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1971-05-12 第65回国会 参議院 本会議 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年五月十二日(水曜日)    午前十時八分開議     —————————————議事日程 第十二号   昭和四十六年五月十二日    午前十時開議  第一 国務大臣報告に関する件(農業基本法   に基づく昭和四十五年度年次報告及び昭和四   十六年度農業施策について)  第二 勤労者財産形成促進法案内閣提出、衆   議院送付)  第三 沖繩地域における産業振興開発等のた   めの琉球政府に対する資金の貸付けに関する   特別措置法の一部を改正する法律案内閣提   出、衆議院送付)  第四 海洋科学技術センター法案内閣提出、   衆議院送付)  第五 水産業協同組合法の一部を改正する法律   案(内閣提出衆議院送付)  第六 漁港法の一部を改正する法律案内閣提   出、衆議院送付)  第七 海洋水産資源開発促進法案内閣提出、   衆議院送付)  第八 国有林野活用に関する法律案(第六十   三回国会内閣提出、第六十五回国会衆議院送   付)  第九 船舶職員法の一部を改正する法律案(内   閣提出、衆議院送付)  第一〇 コンテナーに関する通関条約及び国際   道路運送手帳による担保の下で行なう貨物の   国際運送に関する通関条約TIR条約)の   実施に伴う関税法等の特例に関する法律案   (内閣提出衆議院送付)  第一一 許可、認可等の整理に関する法律案   (内閣提出衆議院送付)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  一、北海道開発審議会委員選挙  以下 議事日程のとおり     —————————————
  2. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 諸般報告は、朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  この際、欠員中の北海道開発審議会委員一名の選挙を行ないます。
  4. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 北海道開発審議会委員選挙は、その手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
  5. 佐藤隆

    佐藤隆君 私は、ただいまの瀬谷君の動議に賛成いたします。
  6. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 瀬谷君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  よって、議長は、北海道開発審議会委員に竹田現照君を指名いたします。      ——————————
  8. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第一、国務大臣報告に関する件(農業基本法に基づく昭和四十五年度年次報告及び昭和四十穴年度農業施策について)。  農林大臣から発言を求められております。発言を許します。倉石農林大臣。    〔国務大臣倉石忠雄登壇拍手
  9. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 農業動向に関する年次報告及び講じようとする農業施策につきましての本年度報告は、農業基本法が施行されて以来、十回目の報告に当たっております。その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和四十五年度農業動向に関する年次報告のうち第一部、農業動向について申し上げます。  わが国農業は、近年における国民経済高度成長に大きな役割りを果たしてまいりましたが、反面、その立ちおくれは次第に明らかになりつつありまして、その近代化が急務となっております。これに加えまして、今日の農業は、米の生産調整生鮮食料品等物価安定、農産物貿易自由化の要請、公害の克服など多面にわたる困難な問題に当面し、これら問題に対処しつつ構造改善という基本的課題解決しなければならないきびしい局面に立っております。  このような情勢の中で、農業の他産業に対する比較生産性格差は、前年度に引き続き拡大しております。これは、他産業部門生産活動が依然活発でありましたのに対し、農業生産が前年度よりわずかながら低下したことに加えまして、青果物を除く農産物価格が停滞的でありましたことが主因となっております。  しかし、農家生活水準は、農外所得増加等により年々向上しておりまして、勤労者世帯との格差も縮小しております。  また、農業構造について見ますと、農業就業人口は引き続き減少しておりますが、農家戸数の減少は緩慢でありまして、耕地規模拡大による農業経営規模拡大は、必ずしも順調な進展を見せていないのであります。このような中にありまして、いわゆる自立経営農家は、四十四年度には、前年度よりその割合が低下しましたものの、戸数で九%、農業生産額で二八%を占めております。  以上のような農業動向を踏まえて、今後は、自立経営農家等専業的農家を中核として能率の高い農業展開ができますよう生産組織化促進し、食糧需要動向に対応した農業生産の再編成を着実かつ計画的に進めることが肝要であります。また、そのためにも、地域住民生活環境整備するとともに、美しい自然、公害のない緑地空間を積極的に保全するため、農村環境整備総合的見地から進める必要があるのであります。  以上が第一部の概要であります。  次に、第二部におきましては、四十五年度を中心といたしまして、講じた施策につきまして記述しております。  最後に、昭和四十六年度において講じようとする農業施策について申し上げます。  ただいま御説明申し上げました農業動向に対処するため、政府といたしましては、農業基本法の定めるところに従い、諸情勢の推移を織り込みまして総合農政を着実に推進してまいることといたしております。当面、昭和四十六年度におきましては、農業構造改善地域農業総合的開発と新しい農村建設、米の生産調整等農業生産の再編成価格対策流通消費対策強化自然環境の保全など各般施策推進をはかることといたしております。  以上、昭和四十五年度農業動向に関する年次報告及び昭和四十六年度において講じようとする農業施策につきまして、その概要を御説明申し上げました次第であります。(拍手
  10. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。杉原一雄君。    〔杉原一雄登壇拍手
  11. 杉原一雄

