても、雨量予報でございますが、一の場合はこれこれ、二の場合はこれこれ、三の場合はこれこれ、同じ九州を通りましても、その経路を予想いたしまして、こまかく雨量予想をいたしているわけでございます。一のコースに行ってくれれば、だんだん雨のほうを強めていく、あるいは三のコースですと、雨のほうを弱めていく、こういうふうなことで、かなりはっきりわかってきておりまして、したがいまして、警報その他にも比較的前に発表できます。警戒も十分に行き届くわけでございます。しかし、梅雨前線集中豪雨でございますが、これは梅雨前線の南北の進路、その他をこまかく追跡しておりますが、しかし、集中豪雨となりますと、実は非常に残念でございますが、その寿命が三時間あるいは四時間という、非常に短時間でございます。したがいまして、私どもがレーダーその他でそれを観測いたしまして、そのあと即刻手当てをするわけでございますが、何ぶんにも三時間程度の寿命でございますので、手当てをいたして末端に到達するころには、実は大雨は次の場所に移っているというふうなことが間々ございまして、これに関しましては、非常に問題もございますので、私どもの手元で、主として技術的でございますが、この三時間をいかに減少——三十分あるいは四十分程度の短時間にこれを伝達できないかというふうなことを目下これを検討しておりまして、現観測体制あるいは予報体制のまずい点がもしございますれば、来年度中にはぜひともこれを改善いたしたいということで、実は予報部長の命令でございまして、私の手元でそれを計画いたしまして、すでに文書も作成いたしまして、ことしの梅雨前線豪雨並びに台風すべてを集めまして、それの問題点というものを、実はまだ計画でございますが本年度中に明らかにいたしまして、次いでこれは予報部の原案でございますが、その後に実は気象庁の原案というものをあげてまいりまして、場合によりますと予算要求その他をやっていきたい、このように考えておるわけでございます。以上でございます。
  285. 塚田大願

    塚田大願君 私は、気象庁関係の皆さんがたいへん御苦労なさっていることはよく知っているわけでありますけれども、しかし、とにかく観測体制というものが非常にお粗末だということは、今日もう定評のあるところなんですね。たとえば観測飛行機がない、米軍の軍事的な気象観測機におんぶしている、こういうお粗末なことでは、私はやはりほんとうに国民に対して責任は持てないんではないか。にもかかわらず、いまの観測体制の状況は、聞くところによりますと、いわゆる予報業務の系列化でありますとかなんとかいうむずかしいことばで定員をどんどん削減していっている。現場で働いている予報官や何かの苦労を考えれば、こういうおよそ逆行した形の首切り人事、特にもう第二次でも何百人かの削減が予定されているそうでありますけれども、こういうこと、はたして許していっていいのかどうかという問題ですね。むしろ私ども考え予報官の数もどんどんふやし、その辺の民間のモニターとかなんとかいう人に責任を負わせるのではなくて、やはり気象庁が全責任を持って受けて立つという、そういう体制を私はどうしてもつくる必要がある。また設備にいたしましても、施設にいたしましても、機械にいたしましても、とにかく最近は非常に科学技術が進歩しているのでありますから、そういう施設、機械の近代化をもっと積極的におやりになる必要があるのじゃないか。そうしないと今度のような災害が、ほんとうに未然に防ぐことはだんだんむずかしくなってくるのではないか。気象のほうに、お天気のほうに責任をおっつけて、何十年ぶりの大雨だったからしかたがなかったのだというのでは、これはもう話にならないわけでございまして、そういう点で私はもっと観測体制をもっと急速に、そして強力なものをつくり上げるようにする必要があると思うわけでありますが、その点はどうでございましょうか。
  286. 大野義輝

