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1971-09-29 第66回国会 参議院 決算委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年九月二十九日(水曜日)    午前十時六分開会     ―――――――――――――    委員異動  九月二十九日     辞任         補欠選任      佐藤  隆君     片山 正英君      高田 浩運君     上原 正吉君     茜ヶ久保重光君     和田 静夫君     ――――――――――――― 出席者は左のとおり。     委員長         足鹿  覺君     理 事                 鈴木 省吾君                 渡辺一太郎君                 和田 静夫君                 中尾 辰義君                 渡辺  武君     委 員                 片山 正英君                 佐田 一郎君                 中村喜四郎君                 大橋 和孝君                 小谷  守君                 佐々木静子君                 西村 関一君                 森中 守義君                 黒柳  明君    国務大臣        農 林 大 臣  赤城 宗徳君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        内閣法制局第二        部長       林  信一君        行政管理庁行政        監察局長     浅古  迪君        環境庁長官官房        長        城戸 謙次君        環境庁企画調整        局企画調整課長  岩田 幸基君        環境庁水質保全        局長       岡安  誠君        農林政務次官   佐藤  隆君        農林大臣官房長  中野 和仁君        農林省農林経済        局長       小暮 光美君        農林省農林経済        局企業流通部企        業振興課長    関   守君        農林省農政局長  内村 良英君        農林省農地局長  三善 信二君        農林省畜産局長  増田  久君        食糧庁次長    中村健次郎君        林野庁長官    松本 守雄君        会計検査院事務        総局第四局長   田中  稔君    参考人        日本中央競馬会        副理事長     酒折 武弘君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠選任の件 ○昭和四十四年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十四年度特別会計歳入歳出決算昭和四十四年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十四  年度政府関係機関決算書(第六十五回国会内閣  提出) ○昭和四十四年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第六十五回国会内閣提出) ○昭和四十四年度国有財産無償貸付状況計算書  (第六十五回国会内閣提出)     ―――――――――――――
  2. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、茜ヶ久保重光君、佐藤隆君及び高田浩運君が委員辞任され、その補欠として和田静夫君、片山正英君及び上原正吉君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 次に、理事辞任についておはかりいたします。  大橋和孝君から文書をもって都合により理事辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事和田静夫君を指名いたします。     ―――――――――――――
  6. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 昭和四十四年度決算外二件を議題といたします。  本日は、農林省とそれに関係する農林漁業金融公庫決算につき審査を行ないます。  この際、おはかりいたします。議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それでは、これより質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 大橋和孝

    大橋和孝君 私は、近年競馬が非常に過熱というほどに隆盛をきわめてまいりまして、言うならば、民間に競馬のことを言わなければ常識がないように言われるほど非常な過熱状態に達しておると思うわけでありますが、その反面、この健全な面が追及されていないので、むしろ現在の状態では競馬運営そのもの健全性をもっと取り戻すべきではないかというふうなことも考えられますので、そうした意味できょうは、特殊法人として農林省管轄下にある日本中央競馬会、これにつきまして二、三質問をしてみたいと思うわけであります。  まず第一番目に、農林省のほうから、いま中央競馬会で行なっておられるところの競馬沿革、それから業務について、私は私なりにちょっといろいろと調べてみましたが、簡単に農林省側から運営についての御説明をいただいて、その上からひとつ質問をしてみたいと思うのです。
  9. 増田久

    説明員増田久君) 現在、先生十分御存じかと存じますが、競馬体系といたしましては、中央競馬会、それから地方競馬というものと、二つの体系で行なわれているわけでございます。そうして、競馬目的といたしましては、一つには健全な娯楽の提供、それから畜産振興、第三に財政への寄与、こういうことで運営をされているわけでございます。これまでになります経過におきまして、先生承知のとおり、日本競馬沿革が他の国と若干異なっておりまして、軍馬との結びつきにおいて日本競馬というものが行なわれてきておったわけでございますが、敗戦と同時にいわゆる国家管理による国家競馬という形で行なってまいったわけでございますが、昭和二十八年から現在の中央地方体系になっているわけでございます。先ほど先生もおっしゃいましたとおり、現在競馬というものが異常なまでのブーム状態を現出しておるわけでございますが、それが一体那辺に原因するのか、一つには、所得の向上ということもございまして、それから当面社会資本が全体としておくれているということから、一般国民競馬になだれ込んでくる、こういうふうな状態があろうかと思いますが、どちらにいたしましても、現在競馬公害といわれるほどいろいろの問題が現実に出てきてまいっております。そういう意味で、いわゆる競馬公害をいかにしてなくし、健全な大衆娯楽としてどう競馬を定着させるかというのが今後の競馬行政一つの基本的な課題であろう。そういうことにつきまして、いろいろの施設の面から、運営の面から、中央競馬会と一体となりましていろいろやっておりますけれども、現実に申し上げて、まだ十分その成果をあげていない。そのためにいろいろと外部から批判を受けている、こういうのが実態でございます。
  10. 大橋和孝

    大橋和孝君 まず第一番目に、ちょっと大臣に伺っておきたいと思いますが、いまちょっと局長から説明がありましたように、異常なほどのこういう状態になっているわけでありますが、大臣はやはりこの競馬会競馬状態を見ておられまして、いま局長がちょっと触れましたけれども、このようないまの状態では、競馬法というものが施行されて、いままでの運営の中で、やはり異常に国民に親しまれておる、大衆化したと言えば言えるわけでありますけれども、いまのままの状態では少し考え直さなきゃならぬ時期じゃないかと思うのでありますが、競馬全体をながめてみて、農林大臣としてはどんなふうな抱負あるいは考え方をお持ちになっておるか、一番初めに伺っておきたい。
  11. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) ただいま畜産局長から競馬あり方につきましても以前と違ってきておるというふうに、現状においては非常に、御指摘のように、違ってきておる。こういう事情を十分踏まえまして、競馬あり方あるいは競馬環境等につきましても、御意見のような方向に再検討といいますか、検討する時期にきておる、こういうふうに考えております。
  12. 大橋和孝

    大橋和孝君 大臣からそうしたお気持ちを聞いて、私も非常に意を強くするわけであります。きょうは特にそうした意味でいろいろ二、三質問してみたいと思うわけであります。  それじゃ、私ちょっと農林省のほうにお伺いしたいわけでありますが、三十九年には国庫納付金が七十四億円程度だったわけでありますが、昭和四十五年には五百四十億円にもなって、七年間に七倍強になっているわけです。ものすごい伸び率を示しておると思うわけでありますが、これは売り上げ金額からいえば、何とこれの十倍以上になるのではないかと思いますが、この畜産振興という目的競馬が行なわれて許可されているわけでありますが、そういう観点から申しますと、非常に大きな伸び状態にあるわけでありますが、国庫納付金なり、あるいはまた中央競馬会などでどのようにこれを使っておられるのか、過去四、五年間の実績を示していただきたい、こういうふうに思うわけです。
  13. 増田久

    説明員増田久君) 御承知のように、競馬の全体の売り上げのうち七五%はファンに返します。それで一〇%は国庫に納付するということで、競馬運営といたしまして全体の一五%が中央競馬会運営費として充てられているわけでございますが、最後に全体の事業運営をいたしまして剰余金が出ますれば、いわゆる第二国庫納付金といたしましてその余った金の二分の一をさらに国庫に納める、こういう形に相なっておるわけでございまして、先ほど先生のおっしゃいました五百四十億という金額は第一納付金と第二納付金金額の合計に当たるわけでございます。したがいまして、中央競馬会といたしましては、その残りました約一二・五%になるかと思いますが、その範囲内で競馬運営に当たっているわけでございます。そのうちの全体の六%相当額がいわゆる賞金に相なっているわけでございまして、その他の残りで実際の競馬運営に当たっている、こういうのが実態でございます。
  14. 大橋和孝

    大橋和孝君 それをその四、五年間について逐次ちょっと説明をしてもらいたい。時間がかかるならば、私も持ち時間が少ないから資料で報告してもらってもいいのですが、四、五年間についてのどういう実績になっておるか。いまのあなたのお答えでは、五百四十億円は込みの金額であると言われておる。そうであるならば、運営費にどう使って、どれにどう使ったか、明細にひとつお聞かせいただきたい。
  15. 増田久

    説明員増田久君) 手元に詳しい資料を実は持ってまいっておりませんので、これはお許し得ますればあとで詳しい資料をお出ししたいと思います。
  16. 大橋和孝

    大橋和孝君 それでは、この入場人員についてでございますが、百六十九万、これが昭和二十九年でそのくらいになっておりますが、昭和四十五年では千二百二十三万というふうな大きな伸び率を示しているわけであります。この面で見ますと大衆化していると一応言えるかもしらぬけれども、健全化という面では非常にまだまだの配慮が要るのではないかと、こういうふうに思うわけでありますが、場内馬券を売る場合と場外で売る場合とあるわけでありますが、場外馬券を認める理由はどこにあるのか。あるいは、場外馬券はどれくらい人数が売れて、また場内ではどれほど売れているのか。それからまた、その考え方ですね、どういうわけで場外馬券を売るのか。それからまた、外国では場外馬券がないはずでありますが、外国ではどうなっておるか、こういうことについてもひとつ聞かせておいていただきたい。
  17. 増田久

    説明員増田久君) 場外馬券をなぜ認めたかということでございますが、これは発足の当時から、いわゆるのみ行為というものが相当ばっこするであろう、それを吸収、防止する、こういう目的で現在十四カ所設けられているわけでございます。  御質問場外馬券入場人員につきましては、残念ながら統計がつかまっておりません。どれくらい入ったかというのは、しょっちゅう流れているものでございますので統計がつかめていないという実態でございますが、大体売り上げ高競馬の四五%から五〇%程度場外に依存しているというのが実態でございます。これは四十年から、大体過去からそういう傾向がございます。  なお、外国におきまして場外はないというわけではございませんで、実は外国におきましてはもっと場外というものが普及いたしております。日本のような特定の場所もございますけれども、たとえば喫茶店だとか、たばこ屋であるとか、そういうところにおきましても馬券を容易に買い得るというシステムがヨーロッパでは一般化しているのが現状でございます。
  18. 大橋和孝

    大橋和孝君 私ちょっと調べたところでは外国ではあまり場外はやっていないと聞いたからそういうふうに申したのですが、いま局長から聞けばむしろ場外で売るほうが多いんだということですね。で、これは大臣にちょっと伺いますけれども、この賭博性をやめるためには、ただ何といいますか、のみ行為なんかをやめさせる意味場外馬券を売ったとおっしゃっておるのですが、そういうふうな考え方よりは、むしろ私はもう少し縮めていくほうがそういうことがなくなるんじゃないかというふうに考えて実は伺ったのですが、大臣あたりもやはり考え方はそういうことで、もっと広く場外を普及するほうがいいとお思いなんですか、どうなんですか、その点ちょっと大臣のお気持ちを聞いておきたい。
  19. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) いまののみ行為というようなことから場外馬券という制度といいますか、こともできておると思っております。また、場内も混み合うといいますか、そういうこともあるので、場外売り場をつくったということもあると思います。あるいはまた、一日あるいは相当の時間場内に入るよりも簡易に馬券を買えると、こういうようなこと、いろいろな要素から場外馬券売り場、こういうものもできておると思います。これにつきましても、場外馬券売り場等でも、問題なども、暴動的なことなども相当あります。いろいろ弊害もなきにしもあらずでございます。こういう点は、さらに事態を見て検討していきたいと、こう思っております。
  20. 大橋和孝

    大橋和孝君 私は、最近の傾向から申しますと、場外でやり始めるために非常にポピュラーにはなるかもしれませんけれども、非常に競馬熱過熱化させているという傾向にいくように思うわけであります。しかし、それも、ルールにのっとっていくのも一つ方法ですから、先ほど局長の言われた見方も考えられると思いますが、現在では、人数からいいましても、売り上げ高から申しましても、非常に大きな伸び率を示しております。ですから、私は、そういう段階、現状に戻って考えると、いま京都では、京都競馬場にあった馬を栗東に集めて、トレーニング・センターをこしらえて、そうして京都競馬場はいわゆる競争のときだけに使うというような形に合理化されたんだろうと私は思うのでありますが、こういうようなことに大きな資本を投入してやられておりますが、まず一番目に、じゃ今度の計画で、栗東ではどれくらいの予算で、いままでどういうふうな形でそれが逐年使われて、今後どういうふうになるのか、それからまた、京都競馬場を修理するためにどれくらい資本が投下されておるのか、その資金はどういうふうになっているのか、それをちょっとお伺いしたい。
  21. 増田久

    説明員増田久君) 栗東に要しました金額は、全体で百二十五億五千万円でございます。それをこまかく申し上げますれば、土地買収費が六億七千万、土木関係が三十億、それから建設工事関係が七十六億、それからその他設備なり造園関係が十二億、こういう関係に相なっておるわけでございまして、この金は、競馬会売り上げ金の中から、設備費として、毎年、四十年から五年間にわたりましてそれぞれ計上して出してまいる、こういうことでございます。  それで、現在、栗東あと地計画といたしましては、やはり競馬開催のために最小限の必要な馬房が要るわけでございます。で、全体の敷地として十二万七千平方メートルあと地があったわけでございます。その最小必要限度馬房数というものが三百五十二房ということで、これに四万七千平方メートル、それからスタンド三万二千平方メートル、こういうことで約八万ばかりがスタンド馬房に使われるわけでございますが、残りました五万平方メートルにつきましては、乗馬施設に一万三千五百平方メートル、それから一般の市民のレクリエーションといたしまして、野球場に八千六百平方メートル、それから芝生公園というものをその中につくろう、そういうことで、それに八千三百平方メートル、それから児童遊園地をつくろうということで、これが一万平方メートル、こういうことでございまして、その他専用道路の拡幅ということに七千六百平方メートル、こういうことで現在計画を進めておるわけでございます。
  22. 大橋和孝

    大橋和孝君 私は、いまこれもちょっと調べて、相当の巨額な資金が投入されてりっぱなものができる、それに対しては私は非常にけっこうだと思います。また、その間の問題については、これはまた後日にちょっと質問を譲りまして、きょうは、まず中心的な問題について、ここに大臣もおいでになっておりますし、あるいは中央競馬会のほうからも副理事長がおいで願っておりますので、ひとつそこらのものも含めてお伺いしたいわけでありますが、このようにして栗東なりあるいはまた京都競馬場に対して大々的な設備の改善が行なわれた。先ほど一番初めに申し上げましたように、こういう原点では、ひとつ健全な方向競馬運営を持っていくためにもう少し配慮をされるべきじゃないか、これに対して私は特に大きく配慮を願いたいという気持ちからいま質問しているわけでありますが、少なくとも、こうした京都競馬場をまず第一に見てみますならば、非常にたくさんな車が入りまして、そしてあの周辺では、車公害と申しますか、非常にもう動きのとれないような車の数であります。それを見越されまして、車を駐車する場所を考えて、駐車場がつくられています。ですけれども、車がたくさん入る場所はつくられたが、出入り口は一本に出てくるわけでございますから、とにかく競馬が行なわれる日は、一般の人は国道に出ることならぬと、出たなら車はとても動かないから出ないと、こういうことをやはり大衆に向かってやる場合には、あそこを健全化さしていこうという立場から、まず第一に車の公害をなくすためにもう少し配慮があってしかるべきじゃなかろうか。ちょっと遠くにつくれば、車はとまってくれません。私はもっともっと、万博なんかでもありましたように、車の置き場が一定のところにあって、バスならバスでその乗客を移動させてもいいわけですね。ですから、もう少しあと地は、国道バイパスもできてきます、あるいは、旧街道のあそこにだけしか出入り口がないわけでありますから、もう国道に出たらたいへんだということで、競馬のある日は、みんなが国道に出ないという状態になって、非常に迷惑をかけているわけですね。ですから、私は、ここらをやるときには、もう少し金をかけて、もう国道バイパスもできてくるわけですから、淀川を越えて向こう側駐車場をこしらえるくらいの考え方があってもしかるべきではないか。それで、車が出入りするときにも、その国道沿いに自由にできるような形にしなければ、何ぼりっぱな駐車場をつくりましても、迷惑は同じようにこうむっていくんではないか、これが第一点であります。  それからまた、私は、これほどの売り上げから、あるいはまた、大ぜいの大衆に楽しまれるというならば、ここへ来るところに、もう少し、私は、公園なり、あるいは運動場をつくるなり、こういう場所に、あそこに適当であるかどうか考え問題でありますけれども、その周辺にやはり公園、緑地、あるいはまたサイクリング場、あるいはまた運動場、こういうようなものを提供して、また、その健全な娯楽、あるいはまた運動の面にも利用できるような、こういう競馬場の配置を考えたら私はどうだろうかと思うんであります。ことに京都競馬場におきましては、隣に京都じんあい焼却場がある。それを埋め立てたところには公園なり運動場ができているわけですね。全然それでも足らないわけですね。ですから、私は、その隣接地に、あるいはまた淀川を越えて向こう側にももう少し用地を買収して、そこには、公園、あるいはまた、いま言っているようなサイクリング場、あるいはテニスだとか、あらゆる運動場をこしらえて、これが競馬と一緒になって経営していくということになれば、私は大衆化するという意味において非常に意味深いことではないかと思いますが、それでは京都に十分ほかにあるではないかということは言えないわけでありまして、南のほうには、ニュータウンとして、第二のベッドタウンとしてこれから人口もふえていこうとしておるわけですから、私は、先行投資としてそういうことをやられる、これは競馬会独自でやられる――競馬会だけでやれないならば、地方自治体、国も援助してもいいと思うんであります。とにかく、そういうふうにして、競馬はばくち場だということだけでなくして、やはり健全な娯楽場でもあるという一つの半面をやるためには、いまごろ、これをやるためには、当然これをやってもらわなければならぬので、いま工事を進めつつあるところでありますからして、タイミングもいいと思うわけですから、これに対して、大臣のお考え方、あるいは競馬会のほうのお考え方について、一言述べていただきたい。
  23. 増田久

    説明員増田久君) ちょっと私のほうから御説明させていただきたいと思いますが、先生の御質問に二つあったと思います。競馬公害あるいは交通公害の問題と公園の問題と二つあったと思うんであります。  最初のほうの交通公害の問題、これは確かにおっしゃるとおりでありまして、競馬公害の中で最初にまず考えなければならない問題はこの問題、これをどのように防ぐかということにわれわれもいろいろ苦心をいたしておるわけでございます。駐車場をできるだけ設ける、こういうようなこともやっているわけでございますが、また、先生のおっしゃったようなことも非常に有効な方法であろうと思うわけでございますが、ただ万博の場合とちょっと違いますのは、行くときはばらばらでいいわけですが、帰るときにはお客さんが一度に出てくる、そうするとバスに乗れないというような問題が出てしまいまして、帰りの送りがたいへんだということで、なかなかこれがむずかしいという問題が実はあるわけでございます。そういう意味で、そういうこともやはり考え、それにバイパスをつけてやるとか、あるいは、これは私どもでいま研究課題にしておるわけでございますが、たとえば、競馬開催日には、一定の区域を限りまして、もうそこの住民以外は一切車を入れさせない、駐車もさせない、それで住民の車にはステッカーを張りまして、もうそれ以外のものは一切そこには当日は入れない、こういうようなことを一方にやりながら、そういう方法を両方とっていくというようなことを併用すればある程度いけるのではないか、それにバイパスの道もやればいけるのではないかというようなこともいま鋭意検討しているわけでございまして、これは御指摘のとおり競馬公害最初にして最大の問題でありますので、これをひとつ前向きで検討さしていただきたいと思っております。  それからあとの、京都競馬場の焼却炉との間の緑地の問題、公園化の問題でございますが、これも御指摘のとおり非常に有効な方法ではなかろうかということで、検討に値するものと思っておりますけれども、ただ率直に申し上げまして、競馬会というものの性格、業務の内容と申しましょうか、そういうものは、非常に特殊な法人でございますので、われわれとしては業務の範囲というものをできるだけ制限的に考えざるを得ない。それで、何かこう、へたにそういうことをやりますと、また別のほうからの非難もあり得ることでございますので、われわれとしてはそういう点を非常に制限的に考えているわけでございます。そういうことで、先生のおっしゃったことがいま競馬会で直ちにやれるかどうかという点に法律的にも問題ございますけれども、さしあたり、たとえば市でやっていただいて、それに競馬会が応分の協力をするというやり方ならば、いま直ちにもできるのではないか。そういうことも含めまして、抜本的に、そういうことが競馬会でやれるかどうかという問題と含めまして、この問題はあわせて検討さしていただきたいと思います。
  24. 大橋和孝

    大橋和孝君 競馬会、どうですか。
  25. 酒折武弘

    参考人(酒折武弘君) ただいま非常に競馬に対する御理解のあるお話を伺いまして、私非常にうれしく思っております。それで、私たち一番考えておりますことは、一つはファンに対するサービスをよくすること、同時にファン以外の方々に対する迷惑を排除する、この二つがわれわれに与えられた使命であろうと、さように考えておるわけでございます。そういう意味におきまして、たとえば交通の混雑緩和といったようなこと、これはもうほんとうに頭の痛い問題でございまして、われわれとしてはできるだけの手を打っているつもりでございますけれども、決して成果はあがっていないと申し上げざるを得ない実情でございまして、何とかこれをひとつ打開したいということで努力している次第でございます。その辺につきまして、正直申し上げまして、何らかの知恵がないかというふうな感じでおる次第でございますので、よろしくお願いいたします。
  26. 大橋和孝

    大橋和孝君 それでは、全国で十三カ所ぐらい国立の競馬場があるように見受けるわけですが、そこのところで、いま現在、馬場に使われておる面積と、観客席に使われている面積、あるいはまた芝生だとか池だとかというふうな公園的なものに使われている面積、このようなことの比率はわかるでしょうか、それをちょっと聞かしていただきたい。
  27. 酒折武弘

    参考人(酒折武弘君) 具体的な数字は、実はただいまそういう数字を持ち合わせておりませんけれども、御承知のとおり、競馬場、いわゆる馬場というのはきわめて少ない面積でございまして、たとえば馬場の内側につきましては、場合によっては運動場とか、あるいは一般のいわゆる乗馬のための馬場とか、そういうふうに使って、あるいはまた場合によってはゴルフ場にもなっておりますけれども、そういうふうにいろんなことで使っておりまして、実際的に競馬そのものに使われている面積はほんとうにわずかであるというのが実情でございまして、われわれといたしましても、競馬開催日以外につきましては、できるだけそういう一般の方々の利用できるような施設にしたいということで、いろいろやっておるわけであります。
  28. 大橋和孝

    大橋和孝君 そういう配慮は実はあるだろうと思うんですが、実際、私は二、三カ所しか競馬場は知らないわけですが、どこを見ましても、やはり十分活用がしにくい状態が多いですね。私は外国あたりはかなりこういうことに対してはやっておられるのじゃないかと思います。私も外国のあれは見たことがないんですが、私がこの間ちょっと聞いてみたら、外国のほうではかなりそういうことに踏み切られているのだという話も聞きました。ですから、私はここらで、栗東並びに京都競馬場あたりでは、いまいらわれているところでありますから、私はここらで少し、もう少し前向きに、いま言うたような、競馬開催日は土曜日、日曜日ぐらいになるわけでありますから、その他のウィークデーには、もっと一般の人が出入りをして、スポーツなり、あるいはまた緑に親しむなり、あるいはまたいろんな子供たちの遊び場なりというものを周辺にこしらえるということが、私はこうした競馬に対するいろんな公害的な考え方から、それを薄める意味においても非常に意味があるし、今後やはり過密都市としては、将来そういう場所があるということは先行投資として私は非常にいいことじゃないかと思います。ことに京都では、今度観覧席もふやされますけれども、また、話を聞いてみれば、馬場もこしらえられると聞いておりますが、もっともっと私は、あの投じられる百何十億という計画の中にも、もう少し別なワクの予算をとって、そうしてあの周辺に、まだまだ、あの辺は家が建ってないところですから、やろうと思えばできる条件にあるところだと思いますね。ですから、最もそういう条件にあるところをいま見送ってしまっては、あの付近にもっともっとこれから――川を越えた向い側にはベッドタウンがあるわけでありますが、また先行投資として、もうあの辺に、川を渡って、川を真ん中にとれば非常にいい風景にもなるわけでありますから、向い側にも少し用地を買収して、そうして非常に広い範囲でやはり公園化すると同時に、またそこを運動場化する、あるいはまた、それで市民全体が、大阪からも近いわけですから、そういうふうな方が全部遊びに来られるような、一つのいわゆるアトモスフェアをこさえて、そうしてその中に競馬場がある。おやじさんは競馬をやるけれども、家族はその付近で十分楽しむ、一家団らんとしていいんだという、これくらいの雰囲気をつくらなければ、競馬はいまこれだけの大きな状態を黙って見ておっていいかどうかということは、国民の側からはたいへんな問題だと思うんですね。あの辺でそういう模範的なものを京都の土地につくってもらうということは、いまにして一番大事なことじゃないか。これに対しては競馬会のほうも――先ほど局長は法律的にもいろんな問題があると言いますけれども、やる気になったらこれはできると思うんですよ。それはやり方は、助成金を打つなり、いろんな手はあろうと思うけれども、とにかくそれをやらなくちゃならぬ。やるというかまえに対しては、相当積極的にやってもらわぬと、また時期を見失ってしまう。あとから、家が建ってから買収なんてこともできませんから、いまが一番いい時期だと私は思うから、きょうはあえて質問をしているわけですから、そういう意味においては、もっともっと積極的な考え方を持ってもらわぬといかぬ、こういうような意味で、私は、ここで農林大臣はひとつ、大きな展望を持ちながら、相当きびしくこれをやるような方向を打ち出していただけぬだろうか、こういうふうに思うわけです。もちろん競馬会も真剣になってもらわなければいかぬと思いますが。もっと、そういう意味でこれを詰めて話をすれば、まだまだほかに、売り上げ金の問題から、あるいはまた賞金の問題から、詰めていけばいろんなことを私はデータを持っておりますけれども、そういうことは別として、こういう時期にそれをひとつぱっと踏み切ってもらうことが、私はこれからの日本競馬というものに対する考え方が、少なくともイメージも変わってくると思うのですが、私はこれに対しては相当前向きな気持ちで臨んでもらいたいという気持ちから質問申し上げているわけですから、ひとつここらのところ決意を聞かしてください。
  29. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) いろいろお話も聞いて、私も感じておるのですが、競馬場の存在意義といいますか、そういう点が三つあるのじゃないかと思います。非常に緑地が少なくなっていますから、緑地として競馬場があるということは一つの自然保護の一助になっていると思いまして、非常に意義があると思います。そういう意味におきまして、一般国民にも競馬場が寄与し得るというような形に持っていくことが必要であると思います。  それから、先ほど畜産局長からも再々御説明申し上げましたが、付近が非常に住宅やあるいは人口が稠密になって、御指摘のような自動車の乗り入れ等にも付近の人も迷惑している、こういうようなこともございます。そういう意味におきまして、あるいは道路交通、あるいは自動車置き場、こういうことにつきましても大いに考えていかなくちゃならぬ。そのために、競馬会として直接やれるものはやるし、また直接いまのところできないものは、県やあるいは市当局において道路その他の施設をする場合に競馬会からも金を出して協力する、こういう面におきまして、付近住民等に迷惑をかけないようなことも第二番目として必要だと思います。  第三番目には、これも御指摘のように、健全な娯楽としての競馬場が必要であろう、こういうこともまことにごもっともだと思います。あるいは運動場とか、あるいは幼稚園とか、あるいは運動会などもやっておりますが、その緑地で楽しめるようなこともあわせて競馬場においてやれるようにする、こういうことも大切なことだと思います。  でございますので、るる御指摘がありました点等につきまして、十二分に検討し、前向きで進むといいますか、そういう方向に私どもも指導していきたい、こういうふうに考えております。
  30. 大橋和孝

    大橋和孝君 競馬会のほうも同じような御意見だと思って私考えておるのですが、非常に時期を失するとできないことですから、その点をひとつ十分把握をしていただいて、ほんとうにこうしたものがうまくいけるようにひとつやっていただきたいと思います。  それから、栗東地区にトレーニング・センターができまして、話を聞いてみますと、これまた非常に性能的にも、また非常に各競馬場からの競走馬も集めて馬の飼育もされるわけでありますから、私はこれも非常に新しい行き方ではないかというふうに思いますが、あそこにおいても同じようなことが言えるわけですね。それからまた、牧草なんかをつくるためのいろいろなところも確保されているようでありますが、同時にやっぱり私はあの辺にそうしたふうなものをひとつ考えてもらいたいと思います。特に私はあそこの辺で考えてもらいたいのは、各競馬場には、学生の馬術部だとか、あるいはまたアマチュアで馬術を楽しむというふうな、高校だとか大学、そのほか一般住民の馬術クラブ、こういうようなものとかに対しての利用されるいわゆる乗馬の訓練、これは各競馬会競馬場において考慮されて、福島なんかはずいぶんたくさん馬もそういう乗馬を置いてやっておられるように聞いているわけでありますが、私は、この栗東なんかに、できればああいうところではそういうふうな馬場をしっかりとこしらえて、少なくとも京阪神の学生も、あるいはまたその他のそういう乗馬愛好のクラブも、自由に来ては乗れるような場所をこしらえて――実は私も学生時代に馬術連盟で馬術をやっておりました。それがシナに行ったときには非常に、馬があったために私は元気で帰ってこられたと思うわけなんで、若い時代に馬術を楽しむということがいろいろなことで効果があったと自分では考えているわけでありますが、これは個人的なことを話してたいへん失礼でございますけれども、そういうようなことを考えてみますと、もっと馬術層を高めるということが競馬会目的でありますから、これに対しても、こういうセンターができたときにはもっと徹底したものをつくってみたらどうなのか、私はそういうふうに思います。また、京都競馬場におきましても、競走馬をやるところでたくさんの厩舎が集まっておりますから、話を聞けば各馬場もおつくりになるようでありますから、もっとそれが行なえるようにしたらどうなのか。私はちょうど私の出た大学の馬術連盟の連中から話を聞きまして、そして、自馬を持ちたい、京都競馬場に行っても、アマチュアの人が来られたところで、実際馬場馬術的にも、あるいはまた障害、平地に対しても全然だめだ、そうしてまた、交渉に行ったけれどもまたもどって、今度は自馬を買おうと言っているわけですから、自馬を買うにしても、買うことは安いけれども、飼育料がたくさんかかります。いろいろな意味で至難で、言うべくして行なわれていない。一、二の大学は馬場を持っているようでありますけれども、そういう状態である。私はやはり、この馬事思想を普及するという意味ならば、ここらにこそひとつ大きな資本を投下して、そして馬場馬術もできるようにする。そして、人件費がかかれば、やはりこれは馬の好きな連中でありますから、これに手入れに来させて手入れをさせたらいいわけでありますから、そういう意味において、前向きの姿勢で、ひとつ馬術の普及の意味においても、こうした練習場をこしらえて、京都競馬場にも、あるいはまた栗東なんかは特にそれができると思うのですね、そういうふうにして、そういうことに対しての大きな投資を一ぺんやってみるべきじゃないか。そうすれば、一面、馬券を売るばかりが馬事の普及ではなくして、そうしたことも一つの馬事普及になるわけではないか、こういうように私は思うわけでありますが、その点どうですか。
  31. 増田久

    説明員増田久君) 私も先生の御意見に全く賛成を表するものであります。特に、ヨーロッパにおける競馬の発生というものが、騎馬民族でございますから、向こうは広い乗馬層があって、そこの馬比べとして発生してきているわけでございます。ところが、それに比べまして、日本は騎馬民族でございませんので、元来非常に乗馬層が薄い。そういうところに、特に軍馬との関係がなくなってしまった今日におきましては、やはり競馬のギャンブルというところだけが浮き彫りにされてくる、外国ではそういう批判はあまり出てこないという、やはりそういう乗馬層の薄さというところに問題があるような気がいたします。そういう意味で、競馬の原点に返ると申しますか、そういう意味でも、私はどうしても乗馬というものの層を厚くするということに、競馬会目的にもなっておりますし、私どもも積極的にやるべきであろう、そういうように考えておるわけでございますが、ただ問題は、乗馬クラブなんかの維持費の問題がありますけれども、もう一つはいい先生をどう確保していくかということで、やはり競馬会がもっと積極的な機能を果たしていく、こういうことも大事なことではないか、そういう両面にかけまして今後前向きで対処していきたい、かように考えております。
  32. 酒折武弘

