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1971-07-24 第66回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年七月二十四日(土曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 森山 欽司君    理事 伊東 正義君 理事 小沢 辰男君    理事 谷垣 專一君 理事 増岡 博之君    理事 田邊  誠君 理事 大橋 敏雄君    理事 田畑 金光君       秋田 大助君    大野  明君       梶山 静六君    唐沢俊二郎君       小金 義照君    斉藤滋与史君       中島源太郎君    後藤 俊男君       島本 虎三君    古寺  宏君       古川 雅司君    渡部 通子君       寒川 喜一君    西田 八郎君       寺前  巖君  出席国務大臣         労 働 大 臣 原 健三郎君  委員外出席者         林野庁長官   松本 守雄君         通商産業省公害         保安局石炭課長 高木 俊介君         労働大臣官房長 道正 邦彦君         労働省労政局長 石黒 拓爾君         労働省労働基準         局長      岡部 實夫君         労働省婦人少年         局長      高橋 展子君         労働省職業安定         局長      住  榮作君         日本国有鉄道副         総裁      山田 明吉君         日本国有鉄道常         務理事     真鍋  洋君         社会労働委員会         調査室長    濱中雄太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  労働関係基本施策に関する件  請 願    一 せき髄損傷者に対する労働者災害補償      保険給付改善に関する請願(小濱新      次君紹介)(第七六号)    二 労働災害以外によるせき髄損傷者の援      護に関する請願(小濱新次紹介)(第      七七号)    三 同(大坪保雄紹介)(第七八号)    四 スモン病対策の確立に関する請願(鈴      木善幸紹介)(第一一六号)    五 老人医療費公費負担制度早期実施に      関する請願鈴木善幸紹介)(第一一      七号)    六 老人医療費無料化に関する請願(鈴      木善幸紹介)(第一一八号)    七 家政婦職域範囲に関する請願外三件      (福田篤泰紹介)(第一一九号)    八 同(塩川正十郎紹介)(第一七一号)    九 海洋戦没者実態調査促進に関する請      願(有馬元治紹介)(第一七二号)   一〇 同外一件(石田博英紹介)(第一七三      号)   一一 同(池田清志紹介)(第一七四号)   一二 同(小川半次郎紹介)(第一七五号)   一三 同(大橋武夫紹介)(第一七六号)   一四 同(奧田敬和紹介)(第一七七号)   一五 同(金子岩三紹介)(第一七八号)   一六 同(亀山孝一紹介)(第一七九号)   一七 同(仮谷忠男紹介)(第一八〇号)   一八 同(北澤直吉紹介)(第一八一号)   一九 同(砂田重民紹介)(第一八二号)   二〇 同(田川誠一紹介)(第一八三号)   二一 同(田中龍夫紹介)(第一八四号)   二二 同(田中正巳紹介)(第一八五号)   二三 同(中馬辰猪紹介)(第一八六号)   二四 同外一件(床次徳二紹介)(第一八七      号)   二五 同(中尾栄一紹介)(第一八八号)   二六 同(永山忠則紹介)(第一八九号)   二七 同(西尾末廣君紹介)(第一九〇号)   二八 同(福田篤泰紹介)(第一九一号)   二九 同(坊秀男紹介)(第一九二号)   三〇 同(細田吉藏紹介)(第一九三号)   三一 同外一件(増岡博之紹介)(第一九四      号)   三二 同(増田甲子七君紹介)(第一九五号)   三三 同(毛利松平紹介)(第一九六号)   三四 同(山下元利紹介)(第一九七号)   三五 同(吉田之久君紹介)(第一九八号)   三六 同(橋本龍太郎紹介)(第二四七号)   三七 同(三原朝雄紹介)(第二四八号)   三八 保険診療経理士法制定に関する請願      (阿部文男紹介)(第一九九号)   三九 同(有馬元治紹介)(第二〇〇号)   四〇 同(伊藤宗一郎紹介)(第二〇一号)   四一 同(石田博英紹介)(第二〇二号)   四二 同(宇都宮徳馬紹介)(第二〇三号)   四三 同(奧野誠亮紹介)(第二〇四号)   四四 同(小宮山重四郎紹介)(第二〇五号)   四五 同(佐藤文生紹介)(第二〇六号)   四六 同(斉藤滋与史君紹介)(第二〇七号)   四七 同(塩谷一夫紹介)(第二〇八号)   四八 同(瀬戸山三男紹介)(第二〇九号)   四九 同外一件(地崎宇三郎紹介)(第二一      〇号)   五〇 同(中川一郎紹介)(第二一一号)   五一 同(南條徳男紹介)(第二一二号)   五二 同(西岡武夫紹介)(第二一三号)   五三 同(羽田孜紹介)(第二一四号)   五四 同(橋口隆紹介)(第二一五号)   五五 同(橋本龍太郎紹介)(第二一六号)   五六 同(堀田政孝紹介)(第二一七号)   五七 同(松浦周太郎紹介)(第二一八号)   五八 同(水野清紹介)(第二一九号)   五九 同(村山達雄紹介)(第二二〇号)   六〇 同(向山一人紹介)(第二二一号)   六一 同(安田貴六君紹介)(第二二二号)   六二 同(山口敏夫紹介)(第二二三号)   六三 同(山下徳夫紹介)(第二二四号)   六四 老人医療費無料化等に関する請願      (相川勝六紹介)(第二二五号)   六五 同(小山長規紹介)(第二二六号)   六六 同(進藤一馬紹介)(第二二七号)   六七 同(三原朝雄紹介)(第二四九号)   六八 老齢者医療費全額公費負担等に関す      る請願池田清志紹介)(第二四二号)   六九 はり、きゅう、マッサージの健康保険      取扱手続き簡素化等に関する請願(徳      安實藏紹介)(第二四四号)      ————◇—————
  2. 森山欽司

    森山委員長 これより会議を開きます。  まず、請願審査を行ないます。  本日公報に掲載いたしました請願六十九件を一括して議題といたします。  まず、請願審査方法についておはかりいたします。  その趣旨につきましては、すでに文書表によって御承知のところであり、また先刻理事会においても協議いたしましたので、その結果に基づき直ちに採否の決定に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 森山欽司

    森山委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  それでは、本日の請願日程中、第一ないし第六、第九ないし第三七、第六四ないし第六八及び第六九、以上の各請願は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 森山欽司

    森山委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 森山欽司

    森山委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  6. 森山欽司

    森山委員長 なお、本日までに本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付してございますとおり、盲人の生活安定に関する陳情書外二十四件であります。  以上、念のため御報告いたします。      ————◇—————
  7. 森山欽司

    森山委員長 次に、閉会審査申し出の件につきましておはかりいたします。  一、厚生関係基本施策に関する件  二、労働関係基本施策に関する件  三、社会保障制度医療公衆衛生社会福祉   及び人口問題に関する件  四、労使関係労働基準及び雇用・失業対策に   関する件 につきまして、議長閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 森山欽司

    森山委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  次に、委員派遣承認申請に関する件についておはかりいたします。  閉会審査案件が付託になり、委員派遣を行なう必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣承認申請を行なうこととし、派遣委員人選派遣地等、その手続につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 森山欽司

    森山委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  また、閉会審査におきまして、参考人より意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人出席を求めることとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 森山欽司

    森山委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。      ————◇—————
  11. 森山欽司

    森山委員長 労働関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。後藤俊男君。
  12. 後藤俊男

    後藤委員 一番最初に政労協関係の問題を簡単にお尋ねしたいと思うのですが、いまの労働大臣政労協関係の今日までのいきさつにつきましては非常に詳しいと思うのです。さらにまた労政局長も、いままでのいきさつにつきましては、一々説明しなくとも十分おわかりのことと思うわけでございますけれども、ここ四、五年間の長い間、政労協関係労働組合春闘の問題につきまして、この委員会におきましても再三再四にわたってわれわれも提案しながら御論議をいただいたところでございますが、ことしも相変わらずいまだ春闘の決着を見ておらない、これが現実でございます。しかも、これはやがて八月になろうといたしておりますので、いまこの問題を根本的にどうこうということを話題にするよりかは、遠からず人事院勧告が出ると思うわけです。その人事院勧告が出ました場合には、いままでのいきさつ等も十分考えていただいて、できるだけ早く、早急にひとつ内示をしていただく、こういうお考え方はあるかどうか、これを第一番にお尋ねいたしたいと思います。
  13. 石黒拓爾

    石黒説明員 政労協賃金につきましては、先生からもしばしば御指摘をいただいておりますが、今年度人事院勧告が出ました際には、できるだけ早くいわゆる内示をするという点につきましては、私どもも全くそのように努力いたしたいと考えておる次第でございます。
  14. 後藤俊男

    後藤委員 いま労政局長が言われましたように、本年の問題につきましては、人事院勧告が八月の十二、三日ごろでございますか、出されると思うわけですけれども、とにかく早く内示を出していただく、これはぜひひとつお願いをいたしたいと思うのです。  それから、その次の問題としまして、これもこの委員会におきまして何回となく論議をしたところでございますけれども、順次その内容についても改善をしていく、これはもう労政局長もしばしば御説明になったところでございますが、それじゃ一体ことしはどういう点について改善されようといたしておるのか、この点の御説明を簡潔でけっこうでございますが、御説明いただきたいと思います。
  15. 石黒拓爾

    石黒説明員 内示内容につきましては、一昨年に初任給について若干の弾力性を持たせました。それ以後も何とか弾力性を持たせたいということで鋭意関係当局と協議をいたしております。御承知のように、今回大蔵省担当者が全部かわりまして、私どもといたしましては、この問題きわめて重要であり、かつ長い間国会の御関心をわずらわしておることでございますから、ぜひ早急に研究をしようという申し入れをいたしております。もう人事院勧告も間もなく出ることでございますので、大蔵省とも早急に検討いたしまして、その方向で努力いたしたいと考えます。
  16. 後藤俊男

    後藤委員 いま言われました方向で、大蔵省もおかわりになったそうでございますから、早急にひとつ御相談いただいて、いままでしばしば御説明になった方向でひとつ進めていただきますようにお願いをいたしたいと思います。  それからさらにもう一つの問題としまして、内示中身の問題です。いま申し上げました問題もこれは含むかもわかりませんけれども、やはり政労協関係労働組合というのは労働法適用組合である、これは言うまでもございません。そうなりますならば、内示で全部中身を縛ってしまうということではなしに、できるだけその内示中身におきましても、自主的に団体交渉によってきめる幅をなるべく広くしていただく。これはもう無理な話じゃないと思うのです。そういう点を十分留意をしていただく、これをぜひひとつお願いいたしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  17. 石黒拓爾

    石黒説明員 御指摘の御趣旨はまことにごもっともな点でございます。実際問題としてどうやるかというのは実は非常にむずかしい点があることは御承知のとおりでございますが、御趣旨を体して努力いたしたいと思います。
  18. 後藤俊男

    後藤委員 きょう、その政労協関係お願いというか申し上げるべきことは、いま申し上げました大体三つぐらいに集約されると思うわけですが、ぜひひとつ、大臣その経過につきましてはあなたも十分御承知のことと思いますけれども、先ほども労政局長から話が出ましたように、ことしの春からの大闘争をやっておって、人事院勧告が出なければ解決できない。これは何とかせないかぬ、何とかせないかぬと思いながら、いい方法がないものですから、毎年毎年同じような方法を繰り返して、いわば労使紛争というのは一年じゅう続いておるわけなんです。根本的にいかに解決するかという問題はこれからの問題といたしまして、当面本年度の問題を解決するためには、人事院勧告が出ましたら早急にひとつ内示を出していただく。その内示中身としては、いままでの方針どおり改善すべき点は改善をしていただく。これは大蔵省と直ちに相談をしていただく。しかも内示中身といたしましては、やはり労働法適用組合でありますから、その精神を尊重して、労使の間で自主的な団体交渉できめる問題の幅を広くするような内示にしていただく。この三点だけはここで大臣にしっかりと胸に刻んでこの問題解決のために御努力をいただきたい。ひとつ大臣のお気持ちを聞かせていただきたいと思います。
  19. 原健三郎

    原国務大臣 いま後藤先生から三点について要望なり御質問がございましたが、いずれもその御趣旨は賛成でございまして、その方向に向かって前向きに努力いたしたいと思います。いま局長からも話がありましたが、大蔵省とも至急折衝を重ねまして、御期待に沿うように善処する考えでございます。
  20. 後藤俊男

    後藤委員 ではお願いします。  その次には、日本プラント協会労働組合紛争でございますけれども、これはきのう連絡しておきましたので労働省のほうも調査は済んでおると思うのです。連絡してくれただろうね、プラント協会は。——それでは、いろいろいきさつがあるらしいのですけれどもプラント協会というのは日比谷にあるのです。実はいままでのいきさつを簡潔に申し上げますと、一昨日ですか、私も書面でただ見ただけでははっきりいたしませんので、そこのプラント協会へもおじゃましてまいりました。そこで専務さんなり常務さんにお会いしまして、いろいろ考えておられることも聞きながら、一刻も早くこの紛争解決してもらいたい。こういうことで三項目ないし四項目の提案をしておいたわけです。ところが現在プラント協会紛争につきましては都労委のほうへ提訴されているわけです。第二回の事情聴取が二十七日である。これは私も聞いておるわけでございます。ところが、現在プラント協会紛争そのものは、いろいろな問題がありますけれども、その中の一番大きい問題は春闘における賃金の問題なんです。いまだに賃金問題が解決しておらぬわけです。賃金問題が解決しておらないというのは、労使の間におきましてどれだけのベースアップをするかという金額につきましては合意に達しておるわけです。労働組合のほうもそれでよろしいから妥結しましょう、この意思表示をしておるわけです。ところが使用者側のほうといたしましては、おまえらがその賃金でよろしいと言って直ちに妥結するわけにまいらぬ。この問題とこの問題とこの問題、たとえばポスターの問題です。闘争になるとポスターどうこうする問題、あるいは争議に入る前には、何時間前に予告せいというような問題、あるいは団体交渉を十分やって争議行為どうこうというような、平和条項三原則というような言い方で言われておりますけれども賃金以外にその問題を同時に組合が了承しない限りにおきましては、ベースアップした金額の点におきましていかに労使の間で合意に達したとはいいながら妥結するわけにまいらぬ。こういうわけで今日もやはり紛争状態になっておるわけです。そこで組合のほうが都労委のほうへ提訴をしまして、現在紛争中であって、二十七日が第二回の事情聴取、そういう状況になっておるわけです。  私はこの問題を聞いて考えましたときに、表現のしかたはおかしいかもしれませんが、労働組合側が、賃金だけではなしにほかの問題もひっくるめて解決しようというようなケースはたくさんあったと思います。ところが使用者側のほうから、賃金はもうこれで了解、合意に達したけれども、これ以外にこれもこれもこれも組合がうんと言わぬことには賃金問題は妥結できぬ。故意に引っぱっておるような形に今日なっておる。これはごく常識的に考えてみましても、まず賃金問題は解決する、それからほかの問題がたくさんあるならば、それは自主的団体交渉解決をしていく。まだ夏期手当の問題も団体交渉に全然入っておらぬ、こういうふうな情勢が、いま申し上げましたプラント協会労使紛争の現状です。聞くところによりますと、この協会使用者側のほうとしましては、都労委のあっせんにも応じるか応じないかわからない。まかり間違うと拒否するのじゃないかというようなことも私聞いておるわけでございますけれども、私が話した限りにおきましては、都労委提訴中でございますから、都労委を通じてこの問題については解決したい、こういうふうな発言があったわけでありますが、これは通産省のほうからも年間億以上の補助金というか助成が出ておるところのプラント協会でございます。こういう労使関係紛争が一年じゅう続いておる。これは日本の国益のためを考えましてもよからぬことだと私は思うわけです。ですから、方法としては、賃金問題は、合意に達しておるのですから一刻も早く解決する、それ以外の問題につきましては団交で自主的にきめていく、夏期手当の問題についても早く解決しろ、こういうふうなことで、いま都労委提訴されているとはいいながら、日本労働行政担当責任者である労働省といたしましても、早急にこのプラント協会労使紛争問題解決方向へ全力を尽くしていただく、これはぜひひとつお願いをいたしたいというふうに私は考えるわけですけれども、いかがでございましょうか。
  21. 石黒拓爾

    石黒説明員 労使賃金以外の付帯要求をいろいろくっつけるということはしばしばある点でございますが、すべてについてそれを切り離すことができるかどうか、申しわけございませんけれども、私どもこの争議事情をよく存じておりませんので何とも申し上げかねますが、しかし通産からも助成をもらっておりまして、重要な仕事をしている協会であると存じますので、その早期解決のためには、私どもも及ばずながら力を添えたいと思います。
  22. 後藤俊男

