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1971-07-24 第66回国会 参議院 公害対策特別委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十六年七月二十四日(土曜日) 午前十一時開会
—————————————
委員
の
異動
七月二十二日
辞任
補欠選任
加藤
進君
塚田
大願
君 七月二十三日
辞任
補欠選任
塚田
大願
君
加藤
進君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
加藤シヅエ
君 理 事
田口長治郎
君
寺本
広作君
杉原
一雄
君 内田
善利
君 委 員 赤間 文三君 菅野
儀作
君 棚辺 四郎君 原 文兵衛君
柳田桃太郎
君 占部 秀男君 工藤 良平君
小平
芳平君 栗林 卓司君
加藤
進君
国務大臣
国 務 大 臣
大石
武一
君
政府委員
環境政務次官
小澤
太郎
君
通商産業政務次
官
林田悠紀夫君
事務局側
常任委員会専門
員 中原 武夫君
説明員
環境庁企画調整
局長
船後 正道君
環境庁企画調整
局公害保健課長
山本 宜正君
環境庁水質保全
局長
岡安 誠君
水産庁次長
藤村 弘毅君
水産庁漁港部長
瀬尾 五一君
通商産業省公害
保安局長
久良知章悟
君
通商産業省化学
工業局窯業建材
課長
原野 律郎君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
理事選任
の件 ○
公害対策樹立
に関する
調査
(
公害対策樹立
に関する件) ○
継続調査要求
に関する件 ○
委員派遣承認要求
に関する件
—————————————
加藤シヅエ
1
○
委員長
(
加藤シヅエ
君) ただいまから
公害対策特別委員会
を開会いたします。 この際、御報告いたします。 去る二十日の
委員会
において指名を保留いたしました二名の
理事
のうち、一名につきましては、本日、
委員長
において
寺本広作
君を指名いたしましたので御了承願いたいと思います。
—————————————
加藤シヅエ
2
○
委員長
(
加藤シヅエ
君) 次に、
委員
の
異動
について御報告いたします。 去る二十二日、
加藤進
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
塚田大願
君が選任されました。 また昨二十三日、
塚田大願
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
加藤進
君が選任されました。
—————————————
加藤シヅエ
3
○
委員長
(
加藤シヅエ
君)
大石環境庁長官
より
発言
を求められておりますので、これを許します。
大石環境庁長官
。
大石武一
4
○
国務大臣
(
大石武一
君) ご
あいさつ
を申し上げます。 第六十六回
国会
における
参議院公害対策特別委員会
における審議に先立ち、就任のご
あいさつ
を申し上げますとともに、
環境行政
に関し
所信
の
一端
を申し述べたいと存じます。
わが国経済
の急速な拡大と
都市化
の
進行
の過程で生じつつある
公害
と自然の
破壊
が、今日ほど
国民
の注視の的となっているときはありません。このことは、
ひとりわが国
のみならず、
世界各国
においても同様でありまして、
国際連合
をはじめとする各種の
国際機関
におきましても、
環境
問題を全
地球的見地
から取り上げ対処していこうとしているのであります。まさにそのような時期に、
皆さま方
の御尽力により
環境庁
が
設置
され、
環境行政
が新しい段階を迎えることとなりましたことをまず御報告できますことは、私の深く喜びとするところであります。 新
環境庁
の前途には、早急に取り組むべき
課題
が山積しておりますが、私は、当面、次の事項に重点を置き、
行政運営
を進めてまいる
所存
であります。 その第一は、
公害行政
の
一元化
であります。ここ数年来、
公害行政
は急速な進展を示してきたのでありますが、従来、ややもすれば、
責任
の所在が不明確となり、その
実施面
でも
統一性
を欠き、不徹底となる面があったことはいなめないところであります。今回
環境庁
の
設置
により、
公害行政
が
一元化
され、従来にも増して強力な
公害行政
を展開する
基礎
ができたわけでありまして、私といたしましても、早急にその実をあげ、
国民
の
期待
にこたえてまいる覚悟であります。 また、下水道、
廃棄物処理施設
その他の
公害防止施設
の
整備等関係
各
省庁
の所管として残されている
行政
につきましても、
環境庁
は、
予算面
の
調整
をも含む強力な
総合調整
の
権限
を持っているのでありまして、各
省庁一体
となって総合的な
公害行政
を
実施
し得るよう、この
調整権限
を活用してまいる
所存
であります。 第二に、
環境保全
の
見地
からは、
自然環境
を
保護
し、その
整備
をはかることが重要な
課題
であります。美しい国土、豊かな
自然環境
を確保し、これを長く子孫に伝えていくことは、われわれの重要な責務であると
考え
ます。従来、
自然公園
や林野については、各般の
施策
が進められてきたわけでありますが、
自然環境
全体を対象とした
総合行政
は、これまで確立されていなかったのであります。
環境庁
におきましては、
環境行政
を総合的に進めるという
見地
から、
自然環境
を全体としてとらえ、その
保護
及び
整備
をはかるための
基本施策
をすみやかに樹立し、豊かで快適な
生活環境
をつくり出すべくつとめるとともに、
国民
の
自然保護思想
の普及をはかってまいりたいと
考え
ます。また、従来の
自然公園行政
や
鳥獣保護行政
につきましては、
環境保全
の
総合的見地
から、これまでにもまして拡充強化してまいる
所存
であります。 第三に、
環境保全
に関する
長期ビジョン
についてであります。われわれを取り巻く
環境
は、一たびこれが
破壊
されると再びこれをもとの姿に戻すことはきわめて困難であって、
公害
や
自然破壊
が生じてからこれに対処するのでは、すでにおそ過ぎるのであります。 したがって、今後の
環境行政
の
実施
にあたっては、
公害
や
自然破壊
の
事後的解決
に終わることなく、これらを未然に予防すべく迅速かつ適切な
措置
を講ずることが必要であると
考え
ます。このため、その指針となるべき将来の
日本列島
の
環境
をいかに
改善
すべきかという
環境面
からみた
長期ビジョン
を検討してまいる
所存
であります。 第四に、
公害関係法
の
施行
であります。
公害対策
のための法制につきましては、
皆さま方
の御
協力
により、先般来の
国会
で体系的な
整備
をみたところでありますが、私といたしましては、
地方公共団体
との緊密な連携のもとに、その適切かつ円滑な
施行
に
全力
を注いでまいる
所存
であります。また、
公害
に係る
事業者
の
民事責任
につきましては、
無過失責任制度
の
立法化
を検討しているところでありまして、次の
通常国会
には
法案
を提出いたす
考え
であります。 第五に、不幸にして
公害
の
被害
を受けられた方方の
救済
には、万全の
措置
を講じてまいりたいと
考え
ます。現在、
公害病認定患者
に対しましては、
医療費
のほか、
医療手当
、
介護手当
の支給が行なわれており、その
内容
も逐次
改善
されてきたところでありますが、今後ともこれら
施策
の
改善
につとめてまいる
所存
であります。 第六に、
公害
に対する
研究体制等
の
整備
であります。
公害
に関する
研究
を進め、
情報
の
集約化
をはかることは、
科学的行政
たる
環境行政
の
基礎
であると
考え
ます。
環境庁
におきましては、
国立公害研究所
、
公害研修所
の
設置
を急ぐとともに、他
省庁
の
試験研究機能
についても、必要に応じその
総合調整
を行ない、
公害
に対する効果的な
研究体制
の
整備
をはかってまいる
所存
であります。 また、当面、各方面から
対策
を迫られております
光化学スモッグ
、PCB、
重金属汚染等
については、その
発生機序
、人体に与える
影響等
について未解明の分野もあり、引き続きその
調査研究
を進め、早急に
効果的対策
を確立してまいる
所存
であります。 第七に、
国際協力
の
推進
であります。
環境
問題は、今や
国際的視野
から取り組むべき
課題
となっていることに留意し、
世界各国
や
国際機関
との
情報交換
、
技術協力
の
充実
につとめるなど
国際協力
の
推進
をはかってまいりたいと
考え
ます。 以上、
所信
の
一端
を申し述べましたが、これら諸
課題
を達成するためには、
予算面
におきましても、また
制度面
におきましても、
環境行政
の一そうの
充実
をはかる必要があると
考え
ます。 私は、健康で文化的な
国民生活
を確保するという
見地
に立ち、
環境行政
の
基礎
を築くため、
全力
を傾けてまいる
所存
であります。
皆さま方
の格段の御
協力
をお願いする次第であります。
加藤シヅエ
5
○
委員長
(
加藤シヅエ
君)
速記
をとめて。 〔
速記中止
〕
加藤シヅエ
6
○
委員長
(
加藤シヅエ
君)
速記
を起こして。 次に、
小澤環境政務次官
。
小澤太郎
7
○
政府委員
(
小澤太郎
君) 今回
環境政務次官
に就任いたしました
小澤太郎
でございます。 今後よろしく御指導、御
協力
を賜わりますようにお願い申し上げます。
—————————————
加藤シヅエ
8
○
委員長
(
加藤シヅエ
君)
公害対策樹立
に関する
調査
を議題とし、
質疑
を行ないます。
質疑
のある方は、順次御
発言
を願います。
杉原一雄
9
○
杉原一雄
君 きょうの
委員会
は、
環境庁長官
をお迎えしての
最初
の
委員会
でございまして、従来、
公害
問題で
国会
の中で
与野党一体
になってその
対策
を樹立した一人として、非常にきょうの日を迎えたことをうれしく思います。 十二月の
臨時国会
、 いわゆる
公害国会
において、われわれは
環境保全省
の
設置
を要望してまいりました。しかし結果的には、現
政府
は
環境庁
の
設置
ということで最終的な
決定
を見、七月一日から専任の
国務大臣
を置いて、
公害行政
の
一元化
のために今後御努力なさる
体制
ができたことを、次善の策とはいいながら非常にうれしく思います。いま
大臣
から
あいさつ
がございまして、その
あいさつ
の中身につきましてはいささか抽象的な感もありますけれども、
決意
のほどを伺いまして、非常にうれしく思うところでございます。 きょうは、私は、六月三十日、三年数カ月にわたる長い長い
イタイイタイ病
の
公判
の
判決
、その後の動き、また
判決
に対する
考え
方、そうした
問題等
をめぐっていろいろお伺いをしたいと、こう実は思うのであります。 実は、私は、三十日、三日間にわたってテントを張りながら
傍聴券
を獲得するために努力してくれた同志の手で獲得していただいた
傍聴券
第八号の券を手にして
傍聴
さしていただきました。私も、歴史的な
裁判
に大きな
期待
と不安をもって実は臨んだわけでございます。幸い、公明党の
小平委員
もそのときは御
出席
をいただいておりましたので、後ほど相関連しながら
質問
があることを
期待
しているわけでありますが、三十日の十時十四分であったかと思いますが、われれの
立場
から言うならば、全面的に
原告側
の勝利に期する歴史的な
判決
が下ったのであります。その限りにおいては、私
たち
は、長年戦ってきた者として実はほっとしているところであります。ただ、
裁判
の流れの中から察知できることは、
裁判提起
が四十三年の三月、しかも、その
あと
四十三年の五月八日に、
厚生省
から、いわゆる「
富山
県における
イタイイタイ病
に関する
厚生省
の
見解
」というのが表明され、引き続いて
通商産業省
もそれに相呼応するような
見解
を表明されたわけです。これはこの三年間の長い戦いの中で
原告側
に大きな勇気を与え、なおかつその
見解
に従って
公害病患者
の
認定
あるいは
医療費
の
助成等
があったりして、その問題に悩む
患者
並びに家族、また遺家族の
皆さんたち
も、また
裁判闘争
をする側の者も非常に勇気づけられて今日まできたことについては、率直に私は認め、かつ感謝をしたい。 その
意味
で、いま非常にうかつな
質問
になると思いますが、
昭和
四十三年五月八日、
厚生省並び
に通産省と言いたいのでありますが、きょうは
通産関係
の方が出ておらないと思いますから、統一して
環境庁
の
立場
から、当時の
見解
に誤りがなかったか、この
見解
を修正し、今後どう変えようというような意図が一点もないのか、私
たち
が信頼をかけたように、今後ともこの路線に従って
行政
が進められるものと信じていいかどうか、このことを
長官
から明確にお答えいただきたいと思うのであります。
大石武一
10
○
国務大臣
(
大石武一
君)
昭和
四十三年度の
厚生省
の
見解
は、われわれも、そのままそっくり受け継いでおりまして、その
見解
を今後とも支持してまいる
決意
でございます。
杉原一雄
11
○
杉原一雄
君 そうしますと、くどくどと申し上げる必要はないわけですけれども、
見解
の中では、「現在までの経緯について」という章とあわせかねて、その
発生
の
原因
が五点にわかれて明確に分析があるわけですが、その中で、特に第一点の「
イタイイタイ病
の本態は、
カドミウム
の
慢性中毒
によりまず
賢臓障害
を生じ、次いで
骨軟化症
をきたし、これに妊娠、授乳、内分泌の変調、老化および栄養としての
カルシウム等
の不足などが誘因となって
イタイイタイ病
という疾患を形成したものである。」、これは
原告
の
小松みよ
さんなどの闘病の
生活記録
を見ればきわめて明瞭です。 二点として、「
対照地域
として
調査
した他の水系及びその
流域
では
カドミウム
による
環境汚染
や本病の
発生
は認められず、本病の
発生
は
神通川流域
の上記の
地域
にのみ限られている。」、でありますから、
一級河川神通川
には
井田川
、
熊野川
などが注いでおりますけれども、
井田川
、
熊野川
という
流域
にはその
患者
の
発生
がありませんということを、これは地理的にも立証されることでありますし、この
見解
も正しいと思います。 第三点の「
慢性中毒
の
原因物質
として、
患者発生地域
を汚染している
カドミウム
については、
対照河川
の河水およびその
流域
の
水田土壌
中に存在する
カドミウム
の濃度と大差のない程度とみられる
自然界
に由来するもののほかは、
神通川上流
の
三井金属鉱業株式会社神岡鉱業所
の
事業活動
に伴って排出されたもの以外にはみあたらない。」、明快にここでその
見解
を表明いたしているわけです。 このほかあるわけですけれども、こうした主として私いま三点あげたのでありますが、その
原因
と結果との
関係
、
発生源者
の
認定
、ゆるぎなきこの確信、この
見解
、私は、これを
基礎
にしてこれから議論をしたい、こう思っているわけであります。 その後でございますが、ちょうど
公判
があった翌日、七月一日でございますけれども、私は、
原告
の人、いわゆる
被害者
、それから
弁護団
の
事務局長島林弁護士等
とともに同行いたしまして、実は
三井金属本社
を訪れ、
最初
は副
社長
を中心とした
常務取締役連中
を向こうに回してのいろいろな要請をいたしてまいりました。後ほど
尾本社長
も
出席
してまいりました。 この交渉の焦点は、ここでそんなことを申し上げるのもどうかと思いますが、とにかく
判決
は下ったのである、とりわけ
公害
という悲痛なこうした問題に対するやはり
裁判
の
判決
の受けとめ方の問題につきましても、
会社側
は道義的にももっときびしい態度で臨んでもらいたい、だから、
名古屋高裁金沢支部
に対する
控訴
をなさったそうであるけれども、すみやかにこれを取り下げてもらいたい。第二点として、
被害者
の
原告
の
皆さん
にあやまっていただきたい。こういうきわめて常識的な
要求
をしたのでありますが、
社長
は、第一点の
控訴
は取り下げません、また第二点の
謝罪
はいたしません、なぜかならば、
裁判
は誤った
認識
の上に立ったものである、だからその誤った
認識——
それを最高裁とは言わなかったのでありますが、
高裁等
で明らかにしていきたいと思うので、それが明らかになった
時点
で、白か黒か明確になった
時点
で、私は、黒ということになれば
謝罪
をいたしましょうと、こういう実に淡々たるというよりも、私
たち
の目から見れば憎らしいようなつらがまえで
答弁
をしておられたのを忘れることはできません。 青年のこの、
マルクス資本論
を読んで私の
政治
の方向がきまったのでありますが、
資本論
が指摘したことが現実的に具体的な姿となってあらわれてきたような感じがいたしました。 で、それだけではございません。こういう事実があるわけです。これも明らかにしておかないといけませんから、
新聞社
の名前も出します。七月の八日に
北日本新聞深山編集局長
が
三井金属鉱業本社
において
尾本信平社長
と会っているわけです。そのことが
——全面速記
ではないでしょうが、
概要速記
の形で、
写真入り
で
北日本新聞
が七月九日にこれを明らかにいたしました。この中でいろいろ
問題点
がありますけれども、やはり
尾本
が指摘していることは、先ほど私が申した七月一日の私
たち
に対する回答とその主張は一貫しております。「一
審判決
では納得できない。」、「まさに
裁判
官の主観だ。これは
三井金属
だけの問題でなく、社会全体に混乱を起こさないためにも必要だと思う。
控訴取り下げ
はかえってよくないのではないか」、つまり
控訴
を取り下げない理由をこのように申し述べているわけです。なおかつ、この中でこういうことを言っていることを、これは
長官
として十分お聞き取りをいただきたいのであります。「
道義的責任
というのはどういう
意味
か、よくわからない。」、これはわれわれが追及しているところですが、「
カドミウム
が
イ病
を起こしたことでの
道義的責任追及
なら、私
たち
はそう
考え
ていないので……。」、この
あと
切れていますが、「
世間
を騒がせたことが
道義的責任
なら、それだったら
騒ぎ
を起こしたのはむしろ四十三年に
見解
を出した
厚生省
が負うべきだ。
因果関係
が明白にならない以上、
株式会社
としては株主に対しても私が勝手に答えようがない。」、こう言っているわけであります。このところをもう一度繰り返しますが、「
世間
を騒がせたことが
道義的責任
なら、それだったら
騒ぎ
を起こしたのはむしろ四十三年に
見解
を出した
厚生省
が負うべきだ。」、この項であります。この点について
大臣
はどうお
考え
になるか。 重ねて、これと相類似した検討が別にあるところで行なわれております。それは二十日の
経団連環境改善委員会
(
委員長
は
堀越禎三経団連
副会長)が
環境改善委員会
を開き、「
イタイイタイ病裁判
で
三井金属鉱業
が敗訴した問題を検討した。約六十人の
財界人
が
出席
、
富山地裁
の
判決
に強い不満が続出、「この
判決
が前例となることは重大な問題なので、
公害裁判対策
を
研究
する」ということで」一致した
意見
が全体で四つあがっております。 一つは、「
鉱山監督行政
が行なわれているのに、企業だけに無
過失賠償責任