    参考人(酒折武弘君) ただいまの局長のお話でございますけれども、実は、従来はそういう専任職員を置かなくて一般的に乗馬普及をやろうというようなことをやっておったわけでございますけれども、ことしから特に積極的にそれをやろうじゃないかというふうな考え方を固めまして、専任職員を各競馬場あるいはトレーニング・センターに置きまして、その職員が乗馬普及を専任担当するというようなかっこうになったわけでございまして、たとえば京都競馬場におきましても一名そういう職員を最近配置してやっておるような次第でございますが、積極的にそういうことはやりたい、さように考えております。
  33. 大橋和孝

    大橋和孝君 これはなかなか、いま、私あとからその点を聞いてみようと思ったところをお答えが先になったわけでありますが、私は特に馬術層の層を深めてやらせるということは非常にむずかしい問題だと思うんです、日本状態では。しかし、私は、やりようによって、いままで競馬として、競走馬として使われてきた、ああいうふうな熱意を込めてもっとそれをすれば、馬事思想の普及には練習場を使わすということが非常に意味を持つと思うんです。だから私は、その職員の点なんかでもそうですが、やはりかなり技量を持った人がいるわけでありますから、そういう人をむしろ養成するところを一面こしらえて、そしてたとえば馬事公苑なら馬事公苑でそういう方々を、乗馬の訓練するための人をこしらえる、こういうふうなことにまで踏み切らないと、やはりそれは十分できないわけでありまして、この競馬会そのものにむしろ、競走馬をさせる一端と、一方はそうした馬術の面で国民に馬事思想を普及させる一端と、こう両方分離するくらいのひとつ使命感を持ってやらなければ、やはり国民に対するアピールにならないと思うんですね。私は、このごろの非常に馬券買いのふえている状況から見ますと、逆にもうそっちはほっといてもいくんだと。私は、むしろこれは、社会資本に投下されて、いろいろそういう娯楽設備ができていれば、こんなにまでなってこないと思いますから、これは国の政策としてやはり社会資本の投入が足らないのが原因であって、パチンコにしろ、あるいはボーリングにしろ、あるいは競馬にしろ、非常に賭博性を持ったものに対しての最近のブームの状態は、私はやはり、健全娯楽の面から、国としては十分考えなければならない一つの問題だと思うんです。しかし、それと同時に、この競馬のことを考えてみるならば、いま私が申したように、一面にはほんとうに健全な運動としての、そしてまたそうした馬そのものに対して親しむ、馬術の馬の思想を普及する意味においても、その競走馬ということ以外に、もっとそうしたことに対しては一つの大きな使命感を持って、この競馬会が二つの目的を持って進むというくらいにならないと、それはなかなか普及にならないわけです。ですから、私は、いまのようになれば、そうした面にはひとつここで思い切り踏み切ってもらうことが競馬の投機性とか賭博性というものを薄める一つ方法であろうと、こういうふうに考えるわけでありまして、先ほどから申したように、公園化をして運動、スポーツに使っていく、そして、週に二日しか使わない、あとの四日間はもっとそういうものに使えるような領域をつけていくという一つの道も同じでありますけれども、私は、特に馬術を振興させる意味において、この競馬会そのものが一つの大きな柱を立ててやられることがどうしても必要じゃないかというふうに思いますので、その点についても私は特に質問を申し上げているところであります。その点についてちょっと。
  34. 酒折武弘

    参考人(酒折武弘君) 実は、競馬会法の二十条でしたか、馬術競技なり乗馬普及ということがわれわれの使命だとなっておりまして、したがいましてわれわれとしては大きな顔をしてこれがやれるわけでございます。従来やや、私の感じから申しますと、やはりその辺の点におきましては、たとえば馬事公苑におきましては一つの大きな仕事としてやっておるわけでございますけれども、一般的に、たとえば各地の競馬場においては、それほどやっておらなかったというのが実情であると思います。それにつきまして、先ほど申しましたように、ことしからひとつ乗馬普及ということを大いにやろうじゃないかというようなことで、大々的にそいつは普及しようという方向に向かっておる次第でございまして、先生のおっしゃること、全くわれわれとしては、むしろありがたいおことばであると、かように考える次第でございます。
  35. 大橋和孝

    大橋和孝君 続いて私は、この中央競馬会は社会福祉財団などをつくって民間の社会福祉事業に相当助成をしてやってもらっているということは、私もよくわかっておりますし、あるわけでありますけれども、その資源のワクがその収益に比べるとまだまだ少ないんじゃないかと思うんですね。もともとが、何と申しますか、国民賭博性を持っている関係もありましょうが、この競馬場に行って相当の金をぶち込んでいるわけでありますから、そういうことのお返しをする意味からいっても、もう少しこの社会福祉方面にも力を入れてもらうことがあり得るんじゃないかというふうに思うんですが、いまの状態は一体どのくらいになっていて、どれくらいまで伸びるものか、こういうことも一ぺんあとでけっこうですからデータで示してもらってもいい、時間もあまりありませんから。そういうふうにしていただきたいと思います。
  36. 増田久

    説明員増田久君) 現在、福祉事業団の予算額は十億円の中でやっておるわけでございます。今後その運営それ自体にもいろいろなお検討すべき点があろうかと思っておりますけれども、その充実については、全体の予算のバランスをながめながら前向きに進めていきたい、かように考えておるわけであります。
  37. 大橋和孝

    大橋和孝君 それじゃひとつおそれ入りますけれども、この四、五年の間にどれくらい回っておるかということを、ちょっとデータがわかりましたら、あとでデータとしていただきたいと思います。  もう一つ場内で売店が行なわれておるわけです。あれもちょっと私調べてみますと、聞いてみれば、やはり何かはかで商売をやっている大きな飲食店の人でないと、その日にちが二日なら二日しかないから、過剰のものを処理することができないからということでやっておられるという話も聞きますし、競馬会の中でもやはりそういうような特別な組織ができてやられているという話も聞きますけれども、こういう問題をもう少し掘り下げてみるならば、やはり身体障害者とか、あるいはまた地元でいろんな方が――京都あたりを例にとるならば、そこに相当馬丁さんがおったけれども、引き揚げちゃった、その周辺では困っておる、こういうこともあるわけであります。ひっそり閑としたということもあるわけでありまして、いろいろな事情がありましょうけれども、そういうふうな形で、もっと身体障害者のほうを活用できるような売店を経営さしたり、あるいはまたそういうようなことで少しは社会福祉方面にこれを還元していくというふうな形でやって、たとえば大きな業者、こういう人が営利を目的としてのみそれをやられるというふうなかっこうではなくして、大体そういうところで、売店で収益をあげることなんか競馬会としては全然関係のないことだと思いますから、もう少し身体障害者なり、福祉団体なり、そういうところへ還元できるようなことを配慮すべきじゃないか。私調査してみますと、大体大きい業者です。何々業者というのがみなあそこに入っておるわけでありまして、話を煮詰めて聞いてみますと、そういう人のほうがいろいろ運営都合がいいということもありましょう。けれども、それを指導の面でもう少し社会福祉関係に結びつけて、そしてこうしたところの売店の収益そのものも社会福祉関係と結びつけるということを考えられたほうがよりベターでないか、私はこういうふうに思っておりますので、この点についてもちょっと触れてみたいと思いますが、お考えをお聞きしたいと思います。
  38. 酒折武弘

    参考人(酒折武弘君) ただいまの先生の御意見、私全く同感でございます。ただ、残念ながら力及ばずして、過去の実績というようなものもございまして、一挙にそれを変えるというわけにはいきませんが、極力そういう方向で少しでも前進したいということでやっておる次第でございます。たとえば京都競馬場の場合につきましても、栗東へ新場が移りました関係上、非常に地元住民に一種の被害を与えているということでございます。できるだけその被害を少なくしたいということで、栗東のスーパーマーケットへ地元の方々の店を入れていただくというような配慮もいたしておる次第でございます。今後もなおそういう点につきましては極力進めたい、かように考えております。
  39. 大橋和孝

    大橋和孝君 私持ち時間もなくなりましたので、もう少し二、三点お願いしたいと思っておったんですが、特にこの福祉関係に従来からずっと出してもらっているのでありますけれども、特に福祉事業に向けられる量をふやす意味においても、そうしたいろいろなこまかしいところに配慮してもらいたい、こういうふうに思うわけでありますが、京都あたりではいまちょうど、観覧席といいますか、そういうようなものもつくっておられるわけでありますから、いまの時期はわりあいそういうことに対してはいい時期だと思うのです。ですから、特に私はそういうことについても配慮していただきたい。先ほどから申し上げた緑地化、運動場化、あるいはまた駐車場の拡張の問題、あるいはまたそこの出入り口にするためにまた別なところにひとつバイパスをかわりにつくってもらいたいといろ考え方、こういうような事柄に対してひとつ十分な前向きな姿勢でやってもらって、私は、今度京都のこういうようなトレーニング・センターが何かできた、そういうふうな点から考えて、ひとつここのところで競馬会そのものの行き方が新しい道に変わったというふうな形に踏み切ってもらいたい、これが私のきょうの特に重点でありますので、大臣におかれましてもそういう問題に対してのひとつ特別な指導をしてもらいたい、こういうふうに思うわけです。  それからもう一つ私ここで触れておきたいのは、競馬に使われる馬ですね、こういうものの生産、これは北海道なり、いろいろなところでやられているでしょうし、また輸入されている品種も使われているわけでしょうけれども、こういうふうなことに対しての今後のあり方ですね、ことに私はどういうふうにして馬の質の改良をされていくのか、そういうためのお金の使い方、それからまたそういう調教師だとか何かをつくられる、技術者のおやりになるやり方、あるいはまた競馬事業としてこういうものを見られたときにそういうところに使われる比重と、そしてまたそのほかの問題なんか、運営上のいろいろな企画、何といいますか、予算の使い方、こういうこともちょっともう一つ私含めて資料がいただきたい。
  40. 増田久

    説明員増田久君) ただいまの点につきましては、後ほど資料で出すようにいたしたいと存じます。
  41. 大橋和孝

    大橋和孝君 じゃ最後にもう一言だけ。  場外馬券をどういうふうにされるかということ、ひとつこれを検討していただいておいて、私は場外馬券というものをあまりしないほうがいいのじゃないかということで質問申し上げておるわけでありますが、その点もう少し触れておきたいと思います。
  42. 増田久

    説明員増田久君) 私も、実は個人のことを申し上げまして恐縮でございますけれども、競馬歴二十何年で、私は場外馬券は一度も買ったことがない。競馬というものは馬を見て買うものだという信念を持っておる者でございますけれども、現在のように、何と申しますか、非常に忙しい世の中、それから非常に複雑化しまして、ほっておきますとのみ屋というものがばっこするという事実等を考えますと、いまこれを直ちに廃止することが是かどうか――ただしいまのあり方がいいかどうかという問題は私ありますけれども、直ちに廃止することが妥当であるというふうにはどうも思えないというのが率直な考え方でございます。
  43. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) この際私から資料提出等について政府側に申し上げ確認を求めたいと思いますが、当決算委員会における委員からの要求資料につきましては、全委員に配付するよう必要な部数をすみやかに御提出願いたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
  44. 増田久

    説明員増田久君) はい。
  45. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) それでは確認をいたしておきます。  なお、先ほどの大橋委員質疑に関連をいたしまして、農林大臣に私から一点だけお尋ねをし、御所見を承っておきたいことがあるのです。  昭和二十九年競馬益金から畜産振興並びに社会福祉事業団体に対して支出がなされるようになりました。当時私は衆議院農林水産委員会においてその法改正に直接タッチしたのでよく覚えております。自来、先ほど大橋委員の御指摘のとおり、国民競馬に対する関心が高まり、一部これに対する批判も強まっておる中で、昭和二十九年から年度別に国庫納付金の幅は相当ふえておりますが、その中身としての畜産振興費に充当される予算額、また社会福祉事業振興費に充当される予算額の推移を、年度別に資料として御提示を願いたいと思います。よろしいですね。  そこで、農林大臣に申し上げますが、競馬収益は異常な増大を見せているにもかかわらず、伸び率は必ずしも十分とは言えない感が、この資料によりますとうかがえるのであります。当然収益に対してスライドすべきものだと私は考えざるを得ません。特に、畜産振興にしろ、社会福祉事業振興にしろ、農業の面、畜産の面においては体質の改善が叫ばれておる今日、また社会福祉においては交通災害あるいは身体障害者対策費等その対策費の内容も多様化しておると思います。したがって、これらの費用に十分充当するのが私はたてまえでないかと思うのでありますが、対大蔵省との関係もあって直ちには実現できないにいたしましても、農林大臣としての御所見と、ただいま申し上げましたスライドについての御決意のほどをこの際承っておきたいと思うのでありますが、いかがでありますか。
  46. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) ただいま委員長からの御所見に対しましては、私も全く同感かつ賛成でございます。  畜産のほうは日本の農業の体質改善上伸ばしていかなければならぬというときにきております。あるいは、日本の経済成長面が社会福祉面においてわりあいに進んでいないような現状ですから、その方面、畜産振興あるいは社会福祉施設のほうに競馬の益金を重点的に回していく、これは最も必要だと思います。でありますので、必ずしもスライドとは言いませんが、いま四分の三は畜産のほう、社会事業のほうは四分の一ぐらい回しております。スライドではいかないとしても、できるだけその方面に収益の増してくるのを割り振っていくように指導していきたい、こういうふうに思っております。
  47. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 重ねて申し上げますが、来年度の予算編成期を迎えて、貿易自由化も畜産農家に対して大きな不安を与えておりますことは、御承知のとおりであります。当然、いま私が申し上げた点についても、大蔵省と、いまの大臣の御所見の線に沿って、スライドといかないまでもが、大幅な充当費を確保されるよう御努力願いたい。明日の大蔵関係の審査にあたりましても、われわれはそれを主張いたしたいと思いますので、この点十分御努力と御善処を強く要望いたしておきます。よろしいですか。
  48. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 十分努力いたします。同時にまた、皆さん方にも直接でなくても御声援をお願いしたい、こう思っております。
  49. 森中守義

    ○森中守義君 この際、土地改良長期計画を中心に少しく伺っていきたいと思います。  計画書面で、四十年から早くも約三分の二期間が過ぎております。ついては、この三分の二期間を経過した今日、当初予定された実施計画の達成率は何%か、これを土地改良事業の事業種別ごとに、たとえば補助整備事業については当初予定の何%達成した、また基幹かんがい排水施設整備事業、これは何%、あるいは防災事業何%、造成、埋め立て、干拓、これは何%というように、四つの事業別に当初予定の何%達成したか、その率を最初にお答え願いたいと思う。
  50. 三善信二

    説明員(三善信二君) 土地改良の長期計画は、御承知のように、全体で二兆六千億円、国費で二兆三千億円ということになっております。
  51. 森中守義

    ○森中守義君 いや、金額じゃない、達成の率だ。
  52. 三善信二

    説明員(三善信二君) これから申し上げます。それで、この事業は四十年から四十九年までの十カ年計画でございますが、いま御質問の進捗状況につきましては次のようになっております。  一つが補助整備事業でございますが、四十六年度の予算まで入れまして、補助整備事業八五・五%、それから基幹かんがい排水施設整備事業、これが七六・二%でございます。それから防災事業が六九・九%、それから農用地造成事業が八丁九%になっております。
  53. 森中守義

    ○森中守義君 平均すると……。
  54. 三善信二

    説明員(三善信二君) 平均しますと八〇・五%でございます。
  55. 森中守義

    ○森中守義君 そこで、その予定された二兆六千億円の予算の投入率はどのくらいですか。これもその四つの事業別に、つまり補助整備については八五・五%とこういうことなんだが、これに対して金は幾ら使ったのか、事業種別ごとにずっとあげてみてください。
  56. 三善信二

    説明員(三善信二君) ただいま申し上げましたのは事業費に対する比率でございますが、今度は国費の投入額と申しますか、全体の実績でございますが、事業種別にいろいろ違っておりますものですから、全体的にどういうふうになっているか、ちょっと時間をかしていただけませんでしょうか。
  57. 森中守義

    ○森中守義君 それじゃ、それは次回までに資料を出すように。  ただ、二兆六千億円予定された予算規模の特別会計で、幾ら残額があったか、それだけはわかるでしょう。実績の使用金額が幾らで――まあもちろん二兆六千億円というきちんと固まったものでないにしても、いままで総額幾ら使ったか、これはわかるんじゃないですか。
  58. 三善信二

    説明員(三善信二君) 総額で、先ほど申し上げました事業費で一兆八千億円を使っております。
  59. 森中守義

    ○森中守義君 これは四十六年度……。
  60. 三善信二

    説明員(三善信二君) 四十六年度の事業費まで含めまして。
  61. 森中守義

    ○森中守義君 含めてね。
  62. 三善信二

    説明員(三善信二君) はい。
  63. 森中守義

    ○森中守義君 これでちょっと先ほどの達成率からいくと、防災事業、一番低いんだな、六九・九%。これはまあ、最近台風等でだいぶ農用地等が崩壊状態にあるので、むしろこれは防災事業あたりはもうちょっと積極的にやらないとまずい。そういう意味で、これは私の意見なんです。いま示された数字からいけば、防災事業が他の三事業に比べて非常に低率である。言いかえるならば、防災事業にあまり力点が置かれていない。こういうことで、このことについては遺憾の意を表明すると同時に、直後防災関係についてはよほど力を入れていただきたい。これは意見として申し上げておきたい。  そこでですね、四十一年三月二十五日の閣議決定によるこの長期計画、これは実施目標の内容からいけば、十年間を一定の長期計画というふうにしておられるのですが、現在においてもこの実施目標という中身は何ら修正の必要がないと思うわけですか、このまま残存の期間進めていこうとされるのかどうか。状況の変化などは特にこれは目立っているわけですね。たとえば今度の作付制限であるとか、あるいは買い入れ制限、こういう顕著な農業政策の転換の中に、依然としてこの閣議決定による土地改良長期計画というものは持続すべきものであるか、あるいは改定の必要があると思われるか、その点はどうですか。
  64. 三善信二

    説明員(三善信二君) 御指摘のように、この長期計画は、達成率がいま申し上げましたように全体の八〇・五%となっておりますし、多少部門別にはおくれておる、これは御指摘のとおりでございます。十カ年計画で、四十年から四十九年までのこれは長期計画になっておりますが、すでにもうかように達成しておりますし、あと四十七年度の予算ではほとんど満ぱいになろうかという段階でございます。したがいまして、私どもは昨年度からこの長期計画の改定につきましていろいろと検討をしております。現段階におきましても、今後の長期の見通し等を立てまして、この作業を検討をいたしておる段階で、改定すべきものと思っております。
  65. 森中守義

    ○森中守義君 ちょっと、いま局長の言われる四十年、四十一年の二カ年間の計画をお話しのようですが、何か少しかみ合わぬな。私はさっきから申し上げるように、この閣議決定というのは四十年度を当初として十カ年間の長期計画でしょう。だから、いま二年間のものだという意味はどういう意味ですか、どうも理解できない。
  66. 三善信二

    説明員(三善信二君) いま私が申し上げましたのは、四十年度から四十九年度の十年の計画ということを申し上げました。
  67. 森中守義

    ○森中守義君 そうしますと、私が問わんとする意味がちょっと通じていないようですが、少なくとも農業政策の事情、農業生産の事情というのは、当初計画と現在ではだいぶ変わっている。少なくともこの実施計画目標の中にうたわれている文言からいくなら、平たく言うならば、米の増産、食糧の増産ということが中心である。そのために諸般の施策をせにゃならぬじゃないか。土地の改良を進める、造成を行なうというところに目的が置かれているわけですね。しかし、生産体制が変わっているというところが、これが情勢の変化じゃないのか、こういうわけですよ。もっと進んで言うならば、すでに平均で八〇・五%の達成率を示されておるわけですが、しかしこの中で農用地の造成事業、中でも干拓等は明らかにこれは農用地プロパーであったはずですよ。ところが、その目的をはずれてしまって、他用途へ転売をする、転用をするということがしきりに行なわれているわけですね。この事実からいくならば、残余のものといえども、すでに計画目標が変わり、その目的が変わっているわけですから、この改定の必要はないのか、こういうことを言っているわけですがね。ですから、状況の変化ということは認めるのかどうなのか。一言で言うなら、そういうことを聞いているわけです。
  68. 三善信二

    説明員(三善信二君) この土地改良長期計画の全体的な問題としまして、やはり状況の変化というのは御指摘のとおりであると思います。と申しますのは、ただ、いま一例を申し上げますと、水田につきましてはやはり生産調整の問題等も出ておりますし、またそのかわり、需要が伸びている畜産物とか、あるいは果樹とか、そういったものはもっと伸ばしていくというような問題もあるわけでございまして、したがいまして、全体の問題としては、やはりおっしゃるとおりに、改定の必要があることは申すまでもございません。また同時に、この土地改良長期計画の中身としましては、やはり農業の生産性の向上、あるいは農業構造の改善、こういった基盤整備を根幹としておるわけでございます。そういう意味におきましては、やはり従来と同じような基盤整備事業というのは必要であろうと思っております。
  69. 森中守義

    ○森中守義君 その基盤整備の促進を否認する立場は私はとっちゃいない。ところが、実際問題として、たとえば四十三年の九月、行政管理庁から干拓行政に関する地方監察結果に基づく勧告というのが出ております。この勧告の内容からいっても、当初目的がすでに変わっているじゃないか。したがって、たとえば工業用水であるとか、農業用水、立地条件というのは大体重なる傾向があるから、むしろ他の用途に転用したらよかろうというふうな趣旨の勧告も出ている。これはごらんになってみると、そのとおりだ。それと、実際問題として、でき上がった八一・九%の農用地造成の中でどのぐらい農用地として供されているのか、   〔委員長退席、理事和田静夫君着席〕 あるいは他の用途に転用されたのがあるのか、ちょっと八一・九%の内容を少し説明してみてください。農用地に供されているのが八一・九%のうちにどのぐらい、他用途に転用されたのがどのぐらい、ちょっとその数字をあげてみてください。
  70. 三善信二

    説明員(三善信二君) 干拓事業について特に申し上げますと、二十一年から四十五年度までの数字をとってみますと、干拓事業で地区として百九十二区やっております。その面積は三万一千ヘクタール、そのうち他用途に転用いたしました地区数は三十二地区であります。面積にして二千八百十ヘクタール、全体の面積からしますと約九・一%ぐらいになっております。
  71. 森中守義

    ○森中守義君 これは、たとえ九・一%であろうと、他用途に転用したという事実には違いないわけですね。これは入植者がいないので他用途に転用したほうがよろしいと、その辺はどういう判断のもとに他用途に転用したのか、これは非常に大事な問題です。ひとつその辺の内容を……。
  72. 三善信二

    説明員(三善信二君) 干拓は、そもそもやはり農用地の造成ということで当初出発をいたしております。現在でもそれには変わりございません。ただ、最近の、先ほど申し上げました米の生産調整、そういった問題で、水田を造成する目的で始めたところ、やはり畑地に転換したほうがよろしいというようなことで、水田から畑地に転換したところもございます。それからまた、いま御指摘のように、全然農用地以外の目的に転換したのもございます。それはやはり、干拓を始めましたときとその転用するときの時勢で、社会・経済情勢というのが非常に変わってきておりますし、そこの当該地区において非常に工業化が進んでもはや農地として利用価値がなくなったという場合、そういった特定の場合に限り、しかも公共用地にそれを提供するというようなことをまずねらいとしまして他用途の転用を認めてきたわけでございます。それはイージーに、容易に、簡単に認めるということではございませんで、やはりそういう一つの制限をつけて認めてきたという状況になっております。
  73. 森中守義

    ○森中守義君 実はそれが問題なので、農地局長通達で干拓地の他用途転用の基準、こういうものが出ていますね。法制局は来ていませんか、ちょっと法制局の意見聞かなくちゃいけない。――これは局長、非常に重要な問題だと思うので、閣議決定された長期計画の中に、あるいはその前段になっている農政審議会の諮問の中に、どこにも他用途に転用してよろしいという予定条項ということはないのですよ。あくまでも農用プロパー、そういうことで出発をしたはずの長期計画が、いま公用地だどうだと言う。もちろん、水田から畑地に転用する、これはまあわかる、農用地だから。しかし、農業生産の基盤以外のものに転用するということはどこにもないわけだ。これは一体どう考えられるのか。しかも、土地改良法の四条によって長期計画がつくられる。しかも、これは農政審議会に答申を求めなきゃいかぬ、あるいは関係の市町村に協議をしなきゃいかぬ。いわば権威ある長期計画というものが、条項のどこにも、結果において情勢の変化等によって他用途に転用してよろしいという法律上の許容はどこにもない。それなのに、農業生産以外のものに転用するということが農地局長の通達で行なわれるということは、一体これはどういうことですか。これは局長じゃ無理かもわからぬ。農林大臣、どう思われますか。明らかに法律事項を一行政官の手によって越えるようなことをやっているわけですがね。しかも、この土地改良法の四条の三項では、改定を必要とするような場合には当然閣議に付し、審議会に付さねばならぬという趣旨の事項が規定されている。この手続をとっていない。おそらく、事業計画の変更ではないからこれに該当しないという、こういう見解をお持ちかもわからぬ。けれども、私はそうは思わない。閣議決定の計画目標、計画目的というものは、農業生産性を高め、経営規模の拡大をはかるというところに置かれている限り、でき上がった用地というものが他用途に転用されるというならば、これは一種の改定ですよ。当然四条三項の規定に該当する。にもかかわらず、農地局長名によって、他用途に転用する場合にはかくかくの趣旨のもとに行なえという、この通達それ自体が法律を犯しているのではないか、こういうふうに私は思うんですがね。これは、今日の土地改良事業、干拓問題の一つの盲点のような気がしてしようがない。かってにできないということでしょう、他用途に転用することは。土地改良法の四条の三をどういうように解釈しているのですか、その辺のところをお答え願いたい。
  74. 三善信二

    説明員(三善信二君) 先ほども申し上げましたように、この他用途の転用というのは、非常に一部に限定した処分をしているわけでございまして、全般的にこういうのを意味しているのではないということを申し上げておきます。  で、法的には、土地改良法の中に、干拓地で社会・経済情勢に著しい変化が見られて、土地配分計画、こういうことを立てることが適当でない、相当でないというような場合には、これは農林大臣の所管に属する土地改良財産となるわけであります。で、土地改良財産になれば、農林大臣が処分できることになっているわけであります。したがいまして、そういう法的な根拠に基づきまして、私どもも、公共用の目的とか、非常に限定した目的のために他用途の転用を認めてきたというような次第になっているわけでございます。で、この長期の土地改良計画自体は、これはおおむねこういう目標でいくという一つの目標でございまして、その社会・経済情勢の変わり方によりましては、やはり一部にはこういった他用途転用というのも出てくるのも、好ましいことではございませんけれども、やむを得ない事情があるというふうに考えているわけでございます。
  75. 森中守義

    ○森中守義君 それでは、いま言われるように、処分権、あるいは管理権、九十四条の一号、二号か、これで農林大臣に権限がある、これは私も知っておる。けれども、少なくとも閣議決定による長期計画というのが、他用途に転用してよろしいということを全然許容していないで、単一の目標、単一の目的のもとにこの長期計画ができているわけです。そこででき上がった物件というのが結果的に他用途に転用されるというなら、条項が、九十四条で、管理権、処分権が農林大臣にあったということであっても、私がさっき指摘したように、四条の三項にこれは基づかなければうそですよ。重大なる目的変更を来たしているわけです、重大なる目的変更を。ただ、管理権、処分権があるが、それによって他用途に転用してよろしいということはあり得るのか。もっと私は言うならば、年次計画が出される、長期計画が出される、予算がつけてある、国会で予算を審議しているのです。国会で予算を審議する際に、結果においては情勢の変化に応じて他用途に転用しますと、こういうことを言う資格はありますか。だいぶ詳しく議事録を読んでみたけれども、ただの一回だって、この種問題が議論をされた際に、予算審議の際に、結果論として他用途に転用することがあるかもわかりません、こういう答えが国会の中で出ていない。だから、国会が予算の審議をする際には、さっきも申し上げるように、あくまでも農用地の造成である、農業生産性の向上のためである、経営規模の拡大のために長期計画をやる、こう言っている。そうなると、国会の予算審議に対してもいわば一種の背信行為をやったことになる。だから、四条の三項によって他用途に転用するならばするように、当然長期計画それ自体の変更を行なわなければいかぬのじゃないか。管理権、処分権が農林大臣にありますからそれでやりましたということでは、これは済まぬじゃないですか。まあむずかしい法律上の権限の配分はともかくとして、予算の審議、計画の本質、こういうものからすると、少々越権のさたではないか、こういうように思うのですけれども、大臣どう思われます。
  76. 三善信二

    説明員(三善信二君) 国会の予算の場合には、大蔵省で、たとえば「昭和四十六年度予算の説明」という資料提出いたしております。その中に、具体的に申し上げますと、四十六年度の説明資料は六七ページでございますが、ここに「特定土地改良工事特別会計」という一項がございまして、その中にやはり歳入の面で「他用途転売等土地管理処分費」というようなのを一応は見込んでいるわけでございまして、したがいまして、やはりやむを得ないそういう事情というのはどうしても一部分では加味せざるを得ないというのが現状じゃないかと思っております。
  77. 森中守義

    ○森中守義君 これはもし他用途に転用を許容するということが計画の想定の中に入っているならば、これはもう、計画それ自体の変更はもちろんですけれども、実際問題として農林省の所管じゃないんじゃないか。たとえば二次産業のために転用する、そういうことであれば、この長期計画は農用地プロパーだ、そういうことで二兆六千億の金を使っている。でき上がったら他用途に転用するというならば、これは国土を新しく開発をし、造成をしたことにはなるでしょう。そういう意味で、著しく国益を失ったとは思いません。けれども、行政所管からするならば、他用途転用を許容する、やむを得ないという認識に立つならば、これは農林省の所管じゃないじゃないですか、専管事項ではない。少なくとも、建設省あたりと併用された仕事でなくちゃならぬというようにも思われるのですがね。それと、計画それ自体が農用地というこの土地改良で出発しておりながら、他用途に転用するということ自体が、私は率直に言って間違いだ、長期計画それ自体が異質なものになっているのじゃないかというように思うのですよ。これから先も他用途に転用されるつもりですか。
  78. 三善信二

    説明員(三善信二君) 先ほど来申し上げておりますように、やはり当初はおっしゃるとおりに農地の造成ということで、それは水田であろうと、畑であろうと、樹園地であろうと、農地の造成を目的としておりました。ただ農地の造成と関連をしまして、その背後地の防災にも役立てる。それから御承知のように、天草の羊角湾の干拓のように、淡水湖をつくって、農用地造成と同時に淡水湖をつくって、それをまた樹園地にかんがいする、そういういろんなやり方があるわけでありまして、その面では他用途と申しますか、やはり単なる農地造成ということだけではない。そういう用途なども考えていく必要はあるかと思います。  それからもう一つは、御質問の点で、今後全然違ったいわゆる農地との関連のない工場用地とか、そういう敷地に転用することをやっていくかという御質問でございますけれども、やはり好んで私どももやっておるわけではございませんし、できたあと、非常に長年かかりますものですから、経済情勢の変更等によって、どうしても農地としてその干拓地を使用することが適当でない。それから、地元の方の要望等も非常に他用途への転用が強い。しかも、公共団体等からそういう要望があり、公共用地にどうしてもそれを使っていくというような場合には、やはり他用途転用というのもやむを得ない事情かと思っておりますが、最初から他用途転用を目的にしてこの干拓を始めるという、そういうことをやるつもりは一切ございません。
  79. 森中守義

