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1971-07-23 第66回国会 衆議院 運輸委員会日本国有鉄道に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和四十六年七月十五日(木曜日)委 員会において、設置することに決した。 七月十六日  本小委員委員長指名で、次の通り選任され  た。       宇田 國榮君    加藤 六月君       關谷 勝利君    徳安 實藏君       古屋  亨君    箕輪  登君       久保 三郎君    内藤 良平君       松本 忠助君    河村  勝君 七月十六日  徳安實藏君が委員長指名で、小委員長に選任  された。 ————————————————————— 昭和四十六年七月二十三日(金曜日)     午後三時十一分開議  出席小委員    小委員長 徳安 實藏君       關谷 勝利君    古屋  亨君       箕輪  登君    久保 三郎君       内藤 良平君    松本 忠助君       和田 春生君  小委員外出席者         運輸省鉄道監督         局長      山口 真弘君         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     小林 正知君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 七月二十三日  小委員河村勝君同日小委員辞任につき、その補  欠として和田春生君が委員長指名で小委員に  選任された。 同日  小委員和田春生君同日小委員辞任につき、その  補欠として河村勝君が委員長指名で小委員に  選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本国有鉄道に関する件      ————◇—————
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより運輸委員会日本国有鉄道に関する小委員会を開会いたします。  日本国有鉄道に関する件について調査を進めます。  この際、山口鉄道監督局長から資料について説明を求めます。山口鉄道監督局長
  3. 山口真弘

    山口説明員 前回要求のございました資料を、お手元に差し上げてございます。  第一表は貨物年度別実績でございまして、ごらんになりましておわかりになりますように、貨物トン数といたしましては総体的には横ばいでございます。トンキロで若干伸びておるという程度でございます。  それから第二表でございますが、第二表は主要貨物車扱いと、コンテナ小口扱い年度別実績でございます。車扱い総数といたしましては横ばいでございます。トン数のところをごらんになっていただきますと横ばいでございます。鉱工業につきましては、品目によりまして相当ふえているものとふえてないものとございます。石油につきましては、ごらんのようにかなりふえておりまして、また鉄鋼等もふえております。それから四番目に自動車というのがございますが、これは完成車としての自動車輸送でございますが、最近非常にふえております。その他肥料、飼料は大体横ばい飼料はちょっとふえております。それから、セメントもやや増加しており、化学薬品もふえております。それから食料工業品、紙やパルプが若干ふえております。その他米、鮮冷凍魚、木材、石灰石等が大体横ばいでございますが、石灰石はややふえております。それから、問題は石炭でございまして、石炭が非常に減少をしておる。ごく大ざっぱにいいますと、原材料的な性格のものが減少をし、それから製品的性格のものが若干ふえておるということがいえるかと思います。それから、小口の中でコンテナのところをごらんになっていただきますと、コンテナが非常にふえておるということがこの中で見られます。  それから第三表でございますが、鉄道の手、小荷物年度別実績でございまして、これは全体として横ばいということでございます。個数のところでごらんになっていただきましても、手、小荷物はかなり減っておりますが、全体としては横ばいということでございます。  それから、専用線貨物発着トン数年度別実績でございます。これも専用線数、それから専用線発着にかかる貨物量、大体において横ばいということでございます。  それから第四表でございますが、幹線系線区地方交通線別年度別推移でございまして、これをごらんになっていただきますように、トンキロにおきまして、幹線系におきましては若干ふえておるが、地方交通線においては若干減っておるということでございます。  それから第五表でございますが、これは鉄道客貨別経営成績でございまして、後ほど国鉄のほうからこの表につきましては詳しく申し上げたいと思います。  それから、実はもう一点御要求がございましたのは、フレートライナーとか物資別専用貨車だとか、一般集結列車等輸送方式別原価が何とかわからないかというようなお話でございます。これにつきましては、いま国鉄としてそういう形での原価計算はまだやっておりませんものですから、正確なことは申し上げる段階ではないのでございますが、ただ国鉄におきましては、学識経験者を含みます研究会を設けまして、これを研究をいたしております。したがいまして、そういう研究会検討の結果を待ってこの点ははっきりさせるようにしたい、こういうように考えております。  ただ、フレートライナーにつきましては、ごく大ざっぱに考えてみますと、貨物原価の構成というものを考えてみますと、発着経費中継経費とそれから輸送経費があるわけでございまして、その中で発着経費につきましては、フレートライナー発着駅は大拠点駅でございますから、中小の駅に対しまして非常に発着生産性が高いということが言えるわけでございます。それから中継経費につきましても、フレートライナー拠点間の直行の輸送でございますから、したがって、中継費用が不要になるということでございまして、一般貨物では平均いたしまして一車当たり二・五回くらいヤード中継いたしております。そういうような中継が要らなくなるということがございます。それから、さらにフレートライナー高速輸送でございまして、乗務員生産性なり貨物運用効率というものは非常に高いというようなことが概括的に考えられるわけでございまして、ごく大ざっぱに考えてみますと、大体一般輸送の五〇%ないし六〇%くらいな原価だというふうに一応私ども考えております。ただしこれにつきましては、先ほど申し上げましたような、学識経験者を含みます研究会をいまやっておりますものですから、その検討結果を待ってさらに詳細なものをつくっていきたい、こういうように考えております。  第五表につきまして、国鉄からちょっと御説明申し上げます。
  4. 小林正知

    小林説明員 前回御質問のございました鉄道客貨別経営成績についてということでございますが、内容はお手元に五という資料で差し上げてございますので、これに基づきまして概要を御説明さしていただきます。  ただ、ただいま鉄道監督局長から御説明申し上げましたように、原価計算は普通の財務決算と違いまして、いわゆる二次決算的な性格を、申し上げるまでもなく持っております。財務決算でできました国鉄一本といたしましての収支決算を、線別あるいはこれを客貨別分析をいたしまして、それぞれの経営成績を明らかにする、かような性格を持っておるということは申し上げるまでもないわけでございますが、それをいままで国鉄といたしましても、一本の勘定でなしにこれをできるだけ、内部的な管理体制管理対策という意味から申しましても、それぞれの線あるいは客貨の実態を明らかにするという方向で鋭意その精密度正確性を増すように努力してまいりましたが、ただいま申し上げましたような経緯で、この数年来いろいろの学者先生中心にいたしまして、いかにしてこの個別的な原価というものを把握するか、またそれに対して適切な対策をとるかということの努力を続けているわけでございます。そういった意味で、ただいまお手元に差し上げてございます五番目の経営成績資料は、最近におきますところのそういった経過を織り込んではございますけれども、まだ中途のものでございまして、このままの額でぴたり客貨別の確定したもの、非常に精度の高いものであるということはできませんので、この辺の事情を踏まえまして客貨別の問題、特に問題といたしましては、鉄道施設の大部分客貨共用している部分が非常に多うございます、申し上げるまでもないことでございますが。こういった共用部分から発生いたします要素を客貨にどういうふうに振り向けるか、どういうふうに充当していくかということが非常に重要なポイントになってまいります。方向といたしましてはできるだけ個別化方向に、個別として把握できるものは共用分析をいたしまして、もとの原資的に発生いたします決算伝票段階から客貨別に把握できるような体制をとりつつ、さらに最終的には、そこに使われております固定施設そのものについても客貨区分をいたすというような、いわゆる個々の財産についての客貨別区分経理をやるというようなことを行なうことによりましてその正確度が期せられる、かような次第でございますので、目下中途数字ということで御了解を賜わりたいと思います。そういった意味で、三十五年から四十四年まで最近十カ年という仰せでございますので、これにつきまして資料説明をさせていただきます。  一番左に年度がございます。四十四年度までございます。一番左側の欄が新幹線でございます。これは世銀借款等関係等もございまして、別にはっきり経営収支がわかるように経理をしろということ等の要請もございました結果、この部分は、ただいま線路も別になっておりますし、独立部門ということで、個別的に把握されるものが大部分でございますので、比較的この損益収支は明確化されております。ごらんいただくとおり、三十九年の十一月に開業いたしまして、当初二年度は七十七、百二十八という赤字になっておりますが、三年目から黒字に転じまして、四十四年度で七百八十八億という黒字でございます。営業係数は五二ということでございます。  次に在来線でございますが、これを客貨に分けて考えますと、国鉄全体は黒字でございました。また高度成長関係で、鉄道客貨輸送量の非常に伸びておりました三十八年度までの時点におきましては、客貨ともにそれぞれごらんのような数字になっております。三十九年からその辺が構造的に変わってまいります。三十九年では一番右の合計の欄で、これは鉄道だけでございますので、全体の財務決算数字と合いませんが、二百十四億の赤字になっております。その場合に旅客では二百六十八億の黒、貨物で四百五億円の赤というようなかっこうで推移をいたしております。そういう結果になっております。それからずっとまいりまして、四十一年度客貨合わせまして平均二五%という運賃改定があったわけでございますが、その場合にも旅客は六十七億、ほぼとんとんになっておりますが、貨物のほうは五百三十五億円の赤ということでございます。その後旅客は、損益欄で縦にごらんをいただきますと、四十二年三百六十七、四十三年には五百三十、四十四年度原価計算では四百五億円という赤字でありますが、これに対しまして貨物は、四十二年が七百四十三億、四十四年が約千五百億程度という赤字を記録いたしております。四十四年は、御承知のとおり貨物については運賃改定はいたしておりません。  大体、経過は以上でございます。
  5. 徳安實藏

