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政府委員(
木田宏君) 今回の
プレオリンピックの
経験を通じまして出てまいりました
競技施設の
問題点は幾つかございます。
一つは、いま御
指摘がありました
競技するものの側から見た
施設の
問題点がございまして、その
一つは、御
指摘のございました
手稲山ボブスレーコースに若干
手直しの必要があるのではないかと思います。この
手稲山ボブスレーコースは、全長千八百二十
メーターほどございまして、十四の
カーブを平均五度の
勾配度で下がってくるわけでございますが、千八百
メーターを一分そこそこで、すごい
勢いで一瞬の間に走り去ってしまいますが、いろいろと
国際連盟の指導を受けながら、この
コースを
整備いたしたのでございますが、第四の
カーブと第五の
カーブのところで、
日本の
選手が多かったわけでございますが、
ボブスレーの本体が外へ飛び出したというようなことが起こりました。
けがもそのときに出たわけでございまして、この第四と第五の
コースのところは
競技運営上どうしても
手直しをする必要があるということが、当時
世界ボブスレー連盟の
関係者とも
意見交換をして、出てまいりました。これはその
カーブを適正に直すように改めるつもりでございます。また
競技選手の側から見ました
競技施設の
問題点といたしまして、
真駒内の
スピードスケート場の氷が少しすべらないのじゃないか、いい記録が出ないのじゃないかという
意見が一部にございました。しかし、
国際連盟の
関係者なり、外国の
選手なりの中には、非常にいいというふうにほめていただいている面もございますけれども、でき上がった直後氷を張りました
関係上、何らかの
工事中の油とか、あるいは汚物が入ったのではなかろうかというような
意見が出ておりまして、今回張りました氷の一部を持って参りまして、北大の低温科学研究所で氷質の検査をしてもらって、どこに原因があるかというようなことの検査にとりかかる手順をいたしております。まあ
競技の側から見ました
問題点としていま聞いておりますのはその二点が大きいかと思いますが、
屋内競技場に氷の継ぎ目の問題が
一つ出ておりまして、これもこれからどうすれば氷質がよりよくなるかという点での検討をすることにいたしております。なおもう
一つ、
恵庭岳の滑降のスタートのところが少し危険性があるのではないかという
指摘がございまして、ことしの
プレの場合には、
国際連盟の指示によって一応セットいたしましたスタート地点を少し変えて運用をいたしました。これらの点は今度の
経験にかんがみまして十分に
整備できると思っております。
もう
一つ、今度は
観客のほうの側から見ました
問題点でございますが、これはいま御
指摘がございました昨年十二月の政府と
組織委員会関係者でもちました
オリンピック対策協議会の席で幾つかの項目が
かなり詳細にわたって検討されたところでございます。
一つは、大倉山の斜面の上のほうにあがってまいります傾斜地にある
観客席が安全かどうかということと、そこに通じております
観客の誘道路が、
競技が終わっておりてくる場合にどうかというような問題がございました。今度の
プレの際には、この大倉山の
競技場の収容力は五万人と
予定いたしておりますが、
観客がそこまで入っておりませんのでいまの点の問題は具体的にはなかったわけでございますけれども、この点は、今回のように雪が少ないとよろしゅうございますけれども、雪が多くなった場合のことを多少考えまして、どうしても大倉山の斜面の一番上の
観客席に通じます誘道路、これは二、三千人の使う誘道路になりますけれども、部分的ではございますが、少し拡幅をする必要があるというふうに感じております。この
プレオリンピックで最大の教訓として私どもも
関係者も感じておりますのは、
真駒内屋内競技場の落雪になります
けが人が出たことでございまして、不幸中の幸いではございましたけれども、ことしは雪が少のうございました
関係と、落ちてまいりましたもののそれほどひどい事故ではなかったということがたいへん教訓としてはありがたいというふうに思っております。これは
工事の着手時期から気にしておったことでございまして、大きな積雪地帯で直径百三
メーターの屋根をまん中に柱を持たないで支えるそういう屋内
競技施設をつくるにはどうしたらいいかということが設計の段階からの
関係者の最大の
問題点でございました。積雪が多くなりますと百三
メーターの丸天井をそのままどれだけ支えられるか、雪をどうしてじょうずに落とすかということが設計上の大きな
問題点であったわけでございます。したがいまして、雪を上手に落とすということに
関係者が気を配りまして、屋根の形も二段の十六角形のような形の屋根にいたしました。で、それに多少設計者のほうはやはり森林公園との環境に見合った外観ということを考えまして、現在でき上がったものになったわけでございます。雪が屋根から当然落ちてくる、うまく落とすということで考えておるわけでございますが、落ちる場合の雪の落ち方ということにつきまして、設計の段階からだんだんと
工事が進んでまいりまして、どうしても四カ所の入り口に対しましてもう少し屋根を出す必要があるであろうというので八
メーターほどの屋根を、北海道開発局の注意で、設計になかった屋根を新たに入り口のところへ突き出したかっこうでつけました。そして
札幌地域の屋根から落ちてまいります雪の落ち方を見ておりますと、大体ひさしのところからその一番近い部分がすっと下へおりるという意味で、八
メーターほどの安全をとっておけば大体だいじょうぶであろうというふうに考えておりました。そういうことから、今度お客様に入っていただきます場合に、さらにその六
メーターほど外に、大体十五
メーターくらいのところにテープを、綱を張りまして出入り口に誘導をするという
観客の整理に当たったわけでございます。ところが思いがけないことでございましたが、一番てっぺんの部分に、わずかに残っておりました雪が屋根の一番中央のところから速度をつけてすうっと遠くに飛んで落ちたものでございますから、十七
メーターから十八
メーターほど軒先から離れた地点にジャンプして雪が落ちてまいりました。そんな
関係で思いがけない
けが人を出したという次第でございます。これは行事のように
関係者がたくさんおりますときはまだよろしいかと思うのでございますが、平常時におきましてあの落雪が付近の
関係者に思いがけない
けがを与えるということなどが一番心配でございますので、この点につきましてどういう善後措置をとればいいかということを、
プレオリンピックが終わりましてすぐ
関係者の間で相談をいたしまして、
屋内競技場につきましてはなお、先ほど
大臣が申しましたように室内の
音響の問題等もございますけれども、第一番の
安全対策をこれからの範囲内でどうすればいいかということで、ことしの三月の雪解けのときにおきます屋根の状態その他を考えあわせながら十分に慎重を期したいと考えております。