運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1971-09-10 第66回国会 参議院 交通安全対策特別委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年九月十日(金曜日)    午前十時九分開会     —————————————    委員異動  八月九日     辞任         補欠選任      鶴園 哲夫君     野上  元君  九月九日     辞任         補欠選任      岩本 政一君     嶋崎  均君      中村 禎二君     渡辺一太郎君      野上  元君     松永 忠二君     柴田利右ェ門君     栗林 卓司君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         藤原 道子君     理 事                 岡本  悟君                 中村 波男君                 原田  立君     委 員                 嶋崎  均君                 橋本 繁蔵君                 矢野  登君                 渡辺一太郎君                 伊部  真君                 松永 忠二君                 森  勝治君                 栗林 卓司君                 小笠原貞子君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        人事院給与局長  尾崎 朝夷君        警察庁交通局交        通規制課長    竹岡 勝美君        警察庁交通局運        転免許課長    鈴木金太郎君        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        環境庁大気保全        局長       山形 操六君        環境庁水質保全        局企画課長    河野 義男君        外務省アメリカ        局安全保障課長  宮川  渉君        厚生省医務局長  松尾 正雄君        通商産業省重工        業局自動車課長  石原 尚久君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  秋富 公正君        運輸省鉄道監督        局民営鉄道部土        木電気課長    山本 正男君        運輸省航空局長  内村 信行君        運輸省航空局技        術部長      金井  洋君        海上保安庁警備        救難部長     貞広  豊君        建設省道路局次        長        吉田 泰夫君        消防庁次長    山田  滋君    参考人        日本道路公団理        事        高橋 末吉君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○交通安全対策樹立に関する調査  (富士市と由比町間における自動車交通事情  に関する件)  (踏切事故対策等に関する件)  (地下鉄における「酸欠空気」に関する件)  (瀬戸内海における船舶の航行安全等に関する  件)  (救急医療体制に関する件)  (航空機事故対策に関する件)     —————————————
  2. 藤原道子

    委員長藤原道子君) ただいまから交通安全対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨九日、岩本政一君、中村禎二君、柴田利右ェ門君及び野上元君が委員辞任され、その補欠として嶋崎均君、渡辺一太郎君、栗林卓司君及び松永忠二君がそれぞれ委員に選任されました。     —————————————
  3. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  交通安全対策樹立に関する調査のため、本日の委員会参考人として日本道路公団役職員出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 交通安全対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言をお願いいたします。
  6. 松永忠二

    松永忠二君 まず警察庁のほうにお伺いいたしますが、道交法の第二条の二十二に新たに「交通公害」というのが規定をされて、総理府令厚生省令自動車とか原動機付自転車騒音振動規制をするということがその中に入ってきたわけです。この交通公害実情に基づいて道交法の第七条で「交通の安全と円滑を図る」とか「交通公害防止を図る」ために通行の禁止及び制限ができるというようなことが出ているわけですね。で、道交法交通公害のいわゆる騒音振動限界というのは、騒音規制法の第十七条に、「自動車騒音総理府令厚生省令で定める限度をこえていることにより」というのが出ておる。道交法の中のいま言った騒音振動限界というものと、騒音規制法の中における総理府令で定める限度というのは、一体どういう関連があるのか、まずその点をお伺いをしておきたい。
  7. 竹岡勝美

    説明員竹岡勝美君) 道路交通法では、当然騒音もわれわれが交通規制等措置をもって処置すべき交通公害でございます。この騒音交通公害防止の方法といたしましては、先生御指摘の騒音規制法がございまして、そしてその騒音規制法では、一応原則的には騒音測定いたします市町村長、この騒音測定いたします市町村長から公安委員会に、騒音防止のための公安委員会がとるべき措置要請することができるという規定になっております。一応原則的にはそういう要請があって警察でやるべきなのでしょうけれども、しかし一方、道交法限界がございますから、警察自体のまた判断によって、騒音が非常に環境基準をこえておるとか、いろんな事情を知り得ました提合には、警察独自でも交通規制等措置をとることができるようになっております。騒音規制法に基づきます総理府令には、一応、測定いたします市町村長公安委員会に対しまして何らかの措置をとってくれというその限界騒音基準総理府令数値をきめております。この数値をきめております中で、一応の特例としましては、いわゆる幹線道路幹線道路につきましては、これは騒音環境基準につきましても一応道路に面する区域環境基準をきめておりますけれども幹線道路は、あと道路をどう直すとかいろんな問題がございますので、幹線道路につきましては、若干、五年をこえます以上の期間をもってできるだけ直していきたいというような環境基準になっております。そういう意味から、幹線道路の多くは環境基準をこえておりますので、幹線道路につきましてだけの総理府令の定めます市町村長要請してくる限度数値は、これは各都道府県がきめることになっております。いずれにしましても、われわれは、そういう警察に対します都道府県市町村長要請します基準数値がきまりておりますけれども、それにかかわらず、われわれはむしろ環境基準そのものをよく考えてみまして、警察としては交通規制をできる限りやっていきたい。ただし、それによります他の、交通の円滑とかいろんな大きな影響がございますが、これはわれわれなりの判断で考えまして、できる限り交通公害防止のための規制をやってまいりたい、このように考えております。
  8. 松永忠二

    松永忠二君 聞いたことを答えてください。すると、あなたの御答弁では、交通公害でいう騒音振動限度というものは、騒音規制法にいうところの指定地域内における自動車騒音限度と直接に関係はないのであって、それ以下のものであっても必要があれば騒音交通公害としてたとえば第十七条の交通規制等は行なわれるものであると、こういう御答弁だと思うのですが、これで間違いありませんか。
  9. 竹岡勝美

    説明員竹岡勝美君) 一応環境基準をめどにいたしまして警察は考えておりますから、環境基準をこえております場合には、われわれは何らかの措置をとるべきだという基準で考えております。
  10. 松永忠二

    松永忠二君 それじゃ全く話が違うじゃないですか。環境基準とかなんとか言うけれども、その騒音規制法第十七条第一項の規定に基づく指定地域内における自動車騒音限度を定める命令というのは出ているわけです。それはもうちゃんとさっきお話しになるような限界があるし、幹線とかそういうものについてはまた都道府県公安委員会と協議してきめるということになっているのだけれども、第十七条のように、交通公害を防ぐためにたとえば交通規制をするというような場合には、この道交法による一つ限度というものが別にどこにも定められておらないので、一つの標準にはなるけれども、これに別に拘束されるというわけではない、そういうお話をまず最初されたわけなんです。で、騒音規制法によるところの政令に定める限度であるとかあるいは環境基準というのは、別個にまた定められておるわけで、道交法にいう交通公害における騒音振動というのは、この基準というものは、参考にはなるけれども、そういうものと直接の関係はないものだというお話だったが、それで差しつかえないかということ。
  11. 竹岡勝美

    説明員竹岡勝美君) 騒音規制法十七条にいう要請基準は、先ほど申しましたように、市町村長あるいは都道府県知事から公安委員会に、その限度をこえました場合に一応要請する基準、われわれに何らかの措置をせよという要請基準、この十七条は要請基準でございます。この要請基準というのは、御承知のとおり環境基準よりも大体五ホンないし十ホン高い限度で定められております。だからわれわれとしましては当然その十七条によります要請基準が出ました場合には、これは環境基準より一応高い基準でございまして、市町村長等が、これは相当な基準だから警察何とかしろという要請基準でございますから、原則としては、できる限りわれわれのほうの交通規制措置をとりたいと思います。しかし私どものほうで、要請がなくても、われわれの知った限りにおきましてその騒音要請基準限度をこえておるときはもとよりのこと、要請基準より五ホンないし十ホン低く定められております環境基準がございますが、この環境基準をこえております場合であっても、警察のほうは独自の立場で、もしできるならば規制をしてこの公害防止のためにはかりたいと、このように考えております。環境基準のほうが少し低目にきめておりまして、十七条の要請基準は五ホンないし十ホン高くなっております。この段階要請があります場合には、われわれはできるだけこの要請にこたえます。と同時に、それより低い環境基準をこえておることを知った場合には、われわれは何もしないということではなくて、もしできますならば公害防止のために規制をやっていきたい、このように考えておりますので、御了承願いたいと思います。
  12. 松永忠二

    松永忠二君 わかりました。そうすると交通公害における騒音振動限界というものは、いま規制法にいうその総理府令厚生省令をこえるものはもちろんのこと、環境基準をこえたものについても考えていくし、実情に即していわゆるその被害の状況を見て判定をしていくんだ、こういう話だということはわかりました。  そこで、環境庁のほうにお尋ねをするのでありますが、いま言ったような道交法のような考え方をもって処置するのが当然だと思うのでありますが、騒音規制法法体系というものは、こういうふうになっているわけですね、「病院又は学校周辺地域その他騒音防止することにより住民生活環境を保全する必要があると認める地域」、そういう地域で「特定工場等において発生する騒音及び特定建設作業に伴って発生する騒音規制する地域として指定」をする。そうして二十一条の二に基づいて測定をして、そして第十七条で自動車騒音総理府令で定める限度を越えている道路騒音については道交法規定による措置を求めるというふうな法体系ですね。そうなってくると、その特定工場とかあるいは特定建設作業というものが、予想されないけれども病院とか学校とかあるいは住民生活環境を保全する必要があるというようなことで、道路騒音とか自動車騒音が非常にはなはだしい、こういう地域を積極的にこの特定工場とか特定建設作業というものと関連なしに、そういうこととは関連なしに、道路騒音とか自動車騒音が非常にひどいのでこの地域指定地域として指定するということについては、どういうように考えているのでしょうか。私は、積極的な意味から言うならば、当然それと分離をされてもしかるべきものと考えているけれども、この点についてはどういうふうにお考えになっているか。
  13. 山形操六

    説明員山形操六君) 先生おしゃるとおりでございますが規制法の現在の考え方は、まず一般騒音規制に関しましては公害対策基本法の九条の規定に基づきまして環境基準の設定がまず行なわれます。それで、先生のおっしゃった療養施設が隣接している地域とか一般住宅とか、あるいはそこに今度商業工業用等地域、これを三つの類型に定めまして、時間の区分を、昼間、朝・夕、夜間というふうにしてそれぞれホンをきめて書いてございます。ただ、道路に面する地域ということになりますと、それは別に地域区分を、道路の二車線を有するかあるいはそれ以上か、また商業工業地域でもって二車線以下のところとそれ以上のところと、四つの地域区分にいたしまして、それでホンに関しましては一般騒音よりも五ホンから十ホン多いような数字を当てはめておるわけでございます。したがって、この規制法考え方は、住宅地域といえども幹線道路等道路がまん中に通っておるというようなものについては、地域区分一般騒音住宅云々と違った形で一応立ててあるわけでございます。しかし、幹線道路云々という問題になりますと、その辺がまだ十分都市計画法等の合わせ方等の問題が残っておりますので、先生のおっしゃったような考え方で私どもこれから作業いたしますけれども、現在の段階では一般地域商業工業地域というものとの区分のほかに、道路に面した地域は別の区域という形で基準値を当てはめておる、こういうのが実情でございます。
  14. 松永忠二

    松永忠二君 私の聞いているのはこういうことなんですよ。  第三条の地域指定というのは、「特定工場等において発生する騒音及び特定建設作業に伴って発生する騒音について規制する地域として指定しなければならない。」と出ているわけです。そうすると、いわゆる騒音を防いで守らなければならないような地域であって、それが特定工場等において発生する騒音とか、特定建設作業に伴って発生する騒音があるということを前提にして規制する地域をきめるということになっているわけですね。しかし現実的には、その特定工場とかある  いは特定建設作業関係なく、道路があることによって、道路が通っていることによって、自動車とかあるいは原動機つき自転車というものの騒音がひどいということのために、いま言った環境が破られるという、そういうところも指定地域としていくべきだと思う。そうしなければいかぬと思うのだが、この第三条の中にはそういう考え方も含まれているのかどうなのか。その特定工場特定建設作業というものが、関連がなければ指定地域になれないのかどうか、それはおかしいではないかという、そういうことを聞いているわけ  です。
  15. 山形操六

    説明員山形操六君) お答えが少し的をはずれまして失礼いたしました。先生のおっしゃるとおりでございます。  十七条に、「都道府県知事は、測定を行なった場合において、指定地域内における自動車騒音総理府令で定める限度をこえていることにより」と言ってございますので、これはおっしゃるとおりに指定地域をきめていくことができることになっております。
  16. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、道路があって、そこに自動車が通り、あるいは原動機つき自転車が通って、そのために第三条に言うところの「住居が集合している地域」とか、「病院又は学校周辺地域その他の騒音防止することにより住民生活環境を保全する必要があると認める地域」であれば、その原因が、つまり道路騒音自動車あるいは原動機つき自転車騒音であっても、これはそういう地域であれば地域指定はできると、こういう御答弁なんですか。
  17. 山形操六

    説明員山形操六君) そのとおりであります。
  18. 松永忠二

    松永忠二君 それならばまことに明快であります、そういうふうなことであればですね。  そこで、それじゃその次へいきますけれども、そういうふうな、私のいま言ったようなことによって地域指定されているところが現在あるのかどうなのか、これをひとつお聞かせいただきたい。
  19. 山形操六

    説明員山形操六君) 旧の騒音規制法にはございますが、新しくなってからまだ指定しておりません。
  20. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、いわゆる道路騒音に基づいて、特に環境を保全しなければいけない地域には地域指定をした地域がある。新しい法律に基づいてはまだないけれども、そういうものがあるというお話ですね。それならそれはひとつ参考資料として出してください。  それから、そうすると、要するに道路騒音自動車道路騒音に基づいて地域指定をして、その地域指定に基づいていわゆる騒音調査市町村がやる、そうしてそれに基づいて交通規制をするという第十七条を適用していくという順序が、道路騒音の場合には踏まれてくるということははっきりしたわけです。しかも警察庁のほうが、それ以上のものまでなお考えているということもはっきりしたわけなんです。  そこで、そういうふうな点について、騒音測定をするということが市町村長に委任されているわけですね。これについては、設備とか人員についての措置は一体どういうふうになっているのか、そういう点が一つ。  まあ時間がないので集約してお聞きすることにして、そういう騒音測定して第十七条によっていわゆる「都道府県公安委員会に対し、道路交通法規定による措置をとるべきことを要請する」ことができるという、この要請をした事例があるのかないのかということ。この二つをお伺いしたいと思います。
  21. 山形操六

    説明員山形操六君) 測定の問題でございますが、現在私ども準備中ではございますが、全国の市町村についてこの測定の機能、人員設備等の問題については、なかなかすぐにはまいりませんので、まず県段階からこれを整えるべくいま準備をしておる最中でございます。  それから要請をしたことがあるかという御質問に対しては、新法になりましてまだ要請した事実はございません。
  22. 松永忠二

    松永忠二君 この県段階からどうこうというお話があるけれども政令がちゃんと出て、これは委任事項になっているわけです、法律からいって。県がやるのじゃないのですよ。明確に測定市町村がやるべきことに政令が出てきまっているわけです。だから市町村に、たとえばいま現に私は問題にしようとする由比バイパス地域騒音というものが問題になるとすれば、これを測定する責任というのは、政令に基づいて市町村にあるわけですね。政令はそうなっているけれども、そういう場合には県にやらせるのだとか、あるいは市町村設備なりあるいは人員がない場合には県がやるのだということは、別個にきまっていれば別ですけれども、これはもう明確に政令によって委任事項になっているわけなんで、これは予算措置等をちゃんとしなければ……。現実に、まあ後ほど申し上げますが、道路騒音というのはたいへんな数じゃないですか。たとえばきのうか新聞に出ております総理府中央公害審査委員会が四十五年度の苦情受理処理について最高の第一位を占めているのが騒音振動が三五%、たとえば学校公害などは七〇%が騒音であって、その中で道路騒音は三八%になっておると、こう言っておるのです。したがって、公害問題等道路騒音というものは一番苦情が出てくる問題であって、これはもう法律に基づいて調査をし、地域指定されればすぐ測定をして、測定に基づいていわゆる要請がされていくわけだ。しかも測定政令によって市町村委任になっている。政令はちゃんと出て、そういうふうにきまっているのだから、この準備をちゃんとしなければ、この法律を適用することはできないじゃないですかね。この点はどういうふうになっているんでしょう。
  23. 山形操六

    説明員山形操六君) おっしゃるとおりでございます。ただ、私どものいま予算要求等計画からいきますと、何ぶん全部の市に急にはいきませんので、県のほうが市の末端までカバーする実情でございます。したがって、できるだけ早く整備しようということで、三年計画でいま予算要求中でございますが、やはり人口問題等関係がございますので、政令市中心に整備をしていくような計画をいま立てております。
  24. 松永忠二

    松永忠二君 計画を言ってください。
  25. 山形操六

    説明員山形操六君) 三年計画をとりあえず立てまして、政令市中心にカバーするような予算要求をまず出しておるような状況でございます。その他の市についてもおいおいやっていこうという計画でございますが、現状としてはなかなか手が回りませんので、そういうところは現実としては県がカバーして測定その他のプッシュをしているというのが現状でございます。
  26. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、まだ市町村に対する十分な予算措置とかができない間は県がそれを行なうということが必要である、またやらなきゃいかぬ、そういうふうな環境庁の態度なんですか。また、そういうことは各県に明確に伝わっておるんですか。やっぱりそうしなければ、次々起こる問題を処理するのに、法律に基づいて測定しなければならないのに、測定があいまいであって、設備がない、片方はただカバーしてやるんだということでは、これはとてもしようがないので、この辺の関連行政措置としてどうされておるのか、どうされようとするのか。このところをひとつ考え方を聞かしてください。
  27. 山形操六

    説明員山形操六君) 先生のおっしゃるとおりでございますが、現状を私申し上げますと、市がやるのがたてまえでございます。しかし、やはり器材の問題、技術の人の問題等がありますので、どうしても県自身が機械を買い、県が人員を出して、そういう市のほうの測定等技術をカバーしているというのが実情でございますが、おいおい私どものほうは予算要求を伸ばして、全部の市にそれができるように持っていきたいという計画をいま立てておる最中でございます。
  28. 松永忠二

    松永忠二君 あなたの言った趣旨は、県にやはり熟知され、徹底しているんですか。
  29. 山形操六

    説明員山形操六君) 公害担当部長を集めまして、その趣旨を申しております。
  30. 松永忠二

    松永忠二君 趣旨を申しておられるというお話がありました。順次そういう措置をするというお話でありますので、その間は結局県が騒音測定をして、この法律を円滑に運用する責任があるんだというふうに考えているということはわかった。  そこで、問題の富士市−富士川町−蒲原町−由比町を通る国道一号、これに結局バイパスができているわけでありますが、この一号は交通事故の発生というのは国道の中で最も多い地域だ。これは東名前から、東名ができて必要があるということで、盛んにやったのでありますが、国道一号の全線の中の死者の四二%、傷者の三八・五%が富士から静岡の地域、特にこの地域に起こっておるわけなんです。そしてまた、交通渋滞多発地帯としていろいろな資料があるわけです。そういうふうなことであるし、これまた非常にひどい騒音のある地域です。私たちはこの地域の人はよくいままでがまんしていたものだと思う。私自身もここに三十分くらいいたが、ほとんど話が聞こえない、これが現状ですよ。バイパスができてからですよ。バイパスができない前、東名高速道路ができない前にはもっとひどかった。それが東名高速ができ、バイパスができてきたわけでありますが、バイパスにはちっともならない。ここの騒音というのは、はなはだひどい。騒音がひどいだけじゃなくて、当委員会の所管である交通安全の確保も非常に困難な地域だ。しかもこの地域は貨物が非常にたくさん通る。由比町は七九・七%は貨物の自動車が通っている。この地域だから、当然私は騒音調査というものはすでにできておると思うのでありますが、この地域騒音というのは一体どの程度の状態にあるという把握をされているのか、これをひとつ……。すでに建設省がバイパスをつくったり、東名をつくったんだから、建設省も資料を持っていると思う。二回にわたって調査をされているというふうに私は承知しているんですが、これについてどの程度の騒音がかつてあったのか、そういうことについて三つの省庁、環境庁警察庁、建設省、いずれでもけっこうでありますが、持ってる資料をひとつお聞かせをいただきたい。
  31. 山形操六

    説明員山形操六君) 私のほうで県のほうから入手しました資料は、四十五年の八月二十七日、蒲原町の役場前での測定結果のデータしか持っておりません。それによりますと朝夕の平均騒音レベルが七十八ホン、昼間が同じく七十八ホン、夜間が八十ホンという数字でございます。現在、県のほうがこの地域——由比駅付近で測定するのをやっております。今月の八日と九日の二日間測定したと言っておりますが、なまのデータで、いま解析中であるという報告が来ておりまして、まだ数値は私どもに入っておりません。以上でございます。
  32. 竹岡勝美

    説明員竹岡勝美君) 私のほうも本年の三月二十九日、三十日、蒲原町が行ないました騒音測定結果を、やはりこれは諏訪町の郵便局前でやっておりますけれども……。
  33. 松永忠二

    松永忠二君 どこの前ですか。
  34. 竹岡勝美

    説明員竹岡勝美君) 諏訪町郵便局前でございます。諏訪町、蒲原町郵便局前と書いてございますが……。
  35. 松永忠二

    松永忠二君 蒲原町の郵便局前。
  36. 竹岡勝美

    説明員竹岡勝美君) はい。それで、これは特に夜間の二十二時から五時までの測定平均値が八十三ホン、それから最大値が九十四ホンが続いております。以上のとおりでございます。
  37. 吉田泰夫

    説明員吉田泰夫君) 道路の路端におきましてこの九月一日、二日、四カ所で測定いたしました。清永市興津中町、由比町今宿、蒲原町蒲原、富士市四丁河原、この四カ所でございますが、最底で六十六ホン、最高で七十九ホンとなっております。
  38. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、もう私質問することはないぐらいのものはちゃんと持っているわけですね。特に環境庁あたりが言っておるのは、朝夕七十八ホン、昼が七十八ホン、夜が八十ホンだと。また警察庁のほうは深夜の二十二時から五時が八十三ホン、大きくて九十四ホンだと、こういうのですね。そうすると、さっきからこう警察庁のほうで話の出ているので言うと、これは騒音規制法に基づいて、第一種区域より第二種区域の二車線を有する道路に面する区域というのが昼間七十九ホン、朝夕七十九ホン、夜間五十五ホンということになっている。これは環境基準になるともっと低いですね。それからまた現にこれは幹線道路の区間については都道府県知事及び都道府県公安委員会が協議して定めるということにはなっているけれども、これははるかにこえているわけですね。大体何ホンのものがあれば睡眠に支障があるとかなんとかいうのは、もう明確にある程度のデータも出て、定説もあるのですが、この地域は、しかもお話によるとバイパスができてからもこの朝、昼、夜しかも深夜睡眠をとる時間に非常に高い騒音が発生しているという事実は明確になっているわけです。これはもう直ちにこの騒音規制法の発動をしていく必要があるのは当然なことであるけれども、それだけじゃなくて、一体そういう規制をすると同時に、いろいろ配意をすべき問題、処理をすべき方法が幾らもまだ残っているという感じがするわけです。そこで私の質問を申し上げた点については、三つの省とも御異議ないと思うのですけれどもどうでしょうかね。
  39. 山形操六

    説明員山形操六君) 異議はございません。ただ私の申しましたデータは四十五年の八月でございますので、これはバイパスのできる前のホンでございます。せっかくバイパスができましたのに、なおそれが利用できないためにこのような高い測定結果が、先ほどよその省から出ましたようなのが、なお出ておるということは、何とか私のほうの考え方といたしましてはバイパスの利用の促進をしていただいて、それから工事のまだできていないところは早目に完成してもらう等の処置を講ずるように県のほうに指示しておるところでございます。
  40. 竹岡勝美

    説明員竹岡勝美君) 自動車騒音に対します公安委員会交通規制で一番頭の痛い問題は幹線道路でございます。われわれは、たとえば生活道路、裏道の住宅街の狭い道路の夜間の規制、これは非常にわれわれも積極的にやりいいのでございますけれども、わが国の経済的なあるいは社会的に見て大きな幹線道路になっておるというところは、たとえて申しますと東京都の一号線あるいは環状七号線、こういった主要幹線道路の沿道地域はほとんど環境基準をはるかにこえているような実情でございます。大体七十五ホンから八十五ホンというような状況でございます。その幹線道路、わが国の大動脈になっております幹線道路に対します騒音が非常に高いところに、いかなる交通規制ができるかということに、われわれ最も頭を悩ましておるところでございます。幸いそういうところにバイパスのようなものができまするならば、ある程度のことはできますけれどもバイパス等が何もない、その道路しかない場合には、これは非常にやりにくい、幹線道路に対します自動車騒音交通規制に一番頭を痛めております。
  41. 松永忠二

    松永忠二君 私はバイパスのないところの話をしているわけではないんですよ。何も幹線道路でほかに通るところがないのを問題にしておるのではない。いま環境庁の言ったようにバイパスがある。だからこういう騒音の高いところは、当然バイパスを活用すべきことはあたりまえのことである何もバイ。ハスのない幹線道路のことを聞いているのではない。その点についてはどうなんですか。
  42. 竹岡勝美

    説明員竹岡勝美君) 富士由比バイパスの具体的な例を御説明申し上げたいと思います。
  43. 松永忠二

    松永忠二君 それはあとでいいから、いま言ったことを。
  44. 竹岡勝美

    説明員竹岡勝美君) バイパスができておりますならばバイパスに有効に回すべく規制すべきだと思います。
  45. 松永忠二

    松永忠二君 そこで、建設省のほうへお尋ねいたしますが、一体、現在東名高速道路国道一号線と富士由比バイパスと、交通量はどういうことになっているのですか、現状は。最も新しいデータに基づいてちょっと言ってみて下さい。
  46. 吉田泰夫

    説明員吉田泰夫君) この区間におきます現在の一号線と富士由比バイパス交通量は、最近七月の初めに調査いたしましたところでは、現一号線が二万四千六百台、富士バイパスが約四千二百台となっておりまして、富士バイパスに乗っておるのは大体一五%ということでございます。
  47. 松永忠二

    松永忠二君 そういうお話が出ているわけですね。そうすると、いまここへ出ている資料では、五月二十一日に東名高速道路が二万四千九百二十台、国道一号線が二万一千三百二台、富士バイパスが四千五百四台——ここに公団が有料の橋を持っているので、台数を出してよこしてありますけれども、四月が四千九百二十六、五月が五千六百八十三、六月が四千二百九十三、七月が四千三百五と、ちっとも増加していないのですね。二割は乗らないですよ、これには。しかもこれは四車線の非常にりっぱなバイパスにつくってあるわけです。しかも、同時にここで問題なのは、二万台のバイパスをつくったのに国道を通っているだけではなくて、これは大型貨物がいつ一体国道をたくさん通るか。全体がだんだん少なくなっている。二十三時−二十四時が一番ピーク。夕方から夜中にかけて、全体の台数は下がっているのにかかわらず、大型車のほうはどんどん上がっているわけです。二万台をこす国道一号線の自動車の種類を調べてみても、これは問題があるのですね。大型車が深夜非常にたくさんここを通る。これは全体の交通量が下がってきたときに逆に大型車のほうは上に上がっている。大型車はスピードを出してここを通っていくんでしょうね。こんなことはこのままにしておかれないと私は思うのですよ。しかも現実騒音というのは、環境庁がいまのバイパスのできる四十六年の前の四十五年に調べたのがあるし、建設省は九月一日、二日に調べたというのですから、これはバイパスができてからの話。しかもそれが環境基準外か、いま言う政令基準を上回って深夜騒音が出されているという実情。こうなってくると、このままにしておくということ自体がおかしいじゃないですか。何とかここでバイパスをもっと通っていってもらわなければ困るし、あるいはまたそのための必要な措置というものが当然考えられてしかるべき問題だ。これについて一体どうしたらいいと思うのですか。  私は、なぜこういうふうに有料になったのだろうかということについて、もちろん地元の関係市町村長とかそういうものが理由をあげているし、あるいはこういうふうにしてほしいという話があるけれども、まだ新しい富士川橋が、通行料金を取って有料なんです。しかも料金は百五十円、小型の乗用車が百円というようなことで、百五十円の金額を出している。それから富士市のほうのバイパス国道一号線の接続道路というのがよくできていない。これは予算をつけて完成をしたいということを言っているけれども、これもまた非常にぐあいが悪い。また、地元が言っているのは、清水市興津町の国道五十二号線の入り口から港湾道路までの千二百メートルのバイパスを早くつくってもらえばこれも活用できる。あるいはバイパスの出入り口の照明標識板がはっきりしていない。これは私自身もこれに乗って途中で間違えたくらいですから。入り口から途中で変なところに行ってしまったくらいですから、まことに標識がはっきりしていない。そういうようなこと。また、田子の浦のヘドロ、工場の大気汚染で非常にくさいという点がある。いろいろあなたのほうから話を聞いてみても同じことだと思うので、私は申し上げたのですが、こういうようなところに原因があると思うので、この原因を一つ一つ除去をしていくということをしなければできないのじゃないか、そういうふうなことを考えるわけです。  まず第一の点として、新しい富士川橋の料金を地元では引き下げてくれということを言っているわけですね。私はそんなことをするよりは一定の時間交通を片方の国道の一号線は大型車を禁止したらどうかと思う。そうして深夜は料金を撤廃して——ここのところがどんなふうな経営のしかたをしているかということも私は調べたのですが、委託をして十二人でやっている。夜、料金を取るために三人の人が勤務しなければいけないという状態なので、一定の時間は料金徴収をやめたらどうか。そういうことを有料道路でやっているところがある。しかも夜間通る台数も非常に少ないことであるしするので、まず橋の料金徴収を問題にしなければならない。私は、当然これは交通規制と並行して、せっかくバイパスをこしらえて、それでしかもバイパスで料金を取るのは、こっちのほうを回ったほうが経済効果があるというようなことで料金を取っている。当然交通規制をして、一定の大型車の夜間交通を禁止して、同時に、料金をひとつ減免していったらどうか、こういうことがまず第一に、最初にとらるべき一つの方法である。それからまた、実際取っている状態なんかも、深夜三人置いて料金を取るということはまことに不経済な話である。委託費をもっと下げて、一定の時間それは開放したらどうかということも考えているわけです。これについて建設省なり公団も来ているわけですけれども、一体どういうふうに考えるのか、まず、この料金問題に限って、それからまた、警察庁のほうは交通規制というような問題についてどういうふうに考えるか、この考え方をひとつ聞かしてください。
  48. 吉田泰夫

