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1971-09-30 第66回国会 参議院 決算委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年九月三十日(木曜日)    午前十時二十五分開会     —————————————    委員の異動  九月三十日     辞任         補欠選任      上原 正吉君     土屋 義彦君      竹内 藤男君     高田 浩運君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         足鹿  覺君     理 事                 鈴木 省吾君                 渡辺一太郎君                 和田 静夫君                 中尾 辰義君                 渡辺  武君     委 員                 片山 正英君                 高田 浩運君                 土屋 義彦君                 中村喜四郎君                 細川 護煕君                 小谷  守君                 佐々木静子君                 西村 関一君                 水口 宏三君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        警察庁刑事局捜        査第二課長    小林  朴君        警察庁刑事局保        安部外勤課長   朝比奈仙三君        防衛施設庁総務        部施設調査官   奈良 義説君        大蔵政務次官   船田  譲君        大蔵省主計局次        長        大倉 真隆君        大蔵省主税局長  高木 文雄君        大蔵省理財局次        長        小幡 琢也君        大蔵省銀行局長  近藤 道生君        大蔵省銀行局中        小金融課長    清水  汪君        大蔵省国際金融        局次長      林  大造君        国税庁長官    吉國 二郎君        国税庁税部長  江口 健司君        国税庁調査査察        部長       斉藤 整督君        国税庁国税不服        審判所次長    大塚 俊二君        通商産業省貿易        振興局輸出業務        課長       宇都宮綱之君        建設省住宅局住        宅企画官     京須  実君        会計検査院事務        総局第一局長   中村 祐三君        日本専売公社総        裁        北島 武雄君        日本専売公社生        産本部本部長  佐々木幸雄君    参考人        国民金融公庫総        裁        澤田  悌君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十四年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十四年度特別会計歳入歳出決算昭和四十四年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十四  年度政府関係機関決算書(第六十五回国会内閣  提出) ○昭和四十四年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第六十五回国会内閣提出) ○昭和四十四年度国有財産無償貸付状況計算書  (第六十五回国会内閣提出)     —————————————
  2. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  昭和四十四年度決算外二件を議題といたします。  本日は、大蔵省とそれに関係する日本専売公社及び国民金融公庫決算につきまして審査を行ないます。  この際、おはかりいたします。議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それでは、これより、一昨日当委員会が要求いたしました八月中の外貨準備増加要因等に関する資料提出されましたので、本資料につきまして、大蔵省当局から説明を求めます。林国際金融局次長
  4. 林大造

    説明員林大造君) 昨日御提出申し上げました資料につきまして御説明申し上げます。  まず、一枚目の「8月中の外貨準備増加要因分析」でございますが、八月中における外貨準備増加額は四十五億八千七百万ドルでございます。  この内訳でございますが、一番下の注に書いてございますように、これは八月の国際収支速報に基づく推計でございます。国際収支統計は、一番最初にこの速報が出まして、その後二、三度確報に至るまで改定が行なわれますが、この計数はその最も初めに出ました計数でございますので、後ほどいずれ確報が出てまいりますと若干の修正があり得るということをあらかじめ御了承いただきたいと存じます。  で、まず経常収支黒字が七億六千万ドルございました。この経常収支黒字は、大部分輸出入の差額貿易収支黒字に基づくものでございまして、貿易収支黒字が八月中に八億五千万ドルでございます。そのほか貿易外収支移転収支を含めまして経常収支合計が七億六千万ドルに相なっております。  次の「長期資本の純流出」でございますが、これは後進国に対する援助その他がこの長期資金の純流出になっております。この項目では、九千万ドルだけ資本流出しているわけでございます。  それから第三の「企業の前受、短期資金取引等」と申しますのは、これは短期資本収支及び誤差脱漏という項目に集められました計数でございます。で、国際収支統計のつくり方といたしましては、経常収支、それから長期資本収支がまず出まして、それから総合収支という項目が他の側から計算されてまいりまして、その差額がとりあえずこの短期資本誤差脱漏という項目になるわけでございます。後ほど統計が整備されてまいりますにつれて、この短期資本誤差脱漏という項目短期資本収支誤差脱漏という項目に分かれてまいるわけでございます。この短期資本誤差脱漏という項目数字は、通常の月でございますと比較的少ないわけでございまして、四十五年度中には全部で合計いたしまして九億数千万ドル、月にいたしますと一億ドル弱の数字になっておりますので、したがいまして、二十六億三千万ドルにのぼりまずこの短期資本誤差脱漏の中で大部分企業輸出前受けでございますとかその他の短期資本取引に基づくものというふうに推定をいたしまして、この項目にあげた次第でございます。  以上合計いたしまして三十三億ドルでございまして、それに対しましていわゆる金融勘定と称する項目で以下のような動きがあるわけでございます。  金融勘定内訳といたしましては、GAB、これは一般借り入れ取りきめ、ジェネラル・アグリーメント・オブ・ボローイングというのの訳でございますが、これはポンドの危機とかあるいはフランの危機に際しましてIMFの金繰りが苦しくなりましたときに日本からIMFに対して貸し出しされました金額が返ってきた分が八月中に一億九千九百万ドルあったわけでございます。それが大部分でございまして、等と書きましたのは、そのほかに、たとえば外国政府外貨準備の一部として日本政府の発行いたします短期証券を持っております場合に、それがふえたり減ったりいたしますと政府の債務の増減になるという意味でこの項目に入ってくるわけでございます。そのほかの金融勘定の諸項目が入ってまいりまして、その金額が百万ドルほどございますので、この項目が二億ドルに相なっているわけでございます。  それから、次の銀行海外ポジション変化と申しますのは、銀行海外に対します短期資本取引のしりがここに出てくるわけでございます。この面で十億八千七百万ドルの流入があったというわけでございます。合計いたしまして短期資本金融勘定合計が十二億八千七百万ドルになる。  で、四十五億八千七百万ドル外貨準備増加は、まず経常収支長期資本及び企業の前受け、短期資本取引等に基づくものが三十三億ドル、それから金融勘定のうち主として政府部門に属しますものが二億ドル、それから銀行部門に属しますものが十一億ドル弱という姿になっている次第でございます。  二枚目の「外貨準備高および為銀ポジションの推移」という表は御参考までにあげた表でございまして、昨年の十二月末から今年の八月末までの計数が入っております。※印は速報値でございます。で、外貨準備高が七月末の七十九億二千七百万ドルから八月末の百二十五億千四百万ドルにふえました、その増加額が一枚目の一番上の外貨準備増加額の四十五億八千七百万ドルに照応するわけでございます。  次の為銀ポジションとございますのは、日本為替銀行対外短期の資産、負債のネット金額でございまして、七月末に十三億三千七百万ドルございました対外債権超が八月末には二億五千万ドルに減っているわけでございます。その対外ネット債権減少額十億八千七百万ドルというものが、この第一枚目の下から二行目の銀行対外ポジション変化十億八千七百万ドルに照応する次第でございます。  三枚目でございますが、三枚目は「輸出受証明書検査結果」でございまして、三枚目銀行、四枚目が商社ということに相なっております。これは一昨日御要求になりました趣旨に必ずしも全面的に沿う結果とならなかったのではないかという点たいへん恐縮に存じておりますが、私どもとしてできる限りのものをお見せいたしまして御審議の参考に供することができればということで提出いたしました次第でございます。で、輸出受証明書所管でございますが、実は外国為替管理法所管はなかなか複雑になっておりまして、外国為替及び外国貿易管理法の権限は、ごく大ざっぱに申しまして、為替関係大蔵省、それから貿易関係通産省の御所管になっております。したがいまして、輸出受証明書検査につきましても、この大部分通産省と御一緒に検査いたしましたものでございまして、ただいま申し上げましたものも、私どもが知り得ます範囲のものを申し上げまして、もし詳細につきまして補足説明する事項、あるいは私の申し上げましたものと違うような御見解が通産省のほうでもございましたらば、しかるべく御訂正いただけることと存じております。  まず銀行でございますが、銀行行数は四行、店は全部で九店検査いたしました。これは、輸出受証明書関係の問題が非常に大切であるということが浮かび上がってまいりましたときに、八月の二十一日及び二十三日の両日にわたりまして通産当局から銀行及び商社に対しまして種々の御指導が行なわれたのと並行いたしまして検査したときの結果でございます。したがいまして、このほかにもその後引き続き検査を続行しているわけでございます。まずA行a店でございますが、銀行名前を明示できないのはたいへん恐縮に存じておりますけれども、八月十七日から二十日までの間に発行されました証明書の枚数、これは三十三件でございます。そのうちゼネラル・マーチャンダイズ表示のものが六件、仕向地複数のものが四件あったわけでございます。それで、そのほか契約日買取日同一のものというのがゼロとなっておりますが、その三項目を特にあげましたのは、この三つのものが比較的まあルーズなのではないか、違法だとはいえないまでもルーズなのではないかというような御指摘が方々からございましたし、私どももこれは特に注目して検査する必要があるというので、この関係計数を集計したわけでございます。  当時までの経緯を申し上げますと、従来日本国際収支天井に悩んでおりました関係上、輸出関係の受け取りというものにつきましては比較的寛大な取り扱いになっておりました。で、輸出受証明書を発行いたしますときに必ずしもその品目がはっきりと証明書にあらわれていなくても、現実にそれが輸出されるときには必ず特定するわけでございますし、仕向地についても同様であるということで、従来の取り扱いはこのようなものもまま見られたわけでございます。それが六件と四件ということに相なっております。通産当局の御指導の際、なるべく特定するようにというような御指導が行なわれたというふうに伺っております。ただ、いずれにいたしましても、これらのものをいずれ輸出になりますときは品目仕向地が確定するわけでございます。  次に、B行a店は二百六十六件、これが八月の十七日から三十日までに発行されたわけでございます。ここでは仕向地複数のものが十七件認められました。B店では十七日から三十日までの間に二百十三件、ゼネラル・マーチャンダイズ表示せられるものが二十六件、仕向地複数のものが九件ということに相なっております。以下同様な要領で作成いたしました資料でございます。  めくっていただきまして、商社でございますが、商社につきましては五社検査した結果がことに示してございます。A社について御説明申し上げますと、八月十七日から三十日までの間に二百五十三件発行されております。そのうちゼネラル・マーチャンダイズ表示のものが一件、仕向地複数のものが十件、契約日買取日同一ということになっておりますのが一件ありました次第でございます。注に書いてございますとおり、これはその銀行なり商社なりの前受金証明書を悉皆に調査したということにつきましては私ども自信がないわけでございまして、したがいまして、当該銀行または商社による対象期間中のすべての前受金取引を含むものではない。しかし、私どもが把握し得たすべての証明書を包含しているわけでございます。  それから、別紙になっておりますのに「輸出受証明書検査結果」(銀行)というのがございます。この別紙は、実は昨日集計に手間取りましたので、どうも印刷もタイプになっておりませんで恐縮しておりますけれども、先ほどの三枚目銀行検査結果につきまして金額を集計いたしましたものでございます。で、A行a店につきましては、同じ期間内に三十三件その証明書の発行がなされていたわけでございますが、その金額を集計いたしますと千二百三十二万ドルに相なっております。同様に、六千万ドル、四千五百万ドル、一億四千六百十三万九千ドル、五十七万五千ドル、百八十九万三千ドル、九千二百七十一万五千ドル、二万一千ドル、二百五万八千ドルということに相なっている次第でございます。
  5. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) それでは、質疑のある方は順次発言願います。
  6. 和田静夫

    和田静夫君 きょうは幾つかの問題がありますが、いま説明を受けた問題からまず入りたいと思います。  日銀が、八月二十六日に五億七千万ドル、翌二十七日には十二億ドルというようなドル売りのいわゆる直撃を浴びて、ついに変動相場制に移行をしたわけですが、この二十六日の五億七千万ドル、二十七日の十二億ドルという売りの急増には、二十五日の日銀による外為銀行に対する円転換規制緩和が大きく作用したことは私は疑い得ないところであろうと思うのです。この点について、とある雑誌の座談会で記者が、「ニクソンショック以後、この規制をやぶって、外為銀行日銀にあの段階で九億ドルも売った。その結果、日銀勘定円転換規制による水準を、毎日九億ドる下回ることになる。だから、月平均規制基準日銀指示どおりに維持しようとすれば、日銀調査する月末の八月三十一日には九億ドルかけるそれまでの日数、つまり一〇億ドルを越えて、為銀は日銀からドルを買わねばならない。とすると一日だけ外為勘定は、破綻してしまう。ドルがたまった、たまったといっていながら、一日だけドルがなくなる。こんなことはできない。だから円転換規制をゆるめないともたない。そこで円転換規制がゆるめられる必然性がある。」、ここで言われている数字が正確なものかどうかはともあれ、ここで言われている論理は私は一応一つ成り立つと思うのです。また一方、外為銀行の側にとってみれば、円転換規制を忠実に守り続けるということは経営の危機をさえ意味します。だから、ある銀行のトップは日銀にどうしてくれるのだとばかりになぐり込みをかけている事実さえあります。これは大蔵省も知っているところでしょう。だから、大蔵省円転換規制緩和を必要だと見ていた。そして、その実施がドル売りを急激に誘発をして、変動相場制採用直接的契機になった、こういうふうに私は見ますが、いかがですか。
  7. 林大造

    説明員林大造君) ただいま御指摘のことにつきましては、実は一昨日、日本銀行渡辺理事からも当委員会におきまして相当詳細にわたって御説明があったわけでございますが、その要旨を私繰り返して申し上げますと、円転換規制緩和という措置日本銀行がとられたわけではございませんで、実質的にはそういう意味合いを持つかと存じますが、正式にとられました措置は、外国為替資金貸し付けの期限前返済を認めるという措置がとられたわけでございます。銀行系統チャンネルを通しますドル政府に対する売り上げにつきましては、先ほど私から御説明申し上げましたとおり、銀行対外ポジション変化が十億八千七百万ドルあるわけでございます。この大部分が八月の十六日から十八日までの間に生じたと認められるわけでございまして、そのために私ども日本銀行と相談いたしまして、銀行外貨借り入れを十八日の限度で押えるという措置をとったわけでございます。それによりまして、銀行チャンネルを通しますドル売りというものは、いわゆるニクソンショック後の第二週、すなわち八月の二十三日以後におきましては、若干出入りはございますけれどもネットにおきましてはほとんど見られなかったという点は、渡辺理事の御説明になりましたとおりでございます。ただ、御指摘にございましたとおり、八月中の円転換規制月中平残をもって規制をしておりました関係上、その八月の十六日のニクソンショック直後におきまして銀行円転換規制がかなり、何と申しますか、守られにくい状態になっておったことは、和田先生指摘のとおりでございます。それは、月中平残によりまして規制を守るということは当時におきましては認められておったわけでございますから、これは外為法違反というわけではございませんけれども、その関係もございまして、円転換規制順守のために銀行がたいへん苦しい立場にあったことも、御指摘のとおりでございます。その後、十八日現在の外貨借り入れ残高をもって天井といたしまして、それ以後の外貨借り入れは認めないことといたしました関係上、従来外国為替資金貸し付けの期前返済を認めますとドル・シフトが起こってたいへん困るというような、そういうおそれがなくなりましたので、したがいまして、日本銀行といたしましても外国為替資金貸し付けの期前返済を認めるということになった次第でございます。ただ、月中平残規制しておりますと、ただいま御指摘のようなことが起こりまして困るものですから、それで、九月になりましてから、私どもこの月中平残規制というのを改めまして、毎日規制というのに直しました。毎日規制になりますと、為替銀行為替ポジションの操作が非常にやりにくなるものですから、したがって為替銀行からは緩和を希望する声もかなり聞かれております。私どもといたしましては、為銀の事業活動が非常に制限を受けますと、そのために中小企業その他の輸出為替の買い取りが渋滞をするというような事態になりまして、どうも思わしくないとは思っておりますので、したがって、最小限度の、何と申しますか、弾力的な措置は認めざるを得ないと思っておりますけれども、御指摘のような点を考えまして、九月以後は毎日規制に改めておる次第でございます。
  8. 和田静夫

    和田静夫君 きのう「輸出受証明書検査結果」という資料をいただきましたが、ここには特にドル売りを行なった外為銀行がABCDの符号で示されているわけです。この一億ドル以上、あるいは一億ドル程度売っているBCD——ちょっと、資料をくれたのがきのうの九時ごろですから、ほとんど徹夜ですから、ことばは聞きにくいかもしれませんが、とにかくBCD、これは順序はともあれ、東海銀行住友銀行、第一銀行といったところですね、いかがですか。
  9. 林大造

    説明員林大造君) いかなる銀行調査したかということにつきましては、当時検査をいたします効果一般に徹底させます趣旨テレビにも出ておりますし、私ども一般に周知徹底する措置をとった次第でございますが、いかなる銀行検査に入ったかということは、やはり検査事柄性質上伏せておいたほうがいいということで、テレビないしは新聞の方にも御容赦願ったような次第でございます。
  10. 和田静夫

    和田静夫君 これは私は、話し合いがありますから、どれがどうだと、そういうことは言っていないので、私のいま言ったことは私の調査では間違いない。そんなことをお隠しになってもだめなんですよ。大蔵省検査に入った銀行が、おそらく一番上の段階が私は東京だと思うが、東京銀行東海銀行住友銀行、第一銀行である。これはもう新聞にもすでに出ていることですからね。何もあなたのほうでもってそれを明らかにしないというような理由はないと思う。  そこで、商社検査に入ったのは、私の調査では三井物産丸紅飯田のこの二つはわかっていますがね、ほかはどこだったんですか。
  11. 林大造

    説明員林大造君) 商社に対する直接の御所管は、どちらかというと通産省に属するわけでございますけれども日本有名商社を中心といたしましてやはり検査をいたします以上、検査員の手不足の関係からいたしまして悉皆の調査はできません。したがいまして、このような時期にはできるだけPR効果をねらいまして、一般一の銀行の方、あるいは商社の方が事務取り扱いを厳密にするように心がけるようなところをねらいまして調査検査に入った次第でございます。主な商社はその後も引き続きできるだけ一わたり検査するように努力いたしておる次第でございます。
  12. 和田静夫

    和田静夫君 それでは、通産省見えてますね。
  13. 宇都宮綱之

    説明員宇都宮綱之君) 商社検査につきましては、すでに大手五社を実施したわけでございますが、今後も引き続き大手のところにつきまして実施するという予定になっております。いま計画がありますのは、なお大手四社でございます。ただ、個別の名前の発表は事柄性質上差し控えさしていただきたいと思います。
  14. 和田静夫

    和田静夫君 あなたのほうは商工委員会か何かに資料を出されたんでしょう。なぜここでは言えないのですか。私が言っておる三井物産丸紅飯田、これは私が調査しましたから間違いありません。あと二社……。
  15. 宇都宮綱之

    説明員宇都宮綱之君) 商工委員会のほうにもまだお話をしてございません。
  16. 和田静夫

    和田静夫君 約束はしておりますよね。
  17. 宇都宮綱之

    説明員宇都宮綱之君) まだ約束はしていないと思います。
  18. 和田静夫

    和田静夫君 時間をとってもあれですから、それはあとで明らかにしましょう。  そこで、八月二十六日の午後、日銀井上理事が第一銀行を訪れていますね。いつもなら外国部を呼びつけて伝言するところなのに、御丁寧にも足を運んで村本副頭取にドル売りをすすめております。これは大蔵省指示によるものですか。
  19. 林大造

    説明員林大造君) たいへん申しわけございませんが、ただいま御指摘がございました二十六日に井上理事が第一銀行を訪れたという報告を私ども受けておりませんし、私どもそういうような指示をした覚えは一切ございません。
  20. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、井上理事が第一銀行に足を運んだことを知らない、何のためにわざわざ足を運んだか、いつも呼びつけて言うのにそのときだけは足を運んだ、その理由についても知らない、こう抗弁をされますか。
  21. 林大造

    説明員林大造君) 仰せのとおり、一切存じておりません。
  22. 和田静夫

    和田静夫君 日銀井上理事は第一銀行に対して、確かにフローティングに入るとは言っていません。しかし、ドル売りをすすめたことだけは確かです。したがって、委員長大蔵省が何も知らないと言い張るわけですから、日銀井上理事と第一銀行の村本副頭取をここに呼んでもらいたい。
  23. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 速記をとめて。   〔午前十時五十五分速記中止〕   〔午前十一時十九分速記開始〕
  24. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 速記を起こして。  和田委員から要求のありました参考人の出席につきまして、ただいまその取り扱いを協議いたしました結果、十月五日午前十時より委員会を開会することとし、同日、日本銀行井上理事の出席を求めることに意見が一致いたしました。  また、第一銀行村本副頭取の出席要求の取り扱いについては、さらに理事会で協議を行なうことといたします。  質疑を続行いたします。
  25. 和田静夫

    和田静夫君 私は、おとといの本委員会で、アメリカの金兌換停止声明以降変動相場制採用までの間、何月何日にどの銀行が幾ら、どの商社が幾らドル売りがあったかを示す資料提出をしてくださるよう要求いたしました。そうして、確かに御希望に沿うように努力するとの政務次官からの御返答をいただきました。ところが、その銀行なり商社なりの名前を出すことはというようなお話がありましたし、私はそのことについては了といたしました。しかるに、最初に出されてきた資料というものは、私と関係者との間の話し合いとは全く離れた事務当局の非常に独善的な、まさに子供だましの資料であって、そういう意味ではたいへん私は驚きました。もちろん、固有名詞もなければ、日時もはっきりしてない。ドル売り金額ですら出ていない。私は譲りに譲って、最低金額は出しなさいと言った。それから、これはできるというから、せめて八月の二十七日の分ぐらいはa店、b店、c店——これはすでに約束をしたことですから、そこは譲っておくから、ドル売り高はa店、b店、c店という形で金額を出しなさい、こう言って、了とされました。ところが、出てきたのがけさほど説明があったこれです。B行a店四百九十四万九千百十四ドル三十二セント、そしてただ輸出受証明書に日付がなくてわからないということでありました。ここまで大蔵省が私たち国会人を侮辱するということになりますと、私は黙っているわけにいかない。だからといって、話し合ったことをひっくり返そうとは思いません。そこまで言われるのならば、輸出貨物代金前受証明書をここに持ってきてください。
  26. 宇都宮綱之

    説明員宇都宮綱之君) 各商社銀行につきまして前受証明書検査したわけでございますが、その証明書は省のほうに持って帰ったわけではございませんので、各商社銀行のほうに置いてきたわけでございます。したがいまして、もし提出をするということになれば、それを商社銀行からとらなければいけないわけでございますけれども、各商社では、前受証明書を使いまして貨物を輸出しました場合には、その前受証明書を為銀のほうに渡してしまうことになっておりますので、調査時点における前受証明書がそのまま現在商社に残っているかどうかということはわからないわけでございます。
  27. 和田静夫

    和田静夫君 全く、どうしてそういううそばっかり言うのですかね。昨日私は、B行a店に関する限りは二十七日付の総計をもらったんです。それは、大蔵省ではじくときに二十七日付の日付のあるやつはそれしかないと言われるから。そういうでたらめ言ったって、通用しませんよ。B行a店に関する限り私は総計もらっているんです、二十九日に。あなた方の手元にあるから出せるんでしょう。
  28. 宇都宮綱之

