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1971-10-04 第66回国会 参議院 公職選挙法改正に関する特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年十月四日(月曜日)    午前十時十一分開会     —————————————    委員異動  九月九日     辞任         補欠選任      渡辺一太郎君     中村 禎二君  九月十一日     辞任         補欠選任      中村 禎二君     渡辺一太郎君  十月一日     辞任         補欠選任      河田 賢治君     岩間 正男君     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長          熊谷太三郎君    理 事                 永野 鎮雄君                 宮崎 正雄君                 岩間 正男君    委 員                 植竹 春彦君                 佐藤 一郎君                 渡辺一太郎君                 林  虎雄君                 横川 正市君                 中尾 辰義君   国務大臣       自 治 大 臣   渡海元三郎君   事務局側       常任委員会専門       員         鈴木  武君   説明員       自治省行政局選       挙部長       中村 啓一君     —————————————   本日の会議に付した案件理事辞任及び補欠選任の件 ○公職選挙法改正に関する調査  (選挙制度に関する当面の諸問題に関する件)     —————————————
  2. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る一日、河田賢治君が委員辞任され、その補欠として岩間正男君が選任されました。     —————————————
  3. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 理事辞任についておはかりいたします。  後藤義隆君から、文書をもって、都合により理事辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 御異議ないと認めます。  つきましては、ただいま理事に二名の欠員を生じておりますので、その補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事永野鎮雄君及び岩間正男君を指名いたします。     —————————————
  6. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 次に、選挙制度に関する当面の諸問題に関する件を議題にいたします。  自治省当局から発言を求められておりますので、この際これを許し住す。中村選挙部長
  7. 中村啓一

    説明員中村啓一君) お手元に配付申し上げました資料によりまして、昭和四十五年下半期政治資金収支報告書につきましての要旨について御報告を申し上げたいと存じます。  本件につきましては、本来でありますればもっと早い時期に公表をいたすべきはずでございましたが、そしてまた、その件につきましては、前回の当委員会におきまして、できるだけ取り急いで公表するようにという御注意もいただいたところでございましたが、本年は、統一地方選挙参議院通常選挙事務に手を取られまして、いつもよりも一カ月半ほど公表時期がおくれましたことを初めにおわびを申し上げたいと存じます。  今回の四十五年の状況をまず一ページで概括的に掲記をいたしておりますが、届け出のあります団体数は、昨年十二月三十一日現在で千六百十八団体ございます。これは、いわゆる全国的に活動する団体としてお届け出のあるものでございまして、そのうち、政治資金規正法にいう政治活動を本来の目的としております、いわゆる政党が約二百三十でございます。したがって、残りの千三百八十団体程度は、政治資金規正法上は政党以外の協会その他の政治団体ということになるわけでございます。この千六百十八団体の中で、お届け出をいただきましたのは八百二十団体でございます。上期が七百四十五団体でありました。従来の例で申しますと、その下の参考欄にございますように、四十四年が五百九十一団体、四十三年が五百二十団体ということであります。今回初めて届け出団体が八百をこえるということにはなりました。しかし、届け出率ということになりますと、下期八百二十団体をもってしましても五〇・七%という程度でございまして、ようやく半分ちょっとという状況でございます。ただ、その下の欄に書いておりますように、千六百十八団体というお届け出がありますが、私どもが昨年一年かかりましてそれぞれの団体について極力御連絡し、実情の把握につとめました結果、実際活動をなさっていると思われる団体は九百九十団体程度であろうと存じます。したがいまして、九百九十団体の中で八百二十団体のお届けがあったということでありますので、八割強の届け出率ということであろうかと思っております。いずれにしましても、届け出励行率は、いままでの率からみますと、最高ではございますが、しかし決して一〇〇%というわけではございません。  次に収支金額の動きでございますが、収入金額下期は百五十九億円で、上期、下期合わせまして三百三十二億円というのが四十五年分の収入総額でございます。これを従来と対比をいたしますと、四十四年二百六十九億円、四十三年が百九十四億円ということでありますから、累年かなりの率で増加をしておりまして、四十四年対四十五年は二三%の増ということになるわけでございます。この三百三十二億の収入内訳を見ますと、寄付金は、寄付金額計の欄にございますように、百十五億円でございます。そのうち、一件千円以上の寄付金額が八十三億円、千円以上の寄付金額欄に上がっておりますのは、いわゆる政治団体からの寄付でございます。一件五百円以上の寄付金額欄に上がっております三十二億円は、政治団体以外の個人なり会社からの寄付でございます。寄付金額総額は百十五億円でございます。そこで、収入総額に占める割合は三五%でございます。四十四年が二八%、四十三年が三九%という数値でありました。したがって、四十四年よりは若干よくなった、透明度は幾らかよくなったと言えますけれども、四十三年に比べますと悪くなっているというのが実情でございます。総体的に見まして政治資金収支総額は年を追ってふえているところであります。  なお、政治団体の数につきましてこの機会に申し上げますと、自治大臣が直接に扱っております全国的な活動団体は千六百十八団体でありますが、府県段階活動をしております、いわゆる政治団体は約四千八百ございます。また、市町村段階活動範囲にして活動をしておりますものが一万一千ございます。したがって、全国政治資金規正法にいう政治団体は一万七千五百近くあるわけであります。そのうち、政治資金規正法上の政党という定義に当てはまるものが約四千、その他のしたがって一万三千五百程度のものが協会その他の団体というかっこうになっております。  次に、内訳について少しく申し上げますと、二ページでありますが、十億円以上の支出をしました団体は四団体でありまして、四十四年と比べて数は変わっておりませんし、団体そのものも変わっておりません。十億円以上は国民協会自民党共産党公明党の四団体でございます。それから一億円以上十億円未満支出をなさった団体十八団体、これも数は変わっておりません。内容は幾らか動いております。それから五千万円以上一億円未満支出をなさった団体は、昨年は十六団体、四十五年は十八団体、昨年というのは四十四年でございます。それから一千万円以上五千万円未満団体は、四十四年が百十六団体でございましたが、四十五年は百七十三団体、かなりふえております。いわゆる中クラスの政治団体というものがかなりふえたというのが特徴的と言えば言えるかと存じます。その内訳が三、四、五ページにわたっておりまして、五ページにございますように、全体としまして八百二十団体届け出があったところでございます。  次に、六ページにおもなる政党並びに政治団体収支概要掲記をいたしておりますが、まず五大政党につきましては、自民党共産党公明党は四十四年よりも四十五年がある程度ふえております。特に自民党収支はかなりふえております。社会党民社党は、四十四年よりも四十五年が減っております。特に民社党は半分近くに激減をしております。この五大政党を合わせますと、そこに計欄は特に数字をあげておりませんですが、大体収入総額収支ともに百五十五、六億になりまして、全体の収支の四七%程度になります。これは四十四年も四十五年もほぼ同じ傾向でございます。  それから、五大政党以外のおもなる団体国民協会以下次のページの藍山会まで二十五団体ございます。この五大政党と二十五団体、したがって、上位三十団体全体を含めまして、収支は大体八割強になっております。これは四十四年も四十五年もほぼ同じ数値でございます。  なお、収支報告書届け出のありました年月日を前例に従って掲記をしております。御案内のように、届け出期限は、その期が終わった次の月の十日までということになっております。期限内の提出ということは、なかなか大きい団体についてはむずかしいようでございます。八百二十団体のうち期限内の提出のありましたのは、たしか百七十団体程度、二割ちょっとというところでございます。  その次に、八ページには、四十四年において上位三十団体にあったが四十五年にはそれよりも下になったという団体名をあげております。また、二番目に、新たに上位三十団体に入った団体をあげております。  それから、九ページに五大政党収支について若干資料をまとめておりますが、自民党につきましては、収入総額七十八億円のうち政治団体からの寄付が七十四億円、個人はございません。で、収入総額に占める寄付率は九五・四%と、圧倒的に形の上ではよろしいようになっております。これは、四十四年が六八%でありましたので、四十五年はたいへん寄付率がよくなったような形にはなっております。共産党寄付率は〇・五%になっております。公明党寄付はない形になっております。社会党寄付率は四・四%になっております。これは前年から見ますと、非常に下がっております。民社党は六三%ということでございます。四十四年が九〇%をこえておりましたので、若干寄付率は下がったという形であります。全体といたしまして、五大政党は、先ほどもちょっと申しましたが、収入総額は百五十六億円、寄付金総額が七十七億円、寄付率は四九・三%という形になっておるわけでございます。しかし、その寄付内訳は、一〇ページ以下にありますが、自民党が圧倒的に寄付率が高いのは、その全額を国民協会支出をされておるという結果によるものでございます。  そのほか、各政党のそれぞれのお届け出のありました寄付者名寄付金額を一〇ページ、一一ページにわたって掲記をいたしております。  それから一二ページは五大政党支出につきましての内訳を要約、整理をして記載をいたしておるわけでありますが、最近の傾向といたしまして、これは各党を通じまして、いわゆる宣伝活動と申しますか、政策普及活動というところにかなりウェートが置かれた支出が行なわれておるように見受けられます。自由民主党に例をとりますと、組織活動費が五億八千万円、宣伝広報費が六億六千万円というようなことになっております。日本共産党につきましては、材料費が十七億円、印刷費が八億円と圧倒的な高い額になっておりますが、これは機関紙活動が非常に活発であるというあらわれかと存じます。  それから一三ページの公明党につきましても、材料費なり印刷費が非常に高いウェートを占めております。事情は同様であろうかと存ぜられます。社会党民社党につきましても、宣伝費というような点が目立っておるように存ぜられるところであります。  それから一四ページは、収入金額一億円以上の団体で、五大政党を除きますと二十団体あります。その二十団体についての寄付率等をあげておりますが、特に説明を申し上げることもないかと存じます。  なお、一五ページ以下には、ここにあります二十団体について百万円以上寄付をした寄付者名前金額をあげておるわけでございますが、たとえば国民協会、この中で五千万円以上寄付をしたものだけを申し上げますと、一五ページにおきましては、国民協会に対しまして日本化学繊維協会が五千万円、日本自動車工業会が一億七千七百万円、石油連盟が五千万円、日本鉄鋼連盟が二億というような数字が見受けられます。また、一六ページに電気事業連合会が二億円を出しております。  それから公明協会に対しましては、公明党が二億九千万円寄付をされております。  あと、五千万円以上という数字は、一八ページになりますか、一八ページの新産業政策研究会に対しまして八栄会が五千万円寄付をされておるという程度であろうかと思われます。  それから二〇ページ以下でありますが、二〇ページ以下は、四十五年におきまして年間で五百万円以上の寄付をした会社等一覧表にして並べております。五百万円以上を寄付をした会社その他は全体で、これ二〇ページから三〇ページまでに全部あげてあるわけでございますが、数にいたしますと約百四十会社程度であります。大きい順にずっと書いてありますが、一番大きいのは国民協会で七十四億、それからその二番目が公明党の二億九千万円、三番目が電気事業連合会の二億一千万円、以下ずっと二〇ページは二億から五千万円台が並んでおります。二一ページは三千万から四千万台が並んでおります。以下ずっとそういう形で五百万円までの寄付をした会社その他の名前一覧にいたしたものがこの表でございます。  以上、四十五年の政治資金につきまして、政治資金規正法に基づいてお届けのありました全体の概要を御報告をいたしました次第であります。
  8. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) それでは、御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  9. 横川正市

