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1971-07-24 第66回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年七月二十四日(土曜日)    午前十時四十六分開会     —————————————    委員異動  七月二十一日     辞任         補欠選任      小野  明君     喜屋武眞榮君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         長谷川 仁君     理 事                 中村喜四郎君                 米田 正文君                 松井  誠君                 渋谷 邦彦君                 松下 正寿君                 春日 正一君     委 員                 楠  正俊君                 高橋 邦雄君                 高橋雄之助君                 塚田十一郎君                 町村 金五君                 山本 利壽君                 山本茂一郎君                 上田  哲君                 川村 清一君                 鶴園 哲夫君                 田  英夫君                 三木 忠雄君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        外務大臣臨時代        理        木村 俊夫君        国 務 大 臣  増原 恵吉君        国 務 大 臣  山中 貞則君    政府委員        総理府総務副長        官        砂田 重民君        外務政務次官   大西 正男君    事務局側        常任委員会専門        員        小倉  満君    説明員        防衛庁参事官   鶴崎  敏君        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        防衛庁防衛局防        衛課長      伊藤 圭一君        防衛庁人事教育        局長       江藤 淳雄君        防衛施設庁長官  島田  豊君        防衛施設庁総務        部調停官     銅崎 富司君        外務省アメリカ        局長       吉野 文六君     —————————————   本日の会議に付した案件理事選任の件 ○理事辞任の件 ○特別委員長辞任及び補欠選任の件 ○理事補欠選任の件 ○沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する  調査  (米中関係沖縄戦略的地位に関する件)  (沖縄への自衛隊配備に関する件)  (沖縄米軍基地整理縮小に関する件)  (VOA放送の取扱いに関する件)  (毒ガス移送に関する件)  (沖縄復帰に伴う米国資産の買取りに関する  件)  (沖縄異常干ばつ対策に関する件)  (沖縄日本学術会議への参加問題に関する  件)  (沖縄復帰対策要綱(第三次分)に関する件) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件     —————————————
  2. 米田正文

    委員長米田正文君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動につきまして報告をいたします。  去る二十一日小野明君が委員辞任され、その補欠として喜屋武眞榮君が選任されました。
  3. 米田正文

    委員長米田正文君) 次に、前回の委員会におきまして、本委員会理事六名のうち五名を指名し、残り一名につきましては後日指名することといたしておりましたので、この際、理事中村喜四郎君を指名いたします。(拍手
  4. 米田正文

    委員長米田正文君) 次に、理事辞任の件についておはかりいたします。  長谷川仁君から理事辞任願いが提出されておりますので、これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 米田正文

    委員長米田正文君) 御異議ないと認めます。よって、辞任を許可することに決定いたしました。   〔委員長退席理事中村喜四郎君着席〕
  6. 中村喜四郎

    理事中村喜四郎君) ただいま米田委員長から委員長辞任の申し出がございましたので、私が暫時委員長の職務を行ないます。それでは、これより委員長辞任の件についておはかりいたします。先ほど申し上げましたように、米田君から委員長辞任願いが提出されております。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 中村喜四郎

    理事中村喜四郎君) 御異議ないと認めます。よって、辞任を許可することに決定いたしました。米田委員長から発言を求められておりますので、これを許します。
  8. 米田正文

    米田正文君 一言あいさつを申し上げます。  私は、委員長として在任をいたしましたが、いろいろと皆さまの御協力を賜わりまして大過なく職責を果たすことができました。厚くこの際感謝いたします。  以上でございます。(拍手
  9. 中村喜四郎

    理事中村喜四郎君) これより委員長補欠選任を行ないます。  つきましては、選任の方法はいかがいたしましょうか。
  10. 松井誠

    松井誠君 委員長選任につきましては、委員長代理指名に一任することの動議を提出いたします。
  11. 中村喜四郎

    理事中村喜四郎君) ただいまの松井君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 中村喜四郎

    理事中村喜四郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、委員長長谷川仁君を指名いたします。(拍手)   〔長谷川仁委員長席に着く〕
  13. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 一言あいさつ申し上げます。  ただいま皆さま方の御推挙をいただきまして、本特別委員会委員長に就任いたしました。  沖縄及び北方問題ともに重要なこの時期にあたりまして委員長の大役を仰せつかりまして、まことに光栄に存じますとともに、その責任の重大さを感じております。  委員会運営につきましては、委員各位の御指導、御鞭撻をいただきまして公正、円滑に行ないたいと存じております。何とぞ御協力のほどをお願い申し上げます。  はなはだ簡単ではございますけれども委員長就任のごあいさつといたします。(拍手
  14. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 先ほどの、私、長谷川仁理事辞任に伴いまして理事が一名欠員となりましたので、理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により委員長指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事米田正文君を指名いたします。     —————————————
  16. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  17. 上田哲

    上田哲君 防衛庁外務省当局に御見解をただしたいと思います。質問の通告をしておりましたが、外務大臣がお見えになっておりませんので、ひとつ外務省当局大臣のかわりにしっかり御答弁いただきたい。  ニクソンドクトリン背景に置いてニクソン北京訪問、こういう新しい事態になりました。このことはきわめて端的にいえば、これまでの日本自衛隊日本軍事力を含んだ冷戦構造米中冷戦構造というものが大きく転換をするということになるものと理解をします。そういう理解ないしは期待の上に立つ中で、たとえば佐藤総理もまた、ニクソン北京訪問アメリカにおける中国承認意味するものであると見解を表明されておられます。こういう大きな背景変化というものに立って考えてみる場合に、レアード国防長官がわが国の防衛当局者と話し合った内容とも突き合わせてみて、沖縄戦略的価値沖縄戦略的位置づけというものが非常に大きく変わってきたと見なければならないと思います。私どもは、間もなく臨時国会政府の提出される批准協定あるいは附属案件その他を討議するわけでありますけれども、その根底にやはりこうした沖縄戦略的価値転換といいましょうか、位置づけ転換ということをどのように展望するかということを明確にしておかなければならぬと思うわけです。沖縄戦略的価値がどのように変わったのか、あるいは全く変わらないとでも言われるのか、明確にまずお答えをいただきたいと思います。
  18. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) ニクソン大統領訪中決定ということ、そうして遠からず訪中が行なわれるであろう、そうして米中間話し合いアジアにおける緊張緩和をされるということを期待をし、希望をするという日本立場であるわけでございます。そういうことが期待どおり実現をされますることは、沖縄というものの戦略的な立場相当変化があると見るべきものであろう、かように考えております。
  19. 上田哲

    上田哲君 戦略的価値相当変化すると見るべきものである。私もこれは非常に率直で明快な発想であろうと思います。世界の潮流からすればそうなければならぬところでありますけれども、それがどのように変化するのか、相当大きく変化するだろうというお答えでありますから、それはたとえばニクソン北京訪問によって直ちにたとえば台湾の問題が解決をされるというようなことにはならないとは思います。しかし、たとえば第七艦隊台湾海峡パトロールというようなものがかなり縮小逓減されていくであろうというようなことは、まず簡単に理解ができるところでありましょうし、そういう側面からいって、いま長官の言われる「相当変化があるであろう」という点をもう少し突っ込んで御答弁をいただきたい。
  20. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) どういうような形で米中の話し合いが実を結びまするか、いま私どもがある程度的確な予想をすることはまだ困難でございます。どういう形で話し合いができ緊張緩和ができるのかということによってきまると思います。いま、どの程度ということを具体的に判断をし申し上げることはちょっとできないと思います。
  21. 上田哲

    上田哲君 端的な例に限定して申し上げまするならば、台湾海峡における第七艦隊のこれまでのパトロールというようなものが相当減退をするといいましょうか引き揚げをする、これはもう常識になっていますね。これは一つお認めになるだろう。そういうようなことを考えていった場合に、これは将来のことになるだろうと思うけれども、必然的な帰結としては、いわゆる台湾問題——これは軍事的側面ですけれども軍事的側面における協調においての台湾問題というものがやはり中国本土との関係で解消をされる。極端にいえば吸収をされるということを展望しなければならぬと思うのであります。この辺については基本的に見解の相違があろうはずはないと思いますけれども、その点と、たとえばそれをどのように見通されるか、この二点を伺います。
  22. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) その問題はちょっといま私としては見通し困難でございます。予想を申し上げること困難でございます。
  23. 上田哲

    上田哲君 たとえばそういう端的な例にあらわれるような軍事戦略面での変化というのは、これはもうあらがうべくもなく起こってくるわけでしょうから、これを時間の問題をいつに設定するかというようなことは、これはコンピューターをはじけと言っても無理でしょうが、やはり結論的な方向としては、台湾吸収軍事的意味合いにおける台湾の消滅と、こういうことになっていくだろうと思います。で、そういうパターン想定した場合に、沖縄位置づけというものが、台湾があった場合の沖縄意味というものが大きく変わってきて、つまり、アメリカ極東戦略の中でいえば、沖縄におけるアメリカ軍事基地というものは、台湾というものを見ないで直接中国本土と向き合うという位置づけになってくる。これはもう算術的な帰結だと思います。そういうことですね。
  24. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) ちょっと御質問趣旨がのみ込めないところがありまするが、台湾が軍事的に解消して米国中国と直接相対する、こういう御質問でございますか。
  25. 上田哲

    上田哲君 長官が先ほどから言われた……久保さんどうぞ。
  26. 久保卓也

    説明員久保卓也君) いまの御質問は幾つかの仮定が入っておりますので、たとえば台湾が中共と一体的になっていくという状況の場合には、極東情勢が非常に緩和しているということも想定しなければなりませんので、その場合に、沖縄中国が直接に対立しているかあるいは対決しているか対峙しているというような形に、そういった観念で把握しないほうがよろしいんではないか。むしろ平穏に日本領土中国領土が相対しているということになってしまうんじゃないでしょうか。もし、そうでなくて、台湾中国と一体化してないような状況でありますれば、これはいまおっしゃったような状況にあるいはなるかもしれない、したがいまして、いろんな国際情勢のあり方によって沖縄のありようもまた変わってくるんじゃないか、そういう感じがいたします。
  27. 上田哲

    上田哲君 久保さんのは、仮定ではなくて、非常に一般論的な願望を述べられているわけですね。そういう願望パターン論ではなくて、非常に常識的にいえば、一番世界で仲の悪かった中国アメリカが、驚いたことに、日本からいえば、頭越しにぽんと飛び越えてニクソン北京に出かけていくということになってきたことは、世界全体が仲よくする、雪解け方向に平和的な状況が増すということになるはずなんですが、そこのところが実はニクソンドクトリンそのものに源があるわけであって、一方でアメリカ中国と思い切った話し合いをするということの背景には、たとえばほかの次元ですけれども、核は大きな決定力を持つけれども通常戦力が必要だといわれるように——これはあなた方の論ですけれども、そういうパターンと同じように——これは関係ありませんよ——パターンと同じように、米中というものが具体的に平和的方向を目ざして雪解け交渉を始めることになるためには、むしろ固めを強くしなければならないという論理がありますね。そういう論理として、たとえばニクソン北京訪問というキッシンジャー訪問と時を同じくして、レアード長官日本に来て、日本通常兵力増強を示唆した。長官はその話はなかったと言われるが、それはあとで具体的に詰めたいと思うが、どう言ってみたところで、そういう方向が出てきている。長官は四次防というものの増強ということはそのことと関係ないとおっしゃったが、少なくとも物理的、統論的にはそういう趨勢になる。そういうことが明らかに論理的に存在する。こういう存在を考えてみると、久保局長の言われるような一般パターン論というものは願望にすぎないことになる。むしろプロバビリティーというところに日本防衛力増強哲学を求めるといういまの自衛隊判断防衛庁判断からは、沖縄戦略的価値をさらにプロバブルなものへのかまえとして強化していくということにならざるを得ないであろう。  そこで、台湾というものを考えてみると、米中関係平和的方向に努力するということである以上、台湾戦略的価値というものの変化、それはそのまま沖縄の対中戦略的価値変化ということに導かれるのは当然ですね。これは久保さん全然否定されるゆえんはないだろうと思う。  そこで私たちは、今回の世界の大きな動きの中で、沖縄位置づけというものが軍事的側面において非常に位置づけ価値を変えてきた。こういうところから考えていかなきゃならぬわけだし、そこのところは、先ほど長官の言われたのもそこまでは同じだと思うのです。そこから増強方向、逓減の方向にどれだけの哲学的意味があるかということになるでしょうね。そこを議論したいと思うのです。  いずれにしても、米中交渉変化の中で、沖縄軍事的価値変化というものがいまとらえられなければならない、こういうことは間違いないですね、ということをさっきからお互いに認識し合ったわけですね。そこからもう一ぺん立ち戻りたいのですが。
  28. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 軍事的な戦略的な変化があるであろうというのは一つの大きな見方であります。  ところで、最近ニクソン大統領の周辺で、訪中に関する予測を押えるというような方向が出ているやに新聞には出ておりますが、私はそれは正しいことでありまして、訪中がまずきまったということであって、どういう結論が出るだろうかということがまだわからない。したがって、たとえばベトナム問題だけが解決されるのだろうか。あるいは台湾問題も含まれるのだろうか。台湾問題だけでなくて、朝鮮半島の問題も含めて処理されなければ、極東の安全と平和は解決されない。そこで、訪中がきまったという段階で将来のことを予測するのは少し早過ぎるのではないかというのが率直な私の感じであります。そこでポッシビリティーとしましてはいろいろなものが考えられるので、たとえばいまおあげになったような場合の一つポッシビリティー一つ方向であります。私が二つ方向をあげたのも、ポッシビリティーの点が朝鮮半島も含めてどういうふうになるかということを、特定地域の中でポッシビリティープロバブルな問題が何であるか、こういうことを想像するのはまだ早いような気がいたしますので、御質問に対して明確にお答えできないというのがほんとうなのではなかろうかというふうに私は思います。
  29. 上田哲

    上田哲君 それじゃ大臣、もう一点お伺いいたしますが、一般認識がどう違うかということは、当然、通る場所なんですけれども、先ほど沖縄位置づけ価値相当変化があるであろうと言われたのは、軍事的にはどのような変化をするであろうとお考えになりますか。
  30. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 私が申し上げたのは、ニクソン大統領訪中実現をし、話し合いがいい成果をもって妥結をされるならば、すなわち、アジアにおける緊張緩和をする、そういうことになるならば——なることを希望するわけですが——なるならば、沖縄の戦略的な地位というものに相当変化があるであろうと、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  31. 上田哲

    上田哲君 現在の段階では、沖縄戦略的位置については変化はないと見るべきだ、こういうことですか。
  32. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 御質問趣旨がちょっとのみ込みにくいのですが、御質問が、ニクソン訪中によって話し合いができるならば、極東緊張緩和されるであろう、そういう場合には戦略的価値が変わるのではないかという御質問お答えをしたわけでございますが、現在のままというのはどういう意味ですか。訪中実現しないという事態のままであるならば、沖縄の戦略的な位置というものは大きな変化はないだろうと思います。
  33. 上田哲

    上田哲君 簡単な算術をひとつ頭に思い浮かべてお答えいただけばいいのですが、沖縄問題はあくまでも米中関係の中に位置づけられているわけであって、台湾というのが、一つ要素が入りますけれども、その辺の議論は長くなるからやめるのですが、台湾というのは、やはり雪解け方向考えていくならば、一番極端な形は中国本土沖縄とが直接的に向かい合うという状態想定をしておかなければならないだろうという、そうプロセス的なことを議論しようと思ったのですが、それはいま捨象しますが、いずれにしても沖縄というのは米中関係の中に位置づけがあるわけです。その米中関係冷戦をやめて雪解け方向に努力を始めるということになったわけです。はっきり。しかも、アメリカ中国承認はもう間違いないものであると総理も言われておる。こういう中で沖縄軍事的位置づけというのはこの段階で変わるものと考えていかなければならないのではないか、こういうふうに申し上げておる。それを変わるものと考えないでいい、今後ともそういうことでいいとお考えなのかどうか。久保局長は先ほど来、当面はということを、かなり重要なことを御発言になっておりますが、防衛庁長官としては、政府としては、この日中の話し合いが始まるという時点で、沖縄軍事的価値軍事的位置づけ、こういうものが変わっていくものとして検討を始めなければならないと見るか、それとも、いささかもこれは変更ないのか、むしろ強化しなければならぬというふうにお考えになるのか、そのどちらかというのです。
  34. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 訪中が決定したといういまの段階で、沖縄軍事的価値が変わったかという御質問のように承りましたが、訪中が決定したということも、緊張緩和方向への一つの事実でございます。
  35. 上田哲

    上田哲君 きまったことをもって今後を展望してください。これからです。
  36. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) これからの展望としては、訪中実現をする、そこで話し合いが、重要ないろいろな問題について——台湾の問題もありましょうし、ベトナムの問題もありましょうし、いま防衛局長が申し上げたように、韓国の問題もありましょう。いろいろな問題を含めて米国による中国承認という形であらわれてくる。そのあらわれ方はちょっと私どもまだ的確な予想がつかない状態、こういう状態のときに、いまどのように沖縄戦略的位置価値というものが変わってくるかということは、ちょっと私どもにも申し上げることは困難でございます。
  37. 上田哲

    上田哲君 アメリカにおける中国承認、そして緊張緩和ということが具体化していくとしますね。それが一つ。それからニクソン北京に行くけれども、実際には雪解け方向というのはなかなかその効能をあらわしていかないだろうという見方一つ、この二つあると思います。私はニクソン訪中で一、二、三で全部終わるだろうという楽観的な見方はいたしておりません。ただその二つ見方はあるだろうと思う。その両方の立場にそれぞれ立って、しかもなおその中で沖縄軍事的位置づけというものがどのように変わるのか変わらないのかということは見ておかなければならないと思うのです。ですから、その二つの場合の初めのほうは、急テンポで米中というものが和解の方向に、具体的な緊張緩和方向に行くだろうということになるならば、沖縄軍事基地意味を低下させるのですね。それが一つですね。  それから、いま米中の話し合いが始まるということになったけれども、この段階ではにわかにひもをゆるめるわけにいかない、こちら側の姿勢をゆるめるわけにいかないということのほうをむしろ考えなければならないということになるのか、そういうことなんですよ。
  38. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 御質問趣旨がはっきりしましたが、訪中が行われ話し合いが好ましい形で実を結んだならば、すなわち、極東における緊張緩和されるということになり、それによって沖縄というものの戦略的な軍事的な価値というものが大きく変わってまいる。しかし、話し合いの結果で緊張緩和をされない。かえって軍事的な備えを強化しなければいかぬようになる場合もあるかもしれないとおっしゃったのですが、そういうことがあれば、軍事的価値が変わっても——これは軍事的価値が増すという意味で変わる——これは当然のことでございます。
  39. 上田哲

    上田哲君 非常に重要な御発言ですね。第一の場合は、そういう急テンポ米中関係緊張緩和が進んでいく場合には、具体的にいえば沖縄アメリカ軍事基地縮小をさらに防衛庁アメリカに向かって要求をし、さらに自衛隊配備はこれを縮小するということも考えられるのかどうか。  第二点。私はさらに沖縄の軍備を強化しなければならないだろうということを言っているわけではない。そういう場合もあるとお考えになっているのかということを言っているのですから、そういう場合には当然軍事的に増強しなければならないだろうというお答えがありましたね。防衛庁としてはそういうふうにお考えなのか。その二点です。
  40. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 第二点のほうから先に答えますが、私はそういうことになるだろうと言うたのではなくて、あなたがそういう想定の場合もあるんだと言われたからそう申し上げたので、私はそういうふうになるとは思いませんし、なることを希望しません、第二のような問題は。  第一の問題は、ニクソン訪中が実行をされ実のある話し合いが行なわれてこれが実現をすることになれば、アジア緊張緩和をされる。そういう場合には、沖縄における戦略的軍事的価値というものに相当変化を生ずる。したがいまして、そういうことが的確に見通せるような話し合いができた場合には、われわれとしても、もとより沖縄における米軍の配置というものをさらに縮小を要請していくということになってまいる。
  41. 上田哲

    上田哲君 自衛隊は。
  42. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 自衛隊は、現在の四次防という程度は、たびたび申し上げますように、いわゆる専守防衛の立場の整備にすぎません。これはそういう戦略的、軍事的価値の変更によって動くという程度のものではまだないと私ども考えております。
  43. 上田哲

    上田哲君 非常に明快になりました。ようやくわかっていただいたような感じがするので、けっこうです。第一の問題として、そういうような方向を、増強方向考えたくないとおっしゃいました。これは一つ政治的発言としてたいへん尊重しておきたいと思います。  それから第二に、もしそうした緩和状況が出てきたならば、アメリカに対し基地の縮小を当然申し入れる、こういう御発言もたいへんけっこうだと思います。これは一つ確認をしておきます。ただ、そこで、じゃ、現実にはどうなっているかというと、長官のそうしたお話とは別に、私の見るところ、実際に事実の示すところ、沖縄軍事的価値は、ニクソン大統領北京訪問などというような、一種のアクシデントという受け取り方もあるでしょうけれども、そうした動きなどとはほとんど関係なく、ほんとうはほとんど関係ないということではなくて、一番深いところで結びついて、そうした状況を進めるためにも沖縄軍事的価値軍事的位置づけを強化する、こういう方向に進んでいるということを私たちは認識をしているのです。ということはありませんか。
  44. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 私どもはいま沖縄における、何といいますか、米軍の軍事的配備というようなものがだんだん強化をされておるというふうには見ておりません。
  45. 上田哲

    上田哲君 長官は昨日の内閣委員会の答弁その他でも、いわゆる総合戦力構想の中に組み込まれていないのだと、こういうふうに強調をされております。しかし、実際問題として六月二十九日の久保・カーチス取りきめ、この取りきめというのは明らかにその一環に組み込まれておるということを前提としなければあり得ない形式であります。そうして、その内容はいかにといえば、その内容は明らかに沖縄軍事基地の強化というところに足を踏み入れていかざるを得ません。この二点が問題になるのでありますけれども、第一点の総合戦力構想に組み入れられていないという立場から御説明になるのだが、それならば何で久保・カーチス取りきめが行なわれなければならなかったのか。四次防というのはそういうものとはゆかりがない配置であるとおっしゃるならば、日本の施政権の返ってくる日本領土日本自衛隊配備すること、これは私どもは反対ですけれども、反対は反対として、日本の施政権のある領土日本自衛隊配備することに日本防衛庁が他国の了解や取りきめなどを必要とするいわれはないわけであります。アレンジメントとかアグリーメントとかいうことばのやりとりではなくて、明らかにこれは外交防衛連絡閣僚協議会の決定をそのまま受けて、そうしてこういう話し合いがサインをされている。この形式というのは私どもにはどうしてもいまの御説明とはさかさまであるとしか思えないわけであります。この論議はきのう始めてこちらへ持ち越しておりますから、前段の部分は省いて一体国際法規上、あるいは両国間の外交慣習上、たとえば出てくるのはせいぜい日米安保条約とか共同声明、沖縄返還協定しかないのであります。どこに基づいてこういうものが行なわれたのか、それが政府を拘束しないと言うならば、こういうものを持たずにやったらいいのではないか。どうしても将来、そういうことがしかたがないということであるならば、この次の沖縄批准国会にこのアレンジメントもわれわれに向かって承認を求めるように提出をされるべきである。ひとつ、こまかいところからだけお答え願わずに、いま申し上げたところをきちっと御答弁いただきたいと思います。
  46. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) この点はすでにお答えしたようにも思うのでございまするが、沖縄におけるこのたびのこの取りきめによる自衛隊配備、これは沖縄が今度返ってくる、返還協定を御承認をいただくならば、それの実施として沖縄が返ってくる。返ってくれば日本本土と同じく自衛隊がこれを自衛、防衛をする。すなわち、自衛隊の部隊を適当に配置をするということになるわけでございます。その配置をする場合、いままでは米軍が沖縄の防衛に当たっておった。これが退いて自衛隊が入る。その移り変わりの調整ということを取りきめておく必要がある。そういう意味の取りきめでありまして、向こうの承認を得るとかなんとかという性質のものではありません。内容も御説明をいたしてあるとおりでございます。したがいまして、これはいわゆる米国の総合戦力構想なり極東戦略なりに自衛隊が組み込まれるという形で取りきめが行なわれたという性質のものではございません。
  47. 上田哲

    上田哲君 外務省に伺いたい。  この久保・カーチス・アレンジメントというのは、安保条約、共同声明、沖縄返還協定のいずれにもかかわらないものですか。
  48. 吉野文六

    説明員(吉野文六君) 少なくとも直接にはそういうものと関係ない次第でございます。もっとも、御存じのとおり、安保条約のもとに日米協力していろいろの委員会もございますし、また現に久保・カーチス取りきめは第十三回の安保協議会で内容について承認を与えたわけでございますが、これはまあ一つのプロセスでございまして、いずれにせよ、御質問沖縄返還協定ないしは安保条約に、直接こういうものに触れている個所はございません。ただ、結果といたしまして、先ほど増原長官も述べられましたように、沖縄日本に返ってくる、したがって、沖縄の防衛は向こうが引き受けない。その意味でこういう協定が必要になってくるわけであります。
  49. 上田哲