    杉原一雄君 私は日本社会党を代表して、ただいま報告、説明された農業白書農業施策について質問いたします。  農業基本法制定すでに十年、したがって、第十回目の白書報告をいま受けました。しかるに今日、日本農業は重大な危機に直面していると判断いたします。われわれは、農業は国土を利用して国民食糧生活資源など社会的な価値生産を行い、全産業基盤を構築する重大な任務を持っていると考えます。したがって、農業経済合理主義だけで取り扱うことなく、その特殊性を重視して保護育成し、食糧安定的供給農民所得増大体制を確立すべきだと思います。そのためにこそ食糧自給度を総合的に高めるべきだと考えるわけであります。しかるに、政府は、高度経済成長を進めるため、農業農民をこれに従属させ、利用する、そのための農基法農政農村から低賃金労働者を重工業に吸収し、総合農政でさらに資本合理性を追求するため、国内農業縮小化貿易自由化促進をてこに大資本海外進出促進をはかってきたのであります。すでに十数名の農民が死をもって総合農政に抗議をしている今日、以下、順次質問をするが、首相をはじめ各大臣の真剣な答弁を要求いたします。  まず第一点として、生産者米価決定と今後の農政についてであります。首相は、四月二十七日、衆議院会議において、米の過剰下米価引き上げは米の本質的解決にならず、農業全般解決を長引かせる、大局的な見地から理解してほしいと述べ、米価据え置き方針を重ねて強調されているのであります。それは昨年末、予算案決定以来の首相の主張であり、公約であります。二万六百八十一円、二万六百八十一円、二万六百八十一円、そして四十六年生産者米価も三たび据え置き決定し、四月二十六日の米価審議会に臨まれたのであります。しかるに、五月一日、急転直下、六百二十四円を加算し、基本米価二万一千三百五円に決定したのであります。だから、ここで、農民希望を無視し、断固として三年連続据え置きを主張された「大局的見地」とは何であるかを明らかにしてほしいのであります。とともに、六百二十四円を上積みされた政策的意図をお聞きしたい。とともに、二万六百八十一円と二万一千三百五円との間に存在する大きな矛盾とその政治的な責任を明らかにしてほしいと思います。五月二日の毎日新聞が、「選挙対策に終わった米価引上げ」の表題を掲げた社説を載せている中で、「政府与党は、今度の値上げ折衝に際し、値上げ付帯条件として総合農政推進と米の生産調整実行消費者米価の据置きなどをうたっているが、これこそ精神分裂ではないかと思う。」と、きびしく批判をしているのであります。その一つである総合農政とは一体何か。秋田高橋肇さん、三・七ヘクタールの農民である。昨年は〇・三ヘクタールの減反で二百五十俵、今年は〇・七ヘクタールの減反を宣告され、百二十四俵の予約限度数量、昨年は総合農政のかけ声に協力し、一・四ヘクタールの新規国営開田、なお土地改良平均反収も上がっている。しかるに、今年、減反買い入れ制限の二重パンチを受け、怒りを込めて高橋さんは訴えているのであります。「国策で水田をつくっておいて、ようやく米がとれるようになったら、知らぬ顔で切り捨て、借金だけちゃんと取り立てる。そんな法があるかね。百二十四俵じゃ収入は百万円、借金払って農機具代を出して、そして家族七人が食えと言うなんて、出かせぎでも何でもしろということだべ。」、高橋さんは米で生きてきたし、これからも米以外で農業を続けていくことを考えていないと言っております。佐藤首相から、高橋さんが代表する多くの日本農民に、親切にして力強い日本農業の今後のビジョンを語りかけてほしい。同時に、倉石農相も、精神分裂症などときめつけないで、具体的に総合農政とは何か、今後の農業、今後の農民像を明らかにしてほしい。  次に、米の生産調整実行についてだが、農相委員会等で、米価据え置きしないと生産意欲を刺激するから困ると言っておられたが、六百二十四円加算された今日、今後、倉石農政を自信を持って貫徹されるかどうか、その方策を伺いたいのであります。特に転作について伺います。施策の中で、麦類大豆、牧草、果樹などに転作するように企画されているが、まずその生産目標年度計画並びに価格保障等についての対策はどうなっているか、明らかにしてほしいのであります。減反、休耕、買い入れ制限に腰を抜かした農民は、容易に政府を信じ、そして立ち上がろうとはしないだろうと思います。政府の強力な、信頼の置ける政策がない限り、実現はむずかしいと思います。  特に具体的問題を提起いたします。大豆グレープフルーツであります。大豆は、昭和四十一年以降急激に輸入がふえ、四十五年度三百二十四万三千トンの輸入国内産が少ないから輸入が激増したのだけれども、四十年以前はどうか。北海道をはじめ多量の国内産があったはず、それを貿易自由化のために輸入に依存しているのが現実であります。いま、グレープフルーツ自由化について、佐藤総理が、国際信義上熱心に推進しようとしておられると聞く。農相転作目玉商品として推進している果樹奨励への道は阻害されるのではないだろうか。首相農相の見解をただしたいのみならず、通産行政を担当する通産大臣貿易自由化国際社会日本経済との関連において絶対必要なのかどうか。特にアメリカ農産物、なかんずく大豆グレープフルーツ等生産状況から見て、日本への輸出に大きいドライブがかかっているのかどうか、その実態と考え方を明らかにしてほしいと思います。  次に、消費者米価据え置きについて伺いたい。すでに物統令を廃止することを言明されております。いままた生産者米価が六百二十四円加算された。逆ざやは、昨年は百五十キログラム百四十円、今年は七百六十四円になります。食管会計赤字激増一般会計繰り入れ二千六百一億円、過剰米処理費三百二十二億、今回の政治加算二百三十八億円、消費者米価への圧力は増大増大をいたしております。われわれは食管制度の堅持、二重米価の強力な支持者であります。消費者米価の上昇は一円たりとも認めるわけにはいきません。農相も、消費者米価を上げないという確固たる約束を国民に与えてほしいと思うのであります。いかがでしょうか。いわんや四月末、タイ米三千トンの輸入は全く不可解千万であります。納得のいく説明を求めます。  次に、農工一体論について伺いたいと思います。今日、日本農業危機から脱出しようとする農民は、農村工業進出することを大きく期待しています。しかし、農工一体論にも大きな疑惑と不安があります。それは公害という悪魔が田園を荒らすことでありますとともに、とかくきびしい資本の論理、都市から逃げ出す企業には、競争力経営基盤の弱体な産業進出が予想されます。それに対する通産省指導行政農相の決意を伺いたい。  最近、荒川の上流、過疎地帯公害持ち製紙産業承知で誘致されたと聞いております。また、富山の田園都市進出した三越金属が操業を前にして身売りを行ない、農家主婦たちの多数雇用契約を破棄したとも聞いております。しかも、最も農工一体構想にぴったりとした佐藤造機の倒産について、その現状と、これに対する通産省行政指導並びに全購連が深くタッチしていたと聞いているが、農林省指導性がどのように発揮されたのか、ころばぬ先のつえ、今後の教訓として伺いたいのであります。  次に、農業後継者をどうするのか。白書は、わが国経済成長に対し、農業は大きな役割りを果たした。特に労働力供給源として過去十年間毎年八十万人が他産業に就職、土地は過去七年間二十五万ヘクタールが転用されたと言っている。このために兼業農家は三十五年は六五・七%、四十五年度は八四%となり、オール兼業化の色彩が明確になってまいりました。農相はこのような農村構造を好ましいと思うかどうか。並びに文部省は、このように産業としての農業農村社会構造地すべり的変革、そうした中からいかなる農民像を描こうとしているか、従来の教科書、指導要領等について十二分に点検をしたかどうか。同時に、小中、特に高校教育課程編成生徒入学希望状況受け入れ体制変革、並びに最近五年間の生徒動向、とりわけ入学志望者と卒業生の動向をどのようにとらえ、農業経営後継者育成にいかなる配慮をしようとしているか、教育的な観点から明らかにしてほしいと思います。  最後に、日本農業長期展望について伺いたい。今日、農家は五百四十万戸、そのうち経営者が五十歳以上の農家は三百十二万戸であります。