○松本(十)
委員 午前中からわが党の
藤井委員をはじめ、各
委員からいろいろ
質問もありまして、御
答弁も得られましたので、私としましては補足的な意味と申しましょうか、締めくくる意味において、むしろ要望を申し上げながら二、三の点についてお尋ねをいたしてまいりたいと思います。
まず第一の点でございますが、これから
グループ・
テンの蔵相
代理会議あるいは
蔵相会議、またその間には
日米貿易経済合同
委員会、また、終わったあとはまた
蔵相会議、
IMF大会、いろいろな国際
会議の場なりあるいは二国間の
協議の場が出るわけでございますが、その場におきまして、何としましてもわが
政府としては
主体性を持って臨んでいただきたい。特にイニシアチブをとって、リーダーシップをとってやるのだ、こういう気がまえでひとつお願いしたいと思うわけでございます。
と申しますことは、これから多角的
調整ということで
平価問題が出てまいりましょうが、しかし、われわれの見るところでは、今度の一カ月ほどの間のいろいろの
会議で決着がつくとは必ずしも予想できない。なかなか、次第によっては長引いて持久戦になるのではないか、こういう感じがしないでもないわけであります。したがいまして、そういうことになってはやはり
日本の国のみならず、世界の
貿易経済にとって大きなマイナスでありますから、むしろ
日本が言うべきことを言い、またほかの国に対して説得すべきことは説得しながら、できればこの
会議の場を通じて決着がつけられるほどの気概を持って出ていっていただきたい、こういう感じがするわけであります。
と同時に、これからの
国際通貨体制、
IMF体制はすでに空洞化し、崩壊寸前にあると
水田大蔵大臣は
答弁されましたが、しかし何としてもこれをもう一回立て直しまして、そして世界の
貿易の発展のためにしっかりした新しい
通貨体制というものを、さらに共産圏側、反
体制側も含めまして何かつくるべき必要があるだろう。現在までの
ドル本位制というものがむずかしければ、複数のキーカレンシー、基軸
通貨、あるいはまたその背後に、金をできれば
部分的にも国際管理をして、そして確固たる基礎の上に新しい
体制をつくるべきだろうと思いますが、そういったことにつきましても、
日本としても今度は思い切って前向きの提案をしていただく。この議論は当面の
通貨調整のあとの問題にもなりますから長いことでありましょうが、その辺についてもいまからひとつ大胆な雄大な構想を打ち出していただきたい。これをお願いしたいと思うのであります。
と同時に、やはり主張すべきことは主張する、これは特にお願いしたいわけでありまして、今度の
ニクソンの特別
措置の声明というものの第一の原因というものは、われわれ見まするに、やはり基軸
通貨でありました
ドルが弱くなった。キーカレンシー国である
アメリカが節度のない
財政金融政策をとった結果こういうことになったということでありまして、われわれ
国際協調もやります。あるいは
日米の
協調の基調もはずすわけにはまいりません。しかしながら、根本の原因は基軸
通貨国が
責任ある節度ある
政策をとらなかったということでありますので、われわれも
国際協調の場から応分の協力はいたしますが、しかし根本はまず
アメリカがみずから責めを負うべきである。したがいまして、
ドルの
切り下げと申しましょうか、金価格の引き上げと申しましょうか、これはどうしてもやって、われわれもまた応分のことをして、そうして話をまとめる、こういうふうにやるべきだと思うのでありますが、これに対する
大蔵大臣の御見解はいかがでありましょうか。
時間の都合もありますのではしょってまいりますが、あわせて
課徴金のことで
通産大臣にお伺いしたいと思います。
十年ほど近く前に利子平衡税が出まして、当時私はワシントンにおりましたが、当時の
田中大蔵大臣の訓令を受けながらほとんど毎日毎日
アメリカ政府と交渉したわけであります。
日本は当時は
貿易上対米入超でございまして、毎年毎年赤字が出ておる。
日本の
経済を運営するためにはこの赤字を
アメリカからの外資導入によって補わなければどうしても正当な運営ができないんだ。したがって利子平衡税のような課税をつくられては
日本の
経済の運営ががたついてくる、何とか
日本に対して減免をしてくれないか、こういうことを再三やったわけでありますが、
アメリカ側の言い分は常に、
貿易の収支というものはバイラテラルに
考えるべきでない、マルチラテラルに
考えるべきである。
日米間だけでバランスがとれないからといってとやかく言うのはおかしいのじゃないか。その固い壁をもって臨んだことがいまだに思い起こされるわけでございますが、いまになって
アメリカが論理を変えて、やはり
日米間の
貿易収支の赤字は何とも耐えがたい、何とかしろ。これは少し論理的に、向こうの窮情はわかりますが、かって過ぎはしないかということでございまして、事、
課徴金につきましてはガットの場で作業部会がつくられまして、堂々とこれに対する、ガット違反ではないか、何とか撤廃したらどうだという議論もありましょうが、近く開かれます
日米合同
委員会におきまして
田中通産大臣から、何としてもこれは自由
貿易の旗頭の
アメリカがやるとはひどいじゃないか、やめろ、こういう意味で強力な御主張でひとつ撤回を望んでいただきたい、これをお願いしたいと思うのでありますが、これに対する御感触をお伺いしたいと思います。