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1971-08-26 第66回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年八月二十六日(木曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 鬼木 勝利君    理事 大坪 保雄君 理事 神田  博君    理事 藏内 修治君 理事 岡田 利春君    理事 相沢 武彦君 理事 池田 禎治君       有馬 元治君    進藤 一馬君       三池  信君    山崎平八郎君       細谷 治嘉君    田畑 金光君       田代 文久君  出席国務大臣         通商産業大臣  田中 角榮君         労 働 大 臣 原 健三郎君  委員外出席者         通商産業省公害         保安局長    久良知章悟君         通商産業省鉱山         石炭局長    莊   清君         通商産業省鉱山         石炭局石炭部長 青木 慎三君         労働省職業安定         局長      住  榮作君         労働省職業安定         局失業対策部長 遠藤 政夫君     ————————————— 七月二十四日  一、石炭対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件      ————◇—————
  2. 鬼木勝利

    鬼木委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田利春君。
  3. 岡田利春

    岡田委員 田中通産大臣は、大臣就任されて、来年度の予算に向けて、特にこれからの通産行政重点施策としてエネルギー問題を取り上げて、特にその大宗を占めておる石油政策を具体的に強力に展開をする、こういう方針をきめられたことを報道関係を通じて承知いたしておるわけです。まさしく、七〇年代のわが国経済考える場合に、このエネルギーの問題を具体的に長期的に安定の方向を、いまからその視点を定める、緊急かつきわめて重大な施策であると私は思うわけです。しかし、今日、エネルギーはその供給源を多様化すると同時に、供給地域分散化、各国ともそういう面で有効なエネルギー政策を私は展開していると判断をいたしておるわけです。しかも、そういう視点の中でもなおかつわが国の最大のエネルギー資源である石炭問題を考える場合には、依然としてわが国石炭産業は重大な危機に直面していると私は判断をいたしています。私はそういう観点から、この際、通産大臣エネルギー政策に対する所信とともに、なかんずくわが国エネルギー資源である石炭問題について、どのような現状認識をされ、そしてまた、これらを含めて今後どういう姿勢をもって臨まれようとしておるのか、この所信をまずお伺いいたしたいと存ずる次第です。
  4. 田中角榮

    田中国務大臣 日本は、御承知のように、相当なスピードで経済拡大基調をたどっておるわけでございます。昨年度の国民総生産七十二兆円ということでございますから、その後ドルショック等いろいろな問題がございますが、しかし、昭和二十九年から三十九年の平均成長率一〇・四%、六〇年代の平均成長率一一・一%という、過去ほぼ二十年近い年月、このような成長過程をたどってきたわけでございますから、七十二兆円をベースにして年率一〇%ずつ伸びるとすると、いままでの線を引き伸ばしてまいるわけでございますが、いろいろな状態はあるにしても、十年、十五年というものの展望に立つと、拡大基調を続けなければならない、続けるであろうということは、当然考えられることでございますが、この中に占めるエネルギーというものが非常に大きなものになってまいります。十年後を推定してみますと、エネルギー資源自由諸国貿易上に占める約三〇%以上を日本に搬入しなければならないのではないかという数字さえ計算をされるわけでございます。また、ある学者計算すると、四〇%になるかもしれぬというくらいに大きな数字が出ておるわけでございます。そういう意味で、総合的エネルギー政策立案が急を要するということは、もう言うをまたないことだと思うわけでございます。  その中に、御承知石油エネルギー国内で産出をする石炭エネルギー、また、輸入でまかなっておりますところの石炭の問題、また、六〇年代から七〇年代展望に立ったときの新しいエネルギー源としてのウランの問題その他考えますと、早急にエネルギー政策の全貌を明らかにする必要があるというふうに考えております。特に石油などは九九%外国から輸入しておりますし、また、その中の七、八〇%がマラッカを通っておるというようなこと、これはスエズ運河が閉鎖をしたためにどのような状態が起こっておるかということは、申し上げるまでもないことでございます。政情不安を予測するわけではございませんが、予測しないわけにもまいらぬわけでございます。  そういう問題を考えますと、これから少なくとも五年、十年、十五年、昭和六十年展望に立ったエネルギー政策の全体を把握してこれを国民の前に思明らかにするということは、急を要する問題だといます。その中に石炭の占める地位というものが当然考えられるわけでございますが、御承知のとおり、ことしの国内炭は三千万トンないし三千四、五百万トン、目標三千六百万トンに対して実績は三千四、五百万トンぐらい。入ってくる海外からのものが五千万トン余でございます。この価格にはトン当たり約千六百円の差がございます。ですから、この差があるから安いものを買うと言ってしまえば簡単に済むわけでございますが、ただでは買えないわけでございます。いまはドルが余っている。どこかで使ってくれないかなどと言っておりますが、しかし、ドル不足になれば、アメリカのように課徴金制度もなりふりかまわずやらなければならないほど重要な外貨であることも、御承知のとおりでございます。二、三年前までは、外貨をかせぐために特別の措置を強力に進めなければならなかったのが日本の実態でございます。とにかく外国炭日本炭というもののこの千六百円の差をどういうふうにして縮めるかということ、これはやはり国内資源というものを確保していかなければならない、自給自足というもの、だから、少なくともエネルギー政策の中で国内炭地位というものをここで明確にもう一ぺん審議会にもかけるし、政府国会もひとつ大いに広い立場から検討して、洗い直して、新しい視野に立った石炭政策というものを確立して推進をしなければならないのじゃないか、このように考えております。就任後日なお浅いのでございますが、事務当局にもそのような作業を命じております。なお、石炭企業側もそうでありますし、学者やその他の方々にも、新しい立場に立っての国内炭国内エネルギー国内でどのようにまかなうべきであるかというような広範な問題に、合理的、効率的な結論を出すべく鋭意努力を続けておるわけであります。
  5. 岡田利春

    岡田委員 今回のニクソン声明によって、円の切り上げわが国としてもきわめて近いうちに結論を出さなければならない情勢にあると私は思います。もちろん、円の切り上げは、わが国の総輸入のうちエネルギー資源が四四%を占めておりますし、これに一次産品を加えれば、きわめてその比率は高くなるわけで、ある人の見解によれば、そのことによってエネルギー資源は安く入手できる、なるほど、私は経済の理論的な面から言っても当然そう言えると思いますが、しかし、現実の問題としてはそれはきわめて短期的な問題であって、長期的にはそういうことにはならないという見解を私は持っているわけです。すでにトリポリ協定後、工業先進国においてはその工業生産物は一〇%上がった。だから、OPEC側としてはもう五年を待たずして価格の引き上げをせざるを得ないのではないか、私はOPEC本部を訪れてこういう感じを非常に強くいたして帰ってきたわけです。私はそういう面から見て、また、今回の措置は、単に円だけ上がるのではなくして、実質上ドルの切り下げである。アメリカ石油輸入いたしておりませんから、結局ヨーロッパ、日本というそれぞれの先進工業国家が多量のエネルギー資源輸入しておるわけです。そういう意味で、全面的に供給側手取り減になってまいるわけですから、そういう意味では価格交渉というものは当然浮かび上がってくる、私は実はこのように情勢をきびしくその面においても受けとめるべきではないかと思う。そういう角度からも、今回の政府がいまとらんとしている措置を最終的にきめられなければならない。あるいはマルク切り上げを見ましても、あるいはスイスフランの切り上げを見ましても、結果的に高いほうにしわ寄せされていく、したがって物価高を招いているのが過去の実績でございますから、そういう点で、これからエネルギーの問題を考える場合に、これらの問題についても経済閣僚として当然最終的な結論を出す場合にその所信が明らかにされなければならないと思いますけれども、この点の大臣見解を承っておきたいと思います。
  6. 田中角榮

    田中国務大臣 円平価切り上げの問題に対しては、マスコミがこれを取り上げておりますので、活字の上で、またテレビの画面等を通じて承知をいたしておりますが、この問題に対してアメリカ政府側から正式に提案をせられた事実はありません。いま承知をしておりますのは、アメリカ民間人日本人との間の会合等で、いま二五%切り上げたらいいじゃないかというような話もあるそうでございます。二〇%に切り上げるべきだというような話もある、一五%以下ならだめだという話があるぞというような話を、会合に出た人から報告を受けておるだけでございまして、正規な要請などは全くありません。しかし、課徴金一〇%がすでに徴収せられておるということは事実でございますので、この意味においては、対米貿易においては日本の円が一〇%引き上げられたというか、ドルが一〇%切り下げられたというか、そういう見方はできるわけでございます。この究極の目的が、何らかの処置をとらなければ課徴金は排除をしないだろう、やめないだろうということが論じられておるわけでございますが、この問題はなかなかむずかしい問題だと思います。にわかには申し上げられない問題でございます。二国間の話し合い平価切り上げなどが行なわれても、その後に変更がないという保証は全くないわけでございます。一九四五年第二次大戦終幕から、国際通貨の安定、またドルの安定、流動性の確保というような意味から、IMFや世界銀行やいろいろな制度発足をし、国連の下部の経済機構として今日まで長い歴史を持ってきておるわけでございます。それにまた付随をしたような状態でOECDやDACやいろいろな機関が設けられて、南北問題等新しく現出をした国際的な情勢にも対処できるような状態になっておるわけでございます。ですから、昭和三十八年ドル不安の問題が起きまして、一体キーカレンシーとしてのドルをどうするかという問題、特に国際流動性の問題が議論になりましたときに、十カ国が中心になって慎重に討議をした結果、金本位制に変えるようなこともしないし、いろいろな議論もございましたが、それを押えて、SDRの制度引き出し権というものをつくってその場はおさまったわけでございます。新通貨構想に対しても一応そこで終止符が打たれておるわけでございます。でありますから、いま一部で論じられておりますように、日米間の話し合いだけで円平価移動などが行なわれるはずがないと私は思います。そうすれば、二国間だけでもってやって他の国々は一体それで満足をするのかどうか。他の国が新しく課徴金をかけてきたときに、日本はまた二回目の平価移動を行なうのか、そんなことあろうはずがございません。これは国際機関の中で安定的な結論を見出す以外にはないわけでございます。課徴金制度に対しては、ガットに提訴するとか、いろいろなやり方はあります。そういうやり方政府自体日米間の状態考えながら慎重に対処すべき問題でございますが、平価切り上げということを前提にいろいろな議論をするということは、なかなか当を得ないことだと思います。ただ学問的な問題として、御指摘のように、もし——イフがついてですな、もし切り上げられたというようなお話に対しては、そのときは確かに輸入は安く買えるわけでございますが、それは一時的現象でございまして、そのような状態国際通貨の不安ということが前提になっておるのでございますから、日本だけが切り上げた、マルクだけが得をして他の人たちがみんな損をするのだというような安易な判断結論考えるわけにはまいりません。事態は非常に不安定なことであって、見方によっては、拡大均衡から縮小均衡への急速な移行を意味するわけでございまして、簡単な計算日本が得をする、消費者物価が下がる、安いものが入ってくるというふうには断じられないのでございまして、そういう起き得べきあらゆる問題を想定しまして、通産省政府当局としては、緊密な連絡をとりながら、損をしないような、また長期的安定に寄与でき、貢献できるような体制を確立すべく努力をいたしておるわけであります。
  7. 岡田利春