    後藤委員 実はきょうの委員会専務さんに参考人として来てもらおう、こういうことでしたが、あまり急な話でございますので、時間的にもおそかったもので問に合わなかったのですが、いま労政局長言われましたように、ひとつ直ちに調査をしていただいて、その調査していただいた結果に基づいて、これをどう解決するか、そのことをあとから御回答いただきたい、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  23. 石黒拓爾

    石黒説明員 さっそくに調査いたしまして、先生に御報告申し上げます。
  24. 後藤俊男

    後藤委員 大臣、いまの問題もひとつよろしくお願いをいたします。  そこでその次は、七月の七日でございますか、国鉄大量不当処分が発表になりました。これに対する問題につきましていろいろとお伺いしたいと思います。  では第一番に今次春闘処分ですが、これは国鉄労働組合動力車労働組合と、この二つに対する処分が全部で約二万五千、こう聞いておるわけですけれども、どういうふうな処分内容であったか。こまかいことを聞いておりますと時間を食ってしまいますから、大綱、国有鉄道使用者側のほうとしてはこういう考え方でこういう処分をしました、その内容についてはこういうかっこうになっております、その御説明をひとついただきたいと思います。
  25. 山田明吉

    山田説明員 いわゆる春闘国鉄職員が法律上禁ぜられております争議行為をいたしまして国民に多大の御迷惑をかけたことは、おわびすると同時に、たいへん私ども遺憾に存じております。  その争議行為内容としましては、先生指摘のようにこまかく申し上げることは省かしていただきますが、五月十三、十四日、また第二回目として十八日から二十日、これを中心にして全国的な規模で争議行為が行なわれたわけでございまして、その結果、影響もごく簡単に申しますと、旅客列車貨物列車、実に五千百五十四本が運転休止のやむなきに至ったわけでございます。そういう状態に直面いたしまして、私ども、禁ぜられている違法行為をしたという責任を追及する意味で、関係職員を次のような処分にいたしました。  適用の法規といたしましては、公労法国有鉄道法でございます。この内容につきましても、先生承知だと思いますので申し上げませんが、公労法によります解雇処分をいたしました者が六十一名でございます。それから国有鉄道法懲戒免職にいたした者が七名でございます。それから解雇免職に至らないで停職以下の処分国有鉄道法の三十一条の規定によっていたしましたのでございますが、その内訳を処分別に申し上げますと、停職者数が三百五十四名、減給処分者が二万二千九百十三名、戒告処分者が千五十五名という数になっております。大体概数で二万五千人ということになります。  その公労法なりあるいは国有鉄道法規定適用した趣旨につきましては、これも先生に詳しく申し上げるのは釈迦に説法でございますけれども、いずれも、それぞれ公労法の十八条なりあるいは国有鉄道法の三十一条で禁止されている争議行為をあおり、そそのかし、あるいはそれに伴う職員としてあるまじき行為をしたということで、それぞれ条文趣旨に照らして処分をいたした次第でございます。
  26. 後藤俊男

    後藤委員 いま説明がありました免職解雇で総計何名ですか、五十三名の十五名ですから六十八名ですね。だからあなた方が結局国鉄職員六十八名の首を切ったということなんです。これはそのとおりですね。その切り方にも、公労法によって解雇をしたのと日鉄法によって解雇をしたのとあるわけなんです。その中で日鉄法によって解雇をしましたのは七名ですか、動労、国労含めて。  そこでお尋ねいたしたいのは、日鉄法というのは、別に労働運動を対象にしてきめられた日鉄法ではないと私は思うのです。だから、この人は公労法によって解雇をする、この人は日鉄法によって解雇をする、その基準といいますか、処分されるあなたのほうとしては、どういう基準に基づいてこの人は公労法による解雇、この人は日鉄法による解雇というような処分をされたか、そのことを説明してください。
  27. 山田明吉

    山田説明員 公労法十八条と日鉄法三十一条が該当条文になるわけでございまして、公労法によりまして解雇いたしたその条文適用といたしましては、これは今回の違法な闘争を計画、指導して、業務の正常な運営を阻害した責任者という意味で公労法適用をしたわけであります。また、国鉄法三十一条の適用により懲戒免職をいたした職員というのは、これらの争議行為闘争中、またはこれに関連いたしまして、勤務中の職員の強制連行をいたしましたり、あるいは列車の発車を妨害いたしましたり、あるいは暴力行為など行ないまして、国鉄職員として著しく不都合な行為があったと認められる者に対して国鉄法三十一条の条文適用したわけでございます。
  28. 後藤俊男

    後藤委員 だから、いま副総裁が言われました春闘における争議行為処分だと思うのです。だから日鉄法三十一条の適用によって、職員らしからぬ行為をしたからということで日鉄法適用した。しかしながら、国鉄だけでいいますと、分会長が十七名ですか、大体二十名前後の人が日鉄法の三十一条で首になっておる。ということは、対象になった分会長あたりは、あくまでも国鉄労働組合中央執行委員長の指令に基づく争議行為なんです。かってに個人がやっておるわけじゃないんです。これは一職員としてやっておるわけじゃないんです。これはこんなことを言わなくてもおわかりだと思うのです。それだったら、別に日鉄法で云々というような筋合いは私はないと思うのです。だからそういう考え方に立っていきますならば、幹部責任ということで処分をしたのか、あるいは実行行為ということを考えて処分をするのか、この点がやはり問題になってくると思うのです。たとえば国鉄労働組合の中央執行委員長、だれかというと、中川中央執行委員長ですね。これはいい悪いは別問題にしまして、今次春闘の指令の最高責任者なんです。これは何ら処分がないわけなんです。何にも処分を受けておらぬわけです、指令を出した親方は。ところが、下部末端の分会長が首を切られておるわけです。しかもその首切り方というものは、公労法以上に過酷な首の切られ方なんです、懲戒免職ですから。公労法解雇以上にこれは激しいわけなんです。そういうような処分が今回春闘で行なわれておるわけでございますけれども、なぜ一体日鉄法の三十一条によって処分をするのか。私の言わんとするのは、公労法によって処分する、日鉄法によって処分するという国鉄当局としての基準があると思うのです。分類があると思うのです。それを私ははっきり説明してくれぬかということを質問しておるわけなんです。ただ分会長が無理やりに、いやだいやだという者を引っぱっていって争議に入れたから、そういうことを、私は具体的な個々の現象を聞いておるのじゃなしに、争議行為としてやったことに対しまして、公労法ではなしに日鉄法の三十一条を適用して、下部末端の分会長を何十名と解雇されて、懲戒免職は、分会長は二十名前後でございますか、懲戒免職をやっておるわけであります。だから公労法日鉄法のこの処分に対するところの明確なる基準というものが国鉄当局としてもあると思うのです。その基準というのは一体どうなっておるか、どういう基準に基づいて公労法日鉄法処分の使い分けをしておるのか、それをお尋ねしておるわけなんです。
  29. 山田明吉

    山田説明員 ただいまのお話ですが、公労法適用して解雇いたしました者は六十一名でございます。それから日鉄法の三十一条の適用免職をいたした者は七名でございまして、その内訳は申し上げませんが、国労、動労それぞれ若干名ずつ該当者がおります。  そこで、ただいまも申しましたように、公労法適用解雇をいたしたという場合は、公労法の十八条の規定そのままでございまして、違法な争議行為、これはもうはっきりいたした実績と申しますか、具体的な事実があるわけでございまして、その闘争を計画、指導したという立場に立っていると考えられる者は公労法処分をいたしました。それから公労法処分をしないで、それじゃなぜ日鉄法で七名の免職をしたかという御質問でございますが、これはただいま申しましたように、その違法な争議行為を行なう過程におきまして種々国鉄職員として不都合な行為があったという具体的な現認に基づきまして国鉄法の通用をいたしたわけでございます。  それから御質問の最初のほうに、違法な行為であっても、その違法な行為を号令したのは委員長に発するのだ、したがって委員長一人にその責任を取らしたらどうかというような御趣旨だったかと思いますが、あるいは私が聞き間違えたのかわかりませんが、その委員長一人あるいは委員長から出された命令あるいは指令でございましても、それを消化する段階がございます。上級、中級、下級、それぞれその立場にある者につきましては、やはりそれに従って、それを下部に流して、あるいはそれを下部に実行させるような計画をし、指導をいたしております人については、やはり上級機関の責任で下級機関の責任が吸収されるとは考えられませんので、それぞれの具体的な事実に照らして処分の対象といたしたわけでございます。
  30. 後藤俊男

    後藤委員 いま下部の分会長とか、そういう人はやめて、中央執行委員長だけ処分すればいいじゃないか、そういう意味で私は言ったわけじゃございませんで、ただ問題は、公労法であるとか、日鉄法であるとか、そういう法律の関係も十分考えなければいけないと私は思いますけれども、一般的に考えた場合に、国鉄労働組合だけのことを一例として申し上げますけれども、中央執行委員長が命令、指令を出して、そしてその指令に基づいて十六時間、十八時間のストライキの計画の指令を流した。ところが各地方本部なり各支部なり各分会というのは、単一労働組合でございますから、それは受け継いで下へ流す、これは規約でもそうなっておるわけです。だれが一番張本人かといえば、この指令を出した張本人というのは中央執行委員長なんです。それなら今度の春闘で中央執行委員長の行政的な処分は何かありましたか。一切ないわけなんです。下部のほうのほんとうの末端の人が指令に基づいて動いただけで日鉄法の三十一条で一番過酷なところの懲戒免職になっておるわけなんです。懲戒免職です。自分が一代国鉄のためにしっかりがんばろうと入ってきたその人が懲戒免職になっておるわけです。その懲戒免職の原因というのは何かといえば、春闘でおまえら違法なことをやったからということであなた方が首切りをしたわけです。それを出した参謀本部の一番親方というのは全然何も処分がとられていないわけです。こういうあり方というものを考えると、今度の春闘におきます処分そのものは上部幹部のほうからだんだん下部末端のほうへ処分をおろしてきておる。最終的な職場の中における活動家をひとつねらい撃ちする、活動家をやり玉にあげてしまおう、活動家を首切ってしまおう、そういうねらいが、今度の春闘処分における中身を考えますときには十分うかがえると私は思うわけなんです。  さらにあなたが先ほどから十七条違反で十八条でやりました、こう言われますけれども、それならあなたにお伺いいたしますけれども、昭和四十一年、三年の全逓中郵事件、さらには都教組の最高裁の判決、両方とも公労法の十七条問題について最高裁の判決が出ておるわけです。この最高裁の判決をどのようにお考えになっておるか。これは私は非常に関連があると思うのです。これだけ二万数千名の大量処分をなさる、いまだかつてない大量処分をなさる以上は、あらゆる観点から考えてこれだけの処分を思い切って、腹をきめてあなた方はおやりになったと私は考えておるわけなんです。それならいま申し上げましたところの全逓中郵の最高裁の判決、さらには都教組の最高裁の判決、これらの精神というのを十分お考えになってやられたかどうか、この点をお尋ねいたします。
  31. 山田明吉

    山田説明員 御質問の中郵事件あるいは都教組の事件、私全貌を詳しく勉強しているわけではありませんけれども、これは刑事問題として提起された事件だと理解しております。それで今回の私ども国鉄処分は非常に大量ではございますけれども、民事関係で身分関係どうこうするという内容のものであります。  それで、最初に委員長に対して何ら措置をしていないではないかという御意見でございましたけれども、中川君はもうすでに民事的には、形式論でございますけれども雇用関係が切れておりますので、民事的な処置ということは考えられません。あるいは民事的でも損害賠償請求をするとかなんとかいう新しい問題でありますならば、その点はこれからの問題として考えられないことはないと思いますが、身分的な問題としては、形式的には国鉄との間は雇用関係が切れておりますので、これは責任を追及するという手だてがないわけでございます。  それから御質問の中心でございます中郵事件あるいは都教組事件、これは判決の一部を私ども拾い読みした程度でございますけれども、たとえば中郵事件では、争議行為が特に違法性の度合いが強くない限り刑事責任は免責されるとしたというふうに私ども解釈しております。民事上の責任についての言及は重点ではなかったというふうに考えております。  また都教組事件では、判例の中にはっきり被告人らに対し、「懲戒処分をし、または民事上の責任を追及するのはともかく」というような言及がございますので、これも起こりは刑事的な責任の問題から発したものであって、民事的なものには触れていないものと考えております。私ども処分も、範囲は広うございましたけれども公労法、国鉄法いずれも民事的な雇用関係、身分関係についての処分であるというふうに考えておる次第でございます。
  32. 後藤俊男

    後藤委員 いま、全逓中郵なり都教組の最高裁の判決ですね、確かに判決の内容としましては、民事罰はともかくとして、という文句があるわけなんです。ただしかし、公労法の十七条違反で今回かなり多数の人をあなた方のほうは首を切られた。ある人は公労法によって解雇、ある職場の活動家は日鉄法によって懲戒免職。いわば組合専従者よりかは籍のある職場の活動家のほうに過酷な首の切り方をあなた方はされたわけなんです。そこでこの公労法十七条違反ということは、いまあなたが少しさわられましたところの都教組の最高裁の判決なり、さらには全逓中郵の判決の中身を読んでみますると、それ以来このことが判例として適用されておると私は思っておるわけですけれども、何もかも十七条違反ということにはならぬ。たとえば国民の生活に長期にわたって重大なる障害を与えた場合と、あるいは暴力行為が伴った場合、さらにはその闘争目標が政治的なものであった場合、これら三つの問題に対する場合には十七条違反ということも考えられるけれども、それ以外の問題については、あながち全部が十七条違反だというような拡大解釈は間違っておる。だから民事罰についてはともかく、刑事罰についてはという最高裁の判決が出ているわけなんです。だからそれ以来、いま申し上げましたような争議行為につきましてはほとんど無罪になっておるわけなんです。ところがその刑事罰をあなた方は考え直して、民事罰のほうへ民事罰のほうへと、最高裁のこういう判決が出た以上は民事罰を重く見なければいかぬというような考え方で、今度の春闘におきましても、いまだかつてない動労、国労合わせて二万数千名という大量処分をなされたわけなんです。  ところが、この最高裁の判決そのものは、民事罰の云々のことにはさわっておらぬと言われますけれども、それならもう一つ最高裁の判決をお尋ねいたしますが、千代田丸事件というのがあるわけですね。これもやはり公労法の十七条、この問題につきまして最高裁は判例を出しておるわけなんです。この千代田丸事件の最高裁の判決に対して副総裁としてはどうお考えになっておるか、この点をお尋ねいたします。
  33. 山田明吉

    山田説明員 千代田丸事件というのは昭和三十八、九年ごろの事件で、最高裁にかかったものだと思いますが、私いま手元にその判決文を持っておりませんけれども、これにつきまして私ども承知しておりますのは、結局処分の対象になります職員に対して解雇するかどうか、その他どのような措置をとるか、その違反行為の態様や程度にじ応て公社側の合理的な裁量権があるというようなふうに読み取れる判決だというふうに承知いたしております。
  34. 後藤俊男

