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1971-09-22 第66回国会 衆議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年九月二十二日(水曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 小峯 柳多君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤 六月君    理事 徳安 實藏君 理事 古屋  亨君    理事 斉藤 正男君       河野 洋平君    關谷 勝利君       細田 吉藏君    増田甲子七君       山村新治郎君    金丸 徳重君       木原  実君    内藤 良平君       田中 昭二君    宮井 泰良君       和田 春生君    米原  昶君  出席国務大臣         文 部 大 臣 高見 三郎君         運 輸 大 臣 丹羽喬四郎君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   中村 寅太君  委員外出席者         警察庁刑事局長 高松 敬治君         警察庁警備局長 富田 朝彦君         警察庁警備局参         事官      斉藤 一郎君         運輸省航空局長 内村 信行君         建設省計画局総         務課長     大河内正久君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  今井 榮文君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 委員の異動 九月二十二日  辞任         補欠選任   菅波  茂君     細田 吉藏君   井岡 大治君     木原  実君   田代 文久君     米原  昶君  同日  辞任         補欠選任   細田 吉藏君     菅波  茂君   木原  実君     井岡 大治君   米原  昶君     田代 文久君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  航空に関する件(新東京国際空港に関する問題)      ————◇—————
  2. 小峯柳多

    小峯委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  航空に関する件について、本日、新東京国際空港公団総裁今井榮文君を参考人として御出席お願いし、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 小峯柳多

    小峯委員長 航空に関する件について調査を進めます。  この際、新東京国際空港建設に関し、運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。丹羽運輸大臣
  5. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 新東京国際空港建設に伴う第二次代執行につきまして、御報告申し上げます。  新東京国際空港敷地面積千六十五ヘクタールのうち、民有地は六百七十ヘクタールございますが、九月二十日現在、約八九%に当たる約五百九十五ヘクタール、第一期計画区域にありましては、約九八%に当たる約二百七十五ヘクタールが、任意買収によりまして取得されている次第でございます。  未買収地につきましては、収用裁決千葉収用委員会に申請しているわけでありますが、そのうち、第一期工事の工程上必要とする十四件、約三ヘクタールの土地につきまして、同委員会に対し緊急裁決の申し立てをいたしましたるところ、六月十二日裁決を得た次第であります。  しかし、明け渡し期限である八月十二日までに明け渡されませんでしたので、工事上障害となる物件の存する十件、約二・六ヘクタールにつきまして、千葉県知事に対し、八月十三日代執行請求をいたしました。  千葉県知事は、八月十四日代執行請求のあった十件につきまして、八月二十七日までに明け渡しを行なうよう土地所有者並び関係人に勧告をいたしましたが、遺憾ながらこれに応じてまいりませんでした。  この間、政府千葉県、空港公団では地元農民との話し合い努力をいたしまして、緊急裁決のあった十四件のうち三件につきましては、話し合いを成立させた次第でございます。また、運輸大臣及び空港公団総裁の連名をもちまして、再度にわたり、反対同盟委員長に対しまして話し合い機会を持ちたいと、その旨申し入れましたが、空港建設を前提とする話し合いには応じがたいとのことでございました。  そこで、九月一日千葉県知事は、社会党関係共有地及び天浪、木の根、駒井野の三団結小屋の四件は九月十日までに、団結小屋化している小泉よね住宅は九月十五日までに明け渡すよう、行政代執行法第三条の規定によりまして戒告をいたしましたが、いずれもこの戒告に従わなかったので、九月十六、十七日の両日にわたりまして、前記四件につきまして、代執行及びこれに続く整地作業を実施いたしました。小泉よね宅につきましては九月二十日代執行いたしまして、二十一日に整地作業を実施した次第でございます。  代執行作業にあたりましては、一日最高五千五百名の警察官警備のもとに、千葉職員十五名、公団職員百八名、作業員三百八十六名、計五百九名の作業関係者が充てられた次第でございます。  警察調査によりますると、反対派動員数は十六日四千名、十七日二千八百名、二十日一千名、二十一日四百名で、そのうち反対同盟員は、十六日の二百二十名、二十日の百五十名でございます。残りは全部学生及び支援団体でございます。  反対闘争の傾向としては、代執行地点から相当距離のある東峰地区におきまして警察官が襲撃される等、過激派学生ゲリラ活動が目立った次第でございます。また、作業の過程におきまして多数の負傷者が出たことは、まことに遺憾でございます。ことに、東峰地区におきまして三名の警察官が殉職されましたることは、痛恨のきわみでございます。つつしんで哀悼の意を表する次第でございます。  今回、五件に対する代執行は終わりましたが、供用開始に必要なる施設を完成するためには、個人住宅共同墓地及びいわゆる平和の塔の三カ所につきまして、早急に解決をはからなければならないという問題が残っておる次第でございます。  これらにつきましては、現在、千葉県の協力を得まして話し合い努力を続けておりまして、空港敷地内及び周辺の土地所有者に対しまして十分な施策を講じて、住民の御理解を得、極力円満なる解決をはかりたいと考えている次第でございます。  以上、報告を終わります。
  6. 小峯柳多

    小峯委員長 これにて報告は終わりました。     —————————————
  7. 小峯柳多

    小峯委員長 新東京国際空港に関する問題について質疑の通告がありますので、順次これを許します。徳安實藏君。
  8. 徳安實藏

    徳安委員 新東京空港建設に伴う代執行につきまして、私どもは十六日に行なわれましたあの醜いざま、ああいうことのないように望んでもおりましたし、また、当委員会でかような問題を取り上げて論議することのないように念願いたしておりました。しかるに、不幸にしてまことに醜い問題が出まして、こうした委員会を閉会中であるにもかかわらず開催せねばならぬということは、まことに遺憾千万でございます。その理屈はいずれにあろうとも、この現実を見ますれば、政府側も反省すべき点が多々あるのではないかと私は考えるのであります。ただ言うことを聞かないから権力で押し切るのだというようなことは、間々あるはずはないと思いますけれども、こうこじれてまいりますと、なかなか形式的な話し合いでは済まぬと思います。  私は、とりあえず公団側にちょっとお聞きするのでありますが、ただいま運輸大臣から御報告になりましたので、現在の買収せられておりまする面積あるいは未解決面積等につきましては承知いたしました。しかし、まだ相当に最後の完成までにはいろいろな手を尽くさねばならぬと思いますが、相変わらず次の段階においてもかような見苦しい、まただれから見ましても何ともことばで形容しがたいあのテレビでの情勢、新聞等に載せられる写真などを見まして、ああいうことがまたこの上とも続くのであろうかという心配を持つのでありますが、続いて来年の五月あるいは六月でございましょうか、とにかく新空港が整備されて使用されるまでの間、重ねてああいう問題がどうしても避けられないのかどうか。もちろん、避けたいという気持ちはあるでありましょうけれども、それを避けるためには、相当な決意熱意がなければならぬと私は思うのであります。これに対する公団側熱意というものを、ひとつ聞きたいと思います。
  9. 今井榮文

    今井参考人 お答え申し上げます。  徳安先生のおっしゃるように、第一期工事区域については三カ所を除きまして、工事はこれによって著しく進展すると思いますが、今後の私ども反対派に対する姿勢と申しますか、あるいは信念と申しますか、そういった点について一言申し上げたいと思います。  私どもは従来敷地内の反対派農民方々、これは第二期工事区域に現在約三十世帯ほど残っておるわけでございますが、こういうふうな人たちに対しましては、代替地についてのお話し合いというものを中心にして円満に解決するように、今後全力をあげていきたいということでございます。  それからなお、空港開設後の騒音問題について非常に不安を持っておられる空港の南側の、特に山武郡芝山町の人たちに対しましては、国、県にも御協力いただきまして、できるだけきめのこまかい騒音対策というものを実施するという線で話を進めていきたいということでございます。これは現在の反対運動実態というものが、そういうふうな現実敷地内あるいは敷地外生活の本拠を持っておられる方々で、それに対しましては、私どもとしては、いままでも話し合い機会を持ちたいということで、現に第一次代執行後におきましても、反対派方片で私どもの申し出を受けられて円満に話のついた向きも相当あるわけでありますが、今後もその努力を続けていきたいと思います。  なお、先ほど大臣の御説明にもございましたように、第二次代執行における反対派勢力実態は、大部分が支援学生中心とする外からの勢力でありまして、こういうふうな人たちは、現実敷地内外生活の基盤を持っておられる方々でないので、私どものそういった代替地なりあるいはまた騒音対策というふうな問題についての話し合いに、全く興味を持たないという方々でございますので、こういったふうな勢力との話し合いということは、私ども努力では遺憾ながら非常にむずかしいのではないか、かように考えております。
  10. 徳安實藏

    徳安委員 直接の利害のない諸君に、公団話し合いせいなんていうことは私は考えておりません。私は、これはされなくてけっこうだと思います。しかし利害を持つ諸君、これと公団側との密接な関係が保たれて、そういう者が入るすきがないような努力をなさいましたら、あるいはそういう者も入り込んでああいう騒動を起こすことはないのではないか。そこにすきがあり、相互に開きがあって、そうして話が通らない、あるいはまた話が通らないということから、そういう者が間隙に乗じて騒ぎを始めるわけでありますから、何といってもまず買収関係のある諸君と密接な血のつながりをつけるくらいの熱意が、公団側にあってしかるべきだと思うのであります。  大体この収用ということにつきましては、ひとり空港だけの問題ではありません。過去におきましても、ダムの問題にしましても、あるいは河川の改修にしましても、道路改良にしましても、あるいは鉄道、新幹線の問題にしましても、あるいは高速道路開設にいたしましても、みんなそれぞれの用地買収につきましては苦労がある、これは当然であります。しかしながらほかのほうでは、もちろん集団的ではないからといわれるかもしれませんが、警察の力を借りてああいう代執行をしなくても、どうにか話し合いをつけてまるくおさまっておる。こういうようにひとり公団、つまり国際空港だけが年中行事のように警察の力を借りなければ代執行ができないというような、双者の間の大きな感情と申しますか、気持ちの上において相いれないところに、ああいう過激学生の入り込んでくるような問題も生じるのではないか、こう思うのでありまして、いま総裁はいろいろと計画をお話しになりましたけれども、私は総裁みずから飛び込んでいって、そうして何十人、何百人おるか知りませんけれども、やむを得なかったら一人一人とでも面接をして話しをするくらいの熱意があっていいのではないかと思うのであります。  過去におきましても、私どもはこうした問題にずいぶんぶつかっております。土地収用というような問題あるいは農地収用というような問題については、やはり持っている人の愛着心と申しますか、耐えがたい、忍びがたいものが多いのでありますから、これをちょっとしたかげんで、感情の行き違いで、居すわりをいたしましたり言うことを聞かなかったりして、とうとう収用法にかけなくちゃならないようなこともありますが、しかし、ほんとうに腹を割って話し込んでまいりまして血が通いますれば、たいがいのことは解決する。この解決しない原因は、双方に理解が足らないからだと私は思うのであります。  かつて、私もこうした方面には関係しておりまするし、現在でもしておりますけれども、あくまでがんばっている人の話を聞きますと、役人が来て、そうして応じなければしかたがありません、収用法でやります、私もそれだけの覚悟を持っているのですというようなことを言うものですから、それならやってみろというようなことから、つまらぬところに感情が入って、せっかく道路ができておっても、その道路のまん中に一軒だけ二年も三年も家が撤去できない、それで道路が開通できないというようなものも、日本全国には間々あることであります。しかし、これは当該者のところへ知事なりあるいは国のほうの代表が行って話し合いをすれば、おおよそまとまるのですけれども、下のほうの役人たちが行って、つまらぬ感情的な話をしますとまとまりません。こんな国家的な大事件ですから、大臣一緒に会おうなんというような形式的なものじゃなしに、総裁みずから足を運んで、会わぬといっても、とにかく会って話をしようじゃないかというような熱意を示されたらもう少し好転するのではないか、私はこう思うのです。こういうことがたび重なるごとに、三千人だの五千人というような警官を出して代執行をしなければならぬというような実情は、私どもは見るに忍びない。  また、おそらくこの空港という問題は、イデオロギーの問題じゃないと私は思うのです。共産主義国とか社会社義国だからといって国際空港、つまり大きな飛行場をつくるということに反対している国は一つもない。みんなこしらえているのです。ですから、共産党だから反対だ、社会党だから反対だ、民社党だから反対ということは私はないと思うのです。どこかに行き違いがあるのであって、話し合いをすれば解けるのではないか、こう思うのであります。それを、ただイデオロギーでしかたがないのだというような考え方で片づけて、土俵の上で組んだままでこれを解こうとしない、そのところにこうしたまことに困った問題があるのじゃなかろうか。国民の大多数は、おそらく飛行場のできることを望んでいない者はないと思います。政治家として、各議員諸君もこれに反対をする方はあろうはずがありません。したがって、これをどうしてもやらなければならぬという努力政府が払うことは当然のことでありますし、私も賛成であります。しかし、それにはできるだけ理解させるように努力すべきだ。テレビを見ておりましたり新聞を見ておりますと、おばあさん、年寄りあるいはまた婦人等が手足をかかえられて、そうして泣いて騒いでいるような事情を見ますと、これはいい悪いにかかわらず、国民感情としてずいぶん政府が無理しているのじゃないかというように感ずる人がほんとうに多いのじゃないか。どこを歩いてみましても、もうちょっと何かできぬのですかと言われるのです。  こういう点について、総裁わらじがけで一軒一軒たずねて歩いてその必要性を説き、わからない人にこんこんと言い聞かして、そうして各党の協力を求め、地方の有志の援助も求めて、不名誉な警官出動を願わなくともやっていけるくらいな熱意をお示しになることが必要じゃないかと思うのですが、いかがでしょう。これはひとりこの空港だけではありません。やがては来たるべき関西空港もあるでありましょう。こういう大きい空港をこしらえるたびにこうした騒ぎがつきものだというようなことは、なるべく避けるべきだと思うのであります。一ぺん総裁の御信念を伺いたいと思うのであります。
  11. 今井榮文

    今井参考人 まことにおっしゃるとおりでございまして、空港位置決定以来、私どもの至らなかった点も多々あると思います。  ただ私自身昭和四十三年にようやく大多数の地主さん方との間に価格協定ができますまではほとんど成田に参りまして、あるいは一週間、十日というふうに現地に泊まり込んで実際農民方々とお話し合いをした結果、当時反対運動の渦の中にあった三里塚の空港予定地の中で、ほとんど大多数の方々賛成を得て、円満に土地を売り渡していただくということもできたわけでございますが、その後、私どもとしてもやはりできるだけ現地方々と話したいということで、実際に私自身つい最近まで、従来反対しておられた農民の方とも現実にお会いをいたしているケースがございます。ただ、徳安先生御指摘のとおり、私どもの考え及ばなかった点、あるいは力の、至らなかった点については十分反省をいたすわけでございます。  ただ、現在の反対運動実態、先ほど私がちょっと触れましたけれども、現在私ども代執行知事お願いいたしましたような地点につきましては、これは本来空港建設反対するという意味で、ごくわずかな土地をたくさんの人たちで共有するという戦術的な共有地でございまして、こういった共有地は、ほんとう空港建設を妨害する意図のもとにつくられたものでございますので、そういった土地を取得するための話し合いということは、私どもが幾ら努力してもなかなか実現ができなかったという点がございます。先生が先ほどおっしゃいましたように、今後は私自身直接出向きまして、農民方々とも話し合いをし、また現地のそういう地区に住む方々ともお話ができるように、あらゆる地元先生方その他の方々の御協力も得て、極力私はそれをやっていきたいと考えております。
  12. 徳安實藏

    徳安委員 いま総裁決意を聞きましたから、おそらく次の場合には、こうした代執行にあたって警官をたくさん出して正面衝突するなんということはないようにできるとは思いますけれども、しかし、これはなかなかなまはんかなことではできないことでありますから、ただこの委員会におけるおざなりの答弁ではいけぬと思います。相当自分の運命をかけての決意というものがなければだめだと思うのであります。  こういう点につきまして、私はかつて経験もございますが、私がかつて郵政省にお世話になりましたときには、長い間全逓ともみ合っておりまして、もう年中行事のごとく新年の年賀状などは年を越えて、しかも正月の松がとれなければ配達されないような状態が長く続いておりましたけれども、私は、当時郵政省に行けと言われまして、就任してからすぐに宝樹委員長とも会いまして、私もはからず毛郵政省に来た、君も郵政省人間じゃないか、お互いに腹を割って話そうじゃないか、正しいことは私は命をかけてもやりましょう、しかし、私どもにも守るべき一線はあるのだから、これは理解してくれということで、私が就任いたしまして三日目には手を握りまして、そうして御承知のように、私が参りましてから一ぺんもストもやりませんでしたし、年賀はがきもその年からちゃんと一日から配達されるようにしまして、私がやめるまでけんかなんというものをほとんどしなかった。私のところへもちょいちょい来なさい、かまわぬから大臣室にどんどん来なさい、私もあなたのところに行くよと言ってビールも持っていき、あるいはその他も持っていきまして、役人諸君一緒組合に行きましたし、組合諸君も私のところに来て飲んでくれた。私は、これは決して自慢ではございませんが、腹を割って人間同士が話をしますれば、それほど意地になることはないと思うのです。総裁みずからひとつ一升びんでもさげて、そうして一番反対の強い諸君のところに一ぺん訪問しなさい。そうして、さああぐらをかいて飲もうじゃありませんか、そうしてあなた方の言い分も聞こう、しかし政府言い分も聞いてくれ、私どもの立場も考えてくれというぐあいに、一ぺん行っていかなければ二へん、二へん行っていかなければ三べん、足をすりこ木にして行くくらいの誠意があれば、だんだん打ち解けていって、その諸君反対行動をとらないようになる。そうして、過激な学生成田からその姿を没するようになるだろうと私は思う。そうしませんと、次の関西のほうの空港計画がかりにできましても、またあれをやるのかなということになりますと、われわれも賛成しがたいと思う。これは国家的な事業でありますので、なまはんかでできる問題ではないと思います。ですから、これには当該公団みずから先頭に立って、総裁、副総裁、全部が外に出て、一人一人説きつけるというくらいな熱意を示してもらいたい。これをぜひお願いしたいと思います。  同時に、運輸大臣に伺いますが、運輸大臣もすぐの直接の関係ではないでしょう。しかし、公団を監督されておられるわけでありますから、ただ書面だけのことで了承されずに、ほんとうにやっているかやっていないか、時によりましてはおまえと一緒に行こうじゃないかというくらいにやってもらいたい。われわれが選挙区に帰って、裏長屋のおかみさんに頭を下げたって、別にそう見識がないとは私は思っていないのです。まあ大臣であってもそういうお気持ちで、民主政治であり民衆政治家であることは間違いないと思うから、自分選挙区に帰るような気分で、ひとつ公団責任者を連れて足を運ぶというくらいの決意でやってもらいたい。書面でああそうか、そうか、それはおまえのほうがやっていることには手落ちはないな、それでいいわい、やはり悪いのはあの連中である、だからしかたがない、縛ってくれ——もちろんそういう大臣ではないと思うのです。またあるはずはない。私も親友としてあるはずがないと思うのですが、新しく今度就任なさいましたのですから、ひとつそういう新しい道を開くような努力を払っていただきたい。そうして、こういう醜いことが再び繰り返されないように、ひとつ御尽力を願いたいということを申し上げ、御所信を伺いたいと思います。
  13. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの御意見、まことにもっともと存ずる次第でございます。  私といたしましても、民主主義政治のもとはお互いが話し合うことである、話し合いましてお互いが納得をしまして、そうして結論に到達するということが一番肝要なことでございます。それゆえに、私もぜひとも代執行は避けまして、そして話し合いによりましてきめたいというつもりでおりまして、就任早々ではございますが、新空港敷地の様子も見てまいりましたし、また委員長さんにも、書面だけでございません、千葉県知事を通じ、成田市長にもお願いをいたしまして、会いたいということをお願いをした次第でございますが、やはりまだ私ども誠意が通じなかったのは遺憾でございましたが、その時期に到達いたしませんで残念に思っておる次第でございます。しかし、いま徳安先生からのほんとうに貴重な御意見、そのとおりでございまして、私もいつでもひとつ空港総裁一緒になり、あるいは単独でも、もしできますならば残る三件の方々に対しましてお会いもいたしまして、そしてできるだけの話し合いを続けてまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  14. 徳安實藏

    徳安委員 それでは、公団なりまた運輸大臣に質疑することは、次の機会に幾らでもできますから、本日はこれはその程度にいたします。  公安委員長おいででございますし、警察関係の方もおいでのようでございますから伺いたいのでございますが、これは国民の一人の声としてすなおにひとつ聞いていただきたいと思うのです。ということは、法律的にいろいろなことを承知しておる者から見ればそれは愚問であるかもしれません。しかし一般の国民は、別に全部法律を知っておるわけでもありませんで、どうも聞いておると、あれくらいな場所にあんなたくさんな人、警官を出してやらなければいけないのかな、少し大げさじゃないのかな、この間こういうことを聞きました。しかし、私どもはいまあれを策するためにはこれもやむを得ないだろう、こう思っておりましたが、今度の代執行にあたりましても、何か新聞によりますというと、五千名近い者をお出しになっている。またその要請もしておるようであります。私は、警察公団あるいは政府筋の不手ぎわのために大きな犠牲を払っていただいていることにつきましては、心から感謝しておるものであります。こんな手数をかけなくてもできそうなものだったのにと、まあ私はそう思うのですけれども、しかしながら、どういういきさつでありましたか、今日のような事態になりましたことはまことに残念で、警察諸君にはほんとうに御苦労さまだ、こう実は心から感謝しております。特に十六日の、あの三名の警官を死亡させ、他にもたくさんの負傷者を出したということについては、私ども国民としてほんとうに申しわけないとおわびをせねばならないと考えておるものでありまして、これらの方々に対しましてはつつしんで弔意を表すると同時に、また一日も早く全快されることを望むものでありますが、あの空港にこれくらいたくさんの人を出さなければほんとう代執行できないのかと、何か国民の目から見ると割り切れぬような気持ちがするのであります。  何かこちらのほうで、いつ代執行やりますよ、反対があるならお集まりなさい、対決しましょう、そう言わぬばかりの——新聞が悪いのかもしれません。書いてならぬこともどんどん書くのが新聞でございますから、別に予告はなさらぬのでしょうけれども、もうちょっと手ぎわよく代執行できそうなものなのに、何日か日をおいて、そうして何日には代執行しますよ、警官もたくさん出ます、それについて対抗する者は、うんと早く集めてちゃんと準備をしなさい、こういうような、何かわれわれ国民から見ると割り切れぬような気持ちがするのです。これはひとり警察の問題ではないと思うのですけれども、もうちょっと手ぎわよく、そんなに相手方の集まるのを待たなくてやっていただく方法はないのか。それは私がやるのじゃなくて、県なり公団がやるので、私はただ要請によってやるのだということであるなら、これもまたやむを得ませんので、これはそういう要請をするほうに注意をせねばならぬと思いますけれども、何だか見ておりますというと、けんかを大きくするような形に持っていかれているのではないかというふうにも思われるのであります。成田に鉄かぶとをかぶって行く、あるいは竹やりを持って行く、そういう者を、集まれば集団をしてこれをじゃまをする、妨害をするということがわかっておるのに、その集まるのを立って見ておって、そうして何ぼくらい集まったらしい、集まりなさい、あすはやるのですよというような形にしておいてから、警官が三千人、五千人行く。これはどうも私どもは、国民の一人としていままで見ておりますと、衝突することを予告しておって衝突されるようにしか見えぬような点もあるのです。これは私どもの考え違いかもしれませんが、それはほんとう警察には申しわけないことだと思っておりますけれども、この問題に対する警備の概況なり、今後どういうふうにお考えになっておりますかということについて、忌憚のないひとつ御説明を承れればしあわせだと思います。
  15. 中村寅太

