○田邊
委員 いま率直に
大臣からお話がありましたが、私は、いろいろな、利害相反するといいましょうか、利害
関係者からくるところの
意見の調整、まあ摩擦と称してもいいでしょうけれ
ども、そういったものがあることは
十分承知をしておりまするけれ
ども、それとても、や
はり政府のき然たる
態度がまず前提にあれば、その上に立って十分
話し合いのできるものである、またそういう
立場でやるべきものであるというように
考えておるのでありまして、いわばあちらをつつき、こちらにおもねってというような形では、この問題の解決にならないということを、非常に僣越でありまするけれ
ども、この際悟るべきではないかというように思って、あえて申し上げたのであります。
保険医総
辞退を
日本医師会がいたしました。一体どういう理由でしたかということに対して、これは実は非常にわかっているようでわからないのであります。
医師会は実はいろいろなパンフレットを出しております。私も一通り
医師会の出されているところの各種の印刷物を拝見をいたしました。その中でも一番まとまっておるのは、
日本医師会会長
武見太郎さんが、四十六年六月九日に、各都道府県の
医師会の社会
保険担当
理事連絡
会議において表明された、「
保険医辞退の理由と目標」という、この冊子がかなりまとまっておるわけです。あるいはまた、
日本医師会の「
国民の皆さまへ」と題しているパンフレットも読ませていただいた。さらには
保険医の総
辞退に対するところの
一つの指示を
武見会長が各都道府県
医師会長に出している、これも読みました。しかしこれは、現在の
医療の矛盾をついて中央
政府をつきあげる方式としてはこの
保険医総
辞退が最も効果的であると書いておりますけれ
ども、その
内容は明らかにされておらない。各都道府県の
医師会や私の地元の
医師会な
ども、この
保険医総
辞退に対して市民に訴えるようなパンフレットを各種出しております。これをずっと読みながら、これをつなぎ合わせてみて、私は私なりに、
医師会の意図するものが那辺にあるかということに対してわかるような気持ちもいたします。しかし私は、いままで
国民はいわば非常に不満足な
医療、しかも高い
保険料を取られて満足な給付を受けてないという、いわば
医療の面においては被害者であります。そして、この
保険医総
辞退が起こるということに対して、
国民はそれに対して何ら意識を持っておらなかったと思うのです。まさかこんなような
事態が起こるとは予測しなかった。したがって、そういう
国民の現在におけるところの意識、そういった点から見て、この
保険医総
辞退の積極的な理由というものは、われわれとしてはどうしても理解に苦しむのであります。
日本医師会が主張してまいりましたのを
経過的に追いましても、実はいろいろなことが表面に出てまいります。
まず、引き金と称した二月の中医協におけるところのいわゆる審議用メモが出てまいりました。
医師会の
委員は、これに対して、その場においては、積極的に賛意を表するとまでいかなくも、かなり評価した発言をしておったのでありますけれ
ども、帰りまして、一夜のうちに実はこの審議用メモというのはいわばたいへんな反撃の的となり、口をきわめてこれが悪く報道されて、げすの智恵といわれたのであります。
その次は、前回の
国会に出てまいりました、いわゆる
健康保険法の改悪案、これが、けしからぬ、これは全く
抜本改正とは似て非なるものである、特に患者負担を増加させるような再診料の設定のごときは全く
医療の低下を来たすものである、実はこういう批判が出てまいりました。さらに
健保法が廃案になりました時点の中から、いやわれわれのねらいとするところは、三十六年以来の
抜本改正に対する
政府の怠慢である、これの道筋を明らかにすべきである、具体的な
対策を示せ、こう言ってきたのです。しかし最終的に
医師会かいま
国民に対していろいろ言っておりますところは、何といっても
健康保険組合、
組合健保がたいへんな黒字を出しておるんだ、
保険者の独裁、横暴である、これに
国民は苦しめられておる。したがってわれわれはこの弱い者をいじめるところの
組合健保をつぶして、
医療保険制度の機構についてこの際ひとつ新しいものをつくる、こういう意欲に燃えておるんだ。したがって私企業に奉仕するところの現行の
保険制度を破壊する、そして
国民平等の近代的な
保険制度を
確立するんだと言っている。これはもちろん、私はいま申し上げたことが決して
関係のないことではないと思います。一連の
関係のあることであろうと思うし、これがすべて
医師会の要求であるかもしれません。
しかし、はたしてそれならば、まず最初に、審議用メモというものの一体どこが悪いのか。審議用メモについても、中身についていろいろ問題はあります。たとえば外来患者数の多少に応じて診察料に格差を設ける、あるいはその技術評価について全額患者負担または差額徴収を導入するというような療養者払い等の問題について中身としていろいろ問題がありましょうけれ
ども、
医療保険制度の
抜本改正という問題を
考えるときに、実は
抜本改正、
抜本改正といろいろなことを言いますけれ
ども、
抜本改正とは一体何ぞやといったら、実はいろいろな
意見があるわけです。しかしこの審議用メモに書いてあります各項目というのは、当面
政府がとり得るところの、
保険制度の上からいっていろいろ問題として今後これの中身について検討をしなければならない素材であると私は思います。ですから、中身は別として、この題目だけとってみた場合には、かなり重要なポイントについてメモは書いておると私は思うのであります。ですから、このことの全体が何かいまの
医療問題に対する審議と逆行する、こういう
医師会の包括的な
意見に対しては、私は必ずしも直ちにくみすることはできないというように思うのであります。したがって、それらの問題に対して
医師会は一体どのように
考えておるのか、この
医師会のきわめて大上段にふりかぶった
意見が
辞退の理由なんですという中について、これはや
はり分けていかなければならぬと私は思うのです。
いままでの
保険の
制度に対して確かにいろいろな
欠陥があるということは私は
承知しております。
あとで
質問するところの
診療報酬体系自身についても私は
意見があります。しかしその技術料の評価をしろという
意見についても、
医師会ははたしてわれわれが言うところの技術料を重視する
診療報酬体系に変えるということに対して賛成なのか
反対なのか、私
どもは実はこれは疑問なしとしないのです。かえっていまのいわば売薬
医療といわれるこの
医療によってかなりの収入を得ている医者の側から見た場合に、この問題に対して、私
どものいう体系の改革というものについて心底から賛成するのかどうかということに対して、私
どもはいろいろと
意見が分かれるところではないかと思います。
そういうように
考えてまいりますと、
医師会のねらいは、これらのことをいま言っておりますけれ
ども、いわば羊頭を掲げて狗肉を売るというようなねらいがあるのじゃないかと私は思わざるを得ません。これは勘ぐりであれば幸いでありますけれ
ども、そういうように真のねらいは別にあるのではないかと
考えられるような節が見受けられるわけであります。この場合総
辞退の理由というものを
政府が明確にとらえまして今後の問題に対処しなければならないという観点でもって、
大臣にいま私が幾つか各項目に分けて
質問いたしますけれ
ども、これに対して一体どういうふうに把握されておるのか、お
考えをお聞かせ願いたいと思います。