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1971-09-01 第66回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年九月一日(水曜日)     午後一時三十九分開議  出席委員    委員長 中井徳次郎君    理事 稻葉  修君 理事 内海 英男君    理事 細田 吉藏君 理事 米田 東吾君    理事 瀬野栄次郎君 理事 合沢  栄君       有馬 元治君    宇田 國榮君       奧田 敬和君    坂元 親男君       中村 拓道君   三ツ林弥太郎君       卜部 政巳君    川崎 寛治君       川村 継義君    千葉 七郎君       内藤 良平君    中村 重光君       古川 喜一君    小川新一郎君       貝沼 次郎君    小宮 武喜君       谷口善太郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 西村 英一君  委員外出席者         総理府総務副長         官       砂田 重民君         内閣総理大臣官         房参事官    高橋 盛雄君         大蔵省主計局主         計官      藤井 直樹君         大蔵省銀行局特         別金融課長   北田 榮作君         厚生省社会局施         設課長     新津 博典君         農林大臣官房参         事官     大河原太一郎君         林野庁長官   松本 守雄君         林野庁指導部治         山課長     吉村 昌男君         通商産業省公益         事業局水力課長 鈴木  篁君         中小企業庁計画         部長      西田  彰君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部施         設課長     信沢 利世君         気象庁長官   高橋浩一郎君         気象庁予報部予         報課主任予報官 大野 義輝君         建設省計画局宅         地部宅地開発課         長       川上 幸郎君         建設省都市局街         路課長     今野  博君         建設省河川局長 川崎 精一君         建設省住宅局調         査官      沢田 光英君         建設省住宅局建         築指導課長   救仁郷 斉君         自治大臣官房参         事官      立田 清士君         自治大臣官房過         疎対策管理官  高品 宏作君         自治省財政局交         付税課長    潮田 康夫君         消防庁消防課長 青山 満夫君         日本国有鉄道施         設局長     北岡寛太郎君         参  考  人         (電源開発株式         会社理事)   桑原  進君     ————————————— 委員の異動 九月一日  辞任         補欠選任   池田 清志君     羽田野忠文君   服部 安司君     有馬 元治君   福永 一臣君     古内 広雄君   渡辺美智雄君     宇田 國榮君   古川 喜一君     川崎 寛治君   津川 武一君     谷口善太郎君 同日  辞任         補欠選任   有馬 元治君     服部 安司君   川崎 寛治君     古川 喜一君   谷口善太郎君     津川 武一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要請に関する件  台風第十九号及び七月下旬の集中豪雨による災  害対策  台風第二十三号による災害対策  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 中井徳次郎

    中井委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  本日は、台風第十九号及び七月下旬の集中豪雨による災害対策並びに台風第二十三号による災害対策について調査を進めます。  まず、台風第十九号及び七月下旬の集中豪雨による被害状況調査のため、去る八月十三日から七日間、長崎県、熊本県、鹿児島県及び宮崎県に委員派遣を行ないましたので、現地に派遣されました委員から報告聴取いたしたいと存じます。米田東吾君。
  3. 米田東吾

    米田委員 台風第十九号及び七月下旬の集中豪雨による被害状況調査のため、去る八月十三日から七日間、長崎県、熊本県、鹿児島県及び宮崎県に派遣されました派遣委員を代表して、調査の概要を御報告申し上げます。  派遣委員は、自由民主党の進藤一馬君、坂元親男君、日本社会党の私、米田東吾千葉七郎君、公明党の瀬野栄次郎君、民社党の合沢栄君及び小宮武喜君で、ほかに地元選出議員多数の御参加を得、現地実情をつぶさに調査いたしてまいりました。  本日は、時間の関係で、県、市町村及び関係団体からの要望事項等詳細につきましては、本委員会議録末尾参照として掲載していただくこととし、重点的かつ簡略に御報告申し上げます。  今回の災害特徴は、七月十九日から二十六日にかけて、もどり梅雨現象により、九州各地で四百ミリをこえる局地的集中豪雨が繰り返され、大きな被害を受けたことに引き続き、八月四日から六日にかけ台風第十九号が九州西部を縦断し、この台風は、暴風もさることながら、霧島山系で千五百ミリという異常な豪雨をもたらし、連続して激甚な被害発生せしめたことであります。  七月下旬の集中豪雨による被害は、長崎熊本鹿児島県を中心に、死者・行くえ不明二十七名、住家の全半壊五百棟、床上浸水七千棟をはじめ道路堤防決壊田畑流埋没等被害総額は三百億円をこえております。  また、台風第十九号による被害は、熊本鹿児島宮崎県を中心に、死者・行くえ不明六十四名のほか、住家の全半壊千三百棟、床上浸水五千棟をはじめがけくずれ、道路鉄道の寸断、堤防決壊橋梁流失田畑埋没等々、被害総額は約五百二十億円にのぼっております。  まず、調査いたしました被災県順にその概略を申し上げます。  長崎県は、七月下旬のもどり梅雨による集中豪雨により、南高来郡南部及び対馬地方中心に再三にわたり局地的集中豪雨に見舞われ、小規模河川はんらんによる堤防道路決壊、家屋の流失浸水等により、死者三名をはじめ公共土木農業施設農作物及び商工関係等総額約七十六億円にのぼる被害を受けたとのことであります。  南串山町の県農事センターにおきまして、県当局から、治山対策をあわせた中小河川改修災害救助基準引き上げ等について強い要望を受けてまいりました。また、災害救助法適用を受けた上対馬及び上県当局から、比田勝川のはんらんによる市街地浸水対馬縦断道路の土砂くずれによる交通の途絶等、両町で約二十億円をこえる被害を受けたとの説明聴取いたしました。この地方には、今回、日程の都合で直接現地調査することができませんでしたが、離島という悪条件の中で住民が困窮をきわめている実情から、政府当局はでき得る限りの援助の手を差し伸べるべきことを申し添えておきます。  なお、同県では、川内川尾登橋流失現場小松川沿い道路決壊堀川宮原橋付近堤防決壊有馬川島渕橋及び平山橋流失現場等被災地視察してまいりました。  次に、熊本県について申し上げます。  七月下旬の集中豪雨は、県中南部中心各所で四百ミリをこえ、昭和二十八年災と同じ程度の水量が白川をはじめ県下中小河川に流れ込み、幸い白川はんらんは免れたものの、砂川はじめ各所中小河川はんらんし、ために熊本市、小川町等三市二町一村に災害救助法適用され、被害死者九名をはじめ床上床下浸水一万九千棟、被害総額公共土木農業商工関係等約百三十六億円に達しているとのことであります。また、引き続き同県を襲った台風第十九号では、通過後も連日にわたり豪雨に見舞われ、特に球磨川水系山間部では千ミリをこえ、人吉球磨地方等の至るところで河川はんらん、山くずれを見、人吉市、水上村等一市三村に災害救助法適用されております。被害死者・行くえ不明六名、床上床下浸水五千棟をはじめ公共土木農業商工関係等被害総額は約八十六億円となっております。  県当局をはじめ熊本市、宇城地区、八代地区の各市町村小川町、人吉町、球磨地区の町村及び水俣市等から、台風第十九号に対する激甚法適用白川、黒川、緑川の総合改修事業促進中小河川改修促進予防治山促進被災農家に対する救援措置ダム操作治水目的に沿えるための管理規則改善、急傾斜地果樹園復旧に対する助成等々について、強い要望を受けてまいりました。  なお同県では、熊本市内蓮台寺橋流失現場砂川原田橋付近及び県立小川再生院被災現場小川連仏地区権現橋及び住家流失現場水上村小河内川支川はんらんによる坂下地区住家流失現場、同田向地区住家流失現場及び県営市房ダム状況視察いたしました。  特にこれらの視察を通じまして痛感いたしました点は、砂川はんらんによる小川町の被害は、奥地果樹園開発による雑木林の伐採が原因の一つではないかといわれ、今後これらの開発にあたっては防災面を配慮する必要があること、また球磨川流域ダムについて地元住民から種々の問題が提起され、ダム災害に対する不安感が高まっており、関係当局はこれらの住民を納得さす措置を講ずべきであります。また、特に被害が激甚であった小川町、水上村の被災地復旧等については特別な援助を行なうべきであると思います。  次に、鹿児島県について申し述べます。  九州全域にわたって集中豪雨をもたらした前線は、七月二十三日から同県北西部阿久根市、川内地方中心を移し、これがため高城川高松川等の中小河川が一挙にはんらん堤防決壊、溢水による市街地農地湛水等総額八十四億円に達する被害発生せしめ、さらに、いまだ応急復旧も完了しないうちに台風第十九号に襲われたのであります。  同県は南九州特有シラス地帯であり、集中豪雨により地盤がゆるんでいるところに、台風第十九号は、県下全域に三百ミリから六百ミリに及ぶ豪雨をもたらし、特に霧島山系では千五百ミリをこえる異常降雨を記録し、ために、県下全域四百七十八カ所でシラスがけ崩壊被害発生住家倒壊生き埋めが相次ぎ、加えてほとんどの河川はんらんし、死者が四十八名にのぼるという大きな人的被害を受けております。また、物的被害も、床上床下浸水二万五千棟をはじめ公共土木農業及び商工業関係等で、総額約百九十六億円の被害をこうむったとのことであります。  県は、三市十町に災害救助法を発動し、自衛隊の出動を要請応急対策に対処したとのことであります。  調査団は、阿久根当局から説明聴取した後、同市高松浜田橋流失現場尻無川流域橋梁流失堤防決壊シラスがけ崩壊による住家倒壊現場視察川内市では高城川たかつき橋付近堤防決壊現場農林省排水ポンプ場浸水状況等視察した後、同市当局及び東郷町から説明聴取串木野市では、五反田川堤防決壊及び五反田橋流失現場、また五反田川支川冠獄地区シラスがけ崩壊による住家倒壊堤防決壊田畑埋没等被災現場河良橋流失及び堤防決壊現場並びに同市上水道施設被災現場視察、特に冠獄地区では、公民館に避難した住民五名がシラスがけ崩壊により生き埋めとなったとの説明を受け、緊急なシラス対策必要性を痛感してまいりました。  なお、県当局から、台風第十九号に対する激甚法適用中小河川災害復旧抜本改修と同時に施行されたいこと、寄洲、中洲の排除公共事業補助対象とされたいこと、シラスがけくずれによる死亡事故防除対策危険個所住家移転推進等について、強い要望を受けてまいりました。  なお、視察いたしました地域で特に施策が必要と思われますことは、阿久根尻無川流域復旧、一昨年に連続して被害を受けた川内市街地内水排除対策川内川右岸小倉地区突角部切り取り工事施行をはじめとする川内川流域洪水予防対策推進串木野五反田川流域災害復旧及び上水道施設の早急な復旧が必要と思われます。  次に、宮崎県について申し述べます。  宮崎県では、八月一日から台風第十九号の影響による降雨が始まり、同月六日にかけて、えびの、上椎葉等西部山岳地方に千ミリをこす豪雨が集中し、このため奥地山間部に通ずる国・県道及び通信施設は寸断され、県当局被害状況の把握にあたって、自衛隊のヘリコプターによる空からの調査を実施しなければならなかったとのことであります。被害は、河川はんらんによる住家浸水田畑の冠水、埋没シラスがけ崩壊道路決壊等総額約百三十四億円に達しておりますが、幸いにして人的被害が少なかったことは、県当局及び関係機関が一体となって、道路規制及びキャンプ場海水浴場危険地域に対して早期避難命令等を発令し、人命の保護に全力をあげたことによるもので、これらの措置は、これからの災害対策の教訓となることと思います。  調査団は、都城市当局から説明聴取した後、同市梅北川の岳下橋及び城下橋被災現場、三股町勝岡地区シラス山腹崩壊による住家倒壊現場視察後、県当局及び被災市町村から説明聴取、その後、綾町の綾南川宮谷頭首工被災現場を、また、宮崎宮崎高校屋上より八重川の被災状況視察してまいりました。  県当局から、台風第十九号による災害激甚災害指定することをはじめとする二十六項目にわたる要望事項を受けてまいりました。  同県にとって特有な問題として、西米良村小学校の僻地集会所兼用体育館等早期復旧稲作転換に伴う農作物被害に対する助成措置災害防止等のため、特土地帯農道保全事業の新設、八重改修促進及び急傾斜地崩壊対策事業を大幅に促進すること等について、強い要望を受けてまいりました。  最後に、調査団として、今回の災害調査を終えて感じました諸点について申し述べます。  まず、何よりも被災を受けた堤防橋梁道路等公共土木施設及び農業施設等応急復旧を早急に行ない、再災害最小限度に食いとめなければなりません。これがため政府は、被災各県及び市町村に対しあらゆる援助を行なうべきであります。また、被災地方自治団体等からの切実な要望に対し、かのう限りの救済施策を実施すべきであります。  次に、今回の災害は、異常な気象現象原因があるとはいえ、現行災害対策の諸制度に対して多くの疑問点を投げかけております。以下、問題点をしぼって若干の指摘を行なっておきたいと思います。  第一は、個人災害救済制度確立についてであります。  現在の災害対策の諸制度は、被災公共団体に対する援助を基本的な考え方にしております。社会構造の変化に伴う最近の災害実態にかんがみ、被災者自身に対する援助という考え方制度施策中心とするよう発想の転換をはかるべきであります。目下、個人災害救済制度として、共済制度援護措置等の構想が検討されておりますが、法制的制約等によりその実現が因難状況にあります。災害救助制度及び各種災害融資制度等改善を含め、個人災害に対する総合的施策確立が何より緊急の課題であります。  第二は、中小河川改修促進についてであります。  最近の治水対策は、ともすれば道路住宅等国土開発施策に比して国民的関心が少なく、政治もこれに強い関心を持つことを忘れていたことを反省しなければなりません。治水を忘れた開発国土の破壊であり、治水政治の原点であるという認識が何よりも大切な時期であります。政府は、新治水五カ年計画の策定にあたって特に中小河川改修に重点を置き、総花的な施策にならないよう、また経済効果にとらわれず、災害危険個所に対して重点的な投資が行なえるよう配慮すべきであります。  第三は、激甚法適用の問題であります。  かねてから激甚法弾力的運用については、災害発生のたびに主張されておるところでありますが、今回の災害は、集中豪雨台風第十九号が引き続き被害発生因果関係があり、激甚法適用は一括して行なわれるべきであったと思います。台風第十九号において激甚な被害を受けたにもかかわらず激甚法適用を受けることのできない市町村については、政府責任をもって激甚法適用に準じた処置を講ずることを要請しておきます。  第四は、シラス対策についてであります。  台風第十九号では、鹿児島県下において、シラスがけ崩壊により、四十一年、四十四年に引き続き、三十一名のとうとい人命が失われるという惨事が発生しております。南九州中心としたシラス地帯災害を防除し、住民の不安を解消することは、政治責任であります。そのためには、まずシラス危険地帯に住む人々の実態要望等を具体的に調査し、現行特上法、急傾斜地法等による措置改善を含め、抜本的対策確立することが緊急の課題であると思います。  第五は、ダム災害防止についてであります。  今回の災害では、球磨川水系及び川内川水系ダム災害防止について、地元住民から種々な要望を受けてまいりました。ダム洪水調節に対する指導の強化及び洪水時におけるダムの放流による災害防止に万全を期し、住民の不安の解消につとめるべきだと思います。なお、台風第二十三号が、去る二十九日鹿児島大隅半島上陸鹿児島宮崎県をはじめ、大きな被害発生を見ました。これらの地方は、集中豪雨台風第十九号に引き続き三度にわたる大きな被害を受けたのであります。政府は、これらの地方に対して十分な配慮を行ない、すみやかに復旧並びに援護措置を講じるよう要請しておきます。  終わりに、今回の調査に御協力いただきました関係各位に謝意を表し、報告を終わります。(拍手)
  4. 中井徳次郎

    中井委員長 これにて派遣委員報告は終わりました。  派遣委員各位には、まことに御苦労さまでございました。     —————————————
  5. 中井徳次郎

    中井委員長 なお、ただいま派遣委員からの報告にございました各県等からの要望事項等詳細につきましては、これを会議録末尾参照として掲載いたしたいと存じますが、これに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 中井徳次郎

    中井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————
  7. 中井徳次郎

    中井委員長 次に、台風第十九号及び七月下旬の集中豪雨による災害対策として政府においてとった措置並びに台風第二十三号による被害概況等について、政府当局から説明聴取いたします。総理府総務副長砂田重民君。
  8. 砂田重民

    砂田説明員 御報告をいたします前に、今次の第二十三号台風でおなくなりになりました方々の御冥福を、心からお祈りを申し上げます。また、罹災されました方々に心からのお見舞いを申し上げる次第でございます。  御報告を申し上げます。  政府は、六月上旬から七月下旬までの梅雨前線及び台風第十三号による災害激甚災害として指定することとし、去る八月十九日政令第二百七十二号、二百七十三号をもって公布施行いたしました。  この激甚災害に対しまして適用いたすべき措置として指定をいたしました措置は、  (一) 公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助  (二) 農地等災害復旧事業等に係る補助特別措置  (三) 土地改良区等の行なう湛水排除事業に対する措置  (四) 公立社会教育施設災害復旧事業に対する補助  (五) 私立学校施設災害復旧事業に対する補助  (六) 市町村施行する伝染病予防事業に関する負担の特例  (七) 公共土木施設農地及び農業用施設等災害に係る地方債元利補給等 の各措置であります。  また、特に中小企業関係被害が著しかった長崎上県町、上対馬町、熊本小川町、鹿児島阿久根市の区域対象といたしまして、  (一) 中小企業信用保険法による災害関係保証特例  (二) 中小企業近代化資金等助成法による貸付金等償還期間特例  (三) 中小企業者に対する資金融通に関する特例 の三つの措置適用すべき措置として指定をいたし終わりました。  次に、台風第十九号によります災害激甚災害指定する件について御説明をいたします。  台風第十九号による災害激甚災害として指定をし、また、これに対し適用すべき措置指定につきましては、政府は去る八月二十七日、中央防災会議主事会議を開催いたしまして、次の事項について適用すべき措置を決定いたしました。現在政令制定の作業を進めておりまして、来週早々に公布施行をいたす予定でございます。来週の火曜日の閣議とお含みおきをいただきたいと思います。  適用すべき措置といたしましては、  (一) 農地等災害復旧事業等に係る補助特別措置  (二) 農林水産業共同利用施設災害復旧事業費特例  (三) 天災融資法発動と同時に行なう天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置特例  (四) 農地及び農業用施設等災害に係る地方債元利補給等 の各措置でございます。  中小企業関係被害が著しかった熊本水上村、鹿児島串木野市、樋脇町、入来町、菱刈町、栗野町の区域対象といたしまして、  (一) 中小企業信用保険法による災害関係保証特例  (二) 中小企業近代化資金等助成法による貸付金等償還期間特例  (三) 中小企業者に対する資金融通に関する特例の各措置適用することといたしております。  なお、公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助適用につきましては、局地激甚災害指定基準に達する市町村がかなりある模様でございます。この分につきましては、御承知のように査定事業費の額をもって査定をいたしますので、早急にこれが査定を実施いたしまして、この結果をまって指定のめどをつけたいと思っております。  次に、台風第二十三号による災害について申し上げます。  気象関係につきましては、八月二十一日九時に発生をいたしまして、本邦南海上を西進をしてまいりまして、二十九日ごろから進路を北に向け、二十九日夜半九州南部大隅半島上陸し、宮崎付近通り太平洋に抜けました。さらに三十日夜四国に再上陸をいたしまして、瀬戸内海に出て、中心が別の場所に変わったという特殊の気象現象を見ております。その後、紀伊半島を横断、東海道沿いに東進、速度を早め房総半島をかすめ、三十一日十八時ごろ鹿島灘へ抜けたものでありますが、この台風のきわめて顕著な特徴は、本土上陸するまで発達し続けてきたということ、速度がたいへんおそくて、長時間本土の上に滞在したということ等でございまして、典型的な雨台風でございまして、各地で雨によります被害が目立っております。  一般被害といたしましては、きょうの十一時現在、死者三十七名、行くえ不明七名、負傷百三名、建物の全半壊流失が二百八十四棟、床上浸水が一万三千九百四十八棟、床下浸水十万八千三百四十二棟、罹災者は五万九千五百十八名に及んでおります。  おもな施設関係被害といたしましては、いままで判明をいたしておりますものについて御報告を申し上げますが、公共土木施設が約九十七億円、農地農業用施設約二十五億円、農作物等が約二百億円となっておりますが、これはけさほどまでの県報告によりますものの集計でございますから、今後の調査でさらに増加する模様でございます。  被害状況を早急に把握いたしました上、すみやかに各省連絡会議を開催いたしまして対策を講ずることといたしたい、かように考えております。  以上、御報告を申し上げました。
  9. 中井徳次郎

    中井委員長 これにて政府からの説明は終わりました。     —————————————
  10. 中井徳次郎

    中井委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  本日、台風第十九号による災害に対し、特にダム災害防止に関する調査のため、参考人として電源開発株式会社理事桑原進君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 中井徳次郎

    中井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————
  12. 中井徳次郎

    中井委員長 質疑の申し出がありまするので、順次これを許します。  有馬元治君。
  13. 有馬元治

    有馬委員 去る七月の集中豪雨とそれから十九号台風につきましては、政府を代表されまして西村建設大臣がわざわざ現地災害地を御視察いただき、また、力強い激励のことばを賜わりまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  ただいま砂田副長官から激甚災の指定につきまして、集中豪雨関係と十九号の関係につきまして御報告がありました。私どもたいへん感謝をしておるわけでございますが、残された公共土木施設についての局地激甚災害指定について、先ほど黒木宮崎県知事の御陳情もありましたし、また災害調査団の御報告にも、集中豪雨と十九号との関係は直接因果関係があるんだ——われわれ現地においては、同一の災害というふうにも考えておるわけでございますので、そういう点も御考慮の中に入れていただいて、この公共土木施設の激甚災指定については引き続き格段の御配慮をいただきたいと思います。これは要望でございますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。  次に、建設大臣に、時間の許す範囲でお尋ねをいたしたいと思います。  今回の災害は、先ほどから指摘されておりますように、中小河川災害被害が非常に大きいわけでございますが、結果としては川内川本流は大きな決壊もなく、まずまず無事に過ぎたわけでございますが、この木流がいわば屋台骨でございますから、ここが安心できるような治水対策を持っていないと住民は絶えず不安におののかなければならない、こういうことに相なるわけでございます。つきましては、二つほど川内川の問題について、冒頭にお尋ねをしたいと思います。  鶴田ダム洪水調節の問題でございますが、今回の十九号災害実情につきましては、私も直後に現地に参りまして管理所長からいろいろ状況を聞いたわけでございますが、下流の住民の気持ちからいたしますと、今回はどうやら神わざ式な操作で危険を切り抜けた、しかし、もっとダムの操作については住民の立場から、生命、財産を守るという立場から操作のやり方を考えてもらえぬだろうか、こういう希望が非常に強いわけでございます。  それは電源との関係、発電との関係でございますが、現在のダム操作規程によりますと、発電のための最低水位が百三十メートル、そして六月から八月にかけての第一制限水位は百四十六・五メートル、こういう規制をされておるようでございますが、今回の洪水に関しましてはこの第一制限水位をもっと引き下げて、言うなれば、発電を犠牲にしてこの非常事態を操作すべきではないか、こういう意見が非常に強いのでございます。私も現地についていろいろ調査をいたしましたのでございますが、今回のようないわば計画水量ぎりぎりの段階になりますと、洪水の危険が多分にあるわけでございますから、その時点においてはこの第一制限水位の制限をもっと緩和して、水位を百三十メートルまで下げられないものかどうか、その点について、まず建設大臣の御所見を承りたいと思います。
  14. 西村英一