    ○中村国務大臣 徳安議員の第一に御指摘になりました、警察官の数が非常に多過ぎるような印象を受けられたということ、これはごもっともだと思うのでありますが、私らの立場といたしましては、代執行を行なっていきます過程において、双方にけががないという、負傷者を出さないということを第一義と考えております。そういうことから、過激学生動員数とやはりにらみ合わせて警察官の配備の数も必要でございます。当初やはり三千人ないし四千人の過激学生が集まるということが予定されましたので、五千人ないし五千四、五百人動員したのでありますが、特に今回の場合は、前回のときのように拠点だけに立てこもって妨害するという向こうの戦法でもないような気配が出ましたので、後方に相当ゲリラ的な行為があるということが予想されましたので、それぞれ警察官を広い面に分けて対処しました関係で、数もかなり大きくなったということを御理解願いたいと思います。  それから、いま徳安委員も御指摘になりましたように、過激学生が竹やりを持ったりあるいは火炎びんを持ったりして集まってくるのをじっと見ておって、いよいよ最後のどたんばで力の対決をしておるように見えるという御指摘でございますが、私らといたしましては、特に今回は事前にあらゆる場所に検問所をつくりまして、外から入ってくる人はできるだけ検査をするし、それから、危険なものは取り上げるような処置をとったのでありますが、ただ人間が入ってまいりますのは、なかなかいまの立場では、これを途中で入ることならぬという、とめることのきめ手がございませんような関係で、たくさんの人が入ってしまう。それから、今度は入りましていろいろああいう暴行等をやる場合の道具というものが、やはり反対派人たちの家の中に隠されておるというようなこと等もございまして、そういうものはなかなか事前に踏み込んで取り上げるということができないというむずかしさがございまして、残念ながらああいう結果になったのでございます。まあできるだけ少人数で、しかもけが人等を出さないようにしてやれることが理想でございますが、現在の時点ではある程度の数を出して、そうして力の差で、けが人あるいは死者を出さないような方向に使っていこうというたてまえで実は警備に当たっておるわけでございます。どうぞひとつ御理解願いたいと思います。
  16. 徳安實藏

    徳安委員 竹やりとかそれから鉄パイプなんというものは、これは凶器でないのですか。事務当局でけっこうですからひとつ……。
  17. 富田朝彦

    ○富田説明員 お答えいたします。  竹やり、竹の先を削りまして鋭くしておるというようなものは、これは凶器と私どもは認定をいたしておりまして、そういうものを多数持って参集をしておる、しかもそれがある意図を持って警察部隊を襲撃するというようなことが看取されます場合は、当然これは兇器準備集合罪等の法令を活用いたしましてこれは取り締まりに当たっておるわけでございます。また火炎びん等でありましても、現に成田駅等の検問等で相当のものを押収し、ある程度の所持者を検挙いたしております。  したがいまして、竹そのものであるとか、あるいはその形状とか、そういうものによりまして一がいには断定できませんけれども、いま例として申し上げたようなものであれば、当然凶器と心得ております。
  18. 徳安實藏

    徳安委員 同時に、爆弾だとかそれから火炎びんなんというもの、これも普通の人が持つべきものじゃないのですから、そういうものを持って集合する場合、それがはっきりしますれば、これも何か途中でさえぎるとかとめるとか逮補するとかという方法があるのではないかと思うのですが、そういうものは、使いさえしなければ持って歩いても差しつかえないのですか。
  19. 富田朝彦

    ○富田説明員 この代執行に伴います警備に関しましては、過激暴力集団の動きが、事前にそういうものを持つかもしらぬというような情報等もございまして、予定されます代執行日の相当前から、都内から千葉県にかけまして厳重な検問等を行なってまいったわけでありますが、その過程におきましては、彼らは巧みにほとんどものを持っていない。ということは、あの千ヘクタール以上の周辺に、さらに広がるあの常総台地、そういうところにいつのころか、これは私どももまだ捜査を遂げませんと明確になりませんけれども、隠したガソリンとかあるいはそういう山林を伐採した竹とか、いわゆる彼らの凶器というものは、そういうところで製作をしたものが多かろうと思います。したがいまして、前日にも警視庁の部隊が駒井野の山奥を捜索、検索をいたしましたところが、約五百本近い火炎びんを発見をいたして押収をいたしておるわけでありますが、ただ、成田駅頭等に電車を使いましており立った際は、ほとんどそういうものを持っていないという状態が多かったわけであります。しかし、そういうものをたまたま持っておる者がございますので、それは成田駅頭等で検挙もいたし押収もいたした。こうした努力は積み重ねたわけでございますが、結果としてあのようなまことに残念な結果を、殉職事案を発生いたしましたことは申しわけないと思っております。
  20. 徳安實藏

    徳安委員 新聞で見たのですから、その数字はあるいは的確じゃないかもしれませんけれども、九月の十六日から二十日までの間た逮捕された者が三百八十二人、そのうち送検された者が三百八十人、こういうような数字が出ておりますが、あの騒ぎに加わって火炎びんを投げたり竹やりを持った人間はこんなことじゃない。これは相当数がそういう騒動に加わっておる過激学生だと私は思うのですけれども、どうしてそういう者はつかまえずに、逃げちゃったからしかたがなかったということですか。当然火炎びんを持ったり竹やりを持ったり爆弾を持ったりして隊をなし集団をなしてやった者は、もう集団そのものが全部私はやはり逮捕さるべきじゃないかと思うのです。二千人、三千人が騒いでおるというのに、逮捕された者は四百名足らず、こういうようなことは、何かやっぱり国民感情としては割り切れないのです。その内容をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  21. 富田朝彦

    ○富田説明員 お答え申し上げます。  第二次代執行を妨害する不法行為を検挙いたしました総数は、今日までで四百七十五名でございます。そのうち勾留されております者が三百七十名。これは第一次代執行が二月にございました。期間は長うございますが、いゆる暴力集団が妨害をした総数はほぼ今回と同じようであります。その際は四百六十一名の検挙。それから七月に仮処分がございました。その際は、暴力学生集団の現地集結はそれほど多くございませんでしたが、二百九十一名、こういう検挙の状態でございます。  いま徳安先生御指摘のように、私どもとしましても、何とかしてそういう違法行為を犯します者は、現場において逮捕することが、彼ら暴力集団のそういう不法な意図をくじくことであるということで、まさに先生と同じ気持ちでいろいろやってまいりましたが、現在、御案内のように刑法その他のたてまえが個人帰責というたてまえになっておりますので、証拠法上いろいろその辺の問題がございます。したがいまして、つかまえたけれども公判廷で云々というようなことは、やはり私どもとしては十分それにも考慮し、対処してまいらなければなりませんので、そういう観点から、一網打尽というわけにはなかなかいかなかったわけでございますけれども、しかし、現在、あの殉職事案等に関連をいたしまして、捜索個所、都内並びに現地二十五カ所、それから千葉警察中心にいたしまして、多数の捜査員を導入いたしまして現場検証その他をやり、鋭意あの、いわゆる殺害事件の犯人の追及に当たっておりますと同時に、周辺の物資小屋あるいは置き場、あるいは飯場、こういうものに対する彼らの放火事件につきましては、二十名近い放火犯を逮捕いたしておりますので、これをさらにそういう観点とあわせまして追及捜査を徹底してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  22. 徳安實藏

    徳安委員 これは公判に回って、片っ端から無罪になるようなことがあってもいけないでしょうから、またそういうことは人権じゅうりんにもなりますから、十二分に気をつけてもらわなければならぬことは当然であります。いやしくもそういうことのない者をそうらしく考えて逮捕することは、できることじゃないし、あってはならぬ。これはあたりまえです。しかし、千人なら千人でかたまって一緒になって火炎びんを投げている、竹やりをやっている、そのやっている場所だけは、ひとつ今度は写真技師の優秀なやつでも連れていって、全部写真をとって、そしてそれを証拠にしてでもそういう者だけはつかまえなければ、二千人も騒いでたった三百人しかつかまらない、あとの千七百人は免れておるんだという形は、どうも国民感情としては私は納得できないと思うのです。確かに証拠物件がなければできぬでしょうけれども、もうちょっと科学的な、いま心臓でさえ入れかえできるような時代ですから、もうあそこの中に入って騒く連中は、どこからでも証拠があがるような手だてというものはできぬものですか。そうしませんと、何人かが縛られればいいんだ、あとはまた次の機会だというようなぐあいで、警察を甘く見、国の法律というものはないがしろになるんじゃないでしょうか。もう一ぺんひとつ御信念を伺いたいと同時に、今後の手段、今後こういう問題についてはどうするんだという、その御覚悟のほどもひとつ事務当局からも伺いたいと思います。
  23. 富田朝彦

    ○富田説明員 お答えいたします。  今後ああいう暴力集団が、都市を中心にしていろいろ不法行為に出るということも、十分予想して対処してまいらなければならないと考えておりますが、一般の市民生活に直接影響といいますか、非常な不安を及ぼすような状態等が出ましたときは、これは先生御案内のとおり、刑法典の騒擾罪その他で、まさしく一網打尽と申しますか、不法行為に出ました者についてはそういう覚悟で取り締まりに臨もう、かように考えております。  同時に、今後彼らが都市を舞台にしてやりますような場合におきましては、これは都市そのものは非常に広うございますから、そういう意味で少なくとも精鋭な遊撃部隊を広く配置する、各警察署にそれぞれ遊撃部隊を編成するというようなことで、一一〇番その他には直ちに応ずるということを、民間の方の御協力、われわれの努力とともにそういう措置をとって、市民生活国民生活の上に御不安のないように、私どもは極力努力をいたしたい、かように考えております。
  24. 中村寅太

    ○中村国務大臣 私から一言、徳安議員にお答えしておきたいと思います。  いま徳安議員が仰せられましたように、あれだけたくさんの者が傍若無人な行為をしておるのに、ごく少数の者しか逮捕されないということは、やはり私は国民感情としても納得し得ないものがあると思います。そこで、私らといたしましてもあらゆるくふうをいたしまして、いま御指摘になったように、できるだけそういう凶悪な行為をしておる者は、一人ものがすことのないように逮捕するという姿勢をもって、いろいろ今後くふうをひとつ重ねてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  25. 徳安實藏

    徳安委員 今回の第二次代執行に対しまして、警官の負傷せられた諸君、なくなられた三名の方はもう氏名はわかっておりまするし、私も心からお悔やみを申さねばならぬと思いますが、相当に負傷なさった方で、いま病院に入院中の方もありましょうが、そういう方々で、もう回復は間違いないという者ばかりか、あるいはまだそういう見通しのつかない重傷者もあるのか。あるいはまた学生の中にも、先般新聞を見ますと、一名が危篤だ、しかし、名前や何かは新聞に発表してくれるなと、おとうさんやおかあさんが言っておるという話、新聞に出ておりました。これは親としてごもっともだと思います。ですから、私もそういう者をなにしようと思いませんが、学生側にも負傷者やそういう者が相当あるんじゃないかと思いますが、そういう諸君の現在の入院等の経過はどんなぐあいになっておりますか、数はどんなぐあいになっておりますか、お聞かせいただきたいと思います。
  26. 富田朝彦

    ○富田説明員 お答えいたします。  警察官の十六日から二十一日までの間の負傷者は二百六名でございます。そのうち四十七名が現在入院をいたしております。その大半は九月の十六日、殉職者を出しましたあの地点が大半でございます。当日は、さっそくヘリコプターあるいは救急車等によりまして、成田日赤病院その他に収容いたしまして、応急の措置を願ったわけでありますが、そのうちやけどの激しい者あるいは打撲傷のひどい者等につきましては、逐次ヘリコプターその他で、東京あるいは横浜の病院に移しまして、さらに看護を続けておりますが、現在、一名打撲傷によりまして、東京まで移せないという状況の者がございますけれども、これは千葉の医大の教授等にいろいろ看護、診断あるいは治療等に当たっていただいておりまして、やや意識も回復しておるように聞いております。  なおそのほか、この代執行の過程でけがをして、私どものほうの医務室に収容をしました公団作業員あるいは学生、こういう者につきましても、当時公団分室に警視庁の医務室長といいますか、医務の責任者であります梅沢博士以下看護婦を含めまして十数名の者が派出しておりましたので、それらの診断等の結果を待ちまして、それぞれヘリコプター等で成田の日赤に運ぶ、あるいは消防の救急車をお借りして運ぶ、こういう措置をとったわけでございます。
  27. 徳安實藏

    徳安委員 残念ながらもう時間が来たようでございますので、私は中途でやめるようなかっこうになりますけれども、他の方の御迷惑になってはなりませんから、こり程度でとどめますが、最後に重ねて申し上げたいことは、ぜひひとつ、こうした問題解決には情熱を込めた誠意というものが必要なんで、これに対して、総裁からもその決意のあることをここで披瀝されましたし、運輸大臣のそのおことばもありましたから、私はこれを信頼をいたします。どうか次の代執行などのときにはこんな騒ぎがないように、まあできれば代執行がないようなことまでもひとつめどにして、誠心誠意、まあ昔の人間のことばですけれども、至誠神に通ずるということばがあります。ほんとうに至誠を披瀝して相手方と話し合いをいたしますれば、やはりできることも相当あろうかと思いますので、こういうような騒ぎが再び起こらないような万全の処置を、総裁決意も促したいと思いますし、同時に、その監督者である運輸大臣の御所信を、もう一ぺん伺っておきたいと思います。  さらに私、まあこういうことがあってはならぬと思いますが、もしそういう最悪の場合があったといたしましても、いま申し上げましたように、法はあくまでも守ってもらわなくちゃならぬ。警察の方には御迷惑でしょうけれども、とにかく悪いことをしたり法に触れる者は、一名も残さずに処置をする。その処置はきわめて峻厳でなければならぬ。そういう者の出ることを防ぐための努力は、さっき申し上げたとおりに、運輸大臣空港公団で最善の努力を払わなくちゃならぬが、払ってもなおかつやむを得なかったときには、これはまあ免れる者だけが得をするということではなしに、あくまでも峻厳な態度で臨んでいただきたいということを、公安委員長お願いしたい。  特に、昨日公明党の竹入委員長が非常に大きな災いを受けられた。これはまことに私ども党人といたしましても、何とお見舞い申し上げていいかわかりません。もしこのようなことがかりにもほかに及ぶようなことがありますれば、これは天下の一大事でございます。取り締まりの責任者でございます公安委員長、これは別にこの新東京国際空港の問題とはかけ離れた問題ではありますけれども、取り締まるに所をもってし、厳ならざれば、思い上がった諸君はかようなことを随所に起こすかもしれません。かようなことがあっては、これは国家の一大事でありますから、悪いことをすればこうなるのだ、そういうことは一切許さぬ、天人ともに許さぬというひとつ峻厳な態度をもって、こういうばかな者が再び出ないようにするためにも、確たる御所信を重ねて伺いたいと思います。  お二人の所信を伺いまして、私の質問を打ち切りたいと思います。
  28. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの御意見ごもっともで、私もそのつもりで進んでいた次第でございますが、今回はどうしても話し合いがつきません。代執行の挙に出ざるを得なかったことは、まことに残念に思っておる次第でございます。今後のことは、ことより徳安先生御指摘のとおり、あくまでも、どこまでも話し合いを続けまして、円満なる解決をはかるということに至誠をもって当たりたい、こう思っておる次第でございます。  ただ、何と申しましても、いま羽田空港は非常な混雑をしております。私ども一番心配をしておりますのは、航空の安全をいかにして確保するかということでございます。運輸大臣就任以来、その点につきまして毎日といっていいほど、航空局長はじめ航空の行政担当者に対しまして、安全を第一にしろということを言っておる次第でございます。しかるに、やはり国民航空機利用熱というものが非常に高まっておりまして需要が非常に多い。需要が多いけれども、いま安全第一で、せっかく飛行機に乗りましても万一のことがあったらえらいことになるからということで、便数も制限をさせておるというふうな状態でございますので、成田空港の完成を一日も早くできるように、いまやっておる次第でございます。  そういうことでございますので、私といたしましては、もとより微力ではございますが、先頭に立ちまして説得工作を続けるつもりでございますが、議員の先生方、ことに地元議員の先生方の格別の御協力をいただきまして、今後は円満なる話し合いのうちに残りの問題を処理いたしまして、そして航空安全確保のために成田空港が早期に竣工できますようにいたしたい、こう思っておりますので、御了承願いたいと思う次第でございます。
  29. 中村寅太

    ○中村国務大臣 先般の成田空港代執行の際に、警察官が三名殉職されるというような不祥事が起こりましたし、さらに昨日は、御指摘のように公明党委員長の竹入先生が突如暴漢に襲われて重傷を負われたというような、まことに遺憾きわまりない事態が起こったのであります。私ら治安を守っておる者といたしましては、こういうことが再び起こることのないように、万全の処置を尽くしてまいらなければならぬと思っております。  いままでも、要人等に対しましてはできるだけ警護の配備を整えまして、不慮の事態が起こらないように配慮を続けてはきておったのでございますが、昨日ああいうことが起こりまして、これを反省の機会としてさらに万全の処置をとって、徳安議員の御心配しておられるようなことの再び起こらないように体制を整えてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  30. 徳安實藏

    徳安委員 もう一口だけ申し上げておきますが、私は、話し合いのためにはだらだら長引いてもいいと言うのじゃ決してないのでして、これは期限もありましょうし、交通安全のためにあそこの整備が急務であることはだれもが認めておるわけでありますから、その期間をだらだらと延ばせと言うわけではありません。できるだけ早くやってもらいたい。しかし、その間においての話し合いは、ほんとうに神に通ずるぐらいの至誠をもって話し合いをしていただきたい、こういう考え方でありまして、これは誤解のないようにして、ひとつ善処をお願いいたしたいと思います。  それでは、以上で質問を打ち切ります。
  31. 小峯柳多

    小峯委員長 木原実君。
  32. 木原実

    木原委員 先ほど来お話がございましたように、過般の代執行をめぐる警備の中で三名の警察官が殉職をされた。まことに遺憾なことでございまして、私もなくなられた方々に深く哀悼の意を表したいと思います。しかしながら、この事件は明らかに空港をめぐるいわゆる反対運動の中で起きた問題ではございますけれども反対をしておる農民方々や、あるいはまた私自身国際空港反対をいたしておりますけれども、しかし、それとは全く異質の事件である、こう申し上げておきたいと思うのです。あえて言えば、立場は異なりますけれども、今度殉職をされた警察官の方も、ある意味では国際空港をめぐるたいへんとうとい犠牲者であったというふうに考えるわけであります。問題に関係をいたしております、また政治家の一人として、まことに申しわけないことだと思っております。  それにいたしましても、先ほど来御指摘がございましたように、あまりにも犠牲が大き過ぎた。すでに六十名にのぼる負傷者を出しておる。この春の代執行をめぐりましても、私の手元に、農民諸君学生諸君の一人一人のけが人の調書をいま持ってきておりますけれども、八百名にものぼる重軽傷者を出しておる。四年半の間に六千名にのぼる血を流されておる。そういう血を積み上げて建設をする国際空港というのは一体何だ、言うまでもありませんけれども、そのようなことを含めまして、行政に対しまして、政治に対しまして、現地では不信が渦巻いておるわけであります。この不信を解かない限り、先ほど来大臣も、これからは誠意のある話し合いをやっていくのだ、こうおっしゃいましたけれども、しかしながら、すでにもう話し合いの糸口さえつかめないような断絶をした姿が、ここ数年来続いてまいっておるわけであります。  そうなりますと、やはり問題は、何といいましても、解決をしていかなければならないということになると、話し合い以外にはないわけであります。大臣誠意をもって話し合いに入りたい、こう申しているわけでありますけれども、しからば具体的にどのようなめどをもって、どのような態度をもって話し合いの糸口を求め、あるいはまたこれからの打開の道を講ずるのか、そういう点からひとつお伺いをいたしたいと思います。いかがでしょうか。
  33. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま木原先生からの御質問でございますが、先ほども申し上げましたように、私はそこにお住みになっております農民方々と極力話し合いをいたしまして、そうして円満なる解決に導きたい、こういうことで、徳安先生からも御指摘がございましたような、至誠天に通ずるというとおかしいのでございますが、ほんとうに真心をもってお話をしてまいりたい、こういう覚悟でございます。  ただ問題は、いわゆる反体制の旗じるしで、いかなる暴力を用いましても社会改革をしなければいかぬという信念的な、いわゆる新左翼と申しますか、そういった方々学生運動と、それから農民方々とをいかに切り離すことができるか、そうして話し合いに持っていくことができるかということにかかっているのじゃないか、こういうふうに、率直に申しまして私は思っている次第でございます。事実、自分の祖先伝来の畑をよそに移すということは、私も実は自分の郷里におきまして、あるいは工場団地の設立の問題、あるいはまだ筑波学園都市の設立の問題につきまして、いかに農民の皆さま方がその土地に対する愛着が強いかということを、身をもって十分承知をいたしておる次第でございます。  それを納得をさせますには、いま一番の問題は、やはり代替地の問題であります。しからば、よその土地に移りまして十分いまよりもよい生活ができるだけの、農民の方でございましたならば田畑を得ることができるか。どのくらいのものを確保することができるか。それからもう一つは、その付近の方々におきましては騒音防止の問題、この二つの問題がやはり話し合いの一番の問題だろう。もとより政府のやり方に対する不信感がやはり根底にございましょうが、これは私どもほんとう誠意をもちまして、また木原先生はじめ皆さま方の、ひとついろいろの点におきまして御相談をいただき、御協力をいただきまして、そうして農民方々ともその話し合いをいたして、国としてできる限りのことをするから、ひとつあれをしてもらいたいという態度で、私はこれから進んでまいりたいと思っている次第でございますので、ひとつよろしくお願い申し上げる次第でございます。
  34. 木原実

