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1971-07-23 第66回国会 衆議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年七月十六日(金曜日)委員長の指名 で、次の通り小委員及び小委員長を選任した。  日本国有鉄道に関する小委員       宇田 國榮君    加藤 六月君       關谷 勝利君    徳安 實藏君       古屋  亨君    箕輪  登君       久保 三郎君    内藤 良平君       松本 忠助君    河村  勝君  日本国有鉄道に関する小委員長 徳安 實藏君 ――――――――――――――――――――― 昭和四十六年七月二十三日(金曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 小峯 柳多君    理事 加藤 六月君 理事 徳安 實藏君    理事 古屋  亨君 理事 箕輪  登君    理事 斉藤 正男君 理事 松本 忠助君    理事 河村  勝君       石井  一君   小此木彦二郎君       唐沢俊二郎君    鯨岡 兵輔君       菅波  茂君    關谷 勝利君       福井  勇君    細田 吉藏君       増田甲子七君    井野 正揮君       金丸 徳重君    久保 三郎君       内藤 良平君    田中 昭二君       宮井 泰良君    和田 春生君       田代 文久君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 丹羽喬四郎君  出席政府委員         運輸政務次官  佐藤 孝行君  委員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   竹岡 勝美君         環境庁水質保全         局企画課長   河野 義男君         運輸大臣官房長 高林 康一君         運輸省船舶局長 田坂 鋭一君         運輸省港湾局長 栗栖 義明君         運輸省鉄道監督         局長      山口 真弘君         運輸省自動車局         長       野村 一彦君         運輸省航空局長 内村 信行君         海上保安庁長官 手塚 良成君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ――――――――――――― 委員異動 七月二十三日  辞任         補欠選任   細田 吉藏君     鯨岡 兵輔君 同日  辞任         補欠選任   鯨岡 兵輔君     細田 吉藏君 同日  理事村山達雄君同月九日委員辞任につき、その  補欠として古屋亨君が理事に当選した。     ――――――――――――― 七月二十一日  タクシー安全輸送確保等に関する請願田代  文久紹介)(第一五号)  東京都のタクシー運賃料金即時改定に関する請  願(天野公義紹介)(第八五号)  同外六件(伊能繁次郎紹介)(第八六号)  同外一件(石井桂紹介)(第八七号)  同外十件(宇都宮徳馬紹介)(第八八号)  同外一件(加藤六月紹介)(第八九号)  同外四件(賀屋興宣紹介)(第九〇号)  同外八件(鯨岡兵輔紹介)(第九一号)  同外六件(小坂徳三郎紹介)(第九二号)  同外三十三件(小峯柳多君紹介)(第九三号)  同外五件(島村一郎紹介)(第九四号)  同(關谷勝利紹介)(第九五号)  同(塚原俊郎紹介)(第九六号)  同(床次徳二紹介)(第九七号)  同外十二件(中村梅吉紹介)(第九八号)  同(中村弘海紹介)(第九九号)  同外六十八件(永山忠則紹介)(第一〇〇号)  同(濱野清吾紹介)(第一〇一号)  同(福田篤泰紹介)(第一〇二号)  同(細田吉藏紹介)(第一〇三号)  同(松永光紹介)(第一〇四号)  同外一件(三池信紹介)(第一〇五号)  同外四件(水野清紹介)(第一〇六号)  同外二十件(山田久就君紹介)(第一〇七号)  同(渡辺肇紹介)(第一〇八号)  同外二件(宇田國榮紹介)(第二三〇号)  同(栗山礼行紹介)(第二三一号)  同(永山忠則紹介)(第二三二号)  同(西尾末廣君紹介)(第二三三号)  個人タクシー運賃料金即時改定に関する請願  (鯨岡兵輔紹介)(第一〇九号)  同外十一件(小峯柳多君紹介)(第一一〇号)  同外五件(永山忠則紹介)(第一一一号)  (同福田篤泰紹介)(第一一二号)  日本海沿岸新幹線建設促進に関する請願(鈴  木善幸紹介)(第一二四号)  奥羽羽越本線整備促進に関する請願鈴木  善幸紹介)(第一二五号)  過疎地域におけるバス路線確保に関する請願  (鈴木善幸紹介)(第一二六号)  常磐線綾瀬亀有金町停車に関する請願  (天野公義紹介)(第一二七号)  横浜市等のタクシー運賃料金即時改定に関する  請願外八十二件(小此木彦三郎紹介)(第二三  四号)  大都市における総合交通体系確立並びにタク  シー運賃料金改定に関する請願小峯柳多君紹  介)(第二三五号)  同外五件(和田耕作紹介)(第二三六号)  東北新幹線北上設置に関する請願千葉七郎  君紹介)(第二三七号)  同(野原正勝紹介)(第二三八号)  同(小沢一郎紹介)(第二三九号)  同(椎名悦三郎紹介)(第二五〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月二十一日  新鹿児島空港国際空港化実現に関する陳情書  外一件  (第三六号)  同  (第一一二号)  過疎地帯バス路線確保に関する陳情書  (第三七号)  自動車保管場所確保等に関する法律の施行  令改正に関する陳情書  (第三八号)  東北新幹線郡山駅の設置等に関する陳情書  (第七〇号)  新幹線鉄道網建設促進に関する陳情書  (第七一号)  名古屋駅前国鉄所有地ビジネスホテル建設計  画反対に関する陳情書  (第七二号)  野岩線今市・会津滝ノ原間の早期完成に関する  陳情書  (第七三号)  鉄道貨物輸送改善促進に関する陳情書  (第一一一号)  運輸行政改善に関する陳情書  (第一一三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  閉会中審査に関する件  陸運に関する件(タクシー行政に関する問題)  航空に関する件(航空保安施設整備に関する問  題等)  港湾及び海上保安に関する件(海洋汚染防止  に関する問題等)  陸運及び日本国有鉄道経営に関する件(国鉄  常磐線営団地下鉄千代田線相互乗り入れに  関する問題等)  海運に関する件(内航海運に関する問題)  請 願  一  タクシー安全輸送確保等に関する請願     (田代文久紹介)(第一五号)  二  東京都のタクシー運賃料金即時改定に関     する請願天野公義紹介)(第八五号)  三  同外六件(伊能繁次郎紹介)(第八六号)  四  同外一件(石井桂紹介)(第八七号)  五  同外十件(宇都宮徳馬紹介)(第八八号)  六  同外一件(加藤六月紹介)(第八九号)  七  同外四件(賀屋興宣紹介)(第九〇号)  八  同外八件(鯨岡兵輔紹介)(第九一号)  九  同外六件(小坂徳三郎紹介)(第九二号)  一〇 同外三十三件(小峯柳多君紹介)(第九三     号)  一一 同外五件(島村一郎紹介)(第九四号)  一二 同(關谷勝利紹介)(第九五号)  一三 同(塚原俊郎紹介)(第九六号)  一四 同(床次徳二紹介)(第九七号)  一五 同外十二件(中村梅吉紹介)(第九八号)  一六 同(中村弘海紹介)(第九九号)  一七 同外六十八件(永山忠則紹介)(第一〇     〇号)  一八 同(濱野清吾紹介)(第一〇一号)  一九 同(福田篤泰紹介)(第一〇二号)  二〇 同(細田吉藏紹介)(第一〇三号)  二一 同(松永光紹介)(第一〇四号)  二二 同外一件(三池信紹介)(第一〇五号)  二三 同外四件(水野清紹介)(第一〇六号)  二四 同外二十件(山田久就君紹介)(第一〇七     号)  二五 同(渡辺肇紹介)(第一〇八号)  二六 同外二件(宇田國榮紹介)(第二三〇号)  二七 同(栗山礼行紹介)(第二三一号)  二八 同(永山忠則紹介)(第二三二号)  二九 同(西尾末廣君紹介)(第二三三号)  三〇 個人タクシー運賃料金即時改定に関す     る請願鯨岡兵輔紹介)(第一〇九号)  三一 同外十一件(小峯柳多君紹介)(第一一〇     号)  三二 同外五件(永山忠則紹介)(第一一一号)  三三 同(福田篤泰紹介)(第一一二号)  三四 日本海沿岸新幹線建設促進に関する請     願(鈴木善行紹介)(第一二四号)  三五 奥羽羽越本線整備促進に関する請願     (鈴木善行紹介)(第一二五号)  三六 過疎地域におけるバス路線確保に関す     る請願鈴木善行紹介)(第一二六号)  三七 常磐線綾瀬亀有金町停車に関する     請願天野公義紹介)(第一二七号)  三八 横浜市等のタクシー運賃料金即時改定に     関する請願外八十二件(小此木彦三郎君     紹介)(第二三四号)  三九 大都市における総合交通体系確立並び     にタクシー運賃料金改定に関する請願     (小峯柳多君紹介)(第二三五号)  四〇 同外五件(和田耕作紹介)(第二三六号)  四一 東北新幹線北上設置に関する請願(千     葉七郎紹介)(第二三七号)  四二 同(野原正勝紹介)(第二三八号)  四三 同(小沢一郎紹介)(第二三九号)  四四 同(椎名悦三郎紹介)(第二五〇号)      ――――◇―――――
  2. 小峯柳多

    小峯委員長 これより会議を開きます。  理事補欠選任についておはかりいたします。  委員異動に伴い理事が一名欠員になっております。その補欠選任につきましては、先例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認めます。よって、理事古屋亨君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 小峯柳多

    小峯委員長 この際、運輸大臣及び政務次官からそれぞれ発言を求められておりますので、これを許します。運輸大臣
  5. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 第六十六回国会にあたり、運輸大臣として行政基本方針について所信を申し述べたいと存じます。  運輸行政の範囲はきわめて広範であり、かつ、国民生活に密接しているため、運輸行政に対する国民的要請はまことに大きいものがあります。運輸行政の目的は、わが国経済社会発展に即応し、国民の負託にこたえつつ円滑な運送を確保し、その近代化推進していくことにあると考えますが、このような運輸交通使命遂行に際し、最も配慮されるべきが安全の確保であるということは言うまでもないところであります。  先般、私が運輸大臣に就任する直前に、東亜国内航空機「ばんだい号」の事故が起こり、多数の人命が失なわれましたことは、まことに心痛にたえない次第であります。御遺族方々には心からお悔やみを申し上げますと同時に、かかる重大なる時期において運輸大臣に就任し、今後の交通安全を確保すべく、運輸行政責任者としての使命を痛感しておる次第でございます。  とりあえず、今回の航空機事故に関しては、遺族方々に対する補償について万全を期するとともに、東亜国内航空YS11A型機事故調査委員会を通じてその原因の究明につとめ、事故対策確立を急いでまいりますが、さらに空港における保安施設等整備を繰り上げて実施するほか、常設の事故調査機関設置推進等交通事故防止対策に全力をあげて取り組んでまいる所存であります。  以上のような交通安全の確保を根幹としつつ、運輸部門が、交通需要の激増への対処等当面している諸問題を解決し、いわゆる七〇年代に対応して、国土の均衡ある発展と豊かな国民生活の展開に寄与するためには、国土総合開発の基盤となる鉄道港湾航空等交通関係社会資本を先行的に整備し、しかも、各種交通機関がそれぞれの特性を最も効率的に発揮し得るような総合交通体系確立する必要があります。  このため、運輸省におきましては、昨年来、運輸政策審議会において、総合交通体系のあり方及びそれを実現するための基本的方策について審議をお願いいたしており、近く答申を得る見込みでありますが、同審議会における検討を踏まえて、諸施設整備等所要の施策の推進をはかる所存でございます。  現在、危機に瀕している国鉄の財政再建問題をはじめとして、大都市交通及び過疎地域等地方交通問題並びに物的流通問題につきましても、このような総合交通体系の観点から再検討を加え、抜本的対策確立していく所存であります。  目下、重要な社会問題となっている公害防止対策につきましては、先般発足しました環境庁とも十分協力して、海洋汚染防止法に基づく海洋汚染防止対策を強力に推進するとともに、自動車排気ガスによる大気汚染防止等対策を積極的に推進してまいります。  また、今後における経済発展国際化の進展に対応するための外航海運における安定輸送確保わが国国際航空路線網整備をはかるとともに、国際協力につきましても積極的に推進してまいりたいと考えております。  以上、運輸行政基本方針につきまして概略を申し述べましたが、これらは、言うまでもなく、国会皆さま方の絶大なる御支援を必要とする問題ばかりであります。  この機会に、一そうの御指導、御鞭撻をお願い申し上げる次第でございます。
  6. 小峯柳多

  7. 佐藤孝行

    佐藤(孝)政府委員 先般の内閣改造運輸政務次官に就任いたしました。御承知のとおり浅学非才でございます。皆さんの御指導を得てその職責を全うする考えでございます。  よろしく御指導のほどをお願いします。(拍手)      ————◇—————
  8. 小峯柳多

    小峯委員長 陸運海運航空日本国有鉄道経営港湾及び海上保安に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。鯨岡兵輔君。
  9. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 私に与えられた時間は三十分でございますから、十一時二十分まで質問させていただきたいと思います。  質問したいことはおおむね三点ございますが、第一点は、新聞などでもやかましくいわれた常磐線営団地下鉄千代田線乗り入れによるいろいろなトラブルの問題であります。このことについては、運輸委員会委員方々が朝早くから現地視察なさいましたほか、その他別々にでも何回も御視察をいただいておることを私は承知しておりまして、非常にありがたく思いますと同時に、運輸省におきましても係官が何回も現地に行って、われわれの知らない努力をしておることも私は聞いております。このことに対して非常な敬意を払うわけであります。大臣、御就任早々ですが、この問題についてはもう説明を承っておると思いますし、また後日機会を得て私からも御説明申し上げたいと思いますが、きょうはせっかくの機会でございますので、手元に私がっくりましたものがございますので、これをもって御質問申し上げていきたいと思います。  千代田線北千住経由常磐線乗り入れられたのであります。それに伴って常磐線複々線化によって急行電車設置されたのであります。以上によりまして、利点といいますと十分あるわけでありまして、何か世上利点はなくて欠点ばかりみたいなことを言うのは、私はずいぶんの誤りだと思います。利点といえば言うまでもなく、快速電車によって通勤時間か短縮される人が相当おります。それから、大臣の選挙区のほうから東京通勤しようとする人は、この快速電車が利用できるということで非常に便利になります。聞くところによると、千葉県や埼玉県のほうからは、とても便利になりましたという感謝状みたいなものが国鉄のほうにも来ているというようなことも聞いております。  しかしながら、欠点がないかというと、欠点が本来はあるべきじゃないのですけれども、それが出ている。それはなぜかというと、急行鈍行との乗りかえ駅がきわめて不便にできている。普通急行鈍行乗りかえ駅は一つホームで、片方急行がとまり片方鈍行がとまってすぐ乗りかえられるというのが、普通の急行鈍行乗りかえ駅なんですが、北千住乗りかえるのは、北千住の駅が土地が狭隘のためにあるいはしかたがないのかもしれませんけれども、まことに不自由にできておりまして、多大の労力を要するのです。そしてやっとのことで急行のとまるホームへ出ますと、ここの別表にも書いてありますように、急行の本数が従来に比べてぐっと減りましたから、今度は待つ時間が多い。だから労力多くして、つとめ人なんかは会社へ行く時間がよけいにかかるという欠点がありますので、それでいろいろな不満が出てくるわけです。もしそういうようなことをしたくないのならまっすぐ行って、ここに図面を書いてきたのですが、ここで乗りかえて、そして上野のほうにこう行けばいいのです。ところが、ここで乗りかえるのは何だからというのでまっすぐ西日暮里のほうにこう行きますと、これはひどいことには、地下鉄営団ですから別料金を取られます。だからお金を高く取られるわけです。  それから、たとえば大阪方面から東京へ帰ってくる場合に、従来金町なら金町へ行く人は、東京駅で降りて山手線に乗るかして、上野常磐線乗りかえ金町で降りたのですけれども、今度は常磐線はとまりませんから、しかたがないから今度は西日暮里へ来て乗りかえて行こうとすると、ここではチェックされて、あなたこれは営団線ですからその切符では乗れません、この切符で乗りたければ、もう一ぺん戻っていって日暮里乗りかえて、北千住乗りかえ金町へ行きなさい、こう言われるのです。こういうことはどう考えても不合理な問題で、そこで不満が起こることは当然であると思います。このことについては十分御検討いただいておるのですけれども、まだこういう解決というのは出ていないのです。  そこで私、考えますのに、これに対しては金町とか亀有とか綾瀬とかいうところに従来どおり電車をとめるということが一つあるのです。とめなさいということを言うておる人たちが相当あるのです。これは理由のないことではありません。理由のないことではありませんが、急行ができるということは通過駅ができるということですから、全部にとめるのだったら急行をやめてしまえということと同じですから、これは私は国鉄としてはなかなかできないことではないか、運輸省としてはなかなかできないことではないかと思うのです。そこで、乗りかえ駅をもう少し便利にするか、それでなかったら上野のほうを通っても西日暮里のほうを通っても料金において別はないというようなことにしなければ解決策にはならない、こう思っておるのですが、何回も申し上げましたように、このことについてはこの委員会先生方はもちろん、運輸省においても国鉄においても営団地下鉄においても、何とかならないものだろうかと思って鋭意検討をしておられることも私、十分承知をしておりますし、それはありがたいと思いますが、この機会にどんなふうなところまで作業が進んでいるか、やはり不便を毎日毎日している住民に喜んでもらえるような曙光がおありなのかどうか、そんなことを、これは就任早々大臣よく御承知でしょうが、大臣からでなくてもけっこうですけれども国鉄のどなたかからこのことについて御説明願いたい、こう思うのです。
  10. 山口真弘