    徳安委員長 質疑がありますればどうぞ御発言願います。久保君。
  6. 久保三郎

    久保委員 この前要求したのに対して、鉄監局長あともうちょっと資料を出してもらわなければいかぬが、それはいまから出してくれますか。これは出にくいですか。私が要求したのは、たしか、もしできれば専用線なら専用線コンテナならコンテナフレートライナーというか、そういうものの収支がわかればという要求をしたのだが、それはもしわかれば、あとからでいいですから出していただきたい。
  7. 山口真弘

    山口説明員 これは先ほどちょっと申し上げましたけれども物資別専用列車だとか一般貨物集結輸送列車だとか、それらと一緒専用線等につきましても、それの輸送方式別原価というものを現在研究中でございますので、それらと一緒にその検討結果を待つということにしたいと思っております。
  8. 久保三郎

    久保委員 それでは、収支原価計算というか、そういうものがもしできないなら、どの程度数量でどの程度収入があがっているか、それはおわかりだろうと思うので、そういうものでいいですから出してください。一応これには出ているが、自動車輸送といっても、包括契約集結列車でやっているものもあるだろうし、そうでないものもあるのじゃないですか。セメントにしても、列車契約しているものもあるし、車扱い一軍ごと契約でやっているものもあるだろうと思うので、私が言うのは、新しい方式による列車包括契約というのですか、そういう物資別適合というか、そういうものを合わせた契約によるものは数量はどのくらい、収入はどのくらいあがっているか、そういうのが知りたいのです。できますれば、その運賃一般運賃はどういう程度か、しろうとにわかるようなごくわかりやすいものでけっこうです。私どもは、一銭一厘分析してというようなことは考えておりませんので、高いのか安いのか、割引はどの程度しているのか。早く言うなら、いまの御説明のように、どうも貨物計算にはいろいろございますから、これが正確でないという前提でお出しになったといたしますれば、それにしても、やはり定説どおり日本国有鉄道貨物が従来どおりどうも収支の状況では赤字だ。そのカバーをいままでは旅客でしてきたが、旅客のほうも最近では赤字が出たということですが、ウエートとしては、勘で見ても大体貨物のほうが損しているなということでしょうね。それだから、損しているものはどうして損しているのか、これをやはり考えなければいかぬし、損しているものをどうしたら得がとれるのか、得をとれるのかとれないのかというのがきめ手だろうと思うのです。  大体いままでの国鉄の姿勢というのは、貨物に対しては、とにかくトラックにとられないようにという、消極的な戦法というか考え方が支配的であったのだろうと思うのです。これは無理からぬところもあるのでありますが、そういうものではもはや救いがたいと私は思います。もちろん、もうからぬものはやらなくていいということではないのでありまして、鉄道でなくちゃならないものがこの中にもたくさんあると思うのです。また、そういうものを生かしていくことについてくふうをすることだと思うのです。単にトラックや航空機あるいは海運と対抗することだけに専念するというと間違ってくるのじゃないか。だから、その結果とは言いにくいけれども、大体その結果がこういう計数ではなかろうかという感じが私はしているのです。私は貨物はあまり経験がないのでありますが、そういう見方を私はいましている。  だから、いま言ったようにフレートライナー、あるいは物資別適合輸送、あるいは専用線貨物、こういうものがはたしてペイしているのかどうかというと、たいへん疑問があると思います。その他、何かいままでのわれわれの聞き方が悪いのかもしれませんが、全体としてやはり貨物の集約ということになると、いわゆる在来貨物小口、こういうものはもうからぬし手数がかかるしほかの関係もあるからやめていこう、合理化していこうというように聞いているわけです。これも多少の理由はございますが、それによって経営を改善するというには絶対量が少ない。運賃の上がり方ももちろんそうですが、数量が少ないのを合理化してみたところで、全体としての貨物営業成績を上げるわけにはいかない、こういうふうにそういう面からは考えられる。私どもはそういうふうな感じでいるので、いま申し上げたような資料をぜひわれわれにわかりやすく出してもらいたい。私のねらいと言ってはおかしいが、考えているのは、もうからないことをやっているなということです。その証拠というか、証明がつけばいいのです。しかし逆に、もうかっているということが説明ができればなおけっこうです。もうかっているというとおかしいが、ペイしているということですね、そういうことをひとつ頭に置いて資料を作成していただきたい。この際は、私らもどうしたらいいか、これはみんな考えていることですから、洗いざらい、いいものはいい、悪いものは悪いということで出し切らないと、ほんとうのものは出ないと思っている。  關谷さんが、ずっと前にこの小委員会で発言したことも、資料としては多少出ているようでありますが、体系立ったものの考え方として、あのとき総裁から答弁がちょっとあっただけで、私らは、なるほど多少、あなたの発言に対して、ああそれはそうですねということもあるのですが、大筋として、私は關谷さんの論法をやはり中心に考えていくことだろうと思うのですね。だから、これに対してやはりおりを見てお話しいただくなり、そういうものの大ざっぱな計算でもいいから計算をしてみたらどうか、こういうふうに一つは考えます。従来からわれわれもそういう考えでいるわけなんですが、われわれ自身はそういう計数をはじく能力を持っていませんし、機能を持っていませんから。そういう意味では關谷提案について、ひとつ具体的な数字でこうなります。これは絵にかいたもちであっても何でもいいです、はっきり言って。いままでのローカル線をどうするとかなにするということは、もうすでにその中での話だろうと私は思うのです。もしわれわれが百歩譲っても。だから、それでもって起死回生をはかろうというのは筋違いだと思うので特に申し上げる。だから、貨物についていま申し上げた観点から資料をいただきたい。  それから、もう一つここでお答えしていただきたいのは、これは総裁からお答えいただいたほうがいいかもしれませんが、貨物輸送については、改善策として小間切れな話は私らは聞いています。さっき申し上げたようなフレートライナーをやりますとか、あるいは包括契約でやるとか、専用線でやるとか聞いていますが、全体として国鉄貨物をどういう方向で持っていこうとするのか。これは御方針はきまっておりますか。
  9. 磯崎叡

