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1971-07-30 第66回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年七月三十日(金曜日)    午前十一時四十五分開会     —————————————    委員の異動  七月二十四日     辞任         補欠選任      熊谷太三郎君     佐田 一郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         木村 睦男君     理 事                 鬼丸 勝之君                 佐田 一郎君                 山崎 竜男君                 森中 守義君     委 員                 稲嶺 一郎君                 岩本 政一君                 岡本  悟君                 伊部  真君                 小柳  勇君                 瀬谷 英行君                 藤田  進君                 田代富士男君                 三木 忠雄君                 田渕 哲也君                 山田  勇君    国務大臣        運 輸 大 臣  丹羽喬四郎君        国 務 大 臣  中村 寅太君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        運輸大臣官房長  高林 康一君        運輸省航空局技        術部乗員課長   小池 正一君    参考人        航空評論家    関川栄一郎君        東亜国内航空株        式会社代表取締        役社長      富永 五郎君        航空評論家    楢林 寿一君        航空安全推進連        絡会議事務局長  松田 更一君        日本航空機製造        株式会社専務取        締役       若杉 礼三君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○運輸事情等に関する調査  (自動車行政に関する件)  (東亜国内航空機事故に関する件)     —————————————
  2. 木村睦男

    委員長木村睦男君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  理事選任を行ないます。  本委員会理事の数は四名でございます。前回の委員会におきまして理事の指名を委員長に一任され、三名の理事を指名いたしましたので、本日、佐田一郎君を理事に指名いたします。     —————————————
  3. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 次に、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  東亜国内航空機事故に関する件について、本日の委員会に、航空評論家関川英一郎君、東亜国内航空株式会社代表取締役社長富永五郎君、航空評論家楢林寿一君、航空安全推進連絡会議事務局長松田更一君及び日本航空機製造株式会社専務取締役若杉礼三君を参考人として御出席を求め、御意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  6. 森中守義

    森中守義君 この機会に、黒住問題について大臣に少しお尋ねしておきたい。せんだっての衆議院予算委員会、それから本院の議運等でかなりこの問題に対する深刻な追及があったはずです。その当時運輸大臣から、衆議院の場合、運輸省省内において幹部がこの問題に手をかしたかとの質問に対して、真偽のほどを確かめたい、後日調査の結果を報告する、こういう実は答弁があったように新聞で私は見ておる。したがって、これは予算委員会あるいは議運等議論とはいささか趣が違うのですが、所管運輸委員会として、はたして運輸省がこういう選挙問題等について運輸省という組織を通じておやりになった事実があるのかどうか、大臣調査の結果を答えたいと、こう言われておりますが、その後多少の時間も経過しておりますので、その結果がどうであったか、これが一つ。  いま一つは、質問の中でも多少そういうことが出ておりましたが、選挙終了と同時に関係料金がにわかに値上げになった、許可されたわけです。これと選挙との関係黒住事件との関係は一体どういうことなのか。少なくともそういうことが事実であるとは思いたくない。けれども、たまたま符節を合わせるように、選挙の期間中は申請を押えており、選挙終了黒住当選と同時に認可をされた事実は、一般世間においては、無縁なもの、無関係なものという印象は受けていない、なるほどなという感じを受けているでしょうし、また、新聞等でいわれている何々協会という無数の団体等選挙に手をかした以上、それが選挙応援選挙運動の条件であった、だとするならば、選挙の結果によってそういう値上げ申請に対する答えが与えられたと、何かしら政治的なにおいが非常に強いわけです。その辺のことをまず大臣からお答え願いたい。
  7. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいま森中委員から黒住氏の選挙違反につきましてお尋ねがございました。私からお答えをする前に、前に運輸省におりました者が立候補いたしまして選挙違反疑いを非常に起こし、そしてまた、前に運輸省に在職をしておりました者の一部がやはり違反疑いを起こし、また運輸省関係の諸団体から相当数違反容疑者を出しておりますことは、まことに担当大臣としても遺憾に存ずる次第でございます。私、就任以来——承知のとおり佐藤第三次改造内閣が発足の当初の閣議におきまして、総理よりも綱紀粛正につきまして強い発言がございました。私もそれを体しまして、省員一同を初めて集めました際に、運輸全体に対する安全の確保と綱紀粛正を強く省員に求めた次第でございます。  また、ただいま具体的のお尋ねでございますが、先般予算委員会におきまして楢崎委員からのお尋ねがございました。その際、私、直ちに調べさせまして、小林業務部長以下数名の者のその日の出張事情、また行動につきまして調査をいたさせました。その後も調査をいたしまして本人からいろいろの事情を聴取しておる次第でございます。本人は、出席したことは事実であるけれども選挙のことに言及したことは一言もないということを確信を持って言っておった次第でございます。したがいまして、その点につきましては、ただいまのところまだ具体的事実につきまして第三者の公平なるところの調査がまだ済んでおりませんから、この点につきましては言明は避けたいと思う次第でございますが、私ども調べましたところによりますると、それらの事実はないというふうにただいまは信じている次第でございます。  また、お話がございました、あの当時も私がその点でお約束をいたしました関係団体公益法人につきましては、直ちにその晩に幹部を集めまして、運輸省関係、これはただに自動車局関係ばかりではございません、全団体につきまして、いわゆる総点検を直ちに実施するように命を発しました。ただいま行政管理庁と協議をさせまして、本月一ぱい、もうあしたまでです、あしたまでに協議方法を決定して直ちに総点検に入る、そして十一月末までには必ず結論を、調査の結果を御報告するということを命じておりまして、鋭意いま官房におきましてそれらの具体的実施に当たっている次第でございます。  また、最後に御質問がございました運賃値上げの問題、これはおそらくは選挙後に行なわれました運賃値上げのあれは、大阪自動車の、無線タクシー値上げの問題、昼間二〇%、夜間一〇%の値上げの問題に関連するかと思う次第でございますが、この点につきましては御承知のとおりやはり乗客サービスが、非常にただいま、運賃値上げもさることながら、足りないのではないかということをいわれておりまして、前任者のときからいかにして乗客へのサービス改善をするかということにつきましていろいろ研究していたようでございまして、電話によりましてタクシーを呼んだ場合に、それに応じて来た場合には、これはまあハイヤーに準ずるものであるから、そういった無線車に限りましては昼間は二〇%、夜間は一〇%だけ割り増し料金をとるという合理的な方法をとってはいかがであるかということで御協議をした次第でございますが、それが大阪におきましては大体それらに通ずるところの電話等と申しますか、ターミナルにおいて電話機と、その信号ボタンを押す装置をすでにつくりまして、これが当初におきましては二カ所、ただいまにおきましてはもうすでに十カ所、さらにことし一ぱいでございますが、百カ所にこれを増設するという見きわめがついたということでございまして、これは乗客へのサービスを中心としての、やはりある程度の割り増しであるという結論でございましたので、私はこれを許した次第でございまして、これは何ら——私になりましてから、これをやった次第でございますので、黒住さんの御発言がどうであるかどうかは私は承知しておりませんが、それらとは全然関係なくやった次第でございますので、御了承を願いたいと思う次第でございます。  また、区域トラック等運賃値上げでございますが、これは本年の三月の末にトラック業者荷主の間におきまして運賃改定の交渉が妥結をいたしました。その後物価とのかね合いもございますので、経済企画庁ともいろいろ協議をいたしまして、地区ごとに企業の収支の悪いところから逐次改正することといたしまして、四月の二十六日に九州、中国、新潟、五月の十一日に北海道、東北、四国を改定をいたしまして、最後関東近畿、中部の各地を改定することにいたしまして、六月の二十九日に行なった由でございます。このことは一覧いたしまして、これらの改定はそういったことに関連なしに、運輸行政の公平なる一端といたしまして、一面におきまして、荷主のほうにおきましても、これを妥当と認め、また運輸トラック業者も、これで幾ぶんでも自分たち経営合理化もはかれるし、また、労務者に対する待遇の改善もできるというような見地でこれを行なったと私は承っている次第でございまして、これまたそれらの選挙のこととは何ら関係ないということを伺っておりますし、私もそれを信じている次第でございますので、どうかひとつ御了承のほどをお願いする次第でございます。
  8. 森中守義

    森中守義君 大臣お答えに関する限りなかなか耳ざわりのいい答えなんで、これ以上言っていいかどうか、もう少し私のほうも整備をしたいと思うのです。ただ、こういうことは言えるのじゃないでしょうか。いまの区域運賃の問題ですね。許可になったのは六月二十九日、選挙終了の翌々日ですよ。これは黒住君と業者という、こういう関係として対峙しなくても、選挙応援をしたその論功行賞だというような、こういったいわゆる一般的な観測というものは、あなたがどう抗弁されようと、ありそうなことだという、この認識だけはだれしもやはり持ちますね。そこに運輸行政に対する何か割り切れない気持ちが——いま、お説によりますと、いや、この件については企画庁とも相談をしたとか、あるいは物価事情がどうだとか、まあ、いろいろ理由はあるでしょう。けれども、選挙は二十七日に終わり、中一日おいて、その翌日という、こういう政治的な判断というものは、まあ、多少私は無神経じゃないか。だから黒住君の問題、結びついているかどうかというその問題もさることながら、運輸行政の品位、権威としてはあまり適当でない。また、この問題は別個に運賃料金の問題として他日委員会で、いま少し掘り下げた議論をしなくちゃなりませんから、その中身については言いません。けれども、許可を与える時期の判断、いま申し上げたように、企画庁との関係がどうあろうとこうあろうと、これほど公共料金あるいはこれに準ずるもの、政府専決にかかる運賃料金等がやかましくいわれているときに、何がゆえに選挙の直後に中一日おいて、その翌日しなくちゃならぬのか、私は運輸省役人感覚、あなたの感覚を疑う。どう考えてみたって、関係はございませんよと抗弁しても、そうですかということにはならない。これは明らかに運輸当局の失点ですよ。  それと、ちょっと私もあまりこまかなこと用意してきておりませんが、大阪無線タクシーの問題というのは、これはあなたの時代ですか、前の大臣ですか、どちらの時代ですか。区域トラック運賃は、これは前の大臣ですね。あと大阪無線タクシー、これは一体どの大臣のときですか。
  9. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまの御質問でございますが、七月五日でございますから、私はあとでこれ見せていただいた次第でございまして、前大臣のときでございました。訂正さしていただきます。
  10. 森中守義

    森中守義君 そうなると、これは橋本さん去ったあとのことをあなたに言うのも気の毒だけれども、まさに橋本登美三郎さんは食い逃げをしたわけだ。あなたは非常に気の毒ですがね。食い逃げされてしまった。そこで、一般世間では、さっきから申し上げるように、この二つの問題などは、黒住個人がどうあろうと、運輸省という行政機関、数多くの業界、これとの関係というのは、やはり選挙というものを一つ中におきながら、どう考えてみても割り切れないものがある。これはまた後日に譲るとして、少なくとも選挙の直後に二つ運賃もしくは料金というものがにわかに値上げされたということは、選挙に対する論功行賞、こういう非難を受けてもやむを得ない。また実際ずっと掘り下げていけば、意外にそういうことが事実となって証明されるかもわからない。このことは、私はこの際、特に遺憾なできごとでもあるし、いま少し内容究明さしてもらいたい、こう思う。ただ、ここでは、要するに、黒住問題に関連をする一つ事件である、こういう認識を持ってもらいたいと思う。  それと、いま一つ。先ほど公益団体という表現を使われましたね。要するに、各種団体大臣認可をされた団体と言うべきかどうか、しかもそういう数がどのくらいありますかね。そこまではちょっと調べがついておりませんが、これはただ眠っているか生きているか、その必要性、有益であるか、あるいはまた無価値であるかというその評価はいろいろあるでしょう。しかし、そのことな行管協議をして、不要なものはこれは解消するとか、有益なものはさらに生かしていくという、何かこう至って前向きのような意見にとられますけれども、私は今回のこの選挙問題については、そういうことだけでは逃げ切れない問題が一つあるのじゃないかと思うのですよ。そこで、たとえばどういう団体経理調査をやるか、あるいは立ち入り検査ができるというか、そういう許容限度等も一々つまびらかではございませんが、かなりあると思う。そういうのがわかっておれば官房長から——この会社については経理報告を求めることができるとか、あるいは経営経理に立ち入って検査できるとか、そういうのがあればちょっと二つ三つでもいいからあげてもらいたい。
  11. 高林康一

    説明員高林康一君) 運輸省関係公益法人は大体二つ類型がございまして、全国的な規模を有するところの、全国法人と呼んでおりますが、そういうものと、それから地方単位の、地方法人と呼んでおりますものと、二つ類型に分かれます。そこで、全国単位公益法人といたしましては、運輸省全体といたしましては、これは昨年九月までの数字でございますけれども、全国法人が百五十八ございます。それから地方法人といたしましては、四百二十八法人ございます。それで、中央と地方——全国法人地方法人合わせまして五百八十六というのが昨年の数字でございます。  で、第二の点でございますけれども、これらの法人につきましては、申し上げますまでもなく民法規定によりましてそれぞれ民法上の主務大臣といたしまして監督をすることができることになっております。したがいまして、それにつきましては随時報告を求めることができる、あるいはまたこれを実地検査実地監査、こういうことができるということになっておりまして、これに基づきまして、この民法規定に基づきまして、省内取り扱い規則というものを定めまして、随時報告を求め、検査を行なうというたてまえになっておる次第でございます。
  12. 森中守義

    森中守義君 それらのことは強制義務条項ですか、法律上は。求めなければならぬとしているのか、できるというのか、どっちですか。
  13. 高林康一

    説明員高林康一君) 民法規定によりますと、民法六十七条では、第一項で「法人業務ハ主務官庁監督ニ属ス」、第二項では「主務官庁ハ何時ニチモ職権以テ法人業務及ヒ財産ノ状況ヲ検査スルコトヲ得」と、まあできるということでございます。
  14. 森中守義

    森中守義君 そこで、五百八十六の、全国地方通じた団体の中で、運輸省助成金あるいは補助金の対象になっておる団体は幾つか。それと、それらの総額は年間どのくらいですか。
  15. 高林康一

    説明員高林康一君) 現在この公益法人のうちで運輸省から、一般会計から補助をいたしておりますところのものが十二でございます。それから特別会計から補助をしておるもの、これは自賠責特別会計でございますけれども、これが十六でございます。先ほどの一般会計のものは、これは自賠責特会とは関係なしのものでございます。
  16. 森中守義

    森中守義君 十二に対して幾ら助成金は。
  17. 高林康一

    説明員高林康一君) これちょっといま、集計をあとでさしていただきますが……。  それから自賠責特会から出しておりますものは十六でございますが、そのうち運輸省関係以外の法人がございますので、運輸省関係法人に限りますと、自賠責特会から出しておりますものは十一でございまして、総額が昨年度の予算では、四十五年度の補助金では一億七千万円でございます。
  18. 森中守義

    森中守義君 総額一億七千万ですか。
  19. 高林康一

    説明員高林康一君) はい。
  20. 森中守義

    森中守義君 十一に対して。
  21. 高林康一

    説明員高林康一君) はい。
  22. 森中守義

    森中守義君 約一千万円余りですね。ちょっと少ないですね。  なぜ私は、大臣、こういうことを根掘り葉掘り聞くかというと、意思は大体おわかりだと思うのです。これですよ、問題は。むろんこの委員会は、この問題は最後ではございませんから、もう少し私も資料を整備してみたいと思う。つまり全国地方を通じて五百八十六の所管団体がある。しそこでやれと言う、頼むと言うか言わぬかの問題はあっても、大体運輸省から高官をやめた人が出るということになれば、何かそこの中に、問わず語らずの中に何かが生まれてくるんじゃないですか。だから、本来からいえば、何局の何という人が、どこの地域に何時間出張して、どうした、こうしたということは、ある意味ではこれは愚問ですよ。何も私は、そういうものを一々チェックをして、どうした、こうしたということを聞くのは、この問題の真相をきわめるには、あまり必要なことだとは思っていない。むしろ潜在的なものとして、長年行政当局業界の中にどういう因果関係が生じて、しかも、こういうことまであまり言いたくないけれども、黒住君の違反関係をした事案の内容というものは、ほとんど現金買収である。よろしいですか、文書違反などというなまやさしい形式犯ではない、ほとんど実質犯です。まあそれは大財閥の御曹子であるかどうか知りませんけれども、三十年近い役人生活の中で巨大なる金がどこからどうして生まれてくるのか、大きな疑問を持つ。しかも方程式は大体解き得る、この問題は。そういうことを、あなたは政党人だし、議員閣僚ですからね、大体言わんとするところはおわかりだと思う。だから道義的な責任があるというような問題は、そういうことをさしているわけですよ。だから、私の最初の質問に対するお答えとして、役人がどこそこに出張があったと言われたけれども、調査の結果、その事実はないということでは、事は済まないと思うのですね。ここはひとつ大臣よく考えていただきたい。  同時に、不必要なものは解体をさせるとか、適当な行政指導行政監督を行なうということでは、将来のためにはなっても、しかし、この問題の徹底した究明にはならない。こういうことはもっと深みに入って追及されていかないと答えは出てこない。出てこないけれども、潜在的な概念的なものが出ている、こういうことなんですね。だから、両院を通じて黒住君の問題がこれほど大きく取り上げられ、社会がまたこの問題に注目をする。のみならず運賃料金が矢つぎばやに選挙終了後二回にわたって上げられたということは、形式的な言いわけでは済まされない。一体業界とどういう黙契が結ばれておったのかという、そういうことに推理をきわめていくと切りがないが、しかし、ありそうだということなんですよ。そういう全体の視点から、大臣としては運輸省業界助成金補助金並びに運賃料金改定、前運輸省役人が退官して、選挙に立候補して当選した。しかも巨大な金が使われた。そういう問題の核心を一通り集約をしてどういうようにお考えになりますか。これで一切の責任はありません、選挙違反黒住君の個人の問題だということで行政当局運輸当局としてのがれることができるかどうか、そういうことをもう一回お尋ねしたい。
  23. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 先ほど来、森中委員からるる今日の問題につきまして御質問がございました。要するにこの補助金行政免許行政に携わっている者は、ややもするといろいろの疑惑を持たれがちな点がございます。それゆえに、常にやはり行動につきましては、特に姿勢を正しくいたしまして、清潔な政治を行なうということが、行政を行なうということが一番の根本であるということは、ただいま森中先生指摘のとおりだと私は思っている次第でございます。したがいまして、私は、ただいま、補助金を出した団体につきましては、特に今回も十分な点検をいたさせまして、いやしくもそれらの団体におきまして、公益法人としての団体の支出、不当な使用がございましたならば、断固として私は究明をする覚悟で、ただいま臨んでいる次第でございます。ただ、ただいまは捜査の段階でございますので、事実関係がはっきりいたしませんときに、責任者として言明を避けたいと思う次第でございますが、いま御指摘の点、また、いろいろの時期の点につきましては、私、後任者といたしまして言明を避ける次第でございますが、いろいろやはり政治を行なう場合におきましては、幾ら正しいことを行ないましても、時期その他、あるいはいろいろの方面におきまして疑われることのないように十分戒心をいたしまして、これからの運輸行政に臨むつもりでございます。
  24. 小柳勇

    小柳勇君 いまのに関連して質問いたしますが、先般、自動車新税が創設されますときに、これに反対の陳情をわれわれはいわゆる運送業界から受けまして、その公益法人、何々協会などの代表者がずらりと三十名くらい名前を連ねて陳情に見えたのでありますが、その中に国会議員が多数名前を連ねているわけです。したがいまして、いま全国法人が百五十八、地方法人が四百二十八の報告がありましたが、この中で全国法人の場合は、国会議員代表になっているのは一体どれくらいあるのか、地方法人の場合は、県、市会議員など、いわゆる政界の第一線で働いている議員代表になっているのがどれくらいあるのか、おわかりであれば御説明願いたいと思います。
  25. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ちょっと官房長から……。
  26. 高林康一

    説明員高林康一君) 手元にその個々の法人代表者の氏名を持っておりませんので、調べればわかるだろうと思っておりますけれども、若干時間が要るかと思います。
  27. 小柳勇

    小柳勇君 官房長、いま私が申し上げました、たとえば何々バス協会代表国会議員がなっているという事実は御存じでしょう。
  28. 高林康一

    説明員高林康一君) 若干の団体については、私自身も存じております。
  29. 小柳勇

    小柳勇君 その国会議員名前をずっと見ておりますと、衆参の自民党の国会議員名前がずらりと並んでいる。この黒住君の問題とはそのころまだ関係ありませんから、社会党の国会議員である私に、与党である自民党の国会議員が、自民党の政府が出している自動車新税に反対の陳情をしているわけです。それで奇異の感を持ちながらこの書類を見たのでありますが、しかもそれは地方のほうでもほとんど自民党の、いわゆるいまの政治の与党の議員ですね、そういう諸君が代表となって何々協会をつくっているわけです、法人をつくっているわけです。あとでこれは資料として出していただきますが、したがいまして、たとえば黒住君は今度自民党の参議院議員として出て、だから黒住君の個人の意思にかかわりなく、そのような自民党の国会議員がみずからの団体を動かして金を集め、選挙運動をやったかもしれないと私は考えるわけですが、そういうものについて官房長は何か感ずるところはありませんか。
  30. 高林康一

    説明員高林康一君) 私自身、やはり公益法人監督の一端をになっておりまして、私どもいろいろ実際の立ち入り検査等、これを実施——若干のものについてやっておる次第でございますけれども、特にそういうようなことで、資金面において、これらの公益法人の会計自身において何らかの点があるという感じは、いままでの私どもの調べましたところではないように思いますけれども、なお、先ほど大臣おっしゃいましたように、今後の総点検について、そういうような資金、経理の面についてもいろいろ十分に監査を進めてまいりたいというふうに考えております。
  31. 小柳勇

    小柳勇君 今度の選挙の争点——まあ佐藤総理は、自民党としては憲法改正を大きな旗じるしにして選挙をやっている、そういたしますというと、その佐藤総理をささえる自民党の議員諸君が——もちろんそれは運輸業者として、運輸業界代表としての、かつての自動車局長である黒住君を応援する面もありましょうが、もう一つ、自民党の国会議員として、政治家として佐藤総理の政治方針をささえようとする活動もあったかもしれないと考えるわけです。したがいまして、これから大臣質問ですけれども、この公益法人大臣の権限によって認可され、許可される。そのような許可され、認可される公益法人代表として、全国法人代表国会議員地方公益法人代表に県会・市会議員、しかもそれが与党の地方政治家が代表になることについてどうお考えですか。まず、それからお聞きしたい。
  32. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 私、まだ具体的にそれの長所、弊害等につきまして、実情につきまして詳しく調査もしておりませんし、また知悉しておりませんので、いま直ちに妥当、不妥当ということについての結論は少し控えさしていただきたい、こう思います。
  33. 小柳勇

    小柳勇君 森中君は行政業者との癒着ということを言いましたけれども、私はそれとプラス、それ以上に、いわゆる政界と行政との癒着、政界と業者との癒着、そういう三つの、現在の日本の政治を支配しているような様相が、そのまま今度の黒住君の問題にあらわれておる、端的にあらわれておる、そういうふうに理解します。したがって、特に許認可事務、許認可行政をやる運輸省が、公益法人なり、全国地方法人を許認可する場合に、そういう第一線の自民党の国会議員代表者になることがいいか悪いかをチェックしなかったことに私は大きな問題があるんじゃないかと思うが、その点、大臣、いかがですか。
  34. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまの御質問でございますが、具体的に調査をいたしまして、妥当でございませんような事態が確認されますれば、もちろんこれはチェックすべき問題であろう、こう思う次第でありますが、先ほども申しましたとおり、具体的にその判断の材料をまだ私、申しわけない次第でございますが、調査をしておりませんので、しばらくひとつ御猶予をお願いしたいと思います。
  35. 小柳勇

    小柳勇君 調査をしない——今日までこれだけ騒がれておりまして、ここに黒住出席しておらないようでありますが、選挙を終わりまして、これだけ世間から騒がれておりまして、しかも大臣御就任になりまして相当の期間になります。官房長もいまおかわりになった方じゃないですね。このようなことが、もう衆参で再々論議されておりますのに、調査されておらぬこと自体に私は不満ですね。積極的に大臣が、この黒住問題をひとつこの際何とか早く解決して、新たな境地で運輸行政に取り組むという、そういう御決心がないように私考えますが、いかがですか。
  36. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 私、先ほどから申し上げましたとおり、いやしくもそういった疑わしい原因はできるだけ排除したいという気持ちで就任以来臨んでいるつもりでございます。それゆえに、再三にわたりまして省内におきましてもそのことを指示し、また直ちに私が総点検を命じ、ただいま実行中でございます。でございますが、議員であるがゆえに会長であることが不適任であるかどうかということは、相当重大な問題でございますので、しばらくそれに対する研究をというか、結論は御猶予願いたい、こう思う次第であります。
  37. 小柳勇

    小柳勇君 いま逮捕され、あるいは証人として呼ばれている多数の方があります。早急に具体的にお調べになりまして、もし弊害が少しでもあれば、この代表者はかえるだけの熱意をお持ちですか。
  38. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) やはりたての両面がございまして、弊害と、それから長所と、どちらが多いかと、長所も相当多く弊害が少ない場合、また、弊害があってもそれを除去する何らかの方法があるというような場合によりまして非常に違うだろうと思う次第でございます。この点につきましては私も調べますし、また今日、運輸行政練達の委員皆さまの御意見も伺いつつ、私は最後判断をいたしたい、こう思う次第でございます。
  39. 小柳勇

    小柳勇君 抽象論では論議になりませんが、長所とは一体どういうことでしょう。
  40. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 私も、具体的の事実を知りませんと先ほどから再三言っておる次第でございますが、やはり国会議員で、そういったような団体が健全な発達をするのに、やはり国会の場におきましてそのことを強く主張をいたしまして、そうして国会を通じて国民にその団体の健全性、そうしてその必要性認識させるということもいろいろまたあろうかと思う次第でございます。それらの点につきまして、私、抽象論を言っておるばかりでございますが、先ほどから申しましたようなことでございますから、その点で御了解願いたい、こう思う次第でございます。
  41. 小柳勇

