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1971-09-17 第66回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年九月十七日(金曜日)    午後一時三分開会     —————————————    委員異動  八月四日     辞任         補欠選任      鶴園 哲夫君     野上  元君  八月九日     辞任         補欠選任      野上  元君     鶴園 哲夫君  八月二十三日     辞任         補欠選任      鶴園 哲夫君     中村 英男君  八月二十六日     辞任         補欠選任      中村 英男君     鶴園 哲夫君  九月三日     辞任         補欠選任      松下 正寿君     栗林 卓司君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         長谷川 仁君     理 事                 中村喜四郎君                 松井  誠君                 栗林 卓司君                 春日 正一君     委 員                 稲嶺 一郎君                 高橋 邦雄君                 塚田十一郎君                 町村 金五君                 山本 利壽君                 山本茂一郎君                 上田  哲君                 川村 清一君                 三木 忠雄君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        国 務 大 臣  西村 直己君        国 務 大 臣  山中 貞則君    事務局側        常任委員会専門        員        小倉  満君    説明員        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        防衛施設庁長官  島田  豊君        外務省アメリカ        局外務参事官   橘  正忠君        大蔵大臣官房審        議官       前田多良夫君        通商産業省企業        局参事官     田中 芳秋君        建設省河川局次        長        川田 陽吉君     —————————————   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する  調査  (沖繩施政権返還時期に関する件)  (沖繩への自衛隊配備に関する件)  (復帰前の通貨切換え問題に関する件)  (本土変動相場制移行に伴う沖繩差損補償  に関する件)  (干ばつ対策に関する件)  (沖繩の海洋博開催問題に関する件)  (返還協定及び買取り資産に関する件)  (軍用地問題に関する件)  (復帰対策要綱(第三次分)に関する件)     —————————————
  2. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会を開会いたます。  まず、委員異動につきまして御報告いたします。  去る九月三日松下正寿君が委員辞任され、その補欠として栗林卓司君が委員選任されました。     —————————————
  3. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) ただいまの委員異動に伴い理事が一名欠員となっておりますので、これより理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任は、先例によりまして委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 御異議ないものと認めます。  それでは、理事栗林卓司君を指名いたします。     —————————————
  5. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 次に、沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  6. 上田哲

    上田哲君 沖繩返還国会批准国会といわれる国会あと余すところ一月のうちに迫っておりまして、山中長官も昨夜帰られたそうですが、概括的にひとつ伺っておきたいと思います。  まず、沖繩返還の時期であります。政府は来年四月ということを繰り返し申されておりますけれども、先般公表されたアメリカ下院歳出委員会対外活動分科委員会秘密聴聞会、三月二十三日、この証言記録によると、ランパート高等弁務官レアード国防長官が七月一日ということを述べております。この点についてはどのようにお考えになりますか。
  7. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 復帰日取りについては、私一存で全責任ある答弁はいたしかねる範囲かと思いますけれども、ただいまの秘密聴聞会におけるます当事者であるランパート高等弁務官に、あなたの発言が七月返還のように受け取られている、したがってその真意をただしたい、こういうことできのう話をしたわけですが、ところがそれは、予算はいつまであるのかということに対して、予算は年度一ぱいあります、したがって、復帰時点ではその機能を停止する民政府予算も六月三十日まではありますということを答えただけである。そしてそれは三月の時点のことであることに御留意を願いたい。したがって、返還協定が調印されたのはそのあとであって、その後復帰時日日米のもっと高いレベルできまることである。現地軍としては、日米両国の合意した、高いレベル決定された線に従うだけであって、異論を唱えるつもりはないということであります。そこで、私どものほうは四月返還実施ということをあくまでも主張していく。それについては異存はないということで、大体予算で六月まであるということを言っただけである。しかも返還協定前で、全く他意はありません。こういうことでありましたので、それを確認したにとどまったわけであります。
  8. 上田哲

    上田哲君 たいへん示唆に富むお話し合いだったと思うのです。ランパートさんがそういう発言をされたということをさらに確認をさしていただけば、日本側の四月一日返還という強い意向に対して、これまで伝えられているような報道をある意味では打ち消して、四月返還ということにランパート氏も、そしてアメリカ側のある部分を代表する政府意思として賛意を表した、尊重をするという意向表明した、こういうことでいいわけですか。
  9. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは、返還協定は、外務省米国政府との間において、日本国政府を代表する立場できめられるわけでありますから、その日取りについては私が全部ここで答弁できませんが、少なくとも現地責任者であるランパート高等弁務官においては、自分の発言予算が六月末まであるということを述べただけである、返還をいつにするかの決定は、もっと高いレベルできまるから、それに従うだけであって、異存は全く唱える意思はない、こういうだけの事実の確認にとどまったのであります。そこで政策決定はちょっとできかねるレベルの会合であります。
  10. 上田哲

    上田哲君 おっしゃる筋道はそうだと思います。しかし、まあ現に伝えられている発言は、ランパート氏がかなりのウエートを持っているわけでありますし、そしてまたランパート氏が占めているウエートというのは、客観的にそのとおりだと思います。また内閣改造でたった一人残られたきわめてウエートの高い山中長官ランパート氏との話し合いということであってみると、筋道としては、外務省があるいは国務省がというところを越えて、やはり非常に政治的に意味を持っていると私は受け取りたいと思います。そこで最小限ランパート氏は七月一日を主張したのではないということは確認をされた、こういうことでよろしいですね。
  11. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) そのとおりです。そしてさらに私どものほうでは、四月は非常な大きな期待感がある、それが七月にもし延びる場合における悪影響、三カ月間の焦燥感というものは、かつて一生懸命努力はしていたけれども、いつになるかわからない返還日取りというものが確定された後に起こったコザ事件が象徴的であるように、もし七月になると、その三カ月間における県民の心情というのは予測をできざる様相をはらんでくるおそれがある。十分ランパートさんのほうにおいても協力をしてもらいたいということまで話をいたしました。それについては全く同感である、友好の保たれた姿で早く復帰することが望ましいということの合意をいたしましたから、私とランパート高等弁務官の間における限りは全く意見が一致しているとお考えになっていいと思います。
  12. 上田哲

    上田哲君 その部分理解をいたしましたが、先ほど御報告があったランパート氏の発言の中に、そうした聴聞会あと返還協定が調印されておるのだということがありました。返還協定より三カ月も早くそうした意見表明されているということで、逆に一つ危惧を持つわけでありますけれども、つまり、四月一日ということが、実力者なり担当者同士である山中長官ないしランパート氏の間では合意されているけれども、それにもかかわらず、たとえば、準備作業とかいろいろな事情によって四月一日が不可能になるのではないかという危惧、そういう条件というものは現在存在していないかどうか。その点についてはどうお考えになりますか。
  13. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) それは、わが国国会において返還協定が成立しなかったということも一つ前提条件としては議論できるだろうと思います。一方、アメリカにおいては、もっと具体的なあるいは切迫した感じ方で受け取られているのは、上院審議がはたしてどの程度で終わるか。もし継続審査にでもなったら事実上四月一日が間に合わなくなるおそれがありますから、そこらの点は、アメリカ政府側としても議会に対する必死の工作をしておるようでありますので、まずそのようなことは障害として考えられることは起こらないであろうという前提考えているわけでありますが、その他の国内措置その他について、御了解得られなければ別でありますけれども、少なくとも私の考えておりまする範囲では、努力をし御説明をすれば御了解を願えるものと考えておりますので、そうした大きな要因でない限りは、返還の時期にそう大きな狂いはないだろうと思っております。
  14. 上田哲

    上田哲君 非常にはっきりしたお答えがありました。念のために繰り返しておきます。  アメリカ側議会を通過し得ないような事態が起こらなければ、それ以上それに危険視し得べき大きな阻害要因はないだろう。その場合は四月一日がずれることはないだろうという御見解。  もう一つは、そういう、ある意味では今後の日本国内政治情勢の問題もあろうかと思いますが、この際は触れません。  もう一つは、そういう政治判断両国国内政治情勢考えた上での政治判断を持つとして、しかも、政府間交渉としてどうしても四月一日を強く願望される以上は、やはり正規のルートにおける両国間の外交交渉というものが、この時点ではかなり強く進められていかなければならない。さなきだに七月一日論というものが出てきている以上は、しかもわが国世論対策ということを考えても——対策というとことばは悪いけれども、積極的に進められるべき姿勢がないと、沖繩県民気持ちからしても、一体ほんとうに四月になるのか七月になるのかということは、おそらくフィフティ・フィフティ以上の危惧を持っているだろう。そういう点で、外務大臣がというお話ではなくて、担当大臣として、あるいは国務大臣として、この政府間交渉をどのように今日まで進められておられるか。また、これから進めていかれるか、お話しをいただきたい。
  15. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 総理大臣は全く意思が変わっておりませんで、四月一日返還ということで既定方針どおり交渉することを外務大臣にも指示しておるだろうと思いますし、私に対してもその決意の変わらない旨ははっきりしておりますので、日本政府の内部から意見の変わることはまずあり得ないと思っております。
  16. 上田哲

    上田哲君 七月一日ではないかという危惧がいろいろ出てくる中の一つに、これは総務長官ではない責任者からお答えをいただくべき部分もあるかと思いますけれども、さっき私が準備作業のおくれということを申し上げたことの一つに、いわゆる核抜き問題というものがあるのじゃないか。アメリカ側は、核抜き返還というものを実現した場合に、平時の防衛体制あるいは有事の緊急計画あるいは核の輸送計画等について、まだはっきりした方針が固まっていないというふうに私ども了解をしております。こういうものができ上がっていない段階では、核抜き作業自身ができない、核抜き作業ほんとうにやるということを踏まえた上での話ですけれども。そういう立場で、その不明確部分が残っているので四月というのはちょっと無理じゃないか。こういう感覚が出てくるということはないか。結論が出てくることはないか。これはひとつ、現地に行かれて一番早くお帰りになったわけですから、その部分を含めてお考えになったと思いますが、いかがでしょうか。
  17. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) ただいまのお話のような内容が一部報道されたことがあります。しかし、私の知っております範囲では、そのような理由による、すなわち、核の撤去作業時日を要するので物理的に四月一日は不可能であるというそういう印象とか、あるいはそのような根拠のあるような表明とかというものには、一切私自身としては関知しておりませんし、そのようなことは、先ほど数え上げた障害の中に私は入らないと思っております。
  18. 上田哲

    上田哲君 非常に重要な障害としてはこれこれということを明確に言われましたから、それでほぼお答えが尽きていると思いますが、念のために、七月一日になる可能性というものは、いまどのようにお考えでしょうか。
  19. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 逆にお答えすると、核の撤去作業によってそれがおくれることはないだろうというのが私のいままでに得た感触であります。
  20. 上田哲

    上田哲君 核の問題は除外するとして、そうすると、先ほどお話しになったアメリカ議会批准の問題、それから核の問題は問題にするに足らないというお話、そうすると、それ以外の要素では考えられない、したがって七月一日はあり得ないということにほぼなり得るわけですか。
  21. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 外務大臣答弁になるかと思いますが、私の範囲外と思いますけれども先ほどは、仮定のこととして、日本国会返還協定が通らなかった場合というようなことまであげましたけれども米側においては、そのようなことを危惧しつつも、そのようなことのないように努力上院に対してもっぱら集中してやっておるようでありますから、そのこともやはり危惧で終わるであろう。しかし、しいて何か心配事があるかというならば、私が先般アメリカに参りました別な公害閣僚会議のときに会った関係者印象から、アメリカ政府側としては、やはり上院審議というものを心配しているなということはひしひしと感ぜられました。しかし、それが三十四名の通過不可能な状態にまでなるとは思われない。その工作米側米側なりにやっているようだという印象を受けておりますので、何か突発事故がない限りは、さしたる障害はない。しいてあげれば両国国会審議の問題かなという程度であります。
  22. 上田哲

    上田哲君 いまのおことばの中に、両国国会審議のというお話がありました。その問題について多少分け入ってお尋ねをしたいと思います。  沖繩復帰対策として九月三日に第三次沖繩復帰対策要綱が閣議決定された。昨年十一月の第一次以来一応これで一段落というように理解をするわけでありますけれども、来月開かれるというところの沖繩批准国会において、関連法案数百といわれておりますけれども、一体どれくらいのものが提出されるのか。それはどういう種別になるのか。その進捗状況見通し。もう一つつけ足せば、膨大な案件になるわけでありましょうから、国会提出なり、審議の方式について、これは多く院の決定するところにはなろうと思いますが、政府側としてはどのようにお考えになるか。その四点にわたってお尋ねいたしたい。
  23. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これはまさに国会審議のことでございますけれども、付託の形式については、これは国会の各党間の折衝によってきまると思いますが、どのような形で審議するかも含めて、私のほうとしては、法律の件数だけあげますと、六百一件と私言っておりましたけれども、やはりほぼその程度の数になるようですが、これはもう改廃法案とか暫定法案とかいうようなものの中に一括して入れますから、大きな法律としては四、五本におさまる。その中に法案として数えれば数多くあるということでございますので、そう審議の不便にならないようにしたいと考えます。
  24. 上田哲

    上田哲君 六百一件前後という法案成熟度ですね、進捗状況はどうですか。
  25. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) まあ、これは各省いろいろ言い分もある法律が一ばいありまして、目下熱心に整地作業——ブルトーザーをかけているわけですけれども、まあまあ、沖繩のためにそうなければならぬと私が考えていることに著しく支障を来たすようなことにはならないように順調に進むものと思っております。
  26. 上田哲

    上田哲君 不穏なことを言うようでありますけれども先ほど長官の「両国国会審議状況」ということばにあえて乗って言わしていただければ、かりに六百一件内外の関連法案がとても両院一カ月ぐらいの臨時国会で十分に審議を尽くし得ないということになった場合にですね、これはどういう事態が起こるか。批准そのものがやはり法的な国際法上の問題を含めて、条約上の解釈としては問題が起きないとしても、政治情勢の問題としてやはり四月返還ということに支障を来たすのではないか。これはお答えにならぬだろうと思うけれども、その場合でも、積み残しはあっても、まん中のレールは走っていくことになるのだということになるか、そこら辺のところを気にするものですから。その意味では六百一件というものをたとえば冒頭一括出されるか。これはもう慎重審議という立場からすれば、途中からぼちぼちではたぶん成り立たないようなスケージュールになるだろうと思います。そういう意味で、分け入ってもう一言お伺いしたいけれども、ほぼ六百一件と称せられるそうした数字、これはそのくらいになるだろうということでありましょうけれども、私の感覚でいえば、法案を字句の細部にわたってまで成熟さしていくということからしますと、この段階で本数がやはり正確でないということは、成熟度がはなはだ浅いというふうに感じたわけです。そういう意味で、その辺のところをもう少しきちっとした数字なり進捗度をあげて見通しを伺いたいと思います。
  27. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 別段そういう意味じゃありません。それで、この程度のものならば政令に落としてもいいじゃないかというものもあるわけです。そういうものは、しかしもちろん税法は冒頭に提出をします。その際には、今回は政令にもし落とす部分があれば、政令にゆだねられる部分について、やはり詳しい、ほぼ最終政令に近いものを提出して審議を仰ぐということで同時に作業を進めておりますから、全貌を明らかにしていきたいのですが、その国内法が成立しなかったらということでありますけれども、これは返還協定が成立すれば別段四月返還に根本的な問題を及ぼすものではないと私は思っておりまして、もしこれが臨時国会で積み残しがあったとしても、次の通常国会に精力的に冒頭審議をしてもらえれば沖繩復帰のための作業には間に合うんだというつもりでおりますから、そう背水の陣という気持ちでおりません。
  28. 上田哲

    上田哲君 相当思い切った御発言がありましたから承っておきましょう。  念のためですけれども政令に落とす部分もあれば法案として上げる部分もある。その辺の区分けはいつごろですか。
  29. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これはいま作業中でございまして、すでに法制局当局とも下相談をさせておりますから、私のほうでは、もう日曜も返上、昼も夜もという作業を連日やらなければなりませんので、最終段階に向かってまっしぐらに走っておりますが、それがゴール前でつまずくことはないという確信をもって作業をしております。
  30. 上田哲

    上田哲君 ゴールに向かってまっしぐらに走っておられるそうでありますが、たとえ積み残しがあっても批准が行なわれればそれで沖繩返還は実現に至ると、こういう非常に強い御発言がありましたから、その御発言を承っておきます。  そこで、その中の非常に重要な問題であろうのは、アメリカ軍基地継続使用に関する暫定措置法案と称せられるもの、これは伝えられるところでは、九月の初めに防衛施設庁長官山中長官と会われて、これが単独法案では流れてしまう心配もある、積み残しがあってもというお話がありましたが、これは積み残しがあっては困るということはおそらく山中長官もそういうふうにお考えだろうけれども、したがって、これは特別措置法案の中に組み入れてほしい、こういう話し合いもあったと聞いております。長官はこれに対して必ずしも同調の意見ではなかったようでありますけれども、まあ、そこの事実関係お尋ねすることはともかくとして、問題は、この法案批准国会で認められないような事態になった場合、これはアメリカ側批准についてたいへん支障を来たすのではないか、こういうことが観測されています。その点をどうお考えになるか。また、その点をお考えになることにおいてこの法案の取り扱いをどのようにお考えになるか。
  31. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私のほうはこれを国内措置法の中に一環として入れる意思はありません。したがって、質問外務大臣もしくは防衛庁長官にしていただきたい。というのは、何かいやな法律は敬遠するというようなそういうひきょうな態度を私はとる男ではありません。すなわち、この問題に関する交渉は私は一切関与しない立場に置かれいる。すなわち、返還協定が別個に上程されますように、日米安保協議会において構成メソバー防衛庁長官外務大臣、そしてアメリカ側の大使、米軍関係ということで行なわれた交渉でありますから、私は一切タッチいたしておりませんので、国内法だからといってその中に入れるというのは、そのいままでのいきさつ、仕組みからいって、連絡も受けていないものですから、当然私はそういうものを、国内法だからといって、別な形式で定まったものについてまで、一緒にする意思はありません。したがって、御質問には答えられません。
  32. 上田哲

    上田哲君 一つつけ足してですが、防衛施設局の設置、これは所管が違いますか。
  33. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 違います。
  34. 上田哲

    上田哲君 じゃ、いいでしょう。  そこできょう特にこまかくお伺いしたいと思うのはドルですね。長官沖繩問題に休みを返上してと言われるように熱心に取り組んでおられるということを理解をして、その上で、まあ所管外だからなんということじゃなくして、国務大臣としてお帰りになった実感でひとつお尋ねをするのですけれども、率直に言って、ここ一年前後の間に、沖繩返還と名づけられるものの内容について大きく国論が分かれております。また、特に沖繩県民感覚というものも、ただ日本に返る、本土に返る、こういう言い方からかなり具体化、進化してまいりまして、今回の返還協定に、やはりいろいろな意見——もっと率直にいえば、私どもと同じような反対という表明が強くなっている。これは単にドル問題ということだけ矮小化してしまっては問題だと思いますけれども、このことが大きくそれにドライブをかけていることは間違いないだろうと思います。ひとつ大上段にかまえてお伺いをするのですけれども、この段階現地を歩いてこられた国務大臣としての山中長官が、沖繩のそういう感覚をどのように受けとめて帰って来られたか。感想としてそのことをまず伺っておきます。
  35. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは返還協定賛成反対、あるいは沖繩が四月に返ることに賛成反対の議論を越えて、沖繩というものが日本国民であり、日本の領土の一部であって、しかも生活圏本土経済圏の中で生活をしている。あるいは日常生活必需品の八〇%は本土からの輸入にたよっているという現状は、復帰しようとしまいと変わらない現状ですから、そうすると、その問題に直接影響を与えているいまの変動相場制、あるいはドル・ショックの波及する影響というものを根本的に排除しない限りは、まず不安というものは除去できない。したがって、沖繩側の要求であった、復帰前に円とドルを交換してもらいたい、そのときには一ドル三百六十円でかえてもらいたい、そうすべきであるという要請に私はこたえなければならないと思っております。そして、これをやらなければ、どのような一次、二次、三次の要綱に照らした具体的な法律をつくってみても、沖繩の人々はやはり復帰を心から喜べない。むしろ、これから不安は増大する一方だというその原因の除去はできないだろうと私は思っておりますので、自分の能力を全部しぼって、いわゆる沖繩側の要請というものに対してこれに答えを出さなければ何の返還ぞやという気持ちでやっております。
  36. 上田哲

    上田哲君 沖繩にそうした面でもかなり大きな不安、そして第三次琉球処分などといわれるほど本土政府に対する政治不信というものは強くなっているという御感想ですか。
  37. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) そのとおりです。
  38. 上田哲

    上田哲君 率直でけっこうです。  そこで、さらに率直にお伺いをしたいのでありますけれども山中長官がいまも御表明になったように、全力を振りしぼって県民一人一人に迷惑はかけぬと、こういうふうに言われている。伝えられるところでは、円の変動相場制移行の日である八月二十七日が沖繩最悪の日として歴史に残らないよう国務大臣の責務として努力する旨を表明されておる。これはぜひそうしていただかなければならないことでありましょう。で、その点では屋良政府表明している三つの考え方、これをそのまま受けとめておられるのか。三百六十円、そして返還前、差損の補償というようなことですね、全くそのとおりとして受けとめておられると重ねて確認をしてよろしいですか。
  39. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) それを受けとめて、その要望に沿わなければならない閣僚は、極端にいうと、立場上は私一人だと思うのです。したがってそれを実現するためには全力を尽くします。ただしかし、これ以上具体的なことを聞かれますと、少し歯切れが悪くなりますので、あらかじめ予告をいたします。
  40. 上田哲

    上田哲君 一番歯切れのいい人が歯切れの悪いということを予告するのですから、質問するほうもかなりむずかしいと思いますけれども、これは一つには、政府部内の意見の統一をはからにゃならぬということを長官も言われている。今日、歯切れの悪さの一因は、あえて愚問と知りながら私はお伺いしてみたいけれども政府部内の統一いまだしということにかかっておりますか。
  41. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) そういうことはありません。
  42. 上田哲

