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1971-08-11 第66回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年八月十一日(水曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 小林  進君    理事 青木 正久君 理事 竹内 黎一君    理事 武藤 嘉文君 理事 武部  文君    理事 有島 重武君 理事 和田 耕作君       石井  一君    上村千一郎君       坂村 吉正君    森  美秀君       田中 恒利君    松浦 利尚君       谷口善太郎君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         経済企画政務次         官       木部 佳昭君         経済企画庁国民         生活局長    宮崎  仁君         大蔵省主税局税         制第二課長   渡辺 喜一君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         厚生省薬務局長 武藤一郎君         農林省畜産局長 増田  久君         通商産業省通商         局農水課長  豊田  整君         通商産業省重工         業局自動車課長 石原 尚久君         運輸省自動車局         業務部長    小林 正興君         労働省労働基準         局監督課長   吉本  実君         参  考  人         (畜産振興事業         団理事長)   岡田 覚夫君         参  考  人         (食肉輸入商社         協議会会長)  河村 雄次君         参  考  人         (食肉輸入商社         協議会専務理         事)      宮崎 貞雄君     ————————————— 七月二十四日  一、物価問題等に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 小林進

    小林委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。
  3. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、私は、主として医薬品関係再販問題、薬価問題、さらに今度厚生大臣医師会との間で了解した了解事項内容等について、若干質問をさせていただきたいと存じます。  まず、きょうは長官がおいでになっておられずに政務次官だそうでありますが、私は本委員会で、かつて前佐藤長官に対しまして、医療費の問題について、医療費というのは公共料金範疇に入るかどうか、こういう質問をいたしましたら、佐藤長官は、医療費は明らかに公共料金範疇に入る、こういう答弁をなさっておられるわけであります。だとするなら、今回厚生大臣医師会との間で了解をされたと伝えられております診療報酬値上げの問題、これは一体公共料金値上げという感覚になるのかならないのか、その点を明確にひとつ御答弁をいただきたいというふうに思います。
  4. 木部佳昭

    木部説明員 佐藤長官が発言されておりますように、公共料金と考えております。
  5. 松浦利尚

    松浦(利)委員 公共料金だとするならば、今回の医師会による医療報酬値上げというものが、国民公共料金としての影響を与えるということになるなら、医療費値上げがあったにしても、そのことは国民大衆負担をかけるような結果にはならない、そういうふうなことがあってはならない、こういうふうにお考えになるかどうか、その点を……。
  6. 木部佳昭

    木部説明員 そういう方向でわれわれも検討しております。
  7. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そういう方向努力をすると言われましたが、だとするなら、国民一般大衆は、今回の医師会政府、これは厚生大臣でありますが、政府との間で了解点に達したこの了解事項診療報酬値上げというものは負担にならない、そういう方向経済企画庁としては努力をする、また政府としてはそういう方向努力をする、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  8. 宮崎仁

    宮崎説明員 お答え申し上げます。  御承知のとおり診療報酬引き上げという問題は、直接には患者負担に響かないというのが原則でございます。結局、患者負担として出てまいりますのは保険料という形での負担、これが原則として出てくる。もちろん初診料とか再診料とかいうような、直接患者から徴収されるものが、診療報酬の問題として議論になる場合もございましょうけれども、一応は縁が切れておるというふうに見るのが普通だと思います。ただ、診療報酬引き上げ程度によりましては、保険会計赤字になりましょうから、また、それによって保険料引き上げとか、あるいは被保険者負担の増大という問題が出てくる可能性はございます。  いずれにいたしましても、現在厚生省のほうで、各種の審議会においてこの診療報酬問題等を御検討になるわけでございますので、それに応じて、また保険制度の抜本的な検討もされるというふうに伺っておりますので、そういう過程を通じまして、私どもとしては国民一般負担が増大しないように、できるだけそういう方向で問題が解決できるように努力したい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  9. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いまの局長答弁で、政府としては、いやしくも国民負担をかけるようなことにならない、被保険者負担になるようなことは避けたい、こういう考え方だというふうに了解していいですか。
  10. 宮崎仁

    宮崎説明員 その程度によりますから、絶対にこうだということは、いまなかなか申し上げるわけにはまいりませんけれども、私どもとしてはそういう方向努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
  11. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そういう方向努力をしたいということですから、これ以上ここで水かけ論をしても始まりません。少なくとも今回の医師会だけと厚生省のほうと話し合いをした覚え書き事項について、いやしくもその飛ばっちりを一般国民が受けないように、国民被害者にならないように、いま局長並びに政務次官が言われたことを前向きで了解をさしていただいて、そういうことはない、負担をさせるようなことはない、こういうふうに理解をして、私は次の質問に移りたいと存じます。  次に、これは厚生省にお尋ねをするわけでありますが、いま厚生省のほうでは、薬効の再評価ということで現在検討をしておるやにお聞きをしておるのでありますが、この薬効の再評価ですね。相当たくさんの数量にのぼっておるこれらの薬効について、一体いつごろまでにそういった再評価が終わるのか、一体一年間にどれくらい再評価ができるのか。私が厚生省からいただいた資料によりますと、毎年八十何件かが新薬として認可になっておるようであります。ところが、片っ方のほうではどんどん新薬認可をしておきながら、現在市販されておる、あるいは現在使われておる薬についての再評価というものについては、まだ全然進んでおらない。こういう状態でありますから、全体の薬の再評価が終わるのには一体どれくらいかかるのか。一年間に八十幾つ新薬が出るとすれば、一年間に再評価が終わる数というのは一体幾つになるのか。そういう点をこの際、厚生省のほうで明らかにしていただきたいというふうに思います。
  12. 武藤き一郎

    武藤説明員 再評価の問題は、先生お話しのように、懇談会答申が七月七日に出たわけでございます。それから、中央薬事審議会の中に再評価特別部会を設けるというのが、月末に審議会できまったわけでございまして、これから本格的に取り組む予定でございますが、現在製造品目がどのくらいあるかと申しますと、昨年末で製造されております品目を調べましたところ、約三万二千ほどでございます。局方を入れますと四万ぐらいでございますが、四十二年からは、例のいろいろな事件が起きまして、審査が非常に厳重に行なわれております。たとえば動物実験毒性試験とかあるいは催奇性試験でありますとか、いろいろ試験が厳重になっておりますので、懇談会答申でも、四十二年以前に許可になった薬をまず原則として洗うべし、こういう御答申をいただいております。したがいまして、先生おっしゃいました最近の新薬は、厳重に審査されておりますので、もちろんこれは総ざらいの対象外とはいたしませんけれども、とりあえず審査いたしますのは四十二年以前に許可をされた薬になろうか、かように考えます。  そこで、どれぐらいかかるかというお話でございますが、アメリカの例を見ますと、二千五百ぐらいの品目について、現在なお政府と業界間でいろいろ議論が行なわれておりますが、それでも大体二千五百が三年ぐらいかかっております。したがいまして、四万ぐらいの再評価をいたしますには、相当ピッチを上げましても少なくても最低五年はかかる、私どもとしてはかように踏んでおります。  この方法でございますが、一つ一つでなしに、少なくとも審議会最低三十ぐらいの薬効別調査会を設け、それからそれにつきましてのデータを詳細に調べるわけでございますが、一斉に三十の調査会をこの秋からスタートさせるということは、なかなか至難のわざでございます。したがいまして、懇談会答申でも、現在いろいろ問題になっております薬、それからまたやりやすい薬、そういうものからできるだけ早く検討を開始することが望ましいというふうにいわれておりますので、その線に沿って私どもではこの作業を進めていきたい。なお、この作業を進めるに際しまして、昨日、薬務局製薬課はいままで一課でございましたけれども、これを主として所管いたします課を新しく製薬二課というふうに設置いたしまして、この問題に前向きに取り組む予定にしております。
  13. 松浦利尚

    松浦(利)委員 もっと具体的に聞きますが、先ほど言いましたように、新薬のほうは、平均して八十数件毎年認可になるのですね。それでは、再評価する場合に、具体的に一年間にどれくらいの数を考えておられるのか。ばく然と五年ということじゃなくて、いま言われたような方法で五年かかるとすれば、一年間には最低これだけのものはやるという——片っ方では新薬がどんどん認可されてきておるわけですから、片っ方の再評価を早くしていかないと、どんどん認可の薬がふえるということになるわけですから、その点を具体的にお聞かせいただきたい、こういうことです。
  14. 武藤き一郎

    武藤説明員 対象件数が約四万でございますから、これを五年でやりますと年間八千、機械的に割りつけますとそういうことになります。
  15. 松浦利尚

    松浦(利)委員 八千件という件数は非常に大きな数ですね。ですから、いま言われたように、国民に対する不安を除去するという意味からも、ぜひ八千件というペースをもっと早める。少なくともそういった再評価によって国民の不安を取り除くという前提に立つならば、五カ年という期間をさらに短縮するといった方向努力をしてもらいたいということを、私は申し上げておきたいと思うのです。  次に、これは厚生省局長にお聞きをいたしたいのですが、実はこの八月が各薬メーカー販売促進月間、こういうふうになっておるのです。たまたま私は、それらの販売促進会社がお医者さんに売る薬の値引き一覧表——これは社外秘ということになっているんですね。たとえばAという薬品会社は、Aという薬品会社から外に出してはいけないという社外秘です。それが一体どういうことになっておるかということ、つまり社会保険診療報酬薬価基準、早く言えばお医者さんが支払基金に請求をするその単価表ですね。これと一体どういう関係になっておるのかというのを調べてまいりました。この販売促進各社販売促進をしておる内容から、ここに十件ほど拾ってみたのです。薬価と実際に売られておる価格との間にどれくらいの差があるのかというのを、われわれがお医者さんからよくもらう薬に基準を置いて調べてみたのです。  まず、酵素剤の血をとめる塩化リゾチーム、十ミリは、薬価表でいくと三十九円七十銭の薬価になっておるものが、この社外秘によると、現在四円ないし五円でお医者さんの手元に渡っていますね。それから五炭糖という糖尿病キシリット注射液、五%、五十ミリは、薬価が七百五十円。これが実際にお医者さんの手元に渡ったときには二円五十銭から三円ですね。それからクロロマイセチンの二百五十ミリは、薬価が四十六円五十銭。これが十五円から二十円で売られていますね。それからクロフィブレートカプセルという動脈硬化の薬、これは一カプセル二十六円六十銭が三円から七円で売られておる。それからキモタブ、キモーゼという消炎酵素剤は、薬価で五十五円七十銭及び五十二円二十銭のものが十円ないし十五円。それからデキサメサゾンという副じん皮質ホルモン皮膚疾患にきく薬だそうですが、これの〇・一%、一グラムの薬価が百二十四円二十銭。これが二十円ですね。それから合成アミノベンジルペニシリン、二百五十ミリ、一カプセル薬価百七十五円が七十円から八十円。消化酵素剤のビフテノンは、薬価一錠六円四十銭が二円ないし三円、一カプセル十四円九十銭が五円ないし七円ですね。神経痛、リューマチにきくコンドロイチン製剤カシワドール、これが十CC、二十CC、同じく単価表では百二十六円が六十円。活性ビタミン剤、これはアリナミンとかビオタミン、ハイベストン、サモンゴールド、これが十一円のものが五円前後ですね。  これを見ましたときに、一体薬価格はどうなっておるのか。しかも、この卸売りの連中の話を聞きますと、過当競争で五円で入れようとしても、お医者さんは、いや、あすこは三円だから、おまえのところから買わない——だとすると三円で売らざるを得ない。そうすると、今度は特別申請制度というのがあって、卸売り商から特別申請したものについてはまたリベートが若干返ってくる。そういったことが現実の姿としていまあるわけですね。薬価というのは、一体国民のための薬価なのか特定のための薬価なのかということが、私は非常に疑問になってきたのです。  本来ならばわずか五円くらいの薬が、三十九円七十銭で支払基金のほうに請求されておる。支払基金の金といったら国民の金ですからね。大衆保険料として納めた金から支払っていくものですから、こういった薬価のあり方、これを厚生省一体どう考えておるのか。国民は高い薬を飲まされておる。ところが、実際は薬の値段というのは安いのですね。そういう点について、厚生省局長のほうから明確に、ひとつ国民に向かって答えてください。
  16. 武藤き一郎

    武藤説明員 ただいまの先生の薬の価格の問題は、医療用薬価基準実勢価格の問題だろうと思います。  薬の価格は従来いろいろ競争が激しいために、先生の御指摘のような状態が一部には見られます。品物によってはだいぶ落ちついてきておりますが、なお競争の激しいものにつきましては、あるいは先生指摘のように、現在、全般的ではないにしても、一部にはあろうかと思います。したがいまして、薬務局といたしましては、毎年二月に薬価調査を行ないまして、それによりまして薬価基準を設定しております。これは昨年は約三%、その以前は大体一〇%程度、ずっと基準の改定が行なわれております。したがいまして、先生がおっしゃいましたような薬については、その調査価格に基づきまして漸次薬価は下がっていく、また下がってきている、私はかように考えます。ただ、薬価基準のきめ方といいますのは、九〇%バルクラインという制度が行なわれておりまして、九〇%の購入者が損をしないようにという仕組みで行なわれております。したがいまして、いま先生が例にあげられましたような一部の例までに、薬価基準がそのまま最低価格に下がるということはなかなかむずかしい。全体がその価格に落ちつけば、これは九〇%バルクラインで引きますと当然そういう価格になりますけれども……。そういうことでございます。  薬の価格は、競争によりまして漸次下げていく。しかし、先生が御指摘のように一部乱売をして、あるいは値引き競争の極端なあまり、そういう商取引が行なわれますと、いろんな点におきまして問題が出てきます。そういう点で私ども十分指導しているつもりでございますけれども、なお今後十分指導を続けたいと思います。  薬の価格につきましては、やはり自由競争をもととしまして、漸次良質で低価な薬を供給するということでございますけれども、何せ品目が多い。したがいまして競争も激しいので、いわゆる売り込み競争を特にはかる、販路の拡張をはかるということが行なわれていることは現実のとおりでございます。昨年の十二月にいわゆる添付廃止という問題が起こりまして、添付は現在禁止されております。それまでは、先生承知のように、いわゆるおまけをつけて薬価基準価格の維持をはかるということが行なわれました。現在は添付を禁止いたしまして、値引きによる競争薬価基準に反映して漸次実勢価格に近づけていく、こういうことでございますので、先生があげられました例のとおりに、直ちに薬価基準がすべてそのとおりに落ちつくということについては、私は断言できませんけれども、漸次その方向にいくということはいえる、かように思います。
  17. 松浦利尚

    松浦(利)委員 あなたの答弁を聞いておりますと、漸次そういうふうにするというような話ですけれども内容的に全部の薬について言えるのです。いま、私は専門家でないので、専門家の話を聞きながら、こういう例はいいだろうというので、その薬だけを取り出して、販売促進社外秘の文書から取り出してこの薬価と合わせてみたのです。しかも、これはよく使われている薬です。それで実際に、医療会計赤字赤字だといっている。確かに添付をなくしたことは事実ですね。ところが、添付をなくしたからこれをしておるのかと聞いてみましたら、いままで添付をした上に値引きをしておった。それを今度は添付をやめた。ですから値引きというものが残った。その値引き内容というものがこういう状態なんです。ところが片っ方のほうではどうかというと、市販されておる大衆薬、これは再販で、たとえばアリナミンならアリナミンを買おうとすれば、百錠千二百円くらいで25Aのやつを買わなければならぬ。ところが、これは大衆薬だから、お医者さんの薬とは成分が違うものが含まれておるのだ、こういうふうに厚生省の担当の方は言いわけしておられますけれども一般大衆は、病気になったときには、お医者さんがくれる薬をもらったほうがいい。何も添付で特別に高いものをもらう必要はない。実際にわれわれが市販されておる薬を買おうと思えば、再販でがんじがらめにされておる。お医者さんのほうで薬をもらってみたら、お医者さんのほうの薬は、実勢価格というものは四円、五円と非常に安い。ところが、お医者さんが請求する場合には、たとえば塩化リゾチームのごときは三十九円七十銭、三十五円も高く国民負担している。お医者さんからもらっても高い薬、再販一般大衆薬局から買っても高い薬。泣いておるのは国民じゃないですか。あなたは実勢価格に近づけるとかなんとか言っておるけれども、まさにお医者さんにダンピングして、高い薬を国民に飲ませておる。本委員会で、だいぶカラーテレビのダンピング問題が議論になりましたけれども、国内における医者向けダンピングの犠牲、しわ寄せを一般国民負担しておるといっても、これは間違いじゃないじゃないですか。その点どう思いますか。
  18. 武藤き一郎

    武藤説明員 先ほどから御説明いたしましたように、価格競争が激しくなりますれば、当然値引き競争が行なわれるわけでございます。その場合に、薬は多品目でございますので、いろいろ商業政策上の観点から売り込みをはかるために、一部、先生がおっしゃいましたような問題が出てきた、これは私は好ましいことではないと思いますけれども、そういうことが行なわれておる。マクロ的に見ますれば、やはり競争が行なわれて薬価基準を下げていくということが必要だろう、その方向薬価調査も厳重に今後やっていきたい、かように考えております。  ただいま大衆薬等の問題を先生指摘になりましたけれども小売り価格は、いわゆる直接大衆が手に入れる価格でございます。この点につきましてはいろいろ再販その他の問題がございますけれども、これは現在公取のほうで是正措置を講じて調査中でございます。したがいまして、この問題も、制度があるとはいえ、競争の結果ある程度引き下げの方向にいくだろう、かように考えております。  医者患者に与える薬につきましては、これは卸売り価格でございますので、もちろんこの中身は多少違いますけれども、そういう点では小売り価格、つまり小売り店から買う薬のほうが若干高いということはいえると思います。
  19. 松浦利尚

    松浦(利)委員 若干高い、こう言われましたけれども、若干どころの騒ぎじゃないですよ。「飲んでますか」というアリナミンが、お医者さんでもらった薬は五円ですよ。それが十一円、十二円でわれわれに売られているのです。実際に薬価等実勢価格に近づける、こういうふうに言っておられるけれども、あまりにも差があり過ぎますね。それで私は卸商人たちに聞いてみた。ところが、厚生省薬価基準のきめ方というところに問題があるのじゃないか。実勢価格調査したというけれども、これがいいかげんな調査で、内容が伴っておらない。だからこんな大きな差が出てくるのですよ。実勢価格に近づけます、しかし一挙に近づけることは不可能です、こういうふうに言っておられますけれども——あなたはにこにこ笑っておるけれども、何ですか、その態度は。どこがおもしろいのかね。何がおかしいのかね。   〔委員長退席武部委員長代理着席〕 そんな不見識な態度があるかね。何だ、その態度は。ぼくが一年議員だと思ってなめているのか。君らの態度だったら質問できぬじゃないか。人が質問しているときに、何で君は笑うのかね。君には質問できないよ。厚生大臣を呼んでこい。
  20. 武藤き一郎

    武藤説明員 先生の御指摘になるような態度を私はとっている気持ちはございませんけれども、誤解をお招きした点はおわびをいたします。
  21. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ぼくが、実勢価格と現在お医者さんに卸す卸価格とこんなに開いているじゃないか、こういう質問をしたら、あなたは笑ったじゃないか。まあそのことはいいですよ。  それじゃ、実勢価格に近づけるように努力をするというが、現実的にこんなに差が開いておるものを、今度の薬価でぴしゃっと、この実勢価格に何%近づけるようにするのですか。
  22. 武藤き一郎

    武藤説明員 医療用薬価につきましては、毎年二月に実勢価格調査しております。その実勢価格につきまして九〇バルクラインという制度薬価基準がきめられております。したがいまして、卸さんから私どものほうに出していただく数値によりましてこの実勢価格はきまる。それは方式は九〇バルクライン、つまり九〇%の方が損をしないような価格できまる、こういうことでございます。
  23. 松浦利尚

    松浦(利)委員 九〇%の方が損をしないようにというけれども国民のほうはものすごく損をしているじゃないですか。だから、そういう点も含めて、過去の慣習にこだわらずに、ほんとべに全体的に実勢価格に近づけるようにやりますか、形武的な論議は別にして。
  24. 武藤き一郎

    武藤説明員 薬価基準につきましては九〇バルクラインできめる、実勢調査価格をきめまして、それを九〇バルクラインできめるという法則が中医協できめられております。その方式に従って私はやっております。したがいまして、実勢価格が下がれば必ずその範囲で下がる、こういうことでございます。
  25. 松浦利尚

    松浦(利)委員 その実勢価格そのものに問題があると言っているのですよ、あなた方が調査をする実勢価格に。だから、初めから、調査をする実勢価格に問題があるから、問題のある結果が出るのです。そういう点をあらためてきちっとするか、こういうことなんです。ぴしっとしてください。
  26. 武藤き一郎

    武藤説明員 実勢価格調査いたしますと、つまり価格の安いものから高いものまで卸さんから出てくるわけでございます。その価格を下から数えまして九〇バルクラインというところで線を引きまして、そこで価格薬価基準としてきめられているということが実情でございます。したがいまして、先生が御希望なさるように、一番安い値段で薬価基準がきめられるという仕組みにはなっておりませんので、その点は御了承願いたいと思います。
  27. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そういうことはわかっているのですよ。そういうことを言っておるのではない。社外秘というのをあなたは持っておるのですか。卸さんが持っておる社外秘、メーカー側から出されておる、社外秘になっておる卸価格ですね、それは初めからあなたのところに出されておらないのですよ。
  28. 武藤き一郎