    ○森中守義君 いま、長過ぎるという話があったように、確かに長過ぎる。これは私の手元にある資料からいけば、一番長い例で佐賀県の福富干拓、これは二十一年から四十七年にかかっている。それから熊本県の横島干拓、これは二十一年から四十八年、だから農業生産のあるいは長期需給見通しを農林省の皆さん方がどう立てられようと、やはりこれは四分の一世紀に近いような時間をかけて干拓をやるということは、簡単な言い方をすると、問題がある。工事が非常に困難である、どういう理由であるかよくわかりませんが、もっと工期を短くしないと間に合わぬということですよ。これはこれで、また問題を別にいたしましょう。けれども私は、さっきから問題にしておりますように、本来ならば、長期計画を農政審議会に諮問をして出されるということはけっこうなことです。もっとこまかに分割をしまして、ここの干拓地をどうするか、こういうのは、単に行政機関が単独の考え方を持たないで、もっと広く意見を聴取するように、そういう別個な機関がつくられてもいいのじゃないかというような気もするし、それから、たとえば国鉄の例を用いてどうかと思いますが、国鉄が新線をつくった、したがって、旧線はもう廃止しなくてはならぬというような場合などは、不用地認定委員会というようなものをつくっている。これは国鉄内部はもちろん、運輸省、あるいは各界の代表がおりますよ。そういったようなあらゆる角度から、国有鉄道の財産を処分をする場合には、少なくとも、国鉄当局の独断でやっていない、こういうやり方をやっている。そこで、他用途に転用しようというような場合には、何としても農地局長の通達一本でやらせるというようなことは、私は越権だと思う。しかも、この長期計画の中に、くどいようですが、他の用途に転用していいということは何もないじゃないですか。だから、この際、将来ともおそらく用水の問題であるとか、あるいは用地それ自体に対してどういう作目をつくらせるか、いろいろな問題があるでしょうが、少なくとも、他用途に転用する可能性がある。あるならば、この長期計画それを変えなさいよ。改定すべきですよ。改定はしない、ただこのままで押し切っていく、相当膨大な金は使っている、しかも、農地局長通達一本で他用途に転用されたのじゃ、まことにもってこれはあまり明朗でない。これは大臣、どうですか、赤城大臣、これは農地局長よりも、一種の政治判断の問題だと思うのですが、この長期計画は依然として進められるのですか、あるいは変更される御意思ありませんか。
  80. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 先ほどから話を聞いておりましたが、長期計画が法律違反でないか、また、疑いがあるのじゃないかというようなこともございました。しかし、これは政令というようなものでもない。閣議決定での見通しでございまするから、法律的にこれを見るというのはいかがかと思います。見通しでございまするから、情勢の変化によりましていろいろ手を加えたり、改定しなくてはならぬ問題も私はあると思います。  そこで、干拓地の転換の問題ですが、この転換というものだけで、この長期計画を改定するという段階であるかどうかというのは十分検討してみなくてはならないと思います。長期計画あるいはその目的というものが確かに農地の造成ではありますが、あるいは規模の拡大とか、あるいは機械化とか、農業構造の改善、こういうことも含めて長期計画ができておるのでございますので、転用する場合には、これを改定しなくてはならぬじゃないかというようなことだけで改定をするということにはならぬとは思いますが、しかし、いろいろな問題を、社会情勢の変化、変更等もありますから、いま改定を進めているわけであります。改定を進めている中において、いまお話のような点も考慮に入れて改定を進める、こういうことにしたいと思っております。
  81. 森中守義

    ○森中守義君 どうもちょっとすっきりわかりませんがね。もう少し聞きますが、それでは、農用地に供しようという場合に、もともと水田で出発しているわけでしょう、干拓の場合は。それを畑地に変える、そういうさっき答弁があったのですが、これから、そういうところにはどういう作付品目を選択させるのですか、方針がきまっているのですか。たとえば、今度私の郷里の横島の場合、ペンペン草がはえたり、水がちょっと入っている。ところが、県と町長との間では、まだ何をつくるかというような話はきまっておらない。農林省のほうではレンコンをつくれとか、イグサをつくれとか、何か適当な作付品目はないのか、こういうことがしきりに言われている。結局、そういうことから推しはかっていけば、農林省自体が新しい供用地に何をつくれという行政指導というもの、あるいはその指導の指針というものはどうもできていないのじゃないか、こういうように私は思う。何をつくらせますか。その辺のことも一つの大きな問題になるわけですね。
  82. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 土地改良全体から考えまして、稲作の転換という問題も出ています。それから、畑地の改良が非常におくれている。水田のほうの改良は進んでおりますが、畑地の改良はおくれている。でありまするから、私は畑地の土地改良というものに相当重点を置かなくちゃならぬし、水田も畑地化する、こういう方向が私は必要だと思います。でございまするから、干拓地等におきましても、水田として使うべきものもまた当然相当ありますが、できるだけこの干拓地のほうに土地改良を進めて、これを畑地化する、こういうふうにするのが適当だと考えておるわけです。そうすると、畑地としての作物、こういうことが干拓地においても十分考えられなくちゃならぬ。ですが、特に、干拓地等におきましては、構造改善が非常にやりいいですから、経営面積も広くなるというようなこともできますから、畑地作物をつくるという方向に私は指導していきたいと思います。でございまするから、畑作物あるいはまた草地造成で、草を育てていくのも私はいいと思います。まあ適地適作というような指標もありますが、これは地域的の指標でありますが、干拓地等につきまして、どういう作物を適当とするかということは、いまどの作物、どの作物ということを申し上げかねますが、水田としての稲作以外でありますならば、できるだけ畑地として使えるようなことにして、畑作物を転換していったらいいのじゃないか、こういうように考えております。
  83. 森中守義

    ○森中守義君 やはり、農業生産というのは、経済事情その他の流動期ですから、なかなかきちんとしたものができにくいようなその事情はわかりますよ。ですけれども、こういう膨大な干拓地をつくって、水田を畑地に切りかえる、それはいいですよ。ある程度きちんとした指針を与えなければ、入植者といえどもただじゃ入れぬのですからね。ことに、それで一番問題なのは八郎潟の例ですよね。きのうでしたか、おとといか、行管が新たに勧告を出しましたね。これは大臣、お読みになりましたか。八郎潟の勧告ですよ。この中では――お読みになっているだろうから私からあえて言いませんが、すでに入植は中止をした、混迷状態におちいった、畜産であるとか飛行場だというような話などもある。こう言っているわけです。だから、自治大臣農林大臣が協議をされた新農村建設というのは一体どこへ行ったのか。それといつでしたか、これは昨年の六月の三十日のエコミストに、「崩壊する゛モデル農村゛」、こういうことで、八郎潟のことを夢はどこへ行ったのだと、エコノミストはかなり詳細にキャンペーンをはっている。ですから、国際的にも有数だといわれる八郎潟がこうであるように、混迷に混迷を重ね、どうにもならぬ。指針を与えられていない、からですよ。それで、なおかつ干拓政策は進める、土地改良政策は進める、畑地を奨励するのだ、場合によっては他用途に転用するのだ、用地の造成ということは、これは国益に沿うわけだから、それ自体は否認はしないが、一体農業政策の原則は何なんだ、これは問われてもしかたがないのじゃないですか。新農村建設の基本計画、原則というようなものはとっくに出ている。しかし、それは守られない。いまの答弁のように、個々のケースによって何をつくらせるか考えようというそういうことでは、一次産業に従事する生産者それ自体が少々気の毒なような気がします。よく農政不在だというようなことを言われるのも、その辺にあるのじゃないですか。重ねて問いますけれども、新しく用途に供されようとする用地について、何をつくらせるかというあるワクがあっても私はいいのじゃないか。模索してちゃだめですよ。横島ではレンコンだと言い、イグサだと言っているのですよ。レンコンの需要がどのくらいあるのですか、イグサの将来はどうなんですか。先般の日韓経済協力委員会では、韓国はイグサをうんとつくっている。そこで、六百万戸の住宅用にイグサを日本はうんと買い込もうということをあなた方は言っているじゃないですか。そこへ持ってきて国内ではイグサの奨励、しかも、それに伴うイグサのけい肺病という問題が新たな観点から出されている。横島を例にとれば、イグサだ、レンコンだと、こう言われるけれども、その長期にわたる需給の予測があるのですか。こういうことで入植者を募集しようとしてもなかなか来ないだろうし、いつまでたってもペンペン草がはえておる。これでは、二兆六千億を想定をして、しかも十カ年間という長期にわたる国民の税金の投資効率は何なのか。これはやはり決算委員会としては、いかにも胸をはって、事農業政策、土地改良政策はまかしてくれというような顔つきのようだけれども、まかされませんよ。しかも、私はさっきから言っているように、他用途に転用しようという農地局長通達というのは間違い、明らかに法律違反でしょう。四条三項によって正当な手続をこれはとるべきですよ。これは法制局あたりにもう少し正確な見解を問わなくちゃならないが、要するに、八郎潟をどうされるのか。また、入植を呼びかけられる場合、どういう作付品目を選択させようとするのか。模索、手探りじゃ困る。これは実際生産者は困りますよ。それもありますし、基幹工事はでき上がったが、末端工事はできていない。今度私は横島に行ってみてそのとおり。だから、基幹工事ができ上がったらもう干拓は終了した、こういう認識が非常に農林省には強いですね。たとえば、周辺のノリの栽培が、干拓によって潮流の変化を来たしておる、そのためにノリの生産は全然できない。横っちょに川がありますよ、しかも、干拓地の地盤がかなり低いもんだから、その川からサンドポンプでしゅんせつをやってくれ、そうすると川も使える、地盤もよくなる、こういう話があるんだけれども、一向にこれまで予算をつけようとしない。干拓、干拓と言っても、基幹工事ができ上がればそれでよろしいということではないんじゃないですか。やっぱり末端の工事までめんどう見ていかないと、入植者あるいは地元ではそういう財政負担の能力ありませんよ。これもやっぱり大きな問題だと思う。ですから、私がお尋ねしたいのは、畑地に転用するというのもよろしかろう、何をつくらせるのか、その目標を示してもらいたい、まあ、こういうことなんですがね。それといまの基幹工事、付帯工事、末端工事、こういうものも含めて局長からでもいいからもう少し整理した答弁をもらいたい。
  84. 三善信二

    説明員(三善信二君) 第一点は、八郎潟の事業団の今後の営農の計画でございます。御指摘のように、八郎潟事業団では入植者は現在四百六十戸で、大体水田七・五ヘクタールから十ヘクタールをすでに配分をいたしております。まあ仮配分と申しますか、で、もう耕作を続けております。あと八郎潟の全体の面積で残る五千ヘクタールぐらいを現在造成をいたしております。その造成をしましたところには、今後畑地の経営をさせようということで、御指摘の何をつくらせるかという問題につきましては、八郎潟にございます実験農場で、現在野菜、タマネギ、バレイショ、そういうのをすでに試作をいたしております。また、その試作をしますと同時に、どういう経営形態にいったらいいかということで、農地局では外部の学識経験者等も入れまして一つ委員会と申しますか――これはまあそう大きな委員会ではございませんが、そういう先生方の御意見も拝聴しながら早急にこれはきめることにいたしております。  それから、御指摘の横島干拓でございますが、これは森中先生一番よく御存じのことと思いますので、私から詳しいことは申し上げませんが、ただ、あそこの営農につきましては、かねがねから県当局と、それから地元と、九州の農政局――熊本にございます農政局と常に相談をいたしまして、どういう作物を入れたらいいかということで協議をいたしております。それは私ども農地局のほうにも上がってまいっておりますし、現在――先ほど先生が言われましたように、イグサとかレンコン、それから一部、最近は酪農を入れたらどうかという意見が出てきておりますので、これも早急に県、地元、農政局、そういったところと十分相談をしながらきめていきたいと思っております。  ただ、末端工事の問題でございますが、御承知のように、干拓の場合には一応基幹工事だけを国なら国がやる。末端工事については県がやるというようなことで、基幹工事が大体進みますれば、一応仮配分的なことをやって一時耕作をさせる。その間に末端の工事も進めていくということで、末端工事は大体一年から二年を考えております。今後はこういうことを一貫して工事がやれないだろうかということを私どもとしては研究をいたしておる段階でございます。  それから、これはおことばを返すようで非常に恐縮でございますけれども、干拓の土地改良長期計画の位置と申しますか、この農用地造成事業の五千五百億の中で、一応当初見込んでおりましたのは、これもおおむねということでこの計画はなっております。――おおむね干拓の場合は事業費千八百億くらいを見込んでおりました、これをつくりましたときに。まあ、そういうことで、二兆三千億という中の問題より、この千八百億の予算の干拓、長期計画の中の干拓というふうにひとつ御理解していただきたいと思っております。  それからもう一つ、営農の点で、早急に委員会とか、そういう打ち合わせるような機関を何か考えたらいいのじゃないかということでございますが、私ども出先の九州農政局の中にも建設部、計画部がございますし、計画部は主としてそういう調査、それから営農の関係、そういうのを担当しておりますので、そういうところで、先ほど申し上げましたような県、地元等と一緒になって、この営農の問題を解決していくというふうなことを促進してまいりたいと思います。
  85. 森中守義

    ○森中守義君 法制局見えましたか。――最初からおいででなかったので、ちょっと概略申しますが、四十一年の三月二十五日、土地改良長期計画というものが、農政審議会の答申を得て閣議決定された。そこで、この内容では、その土地改良、一連の農用地造成等は、すべからく農業生産性を高める、あるいは生産規模の拡大、これだけに目標、目的を置いているわけですね。そこで、工事がだんだん進み、でき上がる。ところが、でき上がったときには相当まあ期間がかかりますから、いろいろな経済事情の変動があったり、あるいは農業生産それに対する目的を変えて、他の産業業――二次産業等に目的外に使用する、転用しよる。まあ、こういうことで、農地局長が通達を出して一定の基準を示した。ところが、土地改良法の四条の二項ですね、これに基づいて、諮問並びに答申計画の決定が行なわれる。これを受けて四条の三項で、農業事情に変動があらたとか、あるいは国土資源の開発及び保全の状況、経済事情等に変動があったため必要があるときには、改定することができる。しかも、その二項で、「前項の規定による土地改良長期計画の改定については、前条第一項、第四項及び第五項の規定を準用する。」という規定があるようですね。だから、当然、目的あるいは目標というものが結果において変わる場合、これは全体の計画のワクの中に入るであろう、つまり、改定をしなければ目的、目標を変更できないのじゃないか。こういう見解を私は持つのですよ。言いかえるならば、こういう手続を経ないで、農地局長の通達によって他用途に変更するということは、転用するということはいささか行政権の、法律のワクを越えるのじゃないか、こういう見解をさっきから私は申し述べているんですが、法制局どう考えますか。
  86. 林信一

    説明員(林信一君) 事情を十分承知いたしませんので的確なお答えができかねると思いますが、この四条の三というのを拝見いたしますと、これは形式論でございますが、必要があるときには改定することができると、まあ権能的な、権限を与えたような書き方になっております。そこで、これを発動するかどうかということは、これは当局の御判断であろうと思うのですが、私の言います意味は、政策的な意味におきまして、それが是非は決するべきであろう。法律上これをやらないからどうだという問題には、なかなか私が答弁するようなことにはなりにくいという趣旨でいま申し上げておるわけですが、字づらだけとらえてみました場合に、四条の二の二項に基づいて「土地改良長期計画においては、省令で定める土地改良事業の種別ごとに、計画期間に係る土地改良事業の実施の目標及び事業量を定めるものとする。」、これを変更する必要があるという実態がありますれば、それを変更しないことが違法だとは直ちに申し上げられませんけれども、仰せのように、変更の必要があるならば、変更するのは妥当ということは申し上げられると思います。ただ、具体的な場合につきまして、実は通達の内容も存じませんし、その点はちょっと何とも申し上げかねるわけでございます。
  87. 森中守義

    ○森中守義君 これで大体、農地局長大臣、法制局の一応の見解を聞いたわけですが、なおこれは検討の余地がありますね。必ずしも農地局長通達でずばり効力が発生するということにはならないような気がする。これはまた議論をあとに残しましょう。  そこで、行管見えておりますか。四十三年九月のさっき申し上げた干拓行政に関する地方監察結果に基づく勧告、これに対して農林省はどういう回答をよこしておりますか、措置結果をちょっと御説明願いたい。
  88. 浅古迪

    説明員(浅古迪君) 簡単に申し上げます。  干拓事業採択のあり方について検討していただきたいという事項に対しましては、「今後の干拓事業の採択にあたっては、最近の米の需給事情等を考慮し農地の造成潰廃の長期見透しのうえにたち、他事業の土地利用との調整を図って、将来とも食糧の供給基地として存続する地域に経営規模の拡大に資する優良農地の造成を行なうように配慮してゆきたい。」、こういう趣旨の回答であります。  それから、勧告はまだほかにもございますので、申し上げます。干拓地の他用途転用につきましては、これは社会情勢の変化によりどうしても農地に使えないものはほかのものに使うように考えたらどうかという勧告でございますが、これに対しましては、「農業の用途に供しうるものについては、要すれば所要の工事等を行ない農家への配分を急ぐとともに、農用地として継続させることが困難と認められるものについては、他用途転用の促進を図る等適切な措置を講ずる考えである。」、こういう回答であります。  造成地の配分につきましては、造成地の配分が雰細化して経営規模の拡大に必ずしも役立っていないから、配分の適正化について指導せよ、こういう勧告に対しまして、「造成地の零細配分の事例に関しては、干拓事業が地元の要望に基づいてとりあげられることもあって、地元の事情、とくに背後地農家の農地保有の零細な地区あるいは干拓のため漁業権または入漁権を喪失したもので、他に転業の機会の得がたい漁家の多い地区について、現地の事情をも検討のうえ、事情やむを得ないものと認められるものについてこれを行なったものである。」と、必ずしもそれが本意ではなかった、やむなくこういう零細な配分を行なってしまったものである。こういう回答であります。  それから、地区内末端工事の早期着手につきまして、先ほど先生指摘のようなことをやはり勧告いたしたわけでございますが、「農林省としても、従来から末端工事の早期着工のための措置を講じてきており、昭和四十一年度には、従来非補助融資により受益者が実施してきた地区内の農地整備事業を、国の補助による県営または団体営の圃場整備事業として実施しうることとし、さらに、昭和四三年度からは県営または団体営の干拓地区内農地整備事業として組み替え実施することとした。」と、大体そういう回答をいただいております。
  89. 森中守義

    ○森中守義君 これは、農林省からの回答をいまお読みになったわけでしょうが、ちょっといま聞き取りにくい点もだいぶあったので、よければ回答全文を次の委員会に出してください。これは行管のほうでも、農林省、どっちでもいいですから。  それと、いまの勧告の第四の中に「地区内末端工事の早期着手について」、こういうのがありますね。これは農地局長、もともとが農林省が受け持つべき分野というのは基幹工事だけなんですか、末端工事というのは地元あるいは入植者等もやるべきものなんですか、その点ちょっと説明してほしい。
  90. 和田静夫

    理事和田静夫君) 行管、いまの資料の件はいかがですか。
  91. 浅古迪

    説明員(浅古迪君) 農林省のほうからお出しいただきます。
  92. 三善信二

    説明員(三善信二君) 工事の手順といたしまして、やはり国営にとりますれば、十ヘクタール以上の基幹的な工事を終了しないと、末端の工事というのは手順としてできないというようなことになっているわけです。それは手順の問題でございます。ただ、それを施工する場合に、基幹ができたらすぐできるようにという一貫的なことをやりたいということで、先ほど検討いたしておりますと申し上げましたが、そういう方向で私どもも今後考えていきたいと思っております。
  93. 森中守義

    ○森中守義君 そういうことを聞いておるのではなくて、大体工事予算の中に末端の分までも含めて積算をしておるのかどうなのか。問題が起きたからこれからそうしなければならぬということは、いままではそれは積算の中に入っていなかったのだと、しかしこういう行管の勧告等も出たからこれからは予算もつけましょうという意味なのか、本来的にそれは予算外になっているのか、どっちかと、こう聞いているのですよ。
  94. 三善信二

    説明員(三善信二君) 国営事業費の中には入っておりませんけれども、それは付帯して県営事業をやりますので、その事業の中に予算はつけてあるわけでございます。
  95. 森中守義

    ○森中守義君 出している、こういうことですね。いま実は、たいへん恐縮ですが、よく局長の答弁聞き取れなかった点もあったのです。そこで、農林省が回答してきた内容からいって、行管の立場からすると、勧告の趣旨は生かされたというお考えをお持ちですか。
  96. 浅古迪

    説明員(浅古迪君) 私どもとしては、おおむね私どもの勧告の線に沿ってお考えいただいていると考えておりますが、この勧告は、干拓事業について、相当農政の転換を中心にした勧告でございますので、早急にはそういうのをすぐ右から左へはいろいろの関係で変えられるということはむずかしいではないかというふうに思っております。
  97. 森中守義

    ○森中守義君 それで、あと一つ、二つで終わりますが、これから他用途に転用やむを得ぬであろうというものは、大体面積の上でどのくらいなのか、あるいは個所においてどのくらいなのか、予定したものがあればちょっとお教え願いたい。
  98. 三善信二

    説明員(三善信二君) 現在、御承知のように、二十二カ所やっております。その中で、やはりどうしても他用途に向けていかないと、農地としての効用というのは非常にむずかしいというようなものが一カ所か二カ所は出てくると思っております。
  99. 森中守義

    ○森中守義君 どことどこですか、具体的に。
  100. 三善信二

    説明員(三善信二君) 佐賀県の国造干拓でございます。
  101. 森中守義

    ○森中守義君 もう一カ所は。
  102. 三善信二

    説明員(三善信二君) もう一カ所は津奈木なんか、先生、御承知のそういうところでございます。
  103. 森中守義

    ○森中守義君 これで他用途に転用する場合、もちろん、これはこまかな積算のもとに売却されるわけでしょうが、大体投入額に対してまさか赤字を生ずるようなことはあり得ないと思うんですが、いままでの実績からいけば、たとえば百五十億かけた、それに対してどのくらいの――収益をあげるということは目的でないですが、大体どういう価格で渡しているんですか。
  104. 三善信二

    説明員(三善信二君) これは実績でございますが、四十五年度、これは三カ所転用しております。その場合に、投資額が大体九億四千五百万ぐらいのものを、他用途に売りました価格が十四億ということでいっております。原則として、赤字になるような売り方はしておりません。また、極端に高く売るというようなこともしておりません。ただ、一応の基準としては、時価を基準にしてやっております。
  105. 森中守義

    ○森中守義君 これはいまのような数字ならば、農林省より土建屋のほうがいいじゃないですか。九億四千五百万でつくって、十四億で売るならば。これはやっぱり土建屋の看板あげたほうがいいよ。これはまあ損しちゃ実際はいけませんがね。しかし、あれですね、こういう点、ずうっと見てきますと、もはや土地改良、中でも干拓ということは何としてもやっぱり一つの転換期ですよ。そう思われませんか。そこで、これは建設省の関係もありましょうが、農用地という土地改良ということで始めた仕事が、結果において転用しなくてはならない。もちろん、歩どまりはかなりいいですね、九億ぐらいでつくったのを十四億で売れば。決して特別会計で損はしてはおらぬ。けれども、元来農林省の干拓事業というものは、あるいは埋め立て事業というものは、そういう意味で、収益をあげることじゃない、あくまでも農業生産、農業振興などというところに本旨があるわけでしょうがね。しかし、結果において、いま局長の答弁にもあと一、二カ所予定しているのだ、こういうお話のようですが、もう広義な意味で言うならば国益になる。けれども、単一の目標は農業規模の拡大、こういうことで進んでいって、結果論から始末をつけなくちゃならぬというならば、やはり長期計画それ自体をもう一回練り直す時期じゃないか。だれがどう言ったって、そう言うんじゃないですか。まあ、これで赤字でも生じておるというならば、いよいよもって事は重大ですが、だいぶもうかっておるようだから、その限りにおいては、あまり文句のつけようもありませんけれども、目的から変わった方向に使われるというならば、もう少し多目的、多目性と申しますか、あるいは農用地でもよかろう、そのような産業立地にもうすぐ役に立つだろう、そういう二重、三重等々の目的を兼ね合わしたものとして、もう一回練り直していく。同時に、十カ年間にわたる長期計画というのは長過ぎますよ、計画それ自体が。非常に変化の激しいときですから、もう少しいろいろ詰めていけば、この干拓の問題等はいま少し変わった方向に発展していってもいいのじゃないか、私はそう思う。それで、きょうはこれで終わりますが、機会があれば、農林水産委員会などでもう少しこういう生産の問題、需給見通しの問題などを中心にしてお尋ねする機会もありましょうけれども、決算という立場からいけば、必ずしもやってこられた仕事というものは適当であるとは言えない。他用途に転用するなどということは、全くこれは言語道断、こういう気がしてならぬわけです。もちろん、決算はきょう一日じゃありませんから、もう少し私のほうも勉強して、あと一、二回ぐらいこういう問題についてひとつ意見を聞かしてもらいたいと思いますが、きょうはこれで私の質問を終わります。
  106. 和田静夫

    理事和田静夫君) 午後一時二十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十八分休憩      ―――――・―――――    午後一時二十六分開会   〔理事和田静夫委員長席に着く〕
  107. 和田静夫

    理事和田静夫君) 委員会を再開いたします。  昭和四十四年度決算外二件を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行ないます。  御質疑のある方は順次御発言願います。
  108. 黒柳明

    ○黒柳明君 大臣のお時間が非常に限られているようなんですが、私簡潔に要点だけ質問していきたいと思います。要領いい御答弁をお願いしたいと思います。  公益法人の問題ですが、もう本委員会でも、予算委員会でも、この問題取り上げられまして、なかんずく総理大臣みずからその不備を認められ、そしてまあ検討しろ、こういうことになっているわけでありまして、その作業は当然各省庁、また、政府行管としても行なっている、こういう段階だと思います。そこで、まず行管のほうに、いま現在、この総理の意向を受けて、どのような調査を行なっていらっしゃるか、各省庁から当然何か資料をおとりになって、それに基づいておやりになっているかと思いますけれども、人数も限られていると思います。あるいは全部調査しているのか、それとも抽出して調査しているのか、そこらあたりどのように調査して、どのぐらいの段階にいまその調査が進んでいるのか、まずこの点についてお答えいただきたいと思います。
  109. 浅古迪

    説明員(浅古迪君) お答えいたします。  この件につきましては、昭和四十六年五月、総理大臣から特命がございまして、この特命に基づきまして監察局では監察の計画に取りかかりました。それで、まず十九の省庁から公益法人につきましての概況調べというものを提出してもらいまして、それに基づきまして、私どもは、対象を全部はとても調査をいたせませんので、抽出いたしまして、百六のものについて調査を実施いたしました。この調査は、大体七月下旬から調査に取りかかりまして、八月末大体完了いたしました。ただいまのところは、その調査したものの内容を検討中でございます。
  110. 黒柳明

    ○黒柳明君 その調査した段階、いまの段階におきましてあるいはいろいろお感じになられた点もあると思いますけれども、どのような点をお感じになられたか、ひとつありましたら具体的に御指摘いただければと思います。
  111. 浅古迪

    説明員(浅古迪君) ただいま申し上げましたように、目下のところは調査内容を検討中でございますので、確定的なことはまだ申し上げられる段階ではございませんが、感触と申しますか、その程度のところでございましたら申し上げたいと思いますが……。
  112. 黒柳明

    ○黒柳明君 けっこうです。
  113. 浅古迪

    説明員(浅古迪君) 公益法人の中には、事業活動が全然長期間行なわれておりませず、役員の所在も不明で、単に登記簿上だけに存在している、こういうものも相当あるようでございます。それから、定款などに記載してあります事務所に行ってみますと、その場には法人の事務所はなくて、ほかに移ってしまっていると、そんなようなものもあるようでございます。それから、収益事業と公益事業の経理の区分があまりはっきりしていないようなところもあるようでございますし、また、財団法人でありながら、基本財産がきわめて少ない、こういうようなものもございまして、財団法人としての活動がこれでできるかどうかというような感じのするものも中にはございました。また、収益事業に事業活動が片寄り過ぎているんではなかろうかと思われるようなものも中にはあるようでございます。大体、私の報告を受けました感触として申し上げれば、以上の点になります。
  114. 黒柳明

    ○黒柳明君 決算なんかが不明瞭だなんという点はお気づきになりませんでしたか。収支決算あたりがちょっと不明瞭、ちょっとはっきりしないような点はお気づきになりませんでしたか。
  115. 浅古迪

    説明員(浅古迪君) 不明瞭と申しますか、必ずしも不明瞭とまでは申せないと思いますが、科目が間違って経理しておるような、そういうようなものはあるようでございました。
  116. 黒柳明

    ○黒柳明君 全体を通しまして、やっぱり監督不十分だということが当然言えるのではなかろうかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  117. 浅古迪

    説明員(浅古迪君) 先ほども申し上げましたように、検討中でございますので、確定的なことは申し上げられない段階でございますが、公益法人の中には、県人会みたいなものもございまして、そういうものでございましたら、公益法人自体の監査にまかしといてもいいようなものもあろうかと思いますが、しかし、補助金が出ているとか、官庁の事業と相当関連があるものになりますと、やはり相当程度の監督はしていただく必要があろうかと思います。たくさんの公益法人を監察していらっしゃる省庁では、これを全部監督されるということは、相当お骨折りのようなことでございましょうが、やはり監督する場合は、重点的にやっていただくのがいいんじゃないかと、こんなふうに思っております。
  118. 黒柳明

    ○黒柳明君 行管としては、まだ調査の段階ですから、まあ断定的なこと、決定的なことは言えないと、私もそう思いますし、また今後行管としての姿勢、また各省庁との接触ということも残されているかと思います。しかしながら、いま御指摘の点だけ見ましても、やっぱりいろいろうまくなさそうな点、こういう点を私感ぜざるを得ない。  そこで、それを踏まえて、ある程度参考にしまして、農林省のほうに移りたいと思いますけれども、冒頭に私了解を得たいと思いますけれども、私は何も農林省だけを取り上げて、ここで指摘するつもりじゃございません。いま局長のほうからありましたように、十二省六庁にわたってこの公益法人があるわけであります。大は文部省の千三百から、小は沖繩・北方対策庁の一つに至るまで非常に数が多い。当然多いところは監督も指導もなかなか行き届かなかろう、こういう点も私ども十二分に存じているわけであります。また、各省庁につきましても、今後いろいろ検討、調査し、また御答弁をいただきたいと、こう思います。しかしながら、とりあえずきょうは農林省の分だけにつきまして、私ともが数多い中から――各省庁の四千数百という中から、この農林省の分だけを調査した範囲で御答弁をいただきたいと、こう思います。いろいろな角度からこれはあげられます。しかしながら、残念ながら大臣の時間が限られておりますので、端的に手っ取り早く聞きたいと思います。ちょっとさっきも局長から話がありましたけれども、行管のほうへ「公益法人の概況調べ」、こういうのが農林省から出ております、各省庁からも行管のほうへ。それに基づいて、いま行管のほうで百六調査した、こういうことであります。しかしながら、私どもの調査によりますと、この概況調べ自体が非常に――まあ概況ですから、概況だと言えばそれまでですが、あくまでも監督機関である――たとえばここにあるのは、水産庁官房の総務課というのが監督機関でありますけれども、これが監督が十二分にいっているんであろうか、この概況調べだけの一片の書類だけでも、そこまで目を通しているんであろうかと、こういう疑問がしてならない。ということは、くしくも局長のほうからその一つが出たわけでありますが、脱落、数字の違い、しかも、これが重要であるべき収支決算の項目、まだいろいろありますよ、事務所の問題とか、役員の問題とかありますけれども、金銭、しかも、これが補助金となると、これはやっぱり一銭でもゆるがせにできないわけであります、国民の税金でありますので。そういう面のまず概況調べ自体の問題というものをここに指摘したい、こう思うわけであります。あるいはこの概況調べの原簿をお持ちになっていらっしゃれば、これをごらんいただきたいと思うんですけれども、ごらんいただかなくてもおわかりかと思います。たとえば日本トロール底魚協会というのがあるわけですね、この収入が千六百九十七万二千円と出ておるわけです。ところが、四十四年度収入ですね、ここには二億六千六百七十六万一千円という特別会計金が出ている。さらに競馬共助会、ここにも同じく助成金として四十四年度分一千五百六十三万四千五百六十円という助成金が出ている。さらに日本木材加工技術協会、ここも今度は――いま補助、助成一つずつあげただけのものです――委託費は三十九万円出ているのに落ちている等々であります。補助金、委託金あるいは特別会計の出費、そのようなものが全部落ちている。それで収入、支出としてプラス・マイナス・ゼロと、こういうことが出ているわけであります。これは概況調べといいましても、わずか一つです。いろいろなことを指摘すればすべてあるんですが、私はそれに基づいて、どういうことを言いたいかというと、要するにこの表、これに基づいてある程度いま行管が調べている。これが一〇〇%じゃありません。いろいろまだ調査の手段があると思います。しかしながら、これが監督の当該省から出まして、そうして、いま行管のほうで資料にして調査し、私のほうにもこれが提出されているわけでありますね。ところが、ここにもういろいろの脱落が目につく。しかも、これは国からの補助金であり、助成であり、委託であるようなこと、さらにいろいろな点がありますけれども、全体的にこういうものを基準にして行管が調査し、また、こういうものを農林省として行管に提出するということ、この姿勢、これ自体に、私はまだまだ総理が十二分に検討しろと言った意向を受けてはたして――農林省だけじゃありません、きょうは農林省ですけれども――各省庁が十二分な監督指導をやっているんであろうか、こういう点、私感ぜざるを得ないんですが、その点いかがでしょうか。
  119. 中野和仁