    岡田委員 私は昭和三十五年に本院に席を置いて、特に石炭問題については、当時自民党政調会長をしておりました田中大臣から実はたいへん助言をいただき、お教えいただいてまいったわけですが、先ほど大臣答弁をされましたけれども、今日の石炭問題というのは、やはり総エネルギーの中における石炭位置づけというものを掘り下げて検討し、その方向をきめる、この大臣答弁はまさしくそのとおりであると私は思うわけです。私は私の立場からすでに今後の石炭政策のあり方について個人的な立場で提言もいたしておるわけですが、今回の体制委員会の論議、あるいは石炭鉱業審議会議論あるいは国会における議論ほんとうに深めて、本音議論をし合って、そして今後の方向を間違いなくきめるべきではないのか。そのためには、大胆にやらなければならぬ場合には大胆にもやる。そのためにはやはりもう各界各層がはっきりしたものを言ってもらうということが最も重要であるし、このことを避けて、非常に困難な石炭政策を定めることはできないというのが私の判断であります。もちろん、すでに前大臣から体制委員会等に諮問はされておりますけれども、私は、そういう点では、単に審議会のみならず、関係者ほんとう本音を言い合って、ほんとうのことを言い合って、どうすればいいのか、そういう中からのみ安定的な結論が出るというのが私の判断であります。この点について大臣のお考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  8. 田中角榮

    田中国務大臣 先ほども端的に申し上げましたとおり、石炭という問題、いままでも非常に努力をしてまいりましたし、いろいろな制度発足をしてまいりましたが、赤裸々な気持ちを申し上げますと、過去の石炭産業は当面する現象というものにウエートを置いて制度がつくられたというふうにやはり思わざるを得ません。テンポが非常に早いときでありますので、経済性の上からだけで判断できる問題じゃありません。また、外貨論争の中からだけで結論が出せるわけではありません。二、三年前といまとは全く違う逆な状態を見ればわかるとおりでございます。しかし、エネルギー問題でありますので、やはり少なくとも十年——私はいま十五年を考えておりますが、十五年、昭和六十年展望に立った国民総生産予想数字の中に占めるエネルギーを、石油はどうする、石炭はどうする、国内炭ウエートをどうするのかということをきめて、そしてそれに対応する政策を立てるということがどうしても必要だと思います。この石炭はかまわぬでおけばつぶれるのだがなということを承知しながら、何とか続けていくのですという答弁をし、そしてそれに対応する予算を組んでおる、しかし、その翌日は災害が起こって尊い人命が失われる、またそれがいつの間にやら山は開かれるというようなことでは、この問題なかなか解決できないのであって、先ほど申し上げたように、皆さんの中では石炭鉱業に対しては非常な専門家がおられます。ですから、石炭というものに対して、特に国内炭一般炭をこれから十五年間どうするのだ、どういう位置でどうするのだ——業者も毎年毎年違う制度を要求する、国会も違う制度を毎年毎年つくりながら、きめ手はない、というような石炭政策では私はだめだと思う。やはりここで、前期五カ年、中期五カ年、後期五カ年というかもしらぬが、そのような年次計画を立てて、そして石炭に関しては、突発的な問題が起こらなければ議論はないのだというぐらいにやはりしていきたい、こう思っておりますので、私も就任後、こういう問題、特に、何か石炭鉱業うしろ向きなんだという、何とはなくそういう気持ち議論していることは非常に望ましいことではないので、これはひとつメスを入れよう、それで通産省も、腰だめではなく、通産省案なるものをたたき台として出せばいいのだ、そしてそれを強行するというのではなく、各界の有識から練ってもらって、それで、与野党ともにこの問題に対してもう意見が違うというような状態じゃありませんから、そういう意味でひとつ明確な方途を講じたい。その結論も、予算審議の前、十一月、できればそれよりも前にも出していただくように努力をいたしたい。これは審議会が出したのだから、審議会結論をそのとおりやったのでございまして、通産省責任ございませんというようなことではなく、これはひとつみんなが共同責任を負えるような結論を可及的すみやかに出したいという考えでありますこと、私も商工委員長のときに石炭鉱山買い上げ措置を取り上げてからもうすでに十余年の歳月を経ておるわけでございますので、そういう意味でここらでひとつ結論を出す必要があるという、そんなしみじみたる感じでございます。
  9. 岡田利春

    岡田委員 最後に、大臣就任早々工業立地政策について、特に来年度新しい構想で強力に展開をするということを発表され、これまたすでに通産省としては大蔵省に対する予算要求の態度をきめておると伺っておるわけです。特に産業開発という面からいままで工場立地としてはいろいろな法律もございますけれども、しかし、最も国が全面的にその地域を再開発をし、そしてまた先導的な工場配置を促進してきているのは産炭地振興事業団政策ではないか。これはすべて国が行なっているわけですから、これにかわる政策はないと私は思うわけです。そういう意味で、今回大臣が発表されておる新しい工場立地政策考える場合に、そのようなやはり国が行なうという強力なものを考えられておるのか。また、そういう意味では、石炭産業あと始末として行なわれておる産炭地振興事業というものが今日ようやくその成果を結びつつあるわけなんですが、いわばこれを大きくしたものが最も望ましい姿であり、先導的な大臣構想役割りを果たすだろうと私は思うわけですが、この点について大臣見解を承っておきたい。
  10. 田中角榮

    田中国務大臣 いままでの地域開発の問題は、地域開発離島振興法山村振興法、それから産炭地振興法というように、ばらばらにできておったわけでございます。これは何か恵まれないところが恵まれるように平準化すための特別な措置法ということでございましたが、今度は、私の言っておるのは全く趣を変えているのでございます。そうではなく、これからの国民生活を向上させるには国民総生産拡大する以外に道はない。産業の発展は国民生活向上の手段でしかないという考えではなく、それ以外に国民生活を向上する道はない、こういう非常に明確な考え方を持っておるのでございます。だから、そういう意味拡大をしていくことを考えますと、いまの総国土の二%に七十二兆円に近い国民総生産の大半が生産をされておる、しかもそこに六〇%、七〇%、二次産業総人口の三六、七%、三次産業四十数%のそのまた七、八〇%が二%の都市部に、過度集中しておって、物価公害社会資本不足などが一体どこで補われるのだということに着目しておるわけでございまして、そこに新しい公害というものも出てまいりましたし、水の問題、良質の労働力、特に一次産業比率がだんだんと下がっていくことに拍車を加えるように総合農政展開をやっております。このような事態前提として考えるときに、これから拡大せられる二次産業基地は、全国総合開発を行なっていく以外には解決の道はない、こういう結論に達しておるわけでございます。  そういう意味で、いままでの地域開発法産炭地振興法のような特別立法土台になる、ベースになるものが、二次産業比率平準化政策ともいえますか、新産業立地政策ともいうべきか、そのようなものを土台にして十五年間の計画を進めていかなければ——これは確かに三百兆円の国民総生産が確保できると思います。思いますが、それは名目成長になってしまって、三百兆円の国民総生産を確保するためには、四百兆円の社会投資を必要とするという計算もまた成り立つわけでございますので、そういう全国総合開発を進める。  ですから、私はここで率直に申し上げまして、私も皆さんと同じように商工委員会に長いこと席を置いたこともございますが、産炭地振興法という法律がありながら、閉山をした労働者が全部大都会に出てしまった。あの整理された労働者に与えた住宅費用やいろいろな費用を、産炭地を二次産業基地とすることによる誘導政策費用になぜできなかったかということを今日考えておるわけでございます。しかし、これは、われわれの生命は悠久でございますので、あしたからの問題のためにも、おそまきながらでもそういう問題をひとつ解決をしなければならないという視野に立って検討を進めておるわけでございますので、大体いま御指摘のような方向立案をし、来年度予算も要求してまいりたい、こういう考えであります。
  11. 岡田利春

    岡田委員 終わります。
  12. 鬼木勝利

  13. 細谷治嘉

    細谷委員 時間がありませんから、具体的に御質問したいと思います。  私は、大もの通産大臣ができまして、産炭地関係の人も大いに期待しておったのではないかと思っておりましたが、どうもこの前の臨時国会じゅう、その後、自由化問題なりあるいはドルショック等通産大臣が追い回されておりまして、ついぞ石炭特別委員会を開くことができなかった、こういう点を残念に思い、これはどうも石炭というのは田中通産大臣の頭の中ではかなり軽い位置づけしかされておらないんじゃないか、こういうことを憂慮しておりました。ところが、いまの岡田委員との話し合いの中で、かなり積極的な、いわゆる対症療法ではならぬ、一度きめたならば、走り出したらば、一々考えないでもそのまま走ってものになるような、というような非常に積極的、前向きの御答弁を聞かせていただいたので、一応安心したのですけれども、なお不安があります。そこで具体的に二、三お尋ねしたいのです。  八月の十一日に石炭鉱業審議会が、鉱害二法について、来年の七月末で期限が切れるわけであるけれども、それを十年間延長をすべきであるという答申を出されました。昨日、私のところに、福岡鉱害対策連絡協議会会長福岡県知事亀井光その他関係者の名前で、鉱害二法の延長と改正に関する要望書というものを持ってまいりました。  そこでまずお尋ねしたいことは、この答申どおりやられるのかどうか、結論だけお聞かせいただきたい。
  14. 田中角榮