    磯崎説明員 貨物輸送につきましては非常に問題が多いわけで、私のいまやっている仕事の中では、ほかの交通機関との関係からいえば、むしろ旅客輸送よりも貨物輸送のほうが先に心配だ、結論から申し上げますとそういう気持ちを持っております。しかも、先ほどの数字のように、ここ数年間横ばいでほとんど伸びてない、この現実でございますね。そうすると、そういう数量が伸びないときには、せめてコストを下げることを考えなければいけないということで、実は去年くらいから、いま鉄監局長が言われましたいわゆる輸送体系別コスト、これを勉強しているわけでございます。  非常に端的に結論だけ、まだ正式に出ておりませんが、簡単に申し上げますと、昔非常にやっていた石炭輸送でございますね、これが一番もうかっていたと私は思うのです。というのは、山元で全部一万二千トンか三千トンの列車にしてしまって、そしてほとんど途中で手をかけない。そして室蘭なら室蘭に持ってきて機械で船に積む。これが一番もうかった輸送で、典型的な物資別輸送で、国鉄の歴史始まって以来やっていた輸送で一番いい輸送だったと思うのです。それと全然対照的なものが、各駅からばらばらに集めてきて、そして中間操車場で一ぺん操作して、それをまた大操車場で操作しているというふうに、大体五十キロから百キロに一カ所ずつ大中のヤードを持ちまして、そこで相当手をかけましてその組成分解操作をするという、これがいまの石炭輸送とおよそ反対の典型的な輸送だと思います。いろいろいま検討の途中でございますけれども、やはり一番コストの少ない、いわゆるもうかっている——一応運賃問題はこっちに置きまして、いまの運賃でもうかっていたとすれば、正直に申しましてやはり石炭だと私は思う。それから、一番もうかっていないとすれば、各駅から出て各駅に到着するという貨物、非常に中間手数のかかっている貨物、それが一番もうかっていなかった、もうかっていないというふうな結果がたぶん出るだろうと思いますけれども、これはもう少しやってみなければわかりません。しかし、かといって、いま先生のおっしゃったように、もうかっていないやつはやめるのだということはもちろんできません。むしろ、そのもうかっていない形態貨物は、実はトラックでもあまりやりたくない貨物だと思うのですね。  ですから、それは一体どうしたらコストが安くて済むか。そういう貨物は、ものによっては何も一時間、二時間あるいは半日、一日を争わないで、コンスタントに流れていけばいいという種類の貨物が相当多いわけであります。ですから、これからあと貨物輸送というものは、十ぱ一からげで何でもかんでも一緒輸送するということでなしに、そのものの目的によってスピードをたっとぶもの、それからスピードを必ずしもたっとばないで、とにかく輸送して流れておればいいものというふうに分けて、それで考えなければいけない。それを全部十ぱ一からげにするものですから、一番悪い輸送をしている。したがって輸送は伸びない、逆にコストが高くなっているということが、いま率直に申しましてわれわれのやっている実情ではないかと思うのであります。  そこで、いま考えている考え方としては、なるべく発着駅を少なくしてできるだけ物資別輸送したら、一般操車場を経由する輸送に比べてどのくらいコストが下がるかという一つ目安がないとできませんから、その目安を至急つくって、そしてできるだけそういう輸送形態に変えていって、そうでないものはもう多少輸送力がむだになってもいいから、輸送単位を小さくして、そしてもうヤードにかけないで送るというようなことができないものだろうか。それには、もちろん線路容量の問題もありますけれども、いままでのようにたくさんためて、牽引定数一ぱいでなければ走らせないというこの考え方も考えなければいけない、ヤードに入れなければ気が済まぬという考え方も直さなければいかぬということで、大体大ざっぱの方向としますれば、極力物資別に、なるべく発着駅を少なくして輸送するという方式一つと、そうでなくて、あまりそういうことの必要でない、またそういうことのできない貨物については徹底的なコストダウンをやって、というような方法が、ばく然たる答えで恐縮でございますけれども、私の考え方であります。  もちろん、これはいろいろな専門家に聞かなければわかりませんが、どっちかといいますと、私のほうは昔から貨物輸送は器用貧乏だと私は言っているのです。非常に器用で、われわれは十万両の貨車でイギリスの百万両くらいの輸送をしていたということで、非常に得意としていた。逆にいえば、荷主の犠牲において鉄道の能率を上げていたというふうにいえると思うのです。私はその器用貧乏は大事だと思うのです。それをどこまで生かすべきか。そしていまの物資別輸送というものは旅客輸送方式でおよそ不器用の輸送ですけれども一、わりにコストのかからない輸送をやっている。その器用貧乏と不器用の輸送との接点をどこに持ってくるかというような考え方でやらなければいけない。それには、少なくとも現在やっている、先生の御指摘になったような典型的な列車別輸送コストを見てみなければならぬ。案外そう  いう不器用なことをやってみてもコストが下がらないかもしれない、やはり思い切ってやってみれば半分になるかもしれないというふうな、将来の検討材料としての典型的なものを、これはそう長くかからないと私は思っているのですが、相当専門の人間を置きまして、列車別貨物輸送の限界というものをいま勉強さしておるわけであります。それができませんと、なかなかいま的確なことを申し上げられませんが、ばく然と申し上げていいと思うことは、物資別に徹底的な輸送をすること、それからあとのもうばらばらの輸送のものはどうしたらコストが下げられるか、この二つの方法になるのではないかというふうに思います。  それからもう一つは、最近非常に港湾ができて、たとえばこの間も仙台の港が開く。そうすると、現在港が一つ開きましても、実際港に発着する貨物でもって鉄道に乗る貨物はわずか五%でございます。どの港でも残念ながら発着トン数の大体五%ということであります。仙台なんかでも、ごく最近できたものでございますけれども、やはり五%くらいであります。というようなことで、将来各県にどんどん十万トンなり五万トンくらいの船が出入りする港ができたときに、鉄道に残る貨物というものは何なのかということも、これは一種の開発的な考え方から、マーケットリサーチということから考えなければいかぬ。そういうことで、結局これからの日本の産業がやはり海岸地帯へ出てくる場合の鉄道貨物輸送の問題という、鉄道を取り巻く外部の情勢というものを頭に置きながら考えなければいけないということで、実は非常に率直に申しますと、いま迷っていると申しますか、その最中だと思うのです。  ただ、最近の傾向としてやはりトラックがいろいろな角度から行き詰まってきて、相当ライナーに戻ってきていることなんか毛、これからの一つ方向としては、多少淡い希望ですけれども、考えなければいかぬといういろいろな要素のもとに、いま実は外の専門家の知識を相当かりましてやっておりますけれども、いま的確に、こう持っていくんだと言うだけの明確な結論までまだいっておりません。ここ一、二年のうちには、とにかく、ごらんのとおり石炭がわずか半分になってしまったという現状からしまして、何とか方法を見つけて、重点的にそちらに投資していくというふうにしていきたいというふうに思っております。ちょっとお等えになりませんで申しわけございませんが……。
  10. 久保三郎