    説明員(中野和仁君) 御指摘の概況調査表、六月の二十五日に行政管理庁に提出したわけであります。あるいは場合によりましては、早々の間にやりましたために、実は先ほども若干御指摘がありましたが、公益法人を監督しております課といいましょうが、係、補助金を出しておる課、係が違った場合等、それが抜けておったということも、いま御指摘にあるいはあったようにも思います。そういうことは、はなはだ資料として行管に出しました以上、私も残念に思います。そこで、ただいまの御指摘等もありましたし、その後、公益法人問題、非常にいろいろ御指摘があるのであります。農林省といたしましては、もう一ぺん個々の個票につきましてよく調査をいたしますと同時に、なお確認をするために、その法人にも照会をいたしまして、できるだけ完全なものにまずする必要があるんだろう、そういういわば台帳がありませんと、今後の監督ということには非常に不十分であると思います。農林省としましては、まずそういう概況表の正確さを期すということをやってみたいと考えております。それから、なおそれに関連いたしまして、その後私たち気づきましたことは、個票の記載のしかたでございますが、また各部局によりまして若干不統一な面もあることに気がつきました。この辺もどういうふうに統一しますか、いま練りました上で、その辺を明確にした上で、より完全なものにいたしたいと考えております。
  120. 黒柳明

    ○黒柳明君 もういま官房長がおっしゃったとおりだと思います。食糧庁、そして運輸省の自動車局、これ指摘したことがあるわけですけれども、食糧庁、自動車局は完ぺきになっている、運輸省ですね。ところが、いま言った十二省六庁の中では、一つの局、一つの庁が指摘されたことは大体各省庁も同じではなかろうか。ある人が、十二省六庁、どれが悪いかと言われると困るけれども、いいのはどこかと言われたら答えられる。法務省なんかきちっとしている。文部省もきちっとしている。まあ、私もたまにはいいところをあげませんと、にくまれ役ばかりになっていますと――そういうことであります。ですから、悪いほうに入っているんですね、農林省、残念ながら。ということは、私が冒頭に申しました四千数百、これを一つ一つ調べる労力というのはたいへんなもんなんです。ところが、これが十二省六庁の各局各課になりますと、ほんとうにわずかの数なんですよ。極端に言えば一枚です。いま言いましたように、沖繩・北方対策庁では一つしかないんですね。と同じように、各局各課に行きますと、このコントロールしなきゃならない公益法人というのは一つのところがあるんです。二つのところもあるんです。ですから、それがいやしくも収支決算に脱落があると、こういうようなものをひょっと目を通せばわからないわけはない。わからないということは、わかろうとする気がない。わかろうとする気がないということは、やはり総理大臣の意向というものをどれだけ各省庁が真剣に受けて、そして行管に書類を提出したか――それじゃありませんと、この基礎書類がきちっとしてないと、幾ら行管で調べましても――一生懸命、数少ない中で増員をしてやっているらしゅうございます、たいへんらしい――調べたって、基礎材料というものがだめなんですから、そのだめな基礎材料で幾ら行管が調べたところで、正確な調査はできないんではなかろうか、私たちそう思います、残念ながら。私たちも四千三百、いま調べつつありますけれども、なかなかたいへん。そういうことを踏まえて、具体的にそれじゃ私たちの調査によると、どういう農林省の公益法人に対する不備が出てきたかということに触れてみたいと思います。これは従来言われてきた、まあ失礼なことばですけれども、天下りということばを使われておりますので、そう言いたいと思いますけれども、このことが非常に問題の一つの大きな原因になるわけであります。農林省の場合には、御存じのように、公益法人の――すみません、ちょっと大臣、長くなるかと思いますが、お聞きいただきまして、総括的に御答弁いただきたいと思いますが、公益法人の数は三百九十、これはもうよろしいと思います。その中で休眠が二十六、これは農林省の二十四、行管の二十六と、農林省がまだ二つつかんでないんではなかろうかと、こう思いますけれども、三百九十の中で、いわゆる天下り法人数が二百二十七、天下り役員数、これはお役人が有給の役員として公益法人に天下っている数、二百四十五名、補助金または委託費を受けた法人の数が百八、四十四年度のその総額が二十六億六千四百九十一万六千円と、こういう農林省の総括的な数字であります。これはもうお調べいただければ、このとおりになっているかと思いますが、あるいはこういうことまで三百九十、一々集計はしていらっしゃらないんではなかろうかと、こう思いますが、こういう総体的な数字を踏まえまして、どういう点が不備なのか、そのまず第一に、いわゆるお役人が天下って高給をもらうということは、たびたび指摘されております。そうして、そこに補助金、委託費をもらって乱脈な使い方をする。これもある程度指摘されております。さらにもう一つここで指摘したいのは出版物の関係、これはある人が言ったことばであります。私もその人の話を聞いて、ああうまいことを言うなと、こう思ったのです。これは国民の税金のたらい回しだと言った人がある。どういうことかと私質問した。その人いわく、いわゆる高級官僚が定年になって、それ相当の退職金ももらった、民間だったらこれでもう一応限度です。ところが、その先四千数百の公益法人に天下る。農林省の三百九十の公益法人に天下って、さらに前職よりも上回った給料を取る。その給料を取っておるお役人がいるところには、これは先輩、後輩のなれ合いで補助金、委託費がつく。しかも、そこでもう一つ指摘したいのは、その公益法人が出版物を出しておる。けっこうです、内容がよければ、しっかりしたものであるならば。ところが、その出版物の内容まではさておきまして、公益法人でつくられておる出版物、それが全部農林省関係でまた買い上げられている。国民の税金です。そうすると、すべて国民の税金というものが農林省のお役人をぐるぐる回っておるだけじゃないかと、私はそういう意見を聞きまして、なるほどその人の言うとおりだ、こういうように思いました。しかも、この出版物は内容が悪いものもあります。林野庁のごときは、林野庁で原稿を全部集めて、そうして出版して、みずからが過半数を買い上げる。また、関係の課の役人が全部執筆する。悪いことばかもわかりませんが、アルバイト料をかせいでいる、こういう関係がある。具体的に指摘します。たとえば、いま言いましたように三百九十あります。いいところもありますよ。りっぱにやっておるところも中にはあるかと思います。私はここでりっぱにやっておると言う責任も義務もありません。悪いところだけ指摘しますので、全部が悪いところだけじゃないということも私もつけ加えておきますけれども、相当悪いところもある。たとえば農政調査委員会、これは天下りの例としては、元水産庁長官大和田さんが三十八万円、そうして補助金が三千七百四十三万九千円――この補助金の内容はあとで触れます。そうして、いま言った出版物、どういうものがあるかというと、「のびゆく農業」というものを出しておるのです。月二回です。部数は三千、単価は百円、その三五%を農林省関係で買い上げております。ですから、計算しますと、年間で二百五十二万円、この農政調査委員会という公益法人から「のびゆく農業」というものを農林省関係で買い上げておる。もう一つ出しております「日本の農業、」これは二カ月で一回、隔月刊、部数は二千部、単価は四百円、五〇%同じく農林省関係で買い上げておる。年間にすると二百四十万円。さらにもっとこの出版物関係だけでひどいのは、中央畜産会というものがあります。ここには東海農政局の元次長さんが二十三万円もらって、以下六名天下りの役員がありまして、月刊「畜産コンサルタント」というものを出しております。一万五千部、単価は百五十円、買い上げ率は八割であります。年間にすると二千百六十万円、こういうことなんですね。また、農林統計協会なんというものもあります。これは年間六百八十万円と二百十万円、こういう多額のお金で公益法人のそういう書物を買うのが、どこに必要があるか。たとえば、これはいまの例じゃありませんけれども、「林業新知識」というのがあります。私、専門家に見てもらいました。これも買い上げております。新知識なんか何も出ていないというわけですよ。グラビアですよ。こういったたぐいです、出版物にすれば。何にも新知識じゃありゃしない。いまのは、お役人が天下って補助金を多額にもらって、それで出版物を出して、それが全部本省関係で買い上げられて――本省を含む農林省関係と言っていいですね。そういう経費であります。さらに、お役人は天下ってなくても、補助金はあまり出てなくても、同じような例は、瑞穂協会、「食糧管理月報」、月刊です。一万五千部、単価八十五円、これはほとんど農林省関係で買い上げる。地方の食糧事務所、営林署関係であります。それから全国林業改良普及協会、「林業新知識」これです、いま言った。それから「現代林業」、これは全部林野庁で原稿を集めるというのですよ、それで編集するというのですよ。それで、それを買い上げるだけだというのです。ほとんど全部です、これも。はたしてこういうことをやる必要があるのか。もっとひどいのがありますよ、出版物関係。これは通達です。次官通達を公益法人に印刷させている省庁がある。全部これ買い上げている。そうなりますと、何のためにこの公益法人をつくったのか。出版物をつくらして、しかもその出版物を買い上げるための公益法人。また、このあとで補助金とか人件費とかの問題をいろいろ指摘したいと思いますけれども、そういうものであっていいんであろうか。当然うまくなかろうと思う。私はさらに一つ一つ、たとえばお調べいただけばわかりますけれども、ほとんどじゃない、全部が農林省関係のお役人の方が執筆して、まあ先ほど言いましたように、失礼なことばでありますが、アルバイトとしてやっているような本もあるのです。ここにずっと指摘してあります。その課長はだれで、その課はどこであるかということはわかりますけれども、あまりここに深くは言いたくありません。こういう状態であるということを十二分に……。通達を何も公益法人に刷らして一〇〇%買い上げる必要がどこにあるのか。こういう出版物関係を含めての要するに不備、これでは、たとえその補助金の使い方が悪くないとしても、百歩譲ってそこまでいってないとしてもおかしいじゃないかと、こういうことはもう肯定できる事実ではなかろうか、こう思います。いわゆる天下って、高給をとって、補助金をつけて、この次、補助金のことを言いますけれども、補助金を持ってきて何をやっているのか、出版をやっている。それをどこに売るのか、政府が買い上げるだけ。こういう例であります。  その次は、まあこれは持参金につきの法人、渡り鳥の法人、こういうことでありまして、これも私が考えたのではないのです。やはり外部の人に考えていただいて、うまいことば使ったと思います。持参金つき法人とはどういうことかというと、これも失礼ですが、一、二を指摘して、具体的にあげたほうがわかるかと思います。何もここだけがそうだという意味ではありません。たとえば、日本冷凍食品協会、設立が四十四年七月一日であります。国庫の補助が四十四年度一千五百万、ここには食糧庁の元総務部長が行っているわけです。食糧庁をやめたのは四十年四月で、すぐ四十年五月から四十四年六月まで日本学校給食会の理事に天下っております、文部省関係ですね。そして、四十七年からこの日本冷凍食品協会をつくって、天下って千五百万の補助金をとっている、こういう例があります。残留農薬研究所しかり、食品産業センターしかり、四十五年四月設立、四十五年八月設立。天下っている人は元農薬検査所長、元蚕糸局長、その人たちが必ず中間に、農林省からストレートじゃなくて、たとえば堀さんの場合には、日本植物防疫協会の理事長、ここに行って、そして、またこの残留農薬研究所に来ている。この人兼任ですね。片方は十五万もらって、片方では八万三千もらっている、こういうことであります。要するに、一人のお役人さん、農林省の高級官僚が一つの公益法人に行って、またその次の公益法人に行く。そして、設立と同時に補助金をつけている。こういう例、これは非常にやっぱりいろんな疑惑が持たれるのではなかろうか。いま言ったような冒頭の例もそれに当たるわけですけれども、さらに補助金と事業費のアンバランス、補助金というのは、一〇〇%補助という場合もあります。しかしながら、ある一定の事業をやるため何割かを補助するというのが、補助金の性格であるかと思いますけれども、そういうのを見まして、これはもう羅列すると切りがありません。一〇〇%なんというのはほとんどありません。その補助金と事業費との内容のアンバランスを見ますと、たとえば、先ほど申しました農政調査委員会では、事業費が四十四年度二千二百万、補助金が三千七百万。農林水産航空協会、事業費が九千九百万、補助が一億一千百万。農業改良資金協会、事業費が五千五百万、補助が七千五百万等々、これも指摘すれば切りがありません。  それから、事業費と人件費のアンバランス。これも、農林省のほうでは、あんまり事業費、人件費が出るところ、そういう法人はちょっと問題であろう、こういう意見も出しているようでありますけれども、たとえば、日本食肉市場卸売協会というのは、事業費が一千八百万、人件費が七千万。中央農業拓植基金協会、事業費が四万六千、人件費が五百六十二万七千等々であります。事業費が一千万あるいは四万、それにもかかわらず、その何倍、何十倍の人件費を使っている。こういうことも、これは天下りによる人件費のための協会ではなかろうかと、こういうことも非常に大きな疑惑が出てくるわけであります。さらに、収入と比較して人件費が多い、こういう問題も出てきます。  一番最後に、これは一応ここにつくった表での最後ですけれども、いわゆる高給、最高三十八万――二十五万までのワースト・トゥエンティというのを一覧にしましたけれども、あと農林大臣ごらんいただければ――また、このあとずっと続きます。フィフティあたりまでとろうと思ったんですけれども、あんまり多くて委員会の席上まで間に合いません。二十傑だけを並べてみました。二十五万となりますと、相当な現職の現農林省関係では長いおつとめ、あるいは相当最高級な人ではなかろうかと、こう思います。さらに――すみません、二時まであと二分三十秒あります――一、二具体的に指摘すれば、こういう事実もあるわけです。農政調査委員会、これがちょっと全体的にはワースト・ナンバーワンみたいなんですけれども、どうかといいますと、これは国庫補助金で、この法人まるがかえというケースですよ。たとえば、人事の面で――すみません、人事でどうしても指摘しなければなりません。元農林事務次官東畑さん、その次は元水産庁長官久宗さん、その次は元水産庁長官大和田さん、この人たちが代々のここの理事長であります。理事長は、そういう大物のポストになっているわけでありますね。事務局長の給料が三十八万、これは最高です。しかも、この人件費と事業費のアンバランス、一千八百万の人件費で、事業費がわずかに一千万、こういうアンバランスです。もう明らかにこれは農林省のトップクラスのための、失礼ですけれども天下りの委員会ではなかろうか。しかも、さっき指摘しました出版物、どんどん出して、どんどんここから買っております。こういうことを見ますと、私は何も、すなおな気持ちでいたいのですけれども、それでも、なおかつ非常に何か邪推が起こらざるを得ない。国庫まるがかえではなかろうか、こういうふうな気がします。もっと、これは研究次第で――これは次にもっと詳しく調べようかと思いますけれども、残留農薬の問題で問題があります。たびたび国会でも指摘されました、農薬は危険だと。母乳から農薬が出た、非常にうまくない。それで残留農薬研究所というものを設立したい、こういうことであります。四十五年には一億、四十六年には一億五千万、計二億五千万の国費が支出されております。まだ完成されておりません。しかも、並行して民間のメーカーからやっぱり資金が出ているのです。これは民間のメーカーの名前は差し控えさしていただきたいと思いますけれども、全部で五億に上がる資金が出ている。農林省に言わせると、国庫の経費の軽減だと、こういうんです。ところが、実際にこの設立の目的というのは、農林省の農薬検査所では農薬を十二分に検査する能力がない。そこで、つくろうとしているのがこの残留農薬研究所だ。そういうところであるならば、よっぽど権威がある研究所にしなければならない。ところが、単に国庫の経費の軽減だということで、この民間の資金を多量に入れ、しかも、民間の製薬会社の事業部長、あるいは社長、農薬部長をこの役員に入れる。そうなりますと、これができた時点において、はたしてこのおそろしい農薬の公平な検査というものができるのかどうかという疑惑があるのです。いまの時期に何もこの資金がないから民間の資金を入れる。これは公益法人の性格として、全部政府がめんどう見なくてもいいかと思いますよ。しかしながら、ここに一流製薬会社のそうそうたるメンバーが役員で入っている。ここで農薬が有毒か無毒か検査される。そうなったら、非常にこれは不安な結果が出るんではなかろうか。まだまだこれが全部完成したわけじゃありません。しかしながら、もう完成の方向にいっております。これはもうくずすことができないんではないかと思いますが、もっともっと国民から信頼ができ、期待ができるような研究機関として、疑惑を与えないような、除くようなものをつくらなければならないんではなかろうか。まあ、こういうことを指摘したらたいへんなことであります。一つ一つ一つ一つ、こういうことであります。きょうは農林省単独の審議であります。また、総理大臣が指示を出したその公益法人の問題であります。各大臣ずらっとおそろいのところで、また、長官を中心にしまして、各省庁一つ一つ行管で調査していらっしゃる。各省庁でも調査していらっしゃる。私たちもこういう国民の疑惑を起こさないように、また、一銭たりとも税金のむだ使いをなくさなければならないという献身的な立場から、是は是、非は非として、私たち調査もし、さらに、四千数百にわたって徹底的に総点検をして、この非を指摘しますので、前向きで急速にこの処理方といいますか、調査していただきたいと、こう思います。まあ、これは後日の問題であります。  大臣、いま種々述べました。ほんとうは、これは一つ一つについて御答弁いただければいいんだと思いますが、あるいは御存じでない事実もあるかと思います。こういうことは、前もあるいは若干似たような事実も指摘されたと思います。私はこういう類型的に、大ワク的に、いわゆるいま指摘したケースというのは、天下りプラス補助金プラス書籍の買い上げという公益法人グループ、それから持参金つき公益法人、しかも渡り鳥の天下りという公益法人のグループ、補助金と事業費のアンバランスというグループ、事業費と人件費のアンバランスというグループ、それから収入に比較して人件費が非常に多いというグループ、こういう点だけをただいまの段階では指摘をして、それで、これについても十二分に調査をし、善処していただきたい、こう思いますけれども、総括的なことで一方的な発言でありますが、農林大臣お聞きになって所感はいかがでございましょう。
  121. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 農林省といたしましても、従来から公益法人に対する指導、監督に適切期すべくつとめておりましたが、いま御指摘のような面もあり、なおまだ不十分な面もあったと思います。  そこで、かねてから公益法人の許可基準、監督要領、こういう点につきましても細目の作成を検討しておりますが、近く行政管理庁からの勧告が予定されておりまする公益法人等の指導監督に関する行政監察結果と、こういう勧告も近く出るようでございますが、これなども十分踏まえまして、早い機会に成案を得て、公益法人の指導監督に遺憾のないようにしてまいりたいと、こう考えております。
  122. 黒柳明

    ○黒柳明君 すみません、二、三分超過していますけれども。私が一方的にあれして――もっと時間があれば、私は一つ一つ質疑応答したかったんです。時間がありません。それで、この書類につきましてももっと指摘したいんです。まあ、間違っている点、その中の最も問題にすべき国民の税金を扱っている収支決算、ここだけを一応数点にわたって指摘しただけなんです、ちょっとですけれども。七臣のいまの御答弁の「と思います」という点、いま私がこうずらずら言った点、こういう事実というものを、私はいま現在事実関係として、それは認識していないと思いますけれども、その事実関係が、こういうこともあり得るだろう、こういう点はある程度お気づきかと思います。それはさておいて、こういう書類、この書類をそれでは――まあ失礼ですけれども、大臣もこれは一つ一つ目を通すわけにいきませんけれども、しかしながら、農林省の所管として行政管理庁にこれを出した、こういう責任は、これはもう当然あるのではなかろうか。まあ、これは民法上の問題でありますから、特別に目じり立てて、どうだこうだというようなことではないと思いますけれども、私はそんなに簡単なものではなかろうかと、こう思うんですよ。これはだれかが調べなかったら、指摘しなかったら、これがすべておしまいです。それでうやむやです。総理大臣があれほど前向きに何とかしろと、中間には督促もしている、その善処方を。にもかかわらず、こういう不備なものが出て、その不備なものを土台にして、行管庁は何をか調査をしてやっている。しかも、その調査は四千しかできない。そういうことで、その中で、私はまあ悪いですけれども、農林省は決していいほうに入っていないんです。むしろ悪いほうに入っているんです。そういう基礎材料です、言うならば。この基礎材料がもう全然不備だということになれば、それから類推していま言ったようなことは当然あり得べきものである。それに対しては、私は総理大臣があれだけの決意を示して指示しているんですから、もう直接――申しわけありませんけれども、この場で農林大臣はその事実をお聞きになり、これから調査して、これに対して決然たるやっぱり態度で臨まれるべきではなかろうかと、それにしてはちょっといまの御答弁、御決意のほどが失礼ながらちょっと感じられないような気が私はしたんです。あるいはお聞きになっている皆さん方どうかと思いますけれども、もうちょっと私は断固たる態度で、決意をもってこの問題について対処していただきたい、こう思うんです。すみません、重ねてですけれども、ひとつその決意のほどを御披瀝――その決意というのは何も大それたことじゃないんですよ。要するに、こういう書類一枚も、だれが目を通すか、だれがつくるのか、そういうところに積み重なっていわゆる大きなひずみというものができてきちゃうんです。私たちはそれをこつこつやってきました、どこもやっていないから。そういうところで指摘したわけです。それに対しては、ほんとうにやっぱり大臣、もっともっと誠意ある御答弁が出るべきではなかろうかと、私は、私の努力と考えで、いまの大臣の姿勢というのはちょっと誠意がないのではなかろうかと、こう思いますが、いかがでしょうか。
  123. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) まあ、誠意があるないは御判断でございますが、いろいろな御指摘等も私は聞いておりましたし、また、行政のあり方等についても、公益法人ばかりでなく、いろいろ考えさせられる面もございますし、ですから、そういう面につきましては、やはり姿勢を正すといいますか、そういうことにしていくことについては、私は進んでこれをやっていきたいと、こう思っておるわけです。   〔理事和田静夫君退席、理事渡辺一太郎君着   席〕
  124. 和田静夫

    和田静夫君 私も農林省関係の法人問題で二、三のお尋ねをいたします。  まず、財団法人製粉振興会、社団法人全国米麦改良協会、これはそれぞれどのような団体ですか。
  125. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) 財団法人製粉振興会は、四十一年七月の麦価改定を機会に、政府の指導のもとに、製粉企業の近代化を進めるための資金を積み立て、体質改善をはかる、そういう事業をやることを目的にいたして、昭和四十一年九月十六日に設立され、近代化促進法に基づく近代化促進事業の五カ年計画を立てまして、現在その事業を実施していくのがおもな目的でできた財団法人でございます。それから、社団法人全国米麦改良協会、これは昭和三十四年十二月に設立された法人でございまして、その設立の趣旨は、国民の主食であります米の生産の増大と品質の改良をはかる、それに関する調査、普及、宣伝、指導等をやることを目的といたしまして、各府県にございますそれぞれの産米改良協会を中央で指導するという目的で設立された法人でございますが、その後、麦が間接統制に移りましたことにからみまして、三十七年十月から麦の品質改善等についても事業をするということで、米麦改良協会というふうに名前を変えまして現在に至っておる法人でございます。
  126. 和田静夫

    和田静夫君 行管にお聞きをしますが、この六月ごろ行政管理庁はこの二つの団体を緊急調査をされ、その対象にされたわけですね。その理由はどういうところにあるわけですか。
  127. 浅古迪

    説明員(浅古迪君) お答えいたします。  この二つの協会は、先ほども申し上げました百六の調査の対象としてあの中の一環として調べたものでございます。
  128. 和田静夫

    和田静夫君 この調査結果の中心的なところをお知らせ願いたいわけです。
  129. 浅古迪

    説明員(浅古迪君) 先ほどから申し上げましたように、目下調査の結果は検討中でございまして、その具体的内容はちょっと申し上げることはお許しを願いたいと思います。特に公益法人に対しましては、私ども直接の調査権はありませんで、調査をいたしますときには、一つ一つの法人の御協力、御了解を得て調査するというような形でございますので、結論めいたことは私から申し上げるのはお許しを願いたいと思います。御了解を願いたいと思います。
  130. 和田静夫

    和田静夫君 それじゃ、あなたは何のために調査をされたのか、公益法人の整理を政府の仕事としてやっていこうとするその趣旨に、あなたがいま述べられておるようなことで沿うと思いますか。たとえば、私企業に対しての調査でさえ、大蔵省なら大蔵省が委員会を通じて求めればちゃんと委員会に報告する。それぞれが了解をすればできるわけでしょう。了解をさせようとする努力をあなたは今後もしないつもりですか。
  131. 浅古迪

    説明員(浅古迪君) お答えいたします。  私どもの今回の監察は、各省庁の公益法人の許可のあり方、あるいは監督のあり方、こういう点を主眠にして監察をやっておるわけでございまして、それの裏づけと申しますか、監督が私どもどんなふうに行なわれておるかという裏づけ、そして補助的に公益法人を調査しておるということでございます。
  132. 和田静夫

    和田静夫君 製粉振興会が各企業から強制的にとっている拠出金をお調べになった結果わかっていると思うんですね、これは五種類ありますね、そのおのおのの名前をここであげてください。
  133. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) 製粉振興会が事業をやりますために、積み立て金をつくる原資として積み立てを行なっております項目は、近代化の積み立て金といたしまして、一般製粉業近代化積み立てというのがございます。  それからバラ積み立て、これは食糧庁がサイロでバラで小麦を売ります場合は、非常に食糧庁として経費がかかりませんので、バラの値引きをいたしております。その値引きされたものの中から一部分を積み立てて、こういった事業に使うということで、バラ積みをやっております。  それから同一倉所積み立て、これも工場の近くにございます倉庫、同じ敷地内にあります倉庫で売りました場合には、引き取り運賃が非常に安くつきます。そういう意味で、そういうところで買った工場は非常に有利でございますので、その中から同一倉所積み立てとして積み立て金を出しております。  それから共通ワク積み立てというのがございまして、これは非常にむずかしいのでございますが、専管用の小麦と増産用の小麦、これに対して同じ品物を売るわけでございますが、その間に価格の差がございますので、その差の中から積み立てるというものでございます。  それからもう一つは、全然これは性質が違うものでございますが、契約生産奨励金、これは麦の品質なり立地条件のいいところで、いい小麦なり大麦、裸麦がつくれるようにということで、生産者が需要者との間に契約をしてつくる。その契約をしてつくったものにつきましては、工場側が生産者に対してその品質に応じて段階がございますが、奨励金を出しまして、その出す奨励金を各工場が麦を政府から買います際に、一定の額積み立てをいたします。その積み立てを製粉振興会のほうを通じまして米麦改良協会に積み立て、米麦改良協会が、これを生産者団体を通じて生産者に交付する、こういう事業をやっております。この五つが積み立てでございます。
  134. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、なぜこの五種類に分けたのか、その客観的な根拠というもの、それぞれの拠出金について、一体どういうような理念に基づいてこれが存在をしているのか、どういう計算方法でそれがはじき出されているのか、伺いたいと思います。
  135. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) この積み立てば、製粉企業が近代化、合理化をいたしますために、自分たちで金を一カ所に応分に積み立てまして、それを使って業界全体の近代化、合理化をはかる目的で積み立てをいたすわけでございますが、その積み立てをいたします際に、いろいろな積み立ての資金を割り振る、その割り振る方法といたしまして、いまの一般近代化積み立てというのは、これは各工場が一律にトン当たり二十円というものを積み立てている。これは平等にみんなが出し合う金でございますし、それからバラ積み立てというのは、バラで買うという有利さ、バラ値引きで安く買えるわけでございますから、その中から、有利になった人がそれに応じて積み立てる。これは年によって若干ずつ変わっておりますが、四十五年七月から四十六年の六月までを見ますと、単価は、バラの麦を買いました際、一トン当たり二百円を積み立てる、こういうふうな積み立てをしております。それから、同一倉所積み立ても、先ほど申しましたように、非常に有利なところで原料が売ってもらえる。したがって、積み立てる余裕のある工場が、そういう同一倉所で売られた数量一トン当たり二十五円というものを積み立てる、こういうふうな考え方で、それぞれの原料の取得の有利性、そういったもので、負担能力のある工場がたくさん積み立て金を出す、こういう形で積み立てをいたしておるということでございます。それから、契約生産奨励金のほうは、これはいい内麦ができるように、そうして製粉、精麦等の企業がいい原料が使えるというために、奨励金を出すわけでありますから、その奨励金を出すに必要な金を前年度において政府から買いつける麦一トン当たり――四十五年七月から四十六年六月までで申しますと、一トン当たり三百円積み立てたと、こういうような形で事業を遂行するために、それぞれの能力に応じ積み立てる、こういう考え方のものでございます。
  136. 和田静夫

    和田静夫君 製粉振興会の第四事業年度決算報告書ですね、これによりますと、五億一千七十二万九千六百四十三円の事業費と、九億八千二百二十九万四千六百四十五円の生産奨励金が使われていますね。で、それぞれについて、これは一体どのような行政効果があったわけですか。
  137. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) 申しわけございません。ちょっと初めの金額……。
  138. 和田静夫

    和田静夫君 第四事業年度収支決算書によると、事業費のところで五億一千七十二万九千六百四十三円、支出の部ですね。生産奨励金のほうは九億八千二百万余円、それぞれについて、どういう行政効果があるのですか。
  139. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) これは五億一千万の事業費のほうは、構造改善事業費に  いま申しましたようなことで積み立てました金を構造改善の事業のために使うというのが大部分でございます。約四億八千万程度になります。それから、そのほかに粉食の普及宣伝費の事業あるいは調査研究、広報、図書の出版、そういったことで、それぞれの事業目的を達成いたしておりますし、それから、生産奨励金のほうは、これを先ほど申しましたように、製粉振興会で各工場から集めまして、米麦改良協会に渡しております。米麦改良協会は、契約数量に応じて生産者団体を通じて農家に交付しておる、こういうことで、良質麦の生産増強をはかるということをやっているわけなんです。
  140. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、第五事業年度予算書には、新たに企業対策費として四千三百万円が計上されている、これは一体なんですか。
  141. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) 第五事業年度において、企業対策費として四千三百万円の事業費を計上いたしておりますが、これは新しい企業対策費でございまして、従来学校給食用の小麦粉は委託加工で政府がつくりまして、それを学校給食会に販売をいたしておったわけでございますが、四十六年度から学校給食用の小麦粉に対する国庫補助が打ち切られるという計画がございましたので、いずれ委託加工方式が原麦の売却方式に切りかえられるだろうということが考えられました。そこで、業界におきましては、こういった委託加工から、原料を買いまして粉を売るという方式にかわるときに、買い入れ資金等も要りますし、また、競争も起こってまいりますので、企業に非常な変化が起こる、急激な経営上の変化が起こるおそれがある、したがって、その際に急激な変化を緩和するという意味で、業界が自主的に委託加工実績数量に応じまして、小麦粉一袋当たり七円というものを拠出いたしまして、それを製粉振興会に積み立てておきまして、これがたまりまして四千三百万円になりましたので、これを、こういった委託加工をやっておりました工場が現在委託加工が廃止になりまして、原麦売却方式になっておりますが、それに移った際の合理化施設の導入あるいは企業転換をするところもございますので、そういったものの助成あるいは原料買い取り資金の金利の助成、こういったことに使うということで、その管理を製粉振興会がやる、こういうことでございます。
  142. 和田静夫