    横川正市君 第七次選挙制度審議会が発足をしまして、前国会では、その審議期間を一年から二年に延長いたしました。  そこて、まず第一点お聞きいたしたいのは、選挙制度審議会というものと自治省関係、それから自治省内閣関係、少なくともとの審議会が発足してから七次までになるわけですが、その間に答申を受けた案件も相当ありますし、それから審議会審議の速記を何回か読んでみますと、ことあらたまって、ああなるほどと思われるようなものはほとんど見当たらない。いわば前段の繰り言をまた別な人が言うとか、あるいは同じ人が繰り返すとかいうように、審議会そのもの審議内容にこと新たに私ども有効と認められるものはない。ということは、いままでの審議会でほとんど言い尽くされているというふうに考えられる。そういう点から考えてみますと、この制度審議会が存続をしている意義というものは、非常にこれは重要だと私どもは思っておるわけですが、その重要さとうらはらに、非常に結果というものがよく生かされていない。それを繰り返しているというふうに見ているわけですね。  そこで、率直に言ってみて、審議会をつくられている自治省審議会にどういう期待感を持っておられるのか、その期待感は、事実上審議会は有効に果たしているとお考えになっているのか。それから、自治省としては、まあ自治大臣内閣十分発言をされているはずですが、歴代の自治大臣がその任務を一体果たしているとお考えになっているのか、また有効、しかも重要だと思われる審議会審議内容について内閣はどう受けとめておられるのか。さらに自由民主党内閣との関係は、一体どういう状態になっているのか。このところを少し責任者である自治大臣から説明をまずいただきたいと思う。
  10. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 選挙制度審議会特別委員として、審議会審議状況等、つぶさに御承知横川委員の御発言でございます。選挙制度審議会には、私自身も特別委員として籍を置いたものでございますが、いま横川委員が御指摘になりましたような見方も考えられると、こう思いますが、選挙制度審議会は、政治根本であるところの選挙制度というものを審議する、それは各政党間におけるルールでございますので、何と申しますか、第三者的意見と申しますか、権威を持って選挙制度審議会という制度のもとに審議されたことをもって、各政党はその方針を貫き、政府はこの答申を尊重してその制度を立法化していくという姿で政府の、内閣諮問機関としてつくられたものであろうと思います。ただ非常に選挙制度というものは困難なる問題もはらんでおります関係上、いま横川委員指摘のとおり、答申そのものが必ずしもそのとおりに立法化されなかったという点もあろうと思いますが、また答申そのものが十分尊重され、なお立法府におきまして、各党審議を尽くして立法化され、制度化されていったということは、御承知のとおりでございます。  なお、第七次選挙制度審議会は、二年間に期間を広げたが、いま審議している事項はもうすでに何回も言い尽くされ、こと新しいものもないではないかという御議論でございましたが、選挙というものの根本につきましては、それぞれ審議会議論され尽くされてきたことでございますが、そういった経過等もございまして、第七次では特に期限を一年延長いたしまして、従来まで行なわれました調査会当時から含めて十回にわたるところの審議会で、いま横川委員指摘のとおりの議論を尽くされてきたものを振り返り検討しながら、ほんとう根本的なものについて抜本的な基本方針を出していただきたいというために、第七次選挙制度審議会諮問をし、特に期限を二年間というふうに延長いたしまして、抜本的なものを出していただくようにいたした。といいますのも、横川委員指摘のような姿で、当面の問題だけを糊塗してきたような審議会のあり方を避けて、この際もうすでに議論されたものを集大成し、抜本的に権威ある結論的なものを出していただきたいという気持ちがそういうふうな姿となってあらわれたのではなかろうか。これは私の当時でございませんが、私はこのように理解しておりまして、第七次選挙制度審議会におきましては、そのような気持ちで各委員先生方に、従来の審議会審議等も十分考えながら、慎重なる審議を願っておる最中である、かように受けとめております。
  11. 横川正市

    横川正市君 自由民主党内閣との関係はどうなっておりますか、実際上のこの審議会答申その他を受けて。これは私は不満足ながらということよりか、抜本的な意見もずいぶんあったと思うのですよ。それが実現しない最大のネックは一体どこだとお考えになっているのでしょうか。その点は、ざっくばらんに言えば、自由民主党とそれから内閣との関係じゃないかというふうに思うわけですがね。その点では、どうも自治大臣もあまり出席はよくなかったですよね、選挙制度審議会には。私も二年おつき合いいたしたわけなんですけれども、実際この審議会に入ってみまして、実は年齢的にいえば、委員の皆さんよりか私どもずいぶん若いほうだったわけです。ですから、最初のうちは、年齢的に見て、一体新しいものを求めることができるだろうかという危惧をまず持ちました。そこで選挙制度審議会の人的な構成も、これもまあ一つ問題があるのじゃないかと、こう思ったわけなんですが、しかし、ベテランと言われる人材の全体を網羅したということのようにも受けとめられたものですから、それは審議経過を見てと、こう思っておりました。  それから審議経過に入ってみますと、私は、最初意気込んでいったのは、選挙制度審議会ほんとうに全力をあげて答申を出してもらわなければ、いまのこの不信につながっている選挙あるいは政治というものはよくならないと思いましたから、非常に積極的な意欲を持って審議会参加をしたわけなんです。この参加をする立場に立って、四十一年の第五次選挙制度審議会審議資料として出しましたね、これを実は私はもう三回も四回も繰り返して読んだわけです。それで審議会に出かけていって気がついたことは、実にいい意見がもうほとんど出尽くしているのではないか。そこで、七次が始まるときに、私は、こういうふうに、政党法区制と、定数政治資金と、それから政治政党の運動と、それから選挙管理というふうに分けまして、これ以上のものは、もういまのところないのじゃないか、新しくやるとすれば、論議をして、しかしそれもまたほとんど論議を尽くされているじゃないか。たとえば政党法というのは、これはあるほうがいいか、ないほうがいいかという論議もありますけれども、この政党法の諸外国の先進国のサンプルもありますし、それから日本の場合もずいぶん論議をしておりますから、自治省は、この審議会答申を得なくても立法ができるはずだった、ほんとうは。しかし、それを関連して、区制とか、定数とか、政治資金とか、政党政治活動とか、選挙管理とか、こういったものがやはり伴ってこなければいけないから、根本としては政党法をひとつはっきりさせようじゃないか、これが七次の重要な課題だったと私は思うのです。  それからもう一つは、参議院全国区を一体どうするか。今度も全国区で、終わってみまして次から次へと他界する人が出ました。私は、六次のときにも各委員の方に何回か訴えたわけですが、私も三回全国区をやってみまして、この全国区という選挙区があるなどということがいかにも参議院の特徴であるかのごとくに、あるいはまあ選挙のしかたとして他に選出方法考えられないという特徴的な選挙であるとか、そういう言い方をする人が実際にこの全国区という選挙をもう一回経験的にも体験をしてみたらどうでしょうか。これはほんとうに殺人的な選挙であることだけは間違いない。しかもそれが年々激化をするわけです。まあ一例をあげれば、個人名前をあげることは差し控えますが、最高官僚で立候補された方が他界をする。それは健康管理がまずかったのじゃないかということ以外に、この選挙区の広大さからくる体力の限界といいますか、これはもう私どもやはり一つ大きな要素として検討する必要のある問題だろうと思うのです。まあ殺人的な選挙区ということが言えるわけですね。  それから得票の状態を見てみますと、六十万から七十万の票数を確保するために、一年から一年半全国をかけめぐり、湯水のごとく金を使って、そうして自分はおそらく最高学府を出て、経験的にいえば、行政のてっぺんまでいって、そして名前も売れているから、おそらくこれ以上の有効な候補者というものは、いわば看板とか、かばんというものはなかろう、こういうように思っている人が六十万ぐらいから七十万ぐらいしか集められないということは、これは一体努力の結果としてどうなのか。地方区が四十万も五十万も取っているわけですから。全国区から六十万から七十万くらいしか取れないということは、これは個人の能力の限界というものが一つあるのじゃないかと思う。だから選挙区から見れば、やはり限界に達して限界以上のことを要請されている、こういうことになるのじゃないか。そういうことからこの参議院全国区の問題については、六次からもっと他に有効な方法でもって選挙をやることができるだろう。あと自由民主党松野委員会ですか、これは比例代表制にすべきだということを党議で決定したと新聞で見ましたけれども、ここまでいけば、私は、実は六次か七次でどういう裏づけを審議して答申となって出てくるかは別問題として、政党間で、しかも自治省が与党と話をして、全国区の制度そのものについてもっと真剣な取り組み方があっていいのじゃなかろうか、こう思うわけです。  それから政治資金規正法は、何回か予算委員会や本会議その他で論議をされました。大臣も御案内のように、与党の都合で時期尚早論というのが現行政治資金規正法を改正させない最大の原因になっているわけですよ。そうすると、時期尚早というのはどういうことなのか。求められる公正な選挙というものと、それから一政党の御都合による時期尚早とをあまりてんびんにかけて、損をしない方法で足踏みをするということは、これは実際にはよろしくないことですね。それもやはり与党と内閣との関係のわけですよ。六次から七次へ移って、その七次に期待をするところは、大臣が答弁をされたように、非常に大きいのです。大きいが、従来からのいきさつを見ておりますと、これは一年を二年にしても一それほど効果があがらないのじゃないか。その効果をあげるために、私は二つ考えている。  一つは、やはり内閣と与党間で積極的にこの問題に取り組んでもらいたい。それからもう一つは、実は重要項目を掲げて、そして制度審議会委員の中の少数小委員会をつくっていただく。そして少数小委員会は、その項目に対して短期間に立案をしてもらい、それを総会で論議をする。かりに手直しがありましても、各個、個別に答申書を書いてもらう、きわめて急ぐものから。それを内閣は受けて、与党と連絡をとって立法化するという、ひとつ明確なルールみたいなものを確立していただいてはどうだろうか、こう思うわけなんです。それには、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、六次までの審議経過の中にこれはほとんど出尽くしていますよ。事務当局がまとめればすぐまとまるようなものです。たとえば三つの案がありましたら三つ併記すればいいわけですからね、二つあれば二つ併記する。それから全国区の比例代表なんかは、ほとんど満場一致の多数がそのことを認めているということですから、それほどむずかしいことはなかろう、こう思うわけです。  そういう点から、きょうは、実は第一として、遅々として進まない制度審議会審議のあり方、いままで見ておりますと、自治省のほうは、委員の自主性を非常に高く尊重する意味もあるんでしょうが、聞かれると資料を出し返事をいたします。しかし、あと委員の皆さんできめてくださいという、そういう態度でありましたが、もっとレールを敷いて、委員の方々がむだな論議、いわば繰り言を避けて、前向きで結論の出せるようなレールの敷き方をすべきじゃないか。そうしませんと、進まないと思う。これは中村さんが実際上やってみて、いまのようにお年寄りが——まあ、いま三つ案が出ていますが、それは案と言っても、それぞれみないままで入っておりますよね。それをこと新しく案というふうには受け取りかねると私は思うんですが、そういう点からすれば、やはり自治省選挙部はレールを敷く役割りをしながら、英知をひとつそこへ結集させて、そして短期間に結論、答申が出るように、しかも一、まとまらなくたっていいんじゃないですか、二年間あるわけですから。むずかしいやつで結論が出ないのはあとにしましても、もう政党法とか、それから政治資金規正法とか、全国区の比例代表とか、そういうものはすでに出ているわけですからね。そういうものから逐次手をかけていかなければならぬ。そうしませんと、三年後の参議院選挙に間に合いませんよ、このままでいきますと。それから身近な問題で、衆議院の選挙がかりに来年行なわれるとしましても、それにも間に合いません。せっかく審議会を七次まで持ちながら、有効な活用ができないということはどこにあるか、もっとその原因をきわめてもらいたい。こう私は思うんですけれどもね。
  12. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 審議会参加され、真剣に取り組んでいただきました横川委員から、審議会審議状況と実際の根本的なあり方に触れられまして、種々建設的な御意見を賜わりましたが、御要望のありましたような点、私たちの果たすべき責任をも一考慮しながら、ぜひ選挙制度審議会が本来の機能を発揮しますように、その運営にあたっても今後とも検討を続けてまいりたいと、かように存じます。  いま自由民主党政府とのあり方等についてのお話もございましたが、選挙制度審議会各党特別委員が出ていただいておりますのは、選挙を実際行なう者として、学識経験者の中でその実情を述べていただくのと同様に、また各党間のルールでございますから、実現し得べき妥協点を見出す、また、答申は、政府といたしましても、ほかにもうたわれておりますように、これを尊重しなければならない。普通の法案における政府と与党という関係とやや異なった観点から政府も処置しなければならないというふうな点からは、十分連絡をとり、政府与野党一体となって答申そのものができ上がってこなければならないのでございますが、従来、その点の連絡等にやや欠けるところがあったために、答申がそのまま実現し得なかったというふうなこともあらわれたんじゃなかろうかと思います。今後とも、そういうふうな点を顧慮し、選挙制度審議会が本来の機能を発揮していただくように、私たちも最善の努力を尽くしたいと、かように考える次第でございます。  なお、いま適切なタイミングというものがあるんだという、じんせん日を送っておってはタイミングをはずしてしまうようなことになるんじゃなかろうかという御意見もございました。十分その点も審議会の内部におきまして御検討しながらやっていただいておると、かように存じますが、いま言われました適切なタイミングにはずれないように答申を願うということ自身、自治大臣としての私の責任でもあろうと考えますので、十分そのことを意にとめながら、今後の審議に万全を尽くしていただきたいと、このような方向で臨ましていただきたいと、かように考えております。
  13. 横川正市