    上田哲君 おかしいじゃないですか。一つわかったことがある。これはひとつ食言行為にならないように、しっかりしておいてくださいよ。これは安保条約や共同声明、返還協定とはかかわりのないものである。これははっきり出た。日米協議委員会の席上でこれはなっているんじゃないですか。日米協議委員会というのは、一体安保条約その他と何の関係もなく持たれるんですか。おかしいじゃないですか。そんなでたらめな話がありますか。日米安保協議委員会が六月二十九日、その席上できまったことになっているんじゃないですか。そういう立場でいえば、はっきり承っておこう。これは外務省からも、防衛庁長官からも、かかわりないということでいいのか。政府の公的なものと、あるいはそうした安保条約に基づくさまざまな公的な流れの中とはかかわりのないものだ、有権的なものではなくて、きわめて私的な内交渉であるということであるのかどうか、ひとつ明確にお答えいただきます。
  50. 吉野文六

    説明員(吉野文六君) 私は先ほど、日米安保条約ないしは沖縄返還協定と直接関係ない、すなわち、それらの条文には久保・カーチス取りきめを何らリファーしていないという意味で申し上げたわけでございますが、先ほど説明したとおり、日米安保条約に基づきまして日米間に協議委員会がございますし、また、この協議委員会においてこの久保・カーチス取りきめを承認したわけでございまして、その範囲内においては関係があることはもちろんでございます。
  51. 上田哲

    上田哲君 おかしいじゃないか。根本的には、日米安保条約にも共同声明にも返還協定にも準拠すべき条文はないわけだ。これはあなた言ったとおりなんだ。ないけれども、日米共同声明の基本的な了解の中に組み込まれてこれがきまったものである、こういうことですな、あなたの説明は。そういう説明じゃないですか。——防衛庁長官じゃなきゃだめだ。久保さんじゃだめだよ。政府委員判断でそんなものがいけるか。いま外務省の言ったことを私はきちっと整理して言ったんです。イエスかノーかですよ。こっちが言っているんじゃない。あなたが言ったことだ。そう言っているんじゃないですか、長官。それ以外の解釈はありますか。
  52. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) これはきのうもこの問題でお答えをしたように思いまするが、協議委員会にかかっているということは、安保条約にかかわりがあるということにはもちろんなると思います。これは沖縄が返還をされるということで、こういう取りきめを調整のために行なうということでありまして、返還協定に関係あること、そういう意味において、もとより、ただいま局長がいま申したのは、安保条約の条文、返還協定の条文等に直接取りきめのような問題についてリファーしたものはないと、そういう意味局長はいま申したと、私はそういうふうに思います。
  53. 上田哲

    上田哲君 お認めになったわけだ、安保条約にも、共同声明にも、沖縄返還協定にも準拠すべき条項はないんだ。しかし、本来の日米安保体制というもの、その了解の中に基づいて行なわれた合意である、こういうことだということですね。いまのお話を、もう一ぺんあなたのおことばを使っていえば、そういうものはないけれども、日米安保条約に基づいて沖縄返還協定が行なわれる、それに基づいて自衛隊配備の取りきめを行なったんだと、こう言われたわけです。そういうことでいいわけですね。
  54. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) ちょっと小さいことばですが、何と申しますか、返還協定というものは日米安保条約に基づいて……。
  55. 上田哲

    上田哲君 と言われたからさ。
  56. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) そう申したらば、それは間違いでございます。今度の取りきめは安保というものがあることに基づくものであり、返還協定というものが結ばれることに基づいて返ってくる。返ってくるということについての調整の必要上の取りきめでございます。こう申したわけでございます。
  57. 上田哲

    上田哲君 もう一ぺん繰り返します。  それでいいですが、この安保条約や共同声明、返還協定に準拠すべきものがないけれども、安保、協定そのものの中でこの取りきめは行なわれたのだと、これは御確認になったのですが、そうすると、さっき長官は、そういう中で沖縄返還協定も行なわれると言われたのだから、もっと重要な問題に発展するかと思ったのですが、ことばのやりとりだけでは追及しないことにしましょうが、精神はそれに違いないと私は思っておりますが、しかし、少なくともお認めになった形であらわれたところで言えば、そういう安保、協定の流れの中で日米安保協議委員会という具体的な正式な形の中でこの取りきめが行なわれたということは、おっしゃるように、施政権が返ってくる日本領土自衛隊配備することにもこういう取りきめが必要になるのですね。逆にいえば、この取りきめなしに置くことができるのですか。
  58. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 沖縄が返ってくれば、日本が防衛をするために自衛隊配備するということはできるので、ほかの協定その他の条文によって自衛隊配備するのではありません。返ってくれば、日本日本の独自の、何と申しますか、権限というか、考え方で自衛隊配備をする。その際に、しかし、いままではアメリカがそういうことをやっておったので、そういう意味自衛隊のための措置は日本が行なうので、アメリカが行なってくれておったものがなくなるので、そういう調整のための取りきめを行なう、こういうことであります。
  59. 上田哲

    上田哲君 だから、答えてないのですよ。それなしでもいいのかということです。こういう取りきめがなしでも自衛隊配備ができるのかということです。
  60. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) できるという権限の問題はなくたってできます。できますが、円滑に、ある意味では引き継ぐ部面があるわけです。実体的には。そういう意味で、やはり円滑にやるためには、こういう取りきめがあることがよろしい、必要である、こういうことであります。
  61. 上田哲

    上田哲君 非常に重大なことになってきたじゃないですか。何に対して円滑なんですか。主権の侵害じゃありませんか。われわれは自衛隊沖縄配備することのいい悪いについては別な見解を持ちますけれども、それはしばらくおいての議論をしますが、自国の領土に自国の自衛隊配備する。円滑もくそもないじゃないですか。それが絶対条件なのか。全く関係のない単なる配慮であるのか。そこのところは明確にしていただかなければならぬ。そういう円滑な態度を、しかも正式に日米協議委員会の席上でやられなければ配備ができないということは、日本国憲法における主権の侵害じゃないですか。そうでなければ、円滑だの何のという非常にあいまいなことを言わないでください。外交関係なんですから、これは。円滑にやるなら、総理大臣のお兄さんなんかアメリカにやられるとか、幾らでも方法があるでしょう。これは明らかに防衛局長とカーチス中将がサインをするということは、そんなことでごまかすことができない絶対必要条件なのか、なしでもやれるのか、そこのところをはっきりしてください。
  62. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) そういう権限の問題であるならば、沖縄が返ってくれば日本が独自の権限でこれは配置ができる。これがなくても配置ができます。しかし、それではいままでのあそこの防衛というものは日本が直接当たっていない。アメリカがそういうことをやっておってくれていた。それと、その部面においては、交代をするというか、引き継ぐという関係にあるので、円滑を期するため——円滑を期するということは決して悪いことじゃない。権限としては、ああいう取りきめがなくてもできます。
  63. 上田哲

    上田哲君 円滑を期するために、わざわざ両方の責任者が、実務上の最高責任者がサインをかわすなんということは、こんなものは外交上の常識じゃありませんよ、明らかに。今回はおっしゃるように「円滑」という形容詞でごまかす——ごまかすということは失礼だな、取り消しましょう。「円滑」ということばのために、こういうことだとおっしゃってもいいけれども、しかし、具体的には——これはなしでもできるのだと、なしでもやれるのだということです。何ならやめようかということが言えないじゃないですか。ことばのやりとりじゃありません。ここにはあくまでも第一には、いま「交代」ということばを使われたけれども沖縄軍事的価値をぐっといま上げなければならぬという要請がニクソンドクトリン総合戦力構想の中にある。第二に、そのために日本自衛隊はここで増強されなければならない、その増強アメリカとの話し合いの中で確定されなければならないという総合戦力構想の中に位置づけされておると、はっきりその中に出ているじゃありませんか。しかも、このことは配備される自衛隊が、実は日本自衛隊の、おっしゃるような専守防衛の任務ということをはみ出して、具体的には八五%温存されることになっている沖縄におけるアメリカ軍事基地を守るための配備だという性格があらわれていることが一つ。第四には、これはこういう久保・カーチスというような非公式な形はとるけれども、非公式な形をとるという精一ぱいの形の中で沖縄配備をこのように強化するということがなければ、アメリカ側は沖縄返還協定をのまないという背景がある。これは具体的なデータを読まなくても、力学としてそうなっているということはおそらく世論の認知するところです。こういう席だから具体的には申し上げないけれども、これまでの経過と政府責任者の非公式な見解とを含めるならば、これくらいのことをしなければ、沖縄返還協定をアメリカ上院議会を通すことができないのだというようなはっきりした見解もある。問題とするところは、日本自衛隊沖縄の防衛力というものを増強させなければならない。位置が変わったというのはそこですよ。依然としてこの位置を上げるのだということを前提として、そのためにアメリカ議会への説得、具体的には沖縄返還協定との振りかえとして久保・カーチス・アレンジメントというものがなされなければならなかったという根拠がある。いかがですか。
  64. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 沖縄返還という形において、何といいますか、総合戦略構想として沖縄が強化をされねばならぬ。そういう意味自衛隊も整備強化をする、また沖縄配備する自衛隊相当なものを持っていかなければならぬということがアメリカの要請であると言われましたが、私どもはそういう要請を少しも受けておりません。そういう要請を受けておらないで、私どもが、沖縄が返還されるならば、自国の領土の一部としてこれを自衛、防衛するためにそれに必要な自衛隊を派遣する、こういうことを考えたものでありまして、そういう意味で事を円滑に運ぶための取りきめを行なったということでございます。
  65. 上田哲

    上田哲君 全然そんなことは通りません、もう。端的にお答えを願おう。しからば、自衛隊六千八百人の配備によって沖縄軍事基地網が強化されるのか低下するのか。
  66. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) どういう趣旨かちょっと私のみ込めぬところがありますが、六千八百という形で整備をされると、日本沖縄自衛のための配備が行なわれる、それだけの力があそこにふえるということはそのとおりでございます。日本自衛隊の力としてそこに自衛の力がふえる、こういうことでございます。
  67. 上田哲

    上田哲君 そんな逃げ回らないで言ってくださいよ。八五%といわれているアメリカ軍の機能はそのまま残って六千八百が加わる。全体としていままでの返還前の姿よりも上がるのか下がるのかということですよ。そのことがなしに何が円滑な話し合いですか。そのことが話し合われていなければ算術にならぬじゃないですか。その全体として上がるのか下がるのかをはっきり言っていただきたい。
  68. 久保卓也

    説明員久保卓也君) レーダーサイト、ナイキ、ホークは、米軍が担当していたものを自衛隊がそのまま引き継ぐわけでありますから、機能は変わっておりません。海上自衛隊については若干の艦艇が参りますし、陸上自衛隊についても数百名の人がふえるわけでありますが、沖縄の米軍部隊自身もこの六月までに軍人軍属を含めて五千人減ることになっておりますし、今後の見通しとしても漸減の傾向になるであろうということを予測をいたしますので、少なくとも増強されたという形で理解するのは適当ではないのではないかと私は思います。
  69. 上田哲

    上田哲君 長官、そこのところは報告はしっかり受けておかなければならぬでしょう。強化されるのか、低下するのか。日本の自衛のためにアメリカ軍の核のかさ、アメリカ軍に基地を提供している。その計算からすれば上がるのか下がるのかということがわからないで防衛庁長官つとまりますか。防衛庁つとまりますか。どういう変化があるのかということがわからずにへやみくもに六千八百はぽんとふえる、こういうでたらめなことで発表していいのですか、長官
  70. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 繰り返すようで恐縮ですが、沖縄が返ってくれば、沖縄の防衛の第一義的責任は日本が負うということは当然でありますから、そのための必要な限度の陸海空自衛隊配備するということであります。これに対応してぴたりとアメリカがこの際に兵を減少しないということが、この数字の上では、ありますけれどもアメリカといえども、これは漸次縮減をしていくという傾向は明確であります。全体として、沖縄における、何と申しますか、武力、防衛力というものがこの際強化されるという、そういう考え方と方向自衛隊配備するものではありません。
  71. 上田哲

    上田哲君 よくわからぬのですよ。イエスかノーで答えていただきたい。強化されるのか、されないのかですよ。一体日本自衛隊は、防衛庁アメリカ軍と一体となって日本領土を守っていくということになっている。安保条約で今後とも協力関係を緊密にするといわれている。その緊密にする相手方がどのくらいの戦力があり、われわれはそれをどのようにコンバインしていくのか、その数値が全然わからないで、よく先がわからぬで、大きいことはいいことだという配置をやっているのですか。そんなことをやっているのですか。だから、それは強化されるのか、されないのか。そんな計算もしないで久保さんはカーチスさんとアレンジメントをしたのですか。こんなしろうとみたいなわれわれ自身が考えつくようなことを考えつかぬ人にまかせておくわけにはいかぬ。そのくらいははっきりお答え願いたい。
  72. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) はっきり申しているつもりですが、自衛隊としては、沖縄が返れば日本自衛隊で第一義的な自衛、防衛の措置をする。その意味において申し上げ、協定に書いてあるような、御説明をしたような陸海空自衛隊沖縄配備する。そのうち、いま申したように、ナイキ、ホーク等はアメリカのものをこちらで受け継いでやるという形で、アメリカのその兵力はなくなるということであります。全体としてあそこの沖縄における防衛力、兵力を強化するという形とねらいで自衛隊を持っていくということではありません。ただ、自衛隊が六千八百名配備をされるという段階で、米軍が、人員でいうならば、六千八百名ぴたりと減員にはいまのところなるようにはなっておりません。しかし、それまでの経過のうちにさらに漸減をされるということもあり得ると思っておりますが、そういう意味において兵数が若干ふえる、自衛隊が行くとふえるというのは確かにそのとおり。しかし、兵力を強化するという意味で持っていくものではなくて、第一義的に返還された沖縄の自衛を自衛隊で受け持つというために陸海空の限度の自衛力をそこに配備をするということでございます。
  73. 上田哲

    上田哲君 それでは全然答弁になりません。  久保さんに伺おう。久保・カーチス会談でそういう話はしたのか、しないのか。
  74. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 純粋に自衛隊配備に関する手続について、手段について話し合ったわけでございまして、米軍の兵力そのものがどうなるかということについては全然話し合いはしておりません。
  75. 上田哲

    上田哲君 専門家の久保さんに伺う。沖縄軍事力がこれは上がるのか、下がるのか。
  76. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 公式の発表はございませんけれどもアジア諸地域からのいろいろの撤退の情報が伝えられております。また、アジアにおける情勢の一般的な緩和、さらにはニクソンドクトリンといったような背景を踏まえて見ますると、減少の傾向にあろうと思います。
  77. 上田哲

    上田哲君 沖縄ですよ。
  78. 久保卓也

    説明員久保卓也君) はい。
  79. 上田哲

    上田哲君 あなた方、非常におかしくなってきた。自衛隊が主体とおっしゃるが、自衛隊の育ての親の増原長官から言わせれば愛情の問題で、論理の問題じゃない。六千八百人、これを送る。六千八百人で沖縄は自分でやるのだと言う。とんでもない話です。どう言ったって、お答えはともかくとして、力学的には結論的には配備される。六千八百というのは、八五%もの主力を占めるアメリカ軍事基地を守る作用しか果たせない、兵員の上からいったって。これはちょっと勉強すればすぐわかる。政治的な発言をするからわからなくなる。ちょっと勉強すればすぐわかる。これは、だから、答弁が出ないからいい。だからそこに局限をしよう。約束してもらいたいことは、八五%の米軍基地の内容をひとつデータで出してもらいたい。これは答弁は要りません。六千八百人だけにしぼりましょう。日本にいる自衛隊の面積比と沖縄配備される六千八百の面積比でいったら、日本本土に配備される自衛隊の比率と沖縄の六千八百の比率はどういうことになりますか。
  80. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 六千八百を比較するのは適当じゃございません。  まず陸上自衛隊についていいますと、言うまでもなく十八万でありますが、それで兵員人口的に見ますると、沖縄は百万ですから総人口の百分の一、千八百名ということになりましょう。そうしますと、ホークを含めて配置予定が千八百名でありますから、まずほどほどのところであります。特に第一線部隊が千百名であります。ホークを除きまして千百名。これが全体で第一線部隊十万でありますから、これもほぼ百分の一であります。  防空関係についてみますと御承知のADIZ(アディーズ)の関係で見ますると、本土の場合には各飛行隊が相互支援が可能でありますけれども、九州の部隊が沖縄をカバーするわけにはまいりません。そういたしますると、最低限一スコードロンを配置する。カバレージからいいますと、大体本土と——本土と申しますか、九州の西部方面隊のカバレージの区域と同じなんです。  艦艇は三隻でございますが、これは離島間の患者の輸送、緊急の場合の輸送、その他巡視、哨戒するといたしましても最低限度のものであるということで、本土から比べましてさほど大きな数字ではないのみならず、本土から非常に離れておりますから、そこで独立採算制とでも言うようなものをとりますると、最小限の単位を置かなければいけない。そうすると迎撃機ばかり一スコードロン。ナイキ、ホークでございます。  御承知のように、沖縄の警察官は千八百人ぐらいおりますが、本土並みということになりますと、千二、三百人——せいぜい四百人ぐらいといわれております。これでもなおかつふやそうという状況であります。ということは、本土から沖縄が非常に離れているという、そういう特殊性に着目するものであります。これは同じような条件にあろうと思います。
  81. 上田哲

    上田哲君 本土と比べて同じくらいだと言うなら、まさしくそれは強大なアメリカ軍事基地の援護部隊でしかないということになってしまいます。沖縄位置づけは、まさか専門家の久保さんが、沖縄軍事的位置づけというのが淡路島や北海道と同じだということにはならぬでしょう。明らかに、私たちの簡単な計算でいっても、本土の三倍ですよ。私ども沖縄県にこういう対中国の具体的戦略価値が置かれていないならこういうような配置というものはあり得ないわけです。明らかにこれは強化されているというデータが出ている。そういう運命にこれは置かれているわけです。  時間がうしろから押されているから、こまかいことはほとんどやれなくなって、たいへん答弁に不満を持ちますけれども、そういう中で、沖縄配置の問題に言及するなら、たとえばいま航空自衛隊は那覇空港に行こうじゃないか、陸上自衛隊はホイール・エリアに行こうじゃないか、海上自衛隊はホワイト・ビーチですね、これはおかしいですよ。大体航空自衛隊も陸上自衛隊も県都ということになるんでしょうが、これから中心地は那覇ですよ。人口欄密な、玄関であるべき那覇空港、便利な市街地に航空自衛隊、陸上自衛隊を置こうなんて、どういうことでこういうことになったのか。本来は、これから、貧しい沖縄をもっと豊かにしていくために、もっと民間福祉のために使わなければならないところを自衛隊がどっかり腰を据えるというのは一体どういう意味なのか。あるいは海上自衛隊もホワイト・ビーチだけではなくて、西海岸、東海岸両方港を持とうじゃないかということもある。こういう状況で、さらにこれからふやしていくわけでしょう。いまある状態だって非常におかしい。ほんとうに本土に返ろうとする九十四万の県民が願っている方向とはうらはらに、一番大事なメトロポリスをがっちり押えられておるのです。そこに自衛隊がどっかり入っていこうというような、そういうのは施政権の返還ではなくて、今後におけるところの沖縄返還は軍事基地強化という方向でしかないということが浮き彫りになっているじゃありませんか。もしそうでないと言うなら、県都からそういう基地をどんどん出しますか。
  82. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 従来の経緯を聞いて詳細に知っているわけではありませんが、結局、いまの御提案、要望の御趣旨と同じような意味で、米軍は県都から漸次あけたのではなかろうか。同様な意味で、たとえば飛行場についていいますれば、三つあるうちで、米軍が放し得るのが那覇であった、そうすれば民航と一緒に使わざるを得ないという物理的結論になります。それから那覇のホイール・エリアについても、これはおそらく米軍がなるべくならば県都周辺より遠くのほうがよかろうというのであけてくれたものだろうと思います。そこで、米軍が考えたと同じことを、将来可能であれば、これは長官とも相談しなければなりませんけれども、他の米軍施設をあけてもらってそちらに移るのが適当であろう。これは私の個人的な感想でありますが、将来米軍と折衝して、そういう方向でものごとを考えるべきではなかろうか。しかし、ホワイト・ビーチのほうは、これは他にその地域が、海上自衛隊あるいは艦艇の適地としてはあまりありませんので、ホワイト・ビーチのほうはこれはそのまま使用してよいのではないか。そういう感じをいまのところは持っております。
  83. 上田哲

    上田哲君 だから、基地を那覇から移したいという気持ちはある、広げたいという気持ちはあるということになりますね。
  84. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 広げたいのではありません、他に移したい。
  85. 上田哲

    上田哲君 移したいけれども、広げなければならないでしょう。そういうことをおっしゃるんでしょう。具体的にはあなた方は前防衛庁長官の名前で協力要請文書を全市町村に配っているじゃないですか。何が移したいですか。できるだけ広げてもらいたいということが何よりの証拠じゃないですか。豊見城(とみぐすく)村の村長から直筆の親書をもって、絶対来てくれるなというので。屋良さんのところに頭を下げていけばということかもしれませんけれども防衛庁長官から文書を配ったじゃありませんか。いつ配り、どういう範囲に配ったのですか、明確にしてください。答弁もできなければ話にならぬでしょう。数字は、それじゃこっちから言ってもいいですよ。
  86. 鶴崎敏

    説明員(鶴崎敏君) 先般防衛庁の安田審議官が沖縄に行きまして関係の市町村を訪問し、いまお話がありましたように、防衛庁長官また事務次官の協力要請の文書を渡したわけですが、時期的には先月の二十七日から七月の三日までの間に、那覇とホワイト・ビーチといったような自衛隊が一応展開を予定しておるところに関連をしまして、関係市町村を訪問しております。
  87. 上田哲

    上田哲君 数を出してください、数を。
  88. 鶴崎敏

    説明員(鶴崎敏君) 親書の提出先としましては、防衛庁長官名のものが琉球政府の屋良主席、それから防衛庁の事務次官名のものが那覇市長、コザ市長、名護市長、宜野湾(ぎのわん)市長、平良(たいら)市長、恩納(おんな)村長、読谷(よみたん)村長、勝連(かつれん)村長、豊見城村長、知念(ちねん)村長、佐敷(さしき)村長、東風平(こちんだ)村長、糸満(いとまん)町長、具志川(ぐしかわ)村長、仲里(なかざと)村長、上野村長、以上でございます。
  89. 上田哲

    上田哲君 協力要請を出している。引き受けてくれればそこへやるということでしょう。
  90. 鶴崎敏

    説明員(鶴崎敏君) 那覇の市長さんに対しましては、那覇空港とかあるいはホイール地区、それから那覇の陸軍補助施設、それから那覇市内の地方連絡部の設置予定地、こういったことに関連をして要請をしたわけでございます。それからコザ市長さんに対しましては、知花の陸軍補助施設にホークを展開するという関連でございます。それから名護の市長さんに対しましては、地方連絡部の出張所を設置したい。それから宜野湾市長に……
  91. 上田哲

    上田哲君 いいです。時間がない。それは、要請書の内容その他、全部資料で出してください。いまは時間がないから、そういうことにしましょう。いいですね。  問題は、はっきりお答えをいただくのは、出すということは、やってくれということなんですから、広げたいということはそこに具体的に出てるじゃないですか。少なくとも、はっきり約束をしておきたい。豊見城の村長はもうさっそく反対の親書を出してきてる。たとえば豊見城にはやらないか、向こうがノーと言ったらやらないのかどうか、そこをひとつはっきり確認をしておきます。
  92. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) この点は私どもとしても必要なところ——やむを得ず必要なところと申しまするか、必要なところに部隊を配置をしたい、適当で必要なところに部隊を配置したいということで、いまの関係の市町村長さんあての協力のお願いを出したということでございます。あくまでもお話し合いをしっかりいたしまして、了解を得て提供してもらうということで進みたい、これを原則として進みたい、こういうふうに考えております。
  93. 上田哲

    上田哲君 ですからね、具体的にはっきりしましょう。協力要請ですね。意図はある。しかし、向こうがノーと言ったらやるのかやらないのか。具体的には豊見城が来てるから、豊見城ははっきり向こうがノーと言ってる。間違っちゃいけないんで、自分で親書を書いて持ってきている。ここはやりませんか、はっきり。それから、一般に、ノーと言ったところには無理押しをやりませんか。二点。そしてその点には屋良さんもノーと言ってるんですから、屋良さんとしっかり話をし、いやと言ったらやりませんか、確認してください。
  94. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 申し上げたように、しっかりお話をして、了解を得てやることを原則としてやります。
  95. 上田哲

    上田哲君 屋良さんと了解してですね。
  96. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 了解を得ることを原則としてやります。
  97. 上田哲

    上田哲君 じゃ、例外があるんですか。
  98. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 例外という言い方をしますと少々適当ではないように思いまするが、土地の提供等について、必要な、どうしてもそこでないと困るという適当、必要なところについて、あくまでも了解を得てやるということを原則にしてやりまするが、状況の推移によりまして、やはり立法措置によって適当な土地などの使用権を得るということも場合によっては考えなければならぬこともあるかもわからない、あくまでもこれは例外として。お話をして了解を得、協力を得て具体的にという原則でやりたいと、こう考えております。
  99. 上田哲

