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1971-07-23 第66回国会 参議院 建設委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年七月二十三日(金曜日)    午前十時八分開会     —————————————   委員氏名     委員長         田中  一君     理 事         斎藤  昇君     理 事         松本 英一君                 上田  稔君                 小山邦太郎君                 今  春聴君                 中津井 真君                 米田 正文君                 松本 賢一君                 二宮 文造君                 高山 恒雄君  昭和四十六年七月二十日右の者は本委員を辞任  した。     —————————————  七月二十日議長において本委員を左のとおり指  名した。                 大森 久司君                 小山邦太郎君                 古賀雷四郎君                 佐田 一郎君                 中津井 真君                 中村喜四郎君                 中村 禎二君                 丸茂 重貞君                 山内 一郎君                 米田 正文君                茜ケ久保重光君                 小林  武君                 沢田 政治君                 田中  一君                 松本 英一君                 浅井  亨君                 二宮 文造君                 村尾 重雄君                 春日 正一君                 喜屋武眞榮君  同日議院において左の者を委員長選任した。                 小林  武君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小林  武君     理 事                 中津井 真君                 田中  一君     委 員                 大森 久司君                 小山邦太郎君                 古賀雷四郎君                 佐田 一郎君                 中村喜四郎君                 中村 禎二君                 丸茂 重貞君                 山内 一郎君                 米田 正文君                 松本 英一君                 二宮 文造君                 村尾 重雄君                 春日 正一君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        建 設 大 臣  西村 英一君    政府委員        建設政務次官   藤尾 正行君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        建設省都市局長  吉兼 三郎君        建設省河川局長  川崎 精一君        建設省道路局長  高橋国一郎君        建設省住宅局長  多治見高雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事選任の件 ○調査承認要求に関する件 ○建設事業並びに建設計画に関する調査  (山崩等による危険地域における道路整備に関  する件)  (多摩川の河川保全区域内におけるボーリング  場建設に関する件)  (世田谷区奥沢の防災建築街造成事業に関す  る件)  (沖繩における水資源確保等に関する件) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件     —————————————
  2. 小林武

    委員長小林武君) ただいまから建設委員会開会いたします。  この際、一言あいさつを申し上げます。  このたび当委員会委員長選任されました小林でございますが、微力でございますけれども皆さま方の全面的な御支援と御協力を賜わりまして委員会の運営等万全を期し、この重責を果たしたいと存じております。どうぞよろしくお願いをいたします。(拍手
  3. 田中一

    田中一君 私、小林君の前任の委員長でございますが、かってばかり申しておりましたが、どうやら大過なくこの重責を果たせました。今後とも本委員会に属しておりますから、よろしくお願いいたします。(拍手)     —————————————
  4. 小林武

    委員長小林武君) それでは、これより理事選任を行ないます。  本委員会理事の数は四名でございますが、都合によりまして、本日は二名のみの選任にとどめたいと思います。  理事選任につきましては、先例によって、委員長の指名に御一任いただきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小林武

    委員長小林武君) 御異議ないものと認めます。  それでは、理事中津井真君及び田中一君を指名いたします。     —————————————
  6. 小林武

    委員長小林武君) 次に、調査承認要求に関する件を議題といたします。  本委員会といたしましては、今期国会開会中も従前どおり建設事業並びに建設計画に関する調査を行なうこととし、この旨の調査承認要求書を、本院規則第七十四条の三により、議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 小林武

    委員長小林武君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 小林武

    委員長小林武君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  十三時三十分まで休憩いたします。   午前十時十一分休憩      ——————————   午後一時四十八分開会
  9. 小林武

    委員長小林武君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  西村建設大臣及び藤尾建設政務次官より発言を求められておりますので、順次これを許します。西村建設大臣
  10. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 私、去る七月五日の改造建設大臣を拝命いたしました。建設委員会委員皆さま方には、常日ごろ建設行政について多大の御協力を賜わっておることを、この機会に厚くお礼を申し上げる次第でございます。  私も五年ほど前に建設省に一応ごやっかいになったことはあるのでございまするが、私が、当時五年ほど前でございまするから、建設省に帰ってきてまだ十分な勉強もできておりませんけれども、推察いたしますと、相当に、予算の面もやはり二倍になっておる。また建設行政の進め方につきましても、現在の世相を反映いたしまして、やはり相当に質も変化しなければならぬというふうに感じられておるわけでございます。したがいまして、今後皆さま方の御協力を賜わりまして、時世に相応した建設行政をやっていきたいと、かように思っておる次第でございます。  まあ、出戻りの建設大臣でございますから、よく知っておるんじゃないかというようなことを皆さんお考えになるかもしれませんけれども、五年ほどの間ほとんど建設行政のことに私は従事していなかったのでもうまき直しでございます。したがいまして、どうかその点につきましてもよろしく委員各位の御教示をお願い申し上げたいのでございます。  一言あいさつを申し上げまして、今後の御協力お願いする次第でございます。(拍手)  なお、ちょっときょうは沖繩からいま陳情がありましたんですが、実は政府を代表するわけじゃございませんが、きょうおそらく調査団が帰ると思っております。建設省といたしましても、十分調査団の意見を聞きまして、まあ応急的なことと恒久的な二とがあろうと思います。建設省仕事は恒久的なことが多いんでございまするが、それにいたしましても、そう恒久的といって長く待っておるわけにいきませんから、これも皆さま方の御協力を賜わりまして、沖繩対策についてはひとつ十分やっていきたいと、かように思っておる次第でございますから、どうぞよろしくお願いを申し上げてごあいさつにかえたいと思います。(拍手
  11. 藤尾正行

    政府委員藤尾正行君) 私が今回の内閣改造に関連しまして、建設政務次官になりました藤尾正行でございます。よろしくお願い申し上げます。  政務次官でございますから、これは大臣の御方針に従いまして、大臣の御指示により一生懸命働かしていただくということが中心であろうと考えます。せっかく建設行政に長らく携わっておられます参議院の建設委員の先輩の各先生方にいろいろとお教えを賜わりまして、重大な責任を遺憾なくつとめさしていただきたい、かようにお願いをいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。(拍手)     —————————————
  12. 小林武

    委員長小林武君) 建設事業並びに建設計画に関する調査議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  13. 田中一

    田中一君 私が伺いたいのは、現在の災害対策のうち、予防的な仕事を当然これは建設省もしなきゃならぬと思うわけです。国土保全の責務を持っているところの建設省としてはしなきゃならぬと思う。  そこで、せんだって、私、個人的に焼津静岡中心にある大崩災害現場を見て参りましたが、これについて質問したいと思うのです。それに先立ってその後起こったところのがけくずれ、地すべり等災害の全貌をひとつ報告を願いたいと思います。
  14. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 政府委員が詳しく調べておりまして、政府委員から実情を報告させます。
  15. 田中一

    田中一君 もし、資料があれば資料をお出し願いたいと思います。
  16. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 今回の梅雨前線並びに七月豪雨によります被害につきましては……
  17. 小林武

    委員長小林武君) 河川局長、ちょっと大きい声でひとつやってもらえないかという御希望がございます。
  18. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 公共土木施設関係災害でございますが、直轄関係で約二十六億八千万、補助関係で二百二十一億三千万、合計いたしまして二百四十八億にのぼっております。このために住宅の全壊が三十九戸、半壊が百二棟に及んでおります。それから床上浸水の戸数が三千八百九十棟、床下浸水三万一千棟に及んでいるわけでございます。なお、がけくずれの調査については、ちょっと現在資料を持っておりませんので、後ほど取り寄せまして御報告いたしたいと思います。
  19. 田中一

    田中一君 私は、特別にその災害のうちの地すべりがけくずれ等に集約をして質問するわけでありまするが、大崩——この大崩という名称はいつごろからこの地域で使われてきたのか伺いたいことと、何年ころから大崩という名前になったか、そうしてそれはおそらく相当がけくずれの災害が、事故があったというところからそうした名称が生まれたと思うのですが、歴史的にいつごろからそういう名前になったのかということが一つと、それからどういう事故がいままであったか説明を願いたいと思うのです。これは私がこの間静岡に参りまして副知事に、おそらくこれは過去において相当地すべり崩壊等があったに違いない、これはむろん記録はあるだろうからそれをまとめてくれということを言ってきたのでありますが、その点ひとつ伺っておきます。
  20. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) 大崩という地名がいつから使われておるかということはつまびらかにしておりませんが、明治初年以来は使われておることは事実のようであります。  なお、御指摘の大崩地区におきまして土砂崩落のいままでの状況でございますが、古い資料がございませんで、静岡県に調べさせたところによりますというと、一番古い資料で二十八年の八月十一日から十二日に寒冷前線の際に崩落が起こっているようでございますが、その後三十二年にも石部地区大崩落があって交通途絶になっております。それから三十三年九月、台風によりましてがけくずれがございます。三十四年二月、低気圧によりましてがけくずれが生じて交通不能になっております。その後三十八年の六月の梅雨前線によりまして、高さ二十メートル幅十メートルの土砂くずれがありまして、交通不能となっております。四十年四月、これは大井川河口において、地震によりまして石部トンネル付近におきまして落盤沈下いたして交通不能になっております。四十一年七月に低気圧梅雨前線によりましてがけくずれが生じ交通不能になっております。四十二年六月同じく低気圧温暖前線によりまして石部トンネル付近土砂くずれのため交通不能になっております。四十三年三月低気圧によりまして三百立方メートルの土砂がくずれて交通不能になっております。四十三年十二月、同じく低気圧によりまして石部地区の西側で六十メートルくらいの土砂くずれのために交通不能になっております。四十三年十二月低気圧によりまして、やはり落石のため交通どめになっております。現在調べております資料は、その程度でございます。
  21. 田中一

    田中一君 明治初年から大崩という名称があったという地点でありますが、ではこの国道百五十号線が開設されたという時期はいつごろですか。
  22. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) 正確な資料を持ち合わせませんのではっきりわかりませんが、三十二、三年ごろ開通したのではなかろうかと思います。それまでは徒歩その他によって通行はできたように思います。
  23. 田中一

    田中一君 これはもっと古いものじゃないですか。この地帯は全部破砕土壌地帯であって、相当困難な地帯だということは、もう常識でわかっておるわけです。大崩というこういう名称、これは素朴に、何かあればすぐにくずれるのだ、がけがくずれるのだというところからきたのだと思うのです。したがって、明治初年からそういう現象がある地区に対して、どういう経緯国道をつくったか。これはむろん前には二級国道だったと思うのですが、どういう経緯でやったのか。三十二年よりもっと前のことじゃなかったのですか。その点は知らないなんということはおかしい。資料がないなんというのはおかしいので、国道というのは、建設省はどの線も全部ぴちっとつかまえていなくちゃならぬと思うのです。こういう危険な地域道路を開設した、二級国道を開設したということは、どういう理由でここに開設されたか。むろん、東海道五十三次にはこの道はなかったものと思うのです。山越えで行ったというように見ておるのですが、その経緯をひとつ説明していただきたい。
  24. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) 詳しい資料を持ち合わせませんので、推定をまじえてお答えいたしますと、当初、焼津の町と静岡を結ぶ最も近い道といたしまして人の交通の往来に供されたのじゃないかと思われます。危険の個所、危険なときにはおそらく交通どめになったときもありましょうが、車が通るようになりましたのは、おそらく開通後だと思われますが、焼津の町と静岡の一番近い距離にありますので、やはりここに道路開さくして交通の便に供したいという希望からだと想像されますが、これは戦後間もなく県道になっておるようでございます。その後、昭和三十七年度の第一回の国道編成のときに、当時の二級国道に指定されたものと思われます。二級国道になりましてから鋭意改良を進めてきたわけでございますが、現在、したがいましてこの個所危険個所というふうに想定されましたので、防災工事、特に洞門工事と申しております落石を防護する施設等を設けたり、ときにはトンネルによって一部逃げておるところもございますが、大部分が落石を防止して交通の安全を確保しようというふうに考えたわけでございますが、今回の事故は、落石というよりはあまりにも大きな大崩落が起きまして、第五洞門崩壊して車一台がつぶれて死者一名を出すという惨事に至った次第でございます。
  25. 田中一

    田中一君 新舞子の災害にしても、この大崩災害事故にしても、これは、むろんわれわれが、われわれがというか人間の想像もつかないような集中豪雨というものに見舞われれば、これは崩壊するのはあたりまえです。あたりまえというより、これはもうわれわれが庭で実験してもわかることです。一つの土の山をバケツでどんどんたたきつければこれはくずれる。これは自然現象。しかしこれに対する防災というものは、当然に国土保全役目を持つ建設省役目です。そういう面から見ると、明治初年以来がけがくずれるんだ、ここは落石が多いんだ、あるいは崩壊があるんだというこの事実から見て、ここに道路建設するという一つの、もしも完全な国土保全国土を守るという立場からくる行政官ならば、大臣ならば、おそらく開設しないと思うのです。もし開設するならば、ここに完全な落石防止あるいは崩壊というものがないという技術的な配慮をしながら行なわれるものだと思うのです。まるで毎年、あるいは二、三年ごとに、二十八年以前のものは資料がないようでありますけれども、このように常に落石あるいは崩壊襲地帯であるのにかかわらず、ここにそうした重要な道路建設したということはおそらく高橋君、君道路局長として、君の技術的な面、あるいは君の良心からいって、君ならばこれを開設するだろうか。これは何らか政治的な配慮があってこれを行なわれたものと、むろん経済的な配慮は当然であります。しかしこれを開さくを許可する以上、実行する以上、何らか別の意味の別の配慮があったのじゃなかろうかということを、私は疑問を持つものであります。資料がないから全然わかりません——おそらく西村建設大臣質問しても、それはわかりませんと言うだろうと思うのです。なぜこういういやな質問をするかと申しますと、今後とも政治路線というものが、完全に人畜、財産等を守り得る技術的裏づけがある道路ならばいざ知らず、崩壊襲地帯に不十分な道をつくって、そうして年次災害を、年次ですよ、災害は。こういうものを発生させるという道を——今後の問題ですよ。許可したという原因を知りたいのです、理由を。高橋君ならどうだろう。いまのようなのり面にセメントの吹きつけをして、まあ破砕地帯であるから小さな石は落ちてくるだろうということ程度で、あるいはトンネル洞門等をやればまず心配なかろうというようなことだけで道路開さくをするというような、技術的な面から見てどう判断しますか、道路の場合は。
  26. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) ただいまの大崩地区におきます事業でございますが、先ほど御説明いたしましたように、土砂くずれが例年、毎年毎年のように続いておりまして、まあ従来死傷事故に結びつく事故がきわめて少なかったのでございますけれども、コンクリートの洞門ないしはトンネル昭和四十四年以降は鋼製鉄骨構造によりまして落石を防止する工法をとってきたわけでございますが、われわれといたしましても、これで完全にこの大崩難所を安全に交通確保できるというふうには確信が持てなかったために、昭和四十五年度から新しく大崩バイパスと申しましてこの難所トンネルで抜く計画を立てまして、四十五年度から工事に着手し、今年は二年度目でございますが、三億の金を入れて工事にかかったわけでございます。ただこれは五十億のかなり大規模な金が必要でございまして、まだ二、三年かかることになろうかと思いますが、いずれにいたしましても、われわれといたしましては、ただいまの海岸沿いルートではとても安全を確保できないということでそういうことに踏み切ったわけでございます。ただ、何せ焼津静岡地区は非常に至近の距離にございまして、ここにおける交通は非常に多いので、とりあえず覆工——コンクリート覆工等によりまして、あるいはスチール——鉄製構造物等によりまして、落石を防止して事故を食いとめたいという観点で仕事を進めたわけでございます。今回の崩落をいたしました個所につきましては、すでに田中先生のように現地をつぶさにごらんになりまして、私のように現地を知らない者とはだいぶ違うかと思いますが、当該個所はわりにあの地区ではしっかりしていた玄武岩というふうに判定いたしまして、昭和三十七年度にモルタル吹きつけを実施していた個所でございます。したがいまして、小崩落はした、その小崩落に対しましては鋼製鉄骨構造によりまして防止できるという判断をいたしまして現在のようなおおい工事を行なったわけでございますが、たまたま予測に反した大規模大崩落がございまして、鉄骨におおいをした工事が、覆工が崩壊したというふうになったわけでございます。これは技術的判断の甘さと申しますか、に起因するところがございますが、こういう大崩落を予測できなかったところに、われわれの失敗があったわけでございます。この事故にかんがみまして、全国のいわゆるこれに類似した個所、たとえば親不知、子不知、あるいは大歩危、小歩危、それから白崩、赤崩というような地名のところもございますが、そういう常襲地帯につきましては、全力をあげて防護措置を講ずるように現在検討を進めさしておる次第でございます。
  27. 田中一