    説明員宇都宮綱之君) 私はただいま商社の分についてお話をしたわけでございますけれども、為銀の分につきましては発行した前受証明書の写しは保存してございます。したがいまして、銀行におきましては、たとえばA行a店におきましては、発行した前受証明書の写しは保存されております。
  29. 和田静夫

    和田静夫君 そうしますと、それは日付が入っていますね、全部。
  30. 宇都宮綱之

    説明員宇都宮綱之君) 入っております。
  31. 和田静夫

    和田静夫君 これは、さあ大蔵省、日付が入っているということになったら、あなたはきのうの夜九時まで私をだましたことになる、大蔵省は。
  32. 林大造

    説明員林大造君) 御指摘の点でございますが、銀行によりまして日付が入っているものといないものとがあるわけでございます。で、私が担当の者をして御連絡させましたときには、B行のa店につきましては日取りがわかっていると、したがいましてB行のa店につきましては申請することができるということを申し上げたと存じますけれども、そのほかのものになりますと、二十七日だけというのがかえって困難になりまして、十七日から三十日までの総計ならば、その銀行分につきましては悉皆集計ができるけれども銀行分につきましてもある一定の日だけについての集計を全部についてつくることは困難であるということで、B行のa店についての集計結果だけを御連絡申し上げた次第でございます
  33. 和田静夫

    和田静夫君 いま、すべて日付が入っている、こう言われた。そして、入っていることが私は正しいと思う、いまからそれを立証するのだけれども。私は物を持っているんですから。物を持たずに言っているんじゃない、ちゃんと物を持って言っている。日付が入らないんなんてばかなことが通用するはずがない。したがって、ぼくは向こうの答弁のほうが正しいと思っているんです。あなた方は故意にある問題を隠そうとする。したがって、ここで銀行名を私が冒頭申し上げたときにも、それを確認することができない。それはそのはずなんです。どっち道五日の日にそこを詰めますが、先ほど申し上げた四つの銀行、これらだけがちゃんとこの期間に、しかも二十七日の売り買いを通じてもうかるようになっている、これだけは。それをあなた方はことに隠蔽をしなければならぬから、二十七日は一つも、全く限られた部分、それだけのものしか出してこない。それは間違いないですよ、同じく政府側の答弁ですから。しかも、私はたいへん救われた。大蔵省のほうから、通産省呼んでおいてくれと、こう言われました。私は向こうに質問ないから呼ぶ必要ない。あなた方のほうから呼んでくれと言って、あなた方のほうから要求どおり呼んでおいた。
  34. 林大造

    説明員林大造君) 輸出受証明書には全部日付が入っているわけでございます。ただ、昨日の時点で至急集計いたしますためには、私どもの手元にとってあります輸出受証明書の二十七日と確認できるものがB行a店分しかなかったというわけでございますから、なお時間をかしていただきまして、その金額合計いたしました根拠につきまして全部原本に当たれば、必ず二十七日分幾らという計数は出るはずでございます。
  35. 和田静夫

    和田静夫君 どうして、それじゃそういうふうに答弁が変わるのですか。日付は全部入っているのでしょう。昨日午後九時までかかって、あなた、たいへんぼくはおこりますよ。徹夜ですよ、おかげさまで。何で日付が入ってないとうそを言うのです。しかも、そう言っておきながら、私がいま現物を示すと、初めてあなたは入っていると言う。そういう愚弄のしかたがありますか。これ、もし大臣がいらしたら政治責任を問いますよ。
  36. 林大造

    説明員林大造君) 実は、検査の結果を私どもが持ち帰っておりますところによりますと、A行、B行、C行、D行全部につきましてその二十七日の分というのを確認し得るような報告になっておりませんでしたので、したがいまして、昨日現在では、二十七日分の集計というのは全部についてはできなかったわけでございます。ただ、輸出受証明書の原本に当たりますれば、二十七日ということは確認はできるはずでございますが、昨日の時点で私どもの手元にある資料をもとにいたしましては、二十七日ということの確認が御指摘のようなものについてだけしか集計ができなかったというわけでございます。
  37. 和田静夫

    和田静夫君 どっちみち五日に委員会がきまりましたから、時間の関係もありますからその程度にしておきますが、態度を改めてもらわなければ困る。それだけ言っておきます。そして、昨日来、大蔵省と私が何べんか接触をしながら、大蔵省事務当局が述べてきたいわゆる日付問題。したがって、私はこう考える。たとえば、ここに出てきているB行A店以外の輸出受証明書がほんとうに日付のないまま処理されているのだったならば、他のドル売りはすべて架空輸出に基づくものだと、そういうふうになります。これは通産省は明らかに確認できるでしょう。したがって、通産省は日時はありますと答えざるを得ない。また、それが正当なんです。そして、大蔵省が言っていることだったならば架空輸出に基づくものだったということになるのですから、これはたいへんなことになるのです。私はこう考えます。何も私はこの問題にこだわるのは、おもしろがってやっているわけじゃございません。多くの中小商工業者が泣いているから、国民の多くが不安におののいているからです。二十六日にやはり情報が漏れています。そして、特定の銀行が二十七日に大量ドル売りをやった。その特定の銀行とは、先ほど私が指摘をした銀行である。これはもう私の調査は終わった。これだけでも行政の公平は踏みにじられていることは明らかじゃありませんか。いいですか、変動相場制移行直前一ドルは三百五十七円ぐらいでしょう。そうすると、変動相場制以降三百四十円弱。こうなると、もうろうとした頭ですから少し違いがあるかもしらぬけれども、約十七円差、これが一億ドル売られたら十七億円ですよ。C行a店は十七億円をはるかにこしている。この情報一つで、二十七日の前日二十六日にこのことを知った銀行は何十億円得する。得する銀行、損する銀行、こういう形になるわけでしょう。そしてこの情報提供に政治家が介在をしている、こういうことにもしなってきたら、国民にとってこれはゆゆしい問題です。国民はみな疑っていますよ。私も当然、いまのいままで、昨日の皆さん方の、大蔵省事務当局の、日付がありません、日付がありません一点ばりによって、そういう類推をしました、けさまでかかって。当然でしょう、私の類推は。大蔵省にやましいところがないのなら、積極的に資料を出して、いまこそ国民の疑いを晴らす、そういう態度が必要ですよ。したがって、どうです、次の決算委員会五日ですから、四日までに——次官と約束した部分については、私はお互いに政治家ですから、そんなことは言いません、事務当局が私に対していろいろとごまかしてきたこと、日時別におとといの委員会で求めた資料の一切をお出しなさい。
  38. 林大造

    説明員林大造君) たいへん恐縮でございますが、私ども資料を準備する都合上、どの範囲のものをお求めでございますか、もう一度はっきりお教えいただきたいと存じます。
  39. 和田静夫

    和田静夫君 輸出受証明書検査結果、そして私がいただいたこれは全体としてまやかしであります。なぜならば、A行のa店、B行のa店、b店、C行のa、b、c店などという形で分けて出してくるのならば、それじゃB行の。店、B行のd店、B行のe店、B行のf店はどうなりますか。したがって、私がこの前求めたように、各銀行別に、その銀行は私がさっき言ったとおりです。どれどれ銀行で幾らということは、約束ですから、そこまで伺いません。したがって、A行——a、b、c、d、eすべてあるでしょう。とにかくドル売りをしたすべての金額を求めます、日時別に。
  40. 林大造

    説明員林大造君) 御指摘の点が全銀行ということになりますと、私どもがここに提出いたしました検査の結果とは違いまするし、また、たとえばB行の。店についてでございますと、私ども検査に行っていないところがあるわけでございます。したがいまして、このA行、B行、C行、D行の検査いたしました部分につきましてもう少し時間をかしていただきますれば、その原本に当たりまして、検査結果では不十分でございますから、もう少し詳しい資料をお出しすることはできるかと存じます。
  41. 和田静夫

    和田静夫君 検査を続行されているというようなきょう冒頭のあなたの御説明でした。だから、続行されているわけですから。それじゃ、日曜日までやるとは思いませんから、じゃあこうしましょう。五日ですから、きのうみたいに延ばされて、またあなた方みたいに私、専門家じゃないですからたいへんなんですよ、その資料をもらってからだって。それこそまさに月曜日の十二時までにいま言われた形でいただきます。だいじょうぶですね、日時別には。
  42. 船田譲

    説明員(船田譲君) ただいまの和田委員資料の御要求につきましては、もちろんできるだけ御要望に沿うようにいたしますけれども、なおここに出ておりますものだけでは正確を期しがたい本のもございますので、専門家と打ち合わせいたしまして、できる限り御要望に沿うようにいたしたいと思っております。  なお、この際私の立場から申し上げたいことは、一昨日資料の御要求がございまして、昨日の夜まで数字的なことでたいへん和田委員外皆さま方に時間的な御迷惑をかけましたことをおわび申し上げます。ただ、ちょうど昨日はIMFの総会の最中でございまして、日中におきましても現地に行っております大蔵大臣をはじめ関係者との連絡も絶えず入ってまいりますので、国際金融局そのものも全力をふるいましてこの問題につきましても当たっておりますので、決して故意におくらせたとかサボるとかいうことではなくて、善意だけれどもできなかったという点もございますことを御了承いただきたいと思っております。
  43. 和田静夫

    和田静夫君 この問題の最後にしておきますが、C行a店の一億四千六百十三万九千ドル、この部分についてちょっと尋ねておきますが、これはアメリカのGMからいす寸に対して合弁会社をつくるために多くのドルがきていた、それがこの機会に私はたいへん巧みに売りに出たと見ます。このことだけちょっと答えておいていただけますか。
  44. 林大造

    説明員林大造君) いすゞとの合弁でGMから送金されてまいります資金は、輸出前受けの形ではないわけでございます。これは株式の取得代金でございまして、したがいまして、外資法の許可を得て入ってまいります金額でございますので、輸出前受け関係検査の内容とは一切関係がございません。
  45. 和田静夫

    和田静夫君 日本勧業銀行神田支店の九千万円不正融資事件にまつわる銀行の事件について、富士銀行以来のものを若干この機会に追いますが、まず勧業銀行神田支店の九千万事件の概要について。
  46. 近藤道生

    説明員(近藤道生君) 神田支店の外国為替係員黒石修は、四十四年十二月から四十六年三月までの間、取引先の協進通商株式会社、これは資本金五百万円で電気製品、本製家具、雑貨の輸出入をやっておりますが、この協進通商に対しまして偽造手形買い取りによりまして最終的には九千万円を不正に融資したものでございます。具体的には、偽造の輸出手形を受け入れまして、いわゆるインボイスメモ扱い——船荷証券が添付されておらないのに後日これが補完されることを条件といたしまして便宜扱いによって輸出手形を買い取るいわゆるインボイスメモ扱いによって買い取っていたわけでございます。発覚の端緒は、四十五年の下期決算に先立ちまして、本部について本支店勘定の未達整備促進のための照会調査を実施中に判明いたしたものでございます。銀行側から当局並びに司直にこの六月に報告が行なわれております。黒石修及び協進通商の社長の日高進は四十六年の九月八日に警視庁に逮捕されております。九月二十九日に東京地検は、四十四年十二月から四十五年三月二十日までの不正融資分五千八百万円に対しまして黒石修を詐欺共犯容疑で起訴しており、追起訴もあり得るということでございます。なお、起訴状の容疑事実には黒石修の横領は含まれておりません。  以上が事件の概要でございます。
  47. 和田静夫

    和田静夫君 例の富士銀行事件と同じく、やはり外為の操作であったために発覚がおくれたと、こう言われておるわけです。この黒石の場合、手口は菅沼の場合と同じだったのですか、もし同じだったとすれば、前車のわだちを踏んだ勧銀あるいはそれを指導しておる大蔵省はたいへんお粗末だったということになるんですが、違うとすればどのように違っていたのか、簡単でいいんですが。
  48. 近藤道生

    説明員(近藤道生君) 御指摘のとおり、まことに遺憾千万な事件でございまして、まだまだ一般的にこの不祥事件に対する自粛自戒の程度が十分でないことは御指摘のとおりと存じます。  富士銀行事件との相違のポイントは、司直の調べがなお進んでまいりませんとはっきりはわかりませんが、現在までのところで申しますと、本人が横領で起訴されていないという点だけがあるいは違うかというふうに考えておりますが、しかし、この点はまだ今後の調査によりましてどうなるかわからないと思います。
  49. 和田静夫

    和田静夫君 警察庁にお尋ねいたしますが、松本忠夫勧銀常務は、この事件が外部に漏れる七月の段階で、問題の行員はいまのところ金を横領していた事実はなかったようで、両者との不正の結びつきもないと信じている、不正融資というには本人にも気の毒な気もするので、もう少し事実を調べた上で告訴するかどうかをきめたいと述べておるわけですね。その後告訴があって、そうして黒石は逮捕されたんですね。この間の事情の変化というのは、背任なり横領なりという罪状が明らかになったということですか。
  50. 小林朴

    説明員(小林朴君) 勧銀の不正融資事件につきましては、警察の側に本年の六月二十二日に勧銀のほうからこういう不正の事件があるという届け出があったわけでございます。で、警視庁におきましてその後内偵をしておったわけでございますが、正式には八月二日に告訴状が出てまいりました。先ほど銀行局長のほうからお話のありましたような過程をたどりまして現在捜査が進行しておる、こういうことになっております。
  51. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵省にお尋ねしますが、愛知医科大学の新設について政治家の名前があがったりいろいろあるんですが、それはいまのところ触れませんが、この建設資金として勧銀の名古屋桜通り支店は約二十億円、これは一説によれば岸信介さんが融資の仲介をとったといわれております。これを私は追っておりますが、二十億円強融資しておるはずであります。この医科大学は認可されるような内容のものではない。したがって、いまもって認可されておりません。で、この二十億円はどうなったか御存じですか。
  52. 近藤道生

    説明員(近藤道生君) そのお話はまだ一度も聞いておりませんので、なお調査の上御回答申し上げたいと存じます。
  53. 和田静夫

    和田静夫君 これは私の調査では、鹿島建設、丸善、それから香流病院——現在は名古屋十仁病院と改称しております。これの偽装分離融資という形になっております。そうして、その責任を問われた当時の勧銀の桜通り支店長はその後左遷をされています。これは報告としてあがってきていないはずがないし、あがってきていないとすれば、勧銀におけるところの銀行法上の違反問題があるとも考えられます。
  54. 近藤道生

    説明員(近藤道生君) 報告はまだあがってきておりません。
  55. 和田静夫

    和田静夫君 それじゃお調べ願えますか。
  56. 近藤道生

    説明員(近藤道生君) 調査の上御回答申し上げます。
  57. 和田静夫

    和田静夫君 次に、住友銀行佐賀支店の閉鎖が一度きまって、それが取りやめになったまでのいきさつについて。
  58. 近藤道生

    説明員(近藤道生君) 住友銀行の佐賀支店は、本年五月に住友銀行の所沢支店の開設の代替といたしまして廃止の承認申請がなされたものございますが、当局として事情を聴取いたしましたところ、佐賀市内には住友銀行のほかに勧銀、興和の二つの都市銀行があり、また同支店廃止後の預金、貸し出しについては、地元銀行住友銀行の近隣の支店などに預金、貸し出しを引き継ぐことができる見通しがございましたので、預金者、取引先に与える不便は比較的少ないという判断をいたしておりましたが、その際、一般的に支店の廃止につきましては地元との摩擦がない場合に限り認めるということを通達でもはっきりうたっておりますので、その点を念を押しておったわけでございます。ところが、その後、将来の企業融資の政策等とも関連をいたしまして、佐賀支店の営業継続を希望する声が地元でたいへんに強まってまいりました。そこで、地元銀行側でこの点再検討を行ないました結果、あらためて存続するということに決定をいたしたわけでございます。
  59. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵省いま言われたとおり、昭和四十四年十二月十五日付で「当面の金融機関の店舗行政について」という通達を各財務局長あてに出されています。この住友銀行佐賀支店の所沢への配置転換は、大蔵省の店舗行政にそもそも反したものだったんですか、結果的には。
  60. 近藤道生

    説明員(近藤道生君) 店舗行政の大きな方針には反しているわけではございません。と申しますのは、御案内のとおり、配置転換を第一として考えておりますので、全体としての銀行店舗はすでに多過ぎるから、この数をこれ以上ふやすことは適当でないという判断のもとに、一つつぶせば一つ新設することを認めるという線に沿った申請であったわけでございます。その限りにおきましては、店舗行政の基本方針には反しておりません。  ただ、もう一つの点はやや問題があったわけでございまして、これは通達にもうたっておりますように、「廃止店舗は、地元住民等が廃止により著しく不便を蒙るおそれがない地域のものであって、かつ、その廃止が支障なく行なわれることが確実な場合に限る。」ということをうたっております。その「廃止が支障なく行なわれることが確実な場合」という条項には結果において反した、その点の見通しは甘かったと言わざるを得ないかと思います。
  61. 和田静夫

    和田静夫君 これは、当時の官房長官、いまの自由民主党の幹事長保利さんがかんでいらっしゃることですから、ちょっとくどいようですが明らかにしておいたほうが向後のためでもあろうかと思いますから、あれですが、この通達には「配置転換」ということで、いま言われたように、「廃止店舗は、地元住民等が廃止により著しく不便を蒙るおそれがない地域のものであって、かつ、その廃止が支障なく行なわれることが確実な場合に限る。」(2)「新設店舗の位置は、金融機関の店舗配置の現状から総合的に判断して、過密にならず過当競争を惹起するおそれもないと認められる場所に限る。」とあります。そうすると、この住友の支店の配置転換は、大蔵省の方針に合致していたからこそ認められたのではないんですか。地元にも一、二若干の反対があったでしょう、それは反対を組織しようと思えばできますから。あったからといって、都市銀行が支店廃止を発表したんですからね、これは。支店廃止を発表をして、そのあとにまたそれを取り消すなどということは、金融史上例のないことではなかろうかと私は思います、私の足らない情報の収集によれば。そうしてまた問題なのは、このことが佐賀県出身の保利当時の官房長官、現自民党幹事長の圧力によって起こったと言われていることであります。大蔵省またこの有力政治家の圧力に抗し切れなかったのだろうかという、まあ巷間そういううわさが飛んでいます。これは大蔵省の店舗行政におけるまれに見る汚点ではないか。これらのことを総合してみますと、銀行局長いかがお考えになっておりますか。
  62. 近藤道生

    説明員(近藤道生君) ただいま御指摘のとおり、都市銀行が一度発表をいたしました店の廃止につきまして、あとから再びそれを存続する方向で再度決定を行なうということは、まことに異例のことでございます。ただ、先ほども申し上げておりますように、通達におきまして廃止が支障なく行なわれることが確実な場合に限り認めるということになっております。ところが、現実には地元の県知事さんはじめ地元における反対がたいへんに強くその後において出てきた。その辺に、支障なく行なわれることの銀行自体の見通しがきわめて甘かったということはあったかと思います。したがって、銀行が申請を発表したあとにおいて取り下げてきたということは、その辺についての見通しの甘さに基づくものではなかったかと思います。
  63. 和田静夫

    和田静夫君 次官、いまの質問に対して次官の立場ではどう考えておりますか。
  64. 船田譲

    説明員(船田譲君) ただいま銀行局長からも御答弁申し上げましたように、あまり望ましいことではございません。したがいまして、今後各銀行とも、支店の廃止等を申請してまいりますときには、十分地元との合意の上でやっていただくように、内面的に大蔵省としても指導いたしてまいりたいと思っております。
  65. 和田静夫

    和田静夫君 昭和三十六年から三十七年にかけて住友銀行の山口防府支店で女子店員が株に手を出して失敗をして三千万円の穴をあけた事件が起こっていますが、大蔵省は御存じですか。
  66. 近藤道生

    説明員(近藤道生君) たぶん報告は出ておるとは存じますが、ただいま手元に資料がございませんので、帰りましてから確認をいたしたい、そしてお答え申し上げたいと存じます。
  67. 和田静夫

    和田静夫君 この女性は、三十七年四月に退職金をもらってやめています。これはどうしたことですか。
  68. 近藤道生

    説明員(近藤道生君) その点もあわせて調査の上、御回答申し上げたいと存じます。
  69. 和田静夫

    和田静夫君 これは五日に調べて御答弁願いますが、私の調査では、自首されて初めてわかった。自首されてなかったならば三千万円抜き取ってもわからないほど銀行の内部というのはルーズなのかということが実は問題なんです。いろいろ銀行の事件を手がけてみて——手がけてと言っては警察庁におこられてしまいますけれども、その辺を十分お含みの上明らかにしてもらいたいと思います。  警察庁にお尋ねをいたしますが、富士銀行事件のときにも私は問題にしたのですが、こうした金融犯罪が明るみに出るといつも問題になるのは、銀行の秘密主義であります。私はさきの勧銀事件についての調査の過程での警視庁の関係者からの話を総合してみますと、こうした不正融資の情報というのは名のある銀行というのはほとんどについてあるというんですね。ただ、こればかりは銀行の協力がなければどうしてもやることができない、切歯扼腕する。やはりそういうことが原因じゃないですかね、警察のほうにもあまりやる気がないのではないかという感じがしてしようがないのです。小さいのをあげれば幾らでもありますよ。
  70. 小林朴

    説明員(小林朴君) 銀行の事件、それから会社の内部の事件、これはいずれも同じような犯罪の形態のものでございますけれども、こういうものにつきましては、まずその内部で被害の届け出ということがない限りは、こちらのほうから一々犯罪の容疑で内部をさらっていくというわけにはまいらないのでございます。そういうところに、ただいま和田議員が申されましたような、やる気がないんじゃないかというような疑問も出てくるのではないかと思いますけれども、一々企業の内部に立ち至って私ども検査する権限も何もございませんので、一応犯罪として容疑が出てまいった段階におきまして捜査をするというような形になるわけでございます。したがいまして、犯罪捜査の面から申しますと、銀行なり商社なりの最後の、何と申しますか、その正しい運営というものを担保するものだというふうに考えていただきたいと思うわけでございます。
  71. 和田静夫

    和田静夫君 沖繩の返還に伴って現金輸送の問題が大きな問題になっているようですが、現金輸送車に警察官が乗って護送をするという場合がありますか。
  72. 朝比奈仙三

    説明員朝比奈仙三君) 日銀におきまして現金の輸送に当たります際には、個別に警備要請が出てまいりまして、それに基づいて、たとえば列車、あるいは輸送車、それらに乗りまして警備をしてあげるという場合がございます。
  73. 和田静夫

    和田静夫君 ただ、その過程で地方公務員法違反というような形のものが起こらないように——当然起こっていないと思いますがね、起こらないように、この機会にこれは御注文だけ申し上げておきます。  信用金庫法第一条には「この法律は、国民大衆のために金融の円滑を図り、その貯蓄の増強に資するため、協同組織による信用金庫の制度を確立し、金融業務の公共性にかんがみ、その監督の適正を期するとともに信用の維持と預金者等の保護に資することを目的とする。」とあります。この国民大衆ということばに端的にあらわれていますように、中小企業者、勤労者その他庶民大衆のための金融機関である。これをさらに具体的かつ明確にしたのが、会員資格を定めた第十条であると言えます。それはまあ釈迦に説法ですからあれですが、ところで大蔵省はこうした性格の信用金庫というものをどうするおつもりなのですか。本心は、この機会につぶしてしまっていこうというようなことを考えていらっしゃるのですか、そんなことはありませんか。
  74. 近藤道生

