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1971-07-23 第66回国会 衆議院 社会労働委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年七月二十三日(金曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 森山 欽司君    理事 伊東 正義君 理事 澁谷 直藏君    理事 谷垣 專一君 理事 増岡 博之君    理事 田邊  誠君 理事 大橋 敏雄君    理事 田畑 金光君       秋田 大助君    大野  明君       梶山 静六君    唐沢俊二郎君       小金 義照君    斉藤滋与史君       橋本龍太郎君    箕輪  登君       向山 一人君    小林  進君       後藤 俊男君    島本 虎三君       古寺  宏君    古川 雅司君       渡部 通子君    寒川 喜一君       西田 八郎君    寺前  巖君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 斎藤  昇君  出席政府委員         厚生政務次官  登坂重次郎君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      渡部 周治君         大蔵省主税局総         務課長     山内  宏君         厚生省医務局長 松尾 正雄君         厚生省保険局長 戸澤 政方君         社会労働委員会         調査室長    濱中雄太郎君     ――――――――――――― 七月二十一日  せき髄損傷者に対する労働者災害補償保険の給  付改善に関する請願(小濱新次紹介)(第七六  号)  労働災害以外によるせき髄損傷者の援護に関す  る請願(小濱新次紹介)(第七七号)  同(大坪保雄紹介)(第七八号)  スモン病対策確立に関する請願鈴木善幸君  紹介)(第一一六号)  老人医療費公費負担制度早期実施に関する請  願(鈴木善幸紹介)(第一一七号)  老人医療費無料化に関する請願鈴木善幸君  紹介)(第一一八号)  家政婦職域範囲に関する請願外三件(福田篤  泰君紹介)(第一一九号)  同(塩川正十郎紹介)(第一七一号)  海洋戦没者実態調査促進に関する請願有馬  元治紹介)(第一七二号)  同外一件(石田博英紹介)(第一七三号)  同(池田清志紹介)(第一七四号)  同(小川半次紹介)(第一七五号)  同(大橋武夫紹介)(第一七六号)  同(奥田敬和紹介)(第一七七号)  同(金子岩三君紹介)(第一七八号)  同(亀山孝一紹介)(第一七九号)  同(仮谷忠男紹介)(第一八〇号)  同(北澤直吉紹介)(第一八一号)  同(砂田重民紹介)(第一八二号)  同(田川誠一紹介)(第一八三号)  同(田中龍夫紹介)(第一八四号)  同(田中正巳紹介)(第一八五号)  同(中馬辰猪紹介)(第一八六号)  同外一件(床次徳二紹介)(第一八七号)  同(中尾栄一紹介)(第一八八号)  同(永山忠則紹介)(第一八九号)  同(西尾末廣君紹介)(第一九〇号)  同(福田篤泰紹介)(第一九一号)  同(坊秀男紹介)(第一九二号)  同(細田吉藏紹介)(第一九三号)  同外一件(増岡博之紹介)(第一九四号)  同(増田甲子七君紹介)(第一九五号)  同(毛利松平紹介)(第一九六号)  同(山下元利紹介)(第一九七号)  同(吉田之久君紹介)(第一九八号)  同(橋本龍太郎紹介)(第二四七号)  同(三原朝雄紹介)(第二四八号)  保険診療経理士法制定に関する請願阿部文男  君紹介)(第一九九号)  同(有馬元治紹介)(第二二号)  同(伊藤宗一郎紹介)(第二〇一号)  同(石田博英紹介)(第二〇二号)  同(宇都宮徳馬紹介)(第二〇三号)  同(奧野誠亮紹介)(第二〇四号)  同(小宮山重四郎紹介)(第二〇五号)  同(佐藤文生紹介)(第二〇六号)  同(斉藤滋与史君紹介)(第二〇七号)  同(塩谷一夫紹介)(第二〇八号)  同(瀬戸山三男紹介)(第二〇九号)  同外一件(地崎宇三郎紹介)(第二一〇号)  同(中川一郎紹介)(第二一一号)  同(南條徳男紹介)(第二一二号)  同(西岡武夫紹介)(第二一三号)  同(羽田孜紹介)(第二一四号)  同(橋口隆紹介)(第二一五号)  同(橋本龍太郎紹介)(第二一六号)  同(堀田政孝紹介)(第二一七号)  同(松浦周太郎紹介)(第二一八号)  同(水野清紹介)(第二一九号)  同(村山達雄紹介)(第二二〇号)  同(向山一人紹介)(第二二一号)  同(安田貴六君紹介)(第二二二号)  同(山口敏夫紹介)(第二二三号)  同(山下徳夫紹介)(第二二四号)  老人医療費無料化等に関する請願相川勝六  君紹介)(第二二五号)  同(小山長規紹介)(第二二六号)  同(進藤一馬紹介)(第二二七号)  同(三原朝雄紹介)(第二四九号)  老齢者医療費全額公費負担等に関する請願  (池田清志紹介)(第二四二号)  はりきゅうマッサージ健康保険取扱手続  き簡素化等に関する請願徳安實藏紹介)(第  二四四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月二十一日  盲人の生活安定に関する陳情書  (第  一三号)  国民健康保険事業に対する国庫補助金増額等に  関する陳情書  (第一四号)  健康保険法改正に関する陳情書  (第一五号)  健康保険法改正等に関する陳情書  (第一六号)  老人医療費無料化に関する陳情書外三件  (第一七号)  同(第一二三号)  老人福祉対策推進に関する陳情書外一件  (第一八号)  同  (第一〇一号)  駐留軍離職者対策推進に関する陳情書  (第一九号)  はりきゅうマッサージ健康保険取扱手続  き簡素化等に関する陳情書  (第二〇  号)  予防接種事故に対する救済措置等に関する陳情  書(第二一  号)  保育所施設整備等促進に関する陳情書  (第二二号)  中高年齢者雇用対策推進に関する陳情書  (第二三号)  有害食品規制等に関する陳情書  (第六〇号)  生活保護基準額引上げ等に関する陳情書  (第六一  号)  難病救済対策確立に関する陳情書  (第六二号)  国民年金老齢福祉年金増額等に関する陳情書  (第六三号)  健康保険医辞退に関する陳情書外四件  (第六四号)  同外七件(第  九七号)  健康保険医辞退規制に関する陳情書  (第九八号)  医療保険制度改善に関する陳情書  (第九九号)  保育料措置費国庫負担金交付基準引上げ等に  関する陳情書(第一  〇〇号)  厚生年金等退職年金スライド制早期実現に関  する陳情書(第一〇  二号)  広域上水道事業に対する国庫補助増額に関する  陳情書(第一〇三号)  精神障害者医療費負担に関する陳情書  (第一二一号)  は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  厚生関係基本施策に関する件(保険医辞退に  関する問題等)      ――――◇―――――
  2. 森山欽司

    森山委員長 これより会議を開きます。  厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますから、これを許します。向山一人君。
  3. 向山一人

    向山委員 当面して非常に緊急な問題である保険医辞退関係中心にいたしまして、医療関係について、大臣並びに関係局長質問を行ないたいと思います。  今月初めから保険医の総辞退が行なわれまして、すでに二十日間を過ぎております。その間、被保険者である一般国民はきわめて深刻な幾多の問題を惹起しているわけでございまして、最近におきましては、組合健保に加入の家族が、非常に高い自由診療料金を取られるのを苦にいたしまして自殺をするというようなことが新聞に報道されるような、もういっときも猶予できないような事態になってきております。  大臣は、就任早々この問題と真剣に取り組んで、きわめて目ざましい活動をされているわけでございますが、二十日間を過ぎました今日現在、全国的にこうした状況はどういう状況であるか、簡単に御説明を願いたいと思います。
  4. 戸澤政方

    戸澤説明員 数字的な問題等につきまして私からお答えいたします。  七月一日から日本医師会関係の総辞退が発効いたしたわけでございますが、数字的なことを最初に申し上げますと、現在辞退を行なっていない県、延期している県は三県ございまして、島根、岡山、山口の三県でございます。あとの県は総辞退に突入しているわけでございます。その辞退数は六万七千でございまして、全国の診療に従事している医師の数が十一万八千でございますから、そのうち約六割の六万七千が辞退しているわけでございます。ただし、いわゆる代理受領というかっこうでもって実質的に政管の被保険者に迷惑をかけないでやっておる県、全県代理受領を行なっている県が七県ございまして、医師数が約一万人、これは全県代理受領を行なっております。これは県とその地方の医師会でもって話し合いの上、そういうことになっております。それから、あとのところにつきましても、個々に代理受領を行なう医師がかなりあると思われるのでございますけれども、これはその請求がまだ今月末から来月になってみませんと全体の数がつかめませんので、まだ数字的にはつかめておらないような状況でございます。  それから歯科医師につきましては、一応六月の二十八日に辞退届けが提出されておりますが、その数は三万三千人でございます。歯科診療に従事している歯科医師の数は三万八千人でございまして、大部分が提出をしているということでございますが、これが発効するのは八月一日というふうになっておりますので、まだ歯科医師のほうは突入はしてないわけでございます。
  5. 向山一人

    向山委員 こうした不幸な状態になっているわけでございますが、日本医師会武見会長は、保険医辞退にあたりまして、十年前に政府並びに自民党に対しまして健康保険法抜本改正をするという約束文書でとってあるのだ、しかしその文書による約束の四カ条のうち、一つだけでもいまだに手がつけられていないといっております。したがって、こうした誠意のない状態ではもうやむにやまれず総辞退に突入せざるを得ないというようなことをパンフレットにして出しておりますが、そのとおりかどうだか、大臣からお伺いしたい。  それからその約束の四条件について、政府自民党文書約束してあるのに、十年間もどういう事情——一つ実現できないというのは、国民の側から見るとあまりにも不可解なことでございますが、その実現できなかった理由を簡単にお聞かせ願いたいと思います。
  6. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 十年前の約束、四カ条、おあげになったとおりでございます。医療制度抜本的改正医学研究と教育の向上と国民福祉の結合、医師と患者の人間関係に基づく自由の確保、自由経済社会における診療報酬制度確立、このうちあとの三項につきましては、その後設けられました懇談会等において決定をいたしたものが若干ずつ実現をいたしておりますが、しかし満度にというわけにはいっていない。それから医療保険抜本改正は、御承知のように、私から御説明するまでもなく、今日までまだ至っていない。なぜできないか、これは向山先生も十分御承知だと思いますが、関係するところが非常に広い。いまの保険制度は八種類ある。しかも、その八種類の中にさらにいろいろな態様がある。抜本的にやろうとすると、現在その保険のために非常に利益と言っちゃ悪うございますが、抜本改正をされては困るという者も出てくるというようなことから、今日まで来ているのだ、かように思います。そこで御承知のように自民党医療基本問題調査会では大体その方向をまとめられまして、そしてその趣旨に大体合致する考えで、二年前の八月四日と思っておりますが、政府抜本改正考え方を二つの審議会諮問をいたしまして、その諮問答申中間報告はいただきましたけれども、肝心の保険制度をどう抜本的に改正したらいいかという答申はいただいていないというのが今日の現状で、しかしながら二年前の国会健保問題について非常な御議論がございました。その際に二年後には必ず抜本改正をいたしますから、こういうて約束をいたしました。その結果二年前の八月四日諮問案を出したということになっています。そこで答申がないからといってじんぜん手をこまねいておるわけにいくまい。次の国会では必ず抜本改正に目鼻をつけた法案を出さなければならぬのじゃないかというので、いまその方向で検討をいたしているというのが今日の現状でございます。
  7. 向山一人

    向山委員 ただいま大臣から御答弁がございましたように、四十二年、四十四年の国会保険料の値上げを内容とする健保特例法が成立をいたしております。その際佐藤総理はみずから、二年以内に抜本改正を断行する、勇断をもって断行するというふうにお述べになっておられます。そしてちょうど四十四年の六月、ただいまの斎藤厚生大臣がこの前厚生大臣就任しましたときに、自民党から国民医療対策大綱というのが出されているわけでございます。私ども当時自民党から出ました医療対策大綱をずっと目を通してみましたが、大体今日問題になっているような問題は一通り全部顔を出しているように思います。昭和三十六年に国民保険ができましてから以来、当時の状況はどうも長期的な展望に欠けておったので、非常にいろいろな欠陥も出ておる。いまも大臣からお述べになられましたように、いろいろな健康保険が八つもあるというような実情やら、いろいろ内容についても欠陥がある。したがって今後二、三十年の先を見ながら長期的展望に立ってつくろうというようなことで、いろいろこういうふうなことでまとめた経過も書いてございまして、それらのことが七項目にまとめられているわけですが、どうも四十四年にこうした大綱が出て、これに基ついて総理も二年以内に抜本改正をやるのだ——むずかしいことはもちろん当初から私も承知の上でこれは申し上げるわけでございます。むずかしいことは総理十分承知の上で、二年以内にはこの国民医療の一番大事な問題だから勇断をもってやるとおっしゃっているわけですから、そういうことはよく承知しておりますけれども、どうもその間の経過を見てまいりますと、当時これにあげてある問題で、たとえば日雇健保赤字が非常に出るので、これも何とかしなければならぬとか、あるいは前国会で問題になりました政府管掌保険も、中小企業中心とした健保でどうしても赤字がでるので、これに対しても何とか対策をしなければならぬ、こういうことが当時あげられておって、どうも抜本改正をやるといいながら、いままで実際に国会にかけてきたのは、その中のほんとの一つ日雇健保を取り上げて、それも前々回の国会で取り上げられて、参議院にいって廃案になった。今度も私ども抜本的に改正しなければどうにもならないのだと思い、医師会側も口を開けば抜本改正をして近代化しなければならない。支払い側も、もちろん内容は違うでしょうが、そういうような言い回しをして、国民もそういうことになっておるけれども、どうも出てくるのはちびっとして出てきて、それも、ちびっとして出てきたものがたいへん大きな反対にあって、なかなか通らないという経過を実はたどって今日に至っております。そこでこれはどうしても、むずかしい問題だから避けて通ろうというわけには私はいかない問題だろうと思います。むずかしい問題だから、腹を据えて、全力をあげて政府も党もやらなければならない問題でございますが、そうしたむずかしいことはみんなが承知しながら、しかも心配して、保険近代化をはかろうということは、医師会ももう口を開けばそういう表現でやっているわけでございますから、そういう点を考えると、いまは医師会中医協等に送っておった代表を引き揚げましたけれども、当時みんな代表を送って審議会があったわけでありますから、こういう経過もよく委員の間でコミュニケーションをかわして、そうしていまになって、十年間のうちに一つも何にもやらないといって医師会が総辞退をするということは、やらなんだとしても、その事情もよくわかるし、コミュニケーションをもう少しよくやっていればこういうふうな状態にならずに済んだんじゃないか、こんなふうに実は考えて、私どもたいへん残念に思っておるわけですが、それについてはまだ何かほかに事情があるんじゃないかと思うわけです。  私どもは昨年から前の内田厚生大臣にこの委員会で、抜本改正をどうするのだ——前回提案された健保法の一部改正法案抜本改正の入り口だ、こういう説明をされまして、抜本改正はいま諮問をしているからその返事が来れば抜本改正をやるのだ、昨年の春あたりはそういうことで、昨年の八月にはやる、こういう答弁を何回もしてきたわけです。それがまた今日になっている。時間がありませんからこまかいことは申し上げませんけれども、こういういろいろないきさつを考えますと、ほんとうに腹を据えてやらなければ、逃げているわけにはいかぬし、そうかといって私は、ちょっとした改正をやるのが非常に反対が多くてむずかしいからといって、抜本改正反対ということには必ずしもつながらないであろうと思うのです。むしろこの前のときの健保法の一部改正案は、抜本改正をやらなければいけないのだ、こういうこそく的なことは反対だという意見のほうが強かった。こういう点から考えても、厚生行政については非常にベテランの斎藤大臣が再び就任したわけだから、ただいまもこの抜本改正をできるだけ早くやる方向で進めておられるというふうな御答弁でございますけれども、従来の経過の上に思い切った、むずかしい問題だから腹を据えなければできないだろうと思います、腹を据えておやりにならなければなかなかできないだろうと思うのです。これはすべてが非常に要望しているわけでございますが、その辺に対する御決意のほどをひとつ大臣から御答弁を願いたいと思います。
  8. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 抜本改正のむずかしさは過去の十年間のいろいろの経緯を見ますると、ますますむずかしいという感を深くするのみでございますけれども、しかしながら、抜本改正をやらなければならぬというのは与野党とも通じた御意見であって、いまのままではいかぬのだ、抜本改正をやれ——抜本改正そのもの反対だという御意見は私はないと思います。そこで抜本改正をやるについての基本的な理念を一体どこに求めるかということで、これは国民的の合意が得られるなら、いろいろな困難な点も払拭していけるんじゃないだろうか。そこでいまの健保にひそんでいるいろいろな矛盾、いわゆる国民医療については皆保険だ、こういうが、その皆保険の見地から考えていまの保険制度でいいのかどうかということを検討してまいれば、私は合意が得られるものじゃないかしらん、かように思います。しかしながら過去のいろいろな歴史的な事実がございますから、それが現状保険制度をやっていただいているわけでございますから、関係している方々からは相当反対はあると思います。しかしそれをそれらの方々に説得をし、その同調をいただく、これは困難であろうといたしましても、いまおっしゃいますように、国民保険下における保険制度はかくあるべきだという姿を私ははっきりと浮き彫りに出して、そして私としましてはそれこそ政治生命をかけてでもやりたい、かように思っております。
  9. 向山一人

    向山委員 この医療対策大綱の中で、特に組合健保等についていろいろ問題がございますけれども、きょうはそんな点については質問をする時間がありませんから先に進ましてもらいます。  そこで、保険医の総辞退の問題で、大臣就任早々日本医師会武見さんと過去二回にわたり公開の場で会見をされまして、また二十七日に第三回目の会見をされるようでございますが、新聞等で見ますと、そのあと八月の初めにでも佐藤武見会談実現して、そして何とか総辞退状態を収拾しょう、こういうようなスケジュールのようでございますが、過去二回医師会と折衝されまして、それらの問題になった点あるいは感触等から、八月初旬に佐藤総理武見会長との会談で収拾されるお見込みがほぼつきそうだかどうか。これはたいへんむずかしい問題だから、主観の問題だから、別にあとになってどうこうというわけではありませんが、そういう点について大体感じをお聞かせ願いたいことと、それからもう一つ国民は何か日本医師会態度が非常に強いので、日本医師会の力に屈眼して、そうして政府厚生省医師会の言うようなことに対して安易な妥協をしていくようなことを実は非常に懸念をしている向きもございますけれども、これらの点についてひとつ大臣の御意見を簡単にお聞かせいただきたいと思います。
  10. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私がここで見通しを申し上げるということは、ただいま医師会といろいろ話し合い中でございますから、かえってこの事態を長引かせることになるかもしれませんが、私の希望としましては、できるなら今月中に、それがどうしてもできないなら八月上旬に必ず妥結を願いたい、かように思っておりまするし、またそれは不可能ではなかろう、かように思っているわけでございます。  そこで、いまおっしゃいました医師会と安易に妥協するのじゃないかという声は私も聞いておりますが、医師会側の言い分で正しいところは正しく受け入れ、正しくないところは受け入れないという態度は私ははっきり持ってまいりたい、かように考えます。われわれの考えている点が医師会とたまたま同じであったから、あれは医師会寄りだ、こういわれることは私は非常に不本意だ、かように思います。たとえば、総辞退があったから抜本改正を次の通常国会には必ず出すという決意をきめたのではなくて、前からその決意はきめております。一例を申し上げるとそういうわけでございますので、御了承いただきたい、かように思います。
  11. 向山一人

    向山委員 ぜひそうあってほしいわけですが、新聞等に報道されているところを見ますと、武見会長政府抜本改正の具体的な方向を示されない限り一歩も引かぬ、こういうような言い方をされているようでございますので、もちろん話し合いをするということは双方歩み寄って誤解を解いていくというふうなことですから、そういうことを言っておったから現在もそうだということではないでしょうが、いずれにいたしましても、これは国民医療の問題でございますから、この問題は中心国民中心でなければ、国民中心考えて、支払い側とか医師側というのは主の立場でなくていわば従の立場で問題を整理していかないと、たいへんなことになってくるだろうと私は思います。そういう意味合いで、強いから強いほうへ傾くということではなくて、ものの本質がこの大事な国民医療、しかも国民保険になっている現状から考えまして、こうした大事な国民医療でございますから、あくまで国民立場に立ってひとつ解決をしてもらいたい。そうかといって、それだけでは解決できませんから、もちろん医師会側意見も十分聞き、支払い側意見も十分聞くという態度に立ってこの難問題を解決していただきたいと思います。また一日も早く解決されることを今日国民はこぞって期待しているわけですから、そうした形でひとつぜひとも進めていただきたいと思いますが、その点については大臣のお考えはいかがでございますか。
  12. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 ただいま向山先生のおっしゃるとおりに私も考えております。全くそのとおりだと存じます。国民立場に立って、そしてこれを国民のお互いの相互扶助による保険制度で疾病、事故保険していこう。しかし保険だけでなくて、さらに保険事故に入る前の予防体制とかあるいは健康増進体制というものとマッチしながら、またマッチし得るようなそういう保険制度がやはり必要であろう。総理施政方針演説でおっしゃいましたように、ほんとう国民立場、皆保険という立場から考えてどうあるべきかということに起点を置いて医師会との問題の折衡にも当たりたいと思いますし、抜本改正のその根本もそこに置いてまいりたい、かように思います。
  13. 向山一人