    山口説明員 常磐線地下鉄乗り入れ問題でございますが、これにつきましては、当委員会におきまして再三にわたりまして御質疑していただきまして、また当委員会におかれまして現地視察までしていただきまして、非常にありがたく存じておるところでございます。  この常磐線乗り入れ問題というものの私どもの当初のねらいというものは、何といいましても常磐線地区というものは東京の各方面の中で一番立ちおくれた地域であったということは否定できないところであると思います。それで、なぜ常磐線地域が立ちおくれておったかということは、一つ常磐線輸送力不足があった。非常に常磐線輸送力不足でございまして、通勤にも使い、それから長距離にも一使い、貨物にも使うという、非常に多方面にわたる使い方をしておったために輸送力不足をしておった。それにいま一つ常磐線自体路線の構造が上野日暮里乗りかえというものを必須のものにしておった、したがって、またこの地区から都心方面への直通ができないということが原因であったということでございます。  したがって、こういう常磐線の立ちおくれというものを何とか解決する、それにはどういうふうにしたらよいかということでございますが、第一番に、そのためには都心直通の線をつけるということが最善の道でございますので、それにつきましては、上野方面から都心方面へは、線路の腹つけというようなことによりまして都心直通をすることが非常に困難なのでございます。それからさらに、第二に北千住上野間の腹つけ線増をするということも、これまた非常に困難でございます。したがって、そういう技術的な困難がございますので、地下鉄千代田線というものと常磐線というものを組み合わせまして、そしてこの二つのルートによりまして全体の輸送力をふやしていくことがいいというようなことによりまして、そうして地下鉄千代田線北千住まで参りました。そしてそれが常磐線複々線化というものとからめて、そうしてこの地区輸送力増強するということになったわけでございます。で、その結果といたしまして私どもの意図するところは、これによりまして輸送力増強をはかる、常磐線地区の飛躍的な輸送力増強をはかる、また従来おくれておりましたこの地域都心直通の便というものをこの際につくる、それから、かつて大きな事故を起こし多くの方々の犠牲を生じましたところの日暮里乗りかえあるいは上野の現在の大混雑というものを回避する、こういう三つのねらいを解決することができるということで、この線の都心直通ということをいたしたわけでございます。  それで、現在まで都心直通以来九十日ぐらいたつわけでございます。おかげさまをもちまして、当初の混乱というものが、これはございましたことは事実でございます。これは確かに若干国鉄なり運輸省なりにおきまして準備不足と申しますか、見通しの甘さというものがあったことは否定できないわけでございますが、そういったような混乱というものもかなり緩和をしてまいりました。両者間の旅客の流れというものも次第に平均化をしてまいりました。混雑緩和をしてまいっております。  数字で申し上げますと、常磐線の我孫子から松戸までにおきましては、従来十二本の緩速の列車がございました。これを十四本にいたしました。そして乗車効率も二七〇%から一五〇%というふうに非常によくなっております。それから、問題の松戸北千住間におきましても、従来は十六本の各駅停車列車があったわけでございますが、それを十八本にいたしました。その結果、従来二五〇%の乗車効率というので、この地区は非常に乗れないような状態であったわけでございますが、それが一六五%というように非常に緩和をされました。それから北千住上野間でございますが、従来この間に二十本の列車がございました。そして乗車効率が二四〇%ということでございましたが、これが西日暮里と従来どおり上野方面への直通というふうに分かれたわけでございまして、西日暮里方面が十八本、乗車効率が一五〇%と非常に緩和をされてまいりました。上野方面におきましては十六本、二二〇%というような結果になっておるわけでございます。  こういうわけでございまして、これによりましてこの区間の輸送力が約五割以上ふえたということを数字が示しておるところでございまして、また利用者の便益というものも、乗車効率の低下ということに端的にあらわれておりますように、非常に便益になったということでございまして、当初の私どものねらいというものが徐々に達成されつつある、所期の目的を達成されつつあると考えておりまして、地元の御便益の向上に着々として貢献をしつつあると、御同慶にたえないと存じておるところでございます。  そこで、ただいま先生御指摘のございました常磐線綾瀬亀有等につきまして快速電車をとめろということでございますが、これはなかなか、そういうようなことをいたしますと、ただいま申し上げましたような常磐線の線増並びに都心乗り入れの大目的というようなものを没却することになるわけでございまして、そういたしますと問題は白紙に返ります。そういうことではやはり根本的な解決にはならないわけでございます。さらに、設備上の不可能の点もございますので、なかなかこの問題は、将来の問題とも関連いたしますが、そういう方向で解決をするというのは、現段階ではむずかしいのではないかと思います。  それから、御指摘の二点でありまするところの、西日里暮経由でも料金は従来どおりとするようにするということにつきましては、これも先般非常に当委員会でもいろいろ御発言がございました。私どももずいぶん研究をいたしました。しかしながら、この問題は基本的には、現在異なった企業体の間におけるところの運賃制度の相違というものがございまして、たとえて申し上げますと、たとえば国鉄の定期の制度というものが、一キロから五キロまでが同一運賃である。ところが営団の定期の制度は、一キロ、二キロ、三キロ、四キロ、五キロと全部運賃が違う。それから国鉄の通学定期におきましては、一般の通学定期のほかに高校、中学というような別個の通学定期を持っておりますが、営団の通学定期におきましては、通学定期は一本であるというようなことがございまして、非常に制度的な違いがございます。したがって、この面を現在の姿で運賃上調整をするということは非常に困難でございますし、また各方面の利用者とのアンバランスというものもございますので、したがって、運賃問題の調整ということはなかなか困難であろうというように考えております。ただこの問題は、都市交通におきまして異種の交通機関が幾つもあるという問題がございまして、それがいいのかどうかというような根本的な問題とも関連するわけでございまして、そういう都市交通全般の問題をも考慮しながら、今後とも検討してまいりたいというふうに考えております。  なお、常磐線利用者の便益の向上ということでございますが、これは、私どもこれによりまして根本的な方向というものは打ち出したつもりでございますが、しかし、この地帯の輸送が著しくおくれておった、従来便益が著しくおくれておったということもまた事実でございます。したがって、常磐線関係の輸送力増強、便益の向上というのは、今後とも努力をしなければならぬと思うわけでございまして、この点は現地の実情なども十分にしんしゃくしながら、たとえば乗りかえの利便の向上あるいは列車の増発その他につきまして、もう少し検討の上でさらに努力を続けてまいりたい、こういうふうに考えております。
  11. 小峯柳多

    小峯委員長 政府当局に申し上げますが、質疑の時間をきめておりますので、どうぞ質問のポイントに合わせて簡潔に御答弁願いたい。
  12. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 鉄監局長さんの御親切な御答弁によってお話はわかるのですし、当初皆さまがお考えになったような効果があらわれているということは私は否定しない。そのことは先ほど申し上げたとおりであります。  ただ、そのことによって不便を生じた人がいることもお認めくださっていると思いますが、それをどう解決するかという問題でありまして、いまの地下鉄営団経営が違うからしかたがないのだということを、これはもう一歩進んでお考えをいただきたいというふうに考えるのです。どう考えてみても、いま申し上げましたように、いままでのように金町へ行くのに、こうやっていけばここじゃとまらないのですから、だからこうやって行こうとすると、ここで別な金を取られるというのは不合理じゃありませんか。これはだれだって私は不合理と思うのです。それから、確かにいまおっしゃられるように赤線のほうは貨物が走る、それから長距離の青森のほうへ行く電車が走る、それから大臣のほうへ行く電車も走る、ですから一ぱいなんです。だからとめろということは無理かもしれませんけれども、そうかといってこの人がここで乗りかえてこういうふうに行こうとすると、ここでもって乗りかえが不便であってえらい労力を費やし、しかも電車を待たなければならぬということは不合理だと思います。  きょうは時間がありませんから、これ以上申し上げることをいたしませんが、いま鉄監局長言われたように皆さんからも何回も質問があって、このことについて運輸省はもちろん国鉄地下鉄営団も真剣に考える。考えるということは何かといえば、不便を受ける人が確かにいる、ここまで言うのはもっともだ、造反有理だ、こういうことですから、何とかしなければならぬというのでお考えになっておる。そのことはよくわかります。そのことはよくわかりますが、毎日毎日困っておるのですから、何か全体の交通体系の中で違うのがあってもいいのかどうかというような問題ともからみ合わせて検討するということでは、これはいつまでたっても終わらない。  そこで、大臣どうでしょう。就任早々ひとつここでヒットを打っていただきたいことをぜひお願い申し上げて、鉄監局長の今日までの御労苦に対しても深甚の敬意を払って、この問題に対する質問は終わりたいと思います。  次は、近ごろ大臣タクシーがなかなかつかまらないのです。用があってタクシーに乗ろうと思ってもなかなかつかまらない。つかまえるとぶっちょうづらでいい顔をしない。めちゃくちゃにものすごいスピードで走るやつもいる。聞くところによると、タクシー業界というのはえらい不景気だそうです。これまたあらゆる方面から心配して、どうしてこうなんだろうというような問題についても、役所ばかりでなしに民間でも研究しているそうであります。  タクシー経営の困難な状況については、言うまでもなく道路運送法八条によって、値上げみたいなことを運輸大臣が許可しようとするときには、タクシー会社が「能率的な経営の下における適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含むものである」かどうかということを検討してそれを許可することになっているわけです。そこで、常に適正な運営を行なっているか、適正な利潤があるかということを自動車局なんかにおいても御検討だと思いますが、どうしてこんなに不景気になってだめなんでしょう。このごろつぶれる会社が一ぱい出てきたその事情について、手短にお答えをいただきたいと思います。
  13. 野村一彦

    ○野村説明員 お答えいたします。  東京をはじめとする大都市におきまするタクシー経営につきましては非常に困難であって、緊急融資を要請しておるという実情でございます。  その基本的な原因は、一つには、タクシー事業というものが非常に労働集約産業と申しますか、省力化ができないという基本的なことがございますが、そのほかに、最近における都市交通混雑のために自動車の実働率が非常に低下をしておる。したがいまして、先般の運賃改定のときにいろいろ検討いたしました平均的な走行キロを非常に下回った走行キロにならざるを得ないということで、水揚げが非常に減っておる。そこへもってきてコストの面につきましては、人件費のアップとかその他のいろいろな要素がございまして非常に上がっておるということで、全般的に、非常に努力をしておる業者の方もいらっしゃいますが、合理化の限界、交通渋滞、それから諸経費の値上がり、そういうようなことがお互いに因となり果となって経営が非常にむずかしくなっている、こういうふうに考えております。
  14. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 それでは、いまの経営では、このままやっていたのでは経営はますます悪化して、ために都民はタクシーによる利便を受けにくくなる状態がますます進んでいくと自動車局長はお考えですか。
  15. 野村一彦

    ○野村説明員 このままでございますと、先生御指摘のように、経営自体もだんだんとむずかしくなるであろうと思いますし、また、それを利用される都民の方も利便が非常に阻害される。したがいまして、いま申し上げましたような、大都市におけるタクシーの根本的なあり方について、基本的な問題を掘り下げて検討しませんと抜本的な解決にはならないということを考えておりますので、私どもとしては基本的な解決策をはかろう。これには相当の日時を要するとは思いますけれども、いろいろ問題点を検討して基本的な解決をはかるという方向で、運輸政策審議会に御審議をお願いしておるという状況でございます。
  16. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 いまお話を承りますれば、局長さんみずからが非常な状態になってきたということをお認めになりながら、いろいろ審議会でもって基本的な、タクシーは一体交通機関の中でどういう位置づけかというようなことから考えていこうと思っておられるとすれば、これまた日にちがかかって破局的な状態になってしまうんじゃないかと心配するのですが、それはそれとして、この破局の状態を何とかして救わなければならないとお考えですか。
  17. 野村一彦

    ○野村説明員 基本的な対策につきましては、やや長期的な視野をもって総合的に検討しなければならないと思います。しかし、当面の問題といたしましては、この窮状を打破するための応急の措置を講じなければならないということでございまして、これは先生も御案内のことでございますが、昨年度末から今年度にかけて、たとえば緊急融資、昨年度末の二十二億、それから本年度は、まだいま実施に着手したばかりでございますが、約二百億のいわばつなぎ融資と申しますか緊急融資の道を各方面の御尽力により開いていただいて、当面の急場をしのぐという状況でございまして、なおそのほかにも、いろいろと近代化センター等を通ずる指導その他によりまして、当面の緊急を要する対策を講じなければならない、また講じつつある、こういう状況でございます。
  18. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 よくわかりました。いろいろなことをお聞きしたいのですが、時間がだんだん切迫してまいりますから、一、二の点について簡単にお答え願いたいと思います。  タクシー運転手の給料は、他のトラックやバスやそういう人たちの給料と比べて安い、だからいい運転手が集まらないのだということを言う人がいるのですが、安いとお考えですか、あるいは普通だとお考えですか、高いとお考えですか。
  19. 野村一彦

    ○野村説明員 タクシー企業におきましてもいろいろな企業規模がございますので、なかなか一がいにはいえないかと思いますが、大企業は別としまして、中小企業のタクシーの運転者の給与は他の類似産業に比べて、その労働条件から見て必ずしも高くない、むしろ安いのではなかろうかと私は考えております。
  20. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 このごろタクシー会社では給料も満足に払えないから、ましてボーナスなんかとても一ぺんに払うということはできない。そうかといって、銀行も信用組合も従来取引していたところは、タクシー会社というと全部あなたのところはだめだということで、かつて、そういうことがいいのか悪いのか知りませんが、自動車の権利金が二百万とかなんとかいった、それがいまはただです。そこで、七とこ借りして三回にも四回にも分けてボーナスを払っているという状況だと承るのですが、もちろん御調査でございましょうが、それはほんとうですか。
  21. 野村一彦

    ○野村説明員 お説のような会社がかなりあるということは、私ども承知しております。
  22. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 タクシー近代化センターというものをつくって、この前の料金を上げるときには、料金上げてやるよ、そのかわりお客さまから何ぼかとって、それで会社でも個人タクシーでもお金を出してタクシー近代化センターを運営して、そこで休憩所を都内方々につくって、運転手さんの福祉厚生をはかるんだということがうたい文句だったですが、いま前段のようなお話では、その運営のお金が集まっていないと思うのですが、集まっているかいないか、集まっていないとすれば、せっかくつくった近代化センターをどうやってこれから運営していくつもりか、お答え願いたいと思います。
  23. 野村一彦

    ○野村説明員 タクシー近代化センターの負担金につきましては、昨年度、東京では一台当たり一万二千円という金額をきめてやったわけでございまして、五月末の調査では、これが約九四%は集まっております。したがいまして、六%はまだ未納の業者があるということで、これは一時他の業者によって立てかえられて運営されておる実情でございます。先ほど申し上げましたように、非常に経営の苦しい企業が多いためになかなか近代化センターの金が集まりませんで、現在近代化センターはその予算の範囲内で、先生おっしゃいました福祉事業のことも含めまして事業計画を立ててやっておりますが、当初私どもが考えましたような十分な活動ができないという実情は、これはもう率直に認めざるを得ないし、私ども非常に残念に思っております。  今後の近代化センターの財源等につきましては、法律のたてまえは事業者負担ということに原則はなっておりますが、今後のいろいろな事業を考えますと、必ずしもそれだけではまかなえない部門が出てくるのではなかろうかということを考えまして、国の助成といいますか、融資その他をも含めた財源確保措置を検討していきたい、かように考えております。
  24. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 それでは、先ほど大臣のお話の中に、これから大臣としてやっていく基本の方針は交通の安全であるということを言われました。これはそのとおりだと思いますが、そのためにも、安い給料でいらいらして運転していればあぶない、早急にこれは何とかしなければならないと考えておるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  25. 野村一彦