    横川正市君 まあ非常に皮肉な言い方をいたしますとね、私ども、こういう委員会あるいは予算委員会選挙のことで質問をしますね。それで、その質問をするのも何か気持ちの上では、もうやったってこれはしようがないじゃないかというような気持ちがまず先にありましてね、きょうのいま中村さんの報告された収支報告についても、同僚議員の中に、もうこんなことを幾ら言ったって国会の段階じゃどうしようもないと、これは政治不信ですよね、議員の政治不信、しかも、それはうなずけるような政治不信になってきている。そのような気持ちを持って、しかつめらしくこういうりっぱな委員会室で論議を繰り返さなければいか雇い、ということは非常に残念だと思うのですね、その審議している私たちの側に立ってみても。  たとえば政治資金規正法とか、それから選挙の運動の問題ぐらいは、これは一人のいわば積極的な議員であっても、それに取り組んで、そしてそれを世論に盛り上げてそれを立法化したという例は、イギリスのいまの議会政治を生んだ一番最初の発足でしたから、私は、日本にそれができないというわけはない、それだけの英知はあると、こう思いますから、できるだけこのことに全力をあげて、その実現方を皆さんにひとつ努力を要請するわけですけれども、その要請する立場に立ってみても、これほどちぐはぐなものはないと思うことが幾つかあるんです。  その一つは、この議員の何といいますか、選挙法定費用の届け出を、これは自治省届け出に基づいて報告をするというふうになっているから、その義務だけは果たすわけですね。ところが、ここに与野党たくさん議員がおりますけれどもね、自治大臣を含めましてね。一体選挙費用というのは法定費用内でおさまるというふうに、おとなでも、子供でもそう考えてやっているかどうかという問題なんです。たとえば全国区の場合に、いまポスターはほとんどが三色以上のカラー印刷になっていますね。これは一枚どのくらいで印刷できるかというと、最も割り引きして安くつくってもらっても三十五円かかりますよ。それで十万枚印刷したら幾らになりますか。それからベニヤに張りますね、これはどんなに安く見ましても三十二円くらいかかるのです。段ボールでやって十七、八円ですか、これを二つ合わせて十万枚のはがきの印刷代を入れまして出しますと、五百万円ぐらいかかってしまうのです。全国区十万枚ですね、ポスターを印刷して裏に裏打ちをして、それからはがきを十万枚印刷をして、この全部に書き上げましてね、そして出す。これは無料はがきで国がそのはがき代を支弁しますけれども、しかし、そのほかでもそのぐらいかかるのですよ。  それから、ここに黒住会や黒住君の問題が参考に新聞に出ています。六百何万円でやりましたという——これはいまあがっている、何というのですか、取り調べ当局だけであがっている金だけでも何百万かあがっているわけでしょう。そうすると、これは本人の選挙運動には関係なしにそれらのものが支出をされている。そしてああいう結果になりましたというつじつまを合わせていかないと、刑法上は黒住君は失格するということになるわけです。そういう大切な届け出が六百万くらいで出ているわけですね、いわゆるつじつまを合わせるために出された費用の報告書。これを自治省は受けまして、そして本人は何百万円でやりましたと、こういうふうにまことしやかな公文書で報告をされるということは、いかにもどうも私はおかしいと思うんですよ。こういう場合には、取り調べ段階ですから報告は取り調べの結果を待って報告をいたしますとか、そうやらないと、自治省の実際上の報告に信頼をつなぐ結果にはならぬのじゃないか。これはいろいろな意味でたくさんの方が法定外選挙費用で調べられているわけですから、これとこれとこれとは実はその結論を待って報告をいたしますというようなことをするのが正当だろうと思うんです、妥当だろうと思うんです。  それからもう一つは、ポスターの掲示場所です。今度、私、全国区の候補者の応援をいたしまして、そして十万枚のポスターがいかにも張りにくいということがわかりました。張れないんですよ、十万枚消化できない、いわゆる適法をもって張ろうとしますと。ポスターを張るという目的は、横川正市が全国区から出ていますよということをたくさんの方に知ってもらうためにやるわけですから、見やすいところに張らにゃいかぬですよ。それを見やすいところに張ろうと思うと、もう見やすいところは全部法令上は違法の場所になります。ですから十万枚のポスターを張ることができるというなら、ここへ張りなさい、いわゆる地方区のように掲示板に張りなさい、こういう適切なものがないということは、これはやはり選挙をする者、あるいは運動の面からいってみて手落ちだと思うんです。ここへ張りなさいということがあれば、十万枚張ることについて法定することは適法だと思う。ところが張るところがないのに十万枚張りなさい、これでは違法をしなさいということを実はきめておいて、そして違法のやつはあとから個別的にと、紛争の種を残しておくという、こういう結果になるわけなんですよ。ここにいろいろ調べてもらいましたが、へいとか建物とか、あるいは他人の住居とか、あるいは国、地方公共団体、あるいは国鉄、電電公社の庁舎、あるいは橋梁とか電柱とか、公営住宅とか、それから地方公共団体の管理するいろいろな建物、そういうものがありますけれども、これはもうほとんど拒否をされるということになっていますね、いまの選挙法からいきますと。ですから張れない。ほんとうに適法で張ろうと思いますと張れない。もういわば撤去覚悟で張ろうと思うと、御案内のように張られると、こういうことになるわけです。私は、解決の方法考えてやるべきことだと思うのですが、こういう問題ですね。で、まじめに論議するとばかげるけれども、しかし放置できない問題として、資金の問題とか、あるいは運動を具体的に進める場合のこういう、言ってみればちぐはぐな問題とか、これどうしますかという点が私はあるのだと思うのですよ。率直に今度選挙の応援をしてみて、自分のときには夢中で飛んで歩いていますから、そこまで気がつきませんが、第三者の運動を進めてみて、これはやはり問題だと、こう感じたわけですが、前後と後段どうでしょうか。  これ中村さんのところでも一何かくふうされるか、あるいは実際上そういう不備をどう解決されるか、案があったらひとつお示しいただきたい。
  14. 中村啓一

    説明員中村啓一君) ただいま横川先生の御指摘になりました二つの問題点は、私どもも、確かに何とか考えなければいけない問題ではないかと存じております。特に第一点につきましては、いまの法定費用が、額の制限それ自体が合理的かどうか、あるいはそれがほんとうに励行されているのかという点をめぐって多くの問題があろうと存じます。私どもは、いわゆる選挙法が予定をしております選挙運動で、かつ法定費用の対象にしておりますものの積算としては、これは四十四年に国会で改正をしていただ春まして、現在の額として初めて今度八百五十万円で全国選挙をやったというふうに、それなりに説明はできております。しかし、私どもが、非常に矛盾だと申しますか、割り切れないと考えております点は、いまの選挙がいわゆる選挙運動期間において候補者が主体になって展開される運動だけに限られておりません。むしろ政治活動という名前選挙に有効な諸活動がなされておる現状でございますので、そういう点を考え合わせますと、いまの単に選挙運動期間中に限っての、しかも特定の選挙活動行為についての費用の制限というのでは、選挙全体を一定の資金のワクの内で効果的におさめるという趣旨には合わなくなってきておるというのはそのとおりだと思っております。  そこで問題は、やはり選挙運動と政治活動というもののあり方、考え方、構成というものをもっと実態に合わせるようにお考えをいただかなければいけないし、私どもも、その方向で検討しなければいけないというふうに存じております。それで、選挙制度審議会におきましても、ほぼ同じ問題意識を持ちまして、やはり選挙運動と政治活動のあり方を調整をすることによって、法制と実態を近づけるということで対処していこうという考え方でおるところでございます。  それから二番目に御指摘のありました全国候補者について、ポスターの張り場所がない、あるいは張り場所をめぐって非常なトラブルがあるということも仰せのとおりに思っております。この点も根本的にはいまの全国区の仕組みということで、先ほど横川先生の御指摘になったところにまでまいる問題ではありましょうが、私どもとしては、やはり選挙運動のあり方をもっと政党本位という形に切りかえていただいて、政党本位の軌道が敷かれる形の中で解決をさせていただきたい、基本的にはさように思っております。しかし、その点について、なおある程度時間がかかるとかりにいたしまして、十万枚のポスターの張り方についてさらにくふうをしなければいけないじゃないかという御指摘は十分に理解をいたしておりまして、その点についても、私どもとしては、ぜひ研究はしなければいけないというふうに存じております。
  15. 横川正市

