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1971-08-10 第66回国会 参議院 建設委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年八月十日(火曜日)    午前十時九分開会     —————————————    委員異動  七月二十三日     辞任         補欠選任      大森 久司君     竹内 藤男君  七月二十四日     辞任         補欠選任      佐田 一郎君     熊谷太三郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小林  武君     理 事                 中津井 真君                 丸茂 重貞君                 山内 一郎君                 田中  一君     委 員                 小山邦太郎君                 古賀雷四郎君                 竹内 藤男君                 中村 禎二君                茜ケ久保重光君                 二宮 文造君                 村尾 重雄君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        建 設 大 臣  西村 英一君        国 務 大 臣  渡海元三郎君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        警察庁交通局交        通規制課長    竹岡 勝美君        北海道開発政務        次官       上田  稔君        大蔵省理財局国        有財産第一課長  藤原 重信君        通商産業省化学        工業局窯業建材        課長       原野 律郎君        労働省労働基準        局監督課長    吉本  実君        労働省職業安定        局参事官     永場 久治君        建設大臣官房長  大津留 温君        建設省計画局長  高橋 弘篤君        建設省都市局長  吉兼 三郎君        建設省河川局長  川崎 精一君        建設省道路局長  高橋国一郎君        建設省住宅局長  多治見高雄君    参考人        首都高速道路公        団理事長     鈴木 俊一君        首都高速道路公        団理事      有江 義晴君        新東京国際空港        公団理事     杉野 信吾君        東京急行電鉄株        式会社常務取締        役        山田 秀介君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○建設事業並びに建設計画に関する調査  (台風第十九号による被害状況に関する件)  (不動産鑑定士就業実態等に関する件)  (首都高速道路工事等における建設労働者の安  全対策に関する件)  (新東京国際空港における労働災害に関する件)  (建設産業における建設労働力の確保に関する  件)  (沖繩における道路及び下水道の整備等に関す  る件)  (利根川水系におけるダム建設及び関越自動車  道に関する件)  (砂利の採取に関する件)     —————————————
  2. 小林武

    委員長小林武君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る七月二十三日、大森久司君が委員辞任され、その補欠として武内藤男君が選任されました。  また七月二十四日、佐田一郎君が委員辞任され、その補欠として熊谷太三郎君が選任されました。     —————————————
  3. 小林武

    委員長小林武君) 次に、理事選任を行ないます。  前回の委員会におきまして四名中二名の理事選任いたしましたが、本日は残りの二名の選任を行ないます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小林武

    委員長小林武君) 御異議ないと認めます。それでは理事丸茂重貞君及び山内一郎君を指名いたします。     —————————————
  5. 小林武

    委員長小林武君) この際、渡海北海道開発庁長官及び上田北海道開発政務次官より発言を求められておりますので順次これを許します。渡海長官
  6. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 委員会の開催に際しまして一言ごあいさつを申し上げます。  私は、去る七月の内閣改造北海道開発庁長官オリンピック担当大臣を命ぜられました渡海でございます。  御承知のとおり、北海道総合開発は、わが国経済社会の繁栄に積極的に寄与する国家的事業であります。北海道現状を見ますると、第一期及び第二期北海道総合開発計画成果が逐次あらわれ、順調な発展を遂げておりますが、さらにこのような開発成果を基礎として北海道の有するすぐれた潜在発展力を効果的に発揚し、国土利用の抜本的再編成に積極的に寄与することが今日強く要請されております。  本年度から実施に入りました第三期北海道総合開発計画におきましては、北海道長期的発展起動力となる先導的開発事業計画的推進を通じまして、高生産性産業の展開と明るく住みよい地域社会の創出のための環境条件を総合的に整備することといたしております。この計画推進にあたりましては、「日本のあすをつくる北海道」を建設するという心がまえで、生産と生活が調和する豊かな地域社会先駆的実現をめざして全力を傾注する所存であります。  また、明年二月に開催されます札幌オリンピック冬季大会につきましては、大会に必要な競技施設関連公共施設等はそのほとんどが完成に近づいております。今後は、この大会が平和を願う世界民族のスポーツの祭典として行なわれる趣旨を体し、大会を成功に導くよう、最善の努力を尽くす覚悟であります。  どうか各位におかれましても、北海道総合開発に格段の御理解をいただき、今後とも一そうの御協力と御支援をお願い申し上げましてごあいさつといたします。よろしくお願いいたします。(拍手
  7. 小林武

  8. 上田稔

    説明員上田稔君) このたび北海道開発政務次官を仰せつかりました上田稔でございます。  渡海長官を補佐いたしまして北海道開発に懸命の努力をいたす覚悟でございます。何とぞよろしくお願いをいたします。(拍手)  また、建設委員会に所属をさせていただいておりました間におきまして、皆さま方にたいへんに御指導をいただき、お世話いただきまして、ほんとうにどうもありがとうございました。この際御礼を申し上げたいと思います。ほんとうにどうもありがとうございました。今後ともよろしくお願いをいたします。(拍手)     —————————————
  9. 小林武

    委員長小林武君) 参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  建設事業並びに建設計画に関する調査のため、本日の委員会東京急行電鉄株式会社常務取締役山田秀介君、首都高速道路公団及び新東京国際空港公団役職員参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 小林武

    委員長小林武君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  11. 小林武

    委員長小林武君) 建設事業並びに建設計画に関する調査を議題といたします。  まず、今般の台風第十九号による被害の概況について建設省より報告を聴取いたします。川崎河川局長
  12. 川崎精一

    説明員川崎精一君) お手元に、台風十九号による被害状況ガリ刷りがございますので、それを御参考にしていただきたいと思います。  台風十九号につきましては、御承知のように、七月三十一日に硫黄島南西洋上で発生いたしまして、発達しながらゆっくり北上をしてまいりまして、八月五日四時ごろ鹿児島阿久根付近に接近後、熊本県天草、長崎県島原半島、佐賀県、福岡県等を経まして、同日十四時ごろ玄界灘に抜けましたが、この台風に伴います暴風雨により九州地方中心西日本各地被害が発生いたしまして、建設省所管公共施設にかかります被害につきましては、現在までに判明いたしておりますところで総計百六十五億一千六百万円に達しております。なお、これにつきましては、さらに詳細な調査の結果、若干増加するのではないかと思われます。  その概要といたしましては、公共土木施設といたしまして、直轄災害補助災害を合わせまして合計で九千九百十一カ所、百六十五億六百万円でございます。また、都市施設に関しましては、全体で十三カ所でございまして、これが九百五十八万となっております。また住宅関係被害につきましては、全壊が二百六十四棟、半壊が三百二十三棟、流失三十九棟、以下、破損、床上浸水床下浸水全体を合わせまして一万九千八百四棟がその被害を受けております。これらの土木施設の内訳につきましては二ページ以下に大要を記載してございますので、ごらんいただけばけっこうかと存じます。  なお、今回の災害に伴いまして、五ページにございますが、熊本県、鹿児島県、宮崎県の全体で十八市町村に災害救助法が適用されております。  なお、今回の被害に伴いますがけくずれでございますが、これにつきましては鹿児島県、熊本県、大分県、愛媛県、山口県の五県におきまして三十四カ所、人的な被害といたしまして、死者、行くえ不明が五十六名、それから人家被害が二十九戸全壊、六戸が半壊被害を見ております。なお、そのほかに土石流の災害といたしまして、鹿児島県、宮崎県にそれぞれ一カ所ずつ、計二カ所、人的な被害といたしまして死者が三名、負傷者が二名、人家全壊が六戸の被害が出ております。  以上でございます。
  13. 小林武

    委員長小林武君) ただいまの報告について質疑のある方は、御発言を願います。——それでは、これから質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言お願いいたします。
  14. 田中一

    田中一君 先年、不動産鑑定士特例試験延長いたしましたけれども、その結果、現在どのような各府県の分布になっておるか、説明してください。
  15. 高橋弘篤

    説明員高橋弘篤君) 不動産鑑定士特例試験、御承知のように四十五年、四十六年二カ年ということで法律議員立法で通過したわけでございます。昨年の八月、十月にこの特例試験をやりまして、合格者の数が現在特例試験不動産鑑定士補のほうが二百六十四名、不動産鑑定士が二百六十一名、合計五百二十五名でございます。それの各県別分布状況でございますけれども、各県別にみんな申し上げましょうか。
  16. 田中一

    田中一君 総ワクでいいです。
  17. 高橋弘篤

    説明員高橋弘篤君) 総ワクはいま申し上げたとおりでございます。
  18. 小林武

    委員長小林武君) いまのやつを資料で出してもらいます。
  19. 高橋弘篤

    説明員高橋弘篤君) 資料として提出いたします。
  20. 田中一

    田中一君 地価公示法が出て以来、政府がいままで行なっておる鑑定評価地点は、東京名古屋大阪の三地方だと思うのですが、今後どのような方法で全国的に何カ年の計画地価公示をしようとするのか、その計画をお話を願いたいと思います。
  21. 高橋弘篤

    説明員高橋弘篤君) 地価公示制度は、御承知のように、昨年の四月一日に第一回、九百七十地点におきまして、東京大阪名古屋におきまして地価公示をいたしました。そして四十六年、ことしの四月一日に千三百五十地点におきまして、東京大阪名古屋及び北九州地点におきまして、公示をいたしたわけでございます。御承知のように、全体計画といたしましては、市街化区域内におきまして、一平方キロメートル一地点という計画で、この地価公示をいたすという計画にいたしまして、したがって、全部で約一万二千地点におきまして地価公示をいたすということにいたしておりますけれども、これを四十九年の四月一日に全部完成いたしたいという計画で、いろいろ大蔵省その他と今後も折衝いたしたいというふうに考えている次第でございます。
  22. 田中一

    田中一君 そうして、それ以外の都市は継続して行なうつもりですか。
  23. 高橋弘篤

    説明員高橋弘篤君) 先ほどことばが足りませんで申しわけございませんでしたが、この市街化区域全体について、一万二千地点において地価公示をいたすわけでございますから、先生仰せの、逐次人口五十万以上の都市、また三十万以上の都市、その他十万以上の都市というふうに、逐次これを四十九年四月一日までに地価公示をいたしてまいりたいという計画でございます。
  24. 田中一

    田中一君 鑑定士並びに士補、これが現在資格を持っておる有資格者が三千八百七十四名いるということが、この特例試験以前の合格者を含めますとそうなるわけであります。これらの諸君が相当希望ある職務として、職業としてこれを選んだわけでありますけれども実態はこの地価公示法、これに基づいて国が行なう鑑定評価ということを中心に考えておったのでありますけれども、これはなかなかそうはいかないのです。政府は自分の息のかかった団体、というとちょっと語弊があるかしらぬけれども、その団体の力と申しますか、正確さというか、そういうものを評価して、それに所属する鑑定士ならば依頼するんだというような傾向があるんではないかと思うんでありますけれども、今後行なうこの政府並びに政府関係機関の行なう鑑定評価という仕事、並びに紛争等に、民事等紛争等裁判所で行なうこれらの鑑定評価という事件で、どれくらいの有資格者が適当であるのか、推定されたことがありますか。もしあればそれを説明してほしいと思うのです。
  25. 高橋弘篤

    説明員高橋弘篤君) 先生の御質問趣旨は、政府公共用地取得その他におきまして不動産鑑定士を依頼する、また裁判におきましての紛争事件その他で、鑑定士を利用するという数がどれくらいか、そのためにはどれくらいこれから不動産鑑定士が今後必要であるかということを御質問だろうと思いますけれども、将来の計画については現在そういう詳細については手持ちがございませんが、現状におきまして、まず第一番の政府関係につきまして申し上げますと、公共用地鑑定士活用状況について申し上げますと、国とか公共団体が四十四年度鑑定評価を受託しました件数は約二万件でございます。これは不動産鑑定士につきまして全体の鑑定を求めました件数が五万八千件でございますから、その中の約三三%でございます。それから公社とか公団というものにつきましても約五千五百件ばかり受託を四十五年いたしておりますから約九・五%ぐらい、合わせて四二・五%程度が国の機関がいま鑑定士鑑定評価を受託いたしている件数でございます。今後の見込みは、今後のこういう公共用地取得の需要によって伸びてくることが想像されるわけでございますけれども、詳細な計画は持ち合わせていない次第でございます。  それから民事関係におきましては、裁判所民事裁判の場合におきまして不動産鑑定士を活用いたしまして鑑定にこれを利用するという件数は、これは相当多かろうと存じますけれども、法務省に問い合わせましたけれども、これは確たる数字がないわけでございますが、一方特殊な件につきまして、たとえば四十二年に発足いたしました借地非訟事件制度というのがございます。これにつきましては鑑定委員というものが約四千人任命されておりますけれども、その中の四百十六人、約一割が不動産鑑定士に任用されているわけでございます。これはまだ発足日が浅いわけでございますので、今後はもっとこういうものが活用されるというふうに考えておる次第でございます。  それからもう一つ、一番最初の御質問地価公示におきまして不動産地価公示をいたします場合に、土地鑑定委員会不動産鑑定士に依頼してそうして地価公示をいたす。それを、不動産鑑定士鑑定評価、これを調整いたしまして地価公示をいたすわけでございますが、この関係不動産鑑定士が必要な数が、一番最高のところで先ほど申し上げました計画で四十八人でございます。これで約千五百人不動産鑑定士が必要でございます。そういう私ども不動産鑑定士についての数を考えている次第でございます。
  26. 田中一

    田中一君 昨年の特例試験延長という問題は、これは衆議院の議員提案の形で提案され、われわれもこれに賛成した者でありますけれども政府としては、これの過不足を判断して、もう一歩進んで試験延長特例試験延長をやろうという意向があるかどうか。  もう一つの問題は、沖縄国会で少なくとも日本国民社会地域社会等に関する法律というもの、これはもう全般にわたって相当大幅な法案が提出されるように承知しておりますけれども、その中には、この不動産鑑定士試験もあわせて、沖縄県に対する特例試験等を行なう用意があるのかどうか、その点を伺っておきます。
  27. 高橋弘篤

    説明員高橋弘篤君) 不動産鑑定士特例試験につきましては、先生のおっしゃったとおり、ことしで一応期限が議員立法の現在の法律ば終わるわけでございますが、今後のことにつきましては、これは私どもといたしましては、先ほどから申し上げておりますように、大体現状におきましては政府としては延長立法を提案するという気持ちはいまないわけでございます。鑑定士現状から見ますと、先生のおっしゃいましたとおり、現在すでに二千八百五十八人が試験に合格いたしております。また登録も二千六十三人がいたしております。地価公示実施のためには、先ほど申し上げました数字から言いまして、量的に不足はないというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、また本年度この特例試験が行なわれます、また本試験も行なわれますので、特に現在鑑定等の数を緊急に増加させる必要を感じているわけではないのでございます。  もう一点の沖縄の件でございますが、沖縄におきましては今度復帰いたしますとこの不動産鑑定士がやはり必要になってきますので、御承知のとおり不動産鑑定のこの法律が三十九年に最初のころ特別試験を行なっております、あれと同じような試験沖縄におきまして経過的に行なう予定でいるわけでございます。
  28. 田中一

    田中一君 そうすると、沖縄の場合には沖縄県民だけに特別に行なう選考的試験と、こういうことですね。
  29. 高橋弘篤

    説明員高橋弘篤君) 御意見のとおりに現在のところ考えております。
  30. 田中一

    田中一君 政府としては再度特例試験延長をしないという意向だということに了承してよろしゅうございますね、政府としては提案しないというふうに。
  31. 高橋弘篤

    説明員高橋弘篤君) 先ほど申し上げましたように、現状におきましては政府としては延長立法を提案する予定はないわけでございます。
  32. 田中一

    田中一君 この問題はじゃ、それでけっこうであります。  次に、最近、これは東京ばかりじゃございません、大阪でも、相当大都市では進んでおりますが、都市土木の公害についてその実情を知りたいんであります。これは単にその現場におけるあらゆる災害というものじゃなくして、どこかモデルとして取り上げたいというつもりで、二四六号線の東急地下軌道の問題、それに路面整備は、二四六号線は拡幅されて四十メートル道路になっておりますが、その空中にいま築造中の高速道路の問題、この二つを並行して仕事が行なわれておりますが、一つの問題はそうした労働災害という問題と、もう一つは、昼間に作業ができないためにすべてが夜間に工事を進めております。それで、それらが一番必要な工期というものとそれから安全というものとどちらにウエートをかけて行ないつつあるのか、また、地下工事等につきましては労働者の就労時間というもの、あるいは二部制か三部制か、そういう点等もあわせて、東急山田さんからひとつ大体の計画と、いままでの計画進行状態、それから事故のありなし、それから完成がいつごろになるかという点等も伺いたいと思うのです。
  33. 山田秀介

    参考人山田秀介君) ただいまお尋ねの当初の、通称新玉川線と称しておりますただいま国道二四六号線の下に地下鉄工事を進めています。工事の始まりましたのが四十四年六月でございます。工事は大体第一期及び第二期と二つに分けております。第一期と申しますのは、全線九キロ六百であります。このうちの約三キロ、ちょうど首都高速道路公団のおつくりになっていらっしゃる高速道路と上下に重なっておる関係で、同時施工の可能あるいは同時施工のほうが都合がよろしいという部分、これが第一期工事の約三キロでございます。大橋から中里までの二キロ六百ばかり及び真中付近の二百メートルほど及び新町付近の八十五メートル、この三カ所の合計約三キロでございますが、この第一期工事に関しましては、大体作業は終了いたしております。目下のところ残工事といたしまして路面整備、あるいはあと片づけ、こういうあと処理仕事が残っておりますが、これもおおむね本年の十一月ごろには完了するという目算を立てております。  なお、残ります第二期工事でありますが、この工事につきましては、全線シールド工事をもって施工いたします。路面交通及び周辺に対しまして若干の騒音その他の御迷惑をかける要素が皆無ではありませんが、シールドをもって残工事はいたしたいと考えております。なお、第二期工事の終了時期でございますが、これはこの新しい鉄道の性格上帝都高速度交通営団——地下鉄でございます。これの地下鉄との相互乗り入れ計画いたしておりますので、これと歩調を合わせる予定で、目下のところ五十年の夏ないしは秋に完成をするという目途で計画を練っております。  なお、御指摘労働災害関係でございますが、目下この工事全線にわたりまして、工区を九つの工区に分けております。渋谷態谷組から始まりまして最終の清水建設まで全体を九工区に分割して工事を進めておりますが、四十四年六月すなわち二年ちょっと前からでございますが、始まりましてから本日まで働きました労務者延べ労働時間が五百万時間ということになっております。実働八時間で仕事を進めておりますので、延べ人員にいたしますと大体六十三万人ぐらいの仕事量になっております。なお、労務者交代は二交代、休憩時間を入れまして実働八時間プラス一時間で九時間ということで、二交代十八時間で仕事を進めております。現在まで先ほど申し上げましたように約五百万時間の仕事をやったわけでございますが、不幸にしてこの中途、大成の工区で昨年の五月に死亡事故が一件発生しております。その死亡事故一件を含めまして、負傷を含めまして五十件の災害が起きておるわけでございまして、この点災害ゼロでなかったことについてあらためて反省をいたしております。  なお、労働安全対策につきましては、直接私ども労務者を使用するという立場ではありませんが、この九つの工区を分けて持っております各建設会社と合同いたしまして、新玉川線建設安全協議会という協議会をつくって、この協議会で施主である東急並びに施工業者との間の意思の疎通その他をはかって、担当でございます品川、渋谷の両労働基準監督署から毎月一回担当官においでをいただきまして、安全順守をいたしております。また、各請負業者間で安全競争も行なっておりまして、四カ月ごとに締めくくりまして、ナンバーを振って、安全意識の高揚をはかっております。  なお、ただいま申し上げましたことは第一期工事といたしましての実績でございまして、なおこの余勢をかって第二期工事も何とか労働安全の実をあげたいと考えております。
  34. 田中一

