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1971-09-30 第66回国会 衆議院 内閣委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年九月三十日(木曜日)     午後一時十二分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 佐藤 文生君 理事 坂村 吉正君    理事 湊  徹郎君 理事 大出  俊君    理事 伊藤惣助丸君 理事 和田 耕作君       天野 公義君    加藤 陽三君       笠岡  喬君    白浜 仁吉君       辻  寛一君    中村 弘海君       中山 利生君    川崎 寛治君       正木 良明君    東中 光雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 西村 直己君  委員外出席者         防衛庁参事官  鶴崎  敏君         防衛庁長官官房         長       宍戸 基男君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛庁人事教育         局長      江藤 淳雄君         防衛庁経理局長 田代 一正君         防衛庁装備局長 黒部  穣君         防衛施設庁長官 島田  豊君         外務省アメリカ         局安全保障課長 宮川  渉君         大蔵省主計局主         計官      吉岡 孝行君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君      ————◇————— 委員の異動 九月三日  辞任         補欠選任   鯨岡 兵輔君     中村 梅吉君   葉梨 信行君     大竹 太郎君   堀田 政孝君     中村庸一郎君 同日  辞任         補欠選任   大竹 太郎君     葉梨 信行君   中村 梅吉君     鯨岡 兵輔君   中村庸一郎君     堀田 政孝君 同月二十二日  辞任         補欠選任   木原  実君     井岡 大治君 同日  辞任         補欠選任   井岡 大治君     木原  実君 同月三十日  辞任         補欠選任   葉梨 信行君     白浜 仁吉君   堀田 政孝君     中村 弘海君 同日  辞任         補欠選任   白浜 仁吉君     葉梨 信行君   中村 弘海君     堀田 政孝君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国の防衛に関する件      ————◇—————
  2. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 これより会議を開きます。  国の防衛に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤陽三君。
  3. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 この前の委員会で、日本核防衛の問題につきまして若干長官にお尋ねしたわけでありますが、きょうはその問題に関連をいたしまして、もう少し質疑をさせていただきたいと思います。  外務省の方に伺いますが、私、アメリカコングレスのあり方はよくわからないのですが、アメリカ政府職員コングレスにおける証言というのは、政府政策と見ていいのですか、どうなんですか。日本だったら、政府委員というのがありまして、政府委員答弁政府方針に反する場合には、修正をしたり取り消したりいたしますね。アメリカはそういうふうなやり方をやっておるのでしょうか、どうでしょうか。
  4. 宮川渉

    宮川説明員 ただいまの御質問アメリカ政府職員答弁でございますか、これは私、問題によるかと思うのでございますけれども、大きな政策問題でありまして、たとえば国務長官とか国防長官の申しますこと、これはやはり政策の表明といっていいのではないかと思います。まあ問題によりまして、こまかい事実の問題になれば、これはまた別になると思います。加藤(陽)委員 実はそういうことをお尋ねいたしましたのは、ことしの三月二十三日の下院のアプロプリエーション委員会歳出委員会軍事小委員会における証言の記録を私、手に入れたわけでありますが、その中に、議員質問に対して非常に重大な答弁戦略空軍司令官ホロウェイ大将がしておられるわけですね。この議員質問は、これはたいへんいい質問なんです。私、読みまして、たいへん感心いたしましたが、主としてヨーロッパの問題についての質問なんですけれども核兵器を使う原則についてホロウェイ司令官証言をしておるわけです。  どういうふうな証言をしておるかといいますと、いろいろなことを言っておられますが、結論的に言いますと、われわれは戦略核兵力において対ソ優位でなければ核兵器は使えないんだ。アイ・キャン・ノット、私は使えないということを言っておる。もっと詳しく言ってみますと、われわれがもし戦略兵力において優位を保ち得ないならば、私はどんな状況のもとにおいてもそれを使えると思えない。もしそうであるならば、一九六二年のキューバ事件のときには、われわれのほうが優位であったから、これはまあソ連が使わなかったということでしょう。その逆の場合になると、われわれの死滅につながるものであるというふうなことを言っておられるわけですね。  私は、これは軍人的な立場としては考えられ得る意見だと思うのです。ただ、これがアメリカ政府意見だということになりますと、私ども日米安保条約による核保障というものをもう一ぺん考え直さなければいけないと思うのです。この前、防衛庁長官は非核三原則で十分やれるのだとおっしゃいました。私もそうであろうと思いますが、一体アメリカ政府はこのホロウェイ司令官証言というものをどういうふうに見ておると外務省ではお考えになりますか、もしお聞きできたらお聞かせ願いたい。
  5. 宮川渉

    宮川説明員 その証言は、私、実は詳しく読んでおりませんので、いまお話を伺ったことからでございますけれども、おそらく、その証言は、議員の方から、一定の仮定を置いてこういう場合はどうだろうかと、こういうことを聞かれたのに対する答弁で言ったと思うのでございます。でございますから、幾つかの前提仮定が入った場合で、しかもいまのお話のように、私はという言い方をしておられますので、はたしてそれが政府のいわゆる政策と言えるのかどうか。ちょっといま伺いました限りではどうかと思います。もう一つは、核の問題は結局最終的には大統領の判断ということだと承知しておりますので、あくまで具体的な個々の仮定を置いたものに対する自分の考え方を説明した、こういうことでしかないのじゃないかと思います。
  6. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 それで最初に、政府職員証言というものがほんとうの政府意見を代表しているのかどうかということについてお尋ねをしたわけなんですがね。もちろん仮定の問題なんですけれどもヨーロッパのシアターにおいてNATOと共産陣営の国との衝突を想定した質問議員の方はしていらっしゃる。その場合に、いまのような核兵力における優位が見通せなければ、軍の司令官大統領核兵器を使うことを進言しないであろうということも言うておるわけですね。これはしかし軍人の見方ですから、私はアメリカ政府見方だとは思いませんけれども、こういう証言があるということをアメリカ政府は知って、日本に対する、あるいは列国に対する核の保障の問題をどういうふうに考えておるかということを聞きたいのですがね。これは外務省としても、こういう問題を取り上げてアメリカ政府の意向を明確に聞いてもらうということはできないでしょうか。
  7. 宮川渉

    宮川説明員 ただいまの御質問、結局アメリカ日本に対して核のいわばかさをかぶせておるといいますか、核抑止力というか、わがほうの防衛というのは、アメリカ核兵力をいわば俗にいって当てにしているということでいいのかどうかということだと思います。また先ほどの証言でございますが、私、ずっと読んでおりませんので、伺ったところからの推測でございますけれども、結局それは、ある意味でバランスが均衡しておれば両方核を使わないという状況を言っているのじゃないかという気がするのでございます。ということは、まさにそれは抑止力が働いて、要するに核がありまして、それがバランスしておるために動かない、これはまさに核の抑止力が発現しているということではないかと思います。
  8. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 これはあなたにこれ以上聞いてもしかたがありませんから、この辺でやめますけれども、この前の委員会で私お尋ねしたのは、いま米ソの間でSALT交渉をやっていらっしゃる。私、この交渉の成り行きがたいへん関心を持たれるわけなんです。かりに米ソ戦略核兵力が均衡した状態においてきまるということになりますと、自由陣営ではほかにイギリスやフランスも核兵器を持っていますが、共産陣営では中共が持っておると見ていいでしょう。日本にとりましての関心中共核戦力なんですね。もしいまのこのような議論を進めていきますと、アメリカとしては、日本に対する核の保障を完全にしようと思えば、ソ連に対するパリティと同時に、中共に対するある程度の報復力を持たなければいけないことになるのですよ。そういうふうなSALT交渉が成り立ち得るかどうか、一体アメリカはどういう方針SALT交渉に当たろうとしておるか、こういうことについて私非常な関心を持っておるわけでございます。これは日本政府としてもたいへん重大な問題ですから、今後よく外務省にフォローしていただきたい、これだけはお願いしておきます。  次に、問題を変えまして、去る八月にニクソンが新しい経済政策を発表したわけでありますが、この日本に対する影響が非常に大きいことはいまさら申し上げるまでもございません。防衛問題について関連して申し上げてみますと、これは二十五日の毎日新聞の夕刊に、ニクソン大統領日本防衛分担金肩がわり交渉しておるということを確認をしておるということが出ております。もう一つは、二十六日の日本経済新聞に、福田外務大臣が、駐留費肩がわりは回避をいたしまして、そのかわりに、四次防においてアメリカ兵器を購入することをふやすのだということをおっしゃったようなことが書いてあるのですが、実際こういう交渉アメリカと行なわれておるのですか、その点お聞かせ願いたい。
  9. 宮川渉

    宮川説明員 ただいまの御質問でございますが、あとのほうから答えさせていただきますと、たしか同じ日に毎日新聞に、福田外務大臣毎日新聞政治部長と対談をやっておられる記事が出ております。その中ではっきり福田大臣が否定しておられます。たしか日本経済新聞のほうは、具体的なソースから引用しているのではなくて、何と申しますか、推測記事というふうに思いましたのですが、同日、毎日新聞のほうでは福田大臣がはっきり否定しておられます。それから、初めのほうのニクソン記事でございますが、デトロイトのエコノミッククラブというところでやりました記者会見記事でございます。これも、肩がわり交渉しておるというふうな表現ではなくて、たしか質問が、日米あるいは日本ヨーロッパの間で防衛国際収支、いろいろな問題がある、それでいろいろもっと日本ヨーロッパのほうに負担をしてもらわなきゃいかぬ。それの一つとして、たとえば防衛負担について、彼らがたくさん持っているドルをそのままもらうようにしたらどうかというような質問に対して、いわゆる広い意味バーゲンシェア負担の分け合いということについては、ふだんからヨーロッパ日本とは話をしておる、そういうことでございまして、防衛分担金負担ということではないようでございます。  それで最後に、これは先ほど申しましたように、福田大臣がはっきり否定しておられますけれども防衛分担費についての交渉とかそういうことは、いまのところ一切ございません。
  10. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 何か聞いておりますと、防衛分担金肩がわり交渉はない、しかし、広い意味アメリカ負担日本欧州各国に分け合ってもらいたいというふうな意味の話はあるやにいま御答弁を伺ったのですが、これはどういうことなのでしょうか。
  11. 宮川渉

    宮川説明員 これは、たとえばこの間の日米経済閣僚協議会でございますか、あのときでも、国際収支防衛その他でとにかくアメリカは苦しいのだからもっと助けてくれ、こういうかっこうで出ております。そういう広い意味でございますね。あるいは従来からも何回も出ておりますように、たとえば東南アジアに経済協力経済援助をふやしてほしい、そういうかっこうで出ております。そういう意味でございます。
  12. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 この問題に関連いたしまして、防衛庁長官、たとえばファントムのエンジンを国産をやめてアメリカのを買うとか、いろいろな推測記事が新聞にも出るわけでありますが、実際いま四次防そのものについてどういうふうにお考えなんでしょうか。ことに私は、ニクソンの新しい経済政策影響というものは日本に相当あると思うのですね。日本経済の長期の見通しにつきましても、計画立て直さなければならぬ段階に来ておるのじゃないかと思うのですが、現在のところ四次防の扱いをどういうふうにやっていらっしゃるのか、これをお聞かせいただきたいと思います。
  13. 西村直己

    西村(直)国務大臣 その前に、防衛分担金とか兵器を買ってもらいたいとか、こういうものは、合同委員会等に出た閣僚諸君からも、私に何らの要求もなければ相談もない。またアメリカサイドからも、正式に何ら私に打診してきたものはございません。ただ一般論として、アメリカドル防衛立場から、世界の関係与国、また日本を含めた関係与国に対して、何らか負担をしてもらいたいという気持ちがあることはわかります。  そこで今度は、四次防という一つの問題とここで関連して裏をひっくり返せば、兵器国産化との関係、そういうふうになってまいります。もともと四次防というものは一つ防衛庁原案でございます。まだ何らこれが確定したものではない。したがってこれを扱います場合におきましても、今後これをどういうふうに関係省庁の間で、最終的には国防会議で扱っていくかという問題は残っております。これらの背景を前提にいたしまして、四次防というものは確かに、一つ国際情勢観点から、一つ国内経済の運営等々から、いろいろな論議が出ていることも私は承知はいたしております。  そこで私どもとしては、国際情勢等変化というのをどう受けとめるかというのは、いずれきょうの委員会その他でもいろいろな方々から御意見も出るでありましょう。私は私なりに、ただいまのところ、一応いろいろな動きは始まりつつあるが、これが直ちに四次防の従来の考え方基本的なものをくずすような段階には来ていない。また一方におきまして、防衛というものは、単年度でただこま切れにやっていっていいというものではない。特に装備等考えますと、非常な時間をかけての蓄積があって初めて防衛力というものは成り立つ。こういう観点から、四次防というものはやはり私は努力をいたしまして実行してまいりたい。  それから、とれに対する国際情勢よりは、むしろ一つ気をつけなければならぬのは国内情勢。何と申しましても四次防の実体は、政府の財政、言いかえれば国民負担というものを基盤にしております。したがって今度は、国際経済から国内経済国民経済の運行にいろいろ影響が来ているものは、十分これを弾力的に受けとめつつやっていかなければならぬ。そういう中におきまして関係省庁でも慎重に検討されておる。私もそういうような中でできる限りこれの取りまとめに努力したい、こういうふうに扱っておるのが現状でございます。
  14. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 そうしますと、この六月か七月に、防衛庁としては四次防の原案をおつくりになったわけですね。これはいま関係省庁相談をしているという段階のように私も承知をしておるし、長官の話もそのようでありますが、その後における国際情勢変化、あるいは国内におけるいろいろな問題の発生に伴う変化、こういうふうな事柄は、各省庁との協議段階において処理をしていきたい、こういう考えだというふうに承っておいてよろしゅうございますか。
  15. 西村直己

    西村(直)国務大臣 はい。先般、昨年来の四次防の基本構想は変えないということを申し上げたのは、その趣旨でございます。しかし同時に、その上において、特に四次防というものは、実体的にいえば、これは防衛力でありますと同時に、負担国民負担から成り立つものでありまして、十分そこいらは弾力的に見通しつつ、しかし、四次防というものを、一部でよく言われる、やめたらどうか、あるいは一年延期したらどうかというような考えはございません、こういう趣旨でございます。
  16. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 そうしますと、大体長官のお考えはわかりましたが、最近、防衛庁が「装備生産及び開発に関する基本方針」というものをお出しになりまして、やはりこれが四次防の基礎になっていると私は思います。その中で、「自国産業による開発生産」ということをうたっておられまして、「自主防衛見地から、わが国防衛すべき装備開発及び生産は、わが国産業自らがあたることが望ましいので、今後の装備開発及び生産は、原則として自国産業に限定するものとする」、こういうことをうたっていらっしゃるわけですね。四次防の原案もこういう趣旨でできておると私は思うのですが、いまの話の、アメリカ日本に対する協力の要請等々から考えまして、この基本をお変えになる気持ちはないと考えてよろしいですか。この基本は変わることがないということなんでしょうか。
  17. 西村直己

    西村(直)国務大臣 その開発原則というのは、前につくられたことは了承しております、国産化の問題は。したがって私は、基本原則としては、兵器というものは国産基本とする。しかし同時に、効率経済性をも含めまして、従来もある程度のものは外国、特に対米依存。今後の四次防自体が、どういう形でどういうように進行するかは別といたしまして、もしそういうものをやるような場合、整備する場合におきましては、国産化基本原則は曲げないでいきたい。しかし、その間におきまして、経済性効率性、そしてそれが裏をひっくり返せば、アメリカとの友好関係におけるドル防衛協力にも資するならこれはいいことだ、こういう中で処理してまいりたい。したがって、いまお読み上げになりました方針そのものの中でおさまるのではないか。そういうやり方で、その方針を変えなくてもやれる、こういう考えであります。
  18. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 私自身は、これは質疑なんですから意見を述べちゃいけないのでしょうが、ある程度アメリカ協力することはやむを得ないという気がするわけです。ただやはりこれは無原則にやっちゃいけないと思うのです。防衛庁自体でよく精密な計画立てられまして、防衛装備の中で、基本的にこういうものはあくまでも国産を通す。一番の問題は部品の補給の問題だと思うのですが、こういうものはアメリカから買ってもやむを得ないというふうにも思うのです。これは私の頭で考えてもそうですが、今後、アメリカ兵器の購入の話が出ます場合には、そういう基本方針防衛庁としてお立てになって、飛行機はどうするとか、船はどうするとか、船の搭載兵器はどうするとかいうことを、はっきり日本防衛上の見地からお立てになった上で、この問題に取り組むならば取り組んでいただきたい、こういうことを私は希望いたしておきます。  その次に、ひとつ伺いたいと思いますのは、これはきょうの毎日新聞ですか、この間の成田殉職警官に対しまして、遺族へ三千万円の補償が出されるようになったというふうな記事が出ております。これを読んでみますと、総理大臣報賞金警察庁長官賞じゅつ金最高額が三百万円から五百万円に上げられることが閣議で了承された、そのほかに神奈川県とか千葉県からも弔慰金を出して、一緒になってこういうふうになるようでありますが、総理大臣報賞金警察庁長官賞じゅつ金、これはやはり自衛隊についても同様に考えるべきものじゃないかと思うのです。八月の二十一日に、朝霞駐屯地の東側外側内で、午後八時四十分から午後十時半までの間に、陸士長一場哲雄君というのが歩哨勤務中に、外部から侵入した過激派グループと見られている者に襲撃されて、全身打撲胸腹部刺創等の重傷を受け、病院に収容されたがすでに死亡していた。これは防衛庁からこの委員会にいただいた資料であります。この一場君の場合も、いまのような遺族に対する措置はどういうふうになっておるのでしょうか。
  19. 江藤淳雄

    江藤説明員 ただいま御指摘の、一場、当時士長の措置につきましては、その後まず二階級特進をいたしまして、勲七等青色桐葉章を授与いたしております。それからまた防衛庁長官の二級賞詞及び二級防衛功労章を出しております。同時に、死亡時にさかのぼって一号俸の特別昇給をいたしております。かような人事措置をいたしております。同時に、公務でございますので、殉職に扱う。  その際の補償金でございますが、国からの補償につきましては、遺族補償一時金が、遺憾ながらこの隊員は入隊してまだ一年半しかたっておりませんので、本俸も実は少ないので、補償金百五十三万八千円しか出ておりません。葬祭補償が九万二千二百八十円、それから退職手当が十七万四千六百円、これに従来からできております賞じゅつ金の額は二百六十万円、これは賞じゅつ金最高額三百万円の従来の規定最高に次ぐ額でございます。合計四百四十万四千八百八十円というような額が出ております。  ただ、警察の場合におきましては、先般九月十六日の成田事件にかんがみまして、昨日、従来の賞じゅつ金最高限三百万というものを、いろいろな基準はそのままにしまして、さらに特としまして、警察官が上官の命を受けて、特に生命の危険が予想される地域に出動し、生命の危険を顧みることなくその職務を遂行した結果死亡し警察功労章を授与された場合においては、特に五百万円の特別賞じゅつ金を授与することができるというような規定が昨晩きまったようでございます。きょう警察庁のほうから通達が流れております。したがいまして、防衛庁としましては、この例もいろいろ参考にいたしまして、関係方面と大いに折衝してまいりたい。自衛官の場合には、さしずめこのような例は直ちに起きるとは考えられませんけれども、従来の経緯もありますし、警察官並びに消防官自衛官、それぞれ賞じゅつ金が同じ基準で進んでおりますので、その線で今後関係方面交渉してまいりたい、こういうふうに考えております。
  20. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 そうすると、警察官には昨日閣議できまった、自衛官についてはまだきまっていないということなんですか。
  21. 江藤淳雄

    江藤説明員 この警察庁長官から出ます賞じゅつ金閣議了解を要しないものでありまして、予算上の一つ基準がきまればその額が出ることになっております。警察には警察賞じゅつ金規定がございます。自衛隊には自衛隊の訓令がございます。消防には消防のものがあるわけです。そのおのおのの規定を直すことによって新たに賞じゅつ金最高額がきまってくるわけであります。警察の場合は、その規則の改正が昨晩行なわれたということでございます。
  22. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 ということは、自衛隊ではまだ行なわれてないということですか。それはやはり警察官と同じように私やっていただきたいと思いますが、昨年、中曽根長官に私質問いたしました場合に、自動車損害賠償の保険が三百万、公務で死んだ場合、演習なら演習で一生懸命やっておって死んだ場合が百万というのはおかしいじゃないか。隊員が外で歩いておって自動車にひかれたら三百万だ、これは中曽根長官も御理解いただいて賞じゅつ金が三百万に上がったのですね。いま聞いていますと、自賠償五百万になっておるというのですね。いま一場君は、合計いたしまして、賞じゅつ金を入れまして四百四十万。これは少し私、扱いが適当でないように思うのですが、長官いかがますか。
  23. 西村直己

    西村(直)国務大臣 全く私は同感です。お説のとおり、人の命というものが自賠責でさえも五百万、その他の事故においても、今日、失礼だが相場というものが相当——要するに人の命というもの、いわんや勤務状況によっては、さらにまたそれを加味しなければならぬような状態において、私も着任以来、自衛官の、特に今回の一場二曹の場合はまだ十分でない。したがって、他のいろいろな手では努力いたしておりますけれども、実質的に、たとえば保険であるとか、あるいは場合によればお見舞い金であるとか手が打たれておりますが、基本的な国家のこれに対する手当てというものが十分でない。したがって私は、この賞じゅつ金は願わくは——警察官は、御葬儀等の関係もあったでございましょうから、急遽警察庁のほうでおやりになった。自衛隊のほうも、私は担当の諸君と十分折衝して、これはおそらく対大蔵省なりそういうものの折衝の問題ではないかと思いますから、努力はしたいと思うのであります。  なお、基本的には私は、職種にもよりますが、一体むずかしい問題ではありますけれども、民間の生命というものの物的補償というものがどんどん上がっていく段階において、はたしてこの危険公務に従事する諸君、しかも内部で訓練していく場合の事故、あるいは外部の非常な矯激な連中から打撃を受けて死んでいくという場合、いろいろな様相がありますが、私はやはりこういうところは十分努力をして、また国会の各位におかれましても、この点はいわゆる人間尊重といいますか、あたたかい御同情をいただきまして、国民の声としてひとつこういうものを是正する方向へ行っていただきたい、こう考えておる次第であります。
  24. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 ぜひこれは長官に努力をいただきたいと思います。  もう一つ総理大臣報賞金のことも聞いたのだが、これはどうなるのですか。
  25. 江藤淳雄

    江藤説明員 これも総理府のほうへ問い合わせた情報でございますが、従来、警察官等に対する特別ほう賞実施要領というものがございまして、これは閣議決定いたしておりますが、ここ閣議決定が、従来最高三百万でございましたものを、特別の場合には五百万にできるというような改正案を、昨晩持ち回り閣議で了承を求めたというようなふうに聞いております。
  26. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 これは長官賞じゅつ金の問題、いま御答弁いただきまして、私も満足するものでありますが、総理大臣報賞金ですね。警察とは若干事情が違う点もあろうと思いますけれども考え方は私は同じだと思うのです。自衛隊の特性に応じた、ことに総理大臣自衛隊最高指揮官ですからね、そういう最高指揮官から特別の報賞金隊員にもらうということは私は当然考えられていいことではないかと思うのでありますが、この点ひとつ長官にもう一ぺん、御迷惑ですが御答弁願いたいと思います。
  27. 西村直己

    西村(直)国務大臣 実は持ち回り閣議と申しますのは、私はまだサインをいたしておりません。ただ、先般の閣議の席上で、総理府長官のほうから、当面の成田の事故に対して処置をするのは、それはそれなりでいいだろう。私はその際に自衛官も含めてくれという発言をいたしております。したがって、総理府がどういうふうな考えでもって、一般論——ただしその際に、自衛官だけでなくて、たとえば麻薬取締官、海上保安庁の職員というようなものは対象にすべきじゃないかというような論議もありましたから、その際に自衛官も入れて私はやらせるようにいたしたい、こう思うのでございます。
  28. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 まだ少しお尋ねしたいこともありますが、これから始めると長くなりますので、きょうはこれで終わります。
  29. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 大出俊君。
  30. 大出俊