    説明員(近藤道生君) そんなことはございません。
  75. 和田静夫

    和田静夫君 そうしますと、金融制度調査会が中小企業金融制度のあり方についての答申を出す際に、信用金庫制度の存廃さえ議論した末に、「株式会社組織の専門機関または中小企業銀行の融資は、中小企業のうちでも大きいものおよび中堅企業に片寄るおそれがある。」「中位以下の中小企業や小規模零細企業に対する融資に断層が生じ、またこれら融資が不円滑になるおそれがある。」と述べて、「会員制度」あるいは「会員組織」ということばをもって信用金庫の地縁的、協同組合的性格を残存させることに同意したと思うんです。したがって、この信用金庫というものの基本的性格から、会員外貸し付けが行なわれるにしても、量的にきわめて制限されたものであるし、しかも第一条で国民大衆あるいは中小企業金融という、質といいますか、性格がきめられてしまっているのですから、大企業への貸し出しはこれによってできない。確かに、コールに出したり有価証券を買ったりというのはありましょう。これは大企業の役に立っているかもしれませんが、これにしたところで、支払い準備資金の運用という範囲においてのことであって、支払い準備としての、いわゆる必要があればすぐ戻せるようになっていなければならぬと思うのです。そういう運用しかしないようになっているわけでしょう。ところが、最近、この信用金庫の基本精神が破られて——破られてと言ったら語弊があるが、破られようとしていると私は思うが、すなわち、九月の三日の全国信用金庫連合会の理事会で、全信連の余裕金運用についてたいへんなことがきまりました。私はここに全信連の「会員外一般貸出要綱」というのを持っていますがね。そこには、「貸出対象」として、「公共法人、公益法人、証券取引所の貸借銘柄に選定されている株式会社およびこれらに準ずる法人」——すなわち大企業——とあります。しかも、貸し出し限度額にしても、「一貸出先に対する最高限度は、自己資本の100分の20とする。ただし、やむを得ない事情があるときは、大蔵省銀行局長の承認を得てこの限度を超える取扱いをすることができる。」とあるのですね。そうすると、大蔵省が承認さえ与えりゃ幾らでも貸せるようになっているのです、これ。これは全信連みずからが信用金庫の精神を踏みにじるものでありまして、こういうことをきめることは信用金庫の自殺行為だと私は思うのですが、大蔵省がこれを認めたということはほんとうですか。
  76. 近藤道生

    説明員(近藤道生君) まだ認めたというような事実はございません。そこで、ただいま御指摘の点に対する基本的な考え方でございますが、一つは、先ほど来るる御開陳になりましたように、信用金庫というものは、地縁性、人縁性、そこに非常な特色のある金融機関でございます。したがって、この信用金庫が健全に経営をされるということが中小企業金融の一環として必要不可欠のことでございます。ただいまのような金融情勢、特に金融緩和に全般が向かってまいりますときに、個々の信用金庫の経営基盤をあやうくさせないという方向で、全信連がいろいろな角度からの努力をいたしております。その努力の一つが、ただいまの御指摘になりました全信連の決定事項であろうかと存じます。そこで、そういう意味での地域金融機関としての信用金庫の経営を、こういう緩和の時期に十分に守っていこうと、支援していこうという全信連の御趣旨には、私どもといたしまして何ら異存はございません。ただ、ただいまも御指摘のように、逆にそれが信用金庫本来の地縁的、人縁的な金融機関としての機能をそこなう方向に働くというおそれももちろん片方にあろうかと存じます。その点を十分両方の側面を検討いたした上で決定をいたしたいと考えておる次第でございます。
  77. 和田静夫

    和田静夫君 局長、九月二十二日にこれ認可されていませんか。
  78. 近藤道生

    説明員(近藤道生君) 承認申請はまだ一件も出てきておりませんが、方向としてただいまのような制度の開設を考慮するということに対しましては了承をいたしております。
  79. 和田静夫

    和田静夫君 私が述べました意見を十分に今後の運用の中でしんしゃくをしてもらいたいという意味で、時間もなくなってきましたから深追いをしませんが、信用金庫は融資集中のいわゆる機構にならないということでやってきたはずです。で、今度の措置というのは、業界みずからが進んで融資集中機構になっていこうとしているとしか私には思えません。で、思い過ごしかもしれませんが、全信連のこの員外貸し出しの範囲ですね、これは自己資本の二〇%というのはいま三十四億円だそうですが、三十四億をこえて大蔵省が、まあ銀行局長がうんと言えば幾らでも貸し出せますよということですよ、この要綱は。おそらく現実に金を貸す段になると、三十四億や四十億でなくて、やっぱり百億だ、あるいは二百億だということになるのではないでしょうか。で、大企業に貸すという姿勢になればそうなるし、またそうでないと借りてくれないでしょう、おそらく。しかも、貸し付けの場合には、コールの場合と違って原則として七年ですから、七年以内となっているけれども、七年で返ってくるという保証はまあありませんね。で、貸し付けなんですから、大企業は利子さえ払えばいつまでもという気持ちになるでしょう。また、そう彼らが考えるのは当然でしょう。そうして、こうした長期貸し付けはその論理を追っていけば追っていくほどだんだんふえていくでしょう。そうした行為というのは、信用金庫法の基本的精神をじゅうりんすることになると私は思います。まあ法制局を並べておいてやろうと思ったんですが、私はそう思う。こうしたことを大蔵省が認めるとなると、一体大蔵省は信用金庫というものをどう考えているのかと言いたくなるわけですね。意地悪く言いますと、全信連の今度の行為というのは、あるいは大蔵省の思うつぼだったんではないかと、私はこれを読みながら思ったんです。そういうことありませんか。
  80. 近藤道生

    説明員(近藤道生君) そういう方向とむしろ逆でございまして、先ほど申し上げましたように、地域金融機関としての信用金庫というものの存在基盤がこの激動期にかなり揺れ動く、それに対する対策として考えておるわけでございまして、もちろん御指摘のような危惧も一方において十分心の中に持ちながら運用に当たってまいりたいと考えております。
  81. 和田静夫

    和田静夫君 私がこれを質問しているのは、後ほど具体的な合併問題、たいへん大蔵省が強圧的——大蔵省というか、出先の弾圧的な合併問題を取り扱うときの前提で述べているわけです。私はこういう疑問も実は持ったのです。それではその全信連に対してほんとうに借り手がありますかと言いたくなるわけですよ。いま公定歩合が六・二五ですか——これはもっと下がるわけですね、といわれていますね。そうすると、そういう状態のときに七・五以上の高率を運用ができるはずはないわけでしょう。しろうと考えでそう思うのですね。とすると、何のためにこのようなことをきめたのか。これはまあ率直なことはわからぬのでありますが、その点大蔵省どうなんでしょうか。
  82. 近藤道生

    説明員(近藤道生君) その点は、先ほど来申し上げておりますように、金融緩和の時期になりますと、地方の信用金庫におきましては、運用先にかなり困難を生じてくるところがあるわけでございます。そこで、相当程度全信連にその資金を預託いたしまして、全信連の運用によってそれぞれの信用金庫が潤うと申しますか、それによってこの難局を乗り切っていくという方向にいかざるを得ない信用金庫が地方によりましてはかなりあるわけでございます。それらに対する対策として、全信連がただまのような方向を考えておる。そうして、それによりまして、地縁的、人縁的な各地信用金庫の存立の脅かされないように努力をしてまいるという動きであるわけでございます。
  83. 和田静夫

    和田静夫君 それで合併問題に入るのですが、ちょっと警察庁に聞いておいてもらいたいことがありますから、ちょっと合併問題を飛ばしまして、二、三この間から資料をもらった問題でお聞きします。  まず「相互信金と明治信金の合併経緯」、いま資料をいただきましたが、その相互信用金庫と合併した明治信金の総代が合併後において全員切られた事実がありますね。  それからもう一つは、これは確認をしていただきたいのですが、明治信金の経営に協力してきた人々の従来からの権利というのは合併後において認められるべきものなのではないかと、私はしろうと目に思いますが、相互信金が明治信金を合併した後の四十四年度、四十五年度の決算で不良貸し出しを償却した額と内容の検討を一体どのように行なわれたのか。相互信金の総代の中から償却した金額が九億に一挙にのぼっておる。こんなに多いことは高橋理事長の背任ではないかとの声が出て、私もいまその調査をしているところです、これは徐々にでもやっていけるはずなんですから。その辺のことの二つについて御説明を願いたい。
  84. 近藤道生

    説明員(近藤道生君) 詳細につきまして中小金融課長から御答弁申し上げたいと存じます。
  85. 清水汪

    説明員(清水汪君) ただいまの御質問の第一点の合併後総代を全部やめさせたのではないかという点につきましては、たいへん恐縮でございますが、ただいまその事実について確認をしておりませんので、その点は後ほど調査して御回答を申し上げたいと思います。  それから第二点の不良資産の償却の問題でございますが、この点につきましては、私どもが財務局のほうから報告を受けておりまして承知しております、この合併後の相互信用金庫の償却額といたしましては、四十四年度に五億三千八百万円、四十五年度には一億八千三百万円という償却額を計上しております。
  86. 和田静夫

    和田静夫君 そういう意味では、私の言っているのは、背任の疑いがあるのじゃないかと言われている問題等については、どのように判断をされているんですか。
  87. 清水汪

    説明員(清水汪君) ただいまの御質問でございますが、償却の内容の詳しい点につきましては、ただいま事情を確認しておりませんので、この席ではお答えいたしかねることをお許しいただきたいと思います。
  88. 近藤道生

    説明員(近藤道生君) こういうタイプの合併の場合に、合併後償却をいたしますことについて、背任というような疑いの批評はたびたび出るわけでございますが、ただその場合に、合併によるメリットというようなことを別の観点からいろいろと考えまして、必ずしも背任とは言い切れないという場合が従来の例では多かったわけでございます。本件の場合につきまして、どういう角度からの批判がございましたか、いずれ調査の上御回答申し上げたいと思います。
  89. 和田静夫

    和田静夫君 架空名義預金の自粛を大蔵省は再三にわたって各金融機関の団体に申し合わせをさせている。信用金庫協会でも、四十四年七月十九日付で、各信用金庫理事長に通達をしていました。この架空名義預金についての大蔵省の考え方というのは、どういう考え方ですか。
  90. 近藤道生

    説明員(近藤道生君) 架空名義預金というものは、主として脱税目的によって行なわれておる場合が多いかと存じます。したがって、そのようなものをもし公的な存在でございます金融機関の側で事情を知って受け入れることは、もちろん困ることでございますし、それからまた、事情を知らない場合といえども、なるたけその点については十分確認をした上で取り扱うということが必要になろうかと思います。ただ、現実の問題といたしましては、はたしてある預金が、その使いに来た人の名前で預け入れられたものであるのか、あるいは本来の預金者が別にあるかどうかというような点につきましての区別は、実際問題といたしましてはなかなかむずかしい問題でございます。しかしながら、架空名義預金というものが望ましくないということは、私どもの一貫した方針でございます。
  91. 和田静夫

    和田静夫君 国税庁の意見を同時にこれについて伺っておきたいんですが。
  92. 斉藤整督

    説明員(斉藤整督君) ただいまお話がございましたように、税の面から見ましても、この架空名義預金というものが脱税の手段に使われている場合もございますので、これをできるだけなくするようにという立場から、銀行局にも御協力をいただいておるわけでございますし、また調査の過程におきまして、必要に応じてわれわれのほうから銀行局にそういうことのないようにお願いしている次第でございます。
  93. 和田静夫

    和田静夫君 ちょっとこれ、もう少し続けますがね、都内の東邦信用金庫で架空名義預金が紛失した問題が起きておりますね。これは大蔵省、御存じですか。
  94. 近藤道生

    説明員(近藤道生君) そういう事実について、まだ聞いておりません。
  95. 和田静夫

    和田静夫君 これは調査をしてください。  私は、そういう問題との関係で、東京地裁に訴訟が起こって係争中のいわゆる証人の実際の証言をここに持っています。たいへん時間がなくなってきましたから、それらについていまたくさんのことを申し上げようと思いませんが、全部手に入れてきたんですが、鈴木さんという人の証言によりますと、東邦信用金庫のやり口は、預金者に無記名をすすめて、そして印鑑証書を信金側で預かって、そして預金者の信頼を裏切って預金を蒸発させたというのですね。そういう証言なんです。そうなりますとね、預金者は物的な裏づけがないために弱いわけですね。信金では、無記名預金の利用方法としてトップ融資をやる、あるいは情実融資をする場合にこの無記名を貸し出し先の担保につけるという危険なことをやっているということも証言しております。大蔵省として、こういうことがわかる以上、きびしく架空名義預金の廃止を指導すべきではないかと、私は一連の訴訟記録を見ながら思ったんですが、いかがですか。
  96. 近藤道生

    説明員(近藤道生君) 仰せのとおりでございまして、架空名義預金の絶滅につきましては、あらゆる努力を払っております。特に検査の際など、架空名義預金のチェックにつきましては特別に力を入れて行なっておるわけでございます。なお、ただいま情報をお考えいただきましたので、管轄財務局に直ちに連絡をいたしたいと存じます。
  97. 和田静夫

    和田静夫君 ちょっと蛇足的ですがね、東邦信金の幹部は、同信金と当時の銀行局長の澄田——後の事務次官、この間おやめになりました——特別の関係があるから、こういった事件が起きても問題ないとうそぶいてるんだということをこの証人は言っているわけです。そんなことはあると思いませんが、荻窪警察署とも特別な関係があるので、個人で文句をつけても問題にはならないと、鈴木さんというこの証人を威圧している、こういうことも言っている。そういう事実はこれはないと思いますが、これは大蔵省の側も、警察の側も、一言答弁いただきたいと思います。
  98. 近藤道生

    説明員(近藤道生君) そういう事実は、これはないと思います。
  99. 小林朴

    説明員(小林朴君) 一応よく実情を調べてみたいと思っております。
  100. 和田静夫

    和田静夫君 それで、東邦信金の架空名義預金の実情について、ちょっと報告を、後ほど私に資料としていただけますか。さらに、これは国税庁になるかと思うんですが、ひとつ日本国じゅうの金融機関の架空名義預金の実態を報告をしてもらいたいのですが、これはどちらですか、大蔵省ですか。
  101. 斉藤整督

    説明員(斉藤整督君) 架空名義預金の実態につきましては、税当局で全部それを調査する、いわゆる普遍調査をするということは現在のたてまえとしてできませんので、御要望に沿いかねる次第でございますが、いわゆる国犯法による強制調査でございますが、査察を受けましたものにつきまして、どういう内容になっているかというようなことにつきましては、いままで国会で申し上げた前例はございます。
  102. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、調べてくれといっても、これは大蔵省のほうが調べてくれるわけですか。いま絶滅を期して大蔵省の側が努力をされているわけですね。そうすれば、絶滅を期するのですから、実態がわかる。
  103. 近藤道生

    説明員(近藤道生君) 架空名義預金というものは、預金の性格上、先ほどもちょっと申し上げましたように、はたしてほんとうに架空なのか、そうでないのかということが非常にわかりにくいものでございます。したがって、最後まではたして絶滅をしたかどうかということの確認はできない性質のものでございますが、しかしながら、極力絶滅をするということであり、また、ただいま国税庁の側から御答弁申し上げましたように、特定の査察事件のときに架空名義の断面があらわれるという形で資料が出てまいるわけでございます。その資料について御提出申し上げることはできるかと存じます。
  104. 和田静夫

    和田静夫君 わかりました。それじゃそれを求めておきます。  それから、西武信用金庫のその後の指導はどのように進められているわけですか。
  105. 近藤道生

    説明員(近藤道生君) 管轄財務局長からの報告を中小金融課長が受けておりますから、中小金融課長から御答弁申し上げます。
  106. 清水汪

    説明員(清水汪君) 西武信用金庫につきましては、先生御承知のとおり、六月に種々の経緯がございました結果、事態の収拾をはかるためにはどうしてもやむを得ないということから、現在の理事長並びに副理事長に対しまして責任を明確にするようにということの勧告を関東財務局からいたしました。自来その線に沿いまして、関東財務局並びに私どものほうといたしましては、信用金庫協会のほうともよく相談をいたしまして、ぜひ西武信用金庫が健全な経営体制に早くなれるようにという目的のために、その線に沿った努力をわれわれのほうとしては続けておるわけでございます。しかしながら、最近の経過を見ますと、総代の間ではかなりかつての対立関係を解消しようとする動きが進んでおるというふうに聞いております。しかしながら、肝心の理事長及び副理事長御自身からはいまだにはっきりとした態度の表明が得られないまま、はなはだ残念でございますけれども、もう少しその当初の線に沿った努力を継続していかなければならない、そういう状況にあるわけでございます。
  107. 和田静夫

    和田静夫君 私は、西武信用金庫の理事長小原喜代八さんが経営者姿勢を正すことなく、昨年の十月にあった大蔵省関東財務局の検査指摘をされました不良融資企業、吉澤株式会社、ホトトギス株式会社、塩川喜信、日本企興株式会社、東京コンドル関係企業の中で——これは大蔵省指摘していますよね、日本企興には、十二月に融手を割り引いて、引き続いてことしの三月に入って一億二千五百万円にのぼる融資を行なって、そうして倒産のために焦げつかせております。これは、役員会の反対はもちろん、営業部長はこの融資を行なうと背任になるとまで忠告をした、それを押し切って小原理事長が融資を強行したものだと言われております。そこで、昨年の十月に行なわれた大蔵省関東財務局の検査の報告示達書によりますと、この原文全部持っておりますが、貸し出し面では、安易な融資態度が改善されず、不動産担保にのみ依存し、審査の未熟さに起因した大口の新規不良貸し出しまで発生して、不祥事件の温床ともなりかねないとまで指摘をされているのです、財務局から。それが大蔵省指示を無視して不良融資を続けられたことは、昨年の十月の検査について、主任検査官であった小田検査官の講評のしかたがきびしい姿勢でなかったことにあるのではないかと思われますが、なぜ問題の信用金庫への検査講評については財務局長あるいは理財局長金融課長などが立ち会うくらいの配慮がなかったのか。
  108. 清水汪

    説明員(清水汪君) 西武信用金庫の検査は昨年の十月から十二月にかけて行なわれておりまして、検査示達はその後今年に入りましてから正式なものは出されておるわけでございますが、その間に検査が終了しましたときには、具体的には十二月であったと思いますが、現地におきましてまず講評を与えておるわけでございまして、その際には金融課長も一緒に立ち会っておるわけでございます。  いずれにいたしましても、ただいまの御指摘の点でございますが、検査主任が決してあいまいな態度で指摘をしたというようなことは決してなかったと思いますし、私どもいま御指摘検査示達で十分に相手の金庫についてその問題の指摘はできておると思いますが、なお具体的にこの金庫がその後どういう改善を示しておるか、その点につきましては、手続的には検査示達に対する回答という問題もございますが、なお、それだけでなしに、常時指導というものに努力してまいりたい、そういうふうに思うわけでございます。
  109. 和田静夫

    和田静夫君 日本企興への三月の融資について、東京地検の特捜部も背任容疑で内偵中と言われていますが、そういうふうに仄聞しますが、この日本企興の本年三月融資というのは、先ほども指摘したとおり、小原理事長の背任行為ではないかということが盛んにわれわれしろうとにも問い合わされます。こういうものに対して、特別検査の意向というものはお持ちになりませんか。
  110. 清水汪

    説明員(清水汪君) 現在のところ、特にそのように考えてはおりません。御指摘のありましたように、司直の手で調べが進んでおるということもあるかと思います。
  111. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、先に戻りますが、この信用金庫の合併について大蔵省の基本的態度をお聞きするのは、時間がなくなってきましたから質問を幾つかまとめてやりますが、大蔵省が信用金庫の合併を進めるにあたっては、その前提に適正規模論とかあるいは資金コスト論とかがあるようであります。私自身これらの議論に対してそれなりに意見を持っておりますので、いずれ適当な場所で論議をしていくつもりでありますが、とまれ私が大蔵省に望むことは、この合併推進を官僚の業績争いの具に使わないでほしいということであります。信用金庫の地縁性というか、生活協同体的側面を重視をすればするほど、上からの強権的合併指導は許さるべきではないと思いますが、この点についてまずお聞きをしておきます。
  112. 近藤道生

    説明員(近藤道生君) その点につきましては、私も先生と全く同じ感じを持っております。
  113. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、こういう例があるわけです。北海道の資料をいただきました。あの渡島信用金庫と長万部の信用金庫、また長万部と北海信用金庫、この合併をめぐりまして幾つかのことが行なわれておるのであります。その一つは、それぞれの信用金庫の意思というものよりも先行をして、あすこにいらっしゃる上月さんといわれる財務局長ですか、たくさんの新聞発表を先にやられる。その中には、北海道の信用金庫というのは規模は小さいし、財政的にも、いわゆる資金能力の上からいっても弱小であるから、したがって合併をしていったらいいんだ、合併を推し進めるのだ、こういうふうな形でまあ新聞発表が——ここに全部新聞を持っていますが——なされるわけですね。こういうようなやり方というのは、いま私が局長との間で確認をした、いわゆる基本にそぐわないやり方だと、こういうふうに考えますが、いかがですか。
  114. 近藤道生

    説明員(近藤道生君) その点につきましては、和田委員から資料の御要求がございましたのを機会に、特にただいまの上月財務局長に状況を聞いてみたわけでございます。そういたしましたら、財務局長の答えといたしましては、決して強引に無理じいをするつもりは毛頭ない、現在まで渡島信用金庫、あるいは北海信用金庫、あるいは長万部信用金庫について何ら合併の話が詰まってきていないのは、まさに財務局として特に強圧を加えたり何かをしたりしていないためにそういう状況にあるわけであって、あくまでも自主的な合併の気運には財務局としても極力支援態勢をとりたいけれども、強権的にそれを指導するというようなことはやるつもりはありませんという明言を得ているわけでございます。
  115. 和田静夫

    和田静夫君 まあ銀行局長そう言われますが、上月局長の署名入りの発表が四十五年の八月一日の北海道新聞、朝日新聞、八月二日の日経、八月六日の北海、朝日、日経、八月十日の北海タイムス、八月十二日の道新、八月二十四日の道新、などという形でずっと出てるわけです。で、信金合併問題をめぐってかなりそれは指導を受けている。信金の理事長以下としては戦々恐々ですよ。で、上月さんは固有名詞を、さっきの話じゃないが、出さんならいいけれども、渡島なら渡島と明確に打ち出す。そういうような形でもって、おれは合併局長だというふうな自己宣伝が入る。こうなってくると、行政トップの発表であれば、まさに被監督の立場にあるものの呼吸というものは狂っていきましょう。したがって、私は、合併問題の前提で確認し合った、そういう前提条件にたいへんそぐわないことをやってらっしゃる、現実に。これに対しては、やっぱり次官、厳重に注意をしていただく必要があると思うのです。
  116. 船田譲

    説明員(船田譲君) 過日、全国の財務局長会議がございましたときにも、私自身も上月氏には会っております。で、御指摘のありましたような点につきましては銀行局長からも注意をいたしておりますが、私自身といたしましても、これは彼の個人的なことになりまして、印象になりますけれども、非常にさむらいでございまして、発言等において——私が民間出身でございますからこういうことを申し上げるわけじゃございませんけれども、いわゆるお役人的な言い方よりも少しはみ出す場合がございます。しかし、私はこれはそれなりに評価をいたしておりますが、ただ、いま和田委員が御心配なされましたように、監督を受ける立場からいたしますと、わずかな片言隻句でも非常に戦々恐々という影響を与えるという点から申しますと、確かに不用意のそしりを免れないと思いますので、今後も十分注意をいたしていきたいと思います。  なお、大蔵自身といたしましては、中小金融機関の合併につきましてはあくまで関係当事者の合意を得ることが先決でございまして、いわば頼まれ仲人はするけれども自分から仲人屋にはならないという方針でやっておるわけでございます。
  117. 和田静夫

