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1971-07-23 第66回国会 衆議院 建設委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和四十六年七月十四日)(水曜日) (午前零時現在)における本委員は、次の通りで ある。    委員長 金丸  信君    理事 天野 光晴君 理事 大村 襄治君    理事 正示啓次郎君 理事 服部 安司君    理事 阿部 昭吾君 理事 小川新一郎君    理事 内海  清君       金子 一平君    砂原  格君       田村 良平君    葉梨 信行君      橋本登美三郎君    浜田 幸一君       福田 繁芳君    藤波 孝生君       古内 広雄君    宮澤 喜一君       森下 國雄君    山本 幸雄君     早稻田柳右エ門君    井上 普方君       ト部 政巳君    佐野 憲治君       松浦 利尚君    柳田 秀一君       新井 彬之君    北側 義一君       渡辺 武三君    浦井  洋君 七月十四日  金丸信委員長辞任につき、その補欠として亀  山孝一君が議院において、委員長に選任され  た。 ――――――――――――――――――――― 昭和四十六年七月二十三日(金曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 亀山 孝一君    理事 天野 光晴君 理事 金子 一平君    理事 田村 良平君 理事 葉梨 信行君    理事 服部 安司君 理事 阿部 昭吾君    理事 小川新一郎君 理事 渡辺 武三君       小沢 一郎君    大村 襄治君       金丸  信君    砂原  格君       浜田 幸一君    古内 広雄君       森下 國雄君    山下 徳夫君       山本 幸雄君    井上 普方君       卜部 政巳君    松浦 利尚君       柳田 秀一君    北側 義一君       内海  清君    浦井  洋君  出席国務大臣         建 設 大 臣 西村 英一君  出席政府委員         建設政務次官  藤尾 正行君  委員外出席者         運輸省自動車局         参事官     山上 孝史君         気象庁予報部長 斎藤 錬一君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設省計画局長 高橋 弘篤君         建設省河川局長 川崎 精一君         建設省道路局長 高橋国一郎君         建設省住宅局長 多治見高雄君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ――――――――――――― 委員の異動 七月十四日  辞任         補欠選任   福田 繁芳君     亀山 孝一君 同月十五日  辞任         補欠選任  橋本登美三郎君     小沢 一郎君   宮澤 喜一君     山下 徳夫君 同月二十三日  理事渡辺栄一君同月九日委員辞任につき、その  補欠として田村良平君が理事に当選した。 同日  理事大村襄治君、正示啓次郎君及び内海清君同  日理事辞任につき、その補欠として葉梨信行  君、金子一平君及び渡辺武三君が理事に当選し  た。     ――――――――――――― 七月二十一日  地方道整備促進に関する請願鈴木善幸君紹  介)(第一二九号)  北海道及び東北高速自動車道建設促進に関す  る請願鈴木善幸紹介)(第一三〇号)  公共用地先行取得資金設定に関する請願(鈴  木善幸紹介)(第一三一号)  地代家賃統制令撤廃に関する請願外一件(熊谷  義雄紹介)(第一三二号)  共同住宅推進のための方策に関する請願江崎  真澄紹介)(第一三三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月二十一日  都市対策充実促進に関する陳情書外三件  (第三  九号)  道路整備体制の強化に関する陳情書  (第四〇号)  四国開発幹線自動車道早期建設に関する陳情  書  (第四一号)  都市周辺環状道路建設に関する陳情書  (第四二号)  普通河川整備等に関する陳情書  (第四三号)  高速自動車道サービスエリア内の営業権に関  する陳情書  (第七四号)  国道改修整備促進等に関する陳情書  (第七五  号)  都市計画事業推進に関する陳情書  (第七六号)  東九州縦貫高速自動車道建設促進等に関する  陳情書  (第七七号)  公団住宅家賃値上げ反対に関する陳情書  (第一一五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  国政調査承認要求に関する件  閉会審査に関する件  建設行政基本施策に関する件  請 願  一 地方道整備促進に関する請願鈴木善幸    君紹介)(第一二九号)  二 北海道及び東北高速自動車道建設促進に    関する請願鈴木善幸紹介)(第一三〇    号)  三 公共用地先行取得資金設定に関する請願    (鈴木善幸紹介)(第一三一号)  四 地代家賃統制令撤廃に関する請願外一件    (熊谷義雄紹介)(第一三二号)  五 共同住宅推進のための方策に関する請願    (江崎真澄紹介)(第一三三号)      ――――◇―――――
  2. 亀山孝一

    亀山委員長 これより会議を開きます。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  今回、はからずも私が建設委員長に選任されました。  御承知のとおり、当委員会の使命はまことに重大でございまして、その職責の大なることを痛感いたしております。委員会運営にあたりましては、委員各位の御協力を得まして、円満な運営をはかりたいと思います。何とぞよろしく御支援、御協力をお願い申し上げます。(拍手)      ————◇—————
  3. 亀山孝一

    亀山委員長 理事辞任についておはかりをいたします。  理事大村襄治君、正示啓次郎君及び内海清君から、それぞれ理事辞任申し出があります。いずれもこれを許可するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  引き続き、理事補欠選任の件についておはかりをいたします。  ただいま辞任されました理事補欠及び去る七月九日理事渡辺栄一委員辞任による理事の欠員、計四名の理事補欠選任を行ないたいと存じますが、これは、先例によりまして委員長において指名するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、金子一平君、田村良平君、葉梨信行君及び渡辺武三君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  6. 亀山孝一

    亀山委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、  一、建設行政基本施策に関する事項  二、国土計画に関する事項  三、地方計画に関する事項  四、都市計画に関する事項  五、河川に関する事項  六、道路に関する事項  七、住宅に関する事項  八、建築に関する事項 以上、八項目について、建設行政の実情を調査し、その運営を適正ならしめるため、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等方法により、本会期調査を進めるため、議長承認を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、議長に提出する国政調査承認要求書作成及び手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  9. 亀山孝一

    亀山委員長 この際、去る七月五日建設大臣就任されました西村英一君から発言を求められておりますので、これを許します。西村建設大臣
  10. 西村英一

    西村国務大臣 私、このたびの内閣改造によりまして、はからずも建設大臣を拝命いたした次第でございます。  委員会委員皆さま方には、常日ごろ建設行政につきまして多大の御協力を賜わっておる方々でございますし、今後とも何とぞよろしく御支持、御教示のほどをお願い申し上げる次第でございます。  実は、私、五年ほど前にも一度建設省にごやっかいになったのでございまするが、五年たちますると、建設行政も、考えますると、その量におきましてもちょっと二倍くらいになっておるような感じでございます。しかも、また、建設行政やり方にいたしましても、世の中の変化と申しますか、それに応じまして、質の面におきましても変えていかなければならないのじゃないかというような感じもいたすわけでございます。建設行政の各部門は国民生活に密着した関係を持ちますから、国民生活に注意しつつ仕事をやっていかなければならないのではないか、かように考えておる次第でございます。ことに、各省を見ましても、人命事故につきましては、これは一番われわれは心配しなければならない仕事でございまするが、交通関係をあずかる運輸省が一番、省といたしましても、一歩間違えば多大な死者負傷者を出すような省でございますが、その次にはこの建設省で、幸いに最近は非常な大きな台風もなかったようでございまして、死傷者も、十年前の台風等に比べますると少ないようでございまするが、それにいたしましても、一たん台風その他に見舞われますと、たいへんな死傷者を出すような行政を受けて持っておる省でございます。したがいまして、その点に十分気をつけなければならないと思っておる次第でございます。私、就任以来、がけくずれ、土砂崩壊というようなものがありましたために非常に多大な犠牲者を出しましたことにかんがみましても、この面につきまして特に注意をして行政をやらなければならないのじゃないかと考えておるような次第でございます。また、建設行政と申しましても、ただ施設をつくるということではなしに、やはり適地を選んで、過密にならないように、過疎にならないように、全国津々浦々を使う、いわゆる国土の土地をあまねく有効に使うというようなことも、これは世の中から求められておる要求ではなかろうか、かように考える次第でございまして、そういうような点につきまして、委員皆さま方には、常日ごろの御勉強によりましていろいろ御意見もあろうと思っておりますが、私たち、皆さま方の御要求を十分受けとめまして、ひとつ一生懸命やりたいという気持ちでございます。  何とぞひとつ今後ともよろしくお願い申し上げまして、就任のごあいさつにいたす次第でございます。(拍手
  11. 亀山孝一

    亀山委員長 次に、去る九日建設政務次官就任されました藤尾正行君から発言を求められておりますので、これを許します。藤尾建設政務次官
  12. 藤尾正行

    藤尾政府委員 私は、今回の内閣改造に関連をいたしまして建設政務次官に任命をせられました藤尾正行でございます。  大臣の御命令に従いまして一年懸命に勉強させていただきたいと思っておりますから、先輩の建設委員皆さま方のあたたかい御指導をちょうだいいたしまして任務を十二分に果たさせていただきますように、御指導、御鞭撻をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。(拍手)      ————◇—————
  13. 亀山孝一

    亀山委員長 次に、本日の請願日程全部を一括して議題といたします。  審査方法についておはかりいたします。  各請願の内容につきましては、文書表で御存じのことと存じますし、また、先ほどの理事会で御検討を願ったところでありますので、この際、各請願について、紹介議員からの説明聴取等は省略し、直ちに採決を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  これより採決いたします。  本日の請願日程中、第一ないし第三及び第五、以上の各請願は、採択の上内閣に送付すべき4のと決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  17. 亀山孝一

    亀山委員長 なお、本委員会に参考送付されております陳情書は、お手元に配付いたしてありますとおり十件であります。  この際、御報告いたします。      ————◇—————
  18. 亀山孝一

    亀山委員長 この際、閉会審査申し出の件についておはかりいたします。  理事会の協議によりまして・本委員会といたしましては、閉会中もなお審査を行なうため、  建設行政基本施策に関する件  国土計画に関する件  地方計画に関する件  都市計画に関する件  河川に関する件  道路に関する件  住宅に関する件 及び  建築に関する件 について、議長に対し閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、委員派遣申請の件につきましておはかりをいたします。  閉会審査案件が付託になり、現地調査の必要が生じました場合には、委員長において適宜委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、派遣地派遣期間派遣委員選定等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  22. 亀山孝一