    木原委員 大臣はまだ御就任になりまして日が浅うございます。私はもう当委員会におきましても、これは四年間にわたりまして、機会あるごとにいろいろな問題を提起いたしました。ある意味では歴代の大臣もそれなりに御苦労なさったと思うのです。しかしながら、それにもかかわらず日を追うて農民諸君との断絶が深まってきた。いま代替地と騒音の問題、こういう御指摘がございましたけれども、実はそれに入る前に大前提があるわけなのです。誠心誠意というおことばがございましたけれども、しかしながらそれにしては、さかのぼりますと足かけ七年来、この富里の問題が起こりまして以来、ともかく位置決定の問題、公団総裁が先ほど触れられましたけれども、この段階から、政府に対しましては不信感が強いわけであります。私ども、これにつきましてはさかのぼって言いたいことがずいぶんあります。それからまた、すでに四千メートル滑走路を中心にして、形が整いつつある現在の状況でございますけれども、これについても私は、いわゆる空港政策としてはたしてこれでいいのかという、まだたくさんの疑問を持っております。そういう問題をひっくるめまして、大きな前提になっておりますのは、誠心誠意とおっしゃいますけれども、最初のボタンを大きくかけ違っておるわけであります。  御案内のように、現地農民諸君は、決して初めからこれに反対とかなんとかという意思表示はなかった。むしろ三里塚の農民諸君は、どちらかというとたいへん天皇を崇拝するあの土地柄でございます。委員長の戸村さんにしましても、つい先般までは、おそれ多くも天皇の御料地を取り上げるというようなことは、世が世ならばけしからぬことだ、総理大臣知事も縛り首だ、こういうような意味の激高をされておったような、そういう方々なんです。そういう言ってみれば農民方々をここまで追い詰めた責任というものは、これは一にかかって私は行政や政府、なかんずく関係した政治家の責任が重いと思うのです。やはりこれの払拭なくしては、先般も大臣が書簡や、成田の市長あるいは知事を通じて代執行前に面会を申し入れられた、それに対して拒否の回答があった、こういうお話でございますけれども、もはやそういうことでは、成田の市長に対しましてもあるいは知事に対しましても同じような不信感が強いわけであります。  そういう前提をどうして解きほぐすのかというと、現地人たちがまず申しておることは、ともかくここに飛行場をつくるのだ、おまえさんたちがどいてくれればひとつ話し合いに乗ってやりましょう、反対をするなら話し合いになりませんよ、こういう態度がいままで強かったわけなんです。初めからどけと言うなら、政府のほうできめたことをかってに押しつけてくることじゃないのか、こういう実は反発が強いわけであります。ですから、私は歴代の大臣にも地元知事等にも申しておるわけでありますけれども、やはりそこは白紙で臨んでいく、すなおにもう一ぺん初めに返って、農民諸君言い分をまず聞く、こういうところから出発しませんと、いままでのやり方がそうであったのです。賛成をする者については、代替地の問題も補償の問題も協力をしてやりましょう、しかし、がんこに反対をする人たちに対しては、結果的には力をもって対決をするという結果になったわけであります。しかも、芝山町の問題が出ましたけれども、たいへん豊かな蔬菜地なんです。しかも、ほかの農村と違いまして、ここは専業農家が非常に多い。少なくなりましたけれども、現在でも専業農家が五割以上を占めておる土地柄なんです。そういうような土地柄でございますから、ともあれ、土地に対する執着の問題その他も出ましたけれども、私どもとしましては、前提を間違えたのでは、これは対話の方法はないと思います。  したがいまして、私は、話し合いに臨むというならば、やはりそこは白紙の立場でともかく農民諸君のまず声を聞く、こういう姿勢がなければならぬと思うのです。しかしながら、すでに一期工事の概要ができるような段階になっております。一期工事の中でも、共同墓地や藤崎さんの土地がまだ残っておりますけれども、これらの問題から入っていくことになると思うのですけれども、私は、その際にひとつ大臣の所見を伺っておきたいと思うのですけれども、二期工事については一体どうするのか、二期工事については話し合いができなければ、従来どおりの方法で強制執行をかけて収用をしていくのか、それとも農民諸君の合意を得られるまでこの問題は詰めていくのか、その辺のことについての大臣のまず腹がまえを聞いておきたいと思うのです。いかがでしょうか。
  35. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの政府農民の間の思想の断絶があるとのお話でございます。事実、確かにそのとおりであろうと思う次第でございます。いろいろのいままでのいきさつもあったろうと思う次第でございますが、先ほども申し上げましたように、私のほうといたしましては、いまお指摘がございましたように、農民の皆さまの不信感をまずやわらげるということが第一であろうと思います。反対を今日までも続けていらっしゃる方に対しましては、不信感をやわらげてもらうということが、やはりお指摘のとおり第一であろうと思う次第でございます。それにつきましても、私は全力をあげて努力するつもりでございます。  それから第二期工事につきましては、率直に申しまして、四十八年の年度末までにぜひこれをひとつ完成させたい、こういう腹づもりで進む次第でございます。そしてこの第二期工事につきましては、やはり農耕をしていらっしゃる土地もございます、いろいろございますので、これはひとつあらゆる誠意を被瀝いたしまして、話し合いでもってまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。したがいまして、そういう点につきまして、また地元先生方の御意見も十分拝聴いたしまして、そうしてまた御協力を願う点はぜひともお願いをしたいと思っておる次第でございますが、今回の問題につきましても、実は代執行を初めからやりたいと思っておった者はないと思う次第でございます。先ほど徳安先生からもお話がございましたが、君のほうが売ってくれないんなら代執行するぞ、もしそういうような態度の者がありましたら、これは言語道断だと思っておる次第でございます。現時点といたしましては、どこまでもお互い話し合いを続けるという覚悟で進んでいかなければならぬというつもりで、第二期工事につきましても強くそれを私は、私も自身がそうでございますし、空港公団総裁にも、また現実に当たる係の者にも、強くその点を申しまして話し合いを続けてまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  36. 木原実

    木原委員 二期工事を四十八年度までにというのは、私はただいま初めて聞くわけですけれども、だいぶん早まりましたですね。——いや、けっこうです。私はこれはもう過去にも何回か申し上げたことがあるのですけれども、二期工事反対派土地所有者がほとんど集中いたしております。芝山町の騒音地区の問題とあわせまして集中をいたしておるわけでありますけれども、私はやはりこれからが話し合いの本舞台だと思うのです。その際に、四十八年度末までにどうしても完成をしたいんだ、誠心誠意話をするんだ、こういうことですと、おそらく現地の空気からいたしますと、いままでの延長線ということに相なるでしょう。私は過去にも申し上げましたけれども政治家としての決断が必要だと思うのです。二期工事については、農民諸君との話し合いができない限りは工事はやりません、そう申せませんか。いかがですか。
  37. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 できるだけひとつそういうつもりで私は進みたいと思っておる次第でございますが、先ほども徳安先生からお話がございましたとおり、いたずらに長く期間を延ばしまして、そうしていつまでたっても目鼻がつかぬということは、政治をやる者といたしましても能力がないことでございますし、またその力量も足りぬということにもなってくる次第でございまして、ことに先ほどもちょっと私、触れましたが、何と申しましても今日航空需要が非常に多くなってまいりましたし、一方、空港は非常に繁雑化をしておりますので、ただいまはこういう話も出ておる次第でございます。成田空港がかりに全部が完成いたしましても、あと何年先にまたこれが満ぱいになるんじゃないか、もっとほかにもう一つつくるところがあるか、こういうような懸念もある次第でございますので、できるだけひとつ早くいたしたい。期間の点を初めから言うことはどうかということでございますが、私ども、そういうある期間を区切って、できなければやるぞというふうに農民方々にとられては心外でございます。そういう点は十分心得まして、またひとつ御相談にまいりますから、お知恵を拝措いたしまして、できるだけ早く農民との話し合いができるようにやってまいりたいと思う次第でございますので、御協力お願いしたい、こう思っておる次第でございます。
  38. 木原実

    木原委員 私は、一言申し上げておきますけれども、羽田が過密だという問題、これは実は国際空港に関しましては、経過から見ますというと、どうもあとからこじつけた理由なんです。初めの富里の話が出ましたときの構想は、御承知のようにSSTの時代になってくる、超音速機の時代になってくる、それを迎え入れられるようなアジアのターミナルをつくるんだ、こういう打ち出し方であった。さかのぼるようですけれども昭和三十四年に千葉県から非公式に、海面埋め立てをやっておる、羽田が狭くなるんじゃないか、一部提供するがどうかという伺いを運輸省のほうに立てたそうです。ところが、ないと断わられた。次の年に国際空港の問題を、あるいは浦安沖にとかなんとかいう問題が起こってきた。ほとんど十年来の経過を見ておりますというと、運輸省当局は、国際空港の問題については一貫した政策がないわけなんです。現在の問題になっております土地につきましても、初めは富里の代替地ということであった。どうにもしようがなくなって、最終的には、初めの構想を半分にして現在のところへ持ってきた。これだけ大きな国家的な事業をやるにあたって、これはもう政策は場当たりなんですね。そしていま話がございましたように、でき上がったとたんにはもう第三空港のことを考えなくちゃならぬという話が出てくる。これだけの多くの犠牲とこれだけの国費を使ってやりながら、そういう政策を貫いているものは、一貫したものは一つもないわけです。しかも、農民諸君にそういうことで場当たりで協力を求めていきましても、これはわれわれとしたって説得のしょうがないわけです。  だから、どうしてもここに四千メートルがもうほとんどこれではできるでしょう。残ります問題は二期工事の問題がある。これのほうがむしろ難関だと思いますから、これについては白紙の状態で、最初のボタンからきちんとかけたらどうですか。初めから、政府のほうではこうきめてあるんですから協力をしなさいと言ったら、いままでのいきさつがあるわけですから、それじゃということになるわけです。ですから、そこは行政のペースではなく政治家として政府のほうも、おれのほうも裸になる、君たちも裸になってくれということがないと、大臣のおっしゃる誠意というものが通じないわけです。誠意の通じない農民諸君ではありません。早くに賛成をしておった諸君というのは、大部分が兼業農家の方々で、ある意味では金に引かれていった。残った人は、そう言っちゃあれですけれども、比較的富裕な、現在の農業をやっていてりっぱに食っていける、農林省の奨励してきた方針に沿ってりっぱに成果をあげている農民諸君たちなんです。そういう人たちが命を投げ出してでも反対をする。それに対してこちらのほうは、場当たりの政策をもってそのつどそのつど協力を求めて、反対ならば最後は力だ、こういうことの繰り返しが今日の状態を招いているわけです。それならば、第二期工事というのは新しい時点に立っての問題ですから、これについては初めから白紙で、少なくとも反対農民諸君には、おれのほうは裸だ、君たちの意見を聞かせてくれ、できることならば二期工事についてはやりたいんだ、こういうところから出発をしないと、四十八年度とか五十年度とかに二期工事は仕上げないと羽田が狭くて困るんだと言っても、それは政府のほうのことじゃないか、おれの生活と何の関係があるんだと農民諸君は言いますよ。その辺のところは、やはり政治家の決断なり判断なりやり方なりでやっていかなくちゃならぬわけです。行政が必要なんじゃなくて政治が必要だということは、そういうことなんです。  ですから、重ねてお伺いをいたしますけれども、二期工事については、白紙で臨めとは言いません。二期工事をやりたいんだ、ついては、ひとつ農民諸君の、いろいろ問題があるわけなんだから、君たちの意見を聞かせてくれという形で話し合いに臨めませんか。どうでしょう。
  39. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 非常に貴重な御意見を承りました。私も心してその方向で農民話し合いを進めてまいりたい、こう思っておる次第でございますので、よろしくひとつ御協力お願いする次第でございます。
  40. 木原実

    木原委員 どうも少し手ごたえがないみたいなんですけれども、これは非常に重大な段階に差しかかっておるので、私は重ねてそういうことを申しておるのです。いままでの中でも、私どもは、ちょっと申し上げかねますけれども、二期工事について政府が白紙なら白紙の状態だということで、過去に何回か話し合いの時期があったと思うのです。ただ、これはもうおそらく行政の当局としては一つの計画ですから、どうにもならぬでしょう。だから最高の責任者である大臣の判断で、話し合いのきちんとした糸口を求めるために、少なくともちゃんと、百姓をやっている人たちがいやだという土地をくれというわけですから、それぐらいのことはあっていいと思うのです。そういうことをいままで申し上げてきたわけですけれども、私は二期工事については、政府としてはやりたいけれども、白紙の状態で農民諸君意見を聞く、こういうところから出発してもらいたいということを、まず要望申し上げておきます。  それから、その次に大きな問題は、やはりおっしゃるように騒音の問題です。芝山町の大部分の強く反対をしておる人たちが、騒音下にあるわけなんですね。残念ながら、いろいろと当委員会においてもやりとりがございましたし、私もいろいろな話を聞いてまいりましたが、しかしながら、具体的に騒音に対しての対策というものがございません。約二百五十戸の人たちが芝山町では反対同盟に参加をして、そして騒音の対象下に入るわけなんです。騒音の測定その他についてもいろいろ問題はございますが、この騒音対策について、突っ込んだところどういう方法でお臨みになるのか、この段階での御所見を承っておきたいと思います。
  41. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 飛行場建設につきまして、いま地元住民の方々から反対を受けておる一番大きな問題は、いま木原先生御指摘になりましたような騒音の問題でございます。これは先般も、羽田空港におきましても、江戸川地区で非常に反対がございました。これは日本だけではございません。私、先般日米経済合同会議に参りました際に、四つの空港、四つの管制本部を直接見てまいりまして、いろいろ意見を承ってまいりましたが、やはり地元民で一番うるさいのは騒音の関係でございます。これをいかに解決をするかということなくして、空港の整備拡充ということはとうていできることではないと思っておる次第でございます。  具体的な問題といたしまして、ただいま成田空港芝山方面の問題でございますが、これは、もし騒音の地域の住民の方で、こういうところならうるさいから、よそへ行くから代替地をよこせ、相当遠くであってもという方なら、またそのほうの御相談に応ずる。またどうしてもここにいるんだ、防音施設についてこういう具体的の方法を講じたらどうだ、各個々の家につきましても騒音防止施設をやったらどうかというようなことにつきましては、これは皆さんも御承知のとおり、どこまでが騒音の範囲に入るかということは非常にむずかしい問題でございます。これは国の財政、国の補助でそれをやっていくということはなかなか容易なことではございませんが、どうしてもこの限度必要であるということにつきましては、これはやはり大蔵財政当局とも相談をいたしまして、個人の場合におきましてもそういったような道を開くことをさせていきたい、こういうふうに思っておる次第でございます。もしそういうことが可能になりますと、これは全国にも及ぶ問題でございますので、また運輸委員会先生方の格別の御協力を得なければならない。しかも、大蔵省のひももうんとゆるめる、こういうことになる次第でございますので、なかなか容易なことじゃございませんが、そういったようなことも含めまして対策を講じていかなければ、地元方々の御納得はなかなか得にくいのじゃないか、こういうふうに思っている次第でございまして、騒音対策につきましては、私は一番まつ先の問題として取り組んでいきたい、こう思っている次第でございます。
  42. 木原実

    木原委員 しかし大臣公団総裁の言明によりますと、来年の五月なり六月には一番機が飛ぶという段階ですね。これは二期工事がどうあれ、騒音の問題は焦眉の急だと思うのです。これからおやりになろうというわけですか。具体的なことはいかがですか。
  43. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 この騒音の問題に対しましては、空港公団地元県におきまして、相当の具体的な問題をとらえましてこれをやる決心をしている次第でございます。それの費用をどこから出すかということが非常に問題になっておりまして、これは国の施設でございますから、国で最後のあと始末はするということでございますが、これは一時地方債で一応立てかえて出しておくか、あるいはまた直接空港公団に大蔵省から事業費の増しとして出すかというような問題を、いま検討させているところでございます。
  44. 木原実

    木原委員 ともかく騒音の問題はきょうに始まったことではなくして、私は数年来騒音対策の問題を委員会でも論じてきたつもりなんです。  それじゃ具体的にお伺いいたしますけれども、現行法、例の防止法で対象になる戸数というのは、どれくらいに押えていらっしゃるのですか。
  45. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 具体的のあれは、航空局長から御説明させます。
  46. 内村信行

    ○内村説明員 大体現行法では、四千戸程度というふうに聞いております。
  47. 木原実

    木原委員 かねて四千戸という話を聞きまして、各町村ごとに私も当てはめてみました。これは現行法の制約があるわけであります。しかしながらDC8の音を当てはめてみますと、これはきわめて限定されたところになるわけであります。私は問題があるということではなくて、この四千メートルの滑走路で、国際路線ですから、かなり大型のあるいはもっと音の高い飛行機等が来ること等も勘案をいたしますと、納得のいく騒音に対する補償措置を講ずるためには、あるいは現行法を変えていかなければならないのじゃないのか。そういう用意がおありになるのかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  48. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 場合によりましては、現行法を変えていかなくちゃならぬ場合もあるかと思っている次第でございます。これは相当にまた費用も要するところでございますし、その点は第一種空港だけに限るか、二種、三種に及ぼすかという問題がございます。三種になりますと、また地方団体の負担の問題になってくるということもございますが、ところによりましてどうしてもそれをしなければならないということを私も考えている次第でございまして、前向きの考えで進んでまいりたい、こう思っている次第でございます。
  49. 木原実

    木原委員 これは措置はいろいろ考えられるわけなんです。考えられるわけなんですけれども、どうも、いままでやりとりがございましたが、具体案というものはこれだというものを私たちもつかむことができません。ましてや現地人たちは、一体どうなるんだという問題を持っております。  方法は二つしかないのです。一つは、飛行場自体の音を消していく、騒音についての、飛行機の音についての規制をいままでの飛行場以上に適用する。たとえば、音の基準をうんと強く規制するというような方法が考えられないのかどうか。飛行場自体の、あるいは飛行機自体の音の規制を考えていくという方法。それからもう一つは、関係の被害を受ける住民の人たちに対する補償だと思うのです。補償の方法につきましては、適用の範囲を広げるということがどうしても必要になってくると思います。  その問題が一つと、さらには、やはり補償の方法だと思うのですね。かりに県が個人の住宅その他に対して防音上の措置を講ずる、何らかの補償をする、こういう場合には、あるいは国で補助をするのか、起債を認めるのか、いろいろな問題が出てくるわけだと思うのです。これらの問題については、いまの大臣のお話ですと、前向きに検討しているというのですけれども、いま何ら案をお持ちじゃないのですか。
  50. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの御指摘のございました最初の段階、要するに飛行方式をどうするのか、こういう問題でございます。できるだけ高度で飛んでまいりまして、着陸地には進入角度を相当あれをいたしましても着陸させるという方法、あるいはまたホールディングをしている場合に、いたずらにエンジンをふかすということによりまして騒音を増すということを絶対禁止をさせるとか、それから、いまの進入角度の変更の方法等ございます。これは、もとより航空は安全第一でございますが、安全をそこなわない限度におきまして、飛行の方式によりまして騒音を消すことができる場合が相当多いと思っている次第でございます。ただいま江戸川地区の方面におきましては、それを実施させております。それらの方法を使いまして、住民の皆さまに御迷惑をかけないようにしたいと思っている次第でございます。  それから、騒音で住民のこうむる被害についての補償その他、あるいは施設をつくる場合の財政の裏づけでございます。これは、たとえば成田空港の場合でございますと第一種空港でございますから、当然国が最終的には負担をしなければならない、こう思っている次第でございます。具体的の例といたしましてはどのくらい煮詰まるか、ただいませっかく交渉中でございますので、しばらく余裕をみていただきたいと思う次第でございます。
  51. 木原実

    木原委員 あれだけの飛行場をつくればどれだけの音が出るかということは、あらかじめ計算があるはずなんですね。二期工事についても話し合いをし、たいという先ほど来のお話でございました。しかし、ただいまお話を伺いますと、せめて騒音対策に対しての国としての基準くらいお持ちになりませんと、話し合いができないじゃありませんか。私は、もう少しこの中身は進んでいると思っていたのです。  代替地というお話も先ほど出ました。驚くべきことですけれども反対をしている諸君に対する代替地の用意がないわけなんですよ。県知事が、たとえば、なくなりましたけれども現地の小川三男代議士に、昭和四十四年に反対派諸君に対して、同一市町村内に同質同量の代替地を見つけるという確認書を出している。私どもは、そういうものを持って話し合いのベースに乗せようという努力をいたしました。何にもこれは行なわれておりません。これは私ども地元の県のことを申すようでたいへん言いにくいのですけれども、世間では、大枚の補償を出して、そうして代替地というようなものが、えり好みができるようなりっぱな補償地があるのではないかと思っているのですけれども、何にもないわけです。公団は御料牧場の移転につきましては努力をいたしました。しかし、これは農林省筋に頼めば、金さえあればできるわけなんです。しかしあの地元の、現在反対をしている個々の農家の人たちは百姓をやりたいというのですから、成功をした農家なんです。同じような形で、同じような集落で農民生活を継続していきたい。それに対して、代替地の問題はだいじょうぶでございます、騒音対策はいたします、いろいろなことを言われましたけれども現実には、裏づけになるものは何にも出ていない。それでなおかつ誠心誠意話をいたしましょうというのでは、これまた同じような、農民諸君に対して不信感をかり立てることになると思うのです。  代替地の問題は、もう時間がございませんから触れませんけれども、せめて騒音対策については、こういう基準で臨むのだという信念をもって、政府部内のこともございましょうけれども、それは農民諸君関係することじゃございませんから、これだけのことをします、まだ農民諸君に声があるのならば声も聞かしてほしいと、あらゆる角度から騒音問題について対処をするということがなければ、これはとても、話し合い以前の問題ですね。そういう姿勢がいままでも、結局は追い詰められて血を流さなければものが進まないという姿になってきた。たいへん私は残念だと思うのですが、いかがでしょうか。
  52. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ちょっと私の説明が、抽象的過ぎましての御質問と思いますが、代替地の問題につきましては、県はもうすでに五百ヘクタールをあれしておりまして、そのうちに、今回の未買収地分といたしまして七十六ヘクタール、保安施設用地分といたしまして六十ヘクタール、騒音区域の宅地分として十七ヘクタール、合計百五十三ヘクタールが今後必要とされるのでありますが、ただそのうちで、配分しました農地や何かもその代替地に入っておりますから、それを除きますとあと百ヘクタールぐらい足りないのではないか。いま公団と県とで協力をいたしましてその代替地をさがしているところでございまして、だいぶ買い上げてきた、こう言っておりますから、これは解決するだろうと思う次第でございます。  それから、もう一つの騒音の問題でございますが、接続地域はできるだけ、これは御希望しなければ別でございますが、買い上げてまいりたい。これは大蔵大臣も承諾しております。私も交渉いたしました。それから民家の防音につきましては、とりあえず起債でやっていきたいということでございます。ただ、起債でやる場合に、これを県の負担にしたらあとということはまた考えなければならない次第でございますので、それらの出し方の問題につきまして大蔵省と折衝する、こういうことでございますから御了承願いたいと思います。
  53. 木原実

