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国務大臣(
山中貞則君) これは問題点が三つほどあると思うんです。
一つは
鈴木委員も言われましたように、
自分と同期の者が事務
次官になるときには、大体同期のほかの諸君は局長その他にとどまることなく、一斉にやめていく。まあ仲間の者が事務
次官として全部が後輩としての官僚を統率できるようにという配慮からだろうと思うんですけれ
ども、これな
ども私には非常に異なことに見えるわけです。それに大体、五十一、二歳で、ただいま言われたように最も円熟して、人間的にも人生経験的にも、あるいはまた職場の知識においても、最も国家のお役に立つ諸君が、最高の事務当局の
ポストである
次官の
地位について、おおむね一年半か二年くらいで何だか
自分は白い目で見られやしないかという
気持ちで去る時期を考えているというようなことでは、国家のために私はプラスでない。国民のための行政のあり方としてやはりそこに問題があるというふうに考えます。その点がいま
一つあります。
それからさらに、
人事院のチェックでございますから、これは
人事院の自主性、独立性というものから干渉すべきことではありませんが、このワクの外の現象として、同じような形でも特別職たる防衛庁職員というものは網がかぶっておりません。そこで、昨年の国会の議論の
あと、中曽根大臣と
相談をしまして、
人事院で特別職を扱うわけにはいきませんが――自衛隊を扱うわけにはいきませんけれ
ども、防衛庁自体で、
自分で
長官が審査をやるのではなくて、
総理府の人事局、それから人事
委員会並びに防衛庁本来の人事局、この三者構成の審査
機関をつくることにしてもらったわけでございます。この点は
一つだけ解決したわけですが、そこで今度は実態の問題になるわけですけれ
ども、許認可業務の非常に多い官庁とか、あるいはそれぞれの業種と非常に関連の多い
役所と、文部省みたいに、せいぜい国立競技場の場長というんですか、あるいは国立近代美術館の館長ぐらいしか行きどころのないような
役所と、また
役所もいろいろございます。これらの問題は、やはりこれは将来
人事院の問題でもありましょうが、全部ひっくるめてどこの
役所につとめておったから、その人は請われるままにチェックさえ受ければ、
関係が間接たると直接たるとを問わず、要するに通産は通産行政の分野の中で身分が定まって民間に天上がりしていく。月給上天上がりでしょう。というようなこと等は、これは
人事院の能率的な管理でみんな履歴書やその
能力等がわかっておるわけでありますから、それをプールして、そしでなるべくそのようなチェックをして、
関係のなかった分野のほうに振り向けるような
措置等が、もし可能ならば、これは
一つの
手段ではなかろうかと思いますが、さて今度は、お婿さんのもらい手といいますか、お嫁さんの受け取り手といいますか、そっちのほうで私のほうでは欲しないというようなことになりましたら、これはまたお気の毒なことになりますし、そこらのところは非常にむずかしい問題で、やはりそこらは大
企業と行政との
癒着というような面で、ある意味において国民から向けられるすきが生まれてくるおそれがある。これはやはり非常に大きな問題だと思います。
それから第三点は、はなばなしく議論をされて、元
次官、元局長と言ってあげられる
人たちはまだよろしいほうで、学歴その他によって下積みの
段階で、大体もう行きどまりである。しかも、その人は、その場所にだけ、顧みられることなく、
一つの
権限をずっと与えられっぱなしであるというようなことが、
通産省の例の何とかさん事件みたいな人を生むことになる。こういうようなことは、やっぱり四日市の問題なんかも、その当時の
人たちはやはり同じ通産局になおいまでもいるわけです。そうして、それが他の地方へ栄転しても、そう出世したとも思われない。こういうこと等を考えてみますときに、やはりそれは、
公務員の長たるべきもの、あるいは人を率いる立場になるべきものについては、おのずからものさしがありましょう。ありましょうが、
能力ある者、才ある者は、そのようなものさしからはずして、やっぱり優秀なものは優秀なように抜てきしていくという制度が打ち立てられないと、やはりそこらは人間でございますから、ジェトロの放火した青年のような者がないとは限りません。そういううっせきしたものを
役所の中に持っていては、やはり私たちの議会がいかに行政のあり方を議論してみても、行政の、目に見えない末端において、これは国民との接触の場において、われわれの予想もしない事態に発展していくということを問題点として考えております。これはまあ、私は給与担当大臣でございますから、行政管理庁の分野にわたることもありますし、あるいはまた身分その他の問題で、直接間接
関係のあることもありますが、給与担当大臣として、そういうふうな感想を持っております。したがって、これらのことが、先ほどの防衛庁との
相談で
一つ実現いたしましたように、要らざる差し出口かもしれませんけれ
ども、やはり
国務大臣として国家
公務員の給与のあり方に思いをいたすならば、そういう所遇のあり方、あるいはまた、国家
公務員の
あとの進み方についても御
意見を申し入れても、一向に差しつかえはないと考えておりますので、そういう考えで今後も進みたいと思います。