    小柳勇君 黒住君は私も長い友人だし、私自身がやっぱり見るに忍びぬ、しかもこういう席でこの問題を言うに忍びない。私はこれはもちろん黒住君の責任が大半と思いますけれども、お互いに政治家が選挙をやるときに、十分に末端の選挙運動のあり方まで知っておるかというと、そうでない場合が多い。だから、たとえば自民党の国会議員が何々バス協会代表になっても、自民党の仲間の議員をふやすためにいろんな手を使うだろう。そうしますと、たとえば候補者が知らぬうちに業界から金を集めたり、自分の意思でやっているかもわからないが、そういうものはなかなか具体的にあらわれてきませんね。それが結集して黒住君の援助をいろいろやっておるかもしれぬ。これは調べてみなければわかりません。世間でいわれるほどであれば、実際、黒住君の責任でありましょうけれども、私は選挙をやっておりますだけにいろいろ具体的な面で同情する面もあります。その場合に、何が悪いかといえば、私はこういう組織が悪いんじゃないかと思う。しかも全国法人百五十八、地方法人四百二十八がおのおの力を競いながら選挙運動をやったであろうことを想像いたしますと、本人の知らぬことも多々あるんじゃないかと思う。われわれの想像に絶すること、あるいは関係がわからぬようなことがなされておるのではないかと、そういうことすら想像するわけです。でありますが、その組織をつくる大臣がちゃんとして、その組織をどうしますというはっきりした決心を持っておられませんと、今後なおそういうことが起こるのです。これは運輸省だけじゃないでしょう。各省にそういうものが起こるでしょう。それはいまその高級官僚の天下りを全面的に批判しますと、それを出す、その背景の組織と、その組織が動いている実態、そういうものもこの際徹底的に究明しておかなければ、再三再四こういう問題が発生するんじゃないかと思うんです。したがって、もう一回聞いておきます。早急にこういう実態をお調べになって——わかっているんですから、また代表者、ちゃんとわかっています。私もちゃんと持っておりますから、陳情書も何もたくさん持っておりますから、早急にそういうものをお調べになって、この団体からどういう選挙違反が出たかということ、そしてその弊害などについてわかり次第、組織の変更なりあるいは許認可の取り消しなり、あるいは代表者の変更なりやる決意があるかどうか、聞いておきたいと思います。
  42. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) これはやはり国会議員行動の制限にも関連すると私は思う次第でございますし、これはただに一運輸大臣としての——もちろんただいまお話がございました私の監督をいたしておりまする団体の実情、それに対して国会議員の影響力の長所、短所ということをもちろん調べまして、そうして私といたしまして研究をするつもりでございますが、その点もいまの御趣旨を十分心に入れまして、慎重に検討いたしたい、こう思う次第でございます。
  43. 小柳勇

    小柳勇君 委員長、資料要求をお願いします。こういう公益法人、いま言われました百五十八全国、四百二十八地方の、その組織と、その代表者、及び今日までの運営実態、国庫補助金額など、それを早急に当委員会に資料としてお出しいただくことをおはかり願いたいと思います。
  44. 木村睦男

    委員長木村睦男君) よろしいですか。
  45. 高林康一

    説明員高林康一君) 相当、数が多うございますが、できるだけ早く急いでまとめて御報告を申し上げたいと思います。
  46. 藤田進

    ○藤田進君 いろいろの御答弁を総合いたしますと、今度の選挙にあまり関係はない——公益法人をはじめ、運輸省は全く関係のないように響きます。にもかかわらず今後いろいろ調査の上で対処したい、こう見えるわけですね。しかしどう考えてみても、この公益法人をはじめ運輸省は、あるいは官房長御自身も——これはおそらく二人じゃなかったでしょう、運輸省直接関係の深い全国区候補は。三人だったら教えてもらいたいんですが、だれはどういう人の受け持ち、だれはどういう人と、運輸省現役の皆さんが相当選挙のお手伝いをしておると私は推定いたします。そういうものをもっと大臣はよく調べて——まだ何も調べていないということは、全く小柳委員同様に、これは、この場のがれの言にしかすぎないように思うんで、この際問題になっておる事案ですから、しかも昨日は大阪でも何か前に府会議長をしていた人が逮捕されたり、いろいろ深刻な状態を示しております。そこで新大臣は、いま調べているんだと、こういうことなんですが、いつまでにこの調べを調べ終えるという一つの目途をつけて下僚に命じておられるのか。まあ過去大蔵関係、専売の事件ですね、これなどももううやむやになってしまって、一年間ばかり登院を自主的にしないというようなぐらいのことで、今度その人は落ちましたが、今度黒住君がこの委員会のメンバーだと、当選したら運輸委員会に出て諸君のために一生懸命やりますということになっていたに違いないんです。自民党所属の国務大臣でもあるわけですけれども、いつごろまでにこれの調べを終えようと、省内あるいは公益法人を通じて、運輸当局所管の取り調べをしようということになっているか、まずお伺いしたいと思います。
  47. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまのお尋ねでございますが、ほんとうの全貌がわかりますのは、やはり捜査当局の結論を待ちませんと事実関係がはっきりいたしません。またしかし私のほうといたしましては、先ほどもお答え申し上げましたとおり総点検を実施させまして、おそくも十一月一ぱいにはその結果を得まして、そうして対処したいと、こう思っている次第でございますので御了承を願いたいと思います。
  48. 藤田進

    ○藤田進君 国家行政、統治の機能はいろいろあって御承知のとおりなんです。所管大臣とされて、司法の処分を待つまでもなく行政的見地から——自分の部下のかなり首脳部が手分けして、これはもっぱら選挙が終わるまでは、ほとんど運輸行政選挙行政であったように思うんです、法人を含めて。これが新任されて手をつけないようでは困る。これは選挙違反のみならず公務員の立場からもゆゆしいことなんです。私はそういう意味で司法処分を待つまでもなく、あるいはその調査を待つまでもなく、謙虚に、運輸省の中における国民への奉仕というよりも選挙への奉仕の様相を呈していた——一時的にせよ——こういうことに着目されて、き然たる態度で、このようなことが将来起こらないためにも、この際新大臣の大きな仕事の一つとしておやりいただきたいと思うんです。これいかがでしょう。
  49. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 私、就任いたしましてからもうすでに二十数日を経ておる次第でございます。ただいま、運輸省の公務員は、専心、いかにして運輸行政運輸サービスを通じまして国民にサービスしようかということに非常に専念しているように私は思っておる次第でございます。しかしながら、ただいま御指摘がございましたように、ややもすると国民の疑惑を招くような行為が万一公務員にございましたならばまことに遺憾でございます。それらも十分心得まして、ただいまの御意見をほんとうに貴重な御意見といたしまして承りまして、心してこれから行政をやってまいるつもりでございますので御了承願いたいと思う次第でございます。
  50. 藤田進

    ○藤田進君 官房長に聞くけれども、ある人は国鉄その他を割り当て、ある人は自動車等というようなことから始まっておりますね、いろいろ調べてみますと。そういうことが行なわれていいんですか、現役の役人が。官房長はどう思いますか、あなた自身のあの行動を含めて。
  51. 高林康一

    説明員高林康一君) それぞれの、立候補された方の票割りがどういうふうになっておるか、私どもはそれはよく存じ上げないことでございます。また、私ども現職の公務員といたしましては、そのような地位利用というようなことの疑いも決して生じないようにみんな自戒してまいったつもりでございます。また、そういうようなつもりで今後とも公務員としての立場を貫いていきたいと考えておる次第でございます。
  52. 藤田進

    ○藤田進君 そうすると皆さんやったのはあれですか、資金の関係、票割りのこと、これはもう公務員じゃなくて、個人的におやりになったということなんですか。
  53. 高林康一

    説明員高林康一君) 個人といたしましても、資金あるいは票割というようなことについては、現職の公務員はそのようなことにタッチしていないと、このように考えておる次第でございます。
  54. 藤田進

    ○藤田進君 あなたは、調査した結果だれも一人もそういうことにタッチしてないということが、ここで言明できますか。
  55. 高林康一

    説明員高林康一君) 私の知り得た限りでは、そのようにタッチしていないと申し上げていいと考えております。
  56. 藤田進

    ○藤田進君 そうすると、部内からそういう直接現職の公務員が関連して選挙に大いに協力をしたという、ことばをかえて言えばそういうことが出たら、あなたはどう責任とりますか、それだけの言明ができるならば。
  57. 高林康一

    説明員高林康一君) 当然官房長といたしまして、そういうようなことのないように常に指示してまいったつもりでございます。そういった場合にどのような、仮定の問題といたしてどのようなケースが出るか、これは私も予測できませんけれども、その場合においては、またしかるべきみずからの立場を考えたいと考えております。
  58. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまの御質問でございますが、これはまあ官房長から答弁をさした次第でございますが、そういうような場合におきましては、これは私の責任におきましていろいろ考慮して、国民の納得のいくような措置をとりたい、こういうふうに思っている次第でございますが、そのことをはっきりと申し上げておきたいと思います。
  59. 藤田進

    ○藤田進君 まあそこまでのところで、きょうは時間もないようですから、引き続いて調査を進めたいと思いますが、いまの資料要求に加えて、運賃料金改定が地区においても行なわれておりますことがわかりましたが、四十六年度の運賃料金改定についてどういう実態であるか、これもつけ加えてもらいたいと思う。  それからあとは、資料が提出されたあと質疑をかわしたいと思います。
  60. 木村睦男

    委員長木村睦男君) ただいまの資料提出できますか。
  61. 高林康一

    説明員高林康一君) 提出いたします。
  62. 森中守義

    森中守義君 ちょっと私も資料を一つ二つお願いしておきます。  先ほど言われた公益法人の招集する、たとえば総会などに出先の長が出るような場合、あるいは大臣、政務次官、事務次官あるいは本省局長などが出席をする場合、その辺の基準というのか、原則というのか、それは一体どうなっているのか。あるのかないのか。あればひとつそれをきちんと整理をして出してもらいたい。それから団体許可あるいは認可申請をしてきたときに、審査基準といいますか、そういうものは一体どういう原則になっているのか、それひとつきちんと整理をして出してもらいたい。それに、一たん許可もしくは認可に至った各種団体運輸省の平常における接触の状態、いろいろな態様のものがあると思う。そのいろいろな態様の中で非常に密度の高い接触の状態とはどういう状態をさすのか。それをひとつ整理して出してもらいたい。  それと、これは同じようなことですが、藤田委員の言われた、捜査当局の捜査が進行中だから、運輸大臣としては、その範囲を越えるようなことはいますべきではないという答弁がずっと衆議院からここの委員会に至るまで繰り返されておりますね。これはある意味では隠れみのですよ。検察庁あるいは警察庁は独自の権能を持っている。しかしその権能の範囲の中に、運輸省は何ら拘束を受けていない独立した行政機関です。そういう意味で、捜査当局が一定の捜査方針に基づいて捜査を展開する、だからその結果を待たなければ運輸大臣は動きがとれないということは、ものの考え方として間違っていますよ、それは。だから私は、先ほど来いろいろ議論をされたり質問があったり、あるいはいままでそういうものが行なわれてきているわけですが、ほんとうにあなたが綱紀粛正をやろうという意思があるならば、少なくとも問題点として提起されている幾つかの重要な黒住事件に対して、これが事案の中心だと思う点については徹底的にあなたみずからが独自の調査行動をおとりになるのが当然だと思う。そういうことがないので、やはり私どもとしてはおかしい、一体どうしているのだ、やはり世間でいわれるように運輸省ぐるみの選挙違反ではないのか、こういう疑惑が出てくる。だから、あなたはそういう疑惑にこたえたい、解明をしたいと思うならば、捜査当局に籍口してみずからの権能を放棄することなく進んで調査をおやりになるべきだと思う。私は先ほどそこまでは追わなかったけれども、藤田質問と全く同じ見解を持っていますよ。運輸関係から全国区でだれとだれ、この部門はだれ、この部門はだれということが、何もこれは省議できめられたり、あるいは関係の企業を集めた上でやられたかどうか、そこまではこの際は言いません。けれども、あらかじめ大別された選挙運動が行なわれたという事実はもはや公知の事実ですよ、これは。だから、官房長はない、あったらどうするかという、こういう追い方に対して非常に苦しいだろうと思う。それもこれも、大臣は捜査当局の捜査完了を待ってという、そういう逃げ口上をしないで、ほんとうに運輸省を信頼される運輸省にしたいのならば決意を持っておやりになったらどうですか。これが私はほんとうの綱紀粛正だと思う。いままでこの委員会にごやっかいになりまして、歴代の大臣のもとでいろいろな事件が発生しましたよ。そのたびごとに綱紀粛正ということを聞いている。何が一体運輸省綱紀粛正か。いささかも委員会質疑に正確に答えるような、期待にこたえるような綱紀粛正が行なわれたためしがないですよ。ただ会議録に残っている。質問答え綱紀粛正をやると言ったら、おおむねそういうことで終わってきているのじゃないですか。だから、それをやるにはいろいろな知恵も必要でしょう。だから、運輸省に雲のような人材を持っているのですからね、その人材を集めて、知恵を集めておやりになったらどうですか。それが黒住事件に対する運輸省との関係をどこで区切りをつけるのか、ほんとうに清潔であるかどうかということを世間に明らかにする一つの道だと思う。そういう意味で、私は、捜査当局に藉口して時日をいたずらに延ばすような、そういうことはおやめいただきたい。このことを最後に、要望になりますけれども、特に申し上げ、できるなら大臣のこれに対する見解を述べてもらいたいと思います。
  63. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 先ほどからるる今日の問題につきまして御心配をいただきまして、御質問をいただいた次第でございますが、先ほどから、まことに申しわけない次第でございますが、これは繰り返して申し上げるようでございますが、私運輸省に参りましてちょうど二十六日目でございますですが、参りまして、いろいろ疑惑の点につきまして問いただして、また究明すべきものは究明するということをさしている次第でございます。しかし、その当事者はそう疑われては非常に困る、自分は清廉潔白であるという、はっきりした言明をしているいまの、現段階の事実でございます。したがいまして、これらがほんとうの真相をやはり究明をいたしますのは、やはりそういった権威ある捜査の結果を待ちまして、事実関係を突き詰めましてからのことにいたしませんではいかぬと私はただいまでも考えている次第でございます。ただ私は、将来におきまして運輸省が、運輸行政がほんとうにそういった——今回はたまたま一部ほんとうに退職公務員のうちにおきまして違反が出、いろいろの問題につきまして疑惑を招いていることはまことに残念しごくでございますし、将来に対しまして国民サービスの省といたしましてもまことに遺憾でございますので、いまの御忠言も十分体しまして、早く、からりとした清潔な正しい姿でもって国民に臨めるようにいたしたい。一省一体となってそれをする。その責任者といたしまして、私もあらゆることにつきまして、ことに私、決心をいたしましたら、いかなることがございましても断固たる処置に出る覚悟を持っている次第でございますので御了承願いたいと思う次第でございます。
  64. 森中守義

    森中守義君 これで終わりますがね、こういうことですか、いまの大臣の答弁は。やはりことばの羅列であって、ちっともぴんとこない。要するに調査能力が運輸省はない、そういうように理解していいですか。それが一つ。  それからあとは、これはここまで問題が発展をした重大事件ですから、どうしても調査能力がないと、こうおっしゃるならば、委員会の意思として、後ほど委員長理事諸君といろいろ協議をして、委員会の意思によって調査を強く運輸省に決議でもして申し伝えるという事態になった場合どうしますか。これはあとで相談しますが、この場では調査能力がないというように私は認識をいたしますが、そのとおり受け取ってよろしいですね。
  65. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまのお尋ねでございますが、調査能力がないと言っているわけではございません。やはり人事の問題というものは一番大きな問題でございますので、やはり確実の上に確実を確かめましてやることが行政の衝に当たる者の責任であろう、こういうふうに考えているだけのことで、さように御了承願いたいと思います。
  66. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一零時五十五分休憩      —————・—————    午後一時二十八分開会
  67. 木村睦男

    委員長木村睦男君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  運輸事情等に関する調査を議題とし、東亜国内航空機事故に関する件について調査を行ないます。  参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。本日は御多忙中のところ御出席をいただきましてまことにありがとうございました。  それでは、これより御意見をお伺いいたしたいと存じますが、議事の進行上お一人大体十分以内くらいで御意見をお述べいただいて、参考人の方方の御意見開陳が終わりましたところで委員からの質疑がございますので、お答えを願いたいと思います。  が、それに先立ちまして、この際、丹羽運輸大臣並びに参考人東亜国内航空株式会社代表取締役社長富永五郎君から発言を求められておりますので、これを許します。  丹羽運輸大臣
  68. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 本日の午後からの委員会におきましては、主として「ばんだい」号の事故その他、航空の安全につきまして御質問があるように承っておる次第でございますが、去る七月三日夕刻、東亜国内航空「ばんだい」号が、不幸、函館空港上空におきまして墜落をいたしました。乗務員を合わせまして六十八名という貴重なる人命を失いました。監督の立場にある私といたしましても、まことに遺憾に存じておる次第でございます。犠牲者並びに御遺族のお嘆きはいかがかと推察いたしまして、心から哀悼の意を表する次第でございます。  私、就任いたしまして以来、かかる悲惨なる惨事が絶対に起こらないよう、就任早々、省員を集めまして、幾ら運輸サービス改善を行なっても、スピード化を行なっても、大量化を行なっても、一発の瞬間の事故によりましてとうとい人命を損傷するようなことがございましたらば、いままでの苦心は一ぺんに水泡に帰する次第であるから、この事故だけはもう絶対に起こさないように、私も一日一日、本日事故が起こらなくてよかったというつもりで毎日に臨むつもりであるから、皆も心してその点を気をつけて、運輸省全体の者の気持ちが現場でお働きになる皆さんにも通じて、そうしてちょっとでも怪しいような様相があったらば、安全の上に安全をとるという態勢で臨んでもらいたいということを強く申しますとともに、今日おくれているところの航空の整備の問題、安全装置の整備の問題につきましても、鋭意改善、整備を急速に急がせまして国民の期待にこたえたいと思っておる次第でございます。しかしながら、万全といいましても、人間の行なうことでございますので、皆さま方の、ことに練達な委員会の諸先生の特別の御注意、それからいろいろの御鞭撻をいただきまして、そうして私の在任中はもとよりでございますが、将来に向かいましての安全の基礎を築いてまいりたいという決心でいる次第でございますので、ひとつよろしく皆さま方の御鞭撻をお願いをいたしまして、私のあいさつとかえる次第でございます。
  69. 木村睦男

  70. 富永五郎

    参考人富永五郎君) 私は東亜国内航空の社長の富永でございます。  今回「ばんだい」号の事故を引き起こしまして、とうとい人命を失い、皆さま方にたいへん御心配をおかけいたしましたことを深く深くおわびする次第でございます。  今回の事故の概要を申し上げますが、「ばんだい」号は、七月三日、札幌十七時二十分発函館着十八時五分のスケジュールによる六三便に就航させたものでありますが、当日、幾ぶんおくれまして十七時三十一分札幌の丘珠飛行場を離陸しまして、十八時五分に函館上空に到達しまして、「ただいま函館上空六千フィート、進入開始高度を後に連絡する」という函館の管制通信所に連絡がありましたあと消息を断ったのであります。乗客は六十四名——男子三十一名、女子三十三名——そのほかに乗員は操縦士が二名、スチュワーデス二名、総計六十八名が乗っておったわけでございます。  到着予定時刻を過ぎましたころに、函館空港事務所から、飛行機との交信がとだえたという旨が当社の総代理店運航担当者に連絡がありまして、担当の者が社用の無線機で呼び出してみましたけれども、連絡がとれませんでした。それから後、防衛庁並びに海上保安庁、北海道警察等を含みます捜索救難組織が直ちに活動に入りまして、無線交信で、またはレーダーで盛んにその飛行機と連絡をとろうといたしましたけれども、情報はなしということで、いよいよその飛行場の回りの二十キロの範囲内のじゅうたん捜索をやるというようなことになりました。しかし、当日はもう日没でございまして、濃霧が多く、陸海空とも本格的な捜索はできませんでした。それで四日の未明から自衛隊一千名、警察の方三百名、地元の消防団約百名の方の応援によりまして、そのほかに海上では自衛艦十一隻、海上保安庁の巡視艇十七隻、また地元の漁船等も多数参加をしてくださいまして、地上並びに海上の捜索をしてくださいました。また空中においては、陸、海、空の自衛隊機延べ二十三機、海上保安庁関係の飛行機延べ十五機が出動してくださいまして捜索に当たってくださいました。  ちょうど四日の十七時二十五分ごろ、七飯町の横津岳南側山腹で機体が発見されまして、そのときはすでに日没に近く、遺体の収容その他は非常に困難な場所でございますので、翌朝午前三時から遺体の収容にかかることになりました。それによりまして、五日の十三時四十分ごろに全部の遺体の確認は完了されまして、山から七飯の町に運びまして、そこでまた身元の照合がありましたが、遺族方への引き渡しが終わったのが六日の午前一時三十分ごろでありました。当夜は仮法要をとり行ないまして、その後、一たん御遺体は各郷里にお帰りになったのでございます。この間、自衛隊並びに北海道警察並びに函館市その他、民間団体のほんとうになみなみならぬ御協力を得まして、この遺体の収容その他、短期間にできましたことには非常に厚く感謝している次第でございます。その後、七月二十一日に、現地函館におきまして遭難者の合同慰霊法要を行ないました。その際には天皇、皇后両陛下より生花の御下賜をいただきまして、また政府、関係官庁、自治体等、多数の参列を得まして滞りなく葬儀を完了いたしました。  このような大事件を起こしましたことを深くおわびするとともに、捜索並びに御遺体の収容に御協力願いました関係各位の方々に厚く御礼申し上げたいと思っている次第でございます。  現在、私どもは、このような事故は二度と起こさないように深く深く肝に銘じまして安全確保対策に取り組んでいる次第でございます。七月十日に、運輸大臣から航空の安全確保に関する示達を受けました。私どもはその示達に基づいて、なお、私を委員長とします緊急安全対策委員会というものを社内につくりまして、あらゆる角度から、われわれの現在やっている作業の内容を検討しまして、その安心のいくりっぱな体制を一日も早くつくりたいと大いに努力している次第でございます。  当社は、御承知のとおり、五月十五日に東亜航空と日本国内航空が合併してでき上がった会社でありまして、合併直後においては乗員のストもございまして、必ずしもスムーズに発足したわけではございません。非常に乗員関係の問題がございまして、かなりスケジュールを確保できませんで、皆さまにたいへん、もうすでにそのときから御迷惑をかけておった次第でございます。まあそれをある程度のところで組合との話し合いもつきまして、一応順調に動き始めたそのとたんに、このような大きな事故を起こしたわけで、私たちは返す返すも残念でありますし、また皆さま方に非常に申しわけないし、もうおわびのことばもないほどでございます。まあ合併によって社内の統一というのはなかなかむずかしいということは、前々から私方も警戒しておりましたし、そういうときには、特に安全運航に対して支障を来たすことのないように配慮するようにというようなことも、関係官庁から数回にわたって注意を受けておりました。私方もその線で大いに努力してきたわけでございますが、残念ながらこういう事故になったわけでございますが、私たちとしましては、そういういろいろな方面から安全確保のために、いろいろ注意を受けましたものですから、特に合併の時点においては、そんなに新しい会社二つ会社を混乱するようなことのないように、初期においては、東亜航空は東亜航空の体制で、国内航空は国内航空の運航の関係はそのままに残して、逐次全体をあわせて運航するような——急激に新しい路線をほかのパイロットが飛ぶようなことのないように、これは、われわれは普通ブロック運航と申しておりますけれども、そういうようなやり方をしてスムーズに安全を確保していきたいというようなことをやっておったのでございますが、残念ながらこういうぐあいに大きな事故になってしまいました。私はこの点、自分の力の足りないことをほんとうに申しわけなく、また責任が重大であることをほんとうに感じておる次第でございます。  なお、御遺族には、すでに香典、葬祭費その他お見舞い金として、さしあたり一霊当たり百万円を贈ってございますが、この補償問題に関しましては、運送約款にこだわることなしに、遺族の方とよく誠心誠意お話し申し上げて、円満にできるだけ早く解決したいというような気でおります。そのために、社内には遺族補償委員会というものを発足させまして、誠心誠意遺族の方々とお話し合いができるように、なお、東京、大阪、札幌、函館の四カ所には遺族相談室を設けまして、常に遺族の方々と連絡がとれ、話し合いができ、何とかそういう方法でこの補償問題を一日も早く解決したいというような感じを持っておる次第でございます。  また、社内では、何としてもこういう事故の再発を防止するということが第一番でございますので、事故の原因の調査が最も必要なことでございますが、これは政府機関の調査委員会が発足しております。われわれのほうは現地に二十数名、人をやりまして、部品の接収その他、御協力申し上げ、なお、今後この事故調査にも積極的に当たりたいと、また、調査委員会のほうにも御協力申し上げたいと、こういうような考え方で現在進んでおる次第でございます。  以上、「ばんだい」号の事故のあらましを申し上げましたが、また重ねて、こういうような大きな問題を起こしまして、たいへん申しわけないということと、今後絶対にこういうことを起こさないように、われわれはがんばるつもりでおりますので、ひとつよろしく御了承願いたいと思います。ありがとうございました。
  71. 木村睦男

    委員長木村睦男君) それでは、ただいまから順次参考人の御意見をお述べいただきたいと思いますが、まず、航空評論家の関川参考人にお願いいたします。
  72. 関川栄一郎

    参考人関川栄一郎君) 私は、この「ばんだい」号の事故を知りまして、これについて感じたことは、いま政府の組織された調査団が、皆さん原因の調査に当たっておられるわけですが、ですから、その調査の進行しておる期間、私ども部外の者が事故の原因についてとやかく申し上げることは避けたいと思うんですが、一般論といたしまして、わが国の航空輸送というのは、いま、かつてないほど、わが国の航空の歴史始まって以来の盛況を示しております。ところが、その数的な、量的な盛況の陰に、一たん足元をながめてみますると、あまりにも航空輸送体制をささえる足元がお寒い状態であるということは争えない事実であると思います。この「ばんだい」号の事故あとで、なおさらそういうことを感じたわけでございます。  で、航空輸送をささえる足元と申しますと、空港の問題、管制の問題、いろいろございますけれども、その一例といたしまして、ここでひとつ飛行場の問題を取り上げて考えてみたいと思います。  御承知のように、航空機の事故をゼロにすることは、これは不可能でございますが、ゼロに近づけることはできるわけです。その近づけるための努力、方法といたしまして、保安体制、特に、空港の保安体制といったようなものを改善するということが緊急の要務であることは、これは申し上げるまでもありません。ところで、わが国では、現在、政府の手で第二次空港整備計画というものが進行中でございますが、この「ばんだい」号の事件あとで、私、一つ、非常にふしぎに思ったことがございます。それは、第二次空港整備計画といったものが、当初、これから先五カ年で完了する計画だというふうにして始められたものだと承っております。ところが、「ばんだい」号が落ちましてから十日ほどたちまして、新聞その他の記事によりますと、この空港整備計画の中の保安設備の改善、これが当初五カ年の計画であったものを三カ年に早めて工事に取りかかるということが出ております。これはまことにふしぎな話でありまして、三カ年でやれるものなら、どうして最初から三カ年計画でやらないのかということを、われわれ納得できない点として注目したわけであります。  この第二次空港整備計画そのものは五千六百億、五年間でおよそ五千六百億というたいへんなお金を使って行なわれる改善計画でありまして、この金額自体は、これまたわが国の航空界の歴史始まって以来の膨大な金額でありまして、しかも、その内容は、従来やられておりました総花式の金の使い方から、やや重点的な投資に変わってきたということで、われわれは、それなりに非常に評価しておったわけであります。ところが、一たんふたをあけてみますと、飛行機が落ちて、あわてて三年に縮めた。それならば、計画全体を三年——保安施設だけでなくて、計画そのものを、五年間でやるというのを三年間でできないものかというふうに私は思うわけです。今度、三年間に縮められた部分は、第二次空港整備計画全体の中の保安施設、これは金額にいたしまして、約六百億から七百億の間ぐらいと記憶しておりますが、全体の十分の一・五、二割にならない程度のもの、この部分だけ三年間に縮めることができるということなのか、あるいは空港整備計画全体を三年間に縮めてできるものなのかどうか、これまた疑問に思うわけであります。  先ほど申し上げましたように、航空機の事故を絶滅することはとてもできない相談でありますけれども、これを一件でも減らすということは人間の努力次第でできるわけであります。単に飛行場の問題だけでなくて、管制上の問題でも、最近いわれておりますニアミスの増加といったようなことも、人工的、人為的に、空域を変更するとか、管制のやり方を変えるとかいうことでもって、そのおそれを減らすことができるわけです。  で、この空港整備計画だけ取り上げてみましても、先ほど申し上げたような幾つかの疑問があるわけであります。政府の手で、これを、もしできることならば、五年を三年、三年を二年に縮めてでも、一刻も早く航空輸送体制の足元を固めていただきたい、かように思う次第であります。
  73. 木村睦男