    木原委員 騒音の問題、それから代替地の問題については、私も実情をよく承知をいたしておるわけであります。しかもなおそれでは、農業をやっていきたいという諸君を満足させる代替地がないというようなことを申し上げておるわけなんです。騒音対策の問題につきましても、私どもある程度よく承知をいたしておりますけれども、なかなかそれでは納得させることができない。むしろその問題が出れば、現行法にいう対象外になる方々に対する、今度は別の意味の反発も起こってくるだろう。おそらく芝山町は大半が騒音の問題で、あらためて反対に立ち上がるような姿になる。あるいはその空域のとり方によりましては、成田市全域を含めて今度は音の問題で別個な反対運動が起こってくる。もともと内陸にあれだけの飛行場をつくるということそのものが間違っていたのですから、その間違いを償うためには、国としてはあらゆる手だてを講じなければ問題は解決しないわけなんです。そういうことですから、私どもとしましては、現行法にとらわれないで、十分ではないにしても全力をあげてやはり騒音には対処をする、このための前向きの基準をやはり政府としてはお持ちになる必要があると思うのです。これは現在の反対派に対する対策だけではなくて、一番機が飛べば必ず被害を受けるあの付近住民に対する、国としてのつとめだと私は思うのです。そういうことで申し上げました。  それから、もう時間がございませんので重ねて幾つかのことをお伺いいたしておきたいと思うのですけれども、これは公団総裁にお伺いをいたしますけれども、例のパイプライン、先般資料をいただきましたが、たいへん安全率が高いという説明でございました。しかし、よくよく考えてみますと、あのパイプラインが入りまして千葉市には何のメリットもないわけなんです。幾ら安全なものでも、あのパイプが入りまして、千葉市という自治体にとりましては何らのメリットもない。しかも公団の御計画によりますと、大部分が千葉市の道路の下に埋設をしていく、こういうことになっているのですけれども、これはよほど地元人たち、住民の人たちの声を聞きませんと、安全だからといってわれわれの庭先にドラムかんを一本預けられましても、これは迷惑しごくなことなんです。公団のやり方としてはどうも住民不在ではないのか。安全だから、だいじょうぶだからこれに協力をしてくれと言うだけでは、私は解決がつかないと思うのです。これがやり方についての御見解をお伺いいたしておきたいと思います。  それから、大臣のほうにもう一つだけ関連をしてお伺いをいたしておきますけれども、例の関西空港の問題が新聞等で散見をいたしております。今度は海面にという方針でやるのだということのようでございます。これまた成田の二期工事の問題と関連をいたしまして、私はやはり問題があるのじゃないかと思うのですが、一体国際空港というのをこの狭い国土の中に、関西にも東京にも、場合によればほかの場所にもというふうにお考えなんですけれども、それほど必要なんですか。これは根本問題ですけれども、私としましては何か少し大きな、少なくとも安全度の高い四千メートル滑走路を二本ないし三本持つような大きなターミナルを、しかるべきところに一カ所でんとしたものを置く、あとは国内の連絡でやっていくというような政策が考えられないのでしょうか。その辺のことをお伺いをいたしておきたいと思います。
  54. 今井榮文

    今井参考人 パイプラインの問題につきましてお答え申し上げたいと思います。  先生の御指摘のとおりでございまして、通常のガス管その他と違いまして、パイプラインは港頭から空港まで行くというだけで、地元には何らのメリットがないという問題があるわけでございまして、現在私どもは、特に千葉市内につきましては、団地の自治会あるいは町内会、部落会等に対して個別的な御説明を申し上げておりますが、総合的には、千葉市あるいは関係する四街道、佐倉、酒々井、富里、成田というふうなところの市当局と十分協議いたしまして、そういった問題についても、今後公団側としてどういうふうな答えが出るかというふうな面について、十分協議をいたしていきたいと思います。
  55. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま関西空港についてのお尋ねでございました。  御承知のように航空需要が非常に旺盛になってまいりました。羽田では一時間に一番多い時期は三十四機、こういうことでございます。ところが御承知のとおり、羽田で使えるランウエーは大体一つでございます。風向きによりましてもう一つ使う場合がございますが、大体一つでございます。そういうことでございますので、国内需要だけでも過密になってくる。これは関西でも同じことがいま盛んにいわれておる次第でございまして、やはり東京、大阪を中心といたしまして航空路というものが、これは一番ひんぱんにやっておる次第でございますので、どうしてももう一つほしいということは、いまの航空需要の情勢からまいりまして必要になってきておる次第でございます。  私、先般フランスのオルリーの飛行場を見てまいりましたが、オルリーは相当大きな飛行場でございます。そうしてまた北にも国内航空飛行場がございますし、また新しく相当大きな飛行場を直ちに建設するのだ、こういうような方向で進んでいる次第でございますので、どうしてもこの関西の新しい空港は必要になってくると思っておる次第でございます。そういう意味で、しかしながら今回もし関西国際空港をつくる場合においては、地元住民が十分納得するような場所を選ぶことが第一の条件でございます。その方面におきまして、いま木原先生からお話しのとおり、やはり住民といたしましては騒音の防止が一番の問題でございますので、それらも十分勘案をいたしまして慎重な決定をいたしてまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  56. 木原実

    木原委員 もう時間がございませんので、幾つかのことを要望を申し上げて私は質問を終わりたいと思います。  いまでも私はこの飛行場については非常に疑問を持っております。しかしながら、すでに四千メートル滑走路が付属施設を含めてでき上がるという状況になってまいりました。その欠陥を補うためには、いろいろな施策があらためて講じられなければならないと思うのです。そのことと、先ほど来申し上げましたように、どうしましても無理な飛行場を内陸につくったわけでありますから、騒音の問題一つをとりましても、おそらく完全な解決ということは不可能なんです。それだけに政府としましては、どうしてもやはり住民の人たちに対する最大限の、できるだけのことをやらなければ償いはつかないと思います。しかも、これは長く残る問題であります。  それから、なお買収に応じていない人たちの立場というのは、私ども自身がこの空港反対であり、そして農民諸君の意思を、せめて政府の行政の中につないでいくんだという立場で反対をしてきたわけであります。それで私どもの判断のとおりに、でき上がりつつある空港については疑問が残る。しかしながら、ここまで参りますと私どものやれることは、やはり政府の反省を求めると同時に、おことばのとおりの政府誠意を具体的なものとして引き出していく、その中で反対人たちとの対話の条件をつくり上げていくことだ、こういうふうに覚悟をいたしておるわけであります。したがいまして、これからも私どもとしては農民諸君の声を国会という場において皆さん方に率直にやはり伝達をし、反映をさせ、その声を文字どおり誠意をもって受けとめていただきたい。そうでありませんと、これはもう再び同じことが繰り返されることがあってはならないと思うのですけれども、このペースでいきましたらどうしようもありません。率直に言いまして、私ども自身農民諸君のパイプ役という役割りを、機能を失いつつあるわけです。そういう状態まできておって、残るところはゲバ棒と警察権力の介入、こういうことを繰り返さないということがお互いの責任であるということならば、やはり政府話し合いによっては一定の譲歩ということを考えてもらう、農民がそれで納得をする、こういうことでなければならぬと思うのです。政府がきめたことだからのみなさいということだけでは、これはもう無理なことになるのは当然ですから、政府が一体どれだけの譲歩をして農民諸君との間の円満な妥結をはかっていくのか、近辺の住民諸君の福祉を考えていくのか、こういうことに帰着をすると思うのです。  ですから、私の要望として申し上げたいことは、誠心誠意ということばがございましたけれども、その中身についてやはりもう少し詰めた、もう少し拡大をした高いレベルの対策というものを持って、これからの問題に対処をしていただきたいと思うのです。  まだいろいろ残された問題がございますけれども、時間がございませんので、以上のようなことを申し上げまして質問を終わりますが、最後にひとつ締めくくりの御所見を承っておきたいと思います。
  57. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまのお話、一々ごもっともでございます。農民と対話するのに、私どもが一定の条件をきめまして、それでやったんではやはり対話にならぬという御指摘でございますが、私もそのとおりだと思っている次第でございます。したがいまして、政府といたしましてできるだけ農民の皆さまの御要求を聞きまして、最大限の力をふるいまして、講ずべき道はあくまでも講じてまいりまして、農民の方の不安感をなくなしてまいることが対話の一番の根本ではないか、こう思っている次第でございますので、その方向で進んでいくつもりでございます。ひとつよろしく御協力のほどをお願いを申し上げる次第でございます。
  58. 小峯柳多

    小峯委員長 宮井泰良君。
  59. 宮井泰良

    ○宮井委員 本日は、成田空港問題で質問をいたしますが、それに入ります前に、一言、昨日の事件につきまして国家公安委員長にただしておきたい点がありますので、その点をお尋ねしたいと思います。  わが党の竹入委員長が、昨日暴漢に襲われ重傷を負ったことは御承知のとおりでございます。この犯行につきましては、中道革新、政界浄化、日中国交回復あるいは大衆福祉実現等を強力に推進してまいりました公明党の真の革新的な行動といいますか、そういったことに対しまする卑劣きわまりない暴挙であり、重大なる挑戦である、私はこのように考えておるものでございます。わが党といたしましては、従来から一貫いたしまして生命の尊厳ということを叫び続けてまいったわけでございますが、理由はいかにありましょうとも、暴力は断じて許せない、このように考えるわけでございます。また、今回このような事件が起きましたことは、これはもう民主主義の敵である。私といたしましても怒りを禁じ得ないのでございます。これがまた他にも波及するおそれもあるのじゃないか、このように心配をいたすわけでございますが、まずこれらの点につきましての御見解を伺いたいと思います。
  60. 中村寅太

    ○中村国務大臣 昨日は公明党の委員長に、御承知のように全く不都合きわまりないああいう暴挙をいたしたということ、そのために重傷を負われましたという事態につきましては、取り締まり当局といたしましても、申しわけのないことであると心からおわび申し上げる次第でございます。  いままで私らのほうといたしましては、それぞれの要人に対しましては、ああいう不慮の災害がないようにという配慮から、できるだけ警護の処置をしてまいっておるのでございますが、昨日ああいう事態が起こりました。こういうことというものは、いま宮井委員のおっしゃるように、断じて許せることでもないことはもちろん、今後こういうことが再び起こることのないように、私らは、竹入委員長に対してはまことにお気の毒であるということを申し上げる以上どうにもなりませんが、こういう事件に強く反省をいたしまして、今後あらゆる処置に万全を期してまいりたい、かように考えておるものでございます。
  61. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、今回の事件につきまして、先ほども申し上げましたが、明らかにわが党に対する挑戦である、このように見ておりますが、犯人は、当日午前十時過ぎに、ただいま行なわれております党全国大会の会場に参りまして、大阪から新幹線で来た、日中問題について聞きたいというふうな発言をしておるわけでございます。その際に、会場の受付を担当いたしておりました私どもの党の職員が、丁寧にその点をお断わりいたしまして、犯人もすなおに引き取った事実があるわけでございます。一連のそういう事実から考えてまいりますと、何らかのこの背後関係といいますか、こういったものがあるのではないか、このように考える次第でございますが、この点につきまして当局の御見解をお聞きしたいと思います。
  62. 中村寅太

    ○中村国務大臣 当初私らも、いま宮井委員のおっしゃるように、公明党に対する何か思想的とか、あるいはいろいろの立場での犯罪ではないかと考えたのでございますが、今日までの取り調べの過程を考えますと、必ずしもそうではないように考えられる点が多いようでございますが、詳細につきましては、局長から答えさせたいと思います。
  63. 富田朝彦

    ○富田説明員 お答え申し上げます。  竹入委員長に対しましてあのような行為に出ました暴漢につきましては、直ちに警護員、並びに同乗いたしておられました委員長の秘書、並びに党の方々の手によって逮捕いたしまして、四谷警察署において取り調べを開始いたしたわけでありますが、そのようなことをいたしました暴徒でありますだけに、一そう真相を究明する必要があるということで、ただいま警視庁本庁に身柄を移しまして、捜査一課長を中心にいたしました体制で鋭意取り調べをいたしておるところでございます。  現在までの警視庁からの報告によりますと、本人は若いころから非常に矯激な性格を持っておったようでありまして、たとえば父親をなぐるとか、あるいは高等学校時代に、高校生同士の相当手荒いいわば傷害事件を伴うようなけんかをやるとか、また同時にこの六月には、同じアパートの隣に住んでおった御婦人といわば口論になりまして、その御婦人を、外出先から帰宅するところを刺し殺す、こういうような、いわば非常に矯激な性格を持っておるように考えられる人物であります。もっとも大学は卒業しておりますけれども……。  そういうことでございますので、現在までは国家公安委員長がお答えしたような状態でございますけれども、そういうあらゆる角度を踏まえまして、十分捜査をいま続行しておるところでございます。そういう現状でございますので、御報告を申し上げたいと思います。
  64. 宮井泰良

    ○宮井委員 ただいま詳細な御報告があったわけでありますが、わが党の訪中団が帰国いたしまして以来、そういった一連のいやがらせといいますか、昨晩あたりも各県の本部あたりに電話などかかっておるようでございますが、かりに変質者のそういった狂気のさたのような暴挙であるといたしましても、ただいま申し上げましたようなこともありますし、今後の捜査を慎重にしてもらいたいということと、やはり根本的な問題は、今日の政治情勢から考えましても、また、少なくとも今日の政府の姿勢といいますか、そういったいろいろなものがからみましてそれを誘発しておる、一連の最近の事件等を見ておりましても、そういった感じがするわけでございます。そういった点につきまして、再度見解をお伺いします。
  65. 中村寅太

    ○中村国務大臣 今後は再びこういう事件を起こすことのないように、あらゆる処置をしてまいりたいと思いますが、いろいろ暴力行為をやりかねないような集団とかあるいは人間等につきましては、特にこれを気をつけまして、そういうことを未然に防ぐという体制でいきたいということと、それぞれのそういう対象になりそうな心配のあるような人に対しましては警護をできるだけ十分にいたしまして、そういった事件の発生に至らないように処置してまいりたい、かように考えて、それぞれ手配をさせておるところでございます。
  66. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、もう一点だけお尋ねしますが、この犯人矢島は、殺人を犯しまして全国指名手配中であったわけであります。私も現実に指名手配のビラも見ました。以前におきましては、四十三年十月二十三日に新宿の騒乱事件を起こしております。また、ただいまお話が・ありました殺人、こういった全国指名手配中の犯人が、白昼銀座や新宿をうろついておった。このような状態におきましては、一般の人たちの不安はもとより、治安が維持されているというふうなことが疑われてくるわけでございます。きびしい言い方をするなれば、犯罪捜査の点におきまして深刻なる反省といいますか、再検討と申しますか、そういった点がいまこそ重要な問題ではないか。この点を強く感ずるわけでございますが、この点の御見解をお聞きしまして、成田空港問題に移りたいと思います。
  67. 高松敬治

    ○高松説明員 ことしの六月に殺人事件を起こした被疑者が、再びこういう重要な殺人未遂事件を惹起したことにつきましては、私どもも心から申しわけなく存じております。  本人は指名手配が行なわれまして、警視庁では全国にこれを指名手配し、手配書十万枚を直ちに送付し、それから、特に立ち回わりの公算が強い大阪の愛隣地区に対しまして、約二千枚ばかりの手配書を至急送付いたしまして、捜査の徹底をかなりはかっていたわけでありますけれども、残念ながらこれを発見することができなかった。現在までの調査によりますと、犯行直後直ちに浪速区の馬渕の三光荘というアパートに移っているという事実がわかりました。私どもとしてはまことに申しわけないことに存じております。  現在、指名手配中にありますのは全国で大体三万四千名ばかりございます。殺人の指名手配が四百二名といろのが昨年の実績でございますが、そのうち、殺人につきましては二百五十二名が検挙になって、現在百五十名が未検挙、こういう状態でございます。  私どもといたしましては、今後一そう力を尽くしまして、こういう指名手配になった者の追及をさらに徹底する方策を考えていく、あるいはそれを推進してまいる、そういうことによってこういう事態が起こらないように極力努力してまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  68. 宮井泰良

    ○宮井委員 努力されるということばでございますので了といたしますが、さらにこういった面につきまして、今後十分なる配慮をしてもらいたい。あるいは要人の警護につきましても、ただつけておけばよいというふうな、全般的にそういう考えはないと思いますが、安易な考えのないように、そういった連鎖反応と申しますか、そういうものを十分に手を打っていただきたい、かように要望いたしまして、次の本題の成田空港問題の質問に入らせていただきます。  さて、今回の代執行に際しましては、先ほどからもお話が出ましたが、三人の死者を出したということにつきましてはまことに遺憾でありまして、なくなった方々に対して心から哀悼の意を表するものでございますが、この責任が一体どこにあるのかという点を、はっきりしていただきたいということでございます。また、成田空港問題がこのように大きくなってきたということは、新空港建設の場として三里塚が選ばれるまでの政治決定のいきさつに問題があった。先ほども出ましたが、このときにもっと話し合いをして強力に進めていただいたら、農民人たちも納得しておったのではないか、成田空港は日本の将来のために絶対必要であるという、これは当然なことでありますけれども、ただそれだけで押し切ってきたというところに問題があるのではないか。私ども、いろいろな人とお話し合いをしますが、直接農民方々だけではなくて、国民感情として、なぜこのように混乱するまで放置しておいたのかという意見が大半であります。これは政府の怠慢であると言わざるを得ません。県にまかせっきりではなくて、新聞の「声」の欄などを見ますと、ことごとく首相や運輸大臣が陣頭に立って話し合っていくべきであるという声が載っておりました。このような点につきまして、今後そのような気持ちはあるか、具体的にどのようにやっていくかという点をお尋ねいたします。
  69. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま宮井委員からの御質問でございますが、成田空港につきまして代執行をせざるを得なくなったのは、政治の不手ぎわではないか。確かに、代執行は避けられれば避けたいと私らも念願をしていた次第でございます。それゆえにあらゆる手段を講じたつもりでございますが、私ども誠意がまだ通じなかったので、話し合いもできないでああいうことになり、ことに三名の警察官のとうとい犠牲者を出しましたことは、まことに遺憾しごくと思っておる次第でございます。  ただいま政府の怠慢ではないかというお話でございますが、決定をいたしました経緯はともかくといたしまして、その後の政府の態度といたしましては、さきに大橋運輸大臣が、成田でもって反対派人たちとも長時間にわたっていろいろ話し合いを続けてまいりました。また橋本前大臣も、たびたび接触する機会をつかもうと努力をした次第でございます。私もそれゆえに、就任早々から、ぜひいろいろ話し合いをしたいということを再三声明もいたしますし、また、それぞれの機関を通じまして会ってもらいたいということを言った次第でございますが、不幸にいたしまして、話し合いができず代執行に移った次第であります。先ほど来徳安委員、また木原委員の御質問にもお答え申しましたとおり、やはり民主主義政治のもとは話し合いでございます。あくまでもこれからも話し合いを通じまして、そしてお互いの妥結点に達したいという信念で進んでまいるつもりでございます。  陣頭指揮をしないかというお話でございますが、もとより私いつでもお会いをいたしまして、そして具体的の問題で話し合いをしてまいりたい、こう思っておる次第でございます。ただ、今回は農民の皆さま方、その土地を愛着なさる皆さんのお気持ちは十分わかる次第でございますが、それと接触をいたしまして、いわゆるニューレフトの連中が自分の闘争の場といたしまして成田に来ている、これとの分離がなかなかうまくいかなかったというところに、非常に私は問題があろうかと思う次第でございます。そういう点も勘案いたしまして、できるだけいろいろの方々の御協力をいただきまして、今後話し合いに持っていきたい、こういうつもりでございますので、御了解を願いたいと思う次第でございます。
  70. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、もちろん話し合いということでございますが、公団総裁も、先ほどもいろいろと過去においては話し合いをしたというお話もありまして、現場の方々は苦労をしているということも私もわからないことではございません。しかし、今後残ります墓地や民家に対しまして第二次代執行、残りの部分でございますが、県知事代執行によるのではなくて話し合い解決していきたい、こういうふうに言っておりますし、そういう点につきまして政府公団は今後どのように進めていくか。あるいはもう一点は、第二期工事が完成しないと空港というもの自体が完全なものにならない。これは横風の場合などに対する離発着の滑走路がまだでき上がらないというふうなことでありまして、また、その第二期工事の区域におきましては民有地が相当ある。そういうことで、さらに先ほどから出ておりますように、第一期が完成する際におきましては騒音対策等もございまして、非常に困難な問題がこれから起きてまいると思います。で、県知事は、先ほども言いましたように、これからはもう安易に代執行を引き受けない、このようにも発言をいたしておりますが、公団としてはどのように対処していくか、この点をお伺いします。
  71. 今井榮文

    今井参考人 お答えいたします。  先ほど来大臣も申し上げておりますとおり、できるだけ代執行等の措置をとらないで、話し合いで片づけるという線で努力したいと思っておりますが、さしあたって、先生御指摘の第一期工事区域内に残る三カ所についての問題でございますが、唯一の民家でございます藤崎恒治さんという方のお宅でございますけれども、四千メートル滑走路の先端の西側の空港敷地のボーダーライン付近に位置いたしておりまして、私ども職員がたびたび行って実はお話をしておるわけでございます。代執行直前までは、ちょうど先般の代執行で  つぶれました駒井野の団結小屋のすぐ近くでございまして、学生人たちが終始恒治さんの家を監視しておるというふうな状況で、十分な話し合いができなかったという経緯がございます。これにつきましては、私どもとしても今後極力接触をいたしまして、十分お話し合いをいたし、また御希望を承るというふうな方法で、問題を解決していきたいと思いますけれども、先般も私も現地に連絡いたしまして、直接私がお会いしてもよろしいということを実は申しておるわけでございまして、ぜひそういう機会が持てればというふうに考えております。  それからなおもう一カ所の、主として共産党系の農民方々敷地を持っておられるのですけれども、南側のいわゆる平和の塔の敷地でございますが、これは現在県知事との間に、特に代替地問題を中心にしまして話し合いが非常に進んでおる状況でございます。したがいまして、県知事も今回は代執行の対象からはずしたわけでございますし、これは県と協力をいたしまして、私どもとしては何としても話し合いでこれを解決していきたい。この二カ所は、空港の施設のロケーションから申しましても、施設をつくるところではございませんで、ただ飛行機が離着陸する場合に障害になるという部分でございますので、相当期間がございますので、気長に根気よくお話し合いをしていきたい、こういうふうに考えております。  ただ、問題の墓地でございますけれども、これはちょうどターミナルビルの北棟の前面にございまして、私どもとしては、飛行機の往来あるいはまた飛行機に積み込む食糧その他の特殊車両の往来が非常に激しい場所でございますので、これはやはりわれわれとしてはできるだけ何とかほしい土地でございます。しかしながら、墓地でもございますし、現在はほとんど大部分の方々の墓地は移転をしていただきまして、供養も済んでおりますけれども、現在まだ三区画、五遺体だけが実は残っておるわけでございまして、これは世帯にしても三世帯でございますので、やはり私どもも、先生御指摘のように県知事あるいは成田市長協力も得て、その関係者の方々話し合いをして、何とか円満に遺体を移していただくように措置したいと考えております。  なお、ここが一カ所だけ残りましたので、私どもが憂慮いたしますのは、ここがまた過激な方々の基地化するというふうな点を非常に警戒いたしておるのでございますが、三つの世帯の方々との話し合いというものは、私は可能性があるというふうに考えております。  それからなお第二期工事区域については、現在約六十ヘクタール、三十世帯程度の方々がまだ反対派で、現実に耕地を持ち、宅地を持って残っておられるわけでございますので、これはあくまでもやはり話し合いを気長にやりたい。先ほど木原先生の御指摘もございましたので、根気よく各それぞれの世帯の御要望等も承った上で措置していきたいというふうに考えております。
  72. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで次に、関連しておりますけれども、観点を変えまして二、三質問したいと思います。  在日米軍から米軍専用の軍事郵便物取扱所の用地提供の要求が出されておる、このように伺っておりますが、政府では国会答弁におきましてしばしば、成田空港は軍事目的に使わないというふうに答弁をいたしておるわけでございますが、これに対しまして運輸大臣はどのように対処されるか、この点をお伺いします。   〔委員長退席、加藤(六)委員長代理着席〕
  73. 内村信行