    久保委員 いろいろお話をいただきましたが、いっとき国鉄では、貨物輸送の改善と申しますか、そういう方針を何年か前に出したんじゃなかろうか。そういう方針でいまでもやっておられる。それがフレートライナーであり、また物資別適合輸送であるとするならば、全体として収支の面では、ここに出されたようでありますから、これはたいへんいいことではあったかもしれませんが、やはり根底から検討し直す時期、おっしゃるようなことも含めて、そういう時期だろうと私は思うのです。専門家じゃありませんからどこということは言いません。どうもしろうと感じでは、はたしてもうかっているのか。もうかっているというのは語弊がございますが、どうもこれはペイしていないんじゃなかろうかという見方も、実際いって一部にあります。だから、お話しのように全部が全部もうからなければやらないのだということでは、これはいかぬと思います。しかし、たとえば大口荷主の問題等は非常にデリケートだとは思うけれども列車貸し切りでやって、もしもペイしないものをやっているとするならば、これは何かの方法をとらなければいかぬ、私らそう思っているのです。最近では運賃だけで競争じゃないだろうと思うのです。むしろ、輸送全体を含めたサービスをどうするかという問題だと思うのです。だから貨物も、いま一生懸命現場でも荷物を集めるのに、誘致ですか、それを一生懸命にやっておられる。これはけっこうです。また、それは必要なことではありますが、それによって得る面とお得意さんを失う面はどういうふうに見ているのかというのも大事な点だと思うのです。やはり、しょっちゅうお使いいただくお得意さんのサービスを忘れて新しい分野を開拓してみたところで、きわもの的であれば、これはあまりプラスにならぬ。経営の面でもプラスにならない。そういうふうに思うので、その辺のかね合いというのは非常にむずかしいだろうと思うのです。よく耳にするのですが、だれだれはどこへ行って、トラックへ行くやつを一車獲得してきた。これは非常にいいPRなんですが、それじゃ、毎日一生懸命やっているやつは、何かつまらぬことをやっているように印象づけられることは、これは心理的にもまずい。貨物輸送に関連して話が少し発展しますが、そういうやり方は、やはりお客や荷主に対しても最近徐々に出てきていやしないか。たとえば旅客輸送でも、毎日乗っている定期のお客というのを、従来やはり企業採算ベースからいって、定期は割り引きがはなはだしくひどいからもうからぬものであるという主張が、言うならずっとしみ渡っている、というと語弊があるが、大体それが定説みたいになっていますね。それが知らず知らずのうちに、輸送のダイヤの組み方自体にも問題が出てきやしないか。これは、どこがどうということじゃありません。そういうのが習い性となって、結局お得意さんのサービスを低下してはいないだろうかという反省をぜひする必要がある。  それから、先ほどの運輸委員会で、鉄監局長にたいへん申しわけないことをこれから言うことになるのでありますが、お許しいただきたいのですが、御答弁をわきから聞いていて、やはり鉄監局長も役人かなという感じがしたのです。これはもちろん鉄監局長はりっぱなお役人でありますからいいんですが、国鉄は役人がやるものじゃないのです。これは単にことばの上で前だれをかけるということではなくて、実行行為が商人であるかどうかであります。ことばでありがとうございますと言うのは、これは実行行為も半分入りますが、そういうものじゃなくて、お得意さんがいかにスムーズに、気持ちよく乗れるかということであります。混雑するのは、もう承知の上なんです。しかし、気持ちよく乗れるかどうかがまず一つなんですね。それは納得せられるかどうか、最近のはやりのことばで言うコンセンサス、そういうものが国鉄国鉄利用者、国民との間にできなければ、ほんとうの再建はできないと思うのです。それはさっきのいわゆる地下鉄乗り入れの問題でも、運賃がどうして、共通運賃というか、共通で、どちらに乗ってもよろしいということになれないのか、われわれ第三者としてはたいへんふしぎに思うのです。御説明はよくわかりますよ。運賃率も違います、企業体も違いますから、だめですということはわかりますよ。それでは身もふたもなくて、それじゃこんなものはてんでんばらばらに切り離して、乗りかえさえもさせないほうがいい、極端なことを言うならば。なぜ乗り入れしたか、乗り入れしたというのは、言うならば今日の交通事情からして、また旅客サービスからして、乗り入れが一番いいとしたのでしょう。いいとしたなら、やはり一〇〇%利用できるように追求していくというのが私はほんとうだと思うのですよ。ところが、どうもそうでなさそうな、いや制度が違いますから……。違ったら直せばいいんじゃないですか。直さぬまでも、分割率を大ざっぱにお互いにきめたらいいんじゃないですか。地下鉄がもうけても、国鉄がもうけても、損しても、たいした違いはないのじゃないですか。しかも国鉄は、営団とはかなり密接な関係がある、これはいままでの歴史からいっても。そうだとするなら、こんなものは、学校出たての、役人なりたてのお若い方ならばそういうことをおっしゃるけれども、どうもわれわれとしては聞けないのです。それはいいですよ。あなたを素材にして話をしてたいへん恐縮なんだが、冒頭お断わりしたとおりだ。わしらはそういうことを思い切ってやる段階だと思う。いま国鉄自体も、総裁一生懸命おやりだけれども、いろいろなネックがあるでしょう。ネックがあるけれども、そんなものを解決しないで、何かまわりを回っていこうったって、はっきり言って回れっこないですよ。  そういう意味で、貨物輸送旅客輸送も、私らはそういうふうに感じているのです。だから定期運賃の問題、定期運賃が安いか高いかは別なんです。お得意さんなんですよ。これをどうやって運ぶかが先なんです。ところが、経営のことからいくというと、朝晩というか、特に朝のラッシュ時には、たとえば地方に参ります優等列車が先行します。そうしますと、いままでたとえば一時間で通えたところが、二十分あるいは三十分、今度は時代に逆行して通勤時間が延びるということがあるわけです。そういうものも考えないで、去る者は追わずというだけでは、ほんとうの国鉄再建にはならないだろうと私は思うのです。だから、どうかそういうことを含めて考えていったらいいだろう。もちろん、こんなことは百も承知、二百も合点だろうとは思いますが、案外身にしみ込んじゃっていますから、やはり定期はもうからないのだ、こいつら——こいつらとは言わないでしょうが、どうでもいいんだ——どうでもいいとは言わないが、態度というか、ものの考え方はそうあまり真剣にならない。そういうところに、いろいろな問題ができると、ぱっと民衆から、国民から反発がくるのじゃないですか。  そういう意味で、ぜひやって、合理化も、私は合理化賛成です。何もむだなことをやっちゃいけません。しかしながら合理化のためにむだな金、合理化の名目のためにむだ金、といってはおかしいが、きょう出なくてもいいものを使うものがありますね。これは総裁もお感じになっているものもあろうかと思うのでありますが、私らは、やはりこういうふうに赤字で何とかしなければならぬということになっているのに、どうしたことだろうかと思うときが率直にいってございます。これを除去して通っていったのではほんとうのものじゃないと私は思う。たとえば自動券売機一つとりましても、これは直したと思うのですが、東京の国電の区間で券売機ばかりある駅があったそうです。そういう駅があるのかどうか私も調べてませんが、いまはないのでしょうね。券売機ばかりあるというか、人間が切符を売らない駅があるそうでありますが、夜十時過ぎると売店はしまってしまう。そうすると、一万円札ははなはだしいけれども、たとえば百円玉でもおつりが出ない券売機ならば、両がえするところがないというのですよ。どうしたらいいんだろうという投書が一ぺんありましたね。これなどは、まさに私がいまるる申し上げたようなことが骨身にしみた手本じゃないかというふうに私は思うのです。憎まれ口みたいないやみを言いますが、私はそういうことも含めて再検討をしてもらいたいと思う。貨物もそうだと思う。ぜひそういうことで検討してもらいたい。  それから総裁、さっきおっしゃった話は総裁のお話としてお伺いしたわけなんでありますが、国鉄自体として、さっきから申し上げているようにいまの輸送をどうするか、どういうことに持っていこうかというのは、いま検討中なんですか、どうなんですか。旅客貨物も、特に貨物はおっしゃるとおり複雑ですから、わからぬやつがありますから、やはりある程度コースというか、展望を持ってそれでやっていかなければ、たとえば貨車を増備するにしてもむずかしいのじゃなかろうかと思うし、それから、たとえば古い無蓋車などは、この間東北線をずっと旅行しましたら、ずいぶん留置されています。これは石炭の問題もあってと思うのだが、使いものにならなくなれば、あんなものはスクラップにしたらどうかと思うのです。おそらくあれを引っぱり出すのには、だれか行って点検して、それから油をくれてまた引っぱり出すなんということをやるのだろうと思うのですね。非常にむだがありますね。よく展望の上に立って、スクラップするものはスクラップするならば早い時期にスクラップする。そうでないと不経済だ。ああいうものまで原価計算に入れていけばみんな赤字になっているというふうにも思うので、展望なり方針として確定したものがございますか。
  11. 磯崎叡