    ○大出委員 ただいま四次防についての質問加藤さんから出ておりましたが、せっかく取り上げられた問題ですから、私からもあわせて少し承っておきたいと思います。  長官のいまの御答弁を承っておりますと、一つ国際情勢の問題、もう一つ国内的な経済的事情、こういう二つに分けてお話しになりましたが、ポイントはそこにある。で、国際情勢のほうはいろいろな現象が起こっているけれども、まだどうなるかわからない。だから、これはこれとして抜いて、国内的な経済事情という点は、これは考えなければならぬ、ただ四次防策定にあたっての基本となるべきものについては変更する意思はない、あるいはまた延期ということも今日考えていない、こういういまのお答えなんでありますが、この中で二つあげておられる論点の一つである国際情勢の動きというものについて、私は、たいへん大きな変化が起こっている、こう見なければならぬと思うのでありますが、そこのところはどういうふうにおとりになっておられますか。
  31. 西村直己

    西村(直)国務大臣 国際情勢変化という中で一番大きくいわれるのは米中接触でしょう。それから近くは赤十字を通しての接触、それらがベトナムその他にも響いてまいるというような意味で、私どもはそういうアジアの緊張緩和の糸口がとにかくとられんとしつつあることについては歓迎しております。しかし、また一面におきまして、それらの面では、反動ではないかもしれませんけれども、ソビエトとインドとの間のいろいろな動きとか、またその他の観点の動きであるというようなものから見ますと、われわれは、それはそれなりにすなおには受けとめますけれども、まだこれが外交、あるいは特に外交ではなくて、むしろわれわれの立っておる四次防に基本的にその考えを取り入れて、四次防をそういう面から強くいじり回すということは必要ないのではないか、こういう考えであります。したがって、そういうようなことが起こったからとして四次防を根本的に考え方を改めるというものはない、基本的には前段の前にきめました四次防のラインでまいろうじゃないか、こういう趣旨でございます。
  32. 大出俊

    ○大出委員 これまた、いまお話がありましたから承っておきたいのでありますが、私は実はたいへんなこれは激動であろうと思っております。それで皆さんがいわゆる防衛白書をお出しになったり、すぐそのあとから四次防原案をお出しになったりされたわけでありますけれども、このときも幾つか求められまして、ものの考え方を書いたりもしておいたことがありますけれども、どうもこの防衛白書なり四次防原案なりというものの中心になっているものが、仮想敵国はつくらない、対象国はつくらないといっておりながら、中国の毛沢東政権の動きというものについて、これから先起こるであろう各般のアジアにおける問題に非常に大きなかかわり合いを持ってきているということを、あえて防衛白書にもうたっておられるわけです。つまり、基本的ないまの米中関係というもの、これが、四次防の、あるいはその前の防衛白書の中心的なものの分析の中に、大きなウエートを占めておる。これだけは間違いない。中曽根さんが当時、新聞記者に質問をされて、仮想敵国というものはあえてつくらない、こう言っていたわけでありますけれども、白書の中では、中国の動きというものを非常に重視している、こうなっているわけであります。そうなると、これは基本的な変化である、こう見なければならぬと私は思う。だから、それは関係がないんだと言われるということは、これはまことに解せぬことを承ることになるわけでありますが、中国の動きというのは基本的な問題である、こういうふうにお考えになりませんか。防衛白書にはそうなっているわけであります。
  33. 西村直己

    西村(直)国務大臣 私も防衛白書をまだ十分読んでおりませんが、大体の感じは、防衛白書自体よりは——日本の自衛力というものは、もとはゼロから戦後に出発した自衛力であります。したがって、基幹をだんだんにつくり、それにある程度の肉をつけるという、主権国家として内部的な努力がかなり中心になっているのであります。もちろん、将来どの程度までいくかというめどを持つかというと、周辺諸国の装備の増強とか近代化、これが一つのめどになりましょう。しかし、それはあくまでもめどで、ゼロから出発した自衛力を装備していくというところに中心がある。そうして、その中において、周辺諸国といえば、大きいものは、まず第一はソビエトの軍事状況というものも、一つの大きなものでありましょう。中国も一つの国でありますから、相当な装備。しかし、これらを仮想敵国とはしないけれども、自衛力の中で、近隣諸国もどの程度やっているかというのを一つの反射的めどとしながらゼロから出発した自衛力というものを整備をしていく。そういうような中において、局所大所と申しますか、ある程度の持久力を持ったものをつくり上げていきたい、これが構想ではないか。  そうなると、なるほど米中緩和はまことにけっこうなことであります。しかしまた同時に、周辺諸国はそれぞれの国がどういう形で軍事力というものを持っておるかということも一つのめどにもしつつ、自衛力というものを、国力、国情に合った、言いかえれば国民経済の運行にも合ったような形で伸ばしていく、これは矛盾がないことだと思います。
  34. 大出俊

    ○大出委員 西村さん、そういう形式的な御答弁を聞こうと思っているのじゃないのですよ。これは当時おいでにならなかった長官——いつもピンチヒッターにされる御性格なのかもしれませんけれども、それだけに当たりはずれのないことをおっしゃることもまた長官の特徴ですけれども、これはそのことを聞いているのじゃない。防衛白書をお読みになっていなければ、なっていなくてもけっこうなんだけれども、私が質問している中心は、防衛白書なりあるいは四次防原案策定にあたっての基本的な考えの中に、かつまた情勢の分析の中に、ソビエトというものが将来紛争生起に大きな影響を持っていると書いてない。核開発している中国の動向が将来の紛争生起に非常に大きな影響を持っている、こういうふうに明確に書かれております。なぜそうなるかといえば、当然の話でありますけれども、今日の日本と中国の関係というのは、米中関係にひそむ脅威、米中関係が非常に険悪であるということに基づく脅威ですね、これはもう明らかな事実。  ところで、日本とソビエトの関係というのは、米中関係に——さっき加藤さんからSALTの話が出ましたけれども、ホットラインなんというものに変えていこうというふうな考えまで、二つの調印の中の一つの問題、つまり、キューバ危機のとき以来、米ソ関係の間というのは、電話一本で話ができるという関係になっていた。つまり、米中関係に比べてみて米ソ関係というのは、そこにそんなに大きな脅威がひそんでいない。まして日本とソビエトの間にはシベリア開発の話まで出てくる世の中になっているというところに、防衛庁基本的な分析の中にも、日本とソビエトの関係というものが、将来における紛争生起の可能性に大きな影響があるという表現になっていない理由がある。  ところが、日本と中国の関係というのをとらえて、核開発をやっている中国というのは、将来の紛争生起の可能性という問題では非常に大きな影響を持っている。仮想敵国とは言ってない、対象国とは言ってないけれども、具体的にそういう趣旨の表現をしている。そのひそんでいる脅威と考えなければならぬ米中関係が大きく変わろうとしていることに間違いはない。だとすると、これは日本防衛基本に触れる問題、当然なことであります。だとすれば、少なくとも防衛を担当される大臣としては、そのことをもって、これはあまり関係がないんだ、どうなるかわからぬから、こう言っていられる筋合いではない。ここの認識、これははっきりしておいていただかなければ困る。この点いかがですか。
  35. 西村直己

    西村(直)国務大臣 あなたの御説明でいくと、日中関係もとにかくすっかり方向がつきそうだから防衛のほうも考え方を変えたらどうか、簡単に言えばこういう御質問のように感じます。(大出委員「そこまで話してない」と呼ぶ)そういうふうな感じがいたしますが、もちろんそれも一つの御意見ですが、同時に、国の守り、国土の安全、これは欧州のNATOにおきましても、御存じのとおり、東独・西独あるいは東西の融和というような中におきましても、NATOあるいはその加盟の国々というものが、やはり近代兵器を整備をするとかいうような形をとっておるのであります。ことにアジアにおいては、もちろんそういう大きく変わらんという要素もありますが、同時にまた、御存じのとおりソビエトの艦艇が太平洋において非常に活発な行動をとる。いろいろな複雑な要素の中で、われわれはゼロから出発した自衛力というものを少しでも近代的な装備に必要最小限度までは努力をしていく、これは私は私の立場においては当然ではないかと考えます。
  36. 大出俊

    ○大出委員 あなたはしきりにソビエトの艦隊の動きについてものを言いたがるんですけれども、再三出てきますから、それもひとつここで承っておきたいのですが、非常に活発に動いているというこのソビエト艦隊の動き、これは防衛庁のほうでいろいろキャッチしておられるようでありますけれども、それじゃこれは基本的にどうお考えになっていますか。最近のソビエトの艦隊の動きというのは何ですか。久保さんでけっこうです。
  37. 久保卓也

    ○久保説明員 必ずしもその意図は明確ではございません。ただ一般的に申しますと、秋には、やはり日本だけではございませんで、総合的な訓練の時期であるということが一つあります。  それから、これは推測になりますけれどもソ連の海軍の海洋における進出、いうならば政治的勢力の誇示と申しますか、ちょうど非常に膨張しつつある海軍勢力の誇示という面もあるいはあるのではなかろうか。  それから、これは私の推測ではありませんが、一部の人に言わせれば、米中接近問題について、一つのこれもやはり勢力の誇示というようなこともいわております。それほどむずかしく考えませんでも、極東海軍兵力も相当出ておりますので、こういった時期における訓練、これが第七艦隊だけに西太平洋を開放するのではなしに、やはり自分たちにも十分の権利があるのだというソ連一流の見方の暴露ではなかろうかというふうに考えてもよろしいのではないかと思います。いずれにせよ、その意図を明確に述べたものは資料としては見当たっておりません。
  38. 大出俊

    ○大出委員 念のためにもう一ぺん聞きますが、そうすると、ソビエトの艦隊の動きは、最近非常に勢力をふやしてきたソビエトの艦隊、たいへん大きくなってきた艦隊の勢力の誇示である、これが一つ。もう一つは米中接近に対する、端的に言ったらこれは牽制である、こういうふうにお考えになっているわけですか。
  39. 久保卓也

    ○久保説明員 私が牽制ということを申したわけではなくて、何かの記事に出ておりました。(大出委員「だれのものですか」と呼ぶ)ちょっと記憶ありませんが……。牽制という意味ではなくて誇示という同じことばを使いましたが、牽制というのの一つ手前の階段ではなかろうかというような感じがいたしますが、そのことは、いずれにせよ群盲象をなでるで、あまり根拠がないことで、私が明確に申し上げてもいかがかと思いますので、いろいろな考え方があるということで御了承願いたいと思います。
  40. 大出俊

    ○大出委員 長官が二回ソビエトの艦隊の動きをお取り上げになって、米中関係はたいへんよくなりそうだけれどもソビエト艦隊が動いている、こういうふうに二回おっしゃるわけですね。だから、それならそれらしい見識を防衛庁はお持ちになっているはずだから承ろうとしたら、防衛局長お話をいま承ってみると、たいへん最近有力になってきたソビエトの艦隊の勢力の誇示である、これが一点ですね。もう一つのほうは、確かに牽制ではないかというふうなことを言っている諸君もあるということを一つ前置きをされて、そういう意味での最近におけるソビエト艦隊の動きは米中接触に対する牽制である、こういうふうに二つお述べになった。しかも誇示は牽制の手前であるというわけですな。誇示をしてからいよいよ牽制に入っていくのですかな。そういう御見解なんですね。ところが再答弁をなさって、どうもあやしくなってきたのですけれども、そこのところは一体どうなんですか。新聞の記事などからは、防衛庁筋の観測という記事も載っているのですよ。そういう点は無責任におっしゃらぬで、やはり防衛当局なんですから、ものの見方というものは的確にしておいていただかぬと、そんなに不明確なことで、あなた、さっきの基本的な話の中で、長官からやたらソビエト艦隊を引用されては迷惑です。どっちがほんとうなんですか。
  41. 久保卓也

    ○久保説明員 ソ連の軍の行動を、その根拠を明確に推察できる論拠というものはほとんどの場合ないと思います。したがいまして、自由陣営あるいはマスコミその他がいろんな観測をする。防衛庁の観測とすれば、防衛庁の中でもまたいろいろな観測もあり得よう。しかし、従来に比べて、航空機でありますとか艦艇の太平洋における出動といいますか、そういうものは非常にふえておる。これはやはり私は、ここからは推測になるわけですけれども一つには、太平洋はアメリカの太平洋ではない、やはり公海である以上ソ連も十分に進出し得るものであるし、またそれだけの実力ができた、そこでそういう政治的な威力といいますか、そういうものを誇示する、そういうものにつながってくる。それから誇示が牽制の手前ということを申したのは、それから牽制にいくという意味ではなくて、牽制というほどのものではあるまいということを言おうとしたわけです。
  42. 大出俊

    ○大出委員 それでははっきりしておきますが、太平洋というものはアメリカだけの太平洋じゃない、ソビエトの側も最近は相当な海洋戦力を持ってきている、だからわが方もという意味の勢力の誇示である。推測になるがそういう分析をする。それじゃ一体その誇示は牽制につながるほどのものかというと、それほどのものではない、今日の動きは。防衛庁側は、いろんな意見があるけれども、総合すれば今日そういう分析を持っておる、こう理解してよろしいですか。
  43. 久保卓也

    ○久保説明員 防衛局長の見解としてはそうであります。
  44. 大出俊

    ○大出委員 初めからそう言っていただけば、これは時間が倹約されるのです。  さっき長官が二回引用されたのは、そういう分析に基づくのだそうでありまして、そうすると、いま長官が言っている、米中接近が片一方で行なわれたからといって、牽制などという大げさなものではないというわけでありますから、長官がそれほど目くじらを立ててお取り上げになる要素ではない。そうすると、さっきのところに戻りまして、やはり基本的な米中関係が変わっていくということになると、その情勢というものを見きわめる必要が当然出てくる。そして基本的には、防衛というものはゼロから始まったので一朝一夕にはできない、これも間違いないことです。が、しかし、問題は、かといって、国際情勢関係なしに日本防衛というものはきめられない、これもまた当然だと思う。だから長官は、先ほどの質問者の質問に答えて二つの要素をお述べになっている。一つ国際情勢変化一つ国内の経済情勢、こうおっしゃっている。その前提になっている国際情勢変化というものが、ことしの年末という時点をとらえてさらにもっと明確になっていく、そう見ていい節々はたくさんある。なぜならば、ニクソン大統領みずからが言っているわけですから。台湾海峡の問題まで含めてものを言っているわけですから。そうなると当然、慎重にわが防衛庁もその時期を待って十分な検討をする必要がある。たださえ、やれ軍国主義復活だ何だといわれている世の中なんですから。佐藤さんも、共同提案国になるとはおっしゃりながらも、記者の皆さんに答えて、対中関係における日本の外交の大きな変化であり、かつ前進なんだと言っているわけでありますから。そうなると、当然その時点までこれは十分情勢を見きわめる、分析の面でも確定をする、そういう必要が当面ある。だとすると、四次防というものの全体計画をここで急ぐ必要は毛頭ない。そういう意味で私は、四次防というものは慎重に検討する、時間をかける、こういう態度が今日当然出てきてしかるべきであろう、国際情勢の分野から。この点いかがでございますか。
  45. 西村直己

    西村(直)国務大臣 私はいささかあなたと所信を異にするのでありまして、もちろん国際情勢変化というものはすなおに受けとめなければなりません。しかし、まだニクソンが訪中をしておられるわけでもなし、また訪中した結果がどういう形になり得るか。いろいろな推測がありますけれども、必ずしもそう急激な現状の変化はあり得ないと思います。そういうようなことと、それからアジアは単に対中共関係だけではないのです。いろいろな角度のものの見方をしなければならない。しかし、一方においてまた、四次防というもののああいう形のものは、やはり国民経済の運行の中でこれをおさめていかなければならないということになれば、これが多少削減されるということも考えられる、スローダウンする場合。だから、ここでじっと待って、そして何か情勢がきまった時点まで待て、こういうようなことは私は違うのでありまして、防衛力というものはやはり蓄積をしていく、長い時間をかけて計画的にやっていくということに中心が置かるべきだ。そういう意味から、やはり四次防はいろいろな面で弾力的には受けとめる。特に国民経済の運行等がさらに変わるかもしれませんというようなことも要素に入れつつ、そしてスローダウンが多少されても、私は四次防というものを何とか一応計画立てたい。そしてまたそれは、単年度においていかなる形にあらわすか、これはまた別の問題になっまいるわけです。
  46. 大出俊

    ○大出委員 ちょっと承っておきたいのですが、いま単年度においていかなる形にあらわすかは別な問題という話なんですが、単年度においてといったって、四十七年度の予算は要求なさったのじゃないですか。お幾らでございますか。
  47. 西村直己

    西村(直)国務大臣 四十七年度の予算は概算要求をいたしております。したがって、これは今後の予算の全体の、いわゆる経済成長をどう見るかということと関連してやってまいるわけであります。そして同時に、それがまた五年間の計画である四次防、やがて決定さるべき四次防とつながってまいる、こういう考え方でございます。
  48. 大出俊

    ○大出委員 八千二百億ですか、概算で。この来年度予算要求というのは、四次防というワク組みを変えないままに要求なさっている。スローダウンとか削減とかおっしゃいましたが、つまりこの四次防の初年度であるはずの来年度予算の要求というのは、四次防のいまの防衛庁のものの考え方でお出しになった予算、そういうことじゃないのですか。
  49. 西村直己

    西村(直)国務大臣 概算要求そのものは、当然八月三十一日という日限もありますし、あの時点において一応詰めたものではあります。しかしこれは当然大蔵省その他政府全体の査定の中でやってまいります。かたわら四次防は、これもまた四十七年度を初年度としての考え方でいく。しかし、いまの防衛庁原案というものは、御存じのとおり、それはいろいろな動き、特に財政経済の動き等もにらみ合わせてさらにいろいろ折衝を重ねていく。
  50. 大出俊

    ○大出委員 私は前段でものを言えば、防衛庁日本防衛という、つまり防衛白書の中などで分析をしておるアジアに対する情勢分析、これは、隣の国である日本、あるいはアジアの中の日本が、やはりそういうアジアの緊張をなくしていく努力を当然すべきものであって——さっぱり佐藤さんしてくれないけれども、すべきものであって、そういう中で紛争生起の可能性なんてことを分析する。非常に大きな影響があるが、実は影響がないという分析に変わっていくような努力を当然すべきなのであって、だから、米中接近というものはそういうとらえ方をして、日本が当然協力すべきもの、そう考えておるわけです。あたりまえのことです。だから皆さんの党の中でも、共同提案などという総理裁断に対して、逆行だという意見が出てくるわけであります。だからここのところは、そういうすなおなとらえ方をして、できる限りその方向に持っていく、あわせて防衛予算というものは考えるということにすべき筋合いだ、こういう観点でものを申し上げているわけです。  二番目の問題は国内の経済情勢という問題でありますけれども、本来この点は、新経済社会発展計画などといわれる計画国内的にはある。そこらのものを踏まえて皆さんのほうは計算をされていた、これはまぎれもない事実であります。防衛費の平均伸び率一八・八%、これは四次防の原案をおつくりになるときの皆さんの説明です。これによると、新経済社会発展計画の推定経済成長率を一〇・七%と皆さんのほうは見込んでいる。この資料に基づいて算出をされて、これによって四次防計画は組み立てられている。だから、世の中の経済誌等が分析をするように、そういう基礎で計算をすると、四十六年度は、七千六百九億円というのを基点として計算していくと、人件費増を見込むと五兆八千億近いものになる。こういう計算ですね。ここでも明らかに、国内経済状況というのは円・ドル問題を中心にして変わりつつある。これは厳たる事実です。だとすると、そういう点を含めて四次防なんというものは、各新聞の論調がいま一斉に書いておりますように、やれ一兆五千億の公債発行だとか、あるいは国内景気刺激対策ということでの補正予算を大幅に組めとか、あるいは十五カ月予算を来年度は組めとか、いろいろな意見が出ていますけれども、そういう時期だけに、当然時期をずらして検討すべき筋合いだと思いますけれども長官考え方はもちろん違うでしょうから、そういう意味で、いま指摘を申し上げた論点、原案作成におけるものの考え方基本的な変化が起きている。だとすれば、当然そこは皆さま方は再検討するというのが筋です。あたりまえのことだと私は思うのだ。そこのところはどうですか。
  51. 西村直己

    西村(直)国務大臣 まあ、ちょっと御意見が違うのでありまして、防衛構想を基本的に洗い直せ、こう私は簡単には受け取れないのです。情勢の変化におきましても、私にはさっき申し上げたような受け取り方がある。もちろん、それを十分心得つついたしますが、同時にそれは長い時間がかかって変化してくるのです。また他の要素もあわせて入ってくる。国内の情勢においては、確かにドルショック、円・ドルの問題から成長はダウンをしておる。しかしこれも、経済社会発展計画をどういうふうに将来認めるか、なかなか時間はかかるだろうと思います。しかし来年の予算は、何らかの形で経済の見通しを立ててやっていくわけであります。一部には非常に不況が来るようなこともありますが、私としては必ずしも、私の担当ではありませんけれども、そうひどい不況というような形ではない。やり方いかんによっては、もちろんこれは切り抜けられる。しかしいずれにしても、財政運営において、税収が全体的にいわゆる総体的な伸びが落ちる。公債発行、こういうこともあろうと思います。そういうものを踏まえながら、四次防の基本構想は変えないけれども、弾力的にこれを受けとめていくという段階の中で、財政当局を中心にこういうものを詰め合っていくならば、私はある程度御理解を願える四次防の絵姿というものが得られるのではないか、こういう考え方であります。
  52. 大出俊

    ○大出委員 防衛基本というのは、これは明確に政府が御決定をなさって、いままでこれは厳たる事実として存在をするわけでありますから、その基本が変わるというなら、これは国防会議におかけいただかなければならぬわけでありますから、これは当面は変わりっこない、あたりまえのことです。これは変わらぬとしても、その国防の基本方針の上に、今日、何次防ということでお考えになっているわけであります。そうなると、いまお話が出た経済情勢の大きな変化——これは、その意味における基本は、国防の基本方針があるのですから変わらぬとしても、当然これは再検討しなければ、各新聞の社説その他が書いておりますように、あるいは国民一般が考えておりますように、納得しようがない筋合いですよ。国民にいろんな負担がかかってくるわけですから。だからそういう意味で、やはりこの際四次防というものは、基本基本、しかし今日の国際情勢国内経済情勢を踏まえて再検討する、この点はこういう立場に立って当然だと私は思う。いまおっしゃっているのは、そういう趣旨じゃないのですか。
  53. 西村直己

    西村(直)国務大臣 私のは、ことばは、再検討という出直しのような意味ではない。もちろん財政経済が大きく変化してくる。この見通しだって、なかなか人によって意見がある。また財政当局の財政技術からいっても、国債をどの程度におさめたらいいかというような問題もある。税収をどう見たらいいかという中で、しかもそれが、単に単年度でなくて後年度にどうかというようないろんな要素がある。そこらは私ども十分含みながら、内部ではもちろんそういうものを検討を加えていく。出直しだというような考え方はございません。
  54. 大出俊

