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1971-09-23 第66回国会 衆議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年九月二十三日(木曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 大野 市郎君    理事 大石 八治君 理事 塩川正十郎君    理事 中村 弘海君 理事 山口 鶴男君    理事 吉田 之久君       菅  太郎君    小沢 一郎君       宮澤 喜一君    綿貫 民輔君       下平 正一君    華山 親義君       山本弥之助君    宮井 泰良君       和田 一郎君    青柳 盛雄君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 丹羽喬四郎君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   中村 寅太君  委員外出席者         警察庁長官   後藤田正晴君         警察庁刑事局長 高松 敬治君         警察庁警備局長 富田 朝彦君         運輸政務次官  佐藤 孝行君         運輸大臣官房長 高林 康一君         運輸省航空局長 内村 信行君         建設省計画局総         務課長     大河内正久君         自治大臣官房参         事官      森岡  敞君         自治大臣官房参         事官      石川 一郎君         自治省行政局長 宮澤  弘君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  今井 榮文君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 九月二十二日  辞任         補欠選任   林  百郎君     青柳 盛雄君 同月二十三日  辞任         補欠選任   高鳥  修君     小沢 一郎君   山本 幸一君     華山 親義君   桑名 義治君     宮井 泰良君   青柳 盛雄君     林  百郎君 同日  辞任         補欠選任   小沢 一郎君     高鳥  修君   華山 親義君     山本 幸一君   宮井 泰良君     桑名 義治君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  警察に関する件(新東京国際空港建設に伴う  第二次代執行警備に関する問題等)  地方財政に関する件      ————◇—————
  2. 大野市郎

    大野委員長 これより会議を開きます。  警察に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  本件に関しましては、本日、新東京国際空港公団総裁今井榮文君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大野市郎

    大野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  参考人からの御意見は、質疑応答の形式でお聞きいたすことにいたしたいと存じますので、さよう御了承を願います。
  4. 大野市郎

    大野委員長 新東京国際空港建設に伴う第二次代執行警備及び公明党委員長竹入義勝君に対する刺傷事件に関する問題について、警察庁長官から発言を求められておりますので、この際これを許します。後藤田警察庁長官
  5. 後藤田正晴

    後藤田説明員 今回公明党委員長の竹入さんの受傷事故という不祥事を発生いたさせまして、まことに申しわけなく存じております。深くおわびと同時にお見舞いを申し上げる次第でございます。  事件概要について御報告を申し上げます。  発生は九月二十一日の午後五時ごろでございます。場所は新宿区南元町の公明党本部の前で発生をしたわけでございます。現場被疑者を取り押えましたが、被疑者は、本籍が神奈川県茅ケ崎市共恵二の六の二、現住所は大阪市浪速区馬淵町八、三光荘アパートに居住しておる日雇い人夫矢島孝晃でございます。  犯行状況でございますが、被疑者は、九段会館での公明党大会から車で帰ってまいりました竹入委員長を通行人を装って待ち伏せて、自動車からおりた同委員長に飛びかかって、刃渡り十二・九センチぐらいの切り出しナイフ左側腹部を突き刺したものでございます。負傷程度は、左第九肋間に深さ三センチの刺創左側腹部に長さ二・五センチ、深さ約十三センチの刺創を受けておるのでございます。  捜査概要でございますが、被疑者犯行の直後現場で逮捕されまして、現在警視庁に留置をして取り調べ中でございます。被疑者取り調べ等によって判明をいたしました犯行状況は次のとおりでございます。  事件当日、かねて用意をいたしておりました切り出しナイフを持って午前十時十五分ごろ新幹線で大阪から東京に着き、公明党大会が開催されている九段会館におもむいて入場をしようといたしましたが、招待券を持っていないということで入場ができなかったわけでございます。その後午後五時ごろ公明会館前に参りましたところ、たまたま竹入委員長自動車からおりてきたのを認めたので、同委員長に飛びかかって、切り出しナイフ左わき腹など二カ所を突き刺したものでございます。  なお、犯行動機等につきましては、宗教云々といったことを申しておりまするけれども、この点についてはなお私どもとしては徹底的に追及するように、犯行動機背後関係有無等をも含めて目下追及中でございます。  被疑者経歴でございますが、二十九歳でございます。昭和三十七年の三月に立正大学定時制付属高校を卒業いたしまして、四十一年の三月に立正大学宗教学部を卒業いたしております。  職歴は、大学卒業後一時平塚のデパートに派遣店員としてつとめたこともございますが、その後やめまして、ほとんど日雇い人夫として働いておったものでございます。  非行歴といたしましては、藤沢定時制高校通学中、同級生をテストのことで刃物で刺し転校をいたしております。四十二年の六月ごろ、父親と口論の末、暴行を加えて入院をさせております。四十三年の十月二十一日の国際反戦デーの際に騒擾付和随行建造物侵入罪によって逮捕せられ、処分保留で釈放されております。四十六年の六月七日、被疑者が居住しておりました豊島区上池袋柳沢荘アパートで、向かいの部屋に住んでおりました派出婦大野クニ、六十四歳に対し、宗教上のことで恨みを抱いて同人を刃物で殺害をし、六月八日殺人被疑者として全国指名手配中の者であったのでございます。  性格等は、幼少のころから日蓮宗を信仰しておりますが、孤独な性格協調性がなく、狂暴性を帯びておったようでございます。また高校教頭経歴を持つ厳格な父親とは常に対立をして、四十二年九月ごろ、父親精神病院の診察を受けさせようとしたことから家出したという、こういうふうな経歴のある、きわめて凶暴性に富む性格を持っておる人物でございます。  事件につきましては、先ほど申しましたように、私どもとしてはこの事件については、殺人事件指名手配をせられておった、それが今日に至るまで逮捕することができなかったということについて、深く反省をいたしております。犯行動機背後関係等についてはさらに徹底をして、あくまでも真相を糾明してまいりたい、かように考えております。
  6. 大野市郎

    大野委員長 後藤田警察庁長官に申し上げますが、ただいまの竹入委員長刺傷事件に対する報告は聴取いたしましたが、当委員会では、成田の第二次代執行警備に関する一件についての報告はありませんので、ひとつ続いて報告をお願いいたします。
  7. 後藤田正晴

    後藤田説明員 第二次成田代執行警備の概況について御報告を申し上げます。  新東京国際空港建設用地に対する千葉県知事の代執行に際しまして、かねてから地元の反対同盟の絶対阻止の方針反対同盟を支援する暴力集団が、秋の闘争勝敗を左右する決定的な戦いの入り口であるということで、全国活動家動員いたしまして、対象地内に地下ごう、バリケード、鉄塔などでとりでをつくり、火炎びん、投石などのほか、一部では爆弾使用情報等もあったことから、代執行に付随して発生する違法行為の危険がきわめて濃厚に看取せられたわけでございます。このため、九月十六日には、千葉警察といたしまして、警視庁管区機動隊等を含めまして、警察官五千五百人を動員して、現場周辺に出動させまして、それぞれの事態に応じて、警察官職務執行法その他の法規に基づいて、適時適切な警告、制止、避難等、所要の警察措置を講ずることにいたしたわけでございます。特に過激分子の凶悪な違法行為に対しましては厳正な態度で臨むとともに、でき得る限り彼我双方及び第三者に犠牲者を少なくするという警備基本方針をもって対処してまいったのでございますが、御承知のように、東峰十字路付近で三名の殉職者を含む多数の負傷者を出しましたことはまことに残念でございます。  なお、九月二十日の小泉よね方の代執行の際には、千葉警察では、警視庁管区機動隊等を含めまして二千五百人の警察官動員して警備に当たったわけでございます。  この九月十六日から二十日の動員等状況でございますが、相手方動員延べ一万二千六百人、うち暴力集団が一万一千五百人。警察官動員数延べで一万七千五百人、検挙数は四百七十二名、うち女百二十名でございます。殉職者が三名、負傷者は二百二十四人でございますが、その内訳は、警察官が二百六人、うち入院いたしておる者が四十八名。学生は十二名、うち入院五名でございます。ただし、学生はこれ以上に相当負傷者がやはり出ておると思いますが、彼らはそれが判明しますと逮捕せられるといったようなことで、当方では全員を詳細に知るというわけにはまいっておりません。その他の者が六人でございます。  なお、この事件に関連をいたしまして、団結小屋拠点あるいは戸村委員長の居宅あるいは前進社その他暴力集団拠点等十九カ所、合わせまして二十五カ所の強制捜索を今日までにいたしております。  本件につきましては、なお今日現地に反対学生等が数百名おりますし、警察官もしたがって相当数配備をし、またこの事件を徹底的に追及をする、こういうかたい方針で臨んでおります。したがって、捜査上の必要性からも警察官相当数残して、今後一そう追及をし、犯人を逮捕するという方針で臨んでおるような次第でございます。
  8. 大野市郎

    大野委員長 それでは質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塩川正十郎君。
  9. 塩川正十郎

    塩川委員 最近、極端な左また極端な右、これが暴力をふるって社会に相当な不安を与えておると思います。したがって、これからの政治の中でこういう暴力対策というものについては一そうきびしい態度で臨まなければならぬ、こう思うのでありますが、それにつきまして、とりあえず成田事件等を見ました場合に、いろいろと反省される点は多いのでありますけれども、こういう事件がこれからもたびたび起こってくると思う。そういたしましたときに、私は今後警察当局として考慮してもらわなければならぬ点が二、三ありますので、その点について一回当局の御意見をお聞きいたしたいし、またそれに対する対策を講じていただきたい、こう思うのです。  まず最初に、成田問題がこういう悲惨な結果に終わった、警察官が三名殉職されたということは、ほんとうに私は気の毒であるし、またこれが社会的に非常な不安を与えております。警察官が殺されたということ自体が、非常な不安になってきておる。また竹入委員長非常な御不幸にあわれた、これに対してもまた非常な衝撃があります。  そこで、まず第一に成田の問題でありますが、こういうことを事前に防止する方法がないのかどうか。たとえていいますならば、同じよう事件が起こる可能性を持っておった小泉よねさんの場合は、抜き打ち的にすぽっとやりましたので、これがたいした混乱もなくして目的を達して収用いたしておるのであります。そうであるとするならば、これは代執行手続問題等々いろいろ関係すると思いますけれども、現在起こりました一番最初事件殉職者を出したあの当時の状況を見ますと、執行をやるぞ、だからおまえらも出てこいと、何か呼び出しをかけて決戦をやっておるような感じがしてならぬ。したがって、これからの一つの進め方といたしまして、これは警察当局だけの問題じゃないと思いますけれども、代執行関係がありますからそうだとは思わないけれども、そういう点について警察当局として抜き打ち的にやるというような、そういう方法が講じられないかどうか、こういうことについて警察の研究しておられる範囲でひとつ聞かしていただきたいと思います。
  10. 後藤田正晴

    後藤田説明員 事態をできるだけ小規模なもので押え込んでいくというためには、ただいま御質問ようないろいろなやり方があると思いまするけれども成田の代執行よう事態になりますと、これは言うべくして不可能であろうと私は思います。それは、代執行そのものがやはり期限をきめ、この間にやる。同時に、それについての土木機材その他相当多くの機材を集め、また多くの代執行要員準備せねばならぬ。同時にまた、警察といたしましても、相手方動員の予想を私ども事前情報で四千ないし五千、最盛時に大体この程度判断しておりましたが、そうしますと、私どもとしても五千名から六千名の警官動員をせねばならぬ。さようにいたしますと、その部隊動員準備、宿泊の準備、こういったことが、やはりてべて今日の状況から見ては、だれが見ても事前に予測できるといったようなことにならざるを得ないわけでございます。こういったことから、御質問のお話はよくわかりますけれども、事実問題としてはむずかしい。やはり事件をできるだけ拡大しないようにということであれば、私はやはり事前情報を的確に把握をして、そして周到な準備をして、相手が動けないといったよう状況にするのが一番いいのではなかろうかと思います。  今日、国民の中の多数の方から私のところに批判が参っておりますが、一体あれだけの凶器を持ち、あれだけの人間が何であそこへ集まるんだ、あれを集まらぬようにはできぬのか、事前に何で取り締まりができぬのだ、こういう御疑問が非常に多いようでございます。これもごもっともでございますが、これは私どもとしてはやりたいのはやまやまでございますが、しかし、今日それをやり得るだけの法的根拠その他の条件が整っておりません。非常に制約をせられた条件下で警備実施はやらなければならぬ、こういうことでございまするので、国民多くの方の御疑問はごもっともですが、そういったこともできないというのが今日の警備実施のむずかしい実情でございます。
  11. 塩川正十郎

    塩川委員 そうすると、代執行並びにその手続に関する法律等一連法律をある程度実態に合うように考慮するか、あるいはまた警備関係、たとえば警職法等もございましょうが、そういうものも含めまして全般的な治安に関する法律の改正もある程度考えていかなければならぬ、そういう時期に来ているというふうにも私は直感したのでございますが、そういうものと相またなければ、こういうものを未然に防げないような状態になってきておる、こういうように解釈してよろしいですか。
  12. 後藤田正晴

    後藤田説明員 代執行法のほうは私の所管でございませんので、お答えを差し控えたいと思いますが、警職法をはじめとする治安法規の整備の問題につきましては、私は民主主義国家においても、今日の日本の法制は、私の立場警察立場からいえば、まことに不備なものであるということは、私は言い得ると思います。しかし、それじゃこの法律をつくるのかつくらぬのかということになりますと、これはやはりまた別個の観点から考えなければなるまい。  やはり治安法規というものは、これはことばは悪いかもしれませんが、使い方の問題がございましょう。したがって、いわばもろ刃のやいばの面をどうしても含んでくるということも私は考えておかねばならぬと思います。したがって、今日の段階治安法規を強化するという考えは、私自身は持っておりません。今日ある各種法規を十二分に駆使して治安の維持をはかってまいりたい、またやっていける、かように考えております。
  13. 塩川正十郎

    塩川委員 長官の決心はそれでけっこうなんですが、確かに治安関係法律の中で実情に合わない不備があるということ、このことは一応やはり認められた、こう解釈したい、このように思います。  次の問題といたしまして、新聞紙上を見ておりますと、直接警備手抜かりがあったように一部で報道されておる。たとえば大部隊が去ってしまったあと、小部隊しかもそれが全然無力な小部隊がそこに取り残されておって、突然奇襲を受けた。これはやはり手抜かりではないかという状況判断されるのですが、こういう点に関して、警察当局としては手抜かりであった、こういうことは言えぬであろうと思いますけれども、私はやはりそこに配慮が足りなかったと思うのですが、いかがですか。
  14. 後藤田正晴

    後藤田説明員 結果として、ああいった三名のたっとい殉職者を出し、また多数の負傷者を出したわけでございますので、当然いろいろな御批判は受けなければならぬと思います。また、われわれもこのたっとい教訓を将来の警備実施に生かしていくというだけの反省努力をしなければならぬ、かように考えております。  ただ、当日の私ども計画は、代執行地点を含む周辺、これを三地域に分けて対応したわけでございます。それに大体三千名。同時に、事前情報で、今回の相手方闘争は代執行地点だけではない、成田市を含む周辺でのゲリラ活動及び千葉市内東京都内といったよう地域でのゲリラ活動をやるであろう、こういう情勢判断をいたしておりました。したがって、警視庁管内警視庁のそれぞれの部隊がやる。千葉市内千葉部隊がやる。成田周辺は、先ほど申しましたように五千五百名でやる。そこで三千名を拠点周辺、残りの二千五百名を成田空港周辺地域に、八個大隊に分けて警備に当たったわけでございます。こういった全体の警備計画そのものは私は成功であったと思います。  と申しますのは、第一次代執行の際と比べまして、今度の第二次代執行は、代執行そのものはきわめて容易に行なわれたわけでございます。これは外周での作戦の結果——作戦ということばをお許し願いたいと思いますが、周辺での作戦の結果、外部からの増援進入ができなかった。代執行地点での抵抗は困難である、こういうよう相手方判断せざるを得なかったという結果だと思います。  問題は周辺でございますが、周辺も八個大隊——一個大隊が大体二百五十名から三百名見当ということであるならば、私はゲリラに備えるのには十分な警察力であったと思います。ただ問題は、相手方ゲリラ通常の数十名あるいは百名程度ゲリラでなくて、五百名というものがブッシュの中あるいは林の中に身を伏せておったという状況、これに不意打ちを食らってしまった、ここに私は問題があると思います。ただ、御案内のように、大きな作戦というものは錯誤の連続でございます。問題はその錯誤をどのようにして結果を小さくおさめていくか、これが結局勝敗をきめると思います。そこで、私が考えまして、配備の時間あるいは進入路、ことに直前の偵察、こういったような点に私はいろいろ問題があったのではなかろうか、こう思います。  しかし、現に警備実施を継続中でございます。したがって、また警備最高責任者である荒木本部長が私のところに参って詳細報告を聞くという段階に至っておりません。したがって、私はこの時点でかれこれ批判することは避けたいと思います。しかし、いずれにいたしましてもいろいろ問題があったに相違ない。こういう点は十分荒木本部長から時期を見て詳細な報告を徴して、次の各種警備事案についての教訓にいたしたい、かように考えております。
  15. 塩川正十郎

