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1971-07-24 第66回国会 参議院 議院運営委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年七月二十四日(土曜日)    午前九時四十八分開会     —————————————    委員異動  七月二十四日     辞任         補欠選任      柳田桃太郎君     橋本 繁蔵君      丸茂 重貞君     植木 光教君      園田 清充君     岡本  悟君      梶木 又三君     嶋崎  均君     —————————————   出席者は左のとおり。    委員長          鍋島 直紹君    理 事                 栗原 祐幸君                 藤田 正明君                 山崎 五郎君                 瀬谷 英行君                 矢山 有作君                 峯山 昭範君                 田渕 哲也君                 須藤 五郎君    委 員                 植木 光教君                 岡本  悟君                 古賀雷四郎君                 柴立 芳文君                 嶋崎  均君                 園田 清充君                 大松 博文君                 高田 浩運君                 棚辺 四郎君                 玉置 猛夫君                 橋本 繁蔵君                 桧垣徳太郎君                 丸茂 重貞君                 柳田桃太郎君                 小野  明君                 前川  旦君                 村田 秀三君                 吉田忠三郎君                 内田 善利君         —————        議     長  河野 謙三君        副  議  長  森 八三一君         —————    国務大臣        運 輸 大 臣  丹羽喬四郎君        自 治 大 臣  渡海元三郎君        国 務 大 臣  竹下  登君        国 務 大 臣  中村 寅太君    事務局側        事 務 総 長  宮坂 完孝君        事 務 次 長  岸田  実君        議 事 部 長  海保 勇三君        委 員 部 長  若江 幾造君        記 録 部 長  西村 健一君        警 務 部 長  植木 正張君        庶 務 部 長  上野山正輝君        管 理 部 長  前川  清君        渉 外 部 長  西宮 信安君    法制局側        法 制 局 長  今枝 常男君    説明員        警察庁刑事局長  高松 敬治君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○常任委員長辞任及び補欠選任の件 ○社会保障制度審議会委員及び選挙制度審議会特  別委員推薦に関する件 ○議員黒住忠行君の議員辞職勧告に関する決議案  (矢山有作君外四名発議) ○決議案委員会審査省略要求取り扱いに関す  る件 ○本委員会継続審査要求に関する件 ○継続審査要求及び継続調査要求取り扱いに関  する件 ○閉会中における本委員会所管事項取り扱いに  関する件     —————————————
  2. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 議院運営委員会開会いたします。  常任委員長辞任及び補欠選任の件を議題といたします。  事務総長報告を求めます。
  3. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) お手元資料のとおり、本日、内閣委員長外委員長から、それぞれ委員長辞任の申し出がございました。  各常任委員長後任につきましては、自由民主党から、内閣委員長柳田桃太郎君、地方行政委員長玉置猛夫君、外務委員長八木一郎君、大蔵委員長前田佳都男君、文教委員長に大松博文君、農林水産委員長高橋雄之助君、商工委員長大森久司君、運輸委員長木村睦男君、予算委員長徳永正利君がそれぞれ推薦されました。  以上。
  4. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) ただいま報告のとおり委員長辞任許可し、その補欠を選任することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、社会保障制度審議会委員及び選挙制度審議会特別委員推薦に関する件を議題といたします。事務総長報告を求めます。
  7. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) ただいま議題となりました委員は、いずれも本院議長からの推薦を得て内閣総理大臣が任命いたすことに相なっておりますが、現在議員任期満了により欠員を生じておりますので、前任者所属会派から、お手元資料のとおり後任者推薦されたい旨の届け出がございました。  以上。
  8. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 本件につきましては、ただいま報告のとおり推薦することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  暫時休憩をいたします。    午前九時四十九分休憩      ——————————    午後六時五十分開会
  10. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 議院運営委員会再開いたします。  議員黒住忠行君の議員辞職勧告に関する決議案議題にいたします。  昨日に引き続き質疑を行ないます。  なお、政府側から、内閣官房長官竹下登君、運輸大臣丹羽喬四郎君、自治大臣渡海元三郎君、国家公安委員会委員長中村寅太君が出席いたされております。  御発言ください。
  11. 矢山有作

    矢山有作君 昨日本委員会におきまして、議員黒住忠行君の辞職勧告決議案を審議するにあたりまして、黒住忠行君の選挙違反実態を解明する必要があると考えて、私ども関係当局に御出席をいただいて質疑を重ねてまいりました。しかしながら、その質疑の中が、残念ながら、国家公安委員長のほうから、この黒住忠行君の選挙違反実態について幾らお尋ね申し上げても、口を緘してその実態を解明していただけなかったわけでありますが、このことは、われわれといたしましては、院に対する侮辱であり、さらに野党議員に対する侮辱であると考えざるを得ないわけであります。特に立法府行政府との関係からいたしまして、私ども立法府行政府に対する権威、国民立法府に対する信頼、これを回復いたしますためにも、やはり黒住忠行君の選挙違反実態を解明する必要があると存じます。したがいまして、これからの質疑に対しましては、関係当局において率直に私はお答えをいただくことを心からお願い申し上げまして、まず質疑に入らせていただきます。  そこで、私のほうからいろいろと調査をいたしました結果、黒住忠行君の選挙違反をめぐっての情勢というものがある程度わかってまいりましたので、私のほうからこれを申し上げます。したがって、それが間違いであるなら、どこが間違っておる、そのとおりであるならば、そのとおりであるというお答えをいただきたいのであります。一応私のほうで読み上げさしていただきますから、関係当局のほうではお聞き落としのないように注意をして聞いておいていただきまして、的確な御答弁を重ねてお願いいたします。  今日までの状況で逮捕された人々状態を申し上げますと、日本バス協会理事長蜂須賀国雄、これは前の運輸省観光部長であります。同じく日本バス協会総務部長金子薫茨城県の陸運事務所輸送課長。同じく日本バス協会専務理事沢辺正明長野県のバス協会専務理事中村義一新潟陸運局自動車部長新潟バス協会専務理事佐藤治四郎、同じく新潟新潟陸運局自動車部長。山形県バス協会専務理事山崎清広。高知県バス協会専務理事土生茂高松陸運局整備部長。愛媛県のバス協会専務理事土岐道達高松陸運局鉄道部長。徳島県バス協会事務局長細川実熊本バス協会専務理事吉田邦雄、これは佐賀陸運事務所長であります。長崎県のバス協会専務理事平山吉雄長崎陸運事務所長宮崎県のバス協会専務理事岡山峯男宮崎陸運事務所整備課長福岡バス協会専務理事長野薩男福岡陸運局旅客課長岩手自動車会議所専務理事中村権次郎岩手陸運事務所登録資材課長。宮城県自動車会議所専務理事佐々木吉蔵岩手陸運事務所長福島自動車会議所事務局長菅野幸雄秋田県全自動車協会専務理事高橋信光秋田陸運事務所長岩手旅客自動車協会参事細川亮一仙台陸運局貨物課長。青森県自動車団体連合会専務理事永田義一。千葉県三菱フソウ自動車販売取締役田寿郎九州陸運協力会佐賀支部長中村与四郎佐賀陸運事務所長福岡乗用自動車協会専務理事宮崎源二福岡陸運事務所長東京小型自動車整備振興会専務理事加藤清東京陸運事務所車両課長淡路交通顧問大槻巌、滋賀県陸運事務所長日の丸タクシー企画部長相木政造東京陸運局総務課長福島乗用自動車協会浜通支部専務理事坂本一郎福岡交通会館社長今泉長三福岡交通会館総務課長——ちょっと名前が明確でありませんが、田という字とこれは……彦大。茨城乗用旅客自動車協会バス部長安見秀夫。群馬県バスハイヤー協会事務局長梅沢寿恵広。埼玉トラック協会常務理事藤倉繁雄埼玉陸運事務所運輸課長東京トラック協会専務理事菅谷丑松本省自動車局総務課補佐官熊本トラック協会県運送事業協同組合連合会専務理事江口円吉黒住後援会事務局長安達厳黒住後援会専従員柳本俊成、これは本省自動車局通運課補佐官黒住後援会大分支部事務局長山田弘黒住後援会の鹿児島県支部連絡員諏訪直樹。その他数名の者があり、さらに黒住後援会大分責任者荒上幹夫福岡陸運局自動車部長東京小型自動車整備振興会総務部次長水野清人。以下数名の者があります。  以上、全体として私の手元でわかりましたのは五十名、約五十名の者が逮捕されておるということでありますが、このことに間違いはないでしょうか。  なお、名前を言わなかった方もあります。それから、かつての官職につきましては、これは元の官職名、あるいは前の官職名でありますが、その点、元ということをつけるのをやめて申し上げましたが、その点はお含みおきいただいて御答弁を願いたいと思います。
  12. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) ただいまの御質問に対しまして、捜査上さしつかえのない範囲内において局長からお答えさせていただきます。
  13. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 現在黒住派違反で逮捕されている者の数は五十名でございます。ただいまいろいろ名前の出ました者につきましては、前歴の点につきましては、私ども必ずしも全部明確に把握していない点もございますが、いまおっしゃられた者は、大体、私どものほうで逮捕いたしている人の氏名でございます。
  14. 矢山有作