を負わすのは疑問がある」、これが第一点であります。
イ病原告側
の訴状の中で、やはり
根拠法規
は
鉱業法
百九条でございますので、これはあくまで無
過失賠償責任
ということが非常に大切な骨組みになっておるわけです。この問題は、
あと
で無
過失賠償責任
に関する
法案
の準備ないし提出の時期等についてお伺いいたしますけれども、このことがまず第一点、
経団連
の諸君は大きく問題にしている。このまま正直に承っていけば、
鉱業法そのもの
を改正しようという運動に
継続発展
をする
可能性
を持っている。 二番目には、「
刑事事件
でも
時効
があるのだから、
公害事件
にも
時効
を設けるべきで、何十年も昔の
責任
を問われるのはおかしい」、
イタイイタイ病
の問題を検討しながら何十年ということばを使っているんですから、確かに
イ病
は長い長いキャリアを持っております。三十年なり四十年たたないと、今日のような骨がぼきぼき折れるような症状にはなりません。しかし、だからといって、これは
時効
の問題とからませて論ずべきものかどうか、ここに大きなまた問題が一つひそんでいる。 第三点として、「
因果関係
の推定が行なわれているが、
イタイイタイ病
は医学的、科学的に十分究明されておらず、
因果関係
と十分な
科学的根拠
があるか疑問である」、これは
岡村裁判長
の
判決文
をお読みいただければよくわかるのであります。 四番目に、これはまた先ほど申したことに戻ります。「
厚生省
が
公害病
に関する
見解
を発表するのは
被害者
の
救済
を急ぐ必要からだが、この
厚生省見解
が
裁判
での重要な資料になるのならば疑問がある。」と書いてあります。私は、この
公害裁判
の三年何カ月の
裁判
の中で、時間がありませんで、
傍聴
に行ったのは
判決
の日と
裁判
の途中で一ぺん
傍聴
いたしました。ところが幸か不幸か、一ぺん
傍聴
したときの
被告弁護団
の
発言
の中で非常に重大な
発言
をしているわけです。それは、
原告
の
皆さん
は
昭和
四十三年五月八日の
厚生省
の
見解
を鬼の首を取ったように喜んでいるけれども、あんなものは何だ、こういう言い方を
弁護士
がしております。今度
弁護士
は総入れかえになりましたので、個人的な
発言
の
内容
を追及する必要はないと思いますが、これは
三井本社
の
社長
の
思想
でもあり、
被告側
の一貫した
思想
であると思います。そうしますと、ここで
環境庁長官
に
勇断
をふるって、先ほどおっしゃった
見解
に対して間違いないという、私は四十三年の
見解
を継承するんだということをおっしゃったわけですから、そのことを踏まえながら再確認をしていただく、こうした
発言等
について
見解
の相違ということで流すことができるかどうか。このことについてお尋ねすることはたいへん無理かもしれませんが、きょう、実は私ここに
尾本社長
の
出席
を
要求
したのであります。不幸にして
自民党
の
理事
がきょうようやく
寺本理事
が一人だけきまりました。まだ一人きまりません。そうしたような
委員会
の
運営上支障
の起こるような今日の事情の中で、ついに私の
参考人
をお呼びするという目的は達せられませんでした。
寺本理事
の
説明
によりますと、
目下裁判係争
中である、
係争
の
原告
、
被告当事者
を
国会
に
参考人
として呼ぶことは妥当でない、こうおっしゃるわけであります。私は、そうした
慣例等
もあるのかないのか、
国会
に入って日が浅いもので自分はわかりませんから、きょうは、とりあえず
参考人
の
出席
できなかったことを留保いたします。今後、機会を見て、
参考人
として
尾本社長
に
出席
をねばり強く
要求
していきたいと思います。 私は、ここで、いま
名古屋高裁金沢支部
へ
控訴
され、審理され、なかんずく第二次以後の四百数十名の訴訟が十七日から審理に入っております。第一審であります。こうした状況に現在あるわけですから、そういう中で、いま
自民党
を代表される
意見
として、ここへ呼び出すことは妥当ではないとおっしゃる
意味
は、私は、一面、三権分立の
立場
から理解できますけれども、しかし、私は、ここで
名古屋高裁
の
金沢支部
のような問題をこの場へ移してやるというような気持ちは持っておりません。私の言っているのは、先ほど申し上げました
厚生省見解
に対してまっこうから否定をしているような
会社
の
発言
、
被告
の
発言
に、私は、
行政
的な
政治
的な
関係
から
考え
て、きわめて重大であるという判断に立ったから
社長
の
出席
を
要求
したわけであります。しかし、
事志
と違って実際実行に移されませんでしたから、いま、
長官
として、いま申し上げた
問題点——
たくさんしゃべったからぼけますかもしれませんが、特に
見解
に対する
見解
、その
見解
に対するまたあなたの
見解
、こういうことでお伺いしたい。
経団連
の
堀越委員長
のあの四つの
決定
をめぐって、なかんずく
厚生省
の
見解
に対するきびしい
批判等
も含めて、ひとつ
決意
をもって
勇断
をもって明確な御
答弁
をいただきたいと思います。そのことは、私は、いま
進行
中の
裁判
を妨げたり介入する、司法に介入するものとは
考え
ません。
政治次元
の問題としてきわめて重大な問題でありますから、
環境庁長官
の懇切な
決意
を込めた御
答弁
を
要求
いたします。
大石武一
12
○
国務大臣
(
大石武一
君)
経団連
の
見解
並びに
三井金属
の
社長
の
見解
というものをただいま承ったわけでございますが、私どもは、先ほど申し上げましたように、
昭和
四十三年に発表された
厚生省
の
見解
というものをそのまま引き継ぎまして、それを一番妥当なものと
考え
まして、そのとおり進んでまいる
考え
でございます。したがいまして、とのような——それはもちろんいろいろな事態にはいろいろな見方がございますから、いろいろな判断もあるでしょうけれども、わが
環境庁
のものの
考え
方は、ただいま申し上げましたとおりでございます。
杉原一雄
13
○
杉原一雄
君 視野を変えますけれども、きょうのある新聞の大きなニュースの一つに「汚染広げる下水処理、都の施設、東大
調査
」、きのうのことですが、東大工学部衛生工学教室が東京湾への投棄汚泥について重金属がきわめて多い、鉛は二百七十トン、水銀は六百キロ、こういうショッキングな
調査
発表が実はありました。しかし、このことは、私、まだ確認する段階ではございませんけれども、こうした状況を受けて、汚水の処理を担当しております西脇晋一郎都・下水道
局長
の談話は、きわめて短いですから全部申し上げますが、「工場から排出されている重金属を、水、土、大気へと、ただふりわけているだけではないかといわれれば、まさにその通りで情けないと思う。これは、都内の工場が違反をしている歴然とした証拠だ。」、ここは非常に大事だと思います。「現行法では、これ以上どうしようもない。いいチエがあれば借りたいぐらいだ。」、こういう都の下水道
局長
の話。東京湾を汚染しているカドミあるいはクロム、それから水銀、これは記事の
内容
等で見ますと、やがてこれは東京湾から外洋にまで広がるおそれ、危険が大である、こういう推定が行なわれているわけであります。でありますから、その西脇下水道
局長
の悩みに答えるような、簡単でよいのですが、お答えをいただきたい。 と申し上げますのは、なかなか
発生
源がわかっておっても、
行政
面で十分それをキャッチして問題解決を進めていくことは困難であることを下水道
局長
が告白していると思います。こうしたことについて、国の
行政
担当の
責任
者としてやはりこれは黙視できないことではないでしょうか。だから国家として、
環境庁
として打つべき手は何か、そうしたこと等について私にも答えていただきたいし、都民にも答えていただきたいし、下水道
局長
にも
環境庁長官
から、心配したもうな、国家でそのようなめんどうをみますから安心したまえというような示唆等をこの
委員会
を通じて出していただければ、私は非常に幸いだと思いますが、いかがでございましょうか。
岡安誠
14
○
説明員
(岡安誠君) いまお話の点は、下水道の処理に伴いまして
発生
します汚泥等につきまして、有害な重金属その他が含まれている場合の処理のお話かと
考え
ますが、
環境庁
といたしましては、そのような汚泥の処理とあわせまして、廃棄物の処理等につきましても処理の基準をつくるということで、現在作業をいたしておるわけでございます。それもそういうような汚物の処理に伴いまして、さらに周囲の
環境
が汚染をされるということは絶対防止しなければならないというふうに
考え
ておりますので、いまお話のような処理の方法等も含めまして、私どもは、基準をつくり、またさらに指導をいたしたい、かように
考え
ておる次第でございます。
杉原一雄
15
○
杉原一雄
君 これは二十一日であったと思いますが、衆議院のたぶん予算
委員会
だと思いますけれども、社会党の細谷政審の事務
局長
の
質問
があって、
大石環境庁長官
がこれに
答弁
しているわけですが、細谷氏は
イタイイタイ病
について
質問
をしておりますね。「
富山
裁判
は
公害
史上画期的なものだが、
被告
は
控訴
している。どう思うか。」、
長官
は「この
判決
は胸のつかえがとれたような気がした。この病気の
原因
、結果についての見方は
環境庁
も
厚生省
と同じだ。」、こう言っておられるわけですが、これは先ほどの
答弁
で足りるわけですね。その
あと
のことですよ。いま申し上げたような下水道
局長
も困っているのは、やはり企業の
責任
の問題なんです。たれ流しの問題なんです。それで、それを受けて下水道
局長
が、陸海空に巻き散らしているという今日の実情を率直に認めておるんですから、抜本的解決ができないということを非常に良心的に苦しんでおるわけです。そこで、
長官
の
答弁
の中で、その
あと
が大事ですが、「企業
責任
を明確にし、無
過失賠償責任
制度をつくりたい。」とおっしゃられているわけですが、これは問違いないですね。そうしますと、無
過失賠償責任
制度というのは、それぞれの立法の中にその精神を入れるということなのか、単独立法としてわれわれが主張してきたその線の
法案
を、無
過失賠償責任
の
法案
を単独立法としてお
考え
になっておるのか、その辺のところを、また細谷氏に答えたのは新聞記事で間違いないと思いますが、確認しておりませんから、誤っておったら訂正してください。どうでしょう。
大石武一
16
○
国務大臣
(
大石武一
君) われわれも、この
イタイイタイ病裁判
に関連いたしまして、やはり勇気をもって、この際、無
過失賠償責任
の制度を確立いたしたい、創設いたしたい、こう
考え
ておるのでございます。その法律の提出につきましては、昨年提出しようとして客観的な経過から提出できませんでしたが、そのとき
考え
た
責任
制度の法律的な形は、水質汚濁防止法、大気汚染防止法の二つの法律の一部改正によってその目的を達成しようとしたのでございます。率直に申しまして、私どもは、この次の
通常国会
にこの制度の
法案
を提出する
考え
でおりますが、いまの段階では、やはり同じように二つの法律の一部改正によってその実績を得たいと
考え
ておる次第でございます。形から言えば一本の形もございますし、そのほうがかっこういいように見えますけれども、いろいろなむずかしい問題がございます。ことにこの無
過失賠償責任
制度は、何と申しましても、これは民事訴訟の一つの例外でございますので、非常に一つの
法案
に盛り上げるとむずかしいという技術的な話もございます。そういう点で、私としましては、とりあえずとにかくこの制度をまず打ち立てること、そしてそれが
患者
の
救済
のために、同時にまた企業に対して一つの戒めとして、
公害
を起こさせないという方針を持たせるために、その二つの面から効果をあげたいと願いますので、効果のあるような
内容
にして、法律の形態はいずれにせよ、まずこの制度をつくることが必要であると
考え
まして、いまの段階では、大体二つの法律の改正になるような方向に進んでおるのでございます。
杉原一雄
17
○
杉原一雄
君 その
考え
方、方向はそれで了といたしますが、やはりそこで引っかかってくるのは、
経団連
の
堀越委員長
が、まとまった
意見
の中で、第一項の鉱山督監
行政
が行なわれているのに、企業だけに無
過失賠償責任
を負わせるのは疑問であると——反対であるとは言っておりませんが、でありますから、神岡鉱業所にしたところで、それぞれ鉱山督監
行政
の中で必要な施設なり、いろいろなものをやって許可をされて仕事が始まっているわけですから、だから許可をし、その操業開始を認めたのは通産省の何々局ですわね。そういうところにも
責任
があるという言い方をしているのだろうと思いますけれども、しかし、これをふえん拡大すると、
鉱業法
等の百九条ですか、そうしたものの中にある無
過失賠償責任
の
考え
方、そういうものを削れと、やめちまえということに発展するおそれも——発展というのは、提起されるおそれもあると思います。いま
長官
がおっしゃったように、基本的に無
過失賠償責任
制度を確立していくんだと、こういう観点から各諸
法案
を十分検討してみて、単独でいくか、各
法案
にそのことをぶち込んでいくか、まあいろいろ技術上の問題は、これは専門の
皆さん
におまかせするわけですが、基本的には、あくまで
考え
方として無
過失賠償責任
制度を今後近い機会に、特に
通常国会
をお指しになっていると思いますが、
国会
にはこの制度を明らかにしていくという
所信
の表明だと思いますが、そのように受け取っていいわけでしょうね、いかがですか。
大石武一
18
○
国務大臣
(
大石武一
君) 私の
考え
方を正しく御理解賜わりまして非常にうれしく思います。おっしゃるとおり、次の
通常国会
には何としても提案をしまして、成立をいたさせたい
決意
でございます。
工藤良平
19
○工藤良平君 私は、大分県の臼杵市の風成という一漁村で
発生
をいたしました大阪セメント誘致の問題をめぐりましての大分地裁における
判決
が一応出ましたので、これらの問題について若干お聞きをいたしたいと思うわけです。
最初
に、農林省のほうにお伺いいたしますが、この問題が提起をされました際に、水産庁といたしましては、一体、どの程度のこの問題に対する
行政
的な指導というものを行なわれてきたのか、まずその点についてお伺いをいたしたいと思います。
瀬尾五一
20
○
説明員
(瀬尾五一君) この地区の埋め立てにつきましては、
昭和
四十五年ごろからいろいろお話があったわけでございますが、非常に
公害
の
問題等
いろいろなことがございまして、私どもといたしましては、県当局に対しまして、大阪セメント工場がそこに埋め立てを行なってセメントの諸般の作業をするわけでございますが、そういうことにつきまして十分地元の了解等をとって円満に作業ができるようにということ、またこの埋め立て地は漁港区域内にございますので、漁船の利用上あるいは漁港の保全上支障があるかないかということも十分
調査
をいたしまして、この問題を知事の埋め立ての免許に対しまして認可を与えたわけでございますが、この認可を与えるまでの期間はかなり長うございまして、知事が免許を出すまでにかなりの審査検討も行ないまして、また、知事のほうから認可がほしいということが水産庁に出されてからも、約二カ月あまりも検討いたしまして、県の意向等も尋ねて、まあこれで大体反対者の納得も努力をして得られるというような段階におきまして、昨年の十二月、認可をいたしたような次第でございます。
工藤良平
21
○工藤良平君 県から水産庁のほうにこの申請がなされたときに、すでにこの
公判
というものは行なわれていたと思うわけでありますが、その際に、特に問題になりました臼杵市の漁協を相手といたしました漁業権確認の請求と、それから大分県を相手といたしました工場予定地の公有水面埋め立て免許取り消し請求、したがってその免許執行停止の仮処分の申請と、こうなっているわけでありますけれども、すでにそのことが具体的に
公判
廷でも争われている、その状況を踏まえて、農林省としては認可を与えた、こういうことになると思うのでありますが、その辺の具体的な
内容
について十分に承知をしておられたかどうか、もう一ぺんお聞きをしたいと思います。
藤村弘毅
22
○
説明員
(藤村弘毅君) ただいまの御
質問
でございますが、組合の漁業権を放棄いたしまして漁業権の登録抹消になりましたのは五月でございまして、五月七日に漁業権消滅の不存在の訴えをしております。それにつきまして、その後に埋め立て申請が出ておりますが、埋め立て免許取り消し請求をいたしましたのはその免許になってからでございまして、埋め立て免許をいたしました四十五年の十二月二十四日の
時点
では、免許登録取り消し請求の訴訟がなされていたのでございます。 その
時点
で、私どもとして検討いたしましたのは、前に香川県におきまして同様の事件がございまして、高松地裁で
判決
が出ておりまして、今度の
判決
と全く反対の
判決
が出ております。それで、私どもといたしましては、高松地裁の
判決
と同様の
見解
を持っておりまして、といいますのは、共同漁業権といいますのは、地先の漁場を地元の漁民に管理させるような権利でございまして、それが一種から四種までございますが、その漁業権全体が一つの漁業権となっている場合が多うございます。そこで、そういう漁業権を管理させる、組合に漁業権を持たしておきますが、実際にそれを行使する行使規則をきめる場合には、行使権者の
意見
を聞かなければならないというのが漁業法の八条の三項でございます。ただ八条の一項には、各自営む権利があるんだという規定がございまして、高松地裁では、各自営む権利を持っているんであって、実際に権利者は組合側であって、組合側の決議によってこれを一部放棄することもできる。漁業権行使規定をつくる場合と、漁業権の変更あるいは放棄、得喪変更の場合の規定とは違うという
見解
が出ておりまして、それは、今度の大分地裁の
見解
と全く反対の
見解
でございます。そういう
見解
を踏まえまして、県を通じて、現地の漁業者の同意が、円満な同意が得られるように指導いたしておりましたが、いま申し上げましたように、非常に時間がかかっておりますので、十二月の
時点
におきまして、そういう
見解
をもとに地元の漁業者が納得できるというような見通し、納得させられるという見通しで免許した次第でございます。
工藤良平
23
○工藤良平君 この漁業権確認の問題については、すでに申請が出されて、その際に、結局、臼杵の漁協におきましては、その総会における議決そのものについてきわめて問題があるということが指摘をされていたと思うんでありますが、この点については、認可の際に農林省としてはどのような判断がされておられたのか。さっきの四国のお話でありませんが、四国の場合でも、総会の議決というものがこのような問題をはらんでいたのかどうか。公有水面を埋め立てるということにおいてはあるいは同じ事例かもわかりませんが、この漁協の議決においてなお不審があるというような判断を農林省としてはされていたのかどうか、その点についてお伺いいたします。
藤村弘毅
24
○
説明員
(藤村弘毅君) 香川県の場合におきましても、埋め立てでございますが、漁業権放棄という全く同様のケースでございまして、香川県の場合は、漁業協同組合連合会有の漁業権でございまして、今度の場合は単独の協同組合の組合有の漁業権という違いはございますが、漁業権放棄という点では全く同じでございまして、香川県におきましても、総会の成立についても議論がございましたけれども、これにつきましても適法に総会が成立したというふうに
