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桑名委員 あなたのおっしゃっていることは、ちょっとおかしいと思うのですよ。あなたたちは、これがけんかというふうに理解されているが、私はけんかとは理解していないのです。百歩譲ってけんかとして理解しましょう。百歩譲ってですよ。認めるわけじゃないですよ。けんかによって相手に害を与えた、その賠償は、本人、被害者と加害者との賠償問題であって、監督者とその被害者との
関係性は、これは別問題じゃございませんか。私は混同してもらったら困ると思うのですよ。だから、二十四時間営内にいるということは、その隊務、いわゆる規律に服しているということでしょう。権力がみんなに及んでいるわけでしょう。したがいまして、監督をする義務があるわけでしょう。また服している実態にありますし、さらにそれを監督をする
責任もあるはずでございますが、こういう状態が起こったということは、はたして善良なる管理であった、こう断定できますか。先ほどからいろいろな事実
関係が話が出ました。そうすると、これを守ろうと思えば、これはりっぱに管理者としてできたはずです。なぐったとか、けったとか、文句言ったとか、いろいろ言っているわけです。ではその管理者が、監督者が一ぺんでも注意をしましたか。説得をしましたか。そういうお話は全然出てこない。そしてこういう事件に最終的に発展をした。こういうことになりますと、監督者の過失というのは当然出てきます。また、それがあなたたちの判断で、どうしても国家賠償が無理だというふうにお
考えになっても、いわゆる遺族の方々に、こういう救済する方法もございますよという、いわゆる親切はないのですか。わが子がこういうような状態に置かれたときに、あなたのお子さんが置かれたときにどうお思いになります。その賠償の問題は大いに
皆さんいまからでも研究をして教えてもらいたいと思うのです。
私はきょうここに判例を持ってきているのです。これは村立中学校における工作授業中の受傷事件で国家賠償が認められた事例です。要するに中学校の子供さんが、自分の失敗で、のこで手を切ったというのです。そういうときにその学校に
責任はないかということなのです。子供さんの自分の失敗ですよ。それでも、その町村には、先生には管理者としての
責任はあるとはっきり勝訴になっておる、この賠償は。これはあとからゆっくり読んでください、判例時報ですから。こういうのは
皆さんもお持ちでございますから。そして、そういう論理から
考えますと、いわゆる国家賠償法の第一条の
公務員の過失という条項に必ずはまると思います。そういう手続等についても親切に教えてやるだけのものがなくて、ただ二万五千円だけの退職金を渡してちょん、鳴りもの入りで募集をしておいて、一たん
事故が起こった場合には、二万五千円退職金を渡してぽい、こういうことでは、私はあまりにもかわいそうだと思います。私はきょうここに被害者の胴巻きを持ってきているのです。これは要するに、事件が起こったときに巻いておった胴巻きで、ここに切り口があります。おかあさんは毎日これを出して涙にくれています。そういった御両親のお気持ちというものを
考えてごらんなさい。その
立場に立って一切の処理はしていかなければならないと思います。この賠償の問題をまたさらに御答弁を願いたいと思いますし、さらにもう一点これに付随しましてお話しをしておきたいことがあるのです。
それは、先ほど申し上げたように、自衛隊のほうから報告があった実情と、それから友人の方々がおいでになって話した事情との食い違いがある。そこで、ほんとうのことはどうでしょうか、ほんとうのことがわかっても決して子供は生き返らないけれども、しかし真実というものは私たちは知りたい、こういうことで手紙を出した。そうしたところが、五月九日の日に行きましょうという幹部からの手紙が来ました。心待ちに待っておりましたところが、その御両親のところに、行けないので、自衛隊まで来れば
——横須賀ですよ。群馬県から横須賀ですね。自衛隊まで来れば内容を詳しく聞かせましょう、こういうことなのです。おとうさん、おかあさんの悲しみはともかくとして、実情というものが、疑問を持ったままでいままで伏せられておった。しかも二万五千円というお金を渡したきりで
——あとは全部自分の金です、掛け金ですから。これで一切がっさいが終わる、こういうふうな状態は、はたして許されるものかどうか。
しかも、いろいろな面から被害者が悪いみたいなことを言っておりますが、まだ一年未満でありながら、ことし入隊して三月二十八日にこういう事件が起こって死亡しているわけですけれども、わずかこれだけの期間の間に、被害者は表彰状を四つもらっています。模範隊員ですよ。どなたに聞いてもリーダーである。また、ちょっと上の友人に聞きますと、非常に優秀なリーダーであって、非常に慕われておったわけです。そういった事実をいろいろ
考えますと、さぞかしおとうさんおかあさんは悲しみのことだろうと私は思います。それにこたえるだけの処置をすることが私は大事だと思う。
私は第四次防については反対でございますけれども、こんなことがばたばた起こってごらんなさいよ。こういう処置がなされておったらなお一そう人間は集まりはしません。いわゆる明朗な自衛隊になり、しかもまた、
一般の隊員の方々が喜んで隊務に服する、そして人権が守られる。それは、いろいろ隊務に服しているときも、あるいは
事故が起こったときも、そのときには、金銭的にも、あるいはまた形式的にも、ほんとうにみんなが満足できるような状態に置くことが最も大事なことだと思います。この点についてもう一度係官と
大臣からお答えを願って私の質問を終わりたいと思います。