    田中国務大臣 審議会答申の実行ができますようにいま作業を進めておるわけでございます。
  15. 細谷治嘉

    細谷委員 十年間延長するように作業を進めておる。そこで、さらに進んでお聞きしたいことは、先ほどエネルギー政策全体の問題について通産大臣構想をお聞かせいただいたのですけれども、今年度の予算編成の際にも、石炭特別会計の唯一の原資であります重油関税の問題ですが、エネルギー政策全般、特に石油から出てくるわけでありますから、石炭につぎ込むのはおかしいのではないかということで、この原資問題がかなりふらついたのではないかという感じがいたしました。これは通産大臣として守っていくというお気持ちかどうか。  もう一つは、いまもこの陳情にありましたように、延長しただけでは私はいかぬと思う。先ほど通産大臣言ったように、やはり延長して、千三百億になんなんとする鉱害量、それに今後若干のプラスアルファというものがつくわけでありますけれども、そういうものを十年間に消化していくというには、いままでよりもさらにピッチを上げなければならぬ、こういうことになります。そうなってまいりますと、具体的に、法をそのまま延長するのではなくて、法の中身のほうを触れていかなければならぬと思う。たとえば、今年度の予算を見ますと、有資力のほうは五一%、そして無資力のほうが四九%という予算構成になっております。ところが、現実は、有資力のほうは三五、そして無資力のほうが六五、こういうかっこうでありまして、どんどん無資力のほうが進んでいっておるわけですから、事業量の予算はありますけれども、事業量は予定どおり進んでいかぬ、こういうかっこうであります。現実がそうであります。それ以上にピッチを上げなければならぬということから、よほどふんどしを締めてこの予算の内容も変えていかなければならぬ、あるいは鉱害の問題について地方団体等の負担が起こるわけでありますから、その地方団体の負担に対して対処していかなければならぬ、あるいは農地の復旧等について、現在最高八十万円ということでありますけれども、そういう問題も頭打ちというのか、虫食い復旧というような事態も生じておる、こういうことであります。あるいは、これは原形復旧じゃありませんで、効用回復でありますから、どうしても排水かんがいというものが起こってきます。排水かんがいの施設の更新時期に来ておる、あるいは維持管理費をどうするのか、こういういろいろな問題が内部の問題としてございます。でありますから、十年間延長するということだけではなくて、法の内容を現実に即するように改正しなければならぬ、同時にその原資を十分に確保していかなければならぬ、こう思うのでありますけれども、大臣のひとつ決意のほどをお聞きしたい。
  16. 田中角榮

    田中国務大臣 まず後段の問題につきまして申し上げますと、御指摘になったような事態も十分考えながら、それぞれの問題も含めて検討をいたすということでございますので、御了解をお願いしたい。  それから第一のほうの、前段の特別会計の原資の問題、これは必要な原資はいかなる状態においても確保しなければならないわけでございます。ただ、その処理のしかたの一つとして、今度は、石油関税を原資として、かかるものが、いまとられておるわけでございますが、関税率や目的税のような税率の変更さえもいろいろ考えなければならぬ時代でございますから、それだけでまかなうということではなく、まかなえるときにはまかなうが、まかなえない場合は、きめたものを行なうために、いかなる方法をしても、一般会計から繰り入れてもまかなうべきである、こういう姿勢でございますから、財政的な手段としてのことにウエートを置かないで、新しくきめた鉱害対策等については、確実に所期の目的を達成するように財政措置を行なう、こういうことで御理解いただきたいと思うわけでございます。
  17. 細谷治嘉

    細谷委員 時間もありませんから、ひとつ大臣、前向きで……。  問題は、鉱害の量を、延長した十年間でどう消化するかという問題でありまして、原資の問題というのは、これは大臣、必要とあればということであるが、そこまで考えないで、問題はやることという、前向きで積極的な御答弁でございますから、ひとつ十分に対処していただきたい、こう思います。  その次に、産炭地域の振興について、大臣就任されますと直ちに、長い間の苦労された都市問題等の蓄積をどんどん具体的に産業立地政策ということで発表されたわけでございますが、そういう中においてばらばらになっておるわけでございます。この産炭地振興問題について、この前の六十五国会の際に、この特別委員会でも——現在の産炭地域振興というものは、法律がばらばらであるばかりでなく、内容がばらばらなんです。ですから、その内容を統一して、これならばやっていける、こういう体制にすべきじゃないか。現実には、とにかくいまの産炭地域振興等の財政措置を一例として見ても、これは病気をなおすどころじゃなくて、病気が悪化しないよう食いとめるのに精一ぱい、こういう状態でありまして、不合理な点があります。前の通産大臣から、この委員会で、次の通常国会に、具体的に委員会であげられた問題については法の改正を前向きで取り組む、こういう約束もいただいております。具体的に申し上げますと、一番大きな打撃を受けておる六条指定の地域、その六条指定の地域に対する財政措置、法十一条の問題、こういう問題がございます。これは前の大臣からも事務引き継ぎ等でお聞きになっておると思うのでありますが、ぜひひとつ産炭地域振興臨時措置法役割りを実質的に前向きで演じられるように内容を改正するよう御配慮をいただきたい、こう思うのでありますが、いかがですか。
  18. 田中角榮

    田中国務大臣 御指摘の条文はまだ私はそこまで勉強いたしておりませんが、産炭地振興というものをいまよりももっと合理的に、もっと効率的に行なわなければならないという考えに対しては、同じ考えでございます。私は、しかも北海道その他石炭の山でできた町が、閉山をしたために町ごと移転をすることを考えると公の損害が一体どのくらいあるのか、この町に別な工場を持ってくることによってどれだけそれが軽減できるのかという計算をしたことがございます。その意味政府の行なうたばこ工場とか印刷工場は動かすべきであるということで強力に主張した私でもございますから、そういう意味で、ひとつ産炭地振興のための合理化のために必要な法制の整備がございましたら、もう当然、前向きといいますか、積極的に取り組んでまいりたい、こういうように思います。
  19. 細谷治嘉

    細谷委員 前向き、積極的に、特にこういう問題が出たときに、通産大臣は、政府の工場等も移すべきである、あるいは他の基幹的な産業というものもそういうところに移すべきである、こういうことでありますけれども、残念ながらそういう実態にはなっておらぬわけであります。したがって、産炭地にいろいろな企業を誘致されましたけれども、歴史は浅い、内容は非常に貧弱だ、こういうことでありますから、ちょっと風が吹いてくると病気になる、こういう事態でございます。これは福岡版でありますが、八月十八日の毎日新聞に「筑豊に第二の“閉山旋風”」「進出企業に打撃」「ニクソンショック解雇など最小限に」、こういう見出しで書かれてございます。これはたいへん大きな波でありますから、企業の力が弱い、歴史が浅い、そういう形で、第二の閉山旋風ということで心配することはもっともであろうと思います。具体的な例がありますが、たとえば、アメリカに八〇%程度輸出しておった九州陶器は、これもたいへんな事態になる。あるいは弱電のメーカーであります九州ミツミあたりも、年額二十億円くらいの生産でありますけれども、かなり大きな痛手を受けるのじゃないか。あるいはアメリカに相当輸出しているタイルの工場、いろいろ心配があります。せっかく誘致されて、そして半年くらい前にようやく誘致企業が地元に根をはやしつつある、こういうことがいわれたやさきのことでありますから、十分な対処をしていただかなければならぬと思うのでありますが、先ほど来の話でありますと、きわめて流動的で、まだ確定的なことは言えないというのでありますけれども、それだけに不安があると思うのですよ。そこでこの際、ひとつ大臣、こういう不安が起こっておりますから、これについて大臣の決意といいますか、これに対してどう対処していくか、基本的な態度をお聞かせいただきたい。
  20. 田中角榮

    田中国務大臣 ドル不安というものから起こる国内産業に対する影響というのは、これは大なり小なり全部あるわけです。日本最大の企業であるといわれる新日鉄の社長が急遽渡米しなければならないということでもございますので、これは大なり小なり全部あるわけでございますが、しかし、産炭地という問題は、その上になお産炭地振興法で保護されなければならない地域でございますので、そういう地域の中に起こる問題は、社会不安とかいうものは、特に一般よりももう一つアクセントがついておるわけでありますから、対応策についてもアクセントをつけなければならないということは当然のことであり、国内政策は、国際化の波に洗われる日本国内産業全般に対し施策を行なうということは明言をしておるわけでありますが、それ以外に産炭地振興法の要求する法の精神は当然プラスアルファされなければならない、こう考えますので、実情をよく認識をしまして、それに対応する施策は進めてまいりたい、こう考える次第であります。
  21. 細谷治嘉

    細谷委員 最後に、ドル・ショックの話が出ますけれども、たとえば円が切り上げられるといたしますと——イフの問題ですけれども、そうなってまいりますと、日本の原料炭というものがやはり何らかの影響を受けてくるのではないか、こういうふうに思います。  そこで私は具体的にお聞きしたいのでありますけれども、有明海に日鉄有明鉱業が開発しつつあった炭鉱、いまその開発が中断されておるわけでありますが、かなり有望な原料炭だ、こういわれております。せっかく百億円くらい投資して、いまそのまま水が一ぱいにならないように維持している程度でありますけれども、この開発という問題が具体的な日程にのぼっておるようでございますが、あと七十億とかあるいは百億かければ、ほんの数年後には出炭する、こういう事態であります。いろいろな問題点がありますけれども、この問題について大臣はいままでの経過をお聞きになっているのか、これについて大臣としてどういうふうに対処していこうとなさっておるのか、これをお聞きしておきたいと思います。
  22. 田中角榮

    田中国務大臣 四十三年四月異常出水のために中止をしておるということでございますが、その後再建の方向で話がきまったようでございます。そういう問題に対しては、政府はこれが再開できるように格段の措置を行なうということでいま勉強いたしております。これに対しては、ここにも具体的なものもございますが、時間があれば申し上げますが、財政資金による援助、それから開発銀行資金による融資、そういうものでどういうふうにして対処するかという具体的な問題、みないま検討して成案を得られるような状態になっておりますので、最終的に再開をしようという決定がなされたようでございますから、これに対応する政府の姿勢というものは大体準備ができておる、こういうことで御理解いただきたいと思います。
  23. 細谷治嘉