    上田哲君 原則としてですね。「原則として」ということがかぶってきましたけれども、屋良さんと話がつかなければやらない。地元市町村がイエスと言わなければやらない。具体的にはいま問題になっている豊見城はやらないということを、原則としてということを私は確認をします。いいですね。——確認をしました。しかし、土地収用とおっしゃるが、本土では土地収用の例は一ぺんもないんですよ、今日まで。沖縄ではそうやるんですか。そういうこともあり得るのだという発言はこれは非常に重大だと思います。これは後ほどゆっくりやりたいと思います。時間がないからやめますけれども、本土では自衛隊の基地をつくるために土地収用法なんて発動をやってない、少なくとも最低限。沖縄ではそこまで、そういうことがあるかもしれないということは非常に重要なことだと思います。それは後にやりましょう。発言として承っておきます。  最後に一つ、時間がありませんから、約束の時間二、三分過ぎましたから、一つだけもう一ぺん繰り返しておきます。この久保カーチス・アレンジメントというものが、このことのアレンジメントなしには沖縄返還協定にアメリカ側がサインをしない、こういう振りかえなんだということについて私たちはそれを信ずべき根拠を持っている。いろいろな発言その他の中で根拠を持っています。そういうことであるのかないのか。間違いなくそうした形の中で、このアレンジメントがなくては、自衛隊配備がこれだけの強化、大きなものでなければ沖縄返還協定にアメリカは合意をしないのだと理解すべき根拠を持っているのだが、そのことでいいのかどうか。このことを最後に明確に確認をして終わりたいと思います。
  100. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 協定をやりました当時私はいなかったわけではありますが、聞いてみますると、そういう事実はないということでございます。
  101. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 時間が限られておりますので、焦点をしぼりまして御質問したいと思うのです。  特に外務省のほうに最初に伺いますが、基地返還の問題に対して第三条ですね、A、B、Cと、一こういうふうになっておるのですが、これは基地の撤去のスケジュールについてどういうふうに約束をされておるのか、この点についてまずお伺いしたい。
  102. 吉野文六

    説明員(吉野文六君) お答えいたします。  第三条で、わが国は基地を提供するわけでありますが、それにつきましては、御承知のとおり、基地のリストを掲げまして、A、B、Cといたしまして、Aについては引き続き提供する。Bについては返還後(注)その他の条件によりましてわがほうに返還する。Cは返還時までにわがほうに返却する、つまり撤去する。こういうことになっておるわけでございますが、Aにつきましては、御承知のとおり、返還後引き続き提供するわけでございますが、この点につきましては、将来これらの基地が米側としては必要がなくなり、また、わがほうとしては沖縄県民の経済、民生その他に役立つものであれば、引き続きその解放というのか、返還を要求するわけでありますから、そういう返還後の今後の交渉によりまして随時撤去されていくわけでございます。それからBにつきましては、先ほど申しましたように、それぞれ条件がついておりまして、それらの条件によりまして随時撤去されるわけでございます。
  103. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 この具体的な問題としまして、Aは八十八になってるわけですね。Bが十二、Cが三十四と、こういうふうな返還のスケジュールになっておるんですが、交渉の過程でいろいろな問題点が私はあったと思うんです。しかしながら、Aが八十八、なぜこういうふうに三市四村にまたがった弾薬庫を一個として数えなければならないのか。あるいは、返還時までに返ってくるこのCが、警察官アパートの一つの詰め所をCの一つとして数えるのか。こういう問題点については、外務省の姿勢があまりにも私は弱過ぎるのじゃないか。あるいは、防衛庁のほうの要望はないのか。この点についてはどうですか。
  104. 吉野文六

    説明員(吉野文六君) A表につきまして、米側の基地のあるものにつきましては、たとえば九つくらいが一つになりまして、たとえば嘉手納弾薬庫地区というように一つに集約されておりますが、これは実は双方の交渉上の都合のため、米側の基地を整理してもらいまして、新しい観点から交渉したわけでございます。で、その目的は、わが国本土内の基地と同様な基準で整理したと、こういうことでございますから、これは別に、ただ名称が変わったということにすぎません。  それから、先ほど御質問のその他の点につきましては、一般に地位協定のもとにおいては米側による軍事警察権の行使は原則として施設・区域内に限られておりまして、したがって、現に沖縄で基地の外にある軍事警察権の行使のために使用している独立の憲兵隊の詰め所とか支所については、復帰以後はその存続を認めることはできません。ですから、これらは小規模な設備用地でありますが、その返還をC表に規定したわけでございます。
  105. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 どうも具体的に問題を煮詰める時間がありませんけれども、実際にこういうような弾薬庫——三市四村にまたがっている弾薬庫ですね、当初は基地として一つ一つ数えておったわけです。われわれが基地の総点検をやったときも一つ一つの基地に数えられているわけですね。こういう点が、何か沖縄返還が本土並みと、こういうふうにことばのあやに隠されて、具体的に基地の数を、返還のほうを多く見せ、そしてAのほうを少なくしぼっていくという感じを国民に与えようとしている。この問題点というものは、交渉の過程においても私は非常に弱い姿勢があるのではないかと思うんです。こういう基地の問題に対して。じゃあ、具体的なA、B、Cの面積はどういうぐあいになりますか。
  106. 吉野文六

    説明員(吉野文六君) 本来施設・区域の提供、非提供は設備用地の実態、機能に即して決定されるものでありまして、基地の大小自身は直接関係がないわけでございます。そこで、たとえばA表中の五四号、六二号等小規模なものもありますし、また逆に、相当大きな設備用地であっても、その所在場所とか機能のいかんによっては、複数のものをまとめて一個の区域とするように、本土と同様に取り扱った次第でございます。  次に、現在の軍用地の総面積は三百五十三平方キロでございますが、A表の施設・区域、すなわち、返還後も米側が引き続き使用することになっておる区域面積は二百九十四平方キロでございまして、これは八三・四%に当たります。このように、実態としては面積は減っているわけでございますから、名称、数でわれわれは減ったというような印象を与えようということは一切考えておりません。
  107. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 八三・四で実際に減ったとはわれわれはうかがえないし、実際に沖縄県民の発展のために、いろいろの産業の発展のために重要な、県民生活に必要な基地というものは案外撤去されていない。実際に県民の不必要一と言っては失礼でありますけれども、案外、重要な拠点でない、こういわれるような地域だけよって返還されている。こういうような私は考えが浮かんでくるわけでありますが、こういう点についても、もう少し具体的に防衛庁とこの問題については、日米安保協議会等を通じて相当煮詰めたのですか。
  108. 吉野文六

    説明員(吉野文六君) 基地の実態につきましては、防衛庁、施設庁、対策庁、その他の関係各省とできるだけ煮詰めた結果、かつ、できるだけ実態把握につとめた結果、先方と交渉した次第でございますが、先生御指摘のとおり、われわれとしては返還を強く要求し、しかしながら、今度の交渉ではどうしても先方の了解を得られなかったというものもあることはわれわれも十分承知をしている次第でございます。
  109. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、返還を要望した基地は大体幾らぐらいあったのですか、日本側の考え方は。
  110. 吉野文六

    説明員(吉野文六君) いま手元にその資料は持ってきておりませんですが、相当大きな数及び面積にわたっておるものでございます。ことにわれわれとしては、那覇地域の基地につきまして特に米側に強く要求した次第でございます。なお、たとえば米側がいわゆる「一部使用」として演習のときにのみちょっと使うというような地域につきましては、これは本来そういう必要はないのじゃないか、こういう見地から、北方の国頭(くにがみ)の一部の地域につきましても返還を要請したわけでございまして、その一部は御承知のとおり返還されたような次第でございます。
  111. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 具体的な要望した資料があれば、私はあとから提出していただきたいと思います。  もう一つ、もう一歩詰めたいのですけれども、返還までにCは返ってくるわけですか。
  112. 吉野文六

    説明員(吉野文六君) そのとおりでございます。
  113. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、どういうスケジュールでこのCは返ってくるようになっておりますか。
  114. 吉野文六

    説明員(吉野文六君) まだ具体的に先方からそのスケジュールの内容については連絡を受けておりませんが、いずれにせよ、返還前までに返ってくる、場合によってはわがほうと一部協議してその結果返ってくるということもございますが、大体返還前になりますと、われわれも連絡を受けますから、それで承知する、こういうことになるわけでございます。
  115. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 去年の暮れに日米協議会を開いて、具体的にこういう形が出てきているわけですね。Cの返還スケジュールについても、私はもっと煮詰めてもいいのではないかと思うのですね。ただ向こうから返ってくるのを待つと、こういう形だけではなしに、日本の国内における米軍基地の返還の問題も同じだと思うのですね。なかなかはかどらない。こういう点を考えますと、沖縄基地におけるCの三十四ですか、この問題についても具体的にずっと、返還までに返ってくるというばく然とした問題ではなしに、いつ返ってくるか、どういうスケジュールになっているかということを明確に私は交渉すべきじゃないかと思うのですが、この点、いかがですか。
  116. 吉野文六

    説明員(吉野文六君) まことにわれわれも同感でございまして、今後ともそのように努力いたします。
  117. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 いつも同感とかじゃなしに、沖縄県民はやはり基地撤去ということに対しては非常に真剣に戦っているわけです。こういう問題について、やはり、ただ同感だとかそんな問題ではなしに、もっと明確に、沖縄の基地はこのように返還されるんだと、こういう体制をしっかりプログラムを組むべきじゃないか。その交渉があってしかるべきじゃないかと私は思うんですよ。あなたまかせの交渉をやって沖縄県民をないがしろにし、そういうふうな関係でこの基地の撤去のスケジュールを進めているとなれば、アメリカの言うままにこの沖縄基地の返還をしていかなきゃならない。こういうふうな実態では、この沖縄県民の生活というか、沖縄県民のこの基地に対する考え方というものに対して、あまりにも外務省の幹部として理解がなさ過ぎるんじゃないかと私は思うんですが、いかがですか。
  118. 吉野文六

    説明員(吉野文六君) この基地の返還及び提供につきましては、基地の面積その他いろいろの細目にわたって実態を調査したり、その他準備が要るわけでございまして、これにつきましては、施設庁その他関係各省とよく協議をいたしまして、先生の御趣旨に沿うよう今後とも努力いたします。
  119. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、防衛庁に伺いますが、具体的にこのCあるいは基地の実態調査はどういうふうに進んでおるのですか。
  120. 島田豊

    説明員(島田豊君) このCリストの中にはすでに返還になったものもございます。それから、これから復帰までに返還になるものもございます。復帰の際に返還になるものもございます。そういう個々の基地の実態につきましては、いまいろいろ調査をいたしておるところでございまして、まだそのCの具体的な一つ一つの個所について詳細な範囲、面積等についての調査は、これからというところでございます。
  121. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 外務省、実際にそういうふうなこれから——これからですよね、沖縄県民には大体Cとして返還までに返ってくるんだと、こういう形になっているんですけれども一つも明確じゃないんですよ、まあ、一年たてば返ってくるんでしょうけれども。しかしながら、これは返還後に持ち込まれるかもしれない。こういう例がやはり日本の国内においてもあるわけですね。基地が返る、返ると言いながらなかなか返ってこない。あるいはまた基地のAについても、具体的にどういうふうにAの返還を交渉していくかという問題については防衛計画等ともいろいろからんでくると思いますけれども、外務省として、この返還協定の調印の際に、もっと私は煮詰め得たんじゃないかと思うんですけれども、これはもう少しあからさまにしてもらいたいと思うんですけれどもね。あるいはAの問題については将来とも基地を縮小しないと、こういうふうに受け取っていいのか。
  122. 吉野文六

    説明員(吉野文六君) Aにつきましては、御承知のとおり、協定第三条によりまして、われわれが米側に提供するという立場に立つわけでございますから、その過程におきまして、なおかつ詳細に検討いたしまして、できるだけ今後の交渉の余地を残したいというようにつとめたいと思っております。  なお、御承知のとおり、日本の本土におきましても、終戦当時の二千八百二十四件の基地から、現在はその六分の一に減っておるわけでございますから、まあ、沖縄の場合には必ずしもそのように短時間でいくかどうか保証の限りではないのでございますが、われわれとしてはそういうことも考慮に入れまして交渉するつもりでございます。
  123. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 いま島田長官の答弁を伺っておりますと、調査中である。これは第六十五通常国会におきましても当委員会で別な角度から尋ねたことがございました。沖縄臨時国会が迫まっております。一体いつ完了するのか。そしてそこに自信のある回答が得られるものなのかどうなのか。現在の進捗状況と、そしてどういう点がネックになっているのか、その点をあらためて御答弁いただきたい。
  124. 島田豊

    説明員(島田豊君) 問題は、八十八カ所の、復帰の際に米側に提供しますその区域をどういうふうに設定をするかということが一つ問題でございます。これにつきましては、復帰の日に日米合同委員会で、その施設・区域の提供をきめ、そして同日付で閣議で決定いたすわけでございますが、その一つ一つの提供する施設につきまして、まあ、その名称なりあるいは範囲、面積、あるいはそれぞれの演習場、飛行場等につきましては、使用条件というものがございますので、その準備、その資料を整えまして合同委員会に提案をする、こういう形になるわけでございまして、それにつきましては、現在いろいろと現地におきますところの対策庁に籍を置きましてわがほうから派遣をいたしております二十名の者、さらにそれ以外にはしばしば調査団を出しまして、その実態把握につとめておるわけでございますが、その具体的な措置は、やはり沖縄の返還協定の批准が済みました段階から具体的に入っていく。それ以前はいろいろの資料の収集なり調査ということに相なろうかと思います。われわれとしましては、少なくとも復帰の日に日米間の合同委員会で完全な合意のできますだけの準備をそれまでに精力的にやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。  C表の返還の土地につきましては、先ほど申しましたように、すでに六月三十日で返還されたものもございます。こういうものについては一応その境界なりあるいは面積、範囲等は一応明確にされていると思いますが、今後復帰されます。そういう返還されますところの土地につきましては、われわれとしてもできるだけの実態把握につとめて、その辺の境界その他に問題のないように十分対策を講じていきたい、かように考えております。
  125. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 いま、批准国会が終わってから具体的に進めていきたい、こうおっしゃった。それでいいのかどうなのかということが非常に疑問ですね。批准国会はその意味においても非常に論争を呼ぶといわれる。むしろ批准国会前にあらあらの結論を出すのが当然じゃないか。それが県民に対してせめてもの思いやりというものじゃないかということが一点。  それから、一体返還時をいつに置いて逆算しながらスケジュールを組んでいるのか。四月一日を目標にしているのか、七月一日を目標にしているのか。その辺が明確になっていないと、これからのスケジュールの組み方、それから、「実態調査中」では、県民自身としてはたいへんやりきれない思いだ。こういう感じをわれわれ本土にいてもぬぐい切れない。したがって、その辺の問題点は、どういうふうな計算の上に立ってこれから米側との強力な折衝をされようとされるのか。そしてまた防衛庁長官としても、その点についてはどういうふうに進めていかれるのか。これはもう基本的な問題でありますので、政治的な配慮をどうされるのか。その辺、施設庁長官とそれから防衛庁長官、両方御答弁をお願いします。
  126. 島田豊

    説明員(島田豊君) 復帰日につきましては、四月一日説と七月一日説がございまして、私どもとしましては四月一日に復帰ということを一応考えながら、それまでの間に十分な準備ができますような体制を整え、また努力をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。  まあ、個々の数ある基地の範囲、面積を確定し、あるいはその境界を一つ一つ明確にするということは、必ずしも容易な作業でございません。いままでの調査団の派遣によりまして、かなり明確になっておりますけれども、まだその詳細についてはわれわれとしても十分調査が進んでおらないという現状でございまして、これは一つの予備的な準備段階といたしまして、復帰日に合同委員会で合意ができますような、そういう手順でこれからその調査なりあるいは確認ということをやっていくつもりでございます。もちろん、県民の御要望なりあるいは感情というものを十分尊重しながらやっていきたい。しかも、この提供業務につきましては、先ほど大臣からもちょっとお話しございましたように、原則的には土地の所有者との——沖縄の場合におきましては約三億平米のうちで二億平米が民有地でございますので、この土地の所有者との賃貸借契約を締結をするという、この仕事が大きな作業でございます。したがいまして、これから私どもは十分陣容を整えまして個個の地主との話し合いに入りたい。その場合にはいろいろ地元から条件なり要望が出てまいります。まず借料をどうするかというふうな基本的な問題から——沖縄にはいろいろ本土にありませんような特殊な土地の制度がございますので、そういう制度をどういうふうにやっていくかというふうなことをきめまして、そしてそういうものを前提にいたしまして地主との交渉に入るということでございますので、いま鋭意そういう基本的な方針の策定、あるいは具体的な準備の手続ということについて検討いたしておるわけでございまして、できるだけ復帰の日までにそういうものが完全に準備が完了いたしますようなことでまいりたい、かように考えているわけでございます。
  127. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) ただいま施設庁長官からお答えいたしましたように、沖縄の方々の心情、心持ちを十分に私どもお察しいたしまして具体的な措置を進めて、いま申しましたように、たいへんむずかしい領分は土地の賃貸借、借りて提供するというところにあるように思うのでございます。そういう問題についての運びは陣容を整備をしまして、沖縄の方々の御心情を十分私どもでくみ受けまして、話し合いによる解決をするという形でまいる。提供あるいは返還を受けるところの測量その他の問題、なかなか事務的には相当の量になるし、陣容を整えまして、具体的な計画を整えまして復帰日までにできまするようにひとつ鋭意努力をいたしてまいるつもりでございます。
  128. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それで私は鋭意努力されるその具体的なことを聞きたいのですけれども、その前に、昨年の十一月十八日のニューヨーク・タイムズに、米国と国府との間の、米国は国府の許可がなかったら沖縄の基地の縮小はできないというダレス・葉国府外交部長との間に密約説がある、こういうふうな報道がされているわけです。これは、沖縄基地の縮小については国府の許可が必要なんだと、こういうふうな密約説まで流れているわけです。外務省としてはこれは当然否定されると思うんですけれども、こういうように、あらゆるところに基地縮小の問題に対する、何といいますか、歯どめというか、米軍のほうから、あるいはアメリカのほうでいろいろ操作をされている。したがって、日本のほうから具体的に基地縮小に持っていかれない。沖縄県民がほんとうに願っているこの基地縮小という問題については、外務省としても特にA等に対しては手がつかないんじゃないか、こういう私は考えが起きるんですけれども、いかがですか。
  129. 吉野文六

    説明員(吉野文六君) この点につきましては昨日も外務委員会で渋谷先生の御質問に答えた次第でございますが、われわれとしては一切そのような密約は知る由もないのみならず、米政府当局がこれを強く否定しておりますから、そのようなことは絶対ないとわれわれは信じております。したがって、沖縄の基地縮小につきまして第三国についていろいろ考慮する必要はないんじゃないか、こういうように考えておる次第であります。
  130. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、この問題で、特に防衛庁長官としまして、具体的に自衛隊が今後沖縄へどんどん進出していくと、こうなりますと、特にBの土地の問題、あるいはこの米軍の使用の問題——土地の使用ですね、これの再契約問題が非常に沖縄では大きな政治問題になってくるんじゃないかと思うのです。これを返還までにどういう具体的な対策を講じて、具体的に三万八千人といわれておるこの地主に、何人に話をし、どういうふうなスケジュールで一防衛庁長官が就任のときに、「理解協力を得て」と、こういうような話を対談でされておりますけれども、具体的に理解を得るために、三万八千人の地主に対してどういう手を打つのか。聞くところによると、すぐ土地収用法で強制だと、こういうふうな話が出るわけでありますが、長官の就任当時の理解と、こういう問題とからみ合って、この再契約の問題については県民の納得のできるようなスケジュールで現在取り組んでいるのかどうか、この辺についてお伺いします。
  131. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) いま申し上げたように、その点が一番むずかしい。事務量としてもたいへん多い。そして内容もむずかしいということでございまして、具体的な計画は施設庁長官から御説明をさせまするが、ちょっといま御関連で「土地収用」というおことばを使われました。先ほど上田委員も土地収用をやるのかと言われましたが、私どもはまだ土地収用という具体的な形で——例外の場合でございます。例外の場合の土地収用というような考えでいま考えておるわけではございませんで、何らかの土地使用権という形のものを考えることがあるいは必要になるのではないかというふうなことを考えておるので、まだその具体的な構想等を持っておる段階ではございません。これは、まあ、念のためと申しまするか、申し添えるわけでございまするが、具体的な計画、措置等については施設庁長官からお答え申し上げます。
  132. 島田豊

    説明員(島田豊君) 先生の御指摘のように、地主が約三万七千数百名ということでございますので、結局、この地主さん方と個々に賃貸借契約を結びまして、使用権を取得し米側に提供すると、こういうことになるわけでございます。したがいまして、一人一人との具体的ないろいろな諸条件についての説明をやるということは、これは容易なことではございません。したがいまして、いま沖縄におきましては軍用地の地主会連合会という組織がございまして、地主会連合会におきましては、部落ごと、あるいは市町村ごとに意見をまとめまして、そこで説明をやり、あるいは了解を取りつけまして、まあ、あるグループごとに説明をして、御納得がいき、そしてもちろん賃貸借契約そのものは個々人との契約をするということになるわけでございますが、それにつきましては沖縄の地主会連合会のほうにおきましてもいろいろ組織をつくられ、またそういう原則的な問題についてわが日本政府とどういうような契約をするかというようなことの諸条件の決定ということについてもいろいろいまやっておられるようでございます。したがいまして、われわれは地主会連合会とやはり原則的な話し合いをしながら、その間にいろいろな地元の要望なり条件というものとわれわれの考え方を突き合わせながら、調整しながらそこに一つの原則的な問題についての了解に達し、そして個々の契約に持っていくと、こういうことを考えておるわけでございます。地主会連合会からは、すでに一昨年でございますか、十七項目にわたりますところのいろいろな条件が出ております。そういう点につきましてすでに解決をせられたものもございます。これからわれわれとして解決をしなければならぬ問題もございます。一番むずかしい問題は、賃借料をどういうふうに決定をしていくかということでございまして、米側の場合におきましては、米側が使用を開始いたしました当時の地目によって賃借料が算定をせられております。今度の場合におきましてはその地目にとらわれませんで、その土地の開発状況あるいは立地条件、そういうものを勘案しながら賃借料を決定いたしておりますので、そういう点を十分勘案しながらこの借料の決定というものをきめていきたい、かように考えたわけでございます。したがいまして、事務量が非常に多いわけでございますので、私どもとしてもこれからそういう処理体制というものを十分に整える、こういう面に努力してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  133. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、具体的に沖縄で四月一日に返還と、そうした場合に、あと限られた日程しかないわけですね。地主会連合会の組織だとか、いろんなことが言われておりますけれども、施設庁としてのスケジュールですね、四月一日までの。四月一日に契約しなきゃならない、こうなった場合の具体的なスケジュールをどう対策を講じているのですか。あるいは、何名沖縄に派遣してどういう対策を四月一日までにとろうとしているのか。結局はそれをやらないで、土地使用権の特別立法で押えて網をかぶせよう、こういう考えに私はとられてしかたがないのですがね。
  134. 島田豊

    説明員(島田豊君) わがほうの体制につきましては、法律事項につきましては、やはりこれは沖縄返還協定の批准国会に御提案申し上げて御審議いただく、こういうことになろうかと思いますけれども、それ以前におきましても、できるだけ早期に実際的な措置を講じまして、現地にできるだけたくさんの人を派遣いたしまして、そういう個個の問題についての資料の収集なり準備というものをやっていく必要があるということで、いま鋭意検討いたしておるところでございます。われわれとしましては、一応いろんな段取りにつきまして考えておりますけれども、これは予算措置を必要とし、あるいは法律立法問題もからんでまいりますので、その辺はまだ明確でございませんけれども、われわれとしては、できるだけ実際的な措置が講ぜられますならば、それによりまして現地にたくさんの人を出して準備に遺漏のないようにしたい、かように現在の段階では考えておるわけでございます。
  135. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 時間が来ましたのであれですが、もう一つ、この費用は四次防の予算の中に含まれるのかどうかですね。  それからもう一つ自衛隊の問題で一点聞いておきたいのですけれども、六千八百人の中に沖縄出身者の自衛隊はどのぐらい含めようとしているのか。私が聞くところによると、この沖縄出身の自衛隊募集に対する相当強力なてこ入れが行なわれている。そういう関係で過去二年間具体的に沖縄に派遣した自衛隊の数ですね、どういう種別で実際に自衛隊沖縄に派遣をされたか、これは資料として私は提出してもらいたいと思うんです。あるいはまた高校生に対して、この間も申し上げましたけれども、具体的に自衛隊東京地方連絡部から高校長あてに具体的に依頼の指示が出ているわけです。四十五年度には自衛官募集につきましては、深い御理解と御協力をいただき、まことにありがとうございました——と、こういう具体的に、また四十六年度もこのように推薦してくれといって強力に、高校教育がゆがめられるような、現地では具体的なこの隊員募集が行なわれていると、こういうふうに承っているわけです。この点についてももう一歩明確に御答弁願いたいと思うんです。
  136. 江藤淳雄