    ○大出委員 再検討というとどうもことばが大げさになるが、再検討というほどのものでない、検討する、こういうお話なんですが、そういうことを害うから、新聞の書き方が、情勢がいろいろ変わってきたんだから少し延ばそうじゃないか、こういう意見もある。しかし、佐藤さんの内閣がかわって、もう少し内閣の性格が変わると、どうもタカではない、少しハトになったということになると、たゆたいを起こして、来年度も待とうじゃないかというようなことになってはたいへんだから、いまのうちにきめておけ、そういう意見もあるというようなことを新聞が書くようになってしまうのです。対国民ということをお考えになった場合に、やはりそういう分析をいわゆる新聞の方々にさしてはいけないと私は思うのですよ。長官おいでになるのですから、あっさりずばりと、そうではないと——やはり国民が疑問を持つわけだから、こんな時期に五兆八千億、冗談じゃないという気持ちがみんなにあるんだから、それは検討するならする。言い方もありましょう。再検討の再をどうしてもつけたくないならば取ったっていいけれども、やはりずばり国民にものを言う立場のおっしゃり方が私は必要だと思うのですが、いかがでしょうか。
  55. 西村直己

    西村(直)国務大臣 別に、ずばり言うか言わぬか、これは技術問題ですから、これは国民にわかってもらうことが必要だと思う。たとえば五兆八千億といっても、もちろん中には、相当な人件費というものと隊舎の費用、衣服の費用、軽装備等々があるのであって、うっかりすると、五兆八千億円というと、国民は、あれは全部タンクだとか全部飛行機だとかいう印象を受けやすい。ここにああいうものの実態の説明が足りなかった点は過去においてあった。しかし、いずれにしましても、こういうような国民経済の運行が変わる中でいくということの検討は、私どもしていくつもりです。しかしそれを、出直しだとか再検討だとか、一切御破算にして新しいものをつくるという考え方はない、こういう思想なんです。
  56. 大出俊

    ○大出委員 西村さん、国民はわからぬでものを言うという言い方を大臣がしてはいけませんよ。わからせなければならぬ責任というものは国の行政機関にあるんだから。そうでしょう。だから、わからないのなら、わかってもらうまで国が努力する以外にないわけです。ここで質問をやっているのも、わかってもらおうという意思がお互いに働くからやっているわけです。だからそこのところは、そういうふうにおとりにならぬで、出直しとか、全くの御破算にしてやり直すとかいうのじゃないが、経済情勢その他に合わした検討をする、あっさりそれはそう言っていただけばいいので、いまそういう御発言ですから、そう受け取って、長官の当面の考え方はわかりましたから……。どうせ沖繩国会にいきますので、不納得のままで出てくれば、これはつぶしてしまえという努力をする以外に手はないわけですから、どっちにしても同じことですよ。いま長官考えている考え方をはっきりしていただければいいので、その点はおおむねわかりました。  ところで、ソビエトの艦艇がいろいろ跳梁ばっこするというのですけれども——長官は跳梁ばっことは言わなかったけれども、ちょいちょい出てくる。アメリカのほうも最近しきりにばっこしまして、こっちはまさに跳梁ばっこです。最近は横須賀に原子力艦艇引きも切らず。潜水艦が夕方出ていったら朝入ってくる。とにかく艦船ラッシュなんです。そこでエンタープライズ問題が、横須賀地域を中心にしていろいろな具体的現象が出てきている。外務省の皆さんにもお見えをいただいたのですが、アメリカ局長さんが何か三時ごろだというお話のようでございまして、とりあえずおいでになっておりませんので、どうですか、防衛庁当局の皆さんのほうで……。  あそこには、施設庁のほうでは、米軍に働くたくさんの人の問題もかかえている。かつて、私たちの地元であるだけに、第七艦隊のオクラホマシティーが佐世保へ行く行かぬでたいへん迷惑をした。今回の艦船ラッシュと見られる、しかもエンタープライズをめぐる各種の具体的事実も出てきているという中で、そこらのところ一体何が起こっているのか。エンタープライズは一体どうなるのか。こんなに昨年に比べて多過ぎる原子力関係艦船の出入というのは一体何なのか。そこらについてどういう分析をなさっておられますか。
  57. 久保卓也

    ○久保説明員 これも具体的に根拠があるわけではございません。ただ全般的に申しますと、第七艦隊は現在減勢、勢力が減りつつある状況であります。この傾向は今後も続くであろうというふうに解釈いたします。ただし、第七艦隊の全体の隻数が減るということと、それから西太平洋にアメリカの艦艇が存在する数がどの程度あるか、現実にどの程度遊よくしているかということとは、一応別個のことであります。という意味は、七艦隊の休養あるいは修理のために一々本国へ帰っておりますと、それだけ存在する隻数が減ってまいります。そこで、米側の方針としては、全般的な空気としてわかるのでありますが、艦隊が減勢をするその反面、米側の考え方からいけば、七艦隊の存在というものはある程度抑止力につながってくる。そのビジブルな、目で見える抑止力を存在させるためには、なるべく効率的に使わなければならない。そうなれば、アジアの周辺諸国をなるべく休養、修理のために利用するという方向が一つ考えられる。  もう一点は、ベトナム戦争がやはり終えんに近づいてきて、七艦隊の任務は非常に減ってまいったということになりますと、ベトナム周辺に張りつける機会というものが減ってきて、日本だけでなくて、おそらく香港あるいはフィリピンあたりにも来ているだろうと思いますけれども、そういった他の地域への寄港といいますか、そういうものがふえているといったような状況がそれに加味されているのではなかろうかというふうに私は思います。
  58. 大出俊

    ○大出委員 ここでひとつ外務省の方、宮川さんですね。あとの方の時間の関係もありますから、ちょっと承っておきたいのですが、エンタープライズが第七艦隊に配属をされたのがたしか七月ですか、以後あれから抜けていないと思うのです。それで横須賀では具体的に第七艦隊が載せている艦載機のワッペンが約十万個発注されておりましたり、あるいは例のSRF周辺で働いておられる方々の直接の話によりますと、タグボートに原子力に対する防除装置などを準備をしているという話が出てさましたり、幾つかここに具体的な事こまかな話まであるのでありますが、そういうふうなことまでを含めて、一体皆さんのほうで、エンタープライズの横須賀寄港というのはどういうことになりそうだという御判断ですか。また、昨年は年間でわずか九隻ぐらいしか横須賀には寄港していないのに、本年はもうすでに原子力潜水艦だけでも九隻をこしてしまった。この間のやつを入れると十一隻になるのじゃないですか。そこに関係原子力艦船、フリゲート艦が五隻入ってきている。そうすると、もうそれだけで十五隻か十六隻になる。なおこれは入ってくる。  こういうふうにたいへんに動きが活発になっているわけでありますが、ここらを外務省筋で気になさらぬということはないと思うのですよ。なぜならば、艦船の動きによってあそこに働いている諸君の状況も変わる。これは前回私、本会議でも質問いたしましたし、愛知さんとも直接何べんか話をいたしましたが、首を切るのやら切らぬのやら、佐世保に行くのやら行かぬのやら、そういうことではたいへん困る。だから、そこらのところをどういうふうに受け取っておられるのか。現地は非常に心配する面が多いわけでありますから、明確にしていただきたいと私は思うのであります。
  59. 宮川渉

    宮川説明員 御質問は二つあったかと思います。  一つは、最近原潜が非常にふえて、特にそれとの関係でエンタープライズが来るのか来ないのか。これはたしか七月に一ぺん先生から御質問がありまして、橘参事官からもお答えいたしましたが、現在でも変わっておりませんで、いままで公式にも非公式にも、来たいということはアメリカ側から聞いておりません。それから寄港のふえておりますのは、これは先ほど久保防衛局長からお話がありましたが、私どもとしても久保局長がおっしゃいました一般的な推測と申しますか、それ以上に出ることはございません。  それから基地のほう、これはエンタープライズを特に頭に置いておられると思いますが、御承知のように、三月に一年延ばすということになりまして、実はその後、防衛庁その他関係省庁のほうで善後策をずっと検討していただいているのでございますが、最近の状況というのは私どもは伺っておりません。しかし、そちらのほうの見通しがつきませんと、はっきりしないと思います。
  60. 大出俊

    ○大出委員 宮川さん、アメリカ局長がお見えになってからと思ったのですが、時間がありませんからここで言いますけれども、また、愛知さんが今度お帰りになったから、もう言うてもいいので言うのですけれども、昨年の例の共同コミュニケが出た時点ですね。十一月の二十一日ですか、あの時点で、鶴崎さんもおいでになるけれども米軍と防衛庁アメリカ大使館と外務省と四者で長い間ずっと相談してこられたですね。そして何で一体、横須賀のSRFなんかを含めてああいうかっこうにしたのだということで、愛知さんとここでやりとりをやった。あとからいろいろ承ってみると、マイヤー大使が直前になって乗り込んできて、どうしてもSRF問題を含めて入れてくれ。防衛庁の側では、管理するといったって管理費の問題もある、またとてもそんな準備はできぬと言っていたのだが、どうしても入れてくれというので、しようがなし入れたのだという。私は愛知さんとここでそういうやりとりをしたのです。  また、今回のこの種の動きの中で、いろいろな問題が——実はあとから質問しなければならぬ問題が幾つもあるのですけれども、時間を考えながらものを言っていますけれども、働いている諸君にとってもたいへんなことなんだ。いまおまけに円・ドル問題があるでしょう。変動相場制でものを払ってやっているのですからね。三百七十七円だのやれ幾らだのといってやっているのですから。だから、西ドイツ式にするのかしないのか、中期債を買っておいてあとから払うのか、いろいろなことがある。最近またしきりに人を募集しているわけです。職安だって、うっかり世話したはいいけれども、また変わったのでは困ってしまうというので取り次がない。また行くほうだって、新しく見つけたところがあった人でも、一々変動するものですからさっぱりわからぬ、そういう生活不安を含めて一ぱい問題があるわけです。そういう状況国内で起こっているのですから、皆さんがどんな苦労をされても的確につかんで、ものごとをはっきりさせておいていただかぬと、要らぬ騒ぎばかり起こったり、要らぬ不安ばかり起こったりしたのでは困る。エンタープライズだって、来ないなら来ないでいい、そんなことは。ところが、現実に行なわれているワッペンの注文だとか、タグボートの問題だとか、そういうふうなものが現実にちらつくと、あそこはなかなか情報が早いところなんですから。この間のときだって、現地はこういうふうに動いている、これは延期だ、米軍が家族に流している。パンフレットを見たらわかるじゃないかというところまで詰めても、公式にないからというので、わかりません。一年延期に間違いないと何べん言ったって、わかりません。三月になって一年延期だという。その間半年にもわたってみんなたいへん神経も使い、苦労している。市当局だってたいへんに迷惑をしている。だから今回のこういう異常な動きについても、やはり的確に情勢判断は出しておいていただかぬと、まことに迷惑だ。そういういいかげんな分析では済まぬですよ。これはあれだけの状況変化なんですから。それをどうとっているのかという見解がないというふざけた話はないでしょう。そんな無責任な話はないじゃないですか。
  61. 宮川渉

    宮川説明員 おしかりを受けましたが、先ほど先生のおっしゃいました十二月の話の愛知大臣と応酬は、実は伺っておりませんのであれでございますけれども、マイヤー大使が急に言ってきて云々、そういうことはない、SRFというものは初めから向こう側のほうの予算という関係で出てきておる、これだけは申し上げられると思います。  それから、おっしゃいますように、たとえば現地の労務者の方々、非常に直接的に影響があるということはよく存じております。ただ、いろいろ現地のほうで、たとえば軍のほうで家族などにいろいろなあれが流れる。しかし、これはたとえば海軍なら海軍でいろいろなうわさがある、あるいはプランがあるということと、アメリカ政府として方針をきめるということとは別でございますので、やはりわれわれといたしましては、正式に言ってこない限りは、これはアメリカのこういうプランがあるということは言えないわけでございます。その点は御了承いただきませんと……。ただ、問題があって、それから労務者の方々にも非常に関係がある、だからその点はよく考えてやらなければならぬ、これはまさにおっしゃるとおりでございます。この点は、防衛庁、施設庁、それから関係省庁とよく連絡をとって、おっしゃるような趣旨に従ってやるようにいたしたいと思います。
  62. 大出俊

    ○大出委員 あなた、そういう答弁をすると、全部しゃべらなければいかぬことになるのですがね。私はこまかく調べたし、こまかく話をしたことだから、その一点を申し上げただけで、あなたはそれを否定されるのですか。マイヤー大使が愛知さんのところにあらわれて、直接愛知さんに話している。その中身を聞いてみると、こういうことが再三あっては迷惑だと思う、直接愛知さんがぼくに実際そういう話をしている。ただ全部話すことはまだぐあいが悪い。だから、こういうごたごた同じようなことを起こさぬでくれと、そう言っておいた。ところがまた、いろいろなことが現に起こっている。だから、そういうことがたびたび繰り返されては困るから、いまちょっと口に出しただけですよ。中身については、愛知さん自身もかんかんになって私に言っていましたが、けしからぬというのだな、マイヤー大使というのは。アメリカというのはという言い方までぼくにしたけれども、そこまでここで言ってもしようがないから、そこから先は省略しているのですから。そういう妙なことばかりしていたのでは——日本外務省なんだから、アメリカ外務省じゃないんだから、やはり的確に押えるものは押える、言うことは言って、取るものは取るというごとにしていただかなければならぬ。防衛庁に話せば、外交ルートを通してということになる。外務省に言えば、いろいろ連絡しているんだけれどもさっぱりわからぬと言う。そういうことばかり続いたのでは困る。だからやがてまた現地で判断をしていくようなことになると思うけれども、その間にたいへんな時間がある。いつもそうなんですがね。そういうことばかりやっておって、当面ショックを受けるのも日本人なんだから。そういう意味で、そういういいかげんなことばかり言われたのでは迷惑だと、私のほうは言っているのです。だから、防衛庁だって施設庁だって、たくさんの人間をかかえているのですからね。そうでしょう。そこらのところ、もう少し把握のしようはないのですか、一体。  話がそれるけれども、現地に行ってごらんなさい。だれか、あなた方、行ってみたらわかるのです。これは。ランドリーの問題一つつかまえたって、現地の米軍は、そこに働いている駐留軍の働く方々に、ランドリーについて諸君請け負ってやってくれ、施設を貸すから、そのかわり利益のうちの三割はいただくから。米軍の言い方です、これは。そんなことはできないですと現地では断わっている。そんなことが起こってきちゃ、これはおさまりがつかぬじゃないですか。どういう形態でそれならば一体雇ったのだということになる。請負制度みたいな話をされたのでは、現地の労働者にしても困ってしまう。具体的にありますけれども、時間がないから省略しているけれども、そういうことがここに幾つもあります。幾つもありますが、そういうことばかり起こったのでは困る。いろいろ動きがたいへん複雑なんだから、そこらのところはもう少し調べておいてくれなければ困るじゃないですか。
  63. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 どなたか答弁……。
  64. 大出俊

    ○大出委員 これは現地に行ってごらんなさい。四十八時間を四十時間に切って、そのかわり貸金は二割落とすとかいろいろな問題が起こっているでしょう。それから業者の切りかえで、いま私が言ったように、請負に切りかえて、そのふわり利益の三割をよこせとか、まるっきりこれでは地位協定も何もありゃせぬじゃないですか。先ほどの話を聞いていれば、防衛分担金については何の話もない。何の話もないといったって、防衛分担金についてだって、これは地位協定二十四条でしょうが。施設以外のところはアメリカが払うんだ、あたりまえな話でしょう。これは宮川さん、よく御存じのはずだ。そうでしょう。そうすると、これはこっち側で払うよりないでしょう、制度的にも。そこに持ってきて一一・七四%の人事院勧告の実施についても、政府措置がおくれる。五月遡及をする——遡及はできないなんて言い出されたらどうするんですか。現にそうです、現地は。実施のときだからだと。そういう問題がたくさん起こっているでしょう、現に。片方はアメリカの艦船がどんどんどんどん入ってきている。エンタープライズについてはいろいろな発注が行なわれている。片方、職場のほうでは次々にそういう形。そこらのところを一体どういうふうにとらえるかという点、さっぱり見当がつきません、わかりませんということですか。
  65. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 鶴崎参事官、事情御存じないですか。
  66. 大出俊

    ○大出委員 委員長、いいですよ。答弁なさらぬならなさらぬでもいいけれども、変動為替相場だからというので、請求すると前日までで切るわけでしょう。切ってその中で一番高い相場をとる。三百七十七円でしょう。このくらいをとろうというのでしょう。これは円貨で請求を受け、ドルで払うというわけですね。そこらの問題もからんでくるから、向こうとしては、住居手当にしても調整手当にしても——調整手当だって、あれはまだ付属契約ができていないでしょう。いたずらに混乱ばかりさせておいて、これはどうするということくらいは出していただかないと……。
  67. 島田豊

    ○島田説明員 御質問がエンタープライズから始まりまして、現地におけるいろいろな情勢の問題に触れてまいまして、その中に労務者の問題が出てまいりますので、私から御答弁申し上げたいと思いますが、確かに昨年末の日米安保協議委員会における協議、さらに三月三十日における一部修正ということによりまして、これが横須賀の市民のみならず、現地の従業員に対しまして非常に混乱を招いたということは事実でありまして、私どもたいへん遺憾に思っているわけでございます。そこで、われわれのほうも神奈川県あるいは労務管理事務所を通じまして、いろいろ情報を得るわけでございますが、確かに先生御指摘のようないろいろな情報がございます。そこで、これはやはり、米側の配置なりあるいは行動についての見通しが必ずしもはっきりしないというところからいろいろな憶測が生じてくるということでございますので、やはり基本的には、その辺の見通しというものをはっきりさせるということが一番大事だろうというふうに考えるわけでございます。また、労務者の方々の解雇なり、あるいはさらに募集という問題もございまして、そういう事実があるということも私ども承知をしておりまして、これも従業員の方々にはたいへん御迷惑をかけているのではないと考えておりますが、私どもも、できるだけそういう点ではやはり見通しをはっきりさせて、従業員の方々に不安動揺のないようにしなければならないというふうに考えております。  また、いまの円・ドル問題につきましても、これも変動相場制をとっておりますので、一応現在の従業員の給与は円建ての支給の制度でございますので、いまのところ格別それに対する影響というものは出ておりませんけれども、やはり今後アメリカの予算が窮屈になりますれば、そういう点でいろいろな面にはね返りがあるということもわれわれ推測できますので、十分その辺は関心を持って注目していきたい、かように考えておるわけでございます。
  68. 大出俊

    ○大出委員 私の言っているのは、片や横須賀にエンタープライズが入ってくるんだという現象が幾つか出ている。ワッペンの発注から始まって、舷材という例の舷側に佐世保で入れたときに用意したものなどまで持ち込んでいる。だから、入ってくるんじゃないかといううわさは、まさに充満している。そこに本年度だけで、昨年は九隻しか入ってきていなかったのに、十五、六隻も入ってきている。これからまだ入ってくる。こういう形になっている。そこで、そういう状態の中で千何百人かの人の首を切ってきたわけです。それを今度は再採用、こう言う。再採用をする。じゃ応じてみたって、現地の安定所、つまり職業を紹介する側が、さっぱりわけがわからぬところに紹介のしようがないと言って紹介を押えた。そうでしょう。今度は逆に、働いている人間が逃げようと思っても、これまたわからぬ。そこへ米軍はいろんな形で募集をしろと言ってくるという現象が起こっている。これを総合的にとらえたら、一体エンタープライズというのは入ってくるのかこないのか。こんなに艦船が一ぱい入ってくることはいまだかってない。原子力艦船のラッシュその他の艦船のラッシュ。これから年末まで、三十数隻、原子力艦船を含めて入ってくる。バー街が衣がえしてSSN歓迎なんという看板がやたら立ち始めている状態です。この状態を一体どういうふうに見たらいいのか。私は、エンタープライズだけの話をしてもしようがない、やたら艦船が入ってくる、これを含めて一体情勢をどう見るのか。広報官のラビングという中佐の方がショー・オブ・ザ・フラッグということばを使っている。艦隊の旗見せだというわけですね。さっきの誇示になるかもしれない。あるいはこれは、ニクソンドクトリンによるドル節約その他からいけば、動かぬで基地にじっとしていたら一番金がかからぬのだからそういうことになってきているのかどうかという問題もある。じゃ、先々一年ということになっているわけですから、佐世保に行くのか行かないのかという問題がある。当時の話はさっき私は注意しましたが、アメリカ議会で第七艦隊の基地が二つもあるのはおかしいじゃないかという質問が出た。ごもっともだ、じゃ一体どうするつもりだ、整理したい、アメリカ政府はそう答えていた。だとすると、一つにするのならということになって佐世保ということにおっかぶせた。二国間の話し合いの中で共同コミュニケでおっかぶせたけれども、第七艦隊はうんと言わない。居すわってしまった、一年間延ばした、こういうことになっている。延ばしたが、じゃ一年たったらどうなんだ、これははっきりしない、そういう状態がいま続いているわけでしょう。だから、もうこの辺でどういうことになるのかということぐらいは……。  それは米軍の機密に類することもありましょう。ありましょうが、現地の混乱というものを踏まえて、どうなんだということぐらいは出てこなければならぬ。だって、あそこにおられる方はやっぱり日本国民なんですから、迷惑千万だ、町の人たちを含めて。町の商店だって、日本人用の商店に切りかえた。日本の客も、聞いてみるとやってくるようになった。ところがまたやたら艦船ラッシュになった。せっかく日本人が来るようになったんだが、米兵も来てしまうものだから日本人が来ない。しようがないからまた看板を塗りかえて、また横文字を書いて商売のやり直し。そのたびに金をかけている。そういうことについて何ら責任を負わないということじゃ私は困ると思って、だからエンタープライズの問題から始めたのだけれども、全部ついでに言ったんだけれども、そういう混乱をした状態というものに対して回答を与えてもらいたい、どなたからでもいいですけれども、そう言っているわけですよ。少し無責任過ぎるじゃないですか。日本政府がないんならいいけれども、あるんだから……。
  69. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 本件について、外務省から外交折衝等を通して明確にされるなら明確にされるような答弁を求めます。
  70. 宮川渉

    宮川説明員 先ほど先生の御質問に対して私ちょっと申し上げたのでございますが、もちろんアメリカ側のプランというものもあると思います。同時に、しかしSRFは日本側に返す、日本側で今度はどうやってそれを運営していくか、こういう問題も密接に関係しているわけでございます。これにつきましては、どうも私ども外務省は、全くと言っていいか、ないわけでございまして、防衛庁その他の省庁、あるいは大蔵省でおきめいただきませんと、そしてこれがきまらないとまたアメリカとはっきりしない、こういう点があるかと思うのでさっき申し上げたわけであります。
  71. 大出俊

    ○大出委員 その点は、一から三までは海軍工廠にしようというわけだ。SRFの一船渠から三船渠まで、これは自衛隊の皆さんがやりたいというわけだ。そうでしょう。四、五は民有民営で住友にやろうというわけだ。六は残しておこう。エンタープライズが入ってくれば、六なら入れますね。戦艦武蔵とか大和をこしらえたんだから。ここらのところを一体皆さんのほうは、陰でいろいろな話をしておられてなかなか表に出そうとしないのだけれども、これはもう明確なんじゃないですか。それがはっきりしないとはっきりしない、とおっしゃっているのだから、はっきりしてください、そこのところを。一から三までは海上自衛隊なら自衛隊、昔の海軍工廠並みでいこう。四、五は住友に払い下げて民有民営でいこう。そうして一から三までは皆さんは予算も組んでおります。来年度予算で。そうでしょう。一から三までの来年度予算はここにちゃんと書いてある。ついでにという言い方はどうもしたくなかったのだけれども、ここにございますよ。皆さん予算を組んでいる。おまけに人まで組んである。百人。そうでしょう。鶴崎さん、あなたは認めているじゃないですか。あなたはいま頭を縦に振ったじゃないですか。それまでやっていて黙っている人間はないでしょう。宮川さんがはっきりしないとおっしゃるのだから、答えてください。予算を組んで出しているじゃないですか。
  72. 鶴崎敏