    亀山委員長 次に、建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大村襄治君。
  23. 大村襄治

    大村委員 近時、集中豪雨等異常気象による災害全国各地発生して、とうとい人命を奪い、あるいは身体に重大な損傷を加える等の事例がしばしば発生しておりますことはまことに遺憾でございます。たとえば静岡県大崩、兵庫県新舞子あるいは相生市内高取峠自動車転落事故、さらには昨日の新聞によりますると、九州熊本県でも新たに水害による事故発生しているというような報道が行なわれておるのでございます。これらを見ますると、道路や海岸など建設省所管行政に密接な関係を有するものが多いと認められるのでありますが、異常気象に基因する公共施設に関する災害発生について、建設省としては、予防ないし事後の措置を含めてどのような対策を講じようとされているのか。先ほど、建設大臣から、就任のごあいさつの際にもいささか触れておられたようでございまするが、新任早々大臣に対しましてさっそくで恐縮でありますが、建設大臣対策についての所信をまずお尋ねいたしたいと思います。
  24. 西村英一

    西村国務大臣 日本全土集中豪雨に非常に弱い。そのために、河川にしましても、あるいは道路にしましても、特に道路は、最近交通量が非常に多くなっておりますので、危険個所がずいぶんだくさんあるようでございまして、建設省事務当局に聞きますと、そのために危険個所も相当調べておりますが、しかし、何さま個所が非常に多くて、一口に申しますと、国道で五千カ所、それから府県道で一万数千カ所、道路だけでそういうふうに合計で二万数千カ所の危険個所がある。それを第一次的にはやはり直していかなければならない。  しかし、一時に直せるわけではございませんので、それまでの危険の防止についてどうするかということでございます。これは気象状況等関係を勘案して、パトロールをやって、そうしてひどければ通行規制をするということがいまのせいぜいの方法でございます。しかし、そのやり方等につきましては、これは実際の運営の面で相当に考慮しなければならぬ面はたくさんありますが、結局、現在もそういうような方法でやっておるようでありまして、先般の事故も、そういうような方法でやっておりましたが、不幸な事故がたくさん起こったわけでございます。今後とも、一次的には危険個所を直すということ、二次的には、間に合わないところは道路管理をうまくするということに尽きるのではないかと思っております。  先般の事故等につきましても、たいへんな犠牲者を出しまして、就任早々非常に相すまないことと思っておりますが、可及的すみやかにこの危険個所を修理するということにつきましては、現在やっておるような次第でございます。どうぞ御了承をいただきたいと思います。
  25. 大村襄治

    大村委員 具体的な場合について若干お尋ねしたいのでございますが、本日は時間の制約がございますので、とりあえず兵庫相生市内一般国道二百五十号線の土砂崩壊事故に限定して、関係省当局の御意見をお尋ねしてみたいと思います。  この事故につきましては、この地域としてはまれに見る集中豪雨が急激に発生して、そのために国道特定個所が崩壊して、たまたま海水浴帰り等自動車じゅずつなぎになっているどまん中にがけくずれがあったために、思わざる大きな災害発生したように承っているのでございます。  そこで、まず気象庁の方にお尋ねしたいのでありますが、当日のこれらの地域に関する気象状況並びに警報伝達等についてどのような措置が講ぜられておったか、その状況について簡潔に御説明を願いたいと思います。
  26. 斎藤錬一

    斎藤説明員 簡単に御説明を申し上げたいと思いますが、当日、七月十八日には、北のほうと南のほうから高気圧が来まして、本州一帯低圧部になっておりまして、そこへ上空に非常に冷たい空気がやってきまして、下層があたたかくて上層が冷たくて、非常に不安定な大気状態になっておりました。それで大阪のレーダーで探知しましたところでは、兵庫県のほうに雨雲が発生しているということでもって、当日、担当神戸海洋気象台になっておりますが、そこから雷雨注意報を発表いたしました。  簡単に申しますとそういうことであります。
  27. 大村襄治

    大村委員 気象庁に重ねてお尋ねいたしますが、注意報とか警報とかいったものが、この兵庫県の相生市を含む西部地域について発せられていたのかどうか、その点を重ねてお尋ねします。
  28. 斎藤錬一

    斎藤説明員 当日、十六時五分に、雷雨注意報神戸海洋気象台から兵庫一帯に発表しております。
  29. 大村襄治

    大村委員 ただいまお述べになりましたとおり、雷雨通報は十六時五分、十六時過ぎに発せられたということでありまするが、本事故発生時期が当日の十五時四十分ごろというふうに承っておりまして、警報の発せられる前にすでに発生しているのでございます。  そこで、道路局長にお尋ねいたしたいのでありますが、この付近通行規制区間に指定されているように承ったのでありまするが、はたしてそうであるか、また、規制基準はどのようになっていたか、その点をまずお尋ねしたいと思います。
  30. 高橋国一郎

    高橋(国)説明員 ただいま御指摘の相生高取峠付近につきましては、交通規制区間に指定されておりまして、規制基準は、連続降雨量百ミリをこえた場合に、道路管理者状況判断によって規制を実施するということになっております。
  31. 大村襄治

    大村委員 降雨量百ミリをこえた場合には、管理者判断によって通行規制を加えるようになっておるという御説明であったのでありますが、当日の状況におきましては、通算すると降雨量は百八十五ミリ、相生市の市役所の記録計によるとそういうふうなことに相なっているようでございますが、一体、この規制基準に照らし合わせて、現場状況判断なり措置に欠けるところありやなしや。現在御調査中であるとは思うのでございますが、現場状況に照らし合わせて、現在建設省指導されている方針との関係をどのようにお考えであるか、重ねてお尋ねいたします。
  32. 高橋国一郎

    高橋(国)説明員 もうすでに新聞紙上にも書いてございますように、七月十八日の事故の日は朝からたいへん晴天でございまして、海水浴客でにぎわったわけでございますが、昼の十二時ごろからぽつぽつと雨が降り出しまして、午後二時から大雷雨を伴うたいへんな豪雨になったようでございます。二時から三時までが五十一ミリ、三時から四時までが六十ミリ、四時から五時までが五十六ミリということになっております。事故発生いたしましたのは十五時三十分前後でございますので、この時点におきましては約百ミりくらいに達したわけでございますが、非常に局地的な集中豪雨でございまして、相生市においては連続百八十五ミリ降ったようでございますけれども、すぐ隣の赤穂市とか、それから土木事務所のございます上郡等におきましては、数十ミリ、三、四十ミリ程度というふうに記憶しておりますが、きわめて局地的な集中豪雨があったわけでございます。したがいまして、午後三時三十分ごろと思いますが、相生警察署から県の上郡土木事務所に、高取峠付近において小崩落発生したという通報がございました。したがいまして、直ちに担当職員二名が現地に急行するように指示したわけでございますけれども、先ほどのような大集中豪雨のために、道路が水につかったりした冠水個所もございまして、交通渋滞が生じておりまして、現地に到達する前に事故発生したというわけでございます。  したがいまして、道路管理者といたしましては、あまりにも急激な集中豪雨のために、現場に到達して交通どめする前に崩落にあったということでございまして、こういう点につきまして、われわれといたしましては、今後十分反省しなければいかぬところがあろうかと思いますけれども、県当局のとった処置といたしましては不都合はなかったというふうに伺うわけでございます。
  33. 大村襄治

    大村委員 いまのお話によると、百ミリ以上に達したので、規制基準からいえば、交通規制を加えようと思えば加えることができる状態に客観的には達しておった。ただ、気象警報の発せられたのもそのあとでございますし、現場管理者としてはその規制基準を適用できる段階であったかどうか疑問であったというふうにも受け取るのでございますが、せっかくりっぱな通行規制区間という指定の制度もあり、規制基準も行なわれておりますので、これが励行できるようになっておればこういった悲惨な災害事故はあるいは防止できたのかもしれない。そういう点からいいますと、気象関係機関道路管理者との間の気象予報なり警報連絡方法になお改善を加える余地がありはしないかと思うのでありますが、その辺はどうでございますか。
  34. 高橋国一郎

    高橋(国)説明員 今回の事故の場合は、ただいま御説明がございましたように、事故の後に大雨、雷雨注意報が出たようでございまして、間に合わなかったわけでございますが、一般的に申し上げまして、飛騨川の事故以来、気象庁との間に綿密な連絡をとりまして、予報が出た場合には、直ちに河川管理者のほうに、主として建設省の直轄の河川、ないしは都道府県の河川管理者のほうに連絡がございまして、それから直ちに道路のほうにも連絡があるような組織になっておりますので、予報等につきましてはきわめて迅速にキャッチできるようになっておるわけでございます。
  35. 大村襄治

    大村委員 時間の関係で先に進みます。  この事故は、私も直後に現場に行ってみたのでございますが、土砂崩壊によりまして、交通渋滞でとまっておりましたバスが一台、乗用車が三台谷底に転落いたしまして、死者四名、重傷者が十六名、軽傷者三十四名を出しております。特に、バス乗客がほとんどやられておるわけであります。しかも、その乗客は、岡山県北部の農村で田植えの済んだ慰労に一部落四十六戸のうち四十戸が参加してこのバスに乗っていて、一瞬の間に悲惨な目にあったわけでございます。一戸で四人ないし五人バスに乗り込んでいた。急に雨が降ってきたから、潮干狩りを切り上げて帰ろうとする途上に起こった事故でございまして、働き手を失い、あるいは長期間入院するということになりますると、あとが非常に心配であるということで、地元の部落の総員も非常に心配しております。また、地元の町長以下もその点を非常に不安に思っておるわけでございます。そこで、どういう対策が考えられるかと思いまして、私も知識は乏しいのでありますが、一応関係法規を調べてみたのでありますが、なかなかむずかしくてよくわからない。  そこで、まず、運輸省自動局の方にお尋ねいたしたいのでありますが、自動車損害賠償責任につきましても目下調査中というふうに承っておるのでありますが、この自動車損害賠償保障法、特に第三条の関係で、いままでいろいろ類似例もあったと思いますが、この種の場合にはどのような対策が講ぜられておるか、お差しつかえのない限り御意見を聞かせていただきたいと思うのです。
  36. 山上孝史