    田中一君 私は、この防災地区であったものを無理にそれを取り消して、そうして道路をつくらなければならぬかという理由がふしぎでならないのです。かりにそういう地区でも、このような施設をすれば無事に通行できるのだということの保証があって許可すべきなんです。私はそう思う。おそらく高橋君も技術家として当然そうでなければならぬということは、ぼくと共感するだろうと思うけれども、なぜそういう地区を完全な技術的な裏づけをしないでつくったかということなんです。これはまだ四千カ所ぐらいあるそうです。日本で重要な場所、しいて言えば何万とあるそうです。一万何千とか二万あるそうです。建設大臣、今後ともこういうところは日本にはたくさんあるのです、むろん異常な集中豪雨によって崩壊する、これは当然です。そんなに生命財産に及ぼす被害があるという地区道路をつくるはずはないと思いますが、政治的路線としてこういうものが行なわれるということは非常に危険なわけです。建設大臣、いままでこれは崩壊地区だから道路なんかつくることはできないんだと、まあまあ用心しながら歩くのならいいけれども、あそこは十二メートルぐらいあるのかな、そういうところに自動車がひんぱんに通る道路をつくるべきじゃないのに、そういう地区道路をつくってもいいんだというふうに、法律というか政府の考え方を変えてまで道路をつくったという理由がどこにあるかということなんです。私が建設大臣に伺っているのは、今後ともこうした危険な個所、それがただ単にそれをつくってくれれば便利だとかなんとかという経済的効果があるということなら、もっと大きな投資をして、今度の大崩バイパスをつくるような形の道路をつくらなければならぬと思うのですが、その点は、本年たくさん起こっておるところの同じような現象に対して、政府の姿勢としてはどう考えておりますか、建設大臣に伺います。
  28. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 非常にむずかしいいまの御質問に対してお答えするのは、現実に道路として使っておる個所相当に危険な個所がある。しかしまあ田中さんの言うようなことでそれははなはだ危険じゃないか、それを一体いままでどおりにしておくのか、こういうことになるとなかなかむずかしいことになります。もちろんこれから道路を開設する場合はそういう愚かなことはいたさない。少なくともどんなに想像できる事故が、がけくずれがあっても、それは十分ルートを選ぶし、また危険なルートであれば技術的な方法をもってする。それは技術の点につきましても相当距離の隧道ができたりしますから、十分できます。いままでの道路をこれを一体どうするかというようなことを、私現在考えられることは、それらの危険個所はこれは危険個所でもやはり大小があると思うのです。したがいまして、非常にこれは常襲地帯だ、通ることは危険だというようなことの認定ができれば、これは直ちに交通をとめるということもありますけれども、一般的にはやはり危険個所を直していって、やはり交通は確保するというふうにいかなければならぬのではないかと思っております。したがって今度の事故にかんがみまして、四千カ所も危険個所があるといいますけれども、それはやはりしっかりとそれを見届けて対処したいというふうに感ぜられますが、田中委員質問に直接答えられるかどうかしらぬけれども、大体の新設の個所については十分注意するけれども、現在既設の個所について一体それをやめるのかやめないのか、直ちにやめるとは言えませんが、事と次第によっては直すまでは通さない、こういうようなことも今度の事故にかんがみまして考えなければならぬのじゃないかというふうに感ぜられます。
  29. 田中一

    田中一君 西村さんね、道路にしても河川にしても、そこにいる局長連中は、みんな今度はここに何ミリ以上の集中豪雨あるいはこの水源にどれくらいの雨が降ればこの場所で河川が破堤しますよ、これはこの山はくずれますよとみんな知っているのですよ。いいですか、これはむろん常時本省としては全国の国土保全を考えている以上、常にチェックしています。さあ災害が起きた、もう改良の図面まで持って査定に出かけるのです。それくらいな高度の技術と準備がなければ局長なんか要らぬですよ。そのくらいの準備をしているのです。先行投資といいますか、予算が少ないからということも言えるでしょうが、一面見方によれば、災害待ちの状態が今日の日本建設大臣役目なんです。災害待っているのですよ。そうしてここには災害——あの水源、あの山に何ミリの雨が降ればあそこのところは必ず破堤する、堤防が決壊するのを見ているのです。これが日本建設行政というよりも、国土保全一つの姿なんです。といって、これを予防的に仕事をしようとすれば、そこに相当な金がかかると思います。その用途の地域社会における完全な——経済的なものばかりじゃない、あらゆる意味の価値づけというものが生まれたところに道もつくらなければならないし、川も修復しなければならないし、改良もしなければならないのです。私はそういう意味において、やたらに高速道路の問題にしても何にしても地域社会がこうだああだ、反対だ、賛成だという前に、この道この川の改修はかくなくちゃならないのだという、高度の政治的姿勢をもって行なわなければ、こうした災害は毎年起きるのです。建設省の行政というものはまた毎年待っているのです。行政と申しますか国土保全という一つ役目から見た場合には、災害待ちの状態なんです。これはひとつ西村さん、あなたの任期中に根本的にそういう問題を洗い直して姿勢をきめてほしい。常に何人か何十人かは死ぬわけですよ。これはひとつお願いすると同時に、今度の修復に対しては——もう時間がないものですから簡単に言うんですが、道路局だけの考え方であの災害復旧というもの、あるいは改良というものを行なってはならないと思うんです。私は事故の前を漁船でもってずっと遠くから見てみましたが、道路局がやっているものは道路の面では、道路の側面、のり面ですね、という見方をするんですが、あれはやっぱり山です、三十メーターぐらいある小山ですが、これはやっぱり山なんです。そうすると、砂防事業でも流域砂防と山腹砂防と二つに分けてなわ張り争いしたのが、いままでの農林省と建設省の争いです。今度の場合も道路予算なら道路予算であとは河川局のほうでどうこれを技術的に——これは水の問題ですよ。水の問題にどう対処するかということを専門にやらすことが必要なんです。きょうここに林野庁の人来ていますね。まあ砂防関係でも、山腹砂防は林野庁だ、川のほうは建設省と分けて、大正何年か昭和何年かに守備範囲をきめているんですが、今度の大崩災害復旧並びに改良というものについては、十分に総合的な判断のもとにやっていただきたいんです。あの遠くから見ますとちゃんと沢があるんです。小さな沢で、これは水路、水の流れる道がちゃんとできているんです。そこに水を集中的に持ってくることも必要であろうし、その点はひとつ、建設省大臣は一人なんですから、また林野庁のほうでそれをある部分は担当して、山頂のほうは林野庁に分担してもらって防災、予防措置をとってもらう、水の問題は河川局のほうで十分に調査してやってもらうということ、それから土壌の問題ですが、私この間つくづく見たのは、あのグラフト工事をやったらどうなのかということを考えたんです。というのは破砕地帯だそうですが、それにセメント汁を圧搾空気で注入して一枚板にするような考え方を、いいところはかまいません、悪いところはそうする、たとえばせんだっての災害のように十トンぐらいの大きな石が落ちてきてその洞門をぶち破っているということを避けるためにも、その周囲を固めるということです。非常に異常な形になっていました。そういうグラフト工事、セメント注入なんということは技術的にどうだろうかということを考えたわけなんです。こういう点について、ただ道路局だけの判断であれを押えるということは困難だということですね。そういう点を考えておったんですが、それに対する、これは私しろうとですからただ私の感じたところを申し上げたんですが、砂防施設それから土壌の改良です、それができなければもうあそこは閉鎖するんです。そうしてむろん閉鎖するまでは、バイパスができるまではあそこを通らなければならぬのですが、一番近距離ですから、それにはそうした意味の工事をすることです。金が幾らかかるかしらぬけれども、それぐらいのことをしなきゃならぬのじゃないかということを考えたんですが、高橋君どう考えるか。
  30. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) ただいま先生から有益な示唆をいただきまして、たとえばセメントグラフトによる岩を固める方法はどうかという御意見もございました。これにつきましては、いろいろ検討はしておりますけれども、私も実は昔ダムで相当大量のグラフト工事をやった経験がございますが、ああいう亀裂が非常に多くてしかも斜面の場合は圧力をかけますというとミルクが逃げるわけでございます。それを完全にとめる方法をとりませんといかぬわけでございますけれども、私の判断では圧力をかけたとたんに石が相当抜けまして、もし完全にそうする場合にはかえって危険を伴うんじゃないか。あらかじめコンクリートを注入して壁を全面につくっていかなければいかぬ、私はそういうふうに感ぜられますが、それはおそらく不可能な方法じゃございませんけれども、それにはコンクリートのずっと厚い壁をつくりまして崩落を防ぎ、グラフトするほうが賢明じゃなかろうかという感じがいたします。これはいずれにしましても私は専門じゃございませんので、そういうことがございますれば研究させてみてもいいと思います。ただ、今回の大崩落のあとその復旧工事をどうするかということに苦慮いたしておりまして、これは大臣からも強く言われておりますが、これは東大の教授を筆頭にいたしまして委員会をつくりまして詳細にいま検討しておる最中でございます。当初われわれが考えましたのは、コンクリートのがんじょうなものをつくりまして、いうなれば斜面に沿って屋根をかけまして落石を落としたらどうかという検討でございましたが、それには強大なトーチカみたいなものをつくる必要がございまして、車が通れないようなことになります、というのは、路面が制限されますというふうなことと、今回の落石の一番大きなものは四メートル、四メートル、四メートルくらいの大きな落石がございます。これが七十メートル崩落いたしますというとたいがいの工作物はつぶれてしまいます、コンクリートで巻いたものでもつぶれてしまいます。こういうことからいま検討いたしておりますのは、全くそれを避けまして海の中に三十メートルくらいかと思いますが、橋を通す以外にないのではないかということの検討をいたしております。先ほども御説明いたしましたように、この間につきましては抜本的に各種のトンネルを掘っておりますので、これによって抜本的対策ができるわけでございますが、しかしこの間約四、五年かかるかと思います。その間のためにもいま申しましたようにこれも三十メートルくらい海に出しまして通す必要があるのではなかろうかというように考えております。しかし、この工事は約一年近くの日時を要するように思われます。なお、先ほど先生御指摘の、この道路は将来閉鎖すべきだという御意見もございますが、われわれもできれば地元に影響がなければ閉鎖いたしたいというふうに考えますが、将来バイパスができたあとも、この道路を使うという要請が強く出ております。浜当日の地区等からちょくちょく要望があるようでございますが、いま申し上げました海に出すことによりまして、落石が落ちる限度の外になりますので、これは計算上も実験上も落石の落ちる限度の外のほうに道路を新しくつくることになりますので、これが一番抜本的なことになりますが、工期と金がかかりますが、これもあの道路を閉鎖できないとしたらやむを得ないというふうに考えておる次第でございます。
  31. 田中一

    田中一君 もう一つ、排水溝ですね、排水溝というのは長さ、奥行きはどのくらいですか。とにかくみんな詰まっているんじゃないかと思うんです。その点は現在の大崩の排水溝はどのくらいの集水個所があるんですか。
  32. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) 通常排水溝をつくる場合は岩質等によりますが、今回の場合は大体一メートルないし一メートル二、三十の深さの排水溝を掘っておるようでございます。ただしかし、先生御指摘のようにだんだん詰まるおそれが多分にございます。したがいまして、もしそういう場合にはときどき排水を整備することが必要だと思いますが、あるいは粘土が流出する場合はしばしば詰まる場合もないわけではございません。
  33. 田中一

    田中一君 これ大崩一つの実態から見て、四千カ所というこの崩壊を全部点検することです。点検するということを新聞に見ましたけれども、そうしてそういう場所は予防的に工事をすることです。  それから河川局長に聞きますが、あそこを見るとちょっと小さな沢があるわけなんです。おそらく今度の道路局で予算をとって仕事をしようというのは、崩壊部分の復旧と改良だと思うんですよ。そうでない部分については、それは道路のり面だから河川局の仕事じゃないといって逃げたんでは困るわけですが、道路予算でやるにしてもその点検とそれから判断は河川局がして仕事をしなければならぬと思うのですが、その点はどうなの。
  34. 川崎精一

    説明員川崎精一君) お話しのとおり、のり面は一応道路構造物と一連の関係で予算等につきましてはこれば道路局が所管をしておるわけでございますが、今回の場合には災害復旧の意味もございますので、そういった点で一緒になって復旧をしたいと思います。  それからさらにお話の上部の山の状態につきましては、これは直接予算措置等とは別にしまして私どものほうにも土研の地すべりの研究室もございますし、地質研究室もございますし、うちのほうの対策室もございますので、そういったところのできるだけ知恵を動員してできるだけ協力するようにしたい、こういうふうに思っております。
  35. 田中一

    田中一君 それから林野庁では向こうのあれは民有地だそうですね、全部。むろんバイパスで相当荒らすだろうと思うけれども、やはり頂上のほうがどんな形になっているか、のぼっておらないからわからぬけれども、これに対するやはり集水というか、集中豪雨で起こる問題があるわけですから、あの辺は破砕地帯ですから地震だとどうしても崩壊するけれども、何らかの措置をとらぬと、これはこの地区は特別な集中豪雨によって起きたという不可抗力的なものではなくて、常に崩壊するという地区だけに、常時そういうものに対する措置は建設省はとらなければならないんですよ。さっきも言っているように、たとえば新舞子のように非常に短い時間に二百ミリ近い雨量があったという場合には起きる現象もありますが、これだってやはり自然ならば起きない。背面を相当宅地造成か何かによっていじり回して、いわゆる自然に対する人間の作為があるために自然という大きな力がそこに災害をもたらすんですよ。したがってこういう地点が点検されてあるならば、たとえ民有地であろうとやたらにかってに開発なんていうことをさせないで、十分にそういう地点に対する点検とそれから指導をして、災害をなくすようにしなければならないんですよ。これは大崩一つの例ですが、全国のそういうものに対する、全国のそういった個所に対する建設大臣ひとつ姿勢を示してもらいたいと思う。
  36. 西村英一

    国務大臣西村英一君) いまいろいろ御発言がありました趣旨でございますが、とにかく道路といっても、道路局だけではどうにもならないだろう、それはもちろん砂防関係、私も図面を見まして砂防をやっておったのかなということを聞いたんですが、あまりやっていないんです。砂防関係にいたしましてもこれは建設省がやるものもありましょうし、農林省がやるものもあります。その辺がやはり今後も注意しなければならないということは、総合的にやはり考えなければならぬ。  それからこれは復旧のことも道路局長がちょっと言いましたが、一体トンネルに金をかけてどんなことがあってもびくともしないようにかけるのか、それとも山のほうを防ぐのか、こういうことでいろいろいままで研究されておりましたが、なかなかどちらも防げそうにない、それは非常に大きい岩石がある。それで、いま言いましたように海のほうに逃げたらどうかということも言っておるんですが、これは田中先生現地で見られたんですから、設計がどっちに落ちつくにいたしましても、一ぺん私のほうで案ができますればひとつごらんいただいて御相談申し上げたいと思うのです。したがいまして、いま言いましたことは、大崩一つの例であるから、これをひとつ教訓にして、やはり徹底的に、防げないというところにはやっぱりある程度の措置をしなければならぬと思いますし、防げるというところにはやはり道路面からのみでなしに、これは河川、農林、そういう面からひとつ注意をいたしたいと、かように感じておる次第でございまして、今度のこの事故をむだにしないように十分気をつけていきたいと、かように私も考えておりますから、どうぞ今後とも御教授をお願い申し上げます。
  37. 二宮文造