    武藤説明員 社外秘の問題につきましては、私どもは持っておりません。  ただ、先生が先ほどからおっしゃいますように、実勢価格先生が御希望なさるあるいは御指摘なさるような最低価格に、全体が値引き競争いたしまして、そして全体がそこまで下がってきますれば、薬価基準が九〇バルクラインでありましょうとも価格がそこできまる。ただ、非常にばらつきがありますと、なかなか安い値段で薬価基準というものがきめられにくい、こういうことを申し上げておるわけであります。
  29. 松浦利尚

    松浦(利)委員 水かけ論ですから……。  あなたの言っておることもわからないわけじゃないのだが、私がここで言った実際の購入価格は平均価格です。各社全部平均して四円。各社全部出ておるわけですから、私のほうの調査も各社平均して幾らから幾ら、現実にそれより高いものもない。安いのも平均してこういうので売られておる、実勢価格がね。そのことを申し上げておるのですから、その点をひとつはっきりしていただきたいと思います。そうすればそれでいいです。  今度公取のほうにお尋ねしておきますけれども薬価再販ですね、値幅再販その他。そこで東京で五十人の人を動員して、おたくからいただいた薬品について総ざらいをしてみたのです。できるだけ値幅再販でないのを、そのものずばりのを調べてみた。ところが、神田あるいは新宿、西日暮里、こういったところで調べていきますと、ほとんど値下げしてスーパーその他で売られておりますね。そういう事実を、現実的に公取のほうはお認めになりますか。
  30. 吉田文剛

    ○吉田説明員 まだ御指摘の事実はつかんでおりませんけれども、実態調査をした上で処置をしたいというふうに考えております。
  31. 松浦利尚

    松浦(利)委員 簡単に言いますと、パテックス一袋三枚入り百八十円の再販価格は百四十円、あるいはパンタリス錠六十錠、これが九百八十円が七百八十五円、強力パント百二十錠五百五十円が三百七十五円、強力ルルゴールド三十錠二百三十円が二百十円、ルルゴールドカプセル十八個三百六十円が三百円、これが東京都内で調査をした資料です。これはうちのほうで調査をしたのですから、公取のほうに差し上げてもいいですけれども現実的にこういうふうに値下げして売られておるのですね。そのことは消費者にとって非常にいいことなんですが、こういうことを前提にするなら、薬の再販というものについて、もしこれが事実だったとしたら、公取のほうはどういうふうにお考えになるか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  32. 吉田文剛

    ○吉田説明員 先生指摘のような、再販契約をしている商品でも、再販指示価格を非常に下回って売られているという状況があった場合、これは再販契約を実施しておりましても、市況が指示価格を下回るということは間々見受けられるところでございますが、このような場合に、その値下がりの普及の程度でございますとか、あるいは値下がり率の程度にもよりますので一がいには申せませんが、公取としては、これは本年の四月十五日に再販の弊害規制についての方針を発表いたしまして、いまそれに基づいて調査を行なっているところでございますが、そういう場合は、指示価格の引き下げあるいは再販契約の再検討、つまり値幅再販への移行等を促すように指導することはできるわけでございますので、検討してそういう方向でいきたいというふうに考えております。
  33. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私に与えられた時間がもう来ましたので、最後に政務次官にお尋ねをしておきますが、先ほどの薬の問題ですね、お医者さんに売られる卸の薬の問題、それから、いま実際に再販を維持しておるといわれておる市販されておる薬、大衆薬、こういったもろもろの問題を考えてみて、率直でけっこうですけれども一体こういうことでいいのかどうか、国民の生活を預かる担当省として、こういう薬のあり方についてどのようにお考えになるのか、その点をひとつこの際最後に、明確にお聞かせをいただきたいと思うのです。
  34. 木部佳昭

    木部説明員 先ほど来、先生のたいへん研究されました御意見を拝聴したわけでありますが、やはり政治の方向とすれば国民大衆を守るということで、明確に国民の前にも示されなければなりませんし、国民大衆を守る行政というものが確立されなきゃならぬと考えられるわけでございます。
  35. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、まだ申し上げたいこともありますが、さらに、局長にきついことも言いましたけれども、そういったことはひとつこの際水に流して、いま政務次官お話しになりましたように——薬の問題は、再三この委員会でも問題になりながら、一つも解決しない大きな一つの問題でありますから、政務次官が言われたように、前向きでこの問題が解決されるようにお願いいたしたいと思います。  なお、インチキ牛乳の問題につきましては、同僚の田中委員のほうから質問いたしますので、私の質問はこれで終わらせていただきます。
  36. 武部文

    武部委員長代理 有島重武君。
  37. 有島重武

    ○有島委員 戦後わが国の食生活はだいぶ変化いたしまして、乳製品、牛乳というものが非常に大きな比重を持っているように私も考えております。先日新聞報道で、ヤシ油や魚の油が牛乳の中から検出された、こういうことがございまして、これは公正取引委員会のほうから、東京で市販されております牛乳の成分分析を国立衛生試験所のほうに依頼をした、これは去年の九月であったというような報道でありましたね。その結果はすでに三月には判明しておったということも伺いました。それがどうして八月になってこういうふうに報道されたのか、その点ちょっと理解に苦しむところでございますが、こうした一流メーカーのうち四つまで、牛乳から異種の脂肪が検出された。非常にけしからぬことである。国民は非常にショックを受けているわけでございます。  それで、これは最初に厚生省のほうから生理的な影響について——どもは、特に幼児なんかに対しては悪い影響があるのではないかというふうに思っておりますけれども、このことについて承っておきたい。
  38. 浦田純一

    ○浦田説明員 いわゆる加工乳の中に——これは正しい意味における加工乳でございましたらそういうことはないわけでございますけれども、そういったインチキ行為と申しますか、それの中にそのような事態で、ヤシ油とかその他いわゆる異種蛋白、脂肪が含まれた場合の人体あるいはことに乳児の方への影響いかんということでございますが、御承知のように、通常の場合でありますとヤシ油あるいはその他の脂肪なり蛋白質は、これは食用に供せられていることでございますので、それ自体でのいわゆる食品衛生法上の問題はない、こう考えております。しかしながら、本来乳児の方は牛乳を飲む——正しい意味の加工乳を飲むというたてまえでこれを摂取しておられるということでございますので、許される問題じゃないと思います。
  39. 有島重武

    ○有島委員 もう一ぺん伺いますけれども、加工乳の中に……
  40. 浦田純一

    ○浦田説明員 人体への影響は、通常ヤシ油はやはり食品として使われておりますので、これのみでは影響はないものと考えております。
  41. 有島重武

    ○有島委員 これは影響はない、そういうことになりますと、この取り締まりの問題、これからやっていこうと思うのですけれども、実質的には影響のないものを取り締まるのは、何だかあほらしいということになるんじゃないかと思うのですけれども、ほんとうに影響がないと、ここでもって断言なさるのか。牛乳とこうしたいわゆるインチキ牛乳と、この衛生上の差別といいますかそういうこと、厚生省の御見解では違わぬ、そういうことになりますか。
  42. 浦田純一

    ○浦田説明員 牛乳は本来純粋なものでなくてはならないというたてまえで、異種のものをまぜることは厳に禁じておるわけでございます。ただ、ヤシ油が人体に対して悪影響があるかどうかということは、これはヤシ油そのものは本来食用として認められておりますので、影響はないと思います。
  43. 有島重武

    ○有島委員 牛乳の中へまぜるのを禁じておりますね。禁じている根拠ですね、根拠は、別に厚生省のほうでは認めておらぬという、そういう御見解ですか。この問題について、きょうは時間がありませんからこれまでにしますけれども、禁じているのはどこの国でも、これは病気になったり毒になったりするということではないにしても、これは牛乳の本来の栄養といいますか、価値といいますか、それをそこなうのだという、そういう認識は、基本的に厚生省のほうでもはっきりしておいていただかないと、今後の取り締まりの問題、あるいは業者の良心の問題として、それはばれたからまずかったけれども、別に悪いことをしているのじゃないのだというような意識がいまのお答えの中から生まれてくれば、これはたいへんまずいことじゃないかと思いますけれども……。
  44. 浦田純一

    ○浦田説明員 牛乳には、牛乳として期待されている本来の栄養価なり成分があるわけです。したがいまして、現に、ほかの異物を混ずるということについては、私どもは禁じておるわけでございます。私どもは決して、ヤシ油をまぜたこういったようなインチキな品物を、許可しているとか認めているとか黙認している、そういうことではございませんので、牛乳に対しては非常にきびしい考えを持っているということを申し上げておきます。
  45. 有島重武

    ○有島委員 公正取引委員会のほうに伺いますけれども、この監督責任は一体どこにあるのかということでございます。これは公取が試験所のほうにこれを依頼して、それでこうしたものを検出することがあったということ、これは非常に高く評価すべきであると思うのです。  それで、いままでの問題もございますけれども、今回のこと並びに今後のことについて、こうした監視責任は一体どこにあるのか、これについて……。
  46. 吉田文剛

    ○吉田説明員 監視責任と申しますと、牛乳あるいは加工乳の中に異種脂肪が入っているということに対する監視の責任でございますか、それは、牛乳、加工乳及び乳飲料の表示につきましては、公正競争規約というものが業界で設定をされております。それに基づきまして公正取引協議会というものがございます。昭和四十三年の十二月から実際にこの規約が動いているわけでございまして、公正競争規約の趣旨は、やはり業界で適正な表示をしよう、不当な表示はしまい、あるいは表示の義務づけ、これが規約の内容になっておりまして、たとえば牛乳あるいは加工乳の中に異種脂肪が入っているような場合、これは明らかに規約にも違反するわけでございます。まず第一義的には、せっかくこの規約があるわけでございますから、公正取引協議会で業界みずから自主的に規制をしていこうというのが、この規約の趣旨でございます。しかし、これは規約があるからといって、公正取引協議会だけにまかしているわけではございませんで、公正取引委員会としましても、絶えず、その表示どおりの内容になっているかどうか、その内容——成分、規格等につきましては、試買検査ということで内容をチェックいたしております。  いま問題になっております昨年九月のものも、これは公正取引委員会として毎年定期的に行なっております試買検査の際に出てきましたもので、国立衛生試験所にこの分析を依頼した結果、そのうち若干のものに異種脂肪が入っているという疑いが出ておりました。したがって、やはり監視の責任というのは、第一義的には協議会にある、最終的には公正取引委員会にあるというふうに考えております。不当表示に関する限りでございます。
  47. 有島重武

    ○有島委員 いまのお答えの中で、二つ問題があると思うのですけれども、最初に、この全国飲用牛乳公正取引協議会、これが直接にこの公正競争規約を守っていくという団体のはずですね。その会長さんのところが、ちょっとことばは悪いけれども、あがっているわけですね。このことについて、今後公正取引委員会としてはどう処置なさるつもりか。これは、そこに規約を守っていくんだという協定すべきところから、足元からくずれているんで、これは重大な問題じゃないかと思うのですね。それが一つです。  それから、私は衛生試験所のほうに聞いたのですけれども、去年までは、脂肪分についての調査はしておったけれども、その異種脂肪が入っておるかどうか、質的なものについてはまだやっておらなかったんだ、ことしからやり出した——いま毎年と言っておられましたけれども。今後こういった質的な検査をやはり定常的になさらなければならぬじゃないかと思いますけれども、その二点について。
  48. 吉田文剛

    ○吉田説明員 まず第一の点でございますが、まだ、いま現在本件につきましては、事件として調査中でございまして、最終的な結論は近く出すことになっておりますけれども、検査の結果では、一応異種脂肪がまざっている疑いがあるという程度のものが出ておりまして、これが一体メーカー、製造業者、いわゆる加工の段階で入れられたのか、あるいはその前の段階、集乳の段階あるいは生産農家、生産者の段階で入れられたのかというところも確かめる必要があるということで、それは最終的には責任の問題につながるわけでございますが、最終的にまだ、その新聞に出ておりました会長会社に対して、景品表示法四条違反を認定するまでには至っておりません。これは近く結論を出します。  ということで、もしそれが事実、そういうのが意識しながら故意にまぜておった、あるいは管理上のミスからまざっていったということになれば、これはきわめて重大だと思います。もしそういうことがはっきりしますれば、これは今後のあり方、公正取引協議会のあり方あるいは公取みずからの検査のやり方——異種脂肪についての検査は、おっしゃいましたように、公取協としても、四半期ごとに一回脂肪検査はやっているわけでございますが、しかし公取協としては、従来は、その脂肪分が規格どおりあるかどうかという検査だけで、異種脂肪についての検査はやっていなかったようでございます。しかし、今後はその点についても、こちらからも注意をいたしまして、まず、せっかく公正取引協議会があるんだから、それは自主体制をこっちが認定して、規約までつくってそれを運用していく団体でございますから、そういういやしくも世間の誤解を招くようなことがあってもらっては困る。今後は厳重に検査していくべきである。それかといって、私どもはほっておくわけじゃございません。私どもも、自分の検査体制を強化して、従来は年に一回ぐらい——これはたくさん公取協がございますので、牛乳につきましては、年に一回程度の公取みずからの試買検査をやっておりましたけれども、これをもう少し回数をふやすということも考えております。  それから——いまのは第一点のお答え。第二点はどういうことでございましたか、一ぺんにお答え申してしまったのかもしれませんが……。
  49. 有島重武

    ○有島委員 いまのお話の中でも、責任所在の問題が一つあるわけなんですけれども、どこが故意にどういうことを間違えたのかというようなことは、これからお調べになるかもしれないけれども国民側としては、どこがどう間違えようとも、こっちが被害をこうむるわけでございます。ですから、その最終責任のところが、協議会なら協議会がしっかりしてもらわなければならない。それからまた、その協議会を監督なさる公正取引委員会としては、これもしっかりしていただきたいと思うのです。  それで、いまの衛生試験所のお話を伺いますと三十事例のうちでもって、はっきりと出ておるのが四件ある、それから、その疑いがあるのが二件である、そういうことになっておりますね。いま、その疑いがあるというお話だったけれども、はっきりと出ておるのが四つあるんだ、そういうことでございましたね。それがだいぶ前の話なのか、何かどういうわけでぐずぐずしておるのかな、そのこともまた、非常に疑惑を招くわけでございます。  それから、こうした牛乳のメーカーの方が、これは取引協議会の会長さんをなさっている。これは当然なのかもしれませんけれども、そこが、足もとからこういったことが起こっているということについて、これはやはりもう一つ深刻に考えていただかなければならないんじゃないか、そう思うわけでございます。そういったことでございます。
  50. 吉田文剛

    ○吉田説明員 確かに現在問題といいますか、新聞に出ておりましたのを——九月のときの試買検査で見つかった牛乳、加工乳に異種脂肪が入っているかいないかということが主であったと思いますが、私どもとしては、その古いものに限らず、最近の時点における検査も——検査と申しますか、実態調査をやっているわけであります。それをひっくるめまして近々結論を出すということになっております。古いのだけで、あとはほったらかしておくということではございません。  それから、会長会社がほんとうに——これは事実かどうかまだわかりませんけれども、結論は出ておりませんが、もしそういうことをやったということであれば、先生指摘のとおり重大な問題でございますので、それについては公取としても、どういうふうに対処していったらいいか考えてまいりたいと思います。  なお、最近におきましては、公正取引協議会としては、うちから調査を受けたということは、非常にショックを受けておりまして、検査体制の強化あるいは、その会員に対して六月、七月に通達を出しております。こういうことが起こったら、今後は協議会を除名する。あるいは、マル公正というようなマークをつけておるわけでございますが、それを取りはずさせるというような警告を二回にわたって出しておりますし、協議会みずからが最近六月に関東地区の分について検査した結果は、全部白であった、異種脂肪は入っていなかったというような報告をうちに出してきております。まだそれは確認はしておりませんけれども、協議会みずからそういう体制を現在とっておきおるということを申し添えておきたいと思います。
  51. 有島重武

    ○有島委員 近く結果を出すというお話でございますね。今後ますます厳重にやっていただきたい。  それから、時間を急ぎますので、牛乳の問題、それから加工乳の問題について触れておきたいと思うのですけれども、牛乳の成分規格に関する省令で定めております牛乳の脂肪が三・〇%以上、こういうことになっております。この規格は一体いつ定めたものであるか。戦後の非常に食糧事情の悪い時代にきめたものが、そのままずっといまに持ち越されて、かえって不都合になっているのじゃないかというようなことを私は考えているわけであります。生産者段階でも大体三・二%から三・五%ぐらいの脂肪分を含んでおるのが普通で、これは場所にもよるんだという話でございますけれども、三%ぎりぎりなんという牛乳は、このごろでは農家のほうでは少ないというふうに私は聞いておる。それから、都のほうの検査表を見ますと、市販されておる牛乳は全部三%、ほとんどぎりぎりである。こういったことから考えますと、どうしても牛乳は、売られる前にみんな脂肪を抜き取られて、それで売っているのじゃないか、これはだれでも思うわけですね。こうした三%という基準そのものはちょっと非現実的なのではないかと私は思うのですけれども、これについて、これは厚生省ですか……。
  52. 浦田純一

    ○浦田説明員 先生指摘のように、ただいま売られております、乳等省令による牛乳等の成分規格は、昭和二十六年、いわば戦後の食糧事情の悪かった時代につくられたものでございます。やはり私ども、本来なま乳をそのままの形でもって、純粋な形で飲用に供していただきたいというふうに考えておりますので、御指摘の点については今後検討してまいりたいと考えております。
  53. 有島重武

    ○有島委員 ちょっと、農林省のほうはいかがでしょうか。
  54. 増田久

    ○増田説明員 酪農振興というたてまえから見ましても、あるいは国民の食生活から考えましても、牛乳というものはフレッシュ牛乳であるべきだ、何ら加工されないままで提供されるべきであるというのが、私たちの基本的な考え方でございます。  ただ、実態と申しますか、現実に日本は、御存じのとおり南北に非常に長い国でございまして、人口がちょうど太平洋ベルト地帯に集まっておるということ、それから時期別に需要の波が非常に大きいということがありまして、どうしても、特に夏場に内地で牛乳が足りないという問題がある。そこへ持ってきて、現在の価格体系なりその他の流通問題から見て、なかなか北海道からはまだ持ってこれない。そういう需給調整の問題から、一部加工乳というものが出てまいってきておるわけでございますけれども、これは将来の方向としては、漸次解消していくべきものと思っております。  非常にうれしい傾向だと思っておりますけれども、現在一般消費者は、どんどん加工乳から普通牛乳——一般フレッシュのほうでございますが、こちらに移っておる傾向が顕著に見えてまいっておるわけでございます。
  55. 有島重武

    ○有島委員 いまのお答えですが、加工乳の話までいかないで、普通のなま乳の基準ですね、三%というのは非常に古い基準であるから、厚生省のほうではこれはもう一ぺん検討し直すべきだ、そういう御見解であったわけですが、その点については農林省もよろしゅうございますね。
  56. 増田久

    ○増田説明員 先生指摘のとおり、これは地帯別に時期別に、脂肪分に非常にばらつきがある問題でございます。特に、私のほうも一番心配をいたしておりますのは近畿地方で、あそこが一番脂肪分が低い。二・八というようなものが一部にあるのが現実でございます。そういうものを一体どうするかという問題を考えなければいかぬ問題でございますけれども方向としては、私は、厚生省のお考えと全く一致しておるわけでございます。
  57. 有島重武

    ○有島委員 では、加工乳の問題を簡単に触れておきます。  農林省の資料統計を見ますと、加工乳は、なま乳をベースとしてバター、それから脱脂乳等の乳製品、ビタミン等の微量栄養素を加え調製したものである、そんなふうにいわれているわけです。これは乳等省令の第二条から引用されているのだろうと思うのですけれども、加工乳、還元乳などの成分分析ということが、現在技術的には可能なんでしょうか。その点について……。
  58. 浦田純一

    ○浦田説明員 本来の牛乳の成分である脂肪、たん白質その他の成分につきましては、これはやはり分析は、現在の技術では不可能であるわけでございます。異種のものにつきましては、これは先ほど御指摘のありましたように、分析は可能であるわけであります。
  59. 有島重武

    ○有島委員 これは不可能だということになりますと、ここでもって加工乳はなま乳をベースとしてということになっておりますけれども、ベースとするというのは、どのくらいのパーセンテージがベースなのか。そういうことは一切あいまいになっていると思うのですね。そうなりますと、ベースとするというのが、大体九〇%ぐらいがベースなのか、あるいは三〇%であればベースなのか、極端なことを申せば。そこら辺のところで基準を設けていいのかどうか。そういったことも考えなくちゃいけないのじゃないかと思います。  さっき農林省からちょっとお話がございましたけれども、加工乳を現在製造して販売する、そのおもな目的は一体何なのかという問題ですね。これは場所によっては二・八というような脂肪分の牛乳しかとれないところがある。そのために入れるというようなお話もちょっとあったようです。それからまた絶対量の不足、または運搬、流通の技術がまだあまり開発されていないからだ、そういうようなことを言われたようでございました。事実はもう一つ理由があって、加工乳をつくると業者がもうかるからという、そういった側面もあるのじゃないかと思うのですけれども、この点は、農林省はどういうふうにお考えですか。
  60. 増田久

    ○増田説明員 還元乳が一体どのくらいつくられているかという推定をわれわれもやっているわけでございますけれども、全体の飲用牛乳総計のうち大体六%から七%程度が還元乳ではないか、こういう推定がされるわけでございます。  なお、加工乳を売るのはもうけるためではないかという、こういう御指摘もある。また、そういう一面もあるいは否定できないのかもしれませんけれども、一つの食品の形態をいろいろバラエティーを持たして売っていくという一つの商業上の戦略と申しますか、そういう側面もあるし、また、そういうものを好む消費者も事実あるんだという側面は、私は否定できないと思います。
  61. 有島重武