    塩川委員 私は、今度の成田警察当局の中に、万全の対策をとったとおっしゃっているけれども、やはり多少手抜かりがあったといいますか、ゲリラというものに対する作戦図上作戦というものはりっぱにできたが、肝心のゲリラの本質が非常に変わってきておるという実態、これを正確に把握してなかったではないかと思うのです。たとえば火炎ビンを六百本も集結する能力、あるいは各種の兵器を準備しておったということ、そういうことに対する判断が若干甘かったのではないか。つまりゲリラがいままでのようなものであろうということではなくして、非常に違った、もっともっと戦闘的なものになってきたのだということ、その認識に立っての配慮というものが薄かったのではないか。それが証拠に、私は事実かどうかわかりませんが、警備配置計画表というものが、何か盗まれておったようなことが書いてある。これなんかでも、そこまで徹底して戦闘体制をしいていこうと向こうは努力をしておる。これが一つ考えられる。こういうものがやはり私は警察当局としてもあったのではないかと思うのです。  それからもう一つは、こういう何千人対何千人というものが対決するような場において救急体制が十分でなかったということ。これなんかも、これはたいへんな事件になるかわからぬという配慮うしろにありましたならば、救急体制というのは十分にとれたのではないか。これはいろいろ言う意見でありますから、確定的なものではないでしょうけれども、三人の警察官の中に、早期に手当てしたならば、その中の一人は助かったかもわからぬというよう事態も考えられるというようなこと。そうすると、こういう何千人という対決の場に救急体制が全然とられていなかったのか、こういうことも私は非常に問題だろうと思うのですが、そういうものに対してはやはり警察としては措置をとっておったのでしょうか。
  16. 後藤田正晴

    後藤田説明員 先ほどちょっと申しましたように、いろいろ結果として見てきた場合に、問題があることは事実でしょうけれども、これは十分将来生かしたいと思います。  ただ、ゲリラ性格を間違っておりはせぬか、こういう御質問ですけれども、まさにその点は、大体私どもゲリラというものは多くて百から二百程度通常はああいった場合には数十名、都市内においてはこれは数名、こういう判断をしておったのに、相手方非常な多数であったということ。いま一つは、今回のあの東峰十字路における事件は、これはまさに私ども戦争経験者から見ますと、八路軍の戦術と全く同じでございます。まず最初指揮官がやられます。そうして部隊の統率ができなくなる。こういったよう状況であったようでございます。こういう点は将来十分反省してまいりたいと思います。  なおまた、救急体制がどうであったかということでございますが、救急体制は十分やっておったのでございます。ただ問題は、あの現場への応援の体制、これが通信連絡等の途絶のためにひまがかかった、こういうことに私は問題があったのではなかろうか、こう思います。救急そのものはヘリコプターその他も十分準備をして東京へすぐ送れる、頭をやられた場合には脳外科の準備のある東京にすぐ送る、こういったよう準備は十分いたしておったわけでございます。  なおまた、作戦メモ云々という話がございますが、いろいろ新聞には書いてございましたが、そういったものはございません。
  17. 塩川正十郎

    塩川委員 もう時間がないので、ひとつ簡単にお答えいただきたいのですが、あと二点だけ聞きたい。  一つは、要約いたしますと、これからの警察官の士気の問題に関係すると思うのです。  一つの問題は、殉職警官のあの少数部隊というものは、まるこい棒で、短い警棒というのですか、これを一つ持ってぶらぶらと——ぶらぶらではないだろうが、やっておった。非常警戒線を張りました場合には、必ず武装して警備しておるのです。ところが、ああいう部隊活動をいたしますときには、全く武装しておらない、警棒だけが武装だという。あと作業服を着ておる程度。こういうことでああいう事態が起こった場合防ぎようがないではないか、こういうことを思うのです。そうした場合に、そういういわゆるパトロールに従事する者、これはやはり非常警戒線を張っておるときのパトロールと同じ意味だと私は思うのですが、そうであるとするならば、それ相応の配備を、ピストルを持たせろということじゃありませんが、それ相応のやはり抵抗力というものを持たしておかなければいけないのではないかと思うのですが、これは実際どういうようなぐあいになっておるのか、これが一点、簡単でけっこうです。
  18. 後藤田正晴

    後藤田説明員 群集事犯に対応するための部隊活動の際の装備につきましては、防護装備を重点に整備をいたしておりますし、さらにまた、今回の事件にかんがみて一そう充実をしてまいりたい。しかし、攻撃装備は一切やる意思はございません。  問題は、それじゃどこまでやるか、こういうことですけれども、現在警察の一番強い防護装備といえばガス銃でございます。それまでは十分整備をして、さらにまたやけどをしないための防炎服であるとか、あるいは爆弾等が出つつありまするので、これに対する防爆装備、こういうものは緊急に整備を現在いたしております。さらに一そう充実してまいりたい、かように考えております。
  19. 塩川正十郎

    塩川委員 そういう装備はやはり充実してやらないと、警察官の士気に私は大いに影響すると思うので、十分研究してやっていただきたい。  それからもう一つ、やはり士気の問題で、殉職された方に対する賞じゅつ金なりあるいはまた公務災害補償ですか、こういうようなものについては実態はどうなっていますか。新聞に簡単に出ておったのでは、総理大臣のほうから賞じゅつ金として二百万、それから長官から三百万ということが出ておったのですが、これではたして納得するのだろうか。私はどうも金額がどうなっておるのかわからぬ。どの程度のことをしようとするのか。でないと、公務のために死を賭してやるというような気持ちは起こってこないだろうと思うのです。これが一つと、それからもう一つ、賞じゅつ金とあわせまして、私は研究していないのですが、一般公務員の公務災害補償と警察官の公務災害補償との関係はどういうようになっていますか。
  20. 後藤田正晴

    後藤田説明員 警察官の公務災害補償につきましては、御案内のように、一般の公務員と同じように、国家公務員の場合には国家公務員の災害補償法、地方公務員についても同じような災害補償法がございます。これによって障害あるいは死亡それぞれの段階に応じての補償をする、こういうことでございます。同じでございます。  なおそのほかに、お話のように、非常に壮烈な働きをして、その結果殉職したといったような場合には、総理大臣から最高三百万、私の長官の賞じゅつ金が三百万出ることに相なっております。なお、都道府県は、県によって違いまするけれども、やはり四百万から五百万くらい出す県もあるし、最高一千万も出す県もありましょう。これは県によって若干の開きがあるが、今日さように相なっております。  なお、私は、最近の自動車の災害補償あるいは航空事故の際の災害補償の金額等も調べまして、これではいかにも気の毒だということで、総理大臣の報償金あるいは私の賞じゅつ金は大蔵当局にお願いをして増額をしていただきたい、その要求をいたしたい、かように考えております。  同時にまた、公務災害補償については、これは今日公務とは何ぞやという問題がありますが、たとえば例は悪いかもわかりませんけれども、役所の行事でレクリエーションをやった、野球をやった、そのときにたまが当たって死んだというのと、危険をあらかじめ予知しながら、自分の自己保存の欲求を押えて責任を完遂した、その結果殉職したあるいは重傷を負ったのと全く今日同じでございます。それは各国そういう制度ではありません。どこでもそういう場合には増加支給をいたしております。またわが国でも戦前はすべて増加恩給があったはずでございます。こういったことで、私はこういった場合には特別公務災害補償をしていただきたい、かように考えております。したがって、来たるべき通常国会には、内閣等とも御相談をした上で、ぜひこの点は改善をしていただきたい、かように考えております。
  21. 塩川正十郎

    塩川委員 それじゃ、そういう法改正を積極的に出していきたいという趣旨ですね。  それでは、最後に一つお聞きしたいのですが、こういう事件に私はマスコミとの協力関係というのが非常に大きい影響があると思うのです。ついては、こういう執行をする場合、どうしてもマスコミの協力を得て、平静裏にかつ順調に推進するようにするためには——マスコミ関係警察当局としょっちゅう意思疎通をしておられると思うのですけれども、どうも最近のマスコミの表現をいろいろ見ておりますと、何ら知らぬが、警察当局との意思疎通を欠いておるような感じがしてならぬ。そこで、こういうものに対してどういう努力をしておられるのか、また実際に協力を強く要請しておられるのかどうか、こういうようなことについてひとつあなたの所信を聞きたいと思います。
  22. 後藤田正晴

    後藤田説明員 今日のよう情報化社会で私どもの仕事の姿勢あるいはやり方、こういうものを国民一般に広く理解していただくのは、これは新聞、テレビ等のマスコミによる以外にありません。そういうような意味合いから、やはり国民の理解を求める。それがためには何よりもまず事実を正確に知っていただきたいということで、マスコミの全面的な協力をお願いしたいということで、私ども常日ごろから論説委員に説明をするとか、あるいは社会部長、政治部長に話す、あるいはクラブへ行って話をするといったよう努力はいたしております。しかし、いずれにいたしましても、これはまた立場は違いますから、批判は当然批判として私ども率直に受けねばならぬ、かように考えております。ただ、私の希望を申しますれば、あまり新薬投与のような形でなしに、漢方薬投与程度の御批判で私はお願いをいたしたい。これは私の率直な気持ちでございます。
  23. 塩川正十郎

    塩川委員 もう時間が参りましたので、質問を終わります。
  24. 大野市郎

    大野委員長 今井参考人に申し上げますが、本日はお忙しいところをおそれ入りました。  それで本日は質疑応答の形で御意見を承るわけでございますから、さよう御了承願います。  山本弥之助君。
  25. 山本弥之助

    山本(弥)委員 去る十六日の第二次の強制代執行は、いわば過去四年間にわたりまして、いわゆる成田闘争といわれるような新空港建設に関することによりまして、従来いろいろな紛争が続いてまいったわけでありますが、いわばその第一期工事の山場ともいう状態にあったと思うのでありますが、それだけに反対派の同盟の農民やあるいはこれを支援する過激派学生の集団、それと代執行を排除することに対する、これとあくまで遂行しなければならないという使命にある警察、機動隊との激突ということも十分予想されておったことであります。したがいまして、集まりました学生の数も、先ほど長官のお話にもありましたとおり、四千名をこえるというような数が予想され、またこれに対処いたしまして、警察官も五千五百人という警察官を投入したことも当然といえるかもわからぬと思います。  四年間にわたる新空港建設についての従来のあり方につきましては、私ども非常に大きな不満を持っておるわけであります。これにつきましては、昨日の運輸委員会におきまして、公団あるいは運輸省に対しましてわが党からも十分質疑をいたしまして、今後どう公団がこれに対処するか、第一期工事は一応山場を越えたというふうにいわれるわけでありますが、さらに第二期工事が控えておるわけであります。こういう事態を今後起こさないというためにも、私どもはあくまで農民との話し合いによって解決の方向を多少時間がかかりましても進めていかなければならない、この点につきまして、運輸省なり今井総裁の御所見もこの機会に承っておきたいと思います。まずその点をお聞かせ願いたいと思います。
  26. 今井榮文

    今井参考人 お答えを申し上げます。  第二期の工事区域につきましては、用地といたしましては、すでに八三%の用地は任意買収で私ども取得いたしておりますが、まだ実際に農業を営んでおられる反対派の農民の方々が、世帯にして約三十数世帯、面積にいたしまして六十数ヘクタールというものが残っておるわけでございます。今度の第一次代執行におきましても、純粋に個人の所有地あるいはまた住宅であるところの一カ所につきましては、県知事の配慮で代執行から除かれたよう状況でもございます。第二期の工事区域につきましては、私どもは、先生の御指摘にもありましたように、今後まだ相当期間ございますので、ぜひひとつ話し合いで、ほんとうに農民の方々のお気持ちを伺って、それに対応するようなきめのこまかい施策をやりまして、話し合いで何とか解決していきたい、こういうふうに考えております。
  27. 山本弥之助

    山本(弥)委員 過去の用地買収につきましては、警察の機動隊の出動によりましてこれを遂行してまいったわけでありますが、このことによりましてすでにもう数千人といわれる死傷者が出ております。死者は今回が初めてでありますが、負傷者が出ておるという実態は、私どもいかにいわゆる行政の施策によって強行するというところにこういう最悪の事態に追い込んだという感を深くしておるわけでありますが、今後、一応山を越したといいながらも、問題は、最も重要な共同墓地の収用があるのではないかと思います。それらにつきまして、私どもは、慎重に、多少建設がおくれましても、農民との話し合いによって問題を解決つけるという最高幹部の誠意を示した処置によりまして解決していただきたい、かように考えます。  今日、警察の業務は、単にこういった治安問題だけではなく、交通事故の問題にいたしましても、過般の航空機災害にいたしましても、遺体の収容で、岩手県をはじめとし東北の警察官相当動員せられましてこれの収拾に当たらなければならぬといった状況にあるわけでありますが、いわば本来の司法警察、その他交通事故を絶滅する交通警察、こういった国民に直結した仕事に警察国民と一体となって努力をし、警察国民にとりましてほんとうにわれわれの生活と財産を守る立場にあるのだということでなければならないのでございますが、それが行政の不在といいますか、そういうことによりまして、多くの警察官がそれらの方面にさかれまして、しかも、あとで御質問したいと思いますが、いわばこういった非常事態警備になれていない警察官動員されることによってとうとい人命を失う、いわば殉職する警察官を出すということは、私ども、こういう政局も不安定な時局におきましてまことに残念だと思っておるわけであります。したがいまして、航空行政上からいいますと、一日も早く国際空港としての成田空港の完成ということを急がれることはわからないわけではありませんけれども、しかし、多くの警察務の執行からいいましても、また警察官が殉職するというよう事態は、これは社会不安といいますか、地域住民あるいは国民に与える影響も相当大きいわけでありますので——そのことはいろいろ意見があると私は思います。私どもも、過激学生暴力は絶対容認するわけにはいかない、徹底的に、今回の問題につきましても取り調べを厳正に早急に進めてもらいたいということを念願いたしておるわけであります。しかし、それにいたしましても、いろいろな意見というものが国民の間た出てまいりますことによりまして、私は、警察といたしましては、各方面に、しかも国民に関連のある司法行政、竹入委員長の問題もそうでありますが、そういう問題に手抜かりが生ずるということは非常に残念に思うわけでありまして、どうか今後の共同墓地の収用あるいは第二期工事の遂行にあたりましては、総裁あるいは運輸省の大臣以下皆さま方が誠意を尽くして、もう大部分が買収されておるとすれば、残りの方々に対しましては誠意を尽くしてこれが解決をはかる、代執行等によりまして多くの警察官の出動を必要としないという事態で処理するという決意でもって当たっていただきたい、かように念願するものであります。くどく申し上げませんが、このことにつきまして総裁の決意をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  28. 今井榮文

    今井参考人 残されました墓地の問題でございますが、現在第一期工事区域には、今度の代執行からはずれた個所が三カ所ございます。一カ所は個人住宅の存在する場所でございますし、もう一カ所はいわゆる平和の塔といわれておりますパゴダの建っておる地域でございます。もう一つが先生御指摘の墓地でございます。個人所有地とそれから平和の塔は、工事上は何らかの施設をつくる場所ではございませんので、これは必ずしも急がなくてもいいのではないか、飛行機が飛ぶための検査をやるまでに取り除いていただければ十分間に合うということでございますので、私どもとしてはしんぼう強く話し合いをしていきたい。  それから墓地につきましては、天浪の墓地でございますけれども、七十遺体につきましては御家族の方々が任意で新しい墓地に埋葬いたし、供養もすでに終わっておるということでございまして、現在三区画五遺体が残っておるわけでございます。これは反対派の方の身内の方の御遺体でございますけれども、これにつきましては、知事も何とか話し合いをしたいということで除かれた分でございますが、第一期工事のためには、ちょうどそれがターミナルのエプロンに当たる部分にございまして、工事的には他の二カ所よりはより早く私どもとしては実は取得したいところでございます。しかしながら、先生のおっしゃるように、私どもとしては、反対派の力といえとも——三世帯の方でございますが、やはり身内の御遺体のことでございますので、ひとつ何とか話し合いでいきたいということでございます。  ただ、私どもが憂慮いたしますのは、墓地そのものが第一期工事区域に残された唯一のいわば拠点、それで代執行がなかなかしにくいというふうな観点から、それがまた反対派、特に支援学生拠点化するということを私どもとしては非常におそれておる、できるだけそういうことがないように何とか所有者の方々と話し合いをしたい、こういうふうに考えております。  結論を申し上げますれば、先生がおっしゃるように、残ったところについては何とかひとつ話し合いでいきたい、こういう決意でございます。
  29. 山本弥之助