    向山委員 そこでこの抜本改正にあたりまして特に重要だと思われるような点を、これは時間がありませんからこまかいことは申し上げませんが、簡単に私申し上げたいと思いますけれども、まず第一は医療供給体制の整備の問題だろうと思います。  それから二番目が公費負担制度の拡充、これは私ども保険は社会保障的な考え方を中心にどうしても持っていかなければいけない。ましてや中小企業、零細企業あるいは低所得の皆さん方の場合のことを考えますと、先般の健康保険法の一部改正案でも国庫補助五%というふうなことで医師会反対だというふうなことから、前厚生大臣はどうももうちょっとよけい国が出せば話がつくと思ったかどうだか、新聞で報道されるところで見ますと、一〇%ぐらいは国が出してもいいというふうな意味のことを申し述べておられましたが、今度の場合は抜本改正ですからそんなことにとらわれるわけではございませんが、どうしても出すべきところへはひとつ思い切って国のほうでも出していただきたい。  それから保険制度の整備、これは先ほども大臣からちょっと触れられましたが、いま八つの健康保険組合があるわけで、これはどうしても整理統合していくことがよかろうと思う。結局私ども地域保険、職域保険というような形に、大きく分ければそんな考え方を中心にして進むことがよくはないだろうかと思うわけですが、医師会等では老人保険というものを別に考えておられます。老人保険というのはいずれば社会保障的な考え方でだんだん無料化されていくだろうと思いますので、こんなふうな制度の整備、それから給付水準の目標、医療制度改善、こんな点が大体医師会関係の書類を見ましても一番重要点で、取り上げられなければならない点のように思いますが、こんな点について大臣は大体同感でございますか、ちょっと簡単に……。
  14. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 大体同感でございます。保険制度とそれから医療の供給体制、これは保険制度そのものではございませんが、うらはらをなす問題でございます。保険考えなくても、医療の供給体制を整備しなければならないということはもちろんであります。それから公費負担は、保険にいたしましてもあるいは医療の供給体制にいたしましても、すべてこれは社会保障という見地から考えてまいらなければならないと思います。特に保険はさようである、かように考えますから、したがって公費負担も、どういうものを公費で負担をするのか、あるいはどういうところまでは低所得者としてあれをするのか、そこにいわゆる社会保障的な所得再配分的な考えも当然入ってこなければならない、かようき考えます。  一々申し上げておりますと数限りがございませんが、給付にいたしましても、たとえば健保における本人と家庭の差別をする理由があるのかないのか、また国保の中にも特別な国保組合が認められておりますが、こういうのは社会保障的見地から見てどうなのかということも考えていかなければならぬ、かように思いますので、理念はいまおっしゃいますような理念で、現在の保険制度を解剖し、そして新しいあるべき姿の保険制度を樹立しなければならない、かように思います。
  15. 向山一人

    向山委員 時間が参りましたのでやめたいと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、どうか一ときも早く医師会との話を詰めまして、これは抜本改正をするということで休戦でもしない限りはそう簡単には——これから抜本改正をするまで続くということではたいへんなことでございますので、おそらく抜本改正をするから一応総辞退を中止するというふうなことの話し合いでいくだろうと思いますけれども、いずれにいたしましても、いまのような国民が非常に困惑している窮状を一刻も早く取り除くことができますように大臣の格別のお骨折りを期待申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  16. 森山欽司

    森山委員長 田邊誠君。
  17. 田邊誠

    ○田邊委員 いまも御質問がありましたが、保険医辞退になってからすでに一月になんなんとする時間が経過いたしました。この問題については衆参の代表質問なり予算委員会でもすでに取り上げられている問題ですが、所属といいましょうか専門委員会の当委員会ではきょう初めてでございますので、一通り経過も含めまして大臣から考え方を明らかにしていただきたいというふうに思っているわけであります。  これについて斎藤厚生大臣就任以来かなりの努力をされていることに対して、私どもは敬意を払っているわけであります。しかし大臣のそういう努力にもかかわらず、事態はいまだに具体的な進展をしておらない。こういうことに対してわれわればかりでなく国民がたいへんないら立ちを感じているのではないか、実はたいへんな不安感におちいっているのではないかと思うのです。このままで推移してこの事態の収拾は一体どうなるのか、できるのかできないのか、一体いつから従前のような保険診療を受けられるのか、こういう国民の悩み、これは大臣も胸に秘めておられると思うのですけれども、すでに先ほどの質問にもありましたとおり、多額の診療費を払うために、それを苦にして自殺をしたというお年寄りもおられる。こういう事態でありますから、名実ともに、実は一刻の猶予もならない、こういうことに私はなっておると思うのであります。  しかし、問題を解決するためには、事態は急を告げているということの認識と同時に、この事態をどうやって解明するかという冷静な判断もなければなりません。そういった点から見て、私は問題の解決のいわば前提としてお聞きをしたいわけです。  この保険医辞退というものは、一体なぜ起こったのか。あと日本医師会の要求について、大臣の知る限りの御返事をひとついただきたいと思いますけれども、その前に、こういう保険医辞退になった根本的な原因は一体どこにあるのか。武見医師会長は、三十六年、灘尾厚生大臣と当時の田中自民党政調会長の間で、四項目の確認をやった、これを実行されていない、こういうことを言っております。この十年間と医師会は言っておる。しかし、私は、いずれにいたしましても、十年間はさておきまして、いわばここ数年の間において政府がとってきたところの、この医療保険に対するところの考え方、これはいわば当面を糊塗する問題であり、単なる赤字調整の対策であり、国民の望むところの医療保険なり、それを含む医療制度全般に対する政府の意欲的な取り組みということの姿勢がどうも見られない。斎藤大臣は、四十四年の八月に厚生省試案を審議会諮問をした、これを待っているとおっしゃいます。あとで私は申し上げまするけれども、しかし、その二年間においても政府はなすべきことをしていなかったということに対する、いわば国民総ぐるみの批判は、私はこれは何としても避けることはできない事実ではないかと思うのです。言うならば、政府のこの問題に対するところの怠慢そしてまた安易な考え方、困難な問題を避けて通ろうとする、そういういわばその場限りの対策、これが積もり積もって、私は今回の事態を惹起したんじゃないかと思うのです。  医師会の引き金の引き方、引き金といっていますけれども、あるいはこの事態になったところの積極的な理由というものに対して、私どもはいろんな面で疑問を持っておりまするけれども、それはまずさておいて、政府のいままでの態度、これを私どもとしては何としてもまず反省をし、政府自身が謙虚な気持ちに立って、いままでの弊を繰り返さない、いままでのそういったいわば怠慢をこの際ひとつ一挙に一てきをして、これに対して全勢力をあげて取り組むという、こういう姿勢がまずなければ、いかようにあるいは医師会を批判をし、あるいは支払い者団体に意見を言い、国民に対して弁解を言っても、私はこれは始まらないような気がするというように思っておるのでありまして、ひとつ医師会のいろいろな考え方はさておいて、いま私が申し上げた、政府のいままでのとった態度に対して、大臣は謙虚にこれを反省をして、いまこそ国民の負託にこたえるという決意をお持ちであるかどうか、まずお聞きしておきたい。
  18. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 一言で申し上げますと、ただいまの御意見のとおりでございます。私もさように思います。各方面のいろいろな摩擦をおそれて、そして抜本改正をずばりといままでよう打ち出さなかったという点にある、かように考えます。したがって、これを解決するためには、各方面の摩擦のあることを十分承知しながら、皆さまの御協力を得てやらなければとうてい成就するものではないということを私も強く感じております。これは一言でいえば、いままでの政府の責任であった、かように考えてもおります。しかし、それには非常に摩擦が多いという点が政府をよう踏み切らせなかったという点であろうと存じまするので、摩擦の排除につきましては、ひとつ十分な御支援を賜わりたいと思います。
  19. 田邊誠

    ○田邊委員 いま率直に大臣からお話がありましたが、私は、いろいろな、利害相反するといいましょうか、利害関係者からくるところの意見の調整、まあ摩擦と称してもいいでしょうけれども、そういったものがあることは十分承知をしておりまするけれども、それとても、やはり政府のき然たる態度がまず前提にあれば、その上に立って十分話し合いのできるものである、またそういう立場でやるべきものであるというように考えておるのでありまして、いわばあちらをつつき、こちらにおもねってというような形では、この問題の解決にならないということを、非常に僣越でありまするけれども、この際悟るべきではないかというように思って、あえて申し上げたのであります。  保険医辞退日本医師会がいたしました。一体どういう理由でしたかということに対して、これは実は非常にわかっているようでわからないのであります。医師会は実はいろいろなパンフレットを出しております。私も一通り医師会の出されているところの各種の印刷物を拝見をいたしました。その中でも一番まとまっておるのは、日本医師会会長武見太郎さんが、四十六年六月九日に、各都道府県の医師会の社会保険担当理事連絡会議において表明された、「保険医辞退の理由と目標」という、この冊子がかなりまとまっておるわけです。あるいはまた、日本医師会の「国民の皆さまへ」と題しているパンフレットも読ませていただいた。さらには保険医の総辞退に対するところの一つの指示を武見会長が各都道府県医師会長に出している、これも読みました。しかしこれは、現在の医療の矛盾をついて中央政府をつきあげる方式としてはこの保険医辞退が最も効果的であると書いておりますけれども、その内容は明らかにされておらない。各都道府県の医師会や私の地元の医師会ども、この保険医辞退に対して市民に訴えるようなパンフレットを各種出しております。これをずっと読みながら、これをつなぎ合わせてみて、私は私なりに、医師会の意図するものが那辺にあるかということに対してわかるような気持ちもいたします。しかし私は、いままで国民はいわば非常に不満足な医療、しかも高い保険料を取られて満足な給付を受けてないという、いわば医療の面においては被害者であります。そして、この保険医辞退が起こるということに対して、国民はそれに対して何ら意識を持っておらなかったと思うのです。まさかこんなような事態が起こるとは予測しなかった。したがって、そういう国民の現在におけるところの意識、そういった点から見て、この保険医辞退の積極的な理由というものは、われわれとしてはどうしても理解に苦しむのであります。  日本医師会が主張してまいりましたのを経過的に追いましても、実はいろいろなことが表面に出てまいります。  まず、引き金と称した二月の中医協におけるところのいわゆる審議用メモが出てまいりました。医師会委員は、これに対して、その場においては、積極的に賛意を表するとまでいかなくも、かなり評価した発言をしておったのでありますけれども、帰りまして、一夜のうちに実はこの審議用メモというのはいわばたいへんな反撃の的となり、口をきわめてこれが悪く報道されて、げすの智恵といわれたのであります。  その次は、前回の国会に出てまいりました、いわゆる健康保険法の改悪案、これが、けしからぬ、これは全く抜本改正とは似て非なるものである、特に患者負担を増加させるような再診料の設定のごときは全く医療の低下を来たすものである、実はこういう批判が出てまいりました。さらに健保法が廃案になりました時点の中から、いやわれわれのねらいとするところは、三十六年以来の抜本改正に対する政府の怠慢である、これの道筋を明らかにすべきである、具体的な対策を示せ、こう言ってきたのです。しかし最終的に医師会かいま国民に対していろいろ言っておりますところは、何といっても健康保険組合、組合健保がたいへんな黒字を出しておるんだ、保険者の独裁、横暴である、これに国民は苦しめられておる。したがってわれわれはこの弱い者をいじめるところの組合健保をつぶして、医療保険制度の機構についてこの際ひとつ新しいものをつくる、こういう意欲に燃えておるんだ。したがって私企業に奉仕するところの現行の保険制度を破壊する、そして国民平等の近代的な保険制度確立するんだと言っている。これはもちろん、私はいま申し上げたことが決して関係のないことではないと思います。一連の関係のあることであろうと思うし、これがすべて医師会の要求であるかもしれません。  しかし、はたしてそれならば、まず最初に、審議用メモというものの一体どこが悪いのか。審議用メモについても、中身についていろいろ問題はあります。たとえば外来患者数の多少に応じて診察料に格差を設ける、あるいはその技術評価について全額患者負担または差額徴収を導入するというような療養者払い等の問題について中身としていろいろ問題がありましょうけれども医療保険制度抜本改正という問題を考えるときに、実は抜本改正抜本改正といろいろなことを言いますけれども抜本改正とは一体何ぞやといったら、実はいろいろな意見があるわけです。しかしこの審議用メモに書いてあります各項目というのは、当面政府がとり得るところの、保険制度の上からいっていろいろ問題として今後これの中身について検討をしなければならない素材であると私は思います。ですから、中身は別として、この題目だけとってみた場合には、かなり重要なポイントについてメモは書いておると私は思うのであります。ですから、このことの全体が何かいまの医療問題に対する審議と逆行する、こういう医師会の包括的な意見に対しては、私は必ずしも直ちにくみすることはできないというように思うのであります。したがって、それらの問題に対して医師会は一体どのように考えておるのか、この医師会のきわめて大上段にふりかぶった意見辞退の理由なんですという中について、これはやはり分けていかなければならぬと私は思うのです。  いままでの保険制度に対して確かにいろいろな欠陥があるということは私は承知しております。あと質問するところの診療報酬体系自身についても私は意見があります。しかしその技術料の評価をしろという意見についても、医師会ははたしてわれわれが言うところの技術料を重視する診療報酬体系に変えるということに対して賛成なのか反対なのか、私どもは実はこれは疑問なしとしないのです。かえっていまのいわば売薬医療といわれるこの医療によってかなりの収入を得ている医者の側から見た場合に、この問題に対して、私どものいう体系の改革というものについて心底から賛成するのかどうかということに対して、私どもはいろいろと意見が分かれるところではないかと思います。  そういうように考えてまいりますと、医師会のねらいは、これらのことをいま言っておりますけれども、いわば羊頭を掲げて狗肉を売るというようなねらいがあるのじゃないかと私は思わざるを得ません。これは勘ぐりであれば幸いでありますけれども、そういうように真のねらいは別にあるのではないかと考えられるような節が見受けられるわけであります。この場合総辞退の理由というものを政府が明確にとらえまして今後の問題に対処しなければならないという観点でもって、大臣にいま私が幾つか各項目に分けて質問いたしますけれども、これに対して一体どういうふうに把握されておるのか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  20. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 医師会のいわゆる保険医辞退の原因は、突き詰めていけば抜本改正ということになると思うのですが、しかし抜本改正をやらなければなぜぐあいが悪いのかということを突き詰めてまいりますと、やはり医者としての良心的な治療のできるような体制にすべきだ、してもらいたい、一言でいえばそういうことだろう、私はかように考えます。  いまの制度から見ると、いわゆる一番足の弱い保険を、一つのワク内で診療報酬の問題も論じられることが自然の勢いだというような点が一つ。それからいま審議用メモの点にお触れになりましたが、これもメモの各項目の中には医師会考えている点もあるけれども、あまりにも医療の本質をわきまえないような項目が非常に多過ぎる、これに対してはなはだ不満である、そういうものが出てきたゆえんはいまの保険体制にあるからそうなんだ、こういう考え方であると私は考えております。したがいまして、医師会もたとえば保険医療の薬の添付制度というものを廃止することに踏み切った。それから保険診療の監査をいままでよりも厳重にやるということについてもおれたちも賛意を表しているじゃないか、だから医師会としては医者として良心的な治療のやれるように、そうして良心的でないような治療あるいは点数かせぎをやるような者については征伐をすることにやぶさかでないのだ、こういうような方針のように見えます。まだもう一度さらに詳しい理由を述べるからというので、来週の火曜日、そこらになれば大体いままでの抽象的な事柄の中に盛られているいろいろな点を聞き得るであろう、かように考えます。十分聞き終わって政府のこれに対する方針も述べて、そうしてそこで妥結をはかりたい、かように考えております。  要は国民立場に立って、国民医療はいかにあるべきか、国民医療保障という点から考えて医者の良心的な治療も受けられる、そうして非良心的なことは十分チェックできるというようなことであれば、医師会としても反対される理由はないであろうと私は思いますし、国民からも、なるほどそういうようにやってもらえばいいということになるのじゃないか、こう思う次第であります。
  21. 田邊誠

    ○田邊委員 抜本改正は必要であり、その抜本改正をやることの理由はやはり適正な医療費が支払われることが必要だ、こういう意見だ、これを私ども考えておるのですね。安かろう悪かろうという医療でよろしいというふうには私どもは思っていない。ただいわば医療担当者の側からだけこの医療費問題を適正にしてもらいたい、そういう要求というものが今度の主体であるとすれば、そのことによっていわば保険の仕組もあくまでも適正医療というものに対することを基準としながら考えていくということに、私は大きな飛躍と誤りをおかす危険があると思うのですね。私は、医療保険の機構について、いまの分立する機構をどうすべきかということについてはいろいろな意見があると思うのです。これは必ずしも定説はない。定説はないけれども、いろいろな意見を積み重ねてこれから考えなければならぬと思うのですね。医師会の言うところの抜本改正なり適正医療というものを考えたときに、やはりあまりにも身がってな、てまえがってな解釈の上に立ってこの問題を判断しているのじゃないか、私はこのことを国民の側は許さないと思うのです。  いわゆる二八%課税の問題についても、武見さんは、二八%の恩恵を受けているのは医者でない、国民であるということをこの機会にPRする必要があると言っているのですね。こういう三段論法で一体国民は納得しましょうか。そしてまた医者は保険医療についていろいろな制約を受けている、一挙手一投足に制約を受けておる、いわばこれを取り払うことは、自由診療を取り入れることは、真の医療確立にとって非常に意義がある、こう言っておる。手かせ足かせされているのは一体だれなんでしょうか。医者なんでしょうか。今度は保険医辞退、こういうことを彼らはやることができた。国民は皆保険下においていずれかの保険にいわば強制的に入らされているという事態の中でもって、これは医者のほうがよほど自由な立場を取り得ているのじゃないでしょうか。こういう国民の嘆き、国民の苦しみというものにもかかわらず、よい医療をするためにはいかがなものであっても排除しなければならぬという考え方があるとするならば、これは重大な国民に対する挑戦だろうと私は思うのです。  確かに組合健保は黒字でしょう。しかし、それには歴史的な経過があります。私は大企業の組合健保を擁護するつもりは毛頭ありません。しかし現在国民保険料を払い、それに対する給付を受けている以上、現在まで到達したところの給付水準に高い水準があるとすれば、それになるべく追いつくような努力をすることが、当然全体の医療の水準を上げる上からいって必要なことだと私は思うのですね。ただ単に組合健保を攻撃し破壊をし、そして目のかたきにし、組合健保がなくなれば日本の医療はきわめてすっきりした光明を見出せるというような言い方というものは、私はあまりにも唐突な論旨じゃないかと思うのですね。これはいままで政府がいってきた財政調整をやろうじゃないかという考え方と軌を一にするやり方であって、ほんとうの意味におけるところの医療の前進にはならない、こういうふうに思わざるを得ないのです。百歩譲って、医師会の言うことにもし理があるとします。抜本改正に対して、政府に対していろいろな要求をするということについて、われわれはその表現をそのまますなおに受け取れば、それは中には理もあります。しかしそれだからといって、いわゆる皆保険下におけるところの国民に対して、総辞退という大きなあいくちを突きつけてこの事態の解決を迫るということは、これはまさにそのねらう目標というものと被害を受ける国民というものを取り違えているのじゃないかと思います。官僚統制と言っていますね。軍閥主義などと言っています。しかし彼らが官僚統制だと言っておるならば、いま総辞退をやっておるところの医師会態度は、逆の意味においていわば統制するところの態度じゃないかと思うのですね。国民は、官僚統制は困るという気持ちもありましょうけれども、しかし今度の総辞退に対して、いわば主がかわったにすぎないと思っておるのです。ですからそういった医師会のいままでの態度に対しては、私はいまの大臣答弁は、あまりにも医師会のねらいの中であなたが解決をはからんとする意図のために、その考え方というものの中で一部分をとらえて、真の意味における医師会のねはい、こういうものにあえて目をつぶろうとしているような気がしてならないのであります。私は事を荒立てようとは思っていませんけれども、そのねらいというものが一体どこにあるのかということをほんとう国民の前にあからさまにする中で、国民の協力を求めてこの事態の解決をはかる、こういう気持ちにならなければならないのではないかと思うのでありますけれども、いかがでございますか。
  22. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私は、ただいま医師会が何が不満でやっているか、こう言われましたから、おそらくこうであろう、いまそれをいろいろ話し合い中である、最後に医師会の不満であったこの総辞退に入った理由がわれわれにも明らかになるであろう、かように申し上げました。もちろん先ほど読み上げられましたパンフレットその他にも出ておりますけれども政府が直接聞くということも必要でありますので、医師会がどこが不満だとおっしゃいましたから、こういう点が不満であろうということを申し上げたわけであります。  ただ、制度改正その他につきましては、先ほどから申しておりますように、国民立場から考えて、そして保険制度はどうあるべきか、また診療報酬制度はどうあるべきかということは考えていかなければならぬと思います。ただ医師会の言うがままになるというわけにはまいりません。
  23. 田邊誠