    和田静夫君 その下に、財団法人食品産業センターへの寄付一千万円が計上されていますね。食品産業センターというのは、一体どういう団体ですか。
  143. 関守

    説明員(関守君) 食品産業センターは、食品産業界全体の相互連携を強化いたしまして、その産業の近代化に資するために、昨年八月設けられた団体でございます。で、実施しております事業は、大きく分けまして四つの範囲に分けられると思います。一つは、技術開発推進事業でございます。それから第二番目は、技術経営指導事業でございます。それから競争秩序の整備と、それから消費者対策事業が三番目でございます。それから調査並びに広報事業をやっております。
  144. 和田静夫

    和田静夫君 その役員名。
  145. 関守

    説明員(関守君) その役員は、会長が正田英三郎さんでございます。それから専務理事が石田朗でございます。それから理事は全体で三十五名おります。各業界の方でございます。一々申し上げますか。
  146. 和田静夫

    和田静夫君 その役員名をあと資料で私にください。
  147. 関守

    説明員(関守君) はい。
  148. 和田静夫

    和田静夫君 この団体――センターのいわゆる運営にかかわる一切の規約――規約なとありましょう、それらを資料でいただけますね。
  149. 関守

    説明員(関守君) 提出いたします。
  150. 和田静夫

    和田静夫君 その廃業する中小製粉工場に、戦後の食糧難時代に国民の食糧を確保した功績にこたえて見舞金を支払う、こういうことは、いま役員名をあげたところで若干のことは類推できます。私は、次回の農林省決算で、ここの部分はもっと克明にやりますが、きょうは下準備みたいなものですが、いまの段階で一体こういう必要があるのか、どういう一体根拠を持っているか、いかがですか。
  151. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) いまのはちょっとあれだったんですが、食品産業センターの事業としてでございますか――経済局のほうの所管でございますが。
  152. 関守

    説明員(関守君) このセンターは、先ほど申し上げましたように、食品産業全体につきまして……。
  153. 和田静夫

    和田静夫君 製粉だ。
  154. 関守

    説明員(関守君) 失礼いたしました。
  155. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) 製粉振興会の事業の中で近代化を進めます際に、現在の製粉の能力が需要に対しまして設備過剰になっておりますし、また非常に零細な中小製粉が残っておりますので、非能率な工場はできるだけ集約をするなり廃業するなりして、業界全体の近代化を進めるというのが一つの近代化促進事業の趣旨になっております。そういった意味で、そういう事業をやります際に、そういうことに協力をして廃業していくという中小企業の工場に対しましては、廃業見舞金というものを一定の基準で出すということをいたしておりますが、そういったことによりまして、こういった近代化の事業が円滑に進められ、製粉企業そのものが近代化し、ひいては国民に対する麦製品の安定した供給ができるようにしたい、こういう趣旨で、こういった見舞金というふうなものを近代化事業の一つとして、製粉振興会の積み立て金でまかなっているわけでございます。
  156. 和田静夫

    和田静夫君 これは、その見舞金自身もたいへん疑問であります。これは引き続き問題にいたしますが、その上に、たとえばさっきの拠出金はすでに昨年の六月までに十億をこすところの金額が余ってしまっているでしょう。ある報道によれば、十三億七千万円余ってしまっている、こういうことになっているわけですね。そうすると、この制度は、言ってみれば、製粉振興会そのものの存在する理由というものがもうない、そう思うのですが、これは行管の立場でどうですか。
  157. 浅古迪

    説明員(浅古迪君) そこら辺になりますと、現在の麦生産農家というものはだんだん減ってまいりますが、麦の過剰の状態にあります現状からして、麦作農家というものをむげに切ってしまうということでいいものかどうか、相当慎重に考えなければならない問題だと思っております。
  158. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) ただいま製粉振興会が積み立てました命で、事業に使わなくて、繰り越しになっている金が十億をこすというふうな御指摘がございましたが、これは現在、四十六年の六月末までで、約十八億の金が残として残っております。しかし、これは近代化事業が来年の三月末まで続くことになっておりますので、このためた金のうち十一億五千万円は、これから特に公害設備の助成等も含めて事業の範囲を広げまして、十一億五千万円の金を使うことになっております。そうしまして、結局五年間の最終年度でございます来年の三月末には約七億の金が残ることになりますが、これは事業が計画どおりに進まなかった、特に廃業見舞金で予定しておりましたものが予定どおり廃業が進まなかったという点で残った金でございますが、これは引き続き、さらに進んだ近代化と申しますか、構造改善、これを今後また続けてやることといたしておりまして、主として今後は、内陸にございます工場をできるだけ整理を――大中小にかかわらず整理をし、かつ臨海に集約するというふうな事業を進める計画を製粉振興会でやっておりますが、そういった計画の仕事の中の一部の資金として活用していく、こういう考え方で進めておるような次第でございます。
  159. 和田静夫

    和田静夫君 これは設立して、期間は五年間でしたよね。したがって、四十六年度で五年ですか、五年目ですね。ここで終わりですね、これは。
  160. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) 近代化促進事業は、この四十六年度でおしまいになります。したがいまして、先ほど申しました次の事業を四十七年度からやるということでございます。
  161. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、いろいろ言われますがね、たとえば廃業にしたって三分の一しか成果があがらなかった。国内の小麦生産者擁護のための生産奨励金にしたって、四十四年度は七億八千万円の積み立て金に対して、支払いは三億四千七百万円、大体四億三千万円もの黒字ですね。さらに、四十五年度は、九億四千八百万円の積み立てに対して、支払いは三億四千万円、六億のまあ非常に大きな黒字、四十六年度にそっくり繰り越された。輸入がふえれば積み立てが自動的にふえて、減産が続けば支払いがふえるという、そういう単純な理屈。結局、この三年間に約十億円もの金が余ってしまった。こういう態様というのは、全く行政効果があがっていない状態を示しているわけでしょう、数字に若干の違いはあっても。したがって、全国米麦改良協会専務の三田村発言として、小麦の生産が減っているのは、農民の生産意欲が減退しているほかに、悪天候による減産の影響も大きい、生産奨励金を支払っているところは減少率が全国平均より低い、品質の悪い麦をつくらせないといういい効果もまあ生んでいるというような発言をしておりますけれども、一体、需給関係内で国内の小麦の生産の位置が、良質の麦の生産という形で小規模に定着しつつあるということを示すもの、この奨励金制度の存在理由を示しているものではありませんよ。少なくとも、奨励金制度の存在理由なんというものは、いまいろいろ言われたような形であるなどというふうにはどうしても考えられません。その点についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  162. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) 先生指摘のように、この良質の麦の生産増強のための契約生産奨励金の交付は、われわれが期待しているようには効果をあげていないことはいなめない事実でございます。しかし、これは全般に、御承知のように、非常に麦の作付生産が減っておりますが、これにはいろいろな大きな理由があると思いますけれども、そういった中におきまして、やはりこの生産奨励金の果たしている役割りは、私はかなりあるというふうに考えております。
  163. 和田静夫

    和田静夫君 あると言ったって、あなたがいかにあると言ったって、実際に金額的に推していくと、行政的な効果としては一つもないじゃないですか。これは行管の側はどういう指摘を、集約をされるのか知らぬけれども、私は、そういう意味で、前段の質問に戻りますが、それぞれ調査をされた結果、行管が行管の名前において出すことができなければ、食糧庁はどうですか、これらの法人についての調査結果について、私に資料として提出をされますか。
  164. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) 私のほうで調査をいたしまして、調査の結果は御報告いたしたいと思います。
  165. 和田静夫

    和田静夫君 とにかく奨励金についての行政効果というものはあがっていません。そのことだけは、さっき私、若干の数字を並べて指摘をいたしました。この問題は後日に引き継ぎますから、この程度でやめておきます。  官房長、待たせました。東海農政局で汚職が出て、そして課長らが二人逮捕された。各省には、いま課長とか課長補佐とかいうクラスの汚職問題がかなり多いんですが、この実際の経緯及び正確な金額はどういうことになっておりますか。
  166. 中野和仁

    説明員(中野和仁君) 実は、新聞紙上にも若干報ぜられておるようでございますが、けさほど東海農政局長から私のほうにとりあえずの報告がああったのであります。それによりますと、若干新聞にも出ておりますけれども、東海農政局の建設部の設計課長、それからその課長補佐が調べられたようであります。まだ向こうで調べられておる段階でございまして、われわれのほうではどういうふうになっているかということはまだ全然つかめてない段階でございます。なるべく早く実態をつかみたいと考えておりますが、いずれにいたしましても、こういう事件が報ぜられましたことは、われわれははなはだ遺憾に存じておるわけでございます。
  167. 和田静夫

    和田静夫君 全然まだ正確なことはわかりませんか、あなたのほうで。そうして、これらについての処置はどういうふうにとられるつもりですか。
  168. 中野和仁

    説明員(中野和仁君) ただいま申し上げましたように、まだけさほど東海農政局から電話があったばかりでございます。本人が調べられておりますので、まだ帰ってきてもおりませんから、一体どういうことであったかということはいまの段階では全然われわれのほうはわからないわけでございます。その調べの結果等を見ました上で当然いろいろな処置をすべきだと考えておりますけれども、現段階では、繰り返すようでございますが、まだ全貌をつかんでおらないわけでございます。
  169. 和田静夫

    和田静夫君 一連のこういう事件が起こっておりますがね、どういうところに理由があるとお思いになりますか。
  170. 中野和仁

    説明員(中野和仁君) 政府といたしましても、また農林省といたしましても、こういう公共事業に関連するものにつきまして、常々綱紀の粛正を現場の職員にまで徹底させておるつもりでございますが、もしここにあるようなことが事実でありますれば、はなはだ残念なことだと考えております。こういうことがないように私はすべきだというふうに思いますけれども、ただいまお尋ねの、どういう原因かということになりますと、これが客観的にこういう原因だからというのはなかなか私申しにくい、やはり個人の自覚の問題があるのじゃないかというふうに思うわけでございます。
  171. 和田静夫

    和田静夫君 行政機構の上からこういうような形のものが出る欠陥があるということについてはお考えになりませんか。
  172. 中野和仁

    説明員(中野和仁君) やはり公共事業を取り扱って、それの指導監督を、あるいは、ものによりましては、国営事業を実施しておるわけでございます。その実施しておる現場の職員の自覚を求めるのが第一だと思います。それからもう一つは、そういうことがないかどうかの内部監査もいたしておりますけれども、やはりそういう監査機能を高めるということも必要ではないかと考えております。
  173. 和田静夫

    和田静夫君 これら二人のここに在職した年限はどれだけですか。
  174. 中野和仁

    説明員(中野和仁君) 調べればすぐわかるわけでございますが、私ちょっと手元にそこまでの資料を持っておりません。申しわけございません。あとでまた申し上げたいと思います。
  175. 和田静夫

    和田静夫君 これに関する一切の実態については、ひとつ私に示してもらいたいんですがね。それで、いつごろまでにできますか。
  176. 中野和仁

    説明員(中野和仁君) ちょっと、いま日をお約束しますのは、実は警察のほうの取り調べ中はなかなか内容をわれわれのほうにも言っていただけないのが実態でございますので、すぐこれを明らかにすることはむずかしいかと思います。わかりました段階で御報告申し上げたいと思います。
  177. 和田静夫

    和田静夫君 そのときに、局部長の異動状態ですが、一年で飛び歩いたり、二年で飛び歩いたり、実務は何にもわからない、実際はこの辺にまかせっきり、そういうような状態が明確にあるはずです。したがって、局部長などについての在職の状態についても同時に資料として出していただきたい。
  178. 中野和仁

    説明員(中野和仁君) ただいまのお話の点、あわせまして、わかりました段階でまとめまして御報告申し上げたいと思います。
  179. 和田静夫

    和田静夫君 国有林野について伺いますが、国有林野事業の経理は最近悪化の傾向をたどっているようですが、昭和四十年以降の決算、まあ昭和四十四年を中心にしてでいいですが、それと昭和四十六年度の見通しについてお伺いしたい。
  180. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) 昭和三十九年、四十年、木材の価格が低迷をいたしましたときがございます。このときに損益で若干の赤字を出したことがございますが、四十一年、二年、三年と材価が復調いたしまして、その三年間はきわめて良好な決算状況を示しております。大ざっぱに言いますと、収入支出あるいは損益の面におきまして、おおむね二百億前後の黒字というのを出しておりますが、四十四年に至りまして、材価の伸び悩み、代替品の進出、あるいはこういったものが外材の影響も当然受けておりますが、また人件費のアップ、事業が奥地へ移行するに伴う事業費の増加というようなことがございまして、四十四年では、収支面で十四億、それから損益で三億、まあ黒字でございますが、とんとん近くになってしまっておるということで、四十六年度の見通しについて申し上げますと、そういった情勢がさらに進行いたしました結果、現時点での見通しは、年度当初は約五十億のアンバラ、赤字予算を組んでおりましたが、現時点ではおおむね百億ぐらいの赤字になるであろうというのが見通しでございます。
  181. 和田静夫

    和田静夫君 林野庁、明日林政審議会が開かれますね。そこで国有林野の運営などについて抜本的な改善策を諮問をする、こねいうふうに報ぜられているわけですが、そこでかねて懸案の行政と経営の分離の問題を持ち出すことになっているといわれています。これに対して全林野の労働組合の側は、首切りにつながると強く反発をしていますが、首切りにつながることはありませんか。
  182. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) 明日、林政審議会を開催いたします。これは、九月の初めに切れました任期がございまして、それの再選をいたしました結果の顔合わせ、また新しく構成された委員の今後の部会運営方法というようなことをおはかりいたします。続いて、懇談形式といいますか、正式の諮問ではございませんが、現在の日本林業がかかえておる幾多の問題、またそれの一環としての国有林の抜本問題というようなことにつきまして実質的な審議を開始していただくという予定でございますが、そういったものが首切りにつながるかどうかということは、これからまあ審議をお願いをいたしまして、いずれ答申をいただくことになろうかと思いますが、現在は、何とかそういうことのないように経営を合理化いたしまして新しい仕事も考えるということで、極力抜本的な合理化対策を鋭意いま検討中でございます。
  183. 和田静夫

    和田静夫君 何とかそのようなことのないようなことを強く私どもとしては期待をしておきます。ともあれ、いろいろ合理化を通じて全林野の労働者の首が飛ぶというようなばかげたことにならないように、その点注文を強くつけておきます。  そこで、国有林野事業の現状からいって、先ほど言われたような四十六年度の見通しなどを通じて独立採算性というものをやっぱり貫くべきだと考えていらっしゃるのか、それとも、独立採算にはもうこの機会にこだわらなくて、万一赤字が出た場合には一般会計から補てんをする、そういう行き方のほうが国益に合致すると考えていらっしゃるのか、いかがですか。
  184. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) 現行の方式は、独立採算性の特別会計方式をとっております。その中で治山事業、自然環境の保全、また、経済的な伐採、造林、そういう林業的な行為というものを一緒にやっておるわけでありますが、この関係はなかなか分離できない面がございます。現地へ行きますとそういうのが入り組んでおりまして、有機的につながり、また総合的に考えませんと効率的な経営はできないということで、原則としては同じ会計の中でこの両面をやっていくのが一番いいと、このように考えておりますが、ただ将来、公益的な機能というものが社会的にも大きく要請をされてまいっております、そういう情勢の変化も考え合わせて、この費用負担のあり方というものを検討しなければいけないと思っております。四十七年度の予算におきましては、そういった意味一般会計から仰ぐべくいま要求中でございますが、そういった負担のあり方というものも今後検討する一つ課題であろうと思います。以上でございます。
  185. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 私は、カドミウム汚染米の全国保管状況と今後の対策につきまして農林当局にお伺いをいたしたいと思います。  いわゆるカドミウム汚染米につきましては、厚生省は、カドミの含有量を一PPM以上は食用に適しないと決定をして、〇・四PPM以上の米を産出する地域は要観察地区に指定することとしております。このために、一応政府の見解としては、〇・四PPMから一PPMまでは食用に供することもできると、こういうふうな見解を出しておりますけれども、世間ではなかなかそうは受け取りませんで、これはカドミウム汚染米につきましてはその配給等を忌避しておる。それで、食糧庁としては、一PPM以上はこれは食用に供しないので買い入れない、〇・四から一PPMまではこれは政府で買い入れるけれども消費者に対しては売り渡しはしないというふうに決定しているようでありますが、この問題が具体的になりましたのは昨年でありますけれども、まあ膨大な過剰米をかかえた今日、四十四年度産米も当然問題になってくるわけでありますから、今日政府がカドミウム汚染米として全国的にストックしておるところの在庫量、一PPM以上、一PPM以下、四十四年度、四十五年度別にひとつ説明を願いたいと思います。少し煩瑣でありますけれども、私は、これは会議録に残しておく必要もありますもんで、それをひとつ読んでいただきたいと思います。
  186. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) 政府が所有いたしておりますカドミウム含有米の在庫量は、カドミウム濃度が一PPM以上と認定された地域で産出された産米が、四十四年以前産米で約七百五十トン、四十五年産米は約三百四十トン、合計で約千百トンと推定されます。さらに、要観察地域及びそれ以外の地域で人為的な汚染が認められる地域のうち、カドミウム濃度が一PPM未満と認められました地域で生産された産米、これが四十四年以前産米で約六千二百トン、四十五年産米で五千五百トン、合計一万一千七百トンございます。
  187. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それを県別にひとつ。あなたのほうに資料あるでしょう。県別に、四十四年、四十五年、一PPM以下と以上に分けて、聞いていらっしゃる方がわかるように説明してください。
  188. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) ちょっと長くなって恐縮でございますが、まず要観察地域と、それから要観察地域以外でこれに準ずる地域として知事が認定しております地域に分けて申し上げます。  北のほうからまいりますと、要観察地域で、宮城県、これは一PPM以上の地域で生産されたものはございません。一PPM未満の地域でできたものが五十三トンございます。それから福島県、これは四十五年産米で一PPM未満の地域のものが三百七十八トンございます。群馬県が、四十四年以前産米で一PPM以上のものが百九十九トン、未満のものが五百八十四トン。それから四十五年産は、一PPM以上が七十四トン、未満のものが三百十五トンでございます。富山県は、四十四年以前産米で一PPM以上が四百七十七トン、一PPM未満が三百九十二トン、四十五年産は一PPM以上が百二トン、一PPM未満の地域のものが四百四十トン。それから福岡県は、四十四年以前産米が、一PPM未満のものが四百十七トン、四十五年産は一PPM未満のものが五百五十三トン。長崎県が、四十四年以前産米で、一PPM以上が二十五トン、一PPM未満が二十トン、四十五年産は、一PPM以上が二十二トン、未満が三十七トン。大分県が、四十四年以前産米が、一PPM未満が三百六十三トン、四十五年産が一PPM未満が四百十八トン。これだけが要観察地域のものでございます。
  189. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 要観察の合計は幾らですか。
  190. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) 要観察の合計は、四十四年以前産米で一PPM以上の地域のものが七百一トン、それから一PPM未満の地域のものが千七百八十七トン、四十五年産米で一PPM以上のものが百九十八トン、一PPM未満のものが二千百八十三トン。合計で申しますと、一PPM以上の地域のものが八百九十九トン、一PPM未満の地域のものが三千九百七十トンでございます。   〔理事渡辺一太郎君退席、委員長着席〕  ただ、お断わりいたしておきたいと思いますが、この一PPM未満という中には、一PPM以上のものとそうでないものとがまだ混垪になっておりまして、それをいろいろな推計で区分けをいたしておりますので、今後、垪をくずし要箋を見て仕分けをしていきますと、この数字には若干の出入りが起こることを御承知願いたいと思います。  それから、要観察地域以外の地域でございますが、先生、これも県別にやはり申し上げますか――北海道が、四十四年以前産米、これはございません。四十五年産米で一PPM以上が二十五トン、一PPM未満の地域でできたものが二百五十七トン。それから岩手県が、四十五年産米で一PPM未満三トン。秋田県、四十四年以前産一PPM以下三十七トン、四十五年産同じく一PPM以下三十五トン。山形、四十五年産一PPM以下百四十七トン。福島、四十四年以前産一PPM未満の地域百七十トン、四十五年産一PPM未満の地域二百七十トン。栃木、四十五年産一PPM以上八十九トン、一PPM未満二百八トン。群馬、四十四年以前産一PPM未満三百三十七トン、四十五年産一PPM以下二百五十七トン。埼玉、四十四年以前産一PPM以上三十二トン、一PPM未満百八十二トン、四十五年産一PPM以上十二トン、一PPM未満九十六トン。東京、四十五年産一PPM未満四十二トン。神奈川、四十五年産一PPM未満九トン。富山、四十四年以前産一PPM未満三千五百八トン、それから四十五年産一PPM以下千七百六十トン。山梨が、四十五年産の一PPM未満の地域が十三トン。それから岐阜、四十四年以前産で一PPM以上の地域のものが十三トン、以下の地域のもの百五トン、四十五年産で一PPM以上の地域のもの三トン、一PPM以下の地域のもの百二十一トン。大阪、四十五年産で一PPM未満のもの二十六トン。兵庫、四十四年産以前のもので一PPM未満の地域のもの二十七トン、四十五年産は一PPM以上の地域四トン、一PPM以下の地域百五トン。広島、四十五年産で一PPM以上の地域のもの七トン、一PPM未満の地域のもの四トン。これを合計いたしますと、四十四年以前産米で一PPM以上の地域と認定されたものが四十五トン、一PPM未満の地域のものが四千三百六十六トン、四十五年産米で一PPM以上のものができた地域が百四十トン、一PPM未満の地域が三千三百五十三トンでございます。
  191. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 全国トータルで幾らになりますか。
  192. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) 全国トータルで、四十四年以前産米で一PPM以上の地域で生産されたもの七百四十六トン、一PPM未満の地域のもの六千百五十ミトン、四十五年産米一PPM以上の地域のもの三百三十八トン、一PPM未満の地域のもの五千五百三十六トンでございます。
  193. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで、四十四年、四十五年トータルで幾らになるんですか。あなたね、もう少し親切にやらなきゃだめですね。
  194. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) はい、失礼いたしました。  合計で一PPM以上の地域のもの千八十四トン、一PPM未満の地域のもの一万一千六百八十九トン。
  195. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 私は、今日この問題を質問をいたしますのは――今日このカドミの汚染米が非常に大問題になっている、今後どのようにこれを処分するのか。まあ今後もできてくるわけですよ。いま、あなた、富山県あたりは倉が一ぱいで満員ですよ。だから私は今後の対策等も聞いておるわけですから、そういうめんどうくさそうな態度はよろしくないと思いますね。それで、いまあなたがお示しになりましたこの数字、これは四十四年、四十五年一PPM以上、以下、全トータルいたしまして一万一千六百八十九トンですか。
  196. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) はい。
  197. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 これは一以下ですね。一以上は別に千八十四トンですね。
  198. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) はい、そうでございます。
  199. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで、私はこの問題でこの前富山県に行きまして、富山県の汚染米の実情をちょっと調査をしてきたわけですけれども、それによりますと、あなたがおっしゃったのと大幅に数字が違うわけなんです。富山県のほうでは――もちろん四十四年度が若干入っておりますが、これはわずかです。四十三年度もですね。富山県だけで全部トータルで一万七千九百十四トンとこうなっている、富山県だけですよ。これには、四十二年度が百九十二トン、四十三年度が三千三百六十五トン入っておりますから、もちろんこれは差っ引かなければなりませんけれども、それにいたしましても、富山県だけで一万七千九百十四トンという大きな数字が出ているわけですが、これはどういうわけですか。
  200. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) 富山県で、食糧事務所が七月一日現在で先生の御照会に対しましてお答え申し上げております数量が一万七千九百十四トンという数字になっておりますが、私のほうで五月一日現在で確定をいたしまして提出をいたしました資料が六千六百七十九トンになっておりまして、この間に約一万トン強の違いがございます。これにつきましては、食糧庁が報告いたしました在庫数量は、カドミウムの環境汚染要観察地域及び知事が要観察地域以外の人為的汚染が認められるというふうに認定した地域の産米を対象にして、五月一日現在で調査取りまとめた数量でございます。ところが、富山の食糧事務所から提出いたしました在庫数量は、これは県が富山県産米の販売促進と信用保持のために、とりあえず黒部市その他で要観察地域外のその付近の米も一応出庫をしないようにというふうな要請をされた数量でございます。そういう違いでございまして、富山の食糧事務所から報告いたしましたものは、われわれとしては、カドミウム汚染のために配給を差し控えなければならないというふうな米ではない、かように考えております。
  201. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 いずれにしても、県のほうはそれだけの膨大な数字の米の出庫をやめている、そういうことですね。それは要観察地区並びに要観察地区以外に、県が販売促進と信用保持のために一応配給を停止する、そういうことでまだ保管してあるわけですね。ですから、私はここに行きましたときに聞いたのは、こういうのは配給には回しません、いわゆる出庫保留米である、こういうようなことを言っておりましたが、凍結米とも言っている。こういうようなことで、そういうものがほかの県にもあるのであります。一応カドミの汚染の疑いのあるものは、食糧庁がいま発表なさった数字以上にまだあると考えなければならないわけです。それを入れた場合にはどのくらいになりますか、その辺わかりませんか。
  202. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) これは、私のほうでは先ほど申しましたような調査をいたしておりますので、富山県が独自にその周囲まで用心をして一時暫定的に保留しておる数量、それに類するようなものがほかの県にもあるかと思いますけれども、その数量は私のほうでつかんでおりません。
  203. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうしますと、食糧庁の全国統計による以外にも相当なカドミ汚染の疑いのある、いわゆる出庫保留米といいますか、そういうものがあると考えなきゃならないですね。そういうのも入れて、私は決算の面からまあ考えるわけでありますけれども、引き続いて質問をいたしますが、それで、今度は保管の費用の面からちょっとお伺いしてみたいと思うのですが、売り渡しを保留している汚染米には当然金利と倉敷がコストとしてかかるわけですが、倉敷事情によっては転送する必要も生じ、その米は運送料が、横持ち料がかかる。農協の倉庫料が、一日から十五日、十六日から三十日または三十一日が一期になっている。たとえば、十三日に入庫いたしまして二十日に出庫しても、二期分を支払うことになるわけです。なお、一期分の倉庫料は少なくとも余分に必要になる。また、営業倉庫は十日ごとの三期制であるが、同じ問題があるように思われます。そこで、汚染米の処分を急ぐ必要もあるわけですが、一年分の金利、倉敷がトン当たり幾らになるのか、また総額でどのくらいになるか、その点を一つお伺いしたい。
  204. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) 倉敷料でございますが、これは金利、倉敷は大体年一トン当たり一年間で一万円程度になると思います。  なお、ただいま先生に申し上げましたカドミウム汚染米と申しますか、一万二千七百七十三トンのいままでにかかりました保管料を計算をいたしてみますと、約六千百万円程度になっております。なお、これをそのまま年間保管をいたすといたしますと、四千二百万円程度保管料がかかる計算になります。
  205. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 まあ、これはいろいろ計算しますと相当な保管料もありますし、かつまた、汚染米としてそれをかりに処分をしても、これは相当安い値段でやらなきゃならない。非常にこれは国損になるわけですね。それを、こまかい数字を私がここでやりますと、非常にまた長くなりますから、それは省略いたしましょう。たとえば、買い入れ値段と汚染米の売り渡しの差額は幾らになるのか、そういうことも聞く予定でありましたけれども、これは省略いたしますが、それはわかっておりますか。――それでは、次に聞きましょう。いままで汚染米を処分した価格、それから買い入れの価格でどのような損になっておりますか。
  206. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) いままでカドミウム汚染で一PPM以上の含有量があると思われる地域で生産されたものはまだ売っておりませんし、また一PPM以下のものでございましても廃棄をしないということで保留いたしておりますものも売っておりませんので、どの程度の価格で売れるか、損が幾らになるかの計算はいたしておりません。
  207. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それは地方団体に売ったのもありますが、それはまあ保留しておきまして、約一万数千トンの汚染米をかかえまして、今後食糧庁はそれをどういうふうに処分をなさるのか、その点ひとつお聞きしたい。
  208. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) 一PPM以上のものにつきましては、これは食品衛生上有害のものでございますので食糧にならない、染色のりとか繊維固着のり等の用途に売却をいたしていくということで、目下準備を進めております。この場合には、これが横流れ等で人の口に入るようなことになっては困りますので、その売り先の染色のり等の工場に、買い受け工場に、食糧庁の職員を派遣いたしまして監視をいたすような手段をとりまして、横流れがないような手段をとった上で売却を始めてまいりたいということで、目下準備を進めております。  それから、一PPM未満のものにつきましては、食品衛生上これは有害でないということになっておりますが、食糧として食べても差しつかえないものでございます。しかし、現在の需給事情及び消費者の感情等を配慮いたしまして、目下のところ、ここ当分は配給をしないということで、そのまま保管をしておくつもりでございます。なお、今後の消費者感情等の推移を見ながら慎重に取り扱いを考えてまいりたい、このように思っております。
  209. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 一PPM以上が千八十トンですね。
  210. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) 千八十四トンでございます。
  211. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 これはのり屋さんに売るという見通しが立っているんですか、大体いまのところは。
  212. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) これは一回に売り払うことは困難でございますけれども、時間をかけて売れば、大体この程度のものであれば消化されるというふうに考えております。
  213. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 売ったのり屋さんでも、それは疑えばいろいろと横流し等も考えられるわけでしょうね。あるいは、すりつぶしてでん粉にすればわからないようになるし、でん粉にすれば米のだんごもできぬことはないわけですから、疑えばそういうことも考えられるわけです。問題は、一万一千六百八十九トンの汚染米を、あなた、ただ今後保管をしておくと、こうおっしゃったけれども、将来どうするのか、ここが問題なんですよ。厚生省の発表としては、一PPM以下はこれはまあ食用に供せられないことはないけれども、食糧庁としては配給しないというんでしょう。配給することはあり得るのですか、その点はっきりしてくださいよ。
  214. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) これは、昨年発表いたしましたように、現在の需給事情と消費者感情とを考慮して配給しないというふうにきめております。目下のところ配給するつもりはございません。
  215. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ですからね、配給しないなら、いつまでそれを保管しておくのか。私がこの前富山県に行きましたら、倉が大かたつかえてきましてね、倉庫が、カドミウムの汚染米で。ことしの新米の汚染米がいまできようとしておるのですね。それを入れなきゃならぬということでいま移動をしておりました。そういうような状態ですよ。そして、来年度も汚染米が出てくるとまた倉に入れる。そういうふうに考えてみますと、この問題はもう少しあなた方真剣に考えないと、単なる過剰米とは違うんですよね。これをずっとただ保管をしておるだけでは、農林省、食糧庁としては全く無策無能ですよ。それだけ保管料等に相当な費用がかかる。全部税金でまかなわなきゃならぬ。いかがです、その点。
  216. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) いまの問題は、私たちとしても非常に困っておる問題でございまして、今後そういった一PPM以上のものにつきましては、政府は買い入れをしないということにいたしておりますので、今後こういったものが増加するおそれは少ないのでございますが、一PPM未満のものにつきまして、要観察地域あるいは知事がこれに準ずる地域として認定した地域の米につきましては、これは食品衛生上は有害ではございませんので、政府としては買わざるを得ないものでございます。したがって、これをどういうふうに処分していくかということは、かかって需給事情と消費者感情にあるわけでございますので、それらの推移を見つつ取り扱いを考えてまいりたい、このように考えております。  なお、四十五年産米までは、御承知のように、膨大な過剰米がございます。したがいまして、何ら問題のない米も過剰米として輸出飼料用その他工業用に処理をいたしておるわけでございますが、したがいまして、四十五年産までのものにつきましては、特にカドミウム関係で配給が保留されておる、あるいは売却が保留されておることによって特に保管料がそのために多くかかっておるとも言い切れない点はございますけれども、四十六年産米以後、需給均衡になってまいりますと、そういった過剰米はなくなるわけでございますから、まさに先生のおっしゃいますように、カドミウム米なるがゆえに長く保管をしておくということは保管料その他がむだになるという問題でございますので、この問題につきましては真剣に今後の処理の方針について考えてまいりたいと思っておりますし、なお一PPM未満の地域につきましては、県その他で指導いたしていただきまして、できるだけその周辺、そういった問題の地域での米が問題がなくなるように、いろいろな土壌改良その他の処置をとっていただくというふうなことを食糧庁としては期待いたしておるわけでございます。
  217. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 私が聞いているのは、このカドミの汚染米をいつまで保管をしているのかということを聞いているのです。あなたの答弁は何回も同じようなことを繰り返していらっしゃるわけで、そこが私は聞きたいところなんです。今後の推移を見て考える、考えておるうちに二年、三年とたっちゃってカドミウムの米で一ぱいだ、こういうことではどうしようもないでしょう。その辺のところですね。いま農林大臣がおいでにならぬので、またおいでになってから聞きますけれども、非常にこれは問題ですよ。  それから次にお伺いしたいのは、一PPM以下は一応買い上げると、これはまあ決定しておるわけです。ことしの新米の汚染米も買い入れるわけですね、その点いかがですか。
  218. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) 四十六年産米につきましても、一PPM未満の地域の米は買い上げる、四十五年産と同じように買い上げることになっております。
  219. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうすると、四十七年も四十八年もずっと買い入れる、そういうことになりますね。そうすると、四十七年、四十八、四十九年、みんな、あなた、汚染米ためて、倉の中にしまっておくだけじゃありませんか。だから、この問題は早く解決しなければいけないと私は言っている。
  220. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) 先生のおっしゃいますように、これは早く解決しないとそういうことになりますので、私のほうでも急いで――しかし、非常に国民感情等もある問題でございますので、十分に慎重に検討の上、方針をきめてまいりたい、このように思っております。
  221. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで結局、食用に供することもできると、こうおっしゃるけれども、そういうレッテルを張られたものは受け取り手がありませんよ。あなた、国民感情、国民感情とおっしゃるけれども、結局はこれは積み残されていくわけですよ。  農林大臣おいでになったら聞きますが、もう一つは、一PPMまでは買うけれども、一PPM以上は買わないということですね。だから、むしろカドミの濃度からいいますと、一PPM以下より一PPM以上のほうが問題になってくる。そうでしょう。この一PPM以上の分は、食糧庁としては、これは食糧じゃございませんから私のほうは存じませんと、こうおっしゃるのか、その点いかがです。
  222. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) 一PPM以上の米は政府は買いませんので、農家のできれば保有米ということになりますが、そのものにつきましては、食糧庁は知ってないということではなくて、県等に指示をいたしまして、十分、横流れその他のことが起こらないように、農協等が中心になって取りまとめて、染色のり等ののり用に売却することを農林大臣の許可を出して実施さしております。
  223. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それは環境衛生の面から見れば、むしろ一PPM以上が問題であって、農林大臣の認可を得て農協で取りまとめて云々とおっしゃいますけれども、実際は農家自体が食べておるのもありますし、またあるいはやみで横流ししているのもあるかもしれない。あるいはまた、公害の発生源である会社、事業所等が農家に対して御迷惑をかけたと、そういうことで企業、会社が補償したのもあるでしょう。結局、そういうふうな米が、どこに、どう回っているのやら、これまた問題ですよ。そういうことに対しまして、環境庁――おいでですか、環境庁の立場から、環境保全の立場から、こういう一PPM以上の米がうろちょろしておる、これに対してどういうふうに対処をなさろうと考えていらっしゃるのか、この点お伺いしたい。
  224. 岩田幸基