    ○有島委員 これは経済企画庁のほうにもお願いしておきたい、いまのお答えについてはですね。業者がもうかるということもあるけれども、消費者のほうがバラエティーを好むということもあるんだ、これは一種の、消費者とそれから業者の宣伝の悪循環のような問題で、あろうと思うのですね。それを、どっちかというとすぐに、消費者のほうの好みに応じてつくっているんだ——これはほんとうに業者側のせりふだと思います。  それで、これは栄養そのものにも関係があることでございますけれども、いまの農林省の還元乳のパーセンテージの問題、ちょっとお話になりましたけれども、そちらからいただいた資料で見ましても、昭和四十五年度の農林統計によりますと、全国の牛乳の生産量というのは四百七十六万一千トン、そのうち北海道は百十八万トンで、内地としては三百五十七万九千トンだ、このうちの飲用向け、飲むための牛乳の処理量としては二百六十二万三千トンということになっておりますですね。それで、乳製品の処理量として百九十六万二千トンだ、そういった数字でした。  そこで、飲用向けの処理量ですね、二百六十二万三千トン、その使用内訳としては、いわゆる市乳が百四十五万九千八百トン。加工乳のベースとして使用されている量が百十六万三千二百トン、そういうことになっておりました。加工乳として生産されているのが百三十万七千四百トンですから、こういうところを考えてみますと、内地で生産されておりますなま乳の量三百五十七万トンありまして、この消費量については二百七十六万七千二百トンということでございますから、別に加工乳にたよらなくたって十分まかなえるという数字がここからは出てくるんじゃないか。  それで、これは十四万四千二百トンのバター、脱脂乳等を加えて加工しているんだということになっておりますけれども、この加工乳について、さっきお答えになりました——きょう、もう時間だいぶ過ぎちゃったから省略いたしますけれども、加工乳という非常にあいまいな概念のものですね、これもやはり戦後の食糧不足の事情の中から生まれてきたものだと思いますけれども、こうしたものも、ほんとうのなまの牛乳がそのまま配給できるようにやっていっていただかなきゃならないのだと思います。それで、さっき運搬、流通が、まだ北海道から持ってくるのが非常にむずかしいという話がありましたけれども、私、聞くところによると、温度調節したまま大量にかなり安く持ってくるような技術が開発されている、そういうようなお話も聞いております。  大体以上のことで、私、きょうはこれでもってやめますが、また今度時間を見て牛乳の問題、いろいろ伺ってまいりたいと思います。  最後に、企画庁のほうから一言、今後の牛乳の政策についての御決意を承っておきたいのです。
  62. 宮崎仁

    宮崎説明員 ただいまの御質疑の点、私どもも拝聴しておりましたし、また、この問題については、企画庁としてもいろいろ関心を持って検討いたしておりますが、方向といたしましては、いま厚生省、農林省のお話にございましたように、いわゆるなま乳ということが中心になって消費地まで持っていくというかっこうで、いい方向に進んでおると思いますけれども、流通の現実その他いろいろな問題において、まだいろいろ問題があるということは承知いたしております。結局、国民に栄養のある新鮮な牛乳を与えていく、そのために流通なり生産なりを、いろいろな面でどういうふうに進めていくかということに尽きるかと思いますが、私どもとしてもそういった方向で今後とも努力したいと思っております。
  63. 有島重武

    ○有島委員 終わります。
  64. 武部文

    武部委員長代理 田中恒利君。
  65. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 有島委員に続きまして、牛乳の問題で御質問をいたします。  八月八日の毎日新聞は、朝刊のトップに「まかり通っていたインチキ牛乳、ヤシ油や魚油検出」という見出しで、牛乳に異種脂肪がまじっていたという発表があったわけですが、問題は、毎日国民が飲用しておりますものであるだけに、この報道が与えた衝撃はたいへん大きいと思っております。若干乳業界の実情を承知しておる者の立場から言うと、以前から、こういう問題についてはいろいろうわさがあった点であります。私なんか、出るものが出たという、こういう感じすらするわけであります。  公正取引委員会が昨年九月、都内市販の十一メーカーの普通牛乳と加工乳を七本ずつ買い求めて国立衛生試験所に持ち込んだ、こういうことになっておりますが、そのとおりであるかどうか、まずその点を。
  66. 吉田文剛

    ○吉田説明員 そのとおりでございます。
  67. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 四社の加工乳からはっきりと異種脂肪が検出された。ほかに大手を含む二社の加工乳、二社の普通牛乳も、それぞれ異種脂肪入りの疑いが濃い、こういう判定だと報道されておるわけですが、このことについて公正取引委員会承知しておるかどうか。
  68. 吉田文剛

    ○吉田説明員 昨年の九月時における三十銘柄ほどでありますが、国立衛生試験所に内容を分析してもらいまして、それが三月末に結果を受け取っております。まだ現在これは事件として調査中でございますので、具体的な名前あるいははっきりした事実等は申し上げられない点がございますが、結果につきましては、大体検査対象三十銘柄のうち十一銘柄について異種脂肪が存在する疑いがあったということでございます。
  69. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 疑いがあるということですか。新聞では、はっきりと異種脂肪が検出されたというのが四社、それから疑いがあるのが加工乳と普通乳それぞれ二社、こういうふうに載っておるのですが、その点はどうですか。私なんかも国立衛生試験所にいろいろ聞いておるんですけれどもね。はっきり異種脂肪が入っておると断定されたものがあるのではないですか。
  70. 吉田文剛

    ○吉田説明員 それはございます。はっきり存在が認められるというのと、混入の疑いあるいは混在の疑いが持たれるというのと二つございます。
  71. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 公正取引委員会は本年の六月、牛乳メーカーに対して、不当景品類及び不当表示防止法に基づいて立ち入り検査を実施しておる、こういうふうに聞いておるわけでありますが、これは何社、いつ、何月何日までかかってやられたのか。もしやられた事実があるならお答えいただきたい。
  72. 吉田文剛

    ○吉田説明員 確かに行なっておりますが、ちょっといまの段階で、どこどこということは申し上げることはできません。実際に行ないました。
  73. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 いつやったか、日だけ教えてください。六月のいつやられたのか。
  74. 吉田文剛

    ○吉田説明員 六月の初めから約一月かかってやったということでございます。
  75. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 厚生省にお尋ねしますが、厚生省は六月の九日、「牛乳等の指導取締の強化について」——都道府県、政令市衛生部局長に通達を出しておりますね。これによると、「今般一部の業者が牛乳中に異種脂肪を混入した疑が持たれた。」こういうふうに述べているわけでありますが、厚生省が、異種脂肪を混入した疑いが持たれたと通達の中に書いてあるのは、一体どういう根拠に基づいて出されたのか、この点をまず明快にしていただきたい。
  76. 浦田純一

    ○浦田説明員 根拠は二つございます。一つは、六月の初めに、あるメーカーの内部からの通報によりまして、異種脂肪が混入されておるという通告を受けたわけでございます。それから一つは、国立衛生試験所で、これはまだ中間の段階でございますけれども、サンプルの中からこれの疑いが持たれているものが出ておるということを受けたわけでございます。それでいま御指摘のような通知をいたしたわけでございます。
  77. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 昨年の九月十八日に調査の委託をして、ことしの三月三十日に回答が公正取引委員会に出されておる。四月、五月、六月、七月、八月と、四カ月たっておるわけですが、いま有島委員質問に対しても、この問題についての公取の正式態度というものは早急に出すということでありますが、今日の段階では明確になっていないわけですね。この問題は、新聞に発表されたことによりまして、これは牛乳を飲む、国民ほとんどでありますが、非常に大きな衝撃を受けておるわけですね。それが今日——三月に報告があって、これまで放置をされておるとは言いませんけれども、はっきりさせてない。しかも、毎月国民の飲用になっておるものであるだけに、私はこういう問題については、公取としてもっと迅速に的確に、やはり国民の前に明らかにすべきことはしなければいけないと思うのです。一体これまで延びた原因は何なのか。早急にやると言われるのだが、いつはっきりせられるのか。今日いま飲まれておる牛乳においても異種脂肪が入っておるのじゃないかということは、うわさになっております。業界でもだいぶ混乱しておるそうでありますが、こういう問題について公取としては当面どういう措置をとられるのか、この点をまずお伺いしておきたい。
  78. 吉田文剛

    ○吉田説明員 先生おっしゃったように、九月の試買検査でわかったものを国立衛生試験所に検査に出しまして、三月の末に結果が出てきたわけでございます。その中には、確かに入っていると認められるというのと、疑いがあるというふうなのと両方ございます。ただ、それは九月時の時点における事態でございまして、その後のものにも一体こういうものが入っているかどうかということも、引き続いて調べていたわけであります。さらにまた、一体どの段階でそれが混入されたのか。結果的には市販されている市乳の中に、こっちで試買したものの中に入っていたということで、そのメーカーもわかっておりますけれども、それが一体牛乳のメーカーのところで混入されたのかあるいはその前の段階、一体どこの段階で混入されたのか、あるいはまた管理上のミスであったのか、故意であったのかという点、さらに裏づけ調査をする必要がありましたので、現在まで延びてきていたわけでございますが、しかし、ああいう新聞にも報道されましたし、ぐずぐずしておるわけにはまいりませんので、これはいつということは申し上げられませんけれども、近い将来に結論を出して結果を明白にいたしたいというふうに考えております。
  79. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 新聞に出たから、大騒ぎになったから早急にやるということじゃ、私はおそいと思うのですよ。これはもう三月に出たときに——いろいろおっしゃられましても、どこでどういう過程でその異種脂肪を入れたのか、そういう原因の究明をしなければいけないでしょうけれども、しかし、入っておるということは、入っておったということは、事実でしょう。そのことが私は当面重要な問題だと思うのですよ。その問題に対しては、やはり公取として早急に処置すべきであったと思うのですよ。それを報道せられて、大騒ぎが起きてあわててやる、こういうことには問題があるのです。そういう点は、今後のこういう食料品に関する取り扱いの問題については、私は、公正取引委員会として、早急に処置すべきものは処置していただきたい。このことを要望いたしておきます。  それから、いま事務局長のほうからお話がありましたが、厚生省が六月の九日にこういう通達を出したのですね。それから六月の一カ月かかって、公取がメーカーの立ち入り調査をやっておりますね。私は別にそういう疑いは持ちませんけれども、疑いがある、こういう通達が出る、公取の調査が入る。これでは立ち入り調査をやっても、私ははっきりと結果は出にくいと思いますよ。もしかりにそういうことをやっておったとしても、その辺は、これはたまたまそういうことになったのでしょうけれども、やはり厚生省として通達を府県なり、あるいは府県の医務部長ですか、そういうところへ出すのじゃなくて、厚生省として独自にこの問題に対して取り組む姿勢が必要だったと思うのですが、そういうことは、今後特にこういう緊急な問題については、厚生省は独自で、単独でやれることはやる余地があると思うのですけれども、こういう点はやられるお考えはございませんか。一々通達を出して、各県の知事や畜産関係、衛生関係に、疑いがあるから、ちゃんと対策を立てい、こういうことをやっておって、あとで今度は公正取引委員会がそれを調査に行く。こういう形では、私は、調査そのものも的確なものが出てこないと思いますし、むしろ厚生省が独自で進んでやらなければいけないと思いますよ。この点まずお伺いしておきたいのですが……。
  80. 浦田純一

    ○浦田説明員 いままで食品衛生の行政のたてまえといたしまして、都府県知事への委託ということでやっておったわけでございますが、事の性質によりましては、厚生省みずから乗り出していくということを考えていきたいと思います。また、この件につきましては、四十四年にすでに、異種脂肪の混入について問題があるということは指摘しておりましたし、各県の衛生主管部局におきましては、随時それまでに、立ち入り検査なりいろいろな調査を進めてきていたところでございます。
  81. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 委託でなくとも、厚生省独自でやれるはずなんですよ。こういう問題についてはやらなければいけないのですよ。いまおっしゃったように、四十四年にも通達を出しておる。守られないから、ちゃんとした取り締まりをせよといわれておった。そうして四十六年にまた出されておるわけですね。一体この間何をやっておられたのか、この点は私どもは非常に不明確であります。私なんか、こういう問題は厚生省独自でやれるのだし、厚生省試験所を持っておるのですから、厚生省は直接やられてもいいのじゃないか、そういう点はなぜやられないのか、これが非常に疑問があります。  それから、公正取引委員会にお聞きしますけれども、いま質疑を通して、公正取引協議会というものがあって、この公正取引協議会で、それらについての自主的な業界内部の申し合わせなり、いろいろな対策を立てられるというような話でありました。私が先日、農林水産委員会で畜産局長質問した場合も、畜産局長のほうからも、自主的に業界がこれらの問題についていろいろ対応しておる、こういう答弁があったわけですが、これは、業界が自主的にやるということも一つの道です。しかし、これは何のメーカーだって、それぞれの業界で自主的にいい商品をつくる、そういう申し合わせをするのは当然でありますが、こういう問題については業界が自主的にやるというのでは、私は、国民は納得いかないと思うのです。やはり公正な第三者の機関が、こういう問題については、はっきりと品質なり成分なりというものを適正に判断をし、指導していくという体制をとらないと、業界の公正取引協議会にまかせておるということでは、それは、私なんかも資料をもらっておりますけれども、業界のほうでは異種分子はありません、こういうことでしょう。それは自分のところで製造しているんですから、自分のところで製造しておるものを、自分のところで出ましたということは、ちょっと常識的に考えられないですよ。むしろ第三者機関ではっきりと、こういうものに対する監視の体制をとらなければだめだと思うのですよ。この点はどうでしょうか。
  82. 吉田文剛

    ○吉田説明員 これは先ほども有島先生に一部お答え申し上げましたけれども、公正取引協議会というものが設けられました趣旨は、これは公正競争規約というふうに、業界でよるべき自主基準をつくりまして、それを公正取引委員会が適当であるというふうに認定をいたしまして、しかも規約違反に対しては、除名処分であるとか、あるいは三十万円以下の違約金とか、協議会の規約に違反したものに対してはそういう罰則をかけられるというたてまえになっておるわけであります。しかし、だからといって公正取引委員会は何もしないということではございません。不当表示についての最終責任は公取にある、そういうたてまえになりますので、せっかく業界の自主規制、つまり法的に公取によって認定をされました、しかも違約金まで取れるというような体制になっておりますので、従来異種脂肪につきましての協議会自体の検査が不十分であったということは、確かに認められるわけでございますが、われわれといたしましても、協議会でつくってあるからそれにまかせておけばいいということじゃなくて、毎年定期的に試買検査をやって、異種脂肪が入っているか、そのほか成分規格に合っているかという検査はやっております。しかしながら、御指摘のとおり、従来、そういう点について非常に不十分な点がございました。今後は、業界みずから公正取引協議会自体の検査体制をもっと確立させるとともに、公正取引委員会としても、試買の検査というものをもっと回数をふやして、厳重に監視をしてまいりたいというふうに考えます。
  83. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 そこでもう一つ、ちゃんと確認しておきたいと思います。公正取引委員会のほうでも独自の調査をやっていかれるということでありますが、これは公正取引委員会の性格からして、その任務に応じた側面だと思うのです。同時に厚生省、農林省、これもそれぞれ食品衛生についての責任官庁でありますが、厚生省、農林省とも今後牛乳等、こういう食品類についての検査、監視、成分調査、こういうものを独自におやりになるかどうか、私はすべきだと思うのですが、その点ここでお考えをお聞きしておきたいと思うのです。
  84. 浦田純一

    ○浦田説明員 機関委任事務としてまかせられております食品衛生行政、またそのたてまえから申しましても、対象の施設の数から考えましても、保健所の試験室あるいは県の衛生試験所、研究所を使っていくという体制は必要と思います。さらに、それに加えまして国立衛生試験所みずから乗り出して検査する、これらをバックアップするということについては、十分に考慮してまいりたいと思います。
  85. 増田久

    ○増田説明員 市乳になった段階における検査の官庁といたしましては厚生省ということになるわけでありますけれども、われわれといたしましては、生乳段階におきましてBHC問題あるいは抗生物質あるいは異種脂肪の問題、そういう問題につきまして、みずからが検査して、みずからを守る、こういう体制を現在着々と整備している段階でございます。そういう方面に指定団体等とともに力をあわせてやっていきたいと思います。
  86. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 そこで、これはたいへん混乱をしておる面が見受けられるわけであります。公取がはっきりするのがいつかまだわからないが、できるだけ近いうちということでありますが、当面この事態を何らかの形で鎮静させるというか、それらについてのとるべき処置、たとえば中間報告であるとかあるいはいまの段階の、牛乳についての厚生省、農林省、公取三者間での統一せられた見解が成り立てば、そういう問題について対外的に明らかにするとか、そういう点についてのお考えはいまないのか。やはり委員会で、いまおっしゃられたようないろいろな原因を究明せられたあとで最終的な決定を下すということなのか、その点をお伺いしたい。
  87. 吉田文剛

    ○吉田説明員 いまおっしゃられた点は、ただいま具体的には考えておりませんけれども検討してみたいと思います。なお、結論はそんなに、中間発表をやらなければならないほど先にはならないというふうに考えております。
  88. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 私もそう思うのですよ。これはそうむずかしくないのですよ。成分調査なんていうものは、たぶん一週間か十日ほどあればできることですしね。それから、いろいろな原因の究明にせられましても、三月からいままで飛ばしておったというのは、多少これは長過ぎるような気がしてなりません。その間に立ち入り調査もやられて、裏づけの実態調査等やられたいということであったのでしょうが、この辺も、厚生省の通達も出ておるわけですから、それぞれ業界や関係者も、この問題については神経質になってきた時期だと思うのですよ。だから、とことんまで突き詰めた原因の究明というものは、なかなかできにくいような情勢がすでにできてしまったと思う、延ばしてしまったから。もっと早くやればはっきりしたと思うのです。ただ、現実に入っておったという事実は事実ですけれども、この事実に対しては、何らかの処置を公取としてはとるべきであると思うし、厚生省としても考えなければいけないと思うのですね。これらについては、それぞれの機関で十分お考えいただきたいと思うのです。  それから、この問題の核心は、先ほどもお話がありましたが、やはりわが国の食品衛生行政の中に、純正食品以外のものが入っていくという余地が残されているということ、牛乳については、いま問題になっておりました還元乳といったようなものを認めている、こういうところに問題があると思うのです。  そこで、先ほど厚生省のほうから有島委員質問に対して、牛乳の三・〇%以上の脂肪率ですね、これについては何か検討するということでありましたが、これはどういう意味か、もう少し詰めておきたいわけです。たとえば生産者が牛乳を持っていく場合には、メーカーとの取引基準規格というのは、三・二%というのが基準になっておりますね。それから、全国的には地域的、時期的にアンバランスはありますけれども、こまかに言うと三・三とか四とか、こういう形になっております。そういう生産者のほうから入ってくる牛乳は手をつけずに、そのままなまの牛乳としてやらしていくという処置をしていくというのが、この前の物特の委員会でやはり有島委員質問に対して、厚生省のほうは、三・〇%以上の脂肪を抜き取るということは法律には抵触しないのだ、こういう御答弁をしておられるわけですが、こういう答弁をすると、やはり脂肪を抜き取るということをやるわけです。これが問題なので、私なんかは、入ってきたのは、三・二%、三・〇%、四%、五%、それをそのまま牛乳として流したらいいじゃないかという考えなんです。こういう意味でこの三・〇%以上ということの取り扱いを考えていくという意味なのか、三・〇%というものを上げるとか下げるとか、あるいは幅を持たすとか、そういうお考えなのか、この点をもう少しこまかく御説明をいただきたいと思うのです。
  89. 浦田純一

    ○浦田説明員 食品の成分規格というものをはっきり法律で、あるいはこれに基づく政省令できめましてやっていくという全般的な問題もございますが、牛乳等につきましては、すでに乳等省令でこの成分規格をきめているところでございます。したがいまして、問題は二つあるわけでございます。一つは、成分規格そのものをさらに検討していく。そこで御指摘の、幅を持たせるのか、あるいは三・〇%の脂肪率をさらに上げるといったようなことなのかということでございますが、この点はまだ詰めておりません。と申しますのは、たとえば、人によりましては低脂肪の牛乳をかえって好むという方もございますので、あるいは幅を持たせるということも考えなくちゃいけないと思いますが、要は、やはり消費者にこの成分規格がはっきりわかるといったようなこともあわせて考えていいのではないかというふうに思います。これは公取委員会のほうとの関係がございますので、十分その辺のところは打ち合わせをしていきたいと思います。
  90. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 それでしたら、私が申し上げましたように、なまの牛乳をそのまま、脂肪を抜かさないなまのままで牛乳として製造過程に持ち込んでいく、こういう指導をすべきじゃないかと思うのですがね。いま、三・五%、六%の牛乳は三・〇%に脂肪を抜き取るわけですよ。こういう抜き取りをやらせないような行政指導をすべきだと思うのですが、この点はどうですか。
  91. 増田久