考え
ておりますし、今度の場合につきましても、大分県の係官が
出席
しておりまして、適法に総会が成立したというふうに認められたという報告がございまして、私どもも、それをそのように解釈いたしております。
工藤良平
25
○工藤良平君 そこが非常に重大な問題でありまして、今度の
公判
における第一のやはり論争点というのはそこにあるわけでありまして、もちろんその
内容
につきまして、県の申請書に基づいて判断をしたと思いますけれども、漁民の反対する側の人
たち
の
意見
というものも、別の形において農林省に対してその
内容
というものが
説明
をされているはずでありますけれども、その点について、農林省としてはどの程度の把握をされておるのか。地方庁を通じてのそういう
意見
でなければ、住民の
意見
というものは農林省は無視されるのか、その点について明らかにしていただきたいと思います。
藤村弘毅
26
○
説明員
(藤村弘毅君) この件につきまして反対派の陳情もございまして、それも聞いておりますけれども、一部の人の
意見
でございまして、私どもとしては、最終的にきめますのは県から出ました正式な書類によってきめざるを得なかった次第であります。
工藤良平
27
○工藤良平君 県の書類の申請というものをもちろん信用するということ、現在の官庁機構からいたしますとそうかもしれません。しかし、こういうような結論が出るということは、大方の
意見
としては、私どもの間にはあったわけで、その点に対する水産庁の認可の過程における——これまでのあるいは将来における重要な問題ではないかと実は思うわけでありまして、したがって、この許認可の問題について、一体、農林省として、主務
大臣
としてどのような
権限
をもって、どの範囲の
行政
的な指導をされるのか。あるいは具体的に言いますと、このような重大な問題がはらんでいるだけに、書面だけによる審査でもってそういうことがきわめて可能なのか、それとも、でき得ることならば、農林省みずから出かけていってそれらの実情を
調査
をし、正しい判断を下すということが必要なのか、そこら辺についての御
意見
をひとつ聞かしていただきたい。
瀬尾五一
28
○
説明員
(瀬尾五一君) 漁港区域内の埋め立ての問題につきましては、漁港法三十九条第四項の規定に基づいて農林
大臣
が認可を与えるわけでございますが、農林
大臣
としての
考え
方は、漁港の利用上、保全上その埋め立てが支障があるかどうか、こういう観点に立って審査をいたす次第でございます。しかしながら、その場合、今回の問題といたしましては、漁業権の放棄の問題あるいは
公害
の
問題等
いろいろございましたので、そういう事柄等も十分
調査
をし、見通しを立ててやった次第でございます。しかしながら、そのやり方といたしましては、先ほどもいろいろお話が出たんでございますが、私のほうへも反対の陳情が来ておったということは事実でございます。ということで、非常に問題のあるところでありますから、そういう免許案等をつくる場合、県の当局のほうへも、十分地元と話し合ってこういう問題を処理するようにということで、県のほうへも十分そういう指導をしてまあ出てきたということでございます。 それで、先ほど農林省のお話が出ましたが、農林省といたしましては、漁港
行政
上のたてまえといたしましては、漁港の保全上、利用上支障がなければ、そういう三十九条の
関係
におきましては認可をする、こういうたてまえでございます。しかしながら、問題は非常に重要な問題ですから、そういう問題も慎重に検討しておったということでございます。それから順序としましては、知事が免許をする場合に、農林
大臣
の認可を受ける場合には所在地の市議会の
意見
を徴します。漁業協同組合の
意見
も聴取いたします。それからそれに権利を有する方々の承諾書もとらなくてはいけないわけでございまして、そういうものが全部適法にそろって農林省のほうへ来ているわけでございます。しかしながら、私も先ほど申し上げましたが、それが出ましてからも、認可を与えるまでに約二カ月ばかりあるわけでございますが、その間に認可を与えるにあたりまして、かなり地元にも問題があるようでございますから、そのようなところについて十分
調査
をし、地元の納得のいくように、あるいは地元の納得のいく見通しを立ててからということでいろいろ検討いたしまして、十二月の二十四日ですか、に認可をしたということでございます。したがいまして、私どもが認可をした以前に、適法であるかどうかということが問題になりましたけれども、それはすでに漁業協同組合でも意思
決定
をしてから同意をして出してきておるわけでございます。
工藤良平
29
○工藤良平君 そういたしますと、農林省としては、その
内容
については別に手落ちというものは認められなかったと、そういう判断に基づいて認可をしたと、しかし結果というものは全くそうではなくて、逆の結果というものが現在出てきた。これに対して結論的に言いますと、一体、農林省としては、これからどうするのかということになるわけでありますけれども、その前にもう一つ私お聞きしたいと思いますのは、まだ詳しい
公判
の
判決
の
内容
を見ておりませんので、その点については申しわけないのでありますが、公有水面埋立法に基づいて県が非常に主張をいたしておるわけでありますけれども、これは、埋め立てによる漁民の損害よりも、経済的な影響がきわめて大きい、こういう判断の上に立ってこの埋め立てを認可をした。こういうことが言われているわけでありますが、この点について、公有水面埋立法の
関係
に基づく判断について、どのように
考え
ていますか。その点についてお伺いしたいと思います。
藤村弘毅
30
○
説明員
(藤村弘毅君) 公有水面の埋め立てそのものにつきまして、この判断は、私どもじゃなくて県知事がやるのでございますが、先ほどから申し上げておりますように、漁港区域において農林
大臣
が埋め立ての認可を与える場合には、
関係
漁民との円満な話し合いをつけてからということを私ども原則といたしておりますが、今回は、埋め立てについて円満な話し合いがつくという見通しのもとにやった次第でございます。原則としては、あくまで事前に円満に話し合いをつけてからというふうに指導してまいりたいというふうに
考え
ております。
工藤良平
31
○工藤良平君 特にこの中で第四条の第二号、いま私が申し上げました第四条第二号をたてにとりまして主張しておるようでありますけれども、これはあくまでも、いま次長がおっしゃいましたように、やはり地元、この漁民の納得のいくということが一つの前提条件だろうと思うわけでありまして、第二号の問題を出すという場合には、私は、特に私権と公権という問題についての重要な問題が提起されるような気がするわけであります。この場合の経済的にきわめて利益の程度が高いということですね。これは持ってまいります企業というのはもちろん私企業でありますから、その私企業の経済的な利益がきわめて大きいということと、実際に漁業権を持っておる漁民が権利を奪われて損害を受けるという——これは比較をすれば問題にならないでしょうけれども、これはきわめて私権に対して、私企業というものの企業の進出に対する重大な問題として提起されるだろうと思うわけです。これは将来におきましても各地で起こってくる問題でありますから、この点に対する基本的な
考え
方というものをいま少し明確にひとつお答えいただきたいと思います。
藤村弘毅
32
○
説明員
(藤村弘毅君) 公有水面埋立法の第四条の免許にあたりまして、免許いたしますのは県知事でございますので、この判断は県知事が最終的な
責任
者でございますが、今回の場合には、県といたしましては、この第四条の第一号の「其ノ公有水面ニ関シ権利ヲ有スル者埋立ニ同意シタルトキ」ということで、権利を有する者の同意をつけて回ってまいりまして、かりにそうでないとしてもということで第二号のほうを論じていると思いますので、その点につきましては、私のほうとしては、第一号のほうで処理したものというふうに
考え
ております。第二号のほうの判断は、県知事が、かりに第一号のない場合でもこうこうだという論を吐いて、その点については
判決
も明確な答えが出ていないようでございますけれども、かりにという県の言い分だと私ども理解しております。
工藤良平
33
○工藤良平君 これは水産庁がそういう解釈ではたいへん困るわけでありまして、あくまでも権利を、いわゆる私権ではありますけれども、漁業権の権利を持っている人
たち
の了解というものが前提条件でなければならない。それは理解がとれないけれども、しかし、これはきわめて経済的に、しかもそれは公的な問題——たとえば公営住宅をつくるとかあるいは道路をつくるとか、こういう場合と私企業の場合とはおのずから異なると思うのです。
判決
の主張しているところは、私はそこら辺に中心があるような気がするわけでありまして、したがって、今後の公有水面の埋め立ての問題について、この判例というものはきわめて重要な私は問題の提起をしていると思うわけです。特に、水産庁として、
行政
的な指導、地方庁がやるからそれでよろしいということで、水産庁としては、そういうことを認めていくのか。あるいはやはりこれはあくまでも第四条の第一号というものが中心である、第二号というものはこれは最悪の条件だということに解釈されるのか、その点が明らかにならないと、今後の問題処理についても、私は、あいまいな態度で問題の処理が行なわれていくのではないかと思いますから、その点について明らかにしていただきたいと思います。
藤村弘毅
34
○
説明員
(藤村弘毅君) 第四条の解釈につきましては、私どもも、先生の御指摘と全く同じように
考え
ておりまして、第一号の「公有水面ニ関シ権利ヲ有スル者」の同意があるのは大原則だろうと思います。第二号を適用する場合は、最悪の事態であろうと思います。その場合に、今度の
判決
にもありますように、単なる私企業について同様に見るのはおかしいという先生の御指摘も、私も全く同じ
意見
でございます。
工藤良平
35
○工藤良平君 そういたしますと、今後、これらの問題については、農林省としては、どのような形で
行政
指導をされるのか。
控訴
してあくまでも争うと、こういう形をとるのか。いま次長が申しておりましたように、やはり地元の漁民が納得がいくという大きな基本的な原則の上に立って問題の処理に当たろうとするのか。きわめて重要な問題でありますから、その点についての
考え
方をお聞きをしておきたいと思います。
藤村弘毅
36
○
説明員
(藤村弘毅君) この問題の当事者といたしましては県知事でございますので、私どもは、
控訴
するということはございません。いまのところ
考え
ておりませんけれども、今度の
判決
につきまして、漁業権の放棄に関する手続については、私どもは、大分地裁の
判決
には異論を持っておるものでございます。その他の点につきましては、私ども、いま申し上げましたように、大分県知事にまかしておる次第でございます。
工藤良平
37
○工藤良平君 まかしておるといいましても、これはやはり
行政
のたてまえとして、県から、それではこの問題処理について農林省の御
見解
をと、こう問われたときに、あなた
たち
がどのような御指導をされるのか。これは重要な問題であります。特に日本のいまの
行政
というものが上意下達の状態になっておりますから、おそらく、さっき申し上げましたように、漁民の中から
意見
が上がってきても、なかなかそれは
行政
の機関を通じなければ
意見
がいれられないという状態でありますから、私は、今後の指導の方針として、やはりいま次長が私の
質問
に答えたように、あくまでも住民の私権というものを尊重しながら話し合いの場で解決をしていくという姿勢、このことが堅持されていくのか。非常に重要な問題であります。おそらく県としても、農林省に対してその
見解
を求めるでありましょうから、その点に対する
考え
方を明らかにしていただきたいと思います。
藤村弘毅
38
○
説明員
(藤村弘毅君) 今度の
裁判
の結果につきましては、私ども、ただいま申し上げたような
考え
でございまして、埋め立て自体につきましては、埋め立ての
考え
方、この公有水面埋立法四条の
考え
方につきましては、先ほど申し上げましたとおり、先生のおっしゃるとおりだと私は思っておりますが、ただ、今度の大分地裁の
判決
につきまして、どういうふうに
措置
をとるかという点につきまして、その限りにつきましては、私どもとしては、漁業権の免許手続については私どもと
考え
が今度の
判決
は違うということを主張しておりますが、その他の点につきまして、漁民の同意を得る得ないという点、これはまだ問題がございますので、県として十分検討するように指導してまいりたいと思っております。
工藤良平
39
○工藤良平君 どうもあいまいではっきりしないのですが、時間がありませんから、これはまた後日時間をいただいて私はさらに詰めてみたいと思いますけれども、特に近ごろのような海水の汚濁によって漁場が荒らされ、だんだん狭められてくる、こういうような状態の中で、やはりいま生活権を守ろうとする漁民の
要求
というものはきわめて大きいわけであります。もちろん産業の発展というものも、私は、全く無視するというわけではありませんけれども、きわめて重要な問題でありまして、この点については、今後、水産庁として、どのような
対策
を講じていかれるのか。 これはまた農林水産
委員会
でも私は機会をあらためていろいろと基本的にお聞きをいたしたいと思いますが、この点について
環境庁
の
長官
にお伺いをいたしますけれども、
公害関係法
規ができまして、
公害
の防止という問題についての基本的な姿勢が打ち出されているわけでありますが、こういうきわめて予防的な、しかもこの企業誘致というきわめて重要な問題の過程の中に、このような紛争というものは今後なお起こってくるのではないかという気がするのです。と同時に、特に海水の汚濁あるいは大気の汚染というものを予測しながら、このような問題が出てきた場合、
環境庁
として、今後どのような姿勢で取り組みをされるのか、その点についてお伺いをいたしたい。
大石武一
40
○
国務大臣
(
大石武一
君) たまたまこの臼杵の埋め立ての問題につきましては、漁業権者と埋め立てとの間の問題でございまして、
環境庁
としては、いま口を出すべき範囲でもございませんので、これを黙って見ているわけでございますが、一般的に申しまして、やはりわれわれは
国民
の正しい清らかな
生活環境
、自然を守るわれわれには義務がございます。その
考え
方を中心として、その埋め立てなり、そのような問題がこのようなわれわれの
考え
と調和できるような方向においてこれを進めてまいりたいと、しかし、ただいま御承知のように、われわれ
環境庁
には、あまり大きな
権限
は、いまないのでございます。で、今後とも、いまわれわれがこのようないろいろな自然の
保護
あるいは
環境
の
保護
のために規制できる面は、わずかに
自然公園
法とかあるいは森林法とか、都市公園法、そのようなものに守られた国土の一部だけでございます。したがいまして、今後この範囲を広げまして、そしてできるだけ日本のどの自然に対しましても、どの
地域
の自然に対しましても、これを守り得るような
権限
を持つことにいたしたい、そういうふうに
考え
まして、次の
通常国会
にはそのような法律案の提案をいたしたいと
考え
ておる次第でございます。
工藤良平
41
○工藤良平君 最後に、通産省にお伺いいたしますが、これから特にセメントの需要と供給
関係
において、このような住民の強い反対の中で工場建設というものが進められるということについて、通産省としては、どのようなお
考え
を持っておられるか。特に大阪セメントの進出にあたりまして、今後なお問題が
公判
でさらに上告をして争われるということになりますと、相当長期にわたるわけでありますけれども、そういう問題についての現在のセメント業界における需要と供給の
関係
をあわせながら、今後のひとつ方向というものを、もしわかれば明らかにしていただきたい。
原野律郎
42
○
説明員
(原野律郎君) 今回の地裁の
判決
は、先ほど来お話のございましたとおり、漁業権の放棄の有効性について争われたものでございますので、特に私どもとして
意見
を申し上げることはないかと存じます。 工場立地そのものの一般論といたしましては、私どもは、できるだけ現地住民と
意見
調整
をはかって、円満な工場建設が進められるという方向で従来から指導してまいっておりますので、この方面での指導は、今後とも一そう強く進めてまいりたい、かように思っております。 なお、セメント工業につきましては、現在の生産量はほぼ五千万トンから六千万トンの間で生産が行なわれておりますが、将来の需要予想といたしましては、
昭和
五十年度には、おそらく八千万トンの量に達するであろうというふうに
考え
ております。したがいまして、今後のセメント工場の新増設ということも幾つか
考え
られる段階がございますので、それらの工場の新増設につきましても、ただいま申し上げましたような方針で工場立地の指導をしてまいりたい、かように
考え
ております。
工藤良平
43
○工藤良平君 大体時間でありますから、問題は今後もこれは残ることでありますので、私は、機会をあらためてさらにいろいろと検討してまいりたいと思いますが、先ほども申し上げましたように、特にこの問題の処理にあたっては、農林省としては、特にこの
地域
住民の非常に貴重な
意見
なりあるいは
立場
というものを尊重しながら、今後、県に対する指導等についても万遺漏なきを期していただきたい、こういうことを申し上げまして、ちょうど時間でありますので終わらせていただきたいと思います。
加藤シヅエ
44
○
委員長
(
加藤シヅエ
君) 午前の会議はこの程度にとどめ、午後は一時に再開いたします。 午後零時十五分休憩 —————・————— 午後一時十三分開会
加藤シヅエ
45
○
委員長
(
加藤シヅエ
君) ただいまから
公害対策特別委員会
を再開いたします。 この際、御報告いたします。 休憩前の
委員会
において指名を留保いたしました残り一名の
理事
について、
田口長治郎
君を指名いたします。御了承願います。
—————————————
加藤シヅエ
46
○
委員長
(
加藤シヅエ
君) 引き続いて
質疑
に入ります。
内田善利
47
○内田
善利
君 時間が限られておりますので、端的に
質問
しておきたいと思いますが、その前に、先ほどの
答弁
の中で、
大石
長官
は、次期
通常国会
で無
過失賠償責任
制度を必ず提出すると、こうおっしゃったのですが、いままで
公害
の大多数は複合汚染であります。特に大気汚染では亜硫酸ガスの汚染、これは十年計画で川崎とか、四日市等は
対策
が講じられておるわけですが、これに対して
救済
あるいは
公害対策
として無
過失賠償責任
制度はどういうように
考え
られておるのか、あるいはまた
光化学スモッグ
に対しても無
過失賠償責任
制度をどのように組み入れていかれるつもりであるか。また、この複合汚染をはずしては
公害
防止はできないのじゃないか。抜本的な
公害対策
としては、こういった複合汚染に対する制度をはっきり計画を立てて組み入れるべきじゃないかと、このように思うのですが、この点はどのようなお
考え
でいらっしゃるのか、お伺いしておきたいと思います。
大石武一
48
○
国務大臣
(
大石武一
君) 無過失の賠償
責任
制度につきましては、できるだけ実効がありますように
法案
をつくってまいりたいと思います。その中には、非常に困難な事情がございますけれども、何とかして硫黄酸化物のような複合汚染物質を取り入れたいと、こういう
考え
でいま作業をいたしております。 なお、