    矢山有作君 逮捕されておるということは新聞紙上等で明確になっておるわけでありますから、運輸省のほうとしては、私が先ほど申し上げました元、前の経歴については承知をしておられることと思います。私が申し述べました元あるいは前運輸省役人というのは、大体二十三名ぐらいのようでありますが、これは間違いでしょうかどうでしょうか。これは運輸大臣にお尋ねいたします。
  15. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまお尋ねがございましたが、大体新聞その他で承知しておりますものの元運輸省に在職した者は、そのとおりだと存ずる次第でございます。
  16. 矢山有作

    矢山有作君 そのとおり。
  17. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) そのとおり。
  18. 矢山有作

    矢山有作君 ただいまの政府答弁でもおわかりいただきますように、五十名からの大量の逮捕者を出しております。しかも、その大量の逮捕者のうち二十三名という多くの人たちが元運輸省、あるいは前運輸省役人であります。そして、それらは、ただいま読み上げましたように、ほとんど運輸省自動車局密接不可分関係にある外郭団体なりあるいはまた業者団体の枢要な地位におる人々であります。この一事をもってしても、今回の黒住忠行議員選挙違反というものが、行政機関とそれに密真をした外郭団体と、それと密着した業者団体不離一体になって、上から下へという形で、組織を通じたきわめて悪質な選挙違反であったという事実は、これは私はもう隠すことのできない事実であろうと思います。こういうような、行政機関が背景になって、そうして行政機関外郭団体、両者が一体となった選挙違反のこのような実態をお聞きになって、官房長官一体どういうお考えをお持ちになっておられるかお伺いをしたいのであります。
  19. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私は捜査内容等について明確に存じてはおりませんが、ただいまの御指摘のとおり、一般論といたしまして、そういう行政官庁、そしてまたこれが関係団体もしくは公益法人等々にそれぞれ元の行政官庁公務員退職者が職を得て、それがまたいわゆる業界と癒着した形の選挙運動が行なわれるということは、よしんばそれがそういう印象を与えるだけであっても、好ましいことではないと、このように思います。
  20. 矢山有作

    矢山有作君 官房長官印象を与えるだけでなしに、いま私が取り上げた事実は、捜査当局なり運輸当局が肯定をされた事実であります。したがって、印象を与えるだけでなしに、これは事実として国民の前に明らかにされたのであります。その上に立ってあなたは、きょうは総理出席を求めたが、総理が出ておられぬ、そのかわりにあなたが見えたのだから、そういう立場で御答弁を願わぬと私はぐあいが悪いと思う。その点、どうなんですか。
  21. 竹下登

    国務大臣竹下登君) あえて私が、印象を与えたという表現をいたしましたのは、捜査中の事件でございますだけに、いわゆる法律上犯罪が確定したという段階にございませんので、そうしたことばを使用いたしましたが、仰せのとおり、その趣旨そのものはまことに遺憾なことであると、このように思います。
  22. 矢山有作

    矢山有作君 官房長官はまことに遺憾の意を表明されたわけでありますから、であるとするならば、遺憾の意を表明されたのに即応するような態度を自民党自体がとっていただくように、あなたのほうから自民党総裁である佐藤総理に対して率直にこの事態を言っていただきたい。そして、きちっとした処理をしていただきたいと思いますが、あなたのほうはそういう措置をとっていただけますね。
  23. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 当委員会におきまして矢山委員から出ましたその意見は、すなおにこれを総理に取り次ぐことをお約束いたします。措置そのものにつきましては、昨日来の答弁で、今日私が確言をいたす課題ではないと、このように思います。
  24. 矢山有作

    矢山有作君 これで終わりますが、きのうからの官房長官答弁というのは、きわめて私は無責任答弁だと思っておるのです。私は、これだけの悪質な選挙違反を出したその候補者は、自民党が公認をされたのでありますから、その自民党最高責任者である総裁として厳然たる処置をとっていただかぬことには、選挙適正化運動ですか、選挙を正しくやろうという運動体協議会ができておりましたが、その質問に対して自民党は、悪質な選挙違反を犯した者については除名するんだということをはっきり申されておる立場からも、私はそういうふうな厳然たる処置をとるのが当を得たことであろうと思いますから、あなたを通じて自民党最高責任者である佐藤総裁に御忠告を申し上げておきます。そのことが自民党信頼を回復することであり、さらに私は院の信頼を回復することであろうと思います。重ねてあなたのほうから、いいかげんな処置でなしに、厳然たる処置をとられるようにお伝えを願いたいと存じます。  それから最後に、きのうの答弁で詰めていない点がありましたので、一つだけ運輸大臣にお伺いをしておきます。  きのう指摘いたしましたように、岡山の私鉄の中鉄バスが無許可バス運行休廃止をやっておった事態があります。これに対して、陸運局に対し地域住民のほうから再三にわたり問題が提起されたにもかかわらずそれを放置しておいて、ことしの六月になってやっとこれを、路線休廃止申請を認めるという措置をとられました。路線休廃止は、無許可路線休廃止が問題になったのは昨年の十月からであります。こういうような違法な措置をやっておるのに対して、その中鉄バス経営当局違法性を合理化するような形でバス路線休廃止の認可を与えたということに対して、地域住民の中には、今回の黒住氏の選挙違反関連をさせ、さらにには、黒住氏が出馬表明をした当時の運輸省内における人事異動状態からして、その人事異動状態がどうも選挙人事だといわれておるようなうわさが立った。これらと関連をいたしまして、きわめて不信の念を持っております。そこで、こういうような、私どもから見れば不当な措置に対して、一体運輸当局はこの陸運行政姿勢をどう正そうとされるのか。なるほど、会社から路線休廃止申請があったといたしましても、その以前に、それより前に、六カ月あるいは一年近くにわたって無許可バス運行の休止をやっておるのでありますから、まずそれに対しての法的な処理をして、それから後に、申請が出てきたならば、その申請に対する処理をするというのが陸運行政のあり方ではないかと思います。そういう点についてお考えが承りたいのと、もう一つは、いま運輸大臣のほうに、こうした違法行為をやったことは、この違法性追認合法化ではないかということで申し入れ書が来ているはずであります。その申し入れ書に対してあなたのほうで適切な回答が願えるかどうか、この二点をお伺いいたします。
  25. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまの矢山委員からの御質問でございます中国岡山バスでございますが、これを無断で決行した、まことに法律を無視した不届きな行為でございます。これに対しまして地元から訴訟が起きました。判決がありまして、有罪の判決があったと聞いておる次第でございます。そのときになぜ行政処分をしなかったかということでございます。そういったことに対しましていろいろの疑惑を持たれたこともまたしごく当然でございますが、ただいま、ややもすると、過疎地帯と申しますか、わりあいにバス運行上乗客の少ない地帯におきましてはバス運行したがらないという会社が非常に多いそうでございまして、役所といたしましては、できるだけひとつそのことを言わないでバス運行するようにということを勧奨しておるそうでございます。また、行政処分といたしましては、その免許を取り消すということでございますが、免許を取り消しますと、やはりいま矢山委員からお話しのとおり、向こうの思うつぼにはまるということにもなる。それでもう一つ行政処分といたしましては、輸送再開をしろという命令を出せるそうでございますが、それを出しましても、命令を聞かないでかってやったようなバス会社でございますので、なかなかそういうことにもいかぬということ、いろいろそういうことを彼此勘案をいたしまして、そういうような説得工作を続けておりまして、そのうちの一部のバス再開をいたしましたこと、合理的な線で一部再開するものということで認めたということでございますが、ただいま矢山委員からもお話がございましたことは私、いまここで伺った次第でございますが、なぜそういうようなことになったかということで御質問書が出ておるそうでございます。私、まだ存じておりませんが、直ちにそのことを調べまして、そうしてその実情を究明いたしまして、はたしてそのとおり御抗議の内容のほうに理があるかどうかを直ちに判断いたしまして、いやしくも、先ほどからお話がございました業者と癒着をしておるというような疑いがございましたならば、断固として私どもそれに対する行政行為に対しまして検討を加えさせまして、改めるべきは改めて、そうしてまた、それらの事案につきまして非常に姿勢といたしましておもしろからざるところがありましたならば、私どもとしましても、それに対して適切なる措置をとりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  26. 矢山有作