やがて五十年代の農業を想定すると、まさに世代の交代、後継者不在という最大の危機を迎えると考えます。だから、貧困な価格政策の改正、生産者組織化大型産地化への誘導など、急速な新しい形の保護主義を打ち出すときだと考える。すでに、農林省農業基本法をはじめ農業関係諸法の検討を始めていると聞いているけれども、その作業進行状況とその指向する方向は、どの方向作業が進んでいるかを明らかにしてほしいと思います。  ブルッセルをゆり動かしたEEC諸国家の農民六千人の激しいレジスタンス、アメリカ農業の混迷、ただいまたくましく前進と改造を続ける中国農業、その中国周恩来日本に対する忠告のことばを述べ、政府の所信を明らかにしてほしいと思います。一九七〇年四月十五日、周恩来は、「日本経済大国というが、工業原料はもちろん、食糧まで海外にたよらねばならない状態にある。この結果、日本経済はますます奇形的な形になり、このままで進んでいけば侵略的な方向をとらざるを得ないであろう。これが軍国主義基盤である。」と述べているのであります。首相はどう判断するか、伺いたい。  これで質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  12. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 杉原君にお答えいたします。  米が深刻な供給過剰の状況にあることは御承知のとおりであります。この米の需給関係改善するために、生産調整対策、これを進めて、稲作から他の成長農産物への円滑な転換をはかることは日本農業の当面する大きな課題であります。一昨年以来、一貫して米価水準据え置き方針をとってきたのは、このような事情を考慮したからであります。先般決定を見た四十六年産米政府買い入れ価格は、昨年産米についての良質米奨励金と米の品質改良奨励金を組み入れたもので、農家実質手取りという面から見れば前年と同様であって、米価水準据え置きの本旨に反するものでないと、私はかように考えております。お尋ねのありました農政基本的構想も、そのような意味において従来から申し上げているところと全く変わりありません。  米の需給の均衡の回復をはかることが農政の緊急の課題であり、今年度から五カ年間にわたって、総合的かつ計画的に米の生産調整対策推進する予定であります。また、物価問題、公害問題、経済国際化等農業を取り巻くきびしい情勢に対処するため、引き続き総合農政の強力な展開をはかることとし、このため、構造政策展開を進めるとともに、生産物価流通環境整備等につき、各般施策を総合的に推進してまいります。  杉原君は、秋田高橋君からの投書を主張されましたが、米作農民の当面する悩みと苦しみに対しましては察するに余りあるものがあります。しかしながら、日本農業の置かれている立場、あるいは今後進むべき方向については、るる申し上げているとおりであります。農民各位の御理解と御協力を何よりも必要とするのであります。適地適産、そうして生産性の高い近代的な農業の確立のために、いま一息がんばっていただきたい。これが農民諸君に対する率直なお願いであります。  次に、貿易自由化わが国国際経済に対する責務であり、農産物自由化をその例外とすることは許されない状況にあります。ただ、自由化のプログラムにあたっては、農業総合農政展開の過程にあることは十分考慮してきたところであり、御指摘になりましたグレープフルーツにつきましても、その自由化に際しては季節関税を設定するなど、慎重な配慮をはかってまいります。  最後に、教育の問題や今後の農業あり方等についても、るる御意見をまじえてのお尋ねがありました。ことに、周恩来首相の説など御引用になりまして、これをいかに批判するか、こういうお話でありましたが、私は、外国首相の御意見について、この機会に、この際、とやかく申し上げるような考えはないことをはっきりお答えしておきます。(拍手)    〔国務大臣倉石忠雄登壇拍手
  13. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) お答え申し上げます。  ただいまの総理大臣お答えにもございました生産者米価のことについては、もうお答えがございましたが、今後も米の恒常的な過剰状態を解消いたしますように、また、各農産物について需要に対応いたし、かつ、地域の特性に応じた農業生産を確立する必要は変わりはございませんので、引き続き総合農政を強力に推進してまいる必要があると存じております。  米の生産調整は、幸い農家の方々をはじめ生産者団体その他の御理解を得まして、生産調整目標数量配分等がおおむね順調にすでに進行いたしておりまして、御承知のような決定を見ておりますが、これは昨年交付いたしました良質米奨励金及び米品質改良奨励金に相当する額を米価に組み入れた次第でありますので、その点は総理大臣お答えにありましたとおりであります。  米の生産調整に伴って農政をどういう方向でやっていくかというお話でございますが、稲作からの転作作目としては、大豆飼料作物野菜果樹桑等、今後とも需要増大いたします作物を考えております。これら転作作物長期生産目標につきましては、農業生産地域指標の試案を発表いたしておりまして、五十二年度目標についても、すでにお手元に差し上げてあるあの計画に基づいて進行いたしておる次第であります。これらの数値は、農産物長期的な需給見通しに基づきまして、いずれも需要に見合った生産を確保するという見地から目標を定めたものでございます。  また、転作作物価格対策につきましては、今後必要に応じ検討することといたしておりますが、当面、野菜につきましては、野菜指定産地制度活用野菜生産出荷安定資金協会による価格補てん事業拡充強化、それから都道府県が行なっておりますこういう価格安定事業の基金を、四十六年度予算から国において助成をいたす予算決定いたしておることも、御存じのとおりでございます。その他大豆、なたねにつきましては、現行交付金制度活用をはかることといたしております。  ただいま、また、お問いの中に、転作作目として大豆等をふやしていこうとする場合に、農産物貿易に対する考え方はどうかというお話でございました。これは、しばしば農林水産委員会等においても申し上げておりますように、転作推進にあたりましては、生産性の向上を基本といたしまして、生産調整奨励補助金交付、それから土地基盤整備農業近代化施設の導入、価格安定対策等施策を講じていくことといたしておりますが、転作作目には、すでに自由化されているものが圧倒的に多いわけでございまして、今後の貿易政策の運用にあたりましては、総合農政展開稲作転換推進に支障を来たさないよう、十分に配慮してまいる考え方でございます。こういうやり方については諸外国でもいろいろな例をあげておる次第でございますことは、杉原さんよく御存じのとおりであります。  それから、一方で果樹などへの転作推進することを指導しながら、一方において自由化促進していくのはどういうわけかというお話でございますが、わが国経済全体から見て、私ども自由化促進することが必要であるという原則に立っておるわけでありますが、果樹等につきましては、総合農政の一環としてその推進をはかりつつありますので、そういう場合に、それと競合するかのごとく見える、同じような果実への影響を緩和するために季節関税を設定いたしましたり、あるいは果樹生産流通、加工、そういう対策全般にわたりまして、その近代化をはかり、コストダウンを考えてやってまいるように、体質を改善することに全力をあげてまいるつもりでありますし、現にいろいろな手段を講じておることは御承知のとおりであります。  