    和田静夫君 たとえば四十五年の七月二十五日に、財務局長、理財部長金融課長同席のところで、北信協の会長あるいは川島常務などから、たとえば渡島の理事長に対して、あなたならやれる、相手は雇われマダムだと、——相手はおそらく長万部の理事長をさすのでしょう。で、これをやったならば北海道第一等の合併だから勲章の内申をしますなどというような形で合併を促進をする。こういうふざけたことなんというのはとても話にならぬと思うのです。で、こんなことがあるのかなあと思いながらこの問題少し調査しますと、なるほどと思いつくのは、渡島と長万部の話が進んでいるときと、長万部と北海の合併のときと、合併の条件が違うことに気がついた。この渡島に対しては、理事の数を変更しようとするときは合併時の長万部の地区から選任されている総代の意向を尊重して選任をする、こうなっている。ところが、北海、長万部の合併の条件については、選出する理事の数については相互信頼に基づき公平にこれを取り扱うなどというようなことで、条件が違う。したがって、これがだめだと思うと、こっちに条件をゆるめて、しかも長万部と北海というのは、私もあの辺はよく知っていますけれども、地縁的な関係ということになるとたいへんなことですよ、一山越えるわけですから。そういう無理をして合併を指導するなどということは、こういうことがあっていいことじゃない。しかも、自発的には長万部は議決はなされているわけですね。長万部は議決をした。しかしながら、長万部の理事長は審議未了として報告をしている。ところが、その実態を知っておりながら、審議未了という形のものを受けて、そして今度は渡島と長万部の合併問題というものをけってしまって、長万部と北海という形に持っていく。そして、渡島が長万部に支店要請をすれば、おまえら合併について言うことを聞かなければ支店の設置はなどと言ってみたり、たいへんな不用意なところがたくさんあります。この辺は十分に注意をしていただきたいと思うのです。
  118. 船田譲

    説明員(船田譲君) ただいま和田委員の御指摘になりました具体的な点につきましても、十分銀行局長なり私からも注意いたしたいと思っています。
  119. 和田静夫

    和田静夫君 京都中央信用金庫と西京都信用金庫の合併問題で、これも資料いただきました。ここで私は問題にしたいのは、合併は常に、働く従業員に犠牲が押しつけられることなく、十分に尊重されるということは、国会の附帯決議にもあるわけですから、これは大蔵省確認できますですね。
  120. 近藤道生

    説明員(近藤道生君) たいへん恐縮でございますが、おそらくただいまの御質問は、合併はスケール・メリットを発揮するという点で一般的には望ましいという基本姿勢をとるかどうかという点でございましょうか。
  121. 和田静夫

    和田静夫君 いいえ、従業員に犠牲が押しつけられることなく、従業員の意見というものは十分に尊重されるということが国会の決議にありました。これは確認をされていますね。
  122. 近藤道生

    説明員(近藤道生君) その点は確認をいたしております。
  123. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、この京都中央信用金庫に合併された西京都信用金庫の職員が、合併後において全員を吸収するという原則を無視して首を切られた事実があります。これは御存じになっていますか。
  124. 近藤道生

    説明員(近藤道生君) 合併後に特に前にどこの金庫に属していたからという理由をもって首を切られたという話は聞いておりません。
  125. 和田静夫

    和田静夫君 ともあれ、やめさせられた西京都信用金庫もとの職員が労働基準局と近畿財務局に抗議を申し込んでおります。大蔵省として何らかの行政指導するおつもりありますか。
  126. 近藤道生

    説明員(近藤道生君) ただいま個別に抗議を申し込んでいるという事実は、いま初めて承るわけでございます。ただ、一般の問題といたしまして、その点につきましては、国会の御決議の趣旨にも沿いまして、合併後において特にいわゆる首切りが行なわれたかどうかという点については確認をいたしたわけでございますが、むしろ合併前の三カ月におきましてやめていった人々の数のほうが合併後にやめた人よりも段違いに多いという一般的な事実を注目いたしておるわけでございます。
  127. 和田静夫

    和田静夫君 ともあれ、抗議の関係が起きていますから、この上は調査の上に適当な指導をやっていただきたいと思いますが……。
  128. 近藤道生

    説明員(近藤道生君) 承知いたしました。
  129. 和田静夫

    和田静夫君 最後にグリーンパーク、いわゆる米軍施設の払い下げ問題で、時間がなくなりましたから簡単に質問をいたしますが、この米軍の施設としての武蔵野市のグリーンパーク、これは日米合同委員会の結論として返ってまいりますね、施設庁。
  130. 小幡琢也

    説明員(小幡琢也君) 提供施設の返還の問題でございますからこれは防衛庁の御所管でございますが、私知っておりますのでお答え申し上げますが、これは練馬にございますグランドハイツと、それからこのグリーンパークと一括しまして、代替施設を横田飛行場の施設内に設置するということを条件として返還する、こういうことがことしの八月十九日の日米合同委員会で正式に合意されております。
  131. 和田静夫

    和田静夫君 これは防衛施設庁、確認してもらいたいと思うんですが、いいですか、これは。
  132. 奈良義説

    説明員(奈良義説君) 御説明いたします。代替施設ができ上がりましたらば、代替施設の建設と引きかえに返してもらうということになるわけでございます。
  133. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、返ってはくる、ところが全体約四万坪ぐらいの中で国に返ってくるのはわずかであって、そのほとんどが益谷秀次さんを理事長とするところの日本文化住宅協会のものである、そしてそれとの関係におけるところの法廷上の争いは大蔵省側の負けと出たというのは、ほんとうですか。
  134. 小幡琢也

    説明員(小幡琢也君) 現在提供しております全体の面積、先生おっしゃいますように、約四万三百坪でございますが、このうち国有地は約一万七千百八十一坪でございまして、残りは、元国有でございましたが、長い間の国と日本文化住宅協会との訴訟上の争いの結果、昭和四十四年七月四日に国が敗訴いたしまして、判決が確定いたしましたので、現在日本文化住宅協会の所有となっております。
  135. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、日本文化住宅協会でありますが、これは建設省にお聞きをしますが、大蔵省、建設省の外郭団体といわれておるわけですが、これには建設省から出資金なり補助金なりというのを過去においてお出しになったことがありますか。
  136. 京須実

    説明員京須実君) お答え申し上げます。日本文化住宅協会に対しまして建設省では過去に一切、補助金、出資金そういうものを出しておりません。
  137. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵省のほうはいかがでございますか。
  138. 小幡琢也

    説明員(小幡琢也君) 大蔵省もこれは関係ございません。
  139. 和田静夫

    和田静夫君 この日本文化住宅協会の役員名の主たるところを述べてください。
  140. 京須実

    説明員京須実君) 理事長が益谷秀次氏でございます。専務理事が林文爾氏でございます。それから常務理事が六名おられまして、山沢真龍氏、益谷充氏、秋葉好雄氏、宮本慶三郎氏、小田拓三氏、山内勝氏、全部で六人でございます。
  141. 和田静夫

    和田静夫君 最高顧問はわかりませんか。
  142. 京須実

    説明員京須実君) 最高顧問という制度はないように考えております。
  143. 和田静夫

    和田静夫君 私はここに、財団法人日本文化住宅協会寄付行為、建設省が認可をしているものを持っているが、最高顧問が江戸英雄、大平正芳、山際正道、そしていま述べられたような理事長、専務理事、常務理事、そういうのが載っています。持っていますからこれは間違いありませんが、そこで、この裁判の記録を見てみますと……。  まずその前に、大蔵省、国の側は一体どういう主張で日本文化住宅協会のいわゆる四万三百坪のうちの一万七千百八十一坪を除く部分について国のものと主張されたんですか。   〔委員長退席、理事渡辺一太郎君着席〕
  144. 小幡琢也

    説明員(小幡琢也君) この土地は元中島飛行機の武蔵野製作所があった土地でございますが、その後身であります富士重工株式会社が戦時補償の特別税によりまして物納しました結果国有となった土地でございます。国はこの土地と建物につきまして昭和二十五年十一月八日に財団法人日本文化住宅協会との間に売買契約を締締したわけでございますが、売り払い代金の納入に関しまして、相手方たる文化住宅協会が指定期日までに納入しないということをもちまして、再三督促したわけでございますが、ついにいつまでたっても納入しないということで、昭和二十六年十二月二十五日に債務不履行に基づきます契約解除をしたわけでございます。その後、昭和二十八年十二月二十三日に米軍に家族住宅として提供したわけでございますが、相手方たる文化住宅協会は、契約解除を不服といたしまして、昭和二十九年五月十人目に訴訟の提起をしたわけでございます。その結果、第一審では、国は昭和三十一年六月に勝訴いたしました。しかるに、控訴審におきましては、昭和三十三年十一月に国は逆に敗訴いたしました。敗訴の理由といたしましては、この契約解除は信義誠実の原則に違反するから契約解除は無効である、こういうのが判決の要旨でございます。国は直ちに上告したわけでございますが、最高裁で一たん差し戻し判決がございまして、東京高裁でまた判決をしたわけでありますが、理由は変わらず国が敗訴しまして、国は再上告いたしましたけれども昭和四十四年七月四日に上告論旨理由なしということで、国の敗訴が確定したようなわけでございます。
  145. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、国が負けてから代金は入ったわけですか。
  146. 小幡琢也

    説明員(小幡琢也君) 判決が確定いたしましてから、昭和四十四年七月が判決でございますが、十二月十八日に協会は売買代金七千九百六十八万三千百四十三円を供託いたしまして、結局これは国庫歳入になっております。
  147. 和田静夫

    和田静夫君 その七千九百六十八万三千百四十三円、これを単価に直すと幾らになりますか。
  148. 小幡琢也

    説明員(小幡琢也君) ちょっと計算してございませんが、この七千九百六十八万三千百四十三円というのは、土地と建物との込みの昭和二十五年十一月契約当時の評価額でございまして、そのうちの土地約二万三千二百坪でございますが、これだけの評価はこのうち四百八十六万九千五百四十三円ということになっております。したがいまして、計算いたしますと、土地につきましては坪当たり二百十円でございます。
  149. 和田静夫

    和田静夫君 とにかく、四十四年の十二月十八日、実態的には先ほどのような役員の方々で構成されている日本文化住宅協会が——いまそこは二十万でも入れません。私はその隣接地に住んでいるわけですが、私の家のすぐ前です。こういう状態で、まだ坪二百円内外で手に入る。しかも、地図が示すように、ここは陸の孤島であります。大蔵省がこれから国有地へ道路をつけてやらぬ限り、これは何年たったって使いものにならぬ。しかも、益谷秀次さんとか、大平正芳さんとか、そうそうたる方、こうなってきますと、私はきょう申し述べたいのは、これは国民の前に一ぺん公表してみたらどうだろう、少なくとも武蔵野市民の前に。坪二百十円です。そういう公表ぐらいはやって価値のあることだと実は思うのです。アメリカの連中が使っていて、どれだけあの周辺でみんながたいへんな思いをしたか、娘たちがどういう状態で生活をしたか、憎しみが非常にある。ようやく返ることになってきた。市としては、自治体としては、そこに理想的な市民公園なり、あるいは中学校、小学校なり、建設計画を出した。ところが、まあ裁判の結果はこうなった。しかし、裁判の結果はともあれ、この国をまず背負ってきたところの有能な政治家の諸君なんですから、政治道義心にかけても大蔵省との側でもっと話し合う余地があるのじゃなかろうか。そこで、どうです、裁判の結果はともかく、これらの俗にいう与党の大ものたちとひとつ話し合って、これからの使い道を武蔵野市民、東京都民が要求をするような形で使っていくような結論を得せしめる努力をする、そういう用意はないか、これが一つです。  二つ目には、考えてみれば、米軍宿舎を建てるにしても、何を施設するにしても、国民の税金が使われているはずであります。当時において二十六億円という金が使われている。あるいは四十五年度の予算の中では五十億という移転費が盛られている、横田に対する。これらの金は当然何らかの形でもって日本文化住宅協会との関係における処理がなされなければならぬでしょう。そういうような問題についてどのようにお考えになっているのか、この機会に明らかにしていただきたい。   〔理事渡辺一太郎君退席、委員長着席〕
  150. 小幡琢也

    説明員(小幡琢也君) 第一点でございますが、私どもとしましては、この裁判判決確定の後に訴訟後の事後処理の問題がございまして、国が昭和二十八年から二十九年にかけまして改修費並びに新築費、その他いろいろ工事費を使っております。それが投下費用といたしまして約二十三億円余でございますが、これは有益費でありますので、文化住宅協会に対して有益費の償還請求を現在行なっております。それに対しまして、文化住宅協会のほうは、金額についていろいろ問題があるということで支払いを拒否しておりますので、この辺の有益費償還問題の解決ということがいま一番先決であるということで、法務省などと相談いたしまして、鋭意努力しているわけでございますが、そういった現状でございますので、その後のあと地の利用をどうするかという話し合いに現段階ではまだ入れるような状況でないのが実情でございます。  それから第二点の、代替施設を横田飛行場に建設するという予算、四十五年度に五十億、四十六年度に七十三億円でございますが、これはあくまでも代替施設の移設経費でございまして、文化住宅協会と話し合って所有権をこちらに入れるというようなところまではとても及ばない問題でございますのと、それからもう一つは、私どもできるならば、おっしゃるように、文化住宅協会の周辺を取り巻いております国有地は細長くて地形が不整形でございますから、これはやはり返還の暁には文化住宅協会と話し合いまして一部交換するなりいたしまして、双方ともにより有効に土地を活用できるようにもっていきたい、そういうように努力したいとは考えておりますが、いま申しましたように、現段階ではとてもそういう状況でないということでございます。
  151. 和田静夫

    和田静夫君 とにかく役員は、政治家の名前だけをあげましたけれども、実は上村健太郎さんなどという、言ってみれば調達庁長官、総理府総務副長官、日本道路公団副総裁、日本道路公団総裁が理事になっていらっしゃるし、山際正道さん、日銀総裁、輸銀総裁、こういう方もいらっしゃるし、まさに国民生活をおもんばかることにおいて人後に落ちざる人たちばかりです。これらの諸君と話し合いができないという筋合いはないと思う。ぼくは、変な土地交換をやって、あそこに市民の言ってみれば夢をこわすような——武蔵野というのは、御存じのとおり、日本列島の中では、いま市の中で一番遊休地がないところです。そういうところですから、やはり国全体の政策としても、自治体が求めているような形での子供たちの広場、老人たちのいこいの場、まさに独歩の武蔵野ではないが、武蔵野の原形をとどめる、そういうような条件の公園などというようなものをつくる努力はやはりあなた方としてもすべきだと思う。そういう市民の要求について十分にくみ取りながら腹を打ち明けた話をしていっていただく、そういうことがいまたいへん必要なのではなかろうか。考えてみれば、中島飛行機というような私企業の土地であったかのような幻想を持つけれども、中島飛行機は戦前、戦時中を通じて多くの税金を注ぎ込んだところだ。したがって、国民はそれを求めるところの私たちはちゃんと権利を持っていると思う。次官、そういう意味において総括的な御答弁を願います。
  152. 船田譲

    説明員(船田譲君) 日本文化住宅協会が一部の地面につきまして最高裁で勝訴をしたということで、法の定めるところに従って裁判の結果を尊重する立場で、まことに残念ではございますけれども、二つに分割をされたような形になっておるわけでございますが、今後のやり方につきましては、いま和田先生が言われましたことを十分に腹に置きまして、武蔵野市の市民の方々のために御迷惑とならないような方法で善処してまいりたいと思っております。
  153. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 午後二時十分まで休憩をいたします。    午後一時十二分休憩      —————・—————    午後二時十八分開会   〔理事中尾辰義君委員長席に着く〕
  154. 中尾辰義

    ○理事(中尾辰義君) 委員会を再開いたします。  昭和四十四年度決算外二件を議題として、休憩前に引き続き質疑を行ないます。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  155. 渡辺武

    渡辺武君 国税不服審判所が発足しましてからすでに一年五カ月ばかりたちました。私は、この国税不服審判所の運営が、法の根本的な趣旨に基づいて、あるいはまた、この国会で政府当局側からの答弁などがありましたが、そういうような答弁に基づいて、適法的に運営されているかどうかという問題についてきょうは幾つか伺いたいと思います。  最初に、国税不服審判所の人事について伺いたいと思いますが、質問に入る前に、国税庁長官は、第六十三回国会で国税通則法の一部改正案が参議院の大蔵委員会で成立する際に、附帯決議が提出されて議決されておりますが、その第一項ですね、これにどのようなことが書かれているのか——国税庁長官はきょうは見えておりませんな。
  156. 船田譲

    説明員(船田譲君) ちょっとおくれます。
  157. 渡辺武

    渡辺武君 ああそうですか。それでは、別の方でけっこうですけれども、まず最初にその点お聞かせいただきたいと思います。
  158. 船田譲

    説明員(船田譲君) 渡辺委員の御質問につきまして、詳しい御答弁につきましては、国税庁の直税部長が参っておりますので、答弁をいたさせたいと思います。
  159. 江口健司

    説明員(江口健司君) ただいま先生の御質問でございますが、参議院の附帯決議の内容が四項目ございまして、いずれも、四項目とも関連した内容のものでございますが、まず第一点は、審判所が設置されました当時の情勢、あるいは審判所の設置に伴います議論の過程におきまして、いわゆる第三者的機関としての性格を強めるべきであるという点が第一点として指摘されておるわけでございます。この点につきましては、昨年の五月一日に審判所が発足をするにあたりまして、まず人事の面、この点につきましては、後ほどまた御質問があろうかと存じますが、まず、人事の面で独立性を高める方向での人的構成を考えるべきであるというような観点から、かなり人選あるいは外部の方々に審判所の枢要の地位を占めていただく点につきましては、いろいろと問題が具体的にはあったわけでございますが、つとめて審判官等につきましては、民間の有力な方に入っていただきまして、第三者的な立場でもってものごとを審理するというような体制をとりたいということで鋭意つとめまして、かなり審判所長、あるいは首席審判官、あるいは審判官、こういった方々につきまして、法曹界その他経済界等からも枢要の方に入っていただきまして、人的な面からまず独立性を高めるという段取りをしたわけでございます。なお、事案の性質上、従来と違いまして、税務当局のほうは裁決を下す立場ではなしに、事案ごとに当事者の一方ということになりますので、その限りにおきましては、十分に執行機関としての執行の立場というものを明らかにするようないろんな形の手続をその後きめまして、会議あるいは研修等によりまして、当事者の一方として、独断におちいることのないようにといったような注意を事こまかにいたしてございます。そのほかいろいろございますが、とにかく、法律の精神は総額主義といったような立場をとってはおりますけれども、附帯決議にありますように、総額主義に偏することなく、争点主義を尊重するというような点について、また、第二点でうたっておりますが、これも第一の独立性あるいは第三者機関的な立場を尊重するというたてまえから、われわれといたしましても当然これを尊重いたしまして、先ほど申し上げましたように、当事者として十分相手方の御納得がいくように、処理の段階説明並びにその後の補足説明を十分するように部内の手続を進めておる次第でございます。  それから第三点といたしましては、いわゆる質問検査権の行使でございますが、当時の国会の審議の段階でも不服申し立ての事実が生じてまいりますと、それに藉口して従来の一般の税務調査とは違った形においてかなりきびしい調査を付加しておるのではないかといったような御質問があった記憶がございます。これに対しましては、運営方針等にもつまびらかに書いてございますが、あくまでも納税者の権利を救済する不服の申し立てに対して十分の説明をする。また、それに必要な事実関係を再度新たな観点から第三者的な立場でもって確かめるというような方法をとるべきであるということで、たとえば異議の申し立て、これはまあ第一段階の不服申し立ての手続の問題でございますが、これにつきましては、上席調査官、これは私どもの内部では相当、二十年以上の経歴を持った職員でございますが、そういう識見もあり知識もあり制度の趣旨を十分にのみ込んでおるといういわゆる実力のある者を専担者として設けまして、大体各県の主要な税務署にこれを配置してございます。上席調査官を設置していない税務署につきましても、専担の調査官、これも大体十数年以上の経験者をもって充てることにいたしまして、おおむね具体的な不服事案につきましては、少なくとも、第一段階での行政処理を担当した者よりも上席の者をその事案の審理に充てるというような配慮もいたしまして、十分御指摘趣旨に沿うような方向をとっておるつもりでございます。不服事案についての調査は、やはり事実関係、真実をもう一ぺん見詰めるという必要がございますので、その必要の範囲内においては——事案によっては多い少ないの内容はございましょうが、再び質問検査権の行使をする。まあ、ことばは非常にきびしいわけでございますが、真実発見のための調査をするという手続が必要でございますので、先ほど申しましたようなベテランの職員を充てまして、当時いわれたような非難の事実が誤解でも生まれないようにというような配慮をしておる次第でございます。  それから第四点につきましては、納税者には意識して脱税をはかるような者があるかもしれない、これらについては、きびしい態度で臨むことはやむを得ないが、その他の一般の納税者につきましては、寛容の立場においてものごとを判断するようにと、こういう御指摘があったわけでございますが、この点についても、運営方針その他によりまして明確に厳格に、脱税をはかる者については厳格な体制でもってこれを処理する。一般的な場合には寛大な措置——というのはいろいろ誤解を招くかもしれませんが、十分相手の立場に立って真実を見、それに伴う法律関係の適用を十分考慮して処理するという立場でもって現在処理しておるつもりでございます。幸い、これは時間があれば、あるいは後ほど御質問があれば、具体的な計数等でも御説明したいと思いますが、四十一年を一つのピークにいたしまして、その後漸次不服申し立て事案がかなり顕著な形で減っておるという事実が統計上発見されるわけでございます。これはわれわれのてまえがってな解釈かもしれませんけれども、急激にここ三、四年の間に事案の発生が減っておるということは、まず、不服事案が発生してからの姿勢よりは、むしろ第一段階の行政の現実の問題として、真実の発見あるいは法の適用を適正にするということにつとめることのほうが最も不服救済の制度に対する大事な点であろうかということで、第一段階の前処分の段階で十分の考慮を払っておるという結果ではなかろうかというふうにわれわれは見ておるわけでございます。  若干説明不足の点もあろうかと思いますが、以上四つの附帯決議事項につきまして御説明を申し上げた次第でございます。
  160. 渡辺武

    渡辺武君 詳しく御説明いただきましたが、最初に人事の問題から御質問したいというふうに考えております。  参議院の大蔵委員会の附帯決議の中で、人事の問題について一番最初に言っているわけですね。読んでみますと、「政府は、国税不服審判所の人的構成及び運用について、その独立性を高めることに留意し、」云々というふうにはっきりうたわれているわけです。いまあなたがおっしゃいましたように、第三者機関という性格を人事の面でも十分に考慮してやっていくようにという趣旨だと思うのですね。私は、いまいろいろ御説明ありましたけれど、人事の問題一つとってみましても、なかなかそういう形にはなっておらぬのじゃなかろうかという感じが非常に強いんです。そこで伺いたいと思ってるんです。で、いま審判官と副審判官ですね、これは何名くらいおられますか。
  161. 大塚俊二

