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1971-07-23 第66回国会 衆議院 大蔵委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和四十六年七月十四日)(水曜日) (午前零時現在)における本委員は、次の通りであ る。    委員長 毛利 松平君    理事 宇野 宗佑君 理事 上村千一郎君    理事 丹羽 久章君 理事 藤井 勝志君    理事 山下 元利君 理事 広瀬 秀吉君    理事 松尾 正吉君 理事 竹本 孫一君       井出一太郎君    奥田 敬和君       木野 晴夫君    木村武千代君       佐伯 宗義君    坂元 親男君       高橋清一郎君    地崎宇三郎君       中川 一郎君    中島源太郎君       原田  憲君    坊  秀男君       松本 十郎君    三池  信君       村上信二郎君    森  美秀君       山口シヅエ君    吉田 重延君       吉田  実君    阿部 助哉君       佐藤 観樹君    中嶋 英夫君       平林  剛君    藤田 高敏君       堀  昌雄君    貝沼 次郎君       坂井 弘一君    伏木 和雄君       伊藤卯四郎君    春日 一幸君       小林 政子君 七月十四日  毛利松平委員長辞任につき、その補欠として  齋藤邦吉君が議院において、委員長に選任され  た。 ――――――――――――――――――――― 昭和四十六年七月二十三日(金曜日)委員長の指名 で、次の通り小委員及び小委員長を選任した。  税制及び税の執行に関する小委員       宇野 宗佑君    倉成  正君       佐伯 宗義君    地崎宇三郎君       中島源太郎君    丹羽 久章君       坊  秀男君    森  美秀君       山下 元利君    佐藤 観樹君       中嶋 英夫君    広瀬 秀吉君       松尾 正吉君    春日 一幸君  税制及び税の執行に関する小委員長                 山下 元利君  金融及び証券に関する小委員       上村千一郎君    奥田 敬和君       木村武千代君    中川 一郎君       藤井 勝志君    松本 十郎君       村上信二郎君    毛利 松平君       吉田  実君    平林  剛君       広瀬 秀吉君    堀  昌雄君       坂井 弘一君    竹本 孫一君  金融及び証券に関する小委員長 藤井 勝志君  財政制度に関する小委員       奥田 敬和君    木野 晴夫君       坂元 親男君    原田  憲君       松本 十郎君    三池  信君       山口シヅエ君    吉田 重延君       阿部 助哉君    藤田 高敏君       堀  昌雄君    貝沼 次郎君       伊藤卯四郎君    小林 政子君  財政制度に関する小委員長   木野 晴夫君 ――――――――――――――――――――― 昭和四十六年七月二十三日(金曜日)     午前十時四分開議  出席委員    委員長 齋藤 邦吉君    理事 宇野 宗佑君 理事 木野 晴夫君    理事 丹羽 久章君 理事 藤井 勝志君    理事 山下 元利君 理事 広瀬 秀吉君    理事 松尾 正吉君 理事 竹本 孫一君       上村千一郎君    木村武千代君       倉成  正君    坂元 親男君       中川 一郎君    原田  憲君       坊  秀男君    松本 十郎君       三池  信君    村上信二郎君       毛利 松平君    山口シヅエ君       吉田 重延君    吉田  実君       阿部 助哉君    佐藤 観樹君       中嶋 英夫君    藤田 高敏君       堀  昌雄君    貝沼 次郎君       伊藤卯四郎君    小林 政子君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君  出席政府委員         大蔵政務次官  田中 六助君         大蔵政務次官  船田  譲君  委員外出席者         大蔵事務次官  鳩山威一郎君         大蔵省財務官  細見  卓君         大蔵大臣官房長 竹内 道雄君         大蔵大臣官房調         査企画課長   佐上 武弘君         大蔵省主計局長 相澤 英之君         大蔵省主税局長 高木 文雄君         大蔵省関税局長 谷川 寛三君         大蔵省理財局長 橋口  收君         大蔵省証券局長 坂野 常和君         大蔵省銀行局長 近藤 道生君         大蔵省国際金融         局長      稲村 光一君         日本専売公社理         事       斎藤 欣一君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ――――――――――――― 委員の異動 七月十四日  辞任         補欠選任   高橋清一郎君     齋藤 邦吉君 同月十五日  辞任         補欠選任   井出一太郎君     倉成  正君 同月二十三日  理事上村千一郎君同日理事辞任につき、その補  欠として木野晴夫君が理事に当選した。     ――――――――――――― 七月十四日  国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律  案(広瀬秀吉君外六名提出、第六十五回国会衆  法第二二号)  公共企業体職員等共済組合法等の一部を改正す  る法律案広瀬秀吉君外六名提出、第六十五回  国会衆法第二三号)  貸金業者自主規制の助長に関する法律案(藤  井勝志君外四名提出、第六十五回国会衆法第三  四号) 同月二十一日  税関等に保管する引揚者の物資処理に関する請  願(坊秀男君紹介)(第七四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月二十一日  里道及び水路敷国有財産無償払下げに関する  陳情書  (第九号)  砂糖消費税撤廃等に関する陳情書  (第九一号)  電話加入権差押え方法改善に関する陳情書  (第九二号)  勤労者所得税軽減等に関する陳情書  (第一二二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  小委員会設置に関する件  国政調査承認要求に関する件  閉会中審査に関する件  国の会計税制関税及び金融に関する件(財  政金融基本施策)      ――――◇―――――
  2. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 これより会議を開きます。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  私は、このたび、皆さまの御推挙により、当大蔵委員会委員長に就任いたしました。つきましては、はなはだふなれではございますが、委員各位の御協力によりましてその責務を全うしてまいりたいと念願いたしております。何とぞ各位の御鞭撻を心からお願い申し上げます。  簡単でありますが、ごあいさつといたします。(拍手)      ————◇—————
  3. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 この際、おはかりいたします。  理事上村千一郎君から理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。  ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 御異議なしと認めます。よって、木野晴夫君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  6. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  国の会計に関する事項  税制に関する事項  関税に関する事項  金融に関する事項  証券取引に関する事項  外国為替に関する事項  国有財産に関する事項  専売事業に関する事項  印刷事業に関する事項  造幣事業に関する事項 の各事項につきまして、今会期中、国政に関する調査を行なうため、議長に対し国政調査承認要求を行なうこととし、その手続につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  8. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 次に、小委員会設置に関する件についておはかりいたします。  先般の理事会で協議いたしましたとおり、それぞれ小委員十四名よりなる税制及び税の執行に関する小委員会金融及び証券に関する小委員会財政制度に関する小委員会を設置することとし、各小委員及び小委員長委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、小委員及び小委員長は、追って公報をもって指名いたします。  なお、小委員及び小委員長辞任の許可並びに補欠選任につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  11. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 国の会計税制関税及び金融に関する件について調査を進めます。  この際、水田大蔵大臣より、財政金融基本施策について所信説明を求めます。水田大蔵大臣
  12. 水田三喜男

    水田国務大臣 私は、このたび、大蔵大臣を拝命いたしましたが、内外の諸情勢が微妙なおりから、その責任の重大さを痛感しております。  この機会に、現下の経済情勢並びに財政金融政策についての所信の一端を申し述べ、皆さま方の御理解と御協力をお願いしたいと存じます。  ここ数年来、わが国経済の体質は急速に変化しつつあります。  資源の大半を海外に依存せざるを得ないわが国においては、これまで経済成長にとっての一番の問題は国際収支の壁でありました。すなわち、経済が急速に拡大すれば、直ちに国際収支の悪化となって引き締めを余儀なくされ、その結果、国際収支が改善され、再び経済拡大に向かうという循環を繰り返してまいりました。しかし、この間、わが国産業構造高度化重化学工業の道を着実に歩み、旺盛な民間設備投資と相まって、経済規模拡大を続け、産業国際競争力は格段に向上いたしました。昭和四十五年度においては、国民総生産は二千億ドルをこえ、アメリカの約五分の一に達し、国際収支総合収支で約二十億ドルの黒字を記録するに至っております。  一方、このような経済高度成長に伴って物価上昇公害過密過疎問題等のひずみ現象が次第に顕著になり、これらの問題を抜本的に解決して、経済成長成果を真の国民福祉向上に結びつけたいという国民要望が切実なものとなってきております。  他方、世界の平和と繁栄のために、わが国の果たすべき役割りに対して、諸外国の期待と関心がますます高まりつつあります。わが国経済成長に対するこれまでの称賛のまなざしは、にわかに警戒の眼に変わりつつあります。特に、わが国経済力に比べて貿易資本自由化努力が不十分であるという見解が、最近、海外に強まっております。  このように、内外の諸情勢が数年前と比べものにならないほど変化した現実を直視して、今後の経済運営に新たな路線を打ち立てなければならないと存じます。  わが国経済は、これまで、超高度成長から安定成長への調整過程にありましたが、最近では景気はむしろ沈滞の様相を呈しております。このような情勢に対処して景気のすみやかな回復をはかるために、すでに金融面におきましては、三次にわたる公定歩合引き下げが行なわれ、また、外為資金の払い超増大などにより量的な緩和も進行しております。財政面におきましても、四十六年度予算執行にあたりまして、公共事業等施行促進財政投融資等追加が行なわれるなど、財政金融政策が機動的に運営されてまいりました。  すでに、在庫調整はかなり進んでいるように見受けられますし、これまでにとられた諸措置の効果が、これから次第にあらわれてくることが期待されますが、現在までのところ、景気回復は当初の予想よりもおくれぎみであります。したがって、今後の景気動向いかんでは、さらに機動的、弾力的に対処してまいりたいと考えております。  なお、経済の現状に関して、われわれが注意すべき点は、設備過剰というデフレ傾向もとにおいて、消費者物価上昇に示されるようなインフレ圧力が依然として根深いことであります。したがって、景気対策推進にあたっては、国民にとって最も関心の深い物価動向に悪影響を及ぼすことのないよう、十分配慮していく必要があります。  わが国産業国際競争力向上国内景気鎮静化を反映して、最近の輸出は好調な伸びを続けている反面、輸入は低い伸びにとどまっており、さらに、短期資金動きも加わって、国際収支は大幅な黒字を示しており、外貨準備も六月末では七十六億ドルに達しております。  わが国の今日の繁栄が、世界の平和と、資本と商品の自由な国際交流もとで、初めて可能であったことに思いをいたすとき、この機をとらえて貿易資本自由化関税引き下げ、非関税障壁整理等を積極的に推進し、国際社会の中で、よき隣人として信頼をかちうると同時に、特恵関税供与経済協力推進などを通じて、発展途上国経済発展に寄与するなど、わが国国際的責務を進んで果たしてまいらなければなりません。  このような観点から、去る六月四日に関係閣僚間において意見の一致を見ました八項目にわたる総合的対外経済政策につきましては、その積極的な推進をはかってまいる考えであります。この線に沿って、輸入自由化につきましては、輸入制限品目を九月末までに四十品目に縮減し、その後においても引き続き自由化を進めることとしております。特恵関税供与につきましては、八月一日より実施することといたしましたが、さらに、国際協調をはかりつつ一そうの関税引き下げ推進していく所存であります。  また、対外投資はすでに七月一日より自由化されましたが、対内投資自由化につきましては、七月中に外資審議会より第四次自由化答申を得て、自由化業種を極力拡大していく考えであります。  総合的対外経済政策に盛られたその他の項目につきましても、関係各省間で検討の上、八月中に具体策をまとめたいと考えております。  これらの施策は、国際協調の実をあげ、わが国経済効率化に大きく貢献するものでありますが、ひいては、均衡のとれた経済発展をはかるためにも、ぜひとも推進してまいらなければならないものであります。もとより、これらの施策実施にあたっては、国内経済特定部門においてある程度の摩擦が生ずることも予想されますが、わが国経済はすでにこのような摩擦を十分に吸収し得る体力を備えていると考えられますので、関係各省協力を得ながらその実施に当たる所存であります。  次に、今後の財政金融政策の課題につきまして一言申し述べます。  財政面におきましては、まず第一に、これまでの経済成長成果と現在の国際収支のゆとりを、国民福祉向上に結びつけていくことであります。そのためには、長期的な展望のもとに、社会資本整備社会保障充実推進すると同時に、物価上昇公害過密過疎等高度成長のひずみ現象の是正にも力を入れていかなければなりません。特に、民間産業活動の水準に比して相対的に立ちおくれの見られる住宅及び上下水道、道路、港湾、空港、公園緑地等社会資本整備は、均衡のとれた経済発展のためにも、また、国民生活質的向上のためにも不可欠の施策であると考えております。  これまでも、経済情勢の許す限り、社会資本整備社会保障充実などにつとめてきたところでありますが、いまや、国際収支余裕があり、国内生産力になお余力の見られる今日、真に人間性豊かな福祉社会建設に向かってさらに前進する大きな転機を迎えていると申しても過言ではありません。  また、物価の安定につきましても、農業、中小企業近代化流通サービス部門合理化等を進めると同時に、輸入自由化関税引き下げなど、一連の経済国際化効率化措置物価に好影響をもたらすよう十分配慮してまいりたいと存じます。  第二に、今後これらの前向きの諸施策推進するためには、財政需要がますます増大していくものと予想されますが、このことが財政の安易な膨張をもたらすものであってはなりません。このため、国、地方を通じて公経済における資源配分優先順位を一そう明確化し、既定経費についても、新たな観点から再検討し、財政効率化重点化推進してまいる所存であります。  また、国民負担適正化につきましては、現在、長期的な税制のあり方について税制調査会が本格的な検討を進めているところであり、七月末には答申が取りまとめられることとなっております。私は、その答申の内容を十分尊重しつつ、長期税制について慎重に取り組みたいと考えております。  次に、金融面におきましては、経済国際化進展に伴い、一つの転機を迎えつつあります。現在、金融市場は、量的に大幅な緩和を示しており、少なくともここ当分は緩和基調が続くことが予想されます。従来、ともすれば需給が逼迫ぎみに推移するという環境にあった金融機関にとって、ある意味ではきびしい試練を迎えることになると思われますが、こうした中で、金融サービス質的向上を目ざして、金融機関がその公共性を一段と発揮していく必要があります。  また、資本市場についても、経済環境の推移に十分即応できるよう、正常化をはかるなど、その育成強化を一そう強力に推進していく所存であります。  われわれは、前途に、労働力資源等制約条件の克服や物価公害等、ひずみ現象の除去など、さまざまな困難な問題をかかえており、さらには、国際化進展に伴う経済内外均衡の達成をはかってまいらねばなりません。  しかし、戦後の荒廃からここまで立ち上がってきた国民の英知と努力とをもってすれば、これらの問題は必ずや解決できるものと確信しております。  わが国は、外貨不足経済から脱却し、いまや開放経済体制へと移行しつつあります。このような動きに対応するためには、従来の制度、慣行にとらわれない考え方が要請されるのであります。  私は、日本経済のこの質的転換時代を迎えて、自由な発想を生かしつつ、真の国民福祉向上を目ざして、財政金融政策運営にあやまちなきを期してまいる覚悟であります。  皆さま方の御支援と御鞭撻をお願い申し上げ、私の所信表明といたします。(拍手)     —————————————
  13. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 この際、今般新たに就任されました田中大蔵政務次官船田大蔵政務次官並びに鳩山事務次官等よりそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。  田中大蔵政務次官
  14. 田中六助

    田中政府委員 このたび、政務次官を拝命いたしました田中六助でございます。何とぞ委員長並びに各位の御指導、御鞭撻をよろしくお願いいたします。(拍手
  15. 齋藤邦吉

  16. 船田譲

    船田政府委員 このたび、田中議員とともに大蔵政務次官に任命されました参議院の船田譲でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手
  17. 齋藤邦吉

  18. 鳩山威一郎

    鳩山説明員 六月十一日付で大蔵事務次官を拝命いたしました鳩山でございます。何とぞよろしく御指導、御鞭撻をお願いいたします(拍手
  19. 齋藤邦吉

  20. 細見卓

    細見説明員 財務官になりました細見でございますが、実は長い間この委員会には出していただきまして、たいへんまずい説明でみなさんに長い時間をとらせたことをおわび申し上げまして、今後ともよろしくお願いいたします。(拍手
  21. 齋藤邦吉

  22. 竹内道雄

    竹内説明員 官房長を拝命いたしました竹内でございます。よろしくお願いいたします。(拍手
  23. 齋藤邦吉

  24. 相澤英之

    相澤説明員 主計局長を拝命いたしました相澤でございます。どうぞよろしく。(拍手
  25. 齋藤邦吉

  26. 高木文雄

    高木説明員 高木でございます。よろしくお願いいたします。(拍手
  27. 齋藤邦吉

  28. 橋口收

    橋口説明員 橋口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手
  29. 齋藤邦吉

  30. 坂野常和

    坂野説明員 坂野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)     —————————————
  31. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。藤井勝志君。
  32. 藤井勝志

