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1971-08-16 第66回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年八月十六日(月曜日)    午後一時十九分開会     —————————————    委員の異動  八月四日     辞任         補欠選任      藤田  進君     鈴木  強君      田代富士男君     藤原 房雄君      山田  勇君     青島 幸男君  八月九日     辞任         補欠選任      二木 謙吾君     黒住 忠行君      鈴木  強君     藤田  進君      藤原 房雄君     田代富士男君      青島 幸男君     山田  勇君  八月十日     辞任         補欠選任      植木 光教君     岡本  悟君     —————————————   出席者は左のとおり。     理 事                 鬼丸 勝之君                 佐田 一郎君                 山崎 竜男君                 森中 守義君     委 員                 岩本 政一君                 岡本  悟君                 平島 敏夫君                 伊部  真君                 瀬谷 英行君                 田代富士男君                 田渕 哲也君    国務大臣        外務大臣臨時代        理        木村 俊夫君        運 輸 大 臣  丹羽喬四郎君        国 務 大 臣  中村 寅太君        国 務 大 臣  西村 直己君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        防衛政務次官   野呂 恭一君        防衛庁長官官房        防衛審議官    大西誠一郎君        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        防衛庁防衛局運        用課長      福田 勝一君        防衛庁人事教育        局教育課長    渡辺 伊助君        運輸政務次官   佐藤 孝行君        運輸大臣官房長  高林 康一君        運輸省港湾局長  栗栖 義明君        運輸省自動車局        業務部長     小林 正興君        運輸省航空局長  内村 信行君        運輸省航空局技        術部長      金井  洋君        日本国有鉄道船        舶局長事務取扱  川上 喜久君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (航空交通の安全に関する件)  (韓国地下鉄建設に対する財政援助に関する  件)  (国鉄の財政再建問題等に関する件)  (タクシーの運賃及び料金の値上げ問題等に関  する件)     —————————————   〔理事鬼丸勝之委員長席に着く〕
  2. 鬼丸勝之

    理事鬼丸勝之君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  本日は、木村運輸委員長不在のため、私が運輸委員長代行をつとめます。  運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。  西村防衛庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。西村防衛庁長官
  3. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 当委員会に私も初めて出席さしていただきます。したがいまして、簡単ではございますが、ごあいさつさしていただきたいと思います。  先般、全日空機自衛隊機がぶつかりました。たいへんな事故を起こしまして、多数の人命を失いました。家族の方々にたいへん御苦労をかけました。また、国民にも非常な御心配をかけた次第でありまして、その点、深く、当委員会を通じましても、おわびを申し上げる次第であります。  なお、起こりました事故並びに事故対策、今後のあり方等について深く反省をいたしますが、同時に、国会の御審議、各委員の御批判等十分承りまして、われわれ今後の処置にも反映さしてまいりたいと思います。  一言、つつしんでごあいさつを申し上げた次第であります。
  4. 鬼丸勝之

    理事鬼丸勝之君) 御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  5. 森中守義

    森中守義君 時間がないようですから、防衛庁長官に二、三お尋ねします。  せんだっての一連の航空事故質疑応答を通じまして、総理はもちろん、防衛庁長官に至るまで、四次防は従来どおり計画を変えない、来年度より実施する、こういうことがしきりに強調されてまいりました。ところが、これはたしかきのうの報道関係記事だったと思うんですが、四次防は一年延期をする、来年、四十七年度は単年度予算でいくんだ——むろん、これは正確に防衛庁長官発言という形のものではございませんけれども、おおむね、今日の防衛構想としましては一年延期せざるを得ないんだと。むろん、その理由としては、国際的な流動性、ことにアジアにおける中国あるいは韓国等の問題や、あるいはベトナムの問題等々がこの中にかなりの比重を占めておる。かたがた国内における国民批判も当然この中に入っているという趣旨報道が行なわれております。で、この出所がどこにあるのか明らかじゃございませんが、少なくとも、四次防の構想はくずれた、一年延期せざるを得ない、こういうことなんですが、このことに対して、報道機関の伝えるとおりだというように理解してよろしいですか。
  6. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私も、一部の報道にそういうことがあったことは拝聞しております。ただ、私まだ着任以来十分には検討いたしておりませんが、一応、防衛庁原案が、すでに政府関係部局において、一つ原案として説明なり検討なりされておる、こういうことは事実であります。そこで、防衛庁長官としての態度でございますが、なるほど内外情勢も流動している面もございましょうが、私ども自衛隊は、御存じのとおり、基本は国の自衛、しかも、これは長い年月を見ての長期構想であります。言いかえますれば、長期観点に立っての構想であります。したがいまして、ただいま出されております一つの、まあ世間ではたたき台と言っておりますが、私どものほうは原案でございますが、これの基本的な考え方は別に変える必要はないというのが現在の私の立場であります。  ただ、先般非常な大きな事故を起こしまして、私はその際も申し上げましたし、全隊に向かっても訓示をいたしたのでありますが、国民生命財産を守る、言いかえればその安全を保つということが基本である、その観点から、十分、いわゆる四次防計画なるものには反映はさせなきゃいかぬ、こういうような考え方でございますので、ただいまこれを直ちに、四十七年度は休んで、四十八年なり以降からという考えは、これはございません。こういうふうに御理解を願いたいと存じます。
  7. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、いまのお答えに関する限り、一年延期するということは防衛庁意思ではない、報道機関がかってにつくり上げたものである、こういうふうに理解をすべきなんですか。  そこで、私は、確かに今日の国際情勢あるいはアジア情勢が、かつてない大きな転換期に立っている、こういうことは内外だれしも、ことに国内における政界にある者が敏感に受けとめねばならない動かしがたい事実だと思うのであります。かたがた、いま長官が言われる、一体防衛の任務は何なのだ、国民生命財産を守ることだと、こう言われるけれども、これは先般の、自衛隊機全日空機に突っかけたために百六十二名のとうとい生命を失わしめた、これは逆なんですね。ちっともそうだと思わない。したがって、自衛隊それ自体あり方はもちろん、いま五兆八千億という、異常に膨張した国家予算防衛に投入すべき必要があるかどうか、この辺も大いに議論をもっと詰めていく必要があると私は思うのです。  しかも、きょうこれから審議に入ろうとする航空問題についてですけれども、いま防衛庁計画をされている四次防の中で、新鋭戦闘機を入れよ、しかも、これはF86Fという単座飛行機じゃなくて、複座戦闘機だと。そうなると。パイロットがどうしても足りない、だから、仮免許同様の者を縦横無尽に飛ばそうと。こういうようなことになると、幾ら空域を分離をしてみても、航空法を変えてみても、結果において私は効果があがらない、むしろ、混乱を生ぜしめるのじゃないか。言いかえるならば、依然として生命財産は保障されるのではなくて、むしろ国民生命財産が奪われる。極端な言い方をすると、防衛庁自衛隊というのは国民の側に立つものじゃなくて、国民の向こうに回るという、こういうことも決して将来皆無とは言いがたいというような気もするんです。そうなれば、特に航空自衛隊訓練あり方、このことが四次防にからみついて進んでいく限り、いよいよもって日本の空というものは危険な状態が予想される。こういうことなどを考えれば、内外情勢の流動する中に、一体四次防というものが、いま長官が言われるように、新聞報道というものはかってにつくったもので防衛庁のあずかり知るところじゃない、そういう見解は持たない、依然として従来どおりこれを承継し、実施に移していくという見解は、むしろこの機会に改められたほうがよろしいのではないか、こう思うのです。むろん、これは専門委員会である内閣委員会等で、もっと専門的な突っ込みもありましょうが、四次防それ自体については、たまたまきのうう、一年延期された、四十七年度は単年度予算でいく、こういう記事等が出ましたから、これを、航空問題にきわめて重大な関係があるという、こういう観点から私はお尋ねしたわけですが、いま私は意見をいささか開陳をして、四次防は中止すべきである、最低一年の延期は当然これは行なうべきである、少なくとも空の安全が完全に確保されるという、皆さんが、納得されるのでなくて、国民が承知をするまでやるべきでない、こういうふうに思うんですが、重ねて長官お答えをもう一ぺん願いたい。
  8. 西村直己

    国務大臣西村直己君) ただいまの御所見は御所見として、一つ見方ではあろうと思います。ただ、私どもとしましては、ただいま防衛庁原案で、政府関係機関がこれから審議を慎重にやるわけでありますが、その立論とするところは、まず、国内的には現在の自衛隊、もちろんその使命はおっしゃるとおりの使命でありますが、現在きわめてまだ不十分である、こういうものをやはりいろいろ充足をしてまいるということが一つの長い観点であろうと思う。しかも、いろいろな見方はございますが、すべての観点長期的な観点から見ていく。その中には、もちろん国内問題としては、国内の他の諸施策、それとの調和を十分とったものでなきゃいかぬ、こういう観点で一応つくられたものであります。したがって、その基本を、直ちに私がもうやめるという言明をすべきではない。むしろ、現在、起こりました、おっしゃるような諸般の安全性というものを、やはり十分これから審議の過程で反映していく、こういうような中で私はこの問題はやってまいりたい、こういう意味でございますので、したがって、直ちに、四十七年度一年延ばすとか、やめるとか、こういう考えは現在はございません。
  9. 森中守義

    森中守義君 そこで具体的に航空問題をちょっとお尋ねしますが、中央交通安全対策会議というものが緊急対策要綱というものを発表しましたね。おそらく防衛庁長官もこの会議構成員の一人だろうと思います。そこで七項目にわたるこの要綱が策定をされ、世間に発表されたと同時に、防衛庁においては飛行機訓練再開をする、こういうことが直ちに談話で発表されたわけであります。ところが、この内容をつぶさに検討を加えたり、ないしは連合審査の際における本院における連合審査会の単独の決議、すなわちあの二項にうたっておりました、当面、安全が確保されるまでは自衛隊機並びに米軍機の適当な措置をとるべし、これは飛ばすなという意味なんですよ、早く言いますとね。少なくとも委員長提案として行なわれたあの内容の背景は、具体的には、空域がきちんと整理をされ、安全の絶対性が保障されるまでは飛ばしちゃならぬと、こういう意味であったはずです。しかも、この安全対策要綱の中からいけば、航空局とつぶさに協調、合意に達すべきことがたくさんある、にもかかわらず、それらの作業というものが全く手抜きをされている。この緊急対策要綱が発表されるやいなや訓練再開ということは、どう考えてみても両院における、しかも国会意思防衛庁に託しておったにかかわらず、これを無視をした。一体何を防衛庁考えているのか、こういうことが識者の中に、広く国民の中にですよ、防衛庁に対するこれまた極度な不満と防衛庁の専横に対する怒りが新聞等にもしばしば述べられている。一体これはどういう経過によるのですか。そういう手抜きが、あの大事故を起こしておきながら、なおかつ続けるのですか。その辺はどういうところなんでしょうか。
  10. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 七日の日にこれがきまりました。しかし、もちろんこれは細部に詰めなきゃならぬ点がございます。そこで八、九、十——特に海上自衛隊におきまして、今回、小月で言われているような問題、海上自衛隊におきましては十三日でございますから、訓練再開は八、九、十、十一、十二、十三、四、五日の間に詰められるだけ詰めたもの、また、われわれの隊内でも細心に注意すべきものは注意してやったのでございます。したがいまして、空、陸の面におきましては、まだ、準備を万全に整えてからやりたいというので現在飛行停止をいたしておる状況でございます。
  11. 森中守義

    森中守義君 ちょっといまの答弁では得心いきませんね。あとで私が一、二、問いただした結果、事務レベルにおいては航空局協議の途中であった、それを大臣勇み足記者会見訓練再開を発表したのです。大づかみに、そういう趣旨に私は理解をしているのです。そういう手違いなどは、いろいろな連鎖反応として、ついに再開の翌日、山口上空におけるこれまた危険なニアミスというものが発生した。あなたの言われることは得心できません。これは時間もありませんから私の一方的な意見として聞いておいてもらっていいのですが、要するに慎重さが足りませんよ。百六十二名の命を奪っておいて、少なくともあなたが勇み足で、十分な協議も行なわれていないのに訓練再開などということはもってのほかです。どういったように長官があの事件に対して責任を感じているかわからない。増原さんもやめたことだ、無責任な長官は直ちにやめたほうがいい、そういうことまでも私は言いたくなるわけです。  そこで、事実問題ちょっとお尋ねしますが、山口上空ニアミスについては該当機を発見したのですか、たしか、きのうまでのいろいろな情報では、そういう事実はなかった、まあこういうようなことで防衛庁のほうでは言い切ろうとしているし、逆に、全日空のほうが飛んでならないところを飛んでいる、その高度が問題である、あるいは福岡の管制塔から連絡すべきものを連絡していなかった、こういったふうにさかねじが実は出されたようですが、この真相はどういうことですか。これはひとつ航空局長、運輸大臣来ているかな、両方から、そういう事実をお話し願います。
  12. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 先ほど、私が勇み足でかってにやったような御発言がありますが、それはそうではないのでございます。航空安全対策がきまりましたときにおいては、やがて、できれば十一日ごろをめどに再開をさしてもらいたいということを関係閣僚、もちろん総理も御出席の中で御了承はいただいておりました。ただし、なお念のために十三日までにずらしてやったという経過はたどってやっておることだけは御了承を願いたいと思います。  それから、ただいまのニアミス等状況については、私どものほうは事実は念入りに調査をして、しかし、現場だけで調査をしたのではいけませんので、わざわざ私どものほうとしてはやはり中央から人を派して客観的な姿で事実を明らかにしたい、こういう努力をまだ続けてはおりますが、なかなか具体問題でありますから、それぞれの関係の、具体的に扱ったほうからその内容はひとつお聞き取りを願いたいと思うのであります。
  13. 内村信行

    説明員内村信行君) 八月十四日の、小月上空におきましての全日空機とそれから自衛隊機の問題、これにつきまして、いかなることが事実であったか、これはまだわかりませんけれども報告されていることについて申し上げます。  まず、全日空機小倉発大阪フレンドシップJA八六三六でございまして、同機は乗客三十八名を乗せまして計器飛行方式で午前九時二十四分に小倉空港を離陸いたしました。それから福岡航空交通管制部の指示によりまして「小月東出発経路」に従い上昇飛行を行なったのでございます。自後、同機の機長の報告によりますと、全日空機は午前九時三十一分小月NDB——これは無指向性電波標識でございます——上空を四千フィートで通過し——四千フィートというのは出発経路規定内の高度でございます——その一分後の九時三十二分ごろ、小月NDBから七十九度の方向、約二・五マイル地点、七十九度と申しますと小月から航空路に沿った方向方向を変えまして、それで一万一千フィートまでのぼるわけでございますけれども、その七十九度の方向に約二・五マイルの地点上空でメンターらしき二機編隊が、全日空機前方約二分の一マイルですから約九百メートルでございます、を横切った、そのときの高度は約五千四百フィートで、巡航高度一万一千フィートに上昇中であったというふうなことを報告しております。後に、午前九時四十分に指示された巡航高度一万一千フィートに到達しまして、大阪に向け飛行を継続した、こういう報告がまいっております。
  14. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 補足いたしますると、私どもで現在わかっている状況で申しますると、この民航機と交差する編隊機が全体の七つのうちに四つございます。その四つの、ほぼ九時三十分ごろの場所と高度を申しますと、一つのものが美禰というところで、小月から、いまのホーマーから約三千五百フィートのところ、もう一つのものが十マイル足らずのところで二千フィートのところ、それからもう一つのものは十二、三マイルのところで二千フィートのところ、これはすぐに高度を上げておるようでありますが、それからもう一つは、もっと遠くのところで、これは二十マイル近く遠くへ行っておりますので、これはあまり問題ありませんが、したがいまして、九時三十分現在と申しますると、少なくとも七、八マイルから先のようにわれわれのパイロットの調べではなっております。  そこで、考えられますのは、民航機パイロットの証言がうそであるとも考えられませんので、どういった事態でこういった誤認が起こっているかという問題でございます。  それからもう一つは、小月管制圏の五マイルの範囲内におきましては三千フィート以下に高度を押えさせております。いま申しましたように、十マイル近く行ったところで三千数百フィートでありますから、この中では三千フィート以下の指示どおり飛んでおったものというふうに認められまするし、また、パイロットたちが証言しております。そこで、この民航機が雲の中から出たときに自衛隊らしい編隊機が横切ったということを言っておりますので、この点がどういうような関係位置にあったか、もう少し、現地に人を派しておりますので、具体的な実態を調べてみたいと、かようなふうなのがわれわれの調べた範囲であります。
  15. 森中守義

    森中守義君 そこで、たしか八月十二日に、ニアミスが発生をした場合に、いままでまちまちであった報告というものを統一をする、こういうことが運輸省で、防衛庁を含めて関係機関できまっておる。ところが、いま久保さんの答弁あるいは防衛庁長官答弁からいきますと、要するに異常接近定義というものが、距離的なもの、この辺のことがどうも統一を欠いておる。少なくとも民航機の場合には、新聞に伝えられるところでは八百メートルだったと、こう言うわけです。いま聞いてみると、かなり距離的に離れているような気がする。そこで一体異常接近ということの定義をもう少しきちんとしておかないと、片一方異常接近だと言う、片一方はそうじゃありません。したがって、片一方報告をしてきても片一方報告をしないという、こういうことだと、これはなおさら将来問題だと思うんですよ。その辺のことをどういったように統一をされようとしているのか、まずこれが第一点。  それからいまのような概念を持つ防衛庁では、小月航空隊司令か何かが、パイロット全員を集めて、該当機該当者はだれだということをさがそうとしても、私がやったというのは出てきそうもない。何か国民はこの事態を前にして、どっちの言い分がほんとうなのかという、こういう疑惑も持つ。そうなると、今日の、あの事故直後の問題だけに、少なくとも民航機うそをついたとは思われない。これは当時上昇中であったというフレンドシップ計器あたりをもう少し精密に詰めてみる必要もありましょう。けれども、問題は、一体異常接近はどの距離が異常接近というのか。むろんこれはスピードの問題もありますよ、こういうかなり専門に属するようなことがもう少し正確にならぬと困るんです、これは。しかし私どもは、やはり全日空が言う八百メートル、しかも雲の中から出てきた、この事実は何としても異常接近という認識を——しかも非常に危険な状態であった、こういうように認識するのがあたりまえだと思う。それといま一つは、全日空の場合には、きめられたとおりにきちんと報告した、片一方のほうはしない。この辺に、一体異常接近ということに対して、自衛隊はどう認識しているのか。ぶつからなければこれはいいんだという、こういうことのようにも受け取れる、あぶなくてしようがありません。ですから、一体自衛隊パイロットのこういうことに対する日常の教育訓練、知識というものあるいは概念規定というものはどうなっているんですか。ただもうパイロットにまかせっきりですか。パイロットの自主的な判断で、これは異常接近である、その判断個々パイロットにまかしてあるんですかどうですか、その辺がよくわからない。もし個々パイロット異常接近というその異常な事態について判断がまかしてあるとするならば、これはゆゆしい問題だ。その辺どうですか。ですから、全体的な、どの程度の接近ぐあいをニアミスというのか、しかもそれはブロペラ、ジェット、おのおの速度に重大な関係もありますね。そういったことがどういったように統制されているか。あるいは全日空機といわず自衛隊機といわず、異常接近判断というものは個々パイロットの能力にまかしてあるのかどうなのか、その点はどうなんでしょう。
  16. 内村信行

    説明員内村信行君) ただいま先生おっしゃいましたニアミス定義でございますけれども、これは率直に申しまして非常にむずかしいことでございます。私どもといたしましては、ニアミスというものは、飛行中の航空機が相互間に空中衝突もしくは接触の危険のある場合というふうに一応考えております。そこで、先生おっしゃいますように、一体何フィート以内ならニアミス、あるいは高度差何フィート、あるいは前方、横、何フィートぐらいならニアミスというふうに規定できればいいのでございますけれども、これが非常にむずかしい問題でございます。そこで国際民間航空機関におきましても、ニアミス定義というものは、しばしば論議されながら、まだきまってないという実情でございます。そこで勢いこれは主観的なものにならざるを得ないということでございまして、たとえて申し上げますと、アメリカは異常接近定義といたしまして、「飛行段階において、現実または潜在的な衝突の危険があるほどに他機との間隔が不当に縮まることにより、少なくとも関係航空機パイロットのうちの一人が危険を感じた場合」と、こういうふうに規定しておるようなわけでございます。  そこで、このニアミスというものをなぜ報告させるかということでございますが、これはやはり目的は、今後の危険を防止するということであろうかと思います。したがいまして、その際に、何フィートというふうなことを規定いたしまして、両方のパイロットが事実認識が違うというふうなことで、報告するしないということよりは、少なくとも、だれでも危険を感じた者はみんな報告していらっしゃいと、それによって客観情勢を解析をして、今後の事故を起こさないように防止するということをたてまえとして、それは少し範囲が広がろうが何であろうが、全部報告をさせたいというふうに考えておるわけでございます。
  17. 久保卓也