    ○内村説明員 お答え申し上げます。  この問題は、現在東京国際空港、羽田の空港におきまして、米軍の郵便取扱所の敷地が設けられております。ところが、今後国際線は成田に移転しますので、成田のほうにおいてこういう軍事郵便の取扱所をつくらしてほしいということが、防衛施設庁を通じて要望があったところであります。しかし、ただいま先生お話がございましたように、新東京国際空港は将来主要な国際航空路線が入ってまいります。これは当然民間専用空港として建設し、運用するというふうに考えております。したがいまして、私どもといたしましては、この米軍の要求には応じかねるという旨の回答をいたしておる次第でございます。
  74. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで次に、公団におきましては来年五月開港の見通しを立てまして進めておるようでございますが、生活に密着した土地など、先ほども言いましたように代執行の対象からはずしたような土地もありまして、農家の方々との話し合いなど考慮していきますと、その点の見通しといいますか、そういった点をお伺いしたいということと、もう一点は、開港がおくれております現在、羽田空港はいよいよ限界に来ておるということは周知の事実であります。これにおきまして羽田空港の緩和策としてて、厚木基地の民間使用ということが考えられておるわけでございますけれども、これらの実施の見通しにつきましてお伺いしたいと思います。
  75. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 厚木基地の使用の見通しでございますが、現在のところ残念ながら難航しておる次第でございます。民間機をそこに乗り入れるということにつきましては、当該市並びに神奈川県も反対をしております。しかし、私どもといたしましては、いま先生御指摘のような、羽田空港はすでにもうほんとうに一ぱいでございまして、減便もしている、こういうような状態でございますので、せめてプロペラ機の五十機ぐらいはぜひ使わしていただきたい、成田空港ができるまででいいということで、いませっかく交渉をしている次第でございますが、その努力をさらに重ねてまいりたい、こう思っている次第でございます。
  76. 宮井泰良

    ○宮井委員 五月の見通しについて……。
  77. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 失礼いたしました。成田空港の見通しにつきましては、ぜひひとつ五月に完成をさしてもらいたいというつもりでせっかく努力をしている次第でございまして、先ほど来いろいろ御質問がございましたとおり、まず第一番に会っていただく。いま残っている一家でお住みになっている方々、それから墓場を持っていらっしゃる方々、それから平和の塔を持っている方々ともいろいろ話し合いでできるだけ決着をつけてまいりたい、これも早急に話し合いを始めてもらいたい、こう思っている次第でございます。
  78. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、先ほども出ましたが、運輸省は関西空港において神戸ポートアイランド沖が最有力候補地である、さらに泉南沖が第二の候補地である、このように発表されましたが、そのとおりかどうか確認するということと、そこでそのとおりであるとしたならば漁業補償の問題です。せんだっても交通安全の特別委員会調査で泉南郡地方を通りましたが、もうすでに道路には反対のそういった漁民の方々の立て札が立っておる。こういうことをまのあたりに見まして、相当困難な問題があるのではないか。さらには、船舶航路の調整あるいは騒音の問題等々、問題が出てくるかと思いますが、どのように検討されておるのか。  そしてこれに関連いたしまして、そういったことを一連に考えてまいりますと、そのつどピークになって飛行場というものを考えていくというふうな感じが私はしてならないのであります。長期の空港建設に対するビジョンといいますか、そういったものが後手後手に回っておるのではないか。今後、旅客需要というものを見越しまして長期ビジョン、そういったものに基づいて、こういった成田空港問題のような混乱が起きないうちに粘り強い話し合いといいますか、それをやってもらいたい。熊本におきましても、県知事が率先して地元方々と話し合ってスムーズに用地が取得できた。もちろんローカル空港ということもありますけれども、そういったことがございますから、そのような空港建設に対する何かしら長期ビジョンというものが運輸省当局に欠けておるのじゃないか、かように思いますが、この二点についてお伺いしたいと思います。
  79. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの問題でございますが、関西国際空港につきましては、いま御指摘がございましたような方向でただいま進んでいる次第でございます。ただ、ここで神戸沖合いがいいか大阪の泉南沖合いがいいか、神戸沖合いが第一番であって大阪泉南の地区は第二番目であるということは、まだそういうふうな順序はつけておりません。どこが一番適当であるか、その二つのうちにどこが一番住民の反対が少ないか、また、  いろいろの設計上どこが一番適地であるかというようなことをさらにまた検討してまいりたいと、こういうふうに思っている次第でございます。  それから第二には、どうも後手後手におくれているのじゃないか。確かに御指摘のとおりだと私も思っている次第でございます。何と申しましても、それゆえに運輸省といたしましては、私が就任する前にすでに五カ年計画を設定いたしまして、五千六百億の五カ年計画の予算をつくりまして、空港整備を急がしている次第でございますが、私、シカゴ、ニューヨーク、あるいはオルリー、ロンドンの飛行場を見てまいりますと、どこの国でもりっぱな飛行場、広大なる地域を持っている。それに比べますと、日本の飛行場というものはいかに貧弱であるかということを痛感してまいった次第でございます。しかし問題は、やはり国土の狭小のせいでございますか、土地問題が  一番の大きな問題でございまして、やはり民主主義政治のもとは民衆の協力を得る、特に空港問題でございますると、地元民の協力を得るということが第一でございますので、その方面も、無理でなく、しかも協力を得たいということで進んでまいりたい、こう思っている次第でございます。
  80. 宮井泰良

    ○宮井委員 重ねてお尋ねするようですが、この順位をつけてないと、ただいま大臣の御答弁でございますが、何か調査に行きました運輸省の関係の方が、この点を発表されておるように新聞報道等で承知いたしておるわけでございますが、この点、そういうことはないのか、重ねてお尋ねします。
  81. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 私は、そういう順序をつけたということをまだ聞いておりませんし、そういうことはないと思っておる次第でございます。そういうことはない、順序をつけていることはないと思っている次第でございます。ただ、事務をやっておる航空局長から、その点詳細な説明をいたさせます。
  82. 内村信行

    ○内村説明員 補足して御説明させていただきます。  新関西国際空港につきましては、かねがね調査をしておったわけでございますが、今回は、現段階における調査の中間的発表ということで、現在までの調査の取りまとめをいたして、中間的に発表したということでございます。  調査の過程といたしましては、阪和県境でありますとか、あるいは泉南沖、岸和田沖、あるいは西宮沖、あるいは六甲埠頭沖、神戸ポートアイランド沖、あるいは淡路島、それから明石沖等々大体七、八カ所の調査を現在までにやったわけでございます。そういうものにつきましてのそれぞれのメリットとデメリットがございます。そういうことにつきまして、たとえば工事の難易がどうであるとか、あるいは施設の問題がどうであるとか、あるいは騒音の影響がどうであるとか、そういったことをそれぞれの項目につきまして検討をいたしまして、それぞれ、この場所においてはこういうところに問題がある、この場所においてはこういうところに問題があるというようなことを指摘してあるわけでございまして、その中から、読まれる方は、あるいはそれぞれの感じによって御類推はされるかもしれませんが、私どもといたしましては、ここが一位である、ここが二位であるというようなことはやっておらないというのが実情でございます。
  83. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは、このあと関連質問でわが党の田中委員が質問をいたしますので、私はあと一点だけで終わりたいと思います。  この空港への交通機関といたしまして、現在、京成電鉄成田線と東関東自動車道、こういうものが予定をされておりますが、それぞれいつごろ完成する予定なのか。あるいはまた京成電鉄は、上野駅終点へは一時間以上かかるということで、従業員や見学者だけの利用というふうになってしまうのじゃないか、このようにいわれておりますが、こうなると、どうしても一般旅客は自動車道を利用するということで、現在の高速道というものから見ますと、いつも羽田へ行きますけれども、非常に混雑するときは、高速道は一変して低速道になっておるというようなことがございます。そういった完成時におきまして相当混雑するのではないか、かように思いますが、その点具体的にどう進められていくか、その点をお伺いしまして終わります。
  84. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの御質問でございますが、成田までの高速道路につきましては、着々と工事進行中でございまして、五月開場ができますれば、それまでに間に合うというところでございます。それから京成電車の成田乗り入れ、これも進行中でございまして、開場には間に合わせるということをいっておる次第でございます。ただ、京成電車が一時間以上かかるのではないかということでございますが、成田−上野間は一時間で行くということでございます。東京駅まで行きますと、そこにまた十分ぐらい開きがあるということでございます。それとともに、基本計画で決定いたしました東関東新幹線の問題でございますが、これをひとつできるだけ早い機会に竣工させるように、ただいま指示をしている次第でございます。これも大体五十一年のめどでやっておる次第でございますが、それを繰り上げて実施ができるように、いま検討さしておるところでございます。
  85. 加藤六月

    ○加藤(六)委員長代理 宮井君の質問に関連しまして、田中昭二君。
  86. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 きょうの成田空港に関します問題で、いろいろ御答弁を聞いておりますと、佐藤内閣は人間尊重というものを旗じるしに発足した内閣でございますが、成田空港問題についても殺傷害が続発しまして、過去に六千名にも及んでおるというようなことを聞いております。こういうことを聞いておりますと、法治国家でありますわが国の中において、これはただ起こったという問題だけでは済まされない。先ほど木原委員の発言にもありましたけれども空港をつくるために何千名にも及ぶような人命が傷つけられるということは、私は、佐藤内閣の表題にも合わないことではないか。全閣僚がこういう問題については、ひとつしっかりした確信を持って、こういうことの起こらないような方向をまずきめなければならない。そういう立場に立ちますと、ここで先ほどから聞いておりましても、たとえば殺人指名犯が一年間に何百人かおりまして、それがほとんどそのまま放置されておる。そのままといっても、その何割かは逮捕されておるような御答弁がございましたけれども、私は、取り上げて見れば、そういう殺人を起こした指名手配の犯人が放置されるようなことが絶対起こらないように、そういうことをするのが法治国家の社会秩序を守ることだ。ただ、その何割かは努力してもできないから申しわけございませんです、申しわけございませんでしたで、人命が傷つけられるものを放置すること自体が問題ではないか、このように強く感じたわけであります。  昨日は、私のほうの竹入委員長がああいう事件にあいましたけれども、私たちは、これは先ほど宮井委員も言いましたように、真の大衆政党、国民政党として立ち上がった私たちに対する、党に対する挑戦である。それならば、これに対してはひとつ断固たる処置をとってもらわなければならない。その加害者は狂気のさたみたいなことをやっているわけでございますが、ただそのような状況だから殺人が行なわれたというだけの問題でなくて、私は、わが党の現在置かれております立場、また国際政局の動向を考えてみますと、必ずその裏には憂慮される問題も起こってくるわけであります。また、世間の市民の方が考えることも、私は、ただ重要な人には警護をつけておけばいいというような考えがかりにあるとすれば、これは大きな間違いである。昨日も、事件直後に、公明党のある県の県連本部にいやがらせの電話がかかりまして、そのいやがらせの電話も、訪中成果を持って帰った竹入委員長は殺してしまえというようなのですが、そういう電話のいやがらせがあるという、その背後には、私はいわゆる思想的なものがあると考えざるを得ないわけです。また世間では、こういう問題が続発するのであれば、国会においても暴力排除の決議でもしなければならない、こういう話も聞いております。どうか大臣のこの問題に対する重大なる決意と御見解を、ひとつ再度お聞きしておきたいと思うのでございます。
  87. 中村寅太

    ○中村国務大臣 昨日起こりました公明党の委員長に対する不祥事、これを検討いたしますと、私らといたしましては、こういうことが起こらないようにというあらゆる配慮と手配をしてきたつもりでございますが、こういう事件を起こしましたこと、これはまことに申しわけもないと強く反省いたしまして、今後はこういうことがないように用心を強くすると同時に、今回の事件につきましては、先ほど刑事局長も言いましたように、その原因等を究明いたしまして徹底的に真相を追究してまいりたい、かように考えている次第でございます。  今後の措置といたしましても、あらゆる危険につながりそうな団体、あるいは暴力行為につながりそうな団体等につきましては、できるだけこれをマークしまして、そしてそういうものの動きにも常時監視の目を見張っていく、さらにその対象になりそうな人々に対しましては、できるだけの警護の責めを果たしていく、そして、こういう間違いが再び起こることのないように、民主主義の法治国家としての体制を確保してまいりたい、こういう強い決心を抱いて、それぞれに指令を出しておる段階でございます。
  88. 加藤六月

    ○加藤(六)委員長 和田春生君。
  89. 和田春生

    ○和田(春)委員 最初に、たいへん基礎的な問題を運輸大臣にお伺いしたいと思うのです。  今度の成田空港の事件といままでの経過を見ておりまして、私は非常に大きな疑問にぶつかっているわけですが、そこで、まず最初にお伺いしたいのは、あの国際空港をつくる責任者は、日本政府の所管大臣である運輸大臣にあるのか、あるいは新東京国際空港公団総裁であるのか、どちらかということをお伺いしたいと思うのです。
  90. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの御質問でございますが、これは事業主体は空港公団でございますが、それを命令いたしますのは運輸大臣でございます。それゆえに、予算におきまして、また法律におきまして国会の御承認をいただきまして、そして実行に着手した次第でございます。
  91. 和田春生

    ○和田(春)委員 公団法があるわけでございますが、公団法によると、これは空港整備法にもそういうことばが使ってありますけれども、設置並びに管理、こういうふうに書かれているわけです。この設置ということばは、いま公団成田空港建設をやっているのですけれども、どの範囲までの業務を意味しているのですか、その点を、これは政府にお伺いしたいと思うのです。
  92. 内村信行

    ○内村説明員 飛行場の設置ということばの問題でございますけれども、まあ考えまして、飛行場建設して運営するまでに至るということが設置であろうと考えます。
  93. 和田春生

    ○和田(春)委員 それは文字どおり言ったわけですけれども、さらに重ねてお伺いしたいのですが、今度の経過を見ておりますと、空港整備法によりますと、「第一種空港は、運輸大臣が設置し、及び管理する。」こういうふうに第一項でうたわれて、第二項に、ただし書きとして、「前項の規定にかかわらず、新東京国際空港は、新東京国際空港公団が設置し、及び管理する。」こうなっておるわけです。公団法ができましたら、すべての仕事は公団のほうにおっかぶせて、そして代執行は県知事がやって、第一線で苦労してけがをするのは警官である。政府はうしろのほうで見て高みの見物をしている。土地買収その他について、まさにそういう経過できているように思うわけです。あれほど大きな事業をやる、そして今日になってみればこれほど大問題になる事件を起こすというその経過の中において、私は、日本政府が責任ある態度というものをほとんどとっていない、行動もそれに伴っていない、そういうふうに感ずるのですけれども、その点運輸大臣として、私のいまのこういう見方、考え方について御異論がおありですか、おありでありませんか。もし異論があるとすれば、政府としてはこういう責任ある措置をとって事件の起きるのを防止する、あるいはスムーズにこの空港建設が進むようにこういう手だてを講じたということを、具体的に一、二簡単にお答え願いたいと思うのです。
  94. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまのお話でございますが、公団をつくり、そして予算を取り、そうして設置を命じているのは運輸大臣でございます。それゆえに責任は全部私にございます。それから、歴代運輸大臣も、先ほども御質問にお答えをいたしましたように、大橋元運輸大臣は、直接成田でもって農民の代表の皆さまとも長時間にわたって会って懇談をいたしております。また橋本前大臣も、たびたび会いたいという意思表示もいたしております。私も着任直後にすぐに農民の皆さま、関係者、だれとでもお会いしたいということを申し入れまして、再三にも申し上げた次第でございます。   〔加藤(六)委員長代理退席、委員長着席〕 また具体的措置といたしまして、この空港公団の設立につきましては国会の議決を経てやっておる次第でございまして、国会でも御承認を得ている次第でございまして、もとより第一の責任は運輸省でございます。私も私なりに、微力ではございますが、あらゆる手を尽くしてきたつもりでございます。また、説得材料といたしまして、先ほど木原委員からのお話がございましたけれども、たとえば騒音防止につきまして、新たに土地取得するために大蔵省とも折衝いたし、また、いろいろの防音施設の設備につきましても、あるいは起債を認めさせる方向におきまして努力をいたし、それが将来は国が払うという努力をただいましている次第でございまして、決して政府自体が怠慢をしていると私は思っている次第ではございません。  ただ、代執行でなく、話し合いで円満に行なわれれば幸いであった次第でございますが、御承知のとおり、あの農民の皆さまは別といたしまして、それを応援しておるところの新左翼の人々は、代執行が終わりましたあとでも、むしょうに人の住居、同じ勤労をしておる者の住居を焼いたり、そういうことをしている連中でございます。そういう人たち農民との間を分離することができなかったということに、また政治的不手ぎわがあったのではないかという点は、私どもも反省をしておる次第でございます。しかし、これはなかなか容易なことではございません。私どもも将来におきまして一そう努力をいたしまして話し合いを続けてまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  95. 和田春生

    ○和田(春)委員 いまお話いろいろございましたが、もし歴代運輸大臣また運輸省当局が、この問題についてほんとうに責任をもって対処しておれば、今日の事態も、結果論かもわかりませんが、ある程度防げたのではないか。その間の努力において、話し合いをしたけれども結末をつけていない。結末をつけるのは、結局代執行という公権力を使って、力でねじ伏せるという形できているわけです。そういう点を見ますと、先ほど来の質問に対していろいろお答えがありましたけれどもほんとうにこの国際空港が必要であるというふうに感じて設置しなければならないと考えているとするならば、もっと政府が責任ある態度をとって前面に出るべきではなかったか。そういう点について運輸省は一体何をしているのか、政府は何をしているのか、そういう批判が非常に強いわけでございます。  この点を考えますと、今回の事件について、私は、その遠因と誘因と、それからきっかけになった、引き金になった現実の事態、そういうものを踏んまえながら今後の対策というものを考えなくてはいけないと思う。学生と称する諸君の暴力行為についてはあとからお伺いをいたします。しかし、それがああいう形で今度暴発をしたということについては、やはりその遠因、誘因というものがあったと思う。その間において、私はやはり政府の責任というものは非常に重大ではないか、こういうふうに考えるわけです。そういう点に立って、今後の対策についてお伺いをしたいと思うのです。  私の考えるところによりますと、先ほど来各委員の質問に対していろいろお答えがございましたが、第二期工事においては、まごまごすると、今度の一次、二次にわたる代執行以上の大がかりな流血の事件を引き起こす可能性があり得ると思えます。話し合いをする、いろいろ言っておりましても、相手が言うことを聞かない。言うことを聞かないということについては、いままで農民に対して、先ほども指摘がありましたが、初めから政治的な意図をもって、反対のための反対をするのではなかった者をもあそこまで追い込んでいったという政治的な誘因というものがやはりあったと思うのですけれども、すでにああいう既成事実ができ上がって、その後に行なわれる第二期工事ですから、やはりかなり問題が起こり得る可能性があると考えなければならないわけです。そして、もしそれもあくまで既定方針であるからということで、第二期工事を含めて全部強行をする、かりにそれで成田空港が一期、二期工事を含めて完成をしたとする。それで成田空港は、その収容能力と航空輸送の今後の発達というものをにらみ合った場合に、いつまでもつのでしょうか。そこまでやってしまえば、今後永久になどということは言いませんけれども、当分の長い間だいじょうぶだということを断言できるのか、あるいはそうなっても近々二、三年くらいしかもたなくて、また次を考えなくてはいけないのか、その辺の感触をひとつお伺いをしたいと思います。
  96. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの御指摘でございますが、いまの羽田の過密化から考えまして、どうしても成田空港をできるだけ早い機会につくりまして、そうして航空の安全と能力の発揮とを考えなくちゃならない、こういうふうに考えている次第でございます。大体、成田空港をつくりまして、羽田を国内航空だけに当てますならば、十年以上はだいじょうぶだろう、少なくとも最大十年は、いまの日本の航空事情から勘案いたしましてもだいじょうぶだろうということが言えると思う次第でございます。
  97. 和田春生

    ○和田(春)委員 十年以上はだいじょうぶだというふうにおっしゃいますけれども、すでにいま、一般新聞等にも出ておりますが、四、五年もてばいいほうではないかという観測もあらわれております。特に空港の場合には足の問題がある。いまのままでいきますと、新幹線はまだ着工にもかかっていない。大体、早くできたとしても五十一年ごろではないかということがいわれている。しかも、あそこに行く東関東の自動車道路というものが、もうすでに今日でも東京都内の高速道路は、あれは速いスピードの高速ではなくて、自動車を縛りつける拘束だというふうにいわれているくらい動きがつかなくなっている。それに結びつけたのではどうにもならなくなってくる。まずあそこに空港をつくっても、そういうようなトランスポーテーションの面で機能を発揮しなくなるという可能性がある。  さらに第二期工事、飛行機が待機をしたり、あるいはそのところにとまっている、そういうような空港にとっての重要な場所も第二期工事の中に含まれている。無理を避けてじっくり話し合いでいくといっても、全く新しいところで新しい話し合いをするのではない。いままでの二回にわたる代執行、それからあの流血の惨という事件が起きたあとにおける話し合いであるという場合に、話し合いがつかない、にっちもさっちもいかなくなってくる、えいっということで、また強引にやらなくてはならぬ、そういう心配がほんとうにないのですか。そのころまでいらっしゃるかどうかわかりませんけれども、これは失札な言い分ですけれども大臣ほんとうに政治的責任をかけて、そんな心配要らぬということが断言できますか。その点、ひとつイエス、ノーでお答え願いたいと思うのです。
  98. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 少なくとも十年間はだいじょうぶであるという見通しでございますが、これはいろいろのデータを調べておりまして、その観点からいたしまして、これは間違いないと思う次第でございます。  ちなみに一つ申し上げますが、国内航空につきましても、東京湾の一部を埋め立てをいたしまして、ランウエー並びにエプロンの拡充をはかりたい、こういうふうな構想も持っておる次第でございまして、羽田と成田でいきますれば、十年間はだいじょうぶであるというふうに思っている次第でございます。
  99. 和田春生