    田中一君 首都高速道路公団鈴木さん、いまあなたのほうの仕事もちょうど競合してやっておられるわけですね。計画を一応説明してほしいんです。
  35. 鈴木俊一

    参考人鈴木俊一君) ただいま御指摘の三号二期線の工事でございますが、いま大体約二百億の予算で四十三年の五月から着工いたしておりますが、工事はおおむね順調に進んでおりまして、本年の十二月の二十日ごろには三軒茶屋まで開通をすることができると思っております。全線の用賀までの開通は明年の二月中という予定でいま工事を進めておるわけでございます。全体の工事につきましての受け持ちでございますが、上部構造はただいま東急山田さんからお話がございましたが、大橋から用賀まで全線、これは公団がやっておるわけでございますが、三軒茶屋を境にいたしまして、三軒茶屋から大橋寄りのほうの地下の工事につきましては東急さんのほうに委託をしてやってもらっております。また三軒茶屋以西の用賀までの部分につきましては、これは先ほど山田さんからお話のございました真中あるいは新町の、これは将来の地下鉄関係工事でございますが、そういうものも公団が委託を受けまして、要するに三軒茶屋から西のほうは公団が上も下も全部やっておる、こういう形に相なっておるわけでございます。  工事の安全あるいはことに労務の安全の問題につきましていろいろ御心配のお尋ねでございましたが、この点につきましては、公団といたしましては、特に都区内の公共土木工事災害の起こりませんように、要綱に基づきまして各業者を指導、監督をいたしておるわけでございます。また労働基準監督署、警察、警視庁、警察署とも十分連絡いたしまして、随時安全上必要なる巡視、巡回を工事事務所の者とともにいたしておりまして、できるだけ事故を少なくするように努力いたしておるつもりでございます。  昼夜間の工事関係でございますが、鋼げたの架設につきましては大型の作業車、ことに鋼げたが長尺ものでございまするので、交通渋滞あるいは安全というようなことから夜間の工事を必要といたしておりまして、そういうものは夜間いたすわけでございますが、二十三時から朝の六時ぐらいの間にさような危険を伴う工事をいたしまして、昼間はたとえばボルトを打ちますとかいったような昼間の作業として支障のないものを中心にやっておるということでございます。  工事事故につきましては、いまお手元にございます調査といたしましては、四十四年の四月七日以降五件の死亡事故がございまして、まことに遺憾なことでございますが、五人のとうとい犠牲を出しておるような次第でございます。今後とも私どもといたしましてはかような事故を最小限度に、あるいは絶無を期してやっていきたいと考えておるわけでございまして、十分関係のものを今後さらに督励してまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
  36. 田中一

    田中一君 警察庁の規制課長ちょっと前へ出てください。都市土木の問題は、非常に大きく地域住民の生活を脅かしておりますが、これはまあその場所、条件等によって異なりますけれども、地域住民の生活環境を悪くするということならば一体短期にこれが完成したほうがいいんではないかという考え方も出るわけです。ちょうど私のうちは三軒茶屋のすぐあの現場から百メーターぐらいの直径のところにあるんですが、これは夜なんか寝られるものじゃないんです。ちょうどいま橋げたの何というか据えつけの時期であります。そこでね、一体二四六号線の並行線、あるいはこの回線があるならばあれを一ぺんに閉鎖してしまって通行を閉鎖する、交通を閉鎖しちゃってそうして早期完成という意味において昼夜仕事をする、こういう方向をとると一これいま、あなたちょっとあとにしてください一こういう方向をとることのほうが、たとえば東急のほうとしても首都高速道路公団のほうとしても経済的にはどちらが得なんでしょうか。それから工事の点から見ると全体から見てどちらが、得損というよりもそのほうが好ましいか好ましくないかという点について山田さんと鈴木理事長から答弁願いたいと思います。経済性と申しますか安全性と申しますか、両方の面から見て。
  37. 山田秀介

    参考人山田秀介君) ただいまの御質問に対しまして私どもの考えておりますことは、やはりなるべく短期にものごとを済ましてしまうというのが、一応の基本でございます。経済的にどうかという点がもっぱら営利会社でございますのでどうしてもそこにしぼられますけれども、やはりなるべく早くやれるものは短いほうが有利であるという観点及び安全の面からはどうかというお尋ねかと思いますけれども、この点につきましては先ほどちょっと申し上げましたように二交代制で九時間でやっておりまして、過労によって問題が起きたというふうに考えられるケースはゼロでございます。したがって現在のような仕事の段取りそのものがすぐ労働安全に響くということはおそらくないであろうと考えております。  なおついでにもう一つ申し添えますと、先ほどのところで私がちょっと触れましたけれども、第二期工事になりますとほとんどがシールド工法になります。安全の面でもその点では一段と高まるであろうと思います。なお沿線に対する特に騒音の公害という問題はシールド工法に関する限りは非常に少なく、音そのものはゼロに近くなるであろう。ただやはり下からどろをあげて運びますので、その意味におきましてはトラックの往来が沿線の皆さんに御迷惑をかけるだろうということは考えられますけれども、全般といたしましては短いほうが万事よろしいんではないかというふうに私ども考えております。
  38. 鈴木俊一

    参考人鈴木俊一君) たいへん夜間騒音工事、騒音を発しまして、御迷惑をかけておるわけで、まことに恐縮に存じておりますが、この作業は大体八月中に完了する予定でございます。したがいまして、いままでのような長尺もののけたを引っぱり回して作業をするということは、九月以降は夜間はなくなるわけでございます。また最近は御案内のことと存じますが、高張力ボルトというものをけたの継ぎ目に使用するというような関係で、騒音もだんだんと少なく低くなってきておるということで、まあ工法の改善を考えておるわけでございます。いま御指摘のように、二四六号線をストップして、短兵急に一挙に片づけてしまったらどうかという御意見も確かに傾聴に値いたします意見でございますけれども、まあ私どもといたしましては、交通規制の現状等からいたしまして、それもまあなかなかむずかしいのではないかというふうに考えまして、警察方面とも十分連絡をいたしました末、現在のような工事の方式をとっておる次第でございます。
  39. 田中一

    田中一君 地下鉄工事は完全にシールド工法でやれば、いま山田さんが言っているように、運搬の事故があり得るのかもわからぬけれども、それは音、音響そのものはなくなっていきますからいいと思います。それはその工法だけを取り上げてほしいと思います。ただ屋外の高速道路の問題にしても、あの工事中にレンチが落っこってくるとか、手元の鉄棒が吹っ飛ぶような事故が再三あるのです。これはなるべく板を張って落ちないようにしておりますけれども、何ぶんこの暑さの中でやっていると、多少ともそういう事故があるのです。特にこれからコンクリートを打つようになってくるともっとひどい。アク汁が落ちてくる。これはまああそこは横断歩道以外は人が通りませんが、車には必ずアク汁がかかってくる。これは落ちないのですよ。そうした意味の小災害というものは常にある、現在でもあります。こういうものはだれがどこに何を持ち込んだらそれが解決されるのか。もうかって気ままにやられっぱなしというのが現状なんです。これは決して二四六号線のあの高速道路ばかりじゃございません。どの地域にも起こっている現象でありますが、それらに対してはどういう手当てをさしておるのですか。そういうものが作為的なものでなくしてほんとうに軽微な過失から大きな問題が起こる。ボルト一つ落としてもたいていの自動車には穴があいちゃいます、非常に加速度の力で、きますから。それは一々事故があるからといって訴えていたんじゃ、すぐ交通が渋滞するのです。どうにもならなくなってきます。だから市民は泣き寝入りしている。音響にしてもそうです。それは泣き寝入りしているわけです。こうした公共施設でありますから、一日も早く完成したほうがいいということになっておりますけれども、こういう点等、警察庁ではそうした災害というか、小災害に対して処置すべきだとお考えになっておるか、その点はどうですか。
  40. 竹岡勝美

    説明員(竹岡勝美君) こういう建設工事に対しまして、警察のほうは交通の安全と特に円滑の問題からいろんな条件をつけまして道路使用を認めておるわけでございます。先ほど先生おっしゃいましたとおり、こうした工事をできるだけ早く進捗させるメリットと、一方では交通の安全と円滑を阻害するデメリット、この間の調整を考えまして、警察はいろいろな条件をつけてやってもらっております。幸い御承知のこの二四六はまん中の玉川線を取り払いましたので、非常に車道幅が広がったのであります。そこで、多くの部分の車道の中央で、幅五・五くらいを確保できる工事は、これは昼夜間続行してやってもらっております。ただし、先ほど首都高速の方から話がございましたように、非常に大がかりな横げたのつり上げとか、あるいはけたの架橋とか、そういった意味で片側二車線ぐらいしかとれないというような工事につきましては、夜間やってもらっております。この二四六は大体一日十四万台の交通量があるわけでございます。この十四万台の交通量、ほかにバイパスなり迂回道路がございませんし、東京都におきます非常に主要幹線道路でございます。だから、どうしてもある程度交通量を確保しなければならぬ。そのためにわれわれの基本的条件としましては、少なくとも昼間は片側三車線を確保する、夜はやむを得ませんから片側二車線ないしは一車線を確保して工事をやってくれということで工事をやっておりますので、いまのところそういった面では、私どもとしては工事あるいは交通安全、両方の調整がとられておると、このように確信を持っておるわけでございます。  ただし、この道路に伴います夜の騒音でございますけれども、これは御承知のとおり、特定建設騒音ということで、これは警察のワク外でございまして、地方自治体の長のこれは規制することになっておりますが、ただ実際上、最初やりました共同溝の地下工事の場合に、最初舗装を切り込むための非常な騒音、こういうのが夜よくありましたので、これは警察のほうからも申し入れまして、当初そういった昼間に回せるような工事、騒音の伴います工事につきましては昼に回してもらったという実例がございます。特定騒音につきましては警察は直接権限ございませんけれども、そういった面では住民の意向もできるだけ道路工事者、あるいは地方公共団体の長とも話を入れまして、騒音防止のために少しでもお役に立ちたいと、このように考えております。  それから、いま話がございました上からアク汁が落ちてきて、自動車に非常な損害を与えるとかいろいろ聞いております。これにつきましては、公団側は何らかの手を打たれるだろうと思いますし、もしそういう被害が出ましたら公団側に申し入れられたらいいんじゃないか、このように考えております。
  41. 有江義晴

    参考人(有江義晴君) ただいま公団理事長からも申し上げましたように、非常に危険な工事は間もなく終わりの段階に達するわけでございます。この間、私どもは震動とか音響とか公害の点につきまして相当な深慮をはかったつもりでございますが、時間的にあるいは部分的に非常な御迷惑をかけた点がございますのを非常に遺憾とする次第でございます。これから私どもは最後の仕上げにかかるわけでございますが、先ほど田中先生から御質問ございましたように、表板のコンクリートをこれから打設いたします。下の交通を通しながら打設するわけでございまして、残念ながら私どもボルトを落としたとか、あるいはその他の小器具を不注意にも落とした事故はあるのでございまして、この点非常に反省をしておるわけでございます。ただいまコンクリートのモルタルの落下の御質問でございますが、これに対する処置といたしましては、現在考えておりますのは、まず最初に金網の構築を全面的な面に張りまして、その上にある強度のある板を渡す、その上にさらにビニールなりあるいはマットをしく、それもしきっぱなしでございますと作業の途中にずれたり、いろんな障害がございますので、常時点検をしてすき間をなくする、そういう努力を重ねてまいりたいと思う次第でございます。できるだけの努力をもって災害の絶無を期したいと、かように考えておる次第でございます。
  42. 田中一

    田中一君 そこで、最後になりますけれども、集約して、一体労働者が喜んであそこで仕事を、かりに一般作業員として賃金も相当高いんだと思うんです。賃金を、金をくれるからといって、喜んであそこで作業をしているか。同時にまた、公団等のあるいは東急等の職員の諸君、あるいは施工者の技術者の諸君とか、あるいは管理者の立場におる人たち、金さえくれればいいんだといって喜んで仕事をしているかというと、そうじゃない。危険手当とかなんとか、いろんなこれに意欲をもって、金で釣って仕事をさせようという方法をとっておられると思うんです。どういうような形をとっているんですか、いま。それをみんな請負人、施工者まかせにしておいて、こっちはそれは単価に入っているのだからと言って逃げているのかどうか。その点、両方から。もっとも、賃金条件等はおそらく、高速道路公団東急のほうでもちゃんと連携をとって、こっちの条件がいいとか悪いとかいうのじゃなく、一つの条件でやっていると思いますけれども、特別に労働者に与える給付というものは、どの程度に割り増しをつけているのですか。
  43. 山田秀介

    参考人山田秀介君) ただいまの御質問、ちょっと私も不勉強で申しわけございません。これは請負会社にまかせておるからという逃げ口上ではございませんが、具体的に詳しいことを私のほいうでは承知しておりません。どういう心境で働いておるかという御質問だといたしますと、私どももちょっとこの場ではお答えを申し上げかねるのでございますが、まあ災害も比較的少なく済んでおりますし、労働条件も、先ほど申し上げましたようなコミュニケーションの場で間接的にとらえているということで、申しわけございませんけれども、全般的に申しますと、まずまずのところではないか。まあ、こういう表現が答弁になりますかどうか、わかりませんが、そういうことです。
  44. 鈴木俊一

    参考人鈴木俊一君) ただいまのお答えに真正面から答弁申し上げることはたいへんむずかしいのでございますが、私どものほうの請負工事予定価格と申しますか、この中には安全対策費といいますか、これが大体〇・五から一%くらいのところを見込んでおります。まあ、それをできるだけ有効にそれぞれの請負人が活用して、ただいま有江理事から申し上げましたような安全の諸施設を工事中において整備していく、こういうことを極力指導して、この地区で働いても労働者の皆さんにそう心配をかけることがないようにしてもらいたいということを、労働基準監督署とともに請負人のほうに強く要請をしておると聞いておりますし、今後もそうしてまいりたいと、かように考えております。
  45. 田中一

    田中一君 この都市土木の現場の場合、まあ建築の場合には敷地が特定の敷地ですから、自由にできますが、公共用地、ことに道路等を使う場合に好ましいのが全面通行禁止、そして昼間施工するということが望ましいのです。また、場合によれば非常の場合には夜間もしなければならぬでしょうが、いまの労働者は決して、さっきも言っているように、金さえくれれば何でもいたしますよという風潮ではない。したがって、道路規制の面から見て、バイパス等があり、また考慮されてそういう措置がとられることのほうが望ましいのじゃないか。そういう例がありましたら、それをひとつ建設省に伺っておきます。
  46. 竹岡勝美

    説明員(竹岡勝美君) これは労務者の健康管理等々から見まして、バイパスその他の道路がありますけれども、完全にストップできるということならば、これはその工事施工者がどう判断する知りませんけれども、われわれとしましてはそういう特定の場所であるならば全面交通ストップさせて工事させることはけっこうかと思います。これを工事施工者のほうが一日も早く急ぎたいから昼夜でやるか、あるいは労務者の健康管理を考えて昼間だけやるかどうかということは、工事施工者の考えることでございますけれども、警察としましてはその道路の状況によりましては全面的に交通ストップさせて工事を進行させることもあり得ると思います。これは私ども、その実例は持っておりませんけれども、あり得ると思います。
  47. 田中一

    田中一君 ただ地域開発の地域ですと、沿道の住民が自分の商圏ですね、商売をするのに不便だとか、あるいは人の出入りに困るじゃないかという抵抗はあると思いますけれども、できるだけ安全な形で建設労働問題を考えないと、もうこうしたよごれ作業には若者たちが集まってこないことになりますよ、いま一番大事なときなんです。そういう点について十分ひとつ注意してほしいと思います。  私はここで成田空港の建設のよしあしとか、反対、賛成の立場から質問するわけではありません。いま二四六号線の地下工事並びに高速道路工事と同じような性格のものであって、昨年並びにことしの三月、それからせんだって、この次、秋にもう一ぺん収用の実力行使を行なうということになっておりますが、これは一体そうした事態を想定しながら——これは想定しなければならなかったと思います。想定しながらこれに対処しておると思いますが、いままで過去、せんだっての六月でしたか七月でしたか、あの衝突を含めて相当の大きな被害があるわけです。  端的に、先に一ぺん伺いたいと思います。労働省のほうに伺いますけれども、あすこでけがをした者も相当いるわけです。このけがをした人たちは農民あるいは学生等反対派の諸君の実力行使によってけがをしたりした場合には、これははたして労働災害として処理されるのかどうか、この点をひとつ。
  48. 吉本実

    説明員(吉本実君) ただいまの御質問でございますが、成田空港の建設工事に際して地元住民との間の紛争で職員やあるいは労働者負傷する事態が御承知のように生じてきたことは、まことに遺憾でございます。そのような紛争が及ぼす災害等につきましては、ただいま御指摘のように労働災害として特殊な事例でございますが、これは労災の範囲に入るという形で処理をしてございまして、七月三十一日現在までで百三十七人の方々に補償をしております。
  49. 田中一

    田中一君 そうすると、たとえばふん尿をかけられたり着物を、衣類をだめにした場合でも補償するのですか。それはできないでしょう、現在。
  50. 吉本実

    説明員(吉本実君) それは身体に影響を及ぼすようなものでなければできないと思いますけれども、場合によっては対象になると思います。
  51. 田中一

    田中一君 成田空港のほうに伺います。一体そうした事故は空港としてはどういうぐあいに施工者側に指導しているのか。これも施工者側がかって——かってというか、自分の受けた請負金額の中で処理しておるだろうという程度のことだろうと思いますが、この点はこういった大きな紛争には、また将来予想される紛争もありましょう、こういう場合にはどういうぐあいなかまえを持って現在ぶつかっているのですか。私は事故そのものに対する問題はこれは起こり得る現象が常識になっておりますから、これを言うのじゃございません。ただ、これによって発生したところのあとの処理というものが、また現在起こるであろうこの時点における無事の、意思のない施工者側の労働者被害を及ぼすというこのことについてはどう考えているか。それは空港のほうから。
  52. 杉野信吾

    参考人(杉野信吾君) 機材とかそういう建物関係は当然でございますが、いまの傷害関係は、労働省からおっしゃいましたように、労災で処理いたしておりますが、それとふん尿とか衣類、そういうものにつきましては、特別にそういうものは見てはおりませんが、機材とかそういうものは当然損害額をあとから補償することになっておりますので、その中に含めて処理していくつもりでございます。
  53. 田中一

    田中一君 あの仕事が始まって以来、昨年の十二月からことしの三月までの間に施工者側の損害として計上され得るものとしては、五百七十三万六千何がしというものが計上されて、これは公団側もこれを了承したというふうに聞いておりますが、それはそのとおりですか。
  54. 杉野信吾

    参考人(杉野信吾君) ただいま御指摘のありました五百万というのは、若干数字が違うと思います。私のほうでただいままで調べました結果を御説明いたしますが、昨年の十二月以降、御承知のように、非常にそういう過激派による建設業の機械や建物等の襲撃事件が頻発しておりまして、それ以後被害物件を当たって常に把握しているのでございますが、いま先生が申された五百何万とおっしゃるのは、十二月から大体三月まで、これが大体百件ございます。で、六百四十一万という金額。これは機器とかこまごましたものが落ちているのではないかと思いますが、昨年暮れからのそういう妨害行為と、それと第一回の代執行までが大体百件の六百四十一万。これは大体被害その他調査済みでございますから、これについては至急お払いする予定にしております。  それから、今年度以降第二次的な波としましてこの間の仮処分が執行されたわけでございまして、この付近を入れまして大体四十六件あがっております。これにつきましては七月三十日までの状態でありますので、最終的にはこまかい値段まで詰めておりませんが、件数は大体四十六件で、それが千百万ちょっと、いまのところは業界のほうからの被害届けはそうなっております。したがいまして、去年の十二月からことしの七月末までに大体百四十六件。内訳を申し上げますと、重機が七十四台、一般車両が十七台、建物関係焼き打ちその他ガラスの破損等が十四件、その他こまごました機器に対する妨害等雑件が四十一件、計百四十六件になっております。で、ただいまのところは、仮処分の推定金額を入れますと千七百六十八万前後になるのではないかと承知しております。
  55. 田中一

    田中一君 労働省に伺いますが、七月二十六日の朝、火炎びんを投げられて一人やけどをしているんですが、これもやはり労働災害ですか。
  56. 吉本実

    説明員(吉本実君) 当然労働災害になると思います。
  57. 田中一

    田中一君 労働災害というのは、自分の作業を行なうことによる災害ということが実態でしょうけれども、だれか暴漢から火炎びんを投げられてやけどを負ったということ自身は、やはり労働災害という範疇に入って処理しようとしているのか、そういうことはたくさんありますよ、そういう労働災害というものわね。ケースを拡大して考えた場合、これは別の刑事問題として扱うべきものじゃないですか。たとえば損害賠償なり、何なりというようなケースになるのじゃないですか。
  58. 吉本実

    説明員(吉本実君) ただいまの件でございますが、まさに刑事問題としては別個の問題として取り扱ってしかるべきと思います。ただ、作業の中でそういった問題が出てきたわけでございますから、その労働者につきましては、それなりの補償をすべきであるという意味で、今回のいろいろな紛争に伴います労働者の危害につきましては補償をするというたてまえで進んでおる次第でございます。
  59. 田中一

    田中一君 相手が攻撃にくる危険な武器というか、火炎びんなり石を持って投げてくる、その中に作業しろと命令するのが公団であり、かつまたそれを施工を受けているところの建設業者が命令するわけですね。それは戦闘状態に入れということなんです。これがはたして正常な労働災害にみなされるかどうか、現に向こうで武器を持って、竹槍を持ったり、あるいは石くれを持ったり、火炎びんを持って投げてくる、そこへ突入して作業をやれということは、これは常識では考えられないと思うのです。そうした善良なる労働者を危険なところに命令してやらすということ自体がおかしいのです。これはまだこまかい調査をしなければなりませんが、相当その施工者の職員なり、あるいは労働者なりが、そういう状態の中に突入を命じられて、そうして当然のこととして火炎びんを投げられる中に重機を持って対抗していけば、その点ひとつ労働省も、私は労働行政というものは平和なものでなくちゃならぬと思う。戦争にかり立ててけがをしたからどうだということじゃない。ですから労働災害というものを、基本的な姿勢を明確にしてほしいのです。今後とも起こり得ることなんです。そうした危険なところに突入を命じて、けがをしておる、そういうことは考えられないのですがね。
  60. 吉本実