    後藤委員 それはあなた一番肝心なところを抜かしております。その判決では、これははっきり——これは全部読むと時間がかかりますから、その点だけ申しますと、いわゆる現在の憲法におきましては、二十八条で労働三権が与えられておる。この憲法の精神に照らし合わしてということがはっきり入っているわけなんです。行き過ぎの処分はだめだ、これははっきりもう千代田丸事件で最高裁の判例が出ておるわけなんです。ですから私の言いたいのは、先ほど言いましたように、全逓中郵の最高裁の判例、さらには都教組の最高裁の判例、さらにいま申し上げましたところの千代田丸のこの最高裁の判例、なるほどあなたがおっしゃいましたように、さきの全逓中郵なり都教組の判例につきましては、刑事問題が中心に出ておるわけです。ところが、この千代田丸の問題につきましては、昭和四十一年に批准されたところのILO八十七号の精神、このILO八十七号の精神というのは、日本国憲法二十八条でうたわれておる労働者の団結権、団体交渉権、罷業権、これを認めておるわけなんです。だからあながち何もかも、とにかくやったこと全部公労法十七条違反だ、そういうふうなやり方につきましては行き過ぎであるから、批准されたILOの精神なりあるいは今日の憲法二十八条の精神を十分考えて、民事罰についても、とにかくその範囲内において、その範囲を越えないようにひとつやりなさい、これは千代田丸事件の最高裁の判例にはっきり出ておるわけなんです。だからいま申し上げましたところの三つの最高裁の判例を考えてみましても——今回処分されましたのは大量処分ですね。国鉄労働組合には二万一千六百八十二名、動力車労働組合には三千四百七十六名、総計いたしますと約二万五千名ですね。  ここで参考までに申し上げますと、昭和二十八年から昭和四十五年の十七年間ですか、この十七年間の全部の処分の総合計はわかりにくくなりますから申し上げませんけれども、減給処分だけを申し上げますと、昭和二十八年から昭和四十五年までの十七年間に減給処分を受けたのが一万四千六百二十一名なんです。これはあなた方も資料を持っていらっしゃるから間違いないと思うのです。一万四千六百二十一名。ところがこの間の春闘におきまして受けた減給処分が一万九千九百十四名です。過去十七年間に受けた減給処分よりかさらに五千名も減給処分をふやしておるわけなんです。ところが解雇なり停職なり戒告等を見ますると、大体そんな大きな差はないわけなんです。あなたのほうは減給を中心に徹底的に処分しておるわけです。どこに一体ねらいがあるのだろうか。十七年間に一万四千名しか処分せぬものが、今度の四六春闘だけで一万九千名の減給処分をしておるわけなんです。これは国鉄労働組合をひとつ兵糧責めにしよう、持っておる金をひとつ全部この処分で使わしてしまってやろう、そういうような作為的な処分であるといわれても、これは間違いないと思うのです、約二万名の減給処分ですからね。そういうふうな考え方に立ちますと、先ほど申し上げましたように、昭和四十一年の国会で批准されましたILOの精神ですね、団結権なりあるいはそれらに対する行動の問題ですね、これらから考えますときには、いま申し上げました減給処分が二万名、国労財政を徹底的におとしいれ、国鉄労働組合の活動面あるいは財政面をたたいてしまおう、そういうような方向処分を明らかに作為的に今度の春闘では国鉄当局はやっておる、こう申し上げましても私はこれは間違いないと思うのです。そうでないというのなら副総裁、過去十七年間に一万四千名しかやらぬものを春闘で約二万名の減給処分をやった、この説明をしていただきたいと思うのです。そうじゃなくて、あなたのおっしゃるとおりだと言うのなら説明は必要ございませんけれども、いかがですか。
  35. 山田明吉

    山田説明員 私ども何らかの意図を持って特別な処分をしているとは毛頭考えておりません。  それから過去の処分の事例と比較されました数字をおあげになりましたが、過去の事例、ちょっといま私正確な数字を持っておりません。確かにことしの処分が比較的多かったということは事実でございます。と申しますのは、やはりことしの春闘におきます争議行為の規模そのものが、当時の新聞報道でも国鉄始まって以来というような——まあ新聞報道でございますから少しあやはあるかもわかりませんけれども、そういうふうな表現をされておりますし、それから、その争議行為の期間中に欠務をいたしました職員の数が、いままでになく、始まって以来の欠務者の数を出しております。これらに対しまして厳正な基準をもちまして処分をしたわけでございます。  なお、その欠務の状況につきまして若干真鍋常務から補足させていただきたいと思います。
  36. 真鍋洋

    ○真鍋説明員 今回の春闘での闘争の規模でございますが、ただいま山田副総裁から申し上げましたように、国鉄始まって以来の大規模な闘争になりました。ストライキを行ないました時間帯も十九時間という長時間に及んでおります。これはいままでの国労、動労の行ないました闘争の中でも最大のものでございます。したがいまして欠勝者が非常に多く出たということでございます。従来欠務者の場合にも、三十分ないし一時間程度の欠務の場合には、大体戒告程度の処分で終わっておるわけでございまして、長時間に及びます欠務は、動力車乗務員と同様いままでも減給処分にいたしておるわけでございまして、今回特に処分基準を引き上げまして大量の減給処分をいたそうという意図は全くなかったわけでございますけれども闘争の態様からこういった形の大量の減給処分者を出したということでございます。
  37. 後藤俊男

    後藤委員 いまあなたが言われました、いまだかつてない大闘争であった、だから処分者がふえてあたりまえじゃないか、一口に言えばそういう説明ですけれども、それなら昭和四十四年十月のEL・DL機関助士関係の大闘争につきまして、これは十四時間の闘争です。先ほどあなたは十六時間とか十九時間とか言われましたけれども、このときの減給は千三百九十七名なんです。停職が五十七名、戒告が二百六十二名というようなことで非常に少ないわけなんです。少ないからもっとせいという意味で私言っておるわけじゃないですけれども、ところが今度は時間が三時間か四時間ふえただけで、とにかく減給だけ問題にしましても、過去十七年間に一万四千しかやっておらぬのを四十六年の春闘だけで二万人やっておるわけなんです。十七年間の積み重ねよりか多い。この間の春闘に対する減給処分だけ考えてみましても二万人やっておるわけなんです。これは何か作為的にあなた方考えてやっておると言っても間違いないでしょう。どうだろう真鍋さん、あなたどんな説明をしてみたって現実がものをいいますよ。
  38. 真鍋洋

    ○真鍋説明員 四十四年の一〇・三一闘争でございますが、これはEL・DL機関助士廃止反対闘争ということで長時間のストを行なっております。この場合は動力車労働組合が主体でございまして、動力車労働組合が行ないました闘争というのは時間帯としてはかなり長くなりますけれども、数としましてはこの程度の数になっております。  今回の場合には国鉄労働組合が主体になっておりまして地上勤務者が大半でございます。この場合明け番と次の番と両方の者が長時間の欠務に連なっておるというようなことで、時間帯としましては長時間でございますが、闘争の態様から申しましてこういう形の減給処分者を出したということでございます。
  39. 後藤俊男

    後藤委員 その処分中身が多い少ないと言うたところで、さらにまたこういう気持ちであなた方やったんじゃないかと言ったところで、そうでございますとあなた方が説明されるあれはないと思うのですが、ただ先ほどから私いろいろ考えてみますと、いままで国鉄労働組合なり動力車労働組合の分会長が日鉄法によって解雇されたという処分はなかったと思うのです。よほどの飛び離れたことがない限りはなかったと思うのです。ところが、今度の春闘におきましては分会長が、何名くらいになりますかかなりの数が懲戒免職という形で日鉄法三十一条で処分されておるわけなんです。さらにまたいま申し上げましたように、この間の春闘の結果として二万名余り、二万九百四十二名が大量処分を受けておる。その中でも特にあなたのほうは減給の処分にねらいをつけておる。この減給というのは、私が言うまでもなく賃金カットですから、直ちに国鉄労働組合の財政にも大きく響くわけなんです。ということはどういうことになるかといえば、組合活動の財政面を大きく制約するということなんです。ILOの八十七号を考えてみますと、活動面なり財政面に対して制約するようなことを使用者はやっちゃいかぬ、これが大体八十七号の精神なんです。であるにもかかわらず、あなた方のほうはそういうことはもう抜きにして、この八十七号の精神をも無視して、財政面の枯渇というところへねらいをつけて減給二万名、何べんも言いますけれども、過去十七年間にやった以上の二万名の減給処分をやっておる。そう申し上げましても私は間違いないと思うのです。  さらにまた職場におきましてはマル生運動ですね、この委員会におきましてもこのマル生運動につきましては一ぺん問題になりましたけれども、このマル生運動に批判的な職場に対しましては、さらにその処分が多くきておるということも、これははっきり言えると思うわけなんです。  それと最終的に私が申し上げるのは、先ほど言いましたように都教組の最高裁の判決なりあるいは全逓中郵の最高裁の判決、これらを考えてみるときには、これらは刑事罰の問題が入っておる。刑事罰の問題は最近裁判におきましてもほとんど無罪になっておる。だから民事罰のほうへ重きを持っていかなければいかぬ。この民事罰とは一体何だといえば行政処分だというような考え方のもとに、国鉄当局としては二万一千名近い大量処分を今回行なっておられるというふうに考えても私は間違いないと思うのです。そうなった場合に、処分されたあなた方のほうは一体今日どういう心境でおられるかわかりませんけれども、先ほどからいろいろ言っておりますように、日本国憲法二十八条の労働三権の問題、あるいは昭和四十一年にこの国会で批准されましたILO八十七号の精神、さらには公労法の十七条違反の問題なり日鉄法関係、ずっと一連の関連を考えてみますときには非常に間違った処分のやり方である、すなわち不当処分である、私はこう断ぜざるを得ないと思うのです。こう思わぬわけにいかぬわけなんです。これは労働大臣も、その当時は労働大臣じゃなかったかもわかりませんけれども、この国鉄動力車労働組合なり国鉄労働組合に対する二万一千名に達する、しかもいま申し上げましたような減給処分に中心を置いて、こういうふうなかっこうで大量処分をされた。それが一体今日問題になっておる国鉄の再建の道に通ずる道であろうか、そこに私は思いをいたすわけなんです。やるならやってみよ。徹底してこっちもやってやろう。とにかく理屈抜きにあなた方は大量処分を今度の春闘においてはされたわけですよ。これは大臣の御感想はいかがですか。日本のいわゆる労働行政の最高の責任者であります労働大臣としていまの論争をどういうふうにお聞きになり、どういうふうな気持ちを持っておられるか、この点をお尋ねいたしたいと思います。
  40. 原健三郎

    原国務大臣 さいぜんから後藤先生国鉄当局とのお話を聞かしていただきましたが、これはたびたび申されたように、ストライキがいままでになく大きかった、大きいから処分も大きくなった、こういう結論が出ておるわけでございますが、これは大きい小さいというよりも、こういう毎年春闘等を控えて労使関係が悪く、ストライキを繰り返してしまう、いわゆる悪循環をいたしておることは私どもとしては非常に遺憾千万に存ずる次第であります。その最大の原因は、両者における、使用者と労働組合との間の不信感がやはり非常に強いのじゃないか。こいねがわくは、両者にもう少し信頼関係を復活できないものであろうか。あまり仲が悪くなってしまって、その道がなければ、やはり別途に考えてでも両者の信頼感をもっと取り戻して、それから第二段として交渉にも入っていくというふうなことにしないと、このままほっておきますと、やはり悪循環を繰り返すようなことを深く憂えております。何とかいい方法はないか、研究をいたしたいと思っております。
  41. 後藤俊男

    後藤委員 それで副総裁、いままでいろいろ申し上げましたが、時間が十分ないので私らも言いたいことを十分言いませんので、まだ意の尽くされておらぬこともあるかもわかりませんけれども、ただ私は、あなたのほうが十七条違反だ、あるいは日鉄法三十一条だということで大量処分をなさった。処分をするほうも、気持ちの上ではそんないい気持ちじゃないと思いますけれども、少なくとも国鉄の職場で働いておられる二万一千名の人がこれだけの大量処分を受けておるわけなんです。その処分そのものは、本人だけではなしに家族に響き、親戚に響き、これはかなり大きな問題なんです。それならそんな処分を受けるようなことをおまえらやめたらどうだとあなた方言われるかもわかりません。それはやはりそうじゃないのです。そこに問題があるわけなんです。ただ、いま労働大臣も言われましたけれども労使関係の問題もいろいろあると思うのです。さらにまた国鉄再建の問題、日本の交通政策の問題も出てくると思うのです。  ただ私は、一口に言って今日の国鉄の当局として、総裁として、国鉄を再建しなければいけないという気持ち、非常に財政的に行き詰まっておるということは、何も国鉄当局が宣伝しなくとも国鉄職員は全部知っておると思うのです。いかにして国鉄を再建するか、これが今日のやはり一つの大きな問題になっておると思うのです。ところが、あなた方のほうはマル生運動だということで、不当労働行為を飛び越えてやりたいほうだいやって組織の分裂をはかっておる。そうじゃないと言いたいだろうけれども、その事実というのは全国的に国鉄の職場にたくさんあるわけなんです。  さらに私は言いたいのは、少なくとも今日の国鉄の財産というのは、今日の時価に引き直すと二十兆円ないし二十五兆円の財産だと思うのです。しかも政府から出しておるところの利息のつかぬお金というのは百二十億かそこらじゃないですか。借金ばかり多くて資本金が非常に少ない。これを立て直すためには一体どうやるかという国鉄再建のはっきりした方向というものがいまだにこれは出ておらぬわけなんです。そういうはっきりした再建の方向が出ておらぬ今日といえども、あなた方はとにかく職員のけつさえたたけば再建できる——人間というものは納得さえすれば一生懸命に働くと私は思うのですよ。納得させずにとにかく働け働けの働け一方で、マル生運動を通じて、とにかく国鉄労働組合がじゃまになるからこんなものは組織分裂さしてしまって、徹底的に職員職員ということでやれ、これが国鉄当局がやっておられる今日の方向だと私は思うわけなんです。こんなものはあなた方何ぼ言われたところで、私はそういう方向に進まぬと思うのです。いかにして国鉄を再建するか、今日の財政状態をどうやっていくんだ、国としても政策が大きく入っておる国鉄の運営そのものを根本的に検討をして、こうやっていけば再建できる、これを国鉄四十数万みんなが納得すれば、あなた方がけつをたたかなくても働く人は十分に働くのですよ。それをあいまいにしておいて、とにかく働きなさい働きなさいでけつをたたく。マル生運動だということで不当労働行為国鉄労働組合を分裂させる。幸い春闘である。長時間やったからいまだかつてない処分をやろうというので二万一千名の処分をやる。その中でも減給を二万人やる。減給をやると、これは国鉄労働組合の財政が国鉄の財政と同じで非常に困ってしまうぞというようなところにねらいをつけた春闘の今次処分であるというふうに私は考えるわけなんです。これらを考えますときには、再三再四繰り返しになりますけれども、先ほど言ったような都教組問題や中郵の最高裁の判例を考え、ILO八十七号の精神を考え、憲法二十八条の労働三権の問題を考えてくるときには、国鉄当局がやりました今度の処分は全く不当であり、でたらめである、ねらいがあってかってにやった処分である、こういうふうに断定せざるを得ぬわけなんです。こんなことをやられて、はたして国鉄の再建に通ずるのか、私はそう言いたくなるわけなんです。何も国鉄労働組合組合員で国鉄再建に反対しておる者は今日だれ一人おりませんよ。みんなが勤労意欲を持って一生懸命にやっておるわけなんです。国がやるべきことをやってくれ、国鉄当局も与えるものは与えてくれ、これはもう労働者の気持としてあたりまえのことなんです。あなた方やることもやらずして、おまえらがこういうことをやったからというので二万一千名という大量処分を出す。これがはたして国鉄の再建に通ずる道ですか。そういうふうなことも私は十分考えていただく必要があると思いますし、さらに今回の不当処分二万五千名、動労、国労含めて。さらに職場の分会長を三十一条違反で懲戒免職しておる。これらの問題については、今後裁判において私は争われると思いますけれども、これは全く間違った処分であると思います。むちゃくちゃな処分である。いわゆる不当処分である。私はこれは考えぬわけにはいかぬわけなんです。私はそういうふうに考えておるわけですが、きょうはからだの都合で総裁は御出席にならなかったわけで、その代理として副総裁御出席いただいたわけでございますけれども、副総裁としてはどういうふうに今次の不当処分に対して、お考えになっておるか、この心境をひとつ披瀝をしていただきたいと思うわけです。
  42. 山田明吉

    山田説明員 おことばを返すようございますけれども、今回の処分は、私ども不当だと考えていないわけでございます。これは長くなりますのではしょる表現になりますが、違法行為が毎年行なわれて、それに対してやはりわれわれとしては現行の法秩序の解釈上、処分をしなければならないという事態は非常に残念であり、遺憾だと思っております。それで立法論として争議行為がいいか悪いかという議論があることも承知いたしておりますが、現在の法秩序では、国鉄職員には争議行為が明らかに禁止されているわけでございます。それをあえてやるという事態に対しましては、やはり国民に対するわれわれの姿勢の上から、これを見のがすわけにはまいりません。そういう点で事態が遺憾であり、私どもも非常に残念だと思っております。  それから憲法論とILOのお話がございましたけれども、これも私ども専門的な学者でございませんので、必ずしも意を尽くして申し上げる知識がございませんが、憲法論からいいましても、確かに団結権を保護する規定がございます。その反面、自由の権利の乱用を慎むあるいは公共の福祉を尊重しろというような規定もございますし、憲法の上に立ってそれらの現行法の公労法なり国鉄法ができている現状でございますので、私どもとしてはそれを適正、公平に執行するということをいたしたわけでございまして、その点でいろいろ何か意図を持って処分をしたのではないかというような御質問がございましたが、そういう考えは毛頭ございません。  それから、これからの国鉄の再建について、この処分が一体どういう響きを持つか、どういう影響があるかという御指摘でございますが、私ども率直に、ざっくばらんに申しまして、争議行為をやった、それに対して処分をした、それによって事態が一ぺんによくなるというふうには考えておりません。これはただいま申しましたように非常に遺憾な状態である、そういう意味で、これからの再建についてはほんとうに労使協調して取り組んで、いままでもそのつもりでおりますし、いくつもりでおります。それにつきましては一昨年の国会で御審議いただきました国鉄の再建措置法、これによって一応国鉄の再建のめどをお示しになっておりますので、その土俵で国民に対する国鉄責任を果たし、それから内部では労使手を携えていく方向でいままでもまいっておりますし、その方向でまいりたいと思います。  その過渡的ないろいろな手段がございます。国鉄の財政的な危機の問題も御指摘のとおりでございますし、それから今後ますます発展させなければならない国鉄の分野もございます。そういう点につきましては一つの経営をよくするという哲学が必要だと思うわけでございます。それに対して現場から盛り上がっているのが、たとえば国鉄を明るくする運動とかあるいは国鉄再建の会とかあるいは生産性運動というようないろいろな表現で出されているわけでございます。その表現のしかたは異なるにいたしましても、私は大多数の職員は——現在四十六万人おりますが、これはいずれも国鉄をよくしようという意図でやってくれるものと確信いたしておりますし、また私どもも一応管理者としてその芽を伸ばしてまいりたい、このように考えておる次第であります。
  43. 後藤俊男