    ○鶴崎説明員 SRFの問題につきましては、ただいま御指摘のように、第一ドックから第三ドックにつきましては、来年度の概算要求でこれを自衛隊の施設として取得し運用したいということで、必要な予算要求をしております。それから四、五ドックにつきましては、これは国有のままでいこうということについては、これは防衛庁考え方として、以前本委員会においても御説明をしたわけでございますが、この取り扱いにつきましては、今後関係省庁間で協議を早急にすべきであるということで、防衛庁としても検討しておる、こういう状況でございます。
  73. 大出俊

    ○大出委員 一から三までは出てきましたが、予算を幾らお組みになっているのですか。ついでにちょっと答えておいてください。——そこから先は言わないのですか。
  74. 鶴崎敏

    ○鶴崎説明員 ただいまちょっと資料を持ってきておりませんので……。
  75. 大出俊

    ○大出委員 わかっておればいいです。ところで一から三までははっきりしたわけです。予算を組んでお出しになったのだから、防衛庁の意思は明確である。自衛隊がこれを保持する。私は海軍工廠と言ったから言い過ぎかもしれないけれども、昔はあそこにあったものですから、つい口に出た。それから四、五というのは、かつて鶴崎さんの答弁にありましたが、国有ということにすると国営というわけにはいかない。予算は一、二、三しか組んでいないのですから。そうすると、保持しよう、国が持っていようというわけですが、持っているだけでは済まない。持っている限りは何とかしなければならぬのです。  その場合に方法が二つある。民有民営でいくのか、国有民営でいくのか。ところが、国有民営といって、国が持っていて住友なら住友に貸してしまうと、既得権ができて払い下げろと言われてしまう。だから、それならば民有民営にしてしまったほうがいいのじゃないかという意見もある。いまの焦点はここのところなんです。民有民営といえば住友が払い下げを受けて買わなければならぬ。ほかにないんだから、間違いなく住友でしょう。だから住友の裏側にドックなんかを——第二組合をつくろうなんというので大騒ぎです。そうでしょう。四千名くらいの第二組合をこしらえて、第一組合は八百名しか残っていない。連日こうなっている。不当労働行為の花盛りです。私は、色に出にけりだが、そこまでやらぬでもいいと思うがやっている。それはそれとして労働省いないから……。しかし、もうすでにいままでの経過から見て、住友の金の関係もあるかもしれないが、国有で持っていて民営にしておこう、時過ぎに住友がうまく運営できるようになったら払い下げよう、それも一つの方法かもしれない。しかしそれはしょせん民有民営なんです。国有という形を当面とっておこうという形になるわけです。  だからそこらのところは、これまたいつまでもいいかげんにしないで、大体こういう考え方なら考え方だということを言っていただいて——六は本来、共同コミュニケの時代から手をつけられないのだから。六はアメリカなんだから。そうでしょう。そうすると、宮川さんが言っているように、事ははっきりする。そうすると人の問題もはっきりする。百しかこれは持っていけないかもしれない。百に予算を組んでいるけれども、住友といっても、これまた年齢の問題があるかもしれない。そこらは詰めてもらって、どうするという点をはっきりしてもらう。あそこに片がついて、六は取っておいて、こういうことになる。佐世保で募集しても集まらないんだから。そうすると、国有民営で四、五は使えるのだということになれば、契約の頭に条件を付してアメリカの艦船の修理ができるわけなんだから。そうだとすれば、アメリカの艦船は常時横須賀に入ってくる、どんどんふえるということです。おまけに、さっき久保防衛局長が言うように、ベトナム戦争も終局に近づいたかどうか知らぬけれども、そうすれば、後方関係の、さっき言ったラビング中佐がおっしゃっているように、旗見せという解釈だってできるのかもしれない。あそこはそういう基地になる。そうなればいにしえに帰っていく。早い話が横須賀は軍港都市ですよ。そのかわり佐世保は予備基地か何かになっていく。佐世保で修理するために人を集めても、三人しか集まらなくて現実にやめたんだから。そうなれば一年延期が一年延期ではない。これははっきりしている。そうなると基本的な方針ははっきりする。宮川さんが言うように、ここがはっきりしないと今日的現象というのは明らかにならぬ。いかがですか。そこはここまで言わせればいいじゃないですか。はっきり言ってください。
  76. 鶴崎敏

    ○鶴崎説明員 SRFにつきましては、先ほど外務省のほうから答弁がありましたように、来年の六月末までこの返還が延期されたということでございます。そこで私から、三については、先ほど申し上げましたように、来年度の概算要求を防衛庁として出しておる。ところが四、五については、具体的にどういうふうに運営するのかということについて関係省庁の間で方針がまだきまっていないということなものですから、先生お話しのように、労務者の今後の問題もございますので、これは早急に政府として方針をきめるべきであるということで現在検討しております。  そこで、国有民営あるいは民有民営、この二つの運用の方式でございますけれども、国の側としては、やはり民有民営の形にすると、たとえ払い下げのときに条件をいろいろつけましても、当初は守られても、長いうちにはそれがほごになるおそれがあるということで、やはり国有の形で存置したい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  77. 大出俊

    ○大出委員 わかりました。
  78. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 大出君、そろそろ質問のまとめを願います。
  79. 大出俊

    ○大出委員 この問題ははっきりしないと困る。横須賀のアメリカの第七艦隊の一年延期の問題もあわせて明らかにならぬ。何となれば、修理施設がはっきりしないから。それは当然なことです。だから、いまのお話のように、国有で持っていなければ民有民営で完全な民間会社になってしまうんだから。払い下げの条件をつけても、時過ぎれば米軍艦船の修理が優先だ。国有ということで、地主さまで持っていれば、その条件に従わざるを得ないだろう。そうでしょう。だから、それならそれでやはりはっきりしていただければ、賛否の議論は別としてものごとの筋道がはっきりする。反対なら反対で、また反対のやり方があるでしょう。市もあるわけですから。だからそこのところを、私ははっきりさせておいていただきたかったわけなんです。エンタープライズについては公式には何とも言ってきていない、非公式にもない、そういうことですね。もう一ぺんそこははっきりしておいてください。
  80. 宮川渉

    宮川説明員 そのとおりでございます。
  81. 大出俊

    ○大出委員 それでは、個条的に幾つか承りますから、お答えいただきたい。実は毎回まことに恐縮なんですが、施設庁長官にお見えいただいて沖繩の問題を幾つか承りたいと思っていたのですが、時間の関係もございますので、個条的に申し上げまして、あわせて承っておきたいのであります。  一つは、先ほどの質問で抜けておりますけれども、あわせて長官に承りたかったのですが、四次防の問題をめぐって、非常に金のかかる、六機ばかりのヘリコプターを搭載するヘリ空母二隻という計画がございます。それから例の104機の次代のF4Eファントムの機数なんかについても、五十四機途中からふえたわけでありますが、こういうふうな点について、世論もそうでありますけれども、この際、国内経済状況その他も考えて再検討する、そういうふうなところに手を加えていくということが、長官の写真が載っかっておって、長官が言ったかどうか知りませんけれども、新聞記事どもあった。したがって、国民が納得するという意味からすると、そういう意味の検討が、長官の真意があの新聞にあったようなことかどうか別として、私は当然今時点で考えられていいという気がするのですが、そこらのことはどういうようにお考えなのかという点です。
  82. 西村直己

    西村(直)国務大臣 ファントムとかヘリコプター搭載の護衛艦という問題ですが、これは具体的になりますので、まだ私からは、いまこれをどうするというあれはございません。ただ考え方としては、やはり国防といえども国民経済を無視したようなことは絶対しないでいきたい。しかし同時に、くどいようでございますが、これはやはり長期計画の中で進めたい、こういう考え方です。
  83. 大出俊

    ○大出委員 それから施設庁の長官に承りたいのですが、自衛隊を入れるというところが最近非常に方々に明らかになってきておるわけでありますが、富岡の倉庫地区、これは三分割案なるものが出ておるわけでありますけれども、この富岡の倉庫地区といろのは、杉田から横須賀に抜ける国道でございます。これは、大臣でも、あそこに行っていただくとわかりますけれども、とても動けた筋合いの国道じゃない。にっちもさっちもいかないところです。そういう地域に、しかも旧地主さんがまだおりまして、昔の軍隊時代に、聞いてみると、全く話にならぬ少額なる金で軍が買い取った土地なんですね、この十万坪からのところは。だから旧地主なんかも、これは施設庁の皆さんにはかって何べんも質問しておりますけれども、ここをせめて解除された以上は市民に返してやってくれというのが、旧地主さんのほとんどの考え方です。直接会って聞いております。そうして、近く町内の連合会全部が集まって、超党派的に各党全部集まって、公会堂を借りて住民大会を開いて、あそこに自衛隊の宿舎をつくるとか、皆さんは県でありませんから言うだけになりますが、県が機動隊の訓練所をつくるとかいうのではなしに、そっくりひとつ住民側に返してもらいたい。これは一党一派の問題ではなくて超党派的に、来月の五日の日だと思いますけれども、各連合町内会から何から全部集まって、そういう大会をやろうというところまで進んできております。したがいまして、こういうふうに地元があげて反対だというところにまで、しかもたいへん交通繁多なところにまで宿舎をおつくりにならぬでもいいのではないか。私はあえてこの点はそう思います。したがって、その辺について、この間、鐘江次長にお目にかかったときにそういうふうにお願いはしてありますけれども、その後どういうふうにお考えかという点。  それから、池子というところに弾薬庫がございまして、これも今日全く何にも使っていない。池子というのは、逗子、それから横浜の金沢区にまたがりますが、このところについてどういうふうに先行きお考えなのか。一部、陸上自衛隊を入れたいというお考えがあるように承っておりますから、そういう考え方があるならあるで——池子、例の有名な弾薬庫のあとであります。いまはもうほとんど中身はありません。また人もいない。こういう状態にいまなっておりますが、これは逗子、そして一部は金沢区にかかっている、こういうところでありますが、これは自然の緑地そのままに残っていて、多種多様な樹木があり、多種多様な鳥類がおるという特殊なところでありますが、ここに陸上自衛隊を入れるのか入れないのか。また、どういうふうに今後取り扱われていくのかという点。  それから岸根の兵舎地区、例のもとの陸軍病院、野戦病院ですね。閉鎖になってずいぶんになりますけれども、リロケートの話か何かあったようでありますが、いまだにはっきりしないように聞いておりますので、これもどうにか決着をつけていただかぬと困る。したがって、そこらを一体どういうふうにお考えかという点。  最後に、あらためてまた時間を見て承りますけれども、沖繩の軍用地問題に関して、私、実は具志川の役場に参りまして、天願なり安慶名地区なりの軍用地関係の地主さんが百四、五十人お集まりになりまして、ずいぶんこまかく承ってみたのでありますけれども、例の臨時土地調査その他に基づく所有権の確定が行なわれていない。この問題等について琉政とも話してみましたが、金がない。そうすると、日本の本土側が相当にやはり金は考えて——臨時土地調査等に基づく話し合いがもうついているところがたくさんあったり、特に基地の中については調査のしようがないという問題があったり、ひっかっておりますが、逐一場所を小字まで指摘してもいいのでありますけれども、時間がありませんから大ざっぱに申し上げますが、こういう問題をどういうふうにこれから防衛庁側は扱おうとなさるのかという点。  それから、宜野湾のところにキャンプ・ブーンというところがありますが、これは数年前に宜野湾の市議会できめて陳情に及んだところが、当時は返還がほぼ確定をしておるから、だからこの陳情は要らないというので撤回をした時期まであった。ところがその後、内海次官の名前で、ここは通信施設その他に非常に好適な場所だから、それをつくるから協力せいというのが、逆に回答の形でぶつかっているわけです。現地はたいへんな憤激のしようであります。だから、米軍の軍用地の再提供の問題も、自衛隊の土地取得の問題も、相当に大きな問題になりそうに思うのでありますが、たまたま長官が、この自衛隊の土地の取得についても、法的に新しく立法しなきゃならぬということになると思うのでありますけれども、たとえば土地使用に関する特別措置法なり暫定措置法なりという形のものは、自衛隊の場合でもお考えになるということになるとすると、これはたいへん事件です。あの地域の軍用地の地主さんのものの考え方等からいっても、これはたいへんなことになると思うのでありますが、どういうふうな立法をお考えになって自衛隊の土地取得をなさろうとするのか。そこのところは、ちょっとこまかい点まで触れていただきたいのであります。  以上であります。
  84. 島田豊

    ○島田説明員 私からお答えできる部分につきましてまずお答えいたしまして、その他の分については鶴崎参事官のほうから御説明いたしたいと思います。  まず、富岡の倉庫地区のあと地利用の問題でございますが、これは御承知のとおりに、昨年二月十七日に本施設の大部分が返還されました。土地が約三十一万平米、建物が七十棟。そこで、このあと地利用につきましては、御指摘のように、横浜市は市民公園としてお使いになりたい、海上自衛隊は宿舎として使いたい、神奈川県警は訓練所として使いたいという、三者の競願という形になっておりまして、これにつきましては、返還後の問題でございますので、目下、関東財務局並びに横浜市等の間におきまして、協議がなされておるということでございますが、自衛隊の宿舎の関係につきましては、鶴崎参事官から御説明いたしたいと思います。  それから、池子につきましては、先ほど陸上自衛隊がこれを使用するというお話でございましたけれども、そういう事実は全くございません。池子で問題になりますのは、現在管理地区がほとんどあいているわけでございます。そこで、この返還について米側と交渉をしてまいりましたが、その地区にあります建物の移設、つまり倉庫でありますとか、あるいは警備員の警備所でありますとか、そういうものの移設を条件にしまして、米側としては、この返還につきまして最終的に考慮しようということでございまして、いま最終的な調整の段階でございます。したがいまして、近く日米合同委員会で合意が得られるものと考えております。これは管理地区の返還の問題でございます。その他の弾薬庫地区につきましては、米海軍が引き続きこれを使用する、こういうことでございます。  それから岸根でございますが、これもしばしば御質問がございますが、昨年の六月末にこの病院の施設の機能が閉鎖されて今日に至っておりまして、私からもしばしばお答え申し上げておりますように、われわれのほうとしては、全面返還、無条件返還ということで極力折衝してまいりまして、今日までなおその解決を見ておらないことは非常に遺憾でございますけれども、これは再々施設部会の開かれるごとにこの問題を取り上げておりますので、近く施設部会を通じまして米側から何らかの回答が得られる、こういう見通しでございます。  それから沖繩の具志川の問題、これは私も事実関係を十分調査いたしておりませんが、御承知のとおりに、米側としましては、賃貸借契約を締結しようといたしまして、一部の地主から拒否されたままで、したがいまして、その地区につきまして土地の収用というのをあきらめまして、従来、賃貸借契約の成立しておった分も含めまして、部分的に返還する、こういうことになっておるわけでございます。その土地関係がきわめて複雑であるということで、自分が現在持っておる土地と、それからかつて所在しておった土地とが違うということがございまして、それを一つ一つどういうふうに解決していくかということが、これはきわめてむずかしい問題でございます。やはり地主間の相談なり、そして地主間においてその問題についての問題が残らないという状態において解決されるということが非常に望ましいわけでございまして、これにつきましては、今後土地調査等が進むにつれまして、この問題をさしあたりどうするのか、あるいは今後これを復帰後どうするかということにつきましては、これからの研究課題であろう、かように考えておるわけでございます。  キャンプ・ブーンにつきましては、鶴崎さんから御説明をいただきます。  それから、現在、沖繩の米軍に提供する施設並びに自衛隊が使用します施設につきましての使用権の取得というものは、きわめて重大な問題でございまして、私どもとしましては、あくまで地主との円満な合意、賃貸借契約ということがきわめて望ましいわけでございますので、いま借料を中心として、いろいろ地元の地主会の連合会の方々と鋭意折衝を進めておるところでございますが、一〇〇%の合意がなされるという確信が必ずしも持てませんので、どうしても一部に、いろいろな条件を提示いたしましてもなおかつ拒否するという場合も出てきましょうし、条件が合致しないということで拒否されるということも出てきましょうし、そういう場合には米側の使用継続あるいは自衛隊の配備というものができなくなるということで、これが返還協定の実施にも大きく響いてまいるきわめて重大な問題でございますので、やむを得ざる措置として一時的な暫定的な措置を講ぜざるを得ないということで、いまいろいろと検討いたしておるところでございます。  昨日、衆議院の沖繩特別委員会におきまして、自衛隊の使用という場合においても暫定措置を適用するのか、こういう御質問で、これにつきましては、事防衛に関する非常に重要な問題でございますし、自衛隊が米軍の施設を返還後引き継ぐということでございますので、これはやはり、どうしても合意が成立しないという場合につきましては、やむを得ざる措置でございますけれども、暫定使用という形をとらざるを得ないのではなかろうか、かように考えておるわけでございます。その具体的な法案の内容につきましては、まだ成案を得るに至っておりませんが、法制局とも十分相談をいたしまして、適正な法律案を作成するということにつとめてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  85. 鶴崎敏

    ○鶴崎説明員 まず富岡の問題でございますが、これは、京浜地区における海上自衛隊の官舎が非常に不足をしておるというようなことから、海上自衛隊としてこの地区に官舎を設けたい、こういう希望がございまして、関係者間でこれまで協議を進めてきていたわけでございますが、なかなか最終的な決着がつかないということでございます。われわれとしては、若干の譲歩は可能かと思いますけれども、やはりここに宿舎地区を設定するということにつきましては、今後とも協議を重ねて円満に実現をはかっていきたい、こういうふうに希望しておるわけでございます。  それから沖繩のキャンプ・ブーンの問題でございます。キャンプ・ブーンは現在米軍の基地でございますが、一部に海上自衛隊の受信施設をつくりたいという計画がございまして、六月末に安田審議官が現地に行きました際に、この受信施設をつくるかどうかについて現地調査をしたい、したがって、この調査をすることの了承と、それからもう一つは、もし調査の結果ここが適地であるということになった場合には、今後いろいろ市当局とも折衝することになるので、その節はよろしくお願いしたいという趣旨の次官名の文書を宜野湾市長にお渡ししたわけでございますが、実際に現地を調べました結果、立地条件その他から見てあまり適当でない、こういうことが判明いたしましたので、このキャンプ・ブーンにつきましては、海上自衛隊の受信施設をつくるという問題は解消した、こういう事態になっております。
  86. 大出俊

    ○大出委員 これで最後です。たいへん時間が過ぎて済みませんが、中断などもございましたから……。  三点だけ再質問させていただきたいのですが、一つは施設庁長官に承りますが、池子でございますが、管理地区だけ、たとえばその他の移転ができれば、こういうお話なんですが、本体の弾薬庫自体は——これはさっき申し上げましたが、つまり自衛隊をあすこに置くという計画は一切ない、こう確認していいのかどうかという点と、そうすると本体は何になるのかという点、ここのところをひとつ簡単でけっこうでございます。  それからもう一つ鶴崎さんのほうに、時間の節約の意味で簡単に承りますが、例の海上自衛隊の宿舎は何世帯分ぐらいおつくりになるおつもりで、そしていま多少の譲歩はやむを得ぬとしてもという譲歩というお話が出ましたが、それは一体どの辺までが譲歩でございますか。その辺を少し承っておきたい。  それから三点目は大臣に承りたいのですが、沖繩を私も時間かけて調べてまいりましたが、事自衛隊が使用するところを強制収用の形、つまり土地使用に関する暫定措置法みたいなものをあらためて御提案になるのだとすれば、それは国内法の手続からするならば、土地収用法の準用なり土地収用法に基づくという形にならざるを得ないわけで、これはたとえば小笠原返還協定にしてもそうでありまして、暫定措置法にいうところの土地使用というのが土地収用なんですね、その意味では。だからそうなればこれは強制収用でございまして、早い話が成田式なことになる。至るところそういうことになるのだということになると、これはたいへんなことになるわけでありますが、大臣として、ここのところは、事沖繩に関する限り、自衛隊が使用しようという土地を強制収用という形のことまで考え、ほんとうにその気なのかどうかという点、私もいささか驚いているわけでありますが、大臣それで済むかという点、たいへんたくさんあるわけでありまして、自衛隊がというところも、二4(b)を含めてたくさんありまして、そういうことになるとすると、これはえらい混乱が起こる。まさに火を見るよりも明らかでありますが、政治的にお考えになる立場でそこまで明言なされるのかどうか、そこのところを念のために承っておきたいのです。
  87. 島田豊

    ○島田説明員 池子弾薬庫の問題でございますが、現在、地元逗子市との話し合いで管理地区を返還する、こういうことで進めてまいっております。本体のほうは米海軍がこれを使用するということで、これは当分返還の見通しはないというような状況でございます。
  88. 鶴崎敏

    ○鶴崎説明員 富岡の問題につきましては、返還になった面積が全体で約三十一万平方メートルでございます。海上自衛隊としては、その約三分の一程度を宿舎用地として利用したい、こういうことを希望しておるわけでございますが、先ほどお話し申しました若干の譲歩といいますか、その点は具体的に、じゃどこまでだということまでは考えておりませんけれども、今後の交渉の経過を通じて、円満に話がつくならば若干の譲歩はやむを得ないという気持ちを御説明しただけでございます。
  89. 西村直己

    西村(直)国務大臣 自衛隊の使用する土地につきまして、できる限りそれは私は話し合いでいきたいし、話し合いも、特に賃貸料とかその他の諸条件で片づく場合は片づけたいという気持ちであります。ただ事柄が、やはりどうしても自衛隊の配備というものも、わがほうにおきましても、また条約の批准の過程におきましても、局地防衛の責任を果たすというような面からいきますと、最終的には、いわゆる話し合いを続けつつ、しかし復帰の日が来たときには暫定使用という——まあ、権力の発動はできるだけ少なくしたいけれども、法律的にせざるを得ないことになるのじゃないかと思いますが、目下検討中でございます。
  90. 大出俊

    ○大出委員 いまお話しの横浜の富岡なんかも、これは大臣同じことが言えるのでありますが、地元がどうしても反対だというのに、じゃ横浜なら横浜の場合には強制的にその土地を取得しようとなさるか。横浜なんかもそうするんだというなら話はまた別。でないのに、沖繩に関してはこれは強制収用をやるんだということになるとすると、これはそれだけでも——私は実は具志川周辺の軍用地地主の会長さんにも会ったり、平良栄さんという方ですが、声涙ともに下るたいへん長い、たいへん深刻な話を実は承りました。まさに何とも上を向いていられぬようなつらい話が出てまいりましたが、そういう地域に再び自衛隊を配置するという段階でこれを強制収用というところまで——憲法論その他云々は当面は申しませんが、そういうところまでこれは心情的に考えられる筋合いかどうかという点ですね。  これは、そういうお気持ちになってくるというと、ほかのほうもあぶなくなってきますからね。横浜のように、地元の連合町内会その他含めてみんな反対だといっても、何でもかんでもおやりになるときがあるのかないのか。沖繩の場合に、あれだけ苦労してきている方々が山ほどいるんだけれども、こと自衛隊がという、国家問の約束ごとがあってという話なら別ですけれども、そこまでのことをお考えになるのかどうかという点です。これはそうなると、事務的に取りきめたという合意書ですね。久保さんが判こを押しておられますけれども、あれもどうも返還協定の条件だったということにならざるを得ぬのですが、そこのところをひとつ分けてお話しいただきたい。
  91. 西村直己

    西村(直)国務大臣 もちろん、自衛隊の進出に基づく久保・カーチス協定といわれるものですね。これは本土でありますから、日本側が主体的に自衛隊を配備する、こういう精神のもとではありますが、同時にアメリカは、これは交渉の経過で、アメリカとしては返すにあたっては、共同声明に基づいてアジアの安全、局地の防衛日本がやる、こういう中から生まれてきておるわけであります。したがってアメリカの国会におきましても、自衛隊の最小限度の配備というものに対してはやはり強い関心と強い期待を持っておる、こう考えるべきだと思います。率直に申しますれば、われわれのほうにもそういう意味の道義的な責任はあるだろう。そういう中においてできる限りわれわれは、最小限のものが出ていくんだから、沖繩サイドの条件等は十分に勘案する。お話し合いを続けます。しかしお話し合いが時間切れになって、そこに穴があくというような状態は好ましくないので、これはそういうような立法の措置をやはりとらざるを得ないのではないか、こういう考え方でございます。
  92. 大出俊