光化学スモッグ
等につきましては、まだ本体がよくわかっておりませんし、また東京都のような、いろいろの自動車——どこに
責任
を求めていいか、多数の自動車の排気ガスとか、いろいろのものが入っておりますから、そのような
光化学スモッグ
のようなものの
発生
する場合におきましては、この制度は、いまのところ適用いたさない方針でおります。
内田善利
49
○内田
善利
君
光化学スモッグ
の話が出ましたが、
長官
は、この
光化学スモッグ
は
公害
と
考え
られるかどうか、お聞きしたいと思います。 いま非常に
光化学スモッグ
がエスカレートしておって、町を歩いておっても非常に歩きにくい感じがするわけですけれども、実は、昨年は学校において相当大きな
被害
があったわけでありますが、山中
長官
は、天災のようなものだと、頭の髪につけているヘアピンに雷が落ちたみたいなものだと、そういうことをおっしゃられたわけですけれども、
大石
長官
もそういうふうに
考え
ておられるのかどうか。私は、
公害
として、もし万一ある日ばたばた倒れるような事態になったとしたら、これはたいへんなことだと、まだその実体は、本体は究明できませんけれども、
救済
対策
だけはとっておかなければならないのじゃないかと、こう思うのですけれども、この
光化学スモッグ
は
公害
であるかどうか、まずお聞きしておきたいと思います。
大石武一
50
○
国務大臣
(
大石武一
君) おっしゃるとおり、
光化学スモッグ
は、私は、
公害
と思っております。これは当然いろいろの
発生
原因
その他はまだわかっておりませんが、確かに自動車の排気ガスが大きな
原因
であることは確かなことでございます。したがいまして、これは当然
公害
としてわれわれは
考え
てまいります。ただ、幸いに——ほんとうに幸いといいますか、それほど大きな
被害
を起こしておらないのは幸いでございます。しかし、今後どのような事態が
発生
するかわかりません。こういうことにつきまして、われわれは、何とかしてそのような緊急事態の
発生
することのないようにできるだけの努力をしなければなりませんし、また、もし不幸にしてそのような応急な、緊急な手当をしなければならないような事態が
発生
した場合には、それに対処しなければならないことも
考え
なければならないと思います。 そういうことで、残念ながら、われわれのほうの
公害
研究
施設がまだ
整備
されておりませんので、いろいろの各
研究
機関に委託をいたしまして、
光化学スモッグ
の実体につきまして
基礎
的な
研究
をいろいろお願いしておりますが、とりあえず、庁内におきましても、技術者を集めてチームを編成し、応急
対策
をいま考究するような努力をいたしておるわけであります。そのようなことで、一日も早くこの
光化学スモッグ
に対する
対策
を立て得るような状態に立ち至りたいと願っておるわけであります。
内田善利
51
○内田
善利
君 その問題については、また後ほどの
委員会
で触れていきたいと思いますが、きょうは、私は、隠れ水俣病について若干
質問
したいと思います。 と申しますのは、昨年、当
委員会
で熊本を視察いたしまして、いろいろお聞きしたわけでありますが、当時の知事もいまここにいらっしゃるわけですけれども、そのときは、三十四年から水銀が流れておりません、サイクレーターはできたし、全然水銀は出ておりませんということをお聞きしたわけです。それと同時に、したがって
患者
も新しい
患者
は
発生
しておりませんと、確かに、昨年いただいてきた書類では、三十六年からはずっとゼロになっております。ところが、最近いろいろの新聞その他で見聞きしましたところでは、新しく
患者
が最近は十三人
公害病
に
認定
された、その中には四十六年発病した方もあると、また、工場からはサイクレーターの効果がなかったというようなこと、あるいは八幡プールから漏水しておったという、そういったことなどで水銀がたれ流しされておった。また、新しく
患者
もそのようにして
認定
されておる。あるいはまたいままで
考え
られなかった、ちょうど水俣から十キロ離れた島々ですね、天草方面の住民の中から向こうのほうの病院を訪れてくる、私は水俣病ではないでしょうかといって訪れてくる
患者
の方々の中から二人もそれらしい者がおられる。そういうようなことで隠れ水俣病という名前がついたんだろうと思いますが、このことにつきまして
質問
していきたいと思いますが、髪の毛の中に水銀が非常に多量に含まれておるということですが、これを現在の水俣病
患者
の頭髪の水銀の量と比較してどのような状況になっておるのか、お聞きしたいと思います。
山本宜正
52
○
説明員
(山本宜正君) 私、ただいま正確なところを記憶しておりませんので、つぶさにお答えできなくてまことに恐縮でございますけれども、毛髪中の水銀量と申しますのは、水銀の体内の濃度が高まりました場合に、それが毛髪中に排泄するという形で出てくるということでございます。それで、過去の数字におきまして、現在の
患者
のそれよりもたいへん高いというケースがあったことは聞いております。正確な数字は実はいま記憶しておりませんので、もし御必要でございましたら後ほど資料として提出いたします。
内田善利
53
○内田
善利
君 水俣病を
認定
する場合に、頭髪の中の水銀の量というのは、どの程度参考になるものですか。非常に大きなファクターになるのか、この点をお伺いしたいと思います。
山本宜正
54
○
説明員
(山本宜正君) 審査会が
認定
される場合に、当然臨床的な所見とあわせましていろいろな条件を多角的に判断して審査されるものと存じております。毛髪中の水銀量につきまして、私が記憶しておりますのは、阿賀野川の水銀中毒のケースにおきましても、毛髪の長さを何区画かに分けまして、それの中の水銀量をはかりまして、過去におけるその人の体内の保有量を推定するというようなことをやったケースがあるように聞いておりますけれども、水俣病につきましては、実はその程度のこまかいのをやったかどうかについては存じませんが、一応常識的に臨床的な判断をする場合にも、そういったようなデータは当然参酌されるものと
考え
られます。
内田善利
55
○内田
善利
君 天草方面の住民の方々の頭髪の中の水銀量を
調査
したことがあるんですね。熊本県の衛生部で
調査
したことがあるんですが、これは御存じですか。
山本宜正
56
○
説明員
(山本宜正君) 私、まだその報告は聞いておりませんが……。
内田善利
57
○内田
善利
君 これは熊本県衛生
研究
所の第一報、第二報、第三報という、こんながっちりした報告なんですね。この衛生部の報告を
環境庁
は御存じないんですか。これによりますと、相当これはもう驚くべき数字が出ているんですね、御存じないんですか。
山本宜正
58
○
説明員
(山本宜正君) 私、ちょっと不勉強でいまのデータを存じませんでした。熊本県の衛生
研究
所がかつて
地域
につきまして——私存じませんでしたが、天草であったかどうかは存じませんでしたが、毛髪中の水銀量を
調査
したデータを発表しておったということは伺っておりますけれども、さだかな数字を現在覚えておりません。
内田善利
59
○内田
善利
君 私は、この
内容
を見まして、これは新聞にも発表になったのですから、非常に驚くべき数字だと判断するわけですが、これを
環境庁
のほうで御存じないということはたいへんなことじゃないかと思うのです。——このデータをちょっと見せてあげてください。そのデータを見ますと、御所浦といって、水俣から八キロぐらいの対岸に、これは不知火海の、そこから見れば水俣のほうは手にとるようによくわかるような御所浦という島があるのですが、ここでは、最高を申し上げますと何ですが、最高は九二〇PPMですね。これは千百六十名
調査
している。非常に膨大な
調査
だと思うのですが、
昭和
三十五年度は千六百四十五名
調査
して、御所浦は千百六十名。そのうち五〇PPMから一〇〇PPMまでの人が百二十九名、一〇〇から一五〇までが十九名、一五〇から二〇〇までが一、二〇〇から三〇〇までが一、三〇〇PPM以上が三名もあるわけです。最高が九二〇PPM。普通の常人は一から二PPMということですが、このことからいきますと、一〇PPMから五〇PPMまでの毛髪の水銀量の方が七百八十四名もいらっしゃるわけですね。このときに水俣市内の
調査
が百九十九名なされておりますけれども、これは水俣のやっぱり非常に魚をたくさん食べておったとか、そういった
地域
住民の中で怪しい方々ばかりなんですが、これと比較しますと、非常に対岸の天草方面の住民の方々が水銀を含んだ魚類を食べていらっしゃったのじゃないかと、そのように判断されるわけです。三十六年度も同様です。全く同じようなデータが出ております。三十七年度の第三報も同じようなデータがそういうふうに出ております。それを抜き書きして書いてみたのですけれども、このように隠れ水俣病が云々されるようになりまして、また、昨年私
たち
の
委員会
が
調査
に行ったときの報告に比べましても、非常にまだまだ不顕性水俣病というのも学者の間ではお話があるようです。これは私のお聞きしましたお医者さんの話では、不全型というのですね。全部出てこない不全型あるいは遅発性、おそく発する病気、これはネズミ等に三分の一ずつ水銀を与えていけば発病するのがやっぱり三年おそく
発生
してくるというので遅発性と、そういうふうに簡単にわかりやすいように
説明
していただいたのですが、そういったものも
考え
られる。そういったことなどで、これはたいへんなことじゃないかということで、県の衛生部にお聞きしましたが、まだ第一次検診というようなことは
考え
ていない、理由は何でしょうかとお聞きしましたら、そういったお医者を動員することがむずかしいし、また非常に専門的なことになるので、一斉検診というのはむずかしいと、こういうお話だったのですが、それでは新潟はどうなのかと思って
調査
しましたら、新潟は一万名とか、二千名とか、たくさんの方々を
調査
していらっししゃるわけです。こういった点について、どのようなお
考え
なのか、お聞きしておきたいと思います。
山本宜正
60
○
説明員
(山本宜正君) お尋ねの、私がたいへん不勉強でございまして、この三十六、七、八年当時のこのデータを存じませんでした。 それからもう一点、
地域
の一般住民に対する検診が新潟では行なわれているけれども、熊本では行なわれておらないというようなお話でございますが、それにつきまして、県が一斉検診をすることを
考え
ているような話は、私も伺っております。
内田善利
61
○内田
善利
君
環境庁
はやられるんですか。どういうお
考え
ですか。
山本宜正
62
○
説明員
(山本宜正君) 新潟県が独自にお
考え
のようでございましたし、熊本のほうも県が独自の
考え
方でやられるというような意向が、非公式でございましたが、私のほうへ来ております。
内田善利
63
○内田
善利
君
環境庁
は、一斉検診を、いまのお話を聞いて、やられる計画がおありかどうか、聞いておきたい。
大石武一
64
○
国務大臣
(
大石武一
君) これは、一斉検診というものはできるだけ広くやりまして、そうしてまた処理されない
患者
の発見につとめることが大事だと思います。ただ、どこが主体となってこの検診をやるかと申しますと、やはり県自体が中心となることが望ましいと思います。われわれが幾らやろうとしましても、手足もございませんし、
公害
に関するいろいろな
権限
というものは、みんな大きな
権限
を地方自治体に移譲してございますので、ただ、それも十分な指導あるいは
調査
を行ないまして、それが自治体においてそのような一斉検診を行なうべきであるという方針をとっておるわけでございます。
内田善利
65
○内田
善利
君 私は、いまの実態から、もう少し
環境庁
が音頭をとってでも、この水俣については、広域一斉検診をすべきじゃないか、このように思うわけです。 と申しますのは、昨年はもうゼロだ、もう水俣病
発生
は終わったんだ、このように聞いて帰ったわけですけれども、再び四月、十三人——十八人ですか、大量の
公害病
の
認定
が行なわれておりますし、またその中には、毛髪の中に水銀の多量にあった方が入っているわけです。その
認定
された中に、そういったことを
考え
ましても、広域的な一斉検診をこの際
環境庁
が音頭をとって、助成金ですか、補助金ですかを出してこの際思い切ってやるべきじゃないか、このように判断するわけです。天草の町立上天草病院を訪れましていろいろお聞きして、
患者
の方々にも何人か会ったんですけれども、私は医者じゃありませんからよくわかりませんが、いままでは水俣のほうだけ問題にされておりましたけれども、こちらの島々にはそういう方々がいらっしゃるんじゃないか、このように思いますので、ぜひひとつ
環境庁長官
、一斉広域検診をしていただきたいと思います。いかがでございましょうか。
大石武一
66
○
国務大臣
(
大石武一
君) 御趣旨はよくわかりました。なるべくそのような一斉検診を行なって、できるだけ未発見の
患者
を発見するような方向で努力してまいりたいと
考え
ます。
内田善利
67
○内田
善利
君 それから、先ほど申しましたけれども、十年前にこのような重大な毛髪中の水銀検査をしておきながら、これが
環境庁
のほうで掌握されていなかったということは、十年たった今日、重大問題じゃないか、そのように思うのですが、その点いかがでしょうか、
環境庁長官
。
船後正道
68
○
説明員
(船後正道君) 十年前の資料でございまして、私ども想像いたしますに、
厚生省
においてはあるいは御存じだったかもしれませんが、
環境庁
発足後まだ二十日程度でございます。その点不勉強でございますが、まことに申しわけないことと存じます。さっそくこの
内容
につきましては検討いたしまして、今後の参考に資したい、かように
考え
ます。
内田善利
69
○内田
善利
君 私は、そのために厚生
大臣
をきのうは
要求
したんです。そうしたら、
厚生省
のほうでは、一切
環境庁
にお譲りしましたのでと、じゃこの問題もそうかと言ったら、そうですと、このように言明されておりましたので、いまの
発言
は無
責任
な言い方だと思います。私は、
環境庁
が
責任
を持っていただきたい、このように思いますが、いかがですか。
大石武一
70
○
国務大臣
(
大石武一
君) ちょっと、私、
質問
の御要旨がちょっとのみ込めませんでしたので、恐縮ですが、もう一ぺん簡単に要旨を
説明
していただきたいと思います。
内田善利
71
○内田
善利
君 いまの毛髪中の水銀の量を県の衛生部が
調査
したわけです。その
調査
した事項を、所管の
厚生省
が当時のものも知らなかったということは、私は、重大なミスじゃないかと思うのです。もしこれが何の役にも立たない
調査
ならばいいですけれども、この中から、この間、四月二十日に
認定
になった
患者
の方々も毛髪中の水銀量が多かったのです。そういったことから、非常に重大な資料じゃないか、そのように思うのですけれども、それを知らなかったということは重大なミスじゃないか、そのように思うのですけれども、その点いかがお
考え
ですか。
大石武一
72
○
国務大臣
(
大石武一
君) これは残念ながら私
たち
もいま初めて聞いたのでございますが、
厚生省
が知らなかったのでございますから、
環境庁
もこれは知らないのは当然でございまして、はなはだ申しわけありませんが、いま、事実われわれはここで初めて聞いた話でございますが、このように毛髪中の水銀量が多い場合には、おそらくは水俣病
患者
認定
の判定をする場合の私は一つの
基礎
的な標準ではないかと想像いたしますけれども、そういうものは、熊本県においてそのような水俣病を
認定
する場合には、おそらく判断の一つの
基礎
として使っていらっしゃるのではないでしょうか。私は、ただの想像でございますが、いまの毛髪中の水銀量については、相当
患者
認定
の場合役立っているんじゃないかと思うのでございますが、いま初めて聞きましたので、推定の範囲で恐縮でございますが、こんなことが
答弁
でございます。
内田善利
73
○内田
善利
君 これ以上申しませんが、要するに、これは大きな資料だと思うのです。これを県衛生部が発表しなかったのかどうか、その辺よくわかりませんが、これを発表すれば企業側が非常に困る、また天草のほうに新しい
患者
がたくさん出てくるということになるとたいへんだ、そういうことで発表を差し控えられたのかどうか、このように思うわけです。と申しますのは、昨年、この
委員会
で
委員
派遣して
調査
に行ったときには、もうこれで水俣病は終わりました、このように四十五年まで書いてあるわけです。ゼロ、ゼロ、ゼロと書いてあるわけです。そして
説明
も、熊本のほうの工場からは水銀は出ていない、こう言ったわけです。ですから、もしこの毛髪中の水銀量が——ばく大な資料ですから、一人々々住所から氏名と、毛髪中の水銀の量が書いてある資料なんです。それをまとめたのがいま差し上げました資料なんですけれども、そういった重要な資料をうやむやにされておったということは、私は、重大な
行政
上のミスじゃないか、このように思うわけです。ひとつそういったことから、その資料はもし御存じないならば、これをひとつ検討いただきまして、
公害
認定
の資料にしていただきたいと思うのですが、ところで、いま
厚生省
のほうに
行政
不服審査請求をしていらっしゃる方は何名いらっしゃいますか。
船後正道
74
○
説明員
(船後正道君) 九人の方でございます。
内田善利
75
○内田
善利
君 その九人は、いつ
認定
決定
になりますか。また、その場合
認定
しろと、こういうこともあり得ると思いますが、あるいはこれはもうだめだ、全部だめだ、こういった場合、その後の
患者
といいますか、病人には違いないと思うのです。
厚生省
まで申請されたのですから、病人であることには間違いない。そういう方々に対する
環境庁
の姿勢はどのようにされるか、お聞きしたいと思う。
大石武一
76
○
国務大臣
(
大石武一
君) その九人の
認定
棄却の
患者
につきましては、いま不服の申し立てがございますので、それをわれわれが検討中でございます。これは態本県における
認定
審査会がその
決定
をすることになっておりまして、われわれは、そのような判断を中心として一応は不服の裁定をしなければならぬことになるわけでございますけれども、御承知のように、このいろいろな
公害
に関する法律は、広く疑わしい者もできるだけ
救済
するような精神になっておるわけでございますから、われわれは、その精神を十分に体しまして、できる限りその水俣病棄却の
患者
が広い
見地
から
認定
患者
として救われるような気持ちでいろいろ検討してまいりたいということだけを申し上げる次第でございます。
内田善利
77
○内田
善利
君 聞くところによりますと、熊本の
認定
は非常にきびしいと、新潟のほうはそうでないと、こういうお話を聞くわけです。そして水俣の場合は
認定
か
認定
しないかの両方どっちかだけれども、新潟の場合はその間に要観察制度というものが設けられておるように聞いているわけです。その要観察の方々は、
認定
にはならなかったけれども、一日の
医療費
とか、あるいはいろいろな生業資金の貸しつけとか、いろいろしてあげて、
行政
上の
救済
がなされておるように聞いているわけですが、こういったようなことで、熊本の場合と新潟の場合と違うということについて、どのようにお
考え
ですか。またどうなさっていくおつもりなのか、お聞きしたい。
船後正道
78
○
説明員
(船後正道君) 御承知のとおり、
公害
による
被害者
の
認定