    説明員(吉本実君) ただいまの先生の御疑問ごもっともだと思いますが、現実の労働者の立場に立ちますと、それが一つの指揮命令の中でなされているわけでございますから、その指揮命令がはたして妥当かどうかということは別にいたしまして、現実にそうした危害を及ぼした場合につきましては何がしかの補償をすべきだ、しかし先生がおっしゃいますような形での問題は十分考えなければいかん問題でございますから、今後ともそういった点のないように、いろいろな形で考えていきたいというように思います。
  61. 田中一

    田中一君 いまのような労働省の見解、それからこうした被害を受けている、負傷をしているというこの行為を命じたのがまあ公団であろうと思う。公団が命令したであろうと思う。公団が使嗾者であり、かつまた加害者であるということになるわけです。その点はどうお考えですか。
  62. 杉野信吾

    参考人(杉野信吾君) 事実問題として、建設作業員で傷害事故が起こりましたことは、まことに申しわけない次第でございますが、初めに施工業者の方々と数度にわたりまして打ち合わせをいたしまして、われわれとしましては警備当局にお願いをし、絶対にそういう危険な場所では作業はさせないと、そういう約束をいたしたわけであります。たまたま最初のうち、特に第一回の代執行の際は、ふなれでもありましたし、そういう点で機動隊の規制の前で若干の障害が起こりましたが、その後につきましては、極力警備御当局の御努力によりましてほとんど妨害皆無の状態で作業をいたした次第でございます。しかしながら、まことに申しわけない次第でございますが、建設業者関係では、特に整地作業のほうでは、第一回と第二回仮処分執行にかかりまして五名の傷害者を出した次第であります。
  63. 田中一

    田中一君 しかし、起きたのは七月二十六日午前七時三十分鹿島道路株式会社のオペレーターがやられているんです。これは使嗾というか命令したのはあなた方でしょう。
  64. 杉野信吾

    参考人(杉野信吾君) 鹿島建設のは投石と伺っておりますが、台上からたまたま飛んできた石によってけがした次第であります。もちろん、こちらの作業監督員の指示でそういう作業はいたしております。
  65. 田中一

    田中一君 これ火炎びん投げられているんです。そうして、一体、そういう善良な労働者を戦闘状態にある現場で進め進めといってしりをたたくなんということはあり得ないんです。テレビを見てもそうなんです。投げているところへどんどん突進していっているんです。こうしたことはどういう神経でやるのか。反対だ賛成だと投石が行なわれることに対してどうこう言うんじゃございません。そうした労働者をそういうところへかき立てていくということは何だ。また、あれを運転しているオペレーターは警備員が、あるいは機動隊がやっているわけじゃないでしょう。それを担当しているところの作業員でしょう。どうしてそういう人を使うんですか。なぜ使わなければいけないんですか。
  66. 杉野信吾

    参考人(杉野信吾君) この整地作業は、先ほど来お話がありましたように、ある程度の妨害行為もある二とを覚悟して行ないました。少し普通の土木工事とは趣を異にはいたしますが、いずれにしましても、作業対象地点付近で建設作業に従事しておられまして、そうして、その土質とか地形とかはきのうまで作業されている方は一番精通しておるのでありまして、それから、そのオペレーターに対する指揮命令とか、そういうのもそこの現場で働いている監督員の方が一番人間関係が通っておりまして、作業員間の緊密な協力関係ということも確保できるといういい点がございますので、建設機械の運用とかそういうことを考えまして、その地点作業をされている業者の方に御協力をお願いすることがきわめて自然じゃないか、そういうことでお引き受け願った次第でございます。
  67. 田中一

    田中一君 それは請負契約の中に、反対派が火炎びんを持ってきたならばおまえのところの作業員は重機、戦車を持っていってそれに立ち向かえというような契約でもあるんですか。
  68. 杉野信吾

    参考人(杉野信吾君) さような契約はいたしておりませんが、特別にそういう責任とかそういう損害の問題が予想されますので、これにつきましては、業務の執行の前に数度にわたりまして業界の方と現場代理人の方たちと打ち合わせをいたしまして、危険なところでは作業はいたさない、そういう約束をいたしまして、また金銭的、社会的な責任も当方で持つという普通の工事よりちょっと約束を違えましてやらしている次第であります。したがいまして、原則的にはそういう火炎ぴんとか飛ぶところでは絶対作業はさせない、とめるのが原則でございます。
  69. 田中一

    田中一君 建設大臣、一体成田新空港の建設というこの一つの事例をもっていま質問しているのですが、どう考えますか、こういうことがあり得ることですか。またこうした仕事の上の紛争じゃなくて、他の意思をもって立ち向かっているこの騒動、騒動というか、戦いの中にそういうものを、無事の労働者を使嗾して、あるいは強圧してそれを戦わせていくということがあり得るのですか。また、あなた、これは直接あなたのほうの関係じゃないけれども、結局建設省が命令する数々の仕事の中にも同じケースがあったわけなんです。どうお考えになりますか。
  70. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) まあ私も工事のその詳しい契約だとかあらかじめの約束ごととかいうようなことはつまびらかにいたしておりません。おりませんが、いま田中委員が私に確めようとするものは、建設省建設大臣は建設業者の監督者であるから、その監督者の立場で、いやしくも労働者をそういうような災害を受けることがあらかじめわかっているようなところに工事をさせていいかどうかということだろうと思います。したがってその点に関する限りにおいては、私も監督官庁の責任者として好ましくないことと、かように思っておる次第でございます。したがいまして、本件それ自身の問題はともかくといたしまして、今後はかような問題についても大臣の立場においてひとつ十分、これは命令するほうも、受けるほうに対しましても、いろいろ注意深く勧告をいたしたい、かように思っておる次第でございます。
  71. 田中一

    田中一君 労働省のほうにもう一ぺん伺います。こうして当然災害を受けるであろうと予想される行為に追い込むということが労働災害だというように認めようとしているのかどうか、もう一ぺん念を押しておきます。
  72. 吉本実

    説明員(吉本実君) 決してさようなことでございませんで、現実にそういうような事態が出たときに私どもとしては補償を考えるということでございまして、そういった紛争のないように私どもも当然考えていかなければならないとかように考えております。
  73. 田中一

    田中一君 そうすると、労働省としては、経緯は何でもいい、しょうがないけれども、その現場において重機なら重機を動かしている作業中に受けた災害だからこれは認めなければならない、こういうたてまえをとっているのですか。
  74. 吉本実

    説明員(吉本実君) 労災法の立場としてそのように考えております。
  75. 田中一

    田中一君 先ほど首都高速道路公団鈴木理事長が言っておりましたが、すべての請負契約の中に五%ないし一〇%の安全費というものを見込んでいるのだ、こういうことでした。おそらく成田空港のほうでも、このような事態があるなしの問題以前に相当な安全費というものを見込んでいるのじゃなかろうかと思いますが、全体の工事について何%ぐらいの安全率というか、災害から守るという積極的な費用を持っておるか伺いたい。
  76. 杉野信吾

    参考人(杉野信吾君) 災害二つに分けまして、代執行とそれから仮処分執行、これが大きな山でございまして、これにつきましては、いま申しましたように建設業者のほうと特別な契約をいたしておりますが、それの危険手当というのは特別には見ておりませんが、人夫賃、賃金的なところに、手待ちだとか緊急工事だとか、そういう点で、人夫賃のほうで特別に危険手当というのは見ておりませんが、そういうことで若干の含みを持たしております。  それから、その他の災害件数、これはその二つの執行当時と比べれば非常に微々たるものでございますが、それについては別に前もって見てはおりません。ただ、起こりましたものにつきましては、現実に業者の方から逐一補償の要求が出ておりますから、それに対してはお払いする、適正な補償をするという約束をいたしております。その他のものについてはそういうような処理をいたしております。
  77. 田中一

    田中一君 飯場が一軒火炎びんで焼かれているんです。これは何も飯場を移動して立ちのくわけじゃないのですが、飯場を燃したのは反対派農民か学生かわかりません。しかし、飯場が焼失したことは事実なんです。そうするとこれは、飯場が燃えるということは落雷で燃える場合もあります。落雷で燃えた場合と、その現場における労働者が寝泊りしているところの飯場が火炎びんで燃えた場合には、どういうぐあいにそれに対する認め方をするのですか。
  78. 杉野信吾

    参考人(杉野信吾君) 落雷はむしろ天災のほうに入りますので、これはもう当然協議いたします。それで、その落雷にとどまらず、水害とかその他、そのつどの事情で判断いたしますが、今回われわれの、いま御指摘になった過激派の火炎びんのあれによって全焼するとか半焼するとか、そういうことにつきましては、当公団といたしましては、特別に、被害金額に適正な証拠書類が整えば払うということにきめております。
  79. 田中一

    田中一君 まあすべてでき上がった問題の事後処理としては、金さえ払えばいいんじゃないかという態度かもしらぬけれども、私はこうした予想される災害ですね、安全を確保するという意味において、こうしたものは、微量なものというか軽微なものは、みんなそれぞれの担当者が自分で負担しているわけなんです。ことに飯場において、どのくらい入っておりましたか、入っている人たちが自分の私有物なり何なりを焼いたり失ったりするような場合もあり得ると思う。そういうこまかいものが人の行為によって受けた災害として計上され得るものかどうか。こういうことは、一体この安全費というものは、そういう施工面の工費とは全然別に計上するような風潮はつくれぬものかどうか、こういうものがですね。出たとこ勝負でもって、どうだ、こうだ合議している。相談してきめるというようなことではなくして、安全費として、すべての現場における安全費というものは全然別途に計上しておくということは、今後とも、非常に人間は、成田では大体常時二千人ぐらいしか人間がいないそうです。あとは大型機械使ってますから、相当以前とは違った形になっておりますけれども、これは建設大臣か、官房長でもいい。何かそういう形の安全費というものは別途に、請負金額じゃなくて、別途にこれを計上しておく。そこから常時ケースバイケースで、一応基準をきめて支払っていくというようなことができないものですか。
  80. 大津留温

    説明員(大津留温君) 建設省の発注いたします工事の請負代金におきましては、安全対策費といたしまして、災害防止の予防措置、その費用を織り込んでおります。また天災によりまして、水害その他の天災によりまして、現に災害が発生いたしました場合におきましては、一定の基準に従って発注者である建設省のほうが負担をするという契約になっております。この安全対策費は、工事の種類によりまして危険の度合いが相当違いますから、それぞれの工事によりまして率を定めて安全対策費というものを計上しております。こういう実情でございます。
  81. 田中一

    田中一君 それは全体の工費の中に織り込まれておると、そうすると、これはなかなか払いにくいものなんです。埋没しちゃってるんです。事件がなければ利益になる。事件になればよけいにかかり過ぎるじゃないかというようなことが言えるのであって、こういうものは別途に計上するというようなことができないものですか、契約上、公共事業に限って。民間の場合には話し合いつきますけれども、なかなか公共事業はそうはいかぬです。何%ぐらい見込んでるんですか。首都高速道路公団では五%ないし一〇%の危険を見積もっておるといいますけれども、これだって、なければもらい得のような気がするし、たくさんあれば、今度はそんなに払えませんということになる。支払いはそういった労働災害を身に受けた労働者にかかってくる。こういうことがないような措置はとれませんか。ということは、一貫して建設産業に従事する労働者は年々減ってるんです。もう枯渇するんです。これをどう安全に、そして意欲をかき立てて、大事な建設事業を行なうかというところに尽きるわけなんです。この点どうですか。
  82. 大津留温

    説明員(大津留温君) 御指摘のように、建設労働者の処遇の改善といたしまして、安全確保ということは最も大事な点だと思います。そこで、やはり危険を予防するための施設を十分にするということが第一だと思います。したがいまして、工事の請負代金の中に積算内訳といたしまして安全費というものを見込みまして、それぞれの工事に応じまして安全対策を予防的に講ずるということにいたしております。これを、積算がまだ十分でないじゃないかという業界からの御要望もございますので、その安全対策費の率につきましては、研究会を設けましていろいろ検討しまして、逐次改善していきたいと、こういうふうに考えております。
  83. 田中一

    田中一君 別途に計上したらどうかと言ってるんです。というのは、積算する——このぐらいな災害があるんじゃなかろうかと予想して計上したところが、ない場合もあるのです。また大きな事故がある場合もあるのです。それではしわ寄せになるのは、結局災害を受けた労働者にかかってくるんだと言ってるんです。五%かりに見込んだとしても、一五%の災害があれば、それはなかなか払い切れるものじゃないんです、なるべく払わないようにするんです。少なく評価するんです。そういう危険をなくさなくちゃならぬじゃないか。これはひとつ、何というか、会計法でなかなかむずかしい点もあるかもわからぬけれども、これは検討してください、そういう点は。
  84. 大津留温

    説明員(大津留温君) 先ほどからお答えしております安全対策費というのは、事故が起きないように予防するための対策費というものでございます。先生のお尋ねは、あるいはこれは事故がそれでも起きて、それに対する、労働者に対する補償、その他の補償というような、補償費のことかと思いますが、この労働者に対する補償は、御承知の労災保険によって、そのほうから支給されるというたてまえになっておりますから、この労災の掛け金は、もちろん積算の中に計上いたしておるわけでございます。なお一そう、大事な問題でございますから、今後御指摘の点もあわせて、十分研究さしていただきたいと思います。
  85. 田中一

    田中一君 いまの安全施設というだけではないということなんですね。それを越えたものがあるというんです。その場合はどうするか。なるほど保険で補てんすることができる範囲のものはいいけれども、越えたものはどうするか。だから別にしなさいと言うのです。  もう一つは、これは西村さんに伺うんじゃ、去年のことだからしょうがないけれども、昨年のちょうど六月、国会の末だと思うんですが、現場の労働者は、ことに地方から来ている季節労働者、出かせぎ労働者、あるいはいま多く都市に、全国の現場において、来ている人たちは、大体十三、十四、十五、旧盆になりますと、みんなくにに帰ってしまうんです。これはみんな楽しみにしているわけですね、正月と旧盆は帰ってしまう。そのために何とか、現場に労働者はいなくなっちゃうんですから、現場も連休ということにしたらどうか。これには工期の問題が非常に関係がある。少なくともせんだっての建設業法の改正のときも、附帯決議がついておりますけれども、日曜日は世間並みにみんな休ませろ、現場では。現にあなたの部下の、建設大臣の部下の職員は、日曜日には出ておらないんです。しかし工期で押えられるから、どうしても施工者側のほうの職員は出てくる。しかし労働者はおらない。日曜日はいま大体月に二日ぐらい休むようになっていますけれども、八月の十三、十四、十五ぐらいは連休にしなさいと、そういう制度化をしなさいということを、根本建設大臣に注文つけまして、根本建設大臣も、その方向で検討しようと、こういうことになっている。で、幸いことしは十一ほどの業者が、十三、十四、十五、あるいは現場の都合によっては、三日間は七月、八月中に連休してもよろしい、休んでもよろしいということを制度化しているんです。で、昨年の、その方向で検討しようということについて、建設省はどんなぐあいに各現場等行なっているか、報告してください。
  86. 大津留温

    説明員(大津留温君) 昨年、御質問がございましたので、さっそく昨年の八月に、建設省所管事業につきまして、どういう実態であるか調査をいたしましたところ、契約金額が六十万円以上の工事につきまして調べたわけでございますが、八月中に施工中の工事が、建設省の直轄で三千百六十四件ございました。その中で、八月の十四、十五、十六の旧盆三日間を一斉休暇にしております、休業にいたしました工事が二千五百二十五件、約八割、八〇%ほどでございます。これは地区によって多少の多い少ないはございます。これは地方によっては八月の十四、十五、十六日をお盆としない、違った日をしているところもあるかと思いますが、そういうわけで、約八〇%の現場は三日間、休業にしております。建設省としましては、請負業者から、そういう理由で工事を中止したいという申し入れがございました場合には、保安要員を確保した上でこれを休むことを認めております。また、建設省の職員につきましては、夏の間、できるだけ有給休暇を利用して休暇をとるようにという通牒を別途出しておりますから、したがって監督要員は、そのほうで適宜休暇をとっております。こういう状況であります。
  87. 田中一

    田中一君 これには結局、工程の問題があるんです。したがって、一般社会で行なわれているような条件で、月何日ぐらいを施工期という日程をつくっているのか、工程をつくっているのか、伺っておきたい。
  88. 大津留温

    説明員(大津留温君) 建設省直轄工事の場合、工期を定めます場合は、通常、一月のうちに六日ないし七日の労働休日並びに労働不能日があるという前提で工期を定めました。
  89. 田中一

    田中一君 そうすると、二十二日ぐらいですか。二十二日か二十三日ですか。
  90. 大津留温

    説明員(大津留温君) したがいまして、労働日は二十三日ないし二十四日ということになります。
  91. 田中一

    田中一君 日雇い健康保険の場合でも、二十二日ぐらい見ているんです。保険のほうで二十二日見ているから、二十二日ぐらいに工程を見たらどうなんですか。
  92. 大津留温

    説明員(大津留温君) 一人の労働者の平均の働く日というのは、月に二十二日ということが妥当だと思います。それらの労働者を使って工事が通常できる日にち、これは一般の事業場等では、四日の日曜日以外は大体働いておるわけでございますから、建設業の現場は、御承知のような天候に左右されるというようなこともございまして、それを六日ないし七日というように見たわけでございます。一応妥当じゃないかと思いますけれども、なおよく検討さしていただきます。
  93. 田中一

    田中一君 労働省のほうはどう見ていますか。
  94. 吉本実

    説明員(吉本実君) 全体の週休制の関係、つまり毎週一回休みという問題でございますが、御承知のとおり、大部分の一般産業につきましては、かなり週休制は確立しておりますし、最近におきましては、むしろ週休二日制というような問題まで議論に出されているようなわけでございます。建設省につきましては、先ほど来いろいろ御指摘のとおり、必ずしもそういった実態はおくれてございまして、週休二日制を例にとりましても、四・四%程度しかとってない、そういったような実情でございまして、今後とも、建設業の労務確保も含めまして、そういった関係については十分考えていかなければならぬ問題だ、こういうふうに思っております。
  95. 田中一

    田中一君 最近、大手の業者が中心になって労働力をプールしようという思想が流れております。これは全建設産業という中から、大きく建設労働者の確保、建設技能労働者の確保ということを、これはもう今日では常識になってそういう方向にいこうではないかということが検討されております。ところが、特定のだれかがそういう動きをすると、いろんな条件というものは、特別な条件でそれを確保しようということになりますと大きな混乱が起こる。これは労働省としてはそうした動きに対してはどういう見解をお持ちか、まず先に伺ってみます。
  96. 永場久治

    説明員永場久治君) 先生、先ほど御説明いただきました日建連構想というのが一つございます。最近の全般的な労働力不足、希少の中で建設産業におきます労働力不足というものは非常に大きな問題になっております。そういった中で労働大臣の諮問機関であります中央職業安定審議会というのがございまして、ここから昭和四十年の八月にまず建設労働力の雇用の安定とそれから労働力確保対策、当面の施策ということの建議がございまして、さらに昨年の十二月に建設業の雇用対策の総合的な進め方、こういう建議もございました。この建議におきましては、建設労働力の確保のためには、まず建設産業自体が魅力のある職場となることが肝要であるという考え方に立ちまして、業界みずからが雇用問題に対する解決の諸措置をとって、そうして政府におきましては、これに対して積極的に援助するという考え方が出されております。そこで、労働省といたしましては、業界と密接な連携をはかりながら職業相談の実施あるいは職業紹介機能の充実強化、これには現在リアルタイムシステムというのがございますけれども、全国で本年で百二十三万カ所を即時に職業紹介ができる、これは御存じの企業センター機能と結びついたものでございます。職種別に行なっておる、こういう形になっておるわけでございます。そういったような職業紹介機能の充実、さらには出かせぎ労働者に対します通年雇用化、あるいは職業相談の実施、こういったようなことをやりながらいろいろな諸般の仕事を進めているわけでございます。今後とも先ほどの建議を考え、そういったものを労働力確保の対策の柱といたしまして、さらにいろいろと進めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。建設労働力の不足と、こう申しますのは、やはり技能労働力が主体になろうかと思うわけでございますが、これにつきましては私どもの安定局、職業訓練局のほうで公共職業訓練事業を総合的に進めたい、こういうふうに思っております。
  97. 田中一