    藤井委員 ただいま大蔵大臣から所信表明を承り、特に水田大蔵大臣は豊かな経験を持たれて、この大転換期に処しまして、わが国の台所の総元締めとしてはまことにりっぱな大臣が就任され、同時にただいまの所信表明、おおむねわれわれが日ごろ考えておりますことを簡明直截に指摘をしていただきまして、非常に心強く思うわけでございます。  ただ私は、従来所信表明がしばしばこの委員会で、私も何回か聞かされたわけでございますけれども、この実施実行という面におきまして、なかなか理想が現実まではいかなくとも、もうちょっと前進していいではないかという、こういったうらみをいつも持つわけでございまして、きょうは幸い大蔵大臣もと、新陣容のもとにおける最初の大蔵委員会でございますから、与党の立場としても数点質問を申し上げ、ひとつ実行を期していただきたい。しかも事柄は非常に急を要する問題もたくさんございますから、よろしくお願いいたしたいと思いますが、同時に、限られた三十分間ということがございますので、イエス、ノーというところまではまいりませんけれども、そこまで言おうとは思いませんが、ある程度簡潔に方向をお示し願いたい、このように思います。  まず第一点は景気対策でございますが、きのうきょう、新聞紙上いろいろ出ております。一昨日ですか、同僚竹本委員からも予算委員会でいろいろ御質問があり、日銀の総裁の答弁なり、いろいろ新聞で見ました。同時に、きょうの新聞によりますと、大蔵省は二十七日にも景気浮揚策をもう一回やろう、公定歩合引き下げ長期金利改定財投大幅追加、こういう見出しで読売新聞は伝えております。また日本経済新聞では、経団連が一兆円の公債増発景気てこ入れ要請、こういった提案をしたようでございますし、また経済同友会においても、鳩山大蔵事務次官を迎えていろいろ要請をしているという新聞記事を拝見いたしました。  このような最近の動きを踏まえまして、まず第一点、五月の鉱工業生産、これは経済企画庁から出された資料を見ますと、前月比が四・七%減という、これは空前の落ち込みであるというふうに私は認識するわけでございまして、機械受注もまた製造業を中心に大幅に縮小しております。このような景気沈滞に対して、政府は、先ほど申しましたような経済界要望内外要請を踏まえて、どのような対策をとられんとするか。まず、大臣所信表明において一応出ております。なるほど一応出ておりまして、私も全く同感であります。外貨不足経済から脱却をして、日本経済質的転換時代に対応しなければならぬ、こういったことで結んでおります。同時にまた財政運営についても、一応いまお述べいただいた所信表明のごとく、これからは経済成長成果というものを——昔と違って、昭和四十年ごろとはまた様子が違いまして、国際収支が非常によろしい、こういう事情もございます。こういったことを考えますと、やはりここに御指摘のあるように、「いまや、国際収支余裕があり、国内生産力になお余力の見られる今日、真に人間性豊かな福祉社会建設に向かってさらに前進する大きな転機を迎えている」このような認識はまさにそのとおりであると私は思うのでありますが、やはり往々にして、従来——大臣もお一人では仕事ができないわけで、長年大蔵省外貨不足で悩んだ考え方が頭の中にこびりついていて、そして役所の仕事は積み上げでありますから、どうしてもふん切りがつかない。私は大蔵大臣に端的に申し上げたいことは、ひとつ清水の舞台から飛びおりるような気持ちで、一兆円の公債増発要請した経団連、これはいろいろインフレ問題とか、大蔵省でまたそれぞれの検討も必要でございましょうが、昭和四十年から四十一年の不況を克服したあの当時、ちょうど四十一年では御承知のように七千三百億円の公債を発行し、公債依存度が一六・九%、それが昭和四十五年は五・四%というふうにずっと低くなっておる。あの当時はまだ、ひょっとへたをすると国際収支が赤字になるかもわからぬ、こういう心配があった。今度はたまり過ぎて、海外からいわゆる目のかたきにされておる。こういう時代でもあり、生産余力は十分あるということも所信表明に述べられておりますから、私はこの際、まさにここにりっぱに所信表明はできておりますけれども、この所信表明を裏づける具体的なことをひとつやっていただきたい。住宅、上下水道、道路、港湾、空港、公園緑地等々、そのほか私はやはり公害問題、公害関係の防止あるいは技術開発、そういうようなことについても積極的に手を打っていただいて、従来がいわゆる国民犠牲型であったとするならば、あるいはまた公害散布型の経済政策であったとするならば、これを全く方向転換するのに絶好のチャンスではないかと思うのです。私は、まさにこのような問題を踏まえ、前向きに、円の切り上げをよそからいわれるからこれに対応しなければならぬというふうな消極的なかまえではなくして、積極的に、この所信表明にうたわれているような日本経済質的転換を、経験豊かな水田大蔵大臣にひとつ断行していただきたい、このように思いますが、所信をひとつお願いしたい。
  33. 水田三喜男

    水田国務大臣 財政運営の方針はただいま述べたとおりでございまして、この方向で思い切って財政運営をやりたいと存じておりますが、何を申しましても、いま当面の急務は景気回復でございまして、当初の見込みが、三月が底であって、四月が回復期に向かうとか五月とか六月とかいわれながら、これがずれておって、停滞が長引いていることは事実でございますし、このことが、輸出が伸び輸入が縮んで、外貨の急激な黒字増というようなことを起こして問題が起こっていることも事実でございますので、ここで何としても景気対策を急がなければならないという問題にぶつかっておりますので、そのことを先にやらなければならないということからいろいろ私どもは考えました。これからどういう対策をするかということは、この国会が終わったら直ちにこの問題と取り組むつもりでございますが、とりあえず既定予算の範囲内においてやるべき仕事がまだたくさんあると私どもは判断いたしました。と申しますのは、何といってももう、一応金融政策としては三回にわたる公定歩合引き下げまでやっておるときでございますので、あとは財政役割りにまたなければいけないということになっておりますが、財政役割りと申しますと、公共事業費を早く推進するということが一番有効なことでございます。四兆以上の公共事業費が早く動き出すか動き出さぬかは景気回復に非常に関係のあることでございますので、これを急がなければならないのですが、御承知のように地方選挙がございましたために、各府県とも本予算は選挙後に組むというようなことで、いわゆる補助事業がほとんど進まない、いかに推進しても進まないというようなことから、昭和四十年、四十一年の、公共事業費を前半に繰り上げるというあの措置をとったときよりも、進捗率は今度のほうがまだのろいという現状でございますので、これを急ぐのが応急策としては一番先であるという考えから、いままでこのことに各省相談の上骨を折ってきましたが、ようやくここで公共事業費の繰り上げ促進ということも本格化してきましたので、この推移を見ながら、まだまだ必要というような情勢でございましたら、第二弾、三弾の手を打つという相談をこれからして、万遺憾なきを期したいと私は考えております。
  34. 藤井勝志

    藤井委員 一応の御答弁でございますから、別にそのことについて再質問しようとは思いませんけれども、先般政府は弾力条項の活用によって二千六百十億円の追加財投をやられました。これは私のあの当時から感じておったことでありますが、GNP七十兆円以上、七十六兆円と所信表明に出ておりますが、こういった日本の経済規模から考えますと、あまりにも少な過ぎるということを当時から感じておったわけでございます。ただ受け入れ体制の消化といいますか、そういう点が、御承知のように政治シーズンといいますか、選挙がかたまったことは十二年ぶりということでありますから、いろいろ事務的に非常におくれをとっておる。しかし私はもう一つ、公共事業を推進する事務主体があまりにも事務的な煩瑣——大蔵省のほうはやはりチェックするというか、国民の貴重な税金であるという殺し文句のために、何か、しいて時間を手間どらすという意味じゃないだろうけれども、私はもうちょっと積極的に現状に対応して親切にサービスをすべきであるというふうにさえ思うわけでありまして、従来金のないときはチェックするのが大蔵省役割りであったとするならば、今度は金がふんだんにあるというと語弊がありますけれども、積極的に手とり足とり、うまく使わすような方向に努力すべきじゃないか、このように思いますから、この点ひとつよく考えていただきたい。  きょうの新聞に、これは先ほど指摘をした読売新聞で、「二十七日にも景気浮揚策」、こうでかでか書いてあるのですが、これは一体どういうことか。大臣が知られない間に事務局のちょっとなにから話が出たのか。私は急いでやることについて大賛成なので、これは事実無根なのか、それともこういう線で積極的にやろうという努力をされておるのか。この点ひとつ大臣のほうから、知っておらなければ、知らなかったけれども大いにけっこうだからこれからきょうからでも促進しよう、こういうふうなお考えがありますか、ちょっとこの点、最後にこの問題について……。
  35. 水田三喜男

    水田国務大臣 さっき申しましたように、公共事業費の繰り上げ促進ということで、前半に少なくとも七二%の契約を完了するようにという方向でやっておりますが、この進み方いかんを見てさらに次のことも考えなければいかぬというふうに考えておりますので、そういう点について一連の研究をいま部内でしておることは確かでございますが、それをどういうふうにやるかという話はこの国会が終わってから、これから取り組む問題になっておりますので、いまいろいろ何か新聞に出ているようでございますが、これは別に私のほうで責任のあるものじゃございません。
  36. 藤井勝志

    藤井委員 次は、総合的な対外経済政策の推進のための八項目、この問題について数点お尋ねをいたしたいわけでございまして、私はこの全体の指摘はまさに時代が求めている問題点をきちんと整理をされておると思います。したがって私は、ほかの問題が重要ではないという意味じゃございませんが、時間がございませんから、数点取り上げて大臣の御見解を伺いたいと思います。  「対外投資自由化と拡充」という「資本自由化の促進」の項目の中で、「輸銀等を通ずる外貨貸を検討する。」こういうことでございまして、私はこれをあえて聞くのは、検討するということばを役所が使う場合は、これはひがんだ見方という意味でなくて、一応打ち出しておかぬと世論がやかましい、しかしいい案がない、なかなか方法が見つからぬという場合、往々にして検討ということばで結ばれて、結局検討は二年、三年ということになる。ところが今度の場合、この総合的対外経済政策推進は、八月末には結論を出し、九月の日米貿易経済合同委員会においては、かくわれわれは踏み切ったということを言わなければならぬということは、これは当然だと思うのでありまして、したがって私は、その一環としてうたわれた項目は全部八月中には結論を出すべきだ、このように思っているわけでございまして、特にこの輸銀等を通ずる外貨貸し制度——私は大蔵省の諸君とも数回会いましたが、やはり、ちょっと行き過ぎるとすぐ外貨不足を来たす、こういう長年の苦悩、苦難を経た諸君にはどうしても、外貨といえども国民が汗を出してためた金だ、いいかげんなことには使えない、大事にしなければならぬ。それを決して否定するのじゃないのですよ。しかしそういうことはわかっておるのですから、その上に、ただ外貨がたまった、これはいわゆる輸入の支払い準備として流動性を持っていつでもすぐ支払いに回せるという体制でなければいけない、これを海外に投資する、いわんや資源投資というリスクの多いものにはまかりならない、こういうことでこれに取り組まない、こういう考え方になじまないのです。ここまで外貨が来、しかもこの外貨のたまり過ぎたことが円の切り上げ問題に直結をしている世論を考えますと、外貨をいかにして活用するかということについて一生懸命に、大蔵当局がそれこそ前向きの結論を出す線をやらなければならぬ。これは簡単ですよ。そう複雑なことを考えなくても、貿易収支で黒字が出てたまっておるのですから、それをどんどん有効に使うという使い方さえ考えれば、手続上の問題はそれこそ技術的にたんのうな人がおられるわけでありますから、従来の外貨準備型のあり方でなくして、外貨活用型の方向に向かって積極的にやる意味において、輸銀等を通ずる外貨貸しをひとつ早急に結論を出していただきたい。これは検討ということで長引かせては相ならぬ、こう思うのですが、大蔵大臣いかがでございますか。
  37. 水田三喜男

    水田国務大臣 経済内外均衡をはかる方法ということと同時に、蓄積された外貨の活用、この二つは重要なことでございますので、これはもう政府でもたびたび宣言しておりますとおり、八月中には全部その対策を決定するということになっております。ですから法律事項を除く以外の——法律事項についても法案は八月中に準備してしまう。そのほかの行政措置でできることは全部八月中には八項目全部にわたった措置実行するというつもりで、いま関係当局が緊密に連絡しながらやっておりますので、こういう問題も八月中には解決したいと思っております。
  38. 藤井勝志

    藤井委員 ただいま大臣の決意のほどをお伺いいたしまして非常に私も安心いたしました。困難な方向転換でございますからお骨が折れようと思いますが、ひとつせっかくの御精進をお願いいたしたいと思います。  政府借款供与について、私はいままでの経験を顧みて、やはりどうも非常に時間がかかる。最近特に発展途上国からわが国に対していろいろ援助計画が出されるのですけれども、結局プロジェクトを設定する基準をきめるというのがなかなかむずかしいでしょう。基準がぴたっときまれば話はしやすいのですが、そういうことのために、また大蔵省のほうでは先ほど申しましたように外貨不足時代が頭にこびりついておりますから、いわゆる資金を節約するということに重点を置いて、そして消極的で、意見がまとまらぬ、どっちかというとうしろ向き、うしろ向きで話がまとまらぬということを、私は通産省におったこともありますが、そういう窓口から見て、その後、外から見てもやはり具体的な事例を二、三知っております。こういうことについても私はこの際、質的転換時代で、外貨不足時代を脱皮する、脱却するという考え方からひとつ早急に迅速にこの処理をしてもらいたい。これは希望を申し述べておきます。  それから経済協力推進についてもここに一応書いてあります。「六、経済協力推進」「量的、質的両面に留意しつつ、経済協力の一層の推進をはかる。」これについてはいまのような姿勢をもって、新大臣もと、時期を失しないようにしていただきたいということを特にお願いをしておきます。  それから「バンクローンの拡大」ということ、これは前に返りますけれども、バンクローンというのは、政府借款としてのバンクローンとか、輸銀ベースのバンクローンとか、民間銀行の行なうバンクローンとか、三種類くらいじゃないかと思いますけれども、この拡大という中身はどういうものか。これは大臣でなくても、直接の担当の局長さんでもよろしゅうございますが、特に私は、今度の輸銀ベースのバンクローン供与ということになれば、わが国にとっては全く新しい措置になるわけで、これはただ単に金融政策とかあるいは貿易政策というようなことでなくて、やはり広く日本のいわゆる外交政策、こういったことにも直接結びつくわけなんです。これについてはやはり各省間で、外務省、通産省、場合によっては農林省、こういった緊密な作業が必要であり、やはりこれまた対外的な関係でありますから、時期を失してはいけない、こういうふうに思うのです。だからこういう点についてどういう配慮をされておるか。この「バンクローンの拡大をはかる。」という項目について簡単に国際金融局長のほうからお答えを願いたい。
  39. 稲村光一

    ○稲村説明員 ただいまのバンクローンの拡大の問題でございますが、これは従来、先生御指摘のようにいろいろ問題もございまして、従来は必ずしも十分に活発にというわけにはまいりませんでした。むろんバンクローンの中には、ただいま御指摘ございましたとおり、民間ベースのもの、それから輸銀ベースのもの、いろいろございますが、民間ベースのものにつきましては、たとえばフィリピンに対しましての短期と申しますか、一年くらいのことでやったことがございます。ただ問題は、輸銀ベースのものにつきましてはいろいろな御指摘のような貿易政策の問題との関連、それから外交政策との関連、いろいろございますので、この点につきましては各省とも緊密に連絡をとりながら、今後は主体的に活発に供与できるような仕組みがうまく考え出せないかどうか、そういう点につきまして至急検討いたしまして早急に結論を出したい、こういうふうに考えております。
  40. 藤井勝志

    藤井委員 次に第七項目の中の四番目ですが、輸出入銀行融資について、従来の「輸出金融から輸入・投資金融への重点移行を検討する。」これはまさに適切な検討事項だと思いますが、このことについても、きょう具体的に御答弁願おうとは思いませんけれども、先ほど申し上げたような精神からぜひ結論を出していただきたい。かつて私は当委員会において従来の輸出入銀行のあり方というものが、ただ物を売ったり買ったりする、この裏づけ金融、こういうことだけではいかぬ。私は、輸銀法を改正しなくても、運営によって、あるいは業務方法書の改定によって、十分この輸銀が投資金融輸入金融、こういう方向へ移行できる内容である、こういうふうに思っておりますから、とりあえず行政措置でできることはやって、どうしてもできぬところは四十七年度の予算において当委員会法律改正を急いでもらいたい、このように思います。輸銀が時代要請にこたえて輸出を押えるというような消極的なことでなくて、輸入拡大するという、これは資源のない国としては大いにそれによって拡大均衡をはかるというのが私は本筋だと思うのでありますから、輸銀の使命をそういう方向にいくように早急に検討していただきたい。これは二、三年前からすでに担当の局長さんなり担当の諸君は検討されておると思うのでありまして、やる気があれば私はそう時間がかからない、このように思いますから、よろしく願います。  それからひとつ大蔵大臣、日本人というのはこっちへ行ったと思ったら急にこっちへというふうに、白か黒か、右か左か、こういう傾向といいますか、ものの考え方、これが最近、ここに「秩序ある輸出」のために「輸出振興税制の廃止または停止を検討する。」という、この中で、なるほど足あげして無理して輸出をやらしているようなことで、ガットには反しないけれども、これはちょっとよそから見てあまりにもひど過ぎる。これは私は決して残せとは言わないのです。しかしながら、どうもものの取り扱い方というのが、この輸出をよそからいわれるから、何だか輸出するのが悪いようなこういうムードになってはいけない。私は為政者の皆さん方がなっておられるとはさらさら思わないのですが、どうもそういう思考傾向、ものの考え方、行動、こういうようなものが、日本人には源平というようなこういうことで、輸出が何か悪いようなことで、これを押えることによってこの収支の均衡をはかろうということはまさに縮小均衡でありますから、輸出抑制ではなくして、大いに輸入対外投資拡大をすることによって、いわゆる経済拡大均衡貿易立国の本筋である、私はこのように思うわけでございまして、輸出振興措置とか輸出税制あたりも無計画に撤廃をされようという考えは毛頭お持ちではないと思いますけれども、この点十分お考えいただいて、産業活動に無用の混乱を起こさしたり、経済を萎縮させるということのないように、特に私は技術輸出、プラント輸出あるいは最近の御承知の知識集約的商品、こういうことについては十分の配慮が必要である。また同時に、先般党内での会合で、軽工業、輸出おもちゃ、これは現在ではせめてこれがたよりであるというのがあるのです。製鉄あたりはがっぽりこの輸出税制によって恩典を受けておる。これはまた国内の景気浮揚によって公共事業へいけばそれで助かりますが、輸出一本やりの軽工業のおもちゃあたりは、これがやられちゃ困るという切実な訴えを受けたのです。私は、これはネガ・リストじゃないけれども、特別な事情である、財源もきわめてわずかなのですから、こういう配慮が必要であるというふうに思っております。そういう点はひとつ一応税務当局に指摘をしておきまして、時間の関係で答弁はけっこうでございます。  もう一つ、この自由化対策をなされて、ここにちょっと気がかりなのは、「これらの施策実施にあたっては、国内経済特定部門においてある程度の摩擦が生ずることも予想されますが、わが国経済はすでにこのような摩擦を十分に吸収し得る体力を備えていると考えられますので、」こう書いてある。私はこれはちょっと認識が甘いということをいわざるを得ない。これによって摩擦を受け、このたいへんな大きな悪影響を受ける零細中小企業なきにしもあらず。しかも、これが後進国との関係においてだんだんさびれていいのもありましょう、方向転換していいのもありましょうけれども、そういかないものについては、今度繊維の自主規制においてあれだけの財政政府援助をしたのですから、こういう悪影響を受けると思われる品目については、関係各省、特に通産省あたり、企業局あるいは中小企業庁、ここら辺と密接な連絡をとられて、これに対する救済措置というものは当然考えられるべきものであって、わが国経済体質では十分これが吸収できる、こういう安易な考え方ではよくない。これはひとつ大臣、どう思われますか。
  41. 水田三喜男