    ○大出委員 わかりました。そうすると、くどいようですけれども、一番最後に鶴崎さん、さっきの件だけ。  横浜のような場合にはどうするか。強制的にでもおやりになる気があるかという点、これは承っておきたいのですが、その前にもう一ぺん大臣に重ねて承りたいのです。  そうすると、久保・カーチス合意書というものは、沖繩対策特別委員会で楢崎君が中曽根長官を詰めた点があるのですが、あの時点では、あくまでもこれは返還協定とは別個である、こう答えていた。いまのお話だと、久保・カーチス合意書というのは交渉の経過から見て、日本側の責任である、したがって当然これは日本側の責任において自衛隊の配備計画というものはそのとおり行なう、行なわなければならぬ、こういう、判こをついた以上はたいへんな義務づけがあるんだとなると、まさに返還協定と一緒なのか、あるいは紙一重なのかという違いはあるにしても、そういう受け取り方にならざるを得ないのです。そういう、これは返還協定とほとんど同じだという立場考える、だから沖繩の場合の自衛隊の土地取得は強制的に取得するという場合が当然出てくる。久保・カーチス合意書というものは、話がつかなければやむを得ぬ、そういう性格のものだ。そこのところを私ははっきりしておいていただきたい、たいへん重要な問題です、これは。
  93. 西村直己

    西村(直)国務大臣 私の申し上げていることは前から一貫しておると思うのであります。久保・カーチス協定よりは、自衛隊の配備というものは本来日本が主体的に判断する、主体的に行なうべきものであります。しかし、事柄を円滑に運ぶには、当然ここに協定というか、打ち合わせ、取りきめがあってもこれはいいでしょう。しかし同時に、沖繩交渉というものをずっと経過的に見ますと、やはりあちらのサイドにも、アジアの安全なり沖繩において日本が局地防衛をするであろうという中で返してきている。だから向こう側としては強い関心、強い期待を待つ。したがってわれわれのほうとしても、お互い同士が批准書の交換をし、できるだけ円満にやるという意味から、私としては、やはりできる限り自衛隊の最小限の配備をしたい。それに対していまできるだけ話し合いで努力をしたいが、しかしどうしても話し合いがつかないで時間切れになるような場合が想定される部分においては、所有権をとるのではない、暫定使用をさしていただくということにならざるを得ないのではないか、こういう考えのもとに、ただいま法案が政府の中で検討されている、こういう段階でございます。
  94. 鶴崎敏

    ○鶴崎説明員 富岡につきましては、返還になりました土地は国有地でございますので、大蔵省の理財局がその利用計画につきましては最終的な決定権を持っているということでございますが、その前に、現在、当事者間で話し合いをしておるということでございますので、強制的とかというような問題ではないと存じます。
  95. 大出俊

    ○大出委員 大臣、これは、そういうお話だとすると、久保・カーチス合意書というのは返還協定の一部であった、ただ政治的に時の政治情勢から見て切り離した、こう受け取らざるを得ぬのです。これは私は、それこそ沖繩全体がひっくり返るような騒ぎになりかねない要素だと思うのですが、そういう意味でできれば御再考願いたいということだけ一方的に申し上げて、この問題は大きな問題ですから、あとに譲ります。
  96. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 和田耕作君。
  97. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 公明党の伊藤さんの質問の時間ですけれども、お願いをして先に、ごく短時間で長官にお伺いしたいと思います。  長官、七月十六日のニクソン声明、八月十五日のドル防衛、いずれも日本防衛基本方針について大きな影響を持つものだと思います。そこでお伺いしたいのですけれどもニクソンさんが北京に行くということに対して、佐藤総理大臣は、これは極東の緊張緩和だから歓迎すべきことであるという談話を発表しておられましたが、いまでもそのような御判断をしておられますか。
  98. 西村直己

    西村(直)国務大臣 私も同じように、日中の緩和の糸口としてはけっこうなこと、歓迎すべきことだと思います。
  99. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 かりに今度ニクソンさんが北京に行きまして、ちょうど鳩山内閣のときの鳩山さんがソ連に行って日ソ共同宣言を発表されたように、今度はニクソンさんが北京で米中平和宣言のようなものを発せられたとしますと——そういうものでなくとも、大統領の現職が行くのですから相当大きな重要なことですが、そういう状態になったとすると、この緊張緩和の状態は、四次防を中心とした日本防衛計画に対して、縮小する方向で検討するような状況が出ると思うのですけれども、その見通しはどういうふうに考えておられますか。
  100. 西村直己

    西村(直)国務大臣 この点は先ほど大出議員に申し上げたような考えであります。まあこれは、ニクソン氏と中国の元首とがお会いになる、世界的に大きなできごとでもありましょう。また歓迎すべきことでもありましょう。しかし、それ自体がどういうふうな形での内容になるかということは、これは推測にすぎません。人によっては、会うこと自体に意味があるんだ——しかもアジアの具体的問題等についてお触れになるのか触れないのか、そういうようなことをなかなかわれわれは簡単に推測できるわけではない。しかし、一方においてアジアの安全、特に日本は自衛でありますから、日本の国土の防衛、平和というものを考えた場合に、それはそれなりですなおには受けとめていきますが、同時に、さっき申し上げましたように、自衛隊というものはなるほど二十年の歳月を経ておりますけれども、ほんとうに警察予備隊というゼロから発足した。そして国土自体を守るという中で、警察力的なものから漸次防衛的なものに移行し基幹をつくり、その基幹においてもまだ足りないものもあったのを伸ばし、そして徐々に強化してきた。ただ、めどは国際情勢に長期見通しを置いてあるでありましょうけれどもニクソンと中国の元首とがお会いになること自体で、いまの四次防の考え方を変えるということは、私は必要ではないんじゃないかと思う。しかし同時に他の、また御存じのとおり、ドル・ショックという、日米間あるいは世界的な大きな影響もあります。こういうものもまた当然四次防にも反映してまいるでありましょう。  率直に申しますと、国民負担において四次防というものが完成されるのですから、このほうがより現実的、直接的だ、これはある意味においては防衛についても言えると思います。ですからそういう面は弾力的に受ける。そうすると、それによって四次防というものがスローダウンをしていく。国際緊張緩和と四次防の計画とは、率直に申せば、ちょうど私ども政府立場からは平仄も合い得る、こういうふうな考え方で四次防の扱いを御説明申し上げた次第であります。
  101. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私も、ニクソンさんが北京に行くことが一挙に緊張緩和になるかどうかということについても、まだはっきりそうだとは申されないという感じを持っておりますけれども、いまことでお伺いしておりますのは、緊張緩和の方向に向かった、そして米中が平和宣言のような何らかの形の宣言をするという事情が出てこないとも限らない。その可能性だって非常に強い。そうなりますと、四次防を拡張する方向を縮小する方向へという圧力は国内からも非常に強く出てくる。また、経済的な問題からいっても、いまスローダウンとおっしゃったのですけれども、当面四次防のスローダウンの傾向も強まってくる。つまり緊張緩和ということが出てくる。ドル・ショックで日本国際経済問題が出てくるという二つの条件を考えた場合に、四次防はスローダウンするだろうということははっきり言えますね。
  102. 西村直己

    西村(直)国務大臣 なぜ四次防なり三次防なりをつくるか。これは先生御存じのとおり、防衛というのは蓄積を徐々にしていく、艦艇一つでも数年の継続費でやらしていただいておる、そういうものでありますから、そういう、ある時点あるいは半年ぐらいの情勢だけであまり判断してもいけない、こういう要素もあります。一方、確かに米中緩和というのは歓迎すべきことではありますが、同時にアジアにおいては、それとはまた、からまっているような、からまらぬような複雑なものが出るのであります。私、さっき触れましたけれども、インドとソ連との提携ということ。また愛知外務大臣も、国連の代表権について、もし間違うと台湾においての緊張を激化するというような表現を使っておりますが、これはいい悪いは別としまして、いろいろな要素というものを含めながら、しかも自衛力でありますから、国内からゼロから出発して積み上げてきたものにはまだ非常に足りないものがある、それを伸ばしていく努力というのは続けてもいいのじゃないか、私はこういう考えの中で四次防というものをやっていきたい。しかし結局は国民負担にかかるものでありますから、国民経済の運行をながめつつ、他の諸施策を十分ながめつつ、最終的にワク組みなどは決定さるべきじゃないか、こう考えております。
  103. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いまのスローダウンということばはよろしゅうございますね。
  104. 西村直己

    西村(直)国務大臣 スローダウンという考え方が的確であるかどうかはわかりませんけれども、そういう気持ちというものは、おのずから緊張緩和と平仄が合うと私は考えております。
  105. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 そこでもう一つの要素をお伺いしたいのです。確かに米中関係というものはなかなか予断を許さない状況にあると思います。思いますけれども、今度のドル・ショックを中心にして、日本の経済的な困難というものを背景にして、アメリカ頼むに足らずという空気が非常に強く出てきておりますね。いままで、経済的に困ればアメリカに何か頼んでいけば、交渉すればアメリカが援助してくれたという状況のもとで戦後やってきたけれども、今後は、経済的な困難があっても、アメリカに頼んでいっても何ら得るところはない、逆に負担をおっつけられるという状況になってきておる。防衛の問題でも、日本の安全保障の根本の問題についていろいろ問題があった場合に、今後、アメリカさん何とかと言っても、そういうことを言うということで日本の安全保障の問題を考えることはできないというような状況が、精神的にも生まれつつあるという事実があると思うのですね。つまりこのことは、日本防衛についての自主防衛という考え方を、従来とはかなりたちの違った形で強化されていくという雰囲気があると思うのですけれども、この問題については長官はどのようにお考えになっていますか。
  106. 西村直己

    西村(直)国務大臣 まあ、それが皆さんを含めて、政治家の非常に大きな、気をつけなければならぬ問題だと思うのです。ややもすると、自主防衛が単独防衛あるいは核武装論が飛び出す。言いかえれば裏に偏狭なナショナリズム、こういうものがあってはならないと私は思う。  そこで、経済関係では日米間の激しい競争状態にいま入っております。これはお互いが世界的規模で努力をしなければならない。しかしアジアの平和を守るという一点について、具体的には日米安保体制についてはそれはゆらいでない。言いかえれば、その点についてはお互いに信頼し合っていける。ただ、その間に経済の問題、言いかえれば防衛のお金を出してもらいたいとか、防衛だけではないけれども日本負担をふやしてもらいたいというような交渉は、私は問題を、安保自体の問題ではなくて経済の問題として取り上げていったほうがいいんじゃないか、こういう考えであります。
  107. 西村直己

    西村(直)国務大臣 私の説明が御納得いただけるかどうかでありますが、日本自体は、自衛力でありますから、あくまでも自主的に判断をして増強をしてまいる、私はそういう観点考えなければならぬと思う。一方安保条約というものがあります。しかし安保条約も、従来のような形での具体的行動というものは、アメリカの財政その他からこれを効率化していこうという動きはあった。これがニクソン・ドクトリンの一部にもなってきている。しかしわれわれのほうは、根本は自衛力でありますから、そこのかみ合う部分にできるだけお互いが努力はし合っていきますが、じゃ向こうのほうの力にたよらずというわけにもいかぬのです。  ただ、一番基本は核の問題でございましょう。核抑止力、それから長期にわたるいろいろな紛争に、日本が万一巻き込まれたり何かする場合における援護というようなものも考えられましょう。まあ直接の侵略であるとかそういうようなものについては、それこそ国力、国情に合わして日本は足りないものをある程度補強をしていく努力はしていかなければならない。これは必要じゃないか。だから日本国民経済が不況下だからやめるとは簡単に言えない。不況の中でも国民経済と平仄を合わせていく。したがって四次防というものを運用していく場合にも、その不況度が強ければ単年度においては多少セーブされるものがありましょう。しかしこの五年間のこれからの日本経済の見通しというものは、まだまだこれからいろいろな考え方が出てくるのではないかと思うのであります。
  108. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私、伊藤君とお約束した時間がもう間もなく来ますので、端的に申し上げたいのですけれども、申し上げたい点は、つまりニクソン訪中という問題をめぐっていろいろな観測がありますけれども、緊張緩和という状況が出てくる。この緊張緩和というものは、スローダウンという経済的な問題と重なって、日本の四次防を中心とした防衛力に対してこれを軽減するような方向に働く。これは事実だと思いますね。と同時に、日本のもうアメリカ頼むに足らずという感じは確かに出てきておるという面から見れば、これは防衛力を強化する方向に動いてくる。この二つの問題は容易ならぬ問題なんですね。こういう意味において、長官がいろいろ御答弁になっているような問題とは別に、日本防衛基本的な問題について検討をする、見通しを立てる以外に、この二つの非常に重大な問題に対してこたえることはできない、こういう状態がいまあると思うのです、どのような今後の見通しに立つかということをいろいろ考え合わせてみても。  そういうことで、この四次防の再検討云々の問題は、長官立場としてなかなか申しにくいことだと思いますけれども、内容的には再検討にならざるを得ない、つまり検討せざるを得ないわけです。片一方では縮小する方向が働く、片一方では何とか自分でやっていかなければならぬという方向が出てくるわけですから、こういう要素を長官としてしっかり真剣につかまえて、いままでも、こういう問題についてのシビリアンコントロールという一つ意見がありましたけれども、そういうものを含めて、国防会議のようなものを、いまのようなものを検討できるような形で、日本の国防の基本方針から四次防にわたる問題について検討をする必要があるのじゃないか、そういうふうに私は思うのですけれども、そういう必要があるかどうかわからぬとお思いになるか、あるいは現在のスタッフのままでやっていけるとお思いになるのか、その問題についてお伺いしたいと思います。
  109. 西村直己

    西村(直)国務大臣 それは非常に大事な問題であると同時に、私は簡単に結論が得られる問題ではないと思います。非常に流動しやすい内外情勢の中で、しかし同時に、防衛というものは日に日に努力をしていかなければならぬし、そういう一方において自分自体で自主防衛努力をしよう。しかしそれに対して緊張緩和という二律背反的な中でいきます。しかし同時に、私が申し上げますように、日米間の友好、その中においての基本的なわれわれの面における安全保障、これはやはりゆらいでない。こういう中でありますと、当面は、いま言ったようなわれわれのスタッフ、または国防会議のスタッフ、外務省を含めた政府のいろいろなスタッフ、そういうものの中で検討していって、私は特にここで急激に新しい機構、新しいスタッフを入れるということは必要ないというふうに考えております。ただし、こういう事柄は大事でありますから、やはり大局をよくにらみ、国民に対して、後日たいへん誤っておったというようなことを行ないますと、これは単に普通の行政が誤ったとは違った影響を与えますから、十分慎重に、私らはいまのような御意見を体してやってまいりたい、こう考えております。
  110. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 もう時間もありませんけれども、先ほどの防衛分担金の問題とアメリカから兵器を買うという問題がある。この二つの問題について長官は、できることなら買ってあげたいというような感じを持っておられるような感じがするのですけれども、たとえばこういう問題は一方で、できるだけ日本でつくるという方針を持つということでもあるわけです。それから防衛分担金の問題を緩和してくれれば買ってあげてもいいというような商売人みたいな感じもあるのですが、そういう感じを含めて、これは単に、アメリカドルがほしいから、分担金を少しまけてくれれば飛行機の相当部分を買いましょうなんて問題じゃないと思うのです。しかし現在のままでいけば、そういうふうに問題がすりかえられていく問題になるということですね。  そういうようなことで、ここらあたりで長官は、日本の安全保障の問題に対して、最小限の自衛措置、これは私も必要だと思いますけれども、最小限度の自衛力というものをどのような形で持つべきかということについて、いまの四次防の再検討も必要だし——自主防衛といったって、防衛を拡大するといっても、いままでの冷戦構造のもとで拡大していくのと、あるいは米中和解の状態のもとで拡大していくのと、具体的に変わってくるでしょう。そういうような問題を含めて、もっとこういう問題が検討できる機関なりというものを、国会との関係においてあるいは閣内で考えていく、そういう構想を持っていく。あるいはそれと実際上同じようなものを現に動かしていくということが必要だと私は思うのです。その点について長官の今後の御決意をお伺いして質問を終わりたいと思います。
  111. 西村直己

    西村(直)国務大臣 私もそういう御意見をそれぞれ持っておられる方々も相当知っております。またそういう御意見一つの御意見であろうと思います。しかしこれは、ただそういう機構をつくって、あるいは機構を改変してやっていくよりは、もっと実質的に検討と申しますか、大局から見た意見というものを十分練り上げることの努力がまず先にいかなければいけないのじゃないか。と同時に、自衛力のあり方、こういうものについても、それは時代とともに——私は国民自衛隊というのは、国民の背景のない自衛力というのは、いかに伸びても必ずしも力が発揮できない。また同時に、自衛力というのは、他の安全保障施策である外交とか経済協力とかいう中へはめ込んでいって初めて抑止力として完全であるというよ、うな、こういうような幅の広い中での自衛力というものの位置づけをしっかりやっていかなければならぬ。それは機関がございます。われわれのほうにも、防衛研修所とかいろいろ長期にわたってのそういう検討の機関もあります。また、それぞれの外務省その他含めましての政府の機関にもあります。ですから、さしあたり私はいま構想をすぐどうという決意はございません。また私は一長官として、ここで何をつくるんだとぱっと言ったところで一瞬のあれになりますから、もう少しそういう問題は長期にわたって考えるべきである。しかしそういう気持ちで努力はしなければならぬということだけははっきり申し上げておきます。
  112. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私がそういうことを特に申し上げるのは、この重大な時期に佐藤内閣は総辞職するかもわかりません。もちろんそれは総辞職するとは言いきれませんけれども、かもわからない。そういう重要な要素を持っておるときこの重要な問題に直面をしておるということであって、その内閣の中のということよりも、いまのそういう基本的な問題を考える、国民のいろいろな形の意見を盛り込むような組織という意味なんですけれども、これはまたあとからいろいろ個人的にも申し上げたいと思いますけれども、そういう重要な局面で政治の主体がかわろうとしておる。しかもその状態は待ってはいないというような問題ですから、長官もその問題について、そろそろ一党一派を離れて御検討いただきたい。むろん国会の意見をどういうふうに吸い上げていくかということが中心の一つの問題になりましょうが、民間のそういう関係の専門家が意見国防会議的なものにどういうように発言していくかということもありましょう。そういう問題を考えないと、責任のある日本の安全保障という問題を考えることはできないのではないか、こういうように思いますので、その点を要望いたしまして、私の質問を終わります。
  113. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 伊藤惣助丸君。
  114. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 いままで同僚委員からいろいろ質問がございましたが、私も角度を変えて防衛庁長官にいろいろ質問したいと思います。  初めに国防の基本方針ですが、この基本方針がきわめて大事であることは言うまでもないことでありますが、私たちは、前の中曽根防衛庁長官の当時、国防の基本方針は改定する、こういう話がありました。ところが増原前防衛庁長官になりましたときには、国防の基本方針は変えない、こういうことできたわけであります。そこで西村防衛庁長官に伺いたいのですが、西村防衛庁長官は、いままでの国防の基本方針、四項目ございますけれども、この国防の基本方針についてはどのような見解なのか、まず初めに伺いたいと思います。
  115. 西村直己

    西村(直)国務大臣 かつて国防基本方針を変えるという考え方も一時流れましたが、私どもといたしまして、また私を含めた政府といたしまして、総理大臣を含めて、国防基本方針は現在変える意思はないわけでございます。
  116. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 たしか報道では、この問題については、官房長官並びに防衛庁長官、あるいはまた総理府長官ですか、事務次官レベルで検討しているということであったわけでありますが、その後の経過はどうなっておるのか。そしていま長官が変えないと言う理由はどこにあるのか。
  117. 西村直己

    西村(直)国務大臣 私は検討されたとまでは聞いておりません。ただ、そういうお話が一時出たということは、これは新聞紙上等で見ております。そこでこれを、国防基本方針について変えるという一つ観点に立つこともできるでしょう。しかし私は、これは単に個人じゃなくて、防衛庁長官、また総理大臣自体も、かつて昨年私が党にありまして、国防基本方針は、ただ一つの内閣でぱっと簡単に変えても、長い拘束力を持つのだから、変えるような場合には慎重に扱ってもらいたい。その際の御答弁は、検討するにしても慎重に慎重を期します。その後におきまして、今日の段階において、前増原長官、また総理を含めて私ども、現在の段階において、国防基本方針というものは、非常に練って、そして長期にわたる一つ考え方を持っておるから、私どもは、これは変える必要はないじゃないか、現在こういう考え方であります。
  118. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私は、この国防の基本方針にしても、第四次防衛力整備計画というより、新防衛力整備計画と言っておるようでありますが、昨年中曽根防衛庁長官は、たいへん将来にわたって一つ防衛構想を次々と打ち出したわけであります。ところが増原防衛庁長官はそれを否定しておる。また現在の西村防衛庁長官も、堅持すると言っておりますけれども、昨年一月の総理の施政方針演説の中では明確に、安保は補完とするということを述べておるわけであります。ですから、当然それを受けて中曽根長官も発言したものだと私たちは考えておったわけであります。ところが、前回の自衛隊機墜落事件の責任をとってやめられた増原防衛庁長官が、いとも簡単にまた考えを前に戻して、変えない。さらに、こまかいことでありますけれども一つのことをきめても、防衛庁長官がかわればその発言はそれまでなんだ、新しい防衛庁長官が言うことが正確なんだというような、そういう雰囲気も防衛庁内に実はあるわけであります。  そこで、私は一番心配をいたしますのは、その大事な国防の基本方針というものが、大臣がかわられるたびにいいかげんなことを言われて、しかも五年も先あるいは十年も先のことまで言われて、それが防衛庁長官がかわるたびに変わるなんということがあったのでは、私はこれはたいへんな問題だと思うのですよ。ですから、今回変わらないという理由については、事務次官のレベルで検討しておったはずなんですから、どういう結果になっておったのか。また、現状において長官が変わらないと言うならば、じゃ変わらない国際関係とか、あるいは国力、国情というものはそういうような固定した状態になってきておるのか。そこら辺の長官の見解についても明確に承っておきたいと思うわけであります。
  119. 西村直己

    西村(直)国務大臣 私は防衛庁長官でありますが、防衛庁長官だけではなくて、総理大臣を含めてと私が申し上げているのはそれなんであります。政府全体としていま国防の基本方針は変える意思はございません。ですから、これは内閣がかわればまた別だ、こうおっしゃるかもしれませんが、少なくとも、単に一省の長官ではなくて、政府として、政治として、国防の基本方針は変えないでいこうじゃないか、こういう考えであります。
  120. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それでは簡単に申し上げますが、昨年の一月の施政方針演説の中で、安保は補完とする、こういう発言がありました。御存じだと思います。それは変えないということは、この基本方針にありますところの「米国との安全保障体制を基調として」、こういうことが非常に問題になるわけであります。じゃ総理が言ったことはうそだったのか。その点はいかがですか。だからこそ事務次官レベルで調整をするということになったわけですよ。
  121. 西村直己