    ○野村説明員 先生のお説のとおりでございます。
  26. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 第三番目ですが、これは常に私、考えているのですが、私しろうとですから、ここにおられる専門の先生方とは違いますが、これを大臣に申し上げて私は終わりにしたいと思います。  このごろは、交通事故が起こりましても、自動車に保険がかかっているのですが、事故の賠償金がたいがいの場合はそれだけでは足らない。そこで任意保険というものにかかっているのですが、任意保険は任意ですからかけない人がいる。それでときどきトラブルが起こる。    〔委員長退席、古屋委員長代理着席〕 私は免許証に保険をかけたらいいと思うのです。私の家内だって娘だってみんな免許証を持っている。だが、私はあぶないから自動車を買ってやらない。彼女たちはうちでたんすの中に入れている。ときどきそいつを持ち出して、友だちの自動車を持ち出したらあぶないでしょう。そういう人が一ぱいいる。これに保険をかけて、しかも保険ですから、火災保険だって何だってそうでしょうが、たとえば鉄筋コンクリートは火災保険料が安い。木造は高い。火事の起こるところは高い。丸の内のように火事の起こらないところは安い。だから、免許証がよごれてのべつ違反している人はどんどん高い保険料、それから違反していないような人はだんだん安い保険料、こういうふうにすれば、交通事故の安全の確保にとてもいいと思うのですが、大臣はいつもそんなことをお考えになりませんか。
  27. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 先ほど来鯨岡先生から非常に貴重な御意見をるる承りました。先ほども地下鉄との乗り入れの問題、私も就任早々事情を聞きまして、確かに遠距離の人は便利になったけれども、その地域に住んでいる人にはまた非常に御不便をかけておるという事情もよくわかりました次第でございます。これも早急に何とかひとつ結論を出しまして、料金の問題、この点につきましては、先ほど局長から申しましたように経営主体の違っているものでいろいろな問題があるようでございますが、できるだけ早い機会に、適当な機会に調整をとっていかなければならない。それから駅の構造につきまして、いろいろ御不便をかけている、こういうようなものはできるだけ早い機会に、一日も早くと申しますか、即刻に構造の改善をやるとかいろいろなことで、乗客の人に御不便をかけないようにするように、すでに私も局長検討しろということを命じてございます。  それからまたタクシーの問題でございますが、これも一面におきまして、昨年料金が上がったばかりでございまして、いま物価問題が非常に問題で、物価体系のうちにおけるタクシー料金をいかにするかということの問題もございますけれども、何といいましても足を確保するということも大事でございます。ことに御承知のとおり、一つの車に四人か五人しか乗せない交通機関に一人ずつの勤労者がいる、こういう合理化もできにくいという仕事の性質もございます。それでこれをどういうふうに解決するか、先ほどからお話がございましたが、ただいま都市交通におけるタクシーの位置づけと申しますか、そういうような点につきまして、すでに運輸政策審議会に諮問しておりまして、この結論も八月中には得られる、こういうふうに聞いております。そういうものを勘案いたしまして、今日の都市交通におけるタクシーというものをどういうふうな位置、つけをすべきかということを検討いたしまして、安全と申しますか、乗客に御不便にならぬような早急な結論を、あらゆる点から総合いたしまして出してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  また、最後の免許証保険の問題でございます。これは確かに貴重な一つの考え方だと思っておる次第でございます。すでに運輸省におきましては、それらにつきましていま検討を始めておりまして、関係役所それから経験者、そういったような専門知識を持っている方十名足らずでいま研究会を開かせております。そうしてその結論を待っている次第でございますが、いま聞きますと、これらを実施しているのはカナダの一州だけがいま実施しておりまして、よそのほうではまだ実施していない、こういうことでございます。それらを、技術的な問題その他法制上の問題も十分検討いたしまして、やはりこれもなるべく早く結論を出す、こういうふうに思っております。
  28. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 これで終わりにいたしますが、お話を承って、やはり御検討になっていることはよくわかるのですよ。御検討になっていることはよくわかるのですが、役所の一番いけないことは検討ばっかりしているのですよ。その間に通勤者は毎日毎日汗流して苦労しているのですよ。その間にタクシー業者はつぶれてしまうのですよ。その間に乗客は不便を感じているのですよ。その間に事故は起こっているのですよ。だから、検討はしなければなりませんけれども大臣就任早々ですが、今度は検討よりか実施ということにひとつどうぞよろしくお願いいたします。
  29. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いま鯨岡先生のお話しのとおりでございます。検討が、実施を延引させるための検討では何にもなりません。私もそれを痛感しておりまして、あらゆる面からできるだけそういったような結論を得ることをせかせておる次第でございますので、ひとつしばらく時間をかしていただきたいと思います。
  30. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 ありがとうございました。
  31. 古屋亨

    古屋委員長代理 久保三郎君。
  32. 久保三郎

    久保委員 私は、与えられた時間がきょうはたった十五分でありますので、まとめてお話を申し上げますので、あまり長い説明は禁物かと思います。  そこで、きょうここに持ってきましたのは、大臣も関係があるかもしれませんが、お互いの選挙区である茨城県の海岸にたくさん漂着している油玉です。油玉の問題できょうはひとつお尋ねするのでありますが、まず第一に、これは海上保安庁が中心なので、保安庁長官にいままでのこれに対する対策はどうなっているか、これをお聞きしたい。  廃油ボールというのだそうでありますが、われわれの知っている範囲では、これの漂着している海岸及び海洋は鹿島灘一帯です。私どもの関係している茨城県では、日立港から南下して鹿島灘一帯、波崎港まで全部そうです。私は昨年大洗から南部を調査しましたが、これまた同じですが、最近は特にひどくなっている。それから、私は実際に調査しておりませんが、もう一つはなはだしく汚染されている海域は、南西諸島から沖繩諸島にかけてですが、そういうものについていままでどういう扱いをしているか。法律ができたとかそれはどうだとかいうことはわかっておりますから、それは御説明は要りません。
  33. 手塚良成

    ○手塚説明員 いまお話が出ました廃油ボールにつきましては、特に昨年の夏からいろいろ話題をまいておりますので、私どものほうでは関係の管区本部を動員いたしまして、まずその実態調査に着手をいたしました。  その結果は、結論だけ申し上げますと、いま先生のお話の沖繩をはじめといたしまして九州の南西諸島、それから九州の南半分、それから大島から八丈島に至りますまでの伊豆七島の全島嶼、それから茨城県の鹿島灘沿岸一帯、こういうところが特にひどいようでございます。なお最近におきまして、釧路水産試験場あたりの調査等も聞き及びますと、太平洋のまん中等においてもそういうものが浮遊をしておるというような話も聞いております。  いま私どもはそういった実態調査に全力をあげておりまして、その実態調査をさらに詳細にやらなければならないというので、いろいろな方法をとっておるのが現状の一番重点にやっておるところでございます。
  34. 久保三郎

    久保委員 たいへん失礼だけれども、これは保安庁自体の責任ではないので、政府全体の責任かと思うのでありますが、われわれから見れば非常に手がおそい。対策というか措置がおそい。これは茨城県では、さっき申し上げたように、特に昨年の四月ごろからかなり多くなってきているのです。そこで、たしか去年の十一月ごろでありますか、茨城県自体であるコンサルタント等に調査を依頼しましてこういう結果を、あるいは正確ではないかもしれませんが、一応申し上げておきます。  時間もありませんから全部申し上げますが、この玉は大きいのも小さいのもございますが、全部ボール状になって海洋を漂流して、波打ちぎわから海岸にあがってくるということでありまして、海水浴の季節になりましたが、海水浴場は、これともう一つありますが、ビニールのくずが山のように海岸に漂着しております。そこで、ブルドーザーをかけて海水浴場はまず始まるわけです。茨城県の実態はこういうことです。そういうことでありますが、だんだんひどくなっておりますから、そう簡単にいかないような部面もあるようであります。しかも、鹿島港が完成するに従って漂着するものが多くなっている。これは潮流の関係だろうと思います。  そこで、さっき申し上げたように、漂流してくる過程はどうなのかというと、大体東京湾の東沖、そこで捨てられる廃油、そういうものが黒潮に乗って北上してくるわけです。そして日立港の沖合い東約十キロくらい、もっと遠いかもしれませんが、その辺で黒潮は時計の針のように回っていくわけです。この汚物を含んだ海流は、時計の針とは逆に左へ回って結局陸地に接近していくわけです。これがいま申し上げたこの潮流との関係らしいのです。そこで、どの辺に多くあるのかというと、大体水深五十メートル以下から波打ちぎわに対してこれは非常に多い。海岸に近いほど多いわけですね。これはもちろんだと思うのです。そういうのが一つ。  それから、この油玉の中の成分を分析した結果、この中にはパラフィン、それからアスファルトが含まれているそうであります。これは政府、海上保安庁では分析をしてないような話でありますが、これは分析してある。そうしますと、これは原油であるということです。原油であって、いわゆる機械油とかあるいは洗い油とか植物油とか、そういうものではないというふうに調査の結果が出ているようであります。しかも、どうして油が玉になるかというと、御承知のように脱硫装置の問題で、いわゆる大気汚染の問題で、低硫黄分の石油というか原油を輸入してくるようになってからかなり多いそうであります。この油が玉になる原因は、低硫黄分のものは固まってくるという特性があるそうであります。だから硫黄分が多いほど油は海洋では固まらぬ、こういう結果が出ておるそうであります。  それからもう一つは、先ほど申し上げたように、約一カ月間の調査では、東京湾に出入するタンカーの洗浄廃液であるということが大体わかっておるようであります。どの程度かというと、一隻大体これは容積にして十五万トンから二十万トン、その廃油は大体一万トンから二万トン出るそうであります。油の含有率は大体一%から三%までだ。そうなりますと、月にどのくらい出入りするのかというと二十隻程度あるそうです。そうなりますと、これは少なく見ても大体五万トンから八万トンのなまのままの油が海洋に投棄されるという勘定になりはしないかと思うのです。そういうことで、結局発生源というのは大体わかってきた。南西諸島のものは東シナ海でタンカーが同じような不法投棄をしている、こういうふうに大体推測されるのであります。いまさら何も調査の必要ないとは言いませんけれども、大体そういうものがあるのですね。  そこでどうしたらいいのかということですが、これはなかなかむずかしいことだと思うのです。そこで私は結論的に言うのだけれども、きょうは海運局長及び港湾局長、船舶局長がおいでになっておると思うのだが、たとえば船の構造にしても、大型のタンカーについていわゆるバラストのタンクをつけるということになると、経済性からいってなかなかむずかしいという話です。そうなれば、もっと船の中で油と水を完全に分離してやるような装置をもう少しつけさせる義務というか、そういうものを考える必要がある。  それから、もう一つは廃油処理の施設でありますが、これはあまり利用されていない。利用されていない原因は何かというと、言うならばクイックディスバッチャー、経済性に基づいてそういうものをやっているひまが惜しいので、たれ流しをするという話をする向きがあるのでありますが、そればかりじゃないだろうと思うのです。私はやはり金の問題も一つからんでくると思うのです。それから施設の場所も問題がある。もっと簡便にそういうものが捨てられて、処理されるような施設を考えるべきだと思うのです。非常にむずかしいことであります。  それから、海運局長が関係ないかというと、これは実際大いにある。そういう不法投棄したのをとっつかまえたならば、新しい法律は一年たたなければできませんが、やはり罰金刑くらい——罰金もだれが払うのかわかりませんが、これは船ならば船長かもしれません。船長が払うというなら、船長は弱い立場にある。しかも、五万円や二十万円くらいの罰金ならいつでも払いましょうというのが企業の最近の態度だ。そこで、言うならばこのタンカーはとめる、あるいは企業をやめさせるというような行政罰をやはり考えていく必要があると思うのです。  時間がありませんからもう終わりにしなければいけませんが、そうしてこの海洋汚染は単なる海岸だけの問題じゃないのです。海の魚の問題があるのです。たとえば私の地元ではシラス網といって、網でシラスという少さい魚をとります。これを蒸気で蒸して製品にするのでありますが、これは大きい玉ばかりじゃなしに小さい玉もあります。大きい玉は、網にかかったときはもちろん捨てます。しかし、小さくて目に入るか入らぬような粒がたくさんあるわけですね。これは自然に入ってきますから、これを一緒にゆでたら製品は全部台なしになってしまう。それから、このせいであるかどうかわかりませんが、日立港の北のほうでも最近はアワビのからが薄くなったという話です。鹿島港では尾ひれのない魚が出ている。  だから、この際私は運輸省を中心にして考えてもらいたいのだが、これも緊急総合的な対策を立てる必要があると思うのです。単に海上保安庁の調査や何かにまかせるのじゃなくて、もちろん海上保安庁が中心になると思うのですが、これはやれば運輸省だけでできる話です。この緊急的な総的対策を樹立して推進する用意があるかどうか、これは大臣にお聞きします。それから、各局長おいでになっていますから、一々お答えはいただけないのでありますが、次回に、この具体的な方策をとる用意があるならば答えてもらいたい。きょうは、お答えいただく時間が残念ながらありません。  それからもう一つは、先般の公害国会で成立しましたところのいわゆる汚染防止法ですね。五十海里以上の地点では大体たれ流し、といったら語弊がありますが、ある一定の規制のもとではたれ流しもやむを得ぬということを書いてありますが、これは当時もわれわれ自身はかなり疑問に思っていかがかと思っていたのでありますが、かかる現実に直面しては、いわゆるみじんもたれ流しはやめさせるべきだと私は思うのです。だから、これはできてまだ発効しない法律ではありますけれども、やむを得ぬ、やはり次期国会にはこれを改正し、罰則の点ももっと強化していく、行政罰についても考えていくということを、私は真剣に取り上げてほしいと思うのです。あらゆる手段方法を講じてやらなければ、これは絶対にとまりませんよ。これは保安庁にはないようですからお持ち帰りください。  もう時間でありますから、運輸大臣から総括的なお答えをまずいただきたいと思うのであります。
  35. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いま海洋汚染防止につきまして、具体的の事例をあげまして久保先生からるるお話ございました。私も、これからの海洋汚染防止はほんとうに緊急の問題でありますし、また容易ならぬ問題であるとういふうに考えておる次第であります。しかし、私が聴取いたしましたところ、それの監視体制もまだ決して十分じゃございません。それからまた法制も、海洋汚染防止法も来年の批准を見なければ発効しない、こういうようなことでございまして、万事手おくれでございまして、これは容易ならぬことだ、こういうふうに私は思っている次第でございます。ことに、こういったようなものがわが日本列島の近海をずっとおおってまいりましたら、これはたいへんなことでございます。実はきのうの予算委員会でも、沖繩の問題でございましたがこの質問がございました。そういうことでございますので、これはもう早急にひとつ監視体制を強めろ、検挙件数もうんとあげろということを指示をして、現実に検挙した数は何件あるか、送検した数は何件あるか、いま聞いているところでございます。  しかし、久保先生おっしゃったように、大体におきまして罰金を個人に科して、それでわずか十万円ですか、最高になりましても二十万円だ、こういうことでは、いまのような事情でこのままでいって、それはしようがない、払いさえすればいいということになりましたならばえらいことであります。これは国際間におきましても、全体に海を守ろうということで、この海洋汚染防止法が成立すればもうどこの外洋でも油はもちろん廃棄してはいかぬというふうになっておる次第でございます。ただ、行政罰につきましては、御承知のとおり自動車排気ガスにつきましては、これはまた一定の基準違反のものにつきましてはございますが、そこまで、設備その他におきましてまだ十分でございませんし、それからこれは港湾関係の法制上、まだそこに行政処分に踏み切るかどうかという法体系の問題もございますが、しかし実効のあがる方法で、それで十分な監視体制をとらなければたいへんなことになる次第でございますから、御趣旨を十分私もとくと心して承りまして、そしてその対策を早急に立ててまいりたい、こう思っておる次第であります。
  36. 久保三郎

    久保委員 時間でありますから、最後に、いまのお話でやはり気になるのは、どうも行政罰については法体系の問題があるというので、まさに法律の勉強をなさった大臣でありますが、やはり最近は新しい観点からやらぬとなかなかできませんので、多少無理があっても行政罰等で縛らなければ、形式的に船長から罰金を取っても解決するものではないと私は思っておりますので、十分御配慮いただきたい。  それから、環境庁に一言お願いしたいのは、さっき申し上げたように、こういうビニールくずが鹿島灘一帯に押し上げられているのです。これは海洋に持っていって投棄したわけではないだろうというのがあの辺の通説であります。これは大体川に落として、川の水が海洋に流れていって、それが逆上陸してくるということだそうでありますが、このビニールがまた漁業に大きな支障を来たしているし、それから、そればかりじゃなしに汚染の原因になっております。これはごみを中に包んだままでふらふらしますから、そういうものに対してはどういうふうな手配をしておられるのか。自然破壊の問題も含めて、これは油等もあなたのほうに関係ないわけではないと思うのですが、ビニールはどうか、それだけお答えいただいてやめます。
  37. 河野義男