    ○増田説明員 そういうお考えもあろうかと思いますが、そういたしますと、現在の脂肪取引という取引の形態それ自体を考えなければいけない。それから末端価格をどういうふうにきめるのかという問題が、そこで次に発生してくる問題になるわけでございます。そういう意味で、先ほど浦田局長からもお答え申し上げましたとおり、脂肪の問題を取り上げる際に、脂肪だけではなしに、たとえば乳固形全体での問題、それから、それを基準とした取引のしかた、あるいはそこに入っている菌の問題、そういったものを含めた一つの取引形態というものでそこに考えていかなければならない問題が発生すると思っております。この点が研究課題だと思います。
  92. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 脂肪率の関係であれば、三・〇%じゃなくて三・二%にしなければだめでしょう、三・二%が基準取引価格になっているわけですから。三・二%以上ということになっているわけですからね。いまでもそうじゃないですか。現在だって三・二%が基準取引価格になっている。それが三・〇%以上という形になっているわけですから、三・二%以上ということにしなければだめだと思うのですね。これも、あまり議論していては時間がありませんからあれですけれども、私はやっぱり、多少幅はありますけれども、なまで出してきたものをそのままやっていく。その過程でいろいろな抜き取るとか添加するとか、こういうことを認めるからこういう問題が起きるのです。  特に、脱粉等還元乳については安く製造できるわけですね。私、ここにいろいろな数字を持ってきておりますけれども、いま、これも牛乳でいろいろうわさになっている乳糖カゼイン、合成脱粉、これとバターで還元乳をつくると六円九十四銭でできる。ヤシ油と脱粉でつくると七円十銭でできる。それからヤシ油と合成脱粉、乳糖カゼインでやると三円二十五銭でできる。卸売り価格が十七円です。もちろん、牛乳が半分ほど入りますからこのとおりにはなりませんでしょうけれども、相当安いものでできる。そうすると、安いものでつくろうという動きが出てくるのは当然なんです。ですから、むしろこういうものはやらせないという方向に牛乳の政策というものは向けないといけないと思うのです。還元乳については時期的な問題、需給の問題、局長言われましたけれども、私なんかは北海道から東京へなまの輸送はできると思うのです。できますよ。そういうことをやって、なまで乳を飲ましていく。こういう状態になっておるのは日本だけですよ。これを直さなければ、こういう添加物がついたり抜き取りが出たり、いろいろな問題が依然として残ってくる。食品問題というのがこれほどやかましく、公害問題とからんで大きくなっている段階ですから、ぜひこの点は農林、厚生両省とも検討していただきたい、こういうふうに思います。  時間が来ましたので、その点について最後に、農林省と厚生省、それから経済企画庁のほうにひとつ御意見をお聞きをしておきます。
  93. 増田久

    ○増田説明員 先生の御指摘の点は、私は、基本的な方向としてはおっしゃるとおりであろうと思っております。ただ、そこにいくまでのプロセスあるいはそこに派生する問題が、先ほど申し上げましたたとえば価格の問題、取引の方法の問題、そういった点にいろいろなお検討を加えなければいけない問題がございますので、そういう点は十分検討してまいりたいと思います。
  94. 浦田純一

    ○浦田説明員 牛乳につきましては、本来それに手を加えないという方向でもって検討してまいりたいと思います。
  95. 宮崎仁

    宮崎説明員 ただいま厚生省、農林省からお答えございましたが、牛乳の問題、非常に国民生活上重要な問題でございますから、いま御指摘を受けました問題、いろいろ拝聴いたしておりましたが、何といいましてもこういった問題に対する処置が、どうもあまり早く行なわれないというような感じがいたします。私どものほうもそういった点では責任がございますので、今後ともそういう意味で努力してまいりたいと思います。
  96. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 最後に。当面の問題については、公取も早急にひとつ結論を出していただきたい。それから、うやむやにさせないようにしてくださいよ。何かわけのわからぬことになってしまってはいけないと思うのです。事実はあったのですから、その事実に対しては、やはり的確な処置をはっきりとっていただきたい。こういう問題が次から次へと起きてくる可能性が非常に強いわけですから、後手後手にならないように、そうしてそういう事実に対しては、行政官庁として的確なやはり処置をとるべきだと私は思います。  この点を要望いたしまして、終わります。
  97. 武部文

    武部委員長代理 和田耕作君。
  98. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 牛乳の問題から、関連もありますから御質問いたします。  牛乳の問題は、世間からいろいろの目で見られている問題なんですけれども、全体として、どうも農林省の行政というものが大メーカーの利益をはかるという方向に、まあそういうつもりはないと思いますけれども、そういうふうな結果になっているというような印象を私は持つのです。いまの加工乳あるいは脂肪の抜き取り等の問題でも、これをやるのがみな大きいメーカー、まあ五大メーカーといいますか、そういうメーカーの手にかかる問題であるわけです。農林省のほうは基本的な態度として、できるだけ自然のなま乳を国民に広く飲ませたいという方針であるということですけれども、それをやるための素地が非常に不足しているのじゃないか、こういうふうに私は思えてならないのです。  今回、この牛乳の流通のワンウエー促進事業というものを農林省で立案しまして、これを強力に推進しようとなさっておられる、この方向自体は私はけっこうだと思います。思いますけれども、この実施について全国の牛乳屋さん、つまり牛乳の配達をしておる人たちから、これは前からあったことで、私も何回か取り上げたことですけれども、非常に不満を持っておるという事実があるのですね。家庭で牛乳を飲む問題について、これを合理化していくということは非常にけっこうなことだし、私どももこれはぜひともやってもらいたいことですけれども、これをやるのは、この前も申し上げたことがあると思いますけれども、一線に立つのはやはり牛乳屋さんですね、配達屋さん。この配達している牛乳屋さんが全く意欲を失うというようなやり方になれば、せっかくの農林省の御意図がそこなわれてしまう、そういう結果になりはしないかと私は思うのです。  この四月の乳価を三円上げたというあの前後のときに、私は外国に旅行しておりまして、その事情をよく知らないのですけれども、あの前に私は、例のワンウエーの紙容器の問題について、こういう容器等については当然九割以上はメーカーが持つべきであるという主張をして、当時の農林大臣も畜産局長も、趣旨においてはそう反対するようなお考えじゃなかったと思うのですけれども、これは、メーカーと牛乳屋さんの双方にいろいろとやりとりがあることは承知しております。おりますけれども、この問題についての基本の考え方が一ぺんにできなくても、やはり紙容器の問題は、本来牛乳を売るような状態につくるメーカーが負担すべきものである、これは常識的に考えてそうだと思うのですね。いままでも、たとえばびんに入れて販売するときでも、いろいろ計算のしかたがありますけれども、びん代としては九割はメーカーが負担している。これは計算の違いが若干あるかもしれませんが、大体びん代の九割はメーカーが負担している。今度紙容器にして合理化をはかろうという場合に、この紙容器代を、逆に九割を牛乳の販売屋さんに負担をさすというのが現在の制度です。これは私は、何と考えても納得がいかない。この際牛乳屋さんからいろいろ話がありまして、私も、ある団体の利益を代表するなんというけちな感情はありませんけれども、この問題だけは、私は前からも主張してきたことですけれども、何としても納得できない。このことによって牛乳屋さんは、せっかく合理化の先兵としての意欲を全く失っておる。いいことですけれども、やりますけれども、というようなことも言っているし、あるいは、これをやるために電気自動車を農林省が補助してやってくださる、けっこうですけれども、こういうことよりも紙容器の代金の問題を、少なくとも半分くらいはメーカーに持たせるようにしてもらいたい、こういうような主張をなさっておるのですね。この問題について畜産局長の御意見を承りたいと思う。
  99. 増田久

    ○増田説明員 紙容器の問題につきましては、先生から予算委員会あるいは当委員会でいろいろ御指摘があったとおりでございまして、基本的にわれわれとしても、紙容器の負担問題というものは解決すべきである。これは一般のときにはなかなかむずかしい。したがって、乳価改定の際に解決すべきであるという考え方を持っておったわけでございます。  それで、今回の乳価改定の際におきましても、われわれの行政指導といたしましては、末端価格をできるだけ上げないことと並びまして、紙容器の負担問題を並行して解決することということを、メーカー並びに小売りに対しまして強く要請をいたしたわけでございます。その結果と申しますか、その指導を受けまして、いろいろ系列ごとに折衝が持たれたわけでございますが、メーカーと小売りとの取引というものは、たまたま紙容器だけではなく、あるいはガラス容器のものもある、ほかの商品のものもある、あるいは取引条件のものもあるということで、いろいろ問題がパッケージにされまして、取引の過程で小売りの取り分というところに一番重点がいきまして、その結果として紙容器のほうにその点のしわが寄っていくという経過があるわけであります。  それで、われわれは、最初の結果につきまして必ずしも満足すべきものではございませんが、なお強く要請をいたしまして、千ccについては七十銭あるいは五百ccについては十五銭、とにかくメーカー持てというようなことで、小売りの方の一応納得も得たというような経過になっているわけであります。  これは全面的な解決だと私は思っておりませんけれども、今後機会があれば、この問題は漸進的に解決せざるを得ない問題だろう、かように考えておるわけであります。
  100. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 これはあけすけに申し上げますけれども、いまの千ccを七十銭、五百ccの紙容器十五銭、これはメーカーが負担をするというこの取りきめですね、これについても、おそらく畜産局長のほうからの行政的な指導といいますか、勧告があったと思いますけれども、これは私が前から申し上げておるとおり、大メーカーと販売店との話し合いというものはフェアじゃないですよ。牛乳屋さんのほとんど八〇%以上は大メーカーの系列にある。商売をするためにがんじがらめの統制下にあるという牛乳屋さんと、メーカーとの話し合いなんですから、この問題については、二つの団体の話し合いだから、これに介入するわけにいかないということでは公正は期せられない。  また、局長さん、私申し上げたとおり、片一方は品物を売るほうです。片一方は形として売ってもらう、どの商品もそういうことですね。いままでも、びんのときはそうやっておった。紙容器、つまり合理化のために必要な紙容器にする時期に、しかも小売り屋さんが意欲を全く失うような措置をとったということについては、どうしても私は納得できないのですよ。いまの三円の値上げのときの小売り一円、メーカー七十五銭、そして酪農者が一円二十五銭、その取り分をきめるときの一円の値段の中に、何かそういう紙容器代もごちゃごちゃ入っているというような形にして、五百cc十五銭分をおまけにするようなかっこうにして解決したらしいですね。これは事実ですね。こういうふうな形でこの問題を解決しないで、やはり、先ほどから私申し上げたとおり、少なくとも半分はメーカーが持つのだ。紙容器にするメリットがどこに一番あるかという問題はいろいろあります。これはメーカーもあるし、小売り屋さんにもあるし、あるいは間接的であっても、酪農業者にもあります。ありますけれども、大体こういう問題を進めていく場合には、少なくとも半々にして負担をしながらやっていくというのが常識——常識というよりも正しい指導のしかたじゃないかと私は思う。  私は、今度の値上げの騒ぎのときも外国に行っておりまして、帰ってきて、当然これはある程度まで解決できただろうと思っておったところが、どうもそうじゃないらしい。しかし牛乳屋さんは納得しているという話を聞いたものですから、おかしなことだなと思って聞いてみると、納得じゃなくて、つまり非常に強い力のあるメーカーと、がんじがらめの小売り屋さんとの話し合いですから、そのときの理事長さん、役員は無理やりに認めざるを得なかったということで、おそらくそういう感じを持っていると思いますよ。それで役員さんは、そういう問題を契機にして、一般の牛乳屋さんから突き上げられてかわった。かわると同時に、この問題について再び問題を提起したい、こういうふうに牛乳屋さんは考えているということですね。こういうことですから、畜産局長として、この問題についての基本的な態度をもっとしっかりと持ってもらいたい、こういうふうに思うのです。  そういう点、いま局長さんからの話がありましたから、今後この問題については、ひとつ合理化の一線に立つ牛乳屋さんが、もっと意欲を出してこの合理化の事業に協力できるように、そういう面から強く指導してもらいたい。  特にメーカーはいろんな問題について、この牛乳問題については出過ぎていますよ、大メーカーは。私はいろいろな点でそういう感じを受ける。牛乳に対して加工乳という怪しげなものをつくったり、あるいはいろんな作業をして高く売ったりする操作をやっておるのは、全部メーカーじゃないですか。つまり、こういうことに対する行政指導というものの必要があるという段階に来ていると私は思うのです。そういうことですから、ひとつ局長さん、この問題については機会があるたびに、メーカーに対しての反省と正しい処置をお願いしたいと思うのです。牛乳屋さんは、電気自動車なんというものは、それはほしいけれども、こういうことをやめてもらってもいい。紙容器の問題について、もし半分を負担をしてもらうというすっきり名分が立てば、そのほうがはるかにわれわれ気持ちよく協力できるのだ、こう言っているのですよ。つまり自分が売る品物の容器代を自分が負担しているということですから、これは何としても意欲が出ないのはあたりまえのことですよ。どうしてこういう問題が出ただろうか。ほんとうは、初めから紙容器代はメーカーが持ってもあたりまえだといってもいいくらいのものです。この前のびん代については九〇%以上持っている。そういうような措置のしかたが間違っているんじゃないか。おそらく農林省としては大メーカーをかわいがり過ぎるというように、私は思ってはおりませんけれども、結果においてそういうふうな状態になっているということは、非常に遺憾に思うのです。こういう問題について、ひとつ局長さんの今後の方針についての御意見をお聞かせいただきたい。
  101. 増田久

    ○増田説明員 御指摘のとおり、私の行政指導が必ずしも的確でありませんし、不十分であった点は認めざるを得ないと思います。と同時に、どこまで行政介入すべきかという点については、われわれとしても確たる確信が実はないというものがあるわけでございます。同時に、小売りの問題につきましては、紙容器の問題と並行いたしまして、私は、たとえばメーカー別の系列化の問題、ああいう問題に基本的にメスを入れていかないと、ほんとうの解決というものは出てこないじゃないかという感じを持っておりますので、そういう点とあわせていろいろと検討して努力してまいりたいと思います。
  102. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 よくわかりました。どうかひとつ、私ども手一ぱい協力いたしますから……。いまの問題は、これは私は、他の再販その他の問題で起こっておる系列化の問題よりももっとひどいと思うのです、この系列化は。これはいろんな問題が起こっております。私は、いまの御方針で、できるだけひとつがんばってフェアな状態をつくり出してもらいたい。今後、合理化促進事業が成功して小売りの負担が軽減されてくれば、これは小売りの負担を減らしたっていいじゃないか。そういうような問題は、ひとつわけのわからないような状態ではなくて、筋を通してもらいたいということを重ねて御要望いたしておきたいと思います。  次に、経済企画庁ですけれども、最近の五月、六月、七月の小売り物価の指数、あるいは今後のこの一年間の見通しについて承りたい。
  103. 宮崎仁

    宮崎説明員 消費者物価指数について申し上げますと、四十五年度は御承知のように七・三%という、過去十数年来ないような非常な高騰を示したわけでございます。この内容はもう御承知のとおりで、生鮮食料品の異常な値上がりがあったり、さらに加工食品とか中小企業製品の値上がりというようなものが、秋以降目立ったわけでございます。そういったいろいろな結果が、ただいま申し上げましたような数字になったわけでございます。  四十六年に入りましてから、水準は高いのでありますけれども、比較的水準としては安定した形で推移してまいりました。対前月の上昇比で見てまいりますと、四十六年一月は一・〇%、対前年でこれは七・七でございますが、二月が〇・二%の低下、さらに三月は〇・二%の低下というような形で推移してまいりました。四月になりまして対前月一・六%、前年同月比でいきますと六・二%という、ここでかなり上昇を示しました。この内容といたしましては、御承知の新聞代の値上げ、それから教育費関係でいろいろの値上がりがございました。そういった雑費の上昇が主体でございますが、対前月一・六%、五月が対前月〇・一%の低下、六月も〇・一%の低下ということで、その後は大体横ばい、若干弱含みに推移しておりますので、対前年で見ますと、五月が六・七%でございます。六月は七・二%、これは前年よりも下がりました関係もございまして、こういった数字になっております。対前年で見ます限りかなりの高い水準である、こういうふうに考えなければならないと思います。  内容的に見てまいりますと、最近では、野菜等の値下がりがだいぶございました。むしろ暴落の問題がございますが、これから後の問題としますと、秋、冬の野菜というようなものが、今回の暴落の影響でどういうふうになってくるか、これで生産が相当減少するというようなことが出ますと、また秋、冬野菜の値上がりの問題が生じます。この点については、農林省のほうですでに本部がつくられまして、その方針も出しておりますが、いろいろと施策が打たれることになると思います。そういったことで対処していかなければならないと思います。  さらに、今年の春闘が大体御承知のとおりで、前年より率は下がりますけれども、額としてはかなりの額になっております。これが物価面にどのように影響していくかというようなことも、これから後の面としての物価を見る場合に注目される点でございます。さらに、四十四年秋以来の引き締めによります卸売り物価の低下というのはかなりございましたが、その影響がこれからどのようにあらわれてくるか、こういった点も注目したいと思います。  いずれにいたしましても、私のほうといたしましては、現在の水準というのは比較的横ばいで推移しておる、こういった形が今後ともできるだけ続いていくということが望ましいと思っておりますが、いろいろの施策をこれからも強力に行ないまして、五・五%という四十六年度の見通しの線に何とかおさめていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  104. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 五・五%のラインでおさめられるという現実的な可能性はありますか。
  105. 宮崎仁

    宮崎説明員 ただいまの水準は一三七くらいのところでございますので、これから後の値上がりが結局問題になります。年度平均で五・五%ということは一三九・八ぐらいになります。したがいまして、ただいま申しましたように、秋以降例年若干値上がりをいたしますが、この辺においていろいろの施策が十分効果を果たすかどうか、その辺の問題があると思います。それから季節的な影響の問題、特に昨年、一昨年と野菜の問題で非常なそごを来たしておるわけでございますから、この辺は強力にやっていきたい。  それからもう一つの問題としては、公共料金の問題がございますが、ただいまのところ、あまり大きな問題がすぐに出てくるということはございませんけれども、御承知のように、いろいろ問題視されておるものもあります。そういったものに対する態度も、これはしっかりしていかなければならない、総合的に努力をしなければならぬと考えておる次第でございます。
  106. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 政府は、この非常に落ち込んだ景気を浮揚さすためにいろいろな政策を集中しているようですけれども、この影響はどういうふうにごらんになっておりますか。
  107. 宮崎仁

    宮崎説明員 いわゆる八項目といわれる国際収支総合対策の問題でございますが、この内容といたしまして私どもの観点から見ますと、いわゆる貿易の自由化、関税の引き下げ、それから輸入の増大というような点は、物価対策としても、実は春以来いろいろと各省にお願いをしていた筋合いのものでございまして、これが強力に行なわれるということは、非常にその点ではプラスだというように考えております。  ただ、御存じのように第八項目になっております、いわゆる景気浮揚策にかかわる問題でございます。二回にわたって一応この措置はとられましたけれども、私どもの判断といたしましては、現在までとられた程度のことであれば、物価に特に影響のあるほどのものではないというふうに考えております。ただ、この問題は、今後ともおそらく本年度の補正予算、来年度の予算編成ということを通じて、さらに問題が出ると思います。そういう際に、物価という問題を一方に考えながら慎重にやっていかなければならない、こういうふうに考えております。  総体としては、私どもこの八項目はぜひ強力に実施したい。特に輸入の関係については、年来の懸案であったということもございますので、やってまいりたいと思います。
  108. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 この景気浮揚策という面から見ると、このごろ物価という問題が、新聞の紙面にもだんだんと少なくなってきたような感じもするし、一般の考え方も、物価よりは、とにかく景気をよくするのだという印象が強くなってきていると思うのですけれども、こういう状態のもとで、つまり物価の上がることに対する警戒心が失われてくるという問題は、いま局長さんがお話しになった数字以上に物価に対する影響があるというふうに見なければならない。こういうようなことですから、物価に対しての経済企画庁の強い関心をもっともっと強くしていかなければならない、そういうような感じがするわけですけれども、景気浮揚策という問題の物価への影響ということについては、何かちょっと過小評価しているのじゃないかという感じがするのですけれども、これはここで、これ以上は述べません。  ただ、輸入の問題ですけれども、この輸入の問題についていろいろむずかしい、いろいろな折衝が行なわれているようですけれども、輸入して下がるというためにどういう手が必要かというようにお考えになっておられますか。
  109. 宮崎仁

    宮崎説明員 過去の例で見ましても、たとえばレモンでありますとかバナナでありますとかいうようなものは、自由化をいたしました後その効果がはっきりあらわれまして、価格が下がっております。その他のものでも大体そういうものが多うございますけれども、御承知のとおり、いわゆる非関税障壁といわれるようなものがいろいろとられております場合がございます。今回のこの措置によりまして自由化なり関税の引き下げがとられる場合においても、そういった面について、特に流通問題に関連してでございますが、相当強力な措置をやっていかなければならない。あわせてこれが行なわれませんと、物価の面にほんとうの意味での好影響があらわれないという問題がございます。これは、それぞれの物品ごとにいろいろな慣習があり制度の違いもございまして、なかなかむずかしゅうございますけれども、実は今年度の関税引き下げにおいても、そういった点について物価担当官会議等で申し合わせをいたしまして、かなりの効果をあげた実績も私持っておりますので、いろいろ今後の実際に行なわれる事態において、そういうことを強力にやっていきたい。そういうことによってこの効果を生かしていきたいと思います。
  110. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 輸入を自由化したその段階において、輸入業者をお集めになって、そういうような問題についての必要な勧告とか、まあ勧告というほどいかなくても、注意を喚起するとか、そういうようなことをする必要があると思うのですけれども、そういうお気持ちはあるでしょうか。
  111. 宮崎仁

