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曽祢委員 少なくとも
国連における中華人民共和国
政府の
代表権承認については、これを妨げない、迎える、こういう
意味においてその
基本的な
態度はいままでよりか一応明確になったと思ってこれを了とします。
次に、沖繩協定といいますか、
ニクソン訪中ということがもたらしたいろいろな
日米関係あるいは
アジア、極東の緊張が、私は大体緩和の方向だと思いますけれ
ども、
国際情勢に与える
影響、いろいろあると思うのですが、全体として、
日本政府がまごまごして自主的な
外交をやらなかったために戸惑いしている点はまことにみっともないと思うのです。同時に、やはりこの冷厳なパワーポリティックスからいえば、やっぱりビッグツーが出てきて本番になったような気もいたします。
緊張緩和への展望が一応開いた、
開きつつあるということはいいことだと思う。ただ、この場合に、同僚議員からも御指摘があったように、
わが国が
考えなければならないのは、
緊張緩和でいい、いいだけでも言えないじゃないか。たとえば
米中関係の改善等についてどこまで話は進んでいるか、これこそまだわからないのですけれ
ども、おそらく
台湾海峡の
緊張緩和について、米軍の
台湾海峡並びに
台湾からの撤退ということが
一つの主軸である。もう
一つのもっと大きな主軸はベトナムからの撤収だと思いますし、それらの問題に対する
中国側のかなり弾力的
態度ということが、今回のいわゆるキッシンジャー特使のやってきた結果だと思うのですが、そういう面はたいへんにいいようだけれ
ども、同時にたとえば
日米関係、特に沖繩返還交渉等をめぐる
情勢からいうと、これはもう完全な
冷戦構造の所産なんですね。確かにわれわれも、ベトナム戦争の見通しがないのにとにかく早期核抜き本土並みという、おぼろげながらそういう形の方向で返還ができるということは、やはりいいことだと思うけれ
ども、しかしその背景において非常に沖繩の冷戦下における地位、したがって沖繩が本土になり、本土そのものも安全保障
条約、それが持っている極東条項等々の心配というものはあるわけです。ところが、そういう所産である協定がここにできて、時代はかなりがらっと変わって、まだ少し早いけれ
ども、大体
冷戦構造がかなり緩和する。その点ではいいんだけれ
ども、はたして
日米関係、それから沖繩返還後の基地の
内容等から見て、
日本は、
アメリカがそういう意図である、ないにかかわらず、米中は
接近しようとする、
台湾海峡は第七艦隊、それから在台米軍というものが撤収する、しかし、
日本列島と沖繩を第一線的な
冷戦構造としての基地というものが、依然として残るというようなことになる心配が皆無ではないと私は思う。私は、この沖繩協定ができたことも、やはり大きく見れば、
ニクソン・ドクトリン、
アジアからの、無理な前進基地からの撤収という
基本方向においては、今度の
米中接近と相反するものじゃない。しかし、どうも協定の個々の
内容等には、いろいろ冷戦の所産そのものみたいなものが多々ある。たとえば、基地を
一つ考えても、非常に
——たとえば嘉手納基地なんて
考えれば、ベトナム戦争がほとんど終結に向かう、
台湾海峡からも第七艦隊が撤収する、
台湾における
アメリカ兵力も撤収するという場合に、嘉手納基地をそのまま残したような協定のままでいいのかどうか。必ずしも私は、この際
アメリカに対する不満だけぶつけて、全部御破算に願いまして、もう一ぺん沖繩協定をやり直せというほどのことを申し上げるつもりはございません。しかし、いままでの交渉の結果のままでおいて、そしてこの十月の国会であのままで
承認するということがいいのかどうか。もう
一つ、たとえば基地返還の
内容をもう一ぺん検討してみる。さらに
日米関係全体を
考えてみると、今度の
アメリカの仕打ちも、一時間前の全くの形式的な通告である。そういうことをもたらした
日米間のすき間風ということについても、やはり繊維交渉の際に官房長官が、
日本の民間業者とミルズ歳入
委員長との話し合いができたら、
政府間交渉はいきなりもう取りやめたという、これは大統領に対する平手打ちにひとしいくらいのまずい、
アメリカに対しやはり信義的に決してよくなかったと思うのです。そういう問題があるし、
日本政府全体がやはり飢餓輸出というか、公害を持ちながらただ輸出だけに狂奔し、そして
日本のための、
日本の中小企業や農業の体質改善のほうをやらずに、ただ自由化だけをおくらすというようなことに対する不信感、そういう点もございましょう。また安全保障の問題でも、こういうふうに変わってくると、やはりわれわれが根本的に言っておるように、
日本の再軍備というような方向を絶対にわれわれはとるべきでない。
アメリカとの限定された防衛
協力は私は必要だと思う。しかし、
日本における
アメリカ軍の極東の平和のために出撃する基地というような形は、こういうものもこの際ひとつ
考え直していかなければならないのではないか。いろいろ前提がございますが、そういったような一連の
関係から、沖繩協定そのものについてもうあれはできたのだ、もうあのままでいいのだというような安易な
考えではなくて、新しい波にかんがみて
——冷戦構造的なもので
政府としてもこれは遺憾だと思っておるところが多々あると思う。そういう点をもう一ぺんひとつ新しい
情勢から検討し直して、前向きの姿で両国ともにこれを検討するようなお
考えはないのか。特に基地の整理等については、もう一歩進めていかないと、沖繩及び
日本本土が最先端的な
冷戦構造の前進基地になるという皮肉な結果を招来してもまずいのではないか。だからこそ、一方においては
日本みずからの
姿勢で
中国大陸との和解、
国交調整に
努力することは当然であるけれ
ども、同時に
日米関係における安全保障、基地のあり方等についても、なかんずく沖繩協定等の
内容に触れたもう一ぺん新たな観点からの検討を必要とするのではないか。そういう検討の中からこそ、
日米の新しい時代における
協力関係の正しい位置づけがされるのではないか。あえてそういうことを
——くさいものにふたでなくて、そういう勇断をひとつふるわれんことを
政府に要望したいのですが、外務
大臣のお
考えを伺いたいと思います。