    委員長木村睦男君) ありがとうございました。  次に、航空評論家楢林参考人にお願いいたします。
  74. 楢林寿一

    参考人楢林寿一君) 楢林でございます。  事故が起きますたびに事故調査団が編成されまして事故調査をやるんですが、原因不明というような結果が出ることがあります。それで、原因不明になる原因はどうかということについて多少調べてみました。岩波書店発行の、武谷三男先生の「安全性の考え方」、岩波新書六四四です。これの十一項目の「「原因不明」のからくり」、それから十三項目の「安全性の哲学」、そこらあたりのところを読みますと、四十一年度に起きましたところの四大事故、東京湾におけるところのボーイング727、羽田におけるDC8、これはカナダ・パシフィック・エアライン、それから富士山におけるボーイング707、BOACですね、それから松山沖のYS11、それの事故調査につきまして武谷先生は、東京湾と松山が原因不明になると言っておられます。で、文章の中でちょっと疑義がありましたので、このことを武谷先生に電話で問い合わせました結果、やはり私はそのつもりで書いたんだと。これは録音テープにしてあります。これは、四つのうち二つを当てるということは、五〇%で当てたのではなくて、一つの事象は二分の一の確率でございますので、四つありますと十六回のケース、客観的に十六回の組み合わせになります。しかも、東京湾と松山とが原因不明になるということは十六回に一回しかない。偶発・偶然的に当たったのであるならば、十六回に一回当たったということになる。しかし、これは昭和四十二年五月二十日付で発行された本で当てておるのでありますから、これは偶発的に当たったのでなくて、当然そうなるべくして当たったのだと考えるべきです。もし偶発的に当たらないのであるならば、十六分の一のほうが偶発的に当たらないのであって、一から十六分の一を引いた十六分の十五は、調査委員会の編成が原因不明にせしめたんだと言っても過言ではないのじゃなかろうか、そう思います。  それで、あるいは言いわけ言う人ならば、東京湾と松山とは海の上に墜落したんだ、だからあれはわからなかったんだと言うかもしれぬ。しかし、私に言わせると、海の上に墜落したために、最初に起きた衝撃とか、残された証拠は、むしろよく保全されたということになります。現に松山の一本飛びましたプロペラなど、水中にもぐってみますと、海底に、ふわっと、綿の上に置いたようにじっとしておった。それから有名なコメット1型の空中分解の事故も、最初二、三回陸上に落ちたのがありましたのですが、これについては解明はなかなか困難だった。ところが、地中海に落ちた海の中のものについて水から引き揚げた結果、原因は解明されたのであります。水のほうがむしろ第二次的な破壊が少ないものですから、非常にわかりやすいということになります。  そこで、原因不明の原因として、これは一種の病気として考えますと、これは幾つかありまして、利害関係原因不明病、セクショナリズム原因不明病、血族関係原因不明病、こじつけ論理原因不明病——各個撃破原因不明病、無能力原因不明病、証拠棄損原因不明病、お粗末実験原因不明病とか、死人に口なし原因取りかえ病、以上の共同型原因不明病、あるいは原因を調査する人の適性不良原因不明病というのがあります。これは適性不良です。これは適性と言ってはまことに失礼なことでございますが。ボーイング727、木村事故調査団長の適性について、失礼ながら私はチェックしたのです。ところが、これは東京大学名誉教授富塚清先生の「エンジン閑話」、「内燃機関」一九七〇年六月号の「正確な記録を残そう」の中に、航研機の関係の記録がございます。彼は、脚の関係、足ですね、着陸装置の関係の設計をした。研究所長さんは和田先生。そのときに脚が非常に珍しい引っ込み脚だったのです。その当時は珍しかった。ところが、試験飛行中、果然これがぼろを出し、脚は出ず、胴体着陸、プロペラはこわし云々となっております。これは私も知っております。それで、その対策として脚を直さなきゃならなかったんですが、木村氏は脚を直すことができないで、とうとう固定脚にするかということになったわけです。引っ込み脚をやめて、出しつばなしでカバーをかけて飛ぼうか。そうしますと、せいぜい八千キロメーターぐらいしか航続距離が飛べない。そのときの国の至上命令であるところの長距離記録なんかつくれない。そういうことで和田所長さんが非常におこられまして、そのことを、富塚先生に脚を直せということで、富塚先生におはちが回ったわけです。富塚先生いわく、私のようなメカニシアンには実は何でもなく、たちどころに対策が立った、私の勘で十分もかからず図はでき、四、五日で実物が完成したととあります。自分で設計した脚を、自分でぐあいの悪いところを直せないような先生だったら、これは全く適性がないんじゃないか。富塚先生、自分で設計しなかったのだけれども十分間で直しちゃった。これはちゃんと出ておりますので……。そういう先生が委員長では、とてもじゃないが事故の原因が出るはずがございません。ちゃんと適性のある人にやってもらう。適性とは、パイロットの場合、学校の成績が幾らよくとも、飛行機に乗せてみたらちょっともうまくならぬやつがあるのです。これは適性不良なんですね。事故調査も、この適性不良の人が一ぱいおれば、これは原因は出ません。だから、適性のいい人にやってもらうということにしたいと思います。  それから適性に関しましては、航空局の中でも実はありました。これはまだ航空局が大手町にあった当時、西空のベル47型機が、阿蘇山で背面になっておっこった。そのところを、どうもおかしいので私はちょっと調べたのですが、そうしたら、それを担当しておったところの検査課の検査員が行って見て、帰ってきていわく、機体には異常がないなんというようなことを言う。ところが、私が見たところ、ここのセンターマストのメンローターをとめているキャップのナットのネジ山の下のところが取れてるんですけれども、センターマストのネジ山の山は、上にずっこけて抜けたように斜めに寝たり、あるいは山が横に勇断で切れたり、そういうことにはなっていなくて、これは取れている。これはもう私は、キャップが割れて飛んだ、空中で飛んだとしか考えられない。ところが、その意見を、大手町のときに、航空会社の人も集まり、会議をして、幾ら説明してもわからぬ。何度説明してもわからぬ。全く私は少数派であって、あっちは多数で、原因が出せない。それからそのまま寝ておって、しばらくたって、今度は霞ケ関に航空局ができて、事故調査課できてから、ある技官が来られて、幾ら説明してもわからぬこともあるのだと、しかし、その人はどうもわかりそうだと思いまして、あなたならば——その写真を見せて、これはどういう原因か十秒間で答えられるだろうと私は思いまして、その写真を持っていって見せて、それを説明したところ、私は、答えを、約十秒と言ったんですが、何と二秒間で、それは割れて飛んだんだと答えてしまった。これはあとから聞きましたら、彼は以前ちょっと見たということを言っておりましたけれども、二秒間で答えた。以前見たといっても、彼はちょっと見た程度ですから。それを、見ただけでわかってしまった。これは全く適性不良な人間がものを見てもわからぬということだと思います。  それからまた適性不良では、実はやはりヘリコプター47型のトランスミッションの中の遠心クラッチとフリーボイリングギアがぐあいが悪くて、空中ですべり墜落するという事故があった。私も、オートローテーションの降下中にフリーボイリングギアがすべってなかなか嵌合しないことがありまして、それがよくわかっていた。それで、そのときに日本農林ヘリコプターの運航部長の黒岩さんが私のほうに来られて、どうも自分のところでスリップということであぶなく事故を起こすものが起きてきた、そしてほかのエンジン整備工場へ出すと、エンジン、トランスミッションは異常がないんだと言う。これはおかしいからよく見てくれと言う。いや、それはあるのだ、私も経験しておるから、それはよくわかる。それから、そのことについていろいろ調べて、たいへんなことをして調べたんですが、いろいろ会合を持ち、農林水産航空協会の方々もそれらについて協力くださって、何度かクラッチのすべり、そのフリーボイリングのすべりあたりについて会合を持ったり検討し、やったんです。しかし事故はどんどん頻発する、にもかかわらず、いつまでたっても一度としてエンジン、トランスミッションに、その事故に対して異常があるという話を私は検査課から聞くことは全くなかった。しかも二年、三年たちまして、ついに私はそれを見つけた、私は見に行って見つけました。それまではセクショナリズムで、行くなということで、多少禁止されていたような面もあって、私は能動的には動かなかったんですが、見に行って見つけた。そのころになって、やっとわかってきたんですが、やはり製造会社といいますか、そのベルの関係会社のほうはまだすべらぬすべらぬと言うておる、事故の起こったクラッチを取りつけて実験したけれども、ちっともすべらないから、これは事故の原因ではないのだ。私は、その実験のやり方が悪いからすべらないのだ、すべるというのは、旋回を始めたとか、要するに胴体に対してマストがこじられるような力がかかったとき、左旋回のときに多い、それから離陸を始めて前にかかるようなときに多いのだ、だから、そういうふうな運動状態にあるものとして操作をしなければ事故を起こしたもののエンジン、トランスミッションを使っても、そいつはすべらないだろう、特に力がかかったとき多いのだということを言ったんですが、相変らずないと言っていた。ところが皆を集めて——相手側は、これで起きないという証明をするつもりで実験したのかもしれないけれども、皆を集めた席上において、実験の結果、クラッチがスリップしてしまった、ばんとすべった。それで結局そうであるということが確認されたわけなんですが、こんなものは、私が見たときには、フリーボイリングギアのすべり方は、油と金とのすべり摩擦、それからその形態的な構造等で、どれだけひずんでおればすべるということをあらかじめ計算しておいて、それでものを見たときには、これは、そのすべる領域の中に入っておるということはわかっておりますから、それを見たとたんにわかったんですけれども、幾ら説明してもわからぬ。それで約三年間、数十機に近いものが事故を起こしました。これは、それを見た人たちが実はものを見る適性がないのでそれを見出し得なかったか、あるいは会社側の言うほうが——それを検査した検査官が、会社側が言うほうが技量が上だからおれが強く言うてもだめだと思って引っ込んだか何したか、それはわかりません。しかし、そんなことを三年間もほうっておくという結果になっちゃった、非常に残念なことです。やはり私、中日本航空の操縦士は、これの原因でなくなられたのではないかと思います。非常に残念なことでございます、私の力不足だと思います。それからこのクラッチに対するところの対策をいたしました結果、その後は起きていないそうです。これは日本農林ヘリコプターの黒岩さんに、この間会ったときに伺いましたら、全くこれはとまったということを言っておられました。だから、適性のある人を委員にしていただくというふうにお願いしたいと思います。  それから、原因不明病の特効薬としては、特効薬はございます。これは、裁判官を選ぶのと同様、公正な第三者によって編成された調査委員会であること、こうすればもうぴたりと思います。ところで、「ばんだい」号の調査委員会の副委員長の佐貫さんはYS11松山事故委員長であり、ボーイング727にも関係しておった、両方とも原因不明病の潜伏があるかもしれぬ、あるいは適性がやっぱり木村さんと同じでよくないかもしれぬ、これはよくわからぬ、失礼ながらよくわからぬ。だから、私がもし佐貫さんの立場であったならば、私は調査委員を辞退しておったと思います。ところで、今度の調査委員長の守屋先生、これはもうCPALやBOACのボーイングでぴしゃっと原因を出された方ですから、もう申し分ございません、それについて、海法さんとか横堀さん、黒田さんなんて、実に私と議論してもぴたっぴたっと合う。ところが問題は、そういう委員の方はいいのですが、ほかに問題としては、日航から来た長野さん、全日空取締役の江島さんという方が入っておられます。これは確かに、頼まれたからはいと、こうして入って、何もあれもなかったと思うのです。個人的には非常に親しい人です。しかし問題は、航空局の中にも日航の参事官がいます。これは任期が長過ぎる。そこに参事官がおれば、航空局の高級役人とやはりどうしても癒着関係ができます。それから、東亜国内航空の社長は日航から行った人です。そうすると、この調査委員の顔ぶれに全部日航から行った——長野氏も日航、江島さんは全日空ですけれども日航から行った人、日航の血族関係によって構成されているということはやはりちょっと困る。私は、この長野さんとか江島さんが、事故調査参考人とか事故調査協力者あるいは技術的な資料提出者そういう作業、データを出す人のほうというか、クラスに、そちらに入ってもらう、そうすればこれは二重まるを差し上げることができると思います。ところが、まあ全日空でも、日航でないほんとうのはえ抜きの——全日空はYSたくさん使っておりますから、そういう人がこういう方面に入られたのであるならば、これは三重まるを差し上げたいと思う。だから、ここで調査委員は、あくまでも裁判官を選ぶときと同様、公正なる第三者によって編成された委員会であることが最もいいのじゃないかと、私はそう考えるのであります。委員会のことについてはこれで終わりにしまして、それから……。
  75. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 楢林参考人にちょっと申し上げますが、またあとからいろいろ御質問委員のほうからありますので、なるべく簡潔にひとつお願いいたします。
  76. 楢林寿一

    参考人楢林寿一君) それから、事故調査関係で非常なひずみが出ておるということをちょっとはさませていただきたいと思います。  実は、ボーイング727の事故の証拠、物理的事象、技術的情報等は一切、民間側には出ておりません。ですから、刑事事件としては時効になる期間を過ぎても、乗客の遺族、弁護人には、その関係書類、こういったものは壁で隠して見せておりません。もちろん事故の供述書には、供述人は拒否権がございませんので、供述者の供述については、それを一般に出すことができないと思います。しかし了承を得れば出してもいいのじゃないかと思います。こういうことでは、この事象について不満があって遺族団が裁判所に提訴しようとしたときの証拠が全然得られないのでございます。これは、この証拠なんかは、国家の安全を害するものではないし、証拠等を見せないことは、結果的には、憲法で保障された基本的人権を侵しているのではないかと私は考えられます。このことにつきましては、行政管理庁長官さんはよくお調べくださいまして、しかるべき措置をとっていただきたいと思います。  それからまた、こういう松山事件につきましては、そういうふうな証拠書類を個人側の、裁判をしている民間人が高い保管料を支払っております。これに対しては、裁判が終わるまでは国家が保管するようにしてはどうだろうかと思います。  それから、この事故に関して私と航空局とのやりとりで、航空局長さん、総務課長さんから出てきたところの話は、いつもすっきりしていてまことにいいのですが、技術部を通ると非常におかしくなってしまう。その一例といたしましては、全日空機羽田沖事故遺族会の石田さんの公開質問状の中に書いてある溺死者の数ということで、これは国が送ったのですが、「溺死者が大勢いたという木村秀政氏の発言の趣旨は、溺死者が二、三名にとどまらなかったということで、同氏の事故状況についての認識に重大なくるいがあったとは考えていない。」と書いてあります。これは十名ぐらいが溺死者であった。これは大ぜいと、こういっているんですが、百三十三名の方がなくなられて、十名が大ぜいでしょうか。百二十三名は少数なんでしょうか。こういうおかしな数字が出てきております。これは技術部を通すと、こういうことばになって出てくる。まことにおかしい。  それからまた、六十三回国会、衆議院交通安全対策特別委員会議録の第十七号八ページのところに、横路先生が質問して、全日空の石崎機長の「パイロット」の記事について、「運輸省のほうでこの記事を出したのはけしからぬということで、石崎さんを十月一日呼びつけてしかったというようなことを聞いておるのですけれども、そういう事実があったかどうか」、その次に金井説明員が、「その会議の席上、」——これは委員会の会議の席上——「団員あるいは事務局、石崎さんを含めたオブザーバーに対しては、会議上知り得た秘密はやたらに漏らさないでくれということを再三再四頼んでいたわけです。「中略」しかし石崎さんに忠告したのは、会議のルールを守ってもらいたい、そうでなければ正常な運営ができないということを注意したことは確かでございます。ただし、発言を永久に封ずるとか、そういうことは言っておりません」と。ところが石崎さんの出されたのは、木村秀政氏が「航空情報」の一九七〇年四月号に出された「私は答える」「全日空ボーイング727型機事故調査団長との一問一答」の特別座談会で示されたことに対しましての反論として「パイロット」で反論された。ところが、これは四月であり「パイロット」は九月です。石崎さんがもし注意を受けたのであるならば、木村団長は運輸大臣から注意を受けなかったのであろうか。私は役所に電話で聞いたところ、これは木村団長は個人でやったので、調査委員会その他の了解を全く得ていないという返事だった。これは私、録音テープにしてあります。ところで、大臣または航空局長は木村団長に注意しないのに、石崎さんだけやったということであるならば、憲法十五条に「すべて公務員は、全體の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」、ただし発言を永久に封ずることはないというにしても片方はおかしい。憲法第二十一条、表現の自由、憲法第十四条、法のもとの平等——石崎君に失礼なことをした。運輸省がしかられてしかるべきではないかと思われる。これは行政管理庁長官よろしくお調べくださいませ。ちょっとおかしい。もしも、しかられるのであるならば——この「航空情報」、これは一般に売られているものである。こっちの「パイロット」の発行部数よりはるかに多いものである。しかも四月であり、こっちは九月である。時間的経過からいって、石崎君が一おこられたら木村団長は百か千おこられなきゃ全くおさまりがつかないのじゃないか。非常におかしいと思います。この点はひとつよろしくお願いします。  次に、航空保安の関係でございますが、やはり保安施設というものはダブらしていただく。一つのADFで、こんなことはございませんが、百回に一回ふぐあいが起こるといたします。たとえばDMEで百回に一回おこるといたします。しかしダブらせておれば、両方合わせると、ふぐあいによる危険率は百分の一の二乗、すなわち一万分の一になります。ですから、こういうふうに少なくとも保安施設を二重——ほんとうは三重がいいんですけれども、最小限二重にしていただくことが必要だろうと思います。  それから……。
  77. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 重ねてお願いしますが、なるべく簡潔にひとつ。
  78. 楢林寿一

    参考人楢林寿一君) それではこの辺で、保安施設につきましては、あとでまた……。
  79. 木村睦男

    委員長木村睦男君) どうもありがとうございました。  次に、航空安全推進連絡会議事務局長松田参考人にお願いします。
  80. 松田更一

    参考人(松田更一君) 私は、私の組織が大体パイロット、整備士あるいは地上関係では管制官とか管制通信盲あるいは航空無線技術者、照明、空港施設あるいは今回整備計画繰り上げに伴う実施をしなければいけない技術者、まあそういった方方が組織している会議でございます。そういう立場で三点ほど簡潔に意見を述べてみたいというふうに思います。  先日、私ある本を読みましたら、昭和三十年代のある時期でございますが、池田首相が、航空に金を出すとざるに水を入れるようなものだというようなことを、現在の日航の会長をやっておられる松尾さんが座談会で述べておられる。その発言を非常に私、興味深く見たわけでございます。今回、函館の事故関連をしまして、いろいろと問題が出ております。しかし、そういう問題の要因というのは、おそらく現在のローカル空港は、二、三の空港を除きまして、三十五年から四十年の間にでき上がった空港です。まあそういう意味でも、いろいろと指摘される当然の背景があったんじゃないかというふうに考えております。  さて、三つの問題でございますが、第一は、事故調査の問題でございます。原因が何か、どうか、こういった問題については、私たちは、いまの段階としては言うべきではないというふうに考えておりますが、ただ二点ほどこの問題について強調をしておきたいと思いますのは、一つは、私の会議にも参加をしております事故調査官等おられるわけですが、いずれにしても要員が不足をしておる。たとえば先日の羽田のジャンボの事故で、すでに多くの方々が要員をさかれた。その中でいろいろと、今度は函館の事故ということで、いずれにしても、この事故調査に関して最も大切なことは、その事故が起きたときの現状を客観的に科学的に、かつ、でき得る限り保存をして復元をすることが何よりも大切だと思いますが、そういうふうな体制がいまない。そういうふうなことを考えますときに、この体制強化の問題。これは現在まあアメリカではNTSBというような形で大統領が指名をしまして、五人の委員を恒常的に国会の承認を得て選出をしておる。そういうふうなところまでいかないにしても、ある程度恒常的に——かつ、事務局の担当する要員不足というものは、あまりにも深刻過ぎるじゃないか、この辺の問題を一つは強調しておきたい。それから、現在のところ私たち在野の者ですから、そういう立場で申しますと、今回の函館事故で、函館の空港にしょっちゅう離発着するパイロットも私の組織におりますが、ぜひ今回の事故については、前回までの事故のような形でなくて、いわゆるこの資料を公開をしていただきたい。資料を公開する中で、徹底的に、再び事故を起こさないための対策を在野を含めてやっていかなければいけないのじゃないか、そういうふうに思います。それからもう一つは、いままでの事故の中で最も大きな問題としては、やはり遺族の方が納得できるような調査体制というものがなかなかできておりません。そういう意味では、遺族の方が納得できる、そういった調査委員会というものもお考えになっていただきたいというふうに思います。時間がありませんから、第二の点に移りたいと思います。  第二の点は、第二次空港整備五カ年計画が、第一次が四年間にして終わりまして、四十五年度で終結して、四十六年度から第二次空港整備五カ年計画になったわけです。第一次で千百五十億が第二次で五千六百億円、約五倍でございます。こういうふうな中で一体どうやってやるんだという問題が、すでに事故が起こる前から出ております。それが今回事故が起きまして、さらに三年間に繰り上げる部分が多分に出てきた。となりますと、私の組織におるそれぞれの担当の技術屋の言いますには、とにかく一日おきに徹夜しなければやっていけない、現実にやっているというようなことを申しております。で、一つの例を申しますと、無線の関係で申しますと、現在VOR、DMEというものは航空路用のものが相当にできております。しかし、空港用のVOR、DMEというのは現在三カ所しかございません、東京と大阪と高知。今回、函館の事故関連をいたしまして、空港用のVORやDMEの設置が大きな話題となっております。これは全く処女地の開拓であろうかと思いますが、こういうものについて過去の、たとえば四十二年から四十五年の四年間の経緯から見ますと、現在のわれわれの体制からいいますと、ものすごい労働強化になるというように考えております。現在、一つの例で申しますと、たとえば四十二年から四十五年までで一人当たり一億二千万程度の工事を請け負った。それが今回は約六億三千万ぐらい。となりますと、一人の工事量は非常にばく大なものになる。私たちこれで一番心配をいたしますのは、整備ができるまでの間の問題もございますが、その整備をやる、工事の技術者たちが一番心配をしていることは、どうしても手抜きになる。現在の人員でやっていったら工事を手抜きせざるを得ないような実態に追い込まれるとなると、いま政府が考えておりますような、単に繰り上げ実施に伴ってやるんだという世間的な言い方だけでは、ものごとは解決しないんじゃないかというふうに思っております。こういった問題については、国家公務員であります組織の人たちには、現在の国の政策で、第二次定員削減というふうな形で、行政管理庁は空港関係にも百数十名の削減を計画しておるようでありますが、こういうふうに一方で削減をし、一方でこういうふうな形で出すことについてはぜひ御検討をお願いしたいと思います。まあ、そういったことで、いま無線の話をしましたが、しかし、無線よりまだ基礎的な問題としては、空港滑走路の問題、あるいは照明施設の問題がございます。現在三種空港には照明施設はほとんどございません。で、いま計画の中に入っているのをわれわれ仄聞しますと、大体進入角指示灯とか、あるいは滑走路末端識別灯というようなものを最底、三種空港につけようというような計画のように仄聞をしておりますが、しかし、それ以前に、まだほんとうは照明施設でも問題はあるわけです。たとえば滑走路灯というふうな問題についても考えなけりゃいけない、あるいは進入灯の問題だって考えなければいけない。しかし、当初の五年計画では五空港であったやつを、今回三年計画に縮めたために、四十六年度で十二空港になったと、これでは、はっきり言いまして、どういうふうな形で政府のほうとしてはおやりになるのか、われわれとしても首をかしげざるを得ないというふうに思っております。  次に、第三点でございますが、空港でそのような形でVOR、DMEその他諸施設が照明を含めましてできても、それをどのような形で安全運航のために利用するか、あるいは有効に安全を確保するために使用するかという問題があると思います。で、現在、函館空港では管制通信官の問題が出されておりましたが、はっきり申しまして、現在の管制官とか、管制通信官、あるいは無線、照明、空港等の保守のための技術要員、こういった人たちの要員不足も非常に深刻です。特に航空保安大学というような形で出ておりますが、非常に退職者が多い、あるいは技術者がなかなか集まらない。端的な例を申しますと、航空保安大学を出た人の待遇よりも電波法の資格を取った人の待遇が悪いというような、そういった面もありまして、非常に待遇が悪い。こういった問題が、一つは、今後の安全運航を確保するためには重大な問題ではないかというふうに思います。現在、政府の中では、私思いますのに、第二次空港整備五カ年計画の問題は出しておりますが、もう一つは、航空保安整備計画というものをやはり考えるべきではないか、そういうふうな立場で整備をし、拡充をしていかなかったら、せっかくいい施設ができても宝の持ちぐされになるというふうにも考えております。こういうふうな問題についても、ぜひ当委員会において、突き詰めますと要員の問題になりますが、あるいは訓練の問題になりますが、そういった問題についてもぜひ御検討の中で強化をしていただきたい、そういう中で初めて航空の安全というものが確保できるのではないかというふうに思っております。  以上であります。
  81. 木村睦男

