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松本(忠)
委員 本日、私は当面する
公害問題の
一つでございますところの航空騒音につきまして、政府の見解と
対策をお伺いいたしたいと思うわけでございます。
現下の航空
事情につきましては、御
承知のように、輸送力の増大に伴いましてプロペラ機から大型のジェット機へと目まぐるしいところの発達をいたしてまいりました。それに比例いたしまして、騒音
公害のほうも、著しく空港周辺の住民の
生活を脅かしておるのが現状でございます。特に着陸体勢に入る前、この直前には脚を胴体から出します。このときは失速する関係上エンジンをふかす、こういうことになります。したがいまして、その際は一そう音が大きくなる。これはもう御
承知のとおりだと思うわけでございます。ちょうど脚を出した、こういう状態の真下にあるところでは八十ホンから九十ホン、このように騒音がはなはだしい。しかも一日じゅうこれがやられておりますと、これはたまったものではないと思うのであります。いかにそれがひどいかといいますと、
一つの例をあげますと、赤ちゃんが寝つきが悪くなる、おかあさんのおっぱいを扱わなくなる、また、学童は騒音のために授業中断がしばしばございます。こうなりますと、当然のこととしまして学力が低下する。また一日のつとめを終えられて、うちへ帰って一ばいのビールで疲れをいやし、そうしてからだを横たえよう、こういう労働者の方々にとりましても、御
承知と思いますが、キーンという金属音、この金属音によりまして寝ることもできません。特に夏場は窓をあけております。これはどちらのうちでも冷房が完備しておるわけではございませんから、どうしても窓をあける。窓をあければ当然のこと、騒音は一そうよけい入ってくるということになります。また、
皆さんも御経験があろうかと思いますけれ
ども、テレビの映像もちらちら、ちかちかいたしまして、一家の団らんなどということはもう全くございません。みんないらいらしまして、極度の神経衰弱の状態になってしまうわけでございます。その騒音がいかにひどいものであるか、これはほんとうに聞いたものでなければわからないと思うわけでございます。
そこで私は、航空騒音の実態について、ぜひとも
長官にも聞いていただきたい、また御列席の
委員の
皆さんにも聞いていただきたいと思いまして、去る七月の二十日、江戸川区に参りまして、私自身が録音をしてまいりました。そのときには江戸川区の区長の中里さん、
環境部長の竹門さん、こういう方々にも御一諸に立ち会っていただきまして、私自身が録音をしてまいりました。きょうはその録音をこの場所でかけて、皆さま方にぜひとも航空騒音の実態がどのようなものであるかを聞いていただきたい、このように思いまして先ほど
委員長にお願いいたしたわけでございますけれ
ども、院の慣例、規則、こういうものによりまして、この場でそのテープをかけることができない、こういうことでございますので、私持参してまいりましたのを、非常に残念ではございますけれ
ども、また別室などでこれを聞いていただきたい、このように思います。はなはだこれは残念な次第でございます。これを聞いていただきますと、きょうの答弁についても
長官のほんとうに真剣なお答えがいただけるものと、こう私
期待しておったわけでございますが、やむを得ませんので中止をいたします。
この収録されております録音は、御
承知のように羽田の国際空港のB滑走路、これが三月の十九日より使用が開始されたわけでございます。御
承知のように、このB滑走路のほうは南風が強いとき、特にこれは東京の場合でございますと、夏場になりますと使用されるようになっております。そのために政府は多額の国費を費やしまして本年完成させて、この使用を開始したわけでございます。このB滑走路の使用開始に伴いまして、最大の
被害を受けたのは一体どこかといいますと、東京都の江戸川区の松江、船堀、葛西、このような、江戸川区におきましても海沿いの最も南のはずれのほう、どうしてもBランに向かって着陸体勢に入ってまいりますと、江戸川の北のほう、これは高度がございますから、そちらのほうは比較的騒音ははなはだしくありませんけれ
ども、南になるに従って非常に騒音が強くなってくる。こういう状態でございます。これらの松江、船堀、葛西、こういう地区においては非常な騒音でございます。先ほ
ども申し上げましたように、私、二十日の日に夜の十時ごろでございますが、わざわざ現場へ出かけてまいりました。そうして江戸川区の船堀六丁目の十一番地、この路上におきまして録音してまいりました。そのときは江戸川区の区長の中里喜一さん、江戸川区
役所の
環境部長の竹門正夫さん、こういう方々にもお立ち会いを願って録音したわけでございます。先ほど申し上げましたように、残念でございますが、これを聞いていただければほんとうに
皆さん方にも騒音の
被害の実態がよくわかるわけでございますけれ
ども、衆議院の規則あるいは慣例によりましてそれができないということを非常に残念に思うわけでございますが、やむを得ないわけでございます。
そこで
環境庁の
長官にお伺いしたいわけでございますけれ
ども、現場に参りまして聞いていただきますと一番よくわかるのですが、大体二分ないし三分間隔、それもものすごい金属音を伴ったジェット機、特にジャンボ、これは耳をふさいでもどうにもならないというような状態でございます。言語に絶すると言っては誇張かもしれませんけれ
ども、そのような表現が当たるのではなかろうかと思うのでございます。この地点は羽田から大体海を越えまして十二キロの地点でございます。これで大体七十から八十ホン、高いときには九十ホンに達するものがこの中にございます。音を発するそのあとで、すぐその場で測定し、いまのは何ホン、いまのは何ホンというふうに収録されておりますので、これを聞いていただきますと非常によくわかるわけでありますけれ
ども、まあやむを得ません。そこで、江戸川のこの地域は、御
承知とは思いますけれ
ども、住宅街でございます。この住宅街につきまして私は一言言わせていただきたいわけであります。この五月に閣議で決定されましたところの騒音
環境基準、これは御
承知のように当初の線よりも大幅に後退したといわれているものでございますけれ
ども、この騒音
環境基準でさえも、夜の最高値は四十ホン、このようになっていると思います。しかしながら、この地域の航空機の騒音によりまして、ただいまも申し上げましたように、倍近い七十ないし八十、こういう騒音が
現実に出ているわけでございます。このような状態に対処して、
環境庁といたしましてはどのような
対策をお
考えになるのか、これをお伺いいたしたいわけでございます。
すでに皆さまも御
承知のように、この江戸川区におきましては、去る七月の十五日、国を相手どりまして、羽田の国際空港のB滑走路の使用禁止を求めるところの仮処分を東京地裁に申請をいたしております。飛行機の騒音につきまして、大阪の伊丹空港周辺の住民の方々が、
損害賠償と夜間の飛行禁止を求めるところの民事訴訟を大阪地裁に出した例はございます。しかしながら、事実上の飛行禁止の仮処分を求めたのは初めてのケースであろうと思うわけでございます。このような重大な問題に関しまして、あらゆる
公害の問題を積極的に解決して、
国民の健康で文化的な
生活を保障するところの
責任をになって発足したところの
環境庁としてどのように対処されるのか、この点
長官からとくと承っておきたいわけでございます。