    説明員久保卓也君) いまアメリカのニアミス定義を御紹介になりましたが、われわれの自衛隊の側で危険を認識していなくて民間機側で認識するということで、実態の相違が相当出てまいっておるということがあります。そこで問題は、民間機に不安を与えないということが一つの基準でありますので、従来の、われわれのニアミスという定義はいま運輸省でお話しになったとおりでありますし、でき得べくんばニアミスについての具体的な数値を入れたいわけでありますが、私どものほうとしては、現状、事務的にはこういうふうにしたいと思っております。  といいますのは、ニアミス、ミスという例に当たりませんでも、相手飛行機にこういう基準、こういう距離まで近づいた場合には報告をしなさい、それがたとえば領空侵犯事犯なんかの場合もそうでありますけれども、高度の場合、あとをついていく場合、正面からぶつかる場合、それから斜めにぶつかる場合、いろいろそのときに応じて、あるいはまた雲高等の気象状況等によっても違ってまいりますけれども、比較的安全な距離というものを出しまして、その範囲内におけるものは報告をしなさい、これは私どもニアミスとは考えないけれども、そういったものを報告させる。そうすると、従来は、自衛隊機は危険を感じなかったということで報告が上がってこない、しかし民間機側からは上がってくるということで両者の照合が不可能な場合が多かったわけでありますが、少なくとも、言うなれば台帳のようなものを私どもでこしらえておいて、そして民間機からの何といいますか、ニアミスの申し立てがあるならば、それを照合してみたい。われわれのほうでは台帳の中から、これはニアミスに該当するというように判断をすれば、いまの民航機などの訴えとわれわれのほうとの考え方の違いというものが相当そこでなくなってくるのではないか。こういうことで何とかニアミス、もしくはニアミスに至らない事態を総合的な数値を入れてつかまえてみたい、そういうような指導というよりか、そういう方法をとっていきたいと考えております。
  18. 森中守義

    森中守義君 これは、いま両者の答えを聞いておりますと国際的にも定義的なものがない、しかしアメリカはこうだというアメリカの実例を引用されたわけですが、少なくとも国内関係者のニアミスに対する概念規定というものが決してこれは統一されていないのですね。いままでこういうことがしばしばあっていたのかもわからない、しかしこれはたとえば防衛庁機であろうと、あるいは民航機であろうと、いずれかが危険を感じた場合、こういうことは一つのよりどころになると思うのです。しかし今回の場合のように民航機はあぶなかったと、片一方は、そういうことは知らなかったというようなことでは、いよいよもってこれは安全どころじゃない、不安全きわまりないのですよ。ですから、このことについてはニアミスの分科会等で何か答えも出ているようですけれども、肝心かなめな定義がない。これじゃ一体どこでどうまとめてどういう追跡調査をやろうとするのか、結局水かけ論に終わってしまう。ただ何がしかの精神的な、ある種の警鐘を乱打する、こういう精神効果はあるのです、しかし具体的にはない。ですから、もう少しニアミス定義ということについては早急にこれは一つの答えを出してもらいたい。国際的にそれがないから日本でもよろしかろうということじゃないと思うのです。一つぐらい日本で先例をつくったっていいじゃないですか。これは要望ですが、そうしてもらいたいと思う。  それからもう一つ、空中における飛行中の飛行機が、民航機自衛隊機の間に途中で通信するようなことはできないのですか。たとえば私が知る限りでは、民航機はVHFを使う、自衛隊機はUHFを使う、これじゃ交信のしようがないのですね。すべて地上の管制塔の指示を受けるとか報告をする、こういうことになる。そうなると今度のように、T33であったという説があってみたり、片一方パイロットは番号が見えそうだったと、こう言うのですけれども、正確でない。一体どれがあぶなかったかという確認ができないのですね。だから、ここでVHFとUHFというものを両方とも交互に使えるような、そういう飛行中のつまり交信が民航機並びに防衛庁機にできるような、あるいは問いかけができるような、そういう措置はとれないものですか。これはまさに物理的というよりは、機械を据えればいいことなんです。しかも何だか自衛隊機の場合には米軍から引き継いだままですね、ただもうUHFだけにたよる、民航機民航機でVHFだけにたよる、こういうことで飛行中の交信、あるいは通信による問いかけができないというのなら、そういう不便さ、それは解消できるのじゃないですか。これはニアミスをある程度回避する、あるいは相手がどの飛行機であったろうかということを確認する程度の効果は私はあると思うのですがね。こういう通信機器を新たに併設をするという、こういう手段は考えられないものですか、どうでしょう。
  19. 内村信行

    説明員内村信行君) ただいまの御指摘のように、確かに自衛隊航空機はUHFでやっておりますし、民間機はVHFでやっております。管制部におきましてはU・V双方持っておりますから、当然これは通信できるわけでございます。自衛隊機と民間航空機交互に通信ができないというのは先生御指摘のとおりであります。私もそうはっきりと、技術者でないわけですから詳しいことわかりませんが、やはり何と申しましても、民と軍とが統一的に行動する、連絡がとれるということは必要なことだと私は思います。したがいまして、その方向検討する必要があるだろうと考えます。
  20. 久保卓也

    説明員久保卓也君) どういう器材を使えば都合がよろしいか、あるいは直接にやらないで下を経てまた上に返るはね返りで、三角方式でやることが可能であるのか、この点ひとつ技術的に詰めて運輸省とも相談してみたいと思います。
  21. 森中守義

    森中守義君 これは航空専門家あたりは、ニアミス一つの盲点は、この辺にあるということがしばしば指摘されております。私もそう電波の専門家じゃないけれども、UとVとの関係というのは、これは機器を、双方とも交互に交信できるものをつける、あるいはチャンネルをそれに合わせておくという、そういう波長の問題等は技術的に解決できるものですから、できるだけニアミス空中衝突というものが回避できる一つの手がかりともなるならば、これは早急に検討してもらいたい、実現をしてもらいたい。  それと、防衛庁長官お急ぎのようですから、最後に、防衛庁長官にお尋ねをいたしますが、航空法の抜本的改正という問題ですが、この抜本という意味は、古いものを新しいものに、現代的なものに切りかえるということ、こういう意味はもちろんですけれども航空法の中に定められている運輸大臣防衛庁長官に対する委任規定、この委任条項が抜本改正の一つに当然ならざるを得ない。そこで、いつの時代なのか、手元に私はその資料を持っておりませんけれども航空法が許容しているのかどうかもわかりませんですが、かつての航空局長防衛庁防衛局長との間に何か合意文書的なものができ上がっている、こういうことを一、二回聞いたことがあります。そこで、そういったようなものも含めて、現行の航空法の中から抜本改正をやろうとするならば、当然、委任規定、委任条項というものは削除する、同時にまた地位協定の一条及び六条による米軍の管制権——政府はこれを類似行為と、こう呼んでいるようですが、そういう二つのことを航空法から抹殺をしない限り、航空法の抜本改正にはならない。これは運輸大臣見えたあと、もう少し運輸省にお尋ねしたいと思っておりますが、防衛庁の場合は——航空法の抜本改正、航空法の一元化、一元運用、こういう立場から当然のこととして、この際は委任規定、委任条項というものが削除されてしかるべきである、同時に、米軍に与えられている地位協定並びにこれに基づく合同委員会の合意文書などというものは廃棄して初めて航空法の一元化になり、抜本改正になる、こう思うのですが、こういった方向航空法の改正が進んだ場合、防衛庁異論がありませんか。これが一つ。  それからいま一つは、これも新聞報道なので詳細なことはわかりませんし、法務大臣を実は呼ぶべきだったが、きょう来ませんからわかりませんけれども、二、三日前に松島派遣隊の隊長及び上級幹部の人事の更迭が行なわれているのですね。これは、この処分を何か世間に向けて合理化していくということのようにもとれる。ついては、市川、隈の現在被疑者と呼ばれておりますけれども、こういう諸君は、司法処分とは別に当然、行政処分が行なわれる、そういうことに対して何か構想を固めておいでになりますか。この二点について防衛庁長官にお尋ねしておきたい。
  22. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 前段の、航空法の改正の問題でございます。これはもちろん運輸省サイドだけの問題ではございません。政府全体の問題の中でこの問題は考えてみなきゃならぬ。そこで、防衛庁自体におきましても、もちろんいろいろな問題がございますが、航空法の改正をも含めまして、私ども一つのプロジェクトチームなどを設けて検討を進めておりますし、運輸省サイドでも、こういうような航空安全を中心にした協議会なり委員会を設けておられると思うのであります。また、政府におきましても、航空交通の安全の中でそういう方面を打開していこう。そこで、委任条項とか米軍の関係の管理をどうするか。形の上では現在も一応、航空法によって最終的には運輸大臣に一元化されておりますが、問題は実質をあげることだと思います。実質をどうあげるか。こういうような意味で、私どもは私どもなりに職責を果たすための一つの隊務というものは確かにございます、スクランブルであるとか、いろいろな。しかし、何と申しましても、民間の航空安全ということは第一義であります。生命財産を安全に保つということが第一義であります。その中で、隊務をどう遂行していくかという中で、いまの委任条項等を検討してまいりたい、こういう考え方でございます。  なお、それから、事故を起こしました人たちの処分の問題であります。現在、事故そのものについては、調査団が最終結論をやがて出すでありましょうし、また、片方は刑事の対象になっております。それらも勘案いたしまして、私どもは行政処置をとりたい、こういう考え方であります。
  23. 佐藤孝行

    説明員(佐藤孝行君) お尋ねの第一点の、航空法を改正する意思があるかどうかという質問でございますが、去る八月十四日、運輸省訓令によって、省内に官房長を長とする学識経験者を加えた航空法改正検討委員会を設けて、現在の航空行政に即応し、かつまた、将来にわたる航空交通の安全の確保を目的とした航空法制が整備されるよう、現在の航空法、その他の航空関連法律も同様でありますが、調査審議させることとなっております。その結論を待って航空法の改正の手続をとりたい、かように考えております。  なお、航空法は、御承知のとおり、総合的な法規であり、これを全般的に再検討するのは相当長期間の日時を要するものと思われますが、部分的であっても、結論が得られれば、一部改正の形で次の通常国会に提出することも考えております。  また、自衛隊の特例条項については、管制について航空法に委任規定があり、耐空証明あるいは乗り組み員の資格、飛行場、また航空保安施設の設置等、自衛隊法により航空法の適用除外になっているのは御承知のとおりでありますが、そのあり方についても私どもは再検討したいと思っております。かりに、これらの規定を全廃することがなくても、民間航空の安全をはかるにはいかなる改定が必要かということを十分検討するつもりでございます。  なお、第二点の、航空自衛隊の問題の市川、隈……。
  24. 森中守義

    森中守義君 ちょっと政務次官、お答え中ですが、あなたはずっとおられるわけだから、それはまたあとで伺います。
  25. 佐藤孝行

    説明員(佐藤孝行君) それでは前段だけお答しておきます。
  26. 森中守義

    森中守義君 行管長官には何回もお越しいただいて、むだ足ばかりさせてまことに相すまない、きょうもじっくりとあれしてもらおうと思ったのだが、あなたもたいへん忙しいようですから二、三お聞きしておきますが、どうなんですか、今回の、行政簡素化という名のもとにおける人員整理。これはいまお聞きのように、非常に航空問題がむずかしくなってきている。しかも一連の、こういう事件発生の背景をなすとまでは言いませんけれども、とにかく管制要員ということは、どう考えてみても、一元的な見方として、他の各省庁と同じように人員整理などというのは思いも寄らない。むしろこれはローカル空港に至るまで完全な管制要員を配置いたしませんと、えらいことになる。特に函館における「ばんだい」号事件などは、まだ真相は明らかじゃないけれども、やはり管制上の不備などもパイロットの側に言わせると心もとない、こういう話があるのですよ。ですから、これは当然なことでしょうが、他の省庁の人員削減と同一に見るということはないでしょうね。それと同時に、四十七年度はこれこれ、四十八年度はこれこれというように、航空局はどめ程度人員要求しておるかわかりませんけれども、進んで財政当局にあなたのほうはアドバイスされるのですか、それを聞いておきたい。
  27. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) 森中委員の御意見と私も全く同じ考え方でこの問題とは取り組んでおります。御承知のように、航空機事故というものは他の交通機関と違う、人命の損傷につながる率がきわめて大きうございますので、航空機事故の対策としては万全をこれは期さなければならぬと考えております。そういう意味で、私のほうとしましても航空関係の要員に対しましてはできるだけ完ぺきな配置ができるように、配員ができるように考えてまいりたいと思っております。特に、いま森中委員の指摘されました管制官のごときに至りましては、これはもっとふやさなければならないという情勢でございますけれども、この管制官の技術を持ったその人自体が非常に少ないというよりも不足しておるという状態でございますから、私どもとしては要員を確保するということだけにとどまらず、これを養成する施設等にまで考慮をしなければならぬというような考え方で対処しておる次第でございます。
  28. 森中守義

    森中守義君 これは昨今の異常な航空産業の発展、これに対応する監督行政という立場に立つ運輸省航空局ですね、これに対して行政管理庁がどういう見解をお持ちなのか。先般などは相当規模の組織改編をやったらどうか、こういうことなども意見としては出ているわけです。これに対して行政管理庁はどういう見解をお持ちですか。むろんこれは設置法の改正等を必要とする問題ですけれども、現状の航空行政に対して行管としては可なりとする見解なのか、否なりとする見解なのか、その辺どうですか。
  29. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) 私は、今日の航空行政の体制は、日に日に増大していきます航空需要に対するかまえとしてはきわめてやはり不十分であるという考え方森中委員と同じように持ちます。そこで将来の問題として、航空需要に対応する——対応するというよりも、私は向こうから迎えていくというぐらいの積極的なかまえが必要な場面であると、こういうふうに考えております。そういう気持ちでございますので、運輸当局からいろいろの案が出てまいりました場合は、ただいま申しますような観点に立って積極的に検討してまいりたい、かように考えております。
  30. 森中守義

    森中守義君 ちょっと政務次官と局長にお聞きしておきますがね、航空法の問題です。さっきちょっとお話ししました。これは、その細部にわたるものはたくさんいろいろ問題がある。ところが一番問題なのは、さっき私が申し上げた地位協定に関する米軍の権限、委任条項における防衛庁長官の権限、まあこれは運輸大臣の統制に服すると、こういうことはあるのだけれども、これは実は条文それ自体が空洞化というか形骸化されている。残念ながら、統制に服しているという事実はあまり知らないのですよ。  そこで具体的に伺いますが、何か省内で検討委員会というのをおつくりになったようですね。一体これはどういう性格づけのものなのか。また、さっき政務次官のお話では、正確ではないが、次期通常国会には出し得るかもわからないと、こういう見解のようです。しかし、いま航空法の改正ということはまさに重大な一つの焦点になっている。だからこの際は、また大臣に重ねて聞きますけれども、当然なこととして、次期通常国会に提出をすべきである、これが第一なんです。同時に、抜本的な改正の抜本ということは、米軍側並びに自衛隊に対する完全なる切断を行なう、そこで航空自衛隊をどうするのか、防衛庁、米軍をどうするのか、こういう繁雑な問題が当然予測されますけれども、これは何としても軍事優先から民間優先に切りかえるというならば、この二つのことに焦点を合わせなければできない、私はこう思っているのです。そうなりますと、省内で町田事務次官あるいは手塚海上保安庁長官、この両者を最高顧問とした検討委員会というのでは、決して両者の力がないという意味ではないけれども、必ずしも当を得た改正になるかどうか多少疑問がある。ですからこの際は、さようなことを一〇〇%実現をされることに責任を持つと、こういう意味で、たくさん諮問機関あるいは審議機関があるのですからね、この際、思い切って、大臣が部外の第三者に委嘱するような航空法改正諮問委員会、あくまでも仮称ですけれども、こういうものをつくったらどうだろうか、あるいはつくるべきじゃないだろうか、こう思う。しかもその中には、実際に飛んでいる日本航空あるいは全日空の前線のパイロット諸君の参加も必要であるし、あるいは管制業務に携わっている現地の管制官の参加も必要であろうし、そういう専門家というならば、そのサイドにおける専門家をこまかく網羅する。こういうかなり実際の航空業務というのはどうあるべきかという、そういう広範な代表からなる諮問機関を設置をして、大臣は答申をもらう、こういったことのほうが、より私は航空法改正の明るい方向が見出せるのじゃないだろうか、こう思うのですが どうですか。大臣、途中で見えたので、しかも大臣がこれはやはり責任ある立場ですから、政務次官よく耳打ちをして答えてもらうほうが質問者も納得しますよ。
  31. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ちょっと初めにお断わり申しておきますが、知事会で私に質問が集中したものですから、おくれまして申しわけございません。  ただいま森中委員からの御指摘でございますが、航空法改正につきましては、先般この運輸委員会を中心といたします連合審査会におきまして、航空法をすみやかに改正をするというような御決議をいただきまして、それを受けまして、私直ちにその翌日、省内においてその改正の手段を考えろということを申しました。先般、御承知のとおり、ただいま航空局いろいろの問題で追われておりますので、それを待っていた日にはおそくなるものですから、とりあえず官房に、官房長を中心といたしまして各局長その他関係者を集めまして、それとともに、前に航空に関係のある他の局長、長官委員に入れますとともに、民間の有識者、ただいま御指摘のございましたようないわゆる航空の専門の方々にも十名ばかり御委嘱を申し上げまして、はたしてこのジェット機時代における航空の法としてふさわしいものをつくるにはどうしたらいいかというようなことを十分検討をいただきまして、しかも相当なスピードでもって結論を急ぎたい、こういうことでせっかくいまその方面の作業を進めさせよう、こういうふうに思っておる次第でございますので、よろしくお願い申し上げる次第でございます。
  32. 森中守義

    森中守義君 それは確かに、検討委員会の中に学識経験者などと、こういうことも新聞には出ておりますから、その限りにおいては否定しないのです。しかし航空法の改正ということは、いわゆる航空行政あるいは将来の航空保安の重大なかなめになる。そうなると、内輪を中心にして第三者をお招きになる、委嘱されるという方法は、結果においては同じかわからぬけれども、もっと権威ある第三者に航空法改正を委嘱をされる、少なくとも批判的な立場、第三者的な立場から、あるべき航空行政、航空法とはどうなければならぬのかということを検討していくには、むしろ審議会もしくは諮問委員会等のようなものをおつくりになるほうがよりベターではなかろうか、よりベストではないか、こういうように私は考えるわけで、その御意思はないのかということ、それと、通常国会に必ず出しますというお約束がもらえるかどうか。少なくとも本院の連合審査会の単独の決議というのはそういうことを意味しているわけですが、もう少し正確にお答え願いたいし、それからいま一つ、改正の構想というものは、先ほど来だいぶしゃべってきましたが、防衛庁長官の委任条項をどうするのか、あるいは地位協定に基づく米軍に与えている特権というものはどうするのか、この二つのことに答えが与えられなければ抜本改正にはならぬと思う。そのことが改正の構想の中に入っているかどうか。この三つのことをもう少し正確に大臣に聞いておきたい。
  33. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまの御質問でございますが、民間のいろいろな経験者を中心として改正の問題と取り組んだらどうか、こういうお話でございますが、これはごもっとものお話でございまして、いまの御意見を尊重いたしましてこれからでもいろいろくふうをしてみたいと、こう思っておる次第ですが、私ども初めは、やはりこの委員長は民間の方にお願いしたほうがいいのじゃないかということも考えてやった次第でございますが、とりあえず、ともかくも大体どういうふうなことで進めたらいいかということだけでも先に検討したほうがいいということで、すぐ日がたつものですから、官房に、官房長を中心といたしまして、それから関係省庁の長、また民間の専門家の方々を御委嘱いたしまして、大体のことを、進め方をきめるだけでも早いほうがいいじゃないか、こういうことできめた次第でございまして、いま森中委員からの御指摘の、民間の相当の見識者の人たちにひとつ御委嘱をする、運輸省航空局のほうはもちろんその委員に入るけれども、また事務局的役割りを果たすというような委員も必要だろうということも考えております。この点ももう少し研究いたしまして私どもやっていきたい、こういうふうに思っておる次第でございます。  また、通常国会に出せるかどうかという問題は、この前の連合審査会のときでも私お答えを申しましたとおり、なかなか膨大な法律でございまして、何しろ百六十二条からなる本法だけでもそうでございますし、関連法規も相当ございますので、それらをつくりまして、せっかくつくるものでございますから権威あるものをひとつ、もちろん諸先生の御審議を仰ぐ次第でございますが、原案といたしましても権威あるものにいたさなくちゃならぬということになりますと、相当に時間を要するのではないかということで、必ずしも、通常国会を目途といたしましてやりますけれども、それに間に合うかどうかはお約束できないということを言った次第でございますが、ただいま検討しますと、なかなかやはり容易なことではございません。ただ、この前御指摘がございましたように、方向だけでもぜひとも結論を出しておきたいと、こういうふうに思っている次第でございます。  また、そのうちで一部どうしても早くやらなくちゃいかぬというふうなものにつきましては、その全体のうちの一部改正ということで御審議を願うこともあるかもしれないという態度でただいまは臨んでいるわけでございますので、御了解願いたい、こう思う次第でございます。
  34. 鬼丸勝之

    理事鬼丸勝之君) 答弁漏れがあります、委任の問題。
  35. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) これらの問題も含めまして、要するに自衛隊に航空の一部の管制を委任するかどうかというような問題、それからまた自衛隊法にあるような問題、これらももちろん検討範囲に入れまして、いかにすれば民間航空安全第一主義が守れるかという見地に立ちまして十分検討してまいりたい、こういうふうに思う次第でございます。
  36. 森中守義

    森中守義君 米軍の関係……。
  37. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 米軍の関係もそのとおりでございまして、これはいろいろ協定のことがございますから、御承知のとおり、ただいま内閣におきまして航空交通連絡協議会を開いておりまして、それには運輸省のみならず、防衛庁、外務省も入っておりまして、先般も実は米軍の関係者と航空局関係者とが第一回会談をやりまして、たしか一昨日第二回の会談をやったと思う次第でございまして、漸次それらのほうも煮詰めてまいりたい、検討してまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  38. 森中守義