    山本(弥)委員 時間の関係がありますので、これ以上お尋ねすることを避けたいと思いますけれども、どうか今後の農民の土地の取り上げ問題等につきましても、やはり適当な代替地等もだんだん——こういうふうに四年もたってまいりますと、残された人の代替地は満足すべきものではないし、また、もうわずかであるということで、一次、二次と続きました代執行を同じように繰り返すことによって早急に解決したいということになりますと、当局側としてはそういう考え方に知らず知らずのうちに移っていくのじゃないか、私はこう思いますので、できるだけこういう紛争を繰り返さないという意味におきましても、今後代替地のあっせんその他営農上支障のないようなことにつきまして十分配慮願いたい。  二十日の小泉さんの代執行などを見ましても、一人残された老人が農地にしがみつき、うちに愛着を感じておるという心境は、情においては、私ども、これが話し合いできまらないものなのかというような印象を非常に強く受けたわけであります。冷静に話し合いをすべき問題だと思いますけれどもあとの処理につきましては、今回の事件を契機といたしまして十分対処願うことを強く要望申し上げておきます。  それから、今回の問題につきましては、警察官が三名殉職するという痛ましい事件になったわけでありますが、先ほど塩川委員のほうからお話がありましたが、私もこの問題につきましては、殉職警察官の遺族の処置につきましては、これは長官がお話しになりましたとおり、法規の改正その他——警察官に限らぬと思いますけれども、一般公務員を含めての話でございますが、やはり十分な配慮をするということについて今後努力を願いたい。私どもそれらにつきましては、今後もともに努力をしてまいりたいと考えておりますので、この点は十分御配慮願いたいと思います。ことに若い警察官等は年金等も支給されないのではないかと思いますので、それらの配慮もあわせてお願いを申し上げておきます。  なお、こういった警察官が三名殉職をする、しかも、事務的に数字をあとでお知らせ願いたいと思いますが、二百六名の警察官の、死者を含めての負傷者でございますが、これらは東峰十字路における負傷者相当を占めているのではないか、半数近くなるのではないかというふうに思うのでありますが、それらもあとで事務的にお知らせを願いたいと思います。  そういたしますと、先ほど塩川委員が指摘されましたように、警察の五千五百人を動員するという警備体制、これは私は非常に苦心を要するところだろうと思いますし、結果論だけから判断はできないのでありますけれども事前情報の収集あるいは人員の配置、その後の情勢の変化に対応しての機動力を発揮するというような問題につきましての配慮は、やはり十分でなかったのではないかという印象を持つわけであります。その辺の問題につきまして、もう少し、時間の関係もありますが、簡潔にお聞かせ願いたいと思います。
  30. 後藤田正晴

    後藤田説明員 先ほどお答えいたしましたように、全体の当初の警備計画としては、私はほぼ間違いがなかったと思いますけれども事件の結果から見まして、御質問のうちで私自身いま感じておりますことは、事前情報、特に直前の偵察、この点に不備があったのではないか。いま一つは、事態が急変した場合における変化に即応する体制、この点に私は問題があったのではないか、私自身、さように考えておりますが、これらの点はさらに十分調べた上で将来に生かしてまいりたい、かように考えております。
  31. 山本弥之助

    山本(弥)委員 先ほどのお話を聞きますと、いわゆる代執行を行なう拠点を中心として三千人、周辺に二千五百人というふうな配備、私ども十分情勢を存じ上げていないわけでありますが、その場合に、同時に東峰十字路の問題あるいは拠点における代執行に関連する紛争、これは同時に起こっておると思いますけれども、いわゆる拠点に集結しておる学生の数、それと、最初予定しておった相当な人数が集結をするということと関連いたしまして、私はそれらの連絡を十分にすれば、部隊部隊との関係その他が、人員をどう配置するか、あるいはどの辺に危険性があるか、周辺のほうに危険性が多くあるかどうかということは、やはり最高指揮者はその情勢を把握すべきではないか。しかも新聞の報道等によりますと、閑散としたところに行って多少気のゆるみのよう関係で、車をつけたところが急襲された、こういうことのようでございますけれども、もともと私はこういった警察の代執行の妨害に対する排除あるいはその他集団の暴行に対する排除というものは、やはり警察力が上回った人数で、しかも集団で排除するという体制をとるべきではないかと思うのであります。それが十字路の場合は相当分散をしておる。しかもそこで待機して、いわゆる拠点の代執行に支障を来たさぬよう部隊行動をとるということなのかどうかの判断も十分与えられていなかったのではないか。もしそういうことであるならば、やはり集団的に出てきたのを排除するという体制でなければならないのに、ある程度まで分散して、検問ですか検索というよう新聞の報道になっておるわけであります。これらがどうも私ども、代執行の排除に重点を置いておるということと関連いたしまして、周辺ゲリラというよう情報に、警備計画警備方針というものが少し惑わされたのではないか、かような感じがするわけであります。これは将来の問題にも関連すると思いますので、いわゆる目的をしぼるという体制で、もし拠点のところの三千の警備力が十分であり、その警備力だけでも周辺ゲリラから——警察のいわゆる暴力排除に対することに対してさらに周辺から押しかけてくるという情勢であるならば、むしろ拠点に近いところで相当まとまった部隊で排除するという体制をとるべきではなかったか、私はこういう感じがするわけでありますが、現地の実際の作戦からいいますと、私はむずかしいと思います。しかし、先ほどの長官の答弁で私は安心をしておるわけであります。いまの警察官の防備体制で今後のこういった事案に対処していこうということであるならば、やはり警備方針の作成あるいは現地の指揮能力といいますか、これらを今後十分配慮しておかないと、頭数ばかり集まっても支離滅裂になるというふうな心配がありますので、いままだ警備体制を解かずに現地の隊長も警戒をしておるという状態でありますので、この問題につきましてはこれ以上私は申し上げませんけれども、それらの配備等も十分指揮者に能力を持たせるという努力をしなければならない。そういたしませんと、いたずらに犠牲者を出すという結果になるのじゃないかと思うのであります。  これらの犯人に対しまして現地に特捜本部を設けて捜査を進めておられるようでありますけれども、先ほどのお話ですと、逮捕者が四百七十二名ということも承っておりますが、いわば東峰十字路を中心とする被害、それに関してこれらを襲った集団に対する逮捕者というのは、一体何人くらいあるわけですか。
  32. 富田朝彦

    ○富田説明員 お答えいたします。  一番最後に御質問になりました点からお答えいたしたいと思います。  東峰十字路に起こりました警察官殺害事件捜査は、ただいま鋭意捜査中でございますが、その現場におきまする殺害の、いわゆる犯人と考えられるような者の逮捕は、現場においてはございません。しかしながら、その当日並びにその翌日、現場検証をいたしまして相当数の遺留品を入手いたしまして、それらから現在全国的にいろいろな捜査を展開いたしております。なお、当日並びに翌日、都内あるいは成田の三里塚の現場近くの拠点と目される二十五カ所につきまして捜索をいたしまして、相当数の証拠資料を入手いたしております。あわせて現在、千葉県の特捜本部並びに警視庁、神奈川県の協力のもとに鋭意捜査を続けておるところでございます。  その前に御質問のありました点について、私から事務的に簡単にお答えを申し上げておきたいと思います。  当日の配置が拠点中心、いわゆる団結小屋その他の代執行地を中心に配置をされたのではないか、こういう御質問でありますが、報道等を通じていろいろごらんになりまして、あるいはそうお考えになっておられるかもしれません。しかしながら、先ほど長官が申しましたように、ゲリラというものに対しましては、当然これを念頭に深く置いておったわけでございまして、先ほど申し上げましたいわゆるゲリラ対策のための周辺配置というのは千葉成田その他のいわば外周配置でございまして、さらに中心部の拠点配置というのは、もとより代執行妨害の違法行為を排除するという意味での部隊配置はございましたが、さらにこの三百二十万坪余にのぼります空港用地周辺拠点につきましては、警視庁部隊あるいはその他の部隊をもちまして内周の拠点配置というものも広く配置いたしたわけでありまして、たとえば大清水十字路というようなところでは、やはり警視庁部隊火炎びん攻撃を受けまして、ここでは相当数の、火炎びん等を持ちました者を凶準その他で逮捕いたしております。  そういう配置でありましたけれども東峰十字路におきましては、御指摘のように、あの現場におきまして、いわば現場の凶器その他の検索のために部隊が展開をした、そして検索を開始した。また、不幸なことには、その部隊の一部が車両故障のために、パンクのために現場到着が若干おくれたということがございますけれども、そういう部隊が展開したところへ不意に多数の暴徒が襲ってきたということで、きわめて遺憾な事態がそこに発生したのでございます。そういう貴重な教訓は、御指摘のように、先生の御意見とともに十分生かしまして今後に対処してまいりたい、かように考えております。
  33. 山本弥之助

    山本(弥)委員 その点の配慮を今後、一応事件が落ちついた段階におきまして十分検討されることを私は要望いたしたいと思います。結果から言いますと、検挙しそして取り調べを最も早急に行なわなければならない地点での逮捕者が少ないということは、今後の捜査非常に支障を来たすのではないか。その点は今後、警察官の犠牲につきましても教訓にしていただきたいと考えておるわけであります。  先ほど塩川委員からも御指摘がございましたように、こういった犠牲者を出すということは、一つには社会不安を与える、もう一つは、消極的には警察の士気にも関係すると同時に、積極面におきましては、今後、警察官も人間であります以上は、警察務の執行におきまして身の危険を感じた場合はどうしても過剰防衛になる。これはよほど引き締めておきませんと、当然の成り行きとして私はそういうことになるというふうに考えるわけでありますが、そういう意味におきましても、重傷あるいは死傷者を出さない警備体制——これは非常に無理な要求かもわかりません。いまのように過激学生集団の考え方がわれわれの常識を越えた考え方に立っておるという事態におきましては、警察非常に無理な体制になるかもわかりません。しかし、私は、やはり警察はそういう無理な体制を克服しながら警察務の執行に当たるということが国民警察としての信望を高めるゆえんでもあると思いますので、十分検討願いたいと考えております。  そこで、いろいろ時局も騒然としておるわけでありますが、これらの教訓を生かしながら、今後の警備体制につきまして——長官から、現在の装備その他につきまして、警察官の犠牲を少なくするという装備については努力をするが、こういった事態が起こることによって彼我に犠牲者を多く出すようないわゆる積極的な装備については考えていないという御答弁がありました。私もその点は全く同感であります。外国にはそういう例がございますが、わが国におきましては、拳銃その他を持たせないで、そしてどう警備体制を進めていくかということが警察に課せられた使命じゃないか、かように考えます。また、装備をいたしました武器も、今回の事件ように、いわゆる新聞に報道しておりますように武装解除——武装解除といいましても、ヘルメットをとり、警棒をとりあるいは手錠をとるという程度であればいいわけでありますが、拳銃をとり、その他重要な武器をとるというようなことになりますと、それがさらにまた悪用されるというよう事態も考えなければなりませんし、そういう意味におきましても、彼我の死傷者を少なくするという警備体制からいいましても、いまの防御を中心とした体制で対処していくんだという長官の決意には、私ども信頼を置くわけであります。どうかそういう体制で今後も進めていただきたい、かように考えております。  そこで、この機会に、ちょっとけさの朝日新聞で見ますと、成田の放送塔の撤去作業に関連いたしまして、副知事ら送検の方針という千葉県警の記事が出ておるわけであります。テレビを見ておりましても、私どもあの撤去につきましては非常に危険を感じたわけであります。そのために重傷者も出したようでありますが、これらの事態を考えまして、この放送塔の荒い撤去作業等について——いわゆる東峰十字路における事件後であるのか、あるいはその前にすでにこれが完了しておったのかはよくわかりませんけれども、こういう事態も、やはりいまの死者を出すとか重傷者を出すとかいうことに関連いたしまして、当然こういった撤去作業にも関連してまいるわけでありまして、これらの点につきましても私は警備体制のむずかしさということを痛感するわけであります。そういう意味におきましても、この撤去作業自体につきましても死傷者を出さないという配慮でやるべきだと思うのでありますが、こういう新聞記事につきましては何か警察のほうでお聞きになっているのでございましょうか、方針がどうであるのか、お聞かせを願いたいと思います。
  34. 後藤田正晴

    後藤田説明員 いろいろ御意見ございましたが、先行きの警備方針につきましては、私は、相手がどのように過激化しようともあくまで彼我双方の犠牲を最小限にとどめる、同時にまた第三者への被害は絶無を期するといったような根本の警備方針を堅持しながら、警察比例の原則によって対処してまいりたい、かように考えております。それがためには各種の防護用の装備器材の充実、それでも不可避的に発生する警察官の殉職事案等については、家族が生活に困らないように、また警察官全体が不安感を持たないように、安心して職務に邁進できるといったような援護の処置については、先ほど来お答えいたしておりますように、万全を期してまいりたい、かように考えております。  なお、鉄塔撤去の際に学生等に重傷者を出した事案でございますが、この点について私は当時警備局長からであったかあるいは荒木本部長であったか、しょっちゅう朝から人の出入りが多かったものですから、どちらであったか記憶がないのですが、いずれかから報告を聞きました。そこで、私は現場に行っておらぬものですから、具体的な事案の内容がわからない。しかしながら、現地の本部長が、これはやはり注意義務に若干欠けるところがあったのではないかということであるならば調べるのはよかろう、しかし、私自身の個人的な感じでは、率直に言って、私はああいった事態はやむを得ないのではなかろうか、したがって、気が進まなかったのは事実でございます。しかしながら、現地の指揮官が確かに調べる必要ありという状況であるならばよかろう、こういうことで調べに着手をしたような次第でございます。  そこで、調べた以上は、それがはたして業務上過失があるかないかということを明らかにし、過失の有無にかかわらず検察庁に送致をする、これは刑事訴訟法の規定に従って送致をする、こういうことではなかろうか、それが新聞に出たのではなかろうか、かように思います。
  35. 山本弥之助

    山本(弥)委員 ちょっと意外なお話がありましたが、この問題につきましては、やはり現地の警察意見を尊重いたしまして、私は適正な司法当局判断をまつという態度でいってもらいたい、かように考えております。
  36. 富田朝彦

    ○富田説明員 ただいまの件につきましては、警察の基本的立場長官の申し上げたとおりでございます。ただ、現時点において、現地千葉県本部長から聞きますと、いわゆる事実究明をいたしておるところでございまして、公団の関係者あるいはその他の現場の従事者等にいろいろとその事情を聞いておる、調査を進めておるという段階でございまして、しかもこれはいろいろ技術的なことがございますので、まだその結論を出しておるという段階ではない。しかしながら、基本的な姿勢は、先ほど長官が申されたとおりでありますから、その調査の結果、真実を究明した結果に即して現地が処理をしてまいるもの、かように考えております。
  37. 山本弥之助

    山本(弥)委員 国家公安委員長がお見えになっておりますので、一言お尋ねいたしたいと思います。  今回の警察官の死亡という事実、私どもも心から弔意を表し、またこういう事態を今後起こさないということに努力をしなければならないと思うわけでありますが、委員長新聞談話の決意にもそういうふうな意味のことがあったと思うのであります。しかし、今後この事件を契機といたしまして、多少いろいろな政治的な問題があるわけであります。政治的問題というのは、また一面国民各層にわたりまして大きな不満というものもうっせきしつつあるように感ずるのであります。今後年内にはいろいろな労働運動あるいは地域住民の市民運動その他が相当盛り上がってくるのではなかろうか、かように考えるわけであります。それらいわゆる国民としての国に対する要望あるいは一つ国民の正当な権利としての意思表示に関連する運動というものに関連しまして、今回の事件はいわゆる社会に大きな不安を与えておるという意味におきまして、警察がこれにどう対処するかということは、私どもも注目しておるわけであります。あくまで正常な労働運動あるいは地域住民運動というものに対し、私は、過激な学生集団の行動と峻別いたしまして、警察はこれに対処しなければならぬ、かように考えておるわけでありますが、それらの問題を混同いたしまして、いわば強権的にこれを弾圧するという態勢に出ることは、警察のとるべき道ではない、かように考えるわけであります。委員長の御所見をお聞きしたいと思います。  なお、運輸大臣もお見えになっておりますので、この機会に、先ほど公団総裁からもお聞きしたわけでありますが、一応第一期工事の山場を終えたという感じはいたしますが、今後まだ問題は残る、さらに第二期工事に関連しての農民との話し合いの場が残されておるわけであります。警察の手をわずらわさないように、話し合いでこれらの問題を解決つけるという努力をすべきである、かように考えるわけでありますが、この点は運輸大臣から決意をお聞かせ願いたい。
  38. 中村寅太