    田中一君 業界と言っておりますけれども、業界の問題じゃないと思うんですよ。これは労働省、自分の責任を負わないのですか。受け入れる態勢というもの、業界そのものの態勢、こういうもの、これがどの職場でも受けられるという条件を持てということだろうと思いますが、特定のどこかが持つということになると、これは好ましいことなんですか。したがって、業界全体ということなら、これは文句はありません。そうならなければならぬと思うんです。そうでない場合にはどういうことになりますか。これに対してどのように対処しますか。
  98. 永場久治

    説明員永場久治君) 建設産業におきます労働問題というものは、先生承知のように、非常にいろいろな各面にわたりまして問題点が起きておるわけでございます。したがいまして、そういった対策、特にたとえば就労経路の正常化の問題にいたしましても、あるいは技能労働者が非常に少なくて、臨時日雇いが非常に多い、さらには賃金不払いの問題が発生しておる。こういういろいろな大きな、他産業に見られないようないろいろな問題が起きております。そういった中におきまして、たまたまこういう構想が出たわけでございますが、この考え方というものは、そういった問題に正面から対処しよう、こういう考え方のようでございます。問題が非常に重要な問題でございますだけに、業界が一体となってこういったことに対処していくべきではなかろうか、というふうに考えております。
  99. 田中一

    田中一君 そうすると、業界が一体にならなければ困難である、あるいは一体になることが好もしい、こういうことですね。
  100. 永場久治

    説明員永場久治君) そのように考えております。
  101. 田中一

    田中一君 建設省は現場をいつも持っておる立場に立っておりますが、どういうぐあいに……。
  102. 高橋弘篤

    説明員高橋弘篤君) 御質問の日建連の労働力のプール構想についてでございますが、日建連のいろいろな構想も聞いたわけでございますが、建設省といたしましては、このプール構想そのものにつきましては、先ほど労働省からも話がございました非常にむずかしい問題もたくさんございますので、再検討したらどうだということを日建連に言っております。また日建連のほうでもいろいろ検討いたしておりますが、私どもの考え方といたしましては、全体といたしまして、やはり労働者の福利厚生だとか、それから技能訓練だとか、そういう面を中心にもっと考えるなら考えるほうがいいのじゃないかということを、同時にまた業界全体がこれを支持するということで初めて成り立つものでございますので、業界全体でもっと討議をして、そうして結論を出すべきじゃないかということと、同時に、この建設労働問題というものは、一番の根底にあるものは、やはり経営の問題、内部の経営問題でございますが、それを合理化し、また近代化するということの努力、そのための研究をしてほしいということを日建連に言って、日建連もその趣旨によっていろいろ検討いたしておるわけでございますので、私どもも労働省とも十分打ち合わせをいたしておりますけれども、さらに日建連をそういう方向に向かって指導いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  103. 田中一

    田中一君 私は日建連がそういう現在のような発想でもって、何とか労働力を確保しようという考え方は無理からぬことだろうと思います。これは日建連だけであってはならないと思います。もう一つ政府も少し責任のがれじゃないかと思います。日建連はやむを得ず、そうしなければならぬのだという必要から、そういう発想が出たのでしょうけれども政府自身が——これはかかってくるのは賃金の引き上げにかかるのでしょう、いわゆる発注官庁としての賃金が七それらの労働者が望んでおるような、建設労働者に対するところの余分なものをやるという当然な措置が、工費の面で解決されなければできないということですね。労働省側がかつて言ったように、公共職業訓練所を出た人たちが一体どうなっておるかということを聞いてみても、これはなかなか実態がつかめないだろうと思うのです。したがって、政府自身が大きな意思で、建設労働者が喜んでこの職場に入ってくるという条件をつくらなければならぬと思うのです。それには何といっても予算の問題です。工事費の中に入らなければそれはできるものじゃないのです。たとえどんな大きな資本あるいは先行投資があろうともそれはできないのです。何となれば労働者の賃金というものは発注官庁それ自身が押えておるからです。あとはいろいろな経験、技術、資材等で補って多少の利潤を浮かせようと思っても、それを投資してはじめて可能なんであって、そういう点はただ単に労働者自身がやればいいんだということにならない、業界自身がやればいいんだってことにならない。したがって、もっと掘り下げた発注官庁としての姿勢、予算ですね、それが計上されなきゃならない。私はこの前も申し上げたように、フランスのポンピドーがことしの一月元日からいよいよ公共事業に従事する労働者建設事業に従事する労働者に対して月給制を実施しております。安定してます。あらゆる社会保障もこれに付随してまいっております。したがって、日雇い的な立場でこの労働者を追いやってある限り、安定した職業とは言えないわけです。こういう点にまで入ってこの問題を解決しなきゃならぬと思うんですが、日建運が行なってるということ、これはそこまでのものは考えられないでしょうけれども、これは日建連そのものが考えるものじゃなくて、政府自身が考えなきゃならぬ。私はそういう意味じゃフランス大統領のポンピドーはりっぱなものだと思う。一番立ちおくれの建設労働者——公共事業の労働者というのは道路の掃除とか、じんかいを処理するとか、じんかいを運搬するとかいうような人も含まれておりますが、建設産業はそうじゃない、誇りを持ってこの職業につくというものがなければだめなんです。また、全体じゃない、どこかのセクションでそれを好条件を出すと高賃金になりますし、そこに労働力が流れていって、ほかの現場には人が減ってくる、賃金が高くなるということになりますから、何といっても政府自身の姿勢によって、政府自身の計上する予算によって解決されなきゃならぬと思うんです。そういう意味でこれは西村さんに……。
  104. 大津留温

    説明員(大津留温君) 田中先生の御指摘、われわれが一番いま当面している大事な、かつむずかしい問題でございます。建設産業労働者がだんだん来なくなる、特に熟練した技能労働者が少なくなるということが、将来の建設産業を考えた場合に最も憂慮すべき現象でございます。したがいまして、これをいかにして確保するかということでございますが、やはりその根本の一つは、給料その他の処遇を適正にする、そのためにはやはり発注者の契約価格が適正であるということがその根本の一つだと思います。したがいまして、建設省の発注価格におきます賃金というものも、適正な客観的な価格によるべきだということで、これは毎年関係各省と御協力して綿密な調査をして、その適正な職種ごとの価格を出して積算しておるというわけでございます。もう一つの大事な点は、やはり労働者の訓練、教育の機関を確立いたしまして、若い労働者建設産業に入ってくるという、まあ入り口をやはりしっかりするということだと思うんです。この点につきましてはやはり労働省、建設省並びに業界三者一体となって訓練教育ということを取り上げにゃならぬ。先生のおっしゃる、御紹介になりましたフランスの建設労働者の月給制という問題も、非常に参考になるアイデアでございますので、私ども三者寄ってそういうことを含めましていろいろ相談しておる。その中の一つとして先ほどお話が出ました労働力プールの構想もその検討の中の一つ成果として出てきたわけでございますが、まだまだこれは内容的にも検討すべき点がございますので、今後さらに一そう三者協力いたしまして方法を考え出したいと思います。
  105. 田中一

    田中一君 三者ってどこなの。
  106. 大津留温

    説明員(大津留温君) 建設省、労働省並びに業界でございます。
  107. 田中一

    田中一君 最後に伺っておきたいのは、最近また市街地における高層建築の問題が出ております。ことに最近は小学校の建設にもそれはけしからぬ、もっとちょん切れというような市民の声もあがってきているようでありますけれども、これは私は日本のような、東京のような既成市街地において太陽をそうおれのものだといって主張しても、なかなか困難な点があるのじゃなかろうかと思う。学校ですら、これは自分のほうに日照権があるのだ、日当たりがなくなってくるからどうしてもそれを低くしてくれという要求がありますけれども、こういう点について三カ年の猶予期間があった例の新都市計画法に基づく既成市街地における用途別の作業がどうなっているか、この仕事がどのくらい進んでいるか、そうしてその中ではどのような形のものをつくろうとしているのか、これははっきり伺っておきたいと思うのです。これはまあ一カ所か二カ所の都市が一応市街地における線引き、既成市街地における線引きをやったようでありますが、東京などことにもうほんとうにこうして毎日の新聞を見ても、高層建築に対する——高層建築、中層建築、とにかく二階以上の建築をつくるとこれはけしからぬ、いかぬじゃないかというような問題が起きています。それが常識になってきちゃった。これはひとつ早く思想的にも、方向を示すべきである。私は大都市で小学校などが自分で広い運動場を持ち、あらゆる施設を持った広場を持ってやっているという小学校を知らないです。おおむね大都市においては高層建築の中の一部分に学校が入っている、むろん広い屋内体操場も持っている、そうして太陽がほしい場合には屋外に出て運動をしている、こういうことが行なわれているわけです。日本だけが平面的な青空のもとで学校教育を受けなければならぬのだというだけでは、もはや東京は解決できません。これはむろん建設行政の面からばかりでなく、教育の面からも文部省のほうの考え方も一応変わらなければならないと思う。シカゴなんかではこれは大学はきっちりしたところのいわゆる学園都市的な施設は持っておりますけれども、ニューヨークにしてもあるいはモスクワにしても、みんなそうした高層建築の中に学校が入っている。これはひとついまお話しの新都市計画に基づく八用途地区の決定の方向というものをもう出したらどうかと思うのですが、その点の考え方はどうですか。
  108. 多治見高雄

    説明員多治見高雄君) いまお話しの学校等もいろいろ問題がございまして、特に最近問題になっております学校を建てるための日照権の問題で地域住民の反対を受けているという問題がございます。学校の建築基準につきましては、われわれ発言権ございません。文部省のほうでおきめになっているわけでございます。全体の都市計画の問題としては、われわれとしては、いま先生の言われたような、今後の学校の校舎のあり方の問題ということで、実は根本的に再検討すべきじゃないかという気持ちを持っております。ただ、従来のいろいろな何といいますか、伝統的な教育的な考え方、文部省の考え方等ございまして、なかなか、われわれの都市計画的な気持ち、あるいは建築としての、こうあってしかるべきじゃないかという気持ちと、従来の校舎建築のあり方という問題については、ギャップがあるようでございまして、われわれとしては、いま先生がおっしゃられたような方向で今後日本の校舎建築というものは進むべきではないかというふうに考えております。
  109. 田中一

    田中一君 現在の建築基準法、これは、その面で将来改正しようという意思がおありかどうか。その面でって、私も抽象的に言っているのですよ。あんまり日照権の問題いうのもおかしいじゃないかなんという……、なかなかまた政治家というものは弱いものですから。政府としては、現在の建築基準法を、その面で緩和か強化かどちらにしても、手を加えるようなつもりがあるかどうか。最後に伺っておきたいと思います。
  110. 多治見高雄

    説明員多治見高雄君) 日照権の問題、非常にむずかしい問題でございまして、新聞紙上その他で日照権の問題非常に問題になっておりますけれども、一言で言う日照権という権利があるかないかという問題については、私ども非常に疑問を持っております。そういう権利があるかないか。大体、現在の法制のもとで、自分の持っている土地について、必ず日照が確保されるべきであるという権利を主張するというその権原があるかどうかという問題でございますので、たいへんむずかしいのですが、現在、そういった権利を認めている法制はございませんので、法制的に申し上げますと、それはないというふうにお答えする以外にないと思います。ただ、現実の生活環境の問題で、良好な生活環境を確保するという面で日照権についても相当な考慮を払うべきであるということは、これはもう当然でございまして、そこら辺、非常に微妙な問題でございますので、あるのかないのか、日照権を主張し過ぎるのかし過ぎないのかということは、われわれとしてまだ判定がついておりませんが、今後、具体的ないろいろな案件につきまして、裁判その他の決定によって、どういう方向でこの問題を解決するのだという方向が出てくるというふうに考えておりますが、現在の段階では、まだ日照権というものについてのこうあるべきだということは、結論は出ておりません。ただ、要するに日が当たるかどうかという問題でございますので、環境条件によって相当違ってくるということは、これはまあ常識的にわかるわけでございまして、つまり、極端に申し上げますと、砂漠のまん中で、おれは日照権を主張するという人もおりませんし、丸の内のビル街の事務所の中で、おれは日が当たらぬからけしからぬと言う方もおられないはずです。まあ環境条件によって非常に違うというのが日照権の特質でございますのでい結論的にはわれわれの考え方といたしましては、要するに都市計画的に用途地域が非常にすっきり純化されまして、この地域はこういう地域、この地域はこういう地域ということが客観的に地域住民の方に受け入れられるような形で地域制度が純化されました場合には、この地域においては日照権を確保したい、この地域においては日照権は問題にならないということで、最終的な解決はそういう姿でできるのではないかという希望を持っております。それにつきましては、まあ田中先生よく御存じのように、用途地域の今後の純化の問題ということが大きな問題になってくるというふうに考えます。
  111. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は時間を、わずかしかお願いしてありませんので、特に沖縄の復帰対策並びに災害対策中心としてお尋ねいたしたいと思います。  まず、第一にその沖繩のすべての立ちおくれは、これはさかのぼって考えてみますと、国の犠牲である、この一語が大前提であります。すべては国の犠牲から起こっているものであるということをひとつ大前提にして、私は幾つかのお尋ねをいたしたい。これが第一。  第二には、この四半世紀にわたる日米の谷間も置かれて、その沖繩なりにその責任を負わされてきた。しかもその責任のあり方は、一貫してアメリカの軍事優先政策の犠牲のもとに今日まで置かれてきた。そのもとで進められてきた政策であるということであります。たとえば琉球政府は、終戦以来四分の一世紀にわたって、アメリカの統治下にあって、小なりといえども沖繩は一国並みの立法、または司法あるいは行政の三権を行使してきた。そのため、琉球政府の機構は本土の府県と異なって、国政事務あるいは県政事務並びに市町村政事務、こういった三つがこん然一体となって今日まで沖繩の行政が進められてきた。このことは、他府県に比べまして行政機構あるいはそこで働いている定員、公務員労働者の立場からも非常に膨大な数をかかえてきている。まずこのことを理解してもらわなければ、沖繩の起こってくるもろもろの問題は抜本的に解決できない、こう思います。たとえば国政事務は全体の三八・一五%まあ約四〇%が国政事務である。県政事務が六〇・四一%、市町村政事務が一・四四%、このような情勢は、これは日本全国どの県でも見られない、沖繩にのみある事実であります。この理解の上に立たないというと、いわゆる本土並み、他府県なみということでごまかされてしまうおそれがある、こう思います。  そこで、復帰するまで、あるいは復帰してから、そういう復帰するまで、また復帰してから、どうしても特別の配慮がなされなければ、この異常を正常に戻すことはできないし、この格差をまた埋めて、いわゆる本土並みにしていくことは困難であります。そこで、私は次のことについて質問をいたします。  まず第一点は、沖繩の干ばつ被害状況につきまして日本政府からも、またそれぞれの省からも調査が行っておることはよく存じておりますが、私は切り離された沖繩、アメリカの施政下にある沖繩、こういう立場から、たとえばきょう台風十九号による被害状況が本土の調査はいち早くこのように具体的に数字的に提出されたわけでありますが、沖繩の干ばつというのは三月から始まっておるわけですが、調査という名のもとに沖繩に派遣されておりますけれども、その結果が、このように沖繩の干ばつの状況があらわれておるという具体的な数字的な調査がまだ責任ある立場から出されておらない、こういうことと思い合わせまして、もし沖繩のあのような状態が本土他県にあったとするならば、おそらくそのように調査の段階である、目下研究中であると、こういう形で放置されてくるはずはないと、こう思いますときに、沖繩なるがゆえに、しかもしいられた犠牲のもとに置かれた沖繩でありますのに、こういったひがみとおっしゃってはいけないと思いますが、そういった気持ちさえも持つわけであります。そこで、沖繩被害状況、このことについていまどの程度それが進められておるのであるか、またまとまっておるならば一日も早くその被害状況を公にしていただきたい。ただ、建設省ならその立場からの被害状況、そのことについてお尋ねいたしたいと思います。
  112. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 喜屋武君の質問に入る前提でございますが、その前提のことにつきましては、この前も申し上げましたように、沖繩が置かれておる悲しむべき過去の問題を考えまして、そして復帰の暁には国内並み——並み以上のものを、国民生活に対する考慮をしたいということは、これは政府のたびたび言っておることでございます。いま水問題を取り上げましたが、私のほうでも水問題につきましては調査に参っておりますが、今回のさしあたりの干ばつの数字につきましては、これは政府委員からわかっておる程度は説明させます。
  113. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 私どものほうでは沖繩におきまする恒久的な水資源対策あるいは国土保全のための治水、利水を総合しました対策、こういったものにつきまして、昨年来数度、特に水資源につきましては調査団を派遣をいたしまして、恒久対策を進めているわけでございます。なお現在の干ばつ状況を踏まえまして、さらに宮古、八重山等におきまする今後の水資源の対策並びに河川改修等につきまして、現在調査団を派遣しているところでございます。今回の沖繩におきまする災害、主として干ばつに伴いますいろいろの災害が起こっているわけでございまして、それの状況につきましては、私の手元には七月の二十二日ですか、対策庁からの調査団が総合的に農業災害等の被害を踏まえて報告された、その報告書に基づいた程度の範囲で承知している次第でございます。
  114. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 先ほどの御質問にも関連いたしますが、沖繩災害救助法ですね、本土の災害救助法がわれわれとしては同様に適用してもらいたいと、私としてはそう思うわけですが、先ほどの御答弁ではこの災害救助法は、いまアメリカの施政下にあるので、復帰後は適用するというようなことのお答えでありましたが、私はそのようにお聞きしましたが、そうでありましたですね。
  115. 川崎精一

    説明員川崎精一君) これは中央防災会議のほうでいろいろ取り扱っておりまして、実はまことに恐縮でございますが、私ども直接の窓口を持っておりませんので、十分承知いたしませんで、まことに申しわけございません。
  116. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それは、復帰後はこれは復帰後適用されることは当然のことでありまして、復帰するまでのこと、この事実を一体アメリカの施政下にあるからこれは適用できぬというその一応はわかります。わかりますけれども、一体それで済ましていいものかということなんです。その意思さえあれば法はどうであろうが、内容として、実質的に手を打てる方法は幾らでもあるはずであります。そこで山中長官も去る閣議で沖繩の干ばつに対しても、この災害救助法を適用する、こういった発言を、適用してもらいたいという、その辺はちょっとあいまいでありますが、そういった意味の気持ちを閣議で発言しておられます。その意思を私は確かめたいと思います。法はどうであろうと、この事実をどう日本政府がこれに対して対処していこうという、こういったお気持ちがあるのかないのか、あるとすればこれは私は可能であろうと思います。いかがでございますか。
  117. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) いまの災害についても国内法を直ちに適用することは私は困難と思います。しかし、現実の災害につきましては、それと同等の給与をするということの、山中長官がいつ発言したか知りませんが、私が閣議に出ている間はそういう発言はございませんでしたが、現実に起こっている災害については、これは適用以上のことをやると、こういうことであろうと思って、国内法は直ちに返還の前でございますから適用は私はできない、かように私は存ずる次第でございます。
  118. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、復帰に向けて第一次返還要綱、第二次返還要綱、第三次と、第三次がまだ出されておりませんが、その内容とも関連いたしまして、いろいろの複雑多岐にわたる困難な問題があるわけでありますが、きょうはその中で特に二、三建設省とされまして、沖繩における開発の一番根幹をなす道路計画、これは人間の、私はよく言うのですが、血管である、血管が正常な循環をしなければ、人間の健康は維持されない、こういう考え方に立ちまして、沖繩における道路計画、これはどのようにお考えか。またいま具体的にどういう構想を持っておられるか、これが第一。  次には関連して、下水道計画ですね。下水道計画をどのように考えておられるか、それに対する具体案、そのことをお尋ねいたしたいと思います。
  119. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 実は建設省所管の公共事業につきましては、班を分けましてそれぞれ現地をつぶさに調査をするということになりまして、実は道路関係調査は、先般調査を済みまして帰って参りました。したがいまして、私もその調査に基づいて、いま道路局と道路について復帰後はどういうふうな道路を国道にし、どういうふうな道路を県道にしあるいは市町村道にするかということをまとめておる最中でございます。下水道につきましても、同じようにこれは調査をしなければなりませんが、大体やっぱり都市計画の基本は下水道でございまするから、現在も多少やっておりまするけれども、これにつきましてもさらに都市計画の根幹としてやりたいと思っております。道路につきましては道路局長見えておりますからさらに詳しい、どういう考え方ということはひとつ道路局長からお話ししたいと思います。
  120. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) 沖繩におきます道路整備の最大の問題点は、米軍が管理しておりました軍道並びに軍営繕政府道の取り扱いでございます。これらは御承知のように一般の交通用に供されておりまして、この軍道、軍営繕政府道並びに政府道というこの三つが沖繩の交通幹線となっておる道路でございます。したがいまして、ただいま大臣が御答弁いたしましたように、われわれはこのうちから国道、まず国道に該当すべきものをまず国道として規定いたしまして、必要に応じましては直轄でその整備を促進したいというふうに考えておる次第でございます。その他軍道の大部分が国道になろうかと思いますけれども、中には若干漏れるものもございます。そういう軍道、漏れました軍道、軍営繕政府道、それから一般の政府道、これは原則といたしまして県道ということにいたしまして整備を進めていきたいというふうに考えております。  なお市町村道が別にございますが、これは従来の日本の本土におきます市町村道と同様に、市町村道として整備を促進していきたいというふうに考えておるわけでございます。沖繩道路整備の現在の状況は大体内地の都道府県の内地の道路に比較しまして若干整備率が落ちておるようでございます。たとえば軍道、政府道合わせましたものをこれは内地では国道と県道に相当すると思いますけれども、それについて比較してみますというと、改良済みが四八・八%となっておりますが、これに対しまして内地におきましてはこれが四九・七%、約一%程度内地は進んでおるようでございます。同じく舗装について調べてみますというと、沖繩のほうが四一・一%に対しまして内地は四七・七%、かなり内地のほうが進んでいる状況でございます。したがいましてこれにつきましてはできるだけ早い機会に、復帰後できるだけ早い機会に内地並みの整備率に高めるように全力をあげたいというふうに考えておる次第でございます。  なお、このほかにただいま復帰記念事業といたしまして、約百二十五億の予算を計上いたしまして、四十五年度から沖繩本島並びに宮古、石垣、西表、久米のそれぞれの島を一周する道路をただいま着工中でございますが、これも引き続き全額国費でもって整備を進めたいというふうに考えておる次第でございます。三カ年計画でございまして、計画では四十七年度に完了することになっておりますが、若干おくれておるようでございます。
  121. 吉兼三郎