    ○西村(英)国務大臣 お答えいたします。  数字上の問題は政府当局からまた説明させますけれども、大体鶴田ダムですが、多目的ダムでございますから、洪水調節、それから電力、農用等のその三者が、あらかじめきめた規約によってやっておるわけでございます。その限りにおいては、今回の調節も誤りはなかったと思います。県民の感情としてはいろいろのことがあったと思いまするけれども、鶴田ダムは、川内川でも非常に流域の狭い一部分しかやっていないので、このダムだけではとても受け切れないわけです。今回もう少し水位を下げたらとかなんとかいうようなことは言っておりますが、このダムだけでは、とても川内川のそういう危険な状態をどうこうするということはできないわけです。したがいまして建設省といたしましては、さらに下流のほうに非常にたくさんな支流がありまして、それに中小河川がたいへん流れ込んでおるのでございまするから、根本的には、もっと下流のほうでやっぱりダムを建設していかなければならぬ、こういうふうに考えておる次第でございます。  いま数字の問題につきましては、河川局長見えておりますから、ひとつお答えをさせます。
  15. 川崎精一

    川崎説明員 お答え申し上げます。  鶴田ダムにつきましては、これは有効貯水容量が全部で約四千二百万立方メートルございます。これを利用いたしまして洪水調節を行なっておるわけでございますが、たとえば今回の十九号台風によりますダム地点の流入量は、毎秒で約千八百六十立方メートルでございました。この鶴田ダムの持っております、計画いたしております対象洪水といたしましては、毎秒約三千百立方メートルでございまして、これを約八百トンばかりダムで調節してため込みまして、二千三百トンにして放流する、こういう計画になっております。したがいまして、鶴田ダムの持っております機能といたしましては、計画よりもはるかに低い洪水を迎えたわけでございまして、在来からの標準の操作をいたしておりまするよりも、今回の十九号の場合には、比較的台風の経路も明らかでございましたので、九州地方建設局長の判断と指揮によりまして、かなり応用動作的な、効果的な操作をむしろ行なったわけでございます。そのためにかなりダムによけいにため込みましたので、かなり水位は上昇いたしておりますが、なお若干の余力を残しておったというようなことでございますので、特にこの制限水位なりといったようなものを、私どもも計画的な面から見ますと、変更するよりは、むしろ、先ほど大臣からもお話がございましたように——ダム以下の下流の流域からの流量が非常にたくさん出ております。これは、私どもが川内川の改修にあたりまして予想いたしておったものよりもはるかに大規模のようでございます。この傾向は、昭和四十四年の出水時にもすでにそういう傾向がございましたので、現在私どもでも、鶴田ダムの下流の地点をその後かなり多方面にわたりまして予備調査をいたしておりますが、その結果、現在では下流の右支川の夜星川、それから左支川の穴川、こういったところにひとつ新しいダム計画を立てていきたい、これによってバランスのとれた川内川の下流の治水計画ができるのじゃないか、こういうように考えておる次第でございます。
  16. 有馬元治

    有馬委員 ダムの操作については誤りがなかったという御報告でございますが、その通りだと思いますけれども、やはり民心からいたしますと、発電が先か、われわれの生命財産を守ってくれるのが先か、こういう非常にデリケートな問題でございますから、せっかく定められておる水位でございますけれども、こういう洪水時にはぜひ弾力的な運用をして、電源を犠牲にしても人命を守るんだ、こういう姿勢をはっきりと出していただきたいと思います。  それから、大臣からも御答弁がございましたが、鶴田ダムだけでは川内川は安心できない、下流にもう一つダムが要る、積極的な御発言がございましたので、私どもとしてはたいへんありがたいわけでございますが、来年度から始まりまする第四次治水五カ年計画におきましては、ぜひ第二のダムを建設していただきたい、こういうことを御要望申し上げておきたいと思います。いずれも今後の問題でございますから、よろしくお願いを申し上げます。  第二点といたしましては、今度の災害のみならず、鹿児島県の特殊事情といたしまして、シラス地帯が多いわけでございますので、毎回災害に際しましては、他県の災害と比べまして死亡事故が非常に多いわけでございます。十九号におきましても四十八人というとうとい犠牲者が出ているわけでございますが、こういう特殊事情もございますけれども、これからの災害対策といたしましては、施設の復旧整備も必要でございますが、人命を第一義に考えた、被災者の立場といいますか、人間の立場からひとつ災害復旧なり整備を考え直していただきたい、こういう感じが強いのでございます。  今度の災害にあたりましても、たとえば樋脇町の武田部落あるいは、大臣御視察いただいたかと思いまするが、阿久根市の尻無川の流域、こういうところは非常に大きく災害を受けております。しかも、がけくずれによりまして相当の犠牲者も出ておりますが、こういう状態を見ますと、これをこのままもとの形に復旧しようとしましても、復旧はむしろ不可能でございます。また、かりに無理をして復旧をいたしましても、またいつがけくずれによる災害発生しないとも限らないのでございます。そこで、この災害に一番危険を感じておりまする住宅をこの際思い切って安全なところに移転をさして、少なくともがけくずれによって崩壊をした住宅は、再びもとの位置に建て直すということでなしに、住民が希望するならば新しいところに住宅を移転させる、いわば部落の再編成、あるいは大きくいえば集落の再編成もこの際あわせて考えていく、そういう復旧のしかたを考えていただけないだろうか、こういうお願いでございます。  幸いに過疎法によりますと、集落の再編成ということで助成規定もございますし、また過疎債によって当該市町村計画を立て、部落の、集落の再編成をすることもできるわけでございますが、過疎地域以外については手の施しようがない。建設省の事務当局にいろいろ聞きましたけれども、建築基準法あるいは急傾斜地の崩壊による災害防止法、こういう法律をどんなに読んでみましても、危険地域指定はできる、指定をすれば建築制限その他がかかってくる、こういうことにはなっておりますけれども、制限規定はあっても、それじゃこういうふうに対策を講じてやるから、危険地域から他のところに移転したらどうだというような積極的な助成法は、何も見当たらないのでございます。せいぜい個人の場合には百万円を限度として五分五厘の低利融資をするという規定があるようでございますが、これでは今回の災害の場合に、打ちひしがれた罹災者がみずからの力で住宅を移転をして、安全なところに住居を移すということは不可能でございます。  私は、危険があるから、前もって危険個所指定し、そこから移転をしてもらう、危険を予防するというのが政治の要諦だと思いまするが、そういう先の理想的なことをこの際言っているわけじゃなくて、まず山くずれによって被害を受けた方々の住宅を安全なところに移転さして、そして復旧をはかろう、こういうことでございますので、過疎法に規定されておる集落再編成という考え方も、この際はぴったりは当てはまらないと思います。あとから自治省にも尋ねたいと思いますが、制度としては、これがややこの際の復旧適用できるような制度に近いような感じがいたすのでございます。自治省のほうでも前向きに考えておると思いまするが、こうなりますと、過疎地のみならず、一般の地域においてもそういう考え方で、災害復旧を契機として民家の移転、部落の再編成というような考え方で積極的に復旧を進めていただきたい、こういう気がいたすのでございます。いままでのような個人融資ということだけでなしに、思い切った助成をして移転がしやすくなるような対策を講じていただきたい、こういうことでございますので、大臣の御所見を承らせていただきたいと思います。
  17. 西村英一

    ○西村(英)国務大臣 さっき川内川の話がございまして、要望もございましたが、私ずっと災害地を回ってみまして、とにかく球磨川にしても川内川にしても、直轄河川でございますが、少しやはり改修がおくれておるような感じがいたします。なかんずく川内川、そこで鶴田ダムの話もございまして、むし返しになりますが、それは電力よりは人命がとうといことはあたりまえです。しかし、それをやりましてもとても防げそうにありませんから、下流に発電所をつくる。一カ所でなくて、二カ所ぐらい同時に調査をしてやったらどうかと思っております。しかし、これには、ダムをつくる場合にはやはり一番その地方民の協力が要るのでございますから、有馬先生せっかくそういう、私のほうと意見は一致しますから——私のほうも調査を十分します。したがって、その点について御協力を願いたいと思っておる次第でございます。  第二の、シラス土壤における住宅の問題ですが、実は私は、今度視察をしましたときに、一番の重点は、シラス土壤における急傾斜の防止をどういうふうにしておるかということが、いろいろ書物を読んでみましてもぴんとこない、現地を見てひとつ計画を立てたいと思って、実は希望して回ったのですが、あの状態を見ますと、急傾斜のいろいろな制度がございまするけれども、急傾斜のところを指定をして、そしてそこに防護施設をするとかいうようなことではとても追っつかない、こういう感じがいたしました。  余分な話でございますが、せっかくの機会でございまするから、急傾斜のわれわれのほうで調査をしておることを大体申し上げますと、急傾斜の法律ができましてから全国で調査をいたしまして、各県の調査をとりますと、一万三千三百カ所全国各県から報告がございまして、これがいわゆる急傾斜であぶない。そのうちでなかんずく危険な個所、これが指定の個所でございますが、一万三千三百カ所ありましても、政府補助金を出すのは地方の知事さんが指定をしなければならぬわけです。その指定の個所は全国で千四百六十五しか指定をしていない。九州だけ、いま問題のところだけを申し上げますと、鹿児島県が、危険個所として認められておるのが四百八十六カ所でございまするが、指定をした個所は五十カ所、したがいまして五十カ所しか補助金を出せないわけであります。指定しなければ補助金が出せない制度になっております。宮崎県が六百九十カ所、そのうちで百七十カ所、熊本県が四百五十カ所、そのうちで八カ所だけしか指定がありません。かような状況になっておるのでございます。これは五戸以上のところを全部調べての報告でございます。  しかし、こうすることは、指定をしますと制限がございますので、なかなか知事さんは指定をしたがらない。そこで、鹿児島のようなところは、やはり有馬さんのおっしゃったように、五戸でも三戸でもあるいは集団十戸でも、そういうところは急傾斜を直すのでなしに、そのままひとつ移住する、こういう方法が一番いい方法じゃないかと実は考えております。その場合はもちろん、危険でなくても、危険がありそうな個所についても、これは住宅金融公庫でもって金をお貸しします。これはいまお話がありましたとおり五分五厘、民間の資金を借りるよりは相当安くなっておりますが、それでもなお、やはりどうも金利が高いのでございますから、やはりその地方公共団体の知事さん等がくめんしてそれをさらに薄めてやる、こういうような方法を考えていただければ、これは住居の移転に対しても非常に力になると思っておる次第であります。  申し上げますれば、移転するところは、政府としては道路もつけてやらなければならぬ、水道も引き込んでやらなければならぬ。いろいろな付帯の施設は政府で大いにやるつもりでございます。したがいまして、一般的に急傾斜を直すというところと、あるいはとてもそれでは防げないというところはやはり危険な個所から移住するという方法も、建設省としては今後それについて十分調査をいたしまして、その所々に応じて対策を講じたい、かような考えをいたしておる次第でございます。
  18. 有馬元治

    有馬委員 大臣の答弁で、移住についても移転についても積極的に配慮するというふうにお答えがあったわけですが、くどいようですけれども、五分五厘を何ぼか利子補給するとか——これはそういう融資だけでは絶対に解決しないのです。いままでいろんな規定があって、こうしちゃいかぬ、ああしちゃいかぬという規定があるのだけれども、なぜそれを発動しないかというと、結局あとの助成対策がないからですね。予期したような移転が行なわれないわけでございまして、何も好きこのんでがけの下に住んでいるわけではない。貧しさがなせるわざであるという点も多分にあるわけでございますから、今回の災害を契機として、この機会にぜひひとつお考えいただきたい。自治省のほうの過疎対策といたしましても、これは自治省にあとからお尋ねいたしますが、それと同じような考え方で、いろいろな条件整備についての助成をお考えいただきたい、こういうふうにお願いをいたすわけでございます。どうかよろしく。
  19. 西村英一

    ○西村(英)国務大臣 重ねて前向きで検討いたします。
  20. 有馬元治

    有馬委員 大臣に対する質問はこの程度にいたしまして、あとはまた後ほど質問させていただきます。
  21. 中井徳次郎

    中井委員長 わかりました。  米田東吾君。
  22. 米田東吾

    米田委員 私も大臣に対しまして、特に大臣にお聞きする事項をしぼりまして一、二点、この機会にお伺いをしておきたいと思います。なお、同僚議員から、私のいただいておる時間の中で関連質問もございますので、よろしくお願いをしたいと思っております。  私がお聞きしたい第一点は、いま建設省で策定をほぼ終わっております新しい治水五カ年計画についてでございます。  ようやく私は、午前中にその資料をいただいたのでございますが、先ほど私が、今回の集中豪雨と十九号台風災害対策特別委員会としての調査結果を御報告申し上げましたけれども、この報告は、実は中小河川改修というところに力点を置いたつもりでございますけれども、これとあなたのほうがいま策定されております新しい治水五カ年計画、来年度から施行されようとするこの五カ年計画と、私はやはり一体にならなければならぬと思っておるわけであります。したがいまして、そういう前提で御質問を申し上げるわけでありますが、今度九州四県を見まして、これは私の感じでありますけれども、今度の集中豪雨台風十九号の関係災害被害を一〇〇といたしますと、そのうち八〇%は中小河川あるいは小規模河川はんらん決壊、それから残りの一〇%はシラス地帯中心としたがけくずれ、それからその残りは内水の被害、これは川内川その他にございましたけれども、こういう関係ではないかと大ざっぱに私はつかんでおるわけであります。四県どこへ行きましても要望の第一点は、中小河川改修がおくれておる、こういう切実な要望がございましたが、この面を見ましても、私の感じは、これは決して単なる勘ではないと実は思っておるわけであります。  そこで、今度の五カ年計画でございますが、非常に苦労されまして、特に、この治水五カ年計画策定にあたっての建設省当局のお考えあるいは重点施策というものが出ておりまして、この中に中小河川あるいは直轄河川を含めましての改修の、そのよって立つ意味あるいはその必要性、緊急性についてうたわれております。私は今度の災害を見まして、これから五年、十年の建設省の主たる仕事というものは、道路やあるいは拠点開発よりも、直轄あるいは補助河川を含めた河川対象とした治水対策に重点を移していかなければならぬのではないか、実はそういうような感じを持っておるわけでありますけれども、幸いに建設大臣も、今回の災害では現地を回られまして、状況等もつぶさに見てこられておるわけであります。そうしてまた、各県それぞれの陳情も受けてきておられるだろうと思うのであります。私のこの考えと、大臣が災害を見られましてお感じになっておる治水についてのお考え、認識、それから、そういう面からいって今度の五カ年計画はこれでいいかどうか、私はもう少し再検討する必要があるのではないかという感じがするわけでありますが、そのことをまず基本的にお聞きしておきたいと思うわけであります。
  23. 西村英一

    ○西村(英)国務大臣 私も全く同感です。したがいまして、例の激甚災害指定された六月二日から七月二十七日までの河川に対する災害でも、直轄のほうは、いままで手を入れてきたものだから非常に少ないのです。中小河川のほうが非常に——六月二日から七月二十七日をラウンドナンバーで申しますと、河川災害が五百億としても、直轄河川は五十億、あとの四百五十億は中小河川その他ということになっておりますので、それは十九号でも同じです。したがいまして、今回私のほうでは治水五カ年計画の改定をやりたいと申しておりますが、その場合にも、中小河川のほうに傾斜をさせなければならぬと思っております。  ちょっとここで数字を申し上げますと、第三次五カ年計画では二兆五百億、これが全体のワクですが、そのうちで河川に使われておった金が九千億円でございます。九千億円の、前の計画の直轄と補助——中小河川補助事業ですが、これは直轄が五〇・五、それから補助が四九・五の割合になっております。これを今度の改定の五カ年計画では、逆に直轄を四四・七、それから補助事業を五五・三にしたいということで、いまそろばんをはじいております。しかし、これは、もう少し補助事業のほうに力を入れてもいいんじゃないかというような考えもいろいろいたしております。これは内訳でございますから、まだまとまっておりません。したがいまして、皆さま方の御意見をお聞きしまして、もう少し中小河川に力を入れようといえば、これは内訳でございますからいかようにもなるわけでございますし、九月になりまして台風はこれからでございますから、いろいろ考えましてあなたの御意見のように処置していきたい、かように考えておる次第でございます。
  24. 米田東吾

    米田委員 大臣のたいへん前向きの御決意をいただいたわけでありますが、そこで、いただいたこの資料でございますけれども、いま大臣から、大体直轄と補助河川についてのパーセントをお伺いいたしました。私もこの新しい五カ年計画、とにかく総額において四兆七千億という予算規模、投資規模でございますので、この建設省の前向きの治水計画につきましては、ほんとうに敬意を表したわけであります。ただ第三次五カ年計画は、来年までのやつをことしで打ち切って、来年からは第四次に合わせるという方針のように聞いておりますが、この第三次の場合でも二兆五百億の予算規模で、要するに整備率といいますか実施率といいますか、これはどのくらいかとお聞きしたのでありますが、大体六八%だということであります。そうしますと、この六八%の内訳を私は聞いておりませんが、大体二兆五百億の予算は盛ったけれども、いろいろな関係があってその六八%の計画しか実行できなかったということになるわけであります。こういうものは、私はやはり現実にあるだろうと思います。したがって、今度四兆七千億といいましても、特に、いま説明がありましたように、直轄あるいは中小河川という関係でかりにパーセントを分けてワクをきめましても、全体としては整備率は落ちるのではないか、実施率は下がるのではないか。  それから、あなたのほうでは、経済効果をやはりどうしても追求されます。河川改修であろうが何であろうが、経済効果を追求されます。そうしますと、どうしても小規模河川中小河川というものは食われてしまう。そして直轄河川の、しかも大河川あるいは経済効果の大きいところにとられてしまうということがあるだろうと私は思います。  そういういろいろな点を考えますと、これは大臣おっしゃるように、相当思い切ったパーセントでもって、国の方針がはっきりと中小河川小規模河川改修にあるんだということが打ち立てられて、行政のあなたのほうも、それを受ける地方公共団体や関係団体等も、そういう方向で進められるということでございませんと、計画はりっぱに立ったんだが、さあ五年たって振り返ってみたところが、実施率も非常に下がったし、肝心の中小河川小規模河川改修がまた食われてしまって進まなかったということになるのではないか、こういうふうに実は思っておるわけでありまして、この面についてはひとつ思い切って予算をとっていただくようにお願いをしておきたいと思うのであります。  それから、直轄河川については、この第四次については、長期目標に対して四五%の整備率を見ておるようであります。ところが一方、補助河川については、建設省が整備すべきものは二二%、地方公共団体の単独事業を含めて二四%、これは長期目標に対する整備率でありますけれども、この点は、いま大臣が御説明なさったような予算の関係からいきますとはたしてこういうことになるかどうか、私はちょっと疑問があるわけであります。とりわけ、直轄でも補助河川でもそうでありますが、特に都市にある河川改修、これは相当これから思い切ってやってもらわなければならぬのではないか。いま大臣からも、川内川の改修がおくれておるように感じましたという率直なお話がありましたけれども、私どもはあそこへ行きまして、やはりそういう感じを受けたわけであります。私は新潟県の出身でありますが、新潟県も最近は、地震だ、水害だ、雪だという災害が多いのでありますが、しかし、何といっても台風の常襲地域といえば、私どもが今回見てきた鹿児島宮崎熊本、この九州が第一であります。それから四国ということになるでありましょう。こういう常襲地帯の、しかもあの銀座通りといわれる川内川、その川内川をまともに町のまん中を通しておる川内市、あそこの河川がまだああいう状態に残されておる、私はそういうような感じを持って実は見てきました。  この河川改修というようなものについては、災害予定という面を前面に出して、もっと集中的にできないものかどうか。災害の常襲地帯といわれるようなところについては、もっと政治の手厚い対策というものがどうしてなかったのだろうか、そういう私自身の反省も含めて見てきたわけでありますけれども、この計画によりますと、市街化区域については、相当あなたのほうでも今度は重点を置いて、一時間当たり五十ミリ程度の降雨にたえ得るような大体の基準で相当思い切った改修もやられる。河川の数や築堤の延長キロ程なんかも出ておりますが、どうも私は、まだ数字を並べただけにしかすぎないのではないかという感じがしてならないわけであります。ひとつ思い切った災害常襲地帯についての河川改修、それから特にその中でも川内川、それから都城の大淀川、それから熊本市の白川、典型的な都市のまん中を通しておる河川でありますが、本川といいますか直轄河川はまあまあだけれども、その支流、要するにそこに流れ込んでおる中小河川小規模河川は、見たところでは全く原始河川という状態だと私は思います。ちょうど昨年の千葉県の災害のときのあの原始河川と同じような状態が残っておる。そういうことを見て実ははだ寒い思いをしてまいりましたけれども、こういうものに対してもっと建設省として重点的な対策というものを、新しい五カ年計画の中にきめこまかく織り込んでいかなければならぬのではないか、そういう気がするわけでありますが、その面について、いま一度ひとつ大臣から決意を聞きたいと思います。
  25. 西村英一

    ○西村(英)国務大臣 前の計画ですが、総体が二兆五百億といっても、いままでわずか七割しか、あと三割も残っておるじゃないか、こういうようなことでございまして、これはまことに申しわけないのでございます。したがいまして、今度四兆何がしかの第四次計画をするに対しましては、その呼び声だけではなしに、初年度に相当その初項を大きくしなければならない。その初項が少なければ、あと四〇%も五〇%も上げようといったって上がらないです。建設大臣のつとめは、五カ年計画の策定について初年度をたくさん獲得するということであろうと私は思います。したがいまして、そういう意味で私もやりますから、どうか御協力をお願いしたいのであります。  中小河川と一口に言いますけれども、中小河川も、一般の中小河川と都市中小河川というものは性格が違うと思います。金のかかるのは都市の中小河川でございます。したがって、今度は直轄は四五にして中小河川は五五にするというけれども、都市の中小河川をもう少し攻めてみると、これだけでは都市の重要河川は治まらないのじゃないかという気が私もいたすのでございます。したがいまして、私も、いま米田さんのおっしゃるような気持ちで計画をきめるとともに、初年度も多くの予算をとるということを心がけなければならぬと思っております。  大体いままで経済第一主義でいったからこんなことになったのじゃないかと申しますが、それは過去はそうであったかもしれませんが、現在は政府といたしましても、経済第一主義ではやらない、やはり福祉第一主義でやるのだ、そういうふうに大体の姿勢もなっておりますから、その意味においてやっていきたいと思います。  おたくのほうの新潟県等も、中小河川がたいへん多いです。羽越災害で私も難儀をいたしましたが、まだまだ相当に悪いところがたくさんあります。というのは、新潟県は川が非常に多いからですね。やはりもう少し中小河川を直さぬと、新潟県あたりも油断ができないような気もいたしますが、どうかひとつ御協力のもとにやっていきたい、かように思っておる次第でございます。
  26. 米田東吾