    ○田邊委員 そういう受け答えを大臣がされているのでは私は困ると思うのです。しかし、医師会のねらいはあなた御存じだろうと思いますからね。知っておるからこそ、その中でよい部門だけ、いわば医師会の主張の中で納得のできる部門だけを取り出して御説明があったと思うのです。そういった意味合いにこれはとっておきます。しかし、国民はそれだけでは承知しないと思うのですよ。  ちょっと問題はそれますけれども、総辞退は七月から行なわれました。私はそれまでの政府、特に厚生省の行政当局のその間における努力はきわめて不十分じゃないかと思っておるのです。大体この総辞退という問題を一体どういうふうに考えられたのか。それから総辞退になった場面において、実は国民が非常な被害を受けるわけです、困るわけですけれども、そういった立場に対してどういう手だてを講じるかということに対して、事前の方策があまりにもなかった、あるいはおくれておったたのじゃないかと思うのであります。これに対する手だてがおくれておったことがその後における各種の混乱を非常に呼び起こした大きな原因になっておると思うのであります。  私もいろいろと要求をしまして、それに対する対策を講じておるという若干の御説明はありました。ありましたけれども、それとても非常に少ないものである。  まずもって、中止の努力を一体どの程度されたのか、突入をしないように、この事態を回避されるように実はどの程度の努力をされたのかというように私は思っている。確かに私ども社労の理事の人たちが相語らって、当時の保利官房長官にお会いして、六月の二十九日でしたが、もうここまで来ればなかなか回避できないだろうから、辞退の延期を医師会長に言ったらどうかと言って、たまたま保利・武見会談がその晩あったようです。そういった提案もしておられたようでありますけれども、それとても時間的にはおそきに失しておって、どうにもならないせとぎわに立ってのああいう動きであった。いわば非常に事態を甘く見ておったのじゃないか、楽観しておったのじゃないかと思うのです。  私がそういう質問をすると、総辞退になったことを想定をして下部に対していろいろと指導することは、事態を円満に解決することにならぬから実はこういうことをやらなかったという言い分があるかもしれません。しかし何といっても七月一日から国民が困る辞退に対して、それに対応する対策を機敏に、迅速に立てることの必要性は当然おわかりのとおりだと思う。そういった点で、突入を予測しての対策についても私はきわめて不十分だったと思う。下部に対する指導は、秘密裏にやってもいいのですから、これはできると思うのです。そういった点で、対応策、応急策が突入後において初めて出てきたところにその後におけるところの混乱が惹起したのじゃないか、こういうふうに思うのでありまして、これは私は非常に遺憾であると思っておるのであります。長々しくそれに対する経過をお聞きすることは避けたいと思いますけれども、私は、いわば国民の迷惑というものを考えたときに、さらに事態の進展に伴った一つの対応策を敏速にとられることを強く要望しておきたいと思うのです。  さて、こういう事態になりまして、一体解決はどうしてくれるのか、国民はいわば一日一日首を長くして待っておる。大臣武見医師会長とあいさつを含めて四回、公開でありますから実はあの新聞の報道やラジオの放送を聞きまして——私は斎藤厚生大臣武見さんと会っている姿が、教授と生徒のような関係だなんて思っていませんよ。非常に忍耐強く大臣が応対していることに対して、一面ではたいへんなことだろうと思って、私は同情もしていますし、理解もしています。しかしこういうようなやり方でもって一体事態の解決になるのでしょうか。武見医師会長は政府とやみ取引をしない、やみ取引をするのじゃないかといわれるから、テレビ会談やあるいは公開会談をすると言っているのですけれども、これは私は問題のすりかえだと思うのです。政府医師会がやみ取引をすることは、何もいわば公開、非公開という問題じゃないと私は思うのです。公開して、武見さんの医療に対するところの講義を大臣が開くというそういうような会談のやり方というものが、何もやみ取引を排除したやり方だとは私は考えません。こんな形式的な会談でもって一体問題の解決になるのだろうかというふうに私は疑問に思うのが第一番目。  それから政府はこの間に対して、いわば斎藤大臣は四十四年八月の諮問を骨子として問題の解決に当たりたい、こういう発言をされました。これに対して、きわめて悪い考え方だというふうに武見医師会長は直ちに反駁をしている、あるいはまた、自民党医療問題調査会の大綱に対して意見が述べられた。これに対して、これは抜本改正に対する真の解決策でないと武見会長は言っている。いわば政府なり与党なり、われわれも含めて——社会党もこれに対する基本法の考え方を明らかにしていますから。そういう意見が出れば直ちにそれに対して反発をする、これは悪い案だといって批判をする。こうなってまいりますと、私は問題の解決がますます遠のくのじゃないかと実は思うのです。いよいよ政府は手詰まりになるのじゃないかと憂えるのです。医師会立場からいっても、武見会長がこれだけそのつどそのつど反発をし、厚生大臣との会談においてもいろいろな面におけるところの要求を洗いざらい出しているという形式をとればとるほど、引くに引けなくなってくるのじゃないかと私は思うのです。これはどうでしょう。私の言うことが間違いだ、いやそうではない、そう心配したものじゃなくて、もう一、二回やれば結論が出るぞ、こう言うならばお待ちをいたしましょう。お待ちをいたしますけれども、私は残念ながらいままでの事態の推移をずっとながめてきて、どうもそういう心配をせざるを得ないような気持ちがしてならないのです。したがって、いまのようなやり方、そしてまたいまのようなぺース、一週間おきに会談をする、こんなことが許されるのでしょうか。大臣は一日も早くと言って、何時間もやりたい、毎日やりたい、こういうような希望を言っているけれども、相手方がそれに応じない、こういうことがはたして許されるのでしょうか。これだけの問題を起こしているのですから、いかなる事情があっても、精力的に、毎日時間をかけても会談をして、そして問題の内容について煮詰めていく。きょう私がお話を聞いても、いや、まだ医師会の真意というものに対して全部わかっていないから、もう一回、二十七日に会って確かめよう、こう大臣はおっしゃる。実際、国民は待てませんよ。待てない気分ですよ。しかも待てない気分だけでなくて、いま言ったように、事態の解決というものがこれによって一体はかれるのか、糸がほぐれるのか、どうも逆になるのじゃないかという心配をせざるを得ないのですけれども、どうお考えでしょうか。
  24. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 御心配の点もごもっともだと思います。思いますが、私は私なりに大体終着駅を考えて、そう、きのうも参議院の予算委員会で申しましたが、これからさらに一カ月、二カ月というような時日は重ねないという気持ちでやっておるわけであります。公開の会談は、これは武見会長もやはり自分たちの思うていることを公開の場で、そして国民にも知ってもらいたいということもありまするし、やはり向こうとの話し合いでありますから、こちらの希望と向こうの希望と両方折り合ったところでやっていきませんと、こちらの一方的な考え方だけでは折衝という問題にはなかなか入れないということは御承知のとおり、かように考えます。そこで私もこちらの希望、毎日でもやってもらいたいというのは全くの希望でございます。しかしそれが、いま申し上げるような理由があり、向こうのいろんな都合もあってこういうことになっているわけで、これが一番望ましい形だと思っておりませんけれども、相手のあることであり、相手と話し合うについてはやはり相手の意見もいれて折衷したところでやっていかなければなるまい、かように思って——いま医師会の要望がどういうところにあるかというのは、いままでの経緯その他から考えて、私もおおよそわかっております。しかしおおよそわかっているからこれでどうだ、これでは向こうは承知をしないわけであります。言うだけは言わせてということでありますから、それじゃ言うだけはおっしゃいなさいということで、こういう経過をたどっているわけであります。しかしいまおっしゃいますように、これで泥沼に入るかどうかという点は、私も十分配意をしながらやっておるつもりでございますので、御了承をいただきたいと思います。
  25. 田邊誠

    ○田邊委員 参議院の予算委員会等でも大臣は一カ月以内くらいには解決したいとおっしゃっておる。それは見込みがおありなんですね。
  26. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 ここで見込みがあると言うと、また会談がこわれるだろうと私は思います。そこは腹と腹でいかなければしょうがありませんので、それは私はつけたいと思うし、つくのではなかろうか、かように思っておるわけであります。
  27. 田邊誠

    ○田邊委員 そんなことでは国民承知しませんよ。やはりあなたの確固たる一つの方針があり、いまのぺースでもってやっていることに対してある程度自信がなければ、私はやはりあなたの見込みの上に立って、そういうふうに方針を変えていかなければならぬと思うのです。私はいわば会談のやり方、形式的な表面立ったやり方に対してとやかく言いません。武見さんがしゃべる、あなたが聞いておる、これもある段階で必要でしょうから、これは私は言いません。言いませんけれども、こういったぺースでもってやることに対して、なぜあなたのほうは、もう少し医師会に対して注文をつけられないのですか。これは注文をつけられますよ。いかなる事情があっても、いま現にこれだけ国民に迷惑をかけている、総辞退をやっているのですから、そしてそれに対するところのいわば目標とねらいがあると医師会は言っているのですから、そのためには、大臣会談をするのですから、一週間おきのペースなんということに対してもう少しあなたのほうでもって注文をつけて会談を精力的にやるというようなことは言えると私は思うのですよ。これが言えないから、何か医師会大臣が屈服しているようにとられるのです。最後に、この次会いましょうという約束にしても、あなたのほうでもって注文をつけて、それに対して武見さんが承知したというのじゃないでしょう。これを弱腰だと国民は言っているのですよ。あなたは努力するだろうと私は思うのですね。思いながらも、こういった医師会のぺースでもってやっていくのじゃ、とても政府態度に対してやはり信用ならぬと私は思うのです。こういうふうに国民は言っているのですよ。この点はけんかする必要はありませんけれども、しかしそれくらいのき然たる態度と、そのくらいの押しをもってこの会談を進めてもらわなければ、一週間ごとのぺースでもって、八月の何か下旬には武見さんが外遊をされる、そういうようなことの中で問題の解決をはかろうとすることはなかなかむずかしいのじゃないだろうか。私がこの会談のペースのことを言っているのは、ただ単に日子を詰めろという意味じゃありません。その一つにあらわれた政府のこれに対するところの気魄、何としても医師会を説得して、何としてもこの事態を解決しなければならぬという、そういう意気込み、全努力を傾注しているというそういう姿が国民に映らないのですよ。これをひとつ私も何としても厚生大臣に持ってもらわなければならないというふうに思って、私はあえて声を大にして言っているのです。どうでしょう。二十七日はきまっているというから、これはそれを変えるわけにいかないでしょうけれども、連日やってくださいよ、連日。
  28. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 どういう方法で、どういうようにやるのが最も早く解決する道かということを、私は考えながらやっておるわけであります。注文をつけてすぐ聞いてくれるなら、私はこんな事態に入らなかっただろうと思います。やめてくれと言って、はいと言って聞いてくれるなら、そんなことはない。毎日やろう、はいと言って聞いてくれるなら、そんなことはないが、なかなかそうはいくまい。やはり非常に急ぐが、最も急いで早く解決する方法というのは私がいまとっている方法以外にない、私はかように考えてやっておるわけであります。私は自信なしにやっているわけじゃありません。自信をもって取り組んでおるわけであります。しかしそれが国民の目に映らない、非常に歯がゆい、これはごもっともだと思います。私も、厚生大臣は何をしておるのだ、大臣らしくもないじゃないかという声は十分聞いておりますが、しかしながら早く解決するのには、あるいは遠回りのようだけれども、それが一番早いということもあるわけでありますから、この点も御了承いただきたいと思います。
  29. 田邊誠

    ○田邊委員 それでは解決のきめ手は何だと思いますか。一体何が解決のきめ手であるとあなたは考えてこれに対処しようとしておるのですか。公開で会談をやるのだから、あなたの考え方も国会  の場所で明らかにしてください。
  30. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 向こうの言い分を聞き終わったところでこちらの意見も出し、そしてきめ手をそこではっきりいたしたいと考えます。
  31. 田邊誠

    ○田邊委員 抜本改正に対する政府考え方、これはもうわれわれとしてはこれから先いろいろと討議をしていかなければならない問題だと思います。しかしこの状態というものは、私どもが心配するのは、さっき私が言ったように、問題点を洗いざらい出して、こちらの言うことに対し一々反発を与えていったのでは、きめ手を失うのじゃないかと私は心配するのですよ。であるから、やはり実際にあなたのほうで考えているきめ手というのを明らかにする必要がある。医師会だけで問題が解決するわけではありませんからね。総辞退という問題の当事者は医師会でしょうけれども、しかしそのねらいが抜本改正であり、適正医療の問題であり、そういう中身の問題であるとすれば、こういった問題に対しては、政府考え方というものを国民の前にまず明らかにしなければ、これは信用しませんね。そんなおっかなびっくりの態度でいるから、一々そういった反発を受けて、ほんとうの意味において事がなかなか進まぬ、こういう一面もあると私は思うのです。それじゃ、この次の二十七日の会談を終えたら、今度は医療経済の問題をやるのだそうですから、大体向こうの言い分を聞いたことになるのじゃないですか。一説によれば、いや、まだまだこれから老人医療の問題をやったり、いろいろ学説を披露するのだと言っているそうでありますけれども、タイムリミットをつけなさいよ。もういいんじゃないですか。もうそろそろそういったことをやって、その中で問題点をある程度出したとすれば、整理をして、それに対する政府考え方を明らかにする、こういう段取りに入るべきだろうというふうに私は思っておるのですけれども、この考え方はせっかちですか。
  32. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 大体私もそういうつもりでおるわけでございます。
  33. 田邊誠

    ○田邊委員 それで、医師会のいろいろな考え方を聞きながらこれに対処しなければならぬということですから、十分この際に政府考え方を明らかにすることはでき得ないかもしれませんけれども、あなたがいま、医療保険制度の中身の中で最も問題として今後検討し、改革をしていかなければならぬと考えていらっしゃる点は、一体何ですか。
  34. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 さきにも申し上げましたように、国民保険だというけれども国民はどれかの保険に入っているというだけであって、一体、社会保障制度としての国民保険を貫いた理念という点から考えると、必要に応じてできてきた、また必要の理由も違ってできてきたこの保険をもう一ぺん考え直さなければならぬのじゃなかろうか、これが根本を貫く考え方でございます。
  35. 田邊誠

    ○田邊委員 やはり仕組み、機構といいましょうか、これを変えなければならぬ、これは私は原則的に賛成です、実際には変え方が問題ですけれども。それで変えるプロセス、それから最後のあるべき姿、これに対しては政府の試案あり、自民党国民医療大網案あり、医師会の案あり、あるいは健保連といいましょうか日経連といいましょうか、そういうところの案あり、私ども社会党にも案あり、いろいろな案があります。これは私は十分これから討議をしなければならない問題だと思いますけれども、しかし問題は、その中でただ単に、一方のほうがもうかっておったり、一方は黒字であったり、もう一つのほうは赤字であったりするから、これをひとつ一緒にして財政調整をしようという従前の考え方に堕しておったのでは、そのワクの中でもって処理しようとしたのでは、これは問題の解決にならない。医療の前進にならない。低医療政策の打破にならない。政管健保は草刈り場だと健保連は言っていますからね。そういった点から見て、従前のそういった一律統合論といいましょうか、こういったものだけではならない。もっとより高い次元に立って、より将来を見越し、医療の水準を引き下げない、そういう観点でもって対処すべきであるという考え方については御同意ですか。
  36. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 同意でございます。
  37. 田邊誠

    ○田邊委員 実はその問題は基本に触れる問題ですから、いろいろとお聞きをしたい点があるのですけれども、きょうはあえて避けておきます。ただ仕組み、機構の問題だけでなくて、それと関連はないことはありませんけれども、いまの診療報酬体系の改革の問題がありますね。これはやはり医師会も言っていますし、支払い者団体も言っています。学者やその他の人たちにも、いまの売薬医療というものはいかぬ、こういうことを言っているわけですね。しかしこれに対して政府が一体いまどういう態度で、どういう努力をしたのかということに対して、実はわれわれとしては非常に失望しておるわけです。これはなかなかむずかしい問題で、中医協でもなかなか手のつけられない、利害相反するという、一番最初のお話のような問題はございますけれども、しかし方向としては、私はこれは技術料中心の仕組みに変えなければならない、もうそういう時代である、そのことがよい医療確立する上にとって一番のポイントであるということについては、私はあまり異論のないところじゃないかと思うのです。そのことができた上に立って、医療費の値上げの問題 スライド制の問題等は論じられるべきである、こういうふうに私は思っているわけですが、この診療報酬体系のあるべき姿についてはどう思うのですか。
  38. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 診療報酬制度のあるべき姿、これは保険考える場合の非常に大事な一翼だと私は考えております。これについては御承知のように、最近は中医協で建議を受けてやるという形になっておりますが、それも一つのいい方法であります。しかし政府の指導性がいかにもなかったのではないだろうか、政府は、あるべき姿がこうだと考えるなら、それを諮問すべきじゃないか、あれは諮問委員会でありますから、そういうように考えておるわけでありまして、いまおっしゃいますような点をまず中心にして、そして診療報酬制度というものを、ただ中医協にまかしておくというのではなくて、もっと政府がタッチすべきだ、これは諮問委員会ですから、したがってこう考えるがどうだということがあってしかるべきじゃないか、かように思います。
  39. 田邊誠

    ○田邊委員 売薬医療についても当然変えていかなければならないということについては、これはうらはらの関係ですから、そういうふうにお考えでございますね。抜本改正の中身については、私ども社会党も実は案を出しておるのでありまして、これに対しても大臣のいろいろと御所見を承ってみたいと実は思っておるのでありますけれども、これはまたの機会に中身についてお伺いしていきたいと思うのです。しかし国民が望んでいることは、さっき申し上げましたように、やはり医療水準の低下を来たさない給付率についてもまちまちでありまするから、確かに政管健保や日雇い、いろいろな仕組みになっていますから、これをひとつ上げていこうという努力をする、これが必要であるということはお話のとおりだと思うのですね。その点で大臣決意を聞くと同時に、ひとつ大蔵省の、いままでの財政調整や赤字対策の上からいってとってきたところの国の補助金や補助率、こういったものを、この事態になってみた場合には、いままでのような非常に消極的な態度だけでは許されない時代になってきたと私は思うのです。したがって、最後は金の問題に行きつく面もあるわけでございまするが、そういった点で、そういう概念を一てきして、この際ひとつ十全の、医療の問題について国民の負託にこたえるために——私はいますぐ国庫補助を政管健保について二割にしろなんてことは言いません。社会党の考えはもちろんありますけれども、それにはそれの段階も私はあると思うのです。ですから、私は私なりの一つの私案を持っています。しかし、いずれにしてもいままでのような考え方のワクの中では問題の処理に当たれないという形でありますから、ひとつ厚生当局と今後十分なこれに対する相談をされて、ぜひひとつ飛躍的な考え方の上に立って対処されたいというふうに思っておるわけですけれども、一応心がまえを聞いておきます。
  40. 渡部周治

    渡部説明員 お答え申し上げます。  政管健保赤字の問題につきましては、御承知のように去年あたりからたいへん問題になりまして、四十六年度の見通しといたしましては、何らの対策を講じない場合には、単年度収支で一千億円の赤字、累積赤字は三千億円に達するのではないかということであります。それはひとり国庫負担がどうという問題ではなくて、保険制度の中核をえぐる大問題であるわけでありまして、そういう意味におきまして、この前の国会におきましては、財政再建対策といたしまして、たとえば累積赤字につきましてはたな上げをして、それから国庫補助につきましては、従来の定額補助から五%の定率補助に切りかえるといった非常に思い切った措置を講じたわけでございます。これにつきましてはまたいろいろ御批判もあろうかと思いますが、しかし保険財政の長期的安定ということは、これは医療保険制度抜本改正につながる大きな問題でありまして、われわれといたしましては、ただいま提案しましたような考え方がその一歩を踏み出すものと考えておるわけでございます。今後抜本改正方向につきましては、いろいろまた問題が出てこようと思いますが、われわれといたしましては、それに対処して財政的側面を考えていくべきでございますけれども、基本的には、現在破局に瀕しております政管健保赤字対策につきましては、早急に何らかの対策を立てなくてはならないのではないか、かように考えております。
  41. 田邊誠

    ○田邊委員 ややもすれば他との均衡を考えながら、補助を渋りながら出そうというような大蔵省の従前の考え方を、この際ひとつ国民的な視野で変えてもらうということを私は強く要望しておきたいと思います。そのつどまた意向をただしていきたいと思います。  大臣抜本改正抜本改正と言いまするけれども抜本改正への道のりは、もちろんこれは近くして遠い問題ですけれども、しかし政府あるいは厚生省当局は当面やれることがありますよ。これはぜひサボらないでやってもらいたい。いま右往左往して、総辞退の問題だからといって省をあげて頭痛はち巻きでいるかもわかりませんけれども、こういう際にこそ私は当面やれる行政努力はしてもらわなければならぬと思うのです。もちろん昨年から引き続いて、薬の問題についても現品添加の禁止の問題等出ました。また再販制度のいわば廃止を含めた再検討もあるでしょうし、そういった意味合いからくる適正価格、こういったものに対する検討も当然問題になってくるわけです。早急な検討をしてもらわなければならぬというように思いますし、それからこのことを言いますと医師会は非常にいやがるのですが、私が予算委員会の一般質問で不正請求、水増し請求のことを言ったら、とにかく田邊なんというのは悪者にされましたけれども、私は、これは良心的な医者を救う意味であくまでも徹底しなければならぬと思うのです。これに対して表面でしょうか、あるいは恣意からでしょうか、日本医師会もこれに対して賛成しているわけですし、協力すると言っているわけですから、いままでのような手ぬるい形でなくて、こういう際にこそ国民の疑念を晴らすという立場をとるべきじゃないかというように思うのです。これはひとつあとで資料を出していただきますけれども、どの程度になっているのか。去年でしたか一億四千万ばかりの不正請求があったことを発表しましたけれども、その後の実態というものはどうなっているのか。徹底したことをやっているのか、なれ合いじゃないかということを言われないように、この監査についても厳重な調査をするということを私は励行してもらいたいと思うのです。こういう行政的な努力について怠ることなく、この際私はこれをやってもらいたいという気持ちでおりますけれども、いかがですか。
  42. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 もちろんやるべきことはこんな事態関係なしにどしどしやってまいらなければならないと考えております。いまの監査の結果その後どういうように集計されているか後ほどまたお示しいたすことにいたします。また監査のやり方にしても、いままでどおりの監査のやり方でいいかどうか、ここに一つの大きな問題があると思います。そういうような点も含めて急いで検討を進めたい、かように考えております。
  43. 田邊誠

    ○田邊委員 私はいま総辞退の解決について大臣とやりとりしました。必ずしも満足な答弁じゃありませんけれども、しかしそれは現状の中で把握をしておきます。しかし、その解決への道筋の中でどうしても越えなければならない一つの問題がありますね。それは審議会の問題です。いま中医協からも委員総引き揚げをやっておる。医療審議会についても従前からボイコットするという態度をとっている。私は、いまの審議会というものが古いものであって、こんなことでは医療の問題に対するいわば適正な審議の場所にならない、こういう医師会の論拠の中でよくわからぬ点がございまするので、いずれにいたしても既存の審議会について、一応やはりこれの権威というものもありましょうし、設置をした経過もありますから、社会保険審議会設置法についても、これは政管健保についてのいわば法律改正の際の直接的な審議機関となっておりますけれども、しかしいずれにしても、私は一応この各種の審議機関に対して、いまの日本医師会が復帰をしてもらうことが、まずこれはたいへん大切なことじゃないかと思うのです、いかような言い分があっても。その中で自分たちの意見を吐くべきだ。私は武見さんと斎藤厚生大臣の話を聞いておっても、その大半は審議会でもって医師会代表医療担当者側の意見として言っても差しつかえないことが多いのじゃないかと思うのですよ。そんなにこと新しいことは私は出ていないと思うのですね。むずかしいことばでもって、社会生物学的な学説だなんて言っていましたけれども、実際には私はそんなにこと新しいことではないと思うのです。それならば、審議会の場所で正々堂々と言われて、全会一致とならぬまでも、多数意見、少数意見あるわけですから、その中で勘案をして政府は事に処するわけでしょう。みずからその門戸を閉ざすことはないと思うのです。これに対していま大臣は言えると思うのですよ。これはやはり医師会に対して、既存の審議会なりについては当然ひとつ復帰をして正々堂々と意見を吐いてもらいたいというふうに主張すべきであると思うのが一点。  それから国民の側なりわれわれの側からいいますると、あの審議会の中でも、いわば開業医中心医療担当者が出ていますけれども、支持者が出ていますけれども、もちろん病院の勤務医も医師会の会員でありますけれども、実際にはやはり病院の実態について、直接これは発言する委員がない。あるいは医者以外の看護婦やあるいはリハビリを担当している者、そういった従業者の発言の機会もない。これは、日本の医療というものが外国と違ってかなり医師中心でもって、その回りに各種の医療担当者が配置されているという、こういう仕組みによることもわれわれは承知していますけれども、しかしそういったような欠陥があることはわかりますが、これに対して、政府は一体この既存の審議会に対して今後委員の人選等について考える余地はないのか、これが第二です。  それからついでにもう一つ非常に重要なことは、医師会は、こういったいわば社会保障制度審議会なり社会保険審議会なりあるいは中医協なり、こういうところは専門的に医療の問題を審議する場所ではない、やはり医学というものを含めて医療というものは非常に専門的な知識が要るんだから、専門的な審議機関を設けてやるべきじゃないかというふうにとれる——武見さんはその後、そうではない、医師会の中でもっていろいろ研究する機関をつくりたいということを言っただけだというふうに訂正されたと聞いておりますけれども、しかしそういう意見があることは事実です。社会保障制度審議会に実は私も出ておったときに、この医療問題については法律委員会のような独立したものをつくるべきじゃないかという建議もしているわけです。この解決へのプログラムの中でこの審議機関の問題はどうしても突き当たる問題である。そうしてこれがまた解決への一つのジャンプになることではないかというように私は思っているのですけれども、ひとつ大臣のこれに対する構想なりお考え方があれば率直に示してもらいたいと思うのです。これはいま時期が早いかどうかということに対して若干厚生大臣が思いをめぐらしておるかもしれませんけれども、あえてきょうの席上でもってこのことを言っておいたほうがいいのじゃないかという私は実は考え方に立って第三の質問をしておるわけです。  以上三つの質問に対していかがですか。
  44. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 既存の審議会にまず医師会が復帰して、そこで十分言うべきことを言うべきじゃないか、私もさように思います。しかしながら制度審議会のほうはもうずっと委員を出しております。そういう歴史をたどっているわけです。これは歴代の内閣——あれは内閣に設置しているものでありますから、内閣のほうからも、またわれわれのほうからも慫慂しているわけでありますが、その実はあがらなかった。そこでいまこの問題を、その審議会に入って、そうして討議をしなさいと言っても、もう時間切れで何ともならないのじゃないか、かように考える。そこで抜本改正考える、そういうような審議会とかあるいはまた抜本政正のもとにおける審議会はどうあるべきかという点、抜本改正の後に、後にといいますか、抜本改正とあわせ考え審議会というものは、これは抜本改正の中身の一つになるであろう、かように考えます。抜本改正をいかにするかという審議会、これは先ほどおっしゃいましたように、社会保障制度審議会は必ずしも適した審議会と思わないということをたびたび言っておられます。中間答申にもそのことが書かれてあるわけです。そういったような審議会という意味で、たしか昭和四十二年であったと思いますが、一つ医療制度審議会というものを政府が提案をいたしまして、十二人の委員をもって構成する審議会、この提案が審議未了になってしまった。その経緯も考えてみますると、いまこの問題を取り扱うのに、そういう審議会を設けてそこで審議をしてもらうことは、まずそういう法案がなぜ流れたかということにもかんがみますると、なかなか容易でない。しかも事柄は急ぐ、次の通常国会には何とかしなければならぬということになりますると、大いに考えなければならぬ点がある、私はいまさように考えております。
  45. 田邊誠