    宮崎説明員 この問題は、いま申し上げましたように、それぞれの物品ごとに違います。私どもの考えといたしましては、そういった方針のもとにそれぞれ所管の省で業界の指導をしていただくというやり方で、できるだけ対処したい。また、特に問題があるような場合には、公正取引委員会のほうにお願いをして必要な調査をやっていただくというようなことも考えております。
  112. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 特に寡占体制という大きなことばの中に入る問題かと思うのですけれども、流通過程におけるそういうような問題については、公取と経済企画庁とは密接な連携をもって——せっかく輸入の自由化をしたけれども、その自由化のもうけは全部輸入業者に入ってしまったというようなことになると——そういう例がなきにしもあらずだと思いますから、その問題については特にひとつ注意をしていただきたいと思います。  この自由化というものと関連をして、寡占対策という問題について、経済企画庁として、そういう観点からひとつ御検討になる必要があると私は思うのですけれども、その点についての御意見をお伺いしたい。
  113. 宮崎仁

    宮崎説明員 この問題も毎度御指摘をいただいておることでございまして、経済企画庁といたしましては、物価安定政策会議のほうで取り組むという方針でやっておることを申し上げておりますが、第二調査部会のほうが具体的に動き出しております。現在三品目についての調査をやっております。秋ごろまでにその方針を出したいと思っておりますが、さらに品目の追加も考えまして、できるだけ早く、政府として何らかとるべき措置はどうかということについての物価安定政策会議からの御提言等もいただきたい。私どもとしても事務的にいまいろいろ検討をいたしておりますので、何らかの方向は出るかと思います。まだ申し上げる段階にございませんけれども努力してまいりたいと思います。
  114. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いまの、物懇以来の物価安定政策会議に集まっておる学者の非常に建設的ないい意見があるのですが、全体の印象としては、自由な競争条件云々のことばにあまりとらわれ過ぎている感じが私はするのです。自由な競争条件をつくったところで、それは非常に効果のあるものはありますけれども、ほとんど効果はないというふうに見られる面も非常に多いと思います。そういうことで、自由な取引条件をチェックするとかなんとかいうので行政指導はいけないという議論が一ころあったのですが、そういう議論を越えまして、物価を安定さす、あるいは引き下げていくというための積極的な一つの政府の措置といいますか、そういうものが私は必要な段階だと思うのです。これは二律背反みたいなことが現に必要な時期ですけれども、自由な取引条件、自由な取引条件というふうに、ばかの一つ覚えみたいにそういうことばかり言って、現実には何もやらない。これは、先ほどの農林省の場合にもそういうことがあります、通産省の場合にもそういうことがあります。牛乳を引き上げたとき、自由な取引条件をつくるために自由にまかせるのだ、農林省はこういうことを言って、結局は物価の引き上げに対して何らのチェックもできなかった。そのときに私は、行政の責任のがれだということを申し上げたのですけれども、必要な介入は私はすべきだと思う。そういう問題、物価安定政策会議等でも今後いろいろ御検討になると思いますけれども、特に寡占体制というものが、今後とも内容的にはずっと強化されていくわけですから、そういう点で、ぜひともひとつ、あまりびくびくしないで、やるべきことは、役所ですから、うんとやるという一つの責任体制が私は必要だと思います。  そういう点をひとつ要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  115. 武部文

  116. 谷口善太郎

    ○谷口委員 タクシー料金の問題ですが、ことしの一月から四月ぐらいにかけて、六大都市のタクシー業者、それぞれ料金値上げの申請をしているようであります。各区において違いますが、東京都を中心のところでは大体四一・一%、横浜市地域では六四・三%、京都地域ではとても高いのですが、八八・三%、一番低いところでは名古屋市地域、これが三五%というようなぐあいで、これは運輸省からいただいた資料でありますが、そういう値上げ申請をしているようであります。  まず運輸省にお伺いいたしますが、この申請をどういう処置をされるつもりか。値上げを認めていく方向か、それとも、この際値上げは好ましくないというので押えていかれる方向か、その点をお伺いしたいと思います。
  117. 小林正興

    小林説明員 東京をはじめといたします六大都市のタクシー運賃の値上げ申請が出ておりますことにつきましては、ただいま先生の御指摘のとおりでございます。現在運輸省といたしましては、これらの申請の内容につきまして、それぞれ関係現地陸運局において、その内容調査いたしておる段階でございます。
  118. 谷口善太郎

    ○谷口委員 経企庁の政務次官に伺いますが、手続上からいえば、各陸運局で内容調査をしておられるという段階のようでありますが、物価対策の上からいいましても、また状況から申しましても、昨年あるいは一昨年の暮れに上げたところでありますし、こういう大幅な、多いところでは八八・三%というような値上げの申請を、政府の方針としまして、あるいは態度としまして、この際上げるべきでないという態度で臨まれるのか、あるいは調査の結果やむを得ないという場合があれば上げるという態度か、政府態度について次官からお伺いしたいと思います。
  119. 木部佳昭

    木部説明員 運輸省のほうから企画庁のほうに、まだ正式な協議を受けていないわけであります。しかし、従来から、公共料金は物価政策上から極力押える。そこで、昭和四十五年の一月から三月までも、たしか値上がりしたわけでありますが、たとえば乗車拒否の問題であるとか労働条件の改善の問題であるとか、それからまた近代化センターをつくって、そしてりっぱな従業員を養成するというような施策も、実は前回の値上げの際の一つの条件でもあったわけであります。そういうことで、まだ運輸省から正式な協議を受けておりませんけれども、総合交通体系の中にあってタクシー業界というものをどういうふうな位置づけにするかというようなことも、われわれは慎重に考えまして、よく検討して対処してまいりたいと思っております。
  120. 谷口善太郎

    ○谷口委員 今度の値上げ申請の各社の理由ですな、これはもちろん申請の中にあると思いますが、どういう理由が書かれておりますか。
  121. 小林正興

    小林説明員 業界から出てまいりました申請の理由といたしまして、第一に、一番大きい問題といたしまして、経費の面における人件費のアップでございます。  私ども、現在タクシー関係の事業の経営の状況を見ておるわけでございますが、まず収入面におきまして一番大きな問題としまして、需要はあるにもかかわらず十分な稼働ができない。主として道路の交通渋滞の問題があろうかと思いますが、現在の運賃をきめましたときには、平均一日三百五十キロ走っておったわけでございますが、最近はそれが三百三十何キロというような程度に落ちておるようでございます。こういったことから収入がダウンしている。  それからもう一つは、労働条件の改善等もいたしておりますが、現在の運転者不足というようなことから、なかなか十分な稼働率が持てない。私どもでは実働率といっておりますが、これが非常に下がっておるわけであります。前回の改定の当時でございますと実働率は約九〇%程度でありましたのが、現在では八六%というようなところに下がっておるわけであります。こういったようなことも、収入面におきます経営の状況が悪化しておる一つの原因だと思います。  経費の面につきましては、先ほど申し上げましたように、主として人件費の増高というようなことが関連いたしまして、収支率の悪化ということで、現在、東京に例をとりますと三百五十社ございますが、四十五年度末の決算で見ますと、ほとんど赤字に転落しておるという実情であります。
  122. 谷口善太郎

    ○谷口委員 実は私、いろいろ統計資料を持ってきているのですが、時間がないから詳しいことはできませんが、実際はやはり走行キロが減っている、この実情は私どもも認めます。この場合の走行キロが減っているという意味は、あとで触れたいと思いますが、正常な運転をやって、正常に八時間ということが前提になっているのです。そうすると、実際にも走行キロが減っている、これは事実であります。しかし実際上は、あとに申しますが、走行キロが実はそう減ってない。もしくはふえているという面もある。それは運転手が、賃金体系の内容から申しまして働かなければならないという、むちうたれている形でむちゃくちゃをやっているという、そういう意味からいえば、むしろ走行キロは減っているどころか、ある場所ではふえているというようなこともありますが、しかし、おっしゃることが、正常な八時間で、それからまた正常に安全運転をやれば減っているということは、事実のようであります。  しかし、これが値上げの要因になるかどうかということには論議があると私は思う。これほど自動車がふえて、大都市の交通渋滞ということが、政府の施策で、簡単な言い方をすればモータリゼーションの施策で、自動車はふえますから、道路面積がふえなければ、当然そこにふくそう、渋滞が起こりますから、なかなか走ることは困難になるということは事実でありますが、そういう原因からこうした結果が生まれたとすると、これは直ちに料金値上げの要因として考えるべきかどうか。むしろ別に、この問題はこの問題として対処するという方針が政府になければならぬというふうに私は思うのですが、この点はどうでしょうか。
  123. 小林正興

    小林説明員 タクシーの値上げ問題が出ておるわけでございますが、根本的には都市、特に大都市におきます交通をどうするかということでございまして、先生指摘のとおり、タクシーの運賃問題だけで全般が解決するというような問題ではないと思っております。  現在運輸省におきましては、運輸政策審議会の都市交通部会というのがございまして、そこにおきまして、地下鉄あるいはバス輸送、そういったことと関連して、タクシー輸送のあり方といった問題につきまして、現在鋭意検討を進めております。  簡単に申し上げますと、やはり道路の交通渋滞の問題、あるいは都市におきます輸送需要を全体的に最も効率よくさばくというような観点からは、当然その需要の質に応じて、地下鉄あるいはバスというようなものが相当整備されなければならぬじゃないか、そういったことと関連いたしまして、タクシーというものはどの程度整備すべきかということを考えてまいりたいということで、これは運賃問題の前提となりますか、あるいはそれとうらはらになるわけでございますが、そういった根本問題につきましても現在検討を進めておる段階でございます。
  124. 谷口善太郎

    ○谷口委員 そこに問題があるのでありまして、政府はどういうことをいま考えていらっしゃるかは別といたしまして、これは世界じゅう、この問題ではそこに問題が移りつつあるという大勢であると思うのでありますが、この問題を解決しないで、直ちに運賃値上げというような安易な形で消費者に転嫁するという政策は、政府としてとるべきではないというのが私どもの意見であります。だから、そのことが直ちに運賃値上げになるというような業者の言い分は、やっぱりこの際政府としてはきちんと、ちゃんと業者として成り立つような交通事情の問題、大きくいえば都市交通の問題につきまして基本的な施策を出して、その中で解決するという方向を出すべきであって、直ちに運賃値上げという問題に安易に持ってくることは決していい政治ではないというように考えますが、これは政務次官、いかがでしょうか。これは運賃問題ですからこの面だけではありませんが、あとで触れますが、この面でいえばそうだと思います。
  125. 宮崎仁

    宮崎説明員 私から補足的に申し上げまして、あとで政務次官から御答弁いたします。  いま谷口先生のおっしゃったお考え、基本的にまさにそのとおりだと思います。そういうことで、運輸省のほうでも、運政審に都市交通の問題等鋭意審議をしていただいており、政府の部内におきましても、総合交通体系という形で、経済企画庁がある程度この準備方を引き受けまして、この一月以来検討いたしております。  ただ、問題は、大都市交通の問題をどのように分担し、どのようにこれを解決していくかということについての基本策を出すわけでございますが、いずれにいたしましても、いますぐどうという早急の解決というのはむずかしいだろうと思います。いろいろ長期的にいかなければならぬ点があるだろうと思います。  そういうことと、当面タクシーの経営が非常に赤字になってどうにもならぬというような問題をどういうふうに考えていくかということが、結局この問題のいま直面しておる課題ではないかと思っております。  私どもといたしましては、すでにそういった形で総合交通体系の検討あるいは大都市交通の問題の検討等が行なわれているわけでありますから、そういうところにおいてタクシーの位置づけなりそういう問題がかなり明確になってくるであろう、それを踏まえて、この問題をどういうふうに考えるべきか、こういうことで検討すべきだと思っておる次第でございます。経済企画庁のほうでの勉強もだんだん進んでおります。そういった形が明らかになってくるにつれて、この問題についての検討の視点が明確になってくると思います。
  126. 谷口善太郎

    ○谷口委員 この問題につきましては私どもに意見があります。都市交通をどうするか、都市交通の中でタクシーの位置がどこにあるかというような問題から基本問題に入るということになりますと、意見がありますが、きょうはそういうことを言っている時間がありません。しかし、問題は交通だと思うのです。つまり、いま運輸省が言われたように、業者が言っているのは、経営困難になった一つの条件の中には、交通渋帯があって走行キロが減る、あるいは稼働率が減る、そういうことがあるということが運賃値上げの条件の一つになっているということですね。これは違うのである、その先に解決しなければならない問題があって、直ちに運賃値上げというところに持ってくることに間違いがあるのだという立場を、あなた方ははっきりすべきだ。赤字になっているから、その赤字になる原因は、経営の上で業者がへたをやっているとか野方図な経営をやっているとかということじゃなくて、政府の施策の上で自動車が多くなった、そのために車が走れなくなったという問題であって、これは都市交通上の重大問題なんだ、あなた方はそう言っている。これを解決することが前提であって、その解決をほっといて、運賃値上げということの一つの要因としてこれを肯定することは許されぬというのが、われわれの考えなんです。そこらをやはりはっきりすべきであって、この問題だけじゃございませんが、この問題に関していえば、やはりちゃんとタクシーが走れるようにする、走れない状況のもとでどうするかという、そういう都市交通上の問題を解決しなければ、簡単に運賃値上げに持ってくるということは、国民としては納得できないということなんです。これは政務次官どうです。
  127. 木部佳昭

    木部説明員 先ほど谷口先生からもお話がありましたように、やはり都市の構造の問題であるとかいろいろな問題があるわけであります。そこで私は、先ほど申し上げましたように、総合交通体系の中にあってタクシー業界というものはどういう位置づけをするか、また、総合交通政策の中にありまして地下鉄はどういうような使命を果たすかというような、そういう総合的な施策というものはなければならぬと思っております。そういう意味では、谷口先生の考え方に私は賛成する部分がかなり多いわけであります。
  128. 谷口善太郎

    ○谷口委員 押し問答をしておってもしようがないのですが、その賛成されることを先に解決しないで料金問題に持ってくることがよくないということを、私は言っているのです。その政府態度の問題ですな、料金問題を簡単に持ってきて国民負担させて解決する。原因は、国民に何ら責任がない。政府としても、解決しなければならぬということをおっしゃっておる。解決しないでもって、当面赤字だから料金を上げるということにならぬということを、これは政府としても肯定されなければならぬと思うのですがね。この点は先へ進みます。ここに大きな問題がありまして、ほんとうは、時間があったら、私はみっちりこの問題をやりたい。共産党も意見があります。労働組合の諸君も意見を持っております。また、これに関心の深い学者連中も提案を持っております。政府の提案あるいは政府の考えとつき合わして論議をしたいと思いますが、時間がありませんから先に進みます。  次の問題は人件費のアップ、これは支出の面だと思うのですが、人件費のアップということになっておりますが、労働賃金が高いということだと思うのです。労働省の方来ていらっしゃいますね。——タクシーの労働者の賃金は高いですか。
  129. 吉本実

    ○吉本説明員 タクシーの運転手の賃金の問題でございますが、直接それぞれの地区別にはございませんが、全国的な傾向で見ますと、タクシーの運転手で経験四・二年の方で平均月額は七万二千七百円、このようになってございまして、全体の生産労働者の賃金六万八千四百円に比べますと若干高くなってございますが、最近の傾向から申しますとその上昇率は鈍っておる、こういうふうな実態でございます。
  130. 谷口善太郎

    ○谷口委員 あなたのほうは七万六千二百円ですか、四年半で。年で、平均大体三十五歳ぐらいになりませんか。これは全自交の調査ですが、年齢三十五歳、そしてやはり四、五年の経歴があって八万五千円というふうな資料を出しております。しかし、これは高くないのです。それから、特に去年の料金値上げをしましたときに、労働省はいわゆる二・九通達、あれが問題になったわけでありますが、この八万五千円ないし七万六千二百円ですか、これは実際は、労働者が正常な形の賃金として受け取ってないことはよく御承知だ。つまり賃金構成の内容が、これはいわゆる働いた分に対する手当として出る。そういう部分が非常に多いので、そういうことは賃金として決して高くないし、事実労働者は、先ほど申しましたとおり八時間労働、変則八時間労働でありますから、実際は昼夜を通して相当長い拘束時間になりますが、その中でむちゃくちゃに働いてかせぎ出す、そういう賃金であります。決して私どもは高くないと思うのであります。普通の製造業の労働者の賃金なんかと比べましても、あなたはいま非常に高いような言い方をされましたが、資料を見ますと決して高くありません。私は決して高いとは思いませんが、それより何より、いま申しましたタクシー労働者の賃金体系が、固定給のほかに、いわゆる請負といいましょうか、かせぎ高に応じて配分するという、そういうやり方がありまして、その点が非常に問題になっているわけであります。実際去年の料金値上げの結果、例の二・九通達のあの線に沿うて改善されたかどうか、その実情を伺いたい。
  131. 吉本実

    ○吉本説明員 お答えいたします。  前回の改定にあたりまして、物価対策、交通関係閣僚協議会等の決定に基づきまして労働条件の改善対策をはかる、こういうふうな形で、ただいまおっしゃるような形のものを施行してまいりまして、また、六大都市関係につきましては、就業規則なり賃金規程の審査を行ない、いろいろ問題のあるところは改善するようにいたした次第であります。  それから、大阪や東京地区につきましては臨検監督も行ないまして、法令違反のところは是正させるようにいたしまして、なおその結果、特に悪いものにつきましては、運輸省とも協議して、是正の確認がされるまで保留をした、こういうふうな経過もございまして、全国的にこの趣旨の徹底に、監督を通じまして努力している次第でございます。
  132. 谷口善太郎

    ○谷口委員 努力しているとおっしゃるし、また東旅協のタクシー白書、東京乗用旅客自動車協会ですね、タクシー白書というものを出しておりますが、これによりましても、あの通達のとおりに、たとえば歩合給は全体の三割以下にするようにしたというようなことを聞いておりますけれども、非常に大きなインチキがありますね。ここらのところを、ひとつ労働省としては相当立ち入った監督といいますか、指導といいますか、それをおやりになったかどうか、この内容をちょっと聞きたいと思うのです。  この東旅協の資料によりますと、去年の運賃値上げ後大体一万二千四百円余りの賃上げをした、こういっているわけであります。その中で固定給部分が七七・一%、それからその歩合給部分が二二・九%、こういうふうになっている、つまり三〇%以下にした、こういうふうにいっているのですけれども、実際なっていますか。
  133. 吉本実

    ○吉本説明員 手元に具体的な資料を持ってございませんが、ただいまいろいろな問題につきましては、再三関係の組合とも、あるいは出先の監督局あるいは監督署を通じまして、私どもいろいろな問題の話し合いは進めておりまして、できる限りそういった方面の監督につとめるように努力している次第でございます。
  134. 谷口善太郎

    ○谷口委員 非常に不満であります。業者がこういう資料を出して、いかにも労働省通達を実行したようにいっているのですけれども、事実はそうじゃないのだという事実があるのですね。ここでいっております固定給四十五年度七七・一%、この固定給部分は、これは固定給自身が日給月給であります。時間給ですね、休めば引かれる。固定しておりません。実質的な、ほんとうの意味の固定給じゃない、そういうものです。しかも、この中にいろいろな手当がみんな入っている。家族手当だ、愛車手当だ、通勤手当だ、精勤手当だ、何かいろいろな手当が入っている。この手当を、たとえば一日欠勤したらそれだけ引く、そういう内容のものです。つまり、休んだら引かれるという、そういうシステムになっている。たとえば病気で休んだりすると家族給が引かれる。家族にくれる手当が勤務に応じて、一日休むと引かれるというような、そういう内容です。  ですから、これはとんでもない給与体系でありますが、まして歩合給に至っては、去年の運賃値上げ後、足切りが高くなりました。十三万円ぐらいになりましたから、それ以下はくれなくなりましたから、ある会社ではむしろ賃金は安くなったという状況が出ておる。だから、決してあなた方の通達が実行されてないという実態があるわけですね。そういう中で労働者が働いている。  そういう状況に労働者を置いておいて、そうして人件費が高いから料金を値上げしてくれ、こういうことであります。国民としては認められませんし、また、こういう問題を料金値上げに持ち出すということは非常に不謹慎だと思う。そういう点については、労働省はどう考えていますか。
  135. 吉本実

    ○吉本説明員 先ほどの二・九通達におきましては、いわゆる累進歩合制そのものは廃止するようにという形で進めておりまして、その点は確かに履行されておると思います。ただ、ただいま先生がおっしゃいますような足切りの問題とかそういった点は、確かにそういった向きもございますが、二・九通達そのものの線では、その点については必ずしも触れておりません。しかし、全体の労働条件の問題として、いろいろ各関係組合からも御要望がありますので、その点につきましてはいろいろ検討をし、また、そういった好ましくないような仕組みはとらぬようにという形で指導はしているつもりでございます。
  136. 谷口善太郎

    ○谷口委員 だから、七万六千円かせいでいようと八万五千円かせいでいようと、労働者は全く自分で身を粉にしてかせいでいる。つまり刺激的な賃金制度のもとで、全く彼らは非人間的な労働をやってかせいでいるのでありまして、だから、高いとか安いとかいう前にそういう問題があります。しかも、いまお聞きしますと七万円台、私ども調査では八万円台ということになりますが、三十何歳——三十五歳ということになりますと子供は二、三人おります。そういう労働者の賃金でありますから、決して高いものだとは私ども思わない。これを、人件費が高いから値上げするという業者の言い分は、これはやはり政務次官、私どもは無理を言っていると思うのです。その点を私ども強調したいと思いますが、しかし、時間がないそうですから次の問題に入ります。  私は、この人件費の問題もありますし、また、先ほどちょっと触れました、交通政策としてタクシーの地位をはっきりしてどうするかという問題もあるかと思いますけれども、しかしその前に、料金値上げをした、その料金値上げ分が大企業、つまり石油資本その他に取られていく問題、あるいは政府自身がその税金なんかの値上げをやりまして、関係税金を値上げして持っていくという、そういう問題があると思うのです。そういう点については、運輸省は何か考えていらっしゃいますか。
  137. 小林正興