    森中守義君 これは拙速必ずしも可とはいたしません。けれども、片手間じゃ困る、片手間では。いま大臣お答えを聞いておりますと、積極的な姿勢が見えるようにも受け取れるけれども、必ずしもそうでもないようにも受け取れる。ことに防衛庁及び米軍との関係は、はなはだ歯切れが悪い。こういう意味で、これは私の提案みたいなことになりますけれども検討委員会という一定のワクにとどまらないで、極力、通常国会に抜本改正案が出れるように、そうしてもらわないと、この百六十二名の犠牲者あるいは「ばんだい」号以下多数の犠牲者にも相すまぬことです。空の安全というものはかかって航空法にある、こういう認識を持つ限り、もっと積極的な姿勢をとってもらいたい。同時に、地位協定については、あとで外務大臣代理にも来てもらうようにしておりますから、そのときにもう少しお尋ねしたいと思う。  もうあと一、二問で終わりますが、何か全日空の、新聞のタイトルはそれぞれ違いますね。点検に手抜かりがあったのじゃないか、あるいは気のゆるみをしかるとか、それぞれ言い方は違うのですがね。こういうことで全日空に整備点検の総点検を指示されたようですね。その結果というものはあまり表に出ない。その答えが、一言で言うならば、国内便を大幅に減らすという答えになったようです。そこで私は、一体全日空総点検の結果、明らかに整備上に欠陥があったのか、これが第一点。  それといま一つは、高圧産業といわれていた航空産業というものは、もはや今日においては高圧産業ではありませんね。ある意味では花形あるいは戦略産業、こういう言い方もできるように、もうたいへんな膨張ですよ。これは所得倍増政策以来、新全総あるいはその後の経済社会発展計画など一連の経済成長の中に、航空事業というものが輸送手段として急激な膨張策をとられてきたわけです。しかも、こういう経過の中に、業界から増便増発の申請が出れば、何らこれにチェックを加えることなく全部許可している。ところが、今日になってこういう大事故が起きて、企業に点検をやらしている。みずからが点検をやっている、これはいかぬということで減便するということは一体何を意味するのか。私はそういう意味では、日本航空であろうと、全日空であろうと、東亜国内航空であろうと、企業の責任はもちろん、そういう申請に許可を与えてきた運輸省自体の責任もあるのじゃないか、こういうふうに思うのです。そこで、要するに、全日空点検の結果、減便という措置に答えを求めざるを得なかった経緯、それと増便の申請があった際、全体の視点から一体増便を認可してきたのかどうか、運輸省自体が顧みるところはないのか、この辺のところを少し聞かしてもらいたい。
  39. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまの御指摘でございますが、全日空に総点検を命じましたのは、これはそれとは全然別個でございます。実はその後、全日空の機体で、どうも事前検査が少し悪かったのじゃないかというようなミスが二、三続きましたので、それで実は私が全日空の首脳部を呼びまして、私のほうでも立ち入り検査をしたいけれども、いま、東亜国内航空の立ち入り検査をやって取りまとめをしているところだから、君のほうでも早急にそれをやってみろということを命じまして、向こうは、副社長が中心になりまして、たしか一カ月、ひとつ十分すっかりやるからそれまで待ってもらいたい、必ず、と言って、あれを命じましてから二日くらいたってから始めている次第でございます。したがいまして、その結果が出てくるのは三十日あとでございますが、いまから見ますとあと二十日あまりでございます。しかしその結果がはたして正しいのかどうか、われわれといたしましても独自の立ち入り検査をするかどうかということは、向こうの報告を待ちまして検討いたしまして結果を出すということでございます。  また、減便の指示をいたしましたのも、これも実は私でございまして、これは最近のいろいろの増便増便に続きまして、夏季のいま羽田空港あるいは大阪空港の離着陸の状態を見ておりますると、はなはだしいときはホールディングに三十分も四十分もかかる、こういうような状態で、調べてみますと、夏は、羽田のあたりは南風が吹くのでついおくれるのだ、そういうことでございます。先般も、いろいろ申しわけない次第でございますが、航空事故を起こしている際でもあるし、それからいまの保安施設その他の問題から勘案いたしまして、それは確かにその点におきましては乗客に対する御不便も一時かけるかもわからないけれども、要するに増便の問題は保安施設の完備、管理要員の完備と相まって、見合った、調和のある増便をしなければならぬという私は見地からいたしまして、いまそういったような夏場であるからといって三十分も四十分もホールディングをする状態では、かえって国民にも不安を与えるのではないか、そういう点で減便をいますべきものじゃないかということで、会社と航空局長をしていろいろ話し合いをさしている次第でございまして、将来もそういった問題と見合いまして、先般も、「ばんだい」号の事故のときにもいろいろ当委員会で御指摘がございました——要するに、団体客を大ぜいうんと募集ばかりし過ぎるのじゃないか、そのためにこういうふうな過密状態が起こっているのではないかというような御指摘もございましたので、それらを勘案いたしまして、ちょうどいまの事態に合った、適度の増減はいかがなものであろうかということの検討をただいま命じているところでございます。そういうわけでございますので、これはただに全日空だけでございません。東亜国内航空に対しましても、国内航空の点検につきましては、立ち入り検査につきましてはそろそろ結論が出ると思う次第でございます。日航に対しましてもまた必要があれば独自の立ち入り検査をする、また、その総点検を命ずるということを首脳部には私からはっきり言っておりますので、それらも勘案いたしまして、いわゆる整備面、操縦面その他におきまするところの、やはり会社といたしましても航空事故をなくなすようにいませっかく努力をしているところでございますので、ひとつ御了解を願いたいと思う次第でございます。
  40. 森中守義

    森中守義君 これが大臣への一つの、きょうは終わりの質問にさしてもらいますがね、そこでいままでの経過にかんがみますと、必ずしも航空政策というものが均衡のとれた政策として発展していなかった、ここに最大の原因があるのではないか、こういう気がする。つまり、成田であれ、あるいはその余の二種ですか三種ですか、空港であれ、空港の整備拡張には異常な力点が置かれる。特に繰り上げられたという新しい整備五カ年計画でも、大体滑走路の延長というものが五千六百億かの予算の中の三分の二以上を占めている。こういうものに対して一体保全設備はどうだったのか、管制要員の配置がどうなのか、入れものだけばかでかくつくり上げておいて実際の中身というのはあまりつり合いがとれていない。そこでとにかく飛ばせ飛ばせ、運べ運べというようなことで現在まできているのが残念ながら航空政策の基調じゃなかったのか。そこに私は、航空政策の現在に至る展開の中に一つの反省期がきたのじゃないか、その責任を一体どう感じるのかということになってくると思う。むろんこれはさっき申し上げるように、六〇年代の初期から現在に至るまでの高度成長政策という名のもとにおける、ある種の膨張政策というものに対応したものが航空政策に典型的なものとして見れるような気がしてしようがない。ここで一体、政策の転換をどういう方向にはかり、調和のとれた政策に置きかえていくかというのが問題だと思うのですよ。そのことを政府運輸省考えるならば、何としてでもすみやかに地ならしが必要じゃないか、こういうように思うのです。ですから、新たな整備計画等にしても、もう一回洗い直してみる必要がありませんか。これが第一です。  それといま一つは、国内三社を見に場合、行政指導、行政監督、こういう面から見ても必ずしもこれまた均衡がとれていない。たとえば日本航空法によると国が二分の一の資本を持つ、あるいは補助金、助成金を出そうという——その余の二社については一体どうなのか。そういうことが私は最大の原因だとはむろん思いませんけれども、少なくとも仄聞する限り、日本航空の整備機能と全日空の整備機能というものとは体質的にたいへんな相違がある、こういうことを聞いておるのですね。そこで行政指導、行政監督、片や特殊法人という法律の保障がある、他はそういうものがない、この辺にも一ぺん洗い直してみる必要があるのじゃないかということが第二の問題。  それと、そういうところまで言っていいかどうかわかりませんが、航空局の人事の問題も多分にそういう点があるような気がする。いま航空局に参事官が二名配置されていますね。ところが、一人は日本航空から来ていると、こういわれる。その人自体を言うのじゃありませんよ。おそらくすぐれた権威者であり専門家でしょう。けれども、これは私なりに在来の考えからいくならば、日本航空に航空局から駐在官か何かで行って見ているということなら話はわかりますよ。逆に日本航空から航空局に来ている、それが管制上の権威者である、こういう話なんですね。これは第三者からちょっと聞いた話なんですけれどもね。しかし、日本航空から、たとえ管制上であろうと何であろうと、権威者だからといって招かれねばならないほど今日の航空局の頭脳、機能というのは弱体だとは私は思わない。こういったように、機構並びに人的な配置についてももう一回洗い直していく必要があるのじゃないか、こういうことなども考えているわけです。したがって、航空法はもちろん、その他全体にわたる航空行政に盲点が多過ぎる。しかも片や飛ばせ、乗せろということで現在に至った航空行政の最高責任者、むろん防衛庁あるいは米軍に特殊な権益を保障している、これこそむちゃくちゃという一語に尽きるのじゃないか、こう思うのです。ですから、ひとり航空法の改正のみならず、政策の新しい展開にあたってももう一回洗い直す、地ならしをする、こういう時代を迎えているのじゃないか、こう思うのですが、大臣のお考えを承って、あなたに対する質問をこれで終わりたいと思います。
  41. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまの数々の御指摘、まことにごもっともの点が多々あると私は感じている次第でございます。  率直に申しまして、民間航空、非常に発展をしてまいりまして、それに従うところの管理体制あるいは空港体制いろいろの問題につきましておくれているということが言えると私もはっきり思う次第でございます。したがいまして、まことに申しわけない次第でございますが、いまそれに対する航空需要は非常に増大をしております。私、再三ああいったような事故を起こしましてほんとうに責任者といたしまして感じておりますことは、何と申しましても航空交通の安全を確保するということをまず第一義に考えなくちゃならないということを私は強く感じておる次第でございます。それゆえに、御指摘のとおり、航空法の改正にいたしましても、あらゆる方面につきまして私たちも謙虚に再検討しなければならない時期ではないか、こういうふうに思っている次第でございます。つきまして空港の、まあ五千六百億の五カ年計画にいたしましても、私が初めに言いましたのは、保安施設を五年でなく三年間にともかくも繰り上げ、先に整備をできないかということを強く命じた次第でございまして、初めのときは、VOR、DMEについてはもう五年を三年に繰り上げるということを決定した次第でございます。あとのARSRとか、そういったような長距離監視レーダー、そういったものにつきましては、とても五年でなければ——七年を五年に直したのだからそれ以上はできないということを強く事務当局、具体的な問題として申し述べた次第でございます。何とかこれは増員のほうは私責任を持つから、ことしからでも増員につきましては内閣と交渉するから、実要員を確保してできるだけ早くやらないかということを強くいま研究をさしているところでございまして、いま森中先生から御指摘のように、ただに滑走路を増強するとか、そういうことよりも——それももちろん短い滑走路よりは、千二百よりは二千がいい、千五百がいい、当然でございますけれども、まず保安施設を先に整備、充実するということが先でございます。今回は、ARSRはもちろんでございますが、DMEとかVORとか、またASRとか、またバッジとかアプローチライトとか、そういったような整備をできるだけ早くやらせるということを重点にいたしまして、私はむしろそっちのほうを重点にしてやれということをいま指示しているところでございます。  また、ただいま御指摘の、航空局日本航空から人材を求めて、それを参事官にしているじゃないか、むしろ逆じゃないかというお話でございます。これはまことにごもっともでございますが、何といたしましても、航空法を二十七年に制定したときに初めて航空局らしいものができた、こういうふうな調子でございまして、いろいろの点におきましてやはり民間の経験あり知識あるという人をその当時必要としたものでございますから、しかも人格のりっぱな者であれば公務員としてもふさわしいのじゃないか、そういう者が入ることが航空局の人的内容を充実するのに適当じゃないかということでした次第でございます。しかしこのことは、いま申し上げましたとおり、航空局の人員が充実をいたしまして、むしろ航空局の者が日本航空でもどこでもこれを指導する、強く指導できるという知識、体験、見識を備えることが将来において最も望ましいことでございます。いま一人入っておりますが、これは必ずこれからも入れるということじゃございません。いまこっちに来ております者は、非常にそういう点におきましては——いま森中委員からもお話がごさいました、個人のことを言うわけじゃないというお話でございますが、私どももこれはまた適当な人物だ、こういうふうに思っている次第でございますが、将来ともこういったような制度をとるという気はございませんので、これはひとつ御了解願いたいと思う次第でございます。大体そういうことで、私どもといたしましては、いまこういったような重大な時期でございますから、真剣に、あらゆる点におきまして再検討いたしまして、真に国民の不安をなくなすように航空行政の確立をはかってまいりたいという考えでございますので、ひとつ御了解を願いたい、こう思う次第でございます。
  42. 森中守義

    森中守義君 実は、こういったように特殊な問題が起きた場合に、特にその焦点が、時期がたつと何かしらまたもとのようになってしまうのですね。そういうことをいままでずっと繰り返してきているんですよ。ですから、まあ、こういったことをそのたびごとにやっていたんじゃ、それはもう実際困りますし、国民だって不安でしようがありませんよ。だから先ほど来、私が幾つかの問題を提起してきましたけれども、どうなんですか、この際、どこでもここでもやっているからというわけじゃないけれども、整備五カ年計画を三年に繰り上げました、これで工事を急ぎます、より完全なものにしますということもけっこうなんだけれども、もう少しこう全体的な、これからの航空政策はどうするんだ、新航空政策はこういうようにしたいというようなことを、もっとこう全体を通して一ぺんつくったらどうだ。それを国会に出してもらう。国民の前に明らかにしてもらう。むしろ私はそのほうが、政策の展開、これに期待と信頼をかけるということになれば、ずいぶん私は変わってくると思う。むろんそれは省内の頭脳を集められるのもけっこうだろうし、さっきから申し上げるように、もう各方面の、しかも現場の人に、もっとやはりものを言わせる、強くそういう場に参加させて意見を求めるという、こういうことで新航空政策というようなものを丹羽大臣在任中におつくりになったらどうだ。これはもうずいぶんたくさんな問題が出できますよ。で、しかし、そういうものをこの際一ぺん整理をしないと新たな政策の展開にならぬと思う。どちらかというならば出たとこ勝負、さあ、飛行機が落ちたからどうするぞというようなことでは、これはやはりまずいのですね。そういうことが私は、将来の航空産業がほんとうに重要な国家産業として発展をする基礎になるのじゃないか、こう思うのです。まあ言い方は抽象的ですけれども、新政策——航空ビジョンというものを新たにつくりなさいよ。もうできるならば、夏の休みでもあるからスタッフをうんと集めて、できるだけ通常国会に間に合うようにお出しになったらどうですか。そのことを強くあなたに要望しておきたい。
  43. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) いろいろ数々の貴重な御意見を承りまして感謝にたえない次第でございますが、いまの五カ年計画につきましても、私は、保安施設の三年繰り上げを強く言っているわけでございまして、いろいろそのほかの工事拡張や何かにつきましては、私これをまだすぐ変更しろと言っているわけじゃございません。それで、まあ、この五カ年計画も本年度が初年度でございまして、せっかく設けた次第でございますので、ただいまの、委員御指摘の諸点につきましては並行して検討をすることといたしまして、ただいまのところは、ひとつ五カ年計画を早期に繰り上げましてこれを実行に移したい、こういうように私はいまのところ考えている次第でございます。  また、先ほどお話がございました、日本航空のほうが整備その他については非常に進んでいる——私は、実は、「ばんだい」号の事故のすぐあとに三社の首脳部を招きましたときも、交通安全の施策については三社共同責任である、ことに日本航空は一番それでもって経歴も古いし、いろいろ経験もあるのだから、よその社のそういったことは自分のほうの責任と思って、三社でもっていま一つ何か連絡協議会があるようだけれども、これをひんぱんにやってもらいたいということを強く要望をした次第でございます。  また、お話の、私もせっかくこういう衝に当たりました以上、何とかして航空行政のほんとうの抜本的対策を立てたいというつもりでおります。それで、事故の起こったときだけじゃないかというような、私はただいまそういう気は毛頭ございません。したがいまして事故調査委員会も、そのつどだけじゃなく、今度常設の、第三者の権威ある機関にするということで、これも四十七年度の予算に必ず組めということで、ただいま機構その他検討さしております。近くこれらの予算要求の骨組みもできるかと思う次第でございます。また、航空行政のいまの体制その他につきましても、先生方の御意見も十分拝聴いたしました。できるだけ、いまのふくそうするところの航空運輸に対応するような行政組織も考えてみたいというように思っている次第でございますので、御了解を願いたいと思う次第でございます。
  44. 田代富士男

    田代富士男君 ただいま航空問題を中心といたしまして森中委員よりいろいろ質問がされました。私も引き続いて、この問題に対して質問したいと思います。  特に丹羽運輸大臣大臣になられましてから、にわかにこういう問題が起きてまいりました。まあ丹羽運輸大臣だからにわかにというわけじゃないと思うのでありますけれども、続けざまに起きてきた航空問題に対しては、ただいまもお話がありましたとおりに、安全確保というものが第一義にならねばならないと思います。やはり生命の尊重という上から大事なことは間違いありません。しかし、いままでの対策というものは、事故が起きてから事故対策に重点が置かれてきております。事故が起きてからの対策であるならば、これはだれ人が立ってもできると思います。その事故が起こる前にこれを解決しなくてはならないということが先決問題じゃないかと思います。特に先日の全日空との衝突事故に対しましては、この問題に対しましては、もうすでに数年前から予告されていたことです。ニアミスの問題に対しましても、四十四年度には二十件、四十五年度には二十八件ですか、ことしに入りましてももう十数件、そういう報告がされております。そういうことに対してどうして手を打つことができなかったのか。そしてああいう「ばんだい」号に引き続きまして事故が起きてまいりました。ここで航空問題というものが浮き彫りにされまして、自衛隊の問題、米軍の問題、民間航空の問題等が浮き彫りにされまして、そうして今回第一番目にとられた措置というものが、ただいま質問されました民間航空の減便の問題でございます。そうすれば、これは現在の政治が、物価の問題であれ、すべての問題が、最後のしわ寄せというものが全部国民に回ってきております。今回の航空事故の問題も、考えてみるならば、現在のすべてのそういう政治面の動きと同じように、しわ寄せが国民に回されてきた。今日まで航空業界といたしまして、御承知のとおりに、航空機は大型化され、ジャンボジェット機を国内にも就航させよう、こういうような考えが持たれておる。このときにおいて、どうして旅客を確保するか、おそらく旅客確保のためにばく大な、PRするための資金が使われております。そうしてそのように確保されたお客に対しまして、今度はただ一言のもとに減便である、そのように一言の通達のもとにされてきた。これは全く国民をばかにした、一体、航空行政というものはどのようになされているのかと疑わざるを得ないのでございます。だから、航空行政というのは、航空の空の字をとりまして、これは何にもないような行政じゃないか、から行政じゃないかと一部にも聞かれるわけなんです。もちろん、安全確保の立場から、生命尊厳の立場から第一番目に手を打たなければならないわけなんですよ。それが国民にしわ寄せされてしまった。こういう点について、航空全体の今後の対策ですね、どうあるべきか。ただ単なるこの問題でなくて、反省すべき点がある、これがただ単に民間航空機だけに限られてきた減便という措置に対しましては。  しかし、羽田の上空をながめた場合に、現在四百数十機が羽田に離着陸をしているということを聞いておりますけれども、常時二十数機がホールディングしているということも聞いておりますが、その場合に、国内機だけじゃなくて、外国の飛行機もある。今回は民間航空に対しての減便でありますけれども、外国の航空会社とは航空協定等もありましてすぐそのような実施はできないこともありますけれども、今後これがもっと過密化した場合に、外国の航空会社に対してもそのような措置をとる考えがあるのかどうか。また、現在の日本の空は民間航空だけじゃありません。特に、今回は自衛隊の問題が焦点になったわけなんですが、きょうの、いまさきにも山口県の自衛隊機の問題につきましても質問があったかと思いますが、自衛隊飛行訓練について、一方的にこれを見のがしにしてしまうのかどうか。運輸省当局から計画変更等の要望を今後どしどし出していくのかどうか。こういうわけで、ただ単に民間航空に対する減便だけでなくて、広範囲に対するそういう検討を今後やっていき、実施する用意があるかどうか。その辺の問題を最初にお聞かせ願いたいと思うのであります。
  45. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまの田代委員からの御質問でございますが、減便で国民にしわ寄せをした、いまの航空運送の需要に対じましていろいろの施設が追いつかぬということは、ほんとうに何とも申しわけなく思う次第でございます。しかしながら、ただいま私どもそういう点で、羽田の空港だけでは非常に狭隘であるというので、成田の空港を早く設置をいたしまして、羽田の空港の過密を避けようといたしまして、数年前から検討をいたしておる次第でございますが、それらもおくれてまいる。これは政治力、行政力の欠除といえばそれだけでございますが、政府といたしましては、それらのものを早くやりたいということがおくれているという、いろいろの問題がございまして今日に至った次第でございまして、それで民間三社にそういった減便を求めたということで申しわけない次第でございますが、しかし、私ども一方的に通牒でもってやりたわけではございません。ただいま三社を呼びましてお互いに協議をさせておりまして、それでまあできるだけひとつ協力をしてもらいたい、空の安全確保ということが第一であるということで御協力を願っているところでございますので、ひとつ御了解を願いたいと思う次第でございます。  また、外国航空につきましては、御承知のとおり、お互い航空協約がございまして、自分のほうもニューヨークに行く、どこに行くから、君のほうもこれで帰れ、お互いに便数の協約もございます。また、これらは、やはり将来におきましても、漸次わが国といたしましてももっと伸ばしていかなければならない問題でございますので、当分の間は、これの減便ということはなかなか考えられないことじゃないかと思う次第でございます。  また、最後の、自衛隊機との問題でございます。これらは、御承知のように、先般、自衛隊機との接触が起こりましてから、直ちに、内閣の交通安全対策会議の下部機関といたしまして航空交通連絡協議会を設けまして、運輸省防衛庁、外務省の専門官が集まりまして、空港並びに航空路、ジェット航空路自衛隊機訓練空域等を完全に分離する、要するに、航空路につきましては、自衛隊機はかってに横切るとかなんとかできないというような、いろいろの制度を設けまして、たとえば特別管制空域を四つふやすとか、いろいろの制度も設けまして、せっかく私どもそれらの自衛隊機との接触、ニアミスをなくすということで、いま努力をしている次第でございまして、これらの点は将来におきましても、民間航空安全がそこなわれるようなことがございましたら、私ども、その協議機関を通じ、また場合によりましては、大臣同士の折衝によりまして、民間航空の安全を確保していく、そういう決心を持って臨んでおる次第でございます。また、西村防衛庁長官もそのことを十分認識をして、ただいま臨んでおる次第でございますので、その点もひとつ御了解を願いたい、かように思う次第でございます。
  46. 田代富士男