    磯崎説明員 非常に有益なお話で、私どものほうも非常にむずかしい時期で、これで絶対だというものがないので、いま現時点で自信があって申し上げられませんけれども、全体の方向としては、実は三年ほど前に、御承知の貨物輸送の改善方針というのをつくって、たしか委員会でごく概略御説明したことがあると思います。たとえば、あれで申しますと、全貨物の三分の一をコンテナ化する、それから三分の一はバルキーカーゴーでコンテナ化できない、あと一般輸送するというふうな、ごく大ざっぱな目安を立てて、それに向かって貨物の整備もしていくというふうなことを申し上げ、また貨物の駅も、当時は四千くらいあったのを大体千なら千にする、そしてそのかわり徹底的な機械荷役をして荷役のロスを減らすというふうなターミナルの問題、そういうようなビジョンは持っております。しかし、それもやはり最近、たとえばカーフェリーがあれだけ伸びてきますと、すぐそれのことを考えて手直しをしなければいかぬということもあります。しかし、大体の方針として輸送のしかたから申しますれば、やはりコンテナ化というのが一つ方向である。しかし、これも半分コンテナにするということもむずかしい。いままだ一割ですから、三割くらいまでしか荷物の性質からいってできないのじゃないかというふうな見方。あくまでも石炭とか石灰石というふうに、絶対にコンテナ化できない荷物もある、それからその中間的なものもあるということで、全体の方向としてはコンテナ中心にしながら、いままでの輸送をどう変えでいくかという輸送の形の問題、それからもう一つ、さっき申しました輸送列車の問題、いわゆるヤードの使い方の問題、それからターミナルの整備、おもに三つくらいに分けて大体の方向を持っておりますけれども、常時手直しして考えませんと、非常に変化が激しいものですから、一つのビジョンを持っておりますけれども、修正しながらそれの実行に着手していく。  それから、たまたまいまおっしゃった廃車、車をやめる問題につきましても、率直に申しまして、やはり部内では車をかかえておきたいという気持ちがあるわけです。これではいかぬということで、つい最近でございますけれども、今度徹底的な廃車の方針を立てまして、おかげさまで貨車も十年はかかりましたけれども、全部七十五キロ以上出る貨車にすっかり変わりました。そのかわり六十五キロ以下のものは全部やめてしまう。大体六千両くらい廃車いたしますけれども、そういう方法で徐々に変わりつつあります。  とかく廃車をいやがって、いずれ必要なんだから持っておきたいというふうなことで線路をふさいでおく、あるいはおっしゃったように引っぱり出すのにまた今度問題である、そういうことも徹底的にやめて、悪い言い方をしますと、これは非常に現場の士気を阻喪するので、そういう表現をするのはまずいのですけれども、一トンの荷物をよけい取ることとそれから合理的な輸送をすることと、どっちが大事かということを考えていかなければならぬ。これは私どもの責任で、現場の末端にそういうことは言ってはいませんけれども、私はそういう考え方もしなければいけない。ただいたずらに荷物をかき集めることが、ほんとうに国鉄が再建するかどうかということを、もう一ぺんここで考え直さなければいかぬ。これは現場の士気を阻喪してはいけませんが、私どもとしてそういう考え方も当然入れなければいけないというふうな角度から、車の面、輸送力の面、それからターミナルの面というふうな角度でもって、数年前のビジョンを修正しながら持っていっている。しかし、非常にまわりのテンポが速いものですから、用地買収しておるうちにもう姿が変わってしまっているというふうなこともないわけでもございません。  今度、私ども相当徹底的に若手を起用して、少し新しい考え方でやってみろということで人事異動もやりましたので、そういう面で清新なはつらつな気分で、もう一ぺん新しい日本の経済の実態に対処した輸送に持っていきたいというふうな、非常に抽象的で申しわけございませんが気持ちを持っております。
  12. 久保三郎

    久保委員 忘れないうちにいま一つ資料をお願いしたいのは、四、五年前私どもが、内航と国鉄コンテナを連携してやったらどうかという提唱をしたのです。最近おやりだそうでありますから、どの程度なっておるか、それも資料として出していただきたいと思います。  それから、カーフェリーのお話がありましたが、最近カーフェリーの企業は過当競争で相当悪化してきておるのじゃないか。   〔小委員長退席、古屋委員長代理着席〕  それから、カーフェリーでトラックのまま入れるのがいいのか、それともトレーラーでやったらいいのか、これはなかなかこれからの帰趨がわからぬところだと思うのです。そこで、やはり国鉄もそういう問題も頭に入れて、人の分野を侵食するとかなんとかいうことでなくて、国鉄にかかる荷物とそういうものとの関係を、この際早い時期にめどをつけてやりだすということだと思うのです。あとからいったのではとてもじゃないがおそい、そういうふうに考える。  それから、また話はちょっと違いますが、運転方式ですね。いわゆる運転管制ですね。たとえば東海道はCTC、そういう方法でやっていますね。最近私は、福知山線じゃなくて、向こうのほうをちょっと乗ってきましたが、昔ながらに信号機は色灯式だから、自動信号じゃない。駅長と助役が、つまらぬ駅といってはおかしいが、つまらぬといってはしかられてしまいますが、小さい駅におって運転扱いしていましたから、あれはたしか自動じゃないんですよね。自動なら閉塞だから、自動じゃないんですね、きっと。片方、てまえどもの県にある水郡線では、やはり同じような方式かもしれませんが、非常に長い区間を閉塞で併合しているわけです。併合したというか、幾つかの駅を一緒にしてそこを一つの閉塞区間にしているのですね。そういうふうになったものだから、列車の入れようがなくなった。なくなったというのは、対向列車にしても続行列車にしても、かなり時間をおかなければ入っていけない。そのためにサービスが非常に悪くなっているというふうな話も聞いているものもあります。   〔古屋委員長代理退席、小委員長着席〕  そこで、ひとつ考えていただきたいのですが、たしかいまの運転の規則からいけば、従来の運転方式では、駅長というかそういう人が運転を扱うことにいまでもなっているでしょう。だから、それを駅長や助役をとって一つの駅を簡略にするのには、どうしても閉塞区間を長くして併合しちゃう。そうすれば駅長と助役がいなくてもいい、運転の扱いはここでやらない、しろうとですから回りくどい話でうまく表現ができませんが、そういうことだろうと思うんですね。しかし、これはものの考え方でありまして、閉塞区間が従来どおり一つの駅ごとに、たとえば単線区間であってもなぜ駅長でなければいけない、助役さんじゃなくては汽車が扱えないのかということも、もう一ぺん検討してみる必要がありはしないか。そういうところが、どうもあか抜けしないところだと思うのです。そのためにお客や荷物に当たりがくるということがありはしないか。同じ効果を生むならば、私が提案するようなことも一ぺん考えてみたらどうか。事故のことになると、非常に荒っぽい言い方でありますが、駅長さんや助役さんがいても事故が起きる。それじゃそれ以外の人がやったら事故が起きるかというと、それはそういうことにはならないと私は思うのです。しかも、最近は機械化されてきましたから、昔のようなことではないでしょう、おそらく。だから、そうすればある程度そういうものもうまくできはしないか、こう私は思うのです。案外そういう昔ながらのスタイルというか、やり方をそのままずっと受け継いでいるものがどうしてもじゃまになって、そこを避けて通るから変な形の合理化というのが出てきはしないか、こういうふうに思うのです。合理化というより不合理化ですね、そういうのがあると思うので、そういうものもひとつ考えてみたらどうか、こういうふうに私は思うのですが、運転方式については、総裁どうですか。これは近代化、合理化——合理化というのはなんですが、近代化ばかりじゃなくて、ぼくが言うようなことも考えていけば、お客やなんかのサービスをそんなに低下しないでも、できる面がありはしないかという一つの例なんですが、どうですか。
  13. 磯崎叡