    横川正市君 ここで的確にこうしますという意見が聞かれないことはまあ承知をいたしておりますけれども、それだけに選挙制度審議会の構成とか、運営とか、それからそれを答申化した場合、受けて立つ内閣とかあるいは与党、あるいは国会という立場に立っての各種問題解決が急がれることが堂々めぐりしてくるわけなんですが、大臣、今度の場合、一つの目的みたいなものをある程度定めて、いわば審議会委員の皆さんに、このことが非常に急がれるとか、あるいはこれを重点にとかいうことで、諮問をされるときに、その他全般にわたってという、その他全般を削っていただければ非常に重点というのがしぼられてくるわけです。それから委員の皆さんも、何回か自分で言っているわけですから、あなたの意見はこうこうこういう意見です、新たに入った人の意見はどうでしょうか、さきに出された何回かの——一次からいる人もいるわけですから、そういう人たちの中で、あなたの意見はこういう意見です、私の意見はこういう意見でしたと、逆に言えば、そういうことでつけ加えられる点があればつけ加えていただくが、それ以上またその人から新たに提案をしていただくというようなむだはしないとか、いわば運営の問題でもう少し的確な一つの進め方、いわゆる重点を定める。それからいままでのいろんなことが二度繰り返されるようなむだをさせない。そういうことで早く答申が出てくる。しかも、その答申はきまったものからしてもらって、何もそれを一回やったら解散するわけじゃありませんで、任期が二年間ありますから、次から次へと答申をしてもらうという、そういうレールの敷き方で進められるように審議会へ大臣からお願いをして、それを了承してもらって、事務当局がそれを進めていくというかっこうになりませんか。まあ、いまのままじゃ、とても二年たって何のために二年やったのかわからないじゃないかという気もいたしますから、その点お答えいただいて、私はこれで終わります。
  16. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 現在の第七次選挙制度審議会におきましては、選挙制度根本ということで、いま申しましたように、審議していただいておりまして、定数の問題でも、総定数との問題のかかわり合いがある。またそれ自身が区制とかかわり合いがあるというふうに、関連をいたしておるものでございますから、抜本的にやっていただく上において、審議会の進め方が、いま横川先生御指摘のように、ばく然としてしまうという姿で時期を失するという点があることは、もう私も十分承知いたしておるところでございます。しかしながら、いま御指摘のありましたように、現在これだけは改革せなければいけないんじゃないかというものを、十分成立し得るというものにしぼってでも、具体的にタイミングに合った改正を加えていくということは、政治の信頼をつないでいく上において非常に重要なことであろう、このように考えますので、その時期等も十分考えながら、いま申されましたような姿で運営が行なわれますように、自治大臣としての職責全うのために最善を尽くして検討をさしていただきたいと、かように考えます。
  17. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 政治資金につきましてお伺いしますが、ただいま政治資金収支報告四十五年下期分の説明があったわけですけれども、その総額が三百二十八億、その中で重複分を考慮いたしましても大体二百五十億を下らないのじゃないか。四十年が大体百億ぐらいあったと思いますけれども、その五年間で大体三倍というような大きな数字になっておるわけです。  そこで、政治資金の明朗化につきましては、政府が四十二年の答申に基づいてすみやかに改正の措置を講ずることのいかんにかかっておるわけでありますけれども政治資金収支がこのような巨大な額にのぼると、それ自体がこれは大きな新たな問題になってくるように思うわけであります。例を引きましても、イギリスの下院の法定選挙費用が一人七十八万円、それから否決されたとはいいましても、アメリカの大統領の法定選挙費用が七百二十万円であったことを記憶しておりますけれども、いかに日本選挙に金がかかるとはいえ、外国にはない選挙公営費用というものがあるわけなんです。これは、参議院全国候補者一人当たり四百二十万円、地方区八百八万円、衆議院で二百二十三万円、これが公営費として出ているわけですね。それを入れますと、実にこれは膨大な額になるわけですが、こうなりますと、これは金額の大きな点からいっても、浄財、拠金は善であるとか車の両輪であるとか、いろいろなことを言われておりますけれども、そういうものは通用しなくなるのじゃないか、こういうふうに思うのです。金額の巨額にのぼる点につきまして、こういう点を大臣はどうお考えになるのか。  また、その巨額な政治資金収支、しかもそのほどんどが個人以外の財界、企業等によってまかなわれている。そういうことは、与党である自民党がもう財界、業界と政治資金の面で密接につながっておる、政治選挙が金で不当に動かされておることをもう如実に感ぜざるを得ないのです。新聞にもでかでか出ておりますからね。こうなりますと、これは全く金権政治じゃないかということになる。こういうことを自治大臣が所管大臣として当然これは改正をしなければならないと私は思いますが、自治大臣のこれに対しましての見解をひとつお伺いしたいと思います。
  18. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 政治選挙を浄化したいという国民の期待に私たちはこたえていかなければならない。このための政治資金のあり方というものが明確にならなければならないことはもう論をまつところでないと思います。私も、従来における国会の論議等も十分考えまして、同時に、いま御審議願っておりますようないわゆる政党本位の選挙のあり方ということも考えながら、成立し得る成案を何とか得たいと、こう思って検討いたしておるところでございます。  いま金額が非常にふえておると、外国の例をあげて御指摘ございましたが、政党というものが本来の意味の政治に金を使うという意味で、現在の三百三十億がはたして膨大にすぎるものであるかどうであるか、大きな観点ではございますが、私は、現在は民主主義の政治である、政党が指導権を持っての政治でなければならぬと思う。その金そのものが国の政治のために役立つために、政党そのものがそれだけの力を持つためには、その金額の高でなくて、使った金がほんとうに国民のための政治のために使われておるかどうかということが一番問題になってくるのじゃなかろうかと思います。すべての金がただ単に選挙ということのために使われておるというふうな姿のところに問題があるんじゃなかろうかと、かように考えまして、選挙本位に使われるような金は、できるだけ金のかからないような姿に持っていくと同時に、政党が国民のための政治を求める上において、費用がガラス張りのもとに使われていくという姿であるときは、私は、金額の問題でなくして質の問題でなかろうかと、こういうふうな考え方も一部持っておるものでございます。外国にも、そのために政党に対しまして、わが国がいま立法調査費等で出しております以上の金を出しておるというふうな例もございますし、そういった意味で、ほんとう選挙というものは金のかからないものであると、ほんとう政党が国民のために自分らの力を発揮するためにガラス張りのもとで使えるような金をどんどん使っていくときには、国民もこれを認めていただけるのではなかろうか、このような姿に持っていかなければならないと、こう考えております。
  19. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それはね、大臣のただいまの答弁をそのまますんなり聞けば、幾ら膨大な金であろうと、国民のために有益に使われておればけっこうじゃないかと、すんなり聞けばまあ納得がいかぬでもありませんけれども、あなたも御存じなんだからね、実情はそうでない、非常に不明朗な点がたくさんある。だから私は質問をしているのであって、それならばもう一つお伺いしますけれども、この四十五年の報告の中に一つの例をとって申しますと、国民協会に百万円以上の寄付内訳出ていますね、ここに。この中でただいま説明がありましたように、一番でかいのが日本鉄鋼連盟の二億円ですか、日本自動車工業会一億七千万、電気事業連合会が二億と、こういう業界から多額な寄付金がある。これもまた、最近は一企業だけでなしに、企業の連合体から相当な額の寄付があるわけですね。また派閥の政治団体を見ましてもかなり想像以上ふえておるわけですが、大臣はこういうような団体寄付数字をごらんになって、あなたは自治大臣としてこの政治資金というものをどのように分析をしていらっしゃるのか、その点をお伺いしましよう。
  20. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 私は、前の答弁の中で、中尾委員の御議論等を認めずに言うたのではございませんのでして、金額そのものについて、かくあったらよいのではないかという論を申し上げたんでございまして、実態そのものには、いま申しましたように、選挙と結びつく本来の国民のためのものと言いがたいというふうな点を明確にし、ガラス張りにするという理想論を申し上げたのでございまして、この点、現実をそうとらまえて言ったのでございませんので、ひとつ御了承を賜わりたいと存じます。  いま申されましたような姿におきまして、現実の姿がほんとうの意味の政治に使われる金よりも不当に多額のものが選挙というふうな姿のもとに使われ、これが選挙を浄化したいという国民の世論と逆行するような形のものも生じておるという点は、中尾委員の御指摘と私と認識を異にするものではございません。
  21. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 だから私が質問を申し上げておりますのは、こういうような億をこえるような各業界からの寄付金に対してですよ、どのように分析をなさっていらっしゃるのかと私は聞いているのです。ずらっと並んでいるでしょう、業界が。その中でいま大きいのだけ私は申し上げたのです。ここに出ているのは百万円以上、百万円ぐらいいいといたしましても、こういうような五千万、八千万とか、一億とか、二億とか、こういうようなものが業界から出ているでしょう。そういうものをお考えになって、自治大臣はどのようにこれは分析をしていらっしゃるのかというのですよ、小さい額じゃないですよ、これは。
  22. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 現在の政治のあり方として、政治資金は、いわゆる法人その他のものでなくして、個人の姿で集めるべきが理想であるというふうなことは、四十一年の答申にも、将来はそうすべきであるというふうな点が書かれておったことは私も十分承知いたしております。しかしながら、現状がそこまで行ってないという点につきましては、私もまことに遺憾な状態であると、かように考えております。
  23. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ですから、こういうような実態を新聞に明らかにされて国民が感ずるところは、やはり自民党と業界との癒着の問題が云々されているのですよ。あなたは、それは大臣としてこの席上で答弁されにくいかと思いますから、それは聞きませんよ。けれども、あなた、腹の中ではやはりお考えになっているだろうと私も思う。ですから、そういう点がやはり不明朗なところであって、これは一つずつ私もあげられませんけれども、この企業体と——昨年もあったが、こういうこととつながっているんじゃなかろうかというような憶測まで新聞等にもこれは出ておりますから、ですから皮肉な質問かもしれませんけれども、あなたに聞いたわけです。そういう点から考えてみますと、やはりこういう大口の億とかというようなことは、何とか私は是正しなければならないんじゃないかと思うわけです。それはあなたに聞きましても、また答申の結果を見ましてからと、こうおっしゃるかもわからないので聞きませんが、この国民協会寄付ですね、一四ページ。これは収入金額は七十九億七千三百四十三万七千円です。その内訳を見ますというと、このうちの一七%、十三億五千二百十三万がこれは寄付金である。その他六十六億二千百三十万七千円、これは「その他」となっておりますが、この「その他」というのはどういうことですか。
  24. 中村啓一

    説明員中村啓一君) 会費、事業収入等でございます。
  25. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そのうちで会費がどのくらいになっておるのか、わかっておりますか。
  26. 中村啓一