    田代富士男君 いま大臣が、運輸、防衛その他の専門機関の人が協議して今後の問題に対して対処をしていく、そして自衛隊機が民間航空路と完全に分離していくような形態をとっていく、そういうお話でございますが、先日も新聞その他でも報道されましたけれども運輸省から、ただいま話がありましたように、自衛隊訓練飛行の制限等が打ち出されたわけなんです。それに対しまして、まあ民間機を優先させようという立場からでございますけれども防衛庁のほうでは、訓練空域というものが示された範囲内では十分な訓練ができないから、民間航空路の集約的再編成をやってもらいたい、それに対する訓練空域の拡大要求がなされたと思いますけれども、その点につきまして、防衛庁のほうからそういうような要望をどうしてするのか、両方からお聞きしたいと思います。
  47. 野呂恭一

    説明員(野呂恭一君) 防衛庁の政務次官でございます。よろしく……。  先ほど御指摘の点につきましては、いまだ防衛庁のほうからそういう要求はいたしておりません。
  48. 田代富士男

    田代富士男君 今後そういうことはございませんですか。
  49. 野呂恭一

    説明員(野呂恭一君) 従来の自衛隊訓練空域というものにつきましては、先生御承知のとおり、航空路あるいは管制圏はできるだけ避けまして、交通量の少ない空域に設定してまいったわけであります。今後の問題は、緊急対策要綱に従いまして、運輸省と十分協議をして公示を行ない決定をすることになっておるわけでございます。したがいまして、先般、十一日の当時行ないました八カ所の低高度の訓練空域、いま運輸省協議いたしております高高度の訓練空域が近く決定を見ることになろうと思いますが、これは従来の訓練空域と比較いたしまして、たいへんまた縮まってまいることになります。立体的にこれを精密にいま計算しておるわけでありませんけれども、ほぼ五〇%くらいになるのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。私ども、将来において運輸省のほうに、さらに訓練空域を拡大せよと、こういった要望はいまのところ考えておりません。
  50. 内村信行

    説明員内村信行君) 若干、事務的に補足説明さしていただきます。  現在きまっております訓練空域は、ただいま防衛政務次官からお話がございましたように、八カ所でございます。ただ、この経緯を申し上げますと、十三カ所の空域について要望がございました。しかし、その他の五カ所につきましては、航空路との関係その他で場所的にまだ若干疑義がございます。これは今後詰めることにいたしまして、さしあたり問題のない八カ所につきまして公表をしたということでございます。したがいまして、残りの五カ所というものも、今後調整がつけばこれも訓練空域となるかと思います。その点、念のために申し上げます。
  51. 田代富士男

    田代富士男君 いま減便の問題を申し上げましたが、この減便の措置は、大臣がいま申されましたとおりに、航空施設、特に保安施設の問題に対しては、五カ年計画よりも三カ年計画に繰り上げようと、そのように指示を出したと言われるように、施設を整えてまいりたいということですが、一時的な減便措置であるかと思いますが、将来またこういうような航空需要の伸びがあった場合に、もとに復する可能性があると思います。その場合、再び増便されてもとに復した場合には、施設とかそういう問題がどの程度改善された場合にそこまで戻されるのか、その点についてお答え願いたいと思います。
  52. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまの御指摘でございますが、これはやはり風向きによりましてだいぶその点の離発着というものが違ってまいる。ホールディングの時間も非常に冬季におきましてはわりあいにそういった時間が短くて済む。南風の強いときは多いとか、いろいろの問題がございます。  それからまた、私どもといたしましては、将来は航空需要は非常にふえる、いま推計をとらせましてやっておりますが、それによりますと非常にふえてくることはもう明らかでございます。それに対処するように、これはまあ特に先生方の格別の御協力をいただきまして、保安施設の充実、空港の充実というものを早急にはかっていかなくちゃならぬということを思っている次第でございます。  何と申しましても、先ほどから御指摘がございましたように、社会交通資本のおくれということは、一刻も早く取り返すことが、これからの内政上の私は一番の最重点であろうということを考えておるわけでございますので、私もその点は懸命に努力をするつもりでございますので、ひとつ一そうの御鞭撻をお願いする次第でございます。
  53. 田代富士男

    田代富士男君 時間が制限されておりますので、次に参ります。  防衛庁の方にお尋ねしますが、ヘリボーン作戦についてちょっとお尋ねをいたします。北海道の、先日「ばんだい」号の事故が起きましたあの付近の、丘珠と千歳の中間かと思いますが、ここでそういう自衛隊の演習が計画されております。これは特にヘリコプターを中心とした演習であるという立場でなされるかと思いますが、特に現在のこの世の中は、今回の自衛隊機全日空機との衝突によりまして一時訓練を中止した。言うならば、自衛隊自身がここで深く顧みて今後事故のないようにという、そういう姿勢になったことを国民は知っているわけなんです。こういうときに、まあ内容を詳しく説明していけば国民理解するかわかりませんけれども、九州の自衛隊からもヘリコプターを全部集めまして、再びこういう訓練をやる。こういうヘリコプターであるから、直接民間航空とかそういうものに対する影響はないと、そういう言い方を防衛庁の立場としてなさるかわかりませんが、場所も場所です。まあそういうことから、私はこの問題に対しまして、もっと慎重にこれは考えるべきじゃなかろうかと、私はそのように思いますし、まあ今回はこういう規模ですが、今後これがもっと大型化、拡大されていった場合には、必ずや再び民間機との起こってはならない思わぬ事故、あるいはこういうヘリコプターが百数十機飛び立ってやるんですから、自衛隊同士の事故、こういうことが起こりはしないか。特にこういう注目されている最中でございますから、まあその点に対しまして一まつの不安を感ずるわけでございますが、自衛隊の立場として安全性の担保はどうなっておるのか、その点につきましてちょっとお尋ねいたします。
  54. 野呂恭一

    説明員(野呂恭一君) 予定をいたしております今度の演習につきましては、緊急対策要綱趣旨に沿いまして、十分、航空安全ということについて実施をしてまいりたい。また、今度の演習で大事なことは、災害派遣などのためにも特に有効なものだ、こういう観点から実施をいたすわけであります。今回の演習におきましては、飛行安全について十分な対策を立てているわけでございます。  具体的な対策といたしましては、全航空部隊の安全の点検、安全教育の実施、航空交通安全緊急対策要綱の具体的な注意事項の徹底をやらす、あるいはまた、飛行安全のため演習計画を一部変更いたしまして、また、運輸省航空事務所などの関係管制機関との事前調整も十分いたしていく予定でございます。また、飛行安全のための具体的な措置といたしましては、飛行高度も安全な飛行高度を指定していく、あるいは誘導機による誘導飛行を実施する。こういうようないろいろな角度で検討いたしまして、今度の演習が十分、対策要綱趣旨に沿って、決して民間航空の関係各方面に御心配を与えないような方法を持っていきたいということを配慮いたしているわけでございます。
  55. 田代富士男

    田代富士男君 いま申されました飛行訓練計画等につきまして、先日から資料を出してもらいたいとお願いしておりましたが、私がこの委員会に参りました当初にいただいて、まだ詳しく中は見ておりませんけれども、この問題につきまして、いま申されたとおりに事故のないようにということを第一義にやっていくということはわかりますが、ここにいただいたこれだけの資料では、その内容がまだちょっと、私はざっとさっき見ましたけれども、これは私がお願いしていた資料に比べれば簡単過ぎる資料ですから、もっと詳しい資料を、あとでよろしいですから、お願いしたいと思うのです。そしてこの作戦の最高責任者はだれか、もし事故があった場合にはどういう責任をとるのか、そこまで考えていらっしゃるのか、それだけちょっと聞かしていただきたい。
  56. 野呂恭一

    説明員(野呂恭一君) 資料につきましては早急にお手元に詳細な計画書などを提出いたしたいと思います。  なお、責任はどこにあるのだということにつきましては、いま申し上げにくいわけでありますけれども、北部方面隊がその実施の責任隊になるわけでございます。
  57. 田代富士男

    田代富士男君 時間がありませんが、まだはっきりおわかりになっていないような御様子ですからあらためてお聞きいたしません。はっきりしておいてください。  そこで私は運輸大臣にお尋ねいたしますが、ただいまのヘリボーン作戦の演習は、もう連絡もいっているし御承知だったと思いますが、こういう自衛隊飛行訓練について逐次掌握され、またそうやっていかねばなりませんけれども、この演習に対しまして運輸省側とすればどういうお立場であるか、あるいは、これが今回はヘリコプター中らでありますけれども、大型化、拡大された場合にはどういうふうに対処をしていかれるのか、将来のことだと思いますけれども、どういうお考えか、お考えをお聞かせいただきたい。
  58. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまのヘリボーン作戦につきましては、現地のほうで十分連絡をとっていると思っている次第でございます。その報告もすでにございました。将来のいろいろの訓練につきましてはもとより、最初申し上げましとおり、訓練空域をはっきりセパレートいたしましてその方面で行なうということでございまして、その方面につきましても十分現地同士で連絡をとらせるつもりでおります。
  59. 田代富士男

    田代富士男君 いまの大臣のお話を聞いておりましても事務的なお話でございまして、まあ時間もありますからもうちょっと聞きたいと思いますけれども、次の問題に移りたいと思いますが、そういう連絡不徹底、あるいはそういうことに対しまして今後の問題にも対処していかなければまた再び事故も起きるのじゃないかと思いますから、これ以上申しませんけれども対処していただきたいと思います。  そこで、防衛庁のお方にお聞きいたしますが、今回全日空との事故を起こしました自衛隊機飛行訓練の問題でありますが、航空自衛隊で現在パイロットが何人おるのか、あるいは各機種別に免許を順次出していくような制度になっていると思いますが、その種類別に概略お願いしたいと思います。
  60. 福田勝一

    説明員(福田勝一君) お答えいたします。  自衛隊航空機の、機種別の必要とされるパイロットの数でございますけれども自衛隊の代表的な航空機につきまして、昭和四十五年度末におきます機種別のパイロットの所要数を申し上げますと、次のとおりになるわけでございます。  まず、陸上自衛隊の多用途ヘリコプター、HU1Bというておりますが、これが六十四機につきまして百二十八人でございます。輸送ヘリコプター、これはV107というておりますが、これは二十九機、五十八人でございます。  次に、海上自衛隊関係でございますが、対潜哨戒機が、機種はP2V、それからP2Jという二つの機種がございますが、これは五十機ございまして、必要とするパイロット数は百七十七名でございます。次に、対潜ヘリコプターでございますが、これはHSS2というておりますが、二十八機ございまして、必要とするパイロット数は百十六名でございます。  次に、航空自衛隊関係でございますが、戦闘機のうちF104Jという機種につきましては百八十七機で、必要とするパイロット数は二百二十六人。次に、同じく戦闘機でございますが、F86F、これは二百八十二機ございまして四百四十七人ということになります。  以上が必要とするパイロット数の、四十五年末におきますところの所要数でございます。
  61. 田代富士男

    田代富士男君 いまはパイロットの定数ですけれども、種類別に免許の段階があったと思うのです。三段階に分かれたそういう段階があったと思いますが、それはけっこうです、時間がありませんから。  その三段階に分かれましてジェットパイロットを養成していくわけなんですけれども、今回の全日空機との衝突の場合もその訓練期間中であったと思いますけれどもパイロットの養成のカリキュラム、その他の課程における訓練生の数、いま概略定数をお聞きいたしましたが、防衛庁で現在四次防の計画をされております。この四次防自身に対しましては、またこれは別の機会に議論すべき点でありますけれども、われわれは四次防に対していろいろな意見を持っておりますけれども防衛庁はその四次防に見合ったパイロットというものは急に育つものではないと、いまさっきからも多々出ておりますけれども、こういう将来の四次防に備えまして、航空自衛隊の配備とどのような関係になっていくのか。ただいま申されました定数の人員と四次防との関係。そうした場合に、ジェットパイロット等の不足が生じてきた場合に、いやおうなしにこれは猛訓練をやらざるを得ない。そのように特訓をやっていく場合に、こういう未熟な訓練生が今回も全日空衝突をしたという事故が起きておりますけれども、こういう四次防の問題と関係して、航空自衛隊の配置等考え、定数、人員等を考え、その特別訓練等を考えていった場合に、再び防衛庁はその面からだけの推進をはかっていいかどうかわかりませんが、航空問題全体からするならば、ここにも今後無理が生じてくるのではないかと私は心配でならないわけなんです。こういう点に対しまして、私、いま申すとおり、将来の航空自衛隊の配備がどのようになっていくのかと、ただいまお聞きしました定員との関係性につきまして、ひとつ次官からお願いいたします。
  62. 野呂恭一

    説明員(野呂恭一君) このことにつきましては審議官からお答えいたさせます。
  63. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) 数字の点がございますので、私から御説明を申し上げます。ただいま運用課長から申し上げましたのは機種別の定員でございますが、もう少しマクロで申し上げたいと思います。  まず、三次防末の陸上自衛隊の機数は三百三十機でございます。それから海上自衛隊が二百四十機、航空自衛隊が九百三十機、これが三次防末の就役の見込み数でございます。それに対しまして四次防、これは御承知のように、現在私どもが持っておりますのは、あくまでも防衛庁原案でございまして、これから若干数字等も変わってくると思いますが、そういう前提で申しますと、陸上自衛隊は四次防完成時四百五十機、海上自衛隊は三百二十機、航空自衛隊は八百六十機、なお、この中には教育訓練航空機も入っております。そこで、この航空機に見合いますところの操縦士の数でございますが、三次防末では陸上自衛隊が五百四十人、海上自衛隊が約九百人、航空自衛隊が約千人でございます。で、四次防におきましては、先ほど申し上げました就役機数に対しまして必要とするパイロットの数は、陸上自衛隊で九百人、海上自衛隊で約千名、航空自衛隊で約千二百名でございます。  そこで、これらのパイロットの所要数を満たすために計画的にパイロットの養成を行なわなければなりませんが、四次防の防衛庁原案を作成する段階におきましては、養成の期間、場所等も検討いたしまして無理がないような計画をつくり上げてございます。それから航空自衛隊隊につきましては、先ほど申し上げましたように、機数は三次防に比べまして減ってまいります、八百六十機に。しかしながら、これは先生御承知と思いますが、ファントムは複座でございまして、パイロットの数が少し現在の機種よりもよけいに要るということで、ファントムにつきましては約百名分ぐらいは増加しなければならない、そういう事情がございます。これにつきましては若干数、四次防の期間中におきまして、三次防の期間よりもパイロットの養成数が多くなるということになります。しかしながら、これにつきましては従来、たとえばジェットパイロットの場合ですと、二次防の末で、一番たくさん養成しました時点、昭和三十五年でございますが、百二十名、一年間に養成しております。それで現在、昭和四十六年は五十一名でございます。四次防はそれを若干、二十名程度上回るということでございます。
  64. 田代富士男

    田代富士男君 この問題に対しましては、また次回の運輸委員会でお聞きしたいと思います。きょうはそういう点だけお聞きしておきます。  次に、運輸大臣にお尋ねいたしますが、東京の管制部についてでありますが、東久留米市にあります東京管制部の勤務体制ですね、これもいま森中委員からも少し話が出ておりましたけれども、民間機を減便するという措置を出されたのも、この管制官の不足というのが一つの原因になっております。保安施設その他もありますけれども、しかし何といいましても、羽田空港上空は、もうわれわれ想像できないような過密ダイヤといいますか、そういう航空状態になっておりますし、そういう面から航空管制官の養成というものが急務になっておりますけれども、管制官の待遇、こういう点が一般の公務員に比べましても、給与の面、あるいは宿舎の面、あるいは厚生施設の面、休暇の面、こういう点から著しい違いがあります。こういう点につきましても改善していかなければならないのじゃないかと思います。そういう意味におきまして、現在の管制官の勤務体制はどのようになっているのか、今後それをどのように改善していこうと考えていらっしゃるのか、その点をまずお聞かせ願いたいと思います。
  65. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまの田代委員からの御指摘でございますが、実は私、就任直後、羽田のタワーに参りまして、管制官の勤務状態を自分で確かめてまいりました。また先日、東京管制本部に参りまして、管制官の勤務状態を確かめ、また管制官にもしばらくいろいろ話を聞いてまいりました。田代委員御承知のように、ただいまは四直五交代制度でございます。したがいまして、ただいまでは一日平均六時間でございますから、普通公務員の八時間に比べますと、二時間、労働時間が少なくなっております。また管制要員の手当も、特別に一般公務員よりは幾分よくなっているということが現状でございます。しかし、私見てまいりましたところによりますと、ことに過密状態のときの管制官の勤務は非常に労働強化ではないか、これは非常に激務じゃないかと私は率直に感じた次第でございます。したがいまして、それらの点につきましては、管制官とも話し合いをいたまして、この間、航空安全推進連絡会議の議長さん以下参りましたときも、一時間ほどゆっくりと懇談をして、また日を改めて後日の再会を約したというようなことでございまして、管制官も非常に激務でございましたので、実はいま委員御指摘のように、いまの減便を、幾分でも減らそうというような私、決心をいたしましたのも、やはりそれらの話も聞きまして、管制官があまり激務で、また管制ミスを起こされても困るというような懸念もございまして、ただいま各会社とも相談をさせているというのも原因の一つになっているところでございます。そういうようなことで、私は今回、いろいろな体制を立て直す場合におきましても、まずもって現場における管制官並びに管制要員の勤務状態、これが合理的にできるかどうかということをまずくふうしよう。そのために、ただいまの六時間ぶっ通しの勤務制がいいか、あるいはその間に、二時間勤務して一時間休ませるというようなことをしたらどうかというようなことを、私はただいま技術部長に命じまして、それらのことも早急に打ち合わせまして、そうしてそういうような交代制をひんぱんにすることによりまして、どのくらいの増員が必要なのかということもひとつ検討してみようということをやっておる次第でございまして、まずいろいろの体制の立て直しをするのも、やはり現場の人が合理的に働き得るよう、そしてミスを起こさせないようにということをまず第一番に考えるべきじゃないか、それをまずひとつ先にして、来年度の増員措置、また予算措置についてもこれを必ず乗せるようにということをいま指示いたしまして、せっかく検討させているところでございます。また管制官の待遇につきましても、確かにそういったような特殊任務でございます。そしてまたその確保ということがこれからの——先ほども田代委員御指摘のように、将来航空需要がますますふえてきて、それに対するところの保安施設並びに管制要員の充実がなければ航空社会資本の拡充ということはとても望めない次第でございまして、いつまでも現状で満足するようなことではほんとに相ならぬ次第でございますから、管制官の増員、確保ということがこれからの一番問題になってくる、それがためにはやはりある程度の、それにふさわしいような増給措置も講じなきゃいかぬということも考えておりまして、先ほども山中総務長官とも相談いたしまして、そして管制官の待遇改善については特段の骨を折ってもらいたい、山中総務長官も、これは必ず自分も何とかしよう、相談してやろうということを言明をしてくれているような次第でございます。幸いにいたしまして、今回の人事院の勧告におきましても、管制官につきましては特別に考えてくれるというような人事院勧告もございましたし、そういうことでございますから、私は普通の、本俸といいますか、本給のアップはもちろんでございますが、その管制官に与える特別給の範囲につきましても拡大をするという方法で考えてまいりまして、これからの予算時期におきましてせっかく努力をしてまいりたい、そしてできるだけ完全なる管制を実施してもらいたい、こういうつもりで臨んでいる次第でございますから、御了解を願いたいと思う次第でございます。
  66. 田代富士男

    田代富士男君 いま積極的に管制官の待遇改善について取り組んでいくという大臣のお話でございますが、具体的な例をあげますと、公務員の合同宿舎では部屋が三つありますが、それに対しまして管制官は、世帯持ちで二部屋、独身者は一部屋です。その一部屋というのは、三畳の間に住んでいる管制官がおります。特に神経を使う、そういう立場にありますし、休養というものが第一じゃないかと思います。三畳の間、一間、独身者はそれでもけっこうじゃないか、今日の住宅難のときだから——そういう面もいわれるかわかりませんが、こういう住宅の問題、宿舎の問題につきましても、あわせてひとつそういう改善策を講じてもらいたいことを、これは私からお願いをしておきます。  それから、次にお尋ねいたしますが、試験飛行の操縦士についての問題です。定期検査を終えた自衛隊ジェット機や、あるいは製造会社の試験飛行をする操縦士の資格はどこで審査するのか、この点ひとつ伺います。
  67. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまの問題につきましては、ひとつ技術部長から答弁いたさせます。
  68. 金井洋