    矢山有作君 ちょっと新しい問題が出てまいりましたから一言だけ申し上げます。  過疎地帯の足をいかにして確保するかというのは、これは過疎地帯住民にとっては非常に重大な問題になっておるわけであります。したがいまして、この過疎地帯の足をどう確保するかということは、これは政府責任において積極的に解決していかなければならない問題であります。ところが、その解決をおろそかにしておいて、しかも、会社はそういうところを利用しながら運行したがらないということで、無許可運行休廃止をやる。そこに問題が出てくるわけでありまして、運輸省のほうでは、何とか運行してもらいたい弱みが出てくる。そこでますますなれ合いというものが生まれてくる余地があるのであります。したがって、重要なことは、いまの重要な課題である過疎地帯の足を確保するために政治の上でどう対策を立てるかということがまずなければなりません。それが欠けておって、そうして、それを逆手にとられて違法な行為がされておるのをそれを見のがす、あるいはあとから追認し合法化する。このことは許されない。そのことをとくと頭に置いていただきたいと思います。
  27. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) いま矢山委員から御指摘がございましたことはそのとおりと私も思っている次第でございます。それで私も調べましたところ、過疎地帯におけるバス運行せしめるために、政府で適当に補助その他の方法によって、そうして、いま一番の問題でございます過疎地帯運輸機関の確保をはからなければいかぬということでやっているそうでございますが、昨年がわずか全国で一億円、それから五割増しになりまして、四十六年では一億五千万円の補助金がついているだけでございます。したがいまして、それらの方面につきましても四十七年度におきましては、過疎地帯運送を確保するために、運輸省といたしましては助成その他の方法につきまして、もっとさらに積極的に進めるつもりでございますので、一そうのひとつ御鞭撻をお願いする次第でございます。
  28. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 われわれが黒住議員議員辞職勧告に関する決議案を出した以上は、単に新聞報道なりあるいはテレビの報道のみに基づいて一議員政治的生命を左右するような問題を軽々しく取り上げるわけにいかないと思ったわけです。したがって、そのような裏づけを公式の場で国家公安委員長からはっきり言明をしてもらって確認をしてみたいと思ったわけです。ところが、これに対して昨日は、国家公安委員長は口を緘して語らない、必要以上に黙秘をされておるような印象を受けたわけです。だからこそ議事がもつれてきょうまで持ち越したわけです。矢山委員から具体的な指摘があって初めて、これを警察側として、警察責任者として認められたという形をとっております。こういうやり方は、これからの議会運営の面ではなはだ遺憾だと思います。  さらに私は、黒住議員の問題だけではなくて、高級公務員で類似の選挙違反を多数出している方々についても、一体何名、どのような人が違反者を出しているのかということをお聞きをしたわけでありますが、これについてもお答えが得られなかったわけであります。このことについてもさらに私は追及をしたいというように考えておりましたけれども、何しろ会期がきょう限りでありますし、時間も切迫をいたしております。これ以上、たとえば村上派あるいは梶木派桧垣派西村派といわれるような多くの方々について事こまかに追及することは時間が足りませんから、われわれは打ち切るのじゃなくて、後日に他の違反者についての追及は回したいというふうに考えております。これは時間の都合であります。  そこで、この黒住派の問題でありますけれども逮捕者の数は約五十名、これからもふえるかもしれない、こういうふうに言われておりますが、これはたいへんな問題だと思うのですね。もちろん、選挙違反にもピンからキリまでありますから、われわれもよく承知しております。形式犯であるとかあるいは文書違反等で一、二名の者が逮捕されたという場合と、何十名、要するに複数の逮捕者を出したという場合では全然これは内容が違うと思うのです。五十名といえばたいへんな数です。これは赤穂浪士より三人多いわけです。これだけの多数の逮捕者を出して組織的にやっているということは、これは見のがしていいことにならぬと思うんですね。  そこで、官房長官で綱紀粛正ということを先ほども言われましたが、要するに役所に籍を置いた者は権限を持っている。在職中は許認可の権限を持っている。それらの人たちが役所をやめて関係外郭団体に天下りをする。その外郭団体と役所とが癒着をして、タイアップをして、選挙違反をやって票を取りまとめる。その間に多額の選挙資金が動くというようなことは、選挙のルールからすれば完全にこれは相反しております。ルール違反です。これは絶対に綱紀粛正という面からいうと許しがたいと思うのですが、その点は官房長官としてどのようにお考えになっておるのか、その点をお伺いしたいと思うのです。
  29. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ただいまの瀬谷さんからの御質問でございますが、私も綱紀粛正の立場から、そのことはまことに遺憾なことであると存じます。したがいまして、従来まで、いわゆる公務員の公益法人なり外郭団体なりの、まあ俗称は天下り、再就職等につきまして、人事院として一応チェックする方向にはございます。そして、なおそれだけでなく、先般の閣議におきまして、さらに総理より、公益法人のあり方等々について早急に検討して措置をとるべきであるという指示がありました。鋭意——それはきのうの閣議でありますが、さっそくそれに取りかかっておる、そうした姿勢を示すことによって少しでも綱紀のゆるみを行政の長に立つ者から正していきたい、こういう決意でございます。
  30. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 先ほどのニュースを見ますと、選挙違反はいろいろありまして、ただいま細川派も四名の者が起訴されたというようなのが出ております。たくさん違反者が出ております。特に自民党が多いんでありますけれども、その中で高級公務員、権力を握り、権限を持っている高級公務員だった人たちが、やめた直後に従来の顔とあるいは権力に十分ものをいわせて選挙に出るということは、これはやっぱりまずいと思うのですね。特に、その点では公務員だった候補者の場合は、綱紀粛正という点では対象にしなきゃならぬと思うのです。対象にする場合に、やはりそれらの議員の所属をしておる政党でもってしかるべき処置を講ずる必要があると思うのでありますけれども、先ほどの官房長官の御答弁の中に、法律上犯罪の確定を見た上でないと何とも言えない、こういうお話がありました。しかし、それならば、法律上犯罪の確定を見た上でどのように処置をされるかということが問題であります。おそらく大量の逮捕者を出しておるということになると、これはもう法律上の犯罪の確定を見るのも遠くないと思うのでありますが、その場合に、一体政府としては、そのような人たちについてはどういう処置をされるおつもりなのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  31. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 先ほど私が一般論の中で申し上げましたことは、いわば政治責任とか道義的責任とかいうことでなく、きわめて窮屈な形でお答えをいたしたわけでございます。しかし、いま瀬谷さんの御質問を伺っておりまして、いわゆる候補者自身の問題、またそうでない、それと意思の疏通あるなしの状態において選挙運動法律に触れる行為があったと、まあ、いろいろな場合が予測せられますので、にわかに私がその措置の具体的な方法につきましてお答えすることは無理であろうと思います。ただ、そうした問題について、それが公務員その者であった場合、もとより厳正な措置をとることはお答えできると、このように思います。
  32. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 法律上犯罪の確定を見た上でという話を私さっき聞いたから、その点についてお伺いしてるんですが、確定を見るのにうんと手間がかかるというような悪例があるわけですね。確定を見たころは任期を終わるころだったなんという話がよくあるわけです。そういうことをやられたのでは悪いことをした者が得するということになる。したがって、取り調べ等については、厳正公平ということを昨日公安委員長も言っておられましたけれども、わざわざ引き延ばしをして、任期満了まで引き延ばすというようなことがあっちゃならぬと思うのでありますが、今日の大量の違反者についての取り調べ等について、すみやかにその答えが厳正に出し得るような措置が講ぜられておるかどうか。またそのような方針がおありになるかどうか。これは公安委員長にお伺いしたいと思います。
  33. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) ただいま瀬谷委員質問の要旨のように、できるだけ早期に結論を出すように公安委員長としては全力をあげたいと存じております。
  34. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 落選したある法務大臣が、法務大臣やってりゃ、選挙違反ぐいらは心配ないということを放言したといううわさを聞いておりますけれども、そんなことはかりそめにも行なわれてはいけないと思うのです。  そこで、そういう危険のあるのは、やはり立場高級公務員といったような人が立候補するという場合に、これは国会議員選挙であろうと、ほかの選挙であろうと、そういう高級公務員のような人が特に危険性が多いわけなんですけれども高級公務員の立候補の制限問題ですね。ある程度のブレーキをかけるといいますか、ハンデがあるわけですからね、これは一般の人よりも。そういうハンデについて検討をして、ある程度の制限をするというのは、これは憲法に違反することにはならぬと思うんですがね。昨日は憲法四十四条を引き合いに出してお答えになりましたけれども、私は高級公務員の立候補の制限は憲法には違反しないと思うのですが、その点の見解はどうですか。
  35. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 憲法に違反になるかどうかという問題でございますが、この問題は、規定のしかた等によりまして、憲法に違反になるというふうな論議も、従来の論議の過程においてしばしば議論されたことであるというふうに承知いたしております。
  36. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 要するに、自治大臣としてはどのようにお考えになっておりますか。いろいろな議論があったという話はいいんです。自治大臣としてどのようにお考えになっているかということです。
  37. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 高級公務員の退職後の一定期間の立候補の禁止の問題は、私は、従来もしばしば議論されたところでございますが、今回の通常選挙に際して起きました事件にかんがみ、心を新たにして取り組まなければならないと、このように考えております。しかしながら、従来の議論の過程——いま憲法の問題が出ましたが、規定のあり方によりましては、憲法の上におきましても異議のある点、また憲法に違反がなくても、いわゆる高級公務員の範囲をどこに置くのだというふうな点につきまして、立法技術上種々の問題があるということも承知いたしておりますので、幸い第七次の選挙制度審議会が現在審議されておるときでございますので、これらの審議会の慎重なる審議を願いまして、法律上も、立法技術上も遺漏ない措置を講じさせていただくように善処いたしたい、このように考えておる次第でございます。
  38. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 きのうも私気になったのは、選挙制度審議会に逃げ場を設けて逃げ込まれちゃったら困るということなんですね。政府としては、あるいは自治大臣としてはこう思うというふうになかなか明確に言われない。選挙制度審議会で慎重に審議してもらった上でと、こういうふうに言われるのですね。これはうまい言い方かもしれませんけれども、もっと率直に言えば、ずるい言い方といったほうがいいと思うのですね。そういうずるい言い方じゃなくて、今回の問題、たくさんの違反が出ております。黒住派に限らず、村上派、何々派というようにたくさんの違反が出ているわけですね。高級公務員違反が多かったとすれば、国民の世論としては高級公務員の立候補についてはある程度の制約を設けなければならないんじゃないかというのは、これは自然の世論だと思う。したがって、その自然の常識的な世論に従って、ある程度の高級公務員の立候補の制限をするということは、行政的にはこれは可能じゃないかと思うし、また立法上も必要じゃないかというふうに思うから、私のほうでは再三再四お伺いをしているのでありますが、しからば、自治大臣のお答えがありましたから、今度は官房長官にお伺いしたいと思うんですが、こういう点であいまいにしておきますと、佐藤内閣は高級公務員の、特に自民党選挙違反についてほっかぶりをしようとしているというふうにとられますよ。これはもうすでにそういうふうにとられているわけです。だから、そうふうにとられないようにするためには、明確な方針を打ち出す必要があるのではないかと私は思うんです。これ以上は佐藤内閣の人気を落としたくないとお考えだったなら、それは当然考えてしかるべきではないかと思うのでありますが、この点は官房長官、どのようにお考えになりますか。
  39. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ただいまの自治大臣の答弁にもございましたが、これの立法化したときの違憲性とかあるいは違法性という問題につきましては、私のつたない法律知識においては、残念ながら決断したものの言い方をする自信がございません。ただ、集約いたしますと、ただいまの自治大臣の答弁の範囲内で御承知おきいただきたいと、このように思います。
  40. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 別につたない法律知識でわからないという問題じゃないですよ、これは。政治的なあるいは常識的な判断でもってこれは結論が出てしかるべき問題だと思う。そういうことについて、今回のこれだけの問題が出ておって、なおかつ憲法上どうだろうかというためらいを持っておるということは問題だと思うのですね。ためらう必要がないのですね、これは。政府としてはこれ以上明確に方針を打ち出せないのか。あるいは今回は世論の疑惑を一掃するために、高級公務員の立候補制限等の問題についての何らかの措置を講ずる考えがあるのか。これははっきりさしてもらいたいと思うのですがね、どうなんでしょう。
  41. 竹下登