    ○田邊委員 これはいままでの、たとえば三十八年でしたか臨時医療報酬調査会法という法律案が出て流れたという経緯もありまするけれども、これはいままでのような概念に基づく審議会、いわば厚生省の、役所の下請のような形の審議会に対して、いろいろの批判があったことも事実です。ですから時間的な余裕のこともいろいろ言われましたけれども、必ずしも法律施行としての審議会、これはそうしなければ権威がないという話もありまするけれども、しかしまたいろいろな懇談会形式の審議機関もあるいはまたその呼び水としてはあり得るわけでありまして、そういった意味合いで、少数精鋭でもってある期間を区切り、ある問題を区切り、自由な討議をするような形、必ずしも法律案に対していわば答申をするようなそういう形でないもの、いわばたたき台、こういったものをつくることは、その中にもちろん医療担当者といいましょうか、医師といいましょうか、医師代表も入ってもらう、学識経験者も入ってもらう、いわば直接的な利害関係者を全部除くことはむずかしいかもしれませんけれども、少なくとも医療の問題ですから、利害関係者という意味でなくて、いわば私は医師代表というものも必要ではないかという気がしているのですけれども、そういうことを踏まえてやることも一つの手段ではないかと思うのです。これは従前いわれていたことなんです。ですから方法はいろいろあると思います。しかしその方法を別として見れば、何らかそういう形というものの中で打開への道を模索するということも私はあってしかるべきではないかという気持ちがするのですけれども、いかがでございますか。
  46. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 一つの御提案として十分承わっておきます。私も、そういうことも頭の中にはないことはない。それがいいかどうかといういろいろな判断をいたしているわけでございます。きょう、いまそういう御提案が先生からあったということもさらに頭の中に深くきざみつけておきたいと思います。
  47. 田邊誠

    ○田邊委員 辞退がだんだん長引いてまいりますと、いろいろな問題が起こってまいりまするから、早く解決したいということでわれわれも考えておるわけですが、そういったことで、われわれ社会党はあまりこの事態が深刻になっておるから、この際ひとつ全部総辞退をやめるというわけにいかぬ、とりあえずある期間をここでもって凍結をして、突入前の事態の中でもって権利を留保するというか、医師会に留保させるという意味で凍結期間を設けて、その間にある程度の手だてを講じ、それから抜本的の道筋を明らかにし、次期の国会において政府の出されるところの案の骨子をつくられるということも私は考えなければならぬじゃないかと思って、実は社会党案として提案をしているわけです。私はそれに別に固執をするわけじゃありませんが、しかしそういったことも、ある時期が来ますると考えなければいかぬ。さっき二十七日で武見会長の話を聞くのは一応終止符を打つようにしたい、その上に立っていろいろ整理をしたい、解決策について踏み出したいというお話がありましたから、私はいま直ちにそのことについて強い主張をいたしませんけれども、そういった一つの案もあるということに対して御理解をいただく中で、これに対してなるべく早い機会にいまの総辞退というこの事態だけはやめてもらうということも、私は解決の方法としてとらなければならぬじゃないかと思っているのですが、何か参議院か何かの予算委員会でそういったことに対する答弁があったそうですから、こまかいことは申し上げません。大臣のお考えがあったらばお示しをいただきたいと思います。
  48. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 ただいまの凍結案も一つの方法だ、私はかように考えます。ただここで考えなければなりませんのは、凍結はしておくが気に入らなかったらまた始めてもいいぞ、いわゆる総辞退の一種の潜在的な脅威のもとに新しい保険のあり方をいろいろ論議をしなければならぬということは、私はよろしくないんじゃないかという感じがいたしているわけであります、これに対して御批判もいただいておりますけれども
  49. 田邊誠

    ○田邊委員 いわば冷却期間を置くことが医師会にある程度冷静な判断を与えるということもあって、私はそういうことを言っておるわけでありまして、またそういう一つの方法をとるのも一つのチャンスというか、機会でもありましょうから、そういったことも含めてひとつお考えをいただきたいと思うのです。  時間があまりございませんから、それでははしょっていまの総辞退が実施をされている状況の中で起きている諸問題について端的にお伺いいたします。これは事務当局でもけっこうです。  組合健保の患者の新料金というのは、一体どの程度取られているのですか。初診料千円、再診料五百円、手術料、武見さんのこの間の日曜日のテレビのあれでいいますと、盲腸の手術代は六千円を一万七千円に設定したと言っているのですが、これは乙表でいいますと、六百八十点ですから、正確でないようですけれどもまあよろしゅうございましょう。それから文書料で五百円ぐらい取られる、こういう話ですね。それは一体どういうふうにあなた方は評価というか、批判というか、しておるわけですか。これに対して一体どういう手だてを講じようとしているのか。形式的にも皆保険なんですから、組合健保に入っている国民保険料を払って、そして給付を受けているわけです。ところが、それ以外の自己負担分を取られる、これは一体どうなるのか。保険医は要らないことになってきますよ。そういったことに対して一体どういうふうにするのか。この国民の権利に対して、保険制度現状からいって一体どういう手だてを講じようとするのかというようなことに対してひとつお伺いしたいと同時に、代理請求ということが出ておりますけれども、さっきそれに対する現状についての御報告がちょっとありましたけれども、これがとられるような働きかけをどの程度一体やられているのか、これが趨勢としてだんだんふえるという状態にきておるのかどうかお伺いしたいと思うのです。
  50. 戸澤政方

    戸澤説明員 今回組合健保につきまして、日医は、現行の診療保険点数と別の新しい診療報酬の基準を示しております。これは強制ではございませんが、一応の基準を示しているわけでございまして、いろいろ点数の増加あるいは単価の増というような方法でありますが、大まかにいいまして、大体現行診療報酬の二倍ないしそれ以上といったような程度のものになっておるわけでございます。しかし実際のその適用につきましては、各地においてまちまちでございまして、従来どおりの点数でやっているところもありますし、日医の新しい基準によってやっているところもございます。それにつきましていろいろトラブルといいますか、その差額の処理につきましていろいろ問題が起きているわけでございます。  この差額を保険の付加給付で見るというようなことは、法律の解釈上の問題としましてできないことになっておるわけでありまして、つまり療養費払いというのはあくまでも正規の療養給付にかわるべきものとして特別の場合に認めているわけでございますので、これに対する補償というのは正規の療養給付の診療報酬に基づいて行なうものでございますので、全然それと別の診療報酬基準によっているものにつきまして、その全部を見るということはできないことになっております。ただその差額の処理につきまして、組合内部の問題として労使の話し合いの結果、それを何らかの形でもって事業主が見るというようなことにつきましては、これは国の関与することでございませんので、その話し合いにまかせておるというのが現状でございます。  数字的にどの程度の代理請求をやっているかとか、割り増し料金がどの程度行なわれているかということは、まだ全国的な実施の実態というものが的確に把握されておりません。というのは、代理請求とかそういうものが今月の末から来月にかけてどっと出てくるというようなことも考えられますが、現状では的確に把握できにくいというような現状でございます。
  51. 田邊誠

    ○田邊委員 それはひとつまた資料を逐次出してください  それから私自身の時間があまりなくなりましたから、最後に、保険医辞退でもっていわゆる病院、特に国公立の病院等は実はたいへんな盛況をきわめておるのですね。これはたいへんな負担で、いわゆる患者増加を来たしておる。あなた方はどういう資料をお持ちであるか知りませんけれども、資料の要求もいたしておきまするが、私が調べたところによりましても、たとえば国立病院では、仙台が六月の平均の患者六百に対して七月平均が七百九十三、三二・一%の増、松本四一・二%の増、都城三二・六%の増、こういうたいへんな増加を来たしております。日赤についても大体三〇%から五〇%増という状態を来たしておる。たとえば広島日赤のごときは約二倍の患者の増加、労災病院の中でも一番こみ合っている関東労災病院のごときは、いわば昼休みが三時以降になって、レントゲン等の状態では処理不能になっている。ある労災病院では、このまま続けばわれわれも保険医辞退しなければならない、こういう声明を出したところもある。社会保険の病院についても軒並みそういう状態である。いま三時間待って三分じゃありません。六時間待って三十秒です。まさに破裂しそうな状態、こういうことであります。国立病院についてはある程度超勤手当を手を打ったというようなことをいっておりますけれども、これは実際には金で解決できる問題ではありませんね。もう医者も疲労こんぱいしておって、医者が診療を終えて帰るときには今度は自分が診療を受けて帰るという状態。私が心配するのは、抗生物質等のショックのあるようなものに対してショック反応をほんとうにして、それでもって注射をすることができなくなる、こういうことも聞いているわけです。いわばたいへんにゆゆしい問題なんです。さっき私が大臣に声を荒げて言ったのも、いわばそういう事態が一方において起きている。これはもう患者に対する残酷物語であるといわれるけれども、また勤務医あるいは医療担当者である看護婦やその他の人たちに対するところの残酷物語。そうなってきますと、このままいったら、開業医である程度患者が減ったことに対して悲鳴をあげている人もおるそうでありますけれども、御自分が実行していることですからそれは別としても、このいまの体制下で国公立をはじめとする病院の状態はどうにもならなくなってくるのではないかと思うのですね。夜明け前から起きて高熱の子供をしょっていって九時までの受付に間に合わす。それでもって昼過ぎにならなければ診療を受けられない。こういう母親の姿を私どもが見たときに、これに対して何としても手だてを講じなければならぬと思うのです。これもよって来たるところは、いままでの独立採算制を柱とした医師、看護婦の定員不足あるいは待遇の劣悪さ等いろいろな原因があるわけでありますけれども、これに対するできるだけの手だて、手だてといっても限界はあります、ありますけれども、手だてを講ずると同時に、この際やはりわれわれの長年の主張である抜本改正にも関連をするのですが、公的医療機関、いわゆる病院と診療所との適正配置、こういう問題についても手をつける、そういう意味も含めて私はできるだけの手だてを講じなければならぬのじゃないかと思うのです。ひまな開業医があったら、どうでしょう、借りてきて病院勤務をしてもらったらどうですか。実際にこれじゃどうにもたまらなくなってくると思うのです。その中で、自殺者の例が出ましたけれども、刻々としてそういう事態が深刻になってくるのじゃないか。このいわば破裂寸前である病院の状態に対して一体どういう手だてを講じようとするのか。医者、看護婦の給与の問題や待遇の問題や人員の問題に対してどういうふうに打開しようとするのか、この際ですから簡潔でけっこうでありますから、ひとつお答えいただきたいと思います。
  52. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私ども、ただいまおっしゃいました国公立病院がパンクするのじゃないかと非常に心配をいたしております。その対策につきましては医務局長からお答えをいたさせますが、その前に、保険医辞退だから開業医のところへ行ったのでは見てくれないのじゃないかというように思うている人が相当あるのじゃないかという感じが私はいたします。保険医辞退であっても、しかし医者に行けば見てくれるのだということをもっと徹底する必要がある。それから私は医師会にも要望しているのでありますが、自由診療の報酬というのは、これはやむを得ぬかもしれないけれども、とにかく患者を見て、そしてあなたは料金が要らないとか、あなたはこの程度だ、それがほんとうの医者のとるべき立場だと思うわけです。武見会長自身も自由診療をやっておられますが、診療費はおぼしめしでけっこうですというわけであります。それから金のない人はこの際見てあげますというようなほんとうの医の立場に立って、保険医辞退したけれども、私は医道の立場からやっていくというように——お金のある人にはこれはある程度の基準のものをもらってもいいでしょうが、医師会の示しているのは基準だということでありますから、したがって開業医の方々ほんとうにそういう立場に立ってやっていただきたいということを要望をいたしておるわけであります。
  53. 田邊誠

    ○田邊委員 ちょっと医務局長の答弁の前に。これは大臣、たいへんな認識不足です。武見さんは言っておるじゃないですか。国民は何もたいして困っていないじゃないか、一万円持ってくるじゃないかと言っている。こんな認識でもって診療に当たられたのでは困りますよ。何のために保険があるのですか。いわば安全弁、予防弁として保険に入っているわけですから、そういう中でもって現金を持っていかなければ急場が間に合わない、一般の国民が一回に三千円も五千円もないし一万円も取られるような、そういう診療にたえられますか。そういう中でもっていま困り抜いているのじゃありませんか。何も保険医辞退したから診療を拒否したというふうにはわれわれも認識してないし、国民の多くもそういう理解をしているわけじゃありませんよ。しかし現実に多額の診療費を取られるというこの事態に対して、何としても開業医じゃわれわれとしてはかかれない。泣く泣く遠い病院へ朝早くから起きて行って、行列をして、それでしかも三十秒か一分くらいの診療を受けて帰ってくる、こういうのじゃありませんか。  ですから私は、大臣のいまの答弁はいただけません。これはそんな診療拒否をしているという認識の上に立って私も質問しておるわけじゃないのです。あるいは国民の中にそういう錯覚を持っている人もないことはないでしょう。ないことはないでしょうけれども、多くは多額の料金を取られることに対して何としてもたえられないということでもって国公立の病院へ行っているのです。その事態の認識をあなたは何かまげて答弁するような形は、この際慎んでもらいたいと思うのです。ぜひひとつ国民の迷惑を解消するという立場政府も取り組んでもらう、そのために病院のいまの事態に対してもできるだけの手だてを講じてもらうべきである、私はこういう質問をしているわけですから、その点に対してはぜひ認識を深めてもらいたいというように重ねてお願いをしておきます。  時間がありませんから、医務局長から御答弁をいただきたいところなのですけれども、別途、項目でけっこうですから、これに対する手だてについて文書でもって御回答いただいてけっこうです。それで局長がよろしければ、私の質問は終わりますが、よろしゅうございますか。
  54. 松尾正雄

    ○松尾説明員 それでは後ほど文書で差し上げます。
  55. 田邊誠

    ○田邊委員 質問を終わります。
  56. 森山欽司

    森山委員長 次に島本虎三君。
  57. 島本虎三

    ○島本委員 国民の迷惑を早く解消するために斎藤大臣関係各位のほうでも一生懸命に寧日なく努力されておる。この点についてはほんとうに御苦労に思います。大臣は、大体この収拾策、解決のめどをどこに置いて現在交渉し、いろいろと努力をされておられましょうか、そのめどをお聞かせ願いたい、こう思います。
  58. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 時間的のめどを御質問でございましょうか。
  59. 島本虎三

    ○島本委員 日にち。
  60. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 時間的に申しますと、先ほども申しましたように、できるなら今月中、おそくとも来月初旬にはということを期待をいたしております。
  61. 島本虎三

    ○島本委員 この解決の方法もいろいろあろうと思います。   〔委員長退席、谷垣委員長代理着席〕 それで現在大臣も知っており、またあいさつもなすっておられますけれども総理大臣諮問機関である社会保障制度審議会にも諮問してございます。それから保険審議会のほうにも諮問しており、ともに鋭意その解決を急いでおる。社会保障制度審議会では八月一ぱいをめどにして、必ずこの成案を出すというようなことでいま一生懸命やっておるのであります。そうすると、大臣が解決のめどを今月中に置くということと、八月の末までには抜本改正のいわば素案を出すのだというこの考えのズレは一体どういうふうになるのか。解決の方法としてやはり何か関連性を持たなければ、その委員の人たちは無視されることになり、これは今後やはり一つの不穏な状態に突入するのではないかとまた逆に思われるわけです。その点について、どのような関連においてこの解決の方策をとらんとするのか。一方は、一生懸命に審議会のほうではやっている。その審議会のほうに対しては、医者は、もうまいのやからだ、こういうようなことでとり合わない。しかしながら、公の機関ですから、そへぞれ法に定められた機関ですから、そこで抜本改正を急ぎ、日どりはもうすでにこの八月一ぱいまでには仕上げるということで鋭意努力中である。そういうようになりますと、もうすでに今月中にやってしまおう、その辺の関連はどうなるのか。それと解決の方途は別個に考えるのか、この辺についてやはりどもとしては重大な関心を持たざるを得ないではありませんか。大臣、この辺少しお知らせ願いたいと思うのです。
  62. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 その点はまことにむずかしいと私も思っておるのであります。答申が出るまでそれじゃ待たなければならないのか。そして八月末をめどというが、確約でもあるのか。それから保険制度審議会は九月一ぱいという、それまで何にも発言ができないのかというと、これまた困るわけです。そうかといって、答申が出てきた場合に、やはり答申は尊重しなければなりません。その間の、どういうようにやっていくかという点は非常にむずかしいと思いますが、そこは、答申は出ればまたそれによって考えなおさなければならぬことが出てくるかもしれませんし、そんなこまかいところまでこのたびその要件になるかどうかということも問題でありましょう。そこらはひとつしばらく考えさせていただきたいと思います。
  63. 島本虎三

    ○島本委員 やはり、この混迷の中に国民の期待をになって誕生した厚生大臣斎藤昇ですから、私はその点についてはあなたを信頼している。また国民もあなたならやるだろうと思っているでしょう。いままで笑ったことがないというあなたも、このごろ笑うようになってきた。それだけの自信もおありになったんじゃないか、こういうように思うわけです。ただその方途として、法に規定された審議会諮問しながら、審議会がサボっていたのじゃなく、めどを置いて、それまでには出しますといってやっている。その一カ月前に、もうすでに大臣大臣としてやってしまって約束をなさるということになれば、これは審議会を完全に無視したということになり、そのあとにはやはり一つを収拾して、一つのほうは総辞退、こういうような事態にもなるんじゃないか、その辺の調和はいかに考えるかということなんです。ですから、それと連関させながらやるということになれば、その技量、あなたのいわゆる技術と皆さんの卓見に対して限りなく私は信頼を寄せられるわけです。そうでないと、いま今月中にやる、関係審議会では八月までに出してきた。出したものと全然別個のことを先にやってしまった。何のかんばせあってわれわれはこれをやったのだということになってしまう。法的にあなたが諮問した審議会、また総理大臣諮問した審議会、これはあなたに無視されるという結果になってしまわないかということなんです。当然なるでしょう。その関連をどういうふうにつけますかということなんです。つけないと、これまた一難去ってまた一難でしょう。国民の期待は、医師会のいわゆる保険医辞退に対しては功があったけれども、その他の面ではまた功罪半ばするような状態になったということで、せっかくのあなたの笑いも苦笑いになってしまうのです。そういうようなことを私はおもんぱかるからあなたの決意を聞いておるのです。無理じゃないのです。これは現実の問題と合わして聞いておるのです。あと余分なことは言わないです。このあれはどういうふうにして調整するのですか。
  64. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私はその問題のあることも念頭に置いております。忘れてはおりません。そこで医師会とどういうことで収束をさせるかということも、また一方念頭に置いているわけであります。そこらの辺は、いまこうだということを申し上げるのは、ちょっと医師会との話中でございますから……。
  65. 島本虎三

    ○島本委員 大臣、誤解しちゃいけません。決してあなたにその内容をしゃべれと言っているのではないのです。この調整を十分考えているかどうか、こういうふうなことなんです。簡単でしょう。考えてやって、そっちのほうの顔も立てればこっちのほうもちゃんとやって、私の腕を信頼しなさい、私の態度を見ていなさいとあなたは豪語すればいいじゃないですか。そうでないと、どうもおかしくなりはせぬかという危惧ですよ。あなたを思うあまりの質問ですよ。
  66. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 たいへんありがとうございます。私は念頭に置いておる、かように申し上げております。
  67. 島本虎三

    ○島本委員 というのは、そういうふうにして正式の会談に入る前のいわゆる議事運営の中で、もう大臣はのっぴきならないような状態にして確約をされているのじゃないかというようなことを勘ぐられているのです。もしそうだとすると、黙っていては勘ぐられることになる。いまの私が具体的に言ったこの矛盾、これは決してそご、相反するものじゃないんだ、これは一本になってちゃんと解決できるのだ、こういうふうに言うと、だれも勘ぐらない。これはもう黙って大臣はまずやる、大臣が交渉する前に議事運営やその他でちゃんとこれは取りつけてあって、あとは形式的に黙って大臣が拝聴していれば、時間がたてば、解決するんだ、こういうふうなことになると、これは重大な問題です。他の審議会の総辞退になるかもしれません。なるほうをあなたが望むというならそれでいいのですが、私はそういうふうな点をとりたくないのです。大臣としては——私の言うのはわからぬですか、わかりますか。
  68. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 十分わかっております。
  69. 島本虎三