    小林説明員 タクシー企業の健全化のために、いま運賃の問題が、一番収入の根本でございますから、この問題がございますが、やはり事業そのものを健全に持っていくためには、運賃だけではなくて、融資あるいは税制等の面についてできるだけの配慮をすべきものと考えているわけでございます。特に現在非常に困難になってきておりますので、きわめてとりあえずの措置でありますが、いわゆるつなぎ融資というようなことにつきましても、最近大蔵省あるいは通産省、関係官庁とよく相談をいたしまして、一部融資の道を講じておるわけでございます。
  138. 谷口善太郎

    ○谷口委員 そのことは、いま私が申しましたことと別なことであります。  それでは伺いますが、三十九年に料金を上げます前に、三十七年の十二月に、石油連盟の中尾会長あるいは全石連の増田会長などと自動車側の全乗連ガソリン対策委員会の山岸会長との間に、料金が値上げされましたらガソリン代を上げますという秘密協定をつくっておるのは御承知ですか。
  139. 小林正興

    小林説明員 そういったことにつきましては、直接関与しておりませんし、また、何も聞いておりません。
  140. 谷口善太郎

    ○谷口委員 驚いたことですな。この協定によりまして、一挙に上がる。ガソリンを一キロリットル当たり一万一千三百円ですか、ここへ上げていこう、これは三十七年の約束であります。しかし、それまで、料金が上がったらこういう値段にするということの秘密協定をやった文書があります。読んでみましょうか。時間がありませんから読んでみませんが、これはあなた方も持っていらっしゃる「タクシー問題の根源をつく」という、労働旬報社が発行しましたパンフレットでありますが、その中にちゃんと文書が掲載されています。つまりタクシー業界でも、まことに不謹慎な話だと思いますが、おそらく石油業界からの圧迫で、そういう約束を強制的にやったんだと思いますが、料金値上げしましたらガソリンの値段を上げますということを約束している。逆に言いますと、石油業界は、料金値上げした場合の一部分を、ガソリン値上げでわれわれにもよこせということをいっている。こういうことはこのときだけじゃありません。政府だって——これは政務次官聞いてください。去年プロパンガスに対する税金を値上げしたでしょう。十円を十七円五十銭、これは去年の一月からです。おととしの十二月に大体料金値上げ許可をしておる。政府も税金で取っていっておるのですね。今度の場合だって先取りをすでにやっておる。こういうふうにして、いろんな料金値上げをして——料金値上げすることについて国民が納得するのは、タクシー業界は困っている、だからがまんしようということでがまんするのであります。ところが、タクシー業界に入らないで、そこを通じて石油独占が取っていくとか政府が吸い上げるとかいうことをやっているのです。こういうところを解決しないで料金値上げだといったって、これは国民、納得しませんぜ。  この点伺いますが、ガソリンもしくはLPGの税金は、ここ数年間どういう推移をたどっていますか。これは大蔵省、来ていらっしゃると思いますが。
  141. 渡辺喜一

    ○渡辺説明員 ガソリン揮発油税の税率は、昭和二十九年一キロリットル当たり一万三千でございましたが、三十年八月には一万一千に下がりまして、三十二年四月にそれが一万四千八百と引き上げになりまして、三十四年四月に一万九千二百、三十六年四月が二万二千百、三十九年四月に二万四千三百ということになっております。  それから、石油ガス、LPGの税率は、御承知のように新税といたしまして四十一年に導入されたわけでございますが、最初は暫定税率というこ円とで五円でございましたのが、次第に本則税率に戻すということで、四十二年にこれを十円に上げまして、四十五年一月に十七円五十銭ということになったわけでございます。
  142. 谷口善太郎

    ○谷口委員 時間が来ましたから結論に入らなければなりませんが、政務次官、お聞きのとおりです。まだ私、いろいろあります。政府が取っていっている分あるいは業界から大資本が取っていっている分、あります。ありますが、時間がありませんから言いませんが、料金を値上げしましてもタクシー企業を助けることにならないという面が非常に多いわけです。こんな問題をほっておいて、ここらを調査して、ここらを合理的に解決しなかったら、料金値上げをいいとか悪いとか言えないと私は思う。そこらをはっきりしてもらいたいと私は思うのであります。  時間が来ましたから結論に入ります。  今度の値上げは、私はやはり国民としては認められぬ。だから、いま申しましたようなところを政府としてほんとうにメスを入れて、税制の面でも、それから大資本から収奪される面——これは自動車の値段なんかも、私実は資料を持ってきましたが、これはでたらめに高いのです。たとえば外国に売り出す輸出価格と国内価格との間に大きな開きがある。製造原価と実際にタクシー会社に渡される値段とに実に大きな開きがあるというような問題も、資料を持ってきました。そこらの問題です。これはいわば一種の独占価格に対する規制の問題になりますが、そういう問題に入らなければ、料金問題、経理の問題、単なる経理の問題としましても、料金の値上げということは国民は納得しないだろうという問題が内在していると思う。したがって、この際、交通政策としての基本的な問題も政府は積極的に取り組む必要があると思いますが、料金値上げに関連して税制あるいは大資本、独占資本の収奪、そういう問題にもやはりメスを入れるべきだ。そうやって、そして業界が苦しいというならば、非常にたくさんの人を運送するタクシーでありますから、これはいわば一つの公共的な交通機関だと思いますが、これに対して、国民に犠牲を転嫁するのではなくて、そういう矛盾、そういう欠点を解決することによって、解決する方向政府はまず打ち出すことによって、それをやってもなお足らないということになれば国民は納得することになるかもしれませんが、やらないでおいて、むしろ大資本や政府がもうけることに料金値上げが利用されていることは許されぬということを強く申し上げて、私の質問を終わります。      ————◇—————
  143. 武部文

    武部委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  本日は、特に食肉の流通及び価格問題につきまして、参考人として畜産振興事業団理事長岡田覚夫君食肉輸入商社協議会会長河村雄次君、食肉輸入商社協議会専務理宮崎貞雄君、以上三名の方から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 武部文

    武部委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————
  145. 武部文

    武部委員長代理 参考人の方々には、御多忙中にもかかわらず本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。  本日は、食肉の流通及び価格問題につきまして忌弾のない御意見をお述べいただき、本委員会調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  なお、参考人の方からの御意見は、委員の御質疑によってお述べいただきたいと存じます。  小林進君。
  146. 小林進

    小林(進)委員 私は、食肉価格の値上がりの問題に関しまして、どうも政府並びに関係事業団あるいは商社等を含めて、若干そこに間違いがあるのではないかというふうな点から御質問をいたしたいと思うのでございますが、食肉の中のまず第一に豚から始めたいと思います。  最近どうも豚の肉がたいへん高い。小売りで百グラム百円もしておるということで、非常に消費者は悲鳴をあげておるのでございますが、どうして一体こんなに豚肉が高いのか、まずそこら辺からお伺いをいたしたいと思うのであります。
  147. 増田久

    ○増田説明員 御承知のとおり最近豚が非常に値上がりいたしまして、各方面から御批判をいただいておるわけでございますが、御承知のとおり昨年春から豚の値が暴落をいたしまして、ことしの三月に底値になったわけでございます。いわゆるピッグサイクルの底に至ったわけでございます。その関係で子豚の生産が下がり、豚の供給量というものが対前年比一〇%から一三%程度に落ちてきたわけでございます。そういうことで四月、五月、六月と月を追いまして上がってまいりまして、それが上位価格をこえるおそれが出てまいりましたので、畜産局といたしまして、六月の中旬に一万トンの緊急輸入割り当てをいたしたわけでございます。ところが、世界的に現在豚肉の価格が騰貴しておりまして、主要な供給圏であります台湾では、輸出を制限する、輸出を禁止する措置を現在とっている。したがって、われわれとしては輸入ソースをアメリカに求めざるを得なかったわけでありますが、不幸にして西部海岸のストに突き当たってしまって、われわれが当然入るであろうと思っておりました量が入ってこなかった。アライバルが非常におくれてしまったという点が一つあるわけでございます。そこで、われわれといたしましては、この輸入ソースをカナダに切りかえまして緊急に輸入する措置をいま講じておりますので、輸入ものはこれから、八月から九月にかけて入ってくるものと思っているわけでございます。  同時に、最近の需要の伸びというものは、われわれはせいぜい一〇%程度の伸びではあるまいかというふうに想定をいたしておったわけでございますが、非常に需要がふえ、一七、八%というような強い需要が見られてきておるわけでございます。そこで、われわれといたしましてはさらに七千トン、緊急割り当てをつい最近追加をいたしまして、できるだけ豚肉の安定ということに努力をしてまいりたい、また、まいるつもりでいるわけでございます。
  148. 小林進

    小林(進)委員 まず、質問の順序としてお伺いしたいのでありますが、豚肉の安定基準価格一体幾らで、それから安定の下位の価格は幾らで、それから上位の価格は幾らか。いまは上位の問題でありますが、それに対する現在の市場価格はどこまでいっているのか、それをお伺いいたしたいと思います。
  149. 増田久

    ○増田説明員 現在安定基準価格といいますのは下位価格のことをいうわけでありますが、これが三百五十五円でございます。それから上位価格が四百三十四円でございます。これに対しまして、現在の市場価格が五百円という前後で動いているというのが現状でございます。
  150. 小林進

    小林(進)委員 御承知のとおり上位価格が四百三十四円、それが、あなたは五百円とおっしゃったんだが、八月の六日あたりでは五百二十五円という、昭和四十五年の六月前後、未曽有といわれた最高価格の五百五十三円までいま一息で追いつくというような、たいへんな値上がりを示しているわけでございますが、一体こういうことに対しては、畜産物の価格安定等に関する法律に基づいて、上位価格をオーバーをした場合には、間髪という、ことばは別といたしまして、すぐ安定の下位価格をつくり上げるために緊急に手を打つべきことのために、こういう法律をつくっているわけです。ところが、もう今日百円以上も値上がりをしているときに、あなたのお話を承っていると、台湾がどうの、アメリカがどうのという、何か言いわけだけの話に終わってしまって、ちっともこの法律の真髄というものを生かしておいでにならない。国民大衆は、行政の言いわけを聞いているんじゃないのです。物価が上がったときには下げる手を皆さん方に要求している。そのために皆さん方に高給をお上げして、お役人さまなんていっていばらしているわけなんであって、それを、手を打たないでそういうことをやられたんじゃ、私どもは非常に納得できない。しかも、あなたのお話では、これから先カナダに切りかえるとか、それが八月か九月に入るだろうというお話なんですが、その前に、あなたの同じ局にいられる井上喜一食肉鶏卵課長が言われたという、これは新聞の記事ですが、その中には、この値上がりについてこういうことを言っているんだな。「いろいろ高いブタ肉の“容疑者”を洗い出すが“真犯人”はつきとめられない。」どこに一体原因があるのか、その真犯人は突きとめがたいということを言われているんですが、私はむしろこのことばに、局長のすべり出しのいい回答よりは真実が含まれているんじゃないかと思う。別なことばで言えば、農林省の中でも畜産行政は魔窟だといわれている。魔の御殿だともいわれている。実に不明朗な行政の影があるといわれているのでありますから、私は、そういうことを示唆しているんなら、井上君のほうがまだ良心的だと思っているのでありますが、そこら辺、いま少しくきぱっとした返事を承りたいと思うのです。
  151. 増田久

    ○増田説明員 先ほどお答え申し上げましたとおり、現法律によりますと、豚価が上位価格をこえ、またはこえるおそれがあるときに緊急輸入をするという法律の定めになっておるわけでございまして、われわれは、その法律の定めるところによりまして六月の中旬に一万トンを入れた、こういうことでございます。ところが、これは言いわけになりますから申し上げませんけれども、特殊事情がいろいろございまして値上がりしているということは、非常に残念でございます。まあ、井上君のその新聞等については、まだ私もよく読んでおりませんけれども、私たちの、おそらく井上君の言いたいことの一つは、現在の市場の価格形成のあり方、そういうものに一つ問題がありはしないかということを示唆しているものではないか、かように私は考えるわけでございます。
  152. 小林進

    小林(進)委員 何ですか、その価格の何とかというのを、いま少しくわかりやすく言ってくれませんか。
  153. 増田久

    ○増田説明員 たとえば芝浦で価格が形成され、それを基準にするというようなことになるわけでございますけれども、たとえばあそこの、いまでは皮はぎ法という方法で整形をしているわけでございますけれども、そういうようなことで、屠殺能力というものに非常に限度があるわけでございます。そういうことで、実際の入場頭数というものがありましても、屠殺のほうの能力から、十分それだけを処理できないという実態があるわけでございまして、それが必要以上に価格を上げる要因になっているというようなことも言っているわけだと思います。
  154. 小林進

    小林(進)委員 屠殺能力に限度があるというのなら、そういうようなことはひとつ早急に解決するように行政の手を打ってほしいと思うのですが、どうですか。管轄は東京都ですか。
  155. 増田久

    ○増田説明員 そういうことで、確かに東京都という大きな消費地帯に、屠場としてあるいは中央市場として、芝浦だけにあるという点では問題がある。そういう意味で、これは東京都ともいま相談を進めているわけでございますが、中央市場を別につくっていく、あるいは冷凍での取引をもっと進めていくとか規格取引を進めるとか、そういうことがこの際必要ではないかと思って、こういう方向で進めているわけでございます。
  156. 小林進

    小林(進)委員 まず、それが一犯人であるならば、早急に解決するように手を打っていただきたいと思います。打っていただきますというのは、どういう手を打ったか、後日またその結果はひとつ文書でお知らせくださいということでございまして、どうかこの委員会で頭を振っただけで終わりにしないで、何かの回答をお願いいたします。  それにいたしましても、それは一つの原因でございましょうが、なお一キロ三百六十円だった五月の出荷が百四万七千頭、六月には百七万六千頭ですから、これは三万頭ばかりふえているわけです。あなた方は一万トン六月にお出しになったというのですが、これはちっともきいていないな。七月はちょっと減ったが百七万一千頭、だから五千頭減っているだけであって、六月、七月とほとんど放出の数量は変わらない。八月は国内産が百四万五千頭に十万頭、カッコして四千トンと書いてある。だから、八月には四千トン、十万頭を加えて百十四万五千頭も出回る勘定というのですね。こうすると、あなたが言われる一万トンというのは、この月報の中にはさっぱり出ていない。効果がないな。平均してずっとすうっといっているだけじゃないですか。だから、われわれに言わせれば、この物価の値上がりを見ながら何ら手を打たないということになるじゃないですか。これは打たないと同じじゃないかということなんです。そういう点をひとつ明確に言ってください。
  157. 増田久

    ○増田説明員 先ほどもお答え申し上げましたとおり、一万トンの割り当てのアライバルがおくれておることは事実でございますが、そのうち四千トンがおそらく八月中に市場に出回るであろう、それが頭数に直せば約八万頭分くらいになるわけでございます。それを言っているわけでございます。
  158. 小林進

    小林(進)委員 どうも、そういうふうに一つ一つ追及していくと、実にたいへんな回答がはね返ってくるので、情けなくなるのです。  そこで、豚だけを追っていきますと、とんとんと時間がなくなってまいりますから、これはその程度にとどめますが、いずれにいたしましても台湾の輸入が制限をされた、アメリカの西部の海岸でストライキがある、カナダに切りかえようとしておって、これは九月ごろに入ってくるだろうなどという——豚なんというものは、毎日毎日、朝となく晩となく、全国の消費者が悲鳴をあげている問題だ。そういう問題に対処する皆さん方の処置としては、私どもとしては実に情けない回答だ。全く回答がない。しかし、勘ぐれば、その間には——あなたは屠殺場の手狭などと言われましたけれども、世間の人はそうは思わぬ。若干豚肉の値上がり等に興味を持っている者は、そこに流通機構の不備、悪くいえば業者の手練手管が入っているのじゃないか。畜産局などというものは、消費者よりもやはり流通商人の味方だから、豚肉の数量は決して不足も何もしていないのだけれども、そういう中間マージンの操作をする者によく利益を与えておいて、あなたたちが定年でやめたあとの行き場所ぐらい考えているのじゃないか。勘ぐる者はそれくらい勘ぐっている。うそかどうか知りませんけれども、そういうところをいま少し大衆が納得するような手を打ってもらわなければ、こんな法律をつくったって、法律の意味が何も生きていません。これはひとつ、法律を生かすように真剣に考えていただきたい。  そこで、私は、あとで牛肉でも申し上げますけれども、何もカナダまで行かなくてもいいじゃないか、お隣の中国には豚は余っているじゃないか。安い豚が余っていますよ。何でその中国から買わないのか。台湾、台湾って、台湾ばかりが中国ではないのだ。台湾の領土よりも何十倍も広いような土地で豚が余って、早く買ってくれといってうんうんうなっている。なぜそれを買わないのか。そういうふうに聞けば、どうも外国から買う品物も高いから、したがって自由販売にしたところで直段は下がらないだろうなどと、お役所みずから先頭に立って、消費者を脅迫するようなそういう宣伝ばかりしている。一体九月の末日になったら、これは自由販売になるのですか。なったら、豚肉の値段はどんどん上がるのですか。皆さん方はそういうようなことを新聞発表しておられるのだけれども、そんな発表をするのだったら、こんな畜産物の価格安定等に関する法律なんというものは必要なくなってくるのだから、そういうこともこの際明確に言っておいていただきたいと思います。
  159. 増田久

    ○増田説明員 現在の予定では九月末で豚肉は自由化するということを、政府の方針として決定いたしております。したがいまして、十月以降には、自由化の線に沿って国内に相当の量のものが入ってくるという期待を持っているわけでございます。ただ、世界から輸入するわけでございますけれども、現在世界の相場というものが、アメリカもカナダも台湾も非常に高い段階でございます。そういうことで、現在それが上位価格前後までは落ちてくるというわれわれは期待を持っておるわけでございますが、いまのようなばか値は避けられる、かように思っております。
  160. 小林進

    小林(進)委員 中国の問題をなぜ説明しないのか。向こうでは買ってくださいとうなっているじゃないか。なぜそれを買わないで、世界の相場は高いときめつけているのか。同じことを二度言わないで、ちゃんと答えなさいよ。
  161. 増田久

    ○増田説明員 これにつきましては先生十分御存じかと思いますけれども、中国の偶蹄類の動物につきましては、いわゆる口蹄疫問題というものがまだあるわけでございます。したがいまして、現段階で中国からなま肉を輸入するという考えは持っておりません。
  162. 小林進

    小林(進)委員 口蹄疫の問題はまたあとで申し上げますが、いずれにいたしましても、豚肉の値上がりに対する農林省のいわゆる価格安定に対する行政というものは、これでもう、短時間の応答の中でも明らかなように、全くなっていないということを、いま私どもは身にしみて感じたわけであります。  そこで、大臣代理の木部さんにひとつ申し上げますけれども、あなたはそばで聞いておられるのですから、あなたの行政というものはいつもそんなものですから、帰ったら少し督励いたしまして、この庶民が泣きぬれている問題を早急に解決するように、ひとつやってください。豚を持っているのは、何もカナダだけじゃありません。真剣に取り組めば、こんなことはすぐ解決する問題です。これくらい役人というものは、石橋をたたいて、しかも渡らない。その間に業者はみんなもうけているのです。ひとつ生きた行政をやっていただきたいと思います。  次に、豚が済んだら牛肉へ移りますけれども、法改正が行なわれて、畜産振興事業団が四十一年から輸入牛肉の一部を取り扱うようになった。その理由はどこにあるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  163. 増田久

    ○増田説明員 昭和三十九年を境にいたしまして、日本の肉用牛が急速に減少いたしました。それと並行いたしまして、牛肉の需要というものは三十九年、四十年と急速に伸びてまいったわけであります。それに応じまして牛肉の価格も高騰を始めた、こういう実態を踏まえまして、その段階でその価格の安定、需給の調整をどうするか、こういう考え方のもとに、事業団が輸入肉を扱うということの法律改正をいたしたわけでございます。
  164. 小林進