    細谷委員 いろいろ少し掘り下げた質問をしたいのでありますけれども、時間が来ましたから、問題提起という程度にとどまりましたけれども、頭の回転の早い通産大臣のことでありますから、十分にひとついま私が申し上げた問題について対処していただきたいということを要望して質問を終わります。
  24. 鬼木勝利

    鬼木委員長 相沢武彦君。
  25. 相沢武彦

    ○相沢委員 非常に時間が限られておりますので、端的に数問御質問したいと思います。  石油並びに原子力発電によるエネルギー革命以来、国際的に石炭地位というのが非常に下降線をたどって、企業は非常に苦難の道を続けてきているわけでありますが、先ほど来から言われておりますように、OPECの攻勢に見られるような供給価格の高騰、あるいは原子力発電開発の予想外のおくれということから、欧米でも最近では石炭を見直すべきだという声が非常に盛り上がっていることは、大臣も御承知のことだと思います。イギリスの新聞なんかでは、石炭は依然としてエネルギーの王者であるということを報じているそうでございますし、また、アメリカで行なわれましたエネルギーの緊急対策委員会の席上におきましても、現在のエネルギー危機脱却の主役は石炭だというふうに言明をしているほどでございますし、また、そのほか西ドイツやフランスなどでも石炭の重要性ということが再認識されて増産体制がとられている。こういう現状から考えまして、これまでの通産省石炭政策、これはどうも対応策が国際的に見て非常におくれていたということはいなめない事実だと思うわけであります。今回実力大臣通産大臣就任されまして、大きく転換することを期待いたしますが、率直に申しまして、大臣は現在のエネルギー危機脱却の主役は石炭だ、こう認識をされておるかどうか、その点お伺いいたします。
  26. 田中角榮

    田中国務大臣 私は端的にそのように認識をしておりません。これは先ほども言外に——というより、一番初めの御質問にお答えをしましたが、それは、日本石炭輸入石炭との間には千六百円余の差もございます。しかも、もしもの話として御指摘になっておるように、平価移動等があった場合に安く入るのじゃないかという御指摘があったが、それはただで入るのではございません。いまはドルを使うことに熱心のようでございますが、きのうまでは、ドルを確保するために、外貨を確保するためにあらゆる犠牲を払ってこなければならなかったのが実情ではございませんか、こう言っておるのでございますから、私がただ単に算術の上だけでこの問題を考えておらないという基本的姿勢は御理解いただけると思います。  しかし、やはり経済的合理性は追求しなければならないのでございます。石炭自体においても、三千万トン時代の一人当たりの採炭量から、前に五千万トンになったときの採炭量、いま三千六、七百万トンを目標にしており、実績三千三、四百万トンというときに、一人当たり六十トンをこしておるというような事態にも、合理化が行なわれておることでございます。もちろん、無際限な合理化を言うわけではございませんが、私は、そういう意味で、石炭鉱業というものをエネルギー政策の中にどう位置しせめるかという青写真を確実に書いて、これに対する政策を進めていくべきであるという考えであることを再び申し上げておきます。
  27. 相沢武彦

    ○相沢委員 先般通産大臣が、参議院の商工委員会で、歌志内礦事故に関しまして発言されました。この事故の機会にガス突出対策についての結論を明確に出すべきだ、たとえその結論によって閉山することになったとしても、人命を大事にする考え方からやむを得ない、こういう御発言がありました。これは当然そういうことになろうと思いますが、今後深部開発される日本石炭産業の実情からいきまして、このガス対策あるいは保安対策というものについて非常に多額な資金を必要とする。そうしますと、現状でさえなかなか企業経営は苦しい、運転資金についてもっと国として大幅な援助を考えてほしい、こういう現状から推して、また一方には、企業ペースで事故対策があいまいなまま行なわれて再度事故を発生してはならないという観点、こういった板ばさみで今後も苦難の道が続くと思いますが、今後の日本における石炭産業の経営のあり方、一部では、すでに私企業の限界を越えたという声もありますし、今後いろいろと体制委員会で検討される、あるいは通産省独自の第五次政策といいますか、新政策通産大臣構想のもとに画期的なものができると思いますけれども、そのときに結論が出るのだと思いますが、これまでいわれました国有化、あるいは国有化が一挙に無理ならば、せめて保安の面についてだけ国家管理にする、それに必要な資金は石炭会計とは別に、また別な何らかの部分から石炭産業を必要な産業として見直す、あるいはある最低限度の石炭の出炭というものが日本として必要な場合、どうしてもその保安の分については国として見ていくのだ、保安は国で絶対に確保するからこれだけの量をどうしても堀り出せ、こういう国の姿勢があって初めてそこに働く従業員の人たちは安心して働けるのじゃないかと思います。これがこのままずるずるといきますと、やはり労務倒産ということにもなりかねないという、いま非常にきびしい現状にある。この点についてはどのようにお考えですか。
  28. 田中角榮

    田中国務大臣 もう石炭鉱業が現に国家管理のような状態にあるということだけは事実だと思います。これは名称が違うだけであって、国家管理と同じ状態だということ。これはほかの私企業と比べて特別会計さえつくってこういうことをやっておるのでありますから、全く国家管理の状態である。これを国営にするのかというと、これは国営にまでして石炭エネルギーの中でそれだけのウエートを持ってやれるのかという問題が今度起こってまいりますから、まず一番初めに、これから十年、十五年の日本エネルギー政策の中に石炭をどう位置せしめるか、その位置せしめたウエートによって政策が付加されていくということでなければ、合理性は貫けないと思います。  ただ、保安の問題は、これはもういかなる場合においても、人命が確保できないということは許さるべきことではない。その場合には、閉山か人命かといえば、閉山をすべきである、私はそういう気持ちでありますから、それはおのずから限界というものは出てくるものであると思います。ですから、歌志内礦の問題などにつきましては結論がすぐ出るようでありますが、やはりほんとうに専門的な立場からガス突出などが起こらないという絶対の自信がなければならない、しかも通産省当局としても、保安上確信が持てる状態が確保されなければだめだ、同時に、労使ともこの再開に対して円満に解決ができるような、円満に賛成をして、だいじょうぶだからやりましょうということでなければ、山を開くべきではないということを私は考え、指示をしておるわけでございます。しかし、別な山は、労使が話し合いをし、絶対に安全である、少なくとも日本における安全率は最高であるというような観点から事業を始めるというような状態にあるようでございますから、私は、歌志内の問題、ガス突出の問題は具体的な問題でありますので、具体的に掘り下げて、かかる例を再び繰り返さないように努力をすべきだと思います。ですから、この歌志内炭礦とか、そういうものとは区別をしまして、石炭企業がどうあるべきかというのは、先ほど申し上げた、これから長期的観点に立つエネルギー政策の中の位置というものとあわせて考えてまいる。しかも、新しいものではないので、それに付加した長い歴史、日本の戦前戦後における経済再建等に寄与した功績も当然考えらるべきでございますので、そういうもろもろのものを考えながら石炭に対して新しい政策を立てよう、こう言っているのでございますから、新しい政策——洗い直し、見直しというものの中でひとつ御意見等十分反映さしてまいろう、こう思います。
  29. 相沢武彦

    ○相沢委員 最後に、先ほどのお話にのぼっておりました来年度の新政策として、今後の産業政策の基本は、総合開発の観点から企業の適正配置、地方分散化考えているというお話でございますが、すでに閉山になりました地域でまだかなりの遊休施設があるわけであります。きのうも岩手県へ行きまして、松尾鉱山のあとにあります病院等、それから鉄筋建ての宿舎でございますが、これは結局ある大学へ寄贈する形になりまして、そこを夏冬の学生の勉強、キャンプというようなことで活用するということで、聞きましたら、ほとんどただ同然で提供するということになった。これは財源のある自治体ならばいいですけれども、すでに多額の起債を受けてつくった、ところが閉山になってしまった、その借金は自治体がしょい込んでいる、そういう財政負担にも苦しみあえいでいる自治体としては、そういったものを私学振興等に提供するなどというゆうちょうなことを言っていられない、何とか活用しなければならない、そういう現状にある。また、活用すればすぐに使えるというそういう地域、これは全国的に一ぺん産炭地の遊休施設の実態を全部把握されて、活用度の高いものから大臣の御構想に当てはめて早急にそれを活用さしてその地域開発をはかる、再建をはかる、産炭地の振興をはかるという点に強力な行政指導をお願いしたい、こう思うのですが、この点いかがですか。
  30. 田中角榮

    田中国務大臣 地方公共団体等と十分連絡をとりながら——地方公共団体も、いままで固定資産税等入っておったものが今度入らなくなるわけでございますし、また、それだけではなく、残った鉱害の復旧に対しては支出をしなければならないという二重苦にもあえいでおるわけでございますので、このような問題を企業側との話し合いによって特別起債をして長期低利なものによって地方自治体が保有できるようにするとか、いろいろな道はあろうと思いますから、実態に即応できるように考えてまいりたいと思います。私の選挙区にも、東邦亜鉛ではないが、亜鉛工場がございまして、鉄筋工場の三、四階建てのものが山の中に建っておるようでありますが、いま持ち込まれておりますので、大体いまあなたが発言されたような立場にございまして、私もやはり地方公共団体を再生産基地とすべきであるということを考えておりますので、これは自治大臣とも相談してみたいと思います。
  31. 相沢武彦

    ○相沢委員 それでは、いまの大臣のことばをたよりにしまして期待しておりますので、一番先に自分のところをやってしまってあとは知らぬ顔をしないように、ほかのところを先にやって、最後に、しかもなるべく早く大臣のところもでき上がるというようにお進めいただきたいことを申し上げまして、質問を終わります。
  32. 田中角榮