    国務大臣竹下登君) その問題も違憲性とか違法性とかというここになりますとあるいは種々なる議論があるところであろうと私も推察をいたしておりますが、結論から申し上げますならば、ただいまの自治大臣が申しました事柄において、その決意の方向は政府を代表した答弁と御理解いただきたいと思います。
  42. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 わかったようなわからないようなあいまいな点がありますけれども、時間の関係もあるし、他会派の質問者もございますので、さらにそれらの点についてはできるだけ明確にしたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  43. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もうすでに予算委員会等でも今回のこの問題については審議されましたし、また明らかになってきたわけでありますが、本委員会におきましても、昨日に続いてこの問題が取り上げられておりますのですが、私たちは、新聞報道機関の報ずる今回の違反の事件等を見てこの決議案を出したわけであります。したがいまして、私たちここに少なくとも署名しております野党の諸君は、この事件が明らかにこういうふうにされたものであろうということははっきりして、確信を持って、辞職に値するということを確信して出したわけであります。そういう点からいきますと、今回のこの問題を明らかにするという立場から言いますと、自民党議員の諸君が、本来ならばこの問題について質問をすべきであろうと私は思うんです。  そこで、先ほどから私は答弁を聞いておりまして、特に官房長官は、総理の代理としてきょうはここに来ているわけです。官房長官そのものに質問するというよりも、ほんとうは総理、あるいは自民党総裁に、どう処置したんだということを、本来ならば聞きたいわけです。しかも選挙のたびに高級公務員のこういう問題が起きている。そのたびに、また官房長官総理のかわりにこの会合へ来る。そして、官房長官答弁をすることも、またいつも同じ。きょうも聞いておりましても、前回の小林議員のときの質問についての答弁も、高級公務員等の立候補制限について、次の選挙法改正の際に、これを実現するよう最善の努力をするというのが、いわゆる前回の官房長官答弁です。この答弁よりいまの竹下長官の答弁というのは、私はちょっと後退しているんじゃないかと思うくらいです。ということは、毎回こういうことがあるたびに同じことを繰り返している。これでは私はいかぬと思うんです。これはやっぱり、先ほど長官は同僚議員から質問されて、議員の趣旨を総理に伝えるとおっしゃいましたが、ただ単に、たった一人の議員の趣旨じゃないんです。これは、私は国民の声だと思うんです。私は参議院の院の信頼を回復するためにも、総理自身が決断を持ってこの問題は解決しないといけないと思うんです。いつも同じことを言って、ほとぼりがさめた時分にこの問題を解決するなんといういいかげんな考え方なら、こんなことはやめたほうがいいと思う。私たちは、こういうことをやるたびに総理のかわりに官房長官に来てもらいたくない。総理にこの場に来てもらいたい。そして総理にきちっと、ほんとにそのことを実践できるようなやり方でやってもらいたい。私は法律知識がないからとか、何だかんだ、そんなことを言ってもらいたくない、私は。ほんとに総理の代理として来たのならば、その決意でその答弁をしてもらいたい。  もうすでに同僚議員から詳細にわたって質問がございました。また、ある程度きょうの公安委員長並びに政府委員答弁で、こういうような違反があるということも明らかになりましたので、私たちがこの決議案を出した裏づけもはっきり取れました。したがいまして私たちは、はっきりこの決議案を出したことが正しかったと確信を持っております。そういうような意味からも、官房長官は、ほんとうにこういうような問題の打開のために、院の信頼を回復するためにも、また国民の声に、信頼にこたえるためにも、やはりきちっとした処置をすべきである、私はそう思うんですが、官房長官答弁を得たい。
  44. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 峯山委員からの御指摘でありますが、確かに六年前、当時は橋本内閣官房長官でありました。私は内閣官房副長官として、その議論が行なわれましたときにこの席におったことを記憶いたしております。しかし、それだけに、この問題が違憲性、違法性の問題で議論のある課題であるという裏づけにもなろうかと思います。ただし、ただいまの峯山委員の御質問は、いやしくも国権の最高機関である院における御発言でありますし、もとより国民の声として受けとめまして、その趣旨の方向を十分見きわめて、真剣に対処していくことをお答えといたします。
  45. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 すでに社会党、公明党の各委員から、かなりの問題が提起されておりますので、私は次の点を確認だけいたしたいと思います。  今回、私たちがこの決議案を出した理由は、すでに述べられたとおりでありますけれども、本来、この議員の身分に関するこういう決議というものは、軽々しく出すべきではないと思います。しかし、あえてこれを出した理由というのは、単にこれは黒住君個人の問題だけではない。個人の問題ならば、これは検察庁なり裁判所において、法律に照らして処断を下されれば、それで十分であると思います。しかし、今回の問題は、一つ国民の議会に対する不信感、ひいては政治に対する不信感というものをつのらせておると思います。したがって、議会としてこの問題に対する適切な措置というものがとられなければならない。また、政府並びに与党においても適切な措置をとってもらわなければならない。その意味においてわれわれがここでいろいろ要求をし、あるいは意見を申し上げておる次第であります。この高級官僚の地位利用の問題は、ただいま峯山委員指摘されましたように、六年前に小林章氏の同様の事件が起こっております。私は、当時はまだ議員ではありませんでしたけれども、この当時の記録を読んでみますると、今回こうしてわれわれが行なっておることと全く酷似したことが行なわれておるわけです。そのときにおきましても決議案が出ましたけれども、これは結局継続審査ということでうやむやになっております。  それから高級官僚の立候補制限の問題にしましても、当時の自治大臣、官房長官が努力をすると答えておるけれども、それだけで、何ら日の目を見ていない、解決を見ていない。さらに小林さんは自民党を退会されましたけれども、また翌年にはさっそく復党されて、これまたうわさが過ぎればもとに戻ってやっている。このような結果を見た場合に、私は、今回のこの議運の審議なり、経過を見ましても前と同じようなことで終わってしまうのではないか。これならば議会として、政府として、あるいは与党の自民党としてちょっとこれは知恵がなさ過ぎるのではないか。やはり六年前の小林さんの反省の上に立って何らかの措置というものを議会として、あるいは政府として、与党としてとらなければならない。その意味においていままで再三答弁をされておりますけれども、私はまず第一に自治大臣にお尋ねしたいのでありますけれども、この高級官僚の立候補制限の問題については憲法上の問題がいろいろあろうと思いますけれども、単に前に約束されてうやむやになってしまったようなことではなくて、今度は何らかの結論を早急に出していただきたい。何らかの措置というのを具体的に国民にわかるようにとっていただきたい、これに対する決意を確認したいと思います。  それから官房長官に対しましても、再三すでにお答えされておりますけれども、前の小林さんがいわゆる自民党を退会されまして一年後に復党されております。今回の黒住さんはまだ退会されておりませんけれども、また退会されても一年後に、同じようにもとのもくあみになってしまっては何にもならないのではないか、この辺に対する自民党立場考え方というものを、官房長官にお聞きするのは筋違いかもわかりませんけれども総裁も見えておりませんので、決意をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  46. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 前回の経緯から今日に至り、また今回の通常選挙におきましてこのような事態が起こりました経過にかんがみまして、いま田渕委員が述べられたような御意見、私はごもっともであろうと思います。先ほども瀬谷委員から、審議会という場において逃げようとするんじゃないかというような御疑念の点がございましたが、これまたごもっとものことであろうと思います。私は心を新たにいたしましてこの問題と取り組むことこそ、現在の私たちの置かれている責任であろうというふうに考えております。ただいままでも議論が出ておりましたとおり、この問題は立法技術的に非常にむずかしい問題であると聞いておりますので、幸い第七次の選挙制度審議会が開かれておる最中でございますので、それらの点も十分御審議を賜わり、ぜひとも成案を得たい。また、立候補制限のみでなく、それのかわりに立法されましたいわゆる公務員の地位利用の禁止の法律等につきましても、なおこれ以上に実行し得るところの方途はないか、それらにつきましてもあらためて検討を加えることによりまして、次期通常選挙の機会にはこのようなことのないよう万全の措置を講じていきたい、かように考えております。
  47. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 田渕さんの御質問でありますが、確かに総理大臣は自由民主党総裁でありますが、私がこの場に内閣を代表するという立場で参ることはできますが、総裁代理という立場答弁をすることは、田渕さんの御質疑のことばの中にもございましたが、いささか歯切れが悪うございます。したがいまして、私はここで去る参議院予算委員会等々における総裁答弁を朗読したと思います。  「もとより総裁でありますから、公認をしたという責任はございます。ただし、ただいまの段階で処断をする、そういう段階ではないと今日判断いたしております。いずれにいたしましても、本人自身がみずからの処置をつけることであり、十分の見識の上に立って議員自身が決すべき事柄であろうと、かように思っております。」  まあこういう答弁がございますが、どうも総裁代理という形の答弁については、私の立場についても御理解をいただきたいと思います。
  48. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 いま総裁の答えを聞いても、あのとおり、何もこれだというきめ手の答弁はどこからも出てこないのですね。  それで私は、この決議案を出す一つの参考として聞きたいのは、本人の心境を私は聞きたいと思ったのですよ。それで本人の出席を昨日求めてあったはずです。なぜ本人は出席しようとしないのか。私たちは本人から聞かないと本人の心境というものがわからないのですが、自民党の諸君の中には、あるいは本人の心境を聞いておられる方もあろうかと思いますので、ひとつ官房長官はじめだれでもいいから、本人がどういう心境にあるのかということをここでまず聞いておきたいと思うのです。
  49. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 委員長から申し上げます。  黒住君御本人につきましての出席要求は確かに受け取りました。そしてそれを秘書を通じて御本人に通知をいたしましたが、本日は出席できないという御返答でございましたので、御報告をいたしておきます。
  50. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは、本人から直接心境を聞くことができないということは、本人がほんとうに悪かったと反省をするならば、私は、ここへむしろ出てきてその心境を述べて謝罪するのが当然だと思うのです。ところがそれをやろうとしない、出席もしないということでは、黒住君は何ら反省をしていないということははっきり私は言えると思うのです。はなはだ残念なことを私は聞いたわけですが、黒住君のことばとして、自分がもし出てここでいろいろな問題について答えるとするならば、その結果他の人にも累が及ぶようなことがあるかもわからぬ、こういうことを言ったということを私は聞いたわけです。これはまさに威嚇をしているようなことばだと思うのです。こういうことがほんとうにあるならば、私は許すことができないことばだと思うのですが、どうですか。
  51. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) それはどこへの御質問ですか。
  52. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 いやそれは、私はこういうことを聞きました。だからぜひとも黒住君を呼び出してここで心境を聞く必要があると思うのですよ。こういう不届きな心境ならば、私は断じて許すことができませんよ。それを私に語った方がだれであるかということは、私はこの際は言いません。言いませんけれども、私はある自民党議員からそういうことを耳にしたわけですよ。それはおそらく私に語った人は黒住君の心境を知っておるはずだと思うんです。だから私はその名前は申しませんけれども、そういうことが黒住君の口から出るとするならば、もうこれだけでも私はきょうの決議案の対象に十分なものだと、こういうふうに思っております。
  53. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) それは御心境の御主張であって、御質問ではないですね。
  54. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 だって、だれに質問するかと言うから、自民党の方で、その心境を聞かれた方があるならばここで伺いたいということです。
  55. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 自民党の方、ございますか。
  56. 栗原祐幸

