○黒柳明君 もういま官房長がおっしゃったとおりだと思います。食糧庁、そして運輸省の自動車局、これ
指摘したことがあるわけですけれども、食糧庁、自動車局は完ぺきになっている、運輸省ですね。ところが、いま言った十二省六庁の中では、
一つの局、
一つの庁が
指摘されたことは大体各省庁も同じではなかろうか。ある人が、十二省六庁、どれが悪いかと言われると困るけれども、いいのはどこかと言われたら答えられる。法務省なんかきちっとしている。文部省もきちっとしている。まあ、私もたまにはいいところをあげませんと、にくまれ役ばかりになっていますと――そういうことであります。ですから、悪いほうに入っているんですね、
農林省、残念ながら。ということは、私が冒頭に申しました四千数百、これを
一つ一つ調べる労力というのはたいへんなもんなんです。ところが、これが十二省六庁の各局各課になりますと、ほんとうにわずかの数なんですよ。極端に言えば一枚です。いま言いましたように、沖繩・北方対策庁では
一つしかないんですね。と同じように、各局各課に行きますと、このコントロールしなきゃならない公益法人というのは
一つのところがあるんです。二つのところもあるんです。ですから、それがいやしくも収支
決算に脱落があると、こういうようなものをひょっと目を通せばわからないわけはない。わからないということは、わかろうとする気がない。わかろうとする気がないということは、やはり総理
大臣の意向というものをどれだけ各省庁が真剣に受けて、そして行管に書類を
提出したか――それじゃありませんと、この基礎書類がきちっとしてないと、幾ら行管で調べましても――一生懸命、数少ない中で増員をしてやっているらしゅうございます、たいへんらしい――調べたって、基礎材料というものがだめなんですから、そのだめな基礎材料で幾ら行管が調べたところで、正確な調査はできないんではなかろうか、私たちそう思います、残念ながら。私たちも四千三百、いま調べつつありますけれども、なかなかたいへん。そういうことを踏まえて、具体的にそれじゃ私たちの調査によると、どういう
農林省の公益法人に対する不備が出てきたかということに触れてみたいと思います。これは従来言われてきた、まあ失礼なことばですけれども、天下りということばを使われておりますので、そう言いたいと思いますけれども、このことが非常に問題の
一つの大きな原因になるわけであります。
農林省の場合には、御存じのように、公益法人の――すみません、ちょっと
大臣、長くなるかと思いますが、お聞きいただきまして、総括的に御答弁いただきたいと思いますが、公益法人の数は三百九十、これはもうよろしいと思います。その中で休眠が二十六、これは
農林省の二十四、行管の二十六と、
農林省がまだ二つつかんでないんではなかろうかと、こう思いますけれども、三百九十の中で、いわゆる天下り法
人数が二百二十七、天下り役員数、これはお役人が有給の役員として公益法人に天下っている数、二百四十五名、補助金または委託費を受けた法人の数が百八、四十四年度のその総額が二十六億六千四百九十一万六千円と、こういう
農林省の総括的な数字であります。これはもうお調べいただければ、このとおりになっているかと思いますが、あるいはこういうことまで三百九十、一々集計はしていらっしゃらないんではなかろうかと、こう思いますが、こういう総体的な数字を踏まえまして、どういう点が不備なのか、そのまず第一に、いわゆるお役人が天下って高給をもらうということは、たびたび
指摘されております。そうして、そこに補助金、委託費をもらって乱脈な使い方をする。これもある
程度指摘されております。さらにもう
一つここで
指摘したいのは出版物の
関係、これはある人が言ったことばであります。私もその人の話を聞いて、ああうまいことを言うなと、こう思ったのです。これは
国民の税金のたらい回しだと言った人がある。どういうことかと私
質問した。その人いわく、いわゆる高級官僚が定年になって、それ
相当の退職金ももらった、民間だったらこれでもう一応限度です。ところが、その先四千数百の公益法人に天下る。
農林省の三百九十の公益法人に天下って、さらに前職よりも上回った給料を取る。その給料を取っておるお役人がいるところには、これは先輩、後輩のなれ合いで補助金、委託費がつく。しかも、そこでもう
一つ指摘したいのは、その公益法人が出版物を出しておる。けっこうです、内容がよければ、しっかりしたものであるならば。ところが、その出版物の内容まではさておきまして、公益法人でつくられておる出版物、それが全部