    説明員(大野義輝君) ただいま飛行機観測一つをとりましても、日本ではやってないじゃないかというふうな御質問でございましたが、全くそのとおりで、台風の飛行機観測については、非常に残念でございますが一〇〇%米軍におんぶしているというのが現状でございます。それから観測体制でございますが、気象庁が外部におんぶしないで、自前ですべてやったらどうだというような御質問もあったかと思います。しかしこれに関しましては、やはり気象庁の観測網といいますのは、できれば五キロ間隔くらいに全国ネットをかぶせれば申し分ないわけでございましょうが、しかし現在の観測網というのは県によりまして非常に緻密なところそれから非常に荒いところ、こういうのがございますので、多いところは少ないところを補充するとかそういうことをやりますと、現在の気象庁で委託している観測網、そういうものをすべて網羅いたしますと、大体十五キロに一点ぐらいの網目になるわけでございます。実は今回の相生市のような災害がございますと、あれは半径五キロ、直径十キロ程度の非常に狭い範囲でございまして、これを漏れなく気象庁の施設でキャッチするということになりますと、やはりそこにいろいろ問題もございますので、現在各都道府県あるいは電力会社あるいは国鉄、そういうところの施設——部外施設でございます——こういう資料を即刻気象庁のほうに入るようにそういう方法を別途考えまして、気象庁は基本的な割合に十五キロあるいはそれ以上のようなネットをかぶせまして、こまかいところは外部の資料でそれを補っていく、しかもそれを急速に気象庁に入電するように、また連絡の入るように、そのようなこともあわせて考えますと、実現もわりあいに容易になるんじゃないか。私どもいま考えておりますのは、外部の資料を効果的に利用いたしたい。実は相生市の場合も、相生市で、市役所の観測でございますが、普通は入電してくるわけでございますが、当日はどうしたわけか総雨量百八十五ミリ降ったわけでございます。それが入電できなかった。その途中でもし私どもの手元にあれば、あるいはうまく注意報、警報も発表できたと思うんでございます。残念ながら後手になってしまい、非常に申しわけなく思っている次第でございます。  それからただいま予報の系列化で人員が減らされている、また減る計画を持っているんじゃないかというようなことの御質問もございましたが、これに関しましては、私はうわさを聞いている程度でございまして、具体的にただいまお答えするようなことは、資料を持っておりませんので御猶予をいただきまして、もし御入り用ならば、別途また先生のほうに御連絡申し上げたい、このように思っております。以上でございます。
  287. 松永忠二

    理事松永忠二君) この一問ですね。
  288. 塚田大願

    塚田大願君 もう時間がないそうですから、もうじゃ一括して農林省と中小企業庁にこれは簡潔にお答え願えばいいわけでありますから、五分間でまとまると思います。  農林省関係では、農地災害の場合ですね。これは農林水産施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置法というのがございまして、これでまあ農地災害救助できる、こういうことになっているようでありますけれども、実際にこの現地へ行ってみますと、被害を受けた農家というのは、非常に零細な方が多いわけですね。零細な農家の皆さんに対してはほとんどあまり救済の手が届かない、いろいろ法律はあっても知らなかったということもあるかもしれませんが、たとえば三万円以下の場合にはこれはもう全額自己負担というふうなことになっているそうでありますし、実際法律上からいっても非常にそういう手落ちがあると思うのでありますが、こういう点をどういうふうに救済されようとしているのか。そしてまたもう一つお聞きしたいのは、こういう災害をいわば何といいますかもっけの幸いとばかりに——ことばは悪いですが、奇貨としてむしろ離農、出かせぎを促進するような傾向があるのではないか、こういう声も私は聞いてまいりました。その点についてお答えを願いたいと思います。  それから中小企業庁関係では、先ほどから出ましたが、いろいろ生業資金や融資の問題についてまあいろいろ考えておられるというのでありますが、これについてやはり融資を受ける場合、保証人や何かが必要だということを聞いておりますが、私は、こういう災害の融資はいわば無保証、無担保、無利子で思い切ってやるべきじゃないか。やれ保証人がどうだ、利子——利息がどうだというようなことになりますと、実際現実の問題として非常に災害の復旧が、救済ができないのではないかと思うので、この点についてお聞きして私の質問を終わるつもりでありますから、御答弁願いたいと思います。
  289. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) 災害復旧事業の小規模の災害につきましては、先ほど来いろいろお話が出ておりましたように、激じん災害等も適用いたしまして、小災害も元利補給を、事実上国の補助金が出るのと同じような措置を講じまして救済するというようなことで、現在努力中でございます。  なお、災害を奇貨といたしまして離農を促進するというようなことは、先ほど高山先生の御質問がございましたように、絶対われわれ考えておりませんで、災害対策を早急に行ない、不安の解消と、それから営農意欲の振興ということについて努力を進めたいというふうに考えております。
  290. 高橋清

    説明員(高橋清君) 先生御指摘の小規模の中小企業者に対する金融対策につきましては、たとえば政府系の金融機関の国民金融公庫につきましては、三百万円までは無担保の融資をしておりますし、また御指摘のような保証人、あるいは担保のない場合のような中小企業者のいわゆる信用力を補完する制度といたしまして、中小企業信用保険制度がございますが、この中の特別融資制度、これが御指摘のような場合に適用されるわけでございますが、この特別小口保険、従来までは限度が五十万円でございましたが、これも前回の国会におきましてこれを八十万円まで限度引き上げにつきまして法律改正させていただいております。またこの信用保険制度を、激じん災害指定された場合には、もう一口限度を延ばすことに相なっております。したがいまして、中小企業庁といたしましては、こういったような制度が十分活用されるよう、実は災害のあるたびに、当方よりいま御披露申し上げました国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫、さらには商工中金等々、こういったような政府系の中小金融機関に対しまして、災害のたびごとに特別の配慮をして、特に零細の中小企業者に対しましては特段の配慮をするように、毎回指導しておるのでございまして、今後とも一そうこの指導を強化していきたいと思っております。
  291. 松永忠二

    理事松永忠二君) 本件については、この程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後六時三分散会      —————・—————