    中村国務大臣 今回の事件につきましては、山本委員もたいへん御心配をなさって、いろいろ指導的な発言もございまして、傾聴いたしたところでございますが、ただいま質問をなさいました要旨、いわゆる大衆運動とかあるいは国民の正常なる権利の要求等に対しましては、警察としてはそういうものに対して特殊の弾圧をするとかじゃまをするとかいうような気持ちは毛頭持っておりません。どこまでも国民の権利あるいは正当な主張等は、これは正常に行なわれるようにすることが私はやはり警察一つの任務であると思っております。しかし、今日過激ないわゆる学生集団等が、これはもう法規を全く無視して、法治国にあるまじき行為に及んでおる、この態度、あるいは暴動等に対しましては、これは明白な線を画して、この点につきましてはまた厳重な処置をとっていく方針で臨みたいと考えております。
  39. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 ただいまの山本委員からの御質問でございますが、御趣旨のとおりでございまして、話し合いできめるということはもちろん民主主義政治における一番の原則でございます。それに先般の代執行の以前におきまして、私も再三向こうの農民の代表の方に、あるいは千葉県知事を通じ、あるいは成田の市長を通じまして、私に会ってくれるように、どこまでも出かけますよということでお願いをした次第でございますが、私の至誠が足りなかったせいか、不幸にして実現を見ませんで、期日も切迫しておりますので、県におきましてああいった代執行をとっていただいたようなことでございました。  あと残されている三つは、一つは墓場でございます、一つは個人の方もまだ住んでいらっしゃる、それからもう一つは平和の塔というように、大体におきまして生活に相当直結しているような部面が多い次第でございます。でございますので、できるだけ話し合いをもってやってまいりたい。私はあの終わりました直後からいろいろ知事あるいは市長にお願いをしようと思っている次第でございます。  しかしながら、御承知のように、先ほどから山本委員の御指摘になりましたように、いわゆる新左翼の連中は、この空港問題ではないのだ、空港問題を拠点としていま反体制をやる、しかも反体制におきましては、数においてもそれはとても賛成があれであるから、暴力をもってしてもやろうということで、成田だけでなく、各地におきましてあるいは放火あるいは爆発物を投げる、こういうよう態度に出ておる次第でございます。私ども話し合いをする場におきましても、そういったいわゆる革命を前提といたしました連中と農民とを切り離すことが第一である、その努力をこれからいたさなければならないと思っておる次第でございます。たとえば農民のうちにも、自分もしたいけれども、しかしすっかり取り囲まれちゃってどうにもならぬという点もあるかと思う次第でございますが、いま山本委員のお話しになりました趣旨を十分体しまして、できるだけ話し合いで進めていきたい。ことに第二の工事につきましては、まだ働いていらっしゃるところも少しございますものですから、なおさらそういう感を強くして、極力私ども誠意をもって話し合いに持っていきたい、こう思っておる次第でございますので、御了解をいただきたいと思います。
  40. 山本弥之助

    山本(弥)委員 最後に、国家公安委員長にお尋ねしたいと思いますが、先ほど警察庁長官から公明党の委員長の竹入さんが矢島某なる者によりまして重傷を負われた事件についての報告があったわけでありますが、いろいろいまお取り調べ中だとお聞きしたのでありますが、国の将来の外交その他いろいろな問題について意見が分かれつつあるよう事態、あるいは沖繩国会も間近に控えておるというよう事態にこの事件が起こりましたことは、私ども非常に遺憾に存じておるわけであります。しかも矢島なる者は、過去においての前歴からいいましても、非常狂暴性を持ち、また本年の六月には殺人の指名手配を受けておる。こういう人物が大阪に行き、東京に舞い戻りましてこういう犯行を犯した、こういうことは私ども非常に残念に存ずるわけであります。これらも、いわゆるそういった殺人犯人の指名手配というものに対しまして、警察も手が回らないといえばそれまでのことでありますが、迷宮入りした殺人事件ではなくて、すでに犯人もほぼ確認することができて、しかも指名手配をし、その立ち回りの範囲等も突きとめることは可能であるような感じを私は受けるわけであります。それが東京に舞い戻って、あるいは九段会館のあそこへ出入りする、あるいは汽車に乗り、あちらこちら盛り場を歩くというときにおいてすら、これを確認し逮捕することができなかったということはまことに遺憾に考えるわけであります。こういった狂悪犯人の逮捕につきましては、今後警察といたしましても早急に万全を期していただきたい、かように考えますので、これは強く要望を申し上げておきます。
  41. 大野市郎

    大野委員長 和田一郎君。
  42. 和田一郎

    ○和田(一)委員 竹入委員長事件につきましては、昨日の運輸委員会国家公安委員長から答弁がありましたし、それからただいま警察庁長官からの報告がございました。今後この種の事件が絶対に起きないように万全を尽くしてもらいたい。さらに今後の取り調べにつきましても全力をあげていただきたいということを強く要望しておきます。  また、成田の代執行における三人の警察官の方々の悲報に接しまして、心からお悔やみを申し上げる次第でございます。  成田の問題について、いままでの先生方の御質問非常に重複しますので、その点を避けながらお聞きをいたしますけれども一つお聞きしたいのは、ただいま運輸大臣から御答弁がありました農民と学生を分離するという問題であります。今後そういうふうにしていって、そして紛争を起こさないようにする。これは当然だと思いますし、またいろいろな新聞もそのような論調でございますが、農民と学生を分離するという問題、具体的にどういうふうにされるか、これは今後の問題でございますから、警察当局としての見解をまずお聞きしたいと思います。
  43. 中村寅太

    中村国務大臣 私は、農民と学生とを分離するという考え方、それの基礎に、今回の第二次代執行が一応終わりましたので、今後の問題は、これを機会にできるだけ反対農民の諸君と話し合うよう努力を政府のほうでやるということ、これが解決の糸口がつきますと、私は学生との分離は可能であると思います。学生の運動というのは、直接的にはあそこの飛行場の代執行等に対する反対でございますが、最近の学生運動の狂暴化等を見ますと、もう飛行場の反対運動の線を逸脱した、一つの他の反権的な運動の狂暴な姿に移ってきておるような傾向もございますので、やはりこの際学生反対農民の諸君との分離、その分離のかぎは、やはり政府のほうでできるだけ農民と話し合いをして、そうして農民の納得を取りつけていくということが分離の一番中心的なかぎである、かように考えております。そういう方向で努力すべきではないかと思います。
  44. 和田一郎

    ○和田(一)委員 いま国家公安委員長から政府のほうの話し合いというお話がありました。そうすると、いままで、今回の代執行に関しましても相当話し合いがあったと、私、かねがね聞いておったわけでありますけれども、その点については今井参考人にお聞きしたいのですが、その話し合いをやっていける、何といいますか、自信があるかどうか、この点についてひとつお聞きしたい。
  45. 今井榮文

    今井参考人 お答え申し上げます。  第一次代執行をやりました際にも、私どもとしては、その後できるだけ農民の方々との話し合いをしたいということで、現在第二期工事区域に住んでおられる反対派の農民の方々との間にある程度の話し合いを成立させまして、十四ヘクタール程度の土地、十数軒の方々については円満に実は話がついたわけでございます。それからまた、代執行をやる予定にしておった反対派の拠点であった土地についても、数人の方々とは話し合いをつけて、現実にその土地を私どもが任意買収で取得したという例もあるわけでございます。  今後残された問題につきましては、第一期工事区域の中では、先ほど山木先生からも御質問があったけれども、三カ所実は残っておるわけでございまして、一カ所は純然たる農家でございます。これについては何としても話し合いをいたしたい。それからなお、主として共産党系の方々が中心で、現在県知事と話し合いをしておられる平和の塔の敷地でございますけれども、これについても一応話し合いの見通しがあるというふうに知事は判断いたしております。もう一カ所は、天浪の残存墓地の問題でございますが、これについては、先ほど申し上げましたように話し合いをしたい。  それからなお、第二期工事区域の反対派農民の方々につきましては、すべての方々と全部話し合いがつくかどうかという点についていま確信があるわけではございませんが、第二期工事は二千五百メートル滑走路と三千二百メートルの横風用滑走路、それに付帯するエプロン造成でございますが、これはまだ数年先の問題でございますので、まず私どもはこの四十七年度は全力をあげて残存の第二期工事区域内の農家の方々と話し合いを進めていきたい。それについては、私どもとしては相当な確信を持っておりますし、第一次代執行以後においてある程度の成果を得たという点も御報告申し上げておきます。
  46. 和田一郎

    ○和田(一)委員 今後のその話し合いに自信がある。そうすると、いまの御答弁で最後のほうに、第一次代執行、第二次代執行相当成果をあげたから、今後残っておるものについては、ひとつ大きく環境は変わってきたから話し合いは可能であるというふうに私ちょっと聞いておったわけですけれども、そういうことですか。ということは、今回の第一次、第二次代執行に際しての話し合いが不十分であったというふうにもとれるのですけれども、その点についてどうですか。
  47. 今井榮文

    今井参考人 農民の方々との話し合いにつきましては、昭和四十一年に三里塚の空港予定地として決定いたしまして以後、私ども直接現地に出向きまして、当時話し合いをいたしたわけでございまして、先生も御存じのように、第一期工事区域についてはほとんど全部の土地をといってもいいくらい、私どもは任意で話をつけたわけでございます。それから第二期工事区域につきましても、すでに民有地の八三%は任意の話し合いを私どもつけたわけでございます。ですから、第一次代執行以前にほとんど敷地内の大多数の方々との話は任意でつけたわけでございます。たまたま代執行をやったから、それを契機にして農民との話し合いをつけるというふうな意味で実は申し上げたわけではないので、初めからそういう努力を続けてまいったわけでございます。  ただ、最近の状況は、反対派の農家の方々の敷地内ではごくわずかになりまして、そういった方々のところへ私どもの職員が出向いていろいろ話し合いをするという環境がなかなか困難になってきたという事実がございました。これは第一次代執行、第二次代執行以前の状況でございますけれども非常にたくさんな学生がある程度そういうふうな残っておる反対派の農家の方々に若干関与しておる。こういうことばはあるいは言い過ぎかもしれませんけれども、そういうふうな事態でございまして、私どもの職員が相手の農家の方々にお会いするのにも、非常に朝早く出ていくとか、あるいは夜忍んでいくというふうなことでいままで話し合いを継続してきたわけでございますが、今度は、第一期工事区域内にはそういう拠点がいまのところなくなりましたものですから、私どもとしての残っておる農家の方々との話し合いの環境というものは非常に改善されたのではないか、こういうふうに考えております。
  48. 和田一郎

    ○和田(一)委員 運輸大臣が早くお帰りになるということなんでお聞きいたしますけれども、今回の事件で、全然関係のない一般の方々、いわゆる商店、それから畑、もうめちゃめちゃだというふうな話が出ておりました。付近の商店では、これは全然関係のないところですが、お店もあけられない、雨戸を打ちつけたところ、あと関係のない農家では落花生も全滅である、ショウガもそうである、そういうようなことでございます。それに対してはどういうふうなお考えですか。
  49. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 ただいまの、全然関係のない第三者が非常な被害を受けた、こういうことでございまして、まことに遺憾に存じておる次第でございます。しかしながら、これをおもにいたしましたのは、御承知のとおり、いわゆる学生諸君がそういった挙に出る、それで警察官といろいろのトラブルを起こしたということが原因でございまして、これについては以前も東京におきまして、たとえば新宿を解放地区にするとか、あるいはまた神田を解放地区にするとかいうようなことで、かつて都民の皆さまに非常に御迷惑をかけたことがございます。それと同じような、これは代執行の場合でございますから少し性質が違うかもわかりませんが、いわゆる新左翼の暴力に対して警察がそれを鎮圧するということと同じようなことで犠牲が出たのではないか、こう思っておる次第でございます。  これにつきましては、私どもといたしましても十分その点で調査をいたしまして、その人たちのいろいろの御意見も聞きましてから考えをまとめたい、こう思っておる次第でございます。
  50. 今井榮文

    今井参考人 大臣の御答弁を補足して私から説明させていただきたいと思いますが、農家の代執行あるいはまた先般行なわれました裁判所の仮処分決定に基づく強制執行等の農家の被害につきましては、私どもは、現実にたんぼが荒らされたあるいはまた落花生の畑が荒らされたというものにつきましては、県あるいはまた市の関係の機関にも御相談申し上げて、被害額を算定してこれをお支払いするというつもりでおるわけでございまして、現実に先般の強制執行に基づく農家の被害に対しては損害を補償いたしております。  それからなお、今後についても同様に考えておりますが、商店が戸を締めて営業ができなかったというふうな点については、まだそこまで——いままではそういう計算がなかったものでございますから、今後の研究課題であろうかというふうに考えております。
  51. 和田一郎

    ○和田(一)委員 そうしますと、そういう補償についても万全を期すというのが今井総裁のおことばですけれども、運輸大臣、それでいいですね。  もう一つお聞きしたいのですけれども小泉よねさんの代執行が終わったその翌日ですか、その日だったと思いますが、建設現場の飯場が三つばかりやられまして、これはもう焼き討ち事件で、そして新聞の報道によりますと、もう命からがら逃げた。さらに出かせぎの一家の方々は二人の子供をやっとこさで逃がしてやったというふうな、ほんとうに気の毒なことが出ておりました。しかも、その作業員を逃げさせるために十数名のガードマンが自分のからだをたてにして逃がしてやった、そして袋だたきにあってしまった、そう出ております。非常暴力については私たちは憎しみを感じるわけでございますけれども、そういうことに対しては運輸省当局としてはどうなんですか。
  52. 今井榮文

    今井参考人 現実に仕事を私どもでいたしておりますので、大臣にかわりまして私から御答弁申し上げたいと思います。  飯場あるいは事務所、作業所というものがすでに数十回にわたって放火その他の被害を受けておりますし、それからまた、単にそういう建物だけでなしに、現実にあそこで動いておる重機関係あるいは自動車というふうなものが相当な被害を受けております。これは私どもとしては現在空港工事には日本としては一流の業者の方々に作業をお願いしておるわけでございますが、全くこういうふうな作業環境というものは日本のどこにも存在しないわけでございます。したがいまして、私どもは工事契約とは別にそういったふうな損害については明確に損害額を算出して御提出をいただき、それに対して完全な補償をする、こういうたてまえでおるわけでございます。これについても万全を期して御迷惑がかからないようにしたい、こういうことでございます。
  53. 和田一郎

    ○和田(一)委員 大臣、それでいいんですか。大臣の時間がないものですから、ひとつそのことについて。
  54. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 ただいま今井総裁からお話ししたとおりでございまして、私もその線に沿いまして万全を期したい、こう思っている次第でございます。
  55. 和田一郎

    ○和田(一)委員 そうしますと、先ほど新宿事件の例をあげられましたけれども、あのときはまだ、とにかく学生が騒いだからこうなったんだ、今後検討するというふうな御答弁だったのですが、今井総裁の話からもずっと前進したのですけれども、その前進したお考えで、大臣の御答弁だと受け取っていいのですね。ちょっと答えてください、速記録に載りませんから。
  56. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 そのとおりでございます。
  57. 和田一郎

    ○和田(一)委員 今度は警察当局にお聞きしますけれども、代執行の終わった、例のいまお聞きしました飯場の焼き討ちですけれども、これはもう全く予測のできなかった事態であったのでしょうか。この点についてどうですか。
  58. 富田朝彦

    ○富田説明員 彼ら暴力集団がそういう挙に出ることは、それ以前の代執行時にもあったことでございますので、十分予測はいたしたことでございます。ただ、非常に深更でございまして、それが少数部隊で火をつける。こちらの部隊が行きますと、火を投げかけたあとすぐ逃げるということで、結果としては私ども警備上の反省をいたしておるところでございますし、またそうした被害にあわれた方々については非常にお気の毒に思っておる次第であります。なお、部隊がその現場に出まして、やや大きな集団で五洋建設を襲いました場合には、これを追及しまして、約二十名足らずでございますが、放火の現行犯として逮捕し、現在取り調べをいたしておるところでございますが、今後とも、長官も先ほど申し上げましたとおり、まだ現地にはある程度のそうした暴力集団も残っておりますので、そういう者がその挙に出ないように鋭意警戒に当たっておるところでございます。
  59. 和田一郎

    ○和田(一)委員 先ほどの質問にありましたけれども、例の駒井野の鉄塔の問題ですね。副知事さんが送検されたというふうな話が出ておりましたけれども、確かにあれはテレビ等で見ておりましても、相当のスピードで上からぐっとおりてくるようなふうに、そして一ぺんに崩壊したというふうに私たちも見ました。これは警察当局ではなくて代執行立場だと思うのですけれども現場のあの際の現状について御報告願いたいと思うのです。私たちしろうとが見ましても、ああいうふうにクレーンで引っぱったのは無謀だというふうにだれでも感じるわけです。その辺の現場判断等についてひとつお聞かせ願いたいと思います。
  60. 今井榮文

    今井参考人 鉄塔の撤去作業につきましては、十六日の大体午後三時ごろから始めようということで作業班が準備をいたしたわけでございますが、何ぶんにもその鉄塔自体の科学的な強さというふうなものをあらかじめ正確に判断することができない。しかし、私どものほうとしては比較的弱いものではないかという認識は持っておったようでございます。したがいまして、何とか材木で補強するなり、あるいはまた補強した材木と鉄塔とを全体をなわで拘束するなりというふうなことで、非常に慎重に準備をする段階であったようでございます。ただ、その間に鉄塔の下部の形鋼の一部にねじれが生じておるということを発見いたしたわけでございます。これは後に鉄塔を調べたところが、あれだけの人数があの上に乗って動き回るというような強度は持っておらなかったというふうに私どもは技術者から報告を受けておりますが、いずれにしても、私どもほうの報告でございますので、これは過失があったかなかったかというのはこれは警察の問題でございますけれども、いずれにしても、私の報告を申し上げますと、そういうことでございまして、クレーンでそれをささえようとしたとたんに折れたというふうなことになっております。これは当時テレビでも私どもも現実にその鉄塔の折れる場面は拝見いたしておりますし、それに現にクレーンがつっておるところも映っておるわけでございます。したがって、まだ私どもとしては下に網を張るというような余裕も全然なかった。だから、倒れたために、下の作業員も骨折で大けがをしておるというふうな状況であったようでございます。実際にこれが私どもが故意に引き倒したものであるかどうかということは、場面そのものをある程度科学的に分析されても、一体クレーンがどういうふうな力で動いておったかということはあるいは解明できるのではないかというふうな感じもいたしますので、これは先ほど警察庁のほうで御答弁がございましたけれども、こういった点について御懸念がございますれば、徹底的にひとつそういった事実を科学的に究明していただいて御決定をいただくということではないかと思います。
  61. 和田一郎