    ○河野説明員 御指摘のように、ビニールによる海洋汚染も相当に広がっておるわけでありますが、環境庁といたしましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づきまして、廃棄物の最終処理基準を定めることになっておるわけであります。これにつきましては現在検討しておりますが、廃棄物の海洋投棄処分はなるべく行なわないという考え方に立ちまして、行なう場合は、海洋汚染あるいは水産物に対する影響、それから船舶の航行に対する支障のない範囲内で所定の処理をして、一定の範囲内で処分を認める、こういうふうな考え方に立っておるわけであります。  そういった一方できびしい規制を考えておりますが、こういった問題は、同時に国民の汚染防止に対する公徳心の高揚にまつところも大きいわけであります。したがいまして、関係省庁と連絡をとりまして海洋汚染防止に努力をいたしたい、かように考えておるわけであります。
  38. 久保三郎

    久保委員 終わりますが、たいへん失礼だけれども、紋切り型の答弁は必要ないのですよ。今度は長官をよこしなさいよ。いわゆる支障のない範囲で投棄させるといっても、その支障のない範囲というのはどんなものだと聞かれたらおわかりになりますか。しかも、私は袋一枚なら海洋汚染には支障ないと思いますよ。一枚ならあなたは許しますか。ここにいる人が全部なり日本国民が全部、私は一つだからいいでしょうと言うでしょう。そういうものを考えたら、あなたがいま答弁されたことはちっとも何の役にも立たないということだと私は思うのです。  それから、モラルの問題をお説きになりますが、これは文部省とか学校の先生が説くのならいいけれども、あなたが説いてもしようがないのです。だから、たいへん失礼なことでありますが、私はそういう態度ではいかぬということです。きびしくどうしたらいいかをあなたの職責の内部においてやはり考えてほしいと私は思うのです。環境庁は新しくできたばかりですから、何かとごたごたしているでしょうが、少なくともあなたの職責の中でベストをどう尽くすかということが問題じゃないですか。モラルの問題はそのあとでみんなが考えればいいと思うのです。  以上で終わります。
  39. 古屋亨

    古屋委員長代理 井野正揮君。
  40. 井野正揮

    ○井野委員 三点お尋ねをいたしたいわけでありますが、たいへん時間が詰められておりますので、私も質問を総並べいたしますから、一括お答えをいただきたいと思います。  まず第一番に、実は本委員会の昨年の十一月十一日の会議録三十二号をきょう持ってきておりますが、この一ページで斉藤委員がお尋ねになりました。昨年野村局長さんが北九州に御出張なさった機会に、関係業者を集めてやられた行為が、マスコミからは黒住さんの選挙の事前運動の疑いがあるということで指摘をされて、この委員会で同僚の斉藤理事からきびしく姿勢を正すことをお尋ねをしておるわけであります。ところが、この杞憂はまさに的中をいたしまして、昨日まで衆参両院の各種委員会において大臣はいろいろ追及を受けておられるわけです。大臣は初めてですが、野村さんはそこにまだおられるわけです。  しかも、私ども二つの点で非常に遺憾に思っていることがあります。一つは、全国の陸運局の局長室に黒住さんの写真を飾ってあった、これは御承知でしょう。黒住さんはやめた人なんです。大臣の写真を飾ってあるならまだわかるけれども、やめた局長の写真が飾ってあった。そして、きのうも参議院で追及を受けたように、あの数もわからないほどある法人、そして皆さんの先輩あるいは後輩の天下り役員、そしてあの写真、加えて非常に疑わしい出張があるわけであります。そういうことで、私はきょう資料要求だけをしておきたいと思いますが、昨年の五、六月からことしの六月まで、これも役職をあげますが、参事官の山上さん、旅客課長さん、貨物課長さん、通運課長さん、自動車道課長さん、以上の皆さんの出張の目的と会合、対象、場所、これをぜひ資料でお出しをいただきたいと思います。大臣はおかわりになられましても行政機構は続いておるわけでありますから、これは今後にえりを正す意味においてもぜひ必要なことだと思いますし、微罪たりとも選挙違反を誘発せしめ、あるいは業界に勇気を持たせ、そしていまなお現役でいる人たちに信頼を持たせた効果だけはあったように思っております。こういう意味で、この資料の御提出を願いたいと思います。あと、これに対するいろんな論議は、時間がありませんからいたしません。  その次に、今日非常にたくさんの交通事故が起こっております。青森県のむつ・はまなすラインといわれておる国道二百七十九号について以下お尋ねをしますが、これも一括御答弁をいただきたい。私は、だれの責任でそういうことをしたのだと言おうとしておるのではございません。もちろん建設省の道路設計その他の認可等に対して問題があると思います。あると思いますが、いまはそういうことを言っておるよりも、この道路を直さないと、たいへんな事故による死傷者が出ておるという事実、しかも、大間の港を通じて北海道へのフェリー輸送という輸送手段の変化に伴って、この道路は今日の輸送にたえないのにもかかわらず管理ができていない、こういうことでお尋ねをするわけであります。  大臣、私が求めましたこの資料によりますと、昨年は一年間で、たった百三キロの間で十四人の人が死んでいる。この割合で全国の国道合わせて百万キロとしますと、このような道路が全国にあったら十四万人死ぬことになる。昨年死んだのは二万六千六百人ですか、実に十倍の死傷者が出ているのに、何らこの道路に対して、建設省も運輸省もあるいは警察庁の交通規制課長さんのほうでも、あるいは交通安全対策室長、ここでも問題にならぬのは一体どういうわけなのか、こういうことなんです。しかも、県議会でこの問題がただされたら、この知事さんのお答えがきわめてのんきなものです。急いでつくったから道路が悪いのです、カーブのところだけは三十五キロ設計で、あとのところは全部六十キロで走っていいのです。道路の幅は五・五メートル、ここを積載量十六トンというようなトラックが六十キロで走ったら、この車の幅は、もう専門家の野村さんよく知っているでしょう、十六トン積載の車の幅というものは少なくも二メートル以上ある。それが両方から六十キロで交差したら、交通事故が起きなかったらおかしいですよ。そしてこの調査によりますと、酔っぱらい運転だというのです。死んだのは全部酔っぱらいにしてある。解剖したわけでもないでしょう。事故原因はみな酔っぱらい運転にしたら一番いいのでしょう。  それで、まさにこの道路はゴースト道路です。自然の起伏のままに側溝を掘って舗装したにすぎません。私は午前七時にこの道路に入って、走っているうちにふしぎになって車をとめてもらいました。これは県道か国道かと思っていたら国道になっている。私はこの道路を走るまで国道二百七十九号とは知らなかった。しかし、さらに心配になってきたから車を降りて道路を透かしてみると、全く道路といえるしろものではない。なぜ、どういう事情でできたのかということを、これは参議院選挙を応援に行った機会ですから、候補者は元県会議員だというから聞いてみたら、それは十勝沖地震でこういう道路になったという説明なのです。もしそうだとすれば、地震であんなに山ができたり谷ができたりしたら、これはたいへんな変動ということで世界の新学説になる。そこで県議会で質問してもらったところ道路部長が、さらに土木部長が補足をして、カーブだけが三十五キロなのです、こう言っている。ところが私が建設省に聞いたら、山地で三十五キロで設計してあります、設計以上のスピードを出すことは危険があるということは明らかでありますという御答弁です。そのとおりだと思います。ところが公安委員会はこれに対して、道路のスピード制限標示をしていない。警戒標識あるいは制限標識、案内標識がしてあるのは市街地のところだけしかありません。百キロの中のほとんどの地点についてはない。そこで、それなら必ず交通事故が起きているはずだからというので調べてもらったところが、昨年は十四人死んでいる。急速にふえてきて、四十一年この供用開始以来今日までもう幾何級数的に人が死んでいる。特に、私が街頭演説をやっていると車が通っていきます。北海道で大きな運送会社では、松岡、満あるいは楢崎運輸、十勝運輸などというのがどんどん通っていく。これはいまや大間からの東京に通ずる大幹線道路になっているんだということを知りました。  そこで大臣、いま私はこの知事さんの答弁を読みますと、この頭を削って道路の平衡を保たせる、あるレベルをとるためには、県費に多大の負担がかかるから出してないのですと答えている。これはたいへんなことだと思うのです。確かに今日国の縦貫道路のような、しかもフェリー道路のようなものになりますと、これは県費で持たせることもおかしいのです。私は大臣にこのことはずばり、この死傷者の例を見ても、順序とかそういうものを変えて、国の責任において、交通安全確保のためにも、この道路はすみやかに改良すべきであるという答弁を期待をいたします。これは資料を全部もらっておりますから、大臣検討してください。十五分の中ではできませんのでそういうことにしておきたいと思います。  その次にお尋ねしたい問題は飛行機の問題であります。これは「ばんだい号」に続いて「あわじ号」がオーバーランの事故を起こしました。私はきょうはいろいろなことを言いたいのですが、それも言いません。ただ、こういうことをきちっと腹をきめてもらわなければならぬと思うのです。空港整備といっても、いままでのものはほとんど滑走路あるいはその周辺のいわゆる基礎的な施設、安全に必要ないろいろな計器とかそういうものについては、あるいは飛行機の計器に対応する  レーダーとかそういうものについてはできてないわけです。しかし反面、いまの飛行機のお客さんというのは緊急やむを得ないお客さんではないのです。率直にいって緊急やむを得ないほうが乗れないのです。急に切符を買おうとすると乗れない。乗れるのは計画的のレジャーのお客さんばかりです。この間死んだ中でもよく見なさい、ほとんどがレジャーではないですか。ところがこれはもうかる。もうかるということは需要にこたえるということで、施設も伴わないのにどんどん運航させている。おととい私は北海道の歌志内のガス爆発から帰ったら、羽田の上で二十五分もとめられてしまいました。高速道路は事故で一時間十分かかりました。こういうふうに施設はもう間に合わないが、それが需要があるからということで許可をしている。飛行機にも計器もない、飛行場にも安全に受け入れる施設もない、要員もない、気象通報は日通の人が頼まれてやっている。それでもまだいいほうです。飛行場によっては食堂のおじさんに頼んでやってもらっているところがある。  こういう事情を認識すると、事故があったときに大臣が花輪を贈ることではないのです。総理大臣の花輪を立てることではないのです。そそくさと見舞いに行って逃げることではないのです。私は安全が確保されない限り運航を許可しないという姿勢が、これが今日の政府にあるでしょうか。私は慰霊祭のときのそら涙は要らぬと思う。先ほどの大臣の——大臣、おめでとうございました。しかし施政方針をお聞きしましたら、一年半前に私が初めて国会議員になって橋本さんのあいさつを聞いた、あれと一言半句違わないのです。おそらくそれを引き出してお書きになったのだろうと思うのです。官房長いませんが、そういうことだろうと思うのです。しかし、橋本さんは一年六カ月何もやらぬでやめてしまった。ほんとうですよ。ひとつこの際、私がいま言ったような方向、飛行機の安全については、需要はいかほどあろうとも安全を確保できる施設、設備ができないうちは、この運航を認める方針はとらないということをひとつお答えを願いたい。  たった十五分ですが、この中でいま三つの御質問をいたしましたが、二百七十九号線については、一切の事情を考えてすみやかに今日の近代道路に改める、急速にやっていかせることを閣議でやる、飛行場については安全が確保されない限り運航を認めない、こういう方向を確立する、また黒住さんの問題については、前任者時代からの責任でもあるが、運輸省内にもこれに関連したいろいろなことがあるような疑いがあるので、資料等を十分調べて明らかにする、この三つのことについて御答弁を賜わりたいと思います。
  41. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま三点につきましてるる御意見を伺った次第でございますが、選挙違反の問題につきましては、幸いにして運輸省の公務員には違反者が出ていないとはいえ、各地の関係団体から相当の違反者が出ておりまして、ほんとうにいろいろの疑惑を国民に与えましたことは、まことに申しわけないことと思っておる次第でございます。明朗選挙を常に唱えている政府といたしましては、ほんとうに心からこの点に遺憾の意を表するということでございます。また、いろいろ疑わしきうわさを立てられましたことにつきましても、これまた非常に遺憾に思っておる次第でございまして、何と申しましても、私は就任直後に、私が省員の一同に申しましたことは、要するに交通安全の確保とそれからやはり清潔なる政治、行政、癒着をしない政治をやっていかせる、綱紀粛正が第一であるということを強調しておる次第でございまして、先生の御趣旨を十分体しまして、これからも清潔なる行政を行なうように万全の注意を払ってやっていくつもりでございます。  それから、第二の青森県の二百七十九号線の問題でございますが、私も道路行政のほうはしばらくやっておりました。いま実情を承りまして非常に驚いている次第でございます。そういう事故多発の地点につきましては、国道でございますればもちろんこれは国の負担は当然のことでございます。県道につきましてもあるいは交付税の算定基準の対象にもなる次第でございますし、また起債の道もある次第でございますので、緊急にするように、私のほうで調べまして、さっそく私からも建設大臣に申し伝えまして、緊急にその拡幅その他の修理をさせるように申し出るつもりでございますから、御了承願いたいと思います。  それから、第三点の航空交通の安全確保の問題でございますが、先生おっしゃいましたように、私も保安施設の充実がまず第一である、いろいろのそれの基盤をなす空港整備も必要でございますが。それゆえ、先般起こりましてすぐあとに、五千六百億円の五カ年計画につきましても、保安施設にまず重点を置いて、保安施設をともかくも三年間に繰り上げてするように、それがために必要なるところの計器あるいは長距離監視レーダー、それからVORとかあるいはDMEとか、そういったものを早急に備えつけるということを命じてある次第でございます。具体的な、本年度からどれだけやるか、調査をどれだけするかということにつきましては、後ほど航空局長から答えさせる次第でございます。  それと、やはり基本観念といたしましては、先ほどもおっしゃられましたように、何しろ安全なくして飛行はない次第でございまして、もし万一、少しあぶないというときには飛行を中止しろということは、私は強くモットーとしていくということで、実はあの「ばんだい」事故が起こりまして、三会社の社長を招致いたしまして警告を発しましたときも、そのことを私は強く申した次第でございます。ところがまた、申しましたすぐあとでオーバーランの問題がある。それからまた日航機のあのひょうの事件がございました。直ちに私は、異例だといわれましたけれども、ともかくもこの問題は私は何べんでもやるぞということで招致をいたしまして、日航はいままで航空事故を、人命事故を起こさなかったと言っていばっておってもだめだ、こういうことを言いまして、いやしくも悪天候でこれはどっちかわからぬというときは、危うきに近寄らずということをぜひとらなくちゃいかぬということを強く申した次第でございます。幾ら機械設備が完備いたしましても、そういったような運航管理者の注意、それからまた操縦者の注意がございませんでは、またいかなるああいうような不慮の目を見るかわからぬ次第でございまして、私はもう少なくとも自分が責任を持っている間は、毎日毎日そういったような事故が起こらないことをほんとうに祈る気持ちで、毎日、きょうは事故がなくてよかったなというつもりで私は臨んでおる次第でございまして、これも省員一同にも徹底させ、それが現場の皆さんにも徹底するように、いま強く頼んでおる次第でございます。そのことを皆さまからも、こういうことは、おっしゃったようにやはり起きてからではしかたございませんが、逐一また御督励、御鞭撻をいただきまして、大過なきを期したいと思っておる次第でございますので、御了承願いたいと思う次第でございます。
  42. 内村信行

    ○内村説明員 大臣の指示によりまして、先ほどの航空保安施設の計画を申し上げたいと思います。  航空保安施設につきましては、大体私どもの内部で五カ年計画というものをつくるということで考えておりましたけれども、それを、今般の事故もございましたし、それから大臣の命命もございまして、五カ年でやるものを三カ年に繰り上げて保安施設を重点的につけるということを考えております。  そこでDME及びVOR、これにつきましては、大体五カ年間で十八カ所程度でやる計画でございましたが、これを前半の三カ年で十八、九カ所をやりたいというふうに考えております。それからそのほかにVASISという安全のための、進入のための保安灯がございます。このVASISにつきましても、さらに六カ所くらい今年度繰り上げてやりたいと思っております。それからさらにレーダーにつきましても、これは五カ年の中で四カ所ですが一六カ所くらい必要である。航空路の監視レーダーでございますが、あと六カ所くらい必要でございますけれども、これは従来は四カ所をともかく五カ年に完成し、あと二カ所はそのあとの五カ年に着工というふうな予定でございましたが、これは全部五カ年の間に完成いたしまして、日本全土を北から沖繩に至るまで、航空路監視レーダーでもってカバーできるというふうにいたしたいと考えております。  なお、そのようにいたしまして五カ年を重点的に考えておるのでございますが、さらに今年度繰り上げることによって必要なものは、大体の見当十億くらいの予備費を要求いたしておりますので、それによって今後関係各省と折衝いたしたいと思っております。
  43. 井野正揮