    説明員吉田泰夫君) 料金の引き下げにつきまして、先生が地元からの要望があるということで御指摘になりましたことにつきましては、まず全般としての料金引き下げにつきまして、回数券の新種の発行等によりまして二割引き程度になるような料金の引き下げを、できるだけ早く実施したいと準備中でございます。  もう一点は、それよりも深夜の料金を無料にすべきではないかという御指摘でございますが、これにつきましては、確かに全国の有料道路の中には夜間ほとんど交通量がないといったところで、むしろ経費倒れになるというような個所につきましては、夜間無料と申しますか、事実上徴収員を置かずに、無料で通しているところがかなりあるわけでございますが、ここの道路の場合には、夜間の交通量は、転換率としては少ないとは申せ、相当量ございまして、収入支出の比較で申すならば、これははるかに経費よりも収入のほうが夜間におきましても多い、そういう状況であります。私どもは、従来有料道路というものはできるだけ早く償還して無料に開放したいという考えから、もちろん料金は、計算されました受益額の範囲内でしか取れないことになっておりますから、その中におきましてもできるだけ取るものは取り、早く短期間に償還を終えていくようにするということを、主として考えてきた次第でございまして、その辺を勘案いたしますと、本道路におきましても、あとに出てくるかと思いますが、先ほどお述べになりました接続する無料のバイパス区間の工事を急ぐことによって根本的には交通量が大幅に転換するとも考えられますので、深夜の無料化につきましては、いまのところ考えておらない次第でございます。
  49. 竹岡勝美

    説明員竹岡勝美君) 警察の立場としましては、いずれにしても非常な騒音でございますので、何とかこのバイパスに回したいと思っております。本来ならば、こういうバイパスができますと非常に時間が早くなるとか、そちらにメリットがありますから、自主的に運転手が回るというのが最も望ましい姿でございますけれども先生御指摘のように、新富士川大橋が有料であるということと、田子の浦の接続地点が非常にまずいということで、ほとんどメリットがないということのために、現在わずか二〇%程度しか回っていないという状況でございます。われわれがこれを規制いたします場合に、地元としましては、せめて深夜この橋を無料にしてもらえば、その時間帯は強制的に規制ができるという判断を持っていたのでございますけれども、なかなかむずかしいようでございます。なお、あわせまして、この区間の中には当然起終点を持つトラックやあるいは国道百三十九号線を利用するトラックもありますので、深夜に限りますならば規制はできる、強制的にもできると思いますけれども、何と申しましても料金問題、それが一番警察としてよう踏み切らなかった原因であろうと思います。それで、とりあえず警察のほうは、非常におくれて申しわけなかったのでございますけれども、地元の富士川町、蒲原町、由比町は、それぞれの上下の入り口に指導看板を出しました。「深夜二十二時から五時まで騒音防止のため大型車は富士バイパスを迂回してください」という看板を出したわけでありますが、それでしばらくやってみたいと思っております。しかし、これが守られないようなことであるならば、強制的な第二次規制を考えてみたいと思います。しかし、それをやります場合に、何とかその時間帯だけでも、その規制いたします大型車の、百五十円でございますけれども、それを少しでも値を下げてやるとか、何らかのこれについてのメリットを考えてもらったほうが規制がやりやすい。できればその時間帯無料にしたほうがいいんですけれども、ほかの車とのつり合いもございましょうから、何らかの措置をひとつお考えをいただければ規制がやりやすいと思っております。同時に、あわせまして、本年十二月ですか、富士川の特定道路がさらによくなるように聞いておりますので、これを機にしまして、その際ひとつ料金問題につきまして、もう一度さらに公団側、道路管理者と相談をしてみたいと思っております。
  50. 松永忠二

    松永忠二君 建設省のほうにちょっと聞きますが、いまのあなたのお話だと、時間に限らずただ二割を一括下げたいというのは、いつからそういうことをやりたいというのですか。  それからもう一つは、そんなことを言っていたんじゃしょうがないじゃないかということですよ。私は、新しく富士市のほうにバイパスが完成してしまって、そして交通量が出てくれば、何もいつまでもそんなことをやっている必要はない、だから無制限に料金を、減免しなさいと言っておるのではない。その富士市のバイパスが完成するまで、とにかく一、二カ月、期間を区切ってそういうことをやってみるというような措置をやらなければ……。そっちのほうを先にやっていたのではこれはたまらぬじゃないですか。自分の家をそこへ持っていってごらんなさい。とてもこんなところにいられませんよ。よくみんながまんをしていたものだ。私は、前から、東名のできるときから富士、蒲原市は車を通さないほうがいいと思っておった。こんなばかなところにかってなことをされてたまるかという気持ちもするくらいです。ようやくにして東名ができて、そしてバイパスができたと思ったら、バイパスには乗らないで、夜中に大きな車がたくさん通る、それを指を加えて見ていなければならないということでは、何のためにバイパスをこしらえたのですか。もともと橋を有料にしたのは間違いです、十五億ばかりの橋を。ああいう道路こそ有料にせぬで国が出すべき筋合いのものである。しかし、早くしたいからそういうことにしたということであるが、これは早くといっても、有料にしたからああいう結果になったのです。だから現実に自分らが金をたくさん出してつくったバイパスに二割も乗らない。しかも非常にたくさんの大型車、貨物車が向こうを通っておるという現実の中から、従来公害問題とか、いろいろ問題がやかましくなかった当時、減免したことはなかったと言っても、そんなことは通用いたしませんよ。もうこれだけやかましくなってきた現段階において、何らかの具体的な措置をしなければだめなんです。  それからあなたにお聞きしたいのは、二割も料金を下げるということは、一般的に全部二割やるのか、いつから一体やろうというのか。それから現実問題として、一体そういういま言ったように規制をするということとかみ合わせながら、ある一定の期間を区切って、そう永久という意味ではないのであって、乗れる条件ができるまで何らかの具体的措置を考えていかなければならぬというふうな、そういう態度は建設省にはないのか。金をかけたんだからあたりまえだ、だから金をもらうということなのか。何らかの具体的な措置をしてもらわなければならぬ。しかも単にこれは騒音という問題だけではなくして、交通事故というような問題もある。だからこれは、いまあなたの言ったようなことではだめです。しかもそれどころか、地元は貨物をたくさん通したいというので、もっとたくさんの回数券を出してくれ、いま百十回の回数券を出しておるが、東京都あたりでは二百五十回ですか、三十回ですかの回数券を出している。そこで貨物の人たちが、もっとたくさんの回数券を出してくれと言っている。それさえ実行しないじゃないですか。それも実行していないでそんなことを言っていたってだめですよ。この際、とにかく法律もちゃんとできたことであるし、法律的な根拠に基づいて公安委員会規制措置をするとすれば、当然それらのことを考えなければできないし、至難なものである。だからいま言ったようなことではとてもこの問題は解決はできない。こういう点について一体どう考えているのか。公団側はある程度自主的に料金を取ってはいるけれども実情は建設省の監督を受けておるわけです。積極的に私のほうで負けるというわけにもいくまいと思う。それで私は建設省のほうにお聞きするのですが、いま言ったような一連のこういう問題、一体どうするんですかね。お聞かせを願いたい。
  51. 吉田泰夫

    説明員吉田泰夫君) まず先ほどのお答えで非常にことばを簡略に申したために、二割引きという点が表現が不適切でございましたので、この際あらためて御説明させていただきますと、最後に申された二百五十回の回数券を発行するという意味でございまして、料金そのものの割り引きということではないのでございますが、現在この道路におきましては最高百十回券という回数券までしか発行しておりません。したがいまして一割弱の割り引き、回数券を持ちましてもその程度の割り引きにしかなっておりませんが、他に二百五十回という回数券を発行し、その意味は二百回分の料金で二百五十回分の回数券をお渡しする、実質二割引きだという意味で申し上げたわけでございますが、そういう要望が非常に強うございます。この道路における交通バイパスの利用状況を見ますと、確かにある一定のグループの方々が非常に回数多く通っておられるわけでございまして、そういう意味では二百五十回券の回数券を発行するということは、実態にも合うし、かつそういった大量のトラック等の貨物車が中心でありますために、そういった料金の実質的値下げにもなると考えまして、過日来道路公団内部におきましても検討を進めてもらっておりますが、ようやくこの道路につきまして二百五十回券の発行による常時利用者の実質上の割り引きというものを考えたいということで、現在手続中であります。公団の手続が終われば建設省に持ってまいりますので、この手続もすみやかに終えまして、早急に実施したいと思います。この場合に、深夜だけの回数券割り引きというような組み合わせができますと効果としてはいいかと思いますが、従来その例もなく、ここだけをそのような扱いもいたしかねるのではないかと考えまして、要するにそういう回数券をお買いになった方には実質二割引きになるという一律の措置でいかざるを得ないのではないかと考えております。  なお、それでは特に夜間等の対策にはあまり効果がないのではないかという御指摘でございまして、その点につきましては、先ほどもちょっと触れました東に引っ張っていく直轄区間のバイパスが未完成でありますために、非常に迂回しながら狭い道を通っていかなければならないということですから、富士バイパスの新富士川橋も含めました現在の完成バイパスの効用が非常に低いということが、何といっても基本ではないかと考えておりますので、東のほうに延びる未開通区間をできるだけすみやかに実施したい。特に、一番現在迂回したり複雑に通らなければならない個所を含みます港湾八号線という都市計画の臨港富士線という道路までの区間、これを極力急ぎまして、本年度末にこれを完成する。それによりますと、まだそこから東にバイパスの続きはありますけれども、とりあえずそこまでやれば非常にバイパスの利用状況はよくなると私どもは考えております。そういったことで主として対処さしていただきたいと考えておる次第でございます。
  52. 松永忠二

    松永忠二君 その二百五十枚の回数券というのは、とつくから言っていたことだ。ただ、それが近く実現できるというだけのことでしょう。で、あなた方は、騒音規制法に基づいて手続をとってきても、それだけしかできないのですか、法律に基づいてそういう要請がなされても。ただ法律の根拠に基づいてやるのじゃないのですよ。法律の根拠に基づいて、いわゆるその騒音測定も明確にある。その騒音測定に基づいて、第十七条に基づいて要請もしてくる、当然そういう措置はとってきているというふうに環境庁のほうでは考えるというお話がある。それでもそういうことだけしかできないのですか。だからそれじゃ一体有料道路であれば交通規制はできないのかできるのか、やっては悪いのかどうかという、こういう法律的な見解については、公団はどういう考え方を持っているのですか。有料道路を、いわゆる橋を有料で通っているから、ある一定の期間、交通規制をするということはできないのか、できるのか、有料道路といえども交通規制をするということはあり得るのかあり得ないのか、その点の見解を、道路公団のほうから聞かしてください。どういうふうに解釈されているか。
  53. 高橋末吉

    参考人(高橋末吉君) 道路公団といたしましては、事故その他によりまして、道路の施設等が交通に安全でないというふうな場合には、道路公団自体としても道路管理者として行なうことができますけれども、その他の点についての交通規制は、警察関係のほうでおやりになるわけでございます。
  54. 松永忠二

    松永忠二君 私の聞いているのは、有料道路であれば交通規制はできないという見解を持っているのか、その点はどうなのかと聞いている。
  55. 高橋末吉

    参考人(高橋末吉君) 道路公団は有料道路を管理いたしておりますから、道路管理者として道路を利用していただくのに適しないような状態の場合には、道路管理者として規制をやり得ることができますけれども、そうでない場合には、やはり警察交通規制ということになるわけでございます。
  56. 松永忠二

    松永忠二君 私の聞いているのは、道路公団は交通規制をやれといっているのじゃないのですよ。道路を有料なり、橋を有料なりで通った場合には、交通規制をやるのは警察庁なりあるいは公安委員会だが、そういうものをやってはいけないというような意味を有料道路というのは持っているのか、そういうことは関係がないのかどうか、その見解を公団側に聞きたいと言っているのですよ。
  57. 高橋末吉

    参考人(高橋末吉君) 警察交通規制というのは、道路交通全般に対して行なわれるものと考えますので、有料だからとかいうことでなく行なわれるものと考えます。
  58. 松永忠二

    松永忠二君 そこで警察庁のほうの問題に少し移るのですが、私は有料道路だから交通規制はできないのではないかというような、無理があるのじゃないかという感じも持っていたわけです。ところが道路公団側の意向も実はいろいろ聞いて、意向というか、見解を聞いてみると、有料という、料金というものは、それを回ることによって経済効果があがるということから取る料金の範囲、つまりこの橋を通ることによって向こうを通るよりは経済的な効果があがるという意味で取る料金の最低のものである、したがって有料であるから、有料の金を取るからといって、ここを通れということを言うのはよろしくないという、そういうことと有料の料金とは違うのだという話を聞いているわけです。いま理事からはそういう積極的な御意見はなかった。ただ、有料ということと交通規制ということとは関係を持っている筋合いのものではないというお話を聞いたのだが、もっと積極的に言うと、料金を取っておるからといって、そこを通れということは何か非常に抵抗というか、法律的には抵触するものがあるのじゃないかということを心配して、私はそれに対してある程度聞いてみたところが、有料道路の有料というのは、そっちの場所を通るよりもこっちを通ったほうが経済的な効果がある最低の料金をきめておるのであって、有料だからといってこっちを通れということを別の立場から規制をするということは法律的に抵触をするものではないという話なんです。その積極的な意見は別としても、いま公団の言っておるように、有料ということと交通規制ということとは直接的な関連はあるはずはない。そこで、いま話が出ている料金を下げてくれ、料金を下げてくれれば非常にやりやすいということはそのとおり。それからそれを積極的に、建設省はいままだそこまで踏み切っていないようだが、もっと検討していくべき筋合いのものであって、今後この騒音規制法に基づいてこれを法律的に規制して持っていった場合には、これは建設省、公団としてももっと積極的な措置をすべきじゃないかと思う。いまのようなそんなたわいのないことを言っていたんじゃしょうがない。そんなことをやっておったんじゃ四車線バイパスを何のためにつくったのかということになって、それの経済的効果のマイナスはどうしてくれるのかという話になる。だから別の積極的な意見のマイナスはどう考えているか。料金を取るよりももっと積極的な経済効果をあげていないそのマイナスは一体どこで——料金を少しぐらい下げたって、やめたって、そこを通ることによって起こる経済的な効果、そういうバイパスをつくった効果というものの目的を達成しなければならない。それでなければせっかくあれだけつくった路線はそういう経済的効果は何にもあげないということで、その責任はどこにあるかということになる。建設省は回数券二百五十回を発行してという。しかもそれは始終通る人ばっかりでしょう。たまたまそこを通っているような人に何もそんなものは通用しないじゃないですか。二割引くなら一定の深夜の時間だけの大型車に全部適用するというならまだそこに効果がある。ただ砂利トラばっかりは何回通ってもそこだけをただやるということは何の効果もあげることはできない。そんなばかなことを言っておったんじゃ話にならない。もっと積極的な施策を講じてもらいたい。しかし警察庁のほうももっと積極的な考え方で、有料だからどうもどうもということじゃまずい。至急に、交通公害というものは、今度は道交法というものについても別の意味でもっと積極的な意味を持っているわけです。その意味でいえば、有料だからといって規制はできないのだという考えはないということは、当然警察庁のほうにはあると思うのだが、その点はどうですか。
  59. 竹岡勝美

    説明員竹岡勝美君) 有料道路に乗るなという規制はあります。たとえば首都高速道路では二十トン以上の車は乗るなという規制はあります。ただしそこを絶対通るなという規制はいままで例がございません。しかしこれは法的にできない問題では私はなかろうと思います。やはり妥当性の問題だろうと思います。先ほど先生御指摘のとおり、やはりそれが運転者にとっても相当なメリットがあるというプラス面があるならば、われわれも規制はやりやすいという妥当性が非常に高いと思います。この富士有料バイパスで悩みは、一つは、先ほど言いましたようにメリットがあまり上がっていない。たとえて申しますと、由比、蒲原地帯は片側一車線となるのです。全面の追い越し禁止をかけております。それから富士に入りまして平面交差が多いものですから、地元の要望もありまして信号機を六カ所つけているというようなこと。それから、たびたび出ておりますように、東の端の部分がまだ完全に取りつけられていないというような意味で、運転者にそうメリットがないということからいいまして、そちらへ金を払ってでも通るべきであるというような規制をいたしますのも、その妥当性の問題でわれわれは二の足を若干踏んでおったのでございますけれども、一方ではこれだけの騒音公害というものがありますならば、いや現にあるわけでございますから、やはり金を払わしてでもそちらへ強制的に迂回すべきなのが筋なのではなかろうか、このように私は決意をしておるところでございますが、いままでそういう例もございませんし、先ほど申しましたように指導看板で、とりあえず指導いたしておるわけでございます。しかし、その妥当性のために、しかも現在のように富士バイパスがメリットが案外少ないということからいいますならば、規制をより妥当にさせるがためには、強制的に迂回さしたり、大型車につきましては、たとえて申しますと、小型車と同じようにその時間帯だけは百円に下げてやるとか、あるいは無料にするとか、何かそういう方面の手があれば、よりわれわれの規制が妥当的なものになるということで、希望を申し上げておるわけでございます。御承知のとおり、法的には、有料であるから、通れという規制はできないというものではない、このように考えております。
  60. 松永忠二

    松永忠二君 いまの警察庁の見解には環境庁も積極的に賛成するし、またそういうように考えておられるのかどうか、その点をひとつ局長から……。
  61. 山形操六

    説明員山形操六君) いまのお話、望ましいことだと思っております。
  62. 松永忠二

    松永忠二君 なお、環境庁のほうはこのできた騒音規制法に基づく正規の方法を通じてそういう措置等も行なわれてしかるべきものだ、こういうように考えておられるか。その点はどうですか。
  63. 山形操六

    説明員山形操六君) そのように考えております。
  64. 松永忠二

    松永忠二君 そうであるとすれば、建設省としてはなお検討する用意があるのかないのか、その点はどうですか。
  65. 吉田泰夫

    説明員吉田泰夫君) 繰り返しの答弁で恐縮でございますが、受益に応じた公平な料金という制度になっておりまして、夜間におきましても同様の利益があるわけでございますので、そういう観点からの割引、あるいは無料化ということは、現在のところ困難であると思います。何をおきましても、これにつながる無料区間のバイパスを早急に進め、全体としてのバイパスの効用が完全に発揮できるように極力努力いたしたいと考えております。
  66. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、一体あなたのやっているやり方が効果をおさめないで、二割あるいは三割程度しか乗らないという責任はどこがとるんですか。そうなってもしようがないというのか、それともそういうことは困るというのか。あなた方のやったようなことをやってみたってそういうことであるというのは、その責任はだれがとるんですか。バイパスを建設した建設省の責任というものはどうなるんですか。料金は下げません、そうしてやっていきます、それじゃそのバイパスを長い間ほんのわずかの人しか使わない、そういう一体責任というのはどこにあるんですか。それは建設省はどうしてもつくった目的を達成するように責任を持ってやりますというようなことなのか、そういうふうな責任は持たない、そうするよりほかにないと言っているのか。その責任はどうするのか。
  67. 吉田泰夫

    説明員吉田泰夫君) 確かに、バイパスをつくりましても所期の転換がないとなりますと、そのバイパスの効用が疑われるということになりまして、その責任バイパスをつくります、計画を立てた建設省が負わなければなりませんが、この場合は、何度も申しますとおり、まだ全体としては未完成でございます。しかしながら、一部でもできましたものをとめておくのはなおさら不経済でございますから、非常な接続のふぐあいを考えながらも、何とか生かして使えないものかということでやっておるわけでございます。問題は、残り区間、特に港湾八号線までの区間がおくれているところにございますので、現在鋭意工事中であります。本年度一ぱいには完成される予定でございますので、それによりまして、転換率を高め、さらにその東側にバイパスを進めるとともに、全線二車線ができました暁には、引き続き全線四車線化をはかりたい、このように考えておりますので、御了解願いたいと思います。
  68. 松永忠二

    松永忠二君 それでは一体警察庁環境庁と建設省の意見が合わないじゃないですか。ばらばらでしょう、見解が。現在これだけの騒音がある事実から考えてみて、一応の措置はするけれども、次の手段に訴えたい。そうすればそれについてのやりやすい条件というものは、たとえば料金の軽減である。また、そういうふうなやり方をして、せっかく法律もつくった以上、騒音規制もやっていきたいという、環境庁もそういう考え方であるのに、建設省だけがそういう考え方を持っているというのはおかしいじゃありませんか。それだから私は局長なり大臣が出てくれと言った。委員長どうなんだね、こんなばらばらなことを言っていたんじゃしようがないじゃないか。そんなことを言っていたら……。全然見解が違っちゃっているじゃないですか。
  69. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 次長、もう少し率直に御答弁願いたいと思います。
  70. 吉田泰夫

    説明員吉田泰夫君) 回数券二百五十回券の発行ということもあの区間における貨物自動車の相当部分が地元の企業あるいは砂利採取業者等が通行しているわけでございまして、そういった方は十分その二百五十回券による利用が可能なわけでございますので、これを実施することは相当程度あの区間におけるバイパスの利用に役立つのではないか。特に貨物車に対する利用に役立つのではないか。このように考えております。なお先生の重ねての夜間の無料化、あるいは割引、それも将来バイパスに十分転換するならば、いつまでもというわけではない、一時的なものである、あるいは交通規制等のからみもあるというお話でございます。今日ただいま即答はちょっと私いたしかねるわけでございますが、その点、申しわけないと思いますが、一般論として、なおそういった点も含めて今後のあり方については検討さしていただきたいと考えます。
  71. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、まあきょうの話は、建設省としては二百五十回券を出す。それからバイパスについては富士川を特に早急に完成をする。それから警察庁のほうは一応標識を出して誘導する措置をやるけれども、その効果いかんによっては一定の期間の交通規制を今後考えていきたい。その場合においてはやはり有料であることから考えてみて、建設省にいわゆる料金の何らかの善処を望みたいところである。環境庁は、この騒音規制法に基づいて法的な措置を順次とっていくことはすべきところであるし、また騒音規制は効果をあげるような方法として、そういう規制のしかたというものは、非常に考え方として賛成であるし、そうしてほしいという、そういうことが明らかになったわけです。そこで、私はひとつやることをやってみてもらうということはけっこうなことで、それぞれひとつやってもらいたい。そうしてそういうふうな中で一番積極的な法律を持っているのは道交法なりあるいは騒音規制法を持っている環境庁なり警察庁であるから、ここは、状態いかんによっては、そういうふうなことについて、積極的なひとつ施策を講じて、建設省側との間に協議を行なって目的を達成するようにしてほしいということを私はお願いをしておきます。同時に建設省側には、そういう協議があったならば、十分に検討をしてもらわなければいかぬ、ほんとうの意味バイパスの経済効果をあげる、そういうことの観点からひとつ……。私は非常に長い期間そういうことをやっているという必要はない、ある程度すれば自然乗ってくる。事実私自身知っているんで、むしろ一号国道を入っていくのは不思議なくらい、いわゆるバイパスのほうは入り口が、特に西側からの入り口なんというのは実にりっぱにできている、自然そっちに入って行くのがあたりまえで、わざわざ橋を越えて曲って国道を入って行くということのほうが不自然。また東側の富士川のほうについても、富士川のいわゆるバイパス入り口というのは特にしっかりできている。これは標識は非常に不明確だけれども、とにかくできている。少し曲っているというところに問題があるけれども、一応とにかく普通のものならそっちに入って行かなければいかぬ筋合いのものが入って行かないということになると、やはり、いま言ったような程度の対策では、これで効果をおさめると私たちは考えることはできないので、ひとつこの点については特に積極的にいま規制課長が言ったことを積極的に実施してもらいたいし、また、そういうたてまえの法律規制をやっている環境庁も、そういうことによってひとつこの地域の人たちの環境を保全してもらいたい。せっかくバイパスができたのにかかわらず、ちっとも道路へ車が乗っていかない。非常に期待を持って私自身もこの間落成式にも行った、非常に期待を持ってやったいまのバイパスなり新富士川橋というものが、全く期待と違う。あなた方ここにこういうことを書いてあるでしょう、新富士川橋というものが「市内への流人交通量が減少するので市内交通の円滑化にも寄与することと思われます。」と。新富士川橋のほうにあなた方は書いていることが何もできちゃいない。「このような環境の中でこの地方を通過する一般国道一号の通過交通量は非常に多く、もはや交通地獄の様相を呈しておりました。」と。そこでこういうものをつくったので、「この交通問題を解決するために」と、ここに説明してあるもので何も解決できない、何も効果をおさめちゃいない。これについては、これなりに、つくったことに間違いあるわけではないですよ、また将来これに乗るであろうということは間違いないけれども現状ともかく期待をしたものが数カ月にわたって実用できない。しかも交通量が少しふえているならばまだいいですよ。むしろ交通量が後退ぎみじゃないですか。そういうことになってくれば、いま言ったような建設省側の消極的な態度では、とてもじゃないが一われわれは満足できませんよ。また地元側の人だって、住民としたってそれじゃ困るということになると思う。しかもこの問題はわれわれが取り上げなければ推進しないというのもおかしいじゃないですか。三つの省ともちっとも推進してないじゃないですか。こんなことは地元が二カ月か三カ月前に知事や関係方面に要請したところじゃないですか。それがちっとも手が打たれてないじゃないですか。われわれがこの問題を取り上げなければちっとも推進しないというところに、県を含めて国もその責務を完全に果たしていると言うことは私はできないと思う。そういう意味からいってももっと積極的な施策を講じていく、そのために法律もできた、ちゃんと。道交法も改まった。法律が改まって何が一体積極的にやれたのですか、できたのですか、できるのですか。こういうことをやはり早くやってもらわなきゃ——国会は法律をこしらえるだけが能じゃないのです。つくった法律は完全に実施するのが行政府の責任なんです。そういう責任を完全に果たしてもらうように……。まあ積極的なお話もあったが、まことにどうも消極的なお話もあったので、ぜひ今後これをひとつ処理をしてもらいたい。われわれもこの問題については推移をよく見ておりますので、早急にわれわれの言うことをどんどんやってもらって、この地域の人たちのこうした問題の解決に当たっていただきたいということを私もお願いをしておきます。  実は、ほかにもう一つ東名高速道路の休憩所の問題がある。私はかつて建設委員をやっておりましたので、その関係東名高速道路の休憩所を路線の横につくるべきである、料金を取っておきながら雨の日も暑い日にも休むところ、腰をおろすところもつくらずにおくなんということはけしからぬ。蒲原−由比に上り下り線に一つつくってあるけれども、ほかのところは一つもない。この前、総裁が出席をして、このことについてはいま相談をしていると、法律的にも少し問題があると私は思うのですが、このことについて、きょう実は積極的にやりたいと思ったが、時間がありません。しかし、これはもう私たちは、東名高速道路は料金を取り、しかもバスは予定した以上にたくさんのお客が来て非常な利益をあげているにもかかわらず、東名高速道路の乗るところは、ふぶきの日もかさをさし、炎天にも何にも入るところもない、そうして何時間も待たしておいて平気でバスを運行している。こんなばかなことがあるわけはない。もっとこの点について善処していただきたい。最後にこの点についてだけ公団側の高橋理事に、これはどうなっておるのだか話を聞かしていただいて、きょうの質問を終わって、またあとでこの問題についてはお聞きをしたいと思います。
  72. 高橋末吉