    ○島本委員 わかったら、もう少しはっきり言ってください。
  70. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 これ以上、ちょっと申し上げる段階でないと思います。
  71. 島本虎三

    ○島本委員 そうしたら、もうのっぴきならないような状態に確約をさせられているということは思い過ごしであって、そんな事実はない、こういうようなことにしてわれわれもあなたを信用したいのですが、そういうふうなことを信用していいですか。
  72. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私は何もまだ確約をいたしておりませんし、どういうことでおさめるかということも、まだ発表する段階ではございません。
  73. 島本虎三

    ○島本委員 既設の審議会、いろいろそれぞれの目的とそれぞれの役割りを持って発足し、現在運営中でございます。いろいろもうまいなるやからの集まりだそうでありますけれども、しかしやはりそれぞれに動いているのです。こういうような審議会に対して、将来大臣は何か整理するか統合するか、または新設を新たに考えておられましょうか。
  74. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 その点は先ほど田邊先生にお答えをいたしましたとおりでありますが、ものによっては抜本改正の中に入れて考え直す審議会もできるのじゃなかろうか、それからこの問題の抜本改正をいかにすべきかという、そういう審議会を設けるかどうかにつきましては、時間的の問題もあり、御提言は一応私も考えているところでありますが、この問題の解決になるか、それによって抜本改正をおくらせるということにもならないかというので、いまこの問題は考えないとも考えているとも申し上げかねる。ただ私は、そういうことも頭の中にはある、しかしそれでいくかいかないかというのは、いまちょっとお答えを控えさしていただきたいと思います。
  75. 島本虎三

    ○島本委員 これはやはりいろいろな意見の中で、医師会側の社会保険の一本化の要求であるとか、医師の技術料の評価を高めろというようなのは、もっともな意見だと私ども思っているのです。その中で、この点だけは大臣でなくてほかの関係局長でいいですが、はっきりしてもらいたい。   〔谷垣委員長代理退席、委員長着席〕 技術料というようなものはどういうふうにして評価するのであるか。このむずかしさをどういうふうにして評価なさるのであるか。聞くところによると、たとえば産婦人科のほうへいくと、子宮ガンの手術は最高の技術を要する、ただ外科のほうに行ってやると、こういうようなのは簡単な技術でいい。ともに手術である。しかしながら、両方から見ると技術料が天と地の違いになる、こういうふうなことも聞いているわけです。そうすると、技術料、これはよろしいから受け入れます、こう言っても、その過程において相当困難な事態にも遭遇するのではなかろうか。だから、技術料というものをどういうふうに見ているのだろうか。まず私はそういうふうな点について、解決の前提として事務当局の考えを承っておきたい。
  76. 戸澤政方

    戸澤説明員 私も専門家でございませんので、へたな回答は、またげすの知恵のようにとられるかもしれませんが、要するに技術料の評価と一言でいいますけれども、非常にむずかしいところであります。お話しのとおり、手術とか処置についての評価も、診療科によって非常に違いもありますし、それから内科とか小児科のようなところ、またそういう手術、処置等の少ないところにおきましてはどういうことでいくか、診察料といったような方法でいくかというふうな非常にむずかしい問題があるかと思います。しかし、ともかく現在のように薬にたよっているような診療報酬の中身では合理的とはいえないので、あくまでも医者の技術をもとにしてやっていける、経営できるといったような行き方にしなければならぬという原則的な考え方はほとんどすべての人の了承しているところでございまして、この問題について中医協において本格的に審議を始めようという段階に至っておるわけであります。
  77. 島本虎三

    ○島本委員 それはもっともなんです。やはり現在のように薬でもうけて、そうして技術料に対しては当然評価すべきものをしないで過小に評価している。これも一つの不満であり、この爆発であるかもしれないのです。ですから、それを解決することが必要なんです。だけれども、またノーズロースのようなかっこうでやったならば、それがまた一つの紛争のもとになるではないか。技術料の評価、こういうようなものに対してもいろいろまちまちなのだ。これをどういうふうにして見ていくのだ。最高と最低があったら、中をとればいいじゃないか、大野伴睦式にやったらいいかもしれないです。しかし、それは技術の場合には許されないでしょう。ですから、そういうような問題に対してもちゃんと事務当局は考えて、まかしてもらったら完全にやります、このくらいはっきりした自信と確信に満ちた対策を持つのでなければだめじゃありませんか。私もそういうような点に対しては、今後また障害になるのではないか、なぜこれに対して具体的にもっと深い考えを示さぬのか、こう思っておったようなところなんです。まして、外国と比べて薬も二・六倍であったり、注射代も十倍以上だ、入院日数も倍ほど長いのだといわれても、この解決はやはりいろいろな要素がこもっております。しかしやはり、こういうようなものは技術なんです。皆さんのほうの御発表だと、朝日に載っておりますが、こういうようなことを前提にしてやりますことは、大臣大臣としての考えもございましょうけれども、私もどうなんだろうかと疑義があるのです。これは大臣はそっとしておいて事務当局から承りたいと思います。
  78. 戸澤政方

    戸澤説明員 お話しのとおり、技術料の評価、その認定は非常にむずかしい問題でございまして、中医協は一応各界の専門家がそろっておると申しましても、そういう医療の技術料の評価ということになりますと、必ずしも中医協の現在の委員だけで的確な評価ができるかどうかわからない。そういう場合には、中医協におきましてもさらに専門家を臨時に委員として任命しまして、各学会の意見を聞くというようなことの運営も考えられるかと思うのでございます。それからもちろん厚生省事務当局も、中医協のお手伝いをするという意味におきまして、いろいろ専門家の意見等も聴取いたしまして勉強してまいりたいというふうに考えております。
  79. 島本虎三

    ○島本委員 大臣、やはりこういうふうな問題で一つの問題を解決しようとしても、その望む保険の一本化の問題でも、これは二本化でいいのか一本化でいいのか、また技術料、まさにそのとおりと評価すべきであるとしても、その評価の標準、これまたなかなかむずかしいめんどうくさい問題をかかえているのです。私は、一つ一つそういうふうにしてみると、やはり解決するのは一日も早くやることを心から望みますが、しかしながらへやはりそのために一生懸命に努力している委員会もあり、またその委員会に努力させながら、そうしてもうこの一カ月前に大臣はそれと関係なしにやってしまった。そうすると、委員会のほうに対して連絡しながらこれをやるならいいが、関係なしにやってしまったのなら完全に委員会無視になります。その委員会もあなたの委員会ならいい。しかしながら総理大臣諮問機関である委員会厚生大臣諮問機関である委員会、それぞれに諮問しているのです。それを諮問しながら無視してよい、やってしまった、連絡は何もない、大臣、もしこういうふうな行き方でやるとするならば、一つのことを解決しても、また一つの禍根が根を張ることになるじゃありませんか。そこに十分連絡のパイプを据えながら、間違いない解決をしなさい、まことに心あたたまる勧告なんです。大臣はさっぱり耳をかさないようだ。しかしこれは十分肝に銘じてやってもらわなければならないと思います。決意を聞かしてください。
  80. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私は当初からこの点を非常に危惧いたして、この制度審議会に参りましたときにも、この次の抜本改正は二年以内にやらなければならぬという制約を受けているから、なるべく早く間に合うように御答申をいただきたい、こう申しておりました。すでにもう二年になってまいりました。次の国会に出すのには、答申があるまで、事務当局としても事務的にも手をつかねて待っているわけにはまいりません。そこで御答申がおくれれば、その前にあるいは、厚生省のその後の二カ年間の時日の経過もありますから、前の答申の参考意見そのものでないような、それにさらに修正したものも考え出していかなければなりませんから、その点は御了承いただきたいということを申しております。しかしそうかといって、制度審議会の御意見も全然無視する気持ちはございません。まとまらなくても、あるいは審議会でこういうような意見で、大体こういうようなことになっているというようなこともわかるわけでございますし、そこらの調整は考えながらやっていきたい、かように考えております。
  81. 森山欽司

    森山委員長 この際、午後一時五十分まで休憩いたします。    午後一時休憩      ————◇—————    午後二時開議
  82. 森山欽司

    森山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  厚生関係基本施策に関する件について質疑を続けます。大橋敏雄君。
  83. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 私は、保険医辞退問題に関して若干質問したいと思いますが、去る七月一日に日本医師会保険医辞退をした、こういう問題は、たとえていうならば、夜、電灯のスイッチを突然切られた、そういう感じでございます。国民の戸惑い、不安、そして混乱というものはたいへんなものでございます。これまでにあらゆるマスコミが報道しているとおりでございますが、医師会にいたしましてもいろいろな事情や問題はあろうと思いますけれども、こういう非常手段に訴えたこと自体に対しては、われわれははなはだ遺憾だと思っている次第でございます。また、事が人間の健康やあるいは命にかかわる問題になるわけでございまして、それだけにこの辞退問題の解決は何が何でも早急にやらねばならない、これはすべての者の一致した考えでございます。   〔委員長退席、伊東委員長代理着席〕 ところが、これまで、日本医師会武見会長の要求で開かれております厚生大臣との対談の模様というものは、国民の期待といいますか、願いといいますか、そういうものとは相当はずれた、いわゆるのろのろ運転の内容になってきておりまして、国民大衆というものがその姿にさらに不満を持ちかけております。   〔伊東委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、これから具体的にお尋ねいたしますけれども、時間の制約がありますので、要領よく答えていただきたいと思います。  まず、十三日の会談内容について新聞報道されておりますが、その報道の一部分を申し上げますと、武見会長が「それから私はこの問題につきましては、やはり与党と政府とわれわれとの話合いというものが、まともな線で一致点に到達すると信じています。そういたしますと、この問題は私はやはり野党側の同意を得られるような方法が講じられるといいと思うんですけどね。」、こういうふうに言っておりますね。これは十三日の対談の武見会長の発言です。そのときの厚生大臣の返事は、「なかなかものわかりがいい。」というような返事になっておるのです。ここでございますけれども、「野党側の同意を得られるような方法が講じられるといい」、このように武見会長は発言しているわけでございますが、これはもっともな話とは思いますけれども、その方法をどのようにお考えになっているか、厚生大臣自身のそれに対する腹案といいますか、考えをまず聞かしていただきたいと思います。
  84. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 どうせ国会で御論議をいただく問題に最終的になりますから、事前に野党側の同意が得られればいいとおっしゃるのは、これは当然のことだと思いますが、しかし、事前にどういう方法で野党側の同意を得るか、また、その同意がなければ保険医辞退を解かないというようなことでは困ると思います。したがって私は、政府約束したことは野党側の同意をとって、そして国民全員の合意として法律で通すように最善の努力をすべきだというあたりまえのことを言われたのだ、かように解釈いたします。
  85. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 「なかなかものわかりがいい。」というふうに、武見会長の発言に同意をなさっておるわけでございますが、要するに「野党側の同意を得られるような方法が講じられるといい」というふうに、武見会長自身がわれわれ野党に対して心を配っているわけでございます。したがいまして、私は、当然武見会長もその同意を得られるため、野党側の態度に対していろいろと協力的な姿で出てこられるものと考えるわけでございますが、実は先般、当委員会武見会長を呼んで、ここで率直な意見を聞こうじゃないか、われわれ野党側もその意見を聞いて極力協力できるものはしようじゃないか、そういう姿勢で要請したわけでございますが、武見会長の都合でついに来れないということになりました。しかし、われわれはこの発言を聞きまして、さらにその気持ちを強くしているわけでございますが、臨時国会はいよいよあしたで終わることになりますけれども、閉会中の委員会というものは行なわれるわけでございまして、むしろ今度は武見会長さんの都合に合わせて早い時期に委員会を開きたいというわれわれ野党の考えがあるわけでございますが、大臣はそういう方向で努力する意思はおありかどうか、その点をお伺いいたします。
  86. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私が武見会長に出てこられるように努力するかどうかという御質問でございますが、まずこの社労の委員会で御決定いただいて私に努力せいということであれば、努力はいといません。私は、これは国会運営に属する部分でございますから、皆さま方の全体の御意思に沿ってどうにでもいたしたいと思っております。
  87. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 いままで委員会の意思の決定として武見会長に要請したわけですよ。その返事が、武見会長さんの都合によってその日にちがとれなかったということだったわけです。いまいろいろな姿で武見会長と折衝なさっている機会でございますので、野党の同意を得られるような方法を講じたいという意思がほんとうにあるならば、そういう野党の気持ちに応じられるほうが早道だということを伝えてもらいたいし、また、武見会長自身も八月ですか、には外国に出られるという話も聞いておりますので、これはもう早い時期にそういう機会を持ちたいと思っておりますので、ひとつ十分伝えてもらいたいと思います。努力してもらいたいと思います。  それから、もう一つ私が考えていることは、野党の同意を得られるためには、一日も早く総辞退を撤回なさることだ、理由のいかんを問わずこのような不祥事態というものは許さるべきものじゃないということを理解してもらうことが、野党の同意を得る一番の中身であろうと私は思うのです。それもあわせて伝えてもらいたいと思います。  次に問題を移しますけれども、審議用メモがたいへん問題になっております。これも武見会長の発言の内容でございますが、「(昨年)十二月にわれわれは(医療料金が)物価や人件費の大きな変動に対応するように、それをルール化してほしいということで、いくつかの考え方を提案した。ところが、全然別のものが出てきたということで問題がこじれた。」、要するに、われわれは昨年の十二月に人件費や物価高、そういうものに対応する医療費のいわゆるスライド制といいますか、そういうものを要求して幾つかの案を示した、にもかかわらず、中医協はそれにこたえないで、審議用メモという、われわれ医師会考えているような姿と全く違う中身を持ってきた、こうして批判しているわけでございますが、それに対して厚生大臣は、確かにあなたがおっしゃるように、審議用メモというのはたたき台になる価値のないものがたくさんある。「いずれにしても円城寺会長が現実的な手を打たれるでしょう。」このように答えられたと新聞に出ているのですけれども、その点は間違いありませんか。
  88. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私は、無価値なものを出したということを認めたわけではございません。そういうようにあなたはおっしゃっておられるようだが、それについては中医協が開かれればまた会長もしかるべく措置をされるのじゃないだろうか、そういう意味で言ったわけでございます。  それから先ほど武見会長のお話がございましたが、私もそれは委員会として努力をせいとおっしゃればいたしますけれども委員会では委員長もおられ、理事さんもおられるわけでありますから、その御意思によって私まで動けということであれば動かしていただく、こういうように御理解を願いたいと思います。
  89. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 先ほど私が言ったのは新聞の記事から見たものであって、そのときの実際を、あるいはテレビで見たわけではないです。しかしその中で「円城寺会長が現実的な手を打たれるでしょう。」というようなことをおっしゃったでしょう。
  90. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 それは申しました。
  91. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 「現実的な手を打たれるでしょう。」というのは、どういうお気持ちでおっしゃったのですか。
  92. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 円城寺会長も、とにかく中医協の会長としていままでりっぱに運営をしてこられたわけでありますから、理屈の通ったことはまたおやりになられるであろう、円城寺会長を信頼して申し上げたわけであります。
  93. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それじゃ医師会が言っているような、医療費の緊急是正等を中心とした新しいいわゆるたたき台をつくって云々というわけでもないわけですね。また現在の審議用メモが問題になっているので、それを一応別にはずしてしまって、無にして新しい何かたたき台でもつくられるというようなことを考えられているのか。またそうであるならば、現在の審議用メモに対する取り扱いについて何らかの示唆をなさろうとしておられるのかどうか、そういう点も含めてお答え願いたいと思います。
  94. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私は、これは中医協の問題でございますから、できるだけ中医協の会長並びに委員方々の良識によってお取り扱いいただけるもの、かように信じております。私に意見を求められれば、また意見を出すかもしれない。いまその段階ではございません。
  95. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 われわれが見ても審議用メモは確かに問題点があります。ましてや専門家が見ればよくわかることでありますし、そういう点をもう一歩深めて判断なさって、もちろん中医協の仕事ではございますけれども事態収拾のためにはいろいろと努力を重ねてもらいたい、これを要望しておきます。  さらに問題は、今度武見会長のおっしゃっていることは、あくまでも保険医辞退の撤回は抜本改正のめどがつかない限りはしない、こういうふうなことであります。ところが抜本改正といってもいろいろある。武見会長自身も、この抜本改正に入っていく入り口というものは幾つかある。たとえば、現在の制度を批判する道もあれば、また理論的に幾つかの要素を組み合わせて構成していく考え方等もあるのだ、いま厚生省考えているような抜本改正というものはあまりにも財政対策に重点が置かれ過ぎている、これは問題にならぬ、このような言い方だと思うのです。  それじゃ医師会が言っている抜本改正はどうかといえば、いろいろありますけれども、その中の重要な事柄の一つとして、組合健保の解体を含む制度の統合論ということを主張しております。これなども抜本改正の問題の大きな事柄でありますけれども、こういう内容を含めた抜本改正の見通しが立たない限りは、医師会長はその保険医辞退を撤回しない、取りやめないということなのかどうか、そういう点についてはどう考えられておりますか。
  96. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 まだそこまで話が進んでおりません。近い段階にあるいはそういうことを論じ合う段階になるかもしれませんが、まだ段階はそこまでいっておりません。
  97. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 しかしこの対談の中で厚生大臣は、確かにおっしゃるとおりにいままでのわれわれの考えは財政的な問題に片寄っておった、長期的な展望に立って考えなければならぬのだという答弁をなさっておりますね。その長期的な展望に立つという立場からいけば、医師会長が言っておりますように、組合健保の解体を含めたいわゆる制度の統合論等も含まってくることになるのじゃないですか。
  98. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 抜本改正をどう考えているかという御質問ならまた別でございますけれども、この医師会の総辞退問題の、これをやめてもらうための話し合いの中でどこまでのこまかい内容に入るのか入らないのか、その点はまだ詰めの段階になっておりません。したがって医師会との話し合いという中においてそれを収拾する方法としてどこまでこまかい点を考えておるのだろうかということは、いま私はちょっと申し上げる段階ではありません。
  99. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 そういうふうな答弁しか出ないのかもしれませんけれども、そういう態度といいますか、大臣の気持ちが煮え切らないという感じで受け取られるわけですが、もっと積極的に進んでもらいたい。私は冒頭にたとえ話をしましたけれども、夜、突然電灯のスイッチが切られた、そのスイッチの前に医師会が立ちはだかっているのだという感じですからね。だからこの問題は、一切を超越してとにかく直接関係のない国民大衆の困りあるいは不安というものを解消するためには、最小限度に問題をしぼって事態収拾に乗り出さなければ話にならぬと思うのですね。  そこで、これは厚生大臣ほんとうに正しく判断してもらって収拾の一環としてもらいたいことがあるのですが、日本医師会健保連批判というものはすさまじいものがありますね。いろいろパンフレットや広告やあるいはビラがまかれておりますが、私はその一、二を持ってきておりますけれども、これはたいへんなものです。また健保連側もその医師会側の批判に対して反論しておる。反論したビラをまいておりますけれども、これを読みますと、一体どちらがほんとうなのか、率直に言って国民は迷うのじゃないかと思うのです。たとえば医師会側が出しているビラの中に、「健康保険保険料は病気以外に使ってはなりません」、そして、要点だけを読みますけれども、「皆様の納めた保険料は、組合幹部の独断でほしくもない薬を配給しています。薬物依存の習慣は健保組合がつくっているのです。組合は保養所や大ホテルを勝手に建てて、あなた方のお金で不動産投資をやっています。ボーリング場をやる計画もありますし、ボーリングの費用を払っているところもあります。このように組合幹部は保健施設と称して、その他勝手な投資をしてもうけているのです。」  これに対して健保連のほうは、「これは、一言でいえば大きなお世話です。健康保険が単に治療費を支払う仕組みというのは、全く古い考え方で、今の健保は病気の予防や健康増進、回復時の訓練などのために、広い意味の「健康管理」をしています。時に応じた救急薬品の配布や、保養所の設置運営は、医療費支出の経済を図かる意味でも行なわれます。それが法律の言葉で「保健施設」と呼ばれるところから、それを指して不動産投資というなら、全くのいいがかりです。」、このように反論しているわけですね。  また、大きな問題になりますと、これは医師会のほうですが、「健保組合の解体で明るい社会連帯感の満喫できる医療保障をつくりましょう」、「組合健保は四十四年度の一年間だけでも四百二十三億円の大黒字を出しています。その上三兆円ともいわれる不動産投資をしてもうけています。これは決してあなた方のものにはなりません。医療保険を利用して金もうけをしている団体は健保組合しかありません。しかもどんなにもうけても一切税金はとられません。これ以上の特権王者が他にあるでしょうか」、こういう言い方をしております。  それに対して健保組合は「組合では赤字を出すことができませんので、医療費の支払いに備えてその予算には一〇%以上の予備費を計上し、毎年度給付費の五%の準備金を積み立てていくことが義務づけられているわけです。これらは、医療費の増大などに備えて、準備金として必要なわけですが、日本医師会がいうのはその準備金などを指しているのです。それを黒字というのは、まさに「白」を「黒」というものです。また、三兆円の不動産をもっているといっていますが、全く根拠のないものです。」、こういうふうにお互いにやりとりしているわけですね。  これは国民の大部分の者がこれを見ているわけです。非常に疑惑を持っております。はたして、このような両者の主張がどちらが正しいのか、どちらに間違いがあるのか、そういう点を政府立場から、あくまでもこの医療制度あるいは保険制度の動きというものは法律に基づいて行なわれているわけでございますから、その法のたてまえから見た立場で、この医師会の言い分はちょっと言い過ぎだとか、この点は確かにこういう問題があるということを国民の前に明らかにすべきだ、私はこう思うのですけれども、その点はどうですか。
  100. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私は、医師会の総辞退の問題は政府医師会関係であって、健保連と医師会のけんかから起こった問題じゃない、かように思うわけであります。したがって、その仲裁をしようとも思いませんし、そういった両方お互いの何か感情的なようにとれるやり方は望ましくない、どちらもこれは慎んでいただきたい、私はかように思います。
  101. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 要するに大臣がおっしゃるには、健保連を医師会は相手にはしていないんだ、このような言い方をなさいましたけれども、われわれがいままであらゆるマスコミの報道を見る限りにおいては、それは明らかでございます。そういう逃げ口上で責任を回避してもらいたくないと思います。むしろそれならそれでもいいですよ。単なる両者の感情問題であって問題にするな、これだけでも国民の前に明らかにしてもらいたい。その点はどうですか。
  102. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私の話し合いの場でそういうけんか争論にわたるようなことになれば、そういう話は当然やめてもらいたい、かように思います。
  103. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 健保連の立場からいえば、今度の公開会談といっても片手落ちだと思っておるでしょう。その会談に臨まれる大臣は、健保連等のそうした意見とかあるいは主張とか要望とかいうものを一応聞かれた上で、健保連の意思も代弁しての対談をなさっているというふうに見ていいですか。
  104. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私は健保連の意思を代弁するとかどこの意思を代弁するという気持ちは毛頭ございません。しかしながら、健保連も意見があるであろうし、いろいろ意見を聞いてもらいたいということもございましたから、回数でいえば二度でございますが、正式に私の部屋に来てもらって、健保連の会長なり理事なり、健保連の考えておられる点を十分聞いております。
  105. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 別に健保連だけの代弁をしていないというのは当然のことですけれども、その健保連の意思も十分踏まえた上での対談である、こういうふうに見ても差しつかえありませんね。
  106. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 意思を踏まえてということでなしに、実態を知るという意味で私はいろいろ話を聞いております。その意思をもってどうするとかこうするとかいう意味じゃございません。実態を正確に把握いたしたいという意味で聞いております。
  107. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 私はなぜこれを聞くかといいますと、事態の収拾の中身としまして、いまは医師会長との話し合いである、このあとはまた健保連等ともこのようなことをやるんだというような考えをもしお持ちであるならば、事態はまた非常に延び延びになっていくということを考えるわけです。むしろそういうことは一切抜きにして、とにかく医師会の起こした辞退問題だから、医師会とだけ話して結末をつけるんだ、こういうことですか。
  108. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 後段におっしゃったとおりでございます。医師会と話をして医師会と話をつけるということであります。
  109. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 話はちょっとかわりますけれども、いずれにいたしましてもこの問題は長期化が予想されておるわけでございまして、国民の不安、混乱、迷惑をこれ以上起こしてはならぬと思うわけでございますが、政府として新たな手といいますか指示、そういうものを地方団体等にもなさろうとしているのかどうか、その点についてお尋ねいたします。
  110. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 この保険医辞退から起こる国民の不安あるいは不便というものをできるだけ除けるように、それぞれ手配はいたしております。その点は午前中保険局長からもお答えをいたしたとおりでございます。
  111. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 確かに総辞退に入る直前においては、地方自治体等に対していろいろ具体的な指示があっております。しかし現実問題として公立病院などはダウン寸前である。とにかく私の地元の北九州市の市立病院等は、最初は受付時間を延ばして便宜をはかってきたわけですけれども、いまでは医者そのもの、それから看護婦そのものがオーバーワークになって、それこそグロッキーだというわけですね。これじゃどうしようもないということで、せっかく延長した時間をまたもとに戻したとか、いろいろな問題があるわけでございまして、このまま放任しておきますと、予想以上の医療事故といいますか、これが必ず続発してくるのではないか、こう思うのです。そういう立場からもう少し何らかの具体的な指示を与えなければならない。前回でも、具体的な指示を与えられたというものの、そのPRが不足していたためか、ほんとうに自殺をした人まで出てきました。あるいはそのほかにもいろいろな不祥事故が起こってきました。PRの問題にしましても、いま言うような、いままでの事態をながめ、その実態の上から、ここで新たな打つべき手があろうと私は考えるわけですから、そういう点から、かりにこれが延びた場合のことも予想して、あらためて打つべき手を打たなければならぬ、こう思うわけでございます。どうでしょう、その点。
  112. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 PRが足らないという点は私は確かにまだあると思います。私に対しましても、お医者さんに見てもらいに行こうと思うんだけれども、どうだろう、いま医者は見てくれないのではないかというような話がありましたが、とにかくあなたの行きつけのところに行ってみなさい、そしてどういう措置をしたか知らしてくれ。どうでしたかと言いましたら、会社に行って書類をもらってきてください、そして一文もとらないで診療してもらってきた、これから会社に行って書類をもらってきたらいいだけです、こういうことでありまして、まあ保険医辞退したお医者さんも、患者によって違うのかもわからないし、あるいはお医者さん自身によって違うのかもしれません。とにかく自由診療の料金はきまっていない、非常に高いだろうということが宣伝されておりますが、実際はそうでなかったという場合もあるわけでありますから、そういった意味のPRを十分することが私のほうとしても必要だ、かように考えまするし、医師会においても十分してもらいたい、かように言っておるわけであります。
  113. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 問題点を洗い出して新しい指示を出す、このように理解してもよろしいですね。
  114. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 さようでございます。
  115. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それじゃもう一つ聞きますが、かりにこの事態が長期化されたために、いま言ったような医者あるいは看護婦さんたちのオーバーワークから、そういうものが原因になったと思われる医療事故が起こったとしますね。そのときの責任の所在はどこに行くのですか、だれになるのですか。
  116. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 これは政治的には政府がやはりこういう事態を起こさせたという責任があるわけです。それから具体的には、その病院の取り扱いがどうであったか、具体的な問題にならないと一がいに私は言えないと思うのでありますが、そういうことのないように最善の努力を払わなければならない、かように思います。国立病院その他における病院のことにつきましても、医務局長からいろいろと配慮をさせておりますが、場合によりましたら医務局長からお答えをさせます。
  117. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 もう時間が迫ってきておりますので、けっこうです。  要するに、そういう医療事故が起こった場合は政府の責任である。しかしその補償問題になると、個々の問題について考えられていくものであるというように聞いたわけでございますが、さらに、そういうことが起こらないようにしていきたいとおっしゃるけれども、はっきり言ってこれが長引くと起こってきますよ。実際に起こってきます。そのときに公立病院の医者が、おまえが悪いんだ、ただそれだけで責任を問われることがあってはたいへんでございます。それこそ、そのときそういう事態が起こった場合には、きょうの私の質問を十分記憶していただいて、納得いく補償ないしは援助、そういうものをやっていただきたい。  もう一つですが、公立病院は御承知のとおりただでさえ赤字です。一口で言うならば、診療をやればやるほど赤字になるんだ、まじめにやればやるほど赤字になっていくという実態もございます。それが今度政府の指示でこういう事態になったので、しっかりと外来患者あるいは入院患者を収容していきなさいということになっておりますけれども、そのためにはいろいろと問題が起こって、経費もかさんでくるわけですね。赤字の上に、この辞退の問題に関連してさらに赤字が出てくる。それについては、この公立病院について政府は何らか援助するような考えをお持ちですか。
  118. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 事態の推移を見まして、必要があればまた何か考えなければならぬと思いますが、それよりも一日も早くこういう状態を解消することがまず大事だ、かように考えまして、保険医辞退を一日も早く解くということにまず重点を置いてまいりたいと思います。
  119. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 要するに、もうすでに交代の医者を臨時に雇い、あるいは看護婦さんを雇い、その他必要なものをいろいろと手を打っていまやっているわけですから、現実にこのために思いがけない経費が要っているわけですね。それに対しては、いまおっしゃったとおりに内容を掌握、把握されまして、それに対処してもらいたいと思います。  それでは最後に、今回の問題点はいろいろ言われておりますけれども、事件の一番中核は何かといえば、お医者さんの技術と薬との関係にあると思うのです。つまり問題の本質は医薬分業をすれば一切が解決していくのではないか、このように私は思うのであります。確かに保険医辞退の理由はいろいろ述べられております。たとえば審議用メモがどうだったとかあるいは三十六年の医師会歯科医師会と政府要人との合意書が、実行できなかったとか、そのほか抜本改正の中身はこうだとかああだとかいろいろ言われておりますけれども、根本的な問題は現行の医療制度欠陥にあると、私はこう思うのであります。だからこの欠陥を一日も早く是正しなければならない。医療費の支払いについては、医師の本来の技術的な報酬と、薬剤その他物に関する費用が混在していることはあなたも十分御承知と思いますけれども、要するに薬剤などの費用に医師の利益がリンクされているところ、ここに問題があると思うのですね。つまりお医者さんの収入の中に薬の利益が入ってきているわけです。だから、お医者さんはあくまでも処方箋を書くだけだ、薬の問題とは切り離す、これが肝心な問題ではないかとこう思うわけでございますが、どうお考えでしょうか。
  120. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 医薬分業の問題もこれは大事な問題だと思っております。一日も早くそういう方向に進めたい、これはそういう方針はすでに確立をいたしておるわけであります。問題は、いまおっしゃいましたように医師診療報酬をどう適正に評価をし、そしてこれを決定をするかということが非常に大事な問題の一つだ、私もそういうふうに思っております。
  121. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 いまおっしゃるとおり医薬分業は当然必要な事柄である。しかし、そのためには医師診療報酬を正当に評価し、適正化しなければならぬ。これは当然だと思います。そのためには中医協の問題が出てくるわけでございますが、いずれにいたしましても、いま言いました医薬分業の推進、というよりも促進ですね。むしろ年次計画でも立ててできるところからぐんぐん推進していく、促進していく、こういう姿勢になっていただきたいということが一つです。  それから、医者の診療報酬の適正化については、いま中医協の問題がいろいろ取りざたされておりますけれども、この中で一番私が気になるのは現在の円城寺会長に対して、日本医師会長の考え方というのは、不信感の非常に強烈なものがございます。このままで、はたして診療報酬の正しい審議が行なわれる審議会が持てるのかどうかということです。つまり、この事態収拾とあわせて審議会のメンバーをかえようという考えがおありなのかどうか、あるいはそのほかの考えをお持ちかどうか、それもあわせてお答え願いたいと思います。
  122. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私はただいま中医協のメンバーをかえるというような考えは毛頭持っておりません。
  123. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それでは医師会のメンバーがもとに帰るということにならなければ正しい審議ができないわけでございますが、武見会長さんは、いまの円城寺会長さんに対しては非常に失礼な発言をなさっております。医師会長の気持からすれば失礼ではなく当然のことだとおっしゃるかもしれませんが、われわれの見る限り聞く限りにおいては、はなはだ失礼な発言であります。能力なしとまで言っております。そういう会長さんではたして医師会がもとに戻るかどうかという問題です。もし戻らない場合は新しい他のそれにかわるべきものをつくる以外にないのかどうかということです。その点はどうですか。
  124. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私は、この総辞退問題が解決をすれば、中医協に戻って、そこで審議をしてもらいたいということを念願いたします。そのために会長なりその他のメンバーを変えるということは考えておりませんし、その必要はないだろう、かように考えております。
  125. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 私の時間が参りましたので、これで終わりますけれども、それこそいま言いましたように、医者の技術料と薬との関係、これから問題が起こっているわけですから、これは何よりも深く深く掘り下げて、医薬分業が早く実現しますように強く要望して、私の質問を終わります。
  126. 森山欽司