それから、生産者米価消費者米価逆ざやお話がございました。生産者米価を引き上げまして消費者米価を据え置いた場合には、逆ざや拡大いたして、財政負担増大いたすことはお説のとおりでありますが、直ちに消費者米価値上げを——この今回のような施策、つまり、前年度農業者交付いたしました二百三十八億円を基本米価に組み入れたということだけによって、直ちに消費者米価値上げを行なうなどということは考えておりませんが、こういうことについては、今後、慎重に諸般事情を勘案いたして検討いたしてまいる必要があると思っておりますが、本年度消費者米価を据え置くつもりであります。  米の販売価格につきまして物価統制令の適用を廃止いたしましても、これもしばしば予算委員会等で御論議がございましたように、現在のような、米需給がきわめて緩和されておりますような状態のもとにおいては、価格全体としての水準現状より上昇するものであるとは、私どもは考えておりませんけれども、しかしながら、そういうことに対して十分注意をいたしますためには、販売業者新規参入規制の緩和をいたしたり、大型精米工場建設などを促進いたしまして、米の需給の実情が販売面に十分反映いたしますように努力をいたしてまいるつもりでございます。  それから、佐藤造機の問題がございましたが、全購連検査は、三月二十七日に終了いたしまして、目下検査結果を取りまとめ中でございますが、その結果を見た上で、前渡金の支出の方法関連会社との取引の方法等について問題があります場合には、その是正につき十分指導してまいりたいと思っております。  農業後継者お話がございました。同時にまた、将来の農業の展望について御指摘がございました。私ども、近年、新規学卒就農者数は年々減少傾向を続けておりますことは御指摘のとおりでございますが、一方においては、近代的農業を担当いたしますに十分な資質を有する者が、また農業には就業いたしておる傾向も御存じのとおりでございます。これからの農業者の資質は、高度な専門的知識と企業的経営管理能力を必要といたしておりますので、農林省みずからが、たとえば、農業者大学校を設置いたしまして農業者育成を進めておりますことは御存じのとおりでありますが、都道府県におきましても、既存の研修教育施設の近代化教育内容の充実強化をはかりますほか、農村青少年の自主的集団活動の促進農業後継者育成資金の貸し付け、農業就業近代化対策事業による農業後継者の養成確保など、諸般施策を総合的に推進しておる次第でございます。  もう一つ、いわゆる農工一体化のお話がございまして、私ども、ただいまの国会に、工業を地方に導入してまいるための法律案を御審議願っておるわけでありますが、御存じのように、わが国におきましては、農業基本法は、自立経営農家、規模のしっかりしたものを育成していくという方針でございますけれども、必ずしもその目的が成功いたしておるとは見られませんけれども農政基本方針としては、それを継続してまいるつもりでありますが、それにもかかわらず、多数の兼業農家があることは否定できないことであります。このようなわが国の特質でありますが、こういう余った労働力、つまり、兼業農家の労働力というものを、どのように活用するかということは、農村の所得をふやすためにも、農村維持拡大のためにも大切なことでございますので、御指摘のように、公害を伴うようなことのないようなことを十分考慮しながら、地方に産業を分散して、そして産業の全国的平均化、また人口の分布をできるだけ平均化していくようにつとめてまいりたい。そういうことのために、離農を希望する者には離農しやすく、またそのまま土地に定着して他の所得を得たいと希望する者に雇用機会の増大をはかっていくということが、御審議を願っております農村工業導入に関する法律案でございます。この趣旨は、多くの地方の方々に非常に歓迎を受けておりますことは御存じのとおりでございますので、そういう方向で進めてまいりたいと思っておる次第であります。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一君登壇拍手
  14. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 貿易自由化促進する必要性につきましては総理大臣からすでに御答弁がございましたが、現在の私どもの努力をもっていたしましても、今年九月現在でなお残存輸入制限品目が四十ほど残ることになろうかと思っております。この四十のかなり大きな部分、七割程度は実は農林省関係のものでございまして、との点やはり総合農政に対する私どものいろいろな意味での配慮を反映しておるものと考えております。  それからあと総合農政展開を見ながら、また季節関税ども考えまして、さらに自由化を進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。  それからグレープフルーツ大豆につきましては、すでに農林大臣から御答弁がございましたし、農村工業化につきましてもただいま御答弁がございました。  佐藤造機につきましても同様でございましたが、百九十億円ほどの負債がございます。そこで最終的な再建計画がまとまりますのにほぼ一年近くかかろうかと思っておりますけれども、幸いにして関連企業及び労使一体の協力関係がたいへんに円滑化してまいりましたので、多少の規模の縮小は避けられないかと思いますが、更生をいたすものというふうに判断をいたしております。  それから富山県の三越金属工業の問題でございますが、これは銅加工を高岡等でいたしておりました会社と聞いております。で、昨年来、銅価格が非常に変動をいたしましたことが原因で経営不振におちいりました。大口債権者が買い取ったわけでございます。そのときに解雇の問題をめぐりまして紛争があった。しかし、最近になりまして、今後の再建の基本事項につきまして、債権者と労働組合等と関係者の意見調整ができた由でありまして、間もなく高岡工場は再開をするということになったというふうに承知をいたしております。(拍手)     —————————————
  15. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 沢田実君。    〔沢田実君登壇拍手
  16. 沢田実