    ○栗原祐幸君 ただいまの黒住君の心境ですね、これは私どもまだ聞いておりません。  いまのあなたのお話でございますが、そういうことも実は聞いておりません。したがいまして、私どものほうといたしましては、本日並びに昨日のこの議運委員会におきまする皆さま方の御発言につきましては、しかるべく党の幹部なり、あるいは議運の私どものほうから黒住君に伝えたいと思います。  そういうことは聞いておりません。これだけお答え申し上げます。
  57. 矢山有作

    矢山有作君 ちょっと関連で申し上げますが、私はいまの須藤委員の話を聞いておりまして、どういうのか、須藤委員がよっぽどの大はったりでない限りはこういうことは申されぬと思う。私は須藤委員が大はったりの人間だとは思っておりません。きわめてまじめな、正直な人間であります。その方がこういうことを自民党議員から聞いた、黒住がこういうことを言っておるのを聞いたということならば、まさかデマやいいかげんな思いつきで言ったとは私は思いません。そういうことならば、これはやはり黒住本人をここに呼んでいただいて、一体黒住は何を考えておるのか、そういうことを言ったのか言ってないのか、これは私は徹底的に究明する必要があると思うんです。その点で委員長に再度黒住議員に御連絡をいただいて、どんな差しつかえがあろうと、そういうような重大な自分自身の発言が問題になっておるのですから、御出席を願いたいと思います。召集の日に出席のできた黒住議員が今日これだけ自分自身の問題について論議をされておるときに出席できないことはないだろうと思います。召集の日に正々堂々と出席をしただけの度胸と性根があるならば、この委員会の席上に本人に出てもらいたい、さよう私は本人の出席を要求いたします。
  58. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) ただいまの矢山君の要求は承りましたが、その処置はとりたいと思います。ただ黒住君自身の問題でございますので、これは連絡をするようにいたしますけれども、これは少なくとも議員でございますから、また個人の意思によっての問題でございますから、この点は私として必ず出てくるとか出てこないとかいうようなことは……、そういう要求があったことを事務局においてお伝え願います。
  59. 矢山有作

    矢山有作君 それでは困る。事務局において伝えるのではなしに、こういうような黒住議員についての、黒住議員個人の発言が非常に問題になっているわけなんです。これはいわば強盗の居直りですよ。自分が悪らつきわまることをやっておいて、それが問題にされたら、おれを究明したら、よそに何が飛び出すかわからぬぞという、一口に言えばそういう表現です。これは強盗の居直りです。そういうような黒住本人の発言があったということになると聞き捨てになりません。したがって、先ほど言いましたような立場から、私は直ちに委員長から本人の出頭を求めていただきたい。それでなおかつ出頭せぬというのであるならば、それによって黒住議員がいかに下劣な卑劣な人間かということが私はわかると思います。この事態委員長からお伝え願いたい。
  60. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) この点は委員長として事務局を通じて出頭を求める場合と、委員会の決議によって出頭を求める場合とあろうかと思います。委員長から、私が黒住君のうちに行くわけにもまいりません、今日の段階ですから。したがって、やはり事務局を通じてその旨を伝える以外にないと思います。
  61. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いま黒住君のことについての問題が提起されておりますが、いやしくも国会議員として国会召集日には登院しておったのは私もこの目で見ておりますから、いらっしゃることはいらっしゃると思うのですよ。そこできょうは国会の最終日でもありますから、きょうおいでになっているかどうかということの問題は別として、私は、議員として、手続上の問題になりますが、請暇の願いでも何か出ているんですか。出ていないとすれば、本人は登院されることになりますね。この関係はどうなんですか。
  62. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) ちょっともう一ぺん言ってください。
  63. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 請暇の手続をとっているかどうかということです。出てないということならサボッっているということです。
  64. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 欠席届けが出ていると思いますので、その点につきましていま事務総長手元に、それを持ってまいります。
  65. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私たちは、こういう問題を提起しているのは、決して個人的な感情で言っておるんじゃないんですよ。失われた参議院の権威を取り戻すために、私たちは高い立場からこういう問題を提起しておるんです。それならば、黒住君といえども、ここに出てきて、自分のために参議院でこういう問題が起こっておるということについて、私はほんとうに彼がしないという確信があるならば、ここで釈明すべきだと思うんです。だから、ここに出てこないということは、彼が自分がやったということを認めておると、こう私たちは理解するわけですけれども、しかし、それは本人の口からはっきり聞きたいわけですね。自分が潔白だということならば、なぜここに出てきて釈明しないのか。悪かったならなぜ悪いと言ってあやまらないのか。私たちは、院の権威を取り戻すためにこういうことを問題にしているんです。そのためにやはりこの点を明らかにしていかなきゃいかぬと思う。
  66. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) ですから、委員長からお答えいたしますが、その御心境はわかっておりますので、いまのような措置の問題になっている、こういうことでございます。
  67. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この問題はそこでとめておきますが、後日に私は尾を引くだろうと思うんです。  自治省はこの間、この問題とそれから全国区の問題とを結びつけて審議会にはかって結論を出してもらおうというようなことをおっしゃったが、あなたの考えの中には、全国区というような選挙制度がこういう問題を起こしやすい結果になるんだという心境でああいうことをおっしゃったのか、そこを私は伺っておきたいんですよ。こういうときに全国区というような問題を出されると問題がこんがらがるので、その点明らかにしておいていただきたい。
  68. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) ちょっと待ってください。  先ほどの件は委員長から、矢山委員から御要望がございましたので、欠席届は出ておりますが、少なくとも事務局を通じてこういう議論があって出席方を求めるということを通知してよろしゅうございますか。
  69. 矢山有作