    説明員(江藤淳雄君) 沖縄出身者を沖縄に新しく配備される部隊に配置するかどうかという問題につきましては、これは一般論としましては必ずしもそういうふうに考えておるわけじゃございません。あくまで人員配置というものは適材適所主義でまいらなければなりませんが、しかしながら、まあ、沖縄の出身者でもし強く希望する者があれば沖縄に勤務をさせるということも家庭の事情等であり得ると思います。必ずしも沖縄出身者を沖縄に配置するという考えは持っておりません。  それから、現在沖縄におきまして具体的に募集活動はいたしておりませんが、先般東京地連のある係官が間違えまして、都内の高校長に出す書類をそのまま沖縄の高等学校長に出したようでございますが、これは明らかに権限外の越権行為でございまして、厳重に注意いたして、今後そういうことをしないように指示いたしております。
  137. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 施設庁関係の予算に組まれております沖縄問題の処理の経費でございますが、いろいろ懸案となっておりまして、将来の解決がどういうふうになるかわかりませんので、具体的に詳細な積算はいたしておりません。自衛隊関係では非常にこまかい積算の上経費を出しておりますが、そういう関係上、施設庁関係につきましては、全般の伸びたパラレルいたしましてほぼ二・何倍かの経費を見込んでおります。したがいまして、沖縄の問題が具体的に処理されるにつれて、その中で処理されるか、あるいはまた若干ふえるか、それは今後の毎年毎年の予算の折衝の問題になろうかと思います。
  138. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 最後に、私は間違いで一人事局長ですがね、間違いで、沖縄と東京とを間違ったような話はこれはつじつまが合わないですよね、正直に申しまして。こんなことで私、時間をとりたくありませんけれども、こういう点が、実際に人事局長の見ている目と具体的に行なわれていることとがずいぶん違っているのじゃないかと思うのです。こういう点は、沖縄自衛隊の配置の問題について、現地の県民の人たちの権利というか、そういうものがあまりにもむしばまれている。この点を私は強く憂えるわけであります。この点をもう少し防衛庁長官ね、実情調査して、高校教育をゆがめられるようなことのないように——ひどいらしいですよ、相当。この問題は、何人自衛隊が実際現地に派遣され、あるいは里帰りというのか、そういう感じ沖縄出身者を帰して強力に進めているのか、こういう点はもう少し防衛庁として明確にしていかなければならないのではないかと、こう思うわけであります。この件について長官から伺って私の質問を終わりたいと思います。
  139. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) いま御指摘の、その手紙の件は、人事局長が申しましたようなことで、まことにこれはまあ申しわけのない誤りでございますが、そういうことのないように厳重にやらせる所存でございます。いままで局長が申しましたように、沖縄においての募集行為はやってないのでございまして、本土においでておる沖縄出身者の方に自衛隊に入ってもらうということは従来もやっておったようでございます。そうして、学校長に対する、何といいまするか、依頼の問題等は、これはまあ慎重にもとよりやるべきことでございまして、学校教育に、何といいまするか、重大なそごを来たさせるようなことをやってはなりません。十分その点は注意をしてまいります。
  140. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 本調査に対する質疑は、午前中はこの程度とし、午後一時十分から再開することにいたしまして、暫時休憩いたします。    午後零時三十八分休憩      —————・—————    午後一時二十七分開会
  141. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を再開いたします。  沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  142. 上田哲

    上田哲君 午前中防衛庁長官質疑応答をかわしましたが、その際外務大臣の御出席もお願いしておいたんですが、その関連で御質問を数点申し上げます。  第一にお伺いしたいのは、ニクソン訪中、このことによりまして、長く冷戦状態にあった米中間冷戦構造に大きな変化のきざしが出てきた。総理はまた、これはアメリカにおける中国承認意味するものであろうという御答弁でございました。こういう米中冷戦構造変化、簡単にいえば、雪解けということになるんでありましょうけれども、そういう大きな、グローバルな変化が出てきている中で、実は日本の軍事体制といいましょうか、安保体制という言い方になるんでありましょうが、そういう防衛力の増強が、一方では冷戦構造緩和方向に向かっていくという中で、それとは逆に、日本の自衛力の増強方向をたどらなければならない。このことがさきに訪日されたレアード長官の表明されたところでもあるし、また合意したところであるものとわれわれは理解するのでありますが、まさにそのことがニクソンドクトリンであり、そうして三月にアメリカ側から発表された例の国防白書の中にある総合戦力構想のあらわれである、こういうふうに考えております。つまり、冷戦構造変化をする中で実は日本の軍事体制が強化をしなければならないという位置づけになっている、こういう考えについていかがでしょうか。
  143. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 確かに今回のニクソン訪中からいままで長い間続いてまいりました冷戦構造、これはグローバルな問題としてとらえておられるようですが、私は確かに大きな流れというものは否定できないと思います。それがまたわが国にとってきわめて望ましいことでもあるし、それがアジア緊張緩和ニクソンドクトリンの実質的な実現につながれば、わが国としてはきわめて観迎すべき問題であると思います。その中でわが国の防衛力増強がこれと裏表の関係で今後進むであろうという御意見でございますが、私は必ずしも裏表という受け方ではございません。すなわち、冷戦構造冷戦構造、これが緊急緩和につながることはきわめて望ましいけれども、それとまた別な立場においてわが国が自主防衛力を増強するということは、わが国の主体的立場において当然のことである、こういうようなとらえ方をしております。
  144. 上田哲

    上田哲君 ほぼお認めいただいたような向きがあるのですが、まさにグローバルには雪解けになっているのに、わが国の防衛力が増強をされるということは、矢じるしの方向でいえば、逆な感じがする。逆にいえば、わが国の自衛力、軍事力増強ということをたてとして米中の話し合いが進んでいく、こういうかまえをつくっているところがニクソンドクトリンの本質である。こういうふうな理解に立つわけですけれども、そこで問題は、沖縄への六千八百人の自衛隊員の配備を中心とする——これだけではありませんけれども——四次防の増強、この場合は特に沖縄問題にしぼりますけれども、こういう形がレアード国防長官によって日本に示され、日本も合意した通常兵力の強化というところにあらわれていると思います。その点でいえば、まさにニクソンドクトリンに基づく総合戦力構想の中に日本自衛隊位置づけがある、これが安保条約上の一つのいま注目すべき中心の中身であるというふうに思います。もう一ぺん申し上げれば、アメリカの総合戦力構想の中に位置づけられることがここで明確になっているというふうに思いますが。
  145. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) いまの御意見、私は承っておきますが、しかし、私どもでは、必ずしもそういう考えではございません。日米安保体制に基づいて当然わが国の安全をはかる、そういう筋道からわが国としてはわが国の自主防衛力の増強を主体的に進める。しかしながら、それは必ずしも極東におけるアメリカの戦略体制に組み入れられるためにそれを遂行するのではない。この点、ひとつ、はっきりけじめをつけておきたいと思います。
  146. 上田哲

    上田哲君 防衛庁長官——新旧の長官ですね——レアード長官との話し合いの中でも、さまざまな委員会その他の答弁で、防衛庁長官側は、レアード長官とその話し合いをしておらぬと、こういうふうに言っております。しかし、実際問題としては、時間の関係から読み上げる必要はないと思いますけれども、日米共同声明やあるいは佐藤総理がワシントンのプレス・クラブで述べられたさまざまな表現、そして、今回、特にレアード国防長官日本を去るにあたってのホテル・オークラでの記者会見の中で明確に述べられているような、通常兵力増強ということの要請があったということは、もはや私どもは隠れもない事実であるし、力学的にいえば、それ以外の理解はないと思います。しかし、ここで外務大臣が、それは総合戦力構想の中には組み入れられていないというふうに言われることは、国際的にもはなはだ一特に対米関係として重要な意味を持っていると私は認識をいたします。外務大臣防衛庁長官もともどもに、この際、レアード長官の訪日によっていろいろ取りざたされていることはありますけれども、それを踏まえてなお、アメリカニクソンドクトリンに基づく総合戦力構想の中には組み入れられていないし、組み入れられないということを国際的にも宣明されますか。
  147. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 私は、申し上げたいことは、当然日米安保条約に基づいて日米間で相互防衛の考え方に立ちます以上、それについてのいろいろな協議が行なわれたでございましょうが、しかしながら、今回のレアード国防長官総理との会談の中では、必ずしもそういうことをストレートに話し合ってはおりません。日本通常兵力が質的にまだおくれておるというようなことのコメントはありました。したがいまして、いま上田委員のおっしゃいますように、それだからといって、アメリカ極東戦略の中に日本軍事力が組み入れられているという御判断には、私は承服しかねます。
  148. 上田哲

    上田哲君 そこは非常に重要なところであります。極東戦略ということばではございません。きわめて具体的に、彼みずからが立案者であったレアード氏が総合戦力構想というものを具体的にフォーマルな国防白書の中でもうたい、そのことを引き続いて私は話をされていると理解している。この際、ことばを正確に使わせていただいて、その戦力構想の中に位置づけられていないということを宣明されるかというのであります。
  149. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) アメリカアメリカとしてまた世界戦略を持っておりましょう。したがって、そういう総合戦略というものはあると思います。しかし、それは必ずしもわが国の自主的にきめる筋のものではございません。わが国はわが国としての自主的にきめた防衛構想でございますから、アメリカの総合戦略の中にわが国のそういう防衛計画が組み入れられておるとは、わがほうでは関知しておりません。
  150. 上田哲

    上田哲君 くどいようでありますけれども、安保条約に基づく当然な努力として日本自衛隊増強が行なわれる、こういうことでありますが、しからば、日米安保条約はアメリカの総合戦力構想の具体的な表現だというようにお考えになりませんか。もしそうだとすれば、当然に戦力構想というところに、アメリカの基本的な戦略の中に安保条約自身が組み入れられ、その形において日本自衛隊増強はその中に組み入れられているんだという、こういう論理にならざるを得ないんですが、それを含めて、組み入れられていないということを国際的にも宣明されますか。
  151. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 先ほど申し上げましたとおり、私は、アメリカの総合戦略構想の中にはわが国の防衛構想は取り入れられていないと、これはわがほうの主観的判断でございます。
  152. 上田哲

    上田哲君 確認をしておきます。「戦力構想」ですね、フォースですから。これは抽象的な一般的な表現ではなくて、具体的に提示されている。総合構想の一環ではないのだということを、今回のレアード長官の訪日、総理との話し合いを含めて、ないのだということであります。そのことを御確認をしておきます。  次に、ここで一つ問題になるのは、六月二十九日、日米協議委員会、言うまでもなく安保条約の中でありますが、その日米協議委員会の席上で、形式的には、久保・カーチス取りきめが行なわれております。で、先ほど来——きのうからでありますけれども、この問題について部分的には詰めてきたんですが、大臣からしっかり承っておきたいのは、安保条約、共同声明、沖縄協定の中にも、これを基準とする条文、表現は存在をしない。そのことに基づいて行なわれているのではない。見当たるべき条項はないのだと、しかし、日米安保条約に基づく基本合意の中で、このことは必要な取りきめであったと、こういうふうな解釈になっているわけでありますが、そのことでよろしゅうございますか。
  153. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) そのとおりだと思います。
  154. 上田哲

    上田哲君 そうなりますと、私どもは、この久保・カーチス取りきめは、当然沖縄批准国会に対して、討議の対象として、批准の対象として提出さるべきであるという理論になると思いますが。
  155. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 沖縄返還協定及びこれに附属する文書の中に私は入れて国会に提出すべき筋合いの文書だと、こう考えます。
  156. 上田哲

    上田哲君 たいへんけっこうであります。ぜひひとつそのようにお取り計らいをお願いいたします。
  157. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) いま「文書ではない」と申し上げました。その点はひとつ御確認を願います。
  158. 上田哲

    上田哲君 どういう意味ですか。
  159. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) これは、条約及び協定その他、そういう国会の審議をわずらわすような性格の文書ではないと私は思います。
  160. 上田哲

    上田哲君 めちゃくちゃじゃないですか。私は、外務大臣が、これは当然審議に値すべきものだと、提出すべきものだとおっしゃった常識のほうを信じますよ。ここから急に話が出て、これはぐあいが悪くなった、これでは、国会は国民に対して何のために存在するのか。沖縄返還協定はどういうことになるのか。薄暗くなるじゃありませんか。私は、代理であられるけれども外務大臣、木村大臣の非常に誠実なキャラクターを評価するんです。失礼な言い方をお許し願えれば。まさに常識的な、いま、見解じゃありませんか。出したらいかがですか。私どものところにもありますよ。当然これなしには審議はできないという段取りになっているんですから、すなおにそうおっしゃった、そういう形でお出しになったらいかがでしょう。
  161. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 速記で御確認願えればわかると思いますが、私が申し上げたのは、沖縄返還協定、また、これに附属する文書、国会の審議をわずらわすような文書ではないということを申し上げたわけであります。外務省の事務当局からいろいろサジェストを受けてお話したのではございません。その前の速記をお調べになっていただけばわかると思います。
  162. 上田哲

    上田哲君 速記を調べましょうか。速記を調べれば、コンテックスからいって、当然に久保・カーチス取りきめを、と私は申し上げておるんですよ。私はあげ足をとるつもりはありません。時間も制限されておりますから、長いことしゃべることはできぬけれども、これはちょっと抗議を申し上げたい。久保・カーチス取りきめというものについてどうかという話をずっとしておって、突如として、そうでなかったとという話には、これはならぬですよ。私は、このことを国会にお出しにならないだろうといういままでのほかでの御答弁を十分踏まえております。しかし、これをお出しになるということはたいへん正しいことではないかという気持ちを持っておりましたから、大臣が、いいじゃないかと、「べきである」とおっしゃったことをすなおに受け取ったんです。しかし、それはいままでのほかの大臣その他の答弁もおありだろうから、ぐあいが悪いんだというなら、さっきは間違っておったというなら、それでいいですよ。明らかにそこから行ってから変わったんですから。そんなこまかいことはあげ足はとりませんけれども、話は変わったということならいいです。しかし、速記を調べてもらえばそんなことを言っておらぬというようなことならば、これは沖縄返還国会を控えて非常に問題だろうと思います。御答弁は要りません、同じことでしょうから。  最後の質問に入りますが、そういうところで右往左往するように、この問題は、この久保・カーチス取りきめというものが存在をしていなければどうしても沖縄返還協定は調印されなかった、こういう振りかえの関係になっているということを私たちは懸念をいたします。アメリカ上院への、アメリカ国会への理解を求めるためにも、日本沖縄における防衛力増強ということをしっかりした紙に書いて約束しなければ、施政権の返還その他についてのアメリカ国会への説明がしにくいと。本来ならば、日本の主権の十全の発現からすれば、日本の施政権が返ってくるところに日本自衛隊を配置することは、われわれはその自衛隊配備そのものは反対ですけれども、それはそれとして、日本領土の上に日本自衛隊配備することは日本の主権の範囲でありまして、ほかの国と事前に取りきめをし、しかも、取りきめをしたのが、アメリカ沖縄問題の首席代表であるカーチス中将と四次防の立案者である久保防衛局長であるなんていうことになって、爪印を押しておかなければ沖縄が返らないということになるのは非常におかしいことだし、沖縄返還協定まで持っていかなくても、そういう爪印を押しておかなければ日本自衛隊沖縄配備することもできないというところに、先ほど来いろいろおっしゃる、総合戦力構想の中に組み入れられていないというようなことばがどんなにあっても、具体的にはこういう従属関係が立証されているではないかということになると思うんです。私どもは、この久保・カーチス取りきめというものが、取りきめのサインを行なわなければ沖縄返還協定は調印されなかったという政治的いきさつがあったことについて論拠を持っております。この点は、そうであるのかないのか、明確にひとつ今後の論議のためにもお答えをいただいておきます。
  163. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 先ほど私が間接的な言い回しをしたために誤解を生じましたが、私は終始、これは国会に提出すべき文書ではないということをさらに確認しておきます。  いま御質問あるいは御意見でございますが、私はその御意見に賛成しかねます。と申しますのは、これは当然沖縄から米軍が新しい事態とともに徹退をいたします。しかしながら、そのあとを埋めるというような考えでなしに、当然沖縄がわが領土になるんですから、わが本土になるんですから、そこに当然防衛力の必要を感じ、そのような構想のもとに自衛隊がそこへ移る、これは私は当然のことだと思います。その際に、何しろまだ沖縄にはたいへんな米軍が駐留していることも、これはまた厳然たる客観的事実でございますから、その際のいろいろ打ち合わせ、連絡、あるいは有事の場合の相互防衛の必要もございましょう。そのためにいかにわが自衛隊沖縄に、どういうふうな順序で、どういう手順で、どういう兵力をもって移るかということについて、当然これは日米間でいろいろ打ち合わせが必要だと思います。しかしながら、それは必ずしも合意されるべき問題ではない。わがほうが自主的に自衛隊沖縄に移す、その構想をアメリカに合意を要求し、主張する問題ではないと思います。したがって、この久保・カーチス取りきめは、いまいろいろ御意見がございましたが、アメリカとの合意、すなわちアコードという性質のものじゃなしに、単なるアレンジメント、こういうふうな性格にわれわれは受け取っております。したがって、国会の審議を仰ぐような問題ではない、文書ではないというふうに先ほど申し上げたわけであります。この取りきめは、いわばお互いの連絡事項をメモでとるような性質のものではございますが、これを取りきめという形で、アレンジメントとしてこれに両方がサインをしたというような性格の文書であります。こういうふうに規定をしております。
  164. 上田哲

    上田哲君 この取りきめは、私どもが漏れ聞いているところでは、本来アグリーメントということであったようであります。アグリーメントということばではたいへん重くきついので、外務省筋からのアドバイスもあって、アレンジメントに変わったという経緯があると聞いております。このこと自体を詰めてみたところでしようがありませんが、そうした背景一つが物語るように、決してメモを交換するような話し合いのものではないというふうにわれわれは思いますし、このことは、この軍事配備の具体的な取りきめということがなければ、沖縄返還協定、つまり施政権の返還ということについてはアメリカ側のサインを得られなかったという関係にあるということについて、これはもう少し次期国会等を経てわれわれとしても具体的に追及をさしていただきたいと思います。  一つだけ伺っておいて終わりますけれども、しからば、このアレンジメントは外交上、国際関係として日本政府をどのように拘束するのですか、全くしないのですか。
  165. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) これは国際上国際的な法規の性格を持つものではございませんから、そこに何ら条約的な権利義務は生じていない。当然わが国がわが国の防衛構想に従って沖縄に自衛力を移駐するということでございますから、これに反したことが行なわれても、ただアメリカとの間にそういう連絡事項がそのとおり進行しなかったということが残るのみでありますが、しかし、日米間では相互防衛上の観点から緊密な連絡協議を持つべきはこれは当然でございます。それに反したことは政府としても防衛庁としてもやらないと思っております。
  166. 上田哲

    上田哲君 今回の六千八百人を中心とする取りきめの、ふえるならいいでしょうけれども、予定どおり予定日までにそれだけの配備が行なわれなかった場合に、対米的にはどういうことになるんでしょうか。
  167. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 当然日米間の連絡協議の中で、そのおくれたる事実及びそれに対する理由、またそれに対する対応策をこれまた連絡をとり……。
  168. 上田哲

    上田哲君 相談をし直さなければならぬということですか。
  169. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) そういうことです。
  170. 上田哲

    上田哲君 拘束はあるわけですね。相談し直さなければならぬのだということになるとすれば、それはそれだけの拘束力を持っているということになりませんか。
  171. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) その拘束力の内容でございます。われわれ個人としても、話し合った問題はあとでそれにたがえばまた話し合うというのは当然のことでございますから、政府間でも同じようなことを行なうというのは常識だろうと思います。
  172. 上田哲

    上田哲君 いろいろ見解の相違その他があります。これは基本的な問題でありますから、新しい情勢の中でこれまでの基本的なかまえを修正するところから、日本を取り巻く世界情勢、あるいは諸関連取りきめ、協定を考え直す時点に立っておると思います。時をあらためまして具体的にまた討論いたしたいと思います。終わります。
  173. 田英夫

    ○田英夫君 私は、去る六月十七日に沖縄返還協定が結ばれたということの上に立って、その協定が結ばれて以後、ニクソン訪中ということに象徴される新しい国際情勢、特にアジア情勢というものが生れてきている、日本を取り巻く新しい情勢が出てきているということについて、木村さん、政府の御見解をただしたいということですが、まず、ニクソン訪中というものを政府としてはどう評価されるか。つまり、ニクソンは、非常に積極的な姿勢で米中関係を打開する、アジア一つの新しい情勢をつくり出す、こういう中で積極的にやったのか。それとも、ベトナム問題に象徴されるような、非常に追い詰められたような形の中でやむを得ずやったのか。たいへん抽象的な言い方ですが、そういう意味を含めてどう評価をしておられるかをお伺いいたします。
  174. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 政府立場ニクソン大統領の意図をそんたくするのは差し控えたいと思います。しかしながら、当然アメリカがいま置かれた、特にニクソン政権の置かれた立場というものは、われわれもこれを推測するにかたくありません。  そこで第一には、いまアメリカアジアにおけるプレゼンス、これが非常に、アメリカのベトナム戦を最も焦点として、アメリカの国内においてもたいへんな困難を生じておる。これを何とか終結しなければならないということは、これはアメリカの国内問題だけでなしに、これはおそらく世界的な世論であります。そういう国際世論、アメリカの国内状況を踏まえてアメリカニクソン政権が、ことばは悪いのですが、奇襲外交に出たということは当然だと思います。しかしながら、その反面におきまして、——反面でなしに、それと同時に、ニクソン大統領の描く将来の世界戦略構想、これに大きな関係があると思います。おそらく、これは私の個人の考え方でございますが、米中ソの三極関係もいろいろこれに対する背景になっていることは否定できないと思います。したがって、そういう背景のもとにニクソン政権が、今回の米中緩和と申しますか、米中接触によって、いま申し上げた二つの面の打解に寄与すると同時に、また、これによって、中国の置かれた立場もいろいろございますから、それも踏まえて今回の思い切った措置に出たものだ、こういうような受け取り方をしております。
  175. 田英夫

    ○田英夫君 わかりました。そういうことで、一言でいえば、まあ、いわばアメリカは追い詰められている、ベトナム戦争も負けつつある、アジア情勢世界情勢あるいはアメリカの国内の情勢というものがニクソン政権にとってきわめて不利な方向に進んでいるという情勢の中で、これを何とか打開するために打った一つの手である、こういう方向お答えだと解釈するわけですが、そういう情勢の中で、来年五月までということですが、訪中した場合にどういうことが話されるのか、話し合いの内容ですが、この中に沖縄問題が入っているというふうにいわれておりますけれども、その点についてどうお考えになりますか。
  176. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 先ほど、私のお答えに対しまして、ニクソン政権が非常にベトナム戦その他で追い詰められてこの挙に出た、こういうお話でございましたが、私は、必ずしもそういう消極的面だけとは限りません。ニクソン政権の世界戦略という——ことばは少し当を得ませんが、極東あるいは世界における緊張緩和のためにこういう挙に出たという積極面もあえてわれわれは評価しなければならないと思います。いまお話しのありました、しからば、ある時期に行なわれるであろう訪中の際に沖縄問題が話し合われるであろうということの意味、私は当然、沖縄日本に返還したことはへ対中国関係におきましても非常に大きな意味を持っておると思います。むしろ、緊張緩和という面でへそういう面を私は説明するであろうということは推測するにかたくありません。
  177. 田英夫

    ○田英夫君 つまり、いまのお答えで、米中会談については訪中というもので沖縄が話し合われるだろう、それはアジア緊張緩和という中で話し合われるのだ、こういうことをひとつ確認をしておきたいと思います。実際には、この会談の内容というのは、アメリカ中国との国交の正常化の問題、そしてその他両国に関連のある問題というふうに報じられておるわけですけれども、一九六八年の十二月、つまりニクソンが大統領に当選をしました直後の段階で、北京政府の外交部の発表という形で、米中が接触をするというか、会談を実現するための基本姿勢として、台湾及び台湾海峡軍事力、これを撤退するということをアメリカが保証しろということが第一。そうして保証を与えれば、その段階で平和五原則に基づいて共存関係を持とうじゃないか、こういうことがはっきり出されておるわけですね。となれば、今度ニクソン訪中するということを実現した裏には、この中国の態度をアメリカ側が受け入れた、こう思わざるを得ないわけですけれども、つまり、台湾並びに台湾海峡から軍事力を引き揚げる、撤退するという保証をキッシンジャーなりその他の連絡の方法の中で保証を与える約束をした、こういうことでなければ、ニクソン訪中するということを中国側が受け入れるとは思えない。こういう論理になりますけれども、その辺はどういうようにお感じですか。
  178. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) その点は政府としてちょっとコメントする筋ではないと思いますが、あえて私の個人的考えを申し上げれば、確かにアメリカはいろいろカードを持っております。中国問題へのアプローチにおきましてカードを持っております。そのカードを一つずつ出していけば、対中緩和の非常に大きな手段になります。実は日本はその点では非常にむずかしいという点が大きな私の考え方の一つになっておりますが、そういう意味において、もうすでにいままでの常時パトロールから随時パトロールに切りかえておる。その随時パトロールもどういうふうに実行されておるか私もつまびらかにしておりませんけれども、そういうような台湾問題にストレートにこれを取り上げるというようなことの前に、そういうような実行措置によって、キッシンジャー補佐官の今度の周恩来との会談、あるいは来たるべきニクソン大統領訪中も、そういう前提のもとに実現が可能となったのではないかという一般的な評論には、私も賛成をいたしたいと思います。
  179. 田英夫

