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1971-07-23 第66回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年七月二十三日(金曜日)     午後一時三十六分開議  出席委員    委員長 渡部 一郎君    理事 木野 晴夫君 理事 佐々木義武君    理事 菅波  茂君 理事 前田 正男君    理事 石川 次夫君 理事 近江巳記夫君    理事 内海  清君       橋口  隆君    福井  勇君       藤本 孝雄君    田中 武夫君       堂森 芳夫君    三木 喜夫君       吉田 之久君    山原健二郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      平泉  渉君  出席政府委員         科学技術政務次         官       粟山 ひで君  委員外出席者         原子力委員会委         員       有澤 廣巳君         原子力委員会委         員       山田太三郎君         防衛庁防衛局運         用課長     福田 勝一君         防衛庁経理局監         査課長     後藤 真平君         科学技術庁研究         調整局長    石川 晃夫君         科学技術庁原子         力局長     成田 壽治君         環境庁水質保全         局企画課長   河野 義男君         厚生省環境衛生         局乳肉衛生課長 神林 三男君         厚生省児童家庭         局母子衛生課長 島田  晋君         農林省農政局参         事官      長谷川新一君         農林水産技術会         議事務局研究参         事官      小山 義夫君         参  考  人         (東京大学教授内田 秀雄君     ――――――――――――― 七月二十一日  原子力発電所安全確保に関する陳情書  (第一一六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  閉会中審査に関する件  科学技術振興対策に関する件(原子力安全性  確保に関する問題等)      ――――◇―――――
  2. 渡部一郎

    渡部委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  このたび科学技術庁長官及び政務次官に御就任になりました平泉国務大臣及び粟山政務次官よりそれぞれ発言を求められておりますので、これを許します。平泉国務大臣
  3. 平泉渉

    平泉国務大臣 このたび科学技術庁長官を拝命いたしました平泉渉でございます。  科学技術行政につきましては、政務次官をつとめました際、若干の経験がございますが、なおこの長官の任を果たしますためには委員各位の格別の御鞭撻、御協力を賜わらなければならないので、よろしくお願いをいたします。  申すまでもなく、最近におけるわが国経済社会発展は目ざましいものがございますが、科学技術発展がその有力な原動力であったことはだれしも認めるところであります。しかしながらその反面、科学技術は複雑な経済社会の場において十分な配慮をもってその適用を行なわなければ、われわれ人類にマイナスの効果を与えるおそれもあるのであります。  今日、われわれが直面しております経済本格的国際化環境悪化等の諸問題に対処して、わが国の繁栄を維持し、国民生活の一そうの充実をはかっていくためには、先端技術分野を中心にすぐれた技術開発を推進するとともに、さきに述べました現代社会における科学技術の意義を十分認識して、人間尊重基本理念に沿って真に国民福祉の向上に役立つ科学政策を展開していくことが必要であります。  このような観点から、私は、長期的な資源、エネルギー問題の解決に資するため、原子力開発を一段と推進するほか、わが国の未来を開くかぎともいうべき宇宙開発海洋開発等を国の総力をあげて推進するとともに、公害防止自然災害防止等生活に密着した問題について、科学技術の面から適切な解決策を見出してまいりたいと考えております。  また、ライフサイエンス等、新しい科学技術分野振興、各分野科学技術総合的推進をはかるため、研究開発計画化研究投資の増大、人材の養成等につとめてまいる覚悟であります。  以上の諸施策を推進するにあたりまして、委員皆さまの一そうの御協力を重ねてお願いいたしまして、簡単でございますが、ごあいさつといたします。(拍手
  4. 渡部一郎

  5. 粟山ひで

    粟山政府委員 このたび科学技術庁政務次官に就任いたしました粟山ひででございます。  皆さま方の御指導と御鞭撻をいただきまして、懸命に自分の任務を果たしたいと存じますので、どうぞ今後よろしくお願い申し上げます。(拍手)      ————◇—————
  6. 渡部一郎

    渡部委員長 次に、参考人出頭要求に関する件について、おはかりいたします。  原子力安全性確保に関する問題調査のため、本日、東京大学教授内田秀雄君を参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 渡部一郎

    渡部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、参考人からの意見聴取質疑応答の形式で行ないますので、さよう御了承願います。     —————————————
  8. 渡部一郎

    渡部委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石川次夫君。
  9. 石川次夫

    石川委員 本委員会は、今回新しい新進気鋭の大臣を迎えて、新しく発展する科学技術行政のために非常に意を強うする次第でありますけれども、問題はあまりにも多過ぎるので、なかなか容易ならない御苦労があろうかと思っておるわけでございます。最近は御承知のように海洋開発あるいは宇宙開発あるいは情報化、シンクタンクというようないわゆるビッグサイエンスというものが、あとからあとから出てまいりまして、そういうことにほとんど質疑応答の時間をとられてしまいまして、原子力関係質問はほとんど最近行なわれておらなかったように思うわけであります。非常に数が少なかった。ところが、御承知のように、日本エネルギー産業としては、現在の石油ではいろいろな点での制約がある。あるいはまた公害が非常に多いというようなこともありまして、原子力発電所というものを急速に発展をさせなければならぬということで、わずか一年の間に、今後二十年間に四千万キロワットというのを六千万キロワットにかさ上げをするというような状態にまでなってきましたことは、これは無理からぬことではないかと思うのでありますけれども、そのためにはあくまでも、日本は唯一の被爆国であるという観点から言いましても、原子炉安全性というものをとことんまで確保しなければならぬということは至上命令であることは、いまさら言うまでもないと思うのであります。ところが、最近相次いで原子炉だけではなくて、いろいろ原子力関係についての事故が引き続いて起こっておるわけでございまして、国民の間に非常な不信感を与えておる。この点について、その問題の一つ一つにつきまして、当局の解明をひとつお願いをしたいと思うわけであります。  最初に、アメリカ原子力委員会軽水炉安全テスト実験計画ロフト計画でありますけれども、このロフト計画の結果から、わが国にも多量に輸入をされつつあるところの軽水炉に重大な欠陥がある。したがって、発電炉安全性確保のためには、これは緊急冷却装置というものの模擬実験で六回も続けて故障を起こしておるというふうなことにかんがみて、この運営というものを停止をしなければならぬというようなことが日本に伝えられまして、非常な衝撃を与えたわけであります。時を移さずわが党といたしましては、内閣に対しあるいは科学技術庁長官に対しまして、原子炉安全性確保しろ、現在の軽水炉というものについての安全性確認をされるまでは、この運転をとめろ、あるいは出力を下げろというような申し入れもしましたことは、当局としても御承知のとおりであろうと思うのでありますけれども、このことにつきまして、原子力局では直ちに委員を派遣をいたしまして、実態調査した結果、いまの日本軽水炉については心配がないんだ。だから、引き続いて運転を続けるという談話発表されたわけでございますけれども、その間の経緯の大体を私承知しておりますが、概略かいつまんでの御報告をひとつお願いしたいと思うのであります。
  10. 成田壽治

    成田説明員 アメリカ原子力委員会で、ロフト計画で従来から原子炉の安全問題の検討をやっておりましたが、その一環として、非常用冷却装置が十分働かないという事態が、そういう懸念があるということがアメリカ原子力関係新聞報道がありまして、日本原子力委員会でもこの問題を取り上げまして、アイダホのこの実験が安全に関するもので非常に重要な問題である。そういう点から、五人の専門家からなる調査団米国に派遣したのであります。  そして調査団は、六月の八日から二十日間にわたりまして、アメリカ原子力委員会事務局の人、あるいはアイダホ原子炉実験場を実際に見学し、またそれの関連の原子炉メーカー研究所あるいは原子力委員会の実際に実験に携わった研究者等ともいろいろ会談、視察をいたしまして、二十日間にわたっていろいろな調査検討を行なって帰ってきたわけであります。  その間に、アメリカ原子力委員会は、アイダホ実験懸念を取り入れまして、非常用冷却装置の一部が、非常に小型実験の結果、働かない懸念があるという懸念が生じましたので、実際の炉にはそのまま適用できませんが、そういう懸念のもとで非常に厳重な安全基準暫定指針としてつくりまして、これによってだいじょうぶであるということが確認されない限り安全審査で認められないというような暫定指針を作成しまして、六月の十九日に発表になっております。日本調査団も、この暫定指針につきましても十二分に検討調査を行なって帰ってきたわけでございます。  そして、その調査団研究結果を原子力委員会あるいは原子炉安全専門審査会等報告をして、原子力委員会としても十分検討しまして、その結果、この前、七月の一日に、原子力委員長意見として発表がありましたが、原子力委員会決定を行なっております。  その内容は、新聞にも報ぜられておりますように、アイダホ実験はそのまま実用炉に当てはまらないが、性能の一部に有効でないものがあるとの懸念を生じまして、米国では、六月十九日、その懸念実験その他によって十分解消になるまでは、安全評価上その部分の性能がないという、非常にきびしい仮定をして、そのもとで安全であることを確認するという暫定指針を出して、それによっていろいろな炉について審査をやっておりますが、日本が現在導入して運転しておりますところの三つの軽水炉につきましては、アメリカでそれと同型の炉がありますが、それについてアメリカ原子力委員会が新しい暫定指針によって十分検討した結果、日本同型アメリカの炉については、炉の停止とかあるいは出力制限をする必要がないという結論になっておりますので、日本の炉についても心配ない。  それから、日本安全審査は、何もアメリカ暫定指針によるまでもなく、従来から非常に厳重な安全基準を使って非常に厳重な審査をやっておりますので、この結果、従来認められた炉についてはアメリカ暫定指針に照らしても十分問題ない。したがって、炉の停止なり出力制限をする必要は、現在日本運転中の軽水炉につきましてはないという委員会見解を出したわけであります。  ただ、安全性については、非常に重要な問題でありますので、今後とも調査研究原子力委員会安全専門審査会において十分続けていくという決定を出した次第でございます。  そして、ただ、一部の地元からは、これに関連して、炉が実際に懸念がなくなるまではとめるべきだというような意見もありましたが、われわれも、この委員会決定によりまして、関係府県とか関係市町村等もいろいろ説明をやり、また担当者福井県なり福島県に出して十分説明会をやって、それから先般、原子力発電関係市町村長会議にも出まして十分説明をやって、その限りでは炉の停止なり出力制限をする必要がないという委員会決定を了解していただいたと思っております。
  11. 石川次夫

    石川委員 大体いまの経過報告は私のすでに承知したところでありますけれども、この過程で、十分の一の小型試験にすぎないのではないか、したがってそれは大型の炉に適用されないのだというような意見当局のほうから出されております。それからGEではこれは八年前から実験して心配ないことになっているのでそうあわてふためくことはないのじゃなかろうか、こういう意見も若干出ておったようであります。それからロフト計画によった結果、発表によりますと、これに基づいて原電の本社のほうでは敦賀は従来どおり——実際の発電所では二系統以上の冷却系統があるが、このロフト計画では一系統だけなんだ。したがって、一系統だけがだめになるとすぐにその危険性が出るということなんで、二系統以上あるんだから心配ないんじゃないか。こういうような見解も出されておったと思うのでありますが、その点はどうですか。
  12. 成田壽治

    成田説明員 原子力発電会社がそういう見解を出したということは公式には聞いておりません。われわれのほうは、先ほどの委員会の考えは、非常に小型であるとか実験が一系列で、実際は二系列ないし四系列であるからあれには該当しないというような考え方をとらないで、安全に安全を考えていろいろ検討して、その結果ああいう結論になったというふうに考えております。
  13. 石川次夫

    石川委員 新聞の誤報かどうか知りませんけれども、いま言ったように十分の一の小型試験なんて実際問題としてだいぶ違うのだ、こういうことをいわれておったことが新聞には報道されている。その点についていうならば現在でも安全の試験の場合は日本でも十分の一、ものによっては二分の一というものもございます。こういうことで試験をせざるを得ないし、またそうすることが妥当だという場合もあるので、十分の一の小型試験なんというのはそのまま適用されるものではないのだという考え方だとすると、これはたいへんな間違いを起こすのではないか、こういう考え方を持たざるを得ない。  それからGEが八年前から実験しているんだというのですけれども、GE実験のしかたはあくまでもメーカー側に立っての実験なんです。したがってこういう事故はないのだということが前提なんです。こういう事件が起こったらどうなんだという実験はやっておらないわけですね。こういう事故は起こりっこないのだということが前提になっているので、メーカー側のこういう安全性確認というふうなものをそのままうのみにするわけにはいかないという点での認識の不足があったんではなかろうかという懸念を私としては持ちました。  それから実際の発電所では二系統以上の冷却系統があるので、一系統だけがそうなってもすぐに他の系統のものが働くのだ、こういう説明は、この点だけは原電のほうの発表だったわけでありますけれども、これはたいへんな間違いをおかすのではないか。これはどういうことかというと、たとえば敦賀発電所で、これは三月二十六日の各新聞にも出ておるわけでありますけれども、減衰タンク放出ガスを送り込むポンプがあるわけです。これが一台でいいわけなんですけれども、もう一台予備としてつくっている。ところが二台とも同時に故障してしまったのですね。このことが新聞記事報道されているんです。したがって、一系統だけでなくて二系統あるからそれで十分なんだという考え方は、敦賀のこのかつての事故に照らして見ても当てはまらないのではないか。特に原子力事故というものは、たとえば起こったと仮定いたしますと、とんでもないたいへんな事故になるということは言うまでもないことなんであって、万が一の事故があってもならないという安全対策確保しなければならぬということになると、新聞報道されたようなことについてはいま局長は全然触れておられませんけれども、新聞報道では盛んにそういうことは強調されておるので、そういうふうな考え方であったのでは困るということを強く指摘したいと思うのでありますけれども、この点について原子力委員会のほうで御意見があればひとつ伺いたいと思うのです。
  14. 山田太三郎

    山田説明員 ただいまの御指摘でございますが、原子力委員会といたしましては、この問題がたとえば非常に小さなモデル実験であるとかあるいは冷却系統一つであるとかというような、言い方によりますと原子炉欠陥ではなくて欠陥実験であるというような立場には全然立っておりませんで、もちろんこういう実験技術的にいいますといろいろな点で非難することができるわけですけれども、その中に何ものかがあるのではないかという意味で非常に慎重な態度をとってまいったと思います。したがいまして、六月一日に原子力委員長談話を出しましたのも慎重に検討するということでございましたし、その後も十分な調査をしてまいったと思います。したがいまして、民間でそういうことを言っておりますのを口をふさぐわけにはまいらないと思いますけれども、われわれとしては安全の問題はでき得る限り保守的な立場に立って進めていくというふうな方針でまいったつもりでございます。
  15. 石川次夫

    石川委員 まあことばどおりに受けとめておきましょう。しかしながら、新聞では盛んにそういうことが報道されておったということから見て、安全に対する考え方が少し不徹底なんではなかろうかという不安を国民がひとしく持っておった、持たざるを得なかったということだけは指摘をしておかなければならぬと思うのであります。  それで、よく言われることなんですが、原子力施設によるところの放射線のレベルはバックグラウンドよりも低いんだ、だからそんなに誇大に心配することはないじゃないかというふうな意見はあるのですけれども、もともと放射線というものはゼロであることが望ましいのです。ある程度の放射線被曝ということがあれば、たとえICRPの範囲内であろうともそれに北例するところのある程度の影響はあるのだということが定説になっておるわけであります。そういうことからいたしまして、最近はアメリカ原子力委員会におきまして公衆の被曝制限値というものを年間五ミリレムに訂正するということが提案をされております。これはまだ決定はしておらないと思うのでありますけれども、これはICRPの百分の一ですね。でありますから、日本はもうICRPの十分の一になっているんだからというようなことや、バックグラウンドより低いんだというふうなことだけで安閑としておることは許されないような情勢がだんだんきびしく日本にも押し寄せてきているということが一つ。それからこの前申し上げたのでありますけれども、ミネソタ州ではICRPの五十分の一という制限でなければ困るということで裁判をやっております。ほか十州がこれにならっておる。そして原子力発電所というものにつきましては、これが守られない限りはつくってはならぬということで係争中であるということも周知の事実であって、これがそのうち日本に波及してくるんではなかろうか、こういうふうな懸念が持たれておるわけであります。それに対応するだけの体制日本としても十分とらない限りは、日本の場合には特にこの間のような事故がありますと、軽水炉は全部とめてしまえという関係市町村長の決議が出るくらい敏感に反応をするわけでありますから、その点は十分に心していただかなければならないし、いまの日本アメリカよりきびしい基準であるしというようなことだけで安閑として対処していくわけにはいかない情勢になっているという点を十分に認識をしてもらわぬといけないのではないかと思うのです。この点長官の御所見を、簡単でけっこうでございますので伺いたいと思います。   〔渡部委員長退席内海(清)委員長代理着席
  16. 平泉渉