    ○山上説明員 ただいまの御質問に対しましては、お話しのとおり、具体的な調査結果を待たないと結論が出ないと思います。しかし、現段階で申し上げますと、一般的に申し上げまして、御指摘のとおり、自動車損害賠償保障法第三条の責任があるかどうかという認定の問題だと思います。  なお、これをさらに一般的に申し上げますと、本件のようなケースには、まず問題になりますのは、この第三条に、自動車の「運行によって他人の生命又は身体を害したときは、」となっております。したがって、この要件に該当するかどうかという問題でございます。言いかえますと、自動車の運行と人身事故との間に相当因果関係があるかどうかという問題でございます。従来ですと、たとえば地震とか雷等全くの不可抗力の場合、こういろ事故につきましては、事故と運行との間に相当因果関係がないという解釈で免責になっております。  第一には、このような自動車運行と相当因果関係があるかどうかという問題でございます。第二には、このような相当因果関係があったとした場合に、責任原則の問題でございます。この第三条によりますと、被害者保護の見地から、いわゆる運行供用者、この場合バス事業者でありますが、この供用者の責任を一般の民法の不法行為の七百九条の責任よりも大幅に強化をいたしております。したがって、原則としては、一定の要件をバス側でもって挙証できなければ免責にはならないということでございます。一定の要件とは、法に明記してありますように、三つあります。第一は、「自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと」でございます。第二には、「被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと」、それから第三には、「自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたこと」、この三つの要件をすべてバス側でもって挙証できない場合には有責であるという規定になっております。  いずれにいたしましても、今回の事故につきましては、目下警察当局におきまして具体的に調査中のようでございます。その結果を待ちまして、大蔵省あるいは法務省とよく相談をいたしまして、早急に結論を出したいと思います。
  37. 大村襄治

    大村委員 調査中のことでもありますので、前向きの検討を取り急いで進められるよう要望いたしまして、次の質問に入ります。  その次に、国家賠償法上の責任でございますが、これにつきましても、事故原因等を関係当局においていろいろ調査中のことと思いますので、この段階ではっきりした答弁を求めることは無理ではないかと思うのでございますが、飛騨川あるいは高知県等の事例もございますので、道路局長の現段階における御見解を一応承りたいと思います。
  38. 高橋国一郎

    高橋(国)説明員 今回の事故は、昭和四十三年八月十八日の、岐阜県下の国道四十一号で発生いたしました飛騨川バス転落事故の場合にたいへん似ておるわけでございまして、いずれも異常な局地的な集中豪雨によりまして発生いたしました非常災害とも言うべき事故であるというふうにわれわれは考えておるわけでございます。ただいま御指摘の国家賠償法の適用ができるかどうかにつきましては、兵庫県を中心に現在実情を詳細に調査しておりまして、慎重に検討を加えておるところでございます。
  39. 亀山孝一

    亀山委員長 大村君、割り当ての時間が切迫しておりますから、どうぞそのつもりでお願いいたします。
  40. 大村襄治

    大村委員 はい。  そのほか、災害救助法とか各県の条例とか、いろいろ救済措置に関する規定もあると思うのでありますが、また別の機会に譲りまして、最後に建設大臣に要望を兼ねてお尋ねしておきたいと思います。  先ほども申し上げましたように、最近の異常気象下における道路その他の公共施設の被害というものは、いままでの災害といいますと、施設災害施設の損害復旧ということに重点が置かれておったのでございますが、事人命あるいは身体に非常に累を及ぼす。これは過密地帯だけではない。過疎地帯におきましても道路がよくなるに従ってふえてきておる。また、地方にも車が普及してきておりますので、いままで予測できないような事故でも、たいへんな被害を人命もしくは身体に及ぼすという点で、どうしてもゆるがせにできないと思うのであります。そういう意味で、事前の予防措置を講ずるとともに、どうしても予防がきかない被害が起きたという場合の救済措置についても、新しい角度から万全の対策を講じていただかなければいかぬと私は思うのでございます。建設省だけの守備範囲ではないと思うのでありますが、道路などはやはり建設省所管行政であり、中心であると思いますので、あえて建設大臣の御所見をお尋ねいたします。
  41. 西村英一

    西村国務大臣 さいぜんから申しましたように、道路国道が一つ集中豪雨等に弱い。第一義的にはやはり悪い個所を直すということです。予算を調べてみますと、こういうような道路に関することだけですが、防災工事、昭和四十年が三十八億ぐらい。道路のがけくずれ、それから落石等の防災工事として三十八億です。それから四十六年、ことしが百八十一億になっております。その比率から見ますと四・五倍くらいになっていますから、その伸び方は非常に伸びておりまして、これはけっこうなことでございますが、わずか百八十億くらいな金ではとうてい早急には直りません。したがいまして、いま、公共事業も急いでやれ、予算も増してやろうというような時期でございますから、この予算をひとつ大幅に増して災害の未然防止をやりたい、こう考えております。  しかし、それだからといって事故が皆無になるという保証はありませんから、その場合に事故を受けた方々に対してどういうふうに国家が対処するか、これが非常に長い間の議論の問題でございまして、国家としては原則的には個人には対抗しないということでございますけれども、事故を見ますと、個人に対して非常にお気の毒な点がたくさんあります。したがいまして、建設省のみならず、政府全体としても何らか救済の方法がありそうなものだというようなことを真剣に考えておる最中でございます。私といたしましても、その点については今後ともまた十分検討いたしたい、かように考えておる次第でございます。今回の犠牲者に対しましてはつつしんで弔意を表し、善後措置もわれわれができるだけのことはやりたい、かように考えておる次第でございます。
  42. 大村襄治

    大村委員 ありがとうございました。終わります。
  43. 亀山孝一

    亀山委員長 それでは、次に松浦利尚君。
  44. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、この前兵庫の南部地区を襲いました災害に関して、建設行政の問題点について、二十分間だそうですから、その範囲で質問させていただきたいと思います。  まず第一点は、今度のこの災害で多くの人命が損傷されたわけでありますが、なくなられた方には心から御冥福をお祈り申し上げるわけでありますけれども、結果から振り返ってみまして、人災的な要素が非常に強いということを感ずるわけであります。いまも質問がありましたように、いろいろな人的な悪条件が重なって今度の災害を大きくしておるわけでありますが、まず第一点の気象の問題でありますけれども、三時四十分に国道二百五十号、高取峠の地すべり事故が起こっておるわけでありますけれども、その三時四十分のときにはもうすでに百ミリ近くの降雨が示されておるわけであります。しかも、相生市を流れております大谷川のはんらんによって国道二号線が使えなくなった、相生市が水につかった、こういう条件が重なって二百五十号に集中的にレジャーの車が殺到した。そのときに、もし、気象条件が悪化する、あるいは百ミリ降ったということが事前にキャッチをされたら——現に相生市の市役所の降雨計は百ミリをすでにこえて、相生市では直ちに、相生市の周辺担当兵庫県の土木出張所長に連絡をしたが、日曜日のために連絡が行かなかった。日曜のために道路パトロールも走っておらなかった。道路モニターも日曜のために全く能力がなかった。もしあのときに、明確に百ミリを降雨計が示したときに連絡がついて交通遮断等の方法をとっておったとするならば、二百五十号線の高取峠のあの人身事故というものは防げたのじゃないかというふうに私は思うわけであります。そういう点を考えてくると、飛騨川の事故あるいは先日の静岡の大崩の事故といったような悲惨な状況をどのように防ぐかという防災対策、これは確かに文章上は羅列されておるけれども、実態としては伴ってきておらない。むしろ同じことを繰り返しておる。これが現実の情勢だと私は思うのです。これはいうところの二級国道でありまして、管理責任は一応兵庫県のほうに委任はされておりますけれども、こうした問題について建設省は今後どのように解決をするというお考えがあるのか、その点を道路担当道路局長からまずお聞かせをいただきたいと思うのです。
  45. 高橋国一郎

    高橋(国)説明員 死傷者が多数出ました今回の二つの事故につきまして、われわれ道路管理者としては心から反省しておるわけでございますが、第一の、七月の五日に発生しました百五十号の静岡県の大崩の事故につきましては、これは飛騨川の事故ないしはそのあとに起きました相生事故とちょっと性格を異にしまして、すでに雨が上がったあと、五十時間後に大崩壊があったわけでございます。その崩落を起こしましたところは、たまたま通称大崩というくらいに崩落の多いところでありまして、その滑落につきましては、すでに、落石どめのためのモルタル吹きつけ工事等を三十八年に実施し、下には、通称洞門といっておりますけれども、鉄製の落石覆工をつくりまして防護しておったわけでありますけれども、あれだけの大崩落が起きるということが判断できなかったという技術的な問題につながる事件でございます。  それから、次の相生におきます事故につきましては、先ほども御説明いたしましたように、突然の大集中豪雨によりまして、通常では崩落するというふうに全く予想がつかなかったところが崩落したということになりました。相生におきましては七メートル五十ほどの路面がございますが、そのサイド、山側のほうは五メートルぐらいの余地がございます。さらにそれから二割程度のゆるい勾配の地形になっておりまして、これは道路をつくるためにカットした地形ではございませんで、天然自然のままの地形で灌木も入っておったというふうに聞いておりますが、そこが今度の集中豪雨、つまり時間雨量五十ミリをこえるような集中豪雨によりまして、ちょうどバケツの水を流して土が持っていかれるように、通称過飽和といっておりますが、そういう現象によりましてあの特定地点が崩落したというふうなことでございます。御指摘のように、相生の場合、たまたま日曜日でございまして、そういう面における管理の手抜かりがあったことをわれわれも反省しておるわけであります。  御指摘のように、パトロールカーは北部の山地のほうのパトロールに出動しておりまして、職員は一名しか事務所にはおらなかったというのが実情でございます。ただ、御指摘のように、三時半ごろ高取峠において小崩落が起きたという情報が警察から入りましたので、直ちに職員が現場に急行をしております。先ほど御説明のように、現場に急行する途中車の渋滞等に阻害されまして、現地に到達する前に大崩落が起きましてああいう惨状になったということでございます。  それともう一つは、きわめて局地的な豪雨のために、相生においては百ミリをこえておりますが、事務所のあります上郡においては、まだほとんどたいして雨も降ってなかったという状況で、隣の赤穂におきましても同様でございます。そういうふうな局地的な災害に対する今後の対策というのは、われわれ十分考えておかなければならないというように思います。  この相生事故を通じましてわれわれが痛感いたしますことは、まず第一に、祝日とか休日におきます、あるいは日曜日等におきます管理の体制をもっと強化すべきだというのが一点と、それから、パトロールをいたしましても、必ずしも十分できないのが現在の人員でございますので、モニター制度を十分活用いたしまして、崩落地区においては、たとえば雨量観測も同時に行なわせまして、その危険な個所の近くにおける雨量によってその危険個所における雨量を推定し、交通規制の雨量に達したら直ちにその場で交通どめができるような方策も考えなければならない。それから、これは大臣の指示でございますが、危険個所と思われる個所につきましては、自動的に落石を予知できるような何か装置を開発する方法、そういうふうなことについて今後真剣に検討いたしまして、こういう事故をできるだけ防止するように全力をあげたいというふうに考えます。
  46. 松浦利尚