    ○田英夫君 そういう御見解を伺って、ひとつこれは確認をしておきたいのですけれども、つまり、中国がかねてから主張していたものをアメリカが受け入れた、しかも、その内容は、中国が明確に台湾台湾海峡から軍事力を引き揚げろ、それを保証しろと言っていたわけなんで、抽象的なことで約束をしたとは思えない。つまり、アメリカが、台湾並びに台湾海峡から軍事力を引き揚げるという保証を内々にしろ与えた、特にニクソン訪中する段階でははっきりとニクソンが周恩来なり毛沢東なりにこれを約束するということでなければ、これはアメリカの意図は通らないのでありますね。ここのところはきわめて重大だと思うのです。つまり、沖縄というものの存在、そして台湾というものの存在、そういう中で考え合わしたときに、アメリカがそこへ踏み切ったということは、台湾はもちろん、沖縄に強大なアメリカ軍事力軍事基地を持っている日本としては、アメリカがそこまで踏み切ったとしか思えないこの現実というものは、沖縄の問題と無関係でないと、こう思わざるを得ないわけで、そこで、若干私の意見になりますけれども、四月二十五日のアメリカのライフにはスノー氏の記事が出ているわけですけれども、スノー氏は昨年の十二月に毛沢東と会ってそのことを書いております。ところが、ちょうど同じライフに、ニクソン大統領が娘さんを連れて中国を訪問することを切望している、こういうことが載っている。これに対してこの春大阪の労働代表団が訪中をしたときに、郭沫若氏が、どうもニクソン大統領のほうが佐藤総理大臣よりもはるかに公明である。つまり、「公明」というのは、たいへんあからさまでよろしい。つまり、ニクソン大統領ははっきりと訪中の意図を明らかにしているけれども、佐藤経理大臣のほうは野田使節団というようなことで探りを入れてきている。これはどうも明らかにニクソン大統領のほうが中国との関係を積極的に考えているとしか思えない。こういうようなことを言っているわけです。まあ、これはともかくとして、明らかに中国側はニクソン大統領よりも佐藤総理大臣の態度に対して不満を持っているということは事実だと思いますが、そういう中で、日本は明らかに佐藤内閣、政府のいまのお考えというものは、いまの木村さんのお答えからも考えると、アメリカの、そうした台湾台湾海峡からも軍事力を引き揚げるということを意味していると思われるそういう話し合いにさえ応じるということからすると、たいへんおくれているのじゃないかと、こう思わざるを得ないのですけれども、その辺のところをひとつ明確にしていただきたいと思います。
  180. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 私は、まあニクソン大統領に対する中国の評価、佐藤総理に対する評価、これは個人に対する評価ではないと思います。したがって、日本アメリカ中国問題への立場の相違、これがきわめて明確に浮き彫りされている。御承知のとおり、米中の関係はもう百三十六回にわたる大使級折衝ですでに行なわれている。この関係がきわめて密接であったところ、朝鮮戦争、またそれに続くベトナム戦争のためににわかに断絶した関係で続いてきた。しかしながら、わがほうにおきましては、あの不幸な戦争以後何らの政治的接触もない、そのままで行なわれているということと、またもう一面におきましては、アメリカの国内問題としての中国問題というものは、おそらく第三、第四の順位の問題であろう。したがって、今回私、ニクソン大統領訪中を聞きましたときに、やはりアメリカアジアの国でないという感じを深くいたしました。それに引きかえ、わが国はアジアから撤退するわけにまいりません。したがって、このアジアにおける日本中国立場、きわめて密接なるがゆえにまた反面むずかしいところがある。それが私は日米の中国問題へのアプローチの大きな差になっている。こういうことすら考えておる次第でございます。そういう意味におきまして、アメリカが今回ニクソン大統領訪中にまで踏み切った、これはたいへん私は歓迎すべきことだと思いますけれども、そのままのことが、日本あるいは佐藤総理がいかに決意しましても、はたしてそのとおり実現できるかどうかということは、やはりそこまでの背景というものを考えてこれを行なわなければならぬ。非常にむずかしいものと考えております。
  181. 田英夫

    ○田英夫君 ということは、つまり、台湾との関係アメリカ日本とでは違うのだというふうに考えていいですか。
  182. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 端的に申し上げますと、中国が米中、日中間の問題として一番大きな問題として取り上げるのは、これは当然台湾の問題でございます。そういう意味ではいまの御意見のとおりでございますが、しかしながら、私は、将来のことを申し上げて恐縮ですが、かりに日中間で正常関係が持たれたとしても、私はこの日中間の問題としてはそれがまた新たな問題を呼び起こすスタートラインになるのじゃないか。アメリカはそうじゃございません。ニクソンドクトリンを忠実に実行しまして、アジアからプレゼンスを引き揚げていけば、米中の問題は漸次緩和状態になるというところが、やはり地理的に歴史的に、日米の中国問題に対する立場の相違だということを私は考えざるを得ないと思います。
  183. 田英夫

    ○田英夫君 アメリカ日本台湾についての関係が違うということは私も認めますけれども、しかし、アメリカも従来の経緯からすれば、台湾に対する責任を負うといいますか、友好関係を保ってきたという中で、非常にこれはそう簡単に態度を変更することができないという意味では、日本と程度の差はあるかもしれませんが、あるはずでありますね。そういう中で、先ほど詰めてお聞きしませんでしたけれども、この際確認をしたいのは、ニクソン訪中ということが実現することになった裏で、やはりアメリカ台湾台湾海峡から軍事力を引き揚げるということを決意したとお考えになるかどうか。このところを先ほどは私のほうの意見として申し上げただけでありましたけれども、ひとつ政府としてのお考えをお聞きしたい。
  184. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) これはどうも政府立場でそこまで意見を申し上げることは差し控えたいと思いますが、一般的に申しまして、いままでのアメリカ中国問題という意識のもとに、対中という意識のもとにいままでやってまいりましたいろんな措置から考えますと、ある時期にそういうこともアメリカとしては考えるのではないかという個人的な感触はございました。
  185. 田英夫

    ○田英夫君 その点はたいへん重要だと思います。上田委員の防衛に関する質問がありましたけれども沖縄におけるアメリカ軍事基地というものは引き続き確保されている、その上に日本の官衛隊が六千八百という数で加わっていくという状態沖縄ではある。そこでアメリカ台湾から引き揚げてしまう、こういうことになってきますと、沖縄をめぐる、日本をめぐる——日本全体をめぐると言ってもいいかもしれませんが——軍事情勢というものはたいへん変わってくると言わざるを得ない。何か、沖縄だけにすべてアメリカ軍事力というものが集中される可能性さえ出てくるというふうに考えざるを得ない。この辺はひとつ沖縄返還ときわめて重要な関係を持つ問題として私はここで注目しなければならないと思いますが、その点はいかがでしょう。
  186. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 私は、大きな流れとしてはそう考えておりません。したがって、今回のそういう米中間の非常な緊張緩和、これがアジア情勢、したがって沖縄の、沖縄基地の性格及び機能、そういうものにある時期においていい影響をもたらすのではないか、こう思いますが、ただ短期的に見ますと、従来もそうであったがごとく、アメリカ軍事力を撤退する際に過渡的に段階的な引き揚げ方をするという実証に照しまして、ある時期において沖縄軍事力が、アメリカ軍事力が臨時的にふえるということは、これは一つの過渡的な手段、形としてあり得ることではないかと思います。
  187. 上田哲

    上田哲君 関連。  ただいまの御意見の中で、冒頭にも大臣が言われた、台湾海峡パトロールが常時パトロールから随時パトロールにすでに変わっている。総理その他の御答弁の中にも、またただいまの御見解の中にも、当然ニクソン北京訪問というのは中国承認ということになるのだと。つまり、米中国交回復ということですね。そういうことの話し合いの中に沖縄問題が加えられるだろうと先ほど申された。ということになれば、当然台湾に対するアメリカ側の軍事的プレッシャーの解除ということが中に入ってこなければ全然話にならないわけですね。こういう状態話し合いの中に加えられるだろう。そして米中関係の完全な回復ということを展望する場合には、台湾はそういう意味で解除される。そして必然的に沖縄位置づけといいましょうか、これが軍事力増強ということばでは受け取りがたいでありましょうけれども変化を生ずる、こういうことになるだろう、こういうふうに思います。この筋道はいかがですか。
  188. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) まあ、いろんな考え方の筋道はあろうかと思います。しかしながら、大きな流れとしてとらえるときには、私はそうとは考えておりません。したがって、沖縄の持つ軍事的性格、意味合いというものは時を追うてこれが非常に緩和されるという形になるであろうということは当然でありますが、ただ、その際に考えなければならぬのは、そういう環境の改善以外に、やはり軍事技術の進歩というものは考えていかなければならない。したがって、もうすでに遠隔作戦というものは非常に進歩しております。いまのアメリカの軍事技術の中でそういうことも合わせて考えていかなければならない。したがいまして、沖縄の基地の機能あるいは規模もそれに合わせてある時期に——あえて「ある時期」と申しますが、私は基地の実質的な変化と申しますか、それもそういうことが合わせ考えられて初めて実現されるべき時期がある、こういうふうな考え方をしております。
  189. 上田哲

    上田哲君 台湾ですね、米中国交回復の話し合いが進んでいくためには、当然台湾の、先ほどおっしゃったようなパトロールの問題、具体的にはそこにしぼってもいいです。随時パトロールではとまらなくて、台湾における、台湾に向けてのアメリカの軍事的プレッシャーが解除されるということが前提とならなければ米中との話し合いというのは終結しない、こういうふうにお考えになりますね。
  190. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) どうも私どもの情報の限度では、今回のキッシンジャーと周恩来の会談、またこれに続くニクソン訪中の中身がそこまでストレートにいけるかどうかということには、はなはだ私はまだ疑問を持っております。したがいまして、現在のところお互いに相違った、対立した立場をお互いにペーパーでもって意見を交換しながら、その中に将来意見の一致を見出そうという努力が今回のキッシンジャー・周恩来の会談ではなかったかと、そう考えておりますので、いま言われましたような、これが直ちに台湾問題の終局的処理にまでニクソン訪中によって実現するかどうか……。
  191. 上田哲

    上田哲君 台湾の終局的処理をしなければだめだろうと……。
  192. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 私は、それは一つの見通しとして考えられることでございますが、総理が申しましたように、これが直ちに台湾の処理にまでニクソン訪中によって実現するかということについては、もう少し慎重に考えなければならぬと思います。
  193. 田英夫

    ○田英夫君 いまのお答え、たいへん重要なことは、確認しておきたいことは、ニクソン訪中ということが、先ほど繰り返して申しました台湾からの軍事力の撤退ということを前提にして実現をしたとしか思えないというそういう情勢の中で、ついにそれが実現をしたということは、何で沖縄だけは今度の返還協定にあるように、いままでのままの形で協定が結ばれなくちゃならぬのか。むしろ、自衛隊六千八百がプラス・アルファの形で加わるような軍事基地沖縄というものがあそこに存続をしながら返還されなければならないのかという疑問を日本の国民が持つのは当然だと思うのです。アメリカ台湾から軍事力を引き揚げる、こう思わざるを得ないニクソン訪中、また大統領が行くのにキッシンジャーがおぜん立てに行って、そこを約束しなければ中国側が受け入れるはずがない。非常に重要なことは、アメリカが頼んで中国が受け入れた。この形だと思うんです。中国が受け入れた以上は、中国がかねてから主張していたものがアメリカによって保証されたとしか思えない。つまり、台湾からアメリカ軍事力を引き揚げるということを保証した、これを約束したとしか思えない。ここのところは私はきわめて重要である。かさねてここのところを確認をしておきたい。
  194. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 私は必ずしもそう結論を急いでおりません。したがって、今回のキッシンジャー・周恩来の会談がそこまではたしてそういう前提のもとに話し合われたかどうか、また、その前提のもとにニクソン訪中が行なわれるかどうかということについては、まだまだ私どもは情報が足りませんので、そこまで結論を急ぐことはどうかと思います。したがいまして、先ほど触れましたとおり、これは一つには台湾に対する軍事的コミットメントをアメリカが放棄するというところまではたしていくかどうか。これは私はニクソン訪中までに横たわっている重大な宿題だと思います。しかしながら、それ以外におきましても、中国がそういう前提なしにこのニクソン訪中を迎えるかどうかということも、これは大きな問題でございまして、先ほど申しました日米の中国問題に対するアプローチの難易の問題、それから中国もまた中国として世界戦略を持っており、みずからの国際的地位を高める最も大きなチャンスだと見てそういう挙に出たのかもしれません。これは私の推測にすぎませんが、そういう意味でお受け取りを願いたいと思います。
  195. 田英夫

    ○田英夫君 そういうことで実はこの問題は済まされないような非常に重大な意味を持っておると思いますが、ことに日米関係というものはきわめて緊密であるということを常に言ってこられた政府、外務省にしては、今回のこのキッシンジャー訪中おぜん立て外交というものの内容の情報が、いまの木村さんのお話だと、さっぱり入ってきていないように思いますが、この辺がすでに外務省自体が頭越しになっているのじゃないか。米中頭越しが、まさに外務省の頭を越して行なわれているのじゃないか。緊密だ、緊密だと言っていた外務省のアメリカとの接触は、実はたいしたことはないのじゃなのか。こう言われてもしかたがないので、いまの、情報が入っていないということは、そういう意味に私はとりたい、こう思います。  もう一つ、そういう意味で国連代表権の問題についてお尋ねをしたいのですが、そもそも政府は、もうこの秋に迫りました国連総会というものを控えて、中国が、北京が国連の座にすわることを観迎なさるのかどうか。国連の座というのは安保理事会常任理事国という座を意味するわけですが、その点をまず伺いたいと思います。
  196. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) これはすでに国会で総理も明らかにしましたとおり、中華人民共和国が国際社会に復帰するということは観迎すべきことである、したがって、今期の国連総会に現実に入ってくる、入ってこないは別といたしまして、中華人民共和国政府が国連に参加することはきわめて望ましいことであるという考えを持っております。
  197. 田英夫

    ○田英夫君 それでは、中国、つまり北京が入ってくることは望ましいということになれば、理論的にいえば、台湾は、国民政府は出ていかなければならないということになりますが、この点はどういうふうにお考えですか。
  198. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) いま中華人民共和国が国連に入ってくることが望ましいということは、直ちに中華民国政府が国連から追放あるいは脱退するということが望ましいということとは私どもはつながっておると考えません。したがって、国連の普遍性の原則から申しまして、またわが国の中華民国との従来の関係、これは単なる日華関係だけでなしに、米華関係あるいはまだまだ国連における相当多数の国の国際世論として、中華民国政府が依然として国連にとどまることを希望してこれを支持しておるのが私は現在の状況だと考えております。
  199. 田英夫

    ○田英夫君 おっしゃる意味はわかりますけれども、継承国家論という論理からしても、中華人民共和国が正式の安保理事会の席にすわって、なおかつ台湾の国民政府が国連の座の中にいるということは、現実の問題としても、理論的にいってもきわめておかしいことでありますけれども、なおかつ、それを乗り越えて日本政府としては国連の場でそのために何らかの手を打つとか、そういう方法を考えておられるのかどうか。これははっきりとやはり国民の前に明らかにしていただきたい、こう思いますので、その点をはっきりしていただきたいと思います。
  200. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) まず政府としては、当然、ただいま申し上げました基本の二つ、すなわち、中華人民共和国を国連社会に迎えるべきであるということと、従来国連の忠実な原加盟国である中華民国政府が依然として国連の席にとどまることが望ましい、この二つの前提のもとに今後国連総会における代表権の問題の取り扱いを、その方式も含めて検討していきたい。まだ検討中でございます。
  201. 田英夫

    ○田英夫君 これはアメリカ立場ですけれども、四月二十一日にアメリカの国連大使であるジョージ・ブッシュが、アメリカは国連代表権問題についての再検討を終わっている、こういうふうに国連記者に記者会見で語っているわけですが、この発言意味は、いままでのアメリカの主張を、周囲の情勢から見て再検討、つまり、変えた、こう思わざるを得ない。しかも、実は牛場大使とニクソン訪中実現の発表直後のロジャーズ国務長官との会談の中で、アメリカ側がはっきり態度を変えた。その内容は、アルバニア決議案がすでに提出をされているわけですけれども、これに対してアメリカは、もう黙って見ている、こういう態度にしたんだ。つまり、木村さんのお答えとは違って、日本政府とは違って、アメリカは、もう中華人民共和国が正式の座にすわって国府が追放されるということを黙って見ているんだという態度に変わったと、変えたと、こういうことをロジャーズ国務長官が牛場さんに話した。牛場さんからおそらく外務省に連絡が入っているはずだと思います。これは、私の取っている情報で牛場さんがそういうことをワシントンで実は語っているということを聞いておりますけれども、この辺の情勢について木村さんはどういうふうに考えておられるか。
  202. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) それは誤った情報でございます。したがいまして、まだロジャーズ国務長官と牛場大使の間にいろいろ代表権の問題について話し合いは進行しておりますが、重ねて申しますとおり、これは、お互いに台湾を犠牲にして行なわれるべきことではないということについては、日米共通の認識だと思っております。
  203. 田英夫

    ○田英夫君 この点はこれ以上お聞きしてもお答えはないと思いますので、そういう状態の中でこの秋の国連総会を迎えるということになれば、結局は、いま木村さんの話されたような状態からは、日本政府だけが、日本側だけがきわめて苦しい立場に立たざるを得ない。アメリカさえも先に行ってしまった、こういう事態におちいって、いわば恥をかくのは日本だけだということになると私は思わざるを得ないわけですけれども、この問題も、まさしくアメリカが先に行ってしまって、先ほどのまさにニクソン訪中というところの状態と同じように、そして台湾の問題と同じように、全く頭越しに行かれてしまうということになると思うのですが、それでもなおかつ日本は一歩おくれて行くんだ、台湾との関係もあるし、それがいいんだ、こういうふうに政府としてはお考えになっているのかどうか。この点をひとつ確認の意味でお聞きしておきたいと思います。
  204. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 私どもは、そういう懸念は持っておりません。したがいまして、確かにニクソン訪中発表から非常に国際間の大きな流動的な流れが出てきている。したがいまして、私どもも、先ほど踏まえました二つの基本に沿って、日米間、また他の友好諸国とも連絡をいたしまして、日本だけが国連総会の中国問題の扱いについて取り残されないような案をつくりたいというので、ただいませっかく検討中でございます。
  205. 田英夫

    ○田英夫君 もう一つ、そういう意味日本政府の態度をはっきりと確認をしておきたいことがあるんですが、それは、中国は、北京政府は国連に入ったならば大国の立場はとらないということを、公明党の竹入委員長がさきに訪中されたときに、周恩来首相が言っておりますけれども、この意味は、すでに元旦の中国の三紙誌の共同社説の中にも同じようなことを言っておりますけれども、この意味政府としてはどういうふうにお考えになっているのか。これは、アジア情勢だけでなくて、世界全体の情勢の中で今後のことを考えるとき、きわめて重大な意味を持っていると思うんですが、「大国の立場をとらない」ということは、国連の中でいえば、常任理事国のいすにはすわらないということなのか、この辺のところをどういうふうに解釈されておるか、伺っておきたい。
  206. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 私は、「大国の態度をとらない」、これは単に常任理事国の席を取らないというような、そういう次元の低いものではないと思います。したがって、中国の建国の理想といいますか、そういう基本的な考え方に立って、おそらく私は、いままでの超大国のエゴイズムにならわない、こういう意味だろうと受け取っております。
  207. 田英夫

    ○田英夫君 その点、私も賛成でありますが、ところが、日本は、日本政府は、実は国連の中で、国連憲章を改めて常任理事国をふやして、そして日本は経済大国としてその常任理事国に加えろというようなことを検討しているということが伝えられておりますけれども、これは中国のそうした態度とは全く逆に、日本は大国の立場をとっていくんだというふうに思いますけれども、その点はいかがですか。
  208. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 私は、むしろ逆に考えております。したがいまして、安保理事国、当然日本——私は大国ということばは使いたくございません——日本が今後アジア、特に世界で占める平和的な力としての存在、この影響力を国連の常任理事国の席でこれを活用してその目的を達したい、こういうような願望から出たものでございます。
  209. 田英夫

    ○田英夫君 時間がありませんので、私は、いまの木村大臣の一連のお答えの中から、ニクソン訪中というものが好ましいものであり、アジア緊張緩和のために役立つと思うと。そしてこの点は、具体的にはお答えにはなりませんでしたけれども台湾からの軍事力の撤退ということを前提にしてしか考えられないこのニクソン訪中というものが実現をしてきたということを、木村さんは、アジア緊張緩和にとって好ましい、こういうふうにお答えになったわけで、となれば、いまや、六月十七日に調印された時点と、その後のニクソン訪中というような事態を迎えた国際情勢というもの、特にアジア情勢というものは、明らかに違ってきている。日本をめぐる、さらに沖縄をめぐると言ってもいいこの国際情勢は、明らかに大きく転換をしてきている。こういうふうに木村さんのお答えの中から考えざるを得ない。となれば、すでに昔の状態と言っていい、つまり冷戦状態中国を敵視というか封じ込めというか、そういうことを前提にした状態の中で結ばれたとしか思えない沖縄返還協定というものは、いまや新しい——木村さんもお認めになった新しいアジア緊張緩和という事態が生まれてきている、アメリカ台湾から軍事力を引き揚げるということさえ約束したとしか思えないこの情勢の中で、この六月十七日に結ばれた沖縄返還協定というものは根底から前提条件が変わってきているとしか思えない。そこで、そのような新しい情勢を迎えた中で、この沖縄返還協定というものは根本が変わったんですから、根底が変わったんですから、結び直さなければいけない。当然のことだと思いますけれども、この点についてはいかがですか。
  210. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) いまのおことばの中でちょっと誤解があるといけませんので訂正したい、はっきりしておきたいのですが、今度の米中接触が台湾からの米軍事力の撤退が前提で行なわれたんだと、これは政府がコメントしたわけではございません。その点だけははっきりしておきます。  いまおっしゃいました、この緩和と申しますか、緊張緩和、これが沖縄返還協定を、新たな事態が、沖縄返還協定の基礎を変更しなければならぬという御意見には、私は賛成いたしかねます。沖縄返還協定は、御承知のとおり、そういう緊張緩和情勢の中で、アメリカ沖縄から施政権を返還してもよいような情勢下で行なわれたものでございまして、これはわが国民の願望である沖縄施政権が日本に返還されるという意味合いのものであります。したがいまして、この返還協定そのものが、今後その実体的、面において、たとえば基地の整備縮小あるいはそこにおける米軍の基地機能の縮小その他において、緊張緩和の進行と同時に、実体面でこれが変わっていくということはこれは望ましいことであり、私は大いにそのほうにわれわれも努力しなきゃならぬと思います。返還協定そのものに今回の米中接触によって基礎的に変化があったから返還協定を結び直さなきゃならぬという御意見には賛成しかねます。
  211. 田英夫

    ○田英夫君 それならば、具体的な点で質問したいのですけれども、返還協定の第八条に、VOAを存続するということがはっきりと明記をされておりますけれども、私の理解する限りでは、沖縄からのVOAというものは、明らかに中国、ベトナム、朝鮮というものを対象にしてアメリカの宣伝放送を、あるいは謀略放送と言っていい内容のものを過去伝えてきたと思います。しかし、ニクソン訪中をするというこの現実の事態の中で、今後沖縄からのVOA、特に中国向けのVOA放送というものは根本的にいままでのようなやり方を変えなければいけないはずであるし、それどころか不必要なものになった。いまや新しいそう一いう米中関係を迎えた中で、中国に対して宣伝謀略放送とも思われる内容のものを流す必要はなくなった。そんなものをやれば、せっかく雪どけを迎えたこの米中関係というものをぶちこわすことになるわけですから、VOAの存在理由というものは失われたと、まあこういうふうに私は考えざるを得ない。しかも、VOAの存続というものは明らかに日本の電波法に違反をいたします。この辺の、電波法に違反をするということをおかしてまで何で第八条にあのような規定をしておかなければならんのか。しかも新時代、この新しい状態を迎えた中では全く不必要な条項である、こう思わざるを得ないのですが、その点はいかがでしょう。
  212. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 政府としましても、VOAの沖縄の存続、これは決して望ましいものとは思っておりません。したがって、まあ電波法の違反は、これは法律問題として、当然調整されるわけですが、わが国としましては、VOAが、従来はいざ知らず、軍事謀略放送としての性格を持たない、自由主義体制におけるいろいろニュース、あるいはニュースに相当するようなそういう放送内容を持つものであるという前提のもとに、暫定的に五年間を限って存続を認めたわけであります。しかしながら、二年たてばこの移転についていろいろ日米間で協議が行なわれるのですが、いま御指摘のとおり、米中間でまあ緩和が急速に進んで、もういまやVOAの存続が米中間緩和に妨害になるという判断が出てきたときに、これを存続するかどうかという判断はむしろ私は米政府がきめることである。こう思いますので、米政府のそういうような判断があらわれてくれば、わが国としても非常に望ましいものとして、その撤去に賛成でございます。
  213. 田英夫