    参考人(高橋末吉君) 高速道路のバス停の上屋の問題につきまして、先生も経過その他について十分御承知かと思いますけれども、名神以来、ほんとうにバスを運営する会社のほうで上屋は持つべきじゃないかというふうな説等もございまして、東名になりましてから、そういった点で運輸省、建設省等もいろいろ検討を進めてもらっておったわけでございますが、とりあえず急ぐ必要もございましたので、東名でも三カ所ばかりつくっておるわけでございます。しかしこれは議論をしておる段階でもございませんので、公団といたしましては、公団の建設費の中で今後ますます東北道とか、北陸道とか、ただいまもお話ありましたような気候風土の悪いところに延びてまいります。こういったこともありますので、公団の建設費の中でバス停留所のああいった広い基本の道路のほうに加えまして上屋も考えようということで、その方向で目下進めておる次第でございます。
  73. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 私からもお願いがあるのですが、いまの上屋の問題ですけれども、あなた方はそこで待ち合わせた経験がないから平気でしょうけれども、私も松永さんからやることになったらしい話を聞いたから、相当進んだと思ったら、まだその程度ですか。乗る者の身になってぜひ早く上屋をつくることを促進してほしいと思う。私もいつかふぶきのときにずぶぬれになったことがある。そういう経験がないからあなた方、比較的進み方がおそいんじゃないか、こう思う。ぜひ至急にやってほしい。  それから先ほど松永さんから資料の要求がございました。何でしたか、資料の要求がございましたことは早速お出しになっていただきたい。  それから先ほど来の御質問聞いておりますと、答弁の面で若干食い違いもあるし、特に建設省の御答弁では私も若干納得いかない点もございますので、至急にやはり相談をしていただいて、適切な、法に基づいた適切な処理を急いでやっていただきたいということを強く要望いたします。特にあそこは静岡県でも交通事故の多いところで、われわれも苦労しているところですから、ひとつよろしくお願いいたします。
  74. 伊部真

    ○伊部真君 まず最初に、私の手元にある資料はだいぶ古くなっておりますので、不十分でありますけれども、昨年の交通事故による死亡者の数でありますけれども、東京とその近辺を比較をいたしますと、東京都はむしろ減少しております。私の手元では一月から八月までの資料がありますけれども、この場合に四十五年の一月から八月までで五百十一、これは前年度の一月から八月までと比較をすると四十三名の減。しかしその近辺であります関東、特に埼玉では五百三十三であります。それから神奈川では五百二十、続いて千葉があるわけでありますが、いずれにしてもその近辺がかなり死亡者数がふえているということが出ておるわけですが、できればこの数字、趨勢として間違いがないかどうか。と同時に、この原因というもの、なぜそういうふうになったのか。これは前年度比較から見るとずいぶんふえているわけです、この近辺が。ですから、その原因というものを究明したことがあるのか、そしてその原因が何であったかということを、わかったらひとつ知らせていただきたい。
  75. 竹岡勝美

    説明員竹岡勝美君) ことしに入りまして全国的に死亡事故は去年よりも少し減っております。いま御指摘のとおり、東京周辺の首都圏のドーナツと申しますか、首都圏周辺の県が非常にふえていることは御指摘のとおりでございます。五年前に比べましても栃木、茨城、いずれも五年前、四十一年を一〇〇といたしますと、栃木は実は二倍近くの一九三で全国最高になっております。それから茨城が一八三で全国第二位を示しておる。群馬、埼玉は大体横ばい程度ですが、あと山梨が一五八、千葉が一五二、神奈川が一二八ということで、首都近郊の七県の平均指数では五年前に比べまして一三九、全国の平均が一一七でございますから、非常に大幅に上回っております。これに対しまして、東京は五年前に比べまして死亡は八一というふうに低減化しております。これはやはり首都圏周辺におきます交通需要が他の全国のどのブロックよりもはるかに高いということで、この首都圏周辺におきます各県の交通量の伸びが他の全国の各都市に比べまして非常に高いということが言えようと思います。現にこれらの県には東京ナンバーの車の事故も多いというようなことからも出ております。これに比しまして、これだけの交通需要に見合います供給が、特に道路供給面の関係道路の安全施設、こういったものが著しく立ちおくれておるのがこういう現象を呈しておるんじゃないか、このように考えております。
  76. 伊部真

    ○伊部真君 いま言われた安全施設の面でかなり東京よりは周辺が立ちおくれているというふうにも想定される、その点についてはやっぱり県ごとに明らかにして、そうしてやはり指導すべきだと思うのですが、その点についてひとつ善処を願いたいというふうに思います。  それからこの間、静岡の大崩で事故があり、二十歳ぐらいの人が埋められたわけですが、あのときの記事を見て、私りつ然としたんですが、あの大崩は昨年一年間で十一回も落石事故でくずれておる。それがそのままに置かれて、そしてああいう事故に結果としてなったと、あのときにこういうふうな道路は、国道において全国で四千八十九カ所、地方道において一万六十六カ所あるというふうに報道されておったんですが、このような道路の不備、危険な個所について、その後どのような対策をもって措置をしているのかどうかという点について、明らかにしてもらいたいと思います。  それから踏切についてもだいぶ古いのですが、去年の新聞で見ておったんですが、四十四年度で踏切が東京都内で警視庁関係交通部の調査では千六百カ所——千六百八十何カ所かあったと思いますが、そしてそのうち六七・五%までは非常に不備な、危険な踏切だというふうに報じておったのですが、こういう危険な踏切の状況についてどのように整備をされ、あるいはどういうふうにその後なっておるのか。数字、個所の減少なんかがありましたら明らかにしてもらいたい、こう思います。  それから同じようなことですけれども、踏切だけではなしに国鉄の路線で、特に築堤あるいはカットされた道路、線路について、なだれやあるいは整備が不十分なために危険なところがあるのではないかというふうに私は見るわけですが、特に赤字路線である八十三線区、二千六百キロ、こういうところは金をかけてないために危険な状態になっているのではないかというふうに心配をするわけですが、こういうことは単なる危惧であるのかどうかという点について、調べて明らかにしてもらいたいと思います。
  77. 山本正男

    説明員(山本正男君) 最初の踏切の件につきまして御報告申し上げます。全国の数字でないようでございますので、私のほうの東京都内の踏切を最近洗いました数字がございますのでそれを御報告申し上げたいと思います。  現在全国で踏切の数は、これは御承知だと思いますが、五万何がしかあるわけでございまして、国鉄、私鉄合わせまして五万三千二百三十、これが昭和四十六年三月三十一日の現在数でございます。この中で国鉄が三万二千九百九十六カ所、私鉄が二万二百三十四カ所、これが全国の踏切の総数でございます。これの中で、しからば東京都内は一体どういう種別別踏切数があるかということを申し上げさせていただきますと、国鉄が四百五十五カ所、私鉄が八百七十四カ所合計いたしまして千三百二十九カ所になります。これを種別別に申し上げますというと国鉄、私鉄合わせまして、例の遮断機、警報機、そういうものがついております数が千百三十七カ所、それから通称四種といいまして警報機もついていない、ただ警標塔が立っておる踏切が百九十二カ所これを合わせますと先ほど申し上げましたように千三百二十九カ所ということになります。この数字は昭和四十五年度末つまり昭和四十六年三月三十一日までの数字でございまして、先生の先ほどおっしゃいました千六百カ所という数字が、ちょっといつの時点でございましょうか、私不勉強でわかりませんが、この数字を比べますと、かなり数といたしまして減少いたしておるということを御理解願えれば幸いだと思います。  それからちょっと補足をいたしますと、しからば東京都内に千三百二十九カ所ある踏切の中で、約二百カ所、つまり百九十二カ所と私申し上げましたが、この百九十二カ所が無防備のままほうってあるとは一体何事かという御疑問があろうかと思います。しかしながら、これは私ども全部一カ所一カ所当たったわけではございませんので、あるいはこまかいことになりますと誤りがあるかとも思いますが、私鉄の側で申しますと、私鉄は先ほど私総数が八百七十四カ所と申し上げました。この中で無防備になっておりますのが四十五年度末現在で七十八カ所ございます。それから半年たっておりますので、また相当これもいろんな点では整備されてきたものと思いますが、いま手元に数字がございません。したがいまして私鉄だけで申しますと八百七十四カ所のうちの七十八カ所でございますので、約九%が残っておるという問題が一つ。つまり一割弱、相当整備されてきたということを御確認いただければけっこうだと思います。  それからもう一つ補足をいたしますが、いかに九%でも一体どういう道路であるかというのが問題であろうかと思います。この七十八カ所は大体踏切の幅が、これは取りつけ道路との関連もございますので、取りつけ道路の幅員というふうにお取り上げいただければけっこうかと思いますが、二・三メートル未満の踏切がほとんどでございます。この踏切のうちで特殊なものが実は入っております。相当広い道路がございますが、これは一つだけでありまして、東京急行の普通称玉電と申しましたが、三軒茶屋線と環七があそこで平面交差いたしますその大きな踏切が一つありますが、これは遮断機もございません、警標もない、交通信号機ということで処理いたしておりますが、この七十八カ所の中にその踏切が一カ所入っておる。ほとんどは二・三メーター未満の非常に小さい、交通量がきわめて少ない踏切が七十八カ所あるということでございます。これがお答えになっているかどうかわかりませんが、なお詳細の資料を御要求でございますれば、御指名いただきますれば、わかる範囲において参上いたしたいと思います。  それから二番目の国有鉄道の踏切付近ののり面の防護が不完全な場所もあるのではないだろうかという御質問でございますが、私の担当は実は民営鉄道部土木電気課長でございまして、国有鉄道の監督をいたしておるわけではございませんが、一般的に申しまして施設、車両、保安設備、こういうものには決して手を抜くというようなことを鉄道事業者はいたしておりませんし、またわれわれは最も大事なものの一つとして保安面のことについては決して手を抜くのでないということで、今日まで指導をいたしてまいりましたし、将来もそういう姿勢で指導をしていくつもりでございます。ただ不測の事故といったような、集中豪雨等ありますれば、常識外の外部圧力が加われば、自然災害的なことが発生しないとは断定できませんが、まあまあ通常の状態でございますれば、施設関係はそう手を抜き、すぐやられるといったようなことはないものと考えております。以上でございます。
  78. 伊部真

    ○伊部真君 いま踏切が少なくなったということ、あるいは危険個所が少なくなったということが出たんですが、その中に一つ気がかりなのは、最近運輸省のほうで五百メートル以内の踏切はなくするという何か通達のようなものが東京のほうに出されておるというように聞きました。これはのべて五百メートルのところの踏切を全部なくしてしまうということは、安全面ではなるほど踏切がなくなるということはけっこうなんですけれども住民側のほうから見ると、これはやはり住民の都合なり、そこの立地条件なり、意見というものを聞いてやらないと、私は問題だと思うんです。そういう点について、そういう指示を流しておるかどうか。それを流しておるとすれば、それらに対する配慮はどういうふうにされておるかということをお聞きします。
  79. 山本正男

    説明員(山本正男君) 申し上げます。先生御指摘の通達に入ります前に、さかのぼりまして、ちょっと基本的なことを私申し上げさしていただきたいと思います。  おそらく先生のほうの御指摘は四十六年二月八日に交通対策本部で決定をいたしました踏切事故防止総合対策についてという施策の問題であろうかと思います。内容につきましては、御指摘にございましたような内容がこの施策に盛られておりまして、各関係省庁から下部機関あるいは関係事業者のほうにそういう内容の通達がそれぞれ出されているわけでございまして、私ども運輸省鉄道監督局といたしましても下部機構には、先ほど先生が御指摘になられましたような事項につきましての通達を出していることは事実でございます。ただこの内容が、十分御承知だと思いますが、あるいはお取り違えいただいておりますと、運輸省あるいは警察庁、建設省、この取りまとめは総理府のほうでなさったわけでありますが、ちょっと補足をさしていただきますと、蛇足かもわかりませんが、日本の鉄道の踏切というのは外国から比べますと非常に営業キロ当たりに比較いたしますと数が多うございまして、私鉄に関しましては約三百メートルに一カ所ぐらいの踏切の数に相なるというようなことでございます。これは全国平均です。何とかこの辺の踏切というものをなくしていくということが、踏切事故防止につながるのではないだろうか、これは踏切事故を防止するという高い時点に立った一つ考え方だとわれわれは思っているわけですが、この交通対策本部できめられました踏切事故防止総合対策には、いろいろな対策がうたってございます。いろんな対策がうたってございますが、その中の例の踏切の整理統合というような項目についての御懸念だと思いますが、運輸省のほうの立場といたしましては、踏切事故というのは鉄道と道路交通物体とが平面上でぶつかるものでございますので、まあ先ほど先生がおっしゃいました五百メートルに一カ所くらいの踏切ということでいきたいんだ。しかし平均はそういうようなことでいきたいのであって、特殊な事情のあるところは必ずしも五百メートル以内でなければ絶対いけないんだというようなことは各省庁考えていない。ただ私どものつまり交通対策本部として考えておりますのは、自動車の通る踏切というのは限定しようではないか。そして踏切の幅員が非常に広いようなところに自動車は回ってもらう。幅員でたとえば二百メートル以下のようなところは、いまでもそうでしょうけれども、はっきりと交通規制をしてもらって、そこへ大きな車が入らないようにしてもらう。そしてそこへくいを打ち、人だけ通るというような、必要がある踏切ならばそこは人だけ通り、そして必要あるならば保安設備をつける。そうでない場合は車は全部二百メートル三百メートル上り側、下り側のほうへ回ってもらう。しかもその踏切が舗装が悪い、あるいは保安設備に多少落つるところがある、警標が不備である、照明設備もあまり完全ではない、こういうような踏切は、道路側、鉄道側がそれぞれ協議をし、それぞれの分野においてしっかりした踏切をつくって、その踏切通行を安全なようにしようというのが事故防止総合対策のねらいの一つでございます。中には小さな踏切で、もうほんとうにこれは閉ざしたほうがお互いにいいのだというのがたくさんまだあると思いますが、こういうようなところは鉄道サイドでも極力整理統合に御協力いただくような姿勢で進みたいと実は思っておる次第でございます。
  80. 伊部真

    ○伊部真君 次に、私はきのうちょっといなかったもので、質問に対するなにが十分でなかったようですけれども、私、交通安全国民会議の一メンバーで、かつてそのときに議論をしたことがあるのですが、交通事故一つの問題としては、トラックでは過積みそれから歩合いというふうな問題について、これを是正すべきではないかと佐藤総理に言ったことがあるのですが、その後どうもこの点について十分になされていない、指導が行なわれていないというふうに思います。聞きたいのでありますけれども、特に私は前回の第八回の国民会議のときに、関東のある生コンの会社で毎日の運行のほとんどが過積みである。特に生コンのレミコン車というのは、外から見ると入っているのか入っていないのかわからないんですね。過積みになっているかどうかということも非常にわかりにくい。そのためにほとんどが過積みをしている。一立米大体二千三百キロで、三立米のところへひどいのになると五立米も載っている。ですから一立米や二立米過積みになっているのは当然だということで走っているようです。なぜそんな過積みができるような構造になっておるのか、過積みにならぬような構造にするということができないのかどうか。それから、その取り締まりについて、もっと十分な取り締まり方法ができないか。ある運転手は、ここに私、写真を持っているんですけれども、自分の車に、この車は過積みの違反車だということで、そして急ブレーキがきかないから何とか取り締まってほしいというようなことを、自分で六千円の罰金覚悟で町を走ってみた。そして、ポリさんにも聞いて、これ過積みになっているんだからひとつ取り締まれぬかと聞いたら、いますぐには計量器もないしするからということで笑って済ましたということなんですが、私はその警察官のことを責めるわけではありませんが、その場合にはやはり計量器の設備のあるところへちゃんと持っていって、そしてせっかく必死で自分の身銭を切ってと思ってやっているような運転手さんに対しては、やはり処置すべきなのではないか。同時に、公然と運転手仲間が言い合っているようなレミコン車の違反、過積みの問題について、これはやはり取り締まりを強化しないと、あのレミコン車は特に安定が悪いわけでしょう。普通のトラックよりも安定が悪くて、ブレーキをかけたり、あるいはカーブを切るときには非常に危険です。ちょうど去年の六月でしたか、アスファルトの事故がありましたね、川崎で。灼熱のアスファルトでカーブを切ったときに、高校生が二名道路上で焼け死んだ、あれと同じように不安定なレミコン車などは、特にこの過積みの問題について取り締まりを強化をすべきではないか、あるいは計量器をちゃんと取りつけるべきではないか。また、特に高速道路では、一つの過積みの車があったために事故が起きたときにはたいへんな大きな事故に発展をするわけですから、高速道路の入り口なんかでは、ちゃんとやはり計量器を設置をして、そして過積みの車に対しては直ちにそのときに摘発をするというふうなことを考えるべきではないのか、そういう問題について提起をしたのですけれども、その後この問題について議論をしたり、あるいは討議をした結果があるなれば聞かしていただきたい。
  81. 竹岡勝美

    説明員竹岡勝美君) 先般の交通安全国民会議で先生からそういう御提案もございました。警察といたしましても、その後この取り締まりに力を注いでおります。現に一昨年の十万件が昨年では十三万件に検挙件数が上がっておりますし、本年はおそらくこれが十五万件ぐらいになるだろうと思いますけれども、この取り締まりには力を入れております。と同時に、高速道路につきましては、御指摘のとおりインターなりそういう出入り口にある程度の重量計を設けなければ適切な取り締まりができませんので、これは公団側に申し入れまして、現在中央高速では府中と大月、それから東名では東京、厚木、足柄等四カ所、また名神が少のうございます。名神は吹田だけでございまして、首都高ではいま平和島でございますが、首都高にさらに十カ所程度この重量計の設置を要望しておりまして、少しずつ建設当局、道路管理者のほうもこれを設置してくれております。これとあわせまして、今後一そうこの取り締まりに力を入れたいと思います。しかし、この過積みは、往々にして、これは単に運転者ということではなくして、その管理者、経営者、そういった者の何らかの、黙認と申しますか、そういうものもございますので、これに対しましては、法的に両罰規定を強化いたしましたので、先般の道路交通法の改正で。それで、両罰規定の適用も、四十五年ですか、去年一年間で約六千件ぐらい、あわせて経営者のほうの罰もとっておるところでございます。ただ、できる限り検問計ですか、重量計をできるだけ多く配置してもらいたいとは思っております。と申しますのは、若干われわれ取り締まり上の難点がございまして、いわゆる検問の形で、十数人の警察官を配置しましてやりますと、山からおりてこない。すぐにわかってしまいますので、なかなか効率は薄いのでございますけれども、できる限り今後とも力を入れてまいりたい。特に高速道路、首都高速道路、こういったものにつきまして力を入れたいと思います。
  82. 伊部真

    ○伊部真君 少しとっぴな提案になるかもわかりませんが、先ほど言われたように、過積みの大きな原因というのは、むしろいまのところでは運転者よりも取り扱っている業者なり、あるいは荷主側の要請というものも非常に問題だと思うのです。そこで、それは運転者が過積みをしているということがはっきりわかるわけです。要請されているということもわかるわけですから、運転者が申告をした場合は、その運転者の行政罰を免除して、そして、むしろそれを強要した業者あるいは荷主、そういうところに注意を与えるというふうな処置をしたら過積みというのが減少するのではないかというようなふうに思うのですがね。こういうことは実際的にはできることでしょうかね。方法があるだろうか。
  83. 竹岡勝美

    説明員竹岡勝美君) 過積みであることを知りながら運転をした場合には、やはり運転者が責任があると思います。ただし、自分はいやいやながら——いやいやながらといっても、かりに、やはり運転したことについては、私は責任があろうと思います。しかし、これに対しまして、行政処分とか免許の停止とか、そういった面についてのある程度の配慮はできるかもしれませんけれども道交法上の罰は、運転した以上は免れないんじゃないか。もちろんそれによって業者のほうの罰は、あわせて両罰なり、あるいは下命なりしたことに対してきびしく罰しますけれども、やはりそこでは運転者が断わってもらわなければ……。運転した以上は道交法上の罰は免れない。行政処分の面では考えられることがあろうと思います。
  84. 伊部真

    ○伊部真君 先ほど私が言ったアスファルトの事故のときにも明らかであったのは、あの当時に運転者は断わっているんですよね、一たん。八トン車に対して十二トン載っているから断わったら、伝票を十トンに書きかえて、走れと、こう言う。こういうふうな、運転者が断わっても、断わり切れない状況というのがあるわけですよ。ですから、やはりこれはその点を十分考慮して取り締まりをしてもらわないと、単に運転者だけを処罰したのでは、出た芽だけをつんでいるということになります。やはりその原因というものを取り締まってもらいたい。特に私がそう思うのは、業界を一斉に取り締まるという方法を考えるべきだ。たとえばレミコンならレミコンの業界を全部。そうでないと、一カ所だけやると、その業界だけを取り締まっても、はたがそういうような状態をずっと続けているということになると、過積みが当然のような状況で競争しているという業界がかなりあるわけです。特にまあダンプだとか、いわゆる砂利トラだとか、あるいはレミコンというのはそうだと思う。その点については、ひとつ業界全体としてどう取り締まるかということを考えてもらいたいということを、一つ要請をしておきたいと思います。
  85. 松永忠二

    松永忠二君 関連。例の行政管理庁が「砕石・砂利に関する行政監察結果に基づく勧告」で、この中に、いまお話しの「積載量の証明書を運転者に交付し、運転者は運搬中これを携行することを義務づけるなどにより過積載の防止に努める」というようなことが出ている。これは、これをすることは何かあれですか、法的に何かつくらなければこれはできないんですか。砂利、砕石の問題は交通問題として非常に大きく各地にあるわけですが、時間がないので私はきょうはやめましたけれども、いまお話しになった積載量の証明を運転者に交付して、それを運表中携行さすべきだと義務づけることを行政管理庁が、これは警察庁総理府、通産省、運輸省あたりに言っているわけですが、これはできるんですか、できないんですか。できるとすれば、これをやるのに何か法律をつくらなきゃだめなのか。これひとつ両方のところから聞かしてください、いまお話のあった点と関連で。
  86. 竹岡勝美

    説明員竹岡勝美君) 不勉強で行管のあれを私十分知らないのでございますけれども、これはたとえば何トンなら何トンこれを載せたということで、山主のほうか、あるいはその経営者のほうかが十トン載せたという積載証明書を運転者に渡す。それによってたまたま警察のほうで、はかってみましたら十二トンだったという場合、これは管理者側が下命なり容認したんじゃない、われわれは十トン積めと言っておいたのに、運転者がかってに積んだんだということで、管理者の責任は免れる資料にはなると思いますけれども、どうしても義務づけなきゃならぬという理由は少し私解しかねておるのですが、管理者側の責任を免れるということにはなります。だから、それは自主的にやればいいことであって、法的に云々ということはちょっと解しかねております。
  87. 山本正男

    説明員(山本正男君) 私、鉄道監督局の職員でございまして、こういった問題はおそらく自動車関連の問題であろうかと思いますので、私の意見はちょっと差し控えさしていただきたいと思います。
  88. 松永忠二

    松永忠二君 これはその程度のことじゃないんでしょう。
  89. 竹岡勝美

    説明員竹岡勝美君) ああそうですか。
  90. 松永忠二

    松永忠二君 これはきのう新聞にも出たように、行政管理庁から新しいものの義務づけとしていろんなものが出ているわけでしょう。これは積載の計量計は必ず置かなきゃいかぬことになっている。砂利トラのところについては、積載の自重計というんですか、積載重量の自動計は取りつけるように法律で義務づけられているわけですよ。ところが、積載重量の制限はほとんど順守されていない実態である。そこでそれを防ぐための方法として一つ提案しているのは、義務づけをしたらどうかということを具体的に提案しているわけなんですよ。
  91. 竹岡勝美

    説明員竹岡勝美君) わかりました。
  92. 松永忠二

    松永忠二君 だから、そういうことじゃなくて、それで積載量を義務づけ、積載量をちゃんと証明したものを偽って経営者がつくれば、それはもう経営者の違反になる。だから、それは山から出ていくときに計量するわけですからね。その計量したものの証明書を書いておいて、それを始終出せといっておけば、そこで一つ防止にはなる。具体案を出しているんです。これは警察庁、やっぱり具体的にいまお話しのように検討される必要があるんじゃないでしょうか。
  93. 竹岡勝美

    説明員竹岡勝美君) はいわかりました。
  94. 松永忠二

    松永忠二君 これつくらなきゃだめなんです。
  95. 竹岡勝美

    説明員竹岡勝美君) わかりました。  前に警察のほうから申し入れまして、先ほど申しましたように、検問個所で取り締まりをやります場合に、重量計をもってやらなければならぬとか、なかなか取り締まり上のむずかしさがございますので、ダンプカーにつきましては、載せました荷物の重さが自動的にはかれる自重計を取りつけてもらいたい、その自重計ではかって、たとえばオーバーしましたら赤ランプがつく、それを見るだけで警察が取り締まれるようにしてもらいたいということで、自重計をつけることを運輸省当局にお願いしました。運輸省当局ではこれを保安基準に取り入れてくれたわけであります。取り入れてくれたわけでありますけれども、その自重計の精度が必ずしも完璧でないということで、検察庁はこの自重計で重さをはかっただけでは、われわれが切符を切っても取り上げてくれません。もう一度完全な重量計ではかり直すということでないと立証効果がないというので、その自重計が生きていないという悩みがもう一つございます。そのために、検察庁のほうでもそれを立証してくれるということの証明書があれば話は簡単でないだろうかということで、あるいは行管がそういう案を示されたかもしれません。しかし、それにしても、おそらく検察庁は、荷主側の何トン積んだという証明書だけで、これをこえたら云々という取り締まりに対しては、ちょっと問題があると思いますので、むずかしいと思いますけれども、その行管の報告をよく私は読みまして検討してみたいと思います。いま考えられるのは、そのような点でしか考えられませんので、勉強したいと思います。
  96. 伊部真

    ○伊部真君 それからもう一つ、私が交通事故の場合に考えなきゃいかぬということは、当時武見さんのほうからも意見があったのですけれども、これはどっちのほうに関係するのか自分でよくわからぬのですが、事故が起きて死亡される被害者の相当部分は頭をやられておるということですね。したがって、交通事故の専門的な医者というのはそんなにないので、高速道路の近辺に国が交通事故専門の病院をつくるということをすれば、かなりの人命が救われるのではないか。どこの町にどういう病院があるというふうなことは非常にわかりにくいし、運転者としてもとっさの場合に思いつくわけではない。したがって、東京都内の高速道路幹線のところに一カ所つくっておけば、事故が起きればすぐそこに運んでいけるということになるので、かなり時間的にも早いわけですから、そういうことを考えるべきではないかという提案があったとき、なるほどと思ったわけですけれどもね。そういう提案があったことに対して、やはり具体的に検討すべきだと思うのですが、その後の検討状況について御説明を願いたい。
  97. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  98. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 速記をつけて。  それでは午前中の質疑はこの程度にいたします。午後一時半に再開したいと思います。    午後零時二十八分休憩      —————・—————    午後一時四十分開会   〔理事中村波男委員長席に着く〕
  99. 中村波男

    ○理事(中村波男君) ただいまから交通安全対策特別委員会を再開いたします。  午前に引き続き質疑を行ないます。  まず、午前中の伊部君の質疑に対して建設省から発言を求められておりますので、これを許します。
  100. 吉田泰夫