    田中国務大臣 私は常にそういうようにいたします。
  33. 鬼木勝利

    鬼木委員長 田畑金光君。
  34. 田畑金光

    ○田畑委員 若干重複もいたしますが、大臣考え方をきちんとお聞きして、また御答弁をいただきたいと思うのです。  安くて豊富な海外石油が安定入手できるという前提に立って今日までエネルギー政策を進めてきましたが、石油戦争の結果この前提が狂ったわけです。この十年間のエネルギー供給のあり方に対する反省というものは、日本だけでなく、ヨーロッパ諸国においても起きておることは、御承知のとおりであるわけです。石油という豊富な資源を持っておるアメリカにいたしましても、ソ連にいたしましても、石炭というものは大事なエネルギーとしてますますこれを重要視しておる。また、イギリスにおきましても西独におきましても、生産量の全体は後退しておりますけれども、たとえば電力用炭の需要などは、イギリスは約八千万トンといわれておるし、EC諸国は六千万トンを使っておるわけです。日本の場合にはどうかと申しますと、電力用炭は、四十四年に千八百八十万トン、四十五年千四百万トン、四十六年度はこれはさらに大幅に減っておることは御承知のとおりです。  さて、今日までの政府石炭政策を振り返ってみますと、第一次政策から第三次政策までは、出炭体制五千五百万トンであるとかあるいは五千万トン、こういう生産目標をまず立てて、そうしてその需要のためには政策需要を確保して、それを裏づけるための財源措置をとってきた。ところが、いま行なわれておる第四次政策になってきますと、まず財源はかくかくである、その上に立って自立できるものは自立すべし、スクラップするものはスクラップすべし、こういう政策をとってきましたから、御承知のように、四十四年度から第四次政策発足したわけでありますが、第四次政策の最終目標年度四十八年度の出炭体制は三千六百万トン、こういわれたのが、四十四年度ですでに四千四百万トンを割って四千三百五十万トン、それで、第四次政策の第三年目といわれておる四十六年度の出炭は、目標がもうすでに三千四百万トン、こうなっておるわけですね。こうなってまいりますると、いまのままでまいりますならば、もはや石炭産業というものは崩壊の一途を走っておるだけにすぎぬわけです。私はこういうことを考えてみますると、先ほど申し上げたように、十年以上も続いてきた石油の過剰供給、こういう時代はもう過ぎて、すべての国が国内にあるエネルギーを動員して使っていこうという情勢に立ち向かっておる。ことにわが国は、大臣答弁にありましたように、原料炭を見ますならば、国内でまかなえるのは千二百万トン、輸入に五千万トンないし六千万トンも依存をしなくちゃならぬ、そうしてまた、公害問題に関連して低サルファの一般原料炭もますます大事になってきておる、こういうことを考えてみまするならば、昨年の十一月の石炭鉱業審議会の中間答申は、産業政策上必要な産業として石炭を見ておるわけですね。この答申に基づいて政府としてはもう一度石炭位置づけなり石炭政策について見直すために、石炭鉱業審議会あるいは体制部会にはかる、こういうことを六十五通常国会でもしばしば言明し、約束したのだが、今日なおかつそれをやっていないのです。事務当局の怠慢。しかし、私は、事務当局の怠慢というよりも、政府石炭政策に対する姿勢がはっきりしない。産業の基礎であるエネルギーはあくまでも競争の原則、経済ベースに立って考えることも当然であるが、しかし、また、国内資源というものはそれだけでは考えられない要件がある。最近の事情は特にそういう感を深くするわけです。そういうことを考えてみますと、新通産大臣のもとにおいて、今後の石炭のあり方について、先ほどの答弁によれば、五年計画、十年計画あるいはもっと長期に、こういうことをお答えになりましたが、いつごろをめどに答申を求めるために石炭鉱業審議会あるいはその中の体制部会等に石炭を見直すための諮問をなされるのか、このことを明確にひとつお答え願って、そして今後その答申に基づいて具体的にどのような施策をはかるか、この際明確にお答えをいただきたいと思います。
  35. 田中角榮

    田中国務大臣 審議会に対する諮問は、いま作業の都合上から見ますと、九月の末ごろになるということでございます。九月末ごろまでに諮問をして、結論はすみやかにということでございますが、すみやかにということであっても、あまり粗製乱造であるとまた直さなきゃならない。今度は直さないで済むように、長期的視野に立ったエネルギー政策、その中に占める石炭位置づけということを考えておりますので、可及的すみやかにという姿勢ではございますが、各方面からの意見を十分寄せていただいて、合理的、りっぱな答申をお願いしたい、こういうことを考えておるわけでございます。
  36. 田畑金光

    ○田畑委員 ひとつ田中通産大臣の責任でもって今後の石炭政策についてはきちんとした方針をきめていただきたい。いまの点についてさらにお尋ねもしたいのでございますが、そのことだけを強く念を押しておきます。  第二の点として、これは先ほどの質疑の中にも出ておりますが、石炭政策の柱である石炭対策特別会計は、昭和四十九年の三月末でなくなるわけです。ひもつき財源である原重油関税は、御承知のように、昭和四十五年度で期限が切れたわけでございますが、ことしの一月の関税率審議会で第四次石炭政策の期限の四十八年度末まではいまのまま延長する、こうなったわけです。四十八年度以降はもちろん、しかし、その以前でも、この問題については、原重油関税のあり方については検討するという附帯決議もついておるわけなんです。  そこで、先ほど大臣からいろいろお話がございましたが、OPECによる原油の値上げ、これをメージャーはそのままわが国石油精製会社に押しつけてきているわけです。石油製品の五〇%ないし六〇%は重油だといわれておりますし、その三分の一は電力向けになっておるわけです。電力業界は四十五年度で大体C重油三千万キロリットル前後使う、こういわれておりまするが、そのために長い間石油業界と電力業界の間にはそのC重油の価格交渉が行なわれてきたことは、御承知のとおりです。七月の末になりまして東京電力と日石との間で話し合いがついて、結局キロリットル当たり千円近く値上げを認めざるを得なくなった、こういう実情です。原油値上げの負担をC重油の値上げという形で電力業界がもろにかぶることはおかしい、原油関税廃止という方向政府政策転換を求めるという声も、電力業界をはじめ、あるいはまた財界や学識者の中にも出ておるわけです。電力需要は年率一一%の需要増、そうして四十六年度は電力の投資は一兆円といわれておりますが、このような投資をまかなってなお電力料金の安定で値上げをしないで今日まできていたのは、私は、この十年間の石油過剰、C重油の値下がり、こういうようなことで電力業界はささえられてきたと思うのですが、こういう事情になってまいりますと、今日のこの原重油関税そのものに対するいろいろな問題が出てきておりまするが、田中幹事長は、先ほどの話もありましたが、原重油関税のひもつきについては再検討すべきであるということを明確に出されておりましたが、田中通産大臣は、この点についてどのようにお考えであるのか、ひとつお考えを聞かしてもらいたい、こう思うのです。
  37. 田中角榮

    田中国務大臣 石油関税につきましては、財政当局はいろいろひもつきになることは望んでおらなかったわけでごございますが、前にガソリン税を目的税にして道路財源にひもつきにしたり、また今度は、エネルギー政策の一環として石油関税を使って石炭特別会計をつくり、またエネルギー特別会計の一つの問題としても考えておるのでございますから、いずれにしても、この石油関税は、いまの制度をやめてしまって他に流用するような余地はない。このエネルギー政策を行なっていくために必要な財源を確保する第一は、やはりこの石油をもととした関税収入というものを大事に使って、なお足らなければ別なものを付加していくということだと思います。ですから、いまの段階において、また将来的に見ても、石油関税、石油から生ずる関税収入を石炭とかエネルギー政策費用以外に使うということは適当でない、こう思います。
  38. 田畑金光

    ○田畑委員 私は、現在の状況のもとにおいては、石炭ほんとう産業として守っていくためには、いまの特別会計を確保する、こういう姿勢を守ってもらいたいと思いますし、また、将来どのような事情がかりに起きたといたしましても、大臣は、いま石炭は国家管理であると言われておりまするが、確かに政府の財政に万事依存しておる石炭産業であるだけに、この財源の確保については責任をもって処理していただきたいと思っております。  最後に、来年度の予算編成の時期も迫ってきたわけですが、昭和四十六年度の石炭予算は、大臣承知のように、千六十億、そうして前年度より八十九億ふえておるわけです。ところが、前年度に対して八十九億ふえておりますが、先ほど来問題がありましたように、産炭地域の振興であるとか、鉱害復旧の予算であるとか、あるいはまた炭鉱離職者対策の労働者関係の予算であるとか、こういう面のふえ方がむしろ多いわけです。もちろん、これらの分野も大事なことでございまするが、石炭産業を守っていくためには、やはり前向きの予算措置も必要であることは、申し上げるまでもございません。御承知のように、今日の石炭企業というものは、運転資金は市中銀行に依存すべし、設備資金は合理化事業団の近代化資金その他にたよるべし、こうなっている。ところが、今日の市中銀行は一体いまの石炭会社を相手にするかというと、相手にしていないわけですね。また、じゃあ四十六年度の予算の中で石炭の前向きのために何を見てくれているかというと、坑道掘進の補助金をふやしたことと、いま言った石炭合理化事業団からの近代化資金の融資ワクをふやしただけなんですね。そういうことを考えてみますると、来年度、四十七年度の石炭予算の編成にあたりましては、そういう意味において前向きの予算もよく見直していただきたい。同時にまた、私は、先ほど来いろいろございましたが、今日の炭鉱閉山によって産炭地域の疲弊を考えたときに、やはり何といっても、明るいあすの社会をつくるためには、どうしても産炭地域振興というようなこういう面は、最も重大な政策目標として取り上げてもらわなくちゃならぬ、こう考えておるわけです。大臣は、先ほどのお話によりますと、第二次産業の平準化ということばをお使いになっておりますが、私は、産炭地域などは特にそれが必要だと、こういうことを痛感するだけに、四十七年度の石炭予算編成にあたりましては、先ほど申し上げた特別会計の問題あるいは予算編成の具体的内容についてきめこまかく措置されんことを強く希望しておきますが、ひとつ大臣見解を承って、質問を終わります。
  39. 田中角榮

    田中国務大臣 先ほども申し上げましたように、石炭企業そのものの合理化、それから長期的展望に立った政策の拡充ということが一つございます。それと表裏一体をなすものとして、産炭地域の地方公共団体、産炭地域の住民等を中心にした産炭地域の原形復旧、それから鉱害による原形復旧、その上に産炭地域の振興、その上に大きな政策からくる新しい産業の立地政策とあわせて、産炭地域には、先ほども御指摘ございましたように、各般の施設がございます。学校もあるし、また役場も、人間が多かったから大きな建物が建っているはずでございますし、炭住等の施設があったので、それらに対しては上水道その他の施設もあったはずであります。山がなくなったら、町は三分の一になり五分の一になるというようなところもあるわけでございますから、新しく産業基地としてこれを活用していくということのメリットはあるはずでございます。だから、原形復旧をするとか、何とか補償するとかいううしろ向きの考えよりも、もう少し進めた産業の新しい基地としての機能を確保していけるような対策を進めてまいりたい、こう思うわけでございます。
  40. 鬼木勝利