    ○井野委員 もう一言で終わります、十五分になってしまいましたから。  大臣、先ほど二百七十九号は建設大臣に言いつけるというお話でしたが、そんなことではちょっと間に合わぬと思います。やはりこの道路がおかしておる人命損傷の実態から、緊急な課題として閣議でひとつ相談をしていただいて、各省庁連絡の上でこれは予算づけもやってもらいたい。あるいは若干のバイパスもしないと通れませんが、おそらく建設省は、一日二千台だとか二千五百台で緊急事業に入らないということを言い出すだろうと思います。しかしここの割合で死んだとしたら、先ほど言ったように十四万人死ぬことになるのですから、人一人の命を道路構造のためにそういうことになるとすれば、これはたいへんな大きな行政ミスだと思います。もう一つは、これらに携わる人たちが急ぐからやったんだという言いわけばかりをしているのです。それなら、ここへかけた金というものは四十年から四十六年ですが、それは全部むだになるのです。そうですね、やり直さなければだめですから、そういう行政責任を追及したくなるのです、国民の金をむだづかいした。もう今日の輸送事情はどういうようになっているか、それがわからぬほど非科学的な行政ではないだろうと思うのですね。  こういう点から考えてみても、一大反省をもって、青森県のためでもないし、北海道のためでもない、間違った行政を改めるんだ、こういうことでやっていただかなければ、これはきょうのおしゃべりになってしまう。大臣、ひとつぜひ、なるほどおしゃべりでなくて実行だわい、丹羽という大臣は違うぞという信頼感を私どもに持たしてください。もうこれは御答弁要りません、うなずいておられますから。新聞に、閣議にはかったということを見ることを期待しております。  終わります。
  44. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 これはちょっと、答弁は要らぬというお話でございますが、閣議にかける、かけないは別といたしまして、西村建設大臣と私、一緒に道路行政につきましていままでずっとやっていた仲でございます。そういう緊急なことでございますから必ずひとつ、先生おっしゃったように、緊急にいろいろの措置をさせるように私から強くあれをいたしましてその実現を見させたい、こう思っておる次第であります。
  45. 井野正揮

    ○井野委員 期待をいたしております。
  46. 古屋亨

    古屋委員長代理 田中昭二君。
  47. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 きょうは、新しい大臣になられて初めて質問する委員会でございますから、私のような者が小言を申し上げるわけではございませんが、きょうの委員会大臣基本方針の発表があったわけですが、いままでこれは慣例としまして——慣例になっておるかどうか知りませんが、大臣が初めて御説明なさる場合には、説明のプリントをいただいておったわけです。今度は、前日からまぎわまでいろいろ私もそのことを知りたいと思って要求しましたけれども、そのお渡しがないし、また当委員会においてもそのプリントがない。こういう実情は、大臣がいまお述べになったように、委員会の協力を得て国政の円満なる遂行をやっていきたいということにならないのじゃないか、逆方向に行っているのじゃないか、こういう感まで深くするわけです。こういうことのないようにしてもらいたい。いまも委員の方からいろいろお尋ねになっておりましたが、私は、いろいろなことが言われるけれども、それがほんとうに末端の行政に、血の通った救済措置なり改善措置になっておるかどうか、それをやるかやらないかというようなことが一番大事じゃないかということを、いま強く痛感したわけです。でありますから、こういういままでの前例を破って大臣の所信表明のプリントも渡さないというようなことはいけないのじゃないか、こう私の希望を申し上げておきます。  そこで、大臣の御説明を聞きましても、大体前大臣の当初の基本方針とあまり変わったことがないようでございますが、大臣が当初申し上げられました交通安全の問題から先に入っていきますが、いわゆる今度の「ばんだい号」事件をはじめとしまして、いろいろ航空安全の問題が取りざたされまして、まあ航空の安全ということは、事故がたいへん膨大な事故になりますし、人命損傷の上においてもどうにもならないような事故でございますから、そういう問題についてのことを私もいろいろいままでの行政の面から見てみました。まず、前大臣は所信表明の中でいろいろ航空のことについてお述べになっておりますが、その最後に、まず航空企業の基盤を強化していきたい、こういうことをおっしゃっておるわけでございますが、新しい大臣もそのことは同様だろうと思いますが、この航空会社の企業の基盤を強化するということは一体どういうことなのか、まずお聞かせ願いたいと思います。
  48. 内村信行

    ○内村説明員 前大臣が四十六年度予算編成時に申し上げたことでございますけれども、まず航空企業の基盤強化が必要であるというこの意味は、最近航空需要が非常にふえてきております。したがいまして、従来とは非常に客観情勢が違ってきておるわけであります。そういうふうな大きな需要を受けまして、それをこなしていくためには、航空機というものも必然的に大型化せねばならない。それから、そういった面につきましての安全性ももちろん確保しなければならない。そういった面におきましては、従来のような比較的少ない資本によってやっていくことは困難になるであろう。したがって、ローカルにつきましてもそういうふうな需要が非常に大きいものでございますから、一方において飛行場等を整備しますとともに、会社においてもこういった大型化に伴う機構をつくる。そのためには、やはり合併というふうなことをいたしましてこの基盤を強化していく。さらに合併した会社につきましては、相当な技術的な裏づけとかあるいは資本の強化というふうなこともやっていかなくちゃならぬというふうなことから、いわゆる昨年十一月に航空企業の再編成というふうなことで閣議での了解をとったわけであります。それに基づきまして、従来の日本国内航空と東亜航空、この二社が五月十五日に合併をいたしまして新発足したわけでございます。その会社に対しまして、さらにこれを強化するためには、先発企業もこれに対して十分な協力をしなければいかぬということで、日本航空からも特別割り当てといたしまして約五億の出資を追加いたしました。さらに技術的にも、あるいは役員派遣をするとかいう方法を講じまして、技術的なバックアップをしてまいったというふうなことによりまして、この新しい会社の基盤の強化をはかってまいったわけでございます。さらに、今後は広く民間資本も一般の資本を入れまして、基盤の強化をはかってまいりたいということでございます。  ただ残念ながら、今回この新しい会社が「ばんだい号」の事故を起こしましたことはたいへん遺憾でございまして、私ども行政の衝にあずかる者といたしましては、たいへん申しわけなく存じておるわけでございますが、今後ともさらにこういった基盤の強化と同時に、技術的安全性についての確保をはかるように努力してまいりたいと思っております。
  49. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 先ほど一番冒頭に、私の所信表明演説のプリントをお渡ししなかったというおしかりでございます。まことに申しわけない次第であります。私も当然そういうものは渡っていると思いました。いま伺いまして、普通どこの委員会でも渡っている次第でございますが、事務の方面でちょっとミスをしたことと思いまして、まことに申しわけない次第でございます。責任者としておわびを申し上げます。  それから、ただいまの基盤強化でございますが、基盤強化も、これは航空交通のほんとうの円滑な運航をはかり、その基本となる交通安全を確保するための基盤強化、私はそういうふうに解釈をしておる次第でございます。それによりまして、先般新しく合併しました東亜国内航空事故を起こしましたことはまことに遺憾でございまして、私も直ちにその点を調べてみましたが、合併するとともにゆとりのある安全運航をするように、そうしてまた合併をした当初であるから、各合併した従業員全体が調和をして、その持ち場持ち場の業務で安全をはかるようにという指示も強くしておりまして、それにこたえてやっているというふうな確認のもとにやった次第でございますが、ああいうふうな事故を起こしまして、何とも遺憾に思っている次第でございます。
  50. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私の質問に対して航空局長からお答えになりましたが、それは簡単にいえば、あなたは航空基盤の強化を合併をさせてやっていきたい、こういうふうなことをおっしゃった。私が聞いておるのは、そういうことも関係しますけれども、私は、いま大臣のお答えになった航空基盤の強化ということは、航空の航行の安全が少しでもよくなるということに基盤強化という点を置いていかなければいけない、こういうふうに思います。ここであなたが航空政策研究会でいろいろおっしゃっておることを見てみますと、合併もたいへん裏があって、ざらめだということをあなたは言われておられますよ、日航の社長さんとか土屋さんとかと……。そういう裏をきょうはここで一々申し上げる時間がありませんから私は申し上げませんけれども、いまの問題を通しまして私はしろうとなりに、航空企業の基盤強化ということは、企業がそのことによってたいへんプラスな面が大きくなって、そして喜んで国民の足ともなれるというような航空輸送を続けていく、こういうことにつながらなければならないと思う。  そこで具体的には、それは政府が資金援助するか、そういうことはできるかできないか知りませんが、いろいろな融資をしたり、それから、そういう面のいわゆる企業が今後輸送する場合にプラスになる空港整備の問題もあるでしょう、そういうことを企業がやれるというようなことが大事じゃなかろうか、私はこう思うわけです。本年になりまして、航空企業に対してサービス料ですか、航行援助利用料ですか、何かそういうものを取り立てる。この中に話が出ておりますが、日航から十七億、全日空から十七億、ほかの二社からも五億出しなさい、こういうように政府から言われたというのですが、そういういきさつがあります。実際問題として、航行援助利用料を会社が出すために、いままでありました往復割引運賃を廃止した。それによってそういう援助利用料を会社のほうは穴埋めしなさいというようなことを政府みずからがここに発言してあるのですね。一々読むと時間がありませんから簡単に申し上げますが、運賃を上げればいいじゃないですか。日航の社長さんが、そう簡単に運賃を上げろと言われても、上げられぬのが実情じゃないですか、こういうことまで日航のほうから言っておる。そういうことは、佐藤総理が言われたことが、そのままあんまり実行されたことがないのですけれども、公共料金については本年度も上げないというようなことが、省庁によっては運賃を上げろということを政府が音頭をとっておる。アメリカの航空のことをちょっと聞きましたけれども、アメリカのいわゆる着地料ですか、これを上げるというようなことについては大問題になって、そして相当な条件をつけて二カ月後に上げたというようなことも聞いております。ところが日本は逆なんだというようなことがこういう中から推察されるわけです。   〔古屋委員長代理退席、委員長着席〕  私はそれを問題にするのじゃなくて、いま着地料なり援助利用料なりというものが上がることによって、航空会社は基盤の強化どころか、政府の協力によって基盤の弱体化になっておる、こういうようなことを言われる人がおられますが、私はそういう面はなるほどそうだろうな、こう思いますが、大臣、そういう点についてはいかがでございますか。
  51. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまのお教えでございますが、今回の空港五カ年整備計画は、やはりある程度利益者負担の原則を立てまして、それでいま先生おっしゃったような方法で利用料を取りまして、それを空港整備また空港の安全、保安施設整備に充てたいということでつくった次第でございます。  ただ、いま合併の東亜国内航空につきましてもあれでございますが、そのほかの会社はもちろん、わりあいに、それを払いましても経営上は、まあ楽なことはないかもわかりませんが、たいして支障がない、こういうふうに聞いておる次第でございます。
  52. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そういう点は、大臣もまだ実際の内容について詳しくお知りになっていないのじゃなかろうかと思います。いずれにせよ三十億なり五十億の金を企業が出すということは、弱体化というようなことについてはお認めにならないようでございますから、その問題は次の機会に譲るといたします。  今度の「ばんだい号」事件を見ましても、事故原因調査はあっておると思いますが、いままでの新聞報道によりますと、天候の関係、それから空港整備が不備であった、こういうことがいわれております。最初の天候の問題については、これは自然現象でございます。それから空港整備については、これは政府の施策の不備だということになりますが、そのほかにもパイロットのミスとか、それからいわゆる企業がいろいろなあせりを感じて、航空輸送について効率のあがる、いわゆる収入を上げるための、先ほどから話があっておりましたような団体旅行をどんどんとって、そして水揚げを上げたいというようなあせり、こういう四つぐらい、そのほかにもいろいろあると思いますが。こういうことを考えてきますと、初めの自然現象と政府の施策の問題、これは航空会社の責任ではない。それからパイロットの問題、それから航空会社のあせりによるところの経営のやり方、こういうものは企業の問題でございまして、いわゆる企業の経営基盤の強化とその問題が関係がある。いわゆる経営の努力をすることによってそういう問題を安全な方向に持っていかなきゃならない問題だ。いまずっと申し上げましたような利用料みたいなものを取り立てるというようなことが起こりますと、いわゆる企業の経営努力に対してプラスになる方向じゃないと思うのです。マイナスになるような、いわゆる異常なまでのレジャー部門の開発、お客をよけいとっていくというような行き方、また航空会社の従業員の人たちのいろいろな話を聞いてみましても、たいへんな問題が内部にあるそうでございます。それを一つ一つ言いませんが、そういう問題を考えてきますと、今度の「ばんだい号」事件も、自然現象なり政府の施策の不備と同時に、いわゆる航空に関係する企業の経営努力というものがたいへん関係がないとはいえない、こういうように思うのですが、そういう点、大臣いかがお考えになっておりますか。
  53. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまおっしゃいました四点につきましては、いま事故調査委員会が鋭意原因につきまして追求しておるところでございます。確かに先生おっしゃいましたような四つの点にあろうかと思う次第でございますが、最後の経営の強化がこういうものに影響を及ぼしているのじゃないかというお尋ねでございますが、私どもは絶えず、航空運航に対しましてはゆとりのある計画をつくれ、決して無理はしてはいけないということを、一番に強く言っておる次第でございます。前の東亜国内航空が設立されましたときも、それをまず第一番に言っておりますし、また、先般事故が起こりましたあと社長を招致いたしまして警告をいたしましたときも、それをまず第一番に警告し、指示をしておる次第でございます。  ただ、経営方面が、そういうふうな事実上の問題といたしましていろいろ経営困難になる、それがために無理な客集めをしなければならぬ、無理な飛行をしなければならぬということになりましたらゆゆしき大事でありますから、そういうことのないように指導をする。それがためにどうしてもしなくちゃいかぬということになりましたら、あるいは融資またその他の方法を考えまして、経営が合理的に運営されるようにひとつ私どもも努力をしていかなくちゃならぬ、こういうように思っておる次第でございます。
  54. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 最後に、いままでのいろいろな話をずっと通しまして、いわゆる運賃値上げです。ね、この問題が、先ほど大臣も、何か受益者負担で利用料を取るのだ、サービス料を取るのだ、そういうようにお話しになりましたけれども、私はその問題をこまかく議論することをきょうはやめまして、運賃値上げということについて、そこにおる航空局長も研究会の席上で、利用料とこう話が進んできますが、「今後、それが現在の運賃において吸収できない場合には、さらに運賃値上げも考えていかざるを得ないというふうに私どもは考えているわけであります。」こういう意向のお話があった。そして日航の社長さんがそれを受けまして、ずっと先ほどから言うように、十七億も出せということを言われて、ほんとうにこれはでたらめです、それは金を出せばそれだけの対価、サービスの充実がなされればいいのです、こういう合理的なことをおっしゃっておる。こういうことを受けた話の中で朝田さんが言っておるのは、「来年四月から運賃値上げをいたします、こう運輸省はおっしゃるけれども、」云々「そう簡単に運輸省がいわれたって、実現するかどうかと疑問を持っているわけです。」こういうあたりまえの考えですね。それで、これはいまの丹羽さんじゃなくて、前の橋本運輸大臣をさしたと思いますが、「また運輸大臣のお話しによると、選択的輸送機関だから、物価には殆ど影響がないから上げたらいいではないか、」こうおっしゃった。私たちのこういう委員会では、こういうことは絶対おっしゃらないのに、研究会なんかではこういうことを平気でおっしゃる。これは内閣を主宰しておる総理の考え方とはどうなるのだ、こういうことの議論もしたくなってくるわけでございますけれども、丹羽運輸大臣が今度最後の佐藤内閣の運輸大臣を受け持たれる意味からも、先ほど他の委員からも話があっておりましたように、最後が大事でございますから、どうか本年度は絶対に運賃値上げなんかはしませんと——しませんとは言えないでしょうね、上げるのだから。まあその辺の見解についてお伺いしておきたいと思います。
  55. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 運賃値上げの問題は、やはりただいまの物価抑制政策から申しまして非常に重大な問題でございます。それに初閣議におきましても、佐藤総理から、それらの問題は物価を抑制する見地から十分慎重に検討しろ、こういう強い発言がございました。私どももなるほどそのとおりであるというふうに思っておる次第でございます。  航空運賃にいたしましても、これは確かにいまの状況を見ますると、一般大衆の輸送機関とはまだいえないかもわかりませんが、しかし、できるだけやはり上げないにこしたことはございません。できるだけやりは合理的な方法によりまして、国民の要望にもこたえる妥当な線できめていかなくちゃならない、こういうふうに思っておる次第でございます。
  56. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 もう時間がありませんから、いまのお答えだけでは私まだたいへん不満でございますけれども、この問題はまた次の機会に譲ることとします。  次はタクシー運賃の問題についてお聞きしたいと思いますが、先ほどから二人の委員のほうから、タクシーの運賃問題についてはいろいろ率直な、簡単明瞭で問題をついたお話があっておりました中で、運賃を値上げしなければならないという理由は何だというようなお話もありまして、私がここでまた申し上げるまでもなく、労働力の問題、それから交通渋滞の問題というようなものがあげられておりました。そこで、担当の自動車局長の話を聞いておりますと、もうほんとうにこれはどうしようもない苦しい状態である。行政当局の苦しい立場が私もよくわかるような感じがいたしました。しかし、これは苦しいからそれでいいという問題ではございません。実際の問題は、業界並びにタクシーに関係するいろいろな、利用者も含めて、運転者も含めて、この人たちのさらに深刻な問題、そういうことを自動車局長の話の結論、言わんとするところと考えてみますと、私ははなはだ同情の感さえ覚えたくらいです。  そこでいま申し上げますように、そういう行政が苦しい立場にあることも、関係の人たちが苦しい立場にあることもわかるが、それでは、それを直すためにはいろいろな時間がかかって、基本的な方針があると言われましたけれども、その基本方針を行なうにあたっては、いままでの行政にあやまちがなかったかどうか、あやまちがあれば、それを改めるということが私は一番大事じゃないか、こういう感じがするわけでございます。多くの議論はできませんから、いろいろな問題の中から一つだけ、そういう行政の誤りだけをここで言うことも私は少しどうかと思いますけれども、これはやはりいまのようなことからせんじ詰めていけば言わざるを得ないわけで、申し上げてみたいと思います。いろいろな小手先的な政策ではだめだというようなこともございまして、タクシー近代化、適正化、経営の健全化というようなことについて、いままで行政当局もずっとやってきました。ところが、この前の値上げを見ましても、値上げしたとたんに、値上げする前よりも悪くなったという経営者がおるんです。その人たちが、一年が間近ですけれども、その間にばたばた倒産をしなければならないような、そしてある会社では、もう運転手さんの管理によって営業がなされておる。これはほんとうに深刻な問題を控えておる。そういうことを考えてみますと、業界の苦しみと同時に運転手さんのほうも苦しい。これは結局行政指導において、その場しのぎの指導しかなされていなかった、こういうふうに言われてもしかたないと思うのです。  例は幾つもあると思いますし、いままで幾つも指摘されました。しかし、その中で一つの最近の例をとってみますと、昨年度のタクシー業界に対する増車の割り当てのワクがあるから、だから今年度になってその増車の割り当てをしているわけですね。零細のタクシー業者も、大手の何百台持った業者も、同じ一律に増車の割り当てをしてそれを受けておるのです。ところが、特にその中で大手の経営者は、増車の割り当てをもらったためにさらに空車が多くなる、いわゆる稼働しない車が多くなり、車庫に眠って、かえって経営の面にマイナスになる、そういうことが重なって経営が困難になった、こういう現状がいままた進んでおるわけです。これは私はタクシーだけじゃないと思うのです。海でも何でもそういう問題があるんです。そうしてこういう場面になってくると、一転して今度はその車を減車したらいいんじゃないか、こういう話が出てきております。いままでの農業政策と何か感じを同じくするような、いままではふやせ、ふやせでふやしてきて、ふやしたところが経営困難になって、それじゃ減らせ。この減らし方にも問題がございますけれども、きょうは一々こまかくできませんが、私は、こういう増車した反面、また一転して減車しなければならないというような状態は、さらにこういうことを繰り返していくと経営の悪化であり、たいへんな社会問題まで起こしてくる、こういうふうに思うわけですが、この行政当局の無計画といいますか、見通しのないといいますか、そういう一端であると言う人が多いんですよ。私もそう思いますけれども、そういう声を聞くんです。そういうことに対して、ほんとうにそういう見解を大臣お持ちでしょうか、どうでしょう。
  57. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまほんとうに貴重な御意見を承りまして、やはり行政を行ないます場合には、実情を把握いたしまして、実情にマッチした方策をとりませんと、これは業者ももちろんでございますが、民衆も非常に迷惑をする次第であります。実情を把握をいたしまして適切な措置を講ずることがわれわれの責任でございます。ただいまのお話、私、非常に貴重な御示唆と思っておる次第でございまして、これからの減車の問題その他につきましても、早急に実情を私も調査をいたしまして適切な措置をとりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。御了承願います。
  58. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いまのお話で、実情を知らないというような御発言ともとれるわけですが、私は当然そういうことも大事だと思いますし、この面についてはいろいろございますから、今後の大臣の勇断ある決意と、それのいわゆる善処方なり、実行方なりをお願いしまして、この増車、減車の問題は一応終わっておきます。  そこで私は、一つの提案みたいになりますが、先ほどから運賃値上げの原因になっております中に、いわゆる交通渋滞の問題、車が効率的に稼働しない、それによって水揚げが上がらない、運転手も困る、交通事故も起こすというような問題がありましたね。そういう問題を踏まえて、最近バスレーンといいますか、三車線くらいある場合には、バスだけがある時間帯走るというようなことが実際行なわれておるということでございますが、そういうことを私はタクシーなりトラックなり自家用車なりにもしていったらいいんじゃなかろうか、こういう感じを持つわけでございますが、これは自動車局長なり警察庁のほうからお答え願えればけっこうだと思います。そういう考え、並びにそれを実行するという見通しがあるかどうかですね。
  59. 野村一彦