    西村(直)国務大臣 総理の昨年の施政方針演説は、私、手元にありませんから、どういう表現を使ったか知りませんが、少なくともここでは安保を基調として——補完と基調がどう違うかという議論は確かにあるでしょう。しかし、基調という意味も、それが一つの大きなささえになっているという意味では、必ずしも補完ということばとぶつからない。それからもう一つは、当時言われたのは、それ以上に非核原則をどうするとか、あるいは憲法に従うとか、シビリアンコントロールでいけるとか、こういうような論として私は拝見をしておったのであります。しかし当時でも、政府自民党合わせて、国防の基本方針を変えるという意見には立っておりませんし、したがって私は、増原長官のあとを受けまして、総理を含めて、いまの政府の国防の基本方針を現在変えるという考えはないということを、はっきりこの席を通しても申し上げる次第であります。
  122. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 そうしますと、総理、総理とおっしゃいますが、補完と基調ではそんなに変わらぬということですか。それで官房長、聞きたいのですが、官房長は、当時去年の一月はやはり官房長でしたね。あなたはよく知っておると思うのですが、事務次官レベルでこの問題については検討する、中曽根防衛庁長官が国防の基本方針を変えるとはっきり明言されましたね。その変えるということについても、当時もう新聞報道で、国力、国情をとるとかとらないとか、あるいは安保体制を補完にするとかしないとかいうことが議論になったわけですよ。そこで、それを調整するために事務次官レベルでの会議があったわけですね。あれはあのまま立ち消えになったのか。また、立ち消えになったとするならば、たいへんいいかげんな検討じゃないかと思うのですが、その点どのような経過をたどってきたのか。
  123. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 お話しのように、中曽根長官時代に中曽根五原則というものを言われまして、国防の基本方針も変えたいという意向は表明しておられました。国会でも答弁されましたし、われわれにもその構想は述べておられました。したがいまして、いまお話しのように、事務次官以下、その中曽根長官の構想を体していろいろ研究はいたしました。しかし、先ほど大臣のお答えのように、政府レベルとしてはその構想は現実の案にはなっておりません。中曽根長官の構想にとどまったわけでございます。官房長官あたりと中曽根長官はいろいろ御自分の構想を折衝されたと思いますけれども、しかし政府案までには上がらなかったというのが現実でございます。次官以下われわれも承知はいたしておりますけれども、具体的な案をつくるために会議を持ったというようなことではございませんで、構想をいろいろ連絡したという程度にとどまったわけでございます。
  124. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 そうしますと、自主防衛原則というもの、あるいは四次防を策定するということ、あるいは「日本防衛」を総論として、各論を今度はことしの秋とか来年早々に出すというような、いろいろな防衛構想についての考え方は、ただ単なる中曽根構想としてあのとき掲げたものであって、いまは全然違った、こういうことになるわけですか。
  125. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 そう申したわけではございませんで、国防の基本方針を改定するという具体的なお尋ねに対しまして、中曽根構想はございましたということを申し上げた。その構想自身は、国防の基本方針を変えるという中曽根構想は、中曽根構想にとどまりまして、政府構想には上がらなかったということでございます。ただ、その中曽根長官のお考えに基づいて四次防の体系がきめられたり防衛白書等が現実につくられました。これは防衛白書等にもそういう構想の一端は述べておられますが、これは具体的な案ではございませんで、いろいろな考えを述べましたのが白書でございますから、その白書自身は閣議等に報告もされて、全体としては了承されましたものでございますけれども、構想は基本方針の改定というところまではいかなかったというのが現実でございます。
  126. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 その辺を明確に伺っておきたいのですが、われわれの質問に対していろいろと前向きでそれなりの答弁を中曽根さんはしたわけですね。それで、自主防衛原則、みずからの国はみずからで——そんなことは当然前から総理が言っておられましたけれども、いままで言ったことを認めて、またそれ自体が今度の「日本防衛」に入っているわけですよ。それで各論を出していくのだということまで国会で明確に答弁したわけです。そのことがただ単なる構想だなんて言って、その構想を実行するかしないかは全く新しい防衛長官によるのだということになりますと——そういうことであればこちらもまた考えがあるわけですが、そうなりますと、その点はやはりそういうような構想にとどまったのみであって、すべて、四次防についても、国防の基本方針についても、新防衛長官のもとで新しい構想がまた出てくるということになるわけですか。
  127. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 繰り返すようでございますが、基本方針を改定されるということは、構想にとどまったということでございます。その中曽根長官のお考えに基づいて、あるいは歴代長官のお考えに基づいて四次防の原案がつくられましたが、この四次防原案というものは、防衛庁の構想でなくて防衛庁の案でございますので、新しい増原長官にしろ西村長官にしろ、その原案防衛庁がつくったものとして継続されているというふうにわれわれは承知いたしております。
  128. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 そこが問題だと思うのです。要するに、都合のいいところは原案として出して、都合の悪いところはそのまま引っ込めちゃって、あれは構想だったということに聞こえるわけですよ。そうしますと、私から言わせれば、自主防衛原則あるいは国防の基本方針を改定するという構想にのっとってまず基本方針をきめる、それから四次防を策定する、それから次にはその四次防の第一年度の概算要求をする、こういう一つのコースがあったわけです。これはだれが聞いても当然ですよ。ところが、現在いまだに四次防というものは決定されてないわけです。しかしながら、来年度の予算の要望についてはもう出てしまっているわけですよ。それはどこまでも中曽根構想に基づいて、新防衛力整備計画である、四次防ではない、新防衛力整備計画とは何だ、十年計画である、こういうことですよね。十年計画で出て、しかもそれが防衛庁原案で出ているということになりますと、中曽根長官が言ったその構想は構想として、それは構想だったのだ、しかしその中の一部だけを用いて、それが来年度の予算要求に出てきている、これはもう防衛庁原案なんだということです。で、私が言いたいことは、中曽根さんのいろいろな発言をどこまでも構想とするならば、それはそれでけっこうです。であるならば、新しい防衛庁長官は新しい防衛構想を打ち出すべきです。そして防衛庁長官は、四次防とか五年間で区切るのじゃなくて、十年間という長期目標でやったのだということですよ。そしてまたそれを否定するなら、もう一回やり直すことは理屈からいってもあたりまえじゃないですか。その点いかがですか。
  129. 西村直己

    西村(直)国務大臣 国防の基本方針というものは、単に一人の長官が構想を持たれたからといってきまるものではない。これは御存じのとおり、そのために国防会議もあり、防衛庁長官には最高指揮官の総理大臣もおりますし、また関係する大臣がたくさんあるわけです。特に外務大臣などは非常に深い。そういう中でお受けとめいただかないと……。防衛庁基本方針ではない、国防の基本方針、こういうことでひとつお考えをいただきたい。  それから四次防は、ただ中曽根君のお立場でつくったのではありません。これもやはりその前の有田長官の時代にも非常に練られたもので、長期にわたって練られてきて、今日の一応の原案、しかし情勢の変化があるから、またその情勢を現時点において織り込みつつということで事を運んでいる、こういうことで御理解をいただきたいのであります。
  130. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 言いたいことたくさんありますけれどもね。先ほどの発言で八月三十一日で予算要求をどうしてもしなければならなかったから、来年度概算要求は出したというような話もありましたけれども、私は四次防を策定するにあたっては、やはり国防の基本方針は変わらない——われわれはいろいろな見解ありますけれども、それを述べますと時間がかかりますから申し上げません。皆さん方のサイドに立っていろいろ申し上げますけれども、百歩譲って基本方針が変わらないということでいくならば、今度は、中曽根さんじゃないけれども、やはり防衛に関する一つの何らかの構想をさらに明確に打ち出してやられるべきではないか、それが筋ではないかと思うのです。そこで、この四次防について現在大蔵省とか関係各省と折衝中であるというふうにおっしゃっておりますけれども、この四次防をいつごろまでに正式に閣議決定する予定なのか、そこら辺を伺いたい。
  131. 西村直己

    西村(直)国務大臣 これは私の長官としての立場からの答弁を申し上げます。先ほどのように、これ、私が言ったことが政府全体と思っていただいては困ります。私は要求の立場であります。そういう中において、私としては、少なくとも来年度予算に相前後して最終決定を四次防はいたしたい、こういう考えであります。来年度予算は、いずれ年末になりますか、一応成立する。その相前後に四次防は決定してもらいたいという防衛庁長官としての立場考えております。
  132. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 そうしますと、この四次防というのは、先ほどもお話ありましたように、五年間で五兆八千億円くらい使う。そして一年間の伸び率が一八・八%である。今回、防衛庁が予算要望しております初年度の概算要求というのは、八千二百二十六億円ですか、という金額だと思いますが、これは今年度から比べますと、二二・六%も伸びているわけですね。この防衛の伸び率というのは、先ほど長官が言いましたように、基本方針、四次防策定の方針がわかりませんから、どういうことを根拠にこれだけのものを伸ばすのか、私はそれはよく明確にわかっておりませんけれども、非常に大きな伸び率になっているわけですね。このことについて長官は、どうして防衛力だけ他の予算関係と違ってこの二二・六%というようなこれだけお金を取るのかということについて、どういう考えがあるのか、まずこれを伺いたい。
  133. 西村直己

    西村(直)国務大臣 御存じのとおり、予算というのは八月三十一日に概算要求を各省出します。おそらく各省におきましても、概算要求を出してから後ドルショックとかいろいろな問題が出たと思います。だから必ずしも防衛庁だけではないと思います。そういう問題は、当然、財政全体あるいは財政投融資全体の編成の過程において、いろいろな集約がされましょう。それから二二・五というのは、御存じのとおり、いつも財政当局の要求の慣例として、前年要求の二五%以内にひとつ要求してくれ、そのワクの中で要求してくれ、こういうようなことも一つのめどになっているのではないだろうか。それで経理局長からお答えして、さらに細部の御答弁といたしたいと思います。
  134. 田代一正

    ○田代説明員 補足説明いたしますが、先ほど御指摘のように、八千二百二十六億円で二二・六%の伸び。五兆八千億が年率一八・八だからずいぶん高いじゃないか、こういうお話だと思うのですが、実は一つは四次防自身の性格から申しまして、少し前の年度にウエートがかかってきているということが一つ大きな問題になっているのだと思います。そういうことでこういう要求になっております。それから御参考までに申しますと、昨年の概算要求は二二・五%で、ことしとほとんど同じような要求になっているわけでございます。
  135. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 国防の基本方針を変える必要はないとおっしゃる長官ですから伺いますが、国防の基本方針の第三項目には「国力国情に応じ」、こういうことばが書いてあるわけですよ。そして、「自衛のため必要な限度において、効率的な防衛力を漸進的に整備する」、こういうことが明確になっている以上——中曽根さんなら別ですよ。これを変えようとしたのですから。「国力国情」なんということを切ろうとしたのですから。そういう構想のもとに五兆八千億円だと言ったんだな、だからこれも都合が悪ければ切るんだなと私は思いましたよ。だけれども、これを変えないというならば、「国力国情に応じ」というところが、今度の予算編成を見た場合、国防の基本方針にも、大臣は全然考えないとは言えないかもわかりませんけれども、無視して概算要求を出したんじゃないか、こういうふうになりかねないわけです。その点いかがですか。
  136. 西村直己

    西村(直)国務大臣 別にそうは私は考えておりません。毎年度の概算要求を、一応八月、財政当局に要求されておる中でやってまいる。したがって、国力、国情というのは、何も防衛だけではありません。他のものも全部、政治全部と申しますか、概算要求を各省がやりますのは国力、国情でやらなければならぬ。そういう意味の中で私は概算要求させられましたが、四次防、四十七年度は私の考えでいえば単年度である。そこで概算要求のほとんど提出前後というぐらいのところにドル・ショックが起こってきた。そこで経済というものはかなり変わるんじゃないか。それは十分私は弾力的に今後予算を詰め、あるいは四次防をつくるときに弾力的に受けとめます。そこが国力、国情を私が守っているゆえんなんです。
  137. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 大蔵省の人はいらっしゃいますか。——私たちは防衛費というものを、やはり国民の福祉関係予算を最優先しろといつも言っているわけです。総理もそのことについては、公共投資であるとか、あるいは社会保障については特に考えていくということを言っているわけですがね。いまの社会保障面、あるいはまた福祉面についてどのぐらい防衛費の負担というか、差があるか、御存じだったら教えていただきたいのですけれども
  138. 吉岡孝行

    ○吉岡説明員 具体的に社会保障費の何分の一、公共事業のどのくらいということを数字的に申し上げるのは非常に問題があると思いますが、現在の姿でいきますと、大体、防衛費の一般会計予算に占めるシェアというのは社会保障費の約半分です。前の福田大臣などは、大体この程度がいいんじゃないかというようなことをおっしゃっていたこともありますが、いろいろ結局他の施策、そのときの国情——先ほどおっしゃいました国力、国情、経済情勢に応じて、他の諸施策とのバランスをとって整備していく、そういう考え方をとっております。
  139. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私は政府間で現在それを調整中だと思うのです。そこで四次防原案を出した。先ほど大臣から、そのくらい出せと言われたということですが、これは大蔵省からそういう指示があったのですか。
  140. 西村直己

    西村(直)国務大臣 これは大蔵省じゃなくて、閣議でもって大蔵大臣から、まあことしは概算要求二五%ぐらい前年に比しての限度にしてもらいたい。一部には当時、御存じのとおり、社会資本の投下がおくれているから、三〇%くらい前年増しで要求さしたらどうかという論も出ておったようでございますが、最終的には昨年並み、前年の二五%以内の増にして概算要求は出していただきたい、こういうことが閣議で知らされておるわけであります。
  141. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 そうしますと、総理のふだんの発言とだいぶ違うような感じを私は持つわけですがね。  そこで、概算要求というのは必ずしもそのまま通るわけじゃないと思うのです。新聞の発表等によりますと、最近の円の変動相場制にからむいろいろな問題から、大幅に大蔵省がいままで言ったことに対して難色を示しているというふうにわれわれは聞いているわけですが、防衛庁に対して、これは国産化じゃなくて輸入したほうがいいとか、あるいはこの問題についてはこうしたほうがいいんじゃないかというような問題は指摘していると思うのですね。その指摘している点をちょっとわかったら伺いたいと思うのですけれども
  142. 吉岡孝行

    ○吉岡説明員 四次防の防衛庁原案につきましては、発表以来、国防会議事務局、われわれ大蔵省、それから各省とも説明を聞いていろいろ検討しているわけでありますが、われわれ財政当局としましては、いわゆる防衛庁原案による試算額であります五兆八千億という数字が、先ほどもおっしゃいましたように、平均の伸び率にして一八・八%という高い率である。それから先ほど経理局長からも答弁がありましたように、かつ四十七、四十八年度と前半に前倒しになって二十数%に伸びておるという計画になっている。そういう点は、今回のドル・ショック以前の経済見通しのもとにおきましても、非常に財政的には問題が多いという認識であったわけです。ですからその点につきましては、今回のこういうドル・ショック以後の経済見通しで言いますと、非常になお困難な事情が加わってきておるというふうに認許しております。  それから、具体的な内容につきましてはいろいろ検討しておりますが、まだ申し上げるような段階には至っておりません。
  143. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 国民が一番危惧している点は、五兆八千億円、たいへん膨大な金額だ。たとえば国民一人当たりにしますと約一億人ぐらいいるわけでありますから、一人が五万八千円ぐらいの負担になる。しかも一家族にしますと、二十三万二千円ぐらいの負担になる。これは非常に大きなものだということで、国民は四次防に対して批判の目で見ております。  しかも中身にもいろいろな問題がありますね。そして特に最近の問題から考えますと、環境破壊といいますか、あるいはまた都市や農村の荒廃といいますか、そういう問題を優先すべきだ、こういう声が国民の中にあるわけです。ですから私は、今回の問題も含めて大幅に四次防というのは手直ししなければならぬ。またそういうような大蔵省の考え方も報道で私たちは知っているわけです。  そこで、考え方というよりも具体的な問題について伺っておきたいわけですけれども、この四次防の一番大きな問題は何か。それは兵器の購入であります。全体の六八%に及ぶ膨大な兵器の購入が一応構想としてあるわけですね。そこで伺いたい点は、兵器国産化をする中でいろいろな問題の機種があります。私たちが常に考えておりますことは、防衛力には必ず限界がある。あるいはまた現在の自衛隊が持つその兵器についてはどこまでも専守防衛でなければならぬ。その憲法のワクを越え、専守防衛のワクを越えて攻撃的な兵器を持つことは、これは明らかに憲法違反だ、こういう見方をしているわけでありますが、そういうような攻撃的兵器の購入といいますか、そういうものも大量にこの四次防の中を見ますとあるわけですね。  そこで、そういった問題も、時間があまりありませんから、いろいろ言いたいと思いますが、その中で特に問題になる点だけ私は申し上げたいのです。たとえばT2のことをその一つとして聞いておきますが、このT2というものは、最初に開発費として計上したのがたしか五億五千万円ぐらいだったと思います。ところがこの四次防で概算要求に載っておりますのは十四億一千万ぐらいですか。まあ新聞によっては十二億円とかいろいろありますけれども、そういうような、いわば開発計画の中では五億五千万のものが三倍ぐらいにはね上がるということ。その説明については、ロールスロイスのエンジンメーカーが倒産したといっておりますけれども、エンジンメーカーだけですから、そんな三倍なんかに及ぶことは考えられない。非常にずさんな開発費であり、また計画ではないか。これは国民のだれしもが思っていることなんです。そこで、今回のいろいろな問題からいいまして、T2を開発することよりも、アメリカでいまつくっている優秀なF5というもの、それを輸入したほうがいいんじゃないか、こういう声もあるわけなんです。まず装備局長に聞きたいのですが、このF5の輸入価格は幾らなのか、またT2の四次防における概算要求が出ておりますけれども、正確な金額、これについて伺っておきたい。
  144. 黒部穣

    ○黒部説明員 ただいまのお尋ねのT2の概算要求単価でございますが、これは十一億七千八百万で要求してございます。ただしこれに付属品を入れますと、ただいま先生のおっしゃいました約十四億円になるわけでございます。  F5Bのお尋ねでございますが、これは正確な見積もりはとっていないわけでございます。まあ新聞紙上などでは六億とか七億という数字もあるようでございますけれども、もともと性能においてかなりの開きがあるわけでございますので、直ちに価格の比較をいたすのはいかがかと思います。
  145. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 まあ新しい装備局長さんだから、過去のことはわからないかもしれません。しかし、だれか知っておると思いますから質問しますが、最初にこの飛行機を防衛庁はF86Fの後継機として考えておったようでありますけれども、そのF86Fの後継機として百数十機つくるということを一つは目標にして、一機当たり五億五千万だというような金額が出ておったわけでしょう。どうして三倍にはね上がるのか。その点いかがですか。
  146. 久保卓也

    ○久保説明員 開発当時に、その開発の練習機の金額は幾らになるかということは、当時見込んでおらなかった。ただし、当時ありましたT38というものとそう大差はないであろう、若干高くはなるだろうけれども、そう高くはならないだろうというような見通しのもとに、研究開発を発足させたように聞いております。  そこで、これは外に出ている数字ではありませんけれども、三次防の中でつなぎの練習機ということで積算をしたものがあります。これは事務的に積算をしたものでありますが、その場合に、一応つなぎの練習機の経費のワクをとる意味で機数と総ワクをきめた。それを一機当たり平均しますと六億ということになる。ですから大ざっぱに申しますと、六億前後くらいのものを当時は考えておったかもしれない。しかしそれは四十一年か二年のころでありますから、そのとろの経費で六億くらいを見込んでおった。つまり三次防期間中に入手するとすれば六億くらいであろうということであります。それが、いま申されましたように、十二億足らずのものになっておるということでありますから、これは厳密には、その間の開発費といいますか、物価増、人件費の増というものを織り込んでみると、おそらく、これは計算してみないとわかりませんけれども、たとえば八億前後の数字ということが適当なんであって、純粋に部品を含めない一機当たりの単価ですと、八億前後と十二億というような比較がほぼ正当ではないかと私は思います。
  147. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 正確に計算しないからとおっしゃいますが、結局ずさんだったということじゃないでしょうか。見積もりがいいかげんだったということじゃありませんか。F86Fの後継機は当然四次防から使うことは、もう専門家ですから当然知っているはずですよ。それがいまごろになって、最初から十億円くらいだったら開発しなかったはずですよ。それが最切は安いことを言われておいて、そうして実は最近の物価指数で十四億円になったのだ。もしそれだったら、企業にペテンにかかったということじゃないですか。  それと同じようなことがC1輸送機であるでしょう。私もモックアップ見てきましたよ、これを開発するときに三菱重工で。そのときに言った金額と現在の金額がものすごく違うわけです。装備局長さん、C1の輸送機の概算要求は幾らでしたか。それから現在、それと同じような、多少スピードはおそいけれども、米軍にC130という輸送機があります。その金額の比較をひとつ……。
  148. 黒部穣

    ○黒部説明員 C1の概算要求単価は二十五億八千九百万でございます。C130、これは米軍でいま使われております輸送機でございますが、これも非常に性能が違うわけでございましてい正確な価格はわかっておりません。
  149. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 もう少し勉強してほしいと思うのですがね。このC130という輸送機は、もう少し馬力アップしますとC1輸送機より優秀なんですよ。しかも十五億程度じゃありませんか。それなのに二十五億幾ら。最初は幾らだったんですか。開発費の予算では幾らでできるはずだったのですか。
  150. 黒部穣

    ○黒部説明員 C1の開発は四十一年度以降行なったわけでございます。当時は大体このくらいという見積もりはいたしてございません。
  151. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私はもっともっと聞きたいのですが、その二点の問題を取り上げたって、いかに防衛庁がいままで企業のぺ−スで、防衛産業あるいは国産化兵器を購入または開発してきたかということがはっきりわかるじゃありませんか。たとえばC1輸送機をつくるのに、幾らだか全然わからないけれども開発しろなんていいかげんにやったのですか。  その点はっきりわかったわけですけれども、もう一つ言いたいことはファントムですよ。ファントムはもうすでに日本に四機ですか来ておりますね。現在これをライセンス生産しようとしているわけです。この金額は幾らですか。そしてまた西ドイツがこの同じファントムを買っておりますね。西ドイツの場合はもっと金がかかるように対地爆装もついておりますね。その金額は幾らですか。
  152. 黒部穣

    ○黒部説明員 ファントムF4EJの四十六年度におきます契約価格は、一機当たり十七億四千万円でございます。ドイツの場合は、同じ機種を使っていると思いますけれども、向こうはF4EGになるわけでございますが、これのほうの値段は詳細は存じておりません。
  153. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 実際はっきりわかっていてあなたがわからないのか、その辺はよくわかりませんがね。少なくともたいへんな国民の税金を使って買いものをするわけですね。それが、どこの国で幾らで買っている、国産化すれば幾らになる——いまあなた十七億と言いましたけれども、それでほんとうにできるのですか。ファントムだって練習機じゃありませんよ。ファルコンも装備する、あるいはまたサイドワインダーも装備する、ロケットもバルカンをつけるのですよ。それでなければ戦闘機なんて言えないじゃないですか。その金額は全部で幾らになるんですか。
  154. 黒部穣

    ○黒部説明員 ファントムに装備いたしますスパロー、ファルコン全部含めた場合に幾らになるかということは、ただいま資料を見ます。しばらくお待ちを願います。後ほど答弁させていただきたいと思います。
  155. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それからPS1というやつですよ。PS1の開発費は一機当たり幾らになるのか。あれは今度は四次防でまた数十機買いますけれども、そのときの金額が幾らになるのか、それも調べてください。  長官、いま私申し上げましたけれども、私が国産化の問題で一番心配する点は、結局ものすごい高い値段で日本ではライセンス生産するのですよパテントを買ってつくるのですよ。たとえばファントムを、西ドイツは十七億円くらいですべて装備して買っているわけです。日本でつくれば二十四億か五億くらいするわけですよ。ライセンス生産すればそうなることは当然です。だけれども、ファントムを日本がライセンス生産して、一機当たり高い金を出して、大体どれだけのメリットがあるのですか。86Fの後継機T2があるのですよ。さらにT2の先のことだって、いま企業は考えているわけです。ファントムのF4Jというものを買って、それを基盤にして日本がまた新しいものをつくるというならば、多少高く買ってもメリットがありますけれども、あれはあれで終わりじゃないですか。であるならば、われわれはもともとこの飛行機は反対しておりますけれども、皆さん方のサイドに立って考えたって、それで終わるものならば、ファントムのアメリカからの輸入だけでいいじゃありませんか。国民の税金をそんなに湯水のように使ってもらっちゃ困りますよ。一機当たりについて七億円も八億円も高い飛行機を買う必要はない。現にいま飛んでおります104Jというあの戦闘機だって優秀ですよ。あれは六億円前後じゃありませんか。先ほども申し上げましたT2に比較できる飛行機はF5ですよ。それは比較にならないというけれども、多少の改良を加れえば十分優秀な練習機になるのです。そういう点を一装備局長にまかせておいて、あとはわかりませんでは、私はこれはたいへんなことだと思うのですよ。だから大蔵省でも、今回の変動相場制にからむ日米協力関係の中においても、輸入したほうがいいんじゃないのかということが、皆さん方のサイドに立って考えたって私は当然のことだと思うのです。その点について長官どう思いますか。
  156. 西村直己

