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田中(恒)
委員 なかなか重大な問題でありますし、
国際問題にも関連することでありますから、しかも
内容については
大臣が十分御承知の事項でありますので、私
どもはこれらの品目等を含めて農林水産物の
自由化については、この際
赤城農林大臣の
農政に対する愛情と識見をひとつ、ぜひ発揮をしていただきたい、このことを特にお願いをいたしておきたいと思います。
なお私は、この際時間がございませんので、二、三の提案を示しつつ、
農産物自由化に対する
農政のあり方について農林当局の御意見を承りたいと思います。
一括して申し上げますが、第一は
果樹の
価格安定支持政策の確立についてであります。本問題は私も数度にわたってこの
委員会で議論をいたしたところでありますが、わが国の
農産物の中でリンゴと
ミカンを除いたら、ほとんどの主要農畜産物は直接的、間接的な
価格支持の体系の中に入っておると思います。
価格政策のあり方についてはいろいろ議論をせられておるようでありますが、
大臣の
所信表明にも従来になく
価格支持政策というものに対して一定の
役割りを持たすようなお話をいま承ったわけでありますが、私も
構造政策、
経営規模の
拡大、
生産性の向上という
施策と並行して
価格支持政策というものはやはり大きな
役割りを果たしていくと思います。特に
果樹等
価格政策の対象外になったものについては、今回本格的に具体的な成案をとるべきだと思うわけであります。特に
日本のくだものは、外国等で見てまいりますと、なまの
消費量というのはほぼ
国際水準あるいはそれを上回る部面もあるわけでありますが、
加工というものがたいへん立ちおくれております。そこで年間のくだものの
消費というものがとれない。たとえば十一月と十二月と一月の三カ月で年間
消費の半分くらいを占めている。なまの
ミカンやリンゴ等の出荷時期でありますこの時期に食べておるのであって、あとの時期はあまり食べない。外国ではほとんどコンスタントにくだものの
消費か行なわれておる。これをやるためには、
一つは
加工を充実をしていくという措置がどうしても必要になるわけであります。この
加工、また
価格問題というのがたいへん困るわけでありまして、端的にいえば、ぼろ
ミカン、ぼろリンゴあるいは捨てるようなものを
加工に回すとたいへん値が安いということで、むかないわけであります。ちょっとなまの
価格がよかったら全部むいていくということになるわけでありますので、この辺の
価格支持政策というものを思い切ってこの際打ち立てていくことがどうしても必要であると思います。この点について御意見をお聞きしたい。
それから第二は、
消費をどう
拡大をしていくか、この政策をやはり思い切って打ち出さなければいけないと思うのです。これはいろいろあると思いますけれ
ども、従来からいわれております学校給食、なまの出荷時期においてはなまの
ミカンやリンゴ、あるいはなまのものがない場合にはいわゆる
加工、特にいま問題になっております純正食品としての一〇〇%ジュース、こういうものを政策
需要としてどんどん給食にしていく。
アメリカ等ではくだものが非常にだぶついてくると、百億円程度
政府が買い上げて学校給食に回すということをどんどんやっておるわけですね。こういったようなことをこの際思い切って
農林省、文部省は取り上げてみる必要があると思うわけであります。この点も御意見をお聞きをいたしたいわけであります。
それから第三は貿易の問題であります。
温州ミカンの対米輸出というものは、
大臣も今後その解決のために善処をしていく、こういう御意見でございましたが、ぜひ積極的にやっていただきたい。同時に
アメリカだけではなくて、ヨーロッパ等に対しても必要であると思いますし、さらに戦前は特に
日本の
ミカンなどは朝鮮、満州に大半が輸出をされておったわけであります。いま中国の問題がやかましくなっておりますが、これはそう簡単に
ミカンの中国輸出なんかができる客観
情勢にありませんけれ
ども、将来の
課題としてはやはり近い国に持っていく。特に私は当面、ソビエトに対するナツカン、あるいは場合によれば稲の転換作物としての疎菜等は、シベリア等については近いわけでありますから、何か思い切って輸送できないかと思うわけであります。こういうソビエト貿易等について、この際特に
グレープフルーツで困るナツカンの問題は、ぜひ何かのルート、いま沿岸貿易でありますが、公団貿易なり
政府間貿易の対象として乗せていく、こういうことを、ぜひやってみる必要があると思うのです。こういう新しい外国市場の開拓というものについて、本格的に力を入れていただく必要があると思うのです。
第四に、非常にたくさん申し上げますが、品種改良を含む技術
開発の問題であります。やはり
日本の、特に
果樹の品種改良、たいへんおくれております。技術屋に聞きますと、たとえばわせ、
ミカンにしてもリンゴにしてもその他にしても、もっと早くつくっていく、あるいはおくて、もっとあとに出荷をしていく、こういうものもやる気でやればやれないことではないという意見をしばしば私
ども聞くわけでありますが、そういう体制がどうもとれていない。
いまナツカン園の再
開発で、ナツカンからアマナツヘ、あるいはハッサクとか、こういう方面に変わる品種改良、改植が行なわれておりますけれ
ども、苗木なんかでも十本の苗木の中で三本も四本も全然違った苗木が出てきております。こういうものは育種圃場が非常に少なくて、いま二十町歩程度でありますが、こういうものでは仕事にならないというわけであります。せめて百町歩なり、二百町歩なり圃場をつけないと、いわゆる品種改良というものは、二千か三千個の中に
一つ新しい品種が出てくるわけでありますので、相当の規模のものが必要だというのです。そういうものがいま
日本の試験場等には
整備されていないわけであります。これはきょう、あす解決する問題ではありませんけれ
ども、やはり長期的には
日本の
果樹の品種改良というものに対して、力を入れていくということが今日必要になっておると思いますので、こういう点も御意見をお聞きしておきたいと思うのです。
それから、この
グレープフルーツの
自由化に伴って、特に問題になっておりますナツカン園の再
開発事業も
農林省はおやりになっておりますが、このナツカン園の基準のとり方が現地におきましてたいへん問題がある。たとえばいま
労働力が不足しておりますから、木を切って新しいこの品種を植える。これはナツカン園
開発事業の対象にはならない、根を抜かなければいけない。根を抜くということになりましたら、これは
労働力がたくさんかかるわけでありますから、根を抜かなくたりて、木を切ればあとは木は腐って自然に抜けるわけでありますから、そういうことは必要はないのでありますが、そういう基準が
幾つかあります。あるいは単位になる面積にいたしましても、相当広い
果樹園なんかというのは急傾斜地の段々畑になっているところがだいぶありますから、
農林省の一団地という基準に合わないわけであります。こういうものをこの際思い切って緩和をしていく、こういう処置が必要だと思いますので、非常に時間の
関係で一括して申し上げましたが、御
答弁をお願いをいたしたいと思うのです。