    森山委員長 ただいまの大橋君の発言の中で、日本医師会武見会長の本委員会への出席について、厚生大臣に協力方の御発言がございました。それにつきまして、本日の委員会に先立つ理事会におきまして、閉会中の委員会の開催について、この際、懸案の武見会長の招致を実現するため、同会長の都合を聞いて具体的な日時をきめたいということになっております。本件につきまして、本委員会終了後に理事懇談会を開くことにもなっておりますので、大臣の御出席を求め、あらためて御相談いたしたいと思います。御了承ください。  次に古寺宏君。
  127. 古寺宏

    ○古寺委員 私は、人工じん臓の問題を通していろいろお尋ねを申し上げたいと思います。  いまわが国には、高血圧の患者さんが五百万人いるといわれております。その中でじん臓疾患を持っている方が五十万人いらっしゃる。そういう高血圧による患者さん以外の方も合わせまして、年間一万人以上の方が尿毒症、じん不全等によって死亡をいたしております。この一万人をこえる、じん不全等によるじん臓疾患の死亡者に対して、もしも人工じん臓があれば、少なくとも八〇%くらいの方は十年くらいは長生きができる、こういうふうにいわれております。しかしながら、わが国の人工じん臓の数が非常に少ない、また医療費が異常に高いために、そういう患者さんが思うように治療を受けられないというのが実情でございます。  そこで、厚生省としては、今後この人工じん臓に対する対策というものをどういうふうに考えていらっしゃるのか、まずお尋ねしたいと思います。
  128. 松尾正雄

    ○松尾説明員 じん不全対策といたしまして、人工じん臓が、新しく開発されつつあるじん移植の方向と相まちまして、こういうじん不全患者に対してきわめて効果的な影響を与えるくらいに発達をしてまいりましたことは、御指摘のとおりでございます。したがいまして、私たちも、こういう問題について国としても体系的な対策を整備しなければならぬ、こういう観点に立ちまして、四十六年度にじん不全対策検討費という予算を新たに計上いたしました。これによって、専門家、学者等のいろいろな意見を聞き、今後のじん不全対策の進め方の基本的な問題並びに現状のいろいろなじん不全の治療の実態につきましても、患者についていろいろ調べをいたしたい、こういう二つの大きな柱のもとに検討を進めてまいっております。  したがって、まだその検討は続いておるわけでございますけれども、私たちがいま持っております一つ考え方としては、まずじんセンターというようなものを中央並びに都道府県段階で一つのネットワークをつくってまいりたい。さらに都道府県より小さい単位にもそういうものが必要になろうか、こういうふうに考えます。同時にそこに人工じん臓というものを計画的に配置をしていく。これによって、すみやかに治療の体系を整備していく。しかしながら、同時に、この問題については、医者やその他これに関連する人の訓練ということも必要じゃないか。そういったことも含めまして、一つの体系的な整備を考え、少なくとも来年度の予算には計上して着手をいたしたいと考えておるわけでございます。
  129. 古寺宏

    ○古寺委員 そこでお尋ねしたいのですが、じん不全の患者さんは無尿の人が多いのですね。小便が出ない。そのために、一週間に二回ないし三回、人工じん臓による人工透折というものをやって、治療を行なっているわけでございます。現在、愛知県においては夜間透折というものも行なっております。昼間は働いて、夜五時ごろから夜中の二時ごろまで人工透折を行なって、翌日はまた仕事に出る、こういうことが現在行なわれております。そういう面からいいますと、人工じん臓を必要とする人は当然身体障害者として扱うべきものではないか、こういうふうに私は考えるのですが、その点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  130. 松尾正雄

    ○松尾説明員 その身体障害者のどの程度に当たるかということにつきましては、その態様なり症状の程度によって違うだろうと思いますけれども、実態上から見て生活のいろいろな面で著しく制限を受けるということであれば、新しい内科的疾患ということで、従来の内科的疾患にプラスして検討してしかるべきではないかと考えております。
  131. 古寺宏

    ○古寺委員 次に医療費の問題ですが、ただいま問題になっておるところの健康保険の例で申し上げますと、この人工じん臓を一カ月使用いたしますと四十万円の医療費がかかるわけです。国民健康保険に加入している人は三割でございますので、十二万円の医療費が必要でございます。また政府管掌健康保険の場合には、本人は無料でございますが、家族は五割給付でございますので、二十万円の医療費が必要でございます。健康保険組合の場合は、これは給付の格差はございますが、付加給付で十割給付のあるところは、当然本人も家族も無料で人工じん臓の治療が受けられる。こういうふうに保険者によって格差が非常に大きいわけでございます。そのために、人工じん臓を使っていけば長生きができる、助かるという人でも、この人工じん臓の恩恵を受けられないという方がたくさんいらっしゃるわけです。この保険者間の格差の問題について、自己負担分については公費負担によって平等に人工じん臓の恩恵を受けられるようにすべきではないか、こういうふうに私は考えるのですが、この点については大臣から御答弁をお願いしたいと思います。
  132. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 保険によって給付の率が違うということは、国民保険立場から非常におかしなことだ、かように私は考えます。同一の保険であっても、主人は十割だ、家族は五割だ、私は、これは非常におかしいと思います。同じ病気にかかっても、家族の場合は五割でがまんしておけ、主人なら十割だという考え方もおかしいと思うし、こちらの保険に入れば五割だ、ところが、財政力のいいところは付加給付でまるまるもらえるというのもおかしい。これは一つの、抜本改正の対象になる問題だ、かように考えます。特に治療費がたくさんかかるものは公費で負担をするかどうかという問題は、また別にございます。いまの人工じん臓もその一つかと思いますが、特に高い治療費が必要だというものをどう見るか、公費負担を保険の中にどう導入するかというのも抜本改正一つの大きな眼目である、かように考えます。今日、公費負担が導入されているものもございますが、それでいいかどうかということを洗い直す必要がある。その中にはただいまおっしゃいます人工じん臓も入るだろう、かように考えます。
  133. 古寺宏

    ○古寺委員 この人工じん臓は、わが国では非常に数が少ない。四百台ぐらいしかないと言う先生もあるし、六百台ぐらいしかないと言う先生もいらっしゃいますし、いろいろでございます。しかしながら、人工じん臓を必要とする人は少なくとも一年間に八千人ぐらいずつ発生しているわけでございます。こういう方が十年間かりに寿命が延びたといたしますというと、少なくとも五千台以上の人工じん臓は当面必要でございます。そういうお医者さんやあるいは技術者も必要でございます。そういう点について、いままでは人工じん臓のほとんどの機械が外国から輸入をされております。そのために五百万円とか非常に高価な医療機械になっているわけでございますが、これを国内で開発いたしますというと、三分の一ないし四分の一で製作ができる、こういうふうにいわれております。この人工じん臓の開発を一生懸命やっている先生方あるいはそういう研究機関に対してもっと政府が助成をして、そしてこの研究開発を進めると同時に、国産化を厚生省としても強力に推進してこの施設をふやしていくべきじゃないか、こういうふうに考えるのですが、その点については大臣どうでしょうか。
  134. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私は人工じん臓の国産の問題はまだ十分きわめておりませんので、政府委員から答弁いたさせます。方針といたしましては私は全く同感でございます。どの程度国内で開発されているかという点は政府委員から答弁させます。
  135. 松尾正雄

    ○松尾説明員 国内でこういう人工じん臓を開発することの必要性は私たちも全く同感でございまして、昭和四十四年から新医療技術研究費補助金というのがございます。そのうちで昭和四十四年でありますと、総額四千五百万のうち五百万を国産の人工じん臓の開発研究並びに小型化、こういうテーマのもとに出しております。翌四十五年度も五百三十万、それから四十六年、本年度は九百万に増額をいたしまして、引き続きこの国産化というものと、さらにこれを小型化し、性能のいいものにいたしたい、こういう研究を続けてまいっているわけでございます。次第にそういうものが実ってまいりまして、何も外国製品だけにたよらなくても、国内でかなり開発できるということになってまいったようでございますけれども、この問題はさっきも申し上げましたように、将来家庭透析というようなことまで考えるような段階になろうかと思いますので、より小型化という問題、性能のいいものに開発をしていくということは、今後とも努力をしていきたいと考えます。
  136. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、家庭透析のお話も出ましたが、これはいろいろ問題点もあると思いますが、将来はそういう方向で当然進めていくべきだと思うのですが、現時点においてじんセンターをつくる場合には、この人工じん臓を一生懸命にやっていくという、そういうお医者さんがいなければ、これは建物をつくってもどうにもならないわけです。そういう点において、いま愛知県においては非常に積極的にこういう問題と取り組んでおります。そういう場合に、この施設に対して何らかの補助なり融資なり助成をしてあげませんというと、非常に多額のお金がかかるわけでございますが、こういう点について助成を考えていらっしゃるかどうか、お尋ねしたいと思います。
  137. 松尾正雄

    ○松尾説明員 何よりも人工じん臓そのものの台数をふやすということがまず先決であろうと存じますので、私たちも、先ほど申しました来年から着手したいという考えの中には、主としてそういう設備を整えるということに対する助成を中心にして考えているわけでございます。しかしながら、同時に、いまお話もございましたが、そういう専門家というものが相当勉強していただかなければなりませんので、これは医者のみならず看護婦さんについても専門を設けるということをあわせて来年から着手したい。それはいろいろこちらのほうの費用でもってそういうふうにしたい、こういうふうに考えております。
  138. 古寺宏

    ○古寺委員 いま人工じん臓のことを通していろいろお話を申し上げたのですが、子供のネフローゼがございます。子供のネフローゼの問題については、前の厚生大臣のときからいろいろお願いをしておったわけですが、その後どういうふうに対策考えていらっしゃるのか、承っておきたいと思います。
  139. 松尾正雄

    ○松尾説明員 一般に子供のネフローゼというのは古くからある病気でもございまして、通例は一般的な治療ということで終始されるものかと存じます。ただ、私どもが一面考えなければならない問題といたしましては、かなり長期にわたって学校を休まなければならぬ子供が出てくる。これは単に医療上の問題のみならず、子供の発達という問題から見ましても、それにふさわしい条件をそろえてあげるということが必要ではなかろうかと思っております。したがいまして、現在でももうすでに一部やっておりますけれども、国立療養所等の中で特殊な小児病棟というものを持ち、かつそれに養護学校あるいは養護学級というものを併設されているものがたくさんあるわけでございます。今後はそういう施設を十分ネフローゼの患者のためにも生かしまして、そして学童期であれば教育を受けながら治療をして、また進級、進学ができるという、児童福祉と医療両方タイアップしたような形の施策をさらに進めたい、こういうように考えております。しかしながら、もう一面からいえば、こういうネフローゼ患者等になります場合の早期発見ということはきわめて必要だろうと思います。この点については、文部省当局におきましても、たとえば健康診断等における尿の検査といったようなものについてただいまいろいろと検討していただいておるようでございます。そういうことも促進をいたしまして、早期発見にも努力をしたいと思っておるわけでございます。
  140. 古寺宏

    ○古寺委員 次に、前の厚生大臣のときにもいろいろお願いしたのでございますが、いわゆるべーチェット氏病とかあるいは筋ジストロフィーとか難病といわれるものがございます。これは社会病とでも申しますか、こういうような原因もわからない、治療法も確立していない、しかしながら医療費は非常に多くかかるというような患者さんがたくさんいらっしゃいますが、こういう患者さんのために難病救済基本法というものをつくってはどうかということが、いままでもしばしば論議をされてまいりました。この点につきまして新しい斎藤厚生大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、承っておきたいと思います。
  141. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私まだその構想について十分検討をいたしておりません。まあそういうようなものが必要かなという感じもいたしますが、十分検討いたしまして、そしてその上で実行すべきものは実行いたしたい、かように思います。
  142. 古寺宏