    説明員(大塚俊二君) 現在審判官の総数は、各首席審判官を含めまして百十二名でございます。それから、副審判官が百二十三名でございます。
  162. 渡辺武

    渡辺武君 国税通則法に基づく政令が出ておりますね。その組織規定の第二条に審判官は百五名で、副審判官は百三十三名ということになっておりますが、審判官のほうは定数以上で、副審判官のほうは定数以下というのはどういうわけですか。
  163. 大塚俊二

    説明員(大塚俊二君) これは、四十六年度に副審判官から審判官への定数の振りかえが行なわれまして、十名副審判官が減りまして、審判官がそれだけふえておるということでございます。
  164. 渡辺武

    渡辺武君 それでは伺いますが、その中の百二十三名の副審判官ですね、この中に民間から採用された方は何名ぐらいおられますか。
  165. 大塚俊二

    説明員(大塚俊二君) 副審判官には、現在一名も民間からの採用者はおりません。
  166. 渡辺武

    渡辺武君 審判官のほうには何名ぐらいおりますか。
  167. 大塚俊二

    説明員(大塚俊二君) 審判官のほうには七名おります。
  168. 渡辺武

    渡辺武君 所長はその中に入ってますか。
  169. 大塚俊二

    説明員(大塚俊二君) 所長は審判官の資格を持っておりませんので、所長は含んでおりません。
  170. 渡辺武

    渡辺武君 そうしますと、その所長の名前、それから略歴ですね。それから七名の審判官の名前、それから役職名、略歴などをお聞かせいただきたいと思うんです。
  171. 大塚俊二

    説明員(大塚俊二君) それでは、所長が八田卯一郎、この方は静岡地裁の所長をしておられまして、その後定年で、東京簡裁の判事をやっておられまして、昨年五月に審判所長になりました。それから、東京国税不服審判所長、首席審判官の関根達夫、この方は、法務省の検事の資格を持っておられまして、名古屋の法務局から東京の不服審判所に入りました。それから大阪の首席審判官小谷卓男、この方は大阪地裁の判事から審判官になりました。それから東京の審判官で森本春雄、この方は、小西六会社の顧問をしておられまして、審判官として見えた。それから豊田栄作、この方も、東京の審判官でございますが、この方は、公認会計士をやっておりまして、現在東京の審判官に見えられております。それから大阪の審判官の南博方、この方は、大阪市立大学の行政法の教授をしておられまして、その後弁護士になって、審判所のほうに参りました。それから大阪の審判官の津田貞夫、この方は、広島商科大学の助教授をしておられまして審判所に見えた。それからもう一人、現在大阪の審判官をいたしております中西正安、この方は、近畿大学の助教授から審判官になりました。  以上でございます。   〔理事中尾辰義君退席、委員長着席〕
  172. 渡辺武

    渡辺武君 所長がいわゆる民間から出られた方で、あと七名の方が審判官に民間から出ておられるわけですが、そのほか審判官で協議団から出られた方は何名おられるか、それから従来の国税庁の管轄下の、いわゆる部内職員ですね、総数何名ぐらいおりますか。
  173. 大塚俊二

    説明員(大塚俊二君) 現在の審判所の職員、これは本年の七月にかなりの幅の配置がえを行ないましたあとの状況でございますが、旧協議団におりまして、現在審判所にいるという職員が、審判官以上の、要するに審判官でございますが、首席を含めまして、現在二十三名になっております。それから審判官クラスで、審判所発足まで執行に携わっておった職員が八十三名おります。それから副審判官で、いまのようなことでいたしますと、旧協議団で審判所におった者というのが七十八名、執行庁から審判所にかわってこられた方が四十五名、審査官で同様に五十四名と七十九名ということに相なっております。
  174. 渡辺武

    渡辺武君 そうしますと、いまの御答弁でわかりますことは、こういうことだと思うんですね。副審判官のほうは民間出身者はゼロと、協議団のほうが七十八名、執行機関から四十五名ということになっておって、ほとんどこれは、協議団といいましても、国税不服審判所をつくる過程で、国会の論議の中でも盛んに指摘されましたけれども、これは執行機関ともうほとんど一つ穴のムジナにひとしいような機能を果たしていたところだと言われているわけですね。それから審判官のほうは、これは民間出身者八名で、あと全部いま申しましたように旧執行機関から来た人たち、これが圧倒的で、あとは協議団の出身者と、こういうことになっているわけですね。しかも、いまこの八名のいわゆる民間出身者の略歴を伺いましたけれども、これを見てみますと、民間出身とは言いながら、いわゆる法曹界におられた人で、たとえば裁判所の所長さんだとか、判事さんだとかというような方々、これはほとんどもう要職についておられたわけですね。たとえば八田さんは、先ほど言われましたように、静岡地裁の所長をしておられて、この方がいま国税不服審判所の所長をしておられる。関根さんは、これは名古屋の法務局長から来られた方ですけれども、これが東京国税不服審判所の所長をしておられる。それからまた小谷さんは、大阪地裁の判事、あるいは大阪地検の検事をしておられた方、これが大阪国税不服審判所の所長をしておられる。そういうような状態ですね。ですから、法曹界以外の、いわゆる純民間、こういうところから出られた方は、これはこまかくは申しませんけれども、全部部長審判官、もしくは平審判官といっては悪いけれども並みの審判官、そういうところについておられる。あとは全部旧執行機関関係から出ておられる人で構成しておる、こういう状態になっておるわけですね。これで、はたして参議院の大蔵委員会の附帯決議の一番最初に言っておりますように、「人的構成及び運用について、その独立性を高めることに留意し、」云々ということ、あるいは、先ほどの御答弁の中でも言われましたけれども、中立機関として機能させるように努力していますというふうな趣旨のことをおっしゃいましたけれども、そんなこと言えますか、どうでしょうか。
  175. 吉國二郎

    説明量(吉國二郎君) ただいま御指摘がございましたように、部外から採用いたしました職員が意外に少ないではないかという仰せは、ごもっともだと思います。  私、御記憶かと思いますが、この機関は法律が通ってから短期間に発足させなければならないので、最初の段階においては多数の部外者を求めることはむずかしいと思います。しかし、主要な人事については、できる限り部外者を求めるというつもりでやってまいりたいと思いますということを申し上げたことがあると思います。で、事実、あの法律が通りまして、すぐ五月に発足ということになりますと、その間に有力な人材を求めることは不可能に近かったわけでございますが、率直にこれは申し上げたわけでございます。幸いにして、審判所長と、それから重要な東京、大阪の首席審判官には、部外者からこれを求めることができたと。しかも、この審判所をできるだけ客観的に動かしていくためには、最も客観的な存在であると言われておりまする司法裁判所の手続、またその精神を十分に熟達しておられる方を充てることが最も望ましいではないかという観点からいたしますと、主要な人事としては、私は私なりに努力をいたし、また、この所長の決定に至りますまでは、当時の大蔵大臣も非常にみずから努力をして、参議院の御趣旨を体そうとしたことも事実でございます。そういう意味では、その後漸次民間の人も求めておりますけれども、その当時も申しましたが、この給与体系ではなかなか適材を得ることがむずかしく、そのために困難があるということを申し上げましたが、その点がやはりなお障害になっておるという面があると思いますが、今後もこの点については努力をいたしてまいりたいと、かように思う次第でございます。
  176. 渡辺武

    渡辺武君 それは吉國さんね、この委員会で前にもそんなふうな趣旨のことを言われましたよ。私はできるだけ民間人を採用すると、あなた言明しておられたから、だからどういう結果になっているかと思って調べてみれば、いま申し上げたような結果ですね。そのほかに、いまちょっと私解しかねる御答弁を伺ったのですが、東京と大阪の審判所の首席及び次席ですか、これを民間人から採用というようにおっしゃいましたが、そんなことになっていますか、実際のところ。念のために、東京、関東信越、大阪、名古屋、福岡、この五つの重要な支部について、首席と次席の略歴を言っていただきたいと思います。
  177. 吉國二郎

    説明員吉國二郎君) 私は、大阪と東京について、首席には部外から求めることができたと申し上げた。民間とは申し上げておりません、部外と申し上げております。  なお、お尋ねの東京の首席は、先ほど申し上げました関根さんでございまして、名古屋の法務局から参ったわけでございます。それから関東信越の久田首席は、これは金沢の国税局長をいたしました実績がございます。大阪の小谷卓男さんは、大阪地方裁判所の判事であったわけでございますが、この判事を現職のままこちらへ持ってまいれませんので、一応検事の資格に直しまして、兼任ということにいたしておるわけでございます。それから名古屋は、元木精一郎と申しまして、南九州の財務局長をいたしておりました。そういう意味では、税務から見れば部外と申せるかと思います。それから、福岡の折田首席審判官は、これは熊本の首席をいたしておりまして、ことしの七月に福岡に移ったのでございます。
  178. 渡辺武

    渡辺武君 なるほど部外の人が入っているようですけれどもね。しかし、関根さんにしても、小谷さんにしましても、これは国民の立場からいえばさばくほうの立場ですよね。そういう人たちが東京と大阪の首席審判官になっておりますし、あとは全部、これはもうほんとうに国税局系統の人か、それでなければ財務局ということで、やっぱり国民からすれば、支配し、取っていくというような立場からの人が全部ですね。そういうことで、はたして国税不服審判所の独立性、第三者的な性格というものが貫徹できるかどうか、これは非常に大問題だと思う。  それから、先ほど、初めはまあなかなか困難だけれども、漸次人事交流の中で民間人採用をやっていきたいというふうに言っておられますね。これは、この前の昨年の二月ころの衆議院大蔵委員会での答弁を私読み返してみますと、こういうことを言っておられるのですね。副審判官については若干の人事交流を考えざるを得ないと、しかし審判官は、民間人と入れかわることがあるが、大体審判官に専念してもらうというふうに言って、審判官については課税庁との人事交流はできるだけやらないという趣旨の御答弁をされている。ところが、ここに今年の七月十日発令の国税庁の人事異動の資料があります。「税務通信」という本に出ております。それを見てみますと、長官が国会でもって言明されたこと、また先ほどおっしゃったこととは全くうらはらな事実が出ている。たとえば、浅草の税務署長であった吉沢という方が東京国税不服審判所の部長審判官になる。あるいは、尼崎の税務署長の石黒さんという人が大阪国税不服審判所の部長審判官になる。名古屋の北税務署の宮田さんという人が、これが名古屋の国税不服審判所の部長審判官になる。福井の税務署長の橋本という方が金沢国税不服審判所の部長審判官になっている。掛川の税務署長の望月さんという方が、これが名古屋国税不服審判所の静岡支所長になっている。こういうような状態です。実際いままで税務署の親玉として税金を取り立てる責任者ですね。これらの人が、納税者が不服申し立てをした場合に、いわゆる第三者的な立場に立ってそれを審判する役目に今度なる。こういうことで、はたして公正な審判が期待できますか。これはとんでもない人事だと言わなければならない。長官自身がたったさっき言明されたことと全くうらはらな事実がここに行なわれている。これは民間人じゃないですよ、税務署長というのは、いまさら断わるまでもなく。もう少し申しますと、大阪国税局の査察管理課長の川島さんという方が大阪国税不服審判所の部長審判官になる。それから、東京国税局の総務課長補佐をやっておられた今井さんという方が東京国税不服審判所の副審判官になる。さらにもう一つの例は、広島国税不服審判所の所長をしておられ、首席審判官をしておられた工藤さんという方が、この方が今度は国税庁長官官房付になった。さらにまた、大阪国税不服審判所の部長審判官をやっておられた中山さんという方が大阪国税局の調査部次長になる。それからまた、大阪国税不服審判所の審判官木村さんという方が、これが右京区の税務署長になる。それから、大阪国税不服審判所の審判官三谷さんという方が、これが能登の税務署長になる。こういう交流が行なわれている。民間採用ということを基本にした交流なんというのは見られないじゃないですかね。税務署長さんが審判官になる、もしくは部長審判官になる。そうして、いままで審判官であった人たちが税務署その他に転出する。これがいま私が申しました交流の内容ですよ。こんなことで、はたして国税不服審判所の独立性、第三者機関としての公平な審査というのは人的な面からして保証できるのか、絶対できないと思う。その点どう思われますか。
  179. 吉國二郎

    説明員吉國二郎君) 御指摘のように、審判官について税務執行面との交流が行なわれましたことも事実でございます。これは、先ほど申し上げましたが、なかなか民間から、給与その他の体系から申しまして、採用が困難であるということが一つの原因でございます。しかし、ただいま御指摘のございましたように、税務署長は税金を取り立てる役目であるということで、したがって公平な審判ができないということは私はないと思います。税務署長といえども、これは正しい申告納税というものを実現することを目的としてやっておるわけでございます。税は、取り過ぎてもいけないし、取り足りなくてもいけない。これは税の大原則でございます。これを実現するのが税務職員でございます。その税務職員の中に、職責を分けて、税の調査決定をし、あるいは指導を行なう、あるいは再審査を担当するという部面があることは、異議申し立ての審査が行なわれていることからも明らかであると思います。したがいまして、むしろ問題は、もちろん民間人を採用するということも、これは一つの方法でございます。しかし同時に、その運用におきまして執行部と完全な分離をはかるということを実行することが大事であろうかと思うのでございます。現に国税審判所長も国税庁長官のもとにあることは事実でございますので、そこで国税審判所長に運営についての責任を全面的にまかせるということが私はその独立を保証する最も重要なポイントであろうと思う。したがいまして、私といたしましては、現在この国税不服審判所の運営について必要な措置、運営、通達的なものはすべて国税不服審判所長が作成をして出しております。これには国税庁の執行側は全く関与しないということでやっております。また、不幸にして、発足早々の審判所でございますので、物的施設に欠ける点が予算的にかなりあるようでございます。したがって、これに対しては、何とか国税局側の予算から援助してもらいたいというような要望もございます。物的なもので予算として失当を免れる限りはそれを実行いたしておりますが、その際にも、絶対に物は出しても口を出してはならぬということを、国税局長会議においても、再々言明をいたしております。私は、税務職員が実際に活動している面をもう一回先生におくみ取りをいただきたいと思うのでございますけれども、税務職員のほんとうの目的というのは、正しい自主的な申告が納税者の積極的な態度で実現される体制をつくるということにあると思います。調査いたしますにいたしましても、この調査はあくまでも真実の所得を発見するということでございます。法規に従わずにむちゃくちゃな決定をするという性質のものであってはならぬことは、言うまでもないことでございます。私は、人的な点についてまだ不十分な点は、国会に対しても申しわけないと思いますけれども、しかるがゆえに審判所が不適正な審判をするとは私は絶対に考えていない次第でございます。
  180. 渡辺武

    渡辺武君 いま、人事が適正でないということを言われたので、けっこうなことだと思います、わかればですね。しかし、後段はやはり問題ですよ。いまおっしゃったことばの、人事が不適正に行なわれておって、どうしてその機構の運営が正しく行なわれることができましょうか。あなたは国税庁長官だから、税務署長が不適正な課税をやっているということはもう言いかねるでしょうけれども、適正公平な課税がやられていないからこそ、国民は何と言っているか。国税の国を「酷い」という字に書きかえて、酷税、酷税と言っている。そういう事態があるからこそ、われわれは、この国税不服審判所は適正な、第三者的な立場に立って少なくとも審理を進め、裁決をやることを望んでいるのです。私どもは、最初からあなたに申し上げておりますように、いままでの協議団出発の最初は、民間人をほとんど採用して、そうして納税者の立場に立っていろいろ協議をするということでやってきたのが、それがずっと年月がたつにしたがって、いつの間にやら民間人はどんどん削られ、そうしてもう執行機関出身の協議団ができ上がってしまったという実例を知っているから、だから、この協議団というのは、これは一つ穴のムジナだし、今度新しくつくられる国税不服審判所も、一つ穴のムジナどころか、一つ穴の大ムジナであるということをはっきりあなたに申し上げてある。ところが、いまふたをあけてみますと、この人事構成そのものも、まさに協議団の末期、一番最後の段階で、ほとんどもうこれは執行機関出身者に占められているというその状態が国税不服審判所の出発の当初からあらわれておる。これは一つ穴のムジナはいいところですよ。全く執行機関の別機関と言っても差しつかえないような人事構成になっておる。その点は、あなた率直に認めなければいかぬと思う。一体納税者はどういうふうにこの点見ておるのか。私は、浅草のある納税者の方に直接伺ったのですが、こう言っていますよ。私は、浅草税務署長の吉沢さんに、身に覚えのない更正処分を受けて、異議申請、審査請求をして現在に至っております。ところが、その本人が、きょうは東京国税不服審判所の部長審判官になった。もし吉沢さんが今後とも役人として自分の身を守りたいと考えるならば、過去の処分を間違っていたと進んで認めるだろうか、そういうことは絶対に考えられない。あくまでも原処分が正しかった、たとえ間違っていても、何とか正しかったとしたいと思うだろう。これが役人としての常識だろうということを私に語っております。浅草の税務署長だった吉沢さんが東京国税審判官になった。一体浅草の納税者の権利をどうして守ることができますか。こんな人事をやって、公正な審判ができるなんて言明できますか、あなた、どうですか。
  181. 吉國二郎

    説明員吉國二郎君) 私は、役人というものは、その衝に当たって、その衝に忠実であるということを信条とすべきであると思います。審判をなすべきならば、正しい審判をなすべきものである、役人全体がさような運営をすべきものだと思っております。たとえば、いい例でございますが、予算の査定を受ける部門にいた人間が、予算の査定をする立場にあれば、自分の出した原案を削るというのが美徳であると考えておるわけでありまして、その立場、立場により、正しい態度をとれないような役人は、私は役人ではない、かように信じております。
  182. 渡辺武

    渡辺武君 私は、吉國さんの信念はいま伺いました。しかし、そういう信念を持っておられる役人さん、特に税務署関係の人たちというのは、これは私は非常にりょうりょうたるものだと思いますね。これは国民がいままでの体験の中からこういうことばを言っているのですから。あなたもその点率直に認めて、今後の人事の問題について、あるいはまた国税不服審判所の運営について、十分に留意していかなきゃならぬと思います。その点どうですか。少なくとも、この浅草の例など、私はたった一つの例だけ申し上げましたが。
  183. 吉國二郎

    説明員吉國二郎君) おそらく東京の審判所におきましては、部長審判官は複数——五名おりますし、審判官も多数おりますし、さようなときの合議の決定について基本は、みずから取り上げたものをやらせるというようなことは、これこそ運営上あり得ないことだと思いますので、その点の心配は御無用だと思いますが、もちろん、御指摘のように、できる限り努力をして部外の適任者を求めるということは現在も進めております。今後も努力してまいりたいと、このことについては事実できるだけのことはいたしたいと、かように考えております。
  184. 渡辺武

    渡辺武君 それでは、今後のひとつ努力を見守っていくということを私はっきり申し上げておきますよ、いいですか。  それで、質問を次に移します。次に伺いたいことは、従来協議団が議決しなかった事案ですね、これで国税不服審判所が協議団から引き継いで審理し裁決したものがあると思うのですね。それはいままで何件ぐらいありますか。
  185. 大塚俊二

    説明員(大塚俊二君) 協議団から審判所が昨年五月一日で引き継ぎました件数が四千五百六十二件ございます。そのうち、処理いたしましたものの合計が二千六百五十五件ございます。
  186. 渡辺武

    渡辺武君 この二千六百五十五件ですね、これは答弁書は出さしておりますか。
  187. 大塚俊二

    説明員(大塚俊二君) すでに協議団におきまして審理に入っておったもの、審理に着手したものにつきましては、原処分の理由内容が協議団からすでにわかっておりますので、そういう状況をすべて引き継いでおりますので、答弁書の要求はいたしておりませんが、協議団時代にまだ未着手であった、審査請求は出ておったけれども、審理に着手しておらないもの、こういうものについては、答弁書を要求しているものもございます。
  188. 渡辺武

    渡辺武君 その答弁書の出ていないものですね。これの裁決にあたりましても、当然参加審判官がその審判に参加したのではないかと思いますけれども、その点どうですか。
  189. 大塚俊二

    説明員(大塚俊二君) 裁決をいたします前提といたしまして、担当審判官、参加審判官の議決が必要でございます。これは審判所の裁決規定から申しますと、裁決段階で参加担当審判官がその内容を十分審査しておるたてまえになっております。
  190. 渡辺武

    渡辺武君 そうしますと、私は、それは法律上一体どこにそういうことがきまっているのか、非常に疑問に思います。あなたも御承知かと思いますが、国税通則法の附則の第七条に「答弁書を提出させないで担当審判官を指定することができる。」ということが書いてあるわけですね。しかし、参加審判官を指定するということは書いてない。法に参加審判官を指定するということが書いてないにもかかわらず、いまのあなたの言明によれば、答弁書が出ていない事案についても、参加審判官が裁決に参加している。これは法違反じゃないですか、どうですか。
  191. 大塚俊二

    説明員(大塚俊二君) 附則のまず第六条でございますが、第六条の一項二号でございます。「国税局長に対してされた審査請求又はこれについての裁決その他の処分若しくは手続」、これは、「新法の相当規定により国税不服審判所長に対してされた審査請求又はこれについての裁決その他の処分若しくは手続」になるという経過規定でございまして、したがいまして、裁決未済の段階で、協議団にございましたものは、昨年の五月一日を期しまして、国税不服審判所長に対してされた審査請求とみなされるわけでございます。それが、国税不服審判所長の裁決をいたします手順といたしまして、通則法第九十四条に、所長は、担当審判官の指定を行ない、かつ参加審判官二名以上を指定するという規定がございまして、それに基づいて、審判所として審理し、裁決をするためには、この九十四条の規定によって措置をしたということでございます。
  192. 渡辺武

    渡辺武君 そういうことを伺っているのではないのです。附則七条をちゃんと見てごらんなさい。答弁書の特例として、はっきりと附則七条に出ているでしょう。答弁書が出された場合じゃないんです。答弁書が出されなかった場合は、どうするのか。この附則七条には、「新法第九十三条第一項及び第九十四条の規定にかかわらず、」として、「答弁書を提出させないで担当審判官を指定することができる。」と書いてある。しかし、参加審判官を指定することはできると書いてない、そうでしょう。あなたのいまおっしゃったのは、第九十四条に基づいて、つまり答弁書が出されている場合に、審判官及び参加審判官を指定するというその条項をかってに使って、答弁書が出されてない場合にも参加審判官を指定するということを言っている、そうでしょう。一体、答弁書が出されてない場合に、参加審判官を指定することができるとどこに書いてありますか。
  193. 大塚俊二

    説明員(大塚俊二君) 附則七条の規定は、見出しにございますように、答弁書の特例を規定したものでございます。この担当審判官あるいは参加審判官の指定の関係は、通則法の九十四条に即して行なうというふうに解釈をいたしております。
  194. 渡辺武

    渡辺武君 それはあなた方のかってな解釈じゃないですか。言ってみれば、それは類推しているにすぎないですよ。九十四条から類推して、つまり答弁書の出される場合に定められている規定を、答弁書が出されてないケースについて類推している。そんなかってな解釈できますか。答弁書が出されない場合というのは、附則七条に「答弁書を提出させないで担当審判官を指定することができる。」と書いてある。参加審判官を指定することができると書いてありますか。
  195. 大塚俊二