    ○野村説明員 田中先生の御指摘のように、大都市等における交通の渋滞を緩和するために、ただいま東京及び大阪におきましてバス優先レーン、これは専用レーンじゃございませんが、優先レーンをやりまして、それが交通安全上及び渋滞解消上、相当の効果をあげているということでございます。  ただ、専用レーンということになりますと、道路の幅その他の問題がございましょうし、私ども従来は、先ほど先生の御指摘のありました件にも関連するわけでありますが、輸送効率をあげるということにややもすれば急であって、そういう交通渋滞の緩和あるいは安全の確保というところにやや欠けるところがあったと反省しておりますので、輸送行政を担当しておる立場でも、現在の時代におきましては、むしろそういう交通規制を必要な場合には進んでお願いしたい、こういう気持ちでおりまして、警察庁の関係部局とも連絡をとっていろいろ相談しておるわけでございますが、まだ残念ながら具体的な前進は、タクシーについてはあまりございませんが、警察のほうにもいろいろお願いして、また警察のほうでも私どもの話をよく聞いていただきまして、その立場から御検討願っておるということでございますので、先生のお話の趣旨は、私どもの輸送行政の面におきまして十分生かしていきたい、かように考えております。
  60. 竹岡勝美

    ○竹岡説明員 現在、東京、大阪二十七路線につきましてバス優先レーンを設けております。これは御承知のとおり、狭い市内におきます輸送効率を上げるということで、大量に人を運ぶバスを優先しておるわけでありますが、ただ、タクシーが大量に運ぶかどうかという問題が残ります。それで、トラックや自家用車は従来どおり路線を走らせまして、タクシーだけを優先レーンを走らせるということについては若干疑義があるのですけれども、バスの優先レーンをまず優先しまして、ただし、バスだけには少しもったいないというような場合には、やはり交通機関的なタクシーにもこの路線を使わせるということも十分考えられると思います。今後検討いたしたいと思います。
  61. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 最後に大臣にお答え願いたいと思いますが、私が申し上げたこういういろいろな問題、やはり何といいましても、国のいわゆる総合交通対策、体系がまだできていない。きょうの新聞を見てみますと、そういう問題については特別会計を設けるというようなことが載っておるようでございますが、そういうことができなければいけないということはわかっておるわけでございますから、そういうものを早くやらなければ、運賃値上げというような枝葉末節的な事柄も解決できないのじゃないか、このように思いますから、この総合交通対策確立について、大臣の決意なり間違いのないところをひとつお答え願いたいと思います。
  62. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いろいろ交通運行の問題につきまして障害があることは現実の問題でございますが、これは結局いたしますのに、やはり交通社会資本の投下が非常におくれておるということが一番の大きな原因ではないか、私はこう思っておる次第でございます。これは御承知のとおり、日本がシナ事変以来ずっと戦争を継続しておりまして、国内の社会資本の投資がずっと絶えておりました。また占領治下におきましても、その点では制約を受けましておくれておる、一方におきまして高度成長が非常に進んできた、このひずみが今日ここにあらわれてきているのではないか。私どもといたしましては、どうしてもやはり交通社会資本の投下を思い切ってこの際やっていかなくてはならぬ、これがまず第一の原因ではないか、こう思う次第でございます。  いま御指摘のございましたタクシー運賃の問題でも、やはりスピードの遅延化と申しますか、ほとんど旧都市内におきましてはのろのろ運転しかできない。こういうことで料金が上げられるかという問題がやはり相当大きな部面を占めている。御指摘のタクシーレーンを設けたらどうだ、その余地はどこにあるかというような問題が出てくると思う次第でございまして、これらの点につきましては、私は、委員の専門家の皆さまの御協力をいただきまして、できる限りの努力をいたしまして、それらの方面に、来たるべき予算の時期におきましては、ことにこの運輸委員会委員の皆さまの格別の御鞭撻をいただきまして努力をいたしまして、早急にこの構造改革に当たりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。よろしくお願いいたします。
  63. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 最後に、時間がありませんから答弁は要りませんが、そういう社会資本を充実するためには結局金が要る。財源の問題があります。財源調達のためにことしやりました自動車重量税の問題とか、先ほどから出ました受益者負担という考え方によって援助利用料を取るとか、そういうことにならないように、ひとつそういう点も十分考えてやっていただくようにお願いしまして、私の質問を終わります。
  64. 小峯柳多

    小峯委員長 和田春生君。
  65. 和田春生

    和田(春)委員 本日は、たいへん時間が限られておりますのと、運輸大臣もおかわりになったばかりでございますから、具体的なことは担当の局長等にお伺いをいたしまして、最後にまとめて運輸大臣に所見をお伺いすることにいたしたいと思います。  まず、最初にお伺いしたいのは、海洋汚染防止法と船舶の廃油の処理に関してでございますけれども、七月十九日付のY新聞の夕刊におきまして、こういう記事が出ているわけであります。「この夏こそ青い海を、という庶民の願いを裏切るような結果が、運輸省の調べで明らかになった。」こういう書き出しで、中を読んでみますと、「東京湾には廃油処理施設が公営、民間合わせて九か所もある。それなら「処理施設がないから、たれ流しもやむを得ない」という業界の言い訳は、こと東京湾に関する限り通じないわけだが——。」しかるに、「施設の利用度が低いと行政管理庁から指摘された運輸省としても、設置には、計画の段階から神経を使ってきた。」こういうふうに書いてあるのです。これは運輸省の調べで明らかになったという前提でほかにもいろいろ書いてありますけれども運輸省のどこがこのたねを提供して説明したのですか、まずそれを伺いたいと思うのです。
  66. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 まことに申しわけございませんが、私、存じませんので、ちょっと調べさせていただきます。
  67. 和田春生

    和田(春)委員 だれか存じておりませんか。これは運輸省の調べで明らかになったといって、この記事全体を見ても、内容から見ても運輸省から出していると思うのです。わからなければわからないでいいのですが、説明したなら、どこのセクションのだれがこういう説明をしたかということをまずお伺いしたい。——時間がありませんので、ここでだれが言ったかという責任を追及しようとしているわけではございませんから、この問題はあまり深追いしませんが、六十四国会の十二月七日の運輸委員会で、当時の橋本運輸大臣、それから港湾局長に主といたしまして私がこの問題について、かなり具体的にお尋ねをいたしました。その内容は、港湾局長、御記憶でございますか。
  68. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 先生の東京湾に関する御質問に、お答え申し上げましたことは記憶しております。
  69. 和田春生

    和田(春)委員 そのときに私がたいへん心配したのは、海洋汚染防止法を厳重に施行することは非常にけっこうである、また、海をきれいにするということはどうしてもわれわれ考えなくてはならない、また、海をきれいにすることは、船で働いている者にとっても大切なことだ、しかし、法律ばかりが先行して具体的に処理する施設あるいはその方法というものが立ちおくれになっていると、当時も例をあげたのですけれども、公衆便所の設備が十分でないのに立ち小便をするなと言っても、たとえは悪いかもしれないけれども、それは無理ではないか、だから、たれ流しをさせないようにするためには十分な施設が必要である、それで、四十七年になると全面的にこれが施行される、その点はなはだ立ちおくれているように思うという形で、処理施設に対する計画、現状等お伺いしたわけであります。それからすでに八カ月たっているわけでございまして、そこで現在、日本全国というと対象が広くなりますので、東京湾に限って重ねてお伺いをいたしたいと思いますが、現在の船舶からのビルジ、バラスト、そういうものを処理する施設施設個所、それからその処理能力、これは単に一日あたりのトン数ではなくて、船は隻数とトン数というものが両方関係するものですから、その両面にわたってどれだけ処理能力を持っているか、端的にお答えを願いたいと思います。
  70. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 東京湾には、現在、千葉横浜、川崎、三港でございますけれども千葉に四カ所、川崎に三カ所、それから横浜に二カ所処理施設がございます。  それで処理能力でございますが、バラストその他ございますけれども、船によって違いますけれども、ちょっと集計いたしますので、お許し願いたいと思います。
  71. 和田春生

    和田(春)委員 それはあとで……。  昨年の十二月の運輸委員会で私が質問をしたときには、公営が三カ所と二カ所の五カ所で、民間が六カ所で十一カ所だという御答弁だったのですが、まだそのうちの二カ所というものは全然緒についていないわけですか。
  72. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 いま申し上げましたのは、主といたしましてビルジとかあるいはバラスト水の処理施設が中心になりますけれども、このほかにタンククリーニング水を受ける大きな、これは港というよりも湾内に施設をつくる計画がございます。それが一カ所。それから東京港の集油船の計画がございます。これは東京で、自分で処理施設をやらないで集油船だけつくりまして集めまして、川崎と協定いたしまして川崎で処理するというものでございますけれども、まだ稼働に至っておりません。
  73. 和田春生

    和田(春)委員 タンククリーニングでなくて、あのときも明らかにして質問をしているわけで、私が念を押しているわけですが、最初の御答弁では、三カ所と六カ所で合計十一カ所というので、三カ所と六カ所だったら九カ所じゃないですか、二つはどこへいったのですか、こういうぼくの質問に対して、現在港湾管理者がやっているのが三カ所、そのほか管理者が用意するものが二カ所であって公営が五カ所である、それから民間企業の関係が、専用施設あるいは企業を入れまして六カ所、合計十一カ所でございます、こういう御答弁が局長からあったわけです。いまの御答弁を聞きますと九カ所、新聞にも九カ所と書いてあります。どちらがほんとうですか。
  74. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 現実に施設ができて稼働しておるのは九カ所でございます。あとの二カ所は、先ほど申し上げましたように、現在計画して、まだ実施に至っていないというものでございます。
  75. 和田春生

    和田(春)委員 その九カ所の施設について、これは新聞の記事ですが、新聞に、運輸省説明したところによると、一日当たり処理能力の利用目標量は、千葉が二千トン、川崎が二千五百トン、横浜が千五百トン、いずれも一日当たりである、こういうふうに書いてあるわけですが、この数字は間違いございませんか。
  76. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 御指摘のとおりでございます。
  77. 和田春生

    和田(春)委員 これはトン数でこういうふうに示してあるわけですが、船が大型、小型取りまぜていきますとふくそうしてくるわけです。そこで、大体運輸省が見当をつけている利用状況、また、こういうふうに利用してもらいたい、そういう条件のもとに処理をするといたしますと、大体一日当たり何隻平均処理できるのか、また、そういう運輸省の見込みをつけている隻数を処理するために、大体一隻当たり平均どれぐらいの滞船時間が出るのか、その点をどういうふうに見当をつけているのか、お伺いをいたしたいと思います。
  78. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 はなはだ申しわけございませんが、資料がございますけれども、いま手元にございません。  ただ、バースといいますか、桟橋の延長とかあるいは施設の能力、そういうものは一応船の数を想定いたしまして、一隻当たりの廃油の出る量、これを想定して予定したわけでございますが、ただ、先生御指摘のように、確かに私ども当時予定したほど使われておりませんし、各港ごとに関係者集まって、昨年以来、御指摘いただきましたので、具体的にどこに問題があるかということをいろいろと詰め合っている最中でございますが、現在の時点で私、感じておりますのは、たとえば川崎にいたしましても、大師河原の先にあるそこまでわざわざ捨てに行くのはおっくうだというような話も聞いておるわけであります。場合によったら、むしろ船のほうの団体のほうで集油船をつくって集めて回って、そこで処理をするとか、そういうふうないろいろな具体的な方法をもう一ぺん検討いたしたいということで、いろいろ関係者の方、利用者の方々の御意見を承っていままとめておるところでございます。
  79. 和田春生