    水田国務大臣 安易に考えておるわけではございません。やはり自由化は企業の体質を強くする一つのいいチャンスでございますので、そういう方向に沿ったいろいろな行政援助、指導というようなことは私どもはするつもりでございますが、そうじゃなくて、これを自由化から救うために安易な保護をするときにはこの自由化の意味というものをなくしますので、そういうことはやらない。私どもは必要な援助は十分必要によって、この実際に即してこれは考える用意は持っておりますが、全般的にはもうみんなそれぞれ自分の、自己の努力によって相当体質強化は自分たちでできる、もう相当の力を得ておるときでございますから、そういう方向でそれぞれやはりお互いがやってもらわなければならぬというようなことでそういう表現をしたのですが、決して安易に考えているわけじゃないのです。相当これはやはり国内にいろいろな摩擦を起こすということをわれわれは十分考えておって、これからの時代に処したいと思っております。
  42. 藤井勝志

    藤井委員 私はいまの大臣のお考えで、ひとつぜひそういう線で御努力、御配慮願いたい。国の政策転換によって犠牲を受けるのですから、やはりこれはまずオーソドックスには産業体制の近代化、合理化を進めていくという、しかしそれが間に合わない、こういう場合はやはり救済措置ということが当然考えられていいのではないか、こう思いますから、よろしく願います。  最後に、実は先般私、有志の国会議員の先生方と沖繩へちょっと行ってまいったのです。沖繩の本土復帰に伴う問題で、これはもう時間がございませんので要点だけちょっと言っておきますから御検討願います。  私の結論は、この復帰の陰に泣く人をつくってはならぬということ、これが第一点。それから本土との関係において、これは同じ国になるわけですから、制度がまちまちになってはいけないことは基本的な姿勢です。しかし、本土との関係において、本土の制度が沖繩にプラスするようなものは一刻も早くやってもらいたい。それから、これが大きくマイナスになり、過渡的措置をとらなければならぬという、こういう問題についてはあくまで慎重に経過措置を、温情ある経過措置をとるべきである。  これがまず基本的な考え方でありますが、所得税の負担の調整の問題、所得税ですね、これは基本的には本土に準じてつくられておるから、それ自体は問題はない。やや本土よりは高い。ところが、沖繩には地方税として市町村税はあっても府県民税がないのですから、ここら辺がどういうふうにうまく——復帰したけれども税金が高うなったというのでは、これはまさに復帰の陰に泣く人をつくるわけですから、よく考えていただきたい。  それから、間接税及び関税ですね、適用にあたってこれはたいへん技術的に骨が折れると思うのですね。沖繩には関税がない。心がけのいい人は戦跡を訪問して拝んでそのまま帰る人もおられるかもしれぬけれども、ともかく沖繩へ行けばいろいろ観光、ショッピング、ウイスキーも安い、時計も安い、いろいろなこと、これも大きな魅力なんです。沖繩にそういう観光の客が少なくなるということは二重のピンチになる。またウイスキーあたりは安いから町のバーあたりへアメリカ兵も行って、PX以外もたいへん繁盛して、七割は第三次産業である、こういう状態ですから、ここら辺のさばき方ですね。これをひとつ、本土の間接税体系との間には基本的な差異があります特殊事情を、沖繩の特殊経済環境考えられて、大きな打撃を与えないという配慮をひとつぜひすべきである、こういうふうに思います。  それからたばこの専売移行に伴う問題、これは日本は専売公社、専売法ですから、これまた一応基本的には一本にするという、これについてはいろいろ申し上げたいことがあるけれども、私は、これは所管は大蔵委員会——で、復帰要綱の第一には「適切な措置を講ずる。」という抽象的なことばで終わっておりますが、これは沖繩復帰がもう協定批准、さっそく来年の四月から発動するわけですね。これに対してはやはり、なるほど沖繩対策特別委員会もあります。しかし、そこら辺は、従来核抜き、本土並みとか、こういったいわば次元の高いと言おうか、それと違う問題なんです。しかし、大蔵委員会の関係こそ、経済問題、国民の生活に直結をしている問題で、これが私は一番肝心な、まんじゅうのあんこだと思うのですよ、生活面から考えると。これは大きな防衛問題からいえば、核抜きとか云々ということはイデオロギー的な背景のもとに議論の花は咲かしたけれども、ほんとうに生活のじみちな問題点というのは当委員会に関係のある問題が多い。これについてはひとつきょうは関係諸君に、大蔵委員会につぶさに中間報告してもらいたい。  ちょっと特に専売公社の関係だけ……。これはあなた方もよくわかっているのだから私は質問をしなかったけれども、ちょっとこの機会に二分ぐらいでひとつ。時間がもうないですから……。
  43. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 ただいま藤井先生御指摘になりましたけれども、専売公社のかかえておりますたばこの問題、復帰してきた場合にどうなるかということは非常にむずかしい問題であります。関係するところたいへん多うございまして、先生おっしゃいましたように、復帰のために非常に不幸なことになるという事態をできるだけ避ける、そういう考え方で鋭意いろいろ検討いたしております。  御承知のとおり、葉たばこにつきましてはいろいろ問題があるわけでございますけれども、非常に時間的な制約もございまして、早く結論を出さなければいけないということで、昨年の秋、公社のほうで、いままでつくっております葉たばこも買いましょう。これもできるだけ先行き、耕作者の方が耕作を続けられますような、そういう考えでいろいろ検討もし、指導もしてまいってきたわけでございます。  ほかの問題につきましても、気持ちはできるだけ現地に無用の混乱が起きない、復帰というものが円滑に行なわれる、それが大前提でございますので、そういった線に沿っていろいろと検討いたしていきたいと思っております。
  44. 齋藤邦吉

  45. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 二、三点質問をいたしたいと思います。  七月二日に大蔵、日銀定例懇談会で、在庫調整進展と設備投資の鎮静を主因に経済活動はなお停滞を脱していない、金融は外貨の大幅流入等が急速であったということで緩和を示している、財政面でも財政投融資の増額が決定されたので、景気が今後次第に回復に向かうであろう、こういうことで意見が一致したということが新聞に報道されておる。またその後行なわれました日銀の本・支店長会議でも景気停滞ということがいわれておるわけでありますが、今日の景気の局面というのは若干の停滞がある、しかしいわゆる不況局面ということではない。その辺のところを大蔵大臣としてはどのように、景気動向というもの、今日の状態がどういう景気局面にあるのか、その点についてどういう見解を持っておられるのか、まず伺っておきたいと思うわけです。
  46. 水田三喜男

    水田国務大臣 この間の日銀の本・支店懇談会の報告のときの結論、景気はこれ以上落ち込むおそれはないが、停滞が非常に長引いていくというのが結論のようでございましたが、大体いまの景気の状態をそう見て間違いないのじゃないかと私は思います。いままでいろいろな手を打っておりますので、もう上向きのきざしが見えてきていいというふうに私どもは思っておりましたが、まだなかなかそうなっていない。しかし、それなら全然これより上向きのきざしはなくて、さらに落ち込む気配があるかというと、これはもうないということははっきりしておると思います。たとえば五月の鉱工業生産があそこまで落ち込んだのですが、六月は、まだ発表されていなくても、あの落ち込みはもう取り返している数字が出ていると思いますが、これがはたして恒常的なものになっていくかどうかわからないといたしましても、指数の変化は月末になれば相当出てくるはずでございますし、また一方、在庫調整のぐあいを見ましても、鉄鋼とかあるいは化学というようなものがまだ調整がおくれておりますが、そうでない弱電機とかあるいは合成繊維というようなものはもう在庫調整一巡して生産が上向いてきた、そうして自動車も輸出が大幅に伸びてきたというようなことで、業界にはそういう、部分的にはっきりと在庫調整は終わって上向きのきざしがたくさん出てきておるという情勢がございますので、落ち込みの方向はない。私は、ここらが少なくとも底であって、これからさらに私どものいろいろな打つ手によって景気は上向きの方向をとるだろうというふうには思っております。
  47. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 実は五月に、私がこの委員会で前の福田大蔵大臣景気問題について質問をしたわけであります。ちょうど五月の初旬でございましたけれども、五月でもう完全に底だ。ちょうど日銀総裁も一緒に来られまして同じような答弁をされたわけでありますが、いま伺いますと、水田さんはいまが底であろう、こういうふうに言われておるわけです。昨年の秋口から景気が停滞に転じたときに、大体いつ停滞から好況への踏み切りが行なわれるだろうか、テークオフが行なわれるだろうかということで、いろいろな見解がありました。一−三月でもう在庫調整も終わるであろう、四月になればもう景気は好転するであろうという見方がありました。あるいは四−六月まで在庫調整等を中心にして景気は停滞が続くのではないかという見方がありました。さらに、いやいやそうではない、今度の不況、停滞はもっと長引くぞ、九月にならなければ上向きに転じないだろうう、九月まではこの景気の停滞というものが続くであろうというような、大体三つぐらいの見方があったわけであります。当局はそのまん中あたりをとっておったと思うわけなんですけれども、そういうことでいまお伺いすると、この六月、七月で大体もう底に入った、これからは上向きになっていくだろう、こういう見通しを述べられたわけであります。  そういう状態ならば、いま政府がやっきになって景気対策を、財政面からもすでに二千六百億の財政投融資の追加をやられておる。そして近く第四次の公定歩合引き下げも今月末あたりに行なわれるだろうということがいわれておる。そればかりではなくて、さらに例の八項目、これは対外経済政策の問題が中心であるけれども、その中で財政金融の弾力的運用というようなことなんかがいわれている。長期金利も引き下げるのだ。こういうことでやっきになってこの景気対策を講ずるということは、私はどうも国内の景気対策としてはややオーバーに過ぎるのではないか。さらに今度は財政投融資の追加もまた一千億ぐらいやろうというようなことも出ている。そういうようにあらゆるものを総動員して景気対策をやるということになると、これはやはり国民のおそれている、より一そうのインフレ懸念というものに油を注いでいくことになりはしないのかということを感ずるわけであります。そういうような観点からいえば、先ほど大臣所信表明の中にもありましたように、今日までの高度経済成長一点ばりから安定成長への方向というものが正しいんだし、さらに豊かな国民生活を実現をしていくという方向に進むんだという。いまは、私どもの見方からするならば、そういう安定成長へのターニングポイントを越えて安定成長への路線に入っているのがいまの段階ではないのか。そしてそのことがむしろ過度のインフレーションを刺激しないことにもなるのであって、あまりやっきになって対策をとることがかえってインフレーションを激化させ、物価騰貴を一そう激しくしていくということを私どもとしては心配を持たざるを得ないわけなんです。内需の不振ということによって外貨がたまり過ぎるという、そのことにのみいまの政府当局、大蔵当局の頭が奪われ過ぎているのではないか、こういうように考えざるを得ないのですが、その辺のところはいかがでありますか。
  48. 水田三喜男

    水田国務大臣 景気回復で大わらわになっていることは、決してオーバーというわけではございませんで、もっと回復が早くなければ経済内外均衡が得られないということから、私どもは非常にあせっておるというわけでございまして、さっき安定成長過程に入っているんだからいいんじゃないかというお話でございましたが、安定成長過程にいま入り過ぎて非常な不況でございますので、そこからくるいろいろな問題が決して日本経済にいい影響を与えていない、いろいろなところにその弊害が出ておりますので、これを是正するためにはどうしてもここで景気回復をしなければならぬということから、私どもはオーバーじゃなくてこの対策をやっているのでございますが、これを幾らやり過ぎても心配されるような物価の問題はもう起こらないと私は思います。昔は景気対策を少しでも打てばすぐに国際収支の壁にぶつかるし、生産余力の問題とぶつかって、物価の問題はございましたが、いまは御承知のとおり生産余力を非常に持っておるときでございますし、また外貨に非常なゆとりのあるときでございますので、公共事業をよほどここで伸ばして刺激したからといって物価に影響するということはほとんど考えられないと思います。現にいままで輸出が盛んで、そうして外為会計を通じて資金が国内に豊富になっても、卸売り物価はむしろ落ちついておって、そういうインフレ傾向というものは心配されるようなことにはならなかった。消費者物価が高いというのは、そうしますというとそういう国内の需給関係からじゃなくて、むしろ構造的なものだ。まだ中小企業や農業そのほかの部門の非近代的な部面からくるコスト高ということからくる物価であるとするならば、これは停滞期よりも、もっと生産が活発になったときのほうがむしろあるいは消費者物価は下がるかもしれないというぐらいであって、これが景気対策を打つことによって物価が心配だという状態はいまのところない。ですから、私どもはここで思い切った対策をやらないというと、輸出がどんどん伸びる反面、輸入伸びないということによる国際摩擦というものをますます多くするということでございますので、何としてもやはり内外均衡を得るための財政でできる役割りというものを、ここでもう特に急いでこの役割りを果たすことに全力をあげるのが筋であるというふうに考えているわけで、私はあまりオーバーなゼスチュアではないというふうに考えております。
  49. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 大蔵大臣、四十五年度は大体経済成長率が八%台に落ちたのじゃないかということがいわれておる。これはまだ確定数字が出ていないと思うのでありますが、そういうことだということです。四十六年度は、少なくともいままでの対策——これからの対策というのを、第四次公定歩合引き下げ、あるいは追加的な一千億以上の財政投融資、あるいはさらに最近、きょうの新聞ですか、十五カ月予算というようなことで、もう四十六年度の予算はことしの十二月までに全部使ってしまえ、それから先は補正予算だというようなことで、四十七年度予算とつなげて十五カ月予算というふうなことをいっているようでありますが、そういうようなことをやらないで、いままでの二千六百億の財投の追加というような程度、第三次公定歩合引き下げが五月一日から実施されましたが、そこまでの状態で、景気を特別にこれ以上の対策をしないでいった場合に、四十六年度の経済成長の見通しは一体どのくらいになるか。また大蔵大臣がどんどん次から次へと新しい景気対策を講じよう、そして内需を活発にして需要創出をしていこう、こういう対策を講じて、どのくらいの経済成長率にもっていこうとするのか。その両者の見通しをまず承りたいと思います。
  50. 水田三喜男

    水田国務大臣 いまの公共事業の促進措置がどのくらい進むかというようなことと非常な関係を持つと思いますが、政府がいま促進しようとしてやっている対象は、政府機関、一般会計、特別会計そのほかの公共事業、合わせて四兆以上のものをいま対象としてやっております。これがほんとうに動き出してきたら相当景気に効果をあらわすことははっきりしておりますが、それが思うようにまだ進捗しないということになりますと、今年度の成長というものはそうあまりいい期待をできない。これ以上景気停滞が長引くということでしたら、いまの落ち方を見て、これを後年度で埋め合わせて平均八%の成長なんということをするためには、先に行って一〇何%という成長を確保するぐらいのことでないというとそうはなりませんので、おそらく私は不可能だろうと思います。よくいわれているように八%ということもいまのままでは私はむずかしいのじゃないかと思いますので、したがって相当いろいろな対策財政当局においても立てる、そうして金融政策、財政政策が一体となってこの事態に処さないというと、これは成長の落とし過ぎということになるのではないかということをいま心配しておりますので、よく八%といわれていますが、私はこのまま景気停滞が長引くようなことだったら八%にもいかないというふうに思っております。
  51. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そうしますと、前に福田大蔵大臣は大体一〇%程度の成長というのが安定成長ではないかというような趣旨の答弁をこの委員会でおっしゃったわけです。水田大蔵大臣は福田さん以上にむしろ経済運営については積極論者であるということがよくいわれるわけなんですが、大蔵大臣考えとして、新経済社会発展計画では経済成長率は昭和四十六年から五年間、大体一〇・六%という平均成長率を策定されておるわけです。そういうところから前の福田大蔵大臣も、一〇%を切るようなことになるとたいへんだというのでいろいろな手当てを考えたいということを言っておられたわけでありますが、しかし、いろいろな手当てをしたにもかかわらず四十五年度はおそらく八%台という数字が出るのではないか。おそらく先ほど私が申し上げたような、今日新聞に報道されているような財政金融政策をこれから総動員してようやく四十六年度は八%くらいではないか、そういうことになってくる。そういうことになりますと大体二年続き八%台の成長ということに、四十五年、四十六年となるわけでありますが、その辺のところに安定成長という姿は求められておるのか。あるいは、ことしは上半期だいぶ停滞が続いて、下半期において多くのあらゆる手を総動員してやってようやく八%だ。しかしながらその場合に、上半期の停滞と下半期の高成長というようなこと、そしてその高成長は今度は四十七年度に受け継がれていくという構想のようであります。そうすると四十七年度以降はまた一二%、二二%というところまでいく可能性もあるわけですね。あるいはそれ以上になるかもわからぬ。そういうことになっていくわけなんですが、安定成長というのは一体どのくらいの経済成長率ならばいいのか、そういうお考えというものはどのようにお持ちでございますか。
  52. 水田三喜男