    説明員(大塚俊二君) 審判所におきます審理の手順といたしまして、本則は、審査請求が出たならば、却下に該当するものを除きまして、答弁書を調製をして、答弁書が参りました段階で、担当審判官並びに参加審判官二名以上を指定する、これが本則でございます。附則第七条は、引き継ぎの事件ですでに審理に入っておるというものについては、答弁書を求める実益がないというところから、答弁書を提出させないで担当審判官を指定するということでございます。これはしかし、審判所の審理は、納税者の権利救済ということを目的といたしまして、審判所が十分な審理をする、誤りのない審理をしていくという前提からいたしますと、裁決のところにございますように、合議に基づいて裁決をするという考えになっております。合議を十分尽くさせる、これがやはり審判所の使命の一つであろう。そういうことで、担当審判官を指定すると同時に、参加審判官を指定いたしまして合議を充実させる、これは当然の措置であろうかと考えております。
  196. 渡辺武

    渡辺武君 その審判官、参加審判官の合議の上でもって裁決する、これは当然の原則ですよ。しかし、この附則七条は、答弁書を提出させないケースですね、これについて特定してある。担当審判官を指定する。しかし、参加審判官を指定するということは書いてない。これは法の不備ですよ。あなた方が、法にこう規定されているにかかわらず、かってに参加審判官を指定する。それは、そうしなければ事実審理が進まないからそうしているだろう。しかし、法が不備であるということについては、これは曲げることはできない。どうですか、吉國長官。あなた、この法の立案作成に中心となってやられた方ですけれども、この附則第七条に「答弁書を提出させないで担当審判官を指定することができる。」とはっきり書かれているが、参加審判官を指定することができるとは書いてない。それにもかかわらず、現実は参加審判官を指定しなければ審理が進まない。そこで、先ほどの御答弁があったように、かってに法律を類推解釈してやっているというのが実情だ。こういう法の不備をそのままにしておく、これはやはり私は長官の責任だと思う。なぜそのままにしておくのか。これにも一つ理由があると思う。なぜかといえば、答弁書が出て初めて、不服申し立て人もその答弁書を読んで対抗することができるのです。あなたはこの前の国会で、攻撃防御の態勢でやりたいと言ったけれども、答弁書が出てこなければ、一体どういうことでもって原処分庁がやってきたのか、それはわからないですよ。不服申し立て人に対して、それをわからないままにして、そうして審理を進めようということがあなた方の胸の中にある。先ほどの人事構成でもその点はっきりしている。原処分庁を擁護しよう、原処分庁の処分を国税不服審判所を通じて擁護していこうというのが、この人事構成にもはっきりあらわれている。この法解釈にもはっきり出ている。この点、どうなさるおつもりですか。
  197. 吉國二郎

    説明員吉國二郎君) 附則第七条の規定は、大塚次長が答弁しましたように、答弁書を提出しないでいいというような場合の特例として規定されたものでございまして、担当審判官の規定は九十四条で規定をしておるということは事実でございます。その法律の書き方がやや疑義を残すかと思うのですけれども、答弁書の提出を従来の場合には不要であるという前提で書かれた規定というふうに考えております。
  198. 渡辺武

    渡辺武君 法律にも書いていないことを、かってに行政機関が解釈してやる。それば裁判官はできましょう。しかし、行政機関が法律にも書いていないことをかってに補充して解釈する、これは許すことはできないですよ。この点どうなさいますか。私は、あなたがおっしゃったように、九十四条には答弁書が提出された場合のことを書いてある。答弁書が提出されなかった場合は、附則七条で処理することになっている。答弁書を提出させたらいいと思う。そうすれば、こういうような問題が起こらぬですよ。あなた方、答弁書も出さないで審理を進めようというような下心があるから、そういう法律のかってな解釈をやって審理を進めるということになるのじゃないですか。どうですか、九十四条でおやりになりますか。
  199. 吉國二郎

    説明員吉國二郎君) 七条の規定によって、答弁書もなくて担当審判官の指定をするということでございますが、このことは答弁書の不提出を認めたものでございまして、同時に、法律としては、参加審判官なしでもって合議ということはなし得ないという論理解釈からして、当然参加審判官に指定はできるということがわれわれとしての解釈でございます。
  200. 渡辺武

    渡辺武君 そんなばかなことはないのですよ。現に審理を進めるのに、ほかに手段がなければ、それはあなたの解釈もある程度私は了承できます。しかし、ほかの手段がある。あなたがいまいみじくも申されましたように、九十四条によって答弁書を提出させさえすれば、これは何の矛盾もなく審理を進めていくことができるのです、参加審判官を指定して。ところが、答弁書を提出させない場合には、担当審判官を指定することができるとは法律できめてあるけれども、参加審判官を指定することができるとは書いていない。それは、あなた方かってに解釈をやっている。そういうかってな解釈は許されないですよ。少なくとも、あなた方を救済する道は、法の九十四条に基づいて答弁書を提出させて、そうして審判官、参加審判官を適法的に指名したらよろしい。そうなさいよ、どうですか。私はあなたに救済案を出しているのです。
  201. 大塚俊二

    説明員(大塚俊二君) 先ほどから申し上げておりますように、すでに実質審理に入って、審査請求人の側においても、協議団との折衝を通じて原処分の内容、理由がわかっているという事柄につきましては、あらためて原処分庁から答弁書を出させなくても、審査請求人の側において主張ができます。審理を進める上においても支障がないということで、附則の七条が置かれたものと解しております。答弁書を取りましても、いたずらに原処分庁に負担をかけるということになりますので、こういった措置がとられたものと考えております。審理に何ら支障がないという場合には、附則七条を適用して、答弁書を取らないという態度で審判所としては現在臨んでおるわけでございます。先ほどもちょっと触れましたように、何ら協議団自体も実質審理には入っておらないというケースにつきましては、これはやはり原処分庁から答弁書を出してもらって、これが同時に審査請求人の主張を理解する資料になるということを考えまして、この引き継ぎの事案、協議団から引き継いだものの中でも、その必要があると認めるものについては、答弁書を提出してもらっております。
  202. 渡辺武

    渡辺武君 全然ピントがはずれた御答弁をなさっておられる。そんなことを伺っているんじゃないですよ。あなた方のやっておられることが適法かどうかということをいまここでもって質問しているわけです。私、こういうことであまり時間をとると、あとの質問に進むことができませんので、吉國長官、よくひとつこれは検討してほしいと思う。そうして再度の御答弁をお願いしたい、よろしゅうございますか。いずれまた私、この問題を質問します。
  203. 吉國二郎

    説明員吉國二郎君) ただいま次長が申しましたように、この第七条の規定は経過規定でございますので、すでに審理に入っているようなものについては、答弁書を取るまでもなく、審判所としては事情がわかっているわけでございますから、新しいものについて、審査に入っていないものについては答弁書を取るという扱いでやってまいったと、かように考えております。
  204. 渡辺武

    渡辺武君 そんな答弁は答弁にならぬじゃないですか。その答弁書を取らなかった場合ですよ、附則第七条によれば、「担当審判官を指定することができる。」と書いてあるけれども、参加審判官を指定することができるとは書いてない。それなのにもかかわらず、あなた方は参加審判官をかってに指定して審理をやっている。これは適法かどうかということを言っているんです。これを適法とするためには、答弁書を取って、九十四条に基づいて審理を進めればいい。それを答弁書を取らないで、つまり不服申し立て人に対して防御の態勢を十分にとらせないようにするためにそういうことをやっているから、そういう非合法なやり方が出てくる。私はいまの答弁には満足しません。重ねてまた日をあらためてこれは質問します。よくひとつ検討しておいていただきたい。  次の質問に移ります。  御承知のように、国税通則法の第九十六条、これは(原処分庁からの物件の提出及び閲覧)という条項でありますけれども、それには次のように書かれております。「原処分庁は、処分の理由となった事実を証する書類その他の物件を担当審判官に提出することができる。」、それから第二項として、「審査請求人は、担当審判官に対し、原処分庁から提出された書類その他の物件の閲覧を求めることができる。この場合において、担当審判官は、第三者の利益を害するおそれがあると認めるとき、その他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない。」というふうにはっきりと書かれている。ところが、私が調べました幾つかの事実によりますと、この九十六条の規定がまっこうから踏みにじられている。私は、ここに二つばかり——たくさんあるけれども、顕著なものを二つばかり実例として持ってきました。おそらく長官もこういう事実は知っておられると思うんですけれども、審査請求人が原処分庁の原処分の資料を見せてほしいということで閲覧請求をやると、そうすると所得調査等要約書というやつが審判官から渡される。これはもうあちらこちらで起こっている。全然見せないというところもあります。しかし、まあ見せるという態度をとって出してきたもの、これを見てみても、いま言ったように、原処分庁の原処分資料じゃない。国税不服審判官が書いたものと思われる所得調査等要約書というのが出されてくる。これを見てみますと、一体だれがこれを書いたのか、何にも書いてない。なるほど東京国税不服審判庁の便せんを使っております。だから、これはもうおそらくその関係資料かもわからぬということはわかるけれども、しかし、だれがこれを作成したかは全然これは書いてない。そういうしろものが出されてきておる。これは一体公文書ですか、私文書ですか、まずそれを伺いたい。
  205. 大塚俊二

    説明員(大塚俊二君) 閲覧請求に対しまして、審判所側が閲覧を認めるか、何を閲覧させるか、そういったことの権限はすべて担当審判官が持っておるわけでございます。いま、先生の御指摘の要約書というものも、担当審判官が出しておるのでございまして、その限りにおきまして、私ども取り扱いとしては公文書と考えております。したがいまして、これをたとえば訴訟とか、そういう場合に、証拠として使われるという場合にも、公文書というふうに考えております。
  206. 渡辺武

    渡辺武君 公文書ならば、その担当審判官の名前ぐらいは書いて、判こぐらいは押すべきじゃないですか。作成書の名前もなければ、判こも押してない。どういう文書かわからない。そんなものが公文書として通りますか。公文書としての書式さえも踏まれていないようなものです。常識はずれの文書ですよ、これは。その点どう思いますか。
  207. 大塚俊二

    説明員(大塚俊二君) これはすべて権限は、担当審判官の専権という形になっておりますために、私どもとしても、その点、いま先生が御指摘になった点については、十分把握しておらなかった面がございますが、今後は公文書として取り扱うという前提で改善策を検討いたしたいと考えております。
  208. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 簡潔にお願いします。
  209. 渡辺武

    渡辺武君 そうしますと、いまの次長の御答弁によりますと、これは一、二のところで例外的に行なわれておるのではなくて、これは国税不服審判所が一般に担当審判官の権限としてやらしておることですか、どうですか。
  210. 大塚俊二

    説明員(大塚俊二君) いま御指摘の要約書は、私の聞いております限りでは、各審判所でこのような方法をとって、審査請求人の主張、攻撃防御に資するような措置をとっておるというふうに理解しております。
  211. 渡辺武

    渡辺武君 そうしますと、この要約書の作成者は担当審判官ということですね。
  212. 大塚俊二

    説明員(大塚俊二君) そのとおりでございます。
  213. 渡辺武

    渡辺武君 そうすると、これは原処分庁の原処分資料と同じものかどうか、これはどうですか。
  214. 大塚俊二

    説明員(大塚俊二君) 原処分庁から提出された書類ではございません。
  215. 渡辺武

    渡辺武君 そうすると、これが原処分庁の原処分資料を正確に反映しているかどうかという、その確証もないわけですね。
  216. 大塚俊二

    説明員(大塚俊二君) 原処分庁の書類の中には、先ほど先生がお読みになりました通則法九十六条の二項の後段で、第三者の利益を害する、その他閲覧に供することが適当でないという部分がかなり含まれておりますので、そういう事項を除きまして、閲覧に供して差しつかえない、そういう部分を抜き出して要約したものでございます。私どもの立場から申し上げますれば、その部分に関する限りは、原処分庁が処分の理由としたこと、事実としたこと、それがそのまま表現されておるというふうに考えております。
  217. 渡辺武

    渡辺武君 考えていると言われるけれども、審査請求人の立場に立ってみれば、これは原処分庁の原処分時の資料です。これを閲覧さしてほしいといって要求している。ところがどうですか、出てきたものは、これは原処分資料じゃない。担当審判官がかってに作成して出したものだ。はたしてこれが原処分資料かどうか。忠実にこれを反映しているかどうか。だれもこれは証明することができない。少なくとも審査請求人にはそのことはわからない。こんなものを出されて、はいそうですかと言って引き下がれますか。請求しているのは原処分庁の資料です。全然別ものが出ているじゃないですか。一体この点をどうお考えになるか。  もう一つ、一体担当審判官は何の権限によってこういうようなものをつくって、そうして審査請求人に見せるのですか。その権限の根拠はどこにありますか。
  218. 大塚俊二

    説明員(大塚俊二君) 原処分庁から提出された書類でない、これは御指摘のとおりの事実でございまして、したがいまして、そのままの形では九十六条二項の規定に該当するものではございません。ただ、原処分庁から提出されました書類そのものを関覧に供するということにいたしますと、先ほど述べましたように、九十六条二項後段の、原処分庁から提出されました書類の内容といたしましては、第三者の利益を害する部分があったり、あるいはいろいろな行政上の秘密に属する部分がございましたり、そういうことで、原処分庁から提出された書類をそのまま閲覧に供することは適当でないという判断を担当審判官はいたすわけでございます。ただしかし、その閲覧を拒むということで、九十六条の二項からまいりますれば、それでよいわけでございますが、それでは審査請求人が攻撃防御の主張をすることができない、その面で非常に審査請求人がお困りになるということを考えまして、いわば審査請求人の主張に便宜なように担当審判官がやっております事実上の行為というふうに考えております。
  219. 渡辺武

    渡辺武君 法律でそういうことをやる権限が、法律上どこで規定されておりますか。担当審判官は法律のどこに基づいてその権限を持っておりますか。
  220. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 委員長から申し上げますが、連日当委員会は夕食抜きで七時ないし八時までやっております。委員の質問は簡潔に要約して行ないますので、議論にわたらざるよう率直な簡潔に御答弁をお願いいたします。御協力お願いいたします。
  221. 大塚俊二

    説明員(大塚俊二君) この審査請求人と審判所の担当審判官の側ではいろいろ質疑もございます。いわば、そういった事実関係についての質疑の一環として、原処分庁の原処分の内容を明らかにして、審査請求人に示すという一つの手段であります。
  222. 渡辺武

    渡辺武君 どういう法的な権限に基づいて、こういうものをつくって、原処分資料のかわりに見せるのかということを伺っているのです。端的にお答えいただきたい。どういう権限です。法律の第何条のどこに基づいていますか。
  223. 大塚俊二

    説明員(大塚俊二君) 法律上にこのことを規定した条文はございません。審査請求人と審判所担当審判官の間における事実の究明をして、その手段の一環と考えております。
  224. 渡辺武

    渡辺武君 そうしますと、あなたの答弁を総合しますと、この要約書というのは、これは原処分庁の原処分資料じゃない、先ほど言明したように。そうして、これをつくる法的な根拠がないということですね。これは違法なものじゃないですか。こんなもの、こんな違法なものを、これを審査請求人に出して、そうして、あなた方の審査請求の手続はこれで済んだ、さあ審理を進めましょう、こういうことです。そんなばかなことが許されますか。しかも、ここに一つの資料があります。これは名前もはっきり申し上げますけれども、横浜市の高橋さんという方。この方が国税不服審判所に審査請求をすると同時に、裁判所にも訴えた。ところが、裁判所のほうに出された原処分庁の資料と、同じ高橋さんが国税不服審判所からこれが原処分の写しだといって要約書を渡された、その内容を見ると違っているのです。違っている。あなた必要なら見せてあげます。しかも、税金関係というのは数字が問題だ。その所得額が違っているのだから、たいへんなのでございます。一体これをもって原処分庁の資料を忠実に反映したものだということが言えますか。そんな資料をあなた方は出してきて、そうして審理を進めようとしている。違法な行為ですよ、違法だということを認めますか。
  225. 大塚俊二

    説明員(大塚俊二君) 納税者の主張に資するための資料ということで考えておりますので、違法とは考えておりません。
  226. 渡辺武

    渡辺武君 いいですか、法律にも基づかず、しかも、あなたもう御存じのとおり、九十六条にははっきりと原処分の資料の閲覧を拒むことができないと書いてある。いいですか、もしプライバシーにわたるようなところがあれば、その点だけ隠して見せたらいい。これは国会の論議の中でもはっきり言われている。吉國長官も、当時の亀徳さんも、その点については、特に、この参議院の大蔵委員会である委員の質問に対して、プライバシーにわたるようなところだけは隠して、いまはリコピーその他の機械がありますから、ほかのところは見せたらどうだと言ったら、そのとおりにいたしましょうという趣旨のことを答えている。もう時間もあまりないから一々読みませんけれども、国会でそのように答弁しておきながら、似ても似つかないような要約書というものを出して、それをもって違法じゃないなんてどうして言えますか。こんなものは法律にも基づかない、そうして原処分庁の資料を正確に反映していないという事実は、私がここに持ってきた資料でもはっきりわかる。こんなもので審理が適法的に進められていると言えますか。どう処置なさいますか、この要約書について。原処分庁の資料を率直に見せるべきだと思う。そうでなければ、不服申し立て人の権利は守られない。どうですか。
  227. 大塚俊二

    説明員(大塚俊二君) その要約書を原処分庁から提出されている書類であるということで閲覧に供したとすれば、先生おっしゃるとおり、違法の措置をやっておるということになりますが、それは原処分庁から提出された九十六条二項にそのまま該当する書類ではないというように解しております。ただ、審査請求人の主張、攻撃防御に便宜を供与するという趣旨で要約書をごらん願っておるということでございますから、違法な措置というふうには考えておりません。
  228. 渡辺武

    渡辺武君 いま、こういうことをやっている担当審判官は、この要約書を見せて、これでもう閲覧請求は満たされた、あなた方の閲覧請求はもうこれでいいから審理に入りましょう、こういうことで強引に進めようとしている。ところが、あなたの言明によると、これは原処分庁の資料でないということがはっきりした。しかも、九十六条によれば、「審査請求人は、担当審判官に対し、原処分庁から提出された書類その他の物件の閲覧を求めることができる。」——原処分庁から提出されたものですよ。そうして、いわばプライバシーその他の特別な事情がなければ、「その閲覧を拒むことができない。」——これは義務規定ですよ、担当審判官の。しかも、さっきも申しましたように、技術的に少し考慮すれば、プライバシーその他にわたるところは多少隠してでも、原処分資料を見せるということをはっきり国会でも答弁しておる。その答弁さえも踏みにじってこんなものを出してくる。あなた方が幾ら違法なものじゃないと言ったって、これは違法じゃないと言うことがどうしてできますか。違法以外の何ものでもない。正当な審判を進める、審理を進めるために、原処分庁の資料を閲覧に供すべきだと思う。これが法の命じているところです。それをやりますか。
  229. 大塚俊二

    説明員(大塚俊二君) 原処分庁から提出されておる書類の中には、第三者の利益を害するおそれのある部分、それから、先ほど触れましたように、行政上のいろいろ秘密に属する事項、こういうことが記載されておる書類がございます。これにつきましては、いま先生おっしゃいましたように、そういった部分だけを隠して閲覧に供したらいいではないかという御議論もあろうかと思いますが、そういう措置をとりましても、事実上閲覧をしても、そういたしますと、その内容が全然わからなくなるというような事実上の問題もございます。そこで、先ほどから申し上げておりますような手段によりまして、納税者の、審査請求人の知りたいことをこの要約書という形で、審査請求人に知っていただくという措置をとっているわけでございます。
  230. 渡辺武

    渡辺武君 そうしますと、少なくとも、それは法に基づく適法な審理手続とは別なものだと、法の九十六条には、原処分庁の資料、これに対して閲覧の請求もできるし、特別な事由がなければそれを拒むことができない、こういうことが書いてあります。しかしながら、要約書を、しかも審判の担当者である担当審判官がかってにそれを書いて出していいなんというようなことはどこにも書いてない。これは適法な審理手続でないことは明らかです。しかも、あなたはいま言われましたが、これは藤沢の例ですけれども、東京国税不服審判所の首席国税審判官の関根さんの出したものですが、閲覧請求権に対して、こういうことを言っているのですよ。見せない理由は、行政上の秘密にわたる事項がこん然一体となって記載されているからだと言う。これは、まるで全然見せられないということを、秘密だ、秘密だということによって理由づけているにすぎない。それほどの秘密ならば、裁判所に出される資料があるのに、何で国税不服審判所は裁判所に提出される資料さえも不服審判請求人に見せようとしないのか。裁判所にはちゃんと出ているのだ、詳しいやつが。ところが、同じ事案のこの要約書を見てみますと、まるっきり数字が違う、詳しさも全然違う。何でそんなことをやられるのですか。これは、国税不服審判所が、一番最初申しましたとおり、税金をかける側に立っていままで一生懸命取るようにやってきた人間を八割も九割も担当官に据え込んで、そうして税務署のやったことを国税不服審判所の名前をもって合法化しようという魂胆を持っているから、こういうことが起こってくる。最初の吉國長官の答弁とは全く違った事態があらわれている。長官、この事態どうしますか。少なくともこの要約書、こういうことはやめて、そうして審査請求人の正当な要求に基づいて正当に原処分庁の資料を見せるべきだと思う。それ、やりますか。
  231. 吉國二郎

    説明員吉國二郎君) この問題は、私が関与すべき問題でないかもしれませんが、冷静に申し上げますと、いまの事態が違法であるかどうかという問題は、まずこの法律の規定に基づいて審判所は閲覧を拒否をします。かわりに審判の便利のために、それにかわるべきものを便宜上与える。いわば一つのサービスとしての文書を与えるという事態でございます。したがいまして、このことが違法な閲覧請求に対する処置であると言うことはできない、かように考えます。なお、この問題につきましては、いろいろ私も、具体的な事情、それをあとで拝見したいと思いますけれども、その場、その場の具体的な問題がいろいろあると思いますので、抽象的にはお答えしにくい点もあるかと思います。  なお、御承知のように、一部には、税務署に当初の調査の際に、帳簿の経理上拒否いたしましたり、あるいは集団でもって調査妨害をした、こういう例もございまして、そのために第三者の間接資料をとって調査をしたような場合、これはいわゆる筋から申しましても、閲覧させられないというような事情もあるように思います。いろいろ具体的な事情によって違うと思いますので、この点、私は具体的な事案を聞いて判断をいたしたい、かように考える次第でございます。
  232. 渡辺武

    渡辺武君 最後に一言。  具体的な事案というけれども、先ほど次長の言われた答弁、あなた聞いておられたでしょう。これはもう一般的にやられていることなんです。それが適法のものかどうか。少なくとも、あなた方違法でないと言うのだったら、審理手続が適法に行なわれていないということだけは、これは明らかです。そうでしょう。
  233. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) ちょっと待ってください。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  234. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 速記を起こして。
  235. 吉國二郎

    説明員吉國二郎君) それでは、最後に御答弁申し上げますが、この調査書の提出につきましては、御承知と思いますけれども、現在裁判においても、これを提出しないということについて可否が論ぜられておる段階でございます。そういうことから、この点については、私どもも裁判所の主張していることをいま申し上げたわけでございまして、また裁判の結果も私どもは十分参酌して考えたい、かように考えております。
  236. 渡辺武