    後藤委員 いま言われました、国鉄に四十六万人おって、四十六万の中に国鉄を悪くしようと考えておるような者は私は一人もおらぬと思うのです。何かあなたの話を聞いておると、そういう者がおるような印象を与えるようなものの言い方でございますけれども、そういう者はおらぬと思うのです。さらにまた、先ほど言われたマル生運動の問題なり職場を明るくする運動なり、いろいろな運動があると思いますけれども、これがほんとうに職場の一職員の中から自発的に出てきたものなら、私はりっぱなものだと思うのです。しかし、私の見るところではそうばかりではないと思うのです。いろいろ非常に複雑な動きの中からそういうかっこうが出てきておる。出てきておらぬとは私言いませんけれども……。  そこで、私はこの今回の春闘の不当処分の問題について、国鉄当局としてもう一ぺん再検討する必要があると思うのです、この処分について。いかがでしょうか。
  44. 山田明吉

    山田説明員 この処分そのもののやり方についての再検討を、もう必要がないほど慎重にやりましたので、端的にいいますと再検討をするつもりはございません。ただ従来の、これも手続的にきめられております苦情処理会議という機関がありまして、これらについてその処分を受けた立場の人の弁明、弁護の機会は十分持ちたいと思っております。
  45. 後藤俊男

    後藤委員 そうしますと、いまあなたが言われた現場なり、そこにおきましては懲罰委員会ですかあるいは苦情処理委員会ですか、そういう機関を通じて十分弁明、弁護を聞いていく、まあそういう回答だと思うのですが、それも一つの今日の制度になっておりますから、それは当然やってもらわなければいかぬわけでございますけれども、いずれにいたしましても、先ほどからいろいろ申し上げましたように、今次大量処分につきましては、私としては先ほどから申し上げましたような考え方に立ちまして種々申し上げたわけでございますから、ぜひひとつ国鉄当局としましても、今次の処分につきましては、しかるべく法廷で争う問題は争う問題としまして、もう一ぺん十分なる再検討をしていただく必要があろう。いわば一ぺん発表したものを検討したら、これは多過ぎたで減らすわいというようなことにはなかなかいくまいと思いますけれども、そんな簡単な今度の処分じゃないと私は思うのです。少なくとも二十八万人おる国鉄労働組合の中で二万人もの人が処分されておるわけなんです。これはかなりばく大な数になるわけなんです。これらを考えるときには、いままでの処分と違って国鉄労働組合なり動力車労働組合としても、それぞれの立場に立ちましてこの処分に対しては今後闘争を続けていくと思いますけれども国鉄当局自体としてももう一ぺん考え直す必要がある。できるのならばこれを一ぺん全部白紙に返してしまって考え直す、これくらいな大きな度量を持っていただくところに国鉄再建に通ずる道があるのじゃないか。おまえひどいことを言うと思われるかもわかりませんけれども、それくらいな太っ腹でかからぬことには今日の国鉄再建に通ずる道というのは私は開けぬと思うのです。ぜひひとつそういう方向で今後とも国鉄当局として考えていただきたい。このことを最終的に申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  46. 森山欽司

    森山委員長 次に島本虎三君。
  47. 島本虎三

    ○島本委員 去る七月の十七日に、北海道の住友石炭鉱業歌志内炭礦において、石炭事故史上まれだといわれる切り羽のガス突出による崩落による事故によって、死亡者が三十名、重軽傷者が十七名という多数の罹災者を伴う重大災害の発生を見たわけであります。これはいままでの数限りない炭鉱災害の中でも悲惨でございまして、遺憾であります。同時に鉱山保安行政の重要性を痛感するとともに、とうとい人命をまたしても三十以上もこれまた失うようになったということには、胸が詰まる思いがするのであります。きのうも衆議院の石炭対策特別委員会で、労働大臣として所信の表明がございましたが、その中ではっきり労災補償の早期支給と遺家族の援護に遺憾なきを期すると言明されました。私どもとしては、再びこれを起こさないようにするためにも、十分この対策に当たってもらわなければならないのであります。災害の原因の究明と相まって、こういうことの防止のために、労働省でも通産省とともに、まさに万全を期しなければならない。大臣もこのようにはっきり言っておるわけでありますから、今後に私どもは期待いたします。きのうちょうど合同慰霊祭でございました。私どもはるかに哀悼の意を捧げたのでありますけれども、何よりもそれにこたえる道は、再びこういうような事故を起こさないことだ、これ以外にはございません。  それで次の質問は、そういうような観点に立って、労働省を中心にして通産省の対策を聞いてまいりたい、こういうように思うわけであります。  まず一番先に聞いてみたいことは、生産も人命にかえがたいことは、これはもうだれも知っていることでありますけれども、閉山から再建再開にちょうど立ち上がったやさきであります。そして出炭増をはかるために異常な努力が集中されるそのときであります。そして保安管理の事故、こういうようなものを勃発さしてはならないという、この注意をしなければならないそのときであります。ちょうど時期としてもその時期。これに対しては、今後やはり労働大臣として重大な関心を持ってもらわなければならないのです。これに対してまず労働大臣の所見を伺って、次の質問に入りたいと思います。
  48. 原健三郎

    原国務大臣 この間石炭対策特別委員会においても所見を申し上げましたとおりでございます。過般のなくなられました方々に深く弔意を表し、御遺族に対しても深甚の御同情を申し上げております。いま島本先生のおっしゃったように、毎年こういうことが繰り返されておることは非常に遺憾千万でございまして、いろいろやっておりますが、なかなか災害が絶無というところまでまいりません。これは通産省と協力いたしまして、保安関係等を十分強化して、災害の起こらないように万全の処置をいたしたい、これを機会に一度通産省、労働省の係官同士相談して、災害防止の対策をもう一度練り直してみたい、こう思っております。
  49. 島本虎三

    ○島本委員 私も現場へ急行いたしまして、遺族はもちろん、会社側、労働組合側、またそれぞれの関係官庁、その意見も全部聴取いたしました。ちょうど昭和四十四年の五月にも、噴出量が三千三百立方メートルという大規模のガス突出によって十七名が殉職しているわけです。それから二年なのです。それと同時に、じゃ対策はというと先進さく孔であるとか、ガス抜き工法であるとか、誘導ハッパであるとか、退避方法、こういうような対策は十分樹立したはずなのです。はずなのにまた同じような事故が起きたのであります。こういうようなことで十分な対策を講じていたということが言えるかどうか。まずこれは人命の保全ということ、同時にこれは事故が起きてしまったあとは全部労働省が見なければならないような状態の現在、やはりこういうようなことに手ぬかりがあるようなことではいけないのです。これだけやったということは通産省のほうでもちゃんと証明しているのですが、通産省、こういうような二年前の対策方法は万全だったのですか。その万全な対策でもこのような事故は起きるのですか。こういうような事故は不可抗力なのですか。
  50. 高木俊介

    ○高木説明員 ただいま先生指摘のとおり、確かに同じ炭鉱の同じ層を掘っております歌志内炭礦におきまして昭和四十四年の五月十六日、掘進先におきましてガス突出を発生いたしました。死亡十七名、重傷二十四名、軽傷三名、計四十四名の罹災者を生ずるような大きな災害を発生いたしております。今回の災害は、先生現地でいろいろ御調査いただきましたように、当時の掘進先と違いまして切り羽内部から突出したという一つの違いはございます。ただし同じ層で発生した、あるいは同じ区域で発生したということから見ますと、今後相当強化された対策をとらざるを得ないのじゃなかろうかというように考えております。当然四十四年の災害発生後そのまま置いたわけじゃございませんで、実は四十四年発生後一月でございますけれども、六月の八日から二十二日にわたりまして、歌志内炭鑛ガス突出特別対策委員会という委員会を北海道札幌に設けまして、これに大学の先生が四名入っておられますけれども、そのほか現地で従事するような、ガス突出の経験をお持ちの各山のエキスパートにお集まりいただきまして、今後の対策をいかにすべきかということでいろいろ案を練っていただいたわけであります。その案を簡単に御説明いたしますと、問題点としては四つございます。一つは予防という点で、いかにしてガス突出を起こさないようにやるかという点におきましては、炭層内に含まっているガスをできるだけ抜くことだ、その抜く方法といたしましては、先ほどもお話ございましたけれども……。
  51. 島本虎三

    ○島本委員 簡単にやってもらいたいのです。というのは、きょうは時間三十分に限定されているので、そういうようなことは私十分知っておりますから、そのポイントだけ言ってください。それでよろしい。あなたの言わんとするのは私のノートにあります。それだけやっていてなぜこれが起きるのですか。だから不可抗力なのかと聞いているのです。やらないと言っているのじゃないのです。やっていることを私は四つあげたでしょう。これに対しては十分これだけやっているけれどもまたこういう事故が起きた、不可抗力なのかと聞いた。できないならできないと言ってください。
  52. 高木俊介

    ○高木説明員 ただいま御指摘の点でございますけれども、十分の対策をやっていた、ただし予知しなかった突出事故であるということはいえるのじゃなかろうかと思います。
  53. 島本虎三

    ○島本委員 ちょうど組合側と会社側で再建がきまったのは六日であります。六日時点の一日の出炭量は一千三十トンであります。そして今度いよいよ金を出すことに石炭鉱業審議会できまった、これが十六日であります。十六日には千六百二十トンに出炭量がふえているのであります。そして十七日の事故なのです。こういうような点を考えてみたならば——対策やっているというのです。やっているのを認めるのです。やっていながらもこういう事故が起きるのです。突出は予想しなかったというのです。しかし出炭の量は一千トンから今度千六百二十トンにぐっとその前の日上がっているのです。その次の日の事故です。これはやはり大臣も相当考えて対策に当たらないとだめだ。これは因果関係ありませんか。
  54. 高木俊介

    ○高木説明員 いま先生指摘のとおり、六日の日に労使で再建ということがきまって、その当日千三百トン、その前後を見てみますと、この山は再建ということにおいての取り組みで、組合のほうの再建に対する、存続するかしないかの投票をやっております。その前後の出荷率が、たとえば一日で申しますと七〇%。
  55. 島本虎三

    ○島本委員 それはあなたのくれたデータでやったんだからわかっています。
  56. 高木俊介

    ○高木説明員 出荷率の増によりまして、六日の日は七七%の出荷率でございます。十六日の日は八七・二%という増でございます。その増が生産の増ということで、決して強化というふうにはこの点では見られないというふうに思っております。
  57. 島本虎三

    ○島本委員 その場合、避難方法だとか、こういうような状況は完全だったのですか、イエスかノーでいいです。
  58. 高木俊介

    ○高木説明員 掘進につきましては十分でございますけれども、採炭については検討しなければならぬ点があると思います。
  59. 島本虎三

    ○島本委員 監督官を常駐させるということは四十四年の災害のときにはっきり言明していますが、当時常駐させておりましたか。
  60. 高木俊介

    ○高木説明員 現在は常駐はしておりません。ただし月に一回あるいは二カ月に一回と、いろいろな検査でほとんど月のうちに延べにしますと十日あるいは十五日くらい調査に行っております。
  61. 島本虎三

    ○島本委員 四十四年のときには大臣が常駐させると言っておいてこういうことになったのです。これだったら労働大臣、やはり問題ですから、機構を今度改革によって縮小して、勢い縮小に伴って保安要員も減員になりますと、常駐させると言いながらも、こういうような現状、それが事故につながってくる、こういうようなことだとすると、これは大臣、十分考えなければだめです。炭鉱の労働災害は人命を失うことなんです。生命にかかわるのです。そういうようなことからして指一本腕一本、こういうような問題じゃないのでありまして、これは重大な関心を払ってもらわなければなりません。この点でもまだ官庁としても、政府としても、この辺の手抜かりがある、こう言わざるを得ないと思います。そして同時に労災関係においては十分意を払う、こういうことでありますが、家族の点をあわせて、どういうふうにやっておりますか。
  62. 岡部實夫

    ○岡部説明員 労災関係につきましては、死亡労働者の方三十名の遺族に対する補償につきましては、遺族補償年金、前払い一時金並びに遺族補償一時金、葬祭料等につきまして、それぞれなくなられた方の計算等の準備をすでにいたしております。請求が出次第、直ちに支給できるような体制に入っておるわけでございます。
  63. 島本虎三

    ○島本委員 一人平均どれほどになりますか。
  64. 岡部實夫

    ○岡部説明員 遺族補償年金におきましては二十九名分でございまして、平均四十八万七千円、最高の方が七十六万三千円、最低が二十三万一千円、前払い一時金につきましては、平均が百十万六千円、最高が百五十二万一千円、最低が五十六万三千円というようなことになっております。
  65. 島本虎三

    ○島本委員 「ばんだい号」のああいう事故があったり、また現在の交通災害の中でも、人命というものを損傷した場合にはそれぞれの値段が違っている。   〔委員長退席、伊東委員長代理着席〕 いまの労災の場合なんか、こういう低い額では非常に困るじゃありませんか。これは改定の余地はもう全然ないのですか。当然改定させる必要はあります。こういう考えはありますか。
  66. 岡部實夫

    ○岡部説明員 ただいまの御指摘の点でございますが、従来からも各方面からこの改善につきましての御要望は出ておりました。昨年の法律改正におきまして一応国際基準に達するという目標のもとに改善をいたしたわけでございまして、今日の水準になったわけでございますが、御指摘のように、いまこれで十分だということを申し上げるわけではございませんが、ただ労災補償のたてまえが一時金から年金制度へという基本的な改善を行ないまして、ために一時金等において、ほかの、たとえば自賠との関連を見ましても若干低いというようなことがございます。ただ年金全体の支給ということを通じて考えます場合に、直ちにほかの補償と直接比較できないという点もございますので、今後、御指摘の点につきましてはさらに他の各類似の補償の給付の水準等もにらみ合わせて引き続き検討してまいりたい、こう考えております。
  67. 島本虎三

    ○島本委員 万全を期してもらいたいと思います。なお大臣もその点については衆議院の石特のほうではっきり言明しておりますので、その点万全を期してもらいたいことを重ねてお願いします。  それからあわせて、いま再建に立ち上ったやさきであります。今後こういうような事故があれば労務者はもう四散するような傾向さえあります。それをはっきり踏み切らして再建に一生懸命挺身させるためには、もうこういうような事故はないんだ、起こさないんだ、こういうようなところまでいかないとだめだと思うのであります。そういうようなことからして、いままでの通産省側の答弁はまことに大臣不十分であります。したがって、今後再発させないという方法があるのかどうか。それと同時に、採算にかかわらず保安を重視することによって事故は完全に防げるんだ、こういうようなことなのか、最後に不可抗力なのか、この三つの立場に立って御答弁を賜わりたいと思います。今度は長たらしいことは要らぬから。
  68. 高木俊介

    ○高木説明員 保安の強化ということによってできると思います。ただし、これは生産関係とは別途でございます。
  69. 島本虎三

    ○島本委員 これはいまのように採算とあわせて保安も一緒にやっていくんだ、こういうようなことになりますと、どのような状態でも生産をあげるためには保安がおろそかになるというのがいままでの常道であります。そうではないといっても事故が証明するのであります。今回のことも、いみじくも二年前に完全にこれをなくするということの約束、また監督官も常駐させるという約束、そういうようなことも二年間に十分果たされない、この間隙を縫って起きた事故であります。そうして、やはり保安というものは重要でありますから国費投入によってもこれは完全に人命を守るような、こういうような方法も必要ではなかろうかと思うのであります。採算とあわせて、その独立採算の中で保安もやる、それはできません。ここが重要だと思うのです。これは大臣でなければだめなんです。これは閣議にもはかるなりして保安の点は採算を別にして十分考えてやる、こういうような体制のもとにお願いをいたしたいと思うのでありますが、大臣の御高見を拝聴しておきたいと思います。
  70. 原健三郎