    水田国務大臣 日本的安定成長ということばがあるくらいでございまして、安定成長も相当高い率であることは間違いございませんが、しかしこれはいままでがちょうど高度成長でございましたので、安定成長といっても、安定成長へ移る過程がなだらかでなかったら犠牲が多過ぎるということでございますから、一〇%というようなことを前に政府が言っておったかもしれませんが、ほんとうの安定成長というのは、これからもっと低いところにあるのでなければ安定成長でないと私は思います。しかしそこへくる過程を、一挙にそこへ持ってきたら非常に犠牲の大きいやり方になってしまうものですから……。いまのところはそのいわれている八%というところまでもいかないくらいの成長率ということですから、明らかにこれは安定成長以下のものになるというところにいま問題があるのだというふうに考えています。
  53. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 この点、何%程度ならば安定成長という具体的数字はとうていおっしゃれないだろうと思いますから、質問を若干変えますが、先ほど私が提起した、これ以上の景気対策というものは、財政金融のすべての手を総動員してやっていくというような景気対策というものは、物価に悪影響を及ぼさないかということについて私どもの不安を表明したわけなんですが、ことし確かにずっと一月以降景気が停滞を続けておるわけだけれども、その中で、なるほど卸売り物価は大体横ばいだと言っていいと思いますが、消費者物価を見ますと、四十六年一月から月別にずっと申し上げますが、七・七%、六・七%、五・六%、六・二%、六・七%、おそらく六月も大体六%台の数字が出るだろうということはほぼ察しがつくわけなんですが、そうしますと、平均にしましても六・何%という状況になっておる。下半期において物価がよほどずっと下がっていかないと、政府見通しの五・五%なんかにおさまりっこないということは少なくともはっきりしておると思うのです。こういう問題に対して、政府当局が景気回復、財界の要望にこたえて大資本を中心にした景気回復ということには非常に熱心だけれども、その反面における——なるほど最近ではコスト・プッシュ・インフレだということも言いたいようであります。しかしそれはデマンドプルがあってコスト・プッシュということもあるのであって、そういうことを考えまするならば、この物価対策というものに対して、政府は、景気対策に関連して国民のインフレ高進という不安に対して、物価高騰に対する不安に対して、何一つ政策を出していない。なるほど、先ほど大蔵大臣はかえって景気が好調になったほうが物価対策もやりいいのではないかというような、いわば物価の原因が需給の関係というよりは構造的なものにあるんだというのだけれども、それならば構造的なものをどう変えていくのかということが示されてしかるべきだと思うのです。ところが何もこの点について、なるほど景気対策だけは毎日の新聞がトップ記事に書くように大きく取り扱われておるけれども、それに対する国民の不安、物価高騰という問題に対しては何ら対策を一つも出していない。こういう面を私どもきわめて残念に思うわけだし、遺憾に思うわけです。この問題についてどう対処されるおつもりでございますか。
  54. 水田三喜男

    水田国務大臣 それはいろいろの、たとえば基盤整備予算とか、あるいは中小企業近代化とか流通過程の整備というようなものへの予算措置をどんどん強化していくというようなこと、それから先ほど述べましたように、自由化によったりあるいは関税引き下げというようなことで、物価を上げないことに機能させるいろいろな一連の政策をとるというような配慮は当然必要でございますが、そういう配慮をするならば、私は景気政策を打ってもそう物価の心配はないだろうとさつき言ったわけなんで、何もしないでも心配ないというわけじゃございません。現に不景気物価高ということは、これを分析すれば、好景気になっても今度はそれがさらに大きい物価高を起こすということにはならないのが結局不景気物価高ということであろうと思いますので、その点はそう私は心配しないでいろいろな施策が立てられるのだろうというふうに考えております。
  55. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 関連質問を許します。堀昌雄君。
  56. 堀昌雄

    ○堀委員 大臣はさっき、いまたいへんな不況だとおっしゃったのですが、事務当局、一体大臣が言っておる不況というのは、GNPの実質で年率いまどのくらいだと見ておられるか、事務当局の答弁を求めます。
  57. 佐上武弘

    ○佐上説明員 お答え申し上げます。  いまのところ確定的な数字がありませんけれども、上期の状況は、これはいろいろと考え方がございますが、五ないし六%程度ではなかろうかということでございます。
  58. 堀昌雄

    ○堀委員 実は昭和四十六年度の政府経済見通しを構成比で見ますと、個人消費支出は五〇・八%だったわけです。この前の四十年、四十一年ごろは個人消費支出は五六・六、五五ぐらいで、いまに比べて構成比の中で五%実は違うわけですね、当時は。ことし春闘の中で政府は、ことしは少し不況だ、不況だといいながら、公労協の賃金をはじめとして伸び率をうんと低く押えたのですね。政府は、この非常に下がってきておるときに、一体何を伸ばせばこれが回復できる、こういうふうに考えておるのか。公共投資、公共投資といってみたところで、私はそう公共投資がそんなに速く進まないと思う。公共投資のもとというのは土地なんです。土地の取得から始まるんですから、スピード、ずいぶんかかるわけです。一番早く景気を押し上げる力になるのはこれは個人消費で、所得は入ればすぐ出るわけですから。それをやらないでおいてそうしてGNPを押し上げよう、これは私としては全く納得ができないわけですね。いまの四十六年の見通しは、政府資本形成は一六・四%、これは四十五年も一六・三、四十四年一六・六と、ここら大体同じぐらいになっておるのですね。ですから、いま皆さん一生懸命やろうと思っても、これは非常にエンジンがかからない。かかってきたころにはぐうっとこれがダブル効果になる、こういう可能性があるのではないか。  もう一つ、金利を下げるということで、何か第四次の公定歩合引き下げをやる。私はこの前大蔵委員会でも福田さんに言っておるのですが、三次の公定歩合引き下げで一体幾ら実質金利、実効金利が下がったのか。ちっとも下がっていないわけですね。だから私はこの前福田さんに注文をつけた。二、三日中に全国銀行大会だ、いまの銀行が、公定歩合が下がってもちっとも金利が下がらないのは、これは配当の問題とか統一経理基準その他で、とにかく少しでも利益を大きくしようということのために貸し出し金利が下がらない。貸し出し金利が、三回も下げても下げないものを四回も下げたって、こんなことは私はナンセンスだと思う。  そうして、そういうものを下げることによって、皆さんは民間設備投資の増加を期待しておられると思う。民間設備投資の増加を期待するのはおかしいんじゃないか。今日不況になっている一つのもとは、設備が大きくなり過ぎている。過去における民間設備投資の行き過ぎで、それから生産力が大きくなり過ぎているのにそれに需要が見合わないから、そこで稼働率が下がっておるというのが不況じゃないですか。そうすると、民間設備投資をさらにやろうということは、言うなればまたそれだけ生産力を拡大することによって不況要因を大きくするということになるのです。  だから、政策の基本は、ここにある政府の見通しの中の一体どこへてこ入れをすることが最も効果が早くくるのか、どこへ比重をかけようとするのか、その政府の姿勢がはっきりしない限り、何となく公共投資をやってみたって、公定歩合引き下げてみたって、これは景気対策にならぬのじゃないか。水田大蔵大臣は個人消費支出を一体どういうふうにすると考えるのか。あるいはそこらの点をもう少し合理的に考え対策をとってもらわない限り、漫然と公定歩合引き下げたって金利は下がらない。それから、公共投資、公共投資といって予算を幾らくっつけてみたって、用地の取得ができなければ公共投資も投資のしょうがない。こういうふうに問題は前々から押せ押せになってきている。民間設備投資がいかないのは、要するにそれは、金がこれだけだぶついておるのだから、使おうと思えば使えるけれども、先行きの見通しがはっきりしない。海外的な要因として、日本の輸出の諸条件から見たって、輸出の諸条件が非常によくなるのではなくて、だんだんと狭められる、こういう前提に立っておるのですね。だからそこらはもう少し合理的な御答弁をいただかないと、抽象論では経済というものは解決しないと思うのですが、大蔵大臣は一体何にこれから一番比重をかけて、そこの部分の前年度伸び率を伸ばすことによってGNPを押し上げていくのだ、こういうふうな具体的な御答弁をひとついただきたい。
  59. 水田三喜男

    水田国務大臣 漫然とやっておるわけではございません。やはり景気を出すに一番有効なことは民間の設備投資が促進されることだろうと思うのですが、しかしそれはいまおっしゃられるよりな問題があるし、また現に企業でも、非製造業の設備投資は相当大きくなっておりますが、製造業の設備投資に対する意欲というものはほとんどない。またないのがこれはほんとうであるかもしれません。そういう事態があらわれてきたということが、また一つには、日本の社会構成の姿を変える一つのいいチャンスだというふうに思われます。ここで設備投資が少し足踏みをしておる間に、いままで設備投資に比べておくれている社会資本の蓄積、これをこの機会に取り戻すことがいい。そういうチャンスに恵まれているということが一つと、同時に、この景気を浮揚させるためには財政役割りがいま重要になってきて、財政役割りというのは、いま言った公共投資、社会資本の拡充ということに力を入れることが景気浮揚策の一つの一番いい方法であるし、それ以外にほかの方法によることは不適当だということを考えて、いまこの問題にわれわれが精力を集中しておるということであって、決して民間の設備投資の関係で漫然とただ公共投資をふやせばいいというふうに考えておるわけではありません。個人消費云々と言いますが、個人消費といっても、個人所得というものがやはり景気によって左右される問題でございますので、ここまで来た以上は景気回復ということを先にすることが政策上の一番優先的なことであって、これから取りかからなければ一切のほかの問題は解決しないというふうに考えております。
  60. 堀昌雄

    ○堀委員 もう一問です。  昭和四十六年度の国民総支出の増加寄与率を見ますと、その中で予想されておるのは、個人消費支出が四二・七で民間設備投資が三〇・一ですね。当初から依然として民間設備投資の比重がかかり過ぎておったと私は思うのですね。こういう見通しがあるから今日問題が出てきた。だからやはり構成比の中で見ても半分であるし、増加寄与率の中で見ても四二%もある。やはり個人消費というものをもう少し政府考えなければいけないのじゃないか。企業個々は個々の利益の関係がありますけれども、全体として見たら少なくとも半分を占めておるのですね。個人消費が増加寄与率のうちの四二%を占めておる。非常に大きな部分です。だから、景気が悪ければ、政府がややそこでは所得の増加をさして購買力を喚起することのほうが、考え方としてはより積極的ではないか、こう考えるのですがね。考え方のことでいいですから、水田さん、あなたもどっちかという積極論者だから——それは個人消費を拡大するためには、場合によっては減税という手もあるし、いろいろあるでしょう。今日、中途はんぱなことはここではできないですけれども、もう少しそういう意味では国民の個人所得を増加させることが、この際は景気を安定させるために非常に重要だと私は考えていたにもかかわらず、政府が先頭に立って押える、こういうやり方をことしはとってきておるわけですね。これはごらんのとおりです。これは私は少し間違ったんじゃないか、こう思うのですが、水田さん、あなたは積極論者だからその点は私とそんなに変わらぬのじゃないか。国民生活の面から見ても、いま五〇%台の個人消費の構成比なんて先進国には大体ないです。大体六〇%です。日本だけが五〇%です。かつて日本だって六〇%のときはあったのです。昭和三十年に六三・七%という時期もあった。三十六年から四十一年ぐらいまでは大体五五、六%の構成比があったわけですね。これから見ても、私はもう少し個人消費という問題を考えるべきじゃないかと思うのですが、これは来年にも関係することですからら、これだけ伺って私の関連質問を終わります。
  61. 水田三喜男

    水田国務大臣 それは景気対策として私どもも十分承知しております。
  62. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 いま堀委員から国民消費の問題が触れられたわけなんですが、あなたの所信表明の中にも、「日本経済のこの質的転換時代を迎えて」、「真の国民福祉向上を目ざして、財政金融政策運営にあやまちなきを期してまいる」、こういうことなんですが、いまの堀委員質問に対する答弁も明確になされていない。そういう方向に行きたいということは表明されたけれども、先ほども指摘をしたように、物価の問題についても明確なものを持っていない。景気刺激策をやっても物価には影響はないだろうというきわめて楽観的な見解を表明されておる、そういう問題。さらに、景気刺激策を真に豊かな国民生活の実現ということに重点を置いていかなければならぬ状況になっておるといいながら、現実にはそうなってない。やはり今度の景気刺激策というようなものも依然として、真に国民消費をふやしていく、比率を高めていくというようなこと、あるいは物価を安定さしていくというようなことがなくて、景気刺激策というものが、しょせんは高度経済成長というものをむしろささえてきたのは、国民の消費を低く押えて、大企業、大資本にその資源を配分していった、こういうことにあると思うのですが、やはりいまのお考えでは、そういう基本的な考えが変わったように表明はされるけれども、現実にはそういう具体的な政策というものはないのじゃないか。やはり同じ高度経済成長政策で、国民の消費あるいは物価、こういうようなものに対しては具体的にこういう目安をもってやっていくのだということを、もう少し大胆に率直にひとつ方向をお示しいただきたいと思うのですが、いかがでございますか。
  63. 水田三喜男

    水田国務大臣 所信の中で申し述べましたように、いままでの経済成長成果といまある国際収支のゆとりを、国民福祉に結びつけていくという方向で財政運営をやりたいということでございますので、国民福祉と結びつけるということになりますと、結局生活環境整備というようなことで、公害対策も入りますし、下水道、そのほか生活環境をよくする問題、それから社会保障の問題、そういう問題に全部触れている問題でございますので、ただいわゆる高度成長にサービスする一連の公共事業というふうに限ったものではございません。
  64. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 きょうの朝日新聞の一面に大きく出ておるわけですが、「景気刺激に「15カ月予算」蔵相が検討指示」こういう見出しで、「骨子は、公共事業の繰上げをさらに促進させ、四十六年度予算は今年末までに使い切る、来年一−三月の補正予算案はことし十月の沖繩国会に提出する、その際、来年度本予算にそのままつながる形とし、財源となる国債の発行規模は四十七年一月−四十八年三月の十五カ月を通じた工事量に応じてきめる、」こういうようなかなり具体的な問題点が骨子として報道されているわけなんです。この十五カ月予算という問題について、新聞記事がほんとうであるかどうなのか、そのことも含めてこの構想というものは一体どういうものなのか、これをはっきりひとつ大蔵大臣の口から直接お伺いをいたしたいわけであります。
  65. 水田三喜男

    水田国務大臣 その記事は全然私存じません。昭和三十五年のときでしたか、私が最初に大蔵大臣になったときに十五カ月予算というような構想をやったことがございますので、それで今度もやるんじゃないかというようなことで書いたんではないかと思いますが、まだこういう話が省内で論議されていることもございませんし、私自身まだそこまで考えたこともございません。と申しますのは、さっき堀さんの言われましたように、促進するといっても、たとえ財投の追加をやっても、もう用地の確保ができないためにといって、これ以上追加されても困るという部門も出てきますし、そうじゃなくて、金さえつけばここでどんどん進められるという部門もございますし、そういうものを全部一応見て、どこへそういうプッシュをしたら有効にこれが進んでいくかというようなものもこれは研究してかからなければなりませんし、いまやっているのがどういう形で動き出してくるかというこの動き方も見てから、まだ足らぬかどうかということもこれから考えた上でいろいろな手を打たなければなりませんので、まだいまのところそういう構想まできめるのは少し早いと私自身は思っておりますので、その記事はちょっと私とは関係ございません。
  66. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 関係ないならばこれはやむを得ませんが、それでは伺いたいのですが、いま大蔵大臣考えておられる、もうすでに決意しておられる景気対策のいろいろな問題があると思うのですが、たとえば公共事業の施行促進、再繰り上げをやるということで財政支出を増大さしていく。財政投融資の第二次追加を一千億というように新聞は報道しているのですが、こういうものはほぼ固まっているだろうといわれておる。それから公定歩合の第四次引き下げを今月末あたりあるいは来月初め、八月一日から実施できるようにおそらく今月末あたりにやられる。こういうことは大体もう固まっているものであるということが報道されている。そのほかに検討中のものとしては国債の増額発行、かなり大型な補正予算を組むということ、それから長期金利の引き下げをやりたい。この前上げた前の状態に戻すということで、八・五%から〇・三%ぐらい引き下げて八・二%ぐらいにするということもかなり具体性を持って報道されているわけです。それから予算の概算要求ワクをことしは思い切って広げるというようなことなど、あとの三つは検討中なんだということなんでありますが、いま景気対策として——景気対策はやはり講じなければならぬということは先ほども答弁されたわけですが、具体的にこれから大蔵大臣としてこれくらいのことはやらなければならぬと思っているのだ、そういう決意をもう固めておる、それは実際に実行に移したいというものは先ほど申し上げた三つぐらいのものでございますかどうか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  67. 水田三喜男

    水田国務大臣 さっきここで大体所信を表明いたしましたが、この所信に沿って今度はほんとうにこれを実行するつもりできょうは所信を述べたのでございますから、この線に沿って財政当局として至急やらなければならぬという手は、この国会が終わり次第、検討の上至急私どもはやりたいと思いますので、まだその内容は固まっておりませんが、とにかく当面この少し停滞しておる景気を急速に回復させる手は、あらゆる有効な手は私は打ちたいと思っております。
  68. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 質問を変えます。  先ほど、不況、不況ということで、ことしの春の労働組合の賃上げの際にもかなり引き上げ率を押えた、額の面では若干昨年を上回ったけれども、引き上げ率としてはかなり下がったものであったというようなことなんですが、やはりほんとうに正しい意味で、ほんとうに豊かな国民大衆の生活を経済成長余力をもってそれに結びつけていくということが所信表明でもいわれておるわけでありますが、ことしの春の賃上げについてはそういうことも財界の不況宣伝というようなことでできなかった。ところで、この春の賃上げをかなり重要な参考資料として、人事院が今度は、おそらく八月の初旬か中旬になるのだと思うのでありますが、おそらくそれらを参考にして公務員賃金の引き上げの人事院勧告をされることになるだろうと思います。これに対して一言お伺いをいたしたいのは、人事院勧告どおり——人事院がどういう勧告をされるかいまのところわかりませんが、人事院勧告というものに対してはそっくりそのまま、昨年と同じように——昨年も人事院勧告はそのまま実施をいたしました。ことしも値切ったり何かというような妙なことをなさらぬで、完全に人事院勧告は実施する、こういう気持ちを持っておられるかどうか、この点ひとつ新大蔵大臣から明言をしていただきたいと思うわけであります。
  69. 水田三喜男

    水田国務大臣 まだ勧告が出ませんし、どういう勧告が出るかわかりませんので、そう人事院が信用できないようなものを出すとは思いませんが、勧告が妥当であると思えば勧告に従う、これはもう当然でございます。
  70. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 勧告が妥当であればという条件つき……。人事院は、国家公務員からスト権を奪った、労働基本権を奪った代償として、賃上げの問題については国会と政府に向かって勧告を出す。これはそのまま尊重されるというのが大前提なんですね。人事院はしかも政府から独立をした形がとられている。だから、どういうものを出すか不安があるということなんですが、それは人事院を信頼しない立場に立っていると思うのです。大蔵大臣のことばとしては私はむしろ不適当だろうと思うのです。人事院はやはり、そういう労働基本権を公務員から剥奪をした代償として公正な国の機関を設けて、ストライキにおいてかちとれると同じだけのものを人事院の権威を持って勧告を出すわけでありますから、この勧告は一〇〇%尊重をする、無条件にそういう答弁が必要だろうと私は思うのですが、いかがでありましょうか。(堀委員「さっき私にそう言ったじゃないですか。要するに個人消費をプッシュしなければならぬ。人事院が出してきたものを出したいというのが政府の意向でなければおかしいじゃないですか。」と呼ぶ)
  71. 水田三喜男