    ○沢田実君 私は公明党を代表して、ただいま説明のありました農業白書に対し、総理並びに関係大臣質問いたします。  まず第一点、新しい農村社会の建設は、単に農民のためのみではなく、全国民のための良好な生活環境を確保するために、国土全体の立場に立って、長期的、総合的に計画を立てる必要があるのではないかということであります。政府・自民党がとってまいりました高度成長政策のもとで行なわれた経済第一主義への偏重は、農村には過疎を、都市には過密と公害を招来し、極度の自然破壊は人間に生命の危険を感ずるまでに至らしめたのであります。良好な生活環境をつくることは、もはや都市政策のみでは不可能な時代になりました。従来、都市農村は、一つの政策によってこうむる利害が相反することが多かったのでありますが、今後、総合的な立場に立つ新しい政策の樹立は、両者の利益が一致するものでなければならないと思うものであります。すでに、農村には、都会の人々のレジャーのための施設が急速につくられつつあります。しかし、その大部分は観光企業による営利事業であって、そのために、かえって自然が破壊され、農村に対するメリットはほとんどないと言っても過言でない状態であります。美しい自然に対する国民の欲求にこたえるため、公害のない緑地空間として自然の積極的な保全並びに活用が重要な課題であります。  さらに、農村は、すでに少数の専業農家と多数の兼業農家や非農家の混在する地域社会になっております。したがって、農村における生産基盤整備は、ともに生活基盤をも向上させるという総合的な計画でなくてはなりません。農村整備は、国民生活環境をよりよくするという、人間の生命を大事にする政策でなくてはならないと思います。都市農村と総合的な立場に立った新しい農村づくりに対し、総理並びに農林大臣の所信を承りたいと思います。  第二点は、農業と他産業との比較生産性及び所得格差をいかにして改善縮小させるか、農家の所得対策及び見通しについてお尋ねいたしたいのであります。  白書は、農業比較生産性の推移を次のように表示しております。農業が製造業に対して占める就業者一人当たりの比率は、昭和三十五年の二七・九%から徐々に増加し、昭和四十二年には三九・二%まで上昇いたしましたが、その後再び下向線をたどり、昭和四十四年には三三・七%に低下しているのであります。白書の数字を見るまでもなく、生産調整による減反生産者米価連続据え置き農産物輸入自由化、消費者に対する物価対策として農産物価格抑制等々、農業にとっては連続的に打撃を受ける問題のみであります。農作物の反当たり生産数量には限度があり、しかも価格は頭打ちです。その反面、生産のために要する経費は、農耕機械や肥料の値上がり、労働賃金の上昇等、年々増大し、生産農家に大きな経済的圧力を加えております。したがって、農家の実質的所得が毎年減少しつつあることは説明を要しないところであります。この事実は、農業基本法の精神、すなわち農業と他産業との均衡ある収入の確保という立法の大原則に反するものであり、政府・自民党の農民不在の農政を物語るものであると思います。  政府は、このような農家所得をいかにして増加させ、国民主食の確保と質の向上につとめてきた農民に、どのようにしてこたえようとするのか、その対策を承りたいのであります。兼業農家対策として、農村工業を導入するとか、専業農家規模拡大をはかるなどという、ありきたりの答弁では納得できませんので、そのつもりで明快な御答弁をお願いいたします。  第三点は、農林省関係予算昭和四十六年度ついに一兆円を突破する大型予算になったのでありますが、その内容を見ますと、米中心の予算である観を免れ得ません。しかも、そのばく大な金額が農家希望する総合農政の諸施策に使われることはまことに少なく、きわめてうしろ向きの対策に使用されておるものが多いという点であります。生産調整による休耕地に対する補償金の支払い、八百万トンに達しようとする過剰米に対する支払倉庫料、金利、輸出をすれば半額の損失、飼料にすれば八〇%に近い国庫負担を余儀なくされる食管会計の現況等、数え上げれば切りのない状態であります。しかも、その中にあって、小麦は需要量の八六%、大豆にいたっては九五%を輸入に依存している実情であります。小麦の輸入金額は、昭和四十四年度で二億九千七百万ドル、農産物の全輸出金額に匹敵するほどの大きな数字を示しております。政府は、なぜ休耕地に麦、大豆等、大量に輸入している農作物をつくらせ、休耕地補償の予算価格補償をして、農家の所得を確保しつつ、貴重な外貨を節約するということがどうして実現できないのか。農林大臣は、委員会では賛成しながら、実行に踏み切れないのはどういうわけなのか、お伺いをいたしたいのであります。  第四点は、農産物価格対策がばらばらで、一貫性僕達性に欠けているという点であります、米価生産費所得補償方式、麦のパリティ方式、畜産、特に乳牛の不足払い、豚肉の安定帯方式、野菜の出荷安定資金制度、砂糖の課徴金制度等、価格算定の方法一つを見ましても、そのばらばらさを如実に示しているのであります。あるいは、一歩譲って、その特殊性を考慮し、種々の計算方法によることはやむを得ないといたしましても、これらの農作物をつくるために支払われる一日当たりの労働力に対する報酬は、白書の付属統計表、昭和四十四年の数値で見ますと、米の二千四百四十円に対し、小麦の六百五円、大麦七百七十五円、大豆千二百二十七円、甘蔗八百十二円等となっております。この数字は、米以外の農作物生産基盤整備と、近代化のおくれを雄弁に物語り、政府の米一辺倒の政策のひずみを明瞭にあらわしていると思うのであります。農産物価格に対する根本的な一貫した対策があれば、この際お示しいただきたい。  最後に、土地改良事業を根本的に改善する意思はないかという点であります。農林省の直営による土地改良事業及び干拓事業等に要する年月は、計画から完了まで、短くて七年、長いものは二十年を要し、平均十年見当になっております。したがって、事業の完成時には、計画当時と比較にならない客観的条件の変化があるわけであります。長期にわたりばく大な資金を投下しながら、その投資効果はきわめて低いものになっている例が多いのであります。一例を八郎潟の干拓事業に見ますと、昭和二十七年から調査開始、昭和三十二年着工、十三年を経過した現在、その事業進度は、総面積一万七千二百二十五ヘクタールに対し、完了一万一千六百十八ヘクタールで、七〇%弱となっております。干拓事業が完了した地域には、第一次から第四次まで入植させましたが、未入植地はまだ三分の一ほどあります。過剰米のたくさんあります現在、米づくりもならず、何をつくり、たれを入植させるか、根本方針もいまだ決定していない状態であります、また、大規模な土地改良事業は、そのかん排事業を国営で行ない、次に県営でこまかい排水路等の工事をし、最後に団体営で圃場整備を行なっておりますので、たいへん長い年月を必要としているのであります。しかも、予算のぶんどり合いが一そうそれに拍車をかけている現状であります。このようなやり方は、当該地方の農民の損失ばかりでなく、国家的損失であろうと思います。計画及び予算のつけ方について根本的な改善をする用意はないかどうか、承りたい。  わが国農業は、まさに有史以来、未曾有の難関に直面いたしております。政府は、このような事態に至らしめた責任を自覚し、全力を上げて積極的に農政に取り組むべきであることを強く要望し、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  17. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 沢田君にお答えいたします。  農村を快適な生活の場として保全し、農村をになう若い後継者にも魅力のあるものとすることは、近代的農業の形成にとって必須の条件であるだけでなく、農業農村における自然環境の積極的な保全は、国民的な要請である緑地空間の保全の見地からも再認識すべきことと考えます。国土全体の立場に立った長期的、総合的な画計のもとにこのような新しい農村社会を建設せよとの御意見は、趣旨におきまして私も全く異存はありません。国土の有効利用、自然の保護の見地にも十分留意しつつ、都市農村の調和のとれた国土の建設につとめてまいりたいと思います。  次に、農林予算が米中心であるとの御批判でありましたが、少なくとも、かつてのような食糧増産時代の米麦中心の予算とは全く異質のものであることを御理解いただきたいと思います。構造政策推進成長農産物生産対策の充実等、新たな日本農業の再編成を目ざしたものであって、これをうしろ向きのものと言うのは当たらないと、私はかように考えます。  いずれにいたしましても、農業におきましては幾多の問題をかかえ、ただいま最も困難な状態だと思います。したがいまして、皆さま方からも政府を鞭撻賜わると同時に、御意見を積極的に御開陳いただきたいと思います。  その他の問題につきましては、先ほどの社会党の杉原君に答えた点もございますし、またそれぞれ主管大臣からお答えすることにいたし、私は以上で終わりたいと思います。(拍手)    〔国務大臣倉石忠雄登壇拍手
