○市川房枝君 この産研の代表世話人は木川田東電社長ですが、そのほかトップクラスの人たちが集まった席で、政治献金についての反省といいますか、財界としての反省をし、そうして意思表示をなすったと、サンケイ新聞だけでなく、ほかの新聞にも全部大きく出ておりました。これは私非常に重要なことだと考えたものですから、当日の会合に出席なすっておりました財界のお一人の方に実はお目にかかっていろいろお話を聞いたのです。それで、そのときの模様を、出席の皆さんは——
総理はいまいやだとおっしゃいましたけれ
ども、私は聞いたことだからそのまま言わせていただきますが、出席の皆さんは、政界と財界の癒着が一般国民の間で問題とされ、政治不信を招いているが、これは歴史的に見ても非常に危険だ、自民党は財界の金だけを当てにせずに国民の各層から献金を受けるべきだと、こういうふうな内容だったんです。それから私、いま
総理は何もきてないとおっしゃいましたが、その点も私確かめたのです。何かお出しになりましたか——この会は、そういう決議をしたり持っていったりする性格の会でないから、そこで話し合ったこと、みんなで一致したことは、それぞれの人が団体を通して、あるいは個人で有力な自民党の方々にお伝えをすると、こういうことにしているのだということでございましたから、たぶんきてなかったろうと思うのですが、私会いましたときに、その方に、そういうふうに癒着がやっぱり政治不信につながって、これは
日本の将来にとって非常に心配だとおっしゃるなら、そんなにお金をお出しにならなきゃいいじゃないですかと、その人に私は言ったのですが、そのことの話はいろいろありましたけれ
ども、ここでは省きます。
ところが実際、財界はそうおっしゃりながらずいぶんお金を出しておいでになるのですよ、だんだんふえているのです。つまり去年、四十五年は四十四年の倍近くいわゆる政治資金の収入があったのですね。それで四十五年の一年間の報告はまだ発表されておりませんが、私は自治省について自民党並びに国民協会それから自民党の中の有力派閥だけを調べたのです。これはぜひひとつ
総理並びに各閣僚の方々にも聞いていただきたいんですが、簡単にちょっと申し上げてみようと思うんですが、昨年の下半期、つまり七月一日から十二月末までは、一月十日までに提出しなければならない政治資金規正法の規定なんですけれ
ども、自民党も国民協会もまだお出しになっておりません。それでちょっと一年の計算ができないものですから、上期の金額を二倍にして、一年間のを一応出してみました。自民党はそうしますと、百七億七百万ということになり、四十四年のほぼ倍額になるんですよ、百億をこす。これはいま申しました計算ですから、正確ではありませんけれ
ども、まあ見当だけ。国民協会は八十七億一千十八万円で、やはり前年の倍近くになります。それから自民党内の有力派閥、一年に一億円以上収入のおありになります方々を、私が毎年集計して発表しておるんですが、四十五年には新しい派閥も台頭して、全体に金額も少しふえておるんですよ。金額順にこれをあげてみますと、四十四年の第一位は
総理でした。ところが、今度の第一位はお隣においでになります大蔵大臣の福田さんのほうでございまして、これは三団体で四億八千二百四十六万、ただし下期が出ておりませんので、上期を二倍にしたんですから、これは正確じゃありませんけれ
ども、しかし第一位。それから第二位は田中幹事長でございまして、これが四団体で四億六千九百九十二万、これは正確です。全部届けが済んでおります。それで第三位が
総理になるんですが、
総理は三団体で四億一千四百十万円、ただし一団体がまだ未届けでございますので、最後的に正確ではございません。ただ、未届けの一団体は、四十四年の上と下を比較してみますと、下期が上期より四倍くらいだったんです。だから、その計算で計算しますると、
総理は六億二千九百八十七万となりまして、やはり昨年同様、
総理は第一位においでになるらしいです。それから第四位は前尾派、一団体、二億九千四百七十四万、第五位は