    ○和田(一)委員 運輸大臣に聞きたいのですけれども、いまの今井総裁のお答えでは、クレーンはささえるというふうにおっしゃったのですけれども、ささえるということは、上からやるならばささえるかもしれませんが、横から引っぱっているのですね。これはささえるということにならないと思うのですけれども、いずれにしましても、急に折れて、上から十人くらいおっこちてきた、下の作業員も骨折した。これはほんとうに工事の判断を下す、決断をする人の問題ではなかろうかと私は思います。この点について運輸大臣、どうですかね、この点については運輸省としてはやはり大きな責任があると私は思うのですけれども
  62. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 ただいまの御質問でございますが、私も現場に行っておりませんので、詳細にその判断が適切であったかどうかという材料をただいまのところまだ持っていない次第でございますが、いまおっしゃいました点につきまして十分検討いたしまして結論を得たい、こう思っている次第でございます。
  63. 和田一郎

    ○和田(一)委員 次に、国家公安委員長にお尋ねしますけれども、これから天皇陛下の訪欧であるとか、それから沖繩国会、反戦デー等の一連のいわゆる政治行事があるわけですけれども、都市ゲリラだとか、そういった話が出ておりますが、そういう面に対しての警察体制または決意、そういったことをひとつお答え願いたいと思うのです。
  64. 中村寅太

    中村国務大臣 ただいまお尋ねになりましたように、天皇陛下の外遊に対する途中の警備等につきまして、あるいは沖繩国会に対しましていろいろ伝えられておるところによりますと、過激派学生ゲリラ的行為が予想されておりますが、警察当局といたしましてはあらゆる体制を整えまして、そうしてもちろん陛下の羽田からの御出発に対しましては万全の処置をとりまして、国民の皆さん方の御心配になるようなことのないように処置をしてまいりたいと考えておりますし、その自信も持っておるところでございます。  沖繩国会の場合は、これはいろいろゲリラ的な凶悪な犯罪行為等も予想せられますと同時に、正常なる大衆運動というものもやはり行なわれるであろうということも考えられますので、そういう点の配慮に格段の注意をいたしまして、正常なる大衆運動にはできるだけそういう国民の意図がスムーズに表現されていくよう配慮すると同時に、反面、凶悪な犯罪的なゲリラ戦法に対しましては、できるだけ事前にそういうことの起こりそうな気配のあるところには注意をいたしまして、これは未然に防いでいくということが第一義で、もしも不幸にして起こった場合には、けが人あるいは死傷者等を出さないように万全の配慮のかまえをいたしておるわけでございまして、いまのところ警察当局といたしましては、まあ一番問題はやはり東京都内だと思いますので、地方も十二分のかまえはいたしますけれども、特に焦点は東京だと思いますので、東京警察機動力にものを言わせまして未然に防ぐということを第一義でやっていきたい。そういうことでいまの時点では大体御心配になることの起こらないようにし得るという自信を持ってやっておるわけでございます。
  65. 和田一郎

    ○和田(一)委員 運輸大臣、もうお帰りでしょうから、最後に一つお聞きしますけれども、きのうの運輸委員会では、来年の五月に何とか開港したいという大臣の御答弁がありました。これからの工事もたいへんでございましょうけれども、過去に六千人ぐらいの傷ついた方がいる。大きな代償を払ったこの成田空港なんですね。今後はどうしてもけが人を出してもらいたくないというのが国民全体の願いだと思います。そういうことで、代執行であるとか、それから土地収用であるとか、いろいろございますけれども、まあ五月云々とありますけれども、ともかく一番大事なのはからだであり、しかも一番とうといのは命なんですね。そういう面で、どういうふうにお考えになっていらっしゃるか。少しぐらいはけが人はあっても五月にやってしまおうというお考えか、多少延ばしても一滴たりとも血を流さない、そのような決意で政府として当たられるおつもりか、その辺を聞いておきたいと思うのです。
  66. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 ただいまの御質問でございますが、過去におきまして非常なけが人、しかも今回は三名の警察官のとうとい人命を失いましたこと、まことに遺憾のきわみでございます。この話し合いで平和裏に飛行場の完成できることは、これはもちろん私どもの念願でございます。これは代執行していただきました千葉県の当事者といたしましても、また公団といたしましても、これらの防衛に当たる警察といたしましても、ましてそれらの一番の責任者である運輸省といたしましても、話し合いでつけたいということが、これが一番の念願でございます。いまお話がございましたとおり、また先ほど公団総裁からもお答えを申しましたとおり、残りの三つにつきましては、これは極力話し合いをつけまして、そうして代執行その他権力を出さないで済ますことを第一等と考えまして、これから精力的に話し合いに入るよう努力をいたしてまいる覚悟でございます。  その点につきまして、先ほどから申し上げている次第でございますが、やはり飛行場建設の問題、農民の反対、これはともかくとして、この際にやはりそれを革命のいわゆる拠点にする、こう言っておりまする若い人たちのことがそこへ入ってまいりますると、なかなかそういうふうにはいかないという問題がございます。いまお話しの五月を六月、七月に延ばしましても、そういう問題が入ってまいりますと解決できない次第でございますので、私どもといたしましては、そこにお住みになっている農民、それからあとに残る農民の方に、騒音防止あるいはその他の点につきまして、十分御納得のいくような万全の措置を講じまして、それで農民の皆さんは御不満ではあるけれども、やはり全体の国家的な目的のためにやむを得なかった、それで自分たちは動いたけれども、これだけのことをしてくれるならしかたがないというふうにぜひ持っていきたいと思う次第でございます。私、もちろん責任者でございますから、その陣頭に立ってやる次第でございますが、いま和田先生はじめ、ひとつ皆さまの格別の御協力もいただきまして、所期の目的を達成するようにお願いをする次第でございます。
  67. 和田一郎

    ○和田(一)委員 そうしますと、運輸大臣は現場へ行かれますか。
  68. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 話し合いの糸口がつきますれば、直ちに参ります。
  69. 和田一郎

    ○和田(一)委員 それじゃ大臣、けっこうでございますから…。  先ほどの質問に戻りまして、昭和四十四年から四十五年にかけまして、大体百件くらいの、過激派のいわゆる爆弾の使用があるんですね。ですから、これからのいろいろな都市ゲリラに対しましても、またいろいろなそういう過激派学生の動きが爆弾になってきたということは、これはおそるべき問題だと思うのです。これに対して警備当局はどのような手をお使いになりますか。
  70. 富田朝彦

    ○富田説明員 ただいま御指摘のように、爆弾が四十四年の東大紛争をめぐりまして初めて発見をされまして以来、数多くの使用、また数多くの押収があったわけであります。ことに六月十七日には明治公園におきまして強力な爆発物を暴徒が使用いたしまして、警察官の多数の負傷者を出したわけでございますが、あれ以来すでに十九件の爆発物の使用並びに押収いたしました数がございます。こういう情勢でございますので、(「ずいぶん少ないじゃないか」と呼ぶ者あり)途中でございますが、六月十七日以降でございます。そういう状況でございまして、私どもとしては、一つは、こうした凶悪な爆発物を製造し、あるいは使った、こういうものに対しての捜査を徹底することでございますが、これはなかなかむずかしい問題もございますが、すでに六月十七日に明治公園におきまして爆発物を使用したと思われる容疑者、これは九月十七日に逮捕をいたしまして、現在取り調べを鋭意いたしておるところでございますが、この捜査を徹底することによって、そうした無謀な意図を封ずるということが一つであろうかと思います。  第二は、警察官のそうした爆発物に対しまする防護体制を整備するということでありまして、これは身につけるいろいろな防護装備を現在鋭意整備をいたしておるところでございます。  第三は、先ほども大臣から申し上げましたように、かような意図を未然に防止する。そのためには、やはりそうした意味の情報というものをできるだけ極力これを集めまして、そうした狂暴な挙に出るのを未然に押えるということでございます。  さらには、こういうものを使用する彼らの行動形態を見ますときに、なるほど少数の者が走り回るというようなきわめて奇襲的な行動をとります場合と、いわゆる根拠地から出て根拠地へ帰るという、いわば通常いわれておりますゲリラ的な形態、こういうのがございますが、この根拠地を擁してそこから出撃をし、そこに帰るというような性質のものにつきましては、かつて四十四年当時はいわゆる大学校の施設がそういうものに利用されたわけでございますし、今回、成田におきましては、やはり成田周辺というものが一つの根拠地になった。根拠地がない以上、彼らはそうした持続的な狂暴な行為に出ることは、国民の支持が当然ない現状におきましては、こういうことは許されるはずはない、かように考えておりますので、そういう方面にも十分に着意をいたしますとともに、少数による奇襲につきましては、警察のいわゆる遊撃処理体制というものを、十分国民の皆さんの御協力を得ますとともに、そうした体制をとって対処をしてまいりたい、かように考えております。
  71. 和田一郎

    ○和田(一)委員 時間がありませんので、この問題については、また後日地方行政委員会でお聞きいたします。  あと一つ、実は、まことに法律に暗いような言い方でございますけれども、よく代執行、代執行ということで千葉県知事が矢面に立ってやっておる。私たちちょっと考えますと、成田国際空港というのは国家的要求に基づいたところの飛行場だ、そしてそれに対して一生懸命土地収用の代執行千葉県知事がやっておる、そういうことなんですね。実際問題は公団の職員の方がやっているのかわかりませんが、それにしても全責任を知事が持っている。地方公共団体はほかにやることがいっぱいあるわけですよ。しかもちょっとした事故のために副知事さんが送検までされているという問題。この点については私は一体どうなのかという疑問がある。これは土地収用法であるとかあるいは代執行法ですか、そういったものがございますけれども、どうもそういう点から考えましても、職務執行命令的に、いわゆる至上命令的なものが大いにあると思うのです。この点について自治省のほうと、それから建設省のほうの考え方をひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
  72. 宮澤弘

    宮澤説明員 ただいまの代執行の問題でございますけれども、あるいは後ほど主管庁である建設省のほうから御説明があるかと思いますが、土地収用法を見てみますと、和田委員御承知のように、事業の認定でございますとか、あるいは代執行というような一連の行為につきましては、都道府県知事が主務官庁になっておる場合が非常に多いわけでございます。それから収用委員会というのも県の段階に置かれる委員会でございますので、いまの土地収用法の体系から申しますと、代執行だけこれを切り離してものを考えるというわけにはおそらくいかないだろうという感じが私はいたします。  ただ、私ども見ましても、この点はどうだろうかと思いますのは、代執行は起業者の請求に基づいて知事が行なうわけでございますけれども、起業者が政府なりあるいは政府関係機関——今度の場合はまさに政府関係機関であると思いますが、その場合にも知事が代執行を行なわなければならないという現在の法律制度、これはそういう場合にはむしろ政府が直接代執行を行なうという制度にしたほうがいいのではないかという感じがいたします。そういう意味合いでは、全体の体系自身と切り離しまして代執行の問題の点を取り上げましても、政府なり政府関係機関が起業者の場合はなお制度的にも検討をする余地があるのではないか、こういう感じが私どもとしてはいたしております。
  73. 大河内正久

    ○大河内説明員 お答え申し上げます。  ただいま自治省の行政局長さんから御説明がありました点、基本的に同じでございますが、ただ、現在の土地収用法のたてまえを申しますと、行政代執行法のいわゆる代執行権者は、法律によって直接義務を課せられる、あるいは法律に基づきまして行政庁が命令をする、そういう義務違反に対しまして、そういう行為にかかわりを持ちます行政庁が代執行権者ということになっております。それに対しまして、土地収用法百二条の二第二項では、一応都道府県知事に代執行権者を集中して規定しておるわけでございますけれども、これは行政代執行法の考え方を見てみますと、一応行政庁の命令によって義務が生ずる、その義務確保のために、その命令にかかわります行政庁がその衝に当たるということでございますので、これを土地収用法上の考え方にふえんいたしますと、第一次的には収用委員会の明け渡し裁決によりまして代執行義務が生ずるということになるわけでございまして、一応収用委員会が行政庁ということが考えられ得るわけでございますけれども、収用委員会は、御承知のように、当事者の間に立ちまして中立的に裁定を行なういわば司法機関に準ずるよう実態を持っておる性格の機関でございます。と同時に、収用委員会はただいまの法制上、都道府県に付置されておるものであります。さらに行政代執行法の運用面を考えますと、これに要する要員の確保あるいは執行上におきますところの経済的あるいは地理的な諸条件というものを考えてみますと、都道府県知事に代執行権をゆだねるということが立法上は最も妥当な線として出てくるわけでございまして、立法政策上のいろいろな御議論は当然あろうかと思いますが、法制的に考えますと、ただいまの制度が一応妥当な線であるというふうに考えておる次第でございます。
  74. 和田一郎

    ○和田(一)委員 どうも妥当でないと私は思うのです。というのは、自治法の百四十六条ですか、都道府県知事がそれを履行しなかった場合、裁判所のほうに持っていかれるわけですね。そして最後には罷免されるのですね。知事さんが首切られる。ものすごい権力のある現在の法体制なんですね。確かに現在の体制でいままでうまくいってきたのもあると思います。しかし、今回の成田の代執行に関しましては、これは政治的な問題だし、あくまでも地方公共団体の長というものは千葉県の全県民のためにやっていかなければならない職務がいっぱいあるわけですよ。それに対して、どうもこう見ておりますと、政府というものは上に乗っかちゃって、そして空港の建設は空港公団にまかせる。一番たいへんな代執行のほうは知事にまかせるということで、どうもそういうふうに私たちには見えるわけです。これは、いまも建設省の課長さんがおっしゃったけれども、法体系はそうかもわからないけれども、しかし、こういう特殊な例においては、私はもっともっと幅を持たして国というものは出ていく必要があるのではないか、こう思うのですけれども、それについて大河内さん、もう一ぺん答えていただきたいと思うのです。
  75. 大河内正久

    ○大河内説明員 自治法のことが出たわけでございますが、所管でございませんので専門的にわかりませんが、おそらく国の機関委任事務のお話であろうかと思います。そういうことで収用法上の代執行権も国の機関として都道府県知事に一応機関委任をしておるということでございまして、これは他のいろいろな諸法制との均衡等におきましても、土地収用法は大体そういう線に沿って妥当な線で制定されておるというふうに思う次第でございます。
  76. 和田一郎

    ○和田(一)委員 どうも今回の事業を見ますと、決して私は妥当だとは思わない。たとえば小泉よねさんの代執行に関しまして千葉県知事は、三名の方がなくなったという事件の直後ですから、公団のほうに少し延ばしたい、または設計変更したらどうかというようなことを言っているわけですね。しかし、それも設計変更は無理だからやってくれというようなことでやってしまったという、非常に何といいますか、お上の命令というのがにおうわけです。まあ大河内さんとしてはそういうことでございましょうけれども、それじゃ、ひとつ宮澤さんにお聞きしますけれども、今後またこういう事件が起きないとも限らない。あちらこちらにまた空港建設という問題が出ております。それ以外に、たとえば産業廃棄物の場所をつくるとか、これはまた反対が起きてくると思うのですね。そういう面で、いまのままでいけばやはり地方公共団体が代執行をやらなきゃならないものかどうかという——宮澤さんは変えたほうがいいような気分がするとおっしゃいましたけれども、おなかの中では変えたほうがいいとはっきりと思っていらっしゃるのじゃないかと思うのです。こういう点について、自治省側としては法の改正を考える用意があるのかどうか、その点についてひとつ率直に答えていただきたいと思います。
  77. 宮澤弘

    宮澤説明員 率直に言えという御質問でございますが、ただいまの法律自身は建設省所管の法律でございますので、私のほうから率直に改正する、しないということをこの席で申し上げるのはまことに適当ではなかろうと思います。  ただ、私が先ほど申し上げましたのは、現在の土地収用法の体系から申しますと、代執行の点だけをいま和田委員のおっしゃるような形で全面的に、たとえば知事の権限あるいは責任から落としていくということは、いまの体系からいってなかなかむずかしかろう。やるならば、いまの土地収用法の体系全部をもう一度見直してやらなければならないのではないかということを申し上げたのが第一点でございます。  それから、しかし同時に、現在の体系のもとにおきましても、起業者が政府なり政府関係機関の場合は、その場合にでも都道府県知事が代執行の責任を負い、義務を負うということは、どうも私は妥当ではないのではなかろうか。そういう点につきましては、私ども意見を適当な機会に建設当局にお話しをするつもりはございます。ただいまのところはその点そういうことでひとつ御了承を得ておきたいと思います。
  78. 和田一郎

