○
国務大臣(
山中貞則君)
総理にかわりまして、私が、
防衛、
運輸両省に
関係する問題でありますし、
米軍関係は外務省もありますので、
総理府の手元で今日まで事務段階の調整をやってまいりましたが、これを公的なものに乗せるための案が一応でき上がりましたので、私はいつも早口だと言っておこられますので、ゆっくり読みます。
「
航空交通安全緊急対策要綱(案)」「1 空港の
空域並びに
航空路の
空域及びジェットルートの
空域と
自衛隊機の
訓練空域及び試験
空域は完全に分離することとし、後者の
空域設定については、
防衛庁長官と
運輸大臣が協議してこれを公示するものとする。」このことは
説明を要しませんが、
自衛隊の使える
訓練空域というものは、
運輸大臣と協議をして官報で公示するという行為をとるわけであります。これはいままでやっていなかった行為でありますし、これによって明確に
民間航空路と
自衛隊の演習、
訓練等に使う
空域は、はっきりとダブらないように分けられるというのがこの趣旨であります。
第二は「つぎの
空域においては、有視界飛行方式による
訓練飛行等をおこなうことができるものとする。」これはやってもいいというところであります。
まず「(イ)
航空路における計器飛行方式による最低安全高度より一〇〇〇フィート(約三〇〇メートル)低い高度以下の
空域」まずここは、
自衛隊の単発機あるいはヘリコプター、こういうものが飛んでもよろしいという
空域でありまして、これは従来も一応こういうことが言われていたのでありますけれども、それは五百フィートであったものを、今回はっきりと一千フィート以下の高度でなければいかんということにしたわけであります。ここは、したがって
民間航空機は飛ばないというところになるわけであります。
さらに「(ロ)
航空交通管制区における最低高度より一〇〇〇フィート(約三〇〇メートル)低い高度以下の
空域」これも同じような理由によって民間の旅客機は飛びませんから、それよりか千フィートの余裕をもってその下をあけた
空域においてはよかろうということであります。
第三番目として「
特別管制空域」これは御承知でありますけれども、
説明をいたしますと「すべての
航空機が
運輸大臣の管制を受けなければならない
空域」ということでございますから、その
特別管制空域についての
措置でございます。まず第一は(イ)として、先ほど
運輸大臣等も答弁しておられましたけれども、「ターミナル特別管制区」を追加する。今日まで、すでに御承知のような既設の六特別管制区がございます。
自衛隊の管理しております三沢、それから東京、大阪、名古屋、宮崎及び鹿児島、これはすでに実施しておるわけでありますが、これに加うるに新たに福岡、仙台、高松及び千歳、この四特別管制区を追加指定する。千歳は
自衛隊管理でありますので、これも両省完全に合意の上、特別管制区にするということになるわけであります。
次に、(ロ)として「東京及び大阪の特別管制区の
空域を拡大する」これは東京においては、たとえば、われわれがよく着陸のための滞空待ちをさせられる。よく御宿上空といいますが、あのあたりが、実は羽田のターミナルの特別管制区に入っていなかったということがわかりました。これはちょっと私も背筋が寒くなったんですけれども、そういうことで、これは当然のことでありますから、御宿上空も含めた
空域の拡大をやる。
さらに大阪空港においては、着陸のために進入する場合はその適用になっていたけれども、離陸、上昇していく場合にはその対象になっていなかったということがわかりましたので、この点について、さらに進入並びに離陸ともにその対象としてとらえていくということで、これは
空域の拡大と対象の拡大になるわけであります。
それから(ハ)として「
航空路特別管制空域の新設」。新しくつくるわけでありますが「主要な幹線
航空路(ジェットルートを含む。)のうち、航空の輻輳する区間について
特別管制空域を設定するものとする。」たとえば国内線の幹線は、千歳、東京、大阪・福岡という空港が幹線であることはわかるところでありますけれども、この幹線について
航空路特別管制空域というものを設定をするということであります。
さらに、国際路線の非常に輻輳しておる路線として、東京、串本、鹿児島
——これは鹿児島は空港ではありませんが、鹿児島上空に至る地点という
意味だと思います、国際線でありますので。東京、串本、鹿児島の国際線の幹線ルートについて、輻輳区間についての
航空路特別管制空域というものを新設をしよう。