    松浦(利)委員 どうも最近の事故が、人が集中的に出る日曜日、祭日に非常に大きな事故が起こっておるのです。そのときに限ってまた管理体制が手抜かりだったということが繰り返されておるわけです。そういった面では、いま局長がお話しになりましたように、ここで答弁をして、ここの答弁で質問をしのぐということではなくて、具体的に、・休日、祭日等人がたくさん出る場合にはどのように対処するのかということを明確に指導していただきたいと思うのです。そうしなければまたこの事故は起こってくるだろうと思うのです。  それからもう一つの問題は、いま局長がお話しになりましたように、私も現地に二日行きましたが、高取峠そのものは非常に傾斜のゆるやかなところで、われわれしろうとが見ても、はたしてここが決壊をするだろうかというように思うようなところから実は土砂が流れ出ておるわけです。ところが、実際に、あの高取峠の、そのくずれたところそのものは危険個所に指定はしておらなかったけれども、その端の高取峠の一部分についてはやっぱり危険個所に指定してあって、建設省のほうにも届け出ておる。ですから、今度は気象のほうですけれども、あの際測候所のほうももっと的確に建設省道路管理者とも連絡ができておったなら、ふもとのほうで高取峠に向かう自動車をとめることができた。そういう面では予報観測体制の不備ですね。向こうは的確に百ミリ降ったというのが降雨量の自記計の中に出ても、機械が記録をしていても、その機械が記録したことを伝えるという伝達の手段というものが非常に不備だと私は思うのです。だから、せっかくそういった相生市にある百ミリを記録した降雨量計がことばにならない。そういう面で、気象庁のほうは、そういった連絡というものをこれからどういうふうな体制にしようとするのか。ただ、おれのほうは気象観測するだけでいいでは済まされぬと思う。やっぱり気象のデータ結果というものを即座に道路管理者なり何なりに連絡をするシステムというものは確立されておらなければいかぬと私は思うのです。その点を気象庁のほうでは今後どのように考えられるのか。  それからもう一つは、今度の高取峠事故あるいは兵庫県南部の事故を見ましても、四時五分に雷雨注意報が出されておるだけです。ところが、四時五分現在、もうすでに相生市の記録計では、積算して百三十ミリぐらいの降雨を示しておるわけです。しかも、四時から六時の間に集中的に八十ミリ近くの雨が降っているわけですね。にもかかわらず、雷雨注意報だけで、大雨注意報あるいは豪雨注意報というものを全く出されておらないのですね。そういった点は一体どうなっておるのか。この二つの点について気象庁のほうから明確にお答えいただきたいと思います。
  47. 斎藤錬一

    斎藤説明員 お答え申し上げます。  私のほうの気象官署としましては、各所に、雨量の状況を観測しました場合に、それを報告していただくように指定してございまして、県でございますと、県によって違いますけれども、十カ所あるいは数十カ所、そういうところから予報を集めまして、それに従いまして、その降雨状況を見ながら、いろいろな情報を各関係機関、地方自治体もございますし、道路管理のほうもございますし、また国鉄あるいは電力もありますが、そういった関係に情報をお流ししているというようなシステムをとっております。しかし、観測をしておりますのが全部気象官署に入るというわけではございませんで、自衛のために自分で雨量計を持ちながら、そして、その雨量計の観測結果によって防災の自衛手段を講ずるといったところもございます。たとえば各町村あたりでございますと、気象庁から出ました情報に基づきまして、県自体でも雨量計で観測しながら、その観測結果を見ながらまた自衛の防災手段を講じていただくというようになっておりまして、観測値すべてが気象官署に全部集まるというようなシステムになっておりません。気象庁としましては、雨が降りそうな状態だから気をつけていただきたい、こういったようなことを注意報または警報でもってお知らせするというようなたてまえになっております。  それから第二点の、当日どうして雷雨注意報だけでもって大雨警報も出なかったかということでございますが、予報がおくれました点はまことに申しわけないと思っておりますが、当日の状況を申しますと、先ほど申し上げましたとおり、大阪のレーダーには、確かに、兵庫県下に大きな雨雲が出ているというような情報がわかりましたので、その情報を神戸海洋気象台へ伝達しました。そこで、その日に即刻兵庫県下の状況はどうかというわけで、姫路の測候所に神戸海洋気象台から問い合わせいたしましたところ、姫路ではあまり出ていない。そして、目下雨が降っているといったような入電状況もないので、雨雲が出ているということはキャッチしましたけれども、従来の例から申しまして、雨雲が出ておっても必ずしも雨が降らないこともございます。それで、当日はほとんど雨が降っているというような入電状況がございませんので、どうしようがといって判断しておりましたけれども、しかしながら、雨が降っているというような入電状況はないけれども、ひとつ警戒のために雷雨注意報を出しておかなければならないだろうということで、当日の十六時五分に雷雨注意報を発表しました。実を申しますと、こういうようなことは、雨雲が発生しているというときには、降雨の入電状況がなくても警戒の体制をしくほうがまだ妥当かと存じますけれども、当日はそういうような点で行き届かなかったという点があるかと思います。それで、その状況にかんがみまして、各気象観測所には通達を出しまして、雷雲をレーダーでもってキャッチした場合には、降雨状況がそうなくても警戒の注意報を出すようにというような通達を、今回のことを反省いたしまして現在もうすでに出してございます。  以上でございます。
  48. 松浦利尚

    松浦(利)委員 結果として、これからこうしますということなんですね。ところが、気象庁というのは、少なくとも当たるか当たらないか——それは当たらない場合もあるでしょう。しかし、私が言うように、現に雷雨注意報を出しておる四時五分現在百ミリをこえる降雨量がすでに局地的にあったわけですね。ところが、それが雷雨注意報だけで何ら出しておらない。降雨計そのものが示しているわけですよ。私はそこに問題があると思うのですよ。あなたがそこで言いわけしても死んだ人が生き返りますか。死んだ人が生き返るわけはないのです。問題は、そういった記録をしておる現在、そういうように百ミリをこえる降雨量を降雨計が示しておるにもかかわらず、なぜ同日気象庁から大雨注意報や警戒警報が出なかったか、そのことが問題なんですよ。将来のことはよくわかりました。将来はこういうことが起こらぬようにしてください。しかし、なぜそういうことになったのですか。現に降雨計が示しておるじゃないですか。どこに欠陥があったのですか。
  49. 斎藤錬一

    斎藤説明員 お答え申し上げます。  実は、百ミリの降雨を観測しました相生市のほうからは、神戸海洋気象台のほうに当日連絡がございませんでしたので、それを通達する方法がございませんでした。それで、当日の集中豪雨は非常に局地的な半径五キロぐらいのもので、われわれのほうの観測の網の中に引っかからなかった。そういう点でもってまことに不備があったと存じております。
  50. 松浦利尚

    松浦(利)委員 時間がありませんから、またこれはあらためて気象問題だけで長官とやり合いたいと思いますが、実際にどんな設備をあちこちにつくってみても、全然それが機能を果たしておらぬじゃないですか(「たいした設備がないんだよ、気象庁には。哀れなものなんだよ。」と呼ぶ者あり)それが問題なんですよ。だって、いま不規則発言で設備がないと言っているけれども、その貧弱な設備が百ミリ以上の降雨を現実に示しておるのですが、それが国民にとって何にも御用になっておらぬ、そこが問題だと言っておるのですよ。一体どこに原因があるのか。ちゃんと気象庁で、どこに原因があったかという問題をもっと掘り下げてみてください。私は形式的な答弁を聞いて終わりたくないですからね。この問題はあとに譲りたいと思うのです。  もう一つ。建設大臣就任早々ですが、建設大臣就任されたらこういうことがないようにしていただきたいと思うのです。あなたの任期中だけでもこういう人身事故がないような建設行政をぜひやっていただきたいと思うのですが、問題は、二百五十号の高取峠のように、通常事故が起こらないだろうと思っておるようなところが、急斜面だけじゃなくて、しかも、何にも手を加えない、カットも何もしておらない自然のままのゆるやかな傾斜のところに局部的に土砂が流出しておるのですね。そういう場合の、なくなった人たちの補償の問題ですね。確かに国家賠償法という法律があるでしょう。しかし、これは明らかに国に責任があったということが明確にならなければ、実際にそういう発動をしませんね。道路というのは無料公開で、国民が自由に通行する。だれでもが自由に歩ける。もちろん有料道路もありますけれども、しかし、これは国民は信頼し切って普通通行をしておるわけですね。歩いておる。自動車は走っておる。そこでたまたまそういう事故が起こって、現実に高取峠では五名の方がなくなっておるわけですね。だとすると、この際建設省も、道路等で起こった事故については、国が、あるいは道路管理者が、あるいは公共機関が死傷者に対しては補償をするというような立法措置をもうそろそろ考えられていいのじゃないかというふうに思うのです。このように事故が続出しますとき、そういった方法というものをお考えになる余地があるのかないのか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思うのです。安心して国民は歩けないのです。
  51. 西村英一

    西村国務大臣 いま松浦委員の話を拝聴しておりますと、事故はやはり休日、日曜等に非常に起こる。今度たまたまであったかもしれぬが、どうもそういう傾向があるというようなことを私どもは感じないわけではないのです。そういうときに多くの人々がいろいろ出る、自動車もたくさん出るというようなことですから、その辺に管理体制の弱点があるのじゃないかというようなこともわれわれとしては考えなければならぬと思います。  それから、いまの気象関係と、その予報を受けて通行規制をやるというような関係の問題、これも一口にそう言いますけれども、やはりなかなかむずかしい点がいろいろあろうと思います。しかし、あるからといって放置するわけにはいきませんし、少なくとも、今回の事故を参考にいたしまして、この点も少し研究してみなければならぬ、かように思っておる次第でございます。  いまの国家賠償法をあらゆる場合に適用できないかということ、これは実はどうかと思っておる次第でございます。やはりケース・バイ・ケースで考えなければいかぬと思います。道路はもう公開だから、落石による事故あるいはその他の事故は全部国家が責任を負えということを、私が割り切ってそうしましょうとはここでは申し上げられないと思います。しかし、やはり、犠牲者に対しては相当にわれわれは弔意を表さなければならぬ。こういうことの関連に立って、あらゆる点を前向きにひとつ検討をしてみたい。しかし、あらゆる点について国家が賠償するのだということをここで建設大臣として言い切るわけにはまいらない。やはりケース・バイ・ケースということになろうかと思っておる次第でございます。
  52. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣、これはここで返事をもらおうとは思わないのです。たいへん大きな問題ですからね。しかし、先ほど申し上げましたように、二百五十号の高取峠現地に行ってみますと、これはいま警察のほうで、あるいは検察庁のほうで、人災であったかどうか、責任体制がどうであったかという責任の所在について、原因者究明を具体的に一生懸命やっておりますから、その結果いかんによっては事態の進展があるでしょうけれども、具体的にどこにも責任の所在がないというような状態が出てきた場合に、国民は死に損だということになれば、やはり何らかの形で救済できるという立法措置——これは国だけでなくてもいいのです。県あるいは市町村といった道路管理者が補償する立法措置というものが考えられてしかるべきだ、こういうふうに申し上げておるわけでありますから、ぜひ前向きで一ぺん御議論をいただきたい。あるいは中央防災会議等でも、建設大臣のほうで具体的に提案をして議論をやっていただきたいというふうに思うのです。  時間がありませんし、あと井上委員の関連質問がありますので、あと一間で終わりたいと思うのですが、これは河川局長にお尋ねしておきたいのです。  相生市を流れております大谷川がはんらんをいたしまして、相生市の約三分の二近くの人家が床上浸水をやっておる。しかも、その大谷川にかかっておる橋という橋は上流から全部流されてしまいまして、その橋を取りつけておる道路というのはえぐられてしまって通行不能になっておる。しかも、対岸と対岸を行ったり来たりするための橋というのは、ほとんどなくなってしまっているという現況なんですね。やはり、いま災害を大きくしておるのは、こういった中小河川が、局地的な豪雨その他の台風等によってあばれて出てくる被害というものが相当大きくなっていますね。もう一つは、大谷川の上流がどんどんと開発されておる。自然、開発というものが大谷川の改修と無関係に進められておるというところに私は原因があると思うのです。こういう問題について、河川局長のほうでは、もちろん応急的に復旧対策等はすでに指示しておるやにお聞きしておるわけでありますが、そうした災害を一番大きくしておる中小河川あるいは河川と無関係に進む上流等の開発、こういったものとの関連づけについて、今後局長としてどのように対処されようとするのか、その点をお尋ねさせていただきたいと思うのです。
  53. 川崎精一

