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青柳委員 このたびの
成田における不祥な
事件は、根本的には佐藤内閣がゴリ押しにあそこへ空港をつくろうとした、そこに根源があると思います。もちろんゴリ押しというのは、現地住民の意向も聞かなければ、要求も十分聞いてやらないという、そこに問題があると思う。何でも
反対というのではおそらくないと思います。出発からして抜き打ち的であり、しかもその
計画をどうしても推し進めるのだ。手直しをするとか、いろいろと農民の要求を満足させる
ような
措置をとるという
ようなことがなされていない。やはり昔の官僚的なやり方、押しつけ的なやり方に問題があると思います。
そのことが根源でございまして、この
ような現地住民の不満があり、
闘争があるところへは、最近必ず
暴力学生といわれる者が出かけていくわけであります。悪い表現を使いますと、テキヤの人たちが縁日を求めて渡り歩く
ように、何か世論を引く
ような
闘争が起こりますと、必ずそこへ割り込んでいって、その
闘争をやっている人たちの利益を守るかのごとき姿勢を示し、もちろん部分的には守っている
ように見えるわけでありましょうけれ
ども、また反射的な結果といたしましてそういう効果も絶無ではないかもしれません。
しかし、彼らのねらいはそこにないことはもう周知の事実でございます。要するに、民主的な運動、切実な要求を実現するのではなくて、むしろそれを極端な漫画化した
ような形でぶちこわしてしまう。世論からその
闘争を支持されない
ような状態にしてしまう、そうして孤立状態におとしいれるならば、この
闘争はおそらく失敗に帰することは明白でございます。同時に、これが
警察官などとの衝突を常に意図しておりますので、これは当然のことながら、
警察力の増強、
治安的な
体制の強化ということが世論の支持を受ける
ような形になってまいります。
この
暴力学生たちの主観的なねらいがどこにあるかは別といたしましても、客観的には政府・与党などが
治安問題について絶えず警戒をし、そしてこれに対処するためにいろいろの法制を整備する、予算
措置もとる、そういう
ようなことを考えているわけでありますけれ
ども、それに対しては、当然のことながら納税者である
国民世論の支持が必要でありますけれ
ども、こういう
暴力学生が一般の良民を苦しめる
ような形で、同時に法の
執行者という形であらわれる
警察官を攻撃するという形であばれる。これは一般の世論から大きな
批判をされることは当然でございます。
日本共産党は、この連中が共産党がよくないのだといって
反対をしているから、この連中を非難するのではなくて、まさに世間の人たちが、彼らが農民なり住民なりあるいは労働者なりの要求の協力者、それを実現するための協力者の
ような形であらわれ、ただやり方がまずいのだ、
暴力をふるうからまずいんだというところから、心情的に一部の人たちが、しかもそれが
学生であるというがゆえに
——学生というのは将来の支配階級の協力者に育っていく、そういう社会的な地位を持っているわけでありますけれ
ども、そしてまた
相当程度の家庭の子弟であるがゆえに、彼らに対する甘やかした気分というのがあり、したがって、心情的に彼らに同調するという、それがそもそもあやまちであるということを共産党は指摘しているわけでございます。したがって、反共である、あるいは反代々木だとか反日共だとかいう
ような理由によって彼らを非難するのではなくして、まさに彼らのやっている事柄が、
非常に反社会的なものであり、また反動的なものであり、もっと正確な
ことばで言うならば、反革命的なものであるがゆえにわれわれは
反対をしているわけでございます。
さて、本日の
委員会におきまして
後藤田警察庁長官が述べられたことの中で、二つの点が
非常に特徴的であったと思います。
一つは、
事前偵察を十分に行なえないのについては、
警職法あるいはその他の
治安立法に不備があるけれ
ども、これらの
法律はもろ刃のやいばであるから、使い
ようによってはおそろしい反
民主主義的な結果、人権じゅうりんにもなるから、いまこれを改正する気持ちはない、これが
一つ。それからもう
一つは、
ゲリラ的なやり方、
暴力学生の凶器を用いての集団的な暴行から
警察官の身を守りあるいは第三者の身を守るために必要な武装、これについては防衛的なものに限って、決して攻撃的なものを装備し
ようとは考えていない。もちろんその基本的な精神としては
警察比例の原則があるんだ、こういう二つの点でございます。
そこで、私は、まず
最初に