    矢山有作君 通知してください。
  70. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) では、そのようにいたします。
  71. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 現在第七次の選挙制度審議会に対しましては、参議院制度の根本的な問題について御議論を願っております。全国区の制度のあり方についてもいろいろ議論がございますので、この点も当然根本的な問題として御議論願っておることは事実でございます。しかしながら、いま言われておりますところの高級公務員の立候補の制限制度の問題は、事選挙違反につながる問題でもございますので、この点はその議論とは別にぜひとも議論の対象にしていただき、御審議を賜わり、適切なる御答申を得るように努力いたしたいと考えております。
  72. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) よろしゅうございますか。
  73. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 もう一つ念を押しておきますが、それは憲法上の疑義があるからそういう点もあわせて審議会にはかると、こういうことで、全国区だけそれと関連があるというふうにあなたの発言のいきさつから言うと聞き取れたわけなんです。そうすると、全国区に高級官吏が出ることが問題だとおっしゃるのか、地方区ならばよいというふうにお考えになるのか、そういう点を伺っておきたいのです。
  74. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 全国区にはいけないが地方区によいかとか、そういったことを私考えずにお答えさしていただいたつもりでおりますが、ただ、そのような議論が、前に審議されました中では、高級公務員の立候補制限の問題につきまして議論の対象になったということだけは記憶しておりますが、私の考えの中では、現在そのようなことは審議会で審議されることが——前にも議論になりましたから——あるかもわかりませんけれども、私の答弁の中にはそういうことを考えずに、いかにしてこういうふうなことをなくするか、遺憾な行為をなくするかということについて真剣に御検討を賜わりたい、こういうふうに考えております。
  75. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 もう一つ、それでは何ですね、地方区、全国区を問わず、高級官吏の立候補については検討しなきゃならぬと、こういうふうな御意見ですか。あのとき全国区ということばをあなたが吐かれたから、特にぼくは質問しているのですよ。
  76. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) ただ、私どういうふうに申しましたか、私の頭の中には地方区、全国区の区別はございません。ただ全国区だけに限らず地方区もやるのだなと言われましたら、これは審議会の御審議のことでございますから、審議会の御審議を得ました上で検討させていただきたいと思います。私の答弁の中にはそういうふうなことは考えておりません。
  77. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 須藤君、いいですか。
  78. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 長くなりますから、これはまた公選法の中ででも審議したらいいことだと思いますから、ここでとめておきます。
  79. 矢山有作

    矢山有作君 大体各会派の質問が終わったようでありますから、私は勧告決議案そのものをどうするかという問題についてちょっと申し上げたいと思うのです。  きょうの質疑、それからきのうの質疑を通じまして、大体黒住忠行議員選挙違反がどういうものであるかという実態は明らかになったと思います。特に本日警察当局なりあるいは運輸当局のほうから私の質問に対して答えられたその中で、黒住忠行議員をめぐる選挙違反逮捕者は約五十名である。そのうちの二十三名は元運輸官僚である。そうして元運輸官僚のこれらの諸君が外郭団体あるいは業者団体に天下っておって、その枢要な地位を占めておる。そうして行政機関とこれらの団体一体になって犯した組織的な悪質な選挙違反であります。したがいまして、それだけに世論の批判もきわめてきびしいものがあるわけであります。そこで私は、院の国民に対する信頼を取り返す一助としても是が非でもこの黒住忠行議員に対する辞職勧告決議案に対して自民党の皆さんの賛成を願いたいのであります。その点で、自民党の皆さんの御意見を承りたいと思います。
  80. 栗原祐幸

    ○栗原祐幸君 ただいまの御意見でございますが、自民党総裁答弁につきましては、内閣総理大臣の代理としてお見えになっております竹下官房長官からお話のあったとおりでございます。なお、御案内のとおり、参議院の自民党は、いろいろの事情がございまして、昨日新執行部ができたばかりでございます。そういう観点もございまして、皆さま方のこの御意見を十分幹部に伝えた上で、幹部が総裁といろいろ御協議の上御処置をするものと思いますので、いまの段階でこの決議案に賛成することは御遠慮を申し上げたいと思います。
  81. 矢山有作

    矢山有作君 事の重大性がこれほど明確になった事態の中で、本決議案に御賛成を願えないという自民党の皆さんの態度に対しては、私はまことに遺憾であると申し上げる以外にはありません。これでは、私は申し上げますが、自民党の皆さんの信頼国民に対してつなぐこともできないでしょうし、ましてそういう議員をかかえ込んでおる本院の信頼国民に対してもつなぐこともできぬと思うんです。したがって、なお一そうこの決議案を御賛成をいただくという立場でお考えを願いたいと思います。  なお、黒住議員の出頭も求めておりますので、ぜひ黒住議員を呼んでいただき、さらにいま申し上げました点について皆さんの御再考を願うという意味におきまして、どう今後の進行をはかっていくかということについては委員長からひとつお考え伺いたいのであります。
  82. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 本決議案取り扱いにつきまして議論は出尽くしたように思います、いまのところでは、これは。今後いろいろ御議論もあろうかと思いますが、取り扱いにつきましては理事会におきまして十分協議をいたしたいと思いますが、いかがでございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) それでは暫時休憩いたします。    午後八時七分休憩      ——————————    午後九時十六分開会
  84. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 議院運営委員会再開いたします。  委員長から御報告を申し上げます。  休憩前の委員会におきまして重ねて御要求のありました黒住議員出席の件につきましては、事務局を通じて出席方を連絡いたしました。目下同議員の秘書において八方手を尽くしているようでありますが、ただいままでのところ出席の有無については返事がありませんので、本日はまず出席は不可能と思われる状況であります。なお、黒住議員からは欠席届けが提出されておりますことを申し添えておきます。  本件につきましては、なお理事会において協議を行いたいと存じますが、御異存ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕     —————————————
  85. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に移ります。  決議案委員会審査省略要求取り扱いに関する件を議題といたします。  事務総長報告を求めます。
  86. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) 今二十四日、議員加瀬完君外四名から、日本国と中華人民共和国との国交回復に関する決議案が提出されました。  本決議案には発議者全員から、委員会の審査を省略されたい旨の要求書が付されております。この要求につきまして御審議をお願いいたす次第であります。
  87. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 御発言はございませんか。
  88. 矢山有作

    矢山有作君 先ほど来、理事会において私どもは、日本国と中華人民共和国との国交回復に関する決議案について委員会の審査を省略して本会議においてこれを御審議願いたいということで、再々にわたって話し合いを続けてまいりましたが、自民党の御賛成を得ることができません。そこで委員会の場に移して協議するということになったわけでありますが、あらためて私どもはこの審査省略要求書を付してこの決議案を出した理由を申し述べたいと思いますので、自民党の方面におかれましては十分お聞き取りをいただいて、ぜひともこれが本会議に提案されますように御賛成を願いたいと思うし、どうしても賛成ができないというんであれば、あらためて理由を明確にお聞かせ願いたいと思うわけです。  まず私どもがこういうことを申し上げておるその理由の一つは、いまや日中国交の回復は国をあげての世論であります。すべての新聞は、社説に、記事に、あるいは世論調査に、また国民各層からの投書に、日中国交の回復に待ちくたびれている状態を伝えております。したがって、政府は当然の義務としてこの国民の声にこたえるべきであると思うのであります。  理由のその二は、国際情勢は日本政府のいままでの主張の日華条約で戦後処理はできているという見方に同意する国はなくなりました。北京との国交の回復なくして戦後処理が終わらないということが国際常識となりました。「自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」という憲法前文の趣旨からしても、最も近い隣国、しかも地理的にも歴史的にも関係の深い中華人民共和国と一日も早く不幸な関係を解消せねばならないことはわが日本民族の義務であります。  その理由の三は、日中国交の回復は日本の平和に寄与することはもとよりでありますが、さらに大きくアジアの平和、世界の平和のための基本的要件であります。しかも、ニクソン訪中を待つまでもなく、中国との復交は世界の大勢であります。わが国としても世界平和にさからい、世界の大勢におくれてはならないことは当然でありましょう。  理由のその四は、アメリカすら中華人民共和国の国連復帰を考慮しようとするとき、隣国日本が国連総会で中国が正当な国連での地位を回復するために努力するということは、これまた当然の任務であります。  このことはわれわれの主張にとどまらず、国民大多数の要望でもありますので、いま参議院が国民の要望に正しくこたえたとあれば、目下軽視されがちな本院の信頼の回復ともなるものでありますので、どうぞ自民党の皆さんにおかれては、この決議案の本会議上程に賛成をしていただくようにお願いを申し上げたいのであります。もしどうしてもそれができないというのであれば、この際その理由を明らかにしていただきたいと思います。
  89. 栗原祐幸

    ○栗原祐幸君 ただいま矢山議員からお述べになりました日中国交回復の本会議上程のいろいろの理由でございますが、私承りまして、それはそれなりに皆さん方のお考えがわかったわけであります。私ども自民党といたしましても、日中の国交回復をしなければならない、その重要性につきましては、十分認めておるわけでございますが、今回のこの提案は本日お出しになったと、しかも会期が迫った本日本会議に上程しろ、こういうことでございます。事柄が重要だけに、この問題を自民党内で十分に論議することなく、直ちに皆さんに賛成であるというわけにはまいらない。重大であればあるほどやはり十分に考えなければならないと思います。それからもうすでに新聞その他で御案内だと思いますが、自民党の態勢といたしまして、この国交回復の決議案を出すというふうにまとまっておりません。態勢としてまとまっていない。しかも私が言うまでもないことでございますが、自民党政府をつくっているわけでございます。したがいまして、こういう外交に関する基本的な問題につきましては、政府とも十分に意思疎通をしてその上で可否をきめる、そういう態度が責任政党ですか、与党の立場として当然であると思います。また、そういう意味合いにおいて、自民党の態勢は皆さん方の御期待に沿うような段階になっていない。なお、私の承知しているところでは、こういう決議案を出すときには、通例といたしまして、各党の、少なくとも交渉会派の各党の全会一致というようなことをたてまえにしているように考えておりますが、この先例といいますか、こういう前例というものを破って、こういう慣例を破ってやるというのにはそれだけの理由がなければならないと思います。先ほど申し上げましたとおり、まだ自民党としての態勢も整っていない、しかも本日提案されたというような観点から、残念ながら矢山議員の提案にはこれはお答えすることができない。むしろ自民党立場といたしましては、本会議におきまして委員会の審査を省略して本会議で直ちにこの問題を取り上げる——この御提案をお取り下げいただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。
  90. 矢山有作