    説明員(吉兼三郎君) 下水道の関係につきましては、実は私ども都市計画関係調査団が昨夜おそく帰ってまいっております。したがいまして、私、まだよく状況を伺っておりませんので、早急に沖繩の、ことにお尋ねの下水道の問題につきまして、よく状況を伺いまして、今後の具体的な計画の進め方を考えていきたい、かように思っておりますが、先生御案内かと思いますが、下水道に関しましては、日本の本土も非常に整備がおくれております。去る国会におきまして、下水道の第三次の五カ年計画というものの方向をきめていただきまして、近く閣議決定をする段取りになっておりますが、内地におきましてもまだ普及率が二二・八%、非常に先進国に比べまして低い状況でございます。復帰後におきましては、むろんこれは沖繩も内地の各府県と同様に、この五カ年計画の中におきまして、おそらくこれは別ワクということになろうかと思いますが、この辺の均衡を考慮しながら下水道の整備の促進というものをはかってまいりたいと思います。沖繩でちょっと特異な問題は下水道公社というものが従前ございましたのです。これはいろいろ相談をしておりますが、復帰後におきましては、これは公社は廃しまして、沖繩県の琉球下水道事業としてこの事業を引き継いでやっていくということになろうかと思います。  それから市町村に対します琉球政府の下水道に対する補助金といいますか、そういう負担金がかなり高率でございます、内地に比べまして。その辺との調整も今後具体的に詰めて、負担関係激変緩和措置といいますか、その辺の調整措置というものを考えてまいらなければならない、そういったことも合わせまして、今後鋭意具体的な計画を詰めてまいりたいと思っております。
  122. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまの二つの問題につきましては、ただいまわれわれ人間が、文化的な欲求とか、より高度の生活を営みたいというこういう考え方からしますというと、これは限りがないわけなんですが、しかし本土の下水道にしましても立ちおくれがある、沖繩も立ちおくれがある。同じおくれた中にもまたさらに格差があるということは、沖繩においてはすべて言えることは軍事優先政策、こういう形で一貫して行なわれてきた。このことからいたしましても、本土との格差は大体平均してすべて六〇%、六割しかいっていないということが、これは統計が示しております。そういう状態でありますので、どうか、本土ももちろん平均以下の県もあるかと思いますが、沖繩はさらにその例に漏れず、さらにその平均以下であるということを御理解いただきまして、ひとつ一段の御責任を感じていただきまして、開発をしていただくように、要望を添えてお願いを申し上げます。  次に、干ばつ対策、この前も述べたかと思いますが、災いをもって福となすということばがありますが、どうか毎年のように襲ってくる台風、あるいは特に沖繩ならでは数少ない干ばつ災害という、これは台風災害以上の悲劇でございます。これを一応抜本的な解決をしていく道は、水資源の開発を恒久化していく、恒久対策を講じていく、これ以外に抜本対策はありませんので、この干ばつ対策についていまどういう計画、またどのように具体的に構想を持っておられるのであるか、それを確認いたしたいということと、次に防災対策、これは本土も含めて防災対策をこの際根本的に検討して恒久対策を講じなければいけないのではないか。特に本土における最近のあの災害を思いますときに、つくずくそう思うわけであります。たとえば沖繩台風の銀座といわれまして、瞬間風速八十七メートルの世界記録を持っておるわけなんです。ところが、そういった災害の中でも死傷者というものが、これはまあ幸いに、ほとんどない。めったにないわけなんです。ところが最近における本土の災害は、例外なく、この調査にもあらわれておるとおりでありますが、死傷者が予想以上に多い。われわれ台風に鍛えられておる沖繩県民からしますと、まさにこれは驚きであるわけなんですが、一体こういう現象は何がゆえに起こってくるのであるかということを思いますときに、まあ、政治の要諦は治山治水とよくいわれておるのでありますが、そういった面からも私は、本土を含めて抜本的に防災対策を施策していかなければならない、こうつくづく思うわけでありますが、そういった、本土も含めて、この二点についてお尋ねいたしたいと思います。
  123. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) ちょっと、あらかじめ御承知願いたいのですが、各省は来年度の予算概算を大蔵省に提出することになっておりますが、おおむねそれは前年度の予算の二五%増でもって一応押えて要求することになっておりますが、沖繩に関する、いま言いましたような道路であるとか下水であるとか、その他の公共事業に関してはそのワクは二五%というワクではありません。したがいまして、これは別途の予算でもってわれわれは一応大蔵省に要求することになっておりますから、必ずしも、内地が何%であるから沖繩は何%にしなければならぬというような考え方は持っておりません。しかし、一度にできるわけではございませんから、やはり重要なところから直していく。しかし、予算にはわれわれはあまり制限されないで、こういうものはやらなければならぬと思うものは十分要求いたしたいと思っております。  それから、災害の問題が出ましたが、今度の十九号災害は実のところ、七十名になんなんとする死者を出しておる。まあ私自身が考えるのにいたしましても、台風はずいぶん前から来るといわれ、相当に警備もいたし、いろいろ準備をして、なおかつ内地におきまして七十人の死者が集中豪雨のために出たというようなことは、実は非常に考えられないようなことなんでございます。しかし現実の問題はそうなっております。これはどうしてもやはり、おもに事故が起こったのは鹿児島でございますが、シラス土壌をどうするかという非常にむずかしい問題があるわけでございます。いずれにしても、年々歳々こういう台風によるたくさんの死者が出るということも考えまして、沖繩災害対策についても十分意を用いたいと、かように考えておる次第でございます。以上でございます。
  124. 川崎精一

    説明員川崎精一君) ただいま御質問のございました水資源の対策でございますが、御承知のように沖繩は非常に地形的にも制約を受けておりますし、それから降雨の状況が年間の雨量の過半をほとんど梅雨と台風によって満たしておる、こういうような状況で、やはり恒久的な水資源対策といたしますと、どうしても貯留施設といいますか、ダムをつくっていく必要があるのじゃないかというようなことで、現在沖繩にございます水資源の貯留施設の総容量は約七百万トン弱でございます。幸い、現在福地ダムが計画中でございまして、これは水道公社等のいろいろ所属の関係がございますが、復帰いたしましたら、私どものほうで積極的に建設を促進いたしたいと思います。このダムの容量が約三千六百万トンでございますから、おそらくこれでかなり本島につきましては水のピンチに対する対策が樹立できるのじゃないかというふうに期待いたしております。  なお、今後の本島を含めた全体の開発のためにはやはりまだまだ不足をいたしますので、これにつきましてはさらにダム地点計画、塩屋湾の淡水化の問題、こういったものも含めまして、総合的に水資源の開発をはかっていきたいと、こういうふうに考えております。なお、宮古あるいは八重山群島等におきましては、これは現在調査をいたしておりますが、かなりその中の中心の石垣島等とか宮古といったところに水源はあるようであります。したがって、何らかの適当な施設を行なえばこれはかなりの水が確保できるのじゃないかというような報告が先般の対策庁の調査団からも出ておりますので、そういったものを踏まえて現在河川関係のチームが調査しておりますから、その結果を待って私どもも早急に計画を立てるようにいたしたいと思っております。  それから国土保全、特に治水の関係につきましては、ただいま大臣からもお話がございましたが、私ども本土におきましてもこういった集中豪雨等の災害を控えまして、できるだけ治水事業を促進いたしたい、こういうようなことで五カ年計画等の改定作業をいたしておるわけでございます。調査が進みましたら、沖繩関係につきましてもなかなか本土との水準を整合させるということにはいろいろ問題があろうかと思いますが、かけ足で追いつき、追い抜くような治水施設を完備するような方向で、私ども沖繩関係の方々と十分相談いたしまして、新しい計画をつくって、それに従って推進をいたしたい、こういうふうに考えております。
  125. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 これで私の質問を終わりたいと思いますが、最後に、次の委員会までに沖繩の水資源の開発計画をひとつ数字的に具体的に御提出をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  126. 小林武

    委員長小林武君) 午前中の質疑は、この程度にとどめ、十三時四十分まで休憩いたします。    午後零時四十九分休憩      —————・—————    午後一時五十二分開会
  127. 小林武

    委員長小林武君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、建設事業並びに建設計画に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  128. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 大臣並びに関係局長にダムの問題と高速自動車道に関する件について若干の質問をいたしたいと思います。  今日、電力の源としては火力ないしは原子力がかなり重要な意味を持ってまいりましたので、ダム建設が電力の発電としてあまり大きな重大な要素ではないようでありますけれども、多目的ダムの中にはもちろん電力も入ってまいります。いま午前中の審議にありましたように、一度台風が来ますとかなりな災害が起こる。災害の防止の点について多目的ダムがかなりな重要な位置を占めておることも当然でありましょう。しかし、私どもがダムの歴史を振り返ってまいりまして、特に最近の状態では治水もさることながら、利水、特に工業用水の不足からくる、格段に東京周辺の過密工業地帯に対する工業用水の不足が目に見えております。そういった点で利根水系に対するダム建設がかなりの急ピッチで進んでおるのでありますけれども、こういった観点からするダムの建設と申しましょうか、ダムに対する一般的な建設省の態度と申しましょうか、端的に西村建設大臣の御所見を最初に承りたい、こう存じます。
  129. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) ダムの問題についての御質問でございますが、水資源というものはわれわれの社会にとっては欠くことのできない問題でございますので、しかも私の考えでは日本は山岳地帯しかもそれに雨量は比較的世界でも多い。私は山岳地帯に雨が降っておるということ、雨量が多いということは、もう資源のない日本にとりましても一つの大きい資源である。やはり高いところに雨が降っていれば、平地に降るのと違って大きい効率を持っておるのでありますから、したがいまして戦後のエネルギーの不足のときには川自身の洪水の予防ということと、水をたくわえてそれでエネルギーを得るということと、ないしまた工業用水に使うということ、農業用水に使うという、いわゆる多目的ダムというもので建設省としてはそれに今日までいろいろの方面に施策をしてまいったのは、先生承知のとおりでございます。しかしまた一方、私はそれによって非常に経済的、社会的な効果をダムがもたらしたと思っております。しかしだんだん考えまして、多目的でなくともやはり洪水の予防をする、災害を未然に防ぐということによりまして、やはり多目的ではなくて単目的でも、一つの目的でもやはり降った水はたくわえておく、これがやはり重要なことではなかろうかと思いまして、建設省のこの水資源行政に対しても、単目的でもやはりダムをつくって水をたくわえておこうじゃないかということで二、三年前といいますか、四、五年前から電気は起こさないでも、ダムをつくってやはり洪水の予防をしようというふうに今日ではそれも進めておる次第でございます。したがいまして、いわんや経済がだんだん進んでまいりますと、水というものは非常にさらに必要になりまするから、多目的でもってやるような地形のところは多目的にやる、またそれでないところも、でき得れば水をやはりたくわえておくという政策を今後ともとっていきたいというふうに、大体一般的にはそう考えておるような次第でございます。
  130. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 ダムも山間僻地の水系でありますと、これは簡単にまいるわけですね。しかし今日の時点になりますと、特に利根川水系においては、かなりダムの建設が進みまして山間僻地でなくなりつつあります。かなりいわゆる人家の密集地帯、ないしは農耕地の非常に多いところ、こういった地点まで下がってきておるわけですね。しかし、いま大臣もおっしゃるように水の問題がかなり重要でありますし、特に先ほども指摘しましたように、東京周辺の過密工業地帯の工業用水の不足がかなり顕著になっている。そういった場合にいわゆる表面は治水という形でダムの建設が進められるけれども、私どもに言わせますというと、実際には治水よりも利水のほうに重点がある、しかも利水も農業用水とか水道用水ということよりもまず工業用水が優先をしておる、こういうのがどうも気になってしようがないわけです。そういった場合ですね、水の重要性ももちろんわかりますし、工業用水ももちろんこれは無視できませんけれども、工業用水の確保のために、いわゆるダムの建設予定地におけるもろもろの問題、すなわち人家の水没、農地の水没その他問題が起こります。こういった場合に西村建設大臣は一これは後ほど具体的な問題に入りますけれども、一応、抽象論としてでもけっこうでございますから、いわゆる利水の点を重点的にお考えか、あるいはまた、そういった水没予定地とされる住民の生活確保なり、そういった人たちのいわゆる現在の生活を維持するということに重点を置かれてダムの建設予定地を御推進なさるつもりか、いま申しますように後ほど具体的な例をあげて御質問申しますけれども、一応一般論としての御所見を承りたいと思います。
  131. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) まあ、治水か利水か、こういうんですが、まあこれはやはり抽象的に申し上げれば、結局、やはり調和がとれた行き方でいかにゃならぬと思っております。しかし、利水のほうは川の下流であって治水のほうは上流である。しかし、利水をするためにダムをつくればその地域住民が非常に被害を受けるということで、何にも水源地の方々は利益するところがないじゃないか、こういう地域住民の感情があることは、これは当然でございます。したがって、ある場合にはやはり水源地の地域開発をも含めてこのダム建設をやってもらいたいというような要望があることは当然でございます。したがって、私がいま先生がお尋ねされる、利水に重点を置いて治水は名目的であって、実際の腹は利水じゃないかということを言われまするが、私はそれはやっぱり調和のとれた方法でいかなければいかぬと、かように原則的には思っておる次第でございまして、地域住民の犠牲においてこれを推し進めるというようなことは、やはりこれはやってはならないと、かように原則的には考えておる次第でございます。
  132. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 そこで河川局長にお尋ねいたしますが、いまの時点で全国の建設省関係ダム建設を行なっている個所は幾カ所あるか、現にあなたの管轄の中でダム建設を行なっている個所、それからいわゆる建設予定している個所、この二つを、数が多ければ個所でもいいし、少なければ個所の所在地も含めてひとつお教え願います。
  133. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 私どものほうで現在、ダムの建設のためのいわゆる実施設計に入っておりますダム、それからすでに着工いたしておるダム、その種類といたしますと、直轄でやっておるものもございますし、補助事業、それから水資源開発公団等によって施工されておるものもございますが、その合計数は百七十九カ所でございます。なお、先般の広域利水調査等を行ないました結果、今後の全国的な水需給を考えますと、約四百八十カ所程度昭和六十年を目途に建設をしないと、水需給のバランスからいって非常に困った状態がくるんじゃないかというようなことまで予想されております。
  134. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 前段の百何カ所の予定実施計画の中に問題の沼田ダムが入っているんでしょうか、いかがでしょうか。
  135. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 沼田ダムにつきましては、これは現在予備調査の段階でございますので、先ほど申し上げました百七十九カ所の中には入っておりません。
  136. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 あとの四百何十カ所の、いわゆるどうし七も必要な個所には入っておるというわけですか。
  137. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 利根川の流域といいますか、首都圏全体の治水あるいは水資源の需給等を考えますと建設する必要があるのじゃないか、というふうに思われます。
  138. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 そこで建設大臣にお尋ねいたしますが、いまお聞きのように、建設省実施したいという、かなり時間的にはずれますが、問題の沼田ダムを建設したいという意向がおありですね。この問題は、御承知のとおり、歴史も古いことでありますし、最近では瀬戸山前建設大臣時代に、私が実は衆議院在任中、長い間質問した中で、瀬戸山前建設大臣が就任の際に、佐藤総理大臣から、沼田ダムを頼むぞということばがありましたという答弁をされまして、やりたいのだということであったわけです。これがかなり大きな反響を呼びまして、地元でもたいへんな問題になり一もちろんその前から問題でありましたが、その前は、何かまぼろしのダムといったことで、まあ影におびえておるというような状態でありましたけれども、当時の瀬戸山建設大臣の発言から、政府はやはり沼田ダムの建設の意図があるのだということでかなり問題になったけれども、問題が少し大きくなり過ぎて、その後、続いて橋本登美三郎君が大臣のときにはだいぶ答弁が変わってまいりました。以来、何回もこれは問題になったのでありますが、私どもは、先ほど大臣もおっしゃったように、治水にしろ利水にしろ地域住民の犠牲をあまり大きくしてはならぬということをおっしゃったのでありますが、沼田ダムは、御存じと思いますが、沼田市という人口四万数千の市でありますが、市の三分の一が水没するという状態でございます。さらに付近の町村の幾つかが、その大半が水没していく。水没戸数約五千戸、二万数千の人たちがその湖底に沈むことになる。さらに国道、それから上越線などの鉄道、かなり大きな問題があります。こういう状態でありますが、いま河川局長のお答えにもありましたように、四百何十カ所をぜひやりたいというダムの中にやはり入っておるとおっしゃいますと、これは時間の問題だと思います。したがいまして、ひとつ西村建設大臣にお尋ねするのでありますが、大臣としては、そういったような状態の中でもやはり沼田ダムは建設しなければならぬというお気持ちであるか。またこれはまあいろいろなこともからんでまいりましょうけれども、地元のそういった、いわゆるダム史上かつてないたくさんの水没者を出す、しかも市という行政区画が三分の一も水没するということでありますならば、これはまあ必要ではあるけれども、そういった中で建設ができないという状態を招来するんじゃないか。こういったような気持ちをお持ちかどうか、やはり一応ここで私は沼田ダムに対する当面の責任者である建設大臣の所見を承りたい、こう思います。
  139. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 沼田ダムの件ですが、これは私も、結局利根川の流域の洪水に対するやっぱり安全を守るために、この洪水量もやはり相当に大きく考えないと危険であるからという、そういうような問題もありまして、やっぱり利根川全体を見渡しまして、いま建設省でもやっておりますが、沼田ダムに関しても、まあいままでも調査費をつけていろいろ調査をいたしております。これは先生も御存じのとおりです。これは調査することもまことにけっこうでございます。まあしかし、非常な人家をつぶして、それが想像以上に人家があるところでございますから、それを話し合いもつかぬ、地域住民が非常な反対をするのに、これを推し進めていいか悪いかということには、これは慎重を期さざるを得ません。したがいまして、調査は、これはやはりやっていかなければならぬと思いまするが、いまこのダムについてどうするかこうするか、建設大臣は一体どうするんだと言われても、私は白紙と言わざるを得ません。瀬戸山大臣のときの話は、総理云々の話が出ましたが、先生も御案内のとおり、なくなられました松永翁が非常に熱心な方でございまして、私も大臣でないときにもたびたび言われまして、このやはり北関東その他関東の水のためには、これくらいやっておかぬと困る事態がくるんじゃないかということで、相当に説明を受けましたけれども、やはり沼田市のあの水没の人家を見まして、やっぱり頭を傾けて、先生それはいいですからぜひというような返事は私はできませんでしたが、調査だけは十分やって、またいつの時代かそれはわかりませんが、地域住民の納得が得られるような場合になれば、これはまた別だというような考えをいま持っておりますが、いまここでやるとかやらぬとかいうようなことは、私は申し上げても——やはり申し上げることもできないような次第でございまするが、いずれにいたしましても、私は全然これはやらないのだ、やらないというものは調査をしないでもいいということなんですが、利根川全般のことを考えればやはり調査をしなければならぬということで、やはり慎重を期さなければならぬ。地域住民の了解を十分得られなければやれない、こういうことだけは申し上げられるのじゃないかと、こう思っておる次第であります。
  140. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 河川局長にお伺いしますが、沼田ダムに対するいままでの調査はどの程度進んでいるのか、さらに現時点でも調査をされているのか。またさらに、今後どのような調査が必要なのか、おわかりの点だけを一応お示し願いたいと思います。
  141. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 沼田ダムの予備調査につきましては、毎年利根川水系全体の治水、あるいは水資源の問題と関連いたしまして、約六千万程度の調査費を計上いたしております。ただし、これはいろいろ先ほど来お話のございますように、相当まあ水没家屋等もございますし、住民の反響等もございますので、私どもといたしましては、当面現地に即するような調査というのはなるべく遠慮をしたいというようなことで、非常にまあ一般論的な、沼田ダムの建設に対してそれにかわる適当な開発地域がないかどうか、そういったような経済的な面の調査、それから流量的に利根川の流域に、二十二年のキャスリン台風等がかなり大きな洪水でございましたが、これと同じような規模の雨がどういう形で降ればどういうような出水が出るとか、あるいは図上でどの程度の規模の高さにすれば貯水量はどのくらい確保できるか、そういったような非常に予備的な一般的な基礎調査を行なっております。まあ今後いろいろ治水上あるいは利水上の要請が出てこようかと思いますが、当面はそういった基礎調査を続けていきたいと、こういうふうに考えております。
  142. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 したがって、今日までいわゆる行なわれた調査はどういうふうになっておるのか、いまも現に調査をされてるのか、さらに今後はどういうふうな調査をされるか、そういうこともお聞きしたいわけです。
  143. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 先ほども申し上げましたように、利根川水系全般の一環の中で行なっておりますので、特に沼田ダムにつきまして地質調査をするとか、ボーリングをするとか、あるいはつけかえ道路の測量をするとか、そういったような具体的な調査は全然行なっておりません。先ほど申し上げましたようないろいろ住民の状況だとか、あるいは移転の代替地の適地がないかどうか、あるいは流量的な問題で、このダムができればどういうような利根川の将来洪水が出ましたときの出水の状況等、基礎的なものを調査いたしているわけでございます。もし御希望でございましたら、そういった資料を後ほど、どういう項目について調査をしておるかというようなことは提出いたしたいと思います。
  144. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 まあ大臣もおっしゃったように、これお歴代の大臣がそういう御答弁であったのでありますが、地元の了承と納得がなくちゃできない、これは当然のことでございますね、ことにああいう地点でございますから。そこで一時、地元の行政責任者、市長とか町村長ないしは関係者と建設省当局、大臣であるかあるいは局長であるか知りませんけれども、そういった責任者が沼田ダムを建設するしないは別として接触はしたい、地元の意向を聞きたい、国側のいろいろな問題点を示して話し合いをしたいということがあったわけであります。寡聞にして実際に行なわれたことを聞いていないのでありますが、いまの時点で建設省は地元とそういった意味の接触をされるという意思があるか、またそういう機運があるか、全然当面そういう必要はないというお考えであるか、その点を大臣からお答え願います。
  145. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 歴代の大臣でそういう地元と接触をしていろいろ話し合いをしたかどうかということを私は知りませんが、いま私自身も、前の建設大臣のときもそういうことはやっておりませんが、今日でも地元民と正式に沼田ダムについて懇談をするというようなことは考えておりません。ただし、個人個人その話が出るときには話をしてみるだけ、そんなことは全然口に出さぬとは言いませんけれども、私が特に地元民の代表者と会って、というようなことは私はいま考えておりません。
  146. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 次に、いま問題の焦点でありまする八ツ場ダムについて一、二御質問したいと思います。  河川局長、八ツ場ダムの建設状況はいまどういうふうなことになってるか、概略の御説明を願います。
  147. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 御承知のように八ツ場ダムにつきましては、いろいろ地元の中にも賛成あるいは反対、条件つき賛成等、いろいろなグループがございまして、非常に地元との対話といいますか、そういったものの機会が少なかったわけでございます。したがいまして、一昨年に事業を進めるための立ち入り調査に着手をいたしましたけれども、その後、そういった地元の方々の意見もなかなか統一もできないというようなことで、住民感情等を考慮いたしまして、一時、昨年の八月以来、具体的な現地に即した調査は中止をして今日に至っておるわけでございますが、最近になりまして道路のつけかえあるいは鉄道の処置、並びに川原湯温泉というのがございますが、そういった温泉街の今後の地域開発をどういうように進めるか、それから水没家屋の宅地造成をどういうふうにするか、そういったことにつきましてひとつもっと地元と十分にお話をしたいというようなことで、現地の事務所を通じまして地元にいろいろ接触を続けておるところでございまして、先般の地方選挙以後、長野原の町議会におきましては、いままでダムは絶対反対だというようなことで町議会が反対決議をしておりましたけれども、それにつきましても、ダムの調査の特別委員会というようなものをつくって、ひとつ県なりあるいは建設省の今後のダム計画なり地域開発計画について話を聞こうと、こういうふうな段階になっておると聞いております。したがって、まあそういった地元との対話がもう少し進めば、仕事をできるだけ積極的に進めていきたいというふうに期待をいたしておるわけでございます。
  148. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 そこで、いま河川局長がおっしゃった町議会の反対決議が、去る四月の統一地方選挙で当選をされた議員の中にかなり賛成の方が出てきたと、それでまあいま地元の出先機関では盛んに町議会対策実施されてるようでありますが、これは私も実は電話による陳情でありまして、具体的にまだ事実はキャッチしておりませんけれども建設省の出先機関が、いわゆる町議会の反対決議を新しい町議会でくつがえしたいという一念から、地元の賛成派の諸君と連携しながら、去る四月の統一地方選挙に賛成派議員の当選のために、そしてまた反対派議員のいわゆる当選を阻害する活動をなさった、こういう私に対する陳情があったわけであります。私ども、事のあまりの重大さにいろいろと聞いたんですが、残念ながらきょうのこの委員会に間に合うような私自身も資料を整え得ませんでした。しかし、少なくともそういったことが国会議員に陳情されると申しますと、ただ単なる中傷やこれは妨害でもなかろうと思う。いわゆる、特に最近の新聞報道等によりますと、四月の統一地方選挙で賛成派の諸君が意外に当選をした、地元でもちょっと奇異な感を持っている。こういう事情は私ども予想しておりましたけれども、あらためていわゆる建設省の出先機関の責任者と、いわゆるダム建設賛成派の連携のもとに長野原町における町議会の決議をくつがえすことを目的に、もしそういったことがあったとすればこれは事は重大で、私はそういうことのなかったことを期待しますけれでも、しかし残念ながらそういういわゆる具体的な話が出てまいりますと、これは一応当局側にそのことの真相をただす責任があります。いま私申しますように、私自身も真偽を確かめる時間的余裕がなかったので、今後すみやかに調査をして、実態の究明をしたいと考えております。建設大臣、あなたの所管の出先機関がもしそういうことがあったとするとまことに重大な問題でありまして、あなたはそういう事実を御存じかどうか、もしあったとするならばどういうそれに対して対処をなさるおつもりか、その点をひとつお伺いしたい。
  149. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 私はこの八ツ場ダムの問題につきまして、そういう詳しいことは知りません。したがいまして、これを進めるとしてもやはり地域住民とわれわれのほうでやはり普通の話し合いで話し合うということで、どういうことが選挙と引っかかって、どうなったかということはあまり知らないわけでございます。もし河川局長が知っておれば答弁させます。
  150. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 私ども事業を進める立場といたしますと、いろいろ町議会の空気の好転することを期待はしているわけでございますけれども、先ほど先生のお話しの地方選挙云々については、これはまた問題も違いますし、そういうことがあってはならないことでございまして、幸いまだ私どものほうにはそういった話は来ておりませんし、絶対そういう事実はないということを信じたいと思っております。
  151. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 私自身もないことを期待するわけなんです。しかし、現地の関係者からそういったことがわれわれに報告をされ、ないしは陳情されますと、これはやっぱりいま言ったように事は重大なことになりますから、公式の席上でお尋ねするのだし、私自身もいま申しますように急遽調査をしたいと思っております。それでひとつ建設省もこれはただ単なるうわさか、あるいは一部の中傷か、こういう点はやっぱり真偽を確かめる責任があると思う。早急にひとつあなたのほうも調査をして、その結果をぜひ報告してもらいたい、こう思います。
  152. 川崎精一