    小林(進)委員 そういう扱いをさせて、その需給の調整がうまくいってますか。
  165. 増田久

    ○増田説明員 この点について若干御説明申し上げておきたいと思うわけでございます。  事業団が一元的に輸入しているのではございませんで、四十一年からいわゆる民間貿易が半分、事業団が半分ということで、四十一年度では民貿が五千トン、事業団が五千トン、こういうことで発足をいたしたわけでございます。ところが、現実——事業団が買って、これは政令で定めるところによりまして中央卸売市場で売却する、こういう制度に相なっているわけでございますが、現実に売ろうといたしました段階になりまして、いろいろと問題が出てまいりました。その一番の大きいものを一つ申し上げていきますと、いままで急速に伸びておりました需要が、四十二年、四十三年と非常に牛肉の消費の伸びが停滞をいたしました。特に四十二年は、対前年を割るような状態でございました。そこがまず基調にあるわけでございます。  それから、事業団が最初に扱ったわけでございますけれども、当時、ブリスケットといわれまして最も悪いというか、下位、腹のところの肉でございますけれども、そういうものが売れるのではないかということで、そういうブリスケットを中心にいたしまして輸入をいたしておったわけでございます。そういう需給を反映したことと、当時一般消費者あるいは加工業者も、輸入肉というものになれていなかった。それから同時に、輸入肉は非常に悪いものだという一つの風評が実はあったわけでございまして、特に冷凍ものの牛肉を扱うという形は、一般には非常になじみのないものであったわけでございます。いわゆる解凍技術というものが、普通の人にはなかなか持ち得ないものであった。  それに加えまして、その売り方といたしまして、事業団が市場で売ります場合に、二十五キロのもの五箱をワンロットとして売るというやり方をやったわけでございます。それが、それだけの二十五キロの冷凍ものを市場でさばく。買参になりますと、おのずとそこに解凍技術があるということも並行して考えていきませんとなかなか売りさばけない、こういう実態が出てまいりまして、実は四十一年に五千トンのうち千九百八十五トン、約二千トンしか売れなかった、こういう事実がございます。  そういうことで四十二年、四十三年と、市場売りということを原則といたしましたけれども、実際には市場ではなかなか売却ができない、こういうことで漸次随契に切りかえていくと同時に、最初五対五という原則を持っておったわけでございますが、事業団の輸入のウエートを漸次下げてまいりまして、四十二年には民貿が一万三千トンに対して事業団が六千トン、四十三年は民貿が一万八千トンに対して事業団が三千トン、四十四年は民貿が一万七千トンに対して事業団が五千トン、こういうふうに事業団のシェアを狭めていったわけでございますが、次に四十五年に至りましては、その割り当てのうちわずか百八十二トンしか買えない、こういう実態になって、これで、事業団の牛肉特別勘定があるわけでございますが、そこに約五千万円に近い赤字を出したわけでございます。  そういうことで、四十五年から制度を切りかえまして、それは全部、いわゆる瞬間タッチ方式と申しますが、事業団は、まず輸入の商社に需要者と直結をしてもらう、その需要のあるものについて、事業団売りをどんどん瞬間的にやっていく。そういうことと同時に、いわゆるニューカマー——生協とか主婦連、そういうものは民貿のほうのワクでは買えませんので、事業団のワクからそういうニューカマーに売るという方式に切りかえたわけであります。  そういうことで四十四年、四十五年というふうになったわけでございますが、四十四年から五年にかけまして、ここでまた今度、牛肉の需給の実態というものがさま変わりしてまいりまして、牛肉の需要が対前年比三五%というような大幅な伸びをするようになってきた。と同時に、御存じかと思いますけれども、チルドビーフという新しい形での牛肉の輸入という形が行なわれるようになりまして、四十五年の下期あたりから輸入肉の人気が非常にわいてきた、こういう経過があるわけでございまして、そういう中におきまして、事業団のほんとうの意味での価格、需給の調整機能というものを果たしていないのではないかという批判が、そこに非常に出てきているわけでございます。確かに御指摘の点もあるということは、われわれも十分わかる点でございまして、本来の精神に戻って、もう一度事業団のあり方というものをどう考えるべきか、そういう点につきましては、われわれは現在学識経験者の方をお願いいたしまして、来月中くらいには、今後の事業団のあり方というものについて、どうすべきかということについて回答を得たい、かように考えておるわけでございます。
  166. 小林進

    小林(進)委員 長々と御説明をいただきましたが、要は、あなたの説明の中心は、そういう事業団ができて、牛肉の価格安定を輸入の肉で調整しようとした、その機能を何も果たしていなかったというその言いわけだな。その言いわけが一つと、結局それは、言いわけのためには、事業団が、最初は中央市場で商いをするという約束が失敗して赤字を出してしまった、その赤字を出した理由を事業団になりかわって、ちょうど事業団の理事長がものを言っておるのと同じように、熱を込めて言いわけをしてくれた。それは、われわれに言わせれば武士の商法だ。商売になれないから失敗したのだ。ものを一つあれして価格の調整のためにやるとすれば、それは何も成功するばかりではない。赤字になるのはあたりまえだということを言わなくちゃいけないけれども、なぜ赤字を出してなぜ失敗したかということを、一生懸命にあなたは言いわけをしてくれて、だからこれはさや取り屋でいけばいいんだ、そこまで話を持ってきてくれた。  さや取り屋でいいというのは、私はちょうだいしかねる。その間に問題があるから私のほうでお聞きしていくが、そこで、一体いま、輸入の肉と国産の肉との間の価格の差というのはどれくらいあるか、まずこれからひとつお聞かせをいただこうじゃないですか。
  167. 増田久

    ○増田説明員 御承知のとおり牛肉というのはいろいろな部位があるわけで、どこの部位、日本のどの銘柄のものを比較するかというのに、技術的に非常に問題がございます。そういうことは一応抜きにいたしまして、現在輸入肉が日本の乳雄ですね、肥育したもの、これと品質的には大体同じようなものではないか、こういう比較をいたしますと、輸入肉がCIF価格で二五%の関税をかけまして大体四百五円くらい、それに対して現在の乳雄価格は大体六百円くらい、こういう価格関係になっておるかと思います。
  168. 小林進

    小林(進)委員 私のところの調査によると、それは卸価格でしょうね。ともかく輸入肉が、それぞれの流通機構を経て一般の市場にあらわれてくるときには、大体輸入価格の二倍半になってあらわれてきている。それが一つ。あまりにもどうも高過ぎるということが一つ。  それからいま一つは、輸入肉と国産肉とが混合されて、これを国産肉と称して、国産の肉と同一の値段で売られている。これもしばしば末端でわれわれが聞くことなんだけれども、こうしたことに対する関係官庁のいわゆる監督の目といいますか、どこまで一体行き届いているのか、こういうことをちゃんとつかんでおるのかどうか、以上二つの点、まずお聞かせを願いたい。
  169. 増田久

    ○増田説明員 昨年の秋、いろいろそういう御批判もありますので、先生承知かと思いますけれども、輸入食肉指定店という店が現在約八百店ございますが、それにつきましてわれわれのところで、実際どういう価格で売られているであろうかということを調査いたしました。それによりますと、これは上級のもの、中級のもの、ブリスケットだとか肩の肉、チャック・アンド・ブレード・クロップでありますとか、あるいはロースのような高級なもの、それぞれについて調査いたしましたところ、末端では百グラム、ブリスケットでは五十円、それから中級品では六十五円、それから上級品では九十円ということでございまして、それぞれに対しまして輸入の、これは関税をかけた価格でございますが、ブリスケットでは五十円に対して、これはキログラムでございますけれども約三百円、それから六十五円のものに対しては四百二十五円、それから上級品に対しましては五百四十円ということで、それぞれの小売りのマージンというものを見てまいりますと一一、二%、こういう計算が一応われわれとして出てきているわけでございます。  それで、先生がいま混肉の問題を御指摘になりましたが、事実、大部分の小売りでは輸入肉が混肉されて売られているというのが、私ども、これは事実だろうと思います。ただ、これは関西のほうで、小売り店で非常に議論になったところでございますが、輸入肉としてだけ売るのがいいのか、輸入肉をまぜて安くして売ったほうがいいのかということで、いろいろ議論があったところでございます。それで実際、これは関西より関東では、輸入ものということで売りますとなかなか売れないという事実もあるのであります。事実デパートなんかでは、輸入食品コーナーというもので現実に売られておりますけれども、このくらいの値段で売られておりますけれども現実には、一方で九十円のものがあり、一方では百五十円の国産のものがある。そうすると十対一くらいの割合で高いほうが売れる、こういう事実があるわけでございます。そこら辺に指導としていろいろむずかしい点がございますけれども、われわれ当局としては、先ほど申し上げました指定店制度というものをやらしていく、あるいはスーパーだとか主婦連だとかデパートだとかいうところにそういう特設のコーナーを設けて、輸入肉として売らしていく、こういう方向を指導いたしているわけでございます。
  170. 小林進

    小林(進)委員 時間もありませんから、あなたと議論してもしようがないけれども、あなたの話を聞いていると、ちょうど通産省が、化粧品を売るときのように、外国の化粧品がどうもクリームが一万円も五万円もして、それに飛びつくから、だから国内のいままでのクリームのように、五百円か千円のものを、外国商品との対抗上五千円とか一万円の値段をつけなさい、そういうふうな指導をして、そしてどろぼうよりもひどい値段をつけさせて暴利を得ている理由を、外国商品と太刀打ちするために必要なんだというような言いわけをしているのと同じだ、あなたの言うのは。やっぱりこれは逆説で、どうも安い肉を出して売っても、国内の高いものが売れていって輸入品の肉が売れない。だから、それをみんなまぜて、それで国内産でございますといって高い値段をつけて売るのを正当な主張のごとく言いわけしてくれるけれども、そういう言いわけは、私どもは一番危険だと思うのだ。裏を返すと、みんな、どうも業者のペースにはまって、消費者を小ばかにする理論構成に通ずるのだ。それは非常に危険です。  ただ、あとのほうへいって、そのために輸入食品コーナーをつくるとかいう、ちょっぴりと良心らしい言いわけはしたけれども、しかし、ほんとうに安い牛肉をやるというなら、私は、一万軒の中の八百軒ぐらいの指定店制度というのはまだ少な過ぎると思うのだ。うんとふやしたらよろしいと思います。いま一方に、やはり輸入肉のコーナーなんというものもうんと設けたらよろしい。それはやっぱり、なれないものが来るのだから、若干大衆は飛びつきがたいかもしれないけれども、先ほどからのあなたの説明のように、初めて事業団が扱ったときには、なれないせいで赤字を出したけれども、いまはだんだん需要がふえてきているという、そのあなたのことばによって裏づけされているように、ちゃんとした売り方をすればどんどんふえてくるのですよ。そのために国内産の肉も下がるのです。消費者は助かるのです。それを安い外国の肉をまぜてやると消費者は買いやすいから、まぜて国内産と同じような高い値段で売ったほうがいいというような業者ペースのものの言い方はやめて、もう少し、さっきあなたが最後に言われたようなところで徹底的にやってくださいよ。大いにひとつやってください。それをひとつあなたに注文をつけておきます。  次に申し上げたいことは、輸入の差益金の問題ですね。これはキログラム当たり何か四十円おとりになっていたとか三十円おとりになっていたとか、だんだん最近は世間の風当たりも強いから、三十円から十円の間という幅を持たせるようになっているが、四十円とったこともあるじゃないですか。ちゃんとそういうことをおやりになっていたのだから、これは一体年間どれぐらいになっているのか。同時に、その使途は一体どうなっておるのか。それをお聞かせ願いたいと思うのであります。
  171. 増田久

    ○増田説明員 お答え申し上げます。  先ほど申しましたとおり、輸入のものにつきましては、民貿分とそれから事業団分とがあるわけでございます。それで、事業団分について差益金を申し上げますと、現在、上もので三十円、中もので二十円、下級品で十円、こういうことで取っているわけでございますが、最初の四十一年から申し上げますと、四十一年が一億四百五十九万六千円、四十二年が一億五千九十四万六千円、四十三年が千三百七十四万四千円、それから四十四年が赤字で、四千六百十四万四千円の赤字、それで四十五年は七千七百六十八万八千円でございます。それで、これは法律に従いまして、その差益の八割を助成勘定に繰り入れするわけでございます。その繰り入れた額は、先ほど申し上げた額のそれぞれの八掛けしたものを入れている、こういうことでございます。  それで、いままで指定事業に食肉から入れた金額は……
  172. 小林進

    小林(進)委員 それはいいですよ。それは私にとっては質問の重要なことではありませんから、けっこうです。
  173. 増田久

    ○増田説明員 あとで資料として提出いたします。
  174. 小林進

    小林(進)委員 そこで、私が特に申し上げたいことは、畜産振興事業団本来の趣旨は、需給の調整をし価格を調整して、消費者の生活を守るというのが目的ででき上がったものでしょう。それがいまは何にもしないのだ。あなたは、瞬間ワンタッチ方式だとか、いろいろなことを言われたが、まず、その方式下において何もしない。何もしないで手数料だけをかせいでいるという、こういうことが一体国の機関として許されるのかどうかの問題です。これは木部さん、あなたも考えてくださいよ。何にもしないのだ。輸入の牛肉に関する限りは何もしない。それをただ手数料だけをふんだくっているという、こういう国家機関が一体そのほかにもあるかどうか、私は寡聞にして知らない。それでよろしいのかどうか、私はお聞かせ願いたいのであります。
  175. 増田久

    ○増田説明員 従来のように事業団が一元的にと申しますか、買ってみずから売るという形じゃなしに、いわゆる瞬間タッチ方式でございますから、実際の販売努力とかいうようなことは、すべて需給の調整ということは商社あるいは業者にまかせられているという、こういう点を御指摘になっているのだろうと思うのでございますが、こういう点については、確かに御批判のあるところだと私も思います。ただ、この制度をとりました背景は、先ほど申し上げたとおりでございますが、このほかに、この制度に踏み切った一つの理由といたしましては、一つはニューカマー、要するに生協ですね、主婦連だとかスーパーだとか、そういう新しいものが、いわゆる民貿のワクではなかなか入りにくい、それをどう救済していくかという問題が一つあったわけでございます。それからもう一つは、民貿のワクというものは非常に固定的になっているわけでございますが、それをこういう事業団ワクで調整するという機能を実は持たしたわけでございまして、その段階では何もしていないのではない、私はそれだけの意味があったと思います。  しかし、いまの新しいチルドビーフの出現を前提として、これだけ需要が強くなった段階で、このままでいいということは、私は、ないと思います。新しい角度に立って事業団がどういう機能を果たすべきかは、先ほど申し上げたとおり早急に検討して結論を出したい、かように考えておるわけでございます。
  176. 小林進

    小林(進)委員 私は残念ながら——フィフティー・フィフティーで四十一年からお扱いになったというのだが、私はあなたと考えが違って、事業団がみずから中央卸売市場へ持っていって、五千万トンのやつを一千九百万トンくらい売って赤字を出すという、それから今日に至るまで、存在の意義というのは、残念ながら私は認められない。むしろこれに伴う弊害はたくさんあるけれども、実績があったということは、残念ながら、あなたの説のようには受け取るわけにはいかない。しかも、いまおっしゃるように、生協に売るとかストアに売るとか、主婦連に売るとか、そういうことにして、ほんとうに肉をほしがって、渇望している人たちに安い肉が流れるという、それは率直な国民の願いなのです。消費者の願いなのです。何にも実績がないじゃないですか。  私はこのときの資料を持っていますけれども、関西主婦連にわずかに申しわけ的なものが、四十二年と四十三年に若干いっている。生活協同組合だってほんのわずかなものしか、これは四十二年、四十三年、四十四年とむしろだんだん減って、少ししかいっていない。チェーンストアに至っては、四十三年三十九万トン、四十二年三十五万トン、主婦連に至っては肉の一切れもいっていないという状況です。何にもいってないじゃないですか。何も消費者の要望するようなところには生きていないじゃありませんか。  しかもその上にその輸入肉を事業団などというものがかすり取りをして、むしろ肉の値段のつり上げに大きな力の作用をしているじゃないですか。輸入肉のつり上げをやっているじゃないですか。それを言われても、あなた方は弁解の余地はないと思う。そこで、そのかすり取りなどという仕事をまずやめてもらいたいと思うのだが、そのかすり取りをしながら、しかもその肉を、いまも言うように、どこへ流しているかということが次の問題なんです。あなたの言われるように、生協へ流さない、ストアに流さない、主婦連に流さないからよろしくないというだけじゃなしに、とんでもないところに流しているじゃないですか。  私は、その問題に触れる前にひとつお伺いいたしまするけれども、現在、食肉の輸入商社というのは何社ありますか。これは事業団の理事長にお伺いしましょうか、せつかく参考人おいでになっているのですから。
  177. 岡田覚夫

    ○岡田参考人 本日お呼び出しにあずかりました事業団理事長の岡田であります。  ただいまの御質問の件、お答えいたします。十六商社でございます。
  178. 小林進

    小林(進)委員 その十六の輸入商社と事業団との関係をひとつお聞かせを願いたいと思います。
  179. 岡田覚夫

    ○岡田参考人 お答えいたします。  十六商社と申しますのは、先生承知のとおりと思いますが、たしか昭和三十六年に、食肉の輸入商社として通産省と農林省できめられた取り扱いの商社でございます。したがいまして、事業団といたしましても、その国の方針に従いまして、十六商社を使用いたして輸入をいたしておるわけでございます。現在は、商社に通産省から輸入割り当てをいたしまして、それに基づいて輸入をするというふうな形になっておるわけでございます。
  180. 小林進

    小林(進)委員 そこで私は、この十六商社が、三十六年ですから、どういう関係であまたある輸入業者の中で十六商社が選ばれたのか、そんなことまで話をしたのじゃ切りがありません。だからその点は省略をいたしますが、ひとつ商社の代表の方にお伺いいたしますが、あなた方十六商社の方々が、それぞれ通産省から割り当てられた牛肉を実際に輸入されているのかどうか、率直にお聞かせを願いたいと思うのであります。あなたにお伺いするより、通産省の方にお伺いしましょう。十六商社が、割り当てをそのまま割り当てられているかどうか。
  181. 豊田整

    ○豊田説明員 お答えいたします。  牛肉の割り当ては三つに分かれておりまして、まず事業団割り当ての部分、この部分につきましては事業団の理事長が商社を選びまして、その商社の選び方と申しますか、その選び先を十六商社、これは十六という数でございませんで、輸入実績を有するものという表現になっておりまして、実績のある商社を理事長が選ぶというかっこうになっております。この理事長が選んだ商社に対して、通産省が輸入割り当てを行なうというかっこうでございます。  それから、二つ目は商割りといっておりますが、輸入実績を有する商社割り当てというかっこうで輸入実績のある業者に限定いたしております関係上、十六商社に限られております。  それから、通称需割りといっておりますが、需要者割り当てでございます。これはハム、ソーセージのメーカーとかん詰めの団体、二団体ございまして、この二団体に農林省のほうから内示書がおりまして、その内示書を受けたものからの発注によりまして商社に割り当てるというかっこうになっております。これも輸入実績を有するものに限定いたしております関係上、範囲といたしまして十六に限定されております。  以上でございます。
  182. 小林進

    小林(進)委員 私は、その輸入実績というものに対して非常に疑いを持っている。疑いを持っているだけではありません。疑いだけ持っているのじゃありません。私の調査によりますれば、十六の実績のある商社と言いましたけれども、実際に輸入しているものは五社じゃないか、あとはペーパー輸入業者だということを私は聞いているのですが、この問題について私の調査がうそだかどうか、通産省と農林省とそれから商社の代表に、それぞれお答えをいただきたいと思います。
  183. 豊田整

    ○豊田説明員 四十五年度までは、この割り当ては、割り当て実績と称しまして、各商社のシェアが固定されているという関係で、通関実績を見るということはございませんでした。四十五年度の下期から通関実績によります実績割り当てに変更いたしましたので、各商社の輸入通関実績をとっておりますので、先生指摘のような事実はあり得ないものと考えております。
  184. 増田久

    ○増田説明員 ただいま通産省からお答え申し上げたとおりでございまして、全部実績割り当てに近いものは輸入しているというように確信をいたしております。
  185. 河村雄次

    ○河村参考人 私、食肉輸入商社協議会の河村でございます。  食肉輸入商社協議会の十六社、いま食肉を扱っておる十六社は、外割り物資でございますから、当然それは自分の名義で、自分のリスクのともにおいて入れておりますし、過去の実積から見ましても、割り当てのほとんど一〇〇%近いものはそのまま通関実績として入っております。
  186. 小林進

    小林(進)委員 私は、いまの三人の答弁の中に、それぞれ微妙なニュアンスの違いがあると見ておる。通産省は、四十五年度までは実績を見ていたけれども、実際どうも不確定要素があるところを、あやしいものがあると見たのでしょう。四十五年の後半戦から通関実績を見て実績割り当てをしている、だからそのような事実はないと言明された。通関の実績を見ているからそのようなことはないだろうという、実にりっぱな話をされた。これに対して農林省のほうは、割り当てに近いものが実績としてあるんだろう、近いということばを言われた。絶対間違いないというように、通産省のような割り切ったものの言い方をしなかった。やや良心的ですよ。それから業者のほうは、自分の名義で入れていると言われた。過去の実績において一〇〇%間違いないと言われたが、そっちはあまり力がなかったけれども、名義だけは自分の名義でやっている。私の言いたいことはそれなんです。私は名義のことを聞いているわけではない。なるほど名義は、十六社それぞれの名義で入れているだろうけれども、名前を貸しただけであって、実績と名義は違っているのじゃないか。実際にこれを扱っているのはせいぜい五社じゃないか。あとは名義というペーパーで、実際扱っている五社に移譲してやっているのではないかというのが私の調査の結果なんです。  通産省にお聞きするけれども、私の質問がうそだというならば、何ゆえにそれほど自信があったものを、ことし実績の割り当てを変えられたのか。ことしは、ペーパーだけの者があるからこそ、実績から割り当てを減らしたり変更されたはずだと私は理解しているのだけれども一体どこに間違いがあるのか。
  187. 豊田整

    ○豊田説明員 牛肉につきまして通関実績割り当てに変更いたしました理由は、実績商社の間におきまして、もしかりに輸入をしない、数量が少ないというような場合でありましても、シェアが固定したままですと前のシェアがそのまま生きるということになりますので、各商社の輸入促進にならないという関係——こういう割り当て方式が残っておりますのは食肉とかんきつ類でございまして、ほかの物資につきましては通関実績割り当てをとっておる関係上、次第にこういう通関実績割り当てにしようということでございまして、商社の輸入促進策として変更したのが理由でございます。
  188. 小林進