    鬼木委員長 田代文久君。
  41. 田代文久

    ○田代委員 通産大臣に質問いたしますが、先ほどから御意見を伺っておりまして、大体大臣石炭政策については相当積極的な意欲を持っておられるというような感じがいたしましたが、実際において、現在の石炭事情から、もう石炭産業はどうせつぶれるんだ、だから、この石炭対策特別委員会なども、国会の中にこういう委員会を持つ必要はないんじゃないかというような意見を一部聞いたようなこともあるんですね。しかし私どもは、この石炭産業というものは、これは米などの食糧なんかの問題と同様に、日本エネルギー資源としてはきわめて重要な、大事な資源である。しかもこれは埋蔵量が非常に豊富にたくさんある。これは通産省も認めておられますし、学者の説でも、実にばく大な石炭の埋蔵量がある。ただ経済面での問題がひっかかっておるというようなことでだんだん縮小していきつつあるというようなことです。  それからもう一つ憂慮されるのは、おそらくこんなふうになったらなおさら石炭は要らぬじゃないかと言い出す人もあると思いますが、日中国交が回復して、そうして距離的にも非常に近い中国から良質の石炭が非常に安い価格輸入されるというようなことも当然見通されるわけですね。そうすると、いよいよもって日本石炭産業というものは軽視されるということになる危険性が大いにあると思うのです。  しかし、私どもとしては、さっき申しましたように、食糧、米などとともに、これはそういう簡単なものではない、どんなことがあっても民族資源としてこれはわれわれは確保しなければならない。だから、そういう基本的な方向通産大臣石炭産業の積極的な保持あるいは採掘というような立場をとっていただきたいし、また、とっていかれる基本方針かどうか。私は、原則としてどうしてもやはりそういう立場をとるべきであるということを考えます。  それからそれと関連して、きょう理事会でちょっと報告がありましたが、常磐炭硬の中郷炭礦が出水のために閉山される危険がある。一部では、この炭礦はもうとても再開するのは困難だから、これは閉山になるんだというようなことを、経営者あるいはその他の意見も聞いております。しかし、私どもとしては、そういう基本的な観点からいいまして、しかもこの常磐炭田における炭は非常に良質のものであるし、また、あの地域には火力発電所もあって、その火力発電所はここの炭を圧倒的に使っているわけですね。ですから、ここがもし閉山になると、大体常磐炭田が全滅するような危機になる。これは同時に労働者——予定されておるのはことし末だと思いますが、常磐の神の山礦ですね、これも大体閉山の目標だということを聞いております。しかし、私どもはそういうことにすることなくして、やはり当然保持し、とにかくまだ常磐の西部地区には石炭がたくさんありますから、したがって、常磐炭礦の出水による問題を転機としてこれがつぶれるというような方向にはならないように指導されるのかどうか、あくまでもこの常磐炭田は大事な炭田として確保し、積極的に政府はこれを指導し、あるいは援助するというような方向をとられるかどうかということをまずお答え願いたいと思います。
  42. 田中角榮

    田中国務大臣 国内炭が非常にエネルギー政策の中で重要な地位を占めておるということは、私は先ほども述べておることでございますが、ただ採算を度外視してすべてやるんだということではないのでございます。これはやはり経済性はあくまでも追求されなければならない。しかし、石油がこのような状態であっても、海外石油だけにたよるべきではない。OPECの問題だけでもって年間二千億といえば、それは小さい金ではない。マクロ的に見ればたいしたことではないけれども、ミクロ的に見たらたいへんだというような一部の議論がありますが、マクロ的に見ようがミクロ的に見ようが、六月が来れば必ず石油価格が上がるということは、たいへんなことでないことはありません。だから、そういう意味で、大陸だなや日本海の石油資源の探鉱もすべきであるということを強く提案をし、特に私はかつて商工委員のときにも議員立法の提案者になったものでございまして、いまの石油公団の前身である石油資源開発法等の議員立法を行なったのでございます。そういうことで、国内資源というものを活用しなければならないという考えに立ってはおります。おりますが、三十三年四一・一%のエネルギー構成比の中に占める石炭が、四十一年には一七・八%、四十五年には八・四%というふうに落ちておるということも事実でございます。ですから、このような状態で何となく終わってしまうんだということではいかぬので、新しい長期エネルギー政策というものを立てて、その中に石炭というものをどうするのか、国内石炭をどうするのかという位置づけをして、きめたら、今度十年や十五年はその政策がずっと続けられるような状態、不安定な経営でないようなものにしなければならない。ビルドされた山が一年たたないうちにまたスクラップになり、労働者が全部移動しなければならないということが合理的であるはずはないので、そういう問題を、全部ひとつ英知を傾けて新しい計画を立てて安定的なものにしてまいりたい、こういうことが基本でございますので、それはそのように理解をしていただきたい、こう思います。  常磐炭礦の中郷は出水による水没でございますが、どうも閉山のやむなきのようでございます。しかし、これはいま御指摘がありましたが、石炭専焼火力七万キロばかりの火力がございますが、これに対して、一体再開ができない場合、現在の貯炭で間に合うのかどうか、将来一体どうするのかという問題もありますし、三千余の労働者数も非常に大きいのでございますので、これは真剣にいま経営者、労働者及び政府でこれらの問題の推移を見詰めつつ相談をしておるということでございます。二千トン程度の露天掘りを八千トンぐらいに上げで露天掘りをやろうかということをいま考えておるようでございます。いずれにしても、これは地元でもたいへんな問題でございまして、この二、三日来猛烈に通産省に実情を訴えに来ておりますので、こちらも誠意をもってこれが事態を収拾したいということで、いまそのような段階にありますことを御承知いただきたいと思います。
  43. 田代文久

    ○田代委員 次に、先ほど来産炭地振興の問題についていろいろ御意見が出ましたし、実際の産炭地の実情は、私が申し上げるまでもなくて、石炭産業の疲弊とともに全くこれはもう惨たんたる状態になっておるわけですね。むしろ、産炭地の疲弊あるいはその地域が非常に人口が減るとかいうような状態というのは、当然石炭産業が崩壊あるいは後退後に起こる問題なんですね。ですから、産炭地の問題、したがってその鉱害の復旧という問題は、どんなに石炭が全面的につぶれても、むしろいまから政府なり地方自治体なりが積極的にやらねばならない。やるだけやって、とにかくあとはしようがないではないか、こういう問題では当然ございません。ですから、そういう点で、いま答申がすでに出ているのでも、あるいはまた、要望からでも、鉱害二法の十年間の延長というような大体の線も出ておるようでございますが、問題は、とにかく鉱害二法は延長したけれども内容が非常に貧弱だということになったのでは、これは意味がありませんので、予算編成期にも当面して、この鉱害復旧予算を大幅に延長するということを、大臣の責任で大いにこれはがんばってやっていただきたい。その内容についてはいろいろ言いたいのですが、時間が来たと先ほどからせめ立てておりますから、またの機会にしたいと思いますけれども、とにかく鉱害の復旧なんかというのは、幾ら地元の住民が言っても思うほどに進まない、しかもそれが延びていくという形で、地方自治体も被害者も非常に困っているわけです。ですから、そういう点を非常に急速に解決するためには予算も必要だし、また鉱害復旧事業団あたりもこの間現地に調査に行きまして、いつも人員が不足で調査ができるのがおそくなりましてということで、これは全く政治的な貧困から来ておる、予算面の貧弱から来ておる問題ですから、そういう点は十分やっていただきたいということをお願いしたいと思うのです。ですから、来たるべき予算編成については、そういう点は十分積極的に考慮していただきたいということ。同時に、この産炭地の振興の問題について、地方自治体の首長あるいは議会の議長なんかに私よく会って話を聞きますと、いろいろやりたいけれども、たとえば炭鉱の土地が銀行担保に入っておってなかなかそれが抜けないというようなことで、それを活用したいと思ってもなかなか活用ができないとか、それからまた、国有林がある、しかもその国有林は国有林としての木材を生産することにはほとんど役立っていない、木を植えるけれども、たいして木が太るようなところでもない、そういうところを地方自治体に産炭地振興のために払い下げるなり、あるいは活用するというような道を開いてもらえるならば、そこにあるいはベッドタウンとしての住宅を建てることも考えられるし、あるいは排水溝をつくるとか、あるいは牧場として活用して、そして地域の農業と関連さした形での産炭地の振興もできるんだというような切実な要望があるわけですね。だから、そういう面についての御所見を伺って、通産大臣に対する質問は一応終わりたいと思うのです。
  44. 田中角榮

    田中国務大臣 産炭地振興及び鉱害復旧等の問題につきましては、予算の獲得に大いなる努力を傾けてまいりたい、こう存ずるわけでございます。  なお、実態的な問題は、原形復旧その他ということよりも、もう少し改良復旧的に、たんぼが休耕しているようなところにたんぼをつくらないで、もっと工場用地等をつくってはどうかというような議論も検討してみました。ところが、これはやはり営農規模が小さいためにどうしてもたんぼにしてくれという個人的な御要請もあるようでございますが、やはり産炭地域の地方公共団体が中心になってこれだけの政策を行なうのでございますから、ただ民法上の規定に基づく原形復旧、個人財産の修復というようなことだけではなく、もう少しプラスになるようなことで、総合的計画のもとに産炭地の改良復旧ができないかということを真剣に検討いたしておるわけでございます。  なお、国有林の活用その他、これはもう計画が行なわれて、総合計画の中に入っておるものであり、これが地方公共団体に払い下げられ、特に組合等、営農組織を拡大したり、その他畜産用にこれを活用しなければならないというような場合、林野庁、農林当局の協力を得るようにいたしたい、こう思います。
  45. 田代文久