    説明員(金井洋君) 民間機の場合には、試験飛行する場合には、航空法第二十八条の三項によりまして運輸大臣の特別の許可が必要でございます。で、運輸大臣は、許可するにあたりましては、類似型式機のいままでの経験飛行時間、それからライセンスはどういうライセンスを持っているか、そういうふうなことを考慮し、この人ならだいじょうぶだという結論になったときに初めて許可するというふうにしております。自衛隊機につきましては、私どもはそういう許可はしておりません。
  69. 田代富士男

    田代富士男君 では、もし、こういうことがあってはなりませんが、試験飛行中に事故を起こした場合に、一体だれが責任を持つのか、その点をお願いしたいと思います。
  70. 金井洋

    説明員(金井洋君) 試験飛行についての責任でございますけれども、これは一応運輸大臣が許可して、そしてそのパイロットはきめられた試験飛行空域——ちょっと追加しますけれども、許可するにあたっては、パイロットの許可と、それから試験空域を指定して許可します。もしパイロットがそのきめられた試験空域内で、きめられた方法に従って試験飛行していた場合には、これは事故を起こしたときに——いろいろ原因があろうかと思いますけれども航空法に違反するようなものかどうか、あるいは器材だけで、パイロットには不可抗力であるというような場合があろうかと思いますけれども、その責任については、特にパイロットに全部とらせるというようなことは言えないかと思います。また、もし不幸にして事故が起きた場合には、このパイロットに対しての保険、パイロット自身についての保険、それから器材の保険、そういうものについては所属会社が全部一切保険に入って補償するというたてまえになっております。
  71. 田代富士男

    田代富士男君 時間もずいぶんたったので、まとめてお聞きします。  七月三十日の全日空衝突以来、パイロットや管制官の人たちによりましてつくられております航空安全会議で、緊急要請書が各方面に出されていると思います。特にこれは運輸省のほうにも要請書として出されていると思いますが、八項目が出されております。この八項目について、本来一つずつお聞きしたいと思っておりましたが、その時間がありません。その八項目に対しまして、どのように今後改善をしていこうというお考えであるのか、その御所見を伺いたい。それとあわせまして、これも同じくたいへん御苦労なされまして、航空安全会議から、「航空安全点検報告書」「ローカル空港を考える」というわけで、ここにいろいろの面でたくさんの問題点が提供されたものがございます。この中にもいろいろな解決しなくちゃならない——特に大臣が保安施設等の問題を強調していらっしゃいましたが、そのように強調されるならば、この問題、解決できる面は一ぱいあるわけなんですが、こういう二つの点につきまして今後どのように対処をしていかれるのか、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
  72. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 航空安全会議の緊急要請書につきましては、私も直接お受け取りをいたしました。二回にわたりましてその方々ともお会いをいたしまして、現地でお働きになっておる方々の御意見も承った次第でございます。八項目につきましては、大体におきまして、やはりその改善すべき点はそのとおりじゃないかというふうに私は感じておりまして、ぜひひとつその方向でもって改善をさしていきたい、こういうふうに思っておる次第でございます。ただ、一番最後の、事故調査におきまして公開をしろということでございますが、この問題につきまして、たとえばフライトレコーダーや何かの公開ということは、これは当然でございますが、やはりこれらは調査委員会の結論がつきましたときに公開をすることが適当ではないかと、こういうふうに考えておる次第でございます。各委員のいろいろの発言内容とか、その他の点につきましては、むしろやはりお互いに忌憚のない意見を述べさせるというような見地からいたしまして、あるいはそういったものの公開は差し控えたほうがいいというようなものもあろうかと思っておる次第でございますが、大体におきまして、原則としては、やはり八項目につきましては御趣旨は十分私どもも賛成でございますので、その方向に進んでまいりたい。  また、いまのローカル空港の問題につきまして、保安施設その他につきましていろいろ御意見がございますが、これはもう現場の実際に働いていただく皆さまのお考えでございます。私は貴重な材料にいたしまして、これはやはりできるだけ実行に移さしていきたい、こう思っておる次第でございます。
  73. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 まず初めに、運輸大臣にお伺いしたいと思います。  先日の、全日空機自衛隊機衝突事故でなくなられた方の遺族に対する補償問題についてお伺いをしたいと思います。五日の連合審査会におきましても総理にこの質問をしまして、総理基本的には、誠意をもって、しかも遺族の納得のいくような補償をしたいということを言われたわけですけれども、本日はもう少し具体的に大臣のお考え方をお聞きしたいと思います。まず第一に、この賠償金額をきめるにあたって、何を基準に考えられるか、この点についてお伺いしたいと思います。
  74. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 御承知のように、賠償の基準額と申しますか、これは普通の事故でございますると、ヘーグ条約によります約款で、大体におきまして国内の三社もきまっております。六百万でございますか、を限度としておる。しかし「ばんだい」号事件につきましては、私どもそれにこだわらず、犠牲者並びに御遺族に対して御納得のいくような、なるべく多くのものを出すように会社に指示をしております。  今回はまだ責任が、これはもちろん大体においてわかっている次第でございますが、はっきりした法的責務というものが出ているわけではございませんが、また今回は、いま委員御指摘のような賠償責任になってくると思う次第でございます。そういう場合におきましては、もちろん国家といたしまして、責任を持ちまして、遺族の皆さまに御納得のいくような方法でやっていかなくちゃならぬ。そうなってまいりますというと、やはり原因者の問題になってまいりますので、原因者のほうからお聞き取りを願いたい、こう思う次第でございます。
  75. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 まあ航空事故の場合は、ヘーグ議定書というのがあるわけで、まあ国際条約としてあるわけですけれども、いままで国内事故についても大体これが適用されております。ただ、大臣がおっしゃいましたように、このヘーグ議定書によっても、あるいはその前のワルソー条約によりましても、故意または故意に相当する過失、あるいはヘーグ議定書では、損害を引き起こそうとの意思を持って、もしくは不注意に、かつ損害がおそらく結果するであろうとの認識を持ってなされた作為または不作為から生じたことが証明された場合——このヘーグ議定書できめられているのは、御承知のように責任限度額ですね。いわゆる故意または重大な過失がなかった場合には、この額さえ補償すれば、あとはそれ以上の責任を負わなくていい、こういう趣旨の問題でありますから、私は、今回の事故は、これは調査結果によらなければなりませんけれども、いままでの経過から考えますと、自衛隊機の重大なる過失である。そうすると、ヘーグ議定書にいう六百万円というものを上回るべきである、これにこだわるべきではない。これは大臣も先ほど言われましたけれども、この点についてもう一度確認をしたいと思います。
  76. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいま委員からお話しのとおりでございまして、ヘーグ議定書は、故意または重過失の場合は限度額が適用されないということははっきりしているわけでございます。そのとおりと私も思っておる次第でございます。
  77. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それからもう一つ。このヘーグ議定書の六百万円にしましても、もうすでに国際的にはむしろ安過ぎるというような声が非常に強くなっております。したがいまして、アメリカではモントリオールの特約で二千七百万円、それから最近できましたグアテマラ条約、これはまあ発効はしておりませんけれども三千六百万円、このような傾向から考えましても、私は、今回の補償というのは、かなり従来の、たとえば松山沖、まあ「ばんだい」号はまだどうなるかわかりませんけれども、そういう額から考えても大幅に上回るべきだと考えるわけですけれども、この点について御意見をお伺いしたいと思います。
  78. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいま御指摘のモントリオール協定は、これはアメリカとの間だけの協定でございまして、日本では日航がした次第でございまして、これが直ちに国内航空に当てはまるかどうかということは、これからまだ検討を要する問題じゃないかと思っている次第でございます。  また、グアテマラ条約の三千六百万円、これは時代の趨勢として、当然そっちのほうに進むべき問題であろうと思っている次第でございますが、御承知のように、グアテマラ条約の一番の問題は、いわゆる無過失責任といいますか、それでもって責任が解除になっちゃうということでございまして、先ほどお話がございましたような、ヘーグ条約によるところの故意または過失のほうを免除する、また民法九十条の公序良俗のあれを免除する、こういうような問題が出てくるおそれもございますので、それらの点がその賠償規定とどういう関係になるかということも十分これは検討してみなければわからない問題。しかし大体におきまして、これはアメリカがまだ批准しておりませんので問題が進んでいないようでございますが、漸次やはりそういう方向に向かっていかなければならないんじゃないかというふうに私ども考えている次第でございます。
  79. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それでは次に、この自衛隊機訓練の問題についてお伺いしたいと思います。  まず、防衛庁にお伺いしたいんですけれども、現在訓練再開してやっておるというのはどういうものですか。
  80. 福田勝一

    説明員(福田勝一君) 現在、防衛庁訓練ないしは飛行再開いたしております分でございますが、これは陸上自衛隊が十一日から、海上自衛隊が十三日から、いずれもせんだって七日に決定せられました航空交通安全緊急対策要綱、これに基づきまして低高度におきます飛行を中心といたしまして訓練再開しておるわけでございます。  なお、先日、運輸省が、もちろん私どもとの協議の結果、運輸省が十一日にノータムと申しますか、公示されました低高度の訓練空域につきましては、陸上自衛隊関係がございませんので使っておりません。ただ、海上自衛隊につきましては、あの低高度の八カ所の訓練空域のうち二カ所を使うという形になっております。  以上の訓練につきましては、先ほども長官から話がございましたように、十日の閣議で御報告になられまして、十一日から、そういった低高度におきますところの、要綱範囲内での飛行ないしは訓練をさしていただくということの御了解を得まして開始しておるということでございます。
  81. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 この十一日からの再開の問題について、新聞記事によりましても、運輸省防衛庁の間にかなり意見の食い違いがあったということが報ぜられております。私はまた、この十一日の日に、運輸大臣にはお目にかかりませんでしたけれども、次官にお目にかかって、この問題について御意見を伺いました。そうすると次官は、この問題については非常に心外であるということを言っておられました。それから防衛庁長官にもお目にかかったけれども防衛庁長官は、これは閣議で了承されておるし絶対安全なんだ。このように運輸省防衛庁との合意が十分できない段階で訓練再開される。ちょっとこれはあわて過ぎというか、こういう印象を受けるのでありますけれども、この点について運輸大臣防衛庁のそれぞれのお考えをお聞きしたいと思います。
  82. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまの点は、私は事務次官からはっきり聞いておりません。しかし私は、訓練再開につきましては、協定ではっきりきまった区間については、これは訓練再開も当然じゃないかと、こういうふうに思っている次第でございます。それがもちろん、民間航空の安全をそこなわないことが第一でございますが、その限度を、この間の安全会議できまりましたような普通の航空路あるいは空域の千メートル以下の低空路を飛ぶと、しかも空域内で飛ぶというようなことにつきましては、私はあたりまえであると思っておる次第でございますが、その場合にノータムをクラスワンでやる。またそれはいろいろの国際空路にはかからない空域でございますから、クラスワンのノータムで周知いたします、それらの管制官並びに操縦士その他が十分周知徹底している場合におきまして訓練再開するということが原則でごさいました。そうしてそれが十一日は——私が聞いておりますところでは、これは十一日に出たのは輸送であって訓練ではない、十二日からやると、それまでにノータムは完全に周知徹底したと、こういうふうに聞いている次第でございまして、その間の連絡がそごしておるということは聞いておりません。かように御了承いただきたいと思います。
  83. 野呂恭一

    説明員(野呂恭一君) 先ほど長官お答え申し上げたわけでありますが、訓練再開にあたりましては、先ほど大臣からお話のありました対策要綱に基づいて低高度の訓練空域を設定し、十分に運輸省協議をいたしておりますし、また、運輸省の航空情報によって公示された後、訓練を実施いたしたわけでございまして、御指摘のような、一方的に計画し、あるいはあわてたのではないか、こういうことは当たらないと思いますが、新聞で取り上げられましたことにつきましては、その経過等について運用課長からお答え申し上げます。
  84. 福田勝一

    説明員(福田勝一君) 一部、新聞等報道されました関係と実際の事務的な手続の動きの関係につきまして御説明申し上げたいと思います。  まず、先ほどの、八月十日の閣議におきまして西村防衛庁長官からその席で報告されまして、緊急対策要綱範囲内で十一日から陸上自衛隊海上自衛隊飛行再開をする旨報告をされたわけでございます。  次に、この防衛庁としての、訓練再開についての一応の方針とは別個に、緊急対策要綱の第一項に規定されております訓練空域の設定につきましては、この要綱が成立いたしまして、運輸省防衛庁の間で鋭意協議に努力してまいったわけでございますが、陸地を中心といたしますところの低高度の訓練空域について協議がにわかに成立いたしまして、運輸省は十一日の朝、ICAOの国際条約に基づきましてNOTAMを出してくださった、こういうことになるわけでございます。この低高度の八つの訓練空域の使用は、先ほども説明申し上げましたように、この八つのうち二つが海上自衛隊空域関係するということから、海上自衛隊といたしましては十三日から飛行ないし訓練再開する、こういう具体的なすべり出しということになったわけでございます。もちろん八つのうちの残る六つにつきましては、すべて航空自衛隊の低高度の訓練空域ということに相なるわけでございます。  そういったいきさつにつきまして、若干、一般に、その辺の御理解についてそごがあったのではないかと、かように考えるわけでございますけれども、私どもといたしましては、事務的に、いま航空路訓練空域の設定につきまして運輸省と鋭意協議を続けておる、こういう段階にあるわけでございます。新聞等にとらえられたそういう問題点と私どもの事務手続の動きというのはそういう関係にありますので、御賢察いただきたいと思います。
  85. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 先ほど次官と申し上げましたのは佐藤政務次官です。  この山口のニアミスの問題ですが、これは低空で六百メートル以下というようなことをきめられたわけですが、それに含まれているわけですか。この山口の海上自衛隊訓練機の飛んでいるところは、その許容された、制限された訓練範囲内で飛んでたわけですか。
  86. 福田勝一

    説明員(福田勝一君) 小月管制圏、これは御承知のように新聞等にも報道されておりますが、小倉の飛行場から発進してまいります民間航空機が、グリーン4というエアウエーで三千フィートの高度になった場合に、小月のホーマーに向けて四千フィートで上昇してきて、その小月のホーマーから七十五度の角度でグリーン4に入っていくと、こういうことになるわけでございます。この小月管制圏については四千フィートマイナス千フィート以下のところで飛行ないし訓練をしてよろしい、こういうことに要綱趣旨からいくとなるわけでございます。したがいまして、小月教育航空隊といたしましては三千フィート以内の高度でここから発進しまた帰投する、すなわち管制圏の中は三千フィートの高度以内で発進または帰投する、こういうことで訓練を行なっていた次第でございます。
  87. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 このニアミスを起こしたところの高度は五千三百フィートとなっているわけです。そうすると、そのきめられた高さより高く飛んでたということにならないですか。
  88. 福田勝一

    説明員(福田勝一君) これは先ほど防衛局長からも説明があったんでございますけれども、その時間、全日空機フレンドシップのキャプテンレポートにございます九時三十二分前後に、この空域近くを飛んでおりました十四機の飛行機全部を洗ったわけでございます。で、その洗った結果が、いずれも、現在までの調査の結果によりますれば、この管制圏内におきましては三千フィートでフライトしておる、こういうことになっているわけでございます。一部、この管制圏から出まして三千五百フィートあるいは訓練空域に入りまして四千五百フィートの高度で飛行しておった、こういう事実があるわけでございます。
  89. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そうすると、全日空側の言っていることはまるきり違うというわけですね、防衛庁の側から見れば。
  90. 福田勝一

    説明員(福田勝一君) この点につきまして、現在までに調査した結果でございまして、先ほども大臣防衛局長のほうからの説明にございましたように、現地に調査の係官を派遣して調査をしておる、こういう状況でございます。これにつきましては担当の教育課長のほうから説明さしていただきたいと思います。
  91. 渡辺伊助

    説明員(渡辺伊助君) 運用課長のほうから申し上げたことを若干補足して申し上げます。  大体同じようなことになるかと思いますが、飛行訓練にあたりまして、小月教育航空隊では、出発経路のきめられた高度より千フィート以下の高度をとるように、それから小月管制圏の中では三千フィートで飛ぶようにという指示を与えております。先生先ほど御質問の、ニアミスをしたところでは、フレンドシップの機長は五千三百ないし四千フィートということで、自衛隊機は高度違反ではないかという御質問でございますが、先ほど運用課長のほうから申し上げましたとおり、私どものいままでの調査では、ニアミスが発生したというふうに報告されておる九時三十二分——九時半現在の当時の、十四機の位置を全部調べました。そのときには、先ほど防衛局長のほうから御説明申し上げたとおり、小月から一番近い距離で約七マイル、一番遠いところで十八マイルのところを最低二千フィート、高い飛行機で四千五百フィートという高度で飛んでおるという報告を現在までに受けております。
  92. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 これは時間がありませんから打ち切りますけれども調査結果が出次第、報告をしてもらいたいと思います。
  93. 森中守義

    森中守義君 外務大臣代理にちょっと二、三問お尋ねをいたします。  せんだっての連合審査の際、佐藤総理から、米軍に対しても要請をした、これは事故直後のマイヤー大使との会見の席上のことをさしていると思う。そこで、連合審査会の質問に対して、決して米軍といえども空の安全に対しては無関心ではない、協力してくれる、そういう話ができておるということが説明されていますけれども、具体的にどういったようなことが米軍側としては航空安全に対して協力をしようとするのか、その後、外務省と米軍側との話し合いあるいは日米合同委員会等における内容的なものはどういうものなのか、これひとつ最初に御説明願いたい。
  94. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) 今回の航空事故に際しまして、米側から、マイヤー大使等から、積極的にわがほうの航空安全対策に協力する姿勢を示しておりますが、それに基づきまして、先ほど政府で決定いたしました航空安全緊急対策、この内容を目下のところ運輸省のほうから米軍のほうへ説明をいたしまして、事務レベルでこれを詰めつつある現状でございます。
  95. 森中守義

    森中守義君 それは時間的にそこまでせっかちにはできないという、そういうようにも受け取れますが、しかしこれは事務レベルで積み上げたものが最終的にということのようですけれども、大体答えはほぼ出ていますよ。そこでこれはあとでもっと具体的にお尋ねしますが、先ほど防衛庁長官及び運輸大臣にも約束されている航空法の改正、これは一つには、防衛庁長官に委任されている条項というものが全面的に削られる、並びに地位協定に基づいている米軍への権限の委譲、こういうものが完全に除去されない限り、航空法の抜本改正にはならぬ、こういう趣旨——先般の決議の本旨からいっても、またこれから行なわれんとする航空法改正の趣旨からいっても筋じゃないか、こういうことを言っているんです。そこで、細密にわたる緊急対策の詰めというよりも、外交判断、政治判断として、一体、地位協定をこのまま存続するのか、あるいは航空の安全確保のために、取りきめられている合意というものを削除するか、この辺に私は最終的な問題がかかっていると思う。いま代理大臣のお話ですと、一応こまかく詰めて最終的に可能なものをと、こういうことのように聞くのですが、原則的にはどうなんですか。政府一体のものとして航空法の改正を抜本的にやるのか。それならば当然、地位協定というものに触れなければならぬ。だから私は連合審査の際に、総理はむかっとしておったようだけれども、本気でやるのかやらぬのかと、こう言ったところが、やると、こう言っておりまりましたが、本気でやるかやらぬかというと、地位協定に何らかの影響を与えるのか、あるいは現状の地位協定の範囲の中で処理しようとするのか、そのどっちかということになるのですが、どうもいまのお話だと、とてもじゃないが航空法の抜本改正には至らない、ほとんど手直し程度にすぎぬのじゃないかというように思うのですが、その辺どうですか。
  96. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) 航空法の問題は別といたしまして、地位協定第六条、これは御承知のとおり、わが国の航空交通について、日米間で日米安保条約のワク内において両方の協調、整合をはかろうとする趣旨でございます。したがいまして、その趣旨に基づいて、当然、両政府当局間でこれについての取りきめをいろいろいたします。で、取りきめの内容が、はたしてその当時の、昭和三十四年の当時と——現在の航空事情の非常に変化しました現時点におけるいろいろな変化にはたして対応しておるかどうかということの再検討が必要であると思います。しかしながら、それは運用の問題であって、地位協定第六条そのものを変更する趣旨ではありません。したがいまして、現在のところ、政府といたしましては、地位協定第六条の変更を考える必要はない、こういうような考え方でございます。
  97. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、結局、航空交通管制に関する合意、これも災いしておる。そうなりますと、早急な機会に日米合同委員会を開いて——いま事務レベルの話と、こう言われるけれども、具体的に外交当局として、たとえば横田エリアあるいは岩国エリアをもっと圧縮をする、あるいは今日のように高高度を飛ぶジェット機の場合、たとえば二万五千フィート以上とかあるいは三万五千フィート以上は、これは自由に開放するとか、そういう具体的なものでないと話になりませんよ。だからそれを運輸省の事務当局——むろんこれはひとり運輸省だけじゃない、少なくとも防衛庁も日米共同で航空戦略を持っておるように聞いておりますから、かなりこれは重要な内容を含んでいますよ。だから、当面、手直し程度にとどめておこうということじゃ困る。だから、それをただ事務レベルにまかしておる、きまったことを外交当局として合同委員会に持ち出そう、話をしようというのじゃ、これは無責任だと思う。だから、外務省は外務省として、自主的な判断、自主的な米側に対する交渉の内容というものを持っていてもいいのじゃありませんか。そうでなければ、合同委員会進みはしませんよ。いま大臣の話を聞いておりますと、きめたことを外交ルートにのせて話をするとか、そういったように聞こえるのですが、自主的な判断に基づいて日米間の話し合いにのせる意思があるのですか、ないのですか。
  98. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) これは私おことばを返すようですが、こういう航空交通行政、この問題については、そう政策的考慮が先立つものではないと思います。したがって、これに基づく事務的レベルと申しますか、これはきわめて専門的、技術的問題が先立ちます。そういう考え方を土台にいたしまして、その実質面で詰まったところ、それに対して外交的配慮をする、そういうことが私は順序ではないかと思います。そういうようにいたしたいと思います。
  99. 森中守義