農林省関係でまた買い上げられている。
国民の税金です。そうすると、すべて
国民の税金というものが
農林省のお役人をぐるぐる回っておるだけじゃないかと、私はそういう意見を聞きまして、なるほどその人の言うとおりだ、こういうように思いました。しかも、この出版物は内容が悪いものもあります。林野庁のごときは、林野庁で原稿を全部集めて、そうして出版して、みずからが過半数を買い上げる。また、
関係の課の役人が全部執筆する。悪いことばかもわかりませんが、アルバイト料をかせいでいる、こういう
関係がある。具体的に
指摘します。たとえば、いま言いましたように三百九十あります。いいところもありますよ。りっぱにやっておるところも中にはあるかと思います。私はここでりっぱにやっておると言う責任も義務もありません。悪いところだけ
指摘しますので、全部が悪いところだけじゃないということも私もつけ加えておきますけれども、
相当悪いところもある。たとえば農政調査
委員会、これは天下りの例としては、元水産庁長官大
和田さんが三十八万円、そうして補助金が三千七百四十三万九千円――この補助金の内容は
あとで触れます。そうして、いま言った出版物、どういうものがあるかというと、「のびゆく農業」というものを出しておるのです。月二回です。部数は三千、単価は百円、その三五%を
農林省関係で買い上げております。ですから、
計算しますと、年間で二百五十二万円、この農政調査
委員会という公益法人から「のびゆく農業」というものを
農林省関係で買い上げておる。もう
一つ出しております「
日本の農業、」これは二カ月で一回、隔月刊、部数は二千部、単価は四百円、五〇%同じく
農林省関係で買い上げておる。年間にすると二百四十万円。さらにもっとこの出版物
関係だけでひどいのは、
中央畜産会というものがあります。ここには東海農政局の元次長さんが二十三万円もらって、以下六名天下りの役員がありまして、月刊「
畜産コンサルタント」というものを出しております。一万五千部、単価は百五十円、買い上げ率は八割であります。年間にすると二千百六十万円、こういうことなんですね。また、農林
統計協会なんというものもあります。これは年間六百八十万円と二百十万円、こういう多額のお金で公益法人のそういう書物を買うのが、どこに必要があるか。たとえば、これはいまの例じゃありませんけれども、「林業新知識」というのがあります。私、専門家に見てもらいました。これも買い上げております。新知識なんか何も出ていないというわけですよ。グラビアですよ。こういったたぐいです、出版物にすれば。何にも新知識じゃありゃしない。いまのは、お役人が天下って補助金を多額にもらって、それで出版物を出して、それが全部本省
関係で買い上げられて――本省を含む
農林省関係と言っていいですね。そういう経費であります。さらに、お役人は天下ってなくても、補助金はあまり出てなくても、同じような例は、瑞穂協会、「食糧管理月報」、月刊です。一万五千部、単価八十五円、これはほとんど
農林省関係で買い上げる。
地方の食糧事務所、営林署
関係であります。それから全国林業改良普及協会、「林業新知識」これです、いま言った。それから「現代林業」、これは全部林野庁で原稿を集めるというのですよ、それで編集するというのですよ。それで、それを買い上げるだけだというのです。ほとんど全部です、これも。はたしてこういうことをやる必要があるのか。もっとひどいのがありますよ、出版物
関係。これは通達です。次官通達を公益法人に印刷させている省庁がある。全部これ買い上げている。そうなりますと、何のためにこの公益法人をつくったのか。出版物をつくらして、しかもその出版物を買い上げるための公益法人。また、この
あとで補助金とか人件費とかの問題をいろいろ
指摘したいと思いますけれども、そういうものであっていいんであろうか。当然うまくなかろうと思う。私はさらに
一つ一つ、たとえばお調べいただけばわかりますけれども、ほとんどじゃない、全部が
農林省関係のお役人の方が執筆して、まあ先ほど言いましたように、失礼なことばでありますが、アルバイトとしてやっているような本もあるのです。ここにずっと
指摘してあります。その課長はだれで、その課はどこであるかということはわかりますけれども、あまりここに深くは言いたくありません。こういう
状態であるということを十二分に……。通達を何も公益法人に刷らして一〇〇%買い上げる必要がどこにあるのか。こういう出版物