    水田国務大臣 それと話はまた別です。人事院の勧告は原則として尊重するということははっきりいたしておりますので、妥当な勧告はむろんそれに従う。尊重する。尊重するということは、一〇〇%そのとおりにするということはやはり言えないと思います。もしそうだとするなら一切の権限が人事院にあるということで、人事院は勧告権を持っておるので、それをどうするかは政府の権限でございますので、これを尊重するのがたてまえでありますが、そのとおりにいかない場合もあるので、たてまえをくずして何でもそのとおりにしますという答弁はできない。おそらく信用できる勧告をしてくれると思いますから、その場合にはそれは尊重してそれに従うということは言えると思いますが、そのとおりにするということはここでは言えません。
  72. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 どうも大蔵大臣、妙に慎重なんですが、それじゃ政府が決定権を持つということなんですよ。裏返しに言えば、人事院が決定権を持つということになったらたいへんだ。それは政府が持ったらなおたいへんでしょう。そういうことも考えて、先ほど堀委員からも質問いたしましたように、国民消費というものが非常に低い率で押えられているという、先進国にはまれな状況、こういうようなものに対しては、それを高めて、だんだん先進国並みにしていくというようなことを答弁されておるのですから、そういうような背景を持って、人事院が出してきたものは尊重をいたします、そのことだけ言えばいいと私は思うのですが、いかがでございますか。
  73. 水田三喜男

    水田国務大臣 尊重はいたします。
  74. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 あとあまり時間がなくなったのですが、外貨が、一月以降ずっと見てみますと、一月に四十五億三千万ドル、六月では七十五億九千九百万ドル——この数字は若干違うかもわかりませんが、上半期だけで約三十億ドルふえておる、こういう状況にあるわけであります。この対策として、ことばは「総合的対外経済政策」ということで、いわゆる俗称円切り上げ回避のための八項目といわれております。これに対してはいろいろな評価があるわけでありますが、輸入自由化の促進であるとか、特恵関税供与をできるだけ早くやるとか、関税の積極的引き下げ資本自由化、非関税障壁の撤廃、あるいは輸出秩序の確立だとか、弾力的な経済運営財政金融政策の発動というような項目があるわけであります。このようなものに対して、近代経済学者が為替研究会をつくって、いわゆる一回限りの大幅な平価切り上げというようなことをやることは、国民経済あるいは国民生活に及ぼす影響が非常に甚大である、こういうような立場でいわゆる小刻み平価調整をやったらどうだという提案をされておるわけであります。これについては、私どもの見解から見れば、基礎的不均衡があると断定をした上で近経学者の提案はなされたということで、はたして基礎的不均衡があるのかないのかというようなことはいろいろな人によって論争はされておりますが、とにかくこのように短期間に外貨準備が急増をしている、そして貿易収支はどんどん黒字拡大をしておるということは、かなり長い期間もう定着をした形になっている、こういうような状況でまさに基礎的不均衡というものがあるのではないかと私どもも思うわけでありまして、こういうことで、円切り上げというようなことについてどうしても追い込まれるという事態になりかねないという気持ちを私どもも持っております。そうだとするならば、影響の比較的少ない小刻み調整という形がやはりすぐれた方策ではないかというような感じがするわけなんですが、これについての大蔵大臣のお考えをこの際お聞きをいたしておきたいと思います。
  75. 水田三喜男

    水田国務大臣 学者グループの提案も私どもは十分拝見いたしましたし、一つの非常にまじめな提案として敬意を表しますが、しかしこの内容において、これは議論すればするほどむずかしい問題を含んでおりまして、私どもも、円切り上げをしない、そうしてほかの対策によってこの事態に対処するんだという方針をきめるまでには、あらゆる考えられる問題を検討した上でああいう結論を出した次第でございまして、あの提案が得られた後もまだいろいろ検討はいたしましたが、結論としまして、いまの国際収支の状態をいわゆる基礎的不均衡ということには問題がある、したがって為替平価を変更することによってこの状態を是正するということはやはり避けなければならぬというのが依然として同じ結論でございまして、私どもは最初の方針どおりこれは貫いていきたいというふうに考えています。黒字の急増というものも結局景気沈滞ということから起こった現象でございますので、やはりこの姿を是正するためにはここで景気回復策が最も有効なことでございますし、いわゆる八カ条の対策、これを真剣にやることによって経済内外均衡はある程度改善できるという自信を私どもはいま持っておるところでございますので、いままでの方針は変更しないでやっていきたいと思っております。
  76. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 大臣の答弁として予想されたとおりの答弁をなさったわけでありますが、見方によりますれば、ほんとうにこの八項目が徹底的に行なわれるというようなことになって国民全体がこういうひどい目にあうならば、八項目が全部発動され、しかもそれが徹底的に本腰を据えてやられたというような場合に、かえって円平価切り上げ等をやってもらったほうが被害が少なかったというようなことになるのではないかというような見方すらあるわけであります。  たとえば、資本自由化の問題にいたしましてもかなりいま問題になっておりますし、あるいは残存輸入制限、貿易自由化におけるこれを来年の三月ごろまでには三十品目ぐらいにしてしまおう、ことしじゅうに四十品目、九月までに四十品目にするというのですか、こういうようなことをやるというようなことなども徹底的に行なわれるということになり、さらにまた特恵関税による打撃というようなものが加わる。こういうようなことになりますと、たいへんな国民、特に先ほど藤井委員も触れましたように中小零細企業などに対する影響というものはかなり大きい深刻なものが出てくるのではないか。そういうことを考えてまいりますと、これはやはりほんとうにこの八項目が行なわれて、これで完全にうまくやっていけるんだ、いわゆる黒字幅を縮小して、外貨の異常によけいな準備を持たないで済むようにやっていくということで、この八項目にはそう被害がないという観点に立っておるわけだけれども、かなり深刻な被害というものが出てくる。グレープフルーツ一つとってもたいへんなあれだけの騒ぎを起こしておるわけです。さらに米の生産調整との関連において、なたねだとか大豆などをどんどん輸入させ、関税を下げていく、無税にしていくということなどが、いわゆる農業の転作というような問題に対してまさに水をぶっかけてしまって、転作のしようがないというようなことにもなりかねないいろいろな問題に波及していくわけなんです。  こういう点について大蔵大臣として、円切り上げあるいは平価の調整、小刻み調整というような、そのどの道もとらないで、やはりこれだけで絶対にだいじょうぶなのかどうか。その点について一体ほんとうの確信があるのですか、この点をお伺いしたい。
  77. 水田三喜男

    水田国務大臣 国民生活の水準を上げるためにはどうしても国際経済拡大をはからなければならない。国際取引を拡大していくというためには、いずれ貿易自由化とか資本自由化とか、こういうものはやっていかなければならない。これはもう当然の政策であるのに、これがおくれておったということはむしろ私は日本の不幸であったとさえ思っております。ですから、こういう事態になったときに日本がこれを踏み切るということが、一つは国内経済のためでもあり、同時にこれは国際経済のためでもあるということで、決して他国のためにやっている政策であるというふうには私どもは考えておりません。  したがって、考え方が逆であって、この際こういう問題を避けて安易な道につくというようなことをやったら、日本経済はかえってこれによって解決をおくらせるだけであって、一つも得はない。私は進んで、若干国内にいろいろな問題を起こそうとも、あらゆる各層の協力によってこの八項目くらいの問題をほんとうに実施して、国民がお互いの責任として解決することによって、国民生活というものはほんとうに国際経済の中で一歩水準を上げることができるのでありますから、私はやはりIMFがきめておるとおり、為替平価をやたらに動かすというようなことによる事態の解決策というものはできるだけ避けるべきだ、やらないで済ませるというのがほんとうであると思っています。現に私どもも、日本の国際収支が逆に非常に悪くて大きい赤字を出しているときでも、決して円を切り下げるというようなことによって解決したことはございませんで、非常に苦しいいろいろな措置をしても平価は動かさぬということで今日まで解決しながら日本経済をここまで持ってきたといういままでのいきさつからしましても、この事態で何も私どもが安易な道をとるというようなことは考えないで、日本経済自身のためということを考えましたら、私はこの八項目対策をここで真剣にやることのほうが非常にプラスであるというふうに考えています。
  78. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そこで、この八項目実施することによって相当な問題が出るだろうということで、最近産業調整法というようなもので、この八項目実施に伴う、たとえば輸入自由化の問題あるいは資本自由化の問題、こういう問題などで打撃を受ける業種、そういうようなものを、何らかの形で政府援助を取りつけてこれをヘッジングしていきたいというような立場で、産業調整法というようなものの構想が新聞に報道されているわけですね。こういう問題に対して、先ほど私が例にあげたような農民なんか、おそらくこれは農民の打撃というようなものは対象にされないだろう。そして一部の特定のかなり力のある業種、こういうようなものにだけ政府援助というようなもの、あるいは税制上の優遇あるいは金融上の優遇、こういうようなものが帰属する、こういうようなことになりかねないものではないかと思うわけでありますが、これについての考え方は一体どういう考えであるのか。この点をひとつ、こういうものをつくるということに賛成でございますか、考えてないのか、そういう点を明らかにしていただきたい。
  79. 水田三喜男

    水田国務大臣 まだそういう問題の具体的な検討はしておりません。考え方としましては、この自由化を無意味にしない範囲において、円滑に自由化を進めるためにも必要な措置というものはやはり考えなければならぬというふうに考えております。そのやり方がどういう形をとるかは、これは業種によっていろいろ違うことでございますしし、ケース、ケースによって考えることになると思いますが、それがその業種の体質を改善していくことに役立つような援助のしかたとか、あるいはこの際国際分業によって、もう別の方向へいってもらうという必要がある場合に、その方向へいろいろな助成策をとるというような、いろいろな場合が出てくると思いますが、そういう問題は十分考えながら、やはりこの自由化は前進させるという方向で解決すればいいのじゃないかと思います。
  80. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そういう場合に、一部の大企業、業種というようなところにかりにそういう場合があったとしても、農業だとかあるいは中小企業というような、力の弱いところが常にそういうものからはじき出されていくというようなことのないようにこれは要望いたしておきたいと思います。  それから最後に、ちょっと時間オーバーしますが、付加価値税の創設の問題について、昨年、水田大蔵大臣は政調会長の時代に、水田ミッションとしてヨーロッパ、EEC諸国等を中心にしてこの付加価値税の調査をされてこられたわけです。言うならば付加価値税の権威者でもあるわけなんですが、私どもはこの付加価値税についてやはり基本的にはどうしても心配がある。それは物価をどうしたって押し上げる結果になるだろうということが一つと、それから、何といっても最終消費者である大衆が税負担をするというような形を通じて、いわゆる税における逆進性というものがどうしてもこれは残る。なるほど逆進性の問題は、かなり所得水準が向上する、あるいは平準化してくるというような事態というものが前提にされるならば、それほど逆進性というようなことをぎらつかせて問題を論争するということにはならないと思うのですが、現状ではまだまだ日本では所得水準がそれほど高いとはいえないし、平準化という面については逆にむしろ格差が開いているという問題点もあり、しかも物価はどんどん上昇中である。こういうようなもろもろの条件を考えてみますと、しかもかつてシャウプ勧告などで取引高税とか一般売り上げ税あるいは付加価値税というものが勧告されても、法律は通ったが全然実施されずに終わったという国民的抵抗という経験もあるし、大体付加価値税がスムーズにいくのは、前段階において一般売り上げ税とか取引高税とか、そういうような訓練が行なわれた国民のところでスムーズにいっているというようなこともあるわけです。そういうような面も踏まえて、なるほどこれは、先ほど大蔵大臣所信表明をされたようなことがずっと続いていって、ほんとうに福祉国家になった場合にはこういう税制を取り入れることもいいなという感じはするわけであります。したがって私どもとしては、まさにこれは今日の税ではない、まさにあすの税だという感じを持つわけであります。したがって、このあすというのは一体何年くらい先に来るのか、こういうような点もいろいろこれは論争したら切りがないと思うのですが、一体付加価値税の創設について、どうしてもこれは設けるという意向があるのかどうか、そしていつごろならば、それはいま私が申し上げたような条件を満たして、よき税として国民に受け入れられるものか、何年先くらいにこれを実施に移していくか、そういうようなめどなどについて、大蔵大臣、特に付加価値税については非常に熱心であるという国民的評価があるわけですから、この点についてひとつお考え方を聞かせていただきたい。
  81. 水田三喜男

    水田国務大臣 長期税制のあり方としてただいま税制調査会でいろいろ審議を願っておるところでございますので、今月の末に付加価値税の問題については何らかの答申が得られるのではないかと思いますので、その答申を得てから私どもは答申の線に従った作業を始めたいというふうに考えておりますが、さてそれじゃ、かりにこれが非常にいい税制であるとして、これから準備してどれくらいかかるかという問題でございますが、私どもが欧州の各国を歩いて去年勉強をした際に、ドイツそのほかの国からのお話としましては、少なくとも準備に五年かかる。特に日本は付加価値税的な消費税を新たにつくろうとしても、売り上げ税的なものが下地にならないために欧州の諸国が実施するよりもむずかしい。だから日本的に日本の人たちがなじんで、その程度のような税金なら非常にやりやすいからよかろうというふうな具体的なものをほんとうに研究するだけでも一、二年はかかるだろう。かかってからこれを国民に全部理解してもらって、そういう税ならよろしいといってみんなが理解をしてもらうまでに、これは相当の時間がかかる。少なくとも野党がまっこうから手を振り上げて反対している間は、こういうむずかしい税制実行が困難で、そこらはもう十分に相談して、なるほどといって大部分が納得するようなところまでいかないと、この消費税的なものは簡単なようでむずかしい税金で、それはできないという忠告を受けてきましたが、やはり私はそうだと思いますので、そう簡単にこれは一年やそこらでやれる税金とは思っておりませんが、方向としては、早晩欧州もそうなってきますし、イギリスも近くこれは採用するでしょうし、おそらく米国もこういう方向に行くのじゃないかと私は思います。高福祉高負担という原則を貫かなければこれから福祉社会ができないということになりますと、負担感を伴わないで若干負担が重くなるというような税負担を考えるとすれば、間接税以外にはございません。これが国民に納得される税になるまでには相当の研究を必要とすると思いますので、私はかりにこれをやるとしましても、よほどの準備期間が入り用だと思っております。
  82. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 きょうはこれで終わります。
  83. 齋藤邦吉

  84. 松尾正吉

    松尾(正)委員 きょうは、組閣後初めて新大蔵大臣に出席していただいての委員会でありますので、ただいま大蔵大臣から所信表明をされたものを中心にして、基本的な考えと、それから当面の問題について伺いたいと思います。  まず、所信表明において、超高度成長から安定成長への調整過程に入ってきた、そういう方向へ進めるということで、さらにこの中で物価の問題、あるいは国民生活の問題、特に社会福祉等については力を入れていきたい、こういうことが述べられておるわけでありまして、この点については非常に私も意を強くして、どうかこれはしっかり進めてもらいたいと思うわけです。  ただここで、先ほど藤井委員並びに社会党の委員から質問がありまして、現下の経済情勢景気の見通しに対する対策、これについて、どうも最近の新聞報道その他あるいは大蔵大臣の言動等を通して見たときに、国民生活の福祉面を重点にというのではなくして、むしろ目先にあらわれた景気についてのてこ入れが超重点になっている、こういう感じを受けるわけです。もちろん、停滞した景気については、これはてこ入れもやらなければなりませんけれども、この点について、この景気回復は当初予想されたけれども、予想されたよりもおくれぎみである、これまでの措置の効果が出てきたことと、これを期待するということが述べられておるわけであります。こういう点を考えれば、むしろここまでやらなくてもいいのではないかという感じも受けるのですけれども、先ほど広瀬委員からの質問で、大臣から景気回復の予想についてあまりはっきり伺えなかったのですが、大臣は、景気がいまが底なのか、あるいはもう底からつま先上がりになってきたのか、あるいはまたどの程度までに持っていきたいのか、これらの見通しについて最初に伺いたいと思います。
  85. 水田三喜男

    水田国務大臣 これは見方でございますから非常にむずかしいので、一昨日の予算委員会で日銀総裁が来たときの証言では、質問者が景気のきざしの見えてくるのは九月ごろになるのではないかということに対して、肯定したような話がございましたが、私は、今月がおそらく底であって、景気はこれ以上落ち込まない、これから、今月から来月にかけて回復のきざしは明らかに少しずつ出てくるというふうに見ております。出てきておっても、これが急速な回復というものはそう簡単には望めないと思いますので、ただきざしが出てきたからといってそれでいいかどうか、もう少し促進しなければならぬかという問題は残ると思います。しかし、もうこれ以上落ち込むことはないという点は、いろいろの経済指標や何かを見ましても、また実際の事業に従事をしている現場人のいろいろな話を聞いても、大体間違いないのじゃないかというふうに思っております。
  86. 松尾正吉