    説明員中村啓一君) 私ども政治資金規正法に基づく届け出につきましては、寄付とその他の収入しかお届けがございません。その他収入内訳はとっておりません。
  27. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 だけれども、大体この六十六億の中身というものは相当な会費があると、これは推測できるわけです。その会費というものには大口会費もあれば、小口の会費もあるであろう。それは一年に一回払いもあれば、毎月払いもある、これは私の推測ですけれども。そうすると、会費というものは、これは限度はないのですか。協界の規約によってどうにでもなるのか、その点ちょっとお伺いしたい。
  28. 中村啓一

    説明員中村啓一君) 中尾先生の仰せのように、政治資金規正法におきましては、会費の定義は特にございません。運用上は、定款等に定められた会員の義務の履行としてなされる寄付を会費というふうに理解をいたしまして運用をいたしておる次第でございます。したがいまして、会費につきまして特に金額の制限というものは置いておりません。
  29. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 いま私は国民協会につきましてお伺いしましたけれども、これは個人後援会その他の派閥等の後援会等にもあろうかと思いますけれども、これは自治大臣、隠れみのじゃありませんか、会費というのは。会費にしておけばそれはだれが出したか、それも書く必要がない、非常に便利なものである。それが大体六十六億円。これじゃ政治資金の規正法の趣旨から考えて、公開の原則から考えて、われわれはよくわからなくなりますね。この点に対しまして、自治大臣は何らかの規制を加えるようなお考えはないか。その点お伺いしたい。
  30. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 政治資金収支がすべて国民の前に明らかにされなければならないということは、御指摘のとおりであります。前の答申にもそういう方向で答申がなされております。この点につきましては、従来の国会におきましても種々議論のあったところでございますので、私は、その論議の経緯等もよく検討の上、実現し得るような成案を何とか得たいと思って検討をいたしておるところでございます。
  31. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 検討、検討ではこの委員会審議にならないですよ、そんな答弁なら。みんな検討、検討で、あなたがそうおっしゃれば、質問をしていても全く質問のしがいもないし、また委員会審議にならないですよ。その辺少しは、あなたは所管の大臣なんだから、何とか国民の前に、自治大臣として私はこう思うくらいのことは何かかっこうをつけなければ……。この委員会を通じて国民の皆さんにあなたは答弁しているようなものですよ、この委員会で。そんなことは私が言うまでもないことですけれども、今度の政治資金のこの報告を見てみましても、一番不透明はここじゃありませんか。もう一ぺん答弁してください。
  32. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) ただいまもお答え申し上げますとおり、いま中尾委員の御指摘のとおり、この点が非常に論議のある点であるということは、私、前の答弁でも申さしていただいたとおりでございます。この点は、いままで答申に基づいて出されました政府案あるいは議員立法の案等におきましても種々論議されたところでございますので、それらの問題を十分検討し、国民の皆さま方の納得し得るような方向で何とか成案を得たいと努力いたしておりますことは、いま御答弁申し上げたとおりでございます。
  33. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 会費のことにつきましては、従来の答申には一つも出ていないでしょう。会費の件につきましては、答申を待たずに、あなたが自治大臣としてこれは規制できるものじゃないかと私は思います。その点いかがですか。
  34. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 事務的な問題でありますので、後刻、部長から詳しく御答弁させますが、私は、答申に基づいて出されました政府案あるいは議員立法の中でこの点も議論があったと、かように承知いたしております。
  35. 中村啓一

    説明員中村啓一君) 中尾先生の御指摘のように、会費なり党費は、特に会社その他の法人がなす場合におきましては、個人と違いまして、いわゆる寄付の隠れみのになるのではないかという議論がございます。そこで、従来とも会社その他の法人については、会費なり党費は寄付とみなしてはどうかという議論もございます。それらの点について法案作業をやってみたこともございます。しかし、関係の方々の合意を得るに至らないままになっておる問題でございまして、いま中尾先生の御指摘のとおり、従来とも、その点に何らかの改善のメスを入れるべきではないかということで論議されてきておるところであります。
  36. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは、いま一点お伺いしますけれども、四十二年度の答申案には、今度新たに出ました企業連合体の寄付金のことにつきまして全然出ておりませんね。今度はその四十二年の答申は、自治省案は会社寄付制限につきましては、資本金の千分の二・五か前年の確定した利益の百分の一のどちらか高い額までと、それから資本金が五十万円未満のときはおおむね五十万円まで、二千万円をこえるときはおおむね二千万円までと出ておりますがね。これはまあ一つの企業体だろうと思いますが、今度は連合体で出ておるわけですからね。連合体の場合は、どういうようなお考えを持っていらっしゃるのか。答申をまたずに規定ができるのかどうか。それと、まあどうしても答申をまたなきゃならぬのであれば、いま言ったような会費の問題、連合体の寄付の問題等につきまして再諮問をする意思がおありなのかどうか、その点ひとつお伺いしましょう。
  37. 中村啓一

    説明員中村啓一君) 従来、政治資金政治団体関係につきましては、正当とそれからいわゆる派閥と、さらにいわゆる政治資金収集団体と、それから一般の会社その他の法人と、それぞれ区別をして扱うべきだという考え方に立って議論されてきております。その際、中尾先生の仰せのような企業の連合体をどういう位置づけをするかというのは、従来とも非常に議論をしてきております。一つの案としては、そういった連合体というものはかなり政治的な動きをするものだから、政治団体として位置づけをして何らかの規制をしようかという案もございましたし、必ずしもそういう形にしなくても、会社その他法人の一般的な寄付規制のワク内で処理していいのではないかという議論もありまして、その点についての従来の議論はコンクリートなものにはまだなっていないかと思っております。しかし、政治資金規制法を今後前進させるという場合に、いわゆる中尾先生御指摘の企業連合体の位置づけなり、あるいは企業連合体に対する特殊な規制という点について、   〔委員長退席、理事宮崎正雄君着席〕 研究の余地は多分にあると思っております。
  38. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 この連合体というのは、資本金があるのですか、ないのですか。
  39. 中村啓一

    説明員中村啓一君) 連合体につきましては、非常に幅広い言い方ができるかと思います。何々工業連合会とか、あるいは広い意味では何々団体連合会とかいろいろありまして、法人格を持っているものも持っていないものもありますし、基本財産的なものを持っているものも持っていないものもございます。しかし、大体において何らか活動に必要な基金的なものがあるとは存じますが、必ずしもすべてにあるとは言えません。そこで、かりに企業連合体というようなものについて何らかの規制をやるとすれば、年間のその団体の総活動経費と、その団体がいわゆる政治資金として寄付をする額との関連において、ある一定ワクを越えるようなものは特別なる規制を加えるとかいう掌握できないと、こういうことですね。それで自治大臣に、先ほど私がお伺いしましたそういうことを一括して審議会に再諮問をする御意思があるのかどうか、その点どうですか。
  40. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) いまのところ再諮問ということにつきましては、直ちに再諮問するというふうなことには考えておりません。
  41. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 どうも大臣の答弁は、直ちに再諮問をするということを考えておらないということは、どういうことですか。諮問することもあり得るというのですか。もうちょっと明確に答弁してくださいよ。
  42. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) いまのところ考えておりません。
  43. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは諮問しなくて、あなたのほうでこれは改正等を検討し、改正するという御意思があるのですか。
  44. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 先ほどもお答えしましたように、すでに答申を得ておりまして、この面につきましては、選挙並びに政治を浄化したいという国民の御期待にこたえるためにもぜひ改正をいたしたいと、ただ、従来の国会における審議等もございましたので、それらを十分検討し、また、いま第七次審議会で検討願っております政党本位の選挙のあり方というふうなものも考慮しながら、成立し得るような成案を何とかつくり上げたいと、目下努力いたしておるところであります。
  45. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 これは答申をまたなければ何も今後法改正はできないのですか。
  46. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) ただいまも申し上げましたように、ただいま再諮問をするという意思を持っていないということは、答申をまたずしてこれは検討し、政府が行なわなければならないものであると、このように考え、目下成立し得る成案を得るようにせっかく努力いたしておるところであります。
  47. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 本来、選挙法は何も一括して、まとめて法案を書いて出さなくてもいいと思うのですよ。あなたのほうでよく御検討なさって、一つずつ選挙を明朗にしていくという立場から改正をしなければならぬものはあなたの責任で出すと、こういうふうな方向に行かないと、いつも答申答申では、これはずれてきますよ。その点ひとつ要望しておきます。  それから法人税法三十七条も、これは資本金の千分の二・五プラス所得額が百分の二・五のうちか、損金算入限度額を定められておりますけれども、これも経済の拡大に伴って非常に巨額のものになってきておりますが、少なくともこれは改正していく御意思はありますか。
  48. 中村啓一

    説明員中村啓一君) 法人につきまして、どの限度まで損金に入れていいかというような問題につきましては、これは私どもが直接関与すべき問題ではございませんが、ただ、損金算入につきまして、政治資金についてどう扱うかということは、私どもに大いに関係のあるところでございます。私どもとしては、やはり少なくとも法人税法で政治資金として会社寄付をする、それを損金に算入をするという場合には、政治資金規正法によってそれがしかるべく届け出られ、あるいは裏づけがされるというような姿になることが望ましいというふうに存じておるところであります。
  49. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それから次にいきます。  去る四月の知事選挙における選挙費用、選挙に関する収支団体報告は、都道府県の公報に掲載されるのが例でありますけれども、非常にこれがおそいわけです。また、都道府県の公報は入手が困難でもあるし、東京都の例で言いますと、七月十二日に選管から公報発行部課に公報原稿が渡っているにもかかわらず、実際に公表されたのは八月の七日であります。この理由を御存じであれば説明を願いたいと思います。  また、地方選挙も知事レベルでは、選挙政党化しており、費用の公表は、都道府県公報でなく、官報によって一般化することはできないのか、その点ひとつお伺いしておきます。   〔理事宮崎正雄君退席、委員長着席〕
  50. 中村啓一

    説明員中村啓一君) 現在のたてまえといたしましては、国段階の選挙で特に自治省が直接関与をいたしますものにつきましては官報で、また府県が管理をするものにつきましては府県の公報で、地方選挙につきましてはそれぞれの地方団体の公報でこれを明らかにするというシステムになっているところでございます。そこで、中尾先生の御指摘のように、たとえば知事選挙の例をとってしても、たいへんに公表の時期がおくれておる実情であるというお話でございます。この点は、私ども、もっと注意をしておかなければいけないところでありまして、たいへん恐縮に存じますが、私どもとしては、適期に公表をいたしますように、さらにあらためて関係都道府県に注意をいたしたいと存じます。  これをすべて官報にという第二の御提案につきましては、それだけの能力が現状においてあるかどうかという点も含めて研究をさしていただきたいと存じます。
  51. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 政界の模様もどうもまたもやもやしておりまして、解散等もいろいろ考慮されている段階ですが、衆議院の定数改正の問題につきましてどのようにやっていらっしゃるのか、いつごろ出るような予定なのか、その辺のところをひとつお伺いしたいと思います。できれば今度の選挙前に出していただければありがたいわけですが、現状どうなっているのか。それと、いつごろになりますか、その辺の見通しをひとつお伺いしておきたい。
  52. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 現在の衆議院の定数是正の問題でございますが、定数是正という問題は、直ちに総定数の問題あるいは区制の問題、選挙制度そのものに触れてくる点もございますので、現在、選挙制度根本施策を御検討願っております審議会に対しまして、これとあわせて御審議賜りたいということでお願いいたしておるような状態でございます。いま申されましたように、選挙の時期等もございますので、タイミングを失わないように処理をせなければならないと、そういうふうな点につきましても、先般も、私、運営委員先生方とも忌憚なく意見を交換させていただいたような状態でございまして、それらをあわせて御審議を賜わっているという姿で、いま御要望のございましたような点も十分考えながら今後の審議を進めていただきますように、密接なる連絡のもとに選挙制度審議会答申のあり方も考えていただくということで善処させていただきたい、かように考えております。
  53. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  54. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記を起こして。
  55. 岩間正男