    ○和田(一)委員 じゃ、最後に、大臣にお聞きしますけれども国家公安委員長としては、警備体制のほうでございますけれども、やはり佐藤内閣の一閣僚でございますから、そういう代執行の面について、大臣としてはこの姿が妥当であるかどうかということ、ひとつ所見を聞かしていただきたいと思います。
  79. 中村寅太

    中村国務大臣 私はいまの時点におきましては、やはりいまの法律によってやっておりますので、知事がやるということも適当だろうと思っております。
  80. 和田一郎

    ○和田(一)委員 この問題については、時間もありませんし、あとでゆっくりまた議論さしていただきたいと思います。  以上で終わります。
  81. 大野市郎

    大野委員長 吉田之久君。
  82. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 国家公安委員長にお伺いいたします。  実は私、科学技術特別委員会委員として、原子力の平和利用国際会議でスイスのほうにおりました。ちょうどこの成田事件が起こった直後の現地の新聞でありますけれども、第一面に約半分を使って、成田で日本の警察官が三人殺されたという見出しで、写真入りで報道をいたしておりました。いかに今度の事件が、国民に対してはもちろん、国際的にも日本の信用を失墜した事件であるかということを如実に見てまいった次第でございます。さらに、帰りまして一昨日、一党の委員長である竹入公明党委員長性格異常者によって刺されておる。一体今日日本の治安の最高の責任者であるべき国家公安委員長として、この一連の事件に対してどのような責任を痛感しておられるかということを、まずお伺いいたします。
  83. 中村寅太

    中村国務大臣 成田空港の代執行を行ないます際に、警察官が三名虐殺されるというようなまことに遺憾な事態が起こりましたが、私は、こういろ空港をはさんでの国民国民との間の反対あるいは阻止運動というようなものにも、やはり手段方法あるいはその道具というようなものには一つの限界がなければならぬと思うのです。生命を傷つけるということ、そういうことにつながるような手段あるいは道具というようなものは、これは絶対に避けなければいかぬものであると思っております。しかし、最近の凶暴なる学生と称せられる一部の人たちの運動がだんだん凶悪化してまいりまして、成田でもああいうことをやりましたが、そのほか各地で爆弾等をしかけるというようなこともゲリラ的に行なっておりますが、こういう一つの姿といいますか動向というものは容易ならぬことである。民主国家として、法治国であるたてまえから申しましても、こういうことは許されぬことである。これを未然に防止し、そういうことが起こらないようにするということは、これは治安を預かっております警察の一番大きな任務であると思って、実は全力をあげておるところでございますが、国民の期待に完全に沿い得ないということは残念に存じておる次第でございますが、今後あらゆる面に努力をいたしまして、国民に不安を起こさせることのないようにしなければならぬと、せっかく努力をしておる次第でございます。  それから、公明党の竹入委員長がこの間いわゆる暴漢に襲われて重傷をなさったということも、これもまことに私は何とも言えない気持ちで、お気の毒とも思うし、申しわけもないと責任者としても考えております。私は、こういうことはやはり一つの社会不安にもつながっていきますので、要人に対しては今後できるだけの警護の責任を果たしていかなければならぬと考えて、それぞれ手配はいたしております。こういうこともつとめて避けなければならぬと思います。ただ、私がまことに残念に思いますのは、あの凶悪な重傷を負わせました犯人が、前にも前科を犯して指名手配中であった、これが数カ月間、大阪東京とうろうろしておるのを逮捕し切らぬという、この点につきましてはきびしく反省をいたしまして、警察当局としては今後のこういう事件に対する心がまえとして今後の処置を考えてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  84. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 私どもも、理由のいかんを問わず、人の死を招くよう暴力行為は法治国家としては断じて許せない。しかも今日反対派の運動は、左翼的政治闘争の場として利用されていることは、われわれお互いに百も承知であります。そういうことを十分知っておりながら、なおかつこういう犠牲者を出したということの責任は、断じて問われなければならないというふうに思う次第でございます。  実は先ほどから塩川委員はじめ各委員の御質問を聞いておりまして、後藤田長官のお話を聞いておりました。私はその報告を聞けば聞くほど、今度のこの不祥事態の責任は一にかかって、現場警官にあるのではなしに、その作戦計画した指導部のほうに責任は問われなければならないではないかというふうな気がいたします。  なぜならば、まず法的根拠が整っていない。事前検挙もできにくい。しかし、今日の国家公安委員会としては、この与えられた法規を十分に駆使して今後取り締まりと治安に当たっていきたい、まずこういう姿勢であります。私は、政府当局がその姿勢であるならば、それでいいと思います。同時に、いかに左翼学生といえども、あえて相手を傷つけないような万全の措置をしながら取り締まっていきたい、こうおっしゃっております。それもそれで一面においては大事なことだと思います。  しかし、だとするならば、もはや抜き打ち的にこの情報化時代において作戦は遂行できないだろうし、だとするならば、予知し得た相手の動員能力を考えてこちらが動員体制を組んで、相手のほうが約四千人なり五千人だと判断してこちらのほうは五千五百人を配置した、私はここに間違いの原因、出発点があると思うのです。こちらから攻撃をかける場合ならば、それは三千人、五千人でも十分に事を達することができます。しかし、あくまでも警察の側はみずからは攻撃しない、相手はゲリラ的に攻撃してくるわけです。こういう情勢の中でピストルを持たず、こん棒だけで、手錠だけで今後ともこの種の作業が安全に遂行できるものであろうかという点で、私ども非常に深い疑惑を感ずる次第でございます。そういう点で私は今日国家公安委員会としては、たとえば日常における左翼学生のデモ、そしてこの種のゲリラ闘争とを混同視しておられるのではないだろうか。町においてはわずか十人、二十人の左翼学生、過激派学生がデモっている場合でも、そのときでも三十人、五十人の警察官が十重二十重に取り巻きながら行進を見守っているという例をわれわれは知っております。今度は彼らが攻撃的にゲリラをかけてくる場合、それよりも少ない、ないしはほぼ匹敵する人数だけで守りおおせるものであろうかどうかという点に非常に重大な疑問を感ずる次第でございますが、委員長はいかがお考えでしょうか。
  85. 中村寅太

    中村国務大臣 私はこの間の成田事件に対する配備の力といたしましては、大体集まるであろうと考えておりました学生と称せられる暴力的な集団の予知した数に対しましては、大体あの程度でやれるという自信を持ってやったと思っております。ほんとうはあの場合もいろいろ向こうの作戦等も考えまして、代執行現場と、後方でも相当ゲリラ的な戦法に出るという考え方を持ちまして、後方もやはりそれぞれの予防的な配備を備えておったわけであります。それから代執行現場につきましては、やはりこれならやれるという数で対処したわけでございますが、さっきちょっと私も申しましたように、われわれの想像しない凶悪な戦法で出てきてああいう事態を起こしてまことに申しわけもないと思います。  いま、あとから考えますと、やはりいろいろの手抜かりといいますか不注意というか、注意の足りない点があったことは、現実にああいうことが起こったのでありますから、認めなければなりませんと思いますが、これはやはり一つ反省の要素にしまして、今後はああいうことのないように、いま指摘されますように人員等の配備にも格段の注意を払ってまいりたい、かように考えておるものでございます。  私らのところにも国民の方々からいろいろ申し入れ等がありますが、やはりどこまでも警察は冷静な態度で、そして彼我に死傷者を出さないということが原則でありまして、そういうたてまえからどこまでも攻撃的な姿勢をとらないで、守って防いで、防ぎながら事案の解決をはかっていくという姿勢でいかなければならぬと思いますので、非常にそこにむずかしさがありますけれども、いまの時点では法改正とかそういうことをやらないで、いまの法の範囲内で乗り切って、ひとつ全力をあげて国民の生活に不安を起こすことのないように注意をしてまいりたい、かように考えておるものでございます。
  86. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 依然として委員長は数の力ではほぼ匹敵し得るものであった、十分自信を持って臨んだはずだというふうにお考えでございます。しかし、十分自信があるならば、三人も警官が命を断つなんということがあってはならないと思うのです。しかし、現にそういう悲惨な事態が起こっておる。問題は、相手に対する判断の甘さ、そして警察官の、言うなれば一種の過信、そういうものが今度のこの不幸を招いていると言っても決して言い過ぎではないと思います。相手が想像もしない凶悪な方法でやってきた——そういうことは説明にはなりません。十分に想像されることなのでございます。したがって、すでに起こったことはいたしかたないとしても、今後再びこのようなことを招かないためには、一体国家公安委員長としてはどのような決断をしなければならないかということが問題の一番大事なポイントであると思います。私はもしも相手が四、五千人動員しそうだという情報が的確につかめた場合に、こちらで四、五千人しか配備できない場合には、その日は作業を強行すべきではない、その日は事をかまえるべきではない。そういう慎重さがなければ、二度と再びこういう事件が断じて起こらないということは言い得ないであろうというふうな気がするわけでございます。新聞記事を読みましても、たとえば「この部隊は、ここで火炎ビンと竹ヤリで襲われ、逃げる間もなくおよそ五百人の白ヘル部隊につかまった。三十対五百人。多勢に無勢。隊員はわきの林の中に連れ込まれた。うち四人は、奪われた手錠を自らの手にかけられ、クサリでひかれていった。林の中の小池のほとりは、再び集団リンチの現場となった。付近一帯の草は、ねじ切られたように踏み倒され、湿った土地にこねまわしたような土の跡が残っていた。もはや抵抗するスベを失った隊員に、竹ヤリの攻撃は繰返し加えられた。」これが警官の最後であっていいでしょうか。これは警官の姿ではないと思うのです。これは単なる三十人の集団でしがなかった。こういうもので今後この種の暴動に対して対応できるだろうかという点で、私ども国民とともに大きな疑問を感ずる次第でございます。再びこのような態勢の中では事をかまえるべきでないとわれわれは考えますけれども委員長はどうお考えになりますか。
  87. 中村寅太

    中村国務大臣 いま仰せられましたように、やはり事件を未然に防ぐということが原則でございまして、防ぎ得ない数で対応するというようなことは考えてならぬことであります。いままでも、前回の場合も大体これならば十分やれるという自信の上でやったことでございまして、ああいう事件が起こりましたことは、私は言いわけするという気持ちはございませんが、やはり今後の処置に対するきびしい反省の要素として受け取っていかなければならぬ、かように考えておるものでございます。
  88. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 いままではこれで守れたということから判断してやられたのでありましょうけれども、今後はこれで守れなかった、この厳粛な事実の上に立って今後どのように配置していくか。こういう不幸な警官学生の衝突を好むものではありませんけれども、やむを得ず衝突するであろうと想定される場合には、この種の甘い判断であってはならないということだけ特に強く申し上げておく次第でございます。  同時に私は、こうした集団リンチがその場所で行なわれておる、それもある日突然予想されざる場所で行なわれているわけではありません。十分に衆人監視の中で行なわれているはずであります。いかに広い土地であっても、ヘリコプターが縦横無尽に飛び回っているはずです。この事件は上から見てもとらえられたであろうのに、どうしてそれが連絡されなかったのであろうか。まさになぶり殺しにされている警官、これを救えないとは私は物理的に考えられないのです。一体当時の模様について、その面で何らかの手落ちがあったのではないか。ヘリは飛んでいなかったのか、ヘリからの連絡はなかったのか。そういう連絡、相互の各警察部隊の連絡は十分にとられておったのであろうか。お伺いいたしたいと思うのです。
  89. 富田朝彦

    ○富田説明員 ただいま御指摘の場所、時間におきます状況でございますが、当日先生御指摘のよう状況におきまして、まことに遺憾きわまることが起こったわけでございます。福島警部補を長としました第一中隊の第一小隊、この小隊が東峰十字路から約五百メートルの間にわたりまして、北方に向かった地点火炎びん等あるいは爆発物等の凶器があるのではないかという事前情報に基づきまして、捜索に当たった現場に約二百名の白ヘル、黒ヘル、赤ヘルの暴徒の集団が襲撃をした、こういう状況でございました。同時に、さらにほかの中隊、これも展開をいたしまして、捜索、検索に当たっておったわけでございますが、それにも個々に百名あるいは二百名に近い集団がこれを襲撃した、こういう状態でございました。そういう状態のもとで、連絡用の無線機等を持っておったわけでございますが、そういうふうに非常に混乱をし、極限の事態でございましたために、その無線機も一部亡失をするというような状態もございました。七時十分前後に、部隊がそういう状態にあるということで、現地の指揮本部に救援を求める入信があったのでございます。当日はあの地域相当各方面で使用される電波が入り込んでおりましたために、十分には聞き取れなかったのでありますけれども、そういう状態を察知できるようないわば救援要請があったわけでございます。そこで、指揮本部としては、直ちにその周辺部隊を応援に差し出して措置をとったのでありますが、何ぶんにもああいう農道といいますか、そういうところをくぐり抜けていくような場所でございますので、現地に救援部隊が到着しました際はすでに四散して逃げたあとである、こういうまことに残念な状態が生じ、その過程で三名の殉職者を出したわけでございます。  当時ヘリコプターは二機上空を警戒いたしたわけでありますが、これはたまたま大清水方面において警視庁とその他の連合部隊とにいわば激しい暴力集団の攻撃がございまして、そういう点とからみ合ったために、たまたまその上空にはその時点においていなかった、カバーできなかった、あとから考えますと、そういうふうに考えられるよう事態であったわけであります。そういう事態が当時の時点におきまする状況でございました。  しかし、先生御指摘のように、今後の問題として、いわば現場にそのような集団がそういうかっこうでひそんでおったということ、これはことばはいかがかと存じますが、現場偵察というものが徹底をし切れなかったというところに一つの根源があったように思いますが、そういう点もたいへん貴重な教訓でございますので、今後の警備を行なう際に、部隊のいろいろな編成その他についての検討には十分これを生かして対処してまいりたい、かように考えております。
  90. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 五千人の学生と五千人の警官が対峙している深刻な現場でヘリが二機しか飛んでいなかった、これはほとんど何一つ相手側を偵察していないことの証明だと思うのです。しかも聞きました話によれば、そのヘリの通信装置も故障しておったとか、あるいはいま聞きましたら、非常に無線が錯綜しておってようやく聞き取れた状態、しかも挙銃を持ってはならない、こん棒一つで、ほとんど徒手空挙で犬死にしていったこの福島部隊というものは、聞けば聞くほど私は気の毒でならないと思うのです。このような漫然たる配置のしかたでいいのだろうか。これは確かに上部の責任者の重大な責任を問われるべき問題であるし、彼らが油断をして、たばこを吸って、昼寝をしておったところを襲撃されたのなら話は別でありますけれども、まことに哀れな死に方だと思います。私どもはあくまでも彼我の命を惜しみながら、できるだけ日本人同士が傷つけないでこういう作業を円満に推進していこうとするならば、資金を惜しんではならない、装備を惜しんではならない、時間を惜しんではならないと思うのです。その点で今度のこの事件というものは、非常に大きな教訓を残しているのではないか。そういうことを徹底的に究明することによって、この三人の死というものは報われるのではないかというふうな気がいたします。  さらに、先ほど来、今後再びこういうことを繰り返さないためには、あくまでも反対派の農民の人たちと徹底的に話し合いますということを今井総裁あるいは丹羽大臣もおっしゃっているわけであります。これも単なる話し合いで解決するはずはありません。農民にとっては農地は重要な生産手段であります。国民にとって土地は絶対的な財産でありまして、それを収用してしまうことに対しては、重要な価値の転換を最大限に行なわなければならない。私は今度の成田事件は、行政あって政治のない不幸な事態だと思います。もっと金を惜しまないで、徹底的に話がつくまでは、いかに時間をかけてでも、いかに金を積んででも事を円満裏に処理していく、こういう姿勢がなければ、中村国家公安委員長のほうでどのように苦労されても、この種の事態を今後根絶することはできないと思うのです。したがって、この事件を契機に国家公安委員長としては、政府に対してあるいは総理に対して、重大なその辺の政治的な転回を迫られる意思があるかどうか、お聞きいたします。
  91. 中村寅太