  18. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) お答え申し上げます。  農業と他産業との比較生産性、これは白書にも明確に数字をあげて書いておるわけでありますが、農業生産性を高め、所得格差改善いたしますため、農業生産基盤整備、第二次農業構造改善事業の実施、農地の流動化の促進、それから総合資金制度の拡充等一連の構造改善政策を講じますとともに、広域営農団地の育成等地域農業の総合的整備のための政策を講じてまいりたいと思っておりますが、このような施策推進いたしますことによって、生産性の高い近代的な農業経営が今後とも育成されていくものと私どもは期待し、その目標に向かって努力をいたしておる次第でありますが、また、近代的な農業経営を育成してまいります過程において、他産業への安定的就業を志向する者に対しましては、農村地域への工業の導入等によりまして兼業所得の増大をはかってまいる。沢田さん御存じのように、白書にも書いてございますけれども、現在は純粋の農業所得と、それから他産業の所得をそのまま比較いたしておるわけでありますが、農家が約五〇%以上、平均いたしまして兼業所得でございまして、こういうものを加味いたして計算をいたしますというと、大体均衡いたしておることも御存じのとおりでございます。  米につきましては、休耕地補償を行なっておる一方で、これに反して麦、大豆等を大量に輸入していることについてのお話がございました。米の生産調整は、需要増大が見込まれます他作物への転換によりまして達成されることが好ましいことは当然のことでございますが、しかし、他作物への転換につきましては、土地条件や技術条件等の制約がございまして、二百三十万トンという大規模な生産調整をいま直ちにすべて転作によって達成しようとすることには非常に困難がございますので、休耕に奨励補助金を交付いたしますとともに、転作に重点を置いて、五年間にわたる計画的な転作を指導いたしてまいろうというわけでございます。この転作作物につきましては、必要に応じて価格政策の適切な運用をはかってまいる考えでありますが、農業生産の再編成を進めてまいりますためにも、畜産、園芸等の振興、近代的な農業経営のにない手の育成、農産物の加工、流通体制整備等、構造政策を中心として各般対策を講じてまいる方針でありますことは、白書にもきわめて詳細に御報告申し上げておるとおりでございまして、そういう方向に向かって私どもは進めてまいりたいと思っております。  それから、農産物価格対策についてお話がございました。私ども、実はこのことにつきまして、農産物は、作物によってその適地性、保存性、栽培期間等の自然的性格をそれぞれ異にいたしております。さらに、経済的に見ましても、作物によって食生活に占める比重、需給状況農業経営方式、それから価格形成の態様等、いろいろの差がございますことは御承知のとおりでありますが、こういうもろもろの事情を考慮いたしました上で、農産物価格政策の目的である国民食糧安定的供給農業所得の安定的確保、消費者家計の安定等の点について、これらの目的を満たしながら価格の安定をはかるために、対象農産物のそれぞれの特性に応じた制度によりまして価格政策を従来進めてまいったのでありますが、私は、農林省においても、今後こういう価格決定の方式について再検討をいたしますために、ただいま部内を督励いたしまして種々検討をいたしておる最中でございます。  それから、土地改良お話がございました。これは御指摘のように、私どももたいへん大事な問題でございます。ことに、方向転換をいたそうとしておるときの土地改良は非常に大事な問題でございますが、国営土地改良事業につきましては、事業規模が大きい等のために、一般にこの事業期間が長期にわたるものが多いわけでありますが、さらに、近年の社会経済情勢の急激な変化に対応いたしまして事業量も増加する等の措置がとられました結果、予定期間より若干のおくれを見せておる地区がございます。しかしながら、事業効果を十分に発揮させますためには事業の計画的進捗が欠くべからざるものでございますので、今後とも効果の早期にあがりますように最善の努力を続けてまいるつもりでございます。また、土地改良事業制度につきましては、最近の農業及びこれをめぐる諸情勢の著しい変化に対応いたしながら、今後の農業生産基盤整備計画的に進めますために、ぜひともこの土地改良制度の全般について、その改善をはかりますための検討をしてまいらなければなりませんので、このたびの国会に、御存じのように土地改良法の改正案を提案いたしておるわけでございまして、この案をごらんいただきますならば、私は、現在の農政を振興してまいるためにぜひ必要な法律であることはどなたもお認めいただけますので、すみやかに御可決を賜わりますようお願いいたしておきたいと思います。  最後に、先ほど杉原さんのお問いに対して御答弁いたしますことが抜けておりました点について申し上げます。  外米を輸入いたしましたことについて、なぜこういうことをするのかというお話でございます。ごもっともなことでございますが、私も、これを見ましたときに、なるべく国内でまかなえるようにできないかということを申したのでありますが、これはモチ米でございまして、わが国はモチ米は非常に少ないのでございまして、そのために、ビーフン業者が七社五十三工場ほどございまして、これは私ども国内産のウルチ米でできるように、いまいろいろ技術的な検討をさせておるわけでありますが、半分半分ぐらいならばどうにかなりそうだということ、そういう点までは出てきておるようでありますが、全部内地米ではなかなかできませんというので、それぞれの方面から熱心な御要望がございましたので、今年に限ってやむを得ないものとして認める、こういうことにいたした次第でございます。この点をひとつ御理解をいただきたいと存じます。  以上お答えいたします。(拍手
  19. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      ——————————
  20. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第二、勤労者財産形成促進法案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長林虎雄君。    〔林虎雄君登壇拍手〕    〔議長退席、副議長着席〕
  21. 林虎雄

    ○林虎雄君 議題となりました本法律案は、勤労者の財産形成を促進するために、利子を非課税扱いとする勤労者の預貯金制度を新たに設けるほか、勤労者の持ち家を建設する資金の特別融資制度を創設するものであります。  社会労働委員会においては、三月二十五日に本案の付託を受け、五月六日質疑を終了して採決の結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決しました。  なお、小柳勇委員提出にかかる附帯決議案を全会一致をもって委員会の決議といたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  22. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  23. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。      ——————————