    ○川崎説明員 大谷川につきましては、先生もすでに現地をごらんになって御存じのように、下流のほうは、高潮対策事業、一部用地等の取得のまだ困難なところがございますから、約半分程度しか進んでおりません。それから上流のほうは、局部改良というようなことで、大体七、八百メートルにつきましては、これは改修の計画の中に入っておるわけでございます。ただいまお話しのように、上流につきましては、次第に上流部に開発が進められて人家等が建っていったというようなことで、私どもとすれば、今回の災害の例もございますので、単なる復旧だけではなくて、災害の関連事業として、かなり上流までそういった浸水被害のないように処置をしたいと思っておるわけです。  今後こういったような開発される中小河川をどういうふうに扱ったらいいかということでございますが、市街化区域は、これは都市計画法の精神でできるだけ早く改修する必要がございますが、現在、そういった市街化されていくようなところについても、中小河川の先行的な改修を進める必要があるのじゃないか。特に、地価の問題等で、非常に低湿地で在来から冠水等が予想されるようなところにも最近は家が建っておる次第でございます。そういったところにはむしろ積極的に改修工事をするなり、あるいは遊水地といったようなものを設けて、人家の密集による出水の被害を防ぐ、そういったような先行的な治水事業を促進するようなことを今後考えていきたい、こういうふうに考えております。
  54. 亀山孝一

    亀山委員長 井上普方君。きわめて簡単にお願いします。
  55. 井上普方

    井上委員 ただいま大臣並びに当局から国道危険個所が五千カ所、あるいは県道の危険個所は一万カ所というお話を承ったのでありますが、新しく国道をつくる場合には、一体それならばこの事故は何年に一ぺんくらいの雨で起こるのであろうかということを大体御計算になっておられるんじゃなかろうかと思うのです。建設省におきましては、河川の改修をやる場合には、五十年に一ぺんの雨によってこの堤防は決壊するのだというような確率を出されております。しかし、道路の場合には、この間の事故二つを見ましても、これは雨がたくさん降り過ぎたんだ、ただそれだけで話が済んでおるように思われるのであります。まことに非科学的な考え方と言わざるを得ないのであります。ここらあたり、新しく国道をつくる場合には、何年に一ぺんの大雨によって事故が起こるのだ——全国的に五千カ所の国道危険個所があると申されましても、これは国民はなかなかわからないと思うのです。したがって、大体何年にどれくらいの雨量によってこの国道が危険にさらされるのか、そういう数字的なものをお示し願わなければ、ばぐ然と五千カ所があぶないのだというようなことではならないと私は思うのです。路面の面においては、安全率というものを見ておるでしょう。したがいまして、国道をつくる場合にも、やはり安全率を加味した上で、何年に一ぺん、大体どれくらいの大雨によって、五千カ所のうちではどれくらいあぶないのだというデータをひとつお示し願いたいと思うのですが、お答えをお願いしたいと思います。
  56. 高橋国一郎

    高橋(国)説明員 昭和四十三年八月の飛騨川バス転落事故の直後に、建設省は、国が直接に管理しておりますものを含めまして、各府県に対しまして総点検を行ないました。その総点検の結果、危険個所というものが出てきたわけでございますけれども、その当時の集計で、先ほど大臣が御説明いたしましたように、国道で約五千カ所、県道で約一万六千カ所、トータルで二万一千カ所という数字が出たわけでございます。そのうち、特に危険な個所につきましては交通規制を行なうように指示したわけでございます。先ほど先生の御指摘の何年の確率ということじゃございませんで、実は、既往のデータから、たとえばある区間につきましては百ミリ降ったら崩落があるという昔のデータを調べまして、百ミリに達したら交通どめをするという規制基準をつくらしたわけであります。これは個所個所によって違います。場所によっては八十ミリでとめるところもありますし、場所によっては六十ミリでもとめなければいかぬようなところもあるわけでございますが、そういう危険個所を総点検させたわけでございます。  なお、ついでに申し上げますと、二万一千カ所という膨大な数字が出てきたわけでございますが、これには、ただいまのバス転落につながるような大事故発生するような大崩落もございますが、中には、一年に一度ぐらい落石があるような個所もございます。そういうことで、大小たくさんございますので、直轄の管理区間につきましては、A、B、Cの三種類に分類しております。Aについては、落石が非常に大規模に起こっておるところをAとし、Bというのはそれに次ぐもの、Cはきわめて小規模なものというふうに種別をいたしますが、今回の事故にかんがみまして、直轄のみならず、府県にも、その調査を行なうべきだということで、ただいまもう一度危険個所の総点検を行なっております。  簡単に申しますと、三つの要素からA、B、Cを分類することになるのでありますが、Aというのは、まず危険度と申しまして、道路状態が、たとえばがけが十メートル以上の高いがけとか、あるいは道路に落ちるといいますか、山側のほうが十メートルぐらいのがけというようなものを一つの基準にしまして、それ以下のものというふうに指定いたします。たとえば交通量にいたしましても、三千台以上、一千台から三千台、一千台未満という三段階、それから落石の程度につきましても、一年間に一度程度のものとか、月に何回程度、あるいは何年に一度というような、そういう種別をつくりまして、それをかみ合わせてA、B、Cの種別をつくって、ある程度の危険度を設定して、特に危険度の強いものから重点的にここ一、二年くらいでもって完全に直したいということで、四十七年度からは予算要求したいと考えております。いずれにいたしましても、これを直すには膨大な数千億円のオーダーになろうかと思いますので、とても四、五年では完全に直り切らない面が多分にございます。したがいまして、重点的にAランクから直していきたいと考えております。  その間、事故を防止するにはどうしたらいいかといいますと、このためには、われわれは交通規制以外にない。ただ、先ほど申しました、降雨量何ミリに達した場合はどことどこの間は交通どめをして未然に事故を防ぐというような指導方針をとっておるわけでございます。
  57. 亀山孝一

    亀山委員長 小川君。
  58. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣に率直に二点お尋ねいたします。  一点は、公営住宅公団住宅、公社住宅の払い下げの政策が、参議院選挙の前の五月に自民党の都市政策として発表されました。この問題については、私ども、参議院選挙のときに団地に参りますと、自民党の宣伝カーが、「団地の皆さん、皆さんの団地を必ず払い下げます」という演説をやっておりました。大臣は自由民主党の所属であり、そして責任政党の与党の幹部として、また、政府としては大臣としてこの重責に当たられておるわけであります。この公団住宅、公社住宅の政府施策住宅の払い下げ問題、いまこれは非常に大きな関心を呼んでおりますが、これについてはまずどのようにお考えになっているのか、お尋ねいたします。
  59. 西村英一

    西村国務大臣 党の政策をきめる直接の会議に参画したわけではございません。ございませんが、持ち家住宅をふやそうじゃないかということには原則的には賛成でございます。しかし、現実の問題で、今度公団住宅を払い下げる云々という問題については、そのことによりましていろいろ関連の仕事がたくさんできると思います。したがいまして、私もまだ就任早々でございまするからよほど検討をしなければならない。あなたの、持ち家住宅をふやそうじゃないかということは、私も気持ちとしては賛成のようなつもりでございますけれども、実際問題についての検討がまだ相当に要ると思いますので、今後の検討に待ちたいと思います。
  60. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 いまの大臣のおことばでございますが、選挙中には大臣も応援演説に行かれたと思うし、また、この参議院選挙の大事な政策論争の都市問題の住宅対策として——ILOでも、一九六一年に住宅問題については日本の政府に勧告している。そこで、第一次住宅建設五カ年計画で、六百七十万戸できた暁には一世帯一住宅ができるというキャッチフレーズができたけれども、実際にはできなかった。そして、現在第二次住宅建設五カ年計画で九百五十五月の住宅建設をやるわけですが、こういう大事な住宅問題、衣食住の憲法二十五条の基本にかかる問題、こういう問題について、これは自民党の政調会で政策を検討されたときに、こういった問題はいろいろな党議にはかられて出されたと思うし、新聞によりますと、昨日二十二日には自民党の都市議員が公団公社住宅の持ち家についてあなたに建言をして、またそういう問題を推進をしたいということが報ぜられておる。これはこの五カ年間の重大問題だと思うのです。就任早々と申しておられますが、大臣は二度目ですね。私が代議士になってから二度、こうやって大臣の立場から、また私どもは野党の立場から、この建設行政についてこの五カ年間お互いに勉強もし、政策展開の論争もいたしてきた立場に立ってお尋ねしているので、全然しろうとの立場に立っての大臣ではございませんし、われわれのことばを借りて言うならばもうプロである。専門家である。その大臣が、こういった大事な問題が自民党の中から出ており、また、大臣のところに請願もいっていると思うのですが、それについて、ただ検討だけでは納得できない。それについての具体的な問題についてもう少し掘り下げていただくと同時に、もしもお答えできないとすれば、住宅局長からでもけっこうです。これはどうですか。
  61. 西村英一

