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矢山有作君 おことばでありますけれ
ども、この日中の国交回復という大問題は、すでに本国会が召集された早い時期から非常な重要な問題として論議をされてきたところであります。したがって、本日提案をされたんでは、すぐ
自民党のほうで相談をして結論を出しがたいとおっしゃいますけれ
ども、それは私は理由にはならぬと。先ほど言いましたような、召集された本国会の早い時期から国交回復の問題は論議の主要な対象になっておったのですから、その
立場からいうなら、
自民党のほうではこの問題に対して対処する
姿勢というものはもう確立されておってしかるべきだ。ましていわんや、
責任政党であればあるだけに、そのことは当然だと思うのです。
それからもう
一つは、
自民党が
責任政党であるとおっしゃるなら、私は、世論の動向、国際情勢の動き、これをいち早くつかんで、そしてわが国の平和と繁栄と安全のために役立つ方向を積極的に見出していくというのが
責任政党のあるべき姿であって、それができないというんであれば、私は、
責任政党だといって大きな口をたたくことはできないだろうと思うのです。したがって、そういうような理由にならぬ理由をお並べになってこの本
会議提案を阻止されるという態度をおとりになるのじゃなしに、いまの国際情勢、いまの世論の動向、特にアメリカが台湾決議をすでに破棄した。それは上院外交
委員会できめられた、そういう情勢。あるいは、伝えられるように、中国の国連復帰は、安保常任理事国をも含めての国連復帰だというようなところまで来ておると伝えられておる。こういう情勢の中では、私は、日本としては当然中国との間の国交回復というものにもっともっと積極的に取り組むべきだと。
それからもう
一つは、この間の代表
質問でも申し上げましたが、
佐藤総理は日米の
信頼関係ということを盛んにおっしゃる。
信頼関係ということがほんとうに立証されるためには、アメリカが今度ニクソン大統領の訪中をきめる前に、日本が十分
考えられるだけの時間的な余裕を持って日本にほんとうの意味の協議をするという態勢がとられておってこそ、初めて日米の
信頼関係と言えるのであって、アメリカのニクソン大統領が発表するその三分前に
佐藤総理大臣が知るというようなお座なりのいわば何というのか、人を小ばかにしたような、事前に教えてやったじゃないかというていさいだけととのえればいいのだというような、そんな全く日本の
立場を無視し、しかも中国問題については日本と十分に協議をしてやろうといって、ニクソンと佐藤との間に約束ができておる。それすら一顧もしないようなやり方をされたわけですから、そういうことを
考えるなら、私は
佐藤総理はもっとこの
事態を深刻に認識なさるべきじゃないかと思う。つまり、両国間の
信頼関係というのは、どんなに言ってみても自分の国の利益というものがまず優先しているわけです。自分の国の利益を守るためには
信頼関係も何もないということが、今度のニクソン訪中の声明によってはっきり示されたわけです。ですから、そういう冷厳な国際
関係の事実を見られるならば、私は今日
佐藤総理はもうこの辺で決断をされて、国交回復に積極的に取り組まれるべきだ。与党は与党としての
責任においてその
姿勢を明確に打ち出されるべきだ。本
会議でこの国交回復の
決議案を満場一致で可決するということは、
責任政党の与党がそういう積極
姿勢を示すことになるし、それをてこにして、
佐藤総理はむしろ前向きに
事態を
処理するいいきっかけを得るのではないかと私は思うのです。そういう諸点を
考えていただいて、ぜひとも重ねて御賛成が願いたいと思います。