さらに(ニ)として、それらのものをやりましてもなお、
自衛隊が
民間航空路と画然と区別された場所においてしか行動できないとなっても、やはり飛行場から飛び立って、どこかでか通らなければならない場所が出てきます。そこで、いままでのように、ただ単純に、民間空路を突っ切るときには直角に、最短時間に、演習などを行なわないで突っ切っていけということだけでは不十分でありますし、地上の
運輸省の管轄下にも入らない突っ切り方でありますから、ここらのところにやはり今回の問題の起点もありますので、今回は回廊を設けよう、いわば空にトンネルをあける、そういうことを
考えたわけであります。その「回廊」は「
航空路——もちろんジェットルートを含んでの話でありますが
——及び
航空交通管制区を横ぎる
自衛隊機専用の回廊を設定し、その回廊は
民間機が使用しないものとする」。でありますから、一応
民間機の飛ぶルートの縦の線には入りますけれども、穴があいているトンネルのところだけしか
自衛隊機は通れない。そのかわり、そのところは通っていいが、そのトンネルは、
民間機はそこを通らないということで、不測の
事態を避けるようにしたいということであります。
次に、いま申しましたのは三の項目の(イ)(ロ)(ハ)(ニ)となるわけでありますが、四として「
訓練空域を除き、国際
民間航空機関」ICAOと言っておりますが、その勧告というものがございまして、それをこの際日本も実施するということで、その「国際
民間航空機関の勧告に従い、雲上有視界飛行を禁止するものとする。」これはもうおわかりだと思いますが、雲の上の有視界飛行でも禁止するということであります。
それから、これらについては、ことに最初に申しました一の民間空路の地域と
自衛隊の地域とを分けるということ、それから三番目に申しました(イ)(ロ)(ハ)(ニ)のそれぞれの点については、
運輸省と
防衛庁がすみやかに協議して、トンネルを設定したり演習地域を定めたりという作業を開始するということが、第五番目にございます。
第六として「
運輸省の航空行政と
自衛隊の業務との間の調整に関する覚書」
——問題になっておる点でありますが、これについては「航空交通安全の見地から白紙にもどし、すみやかに結論を出すものとする。」ということであります。これは
総理も、もちろん同意を得てのことであります。
七番「上記の諸
措置のうち、在日
米軍機の運航等に
関係ある事項については、米側の協力を求めるものとする。」これはやや言い回しが的確ではありませんが、米側との間においては、半公式的には
総理と
マイヤー大使との間で、さらにまた外務省と在日大使館との間で話し合いは進めておりますけれども、このような文章にいたしまする場合は、やはり「米側の協力を求めるものとする」としまして、そして
日米合同
委員会にやはりかけなければなるまい。米側においては、主として岩国基地が
海上の
訓練空域に出る場合が問題になると思いますので、十分協力の
意思があるということは確認しておりますけれども、米側のことまでここで書けないということで、こういう表現にいたしました。
これらの
措置は、いずれも法律上の根拠のない、
関係各省にまたがっておることについて、
総理府の長たる
総理大臣が調整するという権能を私が代行したという形でございます。しかしながら、やはりこれを権威あるものにするためには、公的なものに乗せなければなりませんので、
交通安全対策基本法というものにのっとって、これを正式なルートに乗せたいと
考えまして、本日、それに基づく中央
交通安全対策会議の幹事会、各省事務次官クラスで構成しておりますが、そこに、ただいま申し上げました内容を
——いま印刷中かと思いますが
——上げて公的なものとし、最終的には
総理が会長である中央
交通安全対策会議、これは
総理の広島の日程がございますので、あしたできませんので、土曜日の七日、
関係閣僚によって構成される中央
交通安全対策会議を開こう。これには、しかし、
交通安全対策基本法に「指定行政機関の長」という、
関係大臣というものが列挙して一応政令で定めてありますが、これは私も基本法を出しますときに、不覚であったといえば不覚でありますが、
防衛庁長官が入っておりませんでしたので、したがって、告示をもってその手続をとって、
防衛庁長官もその構成メンバーとするということにいたしました。
以上で一応私の手元で、非公式でございましたけれども、取りまとめた具体的な問題について、
運輸、
防衛並びに外務省を含めた合意事項として御発表できる段階にまいった次第であります。