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北原参考人 ただいまの御
質問は、
青函トンネルの
排水につきまして、どういうような
調査をし、
対策を講ずるかというようなことと伺いましたが、そのことについて申し上げます。
青函トンネルの
排水が付近の
漁業に悪
影響を及ぼしてはいけないという観点から、
青函トンネルの
調査坑を掘さくし始めました
昭和三十九年から
調査をしようということで、
北大の
水産学部のほうに
お願いして、もろもろの
調査をやるように計画いたしました。多少問題がございまして、正式に
北大の
水産学部に
お願いいたしましたのは
昭和四十一年五月からでございます。
北大の
水産学部におかれましては、懸濁物の
調査、
水質分析調査、
海藻の
調査、
底質及び
海底生物の
調査、漁具、漁法、
漁獲物の
調査というふうに、五つの班を編成され、それぞれを御担当されまして、
調査をしてまいりました。たまたま——たまたまといいますか、
昭和四十六年から
工事線になりますので、本
工事が始まることになり、いままで、
昭和四十五年までに
調査いたしましたものを
調査報告書としてこういうような本をつくってくださいまして、
報告書ができ上がりました。この
報告書は、
北海道庁、
青森県庁並びに
地元の町村及び
漁業組合のほうにも差し上げまして、
調査した結果を
報告いたしております。この
報告は、学者の
方々が科学的に
調査するということがすべての根底であり、これに基づきまして、もし
被害があるとわかったならば、可及的すみやかに
対策を講じて
被害を起こさないようにするということが一番の目的でございます。
簡単にこの
報告書のことを申し上げますと、まず、
トンネルから出てまいりますものは、岩石を構成する
鉱物質の懸濁物が多いということでございます。これは
無機質のものが大部分でございまして、いわゆるカドミウムその他の
有害物質というのは、一応ただいまのところ認められておりません。それらの懸濁物を
沈でんさせるために
沈でん池を設けまして、そこで
沈でんさせて上澄みを放流するという方法をいままでとっておりました。しかし、その後、
トンネル掘
進機というような
機械を入れるに至りまして非常にこまかい石粉が発生するようになりまして、その
沈でん池だけでは不十分であるという事態が起きてまいりました。そこで、
地元の人々も、やはり濁るというようなことをわれわれのほうへ言ってこられまして、われわれもまた、
機械を入れましてから非常にこまかいものが出てくるので、
沈でんしきれないで海に排出するという傾向がわかりましたので、今度は
沈でん池だけではなくて、強制的に
沈でんさせる
シックナーという
強制沈でん装置を設けまして、それで
沈でんいたしまして、ただいまのところでは、
SS濃度という
一つの
基準で一〇〇以下に押えているという現状でございます。いま申し上げましたのは、
北海道の
吉岡地区のことでございます。
竜飛地区のほうでは、やはり同様な
調査をしてまいったのでございますが、まだ
岩粉を発生する
トンネル・
ボーリング・マシンを入れておりませんので、
沈でん池だけでよかろうと思ってやっておったのでございますが、いよいよ本工も間近になり、大きな
工事量が予想されるに至りましたので、これだけではいけないのではないかということで、ただいま
シックナーのような
強制沈でん装置を設けるべきではないかということで検討しており、
方針がきまり次第すみやかにそれをつくる、来年の四月ぐらいまでにはつくるという
方針でやっております。このことにつきましては、先般の
古寺先生の御
質問に対して、うちの
総裁がお答えしましたとおりでございます。
それで、これは
無機質の懸濁物の
沈でんのことではございますが、そのほかに化学的な成分、先ほど申し上げましたように、
水質の
分析あるいは
海藻の
調査、
海底及び
海底生物の
調査というようなことを行なってまいりまして、
水質につきましては、
セメントけが若干ございますので、
PHが若干高いというような点はございますが、一応
吉岡側のほうでは、川の水とまざって、海のところへ出るときには非常に希釈されるということでございます。
竜飛のほうは、出てくるところに若干
PHが濃い現象が起きておりますが、非常に海流が速うございまして、拡散する速度も速いということでございます。
それから、
海藻や
アワビ、
サザエ等の生育につきましても、懸濁物の
影響がどのように出るかというようなことを
北大の
水産学部でいろいろと実験をしていただいておりますので、そういう結果が出ております。しかし、
海底生成物等につきましてはきわめて資料が少ないので、われわれの出した
排水が非常に大きな害をなしておるかなしておらないかにつきましては、もう少し検討をしないと断定的なことは出ないのでございますが、わずかな
数量のことではございますが、いろいろと
報告書に載っております。
対策といたしましては、先ほど申し上げましたように、こういうことがわかってきまして、
数量が
たくさんの
排水になりますと
被害が出てくる
可能性もございますので、
シックナーその他の
構造物をつくって
被害のないようにしたいというふうに考えております。
一応これで御
説明を終わらせていただきます。