は、各県に設けられました
認定
審査会の
意見
を聞いて知事がきめるわけでございますが、新潟の場合は、疾病が発現するまでの期間が比較的短かった。これに対しまして、熊本の場合は相当長期であったというような、疾病態様のほうの相違がございますけれども、審査会の診定あるいは県の
認定
自体につきまして、両県の間で差異があるというふうにはわれわれは
考え
ておりません。また、御指摘のように、その
認定
に至らない
患者
の取り扱いの問題でございますが、はっきりと
認定
できないという者はあるいは保留ということにいたしまして、その間の
措置
といたしましては、先生御指摘のように、新潟県では、これを要観察者といたしまして、県の単独の
措置
として
医療費
の支給等のことを行なっております。他方、熊本県におきましては、これも県の単独の
措置
といたしまして、
認定
に必要な各種の検査に要する入院費用とか検査料等を県単独で持っているという
措置
をとりまして、この扱いに両県若干の差があるようでございますけれども、
認定
以後の扱いにつきましては全く同様でございます。
内田善利
79
○内田
善利
君 やはり熊本の場合も要観察者制度をつくったほうがいいと思うのです。特に未
認定
患者
というのは、熊本県の場合は、大きな社会問題にこの調子でいったらなるのじゃないかと、このような不安を持つわけです。というのは、先ほどから申しますように、天草——離島のほうは、いままで
原因
対策
に追われて、そういった一斉検診も行なわれていないし、健康
調査
も行なわれてないし、放置されたままたくさんの方がいらっしゃる。この中で九二〇PPMであった方はもうなくなっておられるのです。そういった方々がいらっしゃることを
考え
れば、この未
認定
患者
の
救済
といいますか、そういった
意味
からも、せめて新潟と同じような要観察者制度を設けて、未
認定
患者
の中から、やはり病人は病人なんですから、
救済
していくという制度を設けるよう
環境庁
のほうで指導していただきたい、このように思いますが、いかがでしょう。
大石武一
80
○
国務大臣
(
大石武一
君) それはまことにけっこうなお
考え
だと思います。やはり疑わしい者につきましては、ある期間いろいろな手当をしながらこれを観察することが私は正しい行き方だと思いますので、熊本県のほうにもそのような連絡をいたしまして、おっしゃるような
措置
に出るようにひとつ指導いたしたいと思います。
内田善利
81
○内田
善利
君 非常にありがたいことばだと思いますが、もう一つお聞きしたいことは、先ほど申しましたように、遅発性というやつですね、おそく
患者
として出てくる遅発性。それから不全性、五つの条件があって、そのうちの一つとか二つとか、あるいは毛髪中の水銀の量が多いとか、いろいろ出てくるようなそういった不全性、あるいはマスク水俣病といわれているそうですけれども、そういった病人の方々をやはり一斉検診等によって
調査
して、やはり基準を設けるなりして、
公害病
とまではいかなくても、こういった方々にも基準を設定して、何らかの
救済
措置
——通院の費用等を差し上げるとか、そういったことをやれないものかと、このように思うわけですが、上天草病院の江頭という先生は、わざわざ船が着くところまで迎えに行って、足がしびれてかなわない、あるいは頭が少しおかしいというような方々を自分で自動車に乗せて病院まで連れてきて診察して、そして昼食も自分の給料の中から差し上げてやっているというような話を直接お医者さんから聞きました。そういうようなことをしているお医者さんもおるのですから、この際にそういった不全性、遅発性というような
患者
に対しても何らかの基準を設けて、少しでもそういう方面で
救済
していったらどうかと、このように思うのですが、この点はいかがでしょう。
大石武一
82
○
国務大臣
(
大石武一
君) まことにけっこうな御趣旨でございます。ことに天草の病院の医者がそのようなあたたかいヒューマニズムに生きていることは、非常にうれしいことでございます。いま、とかく医者の倫理性が批判されていることが多いものですから、特にうれしいお話でございます。いま遅発性、不全性というお話がございました。遅発性でも、不全性でも、そういう名前がつくからには、これは水俣病の
患者
だと思います。いまはやぶ医者になりまして忘れましたが、ともかくどのような
患者
にしても、教科書にあるような病状が一〇〇%そろっている
患者
はございません。やはりどれかの主要な病状の一つなり二つなり、あるいは五つなり六つなり必要なものを取り上げて、われわれは、それによって
患者
の診断を下すのが医学上の常識でございます。そういう
意味
で、遅発的なものであろうと、あるいは症状が全部そろってなくとも、十分に検討すれば、その
患者
が本病であるかどうかということは大体見当がつくと思いますし、また疑わしい者につきましては、先ほど申し上げましたような要観察者というような
立場
をとらせるとか、あるいは法の精神からもっとあたたかい気持ちで広く包含するとか、いろいろな方法がございますので、そのようなひとつできるだけ
患者
のためになるような
措置
に出るように、熊本県のほうに十分に指導してまいりたいと
考え
ております。
内田善利
83
○内田
善利
君 最後に一問お聞きしたいと思います、時間が参っておるようでございますから。通産省の方、見えておりますか。—— 先ほども申しましたように、三十四年から水銀はたれ流していないということであったのですけれども、チッソ工場からの工場廃液の中に水銀が入っていたということが熊本大学の入鹿山教授の論文の中にも書いてあるわけですが、特に、私
たち
見せていただいたサイクレーター、二度も三度も見せていただいたのですが、帰りがけにあそこの水を飲んでみせようとされたわけですけれども、あの八幡。フールの漏水あるいはサイクレーターの効果がなかった、こういうことについては、どのように掌握しておられますか。 それと、まとめて
質問
しますが、塩化ビニール製造工場をつくった件で福岡の通産局に申請したときには、申請したのは昨年の十一月ですか、十二月ですか、ところが、もうそのときは二月から操業していた。操業する場合に廃液の処理を
考え
ないで、廃液処理も全然やらないまま、
考え
ないまま工場を設立した、そして第十管区海上保安本部には海上投棄まで申請したと、非常にこれは有機物の悪い廃液をそういうことまで
考え
たということですが、そういうことについては、どのように指導していただいたのか、掌握されておるのかお聞きしまして私の
質問
を終わります。
久良知章悟
84
○
説明員
(
久良知章悟
君) ただいま先生から、チッソの水俣工場が三十四年以来水銀を流していないということであるが、若干場合によっては流したこともあるのではないかということ、それから第二には塩化ビニールの工場が申請から操業に至る期間があまりにも短い、それから廃棄物の処理の施設が不備である、海上投棄の申請もしておるというふうなお尋ねがあったわけでございますが、このお尋ねの具体的な点については、ただいま申しわけない次第でございますが、私どもデータを持っておりませんので、至急
調査
をいたしまして御回答さしていただきたいと思います。
小平芳平
85
○
小平
芳平君
大石
長官
がたいへんに積極的な姿勢で
公害
地を視察され、あるいはきょうの内田
委員
の
質問
に対する御
答弁
でも、積極的に
公害
と取り組もうとなさっておられる点、私は、たいへんうれしく思います。 きょうは、わずか三十分の時間でありますので、
長官
におもに姿勢につきまして、具体的な問題を二、三取り上げながら
公害
に取り組む姿勢につきましてお尋ねをしたいと思います。 初めに、いま隠れ水俣についての
質問
がございましたが、これは阿賀野川
流域
においても毛髪の水銀蓄積の検査はやっているわけですから、発病者が何PPMから何PPMくらい、それから発病してない人がどのくらいという結果報告はもうとっくにされているのに、それに対して何ら御
答弁
がないということ、こういう点は
環境庁
がもっと組織を拡大するなりあるいは
充実
をしていく必要があるのじゃないかと思うわけです。 それからもう一つは、
イタイイタイ病
についても
富山
の衛研で潜在的な
患者
が相当数いるということを発表したか、一部新聞に報道されております。そういう点、事務当局では報告を受けておられますか、
イタイイタイ病
の潜在
患者
については。
山本宜正
86
○
説明員
(山本宜正君) 私、新聞報道でありましたのを読んだ記憶がございます。日にちはさだかに実は覚えておらないわけでございますけれども、県のほうからは公式に報告は受けていないと記憶しております。
小平芳平
87
○
小平
芳平君 したがいまして、熊本県では十年前にあのような発表をしている、水俣病についてはですね、しかもそれが九〇〇PPMなんです。全く常識はずれのとんでもない高い数字が十年前にもう出ていたということ、しかもまた、いまの
富山
県の
イタイイタイ病
についてもそういう報道がなされているにもかかわらず、
環境庁
がそれを把握してないということ、そういう点、やはり
長官
としてより一そうの
内容
充実
が緊急の問題ではないかと思いますが、いかがでしょう。
大石武一
88
○
国務大臣
(
大石武一
君) お説のとおり、われわれは、できるだけいろいろな実態を十分に把握して、それに対する
対策
を立てることが肝要でございます。不幸にして
環境庁
は発足してわずか三週間ばかりでございますけれども、まだ準備が不十分でございまして、十分なお答えができないのはまことに残念でございますが、以後心して、できるだけそのような手落ちのないように努力してまいりたいと
考え
ております。
小平芳平
89
○
小平
芳平君 それから、これは
公害裁判
についてですが、この点については、午前の
委員会
で
杉原
委員
からいろいろ
イタイイタイ病
判決
をめぐる御
質問
があり、御
答弁
があったと伺っております。したがいまして、私が重複して申し上げることは避けますが、やはりこの
公害裁判
は、長引けば
被害者
の方が非常に苦しむわけでありますね。これは
長官
が四日市でお会いした藤田さんという方、この方も四日市では
裁判
を起こしていらっしゃる一人ですが、非常に衰弱をしていらっしゃるということ、また、なお四日市のほうは、九名のうちすでにもう二人がなくなってしまったということです。したがいまして、
公害裁判
は早く
判決
を出していただきたいことと、それからまた企業の側としても、
判決
が出たにもかかわらず——それはまあ憲法に保障された
裁判
を受ける権利ですから、これに対して立法府や
行政
府がとやかく言えないわけでありますが、
公害
被害者
という特別な
立場
の方々に対する
環境庁
としての配慮、私は、この配慮については予算
委員会
で佐藤総理にも
質問
したことがあるのですが、佐藤総理は、
イタイイタイ病
判決
の出る前でしたが、もし
判決
が出たような場合には、
会社
も
控訴
控訴
で十年
裁判
、百年
裁判
を続けるよりも、早くけりをつけ、そして総理のことばの表現でいえば、
被害者
の方に安心して療養していただきたいと、このように総理は言っておられましたが、
長官
のお
考え
はいかがでしょう。
大石武一
90
○
国務大臣
(
大石武一
君) いま私の気持ちとしては、やはり総理と同じ気持ちでございます。ただ、ほかの水俣なり、四日市の
裁判
につきましては、詳しく申し上げることもなりませんけれども、
イタイイタイ病
につきましては、幸いに無
過失賠償責任
の方針が明確にされまして、それで一審の
判決
があったわけでございます。まことにけっこうなことだと私は思います。その後も第六次までですか、いろいろな
裁判
が残っているようでありますが、これも、このような第一回目の一審の
判決
がありました以上は、必ず私はそれは残りの
裁判
も促進されるものと確信をいたします。そういうことで促進されると思いますし、また
会社側
が
控訴
されまして——それはそういう権利はございましょうから、われわれがとやかく申すことはできません。強制もできません。早くきまればいいという気持ちは持っておりますが、われわれは何も申し上げませんけれども、御承知のように、
裁判
は仮執行の宣言といいますか、そこでとりあえず
裁判
で
判決
のあった金額は一応
被害者
たち
に、
原告側
に引き渡すような仮執行の処分が行なわれまして、そうして一応のそういう手が打たれたわけでございますから、そういう方向を見ましても、私は、
患者
に対するそのような賠償の道は早く開かれていくのではないか、こう
考え
て、それを希望しているわけでございます。
小平芳平
91
○
小平
芳平君 仮執行の宣言は、確かに
裁判
所としては、
被害者
のほうにできるだけの配慮をしてくれたわけですが、いかんせん
会社
が
控訴
しますと、その第二審、第三審の
判決
を待たざるを得ないというのが今日の実情で、その点についてはとにかく
公害裁判
は、
公害
被害者
はそもそも本人の不注意とか本人の不摂生ということではないわけですから、一刻も早く争いがけりがつくようなことを私は望んでおります。その点は、
長官
も望んでいるとおっしゃいますので、けっこうだと思います。 それから、
長官
がこの四日市の
公害
地を視察されたそのときに、私は、新聞報道を読んだだけでございますので、実際は
長官
のお気持ちはいまからお尋ねするわけですが、四日市の空は思ったよりきれいだと、そして
公害
防止
対策
は進んできたというような趣旨の
発言
をされているように報道され、
患者
は憤慨しているわけですが、これは四日市がきれいになったどころではなくて、この
研究
報告によりますと、汚染の広域化があらわれ、かつ増産を考慮するとき、必ずしも満足すべきものではなく、さらにその
対策
の強化が望まれるということを三重県立大学医学部産業医学
調査
所でもって報告をしているし、
公害
白書を見ても大気汚染は深刻化し、広域化しているという、そういうことが前提でこれから
長官
取り組んでいただかないことには、それをぼっと
公害
地へ行きましてこれはきれいだ、だいぶ効果があがったというようなことは、
長官
おっしゃったのではないかもしれませんが、そういうことじゃだめじゃないでしょうか。
大石武一
92
○
国務大臣
(
大石武一
君) 私は、確かに新聞報道にありますとおり、わりあい思ったよりきれいだったと言ったと記憶いたしておりますが、率直にそう感じたのでございます。私は、もっともっとどろどろしたきたない、ほんとうに煙だらけの——あまり
公害
地に行ったことがありませんので、海はごみだらけで、ほんとうによごれたものと想像して参ったわけでございます。その想像よりは——もっとも当日は
公害
研究
所、
公害
研究
センターですか、ちっとも何も悪いデータが出てこなかった。そういう天気でもあったと思いますが、わりあいに思ったよりきれいなものですから、率直に言ったわけでございまして、それですっかりうまくいっているというのではございません。ただ、私は、いろいろあそこで感じたことでありますけれども、一度ぶっこわした
生活環境
というものは、これを取り直すにはとうていなみなみの努力ではできないということを痛感いたしました。おそらくこわすのは簡単なことだと思います。各企業がいいかげんなことをしている間にあのような——いいかげんと言ったら失礼ですが、仕事をしている間に、いつの間にかあのようなものすごい
公害
の町になってしまったのです。それを取り直す、もとの姿の町に返すことは、おそらくまたもとの姿に返すことはできないかもしれませんが、多少でも回復するには、知らず知らずの間にそれをこわすことに払われたエネルギーなり、費用なり、時間なりに比べますと、それの何百倍何千倍の金なり、時間なり、努力が要るように私思いました。これはたいへんなことだ、何としても
公害
というものは予防しなきゃならぬ、未然に防ぐことが一番大事であるということを痛感してまいりました。同時に、やはりいろいろと県でも市でも努力はいたしております、いろんな様子を聞きますと。その効果が多少あらわれている感じがいたします。これはやはり努力するものにはある程度、はなはだ失礼でありますが、ほめてやっぱり努力させることが大事だという気がいたしました。そういう気持ちから、やはり努力すれば効果はあるというあかしを見出した、ほんとうのあかしでございます。そういうことを言ったのでございまして、私の気持ちはそういうことです。御了承願いたいと思うわけでございます。
小平芳平
93
○
小平
芳平君 努力すれば効果があらわれる、それはけっこうだと思います。ただ、私
たち
がある企業を視察させてくださいと言いましても、
あと
から聞けば、もう二、三日前から大掃除をしてたいへんだということを何回も経験いたしました。そしてまたこの四日市の方々の
発言
は、
大臣
が来れば空もきれいになって、においもなくなる、毎度のことさ、きっとコンビナートの工場が加減しているんだろうというふうに言っておりますのですよ。したがいまして、
大臣
がいついつ行くよと言って、それで行ってみた、きれいだと、これはきれいだで済まされないんじゃないですか。
大石武一
94
○
国務大臣
(
大石武一
君)
大臣
が行くからといって三日前、一週間前あるいは半年前から、かりにそのきたないところを隠そうとして幾ら努力をしても隠せるものではございません。必ず実態はわかります。そういう
意味
で、これはやっぱりたとえ前ぶれをしても見て歩くことだと思います。見て歩くことが大事だと思います。全部一〇〇%実態を隠すことはできません、何といいましても。ですから一%か二%か、五%かしりませんが、ある程度のごまかしはできましょうけれども、大きな本件は隠すことはできないと思います。そういう
意味
で、私は見て歩きます、努力をして。たとえばいろいろと四日市にしても
公害
防止の
整備
計画をいま立てておりますが、大体七、八億の金を出してやろうという、それでも一部しかできないんですが、それでも努力を重ねておりますことについて、ある程度その努力を促進させるように、その努力の働きかけをある程度認めてやらなければならないと思います。そういう
意味
でございます。
小平芳平
95
○
小平
芳平君 努力は認めてやらなきゃなりませんが、それじゃ
大臣
、工場の煙やガスは二十四時間全く同じように出ておりますか、三百六十五日全く同じように出ておりますか。
大石武一
96
○
国務大臣
(
大石武一
君) ちょっとどういう御趣旨か、いまの御
質問
の御趣旨はわかりませんけれども、どういうことですか。
小平芳平
97
○
小平
芳平君 要するにガスならガスが、煙なら煙が三百六十五日毎日同じように出ているんではないんです。ですから
大臣
が四日市に住みついて、そうして三百六十五日住んでいたらよくなった、悪くなったということは実感としてわかると思うんですが、行ってみただけでこれはきれいだ、これは実際に効果があがったというようなぐあいにはいかないということをこの報告書は述べているから私は言っているんです。私も、四日市に三百六十五日住んでいるわけじゃありませんけれども、こうした報告書が、
研究
した結果広域化し、深刻化しておると述べておる。それに対して
大臣
が、思ったよりきれいだということじゃ済まされないということ、それが一つと、もう一つはぜんそくは精神だ、それももう医学の上からぜんそくも気からということは、お医者に聞いてみましたら、そうしたら
大臣
の趣旨は、これこれこういう趣旨だということを私は聞きました。かといって、
公害
地で自分の不注意や何かでぜんそくになった方々ではないわけですから、したがって、これから
公害