    説明員吉田泰夫君) 御質問の道路の安全が不十分なためにたいへんな事故を起こしましてまことに申しわけなく存じております。  実は昭和四十三年八月の飛騨川事故以来、従来、道路を新しく建設するほうに主力を置いてまいりましたのを反省いたしまして、完成いたしました道路の防災面を思い切って強化しなければならないということで、特に道路防災のためだけの現道の安全対策工事を実施することといたしました。現在まで毎年かなりの予算額を投じ、また増額させつつ今日に至ってきたわけでございますが、それにもかかわらず、あのような事故が起こりまして、再度このようなことが繰り返されることのないようにするためには、この際、やはり思い切って従来の防災対策の予算をさらに一段と大幅に増額し、危険個所のすみやかな解消をはかるしかないんじゃないか、このように考えまして、それとともに従来危険個所を点検いたしまして、御指摘のような数字が出ておるわけでございますが、いろいろな事故の実態を見ますと、一応安全と思われる工事をしたところにああいった事故が起こったり、あるいは従来危険と判断しなかった個所で事故が起こったりしている例もございますので、この際そういった危険個所の基準そのものも考え直しまして、新しい基準に基づき総点検を実施することといたしております。現在府県管理区間につきまして順次各県からヒヤリングを行なっておりますので、近いうちにその集計が出るかと思いますが、それによりまして、特に危険度あるいは危険頻度あるいは交通量、こういったものの要素から、特に緊急を要すると思われる第一クラスのものは特に急いでその解消をはかりたいと考えております。それにしましても、なかなか一挙に全面的に危険個所が解消できませんので、その間は平素からの気象情報の伝達、それから一般への周知徹底、そういったものをもとにいたしまして、どうしても相当的確な交通規制を行なう、そういうことによって、まあかりにくずれましても事故が起こらないというような対策もあわせ講ずる必要があると考えます。そういった意味道路管理の強化及び一定の危険と思われる雨量なり風速に達した場合の的確な交通規制の実施、こういうものも非常にはっきりした基準にして厳正に実施したい、このように考えておりますので御了解いただきたいと思います。
  101. 伊部真

    ○伊部真君 私はいまの道路で、この間通ったところで落石注意という標識がずいぶんありますね。これは危険個所にしている標識だと思うんですけれども、事実問題として、車でその道路を通っているのに落石注意というのがほんとうに何の効果があるのだろうかという気がいたします。大きな石が落ちてきて、ときどきひやっとすることがあるわけですけれども、やはり道路というのは、つくるというよりも、安全に通れるということであって初めて道路ということが言えるのじゃないか。しかも国道において四千カ所もそういう危険な個所が、落石注意ということがあるということは……。安心をして国民が道路を使用するべきであるというふうに思うので、いまのわれわれの仕事の中で一番何が大事かということを考えなければいかぬと思います。やはり住民の命、住民が安心して道路を通れるということに最も大きなウエートを置かなければならない。そういう意味道路が危険だという所が、こんなにたくさん放任されておるということは非常に不満を感ずるわけです。  そこで、具体的にどう処置をされようとしておるのか。たとえば予算措置で前年度に対して今度はいままでの実績よりはどれだけふやすとか、そういう具体的な対策というものをもう少し明らかにしてもらいたい。
  102. 吉田泰夫

    説明員吉田泰夫君) 予算面におきましては、この種の災害防除のための予算を、本年度は国庫補助対象事業で百五十三億でございますが、これを明年度は三百九十億円要求いたしております。二・五倍になりますが、従来百億ないし百五十億程度の予算を倍以上に引き上げまして、思い切って重要な区間から早急に危険区間を解消いたしたいというふうに考えております。
  103. 中村波男

    ○理事(中村波男君) 質疑のある方は順次御発言を願います。
  104. 原田立

    ○原田立君 私は若干交通安全対策でお伺いしたいのでありますけれども、まず最初に、九月八日の新聞を見ましたところ、警察庁では十二月からノークラッチ車に限定免許証を発行していく、こういうふうなことの記事が出ておりましたが、この限定免許証というものを出す基礎的な考え方ですね、新聞では現在でも非常に車が多い、それに対して操縦の簡単なノークラッチ車がよけいに出回るようなことになれば、かえって車の増加を招き、非常に問題ではないかというような点を指摘いたしておりますけれども、今回警察庁で限定免許証を出すというこのことについて、いま申し上げたような点についての見通し、あるいはいわゆるマイカー族等に向けてやるのか、あるいは営業用という、そこに重点を置いてやられるのか、そこら辺のところはいかがでしょう。
  105. 鈴木金太郎

    説明員鈴木金太郎君) お答え申し上げます。  私どもまず御説明申し上げたいのは、この自動変速装置の車というものに対しまして、そもそもどういうふうな背景からこういう発想が生まれてきたかということをまず申し上げてみたいと思うのでありますが、御案内のとおり、最近の交通事情によりますれば、まず第一番に、いわゆる運転者層、これはたいへん広範な運転者層を構成するようになりまして、御婦人方あるいは高年齢層の方々がたいへん多くマイカーを運転されておるというような事情が出てまいっております。それから、これも御案内のとおりでございますが、都市における交通渋帯の度合いがたいへんひどくなっております。また、交通がたいへん広域化いたしまして、長距離の運転ということが高速道路の発達とともに行なわれる。また一面、これは自動変速装置の関係でございますが、たいへんその機能が発達してまいってきております。そういうような事情から踏まえまして、それぞれ有識者あるいは専門家の方々がこれを交通安全上の見地から、もっと活用したらどうかというふうなお考え方が各方面から出てまいったわけでございます。そこで、私どもといたしましても、昨年来この自動変速装置というものにつきまして、交通安全からどういう利点があるかということを、いろいろ検討してまいっておるところでございます。  以下利点を申し上げますと、簡単に申し上げますが、まず第一番に、自動車の運転でいわゆる安全な運転というものにつきまして、いわゆるどういうものが安全な運転かということをまず申し上げてみますると、やはり走らせるということも必要でございますが、とめるということはなお必要なわけでございます。とめるということにつきまして、やはりクラッチを操作いたしましたりあるいはギアシフトを行ないましてとめるということは、これはたいへん繁雑でございます。その点、この自動変速装置の車につきましては、非常に初心の運転者の方々がとめることを苦にしない。かような利点がございまして、それによりまして、やはり減速したりとめたりして安全を確認したりする余裕がかなり持てる。かようなことが、まず第一番に申し上げられると思います。それ以下多々ございますのですが、代表的な例を申し上げますと、まず運転いたしまして、過労の度合いが非常に少ないわけでございます。それからまた、いわゆるギアシフトなりあるいはクラッチ操作の手間がございませんので、両手はちゃんとハンドルを手に持ちまして、いわゆるハンドルをとられるとか、あるいは車が不安定になるとか、そういう欠陥がまずございません。それからまた、ギアシフトあるいはクラッチ操作がございませんので、全部人間の能力をあげて安全の確認の方向に注意を向けることができる。かようなこと。それからまた、エンストの心配がございません。エンストの心配がございませんから、踏切のような場合でも、停止をして、それからきわめて安全に踏切を通過していける、かような利点がございます。それからまだございますけれども、最後に、初心者が最も苦労するのは坂道の発進でございますが、これは逆行の心配がございませんし、それからまた発進が非常に楽である。かようないろいろな利点があるわけでございます。外国におきましては、アメリカでは、やはり試験車としてこの自動変速装置の車を使うことをもちろん認めておりますが、それによって取得した免許につきましても、どんな車でも運転できる、クラッチ操作、ギアシフトの車でも運転できるというふうなたてまえをとっております。また聞くところによりますれば、スイスにおきましては、このいわゆる自動変速装置の車を試験車として使わせるのでございますが、これは自動変速装置つきの車だけを運転できるという制度をとっております。オランダにおきましては、この自動変速装置の車を試験に認めておりまして、そして一年たちますると、どんな車でも運転できる、いわゆるクラッチ操作の車、ギアシフトの車でも運転できる、かようなたてまえをとっておるわけです。そういうようなわけでございますので、私どもといたしましては、御指摘の点十分注意いたしまして、いわゆる初心者によりますところの事故と申しますのが、三年までのトータルで大体四〇%をこえておる状況でございますし、そういうたぐいの交通事故について、十分防止していく効果があるのではないか、かように考えるわけでございます。そういう意味で、まだまだ細部の点について検討する点もございますので、十分今後とも検討を重ねて、所期の目的の方向に向けてやってまいりたいと思います。
  106. 原田立

    ○原田立君 まあ非常に安全度が高い、ノークラッチ車は安全度が高い、そういうことで大いに推奨したい、そうすれば交通事故を絶滅することができる。絶滅と言わなくても、少なくすることができる。そういう考えで今回限定免許証を出した、やるようにしたと理解するのですけれども、先ほどお伺いしたのは、いわゆる一般初心者ですから、一般のほうに向くのでありましょうけれども、営業車などに対してはその点どうお考えになりますか。
  107. 鈴木金太郎

    説明員鈴木金太郎君) とりあえず私どもといたしましていま考えておりまするのは、初心者の教育用に、あるいは初心者のこれからの自動車の運転免許を取りたいという方々についてどう取り扱うか、いわゆるどういうふうにこの自動変速装置の車を考えていくかということでございまして、先生が御指摘なさいますように、たとえばそのほうの専門の学者の方々は大型のワンマンバスの車などにもこの自動変速装置を採用すべきである、こういう御意見を持つ方々がだいぶおられるのでございますが、その点はまだこの次の段階の検討として考えて、この点ではまだ考え及んでおりません。
  108. 原田立

    ○原田立君 営業車についてはまだ考えていないということのようでありますが、アメリカにおいてはすでに九五%の普及率であるということが新聞に報ぜられております。わが国ではわずかに五%が実情である。非常に少ないわけですね。それからまた、アメリカでは営業用車は義務づけ、事故防止対策の一環として採用しているということがあるわけでありますけれども、実際事故の発生は営業車というよりか、普通の一般のマイカーのほうの事故が多いのでどうかなとは思いますけれども、アメリカなどにおける営業車はすべてノークラッチが義務づけられている。そこら辺は大いに参考にしていいのじゃないだろうか、こう思うのですけれども、検討なさいますか。
  109. 鈴木金太郎

    説明員鈴木金太郎君) 今後とも十分検討してまいります。
  110. 原田立

    ○原田立君 通産省の方、来ていますか。いまの問題に関連していろいろございますけれども、通産省では、いま車の生産についていろろと指導しているわけだと思うのですが、このノークラッチ車を警察庁のほうでは交通事故防止対策として大いに推奨したい、このような意向のようですけれども、通産省はそこのところどういうふうに考えておられるか。
  111. 石原尚久

    説明員(石原尚久君) ただいまのところ自動変速機の生産、これが月に五万台弱というところでございますが、先ほどからお話が出ておりますようなノークラッチ車についての免許が出されますと、おそらくそれの需要が相当ふえてまいると思います。そうでなくてもふえると思いますが、これによって相当ふえるものと思われます。それにつきまして、いまの国産の余力というものは非常にたくさんございまして、短時間に急速にこの自動変速機の需要がふえたといたしましても、それには十分対応し得るという生産体制になっております。
  112. 原田立

    ○原田立君 いや、そういうことを聞いているのではなくて、交通事故死亡者がもう一万人もこすというようなそういう非常にお気の毒な状態が、悲惨な状態が数多く見られるわけです。で、ノークラッチ車であると——それはまあ運転者が間違えばどんな優秀な車でも事故を起こすにきまっているのだろうと思いますけれども、そういう面からいって、普通の車と比べてみて、まだまだ事故の発生率が少ないということのようです、警察庁のお考えのほうは。だからいわゆる普通の車よりもノークラッチ車の車のほうをもっとより生産していくような、そういう考え方があるのかどうかということを聞いているわけです。それはあなたに聞いてちょっとどうかなと思うのですけれども、それはもし答えられなければ、これは持ち帰って、局長なり大臣にそこら辺の御返事をいただければそれでもけっこうです。
  113. 石原尚久

    説明員(石原尚久君) 車の選択はやはり消費者がいたします。ユーザーがいたしますので、そちらのほうのお求めがあればどんどん生産するというかっこうになっておりまして、もちろん私どもといたしましては、そういうほうに国民の需要の動きがありました場合に、それに対応し得るようにしておくというところが一番大事なところと思っております。それ以上は特にノークラッチ車の普及をはかるようにというような、そこまではまだ考えておりませんですけれども……。
  114. 原田立

    ○原田立君 それではノークラッチ車については以上でけっこうです。  次に、最近新聞でいろいろと言われております酸欠事故——酸素欠乏空気の事故がいろいろ発生して、心配いたしておるわけでありますけれども、これのおもな原因は、地下水の過度のくみ上げであるとか、あるいは地下工事を行なうときに、特にシールド工法、いわゆる圧気工法によると、この二つが大きな原因ではないかと、こんなふうにいわれておるわけでありますが、都内でもこのシールド工法を使ってやっているのが現在六十二カ所あると東京消防庁の調べで出ております。そうしますと、このいわゆる酸欠事故というのが今後もふえやしないだろうかと、非常に心配しているわけです。新聞によりますと、労働省のほうの所管事項であるとか、あるいは運輸省の所管事項であるとか、環境庁であるとか、いろいろといわれているようでありますが、私は、特にシール下工法を行なういわゆる地下工事ですね、最近地下鉄工事が非常に多い——先ほどお話した六十二カ所のうち、何か二十四カ所が地下鉄工事であるというふうにいわれております。で、この地下鉄工事を行なうこの地下鉄に、酸素欠乏空気がまた二、三漏れているという、そういう所もあると、これは新聞報道されております。非常に心配しているわけでありますが、今後まだまだ酸欠空気による事故が発生するおそれが非常にあるんじゃないか心配しているわけなんです。運輸省のほう来てますか。その状況は私詳しく知ってるんです、もうわかっております。この酸欠事故について運輸省がしかと所管官庁としてがっちり握って今後やっていくというふうにきまっているのかどうか、そこのところをお聞かせ願いたい。
  115. 山本正男

    説明員(山本正男君) 先生の御指摘の運輸省の所管であるかどうかという点につきましては、労働災害に関しますことと一般民家に対する影響に関しますことと二つに分けて考えてみたいと思いますが、労働災害に関しますことでございますれば、これは私の私見かもわかりませんが、労働省の所管であろうかと思います。それから一般民家に対します影響についての監督責任、これは企業者に対しましては運輸省のほうが監督の責任があるんではないかというふうに、これは私、私見が少し入っておるかと思いますが、ございます。したがいまして、先生の御指摘どおり部内的にいろいろ検討もいたしまして、今後一そう地下鉄企業者に対しますそういった災害の防止につきましては指導をしてまいりたいというふうに一般的に考えております。
  116. 原田立

    ○原田立君 そうしますと、地下鉄に関しては責任を持って酸欠事故は運輸省が指導する、こういうことですね。
  117. 山本正男

    説明員(山本正男君) この辺につきましては労働省のほうともいろいろ相談をいたさねばならないと思いますし、建設業者を監督いたしておりますのは建設省のように私承知をいたしております。しかしながら、地下鉄企業者に対します、第三者についての工事事故の防止、これは運輸省のほうで監督をしてまいるのが本筋ではなかろうかと私は私なりに考えております。
  118. 原田立

    ○原田立君 運輸省はそれで酸欠事故をなくすための責任を持って今後やっていくことができますか。
  119. 山本正男

    説明員(山本正男君) 技術的な問題につきましてなれば、これは運輸省ひとりでどうこうというような点では荷が重いと思います。しかしながら、工事を始める前に、ここでシールド工法ならシールド工法、あるいはケーソン工法ならケーソン工法という工法を施行してその工事を進めるという場合、現在までもそうでございますし、民家あるいは付近のいろいろな工事の内容をいろいろ話すことをいままでしてきております。ですから、そういうような機会を利用いたしまして、シールド工事の圧気が付近に漏れないかどうか、そこら辺は事前によく調査し、工事をしております途中に付近をよく調査をしまして、もしも漏洩空気があれば、それがどういう種類の漏洩空気なのか、酸素が何%くらい欠乏しているのかというような調査は、今日までもしてきた例もございますから、今後そういう点では十分な注意をして測定もし、もしも酸欠空気が漏洩しているような場合は、すぐさま所定の手を打つということを指導してまいりたいと思います。ただ、こういう空気を出さないようにということになりますれば、私どもちょっとたいへん荷が重いと思いますが、出る空気を何とかとめる、あるいは散らすとか、ダクトで導くというような処置を講じつつ工事を進めるということは、いままでも必要でございましたし、今後も必要であろうかと思います。その辺は十分指導するつもりでございます。
  120. 原田立

    ○原田立君 運輸省でやるのは無理なんですよ。あなた荷が重いと言ったが、それは正直なことばだと思います。運輸省ひとりでやるといっても無理な話です。  環境庁局長さんお見えだろうと思いますけれども、これは公害基本法の中には酸素欠乏空気のことについてはまだ項目としてうたわれてはおりませんけれども、これはいわゆる公害としてしっかり環境庁が取り上げていくべき性格のものではないだろうか、こう私は意見も持っていますし、そういう主張です。過日衆議院のほうにおきましては、何か労働省のほうでやらせるのだとかというようなことで、担当課長が返答したらしいようだけれども、どうですか、この酸欠事故、要するに酸素欠乏空気事故等については公害に準じて環境庁で取り扱うと、こういう姿勢のお考えはございませんか。
  121. 山形操六

    説明員山形操六君) 御指摘の酸欠空気問題は、一応これは主として労働環境——職場の安全衛生の問題と考えられますけれども、今日のように一般住民の健康や生活環境と密接な関係が出てまいりましたこと、並びに地下水のくみ上げによる地盤沈下との関係も十分考えられますので、環境庁といたしましては、この実情を早く調査いたしまして、それから関係労働省とよく連携を密にいたしまして、都道府県公害担当部局を十分指導して、これらの一般住民等の酸欠空気による被害を防止できるよう指導していく考えでございます。
  122. 原田立

    ○原田立君 労働省とよく相談して、それで関係都道府県に連絡すると、こういうわけですか。——私そんなことを聞いているわけではないんですよ。これはいわゆる都市公害一つとしてとらえて、環境庁でやるべきじゃないかと、こういうことを申し上げている。
  123. 山形操六

    説明員山形操六君) 地盤沈下との関係が十分ございますし、また発生機序の問題等もありますので、環境庁といたしましては十分この調査に前向きの姿勢で臨んでまいる所存でございます。
  124. 原田立

    ○原田立君 前向きであるということは、将来この酸欠問題については環境庁の所管事項としてやっていく考えが十分あるんだと理解し、受け取ってよろしいですか。
  125. 山形操六

    説明員山形操六君) 地下水のくみ上げによる地盤沈下との関係が出てまいりましたら、当然これはもう環境庁の仕事でございますので、その対策その他十分にやってまいりますが、いまの段階でも、一般住民の健康問題あるいは生活環境の問題が関連があると考えられますので、都道府県を通じて公害主管部局長に通知をして、十分連絡をとりながら対策に応じていこうと、こういう考え方でございます。
  126. 原田立

    ○原田立君 当然一般民家に波及してくるのは必然的ですよ。というのは、現在地下鉄工事を行なっている、それが官庁街を通っているならば、まだまだごく事故は一部であろうと思いますけれども、何も官庁街ばかり地下鉄工事があるわけでございません。そうなると、一般民家のあるところの道路を、ずっと掘っていくようになる。こうなると必然的に一般民家にこういう事故が発生する可能性は十分ある。発生しないとは断言できないだろう。もし民家のほうに波及していくおそれがある、もしあったならばというふうなことを、そこいら辺ちょっと局長のお考え、答弁はあいまいになっているんだけれども、波及するおそれは十分あるんです。ですから、当然これはもう近い将来、環境庁において酸欠事故に関する所管事項として担当していく、こうしなければいけないだろうと思うんです。具体的には新聞に出ておりましたけれども、東京の港区の地下鉄赤坂見附駅から約五十メートル青山一丁目に至る銀座線トンネル内で、酸素濃度二八%の酸欠空気が出ておった。これは電電公社のケーブル埋設工事のときに、シールド工法による圧気工法をしていた。それによってこういうのが出たんじゃないかといわれているわけでありますけれども、これは御承知ですか。環境庁は御承知ですか。運輸省は知っていますか。
  127. 山形操六

    説明員山形操六君) 承知しております。
  128. 山本正男

    説明員(山本正男君) 承知をしております。
  129. 原田立

    ○原田立君 承知しているばかりでなしに、今度はこれの具体的な調査、また今後の研究も含めているんでありますけれども、まず現在の調査、この調査について責任持って現在やっているところはどこですか。環境庁ですか、運輸省ですか。
  130. 山形操六

    説明員山形操六君) 直接のお答えにならないかもしれませんが、私どもいま都道府県に通達を出す準備をしております。たまたま労働省のほうの酸欠——酸素欠乏症の防止規則が出されようとしておりますけれども、これは使用者に対する問題が多いのでございますが、それだけでなしに、関係者と申しますか、ここでは私ども都道府県公害関係局長にぜひ善処方、たとえば一般住宅の影響の問題等、地下街の問題等、これらを十分調べるように、またそういう個所があれば環境庁に連絡するようにということを、目下庁内で通達の準備の作業をしておる最中でございます。
  131. 原田立

    ○原田立君 運輸省は。
  132. 山本正男

    説明員(山本正男君) これもお答えになるかどうかわかりませんのでございますけれども、実は労働省のほうと議論、打ち合わせ、情報交換をいたしまして、労働省のほうの指示がございました関係もありまして、八月の中旬に鉄道監督局長から鉄道事業者、つまり国鉄とそれから鉄建公団、それから下部機関の陸運局、こういうところに酸素欠乏症の防止についてという通達を出させてもらいました。
  133. 原田立

    ○原田立君 そんな通達くらいなことで、この酸欠事故が片づくと思いますか。  もう一つ、具体的なことでいえば、青山一丁目から赤坂見附間が二〇%、赤坂見附から虎ノ門間が二〇%、赤坂見附駅A線ホームが二〇・五%、虎ノ門B線ホーム拡張工事個所付近が二〇%、同じ虎ノ門駅B線ホーム赤坂見附寄りが二〇・五%、いずれもこれは昭和大学の酸欠の権威である山口助教授が測定した数値です。私、当委員会でこの問題を取り上げたのは、要するに地下鉄は国電あるいは普通の陸上を走る私鉄なんかと同じように、もういわゆる公共機関です。その公共機関のそのところに、こういうような、たとえかりに〇・五%のわずかな酸欠であるということであっても、これは等閑視してはならないと思うのです、重大視しなければならないと思う。それなのに、そんな通達くらいで片がつきますか。ましてや東京都内に二十四カ所、札幌ではいま地下鉄工事をやっております。それから大阪だって福岡だって北九州だって、これから地下鉄工事をやろうとしている。これからどんどんどんどんふえるでしょう。地下鉄に安心して乗るためには、この酸欠対策については、こんな通達一本くらいで終わりにするのじゃなしに、もっと本腰を入れて、突っ込むべきだと思うのです。だから、運輸省の中で、どの部局が責任持ってこの調査研究に当たっておるのか。それをはっきりお教え願いたいと思うのです。
  134. 山本正男

    説明員(山本正男君) いま先生の御質問になじむような部局と申しますのは、運輸省の中では鉄道監督局であろうかと思いますが、鉄道監督局の中の工事関係の事務を担当しております課が二つございまして、国鉄部では施設課と、民営鉄道部では土木電気課、この二課がございますが、先生の御指摘の御趣旨のような研究をやっておるかどうかということについて、御批判もあろうかと思いますが、この工事施行に関しますもろもろのトラブル、そういったようなことの技術的な解明、事務的な問題というようなことは、以上申し上げました二課が所管しております。
  135. 原田立

    ○原田立君 要するにどこもやってないということだと思うのです、結論は。それで環境庁、運輸省でもやってないのですよ。それで地下鉄に現在こうやって、もうすでに酸欠状態のところが、ほんのまだわずかではありますけれども見えたわけです。こんなことを申し上げてはどうかと思うのですが、やはり公害問題はあと追い政策ではなくて、先取りで公害を未然に発生を防いでいくというのが、環境庁のお役目だろうと思うのです。そういう面からいきまして、すでに酸欠事故によって、死亡者がまだほんのわずかですけれども出ておる。現に科学的な裏づけもあるんです。当然環境庁が正式に取り上げていくべき性格のものではないか。あらためて申し上げたい。御意見いかがですか。
  136. 山形操六

    説明員山形操六君) 前の御質問にも関連してお答えいたしますが、環境庁としては、この問題、地盤沈下との関連から、水質保全局の企画課が窓口に一応なる。そして、実情調査をいましようとしているところでございます。また、いまの御指摘のように、公害を早く防御するようにという御趣旨については、全く同意見でございますが、私ども、発生機序の問題とそれから圧気工法との関係等がございますので、それらについては関係省に善処方を申し入れるようなこともしていきたいと思っておりますし、目下実情調査と、それから環境庁の水質保全局におきましては、地下水低下による酸欠空気、圧気工法による空気圧入によって生ずる酸欠空気現象の発生、拡散のメカニズムについてという研究テーマを早急にいま手がけて、これらについて研究していきたいという体制をとりつつあるところでございます。  なお、繰り返しになりますが、都道府県を通じ公害所管部局長に通知いたしまして一般住民の健康問題と生活環境関連等について調査をし、環境庁に連絡してもらうよう手配をいま準備中でございます。
  137. 原田立

    ○原田立君 連絡してもらうなんて、そんな消極姿勢ではいけないと思うのですがね。先ほどの事故は、こういう公害は先取りしていく、そして事故をなくしていく、全く同意見だと、こういうお話があったけれども、その点は私は大いにそれは歓迎する。だけれども、一々通達を出して、報告を聞いて、それからやるというような、最後の結論ははなはだどうも気に食わない。それで、まあ局長がこの問題についてお答えしにくいんだったらば、ひとつ大石環境庁長官とも御懇談いただいて、この酸欠事故についての取り扱いについて明快なる御回答をいただきたいと思う。これは委員長お願いしたいと思うのです。よろしいでしょうか。
  138. 山形操六

    説明員山形操六君) 私どもも十分検討さしていただきます。
  139. 原田立

    ○原田立君 現に地下鉄で、先ほど五カ所ですね、五カ所あげて私具体的に質問したわけです。ここのところ、この五カ所について、運輸省は地下鉄をいま担当する係ですから、自分のほうで、運輸省として正式に調査いたしましたか。
  140. 山本正男

    説明員(山本正男君) 運輸省のほうはいたしておりません。
  141. 原田立

    ○原田立君 してないなんていうのは、怠慢じゃないですか。酸欠の権威である昭和大の山口助教授がこれやったのは、まあ言ってみれば私的なものですよ。こういう問題が提起されたなら、運輸省は即座にその体制をつくって調査すべきではないですか。
  142. 山本正男

    説明員(山本正男君) これも先生に対するお答えになじむかどうかわかりませんが、事業者で測定をいたしました、つまり帝都高速度交通営団でございますが、そこで測定をいたしました数字を私ども見せてもらった実績はございます。
  143. 原田立

    ○原田立君 じゃその報告があったでしょうから、具体的な——この山口助教授はこういうところで調べたという、具体的にその区間も出ているわけです。そこで、帝都高速度交通営団で調べたというなら、その同じところで数値はどうだったか御報告願いたい。
  144. 山本正男

    説明員(山本正男君) いま手元にございませんので、後ほど御連絡をさしていただきたいと思いますが、場所が一緒であるかどうか、測定の時期が違いますし、電車が来た場合あるいは去った場合、こういうようなところで違いますので、後日そういった資料を提出さしていただきたいと思いますが、いまちょっと……。
  145. 原田立

    ○原田立君 それは怠慢ですよ。私は運輸省にも前から言ってあるのですよ。手元へ持って来てないなんて……。じゃあらためて委員長、これも次回の委員会資料として提出するように要求してもらいたい。
  146. 中村波男

    ○理事(中村波男君) はい、資料として提出させます。
  147. 原田立

    ○原田立君 酸欠の原因といわれているのが、先ほど冒頭にお話しましたけれども、地下水の過度のくみ上げだと、こういうふうにいわれておるんですけれども、水質保全局もお見えのようですから、その点見解いかがですか。
  148. 河野義男

    説明員(河野義男君) 酸欠空気の現象は、地下水の過度のくみ上げによりまして地下水が低下いたしまして、砂れき層の水がなくなって、そこに圧気工法によりまして空気が圧入されて、そして起こる現象だというふうにいわれているわけでございますが、水質保全局におきましては、現在地盤沈下を一つ公害として取り上げまして、地盤沈下を防止するための手段といたしまして、地下水の規制を行なっているわけでございます。規制の方法は、工業用水法それからビル用水法、これによって地下水の規制をしながら、かつ、地下水資源を有効に活用していこうということで行政を行なっているわけでございますが、御指摘のように地下水の水位の低下と圧気工法とが結びついた場合に、そういう現象が起こるというふうにいわれておりますので、そのメカニズム、どうして起こるか、あるいはそれがどういうふうに拡散していくかということを含めた調査を、現在検討している段階でございます。
  149. 原田立