三木派、二団体、二億一千五百九十五万、第六位は中曽根派、三団体、一億六千六百三万、第七位は大平派、一団体、一億五千八百七十三万、第八位は橋本派、ここにおいでのようですが、三団体、一億五千九十六万、第九位は船田派、一団体、一億二千五百六十六万、第十位は石井派、一団体、九千百四十万、第十一位は園田派、二団体、九千五十六万、第十二位は藤山派、一団体、七千二十六万。これは一億円以上——少し下がっていますけれ
ども、これはいまの上期、下期の去年ので比べますと、みんな一億ちょっと超過するみたいなんです。それで、この順位はもちろん届け出だけのものでこのほかにまだきっとおありになるかもしれぬと思うのですが、私は、それこそ無所属で、ほんとうの政界の内部を何も知らないのですが、こういう計算だけをしておりまして、それでこの順位あるいは途中から頭を出しておいでになる方々というものを見て、そうして考えますと、やはり
総理は権力者——時の権力を持っておいでになる方が一位なんです。それであとは福田さんと田中さんの順位争いになって、上下はこうなるのです。田中さんはここ三年くらいでぐんとのしておいでになって第三位、前尾さんを抜いちゃったわけなんですね。それで今度は、さっきあげましたように中曽根さん、大平さん、橋本さん、園田さんなんかの、いままで一億円以下だった方が上に上がってきたことが珍しいのですが……、まあ横道にちょっと入りましたが、こういうことで私は、ほんとうは自民党の皆さん方のどなたが今度
総理におなりになるのかなあということを、この数字で見ているのです、見当が違うかもしれないけれ
ども。だから非常に興味があるのです。ところで、以上の十二派閥の二十五団体で合計しますと二十七億三千七十七万円、これは前年度より多いです。ところで、この中で寄付としてどこからもらったかはっきりしているのは約一七%で、あとはわかりません。
総理の派は、このガラス張りでは、いつもあまり明るくありません。暗いです。今度も十二人中の九位でございます。で、この派閥への献金及び自民党への献金者の名は、御承知のとおり会費、賛助費の名目で逃げておりますが、財界から来ておることは私は確実だといっていいと思う。それでこれでは——これはみな自民党へのお金といったって、いまの派閲のは別ですからね。だから、こういう数字を見ますと、いやなことばですけれ
ども、やはり財界と自民党との癒着というものがどうしてもあるわけなんで、それで私、国民がこれをだんだん知ってくればやはり政治不信——こればかりではありませんけれ
ども、これが
一つの大きな政治不信の原因になる。そこで財界の方たちが御心配になっておるんだと思います。産研では、国民の政治不信、こういうことからくる政治不信をどうして解消するかということで、新聞にもこれは出ておりましたが、国民協会の改組、選挙制度の改正、選挙の公平、政治資金規正法の改正等を主張しておいでになりました
総理、財界の司令部の方たちが政治資金の規正を要求しておいでになるんですよ。それから社会、公明、民社の三党は共同で第五次選挙制度審議会の答申の線に沿った改正案を三月の九日に
衆議院にお出しになったのです。自民党は、この政治資金規正法の改正にはやはり知らぬ顔でお通しになるのですか。
総理はもっとも、このことでは、すべての人の
納得が得られる成案でないとむずかしいと、こうおっしゃっておりますし、それは過去のあれを見ればある程度わかるんですけれ
ども、まあ私から言えば、ほんとうは自民党内にある反対は、私はいつになったってなくならぬと思うんですよ。それは、いまのままならお金がどんどんさっき言いましたように、入ってくる。だから現状のままでいいと、こういうことなんですが、しかし一方からいえば、こういう状態が続くことが私は、やっぱり財界の方たちが言う危険だと、こういうことなんであって、この財界の認識は、私もこの点では同感でございます。
総理、私はこういう点をよくお考えいただいて、まず手始めにはそれこそ前からお約束の政治資金規正法を、多少党内であれがあるかもしれませんけれ
ども、そこは
総理の政治力といいましょうかを、御発揮になって、それこそはっきりそうすれば、私は
総理の業績として残ると思うんですが、いかがでしょうか。