    上田哲君 そうすると、先ほどの御言明のように、この問題を解決するのは、極端にいえば、総務長官山中国務大臣のみであるという趣旨のお話があったけれども政府の統一した見解を受けて、その先頭に立つで処理をする全権を持っているのだと、こういう心がまえですね。
  43. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 通貨問題というのは、権限は大蔵大臣にあることは御承知のとおりです。しかしながら、政府全体としてこれを決断しなければならないことについての具体的な問題は私のほうでしなければならぬと思うのです。そういう意味において、政府部内の意思が統一されていないから、そういうことを全然作業を進めていないとかあるいは検討していないとかいうことには直結しない。佐藤総理も沖繩に対して何らかの措置をとるべき旨を指示しておりますし、それが具体的にどうであるかは言えませんけれども、それについて努力すべきことが日本本土政府の責任である、こう考えておりますから、それに向かって全力を尽くして、なるべくすみやかに解決したいということであります。
  44. 上田哲

    上田哲君 抽象的にお尋ねするよりしようがないだろうと思いますが、少なくとも時間がこれだけたっている。私はこの際、時間があれば、国務大臣立場における山中長官から、沖繩という字をつければものが歯切れが悪くなるかもしれないけれども、全世界に向かって、今日、ドル防衛政策以来日本政府の示している態度の落ち着きのなさ、見識の乏しさ、それが国内経済なり社会全体に与えた不安動揺の度合い等について一つは御見解を承りたい気持ちがあります。まあ、しかし、そのことをやりとりする部分もカッコに入れて、足に踏まえてあえて抽象的にお伺いをするのだが、そうした事態がすでに一カ月もたっている。いろいろ沖繩から多くの方々が陳情にも見えてがっかりして帰っていく。こういう時間の経過を踏まえてみますと、山中長官の決意ということだけでは説明が私はつかぬだろうと思うのです。もちろん、これが具体案を一定の時間を置いて発表するなどという愚策をとるべきではないと思いますけれども一つ、抽象的にでも承っておきたいことは、施策といいましょうか、すでに結論はありということでそれを言わないのか、まだ結論には到達し得ない途中段階にあるというのか、いかがですか。
  45. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 沖繩側の方々をがっかりさせて帰さなければならない私の心境も察してもらいたいと思うのです。というのは、言ったらできないということです。言ったらおしまいだ。したがって、当分の間批判、非難、それに私は耐えていきたいと思います。
  46. 上田哲

    上田哲君 当分の間の批判、非難に耐えるだけのものに値する決意と抱負ありということで了解してよろしいですか。
  47. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) そのとおりとお答えしておげばそれで済むのでしょうが、そうなると具体的な質問になると思いますので、大体はそういう決意でおりますし、これを処理できなければ、私はいまの沖繩担当大臣としての責めを果たせないという決意を持っておりますから、全力を傾けてやります。
  48. 上田哲

    上田哲君 すでに決意の段階ではないという御理解を共通にし得るだろうという立場から、そのことについて混乱を引き起こすことのないための配慮を私もいたしましょう。最大限の決意として承っておきます。私の理解では、長官にすでに、単なる決意勇断ではなくて、具体案が胸中に秘められているというふうに考えたいし、そうでなければ、ただいまの御発言はすべて中身のない強がりになってしまうわけですから、長官の御発言の中にあるものは、そこの部分を含めて、職を賭すといいましょうか、そうですね、そういうことであったというふうに私はてんびんにかけておきます。理解をしておきましょう。  そこで、あなたの中にあることをどのように引き出すかということを避けるとして、幾つかの問題をこまかく沖繩県民の側面から伺っていくのですが、やはり返還前にやるかやらぬかという言い方では聞きませんがね、そういう言い方はしませんが、たとえ返還前であっても、そのことをためらっていてはやれないことであるし、それから三百六十円を削るということでは意味がないということであるし、どういう形であっても差損を補てんするという措置は講じなければならないことですね。そういう理解でいいですね。それだけ一つ
  49. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) むしろこういうふうに表現しましょう。沖繩側の要求である、復帰前にドルを円と交換をしろ、一ドルはその際三百六十円であるぞと、そして、その差損の問題は議論の別な点になりますが、この点は沖繩側の御主張というものを踏まえてやっていくということだと思います。
  50. 上田哲

    上田哲君 それ以上は……。相当踏み込んだ御発言なんでしょうから。  そこでこの場合、交換ということを考えるときに、これは仮定の問題としてお答えになってもけっこうだし、八月十五日の時点の預金だけを対象としてということになり、そのことの、これは大蔵省案というのはそうだというふうに伝えられてもいるわけですけれども、そういう方向で八月十五日現在の沖繩預金総額の調査ということが行なわなければならぬし、すでにそのことが試みられようとしているという点は、たとえばそういう報道ありとすればいかがですか。
  51. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 預金だけでは沖繩の人たちが全部、俗にたんす預金と言う預金もありますし、みんながいろんな形で蓄積された自分の汗の結晶としてのドルですから、それでは私は問題は解決しないと思います。しかしながら、いつの時点でどうこうというお話についてはお答えをしないほうがよろしいと思います。
  52. 上田哲

    上田哲君 預金だけではないんだという発言は私はひとつ記憶しておきます。  それから復帰前ということをかりに前提とすれば、当然アメリカ政府との交渉ということが重要になってきます。そういう努力は行なわれていますか。
  53. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) アメリカ交渉を開始したらおしまいです。交渉はいたしません。
  54. 上田哲

    上田哲君 そこでちょっと次元を下げますけれども、例の一億円と十億円ですね。育英会の一億円とそれから安定資金の十億円ですね。一億円のほうから伺いましょうか。一億円の積算根拠というのは何ですか。
  55. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは一応試算をいたしましたものですから、前提としてはいままでの学生の送金実績が大体日本円の三万円であります。その三万円を押えまして、まあその当時の変動相場が〇・〇五でありました。いまは〇・〇六ぐらいかと思います。〇・〇五、一応それを押えますと、月に千五百円足してあげなければいかぬ。差損ということばはちょっと使えないですが、足してあげなければいかぬ。さらにそれが七カ月、四月までに続くということにしますと、七倍出さなければなりませんから、おおむね一人大体一万円見当だなあという試算であります。さらにこのうちいまの試算をいたしました中で、私費あるいは自費で留学しております者が六千五百名、これで出てまいります金が六千五百万円になります。  一方本土政府予算援助による国費留学の学生がおりますから、これに対してはこの三万円から国費の負担分を円で琉球政府がこちらで支払うということによって三万円マイナス一万三千五百円という計算をします。したがって、それに一応のその当時の〇・〇五をかけますと、これは八百円ということになるわけです。したがって、八百円の七カ月で、国費留学生は明確でありますから、八百七十名、これで出てまいります金が五百万円である。これで計七千万円になりますので、これらの当初押さえました私費、自費のほうはなかなか正確な数がつかめませんから幅を見込んで、それに変動相場——まだ向こうがある程度変動相場そのものの幅がふえるから、それらを見込んで、七千万円で足りるものを、一応一億という計算をいたしました。
  56. 上田哲

    上田哲君 この問題に関連すると、たとえば長期療養者とかそれから公務で出張する人たち、こういう部分というのはやっぱり残ってしまうんですね。これはどういうふうにお考えでしょうか。
  57. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 長期療養者についても、これは本土政府予算によって本土のほうで入院治療しておられる方々については明確でありますから、これは先ほどの国費留学生と同じように、琉球政府本土に持っております銀行に開設しておる円勘定、この中で支払っていくということになりますし、公務員について、一般の上京陳情は別でありますが、公務員については同じように旅費の支給を円で琉球政府が行なうということで話はついております。
  58. 上田哲

    上田哲君 その十億円のほうですね、私はよくわからぬのですけれども、差損ということばをお使いにならぬけれども、私のほうは差損ということばで申し上げるが、安定資金十億円を、一つには念のために積算根拠もまず一点承っておきましょう。  それから、その十億円をどこへやってどういう仕組みでこれが差損の補償になるのかという点がなかなか理解できない。その二点、これは十分に御説明ください。
  59. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) まず積算根拠ですけれども、一九六九年の沖繩側が輸入いたしました生活必需品の輸入額は二百億円でありますが、これを、一〇%ずついわゆる輸入実績が伸びたものと仮定をして六九年から七〇年へ、七〇年から復帰の七一年末へということで、それぞれ一〇%ずつ輸入が伸びるものということを前提にして二百四十二億円という計算が出てまいります。その二百四十二億円について〇・〇五をかけますと一応十二億という数字が出るわけですけれども、これは一年間でありますから、まあ七カ月で大体七億前後ということになりまして、これを一応丸めて、これは輸入の実績の変動も実際上どれだけ増加するかもわかりませんでしたし、また変動相場も〇・〇五というものがどう動くかという問題も不確定要素が多いということで、七億円に対して一応三億という余裕を見て十億にしたわけです。しかしながら、私の琉球政府側とのその後の接触、交渉によりましてやはり生活必需品として拾い上げたものだけでは、沖繩県民生活の全体から考えて、木材とかあるいは建設——セメントその他——の資材とか、その他一般の日常生活物資というものがほとんど全面的にかぶらなければならない県民生活への影響というものを防ぎ切れないということがわかりましたので、まだ大蔵省と最終的な詰めが残されたままでありましたけれども、一応私の立場、権限でもって、琉球政府の通産局の作成いたしましたリスト、それを四百四十二品目について、食管物資である米と、それからビールを落としてあって、酒が入っている。その点を、酒も落としたらどうですか。酒についてはいわゆる差損を見ないということです。「差損」というのは言い過ぎましたが、まあ、めんどうを見ないということで四百四十品目にしまして、それはこまかな関税分類表による品目ですから、これが実際の物品の数になりますと約六千点くらいになると思いますが、おおむね琉球政府の提示したリストのうち、米と酒を除いてそれでもってやってもらうということで琉球政府が実行することになりました。琉球政府としては本土から十億を受け取って、資金勘定を設けまして、そして本土との間の決済の差額1と言うとまたおかしいのですが、実際上足らなくなる分をそれで落としていきますから、この十億円はどんどん減っていくわけであります。しかも、当初の積算の根拠は生活必需品に限っておりましたので一応のアローアンスが見てあったとも言えるのですけれども、これだけ品目を広げてまいりますと、計算していけば実際上は十億では足りないから、したがって、幾ら予算をまた追加しなければならないという議論になりますけれども、しかし、一応はこの十億でその品目をカバーしながら操作していってもらいますと、琉球政府が瞬間タッチをしてその必要な分を埋めてまいりますので、正常な貿易は確保できますし、事実、その発表がありまして琉球政府政府内の立法措置を急いでおりますが、そういうことができるならということで、すぐ自動車等はもう値上げはしないというようなこと等で、鎮静化の方向に向かっております。したがって、あと予算が幾ら要るかということは今後の問題になると考えておりますが、とりあえずは、琉球政府の品目を合意したものをその操作の上にのせてもらうことによって十億をどんどん取りくずしていってくださいということでいま合意している段階でございます。
  60. 上田哲

    上田哲君 私がよくわからないと申し上げたのはそこなんですけれども、ひっきょうするところびぼう策ではありますね。これ自身が、十億を琉球政府に渡して、うまくやってくれということですよ、受け取る感じで言えば。これは、かりに十億じゃなくて、それをさらに幾分か上積みしたらどうなるという性質のものじゃなくて、鎮静してきたとおっしゃるけれども、鎮静ということがかりに間違いないことであったとしても、これは本質的な救済策ではない。きわめてびぼう策という本質はやはりのがれられないんじゃないか。つまり、完ぺきに行き渡たるべき方法論は見出し得ないということですね。そういう点からすると、向こう側もたいへん困っているだろうと思う。  それから、中身の四月、七月という問題は、先ほどかなりはっきりした場面もありましたけれども、しかし、かりに七月ということになってくれば、当然同じ立場での修正が必要になるし、それまで十分な処置が講じられなければよけい困るわけですね。あるいは五%というものも具体的にそうではなくなっているわけですから、その辺のところは、変動相場自身が示すような時々刻々というわけにもいかぬでしょうけれども、びぼう策ならびぼう策なりにかなり手厚い措置を講じなければならない。そういうことからすると、これは全く焼け石に水——という表現はオーバーかもしれないけれども、そのことはこれの本質の救済にならないということになろうと思うのです。いかがですか。
  61. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは、このような手段を講じて、琉球政府の、これだけの品目をカバーすれば何とかやっていけますと言うものをかりに措置したとしても、やはりもとの議論に戻って抜本策を講じなければ当面のびぼう策ないしは糊塗策にすぎないということにおいては間違いないわけです。このようなことをしなくてはならない事態というものをやめればいいのですから、そういうことについて真剣に努力しておるところであります。
  62. 上田哲

    上田哲君 時間ですから結論を急ぎましょう。  十億の問題、一億の問題ですね。ないよりはあったほうがいいと思いますけれども、これは本質の救済にはならないだろう。いま承った十億の使い方、結果としてはそれが何かの役割りを果たして鎮静化の効果を発揮したということはあっても、そのこと自体は全くびぼう策であるということからすると、この点、問題をひとつもう少しこまかく追跡調査も要るだろうというようなぐあいに思います。  それはそれで一応とどめますが、先ほど来、歯切れが悪いというお話でありましたし、したがって、外堀から抽象的にしかゆすぶりようがないですが、いまの十億の使い道について、長官発言されたニュアンスを一応まとめながら考えていけば、その辺にこそびぼう策をもっと本質的なものに高めない限り意味がないと言われるその時期というのは、やはり十億のみをもって見るわけではありませんけれども、とてもこれは四月にいくべきものではない、こういうふうに考えます。まずその点だけいかがですか。
  63. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) どのような措置をするかということはまた別に、この金額で四月までは泳げないであろうことは、これは自明の理である。琉球政府が百億という話を出されたことがありますが、これは大体月間の輸入総額に匹敵する数字を日銀の円勘定あたりで設定してもらえば、それは毎月回っていくわけなんです。百億でずっとそれが何カ月続いてもめんどうを見てあげますという構想であります。これについては、やはり国内立場でいろいろこれは各省間の問題として——各省といっても一つの省ですけれども、そこでいわゆる何のために幾らを見るのか、それは何を意味するのかという問題にやっぱりどうしても突き当たりますので、琉球政府に、そっちの責任でやれと言うつもりではありませんで、そこのところを避けるための手段としてこれは十分琉政とも合意してとった手段でございますから、琉政に責任をとらせるというようなつもりでやったわけではありませんし、したがって、十億というものが現時点において復帰までだいじょうぶだという金でないことも承知しておりますが、いまのところは十億でまず泳ぎ始めるということで合意しております。
  64. 上田哲

    上田哲君 十億でとても向こうまでは泳ぎ着かない、したがって十億をふやすという方法と、本来そういうものをふやしていくというような形ではなくて、四月前に本質的な処置をとらねばならぬ、道はこの二つしかないわけですね。その二つのいずれをおとりになるのかということは明確だと思いますが、いかがですか。
  65. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) そこはちょっと明確にはいまのところできないのであります。しかし、早く明確にしなければならぬということはわかっております。
  66. 上田哲

    上田哲君 かなり歩みを前に進められたと理解をしておきます。先ほど来のお話の中で、琉政の基本的な主張である三つの考え方をしっかりと受けとめるということ、そこに国務大臣としてのすべてをかけるというお答えは、あちら側の屋良政府の主張そのものを具体的に実施される決意と受け取ります。また、アメリカに向かって交渉を始めてしまえば終わりなんだという御意見は、アメリカに向かっては交渉をしないということではない意味においてかなり前向きな発言だと私は承っておきます。また、具体的な方法としては預金のみを対象としないのだという発言についても、積極的な構想の一輪であるというふうに受け取っておきます。私もかなりそういう意味では日ごろに似ず慎重な発言をしたわけですが、長官、そういう考え方に対して、ひとつこれを結論として前向きな精一ぱいの御発言を承って終わりたいと思います。
  67. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) いまの上田君の締めくくりで言われたそのことについては、私も異存はありません。
  68. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 山中総務長官がからだを張って沖繩の問題の解決に当たるという御姿勢に対して、私ども非常に敬意を表している次第でございます。しかも、今回のようなドル・ショックの問題があるし、また宮古、八重山等において異常干ばつの事態が生じている。大臣が直接この問題を自分の目で見るということで行かれたことに対し、これについても私どもはその結果に対し多くの期待を持っているものでございます。  いま沖繩が直面している問題は、先ほどからの話がありましたドル・ショックの問題、それから干ばつから来るところの被害をどういうふうに処理していくかという二つの問題にあるのじゃないかと思っております。ドル・ショックの問題につきましては、先ほど話がありましたので簡単に私の意見を申し述べたいのですが、この前の琉球新報から見ますと、この変動相場制によるところの差損の補償というものを与えたい。最初は十億円の安定資金の設定を見たのでございますが、その後総務長官は四百四十の品目までこれを広げるのだということをおっしゃったのでありますが、私ども考えるのは、この四百四十品目というものをすでに実施しておられるのかどうか。これからやろうとすればいつになるか。これをお伺いいたしたいと思います。
  69. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  70. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 速記を起こして。
  71. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは琉球政府のほうで立法院のほうに法律を出されなければならないわけです。すでに立法院としては政府の権限による公示として沖繩における二大新聞に二面三分の二をぶち抜いて品目の全部を県民に公示し、そしてこれについて立法を急ぐから、このような措置をとるから、これによって物価が便乗値上がり、あるいは措置された物価の値上がりがしない方向で検討していただく。さらに一般市民にも、便乗値上げ、もしくは不当な値上げ等については政府に通知をしてもらいたい、連絡をしてもらいたいという公告をいたしました。したがって、あとは立法院との間に具体的な立法ができますれば直ちにそれが発動するということでありますから、そう長くはかからないだろうと思っております。
  72. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 大体予定はどの程度になっておりますか。
  73. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは私のほうからいつを予定しろということよりも、琉球政府のほうがすみやかにこれを立法し、立法院においてこれをすみやかに議決する、法律として制定するということが行なわれさえすれば動き出すわけでありますが、琉球政府のほうで急いでもらうということになると思います。
  74. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 その点につきましては、私、長官の御尽力に対し非常に期待をいたし、さらにこれが早急に実施されることを希望するものであります。  それから課徴金の問題についてお伺いいたしたいのですが、沖繩からアメリカに行く商品に対し課徴金が課される。これについてわれわれとしては、沖繩は現在アメリカの施政権下にあり、当然にこれに対する特別措置はあるものだというふうに理解をいたしていたのでございます。ところが、アメリカにおいてはなかなかその点についてはわれわれの意に反する発言があるんだが、われわれの満足するようなことはない。山中総務長官もこれにつきましては福田外務大臣に対して強く要望しておるし、必ず明るい応答があるだろうというふうなことを言われているわけですが、しかしまた、九月十日の福田外務大臣の新聞記者会見におきましては、どうも明るい見通しも、いろいろとやってみたんだが、立たないんだということを言っておられます。この課徴金問題についての長官の見解をお聞きいたしたいと思います。
  75. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) この沖繩側の米側に対する輸出の問題は、理論上からいっても、現実からいっても、当然課徴金の対象とすべきでない地域であると私ども思いますし、福田外務大臣が出発いたします前はたいへん明るい感触を得ながら、これは米側との折衝において、課徴金全体がけしからぬという議論であるけれども、少なくとも沖繩の問題だけは片づけて帰るよということだったんですが、これは外務大臣が帰ってきてみませんとわかりませんが、新聞の伝えるところによれば、外務大臣レベルによる折衝でかちとることができなかった。すなわち、課徴金の沖繩に対する免除は実現できなかったという報道を受けまして、私としては非常に意外な気がしております。この点について、帰ってまいりました外務大臣と、どのようなことで合意できなかったか、あるいはまた向こうが承知できなかったのかよく問いただしてみたいと思います。いまでも私は、この措置は米側沖繩に対してとるべき措置としては理不尽であるというふうに考えております。今後もやっていきます。
  76. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 ぜひこの問題については、私ども百万の県民は非常にこれについては理解ができない、納得がいかぬという感情でございますので、いまの大臣の見解をそのまま外務大臣に、さらにこれがアメリカにぶっつけられまして、この問題を徹底的に原因を解明し、さらに解決をはかっていただきたいというふうに考えます。  それから、景気の浮揚の問題につきましてお伺いいたしたいと存じますが、変動相場制がしかれた結果、本土との取引の問題、それから沖繩における企業には非常な沈滞空気が流れておる。あるいは物価高、あるいはその他いろんな事態が起きまして、おそらく企業が倒産するものも出てくるんじゃないかというふうなおそれも持たれるようになっているのでございます。こういうふうな状況下におきまして、沖繩の企業というものがだんだん沈滞いたしまして、おそらく雇用関係にまでも影響し、そして、あるいは会社の破産なんかも生まれるし、その結果、解雇されるようなものも生まれてくる。これがさらに社会不安を来たし、また経済的な混乱をこれで増進されるのじゃないかというふうに考えられますが、これがためにはどういうふうな対策をとるべきか。本土の場合においては公共投資という問題があるし、大蔵大臣においては、すでに本土においては今度の変動相場制、ドル・ショックに対しては景気を浮揚させる意味において公債を発行し、そしてこれが対応策を考えるというふうになっておりますが、今日まで沖繩はこの問題についてはほとんど触れていない。これに対する担当大臣としての山中長官の御意見はいかがか、お伺いいたします。
  77. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) アメリカの課徴金の問題では関連する企業はそう多くはありませんし、綿製品は大口が除外されておりますから、課徴金の年間の影響も五百五十万ドル程度だと思いますので、小さな企業の死活の問題には確かにつながっていると思います。一方、本土側のとりました変動相場制の影響は、いま県民生活というものに甚大な脅威を与えておるわけでありまして、それに対する沖繩側の景気も沈滞ムードになるであろうということについては、すみやかに除去しなければならぬということを申し上げましたが、さらにこれは本土と同じように景気浮揚策の一環において沖繩を入れる必要がある、この点は私も同感に思いまして、主として公共事業、なかんずく、ことしの干害というもので政治が後手に回った場合にどのように農民の方たちの苦しい生活がそこにあらわれてくるかということを身をもって体験をいたしました。それらの問題を来年度予算を待たずして補正予算の中に沖繩分も計上してもらうことによって、公共事業によって労賃収入その他景気浮揚策の一環の刺激策にしたいと考えて、いま補正予算要求の内容を練っておるところであります。
  78. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 景気浮揚策について長官としては、大体のところでけっこうでございますが、どのくらいの資金需要があるか、どのように投融資をやればいいとお考えでございますか。
  79. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは財投だけの問題ではなくて、公共事業というものがふだんは沖繩においてはもう当初の予算で全部セットされてしまって、あとは追加予算等はなかったわけでございますけれども、今回沖繩国会において、大蔵のほうでは景気刺激の意味もあって補正予算を出すということであります。沖繩についても同様の効果のあると思われ、しかも、緊急に措置しなければならない、来年度を待たないほうがいいと思われる干害対策等の公共事業を中心にして要請をしておるわけでありますから、まだ数字を取りまとめる段階まで至っておりませんので、ここでそれぞれ幾らであるということについては申し上げかねますが、琉球政府が来年度の予算要求として持ってこられたもので、それをそのままそっくり補正予算で計上すれば消化できると思うものをそのまま繰り上げて工事を行なえるように措置をいたしたいと思っております。
  80. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 ドル・ショックに対する景気浮揚策というのは、私ども絶対に必要だと思っております。これについては長官が積極的にこれが実現のため御尽力くださるようお願いいたしたいと存じます。  なお、先ほどお話があったのでございますが、ドルの円への切りかえの問題、これにつきましては、われわれとしては今日まであるいは政府関係へもたびたび陳情も申し上げたわけでございますが、復帰前に円に切りかえてもらいたいということでございます。先ほどいろいろこまかいお話がありましたので、これについてはいま申し述べませんが、非常にきめのこまかい対策をやっていただきたい。と、そして沖繩百万県民がこれによって受ける被害というものを最小限度に食いとめる、あるいは全然なくするという方向においてこのドル問題——ドルから円への事前の切りかえの問題、これについてはあまり詳しいことも聞くこともできませんのでお伺いはいたしませんが、百万県民が納得するような政策というものを実施していただきたいというふうに要望する次第でございます。
  81. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 先ほどお答えいたしましたとおり、単に預貯金だけでなくして、あるいは債権債務も考えなければなりません。そして一般の方々の持っておられるすべての保有ドルというものについて処置をしなければならないであろう、そういうふうに考えておりますので、その目的が達成できるようにいたしたいと思います。
  82. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 先ほど私は、現在沖繩の問題はドル・ショックの解決の問題と災害問題をどうするかという二つの問題を取り上げたのでございますが、この災害問題につきましては、三月より今月まで宮古、八重山においてはほとんど雨らしい雨は降らない。そのために、長官がごらんになったように、ほとんど作物というものはもう枯れている。これが住民生活に非常な大きな影響を与えている。政府においても再三にわたって調査団を派遣いたしまして実態の調査をし、またこれらに対する対策を考えておられたと思います。それで、政府におかれましては、最初に援助額といたしまして三億一千四百六十二万円という資金を計上いたしておるのでございますが、長官としては、これだけの補助でもって十分に災害援助は済むんだというふうにお考えになっておられるかどうかお伺いいたしたいと思います。
  83. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 三億一千万円のほかに二億円の融資に対する利子補給をいたしておりますから、本土政府の制度になくてどうしてものせにくかった飼料、農薬、肥料等については、融資のほうで泳いでいただきますと、大体、琉球政府の要望とそう大きく食い違っておりません。したがって、問題は、今後の農家の人たちのかわるべき所得、あるいは次の所得を得るための方策をどのように講ずるかという問題にかかってくるだろうと思いますし、もっと長期的に見ますと、累積する過去の台風あるいは干害、そういうものに襲われておりますから、赤字が相当なものになって農家負債として苦しめておるようであります。これらの点をどのようにして処理できるかについていま検討しておりますが、さしあたりはこの五億余りの金を使って琉球政府が対策を立てていただき、琉球政府もまた災害対策の予備費として緊急に十八万二千ドルを追加しておられるようでありますから、それらの問題と合わせて日琉両政府でもって当面の措置はいたしてまいりたいと思いますが、いま相談をいたしておりますのは、幸い予算も成立いたしましたから、復帰記念主要五島循環道路等についても、これをなるべく今年度は先島のほうによけい回してあげることによって、現地でも相当これは労賃収入なり雇用の拡大につながることを確認いたしましたので、それらの措置をとりあえず行ないながら、そして補正予算の歳出のほうに持っていきたいと考えております。
  84. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 私が調べたところによりますと、干害によって被害が非常に大きく、そのために収入がなくなった。それで本島並びにまあ本土に向かって出かせぎに出る者が多くなってますます過疎化しつつある。これについては道路問題その他いろいろな公共投資による施策というものが必要になってくると思いますが、この過疎化に対する考え方というものに対して政府としてはどういうふうな対策をとっておられるか。
  85. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 一応現在の干害による出かせぎというものは過疎化ではないと思います。収入の道がない、あるいは自分の島においては他に転業しようにも道がない、したがってまたキビ、パイン等によって収入が得られる状態の営農基盤ができるまでは出かせぎによって収入を得ようということで、短期の出かせぎとして出かけておられるものであると思いますし、これが人口流出の過疎にはつながらない問題であると思っておりますが、しかしながら、それでも非常に胸の痛むことでありますので、それらの人たちがやはり自分の家庭に帰って、自分の島で公共事業の関連で所得の道を得られながら、新しい種、キビの苗を確保したり、あるいはパインを植栽し直したりしながら次の農業の収穫への期待というものを早く整備することが必要だと思っておりますから、これが整わないで、出かせぎに出た人がずっと流出をしてしまって帰ってこないという状態になることを少なくとも最小限度避けるような努力はしなくてはならないと思っております。
  86. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 宮古、八重山はおもにサトウキビを中心として栽培いたしておりまして、そのために大体一年から一カ年半の収入というものが皆無というような状態にあると思います。したがって、生活の面から見た場合に、その受ける打撃というものはきわめて重大なものでございますので、政府におかれましても、こういう一カ年から一カ年半の収入というものがゼロだという前提のもとに、きめのこまかい対策を立てていただきたいと存ずる次第であります。  それから次に、時間がありませんから、海洋博の問題についてお伺いいたしたいと存じます。この前の議会におきまして海洋博には四百七十万円の予算を計上されております。この調査費によりまして今日までどういうふうな調査をやられたか、また、これがいつ完了するのかお伺いいたしたいと思います。
  87. 田中芳秋