    平泉国務大臣 先生お説のとおりでございまして、現在、公害問題が国をあげて大きな問題になっておる、その際に、公害に対する科学技術協力ということも大いにわれわれ考えなければならぬのでありますが、その中で、おひざ元の自分でやっておる原子力、この規制に関しまして現在いろいろな疑念がある、あるいは懸念が出るということであってはこれはまことに遺憾なことでありますので、原子力の安全ということに関しましては、これは抜本的に新しい考え方で、先生のいまおっしゃられるいろいろな問題点、こういった問題を含めまして考えていかなければならぬ、こう思って所要の指示をいたすつもりでおります。
  17. 石川次夫

    石川委員 安全対策はいままでも言われておることでありますが、新型転換炉あるいはまた高速増殖炉あるいは私は新しいプロジェクトを入れなければならぬと思うのは、多目的といいますか高温ガス炉、これをプロジェクトに入れるべきであるという意味では私は積極的な推進論者でありますけれども、これはあくまでも安全性との車の両輪として走らせなければならぬ。片っ方だけ走っていく、日の目を見てエリート意識を持って、片方の安全とか廃棄物処理というものは日陰の扱いを受けているというのが現実なんですね。これを対等の重要性を持っているんだというふうな認識をさせるためには、まだ当局としての姿勢は私は十分だとはいえないと思う。たとえば、アメリカにおきましては、こういうロフト計画にからんで安全対策というものについては二百三十億円というばく大な予算をつぎ込んでおります。日本はこれに対して幾らつぎ込んでおるかというと、私はまだ詳しく計算はしておりませんけれども、ほとんど比較にならぬでしょう。問題にならないでしょう。アメリカはしかし日本ほど騒がれない環境でありながら二百億円以上もの金をつぎ込んで安全対策というものを処理しておるというような実態を十分見詰めてもらって、廃棄物処理を含めた安全対策というものを日の当たる場所に引きずり出して、これを新しいプロジェクトと同じ比重を持って考えていくという体制にまでぜひ引き上げてもらわなければならぬと思うのです。この点については、長官、来年度の予算の獲得あるいは今後の姿勢として十分にひとつ心してもらわなければならぬと思うのであります。この問題については、シーボーグ委員長がこういう問題を提起することを通じ、一九六八年以前のものについては炉を一時停止しろ、それ以後のものについてはその必要がなかろうというような結論が出たようでもありますし、日本のものはそれに抵触しないというふうなことも大体納得はできるわけでありますが、国民感情としてはなかなかそこまで納得できない面もあるであろうし、よほど徹底したそういう点の啓蒙というものをやってもらわなければならぬ、こう思うわけであります。  以下、いろいろな問題があとあと出ておりますので、相次いで質問をいたしますけれども、先般の廃棄物原研におけるところの火災の問題ですね、この問題についての経過報告、これは大体わかっております。ですからかいつまんだ経過だけでけっこうでございます。これを一応御報告願いたい。
  18. 成田壽治

    成田説明員 原研廃棄物処理場火災事故の概要を説明いたします。  七月十三日午前七時三十分ごろ、原研廃棄物処理棟南側廃棄処理設備近傍から発煙しているのを警備員が認めて、警備詰所へ通報いたしました。管理区域内の火災でありますので、非常事故措置規程に基づきまして直ちに非常体制が設定されますと同時に、防護隊による消火作業が行なわれました。この結果、廃棄物処理のため搬入されておった放射性廃液の入っている二十五リットルポリエチレンびん百六十本のうち約五十本、それから一リットルポリエチレンびんの四本、それから二十リットル陶磁器製びんが五本、廃棄物処理棟の床の塗装の一部、それから交換用のフィルター等を焼損しましたのみで、午前八時十分に鎮火いたしました。放射能汚染は、屋内空気ではかりまして一CC当たり十マイナス十乗マイクロキュリー、床表面で一平米当たり十マイナス五乗マイクロキュリー以下と、ほとんどバックグラウンド程度でございまして、屋外汚染、人身被曝はなかった次第でございます。  これが事故の概要でございます。
  19. 石川次夫

    石川委員 この問題も私はいろいろな問題点が残されておると思うのです。たとえば廃棄物処理予算はどうなっておるかといいますと、あそこの定員をどんどんどんどん、これは基礎研究全体にまたがる科学技術関係の問題につながる問題ではありますけれども、十ぱ一からげでもって人員削減をやるというようなことの犠牲になりまして基礎研究のほうがどうもおろそかになる。あるいは廃棄物処理なんというのは日の当たる仕事ではないということで、これは外部委託ですね。下請になっているのですよ。ここの従業員は盛んに訓練をして、訓練をした人が廃棄物処理に当たるというようなことは——もちろん関係者が入ってはおりますけれども、外部委託というようなかっこうで処理されている面がかなりある。したがって、この前問題になりましたように、「放射能男町を歩く」というようなことになりかねない要素が多分にあるわけなんです。これは監視体制が不十分であるということはもちろんありますけれども、それだけではなくて、廃棄物処理というようなものを日の当たらない場所で、しかも人員整理をやられてしまうということになると、どうしてもそういうところに逃げていってしまうということで、外部委託でもってどうやらごまかしているというような体制では、安全対策が完全であるかどうかということについて大いに私は疑問を感じないわけにいかないのです。こういう点は長官、今後の予算の獲得についてはよほど心してもらわないと、外部委託でもって廃棄物処理をやるなんということは言語道断です。こういう体制をきちっと直すということを十分にお考えいただけるかどうか、御回答願いたいと思うのです。
  20. 平泉渉

    平泉国務大臣 十分実情を検討いたしまして、遺漏なきようにいたしたいと思っております。
  21. 石川次夫

    石川委員 それから先般の火災事故、これはあと処理はなかなかよくいっていると私も思いました。行って実態もよく見てまいりました。それはそうなんですけれども、しかし事故というものは起こるべくして起こるものであって、偶発的に起こったという考え方であってはいけないわけです。日本放射性同位元素協会の新聞発表によれば——これまた新聞発表は権威がないのかもしれませんけれども、振り回したって火災になるおそれはないんだ、だから自然発火ということは起こり得ないんだ、こういうことが、個人の意見かもしれませんが、出ておったわけなんです。ところが実際に事故は起こるべくして起こったわけなんです。  ところがこれは大体一つ一つびんにどういうものが中に入っているんだというレッテルを張って番号ごとに整理をしてあるのが燃えてしまいましたから、番号がわからぬわけですね。どの内容のものがどういう現象を起こしたのかという説明がつかない。ふたをあけておかなければならぬものをふたを締めてしまっておったというような手抜かりもあったようであります。あとどの番号のものはどこに並んでいるんだというような整理が全然ついておらない。したがって、ここにあったものから火事が出たのだ、ここから火事が出たのだと思っても、それは一体番号は幾つだったのだ、あるいはまたその中身はどうなっておったのだということは全然わからぬわけですよ。こういうふうな体制火災が起こって、事後の対策、その原因の究明というものがはたしてできるかどうかということに非常に疑念を持たざるを得ない。原子力局長はその点についてはどういうふうに御検討になっておりますか。
  22. 成田壽治

    成田説明員 廃棄物びんが相当焼けてしまいまして、いろいろなナンバーとかそういうものが焼失しまして非常にチェックが困難な状態になっておりましたが、直後にいろいろの関連の帳簿等を調べまして、大体リストはできております。  事故の原因につきましては、直ちに原研内部に原因調査委員会を設置して、あるいは消防関係の研究者等の外部機関の専門家協力を得まして、原因の究明につとめております。最初は、漏電じゃないかとかあるいは外部からのあれじゃないかとか、いろいろそういう点から始めまして、結局さっき申し上げました三種類の廃棄物びんのうちで原研から排出されました一リットルポリエチレンびんに入っておる炭化ウランをケロシンと水の混合液につけました五本のびん、それがびん内の圧力が上がってびんが破裂しまして、そのときに自然発火したのではないか、大体そういう推測になっておるようでありまして、その点は逐次原研から原因調査委員会の結果を聞いておりますが、大体それではないかということになっております。ただ科学的な原因確定というところまではいっておりませんが、大体そういうところに原因があるように考えられます。そうしてそれを考えてみますと、保安規程どおりちゃんとポリエチレンびんに詰めて処理しておればそういう自然発火という問題は起こらなかったと思いますが、ポリエチレンの炭化ウランの入っておるケロシンづけのびんに水を挿入して、そして密封しておいた。開いておきますと、内部の気圧が上昇してびんがこわれるということにはならなかったと思いますが、密封したままに置いたという処理上のミスからこういう火事になったと思われるのでありまして、そういう意味で保安規程なり保安の手引きどおりに実際の作業員が作業しておれば、こういう問題にならなかったのでありますが、毎日作業に慣れてきますと、どうもそういう点が徹底しないというところに原因があったようで、規程のとおり作業が日常行なわれているかどうか、そういう保安教育の徹底というところに原因があったとして、われわれも原研その他に管理体制の強化並びに保安教育の徹底を厳重に指示しておるところでございます。
  23. 石川次夫

    石川委員 保安教育ということはもちろん大事でしょう。大事でしょうけれども、この内容を明示した番号のびんが火事になったらそれが燃えちゃって全然わからなくなったという体制は、これは管理者の責任ですね。保安教育の責任じゃないと思うのですよ。組織上の欠陥だと思うのです。こういう場合に、私は密封してあったから自然発火したのじゃないかというような結論が出そうに予測はしておりましたけれども、それでもほんとうにこれはとことんまで事故の究明をしなければならぬと思うのでありますけれども、そういう状態ではなかなか困難をきわめるのじゃないかと思っておりますが、そういう点で保安上の問題はいままでもいろんな事故が起こっております。たとえばJRR2の火災事故の問題、PNSの事故の問題、ボイラーの破裂の事故なんかがいつも起こっておるのですが、そのつどその担当者の処分を行なうことを通じて何か責任回避をしておるという傾向が非常に強い。しかし、これは管理者自身の責任だということに考え方を変えてもらわなければいかぬと思うのです。その担当者か何か処分をするというようなことでこの事後処理をする。責任回避というわけじゃないかもしれませんけれども、処理をするというような体制はこれからの保安対策の万全の対策をとるゆえんではない、こう考えるのですが、その点は局長としてどうお考えになっておりますか。
  24. 成田壽治

    成田説明員 原因につきましては、先ほど申し上げました事情でありまして、それから見ましても、決して一作業員が処理を誤ったということに尽きることではなくて、管理体制全体の問題、ことに管理者が徹底した策理体制をやっておるかどうかというところに非常に大きな原因があると思って、われわれも原研の管理者に対して二度とこういうことのないように十分注意をいたしております。
  25. 石川次夫

    石川委員 申し上げたいことはまだたくさんあるのですけれども、これは私の個人的な希望なんですが、いつも当局側だけで事故対策委員会をつくるのですが、やはりこれは労働組合の推薦した人も入れて、従業員全体が納得のできる体制事故対策を究明をするという態度が必要なんじゃないか。そうでなければ、いつまでたっても当局側だけで何かインチキな、ごまかしだとはいわないまでも糊塗策が行なわれたのではないかという疑惑をいつも与えるということではまずいと思うのです。そういう点で労働組合の関係、推薦した人も加えて事故究明をやるというこういう体制をつくるべきではないか。こういう意見を私としては強く持たざるを得ない。  それと先ほど申し上げたように、廃棄物処理は日陰の仕事みたいなかっこうにどうしてもなるのですよ。そうすると、安全対策上これぐらい重要なものはないのだけれども、先ほど言ったように外部委託、下請作業というふうなことがまざってきまして、どうしてもこれはおろそかになってしまうというような懸念もあるわけです。外部委託の問題は、先ほど来答弁いただきましたから、繰り返して答弁は必要ございませんけれども、事故究明にはやはり従業員の組織としての労働組合の代表も加わる、こういうことをして徹底的に究明する、しかも、その当事者の責任を問うということを通じて、処分をするということを通じて解消するという印象を与えない、こういう点でひとつ確約を願いたいと思うのですが、いかがですか。
  26. 成田壽治

    成田説明員 現在設置されております原因調査委員会には労組の代表が入ってない構成になっております。これに組合の代表を入れるかどうかにつきましては、原研側とよく相談をしてきめたいと思っております。
  27. 石川次夫

    石川委員 おそらく原研と相談をすれば、四の五の言ってなかなか加えたくないというような感じが強くなると思うんですが、ほんとうにすなおに第三者的に考えれば、私は社会党だから言うわけじゃないのですよ。やはり労働組合というのは従業員の一つの組織体であって、その人たちが納得のできるという体制にするためには、やはり推薦をした人を一人ぐらいは——一人か二人か知りませんが、加えるということのほうがすなおな、自然な形だと思うので、そのことを強く私は要請して、その結果を見守るつもりでおります。  それからいまの放射能の廃棄物処理の問題ではいろいろあるのですけれども、海洋投棄という問題が日本でもぼちぼち始まったわけです。これは大陸だなじゃなくて、相当深海ですから、公海の問題ですから、国際的な問題にこれからも発展をするという重要な問題をはらんでおるわけであります。それでこれはIAEAでも科学パネルと法律パネルと両方でもっていろいろな検討をして、IAEAとしては多数決のようなかっこうで、ドラムかんに入れて深海にやればそれで心配ないのだというような形になっておるようでありますけれども、しかしソ連はこれに対して反対しおりますね。ソ連はこれに対して、海洋投棄は反対であるという結論を出しております。それで日本の場合も、ドラムかんにして五年後は四万二千本、十年後は三十一万本、これは発電所だけですよ。発電所以外のものを入れるともっとふえると思うんです。発電所だけの関係でもこの程度のものが出てくる。これを海洋投棄でなければ、国内では——アメリカでは岩塩層があって、そこへ処理をするということをやるようでありますけれども、これとて地元で相当な反対が出ておる。だから容易なことではない。日本では、いま原研なんかは五メートルぐらい掘って、そこへ詰めておるのですよ。こんなものは限界がありますよ。どこでこれを処理するのだ。これも安全対策の一環としてきわめて重要な問題でもあるし、深海投棄ということになれば国際的な重要な問題にもなる。しかも深海投棄ということになりますと、これは海洋開発との関連も出てくるでありましょうけれども、深海におけるところの実際の研究というものはまだまだ不徹底、不十分であることは、私から申し上げるまでもないと思うのです。物理的にもあるいはまた科学的にも生物学的にも情報はきわめていまのところは限界があるわけですね。限られておるわけです。そういうところはまあだいじょうぶだろうというような安易な考え方でこれを投棄をするということになれば、とんでもないことになる。最近は聞くところによると、アスファルトで固めるのじゃなくて、あるいは鉛で固めるのじゃなくて、ガラスでもって固めるのがいいんじゃないかというふうな新しい考え方アメリカのほうで出ておって、それに対して日本でも研究をし始めておるのだろうと思うんですけれども、最も深刻なのは日本だと思うんです。アメリカじゃないと思うのです。ところが、先ほど来のいろいろな一連の事故の問題でも、アメリカが何か発表すると、日本はあわててそれを追っかける。いろいろな安全対策なんかでも、日本はいつの場合でもアメリカ試験を追っかけた追試みたいなかっこうのようなことしかやらないのですね、予算上の関係もあって。日本こそが一番必要であって、日本こそが先頭切ってやらなければならぬことがいつでも立ちおくれているということは、私は非常に遺憾だと思うのです。この廃棄物処理の問題は今後大問題になります。この廃棄物をどういうふうに処理するか。アメリカではガラスで全部固めてしまうのだというふうな案も出ておりますけれども、深海に投棄をするということについては完全な国際間の合意が得られているわけでもない。そうするとこれをどうするかということをほかの国に先がけて日本こそがやらなければならぬ、こう思うのです。こういう点について現在の体制ではきわめて不十分、不徹底、お話にならぬと思うのです。原子力委員会、この点どうお考えになっておりますか、ちょっと伺いたいと思うのです。
  28. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 廃棄物処理の問題でございますが、私も原子力の平和利用を推進する上において一等大きな問題は実はここにある、こう考えております。先般イギリスに参りましたときにも、イギリスのAEAでその問題を聞きただしたわけですが、イギリスではわりあいにこの問題はそう深刻に考えていなくて、私実はたいへんがっかりいたしました。ただ、イギリスの石炭庁の経済顧問のシューマッハという方がおりますが、この方はたいへんこの廃棄物処理の問題について深刻な考え方をいたしております。原子力平和利用がどんどん進むことは進むだろうけれども、結局原子力平和利用が頭をぶつける問題はこの問題である、こういうのがシューマッハの意見でございました。私もそこまでは考えておりませんでしたけれども、たいへんこの問題はむずかしい問題だというわけで、それでこの問題をどう処理するかにつきまして、いろいろ検討を加えてきておるつもりでおりますが、原子力局の中にこの廃棄物処理検討会が設けられました。その報告書も先月われわれのほうに提出されました。この報告書に基づきまして、これから私どもは十分慎重な態度をもってこの廃棄物処理の問題を片づけていきたい、こういうふうに考えております。  そこで、この問題はまだ多少の時間が残されております。その時間のうちにこの問題を片づけていきたいと思うわけですが、廃棄物ということになりますと、一つは低レベルの廃棄物、それとわりあいにレベルの高い廃棄物、この高いものの処理につきましては、ただいま御指摘のあったような、ガラスによって固型化してこれを陸上に貯蔵するというふうなことも考えられましょう。ただ、低レベルの廃棄物につきましては、これは何と申しましても非常に大量でございます。それで検討会の報告では、これを少量ずつ海岸に投棄するほうがよかろう、こういうふうな結論が出ておりますが、しかし海洋に投棄するということになりましても、やはり相当深海にこれを投棄する。ところが、深海の事情はまだよくわからぬところもたくさんある。それでとりあえず私どもはこの海洋調査、これを十分やってみたい、こういうふうに考えておりまして、ことしも海洋調査に少し研究費を出して調査をいたしておりますけれども、来年度からはもっと大規模にこの調査を進め、その調査の結果を見ました上で海洋投棄をするとかしないとかいうことも考えてみたいと思っております。  なお、御指摘のありましたように、この海洋投棄につきましては、国際的な一つの問題があります。IAEAのほうにおきましても、そういう関係でこの問題が漸次議題にのぼるようになりつつあるように私は承っております。そういう席におきましても、われわれが得ました海洋調査の結果も踏んまえまして、この海洋投棄の問題をIAEAにおきましても十分審議をしてもらう、こういうつもりでおるわけでございまして、御指摘のございますように、この廃棄物処理につきましては、非常に重要な問題、これがなければほんとうに原子力平和利用は行き詰まる時期が来るとさえいっても過言でないと思っておるわけでございまして、その観点から、この問題につきまして今後一そう努力を傾注してうまい解決を尽くしたいと思っております。  なお、もう一つは、廃棄物の中には高い放射能がありますので、この廃棄物にある放射能を何か有益に利用する研究開発もいたしたい、こういうふうに考えておりまして、その方面の研究費も計上いたしまして、研究を進めたいというふうに考えております。  以上お答え申し上げます。
  29. 石川次夫