    小林(進)委員 私は、ここでこういう議論はしておれませんから、結論的に申し上げますけれども、実績を通関実績まで持ってこられたことはいい。しかし私は、繰り返して言いますが、十六商社の輸入と実際の輸入は違っていると思う。その名義は十六社だけれども、実際に名義を借りて輸入しているのは五社だというのが私の調査結果だ。なぜそんなことを言うかというと、国民はみんな安い牛肉を要望している。そういうところに名目だけの輸入商社があって、それぞれ手数料を取っているだけ、国民は高いものを食わなければならぬ。なぜそういうものの介在を許さなければならぬかという問題なんだけれども、その点は先ほどの答弁、おのおの三者三様の答弁をお聞きいたしましたから、これに基づいて私ども調査——調査は困難でございますけれども、私どもそれぞれの調査のルートを持っておりますから、ひとつ調査をさせていただきますが、ひとつ農林省も——若干良心に恥じるところがあると見えて、割り当てに近いものがあると言って、絶対間違いがありませんとは言わなかった。その点をもう少し明確にやってください。私は、この問題は何回でもやりますよ。私は相当自信を持ってやっているのですから、そういうもうろうたるものをまずもうけさせるような不可解な行政を改めてもらわなければならぬということだ。  私は、次にいま一つ申し上げますが、事業団にひとつお伺いしたいことは、畜産事業団に割り当てになった分を、先ほどから繰り返して言われるように、中央卸売市場へやって失敗した、だから主婦連や生協のほうにもやらないというのだが、それじゃ一体、事業団に割り当てになった分をどこへやるかということなんだ。私はまずそれをお聞きいたしておきます。
  189. 岡田覚夫

    ○岡田参考人 お答えいたします。  先ほど畜産局長から御説明したとおりでございますが、四十五年度から制度を改めたわけでございます。その際商社割り当てされるということは先ほど申し上げたとおりでございますが、需要者につきましては、需要者割り当てということをいたしておりません。需要者の範囲をきめまして、その需要者の範囲の中に入るものは畜産振興事業団に、こういう規格のもの、こういう数量、こういう価格で買いたいという申し入れをさせるわけであります。それと同時に、希望の商社にそれをスイッチいたしまして、商社と協議をいたしまして、協議が整うものが事業団にまた出てまいりまして、それに基づいてその商社のワク内で輸入をさせる、こういうことにいたしておるわけでございます。そういうことで、特に需要者というものを特定をしてそれに割り当てをするということはいたしておらないわけでございます。  四十五年度の実績といたしましては、市場に売りましたものが六十二トン、全国食肉事業協同組合連合会に売り渡したものが八百六十五トン、日本食肉罐詰工業協同組合が百九十五トン、日本ハム・ソーセージ工業協同組合が四千百七十トン、日本食肉共同市場株式会社が千八十四トン、その他八百五十二トンということで、計七千二百二十八トンになっておるわけであります。  先ほどお話がございました、主婦連だとか生協だとかストアとかいうものにつきましては、われわれのほうとしては、新しい用途でございますので、ぜひ参加をしてもらいたいというふうに考えておるわけでございますけれども、先ほどからいろいろお話がございましたように、どうも冷凍の外国の肉というものは、わが国の和牛肉と違いましてまずいというふうな空気が一般的にありまして、なかなか売りにくい面もあるようでございます。そういうふうな意味から、需要が出てまいっておらないわけでございます。われわれとしては、新しい用途でございますので、今後もできるだけそういう形で私たちのところを使ってもらいまして買っていただきたい、こういうふうに思っているわけでございます。
  190. 小林進

    小林(進)委員 いまのあなたの発言の中でいま一つお聞きしたいことは、需要者があなたの事業団へ申し込んでくる、その申し込んだものをあなたのほうが商社のほうに回して、商社と話し合いをして、そうしてその商社との取引の話し合いの済んだものをいま一度あなたのところへ呼んで、そこでそれにその切符をやる、認可を与える、こういう順序でおやりになってきたという。あなたのところへ割り当てた肉なんだ。あなたが煮て食おうと焼いて食おうとかってなはずなんだけれども、それを一たん商社のほうへ回す。一体なぜそういう方法をやらなければならぬのか。それが一つ。  時間がないから言いますが、そのやるところの商社も、あなたが処分をまかされて、五千トンでも一万トンでもあれだけれども、実はどの商社を指定してもいいわけだ。しかし、それは十六商社だけだ。あなたのところへ肉を買いたいと申し込んできたら、十六商社のところへ行って、その方々と取引の話をしていらっしゃる。その人たちとの話し合いのできたものだけが、またあなたのところへ帰っていらっしゃる。そのときに肉の割り当てをいたします。——なぜそれをやらなければならぬかということになる。実に不明朗きわまるじゃないか。  もっと言いましょうか。あなた方はまるで十六商社のエージェントじゃないか。それなら、あなたのところへなんか割り当てをしなくても、最初から十六商社に肉を割り当てればいい。これでは通産省の仕事と同じだ。なぜ事業団なんかをまん中に置いて——十六商社にやらしておいて、十六商社と話のできたものだけをあなた方が切符を切る。あなた方は切符の切り屋じゃないか。そういう不明朗な取引を一体なぜしなければならぬかということを、私はお伺いしたい。
  191. 岡田覚夫

    ○岡田参考人 お答えいたします。  これは先ほど畜産局長からも申されましたように、事業団が外国から入ったものを買いまして、それを市場に出して売っておったわけでございます。これは、市場を通しまして量と価格を調整しようということが趣旨であったと思うのでございます。ところが、現実にやってみますとなかなかそううまくいかない、予定されたものも売れないというふうな状態になってまいったわけです。  そこで、価格と供給量というものを両方を調整することがいまの市場の機能に即してはなかなかむずかしいということと、もう一つは、先ほどもお話がありましたように、事業団が買いましたものが——一方で民貿があるわけでございますから、民貿の場合は、どういう部位を買いたいということを話し合ってその部位を買うわけでございます。したがいまして、事業団が需要者の一般的な意向を聞きまして、こういうものがよろしいということを判断をいたしましてそういうものを買って売るにいたしましても、どうしてもその需要者の需要というものと事業団の考えておりますものとの間にギャップが出てまいる。やはり需要者の欲するものを入れるということが一番望ましいのではないか、こういうことになるわけでございます。そういう意味から、需要者の要求する規格、そういったものを輸入するというたてまえにいたしたわけでございます。そこで需要者から申し出てきたものを商社と話をさせて、その話がついたものを私のところへ上げまして、それを輸入して売り渡す、こういうことにいたしておるわけでございまして、つまり、その需要というものをはっきりつかんでやろうというのが今度の制度のねらいであります。  もちろん、これを始めます場合に、一体どうやったらいままでやっていた制度を変えてうまくやれるかということにつきましては、いろいろ議論があったようでございます。もちろん私が参ります前でございましたけれども、いろいろ議論がなされたようでございますが、なかなかそう名案も浮かばないということで、いまの制度をしばらくやってみてその効果を見ようではないかということで出発したわけでございまして、これにつきましては、もちろん問題はいろいろ含んでおるわけでございます。そういう意味から、今回畜産局のほうで、事業団のやるやり方につきまして根本的に再検討いたそう、こういうことになったのでございます。
  192. 小林進

    小林(進)委員 再検討のほうはいい。自分でも良心に恥ずるから、再検討することになったと言うのだろうけれども、そんな言いわけを私は聞かないでもいいのであって、一体なぜあなたのところに——あなたの説明によれば、需要者のほしいものやあるいは要求するものは事業団ではわからない。十六商社しかわからない。十六商社しかわからないから、事業団へ割り当てになった肉を買いにくるものは、その十六商社のところにみなお客さんをやって、事業団は、あなたのほしいものは何だ、あなたの買いたいものは何だということを十六商社に判断してもらって、値段から、おそらく販売先から何からみな十六商社にお願いして、これで事業団よかろう、おれのほうで判こを押してやったからこれだけ分けてやるといわれたときに、初めてあなたのほうがその需要者に肉を分けてやるというのならば、そんな事業団に、一体何のために肉なんか扱わせる必要があるか。それではもう十六商社というものは、事実上食肉の輸入、牛肉に関する限りは生殺与奪の権を持っている。オールマイティーだ。全能の権限を持っていると言ったって間違いないでしょう。そう言って過言でありますか。私のことばは言い過ぎになりますか。完全なるオールマイティーを持っているということじゃないですか。
  193. 岡田覚夫

    ○岡田参考人 一つの考え方といたしまして、需要者割り当てということもあるわけでございます。これは民貿で需要者割り当てをいたしておるわけでございますが、事業団は需給調整をするというたてまえで出発しておるものでございますから、ここで割り当てをするというのもおかしいではないか、やはり民貿で割り当てをしまして、その不足する分を、こういうものがほしいということで事業団へやってくるというのが望ましいのではないかということで、事業団としましては、割り当てということでなしに、実際必要な、要求してくるものに応じたらどうかという考え方で、その需要者割り当てをしなくて、それで事業団に申し出てきてもらいまして、それを商社につなぐ。商社に割り当てをいたしますけれども、従来の実績から見まして、必ずしも一〇〇%輸入されたということではないわけです。九八%であるとか九七%であるとかいうふうに、需要の動向に応じまして輸入されたこともあるわけであります。そこで、今回のように実績割り当てにいたしますと、やはりできるだけサービスをして自分で実績をかせがなければいかぬということになるわけでございますから、したがって、商社としても当然需要者にサービスをするということになってくると私は思うわけでございます。その点につきましては、私のほうが権限として買って売るということになっておるわけでございますから、その必要なる調整は私のほうでいたすことにいたしてわるわけでございます。
  194. 小林進

    小林(進)委員 私は、実に牽強付会な弁を聞くものだと思う。これが事業団の理事長かと思った。私は、それをまともに言われるのなら、その良識を疑わなければならぬ。欠陥車じゃないかと思うくらい驚きますし、また、それが何もかも承知で言われるのなら、盗人たけだけしい弁解だと私は思うのであります。  その前に、私は通産省に聞きたい。通産省は、こういうことをやるなら事業団なんて不要だから、むしろ牛肉は全部商社にまかしたほうがいいじゃないかという意見だと承っておるのですが、これに対する通産省の責任ある御意見をお聞かせ願いたいと思うのであります。
  195. 豊田整

    ○豊田説明員 先ほど農林省の畜産局長のほうから御説明のございましたように、事業団そのものが瞬間タッチ方式に切りかえられましたのは、四十四年度のたしか下期だったろうと思いますか、その時点におきまして、通産省と農林省との話し合いが持たれたわけでございます。  その時点の話し合いを申し上げますと、まず民貿部分につきましては、流通その他固定化しているというか硬直化している、こういう中にありまして、事業団そのもののファンクションとして、ひとつバイパスというようなかっこう、生協なりデパートなりスーパー、こういう道も開こうじゃないかということと、先ほど事業団の理事長のおっしゃいましたように、硬直化している部分につきまして数量が不足するところが出れば、そういうところにも流し得る道を開こう、要するに、民貿のほうが硬直化しておるということの弊害を救おうじゃないかということから事業団ワクというものが誕生しているというふうに、通産省としても見ているわけでございます。以上でございます。
  196. 小林進

    小林(進)委員 ちょっとどうも私の要求するような答弁でもないようですが、民貿が硬直をしているから事業団でこれを扱わせるということがほんとうの趣旨であるならば、畜産局長、あなたに聞きますが、それならば事業団の割り当てのものを硬直化している十六社に、その割り当てから品質から数量までまかせないで、事業団にまかした肉は、十六商社よりむしろ、輸入業者はたくさんあるんだから——私はこの十六商社を見ているけれども、わが日本の輸入業者からながめれば、それは一流商社も二、三社はあるけれども、あとはどうも名もないような、吹けば飛ぶような商社もたくさんあるんだから、そんな十六商社にこだわらないで、もっとしっかりしたものに割り当てて自由競争させたらどうなんです。もっと肉は安くなっていくのじゃないか。先ほどの事業団の話では、十六商社にまかせるのが一番肉が安くなって、一番需要供給の原則に合って、これが一番いい制度なんだという、非常に驚くべき答弁をしていられるが、十六商社のいまの扱いが硬直しているというならば、事業団の扱いのほうはほかの商社にみんな扱わして、大いに競争させたらいいじゃないか。需要供給の原則だって、一体どこが供給し、どこが民意に沿うものであるかということを、広く多くの商社に判断させたらよろしいんじゃないかと思いますが、その点はいかがですか。
  197. 増田久

    ○増田説明員 先生の御指摘に二つの問題点があろうかと思います。  一つは、輸入の商社を十六社に限る問題はどうか、こういう問題でございます。御存じのとおり、現在のIQ物資につきましては、過当競争を防ぐ意味におきまして、いわゆる指定商社制度というものをとっているわけでございます。肉につきましては、三十二年から九十一社ありましたものを、現在十六社までしぼってやってきている。いわゆる過当競争を防止するという意味において、従来実績のあったものにということでございまして、その九十一社から十六社までの間に、営業権の譲渡と申しますか、そういうような形で整理されてきているという実態があるわけでございます。そうして、これをさらに新しくふやすべきかどうかという判断は、これから行なう場合に、輸入先に行って過当競争というものが起きるのか起きないのか、わが国の利益が十分守られるかどうか、こういう判断をしなければならない問題だろうと思うのです。特に肉につきましては、将来にわたって、供給ソースというのは豪州、ニュージーランドであろうと思います。そういう意味で、十六社の中をどうするかは別といたしまして、数をどうするか、こういう問題は、いろいろ問題がある点だろうと思います。また、その十六社を別にするということになりますと、またこれも、どういう基準でやったらいいのか、こういういろいろの問題が出てまいろうかと思うわけでございます。  それから、先ほどの硬直化という問題は、実は民貿の割り当てが四団体に限定をされておりまして、その間の割り当てと申しますか、シェアというものが、三十年からの実績というものに準拠いたしております関係上、非常にそこが硬直的になっている。そこをどのように調整していくか、こういうことで、実は事業団の割り当てがその調整役を果たしている。こういうことを申し上げているわけでございます。
  198. 小林進

    小林(進)委員 私は、そういう理屈も実は承知してあなたに質問している。あなたは古い歴史ばかり述べているけれども、日本の経済のある段階においては、やはりほかの品物でいえば再販価格を必要としたように、自由競争の原理だとか、乱売だとかあるいは価格の切りくずし等があっては正当な流通を欠くおそれがあるから、末端価格まで保護しよう、一時期そういう時期があったけれども、そのときに九十一社から十六社にそれを限定したという、その理屈は一応認めるといたしましょう。しかし、その後今日この段階において、一方では再販価格をなくせ、自由競争の原理に反するという主張があるのと同じように、いまこの食肉に関する限りは、先ほどから言っているように、事業団は有名無実だし、十六商社は独占価格を維持しながら輸入を全部やって、そしてその内容はといえば実に不可解なものだ。先ほどから聞いているように、理屈だけのものなきにしもあらず、五社くらいでやって利益だけを私している、そういう関係もできてきている。あなたは、昔の再販価格、統制を必要としたときの古い理論、古い理屈にのっとってやっておられるが、それがあなたの真意ですか。いま一回聞きますけれども、それがあなたの真意ならば、私はもっと言いたいことがありますよ。
  199. 増田久

    ○増田説明員 現在の十六社というものは、もう新しい時点になって、もう一度見直してみたらどうかという御趣旨であろうかと思うわけでございます。そういう輸入の環境と申しますか条件が非常に変わってきておるということは、私は私なりにわかります。しかし、それを洗い直すとすれば、どういう基準でどういう考え方で洗い直すべきか、これも非常にまた多くの問題のあるところでございます。そういう意味で、そういう問題を含めて、われわれとしては現在基本的に再検討している、こういう段階でございます。
  200. 小林進

    小林(進)委員 これは新聞の記事ですが、輸入肉で商社、業者だけがうまい汁ばかり吸うて、消費者と生産者が泣いている、こういうような行政で一体よろしいのかということに対して、増田農林省畜産局長は、いまは何とも言えない、ただベターのものにするよう検討をするというだけだという答弁をしていられるという記事が載っておるが、あなたのこの新聞紙上で言われた言明と、いまの答弁とでは少し違うじゃありませんか。よりベターなものとは何ですか。
  201. 増田久

    ○増田説明員 何度も申し上げておりますとおり、私は、現在のやり方がベストであるということは一つも申し上げておらないわけでございます。いろいろと問題点もある。これからの事業団の機能を、将来の牛肉の需給との関連でどう位置づけていくか、あるいは輸入商社の問題もあるでしょうし、あるいは人口の問題もあるだろうと思います。そういうものを、ベターなものをさらにベストのものにどのようにしていったらいいのかという点には多くの検討すべき問題がある、そういう点を私は検討している、こう申し上げておるわけでございます。
  202. 小林進

    小林(進)委員 時間が過ぎましたから失礼いたしますけれども、この牛肉輸入に関する限り、一つは、先ほどあなたが言われているように、主婦連だとか生協だとかあるいはセンター、デパートだとか、そういうところに、ひとつ本然に返って大いにやってもらう。割り当てに対しては、十六商社などということを言わないで、輸入業者に扱わせて自由競争をやらせたらよろしい。この問題を私は、ひとつあなたに強く要望しておきます。  政務次官、この問題の私の主張もひとつ考えてください。そして、私がいまこれを申し上げていることは、私個人の意見じゃない。あなたの前任者を含めて、これは農林省の相当高い地位にある人たちが、この点を強く、ここにおられる畜産局長さんはじめ官僚陣に要望せられているはずです。しかし、それが一つも行なわれていない。だから農林行政は、これは私をして言わしめれば下克上であります。あるいは農林大臣だとか、その次はあなただろうけれども、あなたの言うことが何も通らないような農林省ならやめたらいい。私は、この問題はきょうは食肉だけにしておきますけれども、事食肉だけじゃない、輸入肉だけじゃない。農林行政の中には、えてしてそういう一つの指揮者なり統制者の言うことが下部官僚に押えられて何も通ぜぬ形が幾つもある。その一つの例がこれです。これをもっと具体的に事実をあげていったら、それは農林官僚にも影響があるだろうからこの程度にしておきますけれども、なぜ一体こういう輸入食料に対して、私が言うように不明朗なことが行なわれているのか。世間には乱れ飛んでおりますよ。乱れ飛んでおります。私はまだ半分確証を握って、半分くらい確認を握っておりませんから、まだそれほどは言いませんけれども、しかし、消費者をめくらにしたり消費者を不在にしながら、こういう不明朗な行政をおやりになることはぜひやめていただきたいと思うのでございまして、結論的に申し上げるが、やはりわが日本の国民に安い肉を食わせるためには、何もさっきの豚じゃないが、カナダとかなんとか言わなくたって、お隣の中国に肉はたくさんあるじゃないですか。その肉の問題に対しても、畜産局長、先ほど何と言った。口蹄疫と言った。いまの中国に口蹄疫がありますか、聞きますよ。あなた方は政治的な発言をしているんじゃないですか。
  203. 増田久

    ○増田説明員 われわれは、中国につきまして口蹄疫があるかないかということの判断をどこに求めるかということになりますと、現在OTCAと申しまして国際獣医事務局というので、各国につきましての口蹄疫の発生状況についての毎年のレポートを出しておりますが、それに基づいて判断をしているわけでございます。そのレポートによりますと、一部の地域に存在するという書き方になっております。
  204. 小林進

    小林(進)委員 私はもう、この問題はあなたと議論したくない。なぜかならば、あなた方の農林省の者と何回も議論したけれども、その世界機構の中へ中国が入っていないというだけの話であって、農林省からそのために、相当の権威のある者が中国まで調査に行ってきているじゃないですか。そうして安全だという報告をしているじゃないですか。そうして、例の石川県から出られた坂田農林大臣のときに、もはや輸入する寸前までいっているじゃないですか。それを政治力で押えて今日まで来ているじゃないか。そのことを議論したくないが、いまの日本政府の、台湾を重要事項指定方式でやっていこうなどという考えと同じで、こんなことを言っていると日本は孤立してしまって、あなた方は、日本国民には肉一つ食わせないという怨嗟の的になりますぞ。そういう間違いをおかしているんだ。  委員長、時間も来ましたから、私はこれで、不満足ですがやめますが、きょうの牛肉の輸入行政に対しては、私は全面的に賛成をすることはできません。だから、きょう私が御質問いたしましたことについて農林省が善処してくださって、いままで明らかにされた悪影響を御訂正願う、改められるという方向にお進めになられるならともかく、私は、現状のままで、いまのような詭弁を弄しておられる限りは、何回もこの問題は、私は物価対策の委員長として、委員長をやめようと、物価安定の面から繰り返し繰り返し追及いたしまするし、なお私は、必要に応じて——きょうはずいぶん遠慮しておきましたけれども、私はもろもろの資料を持っておりますから、そういう資料もひとつ提供しながらこの問題を追及していくものであることを申し上げておきますと同時に、経済企画庁に申し上げておきます。皆さん方をただ傍聴席に入れたわけでありません。物価安定の立場から、自分のうちの問題として大いにこの問題と真剣に取り組んでいただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。どうも失礼いたしました。
  205. 武部文

    武部委員長代理 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、ありがとうございました。本問題の今後の調査にきわめて参考になりました。ここに委員会を代表して、厚くお礼を申し上げます。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後二時五十五分散会