    西村国務大臣 私は、今度選挙演説は一カ所もやりませんでした。出る幕がなくて——まあ、それは冗談です。  まだそういう陳情も聞いておりませんが、そういうこととは別に、これは前に申しましたように、気持ちとしては賛成だけれども、党で政策をきめるといっても、それは政調その他できめるのでありまして、そこまで私は関与したわけではございません。しかし、気持ちとしてはあなたのような気持ちを持っているということで、都市計画法や、その他再開発法で公団住宅をやるということになればいろいろ問題が起こると思うのです。したがって、それは検討するということで、それ以外に私はいま答えようがない。やりますというわけにもいかない、前向きで検討します。気持ちはわかっていただけると思うのです。
  62. 多治見高雄

    ○多治見説明員 お答えいたします。  持ち家政策に力を入れるか、あるいは賃貸政策に力を入れるかという政策上の問題があると存じますが、御承知のように、われわれの立てました第二次計画につきましては、九百五十万戸という総建設戸数をきめておりまして、その中で持ち家五五%、賃貸住宅四五%という数字をはっきりあげております。ただ、その内訳といたしまして、公的資金によります住宅につきましては六〇%を賃貸にしたいということで第二期の五カ年計画をやっているわけでありまして、当面、公営公団住宅を払い下げるかどうかという問題につきましては、いろいろな具体的な問題がございますので、そういった問題が処理でき、しかも入居者の希望があればその方向でやりたいということで検討したいということにしております。
  63. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 いまお聞きしていて感じたのですが、これはただ自民党が大事な参議院選挙の票をとるためのアドバルーンだったのか。実際問題として、これだけの大事な公営住宅公団住宅の払い下げについて——公団住宅だって、五十万戸以上の人たちが現在あるのです。これはたいへんな問題で、大騒ぎしておるのですね。それはわれわれ野党が、たとえば公明党のような小さな政党が言っているのと違いますよ。政府与党、自民党ですよ。これはやろうと思えばあしたにもできる。その自民党の出した政策というものは、国民は注視しているのです。われわれだって自民党の出した政策は全部悪いとは言わない。公団住宅の払い下げについては、わが党が出した住宅基本法の中で、政府施策住宅の責任のもとに、住宅の充足した暁に、高層建築で充当される住宅については、希望者があれば払い下げてもよいというので、九条のところで私どももいっておりますから、必ずしも公団や公社住宅、公営住宅の払い下げをわれわれは否定している立場で言っているのではないのです。ただ、大臣のようにちょっとはっきりされないと、これだけの大きな住宅問題、政府施策住宅が、ただ選挙のかけ引きのためのその場限りの政策として住民に受け取られるのであれば、われわれも責任が重大であるから、こういう大事な問題については、検討するということは、払い下げを前提とする検討なのか、それとも、種々問題があるからとうていこれはできないという検討なのか、その辺のところをはっきりしていただかないと困る。私は、この常任委員会の席上で、就任早々の大臣ではありますけれども、二度も大臣をなさっている西村さんですから、あえてこのような問題をこうして提起しているのであって、どうかひとつ明快なる御答弁をお願いしたいのであります。
  64. 西村英一

    西村国務大臣 住宅についてはプロじゃないかとおっしゃいますけれども、あまりプロじゃないのです。まあ、いままで言った答弁以外に、自民党はそういう政策を発表してやったかもしれません。私も前向きに検討してみたいと思っております。つもりとしては十分私も賛成するつもりでありますから、前向きで検討してみたい、かように思っております。それを実行するについていろいろ問題点があるということを申し上げておるわけであります。
  65. 北側義一

    北側委員 関連して。住宅局長、実はこれは陳情なんですが、これはどういう呼びかけをやっておるかといいますと、今度の参議院の選挙の際にそういうお話がありまして、そして大阪の各議員がやって、そういう住宅関係の公営住宅公団住宅、こういう入居者の話し合いをして、そして各団地に全部呼びかけておるのです。そうして、私は、大阪で一人建設委員をやっておりますので、その陳情がわんさわんさくるわけです。ところが、いままでの方向としては、三大都市圏については公営住宅は払い下げをしていない、またしない、こういう方向に立っているのです。ところが、たとえば大阪市につきましてもなぜしないのか、なぜ三大都市圏でしないのかというのは、建てかえをやって、そのために公営住宅法の改正があったわけです。建てかえをやって、一階の分については古いものを建てかえて高層にしていく。そうしなければ公営住宅は建たないのです。こういうことがかりに選挙前に出たということになりますと、これは私ら陳情を受けてどう答えるのですか。これをどう答えたらいいのですか。その答え方を教えてください。
  66. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 先生よく御存じのように、公営住宅の払い下げの問題は、いろいろ各地で特殊なケースがございます。その中で、一般的に申し上げますと、われわれの立場で考えますと、終戦後非常な窮迫した住宅難時代に急遽建てました住宅というのが非常にたくさんあるわけでございます。これにつきましては、現在の経済条件で検討いたしますと、都市の条件も変わっておりますし、経済条件も変わっております。したがって、現在の条件から見ますと、これは当然建てかえる。まあ、町のまん中に平屋の木造が建っておるわけでありまして、これは都市計画なり何なりの観点から考えて、高層の公営住宅にすべきだという点が非常に多いわけでございます。そういうところを事業を進めて、そういう再開発的な公営住宅の建てかえということをやりたいということで努力しておるわけでございますが、なかなかそれがわれわれの思っているようなふうにはいっていないというのが実情でございます。ただ、立地条件その他から見ますと、そういうところは非常に多いわけでございまして、こういうところについて、当時たまたま入居したというだけの条件で、いたずらにその人に安い価格で払い下げるということはどうかというふうな事務的な検討が非常にたくさん残っておる。そういう点を今後十分検討したいというふうに考えておるわけでございます。
  67. 北側義一

    北側委員 では、大臣、ちょっとお尋ねしますが、公営住宅法の一部改正があったのです。その一部改正については、そういう古い一階建ての住宅については建てかえて高層にしていく。でなければ、そういう土地が大阪市あたりでは事実もうないのです。私、聞きましたが、ないのです。建てるのにもう精一ぱいなのです。そういうものを建てかえてやるわけなんです。そのために公営住宅の一部改正が出てきたわけです。そのときは自民党さんは賛成なさったわけですよ。それと相矛盾するようなことになってくるんじゃないか。私は、払い下げすることについてとやかく言うんじゃないのです。払い下げはけっこうです。けっこうですが、ただし、前にそういう法案が、公営住宅の一部改正が出た。それで今度そういう話が新聞に出ておる。それで、都市へ寄ってくる人口と、これに対する住宅の不足について、はたして用地があるかないか、御存知ですか、大臣。三大都市圏では払い下げしていないのですよ。払い下げしていないところへそういう話をしたときに、今度は建てかえできないですよ。そういう問題が一つあります。  二つ目には、たとえばそういう住宅に入っておる人は低額の所得者です。公営住宅なんか非常に低額の所得者です。でなければ入れない。入居基準がありますから入れない。そういう人々が入って、相当の年月たてば完全にこれは将来スラム化する危険性があるんじゃないかと私は思うわけです。いろいろな問題がここにある。大臣、前向きに検討するのはけっこうですが、しかし、よほどこれは考えてやっていただかないと、選挙政策でやられるようなことであるならば、正直申しまして私は非常に困るのです。そのことをはっきり返答してもらいたいと思うのです。
  68. 西村英一

    西村国務大臣 前の法律の改正も、私あまり勉強しておりませんので、どういう改正が行なわれたか知りませんが、とにかく、私も前向きで検討したい、かように思っております。また、他日それについて私の考えを述べる機会もあろうかと思います。
  69. 北側義一

    北側委員 では、検討なされた結果は、まず建設委員会に出してください。われわれはやはりそういう検討をしておるのですから、国民の負託を受けて建設委員としてそれをやっておるわけですから、ひとつ、そういう検討した内容については、ぜひとも建設委員会のメンバーに出していただきたいと思うのです。お願いします。
  70. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それでは、大臣就任早々だから、私はあまりこれでは追及したくないのですが、いま賛成するとおっしゃったのだから、これ一つだけ確認をとっておきたいのですが、公団と公社だけは賛成の前向きの検討の中に入るけれども、公営住宅も入れるのですか。これだけ確認しておきます。
  71. 多治見高雄

    ○多治見説明員 政策の問題は私からお答えすべきじゃないと思いますけれども、選挙のときの公約その他はわれわれも読ませていただいておりますけれども、公営、公団、公社につきまして、必ずしも明確な御認識があっていろいろ言われておるというふうにはわれわれ専門家としては受け取れない。公営も公団も一緒くたに解釈して言っておられるような向きもおありのように思いまして、やはり政策としては、精密な検討をした上で——公営と公団とは当然われわれは違う階層を目的に建てておるわけでございますが、そういった面の精密な検討が必要であるということを含めて今後検討したいということを申し上げておるわけであります。
  72. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 その点が、私は大臣にお尋ねしたのだけれども、政策問題ですから、やはり一番大きなかなめですね。確かに、公営、公団、公社全部性格が違います。よく理解しているのです。その公営住宅法一部改正法律案のときの問題も含めて、これから公営の払い下げという非常に大きな問題を呼び起こす。ところが、ああいうふうな大臣のいろいろな問題、自民党のあれでは、明らかに公営住宅と言っているのですよ。公団住宅とは言っていない。公社、公団、公営、政府施策住宅を全部含めて言っている。そこをいま北側君が憤りをもって言ったのだが、大阪の問題として、陳情が来ているから騒いでいる。あなたは首をかしげていらっしゃるからよくおわかりになってないようですが、この問題は、いま大臣は賛成というおことばをお使いになったから、私どもとしては、これは払い下げの方向に賛成するというふうに理解しておりますが、ただ、いまこちらからも提起されておりますその問題については、大臣は検討するということですから、よくよく検討されるよう、この次の問題としてこれは提起しておきます。  これで終わりたいと思いますが、まだ時間はいいですか。
  73. 亀山孝一

    亀山委員長 いいです。
  74. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 第二点は、根本構想の市街化区域内の公共用地の先買いについてですが、今度の建設白書にはこれは織り込まれておりますか、織り込まれておりませんか。
  75. 高橋弘篤