    矢山有作君 おことばでありますけれども、この日中の国交回復という大問題は、すでに本国会が召集された早い時期から非常な重要な問題として論議をされてきたところであります。したがって、本日提案をされたんでは、すぐ自民党のほうで相談をして結論を出しがたいとおっしゃいますけれども、それは私は理由にはならぬと。先ほど言いましたような、召集された本国会の早い時期から国交回復の問題は論議の主要な対象になっておったのですから、その立場からいうなら、自民党のほうではこの問題に対して対処する姿勢というものはもう確立されておってしかるべきだ。ましていわんや、責任政党であればあるだけに、そのことは当然だと思うのです。  それからもう一つは、自民党責任政党であるとおっしゃるなら、私は、世論の動向、国際情勢の動き、これをいち早くつかんで、そしてわが国の平和と繁栄と安全のために役立つ方向を積極的に見出していくというのが責任政党のあるべき姿であって、それができないというんであれば、私は、責任政党だといって大きな口をたたくことはできないだろうと思うのです。したがって、そういうような理由にならぬ理由をお並べになってこの本会議提案を阻止されるという態度をおとりになるのじゃなしに、いまの国際情勢、いまの世論の動向、特にアメリカが台湾決議をすでに破棄した。それは上院外交委員会できめられた、そういう情勢。あるいは、伝えられるように、中国の国連復帰は、安保常任理事国をも含めての国連復帰だというようなところまで来ておると伝えられておる。こういう情勢の中では、私は、日本としては当然中国との間の国交回復というものにもっともっと積極的に取り組むべきだと。  それからもう一つは、この間の代表質問でも申し上げましたが、佐藤総理は日米の信頼関係ということを盛んにおっしゃる。信頼関係ということがほんとうに立証されるためには、アメリカが今度ニクソン大統領の訪中をきめる前に、日本が十分考えられるだけの時間的な余裕を持って日本にほんとうの意味の協議をするという態勢がとられておってこそ、初めて日米の信頼関係と言えるのであって、アメリカのニクソン大統領が発表するその三分前に佐藤総理大臣が知るというようなお座なりのいわば何というのか、人を小ばかにしたような、事前に教えてやったじゃないかというていさいだけととのえればいいのだというような、そんな全く日本の立場を無視し、しかも中国問題については日本と十分に協議をしてやろうといって、ニクソンと佐藤との間に約束ができておる。それすら一顧もしないようなやり方をされたわけですから、そういうことを考えるなら、私は佐藤総理はもっとこの事態を深刻に認識なさるべきじゃないかと思う。つまり、両国間の信頼関係というのは、どんなに言ってみても自分の国の利益というものがまず優先しているわけです。自分の国の利益を守るためには信頼関係も何もないということが、今度のニクソン訪中の声明によってはっきり示されたわけです。ですから、そういう冷厳な国際関係の事実を見られるならば、私は今日佐藤総理はもうこの辺で決断をされて、国交回復に積極的に取り組まれるべきだ。与党は与党としての責任においてその姿勢を明確に打ち出されるべきだ。本会議でこの国交回復の決議案を満場一致で可決するということは、責任政党の与党がそういう積極姿勢を示すことになるし、それをてこにして、佐藤総理はむしろ前向きに事態処理するいいきっかけを得るのではないかと私は思うのです。そういう諸点を考えていただいて、ぜひとも重ねて御賛成が願いたいと思います。
  91. 栗原祐幸

    ○栗原祐幸君 いまの矢山議員お話でございますが、御意見としては十分承ります。  なお、それに対する個々の問題につきましては、衆参の予算委員会等で各党からもいろいろとお話があり、それに対して総理からも答えておるわけであります。私はそういうところの見解のやりとりという問題を離れまして、この決議案取り扱いの問題の観点から申し上げますと、いわゆるいろいろ見解はございましょうけれども、この際ここで直ちにこの決議案を出すことがいいのか悪いのかという観点になりますと、責任政党でありますだけに慎重に検討してやらなければならぬという見解を実は自民党としてはとっておるわけでございます。この点を御理解をいただきたい。  それからいま一つ、参議院のほうは参議院のほうでというお考えもあろうと思いますが、御案内のとおり、国会は確かに十四日から召集されたわけでございますが、先ほども黒住議員のときに申し上げましたが、参議院の執行部ができましたのは、自民党の執行部ができましたのは昨日でございます。そういう意味合いから、事実問題として今日これが提案をされてそしてずっと前からあるじゃないかと言いますけれども、実際問題としてこの問題を党としてみんなで論議をする、そういう時間的な余裕がございませんので、この点は御了承いただきたいと思います。
  92. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 私は、この問題はもうイエスかノーか、はっきりさせるべきときに来ていると思います。もうすでに論議の余地もないし、考える余地もないと思うのです。慎重にということなんですけれどもね。この国会をはずすと次の国会の涼しくなるまで待っている、そんなに待っておったのでは激動する国際情勢の中から日本は取り残されると、こういうことを心配しなければならないと思うのです。この意味で、もう私ども多くを語る必要はないと思うので、私はぜひ賛成をしていただきたい。あすではおそ過ぎるというのはまさにこの議案に当てはまると思う。
  93. 栗原祐幸

    ○栗原祐幸君 御意見として承っておきます。
  94. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、この日中問題についてはいま時期尚早というお話が先ほどから何回もあったわけでありますが、時期はいまをおいてないと思うのですね。いま瀬谷委員からもお話ございましたけれども、これはほんとうに皆さん、自民党の皆さん、ほんとうに考えてほしいのですけれども、これは時期尚早とかなんとか言っていると、ことしの秋の国連総会では、中国の国連復帰というのは確実な情勢だと私は思うのです。皆さん方もこのことはいろいろの新聞の情報等でもわかっていらっしゃると思うのです。その時点になって国連復帰云々という決議案は出せないと思うのです。そういうような観点から考えても、これは当然私は少なくとも、こういうふうに、皆さんの前に置いていますから内容見て下さい、ちょっと。そんなむずかしい内容じゃないわけですよ、反対ですか。要するに一ぺん読んでみましょう。「日本国と中華人民共和国は、地理的、歴史的、文化的に緊密な関係にありながら、今日きわめて不幸な国家関係を続けている現状はまことに遺憾である。」遺憾でありますでいいんですか、どうなんですか、そんなことないでしょう。要するにむずかしい理屈じゃないのです。論議しなければならない問題じゃないと思うのです。二番目の問題もそうです。国連復帰の問題です。ですから皆さん方に差しさわりがあるものというのは何もないのです。ですからこれは二番目の「政府は、国際情勢の推移にかんがみ、中華人民共和国とすみやかに国交を回復して、両国間のあらゆる諸問題を解決するとともに、きたるべき国連総会において中華人民共和国の合法的地位の回復を実現するよう努力すべきである。」あたりまえだと思うのです、努力しないというんですか、これ。こんなことは時期尚早であるとか、参議院の自民党の役員がきのうきまったからとか、何の理由ですか。責任政党とか云々という話がありますが、全くそんなことは納得できないのです、私は。とにかくこれはきょうを除いてはほんとうにチャンスはないわけですよ。そういうような意味でも、ぜひともこれを本会議に上程して決議をしていただきたいということを、また本会議にかけることを皆さん賛成をしていただきたい。皆さん方総会を開いて取り下げてもらいたい。決議とかなんとかということはいろいろと……というような話がありましたけれども、私はほんとうに参議院の院の信頼を回復するといいますか、国民信頼を回復するためにも、衆議院はどうあろうと、私たち参議院は、議長の問題においてもこの間からずいぶん、これは国民全部が拍手を送ったと思いますよ。そういうような意味においても、ぜひとも自民党の皆さん、多少なりとも考えを改めて、もう一歩前進の考え方でお願いしたいと思うのですがね。どうでしょうかね……。何か言ってもらいたいな。どうですか、同じ人ばっかりじゃなくて、どうですか、これは。
  95. 藤田正明