と本格的に取り組もうとおっしゃる
大臣
が、そういう
公害
で病気になっておる方々に対して、ぜんそくは気持ちが大事だよというのは適当じゃないじゃありませんか。
大石武一
98
○
国務大臣
(
大石武一
君) 私は、いまの
小平委員
のお話のようなことを
あと
で実は新聞記事を見まして、なるほどと感じました。これは私の思慮が足りなかったと思います。私の申しましたことは、私自身も長い間医者をやっておりまして、私自身もぜんそく持ちでございます。実はぜんそくの経験はありますので、ぜんそくの場合は、もちろんぜんそくを起こす
原因
がある、おそらくいろいろな排気ガスだと思います。四日市の場合にもいろいろな
原因
がある。私の場合には大体小さな綿くずでございますが、そういう
原因
があって、それが私の気道内にそれが入った場合に非常に反応を起こしてぜんそくが起こるのでありますが、とにかくそういうことでありますけれども、ぜんそく
患者
の一番の共通なことは、精神的にもその病気が促進されることでございます。ぜんそくになりはしないか、なりはしないかという不安がありますと、どうしてもやはり神経質になります。ぜんそくをより起こしやすい状態は確かにございます。そういうことで、
患者
に対してぜんそくは気持ちを強く持たないと起こりやすいから元気を出しなさい、これは医者として普通の
発言
だと思います。医者としてはもっともな
発言
だと思いますが、そのもっともな
発言
があのような非常な悲惨な、しいたげられた方々に対しては通用しないということがはじめてわかりました。やはり別の感覚をもって、別の思いやりをもって接触しなければならないということをはじめて痛感しました。自分の思いやりの足りなかったことを恥じ入ったわけでございますが、そういう気持ちで今後対処してまいりたいと思います。
小平芳平
99
○
小平
芳平君 ですから、私は、お医者さんの御
意見
は十分伺いました。私がいま申し上げた趣旨は、
大臣
も同感だとおっしゃいましたので繰り返しませんが、要は
大石
長官
が来られたが、お医者さんが診察に来たと受けとってないわけですから、長い間何年来のぜんそくの苦しみ、家庭の悩み、その根本的な解決、その最高
責任
を
行政
上の
責任
を持った
長官
が来られた、その
長官
がいつもお医者さんが言われると同じことを言っておられたんでは、聞いておるほうががっかりするし、また、そういうことで一体
公害対策
ができるのかということになると思います。この点はけっこうです、
大臣
同感だとおっしゃいましたから。 それから次に煙突を高くすること、これは通産省の問題かもしれませんが、煙突を高くすることも感心しませんですね、
長官
。結局、煙突を高くしろ、それで高い煙突を何本もつくる、そこで今度は増産
体制
になったりしますと、結局は基準以内だといっても汚染が広域化する、深刻化する。煙突を高くするだけではもう何ら解決にもならなくなってしまう。したがいまして、煙突を高くすること、そういうことは私は賛成しません。できませんが、もう一つは、
地域
を拡大しなければいけないと思うんですね。要するに
被害者
救済
は
地域
内に住んでないと対象にしてくれませんから、そこでもって
地域
内に住んでないために同じ発作が起き、同じ病気をしていても対象に入らない人が出ているわけですから、これは四日市もそうだし、それから川崎でもそうだし、したがって、この際そういう隣接
地域
を拡大することと、そしてまた、いろいろな
意味
でクローズアップされた静岡県の富士市とか、こういうところも指定
地域
にするような検討をこの際大至急進めていただきたいと思うんですが、いかがですか。
大石武一
100
○
国務大臣
(
大石武一
君) できるだけ実態に応じまして、対象
地域
を拡大することは当然だと思います。ただその対象
地域
をさらに追加する場合には、やはりそれだけのしっかりした根拠によって、無制限というわけにまいりませんから、やはりしっかりした根拠によって科学的な厳密な検討の上で対象となるものはできるだけ広げてまいりたいと私は思っております。
小平芳平
101
○
小平
芳平君 その科学的な根拠でも、明らかに汚染地区と対象地区を比べまして、そして罹病率も、そういうことも科学的な根拠になるわけですが、そのことを示して私が声を大にして言っても、それはまだ
地域
が広域化してないとかいろいろなことを言って、いままで
厚生省
は
地域
拡大をしなかったところがたくさんあるわけですが、そういう点、私は、
環境庁長官
が
環境庁
発足にあたりまして、従来のそういうまだ広域化してないとかいう単純なことじゃなく、積極的な姿勢で取り組んでいただきたいということを私要望いたします。 それから時間が参りましたので、足尾の鉱害につきまして、この点は
環境庁
でどなたか——足尾の鉱害につきまして最後に
質問
して終わりますが、第一には明治三十八年、九年、廃村になって北海道へ移転した人がいらっしゃるわけですね。その方
たち
が六十年ぶりに故郷の土を踏む、復帰の
期待
を胸に秘めて、こういう報道が出ております。現にいらっしゃっております。こういうことについて、足尾の問題は明治以来の問題でいろんなことがたくさんありまして、ちょっといまここで全部やるわけにはまいりませんが、こうした足尾のいまの廃村になったこの部落、この村は、足尾の鉱山から見ると百キロくらい下流の村です。そしてまた山の製錬所周辺では、明治以来煙突をつくってはいけない、那須の御用邸か何かあるために煙突をつくってはいけないといって、わざわざ煙を谷にはわせたというようなことをしきりと
会社
は
説明
をしております。ですから、こういうような足尾周辺の惨たんたるはげ山、そしてまた
流域
の農業
被害
、これがいま問題になりつつありますが、こういう点についてどのように取り組まれるか。
岡安誠
102
○
説明員
(岡安誠君) 足尾銅山の問題につきましては、いまおっしゃった問題二、三あると思いますけれども、一つは、周囲のはげ山云々の問題につきましては、これは私ちょっとしろうとで、直接
関係
はございませんけれども、おそらく排気が主ではなかろうかというふうに
考え
るわけでございますけれども、それにつきましては排気のほうで対処するということになろうかと思っております。 それから水質の汚染につきましては二つございまして、足尾から出る水をかんがい用水に使いまして農作物に
被害
が出るというような場合の水質の維持の問題と、それからその水が土壌に
関係
を及ぼしまして、銅等が土壌の中に蓄積しまして農作物に
被害
を起こすというような問題があるわけであります。こうした二点でございますけれども、現在、まず水質の維持につきましては、四十三年に旧水質の保全法によりまして水質をきめてございます。渡良瀬川の高津戸というところでございますけれども、そこにおいて農業の
関係
やその他を勘案いたしまして、銅の含有量が〇・〇六PPMに維持されるというようなことを目標にいたしまして施設をするということになっておりまして、現在、大体かんがい時平均〇・〇五くらいの水準が維持されているというふうに私ども
考え
ております。その場合におきます鉱山の山元におきます排出基準は一・五PPMということになっておりますが、大体そういうようなことで現在は維持がされておるというふうに
考え
ておるのでございます。 それから、
あと
の問題の土壌の
関係
でございますけれども、昨年の
国会
におきまして土壌汚染防止法が成立いたしまして、土壌につきましては有害物質を指定をいたしまして、地区を指定し、
対策
を樹立をするということになっておりますけれども、現在まだその有害物質の中に銅を指定しておらないわけでございます。と申しますのは、銅がどれくらい蓄積をしたならば農作物にどれだけの影響が起こるかというような
因果関係
が必ずしもまだ現在明らかになっておりませんので、現在その
調査
を進めておる段階でございまして、できるだけ早くそのような
関係
を明らかにいたしまして、法律に基づきます
地域
の指定要件を、これは政令でございまするが定めまして、それによって
地域
を指定し、
対策
を樹立し、客土その他の事業をするというような段取りになるわけでございます。私どもは、その要件の策定を現在急いでいるという段階でございます。
小平芳平
103
○
小平
芳平君 ちょっと
長官
、いまの御
答弁
では満足できないわけですが、足尾銅山、足尾からの煙による
被害
、そしてまた水質汚濁による
被害
、これはきわめて深刻なものがございまして、それが〇・〇五PPMを保っているから安心だというようなことにはならない。きわめて深刻な
被害
がたくさんございます。私
たち
も
調査
し、分析をやっているところですので、結論は出ておりませんですが、しかし、この鉱害に取り組む取り組み方としまして、現在の水質基準に合っているからというようなことではとても済まされない。長年の
被害
があるわけです。長年の問題を
流域
の方がかかえていらっしゃる。したがいまして、きょうは、もう一歩積極的な取り組み方を要望いたしまして終わります。
大石武一
104
○
国務大臣
(
大石武一
君) これは非常に大きな問題でございます。もうこれをもとの姿に戻すのは容易な努力ではありませんが、おっしゃることは妥当だと思います。私も、そのような方向に向かって前進するように努力してまいりたいと思っております。
栗林卓司
105
○栗林卓司君 御
質問
いたします。 今日、
公害
を出してかまわない、
環境
を汚染してかまわないということを本気で
考え
ている人というのは、私はいないと思うのです。何とかなくしたいということだし、そのためにどうしたらいいか、口先だけ言ってみてもなかなか
公害
はなくならないものだというのが現在私
たち
の立っている
時点
だと思います。ところが、実態を見ますと、なくしたいという気持ちとうらはらに、たいへん利害
関係
が複雑に錯綜しておりまして、現実にどうやってその糸目をほぐしていくかといっても、なかなか解決ができない。それぞれに生活なり健康がからんでくる。どうしようかと言っているうちに事態がどんどん悪くなってきたというのがこれまでだったと思います。そういう中で
環境庁
が発足いたしまして、
国民
の
環境庁
に対する
期待
というものはたいへん大きなものがあると思います。そういう
意味
で、これから新しい仕事に取り組んでおいでになる
長官
の基本的な
考え
方を伺いたいということで二、三御
質問
をいたしたいと思います。
最初
に、
環境庁
の任務と役割りということについて、あらためての御
質問
になりますが伺いたいのですが、
公害
を防止する、
環境
を保全するということは、平たく言いますれば、日本をどういう状態で保っていくかということになりますから、たいへんすその広い、幅広い問題に対して取り組んでいくということだろうと思います。そうなりますと、今日の縦割りの
行政
の中ではなかなか解決ができない。しかも、
行政
の対象自体が利害
関係
が入り組んでいるということになりますと、縦割り
行政
を越えた何らかの機関が必要になる。これが
環境庁
ができた一番大きないきさつでもあったと思います。その
意味
で、任務の目的を拝見しますと、やはり出てまいりますのは、基本政策の樹立なり
推進
ということになりますが、その前提としての
調整
業務、さらには基準の確立と監視ということになると思いますが、そうなりますと、たいへん大きな仕事を
環境庁
としてはしょっているということになるのですが、先ほど午前中の
質問
でしたか、
長官
のお答えに、残念ながら現在たいへん力がないので、
自然公園
とか国定公園というところが、まあできるせい一ぱいだと、たいへん正直なお答えだとは存じます。しかし、目的の中では十何番目かのところを例示としておっしゃったわけで、気持ちとしては基本政策の樹立、
推進
、さらには非常にむずかしい問題ではありますけれども、縦割り
行政
の中でどうやってそれを
調整
をしながら
国民
の合意が得られるような政策を打ち出していくか、これが
環境庁
の最大の任務ではないかと思います。あらためての
質問
ですが、
長官
の御
意見
を伺いたいと思います。
大石武一
106
○
国務大臣
(
大石武一
君) ただいまの栗林
委員
の御
見解
なり、御方針は全く妥当で、私もそう思います。そのような
考え
で私もこの
行政
を進めてまいりたいと思っております。
栗林卓司
107
○栗林卓司君 そういう観点に立って、多少はみ出すかもしれませんけれども、二、三伺いたいと思うのですが、その前に、これまでの
質疑
の中で多少疑問が残りましたので、二点ばかり補足的に伺いたいと思います。 一つは、無
過失賠償責任
の問題ですけれども、次の
国会
になるべく
内容
の
充実
した形で提案をしたいという御
意見
、たいへんけっこうだと思います。この無
過失賠償責任
の問題というのは、
考え
方として、まあ産業なり企業の社会的
責任
を明確にしていくんだというねらいが一方ではありますけれども、もう一つは、不幸にして
公害
が起こった場合に
被害者
救済
を急ぐというねらいも反面ではあるんだと思います。その場合に、これは現在の実態でも実はある問題ですけれども、無
過失賠償責任
ということになると、差が出てくるであろう問題として、払えなかったら一体どうするのか、そのことを含めてこの問題というのは取り組んでいかないと、から証文になってしまいます。払えなかったらどうするのかについて、
長官
の御
意見
と
対策
を伺いたいと思います。
大石武一
108
○
国務大臣
(
大石武一
君) お説のとおりでございます。われわれも、これをつくる場合に、いま払えない、つまり中小企業だけが多くて払えない場合にはどうするか、あるいはその中にかりにたくさんの大きな企業がありましても、一つだけねらい撃ちにされたら、
あと
はそれだけが、その大きな企業の一つだけが倒産して
あと
のものは涼しい顔をすることができると、いろいろなむずかしい問題がございます。こういうものは、われわれの
環境庁
の直接の
責任
でありませんけれども、そういうことまで
考え
なければこの
法案
は簡単には通せないと思いまして、そういうことでいま検討さしているわけでございます。どのような形にしたらいいか、つまり全体としてそこにある賠償
責任
を負うべき、全体の企業は全体としてその賠償に応ずることができるような
体制
をつくりたい。それにはどうしたらいいか、私も、ほんとうにこれは思いつきのようなものでございますけれども、たとえば基金制度のようなものをつくってみんなが一様に金を出し合って、それを土台にするとか、あるいは保険制度のようなものをつくるとか、何かそのような
措置
が必要ではなかろうかと
考え
まして、
局長
を中心にいまそのことを十分に検討いたしている最中でございます。
栗林卓司
109
○栗林卓司君 いまの
長官
がおっしゃった点、確かに一つの案だと思いますし、いろんな案を御検討いただいて、無
過失賠償責任
を非常な立法技術上のむずかしい問題をこえてつくろうという、
国民
の
期待
にほんとうに合うような形にしていただきたいと思うのですが、先ほどの
質問
に対して、非常に突き詰めて簡単に申し上げてしまえば、最終的には国が
責任
を負うということだろうと思います。基金にしましても、見方を変えれば、ある税金をとって国がプールした基金ということだって、どう呼ぶかという違いだけの話でしかございませんから、最終的には国が
責任
をとっていくんだという覚悟に立ってやはりこの問題というのは取り組んでいかないといけないんではないかと思います。深くは議論いたしません。 もう一つつけ加えて伺いますと、
光化学スモッグ
の話題が出ておりました。よく
原因
がわからないんだとおっしゃっておりましたけれども、そうは言っても、現実に
光化学スモッグ
の注意報というのは出ているわけですから、
原因
がわからなくて警報だけ出るというのは、残るものは不安しかない。これをいつまでほうっておいたらいいのかということになりますと、おそらく
長官
は、御自分の部下に対してはなるべく早くやれという指示をなさっていると思いますし、なるべくといったって、めどとしては、どこまでという御指示までおそらくはされているんだろうと思います。そういった
意味
で、言質をとるつもりはありません。いまのめどとして、とにかく急がなければいけないことだけははっきりしているわけですから、大体どのようなめどで現在この
原因
追及にあたっておいでになるのか、伺いたいと思います。
大石武一
110
○
国務大臣
(
大石武一
君)
光化学スモッグ
がことにこの一、二年非常な話題の中心になりまして、日本
国民
に大きな、ことに東京都を中心とする
地域
の人々に非常に不安を与えておることは、まことに残念でございます。何とかしてそのような不安を除きたいものだと、ほんとうにこれは不幸中の幸いでございますけれども、まだ大きな障害を及ぼしておらないですね。これが何よりもありがたいことと思っているのです。しかし、いつどのように変化するかわかりませんから、そのような重大な時期がこないうちにこれの解決策を見出さなきゃならぬと願っておるわけでございますが、率直に申しまして、いつまでというめどはとてもつけられておりません。これは大体アメリカのロサンゼルスあたりからそのような症状があらわれてきたわけでございますが、アメリカでもまだこの
光化学スモッグ
の
発生
機構とかいろいろなことについては、まだ何もわかってない状態でございます。アメリカでわからないから日本でわからなくてもいいんだということは許されませんが、日本ではさらにアメリカよりもっと複雑な機構のようでございまして、御承知のように、アメリカでは太陽のあたる紫外線の多いときには出るんでございますが、日本ではそうでなく、曇天のときでも、夜でもオキシダントの濃度が高まってくるというようなこともございますし、たとえば人間に対する反応にしましても、ロサンゼルスの場合では目がちかちかする程度のことらしいんですが、日本の場合には、目のほかにのどとか、あるいは吐きけがするとか、いろいろなことまでありまして、非常に状態が変わっております。これをまず
最初
に、何といっても一番大事なことは、なぜこのようなオキシダント濃度が高まるのか、オキシダント濃度が高まればなぜそのような影響をするのかという基本的な、根本的なことから解明しなければほんとうの
対策
はできないと思いますけれども、それはいつ——一年か二年先かわかりません。これはいろいろと
研究
を依頼しております。幸いに
国立公害研究所
ができますので、それを十分活用さしたいと思いますが、まだそこまでわかっておりませんので、とりあえず庁内に技術者を集めまして、チームをつくりまして、
対策
班というものをつくりまして、とりあえず、どのような一体症状をあらわす者がどのような事態に起こるのかというようないろいろなあらわれた現象面をとらえて、それだけでも対症的な応急的な
対策
はできると
考え
まして、そのような働きをさしておるわけでございます。これもやっとできたばかりで、活動を始めたばかりでございますから、二カ月できめろ、三カ月できめろということは言えませんけれども、あまり長く時間をかけますことは皆に非常な不安を残しますから、できるだけ早くその糸口でも見つけてほしいということを願っておるわけでございます。
栗林卓司
111
○栗林卓司君 とにかく一日も早く
原因
究明をお願いしたいと思います。アメリカの場合よくわからないという、いま
長官
のお話がありましたけれども、ロサンゼルスの場合には、地形と気候と、それから現象面と、まあ東京の
光化学スモッグ