    森中守義君 そうなりますと、日米合同委員会がいつ開かれるのかわかりませんけれども、この問題に関して早急に日米合同委員会——これは何か取りきめによれば、そのつど、あるいは緊急の場合に応じては随時開催できるという一項が入っているように記憶するんです。少なくともこういう完全に煮詰まらない間でも合同委員会を開催をして、そこで米側の意向を問うとか、あるいはさっき大臣代理が言われるように、少なくともきめたことについては少し話をまとめようじゃないかと、そういう合同委員会開催の意思はありませんか。
  100. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) 御承知のとおり、地位協定第六条に基づいていろんな取りきめがございます。その一つとして昭和三十四年の日米合同委の合意があるわけですが、その合意そのものを変更するときには日米合同委の開催が必要であろうと思いますが、しかしながら、そこに至るまでの細目、技術的問題、これはいま事務レベルで詰めております。話し合いがまとまればそれに従って米側に協議し、日米合同委の開催を待たずして逐次これを実施に移すということにいたしたいと思います。
  101. 森中守義

    森中守義君 そこまで言い切ってもらうと非常にけっこうですがれ、そこで、私もこういうことの専門家じゃありませんが、どうなんです。いま横田エリアというのは長野から新潟まで延びている、ずいぶん膨大なるあれを持っているわけですね。岩国も同様。これを事務レベルで、少なくとも日本サイドで三分の一ないし二分の一に切ったほうがよろしい、こういう答えが出た場合に、そのとおりにしますか。
  102. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) 先ほども申し上げましたとおり、これは第三付属書と称せられる日米合同委の合意できまっておりますので、これを変更する場合には、私は日米合同委を開かなければならぬと思いますが、いま行なわれております実質的な、いろいろな技術的、専門的なレベルにおける協議、これがまとまりまして、その結果、横田ラプコン区域がもう少し縮小してもいいではないかということになれば、当然、日米合同委を通じてこれの変更を米側に要求するつもりでおります。
  103. 森中守義

    森中守義君 それではっきりしました。  じゃ、もう一つ、そのエリアを三分の一もしくは二分の一に切ったほうがよろしいというわが国で答えが出たら、それはそのとおりにやると、こういうことだが、まあ相手が何て言うかわかりませんがね、協力するということを相手が言っている限りは、これは当然動いてもらわなくちゃ困る。大体われわれしろうとが考えても広過ぎますよ。これが非常な圧迫を加えている。それと、かりに二分の一もしくは三分の一に縮小されたエリアの上空ですね、これを専門家がずっと協議の結果、二万五千フィート以上はこれは開放するあるいは三万フィート以上は開放する、こういう答えが出たならば、そのとおりこれもおやりになりますね。
  104. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) 外務省としては、当然、航空交通安全のためにやるべきことはやりますが、ただ、これは専門事務レベルでの相当な詰めを必要としますので、ただ外交的配慮が先に立ちまして、そういうことをあえてすることは、かえって航空安全のためにもマイナスになるおそれもございますので、先ほど申し上げましたとおり、これは実質面で、わが国の航空当局と米側との実質的な詰めの終わるのを待ちまして、その結果に基づいて米側に要求したい、こういう考えでございます。
  105. 森中守義

    森中守義君 これはひとり横田だけでなくて、岩国も同様だということを御了承願っておきたい。  そこで、直接担当されている運輸省あるいは防衛庁意見も聞かなければなりませんが、いま私は一つの仮説としまして、広過ぎるのだから二分の一ないしは三分の一に切れ、同時に、残されたエリアを、高度二万五千ないしは三万五千の幅において、それ以上の高度になったら完全な開放だ、こういうことを一つ意見として出しているのですが、これに対してどういうお考えをお持ちでしょう。
  106. 内村信行

    説明員内村信行君) これは相手のあることでございますから、実現するかしないかは別としまして、私どもといたしましても望ましい方向であると考えております。したがって、その線で交渉を進めたい。ただ、その時期につきましては、こちらへ返ってまいりますと当然こちらの手で管制しなければなりません。そのためには、やはり管制官その他を十分整えて、それからでないと引き継げないわけでございます。
  107. 野呂恭一

    説明員(野呂恭一君) この問題は、外務、運輸両当局の御判断などによっていろいろ防衛庁としても検討していかなければならぬ問題だと思います。
  108. 森中守義

    森中守義君 これはあなた、何を言っているんだ。外務大臣代理は、皆さんのおきめになったそのとおりにしますよと、こう言っている。そこで、これは非常に重大な問題ですよ。それで、相手のあることだから聞いてくれるかどうかわからぬという弱腰では実際困る。そのことが連合審査以来の一つの問題ですよ。だから、航空法改正といっても、そういう具体的なものがある程度決着つかないと抜本改正にはならないんですよ。いわんや航空の完全なる安全ということにはならぬのですよ。しかし、航空局長から、望ましい方向だと言うことは、非常に私はけっこうなことだと思う。  そこで、運輸大臣と外務大臣代理に、もう一回くどいようですが念を押しておきますが、少なくとも横田あるいは岩国の米軍エリアは広過ぎる、そのために国内の航空の安全が阻害をされている、この事実は否定できません。ですから、二分の一に切るべきであるかあるいは三分の一に切るべきであるかあるいは五分の一に切るべきであるか、それはわが国の完全なる自主的な立場でまず決定をしてもらいたい。それと、残されたエリアについて、その上空は、二万五千ないしは三万——三万五千が適当であるかどうか、これは大きな問題で、もっと検討に値するでしょうけれども、少なくとも高度二万五千くらいから完全に開放してもらいたい。これもひとつ検討してもらいたいと思う。それと、航空局長が言われるように、さような措置をとるにはまず内部の体制を固めなければならぬ、こう言われるのですが、これは相手は要らないんですよ。きまれば、国内できめればいいことです。アメリカに相談もヘチマもない。もっともこれは管制上の問題とかいろいろありましょうけれども、そういうものは国内サイドで決着をつければきめられることですから、そういうことをあわせ含めながら、できるだけ早急にこのことはまず結論を出してもらいたい。これをひとつ運輸大臣に強く私は要求したいと思います。そこで答えが出たことに対しては、先ほど木村さんは、やってみよう、日本の主張を通すと、こういうことだから、ぜひ専門家における結論が出たら、外交当局は一歩も譲ることがないように、総理が言明していますからね、米軍も協力をすると、こう言っているのだ。こう言っているのだから、責任を持って処置をしてもらいたい。このことを両閣僚から、もう一回ひとつお答えをいただいておきたいと思う。
  109. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまの森中委員の御質問でございますが、ただいま横田エリア並びに岩国エリアにつきましては、従来からもそこに回廊を設けるとかなんとかをいたしておりまして、漸次歩み寄りをしてきた次第でございますが、この際、いま御指摘のようなエリアの空域の面積をどのくらいにするかとかあるいは高高度の上空を民間航空に開放するかどうか、こういうような問題あわせまして、これは非常に専門的の立場もありますので、専門的の立場でもって十分両者検討をさせまして、そうしてわが国の民間航空の安全がはかられるように処置をとってまいりたい、こう思う次第でございます。これにつきまして、先般もマイヤー大使が私のところにもおいでになりまして、それらにつきましても非常に協調的な態度でございました。いま事務——専門的のレベルで漸次交渉を進めさしてまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  110. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) 航空行政当局が結論を出しましたその趣旨に従って、外務当局といたしましては米側に協力を強く求めたいと思います。
  111. 森中守義

    森中守義君 まあこれで木村大臣のあれ終わりますが、運輸大臣も聞いてもらいたいんですけれども、大体、安全緊急対策というものがぎょうぎょうしく出るからには、当然こういうことが対策の中に入っていなきゃうそですよ。どこにありますか、そういうのが。ただ、米軍にあてがったもの、それは放置しておいて、そのようなことで、たとえば空域の整理をしようとしてみたり、あるいは減便をしてみようとしてみたり、まあいわばこれは国会側から見れば小手先細工、こういう気がしてならない。だから、これはもう本来的には、当然こういうことがまず整備をされる筋合いのものだと思う。しかし、いまこれはお二人からやや責任があるようなお話がありましたから、まあ一応そのことを了としながら、ぜひこの問題は決着がつかなければ日本の空の安全の確保はできない、こういうことを肝に銘じてすみやかに合同委員会等に問題の提起ができるような、そういうことを期待しておきたいと思う。まあいずれその結果を報告してください。  ちょっと防衛庁にもう一度聞いておきますが、先ほどの田渕委員のお尋ねはもちろん、私の質問に対しても、ちょっとピントはずれが多過ぎる。つまり異常接近片一方はしたと、片一方はわからぬと言う、あるいはしないと言う。小月の該当飛行機はさがすことができたんですか、できないんですか。そこで何かこう、結局、接近をして空中で異常な状態、つまり墜落等の具体的な事実が発生をしない場合には、そういうことはありませんと、該当機がありませんと逃げ回るわけですか。どうしても合点がいかぬのですよ、その辺が。それで、小月航空隊司令か何かが全部のパイロットを集めて、だれか気づいた者がおらぬかと聞いておるらしい。こういうばかばかしい話があるだろうか。片一方のほうはキャプテンはじめ副操縦士に至るまで、目の前で見たんだと、こう言う。何か国民はこの事件を見て、どっちの言い分がほんとうかい、そういう、これこそ割り切れないものを持っていますよ。それを何かこういう時間が合ったとか合わぬとか、高度が合ったとか合わぬとかいうことで言を左右にされたんじゃかないませんよ。もっと率直に事実を突きとめる、そのくらいのことは——まだ事実がはっきりしておらなければ、責任持ちなさいよ。該当機あるんですか、ないんですか。わからないんですよ、それでは。
  112. 鬼丸勝之

    理事鬼丸勝之君) 外務大臣の時間の都合がありますから、簡潔に御答弁を願います。
  113. 野呂恭一

    説明員(野呂恭一君) 御指摘の点はたいへん申しわけないと思いますが、今日までの防衛庁で調べた結果は、先ほど御報告申し上げたとおりでございます。あえてこれを回避しておるわけじゃございません。したがいまして、いま調査団を派遣いたしまして、十分そういう疑いがあるのかないのか検討いたしたい、こういうことでございますので、その調査の結果を御報告申し上げたいと思います。
  114. 森中守義

    森中守義君 それはあとでまた聞きます。
  115. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 外務大臣に先にお断わりしますけれども、日韓経済閣僚会議のことですが、韓国が「韓国首都圏の都市交通事情改善のための国鉄電化及び地下鉄建設計画に対する日本側技術調査団派遣が実現したことを歓迎し、この結果に基づいて同プロジェクト実施に必要な八千万ドルの借款供与を要請したのに対し、日本側は、これに同意するとともに、韓国側の要請により、同プロジェクト実施に必要な設計・施行監督に関するコンサルタント業務についても右借款額の範囲内で協力することを約した。」ということなんですが、これは具体的には日本側が韓国に対して、もちろん問題は国鉄の電化とか地下鉄建設計画ということでありましょうけれども、一種の経済援助ということをきめたということになると思うのでありますが、八千万ドルの借款供与に対して日本側がこれに同意をしたということは、いかなる理由でもって、またどういう考え方に基づいてこれに同意をしたものか、その点をお伺いしたいと思います。
  116. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) いま御指摘のとおり共同コミュニケで発表いたしましたとおり、ソウルの地下鉄建設に対して外貨分五千万ドル、内資分三千万ドルの借款を供与することに一応合意をいたしました。この地下鉄に対する協力、これは一般的経済協力の一環として行なうというのが趣旨でございます。
  117. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 韓国でもって、ソウルの交通混雑の緩和のためには高速鉄道並びに地下鉄が最適であるという一つ日本側の助言もあったでしょうけれども、それにしても、一号線及びこれに接続する韓国国鉄電化の所要額一億四千百万ドルのうち八千万ドルを、三・五%の七年据え置きを含む二十年償還で海外経済協力基金よりの借款をするということに同意をした、たいへんに気前がいいような気がするわけです、これは。日本の国鉄の場合は、これよりも多額の高金利の借金で多数の赤字を出している。あるいは地下鉄を延ばしたいといっている日本の場合は——韓国のソウルが人口五百万だといわれているけれども、東京は一千万だ。さらに一千万の東京の周辺の各県は東京の人口があふれ込んでいるために、これは全部合わせて韓国の人口ぐらい首都圏には人口があふれている。それが全部東京中心に通勤をし、あるいは通学をするようになる。その混雑の度合いというものは、東京あるいは首都圏の場合は韓国の比じゃないと思うのです。ところが、この首都圏の地下鉄というのは全部東京都の周辺の県境でもってストップになっちまう。人口はどんどんふえているけれども、ちっともその地下鉄の延長計画というのは今日はないわけです。ところが、それに対して韓国のほうを先にこういうようなことを、借款を行なうということは、これはきわめて大きな協力であると同時に、問題は、南北朝鮮の統一問題であるとか、あるいは日中国交の回復問題であるとか、こういうきわめて微妙な国際情勢に対する影響も相当あるのじゃないかということをわれわれ考えざるを得ないのですが、これは外務大臣から、そういう外交面からの問題についてどのようなお考え方か、お伺いしたいと思います。
  118. 木村俊夫

    国務大臣木村俊夫君) 八千万ドルの借款、これは金利は、いまお話しになりました三・五%ではなくて、四・一二五%になっております。この点についてはよく御理解を願いたいと思うのですが、このソウルの地下鉄、これはたいへんソウル市内の交通混雑が韓国の民生安定と申しますか、社会的混乱にも結びついておるというような見地から、当然開発途上国における協力の一環として、アジア諸国に対する経済協力と同じような観点からこれを行なうということになったわけでございまして、ほかには他意はございません。
  119. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それじゃ、ほかに他意はないと言われてしまうと、あと聞きようがないのですが、しかし、いずれにしても、たいへんに気前のいいことだと思うのですよ。  そこで、今度は運輸大臣にお伺いしたいと思うのです。外務大臣代理はけっこうです。運輸大臣にお伺いしたいと思うのですが、日本の場合、国鉄でも私鉄でも、いま新線建設をやるところはなかなかないわけです。採算が合わない。そこで、この韓国に対するのは四・一二%ですか、四・一二%にしている。要するに、非常に低利でもって長期の融資をするということになるわけですね。こういうような気前のいい財政的な援助を、日本の地下鉄あるいは営団にしても私鉄にしてもいいですが、私鉄に対してあるいは国鉄に対して、こういったような財政的な援助というものを今日までやっておる例があるのか、あるいはこれを契機として、日本の交通網を完備するために、国鉄に対しても私鉄に対しても、これよりもっとゆるい条件でもって財政的な援助を行なう用意が運輸省としてあるのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  120. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいま瀬谷委員からのお話でございますが、今回の韓国の国鉄電化並びに地下鉄に対しまして八千万ドルの財政資金を供与する、こういうことにつきまして、日本の例はどうだ、こういうお話でございますが、実は、日本の地下鉄に対しましては、昨年から建設費の半額を、国または地方公共団体でこれは補助をいたしております。あとは起債でございますから、その点につきまして、大体におきまして、日本の都市の過密状態における必要性からいいまして、地下鉄の建設につきましては、これからもその方法を続けていくつもりでございます。来年度の予算にもこれを大幅に見積もっていくつもりでございますので、その点は、韓国の地下鉄だから特別にしたというふうには私ども見ていない次第でございます。  ただ、いろいろの鉄道あるいは電化またはローカル線につきましては、四十六年度で初めていろいろ国の財政支出を認めた次第でございます。ぜひともこれらにつきましては、ことに運輸委員の先生方の格別の御督励をいただきまして、来年度はぜひ私どもそういったおくれているところの交通社会資本の投資につきましては利子のつかない金を、いわゆる一般財政支出をできるだけひとつ多くとりまして、そうして国民の要求に応じてまいりたい、こういうつもりで今日予算編成に取り組んでいる次第でございますので御了承願いたいと思います。
  121. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 時間の関係もございますから、かいつまんで御質問いたしますが、それでは、国鉄の財政再建問題が焦眉の急だと思うのですが、こういった問題に対して、いまの大臣のようなお考え方をもとにして、財政問題を再建をすることに何か考えているか。もっと具体的に言うと、来年国鉄の運賃を、財政再建のために国鉄運賃値上げをもう一回やるのかやらないのか。あるいはまた、いま大臣答弁をされたように、要するに利息のつかない金でも融通して、なるべく一般の負担になるような運賃値上げは避ける、こういう方向でもって、国鉄の財政再建計画を立てるのかどうか。そのこともあわせてこの機会に明らかにしていただきたいと思います。
  122. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) これは国鉄再建の根本問題になってくる次第でございまして、ただいま私ども鋭意検討中でございますが、しかしながら、私どもは、先ほども申しましたとおり、交通社会資本の充実のためには、思い切っておくれを取り戻すために、国の財政支出を要求している次第でございます。しかし、これはやっぱり財源には限度がございます。また、国鉄財政も新幹線などは非常に順調な収益を得ておりますが、その他の点におきましては非常に赤字に悩んでおる、こういうような現象でございます。また一面におきまして、まだ、もちろん結論を得ておりませんが、私どもといたしましては、いろいろ物価抑制対策その他また国民の利便も考えまして、できることならば運賃の増加というものは回避したい、こういう考え方に違いありませんが、ただいまの物価体制におきまするところの鉄道運賃の地位づけというようなものからも勘案をいたしまして、これらはやはり合理的に解決をしていかなければならないというようなこともただいま検討いたしまして、まだ結論は得ていない次第でございますが、できるだけ早い機会にひとつそれらの点も含めまして検討いたしまして、国民の要求に御満足のいくような解決策を講じたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  123. 伊部真

    ○伊部真君 今日の交通機関はまさしく国民の生活に直結をしていると思います。その交通機関が過密過疎ともに非常なピンチに立っていると言わざるを得ません。特に過疎地帯におけるバス事業、私はこの間、四国へ行きました。四国のあるバス会社は、こう言っております。全体として過疎バス対策委員会からは援助を受けております、これが年間八百万円。しかし、この援助では今日の企業がいまの路線を確保していくことはできない、したがって、この援助は返したい、そのかわりにバスの赤字路線を切ってもらいたいというようなことを言っていました。これは単に四国の一部分だけではなしに、それは全体として過疎地帯にはある。山陰のほうでは三百五十名の人員整理を会社が提示した、従業員がこの企業の前途に悲観をして、それ以上の退職者が出たということであわてております。こういう状態で、全般として、国がバス企業に対して、いわばそこのバス路線だけをたよりにして通っている子供、あるいはそういう生活に対してほんとうに見ておるのかどうか。過疎バス対策委員会に対して総額一億か二億という国家援助をしておるというふうに聞きますが、こういう状態でほんとうに国民の足を守ると言えるのかどうか、この点私は非常に遺憾とするものであります。  特にきょう運輸政策審議会の都市交通部会の答申が出ました。その内容を私まだここでざっと見ただけでありますけれども、その中に明らかに、バスは高速道路とともに行政が関与をして確保すべき性格のものである、これは過疎とに違って都市問題ではありますが、しかし同じことが言えるのではないか。原価主義だけではなしに、行政が補助、助成をすべきだと考えるということが答申の中にも盛られております。したがって、こういうバスの確保に対する政府の方針なり、援助に対するこれからの計画なりありましたら、ひとつ明らかにしていただきたい。
  124. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまの伊部委員のお話でございますが、御指摘ごもっともだと思う次第でございます。実は過疎バス対策と申しますか、地方で人口の減少地帯におきます地方住民の、地域住民の足を確保する、運輸機関を確保するということは最もやはり大切なことでございまして、これは過密地帯におけるところの運輸機関の確保と同様に私は大切なことと思っておる次第でございます。少なくともナショナルミニマムを維持するということは、政治行政上のこれはもう当然のことでございまして、その点につきましていろいろ具体的な御指摘がございました。実は昨年はそれにつきまして、過疎バス対策といたしまして一億円を計上し、本年また一億五千万円を計上した次第でございますが、私、運輸大臣就任早々、このくらいの金額でもってやっていけるかどうか、これは検討する必要がある、少なくとも来年度は思い切ったひとつ対策を講じなくちゃいかぬということを、ただいま自動車局に命じまして検討さしております。四十七年度の予算につきましてはぜひとも、まあ、これはなかなかむずかしい問題でございますが、経営の補助とともに車両購入の補助等を含めまして、やはりこの程度の地域社会については絶対にこのバスの運営を確保する。しかし、これは非常に人口も減少してまいりまして、バスよりはむしろ——一日に三人くらいか、そうもいかないというようなものにつきましては、当局とも相談いたしまして、これはハイヤーその他の送り迎えをさせるとか、いろいろの問題もあろうかと思う次第でございますが、いやしくもやはりバスの要るようなところにおきましては確保したい。それに対してどのくらいの補助を続けていけば、その点の過疎バスの経営が平常な運転ができるかということをいませっかく積算をさしておりまして、これがまとまりましたならば、これを予算として計上してまいりたい、こういうふうに思っている次第でございますので、御了承願いたいと思います。
  125. 伊部真