    二宮文造君 私、河川管理とそれに関連する建設行政の問題について若干お伺いしたいわけです。  と申しますのは、地番は神奈川県川崎市河原町五〇三の一、こう申しましてもはっきりしませんが、多摩川の下流で東海道線が渡っております、それから約千メートルぐらい上流の多摩川右岸、向かいは六郷のゴルフ場になっております、その河川保全区域、要するにその堤防の中ですね、河川保全区域に指定されて、堤防の中にある。しかもその辺一体は都市計画事業で緑地に指定されておる。しかもその六千平米にわたるその用地は、建築基準法でいう全く道路がない、そういうところに五階建てのボーリング場がまさにいま建とうとしている。いま建築確認申請の段階で、この確認がおりれば建設工事が始まるというので、付近の住民の方から堤防の中にボーリング場ができるのかということで、非常に疑惑の眼で見られているわけです。そこで、この河原町五〇三の一に該当する土地にそういうことが起こってきたわけですが、その今日までの経過を河川局とかあるいは都市局さらに住宅局、それらのところから簡単に今日までの経過を御説明いただきたいのです。
  38. 川崎精一

    説明員川崎精一君) ただいまの土地におきますボーリング場の建設につきましては、この土地が堤外民地でございまして、河川法五十四条の規定に基づきます河川の保全区域となっておりますために、昭和四十五年の九月二十九日付をもちまして秋田博昌名儀で河川法五十五条の規定に基づく工作物の建築並びに土地の形状変更等の許可申請が建設省の関東地方建設局長あてに出されました。審査をいたしまして、堤防並びに河岸等の保全上影響がないという判断のもとに、同年の十一月八日付で建設省の関東地方建設局長が許可をしたものでございます。  またこの土地には、都市計画法によります都市計画緑地の決定をされております。これは四十一年の九月十四日付でございますが、そのために四十五年十二月の二十五日付をもちまして先ほどの秋田博昌名儀で都市計画法の五十三条の規定に基づきまして神奈川県知事あてに建築物の建築許可申請が出されまして、昭和四十六年三月十二日付で許可されております。  なお、建築基準法の六条によります建築確認につきましては、四十六年四月二十四日付で、秋田博昌名儀をもちまして川崎市の建築主事あてに確認申請が出されておりまして、目下審査中と聞いております。
  39. 二宮文造

    二宮文造君 手続その他許可関係は、いま御答弁があったとおりです。ですが、私は冒頭に申し上げましたように、堤防の中、要するにだれが見ても川の中に五階建てのボウリング場ができるということは、これは手続がいかにとられていたとはいえ、ほんとうに疑惑の的になるんじゃないか。こういうところから、なぜこういうことになったかということで、総体に、全国的にいろいろ河川の問題があります、それらを含めて私は質問をする、こういうふうに御理解をいただきたい。ただ、具体的な問題がありますので、この具体的な問題に限って質問はいたしますけれども、同じ類似の問題が多々あるのじゃないか、そういう観点から質問をしますので、この質問の姿勢というものは、そのように御理解いただきたいと思うのです。  そこで、いわゆる河川区域がある。それから、その河川区域に隣接をして、いわゆる河川施設を保全するために、それを守っていくために河川保全区域というものが指定されている。したがって、その河川保全区域においては、通常は工作物の設置に制限があるはずなんですが、通常どういう制限があるのか、これをお伺いしたい。
  40. 川崎精一

    説明員川崎精一君) ただいまの土地は河川保全区域になっておりますが、この保全区域につきまして特に特別な基準を設けてはおりませんけれども、保全区域を設定いたしております趣旨といいますか、結局河川の河岸だとか堤防だとか、そういった河川の管理施設に影響を及ぼすような行為をなるべく防止する、こういうような意味で設定をしておるわけでございます。したがいまして、その区域内にいろいろ工作物等を新築したり、あるいは掘さくを行なうといったような場合には、許可を受けて、審査した上でその行為を許可する、こういう手続を踏んでおるわけでございます。
  41. 二宮文造

    二宮文造君 この場合、多摩川の水が流れているわけでしょう。約三メートルか四メートルぐらいの護岸があるわけですね。それから、平たん地が約五、六十メートルないし八十メートルぐらいあって、本堤防があるわけです。そうすると、その本堤防の中、いわゆる法律的には堤外の土地と、こう言っているそうですけれども、堤防の中ですね。しかも、護岸は三メートルないし四メートルしかない。その延長線八十メートルぐらいの土地に五階建ての建物を建てるということが、この堤防には何の影響もありませんでしょうか、あるいは三メートルか四メートルしかない護岸に影響がないでしょうか。五階建ての建物を建てるとすれば、相当やはり近くに掘さくを与えなければなりませんし、私はあまり建築技術というものは詳しくありませんけれども、常識的に考えてみて、川原に五階建ての建物が建つ、それでしかも、そういうことを心配して保全区域に指定してあったのをはずして許可をするというのは、ちょっと納得ができないのですが、しかも法律的な明快なあれがないわけでしょう。ただ裁量で決定したわけですね。もっと技術的に説明できませんか。
  42. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 先生のお話しのように、私も今回の処置を実はごく最近に承知いたしまして、多少自分でも今回の許可をしたことについては、何か少しもっと慎重な配慮が足りなかったのじゃないかという気が率直に言ってしておるわけでございます。で、まあ、ただ関東地方建設局の報告を開きますと、堤防にまず安全でなければいけないと、これについては、まあ約二十メートル程度の区間をとっております。それから河川の河岸のほうにつきましては、これは当初この辺は多少沼地のようになっておりまして、それを所有者が矢板等で防護をして、現在の河岸の低水護岸のようなものができておるわけでございます。まあ、そういった施設からは約四メートルばかり離すというようなことで、河岸からは結局七メートルぐらい離れておるんじゃないかと思います。そういったことで、今後建てる建物の基礎等のやり方によっては、特に構造物そのものに対しては支障はないんじゃなかろうかと思います。それから、まあ図面で概観をいたしますと、これは下を何か駐車場か何かで、かなり水の抵抗等についても、比較的普通のビルのようなものよりは抵抗は少ないんじゃなかろうかという感じがします。しかし、いずれにしましても、これは一応河川法上は河川の区域からはずしております。保全区域ということではずしておりますけれども、まあ一般の常識的な河川の概念からいきますと、堤防の中に、おっしゃるように家が立っておるというのは、どうもそういった点では私どもも非常に驚いたような次第でございます。それになお、都市計画法上の緑地になっておったとか、そういったことも総合的にもっとよく調べた上で処置したほうがよかったんじゃないかという感じは、率直に言っていたしております。
  43. 二宮文造

    二宮文造君 局長の答弁で、まあ率直な心証を述べられましたので、私、その心証のほうを了とします。ただ実際に、問題はまさに始まろうとしておりますから、これは一体、今後はどう対処するかという問題でお互いに協議をしていきたいと思うわけです。ただ、いま関東地建の局長の決裁であると、こういうふうな御答弁でございましたけれども、私が伺ったところによりますと、関東地建の下に京浜工事事務所があって、しかもその下に田園調布出張所があって、要するに田園調布出張所長が副申をつけて京浜工事事務所長に出して、その副申のまま京浜工事事務所長が局長の権限を行使しているわけですね、委任を受けて。ですから地建のサイドで、いわゆる地方建設局のサイドで真剣に討議された問題ではないわけです。こういう保全区域の許可にあたっていまのような行政組織でよろしいかどうか。権限の問題です、建設省内部の権限の問題。出張所長の副申のまま工事事務所長がそれを認めるという、こういう形態ですね。これはひとつ今後検討をしていただかにゃならぬと思うのです。要するに一級河川の多摩川、しかも両方に膨大な人口をかかえた都市を持っているわけですから、一たん洪水とか、そういうことになりますとたいへんな問題になります。これはひとつ今後の問題として検討をしていただきたいと思うのです。そこで、この具体的な問題でありますけれども、申請の地番は、それから地積はどうなっておりますか、五十五条関係の。
  44. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 最初の、京浜の事務所長の専決で処理をしたという点でございますが、いろいろ非常に単純で、しかも量の多いといったような事務もございますので、必ずしも専決をやめて、全部本局のほうで厳重に審査するんだという点では、また別の問題があろうかと思いますが、私が承知いたしておりますところでは、河川の保全区域で、しかも常識的な川の中にあるこういう区域は、非常に全国でも少ないケースでございます。したがって、まあそういった少ないケースに焦点を当てて、そういったところでのいろんな処置について、何か今後間違い——間違いというと変ですが、あまり変な処置がなされないようにひとつ考えていきたいと、こういうふうに考えております。  それから地番の問題でございますが、これにつきましては、先生すでによく御承知、御調査なさっておるようでございますが、申請書では五〇三の一ということで出ておりますが、実際はその隣に五〇三の二八というやつが追加されております。そうして、この許可にあたりましては実測の面積で許可をいたしておりますが、その実測の数字によりますと、六千七・八八平米になっております。
  45. 二宮文造

    二宮文造君 そうなんです。他人の土地を含めて、しかも地番を消して許可申請をしているわけです。しかも地積は、他人の土地も含めた地積で許可申請を出している。その上に、もうおたくはそういうことをしさいに検討しないで、バンと許可の判を押していると、こういうことになっております。これを、事実を確認したまでのことです。  次に都市局にお伺いしますけれども、いまのこの地域は都市計画法第十一条第一項第三号で、いわゆる緑地として都市計画の決定がなされておると思うんですが、その決定に至ったいきさつ、これを都市局のほうからお伺いしたい。緑地関係です。
  46. 吉兼三郎

    説明員(吉兼三郎君) 本件の土地を含めまして、御案内のとおり、多摩川の右岸と申しますか、川崎市の行政区域——下流はたしか首都高速道路の羽田河岸のところからずっと上流にかけまして、川崎市の行政区域になっております。多摩川の右岸の堤防から川のほうに向かいましたところにつきましては、いわゆる多摩川の緑地としまして、河川敷を主体にいたしました緑地としまして、都市計画決定が昭和四十一年の九月に行なわれております。面積は五百十三・九ヘクタールでございまして、これは地先の水面も含んだ決定になっております。これは申し上げるまでもなく、こういう河川敷のようなオープン・スペースは、将来はいわゆる緑地として市民のために確保していきたいというふうな都市計画上の配慮からこういうふうな決定がなされておる。そういうものの一部としまして、本件の土地は河川敷ではございませんけれども、土地利用の現状から、堤防から川のほうに向かったところの内側の土地でございまして、いわゆる堤外民有地というものでございますが、前後との関係においてそういうものを含めまして河川敷を中心とした都市計画緑地としまして決定されておる、こういういきさつのようでございます。
  47. 二宮文造

    二宮文造君 そのとおりです。隣接して川崎市の市有地がある。それらも含めていわゆる市民の健康増進のために、また自然の景観も残したいということで、川崎市は都市計画事業を組んで緑地に指定をしたわけですね。それはもう建設省でも告示をされた。ところが、そこの指定をはずすための作業が始まったわけです。それで、神奈川県に対しまして、もう御承知と思いますが、四十六年の三月四日、神奈川県川崎土木事務所に対して、都市計画法第五十三条第一項の規定によるボーリング場設置のための許可申請書、これが神奈川県知事に提出をされたわけです。その申請書が出されて、要するに川崎土木事務所はこれを決定しているわけですね、許可しているわけです。その許可の理由は、どういう許可の理由になっておりましょうか。
  48. 吉兼三郎

    説明員(吉兼三郎君) 神奈川県知事が許可した理由ということでございますが、私ども県のほうに照会いたしまして調査をいたしましたところ、三点あるようでございます。  第一点は、当該案件の土地にかかわりますところの都市計画緑地、これを将来事業化する、つまり買収をいたしまして施設緑地として整備するという、その見通しは未定であると、将来は見通しが立たないというふうな意味かと思いますが、それが第一点。  それから第二点は、将来堤防等が低水護岸のほうに移築されますと、この土地を含みますところの約五ヘクタールの土地、いわゆる民有地を主体といたしましたこの土地がいわゆる多摩川緑地の系統から除外される可能性があるのじゃないか。つまり一般の市街化区域にこの区域が入るのじゃなかろうかというふうな判断をなされたやに伺っております。  それから第三点は、そういうふうな判断をする一つのよりどころといたしまして、先発して決定された河川法上の許可が関東地方建設局のほうにおきましてなされておる。そのことが河川管理上は支障がないというふうに神奈川県の都市計画法の管理者のほうが判断した。この三点じゃなかろうかと私どもは承知いたしております。
  49. 二宮文造

    二宮文造君 そのとおりです。ところが、その第一点の都市計画事業の実施は未定だ、こういうふうに土木事務所は判定をしておりますけれども、当然事業主体者である川崎市に対して土木事務所長は意見を徴しなければならないわけです。川崎市から出た許可して差しつかえなしやという問いに対する意見書は、どういう意見でございましたか。
  50. 吉兼三郎

    説明員(吉兼三郎君) これは申請書類の関係に添付されておりますものを私どもは拝見をしたわけでございますが、それによりますと、前段におきましては、将来この地域は河川との関係におきまして多摩川緑地の区域から除外することもあり得るということが予想されるが、都市計画緑地として決定されている現在の時点においては、この申請にかかわる建築物の建築があまり好ましくないと思われると、こういうふうな川崎市の副申がついているように伺っております。
  51. 二宮文造

    二宮文造君 まあ、いろいろな政治力を背景にしましたこの仕事でございますから、当該の職務にある方もずばりとは言えませんでしょうけれども、やはり当初の計画から考えてみて、緑地に指定したものがはずされるということはこれは好ましくない。それをそのものずばりで言いたいわけです。  そこで、もしそういうような都市計画事業が未定だということが第一の理由になるならば、もう緑地事業なんか全然できないと思うのです。用地の先行取得をしない限り緑地なんかつくれない。これはもう全くその理由にならない理由だと思うのです。それから第二番目の将来堤防が移築される——いま局長さんは近く移築されるというようなことを言われましたけれども、近くとはいつですか。これは堤防をつくるのは国でしょう。私の伺ったところによると、少なくとも昭和五十一年まではない。これ以降もいつかわからない。計画はあるけれども、五十一年まではない、それ以降いつかもわからない、こういうふうな堤防の移築計画ですね。それを理由にあげている。第二番目の理由も私は理由にならないと思う。やっぱり第三番目の、先ほど河川局のほうで答弁をされた五十五条関係、河川の管理上差しつかえないと判断したということが、私はもうかぎになったと思うのです。ところが、いまそのことをただしてみますと、局長さんのほうは心証としてはちょっと好ましくない、こういうふうなことでございますから、この点については理由にならない理由が三つ掲げられて、そうしてその事業が進行しようとしている。こういう現段階にあると思うのです。  そこで、都市計画法第五十四条には、第五十三条第一項に規定する許可の基準が定められておりますけれども、それによりますと、「都道府県知事は、前条第一項の規定による許可の申請があった場合において、当該建築が都市計画施設若しくは市街地開発事業に関する都市計画に適合し、又は当該建築物が次に掲げる要件に該当し、かつ、容易に移転し、若しくは除却することができるものであると認めるときは、その許可をしなければならない。」。そこで、一、二と、階数が二以下で地階を持たないとか、あるいは二番目に主要構造部が木造あるいは「鉄骨造、コンクリートブロック造その他これらに類する構造であること。」、こういうような項目を掲げているわけです。そこで、鉄筋コンクリート五階建てというのがここにきめられた規定、この許可基準に合致しますか、都市計画法上。
  52. 吉兼三郎