    ○田代委員 では、労働大臣に一問だけ質問申し上げますが、例の歌志内炭礦の大災害がこの間起きました。これは、この前夕張で起きたときにも、この委員会で、大体、石炭産業を発展させるとか、労働力を確保するというようなことをうたい文句にしても、このように労働者の生命なりからだが全く簡単に奪われるというようなことになったのでは、石炭産業も何もないではないかという意見もあって、これは当然のことだと思うのですね。絶対にもうこういうことは起こさないのだ、起こしてはならないのだということを言うておりながら、また歌志内で住友鉱の大災害が起きておるわけですね。ですから、こういうことが続きます限り、これはまたこの次起こらないということは私どもは実際に保証できないわけです。こんなにひんぴんと大災害、または落盤やその他で一人や二人が命を奪われたとかけがをしたとかいう問題は、枚挙にいとまがないような形で続いておるわけですね。ですから、そういう点についての基本的な炭鉱の災害に対するほんとう考え方、そうしてまた、私は、この歌志内の問題なんかでも、原因が大体こうだということはちょっと簡単に結論は出ないけれどもということで言っておられますけれども、やはりどう考えても、これは政府の指導、なお言えば経営者の生産第一主義、非常なあせり、そういうものが出ておると思わざるを得ないのです。  そういう点についてはいろいろ意見があると思いますが、きょうは時間がございませんので、そういう犠牲者に対して弔慰金というのが、いつかの声明によりますと、大体一人四百万円にきまっておる。それに労災保険なんか加えても実にわずかなんですね。現在においては、この間の飛行機事故でも一千万円をオーバーしておる。これは当然です。二千万や三千万なんかに人の命がかえられるものではないと思うのですが、とにかく四百万円の弔慰金で歌志内の死亡者、犠牲者の方々に対して片づけて済むのかどうか。人の命をこういうことではかってはいけませんけれども、少なくとも一千万円くらいの見当の弔慰金は当然出すべきである、また、政府はそういう方向で指導し、手を打つべきであると考えますが、御所見を伺いたいと思います。
  46. 原健三郎

    ○原国務大臣 過般、歌志内礦におきまして不測の不幸が突発しましたことは、まことに私どもとしても遺憾千万に思っておるところであります。なくなった方々に対して深く弔意を表する次第でございます。遺家族に対しても御弔問申し上げたいと思います。  お説のように、毎回こういうことのなきよう通産省とも連絡して、労働省からもしばしば警告も発し——承知でしょうが、これが監督は通産省がやっておりますので、私どものほうでは通産省に対して警告を発し、もう少し厳重に積極的に取り締まりをやり、対策を講ずべきであるということをたびたびやっておるところでございますが、今後とも通産省とも連絡して万遺漏なきを期してまいりたい、こう思っております。  それで、なくなられた方々三十名の遺族に対しては、この災害補償は年金でやっておりまして、一時金ではございませんので、その点はひとつお含みおき願いたいと思いますが、まず最初に、葬祭料として合計四百三十三万円を七月三十日に支払い済みでございます。それから遺族補償給付金については、二十九名の遺族に対して、遺族補償年金でございまして、一時金ではございませんが、そういうふうになっておりますので、年金として合計一千四百七十二万円を年金の支払い期限である十一月から支払うことといたしておるところでございます。また、一名の遺族に対しては遺族補償、これは一時金として百四十七万円を七月三十日に支払いをいたしております。なお、負傷された労働者に対しては必要な療養及び休業補償を行ない、その保護に遺憾のないよう万全を期しております。  補償金の年金といたしましては、二十九名の総額で、いま申しました千四百七十二万九千円でございますが、これはそのときの月給とかそのときの年数等によって違いますが、最高が年七十六万三千円、最低が二十三万一千円、平均いたしますと五十万八千円、御遺族がなくなられるまで二十年でも三十年でも年金で差し上げるという仕組みになっておりますので、一時金で一ぺんに一千万円差し上げるというのに比べると金額は少ないように見えますが、毎年差し上げたほうが遺族のために真に援護するゆえんであるということで、こういうふうに法律を改めて年金制度にいたしておる次第でございますので、御了承のほどお願いいたします。
  47. 田代文久

    ○田代委員 いずれにしましても、いまの御説明もあり、いろいろ意見はございますけれども、やはり非常に安いと思いますから、政府としても、あるいは経営者自身としても、人の命がどのように大事であるか、わが身に振り返って考えて、もう少し十分な補償をするという方向で進めていただきたいことを要望しまして、質問を終わります。
  48. 鬼木勝利

  49. 岡田利春

    岡田委員 労働大臣に一問だけ御質問いたしておきたいと思います。  先ほど理事会で報告されましたように、常磐の茨城炭礦の水没事故がございまして、私ども承っておるところでは、三十日に閉山、全員解雇、九月一日からは失業保険金の受給に入る、こういう方向をすでに固められ、また、労働組合側からもその間の事情の報告を承っておるわけです。また同様、常磐炭礦の神の山礦の閉山は、十二月末で閉山をするという方針をきめて、すでに閉山申請の手続を大体非公式に行なっておる。しかも、これまた新聞報道を通じて閉山をするという点が実は明らかになっておるわけです。前の磐城炭礦の閉山に引き続き、しかも、最も優良で長期に残すという山が水没でなくなった。いわば集中閉山の現象が常磐に起きておるわけです。一方、先ほど歌志内の災害の報告があり、この結果歌志内艦が一体どうなるか。文珠の再開ができたとしても、採掘計画二年間で大体終了するというような状況で、原料炭の得率も低いわけですから、この結論の出方によっては私どもも事態を非常に憂慮しておるわけです。  しかし、ごく二、三年来の離職者対策を検討してまいりますと、非常に労働力不足で、求人数も非常に多かった。しかし、あの常磐炭田の隣にある日立で、本年若手の高校生の新規採用を全面的に打ち切るということがこれまた発表されるという側面を考えますと、労働力の需給事情というものが今度のドル声明のその後とられる措置によってどうなっていくかということは、まだ完全に予測はできませんけれども、相当深刻な面が出てくるし、しかも、炭鉱労働者は中高年齢層が常非に多いという面を考えれば、一段と深刻な面が出てくるのではないか、そういう意味では、従来の離職者対策という考え方をもう一歩検討し直して、根本的にその対策を立てる段階に来ておるのではないか、こう私は判断せざるを得ないわけです。そういう意味で、これは単に炭鉱離職者だけではなくして、中小企業の倒産あるいは操短による離職という点が重なってまいりますし、沖繩復帰に伴う沖繩の離職者対策、これまた大きな政治課題であるわけです。そういう意味においては、まさしくこれからの労働政策というものはより一そう重要性を帯びてくるわけですが、なかんずく、そういう情勢下における炭鉱離職者の援護措置について、もう一度やはり——筑豊炭田の閉山で非常に深刻な面をわれわれは経験いたしておるわけですが、そういう事態をも想定しながらこの対策を立てるべきではないのか、こう考えるわけですが、この点について、労働大臣所信をこの機会に承っておきたいと思います。
  50. 原健三郎

    ○原国務大臣 ただいまの岡田さんの御説ごもっともと存ずるところであります。炭鉱のみならず、このドル・ショックによっていわゆる失業者が出はしないかということを私どもも深く憂えております。まだどうなるか目下検討中でございますが、炭鉱離職者についても、いままでより以上にもっと再就職その他対策を講ずることについては、全く同感でございます。来年度予算についてはもうちょっとその点を積極的に要求をして、万遺漏なきを期したい、こう考えております。現在のところでは、御承知のように、炭鉱離職者臨時措置法に基づいて就職手帳を発給し、三年間手当を支給しつつ、就職促進指導管理によって、専門的な職業指導、職業訓練を行なっていく、こういうので再就職をやっておりますが、いままでのところでは一応それで進んできております。  さらに本質的に申しますと、石炭鉱業における労働力の確保、労働条件の問題等については、御説のとおり、石炭鉱業の安定をさすことが必要であると考えます。その他、労働力確保のために、鉱業の将来性について安定性を持たすとか、さらに労働条件も他産業と遜色のなきようにするとか、保安確保をもっとはかる等々、いろいろやりたいと思いますし、それから失業対策ということについては、いま申し上げましたように、来年度予算についてももう少し積極的に予算を獲得して、万遺漏なきを期していきたい。就職あっせん、それから職業訓練等についても予算を来年度積極的に獲得して、十分の手厚い対策をやる考えでありますから、御了承願いたいと思います。
  51. 鬼木勝利

    鬼木委員長 田畑金光君。
  52. 田畑金光

    ○田畑委員 いま話の出ております常磐炭礦茨城礦業所の閉山の問題について一、二お尋ねいたしますが、それに関連いしまして、石炭鉱山の整理促進交付金、いわゆる閉山交付金が四十六年度の予算の中に計上されているかどうか、そういうことで茨城の山元では非常な不安を持っておりますが、こ点は心配がないならば心配がない、この点についてひとつ局長答弁を求めたいと思います。  第二の点は、同じ常磐の系列で、また茨城でこのような多量の失業者が一時に発生する、こういうことです。これに対しては、いま労働大臣がいろい心配のないように離職者対策を講ずる、こういうお話でありますので、ひとつその努力を期待いたしますが、すでに発生しておる磐城礦業所、福島県の常磐の炭鉱離職者についてはその後どういう状況になっておるのか、常磐の西部炭礦をはじめ系列企業にどの程度定着をさせ、地元企業にどの程度就職をし、県外にどの程度安定所の窓口を通じて就職し、なお今日未就職者がどれくらいいるのか、そしてまた、今後これについてはどのような努力をなさるのか、これもあわせて労働省からお答え願いたいと思います。
  53. 莊清

    ○莊説明員 中郷礦の閉山交付金につきましては、予算上は何ら問題ございません。申請があり次第早急に手続を進めて交付する所存でございます。
  54. 住榮作

    ○住説明員 磐城礦業所の離職者対策の状況でございますが、四月二十九日に閉山いたしまして、大体当時の在籍者が御承知のように四千七百名でございます。安定所で求職を受理した数が四千五百二十二名、こういうことでございまして、そのうち、臨時措置法に基づく手帳を発給したのが四千四百二十九名でございます。  そこで、その後の状況でございますが、八月二十日の現在で、四千四百二十九名のうち、就職した者が三千人弱の二千九百四十九名、この二千九百四十九名の中身でございますが、県内で就職した者が千九百七十四名、この千九百七十四名の中には、御承知のように、第二会社に引き継がれました千名足らずの方々を含んだ数字でございます。それから、県外に就職された方が九百七十五名、県外はどういうところに就職したかということでございますが、おもなところを申し上げてみますと、千葉で三百三十五名、それから東京で百八十三名、神奈川で百三十四名、茨城で百七十二名、こういうような状況でございます。それで、現在職業訓練を受けておられる数が三百十三名でございます。そういうようなことで、現在なお私どもで就職促進、就職の援護を要する方として努力しております者の数が千九十七名、大体、当初の数字に比較いたしますと二五%程度の者が残っておりまして、七五%程度の方々が先ほど申し上げました程度において再就職その他されておられるというのが現状でございます。
  55. 田畑金光