    岩間正男君 自治大臣には初めてお目にかかるわけです。この委員会において質問も初めてなわけなんです。そういう点から先にただしておきたいのです。この委員会の権威のためにもただしておきたいのですが、一体、ここで論議したことは、これはどうなるのですか。ほんとうに切実なそういう問題について、これを実現するために努力するのかどうか。  どうもこの論議を先ほどから聞いておりますというと、非常にくつを隔ててかゆさをかくような感じがする。国民はこういう委員会を期待していないだろうと思うのです。ですから、あなたは就任されてからまだ日が浅いわけですけれども、しかし、決意のほどをはっきりさしておく必要があると思うのです。ずいぶんこの前公選法の改正問題なんかでも、前自治大臣とわれわれは論議をした。しかし、問題をはぐらかせるような答弁をやって、煙幕だけ張って、そうして結局は旧態を依然として残すというような、そういう意図のもとにやられる論議であったら意味がない。国民を愚弄するものだということになるわけです。最初に、どういう決意を持っておるのか、その点ちょっと述べてもらいたい。
  56. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) いま岩間委員の御議論、ごもっともでございまして、私も、党委員会が権威ある委員会といたしまして、誠意をもってその御議論を聞き、御議論のあるところを処置をいたしたいと、かように考えております。ただ、御質問の内容が、御議論の点もあろうと思いますが、選挙制度審議会というものの姿で御検討を賜わっております問題もございますし、あるいは私自治大臣といたしましても、ここで言明いたしました以上、国民の前にも責任をもってそれを実行し得るという確信を持つもののみを言明できるというふうな立場から、何と申しますか、いま岩間委員指摘のような答弁になる場合もあり得ると思いますが、誠意をもって御議論を聞き、御議論のあるところを実行にできることから移していきたいと、このような覚悟でこの委員会に臨み答弁さしていただきますということを申させていただきたいと思います。
  57. 岩間正男

    岩間正男君 あなたは、まあ自民党の閣僚なんですね。自民党政府の閣僚だから、どうしてもその点の制約はこれはむろんあると思う。しかし同時に、公職選挙法を当委員会に関する限りはあなたは扱っていくわけですね。そうすると、党利党略の面でどうしてもこれは実際はやれないというようなことが出てくる面があるのじゃないか。しかし、それではまずいと思うのですね。ほんとうに公正な選挙法で日本政治を正す、そういう立場に立てば、当然政治的な一つの形式というものが必要だと思う。だから、その政治見識から考えて、いまの現状の選挙法、そうしてこの選挙法によってつくられているいまの政党、この政党活動というもの、これはどう考えていらっしゃるか。これは簡単でいいですから、所見をまずお聞きしておきたい。
  58. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 現在の選挙法がいろいろな点におきまして改正すべき点があるということは、御承知のとおりでございます。選挙制度というものは民主政治をもっていく上での根本の問題でございますから、現在、第七次審議会におきまして御検討を賜わっておるという姿でございまして、抜本的な改正の答申が出ました以上は、それの実現に向かって邁進せなければならない、かように考えております。  なお、抜本的な改正をまつまでもなく、行なわなければならないというふうな時期が来ましたときには、でき得るものからでも改正して、できるだけ国民の期待にこたえていきたい。これが私のいまの考え方でございます。
  59. 岩間正男

    岩間正男君 そうすれば、どうしてもこれは日本政治に必要だと、こういう立場に立てば、たとえば閣議の問題ですが、閣議の中でも、あなたは、そういうふうに、正しい選挙法についてこれは主張する、ある場合には総理にもどんどん建言する、そういう決意を持っておられますか、どうですか。
  60. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) そういうふうな時期が来ますれば、当然閣議でも発言し、総理にもそのことを進言するのが自治大臣の立場であると考えております。
  61. 岩間正男

    岩間正男君 それから、選挙制度審議会との関係ですけれども選挙制度審議会というのは、一つの隠れみのあるいは調節機関になってはまずいのです。ところが、実際はそうなっている。これはもうだれでも知っていると思う。結局、これが答申を出して、そうしてそれが行なわれる、こういうかっこうで、この構成や運営の問題についても、いろいろいままでわれわれは論議してきたところです。したがって、選挙制度審議会だけにたよるというのは、これはおかしいのです。その辺、当然これは自治大臣として見識を持つべきだ。政治を担当する者としての、国務大臣としての政治的見識というものが当然問われるわけです。その点、いままでの立場は、とにかく選挙制度審議会答申がございましたらその結果について十分考慮いたしまして、それを具体化するつもりでございますと、これだけ言っておる。しかし、都合がいいときには、公職選挙法のときみたいに、審議会にかけないでかってに通しておる。昨年の暮れの国会を考えてごらんなさい。これなんかは、選挙制度審議会にかけない。選挙制度審議会の意思に反してこれはやっておるのだ。そういうこともあり得るでしょう。あり得るのですから、当然、私は、自治大臣の見識というものは、やはり一国の民主政治根本に関する選挙制度についてはっきりした見解というものがあるべきだし、また、これを貫くという、そういう方針がなければならない。ないとすれば、たよりなくてしょうがないわけです。この点はどう思いますか。
  62. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 自治大臣自治大臣として選挙制度の問題につきまして責任あることは、岩間委員の申されたとおりでございます。しかし、選挙制度そのものは、各党間のルールでもあるというふうなところから、広く識者の御意見を求め、選挙制度審議会等におきまして意見を聞くということは当然必要なことでございますし、そのために、特別の立法をしていただいて設けられておる審議会でございますから、この意見を尊重してそれの実現に当たることが私のつとめである、かように考えております。
  63. 岩間正男

    岩間正男君 選挙制度審議会、都合がいいときはその意見を伺う、都合が悪いときはこれを無視するというやり方をやってきましたが、これに対して、やはり自治大臣として、そういういろいろな世論を聞くことは、これはむろんのことでありますけれども、同時に、一つの確信というものが私は必要だと思うのです。この点について明快な御答弁を願っておきます。  具体的にお聞きしますけれども、いま問題になっているのは定数問題です。衆議院の定数問題も出ました。参議院定数問題、これはたいへん昨年の暮れに論議したところです。  もう一つは、政治資金規正法、この問題、これはもう選挙制度審議会答申がなされておる。何回もなされておる。そうでしょう。これについては、どうお考えになりますか。現実の政治とのいろいろな矛盾、そうして問題が起こってきておるわけです。ここに出された報告書を見ても、これは各新聞の世論がみなありますよ。全部、これは賛成していないですよ。中村さん、ごらんになったでしょう。これは、私は、みんなとってある。第一、これで賛成した者は一人もないのだ。どれでもこれはおかしいと、こういう政治の病膏肓に入っているわけなんです。現状は、こういう中で一体はっきりどうするのかということが問われておる。そうじゃないですか。  ですから、いまの二つの問題を取り上げてお聞きしましょう。きょうは一番口あけだからね、あんまりいろいろ触れようとは思っておりませんけれども、この二つに対するあなたの見解を伺っておきましよう。
  64. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) まず第一の参議院の地方区の定数の是正の問題でございますが、御承知のとおり、第六回の選挙制度審議会におきましてすでに答申がなされた問題であると、この点は岩間委員指摘のとおりでございますが、その後行なわれました国勢調査の実態をながめてみますと、答申どおりに行なうこと自身が定数是正という趣旨と必ずしも合致しないというところから見送られるというふうな姿になったのでなかろうかと、かように考えております。現在、参議院の問題につきましても、審議会におきまして根本的な検討をしていただいておりますので、この点と合わせて御検討賜わるようにお願いしておるような次第でございます。  第二点の、政治資金の問題につきましては、すでに横川委員、中尾委員にお答え申しましたように、政治並びに選挙を浄化するという国民の期待にこたえるためにも、政治資金規正法は改正をせなければならない問題であると私も考えております。ただ、問題は、さきにもお答え申し上げましたとおり、三回にわたって国会で議論されまして、なお成案を得ることができなかったというふうな経緯等もございますので、これらの経緯等も十分に検討を加えた上、成立し得る成案を得るために最大の努力をいたしたいと、目下努力をいたしておるような状態でございます。
  65. 岩間正男

    岩間正男君 結局、二つの問題は、現状このままじゃいかぬと、こうお考えになっておることは、それは確認してようござんすね。どうでございますか。
  66. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) そのとおりでございます。
  67. 岩間正男

    岩間正男君 私は、きょうは、政治資金規正の問題についてひとつお聞きします。  具体的にこれはお聞きしたい。先ほどの報告ですが、第一にお聞きしますのは、国民協会への大口の献金の中で、たとえば二千万円以上の会社名、これをあげてください。
  68. 中村啓一

    説明員中村啓一君) 岩間先生からお話のありました件は、本日御配付を申し上げました資料の一五ページ、一六ページに掲記をいたしておりますが……。
  69. 岩間正男

    岩間正男君 これ、読み上げてください。そうするとよくわかる。
  70. 中村啓一

    説明員中村啓一君) はい。じゃ、五千万円以上、国民協会に……。
  71. 岩間正男

    岩間正男君 二千万円以上。
  72. 中村啓一

    説明員中村啓一君) 二千万円以上ですか。わかりました。  じゃ、読み上げます。セメント協会四千万円、生命保険協会三千二百五十万円、日本化学繊維協会五千万円、日立製作所三千万円、三菱電機二千万円、日本自動車工業会一億七千七百二十五万円、石油連盟五千万円、日本鉄鋼連盟二億円、信託協会三千万円、日本製薬団体連合会二千万円、日本鉱業協会二千万円、東京芝浦電機三千万円、電気事業連合会二億円、松下電気産業二千六百万円、日本産業機械工業会二千百七十万円、日本百貨店協会二千万円、以上でございます。
  73. 岩間正男

    岩間正男君 自治大臣にお聞きしますが、いま名前をあげられたですね、これをごらんになって、この実態について何かお考えになることはございませんか。非常に特徴的なものが出ていると思うのですが、これについてお考えになることはございませんか。
  74. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 各個別の会社でなくして、各業界の連合体という形で出されておるというふうな状態で、いま御指摘になりましたような二千万円をこえるような額になったのであろう、かように考えます。
  75. 岩間正男