    説明員(吉兼三郎君) 五十四条の許可の基準の解釈並びにその運用の問題でございますが、いま問題になっておりますところの建築物が五十四条で許可できるのかできないのかと、こういうお尋ねかと思いますが、五十四条のこの書き方は各号列記しておりますような、階数が二以下とかあるいは主要構造物が木造等の構造物でなければいかぬとかというふうに書いております趣旨は、こういう建築物についての申請がありましたならば、都道府県知事は都市計画がきまっている施設内の区域にかかわるものであっても許可しなければいけない。逆に知事を拘束している規定でございますね。ということは、その反対からいいますと、これに該当しないようなものにつきましては、許可することは法律の趣旨からいきますと好ましくないと私は思います。しかし、それは許可したからといって、それが直ちに五十四条違反にはならないというふうに私どもは解釈をいたすわけです。法律の趣旨からいいますと許可することは好ましくない。
  53. 二宮文造

    二宮文造君 そこで、私も二、三の人間と一緒に勉強したわけです。おたくでやっぱりテキストブックを発行しております。おたくで発行しているというとおかしいですけれども、四十五年八月一日当時都市局長であられた竹内藤男さん——現参議院議員です。藤男さんの推薦のことばを付して都市計画法を逐条約に解釈した全国加除法令出版社から発行された建設省都市局都市計画課編さんによります都市計画法解説というのがあります。それはもう局長さん御存じのとおり、その本の二三八ページです。二三八ページの七行目に、「本条に該当しない場合、たとえば三階建ての、建築物の建築許可の申請があった場合については、本条は何ら規定していない。」、おっしゃるとおり。「即ち、この場合は、都道府県知事(又は指定都市の長)の裁量に任せられているが、計画制限の本来の趣旨から考えると特別の事情がない限り、不許可とすべきものと考えられる。」、都市局編さんの逐条解説にこういうふうに明確に、裁量にまかされるけれども、事の性質から考えて不許可になるのが当然だと、こういうようにおたくは指導しているわけですよ。それと本件とがいかにもうらはらの——うらはらのといいますか、全然逆の方向に進んでいるような、許可になっているんじゃないかと私思うんですが、この点重ねてお伺いしたいと思います。
  54. 吉兼三郎

    説明員(吉兼三郎君) ただいま引用されましたところの、前都市局長が中心になりまして編集しました解説の書物を私は拝見をしておりませんので、いずれあとで私それを拝見したいと思います、見てみたいと思います。先生が引用されました本条の関係についてのいわゆる解説でございますか、につきましての考え方、これは私は基本的にそのとおりだと思っております。私もそれは同感だと思います。ところが、この解釈というものが、いま問題になっております本件についてどういうふうにこれはからめて考えるのかということになろうかと思うのでございますけれども、先刻のお話にもございました計画制限の都市計画法の趣旨からいきまして、特別の事情がない限り不許可にすべきであるというふうな考え方からいきますと、この案件が特別の事情といいますか、そういうものに該当するというふうに出先の責任者が判断をいたしまして許可したものというふうに私どもは考えざるを得ぬわけでございます。しかしながら、そういうふうな判断がはたして適切であったかどうかという批判は私はあろうかと思います。これは今後の行政指導上の問題かと思います。
  55. 二宮文造

    二宮文造君 やはり局長の心証も、やってくれなければよかったなというふうな、ことばにならないことばが私の耳に聞こえてくるような気がします。  それで、大体わかりました。ひとつ今後同種の問題があっちこっちで出てくると思いますから、その点については適切に行政指導していただきたい。  ただこれはこまかいことになりますが、五十三条第一項に基づいて許可するという川崎土木事務所の許可証の中に、注意事項としまして、「都市計画事業施行に際して支障となる場合には、事業施行者の指示に従い当該建物を移転または除去すること。」という、もう五階建ての建物を建てるのを許可しておいて、それで許可証に除去しろと、こういうふうな不可能な、いわば何といいますか、常識で考えられないような事項をこういう印刷物にしておくというのはどうかと思うのですがね。これはどうでしょうか、これはもうマンネリの証拠だと思うのですが。
  56. 吉兼三郎

    説明員(吉兼三郎君) 許可書につけました条件というものじゃなくて、私も拝見しましたが、印刷したもので、いわゆる注意事項という事柄の中にいまの御指摘の点があがっておると思いますが、常識的に考えまして、こういうふうな注意事項を付しましてもどれだけの効力があるのか。むろんこれはかりにそういうことをやるにいたしましても……。
  57. 二宮文造

    二宮文造君 求償の問題。
  58. 吉兼三郎

    説明員(吉兼三郎君) 求償の問題は当然起こる問題でございますし、また物理的にそれはこわせないことはないわけでありますけれども、社会の通念からいいましてこういう条件がどれだけの効力があるかという点は、確かに私は疑問だと思いますけれども、おそらくこの五十四条の一般の木造なり二階以下のものを許可いたします際にこういう条件が生きてくる、こういう注意事項がですね、補償の問題は別にいたしまして、そういうことでございまして、本件の場合、はたしてこれがどれだけの意味があるか、私も実は疑問だと思うのでございますけれども。
  59. 二宮文造

    二宮文造君 それで、大体その河川法の五十五条のその許可にあたっても、あとから振りかえってみてどうかと思われる、あるいはまた今度は緑地の指定からはずすことについてもあとから振りかえってみてどうかと思われる、こう二つ重なりました。  それから、今度は三つ目。今度は住宅局にまいりますが、私、冒頭に申し上げましたように、この六千平米の土地は全然道路がないわけです。前は川、川に向かって右隣は川崎市の水路、左隣は他人の土地、うしろは堤防、全然道路がないわけです。こういう土地を対象にして、お客さんを招く五階建てのボーリング場を設置しようとするための建築確認申請がいま川崎市に出されているわけです。その経過をちょっとお伺いしたい。
  60. 多治見高雄

    説明員多治見高雄君) ただいまお話がございましたように、鉄筋コンクリート造、五階建て敷地の面積は六千七平米、延べ面積は一万六千百平米という建物の確認申請が市に出されているわけでございます。御承知のように、これは市が特定行政庁として建築確認をするかどうかという問題でございます。それで川崎市は条例で、一般的に法律で規定しております建物は、二メートル以上道路に接しなければならないという規定に基づきまして、これを強化して六メートル以上接しなければいけないという条件を条例で付加してございます。したがいまして、それに適合するかどうかということが確認の焦点でございますが、現在、まだ川崎市のほうで最終的な判断を下してないようでございますから、われわれとしては、そういった条例も含めて法令に適合するかどうかということをしっかり確認していくということだけは、川崎市に対してしっかり指導するつもりでございます。
  61. 二宮文造

    二宮文造君 おっしゃるとおり、川崎市の建築基準条例によりますと、三十五年の九月九日制定でございますが、その第三条に「大規模建築物の敷地と道路との関係。」カッコ内は省略しますが、「延面積が一〇〇〇平方米を越える建築物の敷地は道路に六メートル以上接しなければならない。但し建築物の周囲に広い空地があり、その他これと同様の状況にある場合で安全上支障がないときは、この限りではない。」こういう建築条例がある。これをいま局長さんは指摘をされたと思うのですが、その局長さんからいままで御説明を受けた中に、この六千平米の対象の土地のいわゆるこの基準条例に当たる「道路に六メートル以上」というところは一体どこにあるのですか。あるとすれば堤防沿いに通路みたいになっております。しかもこれは河川区域ですね。いわゆる堤防と一体になって河川管理の上でどうしても必要な土地、その国有地であるその通路は若干細くあります。道路があるとすればそれしかないんですが、この場合にそういう土地の場合に、この川崎市の基準条例でいう土地ないしは道路ないしは建築基準法でいっております道路、そういうものにこの堤防の用地が道路として見られるんですか。これはどうでしょう。これは当該の問題に限らず、一般的な問題として、ここに堤防用地がある、河川区域の堤防用地がある、袋小路の敷地がある、建築したい、これが道路だと、こう解釈はできますか。
  62. 多治見高雄

    説明員多治見高雄君) この問題に限らず一般的な問題というお話でございますが、実は建築基準法によります建築物の確認について、その点一番問題の多い点でございますし、またここの確認につきまして非常に問題になる点でございます。ただ現行の建築基準法で申し上げますと、要するに建築物の敷地、構造、建築設備、これが要するに法令に適合しているかどうかということを確認しなさいということを義務づけているわけでございまして、その場合に敷地の所有権等の問題が応応にして非常に起きるわけでございます。したがって敷地の所有権についての争いがあった場合に、その所有権についての確認なしに要するに建築していないかという非難を受ける場合が応々ございます。ただ現在の建築基準法のたてまえから申し上げますと、そこまではできない。物理的な敷地の現在の条件と建築物の敷地、構造、設備というものについての物理的な確認をとにかくおやりなさい、それが法令に適合しておれば……
  63. 二宮文造

    二宮文造君 そこに道路があるのですか。
  64. 多治見高雄

    説明員多治見高雄君) 道路は必ず確認して、それに接する、規定に沿った必要な距離だけ道路にくっついていなければならない、これは確認しております。
  65. 二宮文造

    二宮文造君 そうではないのです。私の趣旨は、この堤防用地として、河川管理上必要な土地として国が持っている。しかもいまあいている、あいているというか、通路みたいになっておるところも建築基準法でいう道路に認定されるのかというのです、確認の場合。
  66. 多治見高雄

    説明員多治見高雄君) この場合、私がいままで聞いております範囲では、いまお話しの堤防の陸間部分と申しておりますけれども、その部分と階段状に敷地から道路に行ける通路みたいなものがあるようでございます。それを合わせますと六メートル道路に接した敷地という認定ができるようでございますけれども、それについては最終的に川崎市自体がまだ判定を下しておりませんので、ここでいまどうということは申し上げられませんが、あるというような判断をしておるようでございます。
  67. 二宮文造

    二宮文造君 そうなんです。実に私も感心したのですがね。関東地建に対して堤防通行願いというものを出しておるわけです。建築をするので資材を運搬するので——実際この通路はいま四メートルぐらいしかありませんがね、狭いところは三メートル五十くらいしかない。そこのところを資材を運搬をするので通行を許可していただきたい、こういう書類を田園調布へ出し、それが京浜工事事務所へ行って許可になっておるのです。それを建築確認の書類へ貼付して、これは通行の許可をとって道路でございますというので、一ぺん出したわけです。ところが川崎市のほうで大規模建築だから四メートルではだめですと言うと——よろしいですか、これからが手がこんでおるのですから。四メートルではだめですと言うと、千平米をこえるんだから六メートルなければいけませんよと、こういうことになりますと、ちょうど一年、一年の更新なんです。この三月三十一日に前に出した四メートルが切れたのです、更新のときに。それをどういうわけですか、道の堤防がちょっと四メートル切れておるのですがね、その横に付属して堤防へ上がっていく階段が二メートルある。これも貸していただきたい。そうすると六メートルになりますね、道路に面するところが。それから中に入りまして、それでいま家が建って、不法占拠か何か知りませんけれども、家が建って、実際に三・五ないし四メートル、広いところでやっと六メートルしかないところに、付近図の上に六メートルの線を入れまして、工事事務所で許可を——これはのり面に土盛りをして、通行をしても差し支えないという、こういう許可を受けましたので、と言って六メートルの線を入れて書類を変えてきたわけです。そうすると、それを受けた川崎市のほうは、条例に適合してきますから確認せざるを得ない。それで私は、これは都市局の問題をはずれるわけですが、京浜工事事務所へ行きまして、これは堤防じゃありませんか、堤防に土盛りをして六メートル、通行してもよろしいというような許可はいいんですかと、こう私は伺ったわけです。そうすると、その工事事務所の答弁は、まあ聞いてください河川局長、どういうふうになさるか。
  68. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 先ほどの地番の問題といい、現在の自動車の通行の承認でございますか、非常に現地のほうで現状をもっと十分に調査した上で、確認をした上で許可をすべきだったと思いますが、そういった点では非常に不備な点がございまして、この道路につきましては私どものほうで六メートルというようなことで承認を出しておるようでございますが、現地の状況を調べますと、まあ広いところもあり狭いところもございますが、少なくとも陸間のところは四メートル、それからあと曲がっていまの土地に進入しますところでも四メートルが一番狭いような様子でございますので、当然四メートルでそういった許可を与えるなり処置すべきじゃなかったかと、こういうふうに思っております。
  69. 二宮文造

    二宮文造君 ですから、これはやはりあれですね、通れませんから堤防を埋めない限り、堤防にいわゆるのり面に土盛りをして六メートルの通行を許したという事実はないわけですね。したがって、これは六メートルということは変更しなければなりませんね、変更をする用意はありますか。
  70. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 建築関係のほうの書類には何か土盛りをしておるようでございますが、私どもの事務所で扱っておるのはそういったことではなくて、ただ幅だけで十分調べずに六メートルということをうのみにしておったというふうに思われますので……
  71. 二宮文造

    二宮文造君 だから、原状に返す……
  72. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 現場の河川敷を含めまして、現場の地形で四メートルという判断で処理をするようにさせたいと思っております。
  73. 二宮文造

    二宮文造君 わかりました。  ということです。したがって、いわゆる建築確認の場合に川崎市を指導していただきたいことは、河川局では申請者のいわば錯誤というか、落とし穴のようなものに乗って、そしてその六メートルということになっているわけですが、これは現場が四メートルしかないんだから四メートルの通行願いしか許可できない、こういうふうに指導すると、こういうことですから、今度は川崎市の場合はいわゆる条例にはずれてくるわけです。基準条例にはずれて、確認はもう当然条例に照らして却下しなければならぬと思うんですが、これはまあ向こうの行政の問題ですから、私云々いたしませんけれども、そういうことを都市局のほうから間違いなく指導をしていただきたいと思うんですが、局長さんどうですか。
  74. 多治見高雄

    説明員多治見高雄君) 先ほどお話し申し上げましたように、私どものほうは建築物を建てる場合にその敷地が道路に接しなければならない幅をはっきり規定しているわけでございます。それに対して当該市の条例が六メートルときめておるわけでございます。それに適合しないような敷地についての建築許可は一切やるなという指導はいたします。
  75. 二宮文造

    二宮文造君 関係局長さんがずいぶん御勉強していただいて、もっと問題が複雑になるかと思いましたけれども、非常に的確な判断をしていただいたので、問題がこじれないで済みました。  そこで、私は大臣に最後にお願いをしておきたいわけです。これは私は具体的な問題を一つ掲げただけです。しかし、全国に幾多の河川がありますし、また都市計画上の緑地の計画もありますし、そういうことがこういう何といいますか、ほんとうに巧妙な手段といいますか、そういうことでなしくずしにくずされていったら、国土計画なんていうものは全くできないわけですね。ですから、こういうものの行政のあり方について大臣のほうからさらに指導していただいて、全国的に通達でも出すなりなんなりして、河川行政あるいはこういう建設行政の誤りのないことを期していただきたい、こう思うわけですが、いかがでしょう。
  76. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 私もいまの話を聞きまして、どうも非常にあらゆる面に相当な無理があるというような感じがつくづくするのでございます。したがいましてまあ大体堤外民有地があるということが問題で、こういうものが早く片づかなければというような気持ちが第一にいたします。しかし、それもいろいろ歴史を通ってそうなっておるのですから、これは片づけなければならぬと思いますが、それにいたしましても一般の国民が考えて、あまり常識的に判断して不当だというものは、それはその許認可の権利を持っているほうはよほど慎重にやらないと、またそういうことをたとえ権限をまかされておっても、上級官庁にやっぱり相談をして納得のいくようにしなければ、いまの判断を聞きましても、相当に一方は合法的にやっていると言いますけれども、それこそ私は納得するような方法をとらなければならぬと思っております。本件についてはいま聞いたばかりでございますが、今後十分河川、国土を守る建設省としては、そういうことはやらしたくないと、こういうふうに考えておる次第でございますから、そのように御理解を願いたい。
  77. 春日正一