    石川委員 廃棄物の問題はたいへん重要な問題だということの御認識があるようでありますが、これとてもやはり研究開発といいますか、予算措置が伴わなければできないということにならざるを得ないので、原子力は前へ前へ新しい型のものをつくっていくというプロジェクトのほかに、安全性とか廃棄物処理とか、こういう問題についても並行してやはり同じ比重で予算の獲得をしていかなければならぬきわめて重要な課題になっておるということをひとつ長官もよく御認識をいただいて——いままでに非常に日陰の扱いになっておりまして、これが二の次三の次になっておるというふうな点がどうしても免れがたい。片方はエリートコースだ、片方は日陰者で縁の下の力持ちなんだというふうな認識を与えないように、ひとつ日の当たる場所に引きずり出して、予算も与えて、ほんとうに誇りを持ってこの研究ができるという体制をひとつつくり上げてもらいたいということを心からお願いをします。  原子炉の保険の関係なんかは、アメリカあたりじゃ民間じゃ引き受けないわけですね。それだけ、まだまだ十分安全だというふうなことはアメリカでも保険会社なんかは認識をしておらない。認識をしておらないというと語弊がありますが、そこまで信頼はされておらない。したがってAECが民間の八千二百万ドルに上積みをして、五億六千万ドルまで賠償を提供するというふうなことに現状はなっておるというようなことも考えますと、まだまだ安全性でもってほんとうに国民の納得を得るというためには、努力しなければならぬ余地がたくさんあるのだということを御認識を願いたいと思うのです。  そこで第三の事故、これは最近大きく取り上げられました、東海原電で初の被曝事故ということで、許容量を大幅にこす放射線を三人が浴びる。地元の新聞だけじゃなくて、中央の新聞でも大々的にこれが報道されておるわけですね。この点についても、大体新聞報道でわかるのでありますけれども、簡単にひとつ御報告を願いたいと思います。
  30. 成田壽治

    成田説明員 日本原子力発電株式会社東海発電所被曝事故の概要を申し上げます。  七月の十五日、日本原子力発電株式会社東海発電所におきまして制御棒付属装置の補修作業中に三人の従事者が被曝する事故が発生したことが、フィルムバッジの精密測定の結果、七月の二十日に判明いたしました。  従事者の被曝の程度は、一人が九・四二レム、一人が七・八〇レム、一人が二・九ハレムであり、これは法定の許容被曝線量である三カ月三レムをこえるものが見られたのであります。しかし、今回の被曝従事者がこれまで仕事をやって若干の被曝を受け、その上に今回の九・四とか七・八の被曝を受けた合計の値は、法令上の許容集積線量以下であるということになります。  被曝従事者につきましては、十九日に血液、尿等の検査をやりまして、その結果三人とも異状がないということがわかっておりますが、さらに万全を期するため、原子炉運転業務から配置がえをいたしまして、また同時に、今後当分の間健康診断を続けることとしております。  なお、この事故は建屋内の作業中の事故でありますので、作業員の被曝事故はありましたが、外部には全く影響がなかったということでございます。
  31. 石川次夫

    石川委員 いまの報告はきわめて私は不十分だと思うのですね。ということは、警報が鳴るための計測器が五ミリレムから五十ミリレムまでで振り切れてしまって、そのあと警報は鳴らなかった。ところが、これはほんとうは測定器と警報装置の関連を二重にしてあったのに二重になっておらなかったというようなことも聞いておるのですが、これは事実であるのかどうかということが一点であります。  それとあと一つは、警報が鳴った場合には一応保物の関係の人を呼んで、それで立ち会ってもらった上で、それから作業員が入るというたてまえになっておるのにいとも簡単に、いままでたいして事故がなかったというようなこともあったのでしょうけれども、入ってしまった。ところが棒が出ておった。町のかじ屋さんみたいにこれを突っ込んでおけというふうなことで、とんとん棒でたたいて突っ込んだというような安全教育のあり方ではあぶなくてしかたがない。これは教育の問題もさることながら、警報装置のあり方にも重大な欠陥があるわけですね。こういうことは、そういうことをしろということを指示をしてあったのかどうか、もしそういう指示がしてあったとすればこれと同じようなことがほかの原子炉にも起こり得る可能性があるわけなんですけれども、いま稼働しておるほかの軽水炉の関係やその他についてこういう問題が起こらないような体制がちゃんとできておるのかどうか、こういう点について、せっかく内田参考人がお見えになっておるわけでございますから、ひとつ御意見を伺いたいと思うのです。
  32. 内田秀雄

    内田参考人 内田でございます。  ただいまの石川先生からの御質問の内容は、原子炉運転に入りましたあとの保安管理、保安規程の問題でございまして、私がおもに担当しておりますのは原子炉安全専門審査会で設置許可までの段階でございますので、詳細なことは存じませんので、申しわけございませんがちょっとお答えできないだろうと存じます。
  33. 石川次夫

    石川委員 じゃ、局長
  34. 成田壽治

    成田説明員 今回の被曝事故の原因は確かにエリアモニターが一つしかなくて、しかもこれが非常に高い放射能のレベルに達するとアラームが鳴らなくなるというようなわりと低いレベルの放射能をモニターする機械しかついてなかったということに一つの理由があると思います。ただマニュアルどおり作業をやっておればそれでも事故にはならないと思いますが、アラームが鳴らなくなったから制御棒が十分おさまるべきところへ入ったと誤認して飛び出した、そしてその際穴に入ってなくてひっかかっておったのでそれを短い棒で突き出して入れたという、その作業で大きな被曝になったと思うのでありますが、この際当然保健物理の担当へ連絡して、そして指示を仰いで防御服等の完全な装備をして作業に取りかかるべきところを、非常に簡単に、これも仕事のなれからくる一つの油断といいますか、そういうところからそういうことになったと思われるのであります。ただこれもエリアモニターが高い放射能にはきかないようなモニターしかなかったということ、これが非常に一つの原因でありますので、原電につきましても高いレベルのモニターも二つ備えておくべきでありますので、早急につけるように指示しております。  それから作業員が規程どおり作業しなかったというところに原因がありますので、これも先ほどの問題と同じように作業のなれからくる油断あるいは管理者側が、作業員が規程どおり作業するような指導を十分徹底してなかったというところに根本的な問題があると思いますので、この点も十分保安管理体制の徹底化を指示しております。  それから現在動いておりますところのほかの発電炉についてもこういう問題が起こるかという御質問に対しましては、制御棒の取りかえの作業はほかの最近の軽水炉はもっと自動的になっておるようでありまして、これはコールダーホール型の古い型でありますので非常に人為的な作業過程を必要とするという特殊性のようでございます。ただこういう原因にかんがみまして、われわれはすべての発電炉、電力事業者に対してもモニター装置の万全を期するようにモニター装置の総点検をやるように十分指示したいと思っております。  それから管理規程を十分守って、仕事のなれからくる非常に幼稚な操作上のミスをやらぬように保安教育、管理体制の徹底化を十分はかるように厳重に指示したいと思っております。
  35. 石川次夫

    石川委員 時間がなくなってきたのでほんとうに突っ込んだ質問ができないで非常に残念なんですけれども、京都大学では前に二回ほど四レムあるいは六・六レムという被曝がありました。しかしこれは研究者でございますからある程度自分研究のときの不注意だということで自分自分を責めるというふうなこともできるのでありますけれども、今度のように作業員の場合はやはり監督あるいは管理する側の不徹底、責任というものを相当追及されなければならぬと思うのです。いまの五十ミリレムしかアラームがきかないなんということは、これは常識ではちょっと考えられないことですね。五十ミリレムぐらいだったらたいしたことはないですよ。もっともアラームが鳴ったときにはすぐ保物の人を入れるんだという前提にはなっておったのでありましょうけれども、いま言ったように五十ミリレム以上の高いときにはアラームが鳴り続けないなんというような幼稚な体制では困るので、このモニタリングの再点検を徹底してやってもらいたいのと、さしあたっては、東海原電でのアラームというものをいつごろまでに準備をされる見通しであるかということが一点。  それからあと一つは、各新聞にひとしく書いてあるのでありますけれども、シートピア計画の実験で起きた潜水病の場合でも事故を七十日後に発表しているわけですね。今度の場合も事故は十五日に起こったのに発表は六日後だというようなことになっておるわけです。そうなると、どうもくさいものにはふたをするというようなことになっているのではないか、これは国民の素朴な疑惑です。こういう点は、被曝のフィルムバッジを現像するのにひまがかかったなんというところはどうも信じられない、そんなことは。だからそういうのは即時に発表するということがないと、何か科学技術庁ではほかにあったやつもずいぶん隠しているのが多いんじゃなかろうかというところまで話が発展する可能性があるわけです。そういうのは即座に発表するというような習慣をつけてもらわないと科学技術庁は秘密主義だというようなことが大いに指弾をされることにならざるを得ないと思うのですが、この点をどうお考えになっているか、この点を長官から伺いたいと思うのです。
  36. 成田壽治

    成田説明員 高性能のモニターを原電はいつまでに取りつけるかという御質問ですが、現在取りつけ中だそうでございます。したがって近く取りつけ完了になると思います。  それから事故が十五日に起きまして科学技術庁発表したのが二十一日になっておりますが、これはその間隠したのではないかというおしかり、これは新聞発表の際も非常にそういうおしかりを受けたのでありますが、事実は十五日に事故が起きまして、そのときにバッジの現像をやってみないといけないので、会社側は東京の現像会社に緊急にやれということで郵送で送ったそうでございます。それでその結果がわかりましたのは二十日にわかっておりまして、それで会社から役所が連絡を受けたのはそのわかった二十日の午後でございます。二十日の午後受けまして詳細検討したいというので担当官を現地へその日に派遣して、そして十分調査してもらって、帰ってきて翌日の午後四時に発表いたしたのであります。役所が発表をおくらしたのは、二十日にわかって二十一日におくれたことは、いまから見ると非常に遺憾だと思いますが、現地に担当者を派遣して真相を調べさせたということでございます。  それから十五日に事故が起きてそれを二十日までかかったというのは、これも決して会社側が事故を隠すというためにそうなったのでないことは確かなようでありまして、むしろバッジを東京まで郵送した。そして現像に五日要したということ、これはいつものようにたいした線量でないというふうに会社側が簡単に考えて、人が持っていって一日か二日でやるというような万全の措置をとらなかったというところに原因しておるのではないかと思います。決して事故を隠すために五日費やしたということではないようでございます。
  37. 平泉渉

    平泉国務大臣 先ほどからいろいろ先生からお話がございます点につきまして共通して問題がございますのは、技術者の考え方の中に、そのものの技術というものの中に非常に埋まっておるために対外的な危険、影響、そういうものに対する感覚が少しおくれぎみになる傾向があるのではないか。したがって、あくまでも原因究明が先であるという考え方、それからまた全体の対策につきましても、まあそういうことは起こり得ないだろう、自分がよく知っているために、まあそういうことは普通起こり得ないので、こういうことで、微弱な放射能を検査する機械があればいいのではないか。やはりそういうふうな考え方があるのではないか。これは、ほかの、原子力以外の技術分野につきましてもそういう面があるのではないか、私どもこう思います。海中実験につきましてもやはりそういう傾向がある。したがいまして、全般的にそういう点もっとわれわれとしましては一般人にわかりやすいように、誤解を招かないように、それからまた作業要員などにつきましてもいわゆる技術上の知識が技術者そのものほどない、そういう人たちが実際にはやらなければならない、そういう点について、こういうところまで考えていかなければならぬという親切さ、そういう点をやっていかなければならぬと思いますので、今後とも疑惑を招かないように迅速な発表をする。これはあくまでやりたい、こういう指示をいたしております。
  38. 石川次夫

    石川委員 時間が来てしまいまして、肝心な質問がどうもあと回しになってしまったのですが、実を言うと地元のことで恐縮でございますけれども、しかしながら同時にこれは日本全体にまたがる重要な問題として再処理の問題がございます。再処理問題の大前提としては、これは政治的な課題として、あそこの射爆場が全面的に平和利用だということで返還をされなければ、地元の県民感情としては容易に納得できない。一部自衛隊が利用するというようなことでは、これはどうしても地元の県民の納得するところにはならないであろうということを、国務大臣としての科学技術庁長官に十分ひとつ納得をしてもらいたいと思います。  それと同時に、最近いろいろと原研あるいは動燃団の若い——原子力という科学自体が若いわけでありますから、いろいろと意見を聞いておるのでありますが、いままで原研と動燃団の中の研究者同士ではかなり意思の疎通というものは行なわれておりまして、この再処理というものについてもそう否定的な見解ばかりは出ておらなかったわけであります。ところが、最近いろいろと聞いてまいりますと、再処理について非常に危険ではないかという意見が急に台頭してまいりました。そこにかてて加えて最近のような事故が相次いで起こったということはこれに拍車をかけるということになるのではないかと思うのであります。そこで、これはこまかい点でたくさんあるわけでありますけれども、まとめて三点ばかり質問を申し上げますので、原子力委員の山田さんのほうからひとつ解明をいただきたいと思います。  その一つは、たくさんあるのでありますけれども、原子力研究所の諸施設から一年間に放出される排液中の放射能の量が再処理工場からは一日に放出されてしまう。これは一日〇・七キュリーですね。こういうのはどうも納得ができない、こういうのが若い学者の中でかなり痛烈な批判として出てきつつあるということが第一点であります。  それから、海洋に関して安全審査の際に用いたデータというものは実際の調査の結果ではないではないか、単なる机上の計算で試算をしたというものにすぎないので、しかもその結果自体にも相当なばらつきがある、こういうようなことで、実際の調査もしないでやった机上の試算というものには信頼が置けないという意見であります。これが二番目であります。  それからクリプトンが一日に八千キュリー、トリチウムが一日に二百キュリーも放出されるのは非常に問題だ。それがいいというふうに言われるんだったら、たとえば原研でいままで出た事故なんというものは、これよりはるかに低い。これは起こった発生過程が全然違うということもありますけれども、はるかに低いものでも事故として関係者は処分されておるのではないか。ところが再処理の場合にはこういう大量なものが出る。原研原子力発電所なんかとは比較にならない、非常に大量な廃棄物が出る。こういう点を一体どう考えたらいいのかというような疑問が新たに大きく出つつあるという点は、これは重大視すべきではないかと思っておるのです。この点についての御説明を願いたいのです。
  39. 山田太三郎