    松尾(正)委員 いま大臣から、現在がほとんど底で、これ以上落ち込むことはない、上向きになるということでありますが、これはいま大臣からお話があったように、一昨日の予算委員会でも、日銀総裁も確かに四十年不況とは非常に違う、こういうことを言っておりました。このことについては、私はむしろ、先ほどの広瀬委員質問で、非常に落ち込んで、これを回復することがたいへんなことだというお話がありましたけれども、これはすでにいままでの超高度成長というもののひずみがいろいろな形で出てきた。どうしてもこの高度成長をこのまま続ければ日本の経済はパンクしちゃう。したがって何とか押えなければならないという方策が考えられてきた。福田前大蔵大臣予算国会では、この引き締めをやった効果がぼつぼつあらわれてきたので、春以降つま先上がりに上昇するであろう、しかし急激な上昇はこれは望めないのだ、こういうことも再三言っておりましたし、全体の銀行筋あるいは財界その他の見方としても、まあ五、六月ごろが底入れが近いのだ。そうして、こういう全体の見方の中に、一部には底入れの時期が七月ないし九月にずれ込むであろう、こういう見方も確かにされておったわけです。そうしてみると、これはもう見通されておった点であって、むしろこのとおり進めていけばそう心配ないのではないか。けさの新聞を私見て、先ほども質問が出ましたから略しますけれども、特別な予算を組まなければならぬ、財投の第二次追加もしなければならぬ、金利も引き下げる、それから八項目実施する、さらに経団連と財界等では一兆円の追加補正をやるべきだ、こういうような、非常にここのところで大きな景気回復ということが論じられておるのですけれども、何もこの見通しが誤ってそうして景気が落ち込んだのでないのだ。パンクするような経済高度成長、これが国民にいろいろなひずみをもたらしたので、これを整備していく方向で財政経済を進めていこう、こういう形で進められてきたものがこの予想どおりに進んできており、しかも現在の銀行筋その他の、いろいろな全体の動きに対する予測というものも、この前のような危機感というものはほとんどない、こう言ってもいい状態であることは、大臣もよく御承知だろうと思うのです。先ほどもちょっと出た五月の鉱工業の動きが予想外に悪かった、こういう一時的な現象、これを見てあわてたということは私は言いませんけれども、しかし何かこう、後段のほうに述べられている国民優先、特に高物価あるいはインフレというものを防いで国民生活中心の政策を考えていきたいというものとは逆行する、ここまでやらなくてもいいのではないか。ここであんまり財政のてこ入れ、てこ入れと言うことは、逆にインフレ、高物価——大臣はさっき、もうないとは言ったけれども、ないのならば、財政てこ入れその他をやってインフレが起きないのならば、私はいままでにももうすでに手が打たれておったはずだろうと思う、いままで物価というものに政府が一生懸命に取り組んで。いま無能政府だ、何も政府ができないのだといわれるような状態にまで物価がどんどん高騰しているのに、これ以上金をばらまいてインフレが促進されない、物価上昇しない、こういうことはない、こういうふうに私は心配するのですけれども、この点、大臣もう一度お答えいただきたい。
  87. 水田三喜男

    水田国務大臣 先ほど申しましたように、生産力に余裕のないときとか、外貨にゆとりのないというときに景気の刺激政策をとるということは、もう必ず物価を上げる、インフレーションを起こすということにつながったものでございますが、これはもういままでは必ずそうでございましたが、いまは事情が違っておって、いまの事態はこの生産力にも生産余力というものを十分持っておって、そうして外貨のゆとりが十分ある、国際収支の天井が高いというときでございますから、その際において財政の刺激が少しくらいあるということは、そう物価には影響しないで済む。いままでとはその点においては私は事情が全く違っておるというふうに思っておるわけでございます。
  88. 松尾正吉

    松尾(正)委員 あまり時間がないし、基本的な問題についてだけ伺いたいので、具体的な問題は避けるわけですけれども、内閣が改造されて、この初閣議のときに、佐藤総理大臣物価公害対策に総力をあげて取り組んでほしい、こういうことを全閣僚に強く要請をされた、こういうことが大きく報じられておったわけです。相当長い間インフレ、高物価で苦しんできた国民としては、内閣が改造されて、ここで物価には相当力が入るのかな、こういう期待を持っておった。ところが七月に入ってからずっとテレビあるいは新聞報道等見ておりますと、閣議で強力に打ち出した物価問題、あるいは公害対策、こういう問題に関するニュースはもう一つもなくて、全部が現在の弾力条項を含めた積極的な財政のてこ入れ、それから不況対策の八項目、あるいは円切り上げ回避の八項目、こういうことで埋められておるわけです。こういう点を通して見ると、内閣を改造して方向を示されたという感じは受けるけれども、やはり財界が中心で、いままでの高度成長のひずみを何とか省いて、そしてこの前の公害国会では調和条項まで取り除いて、とにかく国民優先の政治をやっていきたい、こういう方向をつけたにもかかわらず、相変わらず姿勢は財界、それから高度成長の方向に向いているのではないか、こういう感じを受けざるを得ないわけです。ここで大臣は、この中に述べられておるのですが、もう一度はっきり、佐藤総理が初閣議で要請をされた国民のための物価問題、それから公害対策には総力をあげてほしい、こういう要請に対してどう受け取られておるか、どうこれから取り組んでいかれようとするか、この点について伺いたいと思います。
  89. 水田三喜男

    水田国務大臣 物価問題と取り組む一つの方法としては、物価対策予算というものは相当今年度の予算の中に組まれております、そういうものをここで使用を促進するということも一つの方法でございますので、全体としての予算の使い方を促進するということはやはり必要だろうと思いますが、特にその中でも物価に関係のあるいろいろな公共投資的な予算はたくさんございますので、一括して公共事業の推進ということをやる必要はますます出てきておりますからして、これをここで思い切ってやるということもりっぱに物価対策の一つにはなるのだろうと私は思っております。さっき申しましたように、そういう対策をやることによって物価に影響があるかというのですが、需給関係からの物価への影響というものはそう心配しないでやれるというのがいまの基調だろうと思いますので、そういう点の心配はない。ほかの心配の点については、それぞれ流通過程の問題、いろんなことで、各省がそれぞれ各省の担当している物価対策をみんな協力してやればいいことでございまして、この点は、いままできめられたとおりの対策を各省がこれから真剣に行なうことになっておりますので、この対策はそれとして進んでいくだろうと思っております。
  90. 松尾正吉

    松尾(正)委員 不況時の景気刺激と違って今度のものは心配ないということでありますから、今後見守りながら、この物価対策には、いま心配ないのだ、こう言われたことをどうか貫いていくようにぜひお願いしたいと思います。  次に円の問題について、政府は再三、円は切り上げない。きょうも大臣は、切り上げないということを前提にして八項目をやったのであるから、これらを強行して、変動なんということは考えない、こういうことを言われたわけであります。しかし、そう言われて、いままででも手を打ってきたわけでありますけれども、国際収支というものは大幅な黒字を示して、ついに年内にも百億ドルをこすという見通しもほとんどもう間違いない、こういう状態になってきた。ここでこの円不安というものがいろいろ影響を及ぼしている。一昨日の予算委員会でも竹本委員質問に答えた日銀総裁は、確かにいま通貨不安というものが産業界にいろいろな影響を及ぼしておるというふうに述べておりましたが、国民の間には、この円不安というものが相当深刻な問題になってきている。こういうときに円の切り上げは決して軽々に行なうべきでない。避ける手段があったならこれは避けなければならないことは当然でありますけれども、この国民の円不安を解消するということは大事なことだ。大臣はいまここで、円不安はこれで避けたいのだ、そのためにこういう前提の手段を講じているのだというお話でありましたけれども、こういう円不安の解消について、はっきりこれで避けられるのだという言明はないわけですね。物価その他いろいろな状態を見ても、政府努力する、慎重に考慮するということはあったけれども、結果は国民の期待に反するような方向にだんだん向いてきた。こういうすべての総合した点から判断をして、国民は円に対しては非常に不安を持っている。特に外貨準備高のめど、こういったこともこの委員会で何回かいままで論じられました。前大蔵大臣は、最初、六十億ドルをこえたならばというような発言もありましたし、そのうちに今度は百億ドルをこえるようなことがあればというようなこともあった。さらに今度は総理大臣は参議院選挙の遊説先で、外貨準備が百六十億をこえるようになったら考えなければいけない、こういうような発言がますます国民の不安を大きなものにしている一因になっているということは見のがせないと思う。こういうことに対して新大蔵大臣は、外貨準備高のめどというようなことはどう考えることが適当なのか。内外財政の不均衡という問題、非常にむずかしいというお話がありましたけれども、このめどについてはいま、総理が言った百六十億ドルをこすようなことがあれば考えなければならない、そういうような言動に同意をされるかどうか、このめどについてひとつ伺いたいと思います。
  91. 水田三喜男

    水田国務大臣 外貨保有の適正な水準というものについては通説はございませんので、これは何とも言えません。やはり経済の変化によってこれは当然変わっていい問題だと思います。したがって、過去これくらいあればいいと言ったからといって、それをこえたからもういま持ち過ぎになっているということも言えないだろうと思います。いまの調子でいけば、年末までには相当ふえるだろうということははっきり見通されることでございます。適正な水準はどれかということは言えませんが、しかし均衡をさせるための策を何らとらないということはそのままにはできないことでございますので、したがって私どもはこの八項目対策を立てたのでございます。私は、これをほんとうにみんなやったら円の切り上げなんていうものはしなくても解決すると実際に思っております。一つ一つの項目を見ましたら、たとえば残存輸入制限のものをもし撤廃して自由化をやったという場合に、それじゃどれだけ輸入がふえるかというような一々正確な計算はむずかしいとしましても、一つずつ見たらその効果はそう多く計算できないとしましても、総合されて全部がほんとうに実行されて効果をあらわすということになりましたら、これは相当な効果でございまして、いまの問題の解決にりっぱに役立つ。ことに景気の問題でございますが、これは民間でいろいろこのことを計算していう人がございますので、これは正確ではございませんが、たとえば景気回復によって輸出に二%ぐらいの違いが出てくる、輸入に三%ぐらいの違いがかりに出てくるということになりましたら、貿易収支はいまに比べて十億ドル近い均衡回復というようなことになりますので、この対策を全部やるというときには、決してこの効果はばかにならない。要するに、真剣にやるかやらないかの問題でございまして、いままで円はほんとうに裸になっていたことはございませんので、強い通貨であるかどうかということも断定できない状態のもとにおけるいまの黒字でございますから、これだけのことをやった結果がどうなるかということはそう正確には予測できませんが、私はこれによって円の問題の解決は必ずできるというふうに確信をしております。
  92. 松尾正吉

    松尾(正)委員 非常に力強いそういうことばを重ねて聞けば、国民の不安というものも徐々に解消できると思うわけであります。ただここで、大臣はこの場で、一回これを強力に実施すればできるんだということがありましても、いまいろいろ論じられている点は、この八項目をやったところでたいしたことはないじゃないか、こういうような議論もありますし、また、初めは威勢よくやると打ち出すけれども、やっぱりいろいろな抵抗、摩擦でくずれていく、あてにならない、こういう不安が付随するわけです。したがって、いま大臣はこの所信表明にも述べられておりますように、ある程度の摩擦はあっても、とにかくこれを強力に実現するんだ、こういう非常に力強い決意を持っておられるわけでありますけれども、この中で、各項目一つ一つ洗っていくことは時間の関係で許されませんけれども、いまの輸入自由化促進の問題でありますが、八十品目のものをとにかく早急に四十品目に減らしていきたい、さらにそのあとできるだけ早い機会に三十品目ぐらいにはしていきたい、こういう方針が打ち出されておるわけです。ところが、なぜ国民が、しりつぼみになってしまうという不安を持つかというと、電算機の問題等についてはとにかくこれはやるのだといった。ところが業界と通産省との話し合いがあって、どうもむずかしい。結局きのうあたりの報道ですと電算機は延ばす以外にない。けさの報道では、部品に関しては実施をしよう、本体については三年後に延ばそう。こういうようなことで、とにかくここできめても、大きなウエートを占める電算機等がそういうふうに変わってくる。しかもこれも政治折衝でどうなるかわからぬということなんですが、大臣としてはこの電算機については、けさ報道されておるように本体については三年後実施する、部品部門については直ちに実施する、こういう方向で進めていかれようとしておるのかどうか。さらにグレープフルーツ等の問題はえらい問題になっておるわけでありますけれども、これらについてもとにかくきめたとおりに九月末に実施をする、こういう方向でこの自由化の問題には取り組まれるのかどうか、その点を伺いたいのです。
  93. 水田三喜男

    水田国務大臣 いま審議会の審議にかかっておるところでございまして、この二十九日には答申が得られるだろうと思っております。私どもとしましてはできるだけ自由化の線が促進されることを望んでおる次第でございます。
  94. 松尾正吉

    松尾(正)委員 さっきは、これを全部やればもう円の切り上げはしなくてもいいのだと、非常に力強い答弁があったのですけれども、今度は一つ一つについて具体的に聞いていくと非常に弱々しい。答申が出るのでおそらくそうなるであろう、こういうしりつぼみの答弁になってしまっている、こういう点に私は問題があると思うのです。物価対策閣僚協議会が非常に力強く打ち出して、それじゃ各省でやろう、こういうことで物価については国民は期待をする。ところが結果はどうかというと、各省に持ち帰って大きな抵抗があったりして、結果としては望めない。こういうことから、自由化を促進することによってこれだけのものがはかれるではないか、二%、三%という事例をあげて大臣説明されるのですけれども、しかし、具体的にそれが総力をあげてやればということ、やるかやらないかということまで言われたのですけれども、やればできる。ところが結果はそういうふうに抵抗、摩擦によってこれがくずれるる、こういう公算が強い。こういう点を考えて、どうかこの実施にあたっては最初に述べられた決意どおり進めていただきたい。摩擦の問題はあります。摩擦によって今度は解決するほかの問題か起きてくるわけでありますけれども、どうかそういう態度でひとつ取り組んでほしい、こう思うわけであります。  それから次に、これもあまり大きくは望めないのですけれども、特恵関税供与、この問題も中小企業あるいは零細企業に対するいろいろな関連があるわけです。したがって、この時期についてはとにかく早急に、八月には法的なものを除いて解決したい、こういうふうに先ほど言われたのですけれども、特恵関税供与については法的な改正面もありますので、これらについては次の国会には準備されるかどうか。その点をひとつ事務局でもけっこうですからお答えいただきたい。
  95. 谷川寛三

    ○谷川説明員 特恵につきましては、御案内のとおり八月一日から実施することにいたしまして、関係の政令を出したところでございます。いま御質問の御趣旨はおそらく、特恵実施後、中小企業がいろいろ影響をこうむるであろうからその対策はということであろうかと思いますが、これは御案内のとおり、前国会におきまして別途通産省のほうから中小企業特恵対策特別措置法でございますか、これが提案されまして成立をいたしております。これによりましていろいろな、企業の体質改善なり転換なり、そういったものにつきまして適時適切な措置がとれるように措置がなされております。また別途予算措置も講ぜられておるところでございます。
  96. 松尾正吉

    松尾(正)委員 そうするとこれはもう八月には実施ができるのですか。関係の外務省、通産省等の話し合いで、あるいはこれはもう八月実施はむずかしいのではないか、調整が困難ではないかというような報道もありますが、このめどは間違いないですね。
  97. 谷川寛三

    ○谷川説明員 八月一日実施の関係政令をもうすでに出しておるところでございますから、御安心願います。
  98. 松尾正吉

    松尾(正)委員 これはそこまで決意をしてやられることはけっこうですけれども、しかしこの特恵関税供与に関しても、やはり皮革製品とか生糸七品目、石油、こういったものは除外されているし、さらに繊維製品など五十七品目は五〇%カットというようなことで結果的にはあんまり大きくは望めない、こういう声が多いわけであります。  それから次に関税引き下げ、これについては前国会でこの委員会でも論議されました。グレープフルーツ、それから豚肉など三十三品目ですか、これらについては引き下げる形がとられたわけですけれども、しかし内容を見ると、カラーフフィルムとかその他、あんまり需要を期待できないものが多いという批判も前回なされたわけです。なぜ石油、砂糖、バナナ、この関税ビッグスリーといわれるこれらをこの際どうして入れなかったのか、この点はどうでしょう。
  99. 谷川寛三

    ○谷川説明員 これは前国会でも御説明を申し上げたところでございますが、関税の中でも一番大きなビッグスリーがいまお話しのものでございますが、原油関税につきましては、別途石炭対策の唯一の財源にもなっておりますことでもございますし、これがまだあと何年か続くということでございますから、この際直ちにこれを減免税することはむずかしい。期限が到来しました際に再検討するようにという関税率審議会の附帯決議もありますことでございますから、そういったことを尊重しながらさらに検討していただきたいということにしておりましたし、それから砂糖につきましては、御案内のとおり沖繩産糖を含めまして国内産糖の保護ということで、砂糖の価格安定制度の一環をなしていることでございますから、これも直ちに下げるということにつきましてはいろいろ問題があるというようなお答えを申し上げたのでございますが、そういうことも含めまして、またあらためて関税率審議会で御審議が行なわれることであろうと思っております。
  100. 松尾正吉

    松尾(正)委員 これは大臣に伺いたいのですが、この前の国会の委員会で私は、この関税引き下げの三つの柱のうちの一つに物価対策がある、こういうことで、この引き下げによって消費者物価には効果があるか、こういう点で試算をしてもらって伺ったのですが、関税当局からは、これは消費者物価に必ず影響する、こういう試算をあげて答弁を伺っておるわけです。ところが、この関税引き下げについて経済企画庁が追跡調査をしたところによると、ウイスキーその他四品目の追跡調査をやったわけですが、総代理店方式による供給独占、こういった問題や、それから高度な製品の差別化という問題、それから近代化のおくれた流通体制、こういったものがあったために所期の効果はあがっていない、こういう追跡調査の結果があるわけです。今度の措置はもちろん不況対策であり、円の切り上げ回避対策、こういうことが中心の観点ではありますけれども、しかしこれらを総合して推進することによって国民生活を豊かにしていくのだ、しかも、あとで触れたいと思うのですけれども、財投等を強力に刺激しても物価に影響ないのだ、こういう答弁を大臣はされましたね。ところが、関税引き下げ物価対策の一つの柱として、三本の中の一つの柱として打ち出したにもかかわらず、消費者物価というものには効果があがらない。こういう点を考えると、はたして大臣が言っている、これら総合的なものをやっていくことによってインフレにはならないのだ、あるいは物価ももう引き上げられないのだ、こういうことを言っているけれども、結局そうでなくして、国民生活のほうあるいは物価問題等はたな上げになっちゃって、いまの景気刺激中心で向かっているのではないか、こういう心配をどうしても持たざるを得ない。こういうことになると、初閣議で佐藤総理は、関税引き下げあるいは自由化等がとにかく行なわれるので、物価対策には十分期待できる、こういうことを述べておるわけで、こういった点について今度も関税当局では、当然消費者物価に意を注がれておると思うのですけれども、大臣としてはただ経済対策、不況対策なのか、円対策なのか、物価のほうはどういうふうに意を注がれようとするのか、この点をまず大臣から伺っておきたいと思います。
  101. 水田三喜男