    説明員川崎精一君) せっかくのお話でございますので、私どもなりに十分調査をいたしたいと思います。
  153. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 私もたびたび現地へ参りまして、いろいろな座談会やその他に出ておりますが、かなりこれは河川局長も御承知と思うのですが、現地の反対は強いわけです。町議会がどんな決議をいたしましょうとも、町議会の決議だけで住民の意思をいわゆる踏みにじってはいかぬと思う。もちろんそれはあなた方は当面町議会の反対決議の転換を期待される気持ちはわかるけれども、それだけが現地住民なり現地の意思ではないということを十二分に御了承の上、先ほど大臣のおっしゃったように、あくまでも現地の関係住民の納得と了解がなければ強行してはならぬということでありましたが、そのとおりだと思います。しかし残念ながら現地では——これは私どもの一方的な調査ではありません、あらゆる客観的な条件が八ツ場ダム反対は非常に強いわけですね。したがって、ひとつ町議会が今後どのような決議をいたしましょうとも、その決議だけをひとつの大きな旗じるしに、今後八ツ場ダムの建設に無理押しをしてはならぬ。したがいまして、最後にそういったことを含めながら、八ツ場ダムに対する建設省の立場を大臣からお示し願いたいと思う。
  154. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 御説のとおりでございまして、まあ議会もその当該市町村代表であるわけではございますけれども、まあそれはそれといたしまして、やはりいよいよ進めると、着手ができるということになるまでには、やはり地域住民は地域住民としての話し合いは十分つけて、そして行なわなければならぬと、かように考えておる次第でございます。
  155. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 河川局長、資料の要求をいたしますが、最近十カ所程度のダムの補償の基準をひとつ資料として、これは全部でなくてもけっこうです。その点御提出願いたいと思うのです。十カ所程度の補償の基準のひとつ写しでけっこうですから。
  156. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 最近妥結しましたのでは、十カ所もないかもしれませんけれども、できるだけ手元の資料で、先生のお考えのような補償基準の関係のやつを、後刻御提出することにいたしたいと思います。
  157. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 次に高速自動車道路の問題についてお尋ねしたいと思いますが、これは全国的にかなりの数にのぼっておるようであります。時間もありませんから、本日は、私はただいま関係する関越自動車道路だけに限って二、三、お尋ねしたいと思うのであります。  まあ、こういう交通事情でありますから、高速自動車道路建設は、私どもはあえて反対するわけではありませんけれども、それなりに私は高速自動車道路ができて利する者はだれか、さらにそのために非常に被害をこうむり、また迷惑をこうむる面も多々出るわけであります。かなり東京中心に、全国的に幹線だけでも十七ありますか、分岐線などを含めると三十一に達する自動車高速道路建設されるようでありますが、これに対する建設大臣、いわゆる高速道路によって利益を受ける面と、建設の途中なり建設後に、この道路のために非常に迷惑を受ける面が出ることは事実であります。もちろん当初申しますように、いわゆる産業の発達、交通の発達という、これは必要不可欠なものだと、私どもは考えます。しかし、全般的な国民生活から考えますと、いろいろな問題があろうと思うのでありますが、そういったことを含めた自動車高速道路建設に対しまして、大臣はどういうお考えで、これを今後お進めになるつもりか、所信を承りたい。
  158. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 高速道路の問題で、国民の中には利益を受ける人と、利益を受けない人がある。利益でない、害ばかりあって利益を受けない人もあるのじゃないか。まあこまかく言いますと、そうかもしれませんが、まあ、日本国民全体にとりましては、この狭い国土をやはりあまねく使っていこうじゃないかというために、やはりいなかのほう、津々浦々道路網を拡充するということでございまして、国民全体にとりましては、非常に利益するところであろうと、私は思います。しかしその道路建設についてまあ直接に非常に騒音だとか何とかこうむるような人もないわけではございませんが、広い範囲で考えれば、それらの人々もこれまた道路を利用できる方でもありまするから、やはりそういうまあ個人個人を相手にすればそういうことは言えますけれども、国民全般を相手にする国政の立場からすれば、これはあまねく、人が多少にかかわらず利益をこうむるのだ、こういう考えを持って、いま予定されておりまする七千六百キロはなるべくこれを進めたい、かように考えているので、部分的に不利益をこうむる方々については、その不利益に対して最小限度のいわゆるこの措置は講じなければならぬ、こういうふうに考えている次第でございます。
  159. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 それ以上の答弁は私も期待はしませんが、ただ現実に高速道路ができたために被害をこうむる者があるわけです。多分に土地を取られることも一つありましょうけれども、土地は一応まあ一定価格で買い上げられますから、まあまだいいでしょう。しかしいわゆる一般の国道なり県道等、そういったものができると、その周囲の地価は上がるということが現在あります。ところが高速道路はかなり土盛りをいたしまして、高くなりますし、もちろん横断もできませんし、全然普通では入れません。そうしますと騒音その他もありますけれども、いわゆる現在の農地なりその他のところは住宅地化することができないのではないか。もちろん農民は土地を売るだけが能ではありませんから、宅地化できないということが直ちに被害とは言えませんけれども、しかしやはりこれは一つの地価に対する問題であります。これはインターチェンジ等もかなり私資料等を見すすと、こまかくできるようでありますけれども、しかしまあ大体は十キロ程度のところが多いのでありますから、その十キロインターチェンジの中継に当たる人たちは、いま大臣が利用するとはおっしゃるけれども、大体は農民等が多いのでありますから、まあまあ利用することは少ないと思うのです。そういった点、これはまあ今後かなりたくさんの道路が残っているのでありますが、いま大臣は最小限度の何かをしたいとおっしゃるのですが、そういったやはり地区の皆さんには、最小限度じゃなくて最大限のやはり何らかの手当てをすることが大事じゃないか、そのことがまたこういった問題を早急に解決するポイントではなかろうか、こう思うのでありますが、最小限ということばだけが私非常に強く印象に残ったのですが、最小限の被害にとどめたいとおっしゃったのか、いわゆる被害を受ける住民に最小限の処置をしたいとおっしゃったのか、この点判明しないのですが、私は被害に対する最大限の処置をしてもらいたい、こう思うのですが、この点もう一ぺんひとつ大臣からお答え願いたい。
  160. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) その被害を最小限度にしたいというのです。だからなるべく迷惑にならぬようにしたいということです。ちょっと言い回しが悪かったもので……。なるべく被害が出ないようにと、こういうことです。
  161. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 わかりましたが、それはやはり被害を最小限にすることはこれはけっこうです。しかし、やはりいろんな意味のその被害を受ける人たちに対して何らかの処置をしなくちゃならぬと思う。被害を最小限にとどめるだけでは私は相ならぬと思う。そういった面に最大限の処置をする意思があるかどうかお伺いしたい。
  162. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 被害を最小限度にするためには、やっぱりいろいろな施設をしたりいろいろ考えなきゃならぬから、それは最大限の考慮をしてやらなければならぬということに当然なるわけでございますから、あくまでも被害を最小限度にするように——被害を絶無にすれば一番いいんですけれども、絶無にできない場合には最小限にしなければならぬ、こういうことです。
  163. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 次に道路局長にお伺いしたいのでありますが、関越自動車道路の点についてでありますが、あれ先般群馬県あたりでは八月の末には路線を決定して発表するということで期待をしておったようでありますが、最近になって何か延期されたというまた情報でだいぶとまどっております。関越自動車道路の路線の決定はいつされるのか、発表をいつされるのか。と同時にこれが観光、いわゆる新潟と直江津両線に分かれておりますが、観光の目途をどの辺に置かれているのか、この点ひとつお伺いしたいと思います。
  164. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) ただいまの御質問の個所は東松山と渋川の間の六十四キロメートルにつきまして昨年整備計画ができまして、施工命令が日本道路公団に出された間かと思われますが、この間につきましては昨年建設大臣から施工命令をいただいた道路公団は、鋭意一年かかりまして実測線調査と申しますか、実施計画のための調査を進めまして、つい最近本省のほうに承認を求めてきている段階でございます。これは間もなく承認されますので、まあおそくも九月ごろはたぶん現地に用地発表、路線発表するような段取りになろうかと存じます。その時点におきましていろいろな各市町村ないしは個人個人との間の折衝が始まりまして、いろんな水路に対する要望であるとかあるいは道路のつけかえについての要望であるとか、その他多少の、われわれが関連公共事業と申しておりますが、こういうふうな要望が出てくるのじゃないかと思いますが、そういうものをすべて解決してから初めて最終発表という段取りになっております。  それからもう一つ、第二点の新潟方面に行きます観光に対する考えというふうにお聞き取りしたんでございますけれども、御承知のように高速自動車国道はわが国の基幹となる国道、高速国道のネットワークでございます。必ずしも観光は主たる目的にはしておりません。これは従来あります国道の上に位する最高級の道路網というふうにわれわれ考えておりますので、そういう面におきましては、産業道路というふうに実は考えておるわけでございますけれども、実際はごらんのとおり土曜、日曜になりますというと東名、名神ないしは中央道のように観光のないしはレジャーの車がたいへん乗っているようでございますけれども、この関越自動車道につきましては、主として観光の目的に使われるといたしますというと、渋川から北、新潟まで抜く、上越の山を越えまして新潟まで抜かなければ観光の効果はわりに薄いんじゃないかと思います。一部には高崎からブランチいたします直江津線という高速道路もございまして、これを通りまして軽井沢から長野方面の観光に向かうのが出るかとは存じますが、まあただいま着工中の新潟線につきましては、やはり上越の山を抜かないと観光効果は薄いんじゃないかと思います。この時点はだいぶ先になるのでございまして、当分、まずとりあえず昭和五十一年ごろまでには高崎まで開通する予定になっておりますので、その時点におきましては観光交通はきわめて少なくて、主として産業道路としての効果が大きいんじゃないかというふうに私は考えております。
  165. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 高崎−渋川は大体いつごろまでの予定ですか。
  166. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) 高崎−渋川の間につきましては、一年ほどおくれまして五十二年ごろに完了のつもりで現在鋭意工事中でございます。
  167. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 冒頭に申しましたように、必要なものでございましょうから反対、賛成にかかわらず施工は早いんじゃないかと思うんであります。ただ私ども地元の人たちに接触しますと、いわゆるいま発表になっております千五百メートル幅の中に入るということだけがわかっておりまして、非常に不安と動揺が多いわけなんです。これは皆さん方はどうおとりになるか知らぬけれども、地元民のやっぱり不安と動揺は非常に激しいものがあります。さらに疑心暗鬼が出て混乱を来たしております。これはもういろんな面に弊害を露呈するわけであります。地元住民は何もそういった道路ができようとできまいと関係ない。先ほどいろんな利益があるとおっしゃるけれども、とにかく特に農村あたりではあまり恩恵を受けることは少ないということを承知しております。むしろできてしまっても、弊害のほうが多いということを知っております。したがって、まあできるならば通ってほしくないというのが、大体土地ブローカーを除いては本心のようです。しかし、まあこれは一つの国の施策でありますし、法に基づいてやることでありますから、結局はできるだろうということはたしかでしょう。そこで私は特に指摘したいのは、できるだけやはり早く事の実態を発表して、そして地元民のそういった不安なり動揺を除去するような処置をしてもらいたいと思うんです。いま局長のお話ですと九月ごろには大体発表をするとおっしゃっておられますが、先ほども言ったように、最初八月ということが、これはどこから出たかわかりませんけれども、八月には決定をして発表するんだということでまあきている、最近になってまた延びたということでさらに不安に輪をかける。したがいまして、そういったものも一つ政治の要諦です。住民に不安や動揺を与えないのがこれは政治家としての責任であります。したがって私がこういったことをお尋ねするのも、自分たちの選挙区の問題ではなくて、やはり関越道路が問題ならばその他のこれは道路もおそらく同じことであります。したがって、できるだけそういう問題は早期に解決をして早く発表してそれぞれのひとつ関係者に連絡をしてやることが大事じゃないか、こう思いますが、ひとつこの点について、まあ本日は関越道路に一応限定いたしましたが、明確な点をお示しをいただきたいと思います。
  168. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) 単に関越自動車道に限らず、全国の自動車道路をただいま手がけておるわけでございますけれども、これにつきましては、先ほど建設大臣が御答弁いたしましたように、高速道路の通ります地先の人たちには、確かに御迷惑をかけるわけでございます。この御迷惑を最少限度にとどめるような道路公団並びに国はあげてこれは配慮しているわけでございます。たとえば水路を横断したり、あるいは道路、県道なり市町村道を横切る場合には、これに対する十分な配慮はいたしておりますし、また個々の人たちに対する買収の価格にいたしましても、決して御迷惑をかけないような十分な価格を積算させるようにつとめております。ただ、中にはいろいろ一般の国道や県道などと違いまして、すぐそこに人家がつくようなことがございません。したがいまして、盛り土をしまして開発を非常に阻害するという意見が、確かに先生おっしゃるようにございます。ですけど、この件につきましては、われわれといたしましても、これを地元の皆さんにそういうような感じを与えないようにできるだけ注意をさしておるわけでございますが、御承知の国土開発幹線自動車道建設法の第一条の目的のところには、高速道路をつくると同時に新都市、新農村の建設を行なうということが目的になっております。この趣旨を生かしまして、各県ないしは市町村に対しまして、高速道路ができると同時に、その地先の開発をはかるような方策をとっていただくようにいろいろ御相談しているわけでございます。たとえて申しますと、先ほど大体おおむね二十キロ間隔ぐらいにインターチェンジがございます。インターチェンジ周辺は、御承知のように、大工場が誘致されたり、いろんなドッキングヤードができたり、いろいろな施設ができまして、非常な発展を遂げております。ところが、その中間が必ずしもそういうわけではございませんので、この間も一緒に考えてもらうようにいま計画をいろいろ練っておるわけでございます。と申しますのは、インターチェンジとインターチェンジの中間だといたしましても、インターチェンジに達するには、わずか十キロそこそこでございます、どちらを向きましても。といいますというと、十分な県道なり市町村道を整備いたしますというと、十分足らずで行けるはずでございます。したがいまして、大きな工場を誘致できる可能性もあるわけでございますし、そういうようなこともかみ合わせまして、これはそれぞれの各県ないしは市町村の計画にゆだねる以外はないんでございますけれども、そういう点につきましては十分県ないしは市町村と相談をいたしまして、そのような準備を進めていただくように心がけておる次第でございます。以上申しましたように、いずれにいたしましても、用地の発表がたいへんおくれて御迷惑をかけておるようでございますけれども、できるだけ早くやるように督促いたしたいと思いますが、何せ施工命令が建設大臣から出されましたあと、建設省でつくった整備計画をもとにしまして日本道路公団がさらに詳細な調査をやるわけでございます。これに従来一年間を要するのが実情でございます。高速道路というものは、一たんつくったら未来永却に残っていく国民の資産でございますので、しかも多額の国費を要しますので、十分念を入れまして調査するわけでございますので、その点お許しいただきたいと存じますが、できるだけこのことにつきましても、早く用地発表ができるようにつとめたいと思います。
  169. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 最後に、その関越道の資料をいただきたいと思いますが、路線それの資料ありますか、ありませんか。
  170. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) 幹線自動車道審議会に提出いたしました資料がございますが、これを提出さしていただきたいと思います。ただ、個々の路線発表いたしましたものにつきましては、大きな図面でございますし、またこれはちょっと外には出せないものでございますので、お許しいただきたいと思います。
  171. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 関連して、上武国道の建設関係はどうなっているか、これを最後にお願いして、私の質問を終わります。
  172. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) 上武国道と申しますのは、前橋の東側を通りまして、伊勢崎の東側を通りまして、熊谷付近に到達いたします国道一七号線にほぼ並行した道路でございまして、これはかねてより群馬県知事の強い御要望によりまして立案されたものでございますが、ようやく四十五年度計画が確定いたしまして、工事に着工いたすことにしております。本年は第二年度目になるわけでございますが、まず非常に大規模な道路でございまして、ただいまの高速自動車道に次ぐような非常な重要な幹線になりますので、これについては都市計画決定のできる個所につきましては、都市計画決定をいただきまして、県が用地先行取得をいたしている段階でございます。工事は用地取得が終わりましたら着工いたすわけでございますが、ただいま用地買収に鋭意つとめている段階でございます。
  173. 二宮文造