    和田(春)委員 質問の通告のときに、非常に簡単な質問なので、そういう船舶からの廃油処理施設の現状とか能力、そういうものについて質問するので、その点の資料は整備しておいてもらいたいということを、尋ねに来た係官に私は言っているわけです。抜き打ちに質問しているわけじゃないのです。それがいま手元に資料がないということはまことに準備不十分で、私はふまじめと言わざるを得ない。それは、いまここでやりとりをしていると時間がたちますから、今後そういうことがないように、また、私が申し上げました質問事項等につきましては、追って運輸省数字を示してもらいたい、このことを念を押しておきたいと思います。  そういう抽象的なやりとりではなくて、少し具体的な問題について入りたいと思うのですが、私のほうでもいろいろ調べたのです。ただこの場合に、ここに関係した会社名あるいは船名その他もわかっておりますけれども、いろいろな関係があるので、そういう会社名や船名というのを具体的に出されることは、ありていに言うと、あとでしっぺ返しを受けると、弱い立場の船としては困ることもあるということで、具体的な名前は出したくありません。しかし、そのうちから幾つか拾って申し上げますと、なるほど新聞に発表されているような処理能力があるかもしれぬけれども、とうていそれが全面的には動き得ない、あるいは全くそれは架空の数字であると断言してもさしっかえないような事例が幾つも出てきているわけであります。  たとえば、公共施設についてはあとで言いますけれども、民間の施設によりますと、ある石油会社の専用埠頭に着いた、ところが、その会社の油ではない荷物を積んでそこに入ってきている、言うなれば、これはM石油会社の油を持ったY商事扱いのN社のタンカーがI石油会社のところに入った、そうしたらていよく、それはこの施設を使わすわけにはいかないという形で断わられて、そこの会社の施設を使うことができずに廃油をかかえたまま出港した、こういうような事例が実際出ております。それから千葉の処理においては、これは民間施設ではございませんが、千葉の処理所長が各代理店に対して、特殊な油は拒否をする。ビルジは受けつけません。その理由は、県からの委託施設であって、施設をこわすことになるからお断わりをするということを代理店を通じて船会社に言っているわけです。これは事実そういう事例がございます。どこのだれから聞いたというのではなく、これは一つや二つじゃないのです。ずっと聞いているわけです。会社の名前は、相手が役所ですから、民間会社の立場をおもんぱかって私は申し上げません。こういうことを言っておって、たとえば、問題になっているミナス原油などについては分離することができない。そこで、油と分離できれば油が売れるから引き受けてもいいけれども、分離できない場合には、油が売れないからお断わりをするという形で、引き取るのを拒否しているという例がある。  そういうふうになると、せっかくそういう施設を利用しようと思っても、その施設のほうが自分の都合ばかり考えておって、言えば、船というものはかかえて走るわけにいかぬわけですから、どこかへぶちまける以外にないわけです。もちろんそういうことに関心を払わずに、法律の存在を無視して、たれ流しでどんどん法網をくぐるというものもいないわけではないと思う。これは海上保安庁の取り締まりの中にもそういう事例が出ていますから、それは船会社の中にもたちのよくないものもおるかもわからぬけれども、せっかくこういう法律の施行を前提にして処理施設をやっても、こんな形で次から次に断わられれば、最初は良心的に考えておったものも、もう、ばかばかしいからやめた、それならやみ夜に乗じてぶち流してしまおう、こういうことになるのは当然だと思います。せっかく海洋汚染防止法ができて、こういう状況をほっておいていいのですか。その点をお伺いしたい。
  80. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 御指摘のような事実、一、二私も新聞その他で見たこともございます。そのつど実態を調べまして、そういうことのないようにというふうな指導はしてまいるつもりでございますけれども、なお特に民間の会社で、自分の関係した以外のものが来たときに、先生御指摘のようなことがあっては非常に困りますので、これも早急にそういうことのないようにということで注意をいたしたいと思います。  なお、千葉の事例もございまして、実はさっそく関係者を呼んで聞いてみましたところ、たまたまそういう施設が不備だった。予算措置で直しますということで、現在必要な予算措置を考えておりますけれども、まだ施設はでき上がっておりませんけれども、そういうむしろ利用者に御不便をかけるというようなことのないように進めたいと思います。実は、当初私ども予想してなかったようないろいろなケースが出たものでございますから、施設そのものにも不備があるという点は、早急に改めてまいりたいというふうに考えております。
  81. 和田春生

    和田(春)委員 私の手元にたくさんそういうレポートが来ておるわけですけれども、いまの局長のお答えからも、十分に御存じかどうかわかりませんが、実情はある程度知っておられると思う。そういう実情を知っておるにかかわらず、新聞にこういうふうに、事東京湾に関する限り処理施設がないからたれ流しもやむを得ないという弁解は通じないとか、計画の段階から神経を使ってきたなんということは、全く行政責任を一方的に船舶や乗り組み員に転稼をして、言いのがれじゃないのか。これはだれが説明したのか知りませんし、ここで明らかにせよとは言いませんけれども、そういうことは厳重に監視をしてもらって、監督をしてもらって、いま法律が動き出したばかりなんです。みんな実際困っていると思うのです。だから、私もあえて運輸省だけを責めようとは思わない。しかし、やろうと思ってもやれない実情があれば、それをどういうふうに助けてやるか、どういういうふうに官民が協力をしてうまくいくようにするかというところに努力の焦点を置かなければならない。ところが、一方的に船のほうだけを悪者にして、陸のほうの施設はたな上げして、十分神経を使ってきたとか、そんな言いわけは言わせないとか、そして一方海上保安庁はどんどん新しい航空監視機構か何か開発して、あるいは赤外線の捜査装置なんかつくって取り締まりをやる。ぼくは主客転倒していると思う。この海洋汚染防止法ができたときにそのことを懸念したから運輸大臣にも質問をしたわけであって、結局そういう施設が不十分である、いま私が指摘したようなことになるおそれはないのか、計画は十分なのかということを確かめたことについて、十分それには対処すると、こうおっしゃったわけです。来年からは全面的にこの汚染防止法が適用されるわけです。現状はまことにお寒い限りであって、このままでこの法律が全面適用されますと、意外のトラブルが起こるのではないか。  そういう点について、運輸大臣おかわりになったのですけれども、ひとつ十分事務当局も督励して、この種の処理施設を促進する、しかも十分利用しやすいような形で利用できるような運用で、十分に海洋汚染防止の実をあげていただきたいと強く考えているわけですけれども、一言その点について大臣の所信を承って、言質にしておきたいと思います。
  82. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまお話がございました御趣旨は全く同感でございまして、そのとおりでございます。何しろ海洋汚染防止、これは人類が将来ともほんとうに住みよい世界をつくるのには絶対的に必要なことでございますが、しかしながら、このことを強く各関係者が理解をしてやっていくのには、よほどの訓練がお互いに要ると思う次第でございます。政府といたしましては、そういった訓練を関係者に十分行き届いてもらうようないろいろの手だてを講ずるとともに、施設その他につきましても極力充実をしてまいりまして、利用者に不便をかけないようにやってまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  83. 和田春生

    和田(春)委員 なおこのことに関連しまして、機械の処理能力が幾ら大きくても、何カ所も場所がないと船ごみになって非常に困る。あるいは現状でも川崎等は、冬場になりますと小型船にとっては横づけの環境が非常に悪くて、しけのときなんかには簡単に利用しにくいというような形で、施設があっても天候の条件によって利用できないということもあるわけです。  そこでこの点について、これも前に質問をしたことと関連して今度は船舶局長にお伺いをしたいと思うのですが、その際私は、船に一々岸壁に持っていってやれといってもなかなかたいへんじゃないか、小さい船の場合には、そういう処理施設を持ったビルジの引き取り船とか廃油の引き取り船というものが港内に行って、そしてその船舶に横づけをしてそれを引き取って処理をする、処理できないスラッジとかそういうものについてはそこで受け取って陸に揚げて始末をする、そういうような施設を持った船舶の開発ないしは港湾に対する配置が必要ではないかという趣旨のことも申し上げているわけです。さらにまた船舶自体においても、小型船においては無理かもわかりませんけれども、一定の規模を持った船においては、そういうビルジ程度のものは船内で十分に分析をして処理をして、一々毎航海ごとにそういう陸上の施設を使わなくてもやれるというようなことも考えていかなくてはいけない。これについては、当然そういう技術開発とかそういう問題について、政府としてもこういう汚染防止法をつくった立場から積極的に乗り出す必要があると思うのですが、現在においてそういう点についてどういう手を打っておられるか、お伺いをいたしたいと思います。
  84. 田坂鋭一

    ○田坂説明員 廃油の処理の合理化につきまして種々検討を加えておりますが、ただいま先生御指摘の集油船といいますか、廃油を集めましてそれを集中的に処理していくという船舶につきまして、ただいま考慮を始めたという段階でございます。それからスラッジ等の、処理をいたしますのに非常に公害が起こってくる、有害な煙等発生するというものにつきましても、これを船内で処理する、陸岸を離れた場所で処理するというふうな考え方で、スラッジの処理、焼却、そういうものの設備につきましても開発を進めておる段階でございます。
  85. 和田春生

    和田(春)委員 いまのお答えによりますとたいへん抽象的なんですけれども、これはやはり陸上の施設だけではなくてそういう施設等、両々相またないとうまくいかないと思います。特に今日の運航スケジュールその他船舶の状況を見てきた場合に、たいへんいま言ったような施設が必要ではないか。しかも、海洋汚染というものは一刻の猶予もできないくらいにだんだん急速に悪化をしているわけですから、この点についても、もっと積極的に政府が技術指導ないしは開発に助成するということが必要だと思う。といいますのは、もちろん民間自身が努力をしろといいますけれども、石油会社は石油会社、これは陸上でやりますが、船会社は船、しかし小さな船主がたくさんおるという中では、独力ではたいへん不可能なわけでございますから、その点については特別の配慮をしてもらって、海をよごさないようにするという面について一段と努力をお願いしておきたい、こういうふうに考えます。これはひとつ大臣も十分御承知おき願いたいと思います。  そこで、時間の関係がございますから、廃油関係についての質問はその程度にいたしまして、別の問題に移りたいと思うのですが、きょうもこの席上で、「日本海運の現況」と「海上保安の現況」というパンフレットが配られまして、この「海上保安の現況」の中にこういう記事が出ているわけでございますが、「海上交通法については、最近における主要狭水道の船舶交通の実態からみて、」云々、そこで「四十二年以来その立案について関係方面と折衝中であるが、特に問題となる漁業関係との調整かつかないまま、現在に至っている。しかし、海上交通の安全確保の見地から、早急に同法案が実現できるよう更に検討を続けることとしている。」こういうふうに書いている。四十二年からいままで四年たつので、ずいぶんのんびりしているのですが、その進めている準備はどの程度まで進んでおられるのか、これは保安庁長官に、事務当局の責任者としてお伺いいたしたいと思います。
  86. 手塚良成

    ○手塚説明員 この問題は、いろいろ経緯なり問題点がございますが、最終的には漁業関係との調整という問題にしぼられておると思います。まあこの法案の性格上、いままでの取り扱いとしては、これは補償というものになじまないものであるという見解をとっておりましたけれども、現実問題はそれでは進まない。またいろいろものの考え方もございますので、やはりその問題はその問題として進めるべきではなかろうかということで、実は昨年もやりましたけれども、現在の段階では、その問題について水産庁と具体的な取り扱いの話をいま取り進めております。水産庁自体といたしましても、この対象水域が非常に広範であり、またそれを代弁するような代表者の方をどういう方にお願いをしたらいいのかというような具体的な話までいま進んでおりますけれども、いずれにいたしましても、現状の狭水道その他の状態から見ますと、ぜひともこれは早急に成立しなければならぬ、かように思って、鋭意そういう詰めの話を関係者といたしております。
  87. 和田春生

    和田(春)委員 この点大臣にお伺いしたいのですけれども、いま長官からもお話がございましたけれども、一番ネックになっているのは漁業関係だと思います。それは事実として私ども認めます。しかし事柄の性質上、ほうっておいて大きな事故が起きたりいろいろなことをいたしますと、その肝心の漁業も含めて非常に回復至難なダメージを受ける危険性がある、こういう問題でございます。私どもも現場を見まして、一刻も猶予ができないので、そこで補償問題が先に出るというような形でやっておっても話にならないと思う。むしろこれは交通規制ですから、海上の交通を整理して安全に運航するようにするという趣旨一本で法律をつくっていってそれを施行する、施行した結果、沿岸の漁業その他において影響を受けた、あるいはそのために生業が成り立たないようになったという事実が生じた場合に、その事実についての補償を話し合う、こういう考え方でまずこの法案の提出に踏み切るべきだ、私はそう思うのです。次の通常国会にそういう考え方で海上交通法を提案される御用意があるのかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
  88. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 いま和田先生からお話しでございますが、私も今日の船舶の、ことに東京湾あるいは瀬戸内海等のふくそう状況を見まして、ぜひともそういった措置をとらなければたいへんなことになる、こういうふうに思っている次第でございます。就任直後におきましても海上保安庁長官と、ぜひこの問題は次の国会に出すように努力をしようじゃないかという話し合いをしまして、具体的にどういう進め方をして法案の提出まで持っていけるかということを、いま検討中でございます。  ただ、御承知のとおりこれは閣議で了解と申しますか、あれを経なくちゃならない。農林省との関係がございますので、その方面も、私もいま先生おっしゃったような方向で、ぜひとも説得をしてまいりたい、こう思っている次第でございますので、一そうの御鞭撻をお願いする次第でございます。
  89. 和田春生

    和田(春)委員 この点については、大臣としていますぐ的確に提出をするということはお約束しにくいかもわかりませんけれども、できもしない法律を対象にして補償の内容を話し合うとか、どういう事態になるのか見当もつかないような議論をしているという形では、単にこの問題を引き延ばず口実に使われているという批判を免れることはできないと思いますから、やはりこの法案を成立させることを最優先に考えて結果を始末する、そういう決意で新大臣としての最初の仕事に取り組んでいただきたいというふうに希望いたします。  なお最後に、きょう、これまた内航海運外航海運含めまして、「日本海運の現況」についての報告書をいただきました。すでにこれはいままでにも発表されているわけですけれども外航海運はさておきまして、内航海連ではいまやはり非常に不況におちいっていると思います。そういう点で、おそらく政府のほうにもそういう要請はいっていると思いますが、私どもも見ておりまして、このままでは日本の非常に重要な輸送を担当している内航海運というものが、非常に大きなダメージを受けていく危険を感ぜざるを得ない。また零細船主が多いわけですから、業界の自主的努力によって処理をしろといってもなかなか力がない。大きな荷主に押えられている、成長産業の谷間で非常に苦しんでいるという実情は、率直に認めなければならないと思うのです。  そういう点について、最近この内航関係の五つの船主の組合が調査をしたところによりますと、共同係船の希望と、各船主からどれだけ係船をする必要があるかという希望を募ったとこによりますと、木船を除きまして鋼船だけでも六百五十九隻、グロストンにして二十四万八千トン、デッドウエートにして四十六万六千トンほどの船をつないでもらいたい。これをどう処理するかということは別として、結局これだけの過剰船腹が重荷になっていると思うのです。この際内航海運を立て直すという場合には、造船の関係もあります。海運だけでは考えられません。こういう点に関してどういう対策をとろうとしておるか、いまお考えになっていることがあれば端的にお伺いをいたしたい。これは大臣にお伺いをいたしますけれども、もし大臣でいま不十分な点等ありましたら担当局長でもけっこうです。
  90. 高林康一

    ○高林説明員 お答えいたします。  内航海連につきましては先生御指摘のとおり、最近、ことに景気の停滞等によりまして、相当過剰な船腹が出ておるのではないかというふうに考えられます。そういうような点につきまして、ことに鉱石関係、鉄鋼関係、そういうようなものについてはもっと検討せねばならぬというふうに考えております。来年度予算編成概算をいろいろいま検討しておる段階でございます。いまそういうような問題意識を持って検討を進めております。まだ具体的な考え方までまとまっておりませんけれども、ひとつ早急にまとめて、どのように処理するかを考えてみたいというふうに存ずる次第でございます。
  91. 和田春生