    米田委員 なお、関係シラス問題とダム問題等を同僚議員がちょっとお聞きしますから、ここでもう一つだけ私、最後にお聞きしておきたいのでありますが、激甚法関係でございます。  これは建設大臣に直接お聞きするのもどうかと思いますけれども、きょうは大臣としておいでいただいておるのは建設大臣だけでございますし、砂田副長官も非常にお骨折りをいただいておりますので、御両者からひとつぜひお聞きしておきたいのでありますけれども、すでに有馬委員からも触れられましたが、今度の七月の集中豪雨と十九号台風との因果関係であります。これは私から申し上げるまでもないことだと思いますが、この因果関係というものを抜きにして気象現象だけでとらえて、いままでのものさしのように、集中豪雨については適用します、十九号台風については適用できませんというやり方は、政治家のやる行政としては私は通らないのじゃないかと思います。  御承知のように、集中豪雨の千ミリから千四百ミリぐらいの雨でもって、あの長崎熊本鹿児島宮崎地域はたっぷり水を含ませられた。そうしてわずか一週間たって台風十九号、これが大体八月の四日から六日であります。あの地帯に集中的に降ったのは大体四日の夜からでありますけれども、わずか一週間の間に台風十九号でまたどさんとやられた。ですから、特に鹿児島県、宮崎県、熊本県のある部分のシラス地帯といわれるようなところは、全くもう、何か来ればくずれる条件にあったということです。そういうところにやはり十九号台風も集中しまして、千ミリをこえる豪雨が見舞っておるわけであります。  こういう因果関係を考えますときに、これはいままでのものさしで、気象条件を一つのものとしてとらえていくとしても、適切な災害対策としては答えにならぬと私は思うのであります。何とかこれはやはり一つのものとしてとらえて、そうして国の適切な対策というものがしかれなければならぬのじゃないか。御承知のように、町村単位でもあるいは府県単位でも、財源というのはもうほとんどないので見ようもない。ですから、頼みとするのは、やはり激甚の指定をいただいて、公共土木についても、農業災害についても、中小企業災害についても、まず国のあたたかい手を求めておる。そしてそれを土台にして、県や町村がない金をつぎ込んで早く立ち直ってもらおうという手を打とう、そういうふうに思っておられるわけであります。ところが、集中豪雨についてはこれは適用になりますが、十九号についてはこれは局地激甚で見るだけだということでは、私はこれで一番ひどい目を見るのは、県の名前をあげて恐縮でありますけれども、宮崎県じゃないかと思います。こういうことでは、政治家としてのわれわれの仕事としては納得させることはできない。したがいまして、私は台風十九号も一つのものとしてこの激甚指定ということを考えてもらう必要が絶対にある、こういう感じを持っておるわけであります。これは災害調査に行きました与野党で編成しました調査団一致しての見解でございまして、先ほどの報告の中にも加えておきましたが、何とかこれは考えてもらえないものかどうか。これは大臣とあわせて副長官からぜひひとつ前向きの答えをいただいて、私は次の方に譲りたいと思うのです。
  27. 西村英一

    ○西村(英)国務大臣 米田さんの、また調査団の気持ちは十分わかります。わかりますが、いまの激甚災のたてまえが一気象ごとに、こういうことになっておるわけでございます。しかしながら、激甚災害にしました六月二日から七月二十七日の災害も、実は十三号の台風が中に入っておるのです。十三号の台風なかりせば、それを除けば、あるいはあやしいのです。しかし、激甚災にして補助をふやそうということは、各被災地が困っておるから、そういう気持ちでございますから、それを十三号も含めてやったのです。これはこれでもって、もうちゃんと一応は締め切ったわけです。したがいまして、今後十九号をどうするかということについては、これを新しい問題になると思います。私は、そう言いましたからといって、十九号をまた前のやつに引っくるめてということは、ここで申し上げるわけにはいきません。しかし、気持ちは十分わかりますので、これは今後いろいろ考えていきたいと思っております。一気象とは一体どういうことをいうのか、どれだけのインターバルがあったら、どれだけの期間のあれがあれば——しかし、それをずっと広めていけば一年間のものは全部ということになるし、いろいろの解釈がございます。しかし、激甚災にするという根本趣旨は、やはり非常に困っておって復旧できないから、これを何とかしてやりたいという法の趣旨でございますから、いろいろ今後研究してまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  28. 砂田重民

    砂田説明員 ただいま米田先生から、政治家としての判断という御質問でございます。たいへんつらい御質問であったわけでありますけれども、御承知のように、実は激甚指定をし終えました台風十三号を間にはさんでの梅雨前線豪雨、これも、実は気象庁が一度つゆ明け宣言をいたしましたあとまた梅雨前線被害があったわけでありまして、間にはさまった十三号というものも含めて、十三号台風がやはり梅雨前線を刺激をしたことによっての被害、こういう実は、先生のおことばを拝借して言うならば政治判断を、私はしたわけでございます。前段、後段二つに分かれていても、一度つゆ明け宣言をしてみても、昭和四十六年度のつゆというものは一つであるという同一気象条件のもとにおける災害、そういうたてまえから一括して激甚指定をいたしました。  それがただいまのお話のように、十九号を一緒にするべきだ、現地現地方々のお気持ちはまさにそうであろうと思います。梅雨前線による雨を含んでいる土壤が十九号の雨によって被害を受けた、かようなお気持ちに現地現地方々がなられるのは、私は十分過ぎるくらい十分わかるのでありますけれども、やはり激甚災害のこの法律のたてまえが同一気象現象に基づくということをたてまえとしてきておりますことは、これはどうも政治家の判断としてつき破れなかった壁でございます。激甚というものをこのままの形でいっていいものかどうかということはこれからの研究課題だろうと思いますけれども、そういう事情から十九号を別の激甚指定をしたわけでありますが、先ほど御報告いたしましたように、公共土木関係がはずれております。したがいまして、この点について先生御心配の県、市町村の財政事情もわかりますので、局地激甚の指定をできるだけはめていく。同時に、建設大臣もお考えになっておられようかと思いますけれども、御承知のように景気浮揚の公共土木事業を大いにやろうという時期でございますから、この新しい、政府が考える事業の中にも、こういった災害復旧の事業を取り込んでいく、こういう考え方で建設大臣も取り組んでおられるはずでございまして、裏の起債あるいは起債の元利償還等、あわせて市町村の財政に迷惑をかけないような措置をしていきたい。こういう意味では、私どもは前向きに取り組んでいきたいと考えております。
  29. 中井徳次郎

    中井委員長 それでは、関連しまして川村継義君。
  30. 川村継義

    ○川村委員 大臣、時間がたくさんございませんようですし、各党の割り当ての時間もございますから、一言お聞きをしておきます。先ほど有馬委員からお話のありました問題にも関連する問題であります。  大臣、この前南九州災害地を御視察いただいて、御苦労であったと思いますが、熊本のほうにもおいでいただいたのであります。おそらくそのときに大臣のお耳にも入ったと思いますけれども、球磨川水系の今度の水害、災害については、ダムの誤まった操作による災害、いわゆるダム災害ではないかという非難をたいへん浴びているわけであります。  そこで、あとで——大臣はあとではおられませんが、私、少し技術的な問題についてお尋ねしたいと思いますが、大臣にぜひ私から聞いておきたいと思いますことは、球磨川の上流の市房ダムは御承知のとおり多目的のダムであります。多目的ダムのこれは、市房ダムの操作規則によって動いております。これは、あなたのほうの特定多目的ダムの法律に基づいて、あなたの訓令第十号で市房ダムは規則ができて動いているわけであります。それらをずっと見てみますと、次のような結論が出てくるようであります。要するに洪水を調節する放流というものは、溢水の危険を予想した事前放流は認められない、こういう結論になるようであります。また別のことばで言うと、操作に当たっておる者が雨量に応じた操作はできない、こう解釈をせざるを得ないようでありますが、そのとおりに解釈してよろしいか。また、そういうような解釈をしなければ、大臣は、多目的ダムとしての機能は果たし得ないのだとお考えであるのか。今日のようなダム災害等についていろいろ問題が起こっているときであるから、このダム操作の規則を改定をして、人命、財産を守るということを優先的に規則改正をすべきであるとお考えでありましょうかどうか、その点を明確にひとつお示しいただきたいと思う。あとで私は、このダムのいろいろ現実に即しての技術的なことは、関係者にお尋ねをしてまいりたいと思います。
  31. 西村英一

    ○西村(英)国務大臣 私が現地へ行きましたときも、市房ダムのやり方が非常に批判を受けております。それで、ダムの管理につきましては、もう基本計画に基づいて、それぞれ関係者が合議してやっておるわけでございます。しかし、私にもはっきりわからぬところがだいぶありましたので、市房ダムの管理については一ぺん再検討したらどうか、こういうことを私は申し上げておる次第でございまして、結局その操作が悪いために県民の方々から少なくとも疑惑を持たれるというようなやり方はよくない。私がいろいろの地方の方の陳情を聞き、またこちらの言い分を聞いておりましても、納得ができないところもありますので、この市房ダムにつきましてはひとつ再検討をするように申しつけてあります。
  32. 川村継義

    ○川村委員 この市房ダムの今回の災害に基づく操作、これは私は、その管理に当たっておる職員の皆さんは、おそらく操作規則によってそのままやっていると思うのです。ところが、そのままやったのであのような事態が起こったということも考えられる疑点があります。そこで、どうしてもこれは、あなたのほうの訓令に基づくところのこの操作規則というものを、先ほど申し上げますように、人命を大事にする、財産を守ってやるというような——先ほどことばにあったような、電気が優先するようなものの考え方でなくて、そういう立場をのけて規則というものを改正しなければ、職員もどうにもならぬという問題があるのではないかと考えておるわけです。そういう疑問を持っておるわけです。そこで、いま大臣検討を命じたとおっしゃったのですが、その辺についてのお考えをいま一度、ひとつもう少し明確にお願いしたいと思います。
  33. 西村英一

    ○西村(英)国務大臣 私、明確に申したつもりでございますが、結局管理しておる従事員としては、やはりきめられたとおりにやらなければならぬ。しかし、さらにそれに——注意深く、こういう場合にはこういうようにしろというような一辺倒でなしに、その規定の中にさらに融通がきくようなそういうアローアンスを持たせれば、それはまたそれによってやっていくと思いますから、そういうこまかいところをこの規定の中につけ加えていくというようなことも一つの方法であろうと思っております。いずれにしても管理者は、ちゃんときめておればそのとおりやらなければならぬ。しかし、ある程度の権限をまかせられればそれでやるということもありますから、本件のみならず、さらに管理規定を十分一般的にも検討するし、ことに市房ダムは、ああいう疑惑を持たれておるということでございまして、十分検討し直そう、かように思っておる次第でございます。
  34. 中井徳次郎

  35. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 十九号と二十三号で百名をこすとうとい命がなくなったわけであります。それは中小河川はんらんあるいはがけくずれ、こういうことであって、先ほど米田委員のほうから基本的な問題については御質問があったわけです。これは本来、いま問われておる政治の構想力というか、そういう政治そのものの本質論の議論だと思うのでありますけれども、私は関連でありますから、これの基本的な点はまたいずれの機会におきたい、こういうふうに思います。  そこで、先ほど中小河川対策の問題について、大臣のほうからたいへん前向きの御答弁があったわけでありますけれども、シラス地帯の場合には、血管がゆるんでおる、そこにもってきて、たいへん砂が流れてきてたまるわけです。先ほど有馬委員のほうからも御質問があったわけでありますけれども、私は具体的に、大臣が今度現地をごらんになられて、あのシラスという特殊な地帯における中小河川という問題を考えた場合に——根本的な改善というところまでいくには、たいへん時間がかかるだろうし、金もかかるでしょう。そこで、さしあたっての問題として考えれば、いま中にすぐたまってしまう寄州や中州というものについてはこれを除去する。これは本来ならば、中小河川の維持管理ということは県の問題だ、こういうことになるかとも思いますが、今回の視察を通じて、この問題については、シラスの特殊地帯については除去の費用を特別に見るということについて制度化することができないかどうか、その点を大臣にお答えいただきたいと思います。
  36. 西村英一

    ○西村(英)国務大臣 制度化するかどうかということは、ちょっと意味がわかりませんでしたが、結局、中小河川はその位置する公共団体の長が管理しておるわけです。私はやはり全般的に見まして、市町村に川があるということは、市町村にとってはたいへんな宝でございますから、もう少し地方公共団体あるいは預かっておる市町村長あたりも、ひとつ川を十分愛するというか注意してもらいたい。維持管理をよくやってもらいたい。しかし、維持管理をやれといったって、なかなかそんな金がないじゃないかというようなことを申しますが、いま回ってみましても、昔と違いまして、まさかあそこにごみなんか捨てておるようなところはありません。昔は中小河川は必ず、何といいますか、ごみの捨て場であったわけですが、いまはそれがないのですけれども、もう少し管理をよくしてもらいたいというような気が、私はいたします。  それから、あまりほってあるものですから、いまあなたがおっしゃいましたように、中州だとか寄州だとか、これが川幅を狭めて、とにかく洪水のときは、もう容量が三分の一ぐらいにしかなっていないというところがあるのです。建設省としては、いままでは寄州、中州は改良工事の対象にしないという態度をとってきたのだが、これはもう維持管理の範囲を越えて改良工事の中に入れるべきだ、入れなければどうにもならぬというようなところがたくさんあるわけです。したがって私は、寄州でも中州でも、これは改良工事の範囲に入れるべきだ。だいぶ事務当局はそれはきげんが悪いのですけれども、それを入れなければ、もう維持管理の範囲を越えております。したがいまして、今後は中小河川の維持管理につきまして、地方公共団体の長もひとつ十分注意していただきたいとともに、よくなるまでは私のほうも何らかの形でひとつ力を尽くしたい、かように思っておる次第でございます。
  37. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 維持管理は、部落はもう過疎化で人が出かせぎに出ちゃって、実際にはもう部落で維持できないという状況なんですから、いまおっしゃられるように、改良工事としてこれはひとつ具体的に、事務当局の皆さんいろいろ御意見があるようだけれども、このことは直ちにやっていただくようにお願いしておきたい、こういうふうに思います。  関連でありますから、簡単にもう一点で終わります。住居移転の問題で先ほど質問があったわけでありますけれども、急傾斜地法、これは大臣が言われたとおりにあまり機能しておりません、正直に言って。これは四十四年法制定の際に、われわれもずいぶんこれを議論したわけですし、だからシラス対策の特別立法ということで、いろいろと関係県の者は集まって議論もしてまいったわけです。急傾斜地法に基づきます住宅金融公庫の貸し付け、住店移転については四十四年、四十五年ゼロという形で、実際には融資がなされていない、こういう状況のようでありますし、あるいは企画庁の管轄しております山村振興法、あるいは過疎法、こういうものによります集落再編成事業というものによっても、これは先ほど急傾斜地法について大臣がお答えになられたように、やはり基準があってできないわけです。実際の問題としては機能してこない。そこで、先ほど有馬委員の御質問に対して、たいへん前向きの御答弁もあったわけですけれども、私は融資による住居移転ということでは、これは正直な話、過疎地域においてはなかなかだと思うのです。  そこで、時間がありませんので、端的に具体的にお尋ねをしたいと思いますのは、つまり、がけっぷちにある、奥地のほうにおる、そういうふうな人たちの移転の問題について、これを公営住宅で見ることはできないかどうかということをお尋ねしたいと思うのです。
  38. 西村英一

    ○西村(英)国務大臣 鹿児島のようなシラス土壤のところでは、移転をするといってもなかなかたいへんだ。それはそれで前向きにやりまするが、できれば鹿児島等も、特殊のところにつきましては、公営住宅は、例年の例を破って、希望があれば来年度の割り当てをふやす、そして移住を促進する、こういうようなことも十分考えるわけでございまして、その点も、きょうは事務当局に話しておきました。いろいろ難点があっても、公営住宅を余分に割り当てれば、そこに入れるのじゃないか、こういうようなこともあわせて、きょうは事務当局に私は話したところでございまして、いずれにいたしましても、もう人命を失わないように——しかし、私は今度回りまして非常に感心いたしましたのは、熊本県の知事さんにしても鹿児島県の知事さんにしても、宮崎県の知事さんにしても、一人でも事故があれば困るということで、実に用意周到に避難をさせておったということで、私はたいへん感謝をいたしたのです。あれぐらいな災害がありまして、相当な人命が失われましたが、これが、先年の例に比べれば非常に被害も少なかったというふうに私は感じ取ったのでございます。一人でも人命を失わしてはならぬということに非常に気を配っておりましたので、情報を早くやるとかなんかして立ちのかせ、避難をさせておったことは、知事さんに対して、私は非常に感謝の念を持っておる次第であります。したがいまして、私もそのときに、思いつきじゃございませんが、もう夏になれば年々災害が起こるし、台風があることはきまっておるのだ。したがいまして、もう情報網が発達していますから、夏になる前に各戸ごとに、あなたのところは危険であるから、こういう場合には第一に避難をしなさい、こういう宣伝を少しすべきじゃないか、その宣伝の費用ぐらいは私のほうで出しますよ、こういうことも申したような次第でございまして、いずれにいたしましても特殊なところは、公営住宅の来年の割り当てをふやすというようなことも考えておる次第でございますから、どうぞ御協力のほどをお願いする次第でございます。
  39. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 関連を終わります。
  40. 米田東吾

    米田委員 終わりました。
  41. 中井徳次郎

  42. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 梅雨前線豪雨及び台風十九号による災害対策について、建設大臣並びに大蔵省当局に質問をいたします。  梅雨前線豪雨及び台風十九号による災害について被害状況調査のため、去る八月十三日から一週間、九州の熊本をはじめ長崎鹿児島宮崎と四県を、私も調査員の一員として回ってきたわけでございます。大臣もその節九州に足を運んでいただいて、各県とも感謝をいたしておるわけでございますが、今回の災害調査各地の現状を見ましたときに、さっきからも若干話が出ておりましたように、特に痛切にいまさらのごとく感じましたのは、中小河川等の最近の治水対策が、道路住宅等国土開発施策に比して国民的関心が少なく、政治の手も著しく後手となって、治水を忘れた開発というものが大いに反省をされ、そしてまた、国土開発はこの治水から始めねばならないということを、私もまた再認識をしたわけです。治水政治の原点であるという認識が何よりも大切であるということで、各委員ともいろいろと懇談をいたしたわけでありますが、中小河川改修について重点的に私、調査員の一員として質問をすることにいたしております関係から、これにしぼって質問をいたします。  今次災害中小河川災害が、調査の結果各地でたいへん被害が著しかった。そのために各県側も、これが対策について真剣に訴えておるのも事実でありまして、政府は、今次災害でこのような中小河川、いわば忘れられておるような状態にありました中小河川小規模河川等について、どのようにまず大臣は反省をしておられるか、またこれが復旧に要する投資のための予算、基本的方針等について、今回の集中豪雨台風十九号についてひとつ見解を承りたいのであります。
  43. 西村英一

    ○西村(英)国務大臣 中小河川改修が非常におくれておるということは、ただいままでいろいろ私が申し述べたとおりでございます。その原因はいろいろございまするが、やはり土地が狭いものだから、とかく中小河川のところは狭められて、土地造成をやられるとかなんとかいうことでますます悪くなっておる。そのわりにまあ予算が少なかったというような、いろいろなことで中小河川に対する被害が非常に多いのでございます。したがいまして、新五カ年計画でもその点につきまして重点を置いてやっていきたいということは、前にも申し述べたとおりでございます。さいぜんも申し述べましたように、中小河川といえば非常に数もたくさんございまするが、今後は予算の面からいきましても、それから実行の面からいきましても、重点的に中小河川を取り上げてみたい。直轄河川はいままで非常に力を入れましたので、今度の災害を見ましても、おかげさまで直轄河川は、堤防決壊してはんらんしたというような例は少ないけれども、中小河川は至るところ災害を起こしておるということでございまするから、十分その点は認識いたしておるつもりでございます。
  44. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、建設省は、去る八月二十七日に第四次治水五カ年計画の内容等を明らかにしておられますが、この第四次治水五カ年計画の中で、中小河川改修のウエートというものをどのように考えておられるか。また今次災害を見られまして、引き続き二十三号台風も来たわけでありますが、現状をいろいろつまびらかに調査してみましても、全国的にかなりの被害を受けつつありますし、そういったことからどのように検討されておられるか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  45. 西村英一

    ○西村(英)国務大臣 前の計画ですと、河川改修にしましても直轄河川のほうに相当ウエートがかかっておりましたが、今度の新しい改定の五カ年計画におきましては、予算面からいきましても、むしろ直轄河川よりも中小河川のほうにウエートを置き、直轄河川が四五%で中小河川は五五%くらいにしたい、前の計画と全く逆に振りかえてやると、こういうような気持ちをもってやっております。
  46. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いま、中小河川は直轄河川と逆に振りかえて五五%のウエートをもってやりたいということでありますが、この中小河川対策については、これはおそらく五五%ではまだ追いつかぬのじゃないかと思います。いずれにしても今回の災害早期復旧とともに、今後の国土保全の上から、中小河川に対してさらにひとつ意欲的に取り組んでいただきたい、かように思うわけです。  次にお尋ねしたいことは、政府は第四次治水五カ年計画の策定にあたっては、特に中小河川改修に重点を置いていただきたいと同時に、これが総花的になりますと、従来よりも、五五%のウエートを置いてやられても、結局はまた同じことを繰り返す。今回の災害調査で見ましても、改修ができた部分については、ほとんどといっていいほど被害を受けておりませんが、未改修部分がほとんど災害にあっているという現状から見まして、また大臣もつまびらかに見ておいでになったわけでありますが、総花的な施策でなく、経済効果にのみとらわれず、災害個所に対しては重点的な投資をひとつ行なっていただきたい、このように配慮をしていただきたい、かように思うわけであります。この点について大臣の見解を承りたいのであります。
  47. 西村英一

    ○西村(英)国務大臣 中小河川改修については、経済効果のみを考えてやるつもりはございません。これは、河川改修から申しまして必要なところからやっていきます。ただ、いまあなたがおっしゃいましたように、改修のところは比較的いいではないか、未改修のところがやられておる、そのとおりでございます。もう少し手を入れておったならば農地も助かったのだという。やっていないから、未改修のところで堤防が破壊したというようなところがたくさん多いのでございまして、したがいまして、改修を少し進めればずっと被害は少なくなると思っております。  もう一つ感じましたことは、中小河川に橋がかかっておりまするが、どうも橋のところが問題でございます。ずっと水が出ますというと、必ず橋のところでこわれておって、そこには必ず人家があるというようなことで、いわゆる橋梁を気をつけなけりゃならぬと思っています。中小河川にはわりあい橋梁がたくさんあります。聞きますと、極端なことを農民の方が、町民の方が言うのは、近ごろは永久の橋梁ができて困ってしまう。木橋があったならば流れてしまうのだけれども、永久橋があったら流れぬ。だから困る。そこでもってダムアップするわけです。それはなぜかというと、結局、川の中に支柱を立てなくても済むところがやたらにスパンを短くして、橋梁費を少なくするためにやたらに支柱をたくさんつくっておくから、そこで水害のときにものがひっかかるのです。したがって大きな力で押されるから、木橋ならすぐ流れてしまうから、木橋のほうがいい。こういう逆なことを言い出しておるのは、橋梁をかける技術について考慮しなければならぬということです。願わくは、いま技術が発達していますから、少々の川は中に支柱を立てずにワンスパンで飛ばしなさい、こういうようなことを私は言ってきたのでございまして、やはりあなたがおっしゃいましたように、未改修のところが悪い。そこでもって必ずやられておる。橋梁のところを気をつけなさい。橋梁というところは川ではくせ者だ。したがって、そこで被害が起こらないようにしなさい。こういうようなところをべっ見してつくづく感じたような次第でございまして、今後一日も早く中小河川改修したい。非常に個所が多いので、あちらこちらたくさんありまするから、集中的にというわけにはいきませんけれども、できるだけ早目にひとつ改修をしたい、かように考えておる次第でございます。
  48. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ここで大蔵省に一点だけ、関連してお伺いいたしますが、先ほどから大臣から答弁がありましたように、昭和六十年を目標にした長期治水構想を立て、これに基づく四十七年度からの新五カ年計画を発表されて、長期計画によれば、これからの十四年間に三十六兆円という膨大な計画を立てておられますが、これについて、いま各省とも概算がまとまって政府にも要求しておられるし、またこれは長期にわたるビジョンでもありますが、大蔵省としてのこれに対する財政的な御見解を承っておきたいのであります。
  49. 藤井直樹