    春日正一君 私の問題も非常に具体的な問題なんですけれども、奥沢の防災建築街造成事業が行なわれて、それがいま非常に困難な状態に立ち至っておるというふうに聞いております。この防災街区建築事業計画の概要と経過、それから現状をあまりこまかくても困るけれども、要所要所をひとつ説明していただきたいんです。
  78. 多治見高雄

    説明員多治見高雄君) 先生よく御承知のように、奥沢地区の市街地の再開発をやろうということで昭和三十九年の九月に、防災建築街造成事業をやりたいということで計画が立ちまして、地元の地域住民の方が主体になりまして、都及び区に基本計画説明しまして組合結成をいたしたわけでございます。昭和四十二年に建設大臣が都の申し出に基づきまして街区の指定をいたしております。その後九月の二十日に組合が設立されまして認可をいたしておるわけでございます。  その後、組合は実際の活動に移りまして四十四年の五月に建築工事に着手いたしまして、四十五年の九月三十日に建築が竣工したわけでございますが、その後でき上がりました建物につきましての分譲につきまして、当初組合が立てました計画のとおりなかなか実施できないという問題がございまして、非常に組合としても事業の実行上困っているという事態になっているようでございます。その事態は、十分われわれ心得ております。
  79. 春日正一

    春日正一君 非常に簡単なんだけれども、分譲できないで困っているということではないようですね。つまり最初に計画された資金計画が狂って、そのために建設会社とかあるいは信用金庫というようなところから高い金利の金を借りて建物ができたけれども、しかし建築代金を払うこともできないというような状態で、現在全部寄せますと十億ぐらいな借金になって、一日十万円以上の利息がどんどん、どんどんふえていく。だからこれを一日も放っておくわけにいかないのですね。ぐずぐず検討していると、毎日十万円以上利息がふえてまいりますから、すぐ解決しなければならぬ問題だし、もう一つなぜ私この問題を重視するかといいますと、とにかく再開発法ができて世田谷でも、祖子谷大蔵とか経堂とか、駅前ずっと同じようなことをやろうという計画がずっとありますよ。これがこういう結末で、いわゆる組合員の全部の犠牲で、つまり店を全部どっかに取られてしまったというような形になったら、これから政府のやろうとするそういう計画を信用する者がなくなってしまう。そういう意味で建設省がよくこの実情をつかんでいただきたいと思うのだが、その点いま言ったようないきさつはよく御存じになっていますか。
  80. 多治見高雄

    説明員多治見高雄君) 実はこの件につきましては、われわれも非常に先生の御指摘もありまして、頭を痛めている問題でございます。再開発は全国各地でやっております。ただこういった事態になりましたのは、これは非常にまれなケースでございます。この原因がどこにあるかということを今後も究明しなければいけませんし、今後の事業の実施にあたりましては、この件の教訓をできるだけ生かして、今後の事業が円滑にいくように努力しなければいけないというふうに反省はいたしておりますが、ただ、お話しのように、再開発事業は、この場合組合が自主的にいろいろお話をおきめになって、それに基づいてやるというたてまえはあるわけでございます。これにつきまして、いままでわれわれがお伺いをしたところでは、当初の資金計画その他にやっぱり若干無理があったのではないかということが考えられます。住宅金融公庫の融資にいたしましても、中小企業振興事業団の融資にいたしましても、当初組合が考えておったような条件では借りられないというような問題がございまして、そこら辺から資金計画が少し狂ってきたのじゃないかという感じを私ども持っております。それにつきましては、われわれといたしましては、そういった事業についてのいろいろな条件をよく承知しておるわけでございますので、それについての組合の責任者の方々に、そういった面についての指導をもっときちっとやって、事業の実施にこういったそごが起きないように指導すべきではなかったかということについては十分反省して、今後はそういうことのないようにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  81. 春日正一

    春日正一君 そこで、いま言ったように、もう建物ができて去年の九月に建ったのですけれども、いまだに二十五名の組合員は仮店舗で営業をやっている。しかも工事を請け負った藤田工業のほうから借り入れ金一億百万円、工事の未払い代金四億一千四百万円、それに利息、城南信用金庫からの借り入れ金一億八千万円とその利息というようなことで、この利息だけでも月にすると三百五十七万円ふえていっている。だから建ってから引き渡しを受けないままで、今日までぐずぐずしている間にもう数千万円の利息がたまってしまっているというような実情になっておるわけです。そうして、これに組合員の方々が自分の信用で借りてつぎ込んだ金まで入れると、さっき言ったように十億円くらいの借金になっておるというような状態です。非常に零細な営業をしておる人たちがそういうふうな状態になっておる。この陳情書なんか見ましても、もはや生死の関頭に立っております。生きるか死ぬかの岐路に立っておるというようなことを言って、政治の救いを待っておるというのが実情です。だからこの問題はやはりここでもう少し実態を究明して、どうするかということも考えていただかなければならぬというふうに思います。これはいま言ったように、一日ほうっておけば利息がかさむわけですから、すぐ片をつけなければならぬ。そういう意味でもう少し深く突っ込んでいろいろお聞きしたいのですけれども、この第二の問題として、こういうふうになったいきさつの中で、いま言われたように、確かに組合が自主的にそれはやるのだし、組合自体の意見もあったろうし、聞いてみると、組合の中での判断の違いなり誤りなんというようなものもあった。それは私どももそういうものはあったと思います。しかし私はこのケースで一番感じているのは、再開発法のときに私は質問をして、そうして指摘もしたのですけれども、つまり、組合で再開発やろうという場合に民間デベロッパーが入ってきたら、しろうとの集まりに専門家が入ってくれば好きなようにひっくり返されてしまうと言ったら、いやそれには監督の規定やなんかあるからそれはだいじょうぶだということを多治見局長答弁しておったんですけれども、そのとおりの心配がここに出てきたという印象を私は持っております。  そこで、こういうふうになった問題の中で、東京都と世田谷区がどういう指導をやったのかという問題ですね。これはやはり、そういうしろうとのほんとうの小さな営業をやっている人たちを組合にまとめてそういう大事業をやらせようということになれば、当然都なり区なりの指導、もっと大きく言えば、建設省の指導というものが決定的な方向づけをしてくるんだし、それが力になってくる。そういう役割りを持つ東京都と世田谷区がどういう指導をしたかということですけれども、この経過によりましても、最初に地元からそういう提案が出されたというふうに言われておりますけれども、これがやはり世田谷区の八環線を中心として奥沢地域がいろいろな道路なんかできて開発されるというような状況が出てきて、そういう空気の中で地元から市街地改造やろうというような意見が出てきたわけなんです。そうしてそれを東京都へ持っていったら、東京都のほうはそれはよろしいということで乗ってきて、そうして積極的に都が四十年の十一月には地元の有志と打ち合わせをし、防災建築街造成事業説明会も開いて、それから十二月には東京都が横川、依田設計事務所ですか、ここに適地調査を発注し、四十一年五月には適地調査の報告会を開いて、さらに四十一年の十二月には横川、依田設計事務所に基本計画の作成を発注するというような形で、この計画というものを最初から東京都が非常に積極的にリードしていっているんですね。そういうものができてマスタープランの作成と組合の設立というものを東京都がリードしていっているということになると、これは東京都がやはりこの計画の成功に対してもっと責任を持たなければならなかったんじゃないかというように思うんですけれども、その点どうですか、建設省としての見解では。
  82. 多治見高雄

    説明員多治見高雄君) いまお話がありましたような経過でこの計画ができたということは、われわれも十分承知いたしております。その前に、御質円のように、都がもっと責任を持つべきではなかったかという御趣旨でございますけれども、ここで、都がどうとか区がどうとかいう問題を別にいたしまして、実際問題としてこういった再開発の事業につきましては、個々の組合員相互の利害関係その他非常にこまかい問題たくさんございますので、やはり一番直接に地域住民の意向を把握できる区がもう少し積極的にやったほうが、われわれとしては事業の実施がスムーズにいったんじゃないかという感じを持っております。ただ、区がそこまでやる場合に、都の指導といいますか監督といいますか、そういった姿勢についてもっと積極的に力を入れるべきではなかったかという感じは持っております。それがまたひいては、監督官庁であるわれわれのほうももっと都を指導監督すべきではなかったかという反省もしているわけでございます。ただ、現在の段階では区が非常に力を入れておりまして、何とかこれを解決したいということで、非常に全力をあげてやっているようでございまして、われわれとしても今後の区の努力がどういう実りをいたしますか、十分監督して事業の円滑な完成ができるように努力いたしてまいります。
  83. 春日正一

    春日正一君 私は、東京都がそれほどさっき言ったような順序で積極的に買って出てマスタープランまでつくって、組合をつくりなさいということまで推進していっている以上、資金計画から建物の構造の部分まで、しろうと相手のことですから、もっと親切にバックしてやるというような態度を当然とる必要があるし、途中で区に事務移管になっていますけれども、事務移管になったからといって、それを区と都が責任のおっつけっこしておるというようなことも聞いておりますけれども、そんな態度じゃいかぬと思うのです。それはやっぱりどこに事務移管になったとしても、都としてできるだけの資金的なバックなりあるいは計画上の助言なり指導なりということはやらなきゃならぬ、ひとつそういうふうに思っております。それでもう一つ区のほうはどうかといいますと、四十二年七月に事務移管がされてこの実施に指導的な役割りを区が果たしてこられた。その点、これ見ましても組合の設立に前後して大場という吏員、これは係長だそうですけれども、この人を組合の事務所に専任に常駐さして、組合の事務所には世田谷区役所出張詰所という看板かけて、この人が常駐して、この組合の仕事を指導してきておると思うのですね。そうしてこの組合から出された陳情書によりますと、「土木課員を動員して道路拡幅のため店舗に立ち入り測量が行はれる等大場氏は防災組合体制への人事から規約に至るまで万事万端積極的指導に当り全くの官僚ペースとなり組合側役員中には権力的言動すら用ゆる」者が出てきたというようなことですね。とにかく区役所から常駐さして、その人がそういうこまかい組合の定款づくりから何から始めてこまかくめんどう見ながら組合づくりを推進してきたといういきさつがここにあるわけですね。そのためにおもしろくないといって有力者が組合の計画から抜ける。というようなことさえ起こっているというようなことも、ここでも言われておりますし、それからまあ四十二年七月には区で補助金交付条例が出された。それからこの八月一日には区の公報でもってそのことを公告して、そうして反対者説得の要請があれば区が引き受けるというようなことを区長が言い、四十三年の十一月には地鎮祭というようなものを強引にやって、そうしてこの区長をはじめ区の有力者が出席して事業を始めるというようなことをやっておる、これを見ますと、かなり強引に区のほうが計画の推進をやっておる。ところが、実際にはそういうことをやっている中で資金計画が狂ってきて、住宅公庫から借りるというやつがまあだめになった。そうして中小企業事業団に今度は切りかえて、そこから借りるという話が出たけれども、その事業団からも断わられた。その断わられた段階から工事を始めているんですね。だから監督さえしっかりしておれば、その断わられた段階に資金のめどがつかなくなりました、仕事始めましたということで、ばかな話が私はないと思うのですよ。そこらが一体どういうことになっているのかどうか。その辺の指導、監督ということがまさに役所の仕事じゃないのか、こういう事業の上でその点どうなんですか。
  84. 多治見高雄

    説明員多治見高雄君) 先ほど申し上げましたように、最終的には建設大臣の承認する事業でございます。事業計画その他につきましても、最終的な責任はわれわれにあると考えております。ただこの事業の実施にあたりましては、いまお話ございましたように、当初住宅金融公庫からの融資、その後切りかえまして、中小企業振興事業団からの融資というふうに、二転、三転してその間のいきさついろいろ内部事情もあったようでございますけれども、そこまでわれわれ存じませんが、やはりわれわれ全国のこういった同種の事業を対象としておりますので、やはり区の指導性といいますか、区の指導を信頼してわれわれ都を通して話を伺うわけでございますけれども、区としては、どうしてもこれを完成したいという熱意を持ってやられるというふうに判断したわけでございます。したがいまして、こまかい資金計画につきましては確かにいまお話しございましたように、こういう事態に立ち至るもっと前にちゃんと調べたらいいじゃないかと言われました。確かにそのとおりでございますけれども、われわれ全国に多数ございますそれぞれの事業団につきまして、一々資金計画もないじゃないかと言える根拠もございませんし、公共団体としてこれはやりたいのだ、やれる見通しがあるというしっかりした御説明があれば、われわれもやれるだろうという判断をしていく以外にはないというふうにいま感じておりますが、この問題は非常に特殊なケースでございまして、いままでこういった例はございませんでした。われわれそれで進んでおったわけでございますが、今回こういう問題が起きましたので、これを反省のかてといたしまして、今後の事業につきましては、そういった資金計画について、もっと詳細な計画の検討をわれわれのほうもいたしたいというふうに考えております。ただ、そういった場合に市街地の再開発というような事業につきまして、かえってそれが障害になるという面もございます。その面からの非難もございます。したがって、そこら辺の、どの辺までわれわれが事業計画の内容、資金計画の調達の見通しまでについてタッチしていくかどうかということは、非常にむずかしい点はございますけれども、こういった問題が起きましたので、今後はできるだけこういった面についての検討をもっと慎重にやっていきたいというふうに考えております。
  85. 春日正一

    春日正一君 いまの建設省の責任の問題はこのあとでいたしますけれども、区役所のこういう指導の問題ですね、東京都でもさっき読み上げたように、とにかくマスタープランづくりまでとっととっとと、いろいろあっせんをし、そうして組合づくり、下地づくりを東京都がやったわけです。それから区役所に移ってからも、いま言ったように、組合事務所に係長クラスを張りつけて指導する、そうしてこの陳情書によれば、「事業団よりの融資が確定せず折衝が頻りと行はれ不安の渦中にあるにもかゝはらずこの十一月には大場吏員は強引に思はれる地鎮祭を挙行することを決め四大新聞社をも招き地鎮祭は華々しく区長始め名士地元各種団体代表の祝福によって盛大に行はれました。」こういうことになっているんですね。そして当時も区役所の中にも市場の追跡調査をやってみて、そのデータの結果から、この地区は商圏が狭いから、購買力が少ないから地元の計画では大き過ぎるという意見が区役所の中では出てきた。しかし、出先はその大きな計画でぐんぐんやってしまったということが一つあるわけです。しかも、問題は住宅金融公庫から融資を受けてという計画でやっておったものが、途中でそれがだめになって、中小企業振興事業団というものにかかってきたというような事情ですね、そこらはどういうふうにつかんでおられますか。
  86. 多治見高雄

    説明員多治見高雄君) ただいまお話しのありました点で、われわれのいままでの調査ではわかっておりません点は、区役所が人を張りつけて組合員の意思に反して強引に仕事を進めたという点でございますが、われわれのいままで聞いております範囲では、住宅金融公庫の融資につきましても、組合員の中に住宅金融公庫の融資の条件というものをあまりよく知らずに、要するに金を貸してくれるのだということで事業を進めてもらいたいということでやっておったから、その実際の融資の段階になって、非常にうるさい条件がついているということで、そんなうるさい条件の金であるなら借りる必要はないということで、組合から断わったというようなことを聞いております。それから中小企業振興事業団の融資につきましても、やはり同じような要するに組合のほうからの陳情である。というのは、やはり中小企業振興事業団もいろいろな条件をつけ——いまさっきお話しございました中に、ちょっと似ておりますけれども、ちょっと投資規模が過大ではないか、あすこの立地条件から推して。したがって、もう少し規模を縮小したらどうだというような条件がついておったようでございます。条件というか、そういうお話があったようでございます。それには組合としては応じられない、既定の計画でいくんだということで、それじゃ中小企業振興事業団の融資はお断わりするということで、組合のほうから融資をお断わりしたというふうに聞いております。
  87. 春日正一