事前偵察について一体どういう不備があるのか、これを聞きたいと思うのであります。現在までわれわれがいろいろのところから知り得たところでは、
警察は
警職法あるいはその他の
治安立法のもとでどういうことをやったか。たとえばこれは
相当古い話になりますけれ
ども、
昭和二十七年の夏ころに大分県の菅生という村、阿蘇山のふもとにある菅生という村で起こった
事件でございますけれ
ども、交番が夜中に襲撃される、爆弾を投げ込まれたという
事件がございます。そのときに共産党員が数名直ちにその
現場で逮捕されました。このときになぜその
現場に行っておったかと申しますと、共産党に協力をするという人が物質的な援助を与えるから交番のすぐそばの学校のわきに来てくれということで、そこに行ったわけであります。そしてその人と別れるやいなや、その場において交番が爆破された。直ちに犯人として逮捕された。この共産党に協力するという人は、よそから来た市木春秋と名のる男性、中年の男性でございました。青年といっていいかもしれません。これがその
事件の
あと直ちに行くえ不明になりました。共産党といたしましても、また
新聞記者の方々の協力もありまして、ついにその人が戸高公徳という現職の
警察官であることが判明をいたしました。このことは法務
委員会でも当時問題になったから、
非常に明確な事実でございます。したがって、この
ような事実が判明した以上、この交番爆破
事件というのは、まさに共産党をやっつけるために近づいてきた現職の
警察官がたくらんだしわざであるということが明白になりまして、全員無罪になり、確定をいたしました。ちなみに、この戸高公徳という
警察官は、当時休職になりましたけれ
ども、その後復職をいたしまして、現在は香川県の四国管区
警察局の公安課長の職にあるというふうに聞いております。こういう
ような
一つの事例から見ましても、
事前の偵察のためにはこの
ような
措置もとられる。
また、数年前、宮城県仙台におきまして、
警察官が共産党
関係者を協力者にし
ようとしていろいろの誘惑をしましたけれ
ども応じなかったところ、
暴力をふるって旅館の二階に連れ込んで、むりやりに
警察のスパイになることを強要したのであります。その暴行に耐えかねて、その方が屋根を伝わって逃げましたところ、追いかけられて屋根から落ちてけがをした
事件がございます。このことを直ちに
警察に訴えた、あるいは
警察庁に訴えたわけでありますが、不起訴になりました。準起訴
手続によりまして、裁判所の決定で、これはその
警察官が被告にされ、裁判にかけられて、一審が有罪になっている事実もございます。
この
ようにいろいろの手段を用いて、
事前偵察というものが現在の法制のもとで行なわれているわけでございます。そのための予算
措置も、本年度の予算のうちでも、
警察庁のみで、いわゆる都道府県の分を含まないで、謝礼金が九千四百万円、報償費が八千七百万円というふうに計上されております。四十四年度決算によりますと、謝礼金が約八千万円、報償費に至っては、一億二千五百三十五万円という金が使われておるわけです。これはほとんど領収証のない、決算の上での領収証を必要としない、いわゆるスパイに払う金でございます。あるいはそれに使う金でございます。こういうものが合法的に使われており、
警職法があり、その他の
治安立法がある中で、何ゆえにこの
暴力学生については
事前の偵察ができなかったのか、これが私
どもの大きな疑問とするところでございます。
自民党の要人の方々が、
暴力学生は民青同盟や共産党をやっつけるためには泳がせておいたほうが役に立つのだということを公言された事実は、先刻皆さま方御承知のとおりでございますので、私
どもは依然として自民党あるいは政府がこの
暴力学生を利用しているのではないか、これによって農民の正当な要求の
闘争をむしろ
国民から孤立化させる
ように挑発をしていく、そうしてまた
警官隊と衝突させて、
警官隊に
負傷者あるいは死傷者が出るならば、これを口実にさらに
治安体制を強化するということにし
ようとしているのではないかということで、われわれは疑うに足りる
相当な理由が幾つもあると考えるわけでございます。
そこで、お尋ねをいたしますけれ
ども、この
成田闘争、いわゆる第二
次代執行にあたって、第一次の代
執行がことしの二月にあって、それから半年後の九月の代
執行までの間に、第一
次代執行の経験に学んで、この
暴力学生がどの
ようなことを
計画し続けてきたかということをあらかじめ
調査したことがあるのかないのか。あるとするならば、どの
程度のことを知ることができたのか、これをお尋ねいたしたいと思います。