    ○二宮文造君 だいぶ時間もおそくなってまいりましたし、概略かいつまんで御質問をしたいと思うのですが、私は砂利採取の問題についてお伺いをしたいわけです。近く当委員会で四国地方の視察が予定されておりますので、具体的な問題につきましては、視察を終えましてデータなどをそろえてお伺いをしたいと思うのですが、その前に一般的な問題について若干質問をさしていただきたいと思います。  最近の動向で、いわば経済の高度成長に伴う設備投資の増大とか、あるいは社会資本の充実の要請からくる公共投資の拡大、こういうものによりまして、いわゆる骨材に対する需要が年々急テンポにふえております。そこで、まず骨材の需要の動向についてあらましでけっこうでございますがお伺いしたい。
  174. 高橋弘篤

    説明員高橋弘篤君) 先生おっしゃいましたように、建設投資が非常に増大してまいりまして、これに必要な骨材の需要が非常にふえているわけでございます。その骨材の需要動向につきましてどのくらいかということ、建設省で答えたほうがいいかどうかという問題がございますが、一応私のほうから答えさしていただきますと、通産省に産業構造審議会がございまして、これに骨材小委員会がございます。ここで、通産省を中心といたしまして、関係のところが集って、いろいろ需給の見通し、その他について検討いたしておるわけでございますけれども、昭和四十一年から四十五年までの需給の見通しにつきまして、検討結果を出しまして、中間報告をいたしておるのは御承知のとおりでございます。これは昭和四十一年に三億八千四百万トン、これが順次増加いたしまして、四十五年に五億六千五百万トンという見通しになっているわけでございます。四十六年から五十年までの五カ年間につきましては、現在やはり小委員会におきまして、通産省を中心にいろいろ再検討いたしておるわけでございます。いまここで数字がないわけでございますけれども、四十四年から四十五年のこの需給量の実績の増加が七%の増加になっておりますから、今後も年平均大体七%前後で増加していくというふうに私ども考えておるわけでございますけれども、この詳細につきましては、骨材小委員会におきまして、通産省その他関係方面と十分作業につとめたい、というふうに考えておる次第でございます。
  175. 二宮文造

    ○二宮文造君 ちょっといまおっしゃっていただいた需給の実績及び見通しというのは、いただいた資料のそのままなんですが、四十五年度に砂利採取法関係法令通達集というのが通産省、建設省両省から出ておりますね。その七二ページに骨材需給見通しというのがあるのですが、それと若干数字が違うのですが、これはどうしてこういう食い違いが出るのでしょうか。
  176. 原野律郎

    説明員(原野律郎君) ただいま先生の御指摘になりました点につきましては、実は先生のお手持ちの資料は改正前のものでございまして、計画局長からただいまお話ししました数字が最新の、新しい数字でございます。
  177. 二宮文造

    ○二宮文造君 これは、私、質疑を始めます前にいろいろ予備的にその資料をちょうだいいたしました。実際問題として、砂利の関係は一体どこを押えれば正しい数字というのが出てくるのか、比較検討すればするほどややこしい資料がたくさんあるわけです。そういうところから、私、実際にその砂利の採取というのは当局で正確な実態をおつかみじゃないんじゃないだろうか、こういう心配が出てくるわけです。その点については若干、次々と問題点にかかったときにお伺いをしたいと思うのですが、いまの御答弁の改正前と改正後、こうおっしゃいますけれども、何が改正になったんでしょう。たとえば、将来にわたっての見通しなら改定になるでしょうけれども、実績については改正にならないんじゃないかと思うのですが、たとえばいまお伺いしたのは、トータルでいきますと、いただいた資料では四十三年度は四億六千九百万トン、こういう数字になっております。ところが、こちらのほうになりますと、四十三年度では四億七千九百万トン、ここで約千万トンほど差があります。四十四年を見ますと、五億千六百万トンに対して五億千二百万トン、約四百万トンの差です。それから、四十五年になりますと、五億六千五百万トンに対して五億八千五百万トン、これで約二千万トン差が出てくる。こちらの資料が総体に多いわけですよ。
  178. 原野律郎

    説明員(原野律郎君) ただいまの先生の御指摘になりました最初数字は、骨材小委員会でつくられました計画でございます。その後、実績がわかるにつれまして、その各年度ごとの実績を当てはめていっているわけでございます。その実績の数値が当初の計画の数値と若干ずつ違ってきておるわけでございます。
  179. 二宮文造

    ○二宮文造君 それじゃ確認しますと、こちらにいただいたデータは計画数字であったわけですか、いわゆる小委員会で出ている数字は。
  180. 原野律郎

    説明員(原野律郎君) はい、そうです。
  181. 二宮文造

    ○二宮文造君 これは計画であったと、それからこちらのほうに出ているのが実績であったと、いま言いました昭和四十五年度のですね。——ちょっと待ってくださいよ、これは昭和四十五年度の実績だったと、こういうことですか。
  182. 原野律郎

    説明員(原野律郎君) はい、さようでございます。
  183. 二宮文造

    ○二宮文造君 こちらが実績、こちらが計画
  184. 原野律郎

    説明員(原野律郎君) はい。
  185. 二宮文造

    ○二宮文造君 わかりました。  それで、そうしますと、それらの需要にこたえるための、今度供給のほうの動向はどうなっておりましょう。
  186. 原野律郎

    説明員(原野律郎君) その計画に対します供給のほうにつきましては、昭和四十五年度の実績で申し上げますと、砂利の供給量が三億四千百万トン、砕石が二億六百万トン、人工骨材が二百万トン、その他千六百万トンという形になっておりまして、逐次砕石のほうの供給量がふえてまいってくる状況にございます。
  187. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで、じゃあその中で、砂利の関係ですが、これが河川砂利、山砂利、おか砂利、海砂利と、こうあるようですが、この関係部門別にどうなるのでしょう。いまおっしゃった三億四千百万トン、四十五年度でけっこうですが。
  188. 高橋弘篤

    説明員高橋弘篤君) 砂利について、河川砂利、山砂利、陸砂利、海砂利と分けますと、パーセントを申し上げますと、骨材の中で砂利の計が四十五年度で六〇・四%でございます。河川砂利が二五・三%、山砂利が一二・二%、それから陸砂利が九・六%、それから海砂利が一三・三%でございます。
  189. 二宮文造

    ○二宮文造君 もし計画局長のお手元で四十三年度数字があったら、いまのパーセントでけっこうですが、ありましたらおっしゃってください。
  190. 高橋弘篤

    説明員高橋弘篤君) 手元に四十三年はございませんが、四十年度がございますので、四十年度を申し上げますと、砂利が全体の骨材の中で七四・九%、その中で河川砂利が六四・一%、山砂利がゼロで、陸砂利が五・七%、海砂利が五・一%でございます。
  191. 二宮文造

    ○二宮文造君 わかりました。  それで、漸次お伺いしたいのですが、最近の新聞報道によりますと、全国の一級河川、二級河川で採取可能な砂利の量が、もうあと五年余りでなくなってしまうのじゃないか、こういうきびしい状態にあると、こういうふうに新聞では言われているわけですけれども、またいまその数字をお伺いしたところによりましても、河川砂利の砂利の中で占める割合が、全体のパーセントはまた別としまして、もう四十五年度では河川砂利が砂利の部門の中で二五・三%だと。四十年度には六四・一%占めておった河川砂利が、もう最近では二五・三%。まあそのトータルの割合はちょっと違いますけれども、そういうふうに単純に数字を並べてみますと、この数字の中にも河川砂利の資源というものが枯渇の状況になってきたということが明確になってくるのですが、河川砂利は一体このままいったら何年くらいもつのでしょう。
  192. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 河川砂利の保存量につきましては、私どもが四十一年に、これは河川砂利の基本対策要綱をまとめました時点で調査をしたわけでございますが、その時点で約六億トン程度でございました。で、その後河川管理上等の問題もございますので、河川の砂利採取の基本計画なりあるいは規制計画等をつくりまして、次第にその後採取を軌道に乗せて、計画的な採取を進めておるわけでございます。大勢とすれば、やはり漸減しておるわけでございます。ただし、やはりまあ洪水等の出水がございますと、ある程度の補給がございますし、また河川の改修等も進むにつれまして、在来は採取可能ではなかったところが、護岸等の施設ができてまいりますと、若干はまあ採取が可能になってくる、こういうようなことで、多少地域なり量には変動はございますが、現在の時点で砂利の保存量手直しの作業をいたしておりますが、おおむねやはり六億トンくらいはあるんじゃなかろうか。したがいまして、現在の河川砂利の採取状況を継続してまいりますと、おおむね十年くらいは何とかなるのじゃなかろうか、というふうに考えております。
  193. 二宮文造

    ○二宮文造君 それでまあそのように河川砂利の資源の枯渇ということは数字の上からまあはっきりしてくるわけで、そこでまあ山砂利とかおか砂利——陸砂利ですか、おか砂利、たんぼのところにあるおか砂利とかあるいは海の砂利、こういうものに目が向けられてきて、単純にパーセントの比較でも、さっき答弁いただきましたように四十五年度では砂利の一三・二%海砂利がそれを占めるようになってきた。海に目が向けられてきたというふうな状況でございますけれども、そこで非常に基本的な、初歩的な質問で恐縮なんですが、砂利採取に至るまでの認可の手続、こういうものは一体河川とかそれから山とかおかとか海とか、こういうそれぞれの砂利に対してどういう認可手続が必要なのか、これひとつ簡単に御説明をいただきたいわけです。
  194. 原野律郎

    説明員(原野律郎君) 砂利採取の認可の申請の前に、砂利の採取業者としての登録が必要となってまいります。これが第一段の順序でございホます。この登録は一つの都道府県の区域にだけ事務所があるものにつきましてはその当該都道府県知事、それから二つ以上の都道府県の区域に事務所を有する場合には通商産業大臣、実際には通商産業局長になりますけれども、に登録をすることになります。  次に、採取計画の認可申請をいたすことになりますが、これは採取場所を管轄する都道府県知事または河川管理者、これは建設大臣の管理する河川については地方建設局になるわけでございますが、それにそれぞれ所定の書類を付して申請をいたすことになります。で、認可申請を受理した都道府県等はその申請が認可準則にかなっておれば、かつまた他の法令との関係におきまして特に問題がないというふうに認められた場合には、これを認可するというような手順になっております。
  195. 二宮文造

    ○二宮文造君 そういたしますと、採取業の登登は通産ないしその都道府県知事、それから採取計画のほうは河川管理者、ないしは——おかの場合はどうなります。おか、それから山、それから海、こうなりますと、それはどこに出します。
  196. 原野律郎

    説明員(原野律郎君) 採取計画の認可申請は都道府県知事が原則でございます。ただいま申し上げましたように、建設大臣の管理する河川につきましては、これは建設省のほうでございますが、その他につきましては、いずれも都道府県知事でございます。
  197. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで、現在、砂利採取業者はどのくらいありますか。そのうち、登録業者がどれくらい。
  198. 原野律郎

    説明員(原野律郎君) 昭和四十五年の三月三十一日現在の登録業者数は、一万二千六百三十九でございます。そのほか、いわゆる無登録でもぐりで採取しておるものの数は、遺憾ながら、私のほうではつかめておりません。
  199. 二宮文造

    ○二宮文造君 それから大体、砂利採取業者、登録業者ですね、中小企業者が非常に多いわけでありますけれども、そのいわゆる採取業者を組織して、全国的に組織して、業界の中でそれを指導育成する、そういう部門があると伺いますけれども、それはどういうのか、どういう組織がありましょうか。
  200. 原野律郎

    説明員(原野律郎君) 砂利採取業者の全国的な組織といたしましては、社団法人日本砂利協会と申しますのがございます。
  201. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうですが、社団法人ですか、日本砂利協会ですね、砂利協会の設立の趣旨、それから協会の組織というのはどういうふうになっておりましょう。
  202. 原野律郎

    説明員(原野律郎君) この社団法人日本砂利協会の設立の趣旨につきましては、砂利関係業界の協力により、企業の発展と国民生活の向上をはかって、公共の福祉の増進に貢献するということを目的としております。それから協会の組織でございますが、協会は正会員と賛助会員の二種類からなっておりまして、会長一名、副会長二名、理事長一名、理事が六十名以上七十五名以内、それから監事が三名以上というような役員が置かれております。なお、協会の会議といたしましては、総会、理事会、さらに本会の事務を処理するための事務局等が設けられております。
  203. 二宮文造

    ○二宮文造君 この砂利協会の所管の官庁は通産ですか、それとも建設と共管ですか。
  204. 原野律郎

    説明員(原野律郎君) 通産省でございます。
  205. 二宮文造

    ○二宮文造君 それでこの砂利協会の会員数は、いまどうなっておりましょうか。
  206. 原野律郎

    説明員(原野律郎君) 昭和四十五年の十一月一日現在での会員数は、組合数が百四組合、業者数が五千百一名ということになっております。で、この日本砂利協会につきましては、組合単位での加入と個人単位での加入とがございますので、これを合わせました正確な個人会員の数は不明でございます。
  207. 二宮文造

    ○二宮文造君 ですけれども、先ほどおっしゃった登録業者が四十五年三月三十一日現在で、一万二千六百三十九と、そうしますと、大体どれくらい、組合単位にも加入しておりますから、直接、間接にはなりましょうけれども、どれくらいの登録業者がこの会員に入っておりますでしょうか、割合は。
  208. 原野律郎

    説明員(原野律郎君) 約半数程度というふうに私どもは推定しております。
  209. 二宮文造

    ○二宮文造君 協会の趣旨からいいますと、この砂利の採取業というのは大体認可ですね、でなければできない問題ですし、それからまたその業界を適正に運営していきたいという設立の趣旨に基づいたこの協会ですから、できれば大半ほとんどの方が協会に加入したほうが、業界の指導育成という面には非常にプラスになるのじゃないかと思うのですが、お伺いをすると、半数程度しか加盟してないというのは、どういうところにあるのでしょうか。
  210. 原野律郎

    説明員(原野律郎君) たいへん失礼いたしました。私の計算違いでございまして、砂利の登録業者数約一万二千というのに対しまして、約その八割程度が砂利協会に入っております。したがいましてアウトサイダーは約二割程度というふうに考えられます。
  211. 二宮文造

    ○二宮文造君 私伺ったところによりますと、海の関係の方が案外アウトサイダーが多いというふうな話なのですが、この点はどうでしょう。
  212. 原野律郎

    説明員(原野律郎君) まことに申しわけございませんが、海砂利のほうにつきましては、実態を現在調査中でございまして、手元に資料がございませんので、御了承いただきたいと思います。
  213. 二宮文造

    ○二宮文造君 それでですね、この砂利の採取計画の認可を受ける場合に各都道府県に土石採取料というのですか、採取料というのを出すことになっておりますね。これは各都道府県がばらばらなようなのですが、一体この土石採取料というのは、どういう徴収基準でもって徴収されているのでしょうか、各都道府県で。
  214. 川崎精一

    説明員川崎精一君) ただいまのお話は、河川区域の砂利採取につきまして、これは河川法の二十五条による許可を、先ほどの通産省から御説明のございました手続のほかにとることになっておりますが、それに基づいて河川法に従いまして土石の採取料を取っておるわけでございます。これにつきましては、在来からまあ都道府県の規則によってその額を定めるということになっておりまして、特に国といたしまして幾らが妥当であるとか幾ら取りなさいというような基準は在来から示してないわけでございます。非常にその点はしたがって府県によってまあまちまちな額になっていることは事実であります。で、まあ最近そういったこともございますので、いろいろ砂利の採取料等につきましては、これは地域の砂利の採取の実態だとか、あるいは歴史的な経緯とかがございますので、簡単に統一をするということもなかなか困難でございますので、全国で大体この程度の採取料を各府県は取っていられますというようなものを流しまして、なるべく全国を通じましてある程度の水準に歩調をそろえるように行政指導はいたしておるのでございますが、特にどれだけを取りなさいというような、はっきりとした指導はしていないわけでございます。
  215. 二宮文造

    ○二宮文造君 非常に最近交流が激しくなっておりますから、やはりある程度の基準というものは統一されたほうがよろしいのではないか、こう思います。またいま伺ったのは河川ですが、それで山の場合は民有地ですね、民有地ですからどうなりますか。山の場合、それからおかの場合、特に海の場合はどうなりますか。こういう採取料というのは都道府県は取らないことになっているのでしょうか。
  216. 川崎精一

    説明員川崎精一君) おかにつきましては通産省のほうからお話があると思いますが、海につきましてはこれは各府県で多少まちまちでございまして、たとえば瀬戸内海沿岸等を見ましても、約半分程度の県は規則をつくるなり条例をつくって採取料を取っておる。ある県は採取の許可だけを与えて採取料を取っていないというふうなのが、現在の実態でございます。
  217. 原野律郎

    説明員(原野律郎君) ただいまお話ございましたように、河川法、海岸法、あるいは港湾法等の適用区域におきましては、それぞれ各都道府県が規則によって採取料を取っておるようでございます。それからまたこれら以外の地域につきましても、一部都道府県におきましてはそれぞれ都道府県の規則によりまして採取料を取っておるようでございます。
  218. 二宮文造

    ○二宮文造君 それでは海に関しまして、瀬戸内海沿岸の関係県だけでけっこうですが、各県でどういう実態になっているか、資料をちょうだいしたのですがどうでしょうか。
  219. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 四十四年と五年の許可料、それから各県の採取料等につきましては資料がございますので、後ほど提出いたしたいと思います。
  220. 二宮文造