関係を含めての要するに不備、これでは、たとえその補助金の使い方が悪くないとしても、百歩譲ってそこまでいってないとしてもおかしいじゃないかと、こういうことはもう肯定できる事実ではなかろうか、こう思います。いわゆる天下って、高給をとって、補助金をつけて、この次、補助金のことを言いますけれども、補助金を持ってきて何をやっているのか、出版をやっている。それをどこに売るのか、政府が買い上げるだけ。こういう例であります。
その次は、まあこれは持参金につきの法人、渡り鳥の法人、こういうことでありまして、これも私が考えたのではないのです。やはり外部の人に考えていただいて、うまいことば使ったと思います。持参金つき法人とはどういうことかというと、これも失礼ですが、一、二を
指摘して、具体的にあげたほうがわかるかと思います。何もここだけがそうだという
意味ではありません。たとえば、
日本冷凍食品協会、設立が四十四年七月一日であります。
国庫の補助が四十四年度一千五百万、ここには食糧庁の元総務部長が行っているわけです。食糧庁をやめたのは四十年四月で、すぐ四十年五月から四十四年六月まで
日本学校給食会の
理事に天下っております、文部省
関係ですね。そして、四十七年からこの
日本冷凍食品協会をつくって、天下って千五百万の補助金をとっている、こういう例があります。残留農薬研究所しかり、食品産業センターしかり、四十五年四月設立、四十五年八月設立。天下っている人は元農薬検査所長、元蚕糸
局長、その人たちが必ず中間に、
農林省からストレートじゃなくて、たとえば堀さんの場合には、
日本植物防疫協会の
理事長、ここに行って、そして、またこの残留農薬研究所に来ている。この人兼任ですね。片方は十五万もらって、片方では八万三千もらっている、こういうことであります。要するに、一人のお役人さん、
農林省の高級官僚が
一つの公益法人に行って、またその次の公益法人に行く。そして、設立と同時に補助金をつけている。こういう例、これは非常にやっぱりいろんな疑惑が持たれるのではなかろうか。いま言ったような冒頭の例もそれに当たるわけですけれども、さらに補助金と事業費のアンバランス、補助金というのは、一〇〇%補助という場合もあります。しかしながら、ある
一定の事業をやるため何割かを補助するというのが、補助金の性格であるかと思いますけれども、そういうのを見まして、これはもう羅列すると切りがありません。一〇〇%なんというのはほとんどありません。その補助金と事業費との内容のアンバランスを見ますと、たとえば、先ほど申しました農政調査
委員会では、事業費が四十四年度二千二百万、補助金が三千七百万。農林水産航空協会、事業費が九千九百万、補助が一億一千百万。農業改良
資金協会、事業費が五千五百万、補助が七千五百万等々、これも
指摘すれば切りがありません。
それから、事業費と人件費のアンバランス。これも、
農林省のほうでは、あんまり事業費、人件費が出るところ、そういう法人はちょっと問題であろう、こういう意見も出しているようでありますけれども、たとえば、
日本食肉市場卸売協会というのは、事業費が一千八百万、人件費が七千万。
中央農業拓植基金協会、事業費が四万六千、人件費が五百六十二万七千等々であります。事業費が一千万あるいは四万、それにもかかわらず、その何倍、何十倍の人件費を使っている。こういうことも、これは天下りによる人件費のための協会ではなかろうかと、こういうことも非常に大きな疑惑が出てくるわけであります。さらに、収入と比較して人件費が多い、こういう問題も出てきます。
一番最後に、これは一応ここにつくった表での最後ですけれども、いわゆる高給、最高三十八万――二十五万までのワースト・トゥエンティというのを一覧にしましたけれども、
あとで
農林大臣ごらんいただければ――また、この
あとずっと続きます。フィフティあたりまでとろうと思ったんですけれども、あんまり多くて
委員会の席上まで間に合いません。二十傑だけを並べてみました。二十五万となりますと、
相当な現職の現
農林省関係では長いおつとめ、あるいは
相当最高級な人ではなかろうかと、こう思います。さらに――すみません、二時まで
あと二分三十秒あります――一、二具体的に
指摘すれば、こういう事実もあるわけです。農政調査
委員会、これがちょっと全体的にはワースト・ナンバーワンみたいなんですけれども、どうかといいますと、これは
国庫補助金で、この法人まるがかえというケースですよ。たとえば、人事の面で――すみません、人事でどうしても
指摘しなければなりません。元農林事務次官東畑さん、その次は元水産庁長官久宗さん、その次は元水産庁長官大