    和田(春)委員 それでは、大臣に要望をいたしておきたいのですけれども、やはりこの場合何十万トンかの船舶を買い上げるなりスクラップするなり、あるいは外国へ輸出するかどうか、その辺はいろいろな手段があると思いますけれども、ともかく船腹調整ということが当面の内航海運対策では緊急の事態ではないかと思います。その点にひとつ焦点を合わせまして対策を、ぜひ御検討願いたいということを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  92. 小峯柳多

  93. 田代文久

    田代委員 時間がありませんから、二点ばかりお尋ねいたします。  まず最初に、これは時間の関係からですが、国鉄の四十五年度の決算書ができておるかどうか、できておれば、これはひとつ出していただきたい一と思うのですが、この点どうですか。
  94. 山口真弘

    山口説明員 国有鉄道の決算につきましては、国有鉄道法に基づきまして一定の期日までに提出をしなければならぬことになっておりますが、その期日がまだ到来しておりません。現在精査中でございます。したがいまして、決算としてのはっきりした確定までにはまだ若干の時間が必要でございます。  ただし、その内容をごく簡略に申し上げますと、大体いままで概算をしたところでは、昨年度の決算では、収入におきまして前年度に比べまして約千億くらいの増、それから経費におきまして四十四年度よりもやはり千二百億程度の増ということで、四十五年度実績ではおおむね千五百億円程度の赤字、四十四年度に比べまして約二百億円程度の赤字の増ということに大体なろうかと思います。
  95. 田代文久

    田代委員 できましたら、これはすぐ出していただきたいと思います。  では、さっそく大臣にお伺いいたしますが、先ほど同僚議員から航空料金の値上げの質問がありました。そのときに公共料金の抑制については十分考えておるというようなお話がございましたが、あまりはっきりしないのです。政府自体としては、現在非常に公害とともに物価高が焦点になっておるのですが、この高物価の抑制という立場から、公共料金抑制政策というものはゆるぎなく堅持するかどうかということを、まず御答弁願いたいと思います。
  96. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま御質問がございました公共料金の抑制でございますが、これは先ほどもほかの委員から御質問がございましてお答えをした次第でございますが、今回の改造内閣の初閣議におきまして、物価抑制は一番大事な問題である、この点を心していろいろ公共料金の問題を考えろということでございます。もとより、私ども国民世論に従いましてそういう行政を行なってまいりたいと思っておる次第でございます。  ただ、いろいろいままでのいきさつから申しまして、どうしても不合理だ、しかも国民がこの程度ならば納得する、そうしていまのままであったならば、そういったような輸送は交通機関として存在しないというようなことになったらばどうかというような問題もあろうかと思う次第でございます。その点を勘案をいたしまして、しかし大局におきましては、物価抑制の線はぜひ貫いてまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  97. 田代文久

    田代委員 公共料金の中で特に重要な国鉄とかあるいは航空輸送料金ですね、こういう問題について、政府自身としては料金の抑制という基本原則は堅持する、そうして、かりにそれに少しくらい幅を持たせるというようなことがあっても、それは十分国民の世論を基礎にしてそれを尊重するんだというふうに承ったわけですが、そうしますと、現在の国鉄やあるいはバス料金の値上げという問題は非常に国民の関心が高い問題で、これは物価に全体的にはね返ってくる問題ですが、いままで国鉄がとっておった総合原価主義というものを堅持されるのかどうか。聞くところによりますと、コスト主義に切りかえるのじゃないかというようなことも聞いておりますが、そういう公共料金の抑制政策を堅持するという立場から、総合原価主義というものを堅持するのか。コスト主義でこれをやっていく、そうなれば当然これはどんどん上がっていくと思いますが、そういう形を堅持されるかどうか、その点をひとつお答え願いたいと思います。
  98. 山口真弘

    山口説明員 国鉄の運賃制度は、国鉄全体としての収入でもって全体としての支出をまかなうという意味での総合的な原価主義ということに従いまして現在立てられているわけでございます。しかしながら、そうは申し上げましても、やはり個別的な原価というものも十分考慮をしなければいかぬということは、これは決して否定できないところでございますが、基本的には総合的な原価主義ということで、現在のところそれを立てておるわけでございまして、大ワクにおきましては、そのたてまえをくずすということは、今後の運賃制度におきましてもないのではないか、このように考えております。
  99. 田代文久

    田代委員 大臣は時間がないそうですから、一言大臣にお聞きいたしますが、いまの御答弁を基礎にしまして、国鉄の四十七年度の予算編成の中で、いわゆる再建計画の運賃の繰り上げ値上げということをされるのじゃないかということを非常に国民は心配しておるのですが、この繰り上げ値上げということは絶対やられない計画なのか、それともやられる計画なのか、これを大臣にお聞きしておきたいと思うのです。
  100. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 四十七年度の国鉄予算につきましては、まだ根本方針は、正直に申しまして全然きまっておりません。と申しますのは、いま独立採算制をとって、それでできないときは運賃を上げるという方針でいくかどうかという問題もございますが、また一方国鉄が、今日の輸送状況、都市交通その他輸送増加の傾向にある方面国鉄の特性を生かして、そうして独立採算制を貫けるような路線、そうしてまた国土開発の見地からいたしまして、また公共的性質から申しまして、あるいは過疎地帯あるいは社会政策的な路線というものを存続させるかどうかという問題も、これからの根本の問題として検討しなければならない問題でございます。また国鉄に対する設備投資の問題におきましても、いままでは、御承知のとおり財政投資だけで利子を払わせて減価償却をしてきた。こういう制度でいいかどうか、道路みたいに国の一般財源を投じなければ経営が成り立たないのではないかというようないろいろな要素がございまして、これらを勘案いたしまして、世論に合った適正な方策を構じていきたい、こう思っておる次第であります。
  101. 田代文久

    田代委員 大臣は時間がないそうですから、なおお伺いしたいのですけれども、またの機会にして、どうぞ……。
  102. 小峯柳多

    小峯委員長 運輸大臣、御退席くださってけっこうです。
  103. 田代文久

    田代委員 いまの大臣の御答弁では、再建計画の繰り上げ値上げという問題については決定はしておらないのだということですが、大体そういうふうになるようなことを、私どもはとにかく心配するわけですよ。ですから、これはさっき言われた公共料金の抑制政策の原則から絶対に繰り上げなどということをやるべきでないということを強く要望しておいて、次に質問いたします。  タクシーその他の料金の値上げは、特に参議院選挙が終わったら全くせきを切ったように、これは私どもはおかしなものだと思うのですけれども、そういう機運が出て、また一部はすでにそういうことがやられておるということなんです。たとえば福岡市なんかでは、現在七〇%もの大幅な料金の値上げを申請してきているというようなことなんですが、これをどういうふうに処理されるのか。こういうことは認めないという立場を堅持されるのか、あるいは認めるというような立場を堅持されるのか、御答弁願いたいと思うのです。
  104. 野村一彦

    ○野村説明員 ただいま先生御指摘の福岡市の問題でございますが、私も福岡市のタクシーについて、事業者から値上げの申請が出ておるということは承知いたしております。現在、本件につきましては福岡陸運局において調査中でございまして、福岡陸運局がこれをどういうふうに判断をして私どものところにあげてくるかということについて、そういう報告はございますが、まだ福岡陸運局からは、いわゆる結論をつけてあがってきておらないわけでございますので、具体的なお答えはできませんが、一般的に申し上げますと、私どもは、先ほど大臣が申し上げましたように公共料金の抑制という政府の方針でございますから、その方針に従って処置をしていくという一般的な態度でございまして、福岡市のタクシーの問題につきましても、本省といたしましてはまだ結論を得ておりません。
  105. 田代文久

    田代委員 ぜひともそういう七〇%なんというようなことは、絶対に許可しないという点を堅持してもらいたいと思うのです。  そこで、福岡のタクシーの場合ですが、私たち非常に異常に感ずるのは、たとえば車一台当たりの人口ですね、これが東京では二百六十六、大阪では三百九十四、神奈川県では五百六十六というような比率になっておるのに、福岡では百八十六というようなことで、非常に車の台数が多いわけですね。神奈川なんかに比べますと三倍近くも台数が多いということになって、これが異常に競争を激化させるということにもなりましょうし、さっき話が出ておりましたけれども、許可をどんどんやりながら現在になって減車をしなければならぬというような、全く政策にならないようなでたらめをとにかくやらなければならないということになっておるのですが、福岡においてこういうほかと比べてみても異常に台数を許可しておるという理由ですね、これはどこにあるのですか、どうしてこういうことになっておるのですか、御答弁願いたいと思います。
  106. 野村一彦

    ○野村説明員 ただいま先生の御指摘の福岡における増減車、あるいは一台当たりの人口の他都市とのバランスという問題につきまして、私、数字的に的確なお答えはできかねるのでございますが、私の把握しております範囲で申し上げますと、福岡は御承知のように数年前あるいはそれ以前から相当都市合併が行なわれまして、周辺の郡を逐次福岡の行政区画に入れていきました。そういう場合に、その周辺におきます非常に零細業者というものが相当数多くありまして、それが福岡市と一体になった事業となる。そうしますと、福岡市内における適正規模というものを考えて、たとえばある適正規模まではやはりそういう零細業者も増車を認めざるを得ないというような、これは一般的な考え方でございますが、そういう福岡市当局としての指導方針があったかと思います。  しかしながら、先生の御指摘のように、一台当たりの人口が他都市に比べて非常に少ないことは事実でございますが、反面私どもとしては、福岡市のタクシーは、他都市に比べては非常にサービスがいいということを聞いております。これは実車率との関係もあるかと思いますが、そういう点もよく考えまして指導したいと思いますが、原則的には、増減車の問題は地方陸運局長にまかしておりまして、私ども、現時点におきましては、そういう特別の陸運局長に対する指導をいたしておりませんので、よく陸運局長に現状を把握してその問題をやるように、重ねて指導したいと思います。
  107. 田代文久

    田代委員 合併問題にひっかけておっしゃいましたが、現実に減車しなければならないというようなことに逆になって、これは見え透いているわけですね。そうすると、見え透いたこういうことをやって、ほかの都市に比べてどんどん許可している。多いということがわかっておるわけなんですから、おそらく減車ということまで、現在の経済状態からいってならざるを得ないということになる。これは見え透いておるわけですから、初めからこういったこと自体が私はおかしいと思うのです。これは政治になってないし、また運輸省のそういう運輸行政について非常に欠陥がある。露骨にいえば、業者と陸運局が非常に癒着しているのじゃないか。今度の黒住問題なんかでいろいろ問題になっておりますが、そういう疑惑を起こす原因になると私は思うのです。この点は私は非常にきびしくやっていただきたいと思うのです。サービスがいいというようなことをおっしゃいましたが、現地の一般の乗客はそんなことを言っておりませんよ。  そういう点で、さきに四月の二十六日から五月の一日まで福岡の労働基準局が一週間調査をやったわけですね。ところが、三百四十九の事業所のうちの八五%、二百九十八の事業所が非常に法規違反をやっておるわけですね。労働基準法違反、労働時間を守ってないとか、あるいは休みの日もどんどんかり出して仕事させておるとか、あるいは深夜の割り増し金なんか、当然払うべきものを不払いにしておるというようなことを次々やっておるし、それから走行キロにつきましても、三百六十キロと大体きめておるのに、実際においてはそれをはるかにこすキロ数を走らしておるというような事態、三百六十キロということをきめておるのに、最高は四百三十四キロというふうにどんどん走らしておるというようなことに実際なっておるわけですね。ですから、これは労働者もたまったもんじゃないと思うのです。そこにやはりいろいろ交通事故が起こる原因にもなっている。ですから、これは基本には労働条件がいかに劣悪であるかということを物語っておるし、また業者自身がそういう法規に違反するようなことを平気でやっているというようなことなんですが、こういうことについて、運輸行政として当局はどういうふうにしてこれを指導されておるのか、また、こういうことをどういうふうにして是正される方針であるのか、それを聞かしていただきたい。それが一点です。  時間の関係でいきますが、しかもそういう非常に劣悪きわまる労働条件の中で、いまもってきわめてわずかばかりの賃上げあるいは盆の手当すらとにかくゼロ回答をやっておるというようなことですね。これは私は許されないと思うのです。しかもそのゼロ回答をやっていることは、一方において七〇%も値上げを許可してもらうというかね合いでこれをやっているというようなうわさが立っておるわけですね。そうなると、全く私たちはこれは許されないと思うのです。とにかくおまえたちの賃金は上げないし、またボーナスも手当も出さないというふうに押えておいて、そうしてこっちは値上げを申請して、値上げを政府が許してくれるならおまえたちのあれも上げてやろうかという、こういう謀略的な手が打たれているというふうに考えざるを得ないのです。ですから、こういう形で値上げを申請すれば、私はなおさらこういう値上げに対しては絶対に許してはならないというふうに思うのですが、そういう点についての御見解を明確にしていただいて質問を終わりたいと思うのです。
  108. 野村一彦

    ○野村説明員 第一点、お答えいたします。  タクシー業者の中で、労働法規に違反した労働時間を強行しておるというようなものがあることは私どもも間々聞きまして、非常に残念に思っております。私ども労働官庁でございませんので、行政指導あるいは勧告以上の強い措置はとれませんが、そういう労働法規に違反するという事実が明白なものがあれば、これは道路運送法に基づく行政処分、車両の使用の停止とかいうようなことを、私どもの責任と権限の範囲内でできることでございますので、そういう具体的な事実がつかめましたならば、そういう処分をして、厳正な経営態度に戻るように、さらに指導を強化していきたいと思います。  それから第二点の問題でございますが、先生、福岡市の問題についてお話がございましたが、実はタクシー事業、特に大都市を含めたタクシー事業、非常に経営が困難でございます。ことしの春闘は、各事業所ともほとんどゼロ回答をしているのは、残念ながら事実でございます。私どもこの状況がいいとは毛頭思っておりません。したがいまして、先ほどもお答えいたしましたように、年度末に緊急融資をし、また今年度になってからも緊急融資をして、福岡市もその対象になっておるわけでございますが、とりあえずこのタクシーの窮状をしのぐための緊急融資をして、協同組合等を通じて商工中金から金を借りるという体制で急場をしのいでいただきたいということでございます。先生御指摘のように、七〇%値上げ申請をしているということとは全然関係ございません。値上げ申請が出ておるこの問題については、全く別の観点から審査をするのでございまして、その春闘に対する使用者側の回答とは全然関係ございませんので、その点、誤解のないようにお願いしたいと思います。
  109. 田代文久

    田代委員 先ほども質問があって御答弁ありましたが、タクシーの従業労働者の労働条件は全く劣悪である。ですから、これは交通安全に直接響いていることはもう端的にあらわれておりますから、そういう点では、労働者のそういう労働条件をよくするという立場を十分考慮し、また指導していただくということを考慮していただいて進めていただきたいということを要望して、質問を終わります。      ————◇—————
  110. 小峯柳多

    小峯委員長 これより請願の審査に入ります。  本委員会に付託されました請願は、全部で四十四件でございます。  本日の請願日程第一から第四四の請願を一括して議題といたします。  まず、請願の審査の方法についておはかりいたします。  各請願の内容につきましては、文書表で御承知のことでもありますし、また、先ほどの理事会におきましても御検討願いましたので、この際、各請願について紹介議員からの説明聴取等は省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  これより採決いたします。  本日の請願日程中、第三四ないし第三六、第三九及び第四〇の各請願は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  残余の各請願は、採否の決定を保留いたしますので、御了承願います。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました各請願委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  114. 小峯柳多

    小峯委員長 なお、本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付してありますとおり、新鹿児島空港国際空港化実現に関する陳情書外一件外九件でございます。      ————◇—————
  115. 小峯柳多

    小峯委員長 次に、閉会中審査に関する件についておはかりいたします。  すなわち、  陸運に関する件  海運に関する件  航空に関する件  日本国有鉄道経営に関する件  港湾に関する件  海上保安に関する件  観光に関する件  気象に関する件 以上各件について、閉会中もなお調査を行なうことができますよう、議長に対し申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次に、閉会中の委員派遣承認申請についておはかりいたします。  ただいま議長に対し申し出ることに決しました閉会中審査案件が付託になり、その調査等のため委員を派遣する必要が生じました場合には、その調査事項、派遣委員、派遣期間、派遣地並びにその承認申請の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次におはかりいたします。  閉会中審査案件が付託になりました場合、本会期中設置されております日本国有鉄道に関する小委員会につきましては、閉会中もなおこれを設置し、調査を進めたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、小委員及び小委員長は従前どおりとし、その辞任補欠選任並びに小委員会において参考人から意見を聴取する必要が生じました場合、その人選等所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十一分散会