  24. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 日程第三、沖繩地域における産業振興開発等のための琉球政府に対する資金の貸付けに関する特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。沖繩及び北方問題に関する特別委員長米田正文君。    〔米田正文君登壇拍手
  25. 米田正文

    ○米田正文君 ただいま議題となりました沖繩地域における産業振興開発等のための琉球政府に対する資金の貸付けに関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、沖繩及び北方問題に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。  現在、琉球政府及び沖繩の市町村の財政需要は、本土復帰を控えて増大し、沖繩の資金運用部資金等によっては、その需要に応ずることが困難な状況にあります。  本法律案は、このような事情にかんがみ、琉球政府または沖繩の市町村の公共施設等の整備並びに公立小中学校の教員及び琉球政府職員の退職手当に必要な資金を、琉球政府琉球政府の一般会計または沖繩の市町村に貸し付けることができるよう、本土の財政投融資資金琉球政府に貸し付けることとし、所要の規定の整備をはかろうとするものであります。  特別委員会における質疑の詳細は会議録によって御承知願います。  五月七日、質疑を終了し、討論に入りましたが、別に発言もなく、採決の結果、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告いたします。(拍手
  26. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  27. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  28. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 日程第四、海洋科学技術センター法案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。科学技術振興対策特別委員長鈴木一弘君。    〔鈴木一弘君登壇拍手
  29. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 ただいま議題となりましだ法案につきまして、委員会における審査の経過と結果について御報告申し上げます。  本法案は、海洋開発の促進に資するため、政府及び民間の共同出資による認可法人として海洋科学技術センターを設立し、海洋科学技術に関する総合的試験研究、共同試験研究施設の供用並びに研究者及び技術者の研修等、海洋科学技術の向上のため必要な業務を行なおうとするものであります。  委員会におきましては、本センターを認可法人とした理由、本センターの業務内容、海洋開発の総合的計画推進方策及び人材の養成等について質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。  質疑を終わり、討論なく、採決の結果、本法案は全会一致を持って原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本法案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案にかかる附帯決議が付されました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  30. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  31. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  32. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 日程第五、水産業協同組合法の一部を改正する法律案。  日程第六、漁港法の一部を改正する法律案。  日程第七、海洋水産資源開発促進法案。   (いずれも内閣提出衆議院送付)  日程第八、国有林野活用に関する法律案(第六十三回国会内閣提出、第六十五回国会衆議院送付)  以上四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長河口陽一君。    〔河口陽一君登壇拍手
  34. 河口陽一

    ○河口陽一君 ただいま議題となりました法案について御報告いたします。  まず、水産業協同組合法改正案は、漁業協同組合の法人組合員の資格要件の緩和など、組合の組織と運営に関する制度を改めようとするものであります。  委員会におきましては、組合の民主的運営、他の水産関係法令との調整等について質疑が行なわれました。  質疑を終わり、日本共産党河田委員の反対討論の後、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次いで、多数をもって附帯決議を行ないました。     —————————————  次に、漁港法改正案は、国以外の者が、北海道で漁港修築事業を実施する場合の国の負担及び補助の割合を、これまでの全額から百分の九十に改めようとするもので、衆議院において施行期日についての修正が行なわれたものであります。  委員会におきましては、質疑を終わり、討論採決の結果、本法律案は、多数をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。     —————————————  次に、海洋水産資源開発促進法案は、海洋水産資源開発のため、開発区域の指定、開発計画の樹立、新漁場開発のための調査等を行なおうとするものであります。  委員会におきましては、質疑を終わり、河田委員の反対討論の後、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次いで、全会一致をもって附帯決議を行ないました。     —————————————  次に、国有林野活用に関する法律案は、現在通達により行なわれている農林業の構造改善のための国有林野活用を一そう円滑かつ適正に実施するため提案されたものでありまして、国有林野活用は、林業基本法の趣旨に即し、国有林野所在地域における農林業の構造改善その他、地域の振興に資するため、国有林野の管理経営の事業の適切な運営の確保に必要な考慮を払いつつ行なおうとするほか、活用の対象事業と活用の相手方、基本的事項の決定公表、適正な活用の実施に関する措置、二十五年以内の延納、売り払い収入等の使途などについて規定したものであります。  国有林野活用に関する最初の法律案は、昭和四十二年の第五十五回国会に提案されており、本案は第六十一回国会に衆議院で修正議決され、審査未了となった案が第六十三回国会に再提出され、今国会まで継続審査となっていたものであります。  