    説明員(田中芳秋君) 本年度予算に計上されております海洋博の予備調査につきまして、八月に調査を企画をいたして現在実施中でございます。最終的な調査の結果は来年早々になるというふうに思われますけれども、主要な調査の項目につきましては、今月末ないしは来月上旬ぐらいに一応の中間報告を得ることといたしておる次第でございます。
  88. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 調査が終わった段階において閣議に提案をされますかどうかお伺いいたします。
  89. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これを閣議にかけて決定いたしますまでには、いわゆる万国博覧会条約によって定められた加盟国が積極的にこれに対して協力し合う形の海洋博にできるか、あるいは、それがかりに大阪万博等のことによって、同じ特別博覧会であるといっても海洋博を沖繩で引き続き日本がやることについては各国が協力しない、あるいは認めないということであるならば、日本政府全体の企画として日本自体でやろうかということの見通しがついて、その後に閣議決定をしなければならぬと思いますが、いずれにしても、これは条約に基づくものであっても、あるいはそれが得られなくても、政府としてはこれを実施するという方針には変わりありません。
  90. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 この海洋博がパリの会議において議題にのぼるかどうかという問題、また、それができない場合においてはあるいは政府において政府の事業としてやるという二つの問題がありますが、この見通しというものは大体いつごろつくようになりますか、お伺いいたします。
  91. 田中芳秋

    説明員(田中芳秋君) たいへん非公式な接触ではございますが、パリの事務局に意向を打診いたしましたところ、一応特別博覧会を沖繩におきまして一九七五年に開催することにつきましては、現在の段階では他国との競合がないということでございます。それから、海洋をテーマとする博覧会ということにつきましても、条約上の分類その他問題はないのではなかろうか、こういう非公式な見解が示されておるわけでございます。一応ことしの秋、十一月ごろではなかろうかと思いますが、国際博覧会の理事会が開催されるようでございます。その席上で正式にという形になり得るかはともかくといたしまして、できれば何らかのそういう機会をとらえて打診をしてみたい、このように考えておる次第でございます。
  92. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 この海洋博の問題につきましては、いま沖繩百万県民が一九七五年度におけるこれの開催を切望しているのでございます。その意味におきましてぜひパリの博覧会の理事会における交渉、あるいはまた閣議における問題、その他万般の準備を至急進めていただくようにお願いいたしたいと存じます。そして私どもの希望するような海洋博が実現され、これがまたさらに本土の海洋開発、また沖繩の振興計画にまで十分なる影響を及ぼすような形においてこの海洋博が処理されていくように期待するものであります。  これで私の質問は終わることにいたします。
  93. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それでは総務長官防衛庁長官とに分けて御質問したいと思います。  防衛庁長官がこの委員会に来られるのは、私は初めてお目にかかるわけですけれども、特に沖繩の自衛隊の配備の問題について新長官の抱負なりいろんな意見をこの際聞いておきたいと思うんですが、特に沖繩自衛隊配備については、沖繩住民の感情というものはすでに防衛庁長官も御承知のとおりだと思うんです。どのような形で住民の意思を尊重し、納得のいくような自衛隊配備計画ができるのかどうか、それに対する対策というものはどういうふうに新防衛庁長官考えていらっしゃるのか。まずこの点についてお伺いしたいと思います。
  94. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 先般の事故の際に私防衛庁長官を承りました。初めてのこの委員会でありますが、これから沖繩等の問題につきまして各委員の御指導をいただきまして責を果たしたいと思います。よろしくお願いいたします。  ただいまの御質問であります自衛隊の沖繩配備についてどういう考え方を持っておるかということであります。自衛隊はもちろんわが国の国土の防衛というものが自衛隊法によりまして任務として与えられておるわけであります。したがって、沖繩が民族の願いとして復帰をされますに従いまして、計画的に自衛隊をやはり本土の一環として配備をいたしまして国土の防衛の任務を果たしたい、こういう基本的な考えでございます。したがって、それに対しましてはもちろん計画というものもなければいけませんが、単に計画だけではありません。地元の国民、県民、そういう方々のできる限りの御協力、御理解のもとに私どもはこれをやってまいりたいと、こういう基本的な考えでございます。
  95. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 具体的に四次防の計画の中で沖繩自衛隊配備計画、あるいは具体的に来年度の予算の面についてはどういうふうな措置を考えておられますか、その点、お伺いいたします。
  96. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 細部につきましてはいずれ関係の当局からお話し申し上げますが、大筋を申し上げますというと、返還当初におきまして陸上自衛隊、これは陸上の警備と、それから、離島を多く持っておられる沖繩でありますので、民生協力のための考え方、この二つに立ちまして、したがって、普通科それから施設科——これは主として機械器具を持った部隊であります。それから局地の航空輸送のための小規模のヘリコプター部隊、それから広報であるとか募集であるとか、こういうような地方連絡の仕事、こういうものを約千百名考えております。  それからその次は海上自衛隊であります。沿岸哨戒のための対潜水艦哨戒機の部隊でありますいわゆるP2J、これが六機、それから港湾防備と離島輸送のための小型艦艇部隊と、これに必要な支援に当たる基地部隊等約七百名。  それから航空自衛隊であります。これは防空任務を当然私どもは国土防衛の一環として果たしてまいらなければなりません。領空侵犯対処のための要撃戦闘機部隊が二十五機、これはF104Jであります。それからレーダー・サイトの連絡員、これらを合わせまして千四百名、計約三千二百名になります。これが返還という際に当初においての一応の配備というものを考えておるわけでございます。  それから、いわゆる四次防と称せられます将来計画の中では、防空の一環をはかるナイキ、ホークの部隊、警戒管制部隊等が配置されるという予定であります。細部につきまして必要がございますれば、当局からさらに御説明いたします。
  97. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 予算の面。
  98. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 後ほど、おくれておりますが、防衛局長が参りまして、予算等について御説明いたします。
  99. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 全体の構想はいま伺ったとおりでありますけれども、日中の接点としての沖繩自衛隊配備の問題を考えますと、現在中国問題の解決はもはや時間の問題ではないか、こう私たちは考えるわけでございます。この時点において自衛隊を沖繩にこのような強力な配備をするということについては、かえって日中関係を妨げるのではないか、この点を強く私は考えるわけでありますけれども、この点については新防衛庁長官として、いままでの足あとをそのまま踏み続けていくのかどうか、あるいはこの時点について考え直すという見解はお持ちであるかどうか、この点についてお伺いしたい。
  100. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) おっしゃる意味は、おそらくアメリカの大統領が米中接近のもとに緊張緩和を求めてくる、こういう中で自衛隊を配備するのはどうかというようなお気持ちだろうと思います。私どもももちろんアジアにおいての少しでも緊張緩和は、緊張の要素がなくなることはけっこうだと思うんでございます。しかし、これ自体がまだどういうふうな形でどういうふうになっていくかは今後の問題でございます。私どもの、防衛庁の立場は、御存じのとおり、国土の自衛であります。防衛であります。そういう意味で、われわれとしては外国を刺激するような立場ではなく、国土の自衛というたてまえからは、沖繩本土の一環として復帰されます以上は、やはり当然の任務としてこれはやってまいらなければならぬ、こういう考えであります。
  101. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) 来年度の予算につきましては、いま調べておりますが、四次防全体としては千百億円、来年度はたしか陸海空合わせて二百億前後であったと思いますが、詳細はいますぐ調べてお答えいたします。
  102. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 この約一千百億円の内訳ですがね、六千八百人の自衛官を沖繩に配備するのに約一千百億円の費用をかけるわけでありますが、この積算の根拠ですね、どうして一千百億なのか、これははっきり国民の前に、沖繩自衛隊配備計画の資金計画といいますか、予算計画といいますか、この問題をもう少し明確にすべきではないかと思うわけです。  また、もう一つは、この費用の中にナイキあるいはホークの買い取り資金を含むのかどうか、この点についてお答えいただきたい。
  103. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) 千百億の中身といたしましては、陸上につきましては普通科の部隊で火砲、それから施設中隊についてはグレーダーその他の施設機材などが相当数入っております。そのほかにヘリコプター約十機ばかりのお金、それから艦艇、これが約五隻、それから航空機のお金、それからいまお話しになりましたナイキ、ホーク、それからレーダー・サイトの機材の購入費、そういうものを全部含めました総額になっております。
  104. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、防衛庁長官にお伺いしますが、中国問題の観点から考えましても、あるいはアジアの緊張緩和と、こういう方向に向かって進みつつある現在において、この沖繩自衛隊の配備計画というのは国土の防衛という観点に立って変更されないと、こうとってよろしいですか。
  105. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 先ほど申し上げましたとおり、緊張緩和をすることは、私らは少しでも緊張の要因を除くということが外交面においてされることはけっこうでありますが、国土の防衛という私たちに与えられた任務については、これはやはりこの程度の防衛力の配備は必要であろうと、こう考えておる次第であります。
  106. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、この一千百億といいますか、あるいはこの部隊の計画は、この四次防で沖繩配備計画はこのまま続行する、こう解してよろしゅうございますね。  次に、基地問題と関連して、久保・カーチス取りきめの規模の問題について一点、久保さん、いますので伺っておきますが、沖繩返還協定に附属する了解覚書のA表の中で、地位協定第二条第四項(b)の一時使用に該当する訓練場が約七カ所記載されているわけであります。このことについては、将来自衛隊が使用することを予想しているんではないかと、このようにも批判されているわけであります。この問題については、これは自衛隊基地は久保・カーチス取りきめの規模以上に拡大しないと言明できるのかどうか、あるいはできないとすれば、この問題はどうなのか、この点についてお答えいただきたい。
  107. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) 現在自衛隊が予定している場所以外に新たに取得することは考えておりません。ただし、現在配置を予定されておりますたとえば那覇のホイール・エリアといったような那覇市内の場所は一体適当であるかどうかということは考えられるべきでありまして、そういった点で合理的な再配置をすることは私ども自身沖繩県民のだめに考えるべきことであるけれども、この施設そのものを拡充するという形でそういうことを考えていくべきではない、そういうふう考えております。
  108. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 ちょっと向き取れなかったんですけれども、合理的再配置ですね、たとえば那覇とこの七カ所の中の訓練場所と交換するとか、そういうことは考えられると、こうとっていいわけですか。
  109. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) いま私が申し上げておりますのは、部隊を配置する場所であります。したがって、訓練施設、訓練場、演習場などにつきましては、これは米軍と共同使用する場合があり得ると思いますけれども、いまたとえば那覇のホイール・エリアにあるものを他の場所に移す場合にはいろいろなやり方があります。米軍が撤退したあとを使わしてもらうというやり方もありましょうし、あるいは米軍の施設がない地域でそこに新たに建物をつくって移転をするということもあり得るかもしれません。しかし、いずれにせよ、そういったものは予算を伴うものであるか、あるいは米軍が撤退するということとも関連するものでありますので、いま検討しているわけではありませんが、いずれ将来は検討して合理的な配置を考えるべきであろうというふうに思います。
  110. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、この自衛隊の基地は、現実にこのA表の中に入っている訓練場あるいはまたその他の基地も含めて、米軍が将来において撤退をする、こうなった場合に、自衛隊が肩がわりにそこを使用すると、こうなれば久保・カーチス取りきめの規模以上に基地を使用する、拡大されると、こういうようなぐあいになると思うのですけれども、その点はどうでしょう。
  111. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) もう一ぺん繰り返しますと、このカーチスとの取りきめの中に書いてある場所は、部隊を配置する場所、施設であります。したがって、いわゆるホイール・エリアというものが適当でないという結論が出るならば、将来米軍が撤退したあとにわれわれが入ると、そうしてホイール・エリア、われわれ自衛隊が使っているところは自衛隊は使わないことにするという意味で、総合的にはわれわれの部隊を配置する場所がふえるということではないというふうに申し上げているわけであります。
  112. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 ちょっとわからないんですがね。その数はふえないかもしれませんけれども、いろいろ面積とか、あるいは規模の面では、そういうふうに米軍が撤退したあとに移ると、こうなった場合には相当に規模が拡大される。数は変わらないと思うんですね、いまのお話ですと。ところが規模は相当拡大されると、こういうふうにとってよろしいでしょうか。
  113. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) 実はいま御質問になりましたのでお答えしているわけでありますが、私どもはそういったことをいま検討しているという段階ではまだございません。むしろ、取りきめの中に書いてある場所に配置をどういうふうにするかということを検討している段階でありますが、しかし、将来の問題としては、いま、この地域を自衛隊が出ましてこちらの地域に移ると、この場合にたとえば一万平米ふえたとか減ったとかいう問題があり得るかもしれませんが、そういうことをいま全然考えておりませんので、一応これに対応するものをこちらに持っていくというようにお考えいただいたらどうでしょうか。
  114. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 いまの時点では考えていらっしゃらないということでの御答弁でありますけれども、将来の沖繩の発展を考えますと、やはり基地の問題を抜きにして発展はあり得ないと思うのです。そうなりますと、今後の五年間、いまはそういうことでお考えでしょうけれども、実際にどういうような形でこの沖繩の基地が自衛隊に肩がわりされていくのかという点が、これは非常に現地住民にとって不安じゃないかと思うんです。いま取りきめた以上に基地は拡大しないという明言ができて——これは全面的に納得できる問題ではありません。この自衛隊の移転というか、こういう問題を、沖繩住民の全部が全部納得ということはできませんけれども——こういう点が理解されてくるのじゃないかと思うんです。こういう点はもう少し私は明確にすべきじゃないかと、こう申し上げたいわけであります。
  115. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) 四次防の中で約七千名の部隊配置計画というもの、これは再々お示しをしているわけでありますが、これを変える意思はございません。そこで、部隊を配置する施設をふやすというような考え方は現在ございません。ただ、申し上げておりますように、A地区をB地区に振りかえた場合に、そのB地区がたまたま一万平米多かったから拡大したではないかと、こうおしかりを受けてもちょっと困るということを申し上げているだけであります。
  116. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それはこの程度にとどめておきます。まあ、拡大されると私たちは解するわけでありますけれども。  もう一つ防衛庁長官に伺いたいのですが、この土地収用あるいは特別措置法について、現在どのようにお考えになっておるか。あるいは防衛施設庁が、復帰までの間に、住民に納得のできるような方法でいろいろ折衝するという答弁を前回にも私は聞いたわけであります。この問題は、自衛隊の基地を含めてこの特別措置法を適用すると、こういうふうな話を承っておるわけでありますけれども、この点については現在どのような考え方で進んでいるかどうか。
  117. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) いずれにいたしましても、現在、復帰の際に、一部でありますが、米軍基地の継続使用という問題がございます。また、自衛隊配備の問題もございます。したがって、ある程度の基地提供ということを継続していただかなければ復帰というものには支障が生ずる。そこで、私どものほうの防衛施設庁としては、できるだけこれを現地の地主の、土地所有者の方々に御理解をいただくように、精力的に努力をし、また今後も努力をしてまいりたい。ただ、不幸にしまして、復帰時点において、一部話し合いがつかないという場合にどうするかという問題が出ます。その場合にもわれわれは継続してお話し合いはするが、ちょうど小笠原の復帰の際にあったように、ある一定の期間、その話し合いを続けるが、同時に、一時使用というか、暫定使用を自衛隊基地をも含めてやらしていただきたいという考え方のもとに、政府部内においてまだ最終結論は得ませんが、検討を続けておるのが現状であります。
  118. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それで、今日まで、返還が四月一日と想定された場合に、はたして円満な解決策として、防衛庁が沖繩住民の納得できるような方法で実際そのスケジュールどおり進んでいるのかどうか。あるいは現地にも相当送られているそうでありますけれども、この問題についてはどういう態勢で整えられているか。私は第二の成田の問題のようになってしまってはたいへんな問題になってしまうと思うのです。こういう点については、やはり誠意ある防衛庁の姿勢で、ほんとうに住民の納得できる方針で進んでいるかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
  119. 島田豊