    山田説明員 お答えいたします。  最初のお話は、一日分が一年分だというお話でありますが、確かに数字はそうなると思います。しかしこの再処理工場をつくるにあたりまして、この問題の重要性にかんがみて、放射線審議会に、こういう再処理施設等と申しますのは、これから出てまいります大発電所群等も含むわけでありますが、そういうものについてどう考えたらよかろうかということを諮問いたしましてその答申を得たわけでございます。したがいまして、そういうような順序を経て、その結論は、きわめて端的に申し上げますと、液体廃棄物に対する、フードチェーン以外もありますけれども、フードチェーンを通しての放射能の被曝量がICRPの十分の一というふうなお答えをいただいております。で、この施設から出てくる放射能はできるだけ少なくするというのは原則でございます。しかしそれは、できる範囲の、できるだけの努力をしてもその限度にしかならないならばやむを得ないという形になるのだと思いまして、再処理施設はそういう施設でございますので、そういう放射線審議会の審議を経た結論を使っておるわけでございます。したがいまして、片一方が一日分が一年分であるというお話は、必ずしも対応しておらないというふうに考えております。  それから第二番目でございますが、現在までやっております被曝量の推算というのは全くの机上計算ではないかというお話でございますが、ある面では確かにそうでございますが、ある面ではそうではないというふうに言えると思います。ここ数年間にわたりまして、ほんとうは再処理工場のできますところの実態についての調査であると非常にいいんですけれども、それがいろいろな事情で十分にできませんものですから、非常にそれに近い原研のところで海における放射能の分布その他等の調査をいたしております。ですから動燃のところにできたときに同じになるということには必ずしもならぬと思うのでありますが、近いところでございますので相当近いデータが得られておるというふうに考えております。しかし実際にこの再処理工場ができます前には、そういう違う場所のものではいけませんので、これから再処理工場のできます沖においても、十分これからも調査をしていく。実は、再処理施設専門部会は、答申が出たわけでございますが残っておりまして、そういう調査の結果を一々検討していただくということになっております。  それからクリプトンの量でございますが、確かにこのクリプトンの量は多いのでございます。いわゆるICRP、あるいは現在われわれが用いております基準から申し上げますと、このクリプトンが八千キュリーというような大きなものでございますが、それから出てまいります被曝というのは、一番悪い条件のところで、実際はそういうことは起こらぬと思いますが、三十ミリレム程度でございます。そういうような点からいきまして、これ自身は現在の考えられておるものに対して安全であるということは言えると思いますが、しかし御指摘のように放射能は少なければ少ないほどいいわけでございますからして、このクリプトンを減らすような研究も片やいたしております。この問題は先ほど有澤委員からちょっと触れましたが、このクリプトンを除くことによって、あとでクリプトンを別に利用できるかどうかという問題も含めまして、外に出てくるクリプトンの量を減らす研究もいたしております。別にあとで使えないからとらないということはございませんけれども、もし使えたら、そういうようなことも同時に考えておるというふうに申し上げればいいんだろうと思います。しかし、将来再処理施設はこれ一つで終わりませんので、もっと大容量の再処理工場をつくるというようなことになりますと、ますますこのクリプトンの量を減らすような努力をしていかなければならないと思いますが、現在の再処理工場につきましては、先ほども申し上げましたように、いまのところはICRPの十分の一よりもなお低い値であるという点で、数量的には多いのですけれども、これで安全は確保できるのではないかというふうに考えております。
  40. 石川次夫

    石川委員 いまの説明ではなかなか一般国民、県民を納得させるということはむずかしいじゃないかと思うのです。  私はこの件についてまたあらためて質問する機会もあろうかと思うので、きょうは制限時間を越しておりますから、これ以上申し上げることができないのが非常に残念なんですけれども、これはウインズケールあたりは非常に悪い条件のもとで一日四百キュリー、それからフランスのラ・アーグでは実際には一日十二、三キュリー、これはだんだんふえるのでありましょうが、現在のところは大体そのくらいだということを私は調査をしておるわけです。それに比べると、〇・七キュリーというものはそう多くはないんだというふうな説明も受けております。受けてはおりますけれども、大気中の八千キュリーというものですね。それから現在は出口規制ということになっておるわけだ。出口ではかったらICRPと比較してどうなのかということになると、明らかに私はひっかかるのではないかと思うのです。それから、その点に対する説明は一体どうするのかということがあろうかと思います。それでおそらく再処理をしなければならぬ対象になる核の種類というものはほとんど半減期が非常に長いので、このクリプトンはたぶん十年か十二年だったろうと思うのでありますけれども、そういうふうな長い半減期であります。したがって、八千キュリーというものがそのままなまで全部出てしまうというふうなことでは、どう考えてもその付近の住民に対する不安感というものはぬぐい去ることはできないのではないか。したがって、これはどうにかしてろ過をする。途中で捕捉するということはできないかどうか。これはよほど真剣に取り組んでもらわなければならぬ緊急の課題ではないだろうか、こういうことを率直に言わざるを得ないのです。そういう点を十分に考えていただいた上で、いままでは事故アイダホでもって一回起こっただけで、あと事故らしい事故はなかったというふうなことも承知はいたしておりますけれども、地元の住民としては、前提としての射爆場返還の問題とからんで、それから相次いで事故が起こっておるというふうなこともあって、若い科学者から出されたいろいろな疑問というものは、これは広まればおそらく納得性がないということになってこざるを得ないのではないかという点を十分にお考えいただいて、これに対応する、納得させることのできるような考え方というものをちゃんと解明をしてもらわなければならぬと思うのです。  そういう点で私の質問を終わりたいと思うのでありますけれども、最後に一つ、有澤原子力委員に簡単に結論だけでけっこうでありますが、核燃料のウランというものを何とか確保しなければならぬということは至上命令だろうと思うのですが、なかなか現在容易じゃない。濃縮技術というものもまだ完成しておらない。それで、いまのところはアメリカに完全に依存をしておるというかっこうになっておりますけれども、ドイツとかオランダあたりは民間でもう濃縮をやっておるわけですね。ドイツはおそらくソビエトとの技術提携じゃないかと思うのです。あるいはソビエトがドイツに対してそういう技術を供与したというふうなことも聞いておるわけなんです。だから、ソビエトとのそういう技術提携、アメリカだけに依存しなくてもいいという体制、そういう道を、やはり選択の権限を日本は持たなければいけないのではなかろうか、こういう気がしてならないのです。これは私ちょっと検討はまだ不十分であります。なおよく検討してからあらためて質問したいと思うのでありますけれども、どう考えてもアメリカ一辺倒という現在の体制を打破するという意味で、ソビエトとのこういう技術供与の問題、濃縮をやってもらうという問題について道を開くというお考えがあるかどうかという点を伺っておきたいと思います。
  41. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 濃縮ウランの技術、ウラン濃縮の技術でございますが、この技術は御承知のようにいまガス拡散法と遠心分離法と二つがございまして、ほかに南ア連邦では第三の方法を開発しているという話でございますが、これはまだわれわれはかいもく情報は得ておりません。それで前の拡散と遠心分離、この二つの方法につきましては、日本においても目下研究を始めております。しかし二つの方法につきまして両方なかなかむずかしい問題があることは確かでございます。そこで外国からそういう技術をひとつ入れたらどうか、こういう意見もあります。しかし私はアメリカの拡散技術にいたしましても、おそらくヨーロッパ三国のやっておる遠心分離の方法にいたしましても、その技術を入れるということにつきましては、一つは相手のあることですから、相手のほうの考え方がどうあるかということがはっきりまだわかっておりません。  第二は、もしこの技術の導入につきまして国家機密を守るという条件がつくようでありましたならば、われわれはこれを導入することはできないと思います。そういう点から申しまして、この技術日本においてひとつ独自に開発しよう、またしなければならぬ、こういうふうに考えてその研究開発の計画を進めておるわけであります。ただ、最近になりまして技術日本に導入するという問題とは別に、マルチナショナルなジョイントベンチャーといいましょうか、マルチナショナルな形の濃縮工場をつくろうでないか、こういうような話があちこちから出ておることは御承知のとおりであります。またそれにつきましてもむろん条件がどうであるとかいうようなことは一つもわかっておりませんけれども、漸次そういう話が具体化の方向に向かって進みつつあるということは確かであります。私どもも来年とか再来年にかけましては、そういうマルチナショナルなジョイントベンチャーに日本が参加するかしないか、こういう問題につきまして決断をしなければならない時期が来ようかと考えております。しかしまだその時期は来年か再来年のことでありますから、それまでにはいろいろなプロジェクトについてマルチナショナルなジョイントベンチャーに関するいろいろなプロジェクトにつきまして、十分私どもは情報を集め、そして日本立場に立ってナショナルインタレストにとりまして最もいい方法かありますならば、そういうジョイントベンチャーに参加したらどうか、こういうふうに考えておりますが、何と申しましてもまだ情報がきわめて抽象的で、具体的なものは一つもありませんから、もっともっと情報を集めた上でそういう決断をいたしたい、こういうふうに考えております。  それで、ソ連のほうの技術につきましては、私はドイツがそういう技術をソ連から入れたというようなお話をいま承ったのでありますけれども、これは私は初耳でございます。ただ濃縮ウランをソ連から輸入する。これはフランスは先般これを行なっております。しかしそれはむろんスポット買いと申しましょうか、一時的な購入契約でございます。日本の場合もそういう一時的な購入契約をするということはできないことはないと思っております。しかしそれに対しましてはそういうふうに一時的な購入をするということになりましては、これは電力会社が必要や濃縮ウランを、いまはアメリカ日本との間の協力協定に基づいて、日本の電力会社はこの七三年建設着工の分につきまして十分手当てを受けておるのでありますから、もしそういう場合が起こるとするならば、それ以降の建設着工の発電所について必要な濃縮ウランであろうと思います。ただ、電力会社の立場から申しますと、一つ原子力発電所を建設した場合にその発電所の所要の濃縮ウランをどういうふうに確保できるか、その確保につきまして非常に安全である、つまり炉の寿命のある間、長期に供給を受けられるというふうな成約、保証というものが得られるかどうかということが、きわめて発電会社にとっては重要なことになるだろうと思います。そういうふうな契約がソ連との間にできるかどうか、そういう点ももっと確かめなければならないかとこういうふうに考えております。  いずれにしましても、私どもの計算によりますと、一九八〇年ごろになりますと世界的に濃縮ウランの供給能力が需要に対して不足をする、それはもう確実であるように思われます。何も日本のわれわれが推測しておるばかりではありません。先般参りましたオーストラリアの大臣も、またフランスの専門家もそういうふうな推測をしておるのでありますから。したがって、八〇年ごろの、世界的に言って濃縮ウランの供給をどうするかということは、日本がむろん問題でありますが、何も日本ばかりではなく、ヨーロッパの諸国もまた同様に問題であろうと思います。したがって、先ほど申しましたように、マルチナショナルなパイロット、マルチナショナルな濃縮工場をつくろう、こういうふうな機運が世界的に起こってきているということも言えるかと思います。いずれにしましても、この問題は今度は、先ほどの廃棄物処理の問題とは違った、燃料の確保原子炉発電の燃料の確保という点できわめて日本にとって重要な問題であろうと思います。したがってこれにつきましてももっともっと情報を集めまして、時期を失しないときにわれわれはその方法、その方針を決定いたしたい、こういうふうに考えております。
  42. 石川次夫

    石川委員 時間ですからもうやめますけれども、アメリカにだけ依存をしている現状で、しかもアメリカの核濃縮の能力あるいは原料の能力、一九八〇年までは続かないと思うのですよ。でありますからよほどこの原料の確保と核濃縮技術は、もちろん自主開発ということが最も望ましいことであることは言うまでもないわけなんでありますけれども、どうしてもそういかないということになれば、アメリカだけに依存をしない、先ほど申されましたようにマルチナショナルな計画ということも必要でしょうし、あるいはまた技術を提供されなければ、ソビエトあたりもあえて共産圏であるというような偏見でなしに、この濃縮ウランというものをどんどん入れてくる。スポット買いもけっこうだろうと思うのです。そういうふうな多面的な道を開いていかなければならぬ時期が来るのではなかろうかという点を十分見越して、万全な対策をひとつぜひお願いをしたいという要望を申し上げて、私の質問を終わります。
  43. 内海清

    内海(清)委員長代理 BHC等有機塩素剤による母乳汚染問題の対策に関し、当委員会の要求により関係省庁から報告書が提出されておりますが、この際、その概要について説明を聴取いたします。石川研究調整局長
  44. 石川晃夫

    石川説明員 先般五月二十日に本委員会におきまして委員長から特に取りまとめの御指示がございましたBHC等有機塩素剤による母乳汚染問題につきまして、当庁と厚生省及び農林省、三省庁におきまして十分協議いたしました結果をとりまとめて、報告書を六月三十日に提出いたしました。その概要を申し上げます。  この報告書は、大きく分けまして、母乳汚染の実態とその対策という項目に分けてございます。  まず母乳汚染の実態についてでございますが、これにつきましては、本年の一月から四月までの間、母乳中の有機塩素剤の残留に関する調査研究を実施したわけでございます。実施地区といたしましては二十四都道府県を対象といたしました。この検査対象といたしましては、一県当たり農婦十名、非農婦十名、計二十名を対象といたしました。調査研究機関といたしましては、国立衛生試験所とそれから実態調査実施地区の保健所、衛生研究所及び医療機関がこの調査研究に当たうたわけでございます。  次に調査研究結果を申し上げますと、母乳を調査いたしました対象が四百十九例でございます。その結果でございますが、ベータBHC、DDT及びディルドリンの濃度につきましては、一部の例に高い値を示すものが見られたわけでございますが、多数の例はWHOあるいはわが国基準を下回っております。  次に、農婦、非農婦別に見ますと、ベータBHC、DDT及びディルドリンの濃度につきましては、農婦よりも非農婦に高い傾向が認められたわけでございます。農家のほうよりも都市に住んでいる人のほうが高いということでございます。そういう傾向が見られました。  また健康状態につきましては、母乳に残留値の高い産婦及びその乳児におきましても、一般所見並びに産婦の肝機能検査の成績は異常が認められませんでした。しかしながら、今後さらに精密な健康診査を実施いたしまして、追跡観察を行なう必要があるというように考えております。  次に対策でございますが、現時点におきましては、母乳の危険性は認められておりません。しかしながら、さらに今後も母乳の汚染が続きますと、乳児の健康に悪影響を及ぼすことが危惧されますので、汚染の根源を遮断するために、早急に有機塩素剤に関する規制の強化をはかるということを考えております。  その規制措置といたしまして、まず農林省関係でございますが、有機塩素系農薬の使用規制を行ないました。これは従来食用作物、飼料用作物における残留を防止するために、各種の通達によって安全使用の徹底をはかってきたわけでございますが、さらに規制を強化するために、六十四国会におきまして改正されました農薬取締法の規定に基づきまして、飲食物の汚染経路を断つための措置をとったわけでございます。これは農薬取締法施行令によりまして、その農薬の指定を行ないまして、またその使用者が順守すべき使用基準を農林省令で定めたわけでございます。DDT剤につきましては、四月中に登録を抹消いたしまして販売を禁止いたしました。そして今後は一切使用しないということにしたわけでございます。また使用規制によって使用できなくなった農薬の処分でございますが、これは農政局長通達によりまして、地下水を汚染するおそれのないところに小規模な単位で埋没するというような処分を行なうように指導しております。  次に、第二の規制措置でございますが、これは厚生省で所管しております衛生害虫用有機塩素系殺虫剤の規制でございます。これにつきましては、五月三十一日に各都道府県知事あてに通知したわけでございますが、その内容の第一は、有機塩素系殺虫成分を含有する製剤の製造を中止させること、すでに製造されたものにつきましては、地方公共団体が防疫上必要と認めた場合の用に供するほかは販売しないというような措置をとっております。  対策の第二といたしまして、乳児に対する健康管理でございます。これにつきましては、有機塩素剤が乳児の健康に及ぼす影響を考慮いたしまして、そうして乳児の健康診査の徹底をはかるということを考えております。  次に対策の第三といたしまして、研究の推進でございます。これにつきましては、有機塩素剤が母子の健康に及ぼす影響につきましては、まだ不明の点がたくさんあるわけでございます。したがいまして、関係研究機関の協力を得まして、早急に総合的な研究を推進することとするというふうにきめたわけでございます。  以上がこの報告書の概要でございます。  なお、最後に申し上げました対策のうちで、BHC等有機塩素剤が母子の健康に及ぼす影響の解明につきましては、特に母子の健康維持を中心といたしました研究を緊急に推進するということを考えまして、特別研究促進調整費を使いまして一この研究を推進したいというふうに考えておりまして、これは現在事務的に推進中でございます。  以上でございます。
  45. 内海清