    ○藤井説明員 お答え申し上げます。  四十七年度予算の要求は本日からお伺いしているところでございますが、第四次治水五カ年計画の策定の問題も、これからその内容をお伺いして検討いたしたいと思っております。治水五カ年計画の第三次は、四十三年度にできまして、五カ年間で、まだ四十七年度まであるわけでございます。その辺も考え、それから全体としての他の公共事業の五カ年計画のその他の事情も考えまして、第四次計画については、最近の災害その他の実態の変化によりまして相当変化している部面もありますので、そういう点も考えに入れて検討いたしたい、こう考えておる次第でございます。
  50. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大蔵省当局としては、最近の変化している状況もあるから相当勘案して検討したいということでございます。当然そうだと思いますが、せっかくの計画でありますが、われわれはこれで五カ年計画は十分と思いませんけれども、財政的裏づけなくしては、この五カ年計画も絵にかいたもちということになるわけでございますので、どうかひとつ建設省当局も、大蔵省との折衝にあたり強力にこの計画を進めていただくと同時に、大蔵省もひとつ国土保全の上からも、今次災害の続発に際して地域住民がいろいろとたいへんな迷惑をこうむっておりますので、その点の財政措置を特にお願いをする次第でございます。  次に、大臣の時間の制約がございますので……。  全国的に中小河川災害の危険区域というのがたくさんあるわけですが、これは十分把握もしておられると思いますけれども、中でも梅雨前線豪雨、今回の台風十九号による激甚災害を受けた、特に九州でございますけれども、われわれが調査をいたしました中で、個所もたくさん参りましたが、その若干の例を申し上げますと、長崎県の対馬の比田勝川、島原半島の有馬川、熊本県の白川、球磨川、また小川町の砂川とか、鹿児島県の阿久根市の尻無川、串木野市の五反田川宮崎県都城市の梅北川、そのほかにもいろいろあっちこっち見てまいったわけでございますけれども、こういったいわゆる中小河川が今回は著しく災害を受けておりまして、地元地域住民はたいへんな苦渋をなめておるわけでございます。こういったことで、今回台風十九号及び集中豪雨によるところの中小河川査定の結果と、それから、がけくずれまたは治山対策をあわせた中小河川改修が特に必要であるというような改修対策について、どのようにお考えであるか、大臣の御見解を承っておきたいのであります。
  51. 西村英一

    ○西村(英)国務大臣 ちょっと最後の質問のあれがわかりませんでしたが、大体全国的に中小河川の整備の状況を申しますと、整備しなければならぬ改修の延長が全国で三万九千キロくらいありまして、四十六年度末で、前の計画であると、そのうちで約六千キロくらいは直す。進捗率は、河川の延長で申しますと一五%くらいということでございます。  それから、あと十九号のことをお尋ねになりましたが、それをもう一ぺん——あとの問題を私ちょっと聞き漏らしましたが……。
  52. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 今回の集中豪雨台風十九号等によって、われわれは今回調査現地でいたしたわけでありますが、現在二十三号の被害も、さらにまたダブってきている一部もございますけれども、特に今回の調査で、長崎県の対馬の比田勝川とか島原半島の有馬川、熊本小川町の砂川白川、球磨川、あるいは鹿児島阿久根市の尻無川、串木野市の五反田川、あるいは宮崎県の都城市の梅北川、こういったところをあちこち見まして、被害状況が甚大であったということから、こういった河川に対する査定も終わっておると思うのですが、その査定の結果、どのようにこういった対策を立てておられるか。早急に改良復旧あるいは工事を施行するということで着工しているところもあると思いますが、そういったことをお尋ねしたいのと、さらに、こういった河川改修対策について今後早急にやっていただかなければ、また再び、次々に台風シーズンに入って災害が起こるというようなことも懸念されますので、こういったことについて、大臣としてはどのような見解を持って対処しておられるか、こういうことでお尋ねしたわけであります。
  53. 西村英一

    ○西村(英)国務大臣 この激甚災害指定を受けましたところにつきましては、調査が済みましたので、これもそれぞれの市町村と打ち合わせて改修にかかっております。十九号の災害個所、これは目下査定官をやって早く査定をするようにということで、これも早急に査定が終わると思います。  この二十三号は、まあこれは台風が通ったばかりでございまして、現地としてはまだてんやわんやでありまして、調査員を派遣する段階に至りません。現地が落ちつけば調査員を派遣して——いまそちらに行っても、向こうではそれどころではなくて、いろいろ片づけがありますからじゃまになりますので、一応現地調査員を受け入れるという段階になれば、調査員を直ちに派遣するつもりでございます。  災害早期復旧せよ、これはどこに行ってもそういう声でありまして、もっともなことでございます。あなたの御質問もそういうことであろうと思いますが、いままで災害復旧について、習慣として、予算上の措置として四年で復旧をする、急ぐものは三年でやる、こういうふうに言っております。これは何も法規できめてあるものではありません。ずっと前は、一般災害は五年、急ぐものは四年、こう言っておりましたが、だんだん河川が直ってきますので被害も少なくなりました関係もあるし、いろいろ大蔵省とも打ち合わせまして、だんだんその率をふやしていきまして、ようやく現在の制度は四年でやる、急ぐものは三年という制度になっておりますが、この災害が四年もかかるのか、こういうような感じを非常に持ちせておるのであります。  実際面は、もう四年目には金はわずかしか残っていないのであります。したがいまして、これは一般的には三年で災害復旧をやる、急ぐものは二年、当該年度と翌年でもって大体は仕上げるんだ、こういうような、これは制度ではありませんが、こういうようなことでいきたいということで、先般私は閣議で発言をいたしまして、皆さん方の御了承を得て——実際、現在は四年目になるとほとんど、もう何%くらいの金しかいっていないわけで、大部分は三年で仕上げておるのでありますから、大蔵省においてもそう無理なことではないと私は思っております。ことに、災害があってから四年もかかるのかというような国民感情を持たせることは実際よくないことだと思っています。実際はそれ以上にずっと進んでおるのです。しかしこれは、本日は砂田さんもおいでになっておりますが、防災会議の了承を一応とりたい、しかる後にそういう措置を一般的には発表したいというのでございますから、実質的には三年、急ぐものは二年——実際二年が災害復旧の山です。二年でもって大部分はできなければならぬです。改良その他を加えますときにはやはり多少考えなければなりませんから、三年ということを言うのでございますが、一般的には二年、これが山でございまして、そのようにいまやっておるのですから、早期復旧するという姿勢を今後でもとっていきたい、かように申し上げる次第でございます。
  54. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大臣から、急ぐものは二年で早期復旧するということで、心強い決意が述べられましたが、ぜひそうやってほしいし、年度内に着工して年度内にこれが完成する必要がある向きもありますので、そういった面で格段の配慮をしていただきたい、かように思うわけでございます。  もう一点大臣にお伺いいたしますが、今回の調査で大臣も現地を見られて、現地でもいろいろお話しになっておるやに聞いておりますけれども、各県においてほとんどというものの中小河川は、原形復旧ではなく、改良復旧をしなければならぬという実情でございます。また、各県もそれを望んでおります。  時間の関係で一々例をあげる時間がございませんが、現地状況を詳細に調査しましても、先ほどから話がありましたように、橋梁の取り付け部分だとかあるいは未改修地点だとか、こういったところを見ましても、原形復旧はとてもできない、再び災害を受けないためにも、どうしても改良復旧をしなければならぬ、こういうふうに思うわけであります。こういったことについて大臣の基本的なお考えを承っておきたいのであります。
  55. 西村英一

    ○西村(英)国務大臣 もちろん原形復旧、これは意味のないところでございまして、おおむねいままでも、やはり原形復旧をやれるようなところは少ないのです。やはり直す場合には、改修をする場合には改良復旧を加えてやっておるところが大部分でございまして、御説のような態度で改良復旧を加えてやっていきたい、かように考えておる次第でございます。
  56. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間があとわずかでございますし、大臣も用件のために退座されるそうでありますから、一点要望を申し上げておきたいと思います。  先ほど砂田総務副長官からも報告がありましたように、台風二十三号による被害は——九州はダブルパンチを受けたわけで、さらにまた二十三号の被害を受けたわけであります。九州、四国、中国、近畿をはじめ関東一帯が受けたわけでありますが、砂田総務副長官からも、調査が終了次第早急に連絡会議を開くということで、まあ当然のことでありますが、特に今回の台風二十三号についても、従来の十九号と一応同じことが言えるわけでありますけれども、激甚災害指定天災融資法の早期適用災害早期復旧並びに緊急査定の実施、中小河川の改良工事の促進、緊急治山事業の実施、さらに中小企業に対する税の減免措置地方公共団体の財政負担に対する特別交付税等の財政措置、こういったことを特にひとつ御配慮いただきますように、大臣にもお願いをする次第であります。被災地の皆さん方がどうかひとつ早く立ち直りができますように重ねてお願いをして、私の質問を終わります。
  57. 中井徳次郎

  58. 坂元親男

    坂元委員 去る集中豪雨、十九号台風につきまして、当局からも、指定の問題だとかあるいは査定の問題とかいろいろ御配慮をいただきました点につきまして、感謝を申し上げておるわけでありますが、さらに、ただいままでいろいろ質疑がございましたので、時間の制約もございますから、与えられた時間内に簡単に二、三の点について御質問を申し上げたいと思います。  まず、気象庁にお尋ねをいたしたいと思いますが、最近いわゆる異常気象というものがたいへん多発いたしました。この異常気象の出方もまた、いろいろ毛色が変わっているように思われるわけでありますが、このいわゆる異常気象というものの種類別にその原因について、気象学的にもあるいは統計の上からでもけっこうでありまするから、気象庁が認識しておられる面、判断、あるいは研究の結果、そういうものについて簡単にお伺いをいたしたいと思います。
  59. 高橋浩一郎

    高橋(浩)説明員 ただいまの点についてお返事いたしたいと思います。  異常気象と申しましてもいろいろな種類がございますので、なかなかむずかしいのではございますけれども、こういうような異常気象が起こりますのは、気象学的に見ますと結局大気の大循環と申しますか、地球全体の流れが長い期間に変わるというようなことが原因で起こるのではないかというように思われるわけでございます。過去のいろいろな記録を調べてみますと、異常気象というより気候そのものが、長い期間に変わってくる傾向がございまして、たとえば気温などで申しますと、大正の初めのころは低温でございまして、明治の初めのころは温度が高くて、大体七十年ぐらいで高い時期と低い時期が繰り返している、そういうような現象がございます。それと同時に、この災害の問題で申しますというと、台風が一番大きい原因になるわけでございますが、その台風の強さを見てみますと、大体そういったような気温とかなり並行な変化がございまして、戦後非常に暖冬が続きましたが、そのころ非常に著しい台風が来たわけでございます。  それからその次に、最近でございますと集中豪雨が問題になりますが、そういった面から見てみますと、これは雨の量と申しましょうか、これが関連があるわけでございます。これにつきましては、いわゆるブリュックナー周期と申しましょうか、三十五年ぐらいの変化がございます。昭和十四年ごろまでわりあい少なくて、それから戦後多くなりまして、数年前から申しますと、幾分少ない時期でございましたけれども、さらにふえていく、こんなような状況でございます。  大体そんなようなことでございまして、やはり異常気象と申しましても種類が違います。それで、やはり原因別に調べなければいけないのでございますが、この点、学問的にもその原因は、なぜ起こるかという根本にさかのぼりますと非常にむずかしい点がございまして、最近の状況でございますと、さらに人間の活動の影響がそういうものにきいてくるのではないかというような考え方もございまして、なかなか原因につきましてははっきり申し上げられないのでございますけれども、異常気象の変化といいますか、先ほど申しましたような状況になっておるわけでございます。
  60. 坂元親男

    坂元委員 その原因等について的確な把握がきわめて困難だと思いますが、異常気象が起こってくる近因だとか遠因だとか、これはある程度予測もできるような体制の整備というものがたいへん必要だと思うのですけれども、この異常気象に対するいわゆる災害防除の体制というものについて、現行どうなっておるのかということをお尋ねをいたしたいと思いますが、さらに気象庁のほうで、たとえば海洋気象だとか航空気象だとかあるいは農業気象観測だとかそういうことは、きわめて大事な予測、特に災害防除、予防に対する体制の上からもたいへん必要だと思いますけれども、行政機構の改革で行政管理庁が策定いたしました、そういう気象観測に従事する人員の体制とかあるいは機構の整備というものについてどうなっておるのか、その点も簡単でけっこうですからお知らせをいただきたいと思います。
  61. 中井徳次郎

    中井委員長 坂元さん、ちょっと失礼ですが、私もちょっと聞きたいのですが、具体的なことですけれども、一昨日から昨日にかけまして四国の室戸岬のほうまで来ました台風が、一時播磨灘へ出た。どこかへ行くえ不明になっちゃって、しばらくしたら大阪の上空にあらわれた。私はテレビを絶えず見ておりました。しばらくしましたら、今度は和歌山の田辺に上陸して三重県へ来て、それから愛知県へ来て、ずっと東へ行って静岡県を通り神奈川県へ行って、房総半島へ抜けた。途中であの二、三時間、どちらに台風があるのかわからないというふうなことがございました。  ああいうことにつきましては、それはいわゆる気象のことでありますからわからぬでしょうけれども、誤りなら誤りであったとか、これはこういう見違いであったとか、これはこういうことでありましたとか、そういうあとからの説明を全国民におやりになることが非常に重要じゃないか。みんな何も、気象庁が悪いとかいいとか、そういうことを聞いておるのではありません。ただ、途中で行くえ不明になっちゃって、さあここへ出てきた。どろぼうを追っかけているようなもので、あの辺のところは、やはり私は長官としては、きょうこういう席でもおかりになっておっしゃる必要があるのじゃないか、かようにも思いますので、坂元さんの御質問と同時に、私がお尋ねいたしますこと等についても御回答いただければ、非常にありがたいと思います。
  62. 高橋浩一郎

    高橋(浩)説明員 ただいまの御質問に対しまして、まず最初に、委員長のほうの御質問が簡単かと思いましてお答えいたします。  実は台風が行くえ不明になっておると申しますか、あれは、台風が陸地あるいは島にひっかかりますとよく起こる現象でございまして、台風中心が、陸地の影響で幾つかに分裂するようなこともあるわけでございます。それを追跡いたします場合には、台風の個々の中心と申しましても、気圧の一番低いところを普通中心といっておるわけでございます。たとえば島の陰で風下になりますと、それは気圧がございますからそこでずれるわけです。しかし台風全体は大きな渦でございますので、そういう面の中心と申しますと、それはいわゆる気圧の低い中心と必ずしも一致しないわけでございます。そういった点を追跡していけば、予報そのものにつきましてはあまり差しつかえないわけでございまして、そういう意味で、予報的な見地から申しますと差しつかえないのでございますが、あるいはそういったような誤解と申しましょうか、おかしな面を皆さまお感じになったかと思いますけれども、予報とかなんとかそういう面では差しつかえないのでございまして、そういうことで一言申し上げておきます。  次に、坂元先生のほうの御質問にお返事いたしたいと思いますけれども、異常気象は問題がございますので、これを解明するにはいろいろな面がございますけれども、一つは学問的に調べるということ、それからもう一つは、これは異常気象と申しましても世界的な規模で起こることでございますので、そういう面で検討していく必要があるかと思います。この面につきましては、世界監視計画という計画がございまして、これは世界気象機関で設定したものでございますが、日本もその中でアジアの一つのセンターの役割りをしておりまして、そのほうでいろいろ材料を集める、こういう計画を現在進めておりまして、その中の一環といたしまして、たとえば気象衛星を上げるというようなことも進んでおるわけでございます。それが第一点でございます。  次に、観測と申しますか、その辺が、今回の行政管理庁から示されておりますような人員削減の計画もございますけれども、これは気象庁といたしましても政府の一機関でございますので、やはり従わざるを得ないので、その面に沿って考えなければいけないかと思っております。ただしかし、その場合には、やはり観測をたとえばテレメーター化するというような問題もございますので、そういうふうにいたしまして、観測をむしろ従来よりもさらによくしていくというようなことを考える必要がございますし、また、さらに人員的に考えてみましても、新しいいろいろな仕事を考えていく必要がございますので、そういう点では別に人を要求いたしまして、そういう面で、全般的にはむしろ従来よりも気象の仕事をよくいたしまして、国民の皆さまの御期待に沿えるようにしたい、こう考えておる次第でございます。
  63. 坂元親男

    坂元委員 ただいま観測体制についてのお話があったのですが、気象庁の観測体制というのはある程度近代化され、整備されておると思っておりますけれども、日本各地にありまする気象台あるいは観測所、そういうところにおきましては必ずしも体制というものが整っておらないのじゃないか、こういう感じがするわけでございます。たとえば観測をする時間等につきましても、人手が足りないからたいへん簡略化されておるというような実態もあるように実は承知しておるわけでありますが、気象庁として、この気象観測体制の整備というものについて明確な考えを持っていらっしゃるのか、現状でいけないという点をはっきり認識していらっしゃるのかどうか。もう一ぺんひとつお願いをしたいと思います。
  64. 高橋浩一郎

    高橋(浩)説明員 ただいまの観測の点でございますけれども、これは大きく申しますと二つの面があるかと思います。  一つは、天気予報を出します場合には天気図を作成するわけでございます。この場合の観測点というのは、これは世界気象機関の中でそういったような観測点の配置の基準などがございますけれども、それで申しますと大体百五十キロに一カ所、そういうような間隔でやるのがスタンダードである、そういうような勧告がございます。そういう点から申しますと、日本の場合におきましてはそれを十分に満足しておりまして、それよりもいい状態でございます。したがって、そういう面では現在の観測綱で大体十分かと思います。ただ問題は、海上というようなところは問題がございますけれども、陸上につきましては大体それで十分かと思います。  しかし、それで十分であるかと申しますと必ずしもそうは言えないわけでありまして、特に集中豪雨とかこういうような問題になってまいりますと、それではもちろんいけないわけでございまして、そういう面ではこまかい観測が必要でございます。それには、現在は普通の気象庁の観測以外に農業気象観測というものもございますし、それから特に雨を通報する観測所とかそういうものがございまして補っております。  それから、さらにもう一つ大事なのはレーダーでありまして、そういうこまかい観測がございましても、やはり山や何かの場合でございますと置けない場合がございます。そういう点では、やはりレーダーを活用するのが一番かと思うのでございます。レーダーにつきましては、昭和二十八年ごろから展開が始まりまして、現在では十七カ所ほどできております。大体全国ほぼカバーするわけでございます。ただ、そのレーダーの観測にいたしましても、従来でございますと大体一日に四回観測をいたしまして、それで特に集中豪雨が問題になりますようなときにつきましては臨時観測を続けるというような状態でございましたのですけれども、それでは不十分なので、昨年度あたりからさらに人員をふやしまして、一日さらに八回観測をするというような、そんなふうにだんだん持っていきましてそういう点を補っていく、そういう考えでございます。
  65. 坂元親男

    坂元委員 予測それから伝達ということはきわめて大事なことでありますが、災害が起こってからのいろいろな活動につきまして、今回の十九号台風等によりましては、たとえばヘリコプターだとか、あるいは警察あるいは地元消防団の非常な活動が災害最小限度に食いとめた例が少なくないわけでありますが、自治省お見えになっておりますか、消防の担当でもけっこうです。——それでは、お見えになっておらなければあと回しにいたしたいと思います。  次に、先ほど米田委員からもお話ございました線について、私は強い要望を申し上げたいと思いますが、今回の集中豪雨あるいは十九号台風、これが次々に短期間のうちに参りまして、そして集中豪雨の点につきましては激甚法指定適用されました。これらの関係につきましては、先ほど建設大臣からも副長官からも御答弁をいただいたわけですけれども、いろいろいままで御答弁をいただきました中で、因果関係について、これは必ずそういう形になっておるということを認めざるを得ないわけでありますが、実際に被害を受けた現地では、これは結果から見ますと同じでありまして、別々に切り離すということはきわめて矛盾があると思うわけでございまして、気象そのものが発生するからこういう法律ができておるのだという感じすら否定できないわけでございます。やはり生命財産——これは個人の生命財産もそうでありますが、国家的な立場に立ちましてもこれはきわめて大事な問題でありますから、法律の関係からこういう取り扱いについてきわめて困難だとか、あるいは拡大解釈等はもうできないのだというようなことでなしに、米田先生からもお話がございましたように、政治家の立場として、こういう問題に対する救済的な方法はないのかどうか、こういうことを感ずるわけでありまして、私は、これは当然結果から見てそういう措置を講ずべきであるということを、関係当局に強く要望をいたしておきたわけでございます。  かりに宮崎の場合を申し上げますと、集中豪雨が来てかなりの雨を降らした。そのあとに十九号台風が参りまして、一千ミリ以上の雨をさらに持ってきた、そういう個所が七カ所もある。これは一週間以内の間にそういう災害が連続して起こった。結果は同じような、前の調査がまだ済まないままにあとの災害が来たということでございますから、特に副長官に、そういう取り扱い上の改善について強く要望を申し上げておきたいと思うわけでございます。  次に、林野庁の関係について二、三申し上げたいと思います。  今回の集中豪雨、十九号台風災害が、特に山の関係に多発した、しかも国有林に非常に多発をしたという現実があるわけでございまして、したがいまして人家の被害あるいは農耕地の被害、あるいは市町村道、県道、そういうものに対する被害の個所数というのは非常に多いわけでありますが、これを被害者のほうからいいますならば、国有林は加害者であるというような見方も成り立つわけでありまして、いまそういう被害を起こしておる地域における国有林を管轄、所管していらっしゃる林野庁は、こういう災害を及ぼしておる、そういう災害に対しましてどういうふうに受けとめていらっしゃるか、その点をお聞きいたしたいと思っております。
  66. 松本守雄