    ○原田立君 この地下水のくみ上げについては、規制があるはずだと思うのですけれども、こういうようにいろいろ言われていることは、いわゆる届け出をしないで、やみでかってに地下水のくみ上げをしているところが大部分ではないか。大きなビルなんかは大部分無許可でかってにやっているのではないかというふうにいわれているのですけれども、そこら辺の見解はいかがですか。
  150. 河野義男

    説明員(河野義男君) そういうことのないよに、これは都道府県知事の権限でございますが、行政指導を強化していきたい、かように考えておりますが、地下水の規制は先ほど申しましたように工業用水法、それからビル用水法のみで規制しているわけでございますが、地下水の取水はそれ以外にも相当膨大な量の水道の水源にもなっているわけでございますし、またかんがい用水にも活用されているわけでございます。したがいまして、その全体を含めて地下水の規制のあり方について今後検討していかなければならない、かように考えております。
  151. 原田立

    ○原田立君 地下水の過度のくみ上げと、それからシールド工法と、こういうふうにやって、結局酸欠空気が出てくるわけですよ。山口助教授の話によりますと、酸欠空気が出るばかりでなしに、そのいわゆる粘土層ですね、砂利層、粘土層、砂利層、粘土層と、こうなっているわけですが、その粘土層のところがからからにかわいちゃって、要するに地盤沈下の起こるおそれが多分にある。こういうふうなお考えを私お聞きしましたけれども、そういうふうな面で地下水の過度のくみ上げ、シールド工法、それが地盤沈下につながる、この点はいかがですか。
  152. 河野義男

    説明員(河野義男君) そういった地下水の過度のくみ上げと地盤沈下の関係、そういったメカニズム、それからいま地下水が低下いたしまして砂れき層が出てまいりまして、その中に空気が圧入されて酸欠空気が発生する。こういうふうにいわれておりますが、そういったメカニズムにつきまして今後調査をしてまいりたい、かように考えております。
  153. 原田立

    ○原田立君 結局運輸省のほうではいまもお話があったように、地盤沈下が起きるというのですよ。地盤沈下が起きると、そこで心配になってくるのが地下鉄なんです。地下鉄の基盤がまたがたがたしてくるのじゃないか、ひび割れがしてくるのじゃないか。現にことしの四月に何か調べたところによると、一カ所赤坂見附駅より約五十メートル青山一丁目駅に寄った銀座線トンネル内に酸素濃度一六%の空気があった。ひび割れがあった。この地盤沈下による軌道の曲がりというのですかね、基盤のゆるみですかね。それと、ひび割れ、そこから酸欠空気が入るというおそれ、こういうような点が多分にあるわけですよ。これはひとつ重大問題として運輸省は取り扱ってもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  154. 山本正男

    説明員(山本正男君) いままでも、酸欠空気という意味ではございませんが、比較的古い隧道のひび割れにつきましては、保安監査その他で適宜指示をいたしまして、裏込め注入とかいった予防措置を講じておりますが、今後、先生の御趣旨を体しまして、一そう注意し、指導いたしたいと思います。
  155. 原田立

    ○原田立君 これで酸欠のところでは最後にしたいと思うのですが、局長、現段階で、酸欠問題で資料がほしいと、こういったときに、どこへお伺いすればわかるのですか。いまは、どこへいってもわからないのです。これはやっぱり、環境庁で全部きちんとそろえて、そうして酸欠問題についてはこうだと、こういうふうになさるのが至当じゃないかと思うのですけれども、その点どうですか。
  156. 山形操六

    説明員山形操六君) 資料につきましては、私ども、東京都における資料を東京都からちょうだいしただけでございますが、今後、都道府県に連絡いたしまして、酸欠に関する資料を取り寄せる覚悟でございます。
  157. 原田立

    ○原田立君 東京都に行って取り寄せる——もちろん具体的にはそういうことになるのだろうと思いますけれども、私が言うのは、酸欠問題についての資料は、もう環境庁に行けば全部ぴしゃっとそろっていると、そろえていると、そういうことにすべきじゃありませんかと、そうなさる気持ちはありませんかと、そういう点を聞いている。ただ東京都から資料をもらってそれを持っているなんていう、そういうような消極的なことを言っているんじゃないのです。
  158. 山形操六

    説明員山形操六君) 繰り返しになるかとも思いますが、一般住民等の健康の保護や生活環境の保全の見地から、酸欠問題について、都道府県を通じ、公害担当局長を指導いたしまして調査をし、また、その発生の場所の問題、測定値の問題等々、資料を取り寄せて、着々これから整備していこうという所存でございます。
  159. 原田立

    ○原田立君 それで終わりにしようと思ったのですけれども、どうも局長、ちょっと中途はんぱですね。では、そこら辺を含めて、ひとつもう少し明快に庁内で御審議いただいて、お答えいただきたいと思います。それはよろしいでしょうか。  それでは、酸欠問題はこのくらいにしまして、過日、瀬戸内海におきまして連絡船とフェリーが衝突して、「おやしお」という船の乗り組み員が一名死亡、それと、お客さんを含めて七名が重軽傷と、こういうふうな事故がございましたけれども、大体新聞報道で心得てはいるのですけれども、原因とかおもな点ですね、これをお答え願いたいと思います。
  160. 貞広豊

    説明員(貞広豊君) この事件は、去る九月の六日の十四時四十八分に、鼻栗瀬戸の狭いところ、曲がっておるところで起こりました。衝突状況を概略お話しいたしますと……。
  161. 原田立

    ○原田立君 概略はわかっているから……。
  162. 貞広豊

    説明員(貞広豊君) よろしゅうございますか——。損傷状況につきましては、いま言われましたように、片方の旅客船「おやしお」の一等航海士、これが休暇で乗っておりまして、負傷しまして、病院に運ぶ途中に死亡いたしております。それから「おやしお」の乗り組み員がなお一名休暇でその船に乗っておりました。これが一名負傷いたしております。残りの五名が旅客の負傷でござ  います。  具体的にもう少し詳しく申し上げましょうか。
  163. 原田立

    ○原田立君 けっこうです。この事故の内訳は大体わかっているのですよ。私が言いたいのは、鼻栗岬ですか、そこのところの幅がたった百メートルぐらいだと。いわゆる船が就航できる道は百メートルぐらいのところだ。そこに、午後二時から三時ごろになると、各港から出てきた船がわあっと突っ込んでくる。結局、そういうことで、事故、船のニアミスですね、これが起きるおそれの非常にあるところなんです。こういうふうな事故が起きないようにするためにも、一方通行の実施だとか、あるいは時間差をつけての航行だとか、船同士のニアミスの危険をどういうふうに除去なさるのか。こういう点を聞いているのです。
  164. 貞広豊

    説明員(貞広豊君) いまお話ございましたこの付近の海難の発生状況は、三十六年以降、調査いたしましたところ、六件起こっております。今度のような事件は、そのうちの三件でございます。昭和三十六年に一件起こっております。それから四十二年に一件、そしてことしまた起こったわけでございますが、それらの過去の状況を検討いたしますと、おおむね小さい船同士が二回起こしております。それから、旅客船と称するようなものは三十六年に起こっておりますが、今度の遭難状況をいま調査中でございまするけれども、こういう水路では、航法上お互いに右寄りに通っていく。北から南に行く船は大三島に沿って通っていくというのが原則でございます。ところが、ちょうどこの水路は約千八百メーターぐらいの長さにわたって水路となっておりまして、衝突したところが、言われるように十メーター以上安心して通れる幅は約百メーターとなっております。この中が、北流が約七ノット、南流が約六ノット、最高潮ではそういう流れをいたしております。したがいまして、その中央のうんと曲がったところではわい潮が発生しております。こういうところは、航法上、その千八百の狭い水路に入ったならば、お互いにブーっと鳴らしながら、自分が通っておるということの警報を出しながら通るということになっておる。そしてお互いに右寄りに通る。このときは、たまたま、両船が右寄りに通るべきところが、何となくまん中に寄ってしまって、お互いによけようとしたけれども、わい潮にかじをとられてひっついた。お互いにそういう状況を知りながらひっついた衝突でございますので、もうちょっとのところでよけられそうであったのですけれども、いま被害を受けました「おやしお」が、ほとんど最強潮流時で、お互いに右へ右へとよけたときに、そのように船が回らずに「みはら」のほうが「おやしお」の左の中央にぶつかったというふうなことになっております。こういうことから考えられますことは、今後こういうこの瀬戸を通る船に対して従来にもまして航法の励行、用心して船を進めていくということも指導いたしますとともに、今度の事件にかんがみまして、ちょうどその狭い——幅の狭くなっているところが長さにして約三百三十メータくらいございます。ちょうどその南側に電線が通っております——その三百三十メーターの間をつれ潮優先でもってそこは一方通行にする。つれ潮へ乗っておるものはそこを通っていくが、逆潮で通っておるものはその間相手が三百三十メーター通ってしまう間は手前で待ってやるということを指導いたしてまいりたいと思っております。特にこのことは旅客船とかカーフェリーの会社に対しては十分にこれを励行するように指導いたしたい。直ちにそのように指導に移したい。
  165. 原田立

    ○原田立君 同じ瀬戸内海で今度何ですか、国鉄のほうで宇野−高松間にホーバークラフトを通し、時間の短縮をねらっておる、こういうことだそうです。これはどなたの関係ですか。この件でお聞きをしたいのですけれども、あなたのほうが専門ですからあれですけれども、私も資料見て調べたところ、ことしになってからあすこの備讃瀬戸東部関係の一日の航行船舶数は千四百六十二隻である。まあ大きいのも小さいのも含めてであろうと思うのでありますけれども、要するに、いわゆる海の過密状況と、こういうところ。それに対してカーフェリーですと宇野−高松間は約一時間、これをホーバークラフトを出すと約二十分でいくと、こうなると当然追い越ししていくという問題が出てくるんだろうと思う。あるいは他の船舶の前をジグザグに走っていくというふうなこともあるであろう、これはしろうと考えながらそう思うのです。これは航行について非常に危険なんじゃなかろうか。安全航行という面からいって非常に危険なんじゃないか、こう思うのですけれども、その点どうですか。
  166. 秋富公正

    説明員秋富公正君) この問題につきましては、実は来年の三月十五日に新幹線を岡山まで延長いたしまして、これに伴いまして山陽と山陰の連絡を強化するために伯備線に特急をつくるとかあるいは播但線その他に新設する、あるいは四国におきましても初めて特急をつくる、また宇野−高松間につきましても連絡船の回数を増強するということをするわけでございますが、ホーバークラフトをこの際、ただいま先生お話のように従来一時間かかっておりましたものを約四十分短縮しまして二十分でいくというために、国鉄といたしましてひとつ試行してみようということで、船も一隻でございますが、これを試行してやりたいということは、私、国鉄のほうから大体概略は承知しておりますが、そのいま先生御指摘のどういった航路、それからジグザグでいくのか、スピードアップして当然追い越しというような問題につきましては、後ほど国鉄の旅客局のほうからまたその点につきましては御説明するかと思いますが、私たちの姿勢といたしましては、この問題につきましては、私ども運輸省といたしましても海上保安庁あるいは地元の海運局、海上保安部と、こういったとこと十分その点につきまして納得のでき、問題を突き詰めていってからでないと、この問題については試行できないのではないかと、十分に検討して進めていきたい、詰めていきたい、こういうふうに考えます。
  167. 原田立

    ○原田立君 私はこれをもう向こうにやめろだなんてそんな失礼なことは言いません。やるにしてもいまお話があったように慎重な検討を重ねて安全が確認されてからやるべきだと、こう思うのですよ。それはあなたも同意見だろうと思うのですけれども、何かいまもお話があったけれども、来年四月に新幹線が出ると、それに合わしてやろうなんということだし、いま九月でしょう、七カ月あとですよ。たった七カ月間くらいの間でこれが研究されてできるのかというと、ちょっと私疑問に思う。何かこんなことを言うとあれですけれども、こういうことはもう二、三年先に延ばしてもらったほうがいいんだというような意見も何かお役所仲間の中でもあるようです。ですから、やめろだなんということは言いませんけれども、ただ来年四月発足をめどだなんて言ってばったばったあわててやっちゃって、やったはいいけれども、事故が起きたといったらどうしますか。それを心配するわけです。ですからやるならもう少し先に延ばせ、慎重にすべきだ、こういうことなんですけれども、どうですか。
  168. 秋富公正

    説明員秋富公正君) この問題につきましては去る七月の上旬に国鉄のほうが二日にわたりまして四往復、いわゆる百キロあるいは八十キロといったようなスピードでいたしました。あるいは急停止といったような試験もやりまして一応その成績も見ておるようでございます。しかし、先ほど申しましたように、これは十分安全性を詰めてからでないとこの問題は実施ができない。私といたしましても、宇高連絡船におきましても現在二十四往復を二十八往復に来年の三月十五日には増強するわけでございまして、この船を、ホーバークラフトは一機でございます。しかも国鉄がまだ購入しなくて一応借りましてやるというわけでございまして、私といたしましては十分それまでに安全性が確認でさましたら、三月十五日に就航させたいと思いますが、それまでに納得できないような場合には、何も無理をしてこれをやる問題でない、十分その間、関係官庁におきましてこの問題の安全性を十分に確認いたしたいと、こう思っております。
  169. 原田立

    ○原田立君 関係官庁と打ち合わせをして安全度を確認されてからでなければやらないというようなお話です。それはそれでけっこうだと思うのですが、それに加えてカーフェリー業界の連中とかあるいはその関係市町村の団体の意見とか、そういうものなんかも加味して、そうしてもうくれぐれも安全の上にも安全を十分確かめてでなければ実施しないと、こうしてもらいたいと思います。  どうも時間がなくなっちゃったんですけれども、最後にもう二つ。すみません。  沖縄問題について若干いろいろお聞きしたいと思ったのですけれども、もう時間がありませんから二つだけちょっとお伺いしておきたいのですが、現在沖縄と日本の航空輸送について南西航空、いわゆる日航系の南西航空が鹿児島乗り入れを希望していると、こういうようなことが報道されておりますけれども、これについてはどういう考え方でやっておられるのか。あるいは陸上交通の、沖縄の問題ですよ、陸上交通の発達と並行して海上交通も今後いろいろとしげくなってくると思うのでありますが、事故防止のために海難救助体制の強化もこれは十分はかる必要があるだろう、離島が非常に多いですから。それで救難艇の装備あるいは救難機——飛行機ですね、救難機の配置、これなんかをどのように考えておられるのか。これはどなたが答えてくれますか。
  170. 貞広豊

    説明員(貞広豊君) 沖縄復帰に伴う当該海域の海難救助をどうするかということでございます。海上保安庁としましては、沖縄復帰に関連しまして、巡視船艇、いまのところ巡視船三、巡視艇五の内容でもって計画中でございます。  それから、航空機につきましては、海難救助に適用するような航空機は、いまのところ計画することができないでおりまするけれども、現にいま沖縄政府で整備中——きょうあたり入札が行なわれたと思いますが、小型のヘリコプター二機がございますので、これが返還後海上保安庁に移管されたならば、これをもって可能な範囲において救助する。それで、この航空勢力の及ばざるものについては海上保安庁の現有機あるいは関係機関の航空機によって行なう、このような考え方でございます。
  171. 原田立

    ○原田立君 南西航空のほう、だれか答える人がいないのかな。(「残念でした」と呼ぶ者あり)残念でしたか。——いまお答えの点ね、ちょっとはなはだ不満足なんですけれども、やっぱり最初が肝心ですから、とにかく沖縄は離島が非常に多いんですから、飛行機の件についてはきょうあたり入札というお話だったけれども、離島が多いがゆえに飛行機の配備というのは、これは十分考えてもらいたいのですよ、海上保安庁として。  それから、救難艇のことについても、何かちょっといまのお話ではぴんとこなかったんですけれども、もっと手厚い救助体制、配備ですね、これはひとつ至上命題みたいなことを考えて十分対処してもらいたいと思います。どうですか。
  172. 貞広豊

    説明員(貞広豊君) 救難体制といたしましては、ただいま沖縄の方面に対して第十一管区海上保安本部を設置すべく、この体制の整備に関連いたしまして、航空機、巡視船艇の整備が、いま言われるような状態に置くべきものでございましょうが、そういう意図のもとに、いませっかく努力中でございます。できるならば先生方のそのような御配慮によりまして、海上保安庁が要求している予算がほんとうに実のあるものになるようにお願いしたいと思います。   〔理事中村波男君退席、委員長着席〕  なお、先ほど申し上げました施設は、きょう入札ということは琉球政府の施設としての入札でございます。
  173. 栗林卓司

    栗林卓司君 主として厚生省と消防庁にお伺いしたいと思います。現在交通事故で痛ましい被害者が年々増大しているわけです。そういう中で、交通安全対策が今日の緊急課題であることはもちろん言うをまたないところであろうと思います。ただあわせて、それと同等もしくは以上の問題として、不幸にして出た犠牲者をどうやって救っていくのか、助けていくのか、そういう救急医療体制の整備の問題が同様に重要な課題だと思います。もちろん医療といいますと救急でない医療は一つもないと思います。その意味ではたいへん広がりがある問題かと思いますけれども、具体的な検討材料として、交通事故に伴う犠牲者だという点に論点をしぼりながら、交通事故の緊急医療体制について伺っておきたいと思います。  その前にひとつ確認を含めて伺いたいのですが、九月三日の新聞を見ますと、昭和四十三年、四十四年の東京二十三区の交通事故でなくなった千五百五十二人の死体検案書を中心にして、東京消防庁主幹の岡村博士がその調査結果を発表した、それに基づいた記事が出ておりました。この内容は厚生省もすでに御入手されておると思うのですが、この調査結果の内容について、これは大筋において大体当たっているとお考えになるのか、あるいは当たっていないというのか、その場合にはかわるべき資料の持ち合わせがおありになるのか、あるいはまた特にそういった調査はやっていないけれども、大筋として貴重な検討資料であるとお考えになるのか、まずもってそこのところをお伺いしておきたいと思います。
  174. 松尾正雄

    説明員(松尾正雄君) ただいま御指摘の岡村先生の御労作につきましては、私たちも記事を拝見いたしまして、直ちに詳しい資料をちょうだいしたいと申し上げておったわけでございます。たまたま御出張か何かの関係で直ちに手に入っておりませんでした。ただ、あの記事を拝見いたしまして、指摘されております数量的な動きには若干の見解があろうかと思いますけれども、現在の救急体制というようなものの、いわば不備な点と思われる点をついている資料としてはきわめて貴重な参考資料ではないかと、私どもも考えておりまして、今後詳しい本文をいただいた上で、さらに検討を進めたいと考えております。
  175. 栗林卓司

    栗林卓司君 それではお伺いしてまいるわけですけれども、その前に、現在の救急医療体制というのはどういう形になっているのか、これは簡潔でけっこうですから、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  176. 松尾正雄

    説明員(松尾正雄君) 先ほど先生御指摘のように、まさに救急という問題は医療そのものの本質でございますので、医療全体が、ある意味で救急体制だと、こう申し上ぐべきところでございます。特に最近のような交通事故等の態勢に応じましてとっておりますやり方は、御承知のとおり消防署にいろいろと搬送業務を担当していただき、それに対する連絡が密に行くというような形も考慮いたしまして、いわゆる救急告示病院、告示診療所、こういったものをその機関の申し出によりまして知事が告示をする。それを広く普及していくということが第一番でございます。しかしながら、ここで行なわれますのは、いろいろの程度のものがあろうかと思いますけれども、概して申し上げれば、大部分のところでは、いわゆるファーストエードと申しますか、第一回の、最初の治療ということに当たろうかと思います。しかし、それであっては高度のいろいろの手術、検査を必要とする技能が必ずしも備わっておるわけではありません。さらに高度の脳神経外科等ができますよう、救急医療センターというものを整備してまいりたい。これは大体おおむね人口百万人に一カ所ということでもって推進してまいりまして、ほぼ現在全国百十二カ所の計画の中で、三カ所を四十七年度に残すのみでありまして、大部分が整備をしてまいりました。同時に、さようなことを申しましても、一番大事な問題は、そういう専門家の養成という問題がございます。あわせまして、脳神経外科の専門医の養成ということと、さらに追加をいたしまして、これとともに働く麻酔医の専門医というものの養成に着手してまいっているわけでございます。さらに一般的に申し上げれば、各都道府県におきまして、いろいろの救急担当の先生方というもののいろいろな研修ということも必要でございます。これは都道府県を通じてやってまいりたいと思います。ただ、最近のようなさらにこれだけの網をもってしても交通事故の多発の状況に応じましては不足だと考えております。さらにサブセンターと申しますか、おおむね人口十万程度の都市というものを標準にいたしまして、そこにさらにきめのこまかいセンターを配置するという計画をすでに着手をしておるわけでございます。大体そういうような体制で体系的な整備ということをやってまいっております。
  177. 栗林卓司

    栗林卓司君 そこで、交通事故の問題になるわけですが、交通事故の傷害の場合、これは死亡原因ということで見たほうが一番問題が明らかになるかもしれませんが、相当大多数、まあ一説によりますと七割が頭部傷害だと言われておりますけれども、この事実に誤りはないでしょうか。  あわせてまた、厚生省の資料を拝見しますと、ただいま御説明のファーストエードじゃなくて、その救急、高度の診療機能ということで考えられております救急医療センターについて、これは頭部傷害等重症患者ということを主として想定してお考えだと思いますけれども、まああとの話は続けて伺うとして、交通事故による傷害、死亡原因を見ると、頭部傷害がきわめて飛び離れて大きいということはそのとおりだと考えてよろしいでしょうか。
  178. 松尾正雄

    説明員(松尾正雄君) 死亡の原因といたしましては、かなり頻度が高くこの頭部傷害に出てくると存じます。私どもが患者について調べた数字では、これは四十五年の三月十一日の一日だけの断面調査ではございますが、そのときでは、頭部に傷害を受けている患者さんが全体の約四分の一というような状況でございました。もちろん新しく入院されたような方では大体三分の一程度が頭部に負傷を負っておられる。そのほか、それに近い頸部まで含めますと約半数近くになると、こういうふうに考えております。
  179. 栗林卓司

    栗林卓司君 そこで、医療で緊急でないものは一つもないと思いますけれども、たとえばきわ立って顕著な死亡原因である頭部傷害ということで考えますと、やはり一刻を争う処置だと思いますし、また対策一つ見ても、非常に専門的な知識、経験が必要な分野だと思います。  それで、実際に交通事故が発生して、どうやって対策をとるかというときに、かりに頭部傷害ということを一つ具体的に例を取り上げますと、救急告示病院をたてまえにして、これを補うものとして救急医療センターという、先ほどの現状の医療体制というものが、はたして一刻を争うという要請にこたえたものであるのかどうか。まあしろうと考えでいえば、なぜまっすぐ第二段階に運ばないのかということが出てくると思うのですけれども現状は御案内のように、まずもよりの救急告示病院のほうに救急隊が運び込むということになっております。  ところが、その救急医療センターをつくるあるいは整備する目的一つをとらえてみてもまさに明らかなように、一刻を争う高度の治療が必要だということになると、ファーストエードを抜きにしても直ちにまずとにかくそこへ送り込むべきだと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  180. 松尾正雄

    説明員(松尾正雄君) そういう頭部に傷害があります場合には、御指摘のようにきわめて緊急を要する場合と、それから若干時間を経たあとで頭蓋内出血等がかなり量が多くなりまして、その段階で手術をしなければならぬという場合と、大きく分ければ二とおりあろうかと思います。  しかしながら、ただいま申しました例でもおわかりのように、最初何ともないように見えましても、そのあとに頭蓋内の出血等があって重篤な状態におちいるということもあり得るわけでございまして、したがって、その頭のけがというものについては、当初から十分なひとつ観察なり検査なりが必要だということになろうかと思います。したがいまして、御指摘のように本来ならばそういうところへ直送していただくということが一番いいことだとは存じます。しかしながら、先ほど申しました救急センターの現在の分布というような状態から見ましても、それが遠距離にある場合もございましょうし、また搬送されるほうの御判断というものが、必ずしも専門家が乗ってやっているわけでもございません。一がいにその功罪はいずれとも言いにくい場合もございまして、たとえばこれも御承知のことかと思いますけれども、頭部あるいは顔面等の負傷がございました場合には、かなり気管のほうに血液が流れ込むというような状態もございます。そうすると、そういうような場合には、呼吸ができる状態にともあれしておくということが次の手段を打つために必要なことにもなってまいります。その場合には、そのもよりのファーストエードをやるところでそういうことが行なわれるということであれば、それはまた次のステップの治療に非常に役立つ面もあろうかと思います。そういうことでございますので、一がいにダイレクトでなくてはならぬとは言いにくいとは思いますけれども、しかし、ただいま申しましたように、頭部のいろいろな負傷があります場合には、これはやはり十分用心をすべき問題でございます。できるだけそういう機能のあるところに最初に持ち込むということが最も望ましいと存じます。
  181. 栗林卓司

    栗林卓司君 いま頭部傷害のことで申し上げましたけれども、胸部あるいは腹部についても実は同じ緊急性が言える話だと思います。  そこで、先ほど来の御説明のように、初期治療については救急告示病院でとりあえずの看護をする。その後に本来は救急医療センターに運び込むのが望ましいのだけれども、それはとにかく二段がまえだ。かりにこの現状にのっとって考えてみたとして、じゃ、この救急告示病院というのがどういう内容なんだろうか。これは最近の調査によりますと、現在救急告示病院というのは、全国で四千五百九十五カ所あるんだそうでございます。中を見ると、千八百二十三カ所が診療所なんです。この診療所というのは、御案内のように、許可ではなくてたしか届け出でだと思いますし、医療法十三条を見ても、できる限り四十八時間以上同一患者をとどめないような努力をすべきだとありますから、いわゆる病院と診療所というものは、おのずから違うような感じがいたします。ところが現在はどうかといいますと、病院であれ、診療所であれ、消防法の第二条第九号によって、都道府県知事に対して協力の申し出があれば救急告示病院にほとんど自動的になるわけですね。そうすると、なるほど考え方として、初期治療なんだということが言えたとしても、はたして今日の救急告示病院が頭部傷害あるいは胸部、腹部を含めたその初期治療の能力を全部について持っているとはたして言えるのかどうか。しかも、先ほどの岡村先生資料ですけれども、ここには、これからまた厚生省としておそらくお調べになるとしても、死体検案例ですからこれは間違いないと思うのですけれども、千五百五十二体の中で、診療所で四十八時間以上放置されて、なおかつ息を引き取った人が何と四十九人もいるわけです。この四十九人の数字というのは、千五百五十二体の中で、国立病院扱いでなくなった数とたまたま同じなんです。じゃ都立病院その他とどうかというと、これまた合わせた数と同じくらい出るということで、たいへん大きな割合が実は診療所で四十八時間以上そこにいて、まあ動かせないということもあったかもしれませんけれども、その結果として息を引き取られている。しかも、最初の治療が肝心だという話になりますと、おそらく頭部傷害にしても胸部、腹部にしても、手術をしてということになると思うのです。同じ岡村先生資料から拝見しますと、たまたま幸運にも最初に総合病院に運び込まれた者については、大体四二%が手術を受けている。ところが最初から救急告示病院に入った場合には、何と一二%しか手術を受けていない、そう考えますと、いまの救急告示病院の実態というのは、この交通事故の場合に、期待されている初期治療に見合った力をほんとうに持っているだろうか、たいへん疑問に思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  182. 松尾正雄