    高橋(弘)説明員 いわゆる根本構想につきましては、根本前大臣が、土地対策につきましての一つの案を示されまして、先生方にいろいろ御協力をお願いして、いろいろ御検討いただいているところでございます。白書におきましては、もちろん国土建設の現状を分析いたしまして、これがどうあるべきかということを現在の時点に立っていろいろ書いておるわけでございます。これをお読みいただけばおわかりのとおりでございますけれども、「国土の計画的利用のための検討課題」の中で、土地対策の樹立というものが非常に大事であるということを書いてございます。その中におきまして、対策の内容としましては、昨年の八月に政府の地価対策閣僚協議会できめました事項を並べておりますが、その中の一つに、「優先的宅地開発制度を創設すること」という項目がございまして、これは検討事項になっておるわけでございます。根本前大臣の発想されましたいわゆる根本構想は、こういう優先的宅地開発制度の創設という検討課題の一つの内容といいますか、それをどうするかということの一つの発想であったわけでございます。そういう意味におきまして、私ども、白書にもそういう方向づけというものは書いておるつもりであります。
  76. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣、九日の閣議決定のときに建設白書を閣議決定いたしましたから、大臣よく知っておるのですが、いまの調整区域ではないほうの市街化区域内の公共用地の強制確保の方式に二通りある。一つは所有する、一つは借地にする、これに対する法律を次の国会に上程するということを聞いておりますが、それは間違いありませんか。
  77. 西村英一

    西村国務大臣 私も根本構想は若干存じておりますが、まだ詳細まで詰まっていない。それで、それを法律で出したいということの根本大臣からの引き継ぎがありましたけれども、私がそれを次の国会に出すとか出さないとか、まだ私は申し上げておりません。
  78. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 局長、これは事務当局では検討していますか。
  79. 高橋弘篤

    高橋(弘)説明員 先ほど御答弁申し上げましたように、土地政策の一つの方向としまして、計画的に国土利用をし、優先的に宅地開発をしていく制度という方向の一つの考え方として根本前大臣の構想がございますので、私ども、そういう根本構想ももちろんあわせ、その他のいろいろな方法も一緒にいま事務的には検討いたしている次第でございます。
  80. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 時間が来たようですから、私これでやめますけれども、大臣、まだまだこの二点は大事な問題なんですね。今回の問題を次の委員会のときにもつと詳しく煮詰めてまいりますので、どうかひとつよろしく御検討、御配慮をしていただかないと困る。この次の委員会のときにはもう少し私どもも政策の筋を追って質問通告もいたしますので、どうかよろしくお願いします。以上です。
  81. 亀山孝一

    亀山委員長 次に、浦井洋君。
  82. 浦井洋

    浦井委員 私は、静岡県の大崩海岸と、兵庫県の相生高取峠の、この事故に関連いたしまして、建設行政の問題についてお尋ねしたいと思います。  大臣御承知のように、四十三年の八月に岐阜県の飛騨川で大きな事故がありました。そして、その直後に、局長名で「道路災害による事故防止の強化について」という通達がされておるわけです。ところが、それにもかかわらず、四十五年九月十八日、これは三十八年に起こったわけですが、高知県の落石事故に関する最高裁の判決があった。それに影響されて、今度は、建設省は、「道路管理の強化について」という通達を出されている。ところが、今度また、七月の五日に、静岡県の百五十号線の大崩海岸、ここで事故が起こった。そこで建設省は、全国関係課長を集められて緊急の対策会議を開かれまして、道路局長は訓辞をされたわけですね。ところが、その直後にまた七月十八日に、今度は兵庫県の二百五十号線で国道事故が起こっている。こういう経過だと思うのです。これを通観してみますと、事故や、あるいは最高裁の判決があって通達がされておる。いわば、事故や判決と通達とが、あるいは訓辞がイタチごっこをしている感じがするわけでございますが、しかも、そういう事故やあるいはその判決が常に先行しておる。これは率直にいって事故先行型というふうなことも言えるかと思うのですけれども、いまの道路行政、特に道路管理行政のあり方の現状ではないかと思うわけですが、こういう現状について大臣の所見をまず最初にお伺いしたい。
  83. 西村英一

    西村国務大臣 そういうことばかりではないと思います。しかしながら、事故が起こって、さらにその事故にかんがみまして注意を促す、それは行政の手段でございます。しかし、そればかりではなしに、危険防止の措置は常日ごろやっております。事故が起これば、事故を追っかけてといいますか、それはそれに対する注意をさらに喚起しなければならぬ、これはやはり行政の手段でなければならぬ。しかし、そればかりではないと思います。
  84. 浦井洋

    浦井委員 道路局長にお尋ねしたいのですけれども、こういうような経過を経て防災対策が一応行なわれておるということになっておるわけなんですけれども、この経過の中で、防災対策というものが一体どのように変わってきたのかという点について局長にひとつ簡単にお答えを願いたい。なぜかといいますと、今度の静岡県の大崩海岸の場合は危険度Aのところなんですね。しかも、防災工事が終わっておる個所、ここで災害が起こっておる。それから、相生高取峠のほうも危険度がAで、この場所自身は無処置ではあったけれども、高取峠関係の十カ所はすでに工事が手がつけられ始めておるということで、極端にきめつけますならば、通達による防災処置というものが、この二カ所に限っていいますならば役に立たなかったというようなことで、一体、どういうような防災処置の進歩があったのかという点について簡単にお答え願いたい。
  85. 高橋国一郎

    高橋(国)説明員 先ほど申し上げましたように、四十三年度の飛騨川事故というのは、未曽有の集中豪雨による大被害でございまして、これが道路管理者に与えた衝撃というものは非常に大きいものがございまして、これを契機に全国に総点検を行なったわけでございます。その結果、危険個所設定いたしまして、その地区その地区に応じた規制を行なうことが第一点でございます。  第二点は、新たにモニター制度を採用いたしまして、単にパトロールだけではなく、パトロールでは予知できない場合が多うございますので、民間の協力を依頼いたしまして、早期に落石等の事故を発見し、早期に交通どめして、事故に至らないようにするという方針を出したわけでございます。  今回の御指摘の大崩の事故につきましては、先ほども御説明いたしましたように集中豪雨による事故ではございませんでして、これは言うならば、現在のわれわれの技術水準があれだけの大崩落を予知できなかったということに基因するかというふうに思われます。したがいまして、飛騨川ないしは相生事故と違った別の性格を持つものと考えられます。ただ、御指摘のように、名が示すとおり、大崩といわれまして、昔から危険個所というふうにいわれておりまして、ここにおける工事には細心の注意を従来払ってきたわけでございますが、したがいまして、落石覆いをする工事がそれぞれ施されてあったわけでございます。しかし、最終的にこれではまだ完全じゃないという判断から、すでに四十五年度から大崩バイパスに着工いたしまして、ただいま鋭意工事中ではございました。  いずれにいたしましても、今度の事故を反省いたしてみますると、雨の後約五十時間後に崩落を起こしたということもございますので、たとえば大崩であるとか、親不知、子不知、大歩危、小歩危であるとか、いわゆる危険個所といわれておるところにつきましては、さらに雨の後も十分な点検、巡回を行なうような指示はしたわけでございます。  それから相生について申しますと、先ほども御説明いたしましたように、当該区間は危険区間には入っておりますが、いわゆるほんとうの危険個所というのは高取峠付近でございます。事故の起きましたところは危険区間には入っておりますが、危険個所というふうな想定はしなかったわけでございまして、われわれ通常の常識では崩落の考えられるようなところじゃなかったわけでございますが、たまたま一時間に六十ミリの豪雨が大雷雨とともにその区間に集中したために崩落して、そのために今回こういうような事故が起きたというふうに判断しております。これに対する処置といたしましては、先ほど申しましたように、日曜日における体制の強化、それからパトロールの強化、ないしは自動警報装置の開発というふうな三つの点に主力を注いで、今後もこういうことのないように各県ないしは地建に指示した次第でございます。
  86. 浦井洋

    浦井委員 そこで、ひとつ具体的に管理の面についてお尋ねしたいのですが、事故があって通達が出る、また、事故が起こるというような経過を先ほど申し上げたのですが、たとえば今度の場合でも、パトロールが先ほどからいろいろ問題になっておりますけれども、この例を取り上げてみても、その前回の通達が必ずしも守られておらなかったというようなところがあるわけなんですが、たとえばパトロールの例についていえば、なぜそういうふうにパトロールが役立たなかったのか。その辺の原因についてお答えいただきたいと思うのです。
  87. 高橋国一郎

    高橋(国)説明員 静岡県の大崩ないしは兵庫県の相生地区の二つの災害は、二つとも一般国道ではございますが、都道府県の管理下になっております。国が直轄で管理する区間に比較しまして、都道府県の管理区間については、必ずしもパトロールが十分じゃございません。そういうことが今回の大きな反省の一つでございます。県の財政事情等もございますが、必ずしも十分じゃないことは反省されております。  パトロールの欠陥と申しますか、最大の原因は、やはりパトロール者が少なくて、受け持ち範囲が非常に広範でございますので、今回のたとえば相生事故について見ますというと、上郡土木出張所の管内になっておりますが、主として北部の山岳地帯のパトロールに行っておりまして、ただいまの南部の相生地区のパトロールは行なわなかったようでございます。それは、一つの理由は、局地的な集中豪雨の予知ができなかったことになろうかと思いますが、いずれにいたしましても、パトロールの回数が持てないということと、それから、たまたま災害が起こるような時期にパトロールが遭遇いたしまして、事前にとめれば一番効果的ということでございますが、そういう事例は全国にたくさんございますけれども、今回はたまたまそのような事例に合致しなかったことが最大の原因だと思います。
  88. 浦井洋

    浦井委員 局長のいまのお答えでは、直轄の国道では比較的十分にやられておるけれども、もと二級国道ですか、三けたの国道では府県の財政事情の関係で必ずしも十分ではなかったというふうに言われておる。私もそう思うわけなんです。やはり大崩あるいは高取峠、二百五十号線、いずれも県管理ということで、県の管理体制が弱かったということが今度の事故の一つの原因ではなかろうかというふうに思うわけですが、しかし、国道を通る側にすれば、ここがもと一級で、ここがもと二級だったというような認識はもちろんないわけでございますし、もちろん、そこを通っておる人たちの人命のたっとさという点で差があるわけではないのでございますから、ぜひひとつそういう均等な処置がとれるような体制を組んでいただきたいというふうに思うわけです。  そこで、具体的にお聞きをしたいわけなんですけれども、事故があったということで通達を出す、これも必要だと思うわけでございますけれども、やはりもと二級国道、現在県管理国道あるいは地方道、こういうところは、いま維持管理費は全部その地元の負担だそうでございますけれども、こういう点、せめて国が相当量の維持管理費を肩がわりすべきではないかというふうに私は思うわけなんですが、この点について大臣の御意見をお伺いしたいのです。
  89. 西村英一