    渡辺武君 最後に一言。九十六条をよく読んで考えてください。九十六条には——原処分庁の資料ですよ。これに対する審査請求人の閲覧請求権、これは侵すべからざる権利なんだよ。それを、あなた方は要約書なるものをもってごまかそうとしている。これはもう権利侵害もはなはだしい。その点をよく考えて対処してほしいと思う。私どもはこんな違法なものを受け付けることはできませんよ。これは今後も、あなた方適法だと言うなら、あくまで争います。法律にも何にも与えられていない権限を行使している。これはもうけしからぬことです。  これで終わっておきます。
  237. 吉國二郎

    説明員吉國二郎君) いま申された点は、やや問題がずれておるように思います。確かに、提出された物件の閲覧請求があり、それが第三者の秘密を害するおそれがなく、かつその他の理由がなければ、これは当然閲覧に供すべきだと思います。その点に争いがあるのでございまして、かわりのものを出したのが違法であるという問題とは筋が違うと思いますので、また今後私どもも検討いたしますが、その辺ひとつ問題を十分に詰めて御相談いたしたいと思います。     —————————————
  238. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) この際、委員の異動について報告をいたします。  本日、上原正吉君及び竹内藤男君が委員を辞任され、その補欠として土屋義彦君及び高田浩運君が選任されました。     —————————————
  239. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 質疑を続行いたします。
  240. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 大蔵当局にお伺いしますが、先般、当決算委員会委員派遣の視察といたしまして、委員長以下数名のわれわれが四日市公害を視察した際におきまして、三重県並びに四日市市からの陳情を受けたわけでありますが、その内容は、概要を申し上げますというと、四日市から、今日重油の輸入に関するところの関税が相当額入っておる、ところが、その石油関税がほとんどが石炭特別会計に回されておりますけれども、この石油コンビナートで被害を受けておるのは、これは四日市でありまして、公害対策に相当な費用が要りますので、この関税の一部を県並びに四日市の公害対策の費用に回してもらえないか、このような陳情であったわけであります。それに関連をしてお伺いをしたいと思いますが、最初に、石油関税の四十二年度以降の収入がどのくらいあるのか、その中で四日市の石油関税が幾らになるのか、それをひとつ最初にお伺いしたいと思います。
  241. 大倉真隆

    説明員(大倉真隆君) 石油関税収入の四十二年度以降の数字でございますが、年を追って申し上げますと、四十二年度が七百二十二億円——若干端数はございますが、四十三年度が八百九十四億円、四十四年度が一千四十九億円、四十五年度が一千二百四十六億円、四十六年度の予算におきましては一千三百九十億円を見込んでおります。  御質問の第二点でございますが、まことに申しわけございませんけれども、四日市分が幾らかというのはちょっとよくわからないということで、なお、時間をかければわかると思いますが、本日の答弁はお許しいただきたいと思います。
  242. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 この石油関税の中から石炭対策特別会計に繰り入れたものは幾らになっておるんですか。
  243. 大倉真隆

    説明員(大倉真隆君) 同様、年を追って申し上げますと、石炭特会に繰り入れた額は、四十二年度が五百四十二億円、四十三年度が六百八十二億円、四十四年度が八百七億円、四十五年度が九百六十二億円、四十六年度予算では千六十億円となっております。
  244. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 いまおっしゃった数字の中で、かりに四十六年度の分をとりましても、これは重油関税の約八割というものは石炭対策特別会計に繰り入れられておるということでありますけれども、この点が、要するに、四日市公害というものは、いま第一、第二コンビナートができております。さらに第三コンビナートが近くできる予定になっております。そのコンビナート並びに重油を使う電力会社等、そういったような多数の、二、三百の工場による大気汚染によってあのような公害が出ておるわけであります。現地住民といたしましては、その公害発生源のもとになっておる重油、それに対するところの関税というものが、ごっそり国のほうにいって、しかも石炭のほうにいっているんじゃないか、もう少しこの点は国に御配慮願って、公害で困っておるところの四日市の公害、あるいは県の公害対策費用の一部に還元することはできないものか、こういう強力な陳情があったわけです。  そこで、現地の公害防止計画はどうなっておるかと申しますというと、大体ここに書いてありますが、四日市では、四十六年度から五十年までの五カ年の間に、企業が実施する公害防止施設の整備拡充に要する経費が約三百十億円、なお、県、関係市町等が主体となって講ずる公害防止施策に要する経費の総額は三百八十億、要するに、三百八十億円の金をかけて五カ年計画で公害防止対策をこれから実施するということでありますが、一方で三重県の財政規模は大体八百億です。四日市が大体七、八十億だったと思います。そういう点から考慮いたしまして、この三百八十億、これは年度別に割りましても、一年分が大体八十億、四日市の一年分の財政規模が七、八十億ですよ。四日市としては相当な財政負担になっております。これが今日までずっと石炭のほうに相当な金がいっておりますので、現地の地方団体としては非常に不満を持っております。この点もう少しあたたかい御配慮を願えないものか、この点をお伺いしたいと思います。
  245. 大倉真隆

    説明員(大倉真隆君) 御質問の趣旨、私どもよくわかりましたのでございますが、地元として確かにそういう感情をお持ちになる向きもあろうかと思います。ただ、先生に申し上げるまでもなく、石炭対策といたしましては、それなりに離職者対策でございますとか、石炭鉱害復旧でございますとか、あるいは閉山交付金というように積み上げてまいりまして対策をいたしている。したがって、石油関税の相当大きな部分を石炭対策に使っておることは、御指摘のとおりでございます。石炭対策そのものが減りませんと、かわりに特別財源を振りかえましても、一般財源でやはりめんどうを見るということで、数量的には、ことし現在国の公害対策費というのは、本年度予算ベースで約九百三十億円支出いたすことになっております。今後私ども、公害対策費というのは、できるだけ財源を重点的に配分すべき項目であると考えるわけです。ただ、その財源として石油関税収入を使うかどうかという点に関しましては、実は先ほど申し上げております数字差額一般財源になっておりますけれども、これをさらに石油の対策に使いたいという御要望がございましたり、いろんな御意見が別途ございますので、その辺、総合的に見ました上で、来年度以降の予算配分を考えてまいりたい、かように存じております。
  246. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ですから、公害対策費用が九百二十億、これはいつのですか。
  247. 大倉真隆

    説明員(大倉真隆君) 四十六年度予算ベースでございます。
  248. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 これから関税を財源として四日市のほうに補助金を交付するか、一般会計から何とか考慮するか、この辺は検討をしたいということですが、もう少し——それは答弁じゃないですよ、そういうことは。せっかく委員長以下この決算委員が行ったわけですから、実情も調査をしてありますし、もう少しひとつ色よい返事を私はお伺いしたいんです。
  249. 大倉真隆

    説明員(大倉真隆君) おしかりを受けたわけでございますが、石油収入というものをどの費目に引き当てていくかということにつきましては、石炭対策に用いるということで法律もございまして、特別会計もございまして、現在やっておりますので、それを基本的に切りかえるかどうかというかなり大きな問題でもございます。せっかくの御意見は御意見として十分承りまして、なおほかに石油対策に使えという御意見などもございますので、それらをあわせまして、来年度予算の問題として研究をいたしたい、そういうふうに御答弁を申し上げたいと思います。
  250. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それならお伺いしますけれども、これは四十六年五月二十六日に、法第七十号公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律、こういう法律ができたのですが、これによりますと、「公害対策基本法第十九条に基づき内閣総理大臣の承認を受けて公害防止計画を作成した地方団体においては、この計画に基づき公害防止対策事業を集中的、総合的に実施する必要があります。」云々、この法律に基づいて、「国の特別補助負担率は、二分の一とすることを基本とし、」、さらに「公立義務教育諸学校の移転及び施設整備事業、汚染農用地等の土地改良事業については二分の一以上三分の二以内の範囲で政令で定めることとしております。」、これに出ておりますが、当然この法律は適用になるわけですね。そうすると、大体この四日市の公害防止計画は、五カ年で三百八十億、この中の半分か、三分の二はこの法律によって国庫補助があるわけですね。その点いかがですか。
  251. 大倉真隆

    説明員(大倉真隆君) その計画そのものにつきましては、十分関係省庁念査の上、それが適当でありかつ緊急であるということであれば、当然おっしゃるように国としても必要な補助をしてまいるというようなことになると思います。
  252. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 この法律も、十二分にこれは現地側としては承知の上でありまして、あなた方がかりに三重県四日市に、そういうような特別な財政措置を関税の中からやるということになりますと、千葉県なり岡山県等にも、また岡山県の水島あたりたくさんあるじゃないかということで、慎重になる御答弁のように私は思いますがね。この法律自体が、これは台風等によって自然災害を受けた激甚災害法並みにやってくれというのが現地側の要求であって、九割くらいの国庫補助にしてもらいたい。特に、いま公害の問題は、御承知のように、非常に世間でも騒がれておりますし、多数の犠牲者も出しております。何しろ金がなければ、幾ら法律をつくりましても、計画をつくっても、できないわけです。ですから、これはこれとして、さらにこれに上乗せをして九割程度の国庫補助を何とかお願いをしたい、これが公害の被害地の要求なんです。昨年公害国会において、あれだけ国会としても法律もつくり、財政措置のこともちゃんと要求もしてあるわけですから、この点はいかがですか、政務次官にひとつ。大臣がおれば非常に即決の御返事がいただけるんだったかもしれませんが、きょうはお見えになりません。政務次官からひとつお願いをしたいと思います。
  253. 船田譲

    説明員(船田譲君) ただいま中尾委員から貴重な御示唆に富む御意見、御指導を賜わりましたことにつきましては、十分腹におさめて、対策に当たっていかなければならないと思いますけれども、ただ、石炭特別会計の関係におきますところの産炭地対策も、またきわめて重要な問題でございます。個人的なことを申し上げて恐縮でありますが、私の県は石炭に関係ございませんので、私ども門外漢から見ますると、ときには先生先ほど言われましたような感がなきにしもあらずでございまして、しかし、現実に自分の土地に産炭地を控えておられますところの地方自治体等におきましては、たいへんな状況にあるということを伺っておりますので、従来の方針を貫きながら、昨年の公害国会できめられました各種の法律の予算的な裏づけにも努力を払ってまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  254. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ただ私は、何も関税の石炭対策特別会計へ繰り入れの分を削って云々とは言わない。まあ金には色はついていないんですからどの金でもいいんですけれども、理屈を言えばそういうことになるので、もう少し、あれだけ今日まで被害を受けてきているのだから、御考慮を願いたいということです。いかがですか。
  255. 船田譲

    説明員(船田譲君) 本来なら大臣がもっと大所高所に立ちまして御答弁申し上げるわけでございますが、次官といたしまして、ただいま中尾先生の言われました御趣旨を十分生かすように、大臣にも進言してまいりたいと思います。
  256. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 委員長からこの際申し上げますが、農林漁業用ガソリン消費税の免税問題を、昭和四十年か四十一年の予算委員会で私が取り上げまして、衆議院でしたか、免税にしなさいと、それを一般国道や道路財源に入れることは筋違いではないかということが問題になったことは、御承知のとおりであります。そこで、農民がたんぼで使ったガソリン消費税を一々チケットで調べるということはむずかしいので、そこで九割五分の補助率の農林漁業の農免道路というものに金を回したことが今日まで続いておる。これは高木さん御存じですね。この問題をめぐって、衆議院の予算委員会で、ずいぶん審議ストップになるような事態があったわけです。そういう経過を踏まえてみますと、港へ入ってくる船から上がってくる石油関係の税金を——その周辺の工場でいわゆる海を濁し、汚濁せしめ、環境を著しく破壊しておるわけです。したがって、いまの私の論理と必ずしも一致いたしませんが、これは当然その当該地区に何らかの形において、環境保全のためか、あるいは民生安定のためか、関連して措置を講じられることは当然だと思うのです。私ども、中尾理事、鈴木理事、小谷委員とともに先般現地を見まして、痛切に感じました。大臣にも進言して云々ということでございますが、石炭問題は、これは別途なんですね。これは当然国が一般会計その他の方法でまかなわれる筋合いのものであって、それとこれを一緒にされるということは、私は当を得えないと思う。この点しかと御検討願って、大臣がお帰りになりましたならば、十分にお打ち合わせを願い、その結末を、近く臨時国会も開かれることでありますし、御善処される方針なり、内容について経過と結果を御報告いただきたいと思います。いかがでありますか。
  257. 船田譲

    説明員(船田譲君) 先ほど申し上げましたように、先生方がせっかく御視察をされまして得られました貴重なる御意見でございますから、そのとおりに大臣に進言いたしますと先ほど申し上げたのでございますが、この関税収入を一つの目的税的に考えて、そこに税バックしていくという問題、非常にむずかしい関税の理論にも関係する問題であろうと思いますので、私ここで必ずこういうふうにいたしますということを申し上げるわけにはまいりませんけれども、十分大臣にお伝えするつもりでございます。
  258. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 重ねて申し上げますが、調査団の一行の調査報告書にも、この件は記録に載っております。調査団は、自民、社会、公明三党から成っておりまして、その合致した意見であることも申し添えておき、御善処を強く要望いたします。
  259. 船田譲

    説明員(船田譲君) かしこまりました。
  260. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 では、引き続き二、三問ちょっとお伺いしておきます。  昨日、佐藤総理が、所得税を年内に大幅に減税するような指示をしておりますが、この指示の内容はどういうものなんですか。大蔵省は直ちに具体案の作成に入ったということですが、どういうふうに考えておりますか、その点ひとつお伺いしたいと思います。
  261. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) この春以来、一般的に景気が停滞ぎみでございましたが、それがやや持ち直してきたときに、最近のような国際経済情勢になりました。こういう状態のもとに、どのような景気対策をとるべきかということについて、かねがね検討をいたしておりました。その中の一つとして、減税というのが、経済施策として有効ではないかということを検討しておったわけでございます。私ども事務的な検討といたしまして、必ずしも、いつ、どういう形で、どの程度の規模のもので減税をいたすべきかということにつきましては、申すまでもなく、租税が歳入調達源であります関係上、単独では決定いたしかねるのでございますので、歳出等もからみ合わせまして、彼此検討いたしておったわけでございますが、今朝の新聞にありましたうちで、私ども事務次官に対しまして、なるべく早い時期にやってはどうかという御意見を総理大臣がお持ちであるということのお話があったわけでございまして、私どもにそういう気持ちでなおよく勉強してみよという御指示があったわけでございます。
  262. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 主税局長ですからね、もう少し具体的なことを私は聞きたかったんですよ。佐藤総理は、年内に一千億減税したいと、こう言っているんですからね。まあ大体そういう方向にいくだろうとは思いますけれども、そうなりますというと、ことしの税金の減収は幾らになるのか。さらに、年度内に一千億の減税もしなきゃならない、公債も発行しなきゃならない、こういうようなことをずっと私聞こうかと思っていたんですけれどもね。あんまり熱意なさそうな答弁ですから、あまりやれませんから、もうちょっと具体的にお願いしますよ。
  263. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 一言お断わりいたしておきますが、けさの新聞に、しきりに一千億減税という数字が出ておりますので、私どもといたしましては、非常に困っておるところでございます。一千億という御指示はございません。私どもといたしましての作業におきましても、一千億という数字はございません。で、昨日来、盛んに取材の新聞記者諸君に応待をいたしておりますけれども、私どもの口から一千億という数字は申しておりません。したがって、現段階は、まさにそれが、来たるべき沖繩国会におきまして、予算を提出いたしまして御審議を願うことになるわけでございますが、たいへん実は現段階は流動的でございまして、見当つけるのに弱っておるわけでございます。そこで、ただいまの御質問の中に、税収の見込みはどうかというお話もございましたですが、一番実は弱っておりますのがこの点でございます。税収は、普通のときでございますと、大体昨年ないし前期に比べて経済の伸びがこのぐらいだというようなことから、見当がつきやすいわけでございますが、何ぶんきわめて異例な変動期に当たっておりますものですから、どういうふうに現在の経済の動きが企業活動に反映し、それが企業経営にどういうふうに反映してくるかということが皆目わからない状態になっております。で、本日間もなく公表することにしておる八月の税収で見ましても、古い数字で恐縮でございますが、公式には八月末の税収だけが確定しておりますので、それを本日発表するわけでございますが、八月末の数字でも、一月前の七月末の数字と比べますと、かなり動いてきて、顕著に落ちぎみになってきておるわけでございます。で、率直に申しまして、私自身、大臣からも早く見通しを出せと、こう言ってしかられておるわけでございますが、たいへん立ちにくいのであります。まあ、その数字等につきましても、きわめて答えになりにくい。たとえば、二千五百億円から三千五百億円というような非常に大きなまだ幅のある数字でしか見込みは申し上げられないという感じの段階でございます。
  264. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 いろいろ私は、財政、税制全般にわたって、補正予算、また四十七年度の予算等に対する基礎資料としてお伺いしたがったんですが、あまり数字も出てないようですから、また本格的にこの次の機会に大蔵関係のことを聞きたいと思います。
  265. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) この際、私から主税局長に伺っておきますが、本委員会の審査案件は、昭和四十四年度決算外二件であります。すなわち、国民金融公庫関係と専売公社関係。これを拝見いたしますと、「国民金融公庫業務概況」によりますと、国庫納付金はないと、こういうことであります。これに比べまして、「専売公社の決算および業務の概要」によりますと、その二ページ、専売納付金は二千五百五十八億四千四百十四万円余となっており、「これは予定に比べ、百十九億四千八百五十三万円余、率にいたしまして四・九%」の増となっておる。かように記載をされ、あなた方が出された、大蔵省が出された決算説明の三ページによると、この総額の二千五百五十八億四千四百十四万円の納付金の額は一致しておりますが、予算額に比較して二十一億四千八百五十三万円余となっておるのと著しく相違をいたしております。これは補正との関係だろうと思われますが、著しいこのような大きな四・九%の増加になっておる。しかも、「製造たばこの平均売上単価が上昇したこと、国内製造たばこの製造原価が予定より節減されたこと等により、たばこ事業の純利益が増加したこと」がその原因であると説明を加えられております。この間の事情を御説明願いたい。
  266. 大倉真隆

    説明員(大倉真隆君) ただいま委員長が御指摘になりましたその「概要」の三ページ、そこへ「予定に比べ」と書いてございます。この「予定」は、いわば当初予算的な予定でございまして、この年度には、実は補正予算で専売納付金を増額計上いたしましたものですから、したがいまして、補正後の予算に比べますと、差額は先ほど御指摘の少ない金額ということになります。つまり、予定よりふえました百十九億のうち、九十八億ほど補正計上いたしたわけであります、当該年度で、年度内に。そのために差額が二十一億という数字になってあらわれた、そのように御了解いただきたいと思います。
  267. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) そうしますと、補正後の決算の諸表はいつ出るのですか。一方では補正後で出、一方では当初予算で出るということでは、つじつまが合わぬじゃないですか。
  268. 大倉真隆

    説明員(大倉真隆君) 決算額は補正後の姿でお出しいたしております。この「概要」が当初の数字を引っ張りましたので、やや混乱いたしまして申しわけございませんが、その概要の数字でございますので、当初予定に比しということで、年度当初に見込んだものとの比較をいたしまして、決算は補正後の姿で御審議をお願いいたしております。
  269. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕   〔委員長退席、理事中尾辰義君着席〕
  270. 中尾辰義

    ○理事(中尾辰義君) 速記を起こして。
  271. 足鹿覺

    足鹿覺君 専売公社の総裁もおいでになっておりますし、幸い主税局長、主計局次長もおいでになっておりますので あなたがおいでになるまでに、補正で約百億近い納付金の増加をなさっておるんですね。にもかかわらず 従業員の、千三百人からの減員ですね。支所その他の統廃合によって合理化が進む。葉たばこ賠償金の値上がりはきわめて微々たるもので、勢い廃作が続出をしておる。こういう現状でありますが、公社が公共企業体であるという認識のもとに、私どもは民間移譲に反対をし、今日まであなた方の立場を擁護してまいったつもりです。にもかかわらず、生産者や従業員の努力、一般喫煙者が相当喫味緩和によって、扱ってもこたえないからたくさん吸う。こういうことで、百億近いものをオーバーして、専売納付金がふえておる。そういう金の一部を、もう少し従業員や葉たばこ生産者に対して、もっと温情のある対策はとれないものかどうか。  なお、あなたの公社の「業務の概要」の二ページですね、利益積み立て金三百八十二億九千六百六十二万円余というものがありますが、このものの内容、性格はどういうものでありますか。相当、公社の事業実績はもうかり過ぎておる。いわゆる収益専売に徹し過ぎていはしないか。企業体といえども、このような巨大な利益をあげることは、ちょっと私ども想像がつきません。にもかかわらず、あなた方のなさっておることは、きわめてきびしく、険しい。その点について、御所見はいかがですか。
  272. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) ただいま足鹿委員から、専売公社の運営について、どうももうけ主義に走り過ぎていないか、それだけもうかるなら、もっと内部の職員にも、それから耕作者等にも、あたたかい措置はできないのか、こういうお話でございました。私どもも、専売公社といたしまして、まあいわば私は独占の上にあぐらをかいてはやっぱり一番いかぬという気持ちを持っております。専売公社へ参りましてからも、やはりどうして専売公社がそういうようないろいろ批判の対象になるかというと、これはやはりほんとうの国の独占事業であるということであると思います。これについては、私どももできるだけ反省いたしまして、公共企業体の本旨に徹して経営しなきゃならぬ。専売事業の能率的にしてかつ健全なる運営ということが、専売公社法に定められた日本専売公社の使命でございますので、その方向に沿って運営しなきゃならぬと考えておるわけであります。まあ、ほんとうに独占体であるから、経費を乱費するとかいうようなことは、やはりどうしても私どもとしては慎まなければならぬ。結局は国民の御負担に帰するものでございますから、経費の使用についてもできるだけ効率的にする。それから、内部の合理化につきましても、できるだけむだを省いて、そして新しい技術は取り入れて、もし組織上、税率のようなものがあれば、それはやっぱりだんだん直していかなければならぬ、こういうふうに考えているわけであります。なかなか、合理化と申しましても、道は険しいわけでございますが、そのようにいたしましても、ただいまのところ年々納付金率、専売益金率は下がっておるわけでございまして、これがために、とうとう昭和四十三年定価改定をいたしたようなわけでございまして、定価改定いたしまして、専売納付金の率はまた回復はいたしましたが、やはりその後の状況を見ますと、毎年やっぱり若干ずつ落ちてくる。そういう状況でございまして、私どもも国民から負託された事業でございますので、できるだけ能率的な運営をはかっていきたい、こう考えているわけであります。
  273. 足鹿覺