    ○伊部真君 私はこの間もある地域に行きまして、住民のお年寄りの人に、このバスがなくなるというふうにいわれておるが、どう思いますかと聞いたら、これだけを頼りにしてきているのに、そんなことはありませんよ、お上はそんなことするわけはありませんよと、こう言っているのです。私はそれが国民の期待だと思うのです。全国で一億や二億の金で、今日の価値から見て一億や二億の金で国民の足を少しでも国がめんどう見ているなんということは言えないと思うのですよ、戦闘機一機でもたいへんな額なんですから。それが大臣の言われているように、昨年が一億でことしが一億五千万ということは、これは論外だと思うのです。その点についてはやはり抜本的にひとつ対策を願いたい。  それからもう一つは、この間新聞に出ておりましたが、いまタクシー料金の値上げ申請というのが東京のほうに出ておるようであります。この内容について私は聞きますと、八割から九割の値上げ申請をしているようであります。私としては、今日の国民の生活あるいは物価の問題、いろいろ考えてみると、少しはずれているのではないかというような気がいたします。この点については認めるつもりでありまするのか、認めないつもりなのか、大臣所見を聞きたいと思います。
  126. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまのタクシーの問題でございますが、申請は出ているそうでございますが、これはまだ運輸省の自動車局には出ておりません。実は各局にいま申請が出ている途中でございます。それで、各関係陸運局でいま内容の審査を行なっている過程でございまして、内容の審査が終わりますれば、本省のほうにこれを上げてくる。そこで私どもはその点につきまして適否を検討する、こういう段階でございますので、私どもは、ただいまのところはそれにつきましてまだ検討をいたしていない、こういう状況でございます。
  127. 伊部真

    ○伊部真君 しかし、新聞ではもう明らかに、八月の三十一日に業者はそのために一日休業をやると、こういっているわけですよ。値上げを背景にして一日休業をやるということで、いわば国民の日常生活に非常に大きな影響を与えると思うのです。一部の会社が、一部の企業が、労働者がストライキをやるというのではなくて、全体が、個人もあるいは企業も、全体として一日休業をやるというような状態にある、この事態に対してはどう考えますか。
  128. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) そういうような話も聞いている次第でございますが、一日休業をやるのが、これが全体がやるか、あるいは一部の会社がやるか、またその方法といたしましても休日を振りかえてやるのか、あるいは一斉にやる、いわゆる何と申しますか、運送法の規定違反でもあえてして行なうのか、それらの点もまだはっきりつまびらかにしていない次第でございますが、何にいたしましても、そういったような方法でもって、そうしていろいろの値上げを迫るということは好ましいことではございませんので、私のほうとしては、そういった方向でもって休業をし、そうして国民に迷惑を与えるというようなことは避けるように極力説得をするつもりでございますし、ただいま説得をさしている次第でございます。
  129. 伊部真

    ○伊部真君 これは法的には非常に抽象的になりますが、免許を与えたときの約束ごともあるわけですよ。営業免許を与えたときに、いわゆる大衆に迷惑をかけたり、正常業務を阻害するというふうに抽象的にはあるのですが、法律的にはどういう見解ですか。
  130. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまもお答えいたしましたとおり、そのタクシー業者の一部が休日を振りかえて行なうような場合には、これは法律違反になるかどうか、違法であるかどうかということは、やはり検討の対象と思う次第でございますが、そういった業者の、法律違反をいたしまして、そうして休業いたしました場合には、これは明らかに法律違反になる次第でございますから、それにつきましては適当な措置をいたしたい、こう思っている次第でございます。
  131. 伊部真

    ○伊部真君 いまの回答で私ちょっと満足ができないのですけれども、私の聞いたところでは、東京のタクシー業界の川鍋さんがやっているやつですが、正式に理事会で一斉休業をきめた、こういうふうに聞いているのです。その後、個人タクシーの役員会でも個人タクシーの一斉休業をきめたと、こう聞いているのです。きめたから実行されるかどうかというのは、これからの問題はあるけれども、そういう状態ではっきり意思表示をしているのに、その問題についての明らかにした方針がないと、国民は三十一日の日にたいへんな混乱が起きると思うのです。したがって、それは日程的にもかなり迫ってきているわけです。早急にひとつ見解を明らかにしていただきたい、こう思います。  それからもう一つこの機会に聞いておきますが、値上げ問題もさることながら、私はタクシーの採算上の、あるいは経営上の非常に苦しさがあるということを、ある点においては認めざるを得ないのでありますけれども、しかし、これは値上げをするということで解決し得るものかということについては疑問があります。今日、法規制の限度を見ますと、タクシーでは三百五キロというのが最高限度許されているわけですが、その走行キロに対して実際に走っておるのは二百九十とか二百七十とか、近代化センターでは二百九十と言っているようであります。そういうことが問題だと思います。しかも、ますますこれは激化していくと思うんですね。交通渋滞、これは都心の駐車問題にもいろいろ問題がある。したがって、この問題を解決せねばならぬのが一つ。  もう一つ考えられることは、この業界の中にどうも不可解な点があるのは、タクシーならもうからぬが、ハイヤーならもうかると。これはこの間調べましたら、今日、タクシーというのは、いろいろの採算上の問題もあるでしょうが、四十五年の七月では二万四千九百四十一台、これが四十六年一月では二万八百十五台、これはかなり減っているわけです。しかし、ハイヤー部門では、これが同じ年代で比較をいたしますと、四千三百四十五台であったのが六千三百五十六台、約二千台ふえている。これはどうも合点いかぬわけですけれども、ハイヤーの料金というのは明確になっておりますか。私はときたまハイヤーに乗ることがありますが、どうもハイヤーというのはメーターが明らかでないし、言われたまま支払う。会社だから、それはあるいはまあ社用だから、そういう点検がないように思えるんですが、その辺はどうですか。
  132. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) その点はハイヤーも明確になっております。いま伊部委員から御指摘がございました、ハイヤーのほうがいい、タクシーのほうは非常にあれだということはお説ごもっともでございます。その点につきましては、いまお話がございましたように、ことに地方と都市とは、タクシーのあり方につきまして非常に違っているんじゃないかと思う。都市のほうは、やはりただいま御指摘がございましたとおりの道路の渋滞によりまして、一日の走行キロが許容された走行キロにはとうてい達しないという問題がございまして、時間的に非常に制約を受ける。そういう点で非常に苦しいというようなこともございまして、先般、やはり委員会におきまして、タクシー・レーンを設けたらどうかというようなお話がございましたが、いまの東京あるいは大阪におきましては、バス・レーンを設けるのが精一ぱいである、とてもタクシー・レーンまで設けることはできないというような問題がございまして、いままでより走行キロをふやすことはできないどころか、ますますその点は走行キロの規定キロよりも遠ざかっていくと、したがいまして、一日の運賃収入も減ってくると、こういう問題が出てくる。そこでいろいろの運賃問題もある次第でございますが、それにつきまして、タクシーというものが、ただいまハイヤーの問題出ましたが、これが公共運輸機関であるか、または選択的運輸機関であるかというような問題も実は検討の対象になってくる次第でございます。いまお話がございました運輸政策審議会におきましても、タクシー輸送を含めました今後の都市交通体系につきましての検討でございますが、この答申に出ましたる結論に基づきまして、はたして、いまのようなタクシー運賃体系というものが合理的であるかどうかということも十分検討いたしまして、結論を出してみたい、こういうように思っている次第です。
  133. 鬼丸勝之

    理事鬼丸勝之君) 伊部委員大臣が他の会議出席する時間になっておりますので、簡潔にお願いいたします。まとめて大臣に対する御質疑を。
  134. 伊部真

    ○伊部真君 大臣に質問する事項だけに集約をしたいと思いますが、いま、沖縄返還について、沖縄が本土に復帰をしたら、運輸関係の諸規定、道路運送法なり、あるいは港湾運送事業法なりという諸規定は、当然、本土並みに適用されるというふうに考えてよろしいか。
  135. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) そのとおりでございます。本土並みと考えてけっこうと思います。
  136. 伊部真

    ○伊部真君 そうしますと、いま適用されておるような手続に基づいて再審査されるということですか、そのまま認めるということですか。
  137. 高林康一

    説明員(高林康一君) お答え申し上げます。  原則的には、当然、本土並みの適用をすべきものでございます。ただ、手続的ないろいろな問題がございますから、手続規定についてはどのようにするか、それはいまいろいろ検討を進めておるという段階でございます。
  138. 伊部真

    ○伊部真君 そうしますと、手続だけではなしに、本土の規定に欠除するものは、当然に、たとえば航空関係にしても、あるいは港湾施設にしても、基準に合わないものは、それについて当然処置をするということですね。
  139. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) そういったものにつきましては、当然、やはりいまの、現在の状況を急激に変化させる環境の激変についてどういうふうに緩和するかというようないろいろの問題がございます。それらについては経過規定を設けるとか、あるいは一ぺんもうすでに向こうの手続できめたものをそのまま認めるとか、いろいろ個々の問題があろうかと思う次第ですが、それらはやはり沖縄県民の利益を考えまして、具体的に措置をしてまいりたいと、こう思っておる次第です。
  140. 伊部真

    ○伊部真君 大臣はけっこうです。  続いて、タクシー問題についてもう一ぺん聞きたいと思うんですが、最近、業界が経営が苦しくなったということで、まあ全体として言えるかどうかわかりませんが、一部には暴力団といいますか、暴力金融あるいはやくざ、そういうつながりのある者が経営の中に入っているということをタクシーの運転手が言っておるわけです。私は、しばしば、タクシーに乗ったときに、そのことを聞くわけです。で、これらは、特に経営のやり方としてはリース方式というのを——このリースというのは普通にいわれるリースではなくて、経営者が水揚げの、たとえば一日八千円が十六時間で一万五千円とか一万六千円になりましょうけれども、その場合に、五千円持ってこい、あとはおまえたちかってにかせげということで、いわゆる燃料代その他も全部本人持ちということで、車庫に帰ろうが、帰るまいが、何をやっていようが、あまり監査が行なわれなくて営業しているということを聞くわけです。これがそのまま放任されると、スピード違反になるし、乗車拒否になるし、あるいはまた、たいへんな、市民にとっては油断のならないような危険な状態というものが起きてくると思うんです。こういうリース方式なり、そういう管理のやり方、あるいはいわゆる適当でない人とのつながりのある経営者——固有名詞でさえ運転手は言っているわけです。そういうものに対する取り締まりの方法なり、それからいわゆるリースに対する考え方、これを明らかにしていただきたいと思います。特に、リース問題については今度の答申案の中にも何か触れているようでありますけれども、そういう点で、リースというものに対する考え方というものを明らかにしていただきたいと思います。
  141. 小林正興

    説明員(小林正興君) タクシー企業の経営が悪くなってまいりまして、あるいはいろいろ経営者の交代が行なわれておるようでございます。で、その際に、先生お尋ねの、たとえば暴力団等が経営に入ってきておるというようなことも間々耳にするわけでございますが、そのこと自体は道路運送法の定める規定に違反してないわけでございまして、その結果、直接違反の問題がございますれば、それに即して取り締まりをやっていくと、こういうことでございます。  それから第二点の、リース制と称する賃金の分配形態といいますか、が行なわれておるようでございますが、これにつきましては、道路運送法によりまして、それが利益分配の方法で、労使間において決定さるべき問題でございますれば、これは道路運送法上の違法行為ということにはまいらないかと思います。道路運送法におきましては、名義貸し——名義の利用あるいは事業の貸し渡しというような問題が禁止されておるわけでございまして、これは事業の免許を持ちまして、その事業を一種の看板料を取って一括してまかしてしまうと、こういったリースであれば、これは名義貸しでございますので、道路運送法違反ということになるわけでございます。いずれにいたしましても、そういった個々の実態に基づいて判断してまいるべき問題だと思います。
  142. 伊部真

    ○伊部真君 いまの答弁について私納得できないのは、いわゆる暴力団的な、あるいはそれとつながっているような者が経営者になっていることを、その監督をすべき当事者のほうで耳にしておってもそれが手がつかぬというのは、これはたいへんなことだと思うんですよ。それなら市民は安心をして車に乗れないじゃないですか。だから、私は、やはりそれに対して何らかの、法律的にどこから攻めていくことがいいのかどうかということはわかりませんが、しかしこれは放任されていいことじゃないと思うんです。すみやかにこれは何らかの措置を講ずるように、ひとつ検討を願いたいと思います。  それからもう一つは、リースの問題でありますけれども、この間の——この間というか、去年運賃が上がって、ちょうど、この問題に関しての運輸省の通達が出ましたね、四十四年十一月二十一日の「大都市タクシー事業の体質改善及び運賃の改訂について」という中で、これは値上げの条件的なもので、給与の引き上げの問題、それから「累進歩合制の完全廃止、」それから「保障給部分の引上げ」ということ、「労働時間の短縮」、「日雇運転者の雇用廃止」、これらを条件にしているものですが、これが実際に当局のほうで監督をしたり、かつまた、これについて努力というのが行なわれたかどうか、そういう検討なり検査なり、具体的な処置が行なわれたのかどうか、その点についてお聞きをします。
  143. 小林正興

    説明員(小林正興君) 前回の運賃改定に際しまして、ただいま御指摘のとおり、労働条件の改善を運賃改定認可の前提として監督あるいは指導するということにいたしたわけでございます。具体的に申し上げますと、監督につきましては、労働官署の監督権限でございますので、基準法に基づく届け出が正確になされているかどうか、あるいはそれが実際に実施されているかどうかということにつきまして、基準監督署の監査をいたしたわけでございます。その結果、整備されておると認められましたので、前回、運賃改定を実施いたしたわけでございます。なお、その際、ただいま御指摘の累進歩合給、あるいは歩合率の程度、こういった問題につきましては、本来、労使間で決定さるべき問題でございまして、運輸省の行政方針といたしましては、極端な累進歩合制というようなものを排除すべきであるということで、こういった点についてはほぼ目的を達しておるように聞いております。
  144. 伊部真

    ○伊部真君 どうもこれは何度やっても押し問答になっちゃうようですけれども、しかし、事実問題として、暴力の問題についても運輸省はそのことを聞いておる、あるいはリースというふうな、いわゆる極端な歩合制度、しりをたたくようなやり方についても知っておっても——知っておってというよりも、むしろ全体として今日までずっとやっておるのに手のつけようがないというようなかっこうになりますと、これは何をきめても私は実を結ばぬと思う。それでは結局、努力をしたことにならぬと思います。その点については、これからもひとつ、具体的に指示したことは実行され、あるいは国民が安心をして乗れるようなタクシーというものに対して配慮をされるように、ひとつ格段の検討を願いたいと思います。  次、移っていきます。それからもう一つ、前回の運賃値上げの論議のときにもう一つ問題になりましたのが近代化センターですね。近代化センターの問題について、一つは、近代化センターというのは中立性を保持すべきだというふうに強く要請をされておった。これは当時の参議院における附帯決議においても明らかであります。民主的な運漕につとめるということで、中立性ということがやかましく言われましたが、その点については十分であるのかどうか。役員の構成について見解を求めておきたいと思います。
  145. 小林正興

    説明員(小林正興君) 現在のタクシー事業が必ずしも適切に行なわれていないというようなことから、近代化センターを設けまして、運転者の登録制度、適正化事業の実施をはかるために近代化センターの制度を設けたわけでございまして、それの運営につきましては、役員におきまして、事業者だけでない、中立的な方、あるいは労働者の代表の方が役員に入っておられるということ、また、諮問委員会を設けまして、近代化センターの業務につきましては、広く第三者の御意見を伺いながら、事業計画あるいは予算をきめていく、こういうたてまえをとっておるわけでございます。その線に沿いまして、委員につきまして、労働あるいは経営者の代表はもちろんでございますが、さらに学識経験者、第三者の方をあわせまして、いわゆる三者構成をとっておるわけでございまして、こういった点で私どもとしては中立性を担保してまいっておると思っておる次第でございます。
  146. 伊部真

    ○伊部真君 次に、近代化センターは当初、法人が年間三万円、個人が六千円という負担金の取りきめをしているわけですね。その後、実際に負担金を出しているのが、法人がたしか一万二千円ですか、個人が三千円程度というふうに聞いております。しかも、四十六年度は、この負担金についても見通しがないというふうに聞いておるわけです。役員会、適正化委員会を開いても、負担をすべき業者は全く出席をしない。いわば引き揚げのような形になっておる。これでは四十六年度の運営というものは全く見通しがないことになる。これは近代化センターの設置をしたときの条件に違背をする。当時、委員会で質問がありまして、たしか黒住さんがこれに答えて、もしも業者がこの法律に違背をしたり、分担金を出さないことがあったらどうするかということに対しては、これは措置をしますと、こう明らかに答えているわけです。この関連について明らかにしていただきたいと思います。
  147. 小林正興

    説明員(小林正興君) 近代化センターの業務は、大別いたしまして、先ほど申し上げましたとおり、登録関係それから適正化事業、この二つになっておるわけでございます。運転手登録につきましては、登録手数料というようなものを取りまして、それ自体独立採算の運営をやっておるわけでございます。一方、適正化事業につきましては、ただいま御指摘のとおり、事業者が負担するというたてまえをとっておるわけでございまして、前回の運賃改定の際に負担金を原価に算入いたしまして、負担金を出し得るように措置したわけでございますが、経営の状況から出し得る限度が非常に少なくなりまして、四十五年度は一万二千円ということで今日まできておるわけでございます。なお、四十六年度についてはいまだきまってない状況でございます。この点は前回の運賃改定におきまして、増収率を約二二・五%というふうに推定いたしまして、実施したわけでございますが、現在調査中でございますが、約一四、五%程度の増収にとどまっておるというようなことから、十分な負担金が決定しかねておるようでございまして、きわめて遺憾に存ずる次第でございます。
  148. 伊部真

    ○伊部真君 きわめて遺憾だけではこれは解決つかぬと思うのですが、四十六年度の予算はどうするのですか。それから、もともと運賃値上げのとき、さっきおしっしゃるように、これは払えるように算入してあるわけですよ。算入してあったのが払ってないわけですからね。これは四十六年度は、事業主は出てきはせぬし、きまらないということになると、近代化センターの運営はどうなるのですか。
  149. 小林正興

    説明員(小林正興君) 四十五年度の一万二千円の負担金につきまして、最近ほぼ全事業者が完納したような状況でございまして、引き続き四十六年度の負担金について、これが早急にきまりますように指導してまいりたいと思っております。
  150. 伊部真

    ○伊部真君 いま事実、出席してないのですよね。出てこないのですよ。ということを私は聞いているのですよ。そうすると、これは何らかのやっぱりちゃんと警告なり措置をしなければ、黒住さんが明らかに、そういう行為があったときには措置をしましょうということをはっきり言明しているわけですから、これはやっぱりその内容は、何か措置をする内容というものは、当時この法律をつくるときのその内容は何かということを明らかにしてやっぱり措置をしてもらわぬと、事実問題としては運営ができないと思います。  それからもう一つは、約束である登録の問題と、もう一つは適正化のほうの事業であります労働者の福祉あるいは食堂その他の施設というものについていまだに出発をしていないわけですね、いまだに施設ができてない。この問題についてはやっぱりこれは、労働者はそれをただ登録するだけではなしに、労働者の利益還元というものがあるんだということで、これも前提にしてやっぱり議論があったと思うのです。この点については、福祉関係のこれからの事業計画について明らかにしていただきたい。
  151. 小林正興

    説明員(小林正興君) 適正化事業の中にいろいろございますが、街頭指導あるいは運転者の研修、苦情処理、それからタクシー乗車禁止区域の指定、これらにつきましては現在実施されておるわけでございますが、非常に大きな予算の規模を必要といたしますただいまの厚生福利施設と申しますか、そういったものにつきましては確かにまだ実施されておりませんが、現在聞くところによりますと、土地の物色等を含めまして準備委員会において着々準備中であると、こういうふうに聞いておるわけであります。したがいまして、先ほど負担金の問題と関連して問題がありますのは、そういった全体の予算規模というようなものが十分でないということについてきわめて遺憾でございますが、近代化センター自体としては、現在、与えられた予算で最大限の努力をしておるように聞いております。
  152. 伊部真

    ○伊部真君 どうもそうなるとわからないのですけれども、四十六年度の予算も、業者が出てない、金を払う分の業者が出てこないし、これも近代化センターではたいへん困るだろうと思いますよ。これも一つには、運賃の値上げというものを背景にして業者が言うのかどうかわからぬのですけれども、そこら辺のやっぱりけじめをはっきりしておかぬと、やはり行政上問題だと思うのです。予算を三万円だと言っていたのが一万二千円でもいいし、それでも泣き寝入りをして黙って、そしてそのしわ寄せは労働者の福祉センターやそっちのほうへ持っていく、あるいは四十六年度の予算でも、値上げを何かちらつかせて、値上げをしなければこれはやれぬぞと、そういった言い方を放任をしておったのでは、私は業界の秩序あるいは指導というものが明確にならぬと思う。これは遺憾でありますというだけでは済みませんので、この点については明らかにこれからの措置をしていただきたいと思います。これはこれからの努力ということで、将来的にもこれは私、見ていきたいと思います。  それから、もう一つ、これはタクシー問題じゃありませんが、一つだけ聞いておきたいと思います。港湾局長のほうになると思いますが、この間、新聞にも出ておりましたが、横浜のほうにラッシュ船というのが入ってくる、これはコンテナ等に続いて新らしい形態のものだと思いますが、これは内容的にはどういうものか、それから将来的にどういうものかという見通しについて明らかにしていただきたい。これはまあ見解ですから、別にそう決定的なものではなくてもいいのですが、同時に、それは港湾運送事業法の第三種事業との関係について、法的に問題はないかという点について見解を伺っておきたいと思います。
  153. 栗栖義明