    原国務大臣 御説全く同感でございまして、こういう年々歳々災害が起こることははなはだ遺憾千万であります。それで通産大臣とも直接相談いたしまして、保安に対して万全を期したい。たとえば保安監督官を常駐させるとか等々、いまお話しのような点を通産大臣と相談してすみやかに善処するよう対策を講じたいと思っております。
  71. 島本虎三

    ○島本委員 もっともっとやりたいのでありますけれども、他の重要案件がありますので、時間の関係で一時これにとどめて、場所を改めて石特のほうでもう一回やらしていただきたい、こういうように思います。次に移らしてもらいます。  林野庁長官来ておりますか。——大臣も必要ですから……。それはいま北海道を中心にして塩素酸ソーダ、いわゆる枯殺剤を強行散布する態度に出ておるということを言っております。これは厚生省は劇物に指定している、こういうようなものなんでありますけれども、この枯殺剤を北海道に強行散布するという意図は那辺にあるのか、長官の御高見を賜わりたいと思います。
  72. 松本守雄

    ○松本説明員 除草剤を使います意図は、現在及び将来の労働力が少なくなっていくという、それを補うための新しい技術開発ということで進めております。ただし、散布するにつきましては、地元の理解の上に立ってやるということで、地元町村、部落、関係方面を十分に説得をして、その上で散布をするように指導しておるつもりでございます。
  73. 島本虎三

    ○島本委員 それは無害なのですか。
  74. 松本守雄

    ○松本説明員 塩素酸塩系の除草剤は、一応その使用を適正に扱う限りにおいては無害であるという認識の上に立っていま散布をいたしております。
  75. 島本虎三

    ○島本委員 現在どの方面を散布しておりますか。
  76. 松本守雄

    ○松本説明員 全国、北は北海道の旭川管内から北海道の各所において、また内地でも散布の計画をしているわけでございます。その散布する場所は大体において奥地を選んでおります。
  77. 島本虎三

    ○島本委員 これは、そうすると散布の方法はヘリコプターですか。——いや、ヘリコプターだから、いいです。北海道なら広いからヘリコプターでしょう。そういうようなことになりますと、無害でなければならないし、その方法は慎重を要します。昭和電工の資料によっても、「塩素酸ソーダは強い毒性を有するものでなく、皮膚あるいは粘膜を通して体内に浸透することは殆どない。」しかし、「気道からの浸入がメトヘモグロビンを形成するので完全なマスクを使用して取扱う必要がある。」こうまでいわれておるわけであります。これはもうメーカーさんの資料です。おたくさんのほうの資料は、これは安全だという資料であります。しかし、厚生省もそばにおります。私どもも厚生省と一緒になって調べた。それによりますと、もともとこれは劇物に指定されている薬品であります。そしてからだに触れたり体内に入ったりすると、炎症を起こすのが問題なんです。長官、あなたそれ、自分でやってみたのですか。これが飲料水の中へ入ると胃がおかされるのですよ。そして酸化剤として酸化力が強いので、これはすぐ林野の関係の扱い者、それと同時に農民やその付近の住民に影響する。飲みもの、水なんかに入った場合は、いまのような影響を与えるのです。そうして、これ自身は急性毒性の強過ぎるものでありますから、これはもう林野の労働者や付近の住民はもちろんですけれども、胃に入ると、かいよう状態になる、それからはだに触れてもかいようを起こす、肺に入ることによって肺に炎症を起こすのだ、肺そのものの粘膜をおかすのだ、焼くのだ、こういうふうにさえいわれておるのです。これが絶対安全だという例証はどこの調査なんですか。いまだにヘリコプターで散布しているということ。それはササや竹やそういうようなものはいいかもしれない。しかし、それが雨が降って水になって流れて、飲む住民のその被害はどうするのでありますか。林野庁、これは環境破壊庁ですか。これはとんでもないじゃありませんか。それは、自分の植えて樹木を守るために他を枯らしてしまう。このために、いま言ったようなことがはっきりしておるにもかかわらず、いいほうの資料、毒のないというところだけやっている。これほど毒があるのだということを一切抹消している。そうして従業員たちの交渉でこれがはっきりした。交渉の相手にならない住民や農民はどうなるのですか。長官、これはいまヘリコプターでまいているというのだ。それによって枯らしてしまう。残るのは、売りに出してもいいような大きい木材だけが残るのだ。それを切ってもうける人たちのための奉仕機関ですか、林野庁は。とんでもない。この散布は、やはりわかっていながらこのまま継続するつもりですか。害がないということがわかったならば、組合は協力すると言っております。これに対して血行するのですか。
  78. 松本守雄

    ○松本説明員 塩素酸塩系は、塩を電気分解して酸素をくっつけた薬剤で、それは空中にさらされ、水に入りますと、酸素が短期間のうちに放出をされまして、その酸素の酸化作用によって植物が枯れるという機能を出しております。  そこで、そのまき方でございますが、まず手まきの場合には防護マスクを着用させるということで、気管内に入らないように十分な使用基準を定めて使用をさしております。またヘリコプターでまく場合には、奥地でございますので、人家、農地、そういうところから数キロ離れて散布しておりまして、特にそういう被害があるようなところには散布させないという注意を払っております。  それと散布する濃度の関係でございますが、濃度は大体ヘクタール当たり二百キログラムくらい散布いたしております。いままでの実験例では、散布をいたしますと、その下流のほうの流水にその除草剤が溶けてくるという経過を見ますと、六時間日ぐらいが一番の流出のピークになっております。そのときの検出をしたデータでは、最高が五〇PPMというデータが出ておりまして、その最高五〇PPMというのは、人体とか動物に対しまして実験をした結果の濃度に比べますと、きわめて低いということで、しかも、これは連続散布をいたしません。ある地域については何十年間かに一−三回の散布でございます。十分被害のないように、公害の起こらないようにという配慮の上にやっておりまして、この薬は外国でも戦前から使っておりまして、戦後日本ではまず国鉄の線路に使われておりました。そういう経緯から見て、最初のうちは被害を出した例もございますが、昨年ではそういった被害が出た例は一件もございません。   〔伊東委員長代理退席、委員長着席〕 今後とも十分に慎重に配慮しながら使用してまいりたい、このように考えております。
  79. 島本虎三

    ○島本委員 われわれもそれは十分調べております。というのは、これは散布する者だけではなく、風に流れて民家へ来ると、遊んでおる子供が呼吸することによって肺がおかされやすいということは、これは科学者の証明であります。あなたはいま、諸外国でもやっておる——なるほどやっておりました。前には二四五T、これは世界保健機構では、一九六九年、保健面から見て、生物化学兵器である、こういうようなことで禁止になっております。それだってスウェーデンやアメリカ、ベトナム、こういうようなところで枯れ葉作戦やその他で現実に使用しておったのです。しかし、これはいまでは禁止されておる。それさえも、これを使う際に林野庁は指導してこれをまいていたじゃありませんか。日本はベトナムじゃないのですよ。環境を守ると言いながら、こういうような劇薬を使っていたのです。これはこの四月でやめたのでしょう。やめたあと使っているのが、今度の塩素酸ソーダでしょう。これとてもまだそういうような被害が出るというのを、被害の点を隠して、害のないという点だけを出して、それも大量に散布している。これまたヘリコプターで散布しようとしている。なぜ薬を買ってまで強行しなければならないのですか。片山参議院議員は林野庁の出身ですが、林業薬剤協会の会長をしておられるようでありまして、この人が二四五Tの発売元になっているようであります。そういうようなことで、林野庁もいいかげんに、こういうような関係では、緑を守り国民を守り環境を守るために、ほんとうに害のない薬を使ってください。もう疑われるようなことはやめてください。そうでなければ、環境破壊庁の汚名をすでに着ているのですけれども、今後これは重大なる危機に立ちますよ。とんでもないことです。それに対して組合がもう団体交渉を申し入れ、無害であるというようなはっきりしたデータができたならば協力しますと言っている。それに対して、はっきり確約を与えない。なぜ与えないのですか。人道上の問題じゃありませんか。どうして組合に無害だということを証明できないのか。そして、協力を求めないのか。これは、長官わからなければ隣の補佐の人、よろしく答弁願いたい。
  80. 松本守雄

    ○松本説明員 組合とも中央において、また各地区において十分話し合いを進めておりますが、なかなか組合の了解は得られておりません。そこで、毒性について各種の実験データその他とっておりますが、慢性毒性、亜急性毒性、それから魚毒性——魚に対する毒の性質、それから催奇性、土壌動物及び徴生物、造林木への影響、それから、川の流水に対する水質の影響、土壌中の残効性、いろいろのデータをとっておりますが、現在まで得られたデータは山林に散布をいたします濃度と頻度、そういう点からして十分安全性が確保されるというデータだけでございます。たとえば、LD50、半数致死量といっておりますが、食塩は、ラット——これはネズミの例でございますが、体重キログラム当たり三千三百ミリグラムがLD50の数値になっておりますが、今度は塩素酸ソーダの場合はそれよりもさらに弱くて七千ミリグラム・パー・キログラム、約二分の一、急性毒性は弱いというデータも出ているので、十分慎重に安全性を確保しながら実施してまいるつもりでございます。
  81. 島本虎三

    ○島本委員 もう時間がありませんから、これ以上の追及はこの次にし、データを求めます。労働大臣も厚生省関係もこの際はよく協力願いたい。というのは、いま長官がおっしゃった資料は、これは林野庁がやっている自分で調べた資料ではないはずです。各製剤メーカーからそれぞれ出された資料で、これはいままで、害のあるという部分を除いて、害のないという分だけを組合に示し、また発表されている。そのデータでしょう。塩曹工業会、林業薬剤協会、昭和電工、それぞれから「塩素酸ソーダの生体におよぼす影響について」それから「塩素酸ソーダを主成分とする除草剤の毒性について」「塩素酸ソーダの毒性について」この方面の害のないところだけを抜粋したものであって、製剤メーカーの資料でありまして、これはほんとうの純粋の科学的な資料ではございません。したがって、これがはたしてそのとおりなのか、厚生省、直ちにこれは調査を開始して、このデータに間違いないかどうか、それをはっきりさせるべきです。それを協力願いたい。それと同時に、大臣、これを扱うのは労働者であります。そして同時に、水に流れて、飲むのは日本国民であります。それを閣僚の一員として、これをそのままに見過ごすことはできないはずであります。そしていまやこれは急性の炎症を起こします。胃に入るならば胃かいよう。これが呼吸に入り、肺のほうに入ってもかいよう状態を起こす、こういうようなものであって、子供には影響があるということがはっきりしております。このような場合には、閣議にはかってでもいいですから、これをはっきりさせるべきである。こういうような危険なものはヘリコプターを使ってまで散布するのはやめさせるべきです。それと同時に、毒性の点においては十分に注意しておいてもらいたい。すぐ調べて、このデータがはっきり整うまで暫時散布はこれを控えるべきだ、私はそう思います。これははっきりした科学的なデータでいいとなればいいのですから、この点は委員長も御協力願って、それまでの間暫時散布を中止させるようにしてもらいたい。そのデータの提出を求めます。私の質問はこれで終わりですけれども、その旨委員長からそれぞれお伝え願いたいと思います。
  82. 森山欽司

    森山委員長 ただいま島本委員からお求めの調査、よろしゅうございますか。
  83. 松本守雄

    ○松本説明員 データの整理したものを資料として提出をさせていただきます。が、いま中止をする考え方はございません。
  84. 島本虎三

    ○島本委員 残念だけれどもあとは不規則発言です。厚生省でもすぐこれを調べてやっておいてもらいたい。人を殺してもこれを実施しようとするようなおそれのあるいまの発言は、これは重大ですから、国務大臣としていまの発言は十分聞いて取り締まっていただきたい。
  85. 森山欽司

    森山委員長 次に、古寺宏君。
  86. 古寺宏

    ○古寺委員 最初に大臣にお伺いしたいと思いますが、大臣日本の労働行政、労働問題は国際的な視野に立って再検討すべき時期にきている、こういうようにお話しになっているようでございますが、今後の勤労者の福祉、安全衛生あるいは賃金、公害等についてどういうふうに対処していくお考えであるか、最初に承りたい。
  87. 原健三郎

    原国務大臣 御承知のように、日本のGNPが世界第三位になる、自由主義国家第二位。でありますからいままでのような日本の経済事情と違いますので、経済大国となった今日においてはよろしく国際的視野に立って労働行政もやり、労働問題も解決する、こういうことを申し上げております。それで労働賃金などにおきましても依然として低いところでありますが、これは年々上界率は世界一位の上昇率を賃金は示しております。それから労働時間のほうはやはりどうも、二十年来少しずつは短縮しておりますが、その短縮の度合いがきわめて低い。たとえば週休二日制などというのは欧米先進国においてはもう実施されておりますが、日本ではいまだに週休二日制になっていない。これらの点はもうちょっと考えるべきである、こう思っております。それからさいぜんお話のありました労働安全衛生等、いま一番問題になっている点でございますが、これも年間災害を受ける勤労者が百七十万もある。交通災害が百万で、それ以上に非常に労働災害がある。それで何とかこれは抜本的に解決いたしたいと思いまして、過般、安全衛生対策に関して労働基準法研究会から御報告をいただきました。それでいろいろ具体的に今後のことを、変えるべき点を非常に示唆を受けておりますので、この災害防止、安全衛生等については次の通常国会において単独法をもって立法措置をとって万全を期していきたい等々、急ぎ解決いたしたい。  また勤労者の福祉についてもいまだ見るべきものがございませんので、できたら、大蔵省と交渉するのですが、公債を発行してでももっと急いで、たとえば勤労青少年ホーム、勤労婦人の家あるいは勤労青少年センター等々の福祉施設も、思い切って急速にやりませんと間に合わないと思って、そういう点もこれから通常国会までの間に予算要求等をやって御期待に沿いたい、こう思っております。
  88. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、世界的な水準まで高めたい、こういうふうに大臣がおっしゃっているのでございますけれども、ILO条約についてはどういうようなお考えをお持ちでございますか。
  89. 原健三郎

    原国務大臣 ILO条約をすみやかにそういう観点からできるものから批准をいたしたい。さきの通常国会では三つの条約を批准いたしました。次の通常国会にも一、二これを可能なものから批准いたす考えで、いま準備を進めております。
  90. 古寺宏

    ○古寺委員 次の国会で批准したい条約は何号と何号でございましょうか。
  91. 道正邦彦

    ○道正説明員 批准可能と考えまして検討を進めておる条約は、数件ございます。いまの段階でほぼ確実に批准が可能であろうと思われる条約はたとえば百二十二号条約等がございます。このほかいま大臣からお話し申し上げましたように、可能な限り多数の条約を批准する方向で今後とも検討をいたしたいと思っております。
  92. 古寺宏

    ○古寺委員 次に、新労働大臣は、各国ですでに行なわれておりますところの週休二日制の問題についてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるでしょうか。
  93. 原健三郎

    原国務大臣 私はこの際日本におきましても週休二日制に踏み切って前向きに進んでいくべき——方針として進んでいくべきものである、こういうように考えて、せっかくいま準備を通じそれを推進していきたい、こう考えております。
  94. 古寺宏

    ○古寺委員 大体見通しはどうでございましょうか。
  95. 岡部實夫

    ○岡部説明員 週休二日制につきましては、過般の私どものいろいろな調査を通じてただいま実態を調べておりますると、いろいろ変則的な形の週休二日制を含めまして全企業においてただいま普及されておりますのが四・数%。最近少しふえておりますので、おそらくまあ五%程度にはなっているかと思いますが、企業全体の数字から申しますると必ずしも普及が著しく大きいとは申せません。  そこで、今後の基本的な取り組み方といたしましては、ただいま大臣の御指摘のような線で、豊かな勤労者生活の実現に取り組んでいくのだ、そのためには週休二日の問題をも含めて、たとえば労働時間の問題あるいは有給休暇の問題等、総合的に労働条件につきましてできるだけ改善していくということが望ましい姿であろうということで考えておりますので、そういう方向で各般の行政に取り組む基本的な姿勢としてまいりたい。ただその進め方といたしましては、何よりもそういう労働条件につきましては基本的には労使が十分話し合いをいたしまして、労使関係の中でそれが実現されていくということが望ましい姿であると思いますので、形式的に法律で一律にこれを義務づけるというようなことは現段階では妥当ではなかろうということで、もっぱら労使関係に十分呼びかけまして、その実現のために努力をしていただくという方向で進めてまいるべきだと考えております。
  96. 古寺宏

