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政府委員(浦田純一君) 鳥取県の若桜町に所在いたします林材会社に隣接する中村さんのお宅の井戸水が、同会社の硫酸銅排出による汚染によりまして起こったということになっております。この事件でございますが、さっそく県を通じましていろいろと問い合わせたところでございます。それによりますと、若桜地区におきましては、これは御案内だと思いますが、すでに
昭和三十四年から町営の簡易水道が布設されているということでございますけれ
ども、この該当の住宅は、事故
発生以前の本月三月二日にこの水道から給水を受けておるといったようなことでございましたが、不幸にして、その前にこの水を飲んだと思われるおかあさんの長女の初江ちゃんが、生後九カ月でございましたが、どうも、なくなられたその
原因に、その井戸水の硫酸銅イオンによる汚染があるのではないかということで、いろいろと
調査の結果につきまして照会しましたところ、まず、被害者でございますが、若桜町の若桜に住んでおられる方で、中村勝男さん宅、これは世帯人員が三人、それから弟さんの源四郎さん宅、同じく世帯人員が三人、ということで、問題は、源四郎さんの長女のほうの初江ちゃんがおなくなりになったということでございます。
経過を申しますと、若桜林材は
昭和二十七年ごろから硫酸銅の防腐剤による電柱の製作を開始いたしております。四十五年の一月二十九日に中村勝男さんが現在地に住居を新築されまして入居されておったというような状況でございまして、その後、今度は四十五年の十一月に中村源四郎さんが現在地に住居を新築して入居された。四十六年の二月の下旬になりまして、中村源四郎さんより若桜林材に対しまして、井戸水が青くなるということについて苦情を申し立てております。
それから四十六年の三月一日に、さらに中村さん御兄弟より町役場に対しまして、簡易水道布設の申請をいたしました。同時に、若桜林材からも町役場に事情の
説明をいたしております。これはいずれも早期に布設することを
要望いたしているわけであります。それで、四十六年三月二日には簡易水道が布設されたわけでございますが、先ほど申しましたような、初江ちゃんがおなくなりになるというような、どうも井戸水と
関係があるといったような事故が起こったわけでございます。
それで、三月の十日に保健所から係長が現地視察に行っております。
〔
主査退席、副
主査着席〕
また、三月の十四日に、母乳を捨てるためにしぼったところが、どうも青い色が出るということで検査いたしました結果、銅が検出されております。それから井戸水につきましても、いずれも銅が発見されておる。それから工場の石垣その他にも青色の銅と思われる物質が付着しておるといったような状況も発見されております。
なお、かかられましたお医者さんの
意見でございますが、腹部と胸が青くなっていたということや、母乳の青みについては十七日の「
日本海新聞」によって初めて知ったわけでございますけれ
ども、硫酸銅の影響はいかがかというふうに
考えておる、もしあるとすれば、急性ではなくて、ゆるやかな影響があると思われる、このために前駆のような症状があらわれたのではなかろうか、としております。それから石谷というお医者さんがやはり
関係しておられますが、下痢と硫酸銅との
関係はないものと思う、というふうに言っておられますが、三月十七日に、厚生部が現地に
調査に参りまして、実際に実情を調べております。
それから、三月十八日には、厚生部といたしましては、いろいろな
対策を決定いたしまして、その
対策に沿って、今後このような事故が起こらないようにということでもって、たとえば水質汚染の
調査、これは河川水の水質の
調査、近所を流れております川の数地点について調べております。それから井戸水の
調査でございますが、これは若桜林材周辺の井戸五カ所について調べております。それから健康
調査を行ないまして、その対象者といたしましては、中村勝男さん、同じく源四郎さんの家族の方五人、それから薬理
調査を実施することにいたしまして、鳥取大学あるいは国立公衆衛生院等で薬理
調査をいたしまして、健康
調査の
資料をつくり、また
発生源
対策といたしましては、硫酸銅水溶液の貯溜槽その他漏水状況を
調査する。また、漏水があるとすればその防止体制をとるといったような
対策をとらせる。
以上が、私
どもがこの事故が起こりましたのを
承知いたしましてから県のほうを通じましてとりました情報の大要でございます。