    岩間正男君 それだけですか、ほかにございませんか。やはりこの辺もっと実態を——これはまあお忙しいことだと思いますけれども、しかし、ほんとうにこの公職選挙法、政治資金規正法というものは日本の民主政治の最も根幹だと思う。憲法に比べても劣らないほど重要な問題だとわれわれ考えております。ここが乱れたら土台が乱れて民主政治なんて話にならぬわけだから、とにかく汚職解散なんかでずっと国会の中で戦ってきた私個人から考えましても、がまんのできない問題がずっといまだに尾を引いて、尾を引いてというより、尾が太くなって拡大してこうなっているのです。そういう点からいえば、連合会の形のものが出ているというのですが、もう一つの問題は公害の問題ですね、これが顔を出しているのですよ。公害が昨年のとにかく夏から非常に大きな問題になっている。昨年の暮れにあのような公害国会まで開かれた。これはもう日取りをはっきり出してもらうとわかるのですが、そういう新しい形のものが一つ出てきている。それからもう一つは物価値上げの問題、そういうものにからまって、それまでも私鉄の場合なんかでしたら、物価値上げをしない、こういうことを約束までしたはずですよ、その直後に私鉄運賃が値上げされている。こういうものは関係ないのか。欠陥車の問題が出ました。欠陥車の問題は、たいへんこれは昨年国会でも論議された問題です。そうするというと、相当二億に近い、一億七千七百二十五万八千円というのが日本自動車工業会、こういうところから出されている。さらにまた二重価格の問題が昨年出ました。非常にこれも大きな問題になった。社会問題にまで発展したわけです。カラーテレビの二重価格の問題、こういうものがずっと顔を出してきているのですね。こういう特徴というものをよほどやはり分析して、これを明確にする必要がある。これは新聞各紙がこの性格については相当国民の前でやっている問題です。いまお聞きしますというと、連合体から出たということだけをあなた表明されたんだが、これじゃ、とても世論にこたえることにならぬと思うのですよ、御答弁は。どうですか。こういう一つの特色についてお認めになりますか、なりませんか。
  76. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 公害の問題、物価値上げの問題、欠陥車の問題、二重価格の問題を取り上げられまして、それらの問題に関係のある団体あるいは法人その他がこの寄付の中にあることは、私も認めます。しかし、そのこと、こういった問題は、国民協会へ出すことによって政界と癒着するという姿でなくして、問題は問題とし、この献金はすなおに政治献金として受け取るという姿であらねばならぬ、こう考えております。
  77. 岩間正男

    岩間正男君 これと関係があるということは、全くこれは因果関係になってますよ。国民はみんなそう言っているし、だれだってそう感じざるを得ないでしょう。ことに、どうですか、カラーテレビの二重価格の問題、これを一つ出したのでありますけれども、この中で、たとえば日立製作所、それから芝浦電機、松下電気産業、三菱電機、この家電関係ですね、これがそっくり顔を出しているんだ。昨年と比べてください。昨年はこういうようになっていなかったと思うのです。これはどうですか。昨年のを言ってください。日立は幾ら、日立の今年度の三千万円は昨年幾らですか、以下言ってください。芝浦電機、松下、三菱、これだけ、昨年のと比較して。
  78. 中村啓一

    説明員中村啓一君) 四十四年におきまして、国民協会寄付をいたしました家電関係はございません。
  79. 岩間正男

    岩間正男君 これはどうなんですか。なぜこんなに、三千万円でしょう、日立が。芝浦電機が三千万円、松下が二千六百万円、三菱が二千万円。いつごろこういうのが出ているか、この寄付の月日はいつごろだかわかりますか。これ合わせてみたらわかります。寄付した日取りはここでわかりますか。
  80. 中村啓一

    説明員中村啓一君) 四十五年におきまして、家電関係会社国民協会寄付をいたしましたのは、いずれも上期であります。したがって、四十五年一月から六月の間でございます。
  81. 岩間正男

    岩間正男君 この辺から問題になったんでしょう、カラーテレビがね。ものすごく問題になったのは忘れもしない、われわれは。だからそういう過去の業積との中で、これは対照していかなきゃならないのです。今年の特徴ですよ、最も大きな寄付の特徴だ。つまりこういうかっこうで、癒着がないとか何とか言ったって、国民が了承するだろうか。こんな疑惑を生んでおって、日本政治が民主政治もへちまもあるもんじゃないじゃないですか。私は、こういう点について、これは当然検討されるべきだと思いますが、自治大臣いかがですか。
  82. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) いまの家電の関係国民協会に対する寄付でございますが、私は、いま岩間さんが御指摘になられましたとおり、二重価格の問題が議論されておったということは事実でございますが、これらの献金がそれと関係のあるというふうな姿で行なわれてはならないことは当然でございますし、私は、そうなければならぬと、このように考えております。ここにあげて公表いたしておりますのも、そういった点におきましては政治資金規正法という姿で、国民の前でその点を明らかにしておるものでなかろうかと考えております。
  83. 岩間正男

    岩間正男君 私は、そういうことをお聞きしておるんではなくて、何か弁解ぎみますが、これはまずいんです。そういう政治資金ということについて、やっぱり公の立場をとって、こういうものをもう一ぺん調べてみる、資料としてこれが出ていく、こういう立場をおとりにならなければまずいと思うんです。そうでないと、与党自民党ほんとうにもう党利党略に基づく閣僚ということじゃ、われわれはもう相手にしたって話にならない。そこのところはそうでない立場で調べて、この結果、これはぜひこうあってほしいということにならなければならぬ。  それから、公害の関係ですが、電気事業連合会、これは二億円。電気はとにかく排気ガスの問題でたいへんな問題を起こしました。昨年の光化学スモッグの問題、そういうものが頂点になりまして、もう四日市でも、川崎でも、それから東京でも、さらにこれは尼崎、こういうところではものすごく問題になった。そういう中で、いままで政府の答弁を聞いてみますというと、非常にあいまいなんですね。昨年秋の公害国会の前に、財界からの圧力で、つまり公害罪法案をどうするかという問題が出たんですが、佐藤総理自身、これに対してどのように答弁しているかというと、「電力はほしい、しかし発電所は困る、どうもそういうのが至るところいま起きている。これを見るにつけましても、——自分のところだけには発電所はつくりたくない、どうもかってな言い分が出ているように思う。」、一月二十八日の衆議院予算委員会でこういう答弁をしているんですが、国民の声はこういうことじゃなかったんです。もうとにかくぜんそくで苦しむ。これは、私も四日市に参りました。川崎の実態を見ました。塩浜病院にも入ってみましたが、入ってみたらこういう答弁はできないはずです。当時の通産大臣なんか、十数年はとにかく電気は日本の産業の生命だ、これをどんどんやらなきゃならぬのだがということで、京都あたりにおける火力発電の問題なんかを攻撃した。そういう国会の答弁もわれわれは思い起こすわけです。そういう背景にこういう問題があるんじゃないですか。公害罪というのは、非常に骨抜きになってきておりますよ。この大資本の圧力というものがこういう形で、実際は単なる圧力でないんです。ここに一つのいわば金力を持った圧力というかっこうで出されてきておるという、こういうふうにごらんにならなきゃならぬのです。  それから、そのほかにも、ヘドロの日本化学繊維協会五千万円、これはヘドロと関係あるのであります。それから、日本自動車工業会はさっき申しました欠陥車。そういうふうに見ていきますと、これは私は非常に重大な問題をはらんでいると思うんです。なるほどもらった金は全体からいうと四億、五億ということになりましょう、届けたものだけですから。実際は、先ほどから問題になりました会費とか、賛助金とか何とかかんとか名目をのがれて、そういう形で出されて、実態は何倍あるのか、これは国民も知っているだろうと思いますが、こういう形で出されているんです。しかし、その結果失うものはどうか、国民の利益が失われる、第一に。とにかくこの公害で、全く大都市の——ことに太平洋ベルト地帯におけるところの患者、単に患者だけではない。実際はもう何千万市民がこれでもって健康がどんどんどんどん破壊されている、環境は全くひどいことになっている。きょうも、東京湾の江戸川下流における鳥類の非常に安息地がなくなったという問題が新聞に報道されております。もうとにかくたいへんなことになっている。植物を見るというと、夏にイチョウが落葉する、こういうかっこう。一体こういうものと引つかえになりますか。ちょっと四億や五億の政治献金をもらう、大資本がただ金を出すわけはない。ころんでもただでは起きないというのが大資本の性格なんです。だからこれを出すことによって何百倍の反対給付を受けている。これがいまの政治の実態ではないのかということを私はこの前の国会でも声を大にして論議してきたところです。そうすると、なるほど、これは自民党さんはそういう金をもらって、そういうものが培養基になって育てられた政党かもしれません。そして、そのようなほんとうに大資本の利益を代表しているかもしれません。しかし、その及ぼすところは、ほんとう全国民の健康を破壊するという重大な課題をこれは持っているんです。物価だってそうです。物価の問題だって、物価は安定しますと言わなければならなかった佐藤総理、ところが物価は安くならない。上に全くどんどんどんどんのぼってしまう、そういう形でしょう。そうして私鉄運賃を上げるという、私鉄は、御承知のように、三五%とか四〇%という値上げをする。これは国民のふところから何百億という、われわれの生活費から吸収することになるんです。ここを計算したことがありますか。このからくりを明確にしない限りは、私は、政治資金規正法の問題というものは、ほんとうにこれに真剣に取り組むということにならぬと考えるのです。この点、どうお考えになりますか。大企業との癒着の問題なんて、そんな簡単なことばで片づけられる問題ではない。その及ぼすところは何百倍の被害を国民に与えて、そして自民党はそういうような資金のもとに、これは大政党の政権を維持しているかもしれません。しかし、その結果は国民のために利益になるのかどうか。単に自民党とかなんとかいう問題ではない。それが一体将来においてどうかという重大な課題があるわけです。この答えと対決しなければ何の政治かと言いたいのですが、こういう点について、一番最初に私が政治姿勢をただしたのはそこなんです。その点をどうお考えになりますか、御見解を承っておきたい。
  84. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) いま公害の問題を取り上げられましたが、現在、私たちは、今日の公害を除去しなければならないということは国民あげての声でございますので、昨年の国会で、このために国際的にもすぐれたような公害法案を国会で議決していただいたわけでございますし、政府といたしましても、この法律に基づきまして鋭意公害除去のために努力いたしておることは、御承知のとおりでございます。いま通産大臣の御答弁を例にあげて述べられたのでございますが、おそらく通産大臣のお答えしたのも、公害はあってもしかたがないのだという意味の答弁でなくして、電気産業というものは、現在国民生活の根本にも触れる問題である、しかも、現代の技術をもってしては公害が皆無であるということは言えない、その調和点をどこへ見出すかという点において苦慮しておるという答弁であって、公害そのものとは真剣に取り組んでおるということじゃないかと思います。各地で行なわれております火力発電所等の問題に対しましても、各自治体ともにそういうふうな点を顧慮しながら、現代の技術においてでき得る限りの公害排除のための協定を各企業と行ないながら、火力発電等々においても取り組んでいただいておるような姿でございまして、この点は、現在の立法願いました公害の法案、その趣旨を体しての政府の姿勢といたしましても、万全を期していかなければならない、かように考えておる次第でございます。  いま、その電気会社政治献金をしておると、そんな額よりも国民に与えておる損害というものは、公害の損害というものはもう金ではあらわせないほどのばく大なものであるのだ、そんなことではいけないということでございましたが、この点、私は、この国民協会寄付された金額そのものが、そういったいま岩間委員指摘のような姿で使用されることは、もう当然いけないことでございます。私は、そういうふうな姿で出されたものでなく、これは政治資金として正当に使われるべきものであるという姿で寄付されなければならないし、またそうされたものであるというふうに考えておるものでございます。  ただ、政治資金のあり方というものにつきましては、会社、法人の姿でいくよりも、一方におきまして、金のかからない選挙を進める上において、またわが国の実情によってやむを得ないという姿で放置せず、一歩一歩本来の姿の個人資金のあり方に進めるというふうな行き方で前進させなければならないし、この点については、私も答申に示された案に努力しなければならない、かように考えておる次第でございます。
  85. 岩間正男