    磯崎説明員 実は御承知のとおり、鉄道で人を使う一番のもとはやはり運転方式だと思います。大体の方針といたしましては、安全の問題は一応当然ということで別といたします。いままで幹線はほとんど全部自動信号になりましたので、これはもう自動信号の扱いとして自動的に動いて、応急非常時のときにだけ人間がいればいいというふうにだんだん変わりつつあります。大部分の幹線は自動信号に変わりつつある。問題は、むしろ幹線とローカル線の中間のような準幹線、そういうところについては、自動信号にするには少し金がかかってもったいないけれども、しかし人は減らしたい、ことに運転扱いの人を減らしたいということで、さっき冒頭に先生がおっしゃいましたCTC、これは端的に申しますと駅長と助役を減らす方式であります。いわゆるCTCは一カ所でポイントと信号機を全部制御してしまう。そうすれば、その駅には営業の人間だけいれば、何も駅長、助役がいなくてもいい、いわゆる私どものことばでいう運転を取り扱う人間はいなくてもいいということで、CTCをすることによって駅の運転要員を減らす、これはいま相当思い切ってやっております。あまり方々ばらばらにやっても効果がないので、なるべく集中的にCTC方式をやっております。それから、CTCまでいかないでも、リモートコントロール方式で、一つの駅が両隣の駅のポイントを制御するという方式をいまやっております。それをやれば両隣の駅長、助役は要らなくなるという方向で、むしろ私どもがいま一番力を入れておりますのは、そういういまも昔ながらのやり方で、いわゆる駅長あるいは当務駅長以外は運転取り扱いはできない、これは規則のよしあしは別といたしまして、そういうことになっておりますので、まずそれを減らすことが一番必要だ、その機械化、合理化には、運転取り扱いの人間を減らすことがまず一番必要だという角度から取り上げておるわけでございます。  たとえば、いま水戸線はたしかCTCになっていたと思います。水郡線は輸送力がもう一段低いものですから、これは結局リモートコントロールで、いずれCTC方式になっていく。いまおっしゃった併合運転は、あまりいい感心したやり方ではございません。深夜とか何かはやっておりますけれども、お客さまや荷物があるのに運転方式のために列車の運転本数を減らすということは、これは全く本末転倒でございますので、輸送力の必要なところについては、やはりそういう近代化された運転方式というものをとっていくのが一番いいんじゃないかということで、いまわれわれ考えておりますのは、CTCかあるいはCTCに至る前のリモートコントロール、一駅かせいぜい三駅くらいをコントロールするというような方式で、駅長、助役を減らしていくというような方向で現在進んでおるわけでございます。非常にいま過渡期でもって全国ばらばらでございますけれども方向としてはそういう方向で、やはり運転要員、いわゆる乗務員でない運転要員を減らすということが、一番問題だというふうに考えております。
  14. 久保三郎

    久保委員 もう時間ですからあれですが、いまの駅長や助役を減らせということばかりを言っているんじゃなくて、あなたのおっしゃる運転要員だが、それはCTCを装置するのにはかなりの投資になるし、それからその前に自動信号をやっていれば、これは大体信号機はそのまま使えるようでありますが、連動盤ですか、そういうようなものもかなりの値段のものが、これは生きたまま死んだかっこうで二重投資になっているんですね。これは私の選挙区の管内ばかりでなくて、どこにもあることだと思うのですが、そういうものの収支計算を見きわめて投資をするのかどうか、私はどうもちょっと疑問があるんですよ。それは総裁のお話は、ちゃんと計算してやりますという御答弁だろうとは思うのでありますが、どうもしろうと目、おか目八目かもしれませんが、そういう二重投資をしていることがほんとうにメリットになるのかどうか。なるほど要員の片は多少つきますが、そういうものをやってもなかなか所期の目的にはほど遠いんではないか、こういうふうに思うので、これはやはり厳重に、そういうものの投資の場合は緻密な計算を積み上げて決定をすべきだと私は思っております。もちろん御答弁は、それは言うまでもありません、緻密な計算をして、ここぞと思う投資をしているんだとおっしゃるかもしれませんが、どうもそうばかりは言えない。  それから、話は戻りますが、CTCなりを装置しなくても、運転方式の、駅長とか助役の資格が何か汽車を動かすんだという、その規定がじゃまなために、あるために、結局CTCをやれば駅長、助役が要らなくなる、こういうような方式には、少し飛躍があると私は言っているんですよ。いまのままでも、駅長とか助役とかそういう高給をはむ者を列車扱いさせなくてもいいではないか、やる方法がありはしないかということなんです。そこで私は、高給をはむ者に対してはそれに応じた職務をお願いしたい。汽車を出すなんということも、その辺はバスにたとえてくださればいいと思うんですが、バスなんかそんな高給をはむ人が、発車オーライはやらぬですからね。だから、そこらの発想の転換を一つすれば、新しい投資がなくても多少できる。それからそういうものの要員については、やはりそれに応じたところをあてがったらいいと思うのです。そうでないと、勤労意欲の問題からいってもかなり問題があります。  それから、もう一つ申し上げたいのは、われわれの調べた範囲では、これは資料としてお出しいただかなくてもいいだろうと思うのでありますが、国鉄はその職務上軍隊、ということばはあまりよくありませんが、上から下への命令下達の組織ですね、そういうものがなければ運営できない特性があります。これはかって気ままに下のほうがやられたんじゃ汽車があぶなくてしょうがないから、それはあるのですが、しかし、それももはや機械化、近代化されてきては、そういう方式じゃなくて経営に対する方式——経営権というか、そういうものはそういう方向で多少いいと思うのですが、日常業務をやる場合に、そういう方式だけではむだがありはしないか。もっと端的にいうと、うしろに手を回している職制が多過ぎはしないか。いわゆるセールスであり輸送であるのでありますから、そういうところに人間が案外少なくて、あるいは目が届かぬで、監督する人が非常に多い。われわれの見た目では、十人のうち二人半ぐらいは、うしろに手を回して監督する地位にある人が大体いるんじゃないかという感じがしている、実際にはどうか知りませんが。たとえば、総裁はもちろん上から監督されるのは当然でありますが、末端の現場へ参りましても長のつく者がいます。その次には助役というのがいます。それからその次には主務者というか主任というか、そういうのがいます。最近では掛で、これは昔のあれですが、その下へいって初めて実際に仕事をする人、こういうふうになっているんではなかろうか。この方式をもう少し変えていく必要はないのか。だから、私はいつか機構改革のことを申し上げたら、それをおりにして総裁は支社の廃止をされましたが、私は支社の廃止はもちろんそれでいいと思うのですが、もう少し本社機構、それから支社はだいぶ残っていますが、管理局、こういうものももう少し変えていく必要がある。結局、たとえば現場を監督する機構にしても管理局長がいます。それから各部長がいます。各課長がいます。それから今度は駐在運輸長というのですか、そういう者がいますね。それから駅長がいるんです。こういう機構はあまり複雑過ぎて命令が徹底しないうらみがありはしないか、こういうふうに思うので、機構についてももう一ぺん洗い直してみたらどうか、こういうふうに思います。だからそういう点を一ぺん、もし御意見を新しくお持ちならひとつ御披露いただきたいと思います。私らはしろうとですから、おか目八目で外から見ておりますから、私が言ったことが必ずしもそのままではないと思いますが、やはり現場、第一線を強化すべきではないか、こういうふうな考えなんです。  しかし、絶対量、絶対の要員の数でいえば、現場、第一線が一番多いことは事実でありますが、その現場、第一線がどうも弱体化していて、頭でっかちでなかなかどうも動きがとれないのではないかという心配を最近非常にしていますので、役付をたくさんつくられることはけっこうでありますが、それが直ちにどうも、何かうしろに手を回して監督する立場というだけでは、体質的にもどうも動脈硬化を起こしやすい、こういうふうに思うのですが、どうでしょうか。
  15. 磯崎叡

