○畑
委員 実はこの「
裁判所時報」は私のところに送ってこられたのです。千葉さんという広報課長の名前で私のところに送ってこられた。ところでほかの同僚の方に聞いてみた。岡沢君のところに来ておる。私のところにも来ておる。ところが、公明党の
沖本君のところには来てないし、それから共産党の青柳さんのところにも来てない。野党では私と岡沢君だけ来ておるのですね。(発言する者あり)そういうことで、二人だけ来ておるんですが、こういう号外も普通の「
裁判所時報」も、私のほうへ送ってこられたことは一度もない。しかも添え書きも何もないのです。ただ「
裁判所時報」の号外だけを送ってこられた。
内容を読んでみました。読んでみましたところが、最近問題になっておる例の
裁判官の再任拒否の問題、その他一連のことについての、われわれがあまり見たこともなかったいろいろなマスコミの報道、論評、そういったものが幾つか出ております。相当数出ております。
最高裁の公式見解を含めて全部で二十本並べてあるわけでございまして、それで一番最初に、これを出した趣旨が最初の一ページの大部分を費やして取り上げられておるわけであります。そして、これは全部転載です。転載されたものでありまして、その転載されたものが、われわれが見ましても非常に感情的なというか、理論的にはどうもあまり感心しない。反対は反対にしろ、
裁判所を擁護する立場に立つなら立つとして、思考に値するようなものが多ければいいのだけれ
ども、どうもその中には、週刊新潮から転載されたものが三本ございます。それから
司法界の外郭団体と見られておる「法曹」、その
機関誌、これが二、三本出ております。それからさらにまた例の日弁連の臨時総会の決議案、それの反対趣意書という名目で出ておるのがあります。これは一部の弁護士の方のものでありまして、それと、それからさらに法務
委員会のこの間、四月十三日の議事録第十六号の抜粋が出ております。この議事録の場合な
ども森山
委員とあなた方の質疑応答だけが出ておりまして、われわれのやつはちっとも出てない。要するに
裁判所擁護論、そういう連中だけのものを全部拾ったんだと思うのです。あらゆる手を伸ばして全部それを洗いざらい集めて、それを転載した。その中にはまことにどうも愚劣なものも相当あるのです。しかも総論の中に、目につかないものもあったろうから、したがって一般に目に触れてないものも多いから——一般に目に触れているものは
裁判所批判が多いんだ。誤解も非常に多いんだ。ところが、そうでない、一般に目に触れてないもので、なかなか
裁判所を擁護するものが相当ある。それを全部転載したということだと思う。それにしちゃお粗末なんです。
こういうものを全部総動員して、われわれの味方もこんなにあるんだということだと思うんだけれ
ども、今度の処置はまことに
お話にならぬと私は思うんです。もうようやく鎮静しかけたというか、まだ鎮静は実際にしてないでしょうけれ
ども、眠った子をさますようなもので、火に油を注ぐようなことになると思う。これじゃ弁護士会もおこりますよ。弁護士会を誹謗したのが相当あります。週間新潮のヤン・デンマンという記者の報道だという「東京情報」というものなどは、私も弁護士会の総会に行ってじっと聞いていた。こういうものじゃなかった。相当まじめなものでした。それはそうでしょう。それをやゆ的に書いている。これじゃおこりますよ。そういうのをそのままあなた方が、実際に行って見ていたかどうか知らぬけれ
ども、それを転載している。これは責任はあなた方にあるということになりますよ、これを全部転載した以上は。これらが全部われわれと同じ意見だというふうになりますよ。同じ擁護論でももっとりっぱな擁護論なら転載する価値があります。ところが、われわれから見ても全く問題にならぬような、感情的な立場に立っているものなどがある。日弁連の臨時総会の決議案反対趣意書、これも確かに私は弁護士会の総会に行ったときに入り口に置いてあった。それは決して正式の議題でも何でもなかった。どういうことで入手したか。何でもかんでも入手できる範囲のものを、弁護論に終始しているから、全部集めたというようなことにしか
考えられない。一般の目に触れないといったら、例の四月十三日の
国会のなま中継で放送されたものは、みんな目に触れていますよ。それだったら、
両方載せればいい。ところが、私たちの論議はちっとも載っていないんで、目に触れないと称して、相当目に触れたはずの森山君の質問だけで、ほかの
委員の方は、自民党の方も相当良識的な質問をされておりましたけれ
ども、そういう方、羽田野君その他の質問はちっとも載っていない。森山君の質疑応答だけが載っている。全くこれは一方的だ、私はそういうふうに非常に痛感したのです。これを受け取ってむっとしたのです、正直のところ。ようしこれは問題にしなければならぬ、そう思った。
私は第一線の
裁判官はどう
考えているかと思って、浦和の
裁判所の
裁判官の意向も聞いてみた。それは
裁判所長の三淵乾太郎判事ですね。初代の
最高裁長官のむすこさんの三淵さんの意見も聞いてみた。三淵さんも、これは一方的だ、私はこれは相当問題だと思います、これは一線の
裁判官をばかにしています。こういうことで、内心やはり穏やかならざるものを持っているようです。それから、はたせるかな読売新聞が取り上げましたね。だから、私だけじゃない。その中には、横浜地裁の所長代行の野瀬さんもこう言っていますね。「自分に都合のよい記事ばかりを集めて、これを世論だというのか。われわれ現場の
裁判官を甘くみている」こういうようなことを言っておられます。また日弁連の
司法の独立に関する
委員会の荻山虎雄
委員長、前の日弁連の会長ですね。「おかしなものを出したものだ、いままでこうした一方的な意図を持った「
裁判所時報」は出たことがない。
最高裁はわれわれ
司法界や一般
国民の抱いている
司法への危機感や
司法行政の行き過ぎに対する批判をまともに受けつけようとしない。どう対処するか、検討するか、日弁連としてこのまま見過ごすわけにはいかない」こう言っておるのです。なるほど私の
考えていたとおりなんですね。
これはもう
最高裁の非常なミスだというか、
最高裁の体質を物語っておるというふうに
考えます。それできょうは質問を申し上げたわけなんです。そうしてみんな
責任者をずらりと並べて、事務総長以下出席を求めて、一人一人に聞いていこう。一体だれがどういうふうにして企画立案したものか、みんなその人たちが知っているのかどうかということをぼくはただしたいと思っておったのですが、ちぐはぐになっちゃいまして、きょうの
委員会があることはずいぶん前から知っているはずだと思うのです。簡裁の判事の試験だとかで、午前も午後でもだめ。やむを得ず昼休みならいいということで、ぼくは昼休みの質問にわざわざずらした。全部出てくるものと思ってきょうはそれで納得した。ところが、事務総長、総務局長だけ、それからあとは、この実際の犯人といっちゃ何だけれ
ども、千葉広報課長だけがおいでになるということで、その人をいじめてみてもしょうがないと思うけれ
ども、一応あとでいじめます。しかし、これは事務総長も知っておるはずだと思うのですね。だから、こういうことを出さしたのはあなたの責任なんですから、これはこれでいいと思っていられるのかどうか。私はこれは常識に反することだと思うのですよ。これはせっかく良識的な立場でやっておられる——弁護士会の中にもそれはいろいろありますけれ
ども、そういう人たちだって、これでは憤慨しますわ。こういう立場でいるということは、結局、われわれの批判を少しも聞いていない、むしろ挑戦しているんだ、こういうふうに思いますのは無理ないので、これは私だけでないと思うのです。与党の方だって私はこれを全文を見てもらえば正しいと思っていないと思う。