    ○和田(春)委員 まあ、大臣が少なくとも十年間はだいじょうぶだとおっしゃるのですから、ここで短い時間の中で押し問答することは避けますが、私はどうもだいじょうぶには思えないわけなんです。そのことは申し上げておきたいと思います。  ただ、成田空港のこれまでの経過というものを考えますと、御承知のように、閣議で新国際空港建設構想を決定したのは昭和三十七年の十一月のことなんです。いまから九年前です。それから二転、三転して成田にきまるということになったのが四十一年六月、成田にきまってから今日まですでに五年経過している。第一期工事がまだ完成をしていない。来年第一期工事が完成して、そのあとに第二期工事が続くわけです。そうすると七、八年というものはたってしまう。もし大臣のおことばどおり十年くらいはだいじょうぶだろうということは、十年後にはだいじょうぶじゃないということなんです。そうすると、もう成田どころではなくて、いまのような状況が続く限り、私は、やはり国際航空路線その他の運輸行政から見て、今後航空の占める位置というものは非常に重要になってくると思いますから、空港建設に何が何でも反対をしようというような考え方は全然とっていない。必要なものはつくるべきである。方法論が問題である。そうなってくると、もうすでに十年後にはだいじょうぶでない。大臣のお話のとおりでも、事態に対していまから考えておかないと、成田空港が完成してから考えたのでは、この成田空港程度のいきさつでさえも、閣議決定からすでに十年近い歳月がたっているということを思うと、間に合わぬということになるんじゃないでしょうか。そのあとのことについて、構想はおありなんですか。
  100. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまのところは、空港整備は五カ年計画できまっております。そしていまの見通しといたしましては、十年間のあれを見通しを立てている次第でございます。十年後先にどうするかということは、これからの研究課題でございます。
  101. 和田春生

    ○和田(春)委員 五カ年計画でやっておるとか、そういうことを申し上げているのじゃないので、いま問題になっている成田空港を、新国際空港をつくるということを閣議決定をしてからすでに九年たっている。成田にきめてから五年以上たっている。まだそれが完成してないじゃないですかということを問題にしている。そこで大臣、あまり技術的なことをお伺いしているのじゃないのですよ。航空局長、あなたはよろしいですよ。もっと政治的なことを私はお伺いしている。どうしても必要であるとするなら、ひょっとするとこの第一期を上回るような事件が起こるかもわからないというような第二期工事を無理してやっても、やったころには、そろそろ間に合わなくなるような事態になってくる。こういうような危険性があるとするなら、この際国際空港のあり方というものについて根本的に再検討をする、そして第二期工事については、そういう面の方針がはっきりきまるまではストップをする、そしてどこかもっと騒音とか交通とか、そういう面について、いまのように事件を起こさなくて済むような場所と方法というものをこの際十分掘り下げて、これはもちろん各党とも、与野党を問わず協力しなければなりませんが、いい方法を考え出し、そういう将来の二十年、二十五年先を見通して、そのとおりいくどうかは別として、それとの関連で成田空港の第二期工事というものを既定方針どおり進めるのか、あるいは考え直すのか、そういう点を検討してみることが非常に必要なんではないか。そういうふうに大きな立場に立って考え直すことが、今回の成田事件というものの教訓を生かす道だ、私はそういうふうに考えるわけです。  ところが、政府の方針を見ておりますと、既定方針だからという形で公団にどんどんやらせていく。公団はすでに第二期工事のことを問題にし出している。しかし、将来どうするかということに対する基本方針はない。反対と力との激突を繰り返していくということでは、日本の政治にとって大きなロスですし、国民にとっても不幸なことである。したがいまして、この際、この事件の教訓を生かすという意味において、成田空港の将来をあらためて考え直すということが必要だと思うのですけれども、どうですか。
  102. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いろいろ御指摘いただきまして、まことに将来の空港建設に対する貴重な御意見だと拝聴した次第でございますが、ただいまのところ、私どもはどうしてもやはり成田空港は、第二期工事を含めまして、できるだけ早い機会に完成をいたしたい、こういうつもりでございます。  ただ問題は、いかにしてそこに土地を持っている方々と、話し合いを通じまして一致点を見出すことができるかどうかということでございます。これを、私どもあらゆる条件を勘案いたしまして、そうして誠意をもって当たりまして、それで第二期工事はひとつ円満に解決してまいりたい、こういう念願で一ぱいでございます。
  103. 和田春生

    ○和田(春)委員 いま東京が、日本の人口の一割をこすような非常な人口集中である。その東京の近くに空港をつくろうと思ったって、なかなか私はうまくいかないと思う。現に通勤でも、京浜地方から通勤するよりも、新幹線を利用すれば小田原から通勤したほうがはるかに時間が早い、こういうような事実もあるわけですね。そういたしますと、東京が日本の首都であるからという形で、その周辺に、この狭い日本の国土で空港をつくるというようなことを考えずに、思い切って全国的にやはり国際空港の分散とか、あるいはいま阪神間で出ておりますように、海上においてそういう施設を検討するとか、そしてそれと主要な都市との間の交通をどうするかということで、総合交通政策の一環として考え直す、私はぜひそういうふうに政府自身の発想をこの際改めてもらいたい。そうでないと、既定事実の上に立ってこれを漫然と続けていけば、同じような事件は十分に起こり得る可能性がある。いまは、そういうことを避けたい、全力を尽くすという答えはきまっている。もし起きたら、まことに遺憾でございます、今後再びこういうことはしないようにいたします。しかし、また起きる、そういう可能性はあるわけです。したがって、そういう教訓を生かす上において、私がいま申し上げたことについて、大臣、御検討いただけませんか。そのとおりにするとかしないとかいう約束は無理でしょうが、少なくともそういうことを考えてみるというくらいのゆとりを持ってもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  104. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの和田委員の御指摘でございますが、傾聴すべき御議論として私は心にとめておく次第であります。
  105. 和田春生

    ○和田(春)委員 時間の関係もございますので、この点については、いまの運輸大臣が御在任中だけではなく、日本政府としてそういう点を再検討するように、重ねて要望いたしまして次の質問に進んでいきたいと思うのです。  直接の問題としては、何といっても三人の警官が死亡する、しかも、それはかなり計画的であると思われる暴力的学生集団の手によって行なわれている。これは、さらに第二、第三の事件として発展する可能性があるということは、あの事件が起きてから、あの事件に関係をしている学生集団の責任者、リーダーたちの発言というものを見たり、あるいは機関紙に発表されている文章を見ますと、単に空港反対のためにやっているのではない。あそこの空港に対する反対という農民の運動が起きたということをきっかけにして、結局事件を起こせばいい、そして人を殺し、警察権力に挑戦をして動揺させて、自分たちが力をもって相手に恐怖心を起こさせれば、それが自分たちの革命的闘争の勝利だ、こういう考え方でやっているのですから、農民のほうは話し合いで説得をするということはできると思いますけれども、これは初めから話し合いをする姿勢がないわけで、一種の確信犯、こういう形でやっているわけですね。そういうものに対する対処というものについては、この際やはり政府としてはよほどしっかりした考え方を持ってもらわなければいかぬと思うのです。  そういう意味で公安委員長にお伺いをしたいのですけれども、今度の事件を見て、あの種の不法な暴力に対する警察の力は私は弱過ぎると思うのです。要するに、不法な暴力というものについては徹底的に許さないという点で、私はもっと警察は強くなってもらいたいと思うのです。これは単に成田だけではございません。町におきましても、あるいはその辺のあんちゃんとかあるいはやくざとか、日常いろいろな暴力によって今日かなり市民生活というものは脅かされている。そういうことに対して警察努力はしているのだろうと思いますけれども警察はたよりにならぬ。たとえば学生とおぼしき、学生かどうかわかりませんけれども、その辺のごろつきのようなかっこうをした者が、集団で傍若無人の行為をやって、婦人や一般のおとなしい人々が非常に迷惑顔をしておる。ところが、それを警察官は見て見ぬふりをしている、こういうふうな例もあります。だから、単に成田事件における学生だけではなくて、一般における不法な暴力というものを、公権力が徹底的にこれを取り締まるという姿勢がなければ、民主的な法治国家というものは成り立たぬと思うのです。力に力の対抗というものが誘発されていきますと、とんでもないところに行く。そういう意味で、こういう暴力行為の取り締まり、またそれを防止するという面において、もっと強くなってもらいたいと思うのです。そういう点についてはっきりした姿勢が出ていないように思うのですけれども、公安委員長、いかがですか。
  106. 中村寅太

    ○中村国務大臣 民主主義の法治国におきましては、この暴力行為というものは、いかなる場合といえども、これは許されるものでないことは言うをまたないことであります。警察当局といたしましてはあらゆる暴力を排除して、そして法治国家の体制を整えて、国民に不安のない社会情勢というものを続けていかなければならぬという基本的な考え方に立って対処をしておるわけであります。警察が、非常に集団的な最近の暴力行為に対して、何となしに弱い態度であるというようなおしかりをときどき受けておるのでありますが、私は、やはり警察の本来の任務は、どこまでも冷静な立場で国民全体の平和を守っていくという、その基本方針を逸脱しないように、警察がやはり感情に動いてはよくないと思いますので、国民の皆さん方から見ますと、何となしに警察の力というものが、歯がゆいように考えられる点があると思いますが、私は、その点につきましては十分この効果をあげて、そして国民の期待にこたえていくべきであって、警察当局といたしましては、どこまでも冷静に国民に対処していく。暴力行為につきましては、和田委員が仰せられますように、みじんの容赦もしない。やはりこれをどこまでも検挙いたしまして、そして追及していって、再び暴力行為をすることのないように取り締まっていかなければならぬと考えております。  ただ、御承知のように、最近の暴力というものが非常に集団化してきた。これはやはり一つの最近の特徴であると思いますが、これに対してどういう方法をとっていくかということにつきましては、やはり新しい場面に当面しまして、私はいろいろのくふうが必要であると思っております。私は、社会生活の上に起こってきます暴力行為というものは、やはり社会の一つの病気であると考えられる。その病気をなおす、これをなくしていくためには、どうしても私は国民協力と支持がなければ、警察の所期の目的は達し得ない。特に、これだけマンモス都市になりますと、そういうことが強く感じられてまいります。私らはどこまでも国民の信頼と御協力を期待しながら、警察は、さっきから申しますように、冷静な態度でこの暴力行為を手きびしく取り締まっていく、そして排除していくという強い姿勢で臨んでまいって、和田委員の期待されるようなことにこたえてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  107. 和田春生

    ○和田(春)委員 いま公安委員長は、国民協力が必要であるということをおっしゃいました。私もそのとおりだと思うのです。先ほど私は、不法の暴力に対しては、警察はもっと強くなれということを言った。そのことについては条件があるのです。実を言いますと、いまの日本の警察のあり方を見ますとたいへんよくなっておる。またそれぞれの個々の警官が、いろいろな面で第一線で苦労しながらたいへん努力をしている。そういう点について私は否定する気持ちはありません。そういういい面は認めていきたいと思う。  しかし、たとえば今日交通戦争といわれて、非常に交通が問題になっておる。事故を起こさないようにするためには違反をさせないようにすべきである。ところがその取り締まりの中で、大ぜいの人手をかけてどういうことをやっておるか。こっそり隠れて無線を張りめぐらして、そしてわりあい人通りの少ない、通りのいいところでついスピードを出そうものなら、ひっかけて検挙するという点取り主義をやっているじゃありませんか。そういうことが実はいけないと思うのです。そしてささいな交通違反についても、びしびし取り締まるのはいいけれども、むしろそういうように相手が弱いと思えばかさにかかっていじめておる、そういう傾向を私は目撃しないわけではないのです。私は一つの例をあげたのです。ですから、隠れておって違反をさせてつかまえるという努力をするなら、なぜからだを表に出して違反をしないようにリードしないのか。そういう体質があるものだから、暴力事犯についてもしばしば、そういう者を泳がしているんじゃないか、こういう批判を受けるのです。  公明党の竹入委員長が、たいへんお気の毒な目にあわれました。私たちも憂慮しているわけです。あの犯人自体だって、新宿の騒乱事件のときにつかまっているじゃないですか。簡単に釈放している。そして人殺しをやっている。そういうようなことで一部の疑いをかける者、そういう者をむしろ日本の警察は泳がしておる。そしてある程度そういう事件を起こさせ、それに対して国民の非難が起きるということを期待しているという、挑発行為がたくらまれておるのじゃないか、こういう見方をする人もおるのです。私はそこまでえげつない見方をしようと思わないけれども、どうも日本の警察のやり方の中に、何となくわざと犯罪を誘発しておいて、これを検挙して点数をかせぐという傾向があることは、私は事実だと思うのです。そうではなくて、犯罪を起こさせないようにする。暴力行為は未然に徹底的に取り締まる。そのためには、一般の市民生活においては、そういう悪質の暴力でなくて、多少脱線する者もおるかもしれないが、しかし、それにはあくまで親切に接して、そういう者を保護してやるのだ、無事の市民に対しては、平和な市民に対しては保護者であるのだ、取り締まり者ではないのだという、そういう日本の警察行政全体の姿勢があってはじめて、私は不法の暴力に対する徹底的な強い態度というものが、国民的な支持を受けると思うのです。  そういう意味において、今後の警察行政というものについて、第一線の警官はそれぞれが苦労して努力していることは認めますけれども、やはりその考え方、もののやり方、体質について、私は再検討すべき面があるように思う。そういうような努力に対しては、全面的に私ども協力するにやぶさかではございません。そういう点、ひとつ公安委員長のお考えを聞いておきたいと思うのです。
  108. 中村寅太

    ○中村国務大臣 和田議員の仰せられましたように、私は、警察官がいろいろ仕事をしていきます場合に、国民協力を得るためにはやはり前提が要る。それは、警察官の態度は、やはり国民の信頼を買うような態度でなければならぬ。そこで、警察官といたしましてはやはり教養を高めて、人から尊敬されるよう人格形成に努力をする、こういうことが一番大切なことである。そういう基本的な態度から警察行政に携われば、いま指摘されましたような、国民から疑われるような行為というものは自然になくなっていくものである、かように考えるのであります。そこで、そういう意味で警察官の教養を高め、人格を完成させていきながらそういうことをやっていこうといたしますと、私は、いまの警察官に対してはやはり処遇をできるだけよくして、生活の安定をはかってあげるということも必要であると思っております。それは、生活の安定を確保するだけの処遇をするということが、やはりいい人が集まってくる原因にもなってくる。こういうことをいろいろ考えまして、国民の皆さん方から信頼を買うに足る警察官をつくり上げていきたい。これが一点でございます。  それからもう一つは、いまの警察官というものの任務、範囲から考えますと、ただいま御指摘になりましたような交通事犯というようなものは、非常に交通需要の増大に伴いまして日に日に増しておる状態であります。こういうものを取り締まっていこうといたしますと、いまの人員ではたして可能なのかどうかというようなことも、私はやはり問題になってくると思います。しかし、それかといいまして、この交通需要が増大するに伴って警察官の人員をふやしていくことができるか、これにはまたいろいろのむずかしさがあります。そこで、交通行政その他とにらみ合わせながら、私はやはり警察の本来の目的を果たすように全員が緊張して、そうして仕事に精励していくようなかまえをつくらしていかなければならぬ、かように考えて努力しておるつもりでございます。
  109. 和田春生

    ○和田(春)委員 私の意見を、たいへん失礼ですが、公安委員長は取り違えていらっしゃるのですよ。警察官の教養を高める、待遇をよくする、交通違反の取り締まりをよくする、そういうことを私は聞いたわけじゃないのです。それはそれで考えていただいてけっこうなんです。そうではなくて、事例としてあげたわけですよ。つまり犯罪を起こさせない、あるいは普通の無事の市民については保護者としてお互いが平和にやっていけるような基本姿勢が必要ではないか。ところが、交通違反の取り締まりを見ても、警察官が表に立っておれば違反が起こらないのに、わざわざ大ぜいの人間が隠れておって、違反を起こさせておいてこれを検挙するというような点取り主義があるじゃないか。そういう警察の体質というものが、一般の国民から警察が親しみを受けないという大きな原因ではないか。そういう点について、常に保護者として接触をしなさい。そういう面があれば、不法の暴力を取り締まるという場合に、私は行き過ぎがあっていいとは言わないけれども、かりに何かの形で行き過ぎがあっても、あれは一生懸命やっているのだという形で、国民協力理解も受けられるのではないですか。いま第一線の警官は、薄給で非常に苦労しているという努力は認める。しかし、日本の警察行政の体質の中に、犯人もある程度泳がしておくとか、あるいは暴力事犯を容易に釈放するとか、そして何だか警察というのは弱い者や一般の市民の味方ではなくて、そういう暴力に対して甘いのではないかという疑惑が国民の中にある。そういうものを払拭するという努力が条件ですよ。そういうことを条件にして不法の暴力に対しては敢然と立ち向かって、もっと警察は強くなれ、つまり、よけいなところには強くならぬでいいと言っているのですよ。一般の市民にはちょっと脱線したって、ぐうたら人間がいたって、不法な暴力を使う者に対してはぴしっと強くなれ、そういろ点に重点を置いてやっていかないとぐあいが悪いのじゃないですかということを申し上げているのを、個々の事例に置きかえるようなことではまことに心もとないと私は思いますから、これはひとつ十分お考え直しを願いたい。このことについてはこれ以上申し上げません。おわかり願ったと思います。
  110. 中村寅太

    ○中村国務大臣 ちょっとお断わりしておきます。  私は、いま和田議員の仰せられたことをはずしたというような意味じゃございませんけれども、たとえて申しますと、いま御指摘になった交通取り締まり等を隠れてやっておるじゃないかということでありますが、必ずしも隠れてやっておるとまでは言えない。そういうことをやることはっとめて避けさせておるつもりでございます。しかし、警察官が見えるところは国民は、速力にしたってむちゃな走り方をせぬが、警察官が見えないとむちゃくちゃに走っていくというような、いわゆる交通法を守らない態度もありますので、やはりそこいらは、勘案よろしきを得なければならない点であると御理解願いたいと思っております。
  111. 和田春生

    ○和田(春)委員 この問題で論争をやめたいと思いますが、私は警察のあり方ということについては、他の西欧の民主主義国家との関連等におきまして、まだまだその根本から考えていくということが必要だと思います。そうでないと、第一線の警察官だけを責めたってなかなかうまくいかないし、国民協力のもとに不法な暴力をなくして、みんなが平和に暮らしていけるというためには、もちろんわれわれ政治家国民の側も考えなくてはいけませんけれども、やはり警察のあり方についても、そういう姿勢の面で考えてもらいたいと思うのです。  時間がございませんので、最後に文部大臣にお伺いしておきたいと思います。お伺いすることは一点だけであります。  今回の成田の事件に関連いたしまして、ある大学が兇器準備集合罪の嫌疑か何かで捜索されている、あるいは十六日の事件が起こる前の十五日には、ある大学の学生会館で爆発をいたしまして、負傷した学生が運び出されるのが目撃されたとかいうことが伝えられておりますが、そのほかにも、私たちはときどき耳にしあるいは目にするのは、大学の構内がそういう不法な暴力行為のアジトないしは兇器の製造工場として使われている、こういう事例があることはほとんど周知の事実になっておると思う。だからこそ捜査も行なわれておりますし、いろいろなことをやっていると思う。しかし、学問の自由、大学の自治というものを隠れみのにして、大学の構内が治外法権的にこういう暴力学生の凶器提供の場所にされるということは、これはなかなか大きな問題だと思います。一体そういう点について日本の大学はどういう管理をやっておるのか、そうして自分が管理に手に負えないとなった場合にどういう対策を立てているのか、またそれについてどういう報告を受けているのか、文部省としてはどういう指導監督をやっているのか、この点についてお伺いをしたいと思うのです。
  112. 高見三郎

    ○高見国務大臣 今回の代執行に関しまして、四千人の反対集団の中に二千五百人の学生とおぼしき集団があったということは、まことに申しわけないことに存じております。いま御指摘になりましたような問題につきましては、実は三年前までは、公然と学生集団の拠点が大学のキャンパス内にあったわけでありますが、その後大学側も理解をいたしまして、大学がこの暴徒たちの拠点になっておるという事実は実はございません。  ただ、先生御指摘のように、大学というところはいろいろ薬品を使います。実験用の薬品を使うとか。これはいつでも兵器となり得る薬品を実験用に使っておるのでありまして、この問題につきましては私も実は真剣に取り組んでおりまして、管理の問題については少なくとも大学当局が責任を負うべきである。二月と六月それから今月に入りましては十三日と十六日にそれぞれ、十三日の場合は関東近県の国公私立大学の学生部長を文部省に集めまして、管理上遺憾のないようにしてもらう、同時にまた、学生が一体どういう動きをしておるかという情報の交換等もいたしたのであります。それからさらに十六日には、全国の国立大学の学生部長、学生部次長を招集いたしまして、これは警察庁からの連絡もありましたものですから、管理体制を十分に強化してくれということを懇請をいたしておきました。  問題は、お話しのような事件がないわけでございません。あるわけでありますけれども、実はただいまのところは、大学内部が革マルに占領されておるとかいうような事態はございません。そのないために、今度の事件というものは非常に警察側に御迷惑をかける結果になりました。拠点があればその拠点さえ押えておけば、警察としては取り締まりが非常に楽であったろう。ところが、その拠点がなくて散在した関係上、たいへんな問題を引き起こしました。しかし、二千五百人という数が全国から集まってきたというところに問題があると思っております。ただ、ただいまのところは、私どものほうでは学生部長、学校の管理責任者に対しまして、この問題については徹底的に責任を明らかにしてもらいたいということを要求いたしておりますけれども、どこの大学のだれがやったということは、現在のところ捜査当局の捜査の範囲に入っておりますので、ちょっとまだ申し上げる段階にはなっておりません。ただ、先生がいまおっしゃった、大学が集団暴力学生の拠点になっておるかおらぬかということになりますと、二、三年前に比べますと、拠点として使われておるところはきわめて少ないということだけは申し上げられると思うのであります。
  113. 和田春生

    ○和田(春)委員 いまのお答えを聞いて私、全く不満に思うのですが、そういう認識だから困るのですよ。拠点というのは一つじゃないのです。あちらこちらに幾つもあるのですよ。そういう中で、もちろんその大学に在籍する学生が、大学の構内に出入りすることを取り締まれといったって無理でしょう。あるいは学生のことですから、デモをやったり、ある場合には勢い余ってつるし上げをやったり、ストームがあったり、そんなことまで私は問題にしているのじゃないのです。少なくとも大学の中が、あの暴力行為に使われる竹やりの貯蔵場所になったり、火炎びん製造工場になったり、あるいは爆弾をこしらえる実験場になったりする、それが事実あるじゃないですか。知らないとすればあなたの怠慢ですよ。世間では広く知っておることですよ。だからときどき警察が入っていくわけでしょう、一部だけれど。少なくともそういうような——いろいろなところでやるでしょう。自分たちのアジトを持って、盗んできた銃砲をかくまって準備をしているやつもあるかもしれない。しかし、少なくとも学問と研究の場である大学の中が、大学の自治とかあるいはよそから干渉されないということを隠れみのにして、そういう暴徒の集団の武器の製造工場とか隠匿場所に使われるということは、許してはならぬということを私は言っている。それを厳重に政府が監督させろと言っている。管理能力のない大学当局なら何とかしなさいと言っているのですよ。そうでなければ、学生という身分に甘えて大学の自治を隠れみのにして、いいかげんなことをやる気違いざたが行なわれるということを言っているわけなんです。そういう点について文部省はもっとしっかりしなさい、こう言っているわけです。たいしたことはない、三年前に比べればよほどよくなったなんて言っているものですから、この次はびっくりするような事件が起こるかもしれませんよ。ひとつしっかり答えてください。
  114. 高見三郎