    説明員(島田豊君) ただいま西村長官から御説明がございましたように、われわれの基本的態度は、あくまで土地所有者と話し合いを進めて、円満に賃貸借の契約を締結をするということを最大の眼目としていま鋭意交渉いたしておるところでございます。地元の関係におきましては、私どもがいま交渉の相手としてやっておりますのは地主会連合会の方々でございまして、私どもの職員が対策庁に二十名派遣されておりますけれども、この諸君たちと、それから私どもの本庁から専門家を現地へ派遣いたしまして、これまでもしばしば地主会連合会の方々と基本的な話し合いをいたしておるわけでございます。地主会連合会のほうもいろいろ研究会、委員会なんか持たれまして、地元としての借料の決定につきましては研究をされて、われわれのほうに要望が出ておるのでございます。現在、大体いまのところでは借料の六・九倍程度の要求が出ております。しかしながら、これにつきましてはもちろん周辺の地域における現在の地価と申しますか、売買価格と申しますか、そういうものを中心としまして、できるだけ合理的に、しかも地元の特殊な事情に基づく御要望につきましてはできるだけ沿いつつ、いま鋭意交渉いたしておるところでございます。したがいまして、もちろんこれにつきましてはいろいろ地元からも条件がございますので、私どももそれにこたえるべく努力をいたしていきたい。したがいまして、その間に条件の一致を見ますれば、私は大多数の方々は契約に応じてくれるものだというふうに信じておりまして、また、そのほうにいま鋭意努力をいたしておるというところが現状でございます。
  120. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これはあと総務長官が見えたときに一緒に基地の問題としてこまかくお聞きしたいと思いますが、時間がありませんので、最後に防衛庁長官に兵器の購入の問題について、これは沖繩の問題以外の問題でありますけれども、ドル防衛の一環として、国産化をやめて米兵器の購入をふやす、こういうようなことがすでにいわれてきておるわけでありますけれども、装備の面におけるアメリカの兵器を購入するという問題については、防衛庁は国産化の問題とどう対処していくのか。この点についてお伺いして、防衛庁長官への質問を終わりたいと思います。
  121. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 一部報道等で、今回のドル・ショックに伴って、防衛分担金あるいは兵器購入でドル防衛に協力するようなことが伝えられておりますけれども、本日、実は閣僚の諸君が夜帰ってくるのでありまして、私どものほうの政府に正式には何らこの問題については聞いておりませんものですから、いまこれに対して私がドル防衛協力についての意見を述べる段階ではないと思います。ただ、従来の三次防等におきましても、やはりある程度部品はもちろん買ってきておるものもありますし、それから同時に、ノックダウン方式のものもございます。また、国産化の必要なものもございます。これらは閣僚諸君が帰られて、一体実体はどういう話があったかを基礎にしまして政府としての考え方をはっきりさしたいと、こう考えております。
  122. 上田哲

    上田哲君 関連して一つだけ伺っておきます。  ドル政策の発表以来、いろいろな交渉の中で非公式にも伝えられる問題の一つとして、在日アメリカ駐留軍の費用の負担六億ドル程度とお伺いしておりますけれども、完全にこちら側で負担をしてほしいというような表明があるように聞いております。六億ドルというような試算でいいか、そうしてそれについて防衛庁長官、どのようにお考えか。
  123. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 私も何らかの報道等ではちょっと見たような感じがしますが、それ以外には何らそういうものについての話も国内に駐留の責任者からもございませんし、また、これ自体は外務大臣、大蔵大臣等の責任の問題でもありますから、何らまだ今日そういう話は聞いておりません。
  124. 上田哲

    上田哲君 いや、負担する気がないか……。
  125. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 私個人としての立場では、これはもしかりに仮定を置きましても、非常に大きな問題になります。いろいろな影響もあります。また、はたして現在のいわゆる置かれておる協定の中でそういうことが可能であるかというような点は、たいへんないろいろに影響のある問題であります。したがって、仮定でこれを私が私見を申し上げましても、まだ御参考にならぬ。帰りました閣僚諸君の間でそういう問題がどうなっておるかもう少し確かめた上で御返答申し上げたいと思います。
  126. 上田哲

    上田哲君 仮定の問題として伺っておくのですが、国産化に進んでいる兵器生産のスケジュールを部分的に変更してもドル防衛政策の山として兵器の購入を考えるという方向があるとすれば、兵器の購入ということが在日駐留軍の費用の肩がわりということで考えられることは、仮定としても、ありませんか。
  127. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 兵器を現在もある程度のものは買っておるわけであります。したがって、これが在日駐留軍の駐留費の肩がわりという関連はないと考えております。
  128. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 時間が限られておりますので、お尋ねしておきたいことはたくさんありますけれども、二、三のことについて申し上げたいと思います。  核抜き・本土並みという発想からしますならば、私たちはもっと返還に向けて大幅に基地の撤去あるいは軍用地の解放があるべきだったと、こう期待しておったわけです。ところが、現実は全く裏切られておる。ところが、「豊かな沖繩県づくり」というこの政治姿勢からしますならば、沖繩の軍用地の解放なくしては沖繩の経済開発も絵にかいたもちにしかすぎない。こういうことから私は先般の連合会においてこの基地の整理縮小に含んで、不要不急のこういった土地の解放についての再検討をする意思はないかどうか、こういうことを私は要望いたしたわけなんであります。その具体的な例として泡瀬(あわせ)ゴルフ場の解放についても私はお尋ねしたんです。それにつきましては検討するということになっておるわけですが、どのようにその後検討されたのであるか。また、それについてどういま進めておるのであるか。それをまず伺いたいと思います。
  129. 島田豊

    説明員(島田豊君) これはむしろ外務省所管事項にわたると思いますが、今回の返還協定了解覚書の作成にあたりましては、沖繩の経済開発なりあるいは福祉の向上という見地からいろいろ御要望が出ております。そういう点も十分考慮しながら米側と協議したということでございます。しかしながら、地元の方々の御要望の線に沿うにはまだいろいろな問題があると思います。したがいまして、今後とも、そういう米軍基地の返還なり、あるいは移転なり、あるいは整理なりということにつきましては、私どもとしましてもできるだけの努力をしていきたいというふうに考えておるわけでございますが、ただいまの御指摘の泡瀬のゴルフ場でございますが、これはほかにもゴルフ場は数カ所ございまして、現在米軍がこれを福利厚生の一環として使用いたしておりますので、いま直ちにゴルフ場の返還ということにつきましては、まだ具体的な交渉をいたしておるというところではございません。そういう問題については、復帰後におきましては、十分実情を踏んまえ、米側との交渉を通じましてそういう問題を少しずつ長期的に、しかも現実的に解決をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。まだ、泡瀬ゴルフ場についての具体的な米側との折衝というものは、現在までいたしておりません。
  130. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それでは重ねて聞きますが、ゴルフ場がA、B、CのA群、B群、C群と分れておりますが、その最も解放困難なAに入っている地主からしますと、また県民の立場からも、これは納得がいかない。何としても第一はAからはずしていくというこのことがまず具体的に進められなければいけない。このことさえもなし得ないということであれば、これは何をか言わんや。まず、このことを強く要望いたします。いかがですか。
  131. 島田豊

    説明員(島田豊君) 米軍の施設の中には、本土の場合におきましても同様でございますが、いろいろ、ゴルフ場がございましたり、その他のボーリング場あるいは劇場等のいわゆる福利厚生施設というのがございます。しかも、まあ大体ゴルフ場も基地の中に設置をされておる。飛行場周辺でありますとかあるいは通信関係で一定の保安・緩衝区域を必要とするというようなところに設置されておるのが多いと思います。本土の場合も同様でございますが、しかしながら、地元の県民感情からいたしますれば、かなり広いゴルフ場の敷地でございますので、それの返還を求められるという、そういう御心情のほどもよくわかりますが、これにつきましては、全般の福利厚生施設の問題としまして復帰後におきまして十分米側と協力し検討してまいるべき問題であるというふうに考えておるわけでございます。
  132. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 このことは、これはどう考えても、どう弁解されても筋の通らない話です。われわれからすると筋の通らない話です。これが解決されるまでは何ぼでも私は追求する。また、地主も大挙して来るかまえをしておりますので御承知願いたい。これは営利として運用されておる実態をこの前申し上げました。地主は、全くばかばかしい二十二セントでこれを貸して——私夕べ沖繩から帰ってきたのでありますが——この境界線の隣で最高三ドル八十セントである。二十二セントと三ドル八十セント。十五倍以上ですか、こういう状態で、これは我慢ならない。こういったことをやっておる。さらに次三男の分家ということは、これは人道問題である。どうかこの点も、十分検討するとか考慮するとか、そんなことでは絶対に承服できませんので、ひとつ決意をして交渉をしてもらいたい。強く要望しておきます。またこの次にも、どうなりましたかということを私は重ねてお尋ねいたします。  次に、いま重大な問題がお耳に入っているかと思いますが、このC群の中に、返還されるまでに解放される中に入っている久場(くば)サイト、中城(なかぐすく)村と北中城村に関連した久場サイト、ここの解放をめぐって重大なあやまちをいまおかされつつある。いわゆる返還協定のあの条約を無視してやみ取引をして、それがなしくずされようとしている事実は御承知かと思いますが、詳しいことをきょうは申し上げられませんが、あとで必要であれば時間を取ってまた資料も提出をいたしますが、こういう事実なんです。軍の一係官が、その両村の責任者の村長ではなく、土地係をひそかに呼んで、そうしてこれなんです。この契約書をこう見せて、サインするならば十二月三十一日までに解放してやる。この内容を見ますと、その中には一部施設もある。それもそのままそっくりあなた方に上げるから請求権の一切を放棄して——これは当然復元補償の対象になっております——その請求権も放棄してそして復元補償を要求しなければ、そのまま十二月三十一日までに返してあげる。もしそれがいやというならば、あるいはそのまま継続してこれは軍が使用するかもしれない。また十二月三十一日までに返さないこともあり得る。おどしともすかしともつかないことをやっている。それで、あわてて帰った両村の主任が村長に報告している。村長がかけ合いまして、そんなばかなことができるものか、何に根拠を置いてそういうことをやるのか、こうして問い詰めたら、それじゃそれをなかったことにしようと、それを目の前でちぎって捨てた事例が私どもに報告されたわけなんです。このようなことがないしょになしくずしにやられておるということ、これは重大な問題であると私は思っております。それに対して御承知であるかどうか。もし御承知であるならば、それに対してどういう腹を持っておられるか、ひとつお聞かせを願いたい。
  133. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) ただいまの久場サイトの件につきましては、米側のほうにも事情を照会いたしました。その結果、沖繩の米軍も、いまお話しの二つの村の当事者と返還のことについて下相談をしたのは事実であるということを言っております。その際に、喜屋武先生のおっしゃいましたような、たとえば地主がいわゆる補償を要求しないならばことしの末までには返せるとか、あるいは、もし復元補償を要求するのであれば、評価についてもいろいろ問題があって時間がかかるので少し返還はおくれるだろうといったような話は下相談のときにあったようだということを言っておりました。ただ、それじゃ、長引いたら、ずっといつまでも使うぞということを言った覚えはないということを一応説明しておりました。  なお、いろいろ米側が使っております施設について返す場合の問題につきましては、今度の場合でも、正式の打ち合わせということでなしに、いろいろ下相談が直接当事者と行なわれることはあり得ることでございますので、あるいはそのようなことであったかとも思いますが、ほんとうに正式な話であれば、しかるべき正式のルート、チャネルを通じて話が行なわれるべきものと思っております。
  134. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それで今後このようなことがほかの解放をめぐってもないとは断定できない。いままでも、やみからやみと申しますか、そういった責任者の名において正規のルートを経ずにそのようにやってこられたのじゃこれはたまったものじゃない。どうかひとつそれをきびしく監視してもらって、沖繩現地においては、その土地問題は、これは主席の名において一応トップレベル交渉あるいは連絡がなさるべきはずである。それを下っぱのこういう連中が、そのようなおどしとかすかしとか見れるようなことでこれから処理されたのではたまったものではない。この事例が、まあ幸いに両村の村長が、筋の通ぬらことに対して敢然とこれを押し切ったのでそういうことに終わってよかったわけでありますが、どうかひとつ今後もそういったことのないように十分に処置していただきたい。  次に、土地の再契約につきまして、個人契約をする。このことはこれは既定の事実であるわけですが、その場合に、全地主の合意を得られないということが予想される。この場合に、一体どういう態度で臨まれるのであるか。そのことについてお伺いいたしておきたいと思います。
  135. 島田豊

    説明員(島田豊君) 先ほど申し上げましたように、私どもはあくまで地主側との合意の取りつけということでまいるわけでございますが、いま御指摘になりましたように、一〇〇%完全にその合意が達成するかどうかについてはいろいろやはり疑問もございます。しかしながら、そういうことで契約を拒否された場合に、米側に対する施設・区域の提供あるいは自衛隊の配備ということもできなくなるわけでございますので、やはりそこにはまあ万々一そういうこともあるということも予想しなければなりませんので、そのための一つの暫定措置、立法措置というものを講ぜざるを得ないということで、いまその具体的な内容については関係省庁とも協議いたしておるわけでございます。今日までの段階ではまだその内容が十分固まっておりませんけれども、そういうものはもうやむを得ざる措置でございますけれども、何らかの措置というものがどうしてもやはり必要になってくるという実情でございます。
  136. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 その場合に、承るところによりますと、いわゆる合意を取りつける暫定期間といいますか、五年間現状を凍結するという特別法案が用意されている、こういうふうに承っております。それは事実であるかどうか。
  137. 島田豊

    説明員(島田豊君) 小笠原返還の場合に、三年ないし五年、つまり飛行場とロラン局の土地につきましては五年、その他の施設につきましては三年という取りきめがございます。したがいまして、いろいろそういう三年とか五年という考え方が出てくるわけでございますが、今日の段階におきまして、三年か五年かというふうな問題につきましては、まだ最終的な結論に達しておりません。
  138. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 このようなことは本土においては全く例の見られないことだと思いますが、そうすると、沖繩に限ってこのような措置をとられるという根拠はどこにありますか。
  139. 島田豊

    説明員(島田豊君) 本土におきましても、講和発効のときに、岡崎・ラスク交換公文で、九十日間の猶余期間を置き、さらにその時点で制定されました、駐留軍の用に供する土地等のいわゆる特別措置法の附則によりまして六カ月間の一時的な使用期間というものを設定いたしました。それから、小笠原の場合に、先ほど申しましたような、五年を上回らない範囲という使用期間が設定されましたので、そういう意味では、前例がないわけではございません。まあ、沖繩は、御承知のとおり非常に地主さん方が多い。いま米側に提供しておりおす施設の中の三分の二がいわゆる民公有地でございますので、極力契約ということでまいりますけれども、どうしても一定の使用期間というものはやはり確保しなければ、この返還そのものが円滑にできない、こういう事情でございますので、これにつきましてもいま鋭意検討いたしておるというところでございます。
  140. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 あえてこのようにきびしく沖繩の現状をとらえてこう申し上げるのも、大体この契約というものは、沖繩の二十六年前にさかのぼりますと、山から、壕からおりてきたら全部占領されておった。ここから沖繩が出発した。合意の上に結ばれた契約ではない。そういう情勢の中で今日までゆれ動いてきたのを私は非常に遺憾に思いますが、何かこのような態度でまた沖繩の軍用地がこう支配されていくということは、アメリカの肩がわりをして、そうしてすりかえていく、こういうことにもつながると、こういう見方が現地でも非常に強いわけなんであります。どうかひとつこのことを、沖繩の現状を、もう一ぺん原点に返って、沖繩の軍用地問題、契約問題を検討していただいて、そうして合意が得られるように、合意が得られるにはどうすればいいのか、このことを十分取りつけてもらわないというと、これはもうたいへんな事態になりかねない。こういうことを一つ、私は警告と申しますか、そういう現地の率直な声を申し上げておきたい。こういうことをひとつ御承知願いたいと思います。  それでは、そのような合意を一体取りつけていくには、ここでこれが規制をしてのっていけばいいのだと、こんな簡単なことで、こんなことでまた承服できる沖繩県民ではありませんので、その合意を取りつけるのにはどうすればいいのであるか、このことが最も大事な課題になると思いますが、そのことについてはいかがお考えでありましょうか。
  141. 島田豊

