○
沖本委員 結論的な
お話に飛んでしまったわけですけれ
ども、先ほ
ども矯正
局長の
お話があったとおり、名古屋でたばこを入れてくれたら二十万円出す、こういう話が刑務官と受刑者との間で取りかわされ、一番でかいのは金嬉老だったわけですね。これは中におって弱点を握って逆用したというようなこともあるわけですけれ
ども、そういう点で、結局この種のことが起こるということは待遇が悪いからという点が一番にかかっていると思うのです。ですから、たとえて言うなら、詳しいことは知りませんけれ
ども、刑務所のすぐ近くに刑務官の官舎がある。大阪の場合も刑務所のすぐそばに古ぼけた官舎がありました。周囲のほうの建物はもう近代化されていってどんどんよくなっているのに、そこの一角だけがまるで戦時中の兵舎みたいなところだと思うのですね。たとえば便所にしても、ほかは全部水洗化されていっておるのに、そこだけはくみ取りじゃないかと思われるような建物、あるいは給与が悪い、あるいはいろいろな待遇が悪いから、受刑者からの誘惑に刑務官が負けてしまう。高い理想と誇りに立って、それで勤務するという
立場に立てるようにしてあげれば、こういうことは起きないはずです。
ですから、このときの数字にも出ておりますけれ
ども、実際には夜間では五名しかいない、中で五名の人が一晩じゅう巡回しておるということですから、とうてい千何ぼおる人
たちのめんどうが見切れるわけでもなんでもないわけです。それから見張りは全然ないし、仕事の場合でも、
事件の起きた四十六工場と四十五工場、四十六工場は監視二名だった、あるいは刑務官が二名だったわけですね。四十五工場のほうは一名だった。こういうことですから、そういうふうな待遇が悪いとか非常な不満があるとか、それから一カ所に長く勤務をくぎづけにされている、それで結局社会と途絶している生活をしているのではないか、こういうふうにも思われます。以前にも刑務官の方と会って話し合ったことがございますけれ
ども、全然社会のできごとからシャットアウトだ。大体刑務所というものは社会からずっと隔離されたような
場所にあるわけで、大阪刑務所とか東京の中にある刑務所というようなものは町中になってしまっておるわけなんですけれ
ども、そういう中で生活条件が非常に悪い、待遇が悪いということになれば、やはりある
程度反発的なものが出てくるということになると思うのです。子供の教育にまでそういう問題が起こってくるのではないか。向こうの幹部の方が言っておりましたけれ
ども、われわれは年限がくると勤務がえの転勤が非常にあるのだ、その場合に一番困るのは子供の教育だ、高等学校に行かすのにどうしたらいいかというのが一番の悩みなんだ、ということが上級幹部の方の悩みでもあったわけです。こういう問題が解決されない限り、精神的な問題、物質的なものが解決されない限り、そういうものに対する
対策というものはできない、こういうふうに考えられるわけですけれ
ども、といって、予算がしぼられておるとか、こういう全般的な問題がかかっていると思いますけれ
ども、事はそういうことを越えて考えていかなければならないと思うわけです。ですから、先ほど次官がおっしゃったテレビの点についても検討をする、こういう
お話なんですけれ
ども、見張りのところへ照明をつけて、テレビのカメラを据えて、そのカメラ自体も照明で見える。それからへいの内外がカメラの移動によっていつも見張りができるような
状態であれば、テレビカメラというものを通して、たとえ見張っていなくても心理的に見張られているということで防げる、こういうことになるわけです。
要は、この種の問題に対しては、金とかなんとか言っておれない、国民の安全を守っていくためにはどうしてもやらなければならない、こういうことになると思います。
警察なんかはどんどん交通事故がふえていくから、
警察官の増員をどんどんはかっていっておる、こういう社会情勢の
事態に応じて人員の問題もできていっておるのに、刑務所だけは社会から途絶されているという
内容から、やはり
内容そのもの、全体が途絶されている考え方の上に立っているのではないか、こう考えられるわけですけれ
ども、両方とも含めまして、どういう前進策、解決策をお持ちか、お伺いしたいと思います。