    ○高見国務大臣 これはもう和田先生のおっしゃるとおりであります。私どもは必死になって、大学当局の管理の強化につきましては努力をいたしております。これは、従前にないほど激しい協議会を持ちましてたびたびやっておるのであります。  それで、これはほんとうに和田先生のおっしゃるように、今後こういう問題が絶滅できるかということになりますと、私は非常な不安を感じておる一人であります。これは国民の一人として非常な不安を感じておる。それだけに大学という、学問の自由というものの隠れみののもとに不法行為を許すということは、断じてこれはしてはならぬというだけの決心をもって臨んでおるということを、御了承いただきたいと思います。  私の申し上げ方は、現実に大学が大きな拠点になっておるという事実は、いまのところはございませんけれども、分散して一市民となってやっておる場合は、これはもうどうにもならないのでありますけれども、大学内においてさような事態を起こしてはならぬということで、ずいぶん厳重な指示を実はいたしておるのであります。一昨日も京都大学の学長を呼びまして、金属ナトリウムの盗難の事件について、だれが一体責任を負うんだというところまで実は強硬な指示をいたしたばかりであります。先生御指摘のような問題につきましては、これは学生の名において行なう暴徒だと私は思っております。断じて学園内でさようなことをやらしてはならぬというだけの決心をもって臨んでおるということを、御了承いただきたいと存じます。
  115. 和田春生

    ○和田(春)委員 最後に、これは要望でございますが、冒頭申し上げましたように、今回の成田事件の経過というものを見てみますと、事ここに至るまでの政府の責任のとり方といいますか、責任ある行動というものに欠ける面が非常にたくさんあったように思います。したがいまして、第二、第三の事件を防ぐためには、技術的な問題だけではなくて、先ほど申し上げましたような国際空港建設のそもそもの初めからそれを進行する途上において、よほど政府がしっかりして十分な合意と納得を得る、またそういう方針を基本的に打ち立てるということが必要であると思います。そういう意味で、今度の成田事件の教訓を生かしていただくように希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  116. 小峯柳多

    小峯委員長 加藤六月君。
  117. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 先輩、同僚委員がすでに多くの問題について御質問されましたので、私は簡単に質問さしていただきたいと思います。ましてや昼食抜きでやっておるわけでございまして、政府委員の皆さん方にはまことに恐縮しておるわけでございます。  先般の代執行の際における警官三名が殺害されるという事件、また、昨日公明党の竹入委員長が暴漢に襲われるという事件、こういう頻発する暴力行為というものに対しまして、私たちは心からなる憤り、現代人間社会に対する挑発行為であるとまで断言せざるを得ないわけでございます。いろいろ御質問等も申し上げたいと思いますが、まず運輸大臣に御質問申し上げます。  一昨年、学生運動がたいへん激化いたしましたときに、岡山大学におきまして、いわゆる岡大事件というのが起こりまして、警察官が一人殺されました。われわれ岡山県民は、この事態に対し心から憂慮いたしまして、警察の士気の低下ということ、あるいはまた法を守るために警察官がなくなられたということで、県内たいへんな問題になったわけでございます。そこで岡山県の各種団体、県その他すべての団体が音頭をとりまして、県民葬ということをいたしたわけでございます。先ほど来先輩議員が、法治国家で限度を越えた、学生というよりか暴徒のこういう行動を許してはならないという強い御意見が次々と出たと思いますが、先ほど、成田国際空港の最終責任者運輸大臣であるということになりましたわけですが、運輸大臣は、先般なくなられた三人の警官方々に対し、国民葬を音頭をとって行なうというくらいまでの決意がおありでしょうか、どうでしょうか。自民党の内部におきましては、われわれはすでに資金カンパを行ない、こういった方々に対する慰労、また多くの方法を現在考えておるわけでございますけれども運輸大臣としては、成田代執行問題にからみ、こういう警察官がなくなったということに対する遺憾の意をいろいろ表明されておりますけれども国民葬というようなことをお考えになったことがあるかどうか。おやりになる意思があるかどうか。音頭をとってということについてまずお伺いいたしたい、こう思う次第です。
  118. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 犠牲になられました警察官に対しましては、何と申し上げていいか、ほんとうに痛恨のきわみでございます。  それにつきまして、加藤先生から国民葬にする音頭をとってはどうかという御意見でございますが、この構想につきましては、県の皆さまがそういう気持ちで立ち上がっていただきましたならば、さぞかしなき霊も非常に地下から喜ぶし、また御遺族に対するお報いも幾ぶんできるのじゃないか。全面的に賛成でございます。ただ、私が当該責任者でございますので、私が音頭をとるのがいいかどうかということは、これまた研究してみなければならぬ問題でございますが、ことに地元におきまして、そういう声が自然発生的に出てまいりましたら、これ以上ありがたいことはない、こう思っている次第でございます。
  119. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 運輸大臣はお忙しいと思いますから、これで私の質問は他の政府委員にしますから、けっこうでございます。  次に、国家公安委員長にお伺いいたしますが、成田問題といい、また昨日の竹人委員長に暴漢が襲いかかる事件といい、私、先ほど申し上げましたように、たいへん遺憾にたえないどころの問題でなくして、近代人間社会に対する挑発、挑戦であるということばを使ったわけでございます。来たるべき国会においては、私たちは暴力行為絶滅の決議案を出したいというくらいまでの決意をいたして、いま、党内のそれぞれの関係において相談をいたしておるわけであります。  これに関連するわけでございますが、新聞紙上に、たとえば成田地区の一部において解放区ができ上がっておるといわれている。この解放区ということばは、一体どういうことを意味し、治外法権的な考え方を警察当局も認めておるのかどうか、これについてひとつ国家公安委員長の所見を承りたい。  そしてまた、ああいう問題を起こした際に、いろいろな捜査本部を設けておやりになっておられますが、騒擾罪の適用というようなことはお考えになったかならないのか。法務省、公安調査庁もきょう出ていただいて、私、破防法の適用団体か容疑団体かという内容までについて突っ込んで聞きたいと思ったわけですが、所用でお帰りになりましたので、解放区に対する所見と騒擾罪の適用あるかなしかというこの二点について承りたい、こう思います。
  120. 中村寅太

    ○中村国務大臣 解放区と世間でいわれております点は、これは警察が立ち入ろうとしますと、なかなか、彼らがその連絡等をうまくやって、妨害をするというような地域のことを世間でそういっておるのだと思います。治外法権というようなものでは全然ございませんし、私ら警察当局としては、何らそういうものを特殊地帯として認めておるわけではございません。今後もまたそういうところだからといって、いろいろ立ち入りに遠慮するとかいうような、当然そういうことを考えてもおりませんし、平等に考えて、悪いことがあれば容赦なくやはり踏み入って摘発していくという気持ちでございます。  もう一つは、騒擾罪を適用するかということでございますが、いまの時点では、騒擾罪を適用するというような気持ちはございません。しかし、彼らの焼き討ちとかいうようなことがもしも国民の住宅等に及ぶ、そういうことがもしもあるというようなことになりますと、その時点で考えていきたい、かように考えております。
  121. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 公安委員長も、私はほかの政府委員に御質問いたしますから、どうぞ帰っていただいてけっこうでございます。  次に、今回のこういった一連の成田国際空港の用地確保に関する多くの問題等が起こってきたわけでございます。私も昨年、公団法の一部改正のときに、相当詳しく具体的に御質問申し上げておったわけでございますので、この際詳細にわたる質問はいたさないつもりでございますが、国際新空港建設という国民的、国家的要請という問題と、地域住民の生活権あるいはまた生活向上権、福祉権というものとの一つの衝突が、今回第一次代執行、第二次代執行という形で次々にあらわれてきたのではないか、こうも判断いたしております。そしてまた、世上いろいろいわれておるように、富里から三里塚に変わった問題が、どうもスタートからおかしかったとか、あるいはまた農民土地に対する執着に対して政府は配慮が欠けたとか、あるいはまた十分なる話し合いが行なわれなかったとか、あるいは騒音問題があるとか、代替地の問題があるとか、いろいろな理由が出てくるわけでございますが、その一つの問題として、私、今日わが国における土地問題、土地制度の問題というのが非常に大きな問題ではないか、こう考えますので、ちょっとこの問題について質問してみたい、こう思うわけでございます。  われわれ常に、自由民主党の立場で申し上げますと、土地の所有権というものは徹底的に尊重されなくてはならない、しかしながら公共用地、社会公共の福祉のためには、その土地の私有権は若干これを放棄というか、公共のほうが優先するという考え方を持っておるわけであります。ところが、この問題に関係して、国家が直接そういった精神に従って法律の適用をやるものとしては、土地収用法がございます。しかし、先ほど一番最初に徳安先輩がおっしゃいましたように、いろいろごね得ということが非常に流行いたしております。道路敷あるいは公園、鉄道、港湾、空港いろいろな問題を行なう場合に、この土地という問題が、土地収用といいますか公共用地の確保が、非常に大きな問題になっておるわけでございますが、成田における農民皆さま方の土地に対する執着というのも、あるいはこういう点から出ておるのではないか。私自身自民党の国会議員でございますが、今日われわれが一番不愉快に思うことは、公共用地の取得のために用地敷になった人々は永久に恩恵にあずからない、その周辺に残った土地所有者というのは、国家あるいは公共の資本を投資したことによって土地の値上がりがくることの非常なる不公平という問題等で、いつも物議をかもすわけでございます。公共用地の取得については、いろいろな方法を政府は考えられておると思いますが、私たち四年前にフランスへ勉強に行ったときに、フランスの空港用地を確保する際に行なわれた一連の法律的措置というものを検討して帰ってきたわけでございますが、フランスにおいて、空港用地あるいは公共用地の取得にかかる方法としてどういう方法を講じておるか、建設おいでになっておると思いますが、ひとつ御説明していただきたい、こう思います。
  122. 大河内正久

    ○大河内説明員 フランスの用地制度でございますが、私ども承知しておりますのは、フランスでは優先市街化区域と長期整備区域というような制度を持っておりまして、主として先買い権を設定いたしまして、相当広い範囲の区域でございますが、それによりまして土地の開発をある程度抑制していく。そこで、結局最終的には土地の売買益がチェックされるという形で、地域制度を設けてその中で住宅、道路等の公共事業を執行するという体制をとっておりますが、空港自体の個別の法規については、ただいま承知しておりません。
  123. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 たとえば空港用地が決定する、その周辺は幅をきめまして何キロは、向こう五年間売買が行なわれるときには、年六%ないし七%の金利は加算するけれども、それ以上の売買は認めない、こういうような方法があるというように私、記憶しておるのですが、そういう点は御存じございませんか。
  124. 大河内正久

    ○大河内説明員 具体的に空港建設そのものにつきましての特有の制度として、ただいま御指摘の点は承知しておりません。
  125. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 課長、もう一点お伺いいたしますが、現在の土地収用法をもう少し強化する方法、あるいはまた範囲を広げるという方法、これが一点。  それからその次は、公共用地取得にかかる特別の規制を行ない、そしていま私が申し上げましたように、もちろん区画整理方式による道路敷だとかいろいろな方法がございますから、一律にいけないと思いますけれども、いわゆるごね得を防止し、また用地敷になった人は公共資本の投資の恩恵に半永久的にあずかれない、その周辺に残った人たちは膨大なる土地値上がりの恩恵に浴して、ほんとうの意味の不公平が行なわれておる。これに対する規制といいますか、これは法律的規制と税制上の規制と両方あると思いますが、これについて建設計画局当局は検討しておられますかおられませんか。この二点についてお伺いしたいと思います。
  126. 大河内正久

    ○大河内説明員 お答えいたします。  収用法の今後の改正の方向でございますが、ただいまの収用法は四十二年の第五十五国会におきまして大幅な改善をしていただいたわけでございます。中身は、主として、従来補償金を収用委員会裁決の時点で算定しておりましたものを、事業認定時の価格でもって算定するということを中心にしまして非常に大きな改正が成立したわけでございまして、ただいまその改正制度が、ようやく府県段階あるいは起業者に浸透しつつある状態でございます。あわせまして、収用法の改正と並行して租税特別措置法の改正が、当時同時に成立したわけでありますが、その際に、被収用者に対しますところの課税対象額の特別控除千二百万円という制度もあわせて御審議、成立を見ておるわけでございます。  ただいまのところ、収用法プロパーの問題といたしまして、改善すべき点はやや少ないんではなかろうかという見通しをしておりますが、ただいま先生御指摘のような、収用法をそのものずばり運用します際の環境と申しますか、周辺の状況と申しますか、そういうものにつきましては、実は四十五年の八月の地価対策閣僚協議会の決定によりまして、土地税制の改善その他周辺の事情につきまして、今後検討して成案を得るようにというような御決定を見ておりまして、その線に沿いまして、建設省におきましてもただいま鋭意検討中でございます。
  127. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 私は、先ほど自民党の国会議員と申し上げましたが、今日わが国の置かれておる特殊状態、いわゆる国土が狭小にして、その上に超高密度社会が建設されつつあるということ、その一つとして成田国際空港もあるわけでございます。私自身の持論といいますか、なにを申し上げておきますが、努力せずに公共資本投資に伴って周辺の土地の相場が上がるということは、これは地主の全く不当所得であります。これをこのまま置いておくということ自体が、非常に国民のわが党に対する不信感を買い、またある面では、土地を持たない東京のマンション生活、アパート生活の多くの国民の不信感を買っておるわけでございます。その一つのあらわれが成田にも出てきたのではないか、またその一つのあらわれが、農民土地の執着ということにもきたのではないか、こうも思います。私は公共用地、公共資本投資に伴う土地値上がり税、いわゆる周辺環境に対する思い切った措置をやっていかなくてはならぬのではないかと思いますが、そういう点、御要望いたしておきます。  そういう考え方に立って成田農民の皆さま方の考え方というものを見ますときに、私たちも反省をしなくてはならない点もあると思いますが、また逆に考えてみますと、社会主義国家は自留地というものをどの程度認めておるかということは、われわれは農民あるいはいろいろな方々の社会主義国家におけるそういう制度というものも調べ、検討して歩きましたけれども成田闘争における反対同盟の方々土地に執着するあまり、社会主義的なあるいはまたアナーキストの連中と組んで抵抗する姿というもののは、私自身非常に矛盾を持って見るわけでございまして、土地に執着するあまり、土地制度そのものについて非常に大きく異なった考え方を持っておる方々と共闘するというところに、私は、どういいますか、根本的な大きな錯誤といいますか、錯覚というものを考えざるを得ないわけです。そういう点、徳安先輩がおっしゃいましたように、公団あるいは運輸省当局が裸になって、農民の皆さま方に根本理念から接してもらえばよかったのではないかという気持ち等もいたすわけでございます。  土地問題はその程度にいたしまして、騒音に対する問題としては、これまたもうすでに先輩議員等が十分言われたと思います。航空局長お残りですが、われわれは四十四年に政令の改正をやりまして、滑走路の延長二キロ、滑走路の中心線六百メートルというやつをやりました。これをやるのでもずいぶん努力したように思うわけでございますけれども、先般来の代執行の経過あるいはその及ぼす範囲等を考えてみますと、この騒音問題も非常に大きな問題になってくるのではないか。ましてや十六日のあの事故に対し、外電の伝えるところによると、日本の警察官三名は公害問題で殺されたというような新聞記事も読んでびっくりしたわけでございますが、空港における公害問題というと、騒音と一つは排水、汚水、まあいろいろな問題が出てくるわけでございますけれども、この騒音の問題に対して、さらに区域を拡張するということについては、もう答弁があったかどうか知りませんが、これはお考えでございますかお考えでないですか、ちょっと簡単に承りたいと思うのです。
  128. 内村信行

    ○内村説明員 ただいま加藤先生御指摘のように、いわゆる航空機の騒音問題というのは、今後の空港につきまして最も大きな問題であろうと思っております。  そこで、その騒音区域につきまして、御指摘のように、先般二キロ、六百になったわけでございますが、もう少しこの範囲につきましては、将来はさらに前向きに考えていくということを考えなければいかぬというふうに考えています。
  129. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 将来さらに前向き、それではちょっとおかしいわけで、もう少しはっきりした方針も承りたいと思うわけですが、時間がございませんので、どんどん先に進みたいと思います。  その次は、成田国際空港問題についてよく言われたのが、われわれもビラをたびたび見せてもらいました、反対派の皆さん方が配っておられるビラ等も見せてもらいました中に、軍事基地反対ということばがよく使われておりました。先ほど私ちょっと入ってさましたら、宮井委員もこの問題について質問いたしておりましたが、軍事郵便物取扱所の用地提供方について、在日米軍司令部より防衛施設庁に申し入れがあり、防衛施設庁はそれに対して運輸省に要請があったということを聞いております。もちろんこの軍事郵便物取扱所そのものが、軍事目的か軍事施設かという議論等はあると思いますが、これに対して航空局長は、防衛施設庁にどういう返事をされておるか。これも簡単に承りたいと思います。
  130. 内村信行

    ○内村説明員 先ほど宮井先生の御質問に対してお答え申し上げましたけれども、これに対しては、希望に沿いかねる旨を返答してございます。
  131. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 その姿勢、非常によろしいと思いますので、あくまでも堅持してもらいたいと思います。  その次に、私は、社会党の一坪運動といいますか、共有地問題、この点について承っておきたいと思いますが、これは私、昨年も公団法の一部改正のときに申し上げたわけでございますが、一昨年暮れに衆議院総選挙が行なわれ、そして昨年一月に佐藤内閣総理大臣が施政方針演説をやった。これに対して社会党成田委員長が代表質問にお立ちになりまして、公共用地の取得に対するごね得は絶対許してはならないと、非常に強いことばで衆議院本会議の演壇の上でおやりになったのを聞いておりまして、私たいへん感激いたしておったわけでございます。そういう精神がすべての問題に徹底してくれれば非常にありがたいという気持ちでも見ておったわけでございますけれども、これと一坪運動の問題、強引にこじつけるという印象を与えてはいけないので、あまりこの成田委員長の演説内容には触れませんけれども、少し具体的に一坪運動の内容について質問いたしてみたいと思います。  成田国際空港が最初ああいう経過になるときに、一番強く立ち上がって反対せられたのは、私、いろいろな団体があると思いますけれども、最初のスタートにおいては、社会党の諸先生方のああいう運動も非常に効果があった、こういう認識をいたした上での質問でございますから、ひとつそういう意味で、またきょうは木原委員にぜひおっていただきたい、また木原委員よりも先に私が質問いたしたいという気持ちを持っておったのは、そういうところにもあるわけでございます。  まず公団総裁に承りますが、名前がどうの、どなたがどうのということは申し上げませんが、登記は完全にしてあったかどうかということを確認されたかどうか、これが第一点。第二点は、現場も見ずに自分の名前を貸しておる人がおられます。第三点は、金を払ってないのに自分の名義になっておられる人がおられます。こういう点について、公団当局は一つずつ確認したかどうかということをまず承りたい。それから、供託の方法はどういう方法でこういう方々に対してされたかということ、この点承りたいと思います。
  132. 今井榮文

    今井参考人 まず最初の御質問でございますが、社会党会議員団の共有地の登記の関係でございますが、この土地はすでに先般の代執行で消滅したわけでございますけれども、元来駒井野という部落の藤崎米吉という方、これは非常に強い反対派でございましたけれども、先般私どもとの話し合いで、他の所有地を合わせて売っていただいたのですが、この方の持っておられた土地でございまして、約三百坪程度のものじゃないかと思いますが、昭和四十二年八月十日に、当時存命中の小川三男先生外国会議員団五十五名の方々の連名で買い取りまして、登記は昭和四十四年の十月の十七日に登記されております。  それから第二、第三の点でございますが、実際に名前を連ねた先生方が、現物を見ておられたかどうかという点については、公団は確認いたしておりません。もちろんこの共有地の取得について、購入代金を払ったかどうかは、私どもとしては全然存じません。  私どもの供託は、金額は、私いまここでははっきり覚えておりませんけれども、当時衆議院の解散がございまして、名を連ねておられた先生方でも不幸落選された先生方もおられまして、現職の先生方には会館に対し、それからまた他の先生方に対しては、それぞれの御自宅に金を送って断わられた関係上、法律手続によりまして供託をいたした、こういうことになっておるわけでございます。
  133. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 わかりました。  それからその次は、先ほど一番最初に運輸大臣から経過報告がございましたが、そのときに、緊急裁決のあった十四件のうち三件については話し合いが成立した、こういうような報告がございました。緊急裁決の申し立てをいたしたところ、六月十二日裁決を得たということからずっとありますが、この間、この社会党先生方共有地といいますか、一坪運動地といいますか、これに対しては、話し合いというのをされたのですか、されないのですか。緊急裁決があったあとにおいてされたとするならば、だれとだれとに話し合いをされたのでしょうか。けさの運輸大臣報告では、十四件あって、そのうち三件は話し合いが成立した。話し合いが成立しておる中に、この共有地というか、一坪運動地がありますね。そこで私がお伺いしたいのは、だれだれにこの裁決で、何とか話し合いに応じてくれという交渉をされたか、されないかということを承りたいと思うのです。
  134. 今井榮文

    今井参考人 私どもは、特に千葉県選出の社会党先生方には、平素いろいろ御折衝があるわけなのでございますけれども、大体社会党共有地の問題は、私どもの仄聞するところによりますれば、やはり党としての一つの方針というもので御決定になっておられるのではないかというふうに、これは間違っておれば訂正いたしますけれども、そういうことで、私ども間接的にはいろいろお願いをしたこともございますけれども、直接私自身が出向いてお願いしたということはございません。
  135. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 そうしますと総裁、ちょっと私、不審に思うのですが、十四件のうち三件は緊急裁決があったあとに話し合いが成立したわけでしょう。そうすると、これとこれは話し合いがつきそうだから話し合いをしよう、社会党の一坪運動の共有地については、仄聞するところによると党議で決定しておるらしいから、話し合いにはもともと行かなかった、こうとっていいのですか。ということは、十四件のうち三件というのは、最初から話し合いがつきそうであったからしたのであって、あとは最初から投げておった、もう代執行にまっしぐらに進んでいくんだという気持ちであったのですかどうですか。そこのところをもう少し教えてください。
  136. 今井榮文

    今井参考人 これは、おっしゃるように私どもが正式にお願いに上がるというような措置をとればよかったかもわかりませんが、かりにとったといたしましても、私どもは従来現地に行っておりまして、社会党千葉県の方々は非常に強硬でございまして、この共有地について、私どものほうにお譲りいただけるというふうな雰囲気が全然なかったような感じを実は私、持っておったわけでございます。そういうことで、結局代執行に踏み切らざるを得なかったという感じでございます。
  137. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 これは総裁にお尋ねするのはどうかと思いますが、その問題は正式の話し合いはなかったととっていいと思うのですが、それでは非常に私たちさびしい気持ちがするわけで、やっぱり誠心誠意当たってもらいたかった。  その次に私が聞きたいのは、午前中に運輸大臣報告されたわけですが、運輸大臣及び空港公団総裁の連名をもって、再度にわたり反対同盟委員長に対し、話し合い機会を持ちたい旨申し入れた、こういう報告があったのですから間違いなくおやりになったと思いますが、この反対同盟というものと社会党の一坪運動の関係者というものとの、共闘関係というか因果関係というか、どういう関係にあると公団当局は判断されておったでしょうか。
  138. 今井榮文