    ○松本説明員 お答えいたします。  林野庁としまして、民有林の指導と国有林の経営をやっております。いずれの面におきましても保安林の行政を強化いたしまして、そういった災害を起こさないように、森林の取り扱い方の不適正なるがゆえの災害を起こさないようにいたしておるつもりでございますが、ただ、異常な気象条件の場合には、森林の持つそういった保全機能を越える力が加わる場合がございます。そういう場合にはときどき災害をもたらすということでございまして、従来森林の取り扱いにつきまして、国土保全ということと材木の生産ということを絶えず頭に置きながらやっておるつもりでございますが、万一これが、国有林の不適正な山の伐採方法によりまして起こった場合は、これは国家賠償法によりまして賠償しなければいけないと思いますが、従来はそういう例はございませんし、ただ、国有林が地元の経済とともに繁栄をするといいますか、地元と協調を保ちながら経営を進めていくということを考えますと、見舞い金ということを、これはほんの気持ちだけでございますが、ある発生をいたしました部落に対しまして支出をする、あるいは個別の被災者に支出をするという場合もございますし、またそういった災害が起こって地元の要望がございますと、国有林の持っております機材、労働力、そういうものをその場所に派遣をいたしまして、復旧が一日も早く行なわれるように協力もいたしておるつもりでございます。  以上でございます。
  67. 坂元親男

    坂元委員 期待をいたしておりましたような御答弁をいただきまして、たいへんありがたく思っておるわけでありますが、私が現地において、営林署等を回ってこれらの問題を相談をいたしました際に、地元の被害を受けた、そういう被害を及ぼした営林署の人たちも、いまの長官の見舞い金のようなもので見てほしい、これをもう少し増額してほしいという要望もずいぶんございましたので、このことはさらに私からもお願いを申し上げますが、ぜひひとつそういう方向で今後、十分とは言えなくても見ていただきたい。特に個人の農耕地に対する、土砂くずれで農耕地が埋まったとかというものに対しましては特別の配慮をしていただきたい。と申しますのは、山のすそのほうで、特に国有林の地域で生活をしておる農業者、あるいは林業を兼業しあるいは山の労務者として働いておるような人たちの農耕地というものは、これはごく狭小でありますけれども、しかし、その所有価値というものは非常に高いわけでありまして、そういうものがたくさん、あちこちに被害をこうむっておるということにつきまして、いまのような見舞い金のような程度でもけっこうでありますから、ひとつめんどうを見ていただきたいと思います。宮崎県の黒木知事がさっき申し上げました点でも、この予防治山の事業をどんどん積極的に進めていただきたい、こういうことも申しておるわけでありますので、特に私どもの県は国有林が大部分を占めており、その山の周辺、山の中、そういうところにはたくさんの農林業に従事しておる者もおるわけでありますから、特にお願い申し上げたいと思うわけでございます。  次に、災害時における消防団の活動。警察はこれは当然でありますが、今回の災害で、あるいはキャンプ場だとか海水浴場だとか、あるいはその他のところで、消防あるいは警察の誘導等によって、あるいは強い指導によって難を免れた例が少なくないのでありますが、消防団が活動する場合に、従来多少の手当というものが支給されておったわけでありますけれども、特に災害時における活動というものは、いわゆる危険手当というような意味における手当というものが必要ではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、これに対する増額について消防庁、あるいは自治省からも、見えておれば、ひとつお答えを願いたいと思います。現在どういうふうになっておって、そういう危険に瀕しながら活動する人たちに対する特別な危険手当的な手当というものの増額、そういうものは考えられていないのかどうかということをお尋ねいたしたいと思います。
  68. 青山満夫

    ○青山説明員 消防団の手当につきましての御質問でございますが、従来消防団の手当につきましては交付税において措置いたしておりまして、現在は水、火災あるいは警戒あるいは訓練その他出動いたします際の出動手当といたしまして、一回につき一千二百円ということで算定いたしまして、それにつきまして、延べ二千人分といたしまして一応算定をして交付税に算入いたしております。これを財源といたしまして、各市町村におきまして条例をつくりまして、条例によって各団員に支給をしているということになっております。  従来この手当につきましてはかなり額が低かったわけでございまして、四十三年、四十四年当時は五百円、また四十五年に七百円、本年に一千二百円に値上げをいたしました。ただ、御指摘のように非常に危険な業務に従事する関係もございまして、私どもといたしましては、この団員に対する報酬とそれから出動の際の手当につきましては、その額並びにその回数等につきまして今後ともさらに引き上げまして、団員に対する十分な手当にいたしたいというふうに考えております。
  69. 坂元親男

    坂元委員 了承をいたしました。  さらに、先ほどいろいろ質疑が行なわれました急傾斜地帯の対策につきまして要望を申し上げておきたいと思いますが、これは危険な個所が一万三千三百カ所もある。そして指定をしてあるけれども、これに対する対策が現に行なわれておる個所というのは、まことに少ないようでございます。危険個所が一万三千カ所あって、私の調べでは二十九万戸もそういう関係のところに人がおるようでありまして、これは予算の関係だろうと思いますけれども、こういう状態でありますから、常に災害は、絶対安全でないということがもう前提でありますから、いろいろな事情でこの移転ができないとかそういう点につきましては、有馬先生からもお話がございましたので、どうしてもそういう地域に住んでおる人たちの保護の立場からも、そういう危険指定個所をもっともっとふやして、早急にこれを措置していただきたいと思うわけでございます。先ほど大臣からもお話がございましたように、全国でわずかに千四百六十カ所、こういうものが取り上げられておりますけれども、鹿児島県の場合でも四百八十六カ所のうちで五十カ所、宮崎が六百九十カ所で百七十カ所、熊本のごときは四百五十カ所のうちに八カ所と、これでは、急傾斜地帯のいわゆる危険指定というものが一体どういう意味を持っておるのかという疑問さえ起こるわけでございまして、こういう点については、積極的にひとつ今後予算措置もしていただいて、早急に安全対策を実施していただきたいと思うわけでございます。  次に、宅地造成の問題でありますが、最近は、農村地帯あるいは山村地帯では、山と山との間を開いて宅地を造成している向きもありますし、また、都市周辺でありますが、ごみを捨てておるようなところに宅地を造成したり、あるいはいわゆる土地開発市街地開発、そういう開発との関係災害の危険度というものが非常に高いわけでありまして、この宅地造成の措置については建設省で十分検討されて、なるべくそういうところに住宅を造成しないよう何らかの方途を講ぜられるように、これは希望として申し上げておきたいと思います。  時間の関係で、以上でもって私の質問を終わることにいたします。
  70. 中井徳次郎

  71. 有馬元治

    有馬委員 貴重な時間をいただきましたので、単刀直入にお尋ねを申し上げます。一つは砂田副長官にお尋ねいたしたいと思いますが、あとは住宅移転の問題で自治省にお尋ねをいたしたいと思います。  災害を受けましたときに、物的な施設については災害復旧についていろいろな手だてがございますし、だんだんと満足すべき復旧ができるような状態になっておりまするが、残された問題は、災害に伴って生ずる個人の災害につきまして救済する方途が、いまのところ全然ないといってもいい状態でございます。これは個人の問題だから天災による災害はあきらめろというには、あまりにもむざんな状態でございます。私も現地を飛び回りまして、被災者のお宅を訪問し、あるいはお線香をあげ、あるいはお弔いに立ち会ったりいたしておるのでありますが、何としてもこの個人の災害について、この際国としても救済の制度を打ち立てていただきたい、打ち立てるべきである、一日も早くそういう制度をつくっていただきたいという気持ちで一ぱいでございます。災害が済んでしまいますとだんだんと忘れがちになりますけれども、やはり忘れられないのは人身事故、特に死亡事故というようなケースについては、いつまでたっても、これでよかっただろうかという気持ちが残るのでございます。そういういろいろな角度からお考えをいただいて、個人の災害についてこの際救済制度確立していただくお気持ちはないかどうか、まず副長官に、政府のお考え方をお尋ねいたしたいと思います。
  72. 砂田重民

    砂田説明員 お答えをいたします。  従来、個人災害というものは、個人の自主的な回復にまつということでずっと来ているわけでございますけれども、また一方、各種金融制度等ありますものの、特に個人の人的被害についてこのままほうっておくべきではないという議論が多数あるわけでありまして、当委員会でも各委員の先生方、皆さん真剣に御検討をいただいておる問題でございます。  そこで、共済という制度が一つなじんでこないであろうか、このように考えまして、総理府では昭和四十五年度に、この制度に関する基礎的な資料を得るために、共済という制度を前提といたしまして、こういった個人の人身傷害に対する共済という制度に関して、国民の皆さま方がどう考えられるか、あるいは地方公共団体の長がどう考えておられるかという調査をしたわけでございます。その回答を集約いたしますと、共済制度によって個人の人的な傷害を何とか救済をするべきだ、そういう制度を創設するべきだという御回答は、圧倒的に多かったわけでございます。ただ、その内容、仕組み等についてはまことに多種多様、多岐な御回答をいただいたのでございまして、その後総理府といたしましてはこれの調整に鋭意努力をしてまいりまして、前回、前々回の当委員会でもお答えをいたしましたように、できるだけ早い機会にこの結論を出したいと懸命に調整をしているところでございますけれども、もう率直に申し上げますと、掛け金を幾らにしたら妥当であるのか、給付金を幾ばくにすればそれが妥当であるのか、掛け金の額と給付金の額ともこれは相関連をすることでございます。また、市町村主体でやるべきものなのか、府県主体でやるべきものなのか、これも各界各層御意見の分かれるところでございます。また、掛け金にからんで、人的被害だけにとどめるのかあるいは物的な損害もこれに入れて考えるのか、この意見も実は分かれております。自然現象による天然災害だけに限定をして考えていくのか、あるいは火災の場合の人的被害というものも含めて考えていくのか、こういう事態が、財政当局あるいは地方公共団体のお世話をいたします自治省また市町村の側、府県の側、これら立場立場によりまして、この仕組みのつくり方については非常に御意見が多種多様、多岐にわたっているのは御理解がいただけると思います。  そこで総理府といたしましては、各界各層あるいは立場立場によってそれぞれある問題については全く正反対のお考えを持っておられますけれども、何とかこれを調整をいたしまして、できるところからスタートをしたいというのが、私どもの偽らない気持ちでございます。不満は残っても、ともかく共済という制度でこういった災害の、特に人的災害を何とか救っていく。救うというところまで言えますかどうですか、給付金の額によっては、救うということばで表現していいか私も疑問に思いますけれども、できるところからまずスタートをする。これの改善また拡充というものはあとに譲っても、ともかくいままでなかったこういう制度を何とかその窓をあけて、できるところからスタートをしたい、かように考えまして、ただいま各関係機関と調整に努力をしているところでございます。  ただ、一つつけ加えて申し上げておきたいと思いますけれども、昨日が昭和四十七年度予算の概算要求を提出をいたします時期でございましたので、とりあえず総理府といたしましては共済という制度をつくる。それが府県主体であるかあるいは市町村主体であるか、いずれにいたしましても、やはり中央に集約をしたいわば再共済できるという、そういう議論も当然あるところでございますから、総理府といたしましては、それに見合うものとしての予算の概算要求を財政当局にいたしましたことを、つけ加えてお答えにしたいと思います。
  73. 有馬元治

    有馬委員 ただいま副長官から前向きの御答弁がありまして、できるところからスタートしたいというかたい御決意のようであります。重ねてお尋ねいたしますが、制度の仕組みその他については、これは技術的に非常にむずかしい問題があることはよくわかります。ただ、われわれとしてはなるたけ対象を、事故の範囲を広げてもらいたいという気持ちはあるのですけれども、そう言っておったのでは、いつまでたっても制度の発足ができないということもわかりますので、副長官が御答弁なされました点を推測すると、結局人身事故といいますか、死亡あるいは負傷の中でも傷の重いものというようなことを優先的に考えられておるのではないかと思いますが、この点について、もしお差しつかえなければ重ねてお答えをいただきたいと思います。
  74. 砂田重民

    砂田説明員 総理府といたしましては、先生がいまおっしゃいましたような範囲でなら、各方面何とか御了解がいただけるのではなかろうか、かように考えております。
  75. 有馬元治

    有馬委員 次に、自治省にお尋ねいたします。  先ほど来建設大臣に、今回の災害——従来からあったわけでございますが、特にがけくずれによる災害が非常に大きいわけでございます。これは南九州独特のシラス地帯という特殊事情もございますけれども、そういう災害実態がございますので、この災害を契機といたしまして、部落の再編成あるいは集落の再編成というような考え方で、住宅の移転に対する助成を考えていただきたい、こういうことを申し上げたのでございますが、これについては西村建設大臣も、前向きに検討する、こういうお約束をされたのでございます。  そこで私は、現在の制度で住宅の移転に対する助成ができる仕組みは、過疎法による集落の移転方式というのが一番手っとり早い制度ではないかと思います。この問題を解決する一番至近距離にある制度ではないかと思います。もちろん過疎法にいう集落移転というのは、今回のといいますか、災害復旧に伴う住居移転とは多少ねらいが違いまするけれども、今回の災害が過疎地帯に相当大きく出ておりますし、また現実の必要性も過疎地帯の部落部落に出ておりますので、まず自治省のお考え方として、今度の災害については、部落の移転あるいは住宅の移転ということについて、過疎法に基づく集落移転整備計画を立てられて、土地の造成なりあるいは道路その他の公共施設の設置なり、こういったことに正面から助成をしていただき、また過疎債によってそういう事業が可能なように積極的に御指導をしていただきたい、こういう気持ちがするのでございます。この点について、まず自治省のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  76. 立田清士

    ○立田説明員 ただいまお尋ねの過疎地域におきます集落整備事業、その中でも特に集落整備の一つの大きな方法としましての集落移転の問題でございますが、集落整備事業につきましては、過疎対策の重要な大きな柱だというふうに私たち考えております。そこで、現在実際に集落整備、その中でも集落移転を行なわれる場合におきましては、それぞれ関係市町村で過疎地域の振興計画をお立てになっておりまして、その計画に基づいて集落整備事業が計画に計上されておりまして、それに基づいて事業を行なう場合におきまして、ただいまお話しのような各種の措置を講ずる、こういう仕組みになっておるわけでございます。  そこで、現在の過疎法の集落整備事業というのは、一般的に行なわれておる形は、いわゆる基幹集落から相当距離の離れている場合において、公共的な利便を受けやすい地域に集団で集落が移転していく、こういう場合が多いわけでございまして、具体的にその市町村で、今回の災害を契機とされまして集落整備、そしてその中でも特に集落移転を行なわれる場合につきましては、その地元の市町村の、その集落整備に伴う移転先の宅地の造成問題、あるいは住宅の建設の問題、いろいろなやり方がございますので、そういう市町村あるいは地域住民の方とのいろいろの御相談の上で計画されましたものにつきまして、県のほうと私たちのほうも含めまして、十分にそういう点について前向きで御相談に応じていきたい、そういうふうに考えております。
  77. 有馬元治

    有馬委員 前向きの御方針のようでございますが、具体的には、現在の集落再編成の基準を相当思い切って緩和しないと、今回の場合の復旧に伴って部落の再編成をするという場合には間に合わぬわけでございます。たとえば戸数も五戸以上とかいうようなことになると、これは場所によってはその線に乗らない場合もある。あるいは国庫の補助率が現在三分の一でございますが、これももっと国庫負担をふやしてもらわなければ、いなかの町村ではその財政負担にたえないというような実情もございますので、ぜひ実現ができるような方向で、現在の助成基準を思い切って緩和していただきたい。重ねてお願いを申し上げまして、自治省のお考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  78. 立田清士

    ○立田説明員 いま御指摘の点につきましては、私たちも、この事業の非常なむずかしさ自体もございますし、それから、従来の運用のやり方等についてもいろいろくふうが必要だと思いますので、御趣旨の点を踏まえまして十分に前向きに検討したい、そういうふうに考えております。
  79. 有馬元治

    有馬委員 どうもありがとうございました。これで私の質問を終わります。
  80. 中井徳次郎

    中井委員長 次に、川村継義君。
  81. 川村継義

    ○川村委員 皆さん御苦労さまです。電発の桑原理事さんには、お忙しいところ参考人として御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。  時間がたいへん迫っておりますから、なるたけ簡潔に急いでお尋ねをしてまいりたいと思います。私がお尋ねをいたしますのは、建設省とそれから国鉄、それから電発の桑原理事さん、こういうところで、初めにダムの問題をお尋ねをいたします。  先ごろの十九号台風で、熊本球磨川水系市房ダムの放流についていろいろと疑惑が持たれております。先ほど大臣にも一言申し上げたような次第でありますが、私は、この市房ダムの問題につきましては、ただ単に市房ダムの問題としてでなく、全国の多目的ダムの一例としてお尋ねをしてまいりますから、そのおつもりで、私の疑点をひとつ解いていただきたい。  豪雨災害がありました時点で、地元の諸君は、実に無責任な放流をやったものだ、この災害ダムのせいであるというようなことを言っておられます。また、台風が来ることは気象情報でわかっている。大雨注意報が出たんだから、貯水量を減らして受け入れ体制をとるべきではないのか、それが当然だ、こういうような意見も市民の間から吐かれております。  私は、大体ダム災害などということばが出てくるそのものに、非常に残念に思っているわけです。ダムの果たすべき使命、これがまた、日本のいろいろの産業経済の発展に大きな役割りを果たしていることを考えると、大体ダム災害なんということばが生まれることを、ほんとうは私は非常に残念に思っております。しかし、いまも申し上げましたように、いろんな声が出ておる。特に年配のおじいさんたちが、おれたちは長い間この水系に住んでいるんだけれども、昔も洪水はあった、それは時には床下までつかることがあったけれども、ダムができてから、四十年災害といわず今度の災害といわず、こんなにひどい目にあうことは経験ないんじゃというようなことで、こういう大きな災害が起こるとダムのせいにするというようか、感情的なものも出てくるわけですね。  そこでお尋ねいたしますが、当時雨量は三日間で、御承知のとおり市房山系で九百八十四ミリ、千ミリ程度の雨量が実はあっておる。特に八月五日の午後三時から約一時間にわたって三十ミリをこす雨量がありました。そして五日の午後九時半に避難命令が出ておる、こういう状態でありますが、建設省とされましては、県のほうからどういうような連絡を受けておられるのか。あるいは建設省自体が調査をなさったかもしれませんが、調査をされた結果はどういうのであったのか。こういうように、五日の午後九時半に避難命令を出したというんだが、一体それはどのような理由で避難命令が出されておったのか。当時市房ダムの貯水状況はどうなっておったのか。これからまずお答えをいただきたいと思います。
  82. 川崎精一

    川崎説明員 お答えいたします。  市房ダムにつきましては、先生も御承知のように、建設省で建設をいたしまして、その管理を県に引き継いだものでございます。今回の出水状況を見ておりますと、雨のいわゆるピークの流入量といたしますと、まだわれわれが計画いたしておりました量よりも若干下回った出水でございました。ただ、御承知のようにかなり長期間にわたって降雨がございましたので、量といたしますと相当な量になったわけでございます。したがいまして、ダムの操作にあたりましてかなり苦しい操作になったように思われます。したがって、その直接ダムを管理しております担当者といたしましては精一ぱいの努力をしたというふうに、私どもとしては感じておるわけでございます。したがって、下流の人吉等の状況を見ますと、人吉地点のピーク時の洪水のカットについては相当なプラスにはなっておるやに思いますけれども、ダムそのものを見ますと、かなりピークを過ぎてから、大体峠を越したというのを見定めましてからは、本来ならばもっと効果的な流量の調節方法であるべきであったと思いますけれども、容量が足りませんでしたために、若干それを上回ったような放流をせざるを得なかった。しかし、いずれにしましても流入量よりはオーバーな放流はしていないようでございますので、そういった点については、特に誤りを指摘するような問題はなかったのではないか、こういうように考えておる次第でございます。
  83. 川村継義

    ○川村委員 市房ダムの管理、いわゆる操作規則を見ると、御承知でございますけれども、ダムの標高二百八十五メートル、二百八十三メートルまでは貯水することができることになっております。そうなっているんだけれども、洪水調節を行なうために、渇水期には標高二百七十九メートルまで、梅雨期には二百七十七・五メートルまで、台風期には二百七十メートルを制限水位としております。平時はこれ以上の水位を上げることはできないことになっておる。常に洪水に備えて、何メートルか下げて貯水をるる余裕を持たなければならぬ、こうなっておるわけですね。  そこで、お話しでございますから、私も管理担当者が努力をされていることは認めますが、私が一つ疑念に思いますことを申し上げますから解明してもらいたいのですが、いまのように規則どおりに制限水位、いまでは二百七十メートルでなければならない。ところが、八月の三日から雨が降り出した。そこで実はだんだん貯水をされてきて、もう三日の時点で、この洪水時期の満水制限ぎりぎり二百七十四メートルまで上げておる。よろしゅうございますね。五日の午後九時には、いわゆる最高の制限水位であるところの二百八十三メートルまで貯水をされておる。これは、いまほど申し上げましたように、洪水調節時の満水位であります。この市房の業務日誌によりますと、実は五日の八時に二百八十三メートルまで上がっているわけです。九時にはそういうところに、洪水調節時の満水位いっぱい実は上げているわけです。ところが先ほど申し上げますように、洪水調節時にはその時期的な制限があるはずですね。一体それでいいのだろうか。規則に載っているかもしれぬけれども、それでいいのだろうか。だれでもこれは疑問に思うのは当然であります。  で、先ほども局長のお話にありましたように、三日に降り始めたのが相当長期間降り続いておるし、市房山系で千ミリ近くの雨が降っておる。五日の日には、午後三時から四時まで約一時間で三十ミリをこすような雨量である。そこで市房ダムが溢水を始めたわけでしょう。溢水を始めたので、午後の九時三十分に、これは危険だというので避難命令の通報を出しておる。そうして、そこでダムのゲートを全開しておる。非常用の高圧電動ゲート二門、一般ゲート二門、これを全開をする。つまり非常放水をしたわけですね。そこで、この非常放水が大体四時間にわたっておる。ところで、局長が先ほどおっしゃったように、流量をこえて放水はしていないというおことばがありましたが、私が調べたのが間違いなのかどうかわかりませんが。この市房のダム操作規則によりますと、御承知でございますように、流入許容量は千三百トン、そうして規定放水量は六百五十トン、つまり半分をカットできる規定になっておる。ところが、あなたがおっしゃったように、ダムへの流入量は千百七十四トンですから、許容量よりも少ない。しかし放水した量は、規定放水量の六百五十トンを上回る七百九十二トン放流しておりますね。千三百トンの流入許容量に対して六百五十トンが規定の放水量であるけれども、先ほど申し上げるような溢水を始めて、一斉にゲートをあけて毎秒七百九十二トンの放流をしておる。一体これでいいのだろうか。ということは、先ほど申し上げますように、前段に私は一つの問題があるのではないか。前段にぐんぐん満水制限ぎりぎり三日の日にためておいて、それからぐんぐん入ってくるやつをため過ぎたので、五日の八時から九時には洪水調節時の満水位二百八十三メートルを持ってきた。そうして溢水をした、こういう経過になっておりますね。私が疑問に思うのは、そういうやり方でいいのかどうなのか、こういうことが一つです。  そこで、規定放水量をこえて七百九十二トンの放流をやったので、下流の人吉市等に及ぼす影響というものは相当甚大でなければならぬということは、これはだれでもが考えるところであるし、大きな疑念となるところですね。局長、私がいま申し上げましたことについて、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  84. 川崎精一