    春日正一君 そこらは突き合わしてみなければわからぬ重要な問題ですがね。しかしそういうことでだめになってきた、資金計画が狂ってきたら事業はできないわけでしょう。それなのに区役所が張りついておって何で工事を着手さしたのか、という問題が出てくるわけです。それで、藤田建設にしたって、資金計画も何もつかぬところを何で引き受けて、四億ももっとするような工事をやるのかということになると、これは非常に不安定なものを土台にしながらやっているわけでしょう。役所の指導監督をするというのは、まさにそこらの点で気をつけろよ、あるいはもっとこうしたらどうだというのが指導なんじゃないですか。そういう意味では、やはり区役所としても指導の責任を果たしていないといえるのじゃないですか。
  88. 多治見高雄

    説明員多治見高雄君) おっしゃるような意味では、確かに区にそういう面の責任はあると考えます。資金計画についての確とした見通しもなしにこういう事業を、区として推進したいという気持ちはよくわかりますけれども、その場合の資金計画の立て方について多少見通しを誤った点があるということは、まあ現実にこういう事態になっておりますので、確かに区としても行政的には責められるべきだというふうに思います。
  89. 春日正一

    春日正一君 そこで、今度は建設省ですけれども、あなたはいまどうにもとりようがないと言うけれども、この建設六法を開いて、防災建築街区造成法の第十九条「設立の認可」というところで、第一項、第二項とあって、第三項で、「建設大臣は、第一項の認可の申請があった場合において、設立しようとする組合が次の各号に適合していないと認めるときは、同項の認可をしてはならない。」と、こういって認可の条項を一、二、三とあげていますけれども、第三のところに、「事業を行なうため必要な経済的基礎その他その目的を達成するため必要な能力が充分であること。」と、これが確認されなければ組合の認可をしてはならぬということをきめておるわけですね。そうすると、あなた方認可したという場合には、十分それができる財政的な裏づけなり何なりがあるということを確認した上で認可されたわけでしょう。その点どうなんですか、責任がないと言うけれども、あなた方は認可した責任はあるわけでしょう。その点どうですか。
  90. 多治見高雄

    説明員多治見高雄君) 私は責任ないとは申し上げておりませんので、先ほどからそういった最終的な認可権に基づく監督としての責任は十分感じて反省しておりますということを申し上げておりますが、ただ、ここにありますように、「定款及び計画」それからその裏づけになります経済的な基礎等をしっかり調べて認可しなさいということをいわれておるわけで、われわれのその裏づけを確認いたします手段は、やはり地方公共団体を通してやるということしかございませんので、現状におきましては地方公共団体を通して、だいじょうぶかということをはっきり地方公共団体から副申をいただきまして、その保証でそれを信頼してやるという以外に手がない。積極的にわれわれのほうから実際の現場の事業の場に行きまして、一々資金計画から何から全部調査するというところまでは現在やっておりませんので、その面につきまして今後そういった面の必要があれば、大いに組織なり予算なり充実してやっていかなければいかぬというふうに考えられますが、ただ先ほど申し上げましたように、この事案は非常にまれでございまして、いままで地方公共団体を信頼してその副申に基づいてやっております再開発事業につきましてはこういう例がないので、われわれとしてはそれで十分であるというふうにいままでは考えておりました。
  91. 春日正一

    春日正一君 それからもう一つ言えば、第六節の「監督」というところで、届出について四十四条で、「毎事業年度、通常総会の終了の日から一月以内に、財産目録、貸借対照表、事業報告吉及び収支決算書を建設大臣に提出しなければならない。」と、だから毎年それが出ておればそういう困難な状態にあるということは、これは書類でもつかみ得るはずですね。それからもう一つは、「報告及び検査」という第四十五条では、「この法律の適正かつ円滑な実施を確保するため必要があると認めるときは、組合に対して、その業務に関し報告をさせ、又はその職員に、組合の事務所に立ち入り、帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。」と、立ち入り検査までできるようになっておるのですね。だから、当然そういうことがきめてあるということは、まあこんなような問題が起こっちゃ困るから、絶えず書類でもってその組合の事業の進行状況というものを出させて、絶えずチェックしていって、そうしてもしこれはあぶないと思ったときには立ち入り検査でも、あるいは特別呼んでもっと詳しく聞いてやるというようなことをしなさいと、する義務があるということをきめておいでになると思うのですよ。だから、いままでの手続で、これは区役所から出してきた書類とか、東京都の出してきた書類をそのまま見て、これには手続上別に問題ないからパスさせておったということで、何でもないときはそれで済むけれども、こういう問題が起こってみますと、やはり建設省としてもっとこまかく目をつけておれば防ぎ得たケースじゃないだろうか。たとえば、住宅公庫の融資という問題になれば、これは建設省の問題でしょう。それがだめだと、これはまあ公庫の融資に適合するためにはあそこの事業計画そのものを変えなければならぬというような条件があって、それでだめになったという、そういう問題がある。そうすると、その次の融資を一体どこから受けるのかというような問題、当然これは考えなければならぬし、東京都なり区なりそういうことを考えてやらなければならない。ところが、中小企業振興事業団というようなところまで食いついていく。これは振興事業団の人に聞いてみますと、事業団というのは金融機関じゃないというのですね。あるいは中小企業を振興するために金をつけてやるけれども、金をつけ事業を振興していくことの中で同時に近代化さしていく、そういう指導をする役目を持っているので、私たちは金融機関じゃありません、だからこういう過大な貸し家をつくったりいろいろするようなそういう計画に金を出す筋合いじゃございませんと、こう言っておるのですね。これは事業団の性格からそう言われてみれば、法律的にわかっておるわけです、こういう事業にここから金は借りられないということはもうわかっておる、性格上できない相談なんですね。ところが、そういうものに希望を持たせてずっと引っぱってきて、それで最後に事業団からだめだ、過大事業、営利事業、不動産業務というようなことでとても事業団の対象にはならぬというようなことで断わられてきた。その瞬間に事業を始めておるというような何とも、考えても常識ではわからぬようなことになっておるわけですね。だから、そこらでチェックしておれば、ここまで行かぬで済んだかもしれない。事業を縮小させるというような監督を強力に指導すればできたかもしれない。そういう意味ではやはり建設省も、いまあなた方が言われたように人手が足りませんとかなんとかということは実情としてはあるでしょう、私もわかる。あとでこれは大臣にお聞きしたいと思っているのだけれども、三人しかおらぬということは私も聞いてびっくりしたのだけれども、そういうことではとても監督できるものじゃありませんよ。しかし法律の文面からいえば、建設省がこれはやれるという確認で認可をして、そうしてずっとその成り行きは建設省が見ていく、そういう法律のたてまえにはなっておるわけです。だから、そのたてまえどおりになっておれば、こういう破局にならぬ、事前に救い得たのじゃないか、そこらの辺ですね。あなたは実態論から、それはできるだけのことをやってきたのだけれどもこんなことは例外だと、まさにこの例外が起こらないためにこの法律の規定があるのじゃないか。そこらの辺、どうですか。
  92. 多治見高雄

    説明員多治見高雄君) そういうふうに条文をあげて次々と言われますと、まさに理屈はそのとおりでございます。ただこの規定にございますように、われわれこの規定に従いまして、財産目録とか貸借対照表、それから事業報告書、収支決算書等を建設大臣に提出していただきまして、その範囲内で、出された書類の範囲内で見た限りにおいてはそういったそごはない、事業は円滑に実施できるという書類になっておるわけです。しかもその書類は地方公共団体を通って出てきているというところに、われわれとしては今後の行政上問題があると申し上げたのはその点でございまして、それを一応疑って、たとえば収支決算書にしましても、金融機関から金を借りるという予定がございました場合に、その金はA銀行から借りるのかB銀行から借りるのか、ほんとうに貸してくれるのかというところまで中央官庁がタッチしなければいけないかどうか、これは一つの問題だと思います。ただ、現在の地方の行政機構の組織から申し上げまして、われわれとしては一応地方公共団体がそういった書類を地方公共団体を経由して事業者からわがほうに出す場合には、そういった面についての監督は地方公共団体でやっていただいているものだという前提で見ているわけでございまして、その限りにおいては今回の問題につきましても書類上はそういったそごが起きるという心配はないような形になっております。実際はこうなったということでございますので、そういった面についての今後の行政のあり方、やり方については今後検討したいというふうに考えておるわけでございます。
  93. 春日正一

    春日正一君 そうしますとあれですか、建設省としては組合認可はしたのだけれども、しかしここまで破局になってきているということは最近まで知らなかった、ということなんでございますか。
  94. 多治見高雄

    説明員多治見高雄君) はなはだ残念ながら、われわれは東京都に三つの話を伺っている限りでは、こういうふうになっているということは最近まで知らなかったわけでございます。
  95. 春日正一

    春日正一君 だからその点では、やはり知らなかったということは、これはまあしょうがないことですけれども、さっきも言ったように、建設省のほうでこの段階で適当な指導監督があればある程度こういう事態というものは防げたのじゃないか、私はそういうふうに思うし、そこらの辺がやはりこれからの問題としては十分考えていかなければならぬ問題だと思います。  そこで、結局そういうことになって、いま言いましたように、もう全部入れますと十億円からの借金になっておる。だから関係者の人たちの意見によれば、もうどうにもしょうがない、非常に零細な業者ですね、駅前で営業しておいでになったそういう人たちに、とにかく組合つくれといってやらせておいて、十億円借金がたまってしまった。この二十五軒ぐらいの小さな小売り商人でどうして払えるか。利息代も払えそうもないというような事態になっておる。だから地元の人たちは、最近の心境からいえば、もうしょうがないから国でも都でも、あなたでも、全部買い上げてくれ、自分たちはとにかくあそこでもって営業さえさしてもらえればいいのだと、それほどせっぱ詰まった気持ちになってきている。そうしてこれはさっき言いましたように、一日でも延ばせば延ばすほど利息がかさむわけですから、早く解決しなければならぬ、そういうような問題にもなっておるわけです。そこでこれの対策の問題ですけれども、確かに局長も言われるように、それは組合のほうにも自分たちの計画やるために公庫の融資の条件に適合するように計画を直すということをやらなかったとか、まあいろいろそういう組合のほうの側の責任にかかる問題もあると思う。しかし同時に経過から見れば、しろうとの組合を推進していったのは東京都であり、区であり、そして国でもそれを認可して、国の一つ政治の方向としてそういうことをやらせていったわけですから、これを地元に責任をかぶせるだけで問題は解決しない。地元の人たちみんな破滅しなければならぬようなことになる。だから結局私の考えでは、この問題を解決するには、その責任に当たってきた国や東京都や区、あるいは関係業者も含めて、みんなでもってとにかく円満に解決するために努力をするということよりほかないじゃないか、そう思います。そして現在区のほうでは店舗の予定の処分床を区の施設として買ったらどうか、それができるかどうかというようなことを、まあ各党の議員なんかも参画して、これは超党派で検討もしておるというようなふうに聞いております。それから、だから国のほうでも借り入れ金の肩がわりの問題とかあるいは住宅金融公庫の融資というようなものをいまの段階で検討できるのかどうか、あるいは積極的に打開するような方向、こういうようなものが考えられるのかどうか。これは考えられる限りの手を打ってあげる必要のある問題じゃないか、そういうふうに思いますし、同時に東京都や世田谷区に対しても、そういう立場から積極的に解決に当たるように建設省として指導をしていただくということが、いま非常に大事になってきておると思います。そういうことの中には、当然工事を請負った藤田工業なり、これは大きな債権者になっているわけですから……。あるいはまあ住宅の部分の処分床の処分を引き受けた伊藤忠不動産とか関係業者もおります。そうした人たちにもやはりある程度泣いてもらうというような、そういうことも当然考えなければならぬだろうと思う。つまり役所に泣けとか、組合に泣けとかだれかにおっつけるのではなくて、やはりこの問題はみんなで片をつけるということになれば、そういう関係者にもそういう話のしようというものもあるはずだ。そういうことをやはり区なり都なりあるいは国のほうなりでいわゆる助言もし、あっせんもするというようなことで、やはりこの被害を最小にとどめて、積極的に国の政策に乗って、とにかくあの市街地改造ということに協力しようとした人たちが営業を続けていける、とにかくまあ破滅せずに済んで営業が続けられていくという程度にはしてあげなければ、これからの国の施策が疑われてくる。そういう意味でできるだけのことをやってもらいたいと思うのですけれども、その点建設省のほうとしてどういうふうに考えておいでになるか。ここでしっかりした決意を聞かしてほしいと思うのですよ。そんなこと初めてだと言われるが、初めてのこのケースをどうこなしていくかということもやはり大事なことだと思う。ぜひ聞かしてほしいと思います。
  96. 多治見高雄

    説明員多治見高雄君) 先ほどから申し上げておりますように、私ども最近そういった事態を初めて知ったわけでございます。その後都区等と連絡しまして、いろいろ事情を聞いておりますが、お話の中にございましたように、区が非常に熱意を持って解決したいということで、現在は努力しているようでございます。お話のございましたように、区が実際に処分床を買うとかあるいは借りるとかいうようなところまで考えると、ただそれだけでは足りないというのが実際の状況でございますので、都につきましてもわれわれのほうからいろいろな融資の手段がございますので、都のほうからもそういった手段を十分検討してくれということは申し入れしてございます。また国からの直接の方法といたしましては、住宅金融公庫からの融資ということも考えられますので、その面の検討もやっております。いろんな条件、その他の事務的なこまかい面はなかなか簡単にはいかないのでございますけれども、とにかく組合員の方々がいまお話のございましたような、何といいますか、野たれ死にすることのないように、何とかこの事業の完成を助けていきたいというふうにこれから全力を尽くすつもりでおります。
  97. 春日正一