    ○田英夫君 ということは、五年間ということで、二年後に存続について相談をするということでありますけれども、それを待たずに、アメリカ側から言ってくればということに受け取れますが、すでに新しいこの事態が出てきている。しかも、日本の法律に違反をするものである。こういうものを、何でアメリカ側が言い出すまで待っていなきゃいかぬのか。二年間待たなきゃいかぬのか。日本の法律に違反するのですよ。これはしかも電波法の中で、外国人、外国の政府、法人が出してはならぬということを規定している精神は、明らかにやはり日本人でない人たちが日本のそれこそ国益に反するような放送をしては困るのだ、こういう精神がその中に含まれていることは明らかなんで、つまり、だから、外国の放送が日本から出されるということは初めから望ましくない。これはやめてほしい。これはもう大前提であるはずなのに、この情勢が変わった中で、何でアメリカが言ってこなければならないのか。それまで待たなければいかぬのか。こういうことをお答えになりますと、これはそれこそアメリカ追随ではないか、こういうふうに国民が受け取ると思いますが、この点だけをとってみても、すでに沖縄返還協定というものは現実のこの事態にそぐわないものであるということがはっきりしていると思いますが、もう一回、その点、はっきりとお答えいただきたい。
  214. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) これはもうわが国にとっても望ましくないことでございます。もしアメリカ判断に基づいてこれが二年を待たずして撤去作業に着手してもらえば、それこそわが国としても歓迎するところでございますが、その反面、アメリカのほうでこのVOAの放送の性格、これを、いま田委員が御指摘のそういうようなものとはどうも考えていないようです。したがいまして、これは米中接触のいかんにかかわらず、この米中接触を妨げるものでないというような考え方のもとにVOAの存続はそのまま私は主張するのではないか、こういう考えすら持っております。
  215. 田英夫

    ○田英夫君 最後に一点伺いますが、そうなれば、つまり軍事的な謀略放送ということならば、これはこれでアメリカの側からすれば対中国封じ込め敵視政策という中で一つの目的を持っていて、しかも、占領下の沖縄でそのようなことをやっていくというアメリカ側に立った根拠はあったかもしれない。しかし、施政権返還、日本のものになったその沖縄で、日本の法律にまで反して、しかもただニュースを流す。中国を刺激しない、中国にとって不利のようなことは言わぬ、宣伝的な謀略的なにおいのないそういう放送をやるというならば、ますますもってそんな放送は不必要であると、こう思わざるを得ないのですね。日本の本土の電波法でははっきり許していないわけです。何で沖縄だけにこの新しい事態の中でそれを認めなくちゃいかぬか。私はこの点については全く納得がいきませんし、特に沖縄県民の皆さんはこの一点をもってしてもたいへん不満を持たれると思います。そういう意味で、時間が参りましたから答弁は要りませんけれども、私はこの沖縄返還協定というものは、もうこの新しい世界情勢というものの中で、政府の代表である木村さんのきょうのお答えを伺っている中でも、はっきりと、これは私の考えからすれば、根本から、根本がゆらいでしまっている、現状にそぐわない協定であるということを断ぜざるを得ないので、そういう意見を申し上げて質問を終わりたいと思います。(拍手
  216. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 ニクソン訪中についての政府の評価、総理、またいまの質疑の中でも大臣が重ねて明確にされましたことの中に、アジア緊張緩和に役立つと、こう申されました。私、非常に伺っておりまして何ともすっきりしない面を感ずるわけであります。なぜならば、先ほど来から台湾問題あるいはベトナムの問題等々、そうして沖縄の現在置かれている位置というものをからみ合わせて考えてみた場合、あまりにも多くの複雑な要素がからみ合っているのではないか。そうした中にあって、はたしてどういう一体これから形になっていくことを描かれて緊張緩和と評価をされたのか。
  217. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) まあ、いろいろの角度から考えられると思います。  第一は、これは政府の正式コメントとしてではございませんけれども、これによってインドシナ戦争が終息に向かうであろうということは常識的に考えられると思います。したがいまして、そういうようなインドシナ戦争の終息、これは当然ニクソンドクトリン一つ実現につながってまいりましょうし、また、ニクソン大統領訪中によりまして中国との関係が非常に緩和されたものになれば、そこから生ずるいろんな波及効果というものがあります。おそらく中国はインドシナ戦争に対する米中間のどういうあっせんをするか、これはもう私どもわかりませんが、インドシナ戦争への中国のある意味の寄与、これは当然あるべきものだと思います。また、それからいろいろ、したがって台湾問題の扱いについての、先ほど上田委員あるいは田委員からお話がありましたような、台湾海峡における緊張というものが当然これは緩和される。そういうことになりますれば、よけいなことかもしれませんが、いろいろ御批判を受けております日米共同声明の台湾条項も、文脈は残りますけれども、その実体的な内容は変わってくる、こう思わざるを得ませんし、また、中国のそういう米中接触によって緩和された姿勢というものが、これは私は朝鮮半島にもいい意味で影響を持つのではないかと。そう思いますと、北鮮と中国との関係はいろいろ取りざたされておりますが、朝鮮半島緊張緩和、直ちにこれが先ほども申し上げましたとおりアジアにおける緊張緩和につながるものでございますから、そういう意味において総合して——直ちにそれが実現するということは私申しておりませんが、大きな流れとして、この米中接触は、何年後か知りませんが、漸次アジアにおける緊張緩和をもたらしていくと、こういうような立場に立っております。
  218. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 いま御答弁の中で非常に大事だと思われる事柄に言及されたようでありますが、共同声明の中に盛られてる台湾、こういうものが今後実体的に変貌を遂げるだろうと。まあ、ことばじりをつかまえて申し上げるわけではございませんけれども、せっかくそこまで言及されましたのでございますので、具体的にどう実体的に変貌されていくとお考えなのか。
  219. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 当然、わが国の防衛の基本は日本の安全と平和、しかし、それは同時に極東における安全につながっておる。こういう根本認識を持っておりますことは、これは日米安保体制の基本ともなっております。そういう意味におきまして、いま申し上げたような緊張緩和台湾海峡に及ぶなれば、おそらく、総理がプレス・クラブで申しましたとおり、共同声明そのものにある台湾条項にかかわらず、そういうような台湾海峡における緊張は幸いにして現在のところ予見されません、ということまでプレス・クラブのスピーチの中で申しております。そういうようなことがなお一そういい意味で度を進めまして、いまや共同声明の台湾条項にかかわらず、この台湾海峡における緊張が非常に薄らぐであろう。したがって、この共同声明第何項でございましたか忘れましたが、台湾条項が、文脈としては残るであろうが、その実体面では大きな変化を遂げるのではないか、こういうような考え方でございます。
  220. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 そうなりますと、当然沖縄の軍事的な役割りということも非常に問題になってくるであろう。これも繰り返し論議をされてきた点ではありますけれども、従来とってきた米国中国封じ込め政策というものも根本的に変わるでありましょうし、また、ニクソンドクトリンの政策というものもこれからまあどういう形をとって変わっていくかということも問題でございましょうし、いずれにいたしましても、そういう条件というものを踏まえて考えてみた場合、また、いまの御答弁を整理してみた場合、当然沖縄の持つ軍事的意義というものが薄らぐどころではない、かえってないほうがもっともっとアジア緊張緩和の上に役立つのではないだろうかというふうに判断されるわけであります。午前中の質疑のやりとりの中でも、返還協定が結ばれた後においてもなおかつ米軍基地が八十何%というものが残されるという実態をかんがみてみた場合、その必要性がどこにあるだろうかということがまたここで問題になるのじゃないだろうか。そうしたことをもう一ぺん整理をしながら、政府としては返還協定後あるいは協定前、新しい事態の進捗に伴ってどう一体これから対応されようとするのか。同時に、日米間の折衝において、日本としての当然貫くべき主張というものをどう貫いていこうと用意をされているのか、その点、あらためてお尋ねしておきたい、こう思います。
  221. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 非常に論理的に結論を急ぎますと、いま渋谷委員のおっしゃったことも考えられますが、しかし、世界の現実と申しますか、アジアの現実もまだまだそこへ直線的に行くような現実の情勢ではないと思います。したがいまして、沖縄返還協定は協定として、これはわが国に施政権が返ってくるのですから、これは私はすなおに受けとめた上で、協定を取り巻く国際環境、アジアの環境改善ということに力を注がなければならない、それによって沖縄の持つ軍事的な意味がだんだんいい意味変化をするであろう、そういうことに期待を持って長期的な努力をしていきたい、こういう考えでございます。
  222. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 先ほど来から論議が繰り返されておりますけれども、新しい時点という立場に立てば、外交折衝においても当然いままで政府が描いている、あるいは国民全体が要望しているその方向に向かって何らかの形で突破口を開きながら、軍事基地縮小ということを踏まえて折衝する用意というものは当然起こってきていいのではないか。またそうあるべきではないか。現在、いまおっしゃられたように、すぐどうこうするということは論理を急ぎ過ぎると。それはわからないではありません。けれども、もう事態は新しく展開しているということを踏まえて考えてみた場合、そうあるべきであろう、そのためにはこれから用意をしなければならないという、そういう判断というものは当然必要になってくるのではないだろうか、この点、いかがですか。
  223. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 総体的には私も同意見であります。したがいまして、共同声明にあったベトナム再協議、あの条項はいまや必要がなくなって、協定の文にはあらわれておりません。そういうようなことからいいましても、すでに共同声明の時点から返還協定調印の時点までに大きな変化があらわれておる。そういう流れを直視いたしまして、いま米中接触、これによってどの程度緊張緩和が急速にあらわれるかどうかということは、これはやはり国際的な現実でございますから、私は簡単にその効果が現実にあらわれることはそう楽観をしておりません。しかしながら、大きな流れとしてはそういうとらえ方をすべきではないか。そういう意味におきまして、沖縄返還が行なわれる来年のいずれかの時点、それ以前におきましても、こういう大きな情勢変化に伴って当然わがほうとして要求すべきものは要求すると、また、その後におきまして米中緩和の進行状況、たとえば先ほどお話がありました台湾あるいは台湾海峡緊張緩和情勢に応じて、台湾における、沖縄における米軍基地をどのようなテンポで整理縮小していくかということについては、わがほうのまた判断、日米間で協議を進めていかなければならない、こういう考えでございます。
  224. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 もう一回確認をしておきたいと思うのでありますが、昨日外務委員会でちょっと触れてお尋ねをいたしましたけれども、おそらくニクソン訪中によって沖縄問題が当然課題にされるだろう。先ほども御指摘がありました。そうなった場合に、日本政府としては無視できないわけですね、沖縄の問題がかかってきておりますから。ところが、昨日の御答弁では、ニクソン訪中前に訪日を要請するその用意は全然考えてない、検討もされてないと、私の記憶に間違いなければ、たしかそういう御答弁であったかと思いますけれども、しかし、もし沖縄問題が——もしではない、当然私は、軍事的ないろんな要素もありますので、問題にされるであろう。そうなった場合に、いつまでも日本が、あるいは政府がつんぼさじきでいいのか、その辺の接触は保たなくてもいいのかという疑義が依然として残っておりますので、再度この問題についての大臣の御答弁をいただきたいと、こう思います。
  225. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 外務委員会でもお答えをいたしましたとおり、ニクソン大統領の訪日の計画は現在のところございませんし、また、検討する段階でございません。しかしながら、たびたび佐藤総理もワシントンに出かけております。友好国の大統領が訪日されることは、これはもう当然でございますから、ある時期にこれが実現することは望ましいのでございますが、ただ、それを迎える国内の態勢、それがはたしてでき上がっているかどうかということも、日本自体のこれは次元の問題でございますから、そういうような情勢がもし熟した時期には、あえて私はニクソン大統領の訪日は要望してしかりと思います。
  226. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 それでは、もうあと一分少々しかございませんので、一点だけ、これも確認ということで伺っておきたいと思いますが、去る十五日に第二回の毒ガス撤去作業が行なわれ、進んでおります。これには約五十日かかるといわれている。しかも、今回の毒ガスの種類は、GBあるいはVXという、きわめて致死性の高い、そういう毒ガスの撤去が進められている。この炎天下で、五十日間も避難をしなければならない。過半数以上の地域住民が避難をしている。もう不安でおちおちできないような状態を訴えているようでございます。で、もっとその辺の問題を、何とか県民の方々が安心できるような環境というものはつくれないものか。それには事前に、容器の再点検であるとか、途中のむしろ移送経路という問題よりも、事前の安全性の確認ということのほうがより重大ではないかというようなことがやはり指摘されているようでございますけれども、こうした問題点について、県民のそういう不安というものを取り除く意味からも、今後米側とさらにその辺を詰めて接触をし、そしてもっと明らかに県民の方方が安心できるというその輸送体制というものができないものか、この点を伺っておきまして私の質問を終わります。
  227. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) まだ作業完了までには相当長期を要します。沖縄県民の方がいささかの不安のないように努力するのは当然でございます。日米間で今後とも話を煮詰めていきたい、こう考えております。
  228. 春日正一

    ○春日正一君 だいぶ緊張緩和の論議がされているときですけれども、時間がないから、具体的な問題一つ二つ聞きたいのですが、エンタープライズが横須賀に入ってくるんじゃないかというようなことがいわれているのですけれども、それについて何かアメリカのほうから話があったかどうか、その点からお聞きしたいと思います。
  229. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 私が官邸におります間でも、たびたびそういう情報を受けまして、実はいろいろ確かめた上、全然事実無根ということがたびたびございました。春日先生がどういう情報に基づいてキャッチしておられるかわかりませんが、そういう情報は政府としても全然受け取っておりません。
  230. 春日正一

    ○春日正一君 現在までそういう話がなかったということですけれども状況として、たとえば、エンタープライズがこの七月十二日から第七艦隊に帰属になったというようなことが発表されておりますし、そうすると、横須賀は第七艦隊の旗艦のおるところで、まあ第七艦隊一つの港になっておる。そういう点からいうと、当然第七艦隊に転属になったということになれば、入ってくる可能性はあるんじゃないかというふうにも思うんですけれども、そこらの点、どういうふうに考えておりますか、将来の問題として。
  231. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 第七艦隊に配属になりましたことは、どうも私どももそういう情報を得ておりますし、事実でございます。しかしながら、それが直ちに日本のある港に寄港することにつながってくるかということは、まだ私ども情報を得ておりません。しかしながら、日米安保条約の当然のこととして、原子力を推進力とする艦船は、ベトナム戦争に関する国民感情は別といたしますと、当然わが国としてもこれは拒否する理由はないということだけを申し上げておきます。
  232. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、あれですね、そういう状況がある、そして特に七月の二十日には原子力護衛艦のベインブリッジというものが入ってきている。これはエンタープライズの護衛艦というふうにいわれている。そうすると、これが露払いじゃないかというふうに見られるのもこれは無理なこじつけではないと思うのですよ。それから横須賀の業者が七月末を納期としてエンタープライズの航空分隊用のワッペン七種類を注文を受けたというような話も聞いている。こういうようなことになると、これは単なる憶測じゃなくて、転属になったという事実の上から見ると、入ってくる公算が非常に大きい、状況から見ると。そういうことですけれども、いま大臣が言われましたけれども、向こうから入ってくるという場合には、日本政府としては断わる理由はない、断わらぬということですか。
  233. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) これは、当然日米安保条約に基づきまして、その寄港を断わる筋ではございません。ただ、ベトナム戦の非常に激しい時期に入ってきたとき、これが国民感情を非常に刺激したことがございます。これは当時いろいろ事情はございましたけれども、日米安保条約に基づく義務の遂行は別といたしまして、これが日米間友好という、もっと大きい基本的な問題にどういう一体影響があるかということは、米政府でも考えてほしいという考えでございます。したがいまして、そういう意味合いにおきましては、まだ政府としましても願望としての問題として取り扱う気持ちでございます。
  234. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、入ってきてもらいたくはないけれども、正面切って入ってくると言われれば断わる立場にはないというふうに受け取っていいわけですか。
  235. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 政府としてはそこまで申し上げるのもどうかと思いますが、これは日米友好、長期的な国民同士の友好親善ということを考えた上でのアメリカ判断にたよるより以外にないと思います。
  236. 春日正一

    ○春日正一君 もう一つ、具体的な問題ですけれども、そういう状況で入ってくる可能性があるというようなことで、受け入れるための、たとえば放射能の測定の施設とかなんとかいうようなものを充実しているというようなことはないのですか。
  237. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) これは、もしエンタープライズがかりに寄港しましたとすれば、その範囲において、その寄港は、市民あるいは市民の感情を考慮いたしまして、そういうような用意を万全にするということは、当然これは政府の責任でございまして、しかしながら、そういう問題が生ずるかどうか別といたしましても、原潜が入ってくるについてもすでにそういう万端の用意が必要でございますから、私は同様だと思います。
  238. 春日正一

    ○春日正一君 私の意見を言えば、いま私の前にだいぶ論議されたやりとりの中でも、アジア緊張緩和ということを言われているけれども、しかし、ニクソンドクトリンからいえば、アメリカが手を抜けばその分だけは日本で埋めなければならぬという意味で、肩がわりという問題がやはり国民の間では非常に心配されている。だから、そういう状況のもとで、いままで遠慮しておったエンタープライズが、しばしば入ってくるようになるというようなことは、これは避けるべきだし、そのために政府として全力を尽くすべきだ、そういうふうに思います。  そこでもう一つ、時間がありませんから、沖縄の問題でお聞きしますけれども、この今度の協定第七条で、アメリカの資産の買い取りといいますか、引き継ぎのために三億二千万ドル支払うということになって、これについて本会議総理の説明でも予算委員会の説明でも、内訳として、資産引き継ぎ関係一億七千五百万ドル、軍労の退職金関係七千五百万ドル、共同声明第八項実施費用七千万ドルと、こういうふうな三項目の説明になっているんですね。それから先は私まだ聞いてないんですけれども、ことに引き継ぎ関係の各種目ごとの内訳の金額ですね、たとえば三公社の引き継ぎ、これ琉球電力公社について幾ら払うのか、あるいは水道公社について幾ら払うのか、開発金融公社について幾ら払うのかというような細目についての金額というものはどうなってますか、そこを聞かしてもらいたいんですが。
  239. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) どうも私、細目のこと、よくわかりませんから、局長からお答え申し上げます。
  240. 吉野文六

    説明員(吉野文六君) 三億二千五百万ドルのうち三公社その他の民生用資産につきましては一億七千五百万ドル、それから労務費関係の費用として……。
  241. 春日正一

    ○春日正一君 ちょっと待った。それをいま私は読んだんですよ。一億七千と軍労関係の七千五百万ドルのさらに中身を聞かしてほしいと、こういうことなんです。つまり、つかみ金で一億七千じゃないだろう、水道公社幾ら、電力公社幾ら、それがあるはずだ。あるいは琉球政府の建物を幾らで買ったのか、それを聞きたいんです。
  242. 吉野文六

    説明員(吉野文六君) いま一億七千五百万ドルの大体の内訳を申し上げますと、三公社資産で大体一億五千万ドル……。
  243. 春日正一

    ○春日正一君 その中身もっと詳しく言ってくれませんかね、三公社のうち電力が幾ら……。
  244. 吉野文六

    説明員(吉野文六君) その内訳は、いろいろ関係がありまして、まだつまびらかにいたしておりません。しいて申し上げますならば、電力公社、水道公社、おのおの大体五千万ドル弱、金融公社は五千万ドル強と、それを積み上げて一億五千万ドル、こういうことになっております。それから、その他の那覇空港、それから行政用建物、道路構築物、航空標識等を合わせて二千五百万ドル、こういうことでございます。
  245. 春日正一

    ○春日正一君 これは私はたいへんなことだと思うのですよ。とにかく当然これは国の予算を要求するべきものだし、外国とものごとの取引するのに、「大体」というようなことで取引されたらやりきれるものじゃない。特にこれは沖縄県民が、三公社なんかについては、本来支払うべき筋のものじゃないということで、琉球政府あたりからもこれについては強い意見が出ておるわけですから、だから、これをあえて支払おうということになれば、当然支払わなきゃならぬという理由を国民に納得できるように明らかにしなきゃならぬはずだし、その中身は実はこれこれなんだということが——この協定の附属文書ですか、これの中には項目がたくさん書いてありますがね、私一々読みませんけれども、三公社だとか行政建物だとか道路構築物だとか航空関係の施設だとかいろいろある。それらについて、これは幾らと評価され、幾らと評価されてこうなんだと、アメリカは幾らと言ったけれども日本が幾らと値切ってここでまとまったというようなところまで報告がなければ国民が納得しない。そういう性質のものでしょう。それを、交渉にあたって、もうちゃんと判こを押してしまったあとで、前に聞くというなら、交渉中だから大体というような話でも済むけれども、判こを押してしまったあとの国会に対して、「大体このくらいであります」というようなことではこれは相すまぬことだと思いますよ。私、時間ありませんし、あれですから、これは正確に資料としてこの三億二千万ドル、その中の資産引き継ぎ関係の一億七千五百万ドル、これの中身ですね、いま言ったそれを具体的に資料として出していただきたいと思うんですが、どうですか、出していただけますか。委員長、確認してください。
  246. 吉野文六

    説明員(吉野文六君) これは財務当局とも協議して後ほどこの結論について御報告申し上げます。
  247. 春日正一

    ○春日正一君 これね、出せぬはずないんですからね。その点、大臣どうですか。ひとつ出しますと、大臣一言言ってもらえませんかね。
  248. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) こういう国際交渉ですから、交渉の経過というものは明らかにできないということ、これは双方の約束でございます。
  249. 春日正一

    ○春日正一君 経過はそうですが、中身。
  250. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) その中身についての交渉の過程においてどの程度一体細目を出すか、これはもちろん予算に計上されることですから国会の御審議を仰ぐことになりますが、現在のところ、まだそれについて国会に御報告することは、この際、ちょっと私もお約束しかねます。
  251. 春日正一

    ○春日正一君 私はそれは非常に不満だということだけ言って、時間ありませんから、あとでまたこれは問題にします。
  252. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私、大臣への質問の時間がごくわずかしかないようでありますので、一点だけお尋ねいたしたいと思います。  それはこの基地撤去のスケジュールに関連してでございますが、結論を先に申し上げますと、特に現地沖縄県民からしますと、この返還協定の内容というものはまことにもういただきかねると、それこそ、沖縄県民は何のために復帰するのであるか、ただ復帰さえすればどんなことでもいいのであるか、このような意見、憤りが日がたつにつれて高まりつつある。そういう中でお尋ねするわけでありますが、このような内容で復帰させられたならばこれはもうたいへんなことになる。ところが、反面、沖縄は、明るく平和な豊かな沖縄をつくるんだと、こういうキャンペーンがあるわけなんですが、それとは返還協定の内容というものは全くうらはらである。こういう中で基地撤去のスケジュールにA、B、Cの三段階があるということを、この前も、またきょうも話になっていた。この質疑の中でもございましたが、この煮詰まる中で、Aの中にゴルフ場が問題にされたでしょうかどうですか、その過程を承りたいと思います。
  253. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) いまお述べになりましたのは、泡瀬(あわせ)ゴルフ場ですか。
  254. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そうです。泡瀬ゴルフ場。
  255. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) この問題は、もうすでに返還交渉の中で問題にされております。
  256. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 されておらないんですか。
  257. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) されております。されておりますが、まだ米軍の厚生施設という意味において、まだ返還までには、返還されるリストの中には載っておりませんが、これは米軍の厚生施設ではありますけれども、従来本土でもそういうようなことがあったと同じような、やはり住民感情といいますか、非常に必ずしも思わしくないということから申しまして、もちろん、返還前もさることながら、返還後においては一そう、解除と申しますか、撤去について努力を進めていきたい、こう考えています。
  258. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そのゴルフ場の運営の実態について御承知でありましょうか。
  259. 吉野文六

    説明員(吉野文六君) 一部承っております。
  260. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃ、簡単でよろしゅうございますが、この内容につきまして答えていただきたい。
  261. 吉野文六