    岩間正男君 それでは、先ほどもお話ししましたけれども、いまの段階で、これがまあこの献金によって公害規制を緩和するとか、さらにいろいろな公害罪法案というものを骨抜きにするとか、そういうことをしたんじゃない、献金とそれからそういうふうな政策上のこととは関係ないと、こうおっしゃるのですけれども、少なくとも国民の疑惑は、これは非常に渦巻いておるのですね。これやめたらどうです。少なくとも疑惑のある金をもらっちゃいかぬと思うのです。そういう点から考えましたら、とにかくこれは明確になるまででもいいですから、とにかくそういうふうな献金はやめるのが当然じゃないですか。ところがますますこれは多くなっている。これはどういうことですか。
  86. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 国から補助金を受けておる会社、法人等につきまして、選挙に関して献金をしてはならないという規定が法律にありますように、行政と法人との結びつき、これがいかにあるべきかということは議論さるべき問題であると、かように考えますが、いま御指摘になられたような会社行政との関係というもので、直ちに政治資金を禁止するという点については、直ちにこれを実施するということについては私はまだ検討いたしておりません。
  87. 岩間正男

    岩間正男君 私は、理由をあげておるのですね。とにかく家電関係なんか献金がなかった、寄付がなかった、一昨年は。ところが昨年になりまして、この問題が頭をもたげてまいりますというと、こういうことになってくる。どうしたって因果関係考えざるを得ませんよ。三歳の童子だって因果関係はわかる。これが疑惑となってずっと広がっているのですね。この黒い疑惑に対してはっきりもとを正すのが私は政治家の任務だと思う。政党の任務だと思う。したがって、とりあえずそういう疑惑の中にあるものだけでもやめるというのは、これは当然だと思う。そういう形をとらなければいかぬ。ところが逆にどんどんふえている。そういう形です。だから問題は公害の問題が出る、それから鉄鋼の価格の問題が出る、それから家電の問題が出る、いろいろの問題が出てまいりますというと、ことしのように献金がかえってふえてくる。これは現代の体質というものじゃないか。もし、こういう財界との癒着ということが非常にぐあいが悪い、そうして、どうもそういうことを言われるのはぐあいが悪い、いわばこれは極言すれば培養基によって、財界が出している鼻薬みたいな培養基によって、政治献金によって日本の財政でも何でも国民の実際利益というものは食われています。極論すればそういうことになる。そこに本質がある。そうしたら、そうじゃないとおっしゃる。そうじゃないとおっしゃるなら、私は、長いこととは言わない、半年でけっこうです。自民党は財界との関係を断ってごらんなさい、どうなるか。これはほかの政党についても、度合いは違っても、言われるところは出てきます。一、二の政党については問題があるかもしれません。が、自民党は全くその最たるものです。私は、だからこれを断ってごらんなさい、一カ月でもいい。一カ月でもいいから政治献金やめてごらん左さい。そうすれば自民党というものは存在するのか疑問ですよ。ここが非常に私はいまの政治の根幹の問題ですね。そうして今日のこれは政治不信が起こっている根源だというふうに考えるのです。これをいままでわれわれたくさん議論してきました。そして与党議員のおしかりも受けました。おしかりを受けたけれども、やめてごらんなさい。そう言われるのが自分の本意でないんなら、やめてごらんなさい。財界とのくされ縁を切ってごらんなさい。そうすればはっきりする。やっていけるのかいけないのか、いけないとすれば全くそういうふうな献金によってまかなわれている政党というのは一体どういうことなんだ。ほんとうに国民の利益を先にするのか、国民の利益の前にやはり大資本、企業、大財閥の利益を優先するという性格が当然おのずからこれは出てくる。そうして国民の生命、安全の問題は第二、第三になっているといういまの政治の姿というものを明らかにしなければならぬという責任を感ずるわけです。どうなんですか。  まあ、とにかく自治大臣自民党の非常に重要なポストに長年おられた方ですが、どうなんですか、この点自治大臣としても御見解を承りたいと思います。
  88. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 御議論としては十分拝聴いたしましたが、直ちに私は岩間委員の御議論に対して同意いたしかねるものでございます。
  89. 岩間正男

    岩間正男君 まあこの問題一ぺんでは解決つかない問題と思いますが、十分に御思慮を願いたいし、政治的見解あるいは政治姿勢の問題として、当然自民党全体の姿勢が問われていることと思いますし、同時に、これは日本政界の全体の姿勢が問われていると思うのであります。それに対して、私は、はっきりと発言をしておるわけですから、これに対して御検討をいただいて、次回にでももっとはっきりした御見解をお聞きしたいと思います。また繊維の問題、医師会の問題、私鉄の問題、先ほどあげましたけれども、こういうようなものがいまの二千万円以上、ちょっとそういうものを見ただけでもこれだけの問題が出てくるわけです。私は、だから先ほどからお聞きしていまして、政治資金規正法は改正するとか何とかいっておるけれども、改正できないんですよ。出したくないんじゃないですか。これを出したら引っかかるんですよ。たとえば連合体の問題が出ましたが、この連合体というものは——一企業だけでは、やはり規制が強くてできない。連合体でいくと、規制というのは非常にゆるんでしまう。そうすると隠れみのになって、連合体という形で出してくる。それはあなたの答弁、中村部長の答弁にちゃんと含まれていますよ、そうでしょう。それが言えないから、こうやってことばでやっている。われわれちゃんとことばの裏を読んでいるんだ。そういう答弁ですよ。だから規正法を変えなければだめなんだ。どうなんです。規正法の一部分でありますけれども、こういう問題が山積みになってあるから、その問題にタッチする問題はタブーになっている。そしてこれをそういうものに少しでも入れて出してみるというと、三回とも、これは最後になると自民党内からこれに対してものすごいデモが起こった。そうでしょう。だからあの法案を流した。何回もわれわれは見ている。私は、とにかく黒い霧解散国会の当時関係した。そして当時は佐藤総理は何と言ったか。とにかく政界の粛正のためには今後あらゆる努力をします、自民党が幸いにしてまた多数を持てば、必ず次の総選挙後の国会におきまして政治資金規正法を出します、小骨一本も抜かないつもりであります、そういう答弁をした。ところが、何のことはない。それからすでに六年の日がたっている、時間を過ぎている。だから、だれも政治資金規正法というものをこれはほんとうに出させる、そういうつもりで質問しても、全く逃げことばで終わってきているんです。これでいいんですか。ここで総決算すべきでしょう。佐藤内閣退場も間近だろうから、その意味でもここで総決算すべきだと思うんですが、どうなんです。
  90. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) この問題、たびたび御答弁さしていただいておりますとおり、国民の政治選挙を浄化したいという期待にこたえるためにも、私、国会の従来の論議等も十分しんしゃくの上、また政党本位の選挙という点もあわせ考えながら、最大の努力をいたしたい。
  91. 岩間正男

    岩間正男君 最大の努力の結果は、この次の委員会に御報告いただけますか。
  92. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 次の委員会という意味の時期はわかりませんが、いましばらく時間をかしていただきたいと存じております。
  93. 岩間正男

    岩間正男君 私たち共産党は、黒い霧国会の中で、はっきりこの問題に対して一つの政策を出したわけであります。当時、私は国対委員長をやっておりまして、四党の野党連合の中でもこのことを主張してきたのでございます。とにかくこの会社とか団体からの献金はやめるということ、個人に限るべきだ、個人の額は四十万円を限度とすべきだ、それから寄付については、ガラス張りで、全面的にこれを公開すべきだ、さらに国会の中でこのようなものをはっきり監察する機関を設けるべきだ、そうして国民にこたえるべきだ、こういう方針を出しておるわけでありますね。そうして、そのためにわれわれも努力してまいったわけでありますが、とにかくいまのような政府のやり方でこれが全くはぐらかされて、国民の負託にこたえることができない。はなはだ残念に思っております。少なくともそれぐらいのことをこれはほんとうにやらなければならぬのじゃないか。とにかく金が要るんだという政治は——なるほどそういう面もありましょう。非常に宣伝も強化されてきている。しかし、それはどうなんです。党員の党費なり、公然たる活動による収入、これはそういうものによってまかなわれるのが本筋だと思う。献金によって九五%をまかなっているというそういう政党が、どうして一体この寄付団体そのものの圧力に屈せず、国民の利害を第二、第三にしないということができるのかと思うのです。そういう点から考えても、政治の公明、選挙の公明を期するためには、当然私はそのようなことを最小限度やるべきだと考えておるわけですがね。単にそれは共産党のお考えでございますのでお聞きしておきますという答弁じゃ話にならないと思うのですが、最後に、これは自治大臣の見解を承っておきたいと思います。
  94. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) たびたび御答弁いたしておりますとおり、政治資金の問題は、これは長年の問題でありますので、今日まで尽くされた論議等も十分考慮いたしまして、成立し得る成案を得るために最大の努力をいたします。
  95. 岩間正男

    岩間正男君 最後に委員、長からはっきりさせていただきたいと思いますが、この次の委員会までに、つまり最大の努力をするということですから、その努力の具体的な姿について、むろんこれはいろいろあるでしょうけれども選挙制度審議会に再諮問をする必要はもうないわけで、決意の問題ですが、その決意を具体的にまとめて御報告していただきたいと思います。これは当然委員長から要求しておいていただきたいと思います。
  96. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) いま岩間君から御要求がありましたから、それに沿うように自治省とお打ち合わせをいたしたいと思います。
  97. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 御要求の件は、私も承知いたしました。前にもそれによって答弁さしていただきましたし、提案の時期その他ございますので、具体的な努力の結果を示せという点につきましては、どういうふうな具体的な努力を示せと言われるかといべ点もございますが、そういった点も十分顧慮しながら最大の努力をしておるということでございますので、しばらく御猶予をたまわるということで、次の委員会のときに答弁さしていただきたいと思います。
  98. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 本件に対する本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十八分散会