    ○古寺委員 次に、最近労働力不足ということが非常に言われておりますが、この労働力不足の問題についての大臣のお考えを承りたいと思います。
  97. 原健三郎

    原国務大臣 労働力不足ということを言っておりますが、私は真の意味において日本では労働力はそれほど不足しておるとは考えられない。なぜかと申しますと、西独と日本とはGNPはあまり変わらない。しかるに労働力からいうと、日本は西独の倍を持っております。人口からいっても、一億、向こうは五千万ほど。労働力、働く人々はその半ばでありますから、日本は西独の倍の労働力を持っておる、こう考えます。それがGNPはあまり変わらない。でありますから潜在労働力というのですか、日本では労働力をもっと有効に能率をあげて使いさえするならば、西独のように二百万も外国の労働者を入れたりしなくても、もう少し生産性をあげてやるならば、労働力は不足しておるのではない、私はこう考えております。
  98. 古寺宏

    ○古寺委員 現実に労働力不足という問題が起きているわけでございますが、それに対して大臣としては、さしあたってどういうような対策をお考えになっていらっしゃいましょうか。
  99. 岡部實夫

    ○岡部説明員 労働力不足の対策につきましては私の直接の所管ではございませんが、労働省といたしましては、ただいま大臣のお話にございましたように、現実に、いま御指摘の労働力不足ということは若年労働力の不足とそれから技能労働力の不足、この二点に非常にあらわれておる。それからもう一つは、地域的に必ずしも必要なところに労働力が十分配置されているかどうかという点もあろうかと思います。全体といたしましては、さらに中高年の問題あるいは婦人の労働力等、あるいは地域的な、あるいは業種によりまする適正な配置というようなこともあわせて考えますれば、まだまだ日本の労働力を有効に活用するという道が残されているだろう。したがいまして、そういうふうに有効に活用するためのいろいろな施策を行政的にとっていくということが、労働力不足の対策といたしましてのただいまの基本的な要請であろう。そういうことで労働行政全体をその方向で進めてまいりたい、こういうふうに考えます。
  100. 古寺宏

    ○古寺委員 きょうは時間がないのでそこでおいておきますが、次に、最近平均余命が非常に延びております。そのために定年制の延長ということが叫ばれておりますが、これに対する大臣のお考えを承っておきたいと思います。
  101. 原健三郎

    原国務大臣 定年制を延長することについては、これは労使とも賛成の意を表しておられますので、労働省といたしましても、いま大体民間では五十五というようなのが一般でございますが、これをさしあたって六十まで定年制を延長するように行政指導をいたしていきたい。これは労使とも賛成の意を表しておりますので、可能であると思っております
  102. 古寺宏

    ○古寺委員 先ほど大臣からもお話がございましたが、労働災害による死亡者は年間六千人を上回っておる、また、新しい労働災害によって給付を受けている人が百七十万人にも達している、こういうお話がございましたが、今後こういうような労働災害を防止する対策としては大臣はどういうような対策をお考えになっていられるか、承りたいと思います。
  103. 岡部實夫

    ○岡部説明員 基本的には先ほど大臣からお話がございましたとおりでございまして、私ども事務的には、さきに基準法研究会から出されました中間報告で指摘されておりますいろいろな点がございます。そこで基本的には、従来のようにただ最低の基準の規制だけを行なうということではなく、それも十分いたしますが、そのほかに好ましい労働環境をつくっていくというような点に焦点を合わせまして、いろいろの勧告あるいは指導、援助というようなこともあわせて行なっていく。特に災害の発生状況を見ますると中小企業等に相当発生率も高くなっておりますので、中小企業には単に最低基準を示してそれを順守させるということだけでは必ずしも十分ではない。そういう部面につきましては指示する面はすると同時に、その裏打ちといたしまして、たとえば安全衛生設備を改善するための融資を思い切ってするとか、そういう総合的な施策をあわせて実施していく必要があろう。そのためには、ただいまの労働基準法で規定しておりまする最低基準の規律のみでは必ずしも十分でないということがございますので、先ほどの大臣の御指示にもございますように、そういう問題も含めて新しく有効なる立法措置を研究せよという御指示もございますので、その方向で目下鋭意検討をいたしておるところでございます。成案を得次第、できるだけ早く国会に提出をするということで準備を進めてまいりたいと思っておるわけでございます。
  104. 森山欽司

    森山委員長 古寺君、大臣は一時から出かけられますので、どうしても大臣でなければならぬこと、たけ先に……。
  105. 古寺宏

    ○古寺委員 いまお聞きします。それから大臣は、東大生一人当たりに対しては年間百五十万円の国費が使われている、ところが勤労青少年に対しては一カ月わずかに五百円である、こういうような談話を発表しておられます。今後この勤労青少年の福祉のためには、それでは一体一人当たりどのくらいまでの国費を使ってこの勤労青少年対策というものを推進していくというお考えかどうかということを承っておきたいと思います。
  106. 原健三郎

    原国務大臣 お説のとおりでございまして、日本ではいままでどうも同じ日本の青年であるのに、学生にはずいぶん思い切った国費を使う。一方生産に従事して日本の経済を維持しておるそういう勤労青少年に対しては、ほとんど放任状態でございました。これはたいへんな認識の誤りである。それで私は労働大臣になって以来、この不均衡を打破して、もう少し勤労青少年のために福祉施設あるいは訓練施設等々、国費をもってやるべきものであると思って、ずっと交渉を進めております。で、どのくらいかといいますと、できたらそれはもちろん学生に対する程度にまで勤労青少年もやるべきものであると思いますが、そう急にもいきませんでしょうが、来年度は思い切った予算要求をし、大蔵省とかけ合って御期待に沿いたい、こう思っております。御声援をお願いいたします。
  107. 古寺宏

    ○古寺委員 大臣としての来年度の予算要求の大体の目標は、一人当たりどのくらいをお考えでございましょうか。
  108. 高橋展子

    ○高橋説明員 来年度の予算につきましては、ただいま計画を練っている段階でございます。本年度の予算について申し上げますと、労働省の勤労青少年対策ということでいろいろな、各局にまたがるものを総合いたしますと、約百億でございます。
  109. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、これは大臣はどういうふうにお考えになるかわかりませんが、先ほど勤労青少年ホームあるいは勤労青少年センター、いろいろなお話がございましたが、今後勤労青少年のためにボーリング場をつくってあげる、レジャーセンターをつくってあげる、そういうようなお考えはお持ちになっておられますか。
  110. 原健三郎

    原国務大臣 中野駅前におおよそ八十億円の巨費を投じて、いま勤労青少年センターを建設いたしております。もうだいぶ鉄骨も上がって、あと一年半ほどでこれが完成いたします。その中にはボーリング場からスイミングプールから、遊び場から、いろいろ——これは二十三階建てでございまして、そういう福祉レクリエーション等々併設して、世界でもこんなのは初めてでございますが、さらにこれを日本各所でも広めていきたい、こう思っております。
  111. 古寺宏

    ○古寺委員 東京だけではなしに、日本各所にどんどん広めていっていただきたいと思うわけでございます。  次に、労災保険についてちょっと伺いたいのですが、大臣に一つだけお願いします。通勤途上の事故の問題でございますが、これを業務上とみなしていくかどうかという問題でございますが、これに対する新大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
  112. 原健三郎

    原国務大臣 この通勤途上の災害を労災で取り扱うようにということは、これは聞くこと久しい問題でございます。私は前にも善処すると言いましたので、もうできておるのかと思って調べてみたら、まだできていない、こういうことでございますので、ぜひ前向きにひとつ検討いたしまして、成案を得たいと存じておる次第でございます。昨年の二月に通勤途上災害調査会、会長上山顕氏というのを設置いたしまして、いま検討をお願いいたしております。その調査会から去る四月に中間報告をいただきまして、それによると、通勤途上災害については、現在でははなはだ不足しておるから現在以上に何らかの保護が必要であるという前向きの姿勢でやらせますという中間報告をいただいておりますから、そういう線に沿うて報告が近く出されるものと思います。それができましたら御審議を願いたい、こう思っております。
  113. 古寺宏

    ○古寺委員 この報告は最終的には大体いつごろまでに結論が出る予定でございますか。
  114. 岡部實夫

    ○岡部説明員 ただいま大臣からお答え申しましたように、中間的な報告は四月に出されたわけでございますが、その中で前向きに取り組んでおるけれども、いろいろな実行上の問題点がまた同時に指摘されております。  そこで、私どもといたしましては、調査会にただいまお願いをいたしまして、本年中に何らかの、今後の基本的な姿勢についてできるだけ一致した御意見をまとめてお出しいただくということで調査会にお願いをしております。ということは、具体的に実施していくことに対する現実的な財政上あるいはまた技術的ないろいろな問題点もございますので、一挙にその問題についてすべての結論が出るということもなかなかむずかしいとも思いますので、ただし、これに取り組む基本的な姿勢については、いつまでもかかることもこれもいかがかと思いますので、先ほど申しましたように、少なくともどういう基本的な姿勢でこの問題に取り組んで、具体的にどういう仕組みでやっていくかということについて、一歩踏み出せるような形の意見調整をお願いする、こういうことで調査会に目下お願いをしておるところで、そういう方向で御意見が出るものと期待をいたしております。
  115. 古寺宏

    ○古寺委員 次に、この労災保険の五人未満の事業所に対するところの全面適用でございますが、これはいつから行なうお考えでございましょうか。
  116. 岡部實夫

    ○岡部説明員 五人未満のいわゆる小規模零細事業所に対する適用の問題につきましては、御承知のように事業場の数は約百万、対象労働者は三百万ということでございまして、これについては過般の国会におきまして、この零細事業に適用するためにいろいろ専務の簡素化その他、あるいは適用される事業場の方の事務の合理化等もあわせて徴収の一元化を進めていく必要があるということで、徴収一元化についての法案を御審議、可決していただいたわけでございます。その方法といたしまして、たとえばできるだけ事務組合等の育成を強化していくというような施策等この法律の適用と相まってできるだけ早く進めていきたい。ただ、全事業場にいつごろ全部適用になるかということについて、にわかにはっきりしたことは申し上げられませんが、おおむね三年程度を目標に全事業場が適用されていくという姿が実現されるようにしていきたい、こういうふうに思います。
  117. 古寺宏

    ○古寺委員 先ほども労働基準法の研究会の報告についてお話が出ましたが、この報告の中では安全衛生に関してどういうことが指摘をされているわけでございますか。
  118. 岡部實夫

    ○岡部説明員 いろいろ総合的に言っておりますけれども、第一には、労働基準法を中心とする現行の法制に基づく労働災害の対策は、総合的な予防施策の面で必ずしも十分でない。したがいまして、産業社会の急激な変転ないし伸展に即応していくことに十分弾力的に対応し得ない。したがいまして、そういう面を十分考慮すべきである。それから第二に、労災の実態に照らしまして最低基準の規制のみでは十分でなく、たとえば実態に即した指導、勧告というような面を含めた幅広い行政を展開していくべきでないか。それから第三が、産業活動の急激な伸展に伴って、産業の安全衛生を担当する専門家が必ずしも民間においても公的な部門においても十分でない。そういうものについての養成、拡充というものも考えていかなければならないだろう。それから最近の災害が多発をしている中小企業とか構内下請企業に対して、大企業に比して災害の発生が高いという点と同時に、これらに対する災害を低めていくようないろいろな援助措置等もあわせて考えていかなければならないだろうというようなことを前提といたしまして、先ほど私が申し上げましたような総合的な施策を展開すべきではないかということが指摘されているところでございます。
  119. 古寺宏

    ○古寺委員 それに対して、今後の労働安全衛生対策等の基本方向としては、どういうことが示されておりますか。
  120. 岡部實夫

    ○岡部説明員 具体的には安全衛生対策としては、まず第一に安全衛生管理組織の確立。これはまず産業の場において、そこで産業活動が行なわれ、災害あるいは疾病等が起こるわけです。そこで起きたその場においての安全衛生管理組織の確立がまず第一である。  それから第二には、安全衛生教育を充実すべきである。これは、現場の監督その他直接生産に携わる者の安全教育を徹底的にやるべきだ。  第三に、危害防止基準の明確化及び技術指針を設定すべきだ。これは単に最低基準ということではなくて、危害をさらに防止するためのいろいろな基準、さらにそれを実効あらしめるための技術指針等を設定すべきだ。  それから第四が、危険な機械、有害物の規制でございまして、これは使用するばかりでなくて、生産ああるいは構造規格等についても規制を行なうべきではないか。  それから第五が、衛生の面からの要望に関連いたしまして、健康管理の体制を確立すべきである。  それから第六が、特別な労働関係における安全衛生の管理責任者を明確にすべきだ。  それから第七といたしまして、最近の新しい技術の導入、工法の導入等についての安全の面からのスクリーン、事前審査をやる等というようなことも考えるべきだ。  以上のような点が、具体的な今後の施策として指摘をされておるわけでございます。
  121. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、この報告を受けて次期国会には新しい安全法を立法化する、こういうようなお話が大臣からあったのですが、この立法化にあたっては企業者側また労働者団体等の意見も十分に取り入れていかなければならないと思いますが、今後の立法化に対する作業といたしまして、労働省としてはいまどういう方針で作業を進める準備を整えていらっしゃるのか、承りたいと思います。
  122. 岡部實夫

    ○岡部説明員 御承知のように基準法との関連で、基準法に現在安全衛生という項目がございまして、そこで基本的なことを書いてございますが、それでいま具体的に今後安全衛生の実効をあげるためにどういう施策が必要か。そこで立法措置が必要になると思われますので、現実にその立法措置を行ないますにあたっては、中央労働基準審議会に最終的に諮問をするということに相なろうかと思います。その成案を得ますまでに、いま御指摘のように各産業界その他の専門家がいろいろあろうかと思いますので、そういう方々の御意見も十分承って進めていきたい。ただ公式に法案の御審議を願いますのは、中央基準審議会の場になろうかと思っております。そういうことで進めていきたいと思います。
  123. 古寺宏

    ○古寺委員 それではきょうは大臣がいらっしゃいませんので、質問は一応これで終わって、またこの次の機会に大臣からお聞きしたいと思います。
  124. 森山欽司

    森山委員長 次に、西田八郎君。
  125. 西田八郎

    ○西田委員 大臣並びに国鉄関係の答弁者がまだ見えておりませんので、最初に私いつも主張いたしておりますILO条約の婦人関係の三条約、批准されていない部分があるので、何回か局長と議論してきたわけですけれども、まだ明確になってないんですが、ちょうど自民党、与党内部でも非常に労働通をもってみずから任じておる原労働大臣を迎えまして、この機会にぜひともひとつこの三条約の批准を政府としても腹を固めてもらいたいと思うのですが、局長、準備の段階でどういうふうにお考えになっておるか、ひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。
  126. 高橋展子

    ○高橋説明員 ILOの婦人関係三条約、いわゆる三条約、すなわち八十七号条約、百三号条約、百十一号条約の批准の関係につきましては、しばしば先生方のお尋ねがございましたところでございますが、そのつど大臣あるいは政府委員のほうからお答えしてまいったところでございますが、これらの条約につきましては、現在の状態では、国内法との抵触あるいは解釈上の疑義等のために直ちに批准はできない状態でございます。しかし、これもしばしば大臣からお答えがありましたように、前向きな態度で臨むということでございますが、当面は、労働基準法研究会におきまして、これらの条約との関係も含めまして、わが国の基準法施行の実情の問題を御検討中でございますので、私どもといたしましては、その御結論を待ってさらに検討を進める、この姿勢に変わりがないのでございます。
  127. 西田八郎

    ○西田委員 いつもそういう答弁で、検討を待ってとかあるいは検討中だからということでありますが、実際に労働省としてこの条約を批准する段階にきておるという判断をしておるのかどうかですね。労働省自身に批准しようという意思がなければ、外務省だってそういう手続をとらないだろうし、やはり私は労働省自身の問題だと思います。ですから、それは研究会があるから研究会でと言ったって、その研究会は公的に認められた研究会でもないわけでしょう。中央労働基準審議会であるとかあるいは職業安定審議会のような、そういう機関じゃないですね。だから、そういうものを待っておったのでは私ははっきりしないと思うのです。だからそれは早く労働省としての意思を明確にした上に立って、それを批准することがいいのかどうかという諮問なら別として、国内法との関係だなんだということになれば、国内法を改正する意思がなければ、いつまでたってもできないということになるわけです。だからその辺に私は労働省のもう少し積極性がほしいと思うのです。これは局長に言っても、局長としても非常にお困りの点だろうと思いますから、あとで大臣が来られたら、もう一回念を押したいと思います。  そこで、鉄道関係の答弁者の方がお見えになったようですからお伺いしたいわけですが、最近国鉄の内部でいろいろ暴力事件が起こっておるということを私どもは聞いておるわけですが、その実情を知っておられるかどうか、まずそれからお伺いいたします。
  128. 真鍋洋