    説明員(吉野文六君) ゴルフ場の総面積は十三万二千坪でございまして、このゴルフ場は、先ほど大臣の御説明のとおり、アメリカ軍の福利施設として使われておるものでございますが、経営困難のため、一部一般の人に対しても料金を徴収して使わしておると、こういうことでございます。
  262. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 この際にぜひ再折衝していただいて、一日も早く解放してもらうというその前提におきまして、いま述べられた状況ではこれは納得がいきません。その程度の理解ではこれは問題になりませんので、私、この際、これも時間の制約がありますので、ごく急いで申し上げます。  まず、このゴルフ場は、軍が接収をしてそれをアメリカの民間に委託して経営しておるという実態はおわかりですね。これが一つ。  それでは、その十三万二千坪というのは、年間坪幾らで借り上げておるかといいますと、二十二セント——円に直すと七十九円ですね。一年間に一坪七十九円。この賃貸料で借り上げて、それじゃどのように運営しておるかといいますと、米人が一日ゴルフを遊びますというと五百四十円。それから沖縄の人が遊びますと一日千八百円。次に、土曜、日曜は特別の料金がありまして、土曜、日曜は、沖縄人は三千七百円。それから会員会費という名目がありまして、一ヵ月の料金でありますが、沖縄の人間は一万八百円、外人は一カ月千八百円。このような差別で、差をつけてこれが運営されておるというこの実態をまず理解していただきたいと思います。  さらに、その十三万二千坪というのは、その北中城(きたなかぐすく)村字比嘉区の区民の百戸近い戸数でありますが、それらの全敷地と全耕地十三万二千坪でありますが、いまだにそこに入れぬものですから、いまお隣のコザ市に現住しております。そこで、年間一坪二百九十円、これは差がありますが、平均二百九十円の高い賃貸料をよそに払って、そうして七十九円の安い賃貸料でアメリカに貸しておる。こういう矛盾があるわけなんです。ところが、最近非常に切実な問題として困っておりますのは、次男、三男が分家をいたします。ところが土地が求められない。買うには地価が三万六千円——五十ドルから百ドルの間でありますが、こういう状態で買うに買えない。借りるに借りられない。こういう切実な問題があるわけであります。このような実情をぜひ御理解くださって、一日も早くこのゴルフ場が、レジャー施設が解放されるように御努力をしていただきたいと思いますが、大臣、いかがでございましょうか。
  263. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 私もただいま実は承って、非常に住民の利益または感情に悪い影響があるということ、仰せのとおりであります。今後どういう交渉になりますか、できるだけの努力を払いたいと思います。
  264. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) この際、山中総理府総務長官から発言を求められておりますので、これを許します。  山中総理府総務長官
  265. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 私はこのたびの改造において、現職担当をそのままで留任をいたしました。私は入閣がそもそも新人でございましたので、私の閣僚中の仕事がそのまま客観的に見て留任につながるような政治家であったとは思いませんが、しかしながら、秒読みの段階に入って、明年の早ければ四月一日に返ってくるであろう沖縄をこの際ほかの者に引き継がせることについての混乱を心配しての留任であろうと考えておりますし、現地の方々のいろいろの御意向も承っておりますが、そのことについて自分の微力の全部を傾けて、今回の留任の意義をそこに置いて努力をいたしたいと考えます。そして、ただいままで議論されたであろう返還協定のあとに残された内政上の、沖縄県民の方々がほんとうに日本国民に帰ってくる喜びを味わえるかどうかの問題は、あと大部分は私にかかってくるということを考えておりますので、今日までの御指導、御協力と同じように御指導賜わりまするようお願いを申し上げる次第でございます。(拍手
  266. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 次に、砂田総理府総務副長官から発言を求められておりますので、これを許します。  砂田総理府総務副長官。
  267. 砂田重民

    政府委員(砂田重民君) 総務副長官に就任をいたしました砂田重民でございます。  大臣の意を体しまして懸命につとめる決意をいたしておりますので、当委員会の先生方の御指導をよろしくお願いを申し上げます。
  268. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 最近沖縄を襲った干ばつ、これは聞きしにまさるほどひどい状況のようでありまして、農作物、家畜に及ぼす影響はきわめて甚大だといわれております。  もうすでに政府調査団を派遣いたしまして、詳細にわたってその調査を完了したと伝えられておりますけれども、まず実態について、概要でけっこうでございますから、お知らせいただきたい。
  269. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 沖縄本島並びに宮古、石垣、さらにそれらの周辺離島によって態様が違いますが、最も干害の悲惨なのはやはり新城(あらぐすく)島、黒島それから竹富島等が顕著なようであります。そして石垣島の平野部、これらの問題が一番深刻なように見られます。それらのところは飲み水にもこと欠くという離島の状態等が存在しておるようでございますが、他面においては、基幹作物である唯一の換金作物のキビ作等においては、現物も私、見ましたけれども、いま台風十八号が近づいておりますが、これがふだんならば台風は敬遠したいところでありますけれども、この際は祈るような気持ちで、雨を持って来てくれる台風として、現地においても私もそう祈っておるわけでありますが、雨が降ったとしても、おそらくもうキビが根から枯れてまいりますから、おそらく回復不能である。この点で非常に心配をいたしております。したがって、キビの新しい苗を本島のほうから運んで植え直し、あるいはまた換金作物としてのバレイショあるいは落花生、そういうもの等の措置、あるいは緊急に離島等における牛馬の飼料——主として牛でありますけれども——そういうもの、人間の飲み水を含めた離島への水の搬送、そうして、できれば管による導水、そういうことも含めて、先般の琉政の要請がありました三億二千九百万円余りの金額からさらにこれが増大せざるを得ないというようなふうに調査団の連中から報告を受けましても、そういう印象を持っておりますので、この際、来年は絶対にそういうことにならないような基本的な恒久策も直ちに検討にかかり、できれば実施にも着手したいと思っておりますが、当面そのような事態を突破し、そして、ことに離島の人々の収入減という問題にいかに対処するかという問題を真剣に検討しておるわけでありますが、もちろん飲み水も、本島における給水時間の二倍が断水時間であるというような問題等についても非常に心配いたしておりますけれども、まだ本土からの給水を仰ぐという要請はございませんので、これもまた雨が降ってくれれば一応片づくということで、概略でございますけれども、そういうことで、いま具体的に必要なものは作業を急いでおるということであります。
  270. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 一番いま問題は、いまもちょっと触れられましたけれども、特に農家に対する救済措置だと思います。ただ、お金をもし必要な方に対しては貸し付けるというようなことも、当然これから考えの中に入ってくるだろうと思いますけれども、しかし、実際には返済にもこと欠くという実情であってみるならば、この辺もたいへん問題が残るんではないか等々考えてみました場合に、政府としては根本的にまず農家の今後の自立をはかるために、もちろんお金のみならずその他の救済措置というものをすでに考えられて直ちに手をつけられるんではないだろうか、このように判断されるわけでありますけれども、いかがでございましょうか。
  271. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) これ、非常に頭を痛めておりますのは、宮古台風による収穫の減少に伴う負債、農業系統資金等を主にして借りておりますが、一般銀行の負債等も持っております。さらにその前の昭和三十八年の異常干ばつ、それを上回る今回の干ばつというようなことから、現金収入の減の上にさらに負債の累増というようなことが、離島農村の人々にとっては喜ぶべき復帰の年であっても、心で喜ぶことがかりにできたとしても、生活は貧窮のどん底に落ち込んで復帰するんだというようなことになることを非常に心配をいたしておるわけであります。したがって、これらは何らかの措置を講じなくてはならない。全額国が補助するというようなことは、この種々の性質上むずかしゅうございますけれども、しかし、本土においても開拓農民の負債の肩がわり等について努力をした例等もございますから、何らかの措置をもって、農民の方々のそういう二重苦と申しますか、二重、三重の苦しみの中に本土復帰を迎えるというような事態を避けたいものだと念願をしております。
  272. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 差し迫った問題として生活がかかっていると思うんですね。いまも御報告がありましたように、キビが全滅、わずかにパインですか、これが若干残されるだろうと、こういうふうに伝えられておるようであります。家畜も相当な被害である。こうなりますと、一番問題になるのはその日のうちから生活に困りはしないか。少なくとも、何回か私も離島に参りまして見てきた印象というものを思い起こすまでもなく、まあ、長官自身もよくよく御存じのとおり、とにかくもう現金収入がない。直ちにどうするのかと、お金がすぐ引っかかってくると思うんです。当然琉球政府も次善の策を講じておられると思いますけれども、はたしてそれで十分であるかどうか、これは問題があろうかと私は思うのであります。そういうような点を踏まえて、緊急にいまやらねばならないという問題、この辺は進められているんでございましょうか。
  273. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 私のほうに本土側の資金要請をされました中にはございませんが、琉球政府がみずから行なう救農土木的な、現金収入を与える事業として八千二百万円ほど計上されておりますが、これは琉政の予備費支出と思いますけれども、これではとてもたいへんなことでありますので、まかなえませんから、現在検討いたしておりますのは、琉政のほうの一九七一年度予算がまだ実は成立をいたしておりませんので非常に困っておるのですけれども、これを急いでもらいまして、そして幸いにして主要五島の循環道路等の公共事業等を中心に、各種の、いわゆる人夫賃的なもので現地の人に必ず金が落ちる事業が一ぱいございますから、これを上半期と言わずに一・四半期に全部使い切るくらいのつもりで執行を急ぐようにきのうも指令をしたところでございます。  さらに、これは国の財政政策全体の運用の問題でございますから、どういう政策がとられますか。しかし、法人税を中心とする歳入欠陥の大幅な見通しの上に立って、一方においてはまた景気が意外に沈滞して浮揚しないということの刺激策等から、国債の発行ということも、増発等も考えられて検討されておりますので、そのような場合においては沖縄においてやらなければならない水対策その他の問題を優先いたしまして、たとえば宮古のレインガン、十一個の井戸から取るレインガンとか、あるいは石垣の、完成に六カ月を要するそうでありますが、ダムをつくる作業とか、そういうことに緊急にそういう支出を要請をしてその対象にして、少なくとも現金収入が他の手段によってそれぞれの島で得られるようにしたいということも、いま考慮して検討中でございます。
  274. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 まあ、何といっても人命にかかわる問題としては水、これは言うまでもないことでありますけれども、本島においても北部地域においてはダム建設の予定地があげられ、そして調査段階を終えて、これからどうするんだという段階になっておるんじゃないかと思う。本島はもちろんのこと、いまお話がございましたように、離島においてもこれから深刻な問題である。いつも天を待つわけにいきませんし、米軍が人工雨を降らそうとして失敗したというようなナンセンスな話も出ているところでありまして、これは恒久的な措置として、先ほど長官が冒頭に、今後の対応策としてこれを根本的に改めていかなければならない、このように申されましたけれども、今回の干ばつを機会に、しかも返還を目前にした状況にかんがみて、具体的にこの水の問題をどうこれから計画を進められ、地域住民の安心を得られるように直ちに手をつけられるおつもりか。その計画の概要について述べていただきたいと思います。
  275. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 本島においては、中南部の人口密集地区の給水がとても想像を絶する事態にありますし、もともと本土に比べて一人当たりの給水量が少ない。また米軍が三分の一を、優先とは申しませんが、権利的に米軍側に回しておって、一般の沖縄県民のほうには三分の二しか回っていない実情等を考えますときに、福地ダムの建設されました導水管を石川浄水場までどうしてもすみやかに建設しなければなりませんが、これは米軍の援助費というものが打ち切られましたために、すぐに日本政府側が直ちに石川浄水場まで導水管を引っぱるという予算は巨大な予算でありますから、なかなかつけられずに、現在のところ直ちに完成するという予算になっておりませんが、これなどは、今回の事態にかんがみて、相当な巨額な金になりますが、それをぜひともやらなければならないと思います。  さらにまた中部等においても、一般の小さな川でありますけれども、利用できる川がそのまま海面に流れ去っておるという状態等は、ちょっとしたくふうをすれば用水に利用できるわけですから、そういうような点も本島においては考えてまいりたいと思うのです。  宮古島においては、これは伏流水があることを、昭和三十八年の大干害の後に米軍の科学的な探査によって発見された。私も確かめてまいりましたが、ことしの予算ではここに全額国費のパイロット畑かんをやってみて、そして全島の人たちに水をかければこういうふうになりますということを見てもらおうと思ったんですけれども、これはもう間尺に合わないということで、台風はまだ折損、倒木等で助かる率がキビ等についてありますけれども、干害で一定以上たちますと根から枯れてきますから、もう収穫ゼロになる可能性に近づくわけでありまして、その意味では、やはり先ほどちょっと触れました、さしあたり伏流水を十一カ所からくみ揚げて、強力なレインガンをもってかんがいするということで何とかいけるということでありますから、それをさしあたりは実施設計費をことしの予算で出すようにいたしておきますが、できれば先ほど申しましたような財源対策等が確立されるならば、これも二カ月間の工期でできるということでありますので、それを年度内に完成させておけば、もう来年はだいじょうぶだということにこぎつけられれば、たいへん成功するところだろうと思います。  それから石垣島については、先ほどのダムが六カ月かかりますから、来年も干ばつであるとは実は限りませんで、干ばつ対策がともするとのどもと過ぎれば熱さを忘れるようなことになるのは、翌年は大体干ばつでないということがありまして、そういう結果になりつつありますから、ある意味では人災だということも言えるわけです。今度はそういうことのないように、石垣におけるダムの建設、それで足りなければ、石垣にも伏流水がありますから、そういうもののくみ揚げ、そういうことも考えてみたい。さらに新城島、黒島等においても、これはもう水が幾ら探査しても掘ってもないわけでございますから、西表(いりおもて)の豊富な水を、海の底に導水管を引っぱりまして、やや潮流が激しいために、現在まで調査いたしましたものよりも工事費もかさむようでありますけれども、これはもう水のない島の人は移りなさいということは絶対に言えない政策でありますから、金がかかっても来年にはこれを予算化しよう。さらに本島のすぐそばにあります津堅(つけん)島というのも、これも水のない島でありますから、勝連(かつれん)半島から引っぱるための予算をつけたい。ことし池間島につけましたけれども、これが先ほど申しました予算の未成立ということでことしの間に合わなかった。私たちは予算措置をしたけれども、来年はだいじょうぶでしょうが、間に合わなくて、やはり船で運んでおるという非常に申しわけない事態等もございますから、そういう問題もすみやかに完成させなければなりませんし、また、多良間(たらま)島におきましては、かつて県会議員をした人だそうでありますが、先覚者がおられて、北部のほうのやや高台の伏流水を集めて、そしてため池にためて、りっぱなかんがいをしておられた。ところが、それが荒廃をして、いまや給水施設あたりはキビが積んである。ため池だけが残っておるという現状を報告を受けました。これにつきましてはすみやかに給水施設を本土政府の手によって完成してあげれば、多良間島においては飲み水は一応あるわけでありますが、そういう未開拓の原野も含めて、キビ、落花生、バレイショで立ち上がっていける島になれるというふうに、いろいろきめこまかい具体的な検討をいたしております。  要するに、沖縄の人々にことしのような悲惨な思いを私たちは二度と味わわしてはならないということのためには何と何と何をしておかなければならないかということをいま懸命に検討中であります。
  276. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 詳細にわたってのお話でありますが、やはり琉球政府のほうから要請がないために、水の問題についてはまだ具体的に給水していない。しかし、万が一ということを絶えず想定しながら緊急事態に即応できるという準備が必要ではないだろうか。伝えられるところによりますと、海上自衛隊の「はまな」ですか、給油艦が、給水タンクに水を積んでいつでも出動できるというような準備をしておるということも聞いておりますけれども、そういう万が一という事態に対応できるように、そういう準備も整っているのかどうなのか。たとえ琉球政府のほうから要請があるなしにかかわらず、ともあれ、われわれがいままで新聞紙上等を通しまして知る限りにおきましては、三時間か四時間ぐらいしか給水時間がない。しかも、いまのお話のとおり、アメリカ側は三分の一、琉球側——沖縄県の方々が三分の二と、非常に不公平な、まことに人権を無視したような差別というものが公然として行なわれておる。しかも、これは人命に関する問題である。こういう点で米側と折衝して平等に一特に水の場合には平等というのが当然の条件ではないか、こういうふうに考えますが、その辺の事柄についてお話しをいただきたいと思います。
  277. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 第一点の本土からの緊急水の援助の問題でありますが、これは鹿児島県が一番近うございますから、正式な役所からの要請として対策庁長官の名でもって電話で鹿児島県知事に要請をいたしました。ところが、琉球政府のほうとしては、鹿児島県から三十八年に援助をもらったけれども、そんな程度じゃとても間尺に合わないというような返事でありました。ところが、前のときには、正直言って、これは確かに琉球政府側の言われるように、その程度ではという程度だったんです。というのは、普通の定期船に水を積んでいって、残った分だけ置いてくるというような感じでしたから、むしろ、消防車等を動員して何台か走らせたが、走らせたほうにかかって、役にも立たないのに失費がかさんだという気持ちもあるようでございます。そこでいま、できれば海上保安庁あたりの船に水だけを満載して、それでピストン輸送をやった場合にどうなるかということを考えておりまして、目下のところ、琉球政府の要請があれば別でありますけれども、自衛艦ということはいまのところ考えておりません。その理由は御説明する必要はないと思うわけであります。
  278. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 差別待遇の問題は。
  279. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) この問題は、私も、一人当たりのただ単純な計算をしますと、相当米軍のほうが優先して先取りを——先取りは実はしているでしょうが、しているように見えますが、しさいに洗ってみますと、やはりいろいろな施設があるものですから、そういうところのために必要な水もあるようですけれども、いわゆる人間の飲み水以外に。しかしながら、これはもうアメリカ軍側としてもやはり非常に責任を感じておると申しますか、真剣に援助をしておりまして、現在離島の小さな島等に上陸用舟艇を派遣して、米側のほうでどんどん給水してくれて、何とか生き長らえるだけの水を給水しているのは実は米軍だということもありますので、これらの点につきましては今後の問題もこれあり、やはり今回のような干ばつのときに、米軍の一人当たりのほんとうに人間が飲んだ水と沖縄県民の飲んだ水とどのような差があるかということについては、もう少し詳しく調べてみませんと、単に三分の一をアメリカ人が、それから沖縄県民の一人当たりの量がこうだと、それだけの数字では即断できないという感じがいたしますが、私ども偽らざる感触として言うならば、感覚として言うならば、米軍のほうは、同じ断水、同じ給水時間であってもやや豊富にその時間内に給水を受けておるような気がいたしますので、そこらはもう少し検討して実情を調べたいと考えます。
  280. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 実情を調べていただきまして、これは当然アメリカ側との折衝になると思いますが、やはり強力にこれを推進して、水に関する限りはこれはいろいろな施設に使わなければならないことは重々わかりますけれども、これが家庭において使われるいわゆる軍人・軍属の家族等々、あるいは娯楽施設等々において使われておる水については平等に扱うべきではないかと思うことは、これはだれに聞いても道理でございますので、これは強力にお進めをいただきたい、こう思います。将来の問題の一つとして、これは先ほどのお話のとおり、ことし干ばつがあったから来年は必ずしもあるとは限らない。そうでございましょう。逆に水害があったりする場合があるかもしれません。けれども、やはり一番こわいのは干ばつだと思います。したがって、掘る問題もございましょうが、海水から真水に変えるという、そういうような装置もやはりあわせ考えていただいて進めていく必要があるのではないかと思います。これがどの程度現在進んでおるのか。内地においてもそれが進んでいるかどうかわかりませんが、その点も踏まえて、ぜひとも今後二度とこういう事態が起こらないように、先ほど所信の一端を申されましたようなとおりの方向に向かってぜひとも対処していただきたいという意見を添えまして、私の質問を終わりたいと思います。
  281. 春日正一

    ○春日正一君 私も干ばつの問題で質問しようと思っておったのですけれども、大体、私の聞きたいところは全部出たように思いますが、念のためにあれしておけば、さしあたっての水の対策と同時に、いまの農業被害その他に対する救済の問題、こういう問題について先ほど大臣言われたように、全力をあげてやってもらいたいと思うのですが、立法院の要請で三億三千万円弱、そういうのが出ておるということですけれども、これはどういうふうになりますか。全部充足させるということになりますか。
  282. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) これは実は金額で琉政との間に、あるいは立法院との間に私が妥結をしたという表現を使わなかったのは、六月三十日付の調査の数字でありますから、すでに私どもの派遣しました調査団の派遣の調査結果からいきましてもとてもそんなものでは足らないだろう、相当な金額に達すると思われますので、その際も、この金額で妥結をした、合意をしたということになるとかえってあとがやりにくくなりますから、むしろ琉球政府の要請されている各実施項目ですね、これを全部おやりなさい、そしてそれについて本土政府のほうで予算で必ず措置しますからということで、合意しないで、むしろ好意的に——金額に合意しないでその項目を承認したということでございますから、琉球政府としてもかえってそのほうがやりやすいと見ているわけであります。へ理屈を言えば、沖縄の災害救助法の補助率はほとんど七五%である。ところが、本土では三分の一ないし二分の一までが限度であるというような違いがございます。でありますから、具体的に議論をすればいろいろありましょうが、このような環境に置いたのはやはり本土政府の責任もああります。もしこれが沖縄が本土の一県であったとしたならば、少なくとも三十八年の干ばつのあとにはいま議論しているようなことは実施しているはずでありますから、そうするとすれば、やはり私たちはここに本土政府が手を差し伸べなかった責任というものを感じますので、そのような小さな補助率がどうのこうのという問題を越えて、琉球政府で緊急にやることについては本土政府が財政上責任持ちますという約束のほうがよろしいじゃないかということで帰してありますので、三億二千九百万余りというものは一応念頭にはございますが、それは項目を承認したということで、もっと上回るだろうというふうに考えております。なお、これが調整費十億をもって足らないという場合があり得ましても、本土において災害が起こります場合には一般会計の予備費から閣議の決定を経て支出するわけでありますから——まあ大蔵大臣おりませんけれども、当然の姿勢として私は一般会計予備費をもってこれを支弁することも場合によってはあり得べし、それくらいの決意でもってやらなければこの緊急事態を救うことはできない、こう決意しておる次第でございます。
  283. 春日正一

    ○春日正一君 そういう姿勢で全力をあげてやってほしいと思います。  それからもう一つの問題、いまの本島の水の問題、これ、いまの話で大体わかりましたけれども、やはりあの現地の新聞なんか見てみますと、ここにもありますけれども、ゴルフ場にこう水をまいている。それからその上には沖縄の県民がたらたらと水のたれるような状態でやっているところの新聞が現に出されている。そういうところを見ますと、私は現地へ行ってみないから実情は正確にわからないんだけれども、やはりそういう面の不平等といいますか、それに対する県民の不満というようなものは非常に強いんじゃないか。そういった背景でそういう新聞の写真なんというものが上がっておるんじゃないかというふうに考えられるわけです。だから、そういう意味では、やはり先ほどの話に出ましたように、一人当たりの量とすれば四倍になるんですか、県民の消費量が〇・三トン、米軍の消費量は一・二トンと四倍になる。それを施設その他、先ほどいろいろ話もあったけれども、しかし、かなりその点ではおそらく日常生活に使う水でも、差があると思うんですよ。その差を残したままで同じように時間制限やったからといって、これほど乏しくなってくればゆとりがなくなりますから、ますますそこのところの不平等というものはなお拡大された形で出てくる。そういう形になると思いますが、だから、そういう意味で、やはり政府としてすぐ雨でも降ってくれればいいけれども、現状においてやはりアメリカ軍のほうのもとが大体違っているわけですから、ただ平等に制限していますというだけでは、これは公平にならぬわけですから、むしろもとの少ないほうによけい回させるような談判、これは当然やるべきだと思うんですけれども、その点、どうですか。
  284. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) これは、我田引水ということばはやはり飢饉のときのたんぼにかける水争いから始まったことで、血の雨が降ったということは、これはもう日本の農民の歴史をたどれば明らかでありますし、外国の砂漠で一つの水筒を奪い合う——単に映画でなくたって、私らはよくわかるわけです。したがって、生きるがための水という問題について、そのような現在は一応征服者の立場で残っておるわけですけれども、そういうことが、生活のための血液とも言うべき水の問題で区別が県民の目にだれにも明らかなような状態であるとすれば、問題が非常に大きな問題として発展するおそれがありますから、ただいまの御意見を十分体して、ルートを通じて話し合ってみたいと思います。
  285. 春日正一