    内海(清)委員長代理 近江巳記夫君。
  46. 近江巳記夫

    ○近江委員 このBHC等の報告をお聞きしたわけでございますが、この中で、一項目ずつ聞いていきますとまた相当時間もかかるかと思いますので、私は残留農薬の問題について、特にこの間、牛肉も農薬汚染があったというような発表があったわけです。この間のこの母乳の汚染といい、これは一連の同じ問題でございます。そういうことで、こうしたおそれておったことが次々とこのように起きておるわけでございます。  そこで、このBHCの母乳汚染の問題について、きょうは厚生省さんも来られておりますので、一つは、対策の中の乳児の健康管理、これはいつまでに実施の体制を整えるのか、これが一点、それから、農薬の使用を中止しても、土壌にしみ込んだ汚染が今後かなり長期間続くということが予測されるわけですが、それについての対策はどうするか、まず初めにこの二点だけ簡単にお尋ねいたします。
  47. 島田晋

    ○島田説明員 お答え申し上げます。  第一点の乳児の健康管理でございますけれども、これは、現行乳児の満一歳までの健康診断がございます。年三回実施しております。これは現在の法律に基づいて実施しておりますので、もう現実に着手してございます。  第二点の、土壌中に埋没したBHCにつきましては、今後の検討によりまして、どの程度残留するかというふうなことを鋭意検討してまいりたいと存じております。
  48. 近江巳記夫

    ○近江委員 特にこの二つの問題でございますけれども、これは局長、非常にみな不安に思っておるわけです。この点についてはどうなさるおつもりですか。中止をしても残留農薬が非常に残るという問題なんです。これについては関係各省話をされましたか。
  49. 長谷川新一

    ○長谷川説明員 土壌中の残留農薬についてお答え申し上げます。  御指摘のように、土壌中に暫時残留することが懸念されるわけでございますけれども、従来の研究によりますと、水田は大体一年以内、畑ではわりあいに残りまして三年ぐらい、残ると申しますか、作物に吸収されるという実態がございます。BHCは大体その八〇%から九〇%は水田で使用されておるわけでございまして、母乳の汚染もおそらく稲わら飼料の牛乳というようなことが経路じゃないか、こういうふうに考えられます。いま申し上げましたように水田は大体一年ぐらいで、吸われなくなる。それから畑につきましてはやや長いわけでございますが、畑のほうはいろいろな作物が作付されるわけでございます。これも従来の研究によりますと、ナス科の作物、トマトあるいはピーマン、こういったようなものが吸収しにくい、あるいはカンラン等も吸収しにくい、こういうような結果が出ております。そういうことで、そうした吸収しにくい作物あるいはまた吸収しても害のない、たとえば花卉類、こうしたようなものの作付をするというふうに指導してまいりたい、こういうふうに思っております。  なお、土壌中の残留成分については、農林省で県に補助いたしまして、土壌中の農薬成分の分析器を各県に備えたところでございますが、今後は環境庁のほうで都道府県と協力してそういう土壌調査を進めていく、こういうことになっております。
  50. 近江巳記夫

    ○近江委員 その点は、さらにひとつ関係各省対策をとって心配のないようにお願いしたいと思います。  それから牛肉の農薬汚染のことについて、きょうは担当課長さんも来られておると思いますので、この問題についてどのように受けとめ、どういう対策を今後とられるか、簡潔にお願いしたいと思います。
  51. 神林三男

    ○神林説明員 お答え申し上げます。  牛肉の問題も先生指摘のとおり非常に重要な問題でございまして、過日東京都の発表もございましたが、私たちのほうもすでに八都道府県に対しまして実態調査を依頼いたしまして、近き将来これに対して牛乳と同様に許容基準というものをつくっていく所存でございます。
  52. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから課長さん、牛肉が東京都衛生局でこのように問題になったわけですが、他の食品、これはもうすべて汚染されているのではないかという心配が蔓延しているわけです。その点、他の食品の一斉総点検等についてどういうお考えでいらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
  53. 神林三男

    ○神林説明員 先生のおっしゃられるとおりでございまして、私たちもとりあえず牛肉を中心としてやってまいりますが、この際、豚肉あるいは鶏肉、鶏卵というようなものも至急調査をしていく所存でございます。  なお、野菜、くだものにつきましてはすでにかなり作業も進展しておりますけれども、これもできるだけ調査をして、今後許容基準をきめるというふうなことにしていきたいというふうに考えております。
  54. 近江巳記夫

    ○近江委員 こういう問題は関係各省非常にまたがっておりますので、何となしにお互い責任のなすり合いといいましょうか、責任感の自覚というものが私は足らないように思うのです。しかしこういう問題こそ科学技術庁が中心になっていろいろとアドバイスするなりあるいは予算問題等調整をしてやっていくべき最も大きな問題じゃないかと思うのです。その点いままで科学技術庁の態度というのは何となしに迷惑だというような、口では言わないにしても、そういうようなことを私感じるわけです。非常にその点はまずいのじゃないかと思います。今回は期待される大臣も就任されたわけでございますし、こういう問題について今後科学技術庁としてはどういう取り組みをなさるか、大臣の考えを伺いたいと思います。
  55. 平泉渉

    平泉国務大臣 科学技術庁は、おっしゃいますとおりこういう各省庁にまたがる問題について、科学技術の面において全般的にこれを推進をする、また内閣全体としての方針をきめることについて勧告権を持つ、こういう権能を持っておりますので、ただいま先生の考えております点と私どももほんとうに同じ線で考えておるわけでございます。今後とも現在のわれわれの生活の身近な問題についても関心を忘れることなく取り上げてまいりたいと考えております。
  56. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほどは石川委員のほうからそれぞれの事故等の問題を中心に、いろいろなそうした質問があったわけでございますが、私も同じような問題になるわけでございますけれども、安全管理といいましょうか、意欲をもって進めていくと同時に、そういう問題がやはり一番大事じゃないか、このように思いますので、重なるとは思いますが、質問させていただきたいと思います。  まず初めにシートピア計画の模擬実験中の事故があったわけでございますけれども、まずこれの詳細について、末端的なことはけっこうでございますから、要点をひとつ御報告を願いたいと思います。
  57. 石川晃夫

    石川説明員 お答えいたします。  先般行ないました潜水模擬テストでございますが、これは当庁におきまして昭和四十三年以来海中作業技術研究開発のために、社団法人でございます海中開発技術協会に委託して実施してきたわけでございます。  去る五月九日でございますが、海底百メートル相当の潜水模擬実験を行なっております最中に、実験用のガスが不足したということで、急遽減圧を開始したわけでございますが、このときにこのDDCの中に入っておりました被実験者三名のうち二名が不快感を訴えたわけでございます。このために十分圧力調整に時間をかげながら減圧を行なったわけでございまして、五月十二日に減圧を完了したのでございますが、そのうち一名は減圧完了時点におきましても完全には回復していなかったというので、十日間入院治療をいたしまして、それ以後定期的に通院して、現在検査を受けているわけでございますが、いまのところ特段に異常は認められないわけでございます。  これに対しまして当庁といたしましては、この委託先でございます海中開発技術協会に対しまして被実験者に対する万全の治療を指示いたしたわけでございます。同時に、協会の内部におきましても、これに対する調査委員会を発足せしめまして、この原因の究明に当たらしたわけでございます。  この調査委員会報告によりますと、本件の原因は実験実施上の指揮系統が非常に不明確であったということ、それから減圧時における対策が不適であったということの結論が出ております。一方、当庁といたしましても、ことしの四月に設置いたしましたシートピア計画安全性検討会というのがございますが、ここにおきましても本件の原因究明と今後の対策について検討を進めさせているわけでございます。  概略以上でございます。
  58. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま指揮系統がまずかったとか、減圧対策が不手ぎわであったとかいうお話があったわけですが、この新聞の報ずるところによりましても、あまりにも初歩的なミスが多過ぎたのではないか、このように思うわけですが、少なくともいま原因究明ということはなさっておられるわけですけれども、もうすでにわかっておる初歩的なミスというものがあまりにもたくさん出てきているわけです。その点反省を十分されておると思うのですが、もう少し具体的に、こういう点が非常にまずかったという具体的な反省がもっとなければいけないのじゃないかと思うのです。その点どの程度までつかんでいらっしゃるわけでありますか。
  59. 石川晃夫

    石川説明員 ただいま申し上げましたように、この経過は以上のような経過をたどったわけでございますが、先生指摘のようにいろいろな点において実験体制に不備があったわけでございます。これは委員会においても指摘されておりますように、実験体制の不備という中にはいろいろあるわけでございますが、最近のように新しい技術開発におきましては、この体制というものが非常に重要であるということを私たち十分痛感しておりまして、宇宙開発におきますシステムアプローチより以上のシステム的な解析を行ないながら、この体制海洋開発においても行なわなければいけないというふうに感じておるわけでございます。ただ、具体的にどのように行なうかという問題につきましては、今後この実験を進めていく実施要領を作成する際に、先ほど申し上げましたシートピア計画の安全性検討会等におきましても、十分専門家の方に検討していただきまして、その内容を完全に遂行できるように努力したいというふうに考えております。
  60. 近江巳記夫

    ○近江委員 何か抽象的なことではないかと思うのですが、私いまお聞きしておるのは、たとえばヘリウムガスが不足をした、そうしてそのガスが、取りに行こうとすると五百メートル以上離れたところに置いてある。それを運搬する車もないとか、これはミス以前の問題じゃないかと思うのです。そういうようなことがあまりにも多過ぎたのじゃないかということなんです。その点、今後この海洋開発を進めていかれる点においても、あまりにも話にならぬと思うのです。あるいはガスの混合のあれにしましても、おそらくアメリカでいろいろと出たデータのもとでなさったのじゃないかと思うのですが、これなども日本人とアメリカ人と体質的に違うと思いますし、そういうような点において誤りがなかったのかどうかというような問題、こういうほんとうにミス以前の、あまりにも初歩的なことが続いていけば、これはもうほんとうに国民の支持というものが離れていくと思うのです。その点科学技術庁としてはあまりにも恥ずかしいのじゃないかと思います。  その点で私長官にお伺いしたいのですが、今回のこのシートピアの事故等についてどういう反省をなさり、今後どういう決意でいかれるのか。その辺をひとつお伺いしたいと思うのです。
  61. 平泉渉

    平泉国務大臣 近江先生おっしゃるとおりでございます。こういう初歩的なミスというのが実は非常に重大なことでありまして、こういうことはやはり全体として少し問題を甘く見ておるのじゃないか、こう思いますので、抜本的にこういう管理体制というものを強化するという指示をいたすつもりでございます。
  62. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、先ほども問題が出たわけでございますが、例の原研あるいは発電所の問題でございます。いろいろと調査なさっておると思うのですけれども、私も事故があって発表がありまして、すぐに東海村のほうに行きまして、現地を見せていただきました。そういう点いまいろいろと研究中と思いますけれども、大体もうわかっていらっしゃると思うのです。とことんまでの究明はなさっておらないとは思いますけれども、今回の原研のポリ容器が燃えた、その原因についてつかんでいらっしゃるポイント、その辺をひとつ御報告願いたいと思います。
  63. 成田壽治

    成田説明員 原研廃棄物処理場の火事の原因につきましては、事故の収拾後直ちに原因調査委員会原研の内部に置きまして、外部の専門家も入れて原因の究明に鋭意つとめてまいっております。それで、われわれがきのう原研のその結果を聞いたところによりますと、火事の原因は、原研から排出された炭化ウランをケロシンと水とまぜた混合液が一リットル単位のポリエチレンのびんに詰めておりますが、これが全部の中に五個入っておったのですが、その炭化ウランが密閉したままで水とケロシンの混合液で入っておりますので、そのびんの中の圧力が上がって破裂した。それで、その際に何らかの現象として自然発火が起きて、そこで引火して火事になったというのが最も考えられる原因として推定されております。こういう点は、これが原因としますと、ポリエチレンに入れること自体は問題はないのですが、そういう水をまぜた炭化ウランを密封したまま置いたという操作上のミスが火事を起こしたというふうに考えられます。
  64. 近江巳記夫

    ○近江委員 この原研自身が出した廃棄物と放同協が持ち込んだものがまざっておるわけですが、放同協の持ち込んだそういうものが原因であるというような点は浮かんでこないのですか。
  65. 成田壽治

    成田説明員 放同協から持ち込んだものが百六十本のぴんと十本ですか二色ありますが、これはいろいろその後の調査によると、相当前からそこに保存、保管しておったという点から見ましても、またその内容の点から見ましても、火事の原因とは考えがたいということになっております。
  66. 近江巳記夫

    ○近江委員 放同協からそれだけどんどんと廃棄物のそれを原研へ持ち込んでくるわけでありますが、いま放同協から持ち込んだのではないという見解が示されたわけでありますけれども、この前も放同協が海洋投棄をやっているわけです。千六百本から捨てておったわけでありますけれども、そういう千六百本投棄をしたとき、何か科学技術庁がただ立ち会っただけで、そういう内容的なものについてはあまりチェックをしていないという話もあるのですが、その点どうなんですか。
  67. 成田壽治

    成田説明員 放同協が昭和三十年から四十四年まで十数回にわたって廃棄物の海洋投棄を行なっておりますが、これにつきましては科学技術庁の法律による検査官が安全規則上問題ないか十分立ち会ってやっております。  それから投棄自体も法律に基づく安全上万全の措置をとって行なっております。  それから投棄したあとの海洋調査につきましても、気象庁等を中心に毎年放射能調査によるバックグランドの環境調査として調査を行なってまいっております。
  68. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうしますと、今回の火災の原因は原研のポリ容器ということがほぼ明らかになったわけですが、研究の一番のメッカともいうべき原研がそういう幼稚なことをやっておるということについて、いままで何回も事故があって、私たちも安全管理ということは叫んできたわけですよ。それがそういうようなずさんなことが行なわれておる、ずさんな管理がされておるということについては、これはもうけしからぬと思うのですよ。この点についてはどういう反省をなさっておるのですか、局長長官にひとつお伺いしたい。
  69. 成田壽治

    成田説明員 原子力の安全の所管をしておる原研で、こういう安全上の大きな事故を起こしたというのは非常に遺憾なことだと思っております。  それで原因について考えましても、非常に規定がちゃんとできておりますが、そのとおり作業が行なわれない、あるいは行なわせるような安全上の教育体制が十分でない、そういう感じがいたして、保安教育の徹底あるいは管理体制の改善という点を厳重に申し渡して、現在具体的な措置を検討させております。
  70. 平泉渉

    平泉国務大臣 原因の究明、これに全力をあげなくちゃならぬ、こう思っております。その後十分な処置をとっていくつもりでございます。
  71. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから海洋投棄の問題でございますが、放射性の固体廃棄物処理検討会で、低レベルならほってもいい、それは先ほど石川委員からもお話があったわけでありますけれども、要するにそれを受けて、先ほどは原子力委員会も慎重にまだしばらく考えたいというようなお話がございましたが、御承知のように、海洋投棄の問題につきましては米下院におきましても放射性廃棄物、BC兵器、これの海洋投棄は禁止しておりますし、海外基地からの移送も認めぬ、そういうきびしい態度で臨んでいるわけです。あるいは国連作業部会においても、来年の六月をめどに投棄規制条約をつくる、世界の海をよごすなというのが国際世論となってきておるわけであります。そういう点、海の調査も満足に行なっておらない、そういう中にあって、幾らもう廃棄物を置くところがない、国土的にも狭いかもしれませんけれども、あまりにも国民の感情、また世界のそういう趨勢を知らない安易な結論じゃないか、このように私は思うのです。今後その検討されたことをどういうように受けとめていくかということが問題になると思うのですが、この点について長官は安易に、そのように言っておるのだからというようなことで認めていかれるのかどうか、これはもうたいへんな問題だと私は思うのです。その点長官の前に、きょうは環境庁もお見えになっていると思いますので、環境庁の方にお伺いしますけれども、今回のそういう検討されたことについてどう思われますかへそれを安易にそのままそれでいいと思っていらっしゃるのですか、その点まずお聞きしたいと思います。
  72. 河野義男