に比較すれば、わりあいに単純な形をしておりますけれども、東京の場合にはロサンゼルスとは違った形で、しかも硫酸ミストまでからんで、どうこんがらがっているのか、風向きはどうなっているのかまで含めて、新しい問題のように思いますから、むしろアメリカよりもむずかしい問題をかかえたと十分御自覚の上で、鋭意一日も早く
原因
を究明していただきたいと思います。 それでは、戻りまして、たいへん広い
質問
で恐縮なんですけれども、先ほどの無
過失賠償責任
保険のほうで、
長官
から中小企業というお話がございました。
公害
をなくしたいということを、スローガンではなくて、ほんとうにやっていくんだとしますと、やはり避けて通れないのは中小企業問題だと思います。 それからもう一つの問題は、
公害対策
をしていくということになりますと、それがコストアップ要因であることは、これは否定できないと思います。その
意味
ではこれは、物価問題だと思います。これで中小企業問題とか、物価問題ということになりますと、それぞれの所管庁があることは重々承知しております。ところが、一方では
公害
倒産という話も、うわさではなくて、現実には出始めておりますし、冒頭に申し上げましたように、打つ手がなかなかきまらないまま状態がどんどん悪くなっていくことになりますと、中小企業問題、物価問題にもっと目に見えて影響が出てくる心配は十二分にあると思うんです。そのときに、
環境庁
としての役割りの最大の問題である基本政策の樹立、
推進
、さらには各省間の
意見
調整
ということも踏まえて、中小企業問題、物価問題について——物価問題というのは、コストアップ要因だから物価を上げていいと申し上げているのでは決してないのでありまして、その
意味
で、この点、
長官
としてこのむずかしい問題にどうやってこれから臨んでおいでになるのか、伺いたいと思います。
大石武一
112
○
国務大臣
(
大石武一
君) これは非常にむずかしいことでございますが、これはやっぱりどうしても対処していかなければならない問題でございます。やはりこの
公害
の
発生
するものは、やはり自分の
責任
において
公害
防止の
対策
を立てなければならぬと思います。ただし、その場合に、この
公害
防止のいろいろな設備をするということは、あまり生産には役立たない、直接には役立ちませんから、それだけやはり企業者の負担になると思います。そういうことがやはり一つの物価に組み入れられれば、それだけ物価高になるという要因になりますけれども、しかし、たとえかりに物価が多少そういうことによって上がるといたしましても、この
公害
を押えるということは、
国民
の最上使命だと思います。そういう
意味
で、私は、ある程度かりにそのことによって物価が多少でも上がることが避けられないとしても、やむを得ないことだと基本的に
考え
ているわけでございます。しかし、物価を上げないということは大事なことでございますから、それをどのようにして押えるか。やっぱり企業努力によって——そう言っちゃ、はなはだ無
責任
のようになりますけれども、企業努力によってやはりできるだけその物価が上がらないように、全体の面から物価を上げることがないように、そのようなやはり企業の合理化をやってもらいたい。こういうことが一つの私の願いでございます。 もう一つは、ことに中小企業がそのような
公害
の
対策
をするには、当然それは企業者の
責任
でありますけれども、資金的に技術的に容易でございません。こういうものに対して、
政府
ができるだけの援助を与えなければならないと思います。でありますから、いままでは融資とかあるいは税制の面において、いろいろとめんどうを見るようにいたしておりますが、今後さらに検討を進めまして、もっとほかにできる援助があったならば、それは
環境庁
だけではできませんし、通産省とか農林省にもいろいろ協議しなければなりませんけれども、そのような方法においてよりよい援助を与えて物価コストを上げることに対する押えにいたしたいと思います。 もう一つは、何といっても、
公害
防止には防止の技術開発というものが一番大事だと思います。これは一番金を食うと思うのです。ですから、この技術開発に対しましては、国ができるだけの援助をしまして、補助を出しまして、ほとんど国の
研究
のような形においてこういうものを助成していくべきではなかろうか。こういうことがやはり一つの大きな物価を上げない
公害対策
ではなかろうか、こういうふうに
考え
ております。
栗林卓司
113
○栗林卓司君 いまの
質問
の続きとしまして、中小企業が
公害対策
ということで、現在、倒産を含めてどういう実態にあって、将来は——将来といっても遠い将来ではなくて、これからどういう
問題点
をかかえながらいくんだろうかという
調査研究
が、
環境庁
の中でそういう部署を置いてなされているのでしょうか。
船後正道
114
○
説明員
(船後正道君) 中小企業の
公害
問題は、やはり中小企業
対策
の一環といたしまして、従来通産省の中小企業庁で担当してまいったのでありまして、今後も私は基本的にはその分担には変わりはないと思います。やはり中小企業のほうで主として仕事をおやりになり、私どもも
公害
防止という点からそれに取り組んでいくということで進んでまいる、かように
考え
ております。
栗林卓司
115
○栗林卓司君 いまの御回答なんですけれども、たいへんよくわかるし、そういう回答しか出せない実態から、実は
公害対策
というものはなかなか思い切った手が打ててこれなかった。この現実は否定できません。そういった
意味
で、いまやっている、いないということを含めて言いたかったのは、みんながそれぞれお互いに
情報交換
をし合って、努力をし合いながら、この問題は一日も早く解決をしていかなければならないわけですからね。それぞれ主管庁があることは十二分に存じております。しかし、それはあっちの分で、それはこっちの分でということを
環境庁
が言い出したら、一体だれがやってくれるのだという話になると思うのです。その
意味
ではたいへん御苦労な仕事だと思いますけれども、全部を含めて、せっかくこういう機構ができたわけですから、視野としては全部を見渡しながら、必要な
意見
、注文は各
省庁
から受けて、それで一日も早く実りのあるような仕事を心からお願い申し上げたいと思います。 次に、
環境保全
ということに
関係
して
考え
てまいりますと、基準をつくるということも、これは当然だと思います。と同時に、なるべくよごさないということは、よごれるものがなるべく出ないということのほうが先決だろうと思いますし、その
意味
で大気汚染、水質汚濁に関する問題とあわせて、製品の事後処理、市場に回った
あと
の処理をどうするかということも、これは今日の大量消費時代では無視できない問題だと思います。 そこで、これまでもよく話に出ておりましたものを例示し、御
意見
を伺いたいと思うのでありますけれども、今日内海、湾内で航行する船舶の悩みというのは、海中に浮遊しているビニールと聞いております。これがくっつきましてなかなか取れないで事故のもとになる。これ一つとってみても、ビニールというものが将来大きな問題を生みそうだということははっきりしておりますし、これまでもずいぶん論議してまいりました。こういうものについて、これは一つの例示として申し上げたのですけれども、新しい製品が開発され、それが市場に流通してやがては廃棄物になっていく。こういうものについて、
環境庁
として、これは別だとお
考え
になるのか、これも自分
たち
の分野だとお
考え
になるのか、その場合にどう対処しておいでになりますか、伺いたいと思います。
大石武一
116
○
国務大臣
(
大石武一
君) これは、このようなものをいわゆる廃棄物ということばでいま使っておるようでございますが、その処理につきましては、やはりわれわれは
責任
を感じております。われわれの仕事の一部でやらなければならないと
考え
ております。 ただ、直接の廃棄物に対する処理につきましては
厚生省
が担当いたしておりますけれども、それはそのような仕事面では
厚生省
にお願いしますけれども、いろいろな方針なり、やり方なり、そういうことにつきましては十分にわれわれの
意見
と
調整
いたしまして進めていきたいと思います。 ただ、この廃棄物の処理は、私もしろうとで、どうしたらいいか、よい話があったら、いま水質保全
局長
からお答えさせたいと思いますけれども、新しいものがどんどんつくり出されるのはまことにけっこうですが、やはりつくり出す場合には、それをどのようにして処理するかということもあわせて今後
考え
、
研究
してもらうことが大事ではないかと思うのです。いまのビニールを溶かしたり、何か処理する方法があったら世界的な発明だといわれておりますが、全くそのとおりでございます。 で、どうしたらいいか、新しい構想が打ち立てられなければならないと思います。たとえばいま田子の浦でヘドロ等が問題になっておりますが、あのような紙の処理をするには、紙を食うようなカビみたいなものをひとつ見つけ出して——きっとあると思うのです。そういうものを見つけ出して、それを処理させるとか、何か思い切った新しい開発をしなければならぬと
考え
ておるわけでございますが、そんなことで、
答弁
にはなりませんけれども、
あと
、その他のことはひとつ、恐縮ですが、水質保全
局長
からお聞き取り願いたいと存じます。
岡安誠
117
○
説明員
(岡安誠君) いまのお話、廃棄物の処理でございますけれども、法律で申しますと、廃棄物の処理の法律は
厚生省
の所管でございますけれども、最終的な処理の基準は
環境庁
でつくるということになっております。したがって、いま
大臣
からお答えいたしましたとおり、私どもといたしましては処理の基準をつくりますが、なかなか処理のむずかしいものもあります。それにつきましては、処理の方法といいますか、さかのぼって生産のところにも入りますけれども、私どもは、やはり希望をつけまして、処理がしやすいような方法をあらかじめ講ずるように私どもとしては希望いたしたい。 たとえば一般の廃棄物になりますと、なかなか区分して処理するということが困難でございますので、それらにつきましては企業にあらかじめ回収等の
責任
を持たせる、また企業につきましては、処理の方法ができてから製品を販売する、そういうようなことを私どもは担当の官庁とも相談いたしまして、事前に手を打ちたい、かように
考え
ておるわけでございます。
栗林卓司
118
○栗林卓司君 いまの御回答と関連しまして、二つ伺いたいと思うんですけれども、できたもの、廃棄物について基準をつくっていく、これはわかります。 時間がありませんので、簡潔に二つだけ申し上げますと、たとえば薬品なんかについては、市場に出回る前にやはり認可検査をしているわけです。それはもちろん当然だと思うのです。ただ、いまの廃棄物の問題というのは、大量生産、大量販売。大量消費時代になりますと、個々に取ってみれば何でもないものが、数が多いので、さてという話になるというと、やはり製品を開発して、それを市場に流す、そこのところでもうやはり
環境庁
がかんでいくべきなんではないだろうか。かむおつもりを将来
課題
としてお持ちかどうかをまず伺いたいと思います。 それからもう一つは、先ほどのプラスチック、ビニールに関連してですけれども、いろいろな論議の中で、ポリ容器が認可されて現在いるんですけれども、それを含めてプラスチックが現在使用されている実態を調べながら、一体どうしたらいいのかということを至急取り組む計画が
環境庁
としておありかどうか。これはぜひ取り組んでいただきたいというお願いを込めての
質問
でございます。
大石武一
119
○
国務大臣
(
大石武一
君)
あと
のほうからお答えいたします。 ポリ容器、これはだいぶ前から出回っているようであります。最近は牛乳業者にポリ容器を許可したわけでございますが、あれは企業のほうでそれを回収処理するという条件で許可になったということだと思いますけれども、ただ、はたしてほんとうにこれを回収しているのかどうか。回収して自分で焼却炉をつくって、そしてそれをほんとうに焼却しているかどうか。それをもう少し厳重に取り締まることが、これは
厚生省
の役目でしょうけれども、必要だと思います。われわれは、そういう
権限
があるかないか、よくわかりませんが、そのような
権限
を持ち得ますならばそういう
権限
も持って、そのような厳重な監視をいたしたいと
考え
ます。 それから、いまの廃棄物の問題でございますが、これはもう実際何とお答えしていいかわかりませんが、われわれも、そのような大きな問題に取り組んでいきたいと思います。ただ、どのようにして、どの段階でということはわかりませんが、そういう意欲は持っておることだけは申し上げるものでございます。ただ、二、三日前の新聞を読んだんですが、アメリカのニューヨークでいろいろな市民運動が起こりまして、そのような廃棄物の処理なり、それから、むだにしない——いろいろな、たとえばビニール製品は一ぺんで捨てないでそれを三回、四回使えとか、そうすれば使用量が減るでしょうから。そのようなさもないことですが、いろいろな市民運動が起こりまして、そのような共鳴者があるということを聞いております。これは幾ら役所が努力しましても——役所の
責任
の言いのがれをするわけではありませんが、
国民
全体のやはりそのような
公害
をなくそう、われわれの
生活環境
をよごすまいというやはり公衆道徳的なといいますか、そのような連帯意識を持って努力をしてもらうのでなかったならば、役所がどのような努力をしても、そう大きな効果をあげることはできないと思います。そういう
意味
で、私は、日本
国民
全体が同じような一つの
生活環境
をお互いに守るのだという意識に目ざめてもらえるように、そのような方向に日本の国のものの
考え
方があるような教育のあり方を望んでおるものでございます。そういうことは、これは決して役所の
責任
のがれではございませんので、その点御了承願いたいと思います。 いろいろときょうはあたたかい親切な御
意見
を賜わりまして非常にありがとうございました。
加藤進
120
○
加藤進
君
環境庁
は無事発足し、初代の
長官
も
決定
した。いよいよ
環境庁
の仕事が始まる。
国民
はおそらく非常な大きな
期待
をもって
環境庁
の仕事ぶりを見たと思います。 ところで、その
環境庁
がまさにそういう
国民
の
期待
する前でどんな仕事を始めたか。これは私はこまかいことは申し上げません。新聞にも大きく出されております。非常に貴重なお花畑の原生花園で有名な北海道の網走国定公園の中に、事もあろう工場廃液処理場をつくる、こういうことがまず仕事の手始めとして行なわれたわけでございます。これでは一体
環境庁
が今後ほんとうにやる気なのか、
環境庁
によって
公害
の防止、
自然環境
の保全ができるのだろうか疑わざるを得ない、こういうのが私は
国民
の率直な声だと思います。事実、こう書いています。「国家的視野で、自然を守るのが
環境庁
の任務だ。先に立って
自然破壊
を認めるようでは、これからが思いやられる。」、こうあります。これは有名な方のことばです。私は、この一つを取ってみても、いま仕事を始められる
長官
の心境も複雑だろうと思う。ぜひとも私はこういう
国民
のいま持っている不信に対して積極的に
長官
にお答え願いたい。このことをまず希望いたします。いかがでしょうか。
大石武一
121
○
国務大臣
(
大石武一
君) そのただいまの新聞紙上に出ました北海道の網走の国定公園の問題でございますが、これは私も非常に遺憾に存じております。せっかく
国民
の
期待
をになって、非常な希望を持って発足したこの
環境庁
でございますが、その出発早々にしてこのような問題が出てまいりましたことは、ほんとうに
国民
に対しても大きな失望を与えたでしょうし、私にとりましても非常に残念なことでございます。これはまことに申しわけないことでございますが、どうしてもでき上がったことはやむを得ませんので、これをひとつ反省の土台にいたしまして、このような間違った
行政
を二度と繰り返させないように、それでなくてもいろいろと自然は
破壊
されております。そういうことでまさか
環境庁
がその手先になることはない。これは手先になりたわけではございませんけれども、そのようないきさつは、申し上げれば長くなりますけれども、そのいきさつを簡単に申し上げますと、北海道の北の網走国定公園の近くに北見の国斜里という町がございます。その斜里にホクレン——北海道農業協同組合連合会ですか、ホクレンの経営するビート工場、最近はでん粉等をつくる仕事もやっているのでございますが、おそらく
昭和
三十四年あたりから私動いていると思いますが、そういうのが動いております。それが昨年工場の拡張をいたしまして、大量の排水を流すことになったわけでございますが、それを沈でん池を通しましていままで斜里川に流しておりましたが、その斜里川はサケやマスの有名な産地であり、これ以上流されては困るという漁民の反対からその処置に困りまして、いろいろ検討しました結果、その網走国定公園の一部の二十二ヘクタールの砂地に目をつけまして、そこに沈でん池を通った廃液をしみ込ませるという方法を
考え
まして、それを北海道庁に申し入れをいたしまして、北海道庁がそれを残念ながら指示をしてあらゆる手配をいたしまして、北海道内における北海道自然
保護
審議会とか、自然
保護
協会とか全部まとめまして、あらゆる手配をして、六月の十二日に
厚生省
の国立公園部にその話を持ち込んだのでございます。 なぜ持ち込んだかと申しますと、一応形式的には
行政
指導の
立場
から、
厚生省
と協議をするということになっておるわけでございます。実際の
権限
は何もございません。道庁が断行するといえばそれ以外にないんであります。一応形式的にそのような形になっていたわけでございます。そのために形式的に六月の十二日にそれを持ち込んできたということでございますが、実際の手配、手続は全部道庁で済んでおりまして、ただ
厚生省
から差しつかえないという言質を待つだけの状態になっていたようでございます。 そこで、
厚生省
の国立公園部でも、ずいぶん悩んだのでございますが、結局は、最後の六月三十日、それを部長名で決裁をして、その協議に応ずるという旨の返事をして、翌七月一日には、そこにある農林省の林野庁
関係
の防潮保安林は七月二日にそれが解除になりました。それで
決定
したというのがいきさつでございます。 まことにこれは国立公園部としては、新しい
環境庁
の発足をすぐ目の前に控え残念だったと思いますけれども、これにはいろいろないきさつもありましょうし、また
考え
てみれば新しい
環境庁
にこのような問題をかかえ込んでいったんではどんなに困るだろうから、一切片づけておこうという前進的な気持ちもあったでありましょうし、いろいろな圧力もあったと思います。われわれは知りませんけれども、いろんな圧力がよそからかかっているように
考え
られます。そのようなわけでその
決定
をしたわけでございますが、まことに残念でございます。今後ともそういうことのないように努力いたす
決意
でございます。
加藤進
122
○
加藤進
君
長官
の
発言
を一応了解いたしますけれども、
長官
自身もまたその言動において相当
国民
の批判を受けられておる。それは四日市の問題、私は、あえて具体的な
内容
には触れませんけれども、
長官
もまた心してひとつ
行政
の担当を進めてもらいたい。まず要望しておきます。 私は、
環境庁
の発足にあたって、いま
国民
が一番望んでおることは何か、そのことに真剣にこたえていただくような仕事をぜひやってもらいたい、こう
考え
ます。 その一つとして私が
長官
に要望を申し上げます。それは
公害
基本法をはじめとする諸法規は、一応
整備
いたしました。
改善
も行なわれました。御承知のように、経済との調和条項、この調和条項が削除されたということも非常な前進だと思います。こうして