    説明員(岩田幸基君) 御質問の件に関しましては、環境庁として具体的にどうということはございませんが、環境庁といたしましては、こういう米が食糧として出回らないように措置されることが望ましいと思うわけでございます。
  225. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 望ましいって、私は、あなたの、まあ環境庁としての立場から、こういったような問題に対してどういうような考えを持っていらっしゃるのか、対策等も聞いておるわけでしょう。いかがですか。
  226. 岩田幸基

    説明員(岩田幸基君) 環境庁といたしまして具体的な対策を立てるべき筋合いでもないと思いますので、いま申しましたような趣旨に沿って食糧庁なり農林省で措置されるのがいいのではないかと思います。
  227. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 あなたは、望ましいとか、大臣みたいな答弁じゃ困るよ。大石長官見てごらんなさい、びしびしやっているじゃありませんか。だから要するに、一PPMまでは食糧庁は買うというのです。一PPM以上のほうは、これは食糧じゃありませんから、食糧庁としては買い上げませんというのでしょう。ところが、実際一PPM以上の米がかなりあって、それが農家に保有されておるのもあれば、いろいろと知らぬ間にやみで葬られておるのもあるだろうと思います。あるいは会社等が買い入れたのもあるだろう。そういうようなものを見て、環境庁の立場としてどういうふうにお考えになるのか、あるいは環境庁が食糧庁に意見具申をするなり何らかの考えはないかどうかということを聞いている。望ましいというのは何ですか。あなた、これは答弁になりませんよ、そういうのは。私は環境庁に質問の通告もしてあるのですよ、これは。質問の通告をした以上は、それ相応の準備をしてきなさいよ。望ましいとか、そんな、答弁にならないですよ。
  228. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  229. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 速記を起こして。
  230. 内村良英

    説明員(内村良英君) この一PPM以上の米につきましては、ただいま食糧庁次長も申しましたように、これは政府が買い上げないわけでございます。と申しますのは、食糧管理法では、食用に供し得る米を買うとなっておりますので、食品衛生法上禁じられている米は買えないわけでございます。そうなりますと、それをつくった農民が困るわけでございます。それで、過去におきまして、群馬県の例を申しますと、食糧庁は食糧事務所を使いまして、県の経済連と相談して、それを東京ののり業者に売っております。もちろん値段はとても高い値段では売れませんが、その分につきましては、加害者である企業者から補償を取っておる。ということで、農林省としましては、そういった米を知らないでつくった農民の犠牲というものを救済するためには、今日までいろいろ努力はしております。そういう状況でございます。
  231. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ですから、私が聞きたいのは――そういうふうに一PPM以上であって、地方の公共企業体なり事業会社が買い入れる、これはまあいいですよ。それにしても、会社、事業体が買うて、のり屋なりいろいろ、染色業者に売ったのもあれば、補償して買ったけれども、どこへ持っていくのか、それを持っていく先に困って、現在農協の倉庫に保管しているものもあるわけでしょう。また、それはいいですよ。それ以外の一PPM以上の米は、農家が自分で汗水たらしてつくった米だから、自分の飯米として食べたものもあるかもしれない、あるいはまたやみで横流ししたのもあるかもしれない。そういうものはもちろん国民衛生の立場から、環境保全の立場からは、これは非常に大事な問題ではないか。ですから私は環境庁に聞いている。環境庁の立場からそれに対するいろいろ何か考えはないのか。ただぼう然と見ておるのか、ところが食糧庁は、一PPMまでは食糧ですから買いますけれども、それ以上は買いませんので所管外であるというような態度でもって答弁をしておるから、結局一PPM以上の米はどこへも持っていきようがない。答弁をする者もお互いになすり合いで、それは食糧庁のほうじゃありませんので厚生省に聞いてくれとか、環境庁に聞いてくれとか、環境庁は、米だから食糧庁に聞いてもらわなきゃ困る、こういうことになっておるじゃありませんか。そういうことをいまの課長なんかは、何やら「望ましい」というふうな、そういうような――何ですか、それは。だから私は聞いておる。
  232. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) 食糧庁は一PPM以上の米を買わないので、あとは私のほうではないとは申しておらないのでございます。私のほうといたしましても、こういうものが横流れその他、人の口に入るようなことがあっては困るわけでございますから、先ほどから申しますように、地方公共団体等を指導いたしまして、これは厳重に特定の倉庫に集結保管をさせ、そうして保管管理の厳正を期さす。そうして、その処分につきましては、食管法に基づきまして用途を限定いたしまして、農林大臣が許可をして、その用途に売り渡すということをやっておりまして、逐次そういうことでそういった米が、染色のり等、あるいはライススターチ等の用途に参っております。また、農家が横流し、やみで売るというようなことは、私のほうといたしましても心配はございますけれども、いま御指摘のございましたような事例は、いまのところまだ発生をいたしておりませんが、今後も地方庁に監督指導を厳重にやるように指示をいたしまして、そういうことのないように万全の策を期したい、このように考えております。
  233. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それならばお伺いしますが、農林大臣の許可を得て一PPM以上の汚染米を売却したのは幾らありますか。そこに資料あるのじゃないですか。
  234. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) ただいままでのところ四百四十一トン三百八十四キロでございます。
  235. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 四百四十一トンですか、そういうのはいいですよ。私が申し上げているのは、それ以外に、食糧庁が指示しているのは、一PPM以上の汚染米で、農家の保有米等で、いわゆるきれいな米にかえてほしいという希望のある方にはかえてあげるということで、来ればかえてあげたわけでしょう。かえたのもあれば、かえていないのもある。また、そういうような公害発生源の事業体を通じて補償した以外の米もあるわけですね。そういうのが相当あるわけですよ。それに対する対策等はどう考えておるのか、これを聞いておるわけですよ。
  236. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) 一PPM以上の米につきましては、食糧庁は交換はいたしておりません。一PPM未満で、食品として害はないけれども、やはり食べるには気持ちが悪いということで、農家から保有米を政府の米とかえてほしいという要請のあったものにつきましては、これを交換をいたしております。  それから、四百四十一トンが現在、農林大臣の許可で処分されておりますが、それ以外にも、農家の手元、あるいは特定の倉庫に集結保管というふうになっておるものもございますので、これはもう逐次、農林大臣の許可をいたしまして、有害でない用途に処分するように指導をしてまいりたい、このように考えております。
  237. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 あと大臣がお見えになってからお伺いしますけれども、それまでにちょっとお伺いしたいのですが、私は何べんも繰り返して聞いておりますけれども、要するに、農家の現地の声というものは、いつまでも汚染地域あるいは汚染米等のレッテルを張られたままで、われわれは農家、農民として仕事のやりがいがない、こう言っているのですよ。せっかく米はつくった、一生懸命働いて自分のつくった米は、政府は買うてはくれるけれども倉の中にポンとほうり込んで、そしてしまいだ。われわれ百姓としては、ほんとうにおいしい米をつくって、国民の皆さんに食べてもらって、そこに農民としての生きがいがある。それを全くこれでは、〇〇地区の米は汚染米であるというレッテルを張られたままで、この調子で一体いつまでいくのかはっきりしてもらいたい。はっきりせよということは、非常に農地がよごされておるので、土壌改良してすっきりしてやるならやる、あるいは、だいじょうぶならだいじょうぶ、どっちかにしてもらわないことには、だらだらだらだらやられたのでは、われわれとしては非常にこれは仕事に対する力も入らない。そういう不満があるのですよ、現地に行ってみますと。そういう精神的な農家の悩みに対しては、一体、農林省は何をもって補償するのか、その辺のところを私は大臣にも聞きたいのだけれども、ここに政務次官もおいでになるようですから、まあちょっとお伺いしておきます。
  238. 佐藤隆

    説明員佐藤隆君) 先ほどからのやりとりをここで聞いておりまして、これを所掌いたしております農林省として、あるいはまた食糧庁として、非常にその進め方が手ぬるいという御指摘であろうかと思います。実は、このカドミウムの汚染につきましては、私事で恐縮でありますが、私自身が昨年の十二月十二日の公害国会において、当時の倉石農林大臣にきびしく追及したことを思い出すわけであります。新潟県六日町のカドミウム汚染米についてでありましたが、それ以来どの程度スピードアップされて進められてきたかということになりますと、はなはだ残念ながら、私自身こうした立場にありながら反省をいたしておるものであります。いずれにいたしましても、汚染米ができないような措置、作目の転換をどうするとか、あるいは一番いま問題なのは、やはり汚染はされてないけれども、なかなか感情問題としてこれをどう取り扱うか、これは非常にむずかしい問題だろうと思います。それらにつきましては、たとえば良質米をつくろうということで、自主流通米に回そうと思っても、カドミウム汚染地域、要観察地域というレッテルを張られたために自主流通にも回せない、そういう気の毒な地域もございます。そういったところには、土壌汚染を解消するために、たとえば客土とか天地返しとか、そうしたことにつきましては、農林省としては農地局においてこれが積極的な予算づけを進めつつありまして、すでにつけたものもあろうかと思います。そういうことで、こうした問題をいつになったら一〇〇%解消できるのかということについては、確たることをここで申し上げるわけにはまいりませんけれども、少なくとも昨年の公害国会以来問題になっていることでもございますし、さらにひとつスピードをかけてやらなければならない、これをお誓いするということで御了解をいただきたいと思います。
  239. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 大臣がおいでになりましたから、あらためてお伺いしますが、いまの質問を要約して申し上げますと、要するに、食糧庁のほうでは、カドミウム含有一PPMまでは一応政府として買う。買うけれども、これは配給には回さない、消費者には回さない。それがいまの統計の数字では全国で約一万二千七百七十三トンあるわけです。そのほかに、県が独自で県の信用等を保持するために配給には回していない、いわゆる出庫保留米と現地では言っているようですが、あるいは凍結米とも言っておりますが、そういうものを入れますと相当数を上回っているわけです。それが、昭和四十六年度分がもうぼちぼち入ってまいります。そうすると、一番大きなところは冨山県ですが、倉庫の関係もありまして、これはもう移動しなければならない。それから来年、再来年というふうに、次々と入ってくるわけです。そうすると、これは相当大きな数字になってまいりますので、一体これをどうするのか。ただ保管するだけでは全く農林省は無策無能になるのじゃないか。その間におけるところの保管料等にも相当金がかかる。だから、いままでの単なる過剰米とは性格が違うのであるから、この際にはっきりしたほうが、これは国益という面から考えてもいいんじゃないか、まあそれが一点ですね。その方針をどうするのか。  それから二番目は、一PPM以上は、これは政府は買わない、食糧庁は買わない、買わない分がまた相当あるわけです。ところが、その中で地方団体等が農林大臣の許可を得て売ったのも幾らかある。それからその残りの分は、大かた農家が保有米としてみずから食べておるか、あるいは横流し等があるかもしれない。そういうものが国民衛生の立場からいうとむしろ問題ではないか、こういうことをお伺いしたわけですけれども、二番目の問題は、食糧庁と環境庁とどうも責任のなすり合いみたいなことで明確なる答弁を得なかった。大臣がお見えになりましたので再度お伺いしたいと思います。
  240. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) お話の一PPM以上の米については、農林省としてもその取り扱いをきめておることは御承知のとおりだと思います。これ未満のものにつきましては、その取り扱いにつきましては残念ながらいまどういうふうにするという結論を持っておりませんが、今後の取り扱いにつきましては、需給の動向とか、消費者感情とか、こういうものを十分見詰めまして、お話のようなことにならないように対処していきたいと、こう思っています。
  241. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 大臣に聞いても同じようなことで、私は大臣の答弁に期待いたしまして、今後この問題が大臣の命令によって促進するように私はいま聞いているわけですよ。まあ幾ら聞いてもいまのところは結論は出てないし、ただ私が申し上げたいことは、先ほども申し上げましたけれども、現地の農民の感情というものを私はよく聞いているんですよ。農民として一生懸命米をつくっているんだ、そのつくった米を汚染米のレッテルを張られて政府が買うてくれるのはそれはけっこうだ、けっこうだけれども、買うてそのまま倉の中にほうり込んでそれでしまいだ、われわれ百姓は国民の皆さんに対してほんとうにおいしい米をつくって、国民の皆さんに食べてもらって農家としての生きがいがあるんじゃないか、一体いつまでこの問題をだらだらさしておくんだ、こういう声があるわけです。ですから、はっきりしてもらいたい。はっきりしてもらいたいということは、この地域はだいじょうぶだとか、あるいはこの地域はかなり汚染がされておるので土壌改良をやる、客土をするならするとか、何とか早くやってくれと、こういう声が非常にひんぴんとして聞こえているわけです。ですから、農家としての精神的な打撃というものに対して農林省はどうお考えになるのか、それを大臣が答弁してください。
  242. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) この間、土地改良法の施行令をきめました。そして公害によって汚染する土地などに対しての特別の土地改良のやり方、こういうものも土地改良法の施行令の中で加えたばかりでございます。ですから、そういう線に沿うて、いまのお話のように、あるいは排水の便、あるいは土を入れるとか、公害を除くような土地改良法の施行令をこの聞きめましたから、その線に沿うて至急そういう方法をとるようにしたいと、こう思います。
  243. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 この施行令の中身ですね、どういう手続、順序によっておやりになるのか、その辺ちょっとお伺いしたい。
  244. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 農地局長からちょっと答弁いたします。
  245. 三善信二

    説明員(三善信二君) 土地改良法でやります事業の内容でございますが、これは土壌汚染防止法によりまして、農用地土壌汚染対策地域がまず指定をされますと、その指定された地域につきまして土壌汚染対策計画が立てられることになっております。その対策計画に従いまして、この土地改良事業の手法でもってカドミウムの土壌に対する汚染をできるだけ防止するように次のような事業を考えております。  一つは、水田転換事業と申しまして、取り入れ口――取水口と申しますか、そういう取り入れ口を変更し、新しく設置する、そういう事業、あるいは沈でん池と申しますか、かんがい水路の横にそういう小さな池あるいはある程度の池をつくって、そこへ一応沈でんさしてかんがい用水を送り込む、こういったこと、あるいは排土、客土、そういう事業も一応やれるようにしております。また、地目変換と申しまして、水田を畑に変えてしまう、そういうこともこの土地改良事業の中で行なうように考えております。
  246. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 土壌汚染防止法によっておやりになるわけですね。土壌汚染防止法というのは、カドミの汚染度はどの程度以上のものが適用になるのですか。
  247. 三善信二

    説明員(三善信二君) これは、土壌汚染防止法によってその土壌汚染対策地域が指定されます。その指定は、一PPM以上の場合に指定されるということになっております。
  248. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうしますと、いまの土壌汚染防止法による土地改良の計画というものは、カドミウムが一PPM以上含有するところでないとこれは適用にならぬわけでしょう。私ちょっと調べてみたんですけれども、土壌汚染防止法の施行令によりますと、確かにあなたがおっしゃったように書いてあります。第二条に、「その地域内の農用地において生産される米に含まれるカドミウムの量が米一キログラムにつき一ミリグラム以上であると認められる地域」ですから、要するに百万分の一ですから、一PPM以上でないとこれは適用にならない、こういうことですね。あとさらに、「前号の地域の近傍の地域のうち次のイ及びロに掲げる要件に該当する地域であって、その地域内の農用地において生産される米に含まれるカドミウムの量及び同号の地域との距離その他の立地条件からみて、当該農用地において生産される米に含まれるカドミウムの量が米一キログラムにつき一ミリグラム以上となるおそれが著しいと認められるものであること。」、これが第二号に書いてあります。そうしますと、一PPM以下はこれは対象にならぬ、そういうことですか。
  249. 三善信二

    説明員(三善信二君) 私の答弁がちょっと間違いましたので訂正いたします。  一PPM以上といま先生が申されました。その著しくおそれのあるそういう地域も指定をするということになっているわけです。
  250. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 私が聞いているのは、〇・四から一PPMまでは食糧庁は買い上げるわけですから、おそれがあるとなりますと、一PPMまでいかなくても、〇・九PPMくらいはおそれがあるので適用になるかもしれないけれども、〇・四から五、六、七、その辺のところは依然としてそのままである、そういうことですか。
  251. 三善信二

    説明員(三善信二君) この指定は、都道府県知事が指定いたすわけでございます。基準は、いま申し上げましたような基準で指定が行なわれる、こういうふうに考えております。
  252. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 私はこれをなぜ聞いているかといいますと、それならば、土地改良の対象になるところは一応それで事業が済めばめどはつくわけですね。その対象外になったいわゆる〇・四から五、六とか、その辺のところは依然としてこれは土地改良はされない。しかし、そこからできるところの米は汚染米としてやはり政府が買い上げていく。そういうものがやはり今後も積もり積もっていく、こういうことになるでしょう。そうなりますと、また倉もつかえてくるし、その膨大な汚染米の処置に困るわけです。そうじゃありませんか。その点いかがでしょう。そうしますと、いつまでもそこの〇・四とか、五とか、六とか、七とか、その辺のところは汚染米のレッテルを張られて、政府は買うてくれるけれども倉庫に入れたままと、こういうことになる。この点はいかがでしょう。
  253. 三善信二

    説明員(三善信二君) 土地改良事業でやりますのは、やはり先ほども申しました土壌汚染防止法の基準によりまして、知事が指定したその地域についてやるわけでございますから、その他の地域につきましては、もし一般の土地改良法の申請があればやるというようなことになるわけでございます。この特別の土地改良事業というものは、そういう指定された地域内の事業になるわけでございます。
  254. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 その場合に、土地改良事業の費用負担はどうなりますか。
  255. 三善信二

    説明員(三善信二君) この指定された地域内での土地改良事業、まあ特別にやると申しますか、採択基準も一般の場合より引き下げております。採択基準は十ヘクタール以上に考えております。一般であれば大体二十ヘクタール以上でないと公共事業の対象になりませんけれども、それを十ヘクタール以上に引き下げております。それから補助率につきましても、施設をつくるというような場合には三分の二の補助、一般の場合は大体五〇%、それから農用地の客土とか、そういったような場合には、一般の場合には圃場整備なんかは四五%でございますが、この場合には五五%と補助率を引き上げるということで考えております。
  256. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうしますと、公害防止事業費事業者負担法という法律がありますが、これは、加害者といいますか、公害発生源の企業体、加害者がはっきりしておる場合と、それからはっきりしていない場合、これはどうなりますか。
  257. 三善信二

    説明員(三善信二君) はっきりしている場合は全体の事業費の中で二分の一は加害者が持つ。その残りについていま申し上げました補助率が適用になる。それからはっきりしていない場合には、いま申し上げました、たとえば施設三分の二補助と申し上げましたが、その残りにつきましては、私ども行政指導として、土地改良の事業を採択いたします際に、採択の条件として、三分の二の残りについて三〇%都道府県に持たせたいというふうに考えております。それを採択の条件にしたい。その残りにつきましては、市町村でできるだけ持つようなかっこうで十分指導をいたしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  258. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 これは、昨年の十二月の公害国会におきまして、公害防止事業費事業者負担法の審議の際に、山中国務大臣がこう言っておりますよ。「企業者がいないで、明らかに、たとえば今回の基準ならば、カドミウム一PPM以上の米が産出をされている、複合的な原因も追及したがそれも発見できない、あるいはまた、徳川時代からの対馬等におけるような、何百年か前からのものであるというような場合において、どうしてもそれが必要な場合においては、これは全額国、地方公共団体の負担するところになるのが原則であろうと考えます。」、だから、要するに公害の企業体がはっきりしない場合でも全額国、地方公共団体で負担をする、こういうように述べておられるわけですが、この点どうですか。
  259. 三善信二

    説明員(三善信二君) いま申し上げましたのは、指定された地域につきましては、それははっきり、三分の二の施設の場合、残りについて三〇%を都道府県に採択条件で持たせる、残り四%ぐらいになりますが、それにつきましては市町村に持たせるように努力するということで、ほとんど全額やはり地方公共団体と国が持つというようなかっこうで指導してまいりたいと思っております。
  260. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 原因がはっきりしない場合でもですね。その点はっきりしてもらいたい。
  261. 三善信二

    説明員(三善信二君) ちょっとその辺もう一度係と打ち合わせておりますから、しばらくお待ちください。――いま私が申し上げましたとおりでございます。
  262. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 はっきりわからぬ。もう一ぺん言ってくださいよ。
  263. 三善信二

    説明員(三善信二君) 国と地方公共団体で全額持つように指導をしてまいります。
  264. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 発生源がはっきりしていない場合もですね、明確でない場合も。それを聞いているんです。
  265. 三善信二

    説明員(三善信二君) 指定されれば、その加害者がはっきりしていない場合でも、指定された地域についてはそういうふうに処理します。
  266. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それじゃ、いまの問題の答弁も兼ねて、最後に農林大臣にお伺いしますけれども、農民の実情は、私が先ほどから申し上げたとおりです。この問題は、だらだらしないで、すっきりしてほしい。それと、汚染米の今後の処理につきましては、今後さらに検討をするということでありますけれども、この問題も、次々と汚染米が当分の間は出てくるわけでありますから、早急にひとつ対策を考えてはっきりしていただきたい、このように要望しておきますから、最後に大臣から答弁をお願いして、これで終わりにします。最初の部分は、大臣からもう一ぺん答弁してください。
  267. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) いまおっしゃるとおりにします。
  268. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 もうちょっと、これは大臣、あまり簡単過ぎますよ。これは会議録に残るんですから。
  269. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 長いからどうということじゃなくて、長くていいのが何とかといっておりますが、結論的に言えば、いろいろお話を聞いたり、また農林省としても検討していますから、いま検討を進めて、そうして急速にその措置をとる、こういうことを申し上げたようなわけであります。
  270. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  271. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 速記を始めて。
  272. 渡辺武

    渡辺武君 農産物の輸入の自由化を中心として、外国の農産物が最近急激に日本に輸入されておりまして、これが日本農業に従来大きな影響を与えてきたということは、大臣もすでに御承知のとおりだと思います。  一、二の数字をあげてみますと、昭和三十五年から四十四年までのわずか九年間の間に、小麦の輸入高は一・七倍になりました。濃厚飼料は約五倍、トウモロコシは約四倍、大豆が二・四倍、なたねは五・五倍、ミカンは十三倍、牛肉は三倍という急激な輸入の増加ぶりであります。そうして、これに伴って国内の農産物の生産高は急激に減っておりまして、小麦はこの期間に五〇%減りましたし、大麦は五五%減りましたし、トウモロコシは六五%、大豆は六八%、カンショは三三%、なたねは八二%減るという実情であります。このために農産物の自給率が非常に低下していることも大臣御存じのとおりでありまして、食用農産物全体でいえば、この期間に九三%から八〇%に下がっている。小麦は九三%から一四%に低下した。大麦は一〇四%から三八%に下がるし、トウモロコシは二〇%から二%に、大豆は二八%から五%に低下しております。  ところで、きのう政府の貿易自由化措置が発表されまして、農産物についての残存輸入制限品目は二十八品目になったといわれております。この残存輸入制限品目に、アメリカの関心品目であるオレンジであるとか、果汁だとか、牛肉、豚肉、乳製品などが含まれております。同時にまた、そのほか、アズキ、ソラマメ、エンドウ、それからハム、ベーコン、さらにはでん粉などが含まれていることもよく知られているところであります。これらの品物を一見すれば明らかなように、日本の農民にとっては非常に重要な品目です。いま米作については米作制限の措置がとられているというような状態で、作付けをどちらに転換したらいいかということで農民が迷っておるわけでありますが、まさにいま申し上げたような品目は、将来の転換作物として有望ではなかろうかと見られているものがほとんであります。したがって、農民は今後自由化がどうなるのかということについて深刻な不安を持っていると言って差しつかえございません。  ところで、大臣は過日の日米貿易経済合同委員会に出席されましたが、ニクソンアメリカ大統領のドル防衛政策に関連して、農産物の残存輸入制限の撤廃についてアメリカ側から強い要求があったと報道されております。そこで、農産物自由化問題に関連して日米貿易経済合同委員会でどんな論議があったのか、それをお聞かせいただきたいと思います。また、いま申しましたアメリカのいわゆる関心品目、これなどをはじめとして、現在の農産物の残存輸入制限品目について今後どのような対策をおとりになるのか、これもあわせて伺いたいと思います。
  273. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 昨日、農産物の自由化というような新聞報道等もありましたが、これは前にきまっていて、関税やその他についてのきめ方についてきのうきめたわけでございまして、自由化するということはきのうの農産物品目等についてはきまっておったのであります。  それで、二十八品目が農産物で残っているわけであります。その二十八品目残ったものについて、ワシントンにおいても話があったわけでございます。で、経過を長々とお話し申し上げると時間をとりますが、とにかく自由化をすべきだと、こういう前提で、向こうのロジャーズ国務長官からも、自由化は非常に日本がおくれている、そこで農産物については、牛肉とか、オレンジとか、ジュースとか、また電算機なども含めて、そろいうものは非常に関心品目であるから、これは自由化に踏み切ってもらいたい、こういう冒頭の演説があったわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、日本の自由化というものは世界的に見てそうおくれていない。きのうのきまったものなども入れますと西ドイツ並みで、決して日本が自由化全体として怠慢であるというようなことは言えない。ことに農産物、農業の組織が違う。いまお話しのように、日本の農業は自給自足と、こういう面で進めておって、それで余ったものは輸出もする、足らないものは輸入をする、こういうたてまえで、たてまえが自給をしていくというたてまえの上に立って輸出入をやっている。アメリカの農業等は、これは輸出産業のようなもので、したがって、経営規模なども大きく、一つの産業として成り立っている。日本の農業はちょっと違う。だから、全体として日本の輸出入関係からいうと黒字であり、アメリカは赤字だ、こう言うのですけれども、農産物については、とにかくそれが端的にあらわれていることは、日本の輸入は約二十億ドル、アメリカから。輸出は一億八千万ドル。これが、農業の違いというものが、輸出入関係で農産物で違っておる一つのあらわれである。であるから、農産物についてこれ以上自由化をするということは、私のほうでは好ましくないのだと。しかし、アメリカの経済事情もあり、また自由化ということが、アメリカとの関係ばかりでなく、ガットの関係からいっても、自由化を進めるということで進めてきたんだから、全然これ以上自由化をしない、二十八品目の中で自由化をしないということは、私は言わない。しかし、日本の農業が国際競争力に対抗できるような形で構造政策も行なっておるし、そうしてその方向は、米の生産調整もあって、あるいは果樹とか、あるいは畜産という方向方向づけをして、いま鋭意やっておるときだ。その芽をここでつまれるような自由化というものは、日本ではできない。だから農産物資を、ロジャーズ国務長官も言ったけれども、その中で農業関係では牛肉とか、オレンジとか、あるいはジュースというものは、日本として自由化できませんと。しかし、全然これを拒否するというたてまえでもないから、四ないし五品目は二十八品目の中で自由化をいたしますと、自由化をするつもりでいる。つまり、トマトピューレ、ペーストを含めて四ないし五品目の自由化の用意はしておると。しかし、この自由化というものは、アメリカと約束で自由化するものではなくて、日本自体がきめるものだ。だからして、その品目等については、私が日本へ帰ってからきめるので、ここでその四ないし五品目を提示するわけにはいかぬ。こういうことで、向こうもそれをのんだといいますか、巻き返しもなければ、その品目について明示してくれというようなこともなかったようなことで会議が終わったと、こういうことであります。
  274. 渡辺武