    川崎説明員 ただいま先生の御指摘のとおり、このダム計画流量といたしましては、毎秒千三百トン程度のものを予定いたしておったわけでございます。今回の流入量の最高値は約千百七十四トンでございますので、百二、三十トンばかりまだ下回っているわけでございます。したがって、千三百トンの場合でも六百五十トンにして出しましょう、こういう一応ルールになっておるわけでございますから、このダムとして八百トンを放流せざるを得なかったという点につきましては、お話のようないろいろな異論が当然出てくるのじゃないかと思います。これにつきましては、結局洪水のピークの値と、それから全体の水の量との関係におきまして、私どもがダム計画します時点において、どの程度の雨が降れば洪水の量が、どのくらいの量がどのくらいの時間続くかというような、一つの流入してきます洪水の波形を予想をしてこういった操作のルールをつくったわけでございますが、非常に長期間にわたって高い流入量が続いたというようなことで、結局ダム自身の容量が、お話のようにすでに満水位の二百八十三メートルまで到達しちゃったというようなことで、やむを得ずそういう措置をとらざるを得なかったのじゃないかと思います。それで、結果的にでございますけれども、やはりダムの容量としてのわれわれの計画以上の出水であったということは、これは率直に計画の上で反省する必要があろうかと思います。  それでは、もっと事前に水位を下げておけば、あるいはこういう事態を生ぜずに、常態のルールに従って操作ができたのじゃないかという御意見は当然生まれてくると思いますし、特に、私も人吉まで災害後参りましたときには、まだかなりいろいろ地方方々の感情的な高ぶりもございましたが、そういった意見もあちらこちらで確かに聞きました。ただ、この水位の問題につきましては、このダムは、電気はもちろん入っておりますけれども、特に夏季につきましては、これは洪水調節とそれから農業用水の確保と、この三つの目的を備えておるわけでございまして、特に夏におきましては、最高の水位は、治水容量でこれより上げちゃいけませんということで、一つの水位がある。それから農業面からはこれ以上下げてもらっちゃ、もし干ばつが来たときに困るというような一つの水位がある。その辺の間に、それぞれ費用負担でこのダムを建設をしておるわけでございますので、その間に話し合いの上で、こういった操作ルールが一番安全じゃなかろうかというようなことできめたわけでございます。しかし、これは非常に結果的な問題にはなりますけれども、もう少し雨に対する予報なり流入に対する予測を確実にすれば、もう少しうまい操作ができたんじゃないか。あるいは河川の下流の改修状況を見まして無害流量をもう少し大きくとれば、それだけ水位を下げられるわけですから、放流が多くなりますので、そういったことも考えられるんじゃないか。こういった点で、今後相当研究する余地はあろうかと思いますので、大臣も、先ほど御指示をされたとおっしゃっておられますが、私どもの九州地方建設局と県と共同いたしまして、もう一度率直に出水の状況ダム操作のルールの再検討、こういったものをいたしまして、できるだけそういった改善の方向に努力をいたしたいと考えております。
  85. 川村継義

    ○川村委員 いまのお話で、たいへん前向きのお考えを聞かしていただきまして力強く思います。  いまも申し上げましたように、流入許容量が千三百トン、しかも当時流入量は千百七十四トン、しかも規定の放水量を上回った七百九十二トンの放流をしなければならなかったということは、私たちに言わせると、一体これはどうしたことじゃろうか。いわゆる管理担当者が、あまりに規則に縛りつけられて操作をしてしまったのか、一生懸命やったためにこういうふうになったのか、あるいはこれは雨量に対する警戒というのを忘れてしまった結果ではないだろうか、いろいろこう考えてみるわけですね。  そこで、いま局長もお話しのように、確かに市房は、雨量の観測点がどうも不十分なようにも聞いております。これもひとつ考えなければならぬ問題と思いますね。しかし、そういうことを考えていきますと、ダムのあの時点で溢水を始める状態まで持っていって、なぜもっと早くこれを放水をするような措置ができないかということは、だれもが疑問を感ずるのでありますし、ダム崩壊の危険が予想されるような時点まで押えてしまうとか、そうしなければ市房のダムはとても持ちこたえられぬというようなことなのか、いろいろと問題が出てくるわけであります。そこで私はお尋ねをしようと思ったのでありますが、先ほど大臣にも御決意を聞いたのでありますが、いま局長から、その市房についての操作規則というものの取り方、内容、それにいろいろ問題があるようだから、検討をしたいということでありますから——これは四十年にも、実はこの問題が指摘されたわけです。   〔委員長退席、米田委員長代理着席〕 球磨川水系の三カ所のダムについても、いろいろ問題が実は指摘されたわけですが、今度の大雨に対してまたこういう問題が出てまいりましたから、ぜひひとつ検討をいただいて、次に相当の雨が降ってもこういう事態を起こさないように、ダムの規則、これについての検討あるいは改正、ぜひひとつこれは要望をしておきたいと思います。  そこで、一体そのような形で放流されたのが人吉市に入って、その水がどれくらいの計測をしておられるか、これをちょっと確かめておきたいと思います。私が聞いたところでは、人吉市の城の水水位計測点では、警戒水位が三メートルとなっているのですね。ところが、一・五メートルをこしてしまったということがいわれているわけであります。そこで、御承知のとおり商店街に水が流れ込む。あるいは人吉市の市内を流れる山田川の下流で逆流したりなどして商店街に大きな床上床下浸水、盆前の商品をほとんど台なしにするというような被害を出してしまった。それで、人吉地点におけるところの流量というものは、一体どれぐらいの流量であったか。  実は球磨川の改修に伴って、御承知のとおり——私のほうから申し上げてしまうようなかっこうになりますけれども、いま申し上げますように、市房ダム地点においては千三百トン、それが人吉の下流の山田川下流、万江川下流の、球磨川の計画流量は四千九百トン、まあ五千トン、それから球磨川下流の八代市の萩原地点においての流量が七千トンということで計画をされているわけですね。そこで、当時人吉の、その市内の地点における流量というものは一体どれぐらいになっておるのか、これをひとつお聞かせいただきたい。電発の桑原理事さん、この辺のところをあとでまたお尋ねしたいと思いますが、ひとつあわせてお聞きおきください。
  86. 川崎精一

    川崎説明員 まことに恐縮でございますが、球磨川の下流の流量の関係につきましては、ちょっと手元に資料がございませんので、しばらくお待ちいただきたいと思います。
  87. 川村継義

    ○川村委員 私、実は専門でございませんで自分がはかるわけにいきませんけれども、この球磨川の流量の計画は、いま申し上げますように、人吉の山田川の地点において四千四百トン、ちょっと下りまして万江川で四千九百トン、球磨川の下流の八代市の分岐点で萩原という地点で七千トン、こういう計画になっております。これが大体球磨川の改修等を進められる場合の流量計画です。そこで私は、この四千九百トンを上回った五千トン以上のこのときの流量があったのではないかと見ておりますから、実はお尋ねをしているわけであります。それがいまおわかりにならなければやむを得ませんけれども……。
  88. 川崎精一

    川崎説明員 人吉の流量はちょっと正確にわかりかねますが、私どものほうの水位のほうからいきますと、人吉地点で計画高水位が四・〇八メートルでございますが、それに対しまして今回の水位が四・二九メートルでございますので、計画流量を若干上回っておる、こういうふうに考えます。
  89. 川村継義

    ○川村委員 そうすると、大体五千トン余り流れておると見てもそう間違いはないと思います。  そこで、これはあとの電発の理事さんにお尋ねすることとちょっと関係してまいりますから、次に質問を移します。  くどいようでございますけれども、熊本ダムの操作をしておる職員の人たちの声として、雨が降っていることはわかっておりながら放流できないという声があります。ということは、これはおそらく規則に縛られておるということでございましょうし、建設省当局に言わせると、先ほどもお話がございましたように、どうも降雨の観測点がはっきりしないから、流入量だけによってやるからこういう手落ちが生ずるのではないかという御意見も出てくるかと思いますけれども、先ほど申し上げますように、二度とこういう事態が起こらないように、ぜひ操作規則についての十分なる検討、改正をお願いしておきたいと思います。  そこで、実はこれの影響も、たぶんよって来たるものがあると思うのでありますが、下流に電発の瀬戸石ダムというのがあります。この瀬戸石ダムの沿岸で、実はまた相当の被害を受けているわけであります。瀬戸石ダムの操作とかあるいは瀬戸石ダムの影響で、床上何メートル、三メートル五十、四メートルあるいは五メートルというような浸水家屋が出たということは——私は、瀬戸石ダムそのものの問題、そのものずばりとして考えているわけではありません。実はきのうから電発の皆さん方に、個人的にいろいろとお話も承りました。しかし、やはりそこには一つの疑問が残っておりますからお尋ねをしていくのでありますが、理事さんにお尋ねいたします。  この八月四、五日、このときの洪水時に瀬水石ダムの操作はどのようにしておやりになったのか。あるいは瀬戸石ダムの規定は河川法によるダム操作によるわけでありましょうが、どうなっておるのか、ごく簡単でよろしゅうございますから、お話しください。
  90. 桑原進

    ○桑原参考人 お答えいたします。  瀬戸石ダムの操作は規定されておりまして、洪水の予想がありますときには、満水位が五十メートルでございますが、それより二メートル五十五センチ下げまして、四十七メートル四十五センチで洪水を待機して、そこでそのままの水位で放流をするという操作規定になっております。今回、水位が下がりましたのは八月五日の九時からであります。それで、十二時にはその状態になりまして洪水を迎えて、以後洪水が過ぎるまでその状態で、大体自然河川の状態のままで流したということになっておりまして、私のほうとしては、操作には間違いはなかろうというふうに考えております。   〔米田委員長代理退席、委員長着席〕
  91. 川村継義

    ○川村委員 その点についてはそのくらいでおきましょう、実は先日もいろいろお話を聞いておりますから。  そこで、これは建設省のほうも電発のほうもお聞きいただきたいのですけれども、瀬戸石ダム、これは電発さん経営のダムですね。この瀬戸石ダムの近郊は何らの水害、被害を受けていない。一番大きなのは、大体上流四キロ地点から始まるわけです。そこの四キロぐらいの地点で、吉尾川という川が本流に流れ込んでくる。この吉尾川の下流一帯の温泉といっておる部落、これがほとんど軒下まで浸水をしておって、大体十一戸。それから、その吉尾川が本流に流れ込む、その本流沿岸の箙瀬という部落がこれまた大きな水をかぶっておる。ここに十九戸、実は床上、軒近くまで浸水をしております。それからまた約二キロぐらい上流になりましょうか、神瀬という右岸の部落、それから白石という左岸の部落、ここにも大きな被害を受けております。それからまたさらに三キロも上流になりましょうか、左岸の小口という部落、ここには天月川という支流が流れ込んでおります。それからまた三キロほど上流になりましょうか、漆口という部落がございます。ここには漆川という支流が流れ込んでおります。  このような四キロから上流地点におきまして、たいへんな水をかぶった部落があるわけであります。その被災戸数は全部で八十九戸を数えております。小口の諸君にしましても、漆口の諸君にしましても、白石の諸君にしましても、四十年のときにもずいぶん水が多くなったけれども、今度のようにかぶったのは初めてじゃ、こういうことを指摘しております。しかも、その球磨川本流の水の流れ方が、平板な坂道状態で流れるのでなくて、相当高低を持って、うねりを持って流れ下っておる。したがって、国会に出しました彼らの陳情書にも書いておるようでありますけれども、いわゆる瀬戸石ダムのバックウォーター地点を中心にしてこのような被害があったということは、瀬戸石ダムの湛水あるいは操作、それらの問題、あるいは上流の市房ダムの放流が、先ほど申し上げましたように問題があったから、湛水しておるところの水と流れ下ってくる水との合流でこういうような被害を起こしておるのではないか、こういうような指摘をしているわけであります。こういう点につきまして桑原理事さん、どのような御見解を、これは河川的な御見解でよろしゅうございますが、いろいろお聞かせいただきたいと思います。
  92. 桑原進

    ○桑原参考人 お答えいたします。  先ほど、瀬戸石ダムというのは、洪水時には計画満水位から二メートル半ばかり下げまして自然状態で放流することになっているということを申し上げましたが、常時満水時のバックウォーターは、先ほど先生がおっしゃいました小口部落まで行っております。ところが洪水状態になりますと、自然河川のほうも水位が上がってまいりまして、洪水時にダムに影響するバックウォーターの範囲というのは、平水時のバックウォーターの終点よりもずっと下流のほうへ移ってまいります。この辺はちょっと技術的に説明しないとわかりにくい点がございまして、私も実はわかりにくかったのでございますが、図面などで説明をいたしますと非常にわかりやすくなると思います。そういう点でいま考えております。吉尾川の合流点から上流の関係は、自然洪水によってそういう状態になったのではないか、私どもはそのように考えておる次第でございます。  なお、瀬戸石地点の洪水の記録、流量、時刻その他の関係は、きちんとした書類によりまして建設省御当局地方建設局、それから熊本県庁、それから地元の芦北町、その方面にも、こういうことでございましたということは、書類で御報告さしていただいております。
  93. 川村継義

    ○川村委員 時間があと差し迫っておるようでございまして、まことにあれですけれども、この瀬戸石ダム計画洪水量は六千トンになっておる。ところが今度の洪水で、電発のほうでは五千二百トンと見積もっておられるようでありますが、先ほどもちょっとお尋ねいたしましたように、人吉市内の下流地点ですでに五千トンこえておるのじゃないか。そうすると、これから流れ下ってくるあらゆる支流を合わせていけば相当の高水位であった。もちろん四十年の洪水量よりもちょっとばかり下がっておるようではありますけれども、ただ頭に入れておいていただきたいのは、またいずれ機会がありましたらお尋ねいたしますが、上流地点においてバックウォーターといわれる十キロ、十一キロ地点における被害がものすごい。これは私は、瀬戸石ダムそのものずばりの責任などと言いたくありませんけれども、これは上流の問題とあわせて、皆さん方のほうでひとつ頭に入れておいていただきたいと思います。  そこで急ぎますが、電発のほうでは昭和二十九年、いわゆるこのダムができる前に一応の協定書をつくっておられます。そこで六項目ありますが、その中の一つに、「吉尾川の洪水時の湛水障害の防除については、丙」これは電発ですが、「丙において適切な施設をなす。」こうありますが、どのような施設をおとりいただいたのかお示しいただく。  それからもう一つは、できた昭和三十三年に協定書がございます。これは一時金を出しておられる協定書であります。それからいま一つは、四十二年に、おそらくこれは四十年災害のあとを受けたことでありましょうが、池田重雄という個人との見舞い金的な契約書があります。実はこの契約書のいろいろの問題についてお尋ねしなければなりませんが、さきの一点をきょうはとりあえずお聞きするのと同時に、いま一つは、こういう事態が起こっておりますから、瀬戸石ダムを持っておられる電発さんとされましても、できるだけ早目に地元の諸君と何らかの形で接触をしていただいて、話し合いをしてもらって、地元の要望を聞いてもいただくし、皆さん方のダム操作、管理等についての、あるいは洪水の起こるところの河川工学的な問題等につきましても、十分ひとつ説明をしていただいて、地元の諸君の誤解を解いていただく。そういう必要があるのではないかということと、いま一つは、四十二年の契約書は、個人について何か見舞い金を出しておられるようだが、今度吉尾地区の水没しておる諸君に対して、何かそういう手だてを講じていただく。これは県当局、建設省ともいろいろ御相談なさらなければならぬと思いますけれども、そういう御意思があるのかないのか、それが三つ目。  いま一つは、あの吉尾川沿岸等において農地がある。この農地の地上権だけがその農民に与えてある。ところが、洪水でもうせっかくつくってもらった石がきもこわれる。とてもじゃない。そこで地上権は設定してもらっているのだけれども、いつもつかるようなこの沿岸の水田、田畑は買い上げてもらえないかという願いを持っておる諸君が何人かおります。これに対して、そのようなことはやっていただけないかどうなのか、これだけひとつお聞きをして、お考えを聞いておきたいと思います。
  94. 桑原進

    ○桑原参考人 二十九年の、先ほど先生のお話のございましたことは、ちょっと私、資料を持ちませんし、聞いたことがございませんので、調べまして、後ほどあらためて先生のほうに御連絡させていただきたいと思います。
  95. 中井徳次郎

    中井委員長 この委員会にしてください。委員会での答弁ですから、そんな個人にやっても何にもならぬ。
  96. 桑原進

    ○桑原参考人 わかりました。当委員会へ御連絡させていただくようにいたします。  それから、現地の皆さんに対する御説明でございますが、私どもは常々から、そういう説明をして十分に御納得をしていただくようにという配慮をいたしておりまして、昨日もそのつもりでおりました。東京から出張させるつもりでおりましたところが、ちょうど台風であいにく行けなくなりまして、御説明もできなかったということがございます。この点は御趣旨に沿うようにさせていただきたいと思っております。  それからもう一つお話のございました見舞いの件でございますが、前回、四十年の洪水の際には、町当局へお見舞いというものを差し上げてございます。個人にというお話がございましたが、それはございません。今回は見舞いを出すかどうかという点、私どもそこに発電所を持っておりますが、下流に熊本県営の発電所もございますし、そういう関係もございますので、御要望があったとかなかったとか、そういうこととは関係なしに御相談させていただきたいと思っております。  それから農地の問題がございましたが、農地の石がきを当社が造成した部分がございまして、その部分がこわれているというようなところもあるようでございます。その辺は、地元の農地の所有者と打ち合わせをいたしまして、適当な処置をとりたいと思っております。  以上でございます。
  97. 川村継義

    ○川村委員 御苦労さまでした。それでは、時間が切迫しておりますから、急いであと一点お聞きいたします。  国鉄の施設局長さんおいででありますけれども、大急ぎで、四十年から四十六年の現時点に至るまでの自然災害によって国鉄がこうむった災害被災額、それをちょっと言ってください。
  98. 北岡寛太郎

    ○北岡説明員 お答えいたします。  四十年度から四十五年度まで及び四十六年度現在時点までの災害の額でございますけれども、毎年度ごとに申し上げますと、四十年度は百六十三億一千万円、四十一年度が百六十六億六千七百万円、四十二年度が九十三億四千九百万円、四十三年度が百五億円、四十四年度八十七億八千万円、四十五年度五十一億三百万円で、四十六年度は現在時点までで三十一億二千四百万円。現在時点と申しましたが、二十三号は含んでおりません。その前の時点まででそのようなことでございまして、約百億前後ということが明らかになっております。
  99. 川村継義

    ○川村委員 一々問答もする時間がありませんから、私のほうから申したいと思います。  実は総務副長官がおられましたら、私は総務副長官にその御決意を聞くつもりでおりましたが、御退席になっておりますから、運輸省の部長さんか何かお見えになっているそうですから、ひとつ私が聞くことについてお答えください。  私が申し上げるまでもなく、国鉄は、災害によって乗客の運賃収入減というそれは別にして、いまお話のあったような合計相当額の災害で、実は毎年鉄道の線路その他被害を受けるわけです。ところが、被害を受けたら、これはみな国鉄が自分の金で復旧をしておられるんですね。これは国鉄にとっては相当な負担ではないか、私は実は同情を申し上げているわけです。何しろ、この前の国鉄監査委員会の報告がありましたように、なかなか国鉄さん赤字でたいへんだ。四十七年度、これは償却前の赤字を考えても、四十七年度は一千六百七十六億円になるといっている。四十八年度は二千七百八億になるといっている。四十九年度は三千六百四十五億円になるといっている。これじゃ国鉄再建の十カ年計画なんてとてもじゃない。そこで監査委員会も、何か国も責任持てというようなことを指摘をしておったようであります。そういうことを考えると、私は、自然災害によって受けた国鉄の災害復旧の費用は応分に国が持つべきではないか、こう実は考えているわけです。  その理由としては、いま申し上げましたように、国鉄さんが赤字だから持ちなさい、こういうような理由ではない。国鉄の使命ですね、国鉄の交通上の責任、使命ということを考えると、独立採算を押しつけておいて、国民生活、社会生活、経済活動に重要な使命を持っている国鉄にそのようなしわ寄せをすべきではない。交通災害のごときは、これは国がある程度のめんどうを見るべきではないか。一般の陸上交通等は、道路がこわれたら建設省、県、地方団体がちゃんとりっぱにしてくれる。そしてバスを走らせるということですよ。同様に考えて、国鉄にもやはり、自然災害によって受けた国鉄の被害額というものは国がめんどうを見るべきではないか、こういう考え方に立っているわけです。  こういうことを考えていきますと、熊本の球磨川の本流と川辺川と支流の合流地点であって、いま建設省と国鉄とが両方が意見が合わないで、四十年以後今日まで河川改修ができていないでしょう。実はそれを聞くつもりでおりましたが、時間がありませんからそれはおきます。  国鉄は、どうもその負担はたいへんだと言っている。建設省は、半分負担してくれと言っている。こういうことで河川改修が抜本的にできない。だから今度の災害で、四十年でぶち切ったから、大きな被害を出しておる。今度の災害でまた堤防が破壊をして大きな被害を出しておる。こういうのも、やはり国鉄さんがなかなか災害復旧等の金の荷が重いから、私はできないのじゃないかという見方もするわけです。  そういうことを考えてまいりますと、もう一ぺん繰り返しますけれども、国鉄が国の鉄道であるならば、国鉄が自然災害で受けた災害復旧費は国が応分に見るべきではないか、こういうことを実は考えておるわけです。運輸大臣にお聞きしようか、いや、これは災害対策本部の責任者である総理府長官、副長官あたりにぜひひとつお願いをして、要求をして、そうして運輸大臣のしりをたたくか、政府のしりをたたいてこういう政策を実現してもらいたい。私、この考え方は、何だ、今日の企業体のあり方知らぬかとか、独立採算知らぬかとか、そういう問題を越えた一つの政策思想として、私はいま言っているわけです。  そこで、ひとつ運輸省の部長さん、私の考え方をどう受けとめてくださるか。賛成だというならば、何とかひとつ運輸省でがんばってもらう。大臣にもものを言うてもらう、災害対策本部にものを言うてもらうという御決意はおありかどうか、ひとつお聞かせをいただきたいということであります。
  100. 信沢利世

    ○信沢説明員 お答え申し上げます。  先生から、国鉄の財政再建につきまして非常に御配慮賜わっておりますこと、まことに私ども心強く思う次第でございますが、国鉄の災害復旧に関しまして、国が現在まで直接に助成を行なったということはございません。やはり国鉄はその運営をまかされている以上、その営業を維持するための復旧というのは国鉄自体がやってくるのが、いままでは筋だと考えていたわけでございます。  先ほどお話ございましたように、特に最近の国鉄の体質の悪化に基づきまして、災害に関しまして、思うような災害防止対策の投資ができなかったということが大きな問題ではないかと思うのでございます。やはり災害と申しますのは、起こって直すということより、事前に災害防止のための投資を、しかるべきときにしかるべき額のものを行なっていくというのが筋ではないかと思うわけでございますので、国鉄の体質改善、財政再建を強力に推進いたしますためにも、国としてその助成すべき点は助成いたしまして、必要な時期に必要な防災工事ができるように、関係各省とも寄り寄り御相談申し上げまして、今後検討さしていただきたいと思っております。
  101. 川村継義