    ○二宮文造君 それからいま海の話になりましたのでこの際勉強のためにお伺いしたいのですが、ある県によりますと協同組合をつくって、その協同組合のインサイダーでなければ、いわゆる採取計画を出しても許可にならないとこういうふうな認可の基準をつくっているところがあるやに聞くのですが、この点はどうですか。
  221. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 海につきましては、これは河川法なり海岸法といったようなそういった法律に基づかない、いわゆる国有財産に対するいろいろ行政的な問題でございまして、これは国有財産を管理しておる各府県の知事がその管理下においてそれぞれ措置をしておるというようなことでございまして、直接私どもそういった行政的な関与をしておりませんので、先生お話しの実態につきましては、まことに恐縮でございますが十分承知いたしておりません。
  222. 二宮文造

    ○二宮文造君 いまおもしろい話が出てきたのですが、海岸法、港湾法、河川法その関係以外の海ですね、海は国有財産でそれは都道府県が管理する、こういうお話でございますか。——そうするとちょっと私の伺ったのと筋が違うんですが、いま瀬戸内海のいわゆる海砂利の盗掘の問題が非常に大きな問題になっているわけです。それからまた私こんなこと絶対ないと思うのですけれども、認可業者でも採取計画よりははるかにこえて採取をやっておる。そのために何といいますか島なんかの護岸なんかがくずれてくるというふうな話にまでいま発展しているわけです。ですから一体海はどこが管理するんだと、どこの所管なんだということが非常に問題になっているようです。そこで大蔵省の方いらっしゃいますか、ちょっとレクチュアしていただきたい。海は一体だれが管理するんですか。
  223. 藤原重信

    説明員(藤原重信君) 海の所管でございますが、非常にむずかしい問題でございますが、私ども国有財産の立場から申し上げますと、海のうち財産として有効に支配管理が可能であって財産価値のあるものは、国が管理すべき財産だと考えております。その管轄につきましては、建設省お願いしたいこういうことでございます。
  224. 二宮文造

    ○二宮文造君 都道府県知事の管理じゃないようなんですが、官房長ですかこの答弁していただくのは。建設省に伺っても海砂利のことは全くわからない。しかしたとえば何か海岸保全区域ですか、そういう水ぎわから五十メートル、これは海岸法ですね、それを越えたところへ行って、そこで盛んに海砂利の採取が行なわれるわけです。そこを監督するのはだれなんですか、こういうことですが、大蔵省で伺ったところによりますと、そういうものは国有財産法の一部改正によりまして公共用財産としていわゆる当該所管の官庁は建設省である。こういう判断のようですけれども、どうでしょう。
  225. 大津留温

    説明員(大津留温君) お説のとおりでございます。こういう河川法、あるいは港湾法、漁港法それぞれの公物法によりまして管理者がきまっておる地域以外の公共公物、これはいまおっしゃるような五十メートルより外の海、そのほかに陸地ではいわゆる畦畔とか水路というのがございます。こういうようないわゆる法定外公物というのは、財産価値があるものは国有財産ということで、国有財産の中に入るわけでございますが、それらのうち公共の用に供しているものは、行政用財産として建設省の所管ということになっておるわけでございます。したがいましていまの管理者、特定法によって管理者の定めのない海の、海底といいますか、そういうものの管理は国有財産として建設省に管理の責任がございますが、その建設大臣の権限を都道府県知事に委任しております。したがいまして、お尋ねの海砂利の採取につきましての監督権限というのは都道府県知事にある、こういうことに相なります。また砂利採取法によりまして海砂利といえども、これを採取する場合にはその砂利採取の責任大臣である通産大臣の委任を受けた都道府県知事が採取の認可をする、こういう関係に相なっております。
  226. 二宮文造

    ○二宮文造君 ちょっとわかんないですがね。通産省は採取業者の登録をやるわけでしょう。それから今度はその採取計画の認可を受けるのはこれは都道府県知事がやるわけですね。この都道府県知事は通産省の委任を、権限の委任を受けてやるのか、建設の委任を受けてやるのか。これはどうなんです。
  227. 大津留温

    説明員(大津留温君) その点は先ほど通産省の課長からもお答えがございましたが、河川管理者の所管する区域以外のものですね。おかも山も海も含めまして、これはまあ通産大臣の権限としてその委任を受けた知事が行なうとこういうことです。
  228. 二宮文造

    ○二宮文造君 通産、それでよろしゅうございますね。——そうしますと通産のほうは海砂利の実態というのはおつかみなんでしょうか。たとえばいわゆる作業場所とか、それから海砂利を採取している業者の数とか、それからその採取計画ですか、採取計画の認可とか採取量とか、そういうものの統計あるいはまた監督処分の統計なんというのは、通産でまとめていらっしゃるんですか。
  229. 原野律郎

    説明員(原野律郎君) 海砂利の採取量、あるいは計画というようなものにつきましては、一応私どものほうで各都道府県からの報告を取りまとめておりますが、その実態につきましては遺憾ながら十分に把握いたしておりません。
  230. 二宮文造

    ○二宮文造君 最近瀬戸内海あたりで海砂利の盗掘の問題で相当に物議をかもしているという事情は御存じなんでしょうか。
  231. 原野律郎

    説明員(原野律郎君) 新聞その他の報道によりまして、一応了知しております。
  232. 二宮文造

    ○二宮文造君 これは換算の問題なんですが、四十五年度の供給三億四千百万トンという数字があがっておりますが、これは立米に直すとどのくらいになるでしょうか。海砂利の立米はその一三・二%ですから、砂利の総体が三億四千百万トン、そうしてその一三・二%が海砂利と、それを立米に直しますとどのくらいになるでしょうか。
  233. 原野律郎

    説明員(原野律郎君) 立米あたり約一・四くらいだそうでございます。
  234. 二宮文造

    ○二宮文造君 一・四トン、それで砂利協会の第十六期定時総会、これは六月の十一日に行なわれたようですが、このときの、これは総会ではありませんで、四十五年度の事業報告の中に、もう御存じだろうと思うのですが、海砂利に関する各県の行政がまちまちで業界指導にも困難である。このように海砂利開発が全国的に波及した場合には、砂利採取法以前の問題として漁業法、水産資源保護法、海岸法、港湾法、その他各種の法律との調整も必要である。将来想定される海洋開発計画の関連も考慮の必要があると、こういうふうに事業報告の中でいろいろ述べて、昨年の十一月の十六日に東京赤坂プリンスで通産、建設両省の担当課長及び担当係官十名その他協会の会長、代表合わせて四十名が参集して海砂利の問題で懇談会を開いた。そこでですね、四十四年度の推定採取量が三千四百三十七万立米、届け数の約二倍の量が採取された、こういうふうな大体の状況をつかんでいるわけですね。それからまた、七百六十余隻の採取船が砂採取を行なっていること、あるいは砂利採取法の根幹である業者登録、採取認可制度を無視した盗掘行為を行なっている業者が意外に多いことがわかった。こういうふうに事業報告の中に述べているわけですけれども、いままでお伺いしたところによりますと、どうも海砂利の規制といいますか、そういうものについて野放しになっているような印象をやや濃くするわけでございますけれども、この点はどうでしょうか、何がネックでそうなっているのでしょうか。従来の経過とか、あるいはこれからの方向とかいうものについてお伺いをしたいと思います。
  235. 原野律郎

    説明員(原野律郎君) 海砂利の採取につきましても一応河川砂利の規則を準用するという形で現在運用が行なわれているわけでございます。しかし、先生承知のように瀬戸内海を中心といたしましてどうもかなり盗掘によるトラブルが頻発しておるようでございます。現在こうした盗掘に対します監視は海上保安庁が中心となって行なわれておりますが、こうした盗掘はどうしても夜間、しかも海上で行なわれますので、その発見がなかなか困難でございます。このため、私どもといたしましては、こうした盗掘の防止等のために関係の各省庁、さらにまた採取計画の認可を行なっております都道府県に加えまして、一般の県民の方方も幅広く協力をお願いいたしまして、こうした盗掘の監視体制をとってまいりたいというふうに考えております。なお、通産省といたしましては、この海砂利の採取基準を河川の規則の準用という体制に置いておくのは好ましくないので、早急にこうした海砂利採取のための準則というようなものの検討に入りたい、というふうに考えております。
  236. 二宮文造

    ○二宮文造君 それじゃ、先ほど建設お願いしました、瀬戸内沿岸でけっこうでございますが、海砂利の各府県の関係の業者あるいは採取計画、あるいはその認可の規則というんですか、条件、立米当たり幾らのいわゆる採取料を府県が取っているか、そういうものがわかりますようなデータを、今月末まででけっこうでございますけれども、現地へ参りましてお伺いをする関係もありますので取りそろえていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか、通産。
  237. 原野律郎

    説明員(原野律郎君) 極力資料を調達するようにいたします。
  238. 二宮文造

    ○二宮文造君 極力……。それ出ませんか。だっておたくから都道府県に委任しているわけでしょう、知事に。そうしてその知事が委任された権限に基づいて採取計画を認可しているわけでしょう。またそれに基づいていわゆる手数料なんかも取り、あるいはまた業者の指導なんかも都道府県知事がやっているわけです。また監督処分なんかもやっているわけですから、極力じゃなしに、毎年のデータを集めれば出てくるのじゃないかと思うのですが、どうでしょう。
  239. 原野律郎

    説明員(原野律郎君) 私が極力と申しましたのは、各都道府県からの報告をできるだけ早急に集計いたしまして、という意味でございますので、訂正させていただきます。
  240. 二宮文造

    ○二宮文造君 ただし瀬戸内関係の県だけでけっこうです。それから、どうも伺っておりますと、海の場合は非常になおざりになっているような気がいたしますけれども、私が聞いたところによりますと、ある県では協同組合をつくり、その協同組合の加盟者でなければ知事の採取計画の認可がない。その協同組合は、立米当たり三十円か四十円の手数料を取る、さらにまた漁業補償料としてまたさらに立米当たり三十円か四十円か取る、しかもその協同組合と、漁業組合あたりの関係者が入り組んでいまして、実際に漁業補償というのはやられていないにもかかわらず、業者は県にも納めなければならない、それからまた協同組合にも納めなければならない、さらにまた漁業補償料も納めなければならない。こういうふうな三段階の手数料を取られて中小企業者は非常に困っているというふうな、私確認しておりません、話だけですから確認しておりませんけれども、県、県によってやり方がばらばらのようです。そこでまた、いま申しましたように、インサイダーでなければ採取計画の認可がおりませんので、アウトサイダーが盗掘をするというふうな関係にもなっているのじゃないか、こういう人もいるわけです。やはりいま砂利資源の目が海に向いてきましたから、このままほうっておきますとたいへんなことになると思うのですけれども、準則をおつくりになるというようなお話なんで、私もそれである程度規制はされると思うのですけれども、どうなんですか。それは早急におやりになる予定なんでしょうか、それともここの委員会での御答弁なんでしょうか。
  241. 原野律郎

    説明員(原野律郎君) 海底骨材の採取につきましての基準をつくるということは、非常にむずかしい作業になるかと思われます。すなわち海砂利の品質につきまして、どういう品質の海砂利が日本周辺の海岸に分布しておるかという状況すらつかめていない状態でございます。それにかてて加えまして採取したあとの処理の問題、それから採取する方法の問題等、検討すべき事項がかなり多いわけでございます。で、それらにつきましては、当然関係する省庁の数も多いわけでございますので、私どもといたしましては、関係各省庁と協議して、早急にそうした検討に入っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  242. 二宮文造

    ○二宮文造君 私はまだこまかい問題で若干お伺いしたいと思ったのですけれども、どうもそのデータのほうがはっきりしませんし、私のほうも現地の事情をしさいにつかんでおりません。したがいまして突き詰めていったところで水かけ論になりまして、問題の本質が明らかにならないと思う。したがって視察を終わったあとで、この問題を取り上げたいと思うのですが、要するに冒頭に言いましたように、骨材に対する需要は年々非常に高まっていっている。ところが河川の砂利についても、あるいはまた人工の骨材にしても、コストの関係なんかでなかなか見当たらない。当面いま山砂利とか、それから陸砂利とか、至るところで、これはもう瀬戸内海沿岸に限りません。福島県方面でも、あちこちに陸砂利、山砂利の採取というのが行なわれております。そのためにまた被害も出てきております。特に私心配するのは、海をこのままにほうっておいていいものだろうかという問題です。海洋資源というのは、もう日本の国で特に瀬戸内海にとりましては、あの瀬戸内海の汚染だとか、それからまた砂利の盗掘の問題だとかいうのは死命を制する問題になってくるわけです。したがってそういうものを含めて、海洋管理法案、海洋をどう管理していくか、こういうことは当面政治の大きな問題になってくると思うのですが、いま所管の通産省の関係の方の話を聞きますと、規制が非常に困難であると、準則をつくりますとは言いながらも、さらにもう一歩お伺いをしますと、砂利の種類はどうするだとか、あるいはどういうものがあるとかというようなことで、非常に困難だというので、一歩突き詰めると、まだまだその姿勢がはっきりしていない。このままほうっておきますとたいへんなことになると思うのですが、大臣の所感はどうでしょう。
  243. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 建設行政の一番の盲点ですね、砂利採掘の問題は。それから砂利採取法、これがまあ通産省の所管だということで、ざっくばらんに申し上げて、砂利、砂を使用するのは、これは公共事業が大部分なんです。したがって、私はこの問題は年年歳歳事業が拡張していくし、いままで川で十分であったものが川で間に合わないから採石になり、採石も間に合わぬから海のものを取るというふうに、だんだん拡張いたしておるんでございまして、今後も拡張するわけです。ところが、この事業がまあ共管のようなことになっておって、両方ともざっくばらんに申し上げますと、突き詰めていっていないんです。私は建設行政のこれはほんとうの盲点となっておる。したがいまして、これは積極的に今後も砂利砂が要ることでございますから、採取の面においても、それから資源の開発の面においても、ないし貯蔵の面においても、輸送の面においてもこれは相当に計画しなければならぬのでございます。しかし、それなら一体どうするのかということですが、なかなかいま御案内のとおり業者も多いのですけれども、少なくともこれを大量に使うところにつきましては、今後新しい方策をもってしなければならぬと思っております。ようやく海まで延びてきたわけで、私は、今後これを放置すれば、おそらく砂利は外国から買わなきゃならぬのではないかというふうにまで進むんじゃないかと思っておりまするから、せっかくのいい御質問でございまするから、これを契機にいたしまして、通産省とはもちろんのこと、多少両者にまたがっているから非常な弱点になっておるということか私は前から認めているんです。したがいまして、せっかくの御質問でございまするから、これを契機にいたしまして、私のほうも十分使うほうの側としてひとつ気をつけていきたい、かように思っておりまして、建設省としても、私はかねてからいろいろ話をしておるけれども、まずそれ自身がわからないんです。したがいまして、私自身も二宮さんの質問に対してこうなっておるんだという自信を持って答えられぬわけです。少なくとも、海のほうに進んでいけば砂利採取法は改正しなきゃならぬと私は思っておる次第でございます。その他海洋に対してようやく目が向けられてきましたから、砂利のみならず海洋の開発の管理体制を、これは内閣全体の問題になると思いますから、今後一生懸命やはり検討したい、かように考えておる次第でございます。
  244. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣の答弁いただきましたので、私要望というか希望みたいなものを補足さしていただきますけれども、要するに大臣もおっしゃるとおり砂利の問題、骨材の問題は非常に大きな種種の問題をはらんでおります。たとえば砂利トラというのはノルマを課せられてそれで交通事故が頻発しているという問題も出てきましょうし、それから流通機構の問題で、要するに買い手市場ですよね。ですから、相場というものが非常にあいまいになって中小業者が買いたたかれるというような問題にもなりますし、それからまた採取の問題、それから都道府県の管理の問題、あるいはまた採取についての規則の問題、それからまた業界の組織化の問題、指導育成の問題と、これはもうほんとうにこれから本腰で問題に取り組んでいただかなければ、あちこちで物議をかもすことになろうかと思います。したがって、大臣の御答弁のとおり早急にこの問題に関係する各省庁が目を向けて問題の処理に当たっていただきたい。私また現地へ参りまして具体的な問題が出てまいると思いますので、そのときに残りの部分を合わせて質問さしていただきたい。きょうは一応これで終わりにいたします。
  245. 田中一

    田中一君 河川局長、いま埋蔵量六億トンと言っておるんですが、六億トンというのは河川のほうで可能な範囲の六億トンと言っているんですか。
  246. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 各河川につきまして基準の河床とか、基準断面をつくっております。その中に入っておる地点上、管理上差しつかえない範囲の量が六億トンということでございます。
  247. 田中一

    田中一君 取ってほしいところの砂利は取らない、とれない。それから取っちゃいけないところの砂利は取る、これが六億トンですか。たとえば取ろうと思っても非常にコスト高になるものだから取らないということがある。こういうところをどう考えておるのか伺いたいわけなんです。六億トンという推定をするなんということは、河川管理上、たとえば下流のある地点において水位がこのくらいの限度まではいいとはいいながらも、上流の一ぺん崩壊したところの、洪水のあったところの河川敷を見れば、どうしても取ってもらったほうがいいんだという河川がたくさんあるのです。そういうものが固定したものとして——それからちょっと六億トンという推定が非常におかしいのじゃないかと思うのです。私はおそらくそんなもの調べて六億トンと言っているんじゃなかろうと思うのです。一定の河川の一定の水位のところで、その水の流量というものを調べて、このくらいなら心配ないのだということだと思うのですが、そうじゃないですか。
  248. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 大体は、河川の改修計画のあるところにつきましては、先ほど申し上げたようなことで、まあ現在取っちゃいけないところを取っているというわけではございませんが、なおそのほかにやはりダムといったような堆砂の促進と砂利資源の補給に役立たせるとか、そういったことも合わせて現在見直し作業をしておるわけでございますけれども、概略の数字は六億トンくらいじゃなかろうかと思います。
  249. 田中一

    田中一君 私はそうは思わない。一つの河川をずっと歩いてみてもわかるのです、採取可能な河川の砂利というものが。ただ、全然砂利というものは別にして、流量からくるところの、河川の安全というものからくる推定じゃないか。実際は多いと思う、そんなものじゃないと思う、私はそう思う。たとえば一つのダム、天竜川の一番上のダムの泰阜ダムに沈澱しているのは、これは泥土も多いだろうけれども、あそこに沈澱している砂利砂、骨材はどのくらい推定していますか。
  250. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 私どものほうでは、いまの洪水の疎通のほかに河川の堤防、あるいはその他の管理施設等の保全の支障のない範囲で六億トンという数字を出しておるわけでございますが、ただいまおっしゃった、平岡とか泰阜、天竜、佐久間とございますが、そういったいわゆる利水ダムの堆砂については特にその計算の中には入れておりませんけれども、今後はそういったものもやはり輸送の経費その他の問題でバランスがとれれば開発していく必要があるのじゃないか、というふうに考えております。
  251. 田中一

    田中一君 だから、あなたの言っているのは取り得るところ、これが制約としては、ある地点の流量によって推定するものであって、実在する骨材はそんなものではない、もっとある、私はそう見ている。おそらく十倍あると思う。それはなぜかというと、たとえば三峰川の上流からずっと歩いてごらんなさい、取らなければならぬところがある。ただ道路も何もない。したがって経済上採算に合わないということになる。そこで私が言っているのは、十何年前にだいぶ通産省のほうでむくれてとうとうやめてしまいましたけれども、河川を維持するために砂利の採取の公団でもつくれということ、そうして骨材を消費すればなおさらのこと、死蔵されているところの骨材を、砂利を、玉石でもけっこうです、そういうものをとにかく取る、困難なところのものは掘らないのですから、一番取りやすいところを取るのです。だから、たとえば利根川にしても橋脚の辺を盗掘するということが行なわれているのです。そんなことは公然の秘密です。それは船団で夜中に来ているようなものを追っかけてみたところで、逃げてしまうからどうにもならない。だから、こういうものを合理化するために、資源の開発をするために、共管という形が一番気に食わないのですね。まあ、もっとも通産省所管であったんでしょうけれども、これをもう少し委任しちゃって、民間なら民間、あるいは半官半民でも、あるいは公団でもいい、そこで本格的な資源の調査をはかって、そうして必要でない、死蔵されている骨材は採取する、大規模に採取する。価格というものは経済性からくるところの価格であって、何も砂利は相模川なんかの一番取りやすいところから取るところのものが価格だということにはなり得ないのです。価格というものは流動するものなのです。鉄よりももっと高い砂利だっていいじゃありませんか。それが日本の資源開発になり、海洋に行って取るのと違って、取るところがあるのだから、そういう形で経済性というものは、経済性という価値の流動は当然のことである。したがって、河川法を守るために砂利の採取というものをもう一ぺん手直しして埋蔵量を調べてください。私は十倍以上あると思う、六十億トン。あらゆる骨材を合わせたら六百億トンぐらいあるんじゃないか、それをひとつ調べてください。それで、ただ治水上の見方から埋蔵量を推定するのは危険です。これだけ申し上げておきます。
  252. 小林武

    委員長小林武君) 本日の調査は、この程度にとどめ、これにて散会いたします。  なお、次回の委員会は九月二十八日火曜日午前十時からいたします。    午後四時二分散会