    磯崎説明員 いまの人間の配置の問題、あるいは仕事の分担の問題、確かに問題があると思います。やはり私どもの現場組織は、百年前の組織とあまり変わってないと思います。管理組織のほうはわりあいに動かしやすいものですから、最近も相当簡素化して人も減らしてまいりましたけれども、現場組織になりますと、いままでの仕事のやり方なり惰性がないとは申しません。そういったことについての簡素化、命令の徹底ということについては、もっと考えていかなければならぬ。同時に、やはり人間ですからあまり監督者を置いても、かえって間違いを起こすということで、たとえばいま一番中心にやっておりますことは、機関区に対する命令伝達を全部コンピューターでやってしまうというふうな方法を考えたい。たとえば、機関区には助役その他が多い。助役はほとんど紙の上の仕事で忙殺されている。そういうようなことを全部コンピューターでもってやることができないか、それをそのまま乗務員に見せるというふうな、そのような命令伝達の方法というものはないかどうかというふうな点などもいま考えておりますけれども、仕事のやり方自身が、確かに一世紀の積み重ねがあることも事実だと思います。そういう点についても、いま部内でいろいろ委員会を設けまして勉強しているところでございますけれども、一挙に変えることはなかなかむずかしいと思います。できるところからやっていきたい。管理部門だけは相当手をつけたつもりですが、まだまだ手をつける余地が残っていると思います。現場の末端にまでなるべく早くそういう方向に持っていって仕事を進めていきたいというふうに思っております。いますぐにどうするという案を申し上げるまでになっておりませんが、考え方としては、確かにお説のとおり、監督を多くして実務が少なくては困るのですから、そういう第一線の職員を強くするということが一番大切だということには変わりはございません。
  16. 久保三郎

    久保委員 最後にもう一つ国鉄はいろいろたくさんな機構でありますから、どれが一番大事だとか大事でないとかいう区別はつきかねると思うのでありますが、いま一番力を入れなければならぬのは、国鉄の使命を直接に達成するものをまず大事にして強化していくことだと思うのです。それはやはり輸送を担当するもの、これをささえるもの、こういう順序だと思うのです。しかも、営業というか企業のサイドから考えれば、いま国鉄経営赤字である。赤字だからどうしたらいいのか、これは簡単にいえば二つあります。かせぎをよけいにしてカバーしていく、それから合理化というか、むだを省いて金を使うほうをやめて支出を少なくする、同じ結果になりますが二つあると思うのですね。そこで、両面同じですけれども、両面から攻めていくことが必要だと思うのです。だから重点もそのとおりに考えるべきだと思うのです。たとえば輸送をささえるものといえば、施設とか電気とかいうものですね。輸送をやっているというのは、これは機関車というか、そうですね。それと駅の営業というか、そういうところだと思う。しかも金をかせぐのは営業のほうなんですね。これはいままでも国鉄の現場に対する教育というかしつけは、国鉄赤字を克服するためにとにかく予定収入を立てたら、予定収入以上に収入を上げなさいということでこれをおやりになっています。これはこれでいいと思う。そのためには、客貨の誘致も精一ぱいしなければならぬということも、これはいいと思うのです。それでは金を使うほうはだれが使っているのかというと、設備投資やその他の輸送、営業をささえていくものが使っているわけですね。この使っているほうに対して、それじゃ何か目標があるのかというと、あんまり聞いていないのです。予定支出というか、それを節約しろというスローガンは出ているかもしれませんが、数字を出して、これくらいにということはあんまり聞いていない。いまあまりないかもしれませんが、たとえば設計一つ見ても、よそではなかなか見られないほどのりっぱな設計があって、金も二、三割よけいかけています。これは安全の直接の問題でありますれば当然だと思うのでありますが、そうでないものもあるというようなことをいまでもわれわれは聞いている。国鉄ではあそこの踏切とか、あそこの建物とかに幾ら出せといっているが、いやあんなもの、われわれにやらしてもらえれば、町でやれば幾らでできますよという話をよく聞くのです。まあこれは下世話の話でありますから、別に気にすることはないのですが、これだけの赤字経営が不如意であるということになりますれば、なりふりかまわずといってはちょっと語弊がありますが、多少は真剣になって支出のほうを押えていくというか、検討する必要がありはしないかと思うのです。むだな投資があるとはあえて申し上げませんけれども、その辺のことも、ひとつどういうふうになさっているか、おありでしたらばお聞かせをいただきたい。
  17. 磯崎叡

    磯崎説明員 たいへん卑近なことでございますけれども、たとえば今度の仲裁裁定の実施にいたしましても、実は相当思い切った節約をしなければやれないというふうな実情でございまして、それもお話のとおり、運転あるいは保安に直接関係のあるものはできないとしましても、そうでない、たとえば建物の維持、修繕というふうなものは、延ばすものは延ばすということをしなければいけない。あるいはちょっとした設計、たとえば便所一つつくるにつきましても、まあぜいたくな便所ということはございませんけれども、オーバーなものをつくっちゃいかぬ。相当こまかく規格をきめてやっておりますけれども、往々にして諸先生にしかられる。立体交差踏切一つつくるにしてもずいぶん高いということ、これは運転の保安に関係のある面はしょうがないとしても、それが習い性となって、保安に関係のない面についてもそういうことがないとは私は申しません。数えれば相当あると思います。そういう点については一件、一件相当やかましく言っておりますけれども、結局目が届きません。やはり心がまえの問題だと思います。たとえば仲裁裁定、これだけ給料が上がるについてはよほど節約しなければ上がらないのだということを徹底さすことによって、おのずから仕事の面でそういうことがにじみ出てくるようにすることが、私どもの仕事の一番大事なことではないかというふうに思っております。  それから、実際の支出のほうになりますと、相当厳重な予算統制をやっておりますので、これは決算の面で相当厳格にチェックできることになっております。その点は、たとえば収入がこれだけ減れば、経費はこれだけ減らすんだという一種のスライドでもって経費を落とすというふうにいたしております。それは人件費とか特別なものは除きまして、修繕費みたいなものは、収入が上がらなければ経費は落とす、これは当然なことだということでやらしております。節約面について、もっともっと節約できる余地はまだあると私は思います。今後そういう面に力を入れてほしいなというふうに思います。
  18. 久保三郎

    久保委員 これで終わりますが、いままでお尋ね申し上げたような点は、前提が必要なんですね。それはさっきも申し上げたように、いま申し上げたようなことを幾ら積み上げていっても、決定的な国鉄再建には実際はならない。いま私が申し上げたようなことを積み上げていけば、将来は展望が開けるということだと思うのです。しかし、それにはいま持っている重荷をどうするか、これの解決のめどがつかなければどうにもならないだろうと私らは思っているのです。さっき關谷委員からお話があったような点も、これは責任のある立場の人ができないなら、だれでもいいですよ、簡単なスケッチ程度のものでいいですから、こういう方法があります、こういう方法がありますということを出していただいてやっていくことが先だろうと私は思うのです。これは小委員会でありますから、ここでどうするこうするというのじゃありませんが、そういうものがない限りにおいては、私は小さいことをきょうはたくさん申し上げましたが、こんな小さいことをたくさん積み上げたってどうにもなるものじゃないという気持ちを、国鉄職員自身も、経営者、管理者も持っているだろうと私は思うのです。  それから、いままで鉄監局長からも御説明があったように、ローカル線をどうするかなんということをやってみたところで、前提がなければ、たとえばそれがいいとしても、国鉄再建は成功しない、こういうふうに一われわれは思っていますので、委員長、どうかひとつ、次回にはそういう方向を考えて出してもらいたいと思います。  以上で終わります。
  19. 徳安實藏