    ○春日正一君 それからもう一つは、これは学術会議の問題ですね。これはまあ大臣もだいぶ心配されて、この間の通常国会では何とかまあ法律を間に合わせて学術会議に参加できるようにしたいと言っておられたのですけれども、実際そうならぬで、七月二十五日立候補の締め切り、それで投票の締め切りが十一月二十五日、一月二十日から任期三カ年で始まるということになるわけですが、そうすると、この機会をのがせばあと三年間沖縄の学者は学術会議に参加できないわけですね。そういうことは、やはりこれから先の沖縄の学問の発展とか本土との一体化というような関係から見れば非常にぐあいの悪いことになってくる。だから私は、大臣のいままでの努力はわかるのですけれども、しかし、ここまで来て、何とかやはり復帰するまでに、四月一日とすれば、もうあと幾らでもない期間で施政権が返ってくるわけで、それから先二年以上にわたってブランクにされるということは忍びがたいことで、これは日本の学問全体から見ても損なことなんで、何とか間に合わせてそれのやれるようにできないものかということですけれども、その点、どうですか。
  286. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 私の在任中に果たせなかったことが、学術会議沖縄側からの選挙並びに総会その他構成員への参加の問題と、それから無過失賠償の問題の二つでございました。  この問題の、私に引き続き残された問題としての学術会議の問題は、私のやはり自民党に対する党内における政治力の限界であった、私の責任でございます。無過失賠償法についても同じであります。誠心誠意やってみたつもりでありますが、ついに合意を得ることができなかった。そこで、私のほうでは法制局とも相談をさせながら、政令の改正によって、沖縄のほうで本土と同じような法律をつくってもらって、それをすみやかに制定してもらって、それによって選ばれた者を同じ待遇をすることが可能であるかどうかを検討してみましたけれども、しかしながら、やはり国政参加の際と同じように、全国区の議論で行き詰まりましたと同じことで、やはり別な法律で施政権外のもとにある地域に本土のほうの有権者も候補者も及ぶということはちょっとやはりできないという解釈でございましたので、やむを得ず、来年度の予算措置として、沖縄側から必要な学者の本土と同じ——名前はオブザーバーにせざるを得ませんが——参加のための必要経費その他について予算措置をもって実質上学術会議沖縄の人たちが参加できるような道を開きたい。その道しかもう残されておりませんので、その手段をとるつもりでございます。
  287. 春日正一

    ○春日正一君 まあ、そこのところの苦労はわかるのですけれども、しかし、沖縄の学者の意見なんかを聞いても、オブザーバーということではやはり十分に役が果たせないし、いままででも本土と沖縄の学術交流というのは実は本土からの一方交通で、沖縄のほうがこう入ってくるという関係になっていない。だから、オブザーバーという形ではやはりそういう関係が十分果たせないようなことになるだろうし、だから、国政参加のときでも、最初は、施政権が返らなければまずいからオブザーバーでというような話があったんですけれども、各党いろいろ議論している間に、とにかく地方区はそれで参加できる。しかも、ここへ出てきてからの資格、権限も、最初は、本会議での発言とか決議権というものを与えないとかいう問題が出されたのだけれども、それも詰めていってみたら全部取り払われて、本土の国会議員と同じ資格というところまでいったわけですね。だから私は、学術会議の会員というようなことになれば、憲法できめられた国会議員の選挙とは幾らか違うわけですから、本土で法律をつくって、その法律に基づいて沖縄の学者がこの選挙に参加できるというようなふうにすれば施政権の返る前にでもやれるのじゃないか。たとえば外国にいる日本の学者が学術会議の選挙に参加できるというようなことは、当然道理としてはこれは通るわけですから、それはできるはずなんじゃないか。だから、そういう意味からいえば、この次の沖縄臨時国会、いつ開かれるかわかりませんけれども、その冒頭にでもそういう特例法でも出して成立さして、沖縄のほうからも参加できるような道というものが開けないものかどうかということですけれども、そこら、どうですか。さんざん議論した結果、国政参加でもそうなったわけですから。
  288. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 私のつくりました法案の原案というものは、まさに御希望どおりにそうなっていたわけであります。それが先国会の最終日までがんばってもどうしてもできなかったということの責任は、はっきり私がとりたいと思います。しかしながら、そのような手段を別な法律でということになりますと、もうすでに締め切りをやって、選挙を行なうわけでありますから、沖縄側には選挙権、被選挙権ともに与えなければおかしいと思うのであります。したがって、参加させる道を開くだけのことになりますから、それでは本土と同じような待遇で、選挙権も被選挙権も、候補者名簿を閲覧して変わりなく行使できるということの法律は、いまになってはもうつくるすべもございません。でありますから、オブザーバーと申しましても、これは選ばれた総会の構成メンバーについて参加できる道を開くわけでありますから、実際の分科会に分かれて、それぞれの人文科学なり、あるいは植物とか、生態学とかいうような分野については、これは選挙によって選ばれた者でなくても参加できる道ができるわけでありますから、予算措置によって、沖縄の人たちがそれぞれの分科会に、ことに沖縄の特別の条件下のいろいろな学問上の問題点もありますから、亜熱帯性の風土病その他から始まって、動植物、海洋、そういう問題について非常に日本の学界にも貴重なやはり知りたい意見があるわけでありますから、そういう実際の活動の分科会には参加できる道が開かれるということでございますので、私の精一ぱいやりました限度としてはその道しかないだろうということになっておるわけでございます。
  289. 春日正一

    ○春日正一君 おくれた理由ですね。大臣がそれほど努力されて前の国会で成立させたいと思ったのができなかったという理由として私ども聞いているのでは、きのうの衆議院でも、与党から異議が出たというような見方をしている、学術会議の事務局長は。それから、学術会議に偏向があるからというようなことをある新聞は伝えております。それから、教職員会はだめだというようなことを、まあ与党のある大臣発言として週刊誌なんかが伝えておるというようなことを見ますと、これはやはりこの理由それ自体が非常に問題を含んでいるのじゃないか。これはどういうふうに偏向があると見ようと、やはり沖縄の県民は日本の国民なんだし、当然そういう国民全体が学者として学術会議に参加して、その中で討議もし研究していく中で間違ったものは直されていくだろうし、正しいものは通っていくだろうし、それを、そういうことで法律の立案がおくれて、それで学術会議の参加ができなくなったということになると、これは非常に遺憾な事態だと思うのですけれども、そこら何とかやりようないものですか。
  290. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 党内事情については私は申し上げたくありません。私たちの自由民主党は、文字どおり自由にして民主的な党であります。日中議連の決議案等もいま議論しておるようでありますが、たいへん幅の広い、あるいは振幅も大きい党であります。いろいろな意見がございます。しかしながら、結論的にいうならば、本土の学術会議の選挙もやらないのだということならば沖縄でもやむを得ないと私は思うのですけれども、本土の学術会議の会員の選挙が行なわれることはこれは阻止できない。阻止というのはおかしいですけれども、それはそのままにしておいて沖縄の選挙参加だけについて議論するのは、これは全く江戸のかたきを長崎からはるか隔たった沖縄で討とうという、そういう議論もなかったとは言いません。したがって、それらのところは、私はたいへん口ベたでありますけれども、精一ぱいやったつもりであります。しかしながらやはり合意を得られなかったということでございまして、そこらのところ、共産党の内輪はこうであるとあなたもちょっと言えないと同じように私もこれ以上、いかにおしゃべりの大臣でも、ここらでとめておきませんといけないと思いますので、ごかんべん願いたいと思います。
  291. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 最初に、干ばつ災害につきまして、総務長官、先ほど来沖縄のまれに見る干ばつの被害につきましてたいへん御心配くださって、そして、まあ快刀乱麻と言えばあまり大げさかもしれませんが、とにかく担当大臣としての御決意を先ほど承り、私、特に沖縄選出の議員としての立場からたいへん力強く思っております。敬意を表します。  そこで、この干ばつ災害対策につきましては、ひとつこの際、台風災害とか干ばつというのは特に沖縄立場の宿命でもあると思いますが、しかし考えてみますと、今日まで天災だというあきらめもなきにしもあらずでありましたが、これはだんだん、今日では人災であり、人災は結局政治の課題ということになりますので、そういう立場からひとつ抜本的にこの機会に解決をしていただいて、文字どおり災いを転じて福となす、こういう文句のとおりに、ひとつ政治力を、党派を越えて、今後ますます責任のお立場から、それこそひとつ総力をあげて沖縄問題解決のために、特に当面しておるこの干ばつ災害、その直面した問題として緊急対策、恒久対策、こういう面からひとつ抜本的に取り組んでいただきたい。こういうことを強く御要望申し上げて、次のことをお尋ねいたしたいと思います。  元来沖縄は干ばつの被害が大なり小なりあったわけですが、ところが、絶対量として水に恵まれない土地ではない。降雨量からいたしましても年間二千三百ミリ以上、それから総量といたしましても三十億トン、こういう水の量があるわけであります。これをどのようにして抜本的な施策にのせていくかということが私は今後の大事な課題であると、こう思っておりますが、それに対する御計画おありでしょうかどうか、承りたいと思います。
  292. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) まず初めに、干ばつに対する基本的な考え方ですが、先ほども御答弁申し上げましたように、昭和三十八年の大干ばつの際に、米側の電探その他によって宮古は伏流水はあるという奇跡的な発見がされたために、その後、学校その他の日常生活用水だけにはこと欠かない島になったわけでありますから、やればできるという見本は一つそこにあるわけです。ですから、絶対にこのようなことを二度と起こさないように、考えつく限りのことはこの際やりたいと思っております。  沖縄の年間降雨量というものの利用度の問題でありますが、これは本土のほうの流量に対する利用率からいいますと、沖縄はまだ非常に低うございます。そして、沖縄の河川は短かくて、そして一挙に大量の水を、雨が降れば海に流れ出してしまう。もしこれを途中でためることができるならば、これは、一挙に降っても、そこに貯水池みたいなものができるわけでありますから、北部の典型的な未利用の安波川、普久川はもちろんのこと、小河川等においても、今回の教訓を念頭に置いて、単に今後の工業用水確保の見地のみならず、飲料にするという見地からも、やはり表流水の最高度の利用ということをやりました場合には、沖縄においては、御指摘のとおりサンゴ礁隆起の島であって宿命的であるとはいえ、それでは片づけられない。むしろ、利用のしかたによっては、水のことについては心配の要らない島にすることは可能であると私も考えておりますから、御趣旨のような線に沿って具体策についてあらゆる角度から検討してみたいと思います。
  293. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま、たとえば降雨量をどのように貯水していくとか、こういった具体的な施策がおありでしょうかということをお尋ねしておりますが。
  294. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) やはり表流水についてはダムをつくることだと思います。そしてそこにためておくことであり、それを利用することであり、また、先ほど多良間の例を申し上げましたが、せっかく湛水する施設はあっても、それを集水する施設がいまや見る影もないというところはすみやかに集水施設をすればよろしいし、先ほど渋谷君から海水を水にという話もありましたが、これはたいへんコストが高くつきまして、いま離島振興法に基づいて本土で一カ所だけ計画的なものをやっておりますが、これを大々的な規模でやりますと、やはりトン四十五、六円のコストの高い水になりますので、いまのところはやはり表流水、そういうものを海にのがさないというものを最大限につくるのはダムと、あるいは集水装置あるいは貯水の、何といいますか、降雨についてそのまま各家庭なり、あるいは島全体で一つの大きな天水おけをつくるような作業、まあ久高(くだか)島等において弁務官資金等で一応——久高島は今回は救われたということは、去年やったばかりですでに効果は出ておるわけですから、そうして伏流水の豊富な島は、その伏流水というものを住んでいる人間なり家畜なり、あるいは生活のための農産物に完全に利用できるような政策をとるという三つの点に尽きるのではないかと思います。
  295. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 この問題につきまして、重ねて次のことを御要望申し上げて終りたいと思うのでありますが、農業用水の根本的な解決にしましても、あるいは飲料水の解決にしましても、私はできるだけ数多くのダムをつくっていただいて、そしてこの天水を貯水すると、このことが沖縄立場から根本解決策であると、こう思われます。  そこで、ひとつその面の御計画とそれに対する資金、これをひとつ重点に考えていただきたい。さらに、離島が多くございますので、この離島における水の資源の解決の問題は、もちろんダムの問題もありますが、宮古島では地下水は豊富にあるといわれております。この地下水をどう開発していくかという問題、さらにまた、離島の中のさらに人間の詰まっている離島がございますが、この離島では地下水では解決できない。どうしても飲料水を貯水しなければいけない。こういった面からもタンクの問題、さらに近い離島では、たとえば平良(ひらら)市から池間の島への送水パイプの問題、こういったいろいろの立場があるわけでありますが、ひとつ、そのようにその地域地域に即する具体的な計画を一日も早く打ち立てていただいて予算化していただきたい。こういうことを強く要望を申し上げたいのでありますが、御決意をお聞かせ願いたい。
  296. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 先ほども各地についてそれぞれ申し上げたところでありますが、それぞれの離島にはそれぞれの事情がありますから、先ほど申し上げなかった島についていいますと、たとえば伊計(いけ)島については弁務官資金で一応絶壁の下の海岸で水を揚げてくれておりますが、それでもやはり渇水期には二日断水ということでしのいでおるようですが、もう一カ所湧水がありまして、そこから水を揚げれば大体断水なしで生活できるということも、私も現地まで行って、がけの下まで降りてみて確かめましたので、これは来年度予算で措置するようにきめてあるわけでありますが、そのようにそれぞれの島に、先ほどは新城島、黒島の場合も西表からの導水管について申し上げましたし、津堅島についても申し上げましたし、また宮古島から南へ小さい島があるでしょう。来間(くりま)島については、これは船で水を宮古島から送ってタンクに乗せて配水していく。しかし、やはり天候等その他によっては船で運ぶことは問題があることは当然でありますから、そこらもずいぶん池間島よりは距離は近うございますし、そう海も深くないということでありますから、やはり本来の送水管を海中に布設をしたりしたらということを考えておりまして、各島ごとにこまかに見落しのないように全部やっていきたいと思います。
  297. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、復帰に向けて六百あまりの国内法がつくられていくわけでありますが、そういう法の立案と関連いたしまして、第三次の対策要綱はいまどういう段階に煮詰まっておりますか、お尋ねしたいと思います。
  298. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) これは大前提は琉球政府側との合意ということに置いておりますので、琉政側としては立法院もございますが、さらに念を入れて県民会議の議を経て答申を得ていきたいということでございまして、現在までに参りましたのは機構に関する問題、すなわち沖縄開発庁の設置並びに国の総合出先事務所の設置、そういうもの、あるいは振興開発特別措置法、それの裏づけの開発計画、さらに沖縄振興開発金融公庫、こういうもの等についてはすでに合意を得ておりますが、税制の問題がまだ県民会議の答申を得てないということで、正式にはまだ上がってきておりません。それを待っておる状態でありますが、事務的には琉政の担当者の諸君と精力的に打ち合わせをいたしておりまして、問題点はほぼ解消している段階に参りました。したがって、これらの問題が琉政のほうの手続が終わりましたならば、なるべくすみやかに閣議決定の議に付したいと思っておりますが、まあ、時期をいつまでにいたしますか、なるべく早くやりたいと思いますが、八月の中旬までにはというぐらいの感じでおりますけれども、なるべく早く琉政の意見を最終的に私どものほうへ上げてもらいたい、こういうことでいま催促をいたして、県民会議もときどき流会などしておりましたけれども、最近は精力的に集まって検討してもらっておりますから、そういうところで合意に達すれば直ちに閣議決定に付したいと思います。
  299. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 あと具体的な、要綱とも関連した内容の問題になりますが、最近いろんな形でそれぞれの関係団体から陳情、要請が長官のもとにも毎日のように来ておるんじゃないかと、こう思います。一面また琉球政府、また立法院、こういった立場からも矢つぎばやにあると思いますが、そういうことに関連いたしまして、沖縄の国費学生制度の存続並びに復帰記念育英奨学基金造成に関する要請、こういうことで要請がなされておると思いますが、その国費学生の制度の問題につきましてはどのように考えておられますでしょうか。
  300. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 国費留学の制度については二つ柱があるわけであります。一つは、沖縄側の教育諸環境の整備がおくれていることによって学力が低下しておる。本土との間に格差がある。そのために本土の大学の普通の採用基準では合格者が非常に困難であるということで行なわれております特別選考による採用というこの制度、これは五年間残しますということを言っておるわけであります。さらに、国費で現在全額貸与と申しますか、国費でまかなっておるということでありますが、これはいずれにしても、その特別選考の一本の柱を残しますから、それについて、最悪の場合でも現在の人員、選考された者に対する定員に対する全額国庫で支弁するか、あるいは沖縄育英会の方々から自分たちの考えとして提案されておりますのに、復帰記念に十億のファンドを積んでもらえれば、自分たちのほうで永続してこれを行なっていける。すなわち、貸与制度ではあるけれども、一定の条件を付して、沖縄に帰ってきて何年以上一般の県民のために働けば免除するというようなこと等で、そのほうがよりいいと思うという御提案がございました。これは私としても、大蔵省との話し合いの問題にはなりますが、そういう制度のほうも非常に魅力を感じておりますので、そこらのところは少なくともそういう制度は存続される。そしてその財源の取り扱いについて問題が残っておるということでありますが、しかし、存続されることについての財源措置については責任を持ってやりたい。どういう手段をとったらいいかということだけであります。育英会の希望については十分配慮いたしたいと思います。
  301. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 時間が迫っておるようでありますので、総務長官に、結論だけでよろしゅうございますから、三つ、それから防衛庁関係で一、二お尋ねしまして、結論だけでようございますから、簡単に。  まず、長官に。第一点は、沖縄の本土復帰に伴うハンセン氏病療養所の改善について要請があったと思いますが、それに対する……第一点。  それから対策要綱の第三次の中で要望が出ておると思いますが、共済組合制度と年金制度についての基本的な考え方。  第三点。これは税法とも関連いたしますが、特に沖縄の乳幼児の、子供たちの健康に重大な影響のある牛乳が沖縄では十分でありませんので、脱脂ミルク、粉ミルクが非常に大事になってまいります。この粉ミルク、脱脂ミルクに対する特別措置の要請が出ておりますが、それに対する……この三つを。  たいへん失礼でありますが、防衛庁にも問題提起をしましてお答え願いたい。  防衛庁には、この自衛隊配備は、私としましては米軍の肩がわりという前提に立っておりますが、まあ、そうではないというお答え等もあるようでありますが、六千八百人の配備の根拠は一体何であるか、これが第一。次に、米軍と別居であるかあるいは同居するのか、このあり方。次に、米軍が基地を撤去した場合に、将来自衛隊沖縄に一体どういう目標で配備されるのであるか。そうした見通し。これら第一の問題につきまして。  第二は、土地の再契約について、午前の話し合いの中でも、協力を求めていくという、こういうお話の中で、協力が得られない場合には土地収用もあり得ると、ところが、「収用」ではない、「使用」だと、こういった含みで述べておられましたが、これは結果的には同じことだと私は判断いたしますが、これを沖縄に限ってこういうこともあり得るということは一体どういうわけであるのか、このことが第二。  次に、この沖縄派遣の自衛隊は、私の知る限りにおいては、沖縄出身の七百二十一名ですか、幹部が七名と、この方々を中心にして沖縄配備すると、こういうふうに伝わっておるのでありますが、きょうのお話では、希望する者があればというようなことでありましたが、この辺の真相は一体どうなのか。  以上のことにつきまして、結論だけでよろしゅうございますからお答えを求めたいと思います。
  302. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 時間制限のせいもあってやむを得ないでしょうが、喜屋武さんはいつも最後になるとばっとたくさんの質問をして答えだけ簡単にせいとおっしゃるのですが、(笑声)そう簡単にやってしまえない問題が一ぱいあるものですから……。  第一のハンセン氏病については、国立に移すということはもうきまっておるわけでありますけれども、これの医師を含めた人員その他の整備、並びに本土と比べて、本土では強制収容と言っておりますが、ことばが少しきつ過ぎますけれども、なお在宅患者の方が一ぱいおられるという特殊事情にも間に合わせるような手段を講じなければならぬと考えて、厚生省とよく連絡をいまとっておるところであります。  それから第二の共済年金等の問題は、掛け金をかけなかった期間の問題ということに集約されると思います。すなわち、給付は本土並みにしてくれ。しかし、自分たちは制度がおくれたんだから、その間掛け金をかけていない分については国費でめんどう見ろと、こういうことになっておると思うのですが、まあ、御要求としてはわかりますけれども、共済理論、年金理論というものから考えますと、やはり掛け金をかけた者に対する国庫負担と給付というものが最終的にあるわけでありますので、そこのところはお気持ちを体しながらどのような手段でそれができるであろうかということでいま検討をいたしております。しかしながら、理論上非常にむずかしい点もありますけれども、何とか新しい考え方が導入できそうであるというような気がしておるところでありまして、ここでまだはっきり申し上げる段階に至っておりませんが、なるべく早く不安の解消につとめたいと思います。  さらに粉ミルクの問題は、これは外国から輸入する脱脂粉乳でありますとわりと扱いやすいのでありますが、本土の乳業者が沖縄について安い価格で粉ミルクを出した場合に、その数量の実績に応じて各乳業会社の輸入する原料について特典を与えるという制度になっておりますために、本土に沖縄県として返ってまいりました場合の扱いはたいへんむずかしいことになりますけれども、   〔委員長退席理事米田正文君着席〕 しかし、沖縄においては酪農というようなものがほとんど見るべきものがありませんから、この粉ミルクに依存する乳幼児、母親たちのお気持ちは無視できません。これについても相当思い切った、まあ法律上はどうかと思うような問題でもこれを存続できるような手段をいま検討中でございまして、見通しとしては、結果はそういうふうに、現在のままで落ちつけることができるのではなかろうか検討中でございますので、その程度の意思表明にとどめたいと思います。   〔理事米田正文君退席、委員長着席〕
  303. 伊藤圭一

    説明員(伊藤圭一君) 先生から御質問がいま五つございましたが、私がそのうち四つお答えいたしまして、施設庁のほうから一つの点についてお答え申し上げます。  まず第一点に、自衛隊配備は米軍の肩がわりと思っているのだけれども、六千八百人の根拠はどういうものかというお話でございましたが、私どもは米軍の肩がわりというふうには考えておりません。もししいて申すならば、アメリカが施政権を持っておりましたから、沖縄の防衛につきましても全部やっておったわけです。で、返還になりまして、日本自衛隊日本の独立と平和を守るために直接及び間接の侵略に対処するその範囲の任務は当然やるべきことでございますので、この観点から検討いたしました。ただ、いま総務長官からも何度もお話がございましたように、沖縄というところは災害などもずいぶん多いというふうに聞いております。それから、非常に離島なども多いのでございまして、その間の民生安定というものにも特に重点を置いてございます。したがいまして、陸上自衛隊は普通科——昔の歩兵でございますが——それと施設の部隊を中心に持ってまいりますが、そのほかにヘリコプターを持ってまいりまして、離島におきます患者の輸送、そういった観点から特に重視いたしておるわけでございます。  地理的な特徴からいいますと、沖縄というところは四面が広い海に囲まれておりますので、防空体制は、その空域からいたしますと九州に匹敵するような広さを持っております。したがいまして、防空体制に必要な要撃機、ナイキ、ホーク、そういったミサイル部隊は、本土から行く場合にもかなり重視して配置するという考え方をとっているわけでございます。  海上自衛隊につきましては、これは船は主として佐世保に置いておくことにいたしますが、私どもの観点からいたしますと、有事の際には沖縄の百万の方々のために安全な航路を確保しなければなりませんので、現在鹿屋(かのや)に置いております対潜哨戒機の一隊は沖縄に置いて、両方から航路を警戒するというような考え方をとっているわけであります。  二番目に、アメリカ軍の基地と別居するのか同居するのかどうかという御質問でございますが、御承知のように、米軍の基地が非常に広大な地域を占めております。したがいまして、そのほかに自衛隊の使用する基地を求めるということは考えておりませんので、米軍が撤退していきましたあとを使わせてもらいたいと思っております。しかしながら、本来米軍と自衛隊の任務というものは違っておりますので、別居の形をとりまして自衛隊の駐とん地を設置したいと思っております。  さらに、今後米軍が撤退していった場合には自衛隊配備に変更があるかという御質問でございますが、これは日本の防衛体制の一環として十分検討いたしました結果でございます。したがいまして、これよりさらに多くの部隊を持っていくというような考えは持っておりません。  最後に、沖縄に配置する隊員は主として沖縄の出身者を派遣するのであるかというお話でございますが、これは御承知のように、陸上自衛隊は現在各地域とも郷土配置という観点から郷土に近い部隊に配置する計画を立てております。といいますのは、陸上自衛隊は、昔の陸軍のように海外に行って武力を行使することはないわけでございます。したがいまして、郷土の近くで郷土を守るという意識を持って訓練をさせたいと思っておりますので、そのような観点から、沖縄の出身の方で沖縄のほうを希望する人々は優先的に配置していきたいというふうな考え方を持っておるわけでございます。
  304. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 もう一点、土地契約の問題。
  305. 銅崎富司

    説明員銅崎富司君) 土地契約の問題につきましては午前中防衛庁長官からもお話がありましたように、私どもといたしましては、地主と円満な契約を通じまして解決をはかりたいと考えております。どうしても契約に応じない場合にどうするかということでございますが、念願としておりますのは、御理解、御協力をいただきまして契約をお願いしたいわけでございますけれども、その場合にどういうような立法措置をとるかということでございますが、たいへん大事な問題でございますので、現在いろんな角度から検討しておる段階でございまして、ただいまこの席で具体的にどういう措置をとると言うところに至っておりません。
  306. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまのお答えに対してもなお質問を展開していきたいのでありますが、時間のようでありますので後日に譲りたいと思います。
  307. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 本調査に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
  308. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 次に、継続調査要求に関する件についておはかりいたします。  沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  309. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  310. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  311. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。  沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査のため、今期国会閉会中委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  312. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 御異議ないものと認めます。  つきましては、派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  313. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  なお、議長に提出する委員派遣承認要求書の作成等につきましても、便宜委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  314. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十六分散会