委員会におきましては、林道、造林、外材問題、国有林野事業の財務、労働問題その他、林業及び森林をめぐる諸般の問題が論議されたほか、従来の活用と本法による活用との比較、国有林野活用適地の選定基準、活用後の用途指定等を確保する措置などについて質疑応答が行なわれました。  質疑を終わり、河田委員の反対討論の後、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次いで、国有林野事業の体制整備し、その使命達成との調整をはかりつつ適正な活用をはかること等の四項目の附帯決議を全会一致で行ないました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  35. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  まず、水産業協同組合法の一部を改正する法律案及び海洋水産資源開発促進法案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  36. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 過半数と認めます。よって、両案は可決せられました。      ——————————
  37. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 次に、漁港法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  38. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。      ——————————
  39. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 次に、国有林野活用に関する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  40. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。      ——————————
  41. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 日程第九、船舶職員法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。運輸委員会理事金丸冨夫君。    〔金丸冨夫君登壇拍手
  42. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 ただいま議題となりました船舶職員法の一部を改正する法律案について、審査の経過と結果を御報告いたします。  本法律案は、最近の船舶における技術革新の進展等に対応して、海技従事者の国家試験を合理化するとともに、船舶に乗り組ませなければならない船舶職員と、その資格を定めている配乗別表の一部を改めようとするものであります。  委員会では、船舶航行の安全確保の見地から、本法律案をめぐる諸問題について質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲ります。  質疑を終了し、別に討論もなく、採決の結果、本法律案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、各派共同提案による附帯決議を行ないました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  43. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  44. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。      ——————————
  45. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 日程第十、コンテナーに関する通関条約及び国際道路運送手帳による担保の下で行なう貨物の国際運送に関する通関条約TIR条約)の実施に伴う関税法等の特例に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長柴田栄君。    〔柴田栄君登壇拍手
  46. 柴田栄

    ○柴田栄君 ただいま議題となりました法律案は、最近における貨物のコンテナーによる国際運送の実情にかんがみ、コンテナーに関する通商条約及び国際道路運送手帳による担保の下で行なう貨物の国際運送に関する通商条約に加盟することに伴い、この両条約を実施するため、関税法及び関税定率法の特例として、免税コンテナー等について、担保の提供、用途外使用の制限等の規定を設けるほか、国際道路運送手帳を発給することのできる保証団体の許可等について必要な措置を講じております。  委員会における質疑の詳細は会議録に譲ります。  質疑を終了し、討論もなく、採決の結果、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  右御報告申し上げます。(拍手
  47. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  48. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって過可決せられました。      ─────・─────
  49. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 日程第十一、許可、認可等の整理に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長田口長治郎君。    〔田口長治郎君登壇拍手
  50. 田口長治郎

    ○田口長治郎君 ただいま議題となりました許可、認可等の整理に関する法律案について、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本法案の内容は、行政改革三カ年計画に基づき、合計七十件、三十法律にわたる許可、認可等について、一括して整理を行なおうとするものであります。  委員会におきましては、許可、認可の整理についての臨時行政調査会の答申と行政改革計画との関係、今後の整理方針等について質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。  質疑を終わり、討論なく、採決の結果、本法案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案に対し、足鹿委員より提出の各党共同提案にかかる附帯決議が付せられました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  51. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  52. 安井謙

    ○副議長(安井謙君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時三十三分散会