    渡辺武君 あの発表されました日米貿易経済合同委員会の共同コミュニケを見てみますと、従来政府が進めておりました円切り上げ回避対策八項目ですか、あれが対外経済政策に関する八項目という名前に変わってうたわれておりまして、それを見てみますと、日本政府は引き続き実施するとの強い決意を持っていることをうたっているわけですね。  ところで、この八項目の中の第五項目に、非関税障壁の解消という項目があります。つまり非関税障壁の解消というのは、ここで私いま伺っております残存輸入制限の撤廃ということも含まれていると思うのですね。で、あの共同コミュニケを見ますというと、まさに残存輸入制限の撤廃を、日本政府がアメリカに対して約束しているというふうにしか解釈できないのですね。ですから、いま大臣も御指摘になったアメリカの輸入関心品目、このオレンジだとか、あるいはまたジュースだとか、あるいはまた牛肉、豚肉、それから乳製品というようなものの自由化は、おそらくまあ近い将来避けられないだろうというふうに私どもは判断しておりますし、農民の大多数もそう判断して、非常に心配しておるわけです。で、その点重ねてどうなさるのか、伺いたいと思うのですね。  同時に、あの共同コミュニケを見てみますと、「一九七二年の前半におけるいくつかの品目の自由化が積極的に検討されている」ということも書かれているわけですね。その内容もあわせて御説明いただきたいと思います。
  275. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) いまお話しの品目の中で、豚肉ですか、これは二十八残存品目の中に入っていないで、すでに自由化してあるわけであります。ですから、向こうで私の話したのは、関心品目というのは、牛肉とオレンジと果汁、ジュースと、こういう品目について自由化はできない、こういうことを言ったわけであります。  そこで、日本の円対策として八項目をきめたわけでございますが、対外的に見まして、これを忠実にというか、履行する、こういうことを共同声明に盛ったわけでございます。盛ったわけでございますが、先ほど申し上げましたように、これは御承知のように八つあるわけでございます。その中で自由化の問題を進めるということも含まれるわけであります。含まれますが、これは工業生産物やその他について向こうでも強い要求がございました。そういう意味を含めて、自由化の方向もここで打ち切るというわけではない、こういう意味も含めて、ああいう共同声明になったわけであります。  ただし、農産物については、私が再三繰り返しておりまするように、ほかの工業の輸出入関係から言いますと、アメリカが赤字で日本が黒字というようなかっこうですが、農産物については日本が赤字、こういうようなかっこうですから、これは一般的に含めてありますが、実際問題として自由化を、これからも農産物については、いまの四ないし五品目は自化由をいたしますが、それ以外についてはできるだけこれを拒否するというか、それに応じないという方針でおるわけであります。
  276. 渡辺武

    渡辺武君 ただいま伺いました「七二年の前半におけるいくつかの品目の自由化が積極的に検討されている」というようなもの、これはどういうものですか。
  277. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) これは、農産物として積極的に検討しているものはございません。ですから、工業生産物その他については検討されているものはあると思います。農産物については検討しているものはございません。
  278. 渡辺武

    渡辺武君 いま大臣のおっしゃった四ないし五品目、自由化はやっていいという四ないし五品目というのは、具体的にはどういう品目でございますか。
  279. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 先ほども申し上げましたように、向こうで私がどういう品目だということを問われたこともございますが、問われたときに、トマトピューレ、ペーストの二つですが、これを含めて四ないし五品目、こういうことを言いまして、それ以外には、私が日本に帰ってからいろいろ検討をしてきめるということでございますので、いま四ないし五品目については、まだ結論は、どれとどれという結論に達しておりません。農業の将来あるいは現在に関係のできるだけ薄いというわけではございませんが、農業政策を進めていくということについての問題等も考慮してきめていきたい、こう考えております。
  280. 渡辺武

    渡辺武君 大臣のせっかくの言明なんですが、日本の農家の人たちは、政府の言明については、かなりまゆにつばをつけて聞くという最近風習がついておりまして、たとえば六月に自由化されたグレープフルーツについても、当初のうちは、政府が公式に、グレープフルーツの輸入自由化は行なわないということを何回もおっしゃっておられた。ところが、いつの間にやらそれが六月に自由化され、しかも、ミカンをつくっておる農家の人たちは、あの自由化について猛烈な反対運動をやった。その反対運動さえも、これはまっこうから踏みにじられたというのが実情だと思いますね。しかも、せめてアメリカのミカン輸入解禁州、これを拡大してほしいという要求さえも、私は実現されていないと思うのですね。そういうような実情だと思う。  私この間、鹿児島県の農家の方からいろいろ実情を聞きますと、御承知のように、鹿児島県というところは、あの火山灰地が非常に多うございまして、そうしてサツマイモくらいしか適作の農作物はないといわれているのが実情なんですね。ですから、鹿児島県の農家の約八割がイモをつくっているという状態です。ところが、この作付面積は、このわずか四年の間に二五%、一万五千ヘクタールも減っているのですよ。なぜ減っているかといえば、これは自由化はしないと言われている中で、御承知のようにトウモロコシのでん粉――コーンスターチ、これをつくる企業が、アメリカの有名なコーンプロダクトと三菱商事と、そうして日本食品化工の合弁会社がすでにできて、国内でも生産が行なわれ、さらにはまたトウモロコシの輸入も自由化されているというような状況の中で、サツマイモの価格が引き合わなくなって、そうして耕作を放棄せざるを得ないような事態に追い込まれているわけですね。そうして、これはサツマイモの耕作に影響があるだけじゃなくて、そのサツマイモを飼料とし、サツマイモのつるを飼料として、いま鹿児島県では盛んに食用の牛を飼っている。現在では約二十五万頭、一つの県としては全国で最高だと思う。その食用の牛を飼っているのが、これが、あるいはアメリカの要求によって牛の肉の輸入が自由化されるのじゃないか、そうなったら鹿児島県の農業の立ち行く道はないのだ、そういうことで、非常にこれは心配しているのですよ。  ですから、やはり私は、大臣、いまアメリカの輸入関心品目でも自由化する意思はないのだという趣旨のことを御答弁なすって、もしそれが守られるならけっこうですけれども、その点やはり非常に疑わしいと思っているのです。どうでしょうか、ほんとうにアメリカの関心品目であろうとも、日本の農業を保護するという立場に立って、自由化を今後行なわないというふうに重ねて言明なさるかどうか、この点伺いたいと思います。
  281. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) この間自由化をしないということは、日本の閣僚も十分私の言うことを聞いていたわけです。また、アメリカの閣僚及び関係者も十分聞いておりました。だから、私は情勢判断から見ると、日本と同じように、選挙区の突き上げというのは向こうでもあるようです。選挙区の突き上げで、また自由化をしろ、たとえば牛肉などをしろという声は起きないとは限らぬと思います、これは向こうの事情を見ますと。しかし、政府の首脳者、日本とアメリカの政府の首脳者が、そこにおいて自由化をしないということをはっきりきめたものを、いまさらこれをまた帰って、会議が終わったから自由化しろ、こういうようなことは向こうでも言い出し得ないと思います。また、言い出しても、私のほうではそういうことは、一たん会議の席上で拒否してきたものを、いまさら再要請があったからといって、それに応ずるということは私はいたさない、こういうつもりでおります。
  282. 渡辺武

    渡辺武君 ついでに伺いますけれども、ミカン耕作農民が非常に強く要求しているアメリカのミカンに対する輸入解禁州の拡大ですね、これは合同委員会で大臣、要求されましたか。
  283. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 合同委員会で、わがほうの代表の冒頭演説にもそれは含めて要望したわけでございます。また、個別会議というか、私と向こうの農務長官の間でも話をいたしました。  それで、これはコーヒーを飲んでいるような立ち話のときに、向こうの事務の人が、今度オレンジを自由化してもらわなくちゃならぬ、解禁州の拡大と見合いだと、こういうことを言いますから、それは間違いだ、あれはグレープフルーツの輸入を自由化するときに解禁州の拡大というものも見合いで日本側では要求しておったので、これからのオレンジの自由化などとはまるで見合いの話じゃない――これはほんとうに事務当局の私語的なものでございます。で、そういうようなことなものですから、向こうの農務長官も、私が再度要求いたしましたところ、その要望はよくわかっておると。だが、ハワイ州を含めて十州ぐらいの解禁州を私のほうで要望しているんです。これは、私のほうでグレープフルーツの自由化をしたので、私のときではないけれども、しかしそのあと始末ということで私も苦労している、そういう要求を強く言ってきました。そうしたら、この問題は農務省の管轄でないようでございます。でありますので、この点は十分関係者とも協議するが、前向きで――日本のことばで言えば前向きでこの解禁州を拡大するということを進めたい、しかし、それにはいろいろの手続等もあるので、そういう順序を踏んで、前向きで進んでいく方向でやりますと、こういう返事でありました。
  284. 渡辺武

    渡辺武君 重ねて、くどいようですけれども、この問題は、先ほども申し上げましたように、今後の日本の農家経営にとっては非常に大事な問題ですから、重ねて伺いたいと思うんですよ。  私は、いまの大臣の御答弁を伺っておりまして、端的に思いますことは、事態は大臣の意思とはこれは別なところで進行しているんじゃないかということを痛感せざるを得ないわけです。御承知のとおり、大臣の出席された日米貿易経済合同委員会というのは、これは日米安全保障条約の第二条に、御承知のように、日米経済協力を促進するという趣旨のことがうたわれておりますね。文章で申し上げれば、「締約国は、その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する。」という条項が安保条約第二条にうたわれているわけですね。そして、この第二条に基づいて、一九六一年の六月の、当時のアメリカの国務長官ラスクと、そして当時の日本の外務大臣小坂さんとの間で交換書簡がかわされ、それを経て同じ年の十一月以来開かれたというのが、この日米貿易経済合同委員会の背景だと思うんです。したがって、この日米貿易経済合同委員会というのは、これはやはりアメリカとの間の軍事同盟体制を維持、強化するという根本的な立場に立って、その後年々開かれているというのが実情だと思うんです。また、それが根本の趣旨だと思うんです。この日米貿易経済合同委員会で日本のこれまでの自由化の問題がしばしば討議されて、促進されてきた。これが歴史的事実だと思うんです。  で、特に一昨年の十一月に佐藤・ニクソン共同声明が出されましたけれども、この佐藤・ニクソン共同声明の内容は、これはもう私が申し上げるまでもなく、沖繩施政権返還ということを一つの口実として、日米軍事同盟体制をいままで以上に侵略的に強化するということが主要な内容だったと思う。そして、そのことと関連して、佐藤首相は、この残存輸入制限品目の自由化、これの促進というようなことも、アジア諸国への援助の拡大などと並んで約束されるというような事態があるわけでありまして、いま私が申しました、この日米貿易経済合同委員会の中で対外経済政策八項目ということがうたわれております。この八項目も、佐藤・ニクソン共同声明の中で佐藤首相がニクソンに約束した自由化の促進ということがおもな柱となっていることは、これは隠れもない事実だと私は思うんです。ですから、こういうような事態がずっといままで歴史的な経過としてあって、そうして先日の日米貿易経済合同委員会が開かれ、アメリカから関心品目の自由化ということが強く要求されたという事態だと思うんです。  しかも、御承知のように、アメリカは、いまドルの危機に襲われ、そうしてそのドル危機を何とか他国の犠牲で解決しようということで、円の切り上げも要求すれば、日本の自由化の徹底的な促進ということも強く要求しているというのが実情じゃないでしょうか。特に、先日のロンドンで開かれた十カ国蔵相会議の共同コミュニケを見てみますと、その中に、OECDの第三作業部会で、アメリカの国際収支の赤字の原因と、これを各国でどういうふうに負担するかというような検討をするということまではっきりとうたわれているわけですね。この点については、これはアメリカの一〇%の輸入課徴金の撤廃と引きかえに防衛費を各国が負担するというようなことではなかろうかという推測も流されておりますけれども、私はそれだけじゃないと思うんです。やはり日本の、特に農産物について、残存輸入制限品目の撤廃なども、このOECDの第三作業部会で討議されて、そのうち日本にその問題が提起されてくるということは、おそらく避けることのできないことじゃなかろうかというふうに思う。大きなところでそういうような動きがすでにもうあらわれてきている状態でありますから、大臣がアメリカのこの関心品目を今後自由化しないとおっしゃるのも非常にけっこうですけれども、その点まことに私は疑わしいと思うんです。その点、重ねてもう一回御見解を伺いたいと思います。
  285. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 日米貿易経済合同委員会の動機が、安保条約第二条の経済協力という意味でできた趣もあるかと思います。しかし、やっているうちにこれは変化しますから、アメリカと日米安保条約第二条でかりに日米貿易経済合同委員会ができたとしても、いまカナダでもやっております。それから韓国ともやっております。あるいはソ連とも経済関係やっておる。でございまするから、合同委員会の根拠が安保条約第二条に基づくものだと、まあかりにそういたしましても、世界の情勢の変化から、あるいは日本の経済の情勢から、この安保条約を守るために貿易経済合同委員会が催されておるというふうなことには、私は考えておりません。  特に今度の貿易経済合同委員会におきましては、従来と趣が変わったということは、ニクソンの訪中という問題があります。それから、いまのニクソン新経済政策という、俗にいうドル・ショックというような問題があります。そういうものが中に入りまして貿易経済合同委員会が開かれたわけであります。ですから、議題といたしましても、いまの円の問題、国際通貨の問題、これがほとんど議題の大部分を占めて討論の場になり、それから、いまのお話のように、ニクソン新経済政策による課徴金の撤廃という問題が大きく取り上げられ、その次に繊維の問題、こういうものが取り上げられて、これで二日間の議論が終始しておったといっても差しつかえないと思います。  そこで、自由化の問題は、あとのほうへつけ加わって自由化の問題が出てきたわけであります。その際に、私のほうでは、こういう自由化関心品目は、私のほうでも関心品目なんだから、向こうでは積極的な関心品目か知らぬが、私のほうではこれをやらないという重大関心品目だから、これはやりませんと、こういうことで話がきまったわけでございます。それで、お話のとおり、これは自由化問題は、アメリカとの関係ばかりじゃなくて、ガットの関係もありまして、国際的に自由化を進めようと、こういうことから進んできておるのでございますので、自由化を進めようという姿勢はやはり国際的にとらざるを得ないが、アメリカとの関係からいいまするならば、私はアメリカの国際収支が悪くなったといっても、農産物の自由化によってアメリカの国際収支を是正していくと、こういう役割りは果たし得ないし、微々たるものだと、こういう観点から、私は農産物の自由化については消極的であり、ことに重要関心品目であるものについては、これはもうあらためてまた言ってくることもないと思いますが、言ってきても、いまの日本の農業事情、アメリカとの比較、それからアメリカの国際収支を少しよくしてやらなきゃならないという国際的な関心事もございますが、農産物に限っては、そういう役割りを果たし得るものじゃないと、こういう基礎的観念を持っていますので、私は農産物の自由化については、今後とも消極的に進めていく、こういう気持ちであります。
  286. 渡辺武

    渡辺武君 最初に申し上げた幾つかの数字がはっきり物語っておりますように、日本の農業を守って、振興さしていくためには、外国の農産物の急激な輸入を何とかやっぱり制限しなきゃならぬということは、これは明らかなことですね。ですから、今後アメリカの輸入関心品目についても自由化しないとおっしゃるのは、私、その立場を大臣、今後とも堅持していってもらいたいと思いますけれども、しかし、先ほども申しましたように、この自由化問題というのは、やはり安保条約との関連で日米経済協力という見地からいままで進められてきたという、その歴史的な事実は、これは動かすことはできないと思う。いま大臣は、日米貿易経済合同委員会というのは安保条約に基づいて開かれたかもわからぬけれども、自分はそう思っていないんだというような御発言がありましたけれども、いずれ事実がそのことを私は証明してくるんじゃなかろうかという感じがいたします。そういう意味で、大臣、やらない、やらないとがんばっておられるけれども、これは非常に危険性のあるものだ、自由化される危険性のあるものだということを、私は重ねてここで申し上げたいと思うんですね。  ところで、農民は、いま申しましたように、自由化に非常に大きな不安を抱いておりますけれども、同時に、いよいよ円の切り上げが近いということで、円が切り上げられますと、アメリカはもとよりのこと、その他の外国からの農産物の輸入の価格が、これが下がってくる、このことによっても大きな打撃を受けるんじゃないか、輸入価格が下がってくれば、あるいはそれを原料として油などをつくっている一部の大企業は、これはかなりの差益が出るでしょうけれども、農民にとっては大きな打撃じゃなかろうかということで、深刻な不安を抱いているわけであります。特に、先ほど申しました対外経済政策についての八項目、この中には輸入制限品目の輸入割り当て量を増大するということが強調されているわけですね。つまり、自由化しないものについても輸入割り当て量を増大させるということが書かれておりますし、また貿易経済合同委員会の共同コミュニケには、日本政府としては大豆を含むかなりの品目について関税の引き下げを行なう意図を持っているということも、あの共同コミュニケの中にはっきりと盛り込まれておるわけですね。そうしますと、たとえ自由化が、なるほど行なわれないかもわからぬけれども、しかし、その輸入制限をしている物資の輸入割り当てを大幅に拡大する、しかも関税も引き下げる、そういうような事態が円の切り上げと結びついてきた場合は、これはもう農業に対する大きな打撃になるんじゃなかろうか、当然これは予想されるわけですね。  そこで大臣に伺いたいのは、輸入割り当て量の拡大あるいは関税の引き下げということの内容はどういうことなのか、どの品目をどのくらい割り当て量を拡大する、あるいはどの品目の輸入関税をどんなように引き下げようとしておられるのか、それを伺いたいと思う。同時にまた、これらとの関連で、円の切り上げによって農産物の輸入価格が下がって、日本農業に深刻な打撃がくるというような事態に対して、どのような対策を考えておられるか、伺いたいと思う。
  287. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) この自由化品目との関係はございませんが、日本でアメリカから輸入している一番大きいのは木材でございます。それから大豆でございます。それからトウモロコシ、それから小麦、それからマイロ、まあ五つがこれは自由に入ってくると、こういうような品目でございます。  そこで、木材等については、これは円の切り上げというようなことになると、いま大体半分――アメリカばかりじゃありません、各国からの輸入材は半分でございますが、こういうものがふえて、いまのお話のように、木材業者、木材関係の業者等にいろいろ倒産するようなものが出てくる。そのほかにおきましても、たとえばマグロかん詰めなど、向こうで輸入制限というよりも、もっとほかの意味で返品などをする。こういうものなどの企業体もつぶれるかもしれない、こういうふうに考えます。それにつきましては、御承知のとおり、この間、中小企業対策ということで千五百億以上の金を出してこの救済をやっていくと。ところが、農林関係にはその中小企業の範疇に入らないものもございます。これは範疇に入れろということで、これも経済局長から答弁さしたほうが具体的でいいかもしれませんが、これが中小企業の範疇に入りませんが、中小企業と同じような取り扱いをして救済措置をとると、こういうことにきまりました。  なお、大豆でございますが、内輪話をしますと、大蔵大臣が、約三十品目の関税の引き下げをするつもりだと、こういうことを発言したわけであります。そこで、自由化の問題は私のほうでぴしゃっとやって、向こうから発言もなくきまったんですが、大豆の問題については、アメリカでは大豆は、自由化とは別に、非常に日本に輸出しているんですが、そこで打ち明け話を申し上げますと、日本では貿易の多角化といいますか、他の方面の国からも輸入をするというようなことが日本の新聞等にも出ております。そういう方針ですかと、こういうことを聞かれましたから、実はその方針だと。一国からばかりにしたくない方針は方針だ。それで、大豆はそのために非常に減らされるんじゃないかと、こういうことを向こうで心配しているんです、アメリカからの大豆を減らされるんじゃないか。そういう面で多国間貿易で減らされるかもしらぬが、どうなるかということ。それからもう一つは、えさなどでございます。飼料でございますが、トウモロコシなんかのこの問題等につきましては、向こうで、日本では米の生産調整をしておって、百四十万石ぐらい、えさ用に回すと、こういうことが言われておるので、えさの日本への輸出も減るんじゃないか、こういう心配を向こうでしていました。こっちが多く入れるということではなくて、向こうで減らされるんじゃないかと心配しておりましたから、先ほどから何回も言ったように、日本は果樹とか畜産というものに力を入れている。だから、これでどんどんふえるということじゃなくて、アメリカのやつをここで切ってしまって減らすというような、いま当分そんなようなことにならないと私も思うと。それから畜産のほうの振興も非常に進めておるから、当分、減らすというようなことにならぬような見通しをしていると、こういうことを私は言っておいたのです。  ですから、木材は別ですが、急激に大豆が日本の需要を越えてどんどん入ってくるというようなことも私はないと思います。また、そういうものを入れれば、入れた者が損するわけですから、これは民間貿易ですから損しますし、えさ等につきましても、日本のえさの需要量を越えてそうばく大な量が入るというようなことも考えておりません。小麦等は国で、食管で管理していますから、これも日本として必要量以外に何も買う必要はないのでございますから、そういう意味におきまして、確かに円の切り上げということが実現すれば、まあ安くなるわけですから、どんどん日本に入るんじゃないかということでございますが、日本でそれだけよけいに入れる必要がないものが相当ございます。木材はどうも少し入るんじゃないかと思います。そういうような情勢と私は見ております。なお、こまかい点、御質問、あるいは私の十分足らないところは経済局長からも御答弁申し上げたい、こう思います。――特にないそうですから……。
  288. 渡辺武

    渡辺武君 大臣のお答えにならなかったのはたくさんありますよ。一つは、輸入制限品目の輸入割り当て量拡大という問題ですね。牛肉なんて、見てごらんなさい、あなた。三倍にもなっているでしょう、一九六〇年以来。そういうようなものが今後どのように拡大されるのか。それからまたもう一つは、いま、大蔵大臣は三十品目についての関税引き下げだというふうに発言されたと、大臣もおっしゃっておられる。どういう品目について、どのくらいの関税引き下げを検討しておられるのか。それからもう一つ、いま円切り上げその他について、農民についても特別な対策を立てるのだということをきめたとおっしゃったけれども、大体金額は幾らぐらいのことで、どういう内容の対策を立てるのか。中小企業ではもうああいうふうに具体的に出ていますから、詳細にひとつ教えていただきたい。
  289. 小暮光美

    説明員(小暮光美君) 八項目の中に、当面自由化できない残存輸入制限品目については、輸入ワクを拡大するようにという趣旨の政府の方針がうたわれておりますが、これの具体的な実行につきましては、昨年一度、従来輸入しないというような形で門戸を閉じておったものについて、俗に二%輸入ということで、総供給量の二%ぐらいをとにかく入れることにしようじゃないかという企てがあったことは、御記憶と思います。あの考え方をさらに進めまして、いま具体的には、いまのワクの問題につきましては、私ども部分的には五%輸入と考えております。あらゆる物資を、何も機械的に計算機に入れて五%と出すつもりはございません。一つのめどとして、そういうようなことをめどにしながらものを考えております。  なお、御心配の牛肉につきましては、むしろ私どものほうの需給事情から、必要に応じ、まあ品種によって違いますけれども、二万トン程度のものを輸入割り当ていたしております。そのほかに、ホテル用の特別ワクみたいなものもつくったりいたしておりますので、これは計算しますと五%をこえておるのです。ですから、いわゆる五%輸入という方針から、機械的に牛肉の輸入量をしゃにむにふやさなければいかぬという形にはなっておりません。むしろ、牛肉そのものにつきまして生産、流通の面をよく見まして、むろん消費者のことを考えなければいけないわけですから、そういうきわめてすなおな牛肉についての対策というものの中から、輸入量をふやす必要があれば、もちろんこれはいろいろ相談して、輸入量をもっとふやす必要があろうかと思いますが、何か外側からワクを持って、何と申しますか、機械的にふやさなければならぬというような形のところにはランクしておりません。  それから第二点の関税の問題でございますが、これは、別に大蔵省と私どものほうで、日米会議に臨むにあたって三十品目の関税引き下げの品目をきめたわけではございません。大蔵大臣から、政府の一つの姿勢と申しますか、方針として、前からおっしゃっておられますけれども、生活必需物資といいますか、生活必需物質またはその直接の原料になるもの、そういうようなものを中心に、国内物価対策の観点も含めて、できるだけかくさんの品目を検討したらどうかということが、関税所管大臣としての大蔵大臣から、私どもに対してしょっちゅうそういうお話があるわけです。そういうものを受けまして、いろいろそういう品目について引き下げの可能性を、事務的に議論していることは事実でございます。しかしながら、三十品目というのは、大臣の御方針としてあの会議でおっしゃったのであって、何か積み上げの計算の品目があって三十といったわけではありません。  それから三つ目の問題は、必要のある場合には積極的に対策をとるという趣旨で、例として大臣おっしゃったわけですが、ただいま、きょうの午後、一応中身を外にも話しましたけれども、先般、閣議で米国の輸入課徴金制度の実施等に伴う当面の緊急食糧対策ということで、さっき大臣から大ワクをおっしゃったような対策が出ました。これは中小企業でございますから、中小企業という一つ考え方の中で整理しておる。ところが、農林関係には、御承知のように、まあこれを定義づけるというとむずかしいのですが、いわば生産者であって、必ずしも中小企業という範疇に入らぬというようなものもございます。しかし、それが直接輸出業務に携わるというか、輸出するというものがございます。これを機械的に中小企業ではないということで対策の外にされては困るという心配が一つ。もう一つ非常に特徴的なのは、もともと零細の人たちにかかわる仕事が多いものでございますから、輸出を秩序立ててやろうということで、輸出のための共販会社というようなものをつくっております。幾つもの品目がございます。そうすると、共販会社にすでに物を買い集めてある。そういうものが、今回のいろいろな経済の変動で簡単には荷がはげない。これはいわゆる中小企業の範疇に入らぬものですから、こういうもりをどうするかというような問題がございます。それらのことにつきまして、政府が中小企業について対策をやろうとした趣旨、その趣旨に照らして、これらのものも当然同じような措置をとるべきではないか、こういうことをお願いいたしました結果、農林中央金庫が日ごろこれらのものについて融資面の世話をしているわけですが、農林中央金庫に対し政府として適切な措置をとることにいたしまして、総ワク六十億の一応の資金ワクを想定いたしまして、そのうち二分の一は六分五厘というこういう、生産金利じゃなくて、物の金利としては非常に安い六分五厘という考え方がございます。それを援用いたしまして、期間は三年以内ということで、農林中央金庫からいま申しましたような面に対して資金を供給する、こういうことをきめた次第でございます。
  290. 渡辺武

    渡辺武君 それは大臣、率直に申し上げさせていただきますと、これは農民の期待に全く合致してない対策ですね。大臣も先ほどおっしゃったように、日本の農業にとっては、輸出の問題よりも、外国からの農産物が日本に入ってくるという輸入の問題こそ大事な問題ですよ。だから、中小企業の場合は輸出関連企業を中心にしていろいろ対策を立てた。その十分、不十分は別として、いずれにしても対策は立てたことは明らかです。ところが、農業についてはどうですか。それは先ほど大臣は、アメリカのこの関心品目については自由化しないのだと言明されたけれども、いままでの自由化によって日本の農業が深刻な打撃を受けてきたということは、私一番最初概略の数字を申し上げたとおりです。自由化されてない小麦にしたって、もう自給率わずか一四%、おととしの数字でね。日本の小麦生産、農民の作付けのできなくなったこと、ひどいもんですよ。これは政府管理物質であって、自由化されてないのにもかかわらず、年々小麦の輸入量が増大して、そうして農家経営に深刻な打撃を与えておるんです。そういう事態がある上に、いままでの輸入制限物資についても割り当て量を拡大するんだ。関税も引き下げるんだ。どうなりますか、農民経営は。その上に円が切り上げられる、輸入農産物の価格が安くなってくるという、こういう問題が重なってくる。この打撃は私は深刻だと思わなきゃならん。それについての対策を農林省として緊急に立てるべきじゃないでしょうか。どうですか。
  291. 中野和仁

    説明員(中野和仁君) ただいま、円の切り上げとの関連での農業に対する対策でございますが、これにつきましては、円の切り上げそのものは、まだどういうふうになるかというのが流動的でございますので、的確に数字的にまで申し上げられません。しかしながら、一般論として申し上げれば、内外の農産物の価格差が開くものですから、日本の農業としてそれに対応するためには、いままで以上の構造政策が必要であろうということはわかります。その面につきましては、来年度予算にも相当程度反映させるということで対処しているわけでございますが、当面の問題といたしまして問題になりますのは、すでに自由化されている農産物について、農業にどういろ影響があるかということになってくるわけでございます。  そこで、やや具体的に申し上げますと、いまそういうものはどういうものがあるかということになりますと、当面、液卵、あるいは鶏肉、グレープフルーツ、生糸、合板、こういうようなものがあげられるかと思います。ただ、バナナや木材については相当程度入っております。大臣ちょっとおっしゃいましたけれども、それ以上供給がダブつくようになって入ってくることはないと思います。そういうわけでございますが、ことに農業経済といいますか、農業に直接どういう影響があるかということでございます。これにつきまして、あるいは一部の自由化作物につきまして、価格の低下があり、またあるいは生産の減退があるということもあるかと思います。日本のおもな農作物につきましては、現在価格支持をやっておるのが多いわけでございます。計算をいたしますと、米麦をはじめ、畜産物、たとえば豚、なま乳、それから肉牛、鶏卵というようなものが価格支持制度をやっております。それから、てん菜、砂糖キビ、大豆、なたね等について価格支持をやっております。指定野菜等についても価格安定政策があります。また生糸につきましても、繭の支持をいたしております。大体七割はそういうことになっております。したがって、ある意味では、国際価格が下がってくるというものに対して、遮断をしております。それについては、そちらの、いま申しました価格支持制度の適切な運用をやれば、直接農家に影響はないわけであります。残る、先ほど私最初に申し上げましたものにつきましては、現在、そういうことで相当影響があるだろうということで、農林省内部で、どういうふうな手を打つか検討しておるわけであります。また、現実にそういうものがどんどん入ってきて、えらい混乱を起こしておるというところまではいっておりません。その辺を見た上で、いろいろな手を打たなければならぬというふうにわれわれは見ておるわけでございます。
  292. 渡辺武

    渡辺武君 円の切り上げや、あるいはまた輸入制限品目の輸入割り当て量の拡大や、関税の引き下げ、これがどのような影響を与えるのかというような推計くらいはやっておりますか。
  293. 中野和仁

    説明員(中野和仁君) 農林省内部の作業といたしまして、たとえば円が一〇%上がればどういう影響がいろいろ出るかというようなことはやっております。しかし、これは、先ほど最初に申し上げましたように、一体どういうことになるか、いま非常に流動しておりますので、答えをお出ししてどうということにはまいりませんが、われわれは絶えずそういう準備はしております。
  294. 渡辺武

    渡辺武君 一応の腰だめの計算でもいいですから、その計算資料をぜひいただきたいと思います。よろしゅうございますか。  それからもう一つは、いま検討中だとおっしゃいましたけれども、これは円の切り上げはもう避けられないですよ。大蔵大臣だって、十カ国蔵相会議で、円の切り上げはやらぬとは一言も言わない。日本が単独切り上げをやるのはやらぬと言っているけれども、しかしまあ円の切り上げはこれはもう不可避だと。その率がどのくらいになるかはわからぬにしましても、いずれにしたってこれは切り上げられるわけです。ですから、これはもう日本の農業に対して大きな打撃があるということは当然予想されることでありますから、中小企業に対して対策を講じて発表したように、至急に対策を講じて――これはもう来年度予算なんていったって間に合いはせぬですよ。ですから、緊急に対策を講じて、措置してほしいと思うんです。その対策の案の内容ですね、これもただいま検討中だというけれども、腰だめの案でもいいですから、至急に資料としていただきたいと思う。その点、どうですか。
  295. 中野和仁

    説明員(中野和仁君) ちょっと先生のお話が、性急過ぎると言うと申しわけないんですが、先ほど私が申し上げましたように、輸入急増物資についてはそういうことは想定されるだろうというふうに思うわけでありますが、現実問題としまして、いま申し上げました生糸なり、あるいは液卵なり、鶏肉なり、これは関税がすでにかかっておりますから、今度、円の切り上げになるために向こうの輸入価格が下がる――まあどういうふうになるだろうというふうな見当をいまつけておるわけでございますが、非常にそういうものが下がりまして、国内生産に影響があるとすれば、どういう対策をとるかということは、まだある意味では抽象的にものを言っておるわけでございまして、現実にそれを具体化するには、まだそんなに、輸入が急にふえたというところまで現段階いっておりませんので、すぐに対策をこの委員会に出せと言われましても、これはなかなか私むずかしいんではないかと思っております。
  296. 渡辺武