    ○真鍋説明員 先般の春闘のあとでございますけれども春闘に伴いまして組合間の移動がかなり活発に行なわれまして、その結果、脱退者に対します暴力行為事件、あるいはスト不参加者に対しますいやがらせを行ないますといったような暴行事件がかなりな件数になっております。全体の発生件数といたしましては十一件でございまして、現在私どものほうに報告がきておりますのは、暴行等加害者数は三十九名にのぼっております。このうち逮捕者二十九名になっておるわけでございますが、旭川の鉄道管理局をはじめといたしまして各局にこういう事件が起こっております。主としまして機関区等の動力車区、駅、車掌区といったようなところで起こっております。
  129. 西田八郎

    ○西田委員 それらの事件に対して国鉄当局としてどう取り組んできておりますか。
  130. 真鍋洋

    ○真鍋説明員 こういった暴力行為事件につきましては、各現場長が管理いたしております。現場の秩序の中で、そういった行為のないように注意をしておるわけでございますけれども、非常に突発的な暴力行為事件が多いといいますか、あるいは管理者そのものに暴力行為が加えられているというようなこともございまして、なかなか私どもの管理者の手でこういった加害者を善導する方向が万全を期しがたいというのが実情でございます。それで、そういった危惧の持たれますような現場につきましては、先般の春闘の直後におきましては公安職員を配置します等の手はずをとったわけでございますけれども、長期間にわたってそういった手はずもできませんで、現在のところ、各現場長が、そういった行為の起こらないようにということで、現場管理の中で注意をいたしておるというようなことでございます。
  131. 西田八郎

    ○西田委員 これは非常にゆゆしき問題でして、いま国鉄側が、赤字をかかえて国鉄再建計画も立てて、国をあげて国鉄の再建のためにというときに、当の国鉄職員の中で暴力事犯が、十一件というとこれは非常な多数ですよ、多数の暴力事犯が起こっておるというようなことは、もうこれは風紀の紊乱、綱紀の紊乱だというふうに断定してもいいのじゃないかというふうに思うわけですし、さらにそうした事件が白昼、しかも勤務時間中に行なわれておるということに問題があると思う。しかも鉄道公安官がおられて、その前でそういう事件が起こっておるということをわれわれは聞いておるわけです。こんなことで、はたしていいのかどうか。きわめて大きな疑問を抱くわけであります。  そこで私は、こういう問題が起こったのは、先ほどあなたがおっしゃったように、労働組合が分かれているからだ、分かれている労働組合の争奪戦の中からそういうことが出てきているとするならば、私は国鉄労使関係についてかなり追及していかなければならぬと思うわけであります。私も長年労働運動をやってきた人間でありますけれども、一つの企業の中で労働組合が分裂するという状況は、結局、経営の衝に当たるもの、あるいは管理の衝に当たるものの労働対策といいますか、そういうものがなっていないからそういう事態が起こってくるのだと思うのです。そこで当局として、この新しい時代における労使関係というものをどういうふうに考えておられるか、まずその点からお伺いをいたしたいと思います。
  132. 真鍋洋

    ○真鍋説明員 国鉄職員がどのような組合を結成をいたしましても、あるいはどのような組合に加入いたしましても、それは組合員自身の自発的な意思に基づきます限り、私どもの関知するところではないというのが基本の考え方でございます。労働組合そのものの運動につきまして、法律の範囲内での適法な労働組合運動ということで、私どもも私どもの指導すべき面につきましては十分に指導したいと思うわけでございますが、組合員自身の自発的な考え方での組織の移動ということは従来とも大なり小なりあることでございますので、私どもとしてはそういったことには全く関知していないわけでありますけれども、そういったことのために、先ほど申し上げましたような暴行等を含めました暴力行為事犯が出るということにつきましては、これは確かに先生おっしゃいますように、現場の秩序ということにつきましては私どもも重大な関心を持たざるを得ないというふうに考えております。こういった暴力行為ざたのないように私ども全力をあげまして、職場の秩序維持ということで現場長等督励をいたしまして、正しい労使関係の確立に努力したいというふうに思っておるわけでございます。
  133. 西田八郎

    ○西田委員 その正しい労使関係というものはどういうものかということを聞いておるわけです。口を開けば、正しい労使関係ということをだれでも言うのです。合理的な労使関係と言うのです。しかし、正しい労使関係、合理的な労使関係というものはどういうものかと聞いておるわけです。なるほど国鉄当局としてはやりにくいでしょう。国労あり、動労あり、鉄労ありでやりにくいだろうけれども、国民の足を預かっておる国鉄として、しかも膨大な赤字をかかえて再建の途中にある国鉄の当局者として、やはりそうしたことに対してはき然たる態度が必要ではなかろうかと思うのです。そういう面で、昨日、鉄労関係の中央委員会が開かれて、しかもその議案の中に暴力追放というようなことが決議されなければならぬということは、情けないことだと私は思うのです。そういうことを黙認してきたというか、そういう事態が起こってくるような状況というものをつくり出しておる国有鉄道関係理事者は、もっと真剣にこの問題と取り組まなければいかぬと思うのです。ですから、その辺のことも考え、一体、正しい労使関係というものをどう考えておられるのか、それを聞かしていただきたい。
  134. 真鍋洋

    ○真鍋説明員 労働組合につきましては、私どもの企業としましては、公労法の制約を受けております。そういった中での正しい労働組合運動につきましては、管理者側は何らタッチすべきところはないわけでございます。先般の闘争等違法な労働運動、そういった実行行為というようなものがあらわれます限りは、私どもとしましては、企業の正常な運営につきまして、できるだけそういった違法行為の起こらないようにということで、組合を指導せざるを得ないということでございます。そういった面で、そういったことから起こります違反者につきましては厳重な処分をいたしておりますし、そういった違法行為につきましては、総裁等からもたびたび警告を発しましたり、あるいは現場長等が現場職員に、そういった違法行為に参加しないようにということでの善導をいたしておるわけでございます。公労法で定められました範囲内で組合運動をやっていってもらいたい。そういった中で、信頼関係を基礎にしまして、国鉄の労係関係というものを正常なものに持っていきたいというのが、私どもの考えております方向でございます。
  135. 西田八郎

    ○西田委員 先ほども後藤委員の質問を聞いておると、四十六万国鉄職員が実際に国鉄のことを思い、国鉄に対して忠誠を尽くすならば、こういう問題は起こらないんだというような発言がありました。しかし現実は、ストと処分の繰り返しというような形で、国鉄の内部は一体どうなっておるのかという疑惑を国民に持たれておるわけであります。そういう時期に、またこうして暴力事件が起こるというようなことをながめて、国民はあ然としておるだろうと私は考える。したがって、そうした者については、いまおっしゃったように厳重な処分をするということと同時に、国鉄というのは、よくいわれるのですが、国鉄一家ということばがあるくらいに、全員がぬるま湯につかったような、きびしさのない規律といいますか、職場環境の中でやってきているんではないか。いわゆる親方日の丸、そういうことばが当てはまるような形の中でやってきているのではなかろうか。したがって、処分はしているけれども、その処分をした人をまた、弘済会なり何なりで救済しているということを聞くのです。これは私が調べた限りではないけれども、そういうことを聞きます。だから国鉄はいいんだというふうにいわれてもおるわけです。そんなことではたしてほんとうに再建ができるのかどうか、きわめて危ぶまれます。しかも片一方で、そういう弾圧の中で、お互いのいがみ合いの中で、迫害を受けながらも国鉄の再建のために一生懸命になって努力しておる鉄道労働者のためにも、私は、この際、当局のき然とした態度というものを強く要望いたしたいと思うわけでありますが、ひとつ責任ある回答として、これに対してどう答えていたただけるか、お願いをしたいと思います。
  136. 真鍋洋

    ○真鍋説明員 御指摘趣旨を十分体しまして善処したいと思います。
  137. 西田八郎

    ○西田委員 真鍋さん、国鉄責任者として、いま私の申し上げたことはぜひひとつお守りをいただきたいと思うのです。そういう国鉄の姿勢というものが労使の間で見られるならば、国民は国鉄に対して非常な賛辞を送るし、また国鉄の再建についても協力をしてもらえるものと思います。ひとつお願いをしておきたいと思います。  労働大臣がお見えになりましたので、大臣にお伺いしたいのですが、今度は臨時国会でもありましたので、所信表明というものも印刷物では配付されていないわけです。先ほども高橋局長に申し上げておったのですが、与党内きっての労働通といわれる大臣でありますから、大臣に就任をされまして、やはりこれをやりたい、あれをやりたいという——ことばは悪いのですが、お許しいただいて、目玉政策というものがあると思うのです。これからの労働行政の中で、大臣が特に取り組みたいと思われている問題についてお聞かせをいただきたいと思います。   〔委員長退席、小沢(辰)委員長代理着席〕
  138. 原健三郎

    原国務大臣 お尋ねでございますが、私は、日本の労働行政や労働問題は、もっと世界的水準に立って、世界的視野から再検討していくべきときに来ておる。それはなぜかというと、日本は、経済大国になった今日において、いままでのような古い考えでいつまでもおるべきときでない、こう思っております。しかも日本の経済をささえ、これほどまでにしておるのは、実に勤労者の勤勉努力のたまものであるから、それもあわせて考慮すべきである。  第一は、やはり賃金のほうは非常に——非常にと言っては語弊があるが、年々上昇を示しております。そのテンポは世界一の速さで上がっております。しかし、労働時間のほうは、欧米ではすでに週休二日制を実施しておるのに、日本では、少しずつは短縮しておりますが、依然として一番多いのは週休一日、その他一日半でございます。欧米が週休二日であるのに、日本においてはそれほど働く時間が長い。これを週休二日制にだんだん移行していくように行政指導していきたい、こう思っおります。  第二は福祉関係、いままでは働く人々、わけても勤労青少年などにはほとんど放任主義であります。国会や政府がそのめんどうを見なかった。それで不良青年が出たとかなんとかいっておりますが、その点は私ども、まことに手抜かりであったと思っております。それで、余暇を活用し、ことに週休二日制にもだんだんなってまいりますと、その余暇を有効に使ってまた元気を出して働けるようにしなければならぬ。それには勤労青少年ホームをもっと急にふやす。東京の中野に勤労青少年センターもありますが、これをさらに大阪とか全国にふやしたい。その他働く婦人の家というのもございますが、いままで非常に数も少なかったのを来年度からもっとふやしていきたい、こう思っております。  第三には、一番大事な、いま勤労者の安全衛生が非常に問題になっております。また公害防止、これに力を入れまして、過般労働基準法研究会から私のほうに報告をいただきまして、その報告によりましても、もう少し安全衛生については改革すべきであるという報告もございますので、通常国会には安全確保についての立法措置をやりたい、そうして単行法として御審議を願う準備をいま進めておるような次第であります、等々、ぜひやっていきたいと考えております。
  139. 西田八郎

    ○西田委員 大体総花的におっしゃったわけですけれども、肝心のことが抜けておると思うのです。いま一番大事なものは何かといえば、進歩する科学技術の革新の中に、あるいは体質改善の中で、それに対応できる労働力というものを養成していくということが一番重要な問題ではなかろうかと思うのです。今日装置化され、あるいは技術革新された職場環境の中で、やはり依然として労働災害というものが抜け切っていないと思うし、また自分の職業に対する不安というものは非常に大きな重圧となって労働者にのしかかってきておると思うのです。  そこで、青少年の多くの諸君に聞いてみて、話をしている中で、職場の青少年が感じていることは生きがいであります。生きがいが持てない。なぜかといえば、自分のやっている職業が、大きなレイアウトされた流れ作業の一部分であるにすぎない。装置化されればされるほどそういう部分が大きくなってくるわけでありまして、そういうところで、ネジだけを締めているという、自分の仕事の価値観というものに対して非常に大きな疑問を抱く青少年がふえてきておるわけであります。こういう問題をどう解決するかということがこれからの労働政策のきわめて重要な問題であるし、同時に、その装置化された産業の中で対応できる労働力というものを養成していくということが必要ではないか。したがって、この際職業訓練の方式なりシステムというものをもっと変えていくことが大切ではなかろうかと私は思うのです。現在事業場等に委託されております職業訓練システムというものは、昔私どもが会社へ入ったときの養成工の形と何ら変わらないわけであります。そうして企業に忠誠心を持たせようとする教育だけしか行なわれていない。産業人、労働者、生産人としての自負と認識を持つ労働者の養成こそが必要ではなかろうかというふうに思うわけですが、これに対して大臣はどうお考えになりますか。
  140. 原健三郎

    原国務大臣 西田さんの御意見、全く賛成でございまして、ちょっと落としましたが、いま技能者の時代であるし技術の時代でありますから、勤労者に技術を教える職業訓練を強化しようと思いまして、過般相模原に職業訓練大学校というのを移転するため土地も購入しましたが、ここに大々的なる職業訓練大学校を移転し、拡大いたします。それが中心となりまして、全国に高等職業訓練校とか等々やって、過般法律も改正いたしましたが、そうして御期待に沿いたいと思っております。  また、私がこの前から唱えてきたのは、学歴偏重を打破して、よろしく能力のある者は工場長にもなる、重役にもなるというふうな人事管理をやるべきであるということを主張いたしまして、これはかなり反響を呼び、共鳴を呼んでいまやっております。いわゆる青天井人事管理方式というものをやるべきであるということを言いまして、各所でそれをやる会社がだんだんふえてきておることは喜びにたえませんが、なお今後とも青天井人事管理方式というものを進めて、学歴だけを偏重するのでなくして、実力がある者がどんどん伸びていけるようにいたし、勤労青少年が産業人としてりっぱに成長することに力を入れてやります。最後にこれをちょっと落としましたので、申し上げておきます。
  141. 西田八郎

    ○西田委員 重要な問題を、落としたとおっしゃるのですけれども、それは正直に受け取っておこうと思うのですが、私はやはり技能訓練、職業訓練というものは一つのシステム化をして、そしてだれでもがどこでも新しい技術を身につけられるという、そういうシステムというものをつくり上げていく必要があると思うのです。相模原に訓練大学校ができたからといって——そこの収容人員は何名ですか。
  142. 道正邦彦

    ○道正説明員 訓練の科目数は十四科目、訓練人員は七百でございます。
  143. 西田八郎

    ○西田委員 七百でしょう。それぐらいの人間が養成されたからといって、五千万からおる就労者、そのうちに中小企業なり商店に働く人もおるでしょう、しかしおそらく近代産業といわれるところに就労している人は一千万をこしておると思う。そういう一千万の労働者の中で七百人やそこらの人を訓練できるところができたからといって、私はそれで万全を期せるものじゃないと思う。もちろん何か言いたいでしょう。それは養成する人を養成するところだと言いたいのでしょうけれども、そんなことはわかっています。わかっていますけれども、私はそういうことではいけないと思うのですよ。今度は農外労働者というのが相当多数に出てくると私は思うのです。いいか悪いかは別として、政府の休耕政策等がとられて、農業から転職してくる人、いわゆる一次産業から二次産業への移行もふえてくると思う。そういう人、それから先ほどお預けになっておりますILO条約のなにを聞きましたけれども、これからミセスパワーといわれる婦人労働者というものは非常にウエートが高くなってくると私は思うのです。しかし、その人たちにほんとうに安心して働ける技術を身につける、能力を養成するということ、これが今後の経済大国、工業国日本の非常に重要な問題だと思う。そしてそういう形の中から、今度はいわゆる年功序列型賃金から新しい仕事別賃金へというふうに移行していかなければならぬと、こう思うのですね。ですから、そういう点について、大臣、大学校の話がありましたけれども、ほんとうにそういう形でやってもらえるのかどうか、ひとつお伺いをしたいのです。
  144. 原健三郎

    原国務大臣 御趣旨に沿うて、万般積極的にやる考えであります。
  145. 西田八郎

    ○西田委員 まあいま予算の折衝中でありましょうから、いずれ出てくる予算をながめさしてもらって、どれだけ熱意があるかどうか、またその時点で論議をいたしたいと思います。  そこで、もう一つ大臣に伺いたいのですが、労働大臣非常に英断をもって労働省職員に暑中休暇を与えるということで、一時話題をまいておるわけであります。これはいままでの官庁の例から見て非常に英断をもってやられたことだと思うのですが、ただ問題は、私は、暑中休暇を有給休暇でとれというところに問題があるように思うのです。  そこでまずお伺いしたいのですが、現在労働省職員は有給休暇は残日数何日持っておるのか、そしてその有給休暇の制度というものはどういうふうになっておるのか、それから聞かしていただきたい。
  146. 道正邦彦