    説明員(松尾正雄君) たいへんむずかしい状況判断であろうかと思います。実は岡村先生の御労作というものは、先生御指摘のように、死亡診断書というようなものを中心にしていろいろお考えになっていただいているわけです。したがいまして、交通事故でその第一次的救護を受けたことによって非常に助かったというケースは、実はこのデータからははずれるわけでございます。ほんとうならば、そこいらまで広げました上で、ただいまの御質問にお答えするというのが正当かと思いますけれども、ただ私どももやはり痛感をいたしております問題の一つは、一つの医療機関からその判断に応じて次の医療機関にバトンタッチをするということが、この日本の医療全体の実は一つの欠陥だと率直に私も感じておりますが、そういうなめらかな連絡ということがなかなかうまくいかない。そういうことに一つ大きな原因があるのではなかろうかと思います。御承知のように告示病院あるいは告示診療所自体にいたしましても、一応指定に際しましてはそういう技術を持っている、相当のある程度の外科的な能力もあり、あるいはまた輸血でございますとか、そういったような検査設備等も一応持っているということが条件になっておりますので、一応その辺の能力を持っておると考えていいわけでございますけれども、しかしそれも脳手術のような提合には一人でやれる仕事でもございません、多数の人の協力で一緒になってやらなければいけない手術だ。こういうような場合には当然それはすみやかに転送する。また受入れ側もそれをなめらかに直ちに態勢を敷いて受け入れる、このことが実は最も大事な問題だと思っているわけでございますけれども、残念ながら率直に言ってその辺がなかなかスムーズにいっていない。その辺が先ほどの岡村先生資料の中からも限定された状況でございますけれども、指摘されたのではないか。私どもはやはり今後困難な問題、背景はいろいろあろうかと思いますけれども、やはりこういうお互いの提携というものを最もすみやかにする意識なり方法なり、これらの両面からやはりこれを進めてまいらなければならないというふうに私も考えております。
  183. 栗林卓司

    栗林卓司君 一番実は問題になる点、いまお話しになったのですが、もう少し、より掘り下げて考えてみる意味で、少し話を戻しながらさらに伺ってみたいのですが、まあ救急告示病院にしても、いろいろ設備能力を含めて厚生省としてもあるいは都道府県知事としても考えているのだというお話なので伺うのですが、まあ頭部傷害ということで考えますと、脳神経外科医という者が当然必要になります。しかもこれは二十四時間待機ということがたてまえになります。現在脳神経外科医の認定医数が何人おいでになるかといいますと、厚生省の資料で拝見して三百三十八名。ところで厚生省が今日までおつくりになってきた救急医療センターが四十六年までで一体幾つあるかというと百九あります。二十四時間とにかく待機だということになりますと、一人の脳外科医が八時間休みなしで働きつめても一日三人は要ると思われるという単純な計算をしますと、百九の救急医療センターにそれぞれ三人ずつ脳神経外科医を配置しますと、先ほど申しました救急告示病院四千五百九十五には一人も実は脳神経外科医は行かないという単純な計算になります。だから足りないということはわかります。しかし、この数字を見ると救急告示病院、それぞれの能力があってと言えるのだろうか、たいへん自信がない気がいたしますけれども、この点についていかがでしょうか。
  184. 松尾正雄

    説明員(松尾正雄君) 脳神経外科医を標榜しておられますお医者さんといいますのは、千二百人程度おられるわけでございまして、ただいま御指摘のように脳神経学会がいわゆる専門医制度的な考え方としてあるレベル以上の人を認定したのがただいま先生おっしゃったように三百三十八人、こういう数字でございます。この数字はまさにいま頭部外傷をひとつとらえても、実はきわめて少ない数字でございます。ただそれだけでもって三交代でやるとかなんとかということは、実際上ほとんど期待できないという実情でございます。したがって、私どもとして今後取り得る方法としては、やはり各病院の中にこういう専門医が全部そろっておるということは期待するだけの問題でございまして、現実にはなかなか得られない。しかしながら、やはりほかにおられるそういう先生方とのそういう必要な場合についての協力態勢、これがやはり先ほど申し上げました点数関係との問題もからみまして、やはりひとつ協力をして、たとえば自分の病院でなくてもほかの病院要請によって一緒になって指示をしてやる、こういう態勢でまあ動いていただく以外にはなかなか現実の問題としてできるだけその効果が上がるような方法を考えるということはむずかしいように私は考えております。したがいまして、先ほど来申し上げましたようないわゆるネットワークと申しますか、提携の方法ということをやはり中心にしてこれを何とか少ない人間でも最高度に発揮できるような、そういうことをやはり今後の大きな課題として私は考えなければならぬのじゃなかろうかと存じております。
  185. 栗林卓司

    栗林卓司君 いまのお話で、どうやって提携をはかっていくかということなんですが、再び岡村先生資料に戻って、これは実はいま局長資料の数字を見る前に認められるほどの実態なんだというニュアンスでおっしゃった。なぜ一つの告示病院に入ったら出ていかないんだ。いま御説明があったみたいに脳神経外科医の認定数が三百三十八、私は認定じゃないけれどもできるんだと標榜している数を入れたって千二百三十五、麻酔科が千二百七十四です。告示病院と救急医療センター全部一人ずつおって四千七百余あるわけですから、とても間に合うわけありません。とりあえず消防署のほうでは、もより直近の病院に運んでも、即座にこれは個々の告示病院、あるいは都立病院ということがこれは常識だと思うのです。ところがいまおっしゃったように一ぺん入っちゃうと出ない、出る数がきわめて少ない。ですから岡村先生の千五百五十二体の死亡案件を見ても病院をかわったというのはわずか八十六件、そのうちの十五件が何かといいますと総合病院に行くんじゃない、一般病院の中をぐるぐるたらい回しです。しかも二件は診療所から診療所に送られる。なぜ一ぺん入ったら出ないのか、これについては率直に伺ってどうお考えになりますか。
  186. 松尾正雄

    説明員(松尾正雄君) 一つは根っこに日本の医療機関がお互いに提携しようという空気が少ない。これはほかの病気の場合でも御存じのとおりだと存じます。そういったベースがございますことがこれが一つの大きな問題ではないか。それから第二の点は、かりに転送したいと考えたときに、転送手段は一体適切にできているのだろうか、これもまた直ちに消防署のほうにお願いしてそれで実施できるものなのか、あるいはそれができないという場合に、その搬送手段が十分にいかない、これも考えられると思います。それから第三の問題はこれはどこまで数量的に言い得るかは別といたしまして、医療機関の経営上から見ましても、たとえば自賠法というふうなものが盛んに行なわれている、こういったものがやはり健康保険の点数よりもはるかに高い点数で実際行ない得るというふうな問題もございます。あるいはそういったことが患者離れを悪くする一因ではないか、どの程度それがあるんだということを問われても、私どもわかりませんけれども、そういうことも十分考慮に入れるべきファクターではないか、さように考えております。
  187. 栗林卓司

    栗林卓司君 それでは少し戻りながら今度は消防庁に伺いたいと思います。  事故が発生すると事故現場に救急隊員が参ります、そのときにもよりの救急告示病院もしくは総合病院、もよりの病院にというのが運ぶ基準だと伺っておりますけれども、その場合に、これはどういう手当てをしたらいいんだろうか、あるいはどんな病院がいいんだろうかという判断は、救急隊員にはできないと伺っているのですが、いかがでございますか、それは正しいでしょうか。
  188. 山田滋

    説明員(山田滋君) 現場におきまして病院を選択する場合の判断は、やはり救急隊長が一応やるたてまえになっております。ただ問題は、非常に重傷の場合、やはり御指摘のようにいろいろ問題がございますので、特に救急指令センターを設けておる大都会等におきまして、たとえば東京消防庁などそうでございますが、指令センターに対して現場から症状を報告いたします。それに対してセンターにおきまして適切なる治療を行なうべき病院の空床状況を把握しております。直ちに現場に対して指令を発しまして、どこの病院に運べという命令を発しまして、その判断でやるという場合が特に重傷の場合には多いのでございます。一応だれが判断を下すべきかということは別に法令の根拠はございませんので、やはりこの場における最高責任者あるいはまた救急指令センター、その間の連絡におきまして適切な措置をとっておるというのが実情でございます。
  189. 栗林卓司

    栗林卓司君 いま判断できないということは非難として申し上げたのではなくて、医者が同乗しているわけではないのですから、当然判断はできないのだろうと私は思います。そうなりますと、一番もよりの病院で、しかもベッドがあいているところに何をさておいてもかけ込んでいく、これが救急隊員のまず期待される標準的な仕事だろうということを、確認の意味で申し上げたわけです。そうしますと、一ぺん事故で本人が人事不省になってしまえば、あとは消防庁の救急隊員にまかせるしかない。その行き先は直近のあきベッドのある救急医療病院、これが大多数であることは御答弁いただかなくてもわかります。一ぺん入ってしまいますと、先ほど自賠責のことも含めて言われましたけれども、理由がどうあるかは別として、出ないのですね。四十三年、四十四年の岡村さんの資料によりますと、転院したのは七%しかない。ほとんど大多数は入ったら入りっぱなし——診療所を含めてです。しかも、手術はというと、病院、診療所に入ったものの手術というのは、わずか一二%しか受けられないし、かりに幸運にも総合病院に入りますと四二%が手術を受けられる。交通事故の場合には頭部であろうと胸部であろうと腹部であろうと、大体外科手術的な場合がほとんどだろうと思います。そう考えますと、消防庁のほうはとにかく運ぶしか手がないわけですから、とにかく病院、診療所、救急告示病院と看板がついていれば運んでしまう。運んでしまえば、できるできないは別として、とにかく出ない。しかも、おっしゃったように、交通事故の場合には自賠責ですから、これは国民健保が使えるのだといっても、実際には自由診療料金になります。これは医療のあり方として、どう考えても正しいとは思えないし、しかも、先ほど来のお話を伺っていますと、一言で詰めていえば脳外科の認定医の不足を含めて——もちろん車に喜んでひかれるばかはないですけれども、安心していられないと厚生省も認めざるを得ないということだろうと思うのです。  そこで、あとのことを申し上げる前に、実は伺いたいのですが、外国では一体どうなっているのか、簡潔に御説明いただきたいと思います。
  190. 松尾正雄

    説明員(松尾正雄君) 国によっていろいろのようでございますけれども、少なくとも日本の場合よりも一つだけプラスじゃないかと思われますものは、かなりの医療機関自体が、そういう搬送と申しますか、そういういまの消防署の搬送のような形の機能を活用して持っていく、これが非常にその場合の判断としてはいいのではないか。わが国でも事例としましては、そういういい事例を若干承知しております。そういうことが一つと、それからもう一つは、やはり公的病院という、病院の設置の主体そのものが日本と全部違っておりますけれども、そういう病院が、本来そういうことは自分たちの使命だという歴史的な観点もございまして、そういうことが、ただいまの搬送の問題も含めまして徹底している。そういったことが非常に違った特色ではないかと私は感じております。
  191. 栗林卓司

    栗林卓司君 いまの御説明に実は私が追加するのはおかしいのですけれども、厚生省の資料にありましたので重ねて申し上げますと、諸外国における救急医療の共通する特徴として何点かあげてございました。あえて三点にしぼって申し上げますと、家庭医と病院医療というものが画然と分かれている。家庭医の場合には、大体それぞれ家庭の往診等を通して見るわけですから、しかも、自分の私生活があるから、二十四時間勤務というわけにはまいりません。その場合の対策として不在時の相互制度、夜間、休日の輪番制、これがかなりよく励行されているのだそうです。しかも、病院のほうはどうかと申しますと、公的医療機関が非常に多い。西ドイツは九〇%が公的医療機関です。フランスに参りますと八〇%で、イギリスでは一〇〇%とあります。  実は、問題を戻しまして、救急医療についてどういう体制がいいのだろうかと考えますと、いまの救急告示病院のあり方がほんとうはおかしいのだ。公的医療機関というものをつくって救急隊員が何も迷わずにそこに行ける体制をつくることが何よりも必要だと思いますし、先ほどのお話、言外にそのように感じられたのです。  関連して違う資料三つばかり申し上げてみますと、これも厚生省からいただいたもので、大阪府で、曜日によって一一九番の出動態勢がどう違うかと調べてみますと、土曜日と日曜日がきわ立って多いのです。何でかといいますと、これはわれわれの経験でもそうですが、子供が病気になると、持っていってもたらい回しになります。困ったら一一九番ということで、土曜日、日曜日に出動が多くなります。この問題も私は町のお医者さん、診療所にほとんど依存した今日の初期医療体制に問題があるかと思います。そこで今度は交通事故ということで考えますと、人身事故と死亡事故のかね合いを見ますと、また岡村さんの資料を引き合いに出すようで恐縮ですけれども、時間によって死亡率は決して同じではありません。一番死亡率の高いのは午後六時から翌朝七時までです。ということは、その時間は町で病院の数が具体的になくなってしまう時間です。しかも、一般の町の病院に新来患者が来る。そこの中で交通事故の新しい患者が来る時間帯を見ますと、一般の場合には六・二%が診療時間外です。交通事故の場合には何と三一・四%が診療時間外にかつぎ込まれてまいります。これを考えますと、やはりとるべき緊急医療体制というものは、公的医療機関を中心にして私は構築することだと思うのです。ところが今度の厚生省の概算予算要求を見ましても、新しく公的医療機関としてつくる数というものは何と三つしかないと記憶しました。しかも加えて、ばく然とした気分の問題ではない、実は実態としてあるのですけれども、自賠責の自由診療という問題が私はあると思います。これはやはりこれ以上一日も放置してはいけない問題ではないかと思うのです。先ほど来たいへん実は率直に御答弁をいただきましたし、いろいろ御都合があるということは伺っておりますので、簡潔に問題をしぼってまいりますけれども、この問題について厚生省として、事は人の命にかかわる問題であり、決して医者の営業の問題からものごとが出発してはいけないと思います。幸か不幸か、これから大幅な予算編成をされると聞いておりますし、日本のあるべき救急医療体制というものを真剣に考えるならば、いろいろな障害があることは重々承知はいたしておりますけれども、今回たいへんな勇気を持って岡村さんが出された資料意味を、やはり前向きに受けとめて、厚生省としても対策を立てていただきたい、これはお願いになってしまいましたけれども。そこで、公的医療機関の充実がやはり本筋なんですという点について御意見をいただきたいと思います。
  192. 松尾正雄

    説明員(松尾正雄君) 最初に申し上げました救急医療センター等の整備、あるいはそのあとに追加しておるところのいわゆるサブセンター、こういうものの整備というものは、御承知のとおり公的の機関に大体その機能を与える、こういうために行なっている医療制度でございます。したがいまして、国公立をはじめといたしまして、かようなむずかしい問題というものは当然国が、公的機関が率先してやるべき使命だと、それこそまさに公的機関の存在理由であると、極端に申し上げていいような問題でございます。私どもやはり先生御指摘のような点でひとつ進みたいと考えております。またしかし同時に、それでは、そこだけやっておって、わが国のこういう医療の実際の体制の中でほかの民間の人というものの力は一切無視していいだろうか、こうなりますと、これもまた国民全体のこの危険な状態に対応してみて、行き過ぎになるのではなかろうか。したがって、やはり家庭医と申しますか、開業医と申しましてもわが国の医師の育ち方から申しますと一応はそれぞれ専門家とでもいうべき経過をたどった人でありまして、決して一般医的な教育という形で育った人はきわめて少ないのでございまして、外科なら外科として病院勤務なり大学におったというのが開業医の姿でございますので、そういう力を十分発揮できる点は発揮させるということをこれは考えてまいりたいと考えております。したがって、その場合に一番問題は、先ほど外国の例といたしまして当番制のようなお話がございました。今日、公的病院の実態から見ましても、そこで全部、そこだけの場で一切がっさいやっていくということになりますと、これは非常にほかの疾病も持っておりますので、やはり現実には困難でございます。私どもやはり、いま申しましたようなほかのお医者さん方の力も全部結集しながら、それぞれの地域におきまして、その当番制で、あるいはお互いにどこかの場所をきめて、そこには必ずみんなが分担をしてでも詰めておりますよと、こういう形をとっていることが一番現在の解決方法としていいのではなかろうか、こういうふうに考えております。したがいまして、特にその際、日曜日のようなときに子供等の傷害が一番多いにもかかわらず、いまの医療機関の手薄という問題もございますので、私どもは従来の施策に合わせて、特に来年度わざと休日急患ということばを使っておりますけれども、休日急患というようなことに地域ごとに対応できるような体制づくり、これをひとつぜひやりたい、こういうことで予算の面にもそれを要求をいたしておるわけでございまして、それを中心にいたしまして、次第に日曜日以外の体制にも地域全体としてこういう救急体制が包み込まれるような、そういう空気をつくり、また消防その他の方とも具体的に十分打ち合わせをしながら、御指摘のような問題ができるだけないような方向に努力したい、かように考えておるわけでございます。
  193. 栗林卓司

    栗林卓司君 関連して、時間をしぼりながら二つ伺いたいと思います。  一つは消防庁にお伺いしたいのですけれども自動車がふえてくることを含めて、緊急医療体制というのは先手を打った形ではなく後手後手ながらきたということだと思いますし、その姿が諸外国では赤十字、あるいは医院が救急隊を指揮している場合がたいへん多いのですが、日本の場合は消防庁が一身に御苦労をになってこられた、私はそう思います。ただこれは交通事故に限らず、救急医療体制が完備しているということが、国民がやはり安心して暮らしていけるということにつながるわけですから、救急医療体制、とりわけ一一九番救急隊関係というのは充実していかなければいかぬ方向だと思います。そういう点で車だけふやしていいということにはなりませんし、やはりそこにやりがい、救急隊員の志気というものを考えていかなければならぬ。そのときにいまの消防指令センターの中に、いわば居そうろうとは言いませんけれども、救急医療センターが同居している姿というのは、ここは私はもうすっぱりと清算して分けなきゃいかぬのじゃないか。ここに救急業務の中で努力している人は、それなりに士気があがり、努力のしがいもあるという意味で、これまではとにかく消防庁が一手にやってきたわけですけれども、今後の状況としては、やっぱり消防という問題と、救急という問題は、組織系列としても分けていくべきではないだろうか、士気の点も含めてそういう感じがたいへんするんですが、この点はいかがですか。
  194. 山田滋

    説明員(山田滋君) 従来、沿革的に申し上げまして、消防が昭和の初期から各都市で自然発生的に救急業務を担当してまいりました。現在の実情を申し上げますと、火事に出動する件数の十数倍、救急出動件数は年間約九十万件になろうとしております。したがいまして、特に大都会等におきましては、たいへん過重な労働と申しますか、仕事になっておりまして、お話のように確かに隊員の志気の高揚と申しますか、通常の消防なりあるいは予防業務、そういうものと若干色彩を異にしておるので、扱いを考えるべきだというお話も確かにわかるのでございます。ただ、従来の沿革もございますし、また一一九番で私ども努力いたしてまいりましたので、この体制についてはできるだけいろいろな不備な点を今後是正いたしまして、補完をして、特に厚生省と緊密な連絡をとりましてその処置に遺憾なきを期してまいりたい。したがいまして、消防と切り離してというところまでは現在考えていないのでございますが、いろいろ御迷惑をおかけしている点につきましては、今後さらに漸進的に拡充強化をいたしてまいりたいと、かように存じております。
  195. 栗林卓司

    栗林卓司君 この点についてはあらためてまたいろいろ申し上げてみたいと思うのですが、意のあるところをぜひおくみ取りいただいて、それぞれ関連各省の間で前向きの御検討をぜひお願いしたいと思います。  最後に厚生省に伺いたいのですけれども、先ほどの岡村さんの例にまた戻りまして、実は千五百二十二体とか申し上げた中で現場死亡がたいへん数が多い。二百八十七ですから一割以上が現場でもうなくなってしまわれる。私、最近の資料は持ち合わせておりませんけれども、WHOのいろいろな勧告等を見ましても、その事故直後の手当てがよければ相当の数が助かるはずだというようなことも言われておるようであります。その意味で、事故はどこで起きるかわかりませんけれども、どこで起きてもやはり居合わせた人が即座に応急手当ができる。たとえばどうすれば血が流れても窒息しないですむか、どうやったら心臓をよみがえらすことができるか、そういった意味ではそういう市民教育、国民教育ということが、従来もそうであったし、これからとりわけ必要になるんじゃないかと思います。この点で、考え方としては従来いろいろといわれてまいりました。ただ問題は、口ではなくて、どうやってやっていくかということだと思います。これは時間がありませんから、深くは次の論議に譲りますけれども、この面も含めて厚生省に取り組んでいただきたいと思います。この点について最後に御見解を伺って質問を終わりたいと思います。
  196. 松尾正雄

    説明員(松尾正雄君) おそらく今後の交通事故の形はいわば棺おけ型と申しますか、即死型の形がふえてくるんじゃないか。非常に私たちのおそれている一つの方向でございます。しかし、そういう特殊な事例は別といたしまして、多少のそういう知識があって手当ができれば助かったというケースが私もあり得ると思います。ただ、この救急の心得というものを私ども全部が、国民が知っておいて実行するということはなかなかこれはたいへんなむずかしさだろうと思います。知識でわかっておりましても、悲惨な状態の中で、しかも人形や何かで訓練をしたようなああいう条件でないようなところでやるということは、非常に私どもむずかしいような気がいたします。ただ日赤等でもいろいろ救助関係、救急関係について従来からいろいろな教育も担当していただいておるわけであります。そういう一環として、こういう事故のときにどういうことが一番適切でございますか、たとえば止血自体を知っておれば一番いいと考えられるか、あるいはむやみに動かさないということを最上の知識と、最大公約数として考えたらいいか、この辺は専門家の御意見を伺っていかなければならぬと思います。しかし一番ポイントになるようなところを、そういうただいま申し上げました日赤等の救助関係あるいは衛生教育の中で普及していくということは、私もやはり必要ではないかと考えておるわけでございまして、十分検討さしていただきたいと考えております。
  197. 栗林卓司

    栗林卓司君 あと、いまのことに関連してやはり一つ補足してお願いしておきたいと思います。  たいへんむずかしい問題ということなんですが、外国では実は学校教育の中に入れてやっていることだと聞いております。しかも自動車との関連ということにしぼっていけば、免許証の更新は必ずするわけです。だからこれはやる気があればできない問題では決してないと思います。その意味でぜひ前向きの取り組みをお願いしておきたいと思います。
  198. 松尾正雄

    説明員(松尾正雄君) 十分ひとつ専門家の意見も聞きまして検討していきたいと思います。
  199. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 私からもお願いしておきたいのですけれども、ほんとうに医療を考えると非常に心配なんですね。私どもも入院してみても医療従事者の皆さんもたいへんだと思うのですけれども、その待遇とか教育ということにさらに強く取り組んで、人命尊重の精神を実現していただきたいと思うので、強く要望いたしておきます。  それでは次の質問に入ります。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  200. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 速記を始めて。  それでは小笠原さんの質問に先立ちまして、先ほどの原田君の質疑に対し運輸省から答弁の発言を求められておりますので、これを許します。
  201. 内村信行

    説明員(内村信行君) 先ほど原田先生から御質問ございました件、沖縄の南西航空会社から、沖縄と鹿児島の間を結ぶ路線の申請が出ておるが、それに対してどうであるかという御質問等がございました。これに対しまして私どもといたしましては、まだ現在正式の申請は出ておりませんけれども、沖縄の事情とか、あるいはその南西航空会社から鹿児島へ乗り入れをしたいというような要望は聞いております。そこで、現在そういう問題につきましては慎重に検討をしている段階でございます。  なお、ちなみに現状を申し上げますと、那覇と鹿児島の間には全日空が737で週に六便やっております。それからなお、那覇−奄美−鹿児島、こういう路線は、やはり全日空が週に六便、これはYS11でやっております。それから奄美−鹿児島、これを東亜国内航空が一日三便やっております。  昭和四十五年度の平均の搭乗率を見ますと、東亜国内の奄美−鹿児島間が九〇%、それから那覇−奄美−鹿児島間の全日空の寄航便が五九%、それから那覇−鹿児島間が五六%ぐらいでございます。こういった点その他を勘案いたしまして今後慎重に検討いたしたいと、こう思っております。
  202. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 まず最初に、米軍との関係についてお伺いしたいと思います。来ていらっしゃいますね、外務省安全保障課長——まだ……。まだだそうですね。  それじゃ自衛隊のほう。防衛庁もまだですか。時間よりだいぶおくれているのに、ちょっと待機悪いですね。
  203. 藤原道子

    委員長藤原道子君) 申しつけます。
  204. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ運輸省のほうにお伺いしたいと思います。  航空安全の問題でいろいろと御検討いただいていると思いますけれども、空港整備五カ年計画を、三カ年実施というふうに短縮してお考えいただくというようなことになっておりますけれども、たとえば、それに伴いましていろいろと設備や何かはお金があったらできる、機械も買えるというようなことがあるといたしましても、それらの設備ができて運転できる、動き出すまでにやはり人員というものが相当確保されていなければならないんじゃないか、そういうふうに思うのですけれども、一体そういう五カ年計画を三カ年にするとか、それからいろいろと人員の確保というような問題を考えて、どれぐらいの要員が必要だと見込まれているか。そこが現在でも不足していますね。管制官にしても、大体現在でもどれくらい不足なのか。これからずっと五カ年計画をやっていくということになれば、どれくらい不足になっていくか。それに対して裏づけとしてどういう養成ということで考えていられるか。その点についてまずちょっとお伺いをしたいと思います。
  205. 内村信行

    説明員(内村信行君) ただいま先生お尋ねのように、先般の「ばんだい」号の事故以来、従来五カ年計画計画しておりましたVORとかDMEとか、そういう航空保安施設を、前半の三カ年に繰り上げて実施をしたいということで、計画を立て直したわけでございます。そこで、先生おっしゃいましたように、お金の点につきましては、この特別会計におきまして財源をリンクさせておりますので、これについては大体そう問題はなかろうと思いますけれども、御指摘のように、一番問題は人でございます。そこで、人の問題と申しますと、これは二とおりの意味があると思います。一つは、定員がなかなかとれないという問題、弔う一つは、定員はとれても、実在員というか、定員を補充しなければならない。この二つの問題が一番重要な問題でございます。  そこで、まず第一の定員の問題でございますけれども、保安施設をまずつくってまいります場合に、でき上がった保安施設を運用、維持してまいります人が当然必要でございますが、往々にして気がつかれないのは、建設段階におきまして管理要員がおりまして、やはり建設の発注の段取りをするとか、あるいは設計監督をするというふうなことをしてもらわなければいけません。その人員が現在の陣容ではどうしても足りないということが非常な問題なわけでございます。そこで、今般予備費を要求いたしまして、約十億、予備費ないし流用でもって今年度中にやるようにいたしましたけれども、それに伴って要員のほうの要求もいたしまして、今年度中に新たに保安施設の建設に関する要員が三十二名ほど、それから保守運用のための要員が五十名程度おかげさまでつけていただいたわけでございます。そこで、そういうふうな要員の三十二名というものを、至急これを充足いたしまして、建設にかかってまいりたいというふうに考えております。  さらにもう少し長期的に見ますと、航空管制要員あるいは無線通信要員、そういったいわゆる航空保安業務全体に必要な人員というものを、いま五カ年にわたっての長期計画を詰めているわけでございます。したがって、残念ながら固まった数字がまだできておりませんので、恐縮でございますが、ばく然と申し上げますと、現在そういった人員が大体千七百名前後おります。それに対しまして、今後の五年間でほぼ同様の人数程度がございませんとやっていけないというような感じでございます。そこで、一方におきましては航空保安大学、そういったところの拡充強化をはかるとか、あるいは無線関係の有資格者を採用いたしまして、それに対しましてOJTを行なっていくとか、そういうふうなことを行ないまして、将来の航空保安業務に即してまいりたいというふうに考えております。大体そういうことです。
  206. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いま、まだ詰めができていないということをおっしゃっていたのだけれども、三年なり五年なりという期間、ちょっと長いようでございますけれども、やっぱり人間を養成するのには最低三年は要ると、ほんとうに使いものになると言っちゃ悪いのですけれども、それぐらいに熟練してくるのにはやっぱり五年ぐらいだといわれております、実際伺ってみても。そうすると三カ年計画でやっていこうなんていうことになりますと、もういまからやってしまわなければ間に合わないことになりますね。そうしますと、非常に後手、後手に回っているのじゃないかと、私のほうでちょっといろいろ調べたら、たとえば今度沖縄を含めて航空保安の人たちというのが四百名ぐらい要るということがいわれているし、また俗にいわゆる沖縄センターというのが、四十九年三月までは米軍の委託になっているけれども、そのあと、またこちらが受け持たなければならないとなると、百人ぐらい要ると、そうすると、全体で、運輸省の労働組合のほうで実際働く者の立場としてまとめて、こういうふうに強化してほしいという数を見ましても、たいへん必要になってまいりますですね。そうすると、一人を養成するのに三年ないし五年かかるというところをいま煮詰めてというのは、いつごろまでに煮詰めて五カ年計画をお立てになるのか、それから保安大学とおっしゃいましたけれども、航空保安大学校で一体どのくらい補充できるのか、わずかでございますね。四十六年度分しか私見ていないのですけれども、来年度分をどのくらいおふやしになるのか、管制官だけ考えても去年は約三十五名でございますね。保安大学の場合には、航空管制官のほうで約六十名という数になっている。そうすると、これはちょっとたいへんなあれだけれども、もうちょっと具体的にどういうふうに考えていらっしゃるか、いつごろまでをめどにして計画を立てて、手を打って準備なさるというようなことをお考えになっているか、あんまり大ざっぱ過ぎるわけで、これは機械だけできてもだめですよ。
  207. 内村信行