    ○河野説明員 放射性物質による海洋汚染につきましては、御承知のように、原子力基本法その他の関係法律によって処理されるわけでございます。しかし環境庁といたしましても、放射性物質による海洋汚染を含めまして廃棄物による海洋の汚染につきましては重大な関心を持っておるわけでございますが、全体として海洋汚染防止の実が上がってまいらなければならぬ、かように考えているわけでございます。今後科学技術庁と十分緊密な連絡をとりまして、放射性物質による海洋汚染の防止につきまして努力してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  73. 近江巳記夫

    ○近江委員 では長官の前に、原子力委員会お見えになっておりますので、先ほどもお答えにはなりましたけれども、もう一度お聞きしたいと思うのですが、この報告を受けられておそらく原子力委員会でも真剣に討議されたと思うのですけれども、もう少し突っ込んだ話を聞かせてもらいたいと思います。
  74. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 放射性廃棄物の海洋投棄の問題は、先ほども申し上げましたように、一方では日本としてはなかなかこれの処分がしにくいので、できれば海洋に投棄したいというのが検討会の報告のようでございます。しかし、先ほども申しましたように、海洋に投棄するにつきましては、やはりそれに対応するだけの海洋の調査をしておかなければならない。非常に低レベルな放射性廃棄物ですから、これを深海に投棄しても別に環境の汚染にならないというようなことがはっきりする程度の海洋調査をした上で初めて結論が出せるべきものだと私どもは考えております。それで、なお私ども委員会といたしましても検討しておりますけれども、この委員会のもとに今度新しく長期計画を立てるための部会か設けられました。いまこれがもう発足しておりますが、この部会の中におきましても、放射性廃棄物処理、処分の問題並びに環境汚染の問題、この問題について十分検討してもらうことにいたしております。そういうふうな専門家たちのいろいろな検討を経た上で海洋調査は何といってもしなければなりませんから、海洋調査はもうことしから始めておりますが、来年度、再来年度なお海洋調査を一方では続けるとともに、いま申しましたような専門家の御意見を十分尊重した上で、そしてこの処分の問題について決着をつけたい、こういうふうに考えております。  なお、国際的にもこれらの問題がやはり大きな問題になっておることは、ただいま御指摘のあったとおりでございます。ですから、国際の関係におきましても、この問題を十分、今後さらに一そう検討が進むと思いますが、その国際的な検討の進みぐあいも十分見きわめた上で、いま申し上げましたような処理、処分の決定をいたしたい、こういうふうに考えております。
  75. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、その報告は海洋投棄もかまわないということを受けて、海洋調査をよくやった上でなければというそういう慎重な態度はわかるのですが、あくまでその海洋投棄を進めていくという方向は、私あまり変わらないように思うのです。いろいろと検討なさっているという中には、その他のいろいろな方法をお考えになっているとは思うのですが、ヨーロッパ等でも日本と同じような悩みがあるわけです。ですから、一つ考え方としては、たとえば全然人が住んでおらない、これは一例ですけれども、アイスランドとかそういうようなところですね。それはほんとに例の話ですけれども、そういうところを租借するとか、そういうただ海洋投棄というのはただ単なる一つ考え方である、もっと大きな広範な面で考えていく、こういう立場に立っていらっしゃるのか、ただ報告を受けて海洋調査をやって、それで心配なかったらほうるんだ、そういう考え方なのか、その点はどうなんですか。
  76. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 廃棄物の中には非常にレベルの高い廃棄物もあります。それでまた非常に薄い、ほんとうにローレベルの廃棄物もあります。ですから、この高い廃棄物は永久貯蔵という形にいたしたいと思っております。これをどこへ置くかという問題は、いまのところは国内に一時置くよりしょうがないのですが、さらに国内においてもなかなか置く場所がないというような問題も起こってこないとは限りません。いま御指摘になったように、何といいましょうか、ほかの無人島であるとかそういうふうなものも考えてはおります。が、いずれにしましても、海洋投棄の問題は、これはもう非常に低レベルな、そして非常にマッシブというか、大量の処分という問題になってくると思います。ですから、これは大量の水が蒸発して、それをもっと凝固させて、そして処分するという道も考えられます。いろいろの考え方はむろんあるわけでございまして、海洋投棄もその一つである、こういうふうに考えております。
  77. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで長官にお伺いしたいわけですが、要するに、海というものは御承知のように動いておりますし、あるいは全部各国につながっておるわけです。そういう点において、特に環境の保全ということが世界的に大きな命題になってきておるわけでございますし、少しでも疑いがある間は絶対にこれは日本が先がけてやるべきではない、これはもう当然のことだと私は思うのです。その点、海の調査もやるということをおっしゃっておるわけですが、その不安な要素を残したままで政府としてはそれを許可するというような態度には絶対出てはならぬと私は思うのです。その点、長官の決意をひとつお伺いしたいと思うのです。
  78. 平泉渉

    平泉国務大臣 先生のおっしゃるとおりでございまして、本件につきましては、私は、一つには、地球の環境を汚染してはならぬということが第一原則、第二番目には、この問題は国際的に考えていかなければならぬ、この二点をあくまでも中心に考えてまいりたいと思います。
  79. 近江巳記夫

    ○近江委員 そのお考えのポイントはわかるわけでございますが、要するにだんだんと東海村のあそこもたまってくる。やはり背に腹はかえられぬということで、心配は残るけれどもほうってしまえ、話の途中でそういうことにならざるを得ない状態になることも想定されるわけです。そういう点、あくまでも海の調査にしろ何にしろ絶対に心配はないということが確認できるまでは、絶対に大臣として、それはもうやらせないという決意がおありかどうかということをさらにひとつお聞きしたいと思うのです。
  80. 平泉渉

    平泉国務大臣 環境を汚染しないということでそれを含めておったわけでございますが、いまおっしゃいますように、心配が残るあるいは話の途中、そういうことの絶対ないことをお約束いたします。
  81. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから重複することばっかりでございますけれども、この原電被曝の問題でございますが、御承知のように、原子力発電所がもう日本国じゅう各地に建設が進んでおるわけです。将来は少なくとも電力の半分くらいは原子力発電となろうといわれておるような状態でございますし、今回の報告のしかたにしてもおくれておるというような状態、あるいはその管理の状態等も非常にそういう初歩的なずさんなことをやっておりますし、これは徹底してほんとうに安全管理等をやっていただかないと、国民の不安というものはなかなか解消できません。そういう点において、今回の事故というものは非常に大きな問題であると思います。その点、今後どんどんと増設されていくそういう発電所の現状にかんがみて、いかに今後対処していくか長官にお伺いして、私の質問終わりたいと思うのです。
  82. 平泉渉

    平泉国務大臣 先般アメリカでもケアレスアトムということがいわれて、そういう本もあるようでありますが、まさに原子力の現在の開発時点におきまして、ちょうど妙な谷間になって、だんだんなれてきて少しずさんになる、こういうことがあってはならない、こういうふうに思うわけでございます。ことにわが国におきましては高密度社会でありますから、原子力の毒性という問題について、環境を汚染する、あるいは人々に迷惑をかける、あるいは実際の従業員が被曝する鎮こういうことにつきましては、厳重に総点検を指示いたします。
  83. 近江巳記夫

    ○近江委員 終わります。   〔内海委員長代理退席、石川委員長代理着席
  84. 石川次夫

    石川委員長代理 次は内海清君。
  85. 内海清

    内海(清)委員 原子力安全性の問題につきまして、いままでいろいろ議論されております。私も若干その問題について御質問申し上げるつもりでございましたが、かなり突っ込んだ議論もございましたので、できるだけ簡単にいたしたいと思います。  最初に、私は一つ長官に申し上げておきたいと思いますけれども、委員会の最初にごあいさつを拝聴したわけで、従来の例を見ますると、いままで大体年に一回内閣改造がある。この前は少し長かったように思いますが、そのたびに長官がかわられる。ところが、科学技術庁の性格から考えてみますと、あるいは原子力開発とか宇宙開発とか海洋開発とか、その他いろいろなビッグサイエンスの問題を取り扱うきわめて長期的な計画と実施を必要とする。そういう点から考えまして、特に科学行政というものは非常な長期的な展望をもってこれを地道に実施していかなければならない問題だ、かように私は考えるのであります。ところが、ほとんど一年程度で大臣がかわられる。大体科学技術行政が御理解がいきかけたときにはかわる。これからやろうというときには大臣がかわられる。このことは、私はわが国科学技術振興科学技術行政の推進の上から申しましてたいへん遺憾なことだとかねがね思っておるのであります。しかも、多くの大臣が兼任であって、専任というのは従来から考えましてもきわめて少ない、かように思うのです。ところが、今回は長官は専任でありますし、しかも非常に若くていらっしゃる。ひとつ、これはまあ長官の一存ではいかぬと思いますけれども、国務大臣でありますから、内閣においてそういうふうな慣例が、科学技術行政に対しては特に長官を考えるのだというふうなことが生まれてこなければ相ならぬ、かように思うわけであります。でき得べくんばひとつ腰を据えて、この科学技術行政をじっくり進めていくというふうにお考え願いたい。これは少なくともこういう方面に関心を持つ人、同時に国民の側から見ましてもそういう考え方はきわめて強い、かように考えております。これをひとつ申し上げておきたいと思うのであります。  いままでの質疑者の方からいろんな問題が質問されまして、ことに原子力安全性の問題について議論されました。私もアメリカ原子力委員会アイダホ原子力実験場におきまするこれまでの小型模擬原子炉の装置の実験をいたしました結果、軽水炉の非常用冷却装置、これは重大な欠陥がある。こういうことが発見されて、その系統の全面的な再検討に乗り出した、こういうニュースが流れております。これはけさほど説明もありましたし、いろいろ議論があったけれども、このことはわが国におきまする特に原子力発電その他の原子力関係の地域の住民にはかなりショッキングなニュースであったと思うのであります。したがって、わが国におきましても調査団五人でございますか、これを急遽アメリカに派遣して、そうしてこれを調査された、こういうことであります。少なくとも原子力は、なおわが国では非常な開発の途上にある。したがって、それに関連いたしまする地域の住民は、この安全性につきまして不安を持つということは、今後のわが国原子力開発に非常に大きな影響を持つ、阻害要因になると思うのであります。でありますから、これについてはわが国独自でも十分考えていかなければならぬ問題である。先ほど来の御答弁を聞きますといろいろ考えておられるようでありますけれども、そういう観点からなるべく重複しないようにひとつ御質問申し上げたいと思うのであります。  確かにアメリカのあのニュースが流れました当時非常なショックを受けた。ことに関係地域の住民はそうであったと思うのです。ところが実際行ってみて調査団が帰られての発表からいいますと、いわゆる専門家から見られれば、それほど重大なことでもなかったかもしれません。しかしこのことは一般国民にはわかりません。ところが新聞にああいうふうに出ておりましたので、その点どうだったろうかという国民の疑惑というものは非常に強いのでありますが、実際新聞発表されたのをわれわれ承知しておりますが、最初に新聞発表されたような重大な欠陥があったんだろうか、どうだろうか。この点について、これは忌憚のないところでひとつ明らかにお考えをお聞きいたしたいと思うのであります。これは原子力局長にお聞きしたいと思うのです。
  86. 成田壽治

    成田説明員 アイダホ実験によって、軽水炉の非常用炉心冷却設備の性能の一部に働かないかもしれないという懸念があったということであります。これは非常に小規模なモデル実験でもあるし、そのまま実用炉は、これは一つ系列でやっていますが、実用炉は二つ以上四つのループでやっておりまして、そのまま適用にすべき問題ではないのでありますが、万が一という安全第一の立場からそういう懸念が今後の実験等によって解消されるまでは、そのきびしい条件を用いて安全性審査するということでありまして、実際の実用炉の非常用冷却設備に重大な欠陥が現にあるという意味ではないのであります。
  87. 内海清

    内海(清)委員 そうすると、これは実際は専門家から見ればそうたいしたことはないということだと思うのです、いまの説明からいえば。ところが、そのためにわざわざ日本から調査団を派遣しなければならぬ。このことが、そういう点からいえば一そう国民の不安を大にした。それと型はかなり大きい小さいはございましょうけれども、日本同型のものはあるわけです。だからこの点が、日本の関係でも、科学技術庁のほうでも向こうへ行って調査しなければそのことはその段階ではわからなかったということですか。
  88. 成田壽治

    成田説明員 当初新聞等で報道された段階で一は、六月十九日のアメリカ原子力委員会暫定指針発表になっておらず、データも非常に不明確でありましたので、調査団を出してかえって国民の不安を招くということは——むしろ原子力委員会安全性というのは非常に重大な問題であるから、アメリカのデータが十分まだそろってもおらないので、専門家を現地に出して、そして実態を把握して国民の不安を除くのが先決であるという考え方からとった措置でございます。
  89. 内海清

    内海(清)委員 これは非常にしろうと的な常識的な質問かもしれませんが、わが国におきまする安全性に関しまする研究、これはどのように行なわれておるか。この点はひとつ原子力委員会のほうにお尋ねしたほうがいいかと思いますが、わが国安全性に関する研究実態につきましてひとつ……。
  90. 山田太三郎

    山田説明員 この安全の問題は原子力委員会といたしましては非常に重要視いたしまして、国立研究機関あるいは特殊法人あるいは一般というような形で研究をしてもらっております。いま御指摘軽水炉の件でございますが、これはアメリカでやっております実験一つ前の段階ではなはだ申しわけないのですけれども、ローザ計画というのがございまして、原子炉の主要な配管がこわれた場合にどういうことになるかという研究をいたしております。引き続き早急に、アメリカで問題になりましたような緊急冷却装置の動作というものにつきましても研究できるような計画をしようというふうに考えております。  それからなお安全の問題にはいろいろなものがございまして、原子炉の圧力容器がこわれたというようなことになりますと、非常にたいへんな問題になりますので、それに関連いたします機械的な疲労試験といったようなものも実際の原子炉の適当な、二分の一モデルとかいうようなモデルによりまして研究を行なっております。これはアメリカ軽水炉でございますが、現在日本開発しております新型転換炉あるいは高速増殖炉ということになりますと、これに関する安全の資料をアメリカに求めることはできません。われわれ自身が持たざるを得ないわけでございまして、これにつきましては相当大きな金額をもちまして、アメリカでこの前やりましたような試験の——形は同じでございますが、非常に大きなスケールの、部分的でございますがフルスケールの試験をやっております。これによりまして一次系配管がこわれた場合にどういうことになるか、あるいは新型転換炉におきましては少し構造が違いますので、中のパイプがこわれた場合に一体どうなるか、あるいはパイプが一本こわれると何本も一諸にこわれることはないだろうかというような研究をやっております。それから高速増殖炉もやはり日本開発しておる炉型でございますが、これにつきましてもいろいろな研究をやっております。  それからなお燃料その他が事故時に破損して溶けたり何かするというような問題も非常に重要でございますので、そういう研究をこれからどしどしやっていきたいというふうに思っております。  しかし、この軽水炉の問題は、もとがアメリカなものですから、アメリカあと追いをしたという点が若干なきにしもあらずでございます。特にアメリカロフト計画と申しますのは、本来は実際に運転をした原子炉原子炉の配管を破損させる、こういう試験をやりますものですから、その際にはほんとうにフィッションプロダクトといいますか放射性の核分裂生成物が出てくるわけです。したがいまして、アメリカではアイダホというような砂漠でやっておるわけですが、日本ではこういうことはとうていできません。金の問題だけでございませんで、そういう実験場を選ぶことができないわけでございます。したがいまして、これに対しては彼らが出してくるデータを待っておるわけでございますが、しかしアイダホ実験だけで十分ではございませんので、日本におきましてはいまから数年前に、もしもロフトの試験というものが成功したといいますかデータが出たならば日本にどういうふうに適用したらいいかというような、やや先を見た研究も実際にいまから数年前にやっております。それで、そういう研究の中の一部が、今度のアメリカが新しい基準を出したわけでございますが、その中にこういう式を使わなければいけないというのがあるのですが、それが日本研究がそのまま入っておるという面もございます。  さらにこの安全の問題は、そういう原子炉だけではございませんで、放医研でやっておりますような人体に対する問題というのももちろん大事でございますが、あるいは生物の問題というようなことも大いに研究しております。最近におきましてはできるだけ放射線が人に当たらないようにしなければならない、これはICRPで、ある基準まではいいといっておりますが、しかしそれ以下にできるならばそれ以下のほうがよろしいということになっておりますので、できるだけその放射線に当たる部分を少なくする研究ももちろんやりますけれども、しかし低レベルの放射線で一体人体あるいは生物がどうなるかというような研究につきましても、これはもうややおくればせでございますが、いままでやっておりました研究を総合いたしまして一つの方向づけをやっていきたい、こういうふうに考えております。
  91. 内海清