公害
を
発生
源で食いとめる、そのために企業の
責任
をある程度法規の上で明確にした、こういう積極的な
内容
を持っておると思います。しかし、こういう
法案
がいろいろ準備されて提案の過程において何が起こったかというと、これは
政府
の原案の当初から見ると、いろいろな外部の圧力に屈したと見えて、その原案の
内容
が非常に後退しておることは、これは御承知だと思います。たとえばその最もいい例として、
公害
罪法のいわゆるおそれ条項がその中で削られました。こういう状態の結果、今日の
公害
諸
法案
すら、いまや
国民
の十分な
期待
にこたえないものになってきておる、こう言ってもいいではないかと思います。したがって、私は、まず
長官
に要望いたしますのは、今日の段階において、さらに今後起こり得る自然の
破壊
あるいは
公害
の深刻化という事態を
考え
つつ、このような諸
法案
を前向きに
改善
していく、前向きに改正していく、こういう用意があられるかどうか、このことをお伺いしたい。
大石武一
123
○
国務大臣
(
大石武一
君)
加藤
委員
のおっしゃることは当然でございます。われわれは、どんな場合でも常に前進を
考え
ておりますから、新しい時代に対処し得るような新しいものの
考え
方にいつでも進んでいくような
決意
を持っております。
加藤進
124
○
加藤進
君 言うまでもなく、
公害
を防ぐのには、それを
発生
源で防止するということが最も適切な
措置
だと思います。ところが、今日までのいわゆる
公害対策
の欠陥はどこにあったかといえば、
公害
が大きく
発生
した、人類にも危険が及びつつある、ほうってはおけぬ、こうして
あと
を追っかけるような事後
対策
、手おくれの
対策
に終始したというのが、私は、一言をもってすれば、
内容
だと思います。したがって、こういう状態が幾度も
国会
の段階においても論議され、叫ばれたにもかかわらず、依然としてこれが改まっておらないわけであります。私は、その点において、特に具体的に次のことを
長官
にただしたいと思います。 まず、
長官
が、先ほど私の申し上げましたような前向きの方向で今後は進んでいくと言われるなら、第一に、
公害
罪法におそれ条項を新たに挿入する
決意
がありやいなや。第二には、
公害
発生
源に防止装置を義務づけるという御
決意
があるかどうか。それから
公害
規制を厳守すべしということを企業に義務づける用意があるかどうか。私は、この三点の
内容
をぜひとも今後の法改正において早急に盛り込んでいただきたい。このことを要望いたしますけれども、
長官
はいかがでしょうか。
大石武一
125
○
国務大臣
(
大石武一
君) その
発生
源に
公害
の予防装置を取りつけるということ、これはまことにけっこうな御指示でございます。できるだけ早くそれが行なわれますように努力してまいりたいと思います。これは幾らそういうことを要望しましても、きょう、あす中にというわけにまいりません。いろいろないままでの実態がございます。実態を無視して
政治
を進めるわけにはまいりませんので、いままでの実態を十分に把握した上で、それができるだけ早い期間に実現されるように努力してまいりたいと思います。 その他、おそれの条項、これはちょっと私いまそのことを詳しく存じませんので、はなはだ恐縮でございますが、かわって
局長
からお答えさせたいと思います。
船後正道
126
○
説明員
(船後正道君)
公害
罪の問題は、先生も御存じのとおり、法務省の所管の法律でございまして、私どものほうといたしましては、
公害
に関する法律としての
意味
においてのいろいろな作業がございますけれども、このおそれ条項を挿入するかしないか、そういった問題は、私どものほうで、ただいま
責任
をもってお答えするという
立場
でございませんので、御了承願いたいと思います。
加藤進
127
○
加藤進
君 時間もございませんから、この問題は今後の私の
質問
に譲りたいと思います。 次に、新全総計画に関連する問題でございます。御承知のように、
政府
は新全総計画を
推進
する、こういう長期の計画を立てております。この問題に関連いたしまして、わが党の春日議員が参議院の予算
委員会
でこう
質問
いたしました。
公害
列島と言われるような深刻な
公害
の
原因
が産業開発にあることは明らかである、新全総開発計画をこのままにしておかないで、この手直しを行なうべきだと思うがどうか、こういう趣旨の
質問
をされております。これに対して佐藤総理の
答弁
は、明確なことばではありませんけれども、
公害
などのような新しい事態が起きるようなら手直しも検討する必要がある、こういう
意味
にとれるような
答弁
でございました。この点について、特に
環境庁
は
環境
の保全、
公害
の防止を担当する庁でございますから、その
立場
から見て、新全総計画をこのまま
推進
さしていいと
考え
られるのか。それに対して、
環境庁
の
立場
から何らかの手を打ち、手直しをしなくてはならぬと
考え
られるのか、その点をひとつお聞かせを願いたいと思います。
大石武一
128
○
国務大臣
(
大石武一
君) 日本の衆知が集まりまして、せっかく新全国総合開発計画をつくったわけでございます。これはやはり
推進
するに値するものと
考え
ます。ですから、これがすなおに効率的に
推進
されることを望んでいるわけでございます。同時に、そのことがわれわれの
自然環境
、
生活環境
に大きな影響を与えることは確かでございます。われわれは、この総合開発計画がわれわれの
環境
の保全ということと調和——ということばは、まあ日本人にはきらわれることがありますが、調和ということは、元来いいことばでありますので、調和するような方向においてこれを進めてまいりたいと思います。しかし、その計画が大きな影響をわれわれの
環境保全
にあるいは自然の保全に与えるような場合があります場合には、これと戦ってまいらなければならないと思います。そういうような戦うということは、やはり改定すべき必要がある場合には改定すべき方向に向かうと、こう私は
考え
ております。
加藤進
129
○
加藤進
君
長官
も、
政府
部内の
意見
に対してあまり注意を払っておられない感じがいたしますね。というのは、建設省は、すでにこの新全総計画が今後進められるならどのような事態が
発生
するのかということについて、広範な
調査
資料を出していますよ。特にその中で、こまかいことは申しませんけれども、建設省の「七〇年代の国土政策の基調について」というパンフレットがございます。これを見て私も
認識
を新たにしたわけでございますけれども、たとえば先ほどの
自然破壊
の問題です。もしこのままの状態で進んでいくなら、国内産の木材ですね、いわば樹木ですが、一九七五年までには、二十三年生、二十三年までの程度のものは残るけれども、二十三年をこえたような樹木は全部伐採される、それから一九八五年になると、十五年たった樹木までは伸ばすけれども、生かすけれども、
あと
は全部伐採する、こうせざるを得ない、こういうことまで強調していますよ。そして災害、交通事故の増大、これはきわめて危険な事態に至るであろうということを警告しているのです。こういう警告は、これは
長官
もしっかり胸にとどめておいていただかなくてはならぬと思う。そういうことを予想しながら進められておるのが新全総計画なんです。そのことによって起こるような
公害
、
自然破壊
について一つ一つ手を打とうなどということでは、全く手おくれと言って過言ではないと思います。この点について、私は、
政府
部内の建設省までがこのような
認識
に立っておるのに、
公害
を担当し、
自然環境
を保全するための仕事をやっておられる
環境庁
の
長官
が、このことについて、もし事が起こるならというような、いわば将来のことのように
考え
ておられるのは、これは
国民
が承知できないところではないかと思いますが、いかがでしょうか。
大石武一
130
○
国務大臣
(
大石武一
君) この総合開発計画をつくる場合には、日本の衆知が集まりましたから、そのようないろいろな
公害
問題、
自然環境
保護
というようなものについて無視するような計画が立っておるはずがないと思います、私は。いまのようなお話は、建設省でそのようなことを
考え
ておるのではなくて、無計画に何もしなければそのような状態になるということだと思います。そんなようなおそれがあるという
考え
方だと思います。ですから、国は、われわれ役所は、みな
行政
の
一端
の最高の
責任
をになって働いておるわけでございますから、お互いにそのような事態が来ないように努力するのがこれは役所の働きでございますから、手をこまねいてほうっておけばそのような事態になるおそれがあるという私は話だと思うのです。そんなようなことをするという計画では断じてないと思いますから、そのような御心配はないように願います。しかし、やはり何と申しましても、今後ともいろいろ経済は発展してまいりましょう。その場合には、東京に工場が建つことができなければ、大阪に建つことができなければ、どこかの過疎地帯に建つことになりましょう。これはやむを得ないことだと思います。しかし、そのことによってわれわれの
自然環境
が大きく
破壊
されない、できるだけ保全されるような
対策
を立てること、それがわれわれ
環境庁
の仕事だと
考え
ております。ですから、
政府
部内の
意見
は別に違っているとは思いません。
加藤進
131
○
加藤進
君
長官
ね、四日市
公害
で名を上げている三重県、三重県がいま中心的な
施策
として進めているのが中南勢総合開発計画、これは新全総計画の重要な
内容
になっております。この新全総計画をそのまま進めていったら、これは四日市のような事態になるということをいま県民も非常に心配し、そしてもうこの問題については知事さえ、県会で、このままの状態を許すわけにはいかぬ、どうしてもこれを訂正しなくてはならぬと、こういうふうにはっきり言っておるということをひとつ頭にとめておいていただきたいと思います。 続いて、時間もございませんから、私は、
被害者
の
救済
の問題についてお尋ねしたいと思います。 今日、
被害者
の
救済
ということは、先ほど来、各
委員
が心を込めて言われたように、なかなか実現されておりません。その最も大きな問題は何かといえば、ほかの
公害
関係
の
法案
はやや前進した。ところが、
救済
に
関係
する
法案
については全然手直し一つやられていない。こういう事態が端的に示しておると思う。ただいま
長官
の
発言
によりましても、無
過失賠償責任
制を確立する、これは一歩前進であろうと思います。もちろん、その
内容
につきましては、今後十分にわれわれも検討しなくちゃならぬと思いますけれども、その方向については私は認めていいと思う。しかし、もう一つの問題、
被害者
の医療、生活、そして営業をどのように
救済
し補償していくか。こういう問題について、ただ一つのよりどころになっているのは、御承知のように、
救済
特別
措置
法ですね。この
措置
法が今日あるだけでございます。そしてこれは従来から全く改正されないままで、今後やっと手当を若干増額するという
措置
をとられたにすぎません。こういう点で、この
被害者
の
救済
特別
措置
法について何らかの改正の意思があるかどうか、意図があるかどうか。このことをお尋ねしたいと思います。
大石武一
132
○
国務大臣
(
大石武一
君) 健康
被害
救済
法ですか、これにつきましては、われわれは、次の
通常国会
におきましても、これをさらに拡大するいま
考え
を持っております。たとえば
公害
の
地域
指定の追加であるとか、あるいは
医療手当
あるいは
介護手当
の増額であるとか、あるいは所得制限の緩和であるとか、そのようなあんまり大きな問題ではございませんけれども、さらによりよい手当になりますように、そのような方向で進めてまいりたいと
考え
ております。
加藤進
133
○
加藤進
君 時間もございませんので、最後に簡潔に申し上げますけれども、いまの
救済
制度は、何がゆえに問題になっているのかといえば、これはその適用範囲が非常に限定されているということ、それから医療負担も全くいまおっしゃるような不十分さであるということ、指定区域はあるけれども、その区域から一歩出たらもうこれは適用されない、こういう事態があるということ。特に手当その他につきましては、看護料、何と一日三百円、これでは雇う方法さえない。こういうような状態をこのままにして、本来の
被害者
の
救済
がほんとうにできるかどうか。こういう問題だと思います、
問題点
は。 そこで、私は、特に
長官
に要望いたします。この
救済
法のたてまえをこういうところに置いてほしいということであります。基本法の趣旨に基づいて企業
責任
をはっきりさせるということ、これは当然お認めいただけると思います。それから
公害
の
被害者
に対してはこれを全面的に
救済
する
立場
に立ってもらいたい。一部の医療だけの問題ではないということ、こういう点をたてまえとしながら、私は、次の三点のことをぜひとも
内容
とする法改正に踏み切ってほしいということでございます。 その一つは、
事業者
負担で
被害者
の医療、生活、営業の補償を行なうということ、企業の負うべき負担をさしあたって
政府
の立てかえ払いにするという制度、さらに
被害者
の適用範囲を広げて広域
公害
である
光化学スモッグ
、このスモッグの
被害者
に対してもこれが適用されるようにするということ、このような
内容
をぜひとも含む法改正に、
環境庁長官
、踏み切っていただく
決意
があるかどうか、このことをお尋ねいたします。
大石武一
134
○
国務大臣
(
大石武一
君) ただいまのいろいろな画期的な御提案でございますが、これにつきましては、十分に検討さしていただきたいと思います。
加藤進
135
○
加藤進
君 じゃあ、前向きに検討していただくということで了解していいですね。
大石武一
136
○
国務大臣
(
大石武一
君) 前向きに検討できるものが中にあると思います。そのものにつきましては十分に考慮いたしますが、できないものもあるかもしれません。こういうものにつきましては、
あと
でまた十分にお答えする機会があると思います。
加藤進
137
○
加藤進
君
救済
特別
措置
法についての改正を検討していただく、このことをまず御確認いただいたと思います。 これで私は
質問
の時間も終了いたしましたので終わりますけれども、なお、ひとつ
委員長
さんにお願いがございますけれども、お許し願えましょうか。簡単なことでございます。——これはいま参議院のあり方ということが非常に問題になっていることは、われわれが心にとめて置かなければならぬことでございますし、私
たち
も有権者の委託を受けて
国会
に出たわけでございますから、本来、
委員会
における
委員
の
発言
その他については、当然のことながら、これは平等であり、公平であるのが私はたてまえだと思います。こういう点につきまして、従来、特に大きな政党間の話し合いその他を通じてつくられた慣例というものが今日もなお
基礎
になって、いろいろ
質問
者の時間の制限その他が加えられるようなことも今後起こるかもしれぬと憂えるわけでございまして、こういう点は、きょうスタートいたしました
公害
特別
委員会
の今後の
委員会
の運営におきましてぜひ改めていただきたい。各
委員
にはそれぞれ平等の
発言
の権利がある。したがって、同時にそのような
発言
の問題につきましては、協議の上で、その
発言
者の意向を十分にくんで
発言
の時間等々を
決定
していただく、このような
措置
をぜひおとりいただくということを心から要望いたしまして、ひとつ
委員長
さんのその点についてのもし御
意見
がございましたら表明いただきたいと思いますが、いかがでございますか。
加藤シヅエ
138
○
委員長
(
加藤シヅエ
君) この
委員会
は、非常に重要な問題を審議いたしますので、十分に公平にいたしてまいりたい。いままでもそうであったと思いますけれども、特に参議院のあり方が問われております今日では、一そうただいまのお申し出の点は
考え
まして進めなくてはならない。その点につきましては、
理事
各位も十分に御理解でございますので、
理事
各位とも、そのつどよく御相談申し上げるわけでございます。 ただ、時間の割り当てを十分に公平にいたすことはもとよりでございますけれども、それはやはり会派の議員の数というようなものが基準になっておりますことが、これはやはりたいへん平等の原理の上に立っていると思うわけでございます。本来ならば、
自民党
は非常にたくさんの議席をお持ちでございますから、たくさんの
発言
の時間をおとりになろうと思えば取れるわけでございますけれども、全部それをお取りにならないで、こちらのほうにみんなお譲りになっちゃっているわけです。これは、私、ちょっとふしぎに思うわけです。
自民党
さんは
公害
に対してあまり御関心がないのかしらと、
長官
が一人で戦っていらっしゃる。そんなことも
自民党
の先生方にも
考え
ていただきまして、公平ということであくまでも進めてまいりたい。したがいまして、きょう、
加藤
委員
のお持ち時間は超過いたしましたけれども、少しもそれを追及いたしませんで進めてまいったわけでございます。
加藤進
139
○
加藤進
君 おことばありがとうございました。 ただ、最後に、各会派の
委員
の数によって割り当てをきめる、これがいままでのたてまえだということでございますけれども、そのたてまえについては、これから始まる
委員会
の運営についてひとつ十分に御検討いただきまして、この点についての
改善
を含めて、先ほどの私の希望を受け入れていただけないものであるかどうか。 こういうことを最後に要望として申し述べさしていただきまして
発言
を終わりたいと思います。
加藤シヅエ
140
○
委員長
(
加藤シヅエ
君) 本日の
調査
はこの程度にとどめます。
—————————————
加藤シヅエ
141
○
委員長
(
加藤シヅエ
君) 次に、
継続調査要求
に関する件についておはかりいたします。
公害対策樹立
に関する
調査
につきましては、閉会中もなお
調査
を継続することとし、本件の
継続調査要求
書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
加藤シヅエ
142
○
委員長
(
加藤シヅエ
君) 御異議ないと認め、さよう
決定
いたします。 なお、
要求
書の作成につきましては、これを
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
加藤シヅエ
143
○
委員長
(
加藤シヅエ
君) 御異議ないと認め、さよう
決定
いたします。
—————————————
加藤シヅエ
144
○
委員長
(
加藤シヅエ
君) 次に、
委員派遣承認要求
に関する件についておはかりいたします。
公害対策樹立
に関する
調査
のため、
委員
派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
加藤シヅエ
145
○
委員長
(
加藤シヅエ
君) 御異議ないと認めます。 つきましては、派遣
委員
、派遣地、派遣期間等の
決定
は、これを
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
加藤シヅエ
146
○
委員長
(
加藤シヅエ
君) 御異議ないと認め、さよう
決定
いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時十六分散会