    中村国務大臣 私は今回のまことに遺憾きわまりない事件を契機として、これは国民全体にもたいへん心配をかけておりますが、あるいは反対運動をやっておられる農民の人たちにも、こういうことに対する一つの新しい考え方が生まれておると信ずるのであります。そこで、いま吉田議員が仰せられたように、これを機会に政府のほうとしてもできるだけ積極的に話し合いを行なっていくという態度に出ることが、やはりこの混乱をあるいはこの紛糾を解決する一つの機会ではないかと思います。きょうも丹羽運輸大臣とも話しまして、思い切って積極的に話し合いを進めなければいかぬよ、同時にいま吉田議員も言われましたように、反対者の意向というものをよく聞いて、できるだけ反対者の意向に沿うように積極的な態度で臨まなければやはり解決はつかないと思いますので、非常にむずかしいことではあると思いますが、そういうことで善処すべきであるという時期でもあるし、事自体もそういう方向で進むべきであるということを運輸大臣ともけさも話したようなわけでございます。先ほど運輸大臣も、できるだけ話し合いで臨みたい、こう言っておられますので、私は関係農民と政府との間の話し合いがスムーズに結ばっていくように期待を持っておるものでございます。
  92. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 そこで、一つ気になりますのは、これも新聞の報道ですが、当日この事件あとで「千葉県の代執行実施責任者の川上紀一同県副知事は「本日の作業は中止したい」と県警の警備本部に申入れた。しかし荒木貞一本部長は「警官の死を無にしないよう作業は継続してほしい」と作業続行を主張、結局継続が決まった。」こういう記事が載っております。先ほど和田委員のほうからも代執行の問題についていろいろ質問がありましたけれども、代執行というのはこういうものでいいのでしょうか。代執行するべき責任者が本日はもうやめたいと言っているのに、今度は警察の側がやらしてくれということで、ついに継続をした。この継続したよしあしは別ですよ。よしあしは別でありますけれども、これじゃ、私は冷静なる代執行だとは思わない、冷静なる行政だとは思わない。かたき討ちなんです。やらなければ、ということでやり切ってしまった。そういうことでは今後ますます摩擦は激しくなるであろうし、またこういう犠牲というものは今回では決して終わらないだろうというふうな気がいたします。一体この作業継続をきめる責任者はだれなのか、国家公安委員長の立場からひとつお答えいただきたい。
  93. 中村寅太

    中村国務大臣 代執行をやるかやらぬかということの決定は知事さんが権限を持っておりますし、おそらくあのときも千葉県と運輸省あるいは公団等で、あのどたんばでございますから、みんなで相談をしてやったものであろうと私は考えております。
  94. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 いろいろとこの問題も含めて今後反省すべき多くの問題が提起されたと思います。私どもは今後このような条件の中で同じようなことが断じて行なわれてはならない。したがって、国家公安委員長としては、いまのような条件の中でこのような犠牲が予想される態勢の中では、二度と再びわれわれは治安の維持に当たる自信はございませんというぐらいの決心をしていただきたい。徹底的に話し合いをして、幾ら条理を尽くし、最大の犠牲を払ってもなおかつ話し合いがつかないというどうにもならない無謀な人たちに対しては、いよいよ実力を行使しなければならない。その実力を行使する場合には、あくまでも現在の法規を駆使して、しかも相手側はもちろん自分側も傷つけずに事を進めようとするなら、この数とこの装備ではどうにもならないということだけは徹底的に反省をしていただきたい。もしも同じような形で漫然とやられたならば、今度こそ国家公安委員長の責任は大きく追及されなければならないというふうに思う次第でございます。  そこで、最後に竹入委員長事件でございますけれども、まずお伺いいたしたいことは、今日全国指名手配中の人たちが何人おるのか、その指名手配中の人物に対してどのような手配がなされているのか。たまたま今度の矢島某についてはどのよう措置がなされておったのか。これが質問一つであります。  それからいま一つは、各党の党首に対しては警察が護衛をしているはずでございます。当日竹入委員長の身辺は護衛されておったのかどうか、護衛されておったにもかかわらずこの種の事件が起こったということはやむを得ないことだったのかどうか、という二点について御質問をいたします。
  95. 高松敬治

    ○高松説明員 現在全国指名手配をされておる者の数は、毎年約一万二千というのが常時指名手配になっておる者の数でございます。これは次々につかまりましてそしてまた新たに手配が加わってまいりますので、大体こういう数になってまいるわけでございますが、昨四十五年中の数を見ますと、四十五年中一年間に各都道府県警察指名手配をした被疑者の数は三万三千六百でございます。そのうち検挙いたしましたものは二万二千五百でございます。したがって、四十五年末の調べによりますと、一万一千百というのが残った指名手配の数に相なっております。  指名手配捜査につきましては、たとえば警視庁大阪というふうなところでは地方課という課がございまして、これが分担をして追跡捜査をやっている、さらに各警察署その他を督励して追跡捜査をやっておるという形をとっておりますし、その他の府県におきましてもそういう係がございまして、その係が担当していろいろ捜査をやってまいっておる実情でございます。  本件の四十六年六月七日に池袋で起きました殺人事件指名手配につきましては、事件の直後翌六月八日に全国指名手配警視庁で行なっております。そして主要な立ち回り先であります茅ケ崎の実父のところその他四カ所ばかりに捜査員を派遣して所在捜査をやり、それからさらに、おりました柳沢荘についても一カ月ばかりずっと張り込みを実施いたしております。それから全国的には十万枚の手配書をつくりましてこれを全国に配布し、特に本人が日雇い労務をやっていたということで大阪の愛隣地区を中心にしたところに約一万枚の指名手配書を配布し、これらによっていろいろさがしていたわけでございますが、結果的に見まして、本人は犯行の直後大阪に参っております。そして浪速区馬淵の三光荘アパートというアパートに長谷川誠という偽名を使って潜伏をしておったということで、本人を大阪において逮捕できなかった、発見できなかったということを私ども非常に遺憾に存じておりますし、また今後こういう形のこういう指名手配被疑者の追跡捜査というのは、かなり現実にはむずかしい問題でございますけれども、もっとこれが強力に行なわれるようにいろいろ仕組みを考えてまいりたい、そういう点に一段と努力をしてまいりたい、かように存じておる次第でございます。
  96. 富田朝彦

    ○富田説明員 竹入委員長に対します警護の体制の問題でございますが、当日の党大会におきましては、身辺警護としまして二名の警護課員、専門家でございますが、これが側近に警護をいたしまして、なお、広い場内でございますので水城警部以下——これも警護課員でございますが、所轄警察署その他本庁の関係各課の者十二名で場内の警護、警戒に当たったわけでございます。  竹入委員長が四時四十五分会場を出発されまして党本部に向かわれました際は、常時警護に当たっております巡査部長が一名同乗をいたしまして警護に当たったわけでございますが、同巡査部長は常日ごろ竹入委員長の行動される際の警護と同じ定位置つまり運転手の左側、そういう構造になっておる日本製の車でございますが、後方の座席の右側に竹入委員長がすわられ、それから左側のほうに秘書の方が当日はすわられたようでございます。五時二分ごろ党本部前にこの車が着きまして、これは信濃町方向に向かって一方通行に指定をされておる道路でございます。直ちに巡査部長の警護員はおりまして、左側のドアをあけて警護態勢をとったわけでございます。  私ども常日ごろ申しておりますのは、やはり車に乗られる際——会場とかそういうところは別な考え方で対処しておりますが、車に乗られる際、おりられる際ということが一番問題のところでございますので、常時警護員がドアをあけて、そしておおりをいただくということに指導をいたしておるわけでございますが、当日はその左側のドアをあけまして、そして秘書の方がそこからおりられる、委員長もおりられるかと、こう思ったようでございますけれども、たまたま右に席を占めておられましたので、右側のドアをあけられて、そして車のいわばうしろのほうをお回りになって党本部のほうに入られようとして、ちょうど車の左うしろのほうの地点に回られたところへ、党本部付近の物陰におったと思われます犯人が、左後方から委員長のほうに攻撃をかけてきた。そこで、そのドアを持ったままおりました——持ったといいますか、ドアをあけてその地点に位置した巡査部長がさっそくかけつけたというのが状況でございます。  結果として、委員長がああいう傷を負われたということはまことに残念でございますし、申しわけのないことだと思っております。さっそくそういう点も含めまして、警護員全体に現在十分注意をするように指導しておるところでございます。
  97. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 われわれも日常各党の委員長を皆さんが警備している姿を見ておりまして、平生はぎょうぎょうしいと思うのです。思うのですけれども、やはりこういう事件が起これば、これはたいへんなことでありまして、しかも、いま話を聞けば、十分注意はなさっておったでありましょうけれども、いざとなれば一人や二人では守り切れない状況は十分に想像できます。まして党首といえども、最近はきわめて庶民的にふるまっている現状では、つけ入れられる余地は十分あると思う。この種の事件を再び起こさないためには一体どうしたらいいか。ひとつ関係当局の皆さんは最大の英知をしぼっていただきたい。  それからもう一つは、指名手配の検挙の問題でありますけれども、絶えず一定数が残っているということは、まことに悲しいことです。聞くところによると、いろいろなカードやビラを用意しておられるようでありますけれども、写真が小さくて、活字ばかりが大きかったり、だからなかなか効果を発揮していない面もあるように聞いております。何よりもこの種の問題あるいは先ほどの成田事件にしましても、やはり民間の協力がなければ、とても処理できるものではない、防止できるものではないと思います。  国家公安委員長に申しておきますけれども、しかし現時点における国民警察に対する反応というものは決して好意的なものではない。どちらかといえば、冷淡な向きが非常に多くあります。問題は、この警察にほんとうに協力しようという国民の協力態勢をいかに完ぺきにしくかということによって、この種の二つの問題も大いに防止でき得たのではないか、また今後もでき得るのではないかというふうな気がいたします。  どうかその点で、今度の事件はいかにも警察側に多くの甘さがあります、過信があります、もっと冷厳に現実社会というものを見てもらって、そうしてその中でよりよき治安の維持に当たっていただきたいということを強くお願いいたしまして、質問を終わります。
  98. 大野市郎

  99. 青柳盛雄

    青柳委員 このたびの成田における不祥な事件は、根本的には佐藤内閣がゴリ押しにあそこへ空港をつくろうとした、そこに根源があると思います。もちろんゴリ押しというのは、現地住民の意向も聞かなければ、要求も十分聞いてやらないという、そこに問題があると思う。何でも反対というのではおそらくないと思います。出発からして抜き打ち的であり、しかもその計画をどうしても推し進めるのだ。手直しをするとか、いろいろと農民の要求を満足させるよう措置をとるというようなことがなされていない。やはり昔の官僚的なやり方、押しつけ的なやり方に問題があると思います。  そのことが根源でございまして、このような現地住民の不満があり、闘争があるところへは、最近必ず暴力学生といわれる者が出かけていくわけであります。悪い表現を使いますと、テキヤの人たちが縁日を求めて渡り歩くように、何か世論を引くよう闘争が起こりますと、必ずそこへ割り込んでいって、その闘争をやっている人たちの利益を守るかのごとき姿勢を示し、もちろん部分的には守っているように見えるわけでありましょうけれども、また反射的な結果といたしましてそういう効果も絶無ではないかもしれません。  しかし、彼らのねらいはそこにないことはもう周知の事実でございます。要するに、民主的な運動、切実な要求を実現するのではなくて、むしろそれを極端な漫画化したような形でぶちこわしてしまう。世論からその闘争を支持されないような状態にしてしまう、そうして孤立状態におとしいれるならば、この闘争はおそらく失敗に帰することは明白でございます。同時に、これが警察官などとの衝突を常に意図しておりますので、これは当然のことながら、警察力の増強、治安的な体制の強化ということが世論の支持を受けるような形になってまいります。  この暴力学生たちの主観的なねらいがどこにあるかは別といたしましても、客観的には政府・与党などが治安問題について絶えず警戒をし、そしてこれに対処するためにいろいろの法制を整備する、予算措置もとる、そういうようなことを考えているわけでありますけれども、それに対しては、当然のことながら納税者である国民世論の支持が必要でありますけれども、こういう暴力学生が一般の良民を苦しめるような形で、同時に法の執行者という形であらわれる警察官を攻撃するという形であばれる。これは一般の世論から大きな批判をされることは当然でございます。  日本共産党は、この連中が共産党がよくないのだといって反対をしているから、この連中を非難するのではなくて、まさに世間の人たちが、彼らが農民なり住民なりあるいは労働者なりの要求の協力者、それを実現するための協力者のような形であらわれ、ただやり方がまずいのだ、暴力をふるうからまずいんだというところから、心情的に一部の人たちが、しかもそれが学生であるというがゆえに——学生というのは将来の支配階級の協力者に育っていく、そういう社会的な地位を持っているわけでありますけれども、そしてまた相当程度の家庭の子弟であるがゆえに、彼らに対する甘やかした気分というのがあり、したがって、心情的に彼らに同調するという、それがそもそもあやまちであるということを共産党は指摘しているわけでございます。したがって、反共である、あるいは反代々木だとか反日共だとかいうような理由によって彼らを非難するのではなくして、まさに彼らのやっている事柄が、非常に反社会的なものであり、また反動的なものであり、もっと正確なことばで言うならば、反革命的なものであるがゆえにわれわれは反対をしているわけでございます。  さて、本日の委員会におきまして後藤田警察庁長官が述べられたことの中で、二つの点が非常に特徴的であったと思います。一つは、事前偵察を十分に行なえないのについては、警職法あるいはその他の治安立法に不備があるけれども、これらの法律はもろ刃のやいばであるから、使いようによってはおそろしい反民主主義的な結果、人権じゅうりんにもなるから、いまこれを改正する気持ちはない、これが一つ。それからもう一つは、ゲリラ的なやり方、暴力学生の凶器を用いての集団的な暴行から警察官の身を守りあるいは第三者の身を守るために必要な武装、これについては防衛的なものに限って、決して攻撃的なものを装備しようとは考えていない。もちろんその基本的な精神としては警察比例の原則があるんだ、こういう二つの点でございます。  そこで、私は、まず最初事前偵察について一体どういう不備があるのか、これを聞きたいと思うのであります。現在までわれわれがいろいろのところから知り得たところでは、警察警職法あるいはその他の治安立法のもとでどういうことをやったか。たとえばこれは相当古い話になりますけれども昭和二十七年の夏ころに大分県の菅生という村、阿蘇山のふもとにある菅生という村で起こった事件でございますけれども、交番が夜中に襲撃される、爆弾を投げ込まれたという事件がございます。そのときに共産党員が数名直ちにその現場で逮捕されました。このときになぜその現場に行っておったかと申しますと、共産党に協力をするという人が物質的な援助を与えるから交番のすぐそばの学校のわきに来てくれということで、そこに行ったわけであります。そしてその人と別れるやいなや、その場において交番が爆破された。直ちに犯人として逮捕された。この共産党に協力するという人は、よそから来た市木春秋と名のる男性、中年の男性でございました。青年といっていいかもしれません。これがその事件あと直ちに行くえ不明になりました。共産党といたしましても、また新聞記者の方々の協力もありまして、ついにその人が戸高公徳という現職の警察官であることが判明をいたしました。このことは法務委員会でも当時問題になったから、非常に明確な事実でございます。したがって、このような事実が判明した以上、この交番爆破事件というのは、まさに共産党をやっつけるために近づいてきた現職の警察官がたくらんだしわざであるということが明白になりまして、全員無罪になり、確定をいたしました。ちなみに、この戸高公徳という警察官は、当時休職になりましたけれども、その後復職をいたしまして、現在は香川県の四国管区警察局の公安課長の職にあるというふうに聞いております。こういうよう一つの事例から見ましても、事前の偵察のためにはこのよう措置もとられる。  また、数年前、宮城県仙台におきまして、警察官が共産党関係者を協力者にしようとしていろいろの誘惑をしましたけれども応じなかったところ、暴力をふるって旅館の二階に連れ込んで、むりやりに警察のスパイになることを強要したのであります。その暴行に耐えかねて、その方が屋根を伝わって逃げましたところ、追いかけられて屋根から落ちてけがをした事件がございます。このことを直ちに警察に訴えた、あるいは警察庁に訴えたわけでありますが、不起訴になりました。準起訴手続によりまして、裁判所の決定で、これはその警察官が被告にされ、裁判にかけられて、一審が有罪になっている事実もございます。  このようにいろいろの手段を用いて、事前偵察というものが現在の法制のもとで行なわれているわけでございます。そのための予算措置も、本年度の予算のうちでも、警察庁のみで、いわゆる都道府県の分を含まないで、謝礼金が九千四百万円、報償費が八千七百万円というふうに計上されております。四十四年度決算によりますと、謝礼金が約八千万円、報償費に至っては、一億二千五百三十五万円という金が使われておるわけです。これはほとんど領収証のない、決算の上での領収証を必要としない、いわゆるスパイに払う金でございます。あるいはそれに使う金でございます。こういうものが合法的に使われており、警職法があり、その他の治安立法がある中で、何ゆえにこの暴力学生については事前の偵察ができなかったのか、これが私どもの大きな疑問とするところでございます。  自民党の要人の方々が、暴力学生は民青同盟や共産党をやっつけるためには泳がせておいたほうが役に立つのだということを公言された事実は、先刻皆さま方御承知のとおりでございますので、私どもは依然として自民党あるいは政府がこの暴力学生を利用しているのではないか、これによって農民の正当な要求の闘争をむしろ国民から孤立化させるように挑発をしていく、そうしてまた警官隊と衝突させて、警官隊に負傷者あるいは死傷者が出るならば、これを口実にさらに治安体制を強化するということにしようとしているのではないかということで、われわれは疑うに足りる相当な理由が幾つもあると考えるわけでございます。  そこで、お尋ねをいたしますけれども、この成田闘争、いわゆる第二次代執行にあたって、第一次の代執行がことしの二月にあって、それから半年後の九月の代執行までの間に、第一次代執行の経験に学んで、この暴力学生がどのようなことを計画し続けてきたかということをあらかじめ調査したことがあるのかないのか。あるとするならば、どの程度のことを知ることができたのか、これをお尋ねいたしたいと思います。
  100. 富田朝彦