    説明員(島田豊君) その点につきましては、先ほど申し上げましたように、地元の地主会連合会の方々といま折衝を重ねておるわけでございます。地主会連合会の方々もそれぞれの市町村なりあるいは部落の方々なりの意向を十分くまれまして、その上に立っての要求というものが出ておりますので、私どもはそういう御要望については十分尊重するという形で、できるだけその意見の一致というものを見出すべくいま鋭意折衝しておるというのが現状でございまして、まあ要望としましてはかなり大きな要望が出ておりますけれども、私どもは極力その点について実現方について努力をしていきたい、かように考えておる次第でございます。
  142. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 時間も予定時間が来ましたので、最後にしたいと思います。  次に、沖繩の自衛隊の配備につきまして、これはもう現地のこれに対する拒否反応が日増しに強くなりつつあるということは御承知だと思いますが、いかがでありますか。
  143. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) いまおっしゃるように、自衛隊に対して必ずしも理解が十分でないという声も私も聞いております。したがって、自衛隊の配備につきましては、できるだけ今日の自衛隊——これはいろいろな二十五年の間の日時というものに対しての、いろいろな自衛隊に対しての御理解いただく期間がなかったということがあろうと私も思います。過去のいろいろな歴史もございましょう。また、現在置かれた県民のお立場もあろうと思います。しかし、同時にまた、国土防衛の任務というもの、同時に、具体的にはまたいろいろな沖繩県民の民生に御協力を申し上げる面も御理解をいただきつつ、私どもは自分たちの責任を果たさしていただきたい、こう考えております。
  144. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そのことについてもう少し掘り下げて申し上げたいのですが、時間がありませんので、問題提起の形で終わりたいと、こう思うのでありますが、前にも、予算審議のときにも私このことについても触れたわけでありますが、いわゆる肩がわりであるか肩がわりでないか、こういうとらえ方にも問題があるということなんですね。現地では肩がわりであるというとらえ方が強いのです。ところが、本土並みという立場からするならば、そうでもないということも言えるでしょう。ところが、本土並みということですっぱりその自衛隊が配備されて、その質、その量においてもはたしてそういうことであるかということに問題があるということを私たちは非常に理解に苦しむのであります。そこで、その点をひとつ御検討を一応しておいていただきたい。  次に、航空自衛隊は沖繩方面航空隊への昇格を前提として進められておる、こういう情報があるわけですが、それはいかがですか。
  145. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) 沖繩は、九州にあります西部航空方面隊と非常に離れておりますので、幕僚幹部の間では航空方面隊にしたいという希望を持っておりますが、いずれ一、二年後の問題でありますが、今日私どものほうでまだ検討をしておりません。来年あたりになればそういった問題もあるいは検討の対象になるかと思いますが、いまそれを前提にして進んでおるわけではございません。
  146. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 最後に。私があえてこれを執拗に申し上げますのは、いま国の外交問題として最も大きくクローズアップしておる中国問題、その中国問題とも関連し、あるいはさきの連合審査会の際にも、アジア情勢の変化、ベトナム問題、ニクソン訪中問題いろいろと情勢が変わりつつある中で再検討される余地はあるのかないのかということについても私はお尋ねをしたわけでありますが、だんだんその後の動きに照らしまして、中国問題との関連においても非常にこれは重大な意味を持つものだと思いますが、それをどうとらえておられるか。それをお聞きしまして私のいまの質問を終わりたいと思います。
  147. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) もちろんそういった要素も考えてまいらねばなりません。ただ、私がいま申し上げておるのは、沖繩の場合に、空域の関係では非常に広いということと、それからナイキの部隊、レーダー・サイトの部隊、それと航空隊、この部隊が三つ入りますので、航空幕僚幹部としては一応一つの方面隊として考えたいということを言っておるわけでございますが、規模として適正であるかどうか、あるいはまた対外的な影響はどうであるか、そういうことは十分私ども内局のほうで長官とよく御相談申し上げて、いずれ将来に結論を出したいと思います。
  148. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 すみませんがもう一点。一昨日重大な問題が起きておりますので。  九月十六日、きのうの現地新聞によって私も知ったわけでございますが、伊江島で模擬核爆弾演習をやっておる。そして、それが伊江島村民をふるえ上がらせてたいへんなことになっておるということが大々的に写真入りで報ぜられておりますが、核模擬爆弾演習と銘打っておるわけなんです。そうすると、これはいま問題にされておる核の撤去の問題とも関連いたすわけですが、一体模擬にしろ、核爆弾投下の演習を沖繩でやっておるというこれ自体が、私はこれは重大な問題だと思っておりますが、それを御承知だろうかどうか。もし御承知であるとするならば、それに対してどういう見解を持っておられるか。  これで終わります。
  149. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 私どものほうで現地の出先を通じまして事情調べましたその結果、ただいまわかっておりますところでは、やはり爆撃の練習をしているようでございます。ただ、それが核とかなんとか、そういうものであるということは聞いておらないという情報でございます。いろいろまあ低空の爆撃の練習もしているそうでありますが、ただいまわかっております事実は、そういうことでございます。
  150. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 以上で防衛庁長官に対する質疑は終わりました。
  151. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それでは総務長官外務省にお聞きしたいのですが、水道の問題がいま沖繩で大きな問題になっています。水の問題。総務長官も昨日お帰りになったので、いろいろ現地でお聞きになったのではないかと思います。この返還協定の第六条に載っております琉球水道公社の資産の引き継ぎの金額、あるいはその規模についてはどのようになっているのか、この点についてまず最初にお伺いいたします。   〔委員長退席、理事山本茂一郎君着席〕
  152. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 水道の引き継ぎの資産につきましては、実は大蔵省のほうが詳しく承知しておりますので、私ども細目は存じておらない次第であります。
  153. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それでは、大蔵省いませんけれども山中長官が、この水道公社の問題については、米軍の水源地を含む引き継ぎを全部返還協定にうたってあるのだということを御答弁されているわけでありますけれども、これは事実でございますか。
  154. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは、基地内の軍が専用として開発使用しておるものも復帰前に全部水道公社のほうに移して、復帰時点では日本側に渡すということになっていると思います。
  155. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、この琉球水道公社の財産とそれからアメリカの軍の水道局の財産も、これは全部琉球政府に引き継がれると、このように解釈してよろしいでしょうか。
  156. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) そのとおりです。
  157. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、この軍の水道局等に勤務をしている職員、約百五十名ばかりいるそうでありますけれども、この人たちも全部琉球政府の職員になると、このようなぐあいですか。
  158. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 職員も当然引き継ぐことになると思います。
  159. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、この軍水道局の取り扱いについては明確な規定がこの返還協定の中にもうたわれていない。それから、返還協定の際にこの水源地が琉球政府に返ってくるのであれば、この返還協定の基地の中に含まれているA表の比謝川サイトの一帯にある基地は返還されなければならないと、こういうぐあいになると思うのですが、この点はいかがお考えですか。
  160. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 返還協定の細部については外務省から答えてもらいますが、少なくとも水道施設については全部公社に復帰までに統合されて、それが全部日本政府、そして琉球、沖繩県の直営水道となることは間違いありません。
  161. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、外務省に伺いますが、この比謝川一帯の軍用地はAに含まれているというのは、これはちょっと矛盾しないでしょうか。水源地が琉球政府に返ってくるのであれば、このA表の二十二の比謝川サイトのこの水源地を含むこの基地は沖繩に返ってこなければならないはずではないかと、こう考えるのですが、この点お伺いします。   〔理事山本茂一郎君退席、委員長着席〕
  162. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) この比謝川サイトそのものはA表として提供されるところになると思います。
  163. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、これは比謝川一帯のこの水源地ですね、これだけはこれは返ってくるのですか。そしてあとの基地は残すと、こういうぐあいになるのですか。
  164. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 長官からお話しありましたように、水道の関係は返ってくると思いますが、ここにA表にあげられましたこの場所についてはA表として提供する、いろいろさらに細目についてはこれから話し合ってきめていくということでございます。
  165. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 ここで、細目については話し合っていくという問題ですが、この水源地がそのまま米軍に管理されるのではないか、こういう現地では見通しを立てているわけでありますけれども、この問題については、総務長官、いかがですか。
  166. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) いまの提供施設の中で、水道のためにのみ存在する施設としてはポンプがあるわけですが、それは返ってくることになっています。
  167. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、これは少ないほうがいいんですけれども、水道公社よりの資産の引き継ぎが、私が大蔵省から聞いている話では五千万ドル、こういうふうに伺っているわけですが、まあ軍の水道局を含めると、資産を見積もっても約一億ドルは下るまい。こういうふうにもいわれておるわけでありますけれども、この点については、五千万ドルで全部資産を引き継げると、こういうふうに解釈してよろしいでしょうか。
  168. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 大蔵から答弁してもらうべきですが、一億七千五百万ドルのうちに、引き継ぐ資産というものは全部含めて、先ほど水道の施設についても申し述べているわけでありますが、その金額はさらにふえるといういわれはないわけです。
  169. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、いま沖繩で問題になっている水道料金の値上げの問題、この問題も、考えてみれば、長期断水であるとか、あるいはいろいろな点で筋の通らない水道料金の値上げになっている。ドル・ショックで沖繩県民生活が非常に不安になっている。その上にまた水源地から出すこの水の問題が、八・二%ですか、料金値上げということが軍政府から一方的に、水道公社の総裁も知らないままに抜き打ちに値上げをされてきている。こういう問題については、私たちは黙って見過ごすわけにはいかないと思うのです。この点については、現地へ行かれた総務長官、いろいろお聞きになったと思うわけですけれども、この問題についてはいかがお考えですか。
  170. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 水道公社の総裁も知らない通告であったことも事実のようでありますが、そうして一方のほうでは、それでは料金は従前の料金しか支払わないという運動といいますか、そういう申し合わせを市町村ごとにしていることもまた事実であるようです。琉球政府としては、この問題については、まだ具体的に本土政府に対してどのような措置をとってもらいたいという要請も、またその実情の説明等も、いまのところではございません。
  171. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 まあこの問題は米軍との問題でありまして、琉球政府からいずれこの問題が総務長官のところに寄せられると思うのですけれども、現実にこういうような問題が、これは一つの水道料金の値上げの問題に関する件でありますけれども復帰を前にしてこういう問題が数多く、横暴な米軍の姿勢というものが見受けられるのじゃないか。特にドル防衛とからんでこういう問題が出てくることについて、私は、琉球政府の要請もいろいろあるでしょうが、こっちから積極的にこの米軍の水道料金抜き打ち値上げの問題についても手を打つべきじゃないか。また、現地でますますそういう問題でトラブルが起こってくる。こういう点をもう一歩積極的に進めるべきではないか、こう思うわけでありますけれども総務長官のお考えを伺いたい。
  172. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは、まあ一方的にやっていいことかもしれませんが、やっぱりなるべく沖繩県民が選んだ琉球政府というものの意見をよく聞きながら交渉していくほうが、よくも悪くも、私は事柄によって分けないでいいだろうと思うのです。したがって、この問題は沖繩県民生活のマイナスになるんだから、琉球政府意向を聞かぬでもどんどんやれというわけにはちょっとまいりませんので、やっぱり相談ごとだと思っております。
  173. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それは当然そうでありますけれども、こういう一つの問題を通して、沖繩の干ばつの問題に対しましても、水源地が非常に少ない。非常に今後の工業の発展あるいは産業の発展を考えますと、どうしても水の問題は欠かせない問題ではないかと思うのですね。こういう点を考えて、対策庁として、相当なばく大な資本の投下が要ると思うのですが、この水の確保の問題についてはどういう具体的な施策を持っているのか、この点をこの問題に関しては伺っておきたと思います。
  174. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 米軍は、一方では八重山群島等を中心とする離島に、上陸用舟艇その他を毎日使いながら、飲み水等について供給作業を続けてきておりますし、これらについては別段経費をよこせとかそういう意見もありませんで、一方的な作業として協力をしてくれているわけでありますが、一方において今後干害対策も含めながら考えていく。水資源の場合は、本土政府のほうが琉球政府の要望に沿って、水資源の開発、並びにその開発された水を、いわゆる本管と申しますか、メーン・パイプについては全額国の費用でやりましょう、したがって、水と電気については国が責任を持ちますということにしておりますから、たとえて一例をあげますならば、本島に、福地ダムから石川浄水場まで運ぶ主要導水管については、本土のほうで十分の十の全額でもって国が行なう。そのためには、さしあたり補正予算等に——隧道が加わってまいりますので、非常にそこらのとこで時間を食いますから、トンネル工事等の予算をまず要求していって、すみやかに福地ダムの水を沖繩中南部の人たちに供給できるような態勢をしきたいと考えております。
  175. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それでは次に基地の問題でありますが、外務省にお聞きしたいのですが、特に現在米軍施設として使用されているこの米軍施設が、新聞報道によりますと、二カ所漏れているという点が発見されているのですね。たとえば糸満町の真栄里にあるバクナー中将記念施設約四百坪とか、あるいは那覇市の鏡水あるいは西新町あるいは天久在のカルテックス・エリア二万九千坪、これが返還協定から抜けている、こういう点でありますけれども、これは将来も軍用地として使わない、こう解釈してよろしいわけですね。
  176. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) ただいまお話のありましたバクナーあるいはカルテックスの土地は、布令二〇号に基づいてアメリカ軍が使っているわけでございますが、復帰後において日本政府が施設・区域として提供いたしますものは、協定の附表のA表に書いてあるものに限られるわけでございます。
  177. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、これはA、B、C、いずれにも入っていないわけですね。返還までに返るというCの中にも入っていない。こうなりますと、この取り扱いについてはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  178. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) C表には、御存じのとおり、いろいろたくさん並べてございますが、「次のものを含む」という表現になっておりますので、返ってくるものが全部一つ残らずあがっているというわけではございません。ただ、具体的にただいまお話にありましたカルテックスとかバクナーというものについては、これは復帰後にどうするかということは、ただいま現地では細目を打ち合わせていることと承知しております。
  179. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 ちょっとこれはわけのわからない話ですね。復帰後に返ってくるというものはCに入っているはずなんですね。復帰以前に返ってくるものについてはそれが現実にA、B、C、どれにも入っていないわけでしょう。復帰後使用するとも何とも言っていない。この問題はいまの答弁で私は納得しかねるのですが、いかがですか。
  180. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) ただいま申し上げましたとおり、C表が全部ではございませんで、たとえばカルテックスの場合はこの基地を、ここのところをどうするかということは、米軍側のほうでも、ただいま使っております米軍とカルテックスの間で具体的にどうしようかということを協議中と承知しております。それからバクナーのほうにつきましては、やはり現地復帰後の取り扱いをどうするかということをただいま話し合いが進んでいるというふうに承知しております。
  181. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、この二カ所ですね、これについてはまあいま答弁のあったように、どうするかということをいま検討の段階ですね。そうしますと、もしたとえばカルテックスのエリアを使うとした場合には、A表に入らなければならないわけですか。あるいはB表に入るわけですか、C表に入るわけですか。どういうぐあいにきめるのか。もしそれをA表に入れるならば、この返還協定のこれを変更しなければならないではないかと、こう考えるのですが、いかがですか。
  182. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 復帰後におきまして政府として米側に提供する施設・区域というものはA表ということに確定しております。したがいまして、ただいまお話の出ました土地がA表になるということはあり得ないことでございます。他方、C表につきましては、先ほども申し上げましたとおり、「次のものを含む」という表現になっておりますので、これが全部であるということではございません。
  183. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 「次のものを含む」、こうなっておる。どうも私が頭が悪いのかもしれぬけれども、だれが聞いてもそれはわからない話じゃないかと思うのです、いまのは。この点について、もう少し明確に、即刻返還していいのじゃないか。どうですか、はっきりしてください。その点について伺いたいのです。
  184. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 先ほど申し上げましたように、復帰後の時点においてどうするか、どういうかっこうになるかということをただいま現地でも打ち合わせが進んでおると承知しております。
  185. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、これは、現実にわかったのは二カ所ですよ。もう少し調べていけば、もっと広く出てくるかもわからない。私はこのあともう少し、もっと基地のことについてこまかいことを聞きたいと思っている。わが党の調査団が一つ一つ調べてきました。こういう漏れがあった場合にも、今後いろいろ協議をして、どれに加えるかということをきめられるわけですか。どうなんですか。
  186. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) A表は、提供するものとしてはっきり特定してあげてあるわけでございます。他方、C表のほうにつきましては、先ほど申し上げましたように、「次のものを含む」と書いてございまして、いわば例としてあがっておるわけでございます。
  187. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 ちょっとこれはあいまいですね。そうしますと、ただの例でC表はあがっているのですか。そういうあげ方で、返還協定の中にもちょっとC表が加えられていると私たちはとるのですか、どうですか。そんなあいまいなC表のつくり方なんですか。いかがですか。
  188. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) A表につきましては、これから復帰後提供いたしますので、これははっきりしておかなければいけない。したがいまして、C表につきましては、先ほどお話がありましたような件もございますので、全部が全部ではなく、個々に、提供することはございませんが、そのあとの取り扱いをどうするかということについて、復帰までの間にきめておくということでございます。いずれにせよ、A表で提供するというようなことは起こり得ないことでございます。
  189. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 しかし、このA表、B表、C表ですね、これは返還協定の中にちゃんとうたわなければならない。考えてみれば——裏を返せば、私たちは、外務省として、返還協定の中の一部のこのA表、B表、C表の作成に手落ちがあったと。したがいまして、この問題を修正するというわけにはいかない。そのために、返還までに返すか、最低限C表の部類に属するものとして考えているのだと、このように受け取ってよろしいですか。
  190. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) A表でいう、政府が向こうの米軍に提供するもの——にならないということは、ただいまの時点でも非常にはっきりしておるところでございます。したがいまして、そのあとで、どういうかっこうで、どういう時点復帰される、返すことになるかどうか。これは今後の具体的な打ち合わせの結果によるところでございます。
  191. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、結論的に、私くどくど申し上げたくありませんのでですけれども復帰までにこの二地域は返ってくると。とりあえずC表に入れておくべき私は拠点ではなかろうかと思うのですけれども、もし入れるとすれば、この表を変更しなければならない。こういう点があると私は考えているわけですね。この点については、もう少し明確に、いつまでにこの二拠点が返ってくるのか、あるいは、どういう取り扱いをするのか。まあ、いつも、聞けば、協議、協議と。このままで返還まで迎えてしまうのじゃないかと私は考えるのでありますが、ほんとうに、外務省の腹づもりとして、この二拠点については、米軍には確かに提供しないでしょうけれども現地に返すのはいつと、こういうふうにきめておるのか。この点についてお伺いしたい。
  192. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 先生がおっしゃいましたように、これはA表で提供することはないということだけは非常にはっきりしております。したがいまして、あとの取り扱いにつきましては、これから先の打ち合わせによりましてきまってくることと考えておりますので、ただいま、具体的にいつということはちょっと申しかねる段階でございます。
  193. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、これはC表から入ってしまったのでC表についてちょっと伺いたいのですが、たとえば、C表の問題点が、いろいろ、那覇空港とかあるいは那覇空軍・海軍補助施設等を含んでいるわけでありますけれども、この一部返還という地域をもう少し私は明確にすべきじゃないか。あるいは、C表だけではなしに、A表、B表ともに、どの地域でどれだけの面積であるかということを私はもう少し明確にすべきではないかと考えるわけでありますけれども、この点については、資料をいま提出していただきたいと言えば、出ますか。
  194. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) ただいまお話のありましたこの表にあがっております具体的な地点につきましては、さらに具体的な細目を詰めるようにアメリカ側と話しておりますので、ただいまの段階ではまだその話が進行中でございます。
  195. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 まあそのように、返還まで、おそらく、詰めの段階だ、あるいは話し合いだという点で私は終始するのじゃないかと、こう見るわけでありますけれども、この覚書は基地名を列挙してあるだけで、所在地であるとか、あるいは面積であるとか、あるいは機能、あるいは施設の区域等は全然明確にされていない。この問題については、いつまでに外務省として具体的なものを煮詰めるのかどうか。  また、総務長官にお伺いしたいのですけれども、やはり、沖繩のこの基地の問題の解決なくして沖繩の私は発展はないと思うのですね。本土並みだ何だといっても、基地の問題では、もっと積極的に、沖繩を愛されている総務長官からもっと強力な、私は、面積あるいは具体的な問題で積極的に返還の方向に進めるべきではないかと、こう思うわけでありますけれども、最初に外務省に伺って、総務長官答弁いただきたいと思います。
  196. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) A表におきましては、現在の境界線の中で今後合同委員会で合意する用意のある施設及び用地であるという規定がございます。したがいまして、その線の中で具体的にどういうふうにきめていくかということを、今後も米側との間で細目を詰めていくわけでございます。したがいまして、ただいまのところでは、いつの時点という御質問には、はっきりいつ出せるということは申し上げかねる状態でございます。
  197. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私のほうは、沖繩振興開発特別措置法というものを設計をしてまいりますにあたって、やはり基地が一番の障害になっておりますから、したがって、たとえば那覇市の住宅計画一つ考えてみても、上之屋にある牧港住宅街というものはじゃまになってしようがない。したがって、これは何とか復帰前に話をつけたいということで、わざわざ別にこれを掲示してもらっておりますが、ただいまのような問題も、バクナー中将戦死の地の記念碑の敷地を復帰後もアメリカが持っていなければならないのかどうか、あるいは石油会社の地位が現在の占領体制下のものと復帰後はどうなるのかということについては、話し合いは確かにしておるのだろうと思いますが、私としては、そういうものは、やっぱりいまの二つだけでなくて、全体的に不急不要、もしくは今後ゴルフ場等もありますから、そういうものを含めて積極的に米側と少なくとも交渉は続けてもらって、そして沖繩の振興開発計画が最大限支障が排除されていくように努力をしていくつもりです。
  198. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 まあ時間も来ましたのであれですが、そうしますと十月十五日あるいは十六日に沖繩国会が開会されるというような話が伝わっておるわけでありますけれども、いつごろに日米合同委員会を開いてこの問題を煮詰め、関連法案との関係を国民の前にはっきりさせるのかどうか、外務省の見解はいかようになっていますか。
  199. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) この協定の附表それ自体は大筋でございます。したがいまして、細目を詰めていくことは沖繩現地にとってもたいへん焦眉の急であることはよく存じておりますので、米側との折衝は鋭意進めたいと思っております。  ただ、法的に申しますと、合同委員会で合意してアメリカに、米軍に提供するというのがA表でございますが、その提供の時点は、つまり復帰時点復帰をX日とすれば、その日の時点で合同委員会が提供の合意をするということになると思います。
  200. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、沖繩国会でこういう問題が非常に論議を私はされてくると思うのですね。この基地の返還の問題は私は一番大きな問題だと思う。この問題の実態をあからさまにしないで返還協定を検討しろ何しろと言っても、私はなかなか審議できないのじゃないかと思うのです。  それから現実に、これは時間がありませんのでこまかくできませんけれども、わが党の沖繩調査団で一つ一つの基地を調査しました。たとえばA表の中でもC表に入るべき性格の基地が数多くあるわけですね。すでに撤去されたメースB基地なんかは、ある意味では嘉手納の第四サイトなんかはC表に入っておる。しかし、ギンバル訓練所であるとかホワイト・ビーチ地区であるとか、こういうものが現実に使われていないでまだAに残っている、こういうふうな問題で、あるいはすでに撤去されたハーキュリーズの基地についても、四十一年の総点検のときわが党が調査したときにも全然使用をしていない。また現実に今日も使用していない。一部はCのほうに回ったものもあります。こういうような点を考えますと、もっと積極的に沖繩の開発というか沖繩の発展ということを考えたならば、私はまだまだ数多くの基地の返還ができるのではないか、こう考えるわけです。あるいは外務省がそれをやる気がないのか、あるいはまたこのあとに自衛隊を移さなければならない関係でこの交渉ができないのかどうか。この点を私は、これはまあ外務大臣も見えておりませんので、見解は述べられないかもしれませんけれども、こういう点をもっと一つ一つの基地の詳細を外務省は掌握しないで、ただA表に送り込んでしまっている。こういう点が私はあるのではないかと思うのですけれども、この点についてはいかが考えているか、この答弁を伺って私の質問を終わりたいと思います。
  201. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 総務長官が申し上げましたとおり、基地の問題につきましては、沖繩現地の復興、民生のためにも極力不要不急のものがあれば返してもらいたいということで、この協定に至る間にも米側と折衝を重ねておる次第でございます。そういう努力は現在も、それから特に復帰後も一そう続けていきたいと考えております。
  202. 栗林卓司

    栗林卓司君 先ほど山中長官の御答弁の中で、いま沖繩の方々が抱いている不安、切実な期待、これにこたえずして何の返還ぞやというお答えがありました。全く同じ気持ちで伺うわけですけれども先ほどの、実は円・ドル交換問題、長官の御答弁伺っていて、やはりあえて伺いたいということで重ねて御質問したいと思います。  現在日本の円が、限定つきとはいいながら変動相場制に移行いたしました。公式には三百六十円に戻るかもしれないということではありますけれども、今日、幅は別として、変わることはすでに既定の事実だと思います。現在、沖繩の方々の痛切な声というのは、何とか一日も早くドルを円にかえてもらいたい、そのときには一ドル三百六十円と言われております。この二つは分けがたく結びついていると思いますけれども、あえてこの二つを、一ドル三百六十円の問題、早期通貨の交換という問題に分けて伺いますと、この一ドル三百六十円というのは、今日の事態では、きょう以降いつ交換するとしても、価値が違うものを同じだということで結びつけるかえ方になります不等価交換だと思います。  そこで伺いたいのは、現地の流通通貨あるいは債権債務、資産というものについて、全部不等価交換、不等価評価をすることが、ほんとう沖繩の人たちの満足に結びつくだろうか。これは現地においでになった実感を含めて伺いたいと思います。  これだけではたいへん抽象的だと思いますので、一つの例を申し上げますと、現地では資金不足ということもあって——そのほかの条件もありますが個人貯蓄の比率が本土に比べてたいへん高いものがあります。まあ本土の倍くらいですが、そういう中で通常の証券市場というのはあまり育っておりません。事実上そのかわりになっているのが御案内の模合いを中心にした間接金融だと思います。事実上企業金融の約二割くらいが模合いで調達されているわけであります。ところが、模合いというのは講のようなものですから、実際の債権債務は確かにあるとはいいながら、大体口約束が多い場合があるわけです。その場合、不等価交換をいたしますと、今度はおれが落とすという債権を持っている人はいいです。落としてしまって、先々なおかつ不等価でおれは払っていかなければならぬのかという問題だって当然出てくると思います。そういったものを踏まえて、不等価でかえていくということがほんとう沖繩県民のためになるだろうか。これは何とかいまの不安と損失から逃げたいという切実な感情からやっぱり見ていただかなければならない問題だと思うのですが、この点について長官の御意見を伺いたいと思います。
  203. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 原則論から申しますと、変動相場制というものは、IMFの定められた一%の範囲内における日本がとった〇・七五上下幅というものを取っ払らっただけのものである。したがって、基礎のレートである一ドル三百六十円というのが存在した上での変動相場制でありますから、三百六十円ということを保証しろという沖繩側の要請というものがかりに実行された場合においては、私は日本国民たる沖繩県民というものに対して、現在円を使用できないドル圏に置かれているということを考えて、極端な財政論、金融論からいえば問題がありましょうけれども、しかし、日本政府の政治としてそれをとることには、私はそう問題はないと思っております。しかし、個人の頼母子講的なもあいの問題までどうするかという問題は、これは模合いというものは強制でやっているものでもなければ、法でそれを規制しておるものでもありませんから、みんなが、仲よしクラブと言ってはなんですが、信頼しておる仲間同士で掛け金をやって、次々と落としていく方式ですから、それはやはり落とした人、これから落とす人、掛けていく金、そういうものについてはみんなの相談ごとで、落とした人はどう見るか、これから落とす人は期待権がどうなるか、これはやっぱり入っておられる仲間同士の相談ごとであって、ここまではどうも政府のほうでは及ばない。しかし、それぞれの人が持っておられるドルの問題は、これは別であります。
  204. 栗林卓司

