○合沢
委員 私は、
国民食料の自給率と
貿易の
自由化に
関連しての
質問をしたいと思うわけでございますが、近年
国民食料の嗜好の変化ということが非常に著しくなってまいっておるわけでございますが、それに対応するような、食用
農産物の
生産というものが十分その成果をあげていないというように
考えられるわけでございます。そして
国民食料の自給率は低下の傾向にあるというように思われるわけでございますが、少なくとも
国民食料を
国内で自給するということはきわめて重要でないか。特に一億の
国民が狭い領土におるわけでございます。この一億の
国民に安定的に食用
農産物を
国内で供給していくということは、私は国の施政の中でも最も
基本的な問題ではなかろうかというように思うわけでございます。ところが、四十四年の数字をとってみますと、約八〇%というような食用
農産物の自給率になっておるわけでございます。これはしかし、米を一一七%あるいはくだもの八五%、肉類八三%、牛乳等の乳製品が九一%といったようなことで、約八〇%という数字になっておる。ところが、米を一〇〇%と見た場合にはその自給率は七七・五%であるということのようでございます。
さらに内容を見てみると、先ほ
どもちょっと田中
委員からも御
質問になっておりました畜産
関係ですが、畜産
関係では肉類が八三%あるいは乳製品が九一%ということでございますが、この中を見ると、その飼料というのがほとんど海外飼料に依存している。あるいはまた鶏のごときは八〇%が
外国系であるということなんです。飼料というのが安定的な
輸入の状態にない、供給の状態にもないということなんです。はたしてこの八三%あるいは九一%という
畜産物の自給率というものをそのまま見ていいのかどうか。今日、飼料の
輸入は千五百万トンといわれている。さらに五年もすれば二千万トンを上回ろうというような予測も立てられている。しかもその内容は
アメリカがほとんどであるということなんです。まことに不安定な状態である。
アメリカの港湾ストがあれば直ちに飼料が値上がりする。あるいは船舶が少し逼迫すると船賃が上がって飼料が値上がりする。そういうような中において
日本の畜産は行なわれているわけです。はたしてこのような畜産の状態において、肉類あるいは乳製品の九一%というふうな数字をこのまま認めていいかどうかというように私は
考えるわけでございます。おそらく今日の
日本の飼料の自給率というのは、まあ簡単に言って養鶏あるいは養豚というものはほとんど一〇〇%が購入飼料、
輸入飼料になっているだろうと思う。あるいは乳牛あるいは肉牛といったものは約五〇%が購入飼料ではないかと思うのです。そうした場合には約三〇%
程度しか
国内の飼料の自給率はないんじゃないか。おそらく七〇%あるいはそれを上回るものが海外飼料を
輸入していると言ってもいいのじゃないかと思うのです。そういうふうに見ると、肉類とかあるいは牛乳・乳製品等の自給率というものは、実際にはこれの三〇%を掛けたものしか自給率はないと言っても私はいいと思う。特に今日の飼料
輸入の状態というものはまことに不安定であるというような面から見ても、そう見ていいんじゃないかと思う。さらに、今後どんどん
国民食料の嗜好の変化、特に
畜産物に対する
国民食料の需要が非常に旺盛なんですが、この傾向はますます強くなってくるというように
考えていいと思うのです。しかも米がだんだん減っていく傾向にあるということなんです。かりに一〇〇%と見ましても、
政府の出しておる五十二年の米の一人当たりの需要は四十四年の九六・九キロが五十二年は八〇・三キロに減る。約一八%の減少だというような数字を
政府は出しているわけなんです。かりにこの米を一〇〇%自給しても、麦は一四%の自給率から一二%になるというようにいっておるわけなんです。したがって、この
国民食料の中に占める
でん粉食糧というものは非常に減っていく。そこで畜産とか果樹といったようなものがふえていく。その中で
畜産物というものはこういった状態にある。さらにまたくだもの等は、グレープフルーツをはじめとして
貿易の
自由化ということでますます海外のくだものが入ってくる、あるいは加工品が入ってくるという状況にあるわけです。はたしてこのような状態の中において、今後、
国民食料を安定的に供給し得るのかいなか、非常な心配を持つわけでございます。
特にひとつ数字を、これはきょうはおそらくできないと思うので、後ほど出していただきたいと思っておるのですが、この四十四年度の米を一〇〇%とした場合に食用
農産物の自給率は七七・五%といっているが、肉類の八三%あるいは牛乳・乳製品等の九一%を三〇%としたときには、この
畜産物の自給率というのはおそらく三〇%に満たない数字になるわけです。二〇数%になるのです。そういった
畜産物を二〇数%と見た場合に、この七七・五%の
国民食料の自給率は一体幾らになるのか、この数字をぜひ出していただきたい。きょうはけっこうです。おそらく出てないと思う。出ておれば後ほどお示し願いたいと思う。出ていないならば、後日この数字を出していただきたいと思うのです。
さらに、先ほど申し上げました五十二年の目標を、
政府は食用
農産物の自給率を七六%という
程度にはじいておるようでございますが、はたしてそのようなことが可能なのかどうなのか。特に飼料の問題については、
国内飼料の開発あるいは先ほ
ども出ましたが、中国をはじめとして東南アジア等の飼料の開発といったようなものも、何ら具体的なものがないというように現在
考えられるわけなんです。そういうような中で、はたして
国民食料の自給ができるのかどうなのか、七六%といっているが可能なのかどうなのか。私は、このことは
日本の
農業にとってもきわめて重要である。一億の
国民の食料を安定的に供給するということはきわめて大事だと思う。特に今日、
工業は非常に進んできた。そこで
日本は、この
工業製品の
輸出によって外貨もずいぶんだまってきている。しかし、今日、四十五年度の食用
農産物等の
輸入は三十二億四千八百万ドルですか、というような数字になっておるわけなんです。いま手持ち外貨の半分
程度のものは、これは食用
農産物の
輸入になっているということなんです。しかもこれは今後、
貿易の
自由化ということで非常にふえていくというようになってくると、たいへんなことになるのじゃないか。
工業の
輸出が今日のようにいつまでも順調であり得るとは
考えられないと思うのです。
アメリカだってそのとおりなんです。
工業製品がどんどん
輸出されることによって、
アメリカはきわめて経済が好調であった。今日ではそれが反対に
工業製品の
輸出が思わしくないという現状になっておるわけなんです。
日本の
工業も資源が乏しいわけなんです。資源の乏しい
日本の
工業が、今後、今日のようにどんどん順調に海外に
輸出されるということは
考えられないと思う。資源を持った後進国その他がどんどん
工業が
発展していくならば、
日本の将来の
輸出は決して今日のような順調であり得ない。そのような場合に、
日本の食料が三十億ドルをこすあるいは将来四十億ドルにもなるというようなことで、
国民食料がほんとうに自給できないような状態になるということは、私は国の将来にかかわるきわめて重大な問題だと
考えるわけです。こういう点について、私から申し上げるまでもなく
大臣は十分御承知だろうと思うのでございますが、このような問題について
大臣はどのように
考えておられるのか。はたして五十二年の
国民食料の七六%はどうして期待できるのか、その辺のことについて
大臣のひとつ所信をお伺いしたいと思うわけであります。