    ○富田説明員 お尋ねの暴力集団のいわゆる暴力学生、これらの代執行をめぐりますいろいろな問題についてどういうあれをしたか、こういうことでございますが、これはもう御案内のとおり、その暴力集団の一部は第二次代執行に際して、北総大暴動である、これを秋の国会闘争のいわばバネにして、そうしてそれに持ち込むのだ、こういうような事柄を言っておるということで、まあ一例を申し上げたわけでありますが、そういうことから推しておわかりいただけますように、ああいう場で代執行の阻止ということが一つと、それからそれを妨害する違法行為を排除するべき任務を持った周辺警察隊、これに対して徹底的攻撃を加える、こういうようなことが彼らの意図であり、また現実にその行動としてあらわれておったと思うわけであります。  そこで、先ほど前段で一、二例をあげられましたことについて関連してお答えを申し上げておきたいと思いますが、そうしたいわば暴力集団を形成するような連中を泳がしておるのではないか、こういうお話でございます。私どもは、四十二年第一次羽田闘争といわれるもの以来、今日までたびたびの彼らを中心にした過激な、きわめて遺憾きわまる行動があったわけでありますが、それにはそれぞれその時点の状況その他に応じまして冷静に対処をし、今日の治安を維持していると信じておりますけれども、その間に一万七千名の負傷警察官を出しております。今日また成田においては、私どもはたいへん残念であり、かつほんとうに心から遺憾に思っておりますけれども、三名の殉職者、それ以前におきましても四十三年の九月には日大闘争と称する事案の過程におきまして、警視庁の巡査部長が一名殉職しておりますし、また四十四年には岡山大学でのそうした事案に関連いたしまして一名殉職をいたしているのであります。またそうしたいわゆる過激な暴力集団、これをその間に三万余名の検挙をいたしております。そういう事実から御推定いただけますように、私どもがそういうものを泳がせるというようなことは毛頭ございません。  また第二に、報償費等の点についてお触れになられたわけでありますが、報償費は、これは警察官がけがをするので、長官がそのけがのお見舞いをしたい、そして士気を鼓舞したい、こういう趣旨の金でございます。決してスパイ費ではございません。  それからなお、戸高公徳につきましてお話がございましたが、これは三十一年に本人の事柄につきましては二次の裁判の手続を経まして刑の免除という決定を受けておるわけでございます。  以上、お答えをいたします。
  101. 青柳盛雄

    青柳委員 泳がしているんではないというお話がございますけれども、時間がありませんから具体的なことで一々反論いたしませんが、六〇年安保の際に立て役者であった唐牛その他の連中が、警視総監あるいは第一課長、検事正、そうした人たちと連係があったとか、反共右翼の連中と財源を求めて関係があったとかいうことももう公然の事実になっておりますし、それから共産党を襲撃した背叛社の連中が警察からいろいろと援助をもらってやっておったというようなこと等々の事実から、警察は当然のことながらこういう組織の中に協力者を求めるということをやっておられるし、いまでもそのことは別に隠しておられない。ただ、具体的にだれが協力者だということを言うとやりにくくなるからそれは言わないけれども、必ずいるのだ。だから協力者がいたのならば、いまの答弁のように、まあ北総の何とかをやろうとしているという程度の抽象的なことではなくて、何派の中に何名くらいの動員力があって、そして当日はどの程度成田に結集できるかというようなことは、当然そういう協力者を通じて、わかりやすいことばで言えばスパイを通じてわかっておるはずだから、どの程度わかっておったんだということを私は質問しておるわけであります。だから、先方が、いゆる暴力学生が五千人くらいは結集するだろうとか、あるいは延べにして先ほどの後藤田長官の一万二千六百人云々というような話もありましたけれども、そういうこともすべてそういう協力者から得られる情報によって結論が出てくるのじゃないかと思うのですけれども、そういう点で事前にどの程度の偵察ができておったのか、そこをお尋ねをしておるわけです。だから、当時の集結状況について、いわゆる事前でなしに、もうその当日の状況についての判断に誤りがあったということもいわれました。それはまあ正確なことはわからないにしても、あらかじめ五千人くらい動員されるだろう、だからこっちも五千人だ、こういうことだろうと私も思うのですけれども、それならば、どういう派閥の連中がどのように五千人集まるのかということはわかっておったかどうか、これだけお尋ねしたいと思うのです。
  102. 富田朝彦

    ○富田説明員 当日どのくらいどういう派閥の者が集まるかということは、当然私どもとしてはいろいろな協力のルートを通じて把握をいたしたのでございます。たとえば大清水地点には中核派を中心にしたグループ、いわゆる四トロその他こういう者がたとえば三百名あるいは学生インターを加えて四百名に近い、こういうよう情報は得ておって、それぞれそういうものの全体像というものをいろいろ把握いたしまして、それに対応する警察の配置を考えたのでありますが、いわゆる殉職者を出しましたあの地点におきましては、残念ながら彼らがああいう山の中を伝ってあそこへ突如奇襲をかけてくるという事前情報は把握をしていなかったということでございます。
  103. 青柳盛雄

    青柳委員 その点が先ほどからもよく御答弁があります現状偵察ですね。事前の偵察でなく現状偵察の不徹底のしからしめるところであって、まあ大作戦錯誤の連続であるというようなおもしろい表現で後藤田長官は言われましたけれども錯誤の連続にしても単なる偶然ではないんじゃないか。どうもこの人たち、暴力学生たちのやることに対して十分な態勢というものをとることをようしないのではないか。その証拠に、私ども東峰十字路周辺で検索あるいは検問ともいわれておりますが、そういう任務を帯びた神奈川の堀田大隊そして福島小隊が任務を行なう場合に、トランシーバーとかその他の無線機、こういうもので相互の連絡をとりあっていたのかどうかということについて非常に疑問を持つわけです。パトロールカーが焼かれたとか、あるいは警察官を運ぶ車両が二台焼かれたとかということもいわれておりますが、いずれにしてもそういう機動力を持っていると同時に無線連絡をする装備はしていることだと思うのでございますけれども、そのことについてはいままで何のお話もございませんでしたが、ヘリコプターが故障していたとか、数が足りなかったということはわかりましたけれども、しかし、孤立無援な状態に置かれて、しかも救援が来るまでに三十分とかあるいは一時間とかいうふうにおくれるということ、そしてまた連絡もなかったのかあったのか、また堀田大隊なるものから完全に遮断されたとしても、他の部隊が孤立された福島小隊の状況を全然知らないわけではないと思うのですが、それの連絡がどうなっているのか。こういうのを見ると、彼らがやるだけやってクモの子を散らすようにいなくなるまで見送ってやったというふうな、これは非常にうがった解釈でございますけれども、それもできると思うのです。一人も逮捕することができなかった。あとになってみると、農民がその辺にいたとかあるいはきょうの新聞などを見ると、高校生がいたとかいうようなことをいっておるわけでありますけれども、いずれにしても警察官はその現場には救援におもむいていないという事実は一体どういうことか。この無線機の問題についてひとつお尋ねしたいと思います。
  104. 富田朝彦

    ○富田説明員 お答えいたします。  当然、部隊として任務を持ってその場所に配置を命ぜられた部隊でございますから、いまお話しのような無線機材は十分持っていったわけであります。これはいわゆるパトカーについておる無線機のほか、個人携行の無線機もそれぞれの隊の単位によりまして持っていったわけでありますが、先ほどもこの点については御説明を加えたわけでございますけれども、福島小隊がああいう形で襲撃をされる、そのときは堀田大隊長は十字路のところに仁王立ちになっておりまして、それの状況は無線機を要せずとも見れるわけであります。その辺にいた部隊を指揮して救援に向かっておるわけであります。距離にすれば数百メートルであります。しかし、その救援に向かった部隊自体にまた同時刻に他の暴力集団が攻撃を加えてきておる。こういう過程で、無線機自体は、現場において何本の火炎びんが使われたか正確には把握できませんが、少なくとも一千本以上の火炎びんが使われておる、そういう過程においては無線機自体が焼けただれる、また現実に焼けただれた無線機も回収いたしておりますが、そういう過程で、堀田大隊としては救援のあれを残った無線機によって、先ほども申し上げましたが、七時十分前後に本部に対して、状況はこうである、こういうことを伝えて救援を求めてきておるわけでありますが、それに従って救援部隊は直ちに現場に出動を命ぜられて行ったわけでございますけれども、道路事情がいわばああいう丘陵地帯の道路でございますから、若干の手戻りがあったかもしれませんが、とにかく救援したいということで、とるものもとりあえず出かけておるわけでございますが、その時点においては決してそれは八時とか、そういう時点ではございません。現場に到着した時期には、もうすでに暴力集団は四散しておる、こういう状態でございます。  また、おことばではございますけれども、要するに、そういうものを泳がしておったのではないか——しかし、私どもとしては三人の犠牲者を出して、それを泳がしておるというふうに、もしそういうおことばであるとすれば、はなはだ意外なおことばである、かように存ずる次第であります。
  105. 青柳盛雄

    青柳委員 時間がありませんから、同じことばかり繰り返しはいたしませんが、要するに、単なる錯誤の連続にすぎないのだ、不徹底な偵察であったのだというようなことだけで納得がいくかどうかということは、依然として私は留保されなければならないと思います。  先へ進みます。  機動隊の装備の問題でございますけれども、攻撃的な武器をもって装備はしないという、これは先ほどの説明の趣旨からいって当然なことだと思いますけれども、それに対しては一部疑問をあらわされる向きもあるわけです。そこに私は非常な戦慄を感ずるわけでございまして、全くのゲリラ闘争であるからこちらもそれに負けないだけの武器を持って戦闘隊形をとる、これは当然のことながら双方に死傷者が出るのみならず、一般第三者を犠牲にするということ。だから、向こうがいろいろの武器を持ってきてもこちらは防衛だけにとどめて、向こうの武器に対抗するだけの武器、たとえば向こうがライフルを持ってくればこちらはライフルを持っていく、機関銃を持っていくとかいうような、あるいは爆弾まで持っていくというようなことであっては、これはもうどうしようもないことになるわけですから、その点については考慮の余地ないのですが、かつてはピストルを携行して集団に当たったということも、たとえばメーデー事件などのときにはあったし、現在でも相当数の人々が集まっているところで、警職法に基づいて執行する場合に、武装していくという例もありますので、これはどのような標準に基づいて防備用の装備だけでいくのか、すなわち、出動するにあたって常時携帯することを認められている武器を置いていくのか、機動隊あるいは急編成の隊でも、今度の神奈川のような応援部隊でもよろしいのでございますけれども、どういうようなときに置いていくのか、その基準はどうきめられているか、それだけお尋ねをいたしておきます。
  106. 富田朝彦

    ○富田説明員 お答えいたします。  ただいまの御質問は、どういうときに置いていくのかとおっしゃったもの自体は、おそらくピストルをさしておられるのだろうと思いますが、これは、かつてはそういうあれもございましたけれども、いわゆる大衆の行動が行なわれる、一般市民がそれを一緒に見ておるというような状態のときには、そんなものはつけておりません。ただ、御案内のように、昨年の十一月の末であったと思いますが、京浜安保共闘という相当凶悪な連中が上赤塚という交番を集団で襲撃したことがございます。このときは、やむを得ずピストルを当該交番の巡査が正当防衛として使いまして、そしてこれは一名死んでおるという事実はございますけれども、いわゆるそういう大衆の場合、これは比例原則の問題もございますし、大衆がいろいろな行動に出られる場合、こういう場合はそういうものは持っておりません。
  107. 青柳盛雄

    青柳委員 一般論としてそういうお話でございまして、法的な根拠などはあまりはっきりいたしませんけれども、私どもは、民主的な平穏なデモンストレーションや集会に対してたてとこん棒ぐらいを持って出るということ自体でさえもちょっとものものし過ぎると思うわけでありますが、ましてピストルのような武器を携行するというようなことはあってはならないと思います。今度の場合もそういうものは持っていかなかったためにやられっぱなしにやられてしまったということなんでございましょうが、今後暴力学生だから持っていってもいいと私どもは考えない。やはり彼らが事前にどういうような武器を用意しているかということを十分に調べて、そしてそれに対処する方法を、一般の良民が迷惑をこうむらないような形で、たとえば検問する。今度の成田の場合などは三里塚の市街を四時間半、五時間近くも封鎖して、そして検問をやった。そのためにバスも通らない、商売もできなかったという非常な良民の苦痛があったわけでありますけれども、そういう形でなしに、やはり相手方の武装というものは事前に解除できるならば解除するようにする。また、できない場合にはどういうふうにしてこれを防ぐかということを研究することを続けていってもらいたい。  これを要望して終わりといたします。
  108. 大野市郎

    大野委員長 今井参考人には長時間御出席をいただき、まことにありがとうございました。お引き取りをいただいてけっこうでございます。      ————◇—————
  109. 大野市郎

    大野委員長 次に、地方財政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。華山親義君。
  110. 華山親義

    華山委員 予定された案件のほかに、私、申し出まして自治省にお尋ねをするわけでございますから、きわめて簡単にとどめておきたいと思います。  と申しますことは、御承知のとおり、北海道は現在非常な凶作でございまして、気の毒なような状態であります。このようなことがかつて北海道に起きました場合に、この委員会ではこれに対する自治省のやり方につきまして大いに論議された記憶を持っております。それで、私からもこの点につきまして自治省当局にお伺いをし、また希望もいたしたいのでございますけれども、このような不作に対しまして、自治省としまして財政当局あるいは税の御当局としてどういうよう対策をお持ちになっておりますか。項目的でよろしゅうございますから、簡単にお願いしたい。
  111. 森岡敞

    ○森岡説明員 御指摘のように、北海道の本年度の冷害、たいへん深刻なものがあると承知いたしております。私どもといたしましては、全般的な被害農民に対する対策といたしましては、各省それぞれ分担に応じまして、たとえば天災融資法の適用でありますとか、あるいは農業共済による保険金の早期支出でございますとか、あるいはその他の各種金融制度を全面的に活用して被害者農民の救済に当たらなければならぬ、かように思っておるわけでございます。  同時に、道及び市町村が農民の生活水準維持のために各般の施策を講じていかなければならないと思います。その面につきましても農林省その他の各省で必要な国庫補助事業を新たに起こすとか、そういう検討も進めていただいておるわけでございます。そういう措置とあわせまして、道、市町村が単独で救済の施策を講じてまいらなければならないと思います。  それらを通じまして相当な財源が必要だと考えます。私どもといたしましては、従来から冷害に対しましては補助事業あるいは単独事業の地方負担に対しては地方債を発行して措置をすることにいたしておりますが、同時に、特別交付税で、十分捕捉できないものを包括的に算定いたしまして、技術的には被害額を基礎にいたしまして、それに一定割合の計算をして算定をいたしておりますが、財源措置をしてきておるというのが例でございます。それらの措置を十分活用いたしまして遺憾のないよう努力をしていきたい、かように考えておるわけでございます。
  112. 石川一郎

    ○石川説明員 地方税の問題についてお答えいたします。  地方税の減免につきましては地方団体がそれぞれその実態に応じて措置するところでございますが、お尋ねの冷害の問題につきましては、自治省といたしまして通達を出しておりまして、その基準に従って北海道及び関係市町村で措置するものと考えておるわけでございます。  通達によりますと、住民税につきましては、農作物の減収による損失額が平年におきます農作物の収入額の十分の三以上であり、かつ前年中の合計所得金額が百八十万円以下であるものにつきまして、農業所得にかかる所得割について一定の金額を区分いたしまして、十分の十から十分の二までの軽減なり免除の措置を講ずるように指導いたしております。また固定資産税その他の税目につきましては、実情に応じまして徴収猶予等の措置を講ずるように通達の中で明らかにされておりまして、これに従って北海道等では措置することと考えております。
  113. 華山親義

    華山委員 ただいまお話がありましたが、私、この際お願いをしておきたいと思いますけれども、ことしは例年よりも違った日本の経済の情勢があるわけです。そういうふうなことで、一般の購買力によって景気をささえていく、こういうふうな要請もあるわけでございますが、いまここで北海道が大部分購買力が低下するというふうなことになりますれば、いま申し上げたような目的を達せられない、こういうことであって、いつもの年の冷害とはまた違った観点がなくちゃいけないのじゃないか。それで、いまお話しになったようなことにはあまり新しいこともないようでございますけれども、さらに研究を進めていただきたいと思うわけであります。  これらにつきましていまここで私からかれこれ申す時間もございませんけれども、各省との関係におきまして、特に災害対策特別委員会もあるわけでありますから、まだ開かれておらないようでありますけれども、災害対策特別委員会で審議されると思いますので、ひとつぜひそういう観点からお願いをして、前向きに進んだ態度で、従来の例よりももっと進んだ態度でこれに処置していただきたい、こういうことをお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。よろしくどうぞ。
  114. 大野市郎

    大野委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後二時二十分散会