    栗林卓司君 いまの御答弁の中で、数字を申し上げますと、個人貯蓄と法人貯蓄を分けますと、一九六八年の場合に、沖繩が個人貯蓄が六七・二%、本土が三三・七%ですから約半分ということになります。法人貯蓄ということで考えますと、沖繩が五・三%、本土が一四・七ですから、逆に三倍、こういうものを背景として、先ほども申し上げましたけれども、企業の営業資金の約二割が模合いで調達をされているということは、それは仲よしグループが集まってやっているんだからお互いに相談ごとでやっていくにしては、あまりに現地に根づいた、しかも重要な資金調達手段になっているということを注意を喚起しておきたいと思います。  もう一つ続けて伺いたいのですけれども、三百六十円を基点にした限定づき変動相場制であることはもちろんおっしゃるとおりです。ただ、いつの日か円にかえなければいけないということになりますと、ある日突然ということになります。ここでも私は注意を喚起しておきたいのですけれども、B円からドルにかえたときにどのぐらい時間がかかったかと申しますと、そのときには一ドルが百二十B円で交換いたしました。その条件をつくるために一九五七年の三月アメリカの金融調査団が参りまして経済政策の勧告をして、実勢として一ドル百二十円に近づけるような努力をした上で、一年後——五八年四月に在沖繩米軍のドル表示軍票をまずドルにかえました。そのあとで五日二十三日に弁務官が、秘密だよと言って、しかるべき担当者に流しました。八月二十三日に切りかえの正式発表をし、九月十六日から五日間ということで交換を開始しました。ところが、五日間で消化できなくて九月二十日に延び、三十日に延び、最終が終わったのは十一月二十九日です。一方、またもう一つ申し上げますと、現地では日銀にかわる中央銀行はございません。現地の民間銀行というのは本土に比べて支払い準備率が非常に高いものがあります。その受託銀行になっておるのはバンク・オブ・アメリカ並びにアメックスです。それを含めて今後どうだかわからない変動相場の中でやはり一ドル三百六十円で保証していくのかという問題も出てまいります。私はひとつ長官にこれはたいへんなことなんだということをまず御認識いただきたくて、実はいやな役割りを買っていまお伺いしているわけです。
  205. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) ただいまの御指摘は全部承知いたしております。したがって、それらの問題を一つ一つ消去法で消し去っていって、そして最後に決断ということになるわけでありましょうが、しかし、それがどういう内容かということについては答弁ができません。もちろん、アメリカというものについて同じように扱うかどうかについては、私は沖繩県民ということしか念頭にありません。
  206. 栗林卓司

    栗林卓司君 たいへんすれ違いなので一言だけ申し上げておきます。経済は生きものだと思うのです。不等価交換をやるということになりますと、生きた人間の心臓を開いて体質の違った心臓と交換するということにひとしいことになります。しかも、それを絶対安静の中でやるんではなくて、国際通貨の激動の中でやるわけですから、山中長官の名医は御信頼するとしても、やっぱり家族に、これは危険な外科手術なんだということは——家族というのは沖繩県民なり日本本土の国民です——言うことが長官としての私は責任の一つだと思うのですが、あわせて、一ドル三百六十円ではいまの沖繩県民の不安とほんとうに切実な期待にこたえる道なんだろうか。こういう危険な外科手術を通らない限りその期待はできないのだろうかと考えますと、実はいろんな方法があるはずだと思います。それを含めて考えていくということを合わせていかないと、いたずらな幻想ばかりが私は出てくると思います。その意味で、その期待にこたえなくて何の返還ぞ、と胸を張るだけではなくて、危険な外科手術だということもやっぱりあわせて言うことが行政の責任者として私は責務だと思います。  これはこれで終わりまして、一つ伺いたいのですが、先ほども論議になりました十億円の問題です。これは為替差損ということばは使いませんけれども、どちらにしても、円が変動相場制に移行したことによって生ずるであろう損失物価対策ということから十億円を支出されたんだろうと思います。ただ一つここで素朴に伺たいのですが、本土沖繩関係というものはほとんどがドル建て契約だと思います。しかも、これまで沖繩に駐留軍がはき出すドルというものが、日本の外貨の大きな源泉になってきたのでありますが、たいへんなドル建てと考えて間違いないと思います。そうなりますと、沖繩の輸入業者の立場考えますると、ドルで契約してドルで売るのです。途中に円というものは一切介在いたしませんから損の出る余地がありません。じゃどこで損が出るかといいますと、ドル建ての手形を円に交換する本土の輸出業者のところで実は損が出るはずなんです。というと、本来損が出ないような沖繩になぜ十億円を持っていったのか。いまの素朴な質問にということでお答えいただきたいと思います。
  207. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) ちっとも素朴ではありませんで、非常に専門的な意見なんです。  最初の見解ですが、私も非常に危険なことだと思っております。しかし、それはちょうどサーカスの空中ブランコが、向こうから確実に、自分が一つのブランコの手を離したときに、からのブランコが目の前に来ているという瞬間でなければ手を離さない。それと同じような慎重さと果敢な決行力が必要である、決断力が必要である、そう思っております。  いまの仕組みの問題については、本土のほうの感情をおきますと、やはり大蔵省の立場として変動相場制をとっていて、そうしてその金額の根拠はなんだということになると、やはり差損となると、そこにその当日の変動相場の実勢と三百六十円との差というものがはっきり浮き出てまいりますから、そこでドルを売却代金として回収する沖繩の業者の人たちの間に、回収すべきドルについての差が出るわけでございます。それについて瞬間タッチで琉球政府のほうで補てんすることを保証することによって精算していけばいいわけであります。それによって、それが担保となって本土沖繩との貿易というものは円滑にいく。事実そのとおりになると思います。
  208. 栗林卓司

    栗林卓司君 いまの御答弁、平たく置き直しますと、とにかく円が変動相場制になった、したがってドル建てであったとしても、今度は本土の業者が値上げをする、したがって同じドルとはいいながらも高い買い物をしなければならぬ、当然物価高になると、それを埋めようということだと思います。事実、またそういう傾向が出てくるはずなんであります。ところが、そうやって出てきたものを、ほんとうに前の安定価格にするんだということは、ほんとうは統制経済じゃないと無理なんです。しかも、事実上は高く輸入したものは高く便乗値上げも含めてやってまいりますから、やはり損は出ないわけですから、そういう中で、四百四十品目をどうやって管理をしながら埋めていくのかということになりますと、たいへん気持ちを含んだ十億円ではありますけれども、使い方というものは非常にむずかしい。ということは、つかみ金的な、しかも業者の申告に従ってという使い方にならざるを得ないということがほんとうの物価対策になるのかどうか。物価対策ということで考えますと、安定価格で大量に品物をどうやって沖繩に運んでいくかということだと思うのであります。もちろん八割を除く二割は、沖繩日本以外から買っているわけですから、それは現在の変動相場の中でやはり物価高になります。なるんだったら、見合う品物が日本にあるのだったら、安い価格で送っていこうかということがほんとうの物価対策だと思うのであります。その意味で、私、長官言外でお認めになったように、対策の基地というものは本土にあるはずなんです。それをやはりしないで、金だけやるからおまえのところでもって何とかしろと言われたって、日本でさえ流通機構の物価値上げを押えられないということですから、いわんや、いろんな問題をかかえている琉球政府がやれと言われたってぼう然と十億をかかえるだけに終わると思うのであります。そこで実は先ほど三百六十円をなぜ申し上げたかといいますと、ほんとうにきめのこまかい対策を打っていくことが、実は沖繩の方々の気持ちにどうやってこたえていくかということかと思います。そのためには、ほんとう本土からその対策をしなければいかぬのだけれども、やはりこれは経済圏が違う日本でやったのじゃこっちの外交交渉がやりにくくなるということから、打ちたい手が打てない。これがいままでいろいろな対策がおくれている一番の原因だと思うのでありますが、その意味で、一ドル三百六十円の話はおくとしても、どっちにしても国際情勢は通貨をめぐって激動に入ってまいります。そうなると、一日も早くせめて経済主権だけは早く返してくれ、分離をしてもいいから返してくれと言うことが当然私は日本政府の態度でなければいけないと思います。また、別なことばで言い直せば、幾らで買えるかは別として、とにかく一日も早く円経済の中にたたみ込んでしまう。これは先ほどの水道料金を含めた実は対策になっていくんだと思います。それを、三百六十円の問題で、何もかも、みそもくそも一緒にしちゃって、そうやっちゃったら仕事ができないということじゃなくて、問題がどういう成果をあげていくかということですから、なるほど四月一日か七月一日かという論議はあるとしても、円の交換だって、さっきも申し上げたように、やっぱりたくさん日時がかかるわけです。一日も早く経済主権だけはとにかく返してくれ、あそこを円経済に置いてくれという交渉を私はすべきだと思うのです。御意見を伺いたいと思います。
  209. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 布令第一四号というものを見れば、これは明らかに外交交渉をしなければならない範囲の中に入ると思います。しかし、日本が、円経済圏ということばを使うのはおかしいかもしれませんが、沖繩に及ぶショックというものを断ち切る手段は、行使できる範囲があります。したがって、その手段を行使することにいま研究、努力をいたしておるわけでありますので、別段外交交渉その他を必要としない。むしろ必要とすることによって無用の、いわゆる実行できないような混乱が起こってくるということをおそれております。
  210. 栗林卓司

    栗林卓司君 時間がありませんので深くはこの問題を掘り下げませんけれども、意のあるところはぜひおくみ取りいただきたいと思います。  あわせて、これは返還後の、別なことばでいいますと、経済主権が返ってきたあと沖繩についてどういう産業経済政策で臨まれるか。これは長官の基本的なお考えを伺っておきたいと思うのです。これは円の経済圏の中に名実ともに入ってくるということになりますと、この問題を沖繩県民立場から見ますと、資本、貿易の自主化を一度にやることと同じことになるのです。現在本土の経済というものはたいへん伸び盛り——伸び過ぎてということさえ言えるこのごろになってまいりました。戦後二十数年間、いろんな桎梏を受けながら、ほとんどが零細企業で伸び切れなかった沖繩経済というものを考えますと、円経済に入ってきたから、だから自由競争で強い者が勝てばいいという理屈には私はならないと思います。その意味で、本土資本の進出、本土企業の進出ということも含めて、かつて終戦直後から立ち上がってまいりました日本経済もそうであったように、沖繩経済の保護貿易振興措置というもの——保護貿易と言うのはおかしいかもしれないけれども——それが返還後当然必要になると思うのです。それをいまから、具体的な内容は別として、構想としてはっきりお持ちになっているかどうか伺いたいと思います。
  211. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 構想は持っております。たとえば税制等においても、既存企業等については特別の配慮をいたしますし、行政措置としても運賃同盟等、現在の施政権下の沖繩の環境の中で入っている会社以外は、最低五年は他の本土会社のなぐり込みを認めないとか、あらゆる手段を講じてやっておりますし、今度の四鮮四十品目の中からビールとかあるいは清酒とかというものが落ちましたのも、結局は、向こうにもそういう供給をし得る企業があるんだ、したがって、そこまでめんどうを見てやる必要はないということで、日琉両政府で合意をしたということでありますので、その配慮は今後とも、沖繩県の既存企業の、閉鎖された社会の中で伸びてきた涙ぐましい努力というものが、本土とドッキングしたことによって、それだけの理由でつぶれてしまう、あるいは傾くというようなことのないようにあらゆる方面の配慮をしていくつもりであります。
  212. 栗林卓司

    栗林卓司君 結局、いま心がけるべき問題というのは、返ってきてほんとうによかった、自分たちの力と努力で希望を求めていけるんだという状態をどうやって一日も早くつくるかということだと思います。その意味で、いま御答弁あったように、考えられるすべてのことをまとめながらやっていただきたいと思いますし、ただ、残念ながら、現在本土の状況を見ますと、過密過疎という問題があり、その過疎対策について残念ながら手が打てていない現状から考えますと、よほど本腰を入れて、しかも実態を確実につかんだ上で周到な事前対策をぜひ御研究いただきたいと思います。  時間がありませんので、最後に、問題が変わりますけれども、一点だけこの機会に伺っておきたいと思います。それは実は現地でも話題になっております通行区分の問題です。右と左の話がありまして、三年ないし五年の中でこれを本土に合わせるという方向で現在御検討と伺っております。そのときに、沖繩にはいま基地があるんですけれども、基地の中を含めて三年なり五年ということで折衝済みなのかどうか、その点はいかがでしょう。
  213. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これはもう右ハンドルか左ハンドルかだけの違いであって、日本復帰した沖繩県の中で、通行区分を国際法に基づいて日本が定める場合において、米軍がかってに対面交通で車を走らせるなんということは、それは基地の内外を問わずあり得ないことでありますので、むしろハンドルが反対側についていることによって外車は慎重な運転をせざるを得ないというふうになるでありましょうし、そのことについては別段協議をしなくても、復帰後は復帰後の話でありますから、日本国政府法律にその国に駐留を許された軍隊は従うわけでありますから、それは問題はないと思います。
  214. 栗林卓司

    栗林卓司君 重ねて御注意を喚起しながら申し上げてみたいと思うのですが、現在沖繩にある保有台数の約三分の一は米軍車両もしくは軍属の使っている車両です。車の機能に人間の能力がどう適応するか、今日交通安全の一つの問題になっていることを考えてみると、右か左かということはそう簡単に適用できることではございません。そこで、沖繩の基地というものを考えますと、現在日本にある、日本に来ている、どっかりとすわり込んでしまった基地とは違って、あそこはやはり東南アジアに対するかなめのところですから、いろいろな人がしょっちゅう出入りをする基地になっていくんだと思います。そういったものも含めて、米軍基地の中で、いや右だ左だという話がそんなに簡単につくだろうか。しかも、右左という話になりますと、バスだったら出入りするところが違うし、極端にいえば、右の出口と入り口だけ変えれば右左になるのかというと、決してそうはなりません。全部つくり直さなければいけません。その意味で、それは日本法律一本きめたからできるということでは私はないと思います。であればこそ、基地の問題を除外しても、基地を除いた沖繩本島なり離島ということを考えてみても、この問題はえらいたいへんだということで現地心配されているという面があるんだろうと思うのです。そのときに三年なり五年が正しいかどうか。私も現在資料の持ち合わせはございません。ただ慎重に取り組むべき問題だと思いますし、「基地の沖繩」といわれている中で、どういうやり方をしていったほうがほんとうに交通安全につながるのかということも含めて、これは今後の沖繩国会の中であらためて伺ってみたい問題の一つかと思いますけれども、慎重な御検討をぜひお願いしたいと思います。  以上で質問を終わります。
  215. 春日正一

    ○春日正一君 初めに簡単な問題を一つお聞きをします。これは防衛施設庁あるいは外務省のほうになるかもしれない。で、先ほど質問のあったCリストに載せられておる久場サイトについて、在沖繩陸軍工兵隊が復元補償をしなければ十二月三十一日までに地主に解放する、しかし、復元補償を要求すれば、解放がかなり長引くが、四軍の話し合い返還後も使用するということもあり得るということを通告して復元補償要求を放棄する文書を出したという話は、先ほど質問もありましたけれども、まあそれについて、先ほど説明ではきわめて軽く出先が地主と事前の話し合いをしたんだというような意味に言われたんですけれども、私はこの問題で先ほど喜屋武委員も主張されたように、こういうことが今後起こらぬようにすると、そういう意味ではっきりしてもらいたいことは、Cリストというものにすでに載っておるものは返還の日までに必ず返ってくるのだ。アメリカがかってにそれを変えることはできないのだということですね。  もう一つは、協定の中できめられておる、アメリカ軍の復元補償に対する自発的な支出というやつですね。これは恣意的な支出ではないのだと、自発的ではあってもアメリカが出したければ出す、出したくなければ出さぬ、気に要らぬから出さんよというような性質のものではないのだ。出すべきものは必ず出すのだ。そういうことになっておるんだということを、ここではっきりしておいてもらいたいと思うのです。そうして、そのことが沖繩全土にはっきり伝えられれば、ああいうべらぼうなことを言われてもだれも相手にしなくなる。それが一番大事な保証だと思います。それを、これは施設庁のほうですか、外務省のほうですか、責任の当局の口からはっきりとその解釈をしておいてもらいたいと思います。
  216. 島田豊

    説明員(島田豊君) ただいまのCリストにつきましては、先ほど参事官から御答弁ございましたので、私からつけ加えることございませんが、この問題については外務省とされましても非常におかしい事案であるということでさっそく向こうに照会いたしまして、そしてその回答が先ほど橘参事官から御披露になったわけでございます。返還協定内容からいたしまして、当然アメリカが復元補償すべきものはこれはやるというのがたてまえでございますし、アメリカもおそらくその点については別に問題はないと思いますけれども先ほどお話のように下相談をした、ちょっとしたというところにやはりこれはいささか思慮を欠いている点があるかと思いますけれども、これが、請求権を放棄しないといつまでも保有するということについては、これはやはり報道が少し間違っておるのではなかろうか。つまり、地上物件を購入するとかあるいは補償額の見積もりをするとか、そういう点につきまして、やはり若干の時間がかかるのでおくれるぞというような趣旨を述べたのが真相のようでございます。アメリカ側がこの返還協定内容については十分米側としてやるべきことはやるのだというふうに私は確信をいたしております。
  217. 春日正一

    ○春日正一君 外務省のほうどうですか。こういうことですね、先ほどの久場サイトの問題ですね。ああいうことが今後起こり得ないために、実際リストに載ったものは返還の日までは必ず返るのだという、アメリカが載せた以上、都合が悪いから延ばしてくれとか、いや三年先まで使うということは絶対できないのだということ。それから、自発的な復元補償というのはあくまでも自発的であって、これは恣意的なものではないのだ、だから、出すべき筋合いのものはどんなことがあっても出すのだ、そういう性質のものだから、だから先ほどの事案のような形で問題が出されても沖繩県民として受け付ける性質ものじゃないのだ。それをここではっきりさしてもらいたいのです。そうすれば、こういうことは沖繩で通用しなくなるから。
  218. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) どうもおくれましてたいへん失礼いたしました。  協定でアメリカ側と合意できめましたことは、アメリカ側も当然これを守っていくものと確信しております。問題の久場サイトのケースにつきましても、おそらくほんとうに向こうは下相談といいますか、打ち合わせのようなつもりでやったのかもしれませんが、先般も御質問がございましたように、これが正式のものであれば当然正式のルートで話があるべきものでございますし、アメリカ側が何か、復元補償をどうしても要求するなら返す時間は少しおくれる、時間がかかるかもしれないといったようなことはどうも話の間にあったらしい形跡もございますが、だからといって、復帰あとまで返さぬぞということまでは言っておらぬと米側も言っておりました。その点はあるいは何か誤解があったのではないかと思います。いずれにせよ、協定できまりましたところは必ず米側も実施するものと確信しております。
  219. 春日正一

    ○春日正一君 それからもう一つ水道の問題ですけれども、これも先ほど質問ありましたから重複しないようにしますけれども、水道料金の今度の値上げにしても、事前に水道公社の理事会にもはかってなければ、総裁にも相談されてないというふうにいわれております。そして、こういうようなことはずっといままでもやられて、水の分配の問題でも、公社のほうは全然知らぬままでやられておるというようなふうにいわれて実際には、水道公社というものは水の配給の業務をやっていても、そういう決定を本来やるべき権限が機構上はできておるのに、それを経ずにやられておるというふうにいわれておるのですけれども、そういうことがやられておるということを総理府は御存じなんですか。
  220. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 知ってはおりますが、一方において、そういう復帰前の値上げなんか認めない、しかも断水続きで料金を上げるなんてとんでもない、したがって、われわれはそんなもの払わぬぞという一方の申し合わせも、先ほど申し上げたように、あるわけでございますから、この問題の処理については琉球政府のほうでもう少し整理をしてお話があろうと思っております。
  221. 春日正一

    ○春日正一君 私はこの問題は、どんなにアメリカのやり方というものはひどいものかということを示すものだと思いますけれども、ここでは、長官も琉球政府の申し入れがあってからということですから、それ以上言いませんけれども、さっきの話の基地というか、の返還後の水の問題ですね。ここでも現地の新聞でこういうふうに言っております。「返還協定によると、水道公社は他の電力公社、金融公庫とともに、その財産と権限を米軍から日本政府へ移管されることになっている。財産は一括して有償譲渡の手続きをとるようだが、いったい公社の権限とはいかなるものか、具体的なことがすこしも明らかにされていない。水道公社は、復帰後県営事業にする段取りである。だが、現行のように、米軍機関の下において、生産された浄水の〃大卸し〃的事業を営むだけで、果たして復帰後の水道行政に、県当局は責任がもてるものだろうか」というような形で、現地の新聞も、この点では、復帰後水道がほんとうにそっくり返ってくるかどうかということを心配しているわけですね。その点で先ほど質問では、長官のほうからも水に関する限りは全部基地の中にあるのも返ってくるというふうに言われたけれども、私ども今度調査に行ってみての結果では、先ほどの三木委員が言われた比謝川サイトですね、比謝川にある水道施設、これは基地と非基地の接点にあるから、非基地のほうから取り次いでいけるというような問題もあるのですけれども、しかし、たとえば米軍の弾薬庫がある瑞ケ山の貯水池とかダムというようなものは、火薬庫に囲まれた基地のどまん中にあるのですね。こういうものが復帰後、琉球政府に、公社に返ってきて、そして公社がそこに入って管理もし何もするということができるのだろうか。それに似たような基地の比謝川の取り水場、知念の水源池、牧港の加圧場、長田川の取り水場、その他いろいろあるわけですけれども、こういうものが、ほんとうに基地の中にあるものが全部返ってきて、水源を十分公社で確保できるようにやれるものかどうか。現地で私どもこの問題について、こういうものはどうなんだということを沖繩・北方対策庁の沖繩事務局の現地の谷口次長に聞いてみたんですけれども、そうしたら嘉手納弾薬庫近くにある、先ほど言った瑞ケ山の貯水池といったようなものはむずかしいのじゃないかというような意見を聞かしてくれたのですが、そうすると、現地の当局者もそう言っておるということになると、公社は返ってくるけれども、肝心の水源は押えられておるというような危険がありはしないか。そこらの辺、もう一度聞かしていただきたいのですが。
  222. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私の役所に関する限りは私の答弁をもって正しい答弁としたいと思います。下っぱ役人の答弁で、下っぱ役人の説明でそういうことが否定されたりするものではありません。したがって、瑞ケ山ダムも含めてこれは復帰前に水道公社に統一をして、そしてそのまま県に渡すわけでありますから、日本政府が引き継いで県に渡すということでありますから、全部、水道の、ダムから始まり、運営管理は沖繩県が行なうということについて米側がそれを拒否するということはあり得ないということであります。
  223. 春日正一