    ○田畑委員 これは鉱山石炭局長にお尋ねいたしますが、茨城炭礦が出水事故による閉山という緊急事態の発生で、御承知のように常磐炭礦の存続はきわめて困難な状況になっておるわけです。このまま推移しますと、常磐炭礦は整理段階に進まざるを得ない。債権者、金融機関側の債権保全のための担保権の行使であるとか、保証債務の履行請求も、そういうことになれば予想されるわけです。ところが、御承知のように、常磐西部炭礦をはじめ、関係の系列会社が二十三社ございますが、この二十三社の株式は全部担保にとられておるわけです。したがって、担保整理段階ということを迎えますると、生産施設、福利関係施設所在の土地建物はいずれも担保処分の対象になる。そうなってきますと、親会社である常磐炭礦の閉山で関連系列会社に経営の危機を招き、そうして深刻な地域社会の混乱を招く、こういうことは必至であるわけです。ことに、御承知のように、一番最初に大きな影響を受けるのは、何といっても常磐の共同火力。共同火力は、一号基から七号基まで、総出力は七十二万キロワット。これは、御承知のように、さきの磐城の閉山で石炭の供給力が不足したので、一ないし五号基は一部重油の混焼に改造しておるわけです。七号基は重油専焼にいま改造を進めることになっておりますが、六号基だけは、御承知のように、炉の構造上、重油に転換をするためには根本的にこれは改造しなければならぬ、こういうことになっておるわけです。そこで、常磐共同火力のこの一号基から七号基について見ますと、たとえば三号基、四号基、五号基、これは四十六年の一月から四十七年の四、五月にかけて第一次改造をする。第一次改造というと、重油が七〇%までたけるということですから、第一次改造ではどうしてもやはり三〇%の石炭は必要とする。今後の石炭の供給いかんによっては第二次改造をしなくちゃならぬ、こういうようなことです。また六号基については、先ほど申し上げたように、十七万五千キロの六号基は、炉の構造自体が、これは全部改造しなければ重油専焼にならないというわけで、この改造には一年十カ月もかかる。七号基について見ますと、すでに昭和四十六年一月から来年の一、二月をめどに重油専焼に完全に切りかえる、こういうことでいま作業が進んでおるわけです。改造費だけでも四十五億三千万を要するということでございますが、いずれにいたしましても、福島県の新産都市の指定を受けておるいわき、郡山の工業地帯、あるいは福島県の会津の方部まで、さらに茨城県の日立から水戸、これらの地域は全部常磐共同火力の電力が供給されて、地域の発展に貢献しているわけです。このような重大な常磐共同火力でございますが、いずれにいたしましても、第一号基から第五号基については、第一次改造が終わったあと、なおかつ四千二百カロリーの石炭が年間七十万トンはどうしても必要である、こういうことです。やはりこのことを念頭に置いて常磐炭礦の今後のあり方について考慮してもらわなければ困る、こう考えておるわけです。御承知のように、いま労働省の住局長からも御答弁がございましたが、離職者対策でたいへん骨を折っておるわけです。今後はまた茨城のことを骨を折らねばならぬ、こういうわけです。  そこで、今回の常磐炭礦の茨城礦業所の閉山が、さらにいま言ったような常磐炭礦だけでなく系列会社まで波及するということになってきますと、この系列会社は福島県だけでなく茨城にもございますが、これはたいへんなことだ、こう思うのですね。地域社会に対する混乱というものはたいへんなことだと思うのです。現に常磐の系列に働いておる者は今日なお五千名いるわけです。その家族を入れると二万名ということになるわけです。また、御承知のように、ことしの四月末福島県の磐城礦業所の閉山に伴って一番問題となったのは、温泉とガスの問題です。幸い温泉とガスについては、西部炭礦の存続で地域社会に対する迷惑は最小限に押えられて今日に至っておるわけですが、こういうことを考えてみますると、今回の常磐炭礦の茨城の閉山の問題というものは、これは保安命令に基づいて、水没してもはやこれ自体の再建あるいは再開はできぬということでこうなったわけでありまするが、幸い常磐炭礦には低サルファの、そしてまた今後の企業努力によっては相当長期にわたって継続可能な西部炭礦も厳然としてあるわけでありまするし、どうぞひとつ、そういう意味において今後常磐炭礦の再建という問題については、通産省としても、事務当局としてもいま言ったような諸般の事情を考えて前向きに対処さるべきである このように考えておりますが、この点について局長見解を求めて私の質問をとにかく終わりますが、どうぞひとつ局長答弁を願いたい、こう思うのです。
  56. 莊清

    ○莊説明員 常磐共同火力の問題あるいは常磐系の系列企業多数の問題、この点につきましては、先生御指摘の御趣旨まことにごもっともであると存じております。実は昨日も茨城県の知事が通産大臣をおたずねになり、また私もお目にかかりまして、よく地元の御希望も承りました。  まず、常磐炭礦の再建でございますけれども、これは今後企業が関係方面とも打ち合わせて再建計画を練り直すということになってまいるわけでございますけれども、残りました中郷の露天掘りの部分に、さらに一度分離いたしました磐城礦業所のもと西部炭礦、この部分を会社としては統合いたしまして、新しい合理化計画というものをつくりたいという御希望があるように承っております。私ども、会社からそのような再建計画が将来提示されました場合には、よく内容を審査いたしまして、これが常磐炭礦の再建に連なるような方向で指導もし、取り上げてまいりたい、こういう気持ちで、どういう計画が策定されるのか、いま私どもも企業側に話をしまして見ておるところでございます。それが合理化計画として確認されるという場合には、御指摘ございましたような肩がわりの継続ということも法律上可能な道もまた開けてくるわけでございまして、そういうことができますれば、常磐系列の企業についてもまた金融機関としては従来の取引関係を継続し得るという道に連なるのではないか、それが企業側としての基本的な姿勢だと思いますが、私どもも、そういう意味で、会社の合理化計画が一日も早く確定いたしまして提出されることをいま待っておる段階でございます。  次に、共同火力の問題でございますけれども、重油の専焼化がすでに済んでおります能力が、七十万キロワットのうちで約二十万キロワットございますし、さらに現在工事中のものがほぼ同数ございますので、来年の五、六月ごろになりますと、七十二万キロのうち石炭専焼の部分は三十万キロ程度になり、したがいまして、消費量のほうも、月々の石炭の消費量が現在の十七、八万トンから八万トン程度にだんだん減るわけではございますけれども、なお残された常磐地区の今後の出炭能力というものとの見合いから考えますと、やはり供給が若干ショートするという見通しが非常に憂慮されるわけでございます。したがいまして、同共同火力の重要性からいいまして、やはり電気需要の供給責務というものもございましょうし、今後公益事業の立場で共同火力の重油専焼化についてどうするかということが総合的に検討もされると存じますけれども、私どもといたしましては、やはり会社のほうで露天掘りの部分も増産するとか、あるいは可能ならば新抗もおろすというふうな考えがあるやに聞いておりますので、極力地元で経済性のある出炭が可能ならばそれはそれで維持していくということを基本に、重油の専焼に全部切りかえてしまうような簡単なことではないと思いますので、総合的によく考え、指導をいたしたいと考えております。
  57. 田畑金光

    ○田畑委員 もう一点だけ。これはむしろ通産大臣にお話ししたほうがいいと思いますけれども、昨日茨城県知事も通産大臣にお会いになったというならば、当然今後あの地域開発をどうするか、これをお話しなさった、こう思うのですが、幸い茨城地区は産炭地事業団が第一次に磯原の団地を造成し、いままた松久保の団地を造成しておりますが、さらに近くは第二の磯原の団地造成も軌道に乗るやに聞いております。幸い日立という工業地域に隣接しておる地域でもありまするし、最近またあの地域はりっぱな工場、企業がどんどん進出しておる事情もございますので、ひとつこの団地の造成、企業の誘致、離職者の地元定着確保について格段の努力を願いたいと思うわけです。  同時にまた、本年の五月末に通産大臣の認証を受けた福島県の常磐炭礦あと地を利用したいわゆる鹿島団地の造成、これは三十余万坪の造成計画でありますが、幸いに地元いわき市の努力で土地所有者との話がついて、いよいよ第一期の造成工事が始まることになりますが、聞くところによれば、これは三年計画でなければ団地造成は終わらぬというわけです。やはり私は三年計画では長過ぎるし、おそ過ぎるし、先ほど田中通産大臣のお話のように、炭鉱離職者を地元に定着させるということでなければ、今日まで国がいろいろな面で石炭に投資したその投資の価値効果等の面から見ても、これはマイナスだと思うのです。そういう意味で、やはり三年も造成にかけてそれから企業誘致では、地元に定着ということはむずかしいわけでございますから、鹿島団地の造成も二年くらいで終わって、早く企業をどんどん持ってきて、いまなお千百名の人々がそのことを期待して、企業が来ればそこに働きたいという中高年齢者の人々が多いわけでございますから、そういうような面にひとつ産炭地事業を積極的に生かしていく、こういうことで四十七年度の予算編成にあたっては十分配慮していただきたい、こう考えております。  茨城の団地造成の問題と福島の鹿島の団地造成の問題、産炭地域振興についてひとつ格段の御努力を願いたいと思いますが、この点局長の所見を承って、質問を終わります。
  58. 莊清

    ○莊説明員 磯原団地につきましては、第二号団地を実は来年度着工という予定で考えておりましたが、そういう緊急事態も発生したわけでございますので、地元ともよく相談の上、でき得れば今年度着工ということで、一年繰り上げて実施をいたしたいと現在考えております。  なお、鹿島の団地につきましては、現在三年計画を実施中でもございますので、全般的な予算その他の関連から、直ちにこれを短縮できるかどうか、御指摘がございましたが、いま直ちにこの場でお答えするのもちょっと困難かと存じますが、地元とも相談の上、この点についてはよく検討させていただきたいと考えます。
  59. 鬼木勝利

    鬼木委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後零時四十六分散会