    ○道正説明員 国家公務員の年次有給休暇は、暦年ごとに二十日になっております。ただし、新規採用者等中途採用者につきましては、その月数に応じまして、第一年次に限り案分比例で休暇がきまる。二年目の一月からはほかの公務員と同じでございます。さらに繰り越しが十日を限度に認められておりまして、二十日の休暇のうち五日残した場合には五日しか繰り越せませんけれども、たとえば二十日の休暇のうちあとの十五日残したという場合に、十五日まるまるじゃなくて十日を限度に繰り越せる。つまり、翌年度は三十日とれるというようなことになっております。  それから、労働省職員の休暇の利用状況でございますが、おおむね半分、九日程度を余しております。つまり十一日ぐらいしかとっておらぬというのが実情でございます。
  147. 西田八郎

    ○西田委員 いまおっしゃったように、十日前後が残日数だということですが、私はやはり年次有給休暇というものは、暑中休暇のようにかためてとるために与えられているものではないと思う。労働基準法の精神からいって、年次有給休暇というものの趣旨をもう一回この際お聞かせいただきたいのですが、そういうふうにしてかためて暑中休暇としてとるようなものなのか。もしそういうものであるとするならば、いままでとりたい者に対してなぜ与えなかったかという議論が出てくるんですよ。ですから、その点ひとつ労働省の見解として聞かしていただきます。
  148. 道正邦彦

    ○道正説明員 「官庁執務時間並休暇ニ関スル件」というのが、やや古いのでございますが、大正十一年にきまっておりまして、以来一貫いたしまして、職員に対しては七月二十一日から八月三十一日までの間において事務の繁閑をはかり、二十日以内の休暇を与える、これが原則だ、しかしながら、事務の都合により当該期間内に与えられない場合には、ほかの期間に与えても差しつかえない、こういうことになっておりまして、官庁におきましては夏にとるのがたてまえになっております。  それから、一般的に申しましても、外国の例等先生御存じのとおりでございますけれども、夏にまとめてとるのがどうも多いように考えております。
  149. 西田八郎

    ○西田委員 これは、外国の例を出されましたけれども、アメリカあるいはヨーロッパあたりの暑中休暇は年次有給休暇ではないはずです。これは、暑中休暇というものが明らかにあるわけです。したがって、いま民間の労使関係におきましても、経営者はできるだけ有給休暇を使わせようとしているのです。しかし、労働組合は別に特別休暇というとり方をしているわけです。現在、日産あるいはトヨタあるいは松下電器産業等でこの休暇制度がとられておるわけで、その他たくさんとられているところがあります。しかしそれらは、ほとんどが年次有給休暇の使用は約三〇%ないし少ないところは二〇%ぐらいしか使っていないのです。あとは特別休暇で与えられておると私は思うのです。だから大正十一年の規則か何か知りませんけれども労働基準法には、その前年度の就業日数が八割以上であった者に対して休暇を与えなければならぬということになっておるし、その休暇はみずからの労働再生産のために、安息のためにとることを原則にして与えられているわけです。ですから、いま労働大臣がおっしゃる暑中休暇とは若干ニュアンスの相違があると思う。したがって、労働省が年次有給休暇ですべて暑中休暇を与えるということになりますと、お役所さんのやっておられることが結局民間に波及してくると、民間は特別休暇をとって暑中休暇をやっているところに大きな影響を及ぼすわけです。したがって、私はその辺のところをはっきりしておいてもらいたい。現在、国家公務員としてはそういう休暇がないのでこういうふうにするのだということをはっきりしておいてもらわないと、実は民間のほうでは困るのです。これを幸いに年次有給休暇を全部集められてしまうと、いままでの既得権の侵害にもなるわけです。ですから、その辺のところを明らかにしておいてもらいたい。
  150. 岡部實夫

    ○岡部説明員 いま基準法との関連で御指摘がございましたが、基準法の年次有給休暇は、御指摘のとおり労働者が請求したときに与える、ただ仕事の都合がある場合には、それを変更をきせることができる、こういうことになっております。そこで、現実には年休についてどうとっていくかということは基本的には、第一義的には勤労者の選択権があるということでございます。ただ、それをどうとっていくかということについては、現実的には話し合いをしてやっていくということでございますので、いま役所で、公務員について申しましたところとは、きめ方がかわっておりますので、その点は基準法の規定で進めてまいる、こういうことになると思います。
  151. 西田八郎

    ○西田委員 もう時間がありませんのでなんでありますけれども、私はこの機会に大臣にとくとお願いをしておきたいのですが、いまの暑中休暇の問題、多少疑義があります。しかし英断をもって労働省がそういう処置をとられたということに対して、私は賛意を表します。  ただここでお願いというか、これからの労働時間の短縮の問題について、やはり官庁関係、銀行関係、こういうところが率先もって実行に移していかないと、一般の民間企業においてはなかなかやりにくいことだと思うのです。私は、国家公務員はいいなと言われてもいいから、それが一つの社会の労働条件の基準をつくるということに立てば、きわめて重要なことであろうと思うので、週休二日制度、週四十時間労働等については、率先もってそういう方向でひとつ指導をしてもらいたい、指導すべきだというふうに思うわけであります。今日GNP世界三位、自由諸国で第二位、経済大国経済大国といわれながら、私ども労働関係の国際会議に出て一番恥ずかしいことは、労働時間が長いということ、賃金が非常に前近代的であるということ、そうしたことに非常にひけ目を感ずるというか、コンプレックスさえ持つというようなことなんです。したがって、こういう面をもっと改善する、そうして抜本的な施策というものを労働省は打ち出していくべきだ。そのためにはまず社会的な労働基準をつくる、こういう基準をつくる公務員関係がそうした形になれば、役所が休み銀行が休みならしようがないということになってくるわけです。ですから、そういう点で私は、大いにそういう点を労働省が実施に移すために、ひとつ大臣の熱心な、熱心というか熱意ある一つの英断を求めたいと思うのですが、大臣最後に一言……。
  152. 原健三郎

    原国務大臣 私は労働省へ行って、夏休み、有給休暇一週間まとめてとれという指示をしましたが、これはお役所の職員から出たのでなく、私の発意であります。なぜかといいますと、二十日間休暇があるのに労働省では九日か十日しか休まぬ。何で休まないのか私はわかりませんが、そんなだらだら休むなら、思い切って休んで、この夏は——高温多湿、土曜日なんか出てきて二時間、三時間やったってたいしたことはないし、思い切って一週間休暇といいますか、実は土曜、日曜を入れて五日半なら五日半休む。思い切って気分を転換して仕事の能率をあげてもらいたい。仕事に支障を来たさないように、七分の一ずつ休むということになります。七月−九月にかけて、支障を来たさないように十分配慮してやる。労働省では喜んだ。遠慮せぬで休みをとれ。それは実際に理屈はいろいろあるが、何で休まなかったのかと思った。今度、無記名で、何で自分は休まなかったか——労働省本省及び地方に二万人くらいおりますが、書類にマルをつけて、何で休まなかったか、あるいは休んでどういう効果があったかなかったか、うれしかったかどうかということをこまかく一ぺん調べてみろ。それでないと、何となく休まないのはどういう理由で休まなかったのかわかりませんが、その結果、夏休み一週間休んでよかったということが出ますと非常に勇気づくのでございます。  それから、お説の銀行や役所で先にやれ、こうおっしゃいますが、気持ちはよくわかるのでございます。これもあながち悪いことではございませんが、私らとしてはそういう方針をきめて、民間で労使よく話し合って週休二日制など、あるいは夏休みを別につくるとか等々の方針を、個々によく相談して労使でやっていただくほうが——一律一体に法律なんかできめてやるという考えはいまございません。それはだんだん民間からもやっていただきたいと思います。よろしく御声援願います。
  153. 西田八郎

    ○西田委員 そろそろ時間ですから、あと一問で終わりますが、局長にお預けになっておりますILO条約の批准について打ち合わせをやっただろうと思いますが、大臣の所信だけ聞いてやめます。
  154. 原健三郎

    原国務大臣 その話を聞いておりますが、労働基準法研究会というのがあります。あれが非常に能率をあげて、私ども過般、さいぜんも申しました労働の安全衛生の答申というか、報告をいただきました。それでまた、その他いま先生のお話しになりましたILO関係の条約等についても御意見を求めております。それが出ましたときに十分考えていきたいと思います。
  155. 西田八郎

    ○西田委員 終わります。
  156. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員長代理 寺前巖君。
  157. 寺前巖

    ○寺前委員 前国会の重要法案の中でも重要な法案として当委員会でも問題になったのは、失対問題をめぐるところの法案であったと思います。そこで私は新しい大臣を迎えて、これに対しての確認をもう一度やっておきたいということで質問をやりたいと思います。  それは、前国会でこの法案が問題になったときに、現在の失対制度については当分の間置いておく、それから手当についてはなくするという内容をめぐっての討論が主要な内容になりました。私は当分の間で打ち切るという問題に対する大討論になった結論が出ているだけに、現在失対で働いておられる皆さん方に対してどういう態度でもって臨んでおられるのか、その点を聞きたいというふうに思います。というのは、当分の間というのはどういうことだという質問をしたところ、大臣は、それは社会保障制度が完備されていないのだから、五年や十年ではというお話がありました。したがって、まあいわばいま働いている方々は健康も注意しながらひとつやってくださいという内容だったと思うのです。ところが、最近労働省のほうから各都道府県知事あてに「日雇労働者雇用奨励制度の特例措置の運用について」という職安局長名によるところの職発第百九十八号という通達というのですか、出ております。それからまた労働省職安局の失対企画課長から企発第十三号という都道府県の労働主管部長あてに文書が出ております。これらを見ると、はたして国会で論議になった精神が生きているのか、私は疑問に感ぜざるを得ないわけです。国会で政府委員としての住さんは、自立の問題についてこういうふうに言っておられます。この際自立するかどうか、あくまでも就労者の自由意思にゆだねる考えでありまして、強制にわたることのないようにいたす考えです。また同時に遠藤部長は、再就職をしたい、あるいは自営業を開業したい、こういう希望を持った人も必ずおられますので、そういう人たちにいろいろな障害があると思いますが、できるだけいろいろなきめのこまかい援護措置をとりまして、就職支度金の増額とか、こういった措置をとって再就職あっせんを強力に進めていきたいという御答弁をなさっております。  そこで私がお聞きしたいというのは、今度各都道府県あてに出された資料を見ておりますと、一定の目標を設定して、そうして自立の促進方向を打ち出されているようです。あくまでも局長は自立が基本だということを前国会で答弁しておられるのですが、はたしてこれが自立的性格を持つのかどうかということについて聞きたいと思うのです。四十四年の自立は一体どういう状況にあったのでしょう。四十五年はどういう状況にあったのでしょう。それで今度の目標は一体どういうふうに設定されたのでしょう、聞きたいと思います。
  158. 住榮作

    ○住説明員 いろいろ従来の失対事業の就労者で民間に就職される、あるいは自営業を開業される、こういう方々に対しまして援助措置を講じておるのでございますが、いまお聞きの四十四年度の実績といたしまして約一万八千九百人、それから四十五年度におきましては一万五千百人という方々が再就職なり自立をされておられます。  そこで、今回の考え方でございますが、現在失対事業に働いておられる方々が十八万余おられます。その中で、たとえば五十歳以下の方々が二〇%おられる、あるいは民間公共事業に紹介適格者でありながら働いておられる方も二二、三%おられるというようなことから考えまして、十月一日から制度が変わるわけでございますが、その前にそういった民間就職なり、自営の可能性の強い方々、これは一ぺん職業相談なり、職業紹介、こういう考え方で積極的に御援助申し上げたほうがいいではないかということで、大体これは県によって若干違うのでございますが、   〔小沢(辰)委員長代理退席、委員長着席〕 そういった地域の労働市場の状況なり、あるいは就労者の状況、そういうことを勘案いたしまして、三〇%から四〇%程度の目標数というものを与えて、積極的な職業相談、職業紹介をやっていくように、こういうような考え方で指導しておる次第でございます。
  159. 寺前巖

    ○寺前委員 三〇%から四〇%というたら、十八万の中でしょう。そうすると、従来の実績は一万八千とか一万何千とか、さっきおっしゃった。比較にならないずいぶんたくさんの数ですね。比較にならないずいぶんのたくさんの数を目標設定にして、そうして常用化の道をと、こう言ったら、私はそれは従来の実績との勘案から見たら、かなり強制力を伴うところの指導になっていくと言わざるを得ぬと思うのです。これは国会で討論された内容とは違った方向に行くじゃないか。私はこれはこの目標数を設定して、強制にわたらないように、国会で答弁された内容を徹底してやるようにということをあえてもう一度指導をし直してもらわなかったら、国会を軽視したことになると言わざるを得ないと思うのです。それが一つ。  もう一つは、先ほどの職安局長の五月三十一日の通達を見ると、1の(4)ですか、「本特例措置は今回限りの措置であって以後このような特例措置を実施する考えはない」ということが書いてある。国会の過程の討論では自立のために援助していくという態度を示しておられるのに、なぜ限った期間に限って、特例措置だけは今回限ってやるのだということを言わなければならないのだろう。ほんとうに自立が前提の立場に立つならば、長期にわたって就職の準備金はお渡しいたしますから積極的に相談に乗ってください、どうぞおいでくださいと言ってあたりまえじゃないだろうか。私はこの二点はどう考えても前国会においての討論と違うように思う。どうでしょう、この二点について。
  160. 森山欽司

    森山委員長 時間の関係がありますから、御答弁願って、これで寺前委員の発言を終了いたしますから、御承知おきください。
  161. 住榮作

    ○住説明員 今回目標数を設定いたしまし花のは、先ほど申し上げたような趣旨に出るものでございます。そこで、前国会で申し上げましたように、これはあくまでも職業選択の自由ということがあるわけでございますから、本人と相談の上で再就職なり自営業をすすめていく、こういう基本方針は一貫して変わっておりませんので、なお不十分な点があれば、そういう面での下部の指導は十分いたしてまいるつもりでございます。  それから、就職支度金の制度でございますが、これは現在、制度的には従来から、再就職なり自営をされる方には五万円という制度があるわけでございます。そこで、今回新しく制度が切りかわるにあたりまして、この際、民間の再就職なり自営をされる方につきましては、ひとついろいろな面でふん切りもつけてもらわぬといかぬというような考え方から、九月末まで三カ月間の期間で支度金の増額をいたしたわけでございます。したがいまして、その特例期間が過ぎますと、従来の五万円の制度というものが動いていくわけでございます。この基本的な五万円の制度につきまして、これをどうするかということにつきましては、いろいろ充実をはかっていく必要も出てくるかと思うのでございますが、特例措置といたしましては、一定期間を限って実施する、こういう趣旨で実施をいたしておるわけでございます。
  162. 寺前巖

    ○寺前委員 最後に……。
  163. 森山欽司

    森山委員長 毎回発言をしていただくように努力いたしておりますけれども、もしも申し分わせの時間を今後お守りにならないようでございますと、これからの発言について理事諸君と相談の上善処せねばなりませんから、一言御注意申し上げておきます。寺前君。
  164. 寺前巖

    ○寺前委員 新しい大臣を迎えたときですから、私は最後に大臣にお聞きをしたいと思います。  前国会で、いま失対事業におられる人たちについては引き続いて仕事をしてもらえるということが基本的に確認されたと思います。それから自立する道については十分援助する、特別な措置をしていくのだ、この二つが討論になったと思うのです。そうすると、先ほどから説明しているように、従来よりもたくさんの目標を設定して、やめたらどうだということと、期限を切って特別なお金を出すからどうだというやり方は、この精神に反するのじゃないかということを私は指摘したのです。新しい大臣は、前回の国会の意見を十分尊重されてこの指導の改善に当たっていただけるのかどうか、最後にお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
  165. 原健三郎

    原国務大臣 いろいろ御意見もございましょうが、決して強制したりなどはいたしませんで、よく相談をするだけでございまして、そして本人の意向もよく聞きまして、ごり押しはいたしませんから……。  それから、今回に限ってですが、やはりこの機会に民間事業等で自立されるほうが本人のためにもよろしいであろうという親心からそういうふうにいたしておりますので、就職支度金も五万円から二十五万円に増額しておるような次第でございますから、これもそれが御希望でなければやむを得ないことでございますが、御希望があればそういうふうにいたしたい、こういうごく自然にやっていく考えでございますから、この前の委員会のときとあまり変わらぬのじゃないかと思います。
  166. 森山欽司

    森山委員長 本日はこれにて散会します。    午後二時五分散会