    春日正一君 その点はぜひ全力を尽くしてやっていただきたいと思います。これ以上具体的な問題になればいろいろこまかい問題出てきますから、ここではそういう大筋の決意表明をしていただくということで、ぜひその線で進めていただきたいと思います。  そこで大臣一つ。こういうことをお聞きになっていて、今後の問題ですけれども、つまり私最初にも言いましたけれども、この法律は市街地再開発法に吸収されて、これから、ずっと市街地の再開発という形で出てくると思うんです。そして、組合ができるというような場合、やはり私あの法律の審議のときにもその点指摘したんですけれども、しろうとが集まって組合をつくる、しかもみんな営業したり何か仕事をしておいでになる方だから、その組合の仕事に全部つきっきりで勉強したり見ておったりできないものですから、どうしても人まかせになってしまう、そういう性質のものなんです。そこで民間デベロッパーというようなものが入ってくれば、そういう資金力を持ち、いろいろな知識も持っている人がいいようにしてしまうだろう、だからこの再開発法というものは非常に危険なものだと言って私は反対したわけですけれども、あのとき政府のほうとしては、いま私が読み上げたような監督の規定というようなものがあるから、だいじょうぶだと言っておいでになった。ところが、まさにそれと同じようなケースが——これは再開発法前のことですけれども、出てきて、こういう事態になったわけです。組合員の人たちはそういう法律上のことも知らないし、住宅公庫の融資の条件とか、中小企業振興事業団の性格というものも知らないで、とにかく言われてそれでできればいいだろうということでついてきてのっぴきならぬところまできてしまった。そうしてそういう監督規定があるけれども、いまお聞きしてみますと、こういう事件が起こってから都なり区なりの役所からくる書類というようなものに目を通しておって、実際のそういう実態を見るという仕組みになっていない、そこにこういうような不幸な事件が起こった一番の一つの抜け穴みたいなものがあったんじゃないかと思うんです。聞いてみますと、全国にこういう関係の仕事を見ておるのが三人しかいないそうですね、建設省には。それではとてもじゃないけどほんとに書類にさっと目を通すくらいな仕事になってしまうだろうし、しかも法律にははっきり、さっき申し上げたように、きちんと監督しろということが書かれておるということになりますと、今後こういうことを起こさないようにするには一体どうしたらいいのか。特に再開発法の場合には三分の二が賛成すればこれできるというようなことになっておるわけですけれども、その点大臣としてはどういうふうにお考えになっていますか。この話を聞いた上でひとつ大臣の今後こういうことを起こさぬようにするにはどうしたらいいかというところをお聞かせ願いたいんです。
  98. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 再開発法の思想、考え方は、今日のような都市の状況ですから悪くはないと思う。御指摘のように運営はやはりこれはなかなか組合員がたくさんおりまして危険性はいろいろあると思います。今回の仕事を聞いておりましても、これは計画が違ったんでしょうが、これは監督の人数が少ないとか多いとかいう問題では、これも関係はありましょうけれども、やはり私どもがそれに許認可を与える官庁としては突っ込んだ監督の、指導の強化をするということが第一なんだと私は思います。もちろん人が少なければ手落ちがあるということはありますけれども、そこでこれはこれの問題として過去にさかのぼるわけにはいきません。建設省といたしましても十分反省し、責任も十分あるんだ、いまあなたが御指摘のようにこの段階になれば過去の責任は責任としてこれはとがめられても、今後の善後措置を行なう以上は、ひとつ早く進めるということが第一番であろうと思います。したがいまして建設省はもちろんでございますが、都、区その他の関係の方々にも御相談を申し上げて、せっかくいい職場を得たと思っておった方々に御迷惑のかからないようにすることが第一番と思われます。今後こういうような事故の問題につきましても十分注意しなければならぬ、また私もまだ早々でございますから、それにどういう方がどういうふうな監査の仕事をしておったか、何人かかっておるかよく知りませんが十分気をつけましてやっていきたい、かように思っておりますが、再開発の思想というものは必ずしも悪くはない。これをどう運営していくかということに非常に困難性があるように私も感ぜられますから、十分注意していきたいと思います。
  99. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 関連して。いまお話しを伺いましてどうもふしぎだと思う。私も防災街区の問題はいままで関係するところも多く、しかも成果は相当あげてたいへん喜ばれておる、そういうものがあるのですが、いままでそのためにせっかくいい防災街区の計画がやや消極的になるというようなことになってははなはだ遺憾だ。さればといって、いまの問題を伺うとそれは監督の点において、ことに計画が非常に変わってきた、途中で。にもかかわらず区が積極的に力をどんどん入れるということは区の重大な責任ではないかと私は感ずる。しかし、いまのお話を伺うと、いかにも規模が大き過ぎて区だけでは始末ができぬではないか、これは都にもひとつ十分あなた方も力を入れて、そうして結局早く片づけるということが一番大事です。これを引き受けた建設業者もまるでしろうとではない、金の出どころもなくなって、計画する、その実力はどのくらいだということはわかるはずです。それをあえて進められたということは区にあるか、都にあるか、そこらにかなりの重みと信頼とを持っておったことだろうと思うんです。これはいま責任だけを問うてもどうにもしようがない。それを問うより、早く片づけて、見通しをつけて、それに対して全力を尽くすことが大事だ。こんなことのために防災街区の計画が消極的になるということははなはだ遺憾だと思いますから、それもひとつ御注意願いたいと思う、よろしく。
  100. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 小山先生の御注意ありがとうございます。この話は私は想像するんですが、いろいろな問題が中にあったんですね、各人の意見があった。それでここではわからないようないろいろな中の問題があって今日のようになったと思いますが、それはともかくとしても善後策を急ぐ、このために再開発を私は消極的にはしない、この問題はこの問題として取り上げて急ぐ、これからの主眼点でございますから、御趣旨に沿うように善処していきたいと思います。
  101. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私、具体的な問題に入ります前に基本的な問題、そのことが大臣あるいは政府の方には耳痛いと申しますか、失礼になるかという懸念もありますけれども、私はぜひこのことをまず初めに確認をし、その上に立って具体的な沖繩の当面あるいは今後の問題を含めて申し上げたい、こういう意味でたいへん大臣それから政府の方々に失礼になるかと思いますが、そこを悪く思わないでお聞き取り願って、そういう気持ちでひとつずばり言わしていただきたい、こう思います。  そのことは何かと申しますと、沖繩が来年、きのうの予算委員会の中でも佐藤総理に問いましたら、来年の四月一日をめどにしている、こういうことで沖繩の返還が来年の四月一日をめどにいま刻々と秒刻みで進みつつある。そういう中で秋の国会も沖繩国会だ、こう言われているわけでありますが、それに備えて現地沖繩に入れかわり立ちかわり調査団がそれぞれの分野から続々と現地に行っておられます。また沖繩現地からも、それぞれの関係団体が本土政府あるいは各政党に向けてもいろんな形の要請、陳情が一ぱいございます。それは底に流れるものは何かといいますと、復帰がだんだん近づくにつれていろいろな形での不安がますます深刻になりつつあるということなんです。深刻な問題が具体的にあらわれつつある、こういうことであります。その不安のまた中で最も現地側から、ずばり言わしていただきますならば、その不安ははたして復帰して日本政府沖繩をよくしてくれるかな、こういう一面政治不信、政府不信、こういう声が強くなりつつあります。それはいろいろな具体的な問題についても言えるわけでありますが、その最も根本をなすものは、佐藤総理はあの所信表明の中でも、またきのう私の予算委員会における質問に対するお答えの中でも、非常にまじめに沖繩の二十数年の苦脳に対して何とか報いてあげたいというよりは、その責任を感じて、一日も早く復帰さしてやりたいというこの御熱意が一貫してあることを、私は十分認めます。ところが問題は、そのような気持ちを政府の閣僚あるいは役人の皆さんがはたしてみんながそのような気持ちで、沖繩を今日のような状態に置いたのは一体だれなのか、何なのか、こういうほんとうに主体的に沖繩の今日を受けとめて、これは国の犠牲ではないか、こういう真摯な気持ちで沖繩を認識していただかなければ、幾ら形式的に数字的に調査を並べてみたところで、それは絵にかいたもちにしかならない、こう実は思うわけであります。そういうことに対する政府に対するところの不安、不信感ですね、はたして日本政府沖繩をほんとうによくしてくれるだろうか、こういう不安が一ぱいあります。  その最近における具体的な例をずばり申し上げる必要はないと思いますが、沖繩を甘やかすな、沖繩は過保護だ、保護し過ぎておるのだ、肥満児だ、こういう大臣の声、こういうことさえも記者会見の中であったということは、御承知だと思います。もしこのような政治姿勢で、沖繩に対する認識で復帰を迎えるならば、それこそ復帰してほんとうに沖繩がよくなるか、こういう不安、不信を持つことは、これ当然だと私は思うのであります。そういうことで、私は決して大臣がそのような気持ちを持っていらっしゃるとは毛頭思いませんが、しかし、過去においてそういう事例が間々あった。こういうことを思いますときに、私は調査もけっこうだ、また陳情を受けることもけっこうだが、はたしてその内容に対してどれだけ責任を持って沖繩に対するほんとうの理解を、認識をして、沖繩をこうしたのは一体だれの責任であるのか、これは国の犠牲じゃないか、こういうまじめな気持ちでそれにこたえていただく、こういうことをまず大前提にしない限り、私は今後の沖繩問題、具体的にいろいろの問題が取り上げられてくると思いますが、それは単に一県じゃないか、他県はどうするか、こういう前提に立ちますというと、過保護とか沖繩を甘やかすなとか肥満児だ、こういうことにもなりかねないのであります。二十数年にわたるこの断層、国の犠牲からきたところの生命、財産、人権に対するこのさまざまな形での苦悩がいろんな形で大きな格差を持っておるということも、これはいかなる偉大なる政治力を発揮しても、いますぐ沖繩のこの断層を一気に埋め尽くすという、こういう快刀乱麻の政治力というものは期待できない。であればこそ、私はまじめに、ほんとうに沖繩の声を、また沖繩現地への調査をきめこまかに吸い上げて、これはすべて日本政府の責任であるのだ、国民の責任であるのだ、こういうまず政治姿勢が大前提をなさなければ、それはすべて絵にかいたもちにしかならない、こう思いまして、私はたいへん失礼とは思いましたが、まずそのことを確認いたしたい、こう思いまして大臣の、まだ日が浅くて沖繩の実情については十分御理解がないかともこう思いますが、それしてもまあ沖繩の直接の窓口は対策庁であり、そしてその責任者は総務長官あるいは開発庁長官であられるわけでありますから、それも結局窓口を一本化したのも、二十数年におけるこの断層、落差を何としても埋めなければ、縮めなければいけないというこの配慮から窓口が一本化されたわけでありますので、どうかそういうことも十分御理解の上に立って、大臣が新任早々沖繩問題に対してどういう姿勢で取り組むのだ、こういうまず沖繩に対する姿勢をお聞かせ願いたいと思います。
  102. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 質問の前提としてというお話でございまして、私といたしましても沖繩の現状の状態は、それにあまりタッチしたことはありませんけれども十分わかるつもりでございます。したがいまして、何をやるにしてもやはり沖繩の県民の方々の心情をもってそれをわれわれの心情として仕事をやっていかなければならぬことは当然でございます。佐藤総理も私が見ておりますと、沖繩問題についてしゃべるときは、何かこう涙ぐましいような気持ちである。したがいまして、私が今後沖繩に対して建設行政を進めていく場合にも、いまあなたが言われるような気持ちを十分体していかなければならぬことは当然でございまして、まあいまあなたが一、二おっしゃいました不穏な言辞があった、そのやりとりの問題は、私も新聞で拝見いたしておるだけでありますが、少なくともいまの日本国民にしても、やっぱり何とか沖繩の人を幸福にしたい、こういう気持ちはもう一ぱいであろうと私は想像いたしております。したがって、十分そういう姿勢をもって行政に取り組んでいきたいと思いますから、どんな御無理なことでも——それはできないことも中にはありましょう。けれども、いやしくも陳情は陳情として熱心に聞き入るつもりでございまして、なるべくその線に沿うて沖繩の県民の要望にこたえたいと、かように思っておる次第でございますから、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
  103. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまのおことばを聞きましてたいへん力強く思っております。どうぞひとつよろしくお願いいたします。  そこで、具体的な問題、先ほど最も干ばつの被害の直接の被害者の宮古島の代表が見えて陳情があったわけでありますが、この干ばつの問題は宮古島だけの問題ではありません。八重山、沖繩本島、沖繩県全体の問題でもありますので、そういう立場を踏まえて、まず申し上げたい第一点は、本土でも集中豪雨とかによるところの地すべりがけくずれ、いろいろ事件が最近多うございます。そのことを新聞、テレビで見まして気を痛めている一人でございますが、ところが沖繩は台風のまた多い島でもあります。ところが今度は、まあわれわれがもの心覚えてからもときどき干ばつはありますが、今度のような長期の、三月から今日まで一滴も雨が降らない、沖繩本島ではちょっとしめる程度は降っておりますが、宮古、八重山では降らない、こういう干ばつというのは私の経験からしましても初めてでございますが、ところが、従来は台風が何回となくやってきたわけですが、その台風は何とかして来なければいいがという祈る気持ちで、台風が来ないでほしいということを願ったわけですが、ところが今度の場合には台風が来てほしい、こういう気持ちが沖繩県民の気持ちであったわけであります。それはなぜかといいますと、台風は必ず雨が伴います。だから、雨を伴う台風ならば歓迎するんだと、こういう気持ちであります。台風もたいへんでありますけれども、しかし台風の災害被害もそれなりにありますけれども、例年ありますけれども、その立ち上がりは干ばつの被害に比較しますと早いのであります。干ばつの被害というものは、だんだんだんだん時がたてばたつほどじり貧におちいりまして、ことしよりはむしろ来年食糧飢饉といったたいへんな、沖繩では餓死の世の中と言うておるわけでありますが、そういうふうに、たとえば干ばつが長く続けばその間に食糧の植えつけができない、植えつけができないものだから来年は食糧飢饉になる、こういう形で、だんだん今度の被害は来年に、二月からあとにだんだんあらわれて、具体的にあらわれてくるわけであります。そこに、この洪水災害とか台風災害とか、こうありますけれども、それにさらに輪をかけた深刻な災害が干ばつの災害である。しかも、世界的にもこの洪水災害というのは、本土を含めてありますけれども、今度の干ばつ災害というのは、おそらく他県にも、また世界的にもない、沖繩だけにある災害ではないだろうかと、私思っておるわけですが、そういう意味で、ぜひこの干ばつがいかに深刻なものであるか、こういうことをまず知っていただきたい、こういう認識を持っていただきたい、こういうわけで申し上げるわけでございますが、そこで、この干ばつの救援に対しましては、琉球政府の屋良行政主席からも、すでにあの時点で、前の時点での要請が出されておりますし、また最近は琉球立法院の全会一致の決議に、与野党の一致の決議でもこの前陳情がありましたし、またきょうはその現地の代表が訴えたわけでありますが、このように波状的にやって来ますのも、時がたてばたつほどますます深刻である、こういうふうにひとつ御理解をお願いいたしたい、こう思います。そこで、まあ具体的にはいま調査団が行っておられるので、帰ってこられてから対策を立てるというふうに、先ほど大臣こうおっしゃっておられたわけでありますが、何かそのことにも非常にあせりを感ずるわけであります。もう宮古島、八重山では、きょうあすどうするかという、きょうあすの命をどうするかという水の問題、それから家畜の飼料の問題、いろいろあるわけであります。そういった深刻な問題に直面しておるがゆえに、やむにやまれず代表がかけつけてきておられるわけでありますが、そこで、大きく分けますと農作物対策、これが一つ、二つはこの畜産対策、三つは給水対策、四つは緊急就労対策ですね。たとえば宮古島あたりではサトウキビが全滅いたしております。もうみんな枯れ葉になっておるわけなんです。その事態が、今度は製糖工場がありますけれども、製糖業が今度はできないわけであります。そのことが今度は換金につながるわけであります。このように輪に輪をかけて、だんだん追い込まれていくわけであります。そういうわけで、まず農民が就労の、働く仕事がなくなってしまう。これが、いますでに御承知かと思いますが、季節労務者としてたくさんいま本土にも来ているわけでありますが、ところが、これは沖繩のこの十二万の農民からしますと、ごく一部でありまして、その多数の農民の就労をどうするかということが、非常に大きな深刻な問題になっておるわけであります。大きく分けて、この四つの問題。  そこで、第一の農作物対策につきましては、さらに二つの内容がひそんでおります。一つは再生産に必要な資金の問題、二つがかんがい施設の対策の問題。そうしてこの再生産に必要な資金は、すなわち種苗、作物の苗であります。サトウキビの苗とか作物の種子ですね。種苗の購入、それから肥料の購入、それから農薬の購入、こういうものが具体的には出てまいります。次には畜産対策として、緊急対策と恒久対策の問題があるわけでありますが、その畜産緊急対策には家畜の飲料水対策、牛や馬が飲む水さえもないわけなんです。それをたとえば宮古、八重山あたりでは潮水をどぶ水で薄めて、それを飲ましておる。ところが最近、きのうきょうの話によりますと、その水さえももうなくて、牛がもう倒れていきよる、死んでいきよる、こういう状況であります。それから濃厚飼料の問題、家畜問題に対しては。それから恒久対策といたしましては、草も全部枯れはてておりますので、その草地の肥料購入の問題、それから牧草の種子の購入の問題、こういうことが具体的にいま当面の問題としてあるわけであります。このような問題が政府あるいは現地の代表から訴えられておるわけです。  ところが、それでは沖繩はほんとに水がないのであるか、絶対量がないのであるか。こういう点から申し上げますと、たとえば宮古あたりは地下水はある。それで早急に十一のボーリングを打ち込みまして、それで水を吸い上げて、いまほとんどもう枯れ葉になっておりますけれども、いま青葉のものだけでも一応水をまいて生き返らせる、こういう緊急策が打たれ、計画があるわけでありますが、これはまだ手をつけられておらぬと思いますが、地下水は宮古にある。  今度は、この飲料水の問題は、水質源の問題は、この機会に申し上げまして、またあとで御意見をお聞かせ願いたいと思うのでありますが、沖繩は降雨量の面からは日本全国に比較しても多いほうなんです。二千三百ミリを上回っておるわけです。だから降雨量は多い。ところが、山が少ないために、また土地が狭いために降った水は全部そのまま海に流れてしまう。貯水施設がないわけなんです。そこで、この琉球政府の長期経済開発構想に基づきますと、一日に使用する水は八十一万トン要るわけなんです。ところが、現在の供給能力は三十三万トンしかございません。そうすると、あと四十八万トンを新規に開発していかなければいけないわけなんです。ここに恒久対策としての問題があるわけなんです。その多く降る絶対量の雨をどう貯水するか。いわゆるダム工事の問題、ダム施設の問題、それから河川をせきとめてダムをつくっていく、こういった問題が残されていて、いまや当面いますぐ調査し、手を打たなければいけない、これは恒久施設にはなるわけであります、こういう実情でございます。それで、現在福地川という——大臣はまだその辺の地理的な状況おわかりじゃないと思いますが、北部のほうに福地川という大きい川がございますが、それをいま水道公社がせきとめてダム工事を始めて、来年の六月に完成すると、こういう状況でございます。さらにそれだけでは足りませんので、北のほうの安波川と福地川、これのダム開発の調査、今年その調査費を計上して、そして来年から実際に工事を着工すると、こういう計画は御存じかと思いますが、そういうふうに計画されておるわけでございます。ところが、最初に申し上げました福地川のダム完成は来年の六月でありますが、一応ダムとしては完成をしますが、それを那覇を中心とするいわゆる都市部に水を引いてこなければいけませんので、それに付随するところのトンネルあるいは管路、浄水場、こういう施設がこれからでございます。その資金が五千万ドル、約百八十億琉球政府から要請されておることは御承知かと思いますが、このように、一応本島における水資源の開発につきましてはそのようにすでに計画をなされ、具体的に実施されておる最中であるわけなんです。ところが、本島でもそういうふうにあと四百八十万トン足りないわけであります。最初は隔日でありました。あるいは、その前は時間断水でありましたが、最近では二十四時間断水、こういう状態に本島でも追い詰められておるわけです。  本島はそのような状態でありますが、さらに離島の水不足については、宮古は地下水はあると申しましたが、その地下水をどう開発していくかという、この地下水の開発の問題がある。それから簡易水道の整備の問題、それから地下水もなくて天水にたよっておる島もあるわけなんです。その天水にたよっておる島はどうしてもまた貯水タンクをつくらなければいけない。さらに宮古島の近くに池間島という島がございますが、そこは貯水タンクでは間に合いませんので、宮古島の平良市から水道管を引きまして送水しなければならない、こういう計画もいろいろあるわけでございます。このような状況の中でたまたまにくらしい干ばつが襲うてきたわけでございます。このことは、今日よくいわれておりますとおり、このようなことは天災でなく、台風にしても、人災である。人災であるということは政治の課題であるということになるわけでございます。どうかひとつ——日本列島でもいろいろな問題が建設省の課題としてもあると思いますが、さらに沖繩には、こういった二十数年の断絶の中から、このような貧困の中で、いろいろな形で取り残された中で、その上に泣きつらにハチと申しますか、こういう形でまた干ばつもやってきた。さらに、日本政府とされても、建設省とされても、この問題を含めて、深刻な問題を前向きで解決していかなければいけない、こういうふうにひとつお願いを申し上げたい。  そこで、宮古、八重山を含めての水資源の問題というよりも、特に宮古、八重山地区の干ばつ災害対策として本土政府への援助要請額が約二億。項目は省きますが、しめて二億一千六百三十二万八千円です。先ほど私が申し上げましたように、農作物対策、畜産対策、給水対策ですね、特に宮古、八重山を含めた、この緊急対策として日本政府に要請されておる金額が二億一千六百三十二万八千円、これだけ具体的に数字をあげて要請されておりますので、調査団の皆さんもいろいろ具体的な内容やあるいは数字的な額も十分現地で煮詰めてお帰りになると思いますが、それとも照らし合わせていただきまして——これは琉球政府からの要請資料を私は持っておるわけでありますが、それには先ほど申し上げました給水対策費、あるいは農作物対策費としてサトウキビの種苗購入補助、あるいは肥料購入補助、あるいはパイナップルに対する肥料購入補助、あるいはバレイショの種苗購入補助、農薬購入補助、それから家畜対策としまして牧草対策、それから飼料作物及び牧草種子の購入補助、こういった項目をしめて二億一千六百三十二万八千円、こういうふうに具体的に出ておりますので、ひとつこの点よろしくお願いいたしたい。以上がこの干ばつを中心とする緊急対策、それから水資源の開発という面からの恒久対策を含めて申し上げた次第であります。そのことに対して大臣の御見解をお伺いできればと思います。
  104. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 政府調査団もきょう帰ったと思いますが、いま災害の点ですが、各省にわたっておることでございまして、それぞれの省、担当でやると思います。建設省に関しましては、結局応急のことは水は厚生省でやっておりますが、私のところも結局できることは十分いたしたいと思いますが、地下水があれば——これはもう内地でも、私は実は大分県でございますが、相当に干ばつはもう経験しております。まあ、程度の問題はありますけれども……。それですから、それは何と申しましても、やはりこれは地下水をくみ上げてやる。あるいはしかし非常に遠隔の地でございまして、施設その他が、揚水ポンプその他の運搬とか何とかということで、内地のようなわけにはいかないかと思いますけれども、まあ、これは水がなくちゃどうにもならぬのですから、これは早急に建設省の関係につきましては気をつけ、また十分応急の処置もしなければならぬと思います。  恒久のことですが、降った水はためなければどうにもなりませんので、私も実は大分県でございますが、島でございます。それですけれども、降った雨をためなければどうにもならぬのです。それで、私も農林大臣の代理をやって、昭和二十一年にもう大干ばつを受けましたが、それは見る影もなく、農作物が、ミカンなんか全部枯れたんです。それで私はやはりそのときにはため池を——昔の人はさすがやはりため池をたくさん掘っておりました。大分県あたりにいたしましても相当なため池がある。それを修理していないから、みな埋まって、貯水量が非常に少ないんです。そこで、私は閣議で、やはりため池を修理させなければならぬ。しかも農民は全部農作物が枯れたんですから、仕事がない。収入がないんです、休農ということは。まあ、そういうときにやらなければならぬのだからといって、私はため池のことをずいぶん言ったんですが、どうしても水はためなければならぬ。恒久的な施設としては、やはり早くダムをひとつ仕上げるということを絶対に考えなければならぬと思って、降雨量が二千三百ミリ、相当な雨量でございます、九州と同じぐらいでございます。私のところは二千三百ミリぐらいでしょう、大分県は。それでもいろいろダムをつくってやっておりますから、恒久的なことはひとつ十分やらなければならぬ。しかし、島々についていまどうするかといっていろいろ送水管で送る場所もあるでしょうし、いろいろなものをその土地土地でいろいろな方法は違うと思います。そういうことでございまするから、ひとつ水に関する限り、恒久的五問題は建設省の所管でございますから、手抜かりのないようにひとつやりたいと思っております。  また海水から塩を取れば水になる。水を取れば塩になるということなんで、(笑声)実はその技術が進めばそれはもう一番いいのでございますけれども、いわゆるイオン交換樹脂を使ってそういうことをやりましても、なかなかやはり単価が高くつきますので、これが非常に進歩してくると、海水でも塩を取れば水になるのですから、と思いますけれども、それはすぐ間に合う話でございませんが、少なくとも水に困らないようにするということがもう第一でございますから、十分恒久対策につきましては気をつけてやりたいと思います。  応急の問題は一体どうするのだ、これはいろいろ各省関係がございます。おそらく調査団が帰って報告があると思いますから、報告があり次第、建設省に関する限り、さっそく私は準備をさせたいと、かように思っておる次第でございます。
  105. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 これは笑い話といえば笑い話になりますが、深刻な問題であります。実は雨ごいといいまして、婦人たちが集まって天に向かって祈りを捧げる。それから屋良主席は弁務官に向かって雨を降らしてくれといって陳情をしておる、こういう状態ですね。だから、おぼれる者はわらをもつかむといったような、こういう深刻な状況にあるということをひとつ御理解いただきたい。この際、ひとつ抜本的な緊急対策と恒久対策を講じていただいて、復帰してよかったと、こういうふうに迎えていただきたい、こう御要望申し上げます。  次に、そう時間はとりませんが、一、二、実は沖繩の復帰対策要綱、第一次要綱、第二次要綱までは出ておりますが、第三次がまだ出ておりませんが、これはあした沖特委でお尋ねしたいと思いますが、その沖繩側からの要求の一つに、特に建設省関係で市街地開発事業ですね。たとえば、広島、長崎は原爆の被害があった。ところが、この戦災復興特別都市計画法というものが適用されたために、あのように復興したわけでありますが、ところが、沖繩は島全体が、県全体が戦場にさらされたわけであります。だから、全体がこの戦禍をこうむった県であり、島でありますので、その沖繩県に戦災復興特別都市計画法がそのまま適用されるべきだと、こう思うわけでありますが、それはこれからの問題といたしまして、結局御要望やお尋ね申し上げたいことは、この公共施設の整備及び都市環境の整備などに市街地開発事業の補助金対象事項について特別措置を講じていただくと、こういう面も結局この法を適用していただけば問題ないと思いますが、これは中身の問題は今後の問題といたしまして、この市街地開発事業に対するこういう強い要望が一項として打ち出されておるということでございます。  第二点は下水道事業、戦後二十数年にもなりますけれども、いま基地の町といわれておるコザ——コザは下水道工事が不十分ながら一応行なわれておる。那覇もいま盛んに最中でありますがまだ完備しておりません。ところが、基地内の——基地の中に沖繩があると、こういわれておりますが、この基地の中の汚水が未処理のままそれが基地の外に、住民地域にたれ流しといいますか、流れてきておる、こういう状況が幾らでもあるわけであります。それをぜひ国の責任において処理施設が設置できるように措置してもらいたい、こういう下水道事業に対する強い要望もあるわけであります。この二つの項目について大臣のひとつ御見解を承りたいと思います。
  106. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 前段の戦災復興の規定を適用する云々の問題は、これは私ちょっとつまびらかにいたしませんが、これは都市局長がおりますからあとで……。とにかくあれだけの苦難をなめておるんだから、適用ができることはこれはもう広い範囲に解釈してなるべくひとつそういうふうな態度でいきたいと思います。  後段の下水道の問題ですが、これはもうこれからの土地づくりを強力に進めていきたいというふうに思っております。まあ地形等その他から考えても、本土のほうの流域下水道みたいにずっと連ねていく、そしてあちらこちらに終末処理場をつくらないで一カ所につくっていきたい。しかもいま相当技術が進んでおりますから、相当にピュアな状態で川に流す。ほんとうですと終末処理から出てきた水は飲めるぐらいにというのが終末処理の目的でございますが、それだけ技術がまだいっておりませんが、とにかく流域下水道でずっとやりたいというふうに考えておりますから、これまたひとつ具体的な計画をもって進みたいと思っております。都市の問題については都市局長からお答え申し上げます。
  107. 吉兼三郎

