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矢山有作君
公務員の
地位利用について
規制を加えることによって、こうしたかつての
高級公務員の
選挙違反を防ごうということは、これは実際にはもう空文化しているのじゃないかと思うのです。あの
規定ができてからの
公務員の
地位利用による
選挙違反の
検挙状況を見ておりましても、最近非常に減ってきております。このことはあの条項を利用しての
選挙違反の取り締まりがいかに困難であるか、いかに抜け道が多いか、いかに空文化されておるかということを実証しておると思うのでありまして、それだけではこれは今回のような悪質な
選挙違反というものを防止することはむずかしいと思うんです。そういう前提に立ってどうしても
高級公務員の
立候補制限というものを考えざるを得ないと思うんですが、その際、
憲法との問題をしばしば持ち出されるわけでありますけれ
ども、私は必ずしも
憲法にいうところの
職業選択の自由ですか、そういったものに触れるとは考えられぬのです。というのは、なぜかといいますと、これは
同一に論ずることはあるいはできぬかもしれませんが、
選挙権にいたしましても、満二十歳以上でなければ
選挙権はない、あるいは被
選挙権にいたしましても、
衆議院なりあるいは県、
市町村の
議員なり、あるいは
市町村長は二十五歳以上でなければ
立候補できない。あるいはまた
参議院議員なり知事の場合は満三十歳以上でなければいけない、こういうような
制限が付されておりますが、これらの
制限というのは、やはり、先ほど言いましたように、いま提起されておる問題と全く
同一には論じられないけれ
ども、
選挙によって選ばれてくる
人たちによって民主的な
政治をやろうという
立場からやむを得ずして加えた
一定の
規制だと思うんですよね。そういう
立場からものを考えるなら、
高級公務員の
立候補によってこれだけ
選挙違反が悪質化し、つまり、端的に言うならば、
行政機構を背景にして、そしてまた
行政機関の
外郭団体を利用して
選挙違反をやると、こういうことが全く常習化してしまったような
状態の中では、これはやはり
憲法上の問題で
立法措置ができないんだということでは、私は済まないと思うんですね。どうしても客観的に見て無理のないというか、合理的な
判断の
範囲で私はやはり
制限をせざるを得ない、こういうことは、これを五年も六年も、十年も
立候補制限するとなるとこれは問題になると思うんですね。だから
判断の基準は、
高級公務員としておったことが直ちに
選挙に直接的に利用し活用されない、その
影響力が減殺されると考えていい
期間は大体どの辺だろうかというようなことを考えながら、少なくとも
期間を設定して、その間の
立候補を
制限する、こういうことは私は踏み切っていいことじゃないか、いまの現状から考えて踏み切っていいのじゃないか、こういうふうに思っておるのですが、重ねて御
見解を承りたいと思います。それが第一点。
それからもう一つは、この問題は、私の記憶では、四十年の
小林章議員の例の
専売ぐるみの
選挙違反が問題になりましたときに、
国会でその当時の
橋本官房長官あるいは
永山自治大臣は、この次の
選挙法の
改正をするときには必ず
高級公務員の
立候補制限の
規定を盛り込む、そういう
方向でやっていきたいということを約束されたように聞いておるのです。そうすると、この約束がいつまでも実現されておらないという
状態を踏まえてみますときに、先ほどの御
答弁ではありませんが、またまたこの問題がただいまのおっしゃったその
見解の表明だけで流されてしまうという危険を私
どもは感じておるのですが、この二点についてどうでしょう。