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説明員(江口健司君) ただいま先生の御質問でございますが、参議院の附帯決議の内容が四
項目ございまして、いずれも、四
項目とも関連した内容のものでございますが、まず第一点は、審判所が設置されました当時の情勢、あるいは審判所の設置に伴います議論の過程におきまして、いわゆる第三者的機関としての性格を強めるべきであるという点が第一点として
指摘されておるわけでございます。この点につきましては、昨年の五月一日に審判所が発足をするにあたりまして、まず人事の面、この点につきましては、後ほどまた御質問があろうかと存じますが、まず、人事の面で独立性を高める方向での人的構成を考えるべきであるというような観点から、かなり人選あるいは外部の方々に審判所の枢要の地位を占めていただく点につきましては、いろいろと問題が具体的にはあったわけでございますが、つとめて審判官等につきましては、民間の有力な方に入っていただきまして、第三者的な立場でもってものごとを審理するというような体制をとりたいということで鋭意つとめまして、かなり審判所長、あるいは首席審判官、あるいは審判官、こういった方々につきまして、法曹界その他経済界等からも枢要の方に入っていただきまして、人的な面からまず独立性を高めるという段取りをしたわけでございます。なお、事案の
性質上、従来と違いまして、税務
当局のほうは裁決を下す立場ではなしに、事案ごとに当事者の一方ということになりますので、その限りにおきましては、十分に執行機関としての執行の立場というものを明らかにするようないろんな形の手続をその後きめまして、
会議あるいは研修等によりまして、当事者の一方として、独断におちいることのないようにといったような注意を事こまかにいたしてございます。そのほかいろいろございますが、とにかく、法律の精神は総額主義といったような立場をとってはおりますけれ
ども、附帯決議にありますように、総額主義に偏することなく、争点主義を尊重するというような点について、また、第二点でうたっておりますが、これも第一の独立性あるいは第三者機関的な立場を尊重するというたてまえから、われわれといたしましても当然これを尊重いたしまして、先ほど申し上げましたように、当事者として十分相手方の御納得がいくように、処理の
段階の
説明並びにその後の補足
説明を十分するように部内の手続を進めておる次第でございます。
それから第三点といたしましては、いわゆる質問
検査権の行使でございますが、当時の国会の審議の
段階でも不服申し立ての事実が生じてまいりますと、それに藉口して従来の
一般の税務
調査とは違った形においてかなりきびしい
調査を付加しておるのではないかといったような御質問があった記憶がございます。これに対しましては、運営方針等にもつまびらかに書いてございますが、あくまでも納税者の権利を救済する不服の申し立てに対して十分の
説明をする。また、それに必要な事実
関係を再度新たな観点から第三者的な立場でもって確かめるというような方法をとるべきであるということで、たとえば
異議の申し立て、これはまあ第一
段階の不服申し立ての手続の問題でございますが、これにつきましては、上席
調査官、これは私
どもの内部では相当、二十年以上の経歴を持った職員でございますが、そういう識見もあり知識もあり制度の
趣旨を十分にのみ込んでおるといういわゆる実力のある者を専担者として設けまして、大体各県の主要な税務署にこれを配置してございます。上席
調査官を設置していない税務署につきましても、専担の
調査官、これも大体十数年以上の経験者をもって充てることにいたしまして、おおむね具体的な不服事案につきましては、少なくとも、第一
段階での行政処理を担当した者よりも上席の者をその事案の審理に充てるというような配慮もいたしまして、十分御
指摘の
趣旨に沿うような方向をとっておるつもりでございます。不服事案についての
調査は、やはり事実
関係、真実をもう一ぺん見詰めるという必要がございますので、その必要の範囲内においては——事案によっては多い少ないの内容はございましょうが、再び質問
検査権の行使をする。まあ、ことばは非常にきびしいわけでございますが、真実発見のための
調査をするという手続が必要でございますので、先ほど申しましたようなベテランの職員を充てまして、当時いわれたような非難の事実が誤解でも生まれないようにというような配慮をしておる次第でございます。
それから第四点につきましては、納税者には意識して脱税をはかるような者があるかもしれない、これらについては、きびしい態度で臨むことはやむを得ないが、その他の
一般の納税者につきましては、寛容の立場においてものごとを判断するようにと、こういう御
指摘があったわけでございますが、この点についても、運営方針その他によりまして明確に厳格に、脱税をはかる者については厳格な体制でもってこれを処理する。
一般的な場合には寛大な
措置——というのはいろいろ誤解を招くかもしれませんが、十分相手の立場に立って真実を見、それに伴う法律
関係の適用を十分考慮して処理するという立場でもって現在処理しておるつもりでございます。幸い、これは時間があれば、あるいは後ほど御質問があれば、具体的な
計数等でも御
説明したいと思いますが、四十一年を一つのピークにいたしまして、その後漸次不服申し立て事案がかなり顕著な形で減っておるという事実が
統計上発見されるわけでございます。これはわれわれのてまえがってな解釈かもしれませんけれ
ども、急激にここ三、四年の間に事案の発生が減っておるということは、まず、不服事案が発生してからの姿勢よりは、むしろ第一
段階の行政の現実の問題として、真実の発見あるいは法の適用を適正にするということにつとめることのほうが最も不服救済の制度に対する大事な点であろうかということで、第一
段階の前処分の
段階で十分の考慮を払っておるという結果ではなかろうかというふうにわれわれは見ておるわけでございます。
若干
説明不足の点もあろうかと思いますが、以上四つの附帯決議事項につきまして御
説明を申し上げた次第でございます。