和田さん、この人たちが代々のここの
理事長であります。
理事長は、そういう大物のポストになっているわけでありますね。事務
局長の給料が三十八万、これは最高です。しかも、この人件費と事業費のアンバランス、一千八百万の人件費で、事業費がわずかに一千万、こういうアンバランスです。もう明らかにこれは
農林省のトップクラスのための、失礼ですけれども天下りの
委員会ではなかろうか。しかも、さっき
指摘しました出版物、どんどん出して、どんどんここから買っております。こういうことを見ますと、私は何も、すなおな
気持ちでいたいのですけれども、それでも、なおかつ非常に何か邪推が起こらざるを得ない。
国庫まるがかえではなかろうか、こういうふうな気がします。もっと、これは研究次第で――これは次にもっと詳しく調べようかと思いますけれども、残留農薬の問題で問題があります。たびたび国会でも
指摘されました、農薬は危険だと。母乳から農薬が出た、非常にうまくない。それで残留農薬研究所というものを設立したい、こういうことであります。四十五年には一億、四十六年には一億五千万、計二億五千万の国費が支出されております。まだ完成されておりません。しかも、並行して民間のメーカーからやっぱり
資金が出ているのです。これは民間のメーカーの名前は差し控えさしていただきたいと思いますけれども、全部で五億に上がる
資金が出ている。
農林省に言わせると、
国庫の経費の軽減だと、こういうんです。ところが、実際にこの設立の
目的というのは、
農林省の農薬検査所では農薬を十二分に検査する能力がない。そこで、つくろうとしているのがこの残留農薬研究所だ。そういうところであるならば、よっぽど権威がある研究所にしなければならない。ところが、単に
国庫の経費の軽減だということで、この民間の
資金を多量に入れ、しかも、民間の製薬会社の事業部長、あるいは社長、農薬部長をこの役員に入れる。そうなりますと、これができた時点において、はたしてこのおそろしい農薬の公平な検査というものができるのかどうかという疑惑があるのです。いまの時期に何もこの
資金がないから民間の
資金を入れる。これは公益法人の性格として、全部政府がめんどう見なくてもいいかと思いますよ。しかしながら、ここに一流製薬会社のそうそうたるメンバーが役員で入っている。ここで農薬が有毒か無毒か検査される。そうなったら、非常にこれは不安な結果が出るんではなかろうか。まだまだこれが全部完成したわけじゃありません。しかしながら、もう完成の
方向にいっております。これはもうくずすことができないんではないかと思いますが、もっともっと
国民から信頼ができ、期待ができるような研究機関として、疑惑を与えないような、除くようなものをつくらなければならないんではなかろうか。まあ、こういうことを
指摘したらたいへんなことであります。
一つ一つ一つ一つ、こういうことであります。きょうは
農林省単独の審議であります。また、総理
大臣が指示を出したその公益法人の問題であります。各
大臣ずらっとおそろいのところで、また、長官を中心にしまして、各省庁
一つ一つ行管で調査していらっしゃる。各省庁でも調査していらっしゃる。私たちもこういう
国民の疑惑を起こさないように、また、一銭たりとも税金のむだ使いをなくさなければならないという献身的な立場から、是は是、非は非として、私たち調査もし、さらに、四千数百にわたって徹底的に総点検をして、この非を
指摘しますので、前向きで急速にこの処理方といいますか、調査していただきたいと、こう思います。まあ、これは後日の問題であります。
大臣、いま種々述べました。ほんとうは、これは
一つ一つについて御答弁いただければいいんだと思いますが、あるいは御存じでない事実もあるかと思います。こういうことは、前もあるいは若干似たような事実も
指摘されたと思います。私はこういう類型的に、大ワク的に、いわゆるいま
指摘したケースというのは、天下りプラス補助金プラス書籍の買い上げという公益法人グループ、それから持参金つき公益法人、しかも渡り鳥の天下りという公益法人のグループ、補助金と事業費のアンバランスというグループ、事業費と人件費のアンバランスというグループ、それから収入に比較して人件費が非常に多いというグループ、こういう点だけをただいまの段階では
指摘をして、それで、これについても十二分に調査をし、善処していただきたい、こう思いますけれども、総括的なことで一方的な発言でありますが、
農林大臣お聞きになって所感はいかがでございましょう。