    説明員(栗栖義明君) 先生御指摘のとおり、近くラッシュ船が入るということになっておるようでございますが、ラッシュ船の特性と申しますのは、海運局長がおられますけれども、私の聞いておる範囲では、はしけを積んで入ってまいりますと同時にコンテナを積んでいる、自分の船にクレーンを持っておりまして、約四百トンのはしけを自分の船のクレーンでおろすということでございます。それからもう一つの特徴は、コンテナを積んでまいりまして、やはり自分でもクレーンを持っておりまして、そのコンテナを自分のクレーンでおろす、あるいは積むという機能を持った船でございます。  それから将来の見通しでございますが、これまだ会社の関係の方に聞いても不明確でございますけれども、従来私ども文献なんかで読んでいる範囲では、むしろ東南アジア方面のように港湾施設の不備なところでは、はしけを使って浅いところに持っていくというふうに聞いておりますし、むしろ日本では、もしやるとすればコンテナが主になるのじゃないかというふうな感じでございますけれども、荷物の性質あるいは荷主の要求によりましては、あながちそうとも言えないこともあり得るということも考えられるわけでございますので、いまのところその運営形態をいろいろと聞いておるわけでございますけれども、まださだかでございません。  それから第三点でございますが、港湾運送事業法の関係でございますが、ラッシュ船が入ってまいりまして、かりに、はしけなりコンテナを荷役する、いわゆる船内作業でございますが、これは日本の港湾運送業者がやるというふうに聞いておりますし、新しくそういうものに対して免許申請がございませんけれども、あったといたしましても既存の業者で十分やれるというふうに私理解しております。  それから三種業者との関係でございますが、はしけをおろしまして、はしけを引っぱってほかへ移すということになれば当然、三種業が起こってまいります。しかし現状では、日本の現在あります三種業者といいますか、そういう引き船業者、これは三種でございますけれども、そういう業者がやるというふうに聞いてございます。
  154. 伊部真

    ○伊部真君 その場合に、そのはしけ自体日本の業者のものじゃないわけですね、アメリカの相手方の施設でしょうね。それを使って日本の業者が、三種の免許業者がやるというふうなことは法的にはどうなんですか。
  155. 栗栖義明

    説明員(栗栖義明君) これはたとえて言いますと、一種のコンテナとも考えられるわけでございまして、現在コンテナは船会社が持っておりまして、外国のコンテナ船が入ってまいりますれば、その外国の船会社が持っておるコンテナを揚げて、それをフレートステーションに持ってまいりまして、そこで詰めかえる、あるいはじかに送るということをやっておりますんで、外国の船会社が持っておるはしけでございましても、それを別の人格の人が荷役すれば問題ございますけれども日本の免許を持っておる方が荷役する場合は、いまの港湾運送事業法としては有効ではなかろうかというふうに考えております。
  156. 伊部真

    ○伊部真君 この点については、現場の港湾労働者は違法だと、こう見ているわけですね。もう一つは、しかも将来的には、これはたいへんな港湾労働者の死活問題だと、仕事がなくなるんではないかという心配をしているわけです。こういう問題について、当然この不安を解消してやるように話し合いをすべきではないか、十分なこれに対する理解を求めるという処置をすべきではないか。そうでないと、いまのように争議行為というものが発生をしていく。そういう点について、これから具体的には全港湾という組織などとでも話し合うということは考えておられるのかどうか。
  157. 栗栖義明

    説明員(栗栖義明君) この問題だけでございませんで、先生御承知のとおり、いろいろとコンテナ船以来、港湾運送にもいろんな変化が出てまいっておりまして、現在、運輸政策審議会の物流部会の中に港湾運送特別委員会というものを設置していただきまして、これらの労働者の代表の方、それから業者の代表の方あるいは荷主、船主、それから学識経験者、そういう方々で特別委員会を設置いたしまして、現在、専門委員会というところで具体的に問題点を洗い出して、整理して、検討していただいている段階でございます。できれば早く方向づけなり結論をいただきたいというふうに考えておる次第でございます。
  158. 伊部真

    ○伊部真君 そうじゃなくて、この問題以外にもあろうかとも思いますけれども、たちまち、この問題でいま争議行為なり争いが起きようとしているわけですね。だから、この問題に対して話し合うということは考えていないんですか。
  159. 栗栖義明

    説明員(栗栖義明君) 私どもが直接関係業界あるいは労働組合の方々と話すというよりも、さっき申し上げましたような審議会がございますので、必要ありましたらそういう場を利用いたしまして、関係者が集まって話し合うといったほうがいいんじゃなかろうかというふうに考えております。
  160. 伊部真

    ○伊部真君 これはもう質問ではありませんが、事態の解決のためにやっぱり所管の官庁として善処をしていただきたいということを要望して、終わります。
  161. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 国鉄の事務当局に一つ質問したいんですが、青函連絡船が自衛隊の標的として訓練対象となっていたという事実があるのかどうか、そのような報告があったら、何回ぐらいそういう報告があったのか、どのぐらいの例があるのか、それに対して国鉄としてはどういう措置をしていたのか、その点をお伺いしたいと思います。
  162. 川上喜久

    説明員(川上喜久君) お答えいたしますが、ただいまのお話でございますけれども、現地の連絡船に乗務しておる船長その他から聞いておりますのは、年に数回ヘリコプターを見たことがあるということを言っております。ただ、本船の上空でもって飛行しておるということでもございませんし、本船から、ただいまのところは四ないし五マイル離れたところの洋上で何らかの訓練を行なっておるということでございます。また、一定の航路を運航しております青函の連絡船につきましては、ただいまのところまで運航上危険を感じるというようなことはございません。
  163. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 ヘリコプターを見たことがあるなんということじゃ、別に私のほうで質問することはないわけです。問題は、青函連絡船が標的になって、潜水艦なりヘリコプターなりが標的にして訓練をした事実があるのかどうか、そのために危険を感じたことがあるのかということを聞いているので、連絡船からヘリコプターを見るなんということは、われわれだってあります。そんなことは別に、特に質問する必要はない。問題はそこなんですよ。この間も自衛隊飛行機が民間機を標的にして訓練をしていたんじゃないかという疑問があるから、青函連絡船についてもそういうことがあったんじゃないかということを聞いているんです。  というのは、私は、これは昔の話だけれども、戦時中に青森湾で陸海軍合同演習というのをやったことがある。大湊の要港部といいますか何といいますか、あそこから出る軍艦に乗って、青函連絡船の航路をまっすぐに横断をしたことがあるんです。もう肉眼でもって軍艦の甲板の上から明らかに青函連絡船であるということが現認できるようなところを突っ切っておる、そういう演習をした記憶がありましたからね、なるほど山口県でもってフレンドシップの鼻先を飛行機が飛んでいった、そのくらいのことはあり得ることだなというふうに思い出したわけなんです。そういう事実があったならあったで、何も隠したってしようがないんだから、これは現場の人はみんなよく知っているわけですから、私、現場の人に今度聞いてみますよ。あんたあまりいいかげんなことを言うと、何だということになる。正確に、あったならあった、なかったならなかった、あったならば、国鉄としてはどういう措置を講じていたのか、何もしてなかったら、してなかった、自衛隊に対して、防衛庁に対して、要請をしたなり警告をしたという事実があったのかなかったのかというようなことを聞きたいから質問しておる。だから、あいまいなことを言わないで答えてください。
  164. 川上喜久

    説明員(川上喜久君) お答えいたします。  青函の連絡船を攻撃の目標として訓練を受けたという事実はございません。また、その運航上ただいまのところ危険を感じてはおりませんので、申し入れその他は行なっておりません。
  165. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それじゃ、読売新聞の八月十四日号に出ておりましたけれども、こういうのは新聞の思い過ごしであって、事実はそういうことはないのだということは、これは国鉄側の見解として言えることなのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  166. 川上喜久

    説明員(川上喜久君) 私も読売新聞の十四日の記事見ておりますけれども、事実と相違しておるということを申し上げます。
  167. 森中守義

    森中守義君 最後にもう一回、防衛庁航空局に聞きますが、どうなんです、山口上空の問題は。これは水かけ論ということで終わらせるわけにはいかない。しかし、いままでの幾つかの事例からいった場合、民間機というのは常に受け身の立場に立っておる、自衛隊機は追っかける側に立っておるわけです。悪く言うと、当て逃げ、ひき逃げと、そういうことにもなりかねない。そこで、民間機の場合には、この種ニアミス——異常接近ということに対する訓練というか、あるいは認識というのか、あるいは感覚というのか、こういうものが過敏過ぎるくらいに敏感にわかるのですね。ところが、自衛隊機の場合には気がつかなかったとかどうもなかったとか、何とはなしにその辺に結局、危険に対する感じ方というのは全然違うんじゃないですか。むろん片一方は安全に運ぶということを目的にしている、片一方のほうはいつどうして落とそうかということをやっているわけだから、それを民間機にやられたんじゃこれはたまりませんよ。だから、このことをずっとせんさくしていきますと、平素の自衛隊機訓練、あるいはパイロットのものの考え方、この辺にたいへんな相違があると思うのですよ。しかし、それは常に落とす、そういうことを考えている。これはまあいいけれども、安全に運ばねばならぬという、こういうものにもそういうことを及ぼしたのじゃ、これはたいへんですよ。何かさっき政務次官は、調査団があした帰ってきます、それでなければわからぬと、こう言うのですね。ですから、さきにもしょっちゅうこういうようなことが頻発をしたり、あるいはそういうものがあっていたのかどうか、それが先般の事故によって異常に神経過敏になっているということも言えるような気がするのですが、これから両当事者は、やった、やらぬ、こういう何か水かけ論みたいなことを将来とも放置しておくつもりですか。さっき私がちょっと指摘したように、何がしかの分科会が開かれて、ニアミス報告統一をしよう、そういうことが取りきめられていることのようですけれども、その民間機はあった、片一方はありません。調査団が帰らなければわからないという、こういうばかげたことをこのまま放置していいのかどうか。事前にこれは何か方策を講じられぬのですか。少なくても小月の場合には、ちゃんと地上におけるレーダーサイトというものはあるでしょう。こういう物的証拠というものは何もつかめないのですか。一度これは委員会あたりでも、こういうことが続けば、証拠固めというのか、そういうこともしなくちゃならぬ。それと、ただ放漫なる法律、今日の航空法などでは、きちんときめ手になるようなものがないので、場合によってはこういうものを刑事事件として取り扱っていくようなことも考えなくちゃならぬと思うのですがね。これから先の方策として、どういうことをやるつもりですか。少なくともこれほど騒がれている山口上空の問題、このままでほうっておけない、どうするつもりですか。おそらく過去にそういうことがひんぱんにあってきたのか、将来あったとしても、民間機はありました、片一方は知りません、存じません一点ばりでは、もうはなはだこれは問題ですよ。これはまあ長官もいないし皆さん方相手にいろいろ言ったって、まあ何とかの中で何とかしたようなもので話にならぬわけだ。けれどもね、これは言い損かわからぬけれども会議録に残しておいて、あとでまたたっぷりやりたい。まあそういう意味で、両者からひとつもう一回、このことに対する責任ある答弁には、まあ防衛庁はなりませんね、運輸省航空局長いるからある程度責任ある答弁になるかわからぬけれども、どうですか、ほんとうに当該機はさがせないのですか。防衛庁の今日の指揮系統、機能からいけばね、できないはずないと思うのですがね。
  168. 野呂恭一

    説明員(野呂恭一君) 森中先生からおしかりをいただきましたが、御承知のとおり、今度の教育訓練飛行再開にあたりましては、長官通達をもちまして関係部隊に対して、安全飛行のためには特に注意するということ、ことに人員、器材などにつきましても厳重に点検をやって、その指導監督に万全を期せよということを通達いたしているわけでございまして、ああいうような大きな事故のあとでございますだけに、各部隊の関係も十分その長官の通達を私は守ってくれておることだと実は期待をいたしておるわけでございます。  したがいまして、先般の、十四日の小月の問題でございますが、これは御承知のとおり、十四機で、KM2型機でございました。これははたして異常接近だと断定する面と、またわがほうのものはその該当者がないと、こういうまあ今日までの報告でございますので、しかし、事は重大でございますから、運輸省と打ち合わせをいたしておりますけれども、さらに昨日朝、監察官及び教育第二課長を現地に派遣いたしまして、徹底的な事実、実態の調査をいたさしておるわけでございます。あす帰ってまいりますので、さらに運輸省側と十分に検討して、少なくも科学的に、こうしたことが行なわれないといったような形のものを見出すと同時に、自衛隊といたしましても、将来の訓練飛行におきましても、少しの疑惑も招かないように十分検討し、かつはまた、注意をいたしたい。まあこれをお答え申し上げる以外に、いまのところの報告では、こちらのほうには異常接近を認めていない、こういう情報でございますので、御理解をいただきたいと、かように思います。(「理解できないのだ、そういうこと」と呼ぶ者あり)
  169. 内村信行

    説明員内村信行君) 私、いまお話を承っておりまして、私いま考えておりますことでございますけれども、こういう問題は二つの方向から考える必要があるんじゃないかという気がいたします。一つは、ニアミスとしての考え方、もう一つは、定められた分離航法を守っていたかどうか。この二つの方向から見られるのじゃないかという気がいたします。  ニアミスの問題につきましては、先ほど申し上げましたように、非常に客観的に把握することは、これはむずかしい。いわゆる刑事的な問題として扱うかどうかという問題につきましても、どのくらい距離があったかどうかというふうなことは認定が非常に困難であるというふうなことから、そういった問題として成立するかどうかということは疑わしい点がある。と同時に、われわれといたしましては、ニアミスというものをどんどん報告してくれ、隠さないということをしてもらいたいということが一つございまして、そういった意味から、そういった客観的な把握ができるか、それが望ましいかどうか、これは一つ問題点がある。  もう一つの問題点は、今回のような場合にまず考えますのは、あらかじめ航路が、飛行経路というものが分離されておるわけでございまして、自衛隊のほうは三千フィート以下、民航のほうは四千フィートから一万一千フィートに上がるという、こういうふうに分離されているわけですから、その分離をはたして守っていたかどうか、これが第一の問題でございます。こういった問題は、今後いろいろなところに出るかもしれませんが、その場合には、まずニアミスであるかどうかということの前に、定められた分離帯を守ったかどうかということが一つの問題である。そういった意味から、現在の位置、そのときの位置がどうかということを判定することが非常に重要になると思います。そういった意味で、民航の場合には、残念ながらフレンドシップにはついていないわけでございますが、フライトレコーダー等がついておりますので、それを見れば、分析して位置がわかる。それらとの相対的な関係において判断するということが一つの方法であると思います。  いま思いました点を一つ……。
  170. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 関連。  それでは、いまの問題、はっきりした報告書を資料として出してもらいたいと思うんです。次回の委員会までに、われわれが比較検討できるように。防衛庁のほうが運輸省と相談してなんと、相談するようなもんではないと思うんですよ。証拠がないからといって、片一方は、フレンドシップのほうは、前を通るのを見たと言うのですよ。見たと言う。幽霊じゃないんだから、見たというはっきりした証人ですよ。だから、飛んだほうは何時何分、どのくらいの高度で、どの進路でどう飛んだということを証明してもらわなければならない。八百メートルといったら、飛行機ですから、何秒もかかりませんよ。片一方のほうは、どれもこれもおら知らぬと言っている。なるほど前を突っ切って行ったのですから、気がつかなかったかもしれない。気がつかなければ、おれは知らないと言ってもしようがないでしょう。これはまずいと思う。だから、双方で相談をしてくれということではなくて、ありのままを、自衛隊のほうは何機、当時飛んでいたのかというような事実、それからフレンドシップのほうはどういう高度をとっていたかという事実、これを照らし合わしてみれば、どっちがしらばっくれているかということはわかると思う。これは、足して二で割るというわけにはいかないですからね。ちゃんとしてもらいたいと思います。  以上、委員長に要望しておきます。
  171. 鬼丸勝之

    理事鬼丸勝之君) ただいまの瀬谷委員の、調査結果報告の提出の件についてはよろしゅうございますか。
  172. 野呂恭一

    説明員(野呂恭一君) けっこうです。
  173. 森中守義

    森中守義君 これはもう時間もだいぶおそくなっておりますからこれで終わりますが、結局、防衛庁の、一つ教育の方針というものが、一体ニアミス——異常接近ということのものの考え方というのが、パイロットに、特に若いパイロットに、どこまでそういう認識があるのか、相手を見たらおどせ、討てと、こういう訓練ばっかりやっていたんじゃ、とてもじゃないが、民間機が敏感に感ずるほどの異常接近なんということは考えていないのはあたりまえですよ。だから、そういう教育の方法にやっぱり一つの問題があるように思います。これもひとつ資料として出してください。日常どういうようなことを訓練の中に生かされているのか、少なくとも民間機を標的にするとか、さっきの青函連絡船を標的にするとか、もってのほかだ。こういう訓練を行なう限り、異常接近などという、異常な事態に対する感覚や認識というものはないはずですよ。だから、前を横切ろうとどうしようと、こんなものは知らねえ、こういうことで実は言いのがれてしまう。しかし、これは民間機にとってみたら、多数の国民にとってみると、このぐらい物騒なことはありませんよ。それと、実際指導している、あるいは現地の責任者あたりも、何、言われたって物的証拠があがらなきゃいいじゃないか、こういう無責任なようにも受け取れる節がないでもない。そうなると、やっぱりその任務、立場、地位、こういうものが、人間の良心として、あるいは世間に対してどういう責任を持っているかという、そこまでやっぱり追及していかざるを得ない。しかし、当て逃げしようとひき逃げしようと、あとで証拠があがらなければいいじゃないか、こういう調子じゃ実際困る。これはよく長官にも言ってもらいたい。  それと、いま一つは、運用課長か、どういうあれかよく知りませんが、おそらく文官だと思います。そこで最近よくいわれる、はたして防衛庁内におけるシビリアンコントロールというものが、はたしてコントロールされているかどうか、最近、朝日か毎日のキャンペーンを見ますと、まさに防衛庁の内部体制というものは、シビリアンコントロールというものがあるといえばあるだけのことで、内局の背広軍というものは、戦略あるいは装備等については全くずぶのしろうとだ、そこで前線の指揮官や幹部たちが戦略、軍略、装備の専門家ということでやっておることに対しては、全然無知にひとしい、だから形や系統組織の中ではシビリアンコントロールというものがあるというけれども、実体においては、もはやシビリアンコントロールは存在しない、こういうような極端なきめつけ方をしていますよ。私もそのとおりだと思う。そういう意味で、いかに長官が、安全が第一だと通達を出してみても、あるいは内局の官房長や防衛局長などがどういう指導をしてみても、軍略、戦略、装備の専門家の前には簡単にごまかされると、こういうこともあるのじゃないですか。まあそういう意味で、防衛庁あり方、シビリアンコントロールの現状、こういうものがいま少し真剣に議論をされていかないと、これはえらいことになる。だから専守防衛とかあるいは国防の第一線とかいってみても国民納得しませんよ。そういうことが先回の事故であり、それと今度の、あったはずのニアミスをわからないと言い切ろうとしてみたり、物的な証拠はありません、ひき逃げだ、当て逃げだ、やりもうけだと、そういう認識では困る。これは後日、あなた方を相手にしてもしようがないから、また出るべき場所、言うべき場所で言いましょうけれども、少なくとも国民が、そういう今日の自衛隊に対しましてはまことに懸念を持っている。私も持っている一人です。そういうことをきちんと割り切っておかないと、こういう問題の整理にならない。はしなくも、今回のニアミスというものは、そういう背景を持っている。背景を持つだけにわれわれとしては許しがたい、こういうことなんです。さっき、ですから、お話があったように、何も航空局と相談もヘチマもないですよ。事実を率直に事実として出すのか、出さないのか、そこは防衛庁のおのずからの良心の問題だと、こういうことを特にこの際、私は強調しておきたいと思う。何か言うことがあったら言ってください。
  174. 野呂恭一

    説明員(野呂恭一君) 運輸省航空局といろいろと相談をしてということでありますが、その相談と申しますのは、食い違う点があると思います、それを一つ一つチェックするということでありまして、決して、両者妥協して適当な答弁の資料をつくるのだということではもちろんございませんので、どうぞその点御了承いただきたいと、かように思います。  なお、先ほど、自衛隊の体質の問題にお触れになったわけでございますが、私ども決してそれを看過しているわけではございません。私も就任、日浅うございます。長官と十分、御指示の点について検討もし、また反省もし、今後国民の皆さんに御心配あるいは憂慮を抱かせることのないよう、われわれはあらためてここに反省をしていきたい、かように考えておるのでございます。
  175. 森中守義

    森中守義君 これは言うに及ばぬことだけれども航空法の百三十七条できちんと明定されておるように、事航空行政、航空事情については運輸大臣の統制に服するということになっているのだから、もう妥協とか話し合いじゃない、指示を受けなさい。対等の立場で航空局にものを言うべきではない。これは私は特に防衛庁に……。
  176. 鬼丸勝之

    理事鬼丸勝之君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめておきます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十九分散会