    ○川村委員 運輸省、ひとつ努力しなさい。大臣にも、ひとつうんとあなたから話をしておいていただきたい。遠慮要らぬですよ。こういう筋の通ったのは、やはり要求していかなければ……。ただ、独立企業だからというようなことでやっているとたいへんなことになると思いますから、ぜひ頼んでおきます。  以上で、委員長、ありがとうございました。どうも失礼いたしました。
  102. 中井徳次郎

    中井委員長 次に、中村重光君。
  103. 中村重光

    中村(重)委員 もう時間がずいぶんおそくなりましたから、私の意見は申し上げることをできるだけ避けて、端的に質問をしますから、答弁もひとつ簡潔にお願いをいたします。  先ほど砂田副長官が、共済制度のことについて考え方を明らかにされたのですが、相当長期にわたって検討しておられるので、相当具体的な検討がなされておるように感じられるのです。そこで、私どもが副長官の答弁を聞いておって感じることは、物的共済それから人的共済はどうするかという問題等々、いろいろな意見があるんだけれども、大体まとまるんではないかというようなお答えであったわけですね。してみると、各省とも、災害関係の省はある程度具体的な検討がなされているのではないかというふうに思うのですが、どなたにお答えをいただけばよろしいか。まず一番災害に見舞われる川崎河川局長にお答えをいただきますが——どなたでもいいですよ。自治省でもけっこうです。任意加入か強制加入かといったような問題等々あるんじゃないですか。ですから、そこらあたりをひとつお答えいただきましょう。
  104. 高橋盛雄

    高橋(盛)説明員 お答にいたします。  個人災害共済制度につきましては、昨年、その制度についての国民の世論調査をアンケートで行なったわけでございますけれども、それについて非常に賛成者が多いということは、先ほど副長官が御答弁されたとおりでございまして、現在どのような仕組みでこれを成立させるか、これが最も問題になっているむずかしいところでございます。災害が多発している地帯もございますし、市町村によっては、災害が最近は全くないという市町村もございます。そういったことで、その実施の主体をどこに置くか、市町村、県それから中央における基金、そういうもの等の仕組みについて現在検討しておるわけでございます。  これにつきましては、いま先生おっしゃいましたように、任意共済という形をとりますと、また加入者も少なくなる。したがいまして、また掛け金も多くなるということも起こるわけでございます。私どもとしては、できるだけ少ない掛け金でできるだけ多くの人に入っていただくというような考えを基本にいたしまして現在詰めている段階でございますが、さらになお物損も含めるかということにつきましては、実はいろいろこれは問題があるところでございまして、昨年実施いたしましたアンケート調査はあくまで人的被害——おなくなりになった場合、それからけがされた場合を対象にいたしまして、それについてまた、自然災害に基因するもの、それからさらに、掛け金を若干高くしても、火災等そのほかの要因を入れたほうがいいかどうか、そういったことも実はアンケート調査で尋ねたわけでございますけれども、何よりもまず大事な生命身体において救済する道はないか。それで、できるだけこれを実現の方向に持っていくという方向で範囲をしぼりまして、実現可能なデザインをやっていくということで現在検討中でございます。実施主体が地方公共団体ということ、それから中央の基金もちろんございますけれども、そのような地方住民の福祉の関係でございますので、ただいまのところ、自治省その他関係省とせっかく協議中でございます。
  105. 中村重光

    中村(重)委員 そうなってくると、当然国であるとか都道府県の負担というものが相当なされなければならぬと思うのでありますが、そこらあたりの構想はいかがですか。
  106. 高橋盛雄

    高橋(盛)説明員 自然災害は、生命身体に限りますと、最近の治水事業の伸展もございますし、あるいは災害の態様にもよると思いますけれども、近年、数としてはそう多くはないわけでございます。しかし、このような被害を受けられた方に地方的な組織を拡充するということでやります場合、そのように大きい事業量といいますか事務量、そういうものはできるだけ避けて考えたい、できるだけ簡便な方法でこの仕組みを考えていきたいということで、現在のところその仕組みを中心に、できるだけ簡便な仕組みで考えていきたい、このように思っているわけでございます。
  107. 中村重光

    中村(重)委員 中小企業庁からも見えておりますが、中小企業災害、これは個人災害の範疇に当然入るのだろうと思うので、そこで、いまの共済制度対象としてお考えになっておられるのかどうか、それは高橋事官からお答えをいただきます。  さらに続いて西田計画部長にお答えをいただきます。中小企業災害というのは、中小企業団体から強い要望がずいぶん前からなされてきて、中小企業庁としても、この点については当然なこととして検討をしておられるのであろうと私は思うのですが、いまの共済制度に対して、中小企業庁としてはそれでよろしいとお考えになっておられるのかどうか、またいろいろな検討をしておられると思うので、ひとつお答えをいただきたい。  先に高橋さんから。
  108. 高橋盛雄

    高橋(盛)説明員 現在私どもが検討しております共済事故対象は、生命身体でございます。したがいまして、中小企業の物的被害、これは入っておりません。
  109. 西田彰

    ○西田説明員 災害被害を受けられました中小企業の方々に対しまして私どもがやっておりますのは、とりあえずその再建のために必要な資金対策ということに重点を置いてやっております。したがいまして、人命あるいは物的損害そのものの補償というようなことにつきましては、むしろ中小企業というワク内だけで考えますと、共済というような面で比較的母集団がむしろ小さ過ぎますため、中央防災会議のほうと御連絡をいたしまして、広い範囲でお考えをいただいている次第でございます。  なお、その資金対策につきましては、先生御存じのように政府系三金融機関に対しまして、今次の場合でいいますると、七月の二十七日と八月の九日にそれぞれ指示をいたしまして、救済融資のための特別の災害融資制度を実施いたすようにいたしまして、いま鋭意その融資が実行に移されておる次第でございます。
  110. 中村重光

    中村(重)委員 災害によって中小企業が大きな被害を受けるのだから、それに対する融資措置というものは激甚災害法においても明らかになっているし、また、それでなくても中小企業が受けた被害に対する助成措置は当然なければいけない。それだけではなくて、中小企業が商品を流失するとか、床上浸水のときでも中小企業の場合はもろにその被害を受けるわけだ。だから、いま単なる融資ではなくて、中小企業の災害に対してはもっと国の積極的な助成措置があってしかるべしと私は思うのですよ。いまのようなことでは、私は中小企業の災害に対する中小企業庁の熱意を疑わざるを得ないのだ。相当前から中小企業者は、中小企業の災害に対する助成措置を講じてもらいたい、単なる融資ではこれはもうどうにもならないのだということを言っている。そうすると、中小企業庁は、中小企業者の要求というものは適当ではないというふうに判断されるならば、その根拠をひとつ明らかにしてもらいたい。いかがです。
  111. 西田彰

    ○西田説明員 私が申し上げましたのが多少先生に誤解をお招きしたかと思うのでございますが、いま中央防災会議のほうでお考えいただいておりますのは人的損害を中心として、それにつけ加えて物的損害の検討ということで、共済制度というのをお考えなわけでございます。私どもも、中小企業の受けられまする損害につきましていろんな救済措置を考えねばならぬということでもって、鋭意検討してまいったわけでございますが、やはりこれは副長官も申されましたように、共済制度というようなものが比較的なじみやすいのではないかというような方向でものを考えたわけでございます。その場合におきまして、広くそういった物的損害を共済制度で救ってまいるという場合には、広い範囲の人に加入をしていただいた制度でこれを救済するのが一番有効ではないかというように考えまして、政府全般としてお考えいただく中でこれを解決していきたいというふうな考え方を申し上げたわけでございます。
  112. 中村重光

    中村(重)委員 いま高橋事官の答弁を聞いても、あなたもおわかりのとおりだ。総理府がいま構想しておるのは、そうした物的損害じゃない、人的損害にしぼって検討しておるということなんでしょう。砂田副長官はそうじゃなかったのだ。砂田副長官は、人的損害あるいは物的損害、そういったような面についていろいろな角度から検討してみなければならぬという意味の答弁であったと思うんだけれども、いまの高橋事官のお答えは、物的損害は考えていないというように受け取れるような答弁であったのだ、私の聞き違いかどうかわからぬけれども。してみると、中小企業庁の考えておった点は、全体ということの中には入ってこないということになるんだな。いま考えている共済制度というものが、いわゆる人的損害であって物的損害ではない、それを共済の対象として考えていないということになる。あなたのほうは、それは全体の中で考えておったのだ、こう言われる。だから、あらゆる角度からやはり検討する必要があるわけだ。あなたは計画部長になってからまだ長くないけれども、ずいぶん前からこの問題は大きな政治課題になっているわけなんだからね。私どもが社会党から独自案を提案したのはもう七、八年前なんです、個人災害並びに中小企業の災害に対して。だから中小企業庁としても、もっと真剣に中小企業者の立場に立って検討をする、そしてできるだけ早く日の目を見るということが当然なければいけないと私は思うんだね。しかし、きょうは時間もないから、できるだけ議論を避けたいというようなことであったので、あらためてそれは商工委員会ででもやりますけれども、ひとつもっと真剣に取り組んでもらいたい。  続いてあなたにお尋ねをいたしますが、今回の梅雨前線集中豪雨によって中小企業が相当な被害を受けている。それに対して激甚災害、いわゆる局地災害指定を受けたところは、激甚災害法に基づくところの低利長期の融資というものがなされたであろうと私は思うのです。それがどの程度まで事務的にいま進んできておるのかという点。それからもう一つは、この激甚災害、いわゆる局地災害指定を受けていない中小企業者、それに対してはどのような助成措置をおとりになったのか、その点についてひとつお答えをいただきます。
  113. 西田彰

    ○西田説明員 先ほど申し上げましたように、今回の災害につきまして、直ちに政府系の三金融機関に対しまして災害融資の貸し付けの実施を指示したわけでございますが、これは特に局地激甚災害指定地域に限らず、全般的にこの災害を受けられました方々に対しまして、貸し付け限度あるいは貸し付け期間、あるいは据え置き期間その他の点につきまして弾力的な措置を講じまして救済融資を円滑にするようにという内容の指示をいたしたわけでございます。  これの実施状況でございますけれども、ただいまのところ、合計をいたしまして、現在時点でございますと、六億四千万円ばかりの申し込みがございまして、そのうち実行が七千三百万円、なおそのほかに、すでにいたしておりまする融資について一億一千万円ばかりの繰り延べ措置を実施いたしております。  なお、激甚災害指定を受けました地区につきましては、中小企業信用保険の特例制度、それから設備近代化資金の償還期限の延長等の措置を追加的に手厚く講ずるという措置が付加されているわけでございます。
  114. 中村重光

    中村(重)委員 だから、局地災害指定を受けた地域の中小企業に対しても、そうでないものに対しても、弾力的な措置をやれという意味は、いまあなたが言われたように、いわゆる既往の貸し付けに対して、この償還を延期するといったような措置だけということになりますか。激甚災害指定を受けたところは六・五%の低利になるわけだ。ところが、指定を受けていなければその適用は受けないということになってくる。いまあなたが言われた弾力的措置というものは、単に既往の貸し付けに対する償還というようなものを延長するということだけにとどまらないで、金利の問題あるいは償還期限の問題、それからてん補率の問題等々、いろいろあるわけだ。あなたが言われる弾力的措置というものはどの程度を考えておるのか、そしてそういう指示をなさったのか、実行はどうなっているのか。いかがですか。
  115. 西田彰

    ○西田説明員 私の申し上げました弾力的措置は、激甚災害指定地域に限らずとっております措置でございまして、その内容は、たとえば貸し付け限度を上乗せする、あるいは貸し付け期間を延長する、それから据え置き期間を延長する、その他、担保等につきましても特に弾力的に考えて融資を実施するようにということでございました。そのほかに、既往の債権につきまして償還期間の繰り延べをするという措置でございますので、先生の御指摘のうち、金利上の特別措置のみが激甚災害指定地域に追加適用になりますけれども、そのほかの金融の弾力的措置はなるべく広く及ぼすような措置をいたしているというわけでございます。
  116. 中村重光

    中村(重)委員 金利の措置、それからてん補率が、激甚災害指定になってくると九〇%だから、その措置というものは、局地災害指定を受けなかった地域の中小企業の災害に対しては適用していないんだろうと私は思うのです。それができるとお考えになっておられるかどうかということです。その点どうです。
  117. 西田彰

    ○西田説明員 ちょっと申しわけないのですが、いま御質問を聞き損じたのでございますが、激甚災害——信用保険の制度と低金利の制度は、激甚災害指定があった場合だけでございます。そのほかの金融上のいろいろ貸し付け期間の延長等の弾力的措置を広く実施いたしている、こういうことでございます。
  118. 中村重光

    中村(重)委員 いまお答えで大体わかったわけです。わかったんだけれども、弾力的運用というのは、名実ともに——局地災害指定を受けたところの中小企業に対しても、そうでないものに対しても、個々の中小企業の受けている被害には変わらないんだから、その点を十分勘案して、できるだけの弾力的な措置、手厚い措置を講じてもらいたいということ。  それから、大蔵省の特金課長お見えですが、信用保険公庫の場合もしかり、また三機関に対しましてもそうなんですが、特に今回特別の資金措置を講じられたと思うのですが、その額はどの程度なのか。それから、その場合も条件というものが出てくるわけですね、相当長期にわたって資金措置を講じておられるということになってくると。一般の中小企業にしわ寄せが来ないだろうけれども、その点がどう扱われたのかということをひとつ大蔵省のほうからお答えをいただきたいと思います。
  119. 北田榮作

    ○北田説明員 中小三機関の災害貸し付けにつきましては、ただいま通産省のほうからお答えがあったとおりでございまして、いろんな面におきまして、貸し付け条件の点で普通の貸し付けよりは優遇いたして、優先的な取り扱いをしておるわけでございます。  ただいま資金の問題がございましたが、災害融資につきましては、たとえば手続きを非常に簡素化するとか迅速にやるとかというようなことをいたしまして、できるだけ優先的に災害貸し付けに応ずるという方針でやっておるところでございます。現在の全体の資金のワクの中で、優先的に取り扱うことによって災害融資には全く支障のないようにいたしておるところでございます。
  120. 中村重光

    中村(重)委員 だから、現在の資金のワクの中でというのが、ちょっと抵抗を感じるわけだ。むしろ不安なんだね。いま金額は六億四千万円、実行はしかもこれ以上にまだ少ないわけだ。やはりいまだって資金は相当窮屈なんですよ。大蔵省のほうで試算したのは非常にゆるやかなようになっているかもしれないけれども、第一線のほうにいくと、相当窮屈なんだな。だからして、やはり特別の資金措置というものを講じられなければいけない。しかも、その措置というものは相当長期なものでなければ、短期の措置という形になってくると困るわけなんで、そこをひとつ十分、災害に対するところの優先的な扱いというものが一般の中小企業に影響を及ぼさないようにする必要があるという点、その点の配慮というものは当然なされなければいけないというように私は思うのです。その配慮はありますか。
  121. 西田彰

    ○西田説明員 ただいまの特別融資につきましては、特にその災害の特ワクというようなワクを設けておりませんが、これはむしろ私どもの気持ちなり方針といたしまして、特別のワクをそのつどいたしますことは、かえってそのワクに縛られた金融をいたす、こういった災害融資につきましては、むしろワクなしで一番優先的にこれをやる。たまたまただいま政府系三金融機関の手持ち資金は非常に余裕がたっぷりありまして、例年のことでありますが、災害融資につきまして何か資金の不足を来たしたために融資ができないということは絶対やってまいりませんでしたし、今回の場合もそうでございますし、今後もまた一番優先的に取り扱い、もし資金の不足がございますれば、全体の資金の追加をやるということで十分にやっていけるというふうに考えております。
  122. 中村重光

    中村(重)委員 何も私は、特ワクというのが、災害に対してこれだけのワクを貸し付けをしなさいという意味で言っているわけではないわけだ。現在ですら第一線は相当資金的には窮屈なんだ。いつもぼくらが、どうなのかと質問すると、大蔵省のほうにしても、あなたのほうにしても、そう窮屈ではありません、こう言うのだ。しかし、第一線はそうじゃない。相当しぼっておる。相当窮屈なんですよ。だから、いまあなたの答弁を聞いてみると、資金的に何も問題はないようなことを言われる。そんなものじゃないのですね。それと、特別のワクというようなものを、それだけで、災害対策の融資というものはこれでやりなさいという意味で受け取らないように、災害が出たから相当大幅な融資をするのだから、そのたびに特別に資金措置が行なわれたということになってくると、第一線でも一般の中小企業者に対するところの融資というものも引き締めない、影響を及ぼさないということになるのだから、それだけのことを十分第一線に指示していく必要があるということを私は言っておる。  それと、いつもあなたのほうでおやりになるようなことが、第一線には非常におそくなる。激甚災害に対しての金利の特別の措置にしても、一週間くらい前に私は国民金融公庫に行って、どうなのかと聞いたら、まだ何の連絡もありません、こう言っておる。連絡がなければ扱えないわけですよ。だから、調査だけが迅速に行なわれて——私は長崎県の例で申し上げますと、三機関とも、実に対馬なんかの島にも早くそれぞれ担当者が行って調査をやりました。商工会もこれに対応して実に迅速にやった。それまではよかった。しかしながら、やはり中身が十分充実した形になっていかなければ私はいけないと思う。そこらあたりが非常に手おくれになっておるから、そういうことがないようにひとつ配慮してもらいたい。いいですか。  それでは、もう時間の関係がありますから、次に河川局長にお尋ねをいたしますが、先ほど建設大臣の答弁を聞いておりますと、もう災害なんてあまり心配はしなくてもいいように感じるのだ。前は五年だったが、四年、それよりも三年、二年くらいでやらなければいけない。そのとおりだ。そのとおりだけれども、現実はそんなものじゃないだろうと私は思います。  それから、今度第四次治水事業五カ年計画というものによって、中小河川というものを中心にやっていくという、そのかまえはけっこうなんです。ところが、それじゃ具体的にどういう考え方をお持ちになっていらっしゃるのか、国の助成率、いわゆる補助率というものをどの程度引き上げていこうとするのか、それから現在災害復旧の進行率は平均どの程度になっているのか、三年になっているのか、二年になっているのか、そこらあたりはどうなんですか。
  123. 川崎精一

    川崎説明員 災害復旧につきましては、現在は、原則的に四年、それから緊急が三カ年ということで、大体の進度のぐあいといたしますと、初年度に約三割、それから二年度に累計で七割五分、それから三年目に約九割程度くらいで、残りの一〇%足らずが四年目になっております。ただし、四年目の分につきましては、これは国債等を活用いたしまして三年目にできるだけ発注をしてしまうというようなことで、しかも内容的には、それぞれの工事を全部そういうふうに区切って進捗するのではなくて、非常に緊急なものについてはむしろ二年なり三年なりで片づけてしまって、そう急がないようなところをあと回しにしておる、こういうことでございますので、個所的には大体三年で終わっておるというのが実情でございます。しかし、全体を見ますと、やはり四年たたないと完了しない、こういうことでございますので、大臣の話もございましたように、私どもとすれば、できるだけすべてを三年で完了するようにいたしたい、こういうように考えまして、現在財政当局等にも予算要求をいたしておる次第でございます。  なお、中小河川促進の問題でございますが、現在の第三次五カ年計画が四十六年度で四年目になるわけでございますが、昔はかなり直轄河川を先行いたしておりましたので、内容的には補助事業のシェアがかなり低かったわけでございますが、現在の五カ年でようやくほぼフィフティー・フィフティーに近いところまで引き上げてまいりました。現在計画いたしております新しい五カ年計画では、これをはっきりと逆転をさせまして、中小河川の事業に重点を置いていきたい、こういうことでございます。ただ、その間におきます地方負担等の問題については、これは河川法等できまっておりますので、特にそういったものについて私どものほうで補助率を上げるとかいうようなことまでは現在考えておりませんけれども、最近の地方財政等の面を見ましても、苦しいながら徐々に伸びておるようでもございますし、そういった点では私どもは特に現在の段階では配慮するところまでいってないというのが実情でございます。
  124. 中村重光

    中村(重)委員 自治省は帰って、いま交付税課長がおられるだけだけれども、中小河川に今後は力こぶを入れていくということになってくると、改修率も引き上げる、同時に補助率も引き上げるということでなければならぬと思うのですよ。  長崎県でどの程度か、私ちょっとこのごろ調査をしてみたところが、改修率はわずかに二〇%ですよ。建設大臣の答弁というのは、私はむしろ無責任だという感じを持って聞いておった。災害なんというものは何も心配要りませんよ、きわめてうまくいっているのだということなんだ。うまくいっているならば、都道府県にしても市町村にしても、必死になって陳情これつとめるということはしないです。われわれもまたこんなに心配しない。だから、事務当局としても——少なくとも大臣の答弁というものは、責任ある答弁をしてもらう。いままではこうなんだけれども、この点がいけないので、今度はこういうことで改めていきたいという答弁がなされなければいけないと私は思う。二年でけっこうだなんということにならぬでしょう。中小河川というのが改修率わずかに二〇%ということになってくると、これはどうにもならない。  それともう一つは、私は直轄河川というものをふやしていく必要があると思っているのです。私の県では、県の管理河川が二百七十ある。普通河川というのは二千五百本あるのですよ。それに対して直轄河川というのは、例の大水害を起こした本明川一本なんです。もっと災害に対して国が大きな助成措置を講じていくという積極的な取り組みというものがなされなければならぬ、そう思うのですが、そうした議論はまた適当な機会にするといたします。  ここであなたにお尋ねしますけれども、災害復旧一に対して改良はどの程度の比率になっていますか。
  125. 川崎精一

    川崎説明員 全般的にいいまして、大体原形復旧で不足するというようなところにつきましては改良復旧を行なっておるわけでございますが、これにつきましては、単に災害時点で改良復旧をするというものと、それから、本来の河川事業として、いわゆる治水五カ年計画の中でそういった災害関係ある河川に重点的に改良費もあわせてつぎ込んでいく、こういうことになっておりますので、予備費における改良費と、それから、いわゆる本来の治水事業による改修費と、これをあわせてつぎ込んでいるわけでございますので、ちょっとこまかい比率というのは個々の河川によってかなり違うかと思いますけれども、災害を受けた実態を見て、少なくとも再度災害はないという程度の規模の改良はどの河川についても心がけていきたいと考えております。
  126. 中村重光

    中村(重)委員 個々の場合は、いまお答えのような点もあると思う。しかし、大体災害復旧一に対して改良一ですよ。これでは話にならないですね。改良復旧をやるならば、その改良というものが積極的になされなければいけないと思う。災害復旧一に対して改良一ということになってくると、それはたてまえは改良であっても、なかなかそうはいかない。だから、工事が進捗してないんだから、改良が進んでないんだから、また災害に見舞われる、そういう悪循環を繰り返すということになる。だから、改良復旧をおやりになるそのたてまえをほんとうに生かしていくためには、災害復旧一に対して改良は少なくとも五くらいの比率でもって推進をしていくということでなければならぬと私は思う。これはあなたのほうもそういうことでやりたい気持ちは一ぱいだろうと思うのですよ。大蔵省がなかなかきびしくて、さいふのひもをゆるめないんだろうと私は思うのだけれども、少なくとも河川局長が災害の問題に対しては当面の一番立て役者なんだから、この点に対しては、ことしなんかのように、もう二十三号——もう台風の連続ではどうにもなりませんから、ここでひとつ大蔵折衝というようなものも大いに積極的にやって改良復旧の比率を高めていく、そういう方向にひとつ進めてもらいたいということを強く要請しておきたいと思います。  それから、治山事業について簡単にお尋ねをいたしますが、治山事業と急傾斜地の地すべり防止事業、治山事業は林野庁がおやりになるし、急傾斜地の地すべり防止事業は建設省がおやりになるのだけれども、この両者の区分というのが私はわからないのですよ。なるほど、五十戸以上というような規模の区分というものはあるわけなんですね。もう少し条件があるのじゃないか。こういうところは治山事業でやる、それから治山事業と地すべり防止事業との施行方法というもの、その他いろいろな点で私は内容的に変わってくるんじゃないかと思うのですが、そこらはいかがでございましょうか。
  127. 松本守雄