    ○古寺委員 今度いわれておりますところの抜本改正の根本的な問題は、やはりどんな人でも平等によい医療を安心して受けられる、そういうような医療制度なりあるいは保険制度というものを実現したいというところに目標があると思うわけでございます。そういう点からいきますと、ただいま申し上げてまいりました人工じん臓の問題にいたしましても、あるいは難病の問題にいたしましてもざらにはまた無医地区の問題あるいは医師、看護婦の不足の問題、いろいろなこういうような抜本改正に臨む厚生大臣のいわゆる心がまえ、姿勢というものがまず定まっていなければ、私は抜本改正というものはでき得ない、こういうふうに考えているわけなんですが、こういうような抜本改正に臨むいわゆる前提問題、医療機関の適正配置の問題であるとかあるいは当然公費負担すべきこういうような病気に対する問題とか、そういうような問題について厚生大臣は一体どういうふうにお考えになってこの抜本改正にお臨みになるお考えであるか、その点を承って質問を終わりたいと思います。
  143. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 まことにごもっともな御意見だと存じます。とにかく、まず健康を保持し、増進をし、疾病の予防をし、そして病気にかかった場合には、これは社会保障的な意味において保険をする。それは国民立場に立って考えるべきであって、何と申しますか、国民の種類によって考えるべき問題ではないと思います。やはり国民ひとしく同じ医療の恩典に浴するような、しかも保険でありますから、国民連帯の精神から、相互扶助の精神から保険考えていくべきだ、かように考えております。そのために、いまおっしゃいましたような前提条件になる予防体制なり健康増進体制なりあるいは医療供給体制、これも非常に肝心なことでありますから、この医療供給体制も一つ国民医療あるいは国民の健康を保持する体制として非常に大事な問題であって欠くことのできないものだ、かように思います。
  144. 古寺宏

    ○古寺委員 時間ですから終わります。
  145. 森山欽司

    森山委員長 次に、田畑金光君。
  146. 田畑金光

    ○田畑委員 けさほどの質問にも出ておりましたが、保険医辞退に入ってからすでに二十日以上経過しておりますが、保険医辞退の数は突入当時と現在はふえておるのか減っておるのか、横ばい状況なのか、明らかにしていただきたい。
  147. 戸澤政方

    戸澤説明員 午前中向山委員の御質問にお答えしましたとおりの状態でございますが、突入後、七月の一日の状態辞退を行なっていなかった県の中に愛知県がありましたが、それはその後突入しました。現在島根、岡山、山口の三県がまだ辞退に入っておりません。それから辞退者の数は現在大体六万七千ほどでございまして、これは突入当時から、若干それを撤回した人もございまするが、あまり多くは変わっておりません。大体そんな状況でございます。
  148. 田畑金光

    ○田畑委員 私は、去る二十日、二十一日に北海道の住友石炭鉱業歌志内炭鉱の事故調査に北海道に参りましたが、二十一日の朝の新聞によれば、北海道農協厚生連の厚生病院の勤務医が三十一名辞退手続をとった、こういうニュースがございましたが、いま局長のお話のようにほとんどこれは変わりがない。横ばいよりも若干ふえておるのじゃないか、こう思うのです。辞退突入前、厚生省は実際突入するのはせいぜい二割前後であろう、こう見ていたはずです。世論の圧力もあるし、厚生省の説得、府県知事の説得によっていざとなればなかなかそういくものじゃない、今度の保険医辞退突入によって武見会長の指導力のかなえの軽重が問われることになろう、このように見ていたのが厚生省だと思うのです。あなた方の見方は間違っていた、甘かった、こういうことをお認めになるべきだと思うが、その点ひとつ大臣、お答えをいただきたいと思います。
  149. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私は、当時厚生大臣はじめ厚生省がどういうように考えておったかということは、あまりせんさくいたしておりません。したがいまして、保険局長から当時の状況をお答えいたします。
  150. 戸澤政方

    戸澤説明員 辞退に突入するまでの間、厚生省それから政府としましては中央交渉がなかなか思うように開始できないというような状態でもございましたので、もっぱら主力を地方におきましての辞退届けを出したお医者さんに対して慰留、説得につとめ、これを撤回してもらうように努力を続けてきておったわけでございます。その努力はもう六月三十日の夜半まで行なわれましたために、なかなか的確な見通しというものができなかったわけでございます。ただ、申し上げられることは、厚生省はこれを受けて立つというような強い態度でもって、いわゆる切りくずし工作をはかっておったというようなことはございませんで、何とかして慰留、説得によって不祥事態を避けたい…(田畑委員質問に答えてくれ。甘かったろうということだ。」と呼ぶ)それで、突入の数につきまして、実際に突入するのは二割程度であろうとかいうような見通し、意見が出たこともございますけれども、私どもこの質問につきましては甘くもからくもなく、ともかくできるだけ慰留、説得によって辞退者を少なくしょうというような態度でもって努力しておったわけでございます。
  151. 田畑金光

    ○田畑委員 局長の答えも当時の見方を正直にすなおに、実は見通しが甘かった、こう一言言えばいい。よけいな釈明は必要でない。  そこで、特に今度のこの保険医辞退によっていろいろ国民や患者が迷惑を受けておるが、これは言うまでもなく政府の積年の医療行政の貧困がこのような結果を招いておるわけです。政府はずっとこの委員会においてもできるだけ被保険者、患者の犠牲を少なくするように代理受領委任であるとかあるいは貸し付け制度をとっておるとかなど言っておりますが、現実にたとえば組合健保の被保険者なりあるいは健保の適用を受ける患者の人方は非常な財政的な負担も受けておるわけですが、これは最終的には一体だれがしりぬぐいをやるのか。健保組合はやらないと言っておる。一体だれが最終的にしりぬぐいをするのか。この点、大臣からお答えを願いたい。
  152. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 まさしく、政府医療行政の貧困から起こったと言われてもやむを得ないと思います。ただ、これが起こった実害をだれがしりぬぐいをするのか。先ほどもお答えをいたしましたように、実態を見きわめた上で必要な措置はしなければならない、かようにお答えをいたすしかいまの段階ではないと考えております。
  153. 田畑金光

    ○田畑委員 全国の支払い基金の中に数多くの職員がおりますが、御承知のように、審査請求のレセプトの減少と同時に、これらの支払い基金においては職員の給与すら支払いができない、そういう状況に追い込まれていることは皆さん御承知のとおりであるわけですが、こういう人方に対する処理対策はどうなさるおつもりですか。
  154. 戸澤政方

    戸澤説明員 確かに支払い基金の療養費払いの審査件数が激減いたしますと、これに伴う事務費の交付ができなくなるわけでありまして、基金の運用に非常に重要な支障を来たすわけでございます。  それからまた・保険者のほうから見ましても、今後請求が殺到いたしますと、それを保険者において直接審査するというようなことは非常にむずかしくなります。そういう意味で、支払い基金の審査事務を今後どういうふうに提携してやっていくかということは、今後の請求の出方等も見まして、いま基金のほうと話し中でございます。ただ、どういうことになりましても、その支払い基金の審査の激減によって運用に支障を来たす、人件費にまで支障を来たすということにもしなりますれば、支払い基金は政府機関でございますから、これは政府が責任をもって善処いたします。
  155. 田畑金光

    ○田畑委員 支払い基金の職員については最悪の場合は政府の責任で処理する、これで私は了といたしますが、同時に、前段で私がお尋ねいたしました組合健保の被保険者等ににおける異常な個人負担増については、大臣まだ結論は得ていないというお話しでございますが、これまた政府医療行政の怠慢から来た国民の異常な負担であるとするならば、当然この点についても善処を強く求めますが、大臣、ひとつ約束していただきたいと思うのです。
  156. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 これは事態の推移を見ませんと、私はただいまここでお約束をするというわけにはまいらない、かように思います。その点は御了承いただきたいと思います。
  157. 田畑金光

    ○田畑委員 いまの点は私大臣に重ねて要望いたしますが、この問題については、あなたは最初の答えではまだ固まっていないけれどもということでありますが、被保険者に異常な負担だけを残す、こういうようなことのないように、ひとつ善処を強く求めたいと思うのです。もう一度お答えをいただきます。
  158. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私はまだ考えがまとまっておりませんが、たとえば一般に、交通労働者がストをやった、非常にみな迷惑をし出費もかさんだ、その負担を一体どうするかという問題、それと全く同じとは申しませんけれども、そういうこともありまして、こういう場合の国民のこうむった迷惑をどう措置するかというのはなかなかむずかしい問題だ、かように考えます。
  159. 田畑金光

    ○田畑委員 いまの答弁政府の責任を全然反省しない答えだと、まことに遺憾です。大臣武見会長と第一回会談、第二回会談、そしてまた承るところによれば、この二十七日に医療経済問題を中心に第三回の会談を持たれる、こういうスケジュールになっているようです。この第三回の会談あたりで、大体武見さんの腹は読めた、医師会の腹は読めたという感触ですか。それともまた武見さんの御指示があれば第四回、第五回会談までいかねばならぬのか。けさの新聞によりますと、大臣武見さんとそれから官房長官が三者会談を持たれて、これもまたテレビで全国放送されるということでありますが、これらの会談で、大臣武見会長との話はほぼ決着がつくと見ていいのかどうか。私が申し上げたいことは、民主的で公開された会談でございますから、あれを聞いておりますと、いろいろ実物教育であるし、また医療問題の理解という面で確かに国民にはその意味においては益する点があると思うのです。しかし、そのようなゆうちょうな会談を一週間おきにやっておるうちに現実に困っておる人方が多々あるということ、こういう人方から見るならば、何の芥番劇だろう、こういうのは当然だと思います。大臣は腰の低い至って謙虚な方ですから、武見さんと会談の姿を見ると、どっちが大臣なのかわからぬようだ、こういう話を世間では言っておるわけで、大臣の謙虚な姿勢がそのままあの対談にあらわれておる、私はこう思っておるのですが、しかし、やはり大臣の権威、しかも大臣医療行政の最高責任者であるということを考えるならば、まあこの辺でほどほどに話は終わってもらって、早く問題の解決に乗り出してもらいたい、こういう気持ちでありますが、第三回の会談のところで一応落着がつくとわれわれは理解してよろしいかどうか、この点ひとつ……。
  160. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私は医師会長の指示に従ってやっているわけではございません。私は、基本方針としましては、なぜ総辞退に入ったのか、その理由を正確に公につかみたい。公という意味は、文書その他でいろいろ出ておりますけれども、私は政府として聞いておりません。それがまず解決の糸口である、さように考えているわけでありまして、しかもそれは一日も早く理由を最後まで明らかにしてもらいたい、次の会談ではもう理由はそこらで打ち切るようにしてもらいたいということも申しておるわけでございます。したがいまして、遅々としているようではございますが、どうして早く終止符を打つかということを念頭に置きまして、やはり一番早い方法は、おまえの説明はもうわかっている、おれにまかせろ、ああそうでございますかで解決すれば一番早いわけでございますが、なかなかそういうわけにはまいりません。向こうの言いたいことを全部言わせるという以上は、それじゃ言ってくれと言わざるを得ない立場でございますし、そのほうがかえって早く解決する、かように考えてやっているわけでございまして、次の会談で大体聞くべき点は聞き終わったというようにいたしたい、かように思っております。
  161. 田畑金光

    ○田畑委員 次の会談で大体決着をつけたいというお話でよくわかりますが、最終的には今度は総理武見会談、そこまでやらぬとおれはおりないというようなことに武見さんはなりやせぬかと心配しているのですが、そこまでいかぬでも済みそうなんですか。  さらにもう一つ、八月の下旬には武見さんが外遊されるというのですが、やはり外遊ということも解決の一つのめどだとは思いますけれども、八月の下旬までこの解決を延ばされた日にはたいへんなことだと思う。どうかひとつ次の会談ぐらいで、頭のいい大臣ですから、話はもう万事のみ込んで理解をされたと思いますが、このあたりで最終的な会談として幕をおろして、医師会が本来の機関に戻って、わが国の医療行政がスムーズにいくことを希望しておりますが、そのように理解してよろしいかどうか。
  162. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 八月末の外遊、外遊ということを言われるのでありますが、それを申しますと、おれは外遊を取りやめてもいいんだよ、事態が解決しなければ外遊を取りやめると言われるわけでありますから、八月の外遊にめどを置いて、それにすがるような考え方はよろしくない、かように思っております。おれは外遊は取りやめてもいいと必ず言われるし、現に言うておられるわけであります。そんなこととは無関係に、一日も早く収拾をいたしたい、できるだけ今月中に、手順によっては来月の初旬に入ってもやむを得なかろうかと思うのでありますが、そんな形で解決ができれば非常にいい、こう思って精力的にいたしておるわけであります。最後の詰めの場合にどういう形で詰めをするかという点は、いま私は一方的に申し上げるわけにもまいりませんし、それは最後の話し合いできめてまいりたいと存じます。どういう条件で、どういうように解決していくかという最後の詰めが大事だと思っておりますが、それはいまここで答える段階ではございません。
  163. 田畑金光

    ○田畑委員 詰めの内容は申されないでしょうが、結局最後は総理武見会談というようなところで幕をおろすというようなところで、またメンツを立てるというようなことになるんじゃなかろうかなあと推察をするのでありますが、このあたりも言えませんか。
  164. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 そんなことで済むのか済まないのか、またそれが必要なのかということは、これからの推移を見なければならぬと思っております。   〔委員長退席、谷垣委員長代理着席〕
  165. 田畑金光

    ○田畑委員 先ほどもここで取り上げられておりましたが、審議用メモでございます。二月十八日の審議用メモが辞退の直接的な原因になったということは、おおよそ大臣武見会談を通じ明らかにされたわけでありますが、そして先ほどの大臣答弁を聞いておりますと、円城寺会長も現実的な手を打つであろう、このようにお答えになっておりますが、これは現在中医協に出されておる審議用メモというものは撤回するということになるのか・あるいは話し合いがついならば、医師会代表方々にもまた中医協に帰ってもらって、その席上で今後の診療報酬体系の適正化の問題等々については話し合いをするということになるのか、この点どうでしょうか。
  166. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私の言い得ますことは、この問題いわゆる総辞退問題に終止符を打たれたら即刻中医協に帰ってもらいたい、そして審議を進めてもらいたい。円城寺会長に対しましては、その場において適当に審議の進むように善処をしてもらいたい、かように申し上げる以外にございません。
  167. 田畑金光

    ○田畑委員 申すまでもないことだと思いますが、私は医療保険制度抜本改正には、診療報酬適正化の問題は避けて通れない関門だと思います。また、確かに二月十八日の審議用メモはいろいろな問題点があるかもしれぬが、しかし同時にまた、いまの医療報酬制度のもとで医者の特に一番大事な技術を評価するというような面等が、いまのわが国の診療報酬体系の中には評価されていない、こういうような問題等医師会側も積極的に賛成してもらえる内容だと思うのですね。でありまするから、私は診療報酬の適正化の問題は今後当然抜本改正の一関門として、これは越さねばならぬ関所である、こう見ておるのですが、その基本的な線については大臣も同感であると思いますが、念のために承っておきます。
  168. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 大体同武でございます。
  169. 田畑金光

    ○田畑委員 私は、特に大臣に御考慮願いたいことは、お医者さんの立場に立って考えても、今日医療費の引き上げということは、いろいろな要素を顧慮する限り、私は早急に結論を出すべきではないか、このように考えております。ことに開業医の皆さんではなくて、病院の経営の実態を見たならば、これはいまたいへんだと、こう思うのです。病院経営における人件費の比率は五二%にのぼっております。すなわち、直接的な病院の医業経費というものは、一〇三・八%、これに医業外の費用を入れますと一一五・二%要する。すなわち百円をかせぐのに百一五円二十銭かかっておるというのがいまの病院経営の実情です。私はこういうことを考えてみるならば、当然医療費の引き上げ等のことについても、すみやかに医師会代表者が中医協に復帰してもらって、この問題についても結論を出すべきである、結論を急ぐべきである、このように考えておりますが、大臣のお考えを承ります。
  170. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私もそのように考えております。
  171. 田畑金光

    ○田畑委員 そこで、私は大臣一つお尋ねをしたいのですが、中医協を見ますると、日本医師会代表は入っていらっしゃるが、病院協会等の代表者が入っていないわけですね。振り返ってみますと、昭和三十三年当時から三十八年六月までは病院団体の推薦する中医協の委員がちゃんと入っていらっしゃったわけです。ところが、今日は日本医師会代表であるお医者さんの委員はいらっしゃるが、病院協会の代表が中医協の委員としてすわっていらっしゃらない。しかも、総医療費の中に占める病院の比率というものは、昭和四十年から昭和四十三年までの実績を見ますると、総医療費の約五〇%は病院の医療費であるということを考えてみるならば、私は中医協のような機関には当然病院代表も入ってしかるべきではないか、こう思うのです。実は日本医師会が四月の二十七日でございますか、医師会長名での全国の都道府県医師会長あての文書を見ますると、政管健保の人方については非常に同情的な内容でございます。その文書の中に、特に政府関係機関の代表の中には政管健保代表なんというものは全然入っていないし、この人方の意見も反映されなければ、権利も認めていないということを指摘されておる。私も同感だと思います。同様に病院協会の代表の声がいまの中央社会保険医療協議会その他の関係機関の審議の中に反映されていない。これは片手落ちだと思うのです。私はやはり行政は公正に運用されるのが当然のことであるとするならば、こういう問題等についても大臣が善処されることを強く期待いたしますが、お考えを承りたいと思います。
  172. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 中医協には三師会から、医師会歯科医師会及び薬剤師会から委員を推薦をするというたてまえをとっているのでございます。そこで、医師会から出てきた方は、これは開業医の代表でもなければ、あるいは病院を代表しているものでもない。医師会は開業医もあるいは病院経営をしておられるお医者さんもある。医師会の中には病院のことを特に検討する部会のようなものもあるわけでございますので、そこでできるだけ病院の経営もわかる人、開業医の経営もわかる人、あるいはまた医者ではあるが第三者的立場の学識経験者みたいな人、そういう方を選出してもらうことが望ましいのじゃないか、かように思っておりますので、したがって医師会のほかに病院協会も別に入れるかどうかという問題は、いままでの経緯と医師会の性格から考えまして、いま直ちに御意見どおりとはちょっと申し上げかねる、もう少し考えなければならぬ、かように思っております。
  173. 田畑金光

    ○田畑委員 大事なデリケートなときでございますから、お答えの中でなお考えてみるというような話もございますから、その考えてみる中で今後十分検討願いたいと思います。  同時に、これは内田前厚生大臣のときでございますが、いよいよ医師会所属のお医者さん方が保険医辞退するという前後ですが、十六の病院代表に協力を要請されたわけです。日赤であるとか、済生会であるとか、厚生連であるとか、あるいは全国自治体病院協議会であるとか、大学病院であるとか、日本病院協会などに協力を申し入れられておるわけですね。大臣も御承知のように、今日これらの病院がどれだけ激職に耐え抜いて、たくさん集まっていらっしゃる患者のために働いていらっしゃるかということは、よくよくおわかりだと私は思うのです。むしろ今日ストライキをやる、辞退をするというのは病院協会、病院経営の人方じゃないかと思うのです。歯を食いしばってしんぼうして、そうしてとにかく現在の医療の混乱を最小限に押えようと努力なさっておる。内田前厚生大臣のときには十六の病院の代表の人方に来ていただいて協力を頼んでおきながら、そうして現実にその人方は一生懸命やってくれておるにもかかわらず、斎藤厚生大臣が病院代表をお呼びになって、心から御苦労さん、協力ありがとう、こういうあいさつをしたということを聞いておりませんが、やはりそれくらいのあいさつは必要じゃないのかな、こういう感じを私は持っておりますが、どうでしょうか。
  174. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私は病院協会の方々にもお目にかかりまして、新聞に出ませんけれども、どうぞよろしくお願いいたしますと申しておるわけであります。
  175. 田畑金光

    ○田畑委員 大臣がお会いになっておるのが確かに新聞に出ないという点もありましょうが、ひとつその点はもっと組織的に、計画的にこういう面も配慮されることは大事だ、私はこう思います。  それから、大蔵省の人においでを願っておりますが、昭和二十九年以来、例の租税特別措置法によって、いわゆる健康保険診療報酬については特別措置が行なわれておるわけでありますが、これについては税制調査会等からも、税の公平の見地から早くこれを是正すべし、一挙にできなければ年限を切ってもこれの処理をはかるべし、これが長年の懸案でございますが、今回保険医の皆さんが保険診療をやめたということになれば、租税特別措置法に基づく診療報酬の特別措置はどのような取り扱いになるのか、これをひとつ承っておきたいと思うのです。
  176. 山内宏

    ○山内説明員 御説のとおり、社会保険診療報酬に関する課税の特例というのが租税特別措置法の中に規定をされてございます。これは特別の対象となるものを、医師健康保険等の規定に基づく療養の給付につき支払いを受けるべき金額というふうに規定をいたしておりますので、辞退をいたしましたお医者さんが診療いたしました場合には、その代金についてはこの規定は適用されないことになります。
  177. 田畑金光

    ○田畑委員 ひとつこの問題について大臣の見解を承りたいと思いますが、大臣も時節柄なかなか答えにくいでしょうから、これはまあ聞かぬことにしておきます。  それから、医療金融公庫というのがございますが、医療金融公庫は、これまた詳しくお話を承るとすれば時間がないので、他の質問ができませんので、端的に、いま医療金融公庫の貸し付け残高はどの程度あるか、融資の対象は何か、融資の条件はどうか、さらに医療金融公庫の原資は何か、この点を明らかにしてもらいたいと思います。
  178. 松尾正雄

    ○松尾説明員 本年の残高というところまではまだ年度初めでございますので明らかでございませんが、本年度の全体の資金ワクとしては三百八十五億でございまして、資金運用部からの借り入れが三百三十三億、これは厚年あるいは国年の積み立て金の還元融資ワクからでございます。自己資金が五十二億というようなことで一応資金源が構成されております。  これの対象といたしましては、御承知のとおり、病院、診療所あるいは助産所、薬局それに本年度からは新たに歯科技工所というものを対象にいたします。また独立の看護婦養成所というものにつきましても、看護行政のたてまえから助成ができる。しかし、これはいずれも民間の機関に対する助成でございます。四十五年度末の残高が千五百億になっております。   〔谷垣委員長代理退席、委員長着席〕  それから、条件といたしまして、おそらく御指摘の点は今度の問題に関連してかと存じますけれども、一応民間における医療機関の整備普及ということによりまして、適切な医療が向上するようにということをねらいとして設置されたものでございます。この皆保険という段階で問題を考えますならば、この機関はすべて保険医であるということが望ましいわけでございます。しかし、現段階におきましては、国民健康保険の問題もございます。また生活保護の担当の問題もございます。その他公費負担の医療というものは平常どおり行なわれておるという実態もございますので、現段階における措置におきましては、従来の方針を変えておりません。
  179. 田畑金光

    ○田畑委員 私は厚生大臣に、医療金融公庫について考え方だけを承っておきたいのですが、この医療金融公庫の原資は、先ほどもお話がありましたように、厚年あるいは国年の積み立て金、その八割は実は厚生年金の積み立て金が運用されておるわけです。今日、保険医辞退によって最大の迷惑を受けておる企業体の人方の積み立て金によって厚生年金の原資というのはまかなわれているのです。私は、こういうことを考えてみるなら、組合健保を目のかたきにして多大の迷惑をかけている医師会態度というのは、筋の通った態度を貫くとすれば、公庫の資金というものはそういう人方の拠金によって成り立っておる資金だからこの際遠慮しようというか、あるいはまあこの資金の利用については医師会も少し遠慮したらどうか、このように厚生大臣あたりから助言されるのもまた筋の通ったあり方ではないかと思うのですが、どうでしょうか。
  180. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私はこの保険医辞退の問題を、先ほども申しましたように、健保連とのけんかのやりとりみたような形になることは好ましくない、かように思っております。したがいまして、それによってお察しをいただきたいと思います。
  181. 田畑金光