    今井参考人 反対同盟の団結小屋あるいは一坪運動地というもの、社会党の国会議員団の共有地というものとの間には、直接的ないわゆる共闘関係というものは、存在しなかったという認識を持っております。
  139. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 そうすると、文書による話し合い機会を持ちたいという申し入れば、反対同盟だけにして、一坪運動の皆さん方や何かには全然されなかったわけですか。運輸大臣並びに空港公団総裁は、十四件のうち三件話がついたというあとでの報告ですが、この反対同盟だけに出したのですか。それとも個々別々に、残った十一件のところへ文書を出したのですか。どうでしょうか。
  140. 今井榮文

    今井参考人 従来、一坪運動あるいは団結小屋等の共有者は人数が非常に多いわけでございます。全体合わせると関係人と称する者が数千人おるというふうなことで、これらの人々に対し個々に話し合いの手紙を出すということは、なかなかむずかしい問題でございまして、特に現地に集中して住んでおられるわけでもありません。東京にもおられるし、あるいはまた地方にもおられるという状況でございます。ただ、一坪運動地あるいはまた団結小屋等は、元来が、そういうふうな空港建設土地取得についての手続を非常に煩瑣にするために編み出した一つの戦術的な方法でございまして、だからこれは、初めからそこの共有者と話し合いをして、全部の調印をとってそれをいただくというのは不可能だと私は思います。だから、反対同盟は結局、その現地における実際の代弁者といいますか、あるいはそれら全体の代表者というふうな形で存在しておるものですから、したがって、私どもとしては、常に反対同盟の委員長なり、あるいはまた副委員長、あるいは事務局長、こういうふうな方々に対してアプローチをしようと努力したわけでございます。
  141. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 その点についてもう一つ。同じように運輸大臣報告された中に、九月一日に千葉県知事は、社会党関係共有地及び天浪、木の根、駒井野の三団結小屋の四件について戒告したけれども戒告に従わなかった、こういう報告があるわけでございますが、これは総裁にお聞きするのはおかしいと思いますけれども総裁も一生懸命事の推移について注目されておったと思いますが、千葉県知事は、いまの問題にしぼってみますと、今回、社会党関係共有地に対し、どなたを相手にどういう戒告をしたのでしょうか、お聞きになっておることがあったらこの席でちょっと教えていただきたい、こう思います。
  142. 今井榮文

    今井参考人 これは、いろいろ問題のある点だろうと思うのですが、これは知事さんのほうでは、議員会館に送達したというふうに言っておられました。そういうふうに私は伺っておりますが、代執行責任者千葉県知事なんで、私どものほうでは、手続としては全然関与しておらないわけでございます。
  143. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 それでは、次の報告を読んでみますと、十六日の早朝いよいよ代執行をやるということになったわけでございますが、そのときに社会党一坪運動地には、大体反対勢力が二百名おった、こういうように聞いておるわけでございますが、これは警察当局は外側で、公団あるいは県の皆さんが中へ入っていったわけですが、この一坪運動地におった反対勢力二百人の顔ぶれというか、分析はわかるのでしょうか、どうでしょうか。
  144. 今井榮文

    今井参考人 これは木原先生おられたので、一番よく知っておられると思うのですが、私どもは従来の大体の経過なり、あるいはまた当時の現地からの報告、あるいはテレビ等で拝見したのですけれども、おそらく社会党関係千葉県の若い人たちが主だろうと思うのです。それからまた一部学生、これは団結小屋におった学生とは全然別のものじゃないかと思いますが、学生も若干、五十名くらいまじっておったのじゃないかというふうに聞いております。これは詳しいことはわかりません。
  145. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 その際に、執行宣言が七時五分に行なわれて、執行開始が八時四十分。ほかの地区の駒井野を見ると、執行宣言が七時七分で執行開始は八時五分。天浪を見ると、執行宣言が六時四十五分、執行開始が七時一分。木の根を見ると、執行宣言が七時二十四分、執行開始が七時三十分。ところが、一坪運動地は執行宣言が七時五分、執行開始が八時四十分で、一時間四十分かかっておるのはここだけですが、これはどういう理由でおくれたのでしょうか。
  146. 今井榮文

    今井参考人 当時私どもは、現地から刻々情報が入ってまいりました中の情勢によりますと、十六日の七時十二分現在という報告でございますが、第七地点、これが社会党の一坪運動地でございますが、木原先生がおられますが、木原議員が、戒告書が届いていないというふうな趣旨で抗議をされておったというふうなことで、さらにまた副知事さんとの間に、そういった代執行手続上の問題についてのいろいろなお話し合いがあって、若干執行自体がおくれたのじゃないか、こういうふうに伺っております。
  147. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 先ほど、総裁がやることでないという前提でお聞きしたのですが、戒告書は会館へ送達した。ところが、当日になると戒告書が届いてないと言われた。まあいろいろありますが、そこは言いませんが、この二百名の方々は、ちょうど警察官が暴徒に殺されたということを、どの時点くらいで知って認識されたというか、ニュースをキャッチせられたというか、そういうことは総裁おわかりにならぬでしょうか。
  148. 今井榮文

    今井参考人 私、全然存じておりません。
  149. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 実は、私がほんとうに言いたいのはこの点なんです。というのは、執行宣言から執行開始までがおくれたというのは、国会議員さんがおられていろいろ良識的な話をされ、また一坪運動地というのは、そうごたごたもなしに終了宣言が行なわれたように聞いておりますけれども、その間の経過の途中でもってゲリラが周辺地域に出没し、草むらの中へ警官を引きずり込んで殺すというような前代未聞の、法治国家にあらざる行為というのが起こった。それを皆さん方がどの時点でお聞きになって、どういう態度をおとりになったかということを、実は私自身は率直に申し上げて知りたいわけでございます、これはどうも総裁に質問するほうがおかしいわけでございますけれども。というのは、前の代執行のときには、木原議員は暴行を受けておるということで、暴力そのものに対しては徹底的に反対される気持ちをお持ちだろうと私は思う。それを、まあいろいろなことで先頭に立たざるを得ない立場、気持ちというのもまたわかるような気もいたすわけでございますけれども、十六日の早朝に起こったああいう問題に対して、どういう処置をその場でされたかということは、これはまあある面では国会議員の良識というものをわれわれは信じたいということで、さらに一番最初この一坪運動問題で申し上げました、成田委員長が衆議院の本会議で、全国のテレビの中継されておる前でおっしゃったあのことばを、私は、公共用地の取得に対してごね得は許さないということば等で思い出して、ほんとうはこの点をもう少し詰めたらどうだろうかと思ったわけでございますが、与えられた時間が大体もう来てしまいました。たいへん残念に思うわけでございます。  あと、いろいろ私らも考えなくてはならない問題がたくさんありますが、どうか、これからのパイプラインの問題、あるいはまたいろいろ出ておるような道路、新幹線、いわゆる足の問題、騒音の問題、あるいは今回の経験にかんがみて関西国際空港に対する政府の処し方、優柔不断であったり、またあるいはあっちがいいかこっちがいいかというので、その周辺の人々に迷惑をかけるような方法、こういうこと等厳に戒めてもらいたいと思うわけでございます。  同じ空港にからみまして、この二十七日に羽田空港から天皇、皇后両陛下が訪欧の旅においでになる。そうすると、成田のあとは今度は訪欧阻止運動だといって、まあ学生ということばはたいへんおこがましいので、暴徒が考えておるようでございますが、警察庁参事官おいでのようですが、まさかこの羽田空港の訪欧阻止問題で死者が出るようなこと、両方に死者が出るようなことはないと思います。私たちはあくまでも警察当局は冷静にそして厳正に処してもらいたいと思うわけですが、この二十七日の訪欧阻止運動に対する、いま私が申し上げました大きな騒動がないように十分なる準備がしてあるかどうか、ひとつ警察庁のほうにお尋ねいたしたい、こう思います。
  150. 斉藤一郎

    斉藤説明員 お答えいたします。  お尋ねの二十七日の御警衛の問題については、昨今のいろいろな情勢からいって警察としても万全の対策をとりたいということで、目下のところもっぱら事前のいろいろな動向、そういうものを集めまして、それによって対策を立てるという段階でございますが、いまのところ具体的には現地において、羽田じゃございませんで、いつも集まる場所がございますが、そこで集会をするという情報が二、三ございます。その他、具体的にどういうことをやるという情報は入っておりません。  ただ、先ほどもここで話が出ましたように、一部の暴力集団が、空港の問題に限らない、何でも問題を取り上げて世間の不安を醸成しようという考えでやっておるようでございますので、そういうことを十分踏まえまして、しかも、陛下が御渡欧されることについていたずらに過ぎた対策、警備をやるということがあってもまた、国民と皇室との関係に壁をつくるということになりますので、それやあれやを十分勘案して警察として万全の対策を立て、国民の期待にこたえたいというつもりでやっております。
  151. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 この席は運輸委員会の席でございますので、申さしていただきたいこともいろいろございますけれども、私の質問時間も参りましたので、これでやめたいと思いますが、どうぞ政府当局も、今後まだ第二期工事、あるいは第二期工事に入る前の多くの問題等ございます。先般のような悲惨な、悲しい事態を起こさないような万全の措置と、また、いたずらにそういうところから不安や混乱を起こさせないような方法も十分に講じていただきまして、今後の空港建設をスムーズに進展さすような一大決意を要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  152. 小峯柳多

    小峯委員長 米原昶君。
  153. 米原昶

    米原委員 私は、田代議員が緊急の用事ができまして本委員会出席できないというような事情のもとで、差しかえで発言させていただくために、時間も制限されております。ですから、できるだけ重複を避けてお聞きしたいと思うのです。  しかし、どうしても発言しなくちゃならぬのは、昨晩の公明党竹入委員長に対する暴力的な襲撃事件であります。私も、とりあえず慶応病院までお見舞いに行ったわけですが、そのときに新聞記者からいろいろ質問されました。そのときにも答えたのですが、やはり暴力と人命軽視の風潮がいま非常にはびこっている。基本的にはやはり、その点では自民党政府がとってきた高度成長政策、人間を軽んずる政策というものが大きな背景にあるんだということを指摘せざるを得ないのだと私は申しました。先ほど話を聞きますと、この犯人というのが、新宿の騒擾事件のときに一度逮捕されている。あの事件にしましても、あの暴力的な集団というのは、連中は何を言っているかというと、三泊四日別荘に泊めてもらったようなもので、すぐ釈放になったとみんな言っております。そういう形でこの男も釈放になっているのですね。全くこういう連中に対する態度というのがあまりにも甘過ぎるということを、われわれは前から指摘してきました。実際は、和田委員も言われましたけれども、泳がしてきたのじゃないかということもわれわれ言ってきた。そういうものが今度の成田事件になってもあらわれておる、そういうふうに指摘せざるを得ないのですが、時間もありませんから、その点は、別の委員会で別の委員にやってもらうことにします。  時間がありませんから、質問に入る前に、この成田事件についてのわが党の態度を、まず明らかにしておきたいと思います。  私たちとしましては、かねてから、機動隊の導入による一方的な強制代執行をやるべきではなくて、問題の本質は、政府公団誠意をもって地元農民との話し合い解決すべきだという立場をとってきました。そういう点からいっても、強制代執行は今後一切やめるべきである、私たちはこういう考えを持っております。  第二に、今回の事件の原因は、三里塚の地元農民意見や要求とは無関係であります。いま申しましたトロツキストの暴力集団がここを決戦場として挑発を行なって、これを逆に利用して一気に局面を制圧しようとした機動隊の激突にあります。われわれとしましては、トロツキスト暴力集団の計画的な挑発策動を糾弾するとともに、農民の意思を無視した一方的な強制行動によって、こうした事態を引き起こした当局の責任も追及せざるを得ないのであります。  第三に、わが党は、具体的に地元農民や周辺住民の経営と生活を守る立場から、政府公団千葉県が誠意をもって今後の協議を行なっていかれるよう要求するものであります。  さて、第一の質問ですが、政府公団は、この空港建設は新全総に基づく国益の高揚にあると言い、先ほど木原委員も指摘されましたが、最初は、今井総裁は、SST配備に備えることこそ国益だとさえ説明してきました。しかし、SSTの飛行計画がアメリカで問題になるや、この問題は今日では一言も触れないで、羽田の混雑の緩和などと言い出しております。四千メートル滑走路もそうでありますが、第二期工事計画どおり進めるのかどうか。SSTが飛べない以上、このプランは大幅に修正さるべきではないか。この点について、最初にお答え願いたいと思う。
  154. 内村信行

    ○内村説明員 まず第一に、成田の新東京国際空港建設の意味でございますけれども、これは、確かにSSTが来るということも一つの意味があったでございましょう。しかし、必ずしもそれが全部ではございませんで、やはり羽田というものが国際空港といたしましてはその需要に応じ切れず、その能力がもう限界にくるであろうということは、当時すでに想定されたわけでございまして、その意味におきましてやはり、SSTが今後永久につくられないかどうかは別問題といたしまして、かりにSSTが近き将来においてものにならないと仮定いたしましても、なおかつ新東京国際空港というものの建設は必要でございまして、やはりこれは一刻も早くつくらねばならないと私ども思っているわけでございます。
  155. 米原昶

    米原委員 その問題についてはもう時間がありませんが、いままでのこの委員会における討議の経過を調べてみればはっきりすることなんです。ぐらぐら態度が変わっていることは、先ほども指摘があったとおりだと思うのです。  次に、関係農民や周辺の住民にとって新たな不安と、公団側の不誠意な態度に強い怒りが起こっているということを申し上げたいのです。一、二の例をあげますと、すでに買収に応じた農民代替地で営農することができないで、日雇い労働に通っているような事実も出ております。十分な地目ではなくて、営農に自信がないからそういう事態が起こっておる。また、三月以来公開審理が続けられている農民関係者との話し合いでも、百五十ヘクタールの代替地が用意されているなどと言っておりますけれども、そのうちの百ヘクタールは、周辺の町村に相談を持ちかけているだけだというではありませんか。農民は一・五倍の用地を要求しているのに対して三分の一しか保証されていないというのであります。一体代替地はどうなっているのか、またこうした事態をどう解決しようというのか、はっきり示していただきたい。さらに、農地だけでなく納屋、家畜用建物などについても適正な補償が必要であり、おもやと同一の扱いをする必要があると思うが、どうでしょう。
  156. 今井榮文

    今井参考人 まず最初の、いままでに敷地内農地あるいは宅地を売り渡して外へ出られた方々が、日雇い労働に転落しておるというふうなお話でございますが、これは私どもの実際の調査では、主として旧御料牧場の残地あるいは飛行場に比較的近い成田の周辺の地域を代替地として求めた方々の数が非常に多くて、そういう方々の団体の中で、ある程度の基準配分というものをつくってそれぞれが分配を受けたという形でございまして、したがって、元来専農で、遠くてもいいからというふうなことで外へ出られた方は、実際に敷地内農地と同じ程度の農地をもって現に農業を営んでおります。これは私自身も個人的によく知っておられた方で、現在富里の旧県有林に入って農業をやっておられる方もあります。しかし、空港周辺を希望された方々は、三町歩以上の農地を持っておられた方々は七反歩というふうな基準配分で、ほとんど宅地化した代替地の配分を受けられて、こういう方は本来が、先ほど木、原先生からもちょっとお話が出たと思いますが、兼業農家としてやっていこうというふうなお気持ちで現在やっておられるわけでございまして、したがって、空港の内外におけるいろいろなお仕事に、比較的日当等もいいので出ておられるということであって、本来県なり公団代替地面積をあらかじめ規制したがために、やむを得ず少なくなったという経緯では決してございません。それからまた日雇いの関係も、いま申し上げましたように、本来が敷地内から外へ出た場合に兼業農家でやっていくというのが、その人たちの大多数の方針であったわけでございます。
  157. 米原昶

    米原委員 もう一つ代替地の問題……。
  158. 今井榮文

    今井参考人 代替地でございますが、先生のおっしゃるのは、現在県知事と、特に芝山町の岩山地区方々との間の折衝の経過についてお話があるのではないかと思うのですけれども、これは県知事農民方々と最近お話し合いを継続する間に、一回御要望によりまして私自身出席いたしまして、農民方々との対話に参加いたしたのでございますが、知事は非常に熱心であるという印象を私は受けました。特にその代替地については、現在成田の周辺では、なかなか土地が高くなって買えないというふうな事情もございまして、県内の町村会等を動員いたしまして、各地の町村に交渉をして、現在約百ヘクタールに近い土地を取得したことは取得いたしました。それを現実に岩山地区農民方々に行って見ていただくというふうな措置を現在講じておるわけでございまして、その場合の代替地の提供面積というものは、少なくとも専農でいかれる方については、従来耕作しておった面積以下にはならないというふうに私は理解いたしておるわけでございます。ただ、農民方々がはたしてお気に入るかどうかという問題は、まだ若干残っておるのではないかというふうに感じます。
  159. 米原昶

    米原委員 時間がありませんから、どんどん進みます。  現在、三里塚の商店街では、最近の事件で売り上げがばりたり落ちて、特にあの暴力集団の挑発事件が起こった際には、戸締まりをして自衛せねばならない。そういうところにまた今度は放火事件が起こっておる。この上、さらにいよいよ飛行場ができますと騒音がからんで、将来の営業についても大きな不安を抱いておると思うのです。こうしたことを今後どのように解決されるか。適地を選んだり資金の手当てをするとか、将来できるターミナルの売店に優先して店を出させるとか、いろいろ方法はあると思いますが、これらの商店街の人々の意見や要求を聞いたことがあるか。あるとすれば、どう対処しようとされておるか、この点を聞きたいのです。
  160. 今井榮文

    今井参考人 これについては、従来から三里塚の商店街の方々の意向を代表して、数名の方々が私どものほうへ折衝に参った例はございます。私どもとしてはできるだけ三里塚の周辺に私どもの施設を、あるいはまた関係航空会社の施設をつくって、商店街の方々への購買力をふやすようにというのも一つの方法ではないかと思いますし、いま先生御指摘のように、もし三里塚の商店街の方々が、一軒一軒が全部それぞれ別々に店を出すということは不可能だと思いますけれども、もし何らかのまとまった組織でもって空港内での営業をやりたいというふうな御希望があるならば、私どもとしてはぜひ前向きで対処をしていきたい、かように考えます。
  161. 米原昶

    米原委員 もう一つの問題は騒音の問題です。かつてイギリスでは、空港予定地の住民の生活を守るということから、百五十万ポンドも工費を上乗せして建設地を変更したという例もあります。当然のことながら三里塚に空港ができた場合、騒音対策が最も大きな問題になります。大阪の国際空港の騒音は、いま深刻な事態になっております。公団は、成田では縦二キロ、横六百メートルを危険区域と言ってきましたが、これは公団自身も根拠がないように言っておられます。友納知事はこのワクをはずさせると説明しておりますが、私たちの判断では、公団側の説明によっても、なお五千ヘクタールにのぼる区域がこのままでは騒音に悩まされるのではないかと思うのであります。公団はこのワクを大幅に広げて、移転が必要とされるような場合、用地買収と同一の条件で補償する意思があるかどうか。そしてどのくらいの範囲に影響があって、どのくらい補償するつもりでおるのか明らかにしてもらいたいのです。  校舎の防音をするというが、大阪でも校舎の防音問題は解決されていない深刻な問題です。一戸のうちに一部屋だけを補助して防音室をつくらせるというふうなこともいわれているそうでありますが、そんなことは対策になりません。根本的な対策を明示する必要があると思うのです。この点について話してください。
  162. 内村信行

    ○内村説明員 ただいま先生御指摘ございましたし、先ほど加藤先生からも御指摘があったわけでございますが、空港におきます騒音問題というのは、今後一番大きな問題であろうというふうに考えております。したがいまして、私どもといたしましてもできる限り騒音問題の解決については最善を尽くしたいという気持ちを持っております。そこで、現在の新東京国際空港につきましては、第一期計画につきまして、騒音対策の予算といたしましては四十六年度、これはまだ全部使っておりませんが、含めまして約五十五億という予算を計上し、その相当部分を使っておるということでございます。  そこでまず第一に、騒音の問題につきましては、先ほどの御指摘のように、騒音区域の問題がございます。これにつきまして、成田の場合は二キロ、六百メートルということでございますけれども、御承知のように、大阪の場合には千三百メートル、羽田の東京国際空港の場合には千六百メートルで、それに比べますと、成田の場合には二キロでございますから、さらにふえておるということはございます。しかし、先生の御指摘のように、これで足りるかどうかというと、ここにはいろいろな問題があると思います。なぜかと申しますと、この二キロ、六百メートルというものが、飛行機の経路に沿いまして騒音のパターンをとってとったかどうかといいますと、これはまだ成田空港につきましてはできていないわけでございますから、こういった厳密なものによってはおりません。ただ、一応の標準として二キロないし六百メートルということを言っておりますので、そういう意味においてはまだ御疑問があるかもしれないと思います。しかしこれにつきましては、私ども、しかるべき騒音が発生した場合にはしかるべき措置をとるというのが理の当然でございますので、さらにそういった面につきましては、公団のほうにおきましても科学的な調査を行なうように申しておりますし、そういうものに基づきまして必要なものについては必要な措置を講じたいという意味におきまして、前向きに措置してまいりたいと考えておるわけでございます。  それから学校等の防音につきましては、これはすでに一期工事で十四施設について考えておりますし、学校等の防音につきましてはさらに範囲の問題も若干はあるかもしれませんけれども、大体において解決できるのではないかというふうに考えております。  それから、さらに民家の防音の問題、これは先生先ほど一部屋ぐらいではどうにもならぬではないかという御指摘もございましたけれども、現在のいわゆる航空機騒音防止法におきましては、こういったものはまだ認められていないわけでございます。しかしこういったものにつきましても、騒音防止というものの重要性を考えますと、これはやはり前向きに対処しなければいけない問題でございまして、これにつきましては県ともいろいろ話し合いをしたわけでございますが、先ほど午前中大臣も発言いたしましたように、これにつきましては起債をあっせんするとかいうふうなことをする。さらに起債のあと始末をどうするかということについては、積極的に考えてまいりたいということを考えております。  それから、さらに騒音区域の拡大でありますけれども、これにつきましては先ほど申し上げたような考え方を持っておりますが、より具体的に申し上げますと、これも大臣申し上げましたが、ただいまでも騒音地域からの移転というものは、やはり部落単位に行なわれるものであろうというふうに考えられますので、そういったものは、たとえ現在の騒音区域からはずれておりましても、現在の騒音区域内の部落に接続する部分につきましては、同時にこれも考えてまいるということは、現在考えておるわけでございます。  大体、概要以上でございます。
  163. 米原昶

    米原委員 もう時間が参りましたから終わりますが、きょうの委員会全体を通じて、実を言うと与野党とも、地元関係農民、周辺住民の政府公団に対する根強い不信を解消しなければ空港建設が進められない。この点非常に重要だと思うのです。関係者の納得のいく解決策を示すために、今後誠意をもって協議されるように強く要望しまして、私の質問を終わります。
  164. 小峯柳多

    小峯委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後三時十六分散会