    説明員(内村信行君) 管制官の養成でございますけれども、いま航空保安大学では、高校卒を採りまして二カ年教えております。二カ年たちますと現場へ出る、それが本科の学生でございます。それからもう一つのコースは、一年間の専修課程でございます。これは半年は座学をやり、残り半年は実際に現場で訓練を行ないます。そこで、来年度は本科生を四十名、それからいまの専修科生を六十名——これは座学が半年で六十名でございますから、あと半年をもう一つ座学コースをつくりまして、合計して百二十名を専修科コースで養成しておる。したがいまして、全体で百六十名程度のものが養成されるということでございます、管制官につきましては。  さらに無線その他の問題もございますので、これにつきましては、航空保安大学における養成もありますが、そのほかに、たとえば二技以上の有資格者を採用するとかして備えたいと思っています。  まだ、ただいま数字が詰まっていないということを申し上げましたのは、現段階においていろいろ検討中でございまして、実は一つの試案もあるわけでございますが、その試案につきましてさらに検討してまいりたい。五カ年ということをとりますと、さっき申しましたように、非常にばくとして申し上げますと、現在の倍ないしあるいはそれ以上の人が要るというように考えております。そういった人の数、それに養成の方法、この点についてもう少し詰めたいと思っております。
  208. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それはいつごろまでにお考えがいただけますか。
  209. 内村信行

    説明員(内村信行君) 今月中くらいには詰めたいと思います。
  210. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いま私の申しましたのは、現在の状態で不足しているのはどれくらいいるか。それから五カ年計画、三カ年緊急整備計画ということで特別管制区域ができたりしますと、またふえますね。いろいろとふやされる、今後のふえる点で必要とされるのがどれくらいかというめどがないと計算できないわけでしょう。それをどれくらい考えていらっしゃるか。それを具体的にどういうふうに養成するか。たくさんの中で、いまふやされたといっても、航空管制官の一年のほうは倍ぐらいになりましたけれども、本科のほうはたった五名ですね、去年から比べたら。こういうテンポでいくかどうかということですね。信用しないわけじゃないけれども、どのくらいふえるかということと、それについてどういうふうに補充し、養成していきたいかという具体的な案というものをおつくりになったら、あわせて知らせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  211. 内村信行

    説明員(内村信行君) できましたら御報告申し上げます。
  212. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それはできてからお伺いをしたいと思いますが、今度は、施設も簡単に金があればできるかといったら、やはりそうではございませんね。伺ってみれば、箱根のあそこのレーダーなんかにしても、早雲山のほうにしても、やはり発注して用地買収をまずしなければならないし、発注して機械を据えつけて運転できるようにということになれば、相当の時間がかかると思いますけれども、レーダーをあと六カ所おつけになるというようなことなんですけれども、そういうお金の面と同時に、そういう施設が運転できるまでの時間というものを考えて、どういうふうにめどを立てていらっしゃいますでしょうか。
  213. 内村信行

    説明員(内村信行君) それも、先ほどちょっと言い落としましたけれども、航空路監視レーダー、それにつきましては、五十年までには全部仕上がらないような予定でございました。それを早く仕上げますために、四十九年度一ぱいで、北海道、東北、大阪、銚子、南九州、沖縄の六カ所をさらに整備することにしたということが大筋のところでございます。それにつきましての要員でございますが、その要員も、さしあたり管理要員というものが非常に要ります。それにつきましては先ほど申し上げました三十二名でございますか、これも管理要員そういうものをやる中に入ってまいります。それと同時に、来年度といたしましては、施設の建設要員といたしまして六十七名程度養成いたします。保安施設の要員としては、今後五年間に約七、八百名程度を予定しています。
  214. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 次に、それじゃその仕事の中身から考えまして、私もいろいろ調べて実際見てきましたら、たとえば管制官は——時間がないから区切って言いますと——たいへんな仕事でごさいますね。こんなのを見ながら、出発時間と速度を見ながら判断するというたいへんな仕事なのに、賃金は非常に安いというようなことだと、人事院のほうにお伺いするわけですけれども、私びっくりしたのは、管制をやって飛行機を誘導している本人が、全然飛行機に乗ったことがないというんですが、一体これはどうなっちゃっているんですか。電波だけで聞いていて、電話を聞きながら管制やって飛行機を誘導している。そういうことを考えても——賃金はあとでそっちに聞きますけれども、研修をしたい、どんどん勉強したいという要求、これは私は当然だと思う。そのことについてどういうふうに運輸省としては考えていただけているのか。  それから飛行機に乗らないでやっているというのは、やはり実際問題、仕事としてもやりにくかろう。やはり自分で乗ってみて、この飛行機自分が一つ間違えたらたいへんなことになるだろうということになれば、仕事に対してもいろいろ緊張も出てくるだろうし、誇りも持てるだろう。そういうように、詰まらないように見えることだけれども、仕事の上から必要なら搭乗するということも義務づけてやるというような配慮ということはいままでお考えにならなかったかどうか。
  215. 内村信行

    説明員(内村信行君) 私もその点につきましては先生と全く同様に感じております。私ときどき管制官のところに行って一緒に話をすることがございますけれども、そういうときにも、非常にそういう要望が出てまいります。そこで、現在といたしましては、国内につきましては、体験航空と申しますか、管制官が実際に飛行機にパイロットとコックピットに乗りまして、そして一緒に飛んでくるというふうなことをやっておりますということが一つ。それからさらに、羽田におきましても、あるいは東京空港管制塔におきましても、国際線の運航というようなこともやっておりますので、やはり隣接の管制、たとえばアラスカとか、そういうふうなところとの連絡が非常にございます。そういった意味で、そういうようなところへの体験飛行ということもこれまた必要じゃないかというふうなことから、これはまだ予算が今年度はそうございませんけれども、今年度内に何人かでもやりたいというふうなことを考えております。  さらに、これはちょっと先生の御趣旨と違うかもしれませんが、もう少し外国の状況を見てきたらいいだろうということで、そういう見学もさせるというふうなことも考えております。その点は先生おっしゃったように、小さなことでなくて、むしろ非常に重要なことじゃないかと思っております。
  216. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 重要なこととお考えになっていただくとたいへんうれしいですけれども、それじゃ本年度はどれくらい体験飛行できたのか、来年度どれくらい予算要求していらっしゃるのか。全部の管制官のうち何人初年度はやったか。
  217. 内村信行

    説明員(内村信行君) ちょっと私手元に資料がございませんので、後ほどわかりましたらお知らせしたいと思います。  なお、本年度の国際線の問題につきましては、あるいは数名程度になるかもしれないと思いますが、実行したいと思っております。
  218. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 重要だと認めていただくのはうれしいけれども、実際ふたをあけてみたらわずかの人しか飛行機に乗るということが出てこないと思うんです。そういうのはやはり具体的に……。
  219. 内村信行

    説明員(内村信行君) ことしの国内の体験搭乗実績が約四百名でございます。
  220. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 少なくとも管制官はみんな乗るというふうに努力をしていただきたい、そう思うわけです。  待遇の問題に入りましたから、ついでに人事院のほうに質問してまいりたいと思います。  ほんとうに仕事を見ていますと、あれは事務をとったりというような仕事でございませんで、やはりあの給料表見れば行(一)の表になっていましたし、八等から三等というようなことになっています。ですから非常に手取りも少ないわけでございます。そういうことから考えて、大体あれは一般行政職ではなくて、当然技術職といいますか、専門職という形で見ていただくのがほんとうじゃないか。お医者さんだったら命を預かるということで、専門的な給料表というのを考えていただくけれども、管制官なんというのは、ほんとうに命を預かっていますから、一機が間違えば何百人の命に関係するたいへん密度のこまかい上に専門技術が要るわけで、そういうところがいままでずっと行(一)で、行政職のほうでやってこられたというのは、たいへん私は申しわけなかったなということで、いろいろ話を聞いてみたんですけれども、人事院としてはどういうふうに考えていらっしゃったか。全然考えていらっしゃらなかったら、いまどういうふうに思っていらっしゃるかということをお伺いしたいと思います。
  221. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 航空管制官の処遇の問題でございますけれども、まず俸給表体系といたしまして、どういうふうに扱ったらいいかという点がございます。その点はいま仰せられました点に私もかなり同感をしておるわけでございますけれども、俸給表を特別にするかどうかという点につきましては、やはり一つの職務段階がどういう段階になっておるか。それからそこにおける態様、まあどの程度長く在職したかといったような問題。それからやはりその俸給表の人員が、あまり少なくてもかえって複雑になる、給与体系として複雑になるものでございますから、その点を考えますと、当面のたとえば管制官の場合には、全体として七百人程度かと思いますので、やはりその程度の人数でまた別の俸給表をつくるというのもいかがかというのが現在の段階でございます。  そして処遇の問題といたしまして、こういう職務といたしましては、やはり重責という面がございますので、そういう面につきまして、たとえばこういう職員が重責の問題を当面どういうふうに見ていくかという点で、現在は調整額、本俸の調整額ということで八%の調整をいたしております。この調整額をつけるということは、別の面でいえば、特別俸給表をつくるということと、私どもとしては同じというふうに考えておるわけでございます。じゃ八%の特別調整額で適当かどうかという問題があるわけでございますが、やはり管制官の仕事の、何と申しますか、忙しさといいますか、そういう関係が各空港で非常に違いまして、全体の航空路の管制をしているところ、あるいは飛行場で管制をしているところ、その中でも、たとえば帯広なんかのような、平均すれば一時間に二機とか三機しか来ないといったようなところと、それこそ非常に立て込んでくるところがございます。そういう関係を同じように扱うというのもちょっとなんでございますので、やはり忙しい空港につきましては特殊勤務手当をもって、これを忙しい手当と申しますか、労働の強度と申しますか、そういう関係で最高月額としては五千円程度の金額を充てるということでいたしてございます。また本俸に対する厚みと、それから特殊勤務手当、こういう面でこれを対処するのがいいのではないかというのが現在の考え方でございまして、そして今後の管制官の配置の問題、あるいは忙しさの関係がだんだん変わってきておりますので、その辺は絶えずやはり見ながらやっていく必要があろうか、そんなふうに考えております。  それから、やはり管制官といたしましては、ある時点で管制の業務をやっぱり年齢的にもできなくなる時期もございますので、それから先をどうしたらいいかという点がやっぱり航空局の問題点だろうと思います。現在は、たとえば管制部の課長とか、あるいは空港長に登用されているようでございますけれども、その辺の登用の問題とあわせまして、やはり給与面においても見ていかなきゃならぬというふうに考えておるわけでございます。
  222. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 どういうふうな表にするとかということが、それが目的じゃございませんで、非常に緊張度を要する専門的な特別な技術というものを考えると、やっぱりいまの待遇ではとてもたいへんな苦労がしいられていらっしゃるということから考えまして、いろいろいまの八%の調整額とか特殊勤務手当というようなことをおっしゃいました。聞いてみたら、その手当というのも一日だと八十円から二百五十円という手当だということを聞いて、今度どのくらいアップになるんですかと言ったら五十円だと、こういうわけですね。いまどき五十円のアップといったらラーメン一ぱいしか食べられない。頭ちょっと疲れちゃうと事故は起きますね。とてもこんなものではしょうがないと思います。俸給表をどうするという問題ではなくて、いまのいろんな、調整額八%とか何だとか、特殊勤務手当とかいうことをお考えになっても、いまのままでは私はとてもだめだと思うのですよ。それを今後どういうふうに……。それでいいとおっしゃるのか、それならそれでけっこうですけれども、いいとお思いになっていらっしゃるのか、当然もっと合理的にそれを引き上げるべきだというふうにお考えになっているのか、もしそうだとすれば、具体的にどういうふうに、いつごろまでにそういうことを検討したいとお考えになっているのか、その辺ちょっと具体的にお答えいただきたいと思います。
  223. 尾崎朝夷

    説明員(尾崎朝夷君) 航空管制官という職務が、運輸省で実際に行なわれるようになりましてから、期間としましてはそう長くないわけでございます。実際、最初の採用の場合には、大学卒の上級甲並みで採ってきておる。その後は短大卒で採ってきておる。さらに最近は、高卒の中で適性な者を採るようにするというように、やはり何といいますか、管制官に対する処遇といいますか、その処遇の前のどういう人を充てたらいいかで、それをどのように中で勤務させ、そして昇進をさせたらいいかといったような問題につきまして、現在は安定した状態ではないわけでございます。やはり今後そういう関係を十分検討を私どもとしましてもいたしまして、もう少しやはり実情にできるだけ合うという方向に絶えず持っていかなければならないということで考えております。で、当面、少なくとも私どもとしましては、ことしの勧告におきまして、ことしの四月に手当の改善をいたしましたけれども、さらに特殊勤務手当の対象幅の拡大を、相当忙しくなってきておる飛行場もございますので、そこにも拡大する。それから手当の額も上げるということを当面考えておりますが、いま申し上げましたように、全体として処遇面が必ずしも安定しておりませんので、よく検討しつつまいりたいというふうに思っております。
  224. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それでは早急にそれも検討していただいて、それに見合った報酬というもので、優秀な管制官や技術者がたくさんできるようにならないと、片一方で計画をお進めになっても、実際運用面で支障を来たすことになりますので、その辺の御努力をお願いしたいと思います。  それから今度整備の問題で運輸省のほうにお伺いしたいのですけれども、いま民間航空の便数が非常に多くなっていますし、あれも非常に足が出たとか出ないとかいろいろ問題がこのごろ特に新聞に出るようになっていますが、その整備の状態、これは民間三社になりますけれども、そういう問題について具体的に行政指導の面としてどういうふうに指導していらっしゃるのか、「ばんだい」号が出てから立ち入り検査をなさったという書面を見せていただきましたけれども、非常に精神訓話みたいに、二つの会社が一つになったのだから、その辺の連絡をとれとか、管理者がしっかりやって統率しろというような線が非常に強調されておりますが、具体的に各会社でその整備に対してどういうふうな状況になっているのかということは、お調べになっていらっしゃると思うのですが、そこでお気づきになった点というのは一体どういうものがあるかということをちょっと伺わせていただきたいと思います。
  225. 内村信行

    説明員(内村信行君) まずその整備体制の監督と申しますか、どういうふうなチャンスにやっておるかというふうなことかと思います。そういう問題として、まず航空会社が路線免許等を出します場合には、事業計画を出しますが、その事業計画に際しまして、審査をするというのが一つのチャンスでございます。さらにそのほかにいろいろな航空事業運営の調査とか、立ち入り検査、そういうふうなことをいたしまして、そのつど必要な事項について指摘をするというようなことをやっております。さらに、今回のような特殊な事故が出ました際に立ち入り検査をし、あるいはまた会社に対して自主的な点検をしろというふうなことをするときもございます。たとえて申しますと、それじゃ人員配置がどうなっておるかということを申し上げますと、私どもといたしましては、機材の数というものを把握いたしまして、その機材数に対して設備あるいは人員というものがどういうふうにあるか、余裕を持ってこういうことが行なわれるというふうなことを指導してまいっておるつもりではございます。ちなみに、現在、一機当たり一体どれくらいの整備人員が配置されておるかと申しますと、これは会社によっても違いますが、現在の状態では、大体二十五名ないし三十名程度でございまして、その程度でございますと、人につきましては、会社としましてはやや相当余裕があるのじゃないかというふうに考えております。さらに、今回の事故にかんがみまして、東亜国内航空に対しましては特別立ち入り検査をいたしたわけでございますが、さらに全日空なんかにつきましても、最近、先生御指摘のように、小さなものでございますけれども、ちょこちょこと事故的なものがございます。したがいまして、やはり小さなうちに未然に防止することが事故防止のたてまえでございますから、これにつきましても、もう少し重点的な項目につきまして、要すれば現場を見てみたいというふうなことをいま考えておる段階でございます。  それから先ほど先生から御指摘受けました、いわゆる東亜国内に対する勧告、いわゆる精神訓話ではないかとおっしゃる。それはお説のような点もあるかと思います。ただ、いわば、ちょっと弁解がましくなりますけれども申し上げますと、二つの、何と申しますか、部類からなっておるわけでございまして、安全性の確保を基本とする経営体制の確立とか、あるいは着実な事業運営の確保あるいは安全性を確保する企業体質の強化とかいうふうなことは、まさに一つ考え方を申しておりまして、この意味では精神訓話的なものであるかと思いますけれども、さらにその先の各具体的な項目につきまして、たとえば、整備規程を標準化させなさいとか、あるいは特に機器の統一、油圧系統の統一をしっかりなさいとか、あるいは管理者というものが、整備についてもいろいろしっかりしてやらなければいけませんので、あるいは何か伝えるといっても、口頭ではいけない、文書でもって伝えなさい、まあそれぞれ具体的に言えることはなるべく言いたいと思ってやったつもりでございます。特にこの問題につきましては、この勧告書を作成をいたします際に、私からも特に、ややもすると官庁の文書というものは自分だけわかってひとりよがりだと、で、解釈をつけてみなければわからないということではなしに、読んだらすぐわかるようになさいということを申して伝えてあるわけでございます。まあ、ふできな点もございますけれども、将来は、先生のおっしゃった趣旨に沿いまして具体的に目を向けたいというふうに考えております。
  226. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 この勧告も抽象的なものだから全部入っちゃうのですよ。これで済むというわけではない。もっと具体的に行政指導というものをやっていただきたいと思います。いまおっしゃったのと、私が調べたのとだいぶ実際は違いますのね。たとえば人員、一機について二十五名−三十名とおっしゃっていますけれども、そういうところもあるかもしれません。けれども一つそこで問題点になるのは、頭数だけは何とかそろった、だけれども、それが一等航空整備士であり、会社が確認する整備士として質的にも高いというような、そういう整備士が非常に不足しているという問題点が出てまいりますね。  それから、特に東亜国内が問題になったから言ってみれば、あすこも整備する場所といえば、非常に狭い状態の中だと、じゃ、どういう機材を使っているのかと聞いたら、日航で使わなくなったものをもらってきて、それを修理しながら使っているというような状態では、幾らしっかりせいなんと言ったって、そんな機械でやっているのだからたいへんだと思いますよね。そういうふうな具体的な中身というものを把握なすって、そして行政指導というものをなさらないと、どうしても会社というのは営利本位に進んでいくということを、いまの社会の中のことですから、そういう点に立って、ブレーキかげて安全な整備をさせるという立場に立っていただかなければ困ると、そう思うのです。具体的にはいままで年一度の点検でございますね。その年一度の点検、何人が何日かかって、たとえば人数でいえばどれくらいで、飛行機どれくらいの範囲を調べていらっしゃいますのですか。何日で何人ぐらいかかって、具体的にたとえばどこの会社でということでもけっこうですけれども
  227. 内村信行

    説明員(内村信行君) ちょっと私、いま手元にございませんので、わかり次第御報告申し上げます。——技術部長から答弁させていただきます。
  228. 金井洋

    説明員(金井洋君) 毎年行なっております点検につきましては、一社大体八名から十名、これは本省と、それから地方航空局の整備関係がいま八名から十名。それから運航関係としまして、これはパイロットその他でございますけれども、これも同じく本省と地方航空局合わせまして八名から十名ぐらいの者が主としておもな基地、それから年次計画によりまして各年に重点的に地方のローカル空港に重点を置いて毎年場所を変えて行なっております。期間は大体十日から二週間です。  先ほど先生から御指摘がありましたように、抽象的なものではないかということでございますけれども、実際に検査に立ち会ったときに、この立ち入り検査を担当する者がそのつどこまかく指摘したり、あるいは大臣から社長ではなくて、担当の整備部長だとか運航部長だとか、そういう者に文書で本省の課長名で、もっと具体的にこまかく指示をしております。したがいまして、具体的にはある程度指導しておるつもりでございます。  さらに、先ほど日航のお古をもらっておるということですけれども、まあそういうこともございます。ただ、たとえば日本航空も昔はプロペラ機を使っておりましたが、プロペラ機の整備関係は全部ジェットになりましたから要らないわけでございます。それを国内航空はもらって使っておりますけれども、別に支障はないわけでございます。ただ、そういう点で、もちろん御指摘のように安全には注意をしておるわけでございますけれども、まだまだ先ほど御指摘がありましたように、作業環境とか整備の場所、これが狭いという点はございます。これはもちろん空港の中でやっております関係上、なかなかスペースが得られないという問題もありますけれども、できるだけ、たとえばそれならエアコンをつけて住みよくするとか、そういう点等も合わせ考えて、御指摘のようにこれから指示していきたいというふうに考えております。
  229. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 本省からお出しになる指示とか指導なんというものはたいへんうまくできているのですよ。ところがちゃんと徹底してそれが確実に守られているかということで、そこまで目が届かないということ、整備する者の立場から見れば、ここのところはもっとしっかり会社のほうを押えていい整備をさせるように指導してくれたらいいなあという気持ちになるし、私たちが見てもたいへん合理化になってきているのですね。たとえば飛ぶ前の点検と、飛行間点検というのがありますね。ああいうものを、いま聞いてみてもずっと何年か前までは飛ぶ前の点検も飛行間点検もみんな確認整備士という技術の高い人たちがちゃんと責任を持ってそれをやっていた。ところが、このごろは飛行前点検はそういう確認整備士でなくてよろしいというふうに、内容が、悪く言ったら低下させられるというようなことも合理化の中で出てきているようでした。それから今度この飛行機についてだれそれが整備の点検をしたという責任のサインをしますね。そのときも結局そういう技術も持って、そして資格もちゃんと持っておるという人が少ないわけです。これはあとでまた聞きますけれども、そうすると、まあできるからというのでみんながやって、そうしてそれのサインするところにぱっと行けば判こがいつでも置いてある。だから、名前でも、そのサインというのをまとめちゃってぱっぱっと判を押していくということも実際にあるわけですね、調べてみたら。そうしますと、さっき言ったように年間で点検一回ですね、八人から十人くらいで、そうして何日間ですか、十日間こうやるとおっしゃっても、そのときにその書類をきちっとごらんになれば、必ず同じ人の判やサインで全部点検したという、あり得べからざる状態というのが出てくるわけなんですよ。そういうことも私らにしてみたらこれは非常に不都合なことですね。めくら判だけ押してしまえばいいんだ、だから点検されたって、みんな確認整備士が点検したんですという形になる、結果は。帳じりはそろうけれども、内容的にはそういうことが出てくるということになれば、事故が起こらないから幸いだけれども、事故が起こっちゃったら、これはたいへんなことになるんじゃないか、こういうような面まで御承知になって、具体的にわずか十日間くらいで、もう年間のいろいろな書類を調べたり実地を調べたりというようなことが、自信を持って、いやだいじょうぶだとおっしゃれますかどうか、その辺どうですか。
  230. 金井洋

    説明員(金井洋君) 年一度の立ち入り点検は十日から二週間でやりますけれども、その間、各重要な主基地には検査官を駐在させておりますので、随時見るのがたてまえになっております。御指摘のように、以前はまあめくら判を押すようなことも、ある会社のある部門によってはそういうこともございましたけれども、それを発見し次第、そういうことがないように指導しておるつもりでございます。  それから飛行間点検につきまして、前は確認整備士がやっておったけれども、最近は有資格整備士がやらないんではないかというようなことでございますけれども一般の、たとえば小型機を持っておる自家用とか、あるいは使用事業というのがございますけれども、そういうような場合は、飛行前点検とか、そういう点はすべて資格を持った整備士がやるように指導しております。ところがエアラインの場合には、ある程度整備工場だとか整備部だとか、そういう組織で確認するということを義務づけまして、そうして運輸大臣が認可するところの整備規程の中にどういう整備方法でやるか、組織確認はどういうふうにするかということできびしく規定してありますので、その点の安全性は前に比べて低下したということはございません。
  231. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 重ねて申し上げます。たてまえはそうなっているけれども、具体的にはそうなっていないという事実がありますから、その辺のところを十分お考えおきになって、責任を持ってきちっとした整備をして、私たち安心して乗れるようにしていただきたいというのが私の言いたいところなんでございます。
  232. 金井洋

    説明員(金井洋君) よくわかりました。
  233. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それから、さっき言いました確認整備士ですね、これも私会社との問題が非常にあると思って、これは運輸省として上からと言ったらおかしいけれども、その辺で見ていただかなければ解決しないと思ったんです。それは整備工場に入って三年間やったら国家試験を受ける資格ができますね。それでは国家試験を受けると、学科試験はすぐパスしたと、実地試験になれば飛行機がなければ実地試験ができないということになりますと、会社の飛行機を貸してもらわなければならないわけですね。それに対して、たとえば学科試験は受かった、実地試験受けたいんだという場合に、実地試験を受けさしてくれないという、そういう妨害が出てきているわけなんですね。学科試験受ける前に、聞いてみたらものすごくチェックしているわけなんですよ。  たとえば三年間給料なんかで勤評するわけなんですね。いろんな始末書をとられたり、カットされたりなんかしないで三年間はこのくらいの成績であったことというのが一つのチェックで、それから今度は二番目には、自分の職制が必要と認めなければ受けさしてもらえない、そういうことでやっと受けさしてもらえるのが会社の中の試験であって、それから国家試験だというふうに、当然航空法でいえば、国家試験は自由に受けられるはずなのに、そういうふうにいろんなチェックをしているということは、会社の労務政策ということにも私はひっかかってくるんじゃないか、そうすると、中で働いている人たちは一生懸命勉強して責任を持ってやりたいと、そのためには勉強した結果、試験を受けたいということがみんな押えられているわけなんですね。それはやっぱり会社の確認整備士になれば手当をつけなきゃならないとか、そういうのもたくさんになっちゃうと財政的にもあれなのかもしれないし、いろいろ労務担当の立場から考えれば、そこに差別をこしらえて押えるというのも一つの方法として考えると思うんですけれども、そのことはちょっと運輸省としても見ていただいて、そういうことをなくして、みんながほんとうに生き生きと誇りを持って整備できるような、当然の権利を押えるようなことはさせないでほしいと、そういうふうに思うわけなんです。そういうようなことまで、働く人の立場に立って、安全な整備ということで目をつけていままでいらしたかどうか、その辺のところ御存じだったでしょうか。
  234. 内村信行

    説明員(内村信行君) 全般の議論といたしましては先生のおっしゃいましたように、各職場に働く人たちが生き生きと伸び伸びと働けるということは必要なことだと思います。  ただ、いま先生のおっしゃいました具体的な事例は、私もちらっと耳にした程度で、確認しておりませんけれども、これは一つの労使紛争の問題の一環としてあらわれておるようでございます。したがいまして、そういう問題につきましては、こちらからどちらのほうに干渉いたすこともぐあいが悪いということで、その点、差し控えております。
  235. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それは私は、そういうふうな労務管理に使っているなとというふうに感じましたけれども、干渉するしないは別として、当然受けられるべき権利があるのに受けられないでいるという状態については、当然行政指導として、そこはどうなっているんだということも見ていただかなければ、やっぱり行政指導の責任は持てないと私はそう思うわけなんです。  それと続いて労働条件ですね、整備もこれまたたいへんひどい仕事、緊張する仕事で、私が聞いたら、一機に二十五人、三十人なんという定員ではないんです。たとえば一晩のうちに十三機くらいを二人で見なければならないというような、そういう問題がたくさんあるんです、職場のどこを見ても。そこでやっぱり深夜の勤務というので、非常に飛行機がたくさんくるのが深夜でございますから、労働強化になってしまうというようなことで、たとえば夜ゆっくり休める——ゆっくりということは夜中に寝ているわけにはいかないけれども、ゆっくり休めるような、そういう時間の保障をしてもらいたい、御飯をゆっくり食べられるようにしていただきたいということの要求は切実で、これは労働者の問題だから労働省というのではなく、航空安全という立場から、労働者の状態はどうなっておるかということも行政指導の面から見ていただきたいと、こう思ったわけです。  それから交代で勤務いたしますね、その勤務の状況を見ても、各社調べてみたんですけれども、東亜国内というのはひどいですね、午後、午後と出るのがあって、夜勤、夜勤と続いて、次が明け番になって休み、こうなっているわけです。だから六日間が午後、午後、夜勤、夜勤、明け番になって休み、だから時間的に見れば休める時間はあるわけです。しかし、そういう働く人たちというのは若い労働者ですから賃金も低い。そうすると、具体的に考えてみたら、夜勤明けでも、昼間は家へ帰って寝る時間あるじゃないかと言われても、小さい部屋で子供がたくさんいるし、夏場になればクーラーもないしというようなことで、夜勤が二日続いたりということになれば、たいへん疲れが出てくるというのは私は当然だと思う。それで、せめて夜にゆっくり御飯が食べられる時間とか、ちょっと仮眠できるような施設とか時間とかいうようなものを考えてほしいというので、私は、なるほどそうだ、そう思ってきたわけなんです。そういうような労働者の労働条件ということも、行政指導の面で考えてやっていただけるのかどうか、それは非常に私は大事なことだと思うのですけれども、いかがなものでしょうか。
  236. 金井洋