    ○藤田正明君 ただいまの峯山さんの御発言の意味、よくわかるのでございますが、われわれは自由民主党の一員といたしまして、決して日中国交回復に反対をしておるわけではないのです。これは望むこと切なるものがあるんです。しかしながら、従来の経緯、その他いろいろと政府・与党の関係がございまして、責任のある立場といたしまして、従来の世界情勢あるいは極東情勢の中でいろいろな関係が残っておりますので、それらのことを調整整理しなければならぬというふうな慎重さを持っておるわけです。決して日中の国交回復に対して反対をするとか、大いに先に延ばそうとか、そういうようなことを考えておるわけではありません。ここでこのような決議案を出されたことに対しまして、時期尚早と申しますか、そういう意味において時期尚早、そういうようなことでお取り下げを願えればと、こういうような意味で御了承を願いたいと思います。
  96. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、日中国交回復は賛成であるが、過去のいろいろな経緯もあるし、国際情勢もあるし、またいろいろな問題も対外的にあるからということでありましょうから、これを提案するほうは、そういうことも考えているんですわ、これは。考えてこの内容になっているんですわ。しかも、自民党の党議できまったそうでありますが、中には賛成の方もいらっしゃるわけですから、ここで反対する理由は何ものもないと思うのです。ほんとうに皆さん方が国交回復をしようということを真剣に考えていらっしゃるならば、私はもろ手をあげて賛成すべきものだと思います。反対するところがありますか。どうですか。(「ない、ない」と呼ぶ者あり)私はこれはないと思うのですよ。何を皆さん方ちゅうちょしていらっしゃるのですか。これは非常に私は納得できないですね。しかも、われわれに取り下げてくれと言うからには——取り下げる理由が何もないのですか。よく出してくれた、さあ、やろうというのがあたりまえじゃないですか。
  97. 栗原祐幸

    ○栗原祐幸君 峯山委員からお話しのありました点、矢山委員からもお話がありましたが、よく私どもあなた方の立場はわかるわけでございますが、前段申し上げましたような意味合いでぜひ私どものほうの立場も御理解いただきまして、委員会の審査を省略して本会議で直ちにこれを取り上げる、そういう動議は取り下げていただきたい、こういうお願いでございます。
  98. 矢山有作

    矢山有作君 立場の問題じゃないのだな、立場の問題の。ぼくはニクソン訪中というのは一体どう見られているかと言うのです。これはこの間、郭沫若が朝日の記者の皆さんと北京で会ってね、いろいろなことをしゃべってますよ。あの中の記事を読んでごらんなさい。ニクソンが北京にやってくるといっても、ただマオタイを飲みにやってくるだけでは意味がない、こう言っているわけです。そういう中でニクソンは訪中をきめたのです。これは私は、ニクソンが訪中をきめたその底はもう台湾問題は彼らは処理をするという腹をきめていると思う。ベトナムの問題も処理する腹をきめたからこそ彼は訪中を打ち出して同時発表という形、北京のほうもニクソン訪中を発表したわけでしょう。ニクソン訪中が北京とワシントンで同時発表になった。そこにもいろいろな意味深長なものがあると思う。台湾問題を解決する、ベトナム問題を解決する、それだけの腹がニクソンにできておるから、ああいう形が発表になり、ニクソンの訪中がきまった。こうなってくると事態はきわめて深刻ですよ。日本だけが中国との問題を処理していわゆる戦争終結をやって、そして国交回復をしていく一番あとの国になります。そういう深刻な事態をもっと私は深刻に受け取ってもらいたいと思うんです。
  99. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 ここの議題は、この決議案取り扱いについての協議ということですから、私はこの内容についての賛否の意見の開陳は避けまして、なぜここでわれわれがこの本会議にかけてもらいたいかということを御説明したいと思いますけれども、まあ日中問題というのは、先ほども委員が言われましたように、世界の平和はもとより、日本の防衛、経済に非常に大きな重要な影響を持っておる問題であります。しかも、この国会の会期の初期にニクソン訪中という非常に大きな情勢の変化があった。この問題に対して、こういう重要問題に対してこの国会が何らの態度も表明せずにそのまま終わってしまうというのは、私は議会としてはやっぱり怠慢ではないかという気がするわけです。確かにこの自民党の党内事情というものがありましたけれども、しかし、自民党の党内事情だけでこの中国問題という大きな問題に対して議会が何らの意思表示もせずに終わってしまうということは、やっぱり国民の期待に反するものである。しかも、私たちはこの問題について絶対みんなに賛成して通してくれと、そういう願望は持っておりますけれども、反対の方は反対でもいいと思うんです。やっぱりおれたちは反対だ、おれたちは賛成だということを議会の中ではっきり明らかにして、国民にいま態度を示すことが、私は議会の国民に対する責務ではないか、このように考えるわけです。しかも、この決議案は発議者を含めまして百十六名という多数の人が賛成の意思を表示してここに出しているわけです。これを半数近い人が、そういうことで出しておるわけですから、これをあとの方々の都合で避けて通し、無視をされるというのは、やっぱりルールから見てもおかしいと思います。こういう意味で本会議でこの問題をかけられることを皆さま方に要請したいと思います。
  100. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私たちは、中国の革命後直ちに中国の唯一の代表である中華人民共和国と日本は国交を回復すべきであるという、その見地に立ちまして、そのために実は党としても努力してまいりました。その国交回復に至る前提として、中国と日本との貿易の促進をやろうと、そこから始めて一日も早く国交の正常化と申しますか、それをかちとらなければならぬと思って今日まで貿易の問題も、この国交回復の問題も、一生懸命で努力してきたわけです。そういう点から申しますならば、先ほど時期尚早という意見が自民党のほうから出たというのですが、これは時期尚早ではない。もうほんとうにおそ過ぎておると、こういうふうに私は思っておるのです。これはやはり日台条約という問題が非常な中国との国交回復を妨害しておると思うのですが、この日台条約を結んだのは自民党政府の大きな私は誤りだと思うのです。だから、誤りを改めるにはばかるなかれで、こういう大きな誤りを早く直ちに改めて、日台条約を破棄すると、そうしてやはり国交は中国の唯一の代表である中華人民共和国、この中華人民共和国と一日も早く国交を回復して、平和条約を締結するところまで私はいかなければならぬと、こういうふうに思っております。この決議案をつくるときに私たちは非常に苦労をしておるわけなんです。これは各党の意見を盛るならば、なかなか自民党の諸君も同調することはむずかしかろうというので、実はこれは最低の線で私たち野党の意見をまとめたものなんです。私たちの意見を申し述べるならば、いま私が申し述べたようなこと、日台条約を破棄して中国を代表する唯一の政府である中華人民共和国とすみやかに国交回復をして、こういうふうに私はすべきだと思いましたけれども、やはり皆さん方も賛成をしてもらたい。参議院全員で決議案を通そうという、そういう腹がまえでこういう案文になっておるわけなんですが、これでも賛成ができないとおっしゃると、一体自民党は何を考えておるのか、そういう気がして私はたまらないのですね。これじゃ、先ほどの委員たちも申しましたように、日本が非常な立ちおくれ、乗りおくれということにもなりますし、この中国との国交回復なくしてアジアの平和というものは私は考えられない。日本と中国がほんとうに国交回復して平和条約を結んでいくならば、初めて私はアジアに平和、大きく言えば世界の平和というものが私は確保できるであろう、こういうふうに考えておりますので、そういう点からも、まあ見識のある自民党諸君ならば、この決議案に賛成をくだすって、皆さんでこれが成立できるように私は取りはからってもらいたい。皆さんの勇断を私は望むわけです。
  101. 矢山有作

    矢山有作君 自民党の……、みんな賛成せぬで、この決議案内容を賛成せぬでいいから、本会議に提案だけ賛成してくれんか、事は簡単だ……。
  102. 栗原祐幸

    ○栗原祐幸君 皆さんからいろいろ御意見ありまして、その御意見というものは私ども理解できます、理解できますけれども、本質が内容の問題よりも手続上の問題で論議が分かれているわけです。内容の問題等につきましては、国会で衆参の予算委員会でそれぞれ各党の代表の方々質問される、それに政府答弁されておりますので、国民の皆さんは、それらの政府質問者との、各党の代表者との間でおおよそこの問題については私御理解をいただておる、いいのか悪いのか別にいたしまして御理解いただいておる。本日の問題は、決議案をきょう出される、しかも委員会の審査を省略して出されるということでございますので、これは先ほど申しましたような理由で、私どもとしてはそういうわけにはまいらないということを言っているわけでございまして、ぜひ、そういうことで、委員会審査を省略して本会議に上程されるということについては、これはお取り下げをいただきたい、こういうことであります。
  103. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) お聞きのように、意見が一致しないようでありますから、本件の取り扱いにつきましては、なお理事会で協議いたしたいと思います。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 暫時休憩いたします。    午後九時四十八分休憩      ——————————    午後十時五十三分開会
  105. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 議院運営委員会再開いたします。  決議案委員会審査省略要求取り扱いに関する件を議題といたします。  日本国と中華人民共和国との国交回復に関する決議案(加瀬完君外四名発議)の委員会審査を省略することに賛成の諸君の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  106. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 挙手少数と認めます。よって、委員会審査省略の件は否決されました。     —————————————
  107. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、継続審査要求の件についておはかりいたします。  理事会において協議いたしました結果、本委員会といたしましては、前例により、議院及び国立国会図書館の運営に関する件について継続審査要求書を議長に提出するとともに、現に審査中の議員黒住忠行君の議員辞職勧告に関する決議案につきましても、継続審査要求書を議長に提出することに意見が一致いたしました。  右、理事会申し合わせのとおり決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  109. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、各委員長提出の継続審査及び継続調査要求取り扱いに関する件を議題といたします。  本件につきましては、ただいま本委員会で御決定いただきました二件のほかに、内閣委員長外二十委員長から、お手元資料のとおり要求書が提出されております。  各委員長要求のとおり決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  111. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、閉会中における本委員会所管事項取り扱いに関する件についておはかりをいたします。  本件は、特に重要なものを除き、その処理委員長または小委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  暫時休憩いたします。    午後十時五十五分休憩   〔休憩開会に至らなかった〕      ——————————