    委員長木村睦男君) ありがとうございました。  最後に、日本航空機製造株式会社専務取締役若杉参考人にお願いいたします。
  82. 若杉礼三

    参考人若杉礼三君) 日本航空機製造若杉でございます。  今回起きました大事故の「ばんだい」号、YS11の製造会社でございます。昨年の二月に、私のほうでつくりました一三四号を国内航空さんにお納めし、今回の事故に遭遇したわけでございます。  私どもの会社は、昭和三十四年に、航空機工業振興法によって設立されました製造会社でございますが、その後YS11を開発、引き続きまして量産、販売を担当いたしております。販売をいたしましてからただいままでに百六十一機の数を数えております。国内関係では防衛庁さんをはじめ、国内航空さん、全日空さんを合わせまして八十八機、輸出関係で七十三機を数えております。いままでに飛行をいたしました総時間は八十五万時間でございまして、御承知のように、YS11という飛行機は非常にショートレンジでございますので、その離着陸の数を勘定いたしますと、八十五万回以上に達していると思っております。  で、この期間に私どもが遭遇いたしました大きな事故としましては、今回の痛ましい事故を含めまして四回を数えております。一回は松山沖の事故、それから四十五年の八月に中華航空のほうにお納めしました台北における事故、それからもう一つは、四十四年の十月になりますが、宮崎でオーバーランをしたという事故で、若干の負傷者をお出ししているというような痛ましい事故を起こしているわけでございますが、メーカーといたしましては、その原因がいかにあろうとも、その再発防止のために、設計的な、あるいはまた整備面というもののマニュアルをつくりましてその防止に努力をしているわけでございまして、私ども現在つくっておりますYS11の生産計画は百八十機の計画でございますので、大体最終段階に来ているわけでございますが、YS11が世界の空を飛んでいる間は、それの技術的なサポートというものはわれわれの責任でございまして、現在でも五十名の技術者を張りつけまして、そのユーザーさんからのいろんな申し入れについて対処をしております。  今回の痛ましい事故が起こりましたのは今月の三日でございますが、とりあえず私どもとしましては関係部長を、まだ機体の発見をされない前に現地に派遣いたしまして、何らかの調査並びにそういったことの御協力に当たらせました。さらに、装備関係並びに技術担当の役員をその翌日送りまして、現地における官憲の御了解のもとに、われわれとしては自主的な事故調査に当たりました。私どものやりました結果につきましては航空局の関係官のほうに報告してございます。もちろん今回の痛ましい事故の原因につきましては、厳格なる今度の事故調査委員会結論を待つまでわれわれとしてはわかりませんのでございますが、ただいま現在までに私どもで考えまして私どもでやりました現在までの調査の結果は、われわれとして機体の異常を発見するということには現在のところは至っておりません。私どもは、こういう事故があるなしにかかわらず社内的に連絡網をとっておりまして、サービス課長にそれの任に当たらせ、事が起こりましたときには、深夜であろうが、直ちに各関係役員、関係技術者のほうに連絡をとり、その対処をしておるような次第でございます。  そういうようなことで、今後も、こういったことの二度と起こらないように、われわれとしても最大の努力を果たしたいと思うのでございますが、最後に、なくなられました多数の方々に対して厚く弔意を表する次第であります。非常に簡単でございますが、終わります。
  83. 木村睦男

    委員長木村睦男君) ありがとうございました。  以上で参考人の方々からの御意見の開陳を終わります。  これより質疑に移りますが、きょうは政府からも関係大臣あるいは関係官多数出席をいたしておりますが、まず参考人、非常にお忙しい中を御出席をいただいておりますので、御質疑なさる方は、まず参考人の方に御質疑をしていただきまして、それが全部終わりましてから政府関係のほうの質疑に移りたいと思いますので御協力をお願いいたします。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  84. 森中守義

    森中守義君 関川、楢林、松田、三名の参考人の方にそれぞれお尋ねをいたします。お尋ねはいずれも共通したものです。  まず、第一点は、機材、すなわちYSが、いま御説明がありましたように、四回も事故があった、こういうことなんですが、評論家の立場からYSについてはどういう評価をされておるか、つまり機械の欠陥が何かあるのかないのか、その辺をお尋ねいたします。  それから二番目が、二次産業部門における比較評価として航空産業が高圧産業、こういう評価がされております。ところが、はたして今日、依然として航空産業は高圧産業という位置づけをすべきであるかどうか、これが第二点。  それから三番目は、諸外国における航空機事故調査制度はどういうことになっているか。それから、先ほど楢林さんから、かなりきめのこまかなお話がありましたけれども、事故調査委員の編成をどういったように評価されているか。それと、いままで今回の事件で十回になりますね、「もくせい」号以来。この十回の事故調査の結果というものが、はたして適正だというようなお考えなのかどうか。同時に、調査委員会の任務あるいは性格というものを、もうこれ以上言うところはない、ベストだというお考えなのかどうなのか。それから運輸当局事故に対する基本的な姿勢といいましょうか、やるだけのことはやっている、そういったように運輸省の姿勢を評価すべきであるかどうか。それから、これから先少なくとも絶対絶滅ということが必要になってくるわけですが、そういう理想的な形態をとっていくには、いまのような事故調査委員会というもので事が足りるのか、別途に理想的な形態を求めていくとするならば、どういうものが望ましいか。  以上諸点について、それぞれ簡略でけっこうですから御意見をお伺いしたい。
  85. 関川栄一郎

    参考人関川栄一郎君) お答えいたします。  一番目のYS11の安全性でございますが、これはもう飛行機の事故というものは非常に偶然性のファクターに左右されるものでございまして、よく落ちるからその飛行機自体の安全性に疑問があるということは、一がいには言えないと思います。ただ数字に出たところだけ、ほかの飛行機とYSを比較してみますと、先ほど若杉さんから御説明がありましたように、YS11は現在までに百六十一機できて、八十五万時間飛んでおります。しかも、この運航している場所が、カナダ、ノルウェーといった寒い国から、南米あるいはアフリカの暑い国まで多様にわたっております。しかも、それを運航している会社が、わが国は別といたしまして、諸外国で運航している会社が、必ずしも操縦、整備その他、技術面でのサービスというようなことが、一流とは言えない会社で使われている例が多いわけです。そういう世界での使用状況を通じまして、しかも八十五万時間飛んで四件という数字を考えてみますと、これを各国のほかの同級の機種と比較してみますと、かなり低い数字ではないかと思われます。私、技術のことは門外漢でありますが、YS11の基本構造、操作、運航面、そういった点でいままでにこまかな批評はいろいろ聞いております、批判は聞いております。しかし根本的にこの飛行機に欠陥がある、安全性に欠落したところがあるというふうなことはいまだに聞いたことがございません。それと、先ほどの、世界の他の同級機種と比較した数字を合わせて考えてみますと、この飛行機の基本的なあり方、基本的な飛行機の性格といったものに欠陥があるということはちょっと考えにくいわけでございます。  それから第二、第三の御質問につきましては、これは私の専門外でございますのでお答えいたしかねます。  それから四番の調査機関の問題でございますが、これは六番の、現状でいいかどうかという御質問関連することでございますが、現在、運輸省航空局には事故調査課という非常に小さなセクションがございまして、ここがふだんちっちゃな事故調査とそれから統計、事例の研究といったことをやっております。で、今回のような大きな事故が起こりますたびに、臨時の調査団を編成して調査に当たらせるというのが毎度の慣例でございますが、これではだれが考えましても完全な十分な調査というものができない、できにくいということはおわかりいただけると思います。外国の例でございますが、アメリカの例をとりますと、先ほど松田参考人からも申し上げましたように、アメリカではNTSB——国家輸送安全委員会という非常に大きな独立した組織がございまして、わが国の航空局に当たるFAAという組織が別にございますが、このFAAが現場調査をいたしまして、その調査の結果を判定するのがこのNTSB——国家輸送安全委員会、つまり調査と判定とを機能を分けているわけでございます。これはたいへん合理的なやり方でありまして、その背景には非常にたくさんのお金をかけて、材料、人間、飛行機、そういったものをそろえて完全な調査体制をもって初めてできることでありますが、しかし、わが国におきましても今回のような大事故が今後再び起こらないとは限らないわけであります。むしろ、いまの航空の成長を考えてみますと、今後ともこういった事故は反復されるというふうに考えたほうがより妥当かと思います。そのために、それに備えるために、わが国でもこういった本格的な常設の調査機関をつくるということが望ましいわけであります。その調査機関のあり方といたしましては、先ほどもどなたかおっしゃいましたように、第三者の立場で選ばれた公正な立場の方々が政府権力のワク外で公正な調査をする。そのためには予算を惜しまない、設備、人、その他、金は惜しまない。これは私見になりますが、これは単に航空機事故だけじゃなくて、自動車、鉄道、海運、そういったもの全部を含めました輸送機関全体の事故調査機関というものをつくるのが望ましいのではないかと思います。  以上お答え申し上げます。
  86. 楢林寿一

    参考人楢林寿一君) 関川さんがおっしゃられましたので、私、先ほどのYSのこまかいところと申しますと、実は函館で起こりました飛び出し事故の問題でございますが、これは離陸前にガストロックがひっかかっておりまして、それにパイロットは気がつかなくて離陸したんです。途中でガストロックとエンジンの操作系統とのひっかかりとに気がついて、途中でやめたのですが、その結果、私のいないうちに航空局は結論を出しちゃった。私は、これは実験しなきゃいけないと思って実験をやりつつあったのですが、技術部長室に集まって、何か結局、観念論で推定原因を出してしまった。「本事故は、機長がロー・ストップ・レバーの作動の不具合に気を取られ過ぎて、離陸断念の時機を失したことによるものと推定される。」と書いてあります。全くパイロットだけの責任にされておる。この事故はYS11、JA八六四三、昭和四十二年一月二十二日の八一便として函館を離陸しようとした飛行機の事故です。ところが、このガストロックたるや、ちょうどガストロックというのは、地上に置いておきましたときに両翼ががたがた風でするのをとめておく機構なんですが、ハンドルを縦にしてとまっていて、倒しましてガストロックがはずれる位置にあるはずなんです。ところが、ほとんど九十度倒して、あともう少しいけばはずれるのだけれども、ここでひっかかっている。まるで、外から見たならば、操作をしてはずれた位置に来ているはずなのに、ひっかかっておる。しかも、そのひっかかった場所はカバーがかかっていて隠れんぼして見えない、そういう状態にあります。それでパイロットは離陸し始めたのですが、機長が気のつくのがおそかったのじゃなくて、副操縦士がロー・ストップ・レバーの槓桿をフライト・ポジションの方向に動かしていって、そこでガストロックとひっかかってロー・ストップ・レバー・フライト・ポジションの最終位置に入らないのを感じてから六・八秒間、入れようとして槓桿を動かしているわけです。六・八秒という数字は、あとから、おまえはひっかかってからどういう操作をしたのか、動かしながらやってみいと言うて、十秒一回りのストップウオッチで二度ほどやらしてみたら、二度とも六・八秒だった。全く私どもびっくりしたわけですが、六・八秒。それから機長に、ひっかかっているということを言うたのです。エンジンの回転数を一万三千回転からいろいろ変えまして、滑走距離もずっと先にとりながらとってみますと、機長が聞いたときには、すでにV1速度をこえている速度であるか、あるいはV2をこえているに近いような速度になっている状態です。ですから、ここに出されたものは、観念論で書かれた調査結果と、私が書いた結果と全く違っている……。
  87. 木村睦男

    委員長木村睦男君) ちょっと待ってください。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  88. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 速記を起こして。  どうぞお願いします。
  89. 楢林寿一

    参考人楢林寿一君) 私は、いまの実験結果に基づきまして、函館の事件の鑑定をつくったのでございますが、すべて事故については観念論でやりますと事が間違う、必ず実験をした上で事を確かめるということが必要であろうと思います。この事故に関しまして、日本航空機製造株式会社にお願いしておきましたのですが、実は、ガストロックとロー・ストップ・レバーがひっかかっていたところでロー・ストップ・アンセーフライトのウォーニングライトはすでに消えておるのです。そうすると、ロー・ストップのウォーニングラィトが消えたということはどういうことかといいますと、運航規程の「ローストップの故障」というところで、「離陸時に両パワー・レバー、マキシマム、ロー・ストップ・レバー・フライト・ポジションとしたとき、ロー・ストップ・アンセーフライトが消えなければ離陸を断念する」と書いてあるのです。これが消えているのです、この場合。ということは、交差点における青信号が——離陸に出てからひっかかって故障があるということは、ウォーニングライトでパイロットにわかったわけです。交差点で青信号を出しておいて、自動車が走り出した、そしてひっかかった。そこにあぶないものがある、落とし穴がある。走り出してから赤旗を振った、そしてブレーキをかけて間に合わなくてどんと入った。これは人間工学上全くおかしい構造になっておるのだと、このことはちゃんと検討——私も実験してみましたけれども、ちゃんとそうなっております。こういうような運航規程であるとか整備規程その他でちゃんとできておる。さっきお話がありましたけれども、それが直されたブリティンが出ておるのでございますが、なおかつ、その位置が間違ったポイントでブリティンが出ておった。それはどういうふうにしてこういうお間違いをなされたのか、私は了解に苦しむ。かようなことをつくられるようでは、次の新しいジェット機なんかはもってのほかであって、もっとよく勉強していただいて、かようなことのないようにしていただかなければ困ると思います。それでないと、またまた同じことを起こす。これは全くパイロットは間違ったのだけれども、だまし討ちである。この位置が、サービスブリティンで出したこの位置が——ちょっとごらんください。この位置なんですよ。こっちのほうは少し前にやられて、ひっかかったのは先にひっかかった。この位置では、すでにウォーニングライトが消えている。
  90. 木村睦男

    委員長木村睦男君) ちょっと楢林参考人に申し上げますが、こちらからの質問ですから……。
  91. 楢林寿一

    参考人楢林寿一君) こういうカムがありまして、このボルトがここに下がったときにひっかかったのであって、これが改修されてサービスブリティンが出ているにもかかわらず、まだ上で、その位置になっているのです。こういう人間工学を無視したようなかっこうのものをつくられちゃ困る。もっとよく勉強してくれ。YSをつくられた、あれだけのものをつくられたことに対しては、最初からいろいろな苦労がありました。そのことについて私たちもいろいろ意見を述べたが、なかなかいれてもらえなくて残念でしたのですが、しかしやられたことに対して私は敬意を表します。ただし、航空界というものは日進月歩であるはず、でなくちゃいけない。しかしかかることをやっていることは、日退月歩みたいのかっこうだ。ほかの国はだあっと上がっている。わがほうは一ぺん事故をやって直ったはずだけれども、何をやったかわからぬ。日進月歩じゃなくて退歩している。こういうことでは全く困るのです。だからよく勉強していただきたい。  それからYS11の前のウインドグラスは、飛びますと、わずかな雨が降ってきても前はカーテンみたいになってしまう。横の窓をあけますと十キロぐらい見える、前はカーテンみたいにまっ白になってしまう。これでは、事故でなくても、ぶつからぬでもいい山にぶつかってしまう可能性がある。ああいったことは平生、いますぐできなくても、どういうウインドグラスのかっこうにすれば——その対策ということをよく研究しておいて、次の飛行機に生かしてもらいたい。そういうことが研究されておるという、実験その他がよくやられているということを、私はあまり聞いていたい。そういう実験を平生行なっておかないと、次の飛行機に対するところの発展にも何もならない。これはYSの設計その他やられた方々が寄り合い世帯であって、チーフエンジニアがいて全責任を持ってそういうふぐあいを直していくということができない状態にあったから、かかるようになったのではなかろうかと思うんです。そこらあたりは、日本航空機製造のあり方そのものに問題があったのじゃないか。その辺は技術的にもっとよくできるような措置を講じておかないと、世界の航空場裏においてYSは負けてしまう。世界はもっともっと進歩しています。とてもとても日本のVSは太刀打ちができぬと思います。  これは先ほどの人間工学ですけれども、カメラがありますね、ニコンのモータードライブ。あれのワンショットのスイッチを電気で動かす場合、シャッターを巻き上げた状態にしておいて電気スイッチを入れて、シャッターが切れて、写って、巻き上げてとまるというシステムになっております。ところが、シャッターが切ってあっても、電気スイッチを押しますと、まずシャッターとフイルムを巻き上げてシャッターが切れて、次にシャッターとフイルムを巻き上げてとまる。人間工学的に全くよくできている。そういったことがYSにもつくられる、飛行機にもつくられる。操作においては、人間というものは間違うものです。必ず間違うものだと考えなければならない。間違っておっても、次の操作によって、最初忘れておったことでもリカバーされてちゃんといい状態に胃かれる、というような飛行機につくっていただかなければ困ると思うのです。これはフランスの飛行機なんか非常によくできている。ミラージュたんか、非常によくできているそうです。それから日本に来ているアルエートなんかでもそうです。エンジンをスタートすると、どっかぐあいの悪いところがあると、すっととまって、自動的にスタート回したものがとまってしまう、エンジンをこわさなくて済む、そういう状態がつくられています。そういうふうにYSも今後研究していただきまして、いい飛行機をつくっていただきたい、そう思います。そうでないとYSはだめです。  それから安全性でございますけれども、飛行機の離陸につきましては、普通、滑走距離の中で離陸必要滑走距離長というのがあります。これは滑走路の端から離陸を始めまして、“速度になりましたときに一発動機が不作動になりますと、そこで両方のエンジンをぱっと締めて急ブレーキをかけると加速停止が——滑走路の端までにとまる、あるいはV1速度で片発とまってもそのまま上昇を継続しますと、滑走路の端で三十五フィート以上の高度をとりながら上がっていけるというのが離陸必要滑走距離長であり、飛行機の必要とする飛行機の性能であります。こういうふうにつくられている。いまの日本のローカル飛行場なんかは、千二百メートルですと、YS一ぱいにやりますと、とにかくこれは満足さして上がったとしても、この条件は、かわいた滑走路においてのみこの条件が成り立ちます。もしも雨でぬれたり、雪が降った滑走路の場合、“速度でとめようとしてエンジンを切っても、この過走帯——オーバーランを過ぎてもおそらく飛び出す可能性が多いのじゃないかと思います。これがもう少し長ければ、雨が降っても雪が降ってもとまり得る、こういう状態になると思います。ですから、これはちょうど汽車でいいますと踏切がある、踏切があれば、必ず踏切で衝突を起こす。汽車に注意すべしとか信号とか、そういうものがある程度、最低限は満足しているでしょう。しかし、踏切があれば必ずぶつかる。新幹線は踏切をなくして立体交差にしてしまった。その結果、踏切事故は一度も起きておりません。新幹線の速度よりも飛行機の速度は速いのです。ですから、少なくとも新幹線並みの安全性をつくるべきである。いまここに示したのは、国際基準の最低限には満足しておるであろう。しかし、それをもう少しプラスアルファーして安全性を増すと、飛行場をちょっと拡大すると、そうするとまた滑走距離の長い飛行機がそこへ入る。またまた、もとの状態になる。イタチごっこになるわけです。ですから、それに対する安全基準をもう少し上げておくということが必要かと思います。  なお、これをもっとこまかく離陸の加速停止について検討いたしますと、……。
  92. 木村睦男

    委員長木村睦男君) なるべく簡単にお願いし  ます。
  93. 楢林寿一

    参考人楢林寿一君) 運航規程でV1となるべき距離において各飛行機がなるだろうかという疑問がありますので、それを測定してみるためにいろいろ離陸の写真をとりますと、“となるべき距離においてB機種は半分くらい逸脱をした、C機種はほとんど逸脱してしまう、D機種は“になるべき運航規程にきめられた距離以内である。D機種の飛行機はとまりますけれども、C機種なんかV1と思っていたパイロットなら加速停止した場合飛び出してしまう。そういう品質管理の面が十分行なわれていないということがございます。これは非常に重要なことで、この関係は私が役所にいる昭和四十二年十二月に出したところで、こういうデータをとって調べてもらった。その結果、そういう結果が出た。そこで外国の例を調べてみますと、ユナイテッド・エア・ラインなんかは、V1マイナス十ノットという速度のときに、すでに離陸を継続した飛行機は大体助かっているけれども——これはまあDC8とか、そういう大きなものだと思いますが、V1よりちょっと少ないくらいでも、離陸をやめた飛行機は案外飛び出して事故を起こしている。そういうことを日本航空の運航重役から私は伺ったんです。その関係もあり、私が調べてみると、こういう結果だった。ですから、こういうことを常に、いい状態にあるかどうかということをいつもキープしておくためには——飛行機の運航を一々写真か何かで測定できませんから、飛行機の施設について、エアボーン・インテグレテッド・データー・システム、略してAIDSと通称言っておりますが、こういったものはジャンボや何かにつくられつつある。これを電子計算機にかけて、その性能をキャッチしていつもいい状態にするような方法をとればいい。しかし、これは非常に高いものです。各機については、これをつけることはまず無理だ。ですから、いまの宇宙開発ですね、アポロとか、そういうことについてはIC——そういう集積回路が非常に発達しましたから、そういったことを今後研究していただきまして、飛行機にも、こういう日本でできる安いAIDSをつけておいて常にキープする。これは運航上あるいは飛行機の整備管理上、常に役立つようになります。ですから、こういうものを将来研究していただければ、将来の安全に資することができると思います。ちょっと長くなりましたので……。
  94. 松田更一

    参考人(松田更一君) だいぶいろいろと言われておりますので、不足した、指摘されていないところだけちょっと、私が関知しているところだけ出してみたいと思います。  YSの問題点について私は、パイロットの方、整備士の方といろいろと話をしているわけですが、いま楢林参考人がおっしゃった以外の問題で一つございますのは、まあよくいわれますのは、上昇性能が悪いということは、これはよくいわれております。この上昇性能が悪い中で一番困りますのは、航空の管制上非常に困る。一分間に、夏場になりますと三百フィートぐらいしか上がらない。そうすると、管制官のほうで当然間隔設定をしたいときに、その間隔設定の関係で非常に——なかなか上に上がらないものですから無理が出てくるというような問題では、このYSは一つ大きな問題があろう。  それからもう一点は、これはシングルエンジン、シーリングの問題なんですが、いわゆる航空路をずっと飛んでいる。そのときに、片方のエンジンがとまったときに一体どうなるか。大体百三十ノットぐらいでだんだん降下をするそうです。そういうふうに降下した場合に、現在の全日空やあるいは東亜国内等で飛ばしておりますいわゆる航空路について申しますと、御存じのように最低安全高度というのがございますが、そういう最低安全高度以下におりる可能性の航空路もある。一つ申しますと、大子と新潟の間あたりになりますと、やはり問題が出てこようかと思います。で、こういった問題についても、もう少しテストのデータを明らかにしながらパイロットが安心して飛べるような方策をやはり航空路の上でも一つはお願いをしなければいけない。まあ特に皆さん言っておりますのは、そういったこととかウインドの問題がございますが、いまさっきもウィンドの問題出ておりますので、省略をしたいと思います。  それから調査制度の問題ですが、諸外国の件について関川参考人からちょっとお話がありました。で、私のほうでアメリカ、イギリス、フランスの三国の調査制度を若干調べております。それと、まあ現在の日本では海難審判制度しかございませんが、このことを言っておりますが、アメリカの件は関川参考人おっしゃいましたので省略します。  イギリスでは、あそこは日本の通産省に当たります商務省がやっております。そこに事故調査部というのがございまして、一九六六年七月に商務大臣に移管をされておりますが、大体この事故調査部において、事故調査官というものの調査と、もう一つは公開の審判ということで、二つの制度がございます。一つ事故調査官の調査については、イギリスの場合、まあ、いろいろと日本と同じような形をとっておるようでございますが、問題は、これは非公開で行なわれる。遺族がやはり納得のいく、あるいは一般の国民も納得のいく調査のために、主務大臣は、ものによって公開調査を命ずることができるというふうになっております。現在のように航空関係の専門家の少ない現状では、こういう公開調査というものをやはり日本では考えないといけないと思いますが、公開調査の場合は、イギリスの場合、大法官が任命する審判官が中心になって、大体、裁判所と同じようなシステムでやっておるようです。  それから、時間があまりございませんから簡単に申しますが、フランスの場合は、これは運輸省の民間航空総局、その中に民間航空監督部というのがございまして、その中で事故調査の任務をになっておるようでございます。それで、ここでは、普通は事故調査部の中に事故調査課が置かれて調査をしておるわけですが、それと同時に並行して、外部の専門家を参加させる必要があるときには、その事故内容の重大性にかんがみて外部の専門家を参加させる必要があるときは委員会を設置するという二本立てになっておりまして、その委員会は大体五人、委員長、副委員長一名と委員五人で構成され、委員長、副委員長のうち一人は運輸省から、それからもう一人は民間の航空界のほうからというふうに指名をされて、あと、その中に五名の委員をさらにやっておるようです。具体的にどういうふうな形でするかということについては、ここでは申しませんが、そういったことについては諸外国で一つの例があろうかと思います。  それから、今回の問題について森中先生がおっしゃいました、委員の構成についてどのように考えておるかということについて、私は、現在の委員の方の経歴とかなんとかということについては、まあ、よく申しましてわかりません。しかし一つだけ欠陥があります。その欠陥は何かと申しますと、いまさっき私、申しましたように、やはり遺族が指名するような調査委員とか調査官ですかね、あるいは、もう一つは、現場で現実に働いている中から出す制度、そういうふうな方向をやはりとらないと、現在の日進月歩の中では無理ではないか。非常に著名な方だけでやられている。現在の方について、そのことがいい悪いは別としまして、そういう点が不足しているのじゃないかというふうに思います。  それから事故に対する基本的な姿勢の問題で私、思いますのは、大事故が起きますとこういうふうな形で出ますけれども、はっきり申しまして、小型機の事故というのはしょっちゅう起こっております。特に農薬散布、あるいはヘリコプター、あるいはセスナの事故というのはしょっちゅう起こっております。こういうものに対してのいまの——先ほども私、申しましたけれども、事故調査の体制、要員、こういったものが徹底的に不足しておる。ですから、ほとんどそういったものについて徹底した訓練も受けておりませんし、この事故調査官というのが大体昭和四十一年の全日空事故のときに初めて制度として設けられたもんですから、調査官そのものもまだまだ専門的な技術的な勉強というのが不足をしている。しかし、不足をしていることはわかっておっても、現実の小さな事故に追いまくられている。そのうちに大きな事故が出てくるとどうにもならないという点がございますので、そういう意味での、もう少し基本的な姿勢としては——要員の確保とかあるいは訓練、専門的な研修、こういったものについて、先進国としてアメリカとかフランス、イギリス等ございます。そういったところでもう少し勉強させる必要もあるのじゃないか。そういう意味では、現在の運輸省のとっている姿勢というのは、われわれとしてはどうも納得できないというふうに思います。  それから理想的体制というのはなかなかこれむずかしい問題ですから、以上の問題の中でひとつしんしゃくしていただきたいというふうに思います。
  95. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  96. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 速記を起こして。
  97. 小柳勇

    小柳勇君 富永社長と、それから楢林参考人、松田参考人質問いたします。  富永社長には、東亜国内航空合併のごたごたが乗員に影響があって事故が起こったのではないかという情報が流れました。さっき公述の中でいろいろその点についても釈明があったようでありますが、現在乗員と会社との関係などは、社長がお考えになっておるいわゆる平常の状態にあるのかどうか。東亜国内航空の合併の問題につきましては、三月の予算委員会で私も取り上げました。いろいろ問題がありまして、今後の運営についても問題ではないかという発言もしたことがございますので、そういう関係もありまして、現状についてのお考えなり、将来に対する、乗員の日常の仕事ぶりに対する影響など考慮いたしますから、社長の見解をお聞きしておきたいと思います。  それから楢林参考人には、いま松田参考人が述べました海難審判的な恒常的な事故調査機関に対する見解をお聞きしたいと思います。  それから松田参考人に対しましては、一つは要員不足の問題を強調されましたので、具体的に質問いたします。これはあと、大蔵省からも来てもらっておりますので、聞くわけでありますが、事故調査関係、現在本省で八名ばかりが専任の調査官のようでありますが、このようなことではとうてい調査できないということがありました。したがって、人員が一体どのくらい必要なのか。それから安全運航のための運用の要員が不足しておるから、たとえ三カ年整備計画が実施されて施設が完全になりましても、要員の問題でこれはほとんど使いものにならぬという見解が述べられております。したがって、三カ年整備計画が進むと同時に、要員も教育しなければならぬし、訓練しなければならぬ。この要員をどのくらい緊急に充足したらいいのか、具体的な人員をお述べ願いたいと思う。それから運輸省の航空関係の機構の改正についていろいろ検討いたしておりますが、現在の運輸省の航空局の機構について、どうしたら航空が安全に運航できるか、機構改正について見解があればお聞きしたいと思います。  以上、参考人の御意見を聞きましたあとで各省に質問いたしますので、参考人から意見をお聞きいたします。
  98. 富永五郎

