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説明員(
久良知章悟君) 三日市製錬所の問題につきまして、事業体側でやりましたいろいろの措置につきましては、私
どもも、高く評価をいたしております。こういう問題に対する
一つのモデルではあるまいかというふうに
考えておるわけでございますが、昨年、この事業所に対します規制を始めましたときに、私
ども、四つの問題についてやはり解決を要するのではないかというふうに
考えたわけでございます。
その
一つは、ただいま先生もおっしゃいましたこの施設の問題でございます。
公害防止の施設につきましては、相当余裕をもって完備をさせるということが第一でございます。それから第二は、過去に
汚染をいたしました
汚染米に対する
補償を完全に解決をするということ。それから第三は、県、市、住民というふうなこの地域との完全な了解を得るということでございます。それから第四は、
公害防止施設を完備いたしますと同時に、
工場直近の近傍の土地につきましては、やはり念のために絶対に被害を生じないような措置をするというこの四つの点でございます。
施設の問題につきましては、先生御
指摘なさいましたように、私
ども、二十五項目について
指示をしたわけでございますが、そのほかに、会社側といたしましては、この排水が黒瀬川に流れるわけでございますが、排水中の溶存酸素量が排水のPHを上げるために少なくなるという問題が出てまいりまして、千八百万円をかけまして曝気装置を本年の二月に完成をいたしております。そのほかの施設の改善の具体的な問題につきましては、
あとで担当課長に簡単に
説明をしてもらうことにしたいと思います。
それから二番目の
補償の問題でございますが、これは
汚染米の問題でございまして、四十五年の産米につきましては、
補償といたしまして八千五百万円を支払っております。それからなお注目されるのは、四十六年以降の産米に対する事前
補償をしたということでございまして、三年間、年々二千万円を支払うということで解決をしたわけでございます。そのほか、この
補償につきましては、ただいまの
二つに盛られない分に相当するものといたしまして、黒部市に一億円を付託をいたしております。私
ども、
補償についても誠意をもって事業体は事に当たったというふうに
考えておるわけでございます。
それから三番目の
公害防止協定につきましては、これは四十六年の五月二十七日に、黒部市と
日本鉱業との間で、富山県知事を立ち会い人といたしまして、
公害防止につきましての国の
基準を相当上回るきびしい線での
公害防止協定を結んでおります。
四番目の
工場の周辺部の土地の問題でございます。企業体が約三億円を投じまして七万坪の土地を買収いたしておりますが、その土地につきましては、地域住民の賛意を得まして、七月十日に農地からの転用許可を受けまして、その土地には
公害防止設備をつくるか、またはグリーンベルトとするか、福利厚生施設をつくるというふうな設置計画を着々と進めておるようでございます。
以上御
説明申し上げましたように、四点につきまして完全に解決をしたということを見きわめまして一万トンまでの能力拡充に踏み切らしたわけでございますが、御参考までに、六千トンの能力で一年足らずの間操業をしてきたわけでございますが、その間に監督部を通じまして抜き打ちで検査をいたしておるわけでございます。その結果は、国のきめました
基準をかなり下回っておりまして、たとえば、ことしの七月にやりました検査では、硫黄酸化物につきましては、計値で申し上げまして、鉱山保安法では二〇・四、
公害防止協定では一一・七というふうに、国の
基準よりもかなりきびしくきめておるわけでございますが、実際の測定結果では〇・〇六から六・四というふうな数字でございます。
それから一番問題になりましたカドミウム、これは
大気中のカドミウムでございますが、鉱山保安法によりますいわゆる国の
基準が一立方メートルの空気中に〇・八八から二・九三マイクログラム。それから
公害防止協定では、これをさらにきびしくいたしまして〇・四マイクログラムというふうにしておるわけでございますが、七月の測定結果では、これは〇・〇〇七から〇・一八二マイクログラムというふうにかなり低い数字になっております。それから、排水中のカドミウムにつきましても、やはりかなり下回った数字が出ておりますが、一万トンに上げました場合の結果については、いまのところまだ結果が出ていないわけでございます。
こういう数値から一万トンに上げても、国の
基準ないしは
公害防止協定できめました
基準を上回ることはあるまいという
考えのもとに能力アップに踏み切った次第でございます。