    ○春日正一君 それでは次に移ります。  八月十六日に発表されたニクソンのドル防衛政策、これはまあ日本経済に非常に大きな衝撃を与えておるわけですけれども、特にアメリカの占領下でドルを通貨にしておる沖繩、ドルの変化による預貯金の損失、それから対本土貿易の差損、それから物価の値上がりの問題、それから対米輸出品に対する課徴金の問題、あるいは米軍のドル節約による軍労働者の解雇の問題、その他県民の生活というものにきわめて広く、しかも深刻な影響を与えております。私もちょうどあの二十七日から三日まで現地に行って方々歩いていろいろ実情を聞いたり見たりしてきたのですけれども、非常にひどいものがあります。まあこれの根本的な解決、これは一番あとにお聞きするつもりだったんですけれども先ほど来の質問の中で、長官も、いろいろ手を打ってみてもそれはまあいわゆる目先の対応策なんで、根本の解決というのは円に切りかえるということ以外にないし、それをまあやる以外にないだろうということを言っておられましたし、それ以上私がいつどこでというようなことをここで聞いてもなかなかまともに答えにくいだろうし、それで一つだけお聞きしておきたいんですけれども、このドルを円に切りかえるという問題では、いままで各方面から、それにはいろんな障害があるんだと、たとえばアメリカの施政権のもとにあるからとか、あるいは投機が起こりやしないかというようないろいろな障害をあげておったわけですね。で、そういう障害を克服できるというふうに長官考えておりますか。
  224. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これはたいへん慎重に答弁しなければなりませんが、克服できなければ実施できない。したがって、実施するためには克服できる条件をつくってからやるんだと、そしてアメリカさんのお得意な、最近はやりの抜き打ちでなければならないということぐらいは言えると思います。
  225. 春日正一

    ○春日正一君 それでは、まあ克服できるというふうに理解しておっていいですね。そういう腹で長官答弁しておいでだと。  じゃあその次に、そうすると問題は、切りかえになれば、それで本土との関係はスムーズになるわけですけれども、そこへ持っていくまでの間に毎日毎日損害が起こっているわけですね、問題が。そういう問題について時間のあるだけお聞きしたいと思います。  で、最初に先ほど来話のある対本土貿易との差損の補償の問題ですね。そういうことば長官お使いになっていないけれども、私のほうはこういうことばでお聞きしますけれども、この問題ですけれども先ほど来の話を聞いていますと、とりあえずまあ十億円というものを計上したと、しかし、実際現地に行って琉球政府と話をしてみると、なかなか生活必需品ということじゃいかぬから、だから四百四十品目お認めになったと、こういうふうに言われるのですけれども、新聞の報道では、四百四十品目、対本土貿易の八〇%といわれておるんですけれども、大体それくらいですか。
  226. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 琉政の試算によると八六%に達すると思います。
  227. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、それだけのものをこの差損を埋めていくという形でいけば、十億円という金はかなり早い時期になくなってしまう。そういうふうに思うのですけれども、そうすると、そのなくなる前に抜本的な対策がとられればそれで問題の片がつくけれども、そうするか、それとも、それがとられない場合には、やはり追加しなければその約束は履行できないということになってしまうんですけれども、四百四十品目、その点はどうですか。そういう必要が出れば当然必要なだけ追加すると、そういうお考えですか。
  228. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 答弁の仕方によってはその十億円がなくなる前に何かするということに受け取られることもあり得るわけでありますから非常にむずかしい答弁になりますが、できればそれは使わないで済むくらいのスピードでやらなければならぬことだと思っでいるんです。しかし、皆さん御承知のようなむずかしい環境を全部シャットアウトしなければなりませんから、若干の時間は要します。したがって、その間にもし足らなければ追加しなければならぬと思っておりますが、この点についてはまだ大蔵省と最終的に十億以外の金については詰めておりません。
  229. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、いまは詰めていないけれども、もし抜本策を講じなければそういう必要は出てくるということは頭の中におありですね。——では、まあそういうことにして、そうしてこの金の性質ですけれども、やはりこういう心配をする人がある。十億円を組んでいる。あるいは四百四十品目、百億円というようなニュースが出た。そうすると、その金は結局援助金という形でというような性質のものとして本土政府が全部持つというたてまえで出していくのか。あとで琉球政府の腹が痛むというようなことにはならぬだろうかというような心配もしている向きがあるのですが、その点、どうなんですか。
  230. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは全部本土政府の責任で処理いたします。琉球政府の腹の痛むようなことはありません。
  231. 春日正一

    ○春日正一君 それから次の問題ですね。大学生には、先ほど話もあったように、少し余裕を見ながら一億円というものを組んだと、しかし、現地からの要請を見ますと、長期旅行者、長期療養者も補償してほしいという要請があるんですけれども、これを除外された理由をお聞きしたいのです。
  232. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 長期療養者については、先ほど琉球政府本土に持っておりまする円勘定の中で処理していくということで話は済んでおりますが、長期旅行者というのは、これは絶対に必要な長期旅行であるのか、それともまあまあ観光旅行的なものであるか。これはやはりみすみす損するとわかっているならしばらく旅行を見合わすことがあり得てもいい人が入っているかもしれません。そこらのところは琉球政府もまだ意見を統一しかねているようでありますし、今後、しかし沖繩県民が実際上日本国民として行動する場合においてどうしても支障が出るという場合には、あらためて相談するということにしたいと思っております。
  233. 春日正一

    ○春日正一君 私の聞いたんでは、たとえばパーマネントを習いたいというので、各種学校というのですか、そういうものに来ている。ところが、そういう人は対象にならぬという話があるけれども、やはりそういう人こそ対象にしてほしいのだというようなことを言われておるけれども、大体そういう人たちはどのくらいおるかつかんでいないのですか。
  234. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは検討いたしましたときに、たぶん花嫁学校とかそういう美容学校とか、女性としてはやはりある意味で身につけておきたい教養を本土で修業するために来ておる人たちもおるに違いない。しかしながら、これはもう少し実数を把握しようというようなことで、検討から一応はずしてありますから、琉球政府のほうで調査中であります。
  235. 春日正一

    ○春日正一君 私が聞いてみたら、チェックしてないということですけれども、それはまあチェックしてなくたって、こういう性質の人にはやはりこの補償を適用するんだというふうにして申請をさせれば、あれば出てくると思いますよ。幾らの数でもないんだし、そこらはきれいさっぱりやったほうがいいんじゃないかというふうに思います。  それからその次に、公共事業の問題があるんですね。私、行ってみて、ちょうどあの時期ですから非常に深刻で、那覇の市役所へ行って話しておったら、きょうも実は備品の入札やることになっているんだけど、業者が一人も来ない。つまり、もうかるかもうからぬかわからぬから、だれも来ないというような話でした。特に困るのは公共事業、建築関係の、道路とかそういうようなものが非常に困る。たとえば那覇の場合でいうと、三百二十戸の公営住宅建築して、いま下のほうの基礎工事のほうをやっているらしいですけれども、始めて、それが今度の問題で資材の値上がり、そういうようなことで、このままいったら損をする、その分をどうしてくれるという話があるけれども、市役所としても、すぐ追加しますという返事はできかねておるんだと、そういうことで停滞するというものもある。それから七一年度の、今年度の予算の分はこれから入札するんだけれども、なかなか落札されないということでおくれておる。だから、いまのような状態がずっと続いておれば公共事業に非常な停滞が起こるのじゃないか。そうして向こうの話では、那覇の新港とか、特に国体関連道路というようなものはおくれるようなおそれも出てくる。だから、こういうものについて、やはり本土政府として何らかの援助の手を打ってもらわなければ、これの問題でいいましても、那覇の市役所でいいますと、三百数十万ドルの公営住宅の補助金に対して百万ドルの超過負担しているのだ、だから、業者が損するからといって気前よく、それじゃ埋めますとは言えないというようなことを言っているのですけれども、そういう問題についてやはり援助も与え、先ほども話のあったように、景気振興という立場から見れば、もっと公共事業はたくさんやれるような条件、これをつくっていく必要があると思うのですが、政府はどういうふうに考え、どんな手を打とうとしておいでになるか、それを聞かしていただきたいと思うのです。
  236. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 当初内定いたしました生活必需物資から一ペンに拡大して、すべてのそういう公共事業等に支障のあるような物資を全部カバーするようにいたしましたのは、実はそういう問題点も大きな要素の一つであります。すなわち、公共事業を発注しても応札がない。落札したものの、工事の着工にちゅうちょする。工事中のものはそれを途中でとめているというような状態は、これではいけないと思って決断をしたわけでありますから、概念的にいいますと、本土から援助しておる、本土からの沖繩対策費で組んであるあの金額はそのまま沖繩に渡しますから、したがって、ある意味ではそこに六%の沖繩県政に対する本土側の対策費というものも、現地におけるドルに対する価値というものはそれだけ高まっているとも言えるわけですけれども、その中で消化しろといっても、それは事実上無理な話ですから、公共事業その他が進捗が円滑に、また現地では、これはいい悪いは別として、建築ブームでもありますから、そういう問題が支障のないように、さしあたり物品の面で処理をしたということであります。
  237. 春日正一

    ○春日正一君 その問題は私も聞いたのですけれども、琉球政府は円でもらっている。だから、この点では、先ほど言われたように、六%もうかる勘定になる。しかし、那覇の市役所その他自治体には、あれはドルでいっているようですね。だから、自治体のほうはその恩恵は受けないんだというような、琉球政府に聞いてみましたら、やはり六%じゃとてもじゃないけれどももうかったということにはならぬというふうに言っておりました。だから、そういう点は十分見ていただきたい。  そこで、最後にもう一つ、いま言われたように、まあすべてが抜本対策の講じられるまでは、いま言った貿易の差損の補償というところに一番大きなウエートがかかってきておる。そうすると、やはり一番問題になるのは、その差損の補償をしたものがほんとうに効果が出るかどうかという問題です。たとえば補償してやって貿易関係はそれで補償されたと、あるいは卸の段階まではあまり値が上がらぬで済んだかもしれぬ。ところが小売りでは値が上がったとか、私はまああれが実施されたらと思って見ているのですけれども、相当もう上がっていますよ、現地で。私の行っている間に食堂のメニューがこう消されてですね、値段が、一ドルのものが一ドル二十セントくらいに書きかえられたものを見て、食べてきていますからね。相当上がっている。そうすると、それが、今度の処置が発動したら元に戻るのか戻らないのかという問題もあるし、その後上がるのかということになると、これは簡単にあれが出たら元に戻りますということにはならないのじゃないか。そこらの辺の対策をどういうふうに考えておいでになるか。つまり、消費者物価までその影響が及ばなければ県民には救いにならない。それをどう補償されるかという問題ですね。
  238. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは琉球政府のほうでも頭を痛めていることでして、したがって、先ほど栗林君から統制経済になりますよという指摘がありましたが、それに近いすれすれの、物価統制令的なものを琉球政府としては考えているようであります。さしあたりは小売り価格等において処理されたにもかかわらず明らかにそれを解消しない。すなわち、まあ本土の変動相場制を採用した時点以前の値段に戻らないところについては消費者のほうから通報してくれというようなことは公告しておるようでありますが、今後は法律的な措置も必要とするのではないか。あくまでも追跡したいということを言っております。他面、アメリカの港湾ストの影響、そういう面等があって、あるいはお盆の季節的な影響もあるし、島内産品の値上がり等も若干ありますし、そこらの点をよく分析をしたい、こういうことも言っておりますので、いましばらく琉球政府の立法措置あるいは行政措置、そういうものの内容について相談を続けていきたいと思います。
  239. 春日正一