    渡辺武君 いま幾つかの品目をあげられましたが、私それを伺っていて、やはりもう少し広範囲に品目をもって、そして慎重に検討する必要があると思うんですね、至急に。というのは、先ほど大臣、トマトピューレやトマトペーストの自由化のことを言われましたけれども、その範囲の自由化でさえも、いまトマトをつくっている耕作農民は、これで一体先がどうなるだろうか、非常に心配しておりますよ。それから、先ほど私が申しましたいろんな雑豆ですね、あるいはまた肉その他について、農民は非常に深刻に心配をしている。ですから、もっと品目を拡大して、影響も、これもまあそれは確かに確定的に何%上がるということはわからないにしても、大体のところを想定しながら計算して、至急対策を立てるということは私は必要だと思う。その点をひとつ大臣、ぜひお願いします。おやりいただけますか。
  297. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) いま官房長からもお話し申し上げましたが、実は二十八残存品目も、この間の会議の前から、自由化するつもりはないが、自由化するときにはどういう対策を講ずるかというような対策を、数字的にはなかなかつかめないのですけれども、対策の方向としては、いろいろな方法を講じていくということを検討して、実は発表もしてあるわけであります。しかし、なおいろいろな品目につきまして、どういうふうな対策を講ずるか、これも至急といいますか、やっぱり対策についても予算措置が要るわけでございます。まあ、今度の国会に補正予算として入るか入らぬかという問題もございますが、そういう意味におきまして、できるだけ対策を、具体的に、まだ輸入がどう輸出がどうということはございますが、その場合のこれを想定しながら対策というものも講じておりますから、それをだんだん固めていくと、こういうつもりでいるわけでございます。
  298. 渡辺武

    渡辺武君 大臣も御承知のとおり、私ども日本共産党は、これは日本の農業を、アメリカを中心とする外国農産物の急激な輸入の増大という事態から保護するためには、これはもう、いままでやってきた自由化政策というものはやめなければならぬ、残存輸入制限品目の撤廃などというものも、これもやめなければならぬというのを基本的な立場としております。しかし同時に、すでに自由化された品目についても、私は当面の最低限の措置として、ガット協定の第十九条、御承知のように、特定産物の輸入に対する緊急措置、これに基づいて、日本農業に重大な損失を与えている輸入品ですね、あるいはまた今後与えると予想される品目、これについて緊急な輸入制限措置をとるべきだというふうに思いますけれども、どうでしょうか。  いまアメリカは、一〇%の輸入課徴金だとか、あるいはまた繊維についての特別な輸入制限だとかいうようなことをすでに実行しつつあるわけですね。これはもうガット条項にも何にも反したむちゃくちゃなやり方だということは、世間周知のとおりですね。私はガット条項違反やれというようなことを東洋の君主国の大臣には申しませんけれども、いままで日米経済協力だというようなことで、アメリカの言い分に従って自由化を進めてきたという、そういうような状態ですから、あえて申しませんけれども、少なくともガットの協定の中でできることぐらいはやったらどうだというふうに思います、日本の農業を保護するために。どうでしょう、それをおやりになるお気持ちはあるかどうか。
  299. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) ガットの協定範囲内においてできることは十二分にやるつもりでおりますが、なお詳しくは局長から申し上げさせます。
  300. 小暮光美

    説明員(小暮光美君) アメリカのサーチャージの問題につきましては、御承知のように、すでに関係国ともども、ジュネーブにおきましてガットの作業部会を設けまして、これを非難し、できるだけ早くこの措置を撤回するようにという交渉をいたしておるわけでございます。  なお、ガット十九条の問題につきましては、先生も御承知のように、これは予見しがたい事情によって急激な形で輸入がふえてきて、これによってはなはだしい被害が起こる、あるいは起こるおそれがあるというような場合には、それぞれの国がまあいわば自衛の臨時緊急の措置がとれるというガットの基本的な考え方を示しているわけでございます。そういうような事態が確認されますれば、もちろんこれに対する措置をとるんだということは、これまでもいろいろな問題に関連して、農林省あるいは大蔵省の、あるいは通産省の担当の者から申し上げておるわけでございます。  ただ、現在の状況が、特定の品目についてそうなっておるかどうかという問題からいきますと、先ほど官房長が申し上げたこともやや関連するんですが、日本の農業の、米がかりにいま余っても、少なくとも現在において日本の農家経済をささえる最大の品目は米であります。その米麦の食管による国家管理、それから酪農品のかなりの基幹的な部分についての政府による直接の管理、ガットの規約上は国家貿易、ステート・トレーディングと言っておりますが、こういうものでカバーされているものが約半分です、日本の農業総生産物の。それ以外のものにつきましても、先ほど来問題になっております大豆のように、かりに輸入価格が下がる――これは相場商品ですから、しょっちゅう上がったり下がったりする。それが下がるということになれば、大豆なたね交付金制度の支払いがその分だけふえるはずですから、問題は、大豆についての支持価格水準と申しますか、交付金を算定する水準に誤りなければ、それとの差額は、国際価格が下がれば国の財政支出はふえていくという形で対応するはずのものであります。そういったものによってカバーされておるものが、さらにこれに上のせされる。その他、価格安定対策を、さまざまな物資についてくふういたしております。直接今回のような、経済の外側からの影響があるからつくっておいたというような制度ではございませんので、それぞれの制度にはそれぞれの目的はございますけれども、しかし価格の安定のための措置としての一つの機能を持っております。これらのもので対応できるものは、やはりこれを適切に運用して対応すべきではないか。また、事実、対応されておると思います。そういうものまで入れますと、さっきのガットの国家貿易のもので約半分、いまのようなものを入れてまあ七割程度のものは、そういう価格の直接的な制度のかさのもとにある、こういうような形でございまして、なお、それ以外のものにつきましては、逆に大部分が輸入制限という形で守られている。それらの中間にバナナとか、二、三の、国内の価格措置もないし、自由化もされておるというものがあって、こういったのが全体の姿でございます。  私どもといたしましては、ガット上のいろいろな義務を守ると同時に、必要がある場合は権利を発動するという趣旨は、ただいま大臣からお話がございましたように、常にそのように心がけてまいりたいと思います。現状におきましては、農産物全体としていまのような形に相なっておるというふうに判断をいたしております。
  301. 渡辺武

    渡辺武君 あと一、二問……。
  302. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) もう一問。
  303. 渡辺武

    渡辺武君 どうもきびしい時間制限措置をとられまして……。いまいろいろ伺いましたけれども、私は、いままでいろいろ措置をとってこられた、その御説明もあったわけですけれども、そういう措置をとって、なおかつ一番最初に言うように、これは小麦は政府管理物資ですけれども、小麦の生産高は一九六〇年以来五〇%も減っている、大麦は五五%も減っている、トウモロコシは六五%、大豆は六八%、カンショは三三%も減っているという、この事態をどういうふうに見られるかということですよね。外国から農産物が急激に入ってきて、そうして日本の農家経営が大きな打撃を受けて、生産高は絶対的に減少しているという事態が、いま現にわれわれの目の前で進行しているじゃないですか。しかも、いままで農民は出かせぎ離村をするその働き口が、曲がりなりにも都市にあった。これから先、円の切り上げによって輸出貿易も打撃を受ける、国内の景気も悪くなるということになってくれば、農民の出かせぎ先もいままでのようなぐあいにはいかぬという事態が目の前にきているわけです。そういう事態を前にして、あなた方は権利を正当に行使するのだという趣旨のことを言うけれども、もしその意思があるならば、今後も予想される日本農業に対する打撃に対して、ガットの十九条を十分に活用して、緊急輸入制限措置をとりながら、国内の農業保護政策をこれとあわせてやっていくということはできないですか。これは重ねて大臣の答弁を伺いたい。  それからもう一つ、もう発言時間がないというので、私きょうは十分に準備して、今後の対策について伺いたいと思って来たのですけれども、いずれのときにまた譲らざるを得ませんが、もう一、二点だけ申し上げさせていただきたいと思う。  もう一つは、これは大豆の問題など、つまり政府管理物資でない農産物、これについても、今後急激な輸入の増大ということを考えて、もう国内大豆の生産なんというものはめちゃくちゃなものですから、これは政府管理物資に移せば自由化の義務がないんだ。御承知のように、ガットの条項にその点がはっきりうたわれているわけですね。ですから、これらを政府管理物資に移して、そうしてこの輸入についても対策を講じて、国内の生産者についても保護措置を講ずる、さらにはまた、円の切り上げによって輸入価格の下がったその利益も、消費者、農民に還元するという措置をとったらどうだろうかというふうに思いますが、そういう措置をおとりになるお気持ちがあるかどうか。これが第二点。  第三点としてもう一つ申し上げたいのは、私ども簡単に計算してみますと、円の切り上げによって輸入差益がたくさん出てくる場合があります。たとえば大豆について言えば、大まかに円が六%切り上げられるとした場合に、今年度だけで輸入差益は三十六億円、それから一〇%切り上げというふうにかりにした場合に、輸入差益は六十億円も出る勘定になります。これは、輸入高をほぼ昨年並みとして、そうしてもうことしは半分くらい輸入したということを仮定して、あと残りの半分について、円を六%切り上げて、あるいは一〇%切り上げということで計算して、ほぼそういう大きな差益が出る。これを捨てておけば、製油業者、これは製油用の輸入大豆ですから、製油業者が、原料価格が下がって、そうして製品価格をこれはまた下げなければ、製油業者かあるいは輸入業者のふところにもうけが全部ころがる、こういうことになります。ですから、まずさしあたりは行政指導でこの輸入差益を農民や消費者に還元するような措置をとるべきだと思うけれども、そのおつもりがあるかどうか。私は、一番適切には、大豆を政府管理物質に移せばそのことが最も有効に行なわれると思うけれども、さしあたり行政指導としてもそういうことをおやりになるつもりがあるかどうか。もう一つは、政府管理物資である麦、これの輸入についてもかなりたくさんの輸入差益が出てまいります。これはもう時間がないので、金額だけ簡単に申しますと、六%の切り上げということを予想しますと差益は約四十三億円、それから一〇%の切り上げを想定した場合には七十二億円の差益が出てまいります。これも、この小麦を原料に使って小麦粉をつくる、あるいはパンやうどんをつくっているわけですから、この差益は消費者に還元する、大企業のもうけにならないように消費者に還元する、あるいは生産農民の生産の振興のために役立てるという方向に使うべきだと思いますけれども、そういうことをなさるおつもりがあるかどうか。これらの点について大臣のお答えを伺いたいと思います。
  304. 小暮光美

    説明員(小暮光美君) 大臣の御答弁をいただきます前に、議論でございませんので、ガットの条文ないし制度の理解について、一、二点だけ事務のほうでお答え申し上げます。  政府貿易ということをさっき申しましたので、大豆のようなもの、たとえばステート・トレーディングにしてしまえば、自由化の義務もないだろうし、どんなことでもできるのじゃないかという趣旨の御指摘がございますけれども、大豆は実は関税をガット上の義務としてバインドいたしております。これは、累次の多国間関税交渉の間で、大豆関税をバインドすることが、大きなバーゲンとして、ほかの相手国の関税を下げさせるということをやってまいりました。これはガット上のいわば一つのギブ・アンド・テイクから出てきた義務でございまして、したがって、かりに御方針として大豆を国家管理に移す、そこで現在ガット上しばっております関税率よりはるかに高い、たとえば売買差益を政府の仕組みを通して生み出そう、こういうことをもし日本政府が考えるならば、これは関税の再交渉ということを正式にいたしませんとできません。その点が一つ。  それから、ガット第十九条、これは先生十分御存じのところでございますので、あまりごたごた申し上げませんが、これはやはり、予見しがたいような経済の変動から起こってくる場合の臨時応急のいわば自衛措置というものを規定しようとした趣旨でございます。なかなかわかりにくい条文でございますが、根本の精神はそういうことです。したがいまして、事の当否は別といたしまして、たとえば、国際価格と日本における価格水準が、いわば倍半分であるといったような形の価格体系がございます。これを、何らかの措置で保護しながら、生産をがんばっていこうとしているような産品があったといたします。その努力足らず、じりじりとやはり多少押されてきておるという事態があったといたしましても、これは予見しがたい事情による臨時応急の措置だといって、ガット十九条を援用していきなり輸入制限するというのは、十九条の問題としては不適当ではないか。  私は、方針の問題を御答弁申し上げておるのじゃなくて、ガットの条文ないし制度の考え方についての私なりの理解を申し上げたわけでございます。
  305. 渡辺武

    渡辺武君 それはだめですよ。
  306. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 円の切以上げが実現する場合等についてのいろいろな対策をお聞きしました。あるいは大豆等も国家管理にしたほうがいいんじゃないか、あるいは小麦等も非常に減産しているじゃないか。これは小麦を輸入するから減産したということばかりではないと思います。あるいは、大豆を輸入するということばかりではないと考えます。私は、日本の農業の形からいって、輸入との関係なしに減産してきたと、こういう要表も相当あると思います。  それは別といたしましても、いまの見通しでは、小麦等におきましても、円の問題があるから輸入がふえるということじゃなくて、これは国家管理していますから、消費の必要軍というようなことでございますので、これはふえるというような見通しはございません。あるいは大豆等につきましては、これは民間で輸入しているというふうなことでございまするから、これは小麦とは別でございますが、これも国内の需要量を越えて急にふえるというようなこともないと思います。  ただ、お話の、さらに円の切り上げというようなことになった場合の差益をどう処分するかと、これを農民に還元したらどうかと、こういう御意見でございます。で、いまの御計算一つ計算の基礎でございますが、かりに一〇%なら一〇%切り上げにしたらどれくらい差益が出るかというふうなことは、必ずしもその機械的な計算だけではいかないと思います。たとえげ大豆等につきましては、これは自由物資でございますので、向こうの価格等も変動いたします。ことに、えさなどはずいぶん変動が激しかったのは御承知のとおりでございます。でございまするから、原則的には安くなって輸入されるというような形になりますが、計算のとおりにいくとばかりは限らぬと思います。そういう面につきまして、この消費者対策もございます。こういうこともありますので、十分考慮をしなくちゃならぬと思いますが、直ちに農業者にこれを還元するとかということは、いまむずかしいと思います。でありますので、そういうものは、先ほどから申し上げておりましたように、大豆等につきましては、不足払い、こういう制度を十分に生かしていくのが私はいいんじゃないかと、こういうふうに考えております。実際に、現実にどういうふうになるかというようなことにまだ直面しておりません。しかし、こういう場合にどういうふうになるかというような予想は、いろいろ検討さしております。対策につきましても、それに応じた対策を講じていくと、こういうつもりでございます。
  307. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) この際、委員長として一言環境庁当局に申し上げます。農林省も、御迷惑ですが、そのままお聞き取りください。  先ほどの中尾理事のカドミウム汚染米対策に関する環境庁当局への質問中、岩田企画調整課長の答弁がありました。われわれ委員会としては、まことに遺憾な答弁であったと存じます。念のために申し上げますが、速記ができておりますので申し上げますが、中尾理事が次のごとく発言をしております。  「公害の発生源である会社、事業所等が農家に対して御迷惑をかけたと、そういうことで企業、会社が補償したのもあるでしょう。結局、そういうふうな米が、どこに、どう回っているのやら、これはまた問題ですよ。そういうことに対しまして、環境庁――おいでですか、環境庁の立場から、環境保全の立場から、こういう一PPM以上の米がうろちょろしておる、これに対してどういうふうに対処をなさろうと考えていらっしゃるのか、この点お伺いしたい。  ○説明員(岩田幸基君) 御質問の件に関しましては、環境庁として具体的にどうということはございませんが、環境庁といたしましては、こういう米が食糧として出回らないように措置されることが望ましいと思うわけでございます。  ○中尾辰義君 望ましいって、私は、あなたの、まあ環境庁としての立場から、こういったような問題に対してどういうような考えを持っていらっしゃるのか、対策等も聞いておるわけでしょう。いかがですか。  ○説明員(岩田幸基君) 環境庁といたしまして具体的な対策を立てるべき筋合いでもないと思いますので、いま申しましたような趣旨に沿って食糧庁なり農林省で措置されるのがいいのではないかと思います。」  以下省略いたしますが、一体このような御発言は、またこのような御答弁は、質問者の質疑に答えざるのみならず、答弁の内容からいって、当決算委員会の権威に関するものだと私は思います。言うならば、決算委員会を軽視した答弁であると断ぜざるを得ません。したがって、委員長といたしましては、環境庁の強い反省を求めるとともに、今後かかる無責任な答弁のないことを期待いたします。  そこで、私は環境庁に申し上げますが、環境庁は七月一日発足したばかりであり、いろいろとまだ体制も整備しておらないと思いまして、私も静かに冷静に考えてみましたが、納得がまいりません。このような答弁は、環境庁が負う任務等から見て、国民の期待に反するとともに、環境庁自体の存在の意義に反するものだと言わざるを得ません。私は、速記をとめて懇談中に、反省を求めますとともに、環境庁長官の出席を求め、カドミウム米対策と、一連の環境汚染対策の姿勢と取り組みについて伺いたいと考えておりましたが、長官並びに次官とも御出席がありません。公務のためと聞いておりますが、いたしかたないと思います。したがって、官房長並びに関係局長の出席がありましたので、大臣にかわって責任ある、かつ、具体的な対応施策をお示し願いたい。また当面、来年度の予算が編成されつつあるさ中でありますから、これに対する環境庁の対応等をもあわせて明確に示されんことを強く要求いたしますとともに、環境庁は、今後、かかる不謹慎な答弁を慎み、環境庁として関係省庁と緊密一体の連絡をとり、その存在の意義を明らかにされんことを期待いたします。これに対する御所見がありまするならば、この際、承っておきたい。大臣にかわって御答弁をお願いいたします。
  308. 城戸謙次

    説明員(城戸謙次君) ただいま委員長から読み上げられました記録によりましても、先ほどの中尾先生の御質問に対しまする当庁岩田企画調整課長の答弁、その内容、態度、また私ども環境庁自身がすべての問題に積極的に取り組もうとしている方針等にかんがみまして、不適当と考えますので、庁を代表いたしまして心からおわび申し上げますとともに、今後そういうことがないように十分注意してまいる決意でございます。  それから、あとは内容のことでございますが、私どもは、いま問題となりました一PPM以上の汚染米につきましては、かねがね、特にこういうものが一般市場に流通することがないように、非常に気を使っておるわけでございまして、これが流通し、あるいは自家消費されるということによって国民の健康がそこなわれるということは、ゆゆしき事態だと考えておるわけでございます。したがって、今後、特に本日御指摘もございましたことでございますから、直接的な取り締まりの根拠法でございます食品衛生法を所管しておる厚生省に対しまして、徹底的なその面の取り締まりを要請しますとともに、農林省に対しましては、特に自家消費がされるということにつきましては、農林省自身で強くそういうことのないような指導を要請したいと、こう思っておるわけでございまして、こういうことを通じて、国民の健康に不測の事態が生ずることが絶対ないように、強い姿勢でまいりたい、こう思っております。  また、環境庁自身の直接の仕事といたしましては、このような汚染米を生ずるもととなります汚染源の対策ということが大事でございます。この点は、昨年末の臨時国会におきまして、水質汚濁防止法の制定、大気汚染防止法の改正等を通じまして、発生源の規制は相当強く行なわれるようになっておるわけでございます。いま経過期間中ではございますが、この法律が施行されましてから、排出規制が厳重に守られ、こういう汚染米等が生ずることがないような点に十分配意をしてまいりたいと思っておるわけでございます。また特に、すでに問題が生じております要観察地域の指定が現在七カ所してございますが、こういう地域につきましての健康調査等の、保健予防面の措置、これを特に強力に進め、さらに必要な個所があれば要観察地域として指定する等の措置をとって、国民の健康が完全に守られるよう配意してまいりたいと思います。  また、一たん汚染しました土壌については、これは農林省と共管の法律にはなっているわけでございますが、土壌汚染防止法の厳正なる施行をはかって、たとえば土壌汚染対策地域の指定、あるいは土壌汚染対策計画の樹立を進めてまいりたいと思っておるわけでございます。ただいま、そういうような土壌汚染防止法の運営に必要な予算としましては、細密調査だとか、対策地域内調査の関係の経費約二千万円を来年度予算では要求いたしております。  以上のような状況でございます。
  309. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) なお、先ほど委員長より要求いたしました土地改良法施行令の一部を改正する資料が手元に、委員各位にも御配付になったと思います。  この点について、一応御説明を農林当局から承りたいと思いますが、一、二点……。四ページの「おおむね二十ヘクタール以上」、これは旧法、旧規定をそのまま踏襲しておられますが、農地が点在した場合の、もとの災害対策の五十メートルとか、あるいは百メートルへだてた点在、この問題は非常にもめた問題でありますが、「二十ヘクタール以上の地積」とは、集団をさすのか、あるいはある程度の点在を認めるのか、属人主義であるのか、あるいは属地主義であるのか、そういった点について御説明をいただかなければ、よく理解がまいりません。  同時に、第八十五条「第三条に規定する資格を有する十五人以上の者は、政令の定めるところにより、」云々ということになっております。この「十五人以上」というものを規定された根拠、これが、運用上一人欠けてもこの八十五条の適用にならないのかどうか、弾力的な運用はできるのかできないのか。  また九十一条、十八ページの「当該市町村の議会の議決を経てその事業に要する費用の一部を負担する」云々、いわゆる費用分担が規定されておりますが、これを総括して、公害防止事業費事業者負担法第六条の「施行者は、公害防止事業を実施するときは、審議会の意見をきいて、当該公害防止事業に係る費用負担計画を定めなければならない。」とありますが、これら一連の具体的な費用分担、国、地方公共団体、農地所有者、耕作者、この費用分担は具体的にどのようになるのか、それらの点もあわせて御説明を願いたいと思います。
  310. 中野和仁

    説明員(中野和仁君) はなはだ恐縮でございますが、農地局長質問が済んだと思いまして帰りましたので、ちょっと私自身からいま先生の問いにつきまして全部的確にお答えできないで申しわけなく思います。  そこで、ただいまお話しの「おおむね二十ヘクタール以上」というのは、おおむねでございますから、若干欠ける場合があっても、これは私は差しつかえないと思います。それからなお、この問題につきまして前国会でも御議論がありまして、もっと小さいのをどうするかという問題があったわけであります。これにつきましては、非公共事業でやれるものはやりたい、二十ヘクタールを割ったものを非公共事業でやれるものはやりたいということで、たしか別途農政局のほうから来年度は予算要求をしたいというふうになっておったと思います。これ、いま私は的確に申し上げられませんが、そういうことになっておったと思います。  それから、十五人を割ったらどうかという話でございます。やはり土地改良法で原則から申しますと十五人以上ということになっておりますので、これは十人とかあるいは七人とかいうことになりますれば、いま申し上げました非公共事業で、全員の同意でもって、そこらは親切にそういう事業をやってあげる方向でなければならぬではないかと思っておるわけでございます。  最後のお尋ねの費用負担の精細な計算方法は、ちょっといま私も具体的には御答弁いたしかねますので、また後ほど農地局長から申し上げるようにいたしたいと思います。
  311. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 じゃ、私から一言お伺いしますが、先ほどの問題は、ただいま委員長からありまして、官房長の答弁、私も了解いたしますけれども、とにかく当決算委員会は、これは国会法に基づいていま四十四年度の審議をしておるわけであります。したがって、農林省の皆さんの答弁は、当委員会を通じて国民の皆さんに答えておる、そういうことを考えるならば、私は、先ほどの企画調整課長の答弁は、はなはだ不満であり、非常に納得がいかなかった。まあこのように官房長の答弁がありましたので、それで了承しますけれども、ただ、先ほどからの答弁をお伺いしていますというと、例の保管米をこれから分析していく、汚染の保管米に対してどういうふうにするか、それも全然答弁らしい答弁がない。また、一PPM以上の、市中を回っておるようなそういう汚染米に対するところのただいまの環境庁としての答弁も、非常に抽象的であって、今後検討するような、関係厚生省、農林省等のまあ意見等を要望するような程度のお答えです。結局は、結論としてあまり何もできてない。どうかひとつ、この問題は真剣に農林省、厚生省、環境庁もお考えになって、現実にこの汚染米のレッテルをはられておる農民の切実なる声というものを皆さんはよく聞いて、そして対策に早急に取り組んでいただきたいと、これだけ要望しておきます。  以上です。
  312. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 農地局長おられぬと、費用分担の細目は御答弁できませんか。関係課長おりませんか。
  313. 中野和仁

    説明員(中野和仁君) 関係課長は全然いないようでございますから……。  私、この法律をきめますときに、実は参画をしたことがあるわけでございます。その後かわりましたものですから、こまかく具体的にどういう費用の負担をさせるかということの計算方法までは実は詳細に存じておりません。ただ、考え方といたしましては、この土壌汚染防止法に基づきまして指定されました地域について、別途事業者の費用負担法がございます。そこで算定されました額については、それはそこでその企業者側が払うと。残ったものにつきましては、先ほどこれは農地局長が答弁しておりましたけれども、事業の種類によりまして補助率等は違いますが、一般の補助率よりも引き上げまして、国として負担をする。その残りのものにつきましては、県、それから市町村という地方公共団体に負担をさせるのを原則にしまして、農家に負担をかけないような方法をとりたい、こういうことで先ほども御答弁申し上げましたし、またその精神で当然これはやられるものだというふうに私は理解しております。
  314. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) あとでまた、こまかく具体的な事例としてお示しをいただきたいと思います。  それから、発生源に関係のある、つまり水質を汚濁するものが流出することによってカドミウムが土壌汚染をする、これに対する質問を中尾理事は簡潔に質問をされておったのでありますが、岡安局長おいでになっているようでありますが、これに関する答弁はないのでありますか。私は、総括的にいま申し上げたのであって、官房長のただいまの釈明のみを求めているのではありません。なるがゆえに、速記録も朗読をいたしたわけであります。みずから自発的に、進んで御答弁になりませんか。
  315. 岡安誠

    説明員(岡安誠君) 官房長が一般的な御答弁を申し上げたのでございますが、私、所管でございますので、さらにそれをふえんをいたしまして御答弁申し上げたいと思います。  先ほど官房長から御答弁申し上げましたとおり、汚染米対策につきましては、やはり発生源をとめる、要するに汚染米が発生しないようにするということが先決だというふうに私どもは考えております。  その対策といたしましては、昨年の臨時国会で成立いたしました土壌汚染防止法によりまして、対策地域を指定いたしまして、対策事業を実施をする。対策事業によりまして、客土等の事業によりまして、今後人の健康をそこなうおそれのある米等が生産されないということになるわけでございますが、それ以外の方法といたしましては、一つは、地区内におきまして一PPM以上のカドミウムを含む米が生産されるようなおそれのある地域につきましては、それを都道府県知事が特別地域に指定いたしまして、食糧その他は生産をさせないというような規制ができるというようなこともございます。そこで、これももちろん都道府県知事が対策地域を指定いたしまして、この地域内の特別の地域につきまして地区を指定をするということになるわけでございますが、そういうような方法も都道府県知事にさせたいと考えるわけであります。  さらには、対策事業のほかに、先ほど委員長からお話がございましたとおり、汚染源でございます汚水または排気等からくるカドミウムの規制をするということも、法律上可能でございます。これは一般的なカドミウムの排出規制のほかに、都道府県知事が特定のカドミウム汚染地域の状況等を勘案いたしまして、規制を行なわせるということも可能なようになっております。そういうことも都道府県知事にさせてまいりたいというふうに考えております。現状といたしましては、今年度、そういうような対策地域を指定いたします細密調査の予算を、四十四地域につきまして現在配賦いたしました。その調査を都道府県知事がやっている最中でございます。今年産米のカドミウムの量の測定、並びにそういうような米を生産いたしました土壌中のカドミウムの量の測定ということができますれば、ことし秋以降におきまして、各都道府県が対策地域の指定が可能であるというふうに私どもは考えております。  さらに官房長が、来年度このような地域関係予算約二千万円を要求中と申しておりましたけれども、私どもにおきましては、来年度も、そういう細密調査の地域数といたしましては五十地域、七千五百ヘクタールにつきまして細密調査を新たにできるような、そういう予算を要求いたしたいということで、それがそれ以外の対策地域の調査と合わせまして約二千万円でございます。これが直接的な経費でございますけれども、それ以外におきましても、たとえば土壌そのものが大気、水等によって汚染をされ、またその土壌からカドミウム等がさらに再流出するおそれがあるかどうかというような、土壌のメカニズムを調査するということもいたしたいと考えておりますし、さらに客土、土壌改良等の土地改良事業のほかに、たとえばカドミウムを多量に吸収するような作物を植えまして、それによって土壌中のカドミウム量を減らすというような方法はありはしないかというような研究調査費等も要求いたしておりまして、できればこれらの要求をぜひとも確保いたしまして、来年度以降、さらに今年度より以上の土壌汚染防止対策ができるように努力をいたしたいと、かように考えておる次第であります。
  316. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 よくわかりますけれどもね、要するに、そのように一PPM以上の、あるいは一PPM以上の含有のおそれのある地域ですか、そういうところは一応の土地改良の事業の対象になる。そのほかに、県が特別に指定したところもある。それはそれでいいと思うのです。ところが、一方また今度は一PPMまで至らない、先ほどから何回も言いますけれども、〇・四だとか、六だとか、七だとか、その辺のところが依然として汚染米のレッテルを張られて、食糧庁に買い上げられる。買うてくれるのはけっこうだけれども、買ったものは依然として倉の中へしまっておく。これがいつまで続くかというのが農民の声なんです。しかも、そういうところでは、自主流通米はどうなっておるのか。それから、土地改良とともに、そういったような汚染、保管の問題、農民の気持ち、そういうものをよくひとつ考えて、何とかはっきりしてほしいというのが農民の声です。いつまでもこんなレッテルじゃ困る。改良するのにはやはり限界があるのでしょうね。それも結論が出ていないようです、先ほどから答弁を聞いておりますと。さらにひとつその点もう一ぺん――これはさっきの大臣答弁もあまりよくなかった、もう一ぺん答弁をお伺いして、これで私は終わります。
  317. 岡安誠

    説明員(岡安誠君) 現在の土壌汚染防止法によりますると、人の健康をそこなうおそれがある農畜産物を生存されると認められる地域と、そういうようなおそれが著しい地域ということになっておりまして、現在、人の健康をそこなうおそれがある農畜産物を生産されるという定義につきまして、カドミウムにおきましては、やはり一PPM以上のカドミウムを含む米が生産されると認められる地域、そういうおそれが著しいといいますか、現在は一PPM以上の米はできていないけれども、天候なり耕作方法のいかんによりましては一PPM以上の米ができるおそれが非常に著しいというところにつきましては、対策地域の指定ができるというたてまえになっております。  そこで、土壌汚染防止法の現在のたてまえからいきますと、やはりカドミウムにつきましては、一PPMを中心といたしまして対策地域が指定されるということにならざるを得ないかと考えております。もちろん、おっしゃるとおり、私どもは一PPMの米から対策地域を指定するというのは本来ではなかろうと、やはりこれは土壌中のカドミウムの量と、それからそのカドミウムが農作物に吸収される量との因果関係等を早急に明らかにいたしまして、やはり土壌につきましての環境基準を明らかにする。それによりまして対策地域を指定をするという方向に一日も早く持ってまいりたいということで、現在急いで作業をいたしておるという状況でございます。  なお、補足でございますけれども、対策事業は、先ほど申しましたとおり、法律のたてまえ上、対策地域内につきましてだけできるわけでございますが、先ほどの土地改良法の政令の一部改正によりまして、対策地域内の事業のみならず、その近隣におきましてもあわせまして土地改良事業ができるというような改正と承っております。そういうような実施につきましては、農林省とも相談いたしまして、地域の実情に合ったような土地改良事業が行なわれるように私どもも推進してまいりたい、かように考えておる次第であります。
  318. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 私も詳しいことは実はわからないんですが、しかし、対策は十分講じなくちゃならぬということで検討させておりますので、きょう問題になりましたことについてできるだけ早い機会に措置をしていきたいと、こういうつもりでおります。
  319. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十八分散会      ―――――・―――――