    ○松本説明員 お答えいたします。  林野庁の行ないます治山事業でございますが、これは保安林ないしは保安施設地区に指定されたところでやるのを原則としております。その施行方法は、主として森林の造成によりまして地盤を固めるということ、または森林の造成もしくはその維持のために必要な土木的工事もあわせて行なうということで、その場所は保安林、保安施設地区でございます。  そこで、急傾斜地崩壊防止工事との関連でございますが、一応法律の内容にも規定しておりますとおり、保安林と保安施設地区では、この急傾斜地崩壊防止工事はやらないというたてまえになっております。その他の森林につきましてはどうするかということでございますが、それはそのつど建設省と現地で十分協議をいたしまして、そごのないようにやるというたてまえでやっております。
  128. 中村重光

    中村(重)委員 そうしますと、先般の集中豪雨で、これは具体的なことでお尋ねいたしますが、対馬、これは相当地すべりがあるのだけれども、建設省の急傾斜地の地すべり防止事業でおやりになるのと、それから治山事業でおやりになるのと、件数についてどの程度の比率になっていますか。
  129. 松本守雄

    ○松本説明員 県から出てまいっておりますのが、治山事業でやる分で十七カ所になっております。
  130. 中村重光

    中村(重)委員 いずれの事業を適用してやるという場合も、私は現場に行って見た感じなんですけれども、治山事業でやる場合、上はいまお答えでもわかるのですけれども、いわゆる土どめをする、くずれをとめるという形になっていくと思うのです。問題は、下に水路がなければ、せっかく上でとめても、これはまたくずれるということになってしまうのですね。うまく排水がなされなければいけない。そこはどうなっていくのか。そうすると、建設省の地すべり防止事業でおやりになる、その場合は下の水路まで対象になるのか。治山事業の場合は、私は対象にならないのだろうと思っています。下の人家のあるところの水路をつくるということですね。これをやらなければいけないので、そこはどうなるのかということです。
  131. 松本守雄

    ○松本説明員 いまお答えをいたしましたように、林野庁でやりますものは、森林を造成するということによって災害を防ぐというのを主体にいたしますが、そのために必要な下部の土木的な工事、水路も入りますが、そういうものはあわせて行なうようにいたしております。
  132. 中村重光

    中村(重)委員 あわせて林野庁で下の排水路までおつくりになりますか。
  133. 松本守雄

    ○松本説明員 排水路なり堰堤なり護岸なり、上部の森林造成と一体として考えられるような工事は林野庁でやっております。それをどこまでやるかということは、建設省と十分協議をいたしまして現地現地できめておるわけです。建設省のほうは砂防事業が主体になろうと思いますが、そういう現地での接点は十分に協議をして、そごのないようにやっておるはずでございます。
  134. 中村重光

    中村(重)委員 いまの前段のお答えは、林野庁のほうで下の水路までおつくりになるということだから、これはけっこうなことである、何も心配ないというような感じです。あとでお答えになったのは、どこまでやるか建設省と十分話し合って、こういうことなんです。それは、話はよくしなければならぬでしょう。ところが、都道府県でどうなのかといって聞きますと、実はやってくれないのだ。市町村の場合、市町村がこれをやらなければならない。そうすると、市町村の財政力には限度があるので、負担能力がないからなかなかやれない。かといって、その地域住民がこれをやる、いわゆる地元負担、住民負担ということになってくると、これまたたいへんだ。これは何とかしてもらわなければ困るのだということを言っているのですよ。だから、そこらあたりは心配は要りませんか。いま私が都道府県で——それでは具体的に長崎県だということを申し上げてよろしい。私はこの質問をいたします前に、三、四日前になりますが、林野関係、それから河川関係その他関係者のお集まりを願って、問題点というものをいろいろと実は尋ねた。進捗状況は、現在どこまで集中豪雨に対して県と国との間に査定の問題その他進んでいるのか、そこらを実は尋ねた。ところが、問題点として私が申し上げたような下部の水路の問題が出てきた。これを何とかしてもらわなければならぬ、こう言っている。そのことは、私が聞いたことが間違いだということになりましょうか。なればけっこうなことだけれども、これは河川局長のほうもひとつお答えいただきたいのですが……。
  135. 川崎精一

    川崎説明員 治山あるいは私どもの治水砂防、この両方で山を守っておるわけでございますが、そのそれぞれの所管につきましては先ほど林野庁からお答えになったとおりでございまして、私どもの立場といたしますと、いわゆる林野庁でやっておられる以外の山につきまして、川に有害な土砂を流してくる、そのために河積を狭めたり、あるいははんらんをする、こういったような河川に有害な土砂を流すやつを砂防事業によってこれを防ぐ、あるいは地すべりによってこれをとめる、急傾斜のがけを防止する、こういったようないろいろな方法で国土保全を行なっておるわけでございます。したがいまして、山地からの大量の土砂が流出するような場合には、これは砂防堰堤で谷どめをする。なおそのほかに、砂防堰堤から下につきましても、やはりシラスその他ああいった特殊土壤の場合あるいは勾配の急流な河川、こういったようなところは河道をどんどん侵食しまして、河道自身がこわしてまた土砂を下に流す、こういったような悪循環を起こすわけでございます。そういったものにつきましては、これは流路工、まあ川を全部張るわけでございます。そういったことで川の侵食を防いで、いわゆる河川までバトンを渡していく、こういうような工法をとりまして現在やっておるわけでございます。ただ、流路工の点等につきましては、これはいろいろ川と砂防との間に、あるいはおっしゃるような盲点があるかもしれません。そういったところにつきましてはなお十分——まあ長崎県だけではございませんで、各県も同じようなことをやっておるわけでございますので、私どもの指導を徹底させるようにさせたいと存じます。
  136. 中村重光

    中村(重)委員 一番わかりやすいことで地元の問題を引用して私はお尋ねをしたわけですが、林野庁のほうで治山事業としておやりになることになっている対馬の上対馬町の西泊というところがあるのです。ここには、何というのですか、がけがくずれている。そしてお寺がある。そのお寺がやられるものだから、突っぱって、そのままどうすることもできないで放置されたままになっている。下には人家がある。ところが、川はないのですよ。だから、そこへ水路をつくらなければいけないわけです。水路をつくらなければまた同じようなことになってくる。だから申し上げたわけでして、現実には県が心配をして、何とか国のほうで助成をしてもらいたい、当該市町村ではどうにもならない、かといって、これは県がやることにもなっていない、というようなことで頭を痛めておるということは実態であるわけですから、いまのお答えが具体的に実施されることを私は期待をいたしますけれども、十分ひとつ配慮される必要がある、そのように思います。  なお、この前の委員会で、できるだけ早くやりたい、都道府県に手が足りなければ国のほうから応援でもしてやりたい、早く査定を終わらなければどうにもならないのだということでございましたが、査定がどの程度いまは進んでおるのかということもお伺いをしたいのですが、時間も参りましたから、もうお答えをいただかなくてもけっこうですけれども、早く査定をしなければ、山も川もそのまま放置されています。私はその後も災害があったところの地域を回ってみましたが、全く手をつけられてないのですよ。さあ災害だというのでまわりの住民は大きな不安にさらされておるというのが実態です。だから、この委員会でお答えになったように、都道府県、市町村とも十分連絡を密にされて、そして応援隊を繰り出すところはどんどん繰り出していく、早く査定を終わる、そして緊急的な措置をするものはするというような方向に積極的に進めてもらいたいということを私は要請しまして、私の質問を終わります。
  137. 中井徳次郎

    中井委員長 次に、瀬野栄次郎君。
  138. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 梅雨前線豪雨及び台風十九号による災害対策の中で先ほど建設大臣にいろいろ質問をいたしてまいりましたが、その残った部分について、特に治山対策その他について林野庁長官並びに関係当局に質問をいたします。  まず最初に、治山事業の問題で、今回の災害で特に熊本鹿児島宮崎、大分あるいはまた長崎県等災害を受けまして、今回四県の調査をいたしたわけでございますが、各県とも治山についての問題を強く要望されてまいったわけです。今回の災害に対して、林野庁として緊急治山並びに治山対策について現在いかなる対策を進めておられるか。と同時に、去る八月九日、農林水産委員会で林野庁長官に質問した際に、今後予防治山についても重点的にこれを考えていくという答弁がございましたが、本年度予算編成の概算要求をされた時点でございますので、その予防治山についてどのように予算上御検討されておられるか、こういったことを最初にお伺いをいたしたいと思うのであります。
  139. 松本守雄

    ○松本説明員 今回の災害でございますが、林野庁関係での被害額が、梅雨前線豪雨で約百八億、それから台風十九号で九十億でございました。その対策としまして、民有林治山事業について、六月から七月上旬の崩壊、これにつきまして、人家とか農地、公共施設というものに被害を与え、またそのおそれのあるところで早急に復旧をする必要があるというところについて、緊急治山事業費でこれはすでに復旧工事に着手をしております。それからまた、施設災害の分につきましては、目下県に対しまして工事費を割り当てをしておりまして、その割り当てが終了いたしております。それから七月下旬以降の災害でございますが、これは関係県との打ち合わせを終了して、今明日中に関係省とも協議をするという手はずになっております。それから民有林の林道につきましても災害がありましたので、県の査定調査の受け入れの準備ができ次第、早急に関係官を派遣して、一刻も早く査定を終わってその復旧に着手をするということで努力をいたしております。以上でございます。  それからもう一つ、予防治山に重点を置いておる点につきまして御質問がございましたが、四十六年度は七十二億円を要求いたしております。また、目下治山事業の第四次計画を改定作業中でありますが、予防の点につきましては、一つの重点事業といたしまして、さらに拡充を目下検討中でございます。
  140. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、同じく治山事業問題で、林地崩壊防止事業実施要綱というのがあるわけですが、この要綱によりますと、それぞれ適用の範囲が設けられておるわけであります。最近における災害等の調査をしてみましても、林地崩壊の現状は、現行の実施要綱ではあまりにも適用範囲が大災害にのみ集中されておるために、これが制度適用を受ける被災団体は非常に少なく、せっかくの制度にもかかわらず恩恵を受けられないというのが現状になっております。  そこで、最近における産業開発の伸展に伴って、林地崩壊防止事業に該当すると思量されるものが続発しておるのも現状でございますので、林地崩壊防止事業の前提となる激甚災害という四つの文字を削除して、広く被災市町村適用できるように改めていただきたいと各県も要望しておりますし、われわれもそういうふうに思うのでございますが、長官はどのようにお考えであるか、この機会に御所見を承りたいのであります。
  141. 松本守雄

    ○松本説明員 林野庁で行なっております各種の災害対策事業がございますが、その中で緊急治山事業というのがございまして、これは一カ所で毛八十万円以上になれば国庫補助対象になるということで、この場合には、二戸以上とかそういうものも関係ございませんし、それから五百万円をこえる市町村とか、それから標準税収の一〇%、そういうものは関係をしないで、八十万円以上で、それを放置すると公共の安全に非常な危険があるという場合には、これは緊急治山事業としてやっております。ところが、最近、集中豪雨その他で、それ以下の小災害といいますか、小さな災害が集中的に発生をいたします。そういう傾向がございましたので、昭和三十九年の島根県を中心にした災害を契機として、予算措置として八十万円以下でもひとつ救う道はないものかということで、四十一年度から実施をされておりますのが林地崩壊防止事業でございます。これは小さな災害が幾つもあるということで、市町村の自力では復旧できないということにかんがみまして、この防止のために多額の経費を要し、地方公共団体の財政を著しく圧迫する場合において、この事業でもって救っていこうという趣旨でございまして、何でもかんでも救うということではないわけであります。  そこで、以上、先生の言われましたように、激甚災であることと、三戸以上であることと、それから総工事費が幾ら以上、総額が税収の一〇%以上あるという縛りをもってやっておるわけであります。それ以下の場合には、それぞれ小災害に対する対策事業として県単でやっておるのが実態でございますが、いずれにしましても、最近の過疎対策、また、こういった災害が集中をしておるという点を考えまして、現行の採択基準の改正に対する要望が非常に強いという実態も考えて、現実に即するような検討を今後とも進めてまいる所存でございます。
  142. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 林野庁長官から具体的に御答弁いただきました。ただいまの答弁で一応わかるのでありますが、この林地崩壊防止事業というのは、いまも話がありましたように、二戸以上と、こうあるのですけれども、これをぜひ一戸以上に改めていただきたいという要望が非常に強いわけであります。山村の特殊環境から一戸建ての点在住家がきわめて多いために、その被害も一戸に該当するものが相当数ありまして、特に最近における住民福祉優先の観点からも、人命尊重を第一義とする観点からも、崩壊による林地被害の拡大というものを防止するために、ぜひ一戸以上ということに改めていただきたい、こういうことでございます。いま御答弁いただきまして、もちろん、激甚災害、二戸以上または税収の一〇%以上、これ以下のものについては、小災害で県単でやっているのが実情である、しかし、要望が強いから、現実に即するように検討するというような答弁でございましたが、ぜひこれはひとつ一戸以上に改めていただくように今後御検討をいただきたい、かように思うのであります。こういう点については要望を申し上げておきます。  次に、やはり林地崩壊防止事業の実施要綱の中で、事業費の総額が五百万円をこえる市町村とあるのを、二百万円をこえる市町村ということにぜひ改めていただきたい、こういうことであります。最近の集中豪雨状況等を見ましても、被災市町村における災害実態というものは特に小規模な林地崩壊特徴であり、一市町村を単位として百万円から三百万円までぐらいが大半を占めているというのが、今回の調査でも明らかになったわけであります。したがって、被災市町村における財政負担の軽減をはかるために、ぜひともひとつ二百万円をこえる市町村ということに改正をお願いしたいということでございますが、こういう点についてもあらためてひとつ御見解を承っておきたいのであります。
  143. 松本守雄

    ○松本説明員 お答え申し上げます。  ただいま最初に触れましたように、林地崩壊防止事業というのは、小さな災害が幾つも幾つも起こったということで、緊急治山事業とか特殊緊急治山事業が当てはまらないという場合でございまして、そういった災害の中には八十万円以上も一つの個所で復旧費がかかるところも出てくるわけでございまして、そういう場合には、八十万円以上で採択基準に合うものは、緊急治山事業としてそのつど一カ所でもやれておるわけであります。その場合には、いまの標準税収が幾らとか、そういうものは必要ないわけでして、人命その他に影響があれば、一カ所八十万円以上であれば一カ所でも採択ができるというのが緊急治山事業というのでございます。それ以外のこまかいものを救おうというのがいまの林地崩壊防止事業でございますが、それにはそれぞれの縛りがございまして、いま申し上げましたように、二百万円にするか——いま総額が五百万円ということになっておりますが、そういう点につきましてもなお検討させていただきたいと思っております。
  144. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 林野庁長官にもう一点お伺いいたします。ただいまの林地崩壊防止事業に関してでありますけれども、発生年度を含んでおおむね四年以内というふうにあるのですが、この期間について、最近の災害の激発から見ましても、二年以内に改めるということの要望が、各県からも強く要望として出たわけでございます。本事業は、御承知のように、直接人命、財産に被害を及ぼす影響が大きい事業であるために、第二次災害防止の観点からも、特に早急な復旧をはかる必要があるわけでございます。したがって、少なくとも災害発生年度を含めて二カ年で完全に復旧ができるように改めていただきたい、またそういうふうにすべきだと思うのですが、この点について林野庁長官の御見解を承っておきたいのであります。
  145. 中井徳次郎

    中井委員長 簡単に御答弁願います。
  146. 松本守雄

    ○松本説明員 簡単に答弁させていただきます。  これは建設省でやっております施設災害関係もございまして、それの復旧は原則として四年ということでありますが、個所はたくさんございますし、そのたくさんある個所の中で特に必要なものは一年でも済ましてしまうということで、なるべく早く復旧をさせるという方向で調整をしてまいりたい、このように思います。
  147. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 林野関係は以上で終わりまして、最後に二点河川局長にお伺いして質問を終わることにいたします。  まず一点は、簡単に申し上げますけれども、今回の調査で、熊本市の中心を流れておる白川河川改修状況並びに蓮台寺橋の流失現場視察いたしたわけであります。その節、現地の市長からも、また地元からも強い要請がありましたが、白川改修と相まって、今回の災害で蓮台寺橋が白川唯一の木橋でありましたけれども、流失しました。これを永久橋につけかえるということでいま検討が進められておるわけでありますが、これについていかなる対策を立てて現在進めておられるか、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  148. 川崎精一

    川崎説明員 市内の白川にかかっております蓮台寺橋につきましては、ただいまお話しのように、七月二十二日の豪雨流失したわけでございます。一応仮工事を行なっておりますけれども、私どもとすれば、ひとつこの際永久橋にかけかえるのが至当じゃないかというように考えております。なお、改修計画等もございますので、そういったものとあわせて永久橋にかけかえたい、これが河川関係から見た立場でございますが、なお、この路線につきましては、かなり都市計画上の街路としての計画がまたいろいろございますので、そのほうにつきましては計画局のほうから説明がございますけれども、十分協議をした上で促進をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  149. 今野博

    ○今野説明員 ただいま河川局長から御説明しましたように、この蓮台寺橋は白川河川改修計画との関連もございます。と同時に、御承知だと思いますが、現在の蓮台寺橋のほぼ百メートルくらい下のほうに、都市計画街路の新土川原——出水線という計画決定をした線がございます。これはまだ全然手をつけておりません。したがいまして、この都市計画街路と蓮台寺橋とどういうふうに調整するか、つまり、蓮台寺橋をこの線の上に乗せるかどうか、あるいは、新しいきまっております都市計画街路を蓮台寺橋のほうに寄せるかどうか、この辺につきましては、河川改修計画との関連もございますし、さらに取りつけ道路との関係もございますし、現在市当局におきまして検討中でございます。私のほうには実はこの際に永久橋にしたいという要望が出ておりますが、具体的にどの地点にどのようにするかということは、まだ具体案が上がってきておりません。上がってきました段階で十分検討いたしたいと思っております。
  150. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 蓮台寺橋と白川改修については、将来の関係もございますので、ただいま答弁がございましたように、十分市当局の意向も聞いていただいて、後に禍根を残さないように永久橋にし、改修にも支障を来たさないようにひとつ御検討を早急にやって、工事の着工が早くできますように、また復旧が早くできますように、ぜひひとつお願いをする次第でございます。  最後に、河川局長に一点だけお伺いしておきますが、実は熊本県と大分県にまたがっております、蜂之巣城で日本じゅうにずいぶん騒がれました下筌ダムの問題でございます。今回も熊本の市房ダム等でダム操作の問題がいろいろありましたし、今回の集中豪雨等で堤防決壊したというような報道がなされて、下流の一万五千名の人たちが退避するというようなことで、たいへんな騒ぎになりました。商品等もずいぶん冠水をして被害を受けたわけであります。そういったことから、最近に至って、下筌ダム並びに松原ダムのほう、特に松原ダムでありますが、漏水をしているということから、いろいろ地元ではたいへん心配をしております。もちろん、いま試験貯水でいろいろとやっておることも事実でありますけれども、年度内完成が予定されておりますが、そういった漏水防止工事のために大幅に工期が延長しております。したがって、九地建等でも、昨年暮れから松原ダムの第一次湛水に入っておりまして、ダムの漏水状態や岩盤の模様などを調査しておったわけでありますが、水深三十メートルの貯水で毎分六トンの漏水が発見されておりますが、漏水の個所も、ダム本体の右岸に並行している九電の旧導水トンネルがございまして、こういったものを含め、目立つところだけでも二十カ所くらいある、こういうふうに聞いております。こういったことで、現在試験貯水をしながら、カーテングラウトといいますか、コンクリートの壁をつくりながらいろいろ慎重に対策を立てておられるごとも事実でありますが、地域住民はたいへん心配をしておるし、数年前イタリアでダムのオーバーホールによって問題になったこともありますので、絶対だいじょうぶだといっても、ダムには万一ということがあってもいけませんし、今回はダム本体の亀裂ではなくて、ダムサイトの上流あるいは下流における漏水を——もちろん、ああいった花こう岩地帯のところでありますので、多少漏水があるということはうなずけるわけでありますけれども、かなり数多く相当量が漏水しているということで地域住民は心配をいたしております。どうかこれが人災にならぬように、地域住民も安心のいけるような御答弁をいただきたい、かように思うわけで、これに対する河川局長の御見解を承りまして、質問を終わりたいと思います。
  151. 川崎精一

    川崎説明員 ただいまお話しの下筌並びに松原ダムの漏水でございますが、これはある程度、あの辺の地質が阿蘇溶岩地帯でございますので、若干ほかのダムよりはたくさんの漏水が出るだろうということはわれわれ当初から予定をいたしておりまして、かなりグラウトその他につきましては相当の経費その他をつぎ込んできたわけであります。ほぼ完成いたしましてその上で実態を見ないと、地表からのボーリングその他でずいぶん調査もいたしましたが、そういった点はまずだいじょうぶではないかという結論でございましたが、こういったものにつきましては、やはり徐々に水をためながら、試験をしながらその手当てをしていく以外にないんじゃないかというような結論に達しまして、当初は四十五年度じゅうにと思っておりましたが、若干あるいは延びるかもしれないと思っております。したがって、現在の見込みでは、来年の三月を目途にそれぞれのダムの完全な手当てを終わりたいと思っております。特に下筌ダムにつきましては大体見通しもついておりますので、あとそう長く日にちはかからないんじゃないかと思います。松原のほうが若干漏水量が多いようでございますので、これは来年の春までに何とかめどをつけたいということで、予算的にも両方のダムを合わせまして約八億程度の予算をなお計上いたしまして、不安のないような手当てをいたしたいと考えております。  なお、安全性の問題でございますが、別に漏水量の多寡が直接ダム並びにこれを支持しております岩盤の安全性とつながるものではございませんので、私どもも岩盤の動きなりダムの挙動その他につきましては、計器等も入れて十分観測もいたしておりますので、そういったことは毛頭ないと思いますが、やはり貴重な水でございますので、なるべくこういった漏水を少なくしてダムを効率的に運用したいというようなことで漏水の手当てをしておるわけでございまして、われわれといたしましては、ダムの安全性につきましては毛頭不安はない、こういうように確信をいたしておりますので、どうぞひとつよろしく御了承いただきたいと思います。
  152. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ただいま答弁いただきましたが、ぜひひとつ不安のないように完全な手当てをしていただいて、これが人災とならないようによろしくお願いをする次第であります。  以上で質問を終わります。
  153. 中井徳次郎

    中井委員長 次回は公報をもってお知らせすることにしまして、本日は、これにて散会いたします。    午後六時五十八分散会      ————◇—————