    ○田畑委員 医師会健保連とのけんかでないとするならば、その被害を受けておるのは——だから政府が行政責任としてやるべしと私は先ほど来言っておるのです。その大事なところをひとつ頭に入れておいていただきたいと思うのです。  国民保険という制度のもとでは、すべて国民はそれぞれの保険に強制加入が義務づけられております。健康保険法四十三条三項によりますと、医療給付を受けようとする者は都道府県知事の指定を受けた病院、診療所で受けなさい、こうなっております。同時にまた、健康保険法四十三条ノ二によりますると、保険医療機関において診療に従事するのはすべて保険医である、こう規定されておるわけです。ところが四十三条ノ十一によって、一カ月の予告期間により保険医保険医療機関は任意に登録抹消手続をとることができる。これが今回の保険医辞退の法律的な根拠であるわけです。非常に予盾を感ずるのは私一人じゃないと思うのですね。保険は強制だが診療は自由だ、これが今回の混乱の源だと思っているのです。およそ医療保険はたての両面であって一つだ、こう私は思うのですね。私はこの予盾を何らか解決しなければ、法律の面から見ましても、また実際法律はこうなっておるからというので今回のような事態が起きますると、皆保険制度下において国民保険で自分の病気が保障されておるのだと確信しておるにかかわらず、いつまた不安にあるいは混乱に突き落とされるかもしれぬ、こういう心配は絶えないと思いますが、大臣、ひとつこの点についてはいかにお考えでしょうか。
  182. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私は保険医辞退というのは、こういう一斉辞退のようなことを考えているのじゃない、かように思います。こういうことは法の予期せざる事柄であったわけで、法は医師の良心に従って運営されるという前提に立っておるんだ、かように考えます。保険制度がしかれてから数十年になりますが、これが初めてでございますので、したがって、こういうことが常時行なわれるということを前提にして、そこまで法律で考える必要があるか。こういった異常事態は、これは先ほどもおっしゃいますように、政府のいままでの責任である、かように思いますので、こういうようなことの起こらないように医療行政をやっていくべきだ、さようにただいまのところでは考えます。
  183. 田畑金光

    ○田畑委員 昭和二十八年、私が初めて参議院に出たとき、大臣もおいででございましたが、スト規制法という法律が成立を見ました。少し話が飛躍するようでございますが、電気事業と石炭鉱業について、争議行為が大きな規制をあの法律で受けたわけです。そうしてその目的として、「国民経済及び国民の日常生活に対する重要性にかんがみ、公共の福祉を擁護する」ことを目的としてあのスト規制法ができた、こうなっております。ことにあの法律の第三条を見ますると、石炭鉱業の場合は、保安をとめるということは鉱山における人に対する危害ということから絶対にやっちゃいかぬ、それがあのスト規制法の柱であるわけです。また労働関係調整法を見ますと、医療であるとか公衆衛生の事業は公益事業ということで、業務の停廃が公衆の日常生活を著しく危うくする事業ということで、公益事業に対する抜き打ち争議行為は禁止されておる。これは大臣も御承知のとおりであります。私は飛躍する、ともう一度申し上げますが、しかし考えてみますると、保険医辞退というのは確かに何十年かの歴史の中で今回初めてで、またそれが将来繰り返されるとは考えておりませんが、しかし一度あったことはまたあるということも、今日激しく動揺する社会を考えてみるならば、われわれは想定しておかねばならぬ、こう思うのです。保険医辞退はスト行為ではないということはもちろんであります。診療の拒否はないわけでございますから……。ただしかし、被保険者、患者の側から見ますならば、現行制度のもとで医療をいつでも必要なときに必要な給付が受けられていた人方が、ある日突然給付が受けられなくなった。特に組合健保の被保険者や家族の中では、自己負担分が非常に大きくなった。医師会の要求する料金を支払わねばならぬ。しかしその準備はなかった。事実上医者にかかれぬ。現に七月十五日の、宮城県の角田市で発生した、六十四歳の老女の本田けさよさんという人は、組合健保にかかっていて、組合健保の家族で、これ以上むすこ夫婦に迷惑をかけられぬといって自殺した。新聞は大きく報道しておる。お医者さんのストでも何でもないけれども、実態は保険医辞退によって、このような社会的な悲劇が起きておるということを考えてみるならば、私は今回の保険医辞退等については何らかの規制措置等も必要ではないかな、こう考えておるわけです。もし医師会が野党を支持する団体であったと仮定するならば、政府与党はこの際とばかりスト規制法に類する立法を強行するであろうと私は考えておるわけでありますが、この点について大臣のお考えを承っておきたい、こう思うのです。
  184. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私は先ほど申しましたとおりでございまして、たとえばスト規制法、またこれに類似する規制の法律がございます。これは、ほうっておけばしばしば起こるであろうし、また当然起こってもやむを得ないというたてまえになるわけでございます。(田畑委員「起きていないでしょう」と呼ぶ)スト規制法ですよ。あれは、ほうっておけばやってもいいということになるわけです。それは労働者の権利として当然やれるということである。ところが、このいまの保険医の問題は、これは大体そんなことを予想すべき事柄ではない。そういうことが何十年に一度起こったということは非常に不祥なことであり、私はそういうものは法律をもってとめるべきでなくて、そういうことの起こらないように行政をやるべきだ、かように考えます。
  185. 田畑金光

    ○田畑委員 時間が来ましたので、最後に一点だけお尋ねして終わりたいと思うのですが、厚生大臣は七月十五日に有泉社会保険審議会長に、四十四年八月に諮問した抜本改正についての答申は八月中に出すよう要望されたわけです。ところが、厚生省事務当局に対しては、他面、健保改正だけでなく、広く医療問題全般の基本理念を盛り込んだ医療対策基本法案を検討するように命じられたと報道しております。私は大臣の今後の医療制度改正に対する姿勢というものが、二年以上社会保障制度審議会、社会保険審議会等で鋭意努力を重ねてきて、やがて答申が出ようとする時期に、またまた、遠慮なく申さしていただきますならば、医師会に遠慮されてこの機会を政治的な取り引きで糊塗するんじゃないか、こういうことを強く心配しますが、あくまでもそのようなことはやらぬということをお誓いいただけるかどうか。  同時に、私は日本医師会は公益法人だと思うのですね。主務官庁は厚生省であり、厚生大臣だと思うのですね。公益法人である医師会所属のお医者さん方は、今日の日本の社会においては最も社会的な地位の高い人方であるわけですが、それが団体として保険医辞退する、結果においては患者を苦しめる、公序良俗に反するのじゃないかとか、権利の乱用だとかいろいろなことばが言われておりますけれども、いずれにいたしましても、私はこの際主務官庁である厚生省、そして担当大臣である厚生大臣は、公益法人の日本医師会に対する指導については、監督については、やはりき然たる姿勢で当たることが、長い目で見れば医療というものをほんとう国民のための医療にする道だと私は信じております。どうかひとつそういう姿勢で今後さらに努力を願いたいと思いますので、そのことを強く要望して、今後の抜本改正に対する御見解だけを承って、私の質問を終わります。
  186. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 医療保障に関する基本法的なものを考えてみたらどうかということは、私は確かに部内に命じました。それはすでに制度審議会なり保険審議会から中間答申をいただいておりますが、それらの中間答申はいずれも、医療の供給体制であるとかあるいは健康維持体制であるとか、これを確立する必要があるという中間答申をすでにいただいております。これを実らせるために、やはりそういう考え方で基本的な方針をきめなければならぬ、かように思って、これを急がせておるわけでございます。この点は御了承いただきたい。私は、審議会を無視しておりません。審議会のそういう御答申もなるほどそのとおりだと、かように受けとめたからでございます。  なお、医師会に対しては、き然たる態度をとってというお話でございますが、私はき然たる態度のとれるように、まずみずからの行政をしっかりやる。こちらがへなへなしておって、そして十分なすべきことをしないで、態度だけき然としておったのでは話にならない、かように思うわけでございます。
  187. 田畑金光

    ○田畑委員 終わります。
  188. 森山欽司

    森山委員長 次に、寺前巖君。——寺前君、申し合わせで、たいへん質疑の時間が短くて恐縮ですけれども、御協力願います。
  189. 寺前巖

    ○寺前委員 きょうは新しく大臣が所信表明をされての最初の質疑でございますので、私は基本的な姿勢をおおむね聞きたいというふうに思います。三つの点を質問の重点にしたいと思います。  第一番目は、いま問題になっている総辞退をめぐっての医療の問題です。この政府責任を明らかにしていただきたいという問題です。第二番目は、これとの関連において緊急に処置しなければならない問題はないのかという問題についての御意見を聞きたいと思います。第三番目は、将来にわたってどうしようというお気持ちがあるのか、それについて聞きたいと思います。  そこでまず第一点の、今日のこのような、お金を持っていかないことにはお医者さんに見てもらえないということでは保険制度が泣くという事態、また先ほどからも話になりましたが、公立病院へ行ってみたら、五時間待って数十秒、数分という嘆かわしい病院の診察の事態、すなわち、一歩誤ったら医療事故が起こりかねないという事態、非常に不幸な事態だと思います。そこで私は、今日のこのような不幸な事態に立ち至るであろうということを政府当局はいつ気づかれたのか、その点について明らかにしてほしいと思います。
  190. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私は、この事態に突入してから大臣を拝命をいたしました。おそらくこの事態は避けたいと政府考えていたに違いございません。最後、これはもうやむを得ないなというのは、おそらく数日前であったのではなかろうか、これは推察でございます。
  191. 寺前巖

    ○寺前委員 担当者から聞きたいと思います。どの時点で事は重大な段階に入ったと気づかれたですか。
  192. 戸澤政方

    戸澤説明員 御承知のとおり、この問題の導火線となったのは、二月十八日の中医協における審議用メモの問題でございます。いまから考えますれば、その問題の起きた直後から、もっといろいろな方策によって事態の拡大を防ぐ努力をすべきであったのではなかろうかというふうにも反省をいたしております。しかし、ただわれわれはこれを手をこまねいて見守っていたわけではございませんで、問題は初め中医協の場で起こりましたために、これを中医協の場で解決してもらうべく、円城寺会長はその後もうたびたび武見会長に会いまして、事態の収拾に努力しておられます。私どもも円城寺会長に少しおまかせし過ぎたきらいはあるかもしれませんけれども、円城寺会長と武見会長との間の解決を期待しておったわけであります。  その後問題がだんだんと中医協の問題から離れまして、健保法改正問題とか、さらには抜本改正というような問題まで展開したわけでございまして、それに対応して、政府としても、そういう大きな問題をとらえての解決のために、できるだけの努力はいたしたつもりでございますけれども、中央交渉もスムーズにいかず、不幸にしてこういう事態になったわけでございまして、私どもはその問題が起きた時点から、この問題は決して楽観はできないという危機意識は持っておったわけでございます。
  193. 寺前巖

    ○寺前委員 導火線になったのは中医協のメモである、いまから考えたら、その当時もう少し手を打ったらよかったのだ、そういうふうに提起されました。それではそのときにどういう問題を提起すれば事はスムーズになっておったのでしょうか。
  194. 戸澤政方

    戸澤説明員 どういう手を打つという具体的なことは、相手のあることでございますし、その話し合いの結果によらなければ得られなかったろうと思いますけれども、もう少し、中医協会長と武見会長の解決というだけにまかせずに、政府、与党あげて何らかの努力の道があるいは考えられたのではないかということを申し上げているわけでございます。
  195. 寺前巖

    ○寺前委員 十二月に日本医師会が、いろいろな問題と同時に、緊急に診療報酬の是正を物価スライドにおいてやるべきである、その中に、技術料は十分勘案せよ、いまの制度のワク内において緊急是正をしなければならないという問題提起をしたことに対して、ほかの問題を配慮して提起したというこの事実に対して、その回答が違う形で、中医協メモとなって厚生省がかんでつくっているということに対して非常に憤りを感じているということが、全国の医師の中に広がっているではありませんか。問題は、すなおに緊急是正をやる必要があったんではなかったのか。この点についてはどういうふうに思っているんですか。
  196. 戸澤政方

    戸澤説明員 誤解のないようにお願いいたしますが、医師会等から緊急是正とか医療費の改定についてまだ具体的な要求はございません。ただお話のとおり、昨年の暮れに医療費改定についての医師会考え方、いわゆる人件費物価スライド化の考え方が出たわけでございます。しかも中医協につきましてはこの問題を審議する、取り上げるということは態度をきめておったわけでございます。ただ診療報酬の合理化の問題は、スライド化のほかにいろいろな問題がある。そういういろいろの問題をみんなで出し合って、それと一緒に医師会の提案も審議していこうということでもって、そのいろいろの問題のたたき材料として二月十八日にメモが出たわけでございます。したがいまして、中医協の審議がスムーズに続行しておりますれば医師会提案のスライドの問題も当然審議の上に乗っただろうと考えられるわけでございまして、中医協としては決して医師会の提案、考え方を無視しておったわけではないということを申し上げておきたいと思います。
  197. 寺前巖

    ○寺前委員 大臣、そういう態度だったらこの問題は解決しなかろうと私は思うのですよ、すなおにならなかったら。いま物価のスライド制はワク内において当然のこととして考えなければならない。いろいろな問題を勘案するから……。それはそれでやりましょう。少なくともスライド制を検討すべきである。これは患者の側、被保険者の側から見ても、お医者さんが安定した経営をやってくれるということは自分の身から見ても思う問題であるから、それを当然すなおにその問題としてしぼって取り上げなかったところに、重要な問題があると私は言わざるを得ないのです。  医師会が四月十四日ですかに大会をやっております。この大会の討論になった点は二点じゃありませんか。その一つがいまの点でしょう。もう一つの点は、国民が負担をしなければならないという診療のやり方、これが新しい法案として出てきている、冗談じゃございませんというこの二点でもって討論になっております。この二点というのは被保険者、患者の側からもほんとうに支持されるところの内容だと思うのです。これは診療報酬を物価にスライドする段階にさかのぼって、すなおに処置すべきであった。患者負担にならないように、安心してお医者さんに見てもらえるようにすべきであった。この点をさかのぼって確認するということが、四月十四日の大会を見ても、あるいはあの中医協から引き揚げたときの事態を見ても、私は一番基本的に言える点だと思うのですが、大臣、その点についてどういうふうにお思いになりますか。
  198. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私は過去の、当時を批判をすることは避けたいと思いますが、先ほどどなたでしたかにお答えをいたしましたように、一日も早くこの総辞退を解いて、そして中医協において最も緊急とするものを審議をしてもらいたい。そのために必要な措置は私としてとれるものはとりたい、それによって御了承をいただきたいと思います。おそらく中医協に対しての不満は同時に厚生行政に対するその姿勢の不満であろう、かように考えまして、そういう意味で私はいまおっしゃいましたことをそのとおりに受け取ります。
  199. 寺前巖

    ○寺前委員 それでは第二番目の問題に移りたいと思います。  緊急に手を打たなければならない問題はないかということは、先ほどからもいろいろ出ました。私が最もおそれるのは、医療事故が起こらないだろうかという問題です。いまの公立の病院において、あるいは日赤その他において行なわれているところの診療を見ておったら、注射を打つ相手なのか採血する相手なのか、それがわからない事態にまで看護婦さんの労働が非常に強化されてきているということを、私はきのう都内の病院を歩いてみて感じました。事は重大だと思います。このままでは、保険はあそこへ行ったら使えるんだということだけでは、保険が使えるところの診療自身が今度はあぶない事態になってきて、そこの労働者がほんとうに責任を持とうと思ったらストライキをやらなければならないという事態にいくんじゃないかと私は思います。一方では保険が使えないという不幸が起こっている。一方では使ってみたらたいへんな事態が起こる。これは新たな重大な事故をここに起こしかねないという問題があるけれども、これの解決だけで済ませておくのか、この医療事故の問題に対する緊急措置はどうしようとしておられるのか、意見を聞きたいと思います。
  200. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 先ほどからも申しておりますように、保険医辞退したお医者さんでも現金なしにやってくれるところはたくさんあるわけであります。もう開業医では金を持っていかなければ見てくれぬのじゃないだろうかということが一般に考えられておりますから、そうではないということをもっとよく知らしめるべきだ、PRすべきだ、私はかように思います。  同時に、いま開業医あるいは保険医の方に対しましても、緊急な場合に金がなければよう見てやりませんというようなことでなくて、そこは医は仁術でありますから、金がなくてもあと払いでもよければ見てあげますということでやってもらいたい。それは自由診療であってもいいわけであります。自由診療であればなおさらですよ。医者と患者の関係でどうにでもできるわけでありますから。それは私は医師会に対しても望んでいるわけであります。  しかしながら、金を持たずには保険医のところへ行けないということをみなあまり思い込んでおったのでは間違いだということをよくPRをいたしますとともに、いま申されるように国公立病院に殺到してまいるということも事実でありますから、そのほうは手抜かりのないようにできるだけの措置をするようにお願いをいたしているわけでございます。
  201. 寺前巖

    ○寺前委員 大臣、それでは私一つ例をあげてみましょう。私はきのう、新大久保にあります社会保険中央病院へ寄って事務長さんの意見を聞きました。事務長さんは、このごろちょっと患者さんをよけいほしいと思っているんだといって入院患者の話をされるのです。一方、看護婦さんに会ってみたらいまの話です。経営担当者が入院患者のふえることによって採算のほうだけを考えておられるという事態に対して、私は実はあ然としたのです。片っ方ではどういう医療事故が起こるか不安でたまらないという事態が起こっていながら、またそれとの関連で最近もノイローゼで飛びおり自殺をするという人が生まれてきているという事態、あるいはきのう、診断を受けようという寸前にばたっと倒れた人が生まれておるのです。これは厚生省関係の方です。そんな不幸な事態が起こっておっても経営の話だけしかしないという経営担当者の姿があるというときに、一体ほんとう医療事故の問題をまじめに考えているんだろうかと私は実はあ然としたのです。そういうことから考えても、いまの事態を甘く考えておられたら国民に対して責任持てぬことになる。私は緊急に検討してもらいたいと思います。  私はそれとの関連でもう一つ問題を提起してみたいと思うのです。いま結核の患者が療養所に十六万人入っております。この五分の一の方々がリファンプシンという薬を——せっかく薬事審議会も通り、厚生省の検定基準にちゃんと合わせて来月の中旬からいよいよ市販されようとしている。ところが、中医協が開かれないためにこの薬が使われない。五分の一の人々、すなわち三万一千人から三万五千人ほどの人は、その薬を使うことによって陰性に菌が転化して命を救われるかどうかという事態にある。一日三錠使う、毎日使う人たちがそのうち三分の一ほどいる。三分の一ほどの人たちは週に二回ほど使ったらいい。しかしこの薬は一日千円ぐらいかかるだろうといわれておる。その薬によって生きるかどうかという事態を迎えているという今日の事態がある。こういう人たちに対して中医協がどうだとかああだとかということだけでは済まないところの、生きる道の問題がいま存在している。私はこの間も厚生省の事務次官に、この問題についてどうするんだという申し入れをやりましたけれども大臣、私はこういう人の命にかかわる問題については、緊急の処置をとるということを大臣の責任においてやられるべきじゃないかと思うのです。事態がどう進もうと、この問題について、八月の中旬からいよいよ市販される、安心して使ってくれという処置をとられるかどうか聞きたいと思います。
  202. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 八月の中旬市販ということでございますが、それまでにはこの事態を解消いたしまして善処をいたしたいと思っております。
  203. 寺前巖

    ○寺前委員 事態がどうなるかわからぬということが、一面で先ほどからいわれております。どんな事態になっても責任を持てるように処置してくれますか。
  204. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 その薬の効果なり緊急性というものをよく検討をいたしまして、善処をいたします。
  205. 寺前巖

    ○寺前委員 それでは、そういう緊急性をもしも大臣が御存じないとするならば、私は担当の局長に聞きたいと思うのです。  結核患者の皆さんは、これは命の問題として期待をしておりますが、担当者はどうですか。
  206. 松尾正雄

    ○松尾説明員 ただいま御指摘のリファンプシンが、結核の特に耐性菌を持った人に対する治療としては非常に有力なる一つの手段になるということは、私ども承知しております。
  207. 寺前巖

    ○寺前委員 大臣、以上のようなことですから、善処をするというお約束について責任を持ってお願いしたいと思います。  時間もあれでございますので、私は最後に基本的な考え方だけを大臣に承りたいと思います。  抜本という話が出ております。抜本的によくなることを多くの人々は当然のこととして期待をしておりますが、抜本という問題は、すべての人がお金がかからずに無料でお医者さんの医療が受けられるように、またその病気になっている間、完全に生活の保障ができる方向に向かって医療制度というのはよくしていくということを基本に抜本を考えておられるのかどうか、私はこの点について基本的姿勢としてお伺いしたいと思います。
  208. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 お金がかからないようにということは不可能だと思います。そのお金のかかり方が平等であるということなら考えられると思います。医療を国営にいたしましてもこれは国費でやらなければなりませんし、国費はやはり国民の負担であります。したがって、ただで、だれもが負担しないでそうしてというわけには私はまいらないと思います。ただ、保険料というものが公平でなければならない。だれにとっても公平でなければならない。そして給付も公平でなければならない。だから、それはまた相互扶助の連帯責任からきた仕組みでやるのがよかろう、保険制度でやるのがよかろう、これを抜本改正の根底に考えてやっていくべきだ、私はかように思います。
  209. 寺前巖

    ○寺前委員 それじゃ私は最後に意見を述べて終わりたいと思いますが、私は直ちに医療の国営化を提起したのではなくして、いまよりもよい条件の方向にしてもらいたい、それは何かということです。それは私たちは自分の子供たちに対して、人の命は金にはかえられないという共通した親の感情があります。どんなに貧乏しておっても、子供が倒れたときにはその子のためにすべてを投げ出すというのが親の共通した感情です。いま国家がしなければならないのは、やはり全体としての水準を高める。その水準はすべての人が無料で医療が受けられる方向に向かう。そうして生活がその間完全に保障されるという方向、これを多くの人は期待しているのですから、その方向に向かって抜本的に改正をしてもらわないことには、抜本改正といってもそれは期待するところのものにならない。この意見を申し上げて終わりたいと思います。
  210. 森山欽司

    森山委員長 次回は明二十四日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時十七分散会