    参考人富永五郎君) ただいまのお尋ねに対して一言お答え申し上げます。  仰せのとおり、合併のとき、五月十五日、確かに乗務員の問題がございまして、東亜の乗務員全員が辞職というような意向を申し出ました。非常に大きな問題でございまして、その前から合併委員会というようなものをつくっておりまして、私が委員長でやっておりましたけれども、これほど事態がそういう事態になるという予想もしないことがそのときに起こりまして、私としては非常にショッキングでございました。しかし、そうは言うものの、この問題を解決しないとこれはたいへんなことになる、こういうことで、組合と鋭意折衝いたしまして、辞職ということじゃなしに組合のスト的な一つの手法であると、こういう解釈のもとにいろいろわれわれの今後の考え方その他をよく話しまして、それはまあ一応了解を得まして、十五日から始まったものが二十五日か六日だったと思いますが、一応、組合員が全部了承しまして、そのストの問題は解決いたしました。  いずれにしても、新しく二つ会社が合併しますと、労働条件その他運航規程、あらゆる面が全部違います。そういうものをできるだけ早く統一をしたいということでいろいろとこうやっておりましたが、こういうものが全般的にはやはり一つの安全運航、安全確保ということに対してはたいへん問題であろうと思います。しかし、今度の事故がそれに直接つながるかどうかというようなことは、私はいま早計にここでは申し上げられませんけれども、しかし、そういう状態というのは、非常に私としてはまずいなと思っておる次第でございます。私の長い経験からいいましても、やはりそういう気持ち、そういう社員全体がやる気十分というようなことで初めてその事業として、また安全運航の確保のために非常につながると、私は信念を持ってそう思っているのですが、そういうふうになっておらなかったときに私が社長になって、それができなかったということに対して、非常に、先ほども申し上げましたとおり責任を感じて残念に思っているわけですが、現在は一応そういう話し合いもしまして、事故後も乗員組合と一緒にいろいろな話をしております。先ほど申し上げましたとおり緊急安全委員会というものをつくりまして、われわれがこういうことをやらなくちゃいかぬ、必ずしも今度の事故に直接関係がなくても、会社全体の、組織の全体の考え方、また社員の考え方、それは社員一人一人が安全というものにつながっているというようなことを積極的に話をしまして、また緊急安全対策というようなことも大きな網をかけて、その中で一生懸命みんなでやろうじゃないかという話を乗員といたしております。しかし、そういう点に対しては、乗員はもう心から賛成してくださいまして、われわれと一緒にこの安全を期していこうという気がまえになっております、現在は。そういったことでございまして、残念ながら事故を起こしまして、ほんとうに申しわけないと思っておりますが、とにかく、やはり再建のためにはまず第一に安全、これを第一義として全社員一人一人が安全を確保する心がまえでやるというようなこと、特に乗務員に対してはそういう意味の話し合いをしまして、いま進んでおるところでございます。それで、近いうちに、前の日本国内航空の乗員の組合と東亜航空の乗員の組合が話し合いができまして一つの組合に合体すると、こういうような計画もできつつあります。こういうものができましたら、非常に内部の乗員の統制といいますか、いろいろな規制その他もほとんど一致しますから、そこで今後の安全確保に非常にプラスになるのじゃないかと大いに期待をしているような状態でございます。いずれにしても、私はいまこういう立場で、とにかくこの事件の収拾、その第一番は、やはり今後の安全確保ということであろうと思います。それに対しては全力を尽くして、いま全社員一生懸命やっているところでございます。そういうことでひとつ御了解願いたいと思います。
  99. 楢林寿一

    参考人楢林寿一君) 海難審判庁のような形、私はけっこうだと思います。しかし、その形が、行政機関をやっぱりしかるということができるような形でないといけないと思います。いまは、航空局がやっていて、自分の行政が悪くてやったことはたなに上げて、下の者だけおこるというようなことは、あり得ないとは言えないと思うのです。ですから、そういうことのないように、行政機関行政が悪ければ、行政の姿勢を正して、しかることができるシステムであることが必要であると思います。それからその討議は、特に事故関係しておる供述者は、事故の場合は拒否権がございません。供述を、必ずものを言わなきゃなりませんので、供述者の了解がない限り供述者の言を公開することは、これはできません。しかし物理的事実については、これはもうそういう情報についてはみな公開にして——全く物理的事実について、国家の密秘とか、安全を阻害することは私はないと思います。ですから、それは公開にして、だれでもがその検討の場を傍聴できるというような公用システムで検討されるべきである。そうすれば変なことは起きないと思います、そういうふうなシステムでもあれば、形はどういうかっこうでも。それから委員は、先ほど申し上げましたように、公正なる第三者によって編成された調査委員であること。それで、それの参考人は、協力者は、もうどなたでも、技術を持っておられる方であれば何でも、資料を出して、いい意見を言っていただくのがよろしいかと思います。
  100. 松田更一

    参考人(松田更一君) 海難審判について一言、私、言うのを忘れましたのでちょっと言いますと、現行の海難審判制度で最も欠けておる点は、その事故に遭遇した方が生きていない限りは、補佐人というのは——海難審判制度というのは、御存じのように、裁判官に当たる審判長と、検察側に相当する理事と、弁護士に相当する補佐人と、その三者で構成されておりますが、その中で特に補佐人は、その事故で生き延びないと補佐人はつけられない。となると、航空事故なんかの場合はもう全滅するということがたびたびあるわけですから、そういう意味では、遺族がそこの中で自分の指名する弁護士を補佐人として出せないような実態に、現在、海難審判制度の中ではございます。そういう意味では、かりに日本でつくる場合には、そういった海難審判制度の問題点はやはり問題かと思いますので、もし空難審判制度というふうな形のものができるのか、あるいはまあ別なものができるにしても、いずれにしても、三者がちゃんと、独立した三者が常に遺族の方も含めて指名できるようなそういった制度がやっぱりなくちゃ、単に海難審判制度そのものを採用するのは問題ではないかと思います。  次に、要員不足の問題でございますけれども、まあ先ほどからいろいろ申しました、やはり事故調査の問題について小柳先生のほうから何名くらいということをおっしゃっておるのですが、私もここでいますぐに何名というふうな形ではまだ議論が不足しております。しかし、少なくとも現在ば地方に、千歳、東京、大阪、福岡、ここに四名ずつ事故調査官を置いております。それから本省の航空局に八人おられます。大体二十二、三名だと思いますが、こういう体制ではどうにもならない。で、私いろいろと現場の方とお話をする中で、最低二倍から三倍程度の要員はやっぱり必要じゃないか。そうしないと、いまさっきも申しましたように、専門に勉強する時間も与えてやる必要があるのではないかというふうな観点からは、大体二倍から三倍ぐらい必要であろう。それからもう一つは、今回の五カ年計画、あるいは繰り上がりまして三カ年計画、これを実施する要員、この要員が、私ら議論をする中で、大体三百数十名程度は最低、技術者が必要であろうと、こういうふうに思っております。一つの例を申しますと、たとえば現在新ローカル空港といわれております大分、ことしの十月から始まります。それから鹿児島が来年の四月から新ローカル空港としてやりますが、はっきり申しまして、こういうところで働いておる方々は、大分なんかの場合ですと、往復約五十何キロ、現在の空港から五十何キロ離れておりますが、空港施設の監督——現在の空港の監督とあわせて新ローカル空港の新大分のほうにも行くということで、ものすごい労働強化になっております。こういうふうな体制ではどうにもならないということで、まあいまさっき申しましたように、手抜きの問題も出てくるのじゃないかということで、そこからお話しするわけですが、三百数十名は最低、五カ年計画の実施については、われわれ必要ではないか。もちろん、この三百数十名というのは現在の要員にプラスの話でございます。  それから、それができた暁の体制なんですが、いまたまたままた事故が発生したというふうなお話を聞いております。で、はっきり申しまして、いまわれわれ遭遇しておりますのは、沖繩とか成田空港、あるいは、いま申しました新ローカル空港の開設に伴いまして、端的な例を一つ申しますと、レーダーが一つ設置されるだけで管制官が最低五、六名はプラスされなきゃどうにもならぬわけです。これが二十四時間空港になると、さらにそれの五倍くらい必要になってくるというようなことでございますから、そういうふうな観点からいって、管制官と管通官、あるいは保守のための、いわゆる航空無線施設の保守あるいは空港施設の保守、こういったところを保守させるための要員というのは現行の約二倍くらいは最低必要じゃないかというふうに思っております。しかし現状では、沖繩、成田、新ローカル空港、そういったものにまず要員がついても実員が伴わないという悲しさもあります。そういった問題も、これは抜本的に待遇の問題とも関連させて考えない限りはどうにもならぬのじゃないかというふうにわれわれは見ております。  それから機構については、私たちは、そういうことで、いわゆるお役所の機構いじりというやつはあまり好きじゃありません。私たちは、いまのところ皆さん方やっておられる中で意見を出しておるのは、とにかく人間をふやしてくれ、その人間がふえる中で若干矛盾のあるところの機構は直せばいい。問題は、幾ら機構ができても、えらい人たちだけがたくさんできて、現場の人たちがどうしても不足する。そういう意味では、機構の前に、われわれとしては、いま申しました要員をまずふやしていただく、その中で、機構の問題についてはゆっくりと考えていただき、また是正する分は、機構いじりというのはすぐできるわけですから、私たちは、機構いじりよりは、まず要員を拡充すること、りっぱな技術者をたくさん集めることのほうが大切じゃないかというふうに思います。
  101. 小柳勇

    小柳勇君 ありがとうございました。
  102. 木村睦男

    委員長木村睦男君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  103. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 速記を起こして。
  104. 藤田進

    ○藤田進君 全日空も過去の事故の実情から見ると非常に多発しているように思いますが、いまの実態は、自衛隊機との関連は後日もう少し事実が明らかになってから調査を進めたいと思いますが、今次「ばんだい」号について見ますと、富永参考人にお伺いいたしますが、どうも今度の事故で遭難された方をはじめ遺族等まことに申しわけのないことになりまして、これらをずっと見てまいりますと、運輸省の航空行政、ことに企業合併等がかなり時間的にも非常な無理があったように思うのです。当初、全日空と東亜航空の合併ということでいろいろ運輸省を中心に折衝が持たれながらも、東亜航空側の強い抵抗もあり、これが実現しないまま突如としてわが国に民間航空会社三社といったようなことで、東亜航空あるいは国内航空の合併、ことにいま指摘されたように、労働関係も未調整のまま、かなりの黒字経営を合併当時は続けていた東亜と、相当の欠損続きの国内航空といったような、そういったいわば経理実情も大きく違う中に従業員の不安というものもあり、パイロットの総辞職というようなことにもつながってきたように思うのです。今日、東亜国内航空を見るときに、合併直後の事故でもあり、そういった面にかなり精力を社長以下注がれてきたと思いますが、しかし、全般的に見て、まだ合併という一つあと始末ないし正常化、社内業務というものが軌道に乗っていないような心配があります。これは空港等で見ましても、そのことがよくあらわれております。いまの「ばんだい」号に対する概括的説明は承りましたが、以上申し上げた合併後における業務運営という点が、社長とされて、どういうふうに現状把握されているのか。私は、まだあるべき会社運営の姿になってないままに事故があったように思うのです。  それから第二は、これはまあ事故が大きな要因ともなるでしょうし、それは今後の整備その他も付随いたしますし、当然やるべきではありましょうが、ただいま申しました会社経理上の実情というものが、今期決算見込み等々から見てどういうふうになっていくのか、こういった点が第二点。  それから楢林参考人お尋ねいたしますが、非常に詳しいデータを図解しながらの説明で参考、勉強になりましたが、どうも聞いておりますと、函館のみならず、全国各地の空港についてオーバーランその他あるいは着陸時等、かなり事故が起こり得べくして起こるような施設のようにうかがえるわけであります。全国地方空港それぞれ御説明するだけの時間はないかと思いますが、私どもで若干調査しておりますものだけ見ても、政府がいう第二次整備計画の三カ年に繰り上げといったところでは、まだまだ納得のいかない、早急に手を打つべきものがあるように思いますが、特に危険視される空港等について御指摘をいただけば幸いだと思います。  それから、いま起きた空中衝突、墜落ということは、お答えいただくことは、その具体的事例では困難かと思いますが、まあ、あの広い空で、海でも衝突はありますけれども、一方、自衛隊機は有視界飛行、一方は計器飛行というふうに報告されたように思うのですが、これなども、まことにどうも当然なことだということであってはなりませんわけですが、一般的にいって、こういう空中衝突ということは、間々、世界にはあることを聞きますが、非常にまれなように思われるので、本件に関連して御所見を承ってみたいと思います。まず、お答えをいただきたい。
  105. 富永五郎

    参考人富永五郎君) ただいまお話のありますとおり、合併の時点で確かに乗員が辞職するといった状態で非常に悪い姿で発足しております。しかし、これはその以前から合併委員会で私が中心になっていろいろ準備をしておりまして、まあ、一応新しい航空政策の方針に基いて、その予定のように実行しようとして大いに努力しておりまして、その時点におきまして努力している途上には、私自体は十分うまくいくというような考え方をして、五月十五日合併に踏み切ったわけでございます。しかし、実際には、私の力も足りないこと、その他いろいろなこともありましょうが、私の期待どおりいきませんで、非常に申しわけなかった、社会的にも非常にお客さま方に迷惑をかけまして、長い間ストをやったということもあったということが現実の姿でございました。その後、非常にそういう意味では乗員その他組合と相当に話す、その他いろんな会合を持ちましていろいろと努力しておりましたけれども、それがまたこの大きな事故、こういうことでございまして、どうも私方の力の足りないところがそこに確かに出ているような感じもいたしております。反省しております。先ほど申しましたとおり、今度の事故が直接こういう原因だというようなことは私はわかっておりませんけれども、何か会社を取り巻く全般をひとつ大いに見直そう、こういうようなことで、これが緊急安全対策でございまして、組織全体の、われわれが考えての弱いであろうというようなところを十分に検討しまして、一〇〇%じゃなしに、一二〇%のところを考えて実行しようじゃないかと、こういうようなのが現在われわれのやっているところでございます。先ほど申しましたとおり、これから組合その他との関係も、この事故をきっかけにというと非常に失礼でございますけれども、やはり会社のピンチということをみんなが、社員一人一人が自覚してやるという気持ちになりつつあると実は思っておりますが、それを期待しながら、いま最善の努力をしているというのが現況でございます。  なお、経理上の問題の御質問がございましたが、今年、四十六年度四月、五月というところまでは一応順調と申しますか、仮決算的にはある程度の利益を出しておる状態でございます。ただし、これからこの会社がジェット化その他新しい考え方でなお事業を伸ばすためのいろいろな資金的なやり方、そのほか訓練その他にはかなり金がかかります。そういうものを入れますと、必ずしも、四十六年度は非常にかつかつのところではないか、利益をあげるということにはならぬと、こう思っております。しかし、これも先へ行って伸びるためのいろいろな経営でございますから、これに対しては積極的に事業として進めていきたいという私の考えでございます。ただし、安全ということを第一義に、安全を基盤にしてジェット化なり大型化なり、これはもうあくまでも忘れずに、そこを中心にして考えて、事業を伸ばすための資金計画その他はいたしつつ、この会社をりっぱに育てていこう、また、そういう将来の目標を社員として持っておりませんと、会社全体のモラルその他、やはり意欲というものがそこに出てきませんので、私としてはそういう考え方をいましながら、経理上は必ずしも十分と言えませんけれども、この四十六年、四十七年は苦しい中でも将来の発展のために相当な経費をつぎ込んでやっていきたい、こういうふうな考え方をいたしております。  以上です。
  106. 楢林寿一

    参考人楢林寿一君) 飛行場の施設の問題で、地方空港の、千二百メーターの地方空港におきます特に問題点、悪い点と申しますのは、飛行場の滑走路の先の、オーバーランの先が断崖絶壁になっておりましたり、こういうところがたいていの場合ぐあいが悪いですね。たとえば、まず八丈島、それから大島、その途中の三宅島——三宅島は特にこのかどが取れているのを直したりしたんですけれども、西風が吹きますと、あの山の裏の気流がものすごく悪い状態になって、私どもで最初に試験飛行をDC3型でやりましたけれども、この着陸コースのここへ入ってきますと、飛んでいて飛行機がふわっと、こう浮いちゃうんです。そこでかじ一ぱいとって、こんなになって飛んで、なかなか戻らない、もうこれはやめてくれ言うて、そのときのパイロットにやめてもらったんですけれどもね。もうたいへんなことです。そういったところのことにつきましては、これは私やっぱり大手町に航空局のあるときから、飛行場をつくるときに、風洞実験をして十分な対策をつくってからつくるべきであるということを気象庁から来られた杉浦さんに話したんです。これは気象庁の所管じゃないかというわけで、ずいぶんやっておったんですが、やっとこの間、相馬さんがテレビでやっておられましたね、あの実験がやられるようになったんです。そういうふうな風洞実験をやってからつくると合理性があるんだけれども、それがなされていなく、ただ計画だけでつくられるということで、非常に私は順序が逆じゃないかと思っております。こういうところは、私、小さな、こんなおもちゃみたいな煙風洞を持っておりますものですから、それで、こんな状態ではどういうおり方をすればいいかということを検討して、大体の要領をきめましてやっておりましたけれども、そんなことでは傾向だけわかる程度で、ほんとうの意味の実験とは言い得ない、二次元風洞ですから。ですから、三次元で、よく、どちらから風が吹けばこの地帯ではどういう悪気流が出るので、着陸してくる飛行機は速度が非常におそいです、非常にどちらかというと失速に近い状態になりますので、大きな突風がきますと、なかなかかじもきかないということでございますので、それに対する接地点の問題とかいうことを、風の影響のない降下進入ができるのを、合理的に科学的に裏づけした状態をつくるということが必要だと思います。そのためには多少いまよりも滑走路を長くしたり、いろいろなことが必要になってくると思います。それはそういう実験をした結果わかるのであって、いますぐどれだけかと私に聞かれてもちょっと困る。そういった飛行場は日本にたくさんございます。いま先ほど申し上げたほかには奄美大島の飛行場とか、白浜ですか、そういった飛行場、それから青森の飛行場、そういったところをやっていただきたいと思います。また、断崖絶壁ですと、こちらから着陸していって、雨の日、とまろうとしても、これ、とまりませんですね。ここでとまりそうになっても、どんと下におっこっちゃったら——ここが平たければ飛び出しても、たいして、痛い痛いぐらいで出てこれるものが、ごろごろとなったら、それこそ回って、タンクに火がつくという悲惨なことにならぬとも限りませんので、こういったことに対しては、ちょっと横のほうに、できたら広げるようにしておいて、飛行機が行ってもぐるっと回ってそっちへすわってしまえば助かると、そういう逃げ場でもひとつつくっておけばよろしいと思いますね。そういういろいろな方策は、よく研究をしていただけば対策はできると思います。  それから空中接触の件でございますが、空中接触に対しましては、接触しないように地上から管制でやる、お互いの飛行機をコントロールするということのほかに、将来の——非常に将来の姿を申し上げますと、地上の管制施設というものは、ある空域ごとをX、Y、Zの立体空域に全部を分けまして、それをそれぞれ連結するのです。どの飛行機がどう飛んでいるかは計算機にかけておきまして、各飛行機の飛行方向、速度、そういうものを常に計算されておる状態に置く、これはスペースの管制方式か、または、ある空域の管制方式と言ったほうがいいんじゃないかと思います。  それから飛行機同士の衝突予防にアンチ・コリージョン・システム——飛行機同士がお互いに近づいたならば、向こうは、こっちに飛行機がいるぞといったら操縦をそっちに切れ、逃げてやれというような方式が開発されつつあるんですけれども、これも非常な電子装置が要りまして、なかなか実用の域に達しておりません。しかしながらこういったものの研究は、不断の努力をしておけばできるだろうと思います。これは、たとえば戦時中、日本の特攻機がアメリカ軍にずいぶん落とされた、向こうの高射砲のたまにはVT信管というレーダーがついておる、それで日本の金属機が飛んでくると、もう照準せずにそっちの方向へ向いて撃つ。そうしますと、VT信管は、ちょうど小さなレーダーで、反射して、その反射の距離をはかって、有効射程の中に入りますとこれが爆発するんですね。これで飛行機がやられてしまうんです。日本の特攻機、金属機がやられてしまう。ですから、案外古い練習機のようなもので行ったやつは、たまが抜けてしまって、それで命中している。だから、VT信管のようなものができるんですから、そういったものをうんと研究して、相手の飛行機が近づいたときにだけ感ずるような方法を開発すれば、衝突予防というようなものもできるんじゃないかと、そういうふうに考えます。これはしかしよく勉強しなければいけない。ですから、日本はエレクトロニクスに対して発達しておりますし、逆に経済的にいいますと、ICとか、こんなに小さなもので非常に高く出るものです、日本みたいな資源のない国では、そういうものをよく勉強して、世界各国に売りつければもうかりますし、また、そういう宇宙開発や、たくさん税金を使ったものを民間にフィードバックしていませんですね、民間人の福祉に返らないんですから、そういう技術をそういうところに研究させて、衝突予防とか、そういうことを研究させるような状態をつくれば、今度の衝突は、将来は防げるんじゃないかと思います。
  107. 藤田進

    ○藤田進君 富永参考人に引き続きお伺いいたしますが、合併以前の経理状態、一足す一、これを私が見ますと、こういう事故というものに遭遇しなくても非常に困難な会社運営になるだろうという私は予想を持っておりました。さて、いろいろ今後の防止対策等、とにかく万全を期したいということのようでありますが、しかし私企業であり、これは単なる公益事業に生き抜くというだけにもまいりますまい。国の特殊会社の形式も整えておりませんし、いたしますと、自然ここには経理上の制約というものも出てくるように思うのです。まあわが国の航空産業、特にこういった危険性を多分にはらんでいるわが国の気象状況なり、飛行場の実態なり等々からいたしますと、私企業にゆだねておくべきかどうかというむしろ私は議論をせざるを得ないのであります。私企業で、そういった万全のパイロットその他の資質あるいは設備の更新その他膨大な資金を要するものも、単なる私企業にこれをまかせるということが、これが本来であるべきかどうかということについては、私は疑問を持ちますが、それはそれとしても、今後私企業として生き抜かれますためには相当な努力が必要でしょうが、いまいわれているのには航空の料金改定が問題になっています。この点どういうふうに近い将来をお考えなのか、これが第一点であります。  それから第二の点は、多くの犠牲になられました方々の補償、特に遺族の補償等について、今後これらの被害者の要求等を待たず、率先して十分な、お説のような手当てをされる必要があろうかと思いますが、新聞紙上等で見ますと、まだ一部が見舞いをされたように伝えられておりますが、この遺族補償等について具体的にどうお考えか、あるいはその補償基準等はどういうふうにお考えなのか、内部の諸規程等にはこだわらないで、十分これが補償をしたいという趣旨の説明がございましたが、その内容がまだ伺えておりませんので、これらの点、できるだけ詳しく御説明をまずいただきたいと思います。
  108. 森中守義

    森中守義君 関川さんと楢林さん御両人に、いまのに関連したことですが、例のヘーグ条約によって国際的な補償金がきまっておるわけですね。それを受けて、たしか四十二年に、改定された条約の批准が行なわれたはずです。その後かなり年数がたっているし、おそらくヘーグ条約の再改宗ということが国際会議等で議論になっておるかどうか知りませんけれども、現行のへーグ条約に基づく、それを受けた約款の補償金額というものが適当だという評価をお持ちであるかどうか、これをいまの質問関連して両参考人から同じようにひとりお答えいただきたいと思います。
  109. 富永五郎

    参考人富永五郎君) いまのお話でございますが、国内航空の五月十五日までの実態、これはまあかなりここ数年前は大きな赤字でございましたけれども、年々赤字を克服しまして、一応は赤字をなくしまして、今度の四十五年度の三月決算はそういう形になりました。しかしこれは御存じのとおり、日本航空と国内航空が合併しないということのために、いままでいろいろ、もらい過ぎと申しますか、そういう問題がありますので、これがそのままの状態であるかないかは今後の問題になると思います。この問題に関しましては、第三者の委員の方、政府と日本航空と東亜国内航空の推選する三人の委員の方、良識のあるそういう方々にいろいろと検討していただいてこの御方針に従う、こういうことになっています。ですから、その問題を離れますと、旧日本国内航空は一応いままでの赤字を解決しまして相当いい姿になっておったと、こういうことでございます。東亜航空のほうも一応合併の五月十五日におきましては損益ゼロの状態で、われわれの合併が行なわれたことになっております。まあ、そういう見方からして、実はかなり、将来のために、いろいろな投資をする、その他そういうことを一応抜きにしまして考えますと、現在のYS11二十八機が——一機こわれまして、二十九機でございましたけれども、二十八機の運航その他の計画によりますと、四十六年度は、それほど悪い状態ではないと私は思っております。ですから、この問題は一応そういうことを基盤にして将来の問題と取り組んでいって私企業で私はやれるんじゃないかというふうな、これは一人よがりと言われればそれまでですが、私としてはそういうような考え方をいたしております。  それから運賃値上げの問題でございますが、これは今年の政府の御方針で航路関係の経費をわれわれがお払いするというようなことになっております。まあそこら辺が去年並びにことしの前半から比較しますと、かなりの経費になるということでございます。まあこれらを、今度八月から往復割引きというものをなくしたり、それから将来だんだんそれが大きくなりそうでございますから、運賃値上げというような問題も一つの問題として来年度あたりからはそういうものが出てくるのではないかという、できればそういうようなことが望ましいと私自体は思っております。  以上です。
  110. 藤田進

    ○藤田進君 それから遺族補償。
  111. 富永五郎

    参考人富永五郎君) 失礼いたしました。遺族の補償の問題、先ほど申し上げましたとおり、実はまだ具体的な数字を申し上げるまでいっておりませんけれども、いろいろその関係の保険会社並びにいままでの実態その他あらゆる資料をもちまして、一応の基準的な、ベースになる数字をできるだけ早くきめておきたいということで、いま一生懸命やっておるところでございますが、まあ来月早々ぐらいからそういう数字をもって遺族に接触したいと、こう思っている次第でございます。その間、運送約款によりますと六百万円になっております、しかし、こういう運送約款とかいうものだけに縛られることなしに、もう少しあたたかい気持ちで誠心誠意遺族と話をしまして、あるスタンダードをきめながら、この問題をできるだけ早く円満に解決したいというのが私のいまの考え方でございまして、これもできるだけ早くやらなくちゃならぬということもわかっておりますが、いま基本的な最も大事な問題を各関係のところと折衝しているところでございます。本日ここでは、数字をどのくらいにするかというようなことはまだお答えできないところでございます。それはお許し願いたいと思います。
  112. 木村睦男