    西村国務大臣 維持管理については、やはりそれぞれの道路管理者がやる。ただし、雪害のほうは、除雪だけは国が持っておる。また、維持管理につきましても、それが施設を伴う場合は国が補助しておりますが、一般的なパトロールとかなんとかいうようなものに対しては国は直接補助していないわけで、管理者の負担になっておる次第でございまするが、それが現在の状況でございます。しかし、やはりひんぴんと事故が起こって、地方公共団体が全然持てないんだというようなことになれば、これはまた別の考えをしなければならぬと思っておりますが、そういうことにはいまのところはなっておらない。幾ぶんのことは、施設等については、維持管理についても補助しておる次第でございます。
  90. 浦井洋

    浦井委員 大臣、その、先ほど言われた別の考えで、こういう異常な事態ですから、ひとつ思い切った手を打たなきゃならぬという認識のもとに、仕事を進めていってもらいたいというふうに思うわけです。  それに関連いたしまして、道路の防災に関して、時間がございませんので先に進みますけれども、行政機構の問題についてお尋ねしたいのですけれども、現在建設省道路の防災を取り扱っておるところは一体どこなのかということと、それから、そこにどれくらいの人員が配置されておるのか、それから独自の予算は一体どれくらいあるのかということについて、お聞きしたいのです。
  91. 川崎精一

    ○川崎説明員 建設省関係の全体の災害関係いたしますいろいろな業務につきましては、河川局の防災課が窓口になりまして、主として中央防災会議等の全般の防災体制に関する行政の窓口と、それから建設省が所管しております公共土木施設の復旧に関する事務、こういったものを実施いたしております。ちょっと人数は忘れましたが、防災課の担当員のほかに、いわゆる災害査定官等を含めてその課に所属しておるわけでございます。
  92. 浦井洋

    浦井委員 独自の予算はどうですか、金は。
  93. 川崎精一

    ○川崎説明員 大体防災課で、これは道路だけではございませんで、河川その他全部の災害の復旧事業に関係する予算でございますが、大体事業費で六百二十億ばかり実施いたしております。
  94. 浦井洋

    浦井委員 河川局の防災課が中心になっておるというお話なんですけれども、一体、道路の防災はどうなっておるんだろうというふうに感ずるんですが……。
  95. 高橋国一郎

    高橋(国)説明員 道路の防災につきましては、直轄補助の国道並びに県道につきましては、災害防除事業という事業が別途に計上されておりまして、たとえばのり面の崩落を防ぐためのワク工であるとか、あるいは落石の崩落を防ぐためのネットを張ります事業であるとか、それから擁壁をつくりまして崩落等を防止する方法であるとか、たくさん種類がございますが、そういうものを災害防除事業という名前でもって実施しております。  なお、新しく道路をつくる場合には、その道路の改築事業の中にそういう事業を行なわしておりますので、これはちょっと数字にははっきり出てまいりませんけれども、落石ないしは地すべりを防止するための工事のための予算としては、災害防除事業という種目でもって種別いたしております。
  96. 浦井洋

    浦井委員 要するに、道路局の中には、防災を一括して責任をもって扱うという部局がないというふうに判断してもよかろうと思うのですが、そうすると、その下に下って、各府県の状態は、総括的に答えていただきたいのですが、一体どうなっておるか。たとえば、私、二、三聞いたんですけれども、危険度A、B、Cのランクですね。この、府県からの報告が、府県によって極端な開きがあるというふうなことをちょっと調べて知ったわけですが、極端な場合、府県で二千数百カ所もあげてきておるところがあるかと思うと、百以下のところもある。こういうふうにまちまちだという状態だろうと思うんですけれども、この実態などは、これに関連してつかんでおられますか。
  97. 高橋国一郎

    高橋(国)説明員 御指摘のとおり、ただいま建設省内には、災害を防除するための特別の課といいますか、室なり、そういうところはございませんが、交通安全等を主体とした場合に、交通管理室というのがございまして、これが中心になりまして、交通安全等、災害を含めまして管理の適正をはかるような組織になっておるわけでございます。府県につきましては、主として補修課とか、あるいは維持課という名前になっておりますが、ここがただいまの道路管理並びに事故防止のための対策を取り扱っておるところでございます。  それから、先ほど御指摘のように、昭和四十五年度におきます危険個所の点検の際に、ある県においては二千カ所以上の危険個所が出ており、ある県においては数十カ所というふうに、非常にアンバランスが出ておることは事実でございます。今回の事故にかんがみまして、四十五年度の場合にはヒヤリングをやっておりませんために、確かに、各県によって、担当する者の判断によってやや精粗まちまちな点も感ぜられますので、今回の通達によりましては、各県からそれぞれ資料を取り寄せまして、直接説明を聞いて、統一した基準でもって統一した危険個所設定していきたいというふうに考えておりますので、今後是正されるかと存じます。
  98. 浦井洋

    浦井委員 四十五年度ヒヤリングをやっておられない段階での各府県のピックアップをいたしました危険個所の数字はいますぐにはわかりませんか。資料であとで見せていただいてもいいのですが……。
  99. 高橋国一郎

    高橋(国)説明員 ただいま手持ちがございませんので、後ほどお届けしてもよろしいかと思いますが、先ほど御説明いたしましたように、四十五年度においてはきわめて精粗まちまちの実情でございます。
  100. 浦井洋

    浦井委員 大臣にお尋ねしたいのですが、いまのお話を聞いておられてもわかるように、特に道路の防災に関する行政というものが、中央においても地方においても非常に不均等だというふうに私は思うのですが、その辺のすきをついて現在いろいろな事故が起こっておるわけですし、今後もまだまだ起こる可能性があると思うわけなんで、そこで、道路の防災について、独立した責任のある機構を確立して、そこに防災としてはっきりとした予算をつけるというような方向に進まれるお考えがあるのかないのか、この辺をはっきりとお聞きをしたいと思います。
  101. 西村英一

    西村国務大臣 防災につきましてはもっと力を入れなければならぬところですが、その機構を、これを本省の中あるいは地方公共団体ということになると、これは地方公共団体おのおののやり方が違うところもございますので、一様にはいかないと思います。一様にはいかないと思いますが、いま、防災関係についてこのような重大なせとぎわになっておりますから、今後これを検討しなければならぬと思っております。  予算をつけるといいますが、予算をどこにどうしてつけるか、その辺もとにかく考えなければならぬと思っております。  防災といいましても、事故が起こらないようにすることが第一でございますから、それは道路そのものでやっておるわけで、特に防災課をつくって防災をやるわけじゃありません。防災の施設をやっても、なおかつこういう事故が起こるものですから、その辺につきましては、あなたがおっしゃるように、本省、中央ももちろんでございますが、なお、各地方公共団体等につきましても、機構の整備等につきましてももう少しいろいろこちらから指示するというような面もこれから必ず起こると思います。
  102. 浦井洋

    浦井委員 大臣、先ほどの就任あいさつの中で、建設行政も質的に転換しなければならぬ時期だというふうに言われたわけですが、事故が起こったからということでなしに、道路行政というのは、いままで建設とかあるいは整備とかいうこと一本やりで進められてきたわけなんですけれども、やはり、こういうような非常に複雑な社会になってまいりますと、建設、整備も大事でございますけれども、それと変わらぬような、道路管理、防災というような面にもっと力を注いでいかなければならぬのではないかということをひとつ申し上げておきたいわけでございます。  最後に、補償の問題なんですが、国家賠償法について、先ほどから同僚の委員がいろいろ意見を述べられたわけでございますが、私も国家賠償法を適用すべきだというふうに思うわけなんです。御存じのように、三十八年に起こりました高知県の落石事故の最高裁の判決からいきましても、今度の静岡県の大崩海岸はもちろん、高取峠のケースも私は適用できるのではなかろうかというふうに思うわけなんです。  まず、高取峠の場合で言いますならば、その場所自身がAにランクされておった。局長さん、Aにランクをされておったわけですね。すでにもうAにランクをされておるという処置がとられておる場所なんです。それから、二百五十号線のあの辺の場所は、一日に五千台ぐらい通る、非常に重要な、交通量の多い場所になっています。それから、パトロールがやはり不備であった。もと二級国道のせいかどうかわかりませんけれども、とにかく、いまのお話ではパトロールが不十分であった。交通規制が行なわれておらなかった。そういういろいろな点で、いわゆる管理瑕疵があるのではないかというふうに思うわけなんです。それから、私現地に行って調べてみたわけなんですけれども、二百五十号線のがけ下側のガードレールが根っこから百メートルほどにわたってくずれ落ちている。このガードレールの基礎がもっとしっかりしておれば、横倒しになっても、がけ下にまで転落せずに済んだのではなかろうかというような考え方も起こるわけで、この辺についても私は瑕疵があるというふうに思うわけなんですが、そういう点を踏まえて、やはり国家賠償法の適用がされるべきではなかろうかというふうに思うわけなんですけれども、大臣並びに局長さんのこれについての御意見を最後にお聞きをしたいと思うわけです。
  103. 西村英一

    西村国務大臣 いずれも公共団体の管理に属することでございまして、それぞれの県で、兵庫県を中心にして、その点についてはいろいろまだ調べておるところでございまして、ここでこうだという断定はできないと思います。
  104. 高橋国一郎

    高橋(国)説明員 昭和四十三年八月の飛騨川バス転落事故の際にきわめて類似しておりまして、予想をこえる異常な集中豪雨によって、危険を予測されなかった——危険区間には入っておりますが、危険個所ではありませんで、われわれが危険を判定されなかったような通常の場所が崩壊しまして起きた事故でございます。そういうことから判断いたしまして、国家賠償法に適用できるかどうかということはきわめて微妙な問題がございますので、兵庫県当局が現在調査中でございます。現段階では、国家賠償法の適用ができるかどうかというのは、まだ調査不十分でございますので、完全にお答えできないというふうに思います。
  105. 浦井洋

    浦井委員 最後に、非常にこまかい点なんですが、局長さんに私が尋ねたかったのはガードレールの問題なんです。この点についてはどうですか。
  106. 高橋国一郎

    高橋(国)説明員 現場は存じませんので、正確なお答えかどうか存じませんが、ガードレールというもの、そのものは、車がぶつかって、それによって転落することを防ぐ程度の強度しかございません。したがって、今回どんなふうな破損状態になっておるか存じませんが、たとえば非常に大きな土砂流、土砂の流れが起きた場合に、それを受けとめるような強さにはなっていないのが常識でございますので、おそらく、今回は、そのために道路の設置瑕疵ということには結びつかぬのではなかろうかというふうに考えられます。
  107. 浦井洋

    浦井委員 終わります。
  108. 亀山孝一

    亀山委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十分散会