○後藤
委員 まず最初に、
防衛庁長官にお尋ねするわけですが、三十日の
自衛隊機と
全日空機の空中衝突の
事故をめぐりまして、
自衛隊の教育
訓練のあり方、さらに軍事優先とする危険な体質、これらに対しまして世論のきびしい批判がある、これはもう私が申し上げるまでもないと思います。午前中
総理大臣の一番最初の
ことばの中にもあったわけでございますけれ
ども、
防衛庁の
長官が引責辞職をしたからといって、
政府の重大な
責任が解除されたというような、なまやさしい問題ではないと私は思います。
そこで問題の根本は、この種の
事故を今後一切起こさないこと、そのためには
自衛隊機の、いわば
訓練機の
訓練空域の問題やら、あるいは
管制等の問題等にも、これから順次真剣なる
検討が進められると思いますけれ
ども、それとあわせて重要なことは、隈一尉が記者会見の席でも漏らしております、
訓練第一の軍事優先の思想をそのままとするならば、この種の
事故を絶対に撲滅することはできない。たとえば隈一尉は、戦闘
訓練中に、上に飛行機があろうと、下に飛行機があろうと、そんなことにかまっておられぬ。これがいわば
自衛隊の
訓練思想と申しまするか、戦争思想と申しましょうか、その本音を吐いたのではないかということも、
新聞等でかなり報道をいたしておるわけでございます。
そこで、今度の事件によりまして、
国民の間で、
自衛隊に対するところの疑念というのはまことに深いと思います。これまた午前中にも話が出たと思いますけれ
ども、なくなられた人の
遺族は、
自衛隊がなかったら、こういうような悲壮な
ことばも吐かれておることも
新聞で報道されておるとおりでございます。
ところが、二日の参議院の
内閣委員会におきまして、
長官としては、先ほど山口議員のほうからも話が出ておりましたけれ
ども、第四次防とは直接
関係がない、四次防の
計画そのものにつきましては、世界の情勢その他、国内の力その他を考えてやっておるのだから直接
関係がない、こういうふうな
答弁を参議院の
内閣委員会におきまして、二日の日に
答弁をされております。そこで私は、この第四次防は膨大なる予算をもちまして装備を拡張するわけでございますけれ
ども、先ほど申し上げましたように、隅一尉が考えておるような精神のもとにおける、その体質における
自衛隊であったとするならば、さらにその体質が大きくなってきて、
事故を起こす危険性、機会というのは非常にふえる、こういうふうにもこれは考えざるを得ぬわけでございます。
そこで問題になりますのは、それなら
自衛隊の、朝日
新聞なりその他
新聞で、社説で論評いたしておりますように、先ほ
ども申し上げましたが、
管制問題なりあるいは
訓練空域の問題等もありましょうけれ
ども、まず第一番に考えなければいけないのは、
自衛隊の体質の問題である、これが第一番である、これを改めずしてこの種の
事故を防止することはできないのだ、こういうふうなことも多くの人が語っておることは、
長官としても十分御
承知であろうと思います。そうなってまいりますと、それなら
一体この
自衛隊の、いま申し上げましたような体質を、いかようにして
長官としては、いま私が申し上げましたような方向へ体質を変えていくか。なるほど
管制問題なり、あるいは
訓練空域の問題なり、あるいは特別
管制空域の問題等につきましては、それは専門家が語り合えば、いろいろとこれは改正するところはできるであろうと思いますけれ
ども、いま申し上げましたような
自衛隊の体質を、いま直ちに一ぺんにここで変える、このことは非常に困難な話ですけれ
ども、それをやらなければ、この種の
事故を撲滅することはできない。こうなってまいりますと、これはたいへんなことだと考えるわけでございますけれ
ども、いま申し上げましたような方向に対する
長官としての今日の
考え方はどうであろうか。さらに、相変わらずやはり四次防とは
関係がないのだ、今度の
事故につきましては、
事故に対する
対策はやるけれ
ども、四次防は四次防としてどんどんやっていくのだ、こういうようなお考えであるのかどうか、その点をひとつ明確にお答えいただきたいと思います。