    内海(清)委員 わが国でもいろいろやっておられるようであります。しかし、いま計画しておられます高速増殖炉だとかあるいは新型の転換炉などにつきましてはわが国独自なものがある、かように承ったわけであります。どうもわれわれがいままで外から見ておりますると、この安全性の問題に対して科学技術庁が十分な指導的な役割りは果たしてないのじゃないか。それはきょうもいろいろ議論がありましたようにいろいろの問題も起きておるのです。もっと科学技術庁が十分タッチして指導性を発揮して、ああいういろいろな事故が起きないようにやられるべきじゃなかろうかと思うのであります。これはまあ本日のいろいろの議論を聞きましてもそういう感じを受けるわけであります。つきましては、これはいまいろいろ研究しておられるということでありますが、研究予算は一体どのくらいあるわけなんですか。
  92. 成田壽治

    成田説明員 安全関係の予算でございますが、今年度、昭和四十六年度の予算について見ますと、原研に四億六千万円、これは原子炉の安全関係の研究予算でございます。それから動力炉・核燃料開発事業団、これは約十五億円くらいで、新型の動力炉の安全の研究開発費でございます。それから人体の影響を担当する放医研、それから材料関係の金材研、それから舶用炉の船舶技術関係の研究所等の国立機関の予算が五億六千万円、それから平和利用委託費という制度がありますが、これによる国の委託、民間のメーカー等に対して国の委託研究費が約一億円、合わせて四十六年度は二十五億円の安全関係の予算になっております。
  93. 内海清

    内海(清)委員 四十六年度が合わせて二十五億円という、これで十分とお考えになっておるのですか。
  94. 成田壽治

    成田説明員 四十六年度二十五億円の予算は決して十分でないと思っておりまして、今後も原子力政策の再重点として原子力委員会安全性の追及というのを取り上げてまいる方針になっておりますので、四十七年度予算等においては安全関係の予算を相当ふやしていきたいと思っております。
  95. 内海清

    内海(清)委員 十分でないと認められておる。安全性の問題についてはきわめて重要だということは先ほど来非常に強調されておるところであります。ところが、とかく開発のほうは予算を一生懸命になるけれども、これは積極的な面ですから、やったことはどんどん見えてくるという。ところが、反面、いわば消極的な面の安全性の問題につきましてはどうも、先ほど来非常に重視しておると言われるけれども、実際の予算面等形の上からはなかなかあらわれてきていないような、ここに私は問題があると思うわけです。ですから、どうしてもわが国は独自の、安全性に対する権威ある見解研究して常に持っておって、そうしてこれを十分科学技術庁が指導性を発揮して、そういう事故の起きないように、地域住民が常にこれを信頼をして、そうして原子力開発の問題、平和利用開発の問題に協力するような体制をつくっていかなければ、今後はエネルギーの問題から考えましても非常に重大な問題だと私は考えるわけです。ことにああいうふうな報道などが行なわれますと、原子力発電所の周辺の住民というのは非常なショックを受けるわけでございまして、これに脅威を与える、そのことは、先ほど申しましたように、今後の原子力発展を阻害するおそれさえ出てくる、こういうふうに思いますので、これは今後予算も、開発に見合った十分な予算をとって、慎重に研究してほしいと思うのであります。このことは、安全性に対する十分なPRをやると同時に、政府が、安全性については日本日本なりの安全性に対する見解を持っておる、このことをひとつ国民に明らかにしてもらいたいと思うのであります。そういう意味で、来年度の安全性研究に対する予算につきましては十分考えてほしいと強く要望しておきたいと思うのであります。それに対しまして、ひとつ大臣の御決意をお伺いしておきたいと思います。
  96. 平泉渉

    平泉国務大臣 先生のお説のとおりでございますが、この安全の問題に関しましては、特に国際的な協調ということが必要ではないか。現在現実にわが国で使われております実用炉アメリカ軽水炉であるという点からも、これはアメリカとの協調を大いにやっていかなければならない。わが国独自でやっていくということも同時に並行いたしますが、当面の問題としてはやはり国際的な協調をやって安全性の問題を高める、これはアメリカの資料をもらうだけというのではなしに、わが国独自の条件というものも十分にそれに対して加えられるということ、安全体制の強化については全くお説のとおりそのつもりでやっていくつもりでございます。   〔石川委員長代理退席、委員長着席〕
  97. 内海清

    内海(清)委員 いま御決意を伺いましたが、ひとつ来年度の予算を十分見守りたいと思います。  次に、原子力開発の長期計画が改定になりました。今度は三回目でございますが、なったはずでございます。それにつきまして原子力委員会にお伺いいたしたいのでありますが、長期計画の改定のために委員会を組織されたと聞いておるわけでございます。これからの原子力開発の重点目標は何に置くか、この重点目標は何かということをひとつまずお伺いいたしたい。
  98. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 今度第三回目になる長期計画を改定しようと思っております。今度の改定におきましては、長期計画においての重点的な課題といたしましては、何と申しましても日本では原子力発電がわれわれの予想していた以上の展開をしておりますので、それに伴っていろいろの問題が出てきております。第一はウラン資源の確保をはからなければならないということ、第二には濃縮ウランの確保をはからなければならないということです。つまり核燃料の確保をどうしてはかるかということ、これは今度の長期計画では大体ことしから二十年くらいの範囲にわたりましての見通し、計画というものでございますから、核燃料問題というものが非常に大きな問題になっていくわけであります。それと同時に、原子力発電がたくさんふえてまいるとなりますれば、当然のこととして放射性廃棄物は大量に出てくるわけでございまして、これの処理、処分という問題がきわめて重要なまた緊急な問題になってくると思っております。そういう問題に対する具体的な方針がこの長期計画の中に取り入れられることになると思います。それから同時に、過密の社会といいましょうか、経済日本において、そういう原子力施設が非常にふえてまいりますので、安全性につきましてはいままで以上にいろいろの観点からの安全性確保しなければならぬと思います。たとえば、その中の一つは、先ほど山田委員が申しましたように、低線量の基準、つまりICRP基準がありますが、基準値以下の低線量でもはたして人類に影響がないかどうか、多少の何らかの影響があるとするならば、その影響を除去するように考えなければなるまいというような問題つまり基準の許容量の以下にあるならば、われわれは安全である、安心しておるというわけのものではない。応それで安全でございますけれども、なお、さらに許容量以下の問題につきましても研究しよう、こういうふうになっております。そのほかむろん山田委員が先ほど申しましたようなわが国自身でつくる原子炉についての安全性、これは物理的、機械的な安全性の問題でございますが、こういう問題も含めまして安全性の問題を十分やりたい、こういうふうに考えております。  大体わが国立場から申しますと、以上のようなことが重点的でございますが、さらに国際協力といいましょうか、だんだん原子力平和利用が国際的に技術の開放ということも行なわれましょうし、お互いの協力関係が一そう進捗してくると思いますので、これは先進国間ばかりではなくて低開発国も含めまして、国際協力、この問題が一つの重要な課題になると思います。大体以上のようなものが中心になります。
  99. 内海清

    内海(清)委員 いまいろいろ重点的な課題としてあげられたわけで、いずれも今後きわめて重要な目標だと思うのであります。特に、このウランの濃縮の問題であるとか、あるいはまた原子炉の多目的な利用の問題、私はこれなども上がってくるのではなかろうかと考えるわけで、こういうふうな問題につきましてはそれぞれ重要課題として今後十分な研究開発が行なわれていくことだと思うのでありますが、さらにまた使用済みの核の問題あるいは燃料の再処理の問題こういうふうないわゆる廃棄物処理の問題でありますが、これが今後かなり重要な問題になってくるだろうと思う。ことに環境汚染の問題としてきわめて重要になってくる。ことに国民の非常な関心を呼ぶ点であると私は考えるのであります。ところがこういうふうな環境汚染の問題になりますと、日本はいろいろむずかしい問題——実は昨年列国議会同盟会議がオランダでありまして、私みんなを代表して行ったわけでありますが、海洋汚染につきまして実はフィリピンから日本はかなり攻撃を受けました。これは会議の性格上議論するのでございませんから言いっぱなしでありますから、日本側も別にこれに対して反論をいたしませんでしたけれどもこれはいろいろな点が言われておりましたが、やはり何と申しましても西太平洋におきましてはどうしても日本がそういうやり玉に上がってくるわけで、これほど科学技術が進み、産業が進んでくれば当然であると思うのであります。  こういうふうな問題を考えますときに、日本のこの地理的な条件というものを十分考慮しながらこれを解決していくということが大事であると思うのであります。特にこれは先ほど来もありましたけれども、いろいろ国際的な問題がある。また海洋につきましても日本は特に漁業権などとの問題もございます。いろいろな問題がございますので、これらは民間では解決できぬ問題、すべて国において十分やっていかなければならない問題だと思うのであります。どうかこういうふうな問題につきましてもひとつ十分お考えいただいて、すべて予算の伴うことでございます。海洋投棄にしても海洋の調査研究をするというお話がございましたが、これもすべてそういう十分な調査研究をするためには十分な予算が必要だということであります。どうも今日までのわが国の、国の予算を見ますると、こういう方面、研究投資という方面は諸外国に比べてもきわめて少ないわけであります。こういう時代になってまいりましたのでそれだけに科学技術庁の任務も重くなるわけでありますけれども、一そうひとつ十分その面でも努力していただいてやっていただきたい。これらの問題も、さっき申しました安全性の問題と同様にひとつ対処していただきたい、こういうふうに思うわけであります。  まあそのほかいろいろ考えておりましたが、時間も相当過ぎましたので大体以上の点で私はきょうの質問を終わりたいと思います。それらの点につきまして最後に長官のお考えを重ねてお伺いして、終わります。
  100. 平泉渉

    平泉国務大臣 先ほど近江委員質問に対しまして有澤委員長代理からも御説明を申し上げたのでございますが、この廃棄物の問題はわが国にとってほんとうに泣きどころでございまして、非常に困難な問題でございます。この際私ども早目にこの問題につきまして、いまから十分な研究を行なう、こういうことで、予算の点につきましても大いに努力をいたしたいと思っております。ありがとうございました。
  101. 渡部一郎

    渡部委員長 次に、山原健二郎君。
  102. 山原健二郎

    ○山原委員 防衛庁のほうお呼びしているのですがまだお見えになっておらないようでありますから、最初に農林省に対しまして、筑波研究機関の移転問題について質問をしておきたいと思います。  この前の当委員会におきまして、研究機関筑波移転問題について私のほうから西田長官に対して質問を行ないまして、研究機関の移転については当然研究者の意見も十分聞いて行なうということになっておったのですが、その後いろいろお聞きしてみますと、なかなかそうもいってないようであります。特に、農林省は農業技術研究所などの研究機関に対しまして、本年の八月十日までに移転についての態度を決定するように指示しておるとお聞きをするわけでありますが、これについて八月十日という期限は農林省関係の研究機関だけなのか、他の省の研究機関はどうなのかということを、第一点伺ってみたいのです。そしてもし農林省だけであるならば、なぜ八月十日という期限を他の省に先がけてきめたのかというこの理由について、簡単に説明を伺いたいのです。と申しますのは、研究施設あるいは生活上の問題などの解決をする見通しがついたために、八月十日というふうな指示をしたのか。これ伺っておきたいのです。
  103. 小山義夫

    ○小山説明員 農林省の試験研究機関を移転をいたしますについては、当然研究施設なりあるいは生活環境の整備等につきまして条件の整備が必要なわけで、そういうことについて従来も関係の機関と相談をしてまいったわけでありますが、最近おおむねその見通しを得ましたので、昭和四十七年度予算に計上をいたしたいということとの関係もあって、関係の機関の了解を得ますために、私どものほうから移転計画の案を各機関にお示しをして、それについての意見を求めておるという段階でございます。ただいまお話しの八月十日といいますのは、やはりこの種の手続を進めてまいる上で、返事をいただく期限をつけることが必要であろうという意味で、一カ月余りの検討期間を置いて、八月十日までに返事をいただきたい、こういうことをただいまやっております。  なお、ほかの各省の研究機関はそういうことをやっておるのかどうかというお尋ねでありますけれども、私ども承知している範囲では、他の省では、すでに移転をすることがきまって工事に着工しているとか、あるいは工事に着工しておりませんけれども移転はもうすでに決定されておるというふうなことで、むしろ農林省の関係の機関のほうがそういう意味では段階がおくれておるというふうに承知をしております。
  104. 山原健二郎

    ○山原委員 いまのような御説明ですが、私のお聞きしましたところでは、たとえば農業技術研究所などの場合には、移転の承認をしたら具体的な設備の内容その他については明らかにするというふうな、本末転倒といいますか、実際には移転の内容を具体的に明らかにした上で、研究者その他が安心して移転できるという、それが本来の姿です。それが逆になってまいりますと、これはまさに不安がつきまとうわけでありますから、その辺は十分に話し合いをして、単に八月十日というふうな期限をきめて、それ以外はもうだめだということではなくして、これはいままでかなり民主的にやられてきたという話も聞いておりますので、この点については十分話し合っていただいて、かつてこの場所で長官が私に対して御答弁くださいましたように、研究者の意見は十分に聞くのだという趣旨に従っていただきたいということを要請しまして、時間がございませんから本日はこれでおきたいと思いますので、よろしくお願いします。一言その点についていかがでしょうか。
  105. 小山義夫

    ○小山説明員 いま研究機関から意見を求めておりますのは、当然私どもが考えております具体的な案をお示しをして、それについてなお御注文があろうから意見を聞いておる、こういう趣旨でございます。なお、それがもし不十分あるいは至らないということがございましたら、十分担当の試験研究の当事者と話をすることがもちろん一番大事なことであります。それだけの手続は十分踏んでいきたいというふうに考えております。
  106. 山原健二郎

    ○山原委員 それでは防衛庁のほうにお伺いをしたいのですが、最近潜水艦に対する訓練が非常に活発になっておるというふうに私は考えておるわけです。たとえば、この前の房総沖のチャーリー区域における米原子力潜水艦を中心とする対潜訓練、これは本委員会でも問題になったところです。さらにこの間は、犬吠岬の沖ですか、対潜航空機が遭難をするという事件なども起こっております。さらにまた、たとえば豊後水道あるいは紀伊水道、そういうところにおける潜水艦に対する訓練というようなものが非常に活発に行なわれておるということをお聞きするわけですが、この対潜訓練の現状につきまして、大体どういうところで行なっているのか、あるいは常時それは行なわれるのか、あるいはまた日時をきめて行なうのか、そういう現状について簡単に説明をしていただきたいのです。  と申しますのは、ここに一枚の写真があるわけですが、これは高知県の高知新聞であります。この写真は非常に不鮮明ですけれども、非常に牧歌的な写真で、実は三頭の鯨が泳いでいるのです。これは高知県足摺沖南約百十キロのところでありますが、そのすぐそばに今度は潜水艦が潜望鏡を出して行動しておるという写真が出ておるわけです。こういう写真が新聞に掲載されまして、新聞の記事にも出ておりますけれども、はたしてこれが海上自衛隊の潜水艦であるかあるいは原子力潜水艦であるかどちらだろうという非常な関心を呼んでおるという記事が出ておるわけであります。  そのことに関連してくるわけですが、最初に、現在どういう訓練の現状であるか伺っておきたいのです。
  107. 福田勝一

    ○福田説明員 お答え申し上げます。  対潜訓練の状況でございますけれども、潜水艦の基地は横須賀と呉にございます。したがいましてそこから一番便利な、しかも潜水艦によるところの対潜訓練をするに最も適しているそういう潮流等を利用いたしましてやるということに相なるわけでございますが、大体、せんだって新聞等にも報道されましたチャーリー海域あるいは相模湾沖あるいは豊後水道沖あるいは土佐湾の沖、そういったところが比較的対潜訓練の訓練場所としては多くなるということでございますが、潜水艦の対潜訓練と申しますのは潜水艦だけでやる訓練ではございませんで、航空機あるいはその他の自衛艦等を用いまして行なわれる対潜訓練でございまして、先ほど申し上げました場所ばかりでなく、日本列島の周辺、領海、それから外海を含めまして、各地方隊等におきましてのこまかい訓練等を入れますれば枚挙にいとまがない、こういう状況でございます。
  108. 山原健二郎