    委員長木村睦男君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  113. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 速記起こして。
  114. 関川栄一郎

    参考人関川栄一郎君) お答え申し上げます。  人命を金で換算するということは非常にむずかしいことで、絶対的なよりどころというものはございません。ですから、現在の補償額が高いか安いかということについて一がいには言えない問題であると思います。御承知のように、現在アメリカの国内及びアメリカへ出入りする飛行機に乗っているお客、これに対する補償額が十万ドルでございます。三千六百万円でございます。これが一つのよりどころになるのではないかと思います。現在わが国の高い物価水準その他経済的な生活条件の向上というようなことを考えますと、一応この三千六百万円というあたりが最低の水準になるのではないかと思います。
  115. 楢林寿一

    参考人楢林寿一君) やはりいま関川さんのおっしゃられました数字はいいところでないかと考えます。だいぶ、十数年前にアメリカの航空輸送会社の飛行機で犠牲になられた方の見舞い金と申しますか、それは航空会社の保険金としては五万ドル、それプラス航空会社の見舞い金として五万ドル、計十万ドルを出されたそうです。ですから、それから考えまして現在の十万ドルは、おそらく航空会社はほかに見舞い金を出すんじゃないかと思います。  ヘーグ条約の関係は、もうすでに時期も相当たっておりますし、これは改正すべき時代にきておるのではないかと考えます。
  116. 田代富士男

    田代富士男君 きょうは、交通問題の中で特に航空機事故をいかにして今後防止していくかという、そのために過去のいろいろな原因等さまざまな問題から検討されている最中に、ただいま報道がありましたとおりに再びこのような全日空の727と自衛隊機がいわゆる衝突をしたということは、ほんとうにわれわれもいま委員会の中にありまして何か狂ったところがあるのじゃなかろうか、それは天災としてこれを済ますべきであるか、あるいは人災としてこれを済ますべきか、このように大所から考えていった場合に、私はこの問題につきましては、過去の航空機事故の問題はあまりにも原因調査という面におきまして不明に終わってきている。事故を起こしたならば、起こしたものは再び戻りません。その事故の中から建設的な、今後再び事故の起きないようなそういう道といいますか、教訓というものを生かしていかなくちゃならない。こういう点があまりにも不明瞭と言えば、ことばに差しつかえがあるかわかりませんけれども、私はそのように受け取っております。国民自身の考え方も、おそらくそういう問題があるのじゃなかろうかと思います。特に最近におきましては「ばんだい」号の事故が起きまして、世間もこの事故というものに対しまして痛烈な非難をしております。その直後には、千葉県の沖におきまして自衛隊機が墜落しております。今度は——いままではそういう旅客機、自衛隊機と単発的でありましたが、今回は、いままでわれわれの知る範囲内におきましては初めての接触事故で、ただいま十四人の遺体が発見されたというのならばもう全滅ではないかと思う。そこで私は、このような原因が不明で終わらないためにも、これを何とかはっきりしていかなくちゃならない。そういう意味から、きょう幸いにもこういう航空機事故の神さまと世間でいわれていらっしゃいます楢林参考人がお見えになりました。私は偶然にも先日の全日空機の事故の遺族の方から裁判の資料を預かっております。私がここに持っているこの資料でございますが、この資料を楢林参考人に一回ごらんいただきまして、私は御意見を伺いたいと思いまして前に、きょうお渡しいたしましたが、このページの三〇ページのところに「(二)本件事故機の異常状況について」と、三〇ページから三一ページにずっとそのように続けられておりますが、特に私は第一番目にお伺いしたいことは、第二番目の「(二)本件事故機の異常状況について」というところに書かれてあるところをお読みになりましてどのようにお考えになっていらっしゃるかということをまずお聞きしたい、これが第一点でございます。  第二点は、調査団が原因不明の結論を出されたときには遺族の方々は何ともやりきれない気持ちじゃないかと思います。いまもこの問題については出ておりますが、そこで、こういう航空機事故ということにつきまして、世界的に見て原因のはっきりわかる場合と、これがはっきりしない場合とあると思います。どちらが多いか、そういう点からまずこれをお尋ねしたいと思いますが、今回はほんとうに原因はわからなかったものであるか、全日空機についてどうお考えであるか、楢林参考人の御意見をお伺いしたい、これが第二点でございます。  それから第三点につきまして、いま私がたびたび申しましたとおりに、一つ事故の原因を解明してこそそれを今後生かしていくことができます。しかし、いままでの事故を見た場合にそれが不明瞭である、そういう点から考えれば、今回「ばんだい」号の事故が起きまして、その調査団が構成されたのでございますが、これが再びいままでと同じようなそういう結論——まあ出されておりませんから、私はどうなるか確定するわけにもいきませんけれども、再び同じようなことになるんじゃないかという心配を持つ私一人でございますが、そこで今回の「ばんだい」号事故調査団の構成についてどう思われるのか、われわれは専門的なことはわかりませんが、楢林参考人は専門的な立場からどのようにお考えになっていらっしゃるかということを第三点にお尋ねをしたいと思うのでございます。  次に、松田参考人お尋ねしたいと思いますが、いまもたびたび現在の事故調査の体制並びに要員を完備していかなくちゃならないという参考的な御意見を多々お聞きいたしましたが、要員が集まらないということが、そういう技術者になるといいますか、希望者が少ないというのが、仕事がオーバーワークになっているんじゃなかろうかと。待遇の面、そういう点におきまして、一個人のそういう面が、とうとい多くの人命を損傷するような事故が起こりかねないような、そういうような職場の待遇改善とか、そういう希望者がどんどん集まってくるとか、そういう面から、ただ単に要員が足らないというんじゃなくして、今後現況から考えて端的にどうやっていくかと。このように連続をしております事故にあうたびに改善しますでなくして、先手を打っていくにはどうあるべきかという根本的なお考えについてお願い申し上げたいと思います。  次に、関川参考人お尋ねいたしますが、きょうは、ただいまも話が出ておりますが、全日空機の727は二万八千フィートで計器飛行をやっていた、自衛隊機は有視界飛行であったと、そういう場合に、もちろん地上でもコントロールするという意味のお話がありましたけれども、自衛隊機に対しましては、おおむねその時間にはその路線を全日空機が通ることが事前にわかっていたはずじゃないかと、にもかかわらずこういうことが起きたということは、まだ事故を確認せずして確たることはお話はできないかと思いますが、いままでの豊富な経験の持ち主でございますし、関川参考人からそういう点についてお伺いし、またこれは、われわれは航空関係の詳しいことはわかりませんが、「ばんだい」号の場合にはそのまま航空機が山ろくに突き刺さっているわけで、この場合には、乗客もおそらく機長がこれを言わなければ何も知らずに済んだはずです。しかし、今回の全日空機の場合は、少なくとも有視界でできるということは、まあさほど東北地方の天候も、まだ私調べておりませんけれども、晴天に近い天候じゃないかと、接触した時点におきましては、おそらく乗客もああ事故が起きたなということは全部わかっていると思うんです。その事故が起きたなとわかったならば少なくとも、いま十四人の遺体が見つかったということでございますが、一人でも二人でも——緊急用の落下傘の施設があります。全日空の飛行機には完備されていたかどうか、これは後ほども問題になると思います。おそらくついていたことは間違いないし、もしもこれがついていなかったならば、これは大問題です、そういう施設が備えてなかったら。もしもそれが備えてあったならば、たとえ一人でも二人でも、百六十二人のうちにおそらくそのように脱出できるような時間がなかったのかどうか、私はしろうとでございますから、その点がわかりませんが、人命尊重という点から、私はそういう点につきまして参考御意見を聞かしていただきたいと思います。  以上で私のお尋ねを終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
  117. 楢林寿一

    参考人楢林寿一君) 全日空の東京湾の727の事故についての裁判原告、籔谷さんほか三名の原告に対しまして、被告側、全日空側からその原因の内容について法廷に出されました「東京地方裁判所民事第二十四部御中」「準備書面第四」と書いてございますが、これはきょうの十一時五十五分にいただきましてざっと読んだもので、まだこまかく読んでおりませんので、その点はお許しくださいませ。  ここに書いてありますことのおもなことは、事故原因といたしまして、第三エンジンの問題と、特にスタビライザー機構の故障ということを主として書いてあると思います。両方とも、この件をもちまして、この全日空から出されましたことにつきまして、この内容を否定するに足るだけの強い資料は、私は記憶ございません。  スタビライザーにつきましては、私はいままで外部に一切言わなかったのですが、二〇%ぐらいまだ発表するには早いという鑑定がございまして、スタビライザーの異常については、一切私は発言していないんですけれども、エンジンにつきましてはもう非常に確実でございます。それで事故の原因は、私は、全日空に関する限りははっきり出ると、それはまだ非常にこまかいところについては非常な実験その他が必要で、わからない点もございますけれども、とにかく東京湾についてははっきり出ると、すなわち逆に全日空側から出されましたこの裁判準備書面は、まさしく私の言っていることを——こまかいところについては多少違うところがあるかもしれませんけれども、大体の大筋は私の考えていることとほぼ近いと申し上げて差しつかえないと思います。  それから世界的の事故の統計でございますが、私そういうことをあまり調べておりませんので、実はだいぶ古い資料でございますけれども、昭和四十年ですからずいぶん前の資料で、「I&AIEGの報告による一年間の航空事故の傾向について」という書類の中でいろいろ状態を分けて出しております。その間、報告された事故という百三十四件のうち、運航関係が二四・七%、機材関係が五一・五%、その他、不明とか、外的条件というのがございます。それから「機材、人身上の損害のあったもの」として六十六件とありますが、運航関係は二八・八%、機材関係は四〇・九%、外的条件、その他、不明とかいうのがございます。こういうかっこうになっております。  それから「ばんだい」号の故障でございましょうか。
  118. 田代富士男

    田代富士男君 はい。
  119. 楢林寿一

    参考人楢林寿一君) 「ばんだい」号の故障は、私はいまのところ全くわかりません。
  120. 田代富士男

    田代富士男君 その調査団。
  121. 楢林寿一

    参考人楢林寿一君) 調査団に関しましては、先ほど申し上げましたように、調査団長の守屋先生、これはりっぱだと思います。実は守屋先生は、四十一年度の事故が起きましたときに、一番最初羽田に起きましたカナダ・パシフィック・エアラインのDC8の事故調査団長に最初なられました。そのときに、私ども最初その場に行って調べて、あくる日ちょっと現場に来られたんですけれども、こういうことをおっしゃられました。私は一日おいて見たと、きのう見られた人たちのほうがもっと——きのうの状態を話してくれと、それで、その状態を申し上げたんです。そうしましたら、あとから、何といいますか、諸君たちで気がついたことは何でも言ってほしいと、それで、その中で言われたことについての責任を全部私がとると。それからこれについて、次々のことをやりたい、まず私でしたら三つぐらいやろうという現状についてのことを考えます。そのときに守屋先生は、私の考えた三つのことは入っているし、その次に二つも三つも四つも、これはむだになるかもしれぬけれども、一緒にやりましょうというふうに、実にすなおな、レールについてさっと走るわけです。ですから、次にまた、これやった後に何が要る、その次はこれだと思うところにちゃんと入っていくという状態で進みます。ですから、私どももう口に出す必要は全くなかった。かしら右でしまして、よろしくお願いしますということだけでよかったです。それに引きかえ、ほかのほうの727なんかは、私自身は全くあきれ果てた調査団だと思います。これは全くあきれ果てた調査団だと思う。それは中には非常にいい人もおられます。しかし、数人のあきれ果てた人たちのために、いい人たちが非常に迷惑をこうむられたと思います。こんな調査団では全く私は、原因は出ないと言っても過言ではないと申し上げておきます。その一つの例を見ますと、私は調査団の内容については、何か話すことは困るんだが、ほかの物理的事実については何を話してもいいんだと、航空局長さんからそういうお達しを受けております。これはうちの録音テープにちゃんと入っている。証拠に残してあります、何か問題が起きたときに。それで、それに従いますと、これは調査団以外のことですから、ある委員長に写真をとってきまして持っていった。それで、こういう点がぐあいが悪いですから、よくお考えくださいと申し上げたんです。これは調査団会議以外の席上ですから申し上げた。そうしたら、その写真は報道関係の人には見せるなと言うんですよ。私は、はいと言ったんですけれども、私がとった写真は海の上でとった写真を集めておるんですから、私のとったフィルムよりも報道関係の人たちはもっとふんだんに写真をとっておるわけですよ。私はどういうことを言われるのかと思ってもうあっけにとられたけれども、はいと言って帰ってきましたけれどもね。これではとても問題にならぬですよ。もう報道関係ちゃんと先にとっているわけですね。こういう調子ですから、とても問題にならぬと申し上げておきます。  それから今度の「ばんだい」号の委員長はいいんですが、問題は、副団長の佐貫さんは、やはりYSHの原因不明の委員長であったし、ボーイング727の委員にも関係しておられた。先ほど申し上げました原因不明病の潜伏期間にあるかもしらぬ。やっぱり外国——コレラを通ってきた人であるならば、これはやはり入ってきた人が潜伏しておれば、水ぎわ——空港なら空港とか船でちょっと隔離して、だいじょうぶかどうか確かめた上でなければ入れませんですね、国内に。ですから、私が佐貫さんだったら、そういう疑われるような場合だったら、私は頼まれても調査団は辞退しますね。私は、佐貫さんの立場だったら辞退する。  それから、先ほど申し上げましたんですが、運航関係ではおそらく航空局から頼んだ日航の長野氏、全日空の江島さん。江島さんは全日空といっても日航から行った人です。しかし、東亜国内航空の社長さんは日航から行った人です。そうすると、ちょっと血族関係になりますね、これ。裁判では、裁判官を選ぶときは、血族関係とか、その事件関係のない公正な第三者の判事さんを選びますね。ですから、そういう公正な第三者の判事さんに相当する事故調査委員を編成していただきたい。この人たちはむしろやはり事故調査参考人とか協力者とか資料を提出するとかいうことならば、こういうふうな作業をやっていただくのだったらもう大賛成です、いい人たちばっかりですから。こういうふうなやはり姿勢を正した形で行なわれないと——多少でも疑われるような形でなく、公正なる状態ですね。しかも、できるなら、そういう議論個人の秘密——供述者のあれは何といいますか、供述内容の場合なんかは、その人は、事故調査の場合は拒否権がございません。ですから、この人の言ったことを発表することはできないんですね。供述者が発表してもよろしいと言われればそれはいいと思います。それから遺体とか何かの個人的ないろんなことについては、これはやっぱり個人の秘密は守らなければいかぬと思いますけれども、物理的事実については、これはやはり国家の安全その他に何も関係もないと思いますから、これはしてやらないと、遺族側がその損害賠償訴訟を起こそうとしても、証拠が何も——727のとき、こう壁に隠しちゃって見せないわけですよ。全く見せない。それを適当な時期に公開するといっても、ぞろぞろぞろぞろは困ると思いますから、それは代表とかそういうのをきめて見せてやる。そうしないと遺族側が裁判にも持ち込めないということになる。ですから、これは遺族側の何といいますか、結局憲法で保障された基本的人権というものを侵しておるんじゃないか。だから、遺族にはやはりそういう機会を与えて、裁判を起こされるなら起こさせる。調査団が原因不明で何もわからぬ、どこをだれを相手どって損害賠償をやればいいのかさっぱりわからぬという状態では、基本的人権を侵している疑いがあるじゃないかと思いますので、ひとつこの点は先ほども行政管理庁長官によく研究していただくようにお願いしたんですけれども、こういうことはやっぱりちゃんとしてもらうという形でそういう委員を選んでいただければ、私はもう非常に満足だと思います。
  122. 松田更一

    参考人(松田更一君) ただいま御質問でございました現在の要員の問題でございますけれども、まあ先ほどから私るる申しますように、いずれにしても、基本的な施設をつくるための技術者の問題と、それからそのでき上がったものを安全のために使う技術者の問題と、この二つあると思うんです。  で、いまの第二次五カ年計画では、そういう基本的に安全上必要な施設をつくる技術者、まずこれが不足しておるというところでございます。端的に申しまして、いまさっき申しますように、航空無線施設の関係、あるいは航空照明施設の関係、あるいは同じ土木と申しましても空港施設というのは特殊な問題がございますが、そういった関係、それから航空気象の関係、こういった技術者がとにかく徹底的に不足しておりまして、それがまたところが同じ技術者でありながら管理要員というふうな形で行政法上はなっているために、どうしても削減の対象が非常にきびしくなってくるというふうなことになっております。ですから、その辺のところの問題をどう解決するか。  それからもう一つは、でき上がった施設をどのような形で安全のために供するかという要員の問題。これはまあ管制官や管制通信官とか、あるいは航空無線技術者とか、あるいは航空照明技術者、そういう方々、あるいは消防関係もございますが、そういったものを含めましての要員の確保の問題、これまた非常に頭が痛い。いまさっき申しましたように沖繩、成田等がございますので、そういう問題にプラスアルファされているということであります。  じゃ、根本的なあり方として一体どうあるべきかということなんですが、若干、私、そういう意味では非常に悲観的になっております。というのは、現在の、私が申しました人たちはすべて国家公務員でございます。国家公務員という中で制約を受けております。そのために要員増と申しますか、もう非常に一つの制約を受けますし、あるいは待遇についても非常な制約を受けております。御存じのように、人事院勧告等で制約を受けているわけでございます。それで、ただ昨年ようやく——同じ国家公務員の中でパイロットの方がわれわれの仲間で三十人ぐらいおられます。この方たちは、私たちの努力の中で、ようやく昨年、それまで一時間航空手当が民間会社の場合ですと三千円ほど出ておったわけですが、国家公務員であるために約五百五十円しか最高で出ていない、最低では三百円、そういうふうなことを何とかいろいろと努力をする中で、ようやく人事院とかあるいは運輸省あたりの判断でパイロットの方は最低が現在四百円から千六百円までに一応引き上げられたというふうな事情はございました。しかし、それ以外の方については、きょう空中衝突の問題がございましたけれども、はっきり申しまして、管制官なんていうのは一人で大体十機から二十機くらい扱います。ジャンボを扱いますと、一機当たり四百人くらいの飛行機の、一緒に乗っている方にすれば一ぺんに何千人というふうな飛行機の乗客の数を一手でやるわけですけれども、最高でたとえば二百五十円、最低で六十円でございますか、まあ大体そんなところです。ですから、なかなか航空会社の引き抜きも激しいし、特に無線技術者の場合——管制官の問題はそれでもいろいろと国会等では先生方から取り上げられておりますが、そのさらに縁の下の力持ちである航空無線技術者とか空港施設の専門官あたりになりますと、ほとんど何もついていないというふうな実態です。私としては、そういう待遇の問題について、現在のパイロット並みのことは言わなくても、最低一日当たり千六百円程度の待遇というものは、パイロットの一時間当たり千六百円を、国家公務員で認められている一時間当たり千六百円を一日当たり千六百円へでも引き上げるというふうなことによって、相当に要員の確保というのは容易になるんじゃないかというふうには思っています。そういう意味で、私たちは調整額というふうな形で基本給の調整の問題も取り上げておりますが、いずれにしても要員を確保するということが、はなはだ原始的な言い方なんですけれども、やっぱり待遇から解決しないとどうにもならぬというふうに思います。そういうふうな中で、やっぱり専門的な、航空の専門技術者の確保の中から初めて組織がどうあるべきかというふうなことをアプローチしていっても決しておそくない。ところが、いまはそういったことでできないというふうな実態であります。  組織の問題については、先ほども申しましたけれども、私には私なりの意見もございますし、いろいろとございますが、いま、ここで、じゃ、運輸省の中の航空部門をどういう形でやればいいかということを言うには、もうちょっと検討したほうがいいかと思いますけれども、いずれにしても、いまの航空局の要員体制では、組織をどういじってもどうにもならぬじゃないかというふうな気持ちを持っておりますし、これはもう現場の皆さんの一致した気持ちでもあるということは断言できるかと思います。  ですから、はなはだ申しわけありませんけれど、根本的には、理想的な案は幾らでも持っているわけですけれども、理想的な案をここで出して、ただ絵にかいたもちみたいな形よりは、もう少し要員を充実することのほうがいまは先決でなかろうか。その要員充実のためには、やはり根本的に、民間の航空会社から引き抜かれない程度の待遇をやっていくべきじゃないかというふうに思います。
  123. 関川栄一郎

    参考人関川栄一郎君) お答え申し上げます。  まず最初に空中衝突の件をお答え申し上げます。私、昨年度、過去十年間の世界の空中衝突の統計をとってみたことがございます。詳しい資料はただいま持ち合わせておりませんが、そのとき統計をとりながらはっきり記憶に残っておりますのは、過去十年間に起こった空中衝突のうちの半分以上、約六割ぐらいが、実に晴天の、つまりお天気のいい日の昼間に起こっておる、非常に見晴らしのいい日に衝突が起こっておるということであります。これは、つまり非常に状態がいいのにぶつかったということは、両方のパイロットが外の監視が不足であった、見張りが不足であったということに結びつくのではないかと思います。したがって、今回の、本日の衝突事故については、まだ何とも申し上げられないわけでありますが、統計上からも、パイロットの監視の教育というものをもう少し強化する必要があるのじゃないか。それと関連いたしまして、飛行機の窓の設計、横とかうしろが見やすいような窓にするということも大切であろうかと思いますが、とりあえず、まず、現在、計器の訓練を重視しておりますパイロットの養成の中で、もう少し外を見るということを積極的に教育する必要があるんじゃないかと思います。  空中衝突とわが国の航空保安体制と結びつけて考えてみますと、大きな問題がたくさんあるわけですが、とりあえず、そのうち二つほど申し上げてみたいと思います。  第一番は、わが国では航空管制が二本立てになっておるということであります。これは民間と自衛隊という二本立てになっておるということであります。航空法上では、わが国の上空を飛ぶ飛行機の管制は運輸大臣が行なうということにきめられております。ところが、そのあとにちょっと附則がありまして、防衛庁の自衛隊の飛行機については、運輸大臣はその管制を防衛庁長官に委任することができるということが書いてあります。もちろん委任でありますから、運輸大臣は防衛庁長官の管制に対して統制力があるわけであります。しかし、実際にはそういうことが行なわれておりません。完全に自衛隊と民間とが分かれ分かれ、別々の管制が行なわれておるというのが今日の実態でございます。御承知のように、自衛隊機というのは民間機と違いまして、多少お天気の悪い日でも訓練をする。訓練のやり方も、多少無理な飛び方もときにはするというふうなことで、自衛隊機と民間機の飛行の目的、同時に飛行の方法ですね、そういったことが相反する面があるわけです。これが、しかも、管制が二本立てで行なわれているということになりますと、そこに何らかの危険が伏在するということは、常識でも判断できるんじゃないかと思います。ことに、わが国は地理的条件に恵まれておりませんで、自衛隊機の訓練空域がわりに航空路に近いところに設けられておるという例が幾らかあります。その訓練空域そのものは航空路から離れておりまして、直接の危険はございませんけれども、基地から訓練空域を往復する飛行機がしばしば航空路を横切るといったような問題があるわけです。特に自衛隊機は編隊で飛ぶことが多い、小型機ですから、訓練が終わりますと、燃料を使い果たして、あと十分とか五分しか飛ぶ燃料がないということになりますと、編隊で訓練から帰ってくる自衛隊機を優先的に着陸させなければならないので、その間、航空路を飛んでおる民間機のほうが少し遠慮をしてもらうといった事態まで私は聞いております。ですから、こういった非常に不自然な二本立ての管制というものを、一刻も早くすっきりした一本立てにするべきじゃないか、こう思うわけでございます。  それから二番目の問題といたしまして、計器飛行と有視界飛行の飛行機、これが混在をしておる。これは世界的にどこでもそうなんでありますが、わが国のように地理的に恵まれない、つまり狭い空域しか持てない国で、この二つが同時に飛んでおるということは非常に危険な状態であります。計器飛行と申しますのは、御承知の方も多いかと思いますが、計器だけを見て飛ぶ飛行という意味ではございません。地上の管制官の指令に従って、地上の指示どおりに飛ぶわけであります。片方のVFR——有視界飛行のほうは、出発、着陸の許可は要るわけですが、それ以外は一切地上の指示に従う必要はございません。現在の航空法では、有視界飛行の飛行機は航空路を無警告で突っ切ることもできるわけであります。こういった法の不備と申しますか、法の穴、そういったところが幾らかあるわけであります。こういうことを航空局のほうでも気がおつきになって、いま手直しなさる段階にあるようでありますが、一刻も早くこういった不自然な状態を是正していただきたいと思うわけであります。  それからもう一つ問題がありますのは、米軍機の問題であります。これは自衛隊以上に危険な存在であります。現在、米軍機が非常に多く残っておりますのは、御承知のように岩国であります。岩国と申しますと、ちょうど瀬戸内海の西の端あたりでありまして、あの辺には民間空港、自衛隊基地含めまして十から十一くらいの空港がかたまっております。そこで米軍機がしょっちゅう出入りする、しばしばするわけでありますから、これが一つの航空管制上のガンになっている。一例を申しますと、日本に長く駐在しておる米軍のパイロットは日本の航空法その他よく知っておりまして、わりに能率よく飛んでくれるそうでありますが、ときにベトナムあたりから船で帰ってくるパイロットは、沖合いの航空母艦から基地に入るというふうなことがございますと、日本の航空法を無視して非常にむちゃくちゃな飛び方をするといった例をしばしば聞いております。私どもかねてから、この次に航空事故が起こるとしたら空中衝突であろうという、たいへん不謹慎なことでありますが、予想を立てておりますが、本日、不幸にも、はたしてそのとおりになったわけでありますが、空中衝突というものは——先ほど申しましたが、航空事故その他をゼロにすることはできませんが、ゼロに近づける努力はしなければいけないし、ゼロに近づけることはできるわけであります。空中衝突の場合もこの例に漏れません。いま申した中で、たとえば管制の問題、空域の問題、航空統制の問題、そういったものを、努力を重ねてもっとすっきりした形にすれば、空中衝突の危険は現在よりも少なくとも減るのではないかと思います。  最後お尋ねのありましたパラシュートの件でございますが、これは民間機には一切パラシュートは積んでおりません。小型機は別でございますが、大型の輸送機には積んでおりません。なぜかと申しますと、これは積むとかえって危険だからであります。現実の問題といたしまして、パラシュートで降下をするということには相当な訓練が要ります。しろうとがパラシュートでおりますと、骨折その他いたしますし、悪くすれば、かさが開かないで死ぬといった例もずいぶんあるわけです。現実に、飛行機に事故が起こって機内がてんやわんやになっておりますときに、かさのつけ方から指導をしなければいけないわけですが、かさをつけるのにしろうとがまごまごしておって、そのために出入り口がふさがれて助かる人も助からないといった例も考えられるわけです。数千メートルからしろうとが飛びおりて、そのために何人か生き残るという可能性は、まずこれはゼロではないかと思います。それから乗務員もこれはつけておりません。これはなぜかと申しますと、乗務員というものは、事故が起こった場合には、その事故を、故障であれば故障を直す、事故であれば飛行機を正しい姿勢に戻すという操作に全力を傾注すべきものでありまして、途中から脱出すべきものではございません。したがって、日本の航空法でもパラシュートの搭載を義務づけておりません。  以上お答え申し上げます。
  124. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それでは初めに、楢林参考人並びに関川参考人お尋ねしたいと思います。  まず第一点は、空港の安全施設の問題といいますか、先ほど楢林参考人から、最低でも二種類のそういう装置を持つべきだというお話があったわけですが、現在は、日本の地方空港ではNDBを装置しているところが多いわけでして、アメリカの地方空港でほとんど持っておるVOR、それからDME、そういうものはほとんどないわけですが、最低限度安全を確保するためには、もちろん費用との関係もあると思いますが、日本の地方空港でもどこの空港でも、これだけは最低限度設置すべきだという、そういうような点について御意見をお聞かせをいただきたい。それに関連して、それにはやはりかなりの費用がかかるわけですが、その費用はどういうふうに調達をすべきか、やはり国がそれを出すべきかどうか、あるいは、ある程度運賃値上げになっても安全を重視して、コストが高くついてもいいのか、その辺の御意見をお聞かせいただきたいと思います。  それから第二点は、空中衝突の問題があるわけでありますけれども、羽田の過密というのが非常に問題になっております。これは私どもしろうとが感ずるところでも、羽田の近くへ来て三十分か一時間も待たされる、これは非常に不便であり、航空機の価値がないばかりでなくて、最近はニアミスというものが頻発しておるということも聞いております。やはり衝突とか接触事故の可能性もあるわけであります。羽田の過密対策について、まず当面急いでやらなければならない対策というものがあるかどうか、効果的な対策は何だと思われておるか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。  それから、あとでもう一点、富永参考人にお伺いいたしますけれども、まず以上の点をお伺いしたいと思います。
  125. 楢林寿一