    足鹿覺君 あなたのおっしゃることに矛盾していませんか。いわゆる独占の上にあぐらをかいてはいけない、これは私も同感です。これは、製造たばこの平均売り上げ単価が上がったということと、国内製造たばこの製造原価が予定より節減されたということによって、百億円近い納付金がふえている。国にこれだけの納付金をしても、労働者が泣き、耕作農民が、かつては三十三万もあったものが、十七万にもいまなっておるんです、半分に。これは引き合わないからなんですよ。あまり公社が自主性を失われ、収益専売の大蔵省の締めつけに屈しられたことが、このような事態を生じておるのではないでしょうか。一般喫煙者も、必要悪としてこれはやめられない。私もやめておったけれども、また戻ってしまったが、喫煙者も浮かばれない、労働者も腹を立て、農民は泣いておる。納付金だけは百億近くも予定よりもオーバーする。あなたのいまおっしゃっていることと、現実なさっていることは違っておるんじゃないですか。よく御判断を願いたい。時間もありませんから……。  そこで、大蔵省の監理官なり主税局長に伺いますが、以上のような私は気持ちを持ちますが、このような締めつけといいますか、収益専売という立場にのみ立って、耕作者の従業員の立場もあまり念頭に置かない。売れ行きの増大や製造原価の節減はゆえなくしてできたものではないでしょう。それをみんな吸い上げていく、こういう収益専売主義といいますか、これは国の名を僣称する国家企業、国益と言いながら、事実上においては、従業員や生産者をしぼり上げておる、かような印象をわれわれは持ちますが、少し御反省になる余地はないのでありますか。あまりあなた方が公社の自主性をお認めにならないから、こういうことになるのではないですか。こういう時代であるならば、公共企業体の名に値しない、われわれがこれを擁護してきた趣旨に反することともなろうと思います。世論もやかましくなるでしょう、こういうことでは。よく御勘案あってしかるべきだと思いますが、いかがですか。責任のある大蔵省の御見解を承っておきたい。政務次官でもだれでもいいです。
  274. 船田譲

    説明員(船田譲君) ただいま足鹿委員からたいへんおしかりを受けましたが、公共企業体としての独立性と同時に、いわゆる国の収益を増していくという使命を負っておりますので、大蔵省といたしましては、合理化等で、専売関係の勤労者の方々、あるいは耕作農民、さらには販売小売り店等の問題もございますけれども、そういったところに著しいしわ寄せがいかないようにしながら、なおかつ国の要請であります専売益金の増収をはかっていきたいと、こういう考え方でおりますので、いまの御注意を御注意といたしまして、私も、参議院から出ました政務次官は、専売公社を見守る義務があるようでございますので、見守ってまいりたい、こう考えております。
  275. 足鹿覺

    足鹿覺君 時間がありませんから、また別の機会によく掘り下げてお聞きしましょう。  来年度の作付面積の諮問委員会が、二十八、二十九日に開かれ、延会となったと聞いておりますが、再開の見通し、延会となったおもなる理由、今度の公社の考え方と措置はどういうものがありますか、お伺いいたしたい。
  276. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) 二日間にわたりまして、たばこ耕作審議会に、来年度の耕作すべき種類、面積の諮問を申し上げたわけでございますが、まことに残念なことではございますが、二日間では議事が終了いたしません。さらに私どももう一ぺん努力いたしまして、来月のたぶん中旬ごろ再開をお願いしたい、こういうふうになっておるわけであります。  延会になりました理由の一番大きな問題は、これは今回私どもが考えておりまする主として第二黄色種、いわゆるヒックスからニコチンの少ないMCという新しい品種への転換を三年間で行なうということでございまして、その反面、今後需要の増大が予定をされておりますバーレー種について相当な増反をお願いする、こういった判断であったわけでございますが、これにつきまして、どうせ転換するならば、むしろバーレー種なり、第五在来種の白遠州のほうに転換がもっとできないだろうか、こういう御意見が耕作者側並びに学識経験者からも出たわけでございます。私どもといたしましては、従来黄色種から在来バーレーへの転換は、労力等の関係もあって非常にむずかしい、耕作の方々も御希望がほとんどないじゃないかというようなことで、今度のバーレー種の増反は、在来種から八十ヘクタールでございますが、転換することを考えておるわけでございます。黄色種からの転換は考えておらぬわけでございます。もう少し考え直せ、こういうことのお話でございまして、時間をいただくために来月の中旬ごろ再開する、こういうことになりました。
  277. 足鹿覺

    足鹿覺君 延会になった理由は、主として生産者側から公社の品種転換等の見通しについて不安があったことが主たる原因だと私は解します。つまり、口に国産葉優先を唱えながら、現実に輸入に依存の傾向が強まりつつある。耕作者は先行き不安だ、こういうことになっておる。長期計画について確固たるものをあなた方が持たれなかったことが、面積の審議会を延会にしたのだろうと思うのです。  そこで、あらためて伺っておきますが、国産葉優先、輸入抑制の方針は堅持して今後も進められますか。
  278. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) 私どもも、国産葉につきましては、できるだけこれも活用するのがよろしい、これを方針といたしております。ただ、どうしても現在急場の間に合わない低ニコチン、低タールの製品につきましては、非常にニコチンの少ない外葉を相当に輸入しなければならぬということになっておりますが、しかし、それと同時に、国内におきましても、ただいま申しましたように、第二黄色種からMCというニコチンの少ない品種への転換等も考えまして、できるだけ国内でこれを充足するような方向に持っていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  279. 足鹿覺

    足鹿覺君 私の言わんとするところは、原料計画については、国産葉を基本に、来年度の耕作面積だけではなく、長期の展望に立つ生産計画を明らかにし、その生産振興についての具体策を明確にされまして、耕作者が安心して生産に励めるような長期計画であってほしい、かように思うわけでありますが、延会になった機会に、審議会に提案をされました諮問案を拝見しましても、諮問案の体をなしておらない。つまり、昭和二十八年に黄色種を導入され大幅増反をされ、四、五年後には減反をされ、また三、四年先には増産を奨励をされた。そうして今度は、MCというまだ十分固定しておらない低タール、低ニコチンのゆえをもってこの品種に大転換をされること自身に対して、耕作者が不安を持っておるわけであります。したがって、日本の湿気の多い、雨量の多い風土に適した品種の開発をあなた方が怠られたことが、今日の時代の要請に沿わずして、輸入産葉を昭和五十年までも大量に増加し、引き続き五十一年の最終五カ年度において一向に輸入葉は減少しない計画をお立てにならざるを得ない、かように思うのであります。もし低ニコチン緩和葉をあなた方が国内で生産をするという信念を堅持されるならば、公社は、十分な実験を経た新品種を開発するに必要な大規模な技術開発予算を投入し、技術陣を大動員して、日本の国土にふさわしい、輸入に依存しなくても、国内でまかなえるような安定した低タール、低ニコチンの品種の開発を急がれなければならなかったにもかかわらず、十年前からこのことは言われたにもかかわらず、今日になってそのすべてを耕作者にしわ寄せをするということは、私は非常に遺憾に思います。この緩和葉の導入については強制をなされますか、あるいは農民との納得で新品種の作付転換をなさいますか。もし耕作者が新品種の導入で損害を受けたときには、どのような措置をおとりになりますか。理屈抜きで、そのものずばりでお答えを願いたい。
  280. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) 今度の延会の原因の中には、確かに根本的に長期計画に対する耕作者の方の不安が根本になっているということは、私もいなめない事実だと思います。この点につきましては、私ども十分反省する余地が大いにあると思っております。で、今後品種の転換に当たりましては、できるだけ耕作者の方の理解と御納得を得まして、そして円滑に、日本でもってほんとうに充足できるような低ニコチンの葉を生産したいものだと、こういうふうに考えておるわけであります。この品種の転換にあたって、その耕作農民の方が御損になるようなことは、私どもにおいてはこれは絶対にするつもりはございません。これは今後暮れの耕作審議会でさらにまた御審議いただくことではございますが、転換によって御損のいかないように考えていく所存でございます。
  281. 足鹿覺

    足鹿覺君 私の質問に端的にお答えを願いたい。補助員も黙ってないで、総裁によくメモでも渡して的確に答えるように御協力になったからよろしいと思います。  昭和四十四年度のたばこの総売り上げ本数は二千百三十五億本余とあります。これを前年度に比較すると、百四十七億本となり、率にして七・四%の増だと、あなた方はこれで述べておるわけです。特にフィルターたばこは千八百三十九億本、前年に比べて二百六十六億本の増となっている。長期計画を見ますと、毎年百億本以上の需要増を見込んで計画が立てられておりますが、国産葉は減少の一途をたどる。生産者農家は廃作が続出しておる。こういう状態で、国産葉に依存しようにも依存のしようがない、これは明らかである。四十六年の輸入葉は三千八百万キロと聞いておりますが、MC導入をして現実に葉たばこ原料としての使用年度は昭和五十年度、このときは輸入葉が六千四百万キロに達し、五十一年度に至っても六千九百万キロにさらに増大をする計画をあなた方がお立てになっておる。といたしますと、先ほど私が述べているように、国産葉優先、輸入抑制とは看板だけで、中身が事実上においては輸入依存に一方依存をし、一方は粉末やあるいは高級な、ハイ等級の葉っぱをどろどろにして、これをロールにかけて乾燥し、薬品処理をしたいわゆるシートたばこを混入をされる。あるいは茎葉を膨張機で膨張させて、これを混入される。そういう方法を併用されるようでありまして、つまり生産者不在、喫煙者不在の方向へだんだん向かいつつある。もし喫煙者に満足を与えようとするならば、優良国産葉の開発がまず先決である。MC開発後十年たっていると言われますが、耕作者の間には、病虫害、労力、樹勢、したがって連作の不能等幾多の不安がつきまとっておることは、審議会でも問題になったでしょう。私も御進言申し上げたと思う。あなた方はもっと大規模な、事のよしあしは別として、農林省が米の品種改良に総力をあげ、世界にもまれな増収品種を開発し、今日はこれを放棄して、食味中心に切りかえようとしておりますが、一朝一夕に新品種の開発というものはできるものではない。したがって、この際思い切った新品種開発計画を樹立をされ、もってあなたが言われた国産葉優先、輸入抑制の実に沿うような措置をこの際おとりになるということの御言明のない限り、私はただいまの御答弁では満足できません。いかがですか。
  282. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) 公社におきましては、品種の改良については、もちろんこれはもうきわめて重大な事項でございますので、試験場におきまして懸命な努力をいたしております。今回新しく転換しようというMCの品種も十年かかりましてやっとまあ実施の自信がついたということで、なかなか一朝一夕にはいかないものではございますが、技術陣がほんとうにただいま懸命になりましてMC以外のものについても検討をいたしているわけでございます。技術の点でございますので、詳細な点につきましては、生産本部の副本部長から御説明させていただきたいと存じます。
  283. 佐々木幸雄

    説明員佐々木幸雄君) 公社のこの品種問題、前々からたいへん大きな問題でございますので、いろいろと試験研究機関の主たる業務の一つとしてやっております。現在も公社の中で、静岡県の磐田にございます磐田たばこ試験場でもっぱらこの品種改良を主にやっております。そのほかの試験場でも、そうした問題を取り上げておりまして、現在耕作されております品種の中には、いろいろそうした試験場で育成され、日本の風土に適したそうした品種がだいぶつくられております。今回のMCの問題につきましても、ニコチンの少ない、緩和の品種を育成する必要があるということで、日本で育成いたしまして、ずっと試験場でいろいろな病害の関係、生産力の関係などテストしてまいりました。過去三年間——四十四年、四十五年、本年と三年間、実際産地のほうに出しまして、いろいろ品質、収量、病害の抵抗性の問題、そういう問題をテストしてまいりました。そうした中で、たいへん最近ニコチン問題が原料葉たばこの面で問題でございますが、こうしたいい品種が育成されましたので、早急にこれをひとつ入れたいということで、本年度全国に六十三ヘクタールぐらい、約百三十五カ所ぐらい試験をしておりまして、いろいろとその性状を調査しております。いろいろ品種の問題の転換につきましては、慎重の上にも慎重を重ねることは必要でございますけれども、どちらかといいますと、公社もこれまでの品種転換の問題におきましては慎重過ぎまして、そうした品種の導入にかえって足踏みをしたというようなこともございまして、本件の場合、そうした十分な試験の結果を得まして導入いたすように、産地側の協力を求めつつある状況でございます。
  284. 足鹿覺

    足鹿覺君 品種転換は強制されるんですか。
  285. 佐々木幸雄

    説明員佐々木幸雄君) 本来強制すべきものではないと思いまして、いろいろ産地のほうの御理解と協力の中でそうした問題を取り扱っていきたい、こういうぐあいに思っております。
  286. 足鹿覺

    足鹿覧君 といっても、公社の許可なしには葉たばこ一枚つくれないことは御承知のとおりです。指導といっても、それは半ば強制を含めた、強権をうしろに控えた公社の指導に対して、農民はつかざるを得ない。ともかく、こういう実情にあることは御承知のとおりです。公社の指導で新品種の作付がなされ、品種転換によってもし耕作者が損害を受けた場合の措置はどのようにおとりになる御所存でありますか。これを、一番大事な点でありますので、しかと御答弁願います。総裁でけっこうですが、総裁の御答弁がむずかしければ——これは大体総裁ないしは政府の方針とも言うべきことですから、大蔵省政務次官の政治家としての御答弁も必要だと思います。それぞれ御答弁願います。
  287. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) 根本方針といたしましては、大きな品種転換でございますので、何としても、耕作なさる方の御理解と協協力を得なければなりません。それにつきましては、価格の面等におきまして、耕作者が転換によって損をなさることのないように私ども考えなければならぬ、これは大方針でございます。過去におけるいろいろの転換の場合の例もございますので、こういう例も参考といたしまして、年内にははっきりときめたい、こう考えております。
  288. 船田譲

    説明員(船田譲君) ただいま北島総裁も申されましたように、元来作付については強制すべきものではございませんけれども、先ほど足鹿委員の言われましたように、許可で栽培しているということでありますから、そこに無理のいかないように十分注意をしていきたいと思っております。
  289. 足鹿覺

    足鹿覺君 この前、佐々木副総裁に私はこの問題についてお尋ねをした。農林省も政策を誤った。増産から減反と生産調整に踏み切った。休耕三万円、転換三万五千円、永久転換四万円、こういう転換対策を——金で解決はつきませんが、一応そういうことになった。じり貧におとしいれて、農家が自然に廃作をするのを待つのではなくして、もしそういう不安のある中から自分はやめさしてもらいたいというものが出たらどうなさるかと言ったら、一文も出しませんとおっしゃっておる。農民は、米もつくっておりますし、葉たばこもつくっておりますよ。同じ日本の農民ですよ。一方の政府の官庁はある対策を講ずるが、おなた方は損害が出ないようにするということだけでお済みになりますか。矛盾もはなはだしいと思います。佐々木副総裁と同じような冷酷な御指導でおいでになりますか。この点はきわめて私は大事な点だと思う。とくとこれは船田さんにも考えていただきたいが、政治家としては、同じ農民が農林省と専売公社に上が分かれておるために非常な矛盾が起きておる。しかし、受ける農家は一つですよ。矛盾をお感じになりませんか。そうした場合には、損がいかないような努力はするが、もし万一あったときには、善処するという御答弁を私は期待しておったんですが、形の変わった佐々木副総裁の答弁と同じと受けとれますが、いかがですか、御再考の余地はありませんか。
  290. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) 私が申し上げた趣旨は、決して耕作農民の方々に冷淡な仕打ちをしようという気持ちは毛頭ございません。せっかくこういう大転換をお願いするわけですから、やはりそれにふさわしいだけのことは公社としてもいたさなければならぬ。これはまた財政当局の御理解をお願いしなければなりませんけれども、私ども専売公社としてはかように考えて、極力農民の方が気持ちよく転換できるようお願いしたい、こう考えておるわけでございます。
  291. 足鹿覺

    足鹿覺君 時間もありませんが、主計局次長は、その衝に当たっておいでになりませんけれども——補正で百億近くまで納付金を納めていらっしゃる。大きな金額です。これは経営不振で国民金融公庫のように納付金も一文もないという状態とは違うのです。そういう経緯の中で、大きな品種転換が行なわれようとしておる。これに対する農民の不安でついに審議会が流会になった。ないなら、ないそでは振れないから私は言いませんが、金は余っておる。先ほど私が言ったことに対しての御答弁がありませんが、利益積み立て金という制度もある。何のためにこれはあるのか。専売監理官も黙っていらっしゃいますが、万一に備えて、もし万一あったときには、品種転換による損害は公社が背負うべきなんです。どうです、これは。あなた方はあたたかい気持ちでやるのだとおっしゃるけれども、現実になされることは農林省よりもっと冷たい。調べてごらんなさい。少なくとも農民は農林省の仕打ちに対して満足しておりませんが、だがしかし、国策とならば、出かせぎをして減反、休耕、転作に応じておるじゃありませんか。あなた方は農民をモルモット扱いして品種転換をなさろうとしていらっしゃる。近く私は試験施設等も見せていただきたいと思いますが、私も少しは農業技術についてはかじっておるつもりであります。まだ、この品種については、私はそう安定したものとは考えません。ナンバーを打つようなものは安定した品種とは言えないと思う。どういう危険がひそんでいるかわかりません。現に明らかなことは、樹勢が強過ぎて連作がきかない。堆肥給源はない。したがって、これは年度更新はきわめて短期であります。着葉数が大型で多い。この労力は相当にふえます。立ち枯れ病に対する心配もある。数えあげればいろいろありますが、きょうは大筋だけでありますが、そういった不安を現実に農民は持っておるが、あなた方が国産葉優先で徹しられるならば、農民も安心をして、その品種転換に協力のできるような措置をおとりになることが、品種転換を円滑に進め、にしきの御旗である低タール、低ニコチンの国産葉生産を促すことになるではありませんか。さっきから再考を求めておりますが、どうですか、これは。船田さん、どうも専売公社のやり方は、同じ日本の農民に対して愛情が足りない、理解がない、あまり収益専売に徹し過ぎていらっしゃる。葉たばこ耕作農地等の基盤整備も、農林省のやった上に乗っかるだけだ。また、構造改善も、農林、大蔵両政務次官通達でやっとたばこ事業が対象となったのであり、最初は対象になかったのです。われわれが努力して乗せたのです。何にもほかになさっていない。ただできたものを買い上げるというだけですよ。矛盾をお感じになりませんか。政治家としていかがでしょう。
  292. 船田譲

    説明員(船田譲君) 先ほど来の足鹿委員のきわめて御経験のある、専門的な御質問、私はなはだ経験も知識も乏しいので、十分なお答えにならないと思いますが、本日専売監理官も参っておりませんので、専門的な立場でのお話を申し上げられないのはたいへん残念でございますが、先ほど北島総裁が申されましたような措置につきましては、措置をしますような場合につきましては、私も十分あたたかい目をもってバックアップをしてまいりたい、こう考えております。
  293. 足鹿覺

    足鹿覺君 最後に、問題は、生糸にしろ、葉たばこにしろ、稲作の転換の一つの対象になるものなんです。養蚕と葉たばこは仲が悪いけれども、品種転換の対象になるのですよ、作付け転換のこれは。こういう状態が長く続かぬと思いますが、当面転換すれば転換できる。問題はなぜ廃作、減反が続出して耕作者が半分にもなったかということは、都市並みの労賃の保障がないからです。具体的に伺います。MCを導入した場合、想定しておられる一日の労働報酬は幾らでありますか、伺っておきます。
  294. 佐々木幸雄

    説明員佐々木幸雄君) 足鹿先生の御質問ですが、実はMCについて、先ほどお話がございましたように、若干着葉数が多いとか、あるいはわき芽が出ますので、これを取り除くとかいうような労働がふえていきます。また一方、乾燥が非常に楽でございますので、乾燥時間が短縮されるというようなプラス、そういうプラス・マイナスの要因がございます。本年の試験の中で、そうしたような労賃、労働時間の調査などをやっておりますが、現時点で幾らに相当するというデータを持っておりませんが、大体従来とそう差はないようなものになるんじゃなかろうかというように考えます。
  295. 足鹿覺

    足鹿覺君 私は、都市労働並みの労働報酬をというのが農民の念願だと思うのです。従来あなた方は、農業日雇い労賃で労働報酬を計算して、十二月のいつかの審議会にかけられて、これが問題になった。やがてこれは技術体系、価格体系につながる問題ですよ。それを明らかにせずして、MCへの転換ということは、そう簡単にはまいりません。したがって、MCに転換した場合における、私が二、三指摘したような事情もお認めになったようですが、想定する労賃は一日当たり——私の県で支社に陳情書を出しておりますものをここに持っておりますが、二千五百円を下らない価額、労賃を保障してもらいたい、こういう具体的な要望が出ております。もうすでに、あなた方はどのような価格体系をもって新品種の転換、あわせて技術体系を組み立てようとなさっているのか、それの基本精神をひとつ承っておきたい。もう時間もありませんから、私の聞いておることに答えてください。的がはずれてしようがない。
  296. 佐々木幸雄

    説明員佐々木幸雄君) 葉たばこの収納価格をいろいろ検討します場合に、農村の日雇い賃金を基準にするのか、あるいは米のように都市賃金をとるのか、二つの大きな考え方がございます。公社の収納価格の決定の場合に、そのあとのことが問題になりまして、昭和三十九年に臨時葉たばこ調査会を開きまして、いろいろその辺の価格問題、あるいはこれからの価格のきめ方などを審議いただきまして、そのときに、そういうような都市労賃の問題、農村日雇い賃金の問題をいろいろ検討されましたが、その際の結論といたしまして、農村の日雇い賃金をとることが適当であると、こういうような結論を得ておりますので、それ以後そういうとり方をしております。  また、この品種の転換につきまして、ただいまMCについての問題が出たわけでございますが、MCだからどうということでなくて、やはり全体の葉たばこの価格をきめる、そうした方式によってきめていきたい、こういうぐあいに考えております。
  297. 足鹿覺

    足鹿覺君 どうも明確な御答弁がありませんが、問題は、MCの実験をおやりになっておるようです。生産費調査もあわせて行なっておられると思います。ところが、えてして、これは葉たばこに限りませんが、上層農家の篤農家に実験をさせる。その生産費は低いにきまっている。ところが、上農、中農、下層中農、貧農と、特に山間に入れば入るほど、面積は狭く、貧農が多く、技術も未熟であり、かつまた天候も必ずしも十分でない。今後生産費調査や技術導入の技術体系の新しく立てられるときには、あなた方が一方的にきめられるのではなくして、耕作者も含む——生産費並びに技術体系、価格体系等については、ほんとうに働いて自分で葉たばこをつくっておる農家の代表も入れた調査機関等を設けられて、実情に沿う結論を得られることを私は期待いたします。でない限り、あなた方がどのように弁明をされても、輸入に依存せざるを得ない。しかし、これにはブレーキがかけられる。したがって、ポンたばこや、先ほど私が例にあげた化学処理をしたシートたばこ等を混入使用して、低タール、低ニコチンだというたばこをたばこ受好者に供給させる結果にならざるを得ない。したがって、輸入を抑制し、国産葉を主軸にしてものを考えられるということであるならば、問題は引き合う賃金を保障されることなくしてこれは実現できません。いま私が申し述べたような構想について御善処願えますかどうか、御検討いただけるかどうか、総裁の見識とあなたの自主性においてひとつ御見解を承って、きょうの質問は終わります。誠意ある御答弁をお願いいたします。
  298. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) 収納価格の決定方式につきましては、ずっと最近同じような方式でやってまいっております。ただ、これにつきまして、いろいろだばこ耕作審議会で議論があることは、御承知のとおりでございます。私どもとしても、できるだけ適正な収益が得られるよう、収納方式を考えているわけでありまして、決して農民に犠牲をしいるような収納価格というつもりはございません。ただいまの御提案の御趣旨、まことに私も重大な問題と存じますので、内部で十分ひとつ検討させていただきたいと思います。
  299. 中尾辰義

    ○理事(中尾辰義君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十一分散会      —————・—————