    説明員(吉兼三郎君) 都市開発事業につきましては、本土におきましては土地区画整理法というもので現在戦災復興都市のあと始末等はほぼ終息に近い段階になってまいっております。したがって復帰後の沖繩につきましても、復興関係のことは現行の土地区画整理法を中心にいたしまして事業をやっていくというかっこうになろうかと思います。ただその際に、お尋ねのございました、御要望がございましたように、土地区画整理法上の国の補助率の問題とかそういうことにつきましては、他の都市施設との関係で特別の負担を、制度を考えたらどうかということにつきましては、今後ほかの事業とも関係がございますので、十分実態の調査等いたしました上で考えてまいりたい。これは政府全体の同題にかかわる問題かと思います。以上でございます。
  108. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 最後に要望を兼ねまして、特に沖繩水資源の問題は主管庁でもあるし、また政府の問題としてもぜひ御理解を願って御協力を特に大臣お願い申し上げたい点は、本島における水資源は、この飲料水の立場から申し上げますと、ないわけではないわけです、あるわけなんです。それはなぜそんなに困っておるかというと、その水資源の水の源泉はアメリカが押えましてアメリカが取っておる、その余滴を沖繩の住民が飲んでおる、こういうことなんです。それはどういう仕組みになっておるかと申しますと、水資源を、いわゆる水道公社をつくりまして、そしてアメリカは干ばつであろうが、何であろうがおかまいなしに断水なんか、節水なんかいたしません。はなはだしくは、芝生にもあるいは草花にも自由自在に、一方金網を隔てて沖繩県民は、そのようなきょうはどうするか、あしたはどうするか、その水にも困っておる。節水、断水を呼びかけておる状態の中で、そのアメリカの人々は水を草花にも自由にかけておる。こういう状態の中なんですね。そして水道公社は高い料金を吸い上げている。沖繩県民には水道を高い料金を取って水を売っておる。こういう矛盾があるわけなんです。だからそのような水道公社は、当然これはそのガリオア・エロア資金によってできた水道公社でありますから、当然それは無償で沖繩へ返せと、こう強く要望し続けてきたわけであります。ところがまあ対米交渉の結果これを買い取る、こういうことになって、水道公社だけではございませんが、三億二千万ドルで一応米資産を買い取ってそして復帰後の沖繩には無償でということにはなっておりますが、このようないきさつは御存じかと思いますが、そういうことでますます水に、給水、飲料水に困っておる、こういう実情でございます。ですからどうかひとつ水はその絶対量が必ずしも日照りによっては困ることもありますけれども、普通の場合には困らない状態の中でも、このように一方的に差別をして、一方では自由自在に水を使う、そしてその余滴を一般県民には高い水道料金で、二倍ぐらい本土と比較して水道料が高いんですが、こういう状態で差別がある。このことも御承知と思いますが、どうかそういう点十分御理解くださいまして、命の水、この水の確保につきましてはひとつ万全を期していただきたく御要望を申し上げまして、大臣の御決意をお伺いいたして、私の質問を終わらしていただきたいと思います。
  109. 西村英一

    国務大臣西村英一君) いろいろ御要望をお聞きしましたが、いずれにいたしましても沖繩の返還を機会にして、島民の方々がその結果祖国に復帰してよかったというような感じが持たれなければ、復帰の意味は私はないと思います。したがいましてあらゆる点に、まあ何と言われようとやっぱり復帰してよかった、こういう感じが島民の方方に持たれるような姿勢でやらなければならぬと、かように考えておる次第でございまするから、建設行政に関する限り私のできるだけの努力をいたしたい、かように考えておる次第でございますから、御了承を賜わりたいと存じます。
  110. 小林武

    委員長小林武君) 本日の調査は、この程度にとどめます。     —————————————
  111. 小林武

    委員長小林武君) 継続調査要求についておはかりいたします。  建設事業並びに建設計画に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 小林武

    委員長小林武君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 小林武

    委員長小林武君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  114. 小林武

    委員長小林武君) 委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。  建設事業並びに建設計画に関する調査のため委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 小林武

    委員長小林武君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員の人選、派遣地、派遣期間等はこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 小林武

    委員長小林武君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、本院規則第百八十条の二により議長に提出する委員派遣承認要求書の作成も便宜委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 小林武

    委員長小林武君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時九分散会