    説明員(金井洋君) 年一回の立ち入り検査、あるいは駐在しておる検査官の随時立ち入り検査においては、そういう労働条件等も考慮して整備能力ということを判断しております。ただ、夜勤あるいは夕方出るとか昼間出るとか、そういう勤務の組み合わせになっておるわけで、確かに労働基準法に定めるところの時間の範囲内ではありますけれども、そういうことだけで安全につながる整備ということがはたしていいのかどうかということについては、もちろんいままでも検討しております。ただ御指摘のように、できるだけ早い機会にそういう実態をもう一度点検するというふうにしたいと思います。
  237. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それから、やはり次官はいらっしゃらないんですか。私、大臣は行ってらしてだめだから、せめて次官でも来てくださいと要請をしたわけです。そうしたら衆議院のほうがあるから来られませんと。衆議院は済んでいるんですよ。済んでいるのに逃げちゃって来ないんです。私は、こういう態度だから、全くほんとうにけしからぬと思うので、お帰りになりましたら、きょうとうとう見えないからよくおっしゃっていただけませんか。こっちは委員会があるから初めから要請しているのに、向こうと重なっているからと言うのなら納得しますけれども、向こうは終わってお帰りになっていらっしゃる。どこへ行ったかわからないという、そういう態度では、運輸省、行政指導する前にそちらのほうを行政指導してやってもらわなければ困ると思います。よろしくその点お伝えいただきたいと思います。  それで局長さんにお伺いしたいんですが、私あれ以来飛行機に乗るのがいやだ、たとえば足が出なかったとか、今度乗っていて胴体着陸しなければならないといったときに、一体どうしたらいいか、いつ起こるかわかりませんから。私たちが乗りますね、これは足が出ませんよ、胴体着陸になりますと言われたら、一体どうすればいいんですか。あのベルトを締めるというのはわかっているんですが、ちょっとどうしたらいいんですか。
  238. 内村信行

    説明員(内村信行君) 私もちょっとどうしていいかわかりませんが、やはりベルトを締めまして、スチュワーデスなり何なりの指示に従うということだと思います。
  239. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 切実な問題です、しっかり考えておいてください。危ない、死んでしまいますよ、局長。私も心配だから聞いてみたんです。そうしたら、胴体着陸するというようなときは、ベルトを締めるだけではここがショックになるんだ、ここに毛布を入れるとか、上着を入れるとかして、ここのところへクッションをつくって、しっかりベルトを締める。姿勢は、足首をつかむようにこうやって下を向きなさい、こういうんですね。あそこに書いてあるんです、みんな読まないですけれども。私それをやってみたわけです。そうすると、大体毛布が足らないんです、満ぱいになったときに。ここのところに入れなさいといったって、毛布が足りないわけです。下向きなさいといったって、下向こうと思ったら前にぶっかっちゃうわけです。つまりそれぐらい座席が詰まっているわけです。そうやりなさいといったって、やれないようなことを指導していて、どうして航空安全でみんなを守れますかということなんです。その辺のところどう考えますか。私は聞いてびっくりしちゃって、これはいよいよ飛行機に乗れないなと思うわけです。座席がこういうふうに詰まっちゃって、やれなんていわれてもその姿勢がとれないというようなこと、いかがでございますか。
  240. 金井洋

    説明員(金井洋君) 座席が詰まっているということですけれども、現在のICAO、世界的な基準、あるいは国内基準もそれを受けて、それと同等もしくはそれ以上にきめてあるわけでございますけれども、その基準では、座席の幅というのはもちろん正確にはきめてございません。ただ非常脱出口というのが両側にございますけれども、あの非常脱出口を半分、片側とか前半分とか後半分、四個分あるとすると合計八個ですけれども、四個を使って九十秒以内に全部の乗客が逃げられるという条件できめられているわけです。そうすると、九十秒以内で逃げられるためにはシートのピッチと、シートとシートの間のまん中の廊下、こういうものがおのずから幅がきまっております。廊下を通るときには腰のまわりの幅は幾ら、腰よりすねのほうへいくと狭くなっているわけですけれども、その間隔は幾らとか、そういう幅が全部きめられております。その基準に従って世界各国は飛行機をつくって、でき上がったならば、運航する前に実際に半分の非常脱出口を使って九十秒以内に逃げられるかどうか。シートを締める構成はこれもきまっておりまして、六十歳以上の男が何人、女が何人、二十歳以上の男が何人、女が何人、それから子供は何人とか、パーセントが全部きまっております。しかも飛行機に、全然どう逃げたらいいかというふうな熟練をしていないような人を選んできて、用意どんでやるわけです。一応そういうふうにしてデモンストレーションをやって、その基準に全部合致しておるというものがつくられてきているわけです。したがって、逃げる場所はあるというわけなんですけれども、ただ毛布の数が足りないという点は、現在の国内線の場合には毛布を十分積んでいないという点があります。したがって、毛布はできるだけ多く自分の腹のまわりに巻いたほうがいいということはあるんですけれども、これはそういう基準がありませんので、そういうふうに行政指導する方向でいくよりしかたがないんじゃないかと思っております。
  241. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 だから、国際的にこうこうこういうわけですとおっしゃったんですけれども、私は具体的に言ったわけですわね、ここへ入れて下向けといったって、向けないような座席では、逃げ出せとおっしゃっても、逃げ出す前なんですよ、どしんときたときに、ほんとうにこういう姿勢がとれないというのでは、国際的にはこうこうこうと言われても、それは理屈で、やっぱり安全ということは守れません。だからそういうときに、国際的にはどうか知らないけれども、実際やってみたらそれができないんだから、やってみてそういう姿勢がとれるような座席というものを考えていかなければ、私は、ほんとうの安全を守るという立場には立てないのではないか、そう思うわけです。  そういう考え方があるからだろうと思いますけれども、便数にしても結局増便したいという、そういうことについてもいままでチェックなさったことそうありませんね、一度ぐらいですね伺ってみれば。それで、今度自主的に便数を減らすということが出てきましたから、私は、たいへんよかったと思いますけれども、やっぱり会社としては営利本位でずっとやっている中だから、相当具体的にやりにくいこともありますわね、運輸次官だった人が社長さんだとか、全日空ですか。そういうのはやっぱりやりにくいですわね。お役所のほうとしてはやりにくい点、私もわかりますけれども、やっぱりその辺のところは割り切ってしっかりやってもらわなければ困るんじゃないかということで、一つの例として申し上げたわけですけれども、安全という立場をゆめゆめ忘れないで、こうこうこうだからこうだという、しゃくし定木の説明じゃなくて、具体的にほんとうに守られるような、そういう立場に立っていただきたいということを重ねてお願いしたいと思うのです。検討いたしますなんて言って、いつまでもあのままじゃ困るので、その辺のところを大臣にしっかり話をして、具体的に検討をするということをお聞かせいただければ幸いだと思います。
  242. 内村信行

    説明員(内村信行君) 御趣旨のほどよくお伝えいたします。
  243. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ時間もないのでまた続いてこの次まで延ばさせていただきますが、一つだけちょっと簡単にお答えいただきたいのですけれども、関西の新国際空港というのが、神戸の埋め立てのところにいま準備されておりますね。計画が進んでいるようなんですけれども、運輸省としてこの問題について四十五年、四十六年と調査なさったということを伺ったのですけれども、その調査資料というのが私たちに出していただけておりませんもので、この調査された資料全部を、やっぱり私たちとしても自分のものとして考えたいので、出していただけるかどうか、どうかじゃなくて、いただかなければならないと思うわけで、その点が一点でございますね。  それから神戸のほうでこういうのが出ているわけですね。関西新空港計画について神戸市の企画局ですか、これの中身をずっと調べてみました。いろいろ問題もあるし、なかなかうまいこと書いてごまかされそうなところもございましたけれども、これを運輸省のほうは当然ごらんになっていると思いますけれども、これについて運輸省としてどういう御見解を持っていらっしゃるか。先ほど言いましたような、四十五年、六年の資料というものを全部出していただきたいということを御返事いただきたいのですけれども
  244. 内村信行

    説明員(内村信行君) 関西新空港の調査につきましては、大阪湾内一帯につきまして七、八百カ所ぐらい調査いたしました。四十三年度以来調査を進めております。  そこで、この資料でございますが、実はこれまだ最終的に全部調査完了いたしませんので、結了したものとして御提出申し上げるわけにはいかないわけであります。ただ、最近地方公共団体、つまり大阪府、神戸市、兵庫県、大阪市、そういったような公共団体のほうにおきまして、やはりこういったものを自主的に研究するというふうな空気が非常に強うございます。したがって、そういう研究するに際して、私どものいままでした調査を提供してくれぬかというような御要望がございます。これはまことにごもっともでございまして、いままでは、個々的に断片的に発表いたしまして誤解を受けてはいかぬということで発表いたしませんでしたが、やはりこういう時期になりますと、お見せいたしまして十分に御研究いただいたほうがよろしいと思っております。近々のうちにそういった方向に進みたいというふうに考えております。
  245. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 これの見解、これについてどう……。
  246. 内村信行

    説明員(内村信行君) それは私直接は見ておりませんけれども、これはやはり十分検討に値するものでございまして、十分それを検討いたしまして、全体の中身を参考にいたしまして進めていきたいというふうに考えているわけでございます。
  247. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それで、四十五年、六年ずっと調査をお知らせいただく。大阪府、市、兵庫県、神戸市と、自治体にお出しになるのももちろんやっていただきたいし、また非常に住民も関心を持っておりますので、そういうような一般の私たちもそれを拝見できて、そして参加して考えるというためにも、私たちにも資料を出していただくということはよろしゅうございますね。
  248. 内村信行

    説明員(内村信行君) これは国会の先生方にお出しすることは一向差しつかえないと思います、その段階になりましてから。ただ、皆さま方全部、一般の市民の方全部というわけにまいりませんから、それは新聞発表のしかるべき方法はとりたいと思います。
  249. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それで、出すというのはその資料全部渡してくれということでなくて、その内容を明らかにしてほしいということでございますから、私のほうに一部いただいて、また新聞のほうでも発表してくだされば、そこで住民たちもそれを見ていろいろと考えると思います。  私ただ心配だったのは、海の上にそういうものを埋め立ててつくりますね、いろいろ御検討になったんだろうと思います、地盤の問題だとか、音だとか、風向きだとかの。私ちょっと聞いておきたいと思ったのは、海の中に——非常に大阪湾で、神戸の港やなんかで船の交通量というものは多うございます。そうしますと、あそこのところに、説明では、並行しているから神戸市なんかのほうには騒音はいかないということで御説明になっていらっしゃるんだけれども、今度海上の騒音というものはそうはいかないわけですね、海上におりるんだから。そうすると、そこを通っている船なんかは霧笛なんか鳴らして合い図するというような場合は、当然飛行機の騒音でかき消されるんじゃないかということが私は一つ心配なんです。それから、飛行場だと当然照明というものが相当明るくなる。そうすると、お互いに船で、何というのですか、合い図灯というのですか、合い図するために光を出すというふうなのも、その照明で妨害にならないだろうか。だから、騒音のほうは町のほうには関係ありません、海のまん中ですと言われても、今度海上交通のほうから安全性というようなものを総合的に考えていただけているのかどうか、それちょっと聞き漏らしましたし、気になりますので、その辺のところをどういうふうな御見解でいらっしゃるかお伺いしたいと思います。
  250. 内村信行

    説明員(内村信行君) 確かに海上にできるわけでございますから、海上交通安全ということは十分考えなくちゃいかぬと思います。  そこで、抽象的に申し上げますと、やはりまず工事の段階におきまして、それからでき上がった後、この二つに分けてやはり海上交通との関連というものを考えなくちゃならぬというふうに考えております。そこで、騒音関係もございまして、やはり私どもといたしましては、最初は二キロぐらい離したらどうかというふうに考えておりましたが、現段階ではやはり五キロぐらい離さないと騒音は解消しないんじゃないかということで、五キロぐらい離すということを考えております。そうした場合に、同時に海上交通の流れを円滑にするのに役立つことになるので、飛行場を設置することが海上交通に致命的な影響を及ぼすものとは思われません。  さらに照明の問題等ございますが、やはりこれは照明の角度を変えることによって解消するだろう。現在羽田も東京湾に面しておりまして、いわば港のそばにある空港でございます。そこにつきましてもそういった問題が出ておりませんので、もちろんよく研究はしなければなりませんけれども、おそらく解決策はあるんじゃないかというふうに考えております。
  251. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 まあ私が言いたいのは、その資料をみんなのものにして、いろいろと海上交通の面では、その船に乗っている人たちの意見も聞いて、そして、どうせつくらなきゃならないものを、絶対反対という無理なことを私は言っているわけじゃないけれども、こういうふうになれば安全なんだと、こういうふうにしてほしいという、より安全な立場から考えて、みんなの意見も反映して、それからのことにしていただきたい。そうじゃなくって、もうこれはだいじょうぶなんだ、やっちゃえというような、そういうお役所的な圧力でもってやられてはたいへん困るので、そのところは重ね重ねみんなが納得できるような安全な対策という条件の上で考えていただきたいということをしっかりお願いしたいのですが、よろしいですか。
  252. 内村信行

    説明員(内村信行君) 私どもも当然そう考えております。それで、まあ関西新空港につきましては、現在の伊丹空港における航空上の伸びから申しまして、将来どうしても新しい空港をつくらないと関西の皆さま方がお困りになるのじゃないかというのが、そもそもの発想でございますから、それを、地元の方がどうしても困るというのを押し切ってやるというものでは毛頭ございませんしたがって、この点につきましては、先生おっしゃいましたように、十分に地元の御意向も、あるいは船舶のほうの関係の御意見、これは海上保安庁のほうにも頼みまして、これは集めてもらっておりますけれども、その他あらゆる方面の御意見を聞きながら、御理解をいただいてつくりたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
  253. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ、たいへんおそくなりましたけれども、米軍との関係でお伺いしたいと思います。いろいろございますけれども、簡単にお願いしたいんですけれども、緊急要綱が発表されて以来、日米の話し合いというのが四回ですか、いま行なわれておりますね。その四回までの中身というのが、私たちには何にも知らされていないで、そのあとで、第四回の協議のあと、訓練空域については協議をして、自衛隊空域と共同使用することについて合意したというようなことが出ておりましたですけれども、まあ私たちとすれば、米軍というものの事故というのが、またきのう起きましたですね、墜落いたしました。いままでずっと調べてみるとたいへんな数でございますし、先月横浜の団地で、あれだけしか離れていない、一秒の差でたいへんな人が死んでしまうというようなことを考えますと、やっぱり日米で話し合いということを言われているけれども、日本の立場として、一体どういう内容をもって話し合いをしていらっしゃるのか、たとえばブルー14のあの問題なんかも、一体この問題、具体的に提起なすって、これについてアメリカのほうは少し困るというふうにおっしゃっているのか。  それから航空母艦からの発艦、着艦というような問題ですね。それから日米の協議委員会ですね、いつだったか話し合いしましたね。都市の上の密集地帯の上は飛ばないということが約束されたのに、依然そのまんまに飛んでいるというような事実がございますでしょう。そういうようなことでアメリカと協議をなさるのに、一体具体的に日本としてはどういう腹づもりで、どういう内容を提示して話し合いを進めていらしったのか。また進めていらっしゃらないとしたら、今後どういうふうに進めようとしていらっしゃるのか、その問題を具体的にお伺いしたいと思います。
  254. 宮川渉

    説明員(宮川渉君) ただいま先生のお尋ねになりました点、三つになるかと思いますが、一つは、先生のお触れになりました、例の航空安全緊急対策要綱、これが十日の閣議決定を見ますと同時に、さっそくアメリカ側と連絡しまして、翌日第一回の会合をやったわけでございます。おっしゃいますように、その後四回開かれております。ただ、緊急対策要綱自体が、非常に、何と申しますか、大筋が書いてございまして、これの具体的な中身はどうかと、それにつきましては、やはり専門家同士で具体的にこまかい話をしなきゃいかぬということで、第二回目からは運輸省の航空局の管制課のほうと、それから米軍のほうの関係者とが、細目につきまして、緊急対策要綱の具体的な中身につきまして、いろいろ米側に説明をし、あるいは質問を受け、こまかい詰めをやっているわけです。そういう段階でございまして、その具体的な中身と先生おっしゃいましたが、その点につきましては、運輸省の専門家の方が米側と詰めをやっておられるわけでございます。  そして、次に先生おっしゃいましたこの間の事故でございますね、あれにつきましては、これも御承知かと思いますが、先週に合同委員会のほうの事故分科委員会というのがございまして、そちらのほうで、さっそく米側と集まりまして、そしてその際に、米側のほうから遺憾の意を表明しますとともに、わがほうから、特に市街地上空の飛行という問題、非常に重大な問題であるからということで、まず事故の原因、これはまあ米軍も調査を行なっておりますが、それがわかり次第知らせると、その上で、それを踏まえまして、どういう対策をやったらいいかということを詰めましょうということになっておりまして、まだ第二回目は開かれていないと承知いたしております。  それからもう一つ、安全保障協議委員会とおっしゃいましたが、ちょっと私が知っている限りでは、安全保障協議委員会でそういうお話が出たということは承知いたしておりませんけれども、市街地の上空飛行云々という問題は、それぞれの場所につきまして、何と申しますか、個々にと申しますか、話が行なわれ、それから米側との調整をやっておる、こういうことは承知しております。ことに今度の横浜の事故につきましては、さっき申し上げましたように、原因を究明した上であらためてそれに基づいて具体的な対策を協議しよう、こういう段階でございます。
  255. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 当然原因を究明していただかなければならないんですけれども、私がはっきりお伺いしたいのは、たとえばいろいろ専門的なことがあるからそういう人たちに検討いただいているとおっしゃるけれども、その検討する方向ですね、たとえばもう事故が起きて、そしてあわや大惨事ということになれば、私たちの立場とすれば、当然日本側としては、ああいう密集地帯の上を飛んでくれるなということ。それからすべての航空安全の問題になっているブルー14の問題、これをどうするんだ。それから米軍の飛行制限、管制権の返還というような、もう日本の立場としてやっぱり相当これは強く言ってもらっていいはずじゃないだろうか。それから航空母艦との往復によって起きている事故だとか、そういうふうなことからいえば、横田エリアだとか、岩国エリアというのは、非常に密集した航空路の中に入って出てきていますから、そういうようなもろもろの問題を具体的に、日本の立場としてはこれについては撤廃してほしいと、これについてはもっとアメリカは譲歩するべきだというような内容を持ってやっていただきたいわけですよ。それを、ただ抽象的な緊急対策のあの七項目で協議いたしましょうとか、何とか御相談に乗っていただけませんかというような弱腰の態度では、私たちの安全というのは守ってもらえないと思うのです。そこから、そういうような具体的な問題を提起して、日本の国民の命を守るという立場でやっていただいているのかどうかですよ。もしやってそこまでまだ煮詰まっていないんだとすれば、そういう立場に立って今後やるという、そういう考えをお持ちになっているのかどうか、そこのところ、時間がございませんので、簡単にお答えいただきたいと思います。
  256. 宮川渉

    説明員(宮川渉君) 先ほど失礼いたしました。ブルー14云々という点を落としましたが、当面の航空安全緊急対策要綱、これは何ぶん防衛庁と運輸省の間でずっと詰めておられますが、同時に緊急を要する問題で、これが当面取り上げられたわけでございます。  他方ブルー14とか、横田エリアとか、こういう問題は、もっと大きな広い全般的な航空の問題で、先生御指摘のとおりでございまして、これにつきましては、たしか先月の中ごろでございましたか、内閣委員会で一ぺん木村臨時代理からも申し上げましたように、航空交通管制と申しますのは、やはり非常に高度な技術的なものがございまして、そういう点を踏まえ、それから先ほどからお伺いしておりますいろいろわがほうの体制というような問題もございますし、施設の問題もございますし、そういうものを全般的に運輸省としても練り直しておられる。そういう基礎に基づいてやりませんと、いわば、何と申しますか、抽象的な話を出すのは、これはアプローチが違うんではないかと、木村臨時代理からも申し上げましたが、私どもその考えで、その際、同時に大臣がおっしゃいましたように、運輸者のほうで成案を得られれば、それに基づいて米側と交渉したい、こういうことでございます。
  257. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 時間もだいぶ経過しておりますので、それじゃ九月二日に合意になったという問題ですね、訓練空域の自衛隊と米軍との共同使用ということが合意になったと書かれているのが出ていましたけれども、そのとおりなんですか。それで、もしもそうだとすれば、訓練空域は、低高度の場合も高高度の場合も、全空域を含めているのかどうか、その辺ちょっとお伺いしたいと思います。
  258. 宮川渉

    説明員(宮川渉君) その点は、先生のおっしゃいました新聞の報道は間違いだと存じます。私どもが承知している限りでは、まだそういうことはございません。
  259. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 次に……。
  260. 藤原道子

    委員長藤原道子君) せっかくだけど簡単に。少なくも五時までには終わらしていただきたいと思います。
  261. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ大事なところだけ、せっかく久保さんいらしって、待たしているからお伺いしたいと思いますが、自衛隊のほうで事故が起こったときには、まあ安全の十分な確保というようなことで、国会でもまことに低姿勢で、それで少しは変わるかなというふうに私たちも期待いたしましたけれども、残念ながら、この前の低高度の訓練空域八カ所指定の問題にかんがみても、防衛庁のほうは非常に強腰で、はっきり言えばごり押しで、ICAOで言えば二十八日前というようなことがあるというのに、実質は五時間十七分だったというようなことも聞いております。それからまた八月十四日のあの小月上空で起こったニアミス問題や、松島基地で九日、発着訓練ではあるけれども、訓練をすでに再開されておるという問題もございます。それからまた佐藤総理大臣が、防衛庁の会議で、たいへん高姿勢で居直っちゃって、この間の事故で自衛隊機が民間飛行機を目的にしたなどというのはいわれもない批判だ、諸君はしっかり訓練せよというような非常に威勢のいいごあいさつをなさっていた。また今度は、浜松航空自衛隊の、これは何という方でしたか、市民会議というのをつくって、そうして六項目の公開質問状というものを持っていったときに、たいへんなことを言っていらっしゃるわけですね。国会の大臣の釈明は航空法を知らないものの発言だ、この間の衝突は双方が悪いのだなどというような——中村副司令という方でしたね。上のほうは国会でたいへん低姿勢で、非常に一生懸命やっていらっしゃるように見えるのだけれども、やっぱりもう全然徹底していないという事実が一ぱい出てくるわけなんですね。そういうことから考えても非常に心配だ。このまんまで防衛庁さんはどんどん再開されたりなんかするということになるのじゃないかという不安を持っているわけなんです。で、一番心配なのは、航空路に当たる基地からの発進というのは非常に危険性がある。そういう点から、実際に航空自衛隊の移動、縮小とか、そういうところの問題、空域の問題もありますけれども、そういうものをどういうふうに考えていらっしゃるのだろうかということですね、全般的な問題として。  それから、八月十日に高高度の訓練空域というのを十六カ所要求されておりますね、防衛庁は。で、運輸省のほうで十六カ所のうち合意されているのはどの程度になっているのか。伺うところによれば、大体のところは合意されているというふうに伺っていますけれども、合意されていない問題のあるところは、一体どういう理由で運輸省のほうとしてはこれはちょっと困るというふうに思っていらっしゃるのかどうかですね。今度はそういうふうな高高度の訓練空域というものを指定なさるときには、これは当然ICAOの規定どおり二十八日——特に今度の場合はソビエトのほうの関係も入ってまいりますから、そういうようになれば当然二十八日間の余裕をもってきちっとすべきだと思う。この間のように大至急というようなことでやられたら困るのです。そういうふうに私たちとしては考えているのですけれども、その辺のところを防衛庁さんはどういうふうに考えていらっしゃるかお伺いしたいと思います。
  262. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) 中村副司令の発言が新聞に載っているそうでありますけれども、私は内容を存じませんが、御経験のように、新聞の記事は必ず正確に発言をそのまま写しているとも思いませんので、その問題について議論をするのは適当でないと思いますが、一般的に申しますと、自衛隊全体、陸海空自衛隊とも、何といいますか、事故のあとで低姿勢になっていることは申すまでもないと思います。それはわれわれの見解のみならず、第一線の部隊もそうであります。ただ先般来の事故の中で、事故原因がはっきりいたしておりません、いずれ明確になると思いますけれども、大体パイロットなどの常識からすると、部隊などでは発言したいことがある。国会のほうでは私どもは、発言したいことはそういった点はあまり触れておりません。いわば恭順の意を表しておるわけでございまして、そういう意味でパイロットなどが、パイロットの常識としてはこういうことを言いたいのだというのが、おりに触れ出るのではなかろうかというふうに私は思います。しかしながら、事故について再びああいったことを起こすまいという決意というものは、長官あるいは総理大臣以下全部隊にまでみなぎっておりまするし、昨日の会議でもまた総理、長官その他からもいろいろの指示があったところであります。  それから高高度訓練空域のことでありますが、十六カ所運輸省のほうに提案をいたしております。そのうち大体事務的に検討が済みましたのは四カ所でありまして、残りは、だめだとか、こういう問題があるということであるよりも、運輸省のほうで第一線にも相談をされて非常に詳細に検討をされているということで時間的におくれている。もちろんわれわれのほうは原案でありまするから、運輸省のほうで専門的にごらんになって、航空安全上まずいところがあれば当然修正されて、運輸省のほうからも告示をされるということでありますし、またICAOの規定の読み方にも若干私は問題があるように思いますけれども、しかし運輸省のお考えの中に、ICAOの精神にのっとって告示をされ、公示をされ、その後にわれわれとしては高高度訓練を開始をするということになっております。
  263. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 もうこれで終わりますけれども、私たいへん心外でございます。たとえば、いま新聞の記事は明確じゃない、だからそのことについて議論したいとは思わないとおっしゃった、そのことば。私もそれは聞いたわけじゃないから正確じゃないですよ。だけれども、あの小月飛行場の上でのニアミスの問題、そして浜松、こういうことを言ったという——全然反対のことを書くわけはないですよ、ことばは違っても。そういうような非常な高姿勢な立場で下がいるということは事実だと思うのですよ。それなのに、あなたはいまそういうことは新聞の記事だと、あなた自身の態度は非常に高姿勢ですよ、いま見たら。口ではいろいろおっしゃっているけれども、そういう態度だったら下にまで浸透してますよ。その辺のところはしっかり考えていただきたいと思います。そういうことで下のほうにまで徹底していません、はっきり言って。私は一言一言この新聞の記事が正しいとは言いませんけれども、国会の答弁もああだったなんということを平気で言っているでしょう。そして小月の問題だって運輸省と防衛庁のほうの見解というのは違う。それはどっちがどうだというのはわかりませんよ。だけれども、そういう事態が起こったということは事実なんでしょう。そうしたらいままで以上に、ただことばで言うのじゃない、頭を下げるという形式ではなくて、ほんとうにもっと自衛隊としてもしっかり考えて、航空安全のために、国民の命を守るという自衛隊なら、まずその自衛隊で殺されないようにしてほしいと思います。  運輸省とのこれからの交渉に際しても、そういう立場でやってもらわなければ、これからも事故というのはまた起きます。最後にそれだけ申しまして終わります。
  264. 藤原道子

    委員長藤原道子君) いま小笠原さんから御発言ございましたが、いつも新聞記事が問題になるのですけれども、私たちもこの点は十分防衛庁で考えてほしいと思います。きょうはたいへん長くお待たせしながら、時間の関係で小笠原さんも十分な質問ができなかったと思いますけれども、次回に、もし問題があれば参考人も呼んだってよろしゅうございますから、お考えおきを願います。  それから、運輸省に先ほど資料を請求なさいましたが、やはりこの委員会の全員にお願いしたい。
  265. 内村信行

    説明員(内村信行君) はい。
  266. 藤原道子

    委員長藤原道子君) では、ほかに御発言がなければ、本日の調査はこの程度にいたします。  本日はこれで散会します。    午後五時四分散会