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国務大臣(坂田
道太君) 先ほどもお答えを申し上げましたように、これからアジアあるいは世界に
日本が貢献するならば、やはり教育、技術、文化そういった面もあわせて
考えていかなきゃならぬというふうに私どもは
考えておるわけでございます。
で、お尋ねの第一点でございます。アジアの教育に関する地域
協力会議、これは二月の上旬にタイにおきましてユネスコの主催で開催をされまして、ユネスコの国内
委員会の事務総長の伊藤君と、それから国立教育研究所長がこれに参画をいたしました。で、
会議の目的は、一九七〇年代におけるアジアの教育発展のために、各国はどういう点でどのような
協力をしたならばいいかということの
検討でございました。
で、その大きな
検討課題でございますが、その第一点は、どうもアジアは他のアフリカとか、あるいは中南米とかいう地域に比べまして、地域
協力やあるいは国際
協力というものが弱いのではないか。これは、やはりアジアの文化的あるいは歴史的、言語的な相違と、そういうところに原因があろう。また、それぞれの国々がどうも
協力への意欲が少し不足じゃないのか。それから、またこれを取りまとめる世話役といいますか、そういうものがなかったというところにあるんじゃないか。しかし、これからはやはり、その障害を克服して、そうして教育発展のために地域
協力、国際
協力をする必要がある。
——まあそれに、おそらく暗には、その裏には
日本がその世話役となってそうしてひとつ特に
協力してもらいたいということであろうかと思います。そういうようなことを実現するために、たとえばそういう分野は一体どういう分野か、
協力し合う分野はどういう分野かということでございますが、それぞれの国における教育
内容の改善あるいは教育機器というものをどういうふうに導入をして、また教育方法を
考えていくか、あるいは大学がどういうふうにして提携、
協力していくか、あるいは教員の養成あるいは再教育、そういうものが取り上げられたようでございます。
そうして、まあこういうようなことをやるために、バンコックのユネスコアジア教育局の中にアジア教育発展センターというものを新設して、研究と連絡、情報の
中心とするということ。第二番目は、
日本とユネスコが共同で開発いたしましたモービルチーム、これは御承知かと思いますけれども、たとえば農業部面につきましては、現地のエキスパート三人、あるいは
日本人の農業
関係のエキスパート三人、それにユネスコのエキスパートの方が二人というチームをこさえまして、そうして各国を指導して回る。これは、非常に、私はユニークなことで、先般もユネスコ本部からまいりましたけれども、その方も高くこれを評価しておりました。これを単に農業だけではなくて、やはりその他のプロジェクトにも
考えようということで今年度も予算を要求しておるわけでございます。それからまた、各国の教育研究開発センターを地域
協力事業に参加をさせるというようなこと、あるいは先進諸国からの財政的援助を強力にやるということ、あるいは次官クラスの定期的な会合を持つというようなこれが討議の結果の大要でございますが、先生御指摘のように、六月初めにはシンガポールでアジア文部大臣
会議が開かれまして、こういったものも含めまして大いに討議がなされるというふうに
考えております。
それから、確かに私は、文化、教育、技術というものの
協力というものを、東南アジア開発途上の国といたしまして、特に
日本が力を入れていかなきゃならない、また、その期待にこたえていかなければいけないということはそのとおりだと思いますけれども、アプローチのしかたというものはやはり
考える必要があるというふうに思うのでございまして、先生もその点を御指摘になっておると思いますが、そういう
意味からはむしろユネスコとユネスコ活動を通じまして教育、文化、そういう面の援助といいますか、
協力と申しますか、向こうが求めるものにこちらがこたえていくと、そういう態度が非常によろしかろうというふうに思いますし、また、ユネスコという形をとってまいりますと社会主義国であろうと、それから自由主義諸国であろうと、そういう
関係はございませんから、これは
一つの大事な行き方だというふうに
考えておるわけでございます。
それからユネスコに、御指摘のアジア文化センターがこの四月からいよいよ発足をするということになっておるわけでございまして、たとえばアジア諸国にございまする文化的な所産、それに対するユネスコ活動もこういった文化センターを通じまして進む。本年約五千万円の政府補助が計上されておりますけれども、さらにこれは将来発展をさしていくべきもの、またおそらくそうなっていく、またそのことをアジアの方々は非常に期待をしておられるというふうに
考えておるわけでございます。
それから国連大学の構想の問題でございますが、昨年の秋のユネスコ総会では、
日本を含む七カ国の共同提案によりまして賛成が七十一、反対がゼロ、棄権三で次の
内容の決議を採択をいたしております。ユネスコは国連大学に関する研究を世界の大学界と
協力して実施する。二番目には、ユネスコではその研究結果を九月までにまとめ国連に提出をする。三番目には、ユネスコでの研究に要する経費は加盟国の拠出金、国連及びユネスコ予算の節約でまかなう。
国連総会におきましては
日本を含む三十七カ国の共同提案によりまして、賛成九十四、反対ゼロ、棄権十一で次のような
内容の決議を採択いたしました。加盟国政府は本年五月末までに国連大学の財政負担を含む意見及び提案を国連に提出、二番目は、国連事務総長はユネスコの研究、各国からの意見、提案等を考慮して、国連にかかわる問題についてユネスコ及びユニタールと緊密に
協力して研究を継続する、この研究のために国連事務総長に対し、国連総
会議長指名の十カ国の政府専門家及び事務総長がユネスコ事務
局長及びユニタール所長と協議して指名する五名の専門家で構成する専門家
委員会を設置する権限を与える、こういうことで、おそらく今秋の国連総会におきまして、研究の結果を国連事務総長は経済社会理事会を経て提出すると、また国連大学の設置等につきましては今度の総会におきまして討議され、何らかの決定が行なわれる、かように
考えております。
わが国といたしましては、最初からこれに対して非常な熱意を示しますし、各界、各層、各党の非常な御
協力もございましたし、御援助もございましたし、御叱正もございまして、われわれもこれに対しましてまともに取り組んでまいっておるわけでございますが、本年度の予算におきましてはユネスコにおける研究のために約五万ドル、研究費総額の約三〇%でございますけれども、これを拠出いたしまして大いにこの国連大学の推進と申しますか、総会の決定、そうしてまたどういうような大学をつくるかというようなことにつきましても皆さん方の御意見等、あるいは各界、各層の意見等をとりまとめましてわれわれのはっきりした
考え方を打ち出して、そうしてひとつ提案をいたしたいと、こういうふうに
考えておる次第でございます。