    徳安委員長 内藤君。
  20. 内藤良平

    内藤委員 私が心配しておりますのは、そろそろ予算編成の時期になってきておるわけですね。私たちいままで運輸でやってきておりますが、総合交通体系なるものができて、国鉄の位置づけができた、そういう段取りの上に、前の大蔵大臣福田さんは、四十七年度の予算では抜本的な国鉄財政再建の予算を組む、こうしばしば言っておられるわけだ。そういう中で小委員会ができて、私など、ない知恵をしぼっていろいろ聞いているわけです。  ただ、ここまで来まして、国鉄総裁からは、大ざっぱな理解で恐縮でございますが、持っている二万キロを半分に分けて、間に合う一万キロと間に合わない一万キロを、まあこれは分断するわけじゃないということはわかっていますけれども、大きく分けて、間に合わないほうに対しては、国なり地方自治体なり、いわゆる他の力を借りたい、こういう発想だと思っております。間違いありませんか。——ところが、どうも国鉄の財政問題は、今日出た問題ではなく、だいぶ前からいろいろやっておるわけでありますけれども、苦しくなってまいりまして、例の固定資産税にかわるべき問題、その場合に、国鉄のいわば納付金をなくそうとする作戦は、いま振り返ってみますと、必ずしも成功してなかったような感じがする。赤字路線の廃止も、その衝に当たりますと、なるほど赤字路線を切りたいという気持ちもわかるけれども、これも住民から総スカンといってもいいのじゃないでしょうか。今度の一万、一万に分けてやるのも、私は、どうも国民的な感覚からはあまり賛成されないような感じでおります。間に合うものだけやって、間に合わないものはぶん投げちゃうというのは、非常に感情的な考え方ではないか。そういうような中でここまで来ちゃったわけです。またじんぜんするうちに、四十七年度も間に合わせの予算でいくようなかっこうになるんじゃないかしらという予感のようなものを持つわけであります。何かだらだらしたようなかっこうで今日の国鉄財政問題が進められておる。  しからば、どうしてそういう状態になるのか。私が言いたいのは、その衝に当たる国鉄が、もうこれより方法がないんだ、だれが何と言おうと、これはアメリカが言おうとソビエトが言おうと、例が悪いけれども、佐藤さんが言おうと総理が言おうと、もうこれよりないのです、国鉄あるいは五十万人近い従業員含めてこれよりないのだ、そういう決定版のようなものがまだ出てこないような感じなんです。国民に向かっても、国会に向かっても、従業員諸君に向かっても、世界に向かっても、国鉄はこれよりないのだ、そういう再建策なりあるいは国鉄一丸となった迫力なりが、どうも私は国民的にまだ受けてない、あるいは出てないというような感じです。  ですから、この小委員会なるものもどういうぐあいに持っていくか。これは私たちいまのところは、久保先生等ともまだまだわれわれの中でも結論は出てませんけれども、国会の中で、各党派が一致するところの結論というのはなかなかむずかしいのではないかと思っております。だから私は、みずから置かれている小委員なる立場からもこれはどうなるのだ、無責任な話だけれども、そんなような感じも持つわけです。  私、いままでの討議をいろいろ聞いた中で、きわめてしろうとくさい考えだけれども、この前關谷先生がいろいろお話しになったことは、私たちもなるほどとお聞きしていましたが、いまの国鉄で困っておりますのは、とにかく多額な支払い利息がある、これはあるいは私の理解かもしれませんが、それから貧乏かまどのくせに出資をしなくちゃならぬ鉄道建設公団に対するあれなどもある、あるいは納付金のようなものもある、こういうのを何だかんだいいながらやってきているわけですね。そういう現実がある。国鉄赤字赤字といいながらも、一般国民から見ても、そんなへんちくりんなものをなぜ出さなければならぬのか、出せるならそれは赤字じゃないのじゃないか、やっていけるのじゃないか、やはり親方日の丸だ、こんなようなぐあいにもなるのじゃないかと私なりに思っているわけであります。千何百億円の利息をたな上げするとか、あるいは鉄道建設公団の出資を断ち切ってしまうとか、市町村の納付金なんかも全部断ち切ってしまうとか、国民的にあるいは国鉄内部の皆さんから見ても、なるほどと思われるようなことがまず進んだ上でなければ、二つの分断案だとか何だかんだいいましても、どうも私は議論にならぬような気がしてならぬ。だから、いま私が申し上げたような支払い利息、納付金あるいは出資金ですね、だれが何と言おうと、こういうものを国鉄としてはもう払えないのだ、そういうことだけでもあなたのほうでそういう決意があるなら、国会のほうだって各党だって、これは道理の立つ話だと思っております。各党派あるけれども、その話は私は一応皆さんが御納得できるものじゃないかと思います。時間がありませんから言いません。そんなことはいままでの議論の中でおわかりだと思います。冒頭に申し上げたように、何かそこら辺が私はぴんとこない。  私の言っていることは、個人の意見かもしれませんけれども、もうすでにここまで来て、大体国民の皆さんでも、われわれいろいろ話し合ってみましても、いま話したようなことを話してわかってくれるのです。千何百億円の利息を払っているのだ、市町村に百億ですか税金を払っているのだ、あるいは赤字路線をつくっているような鉄建公団にまで出資をしているのだ、そんなむちゃなことがあるかと言えば、一般の方はわかります。鉄道でもそういう不退転の決意で、大蔵当局なり政府なりに国鉄国鉄だけのコンセンサスといいますか合意、少なくとも国鉄の五十万近い人間がその気持ちになって当たるようなことができぬものだろうか、あるいは気魄が——気魄といってはちょっと妙な表現でありますが、そういうものが今日必要ではないかと思っているわけです。これは時間もありませんから、別段答えは要りません。  それから、例の支払い利息は、不当ということばが当たると思いますが、要らざる経費は切っていく、久保先生もお話しのように経費を詰めて収入を増していく、最近の場合は簡単にいいますとこれよりないですね。ところが、今度話がこまかくなりまするが、貨物の問題でも貸し切り問題、これは小さいものを集めるよりなかなか率がいいわけでしょう。旅客の場合でも、ぼくらちょいちょい地方へ行きましても、貸し切りの旅客なんというものはある意味ではペイする仕事じゃないかと思うのです。ところが国鉄の団体旅行、貸し切り車の場合はひどい車が配車されるので、それはお断わりだと、団体を誘致にいった方がけんもほろろに断わられるような現状です。一方、バス会社ではデラックスなバスを用意して、団体客にはきわめてサービスをよくしている。国鉄は団体の場合はぼろ車をよこしてくる。これではとても今日のレジャーの、しかも今日の国民の皆さんの御要望から見ると全然当てはまらない。だから、出先の連中が幾らかもうけの多いような仕事にかかろうとしても、自体そういう道具がそろってないということも聞いております。  あるいは、これもこまい話ですけれども、そういう企画の問題だけではなくて、そこまで末端まで行き届いておらないのかという気持ちでも言いたいのですが、これはちょっと具体的でこまかい話で恐縮でございますけれども、あぐらをかいてマージャンをやる列車がなかなか需要が多いのだそうです。冗談のような話ですけれどもね。これは、そういうぐあいにこしらえた列車は畳を敷いて、一時間、二時間マージャンをやりながら目的地に行く。これは団体のあれです。その客車が引っぱりだこだそうです。私はやはりこれもある意味では、今日の旅客国鉄との関係をついておるのではないかと思うのです。私の知っている範囲では、車両が一車両くらいしかなくて、需要が何倍で引っぱり合いでどうにもならぬ、それを持ってくればもうかるのだがということですけれども、それもできないということらしいですね。だから、こういう点なども収入を増す面はまだまだあると私は思います。答えは要りません。  これは蛇足のようなものですけれども、やはりそういうような面もお考えになりながら、もう少し何か実の入った真剣なといいますか、いま先頭に立ってがんばっている総裁に、おまえふまじめだというのではないのですが、五十万人が真剣にやって、これより再建策がないのだ、国会の皆さんもこれをやっていただきたい、政府もこれだ、こういう状態を内部的にももう少し検討をしていただきたいし、また、いまぼくは素朴なことを申し上げたようだけれども、そういう三つの問題だけでも固めて出てくるならば、案外国会でも超党派の意見が出るかもしれぬというような気もしますが、どうも納付金をやめてしまうとかということは地方自治体にかかっていく、赤字路線も住民から、あるいは分断説、二つに分けるあれも何か国民的には反発が出るようで、どうも国会でも総裁の御意見も、あまり真剣に皆さん御論議しておらないようであります。久保先生もちょっとお話がありましたが、人間問題も当然ございましょう。しかしその前に、やはりいまのような容易じゃない国鉄の場合は、人間もありますけれども、客観的に見てむだな経費なりあるいは不当な支払いのようなものは、これを押えるような方向、それで一応固めた上で人間問題に入っていく。  何だか締まりのない発言になりましたが、以上申し上げまして終わりたいと思います。
  21. 徳安實藏

    徳安委員長 ほかにございませんね。  では、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十一分散会