○有澤
説明員 濃縮ウランの
技術、ウラン濃縮の
技術でございますが、この
技術は御
承知のようにいまガス拡散法と遠心分離法と二つがございまして、ほかに南ア連邦では第三の方法を
開発しているという話でございますが、これはまだわれわれはかいもく情報は得ておりません。それで前の拡散と遠心分離、この二つの方法につきましては、
日本においても目下
研究を始めております。しかし二つの方法につきまして両方なかなかむずかしい問題があることは確かでございます。そこで外国からそういう
技術をひとつ入れたらどうか、こういう
意見もあります。しかし私は
アメリカの拡散
技術にいたしましても、おそらくヨーロッパ三国のやっておる遠心分離の方法にいたしましても、その
技術を入れるということにつきましては、
一つは相手のあることですから、相手のほうの
考え方がどうあるかということがはっきりまだわかっておりません。
第二は、もしこの
技術の導入につきまして国家機密を守るという条件がつくようでありましたならば、われわれはこれを導入することはできないと思います。そういう点から申しまして、この
技術は
日本においてひとつ独自に
開発しよう、またしなければならぬ、こういうふうに考えてその
研究開発の計画を進めておるわけであります。ただ、最近になりまして
技術を
日本に導入するという問題とは別に、マルチナショナルなジョイントベンチャーといいましょうか、マルチナショナルな形の濃縮工場をつくろうでないか、こういうような話があちこちから出ておることは御
承知のとおりであります。またそれにつきましてもむろん条件がどうであるとかいうようなことは
一つもわかっておりませんけれども、漸次そういう話が具体化の方向に向かって進みつつあるということは確かであります。私どもも来年とか再来年にかけましては、そういうマルチナショナルなジョイントベンチャーに
日本が参加するかしないか、こういう問題につきまして決断をしなければならない時期が来ようかと考えております。しかしまだその時期は来年か再来年のことでありますから、それまでにはいろいろな
プロジェクトについてマルチナショナルなジョイントベンチャーに関するいろいろな
プロジェクトにつきまして、十分私どもは情報を集め、そして
日本の
立場に立ってナショナルインタレストにとりまして最もいい方法かありますならば、そういうジョイントベンチャーに参加したらどうか、こういうふうに考えておりますが、何と申しましてもまだ情報がきわめて抽象的で、具体的なものは
一つもありませんから、もっともっと情報を集めた上でそういう決断をいたしたい、こういうふうに考えております。
それで、ソ連のほうの
技術につきましては、私はドイツがそういう
技術をソ連から入れたというようなお話をいま承ったのでありますけれども、これは私は初耳でございます。ただ濃縮ウランをソ連から輸入する。これはフランスは先般これを行なっております。しかしそれはむろんスポット買いと申しましょうか、一時的な購入契約でございます。
日本の場合もそういう一時的な購入契約をするということはできないことはないと思っております。しかしそれに対しましてはそういうふうに一時的な購入をするということになりましては、これは電力会社が必要や濃縮ウランを、いまは
アメリカと
日本との間の
協力協定に基づいて、
日本の電力会社はこの七三年建設着工の分につきまして十分手当てを受けておるのでありますから、もしそういう場合が起こるとするならば、それ以降の建設着工の
発電所について必要な濃縮ウランであろうと思います。ただ、電力会社の
立場から申しますと、
一つの
原子力発電所を建設した場合にその
発電所の所要の濃縮ウランをどういうふうに
確保できるか、その
確保につきまして非常に安全である、つまり炉の寿命のある間、長期に供給を受けられるというふうな成約、保証というものが得られるかどうかということが、きわめて発電会社にとっては重要なことになるだろうと思います。そういうふうな契約がソ連との間にできるかどうか、そういう点ももっと確かめなければならないかとこういうふうに考えております。
いずれにしましても、私どもの計算によりますと、一九八〇年ごろになりますと世界的に濃縮ウランの供給能力が需要に対して不足をする、それはもう確実であるように思われます。何も
日本のわれわれが推測しておるばかりではありません。先般参りましたオーストラリアの大臣も、またフランスの
専門家もそういうふうな推測をしておるのでありますから。したがって、八〇年ごろの、世界的に言って濃縮ウランの供給をどうするかということは、
日本がむろん問題でありますが、何も
日本ばかりではなく、ヨーロッパの諸国もまた同様に問題であろうと思います。したがって、先ほど申しましたように、マルチナショナルなパイロット、マルチナショナルな濃縮工場をつくろう、こういうふうな機運が世界的に起こってきているということも言えるかと思います。いずれにしましても、この問題は今度は、先ほどの
廃棄物処理の問題とは違った、燃料の
確保、
原子炉発電の燃料の
確保という点できわめて
日本にとって重要な問題であろうと思います。したがってこれにつきましてももっともっと情報を集めまして、時期を失しないときにわれわれはその方法、その方針を
決定いたしたい、こういうふうに考えております。