    ○山原委員 自衛隊が対潜訓練を行なう場合に——これは自衛隊に私電話してお聞きしたわけですけれども、当然性能のよい潜水艦を利用したいという気持ちは皆さんが持っておられるということなんです。これは当然のことだと思うのです。性能のよい潜水艦ということになりますと、現在では当然原子力潜水艦が考えられるわけですね。そうすると、原子力潜水艦はわが国はまだ持っておりませんから、そうすると今日の状態では米原子力潜水艦が考えられるわけです。チャーリー区域の場合に、この間の房総沖演習というのはどういう形で行なわれたのか。防衛庁のほうへお聞きしますと、たとえば米海軍に対して原子力潜水艦を追跡をする演習をやらしてもらいたいという要請をした場合にオーケーが向こうから出たときには、対原子力潜水艦を使ったところの演習を行なうのだ、こういう御説明があったのです。この説明が正しいか。そしてチャーリー区域の演習はやはりそういう形で行なわれたのか、その点について伺っておきたい。
  109. 福田勝一

    ○福田説明員 お答え申し上げます。  三月三日チャーリー海域におきまして米潜水艦を目標にいたしまして行なわれました対潜訓練でございますけれども、御承知のように原子力潜水艦の航跡は、これはアメリカといわず原子力潜水艦保有国すべて軍事の最高の機密になっておるということは御承知のとおりでございます。そういうことから、せんだっての訓練におきましても、こちらから申し出ましたことに対しまして、それでは何月何日ここを通ってあげるから、これを標的にする航空機あるいは護衛艦等によるところのソーナー等を用いてこれの発見、追尾の訓練をやってよろしいということで、きわめて短いそういう原潜の航跡を教えていただきまして、そしてそれについてやらしていただいたというのが実情でございます。したがいまして、原潜の標的にいたしますところの対潜訓練と申しますのは、それほど長時間にわたりまして大々的にやれるという訓練でないことは、先ほど申し上げました原潜の航跡が極秘になっておるというような関係上、どうしてもそうならざるを得ないというのが実情であったわけでございます。  なお、今後も原子力潜水艦を目標にいたしまして、海上自衛隊等におきまして対潜訓練等をやるのかどうかという問題なんでございますけれども、これにつきましては、前防衛庁長官のときにも、米側が協力するならばやりたい、こういう御発言があったわけでございます。これはいわば防衛庁、自衛隊としての基本方針なんでございますけれども、私ども事務当局の判断といたしましては、せんだってのような訓練がすぐ報道を通じて一般にわかってしまう、こういうことでは今後アメリカ当局も原潜を標的にするそういった日米の合同対潜訓練というものについてはなかなか協力を渋るのではないか、こういう事務当局としての判断をしておる、こういう状況でございます。
  110. 山原健二郎

    ○山原委員 そうしますと、米原子力潜水艦を追跡する合同演習といいますか、そういうことについては、あらかじめ日時を設定して準備を整えてやるという形態ではなくして、たまたまそこを通る、航行する場合にそれに対して協力要請をして、オーケーが出ればそれをやる、こういう形になるわけですね。そうしますと、単にチャーリー区域だけでなくして、たとえば先ほどお話のありました豊後水道あるいは紀伊水道、土佐沖ですね、防衛庁のほうのお話によりますと、関門または長崎沖というような名前が出ておるわけですが、そういうところにおいては米原子力潜水艦を目標とする演習は絶対にないということは言えないわけですね。いつあるかわからない。しかしそれは最高の機密に属する問題であって、国民その他に発表する問題ではない、こういうふうに理解してよろしいですか。
  111. 福田勝一

    ○福田説明員 当方といたしましては、訓練後においては発表してもよろしいというような意見もないわけではないのでございますけれども、何せ合同訓練と申しますのは相手方がございまして、やはり相手方の立場意見、考えというものをどうしても尊重しなければならない、こういう面がございまして、そういうことからやはりどうしても原潜の航跡を極秘にしたいという相手側の意見を尊重するならば、発表等についてはなかなかデリケートなものがあるのではないか、かように私どもとしては判断せざるを得ないわけでございます。
  112. 山原健二郎

    ○山原委員 非常にその意味はわかるのですけれども、いまも各委員の皆さんが国内における原子力発電所その他の安全性の問題について非常に慎重な論議をしておるそのさなかに、一方では米原子力潜水艦に関しては日米合同演習を行なう場合でもこれが秘密にされるということになってまいりますと、もしかりに米原子力潜水艦との間に接触事故とか、あるいは特に土佐沖の場合などはいまたいへんな状態になっているわけでありますけれども、その際に、もし事故が起こった場合、これは海上自衛隊が起こした事故あるいは漁民に対する損害という場合には、これは問題は明らかですけれども、もし米原子力潜水艦が事故を起こした場合に、これに対しては、少なくとも自衛隊側から、わが国のほうから協力を要請しておるという段階でこれはどちらが、補償するのか、その事故あるいは損害を起こした場合の日本国民に対する損害の場合、この責任というのはどちら側が持つのですか、日本の防衛庁が持つのですか、それとも米側が持つのですか。
  113. 後藤真平

    ○後藤説明員 日米合同訓練において事故があった場合の賠償につきまして申し上げます。  事故の発生につきまして、まず過失の有無を検討しまして、過失のあったものが賠償の責任を負うということになるわけでございます。したがって、実態によりまして、それぞれ各別に責任を負う場合もございますし、または共同で責任を負う場合もある、こういうことになろうかと思います。
  114. 山原健二郎

    ○山原委員 それで私は非常に心配をするわけですけれども、特に紀伊水道にしましても、豊後水道にしましても、関門にしましても、単に漁船、漁業の問題だけでなくして、船の航行の非常に多いところですね。たとえば最近ではタンカーなどもしょっちゅう出入りをしておるという状態の中で、こういう訓練が行なわれるということになりますと、当然国家としてこれに対する対策というものを立てておかなければ、このままではこれはどうにもならない。かりにその事故が小さい場合には、ともかく解決がたやすい場合があるかもしれませんけれども、事は原子力潜水艦ということになってまいりますと、事故の被害というものはちょっと想像ができない場合もあるわけですから、そういうものに対して何らかの対策を立てなければならない段階を迎えているんじゃないか。私はもちろんそういう演習をやってもらいたくないという気持ちがありますけれども、先ほどのように防衛庁長官が向こうが応ずれば演習をやるんだという態度をとっておる限り、それに関連をして国民の安全あるいは漁業権の保全ということについて考えておく必要があると思うのですけれども、この点について、これは科学技術庁長官にお伺いをしましても、所管とは違うかもしれませんが これは国の問題としてきわめて重大な問題でありますから、当然検討する必要があると思うのですが、この点について初めて長官質問をするわけですけれども、長官見解を伺っておきたいのであります。
  115. 平泉渉

    平泉国務大臣 私、所管外のことでありまして、内閣は連帯をしてやる、こういうことでありますが、相談なしに私が所管外のことについて公の席で発言することはいかがかと思うのであります。
  116. 山原健二郎

    ○山原委員 もちろん所管外ではありますけれども、いまお聞きいただいたように、重要な問題として当然これは検討していただく材料を提供したわけですから、御相談をいただきたいと私は思っているんです。  なぜこういうことを言うかと申しますと、最近、たとえば足摺沖の対潜訓練の実態でありますが、ことしの二月から七月にかけまして、漁船七十隻がすでに潜水艦により漁網を破られておるその数は五百五十鉢です。一鉢というのは二百メートルの長さのはえなわでありますけれども、これが破られておる。そしてこのなわそのものは二百メートルの長さが四千円の価格であります。しかしそのなわの両端にはラジオブイがつけられておりまして、このラジオブイは一個が十二万円するんです。そういうものが破られておる。しかもそれを破られただけではなくして、それによって生ずるところの被害というものは相当なものなんです。この数カ月の間に五千万円、昨年度に比べまして対潜訓練が激化した中で、水揚げがこの期間において二億円の減少を生じておるという問題が起こっているわけです。  そこで、では海上自衛隊が対潜訓練を行なう場合に通知がないのかといいますと、公報で通知をしているのですね。ところが、公報が漁民の手に届くのは、一日、二日おくれるわけです。ところが海上保安庁のほう、水産庁のほうから無線で放送がされるわけですが、無線で放送されましても、網を整えて出漁する場合には約一週間前から準備をして、出漁場所を決定していくわけですから、場所を変更しなければならぬというような問題が起こる。しかも小さい船には無線機をつけておりませんから、結局やみくもに走って潜水艦に遭遇するというような事態が起こりまして、現在これは県をあげて大問題になっているわけですね。これは単に高知県という県だけではなくして、この海域にはカツオ・マグロ漁船船団が常時七十隻、九州、四国各県から出漁しておる。そのどまん中、しかも地形的に見ますと、これはこの前問題になりましたところの土佐湾ではないのです。アメリカの潜水艦の行動区域ではないところ、しかも常時危険区域として指定されております第七艦隊の実弾射撃場であるリマ海域でないところ、いわゆる足摺岬というあの景勝地のすぐ目の前、ここが一番魚の宝庫でありますけれども、そこに出漁する漁民がもう常に潜水艦に遭遇をして漁網を破られる。全部泣き寝入りなのです、五年前から。なぜかというと、自衛隊の補償体制というのは実害ですから、自衛官の行動する時間と場所、それと漁網が破られた時間と場所が一致しない限り補償しないという体制をとっているわけですね。だから、そんなことを漁民が一々立証するわけにいかぬわけです。結局もう全部泣き寝入りです。そういう状態に五年来置かれておるわけですよ。それが特に最近ひどくなってまいりましたので、各県の漁業協同組合がこれではどうにもならないということで国に対して措置の要求をしておるのが今日の状態であります。  そこで私はお伺いしたいのですが、そういう原子力潜水艦でなくとも、一般の潜水艦でもそういう事故が起こっておる、被害が起こっておる。もしこれが原子力潜水艦だったら一体どういうことになるのかという、そういう心配をしながら操業しておるという状態です。しかも一番対潜訓練にいいのは潮目といいまして、黒潮の起点のところ、潮の交流のあるところが潜水艦が潜航しました場合に一番航跡をくらましやすいのですね。だからそこを自衛隊としては一番選びたい。これは気持ちはわかります。ところがまたそこが一番魚の密集するところだという二つの異質のものが競合する場所になっているわけですね。そうなってまいりますと、これに対して当然これらの漁民に対する損害補償、国のやる行動によって漁民が被害を受けるのに知らないと言うことはできないわけですから、それに対して当然正当な補償をする体制というものをつくらなければならぬと私は思うのでありますが、現在の自衛隊の損害補償規程というものがどういうふうになっているか、私は十分わかりません。実施規則だけいただきましたけれども、これではとてもわからないわけですが、防衛庁のほうにおきましてこういうことに対してどういうふうに対処するか、お考えを持っておればここで出していただきたいのです。
  117. 後藤真平

    ○後藤説明員 お答え申し上げます。  漁網損傷等の事故があった場合の賠償のしかたについての質問でございますが、こういうケースの場合は被害の実態をよく調査いたしまして、漁網が流されあるいは損傷した、そのことによって得べかりし魚がとれなかった、こういうことが証明されれば、その漁獲減についても賠償することになっておるわけでございます。基本として不法行為の賠償という考え方に立っておりますので、どうしてもこういうことになると思います。
  118. 山原健二郎

    ○山原委員 その考え方は、それを変えなければならぬ段階に来ておると私は思うのですよ。といいますのは、日本海側でも、おそらく農林水産委員会で問題になっておると思うのです。それから宮崎県におきましてもその問題がありましたが、実害ということになりますと、網を破られた、一つが四千円する網を補償されたところで、漁民が失った漁獲というものはこれは返ってこないわけですね。その漁獲をどのように判断するかはこれは問題は別でありますけれども、しかし少なくともその補償がなければ、これは国家がやる行動の中で、国民に対して与えた損害の補償には私はならないと思うのです。だからそういうことではなくして、たとえば漁業協同組合を窓口にするとかいう形で、実損がどれだけあるかということを調査して、それに対する損害を補償をするというのが国の態度としては適切な態度だと思うのです。しかも一方では、皆さんがいま言われましたように、たとえば自衛艦の場合は行動区域、日時、場所はわかっておると思うのです。漁民はわからないのですよ。わからないままで、これは公平な立場で補償交渉はできないということもあるわけです。漁民は一切わからぬで走っているわけですからね。自衛隊の船はわかっている。しかし、それは見せられないものですから、結局どこで事故が起こっても泣き寝入りせざるを得ない。しかも、忙しい漁業のまつ最中に一々何時何分の東経何度でというようなことは、これは一般の漁民ができないことはおわかりだと思うのです。そういう弱い者をいじめるという体制が、はたして国の機関として正しいかという問題ですね。これは水産庁のほう、お見えになっておられると思いますのでお聞きしたいのですが、この実際に起こっておる問題については御調査をされておると思いますけれども、こういう事態に対して水産庁として漁民を守る立場からどういうふうにお考えになるか。即答ができなければ、防衛庁の方とも話し合いをしていただきたいのですが、少なくともこういうことに対する損害補償基準といいますか規程といいますか、そういうものは整理する必要が今日あると思うのですが、この点について伺っておきたい。
  119. 前田優

    ○前田説明員 お答えいたします。  ことしの四月から足摺岬の南方で、先生がおっしゃいましたように海上自衛隊の演習がございました。ちょうどそれと軌を一にいたしましてマグロのはえなわが切断された事故が発生したわけでございます。また、その切断されただけではございませんで、いわゆる艦艇の行動を避ける意味で仕事を休んだりまたは漁場を転換したというようなものが、大体七十隻ほどあるやに私ども聞いているわけでございます。そこで、現在、自衛艦の行動とマグロのはえなわとの因果関係の問題につきまして、関係者の間でいろいろ調査をいたしております段階でございまして、この関係が明確になりますれば当然補償の問題に相なると思うわけでございます。  水産庁といたしましても、自衛隊の訓練の問題は事前に計画がある程度わかるわけでございますので、この漁業者に対しまして訓練の通報とかまた被害の防止措置など、防衛庁と十分協議をいたしまして、事前に、事故ができるだけ起きないように十分なる指導をしてまいりたい、そのように考えておるわけでございます。
  120. 山原健二郎

    ○山原委員 これは早急に話し合いをしていただきまして、これに対する対策を打ち出していただきたいと思います。本日これ以上質問をしましても前進をしないと思いますが、非常に漁民としては関心を持っているわけですね。これは普通の漁船が密漁したりする場合には、侵入したりする場合には焼き打ち事件まで起こる。まさに血の雨が降るというふうな状態の中でありますけれども、相手が何しろ海の底を走っておるところの潜水艦でありますからどうにもならない、お国の力には勝てないという状態に漁民が置かれているということは、これは正常な形ではないわけでありますから、防衛庁におかれましても水産庁のほうと十分話し合いをしていただきまして、対策を立てていただきたいと思うのです。  最後に、現在土佐湾の場合にはほとんど使用していないと防衛庁の方も言われるのです。特にアメリカの潜水艦の行動区域ではありますけれども、アメリカも使用していない、こういう状態です。またリマ海域の場合も米軍の使用はほとんどなくなっております。現在はほとんど海上自衛隊によるところの演習になっておるわけでありますが、米軍が使っていないとするならば、何もいつまでも、戦後二十六年を経過した今日でも指定区域などという名前をつけられる必要はないわけでございまして、これについては当然指定解除を要求すべきだと私は思うのです。そのことについてはこれは外務省の仕事になるかもしれません、在日米軍の地位協定の問題がありますから。しかしそれはあるけれども、戦後二十六年という長い経過から見ました場合に当然要求すべきだと思うのでありますが、防衛庁、この点について何らかの対策を立てたことがあるか、あるいはこれを指定解除するためにはどういう行動をしたらいいか教えていただきたい。これは県知事を先頭にして何べんも何べんも要請してもちっともらちがあかない、どうすればいいのかということが問題になっておるわけでございますが、これについて防衛庁の見解を伺っておきたいのです。
  121. 福田勝一

    ○福田説明員 ただいまお話の点につきましては、防衛施設庁が所管になってございます。ただいまお話がありました点につきまして、施設庁のほうへ十分伝えたい、かように思います。
  122. 山原健二郎

    ○山原委員 終わります。      ————◇—————
  123. 渡部一郎

    渡部委員長 次に、閉会中審査の申し出に関する件についておはかりいたします。  本委員会は閉会中もなお科学技術振興対策に関する件について調査を行なうため、議長に閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 渡部一郎

    渡部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次に、閉会中審査のため、委員会において参考人より意見を聴取する必要が生じましたときは、人選その他所要の手続等につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 渡部一郎

    渡部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次に、委員派遣承認申請に関する件についておはかりいたします。  閉会中審査案件が付託になり、実地調査の必要がある場合に委員派遣を行なうこととし、派遣委員の選定、派遣地及び期間並びに議長に対する承認申請の手続等につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 渡部一郎

    渡部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  127. 渡部一郎

    渡部委員長 念のため申し添えます。  本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付してあります原子力発電所安全確保に関する陳情書一件でございます。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時四分散会