    水田国務大臣 私もおっしゃられるとおりだと思います。輸入によって下がる物価もございますが、そうではなくて、流通機構やいろいろなことから、関税を下げても国内の消費者価格が全然下がらない仕組みになっておるような問題もございますので、こういうものに手を入れない限りは、関税引き下げとかあるいは自由化がすぐに物価に寄与するということにはそのままなりませんので、私は各省特に農林省あたりに一番努力してもらわなければならないと思うのです。この流通機構に相当改革をしてもらわないと、それを前提にしないと関税引き下げの効果というようなものが物価面に対しては出てこないということが実情でございますので、この点に力を入れることが相当必要だろうと思って、これはまた各省別に当然相談しなければならぬことだろうと思っておりますす。
  102. 松尾正吉

    松尾(正)委員 時間がきてしまったので、まだだいぶあるのですけれども、要約して、輸出振興税制度もこれを廃止する。これは私ども長い間主張してきた問題で、ぜひ進めてもらいたい。ただここで問題になるのは、零細企業の占める額が全輸出優遇措置によっての減税額の四〇%、これが中小零細企業である。したがって、所信表明で、ある程度の摩擦があってもこれを何とか推進したいという大臣考えからいくと、この零細企業の中で陶器業というのは大体全生産の七〇%が輸出。それから縫製、製品を加工する、ズボン、シャツ、こういったものの加工業者は発展途上国からの追い上げを受けている。それから全部を輸出にたよっているクリスマス電球、こういったもの全体にはたして適用されるのか、あるいは除外するのか。された場合に、これらに対してはどういう対策大臣として考えられているか、これをお伺いしたいと思います。
  103. 高木文雄

    高木説明員 輸出振興税制につきましては、それが輸出ドライブになるという点が問題になっているわけでございまして、反面輸出企業の中で体質が非常に弱い企業がある。そのために単純に輸出振興税制をそのまま廃止をすることが企業の体質にはね返りがあることについては、何らかの対策が必要だということが非常に強くいわれておるわけでございますが、まだその細目につきましては、私ども自体も検討を始めているところでございまして、この席で申し上げることはできないのでございますが、気持ちとしては、それによって何も増税をはかろうというわけでもございませんで、何らかいい方法があれば考えなければならないというふうに考えております。
  104. 松尾正吉

    松尾(正)委員 時間がありませんから、もう少し詰めばあとでやっていきたいと思うのですが、最後にもう一点。  この景気浮揚対策の一つとして強力な力を持つ弾力条項の適用、これについて大臣はさらに力を入れていく、こういうことですが、まあ物価の番頭役といわれる前佐藤企画庁長官は、弾力条項を大幅に発動していくことはどうしてもこれはインフレが避けられないんだ、したがってこの弾力条項を発動して財政支出をふくらませるということに対しては反対だ、こういう意見を商工会議所の副会頭会議で述べておりますし、そのあとでも聞いたことがある。大臣と相当大きな考え方の食い違いがあるのですけれども、この弾力条項を発動して財政支出をふくらましてもインフレが助長されない、心配ないという点をもう一度確認をして私の質問を終わりたいと思います。
  105. 水田三喜男

    水田国務大臣 やはりさっき申しましたことに私は尽きると思います。企画庁は物価について非常に神経質であることは当然であって、そうあってくれなければいけないのですが、しかし弾力条項を発動しなくても物価は上がるときには上がっておるんですから、そのことを考えますと、この不況のときに景気回復するために打つ一連のそういうものがここで物価に響くということはない。物価に響き、物価を押し上げている要素というものは、そういう需給関係以外の別のものであるということを大体いま物語っているものだと私どもは思いますので、この心配はないと思いますす。
  106. 松尾正吉

    松尾(正)委員 それでは終わります。
  107. 齋藤邦吉

  108. 竹本孫一

    竹本委員 先ほど新大蔵大臣所信表明がありました。これに関連して一、二点を申し上げてみたいと思います。  先ほど藤井委員からもいろいろ御発言もありましたけれども、所信表明を承りまして、いろいろ現下当面する問題についてお考えが一応述べてあるわけでございます。これは私の希望でありますが、ちょうど内閣のどの演説もそうでありますけれども、中心的な政治課題として何に取り組まれるかというバックボーンと申しますか、一番重点を置かれる政治課題というものがひとつはっきりしないような点に若干の遺憾な点があると思っております。  それからもう一つは、もちろん大蔵省として取り組まなければならぬ問題が数々ありますが、それらの問題について、目の前に出てきた事実を追いかけていくということにどうもエネルギーがたくさん使われておるような感じも受けるわけです。たとえば先ほど出しました外貨を活用しろ、藤井委員からもいろいろお話がありました。全く私はこれは同感でありますけれども、その活用のしかたも、七十億ドルたまって百億ドルになりそうだ、もっとそれをオーバーにこえてきそうだ、円の切り上げの問題も出るから何とか使わなければならぬといったような感覚、受け取り方でなくて、やはりこの際、七〇年代の政治のビジョンと結びついた大きな総合的な構想というものがあって、その一つのささえの柱として外貨の活用というものが説かれる、こういう受け取り方にぜひしていただきたい。これは希望でありますけれどもも、私どもは希望するわけであります。  もう一つは、水田さんは前から積極財政論者でございますから、公債政策についてもいろいろと考えられるであろうと思うのです。あとで少し承りたいのだけれども、その公債政策も、実は私は自動車新税の問題が問題になりましたときにも特にその点を指摘いたしまして、七〇年代は六〇年代の延長であってはならないんだ、もっと新しい政治の発想の転換が必要であるといったような立場から、われわれの言う福祉大国を建設する財源的な柱としては公債政策も積極的に考えていいのではないか。総合交通体系というものも考えて、この際自動車新税といったような、いままである税体系をさらに複雑にするだけで、しかも大衆に迷惑をかけるだけの税を考えつくよりも、やるならば総合交通体系も確立して、その上で公債政策も積極的に導入するといったような積極面があっていいのではないかと言っておったわけでございますけれども、自動車新税は通過をいたしました。そのときには、当時福田大蔵大臣でございますけれども、公債政策は毒薬であるから注意をして、それこそ慎重に考えなければならぬという御説明があった。最近景気がどうも浮揚しない、落ち込みが激しいということになると、まあ経団連その他からもいろいろ声が出ておりますけれども、公債でも出して何とかしなければならぬじゃないか。要するに行き当たりばったりで、あるときは外貨の活用を言い、あるときは公債政策の導入を言う。しかしそれは、一つの政策ビジョンというものが先にあって、そのためにそういう問題を取り上げるのとは、われわれの考え方とは発想が逆になっておるというふうに思えますが、ぜひ水田新蔵相のもとにおいては、これからひとつ政策のバックボーンを大きく示していただいて、政治は常に先取りをしてリーダーシップがなければならぬ。事務的な穴埋めや継ぎはぎを重ねるというようなことでない、ひとつ財政の姿勢を示してもらいたいと思います。その点についてまず大臣の所感を伺っておきたい。
  109. 水田三喜男

    水田国務大臣 おっしゃられるように、いま当面の問題に少し追われ過ぎているようで申しわけございませんが、そういうビジョンはいずれ来年度予算編成において、所信にあらわれたいろいろな問題が出てくると思いますので、そこでひとつゆっくりと御批判をお願いすることにいたしたいと思います。
  110. 竹本孫一

    竹本委員 そこで一つだけ、公債政策については、現在大蔵大臣はどういうお考えを持っておるかを、ひとつお考えの一端をお示しをいただきたい。
  111. 水田三喜男

    水田国務大臣 金融情勢が変わっておるときでございますので、さっき言われましたような、公債政策は罪悪であるというような情勢でなくなっているときでございますので、これは私ども十分有効に運営する、活用する方向でこれから考えたいと思っておりますが、構想はまだこれからこしらえるところでございます。
  112. 竹本孫一

    竹本委員 これからということであれば私のほうから希望を申し上げますが、先ほども申しましたように、七〇年代は六〇年代の延長であってはならないというわれわれの基本的な考えから、ひとつ福祉大国を建設するためにいろいろとやってもらわなければならぬことがたくさんありますから、そういうものに大きなビジョンと構想を描いてもらって、同時にそれをささえる財政のあり方として、やはり社会資本充実というものについては相当思い切ったキャピタルバジェットの体制において、公債発行についても御構想をひとつ早い機会にまとめてお示しをいただきたい。なおその機会には、私は実はこの間も申し上げたのですけれども、いまの財政の姿勢とかあり方から申しますと、公債政策そのものには私どもは積極的に考えてまいりたいけれども、いまの政府、いまの自民党さんの政治姿勢の中では非常な心配をいたしておるわけです。それは三K問題でもわかりますが、とにかく圧力団体というものがゴリ押しをして、そういうものに引きずられておるような、リーダーシップのない政治の姿勢の中では、それこそ前大蔵大臣の言うとおりこれは毒薬になってしまう心配もありますので、公債政策の導入の場合には、歯どめの問題について相当真剣な考慮が払われていかなければならない。そういう点についてもひとつ、単なる圧力団体に押しまくられて悪性インフレになったり赤字公債発行になったりすることのない、建設的な公債政策の確立を要望しておきたいと思います。  次に、付加価値税、この問題につきましては、水田さんは前から独自のお考えをお持ちのようでございますから、きょうはあと残された時間、その問題についてひとつお考えを伺いたいと思うのでありますけれども、先般大臣は、あれは党からでありますか、付加価値税の調査そのものを一つ中心の課題としてヨーロッパを回られました。その後いろいろな論議が国会の中でもあって、また立ち消えたりしておるわけでありますが、新しい大蔵大臣として、この付加価値税の問題についてはどういうふうに取り組んでいくお考えであるか、その辺のところをお伺いいたしたい。
  113. 水田三喜男

    水田国務大臣 ただいま税制調査会に諮問しておりますので、付加価値税についての税制調査会の意見というものが答申になってくると思いますが、問題は、いまの日本の税制はやはりシャウプ税制以来直接税に少し偏しておる気がいたします。直接税と間接税の割合はどのくらいがいいかということは別にございませんが、しかしいまのように七割三割というようなところへきておるこの比率は、やはり考えなければならないと思います。六七と三三で、約七割です。直接税が多いということはやはり国民が非常に負担感を持つ、負担感を重く感ずるということにもなりますし、税制としてやはり政策的に考えなければならぬという問題もあろうかと思いますし、また一方国民の所得水準が高くなってきて、それに伴って消費が非常に高度化し、また多様化し、そうしてもう平準化してきておる。しかもそれによって社会コストというようなものも組み立てられておるというようなことを考えますと、この消費に応分の税を負担させるという方向も、これからの行き方としてはある程度正しい行き方じゃないか。これはやはり検討しなければならぬ一つの方向であろうというようなことを考えますと、これからの税制のあり方として、付加価値税というものを含めたいわゆる消費税というものをここで税体系の中に取り込んでくることが必要ではないかというようなことから税制調査会に諮問をしてあるわけでございますが、私はやはり将来の税制のこういう方向をくふうすることはどうしても必要だと考えます。  それで、去年は付加価値税を実施しておる国々へ行って一応勉強してきたのでございますが、やはり消費税としては一番進歩した形のものであるということを私どもは認めて帰ってきたわけです。しかし日本には下地がない。売り上げ税というようなものもいままではなかったんですし、そういう税の上にできた付加価値税でございますから、全く下地のない日本にすぐにこういう税制が植えつけられるかどうかということには非常にむずかしさがありますので、そのむずかしさについてのまたいろいろな問題も、これから実施するというイギリスとか、あるいはもうきまっておるけれども実施が延びておるイタリアというようなところで、特にそういう問題に興味を持って私どもは勉強してきたつもりでございますが、さっきも話しましたとおり、準備に相当の時間を要する。そう簡単にこれはやれない。特に、そのときいろいろおもしろい話が出ましたが、さっきも言いましたように、この税制というものは、どこの国でも同じことで、野党にとって一番反対するのにいいものであって、逆進性がどうのとか、直接税も減らさないで増しながらまた間接税をさらにここへ置くのは、これは両びんたを食わせるものだとかなんとかいうことを選挙でぶつと、非常に俗耳に入りいい。なるほどそうかもしれぬというようなことで、これはもう必ず、言い出すと言い出したほうが選挙に不利だというのがどこの国でもあるので、そういうことではまじめな税制実施できない。与野党、これではいかぬ、これではいいという、相当練って、そうして国民にこういうことであまりに負担感を感じさせなくて、実際にはこれだけの税収が見込まれる、そのために直接税というものはこういうふうに減らしていくんだというようなものも図をかいて、国民にある程度納得させて、それならいいというような気持ちになったときにやはり実施するのが望ましい。急がないで三年はかけなさいというのが各国のこれは勧告でございましたので、私どもも確かにそれくらいのまた考えで臨まなければいかぬものだろうというふうに聞きましたが、いずれにしましても、欧州の税制そのものを日本にすぐ取り入れるということはむずかしいと思いますので、日本式にどういうやり方をしたらいいかというくふうを少しすることがまず最初のむずかしい問題ではないか。もし答申がありましたら、私どもはそのくふうをすることに少し骨を折ってみたい、そこから始めてみたいと考えております。
  114. 竹本孫一

    竹本委員 一言大臣のお答えは多かったようであるけれども、確かにまだ直接税中心に日本の場合はなり過ぎている、これは私もよくわかります。負担感の問題からまじめに再検討をしなければならぬということもよくわかるわけです。だから私は、これがまた逆進税であるということはだれも言っておることですから、特にいま言おうとも思いません。私がきょう聞きたいことは、いま大臣の答弁にもだいぶありましたけれども、これに賛成か反対かというのは案を見なければよくわからない。本質的にいえば、いま言ったように逆進税で、大臣の言うように俗耳に入りやすい議論が展開できる問題であると思いますけれども、そういう低級な考え方をやめて、あるいは逆に言えば、そういう立場を離れても、これと取り組んでいくという考えの場合にも私はいろいろ問題があると思うのです。いま大臣のほうから、三年間は準備に必要であるということを言われて帰ったというお話がありました。われわれもヨーロッパを回りまして、付加価値税についていろいろ勉強してみましたけれども、だれに会ってみても二、三年の準備期間が必要であるということは大体常識のようであります。  そこで、いま大臣のお答えの中にもありましたけれども、下地のない、あるいは歴史的な社会的な基盤のない日本においてこの税を取り入れるという場合においては、いかなる準備、努力が要するのであるか。その点についてもう少し具体的に大臣もしくは主税局長から二、三年要ると言うが、その二、三年とはいつから二、三年か。税調の答申から二、三年という意味であるか。二、三年の出発はどの辺からか。それから二、三年の中で準備をしなければならない、あるいは日本式にあるいは水田式にこの問題を取り上げるという場合に、問題点として拾っていかなければならない問題点は何であるか、その点をちょっと伺いたい。
  115. 高木文雄

    高木説明員 二、三年と言われましたのは、大臣が現地でごらんになって、はだでお感じになった御感触だと思います。現在、税制調査会におきましては学者を中心にいたしまして、専門委員に学者になっていただきまして、そこで先般小委員会というのを設けまして、そこに専門委員に入ってもらいまして答申をもらったわけでございますが、そこでの議論の結論では、現在のような個別消費税よりは一般消費税のほうが方向としてはいいのではないかということが一つと、一般消費税の中ではEC型の付加価値税がいいのではないかということが一つと、その二つを内容とする答申がありまして、先ほど大臣から申されましたように、今月末に税制調査会のほうで、今度は学者でなしに納税者の代表である調査会の委員の間で御議論をいただいて、これをどういうふうに今後取り上げていくかを答申の形でおまとめ願うことになっておりますが、その場合に、はたして何年というような一つのめどをつけて答申が出されることになるのかどうか、その点は全く私どもとして現在わかりません。白紙でございます。  なお、どういうところを調べる必要があるかということでございますが、これは学者と申しましても、今回小委員会に加わっていただきました学者は主として経済、エコノミストの方々でございますので、なおもっと別の角度から、たとえばヨーロッパと日本におけるところのいろいろの商慣習であるとか取引の実態であるとかあるいは帳簿組織であるとか、もっとそういう実務的な面での実態が合っているのか合ってないのかという面であるとか、単なるエコノミストではなくて、もう少し実務家的な面でのいろいろ検討が必要であろうかと思います。現段階では、私の立場からはちょっと何年というふうには申し上げにくいのでございまして、この程度のお答えにしておきたいと思います。
  116. 竹本孫一

    竹本委員 下地がないという問題とも関連いたしますが、日本の流通機構は大体において世界でも最も複雑怪奇にできていて、ある意味からいえば最も非能率的であると思うのです。しかし、いよいよ付加価値税をかけるということになれば、その付加価値が付加される段階を一々全部とらえていかなければならぬ。一体それが日本のいまの経済の実体の中でどの程度につかめるものか、つかみ得るものかということが、ぼくは非常に困難な問題だろうと思うのですね。その辺についての見通しあるいは準備というものがなければ、二、三年といっても、これは何で二、三年かということをぼくはいま聞いているわけだけれども、いま日本の税務職員五万からいるでしょうが、その五万人の税務署員にどういう訓練をするのか、訓練の問題もいろいろあるでしょう。それから人数を、そういう複雑な各段階をとらえていくためにどの程度ふやさなければならぬかという大きな問題もあるだろう。そういう点について、いまの各段階をどういうふうにとらえていくか。下地がないだけに困難であると思うが、その点がどうかということと、それから税務署の職員の訓練をかりにしても、人数その他においてどういう問題、困難が出てくると考えておられるか、その辺について伺いたいと思います。
  117. 高木文雄

    高木説明員 まさに、ただいま御指摘いただきました点が最も重要な問題の一つでございまして、制度というよりは税の行政と申しますか、執行とのからみのところが問題になるであろうかと思います。で、まだ現段階は、税制調査会におきましても、ヨーロッパにおきますECの仕組みを勉強しますにつきましても、制度上の仕組みを勉強したという段階でございまして、その手続とか執行の状況とかというところまでは見ておりませんので、まさにいまの御指摘の点をよく見てみて、それが日本に移した場合にどういうふうになるのかということが最も検討課題の問題の大きな点だということを痛感しておる次第でございます。
  118. 竹本孫一