    参考人楢林寿一君) 航空の保安施設でございますが、地上援助施設、保安施設には無線とか照明施設とかございますね。それで、無線施設から考えますと、ローカル空港の場合、VOR、DME、——VORは超短波のADFに相当するものでありますが、DMEは距離をはかるもの、これはやはり一つのセットになっておりますけれども、ダブルシステムで、ダブルチェックの対象になり得るかと思います。DMEは非常によろしいと思います。  それで、ただ、VORが絶対かといいますと、VORにも問題がなきにしもあらずなんです。VORで一度こういう経験があったのですが、あれは符号が出ておりますと、これは正確に運用しておるのだと思うのですけれども、ロサンゼルスの横のところで、方向がおかしい、タワーに聞いて、おかしいぞといって飛行機が二つ同じやつを入れてみるけれども、タワーに聞いてみると運用している。しかしどうもおかしい。それで飛行機のほうはちゃんと飛んでおりますからわかるのであります。だから、まだ研究の余地があるかもしれません。だから、DMEのほうでわかったとしても、VORの方向性については、それだけで絶対かといいますと、やはり問題が多少残る。これはめったにございません。ですから、もしローカル空港でレーダーのような非常に高いものをつけられない場合には、タワーにDF——ディレクションファインダー、何か欧州で、どうもドップラーDFと言っておるようでありますけれども、VHFで飛行機から呼んできますと、ブラウン管の上に、こう三百六十度、方向が書いてあって、呼んでくる方向にラスターがぴゅっぴゅっと出る。で、こっちから飛行機が呼んでくると、そちらに青いラスターがひょっこり出る、こっちから飛行機が来ると青い光がひょっこり出る。だから、話すときに必ずそれが出ているのですから、それがありますと、もしVORとかあるいはADFが狂うことがあっても、DFでしたら、呼んできたらさっと光りますから、地上でもわかる。で、おそらく管制官とかそういったオペレーターの人がそれを見ながらやれば、頭の中で呼んできた方向、何といいますか間違わない、また混乱しない。こういった施設を欧州ではよく使っておるのですが、どうも日本ではそれが使ってないのですね。あれなんか、非常に軽便で、ローカルでいいのじゃないかと思います。また、セスナなんかで、何といいますか、方向探知機なんか自分が持ってない飛行機でも、呼んでくれば方向がわかりますから、どちらに飛びなさいということもはっきりと誘導できる、そうすると非常にいいのじゃないか、最小限それくらいのものはどうしてもほしいと思います。  それは無線施設ですが、照明施設は、やはり計器飛行で着陸をいたしますために、やはり明るいハイインテンスという照明施設でないともうだめだと思います。中光度なんというものは、もう都市に近いところなんか明るいとか、高速道路とか、いろいろなあかりができますから、昔はそれで十分見えたものが、逆に、光の谷間と申しますか、ほかが明るくて、飛行場が暗いというような谷間になりますと、やはりほかの明るい光に対してランウエーライトが暗いですと、逆に、着陸してきた飛行機が、ほかの明るさのために谷間になりますと、まだ高度があると思うのですね、暗いから。暗いときに高度があると考える、そういう錯覚を起こすことがありますので、やはり相当明るいものが、ほかの明るい照明施設が必要だと思います。  それから滑走路の長さとか、それの付帯施設につきましては、やはり国際基準の最低の六〇%というのはできるだけやめていただいて、余裕を持っていただくと、これはもう何かのときに助かる点が非常に多いと思います。日本航空の飛行機が事故が少ないなんておっしゃっておられますけれども、これはあまりいばれないのです。使っている飛行場が大きな飛行場ばかりですね。ローカルの小さい飛行場を対象にしておらぬわけですよ。それでいても、ときどき変なことをやる。実は日本航空の飛行機の場合は、一番初め寺島恭一君がぼくのところに来まして、どうもうちの着陸がなっとらぬというわけですね。そうなんだ、ぼくも知っているのだということで、着陸の姿勢を写真をとりまして、これはパイロットからだいぶ恨まれたらしいけれども、しかし、その結果は非常に着陸がよくなった。それで事故というのが非常に少なくなったということです。それで彼は大臣賞をもらったんですけれども、そういったことをやっておりますうちに、そういうことをやっておりますと、今度はどのパイロットが事故を起こすという予測までできるようになったんです。これはもう、そうすると、この人はちょっと黄色いマークがついておったのです、四人ついておった。そうしたら、その二人ともがあとからエンジンの下をずっとすっちゃった。エンジンの下をすったり、ほかのことをやる、そういう予想もできます。ですから、これはやっぱり先ほど申し上げましたAIDSもできますけれども、ちょっと脱線ですけれども、そういう予想ができて安全性が高まると。それで、やはり雨が降りましても、少なくとも、普通だったら、雨が降りますスリッパリーの状態でも、離陸のとき加速停止ができる余裕距離、安全にとまれる余裕距離は持たした滑走路ということは必要かと思います。できたら、雪が降りまして、摩擦係数が雪で〇・三から〇・二五程度までならば飛び出さぬ程度ということが非常にありがたいですね。それ以下ということになりますと、ちょっとまたたいへんですから、その程度までは保持できるような状態にしていただきますと、離着陸時に起きるところの事故率というものはおそらく一けた下げられるのではないかと考えます。  それから羽田の過密でございますけれども、これは私、役所をやめて、そのことについて情勢についてよく存じておりませんから、私よくわからないのですが、要するに、羽田空港をして過密になるような状態をつくったことそのものに、何というか、行政施策に問題があったのじゃないか。それは羽田空港自体の離着陸機数、一空港としての時間当たりの発着機数ということは、米国のロサンゼルスとか、そういうところに比べれば、まだ羽田のほうが少ないです。ただし、それは一空港に対して言うんですけれども、向こうは滑走路の数がありますし、羽田だったらCランだけしか使えないときにも二つが使えるし、地上の保安施設というものが向こうは完備しております。レーダーといい、そういう状態が羽田よりはるかに完備している。だから、ロサンゼルスに比べて少ないからといって、これは対象になりませんよ。危険度は、どちらかといったらロサンゼルスよりももっと羽田のほうが多いかもしれない。ですから、そういったことはちょっとやめて、そのほうに首を突っ込んで調査しておりませんので何とも言えないのでありますが、やはり将来は現在のああいう施設でなく、先ほどちょっと申し上げましたように、飛行機同士の衝突防止装置——アンチ・コリージョン・システムと申しますか、衝突防止装置というようなものを完備しまして、ただ、ああいう飛行状態においては全部地上の管制にまかせるという状態だけでなく、飛行機側も自動的にわかって逃げる、他人まかせでなく、自力でも逃げられるような方式もやはり開発しないと、今後ますます飛行機がふえてきますと空中衝突というような不測の事態が発生することがふえるんじゃないかとどうしても考えます。それはこまかく数字で検討していきますと、また時間がかかりますので、この辺でどうも申しわけございませんが……。
  126. 木村睦男

    委員長木村睦男君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  127. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 速記を起こして。
  128. 関川栄一郎

    参考人関川栄一郎君) お答え申し上げます。  空港が具備すべき最低の設備ということにつきまして、ただいま楢林参考人からお答えがありましたが、大体そういった機械、たとえばVOR、DME、ILS、ASRといったような機械を備えつけることが望ましいわけでありますが、これはいずれも非常に値段の高い機械でありまして、これをいますぐ全空港につけろということは、これはいささか非現実的な議論になろうかと思います。行く行くはこういうものを具備しなければいけないのですけれども、いますぐやれといっても少し無理ではないかと思います。で、私が提案したいのは、これ以外にバーシスという機械がございます。これはパイロットが目で見て着陸の角度をはかる機械でありますが、わりに簡単な照明装置であります。専門家に聞きますと、これは一つ三千万円くらいでできるということであります。これはもう空港の保安施設の中で一番原始的な、そのわりに威力のある機械なんでありますが、その最低の原始的な設備さえない空港が——現在五十九の民間空港のうち、実に二十八空港には、こういった簡単な機械さえもないという状態であります。したがって、とりあえず三年などといわないで、ここ一年のうちにすぐ、残りの二十八空港にこのバーシスをつけたほうが妥当ではないかというふうに思うわけです。  その次の、羽田の過密の問題でございますが、これはその前の、財源の問題とも非常に関連するわけであります。で、現在羽田の上空が過密であるということは、これは異論のないところだと思いますが、この過密は自然に生まれた過密では決してございません。つくり出された過密であるわけです。つくり出された過密というのはどういうことかと申しますと、一日四百八十便離着陸する中には、やむを得ない用事で出発着陸する飛行機もございますが、そのほかは、大部分は航空会社がPR、宣伝広告その他によりまして旅行熱をあおったためにお客がふえる、そのために便をふやす、そのために空港が過密になる、こういう結果が出ておるわけでございます。ですから、現在のところ羽田の過密状態をなくするということは、とりあえず減便をする、航空会社に頼んで便を減らしてもらう、飛行機の数を減らしてもらう、これが一番手っとり早い方法ではないかと思います。  その次に、財源の問題でありますが、空港の保安施設に使われる金は、現在、第二次空港整備計画の五千六百億の中の約六百億ないし七百億円ぐらいでありますが、そのほかにもっとひねり出せば出せる財源があるわけであります。といいますのは、この五千六百億の予算の中で、実に三千四百億という金が東京、大阪——東京は成田でございますが、それから大阪の関西新空港というのがございます。この二つの新しい飛行場を建設するために使われようとしているわけです。伊丹の空港も羽田と同じように現在過密でありまして、この状態を解消するためには、新しい飛行場をつくるということが一番すんなりした解決でありますけれども、しかし、そのもとを考えて見ますと、先ほど申し上げましたように、現在の空港の過密というものは決してどうにもならないものではなくて、人為的な減便という方法によってまだ緩和できる見込みのある過密であります。したがいまして、成田、新関西、これを少し新空港の建設をおくらせることによりまして、財源が幾らか浮く、その浮いた財源で、とりあえずローカル空港の保安施設、最低限度の、せめてバーシスだけでも早くつけるという方法がいいんじゃないかと思います。以上です。
  129. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 富永参考人にお伺いしたいと思います。  先ほど、楢林参考人のほうから、日航の事故が少ないのは空港の影響もあるということを言われましたけれども、やはり空港の影響もありますし、いろいろほかの要素もあろうかと思いますけれども、企業の格差によって、たとえばパイロットの資質とか、あるいは養成状況とか、あるいはその他の管理状況とか、かなりあると思うんですけれども、富永参考人は、以前、日航におられましたので、今度、東亜国内航空に行かれまして、その辺の格差というものについて、どう感じておられるか。  それから、そのパイロットの養成の中で、やはり外人パイロットがまだいるわけですけれども、外人パイロットが、「ばんだい」号の場合でも、それから日航の雷撃事故の場合でも問題になっておりますけれども、これを将来、日本のパイロットの養成によってなくせるのか、また、その時期はいつごろなのか、その辺のことを簡単にお聞かせいただきたいと思います。
  130. 富永五郎

    参考人富永五郎君) パイロットの問題、格差というような問題ですが、私が今度東亜国内航空に来まして一番感じたことは、やはりローカルのエアポートの離着陸が非常にむずかしいということを強く感じました。日本航空は、私は二十年ほど日本航空におりましたけれども、その間は、やはり一流の飛行場でございますから、かなり楽にやってきたような感じがいたします。しかし、今度来てみますと、もう先ほどからるるお話がありましたとおり、施設その他あまりよくありません。そういう意味においては、パイロットは非常に熟練を要するというようなこと。ですから、パイロットの腕そのものは、私は格差はないと、むしろ非常に訓練その他に時間をかけて、非常にやっております。その点は、私はパイロットには非常に敬意を表しているような状態です。まあ空港の状況が悪いということは、まあその空港にふさわしい最低の基準以下では飛んではいかぬというようなきびしい一つの制限があります。ですから、その結果、やはり欠航が非常に多い。こういうような問題で、私が日本航空におりましたときには、そういう天候で欠航するというようなことは非常に少なくて、まあ一%以下、こういうようなことと記憶しております。ところが、今度来てみますと、それが一〇%以上、こういうようなケースが、最近特に天気が悪いものですから、そういうようなことがございます。そういった意味からしますと、ローカル空港を飛んでいるパイロットというのは非常に慎重に、しかも腕のアップしている人間がやらなければいかぬ、人間的にもすっかり備わった人間がやらなくちゃいかぬというような気持ちを強く私は持っております。ですから、腕その他に格差がある、そんな感じは一つもいたしておりません。  それから、もう一つ、外人パイロット——現在、私のところは十三人、外人パイロットを持っております。キャプテン、これはいまのお話のとおり、外人パイロットをキャプテンにするためには、これもやはりローカル空港、日本の地勢その他が非常に複雑なものですから、そう簡単に、アメリカで一万何千時間飛んだ優秀なキャプテンといった経験者であっても、とてもとても、日本に来て、そんな状態ですぐキャプテンとか、そんなものになりません。少なくとも、そういう一万数千時間飛んだアメリカではキャプテンといった人でも、日本に来ては、地勢になれる、その他いろいろエアポートにならす、そういうことで、普通でしたら四、五十時間くらいでもうキャプテンになれるであろうと思いますが、わが社では、やはり二百五、六十時間ぐらい日本に来てからいろいろな訓練をやります。まあそういったことで、先ほども申しましたとおり、国内のローカルのエアポートは非常に困難性があるということを認識しまして、そういうような訓練をやっております。そういうことを考えますと、望ましいことは、やはり外人パイロットをなくすということが一番いいと思いますが、現在十三人かかえておりますけれども、これからの事業計画その他で新しくキャプテンになる日本人もおります。そこら辺のバランスで、幾ぶん、これからある時期にふえるかもしれませんけれども、近い将来にはできるだけ少なくしたいという気持ちをもって、これからの新しいパイロットの訓練並びに養成を、何とかして皆さんに活躍していただいて、そういう日の近いことを願っている次第です。
  131. 山田勇

    ○山田勇君 時間もずいぶん過ぎましたので、重複している点もございますので、簡単にお尋ねしますが、いま、田渕委員の言った、外人パイロットが滞空時間を持っていれば、その資格をもって日本の航空会社に就職する、そういう場合、日本の気象条件というのは非常に変化が激しいところでございます。そういう点からいきまして、今後、パイロットの養成に、育成に万難を排すというような主張のおことばですが、どういう形で外人パイロットを——今後、日本の気象条件に合って、そうして日本の上空を飛べる状態にするまで、どういう形でパイロットを養成していくのか。また、一部、新聞等にも報道されましたとおり、そのパイロットがアメリカなり、また、カナダなりから就職をしてきた時点で、日本の気象条件になれるまで、一定の資格検査をやるといいますか、何といいますか、何かそういう形の試験をやっていくのか。また、そういうのを独自に東亜国内でやっていくのか、その点をひとつお答えを願いたいと思います。
  132. 富永五郎

    参考人富永五郎君) お答えを申し上げますが、外人パイロットを連れてきまして、教育課程、これは最初はグラウンド・スクールでいろいろな日本の法規その他地上で教育できるものをかなり数をとってやります。それからYS11のキャプテンをつくろうとする場合は、YS11というものはまだ知りませんので、その専門教育なり、そのシミュレーターの教育なり、いろいろなことをやり、そうしてある事態では社内の試験もやりますけれども、また、これはいろいろなライセンスがございますから、官の試験もございます。その段階はコーパイ並びにキャプテンほとんど変わりません。そういう試験はどんどんとるように教育をするということでございます。まあ、実際問題として飛行機に乗せているのは、最初はやはり日本の地勢を知ってもらうためには、オブザーブといった形で飛行機の操縦席の後方の席に長いこと乗せております。これはやはり七、八十時間乗せまして、ことにローカルラインは各地に飛びますから、そういったようなところを十分同乗させまして、地勢をいろいろと覚えさせる、そういうようなことを、まずやりまして、それからコーパイの仕事を教えまして、それでまた相当時間をかけると、コーパイを十分やれるし、もうこの人はキャプテンになれるぞというような時期から今度はキャプテンとしての教育をやる。それは、少なくとも私のところでは、外人に対しては百時間以上の時間を、そのキャプテンとしての教育を十分やって、そこでまたキャプテンとしての資格をとって乗せる、こういう実際の業務につける、こういうような順序で、かなり、外人のパイロットに対してはそういう慎重なことをやっております。  日本人のパイロットで、たとえばほかの飛行機でキャプテンをやっていた人に関しましては、わりあいと早く、五十時間程度か——前のキャプテンであった飛行機の関係もございますけれども——そういったようなことを考えても、外人に対しては約二倍から三倍、四倍ぐらいの飛行をやって地形にならすということをつとめる、そういうのが私方のいまの考え方でございます。いま現実にやっているのがそれでございます。せんだって事故を起こした外人——同乗しておりました外人は、まだそこまでいきませんで、百九十時間ぐらいYS11でいろいろな教育を受けていた段階で、なおまだ六十何時間か訓練をやって、一人前のキャプテン、一人で飛べるキャプテンにする、こういうような計画を持っておりました。以上でございます。
  133. 山田勇

    ○山田勇君 その中で、これはもう新聞にも報道されたとおり、乗客を乗せて、現在運航している飛行機を使ってそういう外人パイロットの訓練をするのか、今後そういうことを一切やめて、違う形で、一般乗客を乗せない、そういう定期便で訓練をしないというんですか。その点どうですか。
  134. 富永五郎

    参考人富永五郎君) キャプテンの訓練は、やはりいろいろなやり方はございますが、左の席というのはキャプテンの席、右側がコーパイと、こういうことになりますが、やはりキャプテンとしてのいろいろな訓練というのは、やはり左側の席で正規にやるのが一番効果的でございます。しかし、右側にすわっている正規のキャプテンはそれを指導するだけの能力のあるキャプテンで、いざ問題があるときは、両方の操縦士が完全に独自に操縦ができますから、何かそういった異常があるときには、もちろん正規のキャプテンが、右側ではありますけれども完全に操縦をするというようなことになっております。そういう形でキャプテンとしての訓練をしていくわけでございますから、やはりキャプテンとしてのいろいろな訓練は一応左側でやるという場が相当に多いと思います。それはしかし安全ということを第一に考えなくちゃいけませんので、そういったことに関しましては、正規のキャプテンは十分認識し、また十分教育をし、二人でよく連絡をとりながらやっていくように指導しているわけであります。
  135. 山田勇

    ○山田勇君 そうしますと、先ほど富永社長おっしゃったとおり、外人パイロット——「ばんだい」号の事故を起こしたパイロットである副操縦士、正確には——は、百九十時間飛んであと六十時間ほど残っていたということですが、一部報道では、もう一回この「ばんだい」号を無事函館へ着ければそれでパイロットの資格云々ということを報道されました。それは間違いですか。
  136. 富永五郎

    参考人富永五郎君) とにかく会社としましては、まだ六十五時間訓練をして本職のパイロットにすると、こういう計画でございました。まあライセンスその他は私あまり詳しくわかりませんけれど、いつの時期にライセンスをとるか、そういったプロセスはあるかもしれませんけれど、会社の方針としましては、あくまでもキャプテンとしての訓練は百時間をやると、こういう考え方で、ライセンスをとってもこれで即、正規のキャプテンが乗らずにそういうようなことをさせるというようなことは考えておりませんでした。
  137. 山田勇

    ○山田勇君 まあ調査の段階ですから、詳しい内容は申せないと思いますが、「ばんだい」号の事故原因の調査は、どの程度まで現在進んでいるのですか。きょう事故機の計器類が羽田へ戻ってきたはずです。回送されたはずですが、それで、いまの調査はどの程度まで進んでおるかということを、社長、わかればちょっとお知らせ願いたい。
  138. 富永五郎

    参考人富永五郎君) 事故調査の問題は、当然われわれも独自の考え方でいろいろやるわけでございますが、さしあたりまして——政府機関としてできました事故調査委員会の方々が現場にもおいでになり、こわれた状況その他もごらんになり、われわれはまずさしあたりその方々に協力するというような考え方で、いろいろその方々から注文を受けて、こういう部品をはずして東京へ送れとか、そういうことをまず、二十数名やっておりまして、破壊の状態の中から、事故調査に非常に関係があるような部品を収集しまして、これを東京にできるだけ早く送る、まだその部品の内容を十分検討するというようなところまではいっておりません。しかし、いずれにしても、この事故関係があるような部品を積極的に、できるだけ早く東京に送って、それで事故調査委員その他関係の方方に十分見ていただく、こういうことを、現段階までは、そこまでようやくいったというところでございます。しかし、こわれた状況、物の散布の状況その他はわれわれも十分現地で、二十数名行っておりますので、そういう者から資料をつくらせる。そういうようなものが、これから事故調査の非常に大事な資料になり、今後、きょう朝、羽田にその部品が一通り着きましたので、これは航空局なり、事故調査委員会の裁可でそれはこれから調べられるものでありまして、われわれがこれには直接手を下すことはできません。しかし、われわれとしては、なお、今後の問題もありますから、十分これからの問題として、事故調査その他も独自で考えていきたいと、こう思っておりますが、そこまでまだいっておりません。
  139. 山田勇

    ○山田勇君 重ねて富永社長にお尋ねするのですが、東亜、国内が合併した時点で、YS11は何機ございましたですか。
  140. 富永五郎

    参考人富永五郎君) 二十九機でございます。
  141. 山田勇

    ○山田勇君 二十九機ですか。その二十九機のうち、これはYS11型でも全部タイプが違うとぼくは聞いておるんですが、タイプは違いますか。YS11、すべて同じ、計器類の配置その他は変わっておりませんか。
  142. 富永五郎

    参考人富永五郎君) 国内航空の飛行機は、最初から、注文のときから一つのスタンダードでやっております。東亜航空は東亜航空として一つのスタンダードでやっております。それじゃ、この両社の飛行機が、スタンダードが同一かというと、そうではございません。やはり違うところがございます。それで私方は安全に非常に関係がございますから、先ほどちょっと申し上げましたけれど、ブロック運航と言って、東亜航空が飛んでいた路線は、まあとにかくその飛行機でやりなさいと、こういうわけです。それから国内航空は国内航空の路線をやりなさい。それはパイロットが入り乱れますと、必ずしも飛行機が同一じゃないということもあります。しかし、それはそれほど大きな差ではございませんので、われわれの力で改修をしまして統一をするというようなことをやりまして、そうして統一したものの、どちらかに動いたほうはどちらかのパイロットを十分それに合うように教育をする、こういうようなことで、できますれば近いうちに全部統一しまして、東亜国内航空の飛行機のYS11はこのスペックであるというようなものに統一してこれから運航したい、こういうことで、いまの時点では、六〇%か七〇%ぐらい統一できたと思います。これはちょっとばく然とした数字を言いますけれど、しかし、この十月ぐらいまでには全機統一をしまして、間違いのないように運航を——そうしますと、パイロットを入れかえても飛行機は違っておりませんから、十分安全を確保できると、そういうようなことを考えて、現在一生懸命オーバーホールその他修理に入るときに改修を積極的にやっておる次第でございます。
  143. 山田勇

    ○山田勇君 時間もございませんので、あともう一、二点をお尋ねしますが、ぜひそうしていただきたいと思います。と申しますのは、われわれ車を長年乗りまして買いかえました場合、やはりその計器類、スイッチ類が変わりますと、とっさの場合にたいへんまごつくという経験がございます。そういう場合、特に合併直後には、そういうふうに現在、東亜が前に飛んでいた路線をそのままその機種、同じ型のものを使って飛んでいる、パイロットも変わらないということですが、一つの飛行機のタイプでもいろいろなタイプがあると思います。それは今後そういうふうにしてぜひ統一してもらいたいと思います。それはとっさの事故を回避するためにも、たいへん役に立つことだろうと私は思います。  それと、事故調査団の問題は、先ほどから聞いておりまして、たいへん私は不明朗な響きとして聞いております。楢林さんの発言は、ごくあたりまえのことですが、たいへん勇気の要る発言に聞こえてきております。あたりまえのことが勇気がなければ言えないということは、私はたいへん悲しいことだと思います。これは私の邪推かもしれませんが、おそらく楢林さんには、これから何かの形の圧力というものがかかってくるんではないかと思います。しかしながら当委員会はじめ運輸省におかれましても、国民の生命を預かる立場として、また安全第一に徹するためにも、楢林さんの発言を肝に銘じて安全対策に積極的に取り組むことが大切だと思います。そのことが「ばんだい」号はじめ多くの被災者の霊を慰め、遺族の方方へのおわびのしるしになるんじゃないでしょうかと私ば思います。楢林氏の発言に全面的に敬意を私は表するとともに、今後一そうの積極的な発言を期待いたしております。  最後に、この事故調査——現在事故が、空中接触というような形で大きな事故を再び起こしております。それについて事故調査団の問題について、関川さんと楢林さんにぜひお聞きしたいんですが、さまざまな調査団というのが、利害関係がからみ正確な調査が、私がいままでの調査内容を聞いております限りでは行なわれていないうらみがあるように思います。事故調査委員会には独占的な権限を与えてしまわず、一般の人間も参加し、そして楢林さんのように言うべきことははっきりと言うような人たちを、私は今後その事故調査団の中に入れていっていただきたいと思います。すっきりした形で今後の、このたび起こった事故についての調査団を組んでいただきたい、強く私は要望いたしまして、私の質問を終わらしていただきます。  たいへんありがとうございました。
  144. 小柳勇