    西村(直)国務大臣 これは数字の問題でございますから、その数字をよく詰めていかなければなりません。F5が幾らであるか、よく新聞その他で拝見しますと、過去の値段であったものといわゆる最近の値段のものと比べて、こんなに差がある、差があるというような書き方の場合もあります。だから、こういうところは科学的に、客観点に値段を詰めれば、お互いに数字は出てくる。  それからもう一つは、私どもはもちろん経済性考えなければならない。しかし、防衛というものは経済の原則だけで全部割り切るべきものでもない。そうなれば結局はお飾りになってしまう。安いものを買って、かっこのいいものさえ持っていればそれでいいんだ、そういうわけにはいかない。やはり防衛の裏には、防衛産業力というものが国産化という力を持って、継続生産なりパーツまでいけるという面も考えていくと、経済性だけではない面が一つ防衛の性格には入るのでございます。これはいかなる国でも相当そういうものがあり得ると思う。  いま一つは、効率の問題というものをやはり専門的に比べる必要がある、こういう面もあります。そこで、私どもとしましては、国産化の軌道に乗っているようなもの、しかも効率のいいもの等については、やはりこれは使わざる得ない面もある。しかしまた、ものによっては買うものもある。だから私は最初から、防衛についてはやはり兵器国産化基本原則は曲げませんよ、しかしその中において、経済性効率性等を入れて輸入努力の面にまつものもございます、こういうことになってまいると思います。  それからメリットの点で、国産化のメリットというのは、なるほど防衛産業として、あるいは防衛力としてのメリットもありましょう。自己生産と同時に、これが他産業の開発のいろいろな面に相当利用されてくる。今日、御承知の新幹線というものであれだけ日本が独自な力を発揮した技術の中には、やはりかつてのいろいろな航空機産業のほうの技術というものもあるいは影響している面もありましょう。他の科学技術もありますが、やはりそういう面も私どもは政治としては考える必要もあるんじゃないか。こういう中で国民の御理解をいただくような努力と方法はとっていかなければならない、こんなのが私の考えであります。
  157. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 宍戸官房長、伺いたいのです。眠そうですから。  あなたはしばしば、防衛庁防衛予算については、費用対効果というものを考えてやるとおっしゃいましたね。それで、そういうものを導入しているということですが、いま私が申し上げましたように、非常に格差があるわけですから、どこにメリットがあるのか。費用対効果という面から考えて、いまのままでいいのかどうか、お考えを伺いたいと思います。
  158. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 特別の御指名でございますけれども、費用対効果のことを私がいままでたびたび申した記憶はあまりございませんけれども、いまの装備国産化の問題について、四次防原案の作成に参画した立場で申し上げますと、いまちょうど長官からのお答えのように、国産化すれば費用は若干高くなる。しかし潜在的な防衛力といいましょうか、さらにいろいろな維持経費、それから各種工業に対する波及、そういったことをあわせ考えますと、国産化のメリットというものは、単なる経費の比較だけでは単純には言えないので、やはり国産化原則とするということが正しいんではないか。四次防の先ほどあげられましたC1とかPS1とかファントムとかT2というものをなるべく国産化しよう、自力で開発し、あるいはライセンスを導入し国産化しようという考え方は、単なる一機当たりの経費の比較だけでなくて、波及効果ということを考えてわれわれはそういう策をとった、こういうことだと思います。
  159. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私は、いまの防衛庁長官並びにあなたの発言は重大だと思うんですよ。というのは、ほかの産業に対する波及効果を考えて高いけれども国産化するんだなんて、そんな通産大臣かほかの大臣が考えるようなことを言ってもらっちゃ困りますよ。国民の側から見れば、もう戦争はいやなんだし、平和をみな望んでいるんですよ。しかしながら、攻撃的兵器のような足の長いもの、あるいはまた改造すれば直ちに重爆撃機になるようなものの開発に多額の金額を使う、そのことによって明確にこういうメリットがあるからやるんだというならばともかくとして、何も示されないまま、しかも五割も高いもの、それきりで打ち切るもの、しかも現にF4Jというファントムをつくる場合、これなら最高なんだと言えるならまだしも、現在ミグ23はもうファントム以上の性能ですよ。それがもう現にあるわけですよ。考えてみれば、こんなばかな話はないですよ、そんな高いものを買って。そうでしょう。ですから私は、費用対効果という面から見てない。もしどこまでも国産化を皆さんがやろうとするならば、それなりの事由なりメリットなりを国民の前に明らかに示して、それでとりかかるべきだと思うし、先ほど聞いておりましたけれども、それと装備局長、まだなったばかりで申しわけないわけでありますけれども、あなたが知らないというのなら、百歩譲ってしようがない、最近なったのですから。ほかの皆さんだれも知らない。知っていても言わなかったら、これはずるいわけでありますけれども。  そういうような面から見ますと、国産化するということは非常に大きな問題なんです。そこで専門的にというふうにあなたもさっきおっしゃいましたけれども、私もずいぶん専門家から話を聞きました。マッハ二・五とマッハ三あるいはマッハ二と、どこで一番それが必要なのか。速度が速いというのは、どういうときに一番必要なのか。足が長いことはよくわかりますよ。滞空時間が長いですから。しかしそのまま相手に脅威を与えます。要するに、成層圏に行ってからのスピードはそんなに変わらぬわけですよ。しかも最近のミサイルの発達によって、御存じのように、いままでの日本の戦闘機はサイドワインダーですから、うしろから回りましたけれども、今度はファントムはファルコンですから、レーダーミサイルですから、前から攻撃できます。ファントムが飛んでいるあのベトナムでさえも、ミグと遭遇した場合には、一回ないし二回の空中戦しかできないんですよ。それ以上は燃料がなくなるし、あるいはそれ以内にどちらかがやられるというわけですよ。わが国がいわば専守防衛、攻撃的兵器を持たないというならば、たとえば日本に侵入する侵入機に対していち早くキャッチして、たとえおそくてもそれなりのスクランブルをやって、そこで一回ないし二回の空中戦といいますか、そういうことで十分こと足りるわけですよ。要するにそのあとにはナイキハーキュリーズが、そのあとにはホークが、それでだめだったら機関砲があるじゃありませんか。それは昔のような空中戦なんてないわけですよ、専門的に見ても。だったら、安い飛行機、たとえば104Jというもの二機とファントムとやらしたら、二これは二機のほうが優勢にきまっていますよ。しかも現在の104Jだって二マッハで飛ぶんじゃないですか。ファントムは二・五マッハくらいじゃないですか。それを言ったら変わりありませんよ。現在104Jは六億円ですよ。それを四倍も出して買うということは、私はわからないわけです。だから私が防衛庁長官に申し上げたいことは、兵器国産化については専門家を交えてよく検討した上で今後決定してもらう。  さらに申し上げたい点は、この四次防の計画で、次期対潜哨戒機PXLというのがあるでしょう。それから大型ヘリコプターのHX、またAEW、こういうものが今後国産化されようとしているわけです。これに対しても同じように企業ペースで国産化をやったならば、当初は非常に安いことを言うかもしれませんけれども、やはり実際に納入のときにはその三倍も五倍もの商い金額で納入されるかもしれない、こういう危惧もあるわけですよ。こういったようなことに対して、防衛庁はやはり前向きに、この開発費に比べて、現在の四次防に使うときには三倍になったということについては、明らかにこの機種を選定し、つくる。そしてまた最初の目的といいますか、そういうものに対して非常にずさんだったというような点を反省して、これは何とか考えてもらう必要があると思うのです。その点について長官どう思いますか。
  160. 西村直己

    西村(直)国務大臣 国産化の問題は、個々具体的な問題についてはいろいろな議論が出ると思うのであります。ただ、やはり防衛というものは、何と申しましても相手あって、まあ最悪の場合には行動をとらなければならない。だからそこに近代化が行なわれなければならない。それからいま一つは、国産化は、私は基本原則は曲げたくないというのは、単に値段の問題とか、そういう問題だけでは簡単にいかない部分があると思うのです。これは御存じだと思うのです。ただ、いま後におあげになりましたような中には、効率も、経済性から考えても、これはまた新規開発をしなくても輸入に回していいものもあるのかもしれません。その点はわれわれも十分国民が御納得——なかなかこれは納得しにくい面があるのかもしれぬけれども防衛の担当者としては、極力国民の御納得いく中で努力はしてまいりたいと思います。
  161. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 まず国民を説得してもらうことはもちろん大事でありますが、われわれに納得できる、われわれを説得するような発言を大臣してほしいわけです。納得できないわけですよ。そして四次防を見てまいりますと、ヘリ空母という、先ほど同僚委員からも言いましたけれども、どうしてあんな周辺国に脅威を与えるようなものをつくるのか。それからこの新型戦車にいたしましても、西ドイツやNATOなんかでは高過ぎるから開発をやめたなどという、大陸あたりで長い期間戦うことにしか威力を発揮しない新型戦車、水陸両用戦車、川の底も海の底も潜水艦のようにもぐっていって向こうを攻撃する、日本にそんなところはどこにあるのですか。現在の六一式戦車を改良すれば十分間に合うわけですよ。ローリングして、しかも戦車の頭がぐるぐる回ってなんというような、ああいうような戦車を二億三千万と、七千万という現在の戦車の三倍も出して買うことは、すべて企業ペースじゃないかと私は思うのです。  ここで一番大事なことは、確かに、防衛庁考えるように、将来自前の防衛考えるならば、国産化、そういう一つの行き方もあるでしょうけれども、しかしながら、現在の平和の段階では、ニクソンの訪中計画、あるいはまた南北朝鮮の統一が何となく動き出しているときに、いわば国際情勢が緩和しているときに、どうしてそんなに急いで世界一の防衛費というものを倍増して整備しなければならぬかということがわからぬわけですよ。これに対して防衛庁は、前向きに国民に対して答える必要があると私は思うのですが、その点いかがですか。
  162. 久保卓也

    ○久保説明員 全般的に見て日本防衛費が多過ぎるではないかという御趣旨のようでありますが、いわば守勢、守りの立場になった——これは防衛力整備の面でありますが、すでに円熟期に入った国と、これからまだ一定の水準までつくっていくべきであろうという国とは、やはり違うのではないか。それをちょうどヨーロッパで見ますと、NATOでは英、米、仏などが比較的横ばいであるにもかかわらず、ワルシャワの東欧諸国のほうが伸びが早いというのと似たような性格である。それからアメリカなりソ連なりが比較的守勢になっているというか、伸びがそう大きくないというのと似たような状況であるというふうに考えるわけであります。  そこでわが国立場が、たとえばアフリカであるとか、南米であるとか、そういった地域にあるならば、そんなに大きな第一線級の兵器も必要でなかろうと思いますが、遺憾ながらわが国の周辺諸国は、いろいろな第一流の質と量の装備を持っておるということで、ある種の意味のある装備を持つとするならば、何らかの意味でそれが役に立つものでなければならない。役に立つというものであって初めて戦争、侵略を抑止するものである、そういう見地に立つということであります。  そういうことで、たとえばDLH、戦車という例をおあげになりましたが、DLHについては、言うまでもなく、従来のDDHという五千トン近くのヘリコプター搭載の護衛艦というのに比べて、これを二隻持つならば、DLH一隻加えてみても、金も安くなるし、それから人員、整備条件、経費も助かるということで、これはまさに経費効率の面からいえるわけであります。戦車にいたしましても、旧型の戦車は九十ミリ砲でありまして、ヨーロッパではもうすでにそういうものはない。そこで通常あるのは百五ミリ砲を載せたものでありますが、わが国は周辺諸国に比べて、一師団当たりの戦車の経費、車両数が少ない。少ないとするならば、一応効率の高いものを整備すべきであろうというふうに思えるわけであります。また、川底を越えていけるようなもの——どの程度の効率があるかという問題はありましょうけれども、これは若干の河川を想定はいたしておりますけれども、やはり少ないならば、ある程度そういった悪い条件のもとにもそれが利用されるということを考えてまいる。たくさんの戦車などが装備されるならば、いい戦車と悪い戦車と両方備えるということもあろうと思いますが、少ないならば少ないなりに高いもので固めていきたいという用兵側の意図といいましょうか、そういうものがあると思います。
  163. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 伊藤君、時間が参りましたので、取りまとめていただきたいと思います。
  164. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 この問題については、また沖繩国会、通常国会等においてじっくりと質問したいと思います。  兵器国産化の問題について率直に防衛局長に伺いたいわけですが、私はこれではたいへん問題だと思うのです。そこで今後の問題は、新しい防衛庁長官のもとで、これをとう——四次防というものを、一つの構想のもとに基本的なことは変えないとあなたは言うのですから、それは百歩譲ってあなたの立場から見るわけでありますけれども、とにかく問題の多い開発費、あるいは問題の多い兵器の購入——憲法のワクを越える、自衛力の限界を越えるようなものの装備をいま持とうとしていることは、もう国民みな知っておるわけであります。ですからこういったことについて、私は前向きで考えてほしいと思います。  そして、先ほど防衛局長が言いましたように、周辺国には潜在的にたいへん膨大な軍事力がある。それを、いま潜在的にあるけれども、顕在化させないための四次防の構想だといつかおっしゃったことがあります。私はそれを認めたとしても、いわばそれは、ことばをかえて言えば周辺諸国が仮想敵国であって、それに対しての整備をするのだということになるわけですよ。であるならば、私はまた問題があると思うのですよ。たとえば、周辺国のウラジオストックに潜水艦が百隻いる。では潜水艦百隻に対して何ぼまで持つのかという脅威の見積もりを持たなければならない。また、新型戦車を数を少なくして持つ、それを何にどういうところで使おうとするのか。さらに、早期警戒レーダーというのは、将来二十基ぐらい使うというならば、これは米軍との関係においてどういう役割りを持たせておるのか。こういうことも問題になっている。いろいろな面で問題がたくさんあるわけです。  そこで、いま私が申し上げました点で、時間がありませんからまとめて伺いたいと思いますけれども、今回のこの四次防構想にある開発、そしてまた国産化については、私たちは大きな不信を持つと同時に、四次防というものは中止すべきだ。そしてまた、なおそれらを皆さんがどこまでもやるならば、国民の前にかくかくしかじかであるからこれをこうするのだというメリットなり、あるいはまた装備をする脅威の見積もりを明らかにすべきだと私は思います。その点について答弁を願いたい。そして、やはり何といっても、常に防衛庁長官がおっしゃいますように、国民を無視した、また国民から離れた自衛隊はあり得ないというならば、それは皆さんのサイドに立っても、国民の前に納得のできるように明確にすべきじゃないか、私はそう思います。  さらに、最後に一言言いたい点は、沖繩のことです。  沖繩の防衛についても四次防にあります。私が申し上げたい点は、戦中、戦前を通じて、陸にしろ海にしろ、あるいはまた空にしろ、あの沖繩には固定の艦隊、航空隊、陸上部隊はいなかったはずです。これは沖繩に参りまして、沖繩のある識者からいろいろ聞きました。しかしながら、今回は三自衛隊が一番先に乗り込む。しかも、あの那覇軍事施設ですか、一番いいところに自衛隊が入る。御存じのように、沖繩の世論調査を見ましても、最近では非常に高い比率で自衛隊が来ることに反対していますよ。そういった点について、戦中、戦前にもなかったことをいまなぜするのかということです。だから米軍の肩がわりだといわれるんですよ。しかもまた、次の国会で明らかにしたいと思いますが、自衛隊が非常にオーバーワークといいますか、行き過ぎたような動きが返還前でありながらあります。これも問題です。したがって私は、この日本防衛また四次防を見ますときに、国民立場から見た場合に非常に恐怖を感じます。ですから、ほかの国から見て、日本には軍国主義が台頭した、なぜか、そういう構想を見たってわかるじゃないかと言われても、否定することができない、私はそう思うのですよ。ですから、こういう国際情勢から判断しても、現在は緊張緩和の方向に向かっております。ですから、非軍事的な方向で、また非武力的な方向で防衛構想は考えるべきだ。防衛構想よりも、外交、防衛を通して安全保障というものを考えるべきときに来ている、こう私は思うわけです。そういった点について、久保局長防衛庁長官の見解を伺って終わりたいと思います。
  165. 久保卓也

    ○久保説明員 われわれとしましては、先ほど長官も申されましたように、四次防を継続して続けてやりたいというふうに思っておりますが、その際に、議会はもちろんとして、国民に十分理解させていく必要があるということは、おっしゃられるとおりでありまして、この点は長官からも指示をされておりますので、この中身のくふうをよくしてまいりたい。  脅威の問題についてはなかなかむずかしいところがありますが、外交の白書なども参考にしまして、できるだけ理解を求めながら四次防をつくってまいりたいというふうに思います。  それから沖繩の問題につきまして、おっしゃるように、現在の場所について必ずしも最適の場所とも私は思いません。ただ、いろいろ米側との従来の経過もありまして、さっそくに変更するというようなことにならないと思いますけれども、いずれ米側の縮小あるいは米側との今後の折衝というような手段を通じて、那覇市内に陸上自衛隊がいるというようなことがないように。これはさしあたっては私はやむを得ないと思うのですが、いずれはそういうふうに運んでまいりたいと思っております。  ただ、ここで特に申し上げておきたいと思いますことは、自衛隊は沖繩そのものの防衛であります。昔はおっしゃるように陸海軍がおりませんでした。これは当時のいわゆるシチュエーションと今日の国際環境が違うということがきわめて基本的にあるわけで、この点は深くは立ち入りませんが、そういった点での説明も足らないというふうに学者から私は言われましたが、なぜいまが必要で、過去にはなかったのかというような説明も、当然やってまいらなければなるまいと思っております。その場合に、沖繩そのものの防衛でありますから、これは米軍の肩がわりということでなくて、米軍がやるべきことでないものをわがほうは本来の任務としてやる。米側がやるものは極東の安全と平和への寄与ということで、その分の肩がわりはしないのだということで確認をいたしたいと思っております。  それから防衛について、あるいはもっと広く安全保障について、防衛力よりも他の分野のものが優先すべきであるということは、もちろん言うまでもございません。この点は同意をいたします。ただ、外国の方針といいますか、政策といいますか、これはアメリカ流にいえば、力とそれからパートナーシップに基づいて交渉を成功させていくというような発想でありますが、NATO諸国にいたしますと、防衛努力といわゆる緊張緩和の努力は並行させていかなければならない。緊張緩和のために防衛努力は要らないというような発想は絶対にとっておらない。これは単に国防大臣レベルではなくて、一般の外務大臣級の会議などがあった場合に、そういうような方針が打ち出されておりますので、これは認識の相違かもしれませんが、一般の広い意味での安全保障政策は大いに進めるべきでありましょうが、その際に力というものはだから要らないのかということになると、世界のものの考え方は必ずしもそうではない。しかし、そういった問題については、私どもというよりも、国会なりあるいは政治家の皆さんが大いに御議論いただくことであろうと思います。
  166. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 長官答弁を……。
  167. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 実はちょっと申し上げたいのですが、時間が来たものですから、長官が出られるといけないので、東中さんが特に長官のいる間にと言っていますから、簡単にひとつお願いいたします。
  168. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 兵器国産化についてはたくさん問題があるので、再検討するなり、あるいはまた対策委員会なりをつくってこれをもう一回再検討する考えがあるかないか、それを加えて答弁願いたいと思います。
  169. 西村直己

    西村(直)国務大臣 私は、再検討するということは、出直すということばは使いません。ただ、国民経済の中でこの四次防がおさまるようにくふうをしてまいりたいということを先ほど来申し上げております。
  170. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 東中光雄君。
  171. 東中光雄

    ○東中委員 長官に伺います。いままでの論議でも出ておりますが、要するにニクソン訪中計画の発表によって、確かに米中間に一定の接近といいますか、米国の接近の変化がありましたけれども、これはもう五、六年も前から米国がとっておった政策でもあるし、ベトナムでの、あるいはインドシナでの米軍の戦闘行動というものは依然として続いておるわけであります。こういう状態で、佐藤・ニクソン共同声明の日米協力体制といいますか、あるいは防衛力の整備、こういう問題については、いままでの防衛庁がとってこられた方針、態度は基本的には変わらないというふうに一御答弁になっておるように思うのですけれども、そういうことでよろしいのですか。
  172. 西村直己

    西村(直)国務大臣 これはたびたび繰り返して申し上げますように、米中の接近は歓迎すべきだ、しかし、それじゃといって、これがどういう形で、どういう内容で行なわれるか、これはまだ推測しておるにすぎないわけです。また私も、これは人によってはニクソンと中国の元首が会われるだけで政治的な大きな世界的な意義があるのだと言っておられる方もあります。これはこれからの運びでありましょう。一方におきましてアジアの緊張緩和がありましても、一方におきましてはまた他の複雑な要素も動いておるわけであります。一番いい例は、具体的に、インドとソビエトはなぜあれだけのお互い同士助け合うような条約を結んだか、こういうような変化。それから先ほど来の、太平洋は必ずしもアメリカだけのものでないといって、そこでお互いに訓練なり示威なりをやり合う。また愛知代表が国連でもって言っておるような面も一つ意見でしょう。中国代表権の扱いいかんによっては、アジアにかえって激化をもたらす場合もあるんだというような趣旨のことを言っておられる。ですから、防衛というものは、ただ一つの事実が起こったから引っ込め、こういう簡単なものでもない。もう一つは、先ほど防衛局長からもお話がありましたように、NATOの方面をめぐる諸国間においても、緊張緩和を続けながら、一方において、それぞれの防衛力というものは、やはり力というものはお互いに整備し合っていく面もあるわけであります。そういう中で、私どもは国力、国情に応じた、言いかえればドルショック等も受けた日本経済国民経済、しかもこの見通しもまだとういうふうな見通しを立てるか、いろいろ議論も出るととろでありますが、その中でこれをおさめてまいりたい。
  173. 東中光雄

    ○東中委員 防衛力整備については、大臣からいま、変わるというようなものではない。スローダウンとかいろいろおっしゃいましたけれども、これはほんのニュアンスの問題で、基本的には変わるものではないというふうにお聞きしたわけですが、防衛費分担の問題がもう一つあります。  ドル防衛との関係で、いま防衛費分担についての交渉はまだ開始していない、あるいは正式の申し入れがあったわけではない、こういうふうに言われておるわけですけれども、この問題も前からずっと言われてきておる問題だと思うのですが、六七年九月の第六回日米経済委員会がワシントンでやられたときにも、そういう問題が出たと伝えられましたし、六八年一月のハワイでの日米事務レベル協議でも、防衛費の分担問題というのが出たと伝えられていますし、レアード国防長官のあの来日のときにもそういう報道がなされました。特に、先日コナリー米財務長官が、ミュンヘンでの国際通貨金融会議で、これは日本だけではありませんけれども、欧州も含めてやはりそういう趣旨のことを示喚している報道がされていますし、この間の二十四日のニクソンのあのデトロイトでの話もそうであります。こういう状態で福田・ロジャーズ会談での感触とかいろいろいわれておりますが、防衛費分担という方向、あるいはドル防衛協力というふうな方向は、防衛庁としては考えられておるのか。あるいはそんなものはもう全く無視して独自にいくという方針なのか。その点いかがでございますか。
  174. 西村直己