    ○春日正一君 まあ、そこらが仏をつくって魂が入るか入らないかの一番けじめになると思います。まあ、やはり貿易業者に対しては、数も少ないし、その円とドルとの交換をやる場合にしっかりした条件をつければ、ある程度それは押えていけるのじゃないかというような気もします。しかし、まあ消費者物価ということになると、これはまあ非常に広い範囲になりますから、なかなかいろいろそういう統制的な立法をしても、それだけでいくかどうかということはむずかしい問題があると思いますけれども、やはりその一つの方法として、そういうその該当の物資、特にあれが適用された物資は輸入価格を公表すると、幾らで輸入されたのだということを公表して、消費者の側から、それだけで入ったものをこれだけの値段で売るのは高いじゃないかというような形の批判がずっと出てきて、そういう消費者運動を通じてやはり小売り価格の不当な値上がりというようなものを押えていくというような作用を考えていく必要があるのじゃないか。私は沖繩へ行って婦連の消費者運動というようなものを聞いてきましたけれども、かなり強力にやった経験もあるものですから、そういう民間団体の協力というものを得られればやはりこの援助の効果が出るだろうし、またそういうことを期待して、私らもう一度念のために言いますけれども、必要なだけの金は惜しみなく出すというようなことをやらなければ効果がないと思います。ぜひそれをやっていただきたいと思う。特に、まあ現地の人たちでも私どもでもそうですけれども、八月の十六日から二十七日までの間に、とにかく四十億ドルの値打ちの下がった金を政府は買い込んだんですね。そのくらい気前がいいんだから、沖繩に対して十億円とか百億円とかという単位の金を私はけちけちする理由はないと思います。その点は私は長官は同意していただけると思うのだけれども、そういう意味でですね、やはりこの方法を早い目に、しかも十分にやっていただきたいと思う。そのことを申し上げて私の質問を終わります。
  240. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) いまの問題はやはり非常にむずかしい問題ですが、やっておかなければならない問題です。琉球政府も、場合によってはその措置された物品の価格を公示、公告する制度をとろうとしておるようであります。そして、もしそれに違反して消費者物価の段階で上乗せをされた物品については、場合によっては現地の輸入商社ですね、そこまでさかのぼってその物資を今後その資金の穴埋めの対象にしないとか、そういう制裁手段等を行使するようなことも言っておりましたから、そこらも具体的にさらに詰めて、効果あらしめなければ何にもならぬと思います。
  241. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 長官沖繩調査、まことに御苦労さんでございます。毒ガス撤去もやっと終わってほっとしたかと思うと、依然として異常干ばつは続き、そしてこのドル・ショックの不安、混乱はいろいろの形で起こっておるということはまのあたりごらんになったと思います。そこで、そういった情勢の中で長官を迎えた県民の心情というのは、長官をわらにたとえて言うわけではありませんけれども、おぼれるものはわらもつかむというこの県民の心情をよく御理解になったと思います。そういった心情に長官が至るところで誠意をもってその要望にこたえられた、このことは裏を返せば、また地獄の底で仏に会った、こういった大きな期待と喜びがあったと思うのです。私もその一人であります。  そこで、現地を実際まのあたりごらんになって、その声なき声も吸い上げられて帰られた長官の責任というものの重さ、あるいは決意というものがますますこれまで以上に強く深いものがあると思いますが、まずその御決意と申しますか、何と申しますか、それを承りたい。
  242. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) わらにたとえられてもかまいません。それは「わらの男」という映画もあったくらいですから。やはり現地の方々は、山中にしかすがれないと申しますか、いま「わらにすがる」ということばが出ましたからそういうことばになっちゃったのですが、要するに山中に解決してもらおうという気持ちが非常に濃厚に今回は感じられました。したがって、私がこの問題に対して全精力を傾けねばならぬという決意は持っていきましたものの、さらに干害地その他まで回ってみて、とにかく収入皆無であり、負債は累増し、関係の中小商店街までさびれていくという状態を見て、その上に円の変動相場制のショックをいつまでもかぶしておくわけにはいかぬと、自分でかたく決意して帰りました。
  243. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そこで第一点は、特に第三次返還要綱に関連して幾つかの質問を申し上げたいと思います。  第三次を非常にじれったい思いで待ったわけですが、ところが、これは、必ずしも早く発表してもらうから沖繩県民にとって満足すべきである、また、おそいからいけない、こういうことではないことは私が申し上げるまでもありません。何となれば、そのいわゆる沖繩返還対策要綱の基本方針には、豊かな沖繩県の建設を期するため推進に際しては琉球政府をはじめとする沖繩県民の民意を十分尊重する、こういう大前提があるわけです。その精神を、長官とされても、あるいは日本政府とされても、また現地琉球政府を中心とする立法院または県民会議、そういったいわゆる県民の声というものを吸い上げていただく、あるいは、そういったいろいろの関係でおそくなったと、こう理解しているわけです。そこで、全般的には私もその立てられた柱というものは、県民の要望、すなわち行政主席をはじめ立法院議員、あるいは民間団体の声を私は吸い上げてもらっていると、こういう個人的な見解を持っているわけなんです。ところが、柱はそのように立てられたけれども、問題はその中身あるいは運用、こういうことがまだ今度次に来たる不安として残っているわけであります。そういう点からまず一点お尋ねしたいことは、沖繩開発庁設置をめぐる問題について。この出先機関につきましては、再三にわたって琉球政府側から、沖繩県知事に権限を委任する、あるいは権限委任でできない事項については各省縦割りの機関を置く、あるいは以上の立場から処理することができない場合には特例として当分の間総合事務所を置くと、こういった慎重な態度が絶えず要望されたことは御承知だと思います。この裏には、何が結局言いたいかといいますと、各省がばらばらでなわ張り争いをしてもらってはその犠牲を沖繩が受けなければならない。これに対する警戒心と、今度、ただでさえも四半世紀にわたってわれわれは招かざる客としての弁務官の支配のもとに今日まであえいできた。そういった最悪の場合に、弁務官の日本版の再現をわれわれはおそれているわけなんです。そのような警戒心から、いろいろの角度からこの意見を煮詰めてきているわけであります。そういった前提に立って、代官政治にならないという保証があるかどうか、まずその点をお伺いしたいと思います。
  244. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) もちろん代官政治もやってはならないことの大前提ですが、沖繩県が復帰後の地方自治体としての県政の自主性、そういうものを発揮してまいります際に、それを阻害しないように、あるいはそれが出先に置かれたことによってむしろ相提携してそれが助長されるように、たとえば沖繩一県のみではとても本来は置かれないような管区的な機関等も積極的に置こうじゃないかというようなことで、この出先の問題についても県民会議、立法院等のそれぞれの議を経た内容、これについて完全に私たちもそれに対応したつもりでおります。
  245. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、同じように沖繩振興開発審議会というものが設けられることになっておりますが、その沖繩振興開発審議会の構成はどのようになっておりますか。
  246. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) まだこれは最終的にきめておりませんが、沖繩の民意をなるべく反映させなければならないということで、この振興開発法の原案を作成して政府に提出する権限も県知事に一義的に与えるということで姿勢を示していくつもりでありますが、それを審議する審議会の運用にも十分に沖繩側の民意が入らなければいけませんので、復帰後の県知事、あるいは県議会議長、あるいは市町村長会会長あるいは市町村議会議長会の会長、あるいは場合によっては沖繩の特殊な客観情勢にかんがみて、沖繩離島市町村長会の会長あるいはそれらの離島の議長、そういうものに十分出席をしてもらうだけの委員の割り振りをいたしたいと考えております。もちろん学識経験者にも、そういう配慮で沖繩側の参加を大幅に迎へ入れるつもりでおります。
  247. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そうしますと、運用にあたっては沖繩側の意思、わけても知事の意見を最大限に尊重していくということの基本線はずっと貫いていかれるわけですね。その場合に、意見を尊重するとかあるいは調整していくということの一体具体的なことはどういうことなのか。最大限に知事の意見を尊重する、あるいは沖繩側の意見を尊重すると、こういう前提に立っておられる。これは当然で、ぜひそうあってほしい。そのことは実際運用面においてはどういうことになるのか。
  248. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 先ほどお答えしたと思いますが、まず振興開発計画というものの案は知事が作成する。その知事の作成した案をもとにして審議会で決定するわけですから、その審議会には知事をはじめとして沖繩側の広く公的な立場の代表者はほとんど全員参加してもらう。それで、学識経験者についても、沖繩側の民意を代表する人を学識経験者に入ってもらいまして、それによって沖繩側から見た計画の実際の実現についての審議会の決定をしていただくということで配慮をしていくつもりであります。
  249. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 この出先機関の設置につきましては、県民の声というものは必ずしもまだすっきりしない面があるわけなんです。いろいろと不安があるわけなんです。そういう意味で、私はぜひ、このことが今後発足しても、やっぱしできてよかったと、こういう結果にならなければ、これは県民の意思に反するということになりますので再三念を押すわけでありますから、そのようにひとつ御理解願いたいと思います。  次に、沖繩振興開発公庫というものができますね。これができることがちゃんと第二次要綱の四項にうたわれております。これによりますと、「沖繩の経済・社会の振興・開発を促進するとともに、住民生活の安定・向上を図るため」と、こうありまして、一銀行と六公庫、これは時間がかかりますから、名前はこれにありますから……。一つの銀行と六つの公庫、それが扱われることになっておりますね。その場合に、この沖繩の金融面に現にたずさわっておるところの大衆金融公庫をはじめ五つの金融機関がございますね、それが吸い上げられるということになっております。御承知でなければ私から申し上げたいと思いますが、大衆金融公庫、それから琉球開発金融公社並びに琉球政府の産業開発資金融通特別会計、それから農林漁業資金融通特別会計、それから住宅建設資金融通特別会計、それから運搬船建造資金融通特別会計、こういうのがございますね、これを一応吸い上げてそれを中心に発足するわけなんですね。その場合に、はっきりさしておきたいことは、沖繩県民の財産を引き継いでそれで運営していくということになりますというと、まかり間違うというとそれを吸い上げてそれで運営する。それでは単なるこれは名目上の運営にしかならない。問題は、日本政府が国の予算を幾らそれに投入をしてそれを活発に活用していくか。このことが最も大事なんです。そういった立場からまず長官の御見解を承りたいと思います。
  250. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは、もちろん引き継いだ資産だけでもって運用していこうということは、沖繩の振興、開発のためにこの公庫は大きな役割りをするわけでありますから、これは予算の問題ですから、金額をここで幾らとは、きまった後でなければ明言できないことになりましょうが、政府が当然の責任として、沖繩県民のみのための公庫でありましても、それに対する振興開発計画の資金供給の公的な機関になるわけでありますから、それに対する責任を明らかにすべきだと思います。  さらに御質問はありませんが、それもちょっと大規模な公庫としては異例でありますけれども、本店を那覇に置き、支店を東京に置くという、ちょっと関係者としては承服しかねる空気もありましたけれども、やはり沖繩に本店を置いて沖繩県民のために運用される公庫としての姿をはっきりさしたほうがいいということで、それも踏み切っておるわけであります。
  251. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまの最後の御答弁は次にお聞きしようとした私の質問でございますが、ありがとうございました。  そこで、いまどれぐらい投入するというその案はございませんか。
  252. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは来年度予算要求でございますから、私の手元でこれから最終的の詰めをいたしていきますので、いま金額を申し上げても、大蔵省と最終的にきまった金額でありませんと申しわけないと思いますので、しかし、言われることはよくわかりますから、国が沖繩のみの公庫に対してどのような姿勢を示すかということは、やはりそれに対する原資に対して国が一般会計からどれだけめんどうを見なければならぬかという計算をしてきめたいと考えております。
  253. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それで、いまの項目の問題に対するこれは要望でもありますが、さらにその次の項に貸付条件がうたわれておりますね。問題はこの貸付条件に対する補助率の問題、これがまた大事になってくると思いますが、それについては要望としてはひとつ十分の十——すなわち一〇〇%対応費負担ということのないようにしていただきたいと思いますが、それはいかがでありましょうか。
  254. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 貸付条件と補助率というようなのは必ずしも表現としてちょっと採用できないと思うのですが、要するに、沖繩において設置される開発金融公庫というものの融資の条件は、本土におけるいかなる特例措置よりも低いことは決してない。それは採択の基準も、あるいは据え置きの期間も金利も償還の期間も、あらゆる本土の特例、地域特例あるいはまたその他の振興法、あるいは離島その他の特別な法律等に定めてありまするもの以上のものを沖繩側には適用しなければならぬということで作業を急いでおります。
  255. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 けっこうです。  次に、第三次要項の六項の「教育・文化」の項の中で、教職員定数の問題に触れられておりますが、この「教職員の定数の標準については、復帰の際のこれらの教職員の実数を基礎として、復帰後一定期間、必要な経過措置を講ずる」と、こううたわれておりますね。そこでお伺いしたいことは、「復帰後一定期間」ということは何年後を意味するのであるかお伺いしたいと思います。
  256. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは、公立義務教育諸学校で本土の教職員定数基準よりも二百五十名オーバーいたしております。また、高等学校のほうでは本土基準よりも百三十名オーバーいたしております。しかしながら、三年間ぐらいの間に大体これらの人たちが実数に落ち着くような生徒増、そういうようなものも一応見込まれますので、三年目ぐらいにはこの問題は実質解消する。したがって、一定の期間沖繩県側が過剰と申しますか、本土の基準よりか多い基準の先生方を持っておられても、それについては二分の一の負担、あるいはまた交付税の措置等も基準内のものとして取り扱う、そういうことを意味しているわけであります。
  257. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまの点、非常に気になることがありますが、三年以内にそのオーバーしておる数は整理するという意味ですか。
  258. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) いろいろと、たとえば風疹児教室とか、いろいろな特別教室の強化とか、いろいろなものが充実されてまいりますから、三年ぐらいたちますと、それらの教職員の数はオーバーでなくなる、定員の中に、基準の中に入ってくるという見通しでありますから、したがって、この経過措置さえ講じておけば、沖繩の教職員の方々の心配というものは一人もないということを言っているわけであります。
  259. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 これはだめを押すようでありますが、学級数の比較からいたしますと、基準を置きますというと多いんだと思いますが、一学級の生徒数、これを比較してもらえばはっきりする。はるかに学級児童数多い。相当本土並みに切り下げてもらえばむしろ教職員が不足する。こういったことは当然お考えになっておられると思いますが、そういった緩和の方法は幾らでもあるということをお忘れにならないようにということを私は一例として申し上げたいと思います。学級規模を切り下げることによってさらに不足する、こういうことなんですね。  次に、特に沖繩のみにある年休の問題、年休買い上げの問題ですね。これは本土にはない。ところが、なぜ沖繩にのみそれがあるかということについてはこれは歴史的な過程がある。それを必要としてきた。これを本土にないからといって不問に付されたんじゃこれはたいへんなことになりますので、このことについてどういうふうにお考えになっておられるか。ひとつこの教職員はじめ公務員の八十日間の積み立て年休買い上げについてどういう御見解持って。おられるか
  260. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは沖繩の現行の制度下における既得権でございますから、復帰時点において現行の制度の中の既得権として、退職される方についてはそれは当然年休買い上げの対象にならざるを得ない。しかしながら、復帰後国家公務員、地方公務員に分かれるとしても、それぞれ身分が復帰後の身分に引き継がれた人については、本土にない制度でありますから、したがって、それを予算でめんどうを見るということはできません。しかし、なまけろというわけじゃありませんが、休暇をよけい取られることはこれはしかたがないという気持ちでおります。
  261. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃきょうは、よって来たる原因についてはいろいろ申し上げたいんですけれども、まだほかにもお尋ねしたいことがありますので、結論としては、ぜひこの年休——沖繩のみにあるこのことを、沖繩であったからこれができたんだという御理解を十分していただけると思います。これの予算措置をぜひ講じてもらわなければ、これは琉球政府だけの予算ではどうにもならない。こういう羽目に追い込まれておることは御承知と思いますので、これに対する予算面からの措置についてはどうお考えですか。
  262. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは復帰いたしますと国家公務員になる人もありますし、そうすると、その人だけが休暇買い上げ制度というものを引き続き持っているというようなこともおかしなことになります。したがって、復帰後については、その制度は休暇を定められた以上にお取りになることについては、過去の休まなかった部分について権利として行使されることはあり得るとしても、これは人事院規則その他にも抵触するかもしれませんが、それらは当然相談しなきゃならぬと思いますが、しかし、それを金額で算出して払うということは、復帰時点において退職される方は制度の中で権利を持ったままでやめられるわけでありますから、それについてはやはり措置するということにとどめざるを得ないと思います。
  263. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、通貨交換については幾多の方から述べられましたが、これがいま沖繩を渦巻いておる。これは避けようとしても避けることのできない重大な問題である。こういうことで私も特に現地立場を十分見て知ってきておりますので、確認確認、再確認、こういう意味で申し上げたいのでありますが、この一次要綱の中で通貨交換については「公定の交換比率を基準とし、交換の手続については、県民生活支障をきたすことのないよう円滑に実施する」、こう明確にうたわれておる。その線を踏まえて長官の熱意は一貫しておられる、こう思うわけでありますが、これを具体的に申し上げますと、結局こういう比率は一対三六〇。そうして時期はあとう限り早く実現をする、復帰前にという、これが行政府、立法院あるいは民間団体、あるいは財界人、いわゆる島ぐるみの徹底的な要望であることは御承知だと、こう思います。そういった点からいたしまして、やっぱり聞きたいことが聞けないところにまた連鎖反応的に不安が起こっているという心情的なものと、さらに具体的な生活面から来ておるところの、両面からの不安がからみ合っておるわけなんです。そういった情勢の中で通貨が指定権は御承知のとおり布令一四号によってアメリカにある。ところが、一貫して財界の腹はアメリカに相談する必要はないのだ、こういった決意も伺ったわけでありますが、そうなりますと、結局は問題は日本政府の腹、わけても総務長官の腹ということにだんだん落ちついてくる、こう思うのでありますが、その場合、いままで論ぜられたのは、いまここまで言いたいけれども、それを言ったらできることもできなくなる、たいへんなことになる。こういうことも一貫して述べられたわけなんです。ところが、その一貫して述べられた中で、そのおっしゃれない気持ちというものの裏には、いわゆるドルの流入と申しますか、そういったものの対策を十分に考えるならば、為替管理権はいま沖繩にないということが沖繩の痛手になっておるわけですが、それに値するものが現地沖繩にあるとするならば、これは問題がないということになるわけでありますね、いかがですか。
  264. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 為替管理法があればじゃあできるかということになりますと、やっぱり問題は存在します。日本においても最も国際的にきびしい為替管理制度をとっておると自称しておったのですが、八月二十七日の金曜日一日で十二億ドルというのが現行の為替管理法の取り締まりの盲点をくぐって行使された投機的なドルであったというようなことがわかって、あのような措置に大蔵としても踏み切らざるを得なかったということになっておりますので、何もそのことだけが問題ではないと思いますが、念のために琉球政府はその検討をしております。かといって、この段階になって、そういうものをつくったということになると、ははあ、そうすると現時点でかけ込んでおけば交換は三百六十円だなということを、やっぱり今度は投機筋は考えますので、そこらのところもどうしても必要ならばということで一応の作業は相談を受けておりますけれども、絶対に必要な条件であるとは思っておりません。
  265. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そこで、いろいろの立場から問題もあるわけですが、せんじ詰めて考えますと、問題は復帰前に円に切りかえれば実際の県民不安、混乱は解決される、こういうことに集約されると思いますが、それに対するひとつ長官の見解はいかがでありますか。
  266. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 喜屋武議員の言われたその内容について努力をいたしております。
  267. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 わかったようなわからぬような……。結局それ以上は前進しないと思いますが、これは私は私なりに理解いたしておりますので、そこでいろいろの面からそれにまつわるところの混乱、不安がある中で、特に公共事業、一般消費者、市民大衆の立場からのいろいろの問題があるわけなんですが、その立場から琉球政府のまた立場もあり責任もあるわけですが、特にこの公共事業の面で非常に支障を来たしておるのは、落札をしようとしても集まらないという状況もあるようでありまするが、さらに落札には応じて、落札はしたけれども、いざ契約という場合に、契約をする場合に条件附帯があるというんです、契約をするほうが。ただし、その条件というのは一ドル対三百六十円と、こういうことを約束してくれますね、こういう業者の条件附帯が最近多いといいますね、それに対しては何とも言うわけにいかない。はいともいいえとも言えぬものですから非常に困っておると、こういうことがまた事業執行に大きな支障を来たしておるということになるんです。そういうこともまたお聞きになったかもしれませんが、そういう点も御配慮願って、さらに円問題、ドル問題を解決するためにいま沖繩で通貨切りかえ要求県民会議、この組織がいま進みつつある。これは島ぐるみの組織にふくれて島ぐるみ闘争になる。こういういま動きがあることはお感じになったと思いますが、どうかこのこともひとつお気にとどめていただきたい、こう思います。  次に進みます。これも具体的な問題になりますが、その返還に向けていろいろと資産操作の面で困っておる公共施設もあるようでありますが、その一つ沖繩赤十字病院がいま赤字運営をされている。それが日赤の配下につながりたい、こういう切実な要望があるわけなんです。このことについてはすでに具体的に折衝しておられると思いますが、その結果はいかがでありましょうか。経過でもよろしゅうございますが。
  268. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 現在日本赤十字並びに厚生省、それに私どものほうと一応の相談をいたしております。その赤字の中には実は琉球政府の支払うべき生活保護あるいは労災保険、それに関する未払い金、あるいはまた代金を払わないで薬だけをどんどん買い入れたための薬屋さんに対する三十万ドル以上の負債というようなものが一ぱいありまして、このままの経営でいけばやはり復帰までの間にさらに赤字も累積する状態にあります。そこで、赤十字としては、これはいわゆる赤十字の条約に求づく、一国を形成している形の加盟国としての赤十字ではない。したがって、私たちが当然引き継ぐものとしてのお話では困りますというようなこともありました。しかしながら、やはり赤十字は博愛精神でありますから、それを病院が赤字だからいやだというようなことではおかしかろうというので、やはり趣旨は本土の赤十字の分院として沖繩赤十字病院として、そのような方向で努力をいたしておりますが、しかし、沖繩の現在の医療保険の実態から考えて、やはり赤十字病院の性格を持っております。現在の沖繩赤十字病院に比較的所得の低い階層の人たちがよけいめんどうになっておられるようでありますから、この病院が閉鎖されたりあるいは運営できなくなったりすることのないように、最悪の場合においては県立病院でめんどうを見てもらうか、もしくは国立病院の分院としてでも、これは国立療養所をつくりますから、それを分院としてでも存続させるという決意でおります。しかし、本筋はやはり日赤につながらせるべきものであろうと考えていま折衝中であります。
  269. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 あと二つほどですが、いつも時間が迫ってまたかとおっしゃられそうですので、まとめてお伺いしたいと思いますが、総務長官には二つほどあとは建設関係で一緒に問題提起をして簡単にお答え願いたいと思います。  それは沖繩医師会の非常に切実な要望が、いわゆる復帰に備えて、その時点からではおそいからいまからということで、この看護学校の建設とそれからガン・センター、これをぜひ設置さしてほしい、こういう強い要望がございますが、それに対する御見解とそれから海洋博、これは琉球政府をはじめ立法院、沖繩経済人あげてこの成功を、実現を期待いたしておりますので、海洋博の実現についてはぜひ実りある成功をお願いいたしたいと申し添え、いまの医師会の要望に……。
  270. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 現在政府立看護学校を復帰後は沖繩県ではやりたくないというふうな御意思がありまして、その点では私もちょっといま困っておるわけですけれども、その場合において、医療金融公庫にかわる融資内容を今回の沖繩振興開発公庫の中の項目として設けますから、それらの融資措置によって医師会立の看護学校等にお引き取り願えるかどうか、これらの問題も最悪の場合には検討したいと考えますが、別に医師会自体で別途看護学校をつくりたい、あるいは准看護学校等について私もおつくりになりませんか、復帰前でも医療金融公庫の手当てはいたしますと言ったんですが、医師会で御相談の結果、私のところに来られまして、相談したけれども、どうも自信がないからもう少し待ってくれというお話でございまして、この問題はやはり医師の不足と同時に看護婦の不足ということは表裏一体のものですから、どうしても養成機関を残しておかなければならないので、その方向で話を進めております。  それからガン・センターの問題は、ちょうど私どものほうでは医師会立ガン・センターというお話はいまだ承っておりませんので、今後具体的問題として起こってから御返事申し上げたいと思います。  さらに海洋博の問題は先ほどお答えいたしましたとおり、できるならば条約のもとに各国が半義務的に加盟国が参加するものとしてりっぱな施設があとに残って、沖繩観光の柱として施設が残るようにしたい、これは念願であります。しかし、それができなかった場合でも、日本政府一国の力によってでもそれをやろう、そうして広く加盟各国に協賛を呼びかけようという姿勢でおります。いずれにしても、沖繩復帰記念として海洋博覧会を開くという方針には変わりありません。来年度の予算要求はそういう内容予算要求をしてまいりたいと思います。
  271. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 長官に最後にお願いを申し上げて建設に移りたいと思います。  それはいまの看護学校の設置やあるいはセンターの設置もこれも非常に切実な要求であり、また長い目で見た場合にどうしても機会均等の立場からも必要であるということもお認めになり、それから海洋博と復帰国体にも関連しましてぜひこれを名実ともに成立させてもらいたい。といいますのは、御承知かと思いますが、ぜひこれは、結局返還にすりかえて、これで県民の目をそこにそらしていった、これはひがんだ見方と受け取められては困りますが、そういう見方もありますので、名実ともに実体を充実させてこれをりっぱにやってもらうことによって、やっぱりやってよかったという結果をひとつ出してくださるように強く要望いたしまして長官に対する質疑を終わりたいと思います。
  272. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 速記をやめて。   〔速記中止〕
  273. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 速記を始めて。
  274. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、建設関係で私はこの前の建設委員会で水資源の開発についての資料を求めまして、ここに出ているわけなんです。それを一見しまして、それに基づいて、疑問点がありますので、お尋ねをいたしたいと思うのでありますが、その第一点は、これを見ますと、一九七六年までの構想はこの資料の中からうかがえるんです。七六年以降は一体どうなるのであるか、これについて非常に、いまでも疑問を明らかにしておきたい、こう思っておりますので、その点をまず最初にお聞きいたしたいと思います。
  275. 川田陽吉

    説明員(川田陽吉君) お答えいたします。  沖繩の水需給の安定化につきましては、現在、昭和四十五年時点でまず考えますと、三十万トンの需要に対しまして供給能力もおおむね三十万トンあるという調査結果になっております。しかし、昭和五十一年の時点考えますと、日量で所要見込み量が五十二万五千トンでございますが、現在のままですと供給能力は約三十万トンでございますから、二十二万五千トン日量として不足するわけでございます。その対策は、現在のところ鋭意建設完成を促進しております福地ダムからおおむね十万トン、それから復帰対策要綱の第三次分に載っております安波川、普久川、新川の三ダムによりまして大体十二万七千トン開発されますので、昭和五十一年時点ですでに沖繩の水需給のバランスはとる。それから、さらに五十五年時点考えますと、所要見込みが八十九万六千トンとこれまた日量で出ておりますので、そのために必要になる五十九万六千トンをそのほか昭和五十一年度以降のダムの建設によって解決していきたいという考え方でございます。なお、昭和五十五年以降におきましても水の需要量は大いにまたふえるものと思いますが、それに対してはずっとこれから先バランスをするように内地の対策と合わせて考えていきたい、こういう考えでございます。
  276. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまのバランスが問題になるわけですがね。七六年までのその計画につきましては、沖繩側の琉球政府の長期経済開発に即応した調査そのまま吸い上げられてやっておられる。これは私認めます。ところが、七六年以降は一体国がやるのであるか、またどのようにやるのであるか、そういったことが、このバランスというものとかみ合わして考えた場合、非常に不安になるわけです。その点、ひとつ明確にしていただきたいと思います。
  277. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは沖繩の水資源の開発については、ダムの建設等の取水源の投資並びに、本来は問題の分かれる微妙な接点になりますが、送水管のメーン・パイプについては全額本土政府で、いわゆる十分の十の国の事業として行なうということで、琉球政府はそのあとの管理も国でやってくれということを言われておりますが、まだ管理の問題までは、山奥に全部国家公務員を置かなければならないかどうかの問題がありまして、そこまで詰まっておりませんが、要するに、水の開発あるいは利用の必要な分まで全額国でやるということでありますので、当然責任も国が負ってやりますので、それらの需要に対応する。ことに飲料水ばかりでなくて、沖繩の未来像を描きまする場合の工業用水というものが必要でありますから、そういうものを加えて、さらに将来は屋我地、塩屋等の利用等も考えていかなければならぬだろうと思っておりますが、いまのところは河川局次長の答えましたとおり、安波川、普久川等の北部の東海岸のまず水の開発ということが重点的に進められていくというふうに考えます。
  278. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまのお答えで安心をいたしました。ぜひそのように、七六年及びその後も、ひとつ一貫した責任のもとにやっていただきたいということを要望いたします。  次に、水道公社の問題に関連し、あるいは水道料値上げの問題にも関連して、先ほど質問がありましたが、私は特に次の点をお聞きいたしたいと思います。  返還協定の中で三億二千万ドルの資産買い取り額がありますね。ところが、その三億二千万ドルの内訳で、一億七千五百万ドル、これが水道、電力施設と、こういうことにいままでのお答えの中では受けとめておりますが、私がお聞きしたいのは、その水道公社に関する買い取り額が幾らになっておるか、それをひとつ。
  279. 前田多良夫

    説明員(前田多良夫君) お答えいたします。まだ金額の点までははっきり具体的に申し上げられる段階ではございませんが、米軍施設の分の評価につきましても一億七千五百万ドルというものの中に入っております。
  280. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 喜屋武君に申し上げますけれども、申し合わせの時間十一分過ぎておりますから、簡潔にひとつ。
  281. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 この返還協定によりますと、公社の資産となると、こううたわれておりますね。その場合にいわゆる民の水道公社と、軍の、陸軍を中心とする局がありますね。その陸軍の管理する資産が五百万ドルから七百万ドルあるんだとお聞きしておりますが、それは間違いありませんか。
  282. 前田多良夫

    説明員(前田多良夫君) アメリカのほうの予算書のほうには、大体そのようなふうになっております。
  283. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そこで、結論はこういうことなんです。この返還時点で、完全にそれが、アメリカの陸軍の資産も含んでそれが買い取られるのであるか。それは別であるのであるか。もし別であるとするならば、返還後にさらに問題が残る。それも含んでおるとするならば、それは問題ないと思います。それいかがですか。
  284. 前田多良夫

    説明員(前田多良夫君) これは水道公社の資産として日本政府が引き継ぐということでございまして、したがいまして、一億七千五百万ドルに全部含まれておると、こういうことでございます。
  285. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 最後に。それでいまのお答えではっきりいたしたわけですが、この問題は、国が直営した場合に、国が直営して後、その建設費の負担がさらに受益者にそれがしわ寄せになるというと、これは問題がある。そういうことになるのか、ならぬのか。その辺の御見解どうですか。
  286. 前田多良夫

    説明員(前田多良夫君) 水道料金との関係につきましては、これはまた別問題でございまして、これはそれぞれの所管省がでございます。復帰の要求をどういうふうにきめるかと、こういう問題であろうかと思います。
  287. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃ、時間を取り過ぎて申しわけありませんが、まだほかに聞きたい問題もありますけれども、余韻を残してきょうはこれで終わらしていただきます。  どうもありがとうございました。
  288. 長谷川仁

    委員長長谷川仁君) 本調査に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十九分散会