    小柳勇君 ちょっと質問、二間残りましたから、富永参考人にまず第一問。それは、合併のときに私ども予算委員会で問題にしたのですが、これは一番の問題が株の集中でした。おたくの資本の株主が大きな株主で、一、二の大資本で支配されるのは不適当だと思う、したがいまして資本を広く一般に公開してもらいたい、一、二の大資本で東亜国内航空が支配されることは国の国策としても困る、しかも、日航や全日空と別の意味でこれから合併されるのならば広く国民に株を公開してもらいたい、こういうことを運輸大臣にも私が要求をしておりました。それは、大臣も、今後合併の段階では十分に会社のほうに申し伝えますと、そういう方向で指導いたしますという答弁がありましたが、その点について社長の御見解をお聞きいたします、これは富永参考人に。  それから松田参考人に、安全会議からいただきました資料の一これは私、気にかかりますから、あと運輸省のほうに聞かなければなりませんが、福岡の板付空港の近所に最近大きなボウリング場ができたわけです。百二十レーンといいまして、日本で有数のボウリング場でありますが、これは関係ないと思っておりました。ところが、資料を見たところが、そのために、こう書いてあるのですよ。「附近にボウリング場があるため、ILSを利用して着陸する時は滑走路の使用は制限短縮している。米軍の引揚にともない、DMEも撤去されてしまった。」と、こう書いてあります。問題は、このボウリング場が実は最近オープンしたのですよ。こういうように飛行機の着陸に影響があるようであれば、運輸省として、国としてはこんなもの建設さすべきじゃないと思うわけですね。しかし、できたものですから、一体どういうことであろうかと思うわけです。この点についての見解を聞いておきたいと思います。以上です。
  145. 富永五郎

    参考人富永五郎君) お答え申し上げます。  ただいまの、民間資本を広く導入しなさいということは、運輸大臣からの示達にもございます。残念ながら五月十五日の合併の時点では、そのおことばに従うほどの、広く民間資本が入っておらない状態でスタートしました。しかし、その後も運輸省からこれを積極的にやるように、今後民間資本を広くするためにどういう考え方をしているかというような一つの問い合わせも受けております。私としては、できるだけ早く広く民間資本を入れたい、こう思っておる次第でございますが、何せ、いま合併途上でございますから、まだそこまでいっておりませんで、これからいろいろ事業を拡大しますと、当然資本を大きくする必要もありましょうし、まあ増資というような機会もありましょうし、いろいろな機会にやはりこの政府の御指導に従ってやる必要があると私は思っております。しかし、いつ増資をするか、まだそういったような具体性のある考え方はまとまっておりませんので、非常に不本意でございますが、お答えはそのぐらいでひとつごかんべん願いたい、ぜひとも民間資本をひとつ増したいという希望には燃えてはおりますが、何かその機会をとらえて具体的に実行していきたいと思っている次第でございます。
  146. 小柳勇

    小柳勇君 はっきりわかりませんので……。大臣に、国のこれは一つの大きな政策として申しましたのは、日航があるし全日空があります、これと違う意味で東亜国内航空が合併していくのだから、広く国民に資本を公開して出発すべきである、そういうような話でございました。いま、出発当初でありますからできませんとおっしゃいますが、これからいつできるかわかりませんけれども、いまやっておられないのですが、将来はそういう方向で広く国民の資本を入れていく、こういう方向でございますね。
  147. 松田更一

    参考人(松田更一君) 私、ことしの二月からずっと全国のローカル空港とか航空路の問題で点検運動をやってまいりました。いろいろと問題点を指摘し、その中で改善に関する要請書というものをつくろう、そういうふうな準備をしているときに、たまたま函館事故がございました。実は、その要請書もようやくできまして、来週の月曜日に運輸大臣に出そうと思っておったところでまたきょうみたいなことが出たわけですが、その中に、実はILSの問題について、板付の空港の問題指摘をしております。  実を申しまして、現在の航空法というのが非常に欠陥だらけです、はっきり申しまして。通常、航空法というのは、あるセクションについては空港の施設だけについて書かれている。ところが、その空港を設置することに関連する法律というのは、転移表面とか進入表面とかいうようなことで、滑走路がございまして、そこから何度の角度でそのところに障害物がなければいいと。いわゆるこれは、おそらくライト兄弟が出てから以降、飛行場さえあれば飛行機は離着陸できる、そういう意味では、飛行機の着陸角度以下は、障害物があっても何とかいけるんだということと、それからアメリカあたりは、特に障害物が少ないですから、そういうふうなものが相当に影響しているのではなかろうか、そういうように思います。そういうふうな法律ですから——たとえばILS電波というのは非常に敏感なる電波で、VHFを使っておりますが、ちょっと障害物がございますと、もう非常に安全性というものが、これは阻害される。  現在の板付空港を申しますと、たとえばこれが滑走路としますと、海のほうから大体板付はおりてまいりますが、こちらのほうにボーリング場がございます。ILSは、通常、空港として置くべきところで、こういうような形で見えない電波を発射して、簡単に申しますと、飛行機はそのすべり台に乗っておりれば安全におりられるという内容のものなんですけれども、そのすべり台になるべき電波が、ここにある障害物のために乱される。これは名古屋空港でも同じ問題ですが、ということはどうにもなりませんから、いまのところは、これをもう少し滑走路の側に寄りまして、電波を寄せて使う。ですから、同じ長さでも、それだけ送信所が空港のほうに食い込みますと、滑走路の利用度は、たとえば二千何百メートル、約三千メートルございますけれども、これが二千メートル程度しか使えないというふうなことになる。これは私ら議論をする中で、実は来週の月曜日に運輸大臣に出す要請書の中で、ILS電波について、空港周辺の障害物の影響を受けやすいので、建築物等の規制に関するやはり法律が空港周辺については特に必要ではないかという点と、それから特にローカル空港について、ILSというのは、安全性から申しますと、滑走路があって、その周囲に着陸帯といって滑走路を含めて約百五十メートルから三百メートル、羽田あたりは三百メートルございますが、そういう着陸帯がございます。この着陸帯が大体現在のところ、ILSを使う場合には三百メートルは最低ICAOあたりでは必要であるということになっております。ですから、いまさっきから出ておりますが、ローカル空港にILSをつけるとしても、まず着陸帯そのものを広げない限りは、いささかナンセンスなことになる、逆にあぶないという問題になる。ですから、非常に有機的な、さらに総括的な観点からの設置計画をしないと、いわゆる使いものにならないというふうな点がございます。その意味でいまの法律の中で、航空法の中、あるいは航空法施行規則等々の中で、建築物の規制が空港の周辺にはございません。名古屋の場合には、やはりもう空港の近くまで家がきているということで、名古屋の場合は左のほうへ寄れますが、これがもう最近ほとんど使いものにならないというような実態になっているというふうなことで、ILSの使い方については非常に総合的な検討を加えないとマイナスになるのじゃなかろうかと思います。  それと同じようにVORの問題でもそうでございますけれども、現在、いまさっき私申し上げましたけれども、大体いまVORというのは航空路用ですから山の中に建っておる。これも同じように非常に障害物の影響を受けやすい。最近それが、ドップラーVORというのができまして、これが非常に障害物の影響を受けないVORになっている。これができましたので、おそらく今後は、空港用のVORというのはドップラーVORをつけることによって相当改善はされると思いますが、何せ、いま空港用VORというのは三つの空港しかございませんから、相当まあ当分の間、設置されるまでは問題になろうかというふうに思います。
  148. 小柳勇

    小柳勇君 どうもありがとうございました。
  149. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 きょうは貴重な意見を、特に楢林さんあるいは関川さんの航空評論家のほうから私たち意見を伺いまして、やはり一番気にかかったことは、事故調査団の編成の問題だと思うんです。楢林さんからも手きびしい批判を当委員会でいろいろ披瀝していただいたわけでありますけれども、これを私たち聞いておりまして、このままで見過ごしてはならないと思うんです。ただし、こういう委員会でなかなか勇気ある発言ということは、私はできないと思うんですね。こういう意味において、きょうもこういう空中接触の事故が起こって、「ばんだい」号の事件もあるいはまた海の問題に対しても海難事故等の、「ぼりばあ丸」なんかの事故調査団についても、どうも私たちもふだんから不明朗な感じを非常に持っているわけです。たまたま航空評論家を当委員会に招いて、こういう具体的な指摘を受けた以上、やはり事故調査団の編成にあたって、明確な、国民の納得のできるような第三者機関というか、あるいは何といいますか、利害関係者が、たとえば「ばんだい」号の事故のように航空関係者が入っているような、こういう国民から疑惑を持たれるような調査団で結論が出ないというような行き方では私はならないと思うんです。  こういう意味で、私は、大臣がいらっしゃいませんので委員長にお願いしたいと思うんですけれども、当委員会として、この事故調査団の編成にあたってもっと明確に、あるいは不明朗な点は正していく、しっかりと国民の納得ができるような、そのような調査団の編成をしてもらいたい、こういう決議を当委員会の決議として委員長から運輸大臣に申し入れてもらったらいいんじゃないかと、こう私は提案したいんですけれども、これはいかがでしょうか。
  150. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 御発言の点は理事会にはかって善処いたします。
  151. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 もう一つ言いますが、理事——私は理事会におまかせしますけれども、やはりここに大ぜい皆さん、反対の方はいらっしゃらないと思うんです。当委員会で、ここでもうはっきり委員の全員が賛成じゃないかと思う。ここで出していただいて、それで委員行動できないんじゃ私はちょっと手ぬるいんじゃないかと思うのですが、この点はいかがですか。
  152. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 一応理事会にはかりまして善処いたします。
  153. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 きょう結論を出してくれますか、理事会で。
  154. 木村睦男

    委員長木村睦男君) それもひとつ理事会でやらせていただきます。
  155. 森中守義

    森中守義君 ちょっと一、二点私は大事なことを、さっき少し取り急いで落としておりましたから申します。  若杉さん、実は楢林さんと松田さんからYSについてかなり具体的な御指摘があったわけですね。これらのことにつきましては、あらかじめ社内においてまあ多少とも相違があるのではないかとか、ないしは、あるから、これは手直しをしなくちゃいかぬとか、さらには、全然そういうふうなものは予期しなかったと、分けていけば幾つか出てくるわけです。要するに、御両者の御指摘についてはどういったような受け取り方をされるのか、これをひとつまずお答えいただきたい。
  156. 若杉礼三

    参考人若杉礼三君) お答え申し上げます。  先ほど航空の権威のお二人の方から御指摘を受けました具体的な問題につきましては、実はきょう議題が議題だけに、ほかの事故の原因その他というものはあまり持ち合わせておりませんので、正確なお答えはできないかと思うのですけれども、先ほどの、函館におけるオーバーランをいたしましたときの問題につきましては、これはユーザーさんのほうからも御指摘を受けまして、私どもではサービスブリティンというものを出しておるわけです。サービスブリティンと申しますのは、一応新しく設計しましたものは、ユーザーさんのはうからいろいろ御注文がありましたときに、それをわれわれ設計的に検討いたしまして、今後こういうふうに変更していきたい、あるいはこういうところをわれわれのほうは設計的にまとめたいというようなことを出すという予定にいたしております。先ほど御指摘を受けました二つの問題につきましては、一応社内的にも検討いたしまして、サービスブリティンを出しております。おりますが、いま御指摘のありましたように、さらにそれは青信号じゃないかというようなことにつきましては(「赤信号じゃないか」と呼ぶ者あり)ちょっとまだよく検討しておりませんので、はっきりしたお答えを申し上げられないと思います。  それから上昇する性能が非常に弱いという御指摘がございましたのでございますが、これは私ども基本的な設計をやり、飛行機をつくりますと、日本の航空局から型式証明を受けます。それからさらに、米国にありますFAAのサーティフィケートというものを受けることになっておりまして、ジェット機その他に比べますと、これは上昇の性能が悪いということは当然でございますけれども、たとえばフランスにありますF27とかいう同じ種類のターボプロップの飛行機につきましては、われわれは同水準のものと考えております。  それから事故防止の問題につきましてのいろいろな問題につきましては、発生した事故そのものについての対策というものだけではございませんで、たとえば操作の誤差というものを誘発する可能性があったような場合、そういったものを防止するということで、われわれは技術部門でそれを検討しているわけでございますが、残念ながら私ども日本航空機製造というのは、研究施設あるいはテスト設備というのは自社に持っておりません。したがいまして、それを持っております機体メーカーにゆだねまして、そこで共同的に検討するということに相なりますので、あるいはユーザーさんのほうからその回答がおそいというような御指摘があろうかと思いますが、そういった問題につきましても、われわれは徹底的に調べるという態度だけは最後まで持っておるということでございます。非常に何かわかりませんけれども、御回答といたします。
  157. 森中守義

    森中守義君 それはお尋ねですからね、ここでもってわれわれ議論するわけにはいかぬけれども、確かに、御指摘のように所定の製造工程があり、しかもそのテスト工程があって、最終的に型式証明がおりるわけですね。そこでさっきから言われるような重要な点がまさか見落とされておったとも思えないのですよ。しかし、現実にそういうことがあるということになりますと、非常に私は重大な問題だと思う。むろん、これは運輸当局あるいは通産当局に対しましてその事実を指摘をしながら、もう一回この問題は問題提起していかないとまずいんじゃないかと思う。ですから、ここでは、より完ぺきなものであるという確信をいままでお持ちになったようですけれども、以外にそういうものじゃなかった、しかし、そのことが非常に甚大な致命傷になるような欠陥とは言えないにしても、少なくとも完備されてない、この事実は事実として、むろん社側には反論もありましょうけれども、指摘されたような点についてはもう少し検討していただく必要があるのじゃないかということを要望しておきたいと思う。またいずれ、この問題をもう少し将来の課題として、できるだけ早い機会にお尋ねして、意見を戦わしてみたいと思っております。  それから関川さんと楢林さんにお尋ねしたいのですけれども、最近NHKの取材記者が書かれた「マッハの恐怖」というのがありますね、お読みになりましたか。
  158. 関川栄一郎

    参考人関川栄一郎君) 読みました。
  159. 森中守義

    森中守義君 それから航空安全協会で三名の方が共同であらわされた「それでもあなたは飛行機に乗るか」という、この両著を私も一読しまして、さっき関川さんも御指摘されたように、日本の上空というものは計器飛行と有視界飛行が混合しておる、これに米軍が割り込んでおる、危険この上もない、こういうことがこもごも関係者の中で指摘をされた、しかもそのことが、ある意味では早くも警鐘を乱打されておったというように私は受けた。ですから、先ほどあなたの言われたことは全くそのとおりだと思うのですよ。そこで、そういう恐怖に値するような日本の空をどう一体整理したらいいのか。先ほどちょっと御指摘になりましたように、ある意味では法改正も必要であろう、こういうことのようですが、きょう、まさにショッキングなこの大事故に対して、依然として日本の上空にはその危険性というものは去っていないのですよ。そういう不吉なことを予言するとあまりよくないのですけれども、一体これから大阪の上空であるのか、名古屋上空であるのか、予見できない。しかしその危険度というものは存在する。であるとすれば、法改正ということを待たなくて、今日この時点で発生をしたまさに恐怖に値するようなこの事件に対して、緊急応急の対策としてどうすればいいのか、これをひとつ御両者からかいつまんででいい、しかし現実的な問題ですからね、法律改正を待たないで、運輸省行政裁量としてこの危険をどうすれば解決できるか、今日ただいまの問題だと思う、そのことをひとつちょっと聞かせていただきたいと思う。  それと運輸省乗客課長……。
  160. 小池正一

    説明員(小池正一君) 乗員課長でございます。
  161. 森中守義

    森中守義君 あなたが、いまここにおいでになる最高の責任者ですか。
  162. 小池正一

    説明員(小池正一君) はい、そうです。
  163. 森中守義

    森中守義君 ちょっと、いまお聞きのとおり、きょうこういう大事故をこの委員会の最中にわれわれ受け取って非常に心配だ。であれば、緊急応急の措置として運輸省は、一時間後、二時間後に発生するかもわからないこの事件にどういう対策をお立てになるか、そのことを運輸当局の立場からもちょっとお答え願っておきたい。
  164. 関川栄一郎

    参考人関川栄一郎君) お答え申し上げます。  まあ将来の施策は別といたしまして、今日ただいまとり得る方法、これはまあ自然に限られてまいりますが、私、直ちに思い浮かべますことは、一つは、先ほど申し上げましたように、パイロットの見張りの訓練強化ということでありますが、もう一つ運輸当局としてぜひあすにもやっていただきたいということは有視界飛行——VFR、これで飛ぶ飛行機を規制するということです。先ほど申し上げましたように、現在の法では、VFRの飛行機は航空路を無警告で突っ切ることすら差しつかえないという非常に大きな抜け穴がございます。このVFRの飛行機は、本日衝突したような自衛隊機ばかりではなくて、実はもっと困るのが民間のアマチュアパイロットが操縦する小型機であります。これが込んでいる大都市空港の周辺をうろうろ飛ぶのであぶなくてしかたがないということをしばしば管制官の口から聞いておるのでありますが、それに対しまして現在航空局のほうでお進めになっている施策は積極管制空域、ポジティブコントロールと申しますが、つまり有視界飛行の飛行機は入ってはいけないという空域を設定いたしまして、そこにはVFRの小型機をうろうろさせないという方法を考えておられるようであります。現に東京付近はそうなっておりますが、この積極管制空域をもっと広げて、少なくとも大空港のまわり一円、それから航空路のまわり、こういったところにはVFRの小型機は一切入れないという制度を一刻も早く法制化していただきたいと思います。
  165. 楢林寿一

    参考人楢林寿一君) 飛行機の目視観測ということは人間の目の性能の限界がございます。大体目の視細胞の大きさから検討いたしまして、目のものを認識する、点として認識し得る大きさは、昼間にありましては五十七秒角でございます。一分角よりちょっと小さい程度です。しかし五十七秒角の大きさのものと申しますと、約三千メーター少し先に一メーター四角の大きさの旗を置いたときにやっと視認できるという大きさ程度のものでございます。ですからジェット機で、戦闘機あたりですね、前から両方から近づきますと、胴体の大きさが一番太くて、あと羽があるが、羽なんか見えなくて、胴体ですから、点に見えます。ですから、それが視認できる距離というものはもうきまってしまう。両方から音速で来ます、三百四十メーターくらいで両方で来ると、七百メーター近くなる。ですから一秒間に七百メーターずつ近づいてくる。一メーター近くのもので、胴体の大きさ、もうちょっと大きいと思いますが、四千メーターくらいで、見え得る範囲でも、最初ものを見ても、よけるべきかよけざるべきか、これはわかりません。ある時間が要ります。そうしますと、三千メーターとして、七百メーター・秒で割りますと、四、七、二十八、四秒ちょっとしかないのです。そうすると、まっすぐ両方からそれだけの速度で来ますと、もう人間の目の限界能力を越えているのではないか、回避するまでに感じてかじを切りましても、その程度の性能しか人間は持ち合わせはございません。ですからそういう速度、何といいますか、旅客機のほうは大きいですから、自衛隊機から旅客機を見るほうが大きいのですけれども、決してそう簡単に容易に見得るものではないし、旅客機の側は、むしろ自衛隊機を視認することは非常に困難であったはずだと、両方まっすぐ来ても困難だと、しかし横から来た場合に目の焦点の見得る範囲というのは、非常に細い範囲は正確に見えますけれども、ちょっと離れてしまいますと、ぼけてしまいます。そうしますと、そこに存在していても、これからいっても、これはぶつかってしまう、気がついてかじを切ってももうおそいというふうな、スピードというものがそういう影響をします。そのためにやはり、何といいますか、高速機の領域というものにつきましてはIFR——計器飛行方式を確実に守るということと、そういった横から高速機同士が横切るというようなことについては相当問題が残る、だからこれはやはり地上のレーダーとか、そういうものをよく監視して、それを見きわめることが当然必要だと思います。  また、先ほど申し上げました飛行機同士の衝突予防装置ですね、これがどうしても将来要るだろう。下からレーダーで見える領域であるならばレーダーで見てくれますけれども、レーダーのそとになってしまうと、もう飛行機同士でなければこれを見得ることができなくなります。ですから、ある一定のルールで飛んでおりましても、その飛行機が逸脱するというか、横にそれたり何かした場合に衝突がどうしても起きてくる。ですから、そういう衝突予防装置というものが必要になると思います。  それから、先ほどの小型機の問題でございますが、小型機の飛び得る空域というものを設定してやることですね。やはり空間というものは万人が飛ばなければなりませんので、高速機は高速機の飛ぶルートを設定する。たとえば町中で、ものすごいスピードで自動車を走らされては困る、高速道路に入ってそういうものは走ってもらう。それから小型機が高速機の中に入りますと、高速機はどうしてもものをよけるということについては時間がかかりますから、高速機の入ってくる領域の中に小型機にもたもたされたのではやはり衝突のチャンスがありますから、あくまでその空域を変えてしまう。そういうふうにしてやれば、小型機が入らないようになると思います。それからまた、うんと将来を考えますと、小型機にもそういう空域を確実に守っておるということができるような保安施設を設定しておかなければならないと思います。そうしないと、間違って小型機がやはり入ってくる。そのような状態で、現在ではやはり空域を分けるということが必要だろうと思います。あとは、地上で、小型機とか、そういうものが間違って入ってきた場合に、そいつを管制官が見つけなければいけません。たとえばレーダーですと、大型機はレーダーに映っても、小型機はどうかすると映らない。ですから、やはり小型機も、何といいますか、レーダー・トランスポンダーと申しますか、小さなレシーバーと発信機とを持つトランスポンダー程度のものを開発しておいて、そいつに乗せてやるとすれば、レーダーにもトランスポンダーとして映る。それは小型機用としては、いまの旅客機の持っているあんな精巧なものではなくても、そうしたものを乗せるような方式が一つの解決方法であるかと思います。  あまり急でございますので、十分な知恵が出ませんでしたが、これで……。
  166. 小池正一

    説明員(小池正一君) 航空局といたしましては、ただいま参考人の方が述べられました具体的な対策につきまして早急に検討いたしまして安全の対策をとりたいと思いますが、具体的に私ども考えられます方法といたしましては、現在高高度におきます航行にあたりまして、計器飛行方式で飛ぶ飛行機と有視界飛行方式で飛ぶ飛行機と二種類ございますが、こういったものにつきましては早急に計器飛行方式のみで飛ばせるというようなことも一つの具体的な方法かと思います。また、交通量の多い空港付近におきましては、すでに有視界飛行を制限した区域が設定されておりますが、それらの区域の運用の方法等につきましても、なお、さらに、有視界飛行で飛ぶ小型機等についての制限を強化するというようないろいろな対策につきまして、できるだけ早く関係の政令、省令等につきましては改正いたしまして事故の防止をはかりたいと思います。
  167. 森中守義

    森中守義君 たいへんおそくなって相すみませんが、これで終わらせてもらいます。  実は、けさほど来、事故調査について非常に貴重な意見を承った。そこで私の知る限り、一体、事故調査委員会というものがいかなる法的根拠に基づいているのか。法的根拠じゃないんですよ。つまり行政組織法のどこにもない、それを受ける設置法にもない、あるいは組織令、組織規程にもない、航空法にもない、いわんや航空法の施行規則の中にも、調査委員会というものを設置をして、それで事故調査をやってよろしいという許容条項、委任規定というのはないんですね。だから、けさほど来、それぞれ参考人からのお話もあったんですけれども、一体、調査委員会の権威は何なのか。まあ、一言で言うならば、選ばれた学者、先生方が、つまり学問上の権威である、あるいは専門家である。つまり、そのことが社会に対する一つの信用度だということで、何かこう言いわけをつくろうとしているのじゃないかというような気がしてならない。一つも法律上拘束力がないのですね。ただ無理やりに解釈していきますとね、航空法の百三十二条ですね、百三十二条二項の中に、その他の者にという、この条項がある。これがどこまで援用された解釈かというところに問題がある。だから私は、調査委員会という制度自体が全く法的根拠がない、それを政治的な裁量という意味で、事故が発生をした、専門家、技術者の調査によってまあ一応世間に言いわけをしているのにすぎぬのじゃないか、こういう気がしてならぬのです。だから、先ほど来、調査委員の任命であるとか、その中身は一体何なんだと、こういう意見が出るのも無理からぬ。こうなってきますと、問題は非常に重大ですよ。結局、運輸省の航空行政に対する姿勢は一体何なんだろう。ぎょうぎょうしく事故調査委員会というのをつくる。それで、「もくせい」号以来きょうの事件まで十一件を数えますね。こういうように根拠のない、拘束力のないもので調査をし、それで世の中に得心させようということ自体が、むしろ私は問題だと思う。こういうように思うのですが、私が当初お尋ねいたしましたように、あるべき事故調査の未来像、理想像とは一体何なのか、むしろこの辺からもう一回航空事故については洗い直していく必要があるのじゃないか、こういうようにも私は考えるのですが、いかがなものでしょうか。ひとつ関川さんと楢林さんお二人から、もう一回伺いたい。
  168. 関川栄一郎

    参考人関川栄一郎君) お答え申し上げます。  ただいま森中議員から御指摘のあったとおりでございます。その根拠というものは、毎度設立されております事故調査委員会については、はなはだ不確かなものでございまして、また、おっしゃるように、その委員会がどうも世間を納得させるための隠れみのに使われているのじゃないかという気持ちを私個人非常に強く持っておるわけでございます。これは調査機関の性格あるいは存在理由、そういったものは解釈のしようでどうでもなるものでありますが、私個人の感じとしましては、いま森中議員から御指摘があったように、世間を納得させるために、知名の人々を集めて、なるべく世間に対して表面上糊塗しやすいような形で調査団が組織されているといった点は、どうもそういった疑問がぬぐい切れないわけでございます。将来あるべき事故調査委員会あるいは事故調査機関の理想像としましては、先ほども一言申し上げましたが、やはり陸海空総合した一元的な調査機関、権力から独立した調査機関といったものが組織されなければならないのじゃないかと思います。
  169. 楢林寿一

    参考人楢林寿一君) 関川さんがいまおっしゃられましたとおり、全く同感でございます。重ねて申し上げることももうございません。
  170. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 他に御発言もなければ、本件に関する参考人に対する質疑を終わります。  参考人の方々に一言お礼を申し上げます。  本日は御多忙中長時間にわたり貴重な御意見等を拝聴いたし、まことにありがとうございました。この機会に厚くお礼を申し上げます。たいへんどうも御苦労さまでした。(拍手)  速記をとめて。   〔午後六時三分速記中止〕   〔午後六時三十九分速記開始〕
  171. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 速記を起こして。  他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめておきます。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十分散会