    西村(直)国務大臣 閣僚諸君日米合同委員会から帰りましたときに、私が、特に防衛費分担であるとか、あるいは武器購入、こういう話し合いが出たのか、出ておりません、これが私に対する日米合同委員会に出席した閣僚諸君の御答弁であります。またその後、新聞報道等では、ニクソンが演説したとか、コナリーが欧州の蔵相会議で触れたとかいうのは知っておりますが、われわれのほうへそういうものが正式に入っておるわけではありません。しかもその意味は、さっき外務省の人が申しましたように、広い意味のグローベルな意味においてのアメリカ負担、その中に防衛費的なものを各国が持ってもらわなければならぬ。それの一環としてやはり日本にもそういうものを当てはめていくというようなものであります。したがって、いま私の知っている限りでは、別にこれが具体的な交渉に入っているとは思いません。しかし何か日米の間でドル防衛協力はしなければならぬ、これは日本政府のほうでも相当考えているわけです。
  175. 東中光雄

    ○東中委員 何らかの形でのドル防衛協力、これはいろいろな形があると思うのですが、たとえば海外援助の問題もあるでしょうし、いろいろな経済的な条件もあるでしょうが、防衛関係でそういう方向も検討しなければならないというふうにお考えになっておるのか、そういうことは考えていないということなのか、そういう点をお聞きしたいと思います。
  176. 西村直己

    西村(直)国務大臣 もしそれは、防衛関係でありとすれば、まあ将来の四次防の中において、兵器国産化基本はくずさないけれども効率性経済性、その他諸般の事情をながめながら、アメリカから購入するものがあればこれは購入するということも、日米間の友好、経済の改革のためにいいのではないか、こう考えております。
  177. 東中光雄

    ○東中委員 これは外務省にお聞きしたらいいのですか。アメリカ軍が日本におることによって、在日米軍がいわゆる駐留することによって負っておる費用、経費、これはいろいろ新聞でいわれておるわけですが、どの程度のものなのか、どういうふうにお考えになっておるか。
  178. 宮川渉

    宮川説明員 ちょっと御質問がはっきり私つかめないのですが、負っていると申しますのは、日本が負っているものか、アメリカの支出でございますか。(東中委員アメリカ」と呼ぶ)正確なことはわかりかねますが、たとえば例のサイミントンの報告が去年の春に出まして、したがって時点はもっと前になるわけですが、そのころでアメリカ側のいろいろな支出が約六億ドル近い、五億七千万ドルくらいというふうな記憶がございます。したがいまして、その後の物価その他をあれすれば、現在では多少それよりふえておるということが言えるのではないかと思います。日本に駐留するためにアメリカ政府が支出するものであります。
  179. 東中光雄

    ○東中委員 その五億七千万ドルとかあるいは六億五千万ドルとかいわれておりますが、アメリカ側が言っておる、アメリカ側の資料で、あるいは日本から見て、その内容というのは何を言っておるのかということですね。
  180. 宮川渉

    宮川説明員 この点は、こまかい内訳、どれどれということは、はっきり私も申し上げられませんが、もちろん、米軍のたとえば兵隊の給与その他、それからたとえばPXなどで使います金、それから日本での現地購入、そういうものは当然入るというふうに思います。
  181. 東中光雄

    ○東中委員 そういった意味の在日米軍の駐留経費をもし分担するというようなことを考えた場合、これは安保条約のワクからいってできない、あるいは地位協定からいけばはっきりとはみ出すということになると思うのですが、その点いかがでしょう。
  182. 宮川渉

    宮川説明員 おっしゃるとおりでございます。地位協定の二十四条で、施設、区域等の提供に関連するもの以外は、米軍の駐留に関する、維持に関する経費は米側が持つ、こういうことになっております。
  183. 東中光雄

    ○東中委員 そうすると、いわゆる在日米軍の駐留費、そういう意味での防衛費の分担というのは、地位協定の改定を前提としない限りはあり得ない。あと協力ということになれば、兵器の輸入、武器の輸入ということで出てくると思うのですが、現在、米国製兵器の購入額というのは年間どれくらいになっているのですか、ライセンス代も含めて。
  184. 黒部穣

    ○黒部説明員 米国から毎年度どれだけ武器類を輸入しているかという御質問と承りました。これは防衛庁が調達の際に円払い、外貨払いで契約するのがございます。その円払いの中でも、納入する業者がさらに主要部品について外国から輸入するという場合がございます。したがいまして、ただいまの御質問にお答えするために、広い意味で、つまり日本防衛庁の目から見れば円払いではございますが、主要部品の輸入が行なわれるという場合も想定いたしますと、年間輸入品は約一億ドル程度と推計されております。ただしこれは、四十二年度から四十六年度の実績並びに実績見込みを織り込みまして、年間約一億ドルというふうに推計いたしております。ただし御質問は米国からということでございましたが、ただいま私の申し上げましたのは、外国からの輸入全部でございまして、想定しますに、ほぼ九〇%以上は米国であるというふうに考えております。
  185. 東中光雄

    ○東中委員 いわゆるライセンス生産による国産だけれども、払っているライセンス料なんかを入れるとどうなのでしょう。
  186. 黒部穣

    ○黒部説明員 ただいまのはライセンス料も入ってございます。
  187. 東中光雄

    ○東中委員 この問題ではあとでお聞きしたいと思うのですが、長官のおられる間に、もう一つ違う問題ですが、お聞きしておきたいのです。  沖繩の先ほどの施設、区域並びに自衛隊基地の収用に関してでありますけれども、この収用は、話し合いができないときに収用しなければならないからだ、こういうふうに答弁されておるわけですけれども、むしろそうではなくて、引き続いて米軍基地を継続していく、ないし自衛隊が引き継いでいくということをやるための処置をとられようとしておるのではないでしょうか。強制収用というのは現行法でもすでにあるわけですから、米軍基地の施設、区域の場合も強制収用できるはずだし、自衛隊の場合も強制収用は、これは法は整備されておるわけですから。だから、話し合いができないからじゃなくて、引き続いてやっていこう、それに非常に政治的に重点をおいておられるからそういうことになるのじゃないですか。その点をお聞きしたいわけです。
  188. 島田豊

    ○島田説明員 いまの二つのケースをどういうふうに解釈すべきか。御承知のとおりに、米軍に提供する施設、米軍が必要とします土地を収用する、強制収用という形になりますれば、現在特別措置法がございます。自衛隊の場合は、これは米軍施設ではございませんけれども、土地収用の規定というものは考えられます。いまわれわれのほうで考えておりますのは、要するに強制収用ということではなくて、一つの経過的な暫定措置でございまして、米軍の場合は、現在の琉政が介在いたしまして、地主と米軍とが契約を結んでおりますが、その契約は復帰の時点において消滅するわけでございます。したがいまして、新しく米側に基地を提供しようという場合におきましては、日本政府と地主との間に新しい契約をしなければならない。その場合に契約に応じない、したがいまして、基本的にはその場合に特別措置法を適用するということになりましょうけれども、その手続に一定の期間を要する。そうしますと、現に米軍が継続して土地を使用しようとしましても、その間に空白を生ずる。それについて暫定的に一定期間の使用権を設定をしよう、こういうのがいわゆる暫定的処置、こういうふうに考えております。
  189. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 東中君に申し上げますが、長官に対する質問はまだ残っておりますか。
  190. 東中光雄

    ○東中委員 それを長官にお聞きしたいと思っておるのですが……。  現状の米軍基地を自衛隊が使用するということになっていくというのは、そういうたてまえだと思うのです。法的構造は変わりますけれども。それを米軍の使用している基地をそのまま自衛隊に引き継いでいく間に、あけないようにということを前提にして、いまの暫定措置ということが出されてきておるので、長官にお聞きしたいのは、自衛隊の基地をなぜ米軍基地からすぐ続いて、その間をあけないようにするために、国内法上、実際に日本国で適用している法律と違う法律をわざわざつくらなければいけないのか。それくらい、間をあけることがぐあいが悪い、そういう判断をしておられるのか。言いかえるならば、まさに肩がわりじゃないか。そうでなかったら、何も自衛隊の配備については、そんなに間のあくことをおそれて、国内法にあるものと違う法律までつくる必要はないじゃないかということを言いたいわけですが、その点どうでしょう。
  191. 西村直己

    西村(直)国務大臣 これは前例がないわけじゃないのです。小笠原復帰の場合にも、米軍の安保条約上の基地並びに自衛隊の基地は、もちろん復帰の瞬間に提供してもらうという意味で、やはり暫定使用の法律があるわけです。ただ、沖繩には現実に人がいるから違うじゃないかとおっしゃれば、確かにそういう面はありましょう。それからいま一つ考え方は、日本の本土である、しかも御存じのとおり空というものは——さっき沖繩にはかつて軍隊がいたことがないじゃないかというお説もありましたが、かつては防空というものはあまりなかったわけですね。戦前は防空という思想はなかったのです。戦争になってからは別としまして……。しかし空域などは、今日は日本の本土の空域を自衛隊がすべて負わなければならない、こういったようなことを考えますと、できれば引き継いで自衛隊を配備してもらいたい、これに対してアメリカサイドでも強い期待を持っている。そういう中から考えられましたものが、暫定使用を五年の間、一定の期間さしてもらう。もちろん暫定使用の間にも話し合いは続けていくわけです。そういう思想です。
  192. 東中光雄

    ○東中委員 長官、ではけっこうです。  あと施設庁長官にお聞きしますが、いま小笠原の問題を出されたのだけれども、これはいままでの答弁では、小笠原は人がいない、所有者がいない、わからないからああいう処置をとったのだ、こういうことを私も質問をして、これははっきりとそういう答弁をされています。沖繩とは明らかに違うということでありますし、それから問題は、小笠原の場合は暫定的処置と言われましたけれども、何も話し合いはやっていませんね。もうすでに三年が来ようとしているけれども自衛隊の三年が過ぎましたが、暫定処置だけれども何もやってなかったという点から言うて、いまとられようとしているのは、防衛庁長官お話では、結局、小笠原と同じように、収用手続、強制収用のものではなくて、手続をしないで基地を引き継ぐ。あるいはアメリカの基地を自衛隊肩がわりする、そういう暫定処置法を考えている、こういうことになると思うのですが、そうですか。
  193. 島田豊

    ○島田説明員 自衛隊が返還されます土地を使用しまして部隊を展開するということでございますが、そこには、わが国防衛任務というものを、本土復帰と同時にわが国が負うわけでございますので、その防衛に関する限りこれはやはり引き継ぎである。肩がわりではございませんけれど引き継ぎであるという考え方が成り立つ、かように思います。
  194. 東中光雄

    ○東中委員 そうすると、ことばの問題だけですが、引き継ぎだから、国内法じゃなくて沖繩では特別法をつくって——これは継続じゃないですね。米軍の場合は継続ということは言えるけれども、しかし、法制上はまるっきり別の提供行為ですから違うわけですけれども、そういう異質のものを二つとも、そして結論的にはいままでの機能をそのまま引き継いでいく。米軍は米軍として、あるいは米軍から防空関係では自衛隊に引き継いでいく間に一つもあけない、そのための法令を暫定措置という形でつくろうとしているのだということですね。
  195. 島田豊

    ○島田説明員 具体的に申し上げますと、米軍基地の場合は、御承知のとおりに、返還協定の三条で米側は、日本と合意した施設、区域については、これは使用を許されるわけでございます。具体的には、八十八施設については米軍に施設、区域を提供するということが了解をされまして、採用されておる。したがいまして、その間にすき間を生ずるということは返還協定の趣旨からいってぐあいが悪いということで、米側の基地は、機能がそのまま引き継がれる限りにおきまして、土地の使用も継続的に使用される、こういう関係に相なろうかと思います。
  196. 東中光雄

    ○東中委員 それはそういう説明をされますが、自衛隊の場合はそれじゃ何の根拠ですか。
  197. 島田豊

    ○島田説明員 自衛隊の場合は、現在米国の施政権下におきまして、沖繩の防衛というものにつきましては米側に責任を持ってもらう。本土にそれが復帰されますれば、わが国がその防衛任務を持つということになりますので、その間に間隙を生じてはならない、こういうふうに考えます。
  198. 東中光雄

    ○東中委員 その防衛任務を持つというのは、国民に対して持つのであって、米国に対して持つわけじゃないでしょう。防衛庁の論理からいっても。この米軍から引き継ぐという発想方法は、久保・カーチス取りきめその他の合意に基づいてやっておる。それでなければ国内法に基づいてやっていくのがあたりまえなんですから、沖繩だけ特別に自衛隊基地を法的に別な扱いをするという根拠はないと思うのですが、いかがでしょう。
  199. 島田豊

    ○島田説明員 その点は、先ほど防衛庁長官から御説明がございましたように、久保・カーチス協定というものは日米間においては相互に尊重せられるべきものである、かような考えでございます。
  200. 東中光雄

    ○東中委員 いずれにしましても、この問題はあらためて詳しくお聞きしたいと思います。小笠原方式のような、要するに何らの手続を実際上やらないで引き継いで、米軍基地の継続あるいは自衛隊基地の引き継ぎ、そういう内容の暫定措置法を考えておるということを言われたと思うのですが、これは日本の法体系からいって、あるいは土地の公示制度、そういった面の法体系から見ても、これは許されない問題が起こってくる。憲法二十九条違反の問題が起こってくるのじゃないかというふうに思いますので、また別にあらためてはっきりとただしたいと思います。  それで、時間がありませんから話を戻したいと思うのですが、いままでの計画国産にしようとしておった兵器で、米国からの輸入に切りかえたもの、あるいは切りかえられようとしておるものが相当あると思うのです。たとえば中型輸送ヘリのHU1H、これはHU1Bの改良発達型ということになれば、従来の予想から言えば、富士重工でつくっておったので、そこへ続いていくのが普通だと思うのですが、これを米国のベル社から輸入するということに最近変えられたように聞いておるのですが、その点はどうかということです。  さらに、ビーチクラフトの65を四次防でMU2に切りかえる計画だといわれておったのですが、それがC90をビーチクラフトから輸入することに変えたといわれておりますが、その点はどうなのか。  それからRF4E偵察機のほうですが、これも国産化方式をとっておられるように聞いておったわけですが、今度の概算要求ではどうも輸入価格でされておるようですから、これも切りかえをされたのじゃないかというふうに思うのですが、その点はどうなのか。  さらにXT2をF5Bに切りかえる計画があるのかないのか。そういう方向を検討されておるのかどうか。特に新戦闘機の場合、FST2改ですか、こういう問題は、ドル防衛との関係も含めて切りかえの方向をとっていらっしゃるのかどうか。その事実関係を聞いておきたいと思います。
  201. 久保卓也

    ○久保説明員 今日の時点で国産化のつもりであったのが輸入に切りかえられるであろうと申すものは、いまおあげになったものでは、ございません。ただし、たとえば若干例示して申し上げますれば、HU1Hは、1Bのパワーアップの分でありますが、やはり同じ会社で続いて生産するであろうということでありますし、RF4Eは、当初からこれは米国から購入するという予定でありました。  それからT2をF5に変えるという計画は、現在のところ全然ございません。したがってFST2についても同じことであります。  ただ、事情が違いますのは、MU2を購入しようとしておったのがC90に切りかえられつつあるというふうに報道されておりますが、その点はそうではありませんで、一応予算単価としてはC90の単価で組んでおりますが、C90にするかMU2にするかはきめておらない。予算要求の当初からそういう事情でありまして、その点は今日も変わっておりません。
  202. 東中光雄

    ○東中委員 そのF4Eファントムのほうは、これはライセンス生産になっておりますが、RF4Eは初めから米国から輸入ということでやっておられたわけですか。
  203. 久保卓也

    ○久保説明員 もちろんボディそのものはF4Eと同じでありましょうけれども、カメラその他観測器材を積み込みますと、相当の改修が必要だそうでありまして、国産のものをそういったものに改修するということは非常に高価につくということで、これは当初からアメリカから購入の予定でありました。
  204. 東中光雄

    ○東中委員 時間がありませんので、この問題は中途はんぱになりますが終えて、最後に一点だけお聞きしておきたいと思うのです。  自衛隊の訓練問題で、伊丹で陸上自衛隊が着剣したゲリラ訓練を公園なりあるいは一部民家の中へも入るというような形でやられて、地元の人たちは子供を外へ出すにも非常にあぶないような感じがするということで、地元では大きな問題になっているわけですが、こういう訓練の場所ですけれども、一般市街地、公園、こういうところで、普通、陸上自衛隊は、斥候訓練あるいは武装した訓練、ゲリラ訓練、こういうふうなものをやっておるのかおらないのか。たまたまこの伊丹でこういうことが起こっただけなのかどうか、そういう点お聞きしたいと思う。
  205. 久保卓也

    ○久保説明員 陸上自衛隊演習は、原則としては当然演習場でやっております。ただ、場合によっては、施設以外の道路とか民有地、公有地において実施している場合もあるようであります。そういった施設を使う場合には、管理者でありますとか土地所有者等の承諾を得、また特に損害などをかけました場合は賠償しながらやるというような方向でやってきているそうです。例外的な措置としてそういった演習場以外のところを使っておるようでありますが、原則として申し上げれば、演習場以外で、しかも武装して、特に市街地などでそういった訓練を行なうことは適当でないと思っております。  ただ、絶対にやらないかと申しますと、一がいにそうも言えませんので、たとえば自衛隊の任務の中に治安出動というような任務がございます。そういたしますと、今日の状況では昔と違って、いなかよりむしろ都市のほうが非常に騒がしくなるということがございます。そうすると、都市部でどういったような行動を行なうか、これは図上演習その他でいろいろやっておりましょうが、たとえば先般伊丹の近くの公園か何かで行なわれた訓練につきましては、斥候動作などをやっておったそうでありますが、場合によって、そういうこともあるいは必要なのではなかろうかというふうに思いますが、いずれにせよ、そういったことは原則の例外であって、なるべく制約し、かつまたいろいろな周辺の住民に迷惑をかけないような方途でやるべきであろうと思っております。
  206. 東中光雄

    ○東中委員 伊丹の場合で言いますと、斥候だといって、三名だというようなことをいわれておるようですが、民家に入ったのが三名であって、ほかには二十数名おった、着剣して訓練をやっておったということが、事実として報告されております。これは十四日の分。それから二十五日の日にも、数十名の人たちが、やはり銃を持ち帯剣をして、そして集団的な行動を住宅地域でやっている。それから私が直接聞いたのでは、これはたまたま私の知り合いが箕面へ行って、箕面の滝——有名な観光地域でありますが、山をおりてきたら自衛隊が二、三十人来るのに出くわした。そしたら、一番先頭の人がカービン銃で身がまえてびっくりしたという話をこの問聞いたわけですが、そのほか、二カ月に三回くらい、自衛隊が滝の上の茶屋の辺に来る。何しに来るのかと思って、何人いるかと勘定したら、あるときには二十七人おったということを茶店の人も言っている。また勝尾寺でも、ジープ、輸送車で十台くらい、お寺の横に車を置いて訓練をやっておる。こういうことがやられておるわけですが、大体銃を持ってやっています。  それから治安出動でも、銃を持って、そしてそういう訓練を市街地でやるのかどうか。これはやらなければいけないのか。そういう訓練方式というのは、伊丹の場合は全部自然環境保護区域、公園になっているわけですけれども、全然市の公園課の許可も受けていない。全く知らない状態でやっている。こういう状況が起こっているのですが、こういう問題についてどうお考えになっておるか。
  207. 久保卓也

    ○久保説明員 御質問のために早急の間に調べましたので、私どもが受けておる報告と先生がいまおっしゃった内容と違っておるわけでありますが、私どものほうでは、十四日の場合にはやはり斥候訓練で数名であった。それから他の場合には、完全武装であるけれども、かけ足訓練であった。いずれの場合も着剣しておらないというようなことで、若干先生のあれと違う。  それから箕面の公園の場合には、そういう事実がないということを聞いておりますし、ちょっと議論がかみ合わないことになりますから、いずれこの点もう少しいまの御趣旨で調べてみたいと思いますけれども原則としてはやはりこういった地域は適当でない。しかし絶対にやらないかというと、やってそう支障のない場所を選んでやるべきであろう。どういう場所があるか、この周辺は存じませんけれども、場所を選定してやる分には、限られた期間やむを得ないのではなかろうかというふうに思います。  もちろん、この治安訓練の中身について、どういう地域で、どういう態様でというような規定は、あるいはないのかもしれませんけれども、予想としては、市街地で全然やらない、やってはいけないというふうに禁止するのもいかがか、私はいまはそう思っております。
  208. 東中光雄

    ○東中委員 治安出動の訓練として伊丹の場合やられておったということである。これは物陰に隠れて、それから土手に伏せて、それから民家のところから突然出てくる、こういう形なんですね。しかも銃を持ってのことですが、こういうことを治安訓練として実際に人の出入りするところでやること自体が、私はもうけしからぬことは言うまでもないことですけれども、そういう治安出動訓練をやらなければいかぬような治安出動を想定してやっておられるのかどうか。銃を持って、そうして斥候をやって、それはもう市街戦じゃないですか。そういう感じを受けるわけですけれども、そういう方針ですか。
  209. 久保卓也

    ○久保説明員 方針というわけではございません。ただ、治安出動にはいろいろな態様がございましょうし、それから銃を持って訓練をするということは、一応隊員基本隊形でもある。御経験かどうか、われわれかって銃を持って訓練させるのが一番きつかったのでありまして、訓練のためには銃を持たせて運動させるのがよろしい。成田の三人の警察官がなくなったケースを見ましても、あの場合には、ひそんでおる群集がいると思わなかったわけでありますけれども、現実にはもう少し斥候なりそういった偵察が十分に行なわれておれば、ああいった事態にはならない。しかし偵察方法にはまたいろいろあるのでありまして、二、三人の人が歩いたからといって偵察になるものでもないといったことで、この場合には、いろいろな隊形——具体的には私聞いておりませんから明確には申せませんけれども基本的な隊形をおそらく訓練しておったのであろう。しかし、治安出動の場合にはいろいろな態様がありますから、それに応じたいろいろな勉強もしなければいけない。しかしながら、この平穏な時期に都市部について訓練回数をふやす、多くとって訓練することは適当でなかろう。したがいまして、場所なり時期なり、そういったものを選定し、回数もできるだけ制限して行なうべきであろうというふうに私は思います。
  210. 東中光雄

    ○東中委員 最後に、私、これは全面的にやめるべきだという意見ですが、そのことは強く申し入れておきたいのですけれども、そういうことが市街地でやられる、あるいは民間地まで場合によっては承諾を得て入るというふうなことをやる法的な根拠はどこにあるのですか。
  211. 久保卓也

    ○久保説明員 訓練でありますから事実行為でありまして、事実行為でありまする場合には、それをやってはいけないという禁止規定がなければ、それはやれる。ただ問題は、当、不当の問題、社会的通念からいって妥当であるかどうかという問題でありまして、お茶屋に寄ってはいけないということにはなかなかなるまいというふうに思うわけです。したがってこれは、行政上の措置として適当であるかどうかということをわれわれとしては考える。一応先生の御趣旨を踏まえて検討はしてみたいと思います。
  212. 東中光雄

    ○東中委員 演習は事実行為でありますけれども、申し入れをやって承諾を得てやるということになれば申し入れ行為ということで、これは意思行為——はっきりした事実行為ではないわけです。そういうことを自衛隊が申し入れをやって無制限にやれる、事実上承認を得さえすればそれでやれるのだ、自由に出入りできるところは無制限にできるのだというお考えでそういう訓練をされておるということだと、いよいよもって私は重大だと思うのですが、ひとつ十分検討してもらって、これは全面的にやめるような方法を強く要請しておきたいと思います。  時間がありませんから終わります。
  213. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十九分散会