    竹本委員 税務署の職員の関係についてはどうですか。もう少し聞きたいと思います。
  119. 高木文雄

    高木説明員 やはりかなりの数の人がそれに食われるということになると思います。そこで、現在直税、間税徴収というような機構に税務署がなっておりますけれども、既存の直税、間税徴収というような機構に、特に直税でもない、間税でもないような分野ができることになりますので、もしそういう制度が導入される場合には、税務署におきます機構、仕組み、それから仕事の流し方等も全く新しいものを導入してまいらなければならぬだろうというふうに考えております。
  120. 竹本孫一

    竹本委員 大臣、いまいろいろ御答弁を聞いておると、俗に言いがたいむずかしい理論のほうはいろいろお考えのあることもわかったが、今度具体的にその税を受けとめる体制の準備その他については、全く大学の講義を聞いている程度の話しか言ってないので、具体的な準備というか検討というものにまだ全然入ってないように思います。答申があってからもちろんやるということでありましょうが、この問題は二、三年、二、三年と言っても、むずかしさがわかって二、三年と言っているのか、ただ何でも二、三年くらい準備が要るものだという一般の相場で言っているのか、その辺の問題意識が私ははっきりうかがえないのでございます。ぜひひとつその点は、やろうというならなおさらのこと、もう少し前向きに具体的な検討大蔵省はやるべきであるし、またわれわれの質問に対しても、こういう準備もしておるという準備の受けとめ方がなければ、大学の講義みたいなことを言ってみても、話にならぬと思いますから、いずれは漸を追って具体的に話を聞きたいと思います。  そこで最後に、時間がありませんから三つだけまとめて言いますが、一つは、これはオランダの実際の経験が示しておるように、物価上昇期においては、この税を取り入れると物価上昇に相当に拍車をかけてたいへんな問題になるということの実例が欧州にもあるようですが、日本のように、物価の安定について政府が自信がなくなっておるし、実際に現実物価は上がっておるといったような場合において、これを取り入れることについてはどういう物価問題との調整を考えておられるかという点。  それから第二番目には、中小企業に対する影響、これは相当深刻な問題が出てくると思いますが、その点の考慮はどういうふうにしておられるかということ。  それから最後に、問題の多い物品税の再検討の時期は来ておっても、これはある意味において政府としては付加価値税との関連において総合的に検討したというお考えで、今日まで問題を預けておられるのではないかと解釈しておるわけですけれども、しかしいまもお話しのように、事務的な準備だけでも二、三年かかるというときに、それでは物品税の全面的な再検討というか、あるいはすでに問題が起こっている問題の解決というものをなおかつ二、三年、あるいは物価の問題との関連においてはもっと長く先になるかもしれぬが、その間たな上げ、お預けということにするのであるかどうであるか。  その三つの問題について御答弁を承るだけできょうは終わりにしたいと思います。
  121. 高木文雄

    高木説明員 付加価値税の導入と物価の関係、それから特に中小企業との関係というのは、おっしゃいますとおりまさに非常に問題でございまして、これまでの小委員会での討議の際にも一つの大きな問題点として指摘されております。これはまた確かに今後の検討課題として取り上げるべき問題だと思っております。  それから物品税の検討はどうするのかということでございますが、これは付加価値税の問題をどうするのかということがきまるまで全く手がつけられないということでは、問題が解決できないのではないかという御指摘だと思いますが、その点は確かにおっしゃるとおりだと思いますので、付加価値税を採用することになるのかどうかわからないから、したがって物品税についてそれまではいわば凍結だというような気持ちは必ずしもございませんのですけれども、しかしながら、現在物品税自体の問題といたしまして実はあまりにも多くの問題をかかえておりますので、私ども自体といたしましても、率直に申し上げまして、部分的手直しといってもなかなかむずかしい。私ども自身、この問題については来年度どうするかということについて苦慮しておるところでございまして、いまの段階で明年度それではどうするというふうには申し上げにくいのでございます。
  122. 水田三喜男

    水田国務大臣 ちょっと一番最初のやつに一言ぼくからも答えておきますが、私どもが行った各国では、付加価値税と物価との問題、これはもう割り切らなければできない。付加価値税が何%ということになったら物価は何%上がるということをもう割り切らなければこの税制実施はできない。それを企業努力によって吸収させるとかなんとかということを考えたらこれは全部失敗する。企業家が払うのでも何でもないので、税の払いは消費者が払うのであるから、そこは機械的に、三%付加価値税を取るというなら物価が三%上がるということを割り切ること、それでなければこの税制は全然考える余地はないというのが各国の意見でしたが、これはそうだと思います。そういう意味ですから、もう割り切ることが必要だということが一つと、それだけ今度は、物価が落ちつかないときにやるというと、そこに値上げの便乗が出てくるので、オランダではそれを心配して途中で実施を延期した。イタリアがオランダのぐあいを見て延期したというようなことがございますので、やはりやるときには物価が落ちついたときでないと問題を起こすということは確かだろうと思います。
  123. 竹本孫一

    竹本委員 この問題はむずかしい問題ですからら、またあらためて論議の機会を持ちたいと思いますからきょうはやめますが、最後に言われた割り切って考えなければならぬ、私もそのとおりだと思うのです。ただ、最後に言われたように、割り切った場合でも、ちょうどこれは円の切り上げの問題なんかもみんなそうでございますけれども、経済というものは一プラス一が二にならないで、物価の場合なんかは三にもなれば四にもなるわけですから、その心理的な影響、波及効果というものも考えて総合的に検討しなければならぬ。そこで私が言っているのは、日本のように、物価が落ちつくということについて政府国民も自信がない、不安があるといったようなときにこの問題を取り入れるということは、それこそ佐藤さんお得意の慎重の上にも慎重でなければ、物価問題でまいってしまうという危険がありますので、このことは私としては特に重大な警告をしたいと思っておるわけです。  詳しい論議についてはまたの機会に譲りまして、きょうはこれで終わります。
  124. 齋藤邦吉

  125. 小林政子

    小林(政)委員 十分間というきわめて短い時間ですので、適切な答弁を、しかも簡潔にお願いをしたいと思います。  すでに各委員からもずっとお話が出ておりますとおり、最近の経済情勢というものが、国民にとってきわめて重大な岐路に立たされているというふうに私どもも考えております。政府経済政策の重点を日米関係の改善、ここに焦点を置いて、アメリカの強い圧力のもとで、円の切り上げ回避のための貿易資本自由化などの八項目の早期実施というようなものを急いでこれを実施していく、その推進策をはかっているわけでございますけれども、この円対策の八項目の及ぼします国民生活、とりわけ中小企業だとか農民への影響というものは大きなものであると同時に、深刻な事態に立ち至っているというふうに考えております。特に一例をあげるならば、六月三十日にすでに自由化されましたグレープフルーツの輸入自由化の問題等につきましても、私は大臣にお伺いしたいのですけれども、ミカン産地に非常に大きな打撃を与えていることは大臣も御承知だと思います。特に産地では昨年あたりから相当真剣に品種の切りかえだとかあるいはまた具体的な振興の計画というものに努力をしていた、こういうやさきのできごとであったわけでございますし、当然のようなことは大臣も御承知だったと私は思うのです。しかも、このような果樹耕作の農民の人たちに対して、あるいはこれは決して果樹だけではなくて、農作物についても米作転換などで非常に苦労をしているこの農民の人たちに対して、一体希望が持てる総合農政というものについて、はっきりした具体的な方針というものを示したことがあったかどうなのか。私はそれを耳にいたしておりませんけれども、希望の持てる総合農政の転換というような問題についての具体策も持たないで、追い打ちをかけるというようなやり方というものが現在の日本の政治の中で許されていいものなのかどうなのか。この点について、実施に踏み切られます大蔵大臣、具体的にどのような対策を持って自由化に対処されようとされているのか。私は、農民の方々はじめ中小業者の人たちが納得のいくような御答弁をお願いいたしたいと思います。
  126. 水田三喜男

    水田国務大臣 この自由化に伴う国内産業の問題については、いろいろな対策というものが、通産省は通産省、農林省は農林省、それぞれ担当者からいろいろな政策が今後出てくると思います。いま対策を研究しておるところでございますから、出てきますので、それが財政に関係するという限りは私どもにおいてこれをどうするかということをきめて措置する問題でございまして、この対策についてはそれぞれ原省がいまいろいろやっておりますから、それによって私どもも適当な措置をとりたいと思っております。
  127. 小林政子

    小林(政)委員 私、この問題についてはいまの御答弁ではちょっとまだ納得ができませんけれども、時間が十分ということで非常に限られておりますので、むしろ非常に具体的な対策を立てた上で経済政策というものをはっきりと打ち出すということが筋ではなかろうか、私はこういうことだけ申し上げて先へ進みたいと思います。  次にお伺いいたしたいのは、今後の財政金融政策の課題についてです。この問題について先ほど大臣も、景気対策あるいはまた景気の浮揚対策というような点から社会資本充実というようなものを非常に強調されたわけでございます。私は、この公共投資が単なる景気刺激対策にとどまったり、あるいはまた社会資本充実ということで産業基盤の造成の比重がいままで非常に高かったわけですけれども、むしろ国民生活優先の財政金融政策というものにこの際根本的に姿勢を切りかえ、転換をするということが非常に必要じゃないかということを強く感じております。私は、いまから七年前に佐藤内閣が成立をいたしまして、その佐藤首相の就任にあたっての談話や記者会見の当時の記事等読んでみますと、住宅だとか道路、過大都市の問題や公害など、いわゆる所得倍増のひずみ是正をいたしたいということをこれらの機会にはっきりと約束をされてこられておりましたし、また就任初めの所信表明でも、特に住宅、生活環境の施設などには社会資本整備というようなものを行なっていきたい、こういうことも述べておられるのでございます。当時、第二次佐藤内閣のとき大蔵大臣をやられておりました水田さんも、この佐藤さんと同じように、社会資本充実ということを財政演説で述べられているわけでございますけれども、あれから六年有余たつわけでございます。そして実際にその結果というものを見てみますと、演説のされた内容とは全くこれは反対に、公害だとか交通事故激増あるいはまた消費者物価の高騰、国民生活はまさに破局に瀕するような事態が実際には招かれていることは、これは私はすべての方がお認めになるところだと思います。  私はこの実態をよく調べてみますと、佐藤内閣になってから、昭和四十二年から四十四年における公共投資の実績、これは投資総額で百五十四兆六千七十億円のうち、産業基盤に関係する投資が七十七兆五千七百五十億で五〇・二%を占めているのです。そして住宅だとか環境衛生など生活に関連する投資は二十六兆一千四十億で一六・九%。これは産業基盤の造成費というものが公共投資の中で生活基盤のための投資の三倍以上になるわけでございます。それから、あの所得倍増政策というものを実行に移しました池田内閣の当時、この当時はどうであったのかということを調べてみますと、やはりこの産業基盤の投資というものは五〇・九%、そうして生活基盤というものの投資が一六%で、所得倍増政策をどんどん進めていた当時と何らその内容においてはパーセントの比率というものは変わらず、たいした数字の差がないわけでございます。  私はこのようなことを考えてみますとき、生活環境の改善というものが全く置き去りにされてきたという、佐藤内閣のこの六年有余にわたる産業優先、大企業優先の公共投資のこれが実績であり、このことが今日のような生活の破局を招いてきているのではないか。これが結局企業の異常な成長を保障してきたものだというふうに私は考えます。こう考えてまいりますときに、公共事業あるいは公共投資というものが単なる景気刺激として受け取られたり、あるいはまた産業基盤の造成というものに従来どおり同じような形で力を注ぐべきではなくて、その金融財政政策をほんとうに国民生活優先の、こういう立場に私は根本的にやはり改めていく、変えていくという、こういうことが必要ではないかというふうに考えますけれども、この点についてひとつ明確な御答弁をいただきたいと思います。
  128. 水田三喜男

    水田国務大臣 おっしゃられるとおりだと思います。そういう意味で、今度の所信表明でも、いままでの成長の成果というものといまの国際収支のゆとりというものを福祉に結びつける方向で今度はやっていこうというのはそういうことでございまして、いままでもずいぶん社会資本充実ということは言っておりましたし、ある程度ずっとやってはきましたが、思うようにできなかったということは、ここにも言っておりますとおり、やはり国際収支の壁というものがあって、少し積極的にやろうとすればこれにぶつかってインフレ問題、物価問題を起こしてしまう、実際いままでびくびくしながらやってきたというのが実情だったと思うのですが、ようやくそういう方向に転換できる条件というものがここでできてきたということでございますので、初めて民間産業施設の成長に比例して均衡をとりながら社会資本の蓄積というものがこれから進んでいく、姿をよくしていくことができるのじゃないかと思っておりますので、ここ一、二年、思い切ったそういう方向への切りかえをやりたいと私は考えております。
  129. 小林政子

    小林(政)委員 いま大臣の御答弁でございますけれども、景気刺激策の公共事業の契約の繰り上げ実施の問題等についても、いただいた資料を見てみますと、促進の対象額として四兆一千三百九十五億、これは五月末の契約というところで見れば、その進捗率は三八・六%というような状況でございますけれども、その事業別の中身を見てみますと、いま大臣のお話ではございましたけれども、四兆一千三百九十五億円のうち産業基盤関係というものが七〇・八%をこの中で占めておりますし、生活基盤関係のこの率一つを見てみましても一二・二%でございます。この数字を見ても依然としてやはり産業基盤に、公共投資の場合はそこに重点というか、そういうものが置かれてきている。今後金融財政の政策の姿勢を根本的にぜひあらためてもらいたいということを強く要望いたしたいと思います。  そして、一点だけお伺いいたしたい問題は、政府の機動的な財政運営措置と国会との関係についてお伺いしておきたいと思います。円切り上げ回避のための八項目の一つに、財政金融政策の機動的な運営というものに大きなウエートが置かれているわけでございますけれども、今回も景気対策として財政の弾力条項を発動して、政保債六百九億を含む財政の資金が二千六百十億円追加決定をされているわけでございます。この弾力条項は本年度初めて予算総則に組まれたもので、それに基づいて今回発動したものではございますけれども、このようなことが、先ほど来お話が出ておりますとおり、財政の膨張、それと同時に、その具体的な内容については国会の審議も、制限ワクの限りであればこれは必要でない、こういうようなことが問題になってまいるわけでございますし、さらに新聞などで大きくいま取り上げられております、日米経済関係の摩擦解消措置として、国際経済の調整法が検討されているというようなことが新聞などでも報道されているわけですが、この内容は、これはもう対外経済政策についての発動というのは、強力な権限を内閣が持つんだというようなことも書かれておりますし、関税引き下げなども国会にはからないで内閣の権限でこれを措置することができるというような、こういう構想であるらしいというようなことも新聞で報道されておりますし、次期通常国会には提出されるのではないかというようなこともいわれておりますけれども、御承知のとおり、わが国の憲法と財政法は、財政運営面における国会の優位性というものを認めているわけですね。こういう問題のこのような措置が、国会の審議権というようなものと関係なくどんどん進められていくというようなことになれば、財政法や憲法が規定している財政運営の面における国会審議の優位性、こういうような問題は一体どうなるのだろうか。私は、このことは国会の権限の縮小にもひいてはつながっていく問題であり、議会制民主主義にとっても、財政民主主義の立場からも、きわめて重要な問題であろうというふうに考えますけれども、大臣の納得のいく御答弁をお願いして私の質問を終わりたいと思います。
  130. 水田三喜男

    水田国務大臣 いま法律事項になっていることを、法律でなくて政府がかってにやるとかいうようなことは全然考えておりません。弾力条項の発動といいましても、これは御承知のとおり対象法人とか、あるいは発動の要件、保証とかあるいは借り入れの限度額というようなものを、国会の議決を経た範囲内で発動しておるものでございまして、別にこれは問題のないことだろうと思っておりますし、国会無視とか議会制民主主義がどうこうという性質のものではないと思っております。
  131. 小林政子

    小林(政)委員 もう一言だけ……。弾力条項の発動の問題につきましては、限度額その他が予算総則でも明記をされております。しかし、そういうあり方というものがこれからどんどん拡大していく、国会の審議を受けないでもいいようなもの、具体的な内容の審議を行なわなくてもいいようなものがふえていくとか、あるいはいま新聞などで問題になっている公社の問題等については、もしそういうことが実施されるとすれば、こういう問題は審議権に対する縮小を意味するものになるのではないだろうか、こういうことを大臣にお聞きをしたわけでございます。
  132. 水田三喜男

    水田国務大臣 そういうことがあればということですか。——あればそうかもしれません。      ————◇—————
  133. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 この際、御報告申し上げます。  今国会において本委員会に付託されました請願は、税関等に保管する引揚者の物資処理に関する請願一件でありますが、その取り扱いにつきましては、先ほど理事各位と協議し、その採否を留保することといたしました。  なお、今国会に送付されました陳情書は四件でありまして、お手元に配付いたしてあるとおりであります。  以上御報告申し上げます。      ————◇—————
  134. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 次に、閉会中審査に関する件についておはかりいたします。  まず、閉会中審査申し出の件についておはかりいたします。  すなわち、  広瀬秀吉君外六名提出国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案  同じく公共企業体職員等共済組合法等の一部を改正する法律案  藤井勝志君外四名提出貸金業者自主規制の助長に関する法律案  国の会計に関する件  税制に関する件  関税に関する件  金融に関する件  証券取引に関する件  外国為替に関する件  国有財産に関する件  専売事業に関する件  印刷事業に関する件 及び  造幣事業に関する件 の各件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次におはかりいたします。  閉会中審査案件が付託になりました場合、先ほど設置されました三小委員会につきましては、閉会中もなお引き続き存置することにいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、閉会中審査におきまして、委員会及び小委員会において参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合は、参考人の出席を求めることとし、その人選及び出席日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、委員派遣承認申請に関する件についておはかりいたします。  閉会中審査案件が付託になりました場合、委員を各地に派遣し、その実情を調査するため、議長に対し、委員派遣承認申請を行なうこととし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十九分散会